IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンナ-ケミストリーズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】シロシンの結晶塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/14 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D209/14
A61K31/4045
A61K47/12
A61P25/18
A61P25/04
A61P29/00
A61P9/00
A61P25/08
A61P21/00
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573066
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022030661
(87)【国際公開番号】W WO2022251169
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,266
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/240,092
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,610
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/310,703
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444235
【氏名又は名称】カンナ-ケミストリーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シュルタイス ネイト
(72)【発明者】
【氏名】ヒューストン トラヴィス リー
(72)【発明者】
【氏名】ペアレント ステファン ディー
(72)【発明者】
【氏名】セティアワン ニコ
(72)【発明者】
【氏名】マクラケン リサ エム
(72)【発明者】
【氏名】ジョナイティス デヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC11
4C076CC41
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076EE59
4C076FF01
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA94
4C086ZC39
(57)【要約】
シロシンの結晶塩を開示する。結晶性シロシン塩及び結晶性シロシン塩を含有する組成物の有益な治療用途も開示する。本開示は、結晶性シロシン塩を製造し、特徴付ける方法を提示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)の塩又は共結晶であって、結晶形態で存在し、
(a)安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(b)ニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(c)酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(d)アジピン酸とシロシンとの塩又は共結晶のアセトン溶媒和物、
(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(f)シュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物、
(g)乳酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(h)リンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶、並びに
(i)ステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶
からなる群より選択される、塩又は共結晶。
【請求項2】
前記結晶形態が、
(a)約1:1の化学量論を有する安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(b)約1:1の化学量論を有するニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(c)約1:1の化学量論を有するL-(+)-酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(d)約1:2の化学量論を有するアジピン酸とシロシンとのヘミ塩又は共結晶のヘミアセトン溶媒和物、
(e)(i)約1:1の化学量論を有するフマル酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(e)(ii)約2:1の化学量論を有するフマル酸とシロシンとのヘミ塩又は共結晶、
(f)約1:1の化学量論を有するシュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル/エタノール含有溶媒和物であって、ジエチルエーテル:エタノール:シロシンの化学量論が約0.2:0.1:1である溶媒和物、
(g)約1:1の化学量論を有するDL-乳酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(h)約1:1の化学量論を有するL-リンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶、並びに
(i)約1:1の化学量論を有するステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶
からなる群より選択される、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項3】
前記結晶形態が、(a)安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:9.4、12.3、14.5、16.3、16.4、18.1、18.9、19.2、19.7、21.3、22.6、22.9、24.7、24.8、及び26.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項4】
前記結晶形態が、図1に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項3に記載の塩又は共結晶。
【請求項5】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表1】
請求項3に記載の塩又は共結晶。
【請求項6】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約237℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図4に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.8ppm、3.3ppm、3.4ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、7.0ppm、7.3ppm、7.4ppm、若しくは8.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項3に記載の塩又は共結晶。
【請求項7】
前記結晶形態が、図3に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項6に記載の塩又は共結晶。
【請求項8】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約8.0ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項6に記載の塩又は共結晶。
【請求項9】
前記結晶形態が、図5に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項6に記載の塩又は共結晶。
【請求項10】
前記結晶形態が、(b)以下の2θ回折角:10.2、11.4、12.4、14.0、15.1、15.6、17.2、17.5、18.4、19.2、20.0、22.4、23.5、24.1、25.0、及び25.2°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶である、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項11】
前記結晶形態が、図6に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項10に記載の塩又は共結晶。
【請求項12】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表2】
請求項10に記載の塩又は共結晶。
【請求項13】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約189℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図9に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、7.0ppm、7.4ppm、8.3ppm、8.5ppm、若しくは9.1ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項10に記載の塩又は共結晶。
【請求項14】
前記結晶形態が、図8に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項13に記載の塩又は共結晶。
【請求項15】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約9.1ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項13に記載の塩又は共結晶。
【請求項16】
前記結晶形態が、図10に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項13に記載の塩又は共結晶。
【請求項17】
前記結晶形態が、(c)以下の2θ回折角:13.4、14.7、15.9、17.2、18.8、20.2、20.8、21.8、22.6、23.4、24.6、24.8、25.5、及び26.6°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶である、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項18】
前記結晶形態が、図11に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項17に記載の塩又は共結晶。
【請求項19】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表3】
請求項17に記載の塩又は共結晶。
【請求項20】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約167℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図14に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、4.4ppm、6.4ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項17に記載の塩又は共結晶。
【請求項21】
前記結晶形態が、図13に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項20に記載の塩又は共結晶。
【請求項22】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約4.4ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項20に記載の塩又は共結晶。
【請求項23】
前記結晶形態が、図15に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項20に記載の塩又は共結晶。
【請求項24】
前記結晶形態が、(d)アジピン酸とシロシンとの塩のアセトン溶媒和物であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:8.4、10.3、10.8、13.4、15.0、15.3、15.5、15.8、16.9、18.2、20.1、21.6、21.8、22.9、及び28.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項25】
前記結晶形態が、図16に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項24に記載の塩又は共結晶。
【請求項26】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表4】
請求項24に記載の塩又は共結晶。
【請求項27】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約49℃、102℃、135℃、155℃、若しくは179℃にピークの最大値を有する1つ若しくは複数の吸熱現象;
図19に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約1.6ppm、1.7ppm、2.2ppm、2.3ppm、2.8ppm、3.2ppm、3.3ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項24に記載の塩又は共結晶。
【請求項28】
前記結晶形態が、図18に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項27に記載の塩又は共結晶。
【請求項29】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約1.6~1.7ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項27に記載の塩又は共結晶。
【請求項30】
前記結晶形態が、図20に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項27に記載の塩又は共結晶。
【請求項31】
前記結晶形態が、(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:6.9、10.5、12.2、12.6、15.8、16.1、16.7、17.0、18.3、19.1、20.3、20.8、22.6、23.1、23.3、23.5、24.2、25.3、25.9、及び27.8°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項32】
前記結晶形態が、図21に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項31に記載の塩又は共結晶。
【請求項33】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表5】
請求項31に記載の塩又は共結晶。
【請求項34】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約167℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図24に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項31に記載の塩又は共結晶。
【請求項35】
前記結晶形態が、図23に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項34に記載の塩又は共結晶。
