(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】核酸調製のためのオリゴ修飾ヌクレオチド類似体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240521BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240521BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALN20240521BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240521BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALN20240521BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/09 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573436
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022031150
(87)【国際公開番号】W WO2022251510
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナイル・アンソニー・ゴームリー
(72)【発明者】
【氏名】カルロ・ランディーズ-ヒンチリフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ブロディン
(72)【発明者】
【氏名】エスター・マスグレイヴ-ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・イー・シュルツァベルガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・スラッター
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エス・フィッシャー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS34
(57)【要約】
核酸技術が開示される。複数の実施形態は、切断可能なリンカー20を介して結合されたオリゴヌクレオチドアダプタ24を有する、修飾ヌクレオチド12を含む。修飾ヌクレオチド12の3’末端への組み込みは、オリゴヌクレオチドアダプタ24の遊離5’末端の、修飾ヌクレオチド12の3’反応性基への核酸連結を介した末端適応化、及び遊離3’末端を遊離させるための切断可能リンカー20による切断を、可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴ修飾核酸類似体組成物であって、
修飾ヌクレオチドであって、
リボースと、
前記リボースに結合された、5’リン酸基と、
前記リボースに結合された、3’反応性基と、
リンカーによって前記リボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、修飾ヌクレオチドを含む、オリゴ修飾核酸類似体組成物。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、前記リンカーを介して前記リボースの1’位に結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記修飾ヌクレオチドが、前記リボースの1’位に結合した核酸塩基を含み、前記リンカーが、前記核酸塩基から伸長する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記核酸塩基が、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、又はグアニンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ヌクレオチド塩基の混合物を含む複数の修飾ヌクレオチドを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
複数の非修飾ヌクレオチドを含み、前記非修飾ヌクレオチドが、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、又はグアニンのうちの1種以上を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記リンカーが、2つ以上の炭素を含む炭素鎖を含み、前記オリゴヌクレオチドアダプタが、前記炭素鎖に直接又は間接的に結合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記リンカーが、切断可能なリンカーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記切断可能なリンカーが、酵素的に切断可能な分子、化学的に切断可能な分子、又は光切断可能な分子を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記5’オリゴヌクレオチド末端が前記3’反応性基と反応して、前記5’オリゴヌクレオチド末端を3’位で前記リボースに結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記5’オリゴヌクレオチド末端又は前記3’反応性基に可逆的遮断因子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記5’オリゴヌクレオチド末端が、ホスフェート基又はアルキン基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記3’反応性基が、ヒドロキシル基又はアジドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、プライマー結合部位、捕捉部位、インデックス、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、親和性結合体に結合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、一本鎖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、前記リンカーから伸長する認識配列にハイブリダイズする配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、フォークアダプタを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、10~1000のヌクレオチド長である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記リボースが、デオキシリボース又はジデオキシリボースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
オリゴ修飾核酸類似体組成物であって、
修飾ヌクレオチドであって、
リボースと、
前記リボースに結合された、5’リン酸基と、
前記リボースに結合された、3’反応性基と、
リンカーによって前記リボースに結合され、3’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、修飾ヌクレオチドを含む、オリゴ修飾核酸類似体組成物。
【請求項22】
核酸を修飾する方法であって、
核酸を提供することと、
前記核酸を、修飾ヌクレオチドと接触させることであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合された、3’反応性基と、
リンカーによって前記デオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、前記核酸を、修飾ヌクレオチドと接触させることと、
前記修飾ヌクレオチドを、前記5’リン酸基を介して前記核酸の3’末端に組み込んで、伸長核酸を生成することと、
前記伸長核酸上の前記オリゴヌクレオチドアダプタの前記5’オリゴヌクレオチド末端を前記3’反応性基と反応させて、前記オリゴヌクレオチドアダプタがループを形成するように、前記5’オリゴヌクレオチド末端を前記デオキシリボースに結合させることと、を含む、方法。
【請求項23】
前記リンカーを切断して、前記オリゴヌクレオチドアダプタの3’末端を遊離させることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記切断が、酵素的切断、化学的切断、又は光切断を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記切断が、ウラシルグリコシラーゼを使用して、前記リンカーのウラシルを切断して脱塩基部位を残すことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記組み込みが、ポリメラーゼを使用することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリメラーゼが、5’~3’エキソヌクレアーゼ活性を有さない、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸が、二本鎖核酸であり、前記二本鎖核酸の少なくとも1つの鎖の5’末端が、アダプタを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記アダプタが、フォークアダプタである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
核酸試料を断片化して、前記二本鎖核酸を提供することを含み、前記断片化が、5’アダプタを、前記二本鎖核酸の5’末端に結合させる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記3’末端が、鋳型にアニーリングされたプライマーの3’末端である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記反応させることの前に、前記3’反応性基及び/又は前記5’オリゴヌクレオチド末端を脱遮断することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記リンカーを切断して、前記オリゴヌクレオチドアダプタの3’末端を遊離させることと、
前記オリゴヌクレオチドアダプタを用いて第2のループを形成することであって、前記第2のループが、前記オリゴヌクレオチドアダプタの前記遊離された3’末端を含む、第2のループを形成することと、
前記遊離された3’末端から伸長して、前記核酸のコピーを合成することと、を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
核酸を修飾する方法であって、
一本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、一本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることと、
ポリメラーゼを使用して、前記修飾ヌクレオチドを、前記5’リン酸基を介して前記一本鎖核酸の3’末端に組み込んで、伸長一本鎖核酸を生成することと、
前記一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタの5’領域に対する認識部位を含むプライマーを、アニーリングすることと、
前記プライマーを伸長させて、前記一本鎖核酸の相補鎖を合成することと、を含む、方法。
【請求項35】
配列決定ライブラリを調製する方法であって、
二本鎖核酸試料を提供することと、
トランスポソームホモ二量体を使用して前記二本鎖核酸試料を断片化して、前記二本鎖核酸試料から生成された二本鎖断片の5’末端に、第1のアダプタを組み込むことと、
前記二本鎖断片を修飾ヌクレオチドと接触させることであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、3’反応性基と、
切断可能なリンカーによって前記デオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、前記二本鎖断片を修飾ヌクレオチドと接触させることと、
