IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】紫河車模写化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/72 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20240521BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240521BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240521BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20240521BHJP
【FI】
A61K8/72
A61K8/46
A61K8/64
A61K8/44
A61K8/67
A61Q19/02
A61Q19/08
A61Q19/00
A61K8/9728
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574269
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2022007822
(87)【国際公開番号】W WO2022255809
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0071411
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ヒ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ム・ヒョン・ジン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AC122
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD601
4C083AD602
4C083AD611
4C083AD612
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB51
4C083EE10
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
(57)【要約】
本発明は法的、倫理的、安全性問題のある成分が含まれた胎盤を直接使う代わりに胎盤の主要成分であるPDRNにHEPESを追加し、これにペプチド、アミノ酸、またはビタミンを加えて再調合することによって美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静などの優秀な皮膚改善効果を示す、紫河車模写化粧料組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide、PDRN)、およびヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid、HEPES)を含む、紫河車模写組成物。
【請求項2】
前記組成物はペプチド、アミノ酸、およびビタミンからなるグループから選択された一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の紫河車模写組成物。
【請求項3】
前記ペプチドは酵母ポリペプチド(Yeast polypeptides)、オリゴペプチド-1(Oligopeptide-1)、オリゴペプチド-2(Oligopeptide-2)、コッパートリペプチド-1(Copper Tripeptide-1)、およびアセチルヘキサペプチド-8(Acetyl Hexapeptide-8)からなるグループから選択された一つ以上の組み合わせを使うものである、請求項2に記載の紫河車模写組成物。
【請求項4】
前記アミノ酸はアルギニン(Arginine)、トリプトファン(Tryptophan)、トレオニン(Threonine)、リシン(Lysine)、バリン(Valine)、ロイシン(Leucine)、フェニルアラニン(Phenylalanine)、ヒスチジン(Histidine)、イソロイシン(Isoleucine)、チロシン(Tyrosine)、ポタシウムアスパルテート(Potassium Aspartate)、ナトリウムグルタメート(Sodium Glutamate)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine)、プロリン(Proline)、アラニン(Alanine)、グリシン(Glycine)、およびセリン(Serine)からなるグループから選択された一つ以上を使うものである、請求項2に記載の紫河車模写組成物。
【請求項5】
前記ビタミンはビオチン(Biotin)、葉酸(Folic Acid)、シアノコバラミン(Cyanocobalamin)、ナイアシンアミド(Niacinamide)、パントテン酸(Pantothenic Acid)、ピリドキシン(Pyridoxine)、リボフラビン(Riboflavin)、およびチアミン(Thiamine)からなるグループから選択された一つ以上を使うものである、請求項2に記載の紫河車模写組成物。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載された前記紫河車模写組成物を含む、化粧料組成物。