【請求項36】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約6.7ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項34に記載の塩又は共結晶。
【請求項37】
前記結晶形態が、図25に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項34に記載の塩又は共結晶。
【請求項38】
前記結晶形態が、(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:9.7、13.7、16.1、16.6、23.9、24.7、及び25.2°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項39】
前記結晶形態が、図26に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項38に記載の塩又は共結晶。
【請求項40】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表6】
請求項38に記載の塩又は共結晶。
【請求項41】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約225℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図29に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.8ppm、3.3ppm、3.4ppm、6.4ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項38に記載の塩又は共結晶。
【請求項42】
前記結晶形態が、図28に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項41に記載の塩又は共結晶。
【請求項43】
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約6.7ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項41に記載の塩又は共結晶。
【請求項44】
前記結晶形態が、図30に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項41に記載の塩又は共結晶。
【請求項45】
前記結晶形態が、(f)シュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:7.6、7.8、10.3、14.2、15.3、15.7、17.1、19.5、20.4、20.6、21.0、21.7、22.9、23.7、24.1、24.3、24.8、及び27.1°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項46】
前記結晶形態が、図31に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項45に記載の塩又は共結晶。
【請求項47】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表7】
請求項45に記載の塩又は共結晶。
【請求項48】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約119℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図34に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項45に記載の塩又は共結晶。
【請求項49】
前記結晶形態が、図33に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項48に記載の塩又は共結晶。
【請求項50】
前記結晶形態が、図35に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項48に記載の塩又は共結晶。
【請求項51】
前記結晶形態が、(g)以下の2θ回折角:9.0、13.8、14.4、15.6、17.8、18.4、20.3、21.7、22.3、22.9、24.0、及び25.5°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す乳酸とシロシンとの塩又は共結晶である、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項52】
前記結晶形態が、図36に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する請求項51に記載の塩又は共結晶。
【請求項53】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表8】
請求項51に記載の塩又は共結晶。
【請求項54】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約148℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図39に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約1.2ppm、2.3ppm、2.7ppm、2.9ppm、3.9ppm、6.3ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは10.6ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項51に記載の塩又は共結晶。
【請求項55】
前記結晶形態が、図38に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項54に記載の塩又は共結晶。
【請求項56】
前記結晶形態が、少なくとも約1.2ppm及び約6.3ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項54に記載の塩又は共結晶。
【請求項57】
前記結晶形態が、図40に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項54に記載の塩又は共結晶。
【請求項58】
前記結晶形態が、(h)以下の2θ回折角:8.6、9.0、11.7、12.6、15.9、16.8、18.1、20.2、20.6、21.4、22.8、26.1、及び28.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すリンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶である、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項59】
前記結晶形態が、図41に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項58に記載の塩又は共結晶。
【請求項60】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表9】
請求項58に記載の塩又は共結晶。
【請求項61】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約129℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図44に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.3ppm、2.7ppm、3.1ppm、3.9ppm、6.3ppm、6.8ppm、7.0ppm、若しくは10.7ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項58に記載の塩又は共結晶。
【請求項62】
前記結晶形態が、図43に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項61に記載の塩又は共結晶。
【請求項63】
前記結晶形態が、少なくとも約6.3ppm及び約3.9ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項61に記載の塩又は共結晶。
【請求項64】
前記結晶形態が、図45に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項61に記載の塩又は共結晶。
【請求項65】
前記結晶形態が、(i)以下の2θ回折角:4.5、8.9、14.4、15.6、20.1、21.0、23.9、及び26.4°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶である、請求項1に記載の塩又は共結晶。
【請求項66】
前記結晶形態が、図46に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、請求項65に記載の塩又は共結晶。
【請求項67】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表10】
請求項65に記載の塩又は共結晶。
【請求項68】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約86℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図49に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約0.9ppm、1.2ppm、1.5ppm、2.2ppm、2.6ppm、2.9ppm、6.3ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、及び10.6ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項65に記載の塩又は共結晶。
【請求項69】
前記結晶形態が、図48に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項68に記載の塩又は共結晶。
【請求項70】
前記結晶形態が、少なくとも約6.3ppm及び約0.9ppmに特徴的なピークを含む溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項68に記載の塩又は共結晶。
【請求項71】
前記結晶形態が、図50に示すものと実質的に同様の溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項68に記載の塩又は共結晶。
【請求項72】
請求項1に記載の塩又は共結晶と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項73】
前記医薬組成物が経口製剤である、請求項72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記医薬組成物が経口固体剤形である、請求項73に記載の医薬組成物。
【請求項75】
請求項1に記載の塩又は共結晶を調製する方法であって、安息香酸、ニコチン酸、酒石酸、アジピン酸、フマル酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、及びステアリン酸からなる群より選択される酸とシロシンとを反応させて、シロシンとそれぞれの酸との塩又は共結晶を結晶形態で沈殿させることを含む方法。
【請求項76】
前記シロシン及び/又は酸を、アルコール、エーテル、ケトン、アルカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中で溶解又は懸濁させる又は粉砕することを更に含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、アセトン、エタノール、メチルエチルケトン、tert-ブチルエーテル、ヘキサン、又はこれらの混合物である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
シロシン又はシロシビンが適応とされる対象の疾患又は障害を治療する方法であって、請求項1に記載の塩又は共結晶の治療上有効な量を、これらを必要とする前記対象に投与することを含む方法。
【請求項79】
前記疾患又は障害が、精神障害若しくは精神病性障害、神経認知疾患若しくは障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、慢性疼痛、炎症性疾患若しくは障害、脳卒中、てんかん障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、又はこれらの組み合わせである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記疾患又は障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安障害、睡眠覚醒障害、衝動制御障害、破壊的行動障害、行為障害、うつ病性障害、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害及び関連障害、双極性障害、統合失調症、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される精神障害又は精神病性障害である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記疾患又は障害が、アルツハイマー病;レビー小体型認知症;外傷性脳損傷;プリオン病;HIV感染;パーキンソン病;ハンチントン病;アルコール、喫煙、又は薬物に関連する状態又は状況;及びこれらの組み合わせからなる群より選択される神経認知疾患又は障害である、請求項79に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロシンの結晶塩及びこれらの調製方法に関する。本発明は、結晶塩及び結晶塩形態を含む組成物の有益な治療用途にも関する。
【背景技術】
【0002】
結晶形態の治療薬は、薬物の物理化学的特性を変化させるために用いられてきた。薬物の結晶形態はそれぞれ、薬物送達に関連する可能性のある異なる固体状態の(物理的・化学的)特性を有することがある。結晶形態は、多くの場合、非晶形などの対応する非結晶形態よりも優れた化学的・物理的特性を有する。薬物の新規固体形態(塩、多形体、又は共結晶など)が示す物理的特性の違いは、融点、保存性、圧縮性、及び密度(処方や製品製造に関連する)、並びに溶解速度や溶解度(適切なバイオアベイラビリティを達成する際の関連因子)などの薬学的パラメータに影響を与える。
多くの経口薬では、薬物の好適な結晶形態を得る段階が必要となることも少なくない。特定の薬物では、好適な結晶形態で所望の特性が得られる。このような好適な結晶形態は、イオン化可能な薬物と好適な酸/塩基との間で塩を形成することによって得られることがある。塩は既知の形態の薬物自体よりも有利な薬学的・薬理学的特性を有していることが多く、加工が容易な場合もある。例えば、塩は当該薬物とは異なる溶解特性や溶解度を有することもある。更に、塩は薬物送達のための簡便なビヒクルとして使用されることもあり、所定の薬物の塩を含有する新規の製剤は、例えば薬物の既存の処方と比べて、加工若しくは取扱特性を高める、溶解プロファイルを有利に変化させる、又は安定性や有効期間を向上させることにより、優れた特性を有し得る。同様に、塩の形成は、当該薬物の多形体形成を避ける1つの方法でもある。
【0003】
薬物の塩(栄養補助食品成分又は活性医薬成分)とは、イオン化可能な薬物と対イオン(酸又は塩基)が結合して電荷中性の複合体を形成した結果生じる独特の化学組成物である。一般に塩は、結合すると、個々の薬物及び対イオン(酸又は塩基)と比べて、独特の結晶学的・分光学的特性を有する。塩において、薬物と対イオンは結晶格子の単位胞内に固有の格子位置を持つ。塩の結晶学的特性は、中でもX線粉末回折(XRPD)などの技術を用いて、他の結晶形態と同様に分析できる。塩は、対応する薬物の他の形態と比べて独特の熱挙動を示すことも多い。熱挙動は、毛細管融点、熱重量分析(TGA)、及び示差走査熱量測定(DSC)などの技術によって分析し得る。これらの技術は、塩の同定や特徴付けに使用できる。