前記修飾ヌクレオチドを前記二本鎖断片の3’末端に組み込んで、伸長核酸を生成することと、
前記修飾ヌクレオチドのそれぞれの5’オリゴヌクレオチド末端を、対応する3’反応性基と反応させて、前記修飾ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドアダプタがループを形成するように、前記5’オリゴヌクレオチド末端を前記デオキシリボースに結合させることと、
前記修飾ヌクレオチドの切断可能なリンカーを切断することにより、前記オリゴヌクレオチドアダプタの3’末端を遊離させて、配列決定ライブラリの適合化された二本鎖核酸断片を生成することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記配列決定ライブラリを配列決定することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、全て同じ配列を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
配列決定ライブラリを生成する方法であって、
二本鎖核酸を提供することと、
前記二本鎖核酸を修飾アデノシンと接触させることであって、個々の修飾アデノシンが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合された、3’反応性基と、
前記デオキシリボースに結合された、アデニン核酸塩基と、
リンカーによって前記デオキシリボース又は前記アデニン核酸塩基に結合された、オリゴヌクレオチドアダプタであって、前記オリゴヌクレオチドアダプタが、第1のフォーク、第2のフォーク、及び二本鎖部分を含むフォークアダプタを含み、前記二本鎖部分が3’チミンオーバーハングを含み、前記リンカーが前記第1のフォークに結合されている、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、前記二本鎖核酸を修飾アデノシンと接触させることと、
前記修飾アデノシンを、前記5’リン酸基を介して、前記二本鎖核酸の3’末端に組み込んで、3’修飾アデノシン末端を含む伸長核酸を生成することと、
前記フォークアダプタの前記二本鎖部分を、前記3’チミンオーバーハングを介して、前記二本鎖核酸の前記3’修飾アデノシン末端に核酸連結させることと、
前記核酸連結の後に前記第1のフォークから前記リンカーを切断して、両端に前記フォークアダプタを有する二本鎖核酸を生成することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記二本鎖核酸が、平滑末端核酸断片であり、前記修飾アデノシンを組み込むことが、アデノシンテイルを生じさせることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記フォークアダプタが、プライマー結合配列を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記3’チミンオーバーハングが、前記第1のフォークと同じ鎖上にある、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
配列決定ライブラリを生成する方法であって、
二本鎖核酸を提供することと、
前記二本鎖核酸を修飾アデノシンと接触させることであって、個々の修飾アデノシンが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合された、3’反応性基と、
前記デオキシリボースに結合された、アデニン核酸塩基と、
第1のリンカーによって、前記デオキシリボース又は前記アデニン核酸塩基に結合された第1のオリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、前記二本鎖核酸を修飾アデノシンと接触させることと、
前記修飾アデノシンを、前記5’リン酸基を介して、前記二本鎖核酸の3’末端に組み込んで、3’修飾アデノシン末端を含む伸長核酸を生成することと、
前記3’修飾アデノシン末端を含む前記伸長核酸を、第1のフォーク、第2のフォーク、3’チミンオーバーハングを含む前記二本鎖部分、及び前記第1のオリゴヌクレオチドアダプタに相補的な第2のオリゴヌクレオチドアダプタを含むフォークアダプタと接触させることによって、前記第2のオリゴヌクレオチドアダプタが第2のリンカーを介して前記第1のフォーク又は前記第2のフォークから伸長し、前記第1のオリゴヌクレオチドアダプタが前記第2のオリゴヌクレオチドアダプタにハイブリダイズすることを可能にすることと、
前記フォークアダプタの前記二本鎖部分を、前記3’チミンオーバーハングを介して、前記二本鎖核酸の前記3’修飾アデノシン末端に核酸連結させることと、
前記第1のリンカー及び前記第2のリンカーを切断して、両端に前記フォークアダプタを有する二本鎖核酸を生成することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記核酸連結が、前記第1のオリゴヌクレオチドアダプタの前記第2のオリゴヌクレオチドアダプタへのハイブリダイズに続いて生じる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のオリゴヌクレオチドアダプタ及び前記第2のオリゴヌクレオチドアダプタが、同じ自己相補的配列を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記3’チミンオーバーハングが、前記第2のオリゴヌクレオチドアダプタとは異なる鎖上にある、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
核酸断片であって、
一本鎖核酸断片又は二本鎖核酸断片と、
前記核酸断片の3’末端に結合された修飾ヌクレオチドであって、第1の末端でリンカーによってリボースに結合され、第2の末端で5’又は3’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタを含む、修飾ヌクレオチドと、を含む、核酸断片。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、前記リンカーを介して前記リボースの1’位に結合している、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項48】
前記修飾ヌクレオチドが、前記リボースの1’位に結合した核酸塩基を含み、前記リンカーが、前記核酸塩基から伸長する、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項49】
前記ヌクレオチド塩基が、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、又はグアニンである、請求項48に記載の核酸断片。
【請求項50】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、一本鎖である、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項51】
前記オリゴヌクレオチドアダプタが、フォークアダプタのテイルにハイブリダイズされる、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項52】
前記核酸断片が、部分的に一本鎖RNAである、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項53】
前記核酸断片が、二本鎖DNAである、請求項46に記載の核酸断片。
【請求項54】
前記修飾ヌクレオチドが、前記二本鎖DNAの陥凹3’末端に組み込まれている、請求項53に記載の核酸断片。
【請求項55】
前記修飾ヌクレオチドが、前記二本鎖DNAの3’平滑末端に組み込まれている、請求項53に記載の核酸断片。
【請求項56】
核酸を修飾する方法であって、
二本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
第1の末端でリンカーを介して前記デオキシリボースに結合され、第2の末端で3’オリゴヌクレオチド末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、二本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることと、
前記5’リン酸基を介して、前記二本鎖核酸の第1の鎖の3’末端に前記修飾ヌクレオチドを組み込んで、伸長された第1の鎖を生成することと、
前記一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタの3’領域に対する認識部位を含むプライマーを、アニーリングすることと、
5’~3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用して前記プライマーを伸長し、前記二本鎖核酸の第2の鎖の5’部分を分解しながら、前記一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタの相補鎖を合成することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記相補鎖の3’末端を、前記第2の鎖の未分解部分の5’末端に核酸連結することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
核酸を修飾する方法であって、
二本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合された、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む、二本鎖核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることと、
前記5’リン酸基を介して、前記二本鎖核酸の第1の鎖の陥凹3’末端に前記修飾ヌクレオチドを組み込んで、伸長された第1の鎖を生成することと、
前記修飾ヌクレオチドの3’末端から、前記第1の鎖を伸長させることと、
フォークアダプタの一本鎖部分を、前記一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタにアニーリングすることと、
前記二本鎖核酸の末端に、前記フォークアダプタの二本鎖部分を核酸連結することと、を含む、方法。
【請求項59】
前記第1の末端が伸長されて平滑末端を形成し、そこに、前記二本鎖部分が核酸連結されている、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタが、遊離3’オリゴヌクレオチド末端で終端する、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
核酸を修飾する方法であって、
複数の一本鎖オリゴヌクレオチドのうちの1つの3’ランダム部分が前記一本鎖RNAの3’末端にアニーリングし、5’固定配列部分が前記一本鎖RNAにアニーリングしないように、一本鎖RNAを、前記3’ランダム部分及び前記5’固定配列部分を含む前記複数の一本鎖オリゴヌクレオチドと接触させることと、
前記固定配列部分を鋳型として使用して、修飾ヌクレオチドを前記一本鎖RNAの3’末端に組み込むことであって、前記修飾ヌクレオチドが、
デオキシリボースと、
前記デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、
前記デオキシリボースに結合され、遊離3’末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタと、含む、修飾ヌクレオチドを前記一本鎖RNAの3’末端に組み込むことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、一般に、オリゴ修飾ヌクレオチド類似体を使用して、核酸を調製するための技術、例えば、配列決定ライブラリ調製に関する。オリゴヌクレオチドアダプタを含むオリゴ修飾ヌクレオチド類似体を使用して、後続処理工程のための試料調製の一部として、アダプタを核酸に直接組み込み得る。
【0002】
