(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】段階的なラジアルフォースプロファイルを有する自己拡張型ステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/915 20130101AFI20240521BHJP
【FI】
A61F2/915
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575403
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2022062278
(87)【国際公開番号】W WO2022253522
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021114450.7
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021114444.2
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523456087
【氏名又は名称】アンジオルションズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ラーツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ニッスル
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・ナハル・シェリンガー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA45
4C267AA53
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC09
4C267EE03
4C267GG24
4C267GG32
4C267HH08
(57)【要約】
本発明は、血管内で使用するための自己拡張型可撓性血管内ステント(1)に関するものであり、ステント(1)は、2つ以上の軸方向において互いに連結されたリングセグメント(2、2a)を備え、当該リングセグメントはそれぞれ、ベンド(7)を介して蛇行するように互いに連結された複数のストラット(5、5a)から形成されている。ステント(1)は、直径が減少したクリンプ状態と、公称直径(DN)を有する拡張状態とを有する。リングセグメント(2、2a)は、公称直径(DN)よりも小さい第1の直径範囲(D1)において第1の拡張特性を有し、公称直径(DN)よりも大きい第2の直径範囲(D2)において第1の拡張特性とは異なる第2の拡張特性を有する。本発明はさらに、ステントの使用及びステントの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内で使用するための自己拡張型の可撓性血管内ステント(1)であって、ベンド(7)を介して蛇行するように互いに連結された複数のストラット(5、5a)からそれぞれ形成されている、軸方向に互いに連結された2つ以上のリングセグメント(2、2a)を有している、可撓性血管内ステント(1)において、
可撓性血管内ステント(1)は、直径が減少したクリンプ状態と、公称直径(DN)を有する拡張状態とを有し、
前記リングセグメント(2、2a)が、公称直径(DN)よりも小さい第1の直径範囲(D1)において第1の拡張特性を有し、
公称直径(DN)よりも大きい第2の直径範囲(D2)において、第1の拡張特性とは異なる第2の拡張特性を有している、可撓性血管内ステント(1)。
【請求項2】
前記第2の直径範囲が最大直径の少なくとも10%である、請求項1に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項3】
前記リングセグメント(2、2a)が公称直径(DN)よりも小さい第1の直径範囲(D1)において第1の半径方向剛性を有し、公称直径(DN)よりも大きい第2の直径範囲(D2)において第2の半径方向剛性を有し、前記第2の半径方向剛性は好ましくは前記第1の半径方向剛性よりも小さい、請求項1又は2に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項4】
公称直径(DN)までの前記第1の直径範囲(D1)における第1のラジアルフォースの減少と、前記第2の直径範囲(D2)における第2のラジアルフォースの減少とを有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項5】
ラジアルフォース(F1、F2)が、前記第1の直径範囲(D1)において、拡張の際に第1のラジアルフォースレベル(FN1)まで減少し、前記第2の直径範囲(D2)において、前記第1のラジアルフォースレベル(FN1)よりも低い第2のラジアルフォースレベル(FN2)まで減少する、請求項4に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項6】
当該ステント(1)のラジアルフォース‐直径プロファイルが折れ目(K1)又は段を有している、請求項1から5のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項7】