【請求項7】
前記紫河車模写化粧料組成物は皮膚改善のためのものである、請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記皮膚改善は美白、弾力改善、シワ改善、保湿または皮膚鎮静である、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
ポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide、PDRN)、ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid、HEPES)、ペプチド(peptide)、アミノ酸、およびビタミンを含む、化粧料組成物。
【請求項10】
前記ペプチドは酵母ポリペプチド(Yeast polypeptides)、オリゴペプチド-1(Oligopeptide-1)、オリゴペプチド-2(Oligopeptide-2)、コッパ―トリペプチド-1(Copper Tripeptide-1)、およびアセチルヘキサペプチド-8(Acetyl Hexapeptide-8)からなるグループから選択された一つ以上の組み合わせを使うものである、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記アミノ酸はアルギニン(Arginine)、トリプトファン(Tryptophan)、スレオニン(Threonine)、リシン(Lysine)、バリン(Valine)、ロイシン(Leucine)、フェニルアラニン(Phenylalanine)、ヒスチジン(Histidine)、イソロイシン(Isoleucine)、チロシン(Tyrosine)、ポタシウムアスパルテート(Potassium Aspartate)、ナトリウムグルタメート(Sodium Glutamate)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine)、プロリン(Proline)、アラニン(Alanine)、グリシン(Glycine)、およびセリン(Serine)からなるグループから選択された一つ以上を使うものである、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記ビタミンはビオチン(Biotin)、葉酸(Folic Acid)、シアノコバラミン(Cyanocobalamin)、ナイアシンアミド(Niacinamide)、パントテン酸(Pantothenic Acid)、ピリドキシン(Pyridoxine)、リボフラビン(Riboflavin)、およびチアミン(Thiamine)からなるグループから選択された一つ以上を使うものである、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載された前記紫河車模写組成物を含む、医薬部外品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法的、倫理的、安全性問題のある成分が含まれた胎盤を直接使う代わりに、胎盤の主要成分であるPDRNにHEPESを追加し、これにペプチド、アミノ酸、またはビタミンを加えて再調合することによって美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静などの優秀な皮膚改善効果を示す、紫河車模写化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は身体で最も外側部分を覆っている組織であり、常に外部環境と接し、有害要因から人体を保護する。また、皮膚は視覚で認識される部位であるので、身体がどれほど美しいかを決定したりもする。皮膚にシワ、色素沈着、炎症発生などの老化の兆候が蓄積されると美的な価値が減少するので、このような兆候を予防あるいは改善できるソリューションに対する消費者のニーズは常に存在してきた。
【0003】
胎盤は妊娠した哺乳類の子宮にできる器官である。胎盤は胎児と母体の子宮壁を連結して栄養の供給、ガス交換、老廃物の排出などの機能を担当して、胎児が母体の中で生存および成長することができるようにして胎児を保護する役割をする。このような胎盤は必須アミノ酸、DNAおよびRNAなどの核酸成分、サイトカイン(cytokine)、成長因子などを含んでおり、美白、シワ改善、免疫増強、または疲労回復などに有効な効果を有するものとして知られている。本草学では胎盤を紫河車と呼び、気血が不足していたり病気で痩せた場合、消耗性疾患で顔にシミができたり皮膚が黒くなったりする場合などを治療するのに使われていた。
【0004】
したがって、「ブタ胎盤、ヒト胎盤抽出物または加水分解抽出物を利用した化粧料組成物(大韓民国公開特許第10-2009-000244号)」、「ヒト胎盤由来の成長因子およびサイトカインを再構成した化粧料組成物(大韓民国登録特許第10-1289062号)」のような先行文献が知られている。しかし、胎盤を化粧料に含む場合、ウイルス感染を起こしたり免疫拒否反応を発生させる成分が含まれ得るため安全性の面で好ましくない。そして、胎盤は動物性原料に該当するので、消費者はこれを含む化粧品に対して拒否感を感じることもある。また、成長因子やサイトカインは現在化粧品分野で使用が不可能な成分である。すなわち、従来技術では胎盤の皮膚改善効果を完全に示す化粧料を具現するのには限界がある。