本セクションで考察される主題は、単に本セクションにおける言及の結果として、先行技術であると想定されるべきではない。同様に、本セクションで言及した問題、又は背景として提供された主題と関連付けられた問題は、先行技術において以前に認識されていると想定されるべきではない。本セクションの主題は、単に異なるアプローチを表し、それ自体はまた、特許請求される技術の実装形態に対応し得る。
【背景技術】
【0003】
分子生物学は現在、核酸分析を集中的に利用している。種々の核酸分析技術は、所望の分析プラットフォームに適合する最終生成物を生成するように試料を操作する試料調製段階を伴う。例えば、特定の配列決定プラットフォームは、鎖捕捉及び合成を可能にする特異的アダプタ配列を含む配列決定ライブラリに適合している。これらのアダプタ配列は、多数の核酸の高スループット並列処理のための自在アダプタを含んでもよい。
【0004】
配列決定のための自在アダプタの付加は、種々の方法によって達成され得る。一実施例では、自在プライミング配列を含有するアダプタを、鋳型核酸の末端に核酸連結させ得る。単一のアダプタ又は2つの異なるアダプタが、核酸連結反応において使用されてもよい。鋳型核酸が、その末端が同じであるように(すなわち、両方が平滑であるか、又は両方が同じオーバーハングを有するように)操作されている場合、次に、単一の適合性アダプタの核酸連結は、両端にそのアダプタを有する鋳型を生成する。しかし、2つの適合性の異なるアダプタ(例えば、アダプタA及びアダプタB)が使用される場合、連結生成物の、次の3つの配列が形成される:両端にアダプタAを有する鋳型、両端にアダプタBを有する鋳型、並びに一端にアダプタA及び他端にアダプタBを有する鋳型。この最終生成物は、ある状況下では、核酸連結反応からの唯一の所望の生成物であり、したがって、核酸連結反応後に、両端に同じアダプタを有する望ましくない核酸連結生成物からそれを精製するための追加の精製工程が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、試料に自在アダプタを付加するための特定の技術は、好適に修飾された断片を作製し、続いてそれを選択する場合に、試料の固有の損失並びに更なる精製工程を伴う。したがって、核酸にアダプタを付加するためのより効率的な技術が目的となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本開示は、オリゴ修飾核酸類似体組成物を提供する。組成物は、リボース(例えば、デオキシリボース、リボ核酸、ジデオキシリボース)、デオキシリボースに結合した5’リン酸、リボースに結合した3’反応性基、及びリンカー、例えば、切断可能なリンカーによってリボースに結合され、反応性5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、オリゴヌクレオチドアダプタを含む、修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドとの反応後の所望の後続反応に応じて、終端3’末端又は反応性3’末端でリンカーに結合され得る。
【0007】
一実施形態では、本開示は、核酸を修飾する方法を提供する。本方法は、核酸を提供することと、核酸を修飾ヌクレオチドと接触させることと、を含む。修飾ヌクレオチドは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された、5’リン酸基、デオキシリボースに結合された3’反応性基、及び切断可能なリンカーによってデオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端するオリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法は、修飾ヌクレオチドを核酸の3’末端に組み込んで、伸長核酸を生成することと、伸長核酸上のオリゴヌクレオチドアダプタの5’オリゴヌクレオチド末端を3’反応性基と反応させて、オリゴヌクレオチドアダプタがループを形成するように、5’オリゴヌクレオチド末端をデオキシリボースに結合させることと、を含む。一実施形態では、本方法は、リンカーを切断してオリゴヌクレオチドアダプタの3’末端を遊離させることを含む。
【0008】
一実施形態では、本開示は、核酸を修飾する方法を提供する。本方法は、一本鎖核酸を、修飾ヌクレオチドと接触させることを含み、修飾ヌクレオチドは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された5’リン酸基、及びデオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法はまた、ポリメラーゼを使用して、修飾ヌクレオチドを一本鎖核酸の3’末端に組み込んで、伸長一本鎖核酸を生成することと、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタの5’領域に対する認識部位を含むプライマーをアニーリングすることと、プライマーを伸長させて、一本鎖核酸の相補鎖を合成することと、を含む。
【0009】
一実施形態では、本開示は、配列決定ライブラリを調製する方法を提供する。本方法は、二本鎖核酸試料を提供することと、トランスポソームホモ二量体を使用して二本鎖核酸試料を断片化して、二本鎖核酸試料から生成された二本鎖断片の5’末端に、第1のアダプタを組み込むことと、を含む。本方法はまた、二本鎖断片を修飾核酸と接触させることを含み、修飾核酸は、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された3’反応性基、及び切断可能なリンカーによってデオキシリボースに結合され、5’オリゴヌクレオチド末端で終端するオリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法はまた、修飾ヌクレオチドを二本鎖断片の3’末端に組み込んで、伸長核酸を生成することと、修飾ヌクレオチドのそれぞれの5’オリゴヌクレオチド末端を対応する3’反応性基と反応させて、修飾ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドアダプタがループを形成するように、5’オリゴヌクレオチド末端をデオキシリボースに結合させることと、修飾ヌクレオチドの切断可能なリンカーを切断して、オリゴヌクレオチドアダプタの3’末端を遊離させて、配列決定ライブラリの適合化された二本鎖核酸断片を生成することと、を含む。
【0010】
一実施形態では、本開示は、配列決定ライブラリを調製する方法を提供する。本方法は、二本鎖核酸試料を提供することを含む。本方法はまた、二本鎖断片を修飾アデノシンと接触させることを含み、個々の修飾アデノシンは、デオキシリボースと、デオキシリボースに結合された、5’リン酸基と、デオキシリボースに結合された、3’反応性基と、デオキシリボースに結合したアデニン核酸塩基と、リンカーによってデオキシリボース又はアデニン核酸塩基に結合されたオリゴヌクレオチドアダプタであって、オリゴヌクレオチドアダプタが、第1のフォーク、第2のフォーク、及び二本鎖部分を含むフォークアダプタを含み、二本鎖部分が3’チミンオーバーハングを含み、リンカーが第1のフォークに結合されている、オリゴヌクレオチドアダプタと、を含む。本方法はまた、修飾アデノシンを、5’リン酸基を介して二本鎖核酸の3’末端に組み込んで、3’修飾アデノシン末端を含む伸長核酸を生成することと、フォークアダプタの二本鎖部分を、3’チミンオーバーハングを介して二本鎖核酸の3’修飾アデノシン末端に核酸連結させることと、核酸連結の後にリンカーを第1のフォークから切断して、両端にフォークアダプタを有する二本鎖核酸を生成することと、を含む。
【0011】
一実施形態では、本開示は、配列決定ライブラリを調製する方法を提供する。本方法は、二本鎖核酸試料を提供することを含む。本方法はまた、二本鎖断片を修飾されたものと接触させること、二本鎖核酸を修飾アデノシンと接触させることを含み、個々の修飾アデノシンは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された、5’リン酸基、デオキシリボースに結合された、3’反応性基、デオキシリボースに結合されたアデニン核酸塩基、及び第1のリンカーによってデオキシリボース又はアデニン核酸塩基に結合された、第1のオリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法はまた、修飾アデノシンを、5’リン酸基を介して二本鎖核酸の3’末端に組み込んで、3’修飾アデノシン末端を含む伸長核酸を生成することと、3’修飾アデノシン末端を含む伸長核酸を、第1のフォーク、第2のフォーク、3’チミンオーバーハングを含む二本鎖部分、及び第1のオリゴヌクレオチドアダプタに相補的な第2のオリゴヌクレオチドアダプタを含むフォークアダプタと接触させることによって、第2のオリゴヌクレオチドアダプタが第2のリンカーを介して第1のフォーク又は第2のフォークから伸長し、第1のオリゴヌクレオチドアダプタが第2のオリゴヌクレオチドアダプタにハイブリダイズすることを可能にすることと、フォークアダプタの二本鎖部分を、3’チミンオーバーハングを介して二本鎖核酸の3’修飾アデノシン末端に核酸連結させることと、第1のリンカー及び第2のリンカーを切断して、両端にフォークアダプタを有する二本鎖核酸を生成することと、を含む。
【0012】
一実施形態では、本開示は、一本鎖核酸断片又は二本鎖核酸断片、及び核酸断片の3’末端に結合された修飾ヌクレオチドを含む、核酸断片であって、修飾核酸が、第1の末端でリンカーによってリボースに結合され、第2の末端で5’オリゴヌクレオチド末端又は3’オリゴヌクレオチド末端で終端するオリゴヌクレオチドアダプタを含む、核酸断片を提供する。
【0013】
一実施形態では、本開示は、核酸を修飾する方法を提供する。本方法は、二本鎖核酸を、修飾ヌクレオチドと接触させることを含み、修飾ヌクレオチドは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された5’リン酸基、及び第1の末端でリンカーを介してデオキシリボースに結合され、第2の末端で3’オリゴヌクレオチド末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法はまた、5’リン酸基を介して二本鎖核酸の第1の鎖の3’末端に修飾ヌクレオチドを組み込んで、伸長された第1の鎖を生成することと、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタの3’領域の認識部位を含むプライマーをアニーリングすることと、5’~3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用してプライマーを伸長し、二本鎖核酸の第2の鎖の5’部分を分解しながら、一本鎖核酸の相補鎖を合成することと、を含む。
【0014】
一実施形態では、本開示は、核酸を修飾する方法を提供する。本方法は、二本鎖核酸を、修飾ヌクレオチドと接触させることを含み、修飾ヌクレオチドは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された5’リン酸基、及びデオキシリボースに結合された一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。本方法はまた、5’リン酸基を介して二本鎖核酸の第1の鎖の陥凹3’末端に修飾ヌクレオチドを組み込んで、伸長された第1の鎖を生成することと、修飾ヌクレオチドの3’末端から第1の鎖を伸長させることと、フォークアダプタの一本鎖部分を一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタにアニーリングすることと、フォークアダプタの二本鎖部分を二本鎖核酸の末端に核酸連結させることと、を含む。
【0015】
一実施形態では、本開示は、核酸を修飾する方法を提供する。本方法は、複数の一本鎖オリゴヌクレオチドのうちの1つの3’ランダム部分が一本鎖RNAの3’末端にアニーリングし、5’固定配列部分が一本鎖RNAにアニーリングしないように、一本鎖RNAを、3’ランダム部分及び5’固定配列部分を含む複数の一本鎖オリゴヌクレオチドと接触させることを含む。本方法はまた、固定配列部分を鋳型として使用して、修飾ヌクレオチドを一本鎖RNAの3’末端上に組み込むことを含み、修飾ヌクレオチドは、デオキシリボース、デオキシリボースに結合された5’リン酸基、及びデオキシリボースに結合され、遊離3’末端で終端する、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタ、を含む。