当該ステント(1)のラジアルフォース‐直径プロファイルが、前記第1の直径範囲(D1)において、拡張の際の圧着状態から出発して、まず第1の勾配(S1)を備えた区間を有し、次に第2の勾配(S2)を備えた区間を有し、前記第2の直径範囲(D2)において、公称直径(DN)から出発して、第3の勾配(S3)を備えた第3の区間と、第4の勾配(S4)を備えた第4の区間とを有し、前記第1の勾配(S1)は前記第2の勾配(S2)及び前記第4の勾配(S4)よりも大きく、前記第3の勾配(S3)は、前記第2の勾配(S2)及び前記第4の勾配(S4)よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項8】
当該ステント(1)のラジアルフォース‐直径プロファイルが、圧着状態から拡張状態に至るまで、前記第1の直径範囲(D1)では、まず勾配が減少し、次いで勾配が増加し、前記第2の直径範囲(D2)に入る際、勾配が再び減少し、好ましくは最後に再び勾配が増加する、という経過をたどる、請求項1から7のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項9】
当該ステント(1)のラジアルフォース‐直径プロファイルが少なくとも1つ、好ましくは2つの変曲点を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項10】
前記第1の直径範囲(D1)が、第1の半径方向剛性プロファイル区間を画定し、前記第1の半径方向剛性プロファイル区間が漸減するか又は直線状である、請求項1から9のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項11】
前記第2の直径範囲(D2)が、第2の半径方向剛性プロファイル区間を画定し、前記第2の半径方向剛性プロファイル区間が漸減するか又は直線状である、請求項1から10のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項12】
第2の半径方向剛性プロファイル区間が、第1の半径方向剛性プロファイル区間よりも大きく漸減するか又は大きな勾配を有している、請求項10及び11に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項13】
当該ステント(1)が、前記第1の直径範囲(D1)において、第1のラジアルフォース範囲内の第1の持続的な外向き力(慢性外向き力、COF1)を供給し、第2の直径範囲(D2)において、第2のラジアルフォース範囲内の第2の持続的な外向き力(慢性外向き力、COF2)を供給し、前記第1の持続的な外向き力COF1が、第2の持続的なラジアルフォースCOF2よりも少なくとも2倍、好ましくは4倍大きいか、又は前記第2の持続的なラジアルフォース(慢性外向き力、cof)COF2がほぼ0である、請求項1から12のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項14】
前記リングセグメント(2、2a)のそれぞれが、円周にわたって分配された、構造的に異なる、複数の第1の円周方向セグメント(20)と複数の第2の円周方向セグメント(22)とを有している、請求項1から13のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項15】
第1及び第2の円周方向セグメント(20、22)が共に、前記第1の直径範囲(D1)において第1の持続的な外向き力(COF1)を決定し、第2の円周方向セグメント(22)が前記第2の直径範囲(D2)において第2の持続的な外向き力(COF2)を決定する、請求項14に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項16】
隣接する前記リングセグメント(2、2a)の第1の円周方向セグメント(20)及び第2の円周方向セグメント(22)がそれぞれ軸方向において互いに対して位置合わせされている、請求項14又は15に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項17】
第1の円周方向セグメント(20、5)のストラット(4)が、第2の円周方向セグメント(22、5a)のストラット(4a)よりも大きな厚さを有している、請求項14から16のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項18】
前記ストラット(4、4a)の剛性がストラット幅によって決定されており、前記第1の円周方向セグメント(20)の第1のストラット(4)は第1のストラット幅(b1)を有し、前記第2の円周方向セグメント(22)の第2のストラット(4a)は第1のストラット幅(b1)よりも小さい第2のストラット幅(b2)を有していることを特徴とする、請求項17に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項19】
リングセグメントごとに少なくとも2つの第2の円周方向セグメントが設けられていることを特徴とする、請求項14から18のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項20】