【0005】
したがって、胎盤の優秀な皮膚改善効能を維持および発展させつつ、胎盤の安全性および倫理的、法的問題を解決できる技術が必要である状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2009-0002444号
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1289062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は安全性および有効性を有する紫河車模写化粧料組成物を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、皮膚美白用化粧料、薬学的製剤または食品の製造のための紫河車模写組成物の用途を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、皮膚弾力改善用化粧料、薬学的製剤または食品の製造のための紫河車模写組成物の用途を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、皮膚シワ改善用化粧料、薬学的製剤または食品の製造のための紫河車模写組成物の用途を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、皮膚保湿用化粧料、薬学的製剤または食品の製造のための紫河車模写組成物の用途を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、皮膚鎮静用化粧料、薬学的製剤または食品の製造のための紫河車模写組成物の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための手段として、本発明はポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide(PDRN))およびヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid(HEPES))にペプチド、アミノ酸、またはビタミンを追加して再調合したものを有効性分として含む紫河車模写組成物を提供する。
【0014】
前記目的を達成するために、紫河車模写組成物を皮膚に処理する段階を含む、美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静などの優秀な皮膚を改善する方法を提供する。
【0015】
前記目的を達成するために、紫河車模写組成物を対象体に投与する段階を含む、美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静などの優秀な皮膚を改善する方法を提供する。
【0016】
前記目的を達成するために、美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静などの優秀な皮膚改善効果を示す紫河車模写組成物;を製造するためのポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide(PDRN))およびヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid(HEPES))にペプチド、アミノ酸、またはビタミンを追加して再調合したものを有効性分として含む組成物の用途を提供する。
【0017】
以下、本発明に係る紫河車模写組成物をより詳細に説明する。
【0018】
本発明で法的、倫理的、安全性問題がある成長因子、ホルモン、およびサイトカインは除外する。
【0019】
従来技術では胎盤抽出粉末を蛋白分解酵素で加水分解したものを有効性分として含む化粧品組成物(大韓民国公開特許第10-2009-0002444号)と胎盤から抽出した成長因子およびサイトカインを有効性分として含む化粧料組成物が開示されている(大韓民国登録特許第10-1289062号)。しかし、前記従来技術は胎盤から成長促進因子、サイトカイン、上皮細胞促進因子などの安全が確認されていない成分および法的規制成分を抽出する方法または前記成分の効能を最大化するために組成物を再構成配合比を最適化することに目的を置いている。また、前記成分を含む化粧品組成物の安全性を確認した内容が記載されたところがないため、目的において差異点がある。さらに、皮膚改善に関して有効性分の含量を確認した実験結果と定量評価が可能な専門分析装備ではなく肉眼で確認して評価したシワ改善の官能評価結果のみが記載されているだけであって、皮膚外用剤の皮膚美白、弾力、保湿、または鎮静抗炎効能に関して標準試験法に基づいた客観的な結果を提示できないため、その改善の程度を判断し難い。
【0020】
反面、本発明の一具体例では、紫河車模写組成物を製造して標準試験法または専門分析装備を利用してin vitroおよびin vivo効能テストを進めた。その結果、各皮膚改善数値が段違いに改善されたことを確認して、本発明の紫河車模写組成物は皮膚改善素材として美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静効能を最大化することができるようになった。
【0021】