【0016】
前述の説明は、開示される技術の作製及び使用を可能にするために提示されている。開示される実施態様に対する種々の修正は、明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、開示される技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の実施態様及び用途に適用され得る。したがって、開示される技術は、示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。開示される技術の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びにその他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より深く理解されると考えられ、同様の特徴は、図面にわたって同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態による、修飾ヌクレオチド、例えば、オリゴ修飾ヌクレオチド類似体の概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、二本鎖核酸の3’末端に修飾ヌクレオチドを組み込むためのプロセスの概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による、ハイブリダイズしたアダプタを含む修飾ヌクレオチドを二本鎖核酸の3’末端に組み込むためのプロセスの概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、二本鎖核酸の3’末端に、フォークアダプタを含む修飾ヌクレオチドを組み込むためのプロセスの概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、二本鎖核酸の3’末端に修飾ヌクレオチドを組み込んで、フォークアダプタの核酸連結を増強するためのプロセスの概略図である。
【
図6A】代表的な従来技術の断片化のワークフローを示す。
【
図6B】代表的な従来技術の断片化のワークフローを示す。
【
図6C】本開示の実施形態による、修飾ヌクレオチドを使用する代表的な断片化のワークフローを示す。
【
図7】本開示の実施形態による、修飾ヌクレオチドにわたるアダプタプライマー伸長を示す。
【
図8】本開示の実施形態による、修飾ヌクレオチドを使用するルアー系のアダプタ核酸連結を示す。
【
図9】修飾ヌクレオチド12がRNA分子220の3’末端に組み込まれている一実施形態を示す。
【
図10】本開示の実施形態による、修飾ヌクレオチドを使用したcDNA合成の一部としてのプライマー伸長の、概略図である。
【
図11】本開示の実施形態による、核酸の3’末端に組み込まれた修飾ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドアダプタからプライミングするためのプロセスの概略図である。
【
図12】本開示の実施形態による、核酸の3’末端に組み込まれた修飾ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドアダプタからの鎖伸長のプロセスの概略図である。
【
図13】本開示の実施形態による、オリゴヌクレオチドアダプタのループからの鎖伸長のプロセスの概略図である。
【
図14】平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドの組み込み、並びに得られた生成物のサイズの図である。
【
図15】平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドの組み込みの結果を示す。
【
図16】平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドプライミング伸長の図である。
【
図17】平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドプライミング伸長の結果を示す。
【
図18】修飾ヌクレオチドを含む平滑二重鎖DNAへのアダプタ核酸連結の図である。
【
図19】ルアー系のアダプタ核酸連結の結果を示す。
【
図20】ルアー系のアダプタ核酸連結の結果を示す。
【
図21】修飾ヌクレオチドのscar(配列特徴付けされた増幅領域、Sequence Characterized Amplified Region)サイズに基づくエキソヌクレアーゼ阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の考察は、開示される技術を当業者が作製及び使用することを可能にするために提示され、特定の用途及びその要件に関連して提供される。開示される実施態様に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般原理は、開示される技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の実施態様及び用途に適用され得る。したがって、開示される技術は、示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。
【0019】
開示される技術は、オリゴ修飾ヌクレオチド類似体(例えば、本明細書で提供される、修飾ヌクレオチド)及びそれを使用するための技術に関する。オリゴ修飾ヌクレオチド類似体は、オリゴヌクレオチドアダプタ(又はその他の機能的配列)に結合したヌクレオチドの組み込みを触媒するポリメラーゼの能力を利用する。したがって、複数の実施形態では、所望の配列は、核酸連結反応ではなくポリメラーゼ媒介反応を介して核酸の3’末端に付加され得るが、ポリメラーゼの使用は、核酸連結と比較すると、所望の最終生成物のより高い収率を可能にする。一実施形態では、開示されるオリゴ修飾ヌクレオチド類似体は、配列決定ライブラリ調製中にアダプタを組み込むために使用される、アダプタ配列を含む。核酸試料のリガーゼ媒介適合化と比較すると、配列決定アダプタに共役化された修飾ヌクレオチドの直接組み込みは、ライブラリ調製の効率性を高め、ユーザのワークフローを簡略化する。実施はまた、例えば、異なる5’アダプタ及び3’アダプタを有するライブラリの非対称適合化を容易にすることで、鎖ライブラリの生成及び対合末端配列決定(paired end sequencing)が可能となる。
【0020】
核酸試料を配列決定の準備ができたライブラリに変換することは、フローセル相補的配列、プライマー結合部位、及び指標を含有するオリゴヌクレオチドアダプタを付加するための、一連の酵素操作を含む。特定の試料調製ワークフローに応じて、従来の適合化は、非効率的であり得る。したがって、試料損失を制限する新しく、かつより効率的な試料調製は、特に限られた量の試料についての配列決定結果を改善するであろう。したがって、それぞれが異なる非効率性を伴う複数のDNA操作(末端修復、A-テイリング、及び非効率的核酸連結)を伴う複雑かつ低収率の試料調製の問題は、本明細書で提供されるオリゴ修飾ヌクレオチド類似体の直接組み込みによって、対処される。本明細書に開示される修飾ヌクレオチドは、試料DNAへのアダプタの分子間古典的核酸連結よりも効率的な、高効率分子内近接核酸連結(反応性化学又はその他の方法のいずれかによる)を行うことができる。近接性は修飾ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドアダプタによって媒介されるが、これは、核酸連結反応成分を互いに近接して動員又は保持して反応効率を改善し得る。本明細書で提供されるいくつかのワークフローでは、核酸連結などの従来のワークフローにおける特定の生化学的工程を完全に排除し得る。一実施例では、アダプタの不正確な組合せによる試料の損失及び鎖性情報の損失の問題は、非対称アダプタを有する断片を得るための、1)断片化を介した第1のアダプタ、続いて2)ポリメラーゼ媒介アダプタ付加を介した第2のアダプタの連続付加、によって、解決される。
【0021】
開示される技術は、核酸連結に基づく工程と比較して試料調製中の収率の増大を提供した。ある種の実施形態では、ポリメラーゼを使用するオリゴ修飾ヌクレオチド類似体の直接組み込みは、ワークフロー工程又は試料操作の数を減少させて、試料損失を制限し、使いやすさを増大させる。更なる利点としては、非対称アダプタを連続的に付加する能力(試料損失を伴わない)、PCRを含む試料又はPCRを含まない試料の調製を可能にする能力、及び鎖性情報を保持する能力が、挙げられる。核酸の3’適合化のための開示される方法は、3’アダプタ及び5’アダプタが両方とも同じ方法(すなわち、dsDNA核酸連結)で付加されるその他の方法とは対照的に、5’アダプタを付加することに対する異なる技術による、3’アダプタの個々の組み込みの、より粒度の細かい制御の利点を、提供する。
【0022】
図1は、代表的なオリゴ修飾ヌクレオチド類似体であり、本明細書においては、修飾ヌクレオチド12としてもまた参照される。一実施形態では、修飾ヌクレオチド12は、オリゴ修飾ヌクレオチド類似体(oNTP)と称される場合がある。修飾ヌクレオチド12は、ペントース糖、例えば、デオキシリボース14、又は修飾デオキシリボース、及び5’リン酸基15(例えば、三リン酸)を含む。デオキシリボース14の1’炭素位置からリンカー20が伸長しているが、リンカー20は、複数の実施形態では、デオキシリボース14から切断することができる切断可能リンカーであってもよい。リンカーは、修飾ヌクレオチドの組み込み中に塩基対合を補助するヌクレオチド塩基基を含んでもよい。塩基基は、それとオリゴ基との間に切断可能な基を有し得る。リンカー20は、Xによって示される切断位置の前に位置する、1つ以上の介在炭素、窒素、酸素、又はこれらの組合せを含む、炭素又は炭素鎖を含んでもよい。リンカー20は、ベンジル官能基又はPEGスペーサを含んでもよい。リンカー20は、二重結合のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCEP)切断、又はテトラヒドロピラニル(tetrahydropyranyl THP)切断可能部分を使用して、化学的に切断されてもよい。
【0023】
リンカー20は、光切断可能であってもよい、又は酵素的に若しくは化学的に切断可能であってもよい。一実施形態では、リンカー20の炭素-炭素結合は、パラジウム触媒切断によって切断される。一実施形態では、リンカー20は、切断位置Xにウラシルを含み、ウラシルは、ウラシルDNAグリコシラーゼ(USER)を介して切り出されて、エンドヌクレアーゼVIIIによって切断され得る脱塩基部位を切断位置Xに残す。複数の実施形態では、リンカー20は、デオキシリボース14をオリゴヌクレオチドアダプタ24から分離する、1、2、3、4、5、6個、又はそれ以上の炭素を含む。より短いリンカー20は、修飾ヌクレオチド12を本明細書で提供されるヌクレオチド骨格へと組み込む際に、より小さい「scar」を残す場合がある。表1は、開示されるリンカー20と併せて使用され得る、代表的な切断化学を示す。
【0024】
【0025】
オリゴヌクレオチドアダプタ24は、リンカー20に結合され、そこから伸長し、本明細書に開示されるように、一本鎖オリゴヌクレオチド又は部分的二本鎖オリゴヌクレオチドを含んでもよい。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、Yで示される5’オリゴヌクレオチド末端30で終端する。切断位置Xでの切断は、オリゴヌクレオチドアダプタ24の3’末端を遊離させる(
図2を参照のこと)。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、10~1000のヌクレオチド長であってもよい。一実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、10~100、10~30、30~50、又は30~100のヌクレオチド長である。アダプタのサイズは、ライブラリ調製に依存して変化し、例えば、PCR遊離ライブラリについては非常に大きくあり得るために、修飾ヌクレオチドのポリメラーゼ組み込みは、大きな(例えば、1000のヌクレオチドを超える)オリゴヌクレオチドアダプタで減少する場合がある。しかしながら、修飾ヌクレオチド12の36量体オリゴヌクレオチドアダプタ24の組み込みは、高収率を有することが実証された。