最終的に上市を目指している医薬品の場合、塩を設計する際に、許容可能な毒性プロファイルを持つ好適な対イオン(酸又は塩基)を組み入れることを考慮する必要がある。製薬業界では、対イオン(酸又は塩基)は、通常、薬学的に許容される塩形態から、即ちこれまでにFDA承認薬又は食品中に存在した分子であるために一般に安全とみなされている(GRAS)及び/又は米国で食品に使用される全物質(EAFUS)リストから選択される。天然に存在する化合物を対イオン(酸又は塩基)として利用することで、製薬業界が利用できる分子候補のリストが拡大し、消費者には更に生理学的効果がもたらされる。
【0004】
シロシン(4-ヒドロキシDMT、4-OH-DMT、又は4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミンとしても知られる)は、CAS番号が520-53-6のトリプタミンアルカロイドで、幻覚性物質である。殆どのマジックマッシュルームには、これとそのリン酸化対応物であるシロシビンが含まれている。実際、シロシビンは摂取されると速やかにシロシンに代謝され、前頭前皮質にあるセロトニン受容体に作用する。シロシンの向精神作用は通常1~3時間持続するが、薬物が時間の知覚をゆがめるため、シロシンの影響下にある人は、作用がもっと長く続くように感じることがある。シロシンの毒性は低く、ドパミン受容体には重大な影響を与えず、薬物の致死量に関する報告はまれである。治療薬としてのシロシンは、不安、抑うつ、精神病性障害、統合失調症、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害、頭痛、並びにオピオイド、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン、及びニコチンからの離脱症状などの疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害の症状の治療に好適である可能性がある。
シロシンの結晶構造の1つは、1974年にT.J.PetcherとH.P.Weberによって、PSILINのCCDC Ref Codeと共に文献で報告されている(Journal of Chemical Society,Perkin Transactions 2,Pages946-948)。実際、シロシン結晶質の分野は、比較的未開拓の領域と見られることから、他のシロシン結晶形態がなおも必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は新規のシロシン塩に関する。具体的には、本発明は、1:1シロシン安息香酸塩;1:1シロシンニコチン酸塩;1:1シロシン酒石酸塩;2:1シロシンヘミアジピン酸塩のヘミアセトン溶媒和物;1:1シロシンフマル酸塩;2:1シロシンヘミフマル酸塩;1:1シロシンシュウ酸塩のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物(このとき、ジエチルエーテル:エタノール:シロシンの化学量論は約0.2:0.1:1);1:1シロシンDL-乳酸塩;1:1シロシンL-リンゴ酸塩;及び1:1シロシンステアリン酸塩に関する。本発明は、本発明のシロシン塩と薬学的に許容される対イオン(酸)とを含有する医薬組成物に関する。シロシン塩は、シロシンと同様に使用し得る。治療薬として、シロシンは、上述のように、不安、抑うつ、精神病性障害、統合失調症、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害、頭痛、並びにオピオイド、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン、及びニコチンからの離脱症状などの疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害の症状の治療に好適である可能性がある。シロシンの分子構造を以下に示す。
【化1】
シロシン
本発明は更に、シロシンを用いて疾患、障害、又は状態を治療する方法に関し、この改善は、本発明のシロシン、組成物、又は医薬組成物の有益な量又は治療上有効な量を、これらを必要とする患者に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】1:1シロシン安息香酸塩1のXRPDパターンを示すグラフである。
図2】1:1シロシン安息香酸塩1のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図3】1:1シロシン安息香酸塩1のDSCトレースを示すグラフである。
図4】1:1シロシン安息香酸塩1のTGAトレースを示すグラフである。
図5】1:1シロシン安息香酸塩1の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図6】1:1シロシンニコチン酸塩2のXRPDパターンを示すグラフである。
図7】1:1シロシンニコチン酸塩2のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図8】1:1シロシンニコチン酸塩2のDSCトレースを示すグラフである。
図9】1:1シロシンニコチン酸塩2のTGAトレースを示すグラフである。
図10】1:1シロシンニコチン酸塩2の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図11】1:1シロシン酒石酸塩3のXRPDパターンを示すグラフである。
図12】1:1シロシン酒石酸塩3のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図13】1:1シロシン酒石酸塩3のDSCトレースを示すグラフである。
図14】1:1シロシン酒石酸塩3のTGAトレースを示すグラフである。
図15】1:1シロシン酒石酸塩3の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図16】2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のXRPDパターンを示すグラフである。
図17】2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図18】2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のDSCトレースを示すグラフである。
図19】2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のTGAトレースを示すグラフである。
図20】2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図21】1:1シロシンフマル酸塩5のXRPDパターンを示すグラフである。
図22】1:1シロシンフマル酸塩5のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図23】1:1シロシンフマル酸塩5のDSCトレースを示すグラフである。
図24】1:1シロシンフマル酸塩5のTGAトレースを示すグラフである。
図25】1:1シロシンフマル酸塩5の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図26】2:1シロシンヘミフマル酸塩6のXRPDパターンを示すグラフである。
図27】2:1シロシンヘミフマル酸塩6のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図28】2:1シロシンヘミフマル酸塩6のDSCトレースを示すグラフである。
図29】2:1シロシンヘミフマル酸塩6のTGAトレースを示すグラフである。
図30】2:1シロシンヘミフマル酸塩6の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図31】1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のXRPDパターンを示すグラフである。
図32】1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図33】1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のDSCトレースを示すグラフである。
図34】1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のTGAトレースを示すグラフである。
図35】1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図36】1:1シロシンDL-乳酸塩8のXRPDパターンを示すグラフである。
図37】1:1シロシンDL-乳酸塩8のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図38】1:1シロシンDL-乳酸塩8のDSCトレースを示すグラフである。
図39】1:1シロシンDL-乳酸塩8のTGAトレースを示すグラフである。
図40】1:1シロシンDL-乳酸塩8の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図41】1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のXRPDパターンを示すグラフである。
図42】1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図43】1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のDSCトレースを示すグラフである。
図44】1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のTGAトレースを示すグラフである。
図45】1:1シロシンL-リンゴ酸塩9の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
図46】1:1シロシンステアリン酸塩10のXRPDパターンを示すグラフである。
図47】1:1シロシンステアリン酸塩10のXRPDパターンの指数付けを示すグラフである。
図48】1:1シロシンステアリン酸塩10のDSCトレースを示すグラフである。
図49】1:1シロシンステアリン酸塩10のTGAトレースを示すグラフである。
図50】1:1シロシンステアリン酸塩10の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、シロシンの新規の結晶塩形態に関する。この結晶塩、1:1シロシン安息香酸塩、1:1シロシンニコチン酸塩、1:1シロシン酒石酸塩、2:1シロシンヘミアジピン酸塩のヘミアセトン溶媒和物、1:1シロシンフマル酸塩、2:1シロシンヘミフマル酸塩、1:1シロシンシュウ酸塩の溶媒和物、1:1シロシンDL-乳酸塩、1:1シロシンL-リンゴ酸塩、及び1:1シロシンステアリン酸塩を調製し、以下の実施例に記載するように、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び溶液プロトン核磁気共鳴(1H NMR)によって特徴付けした。
【0008】
結晶性シロシン形態の治療用途
シロシン(4-ヒドロキシDMT、4-OH-DMT、又は4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミンとしても知られる)は、ヒトの健康にとって有益であることが知られている。本発明は、シロシン塩の有益な治療用途、及びその送達方法、並びに結晶性シロシン塩を含有する医薬品剤形などの組成物もヒトに提供する。更に本発明の結晶性シロシン塩は、上述したような疾患、障害、及び状態を治療し、ヒトに有益な治療を提供するために使用し得る。
加えて本発明は、本発明の結晶性シロシン塩、組成物、又は医薬組成物の有益な量又は治療上有効な量を、これらを必要とする患者に投与するステップを含む、そのような疾患、障害、又は状態を治療する方法にも関する。同様に、本発明は、本発明の結晶性シロシン塩、組成物、又は医薬組成物の有益な量又は治療上有効な量を、これらを必要とする患者に投与することを特徴とする、疾患、障害、又は状態を治療するためのシロシンの使用に関する。
本発明は、本発明の結晶性シロシン塩の治療上有効な量又は有益な量を、これらを必要とするヒト又は動物の患者に投与することによって、そのような疾患、障害、若しくは状態を治療する方法(又は、治療するためのシロシン塩の使用)、又は本発明の結晶性シロシンを含有する治療用組成物を、これらを必要とするヒト又は動物の患者に投与する方法にも関する。用語「治療」又は「治療すること」は、哺乳動物における疾患、障害、又は状態の何らかの治療を意味し、これは、疾患、障害、若しくは状態を予防若しくはこれらから保護すること、即ち臨床症状を発現させないこと;疾患、障害、若しくは状態を阻害すること、即ち臨床症状の発現を抑止若しくは抑制すること;及び/又は疾患、障害、若しくは状態を軽減すること(状態若しくは障害に伴う不快感の軽減を含む)、即ち臨床症状を退行させることを含む。ヒトの医学においては、1つ又は複数の最終的な誘導事象が未知で不顕性であり得るため、又は当該事象の発生後かなり経過するまで患者が確認されないために、「予防」と「抑制」の区別が必ずしも可能でないことは、当業者には理解されよう。従って、本明細書で使用する用語「予防」は、疾患、障害、又は状態を「予防すること」と「抑制すること」の両方を包含する「治療」の要素として意図されている。用語「保護」は「予防」を含むことが意図されている。
本発明の結晶性シロシン塩は、所望の効果を得るために、約0.001~約1.0mg/kg対象体重/日、約0.01~約0.5mg/kg対象体重/日、又は約0.1~約0.20mg/kg対象体重/日のシロシン投与量で、1日1回又は複数回投与し得る。適切な場合には、0.001mg/kgを下回る用量又は1.0mg/kgを超える用量(例えば1~2mg/kg)を、これらを必要とする対象に投与できることも理解されよう。
【0009】
結晶性シロシン塩を含有する組成物
本発明は、本発明による結晶性シロシン塩の有益な量又は治療上有効な量と、薬学的に許容される担体(薬学的に許容される賦形剤としても知られる)などの担体とを含む栄養補助食品及び医薬組成物などの組成物にも関する。組成物及び医薬品剤形は、任意の量、任意の形態の組成物、栄養補助食品又は医薬組成物、及び治療に有益又は治療上有効な任意の投与経路を用いて投与し得る。上述のように、これらの医薬組成物は、上述したような障害を治療又は予防するために治療上有用である。
本発明の医薬組成物は、本発明による結晶性シロシン塩を含有する、当技術分野で公知の任意の医薬品剤形であり得る。組成物、特に医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、液体懸濁液、注射用組成物、局所用組成物、吸入用組成物、又は経皮用組成物であり得る。組成物、特に医薬組成物は、一般に、例えば約0.1~約99.9質量%の結晶性シロシン塩、例えば約0.5~約99質量%の本発明の結晶性シロシン塩と、例えば99.5~0.5質量%の少なくとも1つの好適な薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含有する。組成物は、約5~約75質量%の本発明の結晶性シロシン塩に加え、残りは、後述するように、少なくとも1つの薬学的に許容される好適な担体及び/又は賦形剤でもあり得る。
製剤化では、当業者に知られているように、薬学的に許容される適切な担体及び/又は賦形剤が所望の用量で含まれる。本開示の医薬組成物は、治療対象である状態の部位及び重症度に応じて、ヒト及び他の動物に、経口、直腸、非経口、静脈内、大槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、又は滴下による)、頬側、口腔又は鼻腔スプレーなどで投与できる。一実地形態では、医薬組成物は、経口単位剤形である。