前記第2の円周方向セグメント(5a)が、当該ステント(1)の長さにわたって螺旋状にオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項14から19のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項21】
前記第2の円周方向セグメント(5a)が、当該ステント(1)の軸方向において直線的に配置されていることを特徴とする、請求項14から19のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項22】
形状記憶合金から成ることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項23】
ニッケル‐チタン合金、好ましくはニチノールから成ることを特徴とする、請求項22に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項24】
前記リングセグメント(2、2a)が、連結ストラットを介して、隣接するリングセグメント(2、2a)に連結されていることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項25】
前記連結ストラットが、前記隣接するリングセグメント(2、2a)のベンドを互いに連結していることを特徴とする、請求項24に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項26】
縁側の前記リングセグメント(2、2a)の内の少なくとも1つのリングセグメントが、隣接するリングセグメント(2)に直接連結されていることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項27】
連結ストラット(3)が均一なストラット幅を有していることを特徴とする、請求項24又は25に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項28】
前記リングセグメント(2)が複数のセル(103、108)を形成し、当該ステント(1)はラージセル(108)とスモールセル(103)とを有し、前記ラージセル(108)は第2の円周方向セグメント(22)を構成し、前記スモールセル(103)は第1の円周方向セグメント(20)を構成している、請求項9に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項29】
前記スモールセル(103)が当該ステント(1)の軸線方向において互いに隣接して並べられ、それぞれ4つのストラット(4)から形成され、交点(5)を介して互いに連結されており、前記ラージセル(108)はスモールセル(103)から成る列(107)の間に配置されており、前記ラージセル(108)はそれぞれ少なくとも6つのストラット(4)によって形成され、前記スモールセル(103)はステント(1)の拡張に際して公称直径(DN)を決定し、前記ラージセル(108)は予備拡張(E)を形成する、請求項28に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項30】
軸方向に配置された少なくとも3列のスモールセル(103)を有する、請求項28又は29に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項31】
前記リングセグメント(2、2a)間にそれぞれ少なくとも2つのラージセル(108)が配置されていることを特徴とする、請求項28から30のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項32】
前記ラージセル(108)が当該ステント(1)の長さにわたって螺旋状にオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項28から31のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項33】
前記ラージセル(108)が当該ステント(1)の軸方向において直線的に配置されていることを特徴とする、請求項28から31のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項34】
当該ステント(1)のストラット(4)が均一な長さ(L)を有していることを特徴とする、請求項28から33のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント。
【請求項35】
段階的なラジアルフォースプロファイルを生成するためにラジアルフォースを変化させるための、請求項1から34のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステントの使用。
【請求項36】
ステント(1)、好ましくは請求項1から34のいずれか一項に記載の可撓性血管内ステント(1)の製造方法であって、
‐形状記憶材料から成るチューブ片を調達するステップ、
‐前記チューブ片からステント(1)を切断するステップであって、前記ステント(1)が第1及び第2の円周方向セグメント(20、22)を有するステップ、
‐第2の円周方向セグメントを機械的に閉鎖するステップ、
‐第1の円周方向セグメントを機械的に拡張することによって、第1の成形ステップを実行するステップ、