本発明で、一具体例においてPDRN、HEPESにペプチド、アミノ酸、およびビタミンを加えて再調合することによって、さらに改善された効果を示すことができる。具体的には、in vitro効能テストでメラニン生成抑制、コラーゲン生合成促進、ヒアルロン酸生合成促進、またはNO生成抑制の皮膚改善効果は、実施例1(PDRN、およびHEPESを含む)と比較して実施例2(PDRN、HEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミンを含む)で改善されたことを確認した。また、in vivo効能テストで皮膚シワ改善、弾力改善、美白、または保湿效果は、比較例6および7(実施例2を含まない化粧料組成物)と比較して実施例3および4(実施例2を含む化粧料組成物)で改善されたことを確認した。さらに、本発明に係る化粧料組成物はPDRN、HEPESにペプチド、アミノ酸、およびビタミンを加えて再調合することによって、予期できない汚染、実施不可(法的規制)、および消費者の拒否感に対する危険性を除去することができる。
【0022】
本発明で前記ペプチドは酵母ポリペプチド(Yeast polypeptides)、オリゴペプチド-1(Oligopeptide-1)、オリゴペプチド-2(Oligopeptide-2)、コッパートリペプチド-1(CopperTripeptide-1)、およびアセチルヘキサペプチド-8(AcetylHexapeptide-8)からなるグループから選択された一つ以上の組み合わせを使うことができる。
【0023】
本発明で前記アミノ酸はアルギニン(Arginine)、トリプトファン(Tryptophan)、トレオニン(Threonine)、リシン(Lysine)、バリン(Valine)、ロイシン(Leucine)、フェニルアラニン(Phenylalanine)、ヒスチジン(Histidine)、イソロイシン(Isoleucine)、チロシン(Tyrosine)、ポタシウムアスパルテート(Potassium Aspartate)、ナトリウムグルタメート(Sodium Glutamate)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine)、プロリン(Proline)、アラニン(Alanine)、グリシン(Glycine)、およびセリン(Serine)からなるグループから選択された一つ以上を使うことができる。
【0024】
本発明で前記ビタミンはビオチン(Biotin)、葉酸(Folic Acid)、シアノコバラミン(Cyanocobalamin)、ナイアシンアミド(Niacinamide)、パントテン酸(Pantothenic Acid)、ピリドキシン(Pyridoxine)、リボフラビン(Riboflavin)、およびチアミン(Thiamine)からなるグループから選択された一つ以上を使うことができる。
【0025】
本発明は前記紫河車模写組成物を有効性分として含む化粧料組成物を提供する。
【0026】
本発明で前記紫河車模写組成物を化粧料組成物に適用時、美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静効能を示すことができ、具体的にはメラニン合成抑制、コラーゲン合成促進、ヒアルロン酸合成促進、またはNO生成抑制による皮膚改善を得ることができる。
【0027】
本発明で、化粧料組成物は一般的な乳化剤形および可溶化剤形の形態であり得る。例えば、柔軟化粧水または栄養化粧水などのような化粧水、フェイシャルローション、ボディローションなどのような乳液、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリームなどのようなクリーム、エッセンス、化粧軟膏、バーム(balm)、スプレー、ゲル、パック、サンスクリーン、メイクアップベース、液体タイプ、固体タイプまたはスプレータイプなどのファンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイルのようなメイクアップ除去剤、クレンジングフォーム、石鹸、ボディウォッシュなどのような洗浄剤などの剤形を有することができる。
【0028】
また、前記化粧品は本発明の組成物に追加で脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤およびゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤およびキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞または化粧品に通常的に使われる任意の他の成分と同じ化粧品学分野で通常的に使われる補助剤を含有することができる。
【0029】
前記化粧料の剤形は有効性分が短期間内に皮膚に留まることになるメイクアップ除去剤、洗浄剤などのようなウォッシュ-オフ(wash-off)タイプの化粧品の場合には、比較的高い濃度の前記本発明の組成物を含むことができるであろう。反面、有効性分が長期間皮膚に留まることになる化粧水、乳液、クリーム、エッセンスなどのリーブオン(leave-on)タイプの化粧品の場合には、ウォッシュ-オフタイプの化粧品に比べて低い濃度の前記本発明の組成物を含んでも構わない。これに制限されるものではないが、本発明の一具体例で、前記本発明の組成物を全体組成物重量に対して紫河車模写組成物を0.001~5重量部、例えば、0.001~0.01重量部、0.001~0.1重量部、0.001~1重量部、0.001~2.5重量部、0.01~0.1重量部、0.01~1重量部、0.01~2.5重量部、0.01~5重量部、0.1~1重量部、0.1~2.5重量部、0.1~5重量部、1~2.5重量部、または1~5重量部で含むことができる。