【0010】
組成物、特に本発明の医薬組成物は、本発明の結晶性シロシン塩の有益な量又は治療上有効な量と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤などの担体とを含む。そのような薬学的に許容される担体及び賦形剤には、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、調味料、保存料、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、及び他の従来の賦形剤並びに添加剤があるがこれらに限定されない。従って、本発明の医薬組成物は、以下のいずれか1つ又は組み合わせを含むことができる:薬学的に許容される担体又は賦形剤;他の医薬物(複数可);医薬品(複数可);アジュバント;緩衝剤;保存料;希釈剤;並びに当技術分野で公知の他の種々な医薬品添加剤及び薬剤。これらの追加の製剤添加剤及び薬剤は、多くの場合、生物学的に不活性であり、ヒトに投与しても有害な副作用又は相互作用を引き起こさない。
好適な添加剤には、微結晶セルロース、ラクトース、スクロース、フルクトース、グルコース、デキストロース、その他の糖類、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、その他の糖アルコール類、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、その他の多糖類、又はこれらの混合物があるがこれらに限定されない。
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、本発明の結晶性シロシン塩の治療上有効な量と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含有する経口単位剤形である。本開示において使用するための例示的な経口単位剤形には、錠剤、カプセル、粉末、懸濁液、及びトローチ剤があり、これらは、経口剤形の医薬品を調製する任意の従来的な方法で調製し得る。錠剤などの経口単位剤形は、放出調節剤、流動化剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、潤滑剤、結合剤、希釈剤、香料、風味増強剤、甘味料、及び保存料を含むがこれらに限定されない、上述したような当技術分野で公知の1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含有し得る。
錠剤の剤形は、部分的又は完全にコーティングされたもの、多層コーティングされたもの、未コーティングのものであってよく、チャネリング剤を含んでもよい。成分は、製剤技術において公知の多様な賦形剤から選択される。経口剤形の所望の特性に応じて、錠剤のような剤形を調製する際の既知の使用について、任意の数の成分を単独又は組み合わせで選択し得る。
【実施例
【0011】
以下の試薬及び分析方法を用いて、本発明のシロシン塩1~10を調製し、特徴付けした。作業は概ね約25℃の室温(RT)で行った。
試薬:シロシンはCayman Chemicalから入手し、そのまま使用した。その他の化学薬品は全て、様々な業者から購入し、精製せずに使用した。
X線粉末回折(XRPD):シロシン塩1~7のXRPDパターンは、PANalytical X’Pert PRO MPD又はPANalytical Empyrean回折計で、Optixのロングファインフォーカス線源を用いて生成したCu放射線の入射ビームを用いて収集した。楕円傾斜型(elliptically graded)多層膜ミラーを使用し、Cu Kα X線を試験片に通して検出器に集束させた。分析前に、シリコン試験片(NIST SRM 640f)を分析して、Si111ピークの観察位置がNIST認定位置と一致していることを確認した。試料の試験片を3μm厚のフィルムで挟み、透過配置で分析した。空気によるバックグラウンドを最小限に抑えるため、ビームストップ、短い散乱防止エクステンション、及び散乱防止ナイフエッジを使用した。軸方向発散による広がりを最小限に抑えるため、入射ビームと回折ビームにはソーラースリットを使用した。回折パターンは、試験片から240mmに配置した走査型位置高感度検出器(X’Celerator)とData Collectorソフトウェアv.5.5を用いて収集した。
シロシン塩8~10のXRPDパターンは、反射Bragg-Brentano配置に構成したRigaku Smart-Lab X線回折システムで、線源X線ビームを用いて収集した。X線源は、40kV及び44mAで動作するCu Long Fine Focus管とした。この線源では、試料の入射ビームプロファイルが、高い角度での細い線から低い角度での幅広い長方形へと変化した。X線源上にビーム調整スリットを使用して、最大ビームの大きさが、線に沿っても線に対して垂直でも10mm未満となるようにした。Bragg-Brentano配置は、受動発散スリット及び受光スリットによって制御されるパラ集束(para-focusing)配置であり、試料自体が光学系の集束要素として機能する。Bragg-Brentano配置固有の分解能は、使用する回折計の半径と受光スリットの幅にある程度影響される。通常、Rigaku Smart-Labは、ピーク幅が0.1°2θ以下になるように操作する。X線ビームの軸方向発散は、入射ビーム経路と回析ビーム経路の両方において5.0度のソーラースリットにより制御した。
粉末試料は、低バックグラウンドのSiホルダーに用意し、手動で軽く圧力をかけて試料表面を平らに、且つ試料ホルダーの基準面と同じ高さにした。各試料は、毎分6°2θの連続スキャンを用い、有効ステップサイズ0.02°2θで、2~40°2θで分析した。
【0012】
X線粉末回折の指数付け:シロシン塩1~7のパターンは、プロプライエタリソフトウェア[TRIADS(登録商標)は米国特許第8,576,985号明細書の対象]又はX’Pert High Score Plus 2.2a(2.2.1)を用いて指数付けした。シロシン塩8~10のパターンは、Pawley精密化と併せてTOPAS 6(TOPAS 6.0.0.9,2018 Bruker AXS GmbH、ドイツ、カールスルーエ)を用いて指数付けした。精密化は、X2で0.001に収束するまで全てのパラメータに対して同時に実行する。指数付けとは、回折パターンのピーク位置から結晶学的単位胞の大きさと形状を決定する方法である。個々のピークにミラー指数ラベルを割り当てることからそう呼ばれている。パターン内の全てのピークが単一の単位胞で指数付けされる場合、これは試料が単一の結晶相を含有するという強力な証拠となる。指数付けの解が得られれば、単位胞の体積は直接計算し得る。指数付けは結晶形態を確実に説明するものでもあり、特定の熱力学的状態点におけるその相の全ての利用可能なピーク位置を簡潔に要約するものである。指数付けしたXRPDパターンについて示した図において、XRPDパターンの下にあるボックス内の赤いバー(塩1~7については、図2、7、12、17、22、27、及び32に示す)又はXPRDパターンの下のx軸上にある青い目盛り(塩8~10については、図37、42、及び47に示す)で印を付けた指数付けした許容ピーク位置と、観測されたピークとの一致は、単位胞の決定に一貫性があることを示す。割り当てられた消滅記号、単位胞パラメータ、及び導出量と一致する空間群は、図2、7、12、17、22、27、及び32に示す塩1~7については図の下にある表に示し、塩8~10については、図37、42、及び47の説明時に後述する。
【0013】
示差走査熱量測定(DSC):Mettler-Toledo DSC3+示差走査熱量計を用いて、シロシン塩1~7でDSC分析を行った。タウラグ(tau lag)調整は、インジウム、スズ、及び亜鉛を用いて実施した。温度とエンタルピーは、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、及び亜鉛で調整した。次いで、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、亜鉛で調整を検証した。密閉したアルミニウム製DSCパンに試料を入れ、質量を正確に記録し、試料をDSCセルに挿入した。サンプルパンとして構成された秤量済みのアルミニウムパンをセルの参照側に置いた。試料分析前にパンの蓋に穴を開けた。
TA Instruments Q2500 Discovery Series装置を用いて、シロシン塩8~10でDSC分析を行った。装置の温度校正はインジウムで行った。DSCセルは、各分析中、約50mL/分の窒素パージ下に保持した。圧着した標準的なアルミニウムパンに試料を入れ、10℃/分の速度で約25~350℃まで加熱した。
【0014】
熱重量分析(TGA):Mettler-Toledo TGA/DSC3+分析器を用いて、シロシン塩1~7で熱重量分析を行った。温度とエンタルピーの調整は、インジウム、スズ、亜鉛、及びサリチル酸フェニルを用いて行い、次いでインジウムで検証した。天秤はシュウ酸カルシウムで検証した。試料はアルミニウムパンに入れた。パンは密閉し、蓋に穴を開け、次いでTG炉に挿入した。サンプルパンとして構成された秤量済みのアルミニウムパンをセルの参照台に置いた。炉は窒素下で加熱した。熱重量分析では通常、各分析の開始時に、サーモグラム上の赤い括弧で示される平衡時間がある。関連する質量減少計算の開始温度は、正確性を期すため、この領域を超えた点(通常は35℃超)を選択する。
TA Instruments Q5500 Discovery Series装置を用いて、シロシン塩8~10でTGA分析を行った。装置の天秤はMクラスの分銅で校正し、温度校正はアルメルを用いて行った。窒素パージは、天秤で約40mL/分、炉で約60mL/分とした。各試料は、風袋引きした白金パンに入れ、10℃/分の速度で約25~350℃まで加熱した。
【0015】
溶液 1 H核磁気共鳴(NMR)分光法:Avance 600MHz分光計を用いて、シロシン塩1~7の溶液NMRスペクトルを取得した。試料は、TMSを含有するメタノール-d4に約5~10mgの試料を溶解して調製した。データ取得パラメータはスペクトルから得られる。
Bruker Avance II 400分光計を用いて、シロシン塩8~10の溶液NMRスペクトルを取得した。試料は、DMSO-d6に材料を溶解して調製した。溶液をろ過し、個別に5mmのNMR管に入れ、続いてスペクトルを取得した。温度制御(295K)下の1H NMRスペクトルは、400.18MHzの観測周波数で動作する5mmのクライオプローブを利用してAvance II 400で取得した。
【0016】
イオンクロマトグラフィー(IC):多元素陰イオン標準液(Alltech Anion Mix 5、部品番号:269110、50μg/mL)を水で5倍に希釈し、実用濃度を2000μg/Lとした。イオンクロマトグラフ分析は、Dionex ICS-5000+シリーズのイオンクロマトグラフを用いて行った。ICS-5000+は、オートサンプラーを共有する2つのクロマトグラフィーシステムからなる。陰イオン検出に使用したシステムは、グラジエントポンプ、溶離液ジェネレーターモジュール、電導度検出器、及びサプレッサー(AERS 4mm)を装備していた。サンプルループの代わりにDionex UTAC-ULP1 5×23mm濃縮カラムを用いた。Dionex IonPac(登録商標)AG19 4×50mmガードカラム及びDionex IonPac(登録商標)AS19 4×250mm分析カラムを装着した。溶離液容器の充填、標準試料の調製、及びオートサンプラーの洗浄には、水(18.2MΩ、ELGA Purelab Flex2から分注)を使用した。試料の調製及び関連するブランク注入にはDMSOを使用した。
【0017】
[実施例1]
1:1シロシン安息香酸塩1
1.1 1:1シロシン安息香酸塩1の調製
20mLのジエチルエーテル(Sigma Aldrich、ロット:SHBL6577)中に200.0mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含むわずかに濁った懸濁液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液の約半分を59.8mgの安息香酸(Sigma Aldrich、ロット:MKCL7479)に添加した。沈殿物が形成されるまで試料を手で撹拌した。試料は周囲温度で1日放置した後、水吸引真空ろ過により沈殿物(precipitant)を分離した。
1.2 1:1シロシン安息香酸塩1のXRPDの特徴付け
1:1シロシン安息香酸塩1の実験的XRPDパターンを図1に示す。表1に、図1の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図1と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシン安息香酸塩は、9.4、12.3、14.5、16.3、16.4、18.1、18.9、19.2、19.7、21.3、22.6、22.9、24.7、24.8、及び26.0°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表1】

1.3 1:1シロシン安息香酸塩1のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図2)は、P21/c(14)の空間群を有する基本的な単斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=9.633Å、b=11.526Å、c=16.873Å、α=90°、β=106.23°、γ=90°で、単位胞体積は1798.7Å3である。
1.4 1:1シロシン安息香酸塩1のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図3)は、この塩の融解に相当する約237℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
1.5 1:1シロシン安息香酸塩1のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図4)は、200℃付近のこの塩の融解温度より前に顕著な質量減少を示していない。
1.6 1:1シロシン安息香酸塩、1の1H NMRスペクトル
図5に示す1:1シロシン安息香酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:7.95(2H)、7.34~7.42(3H)、6.99(1H)、6.83~6.90(2H)、6.37(1H)、3.40(2H)、3.25(2H)、及び2.83(6H)。1H NMRスペクトルの6.37ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、安息香酸の芳香環プロトン2個に相当する7.95ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:安息香酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0018】
[実施例2]
1:1シロシンニコチン酸塩2
2.1 1:1シロシンニコチン酸塩2の調製
10mLのイソプロピルアルコール(Fisher Scientific、ロット:182481)中に207.1mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を60℃で生成した。この溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液の5mLアリコートを60.7mgのニコチン酸(Sigma Aldrich、ロット:SLBH9954V)に添加した。懸濁液は短時間で60℃に加熱して完全に溶解させた。清澄液を1日間冷蔵し、更に5日間冷凍庫で保存した。沈殿物を水吸引真空ろ過により分離し、窒素パージ下で短時間乾燥させた。
2.2 1:1シロシンニコチン酸塩2のXRPDの特徴付け