【0026】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、バーコード、アダプタ配列、タグ配列、プライマー結合配列、プライマー認識配列、モザイク末端配列、トランスポソーム認識配列、捕捉部位若しくは捕捉配列、捕捉配列に相補的な配列、分子バーコード(Unique Molecular Identifier、UMI)配列、制限配列、又はインデックス配列(例えば、試料インデックス配列)のうちの1つ以上を含んでもよい。オリゴヌクレオチドアダプタ24の配列は、本明細書で提供される3’適合化の複数の実施形態では、5’~3’の方向で、機能的であり得る。
【0027】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、プルダウン又は単離を可能にするためのハンドルとして機能する、Aとして示される親和性結合体を含み得るか、又はそれに結合されてもよい。例えば、親和性結合体は、ビオチン/ストレプトアビジン又は抗体/抗原の結合対などの結合対の一部であってもよい。親和性結合体Aは、結合対の第1のメンバーであり得、一方、結合対の第2のメンバー34は、表面36(例えば、基材表面、ビーズ表面)に結合され得、組み込みの前又は後のいずれかで、修飾ヌクレオチド12の単離を可能にする。一実施形態では、修飾ヌクレオチド12は、表面36上に提供され、開示される適合化又はその他の組み込み工程は、表面36上で生じる。一実施形態では、適合化ワークフロー工程の生成物が最初に生成され、その後、表面36上で分離される。親和性結合体は、オリゴヌクレオチドアダプタ24内の一般的に中心に位置するように示されるが、親和性結合体は、オリゴヌクレオチドアダプタ24上のその他の位置で結合されてもよいことを理解すべきである。更に、実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、親和性結合体を含まない、及び/又は本明細書に開示されるワークフロー工程は、溶液中で行われるか、又は修飾ヌクレオチド12を組み込むために表面には結合されない。
【0028】
修飾ヌクレオチド12は、
図1においてYとして示される反応性5’末端を含む。複数の実施形態では、反応性5’末端は、ホスフェート(例えば、トリ-ホスフェート)又はアルキン基反応性末端である。修飾ヌクレオチド12はまた、Zとして示される反応性3’基を含むが、これは、ヒドロキシル基又はアジドであってもよい。反応性3’基は、例えば、核酸連結又はクリック反応を介して、本明細書に一般的に開示されるような5’オリゴヌクレオチド末端Yの結合を可能にする。X反応性基、Y反応性基、又はZ反応性基のうちの1つ以上は、選択的に遮断及び脱遮断されてもよい。一実施例では、Z反応性基は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCEP)によって除去可能である3’-O-アジドメチルキャップで可逆的に遮断されて、3’-OHを再生してもよい。5’反応性基Yは、脱リン酸化によって可逆的に遮断されてもよく、リン酸化工程を介して再生されてもよい。表2は、代表的なZ-Y核酸連結戦略を示す。開示される戦略は、脱遮断を伴わない核酸連結を含んでもよいが、ここでは、立体化学に起因して、単一の伸長が生じる。その他の戦略では、脱遮断を使用して、反応性3’基及び/又は反応性5’基を生成し得る。
【0029】
【0030】
修飾ヌクレオチド12は、修飾プリン又はピリミジンヌクレオチドであってもよい。修飾オリゴヌクレオチドは、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、又はグアニンであってもよい。一実施形態では、核酸塩基及びリンカー20は両方とも、1’炭素位に結合されてもよい。一実施形態では、核酸塩基は、リンカー20の炭素に結合されてもよい。一実施形態では、リンカー20は、核酸塩基38がリンカー20とデオキシリボース14との間にあるように、核酸塩基から直接伸長してもよい。一実施形態では、修飾ヌクレオチド12のリンカー20は、本出願において本明細書に参照として組み込まれる、米国特許第9,127,314号に記載されるようなリンカー(例えば、リンカー20は、化学構造を有してもよく、核酸塩基38に対して配置され、核酸塩基38から伸長してもよい)であってもよい。
【0031】
本開示の実施形態は、修飾ヌクレオチド12の組成物を含む。修飾ヌクレオチド12は、単一の修飾ヌクレオチド種(例えば、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、又はグアニンのうちの1つのみ)又は異なるヌクレオチドの混合物として、提供されてもよい。特定の反応について、修飾ヌクレオチド12の全ては、同じオリゴヌクレオチドアダプタ配列を有してもよい、又は識別可能なオリゴヌクレオチドアダプタ配列を有してもよい。更に、修飾ヌクレオチド12は、非修飾ヌクレオチドと一緒に、反応混合物中に提供されてもよい。修飾ヌクレオチド12の特定の特徴(例えば、ペントース糖14、核酸塩基38)は、開示される実施形態における例示の目的のために単純化されてもよいことを理解すべきである。
【0032】
図2は、二本鎖DNAとして示される試料DNA分子50の3’末端に、修飾ヌクレオチド12を組み込むための、代表的なプロセスである。試料DNA分子50は、好適な断片化技術(酵素的断片化、超音波処理、無細胞DNAの自然断片化)によって生成されたDNA断片であってもよい。一実施形態では、断片は、トランスポソーム媒介5’適合化によって生成されてもよい(
図6を参照のこと)。したがって、試料DNAは、いくつかの実施形態では、5’アダプタを含んでもよい。
【0033】
第1の工程では、試料DNA50を、ポリメラーゼの存在下で、修飾ヌクレオチド12と接触させて、5’リン酸基15での修飾ヌクレオチド12の組み込みを介して3’末端を伸長させる。ポリメラーゼは、許容ポリメラーゼ(例えば、色素共役化ヌクレオチドの3’付加が可能なシーケンシング・バイ・シンセシス(sequencing-by-synthesis、合成による配列決定)ポリメラーゼ)であってもよい。更に、ポリメラーゼは、修飾ヌクレオチド12のプルーフリーディング切除を防止するために、3’~5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いていてもよい。伸長のために、
図2に示すように、修飾ヌクレオチド12の5’トリホスフェート基15を、試料DNA50の3’末端と反応させる。組み込まれた修飾ヌクレオチド12の一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタ24は、試料DNA50の3’末端から伸長する。5’オリゴヌクレオチド末端Yは、オリゴヌクレオチドアダプタ24にループ52を形成させる、例えば、酵素的核酸連結又は化学的核酸連結を介して、反応性基Zに核酸連結されている。一実施形態では、酵素的核酸連結は、鋳型非依存性T4リガーゼ反応などのDNAリガーゼ、又はCircリガーゼなどの専門の一本鎖リガーゼによって、媒介される。一実施形態では、化学的核酸連結は、クリック反応の、銅触媒を用いたアジド-アルキン付加環化(copper-catalyzed azide-alkyne cycloaddition、CuAAC)によって、媒介される。
【0034】
切断部位Xでの切断は、オリゴヌクレオチドアダプタ24の3’末端を遊離させるが、一方で「scar」を残す。単一の3’末端での修飾ヌクレオチド12の組み込みが示されているが、図示された反応は、二本鎖試料DNA50の両方の3’末端で並行して生じ得ることを理解すべきである。ポリメラーゼは、アジド-アルキンクリック反応を使用して生じさせた非天然骨格接続を介して読み取ることが可能であることが実証された。したがって、scar及び場合によっては任意の非天然3’結合(すなわち、クリック化学)は、その後のポリメラーゼ/増幅反応に著しい影響を与えることなく、保持され得る。
【0035】
修飾ヌクレオチド12のポリメラーゼ媒介組み込みは、試料DNA50の3’末端でのオリゴヌクレオチドアダプタ24におけるヌクレオチドの付加を介し、3’適合化DNA56の形成をもたらす。したがって、比較的単純かつ効率的な反応は、単一のポリメラーゼ組み込みを介して、核酸の3’末端への数百までのヌクレオチドのバッチ付加を可能にする。本明細書で考察されるように、5’適合化から分離されたヌクレオチドの選択的3’付加は、順鎖(forward strands)及び逆鎖(reverse strands)を配列決定する対合末端配列決定ワークフロー又は5’末端がトランスポザーゼによって付加される断片化などの非対称アダプタを使用する配列決定ワークフローを容易にする。更に、比較的長いオリゴヌクレオチドが鎖末端に核酸連結されてもよいが、このような核酸連結は、ポリメラーゼ反応と比較すると比較的非効率的である。したがって、開示される技術を使用して、3’末端へのアダプタのより効率的な付加が達成される。
【0036】
例示される実施形態では、試料DNA50は、5’オーバーハングを含む。しかし、DNA50は、平滑末端として、又は3’オーバーハングを有して、提供されてもよい。ポリメラーゼは、5’オーバーハングのヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを使用して、3’末端を伸長させて5’オーバーハングと対合させる。5’オーバーハングは、単一塩基のオーバーハングであってもよい。しかしながら、本明細書で考察されるように、5’オーバーハングは、既に組み込まれた5’アダプタを表してもよい。一実施形態では、修飾ヌクレオチド12は、3’末端の切断及び遊離に先立った、可逆的伸長ターミネータである。すなわち、修飾ヌクレオチド12の構造は、5’末端と反応性基Zとの反応を介した修飾ヌクレオチド12又は非修飾ヌクレオチドのその後の付加を防止するように作用する。一実施形態では、望ましくない伸長を防止するために、反応性基Zは、本明細書で提供されるように可逆的に遮断されてもよい。
【0037】
図3は、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドアダプタ24を含む修飾ヌクレオチド12の、概略図である。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、リンカー20に直接結合される(例えば、共有結合される)第1の鎖60を含む。第1の鎖60は、部分的に相補的な第2の鎖62にハイブリダイズし、それによって、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、部分的に二本鎖の部分63並びに一本鎖の部分64を含む。一本鎖部分64は、5’反応性末端Yを含む。
【0038】
構築体としてのオリゴヌクレオチドアダプタ24の形成は、第1の鎖60のみを含む修飾ヌクレオチド12の組み込み後に生じる場合がある。すなわち、ポリメラーゼ媒介組み込みの後に、特異的ハイブリダイゼーションを可能にし、かつ非特異的結合を防止するのに十分に高くなるように選択された温度でのアニーリング工程が続いてもよい。その他の実施形態では、修飾ヌクレオチド12は、予め形成され、第1の鎖60及び第2の鎖62を含む、オリゴヌクレオチドアダプタ24と共に、提供されてもよい。オリゴヌクレオチド63の3’末端は、修飾ヌクレオチド12の組み込み中に伸長が生じないように遮断され得る。反応性3’-Zは、組み込みが試料DNA50を終端させるように、及び/又は組み込み前の一本鎖部分64の望ましくない副反応を防止するように可逆的に遮断され得る。
【0039】
5’オリゴヌクレオチド末端Yと活性な(又は脱遮断された)3’反応性基Zとの核酸連結は、大部分が一本鎖であるが、3’二本鎖部分を含むループ65を形成する。第2の鎖62の3’末端は、切断工程又は変性工程の一方又は両方によって、遊離され得る。切断により、二本鎖末端66を有する修飾ヌクレオチド12が得られるが、これは、その後の変性工程(例えば、増幅のため)において、除去され得る。切断を伴わない変性は、一本鎖末端68及び一本鎖scarを有する修飾ヌクレオチド12をもたらす。
【0040】