‐その後で、前記第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖を解除し、前記第2の円周方向セグメントを機械的に拡張することによって、第2の成形ステップを実行するステップ、を含んでなる、製造方法。
【請求項37】
前記第2の円周方向セグメントの機械的な閉鎖が、前記第2の円周方向セグメントの機械的な閉鎖のための機械的保持手段、特にクリップを用いるステップを含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記第2の円周方向セグメントの機械的な閉鎖が、好ましくは切断のステップの間に、前記第2の円周方向セグメントのストラットの間に材料ブリッジを挿入するステップを含む、請求項36に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のストラットによって形成される、蛇行するように延在する複数のリングセグメントを備えた自己拡張型ステントに関するものであり、リングセグメントは隣接するリングセグメントに連結されている。当該ステントは、血管内での処置に使用される。
【背景技術】
【0002】
狭窄した血管の拡張及び血管内への血管インプラントの固定のためのステントは既知であり、しばしば記載されている。形状記憶合金から成る自己拡張型ステントと、一般的には医療用スチールから成るバルーン拡張型ステントとは区別されるが、いずれも血管内カテーテルを介して留置される。
【0003】
ほとんどの場合、ステントは多数のリングセグメントから成り、リングセグメントは連結ストラットを介して隣接するリングセグメントに連結されている。リングセグメントは多くの場合、蛇行又はジグザグ状に延在しており、拡張に際して互いから離れるように広がるストラットによって形成される。個々のストラットは、ベンド(屈曲部)によって互いに連結されている。当該技術で生じる長さの短縮には、連結ストラットの適切な設計及び/又は適切な配置によって対処可能である。
【0004】
血管を開き、径方向に拡張するためには、大きいラジアルフォース(径方向力)が必要であり、このラジアルフォースは各ステントによってもたらされなければならない。自己拡張型ステントの場合、これは、ストラットの対応する厚さを必要とする。バルーン拡張型ステントの場合、ラジアルフォースは、拡張に使用されるバルーンによってもたらされる。自己拡張型ステントにおいて、ステント拡張後に血管壁に持続的に作用する慢性外向き力(COF)によって、ステントの血管壁への安定した固定がもたらされ、さらに、血管が再び収縮する傾向(反跳)に対処することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステントのCOFは、血管壁への持続的な機械的負荷であり、当該機械的負荷は、血管直径の漸増を伴う代償的な血管成長過程(適応的血管リモデリングとして知られる)につながる可能性がある。結果として、留置後に形成される血管とステントとの間の強固な連結が緩くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は一般的に、本発明に係る自己拡張型ステントで達成され、当該自己拡張型ステントは(ステントの拡張程度に依存する)段階的なラジアルフォースプロファイルを有している。この際、ステントは、特定の公称直径に達するまで、まず予め決定可能である大きい第1のラジアルフォース(F1)で、又は予め決定可能である第1のラジアルフォース(F1)のレベルまで拡張する。公称直径を超えて、ステントは、特定の最大直径に達するまでさらなる拡張を許容する。この際、公称直径と最大直径との差は、ステントの「予備拡張」に相当する。ステントがその公称直径から予備拡張に進むと、そのラジアルフォースは急激に(段階的に)、予め決定可能である第2のラジアルフォース(F2)の明らかにより低いラジアルフォースレベルにまで減少し、当該ラジアルフォースレベルは、最大直径に到達するように作用する。
【0007】
ステントの留置によって、まず大きいラジアルフォース/COF(F1)が生じ、これによって、血管が所望の目標直径まで拡張し、この際、ステントと血管壁との間に密接な接触が生じ、これによって、例えばステントの移動、又はカバーを有するステントの場合は、ステントと血管壁との間の血流(漏れ)が防止される。拡張後のステントの公称直径は、血管の目標直径に相当する。
【0008】
しかしながら、ステントが血管壁に定着した後は、ステントの緩みは、標的血管の直径のさらなる漸進的な成長(適応リモデリング)によって防止される。したがって、ステントは、その公称直径を超えて、血管のさらなる成長に追従できるが、非常にわずかなラジアルフォース/COF(F2)のみを作用させる。つまり、ステントは留置後、自身の小さいCOFで(能動的に)又は純粋に受動的に血管拡張に追従するのみであり、もはや血管のさらなる成長を刺激することはない。本発明は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の軸方向において互いに連結されたリングセグメントを有する自己拡張型可撓性血管内ステントを提案するものであり、リングセグメントはそれぞれ、ベンドによって蛇行するように互いに連結された複数のストラットから形成されている。当該ステントは、直径が減少したクリンプ状態と、公称直径を有する拡張状態とを有する。
【0009】