1:1シロシンニコチン酸塩2の実験的XRPDパターンを図6に示す。表2に、図6の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図6と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンニコチン酸塩は、10.2、11.4、12.4、14.0、15.1、15.6、17.2、17.5、18.4、19.2、20.0、22.4、23.5、24.1、25.0、及び25.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表2】

2.3 1:1シロシンニコチン酸塩2のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図7)は、P1(1)又は
の空間群を有する三斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=9.343Å、b=9.595Å、c=11.079Å、α=76.04°、β=71.26°、γ=74.13°で、単位胞体積は891.7Å3である。
2.4 1:1シロシンニコチン酸塩2のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図8)は、この塩の融解に相当する約189℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
2.5 1:1シロシンニコチン酸塩2のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図9)は、187℃付近のこの塩の融解温度より前に顕著な質量減少を示していない。
2.6 1:1シロシンニコチン酸塩2の1H NMRスペクトル
図10に示す1:1シロシンニコチン酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:9.06(1H)、8.53(1H)、8.31(1H)、7.43(1H)、7.01(1H)、6.83~6.90(2H)、6.37(1H)、3.48(2H)、3.26(2H)、及び2.89(6H)。1H NMRスペクトルの6.37ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、ニコチン酸の芳香環プロトン1個に相当する9.06ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:ニコチン酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0019】
[実施例3]
1:1シロシン酒石酸塩3
3.1 1:1シロシン酒石酸塩3の調製
2mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)中に69.6mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液を50.1mgのL-(+)-酒石酸(Sigma Aldrich、ロット:BCBT1076)に添加し、濁った懸濁液を得た。更に2mLのアセトンを添加し、懸濁液を6日間室温で懸濁させた。沈殿物は水吸引真空ろ過により分離した。
3.2 1:1シロシン酒石酸塩3のXRPDの特徴付け
1:1シロシン酒石酸塩3の実験的XRPDパターンを図11に示す。表3に、図11の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図11と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシン酒石酸塩は、13.4、14.7、15.9、17.2、18.8、20.2、20.8、21.8、22.6、23.4、24.6、24.8、25.5、及び26.6°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表3】



3.3 1:1シロシン酒石酸塩3のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図12)は、P2111(19)の空間群を有する基本的な斜方晶系を示す。単位胞パラメータは、a=7.588Å、b=8.236Å、c=26.409Å、α=90°、β=90°、γ=90°で、単位胞体積は1650.4Å3である。
3.4 1:1シロシン酒石酸塩3のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図13)は、この塩の融解に相当する約167℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
3.5 1:1シロシン酒石酸塩3のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図14)は、164℃付近のこの塩の融解温度より前に顕著な質量減少を示していない。
3.6 1:1シロシン酒石酸塩3の1H NMRスペクトル
図15に示す1:1シロシン酒石酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:7.02(1H)、6.85~6.90(2H)、6.37(1H)、4.41(2H)、3.48(2H)、3.27~3.31(2H)、及び2.90(6H)。1H NMRスペクトルの6.37ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、酒石酸塩のプロトン2個に相当する4.41ppmの一重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:酒石酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0020】
[実施例4]
2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物
4.1 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物の調製
2mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)中に62.4mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液を43.6mgのアジピン酸(Sigma Aldrich、ロット:MKBP7307V)に添加し、油状にした。この油性懸濁液を、沈殿が生じるまで6日間室温で懸濁させた。沈殿物は水吸引真空ろ過により分離した。
4.2 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のXRPDの特徴付け
2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物の実験的XRPDパターンを図16に示す。表4に、図16の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図16と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の2:1シロシンヘミアジピン酸塩のヘミアセトン溶媒和物は、8.4、10.3、10.8、13.4、15.0、15.3、15.5、15.8、16.9、18.2、20.1、21.6、21.8、22.9、及び28.0°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表4】

4.3 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図17)は、Pbcn(60)の空間群を有する基本的な斜方晶系を示す。単位胞パラメータは、a=11.826Å、b=22.402Å、c=13.236Å、α=90°、β=90°、γ=90°で、単位胞体積は3506.6Å3である。
4.4 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図18)は、約179℃にピークの最大値を有する単一の吸熱に加えて、約49、102、135、及び155℃にピークの最大値を有する複数の吸熱を示している。
4.5 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図19)は、約166℃まで約8%の重量減少を示しているが、これは結晶格子の一部であるアセトンの消失である可能性が高い。
4.6 2:1シロシンヘミアジピン酸塩4のヘミアセトン溶媒和物の1H NMRスペクトル
図20に示す2:1シロシンヘミアジピン酸塩のヘミアセトン溶媒和物の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:6.97(1H)、6.83~6.90(2H)、6.36(1H)、3.28~3.30(2H)、3.20~3.22(2H)、2.75(6H)、2.20~2.25(2H)、2.15(3H)、及び1.63~1.67(2H)。1H NMRスペクトルの6.36ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、アジピン酸のプロトン2個に相当する1.63~1.67ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:アジピン酸塩の化学量論が2:1であることがわかる。更に、アセトンのプロトン3個に相当する2.15ppmの一重線の積分を比較すると、この塩は0.5当量のアセトン溶媒を含有することがわかる。
【0021】
[実施例5]
1:1シロシンフマル酸塩5
5.1 1:1シロシンフマル酸塩5の調製
2mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)中に60.7mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液を32.6mgのフマル酸(Sigma Aldrich、ロット:MKBB7131)に添加し、急速に沈殿させた。懸濁液は6日間室温で懸濁させた。沈殿物は水吸引真空ろ過により分離した。
5.2 1:1シロシンフマル酸塩5のXRPDの特徴付け
1:1シロシンフマル酸塩5の実験的XRPDパターンを図21に示す。表5に、図21の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図21と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンフマル酸塩は、6.9、10.5、12.2、12.6、15.8、16.1、16.7、17.0、18.3、19.1、20.3、20.8、22.6、23.1、23.3、23.5、24.2、25.3、25.9、及び27.8°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表5】

5.3 1:1シロシンフマル酸塩5のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図22)は、P21/n(14)の空間群を有する基本的な単斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=7.441Å、b=8.877Å、c=25.707Å、α=90°、β=93.34°、γ=90°で、単位胞体積は1695.2Å3である。
5.4 1:1シロシンフマル酸塩5のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図23)は、この塩の融解に相当する約167℃にピークの最大値を有する顕著な吸熱を示している。
5.5 1:1シロシンフマル酸塩5のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図24)は、166℃付近のこの塩の融解開始温度より前に0.4%未満の無視できる程度の質量減少を示している。
5.6 1:1シロシンフマル酸塩5の1H NMRスペクトル
図25に示す1:1シロシンフマル酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:7.02(1H)、6.84~6.92(2H)、6.69(2H)、6.38~6.36(1H)、3.49(2H)、3.28(2H)、2.90(6H)。1H NMRスペクトルの6.38~6.36ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、フマル酸のプロトン2個に相当する6.69ppmの一重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:フマル酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0022】
[実施例6]
2:1シロシンヘミフマル酸塩6
6.1 2:1シロシンヘミフマル酸塩6の調製
2mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)中に90.8mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。この室温溶液を、3mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)中に51.1mgのフマル酸(Sigma Aldrich、ロット:MKBB7131)を含有する60℃の懸濁液を添加し、油状にした。この油性懸濁液を1:1シロシンフマル酸塩5と共に播種し、30秒間超音波処理して沈殿させた。沈殿物は水吸引真空ろ過により分離し、2mLのアセトン(Fisher Scientific、ロット:494118)で洗浄し、窒素パージ下で短時間乾燥させた。
6.2 2:1シロシンヘミフマル酸塩6のXRPDの特徴付け
2:1シロシンヘミフマル酸塩6の実験的XRPDパターンを図26に示す。表6に、図26の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図26と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の2:1シロシンヘミフマル酸塩は、9.7、13.7、16.1、16.6、23.9、24.7、及び25.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。10.5、12.6、18.3、19.1、及び20.8°2θ付近のその他のピークは、1:1シロシンフマル酸塩成分に対応するピークと一致するため、2:1シロシンフマル酸塩によるものではなかった。
【表6】

6.3 2:1シロシンヘミフマル酸塩6のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図27)は、P1(1)又は
の空間群を有する三斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=8.118Å、b=9.361Å、c=9.396Å、α=101.03°、β=96.64°、γ=102.18°で、単位胞体積は676.0Å3である。
6.4 2:1シロシンヘミフマル酸塩6のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図28)は、149及び166℃付近に軽微な吸熱を示している。166℃付近で観察された弱い吸熱は、1:1シロシンフマル酸塩成分の融解と一致する。約225℃で開始する最終吸熱は、2:1シロシンヘミフマル酸塩の融解によるものである。
6.5 2:1シロシンヘミフマル酸塩6のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図29)は、225℃付近のこの塩の融解温度より前に顕著な質量減少を示していない。
6.6 2:1シロシンヘミフマル酸塩6の1H NMRスペクトル
図30に示す2:1シロシンヘミフマル酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:6.99(1H)、6.90~6.83(2H)、6.69(1H)、6.37~6.36(1H)、3.40(2H)、3.25(2H)、及び2.83(6H)。1H NMRスペクトルの6.37~6.36ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、フマル酸のプロトンに相当する6.69ppmの一重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:フマル酸塩の化学量論が2:1であることがわかる。