【0030】
本発明に係る紫河車模写組成物が全体組成物を0.001重量部未満で含む場合には十分な皮膚改善を期待できず、5重量部を超過して含む場合にはアレルギーなどの所望しない反応が発生したり皮膚安全性に問題があり得るため、これを防止するためのものである。
【0031】
本発明に係る化粧料組成物に含まれる前記言及された成分それぞれは、好ましくは各国の政府によって規定された《化粧品使用許可》に関連した規定に明示された最大使用量を超過しない範囲内で本発明の化粧料組成物に含まれ得る。例えば、中国政府によって規定された《化粧品安全技術仕様》に明示された範囲を遵守するものであり得る。
【0032】
本発明は他の一つの様態として、前記紫河車模写組成物を有効性分として含む医薬部外品組成物を提供する。
【0033】
本発明の前記紫河車模写組成物を医薬部外品組成物に適用時、美白、弾力改善、シワ改善、保湿、または皮膚鎮静効能を示すことができ、具体的にはメラニン合成抑制、コラーゲン合成促進、ヒアルロン酸合成促進、またはNO生成抑制メカニズムによる皮膚改善を得ることができる。
【0034】
本発明の医薬部外品組成物は必要に応じて薬学的に許容される坦体、賦形剤、または希釈剤をさらに含むことができる。前記薬学的に許容可能な坦体、賦形剤、または希釈剤は本発明の効果を達成できる限り制限されず、例えば充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、甘美剤、香味剤、保存剤などを含むことができる。
【0035】
本発明の前記坦体、賦形剤、または希釈剤は通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、燐酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアル酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記医薬部外品組成物の剤形は散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、軟膏、クリームなどの外用剤、座剤および滅菌注射溶液などをはじめとして薬剤学的製剤に適合したいずれの形態でも使うことができ、分散剤または安定化剤を追加的に含むことができる。これに制限されるものではないが、本発明の一具体例で、前記本発明の組成物を全体組成物重量に対して紫河車模写組成物を0.001~5重量部、例えば、0.001~0.01重量部、0.001~0.1重量部、0.001~1重量部、0.001~2.5重量部、0.01~0.1重量部、0.01~1重量部、0.01~2.5重量部、0.01~5重量部、0.1~1重量部、0.1~2.5重量部、0.1~5重量部、1~2.5重量部、または1~5重量部で含むことができる。
【0037】
本発明に係る紫河車模写組成物が全体組成物を0.001重量部未満で含む場合には十分な皮膚改善を期待できず、5重量部を超過して含む場合にはアレルギーなどの望ましくない反応が発生したり皮膚安全性に問題があり得るので、これを防止するためのものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る紫河車模写化粧料組成物は、胎盤の有効性分であるポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide(PDRN))にヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid(HEPES))を追加し、ペプチド、アミノ酸、またはビタミンを加えて再調合することによって美白、弾力改善、シワ改善、保湿または皮膚鎮静などの優秀な皮膚改善効果を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を下記の実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0040】
本発明に係る紫河車模写組成物の具体例を下記に例示した。
【0041】
製造例1.紫河車模写組成物の実施例および比較例の製造
本発明の紫河車模写組成物の美白、コラーゲン生合成、保湿、および鎮静効果を評価するために、下記の表1の組成の通り実施例および比較例を製造した。
【0042】
【表1】
【0043】
実験例1:美白評価(Melanin content評価)
MNT-1メラノーマ細胞を6-well plateに1~2×10cells/mlの濃度で播種(seeding)し24時間培養した。DMEM培地液に下記の表2のような濃度の各比較例と実施例を含む試料を製造して培養されたメラノーマ細胞に処理した後、72時間をさらに培養した。この時、対照群としては他の成分が追加されていないDMEM培地液を使った。培養が完了すると細胞を回収して13,000rpmで1分間遠心分離して上清液を除去した後、ペレット(pellet)に0.5%triton X-100溶液300μlを添加して溶解(lysis)を進めた。これをさらに13,000rpmで3分間遠心分離してペレット(pellet)と上清液を別途に回収した。Cell pelletは0.5N NaOHを100μl添加しオーバーナイトインキュベーション(overnight incubation)してメラニンを溶かした後、ELISA readerを利用して450nm吸光度を測定した。メラニン合成抑制能を下記のように評価した。