第1の態様において、リングセグメントは、好ましくは、公称直径より小さい第1の直径範囲において第1の拡張特性を有し、公称直径より大きい第2の直径範囲において第1の拡張特性とは異なる第2の拡張特性を有している。
【0010】
従来の自己拡張型ステントは、公称直径までのみ拡張可能であり、血管のリモデリングの場合に関して、公称直径を超えてはもはや拡張できないが、本発明では、公称直径を超えて拡張することもできるステントが提案される。すなわち、公称直径を超えて第2の直径範囲では、ステントは好ましくは第2の拡張特性で拡張する。
【0011】
この際好ましくは、第1の拡張特性が第1の持続的な外向き力(COF1)での拡張をもたらし、第2の拡張特性が第1の持続的な外向き力(COF1)よりも小さい第2の持続的な外向き力(COF2)での拡張をもたらすと規定されている。
【0012】
このようにして段階的なラジアルフォースプロファイルを得ることが可能であり、当該ラジアルフォースプロファイルは、ステントが公称直径まで拡張し、対応する血管が公称直径まで拡張することを可能にするが、公称直径を超えては、ステントがそれに伴って伸長することを許容するのみであり、ステントは、当該範囲では非常に小さなラジアルフォース又は持続的な外向き力を加えるのみである。第2の直径範囲、すなわち公称直径を超えて最大直径までの範囲におけるラジアルフォース又は持続的な外向き力(COF2)は、好ましくは、可能な限り小さく、適応的リモデリングの際に血管壁に追従するように選択されている。第2の直径範囲におけるラジアルフォース又は第2の持続的な外向き力(COF2)は、好ましくは、血管の能動的なさらなる拡張が生じないように選択された方がよく、ラジアルフォースは、単に、ステントが血管の内側面に密着し、血管の内側面に追従するように選択されている。つまり、ステントは、公称直径より大きい範囲では、ステントと血管壁との接触を確実にする力のみを加えるべきである。この力は、リモデリングに際して血管がステントを「引っ張る」必要がないように選択されるべきであり、理想的には、ステントによって可能な限り小さい物理的作用が血管に与えられるように選択されるべきである。言い換えると、第1及び第2の拡張特性に対して代替的又は付加的に、本発明に係るステントは、第1及び第2のラジアルフォースF1、F2又はCOF又はラジアルフォースが第1及び第2の直径範囲で減少するラジアルフォースレベルによっても説明され得る。さらに、本発明に係るステントは、第1及び第2の拡張特性に対して代替的又は付加的に、ステントが拡張する際のラジアルフォース曲線によって説明することが可能であり、当該ラジアルフォース曲線は、少なくとも1つの折れ目、少なくとも1つ、好ましくは2つの変曲点又は少なくとも1つの段を有している。本発明によると、ステントによってもたらされるラジアルフォースは、公称直径を超えると急激に弱まり、好ましくは血管のリモデリングが生じないか、又は極めて小さい規模でのみ生じるような極めて低いレベルまで減少する。
【0013】
好ましくは、第2の直径範囲は、最大直径Dmaxの少なくとも10%である。すなわち、第2の直径範囲は、全拡張の10%以上になる。好ましくは、第2の直径範囲は、最大直径の少なくとも15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%又は70%である。この際、好ましくは、第2の直径範囲が、最大直径Dmaxの最大90%、好ましくは80%、さらに好ましくは75%、70%、65%、60%、55%又は50%を含むと規定されている。
【0014】
リングセグメントは、好ましくは、公称直径よりも小さい第1の直径範囲において第1の半径方向剛性を有し、公称直径よりも大きい第2の直径範囲において第2の半径方向剛性を有している。第2の半径方向剛性は、第1の半径方向剛性よりも低い。
【0015】
第1の半径方向剛性と第2の半径方向剛性とが異なるので、まず第1の直径範囲で大きいラジアルフォースが生じ、次に第2の直径範囲で小さいラジアルフォースが生じる。剛性としては、一般的に、力と変形との比が理解される。第1の直径範囲では、ステントは第2の直径範囲におけるよりも高い半径方向剛性、すなわちより大きい力と変形との比(ここでは具体的にラジアルフォースと半径方向の変形との比)を有している。これによって、ステントが拡張する際、第1の直径範囲では、第2の直径範囲におけるよりも大きい、変形あたりの力が供給される。第2の直径範囲では、血管壁に大きな力を加えることなく、血管のリモデリングの際にステントが血管と共に伸長し得る。好ましくは、半径方向剛性は第2の直径範囲におけるよりも少なくとも2倍、より好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、より好ましくは4倍、より好ましくは5倍、より好ましくは6倍、より好ましくは7倍、より好ましくは10倍、より好ましくは20倍高い。
【0016】
好ましくは、ステントは、公称直径までの第1の直径範囲において第1のラジアルフォース範囲を有し、第2の直径範囲において第2のラジアルフォース範囲を有している。好ましくは、ステントの第1のラジアルフォースは第1のラジアルフォース範囲において第1の直径範囲内にあり、第2のラジアルフォースは第2のラジアルフォース範囲において第2の直径範囲内にある。好ましくは、ステントは、公称直径までの第1の直径範囲では第1のラジアルフォースの減少を有し、第2の直径範囲では第2のラジアルフォースの減少を有している。第1の直径範囲では、ラジアルフォースはクリンプ状態の最大値から第1の平坦域へ第1の公称直径まで減少する。ステントが公称直径を超えて拡張させられるか、又は公称直径を超えて拡張すると、ラジアルフォースは第2のラジアルフォースの減少において、第2の平坦域まで減少する。拡張の際、ラジアルフォースは第1の直径範囲では第1の直線に、第2の直径範囲では第2の直線に漸近する。