【0023】
[実施例7]
1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物
7.1 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物の調製
15mLの80:20v/vジエチルエーテル/エタノール(Sigma Aldrich、ロット:それぞれSHBL6577及びSHBK9943)中に216.5mgのシロシン(Cayman Chemical、ロット:0594443)を含む溶液を活性炭で脱色し、0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。清澄液の5mLアリコートを31.3mgのシュウ酸(Sigma Aldrich、ロット:SHBC7057V)に添加し、濁った懸濁液を得た。懸濁液は1日間室温で懸濁させた。沈殿物は水吸引真空ろ過により分離した。
7.2 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のXRPDの特徴付け
1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物の実験的XRPDパターンを図31に示す。表7に、図31の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図31と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンシュウ酸塩の溶媒和物は、7.6、7.8、10.3、14.2、15.3、15.7、17.1、19.5、20.4、20.6、21.0、21.7、22.9、23.7、24.1、24.3、24.8、及び27.1°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表7】

7.3 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図32)は、P21/n(14)の空間群を有する基本的な単斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=5.690Å、b=12.894Å、c=23.273Å、α=90°、β=96.83°、γ=90°で、単位胞体積は1695.3Å3である。7のXRPDパターンは、単一の単位胞によってうまく指数付けができ、このパターンが単一の結晶相を代表するという強力な証拠を示している。単位胞は、4個のシロシン陽イオンと4個のシュウ酸陰イオンを含有する可能性が高い。そのため、指数付けの結果から計算された式の単位体積424Å3は、溶媒を一部収容できる約58Å3の自由体積をもたらす可能性がある。
7.4 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図33)は、80~160℃の間に、溶媒の揮発によるものとみられる複数の吸熱現象を示している。
7.5 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図34)は、149℃までに約6%の質量減少を示しており、これは結晶格子の一部であるジエチルエーテルとエタノール溶媒の消失とみられる。この質量減少は、0.2モル/モルのジエチルエーテルと0.1モル/モルのエタノールの揮発を合わせたものと一致する。
7.6 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物の1H NMRスペクトル
図35に示す1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(600MHz、CD3OD)δ:7.02(1H)、6.84~6.90(2H)、6.36~6.37(1H)、3.47~3.51(2H)、3.27~3.29(2H)、及び2.90(6H)。1H NMRスペクトルの6.36~6.37ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。シロシンのプロトン1個に相当する6.36~6.37ppmの多重線と溶媒ピークの積分を比較すると、この塩が約0.2モル/モルのジエチルエーテルと0.1モル/モルのエタノールを含有することがわかる。
7.7 1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のイオンクロマトグラフィー
上述したイオンクロマトグラフ法を用いて、試料中の陰イオン含量を分析し、試料中の複数の陰イオンを定量した。1:1シロシンシュウ酸塩7の溶媒和物のイオンクロマトグラフ分析により、シュウ酸イオンの存在が明らかになり、この塩がモノシュウ酸塩であることが示される。
【0024】
[実施例8]
1:1シロシンDL-乳酸塩8
8.1 1:1シロシンDL-乳酸塩8の調製
1ドラムのガラスバイアルで24.7mgのシロシン(Cayman Chemical)と5mLのジエチルエーテルを混合した。完全な溶解を観察し、バイアルに活性炭を添加した。次いで、試料を超音波処理し、0.45μmのフィルターでろ過して、12.0mgのD,L-乳酸(1モル当量)を含むバイアルに入れた。白色の固体が形成され、試料は50℃で4日間撹拌した。試料を室温まで冷却し、遠心分離した後、上清をデカントした。固体は自然乾燥させた。
8.2 1:1シロシンDL-乳酸塩8のXRPDの特徴付け
1:1シロシンDL-乳酸塩8の実験的XRPDパターンを図36に示す。表8に、図36の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図36と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンDL-乳酸塩は、9.0、13.8、14.4、15.6、17.8、18.4、20.3、21.7、22.3、22.9、24.0、及び25.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3、4、又は5つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表8】

8.3 1:1シロシンDL-乳酸塩8のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図37)は、P21/c(14)の空間群を有する基本的な単斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=11.787Å、b=8.473Å、c=18.455Å、α=90°、β=56.30°、γ=90°で、単位胞体積は1533.5Å3である。
8.4 1:1シロシンDL-乳酸塩8のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図38)は、この塩の融解/分解に相当する約148℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
8.5 1:1シロシンDL-乳酸塩8のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図39)は、135℃までに、DL-乳酸(沸点は約122℃)の消失によるものとみられる1.7%の質量減少を示している。
8.6 1:1シロシンDL-乳酸塩8の1H NMRスペクトル
図40に示す1:1シロシンDL-乳酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(400MHz、DMSO-D6)δ:10.61(1H)、6.93(1H)、6.73~6.81(2H)、6.27(1H)、3.90~3.95(1H)、2.93(2H)、2.70(2H)、2.34(6H)、及び1.19(3H)。1H NMRスペクトルの6.27ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、DL-乳酸のメチル基のプロトン3個に相当する1.19ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:DL-乳酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0025】
[実施例9]
1:1シロシンL-リンゴ酸塩9
9.1 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9の調製
1ドラムのガラスバイアルで24.7mgのシロシン(Cayman Chemical)と1mLのメチルエチルケトンを混合した。完全な溶解を観察し、バイアルに活性炭を添加した。次いで、試料を超音波処理し、0.45μmのフィルターでろ過して、16.2mgのL-リンゴ酸(1モル当量)を含む新たなバイアルに入れた。試料は室温で7日間撹拌した。試料を遠心分離した後、上清をデカントした。固体は自然乾燥させた。
9.2 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のXRPDの特徴付け
1:1シロシンL-リンゴ酸塩9の実験的XRPDパターンを図41に示す。表9に、図41の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図41と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンL-リンゴ酸塩は、8.6、9.0、11.7、12.6、15.9、16.8、18.1、20.2、20.6、21.4、22.8、26.1、及び28.0°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表9】

9.3 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図42)は、P21(4)の空間群を有する基本的な単斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=7.558Å、b=11.151Å、c=20.520Å、α=90°、β=92.15°、γ=90°で、単位胞体積は1728.3Å3である。
9.4 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図43)は、この塩の融解に相当する約129℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
9.5 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図44)は、125℃付近まで顕著な質量減少を示していない。
9.6 1:1シロシンL-リンゴ酸塩9の1H NMRスペクトル
図45に示す1:1シロシンL-リンゴ酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(400MHz、DMSO-D6)δ:10.73(1H)、7.01(1H)、6.80~6.84(2H)、6.32(1H)、3.92(1H)、3.07~3.14(4H)、2.67(6H)、及び2.30~2.35(1H)。1H NMRスペクトルの6.32ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、リンゴ酸のプロトン1個に相当する3.92ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:リンゴ酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
【0026】
[実施例10]
1:1シロシンステアリン酸塩10
10.1 1:1シロシンステアリン酸塩10の調製
PEEK製粉砕カップで24.7mgのシロシン(Cayman Chemical)と33.8mgのステアリン酸(1モル当量)を混合した。10μLの50:50メチルtert-ブチルエーテル/ヘキサンとステンレス鋼製ボールをカップに加えた。PEEK製粉砕カップに蓋をし、Retsch Mill MM200に設置し、100%出力で30分間粉砕した。得られた固体を回収し、分析した。
10.2 1:1シロシンステアリン酸塩10のXRPDの特徴付け
1:1シロシンステアリン酸塩10の実験的XRPDパターンを図46に示す。表10に、図46の実験的XRPDパターンで特定されたピークの角度(°2θ±0.2°2θ)と面間隔を示す。ピークのリスト全体、又はこれらのサブセットは、図46と実質的に同様の(即ち、本方法を用いる当業者が実験のばらつきの範囲内で識別可能な)XRPDパターンと同じく、塩を特徴付けるのに十分であり得る。例えば、本発明の1:1シロシンステアリン酸塩は、4.5、8.9、14.4、15.6、20.1、21.0、23.9、及び26.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けし得る。
【表10】

10.3 1:1シロシンステアリン酸塩10のXRPDパターンの指数付け
XRPD指数付けの記述(図47)は、P1(1)又はP-1(2)の空間群を有する基本的な三斜晶系を示す。単位胞パラメータは、a=7.726Å、b=11.747Å、c=20.293Å、α=77.79°、β=96.28°、γ=122.75°で、単位胞体積は1513.96Å3である。
10.4 1:1シロシンステアリン酸塩10のDSC
示差走査熱量測定(DSC)トレース(図48)は、この塩の融解に相当する約86℃にピークの最大値を有する単一の吸熱を示している。
10.5 1:1シロシンステアリン酸塩10のTGA
熱重量分析(TGA)トレース(図49)は、85℃まで顕著な質量減少を示していない。
10.6 1:1シロシンステアリン酸塩10の1H NMRスペクトル
図50に示す1:1シロシンステアリン酸塩の1H NMRスペクトルは、以下のピークを示す:1H NMR(400MHz、DMSO-D6)δ:10.58(1H)、6.90(1H)、6.72~6.80(2H)、6.25(1H)、2.87(2H)、2.55(2H)、2.22(6H)、2.17(2H)、1.46(2H)、1.23(29H)、及び0.85(3H)。1H NMRスペクトルの6.25ppmの多重線は、シロシンのプロトン1個に相当する。このピークと、ステアリン酸のメチル基のプロトン3個に相当する0.85ppmの多重線の積分を比較すると、この塩のシロシン:ステアリン酸塩の化学量論が1:1であることがわかる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1:1の化学量論を有し、以下の2θ回折角:4.5、8.9、14.4、15.6、20.1、21.0、23.9、及び26.4°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すステアリン酸とシロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)との塩又は共結晶の結晶形態
【請求項2】
前記結晶形態が、図46に示X線粉末回折パターンを有する、請求項に記載の結晶形態
【請求項3】
前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:
【表10】
請求項に記載の結晶形態
【請求項4】
前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約86℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図49に示熱重量分析サーモグラム;又は
約0.9ppm、1.2ppm、1.5ppm、2.2ppm、2.6ppm、2.9ppm、6.3ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、及び10.6ppmに1つ若しくは複数のケミカルシフトピークを含む 6 -DMSO溶液1H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、請求項に記載の結晶形態
【請求項5】
