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特表2024-521206一体型発泡材料を備えるポケットマットレス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】一体型発泡材料を備えるポケットマットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/05 20060101AFI20240521BHJP
   B68G 9/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A47C27/05
B68G9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573632
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022064049
(87)【国際公開番号】W WO2022253638
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21176794.2
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17/334,865
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】515200180
【氏名又は名称】スタースプリングス アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】Starsprings AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン、スターンビング
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AD02
3B096AD07
(57)【要約】
スプリングマットレスは、ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルを備え、前記スプリングは、第1端部と第2端部とを有し、前記スプリングのうちの少なくとも1つについて、前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置されたケーシング部分が、前記スプリングを介して接合により互いに接続する。接合したケーシング部分は、スプリングを貫通する開口を備える。発泡材料のピースが、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように前記開口に配置される。このようなマットレスを製造するための機械および方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルを備えるスプリングマットレスであって、
前記スプリングは、第1端部と第2端部とを有し、
前記スプリングのうちの少なくとも1つについて、前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置されたケーシング部分が、前記スプリングを貫通する開口と、前記開口に配置された発泡材料のピースであって、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように配置された発泡材料のピースと、を備える、スプリングマットレス。
【請求項2】
前記発泡材料のピースの前記第1部分および前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部を超えてそれぞれ延びる、請求項1に記載のスプリングマットレス。
【請求項3】
前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置された前記ケーシング部分は、前記スプリングを介して接合により互いに接続し、
前記開口は、接合した前記ケーシング部分に配置される、請求項1または2に記載のスプリングマットレス。
【請求項4】
各発泡材料のピースは、前記開口に配置された前記一部において圧縮されることにより、前記開口において前記発泡材料のピースにくびれ部を形成し、
前記発泡材料のピースの前記第1部分および前記第2部分は、前記開口から離れる方向において、徐々に膨張してより大きい横断面形状になる、請求項3に記載のスプリングマットレス。
【請求項5】
前記スプリングの前記第1端部または前記第2端部を超えて延びる前記発泡材料の一部が、前記発泡材料が貫通して延びる前記スプリングの前記下端部回旋または前記上端部回旋の直径以上である横断面寸法を有する、請求項1~4の一項に記載のスプリングマットレス。
【請求項6】
前記発泡材料のピースは、直方体または円筒体の弛緩形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項7】
前記発泡材料のピースは、前記長手方向に対して垂直に見て、本質的に均一の横断面形状および横断面寸法を有する弛緩形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項8】
前記開口の前記平均直径は、前記スプリングの前記平均直径の30~70%の範囲内にあり、好適には40~60%の範囲内にあり、最も好適には45~55%の範囲内にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項9】
前記ケーシング部分は、前記開口の周囲の連続溶接部、または前記開口の周囲に分散配置された複数の溶接ポイントにより接続する、請求項3に従属する請求項1~8のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項10】
前記ケーシングは、並んだ状態で相互接続する複数のストリングを形成し、
各ストリングは、連続するケーシング材料を備え、
前記ケーシングは、前記ストリングの前記縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ラインと、前記ストリングの前記縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ラインと、により規定され、
コイルスプリングが、前記ストリングの前記ケーシングに配置され、
前記接続ラインは、好適には、前記スプリングの側方に、したがって隣り合うスプリングの間に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項11】
前記ケーシングは、上側織物シートと下側織物シートとにより形成され、
前記シートは、前記スプリングの間で互いに接続して前記ポケットを形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項12】
前記発泡材料のピースは、異なる材料の少なくとも2つの層を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項13】
前記マットレスは、前記スプリングの間に配置された追加の第2開口をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス。
【請求項14】
スプリングをケーシング材料に封入するための装置と、
前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置されたケーシング部分に開口を形成し、選択的に前記ケーシング部分を前記スプリングを介して接合により互いに接続するための装置と、
発泡材料のピースを、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように、前記開口に挿入するための装置と、を備える、ポケットスプリングマットレスを製造するための機械。
【請求項15】
ケーシング部分を前記スプリングを介して接続するための装置を備え、
前記装置は、挿入装置およびこれから距離を置いて配置された対向装置であって、前記スプリングがバイアス状態になるように、互いに向かってかつ互いから離れる相対変位を実施して、ケーシング材料の間に配置されたスプリングの前記スプリング端部におけるケーシング材料を、前記スプリングを介して互いに近づけるように適合された挿入装置および対向装置と、2つの前記スプリング端部からこのようにして一体とされた前記ケーシング材料を接続する接合を形成するための相互接続装置と、2つの前記スプリング端部からの前記ケーシング材料の間の前記相互接続部に開口を穿孔する穿孔装置と、を備える、請求項14に記載の機械。
【請求項16】
ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルスプリングを備えるスプリングマットレスを製造するための方法であって、
前記スプリングをケーシング材料に封入するステップと、
前記スプリングのうちの少なくとも1つをバイアス状態にするステップと、
前記スプリングを相互接続するステップと、を備え、