したがって、本開示のある種の実施形態は、リンカー20を介して1’位に連結され、終端5’末端を有するオリゴヌクレオチドアダプタ24を有する修飾ヌクレオチド12の組み込みを含む。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、5’末端を介して利用可能な反応性Z基に結合され、切断されて3’末端を放出し得る。したがって、開示される技術は、オリゴヌクレオチドアダプタを、デオキシリボース14の1’位に結合された場合の終端5’末端と、デオキシリボース14の3’位に結合されたされた場合の終端3’末端と、の間で、自由に移行させることを含む。しかしながら、ある種の実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、1’位で連結されてもよく、Z基と反応せず、かつ/又は切断を受けない終端3’末端を有してもよい。
【0041】
図4は、フォークアダプタを形成するオリゴヌクレオチドアダプタ24を含む修飾ヌクレオチド12を使用して、核酸連結を介した従来の適合化が増強されるアプローチを示す。図示された修飾ヌクレオチド12は、切断部位72においてフォークアダプタ76に結合される。切断部位72は、フォークアダプタの第1のフォーク78の末端74に結合される。第1のフォーク78は、第2のフォーク80上の第2のアダプタとは相補的でない、第1のアダプタを含む。したがって、試料DNA50が異なる末端アダプタ(例えば、Aアダプタ及びBアダプタ)を含むように適合性である実施例では、フォークアダプタ76は、フォークアダプタ76の試料DNA50への核酸連結が両方のアダプタを一度に付加し、フォーク末端を生じさせるように、異なるフォーク上に異なるアダプタの両方を保有する。一実施形態では、フォークアダプタ76は、第1のフォーク78上のP5配列及びi5配列、並びに第2のフォーク80上のP7配列及びi7配列を含む、Nexteraアダプタ(Nextera adapter、Illumina,Inc.)であってもよい。フォークアダプタ76は自在アダプタであってもよく、それによって、異なる試料断片は全て、共通の配列を有するフォークアダプタ76と適合性がある。
【0042】
フォークアダプタ76は、修飾ヌクレオチド12のリンカー20に共有結合的に、かつ切断可能に連結される。しかしながら、複数の実施形態では、フォークアダプタ76は、切断可能なリンカー20から伸長する相補的オリゴにハイブリダイズしてもよい(
図2及び
図5を参照のこと)。フォークアダプタは、3’Tオーバーハング86を含む二本鎖部分84を含む。T-オーバーハング86は、最終的に、例えば、T4リガーゼを介してA-テイル試料DNA50に核酸連結されている。A-テイルは、修飾アデノシンである修飾ヌクレオチド12からなる。したがって、Tオーバーハング86を有するフォークアダプタ76によって修飾された二本鎖試料DNA50の3’末端へのアデノシン修飾ヌクレオチド12の組み込みは、Tオーバーハング86のその後の核酸連結において使用されるAテイルを生じさせる。
【0043】
図示された実施形態では、二本鎖試料DNA50は平滑末端であり、アデノシン修飾ヌクレオチド12の二本鎖試料DNA50への組み込みは、3’A-テイル90を生じさせ、そこから、フォークアダプタ76が伸長する。A-テイリングは、taqポリメラーゼ(taq polymerase)、クレノウ、又は末端転移酵素などの、適合性のあるA-テイリングポリメラーゼによって、行われてもよい。A-テイル90は、二本鎖部分84の3’T86の核酸連結のための基質を生じさせる。フォークアダプタ76は、組み込まれたアデノシンの切断可能なリンカー20から伸長し、これらのエレメントの核酸連結効率は、カップリングによって、例えば、核酸連結の前及び核酸連結の間に、エレメントを互いに近接して保持することによって、増強される。したがって、フォークアダプタ76が、切断可能なリンカー20に依然として結合されている間に、核酸連結が生じる。
【0044】
核酸連結後、組み込まれたアデノシンへの切断可能なリンカー20を介したフォークアダプタ76の保持を逆転させて、組み込まれた修飾ヌクレオチド12の位置に対応する内部部位に、scarを残し得る。試料DNA50は、核酸連結を介して付加されたフォークアダプタ76を含む。試料50の一方の末端のみが図示されているが、図示された適合化は、試料50の断片の両端で、及び配列決定ライブラリの調製の一部として生じ得ることを理解すべきである。
【0045】
図5は、ハイブリダイゼーションを介してフォークアダプタ100を動員するオリゴヌクレオチドアダプタ24を含む修飾ヌクレオチド12(ここでは、修飾アデノシン)を使用するアプローチを示す。ここで、試料DNA50は、無細胞DNA断片として示されている。しかしながら、その他の試料DNAフォーマットもまた企図される。修飾ヌクレオチド12を使用した末端修復及びA-テイリングは、試料DNA50の3’末端にオリゴヌクレオチドアダプタ24を含む、終端アデノシン102を付加する。フォークアダプタ100は、フォークアダプタ100の二本鎖部分の、A-テイル試料DNA50への核酸連結を容易にするために、Tオーバーハングを含んでもよい。(例えば、
図4及び
図5におけるような)本明細書のアプローチについて、核酸連結工程は、酵素的か、又は化学的か、のいずれかであり得る。
【0046】
フォークアダプタ100はまた、フォークアダプタ100のそれぞれの3’非相補的末端に、修飾ヌクレオチド12を含む。フォークアダプタ100を、試料DNA50を含む反応混合物に付加すると、3’A-テイル102及びフォークアダプタ100の両方から伸長するそれぞれのオリゴヌクレオチドアダプタ24が、互いに近接する。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、図示されるように、自己相補的であり、ハイブリダイズして二本鎖対合アダプタ構築体108を形成し得る。この構築体108は、A-テイル102に近接してフォークアダプタ100を保持することによって、フォークアダプタ100の核酸連結に安定性を付加し、フォークアダプタ100の核酸連結を容易にして、核酸連結反応効率を増大させる。二本鎖のハイブリダイズしたアダプタ構築体108を形成するためのハイブリダイゼーションは、核酸連結の前及び/又は核酸連結中に生じる場合がある。一実施形態では、A-テイル102のオリゴヌクレオチドアダプタ24及びフォークアダプタ100のオリゴヌクレオチドアダプタ24は、高い自己相補性を有する同じ配列であり得る。図示された実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドアダプタ24の5’部分が、第2のヌクレオチドアダプタ24の少なくとも最初の6つのヌクレオチドの逆相補体であるように、最も5’側の6つのヌクレオチドは、自己相補的である。自己相補的領域は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のヌクレオチドを含んでもよく、5’末端に位置してもよい、又は内部領域であってもよい。更に、ヌクレオチドアダプタ24は、1つ以上の自己相補的領域を含んでもよい。
【0047】
その後の標的濃縮工程及び/又は増幅工程のための適合化試料DNAの調製を完了するために、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、組み込まれた修飾ヌクレオチドのそれぞれの切断部位110で、切断され得る。切断により、両端に核酸連結されたフォークアダプタ100を含む適合化された二本鎖断片120が得られる。断片120は、配列決定反応において使用する配列決定ライブラリの一部であってもよい。断片120は、その後の工程(例えば、増幅、濃縮)に提供されてもよい、又は配列決定若しくは増幅を伴わない配列決定工程に直接提供されてもよい。
【0048】
二本鎖断片120の各3’末端は、各修飾ヌクレオチド部位におけるリンカーの残りの部分からの、それぞれのscarを含む。したがって、二本鎖断片120の個々の鎖について、第1のscarは、A-テイル102に対応する内部部位に存在し、第2のscarは、フォークアダプタ100の3’末端に存在する。2つのscarが、各鎖上に存在する。しかし、複数の実施形態では、scarは、その後の増幅工程又は伸長工程で除去される。更に、A-テイル102におけるscarのみが、その後の処理のために、ポリメラーゼによって覆われる。フォークアダプタ100上のscarは、アダプタ配列を超え得、ポリメラーゼにわたってコピーされ得ない/ポリメラーゼによって覆われ得ない。
【0049】
図6A~
図6Bは、従来技術の断片化ワークフローの概略図である。5’-適合化のために、トランスポソーム系の戦略を使用する。
図6Cは、本明細書に開示される修飾ヌクレオチドを使用した断片化ワークフローを示す。現在のトランスポソーム系の試料調製と比較すると、修飾ヌクレオチド12による3-適合化は、いくつかの利点を提供する。
【0050】
代表的なNextera(商標)又はIllumina DNA prep(Illumina,Inc.)試料調製(
図6A)は、2つの異なるトランスポソームを使用し得る。トランスポソームは二量体複合体であるため、二重に転位したライブラリ断片の50%のみが両方のアダプタ型を有し、配列決定適合性である。フォークアダプタを用いた断片化(
図6B)において、各断片化事象は、5’A型アダプタを導入し、次に、伸長核酸連結工程を介して3’適合化が達成される。しかしながら、実際には、生成物の一部のみが所望の二重アダプタ型を含むため、この伸長核酸連結工程は低収率である。
【0051】
オリゴヌクレオチドアダプタ24を含む修飾ヌクレオチド12の効率的な組み込みが実証されている。一実施形態では、本明細書で提供される修飾ヌクレオチド12は、
図6Cに示されるように、配列決定ライブラリ調製における配列可能断片の収率を改善するためにポリメラーゼ媒介適合化において使用される。修飾ヌクレオチド12を使用する試料調製は、5’適合化のための単一トランスポソーム型、続いて、修飾ヌクレオチド12による3’適合化を使用し得るが、原則として、A-B適合化ライブラリのみを生成する。したがって、
図6Cにおける単純化されたトランスポソーム設計は、ME’を選択的に変性して、新しい断片を再アニーリングするための、フォークアダプタ又は戦略を必要としない。
【0052】
図6Cに示される実施例では、トランスポソーム複合体はホモ二量体130であり、単量体132は、図示される実施形態では、単一のアダプタ型、5’アダプタ、又はAアダプタ134のみを含む。ホモ二量体130を使用する断片化は、5’アダプタ、及び二本鎖ME(モザイク末端)配列を、挿入断片の5’末端に付加する。次の工程で、3’アダプタ又はBアダプタを保有する修飾ヌクレオチド12を、3’末端に組み込み得る。これは、鋳型鎖中の各塩基について4つの異なる修飾ヌクレオチド12の混合物を用いて、又は天然ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチド12の種々の混合物を用いて、行われてもよい。
【0053】
3’反応性基への核酸連結及びリンカー切断は、挿入断片の3’末端がBアダプタ配列によって伸長されるように、Bアダプタの塩基対骨格の交換をもたらす。Bアダプタは、複数の実施形態では、5’アダプタに非相補的である。非対称適合化後の後続工程は、scar又は非天然骨格を除去するための第1の鎖伸長、並びに順鎖及び逆鎖のクラスター形成及び配列決定を含み得る。
【0054】
図1~
図5及び
図6Cは、配列決定ライブラリ調製において末端アダプタを形成及び/又は動員するために使用されるオリゴヌクレオチドアダプタ24の異なる配置を示す。ある種の実施形態では、アダプタの連続付加は、非対称ライブラリ又はダンベルライブラリの作製を可能にする。例えば、修飾ヌクレオチド12を介した3’適合化は、5’アダプタ付加の後に使用され得る。ダンベルライブラリは、両端にヘアピンアダプタを有する二本鎖核酸断片からなる。ダンベル構造は、鎖置換ポリメラーゼを介してダンベル全体の周りの配列決定を可能にし、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を表す配列が得られる。ダンベル系増幅はまた、挿入断片の複数のコピーを生成するローリングサークル増幅(rolling circle amplification)であってもよい。一実施例では、ダンベル配列決定ヘアピンアダプタは、A-テイリング(