前記結晶形態が、図48に示示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項に記載の結晶形態
【請求項6】
前記結晶形態が、少なくとも約6.3ppm及び約0.9ppmに特徴的なケミカルシフトピークを含む 6 -DMSO溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項に記載の結晶形態
【請求項7】
前記結晶形態が、図50に示溶液1H NMRスペクトルを有する、請求項に記載の結晶形態
【請求項8】
請求項1に記載の結晶形態と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が経口製剤である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が経口固体剤形である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の結晶形態を調製する方法であって、ステアリン酸とシロシンとを反応させて、シロシンとステアリン酸との塩又は共結晶を結晶形態で沈殿させることを含む方法。
【請求項12】
前記シロシン及び/又は酸を、アルコール、エーテル、ケトン、アルカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中で溶解又は懸濁させる又は粉砕することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、アセトン、エタノール、メチルエチルケトン、メチルtert-ブチルエーテル、ヘキサン、又はこれらの混合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
それを必要とする対象の疾患又は障害を治療する方法であって、請求項1に記載の結晶形態の治療上有効な量を、これらを必要とする前記対象に投与することを含み、前記疾患又は障害が、精神障害若しくは精神病性障害、神経認知疾患若しくは障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、慢性疼痛、炎症性疾患若しくは障害、脳卒中、てんかん障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、又はこれらの組み合わせである、方法で使用するための、請求項8に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記疾患又は障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安障害、睡眠覚醒障害、衝動制御障害、破壊的行動障害、行為障害、うつ病性障害、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害及び関連障害、双極性障害、統合失調症、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される精神障害又は精神病性障害である、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記疾患又は障害が、アルツハイマー病;レビー小体型認知症;外傷性脳損傷;プリオン病;HIV感染;パーキンソン病;ハンチントン病及びこれらの組み合わせからなる群より選択される神経認知疾患又は障害である、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記有機溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル及びヘキサンの混合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記有機溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル:ヘキサンの50:50混合物である、請求項17に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は新規のシロシン塩に関する。具体的には、本発明は、1:1シロシン安息香酸塩;1:1シロシンニコチン酸塩;1:1シロシン酒石酸塩;2:1シロシンヘミアジピン酸塩のヘミアセトン溶媒和物;1:1シロシンフマル酸塩;2:1シロシンヘミフマル酸塩;1:1シロシンシュウ酸塩のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物(このとき、ジエチルエーテル:エタノール:シロシンの化学量論は約0.2:0.1:1);1:1シロシンDL-乳酸塩;1:1シロシンL-リンゴ酸塩;及び1:1シロシンステアリン酸塩に関する。本発明は、本発明のシロシン塩と薬学的に許容される対イオン(酸)とを含有する医薬組成物に関する。シロシン塩は、シロシンと同様に使用し得る。治療薬として、シロシンは、上述のように、不安、抑うつ、精神病性障害、統合失調症、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害、頭痛、並びにオピオイド、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン、及びニコチンからの離脱症状などの疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害の症状の治療に好適である可能性がある。シロシンの分子構造を以下に示す。
【化1】
シロシン
本発明は更に、シロシンを用いて疾患、障害、又は状態を治療する方法に関し、この改善は、本発明のシロシン、組成物、又は医薬組成物の有益な量又は治療上有効な量を、これらを必要とする患者に投与することを含む。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕シロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)の塩又は共結晶であって、結晶形態で存在し、
(a)安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(b)ニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(c)酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(d)アジピン酸とシロシンとの塩又は共結晶のアセトン溶媒和物、
(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(f)シュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物、
(g)乳酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(h)リンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶、並びに
(i)ステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶
からなる群より選択される、塩又は共結晶。
〔2〕前記結晶形態が、
(a)約1:1の化学量論を有する安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(b)約1:1の化学量論を有するニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(c)約1:1の化学量論を有するL-(+)-酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(d)約1:2の化学量論を有するアジピン酸とシロシンとのヘミ塩又は共結晶のヘミアセトン溶媒和物、
(e)(i)約1:1の化学量論を有するフマル酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(e)(ii)約2:1の化学量論を有するフマル酸とシロシンとのヘミ塩又は共結晶、
(f)約1:1の化学量論を有するシュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル/エタノール含有溶媒和物であって、ジエチルエーテル:エタノール:シロシンの化学量論が約0.2:0.1:1である溶媒和物、
(g)約1:1の化学量論を有するDL-乳酸とシロシンとの塩又は共結晶、
(h)約1:1の化学量論を有するL-リンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶、並びに
(i)約1:1の化学量論を有するステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶
からなる群より選択される、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔3〕前記結晶形態が、(a)安息香酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:9.4、12.3、14.5、16.3、16.4、18.1、18.9、19.2、19.7、21.3、22.6、22.9、24.7、24.8、及び26.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔4〕前記結晶形態が、図1に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔3〕に記載の塩又は共結晶。
〔5〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔3〕に記載の塩又は共結晶。
〔6〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約237℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図4に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.8ppm、3.3ppm、3.4ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、7.0ppm、7.3ppm、7.4ppm、若しくは8.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔3〕に記載の塩又は共結晶。
〔7〕前記結晶形態が、図3に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔6〕に記載の塩又は共結晶。
〔8〕前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約8.0ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔6〕に記載の塩又は共結晶。
〔9〕前記結晶形態が、図5に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔6〕に記載の塩又は共結晶。
〔10〕前記結晶形態が、(b)以下の2θ回折角:10.2、11.4、12.4、14.0、15.1、15.6、17.2、17.5、18.4、19.2、20.0、22.4、23.5、24.1、25.0、及び25.2°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すニコチン酸とシロシンとの塩又は共結晶である、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔11〕前記結晶形態が、図6に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔10〕に記載の塩又は共結晶。
〔12〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔10〕に記載の塩又は共結晶。
〔13〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約189℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図9に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、7.0ppm、7.4ppm、8.3ppm、8.5ppm、若しくは9.1ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔10〕に記載の塩又は共結晶。
〔14〕前記結晶形態が、図8に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔13〕に記載の塩又は共結晶。
〔15〕
前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約9.1ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔13〕に記載の塩又は共結晶。
〔16〕前記結晶形態が、図10に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔13〕に記載の塩又は共結晶。
〔17〕前記結晶形態が、(c)以下の2θ回折角:13.4、14.7、15.9、17.2、18.8、20.2、20.8、21.8、22.6、23.4、24.6、24.8、25.5、及び26.6°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す酒石酸とシロシンとの塩又は共結晶である、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔18〕前記結晶形態が、図11に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔17〕に記載の塩又は共結晶。
〔19〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔17〕に記載の塩又は共結晶。
〔20〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約167℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図14に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、4.4ppm、6.4ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔17〕に記載の塩又は共結晶。
〔21〕前記結晶形態が、図13に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔20〕に記載の塩又は共結晶。
〔22〕前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約4.4ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔20〕に記載の塩又は共結晶。
〔23〕前記結晶形態が、図15に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔20〕に記載の塩又は共結晶。
〔24〕前記結晶形態が、(d)アジピン酸とシロシンとの塩のアセトン溶媒和物であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:8.4、10.3、10.8、13.4、15.0、15.3、15.5、15.8、16.9、18.2、20.1、21.6、21.8、22.9、及び28.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔25〕前記結晶形態が、図16に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔24〕に記載の塩又は共結晶。
〔26〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔24〕に記載の塩又は共結晶。