前記スプリングをバイアス状態にする前記ステップは、前記スプリングの前記端部に対して配置されたケーシング部分を、前記スプリングを介して互いに向けて移動させ、これらを接合により相互接続する部分ステップと、前記接合にスプリングを貫通する開口を形成する部分ステップと、発泡材料のピースを、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように、前記開口に配置する部分ステップと、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングに封入されたスプリングを備えるスプリングマットレスであって、端部のケーシング材料がスプリングを介して互いに接続されることで、ドーナッツ形状の包囲部/ポケットが形成された、いわゆるポケットマットレスに関する。また、本発明は、このようなマットレスを製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリングマットレスの一般的な作製方法は、いわゆるポケット技法である。これは、スプリングがポケットに封入されていること、すなわち、スプリングが個々にケーシング材料により封入されていることを意味する。こうすることで、スプリングは比較的個別に弾性を有するため、隣り合うスプリングに影響を及ぼすことなく個々に撓むことができる。これにより、重量が荷重を受ける表面上でより均一的に分散されるため、ユーザの快適性が向上する。
【0003】
しかしながらこのタイプのマットレスの欠点は、薄いマットレスを提供しにくいということである。スプリングの長さを短くするが、これに応じて幅を短くしない場合、特にこの長さがスプリングの直径の長さに近づくと、スプリングは、ケーシングの中で回転しやすくなり、マットレスの快適性が劇的に悪化する。このようなマットレスを製造する場合、既存の技法でははるかに多数のスプリングを使用する必要がある。この結果、製造は相当により高価で複雑になる。また、細すぎるワイヤを使用することができないため、このようなマットレスがごわつくことを防止するのは困難である。
【0004】
これらの理由から、オーバーレイマットレスやシートクッション等のより薄いマットレスが必要とされる多くの用途にスプリングマットレスを使用することはできなかった。それでも、スプリングマットレスは、優れた快適性、個々の柔軟性、長寿命、簡単で安価な製造性等の、このような状況でも使用が望まれるいくつかの特性を有している。
【0005】
この問題に対する解決策が、同一出願人によるUS6591438、US7748065およびUS8087114に提示されている。ここで、ケーシングの端部部分を互いに向かって移動させてスプリングを介して互いに連結することにより、スプリングのバイアスが生じ、非常にコンパクトで有用なマットレスとなる。これにより、非常に薄いポケットスプリングマットレスが生産され得る。同様のタイプのマットレスが、同じく同一出願人によるWO2019/096793に開示されている。このようなマットレスは、コンフォート層やトッパー等の別のマットレスの上に配置される追加のマットレスとして非常に有用である。
【0006】
しかしながら、ポケットマットレスの上に直接横たわるのは、一般に快適ではなく、良好な眠りや休息を提供するには、通常、マットレスの上にさらなるパッド層を追加する必要がある。このようなパッド層は、多くの場合、包囲された布張りマットレスを形成するようにポケットマットレスに組み付けられることが多い。代替的に、別個のパッドマットレスをポケットスプリングマットレスの上に緩く載置してもよい。しかしながら、このような追加のトップ層の欠点は、ポケットユニットの個々の弾性が低下するため、最適な体圧分散が提供されないということである。
【0007】
また、発泡材料をポケットスプリングマットレスの個々のポケットユニットに組み込むという試みの例も存在する。このような試みは、例えばUS9936815に開示されている。しかしながら、このマットレスは比較的複雑であり、生産コストが高い。さらに、発泡材料をポケットユニットに十分に取り付けることは困難であり、時間の経過とともに発泡材料がポケットユニットから分離してしまうおそれが大きい。
【0008】
したがって、このマットレスおよび先に提案された同様のマットレスの欠点は、発泡体/パッドのコイルスプリングおよびポケットに対する接続が比較的複雑であり、実現にコストがかかることである。さらに、発泡体/パッドが変形したり外れたりして、例えばコイルスプリングの回旋内に押し込まれるという重大なおそれがある。このことにより、マットレスの外観と快適性がともに著しく損なわれる。
【0009】
したがって、他の先行技術のポケットマットレスと比較して、製造が容易および/または安価でありながらも少なくとも同等の快適性を提供する個々のポケットに収容されたコイルスプリングおよびポケットスプリングマットレスが必要とされている。また、良好な弾性と応答性を提供するこのような個々のポケットに収容されたコイルスプリングおよびポケットスプリングマットレスであって、スプリング組立体の完成後に、寝具や座席製品上で使用するクッション材料やパッド材料の量を低減させ得る個々のポケットに収容されたコイルスプリングおよびポケットスプリングマットレスに対するニーズもある。またさらに、このような個々のポケットに収容されたコイルスプリングおよびポケットスプリングマットレスは、より頑丈でより長期に亘る使用においてもその特性を維持することが必要とされている。特に、このような特性を有するトッパーやコンフォート層等が必要とされている。
【0010】
したがって、快適性および睡眠の質に関して、ポケットマットレスにはまだ改良の余地がある。また、マットレスの長寿命化も一般に必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に克服または軽減するポケットスプリングマットレス、ならびにこれを製造するための方法および装置を提供することである。
【0012】
この目的は、特許請求の範囲に記載されたスプリングマットレス、ならびにこれを製造するための方法および装置により達成される。
【0013】
この目的および他の目的は、ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルを備えるスプリングマットレスであって、前記スプリングは、第1端部と第2端部とを有し、前記スプリングのうちの少なくとも1つについて、前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置されたケーシング部分が、前記スプリングを貫通する開口と、前記開口に配置された発泡材料のピースであって、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように配置された発泡材料のピースと、を備える、スプリングマットレスにより達成される。
【0014】
スプリングの第1端部および第2端部に配置されたケーシング部分は、離間し得るとともに、スプリングの第1端部および第2端部に、またはその近傍に位置し得る。ただし、好適には、スプリングの第1端部および第2端部に配置されたケーシング部分は、スプリングを介して接合により互いに接続し、開口は、接合された前記ケーシング部分において、互いに近接して配置される。
【0015】
このマットレスは、同出願人によるWO2019/096793(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたような一般的なタイプのものであるため、このタイプのマットレスに関連するすべての利点、例えば、マットレスを薄くすることができること、スプリングの有利なバイアス等を本質的に有している。しかしながら、本発明のマットレスは、さらに多くの利点を提供する。
【0016】
ポケットおよびスプリングを貫通する開口をケーシング部分の相互接続部に設けることで、このような開口により発泡材料をポケットユニットに固定する非常に効率的で便利な手法が得られることが判明した。開口はくびれ部を発泡材料に形成するため、発泡材料が固定位置に機械的に保持される。また、予め形成された発泡材料のピースを既に準備されたマットレスの所定位置に挿入して組み付けることができるため、非常に迅速でコスト効率の高い製造が可能になる。発泡材料のピースは、マットレスの一側のみからしか導入できないが、組み立てられたマットレスの両側に向かって広がる。これにより、ポケットマットレスを作製するための従来の製造プロセスを使用することができ、後続のステップとして発泡材料を追加するだけでよい。このため、本発明は、自動化されたコスト効率の高い製造に非常に適しており、以前から知られて使用されている製造プロセスで生産されたポケットユニットに発泡材料のピースを組み付ける追加のステップを組み込むことも比較的容易である。
【0017】
さらに、発泡材料のピースをコイルスプリングに直接的に接続する必要はない。その代わりに、発泡材料は、ケーシング織物により、コイルスプリングから離間して配置される。
【0018】
発泡材料により、コイルスプリングの内部に高い安定性および弾性が提供される。また、コイルスプリングの端部から延びる発泡材料は、発泡材料の上面および/または下面を形成する。これにより、マットレスの上面およびまたは下面、および層が柔軟で快適なものとなり、追加のパッド層等の必要性が低減される。
【0019】
本発明は、個々のポケットスプリングユニットを提供し、各々のポケットスプリングユニットは、コイルスプリング内に配置された発泡材料のピースであって、好適にはコイルスプリングの端部に向かって延びるように寸法決めされた発泡材料のピースを備えている。発泡材料のピースを各個々のポケットユニット内に設けることにより、各コイルスプリングが独立して機能し、より快適な寝具製品または座席製品が得られる。これにより、ポケットの個々の弾性が維持されるため、優れた快適性と体圧分散性が提供される。このようなポケットユニットの場合、追加のパッド層は必要ない。これは、少なくとも各コイルスプリングにより形成されたキャビティに、好適にはコイルスプリグの端部を超えて延びるクッションパッドが各ポケットユニットに組み込まれているからである。
