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特表2024-521186呼吸フロー療法システムにおける漏れを判断するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】呼吸フロー療法システムにおける漏れを判断するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240521BHJP
   A61M 16/16 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61M16/00 328Z
A61M16/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573207
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2022054869
(87)【国際公開番号】W WO2022249073
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,964
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】エリンガム ルーシー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】サンソン サミュエル キャリー マシュー
(57)【要約】
呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供する呼吸装置。呼吸装置は、流路内の漏れ及び/又は構成要素の欠落を判断するために1つ又は複数の漏れ検出アルゴリズムを実行するように動作可能なコントローラを備える。漏れ検出アルゴリズムは、漏れを判断するために2段階評価プロセスを使用して、圧力及び/又は流量信号を1つ又は複数の閾値と比較する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
前記呼吸装置を通る前記呼吸装置のガス出口までの前記ガスの流れのための流路と、
前記ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、前記流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
前記流路内の前記ガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
前記流れ発生器に作動的に接続され、前記流れ発生器のモータ速度を制御することにより前記ガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
前記圧力変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、前記第1漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
前記圧力変数が前記第1漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、前記第2段階の漏れ評価が、
前記流れ発生器の前記モータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
前記より高いモータ速度での新たな圧力変数を前記第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、前記第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表す、比較することと、
前記新たな圧力変数が前記第2漏れ閾値を下回り、それにより前記漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、前記第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
前記新たな圧力変数が前記第1漏れ閾値及び前記第2漏れ閾値を上回り、それにより前記漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに前記第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
前記漏れの可能性が漏れとして確認されるか又は漏れなしとして決定されるまで、1つ又は複数のさらに高いモータ速度で前記第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
により、前記流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置。
【請求項2】
前記第1段階の漏れ評価が、前記圧力変数を前記第1漏れ閾値及び前記第2漏れ閾値と比較することを含み、前記コントローラが、前記圧力変数が前記第1漏れ閾値を下回るとともに前記第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、前記第2段階の漏れ評価を開始するように構成されている、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
前記第1段階の漏れ評価が、前記圧力変数を前記第2漏れ閾値と比較することを含み、前記コントローラが、前記圧力変数が前記第2漏れ閾値を下回る場合、漏れアラームを生成するように構成されている、請求項1又は2に記載の呼吸装置。
【請求項4】
前記コントローラが、通常動作中、終了条件が発生するまで、前記第1段階の漏れ評価を繰り返すか又は継続するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項5】
前記終了条件が、漏れアラームを生成すること、又は漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価を開始することを含む、請求項4に記載の呼吸装置。
【請求項6】
前記第2段階の漏れ評価において、前記流れ発生器の前記モータ速度を上昇させることが、前記モータ速度を、より高いモータ速度まで、又は、より高いモータ速度の予め決められた系列又は配列からの次のより高いモータ速度まで、設定された増分で上昇させることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項7】
前記第2段階の漏れ評価において、前記コントローラが、前記新たな圧力変数を前記第1及び/又は第2漏れ閾値と比較して、前記漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する間、予め決められた期間にわたり、前記流れ発生器を前記より高いモータ速度で保持するように構成されている、請求項6に記載の呼吸装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記漏れの可能性が、予め決められた期間内に、現時点のより高いモータ速度で、漏れとして確認されず及び漏れなしとして決定されない場合、次のさらなるより高いモータ速度で、前記第2段階の漏れ評価を繰り返すように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項9】
前記コントローラが、前記現時点のモータ速度のモータ速度閾値との比較に応じて、前記第2段階の漏れ評価を終了するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項10】
前記コントローラが、前記第2段階の漏れ評価中に動作している前記現時点のより高いモータ速度がモータ速度閾値を下回らない場合、前記第2段階の漏れ評価を終了するように構成されている、請求項9に記載の呼吸装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記第2段階の漏れ評価がアラームを生成せずに終了した場合、前記第1漏れ閾値を調整するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記第1段階の漏れ評価中に動作している前記流量及び/又はモータ速度に関連する前記第1漏れ閾値を低下させることにより、前記第1漏れ閾値を調整するように構成されている、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項13】
前記第1及び第2漏れ閾値の値が、少なくとも部分的に、前記比較の時点で動作している前記流量及び/又はモータ速度によって決まるか、又はその関数である、請求項1~12のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項14】
前記第1及び第2漏れ閾値が、それぞれの圧力-流量特性曲線、及び/又は、さまざまな流量及び/又はモータ速度に対する閾値を指定する代表的なルックアップテーブルから抽出される、請求項1~13のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項15】
前記コントローラが、前記漏れ評価段階において、前記圧力変数が、それぞれの最短評価期間にわたって一貫して前記閾値を上回るか又は下回るかに基づき、前記第1及び/又は第2漏れ閾値に対する前記圧力変数の各比較評価を決定するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項16】
各最短評価期間が、所定の比較評価及び/又は所定の漏れ評価段階によって決まる、請求項15に記載の呼吸装置。
【請求項17】
前記第2段階の漏れ評価における比較評価に関連する前記最短評価期間が、先の第1段階の漏れ評価における比較評価に関連する前記最短評価期間よりも短い、請求項15又は16に記載の呼吸装置。
【請求項18】
前記コントローラが、漏れアラームを生成するときに1つ又は複数のアラーム動作を開始するように構成されている、請求項1~17のいずれか一に記載の呼吸装置。
【請求項19】
前記アラーム動作が、前記流れ発生器の前記流量及び/又はモータ速度を現時点の動作設定に固定することを含む、請求項18に記載の呼吸装置。
【請求項20】
前記アラーム動作が、前記装置のディスプレイ上に漏れの通知又は標示を生成することを含む、請求項18又は19に記載の呼吸装置。
【請求項21】
前記漏れアラームが、前記取外し可能な加湿チャンバが前記装置の前記流路から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す、請求項1~20のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項22】
前記漏れアラームが、患者回路が前記装置の前記ガス出口から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す、請求項1~21のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項23】
前記コントローラが、前記装置の前記流路における1つ又は複数の異なるタイプの漏れを検出するように動作可能であり、各異なるタイプの漏れが、それ自体のそれぞれの第1及び第2漏れ閾値を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項24】
アラームが生成された後、前記コントローラが、前記圧力変数が最短期間にわたって前記第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇するまで、前記アラームを維持するように構成されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項25】
アラームが生成された後、前記コントローラが、前記圧力変数が最低期間にわたって前記第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇した場合、前記アラームを無効にし、通常動作に戻るように構成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項26】
前記コントローラが、前記装置の動作流量範囲の全体又は実質的な部分にわたって、前記漏れ検出プロセスを変更なしに連続的に動作させるように構成されている、請求項1~25のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項27】
前記呼吸装置が、前記ガス出口に接続された、患者インタフェースを含む患者回路を備え、前記コントローラが、さまざまな異なるタイプ又はサイズの患者インタフェースに対して前記漏れ検出プロセスを変更なしに連続的に動作させるように構成されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項28】
前記呼吸装置の前記加湿器が、前記加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートをさらに備え、前記コントローラが、前記漏れアラームを生成する前に、前記第2段階の漏れ評価で特定された確実な漏れをさらに確認又は確証するために、ヒータプレートチェックプロセスを実行するようにさらに構成されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項29】
前記ヒータプレートチェックプロセスが、前記ヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、前記ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、前記ヒータプレートの又は前記ヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、前記ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することを含み、前記加湿チャンバの不在が、確実な漏れ状態を確証する、請求項28に記載の呼吸装置。
【請求項30】
呼吸装置であって、前記装置の流路内の1つ又は複数の構成要素を消毒する消毒モードで動作可能である呼吸装置であり、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
前記呼吸装置を通る前記ガスの流れのための流路と、
前記流路の一部を形成する取外し可能な消毒キット又はアセンブリと、
前記流路内の前記ガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
前記流れ発生器に作動的に接続され、前記流れ発生器のモータ速度を制御することにより前記ガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
第1流量で前記圧力センサから前記圧力変数を受信することと、
前記受信した圧力変数を第1閾値と比較することに基づいて、漏れの可能性のある状態が満たされるか否かを判断することであって、前記第1閾値が漏れの可能性のある状態を表す、判断することと、
前記漏れの可能性のある状態が満たされる場合、
前記流れ発生器の前記モータ速度を上昇させて、前記ガスの流れに対して第2流量を発生させることと、
前記第2流量で、更新された圧力変数を受信することと、
前記更新された圧力変数を前記第1閾値及び/又は第2閾値と比較することにより、漏れの可能性のある状態、漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれが満たされるかを判断することであって、前記第2閾値が確実な漏れ状態を表す、判断することと、
前記第2の流量で、前記漏れの可能性のある状態が再び満たされる場合、
離散的な間隔で前記ガスの前記流量を増加させるために、流れ発生器の前記モータ速度を離散的な増分で連続的に上昇させ、確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかが満たされるまで、各離散的な増分の後に、前記更新された圧力変数を前記第1及び/又は第2閾値と再度比較することと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置。
【請求項31】
前記消毒キット又はアセンブリが、消毒チューブ及びフィルタを含み、前記消毒チューブが、取り外された加湿チャンバの代わりに前記流路内に取外し可能に接続され、それにより、前記流れ発生器に関連付けられたガス出口を、患者回路に接続する前記装置の主ガス出口構成要素に流体的に連結し、前記フィルタが、前記主ガス出口の開放ポートに取外し可能に接続される、請求項30に記載の呼吸装置。
【請求項32】
前記装置の前記主ガス出口構成要素がエルボ導管を含み、前記消毒チューブが前記エルボ導管の第1端部に接続され、前記フィルタが前記エルボ導管の第2端部に接続されて、消毒モード動作中に、前記流れ発生器からの前記ガスの流れが、前記消毒チューブ、前記エルボ導管を通り、前記フィルタから大気中に流れ出るようになっている、請求項31に記載の呼吸装置。
【請求項33】
前記第1及び/又は第2閾値が、消毒モード動作中に、前記消毒キット又はアセンブリの前記フィルタが取り外されるか、存在しないか、又は前記主ガス出口から少なくとも部分的に脱落していることを示すか又は表す、前記流路内の漏れ状態を検出するように構成されている、請求項31又は32に記載の呼吸装置。
【請求項34】
前記漏れ状態が、前記消毒キット又はアセンブリの構成要素が前記流路から取り外されるか又は切り離されていることを表す、請求項30~33のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項35】
呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生装置と、
前記呼吸装置を通る前記呼吸装置のガス出口までの前記ガスの流れのための流路と、
前記ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、前記流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
前記流路内の前記ガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサと、
前記流れ発生器に作動的に接続され、前記流れ発生器のモータ速度を制御することにより前記ガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
前記流量センサによって検知された前記ガス流れの前記流量を示すか又は表す流量変数を受信又は計算することと、
前記流量変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、前記第1漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
前記流量変数が前記第1漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、前記第2段階の漏れ評価が、
前記流れ発生器の前記モータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
前記より高いモータ速度での新たな流量変数を、前記第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、前記第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表す、比較することと、
前記新たな流量変数が前記第2漏れ閾値を上回り、それにより前記漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、前記第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
前記新たな流量変数が前記第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を下回り、それにより前記漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに前記第2段階の漏れ評価を終了すること、又は、
前記漏れの可能性が漏れ確認されるか又は漏れなしとして決定されるまで、1つ又は複数のさらに高いモータ速度で前記第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
により、前記流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されている、コントローラと、
を備える呼吸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に呼吸フロー療法を提供する方法及びシステムに関する。特に、本開示は、非密閉インタフェースを介して患者にガスの流れを送達する呼吸装置の流路における漏れを判断することに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助装置は、病院、医療施設、居住介護又は家庭環境等のさまざまな環境において、ユーザ又は患者にガスの流れを送達するために使用される。呼吸補助装置又は呼吸療法装置(まとめて、「呼吸装置」又は「呼吸デバイス」)を使用して、ガスの流れとともに補助酸素又は他のガスを送達し、及び/又は、加湿装置を使用して、加熱及び加湿されたガスを送達することができる。呼吸装置は、流量、温度、ガス濃度、湿度、圧力等を含むガス流の特性の調整及び制御を可能にすることができる。ガス流の特性を測定するために、流量センサ及び/又は圧力センサ等のセンサが使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、呼吸装置の流路における1つ又は複数の漏れを検出する方法及びプロセスを提供する。1つの構成では、呼吸装置は、ハイフロー療法(高流量酸素療法)を提供する「非密閉システム」である。ハイフロー療法は、通常、鼻カニューレ等の非密閉インタフェースを介してガスの流れを送達するネーザルハイフローシステム、又は気管切開インタフェースを介してガスの流れを送達する気管切開用ハイフローシステムであり得る。いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、患者が接続されているか部分的に接続され(すなわち、インタフェースが装着されているか又は部分的に取り付けられている)、治療を受けている間、及び/又は、患者がシステムから切り離されている(すなわち、インタフェースが外れている)ときに、動作することができる。ネーザルハイフローシステム等の非密閉インタフェースシステムでは、システムが開放して密閉されていない性質であるため、装置の流路における漏れを判断することは困難である。
【0004】
本明細書に開示するプロセスは、ネーザルハイフロー療法における鼻カニューレ等、患者インタフェースが非密閉デバイスである場合、又は気管切開用ハイフロー療法を提供するために非密閉気管インタフェースを介して、使用することができる。ネーザルハイフロー療法及び気管切開用ハイフロー療法は、総称して「ハイフロー療法」として知られている。
【0005】
一態様において、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
圧力変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、第1漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
圧力変数が第1漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
流れ発生器のモータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
より高いモータ速度での新たな圧力変数を第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表す、比較することと、
新たな圧力変数が第2漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
新たな圧力変数が第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
漏れの可能性が漏れとして確認されるか又は漏れなしとして決定されるまで、1つ又は複数のさらなるより高いモータ速度で第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
により、流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0006】
一構成では、第1段階の漏れ評価は、圧力変数を第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することを含み、コントローラは、圧力変数が第1漏れ閾値を下回るとともに第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始するように構成されている。
【0007】
一構成では、第1段階の漏れ評価は、圧力変数を第2漏れ閾値と比較することを含み、コントローラは、圧力変数が第2漏れ閾値を下回る場合、漏れアラームを生成するように構成されている。
【0008】
一構成では、コントローラは、通常動作中、終了条件が発生するまで、第1段階の漏れ評価を繰り返すか又は継続するように構成されている。
【0009】
一構成では、終了条件は、漏れアラームを生成すること、又は漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価を開始することを含む。
【0010】
一構成では、第2段階の漏れ評価において、流れ発生器のモータ速度を上昇させることは、モータ速度を、より高いモータ速度まで、又は、より高いモータ速度の予め決められた系列又は配列からの次のより高いモータ速度まで、設定された増分で上昇させることを含む。
【0011】
一構成では、第2段階の漏れ評価において、コントローラは、新たな圧力変数を第1及び/又は第2漏れ閾値と比較して、漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する間、予め決められた期間にわたり、流れ発生器をより高いモータ速度で保持するように構成されている。
【0012】
一構成では、コントローラは、漏れの可能性が、予め決められた期間内に、現時点のより高いモータ速度で、漏れとして確認されず及び漏れなしとして決定されない場合、次のさらなるより高いモータ速度で、第2段階の漏れ評価を繰り返すように構成されている。
【0013】
一構成では、コントローラは、現時点のモータ速度のモータ速度閾値との比較に応じて、第2段階の漏れ評価を終了するように構成されている。
【0014】
一構成では、コントローラは、第2段階の漏れ評価中に動作している現時点のより高いモータ速度がモータ速度閾値を下回らない場合、第2段階の漏れ評価を終了するように構成されている。
【0015】
一構成では、コントローラは、第2段階の漏れ評価がアラームを生成せずに終了した場合、第1漏れ閾値を調整するように構成されている。
【0016】
一構成では、コントローラは、第1段階の漏れ評価中に動作している流量及び/又はモータ速度に関連する第1漏れ閾値を低下させることにより、第1漏れ閾値を調整するように構成されている。
【0017】
一構成では、第1及び第2漏れ閾値の値は、少なくとも部分的に、比較の時点で動作している流量及び/又はモータ速度によって決まるか、又はその関数である。
【0018】
一構成では、第1及び第2漏れ閾値は、それぞれの圧力-流量特性曲線、及び/又は、さまざまな流量及び/又はモータ速度に対する閾値を指定する代表的なルックアップテーブルから抽出される。
【0019】
一構成では、コントローラは、漏れ評価段階において、圧力変数が、それぞれの最短評価期間にわたって一貫して閾値を上回るか又は下回るかに基づき、第1及び/又は第2漏れ閾値に対する圧力変数の各比較評価を決定するように構成されている。
【0020】
一構成では、各最短評価期間は、所定の比較評価及び/又は所定の漏れ評価段階によって決まる。
【0021】
一構成では、第2段階の漏れ評価における比較評価に関連する最短評価期間は、先の第1段階の漏れ評価における比較評価に関連する最短評価期間よりも短い。
【0022】
一構成では、コントローラは、漏れアラームを生成するときに1つ又は複数のアラーム動作を開始するように構成されている。
【0023】
一構成では、アラーム動作は、流れ発生器の流量及び/又はモータ速度を現時点の動作設定に固定することを含む。
【0024】
一構成では、アラーム動作は、装置のディスプレイ上に漏れの通知又は標示を生成することを含む。
【0025】
一構成では、漏れアラームは、取外し可能な加湿チャンバが装置の流路から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す。
【0026】
一構成では、漏れアラームは、患者回路が装置のガス出口から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す。
【0027】
一構成では、コントローラは、装置の流路における1つ又は複数の異なるタイプの漏れを検出するように動作可能であり、各異なるタイプの漏れは、それ自体のそれぞれの第1及び第2漏れ閾値を有する。
【0028】
一構成では、アラームが生成された後、コントローラは、圧力変数が最短期間にわたって第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇するまで、アラームを維持するように構成されている。
【0029】
一構成では、アラームが生成された後、コントローラは、圧力変数が最短期間にわたって第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇した場合、アラームを無効にし、通常動作に戻るように構成されている。
【0030】
一構成では、コントローラは、装置の動作流量範囲の全体又は実質的な部分にわたって、漏れ検出プロセスを変更なしに連続的に動作させるように構成されている。1つの例では、漏れ検出プロセスは、0L/min~90L/minであり得る装置の動作流量範囲全体にわたって、及びさまざまな異なるタイプ及び/又はサイズの患者インタフェースで、動作可能である。
【0031】
一構成では、呼吸装置は、ガス出口に接続された、患者インタフェースを含む患者回路を備え、コントローラは、さまざまな異なるタイプ又はサイズの患者インタフェースに対して漏れ検出プロセスを変更なしに連続的に動作させるように構成されている。
【0032】
一構成では、呼吸装置の加湿器は、加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートをさらに備え、コントローラは、漏れアラームを生成する前に、第2段階の漏れ評価で特定された確実な漏れをさらに確認又は確証するために、ヒータプレートチェックプロセスを実行するようにさらに構成されている。
【0033】
一構成では、ヒータプレートチェックプロセスは、ヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、ヒータプレートの又はヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することを含み、加湿チャンバの不在は、確実な漏れ状態を確証する。
【0034】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のために制御可能な流量でユーザにガスの流れを提供するように構成された呼吸装置の流路における漏れを検出する方法であって、
装置の圧力センサから圧力変数を受信することであって、圧力変数は、流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す、受信することと、
圧力変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、第1漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
圧力変数が第1漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
流れ発生器のモータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
より高いモータ速度での新たな圧力変数を第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表す、比較することと、
新たな圧力変数が第2漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
新たな圧力変数が第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
漏れの可能性が漏れとして確認されるか又は漏れなしとして決定されるまで、1つ又は複数のさらなるより高いモータ速度で第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
を含む方法に関する。
【0035】
一構成では、第1段階の漏れ評価は、圧力変数を第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することを含み、本方法は、圧力変数が第1漏れ閾値を下回るとともに第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することを含む。
【0036】
一構成では、第1段階の漏れ評価は、圧力変数を第2漏れ閾値と比較することと、圧力変数が第2漏れ閾値を下回る場合、漏れアラームを生成することとを含む。
【0037】
一構成では、本方法は、通常動作中、終了条件が発生するまで、第1段階の漏れ評価を繰り返すことを含む。
【0038】
一構成では、終了条件は、漏れアラームを生成すること、又は漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価を開始することを含む。
【0039】
一構成では、第2段階の漏れ評価において、流れ発生器のモータ速度を上昇させることは、モータ速度を、より高いモータ速度まで、又は、より高いモータ速度の予め決められた系列又は配列から次のより高いモータ速度まで、設定された増分で上昇させることを含む。
【0040】
一構成では、第2段階の漏れ評価において、本方法は、新たな圧力変数を第1及び/又は第2漏れ閾値と比較して、漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する間、予め決められた期間にわたり、流れ発生器をより高いモータ速度で保持することを含む。
【0041】
一構成では、本方法は、漏れの可能性が、予め決められた期間内に、現時点のより高いモータ速度で、漏れとして確認されず及び漏れなしとして決定されない場合、次のさらなるより高いモータ速度で、第2段階の漏れ評価を繰り返すことを含む。
【0042】
一構成では、本方法は、現時点のモータ速度のモータ速度閾値との比較に応じて、第2段階の漏れ評価を終了することを含む。
【0043】