図4を参照のこと)によって二本鎖核酸断片に付加される修飾ヌクレオチド12に、(リンカーを介して)結合されてもよい。オリゴヌクレオチドアダプタ24は、ヘアピンを形成してもよく、それによって、ヘアピンの5’末端は、関連するヌクレオチドの組み込み後、3’反応性基に核酸連結されている。リンカーからの切断は、ヘアピンの3’末端を遊離させる。次に、ヘアピンの3’末端を、断片の遊離5’末端に核酸連結し得る。ヘアピンアダプタは、ポリメラーゼによって付加される組み込まれた3’修飾アデノシンから伸長するので、結合されたヘアピンアダプタの核酸連結は改善される。
【0055】
図7は、5’~3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用した、修飾ヌクレオチド12にわたるアダプタプライマー伸長を示す。図示された実施例では、二本鎖核酸150は、第1の鎖154の3’末端152での付加を介して既に組み込まれた修飾ヌクレオチド12を有し、それによって、第1の鎖は、ここでは一本鎖オリゴヌクレオチドとして示されるオリゴヌクレオチドアダプタ156を含む。修飾ヌクレオチド12の組み込みは、本明細書で一般的に考察されるように生じる場合がある。一実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタは、本明細書で考察されるような切断を介して生成され得る遊離3’末端を含むか、又はオリゴヌクレオチドアダプタは、図示される実施形態のように、3’末端が遊離状態であるように修飾ヌクレオチド12に結合されてもよい。アダプタ156は一本鎖であってもよく、二本鎖適合化断片を生成するために、アダプタ156に相補的なアダプタプライマー158が、ポリメラーゼを使用して伸長される。修飾ヌクレオチド12にわたってアダプタプライマー158から伸長するために鎖置換ポリメラーゼを使用する代わりに、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼが、アダプタプライマー158を、核酸150の第2の鎖162の5’末端160に向かって、修飾ヌクレオチド12を横切って越えて伸長させる。伸長を続けることによって、核酸150中のニック166は、「ニックトランスレーション(nick translation)」を介してシフトされ、その後、核酸連結によってニックを封止して、二本鎖アダプタ170(例えば、アダプタ156及びその相補的アダプタプライマー158)を少なくとも1つの末端に組み込む核酸168を生成する。図示された実施形態の利点は、ニック166が、修飾ヌクレオチド12の位置から分離されるか、又は離れて移動され、それによって、非修飾ヌクレオチドに対する修飾ヌクレオチド12の構造的差異が、ニック166での核酸連結を阻害しないことである。したがって、1つ以上のアダプタ、例えば、配列決定アダプタは、修飾ヌクレオチド付加、エキソヌクレアーゼ活性を伴うプライマー伸長、及びその後の核酸連結を含む、図示されたワークフローを介して、核酸断片末端(複数可)に組み込まれてもよい。
【0056】
図8は、修飾ヌクレオチド12が二本鎖DNA断片180を含む陥凹3’末端で組み込まれている一実施形態を示す。修飾ヌクレオチドは、5’オーバーハング182においてオリゴヌクレオチドと対合するように付加される。修飾ヌクレオチド12の付加はまた、一本鎖ルアー部位186を含む連結オリゴヌクレオチドアダプタ184を組み込む。ここで、オリゴヌクレオチドアダプタ184は1’位に連結され、3’位188は、dNTP付加の開始に利用可能である。次に、ポリメラーゼがdNTPを付加し、オーバーハング182を鋳型として使用して、伸長して3’凹部を流し出す。ポリメラーゼ伸長3’末端190は、平滑であってもよい、又はオーバーハングを含んでもよい。ルアー部位186を含む修飾ヌクレオチド12のオリゴ部分は、次に、アダプタ200が相補的配列192を介してハイブリダイズされる「ルアー」として機能する。これにより、アダプタ200が鋳型180の近くに固定され、図示された平滑末端210でのより効率的な核酸連結反応が容易になり、アダプタ200が鋳型に付加されて、適合化断片212が生成される。
【0057】
図9は、修飾ヌクレオチド12がRNA分子220の3’末端に組み込まれている一実施形態を示す。通常、修飾ヌクレオチドは、一本鎖核酸の末端に組み込まれない。しかし、一本鎖RNA220を、塩基組成がランダムである3’末端部分234(例えば、六量体末端部分234)又はポリT部分を有し、(例えば、オリゴ230上の3’末端遮断を介して)伸長から遮断されている3’末端部分234と周知の配列を有する5’末端部分236との混合物を有する、一本鎖オリゴ230と接触させることによって、「スプリント」をRNA220にハイブリダイズさせ得る。異なるランダム配列のランダム部分234の混合物を有するオリゴ230のセットは、分子に沿った任意の位置で、特定のランダム末端部分234の配列に基づいてハイブリダイズし得る。しかしながら、特定のオリゴ230が、分子220の3’末端部分と相補的であるランダム部分234に基づいてRNA分子220の3’末端でハイブリダイズする場合、周知の配列を有する5’末端部分236のオーバーハングが生じる。本オーバーハングは、3’末端での修飾ヌクレオチド12の組み込みを可能にする。スプリントの配列の例としては、3’遮断-nnnnnn-TTTTT-5’(式中、「n」は、イノシンを含む任意の塩基である)が挙げられる。本特定の例では、修飾ヌクレオチド12は、スプリントオリゴ230への相補的結合を容易にするために、アデノシン塩基から誘導される。
【0058】
図10は、修飾ヌクレオチド12を伸長反応に使用する実施例を示す。鋳型鎖250は、5’アダプタ254を有するランダマーを含むプライマー252でプライミングされる。しかしながら、一実施形態では、プライマー252は、例えば、標的配列決定反応のための標的プライマーであってもよい。非修飾ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドの反応混合物を使用した伸長は、修飾ヌクレオチド12の組み込み時に、伸長の終端をもたらす。各修飾ヌクレオチドは、本明細書で提供される3’アダプタ260に結合され得る。したがって、伸長生成物262は、それらの末端に非対称アダプタ254、260を有する。本技術は、末端修復及びリガーゼ触媒適合化の必要性を排除する。複数の酵素アダプタ核酸連結工程の必要性を排除することに加えて、本アプローチはまた、断片化及び関連する断片化後サイズ選択の必要性を排除するという利点を有する。すなわち、修飾ヌクレオチドの組み込みに基づくランダマー・プライマー・アニーリングと終端との組合せは、伸長生成物262間の分離を形成する。一本鎖からのプライミング及び伸長が示されるが、本反応は、順鎖及び逆鎖の両方で生じ得ることを理解すべきである。
【0059】
図11は、修飾ヌクレオチド12が、例えば、一本鎖RNA分子180からのRNA配列決定ライブラリ調製に使用される実施例を示す。3’アダプタ282を保有する修飾ヌクレオチド12の使用は、第1の鎖のcDNA合成工程における、3’アダプタの直接的な付加を可能にする。ワークフローは、以下のように実行される。逆転写酵素は、5’アダプタ186を含むプライマー284から伸長し、ランダムヘキサマー又はオリゴ(dT)(ポリA RNAテイルの結合のため)に連結されたA14オリゴとして示される。反応混合物は、dNTPと共に低濃度で補充された修飾ヌクレオチド12を含む。修飾ヌクレオチド12は、いったん組み込まれると伸長を終端させる。したがって、修飾ヌクレオチド12の濃度は、cDNAの長さを変更するように調整され得る(例えば、より高い濃度の修飾ヌクレオチド12は、より短いcDNA生成物を生じる)。次に、修飾ヌクレオチド12が組み込まれたcDNAを、精製及びバッファ交換のためにビオチンハンドルを使用して捕捉し得る。次に、3’アダプタ282(潜在的にB15)は、近接増強核酸連結によって3’末端に連結され、3’末端を遊離させるUSER切断工程を通して明らかにされる。いったん3’オリゴが切断されると、インデックスプライマーPCRがcDNAを増幅する。同じ鎖へのアダプタの連続付加は、本ライブラリ調製が、最終配列決定ライブラリにおけるセンス鎖情報/アンチセンス鎖情報の決定を本質的に可能にすることを意味する。本アプローチはまた、複雑な鋳型転換プロトコルの必要性を排除する。
【0060】
本アプローチの変形形態はまた、標的RNA-seq適用(例えば、スプライス変異体、及び遺伝子融合分析、及び全エキソーム配列決定)のために使用され得る。2つのプローブ及び核酸連結事象が必要とされるその他のアプローチ(例えば、遺伝子融合のためのRASL-seq)、追加の工程を必要とする濃縮、又は追加の工程及び各標的について2つのプライマーを必要とする多重PCRと比較すると、本アプローチは、配列特異的結合とライブラリ適合化とを組み合わせる。アダプタは連続的に付加されるので、修飾ヌクレオチド12を有する最初の鎖伸長からの後続工程は、ビーズ(例えば、ストレプトアビジンビーズ)上で実施され得る。これは、単一適合化ライブラリと同じ空間に共固定化され得る高濃度のアダプタに起因して、後続プロセスの効率性を増大させ得る。
【0061】
用いられるポリメラーゼに依存して、修飾ヌクレオチド12のオリゴヌクレオチドアダプタ24は、
図12の実施例に示されるように、アダプタとして機能するために3’-OHに核酸連結される必要がない可能性がある。図示された実施例では、オリゴヌクレオチドアダプタ24は、部分的に二本鎖であり、3’方向に伸長され得るプライマー290を含む、又はそれにハイブリダイズされる。図示された実施形態では、鋳型296に基づく塩基294の付加は、修飾ヌクレオチド12を「ジャンプ(jump)」する。しかしながら、修飾ヌクレオチド12の配置に応じて、伸長は、修飾ヌクレオチド12に関連する塩基を鋳型として使用してもよい。図示されているように、3’-OH反応性基300は、オリゴヌクレオチドアダプタ24の末端に直接連結されておらず、図示されている実施例では、塩基対骨格の交換はない。
図13は、反応性3’-OH310で塩基対骨格の交換が生じ、オリゴヌクレオチドアダプタ24が、3’方向に伸長して一本鎖鋳型分子312をコピーし得るループ(又はヘアピン)を形成する、配置を示す。
【0062】
図14は、平滑末端二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチド組み込みを組み込むために行われた反応(左)及び予想される得られる生成物サイズ(右)の図である。
図15は、
図14に示される反応による、平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドの組み込みの結果を示す。修飾ヌクレオチドoNTPsは、5分で約90%の鋳型組み込み及び約95%の非鋳型組み込みを行うことで、鋳型反応及び非鋳型反応の両方で1901polによって組み込まれた。
【0063】
図16は、平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドプライミング伸長の図であり、
図17は、平滑二重鎖DNA及び陥凹二重鎖DNAへの修飾ヌクレオチドプライミング伸長の結果を示す。反応では、一本鎖オリゴヌクレオチドアダプタを、3’末端の平滑二重鎖断片及び陥凹二重鎖断片に組み込んだ。一本鎖オリゴヌクレオチドは、配列相補性を介してプライマーに結合する。1901pol又はBst2.0を使用してプライマーを伸長し、プライマー伸長中に、二重鎖の鎖置換が生じた。すなわち、置換された鎖は、組み込まれた修飾ヌクレオチドを含まない鎖であった。Bst2.0polは、60℃のインキュベーションで5分間、平滑二重鎖及び陥凹二重鎖の置換伸長の両方において、最も高い活性を発揮した。
【0064】
図18は、修飾ヌクレオチドを含む平滑二重鎖DNAへのアダプタ核酸連結の図である。ルアーを含む修飾アデノシン又はdATP対照のいずれかを、二本鎖の末端に組み込んだ。
図19~
図20は、その他のヌクレオチド末端との核酸連結と比較した、ルアー系アダプタの核酸連結の結果を示す。ルアーテイルを含む核酸連結は、その他の末端と比較してより低い優先度であったが、核酸連結が生じることが実証された。T4リガーゼは、oNTPルアーテイルの存在下で最良の核酸連結を示した。
【0065】
図21は、修飾ヌクレオチドのscarサイズに基づくエキソヌクレアーゼ阻害を示す。3’~5’エキソヌクレアーゼ活性は、dNTP型及び塩基修飾と大きく異なり得る。scarのサイズは、核酸連結効率と逆相関し得る。