【0020】
さらに、各ポケットユニット内のコイルスプリングと発泡材料のピースとがケーシング織物により互いに離間しているという事実により、発泡材料が常に所定位置にあることが保証され得る。コイルスプリングを収容するポケットユニットのケーシング材料は、使用中に発泡材料が変位することを妨げる。この結果、長期間の使用においても、マットレスの外観および快適性が維持され得る。
【0021】
また、発泡材料は、多孔質で空気透過性を有していることにより、発泡材料がマットレス内に存在していても、マットレスにおける換気および通気が開口を介して可能とされる。就寝中に、大量の水分が人体から出ていく。換気性/通気性が高いことにより、この水分は、より効率的にマットを湿らせることなく処理され得る。水分は、より効率的にユーザの身体から除去され、マットレスから離れ得る。さらに、快適性および睡眠の質が向上し、ユーザのより安定した睡眠温度および睡眠湿度が保証され得る。また、ユーザの体温調節が容易になる。そして、マットレス内の湿気および水分が減少することにより、ダニやカビ、バクテリア等の発生や繁殖が抑制され、マットレスをより長期に亘って衛生的な状態に保つことができる。これにより、アレルギーの発症リスクも低減する。悪臭のリスクも低減される。全体として、換気性および通気性が高いことで、マットレスをより長期に亘って清潔で衛生的な状態に保つことができ、これによりマットレスの寿命が延びる。
【0022】
また、追加の第2開口を、スプリングの間の箇所に設けてもよい。このような開口は、例えば、4つの隣り合うスプリングの間の箇所に配置され得る。好適には、1つのこのような開口が、隣り合うスプリングのすべてのグループに、または本質的にすべてのグループに設けられる。このような追加の第2開口によっても、マットレスの換気性および通気性が向上する。
【0023】
本発明は、この特定タイプのマットレス、すなわち、スプリングの端部に配置されたケーシング部分がスプリングを介して互いに接合され、接合を貫通する開口を有するポケットスプリングマットレスにおいて、開口がポケットユニットの内部キャビティ全体および両端部へのアクセスを提供するため、そして発泡要素の機械的固定が提供されることにより、発泡材料のピースの配置が非常に容易で効率的であるという認識に基づいている。
【0024】
発泡要素は、機械的固定のみにより所定位置に維持され得る。しかしながら、代替的に、溶接、接着等による追加の固定も提供され得る。
【0025】
本発明によれば、各ポケット、すなわち、各スプリングを封入するケーシングは、スプリングが封入される円形の区画を形成するドーナッツ形状を有するトロイドとして形成される。さらに、発泡材料は、中央くびれ部と、くびれ部から両反対方向に延びる2つの膨張したきのこ形状部分とを有する砂時計として形成され得る。発泡材料の弾性および柔軟性により、2つの形状、すなわち、ケーシングのトロイド形状と発泡材料の砂時計形状とは、高い程度で互いに相補的であり得るため、ポケットユニットの全体的な横断面形状は、円形、丸みを帯びた隅部を有する矩形、またはその中間の形状の形態となり得る。
【0026】
発泡材料のピースの前記第1部分および第2部分のうちの少なくとも一方は、好適には、スプリングの第1端部および第2端部をそれぞれ超えて延びる。好適な実施形態において、発泡材料は、各スプリングの各側において膨出する。これにより、発泡体が、マットレスの最外層を提供する。しかしながら、発泡材料が一側においてのみスプリング端部を超えて延びることも考えられる。また、発泡材料が、いずれの端部をも超えて延びないことも考えられる。このような実施形態において、発泡材料は、コイルスプリングの端部回旋の平面と面一であってもよいし、このような平面の下方に位置してもよい。
【0027】
発泡材料の突出するピースは、丸みを帯びた凸状の上面および/または丸みを帯びた凸状の下面を形成し得る。しかしながら、代替的に、発泡体の突出するピースは、全体的に平坦な面を形成することで、全体として平坦で均一なマットレス面が形成され得る。さらに別の代替実施形態において、発泡材料の突出するピースは、周縁に囲まれた低い中央部を有することにより、カップ形状または凹状の上面および/またはカップ形状または凹状の下面が提供され得る。
【0028】
実施形態において、各発泡材料のピースは、開口内に配置された部分において圧縮されることにより、発泡材料のピースにおけるくびれ部を前記開口で形成し得る。発泡材料のピースの第1部分および第2部分は、開口から離れる方向において徐々に大きな横断面形状に膨張する。
【0029】
スプリングの第1端部または第2端部を超えて延びる発泡材料の一部は、これが貫通して延びるスプリングの上端部回旋または下端部回旋の直径以上の横断面寸法を有し得る。これにより、延びた発泡材料は、スプリングの上方に比較的連続的な層を形成する。
【0030】
発泡材料は、種々の材料から構成され得る。好適な実施形態において、発泡体は、ウレタン、ラテックス、または粘弾性発泡体から構成される。
【0031】
発泡材料のピースは、均質な材料から構成され得る。しかしながら、発泡材料のピースは、異なる材料の組み合わせから構成されてもよい。このような異なる材料は、例えば異なる層に配置されて、例えば積層構造が形成され得る。層は、好適には、マットレス平面に対して平行な平面に配置される、すなわち、スプリングの軸方向に対して平行な方向において互いに上下に配置される。
【0032】
例えば、発泡材料のピースは、一側または両側に面して、したがって最上層および/または最下層として配置された、ラテックスや粘弾性材料等のより高い価格の材料を有し得る。そして、中央層は、ポリウレタン等のより安価な材料からなる。これにより、最上層および/または最下層は、中央層とは異なる特性を有し得る。例えば、より柔らかい、より緻密である、より高い粘弾性を有する。追加的または代替的に、発泡材料のピースは、発泡材料ではない材料、例えば、布、パッド、織物ピース等からなる薄い追加の層も備え得る。このような追加の薄い層は、例えば、より耐久性のある上面および/または下面、より滑らかな上面および/または平面、より緻密な上面および/または下面等を提供するように配置され得る。このような追加の薄い層は、発泡材料からなる異なる層の間にも配置され得る。
【0033】
実施形態において、発泡材料のピースは、少なくとも2つの層、好適には少なくとも3つの層、より好適には少なくとも4つの層、最も好適には少なくとも5つの層を備える。
【0034】
発泡材料のピースは、直方体または円筒体の弛緩形状を有し得る。弛緩形状とは、スプリング内で拘束されていないときの発泡材料の形状、すなわち非バイアス形状である。発泡材料のピースは、長手方向に対して垂直に見て、本質的に均一な横断面形状および横断面寸法の弛緩形状を有し得る。
【0035】
しかしながら、代替的に、発泡材料は、くびれ部を形成する弛緩形状、および、例えば、スプリングユニットに配置される際に想定される形状に概ね対応する形状を有し得る。
【0036】
発泡材料は、予め形成され、圧縮されてスプリングユニットに挿入され得る。しかしながら、代替的に、発泡材料を、例えば液体状態で所望の位置に注入することにより、スプリングユニット内で直接的に形成してもよい。
【0037】
ケーシング部分の接続は、好適には、接続が十分な強度および安定性を得るようなサイズおよび形状とされる。さらに、接続の形状およびサイズを変更することで、スプリングのバイアスの程度を異ならせることができる。このようにして、異なるマットレス間で、また、同一のマットレスにおける異なるスプリング間で、容易にバイアスを変えることができる。好適には、接続は、対照的な接合エリアを形成する。
【0038】
開口は、好適には、ケーシング部分間の接合の外周内にある。接合は、例えば溶接により形成され得るとともに、連続接続ラインにより、または、例えば破線や点線等として配置された離間した接続ポイントまたは接続エリアにより形成され得る。開口は、実質的に円形であり得る。しかしながら、代替的に、開口は、矩形、正方形、六角形等の多角形の形状を取り得る。楕円形状等の他の形状も考えられる。好適には、開口は対称形状を有し、最も好適には、開口は実質的に円形である。
【0039】
接合は、好適には、接着、溶着等の表面接合により形成される。好適な実施形態において、表面接合は、溶着により形成される。
【0040】
開口の直径は、好適には、スプリングの直径、すなわち、スプリングの最大ターンの直径よりもはるかに小さい。特に、開口の直径は、対応するストリングの最大ターンの直径の約半分であり得る。実施形態において、前記開口の前記平均直径は、前記スプリングの前記平均直径の30~70%の範囲内にあり、好適には40~60%の範囲内にあり、最も好適には45~55%の範囲内にある。
【0041】
前記ケーシング部分は、前記開口の周囲の連続溶接部、または前記開口の周囲に分散配置された複数の溶接ポイントにより接続し得る。
【0042】
ケーシング部分は、開口の周囲に分散配置された複数の溶接ポイントにより接続し得る。例えば、接合は、2個、3個、4個、6個または8個の溶接ポイントを備え得る。代替的に、ケーシング部分は、開口の周囲の連続溶接部により接続し得る。開口の周囲に溶接部を設けることにより、開口があっても、相互接続部に適切な強度が維持される。溶接ポイントは、開口の周囲に対称的に配置されて、相互接続部における十分な強度が保証され得る。