一構成では、本方法は、第2段階の漏れ評価中に動作している現時点のより高いモータ速度がモータ速度閾値を下回らない場合、第2段階の漏れ評価を終了することを含む。
【0044】
一構成では、本方法は、第2段階の漏れ評価がアラームを生成せずに終了した場合、第1漏れ閾値を調整することを含む。
【0045】
一構成では、本方法は、第1段階の漏れ評価中に動作している流量及び/又はモータ速度に関連する第1漏れ閾値を低下させることにより、第1漏れ閾値を調整することを含む。
【0046】
一構成では、第1及び第2漏れ閾値の値は、少なくとも部分的に、比較の時点で動作している流量及び/又はモータ速度によって決まるか、又はその関数である。
【0047】
一構成では、本方法は、第1及び第2漏れ閾値を、それぞれの圧力-流量特性曲線、及び/又は、さまざまな流量及び/又はモータ速度に対する閾値を指定する代表的なルックアップテーブルから抽出することを含む。
【0048】
一構成では、本方法は、漏れ評価段階において、圧力変数が、それぞれの最短評価期間にわたって一貫して閾値を上回るか又は下回るかに基づき、第1及び/又は第2漏れ閾値に対する圧力変数の各比較評価を決定することを含む。
【0049】
一構成では、最短評価期間は、所定の比較評価及び/又は所定の漏れ評価段階によって決まる。
【0050】
一構成では、第2段階の漏れ評価における比較評価に関連する最短評価期間は、先の第1段階の漏れ評価における比較評価に関連する最短評価期間よりも短い。
【0051】
一構成では、本方法は、漏れアラームを生成するときに1つ又は複数のアラーム動作を開始することを含む。
【0052】
一構成では、アラーム動作は、流れ発生器の流量及び/又はモータ速度を現時点の動作設定に固定することを含む。
【0053】
一構成では、アラーム動作は、装置のディスプレイ上に漏れの通知又は標示を生成することを含む。
【0054】
一構成では、漏れアラームは、取外し可能な加湿チャンバが装置の流路から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す。
【0055】
一構成では、漏れアラームは、患者回路が装置のガス出口から少なくとも部分的に又は全体的に取り外されたか又は切り離されたことを示す。
【0056】
一構成では、本方法は、装置の流路における1つ又は複数の異なるタイプの漏れを検出することを含み、各異なるタイプの漏れは、それ自体のそれぞれの第1及び第2漏れ閾値を有する。
【0057】
一構成では、アラームが生成された後、本方法は、圧力変数が最短期間にわたって第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇するまで、アラームを維持することを含む。
【0058】
一構成では、アラームが生成された後、本方法は、圧力変数が最短期間にわたって第2漏れ閾値又は代替的な漏れ解消閾値を超えて上昇した場合、アラームを無効にし、通常動作に戻ることを含む。
【0059】
一構成では、装置は、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能であり、本方法がコントローラによって実行可能又は実施可能である、コントローラと、
を備える。
【0060】
一構成では、本方法は、装置の動作流量範囲の全体又は実質的な部分にわたって、変更なしに連続的に動作する。いくつかの実施形態では、流量範囲は、例えば、0L/min~90L/minであり得る。
【0061】
一構成では、呼吸装置は、ガス出口に接続された、患者インタフェースを含む患者回路を備え、本方法は、さまざまな異なるタイプ又はサイズの患者インタフェースに対して変更なしに連続的に動作する。
【0062】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
第1流量で圧力センサから圧力変数を受信することと、
受信した圧力変数を第1閾値と比較することに基づいて、漏れの可能性のある状態が満たされるか否かを判断することであって、第1閾値が漏れの可能性のある状態を表す、判断することと、
漏れの可能性のある状態が満たされる場合、
流れ発生器のモータ速度を上昇させて、ガスの流れに対して第2流量を発生させることと、
第2流量で、更新された圧力変数を受信することと、
更新された圧力変数を第1閾値及び/又は第2閾値と比較することにより、漏れの可能性のある状態、漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれが満たされるかを判断することであって、第2閾値が確実な漏れ状態を表す、判断することと、
第2の流量で、漏れの可能性のある状態が再び満たされる場合、
離散的な間隔でガスの流量を増加させるために、流れ発生器のモータ速度を離散的な増分で連続的に上昇させ、確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかが満たされるまで、各離散的な増分の後に、更新された圧力変数を第1及び/又は第2閾値と再度比較することと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0063】
一構成では、圧力変数が第1閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされる。
【0064】
一構成では、圧力変数が第1閾値を下回るとともに第2閾値を上回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされる。
【0065】
一構成では、圧力変数が第1及び第2閾値を上回る場合、漏れなし状態が満たされる。
【0066】
一構成では、圧力変数が第2閾値を下回る場合、確実な漏れ状態が満たされる。
【0067】
一構成では、コントローラは、圧力変数が最短評価期間にわたって、関連する第1及び/又は第2閾値を上回るか下回るかに基づいて、状態が満たされるか否かを判断するように構成されている。
【0068】
一構成では、最短評価期間は、評価されている所定の状態によって決まる。
【0069】
一構成では、呼吸装置の加湿器は、加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートをさらに備え、コントローラは、漏れアラームを生成する前に、第2段階の漏れ評価で特定された確実な漏れをさらに確認又は確証するために、ヒータプレートチェックプロセスを実行するようにさらに構成されている。
【0070】
一構成では、ヒータプレートチェックプロセスは、ヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、ヒータプレートの又はヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することを含み、加湿チャンバの不在は、確実な漏れ状態を確証する。
【0071】
一態様では、本開示は、呼吸療法のために制御可能な流量でユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置の流路における漏れを検出する方法であって、
第1流量で動作している装置の圧力センサから圧力変数を受信することであって、圧力変数が、流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す、受信することと、
受信された圧力変数を第1閾値と比較することに基づいて、漏れの可能性のある状態が満たされるか否かを判断することであって、第1閾値が漏れの可能性のある状態を表す、判断することと、
漏れの可能性のある状態が満たされる場合、
流れ発生器のモータ速度を上昇させて、ガスの流れに対して第2流量を発生させることと、
第2流量で、更新された圧力変数を受信することと、
更新された圧力変数を第1閾値及び/又は第2閾値と比較することにより、漏れの可能性のある状態、漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれが満たされるかを判断することであって、第2閾値が確実な漏れ状態を表す、判断することと、
第2の流量で、漏れの可能性のある状態が再び満たされる場合、
離散的な間隔でガスの流量を増加させるために、流れ発生器のモータ速度を離散的な増分で連続的に上昇させ、確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかが満たされるまで、更新された圧力変数を第1及び/又は第2閾値と再度比較することと、
を含む方法に関する。
【0072】
一構成では、本方法は、圧力変数が第1閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされると判断することを含む。
【0073】
一構成では、本方法は、圧力変数が第1閾値を下回るとともに第2閾値を上回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされると判断することを含む。
【0074】
一構成では、本方法は、圧力変数が第1及び第2閾値を上回る場合、漏れなし状態が満たされると判断することを含む。
【0075】
一構成では、本方法は、圧力変数が第2閾値を下回る場合、確実な漏れ状態が満たされると判断することを含む。
【0076】
一構成では、本方法は、圧力変数が最短評価期間にわたって、関連する第1及び/又は第2閾値を上回るか下回るかに基づいて、状態が満たされるか否かを判断することを含む。
【0077】
一構成では、最短評価期間は、評価されている所定の状態によって決まる。
【0078】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
通常動作時に構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを送達するように、流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
圧力センサから圧力変数を受信し、
圧力変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れが検出されなかったことを示す場合、通常動作を継続すること、又は
圧力変数が、漏れ閾値を下回り、漏れの可能性が検出されたことを示す場合、流れ発生器のモータ速度又はユーザ設定流量を予め決められたか又は動的に決定される増分で上昇又は増加させ、新たな上昇したモータ速度又は増加したユーザ設定流量で圧力センサから更新された圧力変数を受信することと、
更新された圧力変数が漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を漏れとして確認する場合、アラームを生成し、及び/又はモータ速度を固定すること、又は
圧力変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性が漏れでないと決定する場合、元のユーザ設定流量で流れ発生器の通常動作に戻ることと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0079】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のために制御可能な流量でユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置の流路における漏れを検出する方法であって、
通常動作時に構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを送達するように、流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
ユーザ設定流量で動作している装置の圧力センサから圧力変数を受信することであって、圧力変数は、流路におけるガスの流れの検知された圧力特性を表す、受信することと、
圧力変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れが検出されなかったことを示す場合、通常動作を継続すること、又は
圧力変数が、検出された漏れの可能性を示す漏れ閾値を下回る場合、流れ発生器のモータ速度又はユーザ設定流量を予め決められたか又は動的に決定される増分で上昇又は増加させ、新たな上昇したモータ速度又は増加したユーザ設定流量で圧力センサから更新された圧力変数を受信することと、
更新された圧力変数が漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を漏れとして確認する場合、アラームを生成し、及び/又はモータ速度を固定すること、又は
圧力変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れでないと決定する場合、元のユーザ設定流量で流れ発生器の通常動作に戻ることと、
を含む方法に関する。
【0080】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
取外し可能な加湿チャンバを受ける受け部を備えたハウジングと、
ガスの流れを発生させるように動作可能である、ハウジング内のモータ駆動の流れ発生器と、
ハウジング内のガス入口及びガス出口と、
使用時の、ガス入口から流れ発生器及び加湿チャンバを通ってガス出口まで、呼吸装置を通るガスの流れのための流路であって、加湿チャンバが、ハウジングの受け部内の動作位置に位置決めされたとき、流れ発生器及びガス出口と流体連通している、流路と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
コントローラであって、
構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを発生させるように流れ発生器を制御することと、
圧力センサから圧力変数を受信することと、
圧力変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、第1漏れ閾値が、漏れの可能性のある状態を表し、現時点の流量及び/又はモータ速度の関数である、開始することと、
圧力変数が第1漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
流れ発生器のモータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
より高いモータ速度での新たな圧力変数を第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表し、現時点の流量及び/又はモータ速度の関数である、比較することと、
新たな圧力変数が第2漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
新たな圧力変数が第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
アラームが発生するか、又は第2段階の漏れ評価の終了が発生するまで、1つ又は複数のさらなるより高いモータ速度で第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
を行うように構成されたコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0081】
別の態様では、取外し可能な加湿チャンバが呼吸療法の流路から取り外されたか否かを判断する方法であって、呼吸装置は、取外し可能な加湿チャンバを受ける受け部を備えたハウジングと、ガスの流れを発生させるように動作可能である、ハウジング内のモータ駆動の流れ発生器と、ハウジング内のガス入口及びガス出口と、使用時の、ガス入口から流れ発生器及び加湿チャンバを通ってガス出口まで、呼吸装置を通るガスの流れのための流路であって、加湿チャンバが、ハウジングの受け部内の動作位置に位置決めされたとき、流れ発生器及びガス出口と流体連通している、流路と、流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、コントローラとを備え、本方法は、
構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを発生させるように流れ発生器を制御することと、
圧力センサから圧力変数を受信することと、
圧力変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、第1漏れ閾値が、漏れの可能性のある状態を表し、現時点の流量及び/又はモータ速度の関数である、開始することと、
圧力変数が第1漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
流れ発生器のモータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
より高いモータ速度での新たな圧力変数を、第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表し、現時点の流量及び/又はモータ速度の関数である、比較することと、
新たな圧力変数が第2漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
新たな圧力変数が第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
アラームが発生するか、又は第2段階の漏れ評価の終了が発生するまで、1つ又は複数のさらなるより高いモータ速度で第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
を含む方法に関する。
【0082】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを送達するように、流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
ユーザ設定流量が、第1流量閾値を下回るか又は第1流量範囲内にある場合、
圧力変数を1つ又は複数の漏れ閾値と比較することに基づいて漏れがあるか否かを判断し、漏れ又は漏れなしを決定的に判断することができない場合、
ユーザ設定流量又は流れ発生器のモータ速度を設定された増分で増加又は上昇させ、1つ又は複数の漏れ閾値に基づいて、漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
漏れ又は漏れなしを再度決定的に判断することができない場合、ユーザ設定流量又はモータ速度をさらなる設定された増分で連続的に増加又は上昇させ、漏れ又は漏れなしが確実に判断されるまで、各増分の後に漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
により、流路内の漏れをチェックすることと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0083】
一構成では、ユーザ設定流量が第1流量閾値を上回る場合、コントローラは、
流れ発生器の現時点のユーザ設定流量及び/又はモータ速度で、圧力変数を漏れ閾値と比較し、圧力変数が漏れ閾値を下回る場合は漏れと判断し、又は圧力変数が漏れ閾値を上回る場合は漏れなしと判断すること
により、流路内の漏れをチェックするように構成されている。
【0084】
一構成では、呼吸装置の加湿器は、加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートをさらに備え、コントローラは、判断された確実な漏れをさらに確認又は確証するためにヒータプレートチェックプロセスを実行するようにさらに構成されている。
【0085】
一構成では、ヒータプレートチェックプロセスは、ヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、ヒータプレートの又はヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することを含み、加湿チャンバの不在は、判断された確実な漏れを確証する。
【0086】
別の態様では、本開示は、呼吸装置の流路における漏れを判断する方法であって、
構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを送達するように、流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
ユーザ設定流量が、第1流量閾値を下回るか又は第1流量範囲内にある場合、
ガスの流れの圧力変数を1つ又は複数の漏れ閾値と比較することに基づいて漏れがあるか否かを判断し、漏れ又は漏れなしを決定的に判断することができない場合、
ユーザ設定流量又は流れ発生器のモータ速度を設定された増分で増加又は上昇させ、1つ又は複数の漏れ閾値に基づいて、漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
漏れ又は漏れなしを再度決定的に判断することができない場合、ユーザ設定流量又はモータ速度をさらなる設定された増分で連続的に増加又は上昇させ、漏れ又は漏れなしが確実に判断されるまで、各増分の後に漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
により、流路内の漏れをチェックすることと、
を行うように構成されているコントローラと、
を含む方法に関する。
【0087】
一構成では、ユーザ設定流量が第1流量閾値を上回る場合、
流れ発生器の現時点のユーザ設定流量及び/又はモータ速度で、圧力変数を漏れ閾値と比較し、圧力変数が漏れ閾値を下回る場合は漏れと判断し、又は圧力変数が漏れ閾値を上回る場合は漏れなしと判断すること
により、流路内の漏れをチェックすること。
【0088】
別の態様では、本開示は、呼吸装置における加湿チャンバの漏れ状態を判断する方法に関し、呼吸装置のコントローラは、上記又は下記の方法のうちの任意の1つを実施又は実行する。
【0089】
別の態様では、本開示は、上記又は下記の方法のうちの任意の1つを実施又は実行するように構成されたプロセッサを備える呼吸装置のコントローラに関する。
【0090】
別の態様では、本開示は、上記の方法のうちの任意の1つによる呼吸装置の流路内の漏れを判断する方法に関し、ただし、装置は、乾燥モード及び/又は消毒モード等の非治療モードで動作している。
【0091】
別の態様では、本開示は、非治療モードで動作している呼吸装置の流路における漏れを判断する方法であって、
非治療モード設定に従って流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
ガスの流れの圧力変数を1つ又は複数の漏れ閾値と比較することに基づいて漏れがあるか否かを判断し、漏れ又は漏れなしを決定的に判断することができない場合、
流量又は流れ発生器のモータ速度を設定された増分で増加又は上昇させ、1つ又は複数の漏れ閾値に基づいて、漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
漏れ又は漏れなしを再度決定的に判断することができない場合、ユーザ設定流量又はモータ速度をさらなる設定された増分で連続的に増加又は上昇させ、漏れ又は漏れなしが確実に判断されるまで、各増分の後に漏れがあるか又は漏れがないかを再度判断することと、
を含む方法に関する。
【0092】
一構成では、非治療モードは乾燥モード及び/又は消毒モードである。
【0093】
一構成では、1つ又は複数の漏れ閾値は、乾燥モード及び/又は消毒モードに関連する流路特性及び/又は動作設定に、少なくとも部分的に基づくか又はその関数である。
【0094】
別の態様では、本開示は、加熱及び加湿されたガスの流れを患者に提供するように構成されている呼吸装置に関する。本装置は、患者すなわちユーザにハイフロー療法を提供することができる。本装置は、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、取外し可能な加湿チャンバを含み、取外し可能なチャンバが、チャンバが動作可能な位置にあるとき、流路がチャンバを通って出口まで延びるように、流路から取外し可能である、加湿器と、
ガスの流れの圧力を示す信号を生成するように構成された圧力センサと、
ガスの流れの流量を示す信号を生成するように構成された流量センサと、
流れ発生器のモータに関連付けられたモータ速度センサであって、モータのモータ速度を示す信号を生成するように構成されたモータ速度センサと、
流れ発生器に作動的に連結されてガスの流れの流量を制御するコントローラであって、圧力センサ、流量センサ及びモータ速度センサと電子的に通信し、
圧力センサ、流量センサ及びモータ速度センサのうちの1つ又は複数を使用して、第1漏れ検出方法を実行することと、
第1漏れ検出手方法が漏れの確認を生成した場合、アラームを生成することと、
第1漏れ検出方法が漏れの可能性のある状態を出力した場合、第2漏れ検出方法を実行し、第2漏れ検出方法が、コントローラが確実な漏れ又は確実な漏れなし状態と判断するまで、モータ速度を予め決められた増分で漸増させることと、
を行うようにさらに構成され、
第1漏れ検出方法が、測定されたガス圧力を、流量センサによる現時点の測定された流量に対する2つの閾値のうちの1つで評定することを含み、第2漏れ検出方法が、測定された流量での測定された圧力を漏れ閾値と比較して、確実な漏れ状態又は確実な漏れなし状態を確認することを含み、
コントローラが、モータ速度センサを使用してモータ速度を測定することにより、設定された増分でモータ速度を漸増させるように構成されている、
コントローラと、
を備える。
【0095】
いくつかの実施形態では、本装置は、流路内の漏れを判断するために2段階漏れ検出を実施するため有利である。流路内の漏れは、出口に連結された加湿チャンバ及び/又は導管の取外しによって引き起こされる大きい漏れである。
【0096】
いくつかの実施形態では、装置はハウジングを備え、流れ発生器及び加湿器は共通のハウジング内に位置している。ハウジングは、加湿チャンバを受ける受け部を備えることができる。コントローラは、確実な漏れと判断された場合に動作を実行するように構成されている。
【0097】
別の態様では、本開示は、呼吸装置であって、装置の流路内の1つ又は複数の構成要素を消毒する消毒モードで動作可能である呼吸装置であり、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通るガスの流れのための流路と、
流路の一部を形成する取外し可能な消毒キット又はアセンブリと、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
第1流量で圧力センサから圧力変数を受信することと、
受信した圧力変数を第1閾値と比較することに基づいて、漏れの可能性のある状態が満たされるか否かを判断することであって、第1閾値が漏れの可能性のある状態を表す、判断することと、
漏れの可能性のある状態が満たされる場合、
流れ発生器のモータ速度を上昇させて、ガスの流れに対して第2流量を発生させることと、
第2流量で、更新された圧力変数を受信することと、
更新された圧力変数を第1閾値及び/又は第2閾値と比較することにより、漏れの可能性のある状態、漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれが満たされるかを判断することであって、第2閾値が確実な漏れ状態を表す、判断することと、
第2の流量で、漏れの可能性のある状態が再び満たされる場合、
離散的な間隔でガスの流量を増加させるために、流れ発生器のモータ速度を離散的な増分で連続的に上昇させ、確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかが満たされるまで、各離散的な増分の後に、更新された圧力変数を第1及び/又は第2閾値と再度比較することと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0098】
一構成では、消毒キット又はアセンブリは、消毒チューブ及びフィルタを含み、消毒チューブは、取り外された加湿チャンバの代わりに流路内に取外し可能に接続され、それにより、流れ発生器に関連付けられたガス出口を、患者回路に接続する装置の主ガス出口構成要素に流体的に連結し、フィルタは、主ガス出口の開放ポートに取外し可能に接続される。例として、フィルタは、フィルタ構成要素であり得る。1つの例では、フィルタは、フィルタキャップ、又はフィルタ付きキャップであってもよく、フィルタキャップ又はキャップは、主ガス出口の開放ポートと、開放ポート内に、又は開放ポートの上に係合する。
【0099】
一構成では、装置の主ガス出口構成要素はエルボ導管を含み、消毒チューブはエルボ導管の第1端部に接続され、フィルタはエルボ導管の第2端部に接続されて、消毒モード動作中に、流れ発生器からのガスの流れが、消毒チューブ、エルボ導管を通り、フィルタから大気中に流れ出るようになっている。
【0100】
一構成では、第1及び/又は第2閾値は、消毒モード動作中に、消毒キット又はアセンブリのフィルタが取り外され、存在せず、又は主ガス出口から少なくとも部分的に脱落していることを示すか又は表す、流路内の漏れ状態を検出するように構成されている。
【0101】
一構成では、漏れ状態は、消毒キット又はアセンブリの構成要素が流路から取り外されるか又は切り離されていることを表す。
【0102】
一構成では、消毒キット又はアセンブリは、呼吸装置に連結することができるオゾンモジュールを備える。漏れ検出方法は、消毒キットの一部であるオゾンモジュールの脱落又は誤接続を検出するように構成することができる。オゾンモジュールは、呼吸装置の流路を消毒するために流路を通してオゾンガスを圧送するように構成することができる。オゾンモジュールは、設定された期間にわたって使用されることが要求される場合がある。記載する漏れ検出方法は、必要な時間の前に消毒モジュール(すなわち、オゾンモジュール)が取り外されたことを検出し、それにより適切なアラームを引き起こすように構成されている。
【0103】
一態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生装置と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
流量センサによって検知されたガス流れの流量を示すか又は表す流量変数を受信又は計算することと、
流量変数を第1漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、第1漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
流量変数が第1漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
流れ発生器のモータ速度を現時点のモータ速度からより高いモータ速度に上昇させることと、
より高いモータ速度での新たな流量変数を、第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値と比較することであって、第2漏れ閾値が確実な漏れ状態を表す、比較することと、
新たな流量変数が第2漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
新たな流量変数が第1漏れ閾値及び第2漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに第2段階の漏れ評価を終了すること、又は、
漏れの可能性が漏れ確認されるか又は漏れなしとして決定されるまで、1つ又は複数のさらに高いモータ速度で第2段階の漏れ評価を繰り返すことと、
を含む、開始することと、
により、流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0104】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生装置と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
第1流量で流量センサによって検知されたガス流れの流量を示すか又は表す流量変数を受信又は計算することと、
受信した流量変数を第1閾値と比較することに基づいて、漏れの可能性のある状態が満たされるか否かを判断することであって、第1閾値が漏れの可能性のある状態を表す、判断することと、
漏れの可能性のある状態が満たされる場合、
流れ発生器のモータ速度を上昇させて、ガスの流れに対して第2流量を発生させることと、
第2流量で、更新された流量変数を受信することと、
更新された流量変数を第1閾値及び/又は第2閾値と比較することにより、漏れの可能性のある状態、漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれが満たされるかを判断することであって、第2閾値が確実な漏れ状態を表す、判断することと、
第2の流量で、漏れの可能性のある状態が再び満たされる場合、
離散的な間隔でガスの流量を増加させるために、流れ発生器のモータ速度を離散的な増分で連続的に上昇させ、確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかが満たされるまで、各離散的な増分の後に、更新された流量変数を第1及び/又は第2閾値と再度比較することと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0105】
別の態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内に取外し可能な加湿チャンバを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
通常動作時に構成可能なユーザ設定又は事前設定流量でガスの流れを送達するように、流れ発生器又は流れ発生器のモータ速度を制御することと、
ガスの流れの流量を表すか又は示す流量変数を受信し、
流量変数が漏れ閾値を下回り、それにより漏れが検出されなかったことを示す場合、通常動作を継続すること、又は
流量変数が、漏れ閾値を上回り、漏れの可能性が検出されたことを示す場合、流れ発生器のモータ速度又は設定流量を予め決められたか又は動的に決定される増分で上昇又は増加させ、新たな上昇したモータ速度又は増加した設定流量で更新された流量変数を受信することと、
更新された流量変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を漏れとして確認する場合、アラームを生成し、及び/又はモータ速度を固定すること、又は
流量変数が漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性が漏れでないと決定する場合、元のユーザ設定流量で流れ発生器の通常動作に戻ることと、
を行うように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0106】
一態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内の取外し可能な加湿チャンバと、加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートとを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す圧力変数を生成するように構成された圧力センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