【0017】
さらに、第1の直径範囲におけるラジアルフォースが、拡張の際に第1のラジアルフォースレベルまで減少し、第2の直径範囲において、第1のラジアルフォースレベルよりも低い第2のラジアルフォースレベルまで減少することが好ましい。好ましくは、第1のラジアルフォースレベルは、第2のラジアルフォースレベルよりも係数の分大きく、当該係数は、2から20の範囲、好ましくは2から10の範囲、さらに好ましくは3から10の範囲、さらに好ましくは4から10の範囲、さらに好ましくは5から9の範囲である。
【0018】
好ましいさらなる発展形態において、ステントのラジアルフォース‐直径プロファイルは、折れ目又は飛躍を有している。ラジアルフォース‐直径プロファイルは、クリンプ状態から最大直径までのラジアルフォースの推移を直径上にプロットしたものである。従来のステントの場合、このようなラジアルフォース‐直径プロファイルは、折れ目又は飛躍を有しておらず、代わりにラジアルフォースは、クリンプ状態から最大直径まで、概ね連続的に減少し、特に漸減し、その後突然終了する。本発明に係るステントは、少なくとも1つの折れ目、好ましくは少なくとも2つの折れ目を有するラジアルフォース‐直径プロファイルを有している。ラジアルフォース‐直径プロファイルは、グラフとしてプロットされ、少なくとも1つ、好ましくは2つの変曲点を有している。さらに好ましくは、ラジアルフォース‐直径プロファイルは、第1の直径範囲において、拡張に際するクリンプ状態から出発して、まず第1の勾配を有する区間を有し、次に第2の勾配を有する区間を有し、第2の直径範囲において、公称直径から出発して、第3の勾配を有する第3の区間及び第4の勾配を有する第4の区間を有しており、第1の勾配は、第2の勾配及び第4の勾配よりも大きく、第3の勾配は、第2の勾配及び第4の勾配よりも大きい。第3の勾配は第1の勾配より大きくてよい。第2の勾配は、第4の勾配より大きくてよい。第1の勾配は、好ましくは、少なくとも第1の勾配係数の分第2の勾配より大きく、第1の勾配係数は、少なくとも2.0;2.5;3.0;3.5;4.0;4.5;5.0;5.5;6.0;7.0;8.0;9.0;10.0;12.0;15.0である。第3の勾配は、好ましくは、少なくとも第2の勾配係数の分第2及び/又は第4の勾配より大きく、第1の勾配係数は、少なくとも2.0;2.5;3.0;3.5;4.0;4.5;5.0;5.5;6.0;7.0;8.0;9.0;10.0;12.0;15.0である。
【0019】
好ましくは、ステントのラジアルフォース‐直径プロファイルは、クリンプ状態から拡張状態まで、以下の経過を有している:第1の直径範囲では、まず勾配の減少に勾配の増加が続き、次に第2の直径範囲に移行する際に勾配が再び減少し、好ましくは最後に勾配が再び増加する。第1の直径範囲における第1の勾配減少は、好ましくは公称直径まで続く。公称直径を超える拡張の際は、第1の勾配増加が続き、次に第2の直径範囲において第2の勾配減少が続く。この経過は、漸減‐漸増‐漸減と表現することもできる。
【0020】
さらに好ましくは、第1の直径範囲は、第1の半径方向剛性プロファイル区間を決定し、第1の半径方向剛性プロファイル区間は漸減し、回帰し、又は直線状である。ステントの直径がより大きくなる場合の漸減する又は回帰する剛性によって、拡張の際に力がより迅速に減少する。好ましくは、第1の直径範囲におけるラジアルフォースは、少なくとも1つの区間にわたって概ね一定か、又はわずかに減少するのみであり、第2の直径範囲においても同様に、概ね一定である。これは、半径方向剛性が漸減する又は回帰することによって達成される。
【0021】
好ましくは、第2の直径範囲に関しても、第2の直径範囲が第2の半径方向剛性プロファイル区間を決定し、第2の半径方向剛性プロファイル区間が漸減し、回帰し、又は直線状であると規定されている。
【0022】
好ましいさらなる発展形態では、第2の半径方向剛性プロファイル区間が、第1の半径方向剛性プロファイル区間よりも大きく漸減するか、又はより大きな勾配を有すると規定されている。さらに好ましい実施形態では、ステントが第1の直径範囲において、第1のラジアルフォース範囲内で第1の持続的なラジアルフォースCOF1(慢性外向き力)を供給し、第2の直径範囲において、第2のラジアルフォース範囲内で第2の持続的なラジアルフォースCOF2(慢性外向き力)を供給すると規定されている。好ましくは、第1の持続的なラジアルフォースは、第2の持続的なラジアルフォースよりも少なくとも2倍、好ましくは4倍大きいか、又は第2の持続的なラジアルフォースはほぼ0である。好ましくは、第2の持続的なラジアルフォースは、10N以下である。ラジアルフォースはステントの軸方向長さにも依存する。長さに依存する値として表される第2の持続的なラジアルフォースは、好ましくは1N/mmより小さい、好ましくは0.5N/mmより小さい、より好ましくは0.25N/mmより小さい範囲にある。0.001N/mmという値は、それぞれの場合において下限値とみなすことができる。