【0043】
実施形態において、前記ケーシングは、好適には互いに対して平行に並んだ状態で相互接続する複数のストリングを形成し、各ストリングは、連続するケーシング材料を備え、前記ケーシングは、前記ストリングの前記縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ラインと、前記ストリングの前記縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ラインと、により規定され、コイルスプリングが、前記ストリングの前記ケーシングおよびポケットに配置され、前記接続ラインは、好適には、前記スプリングの側方に、したがって隣り合うスプリングの間に配置される。
【0044】
ストリングの縦方向接続ラインおよび横方向接続ラインは、好適には、スプリングの縦方向軸に対して実質的に直角に延びる。さらに、ストリングの縦方向接続ラインおよび横方向接続ラインは、好適には、本質的に同一の平面において延びる。この平面は、好適には、スプリングの縦方向軸に対して実質的に垂直である。
【0045】
ストリングを縦方向接続ラインを介して互いに接続することは、非常に有利であることが判明している。典型的には溶接からなる縦方向接続ラインであって、多くの場合ストリングから突出する縦方向接続ラインにより、ストリング同士の有利な離間が自動的に得られる。さらに、ストリングは、このようにして、ラインに沿ってのみ、好適にはこのラインに沿った複数のポイントにおいてのみ、互いに取り付けられる。これにより、スプリングがその隣り合うスプリングに対して極めて高い可動性を有する非常に柔軟なマットレスが得られることが判明している。
【0046】
別の実施形態において、ケーシングは、上側織物シートと下側織物シートとにより形成され、シート同士は、スプリングの間で互いに接続されてポケットを形成している。例えば、ケーシングは、比較的大型の上側シートと比較的大型の下側シートとにより形成され得る。シートは、縦方向接続ラインおよび横方向接続ラインに沿って互いに接続されることで、例えば格子パターンを形成している。これにより、スプリング用の個々のポケットが形成されている。したがって、このような実施形態において、ポケットは、同一材料により、上述のストリングの実施形態のように一方向のみならず、2方向において、すなわち、長さ寸法および幅寸法において互いに一体化されている。
【0047】
シートの接続は、例えば接続ラインの形態において提供され得る。例えば、接続ラインは、第1方向において延びる第1セットの平行ラインおよび第2方向において延びる第2セットの平行ラインとして配置され、第2方向は、第1方向に対して例えば垂直である。これにより、接続ラインは、それらの間にスプリングが封入されるグリッドを形成し得る。しかしながら、代替的に、接続ラインは、各スプリングを包囲する円または多角形として配置され得る。さらに別の代替実施形態において、接続は、スプリングの間に、好適には2つのスプリングの各グループにおいて、すなわち、スプリングにより形成された各「四葉のクローバー」において配置されたポイント接続、または×、〇等として形成された接続として形成され得る。
【0048】
ケーシングは、好適には溶接可能な繊維材料から構成される。
【0049】
実施形態において、各スプリングの端部におけるケーシング部分の接続は、スプリングがバイアス状態にされる、好適には、バイアス状態にあるスプリングの長さが元の非バイアス状態にある同一のスプリングの長さの2/3未満、好適には1/2未満となるようにバイアス状態にされる、または、好適には、スプリングがスプリングの幅よりも小さい高さ、好適には幅の2/3未満、最も好適には幅の約1/2未満の高さを有するようなものである。スプリングを介して、スプリングの端部に配置されたケーシング材料部分が互いに対して移動する。
【0050】
本発明の別の態様によれば、
スプリングをケーシング材料に封入するための装置と、
前記スプリングの前記第1端部および前記第2端部に配置されたケーシング部分に開口を形成し、選択的に前記ケーシング部分を前記スプリングを介して接合により互いに接続するための装置と、
発泡材料のピースを、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように、前記開口に挿入するための装置と、
を備える、ポケットスプリングマットレスを製造するための機械、が提供される。
【0051】
この装置により、上述のタイプのマットレスが製造され得るとともに、この新規なマットレスに関連する対応する利点が達成される。
【0052】
ケーシング部分を前記スプリングを介して接続するための装置は、挿入装置およびこれから距離を置いて配置された対向装置であって、前記スプリングがバイアス状態になるように、互いに向かってかつ互いから離れる相対変位を実施して、ケーシング材料の間に配置されたスプリングの前記スプリング端部におけるケーシング材料をスプリングを介して互いに近づけるように適合された挿入装置および対向装置と、2つの前記スプリング端部からこのようにして一体とされた前記ケーシング材料を接続する接合を形成するための相互接続装置と、2つの前記スプリング端部からの前記ケーシング材料の間の前記相互接続部に開口を穿孔する穿孔装置と、を備え得る。
【0053】
一実施形態において、挿入装置および対向装置は、例えば溶接による接続を提供すること、および例えば穿孔により開口を形成することの両方を目的として配置され得る。
【0054】
発泡材料のピースを挿入するための装置は、発泡材料をスプリング内部の開口に挿入可能なサイズまで圧縮するための漏斗等の圧縮体を備え得る。しかしながら、代替的に、発泡体を、例えば液体形状の発泡材料を提供するインジェクタにより、所望の位置に直接的に形成してもよい。
【0055】
本発明の別の態様によれば、ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルスプリングを備えるスプリングマットレスを製造するための方法であって、前記スプリングをケーシング材料に封入するステップと、前記スプリングのうちの少なくとも1つをバイアス状態にするステップと、前記スプリングを相互接続するステップと、を備え、前記スプリングをバイアス状態にする前記ステップは、前記スプリングの前記端部に対して配置されたケーシング部分を、前記スプリングを介して互いに向けて移動させ、これらを接合により相互接続する部分ステップと、前記接合にスプリングを貫通する開口を形成する部分ステップと、発泡材料のピースを、各発泡材料のピースの第1部分が前記スプリングの前記第1端部に向かって延び、各発泡材料のピースの第2部分が前記スプリングの前記第2端部に向かって延びるように、前記開口に配置する部分ステップと、を備える、
方法が提供される。
【0056】
この方法により、上述のタイプのマットレスが製造され得るとともに、この新規なマットレスに関連する対応する利点が達成される。
【0057】
開口を接合に形成するステップは、接合の形成前に実施してもよいし、接合の形成後に実施してもよいし、または接合形成と同時に実施してもよい。開口の形成を接合の形成前になす場合、開口の形成は、スプリングをケーシング/ポケットに挿入する前にしてもよいし、もしくはスプリングの挿入後にしてもよい。
【0058】
本発明のこれらおよび他の利点は、以下の具体的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0059】
本発明の実施形態を示す添付図面を参照しつつ、本発明について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、発泡要素のピースを配置する前の、本発明の実施形態によるマットレスの一部の斜視図である。
図2図2は、ストリング方向に見た図1のマットレスの一部の横断側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による、図1および図2によるマットレスを製造するための装置の斜め上方からの概略斜視図である。
図4図4は、上方から見た図1のマットレスの一部の図である。
図5図5は、本発明の代替実施形態によるマットレスの製造における、孔を穿孔するステップの斜め上方からの概略斜視図である。
図6a図6aは、発泡要素のピースをスプリングに挿入するための代替ステップおよび装置を示す、側方からの概略横断面図である。
図6b図6bは、発泡要素のピースをスプリングに挿入するための代替ステップおよび装置を示す、側方からの概略横断面図である。
図7図7は、図6aおよび図6bの発泡要素の種々の断面視における概略図である。
図8図8は、本発明の実施形態によるマットレスの概略上面視の図である。
図9図9は、本発明の別の実施形態によるマットレスの概略上面視の図である。
図10図10は、本発明のさらに別の実施形態によるマットレスの概略上面視の図である。
図11図11は、本発明のさらに別の実施形態によるマットレスの概略上面視の図である。
図12a図12aは、本発明の実施形態による発砲要素の上部または下部の概略横断面図である。
図12b図12bは、本発明の実施形態による発砲要素の上部または下部の概略横断面図である。
図12c図12cは、本発明の実施形態による発砲要素の上部または下部の概略横断面図である。