圧力変数を漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
圧力変数が漏れ閾値を下回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
加湿器のヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、ヒータプレートの又はヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することにより、ヒータプレートチェックプロセスを開始することと、
ヒータプレートチェックにより、加湿チャンバが不在であると判断され、それにより、漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
ヒータプレートチェックにより、加湿チャンバが存在していると判断され、それにより、漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに第2段階の漏れ評価を終了することと、
を含む、開始することと、
により、流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0107】
一態様では、本開示は、呼吸療法のためにユーザにガスの流れを提供するように構成されている呼吸装置であって、
ガスの流れを発生させるように動作可能であるモータ駆動の流れ発生器と、
呼吸装置を通る呼吸装置のガス出口までのガスの流れのための流路と、
ガスの流れを加熱及び加湿するように動作可能である加湿器であって、流路内の取外し可能な加湿チャンバと、加湿チャンバを加熱するように動作可能であるヒータプレートとを含む加湿器と、
流路内のガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサと、
流れ発生器に作動的に接続され、流れ発生器のモータ速度を制御することによりガスの流れの流量を制御するように動作可能なコントローラであって、動作中、
ガスの流れの流量を示すか又は表す流量変数を漏れ閾値と比較することを含む第1段階の漏れ評価を開始することであって、漏れ閾値が漏れの可能性のある状態を表す、開始することと、
流量変数が漏れ閾値を上回り、それにより漏れの可能性を示す場合、第2段階の漏れ評価を開始することであって、第2段階の漏れ評価が、
加湿器のヒータプレートに電力又は温度プロセスを適用し、ヒータプレートの加熱速度又は/及び冷却速度を、ヒータプレートの又はヒータプレートに関連付けられた温度センサに基づいて1つ又は複数の閾値に対して評価し、それにより、ヒータプレートと熱的に接触している加湿チャンバの存在又は不在を判断することにより、ヒータプレートチェックプロセスを開始することと、
ヒータプレートチェックにより、加湿チャンバが不在であると判断され、それにより、漏れの可能性を確実な漏れとして確認する場合、漏れアラームを生成し、第2段階の漏れ評価を終了すること、又は
ヒータプレートチェックにより、加湿チャンバが存在していると判断され、それにより、漏れの可能性を漏れなしとして決定する場合、アラームを生成せずに第2段階の漏れ評価を終了することと、
を含む、開始することと、
により、流路内の漏れを検出する漏れ検出プロセスを実行するように構成されているコントローラと、
を備える呼吸装置に関する。
【0108】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点について、いくつかの実施形態の図面を参照して説明するが、これらの図面は、いくつかの実施形態を概略的に例示するように意図されており、本開示を限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】患者に呼吸療法を提供するように構成された呼吸システムを概略的に示す。
図2】加湿チャンバが適所にあり、ハンドル/レバーが上昇した状態にある、呼吸装置例の正面図である。
図3図2に対応する上面図である。
図4図2に対応する右側面図である。
図5図2に対応する左側面図である。
図6図2に対応する背面図である。
図7図2に対応する正面左側斜視図である。
図8図2に対応する正面右側斜視図である。
図9図2に対応する底面図である。
図10】呼吸装置の空気及び酸素入口配置の構成例を示す。
図11】呼吸装置の空気及び酸素入口配置の別の構成例を示す。
図12図11の空気及び酸素入口配置のさらなる詳細を示す横断面図である。
図13図11の空気及び酸素入口配置のさらなる詳細を示す別の横断面図である。
図14図11の空気及び酸素入口配置のさらなる詳細を示す縦断面図である。
図15】呼吸装置の主ハウジングの上部シャシ構成要素及び下部シャシ構成要素の分解図である。
図16】モータ/センサモジュールサブアセンブリを受けるハウジングを示す、主ハウジングの下部シャシの正面左側斜視図である。
図17】モータ/センサモジュールサブアセンブリのためのハウジング内部の凹部を示す呼吸装置の主ハウジングの第1下側斜視図である。
図18】モータ/センサモジュールサブアセンブリのための凹部を示す呼吸装置の主ハウジングの第2下側斜視図である。
図19A】呼吸システムの構成要素と相互作用し及び/又は呼吸システムの構成要素に制御及び指示を提供する、制御システムのブロック図を示す。
図19B】コントローラ例のブロック図を示す。
図20】モータ及びセンサモジュールのブロック図を示す。
図21】モータ及びセンサモジュール例の検知チャンバを示す。
図22】一実施形態による漏れ検出アルゴリズムの概要フロー図を示す。
図23】呼吸装置の治療モード又は乾燥モード中の、漏れ圧力閾値に基づく、漏れ検出アルゴリズムの一実施形態の詳細なフロー図を示す。
図24A】圧力対流量のグラフを示し、一実施形態による図23の漏れ検出アルゴリズムに関連する漏れ閾値と、通常動作及び漏れに関連するデータとの例を示す。
図24B図24Aのグラフの別のバージョンを示し、通常動作及び漏れに関するデータなしに漏れの閾値を示す。
図24C図24Aのグラフのクローズアップを示し、漏れが検出されずに装置が正常に動作しているシナリオにおける、アルゴリズムの複数回の反復(A~C)のシナリオにおける、漏れ検出アルゴリズムの実施態様に関連する特定の漏れ閾値線を示す。
図24D図24Cのグラフを示し、漏れが検出されない通常動作の判断に続く、あり得る漏れ閾値線に対する更新又は修正を実証している。
図24E図24aのグラフのクローズアップを示し、装置が漏れのある状態(例えば、チャンバ外れ)で動作しているシナリオにおけるアルゴリズムの複数回の反復(A、B)と、漏れが解消された後の後続の反復(C、D、E)とのシナリオにおける、漏れ検出アルゴリズムの実施態様に関連する特定の漏れ閾値線を示す。
図25A】一実施形態による、消毒キットが設置されて消毒モードで動作している、図2に示すタイプの呼吸装置の概略例を示す。
図25B】呼吸装置の消毒モードの場合の、漏れ圧力閾値に基づく、漏れ検出アルゴリズムの別の実施形態の詳細なフロー図を示す。
図25C】圧力対流量のグラフを示し、一実施形態による、消毒モードの場合の図25Aの漏れ検出アルゴリズムに関連する漏れ閾値と、消毒モードの場合の通常動作及び漏れに関するデータとの例を示す。
図26】一実施形態に係る呼吸装置の消毒モードのためのブロック検出アルゴリズムの一実施形態のフロー図を示す。
図27A】呼吸装置のための、漏れ流量閾値に基づく、漏れ検出アルゴリズムの別の実施形態の詳細なフロー図を示す。
図27B】モータ速度対流量のグラフを示し、一実施形態による、図27Aの漏れ検出アルゴリズムに関連する漏れ閾値と、通常動作及び漏れに関連するデータとの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、いくつかの例について説明するが、当業者であれば、本開示が、具体的に開示する例及び/又は使用、並びにそれらの明らかな変更形態及び均等物を越えて拡張することを理解するであろう。したがって、本明細書に開示する開示の範囲は、以下に記載するいかなる特定の例によっても限定されるべきではないことが意図される。
【0111】
1.非密閉システムとして構成された呼吸装置の流路における漏れの判断
本開示の漏れ検出アルゴリズムは、さまざまな呼吸装置、特に、鼻カニューレ等、非密閉インタフェースを介してハイフロー療法を提供するように動作可能又は構成可能な非密閉システムに適用可能である。ハイフローシステムは、本質的に、すなわち非密閉患者インタフェースに起因して、漏れを起こしやすい。
【0112】
一実施形態では、漏れ検出アルゴリズムは、流路内の1つ又は複数の所定のタイプの漏れを検出するように構成されている。
【0113】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、加湿チャンバの流路からの(完全であっても部分的であっても)取外し又は切離しによって引き起こされる、流路内の漏れを検出するように構成されている。
【0114】
他の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、呼吸装置の流路内の又は流路に沿った構成要素間の連結又は接続漏れ等、流路に沿った他の任意の重大な漏れを検出するように構成してもよい。
【0115】
他の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、例えば、装置のガス出口からの患者回路(例えば、導管又は管)の(完全であっても部分的であっても)取外し又は切離しによって引き起こされる漏れを検出することにより、装置の出口における漏れを検出するように構成してもよい。
【0116】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、1つのタイプの漏れを監視するように構成することができ、又は、1つ又は複数の異なるタイプの漏れを、同時に、又は1つずつ定期的に若しくは連続的に、監視又は検知するように構成することができる。
【0117】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、呼吸装置の1つ又は複数の異なる動作モードの間に特定の又は所定のタイプの漏れを監視するように構成することができる。1つの例では、漏れ検出アルゴリズムは、治療モード中、ガスの流れが呼吸療法のためにユーザ又は患者に送達されているときに動作するように構成することができる。別の例では、漏れ検出アルゴリズムは、限定されないが乾燥モード及び消毒モード等、非治療モード中に動作するように構成することができる。検出されている漏れのタイプは、呼吸装置の動作モードによって決まる可能性がある。
【0118】
一実施形態では、漏れ検出アルゴリズムは、呼吸装置の加湿器からの加湿チャンバの取外し又は切離しを検出するように構成されている。加湿器は、重要な機能であり、ネーザルハイフロー(経鼻高流量)を提供するときに必要とされる。加湿は、患者に快適さを提供し、患者の気道の健康を維持するのに役立つ。また、加湿は患者の快適性を向上させることができるため、ハイフロー療法に対する患者のコンプライアンスを向上させるのにも役立つことができる。
【0119】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、装置の治療動作流量の全範囲にわたって、及び、成人用インタフェース及び新生児又は児童用インタフェースの両方で等、任意のサイズの患者インタフェースで、連続的に動作可能である。
【0120】
ネーザルハイフローを送達する呼吸装置等、非密閉システムにおいて、低流量範囲では、ガスの流れの特性を監視することに基づいて、加湿チャンバが加湿器から取り外されたか又は流路に存在しないときを、システムが正確に又は容易に識別することが困難な場合がある。ガスの流れの特性を監視して加湿チャンバの切離し又は取外し等の漏れを判断する場合、誤検知の可能性がある。低流量では、湿度は患者の治療、特に小児患者又は新生児患者に対して依然として重要であり、したがって、加湿チャンバの取外しの正確な又は確実な検出が重要である。
【0121】
一実施形態では、呼吸装置は、0L/min~80L/minのその動作流量範囲にわたって連続制御を行うことができる。一実施形態では、呼吸装置は、限定されないが、小型、中型、大型の成人用カニューレ及び小型、中型、大型の児童用カニューレ等、複数のインタフェースで、選択的に動作することができる。一実施形態では、呼吸装置は、所定の患者に対して流量設定が調整される、単一の動作モードで、さまざまな患者、例えば成人、小児科患者、又は新生児患者にフロー療法を提供するように動作可能である。一実施形態では、装置を使用している患者のタイプ、及び/又は目標流量設定、及び/又は使用されている患者インタフェース(例えばカニューレ)のタイプ若しくはサイズに関わらず、同じ漏れ検出アルゴリズムが連続的に動作可能であるように、漏れ検出アルゴリズムに対して、動作流量範囲全体にわたって有効な漏れ閾値が与えられる。例えば、漏れ検出アルゴリズムは、いくつかの実施形態では、漏れ閾値又は漏れ閾値関数を変更することなく、複数の流量範囲にわたって、複数の異なるサイズ又はタイプの患者インタフェースで機能することができる。
【0122】
上記で説明したように、呼吸装置から送達されるネーザルハイフロー療法は、非常に漏れが起こりやすい。ネーザルハイフローシステムは、密閉されておらず、低圧システムである。チャンバ切離し検出等の漏れ検出は、流路内でシステムによって発生するガスの流れにおける流量及び圧力のわずかな変化に対してより高感度である必要がある。典型的には、特に低流量範囲で、非密閉システムのアラーム状態と通常動作状態とが収束するため、正確な漏れ検出は困難である。例えば、限定なしに小児科患者の場合の治療流量(例えば、15L/min未満、より詳細には10L/min未満)で等、低流量で漏れを検出する場合、誤検出の可能性が高くなる。これらの低流量範囲では、通常動作と漏れがある(例えば、加湿チャンバが取り外されている)動作との間の流量及び圧力状態が収束する。これにより、通常動作と漏れが発生したときとを区別することが困難になる。
【0123】
ロバストであって、迅速に作用するとともに、誤った状態を最小限にするか又は低減させて、低流量状態において漏れ状態を判断することができる、漏れ検出方法が必要とされている。
【0124】
2.呼吸装置例の概要
漏れを判断する方法及びプロセスについて、非密閉患者インタフェースを介してネーザルハイフロー療法を提供するように構成され又は動作可能な呼吸装置例10に関して説明する。これは、非限定的な例として意図されている。本漏れ検出方法及びプロセスは、他の呼吸装置に、及び/又は他の動作モード、及び/又はそうした装置によって送達される治療モードに、適用することができることが理解されよう。
【0125】
図1に、呼吸装置例10の概略図を示す。呼吸装置10は、主デバイスハウジング100を含むことができる。主デバイスハウジング100は、モータ/インペラ配置の形態とすることができる流れ発生器11と、加湿器12と、コントローラ13と、ユーザインタフェース14とを含むことができる。ユーザインタフェース14は、ディスプレイと、ボタン、タッチスクリーン、タッチスクリーン及びボタンの組合せ等の入力デバイスとを含むことができる。コントローラ13は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ及び/又はソフトウェアプロセッサを含むことができ、限定されないが、患者に送達するガスの流れを生成するように流れ発生器11を動作させること、ガス流を加湿及び/又は加熱するように加湿器12を動作させること、呼吸装置10の再構成及び/又はユーザ定義動作のためにユーザインタフェース14からユーザ入力を受け取ること、並びに(例えばディスプレイ上に)情報をユーザに出力すること等、システムの構成要素を制御するように構成又はプログラムすることができる。ユーザは、患者、医療従事者等であり得る。
【0126】
図1を引き続き参照すると、呼吸装置10の主デバイスハウジング100内のガス流出口21に、及び、マニホールド19及び鼻プロング18を有する鼻カニューレのような非密閉インタフェース等の患者インタフェース17に、患者呼吸導管16を連結することができる。患者呼吸導管16は、気管切開インタフェース、又は他の非密閉インタフェースとすることもできる。
【0127】
ガス流は、流れ発生器11によって発生させることができ、患者呼吸導管16を介して患者インタフェース17を通して患者に送達する前に、加湿してもよい。コントローラ13は、所望の流量のガス流を発生させるように流れ発生器11を制御し、及び/又は、空気と酸素若しくは他の呼吸可能ガスとの混合を制御するように1つ又は複数の弁を制御することができる。コントローラ13は、加湿チャンバ12内の又は加湿チャンバ12に関連する加熱素子を制御して、患者に送達するための所望のレベルの温度及び/又は湿度を達成する所望の温度にガスを加熱することができる。患者呼吸導管16は、患者に向かって通過するガス流を加熱する、ヒータ線等の加熱素子16aを有することができる。加熱素子16aは、コントローラ13が制御することもできる。
【0128】
本装置の加湿器12は、湿度をガス流と結合するか又はガス流に導入するように構成されている。さまざまな加湿器12の構成を採用することができる。1つの構成では、加湿器12は、取外し可能である加湿チャンバを備えることができる。例えば、加湿チャンバは、流路及び/又は装置から部分的に又は全体的に取り外すか又は切り離すことができる。例として、加湿チャンバは、例えば、再充填、洗浄、交換及び/又は修理のために取り外すことができる。1つの構成では、加湿チャンバは、装置の加湿コンパートメント若しくは仕切りによって又はその中に受け入れて保持してもよく、又は、装置のハウジングの上又は中に他の方法で連結してもよい。
【0129】
加湿器12の加湿チャンバは、装置のガス流路への接続を可能にするために、ガス入口及びガス出口を備えることができる。例えば、流れ発生器11からのガスの流れは、加湿チャンバ内にそのガス入口を介して受け取られ、加熱及び/又は加湿された後、そのガス出口を介してチャンバから出る。
【0130】
加湿チャンバは、ある量の液体、典型的には水等を収容している。動作時、加湿チャンバ内の液体は、チャンバに関連付けられた1つ又は複数のヒータ又は加熱素子によって制御可能に加熱されて、水蒸気又は蒸気を発生させ、チャンバを流れるガスの湿度を上昇させる。
【0131】
1つの構成では、加湿器はパスオーバー型加湿器である。別の構成では、加湿器は非パスオーバー型加湿器であってもよい。漏れ検出アルゴリズムは、装置の加湿器がパスオーバー型加湿器であっても非パスオーバー型加湿器であっても、加湿チャンバの装置の流路からの取外し又は切離しを検出するように構成することができる。
【0132】
1つの構成では、加湿器は、例えば、チャンバが加熱のために載る加湿ベイに関連付けられたか又はその中にある、ヒータプレートを備えることができる。チャンバのベース又は他の面に、加湿器のヒータプレートと相互作用するか又は係合する熱伝達面、例えば金属インサート、プレート等を設けることができる。
【0133】
別の構成では、加湿チャンバは、チャンバ内部又はチャンバ内に内部ヒータ又はヒータ素子を備えていてもよい。内部ヒータ又はヒータ素子は、チャンバ内部に一体的に取り付けるか若しくは設けてもよく、又はチャンバから取外し可能であってもよい。
【0134】
加湿チャンバは、任意の好適な形状及び/又はサイズであり得る。チャンバのガス入口及びガス出口の位置、数、サイズ及び/又は形状は、必要に応じて変更してもよい。1つの構成では、加湿チャンバは、ベース面、ベース面から上方に延在する1つ又は複数の側壁、及び上面又は頂面を有することができる。1つの構成では、ガス入口及びガス出口は、チャンバの同じ側に位置決めすることができる。別の構成では、ガス入口及びガス出口は、反対の側若しくは位置、又は異なる位置等、チャンバの異なる面にあってもよい。
【0135】
いくつかの構成では、ガス入口及びガス出口は、平行な流れ軸を有することができる。いくつかの構成では、ガス入口及びガス出口は、チャンバ上の同じ高さに位置決めすることができる。
【0136】
システム10は、超音波トランスデューサ、サーミスタ流量センサ等の流量センサ、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、又はコントローラ13と通信する他のセンサを使用して、ガス流の特性を監視し、及び/又は好適な療法を提供する方法でシステム10を動作させることができる。ガス流特性としては、ガスの濃度、流量、圧力、温度、湿度等を挙げることができる。圧力、温度、湿度及び/又は流量センサ等のセンサ3a、3b、3c、20、25は、主デバイスハウジング100、患者導管16及び/又は患者インタフェース17のさまざまな位置に配置することができる。コントローラ13は、ガス流の好適な目標温度、流量及び/又は圧力を決定するため等、好適な療法を提供する方法で呼吸装置10を動作させるのに役立つように、センサからの出力を受信することができる。好適な療法を提供することは、患者の吸気要求を満たすことを含むことができる。図示する実施形態では、センサは、装置のハウジング内に位置決めされている。
【0137】
装置10は、コントローラ13が動作センサから無線方式でデータ信号8を受信すること、及び/又はシステム10のさまざまな構成要素を制御することを可能にするために、無線データ送信器及び/若しくは受信器、又は送受信器15を含むことができる。さらに、又は別法として、データ送信器及び/又は受信器15は、リモートサーバにデータを送出するか、又はシステム10の遠隔制御を可能にすることができる。システム10は、コントローラ13が動作センサからデータ信号8を受信すること、及び/又は装置10のさまざまな構成要素を制御することを可能にするために、例えば、ケーブル又はワイヤを使用する、有線接続を含むことができる。装置10は、1つ又は複数の無線通信モジュールを備えていてもよい。例えば、装置は、例えば3G、4G又は5Gモジュール等のセルラ通信モジュールを備えていてもよい。モジュール15は、装置が適切な通信ネットワークを使用してリモートサーバと通信することを可能にするモデムであってもよい。通信は、装置とサーバ又は他のリモートシステムとの間の双方向通信であってもよい。装置10は、例えばBluetoothモジュール及び/又はWi-Fiモジュール等の他の無線通信モジュールを備えていてもよい。Bluetooth及び/又はWiFiモジュールにより、装置は、例えばスマートフォン又はタブレット等の別のデバイスに無線で情報を送信するか、又はLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して動作することができる。
【0138】
呼吸装置10は、ハイフロー療法装置を含むことができる。本明細書で考察するハイフロー療法は、当業者によって理解されるようなその典型的な通常の意味が与えられるように意図されており、一般に、概してユーザの吸気流量を満たすか又は超えるように意図された流量で、意図的に密閉されていない患者インタフェースを介して、目標とする加湿された呼吸ガスの流れを送達する呼吸システムを指す。典型的な患者インタフェースとしては、限定されないが、鼻又は気管患者インタフェースが挙げられる。成人用の典型的な流量は、限定されないが、約15リットル/分~約60リットル/分以上の範囲であることが多い。小児科ユーザ(新生児、幼児及び小児等)用の典型的な流量は、限定されないが、ユーザの体重1kg当たり約1リットル/分~ユーザの体重1kg当たり約3リットル/分以上の範囲であることが多い。
【0139】
ハイフロー療法は、任意選択的に、補助酸素を含む混合ガス組成物及び/又は治療薬の投与も含むことができる。
【0140】
ハイフロー療法は、他の一般的な名称もあるが特に、ネーザルハイフロー(NHF)、加湿ハイフロー鼻カニューレ(HHFNC:humidified high flow nasal cannula)、高流量経鼻酸素(HFNO:high flow nasal oxygen)、ハイフロー療法(HFT)、気管切開用ハイフロー(THF:tracheal high flow)等と称されることが多い。例えば、いくつかの構成では、成人患者の場合、「ハイフロー療法」は、約10リットル/分(10LPM)~約100LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPM等、約10LPM以上の流量で患者にガスを送達することを指す場合がある。いくつかの構成では、新生児、乳児又は小児患者の場合、「ハイフロー療法」は、約1LPM~約25LPM、又は約2LPM~約25LPM、又は約2LPM~約5LPM、又は約5LPM~約25LPM、又は約5LPM~約10LPM、又は約10LPM~約25LPM、又は約10LPM~約20LPM、又は約10LPM~約15LPM、又は約20LPM~約25LPM等、1LPMを超える流量で患者にガスを送達することを指す場合がある。成人患者、新生児、乳児又は小児患者でのハイフロー療法装置は、約1LPM~約100LPMの流量で、又は上記で概説した部分範囲のうちの任意のものにおける流量で、患者にガスを送達する場合がある。
【0141】
ハイフロー療法は、患者の吸気需要を満たすか若しくは上回り、患者の酸素化を増加させ、及び/又は呼吸の仕事量を減少させるのに効果的であり得る。さらに、ハイフロー療法は、鼻咽頭にフラッシング効果を発生させて、上気道の解剖学的死腔が高流入ガス流によってフラッシングされるようにすることができる。このフラッシング効果により、二酸化炭素、窒素等の再呼吸を最小限にしながら、毎回の呼吸で利用可能な新鮮なガスの貯蔵所をもたらすことができる。ハイフロー療法は、呼気中の圧力により患者の呼気時間を長くすることもできる。これにより、患者の呼吸数が減少する。
【0142】
ハイフロー療法で使用される患者インタフェースは、大気圧に対する圧力の差に起因する肺又は患者の呼吸器系の他の器官に対する組織損傷を含む可能性がある圧外傷を防止するために、非密閉インタフェースとすることができる。患者インタフェースは、マニホールド及び鼻プロングを備えた鼻カニューレ、及び/若しくは非密閉気管切開インタフェース、又は他の好適なタイプの患者インタフェースとすることができる。
【0143】
図2図18は、主ハウジング100を有する呼吸装置10の呼吸装置例を示す。主ハウジング100は、主ハウジング上部シャシ102及び主ハウジング下部シャシ202を有する。主ハウジング上部シャシ102は、周壁配置106(図15参照)を有する。周壁配置は、取外し可能な加湿チャンバ300を受ける加湿器又は加湿チャンバベイ108を画定している。取外し可能な加湿チャンバ300は、患者に送達することができるガスを加湿するための水等の好適な液体を収容する。
【0144】
図示する形態では、主ハウジング上部シャシ102の周壁配置106は、主ハウジング100の前後方向に向けられている実質的に垂直な左側外壁110と、主ハウジング100の前後方向に向けられている実質的に垂直な左側内壁112と、左側外壁110及び左側内壁112の上端部の間に延在するとともにそれらを相互接続する相互接続壁114とを含むことができる。主ハウジング上部シャシ102は、主ハウジング100の前後方向に向いている実質的に垂直な右側外壁116と、主ハウジング100の前後方向に向いている実質的に垂直な右側内壁118と、右側外壁116及び右側内壁118の上端部の間に延在するとともにそれらを相互接続する相互接続壁120とをさらに含むことができる。相互接続壁114、120は、主ハウジング100のそれぞれの外縁部に向かって角度が付けられているが、別法として、実質的に水平とするか又は内向きに傾斜させることができる。
【0145】
主ハウジング上部シャシ102は、実質的に垂直な後部外壁122をさらに含むことができる。主ハウジング上部シャシ102の上部は、前方に傾斜した表面124を含むことができる。表面124は、ディスプレイ及びユーザインタフェースモジュール14を受ける凹部126を有することができる。ディスプレイは、検知されたガスの特性をリアルタイムで表示するように構成することができる。システムは、患者インタフェースの患者検出ステータスを表示することができる。患者が検出されない場合、コントローラは、呼吸数値及び/又は他のパラメータを表示するために出力しない場合があり、又は出力を停止することができる。コントローラは、任意選択的に、ブロック2708において、患者が検出されないというメッセージを表示するために出力することもできる。メッセージの一例は、「--」アイコンであり得る。相互接続壁128は、後部外壁122の上端部と表面124の後縁部との間に延在するとともにそれらを相互接続することができる。
【0146】
表面124の前端部から、実質的に垂直な壁部分130が下方に延在することができる。壁部分130の下端部から、実質的に水平な壁部分132が前方に延在して、棚状部を形成することができる。壁部分132の前端部から、実質的に垂直な壁部分134が下方に延在して、加湿チャンバベイ108の実質的に水平な床部分136で終端することができる。左側内壁112、右側内壁118、壁部分134及び床部分136は、合わせて加湿チャンバベイ108を画定することができる。加湿チャンバベイ108の床部分136は、加湿プロセス中に使用されるように加湿チャンバ300内の液体を加熱するヒータプレート140又は他の好適な加熱素子等のヒータ配置を受けるための、凹部138を有することができる。
【0147】
主ハウジング下部シャシ202は、好適な締結具、又は例えばクリップ等の一体化した取付機構のいずれかによって、上部シャシ102に取り付け可能であり得る。主ハウジング下部シャシ202は、主ハウジング100の前後方向に向けられ、上部シャシ102の左側外壁110と連続する実質的に垂直な左側外壁210と、主ハウジング100の前後方向に向けられ、上部シャシ102の右側外壁116と連続する実質的に垂直な右側外壁216とを含むことができる。主ハウジング下部シャシ202は、上部シャシ102の後部外壁122と連続する実質的に垂直な後部外壁222をさらに含むことができる。
【0148】
下部ハウジングシャシ202は、リップ242を有することができ、リップ242は、上部ハウジングシャシ102のリップ142と連続し、レバー500のハンドル部分506を受ける凹部の一部も形成している。下部リップ242は、レバー500のハンドル部分506のための保持部として作用する前方に向けられた突出部243を含むことができる。レバー500の代わりに、システムは、加湿チャンバ300を加湿チャンバベイ108内で保持するためのばね式ガードを備えることができる。
【0149】
下部ハウジングシャシ202の下側が、底壁230を含むことができる。それぞれの相互接続壁214、220、228は、実質的に垂直な壁210、216、222と底壁230との間に延在するとともにそれらを相互接続することができる。底壁230は、グリル232を含むことができ、グリル232は、加湿チャンバ300から(例えば、こぼれから)液体が漏れた場合に液体の排出を可能にする複数のアパーチャを備える。底壁230は、さらに、長尺状の前後方向に向けられたスロット234を含むことができる。スロット234は、加湿チャンバ300から液体が漏れた場合に、液体が電子回路ハウジングに入ることなく、液体の排出を可能にすることができる。図示する構成では、スロット234は、液体の排出を最大にするように、グリル232のアパーチャに対して幅が広く長尺状であり得る。
【0150】
図17及び図18に示すように、下部シャシ202は、モータ及びセンサモジュールを受けるモータ凹部250を有することができる。モータ及びセンサモジュールは、主ハウジング100から取外し不能であってもよい。図17及び図18に示すように、モータ及びセンサモジュールは、主ハウジング100から取外し可能であり得る。モータ/センサモジュールを受けるために、底壁230に、その後縁部に隣接して凹部開口部251を設けることができる。連続した、ガス不透過性の、切れ目のない周壁252を、下部シャシ202の底壁230と一体的に形成し、開口部251の周縁部から上方に延在させることができる。周壁252の後方部分254は第1高さを有し、周壁252の前方部分256は、第1高さよりも大きい第2高さを有する。周壁252の後方部分254は、実質的に水平な段状部258で終端し、この段状部258はさらに、周壁252の上部補助後方部分260で終端している。周壁252の前方部分256及び上部補助後方部分260は、天井262で終端している。壁及び天井262のすべては、ガス流路以外は、連続的で、ガス不透過性で、切れ目のないものとすることができる。したがって、モータ凹部250全体は、ガス流路以外、ガス不透過性で切れ目のないものとすることができる。
【0151】
モータ及びセンサモジュールは、凹部250に挿入可能であり、下部シャシ202に取り付け可能であり得る。モータ及びセンサモジュールを下部シャシ202に挿入したとき、ガス流路チューブ264は、下方延長チューブ133を通って延び、ソフトシールによって封止することができる。
【0152】
加湿チャンバ300は、ハウジング100の前部の位置からハウジング100の後部に向かう方向に、チャンバベイ108内への加湿チャンバ300の後方向への直線的なスライドオン動作で、装置10に流体的に連結することができる。ガス出口ポート322が、モータと流体連通することができる。
【0153】
図8に示すようなガス入口ポート340(加湿ガス戻り)は、概して320で示す取外し可能なL字型エルボ又は「エルボ導管」を含むことができる。取外し可能なエルボは、患者インタフェースにガスを送達するために患者導管16に連結する患者出口ポート344をさらに含むことができる。ガス出口ポート322、ガス入口ポート340及び患者出口ポート344は、各々、装置10と、加湿チャンバ300と、患者導管16との間に密閉されたガス通路を提供するために、Oリングシール又はTシール等のソフトシールを有することができる。
【0154】
加湿チャンバガス入口ポート306は、ガス出口ポート322と相補的とすることができ、加湿チャンバガス出口ポート308は、ガス入口ポート340と相補的とすることができる。それらのポートの軸は互いに平行であって、加湿チャンバ300がチャンバベイ108に直線運動で挿入されるのを可能にすることができる。
【0155】
呼吸装置は、モータが空気、酸素(又は代替補助ガス)又はそれらの混合ガスを加湿チャンバ300に、それにより患者に送達することができるように、モータと流体連通する空気及び酸素(又は代替補助ガス)入口を有することができる。図10に示すように、デバイスは、結合された空気/酸素(又は代替補助ガス)入口配置350を有することができる。この配置は、ハウジング100内への結合された空気/酸素ポート352と、フィルタ354と、ヒンジ358を有するカバー356とを含むことができる。任意選択的に、ガスチューブが、横方向又は別の適切な方向に延在し、酸素(又は代替補助ガス)源と流体連通することもできる。ポート352は、モータ402と流体的に連結することができる。例えば、ポート352は、ポート352とモータ及びセンサモジュール400内の、モータに通じる入口アパーチャ又はポートとの間のガス流路を介して、モータ/センサモジュール400と連結することができる。
【0156】