【0023】
好ましいさらなる発展形態では、各リングセグメントは、リングの周上に分散して、構造的に異なる複数の第1の円周方向セグメントと複数の第2の円周方向セグメントとを有している。このようにして、異なる第1及び第2の円周方向セグメントによって、第1及び第2の直径範囲に対して、異なるラジアルフォースが供給され得る。好ましくは、第1の直径範囲において第1及び第2の円周方向セグメントが作用するが、他方、公称直径に達した場合、第1の円周方向セグメントは完全に拡張し、第2の円周方向セグメントのみが作用を続けるが、より小さい力、すなわち第2の持続的な外向き力でのみ作用し続ける。
【0024】
好ましくは、第1の円周方向セグメントは、第1の半径方向剛性を有するか、又は第1の半径方向剛性を決定するように構成され、第2の円周方向セグメントは、第2の半径方向剛性を有するか、又は第2の半径方向剛性を決定するように構成されている。好ましくは、第2の円周方向セグメントの第2の半径方向剛性は、第1の円周方向セグメントの第1の半径方向剛性と比較すると無視できる程度である。好ましくは、第1の直径範囲において、第1及び第2の円周方向セグメントが共に、第1の拡張特性を決定する一方で、第2の直径範囲では、第2の円周方向セグメントのみが拡張し、したがって、第2の拡張特性は、第2の円周方向セグメントによって決定される。
【0025】
この際、隣り合うリングセグメントの第1の円周方向セグメント及び第2の円周方向セグメントが、それぞれ軸方向において互いに対して位置合わせされていることが好ましい。つまり、隣り合う2つのリングセグメントの第1の円周方向セグメントは、軸方向において整列しており、したがって互いに隣り合っている。同様に、隣り合う2つのリングセグメントの第2の円周方向セグメントは軸方向において隣接し、互いに整列している。これによって、ステントの中心軸の周りに回転力が作用することなく、ステントが均等に開き、拡張することができる。
【0026】
好ましいさらなる発展形態によると、第1の円周方向セグメントのストラットが第2の円周方向セグメントのストラットよりも大きな厚さを有すると規定されている。第1の円周方向セグメントは「硬質ステントセグメント」とも呼ばれ、第2の円周方向セグメントは「軟質ステントセグメント」とも呼ばれる。「硬質ステントセグメント」、「硬質円周方向セグメント」又は「硬質リングセグメント」は、第1のラジアルフォースを決定するものとして理解され得る。「軟質ステントセグメント」、「軟質円周方向セグメント」又は「軟質リングセグメント」は、第2のラジアルフォースを決定するものとして理解され得る。したがって、「硬質ステントセグメント」は、第1の半径方向剛性を主に決定するものであり、「軟質ステントセグメント」は、第2の半径方向剛性を主に決定するものである。
【0027】
段階的なラジアルフォースプロファイルは、特に冒頭に記載したタイプのステントで得られ、当該ステントでは、リングセグメントが、リングの周上に異なる方法で配置された拡張力の異なる要素(硬質要素及び軟質要素)によって形成され、硬質要素は拡張の際に公称直径を決定し、軟質要素は拡張予備能である。
【0028】
このタイプのリングセグメントを硬質要素及び軟質要素から構成することは、例えば冒頭に述べたタイプのステントで達成され、当該ステントでは、リングセグメントが硬質ステントセグメント及び軟質ステントセグメントによって形成され、このうち硬質ステントセグメントは、拡張の際に公称直径を決定し、軟質ステントセグメントは拡張予備能であり、硬質ステントセグメントのストラットは、軟質ステントセグメントのストラットよりも大きな厚さを有している。
【0029】
リングセグメントは、拡張状態においてジグザグ状又は蛇行するように配置された、ステントの長手方向に対して横方向に延在するストラットの連続であると理解され、ストラットは、ベンド又は交点によって互いに連結されており、好ましくは複数のリングセグメントは、互いに隣接して配置され、ステントを構成する。リングセグメントは好ましくはそれぞれ、好ましくは連結ストラットを介して、又は共通の交点を介して、隣接するリングセグメントに連結されているが、縁側のリングセグメントの場合、互いに向かい合うベンド又は交点の直接の接触によっても連結される。連結ストラットは、直線状又は曲線状に延在していてよく、リングセグメントのベンドの外側及び/又は内側に当接し得る。ジグザグ形状及び蛇行という概念は、同義であると理解される。
【0030】
一変型例では、ステントセグメント又は円周方向セグメントは、拡張してジグザグ形状又は蛇行して延在する、同じ厚さのストラットの連続として理解され得る。この際、リングセグメントには、少なくとも1つの硬質ステントセグメント及び少なくとも1つの軟質ステントセグメント、又は第1の円周方向セグメント及び第2の円周方向セグメントが含まれる。硬質ステントセグメント又は第1の円周方向セグメントは、好ましくは、ベンドによって互いに連結された複数のストラットから成り、これらのストラットは、拡張後に公称直径に広がる。一実施形態では、軟質ステントセグメント又は第2の円周方向セグメントは、好ましくは、ベンドによって互いに連結された2つのストラットから成り、これらのストラットは、公称直径において平行に延在し、血管の後拡張(リモデリング)に際して、公称直径よりも大きい直径範囲で拡張する(ステントの拡張予備能)。リングセグメントの個々のストラットは、好ましくは直線状に延在し、つねにベンドによって隣接するストラットに連結されている。ステントの非拡張(クリンプ)状態では、すべてのストラットは一般的に平行に延在している。