〔27〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約49℃、102℃、135℃、155℃、若しくは179℃にピークの最大値を有する1つ若しくは複数の吸熱現象;
図19に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約1.6ppm、1.7ppm、2.2ppm、2.3ppm、2.8ppm、3.2ppm、3.3ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔24〕に記載の塩又は共結晶。
〔28〕前記結晶形態が、図18に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔27〕に記載の塩又は共結晶。
〔29〕前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約1.6~1.7ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔27〕に記載の塩又は共結晶。
〔30〕前記結晶形態が、図20に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔27〕に記載の塩又は共結晶。
〔31〕前記結晶形態が、(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:6.9、10.5、12.2、12.6、15.8、16.1、16.7、17.0、18.3、19.1、20.3、20.8、22.6、23.1、23.3、23.5、24.2、25.3、25.9、及び27.8°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔32〕前記結晶形態が、図21に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔31〕に記載の塩又は共結晶。
〔33〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔31〕に記載の塩又は共結晶。
〔34〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約167℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図24に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔31〕に記載の塩又は共結晶。
〔35〕前記結晶形態が、図23に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔34〕に記載の塩又は共結晶。
〔36〕前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約6.7ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔34〕に記載の塩又は共結晶。
〔37〕前記結晶形態が、図25に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔34〕に記載の塩又は共結晶。
〔38〕前記結晶形態が、(e)フマル酸とシロシンとの塩又は共結晶であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:9.7、13.7、16.1、16.6、23.9、24.7、及び25.2°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔39〕前記結晶形態が、図26に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔38〕に記載の塩又は共結晶。
〔40〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔38〕に記載の塩又は共結晶。
〔41〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約225℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図29に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.8ppm、3.3ppm、3.4ppm、6.4ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔38〕に記載の塩又は共結晶。
〔42〕前記結晶形態が、図28に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔41〕に記載の塩又は共結晶。
〔43〕前記結晶形態が、少なくとも約6.4ppm及び約6.7ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔41〕に記載の塩又は共結晶。
〔44〕前記結晶形態が、図30に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔41〕に記載の塩又は共結晶。
〔45〕前記結晶形態が、(f)シュウ酸とシロシンとの塩又は共結晶のジエチルエーテル及び/又はエタノール含有溶媒和物であり、且つ前記結晶形態が、以下の2θ回折角:7.6、7.8、10.3、14.2、15.3、15.7、17.1、19.5、20.4、20.6、21.0、21.7、22.9、23.7、24.1、24.3、24.8、及び27.1°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔46〕前記結晶形態が、図31に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔45〕に記載の塩又は共結晶。
〔47〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔45〕に記載の塩又は共結晶。
〔48〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約119℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図34に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.9ppm、3.3ppm、3.5ppm、6.4ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは7.0ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔45〕に記載の塩又は共結晶。
〔49〕前記結晶形態が、図33に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔48〕に記載の塩又は共結晶。
〔50〕前記結晶形態が、図35に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔48〕に記載の塩又は共結晶。
〔51〕前記結晶形態が、(g)以下の2θ回折角:9.0、13.8、14.4、15.6、17.8、18.4、20.3、21.7、22.3、22.9、24.0、及び25.5°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示す乳酸とシロシンとの塩又は共結晶である、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔52〕前記結晶形態が、図36に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する前記〔51〕に記載の塩又は共結晶。
〔53〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔51〕に記載の塩又は共結晶。
〔54〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約148℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図39に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約1.2ppm、2.3ppm、2.7ppm、2.9ppm、3.9ppm、6.3ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、若しくは10.6ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔51〕に記載の塩又は共結晶。
〔55〕前記結晶形態が、図38に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔54〕に記載の塩又は共結晶。
〔56〕前記結晶形態が、少なくとも約1.2ppm及び約6.3ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔54〕に記載の塩又は共結晶。
〔57〕前記結晶形態が、図40に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔54〕に記載の塩又は共結晶。
〔58〕前記結晶形態が、(h)以下の2θ回折角:8.6、9.0、11.7、12.6、15.9、16.8、18.1、20.2、20.6、21.4、22.8、26.1、及び28.0°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すリンゴ酸とシロシンとの塩又は共結晶である、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔59〕前記結晶形態が、図41に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔58〕に記載の塩又は共結晶。
〔60〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔58〕に記載の塩又は共結晶。
〔61〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約129℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図44に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約2.3ppm、2.7ppm、3.1ppm、3.9ppm、6.3ppm、6.8ppm、7.0ppm、若しくは10.7ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔58〕に記載の塩又は共結晶。
〔62〕前記結晶形態が、図43に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔61〕に記載の塩又は共結晶。
〔63〕前記結晶形態が、少なくとも約6.3ppm及び約3.9ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔61〕に記載の塩又は共結晶。
〔64〕前記結晶形態が、図45に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔61〕に記載の塩又は共結晶。
〔65〕前記結晶形態が、(i)以下の2θ回折角:4.5、8.9、14.4、15.6、20.1、21.0、23.9、及び26.4°2θ±0.2°2θに少なくとも3つのピークを有するX線粉末回折パターンを示すステアリン酸とシロシンとの塩又は共結晶である、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶。
〔66〕前記結晶形態が、図46に示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを有する、前記〔65〕に記載の塩又は共結晶。
〔67〕前記結晶形態が、以下と実質的に等しい単位胞パラメータを有する結晶を含む:

前記〔65〕に記載の塩又は共結晶。
〔68〕前記結晶形態が、以下の特徴:
示差走査熱量測定で測定して、約86℃にピークの最大値を有する吸熱現象;
図49に示すものと実質的に同様の熱重量分析サーモグラム;又は
約0.9ppm、1.2ppm、1.5ppm、2.2ppm、2.6ppm、2.9ppm、6.3ppm、6.7ppm、6.8ppm、6.9ppm、及び10.6ppmに1つ若しくは複数のピークを含む溶液 1 H NMRスペクトル
のうち1つ又は複数を更に示す、前記〔65〕に記載の塩又は共結晶。
〔69〕前記結晶形態が、図48に示すものと実質的に同様の示差走査熱量測定サーモグラムを有する、前記〔68〕に記載の塩又は共結晶。
〔70〕前記結晶形態が、少なくとも約6.3ppm及び約0.9ppmに特徴的なピークを含む溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔68〕に記載の塩又は共結晶。
〔71〕前記結晶形態が、図50に示すものと実質的に同様の溶液 1 H NMRスペクトルを有する、前記〔68〕に記載の塩又は共結晶。
〔72〕前記〔1〕に記載の塩又は共結晶と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
〔73〕前記医薬組成物が経口製剤である、前記〔72〕に記載の医薬組成物。
〔74〕前記医薬組成物が経口固体剤形である、前記〔73〕に記載の医薬組成物。
〔75〕前記〔1〕に記載の塩又は共結晶を調製する方法であって、安息香酸、ニコチン酸、酒石酸、アジピン酸、フマル酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、及びステアリン酸からなる群より選択される酸とシロシンとを反応させて、シロシンとそれぞれの酸との塩又は共結晶を結晶形態で沈殿させることを含む方法。
〔76〕前記シロシン及び/又は酸を、アルコール、エーテル、ケトン、アルカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中で溶解又は懸濁させる又は粉砕することを更に含む、前記〔75〕に記載の方法。
〔77〕前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、アセトン、エタノール、メチルエチルケトン、tert-ブチルエーテル、ヘキサン、又はこれらの混合物である、前記〔76〕に記載の方法。
〔78〕シロシン又はシロシビンが適応とされる対象の疾患又は障害を治療する方法であって、前記〔1〕に記載の塩又は共結晶の治療上有効な量を、これらを必要とする前記対象に投与することを含む方法。
〔79〕前記疾患又は障害が、精神障害若しくは精神病性障害、神経認知疾患若しくは障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、慢性疼痛、炎症性疾患若しくは障害、脳卒中、てんかん障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、又はこれらの組み合わせである、前記〔78〕に記載の方法。
〔80〕前記疾患又は障害が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安障害、睡眠覚醒障害、衝動制御障害、破壊的行動障害、行為障害、うつ病性障害、大うつ病性障害(MDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害及び関連障害、双極性障害、統合失調症、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される精神障害又は精神病性障害である、前記〔79〕に記載の方法。
〔81〕前記疾患又は障害が、アルツハイマー病;レビー小体型認知症;外傷性脳損傷;プリオン病;HIV感染;パーキンソン病;ハンチントン病;アルコール、喫煙、又は薬物に関連する状態又は状況;及びこれらの組み合わせからなる群より選択される神経認知疾患又は障害である、前記〔79〕に記載の方法。
【国際調査報告】