本デバイスは、ブロワが空気、酸素(又は代替補助ガス)又はそれらの好適な混合ガスを加湿チャンバ300に、それにより患者に送達することができるように、図11図14に示す配置を有することができる。この配置は、ハウジング100の下部シャシ202の後壁222に空気入口356’を含むことができる。空気入口356’は、アパーチャ及び/又はスロットの好適なグリル配置を有する剛性プレートを備える。プレートの内部側でプレートに隣接して、消音フォームを設けてもよい。主ハウジング100の内部で空気入口356’に隣接して、空気フィルタボックス354’を位置決めすることができ、それは、モータ/センサモジュール400の空気入口ポート404を介してモータにろ過された空気を送達するための空気出口ポート360を含むことができる。空気フィルタボックス354’は、ガス流から微粒子(例えば塵埃)及び/又は病原体(例えばウイルス又は細菌)を除去するように構成されたフィルタを含むことができる。空気出口ポート360と空気入口ポート404との間にそれら構成要素の間を封止するように、Oリングシール等のソフトシールを設けることができる。本デバイスは、ハウジング100の1つの側面に隣接してその後端部に位置決めされた別個の酸素入口ポート358’を含むことができ、酸素ポート358’は、タンク又は配管酸素源等の酸素源から酸素を受け取るためのものである。酸素入口ポート358’は、弁362と流体連通している。弁362は、好適には、加湿チャンバ300に送達されるガス流に添加される酸素の量の制御を可能にする、電磁弁であり得る。酸素ポート358’及び弁362は、他の補助ガスと使用して、ガス流への他の補助ガスの添加を制御してもよい。他の補助ガスは、限定されないがヘリオックス及び一酸化窒素を含む、ガス療法に有用な多数のガスのうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
【0157】
図13図16に示すように、下部ハウジングシャシ202は、検知回路基板等の好適な電子回路基板を含むことができる。電子回路基板は、下部ハウジングシャシ202のそれぞれの外側壁210、216に隣接して位置決めすることができる。電子回路基板は、限定されないが、マイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、オペアンプ、コンパレータ及びスイッチ等、好適な電気又は電子回路部品を含むことができ、又はそれらと電気通信することができる。電子基板とともにセンサを使用することもできる。電子回路基板の構成要素(限定されないが1つ又は複数のマイクロプロセッサ等)は、本装置のコントローラ13として作用することができる。
【0158】
電子回路基板の一方又は両方は、表示ユニット及びユーザインタフェース14、モータ、弁362及びヒータプレート140を含む装置10の電気部品と電気通信して、所望の流量のガスを提供するようにモータを動作させ、ガス流を適切なレベルに加湿及び加熱するように加湿チャンバ300を動作させ、適切な量の酸素(又は適切な量の代替補助ガス)をガス流に供給することができる。
【0159】
電子回路基板は、上部ハウジングシャシ102の後壁122から突出するコネクタ配置274と電気通信することができる。コネクタ配置274は、アラーム、パルスオキシメトリポート及び/又は他の好適な付属品に連結することができる。電子回路基板は、電気コネクタ276と電気通信することもでき、電気コネクタ276もまた、デバイスの構成要素に主電源又はバッテリ電力を供給するように、上部ハウジングシャシ102の後壁122に設けることができる。
【0160】
上述したように、図1に示すような呼吸装置、患者呼吸導管16及び/又はカニューレ17のさまざまな場所に、流量、温度、湿度及び/又は圧力センサ等の動作センサを配置することができる。電子回路基板は、それらのセンサと電気通信することができる。センサからの出力は、コントローラ13によって受信されて、コントローラ13が、例えば吸気要求を満たすことを含む最適な療法を提供する方法で呼吸装置10を動作するのに、役立つことができる。図示する実施形態では、センサは、ハウジング内に位置決めされる電子回路基板上に位置決めされている。センサはハウジング内に封入されている。
【0161】
上記に概説したように、電子回路基板並びに他の電気及び電子部品を、ガス流路から空気圧式に隔離して、安全性を向上させることができる。封止もまた、水の浸入も防ぐ。
【0162】
2.1制御システム
図19Aは、患者の状態を検出し、ガス源を含む呼吸システムの動作を制御することができる(図1のコントローラ13であり得る)制御システム例920のブロック図900を示す。制御システム920は、ガスが患者に送達されるように、呼吸システムを通って流れるガスの流量を管理することができる。例えば、制御システム920は、ブロワ(以下、「ブロワモータ」とも称する)のモータ速度の出力930又は混合器内の弁の出力932を制御することにより、流量を増減させることができる。制御システム920は、後述するように、特定の患者に対する流量の設定値又は個別化された値を自動的に決定することができる。流量は、患者の快適さを向上させるとともに治療を改善するために、制御システム920によって最適化することができる。
【0163】
制御システム920は、音声及び/又は表示/視覚出力938、939を生成することもできる。例えば、フロー療法装置は、ディスプレイ及び/又はスピーカを含むことができる。ディスプレイは、制御システム920によって生成された任意の警告又はアラームを医師に示すことができる。ディスプレイは、医師が調整することができる制御パラメータも示すこともできる。例えば、制御システム920は、特定の患者に対する流量を自動的に推奨することができる。制御システム920は、限定されないが患者の呼吸数を生成することを含む、患者の呼吸状態を決定し、それをディスプレイに送信することもできる(これについては、より詳細に後述する)。
【0164】
制御システム920は、(例えば、患者に送達されるガスの温度設定点を維持するために)加熱素子のうちの1つ又は複数を制御するように、ヒータ制御出力を変更することができる。制御システム920は、加熱素子の動作又はデューティサイクルも変更することができる。ヒータ制御出力は、ヒータプレート制御出力934及び加熱呼吸チューブ制御出力936を含むことができる。
【0165】
制御システム920は、1つ又は複数の受信した入力901~916に基づいて、出力930~939を決定することができる。入力901~916は、(図19Bに示す)コントローラ600が自動的に受信するセンサ測定値に対応することができる。制御システム920は、限定されないが、温度センサ入力901、流量センサ入力902、モータ速度入力903、圧力センサ入力904、ガス分画センサ入力905、湿度センサ入力906、パルスオキシメータ(例えば、SpO2)センサ入力907、格納された又はユーザパラメータ908、デューティサイクル又はパルス幅変調(PWM)入力909、電圧入力910、電流入力911、音響センサ入力912、電力入力913、抵抗入力914、CO2センサ入力915及び/又は肺活量計入力916を含む、センサ入力を受信することができる。制御システム920は、ユーザからの入力、又は(図19Bに示す)メモリ624に格納されたパラメータ値を受け取ることができる。制御システム920は、患者に対する流量を患者の治療時間にわたって動的に調節することができる。制御システム920は、システムパラメータ及び患者パラメータを連続的に検出することができる。当業者であれば、本明細書の開示に基づき、他の任意の好適な入力及び/又は出力を制御システム920で使用することができることを理解するであろう。
【0166】
1つ又は複数の圧力センサ
1つの構成では、本装置は、1つ又は複数の圧力センサを有することができる。1つ又は複数の圧力センサは、装置の流路内のガスの流れの圧力特性を検知又は測定し、圧力センサ信号又はデータ等のそれぞれの圧力変数を生成するために設けることができる。圧力センサは、限定されないがゲージ圧センサ及び/又は絶対圧センサを含む、任意のタイプの好適な圧力センサを含むことができる。
【0167】
ゲージ圧センサは、ガスの流れのゲージ圧を検知するように構成することができ、ゲージ圧信号又は圧力データ等の代表的なゲージ圧変数を生成する。ゲージ圧は、大気圧を基準とした又は大気圧に対する流路内のガスの流れの圧力を表す場合がある。例えば、ゲージ圧は、流路内の絶対圧とハウジング内の絶対圧(すなわち、大気圧又は周囲圧力)との差を表す場合がある。
【0168】
絶対圧センサは、ガスの流れの絶対圧を検知するように構成することができ、絶対圧信号又は圧力データ等の代表的な絶対圧変数を生成する。絶対圧は、真空を基準とした又は真空に対する流路内のガスの流れの圧力を表す場合がある。
【0169】
当業者には理解されるように、ガスの流れの圧力特性を検知又は測定するように構成された1つ又は複数の圧力センサは、ガスの流れの主又はバルク流路内に直接あるか若しくは少なくとも部分的に浸されていてもよく(例えば、センサは、主又はバルク流路の一部を形成するセンサ通路若しくはセンサチャンバの一部であるか、又はセンサ通路若しくはセンサチャンバに露出していてもよい)、又は主若しくはバルク流路に作動的に又は流体的に接続されている二次又はサンプル流路内に直接あるか若しくは少なくとも部分的に浸されていてもよく、又は他の方法で流路内のガスの流れに作動的に又は流体的に連結又は接続されていてもよい。
【0170】
ガスの流れの圧力特性を検知する圧力センサは、装置のハウジング内に独立して取り付け、コントローラ又は制御システムと電気的に接続するか又は他の方法でデータ通信するようにすることができ、又は、ガスの流れの流路に関連するセンサ回路基板又は他の回路基板に取り付けるか若しくは連結することができる。1つの構成では、圧力センサは、加湿器又は加湿チャンバの前(例えば上流)の流路に沿った位置でガスの流れの圧力を検知するように配置又は構成することができる。別の構成では、圧力センサは、流れ発生器、例えばブロワと加湿器チャンバとの間の流路に沿った位置、例えばブロワ出口と加湿器チャンバ入口との間(すなわち、ブロワの下流で加湿器チャンバの上流)の流路に沿った位置でガスの流れの圧力を検知するように配置又は構成してもよい。
【0171】
装置が位置する周囲環境等、装置に関連する他の圧力を検知するために、1つ又は複数の圧力が提供される場合もある。1つの構成では、本装置に、装置が位置する局所的な周囲環境の周囲圧力又は大気圧を検知又は測定するように構成され、周囲圧力信号又は圧力データ等の代表的な周囲圧力変数を生成する、周囲圧力センサを設けることができる。1つの構成では、周囲圧力センサは、ハウジングの上又は中に位置するか又は位置決めされ、装置が位置する環境の周囲圧力又は大気圧を検知するように構成された、絶対圧であってもよい。
【0172】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、流路内のガスの流れに関連するゲージ圧を表す、ゲージ圧センサからのゲージ圧信号又はデータを受け取るように構成することができる。
【0173】
別の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、ガスの流れを検知するゲージ圧センサからのゲージ圧信号又はデータと、周囲圧力センサからの周囲圧力信号又はデータとを受け取るように構成することができる。こうした構成では、漏れ検出アルゴリズムは、検知されたゲージ圧信号又はデータに適用される補正アルゴリズム又は係数又は関数への入力として周囲圧力データを利用するように構成することができる。例えば、補正アルゴリズム、係数又は関数は、検知されたゲージ圧信号又はデータに対する空気密度の変化の影響を考慮するように、検知されたゲージ圧信号又はデータを補正するように構成することができる。漏れ検出アルゴリズムは、補正アルゴリズム、係数又は関数を入来する圧力センサデータに適用し、補正されたゲージ圧信号又はデータを残りの漏れ検出アルゴリズムステップで使用するように構成することができる。代替構成では、ゲージ圧信号又はデータは、漏れ検出アルゴリズムに入力される前に補正アルゴリズム、係数又は関数で前処理してもよく、漏れ検出アルゴリズムは、補正されたゲージ圧信号又はデータを受け取ってもよい。
【0174】
2.2コントローラ
図19Bは、コントローラ600(図1のコントローラ13であり得る)の一実施形態のブロック図を示す。コントローラ600は、入力状態の検出及び出力状態の制御のためのプログラミング命令を含むことができる。プログラミング命令は、コントローラ600のメモリ624に格納することができる。プログラミング命令は、本明細書に記載する方法、プロセス及び機能に対応することができる。プログラミング命令は、コントローラ600の1つ又は複数のハードウェアプロセッサ622によって実行することができる。プログラミング命令は、C、C++、JAVA又は他の任意の好適なプログラミング言語で実装することができる。プログラミング命令の部分のうちのいくつか又はすべては、ASIC及びFPGA等の特定用途向け回路628に実装することができる。
【0175】
コントローラ600は、センサ信号を受信する回路628も含むことができる。コントローラ600は、患者及び呼吸補助システムのステータスを伝達するディスプレイ630をさらに含むことができる。ディスプレイ630は、警告及び/又は他の警報を表示することもできる。ディスプレイ630は、検知されたガスの特性をリアルタイムで又は他の方法で表示するように構成することができる。コントローラ600は、ディスプレイ630等のユーザインタフェースを介してユーザ入力を受け取ることもできる。ユーザインタフェースは、ボタン及び/又はダイヤルを含むことができる。ユーザインタフェースは、タッチスクリーンを含むことができる。
【0176】
2.3モータ及びセンサモジュール
限定されないが、加湿チャンバ、流れ発生器、ユーザインタフェース、コントローラ、及び呼吸システムのガス流出口を患者インタフェースに連結するように構成された患者呼吸導管を含む、本明細書に記載する呼吸システムの特徴のうちの任意のものを、本明細書に記載するセンサモジュールのうちの任意のものと組み合わせることができる。
【0177】
図20は、(図17及び図18に示す)呼吸装置の凹部250によって受けることができるモータ及びセンサモジュール2000のブロック図を示す。モータ及びセンサモジュールは、患者に送達する室内の空気を運ぶブロワ2001を含むことができる。ブロワ2001は遠心ブロワであり得る。
【0178】
ブロワモータのモータ速度を測定するために、1つ又は複数のセンサ(例えば、ホール効果センサ)を使用することができる。ブロワモータはブラシレスDCモータを含むことができ、そこから、別個のセンサを使用することなくモータ速度を測定することができる。例えば、ブラシレスDCモータの動作中、モータの非通電巻線から逆起電力を測定することができ、そこからモータ位置を決定することができ、さらにモータ位置を使用してモータ速度を計算することができる。加えて、モータドライバを使用してモータ電流を測定してもよく、モータ電流を測定されたモータ速度とともに使用して、モータトルクを計算することができる。ブロワモータは、低慣性モータを含むことができる。
【0179】
室内空気は室内空気入口2002に入ることができ、入口ポート2003を通ってブロワ2001に入る。入口ポート2003は弁2004を含むことができ、加圧ガスが、この弁2004を通ってブロワ2001に入ることができる。弁2004は、ブロワ2001への酸素の流れを制御することができる。弁2004は、比例弁又は二値弁を含む任意のタイプの弁であり得る。いくつかの実施形態では、入口ポートは弁を含まない。
【0180】
ブロワ2001は、1,000RPMを超え及び30,000RPM未満、2,000RPMを超え及び21,000RPM未満、又は前述の値のうちの任意のものの間のモータ速度で動作することができる。ブロワ2001の動作は、入口ポート2003を通ってブロワ2001に入るガスを混合する。混合にはエネルギーが必要であるため、ミキサとしてブロワ2001を使用することにより、バッフルを備えるスタティックミキサ等、別個のミキサを備えたシステムで本来発生する圧力降下を低減させることができる。
【0181】
混合空気は、ブロワ2001を出て導管2005を通ることができ、センサチャンバ2007内の流路2006に入る。検知回路基板が少なくとも部分的にガス流に浸されるように、センサチャンバ2007内に、センサ2008を備えた検知回路基板を位置決めすることができる。検知回路基板上のセンサ2008のうちの少なくともいくつかをガス流内に位置決めして、流れ内のガス特性を測定することができる。ガスは、センサチャンバ2007内の流路2006を通過した後、加湿チャンバに出ることができる(2009)。
【0182】
結合されたブロワ及びミキサ2001の下流にセンサ2008を位置決めすることにより、ブロワ及び/又はミキサの上流にセンサを位置決めするシステムよりも、酸素濃度を含むガス分画濃度の測定等の測定の精度を高めることができる。こうした位置決めにより、繰返し可能な流れプロファイルを得ることができる。さらに、結合されたブロワ及びミキサの下流にセンサを位置決めすることにより、本来発生する圧力降下が回避され、この圧力降下が発生するのは、ブロワの前で検知が行われる場合、入口と検知システムとの間に、バッフルを備えたスタティックミキサ等の別個のミキサが必要であるためである。ミキサは、ミキサの前後に圧力降下を引き起こす可能性がある。ブロワの後に検知を位置決めすることにより、ブロワをミキサとすることができ、スタティックミキサは圧力を低下させるが、対照的に、ブロワは圧力を上昇させる。また、検知回路基板及びセンサ2008の少なくとも一部を流路に浸すことにより、測定の精度を向上させることができ、それは、センサが流れに浸されるということは、センサが、温度及び圧力等、ガス流と同じ条件にさらされ、したがって、ガス流特性のより良好な表現を提供する可能性が高くなることを意味するためである。
【0183】
図21を参照すると、ブロワを出たガスは、センサチャンバ400内の流路402に入ることができ、センサチャンバ400は、モータ及びセンサモジュール内に位置決めすることができ、図20のセンサチャンバ2007であり得る。流路402は、湾曲形状を有することができる。流路402は、急カーブのない湾曲形状を有するように構成することができる。流路402は、湾曲端部と、それらの間のより直線状のセクションとを有することができる。湾曲した流路形状により、測定領域と流路とを部分的に一致させて流路の測定部分を形成することにより、流量測定の感度を低下させることなくガス流の圧力降下を低減させることができる。
【0184】
センサチャンバ400内に、音響送信器及び/又は受信器、湿度センサ、温度センサ、圧力センサ、サーミスタ等のセンサを備えた検知回路基板404を、検知回路基板404が少なくとも部分的に流路402に浸されるように位置決めすることができる。検知回路基板及びセンサの少なくとも一部を流路に浸すことにより、測定の精度を向上させることができ、それは、流路に浸されたセンサは、温度及び圧力等、ガス流と同じ条件にさらされ、したがって、ガス流の特性のより良好な表現を提供する可能性が高くなるためである。ガスは、センサチャンバ400内の流路402を通過した後、加湿チャンバに出ることができる。別法として、圧力センサのうちの1つ又は複数を、圧力センサがガスの流れ及び/又は周囲圧力に関連する圧力特性を測定又は検知することができるように位置決め又は配置された1つ又は複数の別個の回路基板に設けてもよい。
【0185】
ガスの流量は、少なくとも2つの異なるタイプのセンサを使用して測定することができる。第1タイプのセンサはサーミスタとすることができ、それは、ガス流とサーミスタとの間の熱伝達を監視することにより流量を決定することができる。サーミスタ流量センサは、ガスがサーミスタの周囲を流れて通過するときに、流れ内の一定の目標温度でサーミスタを作動させることができる。センサは、サーミスタを目標温度で維持するのに必要な電力の量を測定することができる。目標温度を、ガス流の温度よりも高くなるように構成して、より高い流量でサーミスタを目標温度で維持するためにより多くの電力が必要となるようにすることができる。
【0186】
サーミスタ流量センサは、目標温度とガス流温度との差が小さすぎるか又は大きすぎることがないように、サーミスタにおける複数(例えば、2つ、3つ又はそれ以上)の一定の温度を維持することもできる。複数の異なる目標温度により、サーミスタ流量センサはガスの広い温度範囲にわたって正確であることが可能になる。例えば、サーミスタ回路を、2つの異なる目標温度の間で切り替えることができるように構成して、ガス流の温度が常に2つの目標温度のうちの一方に対してある一定の範囲内に収まる(例えば、近すぎず遠すぎない)ようにすることができる。サーミスタ回路は、約50℃~約70℃、又は約66℃の第1目標温度で動作するように構成することができる。第1目標温度は、約0℃~約60℃、又は約0℃~約40℃の望ましい流れ温度範囲と関連付けることができる。サーミスタ回路は、約90℃~約110℃、又は約100℃の第2目標温度で動作するように構成することができる。第2目標温度は、約20℃~約100℃、又は約30℃~約70℃の望ましい流れ温度範囲と関連付けることができる。
【0187】
コントローラは、サーミスタ回路内の抵抗器を接続又はバイパスすることにより、少なくとも第1目標温度モードと第2目標温度モードとの間で変化するようにサーミスタ回路を調整するように構成することができる。サーミスタ回路は、第1分圧アーム及び第2分圧アームを備えるホイートストンブリッジ構成として配置することができる。サーミスタは、分圧アームのうちの一方に位置することができる。サーミスタ流量センサのより詳細は、2017年9月3日に出願された国際公開第2018/052320号に記載されており、それは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0188】
第2タイプのセンサは、音響センサアセンブリを含むことができる。音響送信器及び/又は受信器を含む音響センサを使用して、ガスの速度及び/又は組成を決定するために音響信号の飛行時間を測定することができ、これはフロー療法装置において使用することができる。(超音波送信器及び/又は受信器を含む)1つの超音波検知トポロジでは、ドライバは、超音波トランスデューサ等の第1センサに、第1方向に超音波パルスを生成させる。第2超音波トランスデューサ等の第2センサは、このパルスを受信し、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサと間のパルスの飛行時間の測定を提供する。この飛行時間測定値を使用して、呼吸装置システムのプロセッサ又はコントローラにより、超音波トランスデューサ間のガスの流れの音速を計算することができる。第1方向とは反対の第2方向に、第2センサはパルスを送信し、第1センサはパルスを受信して、飛行時間の第2測定を提供することができ、これにより、流量又は速度等、ガス流の特性を決定することができる。別の音響検知トポロジでは、超音波トランスデューサ等の音響トランスミッタによって送信された音響パルスを、マイクロフォン等の音響受信器で受信することができる。音響流量センサのより詳細は、2016年12月2日に出願された国際公開第2017/095241号に記載されており、それは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0189】
第1タイプのセンサ及び第2タイプのセンサの両方からの読取値を組み合わせて、より正確な流量測定値を決定することができる。例えば、以前に決定された流量とセンサのタイプのうちの一方からの1つ又は複数の出力とを使用して、予測される現流量を決定することができる。予測された現流量は、その後、最終的な流量を計算するために、第1タイプのセンサ及び第2タイプのセンサのうちの他方からの1つ又は複数の出力を使用して更新することができる。
【0190】
3.2段階漏れ検出プロセスの実施形態例
流路の漏れを判断する方法及びプロセスについて、非密閉患者インタフェースを介してネーザルハイフロー療法を提供するようにフロー療法装置として構成され又は動作可能である、上述した呼吸装置例10に関して説明する。先に説明したように、本方法及びプロセスは、他の呼吸装置に、及び/又は他の動作モード及び/又はこうした装置によって送達される治療のモードに適用することもできる。
【0191】
3.1漏れ検出プロセスの概要
図22を参照すると、漏れ検出プロセス又はアルゴリズム700の一実施形態の概要フロー図が、単に例として示されている。この例での漏れ検出プロセス又は方法700は、装置のプロセッサ又はコントローラによって実行されるアルゴリズムとして実装される。以下の例では、このプロセス又は方法を漏れ検出アルゴリズム700と称する。
【0192】
アルゴリズム700は、呼吸装置10の動作中、すなわち呼吸装置10がガスの流れを発生させているときに動作又は実行する。いくつかの実施形態では、本アルゴリズムは、患者がハイフロー療法を受けるために患者インタフェースが装着され又は部分的に装着されて装置に接続されているとき、又は患者が自身の患者インタフェースが外れて装置から切り離されているときに動作することができる。
【0193】
1つの構成では、アルゴリズム700は、呼吸装置がガスの流れを発生させているときに、呼吸装置の治療モード及び/又は乾燥モード中に動作又は実行する。1つの実施形態では、これらの動作モードにおいて、漏れ検出アルゴリズムは、流路からの加湿チャンバの切離し又は取外しを表す漏れを検出するように構成されているが、アルゴリズムは、流路における他のタイプの漏れ又は破損を検出するように構成してもよい。
【0194】
別の構成では、アルゴリズム700は、呼吸装置の消毒モード中に動作又は実行する。説明するように、消毒モードの間、呼吸装置は、装置の流路内に接続される消毒キット又はアセンブリを通って流れるガスの流れを発生させるように構成することができる。1つの実施形態では、これらの消毒動作モードにおいて、漏れ検出アルゴリズムは、消毒キット又はアセンブリの1つ又は複数の構成要素の切離し又は取外し、例えば、消毒チューブ若しくは導管、又は消毒キット若しくはアセンブリのフィルタ構成要素の流路からの取外し、切離し又は脱落を表す漏れを検出するように構成される。
【0195】
説明したように、漏れ検出アルゴリズム700は、呼吸装置の流路における漏れを検出するように構成されている。この概要例では、装置の治療又は乾燥モード中に加湿器の加湿チャンバが流路から部分的に又は完全に取り外されるか又は切り離されること(すなわち、「チャンバ外れ」又は「チャンバ切離し」状態)によって引き起こされる、流路内の漏れを検出することに関して、漏れ検出アルゴリズムについて説明する。しかしながら、上述したように、漏れ検出アルゴリズムの動作の原理は、治療又は乾燥モード中に、装置のガス出口から患者回路の患者導管又は管が部分的に又は完全に切り離されること(すなわち、「チューブ外れ」又は「チューブ切離し」状態)によって引き起こされる漏れ等、流路に沿った他のタイプの漏れ、又は装置の流路出口における漏れを検出するために適用することができることが理解されよう。上述したように、患者回路は、典型的には、一端が装置のガス出口に接続された導管又は管を備え、この導管又は管は、その導管又は管の他端に接続された鼻カニューレ等の患者用インタフェースを介して、患者の気道にガスの流れを送達する。検出することができる他の漏れとしては、装置内の流路を形成又は画定する接続部又は継手又は導管の部分的な又は完全な切離し、又は、例えば加湿チャンバ内の孔又は破断を含む、装置又は患者回路の導管又はチューブの流路に沿った穴又は破裂による漏れが含まれ得る。典型的には、漏れ検出アルゴリズムは、装置又は患者回路の流路における実質的な又は大きい漏れ、すなわち、患者回路の非密閉患者インタフェースにおける漏れよりも著しく又ははるかに大きい漏れを検出するように構成されている。さらに又は別法として、上述したように、漏れ検出アルゴリズムの動作の原理は、呼吸装置の消毒モード中の他の漏れ、例えば、装置の流路からの消毒キット又はアセンブリの消毒チューブ又はフィルタ構成要素(例えば、フィルタキャップ又はフィルタ付きキャップ)の切離し又は脱落を検出するために適用することができる。
【0196】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、ガスの流れの圧力とガスの流れの流量との間の既知の又は測定された関係又はモデルに基づいて漏れを検出することができる。特に、装置が通常動作している場合と(例えば、加湿チャンバが外れているか、又は他の何らかのタイプの漏れに起因する)漏れがある場合との圧力-流量特性曲線又は関数又はモデルを使用して、アルゴリズムで使用される1つ又は複数の漏れ閾値又は限界値が生成される。この構成では、漏れ閾値は、漏れ圧力閾値又は限界値である。後にさらに説明するように、閾値又は限界値は、流量及び/又はモータ速度、及び任意選択的に装置又はガスの流れに関連する1つ又は複数の他の動作特性又は設定の関数であるか、又は少なくとも部分的にそれらに基づく可能性がある。
【0197】
別の構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、ガスの流れの流量と呼吸装置の流れ発生器のモータ速度との間の既知又は測定された関係又はモデルに基づいて漏れを検出することができる。特に、装置が正常に動作している場合と(例えば、加湿チャンバが外れているか、又は他のタイプの漏れに起因する)漏れがある場合との流量-モータ速度特性曲線又は関数又はモデルを使用して、アルゴリズムで使用される1つ又は複数の漏れ閾値又は限界値が生成される。この構成では、漏れ閾値は漏れ流量閾値又は限界値である。後にさらに説明するように、閾値又は限界値は、モータ速度、及び任意選択的に、装置又はガスの流れに関連する1つ又は複数の他の動作特性又は設定の関数であるか、又は少なくとも部分的にそれらに基づく可能性がある。
【0198】
この概要例では、漏れ検出アルゴリズムについて、流路内の検知された圧力を漏れ圧力閾値と比較することに基づいて流路内の漏れを検出することに関して説明する。漏れ検出アルゴリズムのこの概要例における同じ動作原理は、流路内の検知された流量を漏れ流量閾値と比較することに基づいて漏れを検出する実施形態にも適用することができる。
【0199】
この概要例では、漏れ検出アルゴリズムは、装置の流路内のガスの流れの圧力特性を検知するように構成された1つ又は複数の圧力センサからの圧力変数(例えば、圧力信号又は圧力データ)を比較するように構成されている。この例では、アルゴリズムは、次に、圧力変数を2つの漏れ圧力閾値と比較する。第1閾値は、漏れの可能性又は潜在的な漏れを示す「漏れの可能性閾値」である。第2閾値は、決定的な漏れを示す「確実な漏れ閾値」である。後にさらに詳細に説明するように、本アルゴリズムは、動作中に生じる誤検出(誤った漏れアラーム)の可能性を最小限にするか又は低減させるために、これら2つの漏れ閾値、及び漏れ評価に対する2段階手法(例えば、漏れなし=「チャンバ装着」又は漏れあり=「チャンバ外れ」)を採用する。これは、装置の動作流量範囲の低流量で又は低流量範囲では、漏れのない(例えばチャンバ装着)通常動作と漏れのある(例えばチャンバ外れ)動作との間の圧力-流量特性曲線又はデータが、少なくとも部分的に重なるか又は収束し始めて、漏れ状態(例えばチャンバ外れ)と漏れなし状態(例えばチャンバ装着)とを正確に識別することが困難になるためである。
【0200】
1つの構成では、決定的な漏れ閾値は、その流量範囲の少なくとも一部にわたり、例えば少なくとも低流量領域において、低い誤検出の確率を有する。漏れの可能性閾値は、その流量範囲の少なくとも一部にわたって(例えば、少なくとも低流量領域において)、高い誤検出の確率を有し、すなわち、さらなる検証又は判断を必要とする漏れの可能性又は潜在的な漏れの状態又は状況を意味する、より控えめな閾値又は限界値である。
【0201】
この例では、漏れ検出アルゴリズムの第1段階の漏れ評価で潜在的な漏れ又は漏れの可能性と判断された場合、アルゴリズムは第2段階の漏れ評価に移って、漏れがある(例えばチャンバが外れている)ことを確認するか若しくはそのように決定的に判断するか、又は漏れがない(すなわちチャンバが装着されている)と確実に判断する。
【0202】
第1段階の漏れ評価
図22のフロー図を参照すると、装置は、構成可能なユーザ設定流量でユーザ又は患者にガスの流れを送達する通常動作を開始するか、又は通常動作で動作している可能性がある。漏れ検出アルゴリズムは、装置の通常動作が開始したときに直ちに、又は動作特性時間が整定することができる予め構成された遅延期間の後に、動作を開始する(701)ことができる。開始後、漏れ検出アルゴリズムは、装置の通常動作中、第1段階の漏れ評価702で連続的に動作する。この第1段階の漏れ評価702では、流路内のガスの流れを検知する圧力センサからの圧力変数が、決定的な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値と比較されて、1つ又は複数の状態が満たされているか否かが判断される。第1段階の漏れ評価702で動作している間、装置は、漏れが検出されずに正常に動作しているとみなされ、すなわち、漏れなし状態(condition)又は状況(state)が満たされる。
【0203】
第1段階の漏れ評価702において、圧力変数が決定的な漏れ閾値を下回っている場合、漏れ検出状態が満たされ、漏れが検出されたとみなされる(703)。漏れが検出されたことに応答して、プロセスは第1段階の漏れ評価702から、漏れアラームが生成される漏れ検出状況又は段階704に移る。
【0204】
漏れアラームの生成状況704に応答して、1つ又は複数のアラーム動作を実行することができる。アラーム動作は、以下のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。
- 漏れが検出されたことを示す可聴、視覚的及び/又は触覚的警告、警報又は通知を生成すること。例えば、装置の表示画面に、漏れが検出されたこと、並びに漏れの性質、及び/又は漏れを解消するための選択肢を示す視覚的通知(例えば、「チャンバ外れ検出」)を表示することができる。
- 流れ発生器のモータ速度を、漏れが検出された現時点のモータ速度で、又は元のユーザ設定流量に関連付けられた元のモータ速度で固定すること。
- 流れ発生器を介して、ガスの流れを所定の流量又は圧力に制御すること。
- 装置及び/又は流れ発生器の動作を停止すること、すなわちガスの流れを完全に停止するため。
- 加湿器の動作を停止する、すなわち加湿器のヒータをオフにすること。
- 加湿器のヒータに印加される電力を低減させること。1つの例では、これは、加湿器のヒータに印加される電流、電圧、パルス幅変調(PWM)周波数、又は他の制御若しくは電力信号を変更することにより達成することができる。
- 加湿器のヒータ及び患者回路の管又は導管のヒータ線に印加される電力を低減させること。1つの例では、これは、患者露点設定を予め定義された低い設定まで低下させる、例えば摂氏31度以下の露点設定まで低下させることにより達成することができる。
- 患者回路の管又は導管のヒータ線の動作を停止する、すなわちヒータ線をオフにすること。
- 患者回路の管又は導管のヒータ線に印加される電力を低減させること。1つの例では、これは、管又は導管のヒータ線に印加される電流、電圧、パルス幅変調(PWM)周波数、又は他の制御若しくは電力信号を変更することにより達成することができる。