【0066】
開示される技術は、核酸試料又は試料核酸を修飾するために使用されてもよい。「試料核酸」は、生きているか死んでいるかにかかわらず、1つ又は複数の細胞、組織、器官、又は有機体を含む任意のインビボ供給源若しくはインビトロ供給源、又は任意の生物学的供給源若しくは環境的供給源(例えば、水、空気、土壌)に由来し得る。例えば、いくつかの実施形態では、試料の核酸は、ヒト、動物、植物、真菌(例えば、カビ又は酵母)、細菌、ウイルス、ウイロイド、マイコプラズマ、又はその他の微生物を起源とするか又は由来する、真核生物及び/又は原核生物のdsDNAを含むか又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、試料の核酸は、ゲノムDNA、サブゲノムDNA、(例えば、単離された染色体又は染色体の一部由来、例えば、染色体由来の1つ以上の遺伝子又は遺伝子座由来の)染色体DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、プラスミド若しくはその他のエピソーム由来のDNA(又はその内部に含有されている組換えDNA)、又はRNA依存性DNAポリメラーゼ若しくは逆転写酵素を使用してRNAを逆転写して第1の鎖cDNAを生成し、次に、第1の鎖cDNAにアニーリングしたプライマーを伸長させて、dsDNAを生成することによって作製された二本鎖cDNAを含むか又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、試料の核酸は、核酸分子中の又は核酸分子から調製された複数のdsDNA分子(例えば、生物学的(例えば、細胞、組織、器官、有機体)又は環境(例えば、水、空気、土壌、唾液、痰、尿、糞便)供給源中の又はこれらに由来するゲノムDNA又はRNAから調製されたcDNA中の又はこれらから調製された複数のdsDNA分子)を含む。いくつかの実施形態では、試料の核酸は、インビトロ供給源由来である。例えば、いくつかの実施形態では、試料の核酸は、一本鎖DNA(ssDNA)から又は一本鎖RNA若しくは二本鎖RNAから(例えば、好適なDNA依存性及び/又はRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)を使用するプライマー伸長などの、当該技術分野において周知の方法を使用して、インビトロで調製されるdsDNAを含むか、又はdsDNAからなる。いくつかの実施形態では、試料の核酸は、DNA又はRNAの増幅(例えば、PCR又は逆転写酵素PCR(RT-PCR)、転写媒介増幅法、1つ以上の核酸分子の全て又は一部の増幅を伴う);その後に好適な宿主細胞内で複製されるプラスミド、フォスミド、BAC(Bacterial Artificial Chromosome、細菌人工染色体)、又はその他のベクター中の1つ以上の核酸分子の全て又は一部の分子クローニング;あるいは、アレイ又はマイクロアレイ上のDNAプローブへのハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーションによる、1つ以上の核酸分子の捕捉についての方法を含む、当該技術分野において周知の任意の方法を使用して、1つ以上の二本鎖又は一本鎖のDNA分子又はRNA分子の全て又は一部から調製されるdsDNAを含むか、又はdsDNAからなる。
【0067】
開示される核酸技術は、配列決定ワークフローの一部として実施されてもよい。配列決定技術は、米国特許公開第2007/0166705号、同第2006/0188901号、同第2006/0240439号、同第2006/0281109号、同第2005/0100900号、米国特許第7,057,026号、国際公開第05/065814号、同第06/064199号、同第07/010251号(これらの開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)に記載されているシーケンシング・バイ・シンセシス法を組み込むことを含んでもよい。いくつかの実施形態はナノ細孔配列決定を利用し得るが、それによって、試料の核酸鎖又はヌクレオチドは試料の核酸からエキソヌクレアーゼによって除去され、ナノ細孔を通過する。試料の核酸又はヌクレオチドがナノ細孔を通過する際に、それぞれの塩基種は、細孔の電気コンダクタンスの変動を測定することによって、特定され得る(米国特許第7,001,792号、Soni&Meller,Clin.Chem.53,1996-2001(2007年)、Healy,Nanomed.2,459-481(2007年)、及びCockroftら、J.Am.Chem.Soc.130,818-820(2008年)、これらの開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)。更なるその他の実施形態は、伸長生成物へのヌクレオチドの組み込み時に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(Guilford,CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術を使用し得る、又は、米国特許出願公開第2009/0026082(A1)号、同第2009/0127589(A1)号、同第2010/0137143(A1)号、同第2010/0282617(A1)号に記載されている配列決定法及びシステムを使用し得る。特定の実施形態は、DNAポリメラーゼ活性の実時間モニタリングを含む方法を利用し得る。ヌクレオチドの組み込みは、蛍光色素分子(フルオロフォア、fluorophore)担持ポリメラーゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer、FRET)の相互作用を介して、又は例えば、Leveneら、Science 299,682-686(2003年)、Lundquistら、Opt.Lett.33,1026-1028(2008年)、Korlachら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,1176-1181(2008年)(これらの開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)に記載されているようなゼロモード導波路を用いて、検出され得る。その他の好適な代替的な技術としては、例えば、蛍光インサイチュ配列決定法(Fluorescent In Situ SEQuencing、FISSEQ)、及び大規模並列配列決定法(Massively Parallel Signature Sequencing、MPSS)が挙げられる。特定の実施形態では、配列決定デバイス260は、Illumina(La Jolla、CA)製のiSeqであってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチド12は、オリゴヌクレオチドアダプタの3’末端の遊離を可能にするために、光化学的切断に供される切断可能部分を含んでもよい。切断部位での切断は、リンカー20、例えば、炭素リンカーへのオリゴヌクレオチドアダプタ24の連結を破壊する。光化学的切断は、核酸(例えば、二本鎖核酸分子の一方又は両方の鎖)の切断を達成するために光エネルギーを利用する、任意の方法を包含する。光化学的切断のための部位は、ホスホラミダイト[4-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)ブチルアミドメチル)-1-(2-ニトロフェニル)-エチル]-2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト)(Glen Research,Sterling,VA,USA,カタログ番号10-4913-XX)などの核酸中の非ヌクレオチド化学部分によって提供され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドアダプタ23は、修飾ヌクレオチド12を組み込んだ核酸のプルダウン又は精製を可能にするハンドルとして機能する、親和性結合体又は親和性タグを含み得る。親和性タグは、標的核酸のバルク分離に有用であり得る。本明細書で使用される場合、「親和性結合体」という用語は、多成分複合体の成分を指し得るが、多成分複合体の成分は、互いに特異的に相互作用する、又は特異的に結合する。例えば、親和性タグは、それぞれ、ストレプトアビジン又はニッケルに結合し得るビオチン又はHis(Histidine、ヒスチジン)を含み得る。多成分親和性タグ複合体のその他の例としては、リガンド及びそれらの受容体、例えば、アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、並びに2-イミノビオチン、デスチオビオチン、NeutrAvidin(Molecular Probes,Eugene,OR)、CaptAvidin(Molecular Probes)を含むがこれらに限定されない、ビオチン、ストレプトアビジン、又はアビジンの誘導体等と、麦芽糖-麦芽糖結合タンパク質(Maltose Binding Protein、MBP)、カルシウム-カルシウム結合タンパク質/ペプチド(Calcium Binding Protein/Peptide、CBP)を含む、結合タンパク質/ペプチドと、エピトープタグを含む抗原-抗体、及びそれらの対応する抗エピトープ抗体と、ハプテン、例えば、ジニトロフェニル及びジゴキシゲニン、並びにそれらの対応する抗体と、アプタマー、及びそれらの対応する標的と、ポリ-Hisタグ(例えば、ペンタ-His及びヘキサ-His)、並びに対応する固定化金属イオン親和性クロマトグラフィ(Immobilized Metal ion Affinity Chromatography、IMAC)材料、及び抗ポリ-His抗体を含む、それらの結合パートナー(partners)と、蛍光色素分子、及び抗蛍光色素分子抗体等、が挙げられる。
【0070】
開示される修飾ヌクレオチド12(例えば、オリゴ修飾ヌクレオチド類似体、oNTPS(oligo-modified nucleotide analogues))は、天然に存在しない分子である。複数の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、天然に存在する核酸配列及び/又は合成核酸配列に組み込まれている。複数の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、配列決定又はその他の核酸操作ワークフローに好適な自在アダプタ配列などの、天然に存在しない核酸配列を含むオリゴヌクレオチドアダプタに、結合される。多重反応のために、異なる修飾ヌクレオチド12が、オリゴヌクレオチドアダプタの識別可能な試料インデックス配列によって異なるがそれ以外は同じである、それぞれの異なる試料に、使用されてもよい。
【0071】
本開示の実施形態は、修飾ヌクレオチド12の組成物、及び/又は1種以上の組み込まれた修飾ヌクレオチド12を有する核酸を含む。本開示の実施形態は、配列決定ライブラリ調製の一部として生成された核酸を含むが、この核酸は、修飾ヌクレオチド12の組み込みを介して付加された3’アダプタと、核酸塩基から伸長してアダプタの3’末端を遊離させるリンカーでの核酸連結及び切断を介して組み込まれた修飾ヌクレオチド12の3’末端へのアダプタの塩基対骨格の交換と、を有する。本開示の実施形態は、修飾ヌクレオチド12並びにワークフローのための関連試薬、例えば、配列決定ライブラリ調製のための関連試薬を含む、試料調製キットを含む。関連する試薬は、化学試薬又は酵素(例えば、本明細書で考察されるような、リガーゼ及び/又はポリメラーゼ)を含んでもよい。
【0072】
本書面による説明は、本開示の部分としての実施例を使用し、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、あらゆる当業者が開示される実施形態を実践することを可能にする。特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含んでもよい。このようなその他の実施例は、これらが特許請求の範囲内の文字通りの言葉とは異ならない構造要素を含む場合、又はこれらが、特許請求の範囲内の文字通りの言葉とのごくわずかな違いを有する等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図する。
【国際調査報告】