図13a図13aは、本発明の別の実施形態による、スプリングユニットに配置された代替的な発泡要素の概略横断面図である。
図13b図13bは、本発明の別の実施形態による、スプリングユニットに配置された代替的な発泡要素の概略横断面図である。
図13c図13cは、本発明の別の実施形態による、スプリングユニットに配置された代替的な発泡要素の概略横断面図である。
図14a図14aは、本発明の実施形態による、種々の弛緩形状を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図14b図14bは、本発明の実施形態による、種々の弛緩形状を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図14c図14cは、本発明の実施形態による、種々の弛緩形状を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15a図15aは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15b図15bは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15c図15cは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15d図15dは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15e図15eは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図15f図15fは、本発明の実施形態による、種々のタイプの層状構造体を有する発泡材料のピースの概略側面図である。
図16図16は、本発明の別の実施形態によるマットレスの側方からの概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図示のように、層および領域のサイズは、説明を目的として誇張する場合があり、したがって、本発明の実施形態の全体的な構成を説明するために提供される場合がある。類似する参照符号は、全体を通して類似する要素を指す。
【0062】
それでは、例示を目的として、実施形態を使用して添付図面を参照しつつ本発明について詳細に説明する。
【0063】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態によるスプリングマットレスは、ケーシング/ポケット2に封入された複数の相互接続したコイルスプリング1を備えている。ケーシングは、好適には溶接可能な繊維材料から適切に構成されるが、異なるタイプのプラスチック材料等の他の材料も使用できる。また、綿布等の溶接不可能な繊維材料を使用することも可能である。
【0064】
本実施形態において、マットレスは、複数のポケット4が配置されたケーシング材料2のストリング3を備えている。ここで、ポケットは、ストリングの縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ライン5と、ストリングの縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ライン6と、により規定されている。好適には、ストリングは、折れピース材料からなるケーシング材料を備えている。折れピース材料において、折れラインがストリングの縦方向に延びている。閉じた縦方向接続ライン5が、ストリングの反対側に配置されている。横方向接続ラインは、折れラインと縦方向接続ラインとの間で延びている。代替的に、各ストリングを構成するために2つ以上のピース材料を使用することも可能である。この場合、追加の接続ラインが必要となり得る。
【0065】
マットレスにおいて、接続ラインがスプリングの側方に配置されるように、したがって、隣り合うスプリングの間に配置されるように、スプリングはポケットに配向されている。好適には、したがって、スプリングの端部におけるケーシング材料部分は、本質的に他の接続がない。しかしながら、縦方向接続ラインを、ストリングの上方でスプリング端部に重なるように配置することも可能である。
【0066】
スプリングのうちの少なくとも1つ、好適にはすべてのスプリングにおいて、スプリングの端部に配置されたケーシング部分は、スプリングを介して互いに向かって移動するとともに、接続装置7により互いに接続し、好適には、少なくともある程度のバイアスを提供するように配置される。好適には、ケーシング部分は、互いに接触をなすように互いに向かって移動するが、これらをワイヤや長いクランプ等により他の態様で相互接続することも当然ながら可能である。接続装置7は、クランプやリベット等の機械的接続要素、または接着や溶接等の表面接合を備え得る。しかしながら、他の固定要素も想定可能である。固定要素にかかる負荷は、通常小さい。これは、固定要素には、マットレスに負荷がかかっていない場合のみ負荷がかかり、マットレスに負荷をかかっている場合にはまったく負荷を受けないためである。好適な実施形態において、接合は、単数または複数の溶接部により形成される。
【0067】
さらに、端部部分が、接合を貫通するとともにスプリングを貫通する開口9を備えている。開口9は、好適には、実質的に円形であるが、他の形状も利用できる。スプリングの長さに亘る開口9は、マットレスの適切な通気性を提供する助けとなり得る。開口は、以下でさらに説明するように、発泡要素を安定させ固定するためにも使用される。図4に示すように、開口はここでは実質的に円形であるが、他の形状の開口も利用され得る。開口の直径は、例えば5mm~50mm、好適には10mm~30mm、より好適には15mm~25mmである。開口の直径は、好適には、コイルスプリングの最大ターンの直径よりもはるかに小さく、好適には、コイルスプリングの最小ターンの直径よりもはるかに小さい。
【0068】
端部部分は、ここでは、図4に示すように、実質的に円形の開口9の周囲に分散配置された溶接ポイント10により接続している。ここでは、4個の溶接ポイントが開口の周囲に分散配置されているが、溶接ポイントの任意の個数、例えば3個、6個、8個が利用できる。代替的に、開口の周囲の連続溶接部が利用できる。端部部分は、好適には、溶接により互いに接続している。この場合、端部部分を互いに接続するように溶接面が配置される。溶接部のサイズおよび/または位置は、有利には制御可能であり、マットレスの所望の高さおよびスプリングに対するバイアスが得られるように選択され得る。
【0069】
本発明に関連して、多くのサイズのコイルスプリングが使用でき、基本的にはどのようなサイズのバネでも使用できる。しかしながら、2~10cmの直径、より好適には3~7cmの直径、最も好適には4~5cmの直径を有するスプリングを使用することが好ましい。好適には、スプリングは、少なくとも3ターン、好適には10ターン未満のターンを備えている。さらに、スプリングは、有利には、0.5~3mmの範囲の厚さ、好適には1.0~2.5mmのワイヤ厚さを有するらせんワイヤから作製される。好適には、スプリングは、わずかにスプール状である。すなわち、頂部と底部において、ターンがより小さい。
【0070】
上述のマットレスにおいて、図1および図2に示すように、スプリングを有するストリングは、好適には、並んで配置されるとともに、互いに固定されている。好適には、列同士は、有利には1つのストリングの縦方向接続ライン5を隣のストリングの側面に接続する固定ポイント8により互いに接続している。当然ながら、図示のものより少ない、または多い個数の固定ポイントが想定可能である。また、複数の短い固定ポイントに代えて、長い固定ラインを配置することも可能である。ストリング同士の接続は、溶着または接着により行われ得る。好適には、相互接続部に良好な強度が提供されるように、溶着面または接着面が、開口の周囲に分散配置される。これは、例えば、開口の周囲に対称的に分散配置されたポイント面により、または開口の周囲の連続ライン面により達成され得る。しかしながら、代替的に、この接続は、クランプ、ベルクロテープにより、または他の適切な態様で行われ得る。
【0071】
縦方向接続ラインを介してストリングの相互接続部を配置することにより、追加のケーシング材料を必要とすることなく、ストリング同士が自動的に離間する。これにより、マットレスの有するスプリングの個数が少なくなるため、一方で快適性の観点から非常に好都合であり、他方でマットレスの費用効果がより高くなるので有利である。
【0072】
スプリング用の個々のケーシングが存在する連続ケーシング材料からなるストリングによる解決策は、本発明を実施するための多くの態様のうちの1つに過ぎない。本発明は、例えば、後で互いに取り付けられるスプリング用の個々のケーシングや、個々のスプリング用のケーシングを備えるマットレス全体用のケーシング材料からなる連続シートや、ケーシング材料に関する任意の他の解決策を伴い得る。
【0073】
上述の実施形態によるマットレスは、ケーシング材料からなるストリングのポケットにスプリングを封入することにより製造され得る。ポケットは、ストリングの縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ラインと、ストリングの縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ラインを有する連続ケーシング材料から作製されている。さらに、本方法は、スプリングの端部に対して配置されたケーシング部分を互いに向かって移動させるステップと、それらを互いに接続するステップと、開口をスプリングの端部におけるケーシング部分に穿孔する、または任意の他の手段により形成するステップと、を備えている。さらに、ストリングを並んだ状態で相互接続するステップがあってもよい。