- 漏れアラーム又は漏れアラーム情報を示すデータを、装置の通信モジュール若しくはネットワークインタフェース(例えばモデム)を介して、1つのデータ通信リンク又は複数のデータ通信リンクにより外部システム又はサーバ又はデバイスに送信又は伝送すること。1つの例では、漏れアラーム情報は、治療データ、治療報告、診断報告、又は装置から送信又は伝送される他のデータセット若しくは報告の一部として送信することができる。さらに又は別法として、ローカルデバイス、例えばスマートフォン又はタブレット等にメッセージ又はアラームを送信してもよい。例えば、ローカルデバイスは、臨床医又は介護者に関連付けることができる。
- 上記のアラーム動作の任意の組合せ。
【0205】
1つの構成では、圧力変数が第1段階の漏れ評価702において漏れの可能性閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態又は状況が満たされ、プロセスは706に示すように第2段階の漏れ評価707に移る。別の構成では、圧力変数が漏れの可能性閾値を下回るとともに、確実な漏れ閾値を上回る場合、漏れの可能性のある状態又は状況が満たされ、プロセスは第2段階の漏れ評価707に移る。
【0206】
第2段階の漏れ評価707の目的は、漏れの可能性のある状態を確実な漏れとして確認するか、又は漏れの可能性のある状態を漏れなしとして破棄することである。一構成では、第2段階の漏れ評価707は、漏れが検出されたか若しくは漏れが検出されなかったことを確認するまで、又は1つ又は複数の他の任意選択的な終了条件が満たされるまで、繰り返すか又はループすることができる。第2状況の漏れ評価707については、後にさらに考察する。
【0207】
圧力変数を確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値と比較する評価に基づき、上記の漏れの状態又は漏れの可能性のある状態のいずれも満たされない場合、第1段階の漏れ評価702は、漏れが検出されない、すなわち、漏れのない状態又は状況が満たされたままであるとみなす。705に示すように、アルゴリズムは第1段階の漏れ評価に留まり、上記のように、確実な漏れ又は漏れの可能性のある状態について、圧力変数を漏れ閾値に対して連続的に評価する。
【0208】
第2段階の漏れ評価
この構成では、第2段階の漏れ評価707は、現時点の動作モータ速度を動的な又は予め決められた増分でより高いモータ速度まで上昇させ、その後、そのより高いモータ速度で更新された圧力変数を、確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値に対して再評定して、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ又は漏れなしのいずれかとして決定することを含む。
【0209】
より高いモータ速度での再評定又は評価により、第2段の漏れ評価707において漏れの可能性のある状態と決定されない場合、モータ速度はさらに別のより高いモータ速度まで再び漸増し、更新された圧力変数が再び閾値と比較されて、漏れ状態又は漏れなし状態が判断される。モータ速度を増分で上昇させ、圧力変数を閾値に対して再評定するこのプロセスは、漏れ又は漏れなし状態が満たされるまで、又は別の任意選択的な終了条件が満たされるまで繰り返す。
【0210】
例えば、1つの構成では、アルゴリズムは、モータ速度が構成可能な又は事前に設定された最大モータ速度まで上昇した場合、第2段階の漏れ評価707を終了してもよく、又は、アルゴリズムは、モータ速度が最大モータ速度閾値を下回っている間のみ、第2段階の漏れ評価707でループする。モータ速度の閾値を超えるか、又はモータ速度条件が満たされなくなると、アルゴリズムは、第2段階の漏れ評価707を終了して、漏れが検出されなかったことを示して、第1段階の漏れ評価702及び通常動作に戻ることができる。
【0211】
第2段階の漏れ評価707では、より高いモータ速度で更新された圧力変数が確実な漏れ閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態は確実な漏れとして決定される。確実な漏れが検出された場合、アルゴリズムは、708に示すように、第2段階の漏れ評価707を終了して漏れ検出状況704に進み、上述したように、1つ又は複数のアラーム動作を開始する。
【0212】
第2段階の漏れ評価709では、より高いモータ速度で更新された圧力変数が確実な漏れ閾値を上回るとともに、漏れの可能性閾値を上回る場合、漏れの可能性のある状態は漏れなしとして決定される。漏れなし状態が満たされた場合、アルゴリズムは、第2段階の漏れ評価707を終了して、709に示すように第1段階の漏れ評価702及び通常動作に進む。
【0213】
任意選択的に、漏れが検出されずに(709)第2段階の漏れ評価707を終了したとき、アルゴリズムは、712に示すように、閾値限界値のうちの1つ又は複数を更新又は調整するように構成してもよい。例えば、1つの構成では、閾値調整712は、アルゴリズム700が無限ループで繰り返すのを低減させるか又は最小限にするために、漏れの可能性のある検出閾値を動的な又は予め決められた量だけ低下又は漸減させることを含むことができる。1つの構成では、閾値調整712ステップは、第2段階の漏れ評価7097に入る前の通常動作に関連する元のモータ速度及び/又は測定された流量で又はその領域において、漏れの可能性閾値を低下させることを含むことができる。他の構成では、閾値調整712ステップは、装置の動作モータ速度及び/又は流量の範囲全体にわたって、又は装置の動作モータ速度及び/又は流量の範囲の所定の領域にわたって、又は第2段階の漏れ評価707を出たときに動作している現時点の又は最新の設定又は目標モータ速度及び/又は流量で、漏れの可能性閾値を低下させることを含んでもよい。
【0214】
第2段階の漏れ評価707では、上記の評価に基づいて、漏れ検出された状態708又は漏れが検出されていない状態709のいずれもが満たされない場合、漏れの可能性のある状態は決定されていないとみなされる。1つの構成では、予め決められた期間内に漏れ状態708又は漏れなし状態709のいずれも満たされない場合、第2段階の漏れ評価707は、710に示すように、漏れの可能性のある状態の状況に留まり、再びモータ速度をさらに別のより高いモータ速度まで増分で上昇させ、次いで、上述したように、漏れの可能性のある状態を漏れ状態708又は漏れなし状態709のいずれかとして決定することを試みて、新たな圧力変数を閾値に対して再び再評価することにより、繰り返す。このプロセスは、第2段階の漏れ評価が漏れの可能性のある状態を漏れ状態又は漏れなし状態として決定するまで、又は別の任意選択的な終了条件が満たされる(単に例として、最大モータ速度条件に達する等)まで繰り返す。
【0215】
漏れ検出状況-アラームの解消
アルゴリズム700が漏れ検出状況704に入ると、上述したように、漏れアラーム及び/又はアラーム動作を実施することができる。このアラーム状況704の間、アルゴリズムは、ガスの流れの圧力変数を連続的に又は定期的に監視して、漏れ(例えばチャンバ外れ)が解消されたか否かをチェックするように構成することができる。例えば、アルゴリズムは、圧力変数を確実な漏れ閾値、又は漏れ解消状態を表す別の閾値と連続的に又は定期的に比較するように構成することができる。圧力変数が閾値を上回る場合、漏れ解消状態が満たされ、アルゴリズムは、711に示すように、漏れ検出状況704から出て第1段階の漏れ評価702及び通常動作に戻る。
【0216】
漏れアラームが解消されたとき(例えば、チャンバが装置の流路内に再設置されたか又は再接続されたとき)、あらゆるアラーム動作を停止してもよく、装置は、以前のユーザ設定流量設定で通常動作に戻ることができる。例えば、アラーム動作としてモータ速度が固定された場合、モータ速度は固定解除され、流れ発生器のモータ速度制御を介して通常のフロー制御が再開される。可聴及び/又は視覚的のいずれであっても、アラーム通知が開始された場合、そうしたアラームは解除又は停止される。
【0217】
漏れ検出アルゴリズムの全体的な特徴
漏れ検出アルゴリズム700の以下の特徴又は態様のうちの1つ又は複数は、任意選択的に、アルゴリズムの動作中にも適用することができる。
【0218】
漏れ検出アルゴリズム700は、例えば治療モードにおいて、患者又はユーザにフロー療法を提供するように動作しているときを含む、装置の動作中、流路内のガスの流れの圧力特性を検知する圧力センサから受け取られたリアルタイムの圧力変数データ又は信号に基づいて、漏れがあるか確認するように連続的に動作することができる。漏れ検出アルゴリズムは、別法として、定期的に、又はその場その場で、又は動作モードに基づく所定の期間に、又はフロー療法セッションの特定の期間中に、例えば開始中若しくは起動時若しくは他の期間に、動作するように構成してもよいことが理解されよう。
【0219】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、装置の非治療モード中にも実施又は実行することができる。例として、漏れ検出アルゴリズムは、装置が、乾燥モード及び/又は消毒モード中等、非治療モードで動作している間に動作することができる。こうしたモードでは、装置は、例えば、装置及び/又は接続された患者回路の流路内の1つ又は複数の構成要素を乾燥及び/又は消毒する目的で、装置及び/又は接続された患者回路及び/又は消毒キットアセンブリを通してガスの流れを発生させるように構成されている。こうした非治療モードでは、モードのタイプに応じて、漏れ検出アルゴリズムは、チャンバ外れ若しくはチューブ外れ、又は消毒キットアセンブリの構成要素の脱落等の漏れが検出されときに、アラーム又は警報を発するように機能することができ、それは、これらの構成要素が流路から取り外されるか又は切り離された場合、それらが乾燥及び/又は消毒されず、及び/又は乾燥モード及び/又は消毒モードが正しく動作しない可能性があるためである。
【0220】
非治療モードでの漏れ検出アルゴリズムで使用される漏れ閾値は、治療モードで使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。乾燥モード及び/又は消毒モード等、いくつかの非治療モードでは、漏れ閾値及び/又は関数は、治療モードで動作しているときと比較して、装置の流路の変化又は相違を考慮して較正(校正)及び/又は調整することができる。1つの例では、いくつかのこうした非治療モードでは、患者回路全体(例えば、導管及び患者インタフェース)又は患者回路の構成要素(例えば、導管及びインタフェース、又はインタフェースのみ)が装置に接続されていないか、又は他の形で流路に存在しない場合がある。別の例では、いくつかのこうした非治療モードでは、加湿チャンバが取り外され、消毒キットアセンブリが流路内に設置される場合がある。こうした状況では、1つ又は複数のこうした構成要素が存在しないか、又は新たな構成要素が追加されることにより、流路特性が変化する可能性があるため、漏れ閾値及び/又は機能が適宜調整される可能性がある。
【0221】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、特定のユーザ設定流量範囲及び/又は目標モータ速度範囲の間のみ動作するように制限してもよい。例えば、1つの構成では、アルゴリズムは、非密閉システムにおいて先に説明した理由により、漏れありと漏れなしとを識別することがより困難である、相対的に低い若しくは低い流量範囲及び/又は相対的に低い若しくは低い目標モータ速度範囲に対して自動的に動作してもよい。こうした相対的に低い流量範囲は、単に例として、30L/min未満、又は15L/min未満、又は10L/min未満を含むことができる。2段階漏れ検出アルゴリズムの構成により、アルゴリズムは、装置が相対的に低い流量範囲及び/又は相対的に低い目標モータ速度範囲で動作しているときに、漏れの可能性を検出し、次いで、流量及び/又はモータ速度が上昇するに従い識別が容易になる、漏れがあるかないかが確認されるまで、流量及び/又はモータ速度を増分的に上昇させることができる。単に例として、相対的に低い流量範囲は、新生児患者で、又は患者が新生児用インタフェース、例えば成人用カニューレよりも小さいカニューレを使用している場合に使用されるものに対応してもよい。典型的には、相対的に低い流量又は流量範囲は、新生児患者、小児、又は、治療に、成人に通常使用されるより高い流量と比較してより低い流量を必要とする他の患者に使用される。
【0222】
いくつかの構成では、段階702及び707を含む2段階漏れ検出アルゴリズムは、相対的に低い流量範囲及び/又はモータ速度の間に動作することができ、単一の漏れ閾値を使用する代替的な単一段階漏れ評価が、動作流量範囲の残りのより高い流量範囲及び/又はモータ速度範囲で動作することができる。例えば、相対的に低い流量設定及び/又は相対的に低い目標モータ速度の間、実際の漏れ状態の判断がより困難である場合、誤検出を低減させるか又は最小限にするために、ガスの流れの圧力変数を確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値に対してチェックすることを含む2段階漏れ検出手法700を実施することができる。漏れ検出における誤検出の可能性がより低い残りのより高い流量設定では、流量及び/又はモータ速度の上昇を伴う第2段階評定を使用することなく、動作中に漏れ状態又は漏れなし状態を判断するために、圧力変数を単一の漏れ閾値と比較することに基づく単一段階の漏れ評価を採用することができる。圧力変数が単一の漏れ閾値を上回る場合、通常動作が継続し、圧力変数が単一の漏れ閾値を下回る場合、漏れ検出状態が満たされ、漏れアラームが生成される。
【0223】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズム700で利用される漏れ閾値は、装置の通常動作と漏れがある(例えば、アルゴリズムがいずれのタイプの漏れを検知するよう構成されているかに応じて、チャンバ外れ又はチューブ外れがある)動作とに対する圧力と流量との間の測定された、既知の、又はモデル化された関係に基づいて抽出することができる。
【0224】
1つの構成では、閾値関係は、漏れ評価で使用される圧力漏れ閾値は、少なくとも評価の時点の流れ発生器の流量によって決まる、関数、方程式、閾値曲線又はルックアップテーブルとして表すことができる。例えば、アルゴリズムの異なる段階におけるさまざまな漏れ判断評価で使用される具体的な漏れの可能性閾値及び確実な漏れ閾値は、評価の時点で動作している特定の流量によって決まるか、又はその関数である。
【0225】
別の構成では、漏れ閾値は、閾値評価の時点で動作している特定の流量及び/又はモータ速度とともに、評価の時点の装置又はガスの流れに関連する1つ又は複数の他の入力又は検知された変数若しくは特性によって決まり、及び/又はその関数である可能性であり得る。例として、1つ又は複数の他の入力又は検知された変数若しくは特性としては、限定されないが、ガスの流れの絶対圧、ガスの流れの温度、ガスの流れの酸素濃度、環境の周囲圧力を挙げることができる。
【0226】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、装置の動作流量範囲全体及び/又は任意の動作モードにわたって、変更なしに動作可能であり得る。例えば、漏れ検出アルゴリズムは、装置の流量設定、又はフロー治療セッション中若しくはセッション間の流量設定の変化に関係なく、閾値関数及び/又はプロセスの変更なしに連続的に動作することができる。
【0227】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、装置の動作モードに依存しないように構成してもよい。
【0228】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、複数の異なるタイプ及び/又はサイズの患者インタフェースで変更なしに動作可能であり得る。例えば、漏れ検出アルゴリズムは、装置のガス出口に接続された患者回路内で使用される患者インタフェースのタイプ又はサイズの変更に関係なく、閾値関数及び/又はプロセスの変更なしに連続的に動作するように構成することができる。例えば、漏れ検出アルゴリズムは、装置によって送達されるフロー療法で使用される患者インタフェースのタイプ又はサイズ(例えば、成人用、児童用、又は小児用カニューレ等)に依存しないように構成してもよい。
【0229】
1つの使用例の場合では、漏れ検出アルゴリズムは、装置が児童又は新生児患者のために低流量で児童又は小児用カニューレで動作している、動作状況に有益である場合がある。こうした動作の場合、流量が動作範囲の下限にあるため、先に説明したように、漏れを区別又は識別する能力は困難である。漏れ検出アルゴリズムは、こうした動作条件又は設定において、漏れ(例えば、チャンバ外れ又はチューブ外れ状態)を確実に及びロバストに判断する手段を提供する。
【0230】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、第2段階の漏れ評価707に移る際に、706において漏れの可能性のある状態を検出したときに予備的な通知又は警告を生成するように構成することができる。例えば、漏れの可能性のある警告は、視覚的、可聴及び/又は触覚的であってもよく、装置の表示画面上に通知又は標示を生成又は提示することを含むことができる。例として、こうした予備的な通知は、デバイスの動作に関する情報をユーザに提供することができ、それは、第2段階評価において、漏れ可能性を確実な漏れ状態708又は漏れなし状態709として決定しようとする際に、アルゴリズムが、離散的な間隔でモータ速度及び/又は流量を漸増させて顕著にループする可能性があるためである。
【0231】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズム700は、圧力変数が所定の又は予め決められた最短評価期間にわたって関連する閾値を上回るか又は下回るかに基づいて、比較又は評価決定を行うように構成されている。例えば、評価決定が、圧力変数が最短評価期間にわたって一貫して閾値を上回るか又は下回るかに基づいて行われて、特定の状態が満たされているか否かが判断され、漏れ検出アルゴリズムのいずれの状況又は段階に進むかが決定される。この構成は、圧力変数データ又は信号のノイズ又はスパイクがアルゴリズムによって行われる決定の信頼性に不当に影響することを回避するのに役立つことができる。
【0232】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、プロセスフロー内の各特定の閾値比較に対して、所定の又は一意の最短評価期間を含む。例えば、それぞれの最短評価時間は、比較を行っているときの所定の閾値比較、又はアルゴリズムの段階若しくは状況によって決まることがある。一構成では、第1段階の漏れ評価702における閾値比較の最短評価時間は、後の第2段階の漏れ評価707における閾値比較の最短評価時間よりも長い。こうした構成では、第2段階の漏れ評価707における最短評価時間の方が短いことは、第2段階の漏れ評価707が、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかとして決定するために、装置の正常動作を中断することと、離散的な間隔でモータ速度を上昇させることとを含むため、有益である可能性があり、そのため、比較評価時間が短くなることにより、装置の正常動作に対するいかなる長時間の中断も低減させることができる。
【0233】
いくつかの構成では、漏れ検出アルゴリズムで利用される最短評価期間は、すべて又は少なくともいくつかの閾値比較について均一又は同じであり得る。1つの例では、最短評価時間は、アルゴリズムの特定の段階又は状況によって決まってもよい。例えば、第1段階の漏れ評価に関連する最短評価時間は実質的に同じであってもよく、第2段階の漏れ評価内に関連する最短評価時間は実質的に同じであってもよい。
【0234】
漏れ検出アルゴリズムは、装置の流路、又は、限定されないが装置のガス出口に接続された患者回路(例えば、導管及び患者インタフェース)等、流路に接続された周辺構成要素における、又はそれらに関連する、1つ又は複数の異なるタイプの漏れを検出するように構成することができる。一構成では、漏れ閾値又は漏れ閾値特性は、検出する特定の漏れに合わせて調整される。他の構成では、包括的な漏れ閾値又は漏れ閾値特性を利用して、流路内の1つ又は複数の異なるタイプの漏れを検出してもよい。
【0235】
1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、加湿チャンバが、部分的であっても完全であっても、流路から取り外されるか又は切り離される(例えば「チャンバ外れ」)という形式で、又はそれを表す、漏れを検出するように構成されている。例えば、この構成では、漏れ検出アルゴリズムは、加湿チャンバ接続ステータス検出器(すなわち、チャンバが装置の流路内に接続されているか(すなわち、「チャンバ装着」)、又はチャンバが装置から取り外されているか若しくは切り離されているか(すなわち、「チャンバ外れ」))として機能又は動作する。
【0236】
別の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、装置のガス出口からの患者回路の切離し(例えば「チューブ外れ」)の形式で、又はそれを表す、漏れを検出するように構成されている。この構成では、漏れ検出アルゴリズムは、患者回路又は導管の接続ステータス検出器(すなわち、患者回路又は導管が装置のガス出口に接続されているか(すなわち、「チューブ装着」)又はガス出口から切り離されているか(すなわち、「チューブ外れ」))として機能又は動作する。
【0237】
別の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、消毒モードの動作中に、呼吸装置の流路内に設置された消毒キットアセンブリの1つ又は複数の構成要素の切離し又は脱落の形式で、又はそれを表す、漏れを検出するように構成されている。
【0238】
1つの構成では、本装置は、漏れ検出アルゴリズムの複数のバージョンを、並行して、又は交互に、又は選択的に、又は逐次、動作させるように構成してもよく、漏れ検出アルゴリズムの各バージョンは、異なるタイプ又は性質の漏れを検出するように構成される。
【0239】
以下のセクション3.2~3.4では、上記の概要例に記載した2段階漏れ検出アルゴリズムのさらなる実施態様及び構成例。上記の全体的な特徴のうちの任意の1つ又は複数は、以下の例のうちの任意の1つ又は複数に適用することができる。
【0240】
3.2漏れ検出プロセスの詳細な第1例-漏れ圧力閾値
図23を参照すると、単に例として、漏れ検出プロセス又はアルゴリズム800の一実施形態の詳細なフロー図が示されている。この例示的アルゴリズム800は、先に記載した概要アルゴリズム700の同様の動作原理を利用し、いずれかのアルゴリズムに関して記載する特徴は、他方のアルゴリズムにも適用することができることが理解されよう。
【0241】
漏れ検出アルゴリズム800のこの実施形態は、例えば、洗浄、再充填、修理又は交換のためにチャンバが装置のハウジングの加湿器チャンバベイ又はコンパートメントから取り外されるとき、又はチャンバが誤って流路から脱落するか又は切り離される場合等、加湿チャンバが装置の流路から取り外されるか又は切り離されること(すなわち「チャンバ外れ」)を表すか、又はそれによって引き起こされる漏れを検出するように構成されている。
【0242】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム800は、装置の通常動作中、例えば、装置がフロー療法セッション中に、構成可能なユーザ設定流量でガスの流れを供給しているとき、例えば、治療モードで動作している間、開始する(801)。フロー療法セッションのための構成可能なユーザ設定流量は、患者及び/又は患者の指示された治療パラメータ若しくは設定によって決まる場合がある。理解されるように、成人及び小児又は新生児患者に対して、フロー療法のためにさまざまな流量設定を使用することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ接続ステータス(例えばチャンバ外れ)を判断する漏れ検出アルゴリズムは、動作可能な流量の全範囲にわたって動作可能であり、又は他の実施形態では、全流量範囲の所定の1つのサブセット又は複数のサブセットにわたって動作可能である。
【0243】
この実施形態では、アルゴリズム800は、流路内のガスの流れのゲージ圧を検知するように構成されたゲージ圧センサによって検知された圧力信号又はデータを表す圧力変数を受け取る。しかしながら、理解されるように、アルゴリズムによって使用される圧力変数は、流路内のガスの流れに関連する1つ又は複数の他のタイプの圧力センサからであってもよい。
【0244】
この実施形態では、アルゴリズムは、主に、第1段階の漏れ評価802と、803、804及び805におけるステップ及び評価又は判断を含む第2段階の漏れ評価とを有する。第1段階の漏れ評価802は、確実な漏れがあるか、漏れの可能性があるか、又は漏れがないかを判断することができる。第2段階の漏れ評価は、第1段階の評価からの漏れの可能性のある判断を、確実な漏れか漏れなしかのいずれかとして決定するよう構成されている。
【0245】
1つの実施形態では、アルゴリズム800は、1つ又は複数の特定のイベントから所定の遅延期間が満了するまで、動作が中断されるか又は遅延する。これらのイベントは、治療セッションの開始、通常動作又はフロー療法制御の開始、漏れアラーム又は他のアラームの解消のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。例えば、アルゴリズム800は、1つ又は複数の選択又は構成されたこうしたイベント後の遅延期間中は、動作せず、漏れアラームを生成又はトリガすることはできない。他の実施形態では、アルゴリズム800は、治療セッションの開始時、又は漏れアラームが解消された後に通常のフロー制御が再開したときに、連続的に及び直ちに動作可能であり得る。
【0246】
第1段階の漏れ評価
この実施形態では、任意の必要な遅延時間が満了した後、アルゴリズム800は、ステップ802における第1段階の漏れ評価に進むことにより開始する(801)。この第1段階の漏れ評価802では、ゲージ圧変数が確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値と比較されて、装置の漏れ状況、例えば、漏れが検出された、漏れの可能性、又は漏れなしが判断される。この実施形態では、後に説明するように、それぞれの評価基準が満たされていることに基づいて、1つ又は各状態が満たされているか又は検出されているとみなすことができる。この実施形態では、ゲージ圧を1つ又は複数の閾値と比較することに基づくさまざまな評価は、同時に又は並行して行ってもよい。他の構成では、いずれの漏れ状態が満たされるかの評価は、逐次、又は特定の条件付き順序で行われるように構成してもよい。
【0247】
第1段階の漏れ評価802で動作している間、装置は、漏れが検出されない通常動作にある、すなわち漏れなし状況にあるとみなすことができる。この状況又は段階において、呼吸装置は、設定流量による通常動作及び通常のフロー制御を継続する。
【0248】
この実施形態では、アルゴリズムは、評価するために、ガスの流れの測定又は検知された流量、測定又は検知されたゲージ圧変数、及び漏れ閾値を表す入力データを取得し及び/又は受け取る。入力データは、特定のサンプリング周波数に従って、又はデータがセンサ及び/又は主コントローラ及び/又は装置のメモリから入手可能になるに従い連続的に、取得することができる。1つの構成では、入力データは、データの移動窓に基づく移動平均であり得る。データの窓は、例えば、構成期間又はデータサンプルの数に基づいて決定することができる。1つの例では、入力データは、検知された流量、検知されたゲージ圧、及び漏れ閾値の10秒移動平均であり得る。別の構成では、漏れ検出アルゴリズムによって使用される入力データは、検知された流量、検知されたゲージ圧、及び漏れ閾値の最新の瞬間データであってもよい。
【0249】
この実施形態では、ステップ802において、アルゴリズムによって行われる評価うちの1つは、確実な漏れ状態を判断することである。この実施形態では、確実な漏れ状態を判断するために、アルゴリズムは、ゲージ圧変数を確実な漏れ状態を表す(この実施形態では圧力閾値である)確実な漏れ閾値Pleakと比較する。ゲージ圧変数Pgaugeが最短評価時間にわたって、確実な漏れ閾値Pleakよりも小さい場合、漏れ状態が満たされ、アルゴリズムは806において漏れアラームを引き起こすか又は生成する。1つの構成では、ゲージ圧変数Pgaugeは、15秒間の最短評価期間にわたって、確実な漏れ閾値Pleakを下回らなければならないが、他の実施形態ではこの期間を調整又は変更してもよいことが理解されよう。
【0250】
ステップ802における評価に基づいて漏れ検出状態が満たされた場合、アルゴリズムは、806における漏れアラーム又は漏れ検出状況若しくは段階に移る。漏れ検出状況806において、アルゴリズムは、アルゴリズム700に関して先に説明したように、チャンバが外れている、すなわち切り離されていることを示す、可聴、視覚的又は触覚的漏れ検出アラームを生成すること、及び/又は流量又はモータ速度を制御又は停止すること、又は、他の制御動作等、1つ又は複数のアラーム動作をトリガすることができる。この実施形態では、漏れ検出状況806におけるアルゴリズム800は、1つ又は複数のアラーム動作を実行するように構成することができる。この実施形態例では、アルゴリズム800は、以下のアラーム動作例のうちの任意の1つ又は複数を実行することができる。
・漏れアラーム状況806にある間、漏れが検出された現時点の目標モータ速度を、漏れが解消されるまでモータ速度がその現時点の値から変化しないように、固定すること。
・ユーザに対する可聴、視覚的及び/又は触覚的アラーム又は通知(例えば、呼吸装置のディスプレイ上のメッセージ又は通知、及び/又は呼吸装置のスピーカ若しくは音声デバイスを介する可聴アラーム)を生成するか又はトリガすること。
・加湿器のヒータプレートに印加される電力を外れにするか又は低減させることによる等、加湿器に印加される電力を外れにするか又は低減させること。装置の加湿器の構成に応じて、加湿器のヒータプレートが露出している可能性があるため、チャンバが外れているとき、ユーザに対する安全上のリスクが増加する可能性があるため、これは漏れ状態において有利であり得る。
・装置に接続されている患者回路導管のヒータ線に印加される電力をオフにするか又は低減させること。
【0251】
漏れ検出状況806になると、アルゴリズム800は、漏れアラームが解消されたか否か、例えば、チャンバが装置及び/又は流路に再接続されたか又は再び設置されたか否かを、判断又は評価するように構成することもできる。この実施形態では、806におけるアルゴリズムは、圧力変数Pgaugeを確実な漏れ閾値Pleak、又は漏れ解消を確認するために特有の別の代替閾値と比較することにより、漏れが解消されたか否かを連続的に評価又は判断する。この実施形態例では、ゲージ圧変数Pgaugeが、この実施形態では3秒間であるが他の実施形態では調整することができる、最短評価期間にわたってPleak閾値を超える場合、漏れアラームは解消されたとみなされる。漏れアラームが解消された場合、アルゴリズムは、第1段階の漏れ評価802及び設定流量による通常動作又は通常のフロー制御に戻る。ゲージ圧変数が最短評価期間を超えてPleak閾値を超えない場合、アルゴリズムは、漏れ検出状況806に留まり、漏れアラームの解消をチェックし続ける。
【0252】
この実施形態では、ステップ802において、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を判断することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、ゲージ圧変数Pgaugeを、漏れの可能性のある又は潜在的な漏れ状態を表す(この実施形態では圧力閾値である)漏れの可能性閾値Pmaybeと比較する。この実施形態では、ゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価期間にわたって漏れの可能性閾値Pmaybeを下回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされ、アルゴリズムは、(803で開始する)第2段階の漏れ評価に移って、特定された漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する。この実施形態では、最短評価期間は10秒間であるが、これは異なる実施形態では変更してもよい。
【0253】
上述した評価に基づいて、確実な漏れ状態又は漏れの可能性のある状態のいずれも満たされない場合、アルゴリズムは、漏れが検出されていないとみなし、通常動作の第1段階の漏れ評価802に留まり、すなわち、漏れなし状態は満たされたままであり、装置は通常のフロー制御を継続する。
【0254】
第2段階の漏れ評価
アルゴリズムは、802において漏れの可能性のある状態を検出した場合、ステップ803で開始する第2段階の漏れ評価に移る。この実施形態では、漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価に入る前に、アルゴリズム800は、ステップ803において第2段階の漏れ評価に入る前に発生した(例えば、流路内の流量センサ又は他の検知構成によって検知された)測定された流量及び検知された圧力変数を格納するように構成されている。1つの構成では、測定された流量及び格納された検知された圧力変数の格納された値は、上記で説明したように、これらの測定された又は検知された変数の移動平均を表すか、又はそうした移動平均から抽出することができる。例えば、1つの構成では、アルゴリズムは、測定された流量及び検知された圧力変数の移動平均を、動作中に受け取るか、又は動作中に計算し、そこから、第2段階の漏れ評価に入る前に値を抽出して格納することができる。例として、測定された流量及び検知された圧力変数の格納された値は、漏れ閾値限界値のうちの1つ又は複数を更新及び/又は調整することを含む後のアルゴリズムステップで使用することができる。
【0255】
この実施形態では、第2段階の漏れ評価は、803において、現時点の目標モータ速度を予め決められた増分で、又は第1の若しくは次の事前設定されたより高いモータ速度まで上昇させることを含む。この実施形態では、アルゴリズムは、モータ速度を上昇させ、予め決められた又は最大の期間にわたって第1のより高いモータ速度で固定するように構成されている。1つの構成では、期間は4秒間であり得るが、これは代替実施形態において変更してもよい。後に説明するように、次のより高いモータ速度へのその又は各反復の間、より高いモータ速度は、構成された期間(例えば、この例では4秒間)にわたって維持され、その間に、第2段階の漏れ評価804が行われて、漏れの可能性を確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定するように試みられる。
【0256】