【数1】
【0044】
その結果を下記の表2に示した。
【0045】
【表2】
-:効果なし
【0046】
表2に図示された通り、実施例1および2はメラニン合成抑制効果を示した。PDRNのみを含んだ比較例1は効果が全くないのに反して、HEPES(実施例1)またはペプチド、アミノ酸、およびビタミン(比較例4)を再調合した時にメラニン合成抑制能が増大することを確認した。特に、実施例2で最も優秀なメラニン合成抑制能を示し、これはPDRNにHEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミンを追加して再調合した時にメラニン合成抑制においてシナジー効能があるということが分かる。
【0047】
実験例2:弾力改善評価(コラーゲン生合成評価)
皮膚線維芽細胞を48-well plateに2~5×10cells/mlの濃度でseedingし24時間培養した。成長培地を除去した後、DMEM培地液に下記の表3のような濃度の各比較例と実施例を含む試料を製造して培養された皮膚線維芽細胞に処理して24時間をさらに培養した。この時、対照群としては他の成分が追加されていないDMEM培地液を使った。培養が完了すると細胞培養液を取ってELISA assayを実施した。本試験に使われたHuman procollagen 1α1 duoset ELISA kitはR&D systems製品を使い、メーカーが提供した実験手順(protocol)により評価した。コラーゲン生合成は下記のように評価した。
【数2】
【0048】
その結果を下記の表3に示した。
【0049】
【表3】
-:効果なし
【0050】
表3に図示されたように、実施例1および2はコラーゲン生合成促進効果を示した。PDRNのみを含んだ比較例1の効果と比較して、HEPES(実施例1)またはペプチド、アミノ酸、およびビタミン(比較例4)を再調合した時にコラーゲン生合成促進効果が増大することを確認した。特に、実施例2で最も優秀なコラーゲン生合成促進効果を示し、これはPDRNにHEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミンを追加して再調合した時にコラーゲン生合成促進においてシナジー効能があるということが分かる。
【0051】
実験例3:保湿評価(Hyaluronic acid生合成評価)
Human keratinocyteであるHaCaTを48-well plateに2~5×10cells/mlの濃度で播種(seeding)し24時間培養した。成長培地を除去した後、DMEM培地液に下記の表4のような濃度の各比較例と実施例を含む試料を製造して培養されたHaCaTに処理して48時間をさらに培養した。この時、対照群としては他の成分が追加されていないDMEM培地液を使った。培養が完了すると細胞培養液を取って、R&D systems社のQuantikine ELISA Hyaluronanを利用してヒアルロン酸合成を対照群と比較して保湿能を評価した。ヒアルロン酸生合成は下記のように評価した。
【数3】
【0052】
その結果を下記の表4に示した。
【0053】
【表4】
-:効果なし
【0054】
表4に図示されたように、実施例1および2はヒアルロン酸生合成促進効果を示した。PDRNのみを含んだ比較例1は効果が全くないのに反して、HEPES(実施例1)またはペプチド、アミノ酸、およびビタミン(比較例4)を再調合した時にヒアルロン酸生合成促進が増大することを確認した。特に、実施例2で最も優秀なヒアルロン酸生合成促進効果を示し、これはPDRNにHEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミンを追加して再調合した時にヒアルロン酸生合成促進においてシナジー効能があるということが分かる。
【0055】
実験例4:皮膚鎮静評価(NO生成抑制評価)
大食細胞であるRaw 264.7 cellを24-well plateに2×10cells/mlの濃度で播種(seeding)し24時間培養した。成長培地を除去した後、RPMI培地液に下記の表5のような濃度の各比較例と実施例を含む試料を製造して培養された大食細胞に30分間処理した。この時、対照群としては他の成分が追加されていないRPMI培地液を使った。試料処理後1ug/ml LPSをさらに処理して再び24時間をさらに培養した。引き続きNO定量kitを利用してNO生成抑制能を下記のように評価した。
【数4】
【0056】
その結果を下記の表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に図示されたように、実施例1および2はNO生成抑制効果を示した。PDRNのみを含んだ比較例1の効果と比較して、HEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミン(実施例2)を再調合した時にNO生成抑制効果が飛び切り増大することを確認した。これはPDRNにHEPES、ペプチド、アミノ酸、およびビタミンを追加して再調合した時にNO生成抑制においてシナジー効能があるということが分かる。