【0074】
例えば、ストリングは、ケーシング材料を2つ折りにし、横方向溶接部を配置して開放ポケットを形成することにより製造され得る。続いて、圧縮したスプリングをポケットに挿入し、その後ストリングに沿って延びる溶接部によりポケットをシールする。さらに、好適にはスプリングを回動させることなく、各スプリングを貫通する追加の溶接部を、端部部分を互いに接続するために配置する。開口を、端部におけるケーシング部分を貫通して、好適には複数の溶接ポイントまたは連続溶接部の中央に穿孔する。そして、複数のスプリングを、縦方向溶接部がストリング同士の間にある状態で並ぶように接合して、マットレスを形成する。
【0075】
ステップは異なる順序で実施され得る。そして、接続ラインがスプリングの側方に、したがって隣り合うスプリングの間に配置される。端部部分を互いに向けて移動させるステップは、通常、バイアス状態にあるスプリングが元の非バイアス状態よりも短い縦方向範囲を有するように、接続要素による接続によってバイアスを発生させることを伴う。このようなバイアスを、スプリングをケーシング材料に封じ込めた直後に、すなわち、マットレスを形成するようにスプリングが組付けられる前に、または、マットレスが組み立てられた後に発生させ得る。しかしながら好適には、バイアスを、スプリングがストリングのポケットに封入される前に発生させる。この場合、ケーシング材料の使用量を大幅に少なくすることができる。特に、バイアスが大きいほど、かつマットレスが薄いほど、ケーシング材料の量を少なくすることができる。このようにして、マットレス層におけるすべてのスプリングを、適宜バイアス状態にする。
【0076】
マットレスの製造において、上述のように、少なくとも2つの隣り合うストリングが、それらの間に中間離間距離が設けられるように互いに接続することも保証され得る。
【0077】
さらに、例えば図2に示すように、スプリングを有するストリング同士を、好適には並んだ状態で相互接続する。上述のように、これは、固定用の縦方向接続ライン上の固定ポイントを、隣り合うストリングの側部に配置することにより実施され得る。
【0078】
上述の方法を実施するための装置は、コイルスプリングをストリングのポケットに封入するための手段を備えている。ポケットは、ストリングの縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ラインと、ストリングの縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ラインとを有する連続ケーシング材料から作製されている。図3に概略的に示すように、この手段は、ケーシング材料をスプリングの列の周囲で折り畳むための装置と、折り畳まれたケーシング材料に接続ラインを溶接するための設備と、を備え得る。スプリングをケーシングに配置してケーシングがスプリングを覆って折り畳まれた状態で圧縮することに代えて、代替的に、スプリングを別個に圧縮し、それらを圧縮状態において折り畳まれたケーシングに挿入することが可能である。
【0079】
溶接設備は、好適には、ケーシング材料に向かって移動可能な溶接ダイス11、12と、反対側の対応するアンビル13、14と、を備えている。好適には、縦方向接続ラインおよび横方向接続ラインをそれぞれ生じさせるように、別個の溶接設備が配置される。コイルスプリングを封入するための手段は、接続ラインが完成したマットレスの隣り合うスプリング間に配置されるように、接続ラインをスプリングの側方に配置するように適合されている。
【0080】
さらに、本装置は、スプリングの端部に対して配置されたケーシング部分を互いに向かって移動させてそれらを互いに接続するための手段と、ストリングを並んだ状態で相互接続するための手段と、を備えている。
【0081】
スプリングの端部に対して配置されたケーシング部分を互いに向かって移動させてそれらを互いに接続するための手段は、好適には、挿入装置15と、これから距離を置いて配置されたアンビル等の対向装置16と、を備えている。使用において、スプリングは、一端部が挿入装置に対面するように、そして他端部がアンビルに対面するように配置される。挿入装置は、アンビルに向かって、かつこれから離れるように移動可能であり、1つのスプリング端部におけるケーシング材料をスプリングを通過させて他側のケーシング材料に向けて移動させる。挿入装置15は、好適には、接続溶接部を生成するための溶接ダイスである。しかしながら代替的に、代わりに他の固定手段を設けることもできる。また、可動アンビルを使用することも可能である。この場合、スプリングの両側が、互いに向けて押圧され、その後に縫合、溶接、または同様の接続が行われ得る。
【0082】
本装置は、スプリングの端部におけるケーシング部分に孔を穿孔するための手段も備えている。穿孔器は、ここでは、穿孔ピース17と、当接部すなわちアンビル18と、を備えている。穿孔器17は、ここでは、スプリングを貫通して当接部18に向けて打ち込まれることにより、実質的に円形の開口がスプリングの端部におけるケーシング部分に穿孔される。代替的に、開口は、例えば切断により形成され得る。一実施形態において、開口は、ドリル等の切断ツールを回転させることにより形成され得る。他のステップの前に、ケーシングに事前に孔を開けて開口を形成してもよい。
【0083】
ケーシング部分の相互接続は、開口の形成と同時のステップで、例えば、図5に示すように、穿孔ステップを実施するのと同時に穿孔の周囲に溶接ポイントを形成することによりなされ得る。ここでは、穿孔器17がチューブ状の挿入装置を通って移動することで孔をケーシング部分においてスプリングを貫通して形成する際に、円形の挿入装置15が、円形の対向装置16に取り付けられる。コネクタは、ここでは、挿入装置に接続すべき部位のプロファイルに4つの凸部19を備えている。凸部は、ケーシング部分同士の間に形成されるべき溶接ポイントを規定する。
【0084】
本発明によるシステムは、有利には、複数の並列した装置、例えば並列動作する2つの装置を備え得る。
【0085】
さらに、例えば図2に示すように、スプリングを有するストリングを好適には並んだ状態で相互接続するための手段が含まれる。上述のように、これは、隣り合うストリングの側面同士を固定するための縦方向接続ライン上に固定ポイントを配置することにより実施され得る。
【0086】
バイアス状態にあるスプリングの長さが元の非バイアス状態にある同一のスプリングの長さの2/3未満、好適には1/2未満であるように、スプリングのバイアスが実施されることが好ましい。また、スプリングの長さとバイアス状態にあるその直径との比は、2未満、好適には1未満、最も好適には1/2未満であることが好ましい。
【0087】
ストリングの縦方向接続ラインは、スプリング上に配置されてもよい。しかしながら、好適には、縦方向接続ラインは、スプリングの端部の上ではなく、その側面に沿って配置される。
【0088】
さらに、平滑な端部部分は互いに向かって移動されて、例えば溶接により取り付けられる。したがって、このようにして非常に薄い、実際に1センチメートルまたは数センチメートルのマットレスが提供され得る。例えば、25mmの厚さを有するマットレスが提供され得る。したがって、本発明は、シートクッション、他のマットレス上に載置するオーバーレイマットレス、および薄いマットレスが必要とされる類似の用途に良好に適していると言える。このため、ポケットスプリングからなるオーバーレイマットレスまたはトッパーマットレスを作製できることは、非常に有利である。これは、それらをより柔らかくし得ることで快適性を高めることができるからというだけでなく、通常スプリングは、ポリエチレン等の材料のように経年疲労しないからである。本発明によるマットレスは、非常に軽く、やわらかく、かつ快適であるとともに、所望により、バイアスにより非常に高い頑丈性および硬性を有し得る。また、スプリングを貫通する開口により、マットレスの良好な通気性が確保されるため、より良好な乾燥、冷たさおよび/または暖かさ、細菌等の増殖の低減、および快適性の向上が提供される。
【0089】
本発明により、端部部分同士を互いに接続する際の固定装置の位置やサイズを変更することで、スプリング要素の高さを容易に調節することができる。このようにして、この接続の他に製造プロセスにおいて何ら変更を施す必要なく、マットレスの異なる部分の異なる厚さを提供すること、または異なる厚さのマットレスを提供することが容易になる。このため、製造が非常にフレキシブルかつ制御可能になり得る。特に、シートクッションや座ることを意図した他のマットレスとして使用される、カップ形状等を有するマットレスを提供することが可能である。同様の高さの変更も、マットレス上のユーザの位置を制御するように利用され得る。
【0090】
上述のマットレスは、ケーシングに封入された複数の相互接続したコイルスプリングを備えるタイプのものであり、スプリングは、第1端部と第2端部とを有している。スプリングのうちの少なくとも1つについて、スプリングの第1端部および第2端部に配置されたケーシング部分が、接合によりスプリングを介して互いに接続する。接合した前記ケーシング部分は、スプリングを貫通する開口を備える。また、以下により詳細に述べるように、発泡材料のピースが、開口に配置される。
【0091】