803において上昇後のより高いモータ速度になると、アルゴリズム800は、804において、1つ又は複数の第2段階の漏れ評価を開始する。例えば、より高いモータ速度での更新された又は新たな検知された圧力変数Pgaugeが、新たな又は更新された確実なPleak及び可能性のあるPmaybe閾値と比較されて、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ状態として決定することができるか、又は漏れなし状態として決定することができるかが判断される。各状態は、この場合もまた、後述するように、検知されたゲージ圧変数Pgaugeを漏れ閾値のうちの1つ又は複数と比較することに基づいて、満たすべきそれ自体の評価基準を有することができる。
【0257】
この実施形態では、ステップ804において、アルゴリズムによって行われる評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を確実な漏れの状態として決定することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された検知された圧力変数Pgaugeを更新された確実な漏れ閾値Pleakと比較する。この実施形態では、新たなPleakの閾値は、新たなより高いモータ速度及び/又は第1のより高いモータ速度で発生したガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて、更新又は決定される。ゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価期間(例えば、3秒間又は別の構成可能な期間)にわたってPleak閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態は、確実な漏れの状態として確認又は決定され、アルゴリズムは、漏れ検出状況806に進み、前述したように漏れアラームを生成するか又は1つ若しくは複数のアラーム動作を開始する。
【0258】
この実施形態では、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を漏れなし状態として決定することである。この実施形態では、漏れなし状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された検知された圧力変数Pgaugeを、更新された漏れの可能性閾値Pmaybe及び更新された確実な漏れ閾値Pleakと比較する。上記で説明したように、更新された閾値は、新たなより高いモータ速度及び/又は第1のより高いモータ速度で発生したガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて、抽出又は決定することができる。更新された検知されたゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価時間(例えば、3秒間又は別の構成可能な時間)にわたってPmaybe閾値を上回るとともにPleak閾値を上回る場合、漏れの可能性は、漏れが検出されなかったとして決定され、アルゴリズムは、第1段階の評価802並びに通常動作及び/又はフロー制御に戻る。
【0259】
この実施形態では、804において第2段階の漏れ評価を終了したとき(漏れの可能性が漏れなしであると決定した後)、ステップ802及び通常動作801に戻る前に、アルゴリズムは、任意選択的に、807において閾値調整プロセスを実行することができる。この実施形態では、閾値調整プロセス807は、アルゴリズムが将来のチェックにおいて同じシナリオで無限にループするのを防止するために、Pmaybe閾値を調整するか又は低下させるように構成することができる。1つの構成では、Pmaybe閾値は、1つ又は複数の変数を有する調整又は補正関数807に基づいて調整することができる。例として、調整又は補正関数の変数は、前述したように、ステップ803において第2段階の漏れ評価に入る前に格納された、測定された流量及び検知された圧力の変数値を含むことができる。さらに、調整又は補正関数は、1つ又は複数のさらなる変数又は定数を含むことができる。1つの構成では、調整又は補正関数は、調整の大きさが格納された測定された流量に応じて変化する可能性があるように、格納された測定された流量によって決まる定数変数を有していてもよい。1つの構成では、調整又は補正関数が、より低い流量又はより低い流量範囲でPmaybe閾値に対してより小さい調整を行うように、定数変数を構成してもよい。
【0260】
1つの実施形態では、閾値調整関数807は、バッファ値Pbufferに少なくとも部分的に基づいてPmaybe閾値を更新することを含むことができる。1つの構成では、Pbuffer値は、第1段階802を終了した後に格納された測定された流量によって少なくとも部分的に決まる場合がある。別の構成では、Pbuffer値は定数であってもよい。1つの構成では、Pmaybe閾値は、測定された流量及び1つ又は複数の定数によって決まる閾値関数から抽出される。この構成例では、閾値調整関数は、Pbuffer値に少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。別の例では、閾値調整関数は、Pbuffer値と、Pmaybe閾値と、第1段階802を終了した後に格納された測定された圧力値とに少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。
【0261】
1つの実施形態では、閾値調整関数807は、バッファ値Pbufferに少なくとも部分的に基づいてPmaybe閾値を調整するように構成してもよい。Pbufferは、漏れ検出アルゴリズムに無限ループが発生するのを防止するようにPmaybe閾値を調整するように構成される変数であってもよい。例えば、Pbufferは、漏れ検出アルゴリズムが以下のプロセスをループするのを防止するように、Pmaybe閾値を調整するように関数から導出されるか又は予め構成された値である。すなわち、(1)第1段階の評価802で漏れの可能性を検出することと、(2)第2段階の評価803~805において、モータ速度を(1回以上)漸増させ、漏れの可能性が漏れでないと判断することと、(3)再び漏れの可能性を検出するために第2段階の評価を終了して、同じPmaybe閾値で第1段階の評価に進むことと、流路特性が変化することなく無限ループで(1)~(3)を繰り返すこととである。この実施形態では、Pmaybe閾値は、漏れ検出アルゴリズムが動作するに従い、徐々に調整又は適合される。
【0262】
調整又は補正関数807のいくつかの構成では、803における第2段階の漏れ評価に入る前に検知された、離散的な測定された流量でのPmaybe閾値を、計算された又は予め決められた量だけ減少又は漸減させる場合がある。他の構成では、Pmaybe閾値関数又は閾値曲線全体を、動作流量範囲全体にわたって、計算された又は予め決められた量だけ減少又は漸減させる場合がある。
【0263】
804における第2段階の漏れ評価に戻ると、上述した評価に基づいて確実な漏れの状態又は漏れなし状態のいずれも満たされない場合、漏れの可能性のある状態は未決定とみなされる。この実施形態では、タイマに基づく予め決められた期間(例えば、この例では4秒間であるが、別の構成可能な期間とすることができる)にわたって、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、第2段階の漏れ評価プロセスが繰り返すが、さらに高いモータ速度で繰り返す。
【0264】
この実施形態では、タイマが満了し、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、アルゴリズムは、804を終了し、モータ速度チェック805を開始する。この実施形態では、モータ速度チェック805は、第2段階の漏れ評価の開始803を繰り返すか又は開始803に戻るようにループする前に、現時点の目標モータ速度を事前設定された又は構成可能なモータ速度閾値(MAXRPM)と比較することを含む。
【0265】
この実施形態では、モータ速度チェック805において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMと等しいか又はそれを上回る場合、アルゴリズムは第2段階の漏れ評価を終了し、漏れの可能性を漏れなし状態として決定し、先に説明した閾値調整プロセス807を介して第1段階802及び通常動作に戻る。モータ速度チェック805は、アルゴリズムに対する追加の終了条件を提供し、アルゴリズムが第2段階の評価で無限にループすること、及び/又は、安全閾値又は構成要素閾値を超えてモータ速度を上昇させることを防止する。
【0266】
モータ速度チェック805において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMを下回る場合、アルゴリズムは、ステップ803に戻るようにループし、第1のより高いモータ速度を第2の又は次のより高いモータ速度まで再び上昇させ、漏れの可能性を確実な漏れの状態又は漏れなし状態として決定しようと試みて、804において評価を繰り返す。
【0267】
図示するように、第2段階は、モータ速度を、予め決められた量だけ又は次の予め決められたより高いモータ速度まで、連続的に又は繰返し漸増させることと、次いで、漏れ状態が満たされるか、漏れなし状態が満たされるか、又は805においてモータ速度チェックで否となるまで、804において評価を行う。理解されるように、評価に応じて、アルゴリズムの第2段階は、終了して802(漏れがない)又は806(漏れが検出された)に戻る前に、1回、2回又は複数回完了する場合がある。
【0268】
ステップ803において、モータ速度の増分は、事前設定された又は構成可能な増分であってもよく、又は予め選択された離散的なより高いモータ速度の事前設定された又は構成可能な系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増してもよいことが理解されよう。単に例として、1つの構成では、ステップ806におけるモータ速度の上昇は、現時点のモータ速度を、5000rpm、6750rpm、8500rpm、10250rpm及び12000rpmのモータ速度を含む系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増させることに基づき、モータ速度が、第2段階の漏れ評価の各サイクル又はループごとに1750rpmずつ上昇するようになっている。この例では、圧力変数がPmaybe及びPleak閾値と比較される、5つのあり得る離散的なモータ速度段階があるが、これは、要求に応じてより多いか又は少ない段階に変更してもよい。
【0269】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム800は、802において第1段階の漏れ評価及び通常動作に戻ると、繰り返す。1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、圧力センサからの更新されたリアルタイムに検知された圧力変数データを受け取ると、連続的に動作する。他の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、定期的に動作するように構成してもよい。前述したように、いくつかの構成では、装置が通常動作を開始又は再開したとき、漏れ閾値に対する漏れ評価比較は、所定のイベントの後、予め決められた遅延期間にわたって中断するか又は遅延させてもよい。こうしたイベントとしては、限定されないが、新たな治療セッション又は新たなユーザ設定流量の開始、806における以前の漏れアラームの解消、又は、例えば、漏れアラームが解消された後、若しくは漏れが検出されずに第2段階の漏れ評価を終了した後、802において通常動作又はフロー制御が再開された場合を挙げることができる。
【0270】
漏れ閾値
ここで、漏れ検出アルゴリズム800に関連する漏れ閾値の一例についてさらに説明する。考察したように、各漏れ評価比較のための確実な漏れ閾値Pleak及び漏れの可能性閾値Pmaybeは、評価比較の時点で動作している測定された流量及び/又はモータ速度に基づくことができる。1つの構成では、Pleak及びPmaybe閾値は、少なくともガスの流れの検知された流量及び/又は流れ発生器のモータ速度、並びに任意選択的に装置及び/又はガスの流れの1つ又は複数の他の変数又は動作特性によって決まるか、又はその関数であり得る。Pleak及びPmaybe閾値は、関数、閾値曲線又は線であってもよく、又はルックアップテーブルの形式で提供してもよい。閾値は、漏れ検出アルゴリズムの各段階において、少なくとも現時点の検知された流量及び/又は流れ発生器のモータ速度、並びに他の任意の変数に基づいて、関数、閾値曲線若しくは線、又はルックアップテーブルから抽出することができる。
【0271】
図24Aを参照すると、漏れ検出アルゴリズムで使用される漏れ閾値の性質を実証するために、圧力対流量のプロット1900が示されている。先に説明したように、この実施形態において漏れが検出されることは、加湿チャンバが装置の流路から部分的に又は完全に取り外されるか又は切り離されていることを指し、漏れ閾値は、チャンバが装着されて正常に動作している装置と、チャンバが外れて漏れのある状態で動作している装置とにおけるガスの流れに関連する圧力対流量の特性に基づいて導出される。
【0272】
leak閾値関数例は、1900における圧力対流量グラフ上の閾値曲線又は線1901として描かれている。Pmaybe閾値関数例は、1900における圧力対流量グラフ上の閾値曲線又は線1902として描かれている。
【0273】
1903で表す関数又は曲線又はデータは、チャンバが装着されて正常に動作している装置の場合の、動作流量範囲に対するガスの流れの検知された圧力特性である。1904で表す関数又は曲線又はデータは、チャンバが外れているために漏れのある状態で動作している装置の場合の、動作流量範囲に対するガスの流れの検知された圧力特性である。1905で強調表示されている低流量領域に示すように、通常動作及び漏れのある動作に対する圧力対流量曲線1903及び1904は、この領域で収束し、それにより、低流量で真の又は確実なチャンバ外れ漏れを識別することが困難になる。本開示の漏れ検出アルゴリズムは、漏れ(例えばチャンバ外れ)又は漏れなし(例えばチャンバ装着)状態を決定的に判断するために曲線間のより明確な識別を提供するために、モータ速度を増分的に上昇させることにより、この問題に対処する手段を提供する。
【0274】
さらなる説明として、図24Bを参照すると、確実な漏れPleak閾値関数、曲線又は線1901と、漏れの可能性のあるPmaybe閾値関数、曲線又は線1902が、圧力対流量のグラフ上に分離して示されている。概して1906に示す領域は、「不確実(maybe)領域」すなわち「漏れの可能性のある領域」である。図示するように、漏れの可能性のある領域1906は、Pleak閾値1901を上回り、Pmaybe閾値1902を下回る、流量範囲の下方の端部の領域である。さらなる説明として、関連する測定された流量について、この漏れの可能性のある領域1906に入るガスの流れの測定又は検知された圧力値は、漏れ検出アルゴリズムの第1段階の評価802により、漏れの可能性とみなされる。これらの漏れの可能性シナリオは、その後、状態が確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定されるまで、漏れ検出アルゴリズムの第2の段階(803~805)に進められる。例として、第2段階の評価は、漏れの可能性のある状態が、確実な漏れ又は漏れなしのいずれかとして決定されるように、測定された圧力及び測定された流量の組合せが漏れの可能性のある領域1906の外側になるまで、連続して上昇するモータ速度で繰り返す。
【0275】
図24C及び図24Dを参照すると、漏れ検出アルゴリズムが動作しており、正常動作、すなわち漏れなしと判断している、グラフの例が示されている。特に、データ点A~Cは、漏れ検出アルゴリズムで評価される連続した検知された圧力及び流量の対を表す。データ点Aは、通常動作における呼吸装置の動作状態である。漏れ検出アルゴリズムの第1段階の評価は、これが漏れの可能性のある領域1906にあると判断し、装置の流れ発生器のモータ速度を上昇させることにより、第2段階の評価に進む。データ点Bは、より高いモータ速度での検知された圧力及び流量を表す。データ点Bは、依然として漏れの可能性のある領域1906にあり、そのため、第2段階の評価が、モータ速度を再び上昇させることにより繰り返す。データ点Cは、さらに上昇したモータ速度での検知された圧力及び流量を表し、これは漏れの可能性のある領域1906の外側にあり、すなわち、Pleak閾値1901及びPmaybe閾値1902の両方を上回っている。このように、漏れ検出アルゴリズムは、漏れの可能性のある状態を漏れのない状態として決定し、元の設定流量での通常のフロー制御に戻り、例えば、データ点Aでの動作に戻る。
【0276】
上述したように、いくつかの実施形態では、漏れ検出アルゴリズムは、任意選択的に、漏れの可能性が漏れなし状態として決定されるシナリオで実行する閾値調整プロセス807を含む。図24Dを参照すると、この閾値調整プロセス807の適用及び結果が示されている。特に、閾値調整プロセス807は、通常のフロー制御に戻ったときに漏れ検出アルゴリズムが無限ループで進行するのを回避するために、漏れの可能性閾値を調整するように構成されている。図示するように、閾値調整プロセス807は、元のデータ点Aが漏れの可能性としてみなされなくなるように、Pmaybe閾値1902を変更又は調整する。特に、Pmaybe閾値1902は、更新された又は新たなPmaybe閾値1902Aに調整又は変更又は変換される。この調整された(より低い)新たなPmaybe閾値1902Aは、漏れの可能性のある領域1906を効果的に減少させ、したがって、データ点Aは、第1段階の評価によって漏れの可能性として考慮されなくなる。
【0277】
図24Eを参照すると、漏れ検出アルゴリズムが動作しており、漏れと判断している、グラフの例が示されている。このシナリオでは、データ点Aにおける通常動作中の測定された圧力及び流量の組合せは、漏れの可能性のある領域1906に位置しているため、漏れの可能性とみなされる。第1段階の評価は、漏れの可能性のある状態を特定し、モータ速度を上昇させることにより第2段階の評価に進む。この例では、モータ速度が上昇し、データ点Bで表されるより高いモータ速度での新たに測定された圧力及び流量が、第2段階の評価によって評価される。データ点Bが、確実な漏れ閾値(Pleak、閾値1901)を下回ると、漏れの可能性が確実な漏れとして確認され、漏れ検出アルゴリズムは、上述した段階806に従ってアラームをトリガする。漏れが解消される(例えば、チャンバが呼吸装置の流路に再接続されるか、又は取り付けられる)と、漏れ検出アルゴリズムは、呼吸装置が元の設定流量で通常のフロー制御に戻ることができるようにする。図示するように、漏れが解消され正常なフロー制御が再開すると、漏れ検出アルゴリズムは第1段階の漏れ評価に戻る。データ点Cは、漏れが解消された後の、元の設定流量における新たな測定された圧力及び流量を表す。次いで、漏れ検出アルゴリズムは、図24C及び図24Dに関して記載したプロセスに従って進行し、すなわち、データ点Cは、第1段階の評価で漏れの可能性とみなされる。モータ速度は、第2段階の評価でデータ点Dまで上昇するが、これは依然として漏れの可能性のある状態である。モータ速度は、第2段階の評価でデータ点Eまで上昇し、これは漏れなし状態、すなわち通常動作として決定される。上記の記載のように、Pmaybe閾値1902は、その後調整され、フロー制御は正常に戻り、漏れ検出アルゴリズムは、第1段階の評価に戻って、装置が動作を継続するに従い入来データの処理を継続する。
【0278】
上述したように、Pleak閾値1901及びPmaybe閾値1902曲線又は線は、いくつかの実施形態では、関数から導出することができる。単に例として、1つの特定の呼吸装置構成では、方程式又は関数は、以下の形式であり得る。
【数1】
式中、Qstpd,filtは、フィルタリングされたSTPD流量であり、k1~k6は、装置及び/又は流路特性及び/又は動作モードに固有の定数であり、値βは、装置が動作している検知された周囲圧力と、ガスの流れの検知された温度(例えば、加湿チャンバの出口、又は流路内の他のいずれかの好適な位置における又はその近くのガスの流れの温度)とに少なくとも部分的に基づく関数である。この例では、式(1)及び(2)は2次関数であり得る。
【0279】
いくつかの実施形態では、漏れ閾値関数を定義する定数k1~k6のうちの1つ又は複数は、呼吸装置の動作モード及び/又は検出されている漏れの所定のタイプによって決まる可能性がある。例として、1つの実施形態では、治療モード及び乾燥モードにおいて漏れ検出アルゴリズムに使用される定数k1~k6は、閾値がこれら両方のモードで同じであるように、同じであり得る。しかし、消毒キットアセンブリが設置された状態では流路特性が異なるため、漏れ検出アルゴリズムが消毒モードで作動しているときは、異なる定数k1~k6を採用して異なる閾値曲線を定義してもよい。
【0280】
方程式又は関数(1)及び(2)は、単に例として提供する。漏れ閾値又は関数は、例えば、所定の呼吸装置及び/又はその動作モードに関連する多くの要素又は特性に基づいてカスタマイズすることができることが理解されよう。
【0281】
漏れ検出アルゴリズムは、検知されている漏れの性質又はタイプに応じて、異なる漏れ閾値関数又は曲線を採用又は適用することができることが理解されよう。
【0282】
乾燥モード
上述したように、漏れ検出アルゴリズムは、1つ又は複数の非治療モードでも動作するように構成することができる。こうした非治療モードは「乾燥モード」である。乾燥モードは、通常、流路及び/又は流路内の構成要素を乾燥させるために、呼吸装置による治療セッションの終了時に行われる。
【0283】
乾燥モードは、通常、ユーザ又は患者が患者インタフェース(例えば鼻カニューレ)を取り外した後、すなわち、治療セッションが終了した後の何らかの段階で、又は呼吸装置のユーザインタフェース(例えばタッチスクリーンインタフェース)への「オフ」又は「停止」入力を介して治療セッションが他の方法で終了した場合に、開始される。乾燥モードは、流れ発生器を、一定の流量、例えば15L/min~30L/min、好ましくは25L/min、又は他の好適な流量で動作させる。別法として、流れ発生器を、所定の又は構成可能な一定のモータ速度に制御してもよい。通常、乾燥モードの間、加湿器のヒータプレートは、電源がオフにされるか、又は電力が低出力に下げられる。通常、乾燥モードは、流路及び/又は流路構成要素を乾燥させるために、構成可能な時間又は事前設定された期間にわたって動作する。
【0284】
漏れ検出アルゴリズム800は、乾燥モードで、図23図24Eに関して上述した構成に従って動作することができる。主な相違点は、呼吸装置が、治療モードにおいて治療セッション中にユーザ又は患者に固有である設定された治療流量ではなく、乾燥モード設定に従って事前設定された乾燥モード流量又はモータ速度で動作していることである。したがって、乾燥モードでの漏れ検出アルゴリズムは、同じ事前設定された乾燥モード流量で第1段階の評価を開始又は動作させる傾向がある。治療モード動作と同様に、漏れ検出アルゴリズムは、「チャンバ外れ」状態(例えば、チャンバが流路から取り外されたか又は切り離された)等、乾燥モード中の漏れを検知するよう構成され、そうした状態が検出されるとアラームを引き起こす。
【0285】
治療モードと同様に、この実施形態例でもまた、加湿チャンバは、乾燥モードの場合の装置の流路の必須部分である。加湿チャンバが装置から取り外されるか又は切り離された場合、流路が中断され、ガスの流れが患者回路に流れ込むのではなく周囲環境に漏れるため、乾燥モードは患者回路(例えば、患者導管及び/又は患者インタフェース)を乾燥させることができなくなる。したがって、漏れ検出アルゴリズムは、チャンバの接続ステータスを判断し、チャンバが外れているか又は切り離されている場合、乾燥モード動作の不具合をユーザに警報するように構成されている。
【0286】
この例では、事前設定された乾燥モード流量は、先に説明した理由により、漏れ状態(例えば、チャンバが外れている)と通常動作とを識別することが困難な低流量領域で動作する傾向がある。したがって、漏れ検出アルゴリズムは、乾燥モードにおいて漏れ状態をロバストに判断するのにも役立つこともできる。
【0287】
この実施形態例では、治療モード及び乾燥モードでの流路特性は同様であり、したがって、漏れ検出アルゴリズムにおいて、同じ漏れ閾値関数を採用することができる。
【0288】
チャンバ外れ漏れ状態を確認するためのヒータプレートチェック
いくつかの実施形態では、加湿チャンバが呼吸装置の流路及び/又は加湿コンパートメントから取り外されたか否かを確認又は判断する、ヒータプレートチェックを任意選択的に含むように、漏れ検出アルゴリズムを強化又は変更することができる。
【0289】
ヒータプレートチェックの第1構成では、漏れ検出アルゴリズムは、加湿器のヒータプレートを設定された電力レベル(例えば、100%電力又は50%電力)まで設定された期間にわたって通電する(例えば、ヒータプレートに電力プロセス又は手順を適用する)ように構成されている。アルゴリズムは、ヒータプレートの温度を検知するように構成された1つの温度センサ又は複数の温度センサ(例えば、ヒータプレート内又はヒータプレートに関連付けられた温度センサ)によって生成された、検知された温度データ又は信号に基づいて、ヒータプレートの温度上昇を監視する。アルゴリズムは、ヒータプレートが設定された電力レベルまで通電さる際の温度センサデータに基づく温度の変化率(すなわち、ヒータプレートの加熱速度)を計算するように構成することができる。次いで、温度変化率は、温度変化率閾値と比較される。温度変化率が変化率閾値よりも大きい場合、チャンバ外れ(例えば、漏れ状態)が確認されるか又は示される。別法として、アルゴリズムは、ヒータプレートの温度が設定された温度閾値を超えるまでにかかった時間を計算するか又は求めることができる。次いで、かかった時間が時間閾値と比較される。かかった時間が閾値を下回る場合、チャンバ外れ(例えば、漏れ状態)が確認されるか又は示される。
【0290】
ヒータプレートチェックの第2構成では、漏れ検出アルゴリズムは、加湿器のヒータプレートを事前設定された温度まで通電又は加熱する(例えば、ヒータプレートに温度プロセス又は手順を適用する)ように構成されている。事前設定された温度に達すると、ヒータプレートへの電力は電源が切られ、ヒータプレートの1つの温度センサ又は複数の温度センサからの温度データ又は信号に基づいてヒータプレートの冷却速度が監視される。冷却速度が冷却速度の閾値未満である場合、チャンバ外れ(例えば、漏れ状態)が確認されるか又は示される。別法として、アルゴリズムは、ヒータプレートの温度が事前設定されたより低い温度、例えば周囲温度又は他の何らかの好適なより低い温度まで低下させるか又は冷ますのにかかった時間を計算するか又は求めることができる。次いで、かかった時間が時間閾値と比較される。かかった時間が閾値を上回る場合、チャンバ外れ(例えば、漏れ状態)が確認されるか又は示される。
【0291】
第1及び第2構成のヒータプレートチェックは、チャンバが加湿ユニットから取り外されたときに、加湿チャンバ内の水の熱質量が失われることに基づく。特に、水が充填された加湿チャンバがヒータプレートと熱的に接触していない場合、ヒータプレートはより迅速に温度が上昇し、又はよりゆっくりと温度が低下する。
【0292】
上記の第1及び第2ヒータプレートチェックのいずれか一方又は両方は、呼吸装置のコントローラによって、漏れ検出アルゴリズムの一部として、又は別個のヒータプレートチェックアルゴリズムとして、実施又は実行することができる。ヒータプレートチェックの出力は、漏れ状態又は漏れなし状態(例えば、チャンバ装着又はチャンバ外れ)を示す出力インジケータ又はデータであり得る。ヒータプレートチェックによる漏れ検出アルゴリズムの強化又は変更の例について以下に述べる。
【0293】
1つの第1実施形態例では、上述した漏れ検出アルゴリズム700、800は、任意選択的に、漏れ検出アルゴリズムの一部として、第1構成のヒータプレートチェック又は第2構成のヒータプレートチェックのいずれかで強化することができる。図23を参照すると、この第1実施形態例では、ヒータプレートチェック808は、漏れ検出状況(704、806)に入る前に、追加の又は補足的なプロセス又は漏れ確認段階として実行される。特に、第1段階の漏れ評価(702、802)又は第2段階の漏れ評価(707、803~805)のいずれかの後に、漏れ検出プロセスが確実な漏れを判断した場合、上述した第1構成又は第2構成のいずれか又は両方に従って、1つ又は複数のヒータプレートチェック808を開始することができる。1つ又は複数のヒータプレートチェックが、漏れ状態(例えばチャンバ外れ)を確認した場合、漏れ検出アルゴリズムは、漏れ検出状況(704、806)に進み、1つ又は複数のアラーム動作をトリガする。この例では、アルゴリズムが、アラーム動作が開始される漏れ検出段階に移る前に、1つ又は複数のヒータプレートチェック808がさらに漏れの状態を確認する。
【0294】
第2実施形態例では、第2段階の漏れ評価(706、803~805)が、漏れの可能性のある状態が漏れ状態又は漏れなし状態のいずれかとして決定されるまで、上昇したモータ速度で段階的に進み、検知された圧力を漏れ閾値に対して再チェックするのではなく、1つ又は複数のヒータプレートチェックに置き換えられるように、上述した漏れ検出アルゴリズム700、800を変更することができる。この第2実施形態例では、第1段階の漏れ評価(702、802)において漏れの可能性のある状態が検出された後、ヒータプレートチェックのうちの1つ又は複数が開始されるように、漏れ検出アルゴリズム700、800が変更される。1つ又は複数のヒータプレートチェックは、漏れの可能性のある状態が検出された後に、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定するために実施される。1つ又は複数のヒータプレートチェックが、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ(例えば、チャンバが外れている)と確認した場合、アルゴリズムは漏れ検出状況(704、806)に進む。1つ又は複数のヒータプレートチェックが、漏れの可能性が漏れなし状態である(例えば、チャンバが接続されている)と決定した場合、アルゴリズムは、漏れが検出されていないと決定した後、適用する前述のステップに従って第2段階の漏れ評価の終了に進む。特に、漏れ閾値を更新することができ(712、807)、アルゴリズムは、通常動作又はフロー制御に戻り、第1段階の漏れ評価段階に戻って、装置が動作を継続するに従い次の入来データストリームをさらに処理する。この第2実施形態例では、第2段階の漏れ評価において、漏れの可能性のある状態を決定するためのモータ速度の段階的な上昇はなく、むしろ、漏れの可能性を確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定するために1つ又は複数のヒータプレートチェックが実施される。
【0295】
変更された漏れ検出アルゴリズムで使用されているヒータプレートチェックの上記第1及び第2実施形態例は、呼吸装置が治療モード又は乾燥モードで動作しているときに採用することができる。
【0296】
3.3漏れ検出プロセスの詳細な第2例-消毒モード
消毒キット又はアセンブリ
漏れ検出アルゴリズムは、呼吸装置の他の非治療モード中に動作するように構成することができる。こうした1つの他の非治療モードは消毒モードである。簡単に言えば、呼吸装置は、治療セッションに続いて流路内の1つ又は複数の構成要素を消毒するように構成されている、動作可能な消毒モードを有することができる。ここで、図25A図25Cを参照して、消毒モードで動作する漏れ検出アルゴリズムの実施形態例について説明する。図25Aは、図2図21に関して記載したタイプの呼吸装置の簡略化した概略図であり、説明の目的で、同様の数字は同様の又は類似する構成要素を表す。
【0297】
1つの実施形態例では、呼吸装置の消毒モードは、概して、参照によりその全体が本明細書に援用される、2006年12月15日に出願された国際公開第2007/069922号に記載されている原理、説明及び/又は構成に従って動作することができる。
【0298】
図25Aを参照すると、この実施形態例では、呼吸装置10の消毒モードは、呼吸装置の流路内のエルボ導管320(例えば「取外し可能なエルボ」)を消毒するように動作可能である。消毒モードを開始する前に、加湿チャンバ300は、呼吸装置の流路及び加湿チャンバベイ又はコンパートメント108から取り外される。次いで、流路内に消毒キット又はアセンブリが取り付けられる。消毒キット又はアセンブリは、消毒チューブ又は導管1100と、フィルタ又はフィルタアセンブリ1104とを含む。消毒チューブ1100は、一体型の加熱素子1102を含むことができる。消毒チューブ1100の第1端部がガス出口ポート322に接続され、消毒チューブの第2端部が患者出口ポート344又はエルボ導管320に接続される。フィルタ1104若しくはフィルタアセンブリ又は構成要素は、エルボ導管のガス入口ポート340内に又はその上に挿入される。1つの構成では、フィルタ1104は、フィルタキャップ又はフィルタ付きキャップを備え、フィルタキャップ又はキャップはガス入口ポート340と、ガス入口ポート340内に、又はガス入口ポート340の上に係合する。1つの例では、フィルタは、摩擦嵌合を介してガス入口ポート340に受け入れられて保持される。消毒チューブ及びフィルタの構成は、国際公開第2007/069922号に記載されているものと同じか又は同様であり得る。フィルタ1104は、エルボ導管320を押し通されエルボ導管320から出るガスの流れを、ろ過する(1104)ように構成されている。例えば、フィルタ1104は、消毒モード中に発生するガスの流れ中の病原体及び/又は粒子状物質をろ過するように構成される。
【0299】
代替構成では、消毒キット又はアセンブリは、呼吸装置に連結することができるオゾンモジュールを備える。漏れ検出方法は、消毒キットの一部であるオゾンモジュールの脱落又は誤接続を検出するように構成することができる。オゾンモジュールは、呼吸装置の流路を消毒するために流路を通してオゾンガスを圧送するように構成することができる。オゾンモジュールは、設定された期間にわたって使用されることが要求される場合がある。記載する漏れ検出方法は、必要な時間の前に消毒モジュール(すなわち、オゾンモジュール)が取り外されたことを検出し、それにより適切なアラームを引き起こすように構成されている。
【0300】
消毒モード
消毒モードは、治療セッションの終了時、及び/又は消毒チューブが流路に接続されたことを検出したときに、呼吸装置のコントローラが自動的に選択してもよく、又は、制御インタフェースを介してユーザが手動で選択してもよい。
【0301】
消毒チューブ1100及びフィルタ1104を含む消毒キット又はアセンブリが流路内に設置されると、消毒モードを開始することができる。消毒モードの間、呼吸装置は、エルボ導管320を消毒するために、消毒チューブ1100、エルボ導管320を通って、フィルタ1104から大気又は周囲環境に出る高温のガスの流れを予め決められた時間にわたって発生させるように動作する。