【0059】
製造例2.皮膚シワ、弾力、美白および保湿人体テストのための紫河車模写組成物を含んだ化粧料組成物の実施例および比較例の製造
人の皮膚での紫河車模写組成物の効果を評価するために、下記の表6の組成で実施例および比較例をクリーム剤形で製造してテストした(単位:重量%)。
【0060】
【表6】
【0061】
実験例5.皮膚シワ、弾力、美白、および保湿人体テスト評価
30~50歳の女性20名を毎日朝と晩の2回ずつ8週間の間顔面の右側と左側に実施例3と比較例6をそれぞれ塗布した後、下記の方法でそれぞれ皮膚シワ、弾力、美白、および保湿效果を測定した。各効果の改善率は下記のように評価した。
【数5】
【0062】
まず、皮膚シワはAntera 3D CS(Miravex、Ireland)装備を利用して目尻を1回測定し、Wrinkle-small分析モードの深さ(depth、mm)を評価資料として活用した。測定機器は発光ダイオード(LED光源)を使って皮膚の表面イメージを測定できる装備であって、内蔵プログラムの3次元形状イメージからデータ抽出および皮膚状態を数値化し、イメージを活用した。その結果を下記の表7に示した。
【0063】
【表7】
【0064】
表7の結果から分かるように、実施例3を処理した群は比較例6に比べて皮膚シワを510%以上改善させてシワ改善効果が優秀であることが分かった。
【0065】
次に、皮膚弾力は皮膚弾力測定機(Cutometer SEM 575、C+K Electronic Co.、Germany)を利用して皮膚弾力改善を測定した。結果値は皮膚弾力測定機の皮膚粘弾性(viscoelasticity)を意味する。その結果を下記の表8に示した。
【0066】
【表8】
【0067】
表8の結果から分かるように、実施例3を処理した群は比較例6に比べて皮膚弾力を300%以上増進させて弾力改善効果が優秀であることが分かった。
【0068】
引き続き、皮膚美白はFacial Stage DM-3(Moritex、Japan)機器を活用して皮膚トーンの改善程度を評価した。皮膚の明度および色彩測定値で皮膚の明度および色彩変化値で皮膚トーン改善率を判断した。その結果を下記の表9に示した。
【0069】
【表9】
【0070】
表9の結果から分かるように、実施例3を処理した群は比較例6に比べて明度400%以上、色彩250%以上改善して皮膚美白効果が優秀であることが分かった。
【0071】
次に、皮膚保湿は、具体的には、顔面を石鹸で洗った後、恒温恒湿条件(温度20±2℃相対湿度40±2%)で皮膚を適応させた。コルネオメーター(Corneometer、CM825)を利用して、皮膚表面の電気容量を3回繰り返し測定した。その結果を下記の表10に示した。
【0072】
【表10】
【0073】
表10の結果から分かるように、実施例3を処理した群は比較例6に比べて水分を310%以上増進して皮膚保湿效果が優秀であることが分かった。
【0074】
製造例3.皮膚鎮静人体テストのための紫河車模写組成物を含んだ化粧料組成物の実施例および比較例の製造
人の皮膚での紫河車模写組成物の鎮静効果を評価するために、皮膚刺激物質である乳酸5%を添加して、下記の表11の組成で実施例および比較例をクリーム剤形で製造してテストした(単位:重量%)。
【0075】
【表11】
【0076】
実験例6.皮膚鎮静人体テスト評価
皮膚皮膚疾患やアレルギー症状がなく、過敏反応履歴がない20~40代の健康な成人男女20名を対象に人体皮膚パッチテストを通じて皮膚鎮静効果を確認した。
【0077】
テスト対象者の前腕の内側部位に70%エタノールで十分に拭いた後完全に乾燥し、製造例3による実施例4および比較例7を右側と左側に各30μgずつ貼布した。貼布時間を基準として24時間が経過した後にパッチを除去し、約30分後拡大鏡(MicroView)で貼布部位を観察して紅斑および浮腫の有無を確認した。評価は下記の表12の基準で施行した。
【0078】
【表12】
【0079】
前記表12の点数に基づいて、下記の数式のように平均皮膚反応度を計算した。皮膚反応結果は皮膚刺激が最も強い3点を100%基準として、刺激が発生する程度に比例する数値で下記の数式により計算した。この時、反応数とは各点数に該当する被験者数である。
【数6】
【0080】
その結果は下記の表13に示した。
【0081】
【表13】
【0082】
前記表13の結果のように、乳酸を通じて誘導された刺激に対して実施例4を処理した群は比較例7に比べて皮膚反応度を370%以上改善して皮膚鎮静効果が優秀であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る紫河車模写化粧料組成物は胎盤の有効性分であるポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide(PDRN))にヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(Hydroxyethylpiperazine Ethane Sulfonic Acid(HEPES))を追加し、ペプチド、アミノ酸、またはビタミンを加えて再調合することによって美白、弾力改善、シワ改善、保湿または皮膚鎮静などの優秀な皮膚改善効果を示すことができる。
【国際調査報告】