図6aおよび図6bに示す一実施形態において、挿入されたこのような発泡材料のピース20が示され、発泡体のピースの挿入のためのプロセスおよび装置も示されている。
【0092】
発泡材料のピース20は、第1部分20aにおいてスプリングの第1端部に向かって延びに、第2部分20bにおいてスプリングの第2端部に向かって延びている。
【0093】
発泡材料のピース20は、スプリングの周囲のケーシング/ポケットに形成された開口9を貫通して挿入されて、開口内のくびれ部を形成する。これにより、発泡材料のピースは、固定位置において定位置に機械的に保持される。これにより、強力な機械的接続が形成されるため、発泡材料のピースを直接的にコイルスプリングに接続する必要はない。これに代えて、発泡材料は、ケーシング生地によりコイルスプリングから離間して配置される。固定力を高めるように、接着、溶接等のさらなる接続要素が、選択的に使用され得る。しかしながら、ほとんどの場合、機械的接続で十分である。
【0094】
したがって、各スプリングを封入した各ポケット、すなわちケーシングが、スプリングが封入される円形の区画を形成するドーナッツ形状を有するトロイドとして形成される。さらに、発泡材料は、中央くびれ部と、くびれ部から両反対方向に延びる2つの膨張したきのこ形状部分とを有する砂時計として形成され得る。発泡材料の弾性および柔軟性により、2つの形状、すなわち、ケーシングのトロイド形状と発泡材料の砂時計形状とは、高い程度で互いに相補的であり得るため、ポケットユニットの全体的な横断面形状は、円形、丸みを帯びた隅部を有する矩形、またはその中間の形状の形態となり得る。
【0095】
発泡材料のピースの前記第1部分20aおよび第2部分20bのうちの少なくとも一方は、好適には、スプリングの第1端部および第2端部をそれぞれ超えて延びる。図6aおよび図6bの図示例において、第1部分20aおよび第2部分20bの両方が、スプリングの第1端部および第2端部を超えて延びている。これにより、発泡体が、マットレスの最外層を両側において提供する。
【0096】
例えば、図7に示すように、発泡材料のピース20は、スプリングに配置されると、概ね円形のくびれ部、または開口の形状に対応する他の形状を有し得る。両端部に向かって、発泡材料のピースは、くびれ部から頂部および底部に向けて膨張する。スプリングから突出する部分20a、20bは、正方形の横断面等の概ね矩形の横断面を有し得る。しかしながら、円形の横断面等の他の形状も考えられる。
【0097】
スプリングの第1端部または第2端部を超えて延びる発泡材料の一部は、これが貫通して延びるスプリングの上端部回旋または下端部回旋の直径以上の横断面寸法寸法を有し得る。これにより、延びた発泡材料は、スプリングの上方に比較的連続的な層を形成する。
【0098】
実施形態において、スプリングから延びる発泡材料の一部の最大横断面寸法は、スプリングの最大ターンの直径以上であり得る。これにより、スプリングの軸方向に対して平行な方向から見た場合、発泡材料は、本質的にスプリングを覆い得る。
【0099】
部分20aおよび部分20bによりそれぞれ形成される上面および下面は、図12aに概略的に示すように、わずかに湾曲して凸状に膨出していてもよい。しかしながら、他の形状も考えられる。例えば、図12bに示すように、上面および/または下面は、内方に向かう窪みを有することで凹形状またはカップ形状を形成してもよい。図12cに示すように、上面および/または下面は、概ね平坦であってもよい。
【0100】
図6aおよび図6bの図示例において、発泡材料のピースは、上方向または下方向の両方において、スプリングを超えて延びている。しかしながら、発泡材料のピースが、一方向のみにおいてスプリングから延びることも考えられる。
【0101】
スプリングの上側ターンおよび/または下側ターンにより形成される平面まで概ね延びる発泡材料のピースを提供して、発泡材料のピースの上面および/または下面がポケットユニットの上側および/または下側と概ね面一とすることも考えられる。このような例を図13aに示す。ここでは、上部20a’が、スプリングの上側ターンにより形成される平面で本質的に終端し、下部20b’が、スプリングの下側ターンにより形成される平面で実質的に終端している。
【0102】
図13cに示す同様の実施形態において、上部20a”および下部20b”により形成される発泡材料のピースの上面および下面は、概ねカップ形状であり、スプリングの上側ターンおよび下側ターンを幾分超えてそれぞれ延びる周縁部分と、スプリングの上側ターンおよび下側ターンのわずかに下方に位置する中央部とを有している。
【0103】
図13cに示すさらに別の実施形態において、部分20a’’’および部分20b’’’を有する発泡材料のピースは、スプリングの上側ターンおよび下側ターンを超えず、結果としてスプリングの完全に内部の位置で終端している。
【0104】
このような実施形態を、種々の態様で組み合わせてもよい。例えば、発泡材料のピースがスプリングを一側において超えて延びるが、他側においてはそうでない、発泡体のピースの一側は凸状であり、他側は凹状である、等。このように、発泡材料が一側においてのみスプリングを超えて延びることも考えられる。また、発泡材料が、いずれの端部をも超えて延びないことも考えられる。このような実施形態において、発泡材料は、コイルスプリングの端部回旋の平面と面一であってもよいし、このような平面から距離を置いてスプリングの内部に位置してもよい。
【0105】
実施形態において、図6aおよび図6bに示すように、発泡材料のピースは、開口内に配置された部分において圧縮されることにより、発泡材料のピースにおけるくびれ部を前記開口で形成し得る。発泡材料のピースの第1部分および第2部分は、開口から離れる方向において徐々に大きな横断面形状に膨張する。このように、発泡材料は、スプリングに挿入される前は弛緩形状を有し得るとともに、スプリングの内部で所定位置に配置されると、上述の形状のうちの1つ、例えば、発泡材料のピースの中央にくびれ部を形成する砂時計形状を取り得る。弛緩形状とは、スプリング内で拘束されていないときの発泡材料の形状、すなわち非バイアス形状である。
【0106】
発泡材料のピースは、長手方向に対して垂直に見て、本質的に均一な横断面形状および横断面寸法の弛緩形状を有し得る。弛緩形状は、例えば、図6aおよび図6bの図示例のように、また図14aに示すように、正方立方体または正四角柱等の直方体の形状であり得る。しかしながら、図14bに概略的に示すように、円筒体形状等の他の弛緩形状も考えられる。図示例において、円筒体は、円形の横断面を有している。しかしながら、楕円形、多角形等の他の横断面形状も考えられる。また、高さに亘って変化する寸法を有する形状等の他の形状も可能である。例えば、弛緩形状は、中央部における小さい横断面寸法と、上部および下部における大きい横断面寸法とを有して、例えば14cに示すように、材料にくびれ部を形成してもよい。一実施形態において、発泡材料は、スプリングユニットに配置される際に想定される形状に概ね対応する弛緩形状を有し得る。
【0107】
発泡材料は、種々の材料から構成され得る。好適な実施形態において、発泡体は、ウレタン、ラテックス、または粘弾性発泡体から構成される。
【0108】
マットレスは、例えば図2に関して上述したように、最初にスプリングをポケットに封入し、スプリングを介してケーシング材料を端部において互いに接続し、接続エリアに開口を形成することにより生産することができる。その後、発泡材料のピースが、スプリングユニットに挿入され得る。例えば、挿入位置で想定される拘束形状よりも大きい弛緩形状を有する発泡体のピースが、挿入のために圧縮され得る。例えば、発泡材料のピースは、図6aに示すように、漏斗等の端部が開放した円錐体21に押し込まれ得る。しかしながら、発泡材料のピースをより小さい寸法に圧縮する他の方法も考えられる。例えば、発泡材料の周囲に一時的な外側包囲層を形成してもよい。これは、発泡材料がその意図される位置に到達したら除去することができる。
【0109】
図6bに示す別の実施形態において、発泡材料のピースは、上に代えて、スプリング内の開口を通って引っ張られる。これは、例えば、把持ツール21’により実施され得る。把持ツール21’は、開口9を貫通するように挿入され、反対側の発泡材料のピース20を把持し、把持ツール21’を後退させることで、発泡要素のピースを挿入位置に引き込むように構成される。把持ツール21’には、例えば、把持前に離間可能である2つ以上のアーム/爪であって、発泡材料のピースを把持するために互いに向かって移動可能なアーム/爪を備えるピックアップ爪またはピックアップジョーが端部に設けられ得る。把持ツール21’は、2つのアーム/爪のみを有することにより、ピンセットとして機能し得る。しかしながら、2つを超えるアーム/爪、例えば、3つ、4つ、または5つのアーム/爪を設けてもよい。把持ツール21’が周囲の周りで離間している少なくとも3つのアーム/爪を有するこのような実施形態において、把持ツールは、発泡材料のピースが把持された際にこれを圧縮して開口9を介した挿入を容易とするようにも使用され得る。
【0110】
しかしながら、代替的に、発泡材料を、例えば液体状態で所望の位置に注入することにより、スプリングユニット内で直接的に形成してもよい。
【0111】