【0302】
この実施形態例では、消毒モードの間、流れ発生器は、一定の予め構成された又は事前設定された流量で動作する。消毒モードの1つの構成では、初期フラッシュ段階及び消毒段階がある。初期段階は、エルボ導管320内のあらゆる移動性の凝縮物を洗い流すために、予め決められた又は最短の期間にわたり、より高い流量のガスを発生させるように構成されている。フラッシュ段階が完了すると、消毒段階が開始し、エルボ導管320を予め決められた又は最短の期間にわたって消毒するために、より低い流量及び高温で動作する。
【0303】
1つの構成例では、初期フラッシュ段階は、約30L/minの流量で20秒間~5分間、又は好ましくは30秒間~2分間、流れ発生器を動作させることを含むことができる。初期フラッシュ段階が完了すると、この例では、約11L/minの流量で高温のガスの流れを送達する、消毒段階又はサイクルが開始する。いくつかの実施形態では、消毒チューブ1100は、消毒段階又はサイクルの間、流れ発生器によって発生したガスの流れを高温、例えば70℃超、好ましくは約85℃超、より好ましくは85℃~95℃まで加熱するように動作する。
【0304】
消毒モードの間、流路内に1つ又は複数の漏れが生じる可能性がある。1つの例では、例えば、装置がぶつかることに起因して、消毒キット又はアセンブリのフィルタ1104のフィルタキャップが、脱落する可能性があり、又は、エルボ導管320のガス入口ポート340から緩む可能性がある。別の例では、消毒チューブ1100のいずれか又は両方の端部が、それらのそれぞれのポート322及び/又は344から切り離されるか又は緩んで、漏れを引き起こす可能性がある。
【0305】
消毒モード中の漏れ検出アルゴリズム
本開示の漏れ検出アルゴリズムは、消毒モード中、流路内の1つ又は複数のタイプの漏れ、例えば、エルボ導管320からのフィルタ1104又はフィルタアセンブリの構成要素(例えば、フィルタキャップ)の取外し又は切離し、及び/又はポート322及び/又は344からの消毒チューブの切離し又はポート322及び/又は344への緩い接続を検出するように動作するように構成することができる。
【0306】
1つの構成例では、漏れ検出アルゴリズムは、フィルタ1104又はフィルタ構成要素が存在するか(すなわち、漏れなし)、又は取り外されているか若しくはエルボ導管に接続されていないか(すなわち、漏れ状態)を検出するように調整された漏れ閾値を用いて構成することができる。アルゴリズムが、フィルタ1104又はフィルタ構成要素が接続されていないことを示す漏れ状態を検出した場合、アラームが引き起こされるか又はトリガされる。フィルタ1104は、消毒モードの安全な動作に対して重要な構成要素である。消毒モードにより、非常に高温のガスがポート340においてエルボ導管320から出る。フィルタ1104は、ガスを冷却し、ガスの流れがエルボ導管320から出る際にあらゆる粒子状物質を捕捉する。
【0307】
上述したように、消毒モードの消毒段階は、低い一定の流量で動作する傾向があり、この領域では、先に述べた理由により、漏れ状態と通常動作とを識別することが困難である。したがって、漏れ検出アルゴリズムは、この消毒モードにおいて漏れ状態(例えば、フィルタ又はフィルタキャップ外れ又は接続されていない)をロバストに判断するのに役立つこともできる。
【0308】
図25Bを参照して、消毒モードのための漏れ検出アルゴリズム1000の動作について、単に例としてさらに詳細に説明する。漏れ検出アルゴリズム1000は、図23の漏れ検出アルゴリズム800と同様の方法で、及び図22に関して記載した概要例アルゴリズム700の原理に従って動作する。この例では、漏れ検出アルゴリズム1000は、フィルタ1104又はフィルタ構成要素の取外し若しくは脱落、又は消毒キット又はアセンブリの消毒チューブ1100の接続の切離し又は漏れによって引き起こされる漏れ又は漏れ状態を検出するように構成されている。
【0309】
この実施形態例では、漏れ検出アルゴリズム1000は、消毒モードの初期フラッシュ段階又はサイクルが完了し、装置がエルボ導管320を通して「消毒流量」(例えば、この例では約11L/minの一定の流量)で高温のガスの流れを発生させる消毒段階又はサイクルが開始した後に、開始する。漏れ検出アルゴリズムは、消毒サイクルの間、連続的に動作することができる。
【0310】
第1段階の漏れ評価
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム1000は、ステップ1002における第1段階の漏れ評価に進むことにより開始する(1001)。この第1段階の漏れ評価1002において、(ガスの流れの検知されたゲージ圧を表す)ゲージ圧変数が、確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値と比較されて、装置の漏れ状況、例えば、漏れが検出された、漏れの可能性、又は漏れなしが判断される。この実施形態では、後に説明するように、それぞれの評価基準が満たされることに基づいて、1つ又は各状態が満たされたか又は検出されたとみなすことができる。この実施形態では、ゲージ圧を1つ又は複数の閾値と比較することに基づくさまざまな評価は、同時に又は並行して行うことができる。他の構成では、いずれの漏れ状態が満たされるかの評価は、逐次、又は特定の条件付き順序で行われるように構成してもよい。
【0311】
第1段階の漏れ評価1002で動作している間、装置は、漏れが検出されていない通常の消毒動作にある、すなわち、漏れなし状況(例えば、フィルタ1104又はフィルタキャップが接続されている)にあるとみなすことができる。この状況又は段階において、呼吸装置は、消毒流量に従って通常の消毒動作を継続する。
【0312】
この実施形態では、アルゴリズムは、評価するために、ガスの流れの測定又は検知された流量、測定又は検知されたゲージ圧変数、及び漏れ閾値を表す入力データを取得し及び/又は受け取る。入力データは、特定のサンプリング周波数に従って、又はデータがセンサ及び/又は主コントローラ及び/又は装置のメモリから入手可能になるに従い連続的に、取得することができる。1つの構成では、入力データは、データの移動窓に基づく移動平均であり得る。データの窓は、例えば、構成期間又はデータサンプルの数に基づいて決定することができる。1つの例では、入力データは、検知された流量、検知されたゲージ圧及び漏れ閾値の10秒移動平均であり得る。別の構成では、漏れ検出アルゴリズムによって使用される入力データは、検知された流量、検知されたゲージ圧及び漏れ閾値の最新の瞬間データであってもよい。
【0313】
この実施形態では、ステップ1002において、アルゴリズムによって行われる評価のうちの1つは、確実な漏れ状態を判断することである。この実施形態では、確実な漏れ状態を判断するために、アルゴリズムは、ゲージ圧変数を確実な漏れ状態を表す(この実施形態では圧力閾値である)確実な漏れ閾値Pleakと比較する。ゲージ圧変数Pgaugeが最短評価時間にわたって、確実な漏れ閾値Pleakよりも小さい場合、漏れ状態が満たされ、アルゴリズムは1006において漏れアラームを引き起こすか又は生成する。1つの構成では、ゲージ圧変数Pgaugeは、15秒間の最短評価期間にわたって、確実な漏れ閾値Pleakを下回らなければならないが、他の実施形態ではこの期間を調整又は変更してもよいことが理解されよう。
【0314】
ステップ1002における評価に基づいて漏れ検出状態が満たされた場合、アルゴリズムは、1006における漏れアラーム又は漏れ検出状況若しくは段階に移る。漏れ検出状況1006において、アルゴリズムは、可聴、視覚的又は触覚的漏れ検出アラームを生成すること、消毒キット又はアセンブリのフィルタが外れているか又はエルボ導管320から切り離されていることを示すこと、及び/又は流量又はモータ速度を制御又は停止すること、又は他の制御動作等、1つ又は複数のアラーム動作をトリガすることができる。
【0315】
この実施形態例では、アルゴリズム1000は、漏れ検出状況1006において1つ又は複数のアラーム動作を実行するように構成することができる。この実施形態例では、アルゴリズム1000は、以下のアラーム動作例のうちの任意の1つ又は複数を実行することができる。
・漏れアラーム状況1006にある間、漏れが検出された現時点の目標モータ速度を、モータ速度がその現時点の値から変化しないように固定すること。
・ユーザに対する可聴、視覚的及び/又は触覚的アラーム又は漏れ障害通知(例えば、呼吸装置のディスプレイ上のメッセージ又は通知、及び/又は呼吸装置のスピーカ若しくは音声デバイスを介する可聴アラーム)を引き起こすか又はトリガすること。例えば、フィルタ1104又はフィルタキャップをエルボ320上に再接続し、装置及び/又は消毒モードを再始動させるようにユーザを促すことができる。
【0316】
漏れ検出状況1006になると、アルゴリズム1000は、漏れアラームが解消されたか否か、例えば、フィルタが装置のエルボ導管320に再接続されたか又は再び設置されたか否かを、判断又は評価するように構成することもできる。この実施形態では、アルゴリズムは、1006において、圧力変数Pgaugeを確実な漏れ閾値Pleak又は漏れ解消を確認するために特有の別の代替閾値と比較することにより、漏れが解消されたか否かを連続的に評価又は判断する。この実施形態例では、ゲージ圧変数Pgaugeが、この実施形態では3秒間であるが他の実施形態では調整することができる最短評価期間にわたってPleak閾値を超える場合、漏れアラームは解消されたとみなされる。漏れアラームが解消された場合、アルゴリズムは、第1段階の漏れ評価1002に戻り、設定された消毒流量に従って通常の消毒モード動作が再開又は再始動することができる。ゲージ圧変数が最短評価期間を超えてPleak閾値を超えない場合、アルゴリズムは漏れ検出状況1006に留まり、漏れアラームの解消をチェックし続ける。
【0317】
この実施形態では、ステップ1002において、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を判断することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、ゲージ圧変数Pgaugeを、漏れの可能性のある又は潜在的な漏れ状態を表す(この実施形態では圧力閾値である)漏れの可能性閾値Pmaybeと比較する。この実施形態では、ゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価期間にわたって漏れの可能性閾値Pmaybeを下回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされ、アルゴリズムは、(1003で開始する)第2段階の漏れ評価に移って、特定された漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する。この実施形態では、最短評価期間は10秒間であるが、これは異なる実施形態では変更してもよい。
【0318】
上述した評価に基づいて、確実な漏れ状態又は漏れの可能性のある状態のいずれも満たされない場合、アルゴリズムは、漏れが検出されなかったとみなし、通常の消毒モード動作の第1段階の漏れ評価1002に留まり、すなわち、漏れなし状態は満たされたままであり(例えば、消毒フィルタはエルボ導管内にあり)、装置は通常の消毒サイクルを継続する。
【0319】
第2段階の漏れ評価
アルゴリズムは、1002において漏れの可能性のある状態を検出した場合、ステップ1003で開始する第2段階の漏れ評価に移る。この実施形態では、漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価に入る前に、アルゴリズム1000は、ステップ1003において第2段階の漏れ評価に入る前に発生した(例えば、流路内の流量センサ又は他の検知構成によって検知された)測定された流量及び検知された圧力変数を格納するように構成されている。1つの構成では、測定された流量及び格納された検知された圧力変数の格納された値は、上記で説明したように、これらの測定された又は検知された変数の移動平均を表すか、又はそうした移動平均から抽出することができる。例えば、1つの構成では、アルゴリズムは、測定された流量及び検知された圧力変数の移動平均を、動作中に受け取るか、又は動作中に計算し、そこから、第2段階の漏れ評価に入る前に値を抽出して格納することができる。例として、測定された流量及び検知された圧力変数の格納された値は、漏れ閾値限界値のうちの1つ又は複数を更新及び/又は調整することを含む後のアルゴリズムステップで使用することができる。
【0320】
この実施形態では、第2段階の漏れ評価は、1003において、現時点の目標モータ速度を予め決められた増分で、又は第1の若しくは次の事前設定されたより高いモータ速度まで上昇させることを含む。この実施形態では、アルゴリズムは、モータ速度を上昇させ、予め決められた又は最大の期間にわたって第1のより高いモータ速度で固定するように構成されている。1つの構成では、期間は4秒間であり得るが、これは代替実施形態において変更してもよい。後に説明するように、次のより高いモータ速度へのその又は各反復の間、より高いモータ速度は、構成された期間(例えば、この例では4秒間)にわたって維持され、その間に、第2段階の漏れ評価1004が行われて、漏れの可能性を確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定するように試みられる。
【0321】
1003において上昇後のより高いモータ速度になると、アルゴリズム1000は、1004において、1つ又は複数の第2段階の漏れ評価を開始する。例えば、より高いモータ速度での更新された又は新たな検知された圧力変数Pgaugeが、新たな又は更新された確実なPleak及び可能性のあるPmaybe閾値と比較されて、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ状態として決定することができるか、又は漏れなし状態として決定することができるかが判断される。各状態は、この場合もまた、後述するように、検知されたゲージ圧変数Pgaugeを漏れ閾値のうちの1つ又は複数と比較することに基づいて、満たすべきそれ自体の評価基準を有することができる。
【0322】
この実施形態では、ステップ1004において、アルゴリズムによって行われる評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を確実な漏れの状態として決定することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された検知された圧力変数Pgaugeを更新された確実な漏れ閾値Pleakと比較する。この実施形態では、新たなPleakの閾値は、新たなより高いモータ速度及び/又は第1のより高いモータ速度で発生したガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて、更新又は決定される。ゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価期間(例えば、3秒間又は別の構成可能な期間)にわたってPleak閾値を下回る場合、漏れの可能性のある状態は、確実な漏れの状態として確認又は決定され、アルゴリズムは、漏れ検出状況1006に進み、前述したように漏れアラームを生成するか又は1つ若しくは複数のアラーム動作を開始する。
【0323】
この実施形態では、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を漏れなし状態として決定することである。この実施形態では、漏れなし状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された検知された圧力変数Pgaugeを、更新された漏れの可能性閾値Pmaybe及び更新された確実な漏れ閾値Pleakと比較する。上記で説明したように、更新された閾値は、新たなより高いモータ速度及び/又は第1のより高いモータ速度で発生したガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて、抽出又は決定することができる。更新された検知されたゲージ圧変数Pgaugeが、最短評価時間(例えば、3秒間又は別の構成可能な期間)にわたってPmaybe閾値を上回るとともにPleak閾値を上回る場合、漏れの可能性は、漏れが検出されなかったとして決定され、アルゴリズムは、第1段階の評価1002並びに通常動作及び/又はフロー制御に戻る。
【0324】
この実施形態では、1004において第2段階の漏れ評価を終了したとき(漏れの可能性が漏れなしであると解決した後)、ステップ1002及び通常動作1001に戻る前に、アルゴリズムは、任意選択的に、1007において閾値調整プロセスを実行することができる。この実施形態では、閾値調整プロセス1007は、アルゴリズムが将来のチェックにおいて同じシナリオで無限にループするのを防止するために、Pmaybe閾値を調整するか又は低下させるように構成することができる。1つの構成では、Pmaybe閾値は、1つ又は複数の変数を有する調整又は補正関数1007に基づいて調整することができる。例として、調整又は補正関数の変数は、前述したように、ステップ1003において第2段階の漏れ評価に入る前に格納された、測定された流量及び検知された圧力の変数値を含むことができる。さらに、調整又は補正関数は、1つ又は複数のさらなる変数又は定数を含むことができる。1つの構成では、調整又は補正関数は、調整の大きさが格納された測定された流量に応じて変化する可能性があるように、格納された測定された流量によって決まる定数変数を有していてもよい。1つの構成では、調整又は補正関数が、より低い流量又はより低い流量範囲でPmaybe閾値に対してより小さい調整を行うように、定数変数を構成してもよい。
【0325】
1つの実施形態では、閾値調整関数1007は、バッファ値Pbufferに少なくとも部分的に基づいてPmaybe閾値を更新することを含むことができる。1つの構成では、Pbuffer値は、第1段階1002を終了した後に格納された測定された流量によって少なくとも部分的に決まる場合がある。別の構成では、Pbuffer値は定数であってもよい。1つの構成では、Pmaybe閾値は、測定された流量及び1つ又は複数の定数によって決まる閾値関数から抽出される。この構成例では、閾値調整関数は、Pbuffer値に少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。別の例では、閾値調整関数は、Pbuffer値と、Pmaybe閾値と、第1段階1002を終了した後に格納された測定された圧力値とに少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。
【0326】
調整又は補正関数1007のいくつかの構成では、1003における第2段階の漏れ評価に入る前に検知された、離散的な測定された流量でのPmaybe閾値を、計算された又は予め決められた量だけ減少又は漸減させる場合がある。他の構成では、Pmaybe閾値関数又は閾値曲線全体を、動作流量範囲全体にわたって、計算された又は予め決められた量だけ減少又は漸減させる場合がある。
【0327】
1004における第2段階の漏れ評価に戻ると、上述した評価に基づいて確実な漏れの状態又は漏れなし状態のいずれも満たされない場合、漏れの可能性のある状態は未決定とみなされる。この実施形態では、タイマに基づく予め決められた期間(例えば、この例では4秒間であるが、別の構成可能な期間とすることができる)にわたって、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、第2段階の漏れ評価プロセスが繰り返すが、さらに高いモータ速度で繰り返す。
【0328】
この実施形態では、タイマが満了し、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、アルゴリズムは、1004を終了し、モータ速度チェック1005を開始する。この実施形態では、モータ速度チェック1005は、第2段階の漏れ評価の開始1003を繰り返すか又は開始1003に戻るようにループする前に、現時点の目標モータ速度を事前設定された又は構成可能なモータ速度閾値(MAXRPM)と比較することを含む。
【0329】
この実施形態では、モータ速度チェック1005において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMと等しいか又はそれを上回る場合、アルゴリズムは第2段階の漏れ評価を終了し、漏れの可能性を漏れなし状態として決定し、先に説明した閾値調整プロセス1007を介して第1段階1002及び通常動作に戻る。モータ速度チェック1005は、アルゴリズムに追加の終了条件を提供し、アルゴリズムが第2段階で無限にループすること、及び/又は、安全閾値又は構成要素閾値を超えてモータ速度を上昇させることを防止する。
【0330】
モータ速度チェック1005において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMを下回る場合、アルゴリズムは、ステップ1003に戻るようにループし、第1のより高いモータ速度を第2の又は次のより高いモータ速度まで再び上昇させ、漏れの可能性を確実な漏れの状態又は漏れなし状態として決定しようと試みて、1004において評価を繰り返す。
【0331】
図示するように、第2段階は、モータ速度を、予め決められた量だけ又は次の予め決められたより高いモータ速度まで、連続的に又は繰返し漸増させることと、次いで、漏れ状態が満たされるか、漏れなし状態が満たされるか、又は1005においてモータ速度チェックで否となるまで、1004において評価を行う。理解されるように、評価に応じて、アルゴリズムの第2段階は、終了して1002(漏れがない)又は1006(漏れが検出された)に戻る前に、1回、2回又は複数回完了する場合がある。
【0332】
ステップ1003において、モータ速度の増分は、事前設定された又は構成可能な増分であってもよく、又は予め選択された離散的なより高いモータ速度の事前設定された又は構成可能な系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増してもよいことが理解されよう。単に例として、1つの構成では、ステップ1006におけるモータ速度の上昇は、現時点のモータ速度を、5000rpm、6750rpm、8500rpm、10250rpm及び12000rpmのモータ速度を含む系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増させることに基づき、モータ速度が、第2段階の漏れ評価の各サイクル又はループごとに1750rpmずつ上昇するようになっている。この例では、圧力変数がPmaybe及びPleak閾値と比較される、5つのあり得る離散的なモータ速度段階があるが、これは、要求に応じてより多いか又は少ない段階に変更してもよい。
【0333】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム1000は、1002において第1段階の漏れ評価及び通常動作に戻ると、繰り返す。1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、圧力センサからの更新されたリアルタイムに検知された圧力変数データを受け取ると、連続的に動作する。他の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、定期的に動作するように構成してもよい。前述したように、いくつかの構成では、装置が通常の消毒動作を開始又は再開したとき、漏れ閾値に対する漏れ評価比較は、所定のイベントの後、予め決められた遅延期間にわたって中断するか又は遅延させてもよい。こうしたイベントとしては、限定されないが、新たな消毒の開始、装置の再始動、1006における以前の漏れアラームの解消(例えば、消毒キットのフィルタが再度設置されたか又は再度接続された)、又は、例えば、漏れアラームが解消された後、若しくは漏れが検出されずに第2段階の漏れ評価を終了した後、1002において通常の消毒動作が再開された場合を挙げることができる。
【0334】
消毒モードの漏れ閾値
消毒モードの漏れ検出アルゴリズム1000は、上述したように、通常の治療モード又は乾燥モードにおける漏れ検出アルゴリズム800と実質的に同様の方法で動作する。しかし、消毒モードでは、消毒キット又はアセンブリ構成要素が流路内に挿入され、加湿チャンバ及び患者回路が取り外されるか又は存在しないため、装置10又はシステムの流路が異なる。したがって、漏れ検出アルゴリズム1000は、消毒キット又はアセンブリ(例えば、消毒チューブ1100及びフィルタ1104)が流路内にあることによって引き起こされる変更された流路特性に特有の異なる漏れ閾値に依拠する。
【0335】
図25Cを参照すると、Pleak、Pmaybeの閾値に対する異なる漏れ閾値の一例(例えば、漏れ曲線又は関数)が示されており、この例についてさらに説明する(これらの閾値は、治療モード及び乾燥モードで使用される図24Aに関して記載したものとは異なる漏れ閾値と比較することができる)。
【0336】
図25Cを参照すると、消毒モードの漏れ検出アルゴリズムで使用される漏れ閾値の性質を論証するために、(図24Aと同様の)圧力対流量のプロット1950が示されている。先に説明したように、本実施形態において検出されている漏れは、消毒キットのフィルタ構成要素が装置の流路から部分的に又は完全に取り外されるか若しくは切り離されること、及び/又は消毒チューブが切り離されるか若しくは漏れのある態様で緩く接続されることに関連し、漏れ閾値は、消毒キット構成要素が適切に取り付けられた状態で正常に動作している装置と、フィルタ構成要素が外れており及び/又は消毒チューブが取り外されているか若しくは漏れのある態様で緩く接続されていて、漏れのある状態で動作している装置とにおける、ガスの流れに関連する圧力対流量特性に基づいて導出される。
【0337】
leak閾値関数例は、1950における圧力対流量グラフ上の閾値曲線又は線1951として描かれている。Pmaybe閾値関数例は、1950における圧力対流量グラフ上の閾値曲線又は線1952として描かれている。
【0338】
1953で表す関数又は曲線又はデータは、消毒モードで正常に動作している(すなわち、消毒キット及び/又は流路に漏れがない)装置の場合の、動作流量範囲に対するガスの流れの検知された圧力特性である。1954で表す関数又は曲線又はデータは、消毒フィルタが外れており及び/又は消毒チューブが切り離されているか若しくは緩く接続されていることに起因する漏れがある、消毒モードで動作している装置の場合の、動作流量範囲に対するガスの流れの検知された圧力特性である。
【0339】
1955で強調表示されている低流量領域に示すように、通常動作及び漏れのある動作の場合の圧力対流量曲線1953及び1954は、この領域で収束し、それにより、この例では約11L/min又は消毒モードのための他の任意の適切な流量である、消毒モード流量等、低流量で真の又は確実なフィルタ外れ又は切り離された消毒チューブの漏れを識別することが困難になる。本開示の漏れ検出アルゴリズムは、漏れ(例えばフィルタ外れ)又は漏れなし(例えばフィルタ装着)状態を決定的に判断するために曲線間のより明確な識別を提供するために、モータ速度を増分的に上昇させることによって、この問題に対処する手段を提供する。
【0340】
この構成例では、Pleak閾値1951及びPmaybe閾値1952の曲線又は線は、治療モード及び乾燥モードの実施態様についてセクション3.2で上述したものと同じ関数又は方程式(1)及び式(2)から導出することができる。上述したように、式(1)及び(2)中の定数k1~k6のうちの1つ又は複数は、消毒モードの漏れ曲線の場合、治療及び乾燥モードで使用される漏れ曲線と比較して異なる。特に、漏れ閾値関数で使用される1つ又は複数の定数k1~k6は、消毒モードの流路の特性、及び/又は消毒モードで検出されている特定のタイプの漏れ(例えば、フィルタ外れ、及び/又は緩いか若しくは切り離された消毒チューブ)に固有である。
【0341】
消毒モード設定を確認するためのヒータプレートチェック
任意選択的に、1つの実施形態では、装置10のコントローラは、消毒モードを開始する前に、上記セクション3.2に記載したヒータプレートチェックのうちの1つ又は複数を実施するように構成してもよい。特に、ヒータプレートチェックのうちの1つ又は複数を実行して、消毒モードが動作し、消毒キットが流路に設置されるのを可能にするための要件である、チャンバが切り離されているか又は外れていることをチェックすることができる。ヒータプレートチェックが、チャンバが依然として装着されていることを示す場合、消毒モードが動作しないようにすることができる。
【0342】
消毒モードでの閉塞検知
図26を参照すると、1つの実施形態では、消毒モードで動作しているとき、装置10は、閉塞検出アルゴリズム1500を実行又は実施するようにも構成することができる。閉塞検出アルゴリズム1500は、単独で動作してもよく、又は、漏れ検出アルゴリズム1000と並行して動作してもよい。
【0343】
閉塞検出アルゴリズム1500は、消毒モード動作中に流路に問題のある閉塞が検出された場合に、それを検出してアラームをトリガするように構成されている。例えば、消毒モード中に、フィルタ1104又は消毒チューブ1100は、凝縮物若しくは粒子状物質により、又は消毒チューブのキンクにより、完全に又は部分的に閉塞する可能性がある。
【0344】
この実施形態例では、閉塞検出アルゴリズム1500は、閉塞評価段階1502において、ゲージ圧変数Pgaugeを表す入来データを閉塞閾値Pblockと比較するように構成されている。圧力変数Pgaugeが予め決められた評価期間にわたって閉塞閾値Pblockよりも大きい場合、閉塞検出アルゴリズムは、1504において示すように、1つ又は複数のアラーム又は障害動作をトリガする。この例では、予め決められた評価期間は5秒間であるが、他の任意の好適な期間を使用してもよい。閉塞が検出されない場合、閉塞検出アルゴリズムは評価段階1502に留まり、あらゆる閉塞イベント又は状態を特定するように、閉塞閾値Pblockに対して入来ゲージ圧変数データPgaugeを評価し続ける。
【0345】
評価段階1502において閉塞が検出された場合、閉塞検出アルゴリズム1500は、1つ又は複数のアラーム動作を開始する。この実施形態例では、閉塞検出アルゴリズムは、閉塞アラーム1504を引き起こす。閉塞アラーム1504は、可聴、視覚的(例えば、ディスプレイ上の通知又はメッセージ)及び/又は触覚的であってもよい。その後、閉塞アラームは、ユーザが(例えば、消毒チューブ若しくはフィルタを洗浄するか、又はチューブのキンクを解除するか、又は他の方法で閉塞の原因を解消することにより)解消する必要がある。閉塞が取り除かれると、1506に示すように、ユーザが手動で消毒モード又はサイクルを再始動することにより、トリガされた閉塞アラーム又は障害が解消されるか又は取り除かれる。消毒モードが再始動されると、閉塞検出アルゴリズム1500は、評価段階1502に戻り、消毒サイクルが動作するに従い、何らかの新たな閉塞状態がないかチェックし続ける。
【0346】
この例では、閉塞閾値Pblockは、少なくとも部分的にガスの流れの流量によって決まる閉塞閾値又は関数から導出することができる。例として、この実施形態では、閉塞閾値は、以下の形式であり得る
【数2】
式中、Qstpd,filtは、フィルタリングされたSTPD流量であり、k1~k3は、装置及び/又は流路特性及び/又は消毒モードに固有の定数であり、値βは、装置が動作している検知された周囲圧力と、ガスの流れの検知された温度(例えば、エルボ導管の出口、又は流路内の他のいずれかの好適な位置における又はその近くのガスの流れの温度)とに少なくとも部分的に基づく関数である。この例では、式(3)は2次関数であり得る。
【0347】
上述した閉塞検出アルゴリズムは、治療モード及び/又は乾燥モードを含む呼吸装置の他のモードにおいても、流路内の閉塞を検出するために使用することができる。閉塞を定義する閉塞閾値Pblock関数又は曲線は、異なり、それらの他のモードに固有の流路特性及び構成によって決まる可能性がある。例として、装置が治療モードで動作している場合、閉塞検出アルゴリズムは、圧力変数Pgaugeが予め決められた期間(例えば、5秒間若しくは10秒間、又は他の評価期間)にわたって閉塞閾値Pblockを上回るか否かに基づいて、閉塞があるかチェック及び監視することができ、ここで、Pblock閾値は、現時点の動作流量に少なくとも部分的に基づいてPblock閾値関数又は曲線から抽出される。閉塞が検出されると、上記のように閉塞アラームが生成される。その後、ユーザは、流路内の閉塞を解消し、治療モードを再始動することができる。
【0348】
3.4漏れ検出プロセスの詳細な第3例-漏れ流量閾値
図27A及び図27Bを参照して、2段階漏れ検出アルゴリズム3000の代替形態について説明する。漏れ検出アルゴリズム3000は、前述した漏れ検出アルゴリズム700、800及び1000と同様であるが、漏れ評価段階及び決定が、検知された圧力変数を漏れ閾値と比較するのではなく、測定された検知された流量又は流量変数を漏れ閾値と比較することに基づいていることが異なる。
【0349】
漏れ検出アルゴリズム3000は、前述したアルゴリズムと同様の方法で、治療モード及び非治療モード(例えば、乾燥モード及び消毒モード)における漏れを検知するように適合させ及び構成することができることが理解されよう。特に、評価に使用される特定の漏れ閾値は、検出されている特定のタイプの漏れ及び/又は装置10の動作モードにカスタマイズすることができる。
【0350】
図27Aを参照すると、単に例として、漏れ検出プロセス又はアルゴリズム3000の一実施形態の詳細なフロー図が示されている。このアルゴリズム例3000は、前述した先行するアルゴリズム700、800及び1000と同様の全体的な動作原理を利用し、それらのアルゴリズムに関して記載した特徴は、このアルゴリズム3000にも適用することができることが理解されよう。
【0351】
漏れ検出アルゴリズム3000のこの実施形態は、治療モード及び乾燥モード(例えば、チャンバ外れによって引き起こされる漏れ状態)と、消毒モード(例えば、フィルタ外れ又は消毒チューブの切離し)に関して前述した、流路内の漏れのタイプのうちの任意のものを検出するように構成されている。アルゴリズムに採用される漏れ閾値は、検出されている漏れのタイプ及び/又は装置の動作モードに基づくことができる。
【0352】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム3000は、装置の通常動作中に(例えば、治療モード、乾燥モード又は消毒モードのいずれであっても)開始する(3001)。通常動作中、装置の流れ発生器は、前述のように、治療モードにおける治療セッションのための構成可能なユーザ設定流量、又は乾燥モード若しくは消毒モード等の非治療モードに特有の所定の事前設定された又は予め構成された流量で、ガスの流れを発生させる。
【0353】
この実施形態では、アルゴリズム3000は、流路内のガスの流れの流量を検知するように構成された流量センサ又はセンサによって検知された、流量信号又はデータを表すか又は示す流量変数を受け取る。いくつかの構成では、流量変数は、生の検知された流量信号又はデータであってもよい。他の構成では、流量変数は、生の検知された流量信号又はデータの処理された又はフィルタリングされたバージョンであってもよい。1つの構成例では、流量変数は、フィルタリングされたSTPD流量であり得る。
【0354】
この実施形態では、アルゴリズム3000は、主に、第1段階の漏れ評価3002と、3003、3004及び3005のステップ及び評価又は判断を含む第2段階の漏れ評価とを有する。第1段階の漏れ評価3002は、確実な漏れがあるか、漏れの可能性があるか、又は漏れがないかを判断することができる。第2段階の漏れ評価は、第1段階からの漏れの可能性の判断を、確実な漏れ又は漏れなしのいずれかとして決定するように構成されている。
【0355】
1つの実施形態では、アルゴリズム3000は、1つ又は複数の特定のイベントから予め決められた遅延期間が満了するまで、動作が中断されるか又は遅延する。これらのイベントは、(動作モードに応じて)治療セッションの開始、乾燥モードの開始、消毒サイクルの開始、通常動作又はフロー療法制御の開始、漏れアラーム又は他のアラームの解消のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。こうした構成では、例えば、アルゴリズム3000は、1つ又は複数の選択又は構成されたこうしたイベント後の遅延期間中は、動作せず、漏れアラームを生成又はトリガすることはできない。他の実施形態では、アルゴリズム3000は、治療セッション、乾燥セッション、消毒サイクルの開始時、又は漏れアラームが解消された後に通常のフロー制御が再開したときに、連続的及び直ちに動作可能であり得る。
【0356】
第1段階の漏れ評価
この実施形態では、任意の必要な遅延期間が満了した後、アルゴリズム3000は、ステップ3002における第1段階の漏れ評価に進むことにより開始する(3001)。この第1段階の漏れ評価3002において、流量変数が、確実な漏れ閾値及び漏れの可能性閾値と比較されて、装置の漏れ状況、例えば、漏れが検出された、漏れの可能性、又は漏れなしが判断される。この実施形態では、後に説明するように、それぞれの評価基準が満たされることに基づいて、1つ又は各状態が満たされたか又は検出されているとみなすことができる。この実施形態では、流量を1つ又は複数の閾値と比較することに基づくさまざまな評価は、同時に又は並行して行うことができる。他の構成では、いずれの漏れ状態が満たされるかの評価は、逐次、又は特定の条件付き順序で行われるように構成してもよい。
【0357】
第1段階の漏れ評価3002で動作している間、装置は、漏れが検出されない通常動作にある、すなわち漏れなし状況にあるとみなすことができる。この状況又は段階において、呼吸装置は、(動作モード、例えば、治療モード、乾燥モード又は消毒モードに応じて)設定流量による通常動作及び通常のフロー制御を継続する。
【0358】
この実施形態では、アルゴリズムは、評価するために、ガスの流れの測定又は検知された流量及び漏れ閾値を表す入力データを取得し及び/又は受け取る。入力データは、特定のサンプリング周波数に従って、又はデータがセンサ及び/又は主コントローラ及び/又は装置のメモリから入手可能になるに従い連続的に、取得することができる。1つの構成では、入力データは、データの移動窓に基づく移動平均であり得る。データの窓は、例えば、構成期間又はデータサンプルの数に基づいて決定することができる。1つの例では、入力データは、検知された流量及び漏れ閾値の10秒移動平均であり得る。別の構成では、漏れ検出アルゴリズムによって使用される入力データは、検知された流量及び漏れ閾値の最新の瞬間データであってもよい。
【0359】
この実施形態では、ステップ3002において、アルゴリズムによって行われる評価のうちの1つは、確実な漏れ状態を判断することである。この実施形態では、確実な漏れ状態を判断するために、アルゴリズムは、流量変数Flowmeasuredを確実な漏れ状態を表す(この実施形態では流量閾値である)確実な漏れ閾値Flowleakと比較する。流量変数Flowmeasuredが最短評価時間にわたって、確実な漏れ閾値Flowleakよりも小さい場合、漏れ状態が満たされ、アルゴリズムは3006において漏れアラームを引き起こすか又は生成する。1つの構成では、流量変数Flowgaugeは、15秒間の最短評価期間にわたって、確実な漏れ閾値Flowleakを下回らなければならないが、他の実施形態ではこの期間を調整又は変更してもよいことが理解されよう。
【0360】
ステップ3002における評価に基づいて漏れ検出状態が満たされた場合、アルゴリズムは、3006における漏れアラーム又は漏れ検出状況若しくは段階に移る。漏れ検出状況3006において、アルゴリズムは、限定されないが、アルゴリズム700、800及び1000に関して先に説明したように、可聴、視覚的又は触覚的漏れ検出アラームを生成すること、及び/又は流量又はモータ速度を制御又は停止すること、他の装置構成要素を制御すること、及び/又は他の制御動作等、1つ又は複数のアラーム動作をトリガすることができる。検出されている漏れのタイプ及び/又は装置の動作モードに応じて、前述したアルゴリズム700、800及び1000のアラーム動作のうちの任意のものを採用することができる。
【0361】
漏れ検出状況3006になると、アルゴリズム3000は、漏れアラームが解消されたか否か、例えば、治療モード又は乾燥モードにおいてチャンバが装置及び/又は流路に再接続されたか又は再び設置されたか否か、又は、消毒モードにおいてフィルタが再接続されたか又は設置されたか否かを判断又は評価するように構成することもできる。この実施形態では、アルゴリズムは、3006において、流量変数Flowmeasuredを確実な漏れ閾値Flowleak、又は漏れ解消を確認するために特有の別の代替閾値と比較することにより、漏れが解消されたか否かを連続的に評価又は判断する。この実施形態例では、流量変数Flowmeasuredが、この実施形態では3秒間であるが他の実施形態では調整することができる最短評価期間にわたってFlowleak閾値を下回る場合、漏れアラームは解消されたとみなされる。漏れアラームが解消された場合、アルゴリズムは、第1段階の漏れ評価3002及び適用可能なモード(治療モード、乾燥モード又は消毒モード)の設定流量による通常動作又は通常のフロー制御に戻る。流量変数が最短評価期間を超えてFlowleak閾値未満に低下する場合、アルゴリズムは、漏れ検出状況3006に留まり、漏れアラームの解消をチェックし続ける。
【0362】
この実施形態では、ステップ3002において、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を判断することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、流量変数Flowmeasuredを、漏れの可能性のある又は潜在的な漏れ状態を表す(この実施形態では流量閾値である)漏れの可能性閾値Flowmaybeと比較する。この実施形態では、流量変数Flowmeasuredが、最短評価期間にわたって漏れの可能性閾値Flowmaybeを上回る場合、漏れの可能性のある状態が満たされ、アルゴリズムは、(1003で開始する)第2段階の漏れ評価に移って、特定された漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定する。この実施形態では、最短評価期間は10秒間であるが、これは異なる実施形態では変更してもよい。
【0363】
上述した評価に基づいて、確実な漏れ状態又は漏れの可能性のある状態のいずれも満たされない場合、アルゴリズムは、漏れが検出されなかったとみなし、通常動作の第1段階の漏れ評価3002に留まり、すなわち、漏れなし状態は満たされたままであり、装置は適用可能な動作モード(例えば、治療モード、乾燥モード、消毒モード)に対する通常動作でのフロー制御を継続する。
【0364】
第2段階の漏れ評価
アルゴリズムは、3002において漏れの可能性のある状態を検出した場合、ステップ3003で開始する第2段階の漏れ評価に移る。この実施形態では、漏れの可能性を確実な漏れ又は漏れなしとして決定するために第2段階の漏れ評価に入る前に、アルゴリズム3000は、ステップ3003において第2段階の漏れ評価に入る前の(例えば、流路内の流量センサ又は他の検知構成によって検知された)測定された流量及びモータ速度を格納するように構成されている。1つの構成では、測定された流量及びモータ速度の格納された値は、上記で説明したように、これらの測定された又は検知された変数の移動平均を表すか、又はそうした移動平均から抽出することができる。例えば、1つの構成では、アルゴリズムは、測定された流量変数及びモータ速度の移動平均を、動作中に受け取るか、又は動作中に計算し、そこから、第2段階の漏れ評価に入る前に値を抽出して格納することができる。例として、測定された流量及び/又は流量変数の格納された値は、漏れ閾値限界値のうちの1つ又は複数を更新及び/又は調整することを含む後のアルゴリズムステップで使用することができる。
【0365】
この実施形態では、第2段階の漏れ評価は、3003において、現時点の目標モータ速度を予め決められた増分で、又は第1の若しくは次の事前設定されたより高いモータ速度まで上昇させることを含む。この実施形態では、アルゴリズムは、モータ速度を上昇させ、予め決められた又は最大の期間にわたって第1のより高いモータ速度で固定するように構成されている。1つの構成では、期間は4秒間であり得るが、これは代替実施形態において変更してもよい。後に説明するように、次のより高いモータ速度へのその又は各反復の間、より高いモータ速度は、構成された期間(例えば、この例では4秒間)にわたって維持され、その間に、第2段階の漏れ評価3004が行われて、漏れの可能性を確実な漏れ状態又は漏れなし状態として決定するように試みられる。
【0366】
3003において上昇後のより高いモータ速度になると、アルゴリズム3000は、3004において、1つ又は複数の第2段階の漏れ評価を開始する。例えば、より高いモータ速度での更新された又は新たな流量変数Flowmeasuredが、新たな又は更新された確実なFlowleak及び可能性のあるFlowmaybe閾値と比較されて、漏れの可能性のある状態を確実な漏れ状態として決定することができるか、又は漏れなし状態として決定することができるかが判断される。各状態は、この場合もまた、後述するように、流量変数Flowmeasuredを漏れ閾値のうちの1つ又は複数と比較することに基づいて、満たすべきそれ自体の評価基準を有することができる。
【0367】
この実施形態では、ステップ3004において、アルゴリズムによって行われる評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を確実な漏れの状態として決定することである。この実施形態では、漏れの可能性のある状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された流量変数Flowmeasuredを更新された確実な漏れ閾値Flowleakと比較する。この実施形態では、新たなFlowleakの閾値は、流れ発生器の新たなより高いモータ速度に少なくとも部分的に基づいて、更新又は決定される。流量変数Flowmeasuredが、最短評価期間(例えば、3秒間又は別の構成可能な期間)にわたってFlowleak閾値を上回る場合、漏れの可能性のある状態は、確実な漏れの状態として確認又は決定され、アルゴリズムは、漏れ検出状況3006に進み、前述したように漏れアラームを生成するか又は1つ若しくは複数のアラーム動作を開始する。
【0368】
この実施形態では、アルゴリズムによって行われる他の評価のうちの1つは、漏れの可能性のある状態を漏れなし状態として決定することである。この実施形態では、漏れなし状態を判断するために、アルゴリズムは、更新された流量変数Flowmeasuredを、更新された漏れの可能性閾値Flowmaybe及び更新された確実な漏れ閾値Flowleakと比較する。上記で説明したように、更新された閾値は、流れ発生器の新たなより高いモータ速度に少なくとも部分的に基づいて、抽出又は決定することができる。更新された検知された流量変数Flowmeasuredが、最短評価時間(例えば、3秒間又は別の構成可能な期間)にわたってFlowmaybe閾値を下回るとともにPleak閾値を下回る場合、漏れの可能性は、漏れが検出されなかったとして決定され、アルゴリズムは、第1段階の評価3002並びに現時点の動作モードに対する通常動作及び/又はフロー制御に戻る。
【0369】
この実施形態では、3004において第2段階の漏れ評価を終了したとき(漏れの可能性が漏れなしであると解決した後)、ステップ3002及び通常動作3001に戻る前に、アルゴリズムは、任意選択的に、3007において閾値調整プロセスを実行することができる。この実施形態では、閾値調整プロセス3007は、アルゴリズムが将来のチェックにおいて同じシナリオで無限にループするのを防止するために、Flowmaybe閾値を調整するか又は低下させるように構成することができる。1つの構成では、Flowmaybe閾値は、1つ又は複数の変数を有する調整又は補正関数3007に基づいて調整することができる。
【0370】
例として、調整又は補正関数の変数は、前述したように、ステップ3003において第2段階の漏れ評価に入る前に格納された、格納された流量変数及び/又はモータ速度を含むことができる。さらに、調整又は補正関数は、1つ又は複数のさらなる変数又は定数を含むことができる。1つの構成では、調整又は補正関数は、調整の大きさが格納された流量変数に応じて変化する可能性があるように、格納された流量変数によって決まる定数変数を有していてもよい。1つの構成では、調整又は補正関数が、より低い流量又はより低い流量範囲でFlowmaybe閾値に対してより小さい調整を行うように、定数変数を構成してもよい。
【0371】
1つの実施形態では、閾値調整関数3007は、バッファ値Flowbufferに少なくとも部分的に基づいてFlowmaybe閾値を更新することを含むことができる。1つの構成では、Flowbuffer値は、第1段階3002を終了した後に格納された測定された流量変数及び/又はモータ速度によって少なくとも部分的に決まる場合がある。別の構成では、Flowbuffer値は定数であってもよい。1つの構成では、Flowmaybe閾値は、モータ速度及び1つ又は複数の定数によって決まる閾値関数から抽出される。この構成例では、閾値調整関数は、Flowbuffer値に少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。別の例では、閾値調整関数は、Flowbuffer値と、第1段階3002を終了した後に格納された流量変数及びモータ速度値とに少なくとも部分的に基づいて、閾値関数の1つ又は複数の定数を調整するように構成される。
【0372】
調整又は補正関数3007のいくつかの構成では、3003における第2段階の漏れ評価に入る前に検知された、離散的なモータ速度でのFlowmaybe閾値を、計算された又は予め決められた量だけ漸増させる場合がある。他の構成では、Flowmaybe閾値関数又は閾値曲線全体を、動作流量又はモータ速度範囲全体にわたって、計算された又は予め決められた量だけ増加させる場合がある。
【0373】
3004における第2段階の漏れ評価に戻ると、上述した評価に基づいて確実な漏れの状態又は漏れなし状態のいずれも満たされない場合、漏れの可能性のある状態は未決定とみなされる。この実施形態では、タイマに基づく予め決められた期間(例えば、この例では4秒間であるが、別の構成可能な期間とすることができる)にわたって、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、第2段階の漏れ評価プロセスが繰り返すが、さらに高いモータ速度で繰り返す。
【0374】
この実施形態では、タイマが満了し、漏れの可能性のある状態が未決定である場合、アルゴリズムは、3004を終了し、モータ速度チェック3005を開始する。この実施形態では、モータ速度チェック3005は、第2段階の漏れ評価の開始3003を繰り返すか又は開始3003に戻るようにループする前に、現時点の目標モータ速度を事前設定された又は構成可能なモータ速度閾値(MAXRPM)と比較することを含む。
【0375】
この実施形態では、モータ速度チェック3005において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMと等しいか又はそれを上回る場合、アルゴリズムは第2段階の漏れ評価を終了し、漏れの可能性を漏れなし状態として決定し、先に説明した閾値調整プロセス3007を介して第1段階3002及び通常動作に戻る。モータ速度チェック3005は、アルゴリズムに追加の終了条件を提供し、アルゴリズムが第2段階で無限にループすること、及び/又は、安全閾値又は構成要素閾値を超えてモータ速度を上昇させることを防止する。
【0376】
モータ速度チェック3005において、現時点の目標モータ速度がモータ速度閾値MAXRPMを下回る場合、アルゴリズムは、ステップ3003に戻るようにループし、第1のより高いモータ速度を第2の又は次のより高いモータ速度まで再び上昇させ、漏れの可能性を確実な漏れの状態又は漏れなし状態として決定しようと試みて、3004において再び評価を繰り返す。
【0377】
図示するように、第2段階は、モータ速度を、予め決められた量だけ又は次の予め決められたより高いモータ速度まで、連続的に又は繰返し漸増させることと、次いで、漏れ状態が満たされるか、漏れなし状態が満たされるか、又は3005においてモータ速度チェックで否となるまで、3004において評価を行う。理解されるように、評価に応じて、アルゴリズムの第2段階は、終了して3002(漏れがない)又は3006(漏れが検出された)に戻る前に、1回、2回又は複数回完了する場合がある。
【0378】
ステップ3003において、モータ速度の増分は、事前設定された又は構成可能な増分であってもよく、又は予め選択された離散的なより高いモータ速度の事前設定された又は構成可能な系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増してもよいことが理解されよう。単に例として、1つの構成では、ステップ806におけるモータ速度の上昇は、現時点のモータ速度を、5000rpm、6750rpm、8500rpm、10250rpm及び12000rpmのモータ速度を含む系列又はアレイにおける次の最も高いモータ速度まで、漸増させることに基づき、モータ速度が、第2段階の漏れ評価の各サイクル又はループごとに1750rpmずつ上昇するようになっている。この例では、流量変数がFlowmaybe及びFlowleak閾値と比較される、5つのあり得る離散的なモータ速度段階があるが、これは、要求に応じてより多いか又は少ない段階に変更してもよい。
【0379】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズム3000は、3002において第1段階の漏れ評価及び通常動作に戻ると、繰り返す。1つの構成では、漏れ検出アルゴリズムは、コントローラからの更新されたリアルタイムの流量変数データを受け取ると、連続的に動作する。他の構成では、漏れ検出アルゴリズムは、定期的に動作するように構成してもよい。前述したように、いくつかの構成では、装置が通常動作を開始又は再開したとき、漏れ閾値に対する漏れ評価比較は、所定のイベントの後、予め決められた遅延期間にわたって中断するか又は遅延させてもよい。こうしたイベントとしては、限定されないが、新たな治療セッション又は新たなユーザ設定流量の開始、3006における以前の漏れアラームの解消、又は、例えば、漏れアラームが解消された後、若しくは漏れが検出されずに第2段階の漏れ評価を終了した後、3002において通常動作又はフロー制御が再開された場合を挙げることができる。
【0380】
漏れ閾値
ここで、漏れ検出アルゴリズム3000に関連する漏れ閾値の一例についてさらに説明する。考察したように、各漏れ評価比較のための確実な漏れ閾値Flowleak及び漏れの可能性閾値Flowmaybeは、評価比較の時点で動作している測定されたモータ速度に基づくことができる。1つの構成では、Flowleak及びFlowmaybe閾値は、少なくとも流れ発生器の検知されたモータ速度、並びに任意選択的に装置及び/又はガスの流れの1つ又は複数の他の変数又は動作特性によって決まるか、又はその関数であり得る。Flowleak及びFlowmaybe閾値は、関数、閾値曲線又は線であってもよく、又はルックアップテーブルの形式で提供してもよい。閾値は、漏れ検出アルゴリズムの各段階において、少なくとも流れ発生器の現時点の検知されたモータ速度、並びに他の任意の変数に基づいて、関数、閾値曲線若しくは線、又はルックアップテーブルから抽出することができる。
【0381】
図27Bを参照すると、漏れ検出アルゴリズムで使用される漏れ閾値の性質を実証するために、モータ速度対流量のプロット3050が示されている。先に説明したように、漏れ閾値は、漏れのない状態(例えば、治療又は乾燥モードでチャンバ装着、又は消毒モードでフィルタ装着)で正常に動作している装置と、漏れのある状態(例えば、治療又は乾燥モードでチャンバが外れているか、又は消毒モードでフィルタが外れている)で動作している装置とにおけるガスの流れに関連するモータ速度対流量特性に基づいて導出される。
【0382】
Flowleak閾値関数例は、3050におけるモータ速度対流量グラフ上の閾値曲線又は線3051として描かれている。Flowmaybe閾値関数例は、3050におけるモータ速度対流量グラフ上の閾値曲線又は線3052として描かれている。図示するように、この実施形態では、モータ速度及び流量特性は線形(例えば直線)の関係を有する。閾値線3051及び3052は、動作モードに応じて変化し、例えば、治療モード及び乾燥モードは同様の閾値線を有してもよいが、消毒モードは異なる閾値線を有する。
【0383】
3053で表す関数又は曲線又は線又はデータは、漏れのない状態で正常に動作している装置(ただし、この線又は特性は運転モードによって決まる)の場合の、動作流量範囲に対する流れ発生器の検知されたモータ速度である。3054で表す関数又は曲線又は線又はデータは、(例えば、運転モードに応じてチャンバが外れているか又はフィルタが外れていることに起因する)漏れがある状態で動作している装置の場合の、動作流量範囲に対する流れ発生器の検知されたモータ速度である。漏れデータ線3054は、動作モードに応じて変化する。3056で強調表示されている低流量領域に示すように、通常動作及び漏れのある動作に対するモータ速度対流量線3053及び3054は、この領域で収束し、それにより、低流量で真の又は確実な漏れ状態(例えば、チャンバ外れ又はフィルタ外れ)を識別することが困難になる。本開示の漏れ検出アルゴリズムは、漏れ状態又は漏れなし状態を決定的に判断するために曲線間のより明確な識別を提供するために、モータ速度を増分的に上昇させることにより、この問題に対処する手段を提供する。
【0384】
代替実施形態において、セクション3.2に記載したヒータプレートチェックプロセス及び構成並びに代替形態は、アルゴリズム3000にも適用することができる。
【0385】
4.単一閾値漏れ検出プロセスの実施形態例
別の実施形態では、装置のコントローラによって、単一閾値漏れ検出プロセス又はアルゴリズムを実施することができる。この単一閾値漏れ検出プロセスでは、アルゴリズムは、装置の流路内のガスの流れの検知された圧力特性を表す入来する検知された圧力変数、又は入来する流量変数のいずれかを、単一の漏れ閾値と比較するように構成されている。この実施形態では、漏れ閾値は、入来する検知された圧力変数を使用する実施形態では漏れ圧力閾値であり、入来する流量変数を使用する実施形態では漏れ流量閾値であり得る。単一の漏れ閾値は、先の実施形態に関して考察した漏れ閾値と同様に、装置の動作流量範囲の全体又は少なくとも一部にわたって閾値を定義する、閾値曲線、関数、方程式、モデル又はルックアップテーブルによって表すことができる。先の実施形態と同様に、漏れの可能性のある状態があるか、確実な漏れ状態があるか、又は漏れなし状態であるかを判断するための評価で使用される漏れ閾値は、主に、評価の時点で動作している測定された流量及び/又はモータ速度、任意選択的に、装置の動作特性及び/又はガスの流れを表す1つ又は複数の他の変数によって決まるか、又はそれらの関数である。
【0386】
単一閾値漏れ検出方法又はプロセスもまた、先の実施形態と同様に、2段階プロセスである。この実施形態では、装置が正常に動作しているとき、漏れ検出アルゴリズムは、第1段階の漏れ評価で動作し、検知された圧力変数又は流量変数を、現時点の動作状態(例えば、流量及び/又はモータ速度等)に関連付けられた漏れ閾値と照合又は比較する。その比較に基づき、漏れ検出アルゴリズムは、漏れなし状態が満たされているか、又は漏れの可能性のある状態が満たされていると判断する。1つの実施形態では、検知された圧力変数が漏れ圧力閾値を上回るか、又は流量変数が漏れ流量閾値を下回る場合、アルゴリズムは、漏れがない(すなわち、漏れなし状態が満たされている)とみなし、通常動作を継続し、第1段階の漏れ評価チェックで継続する。検知された圧力変数が漏れ圧力閾値を下回るか、又は流量変数が漏れ流量閾値を上回る場合、アルゴリズムは漏れの可能性がある、すなわち、漏れの可能性のある状態が満たされているとみなす。
【0387】
第1段階の漏れ評価から漏れの可能性のある状態が満たされた場合、アルゴリズムは第2段階の漏れ評価に移って、漏れの可能性のある状態を漏れなし状態又は確実な漏れ状態のいずれかとして決定する。この第2段階の漏れ評価において、アルゴリズムは、装置の動作流量及び/又はモータ速度を、より高い流量及び/又はモータ速度に増加/上昇させるように構成されている。流量及び/又はモータ速度の増加/上昇は、予め決められた増分、動的に決定される増分、又は装置の現時点の動作状態(例えば、流量及び/又はモータ速度)等の1つ又は複数の変数によって決まる関数によって決定される増分であり得る。より高い流量及び/又はモータ速度において、アルゴリズムは、更新された又は新たな検知された圧力変数又は新たな流量変数を、より高い流量及び/又はモータ速度に関連付けられた更新されたそれぞれの漏れ閾値と照合又は比較するように構成されている。新たな検知された圧力変数が新たな漏れ圧力閾値よりも高いか、又は新たな流量変数が新たな漏れ流量閾値を下回る場合、漏れの可能性は、漏れなし状態として決定され、アルゴリズムは、第1段階の漏れ評価及び通常動作に戻る。新たな検知された圧力変数が新たな漏れ圧力閾値よりも低いか、又は新たな流量変数が新たな漏れ流量閾値を上回る場合、漏れの可能性は確実な漏れ状態として決定又は確認され、アルゴリズムは、先の実施形態と同様に、漏れ検出状況又は状態に移り、1つ又は複数のアラーム動作を実行してもよい。
【0388】
この実施形態では、漏れ検出アルゴリズムは、通常動作状態における最初の漏れ判定の2段階手法であり、その後、単一の漏れ閾値関数に基づき、漏れ状態と漏れなし状態との識別がより容易であるか、又はより高い信頼度で達成することができる、より高い動作状態(例えば、より高い流量及び/又はモータ速度)での第2確認漏れ判定に移る。
【0389】
用語
文脈において明確な別段の要求がない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「備える、含む(comprise)」、「備える、含む(comprising)」等の語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包含的な意味で、すなわち「限定されないが、~を含む」と解釈されるべきである。
【0390】
本開示について、いくつかの実施形態及び例に関して説明したが、当業者であれば、本開示は、具体的に開示した実施形態を越えて、他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにそれらの明らかな変更形態及び均等物に及ぶことが理解されるであろう。加えて、本開示の実施形態のいくつかの変形例を示し、詳細に説明したが、当業者であれば、本開示の範囲内である他の変更形態が容易に明らかとなろう。実施形態の所定の特徴及び態様のさまざまな組合せ又はサブコンビネーションを作成することができ、それらは、依然として本開示の範囲内にあることも企図される。例えば、1つの実施形態に関連して上述した特徴は、本明細書に記載する異なる実施形態とともに使用することができ、その組合せは依然として本開示の範囲内にある。開示する実施形態のさまざまな特徴及び態様は、本開示の実施形態のさまざまな態様を形成するために、互いに組み合わせるか又は置き換えることができることが理解されるべきである。したがって、本明細書における開示の範囲は、上述した特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。したがって、別段の定めのない限り、又は明らかに矛盾しない限り、本発明の各実施形態は、本明細書に記載するその本質的な特徴に加えて、本明細書に開示する本発明の他の各実施形態から本明細書に記載するような1つ又は複数の特徴を含むことができる。
【0391】
特定の態様、実施形態又は例に関連して記載した特徴、材料、特性又はグループは、矛盾しない限り、本セクション又は本明細書の他の場所に記載する他の任意の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示する特徴のすべて、及び/又はそのように開示する任意の方法若しくはプロセスのステップのすべては、そうした特徴及び/又はステップのうちの少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。保護は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。保護は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示する特徴のうちの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組合せ、又はそのように開示する任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0392】
さらに、本開示において別個の実施態様の文脈で説明するいくつかの特徴を、単一の実施態様において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施態様の文脈で説明するさまざまな特徴を、複数の実施態様において別個に又は任意の好適なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴をいくつかの組合せで作用するものとして上記で記載している場合があるが、場合により、特許請求する組合せからの1つ又は複数の特徴を、上記組合せから除外し、その組合せを、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形として特許請求することもできる。
【0393】
さらに、動作について、特定の順序で図面に描くか、又は明細書に記載している場合があるが、こうした動作は、望ましい結果を達成するために、図示する特定の順序で又は連続した順序で実行される必要はなく、又はすべての動作が実行される必要はない。方法及びプロセス例において、図示又は記載していない他の操作も組み込むことができる。例えば、記載する動作のうちの任意のものの前に、後に、それと同時、又はそれらの間に、1つ又は複数の追加の動作を実行することができる。さらに、他の実施態様において、動作を並べ替えるか又は順序を変えてもよい。当業者であれば、いくつかの実施形態において、図示及び/又は開示するプロセスで行われる実際のステップは、図に示すものとは異なる場合があることを理解するであろう。実施形態に応じて、上述したステップのうちのいくつかを除去してもよく、他のステップを追加してもよい。さらに、上記に開示した所定の実施形態の特徴及び属性を異なる方法で組み合わせて、追加の実施形態を形成してもよく、これらはすべて本開示の範囲内にある。また、上述した実施態様におけるさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそうした分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載した構成要素及びシステムは、概して、単一の製品においてともに統合するか、又は複数の製品に包装することができることが理解されるべきである。
【0394】
本開示の目的で、本明細書では、いくつかの態様、利点及び新規な特徴について記載している。こうした利点の必ずしもすべてが、任意の特定の実施形態に従って達成されるとは限らない。したがって、例えば、当業者であれば、本開示が、本明細書で教示するような1つの利点又は利点群を達成する方法で、本明細書で教示又は示唆する可能性があるような他の利点を必ずしも達成することなく、具体化又は実施することができることを認識するであろう。
【0395】
「できる」、「場合がある」、「あり得る」又は「あってもよい」等の条件付きの文言は、特に別段の定めがない限り、又は使用される文脈内で別段理解されない限り、概して、いくつかの特徴、要素及び/又はステップを、いくつかの実施形態が含み、他の実施形態が含まないことを伝えるように意図されている。したがって、こうした条件付きの文言は、概して、特徴、要素及び/又はステップが、1つ又は複数の実施形態に何らかの形で必要であること、又は、1つ又は複数の実施形態が、ユーザ入力又は指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか又は実行されるべきであるか否かを決定するロジックを、必ずしも含むことを、示唆するようには意図されていない。
【0396】
本明細書で用いる場合の「ほぼ」、「約」、「概して」及び「実質的に」という用語等、本明細書で使用する程度の文言は、依然として所望の機能を果たすか又は所望の結果を達成する、述べられている値、量又は特性に近い値、量又は特性を表す。例えば、「ほぼ」、「約」、「概して」及び「実質的に」という用語は、述べられている量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び0.01%未満の範囲内にある量を指す場合がある。
【0397】
本開示の範囲は、本セクション、又は本明細書の他の場所における実施形態の所定の開示によって限定されるように意図されるものではなく、本セクション、又は本明細書の他の場所において提示されるような、又は将来提示されるような、特許請求の範囲によって定義することができる。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲に採用された文言に基づいて広義に解釈されるべきであり、本明細書において又は本出願の審査中に記載する例に限定されるべきではなく、これらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
図1
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【国際調査報告】