図3に示す上述の実施形態において、ケーシングは、好適には互いに対して並列に並んだ状態で相互接続する複数のストリングを形成し、各ストリングは、連続したケーシング材料を備えている。ケーシングは、ストリングの縦方向に対して平行に延びる少なくとも1つの縦方向接続ラインと、ストリングの縦方向を横断して延びる複数の横方向接続ラインと、により規定されている。そして、スプリングが、ケーシングおよびストリングのポケットに配置されている。接続ラインは、好適には、スプリングの側方に、したがって、隣り合うスプリングの間に配置されている。
【0112】
しかしながら、マットレスは、他の方法で形成することもできる。図8に概略的に示す一実施形態において、ケーシングは、上側織物シートと下側織物シートとにより形成され、シート同士は、スプリングの間で互いに接続されてポケットを形成している。例えば、ケーシングは、比較的大型の上側シートと比較的大型の下側シートとにより形成され得る。シートは、縦方向接続ライン6’および横方向接続ライン6に沿って互いに接続されることで、例えば格子パターンを形成している。これにより、スプリング用の個々のポケットが形成されている。したがって、このような実施形態において、ポケットは、同一材料により、上述のストリングの実施形態のように一方向のみならず、2方向において、すなわち、長さ寸法および幅寸法において互いに一体化されている。
【0113】
スプリングの上下に配置されてスプリングを通過するケーシング材料の接続10であって、スプリングを貫通する開口9を形成する接続10は、図3を参照して説明した上述の実施形態と同じ態様で達成され得る。さらに、発泡材料のピースをストリングおよび開口を通過させて挿入することも、例えば図6に関して説明した上述と同じ態様でなされ得る。
【0114】
図8の実施形態において、シートの接続は、例えば接続ラインの形態において提供され得る。例えば、接続ラインは、第1方向において延びる第1セットの平行ライン6’および第2方向において延びる第2セットの平行ライン6として配置され、第2方向は、第1方向に対して例えば垂直である。これにより、接続ラインは、それらの間にスプリングが封入されるグリッドを形成し得る。
【0115】
しかしながら、代替的に、接続ライン6”は、図9に示すように、例えば、各スプリングを包囲する円または多角形として配置され得る。
【0116】
さらに別の代替例において、図10に概略的に示すように、接続6”は、スプリングの間に、好適には、4つのスプリングの各グループにおいて、すなわち、スプリングにより形成された各「四葉のクローバー」において配置されたポイント接続、または×、〇等として形成された接続として形成され得る。
【0117】
図9および図10に関して説明した実施形態においても、スプリングの上下に配置されてスプリングを通過するケーシング材料の接続10であって、スプリングを貫通する開口9を形成する接続10は、図3を参照して説明した上述の実施形態と同じ態様で達成され得る。さらに、発泡材料のピースをストリングおよび開口を通過させて挿入することも、例えば図6に関して説明した上述と同じ態様でなされ得る。
【0118】
図11において、発泡材料のピース20が挿入された状態の図8のマットレスの概略図が示されている。ここで、発泡材料は、スプリングから延びるように配置され、図7にも示されているような概ね矩形の横断面を有する覆い部を形成している。発泡材料は、ここでは、スプリングの軸方向に対して平行な方向から見て、発泡材料がスプリングを本質的に覆い得るような寸法とされている。これにより、発泡材料から形成された比較的均一な上側層が形成される。
【0119】
換気性および通気性を向上させるべく、追加の第2開口を、スプリングの外部の箇所に設けてもよい。このような追加の第2開口9’を図9に示す。追加の第2開口は、例えば、4つの隣り合うスプリングの間の箇所に配置され得るとともに、図示例のように、4つの隣り合うスプリングのこのようなグループのすべてに、すなわち、スプリングにより形成される各「四葉のクローバー」の中央に配置され得る。
【0120】
発泡材料のピースは、均質な材料から構成され得る。しかしながら、発泡材料のピースは、異なる材料の組み合わせから構成されてもよい。このような異なる材料は、例えば異なる層に配置されて、例えば積層構造が形成され得る。層は、好適には、マットレス平面に対して平行な平面に配置される、すなわち、スプリングの軸方向に対して平行な方向において互いに上下に配置される。
【0121】
このような積層された発泡材料のピースを備えるいくつかの例示的な実施形態について、図15a~図15fを参照して説明する。
【0122】
図15aの例示的な実施形態において、発泡材料のピースは、スプリング内の開口を貫通して配置される中央層202と、別個の最上層201と、別個の最下層203と、を備えている。このような実施形態において、最上層および/または最下層は、中央層とは異なる特性を有し得る。例えば、より柔らかい、より緻密である、より高い粘弾性を有する。例えば、中央層202としてポリウレタン等のより安い価格の材料を使用し、最上層201および/または最下層203としてラテックスや粘弾性材料等のいくらか高い価格の材料を使用することができる。
【0123】
図15bの例示的な実施形態において、図15aに関して説明したものと類似する構造体が示されている。ただし、ここでは、別個の層201が、中央層202’の一側面に配置されているのみである。ここでは、別個の層201は、最上層として配置されているが、最下層として配置されてもよい。
【0124】
図15aの例示的な実施形態において、最上層201および最下層203は、同一材料からなり得るとともに、本質的に同じ性質を有することで、マットレスの両側に同じ性質が提供され得る。しかしながら、図15cに概略的に示すように、最上層201と最下層203’とに異なる材料を使用することも可能である。
【0125】
図15bの実施形態において、発泡材料のピースは、2つの層を備えている。一方、図15aおよび図15cに示す実施形態は、3つの層を備えている。しかしながら、3つを超える層、例えば4つの層、5つの層、またはさらに多くの層を備えることも考えられる。
【0126】
図15dの実施形態において、発泡材料のピースの構成は、図15aのものと本質的に類似している。ただし、ここでは、薄い追加層204が最上層201の上に配置されるとともに、薄い追加層205が最下層203の下に配置されている。薄い追加層は、例えば、発泡材料からなり得るが、他のタイプの材料でもよい。追加層204および追加層205の一方または両方は、布、パッド、織物ピース等から構成され得る。追加の薄い層204および205は、例えば、より耐久性のある上面および/または下面、より滑らかな上面および/または平面、より緻密な上面および/または下面等を提供するように配置され得る。
【0127】
図15eに概略的に示すように、このような薄い追加層204は、発泡材料のピースの一側にのみ配置されてもよい。
【0128】
追加的または代替的に、図15fの例示としての例のように、このような追加の薄い層204’および205’を、発泡材料からなる層の間に、例えば、最上層204と中央層202との間に、および/または中央層202と最下層203との間に配置することも考えられる。このような追加の薄い層204’および205’は、異なる発泡材料同士のより強力な接続を提供して製造を容易にする等の目的で使用され得る。
【0129】
上述の実施形態において、ポケットユニットは、スプリングの第1端部および第2端部に配置されたケーシング部分がスプリングを介して接合により互いに接続するように構成される。ここで、開口は接合した前記ケーシング部分において、互いに近接して配置されている。しかしながら、特定の用途では、特に比較的薄いマットレスの場合、これらのケーシング部分が離間したままであってスプリングの内部で接合していない場合、発泡材料のピースをポケットの第1端部および第2端部に配置された開口を貫通して配置することも考えられる。
【0130】
図16は、このような実施形態を概略的に示す。ここでは、スプリングの第1端部および第2端部に配置されたケーシング部分は、離間しているとともに、スプリングの第1端部および第2端部に、またはその近傍に位置している。したがって、ケーシング部分に形成された開口9a、9bは、本質的にスプリングの高さに相当する距離だけ互いに離間している。発泡要素20は、頂部20aが第1開口9aから延び、底部20bが第2開口9bから延びた状態で、第1開口9aおよび第2開口9bの両方を貫通して配置されている。スプリングを貫通して延びる中央部分は、ここでは、本質的に開口のサイズに対応する横断面を有する比較的細いセクションとして示されている。しかしながら、代替的に、中央部分は、もっと幅広で太く、スプリングの両側に向かって延びるものでもよい。このような実施形態において、発泡材料のピースは、2つの開口において、それらの間により幅広のセクションがある状態で2つのくびれ部を形成し得る。
【0131】
以上、本発明を実施形態により説明した。しかしながら、本発明のいくつかの変形例が想定され得る。例えば、上述のように、他のタイプの固定要素、ならびにケーシング材料、スプリングのサイズに関する他の解決策が利用できる。また、発泡材料のピースは、他の弛緩形状および/または拘束形状を有し得る。さらに、装置および方法を他の態様で設計することもできる。このような明白な変形例は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明から構成されると考えなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図16
【国際調査報告】