【0031】
ステントセグメントの硬度又は剛性は、各ストラットの厚さによって決定され得る。例えば、ストラットの幅が剛性を決定する。すなわち、ストラットの幅が大きいほど、ステントセグメントの硬度又は剛性は高くなる。この場合、軟質ステントセグメントの幅は対応して、硬質ステントセグメントの幅よりも小さくてよい。ステントセグメントの硬度又は剛性は、その厚みによっても決定され得ることは自明であるが、ステントがチューブから切断される一般的なレーザー切断技術では、ストラットの幅が硬度又は剛性を決定するために考えられ得る。一実施例では、異なるストラット幅によって、段階的なラジアルフォースプロファイル/拡張プロファイルが生じる。
【0032】
好ましくは、本発明に係るステントは、リングセグメント当たり少なくとも2つの第2の円周方向セグメント(軟質ステントセグメント)を有している。この際、軟質ステントセグメントは、ステントの長手方向において、直線状に連続して配置されていてよく、又は、リングセグメントからリングセグメントへと、螺旋状に互いにオフセットして配置されていてよい。隣接する2つのリングセグメントの第2の円周方向セグメントは、好ましくは軸方向において隣接し、互いに位置合わせして配置されている。好ましくは、すべてのリングセグメントに同じ数の第2の円周方向セグメント(軟質ステントセグメント)が存在する。例えば、1つのリングセグメントは、2~4つの第2の円周方向セグメント(軟質ステントセグメント)を有しており、1つのリングセグメントにつき合計12~18個の円周方向セグメントが存在している。
【0033】
さらなる段階的な受動的拡張挙動をもたらすために、リングセグメントは、異なる厚さのストラットを有する軟質ステントセグメントを有することができる。言い換えると、第2の円周方向セグメントは、さらなる発展形態において、第2の拡張特性とは異なる第3の拡張特性が提供されるように構成されていてよい。代替的に、第3の拡張特性を決定する第3の円周方向セグメントが設けられていてよい。これによって、血管の拡張に際して、ステントの複数に段階付けられた後拡張がもたらされる。ストラットの厚さ又は一般的に半径方向剛性が異なると、ラジアルフォースが異なるので、ステントの複数に段階付けられたラジアルフォースプロファイルがもたらされる。例えば、軟質ステントセグメントは硬質ステントセグメントのストラット幅の20%から60%、好ましくは20%から30%を有している。リングセグメント内の第2の円周方向セグメント(軟質ステントセグメント)の数は可変であり、それぞれ所望の拡張予備能に従う。
【0034】
好ましくは、本発明に係るステントは形状記憶合金から成る。これは例えば、医療用として承認されているバネ鋼であってよいが、特にニッケル‐チタン合金、例えばニチノールである。この場合、ステントは自己拡張型である。
【0035】
本発明に係るステントは、レーザー切断によって通常の方法で、チューブから製造され得る。基本的に、軟質ステントセグメント(第2の円周方向セグメント)には少なくとも2つの変型例があり得る。一方では、軟質ステントセグメント(第2の円周方向セグメント)は、成形の際に固定され、完全に閉じられたままである。血管がステントの公称直径を超えて拡張した場合、これらの軟質ストラットセグメント(第2の円周方向セグメント)は、拡張予備領能の範囲(F2=0)において純粋に受動的に(血管を引っ張ることによって)開かれる。他方、軟質セグメント(第2の円周方向セグメント)は、成形においてすでに完全又は部分的に開かれている。この場合、軟質セグメント(第2の円周方向セグメント)は、ステントの予備拡張の範囲で、COF(F2>0)を生じさせ、これによって、ステントは、その予備拡張の範囲内で公称直径を超えて能動的に伸長することが可能になる。本発明に係るステントは、小児の成長中の血管にも特に適している。自明のことながら、硬質セグメントと軟質セグメント(第1及び第2の円周方向セグメント)は、ストラットの厚さだけでなく、ストラットの長さ、ステントのセルの構造及び大きさによっても得られる。
【0036】
さらに、自明のことながら、軟質セグメント(第2の円周方向セグメント)は、ステントの長さにわたって均等にも不均等にも分配され得る。例えば、軸方向のステント端部は、ステントの中央部よりも大きい若しくは小さい拡張予備能を有し、好ましくはより多い若しくはより少ない第2の円周方向セグメントを有し、又はステントの中央部とは異なる形状の円周方向セグメントを有し得る。
【0037】
さらに好ましい実施形態では、ステントは大小のセルを有し、ラージセルは第2の円周方向セグメント(軟質ステントセグメント)を構成し、スモールセルは第1の円周方向セグメント(硬質ステントセグメント)を構成する。ここで「小さい」及び「大きい」という概念は、円周方向セグメントの形状に関連しており、絶対的な概念として理解されるべきではない。ラージセルは特に、スモールセルよりも長い辺を有し、拡張した状態においてスモールセルよりも大きいセル面積を有するという点で、スモールセルと異なっている。したがって、ラージセルとスモールセルとは、一般的にストラットによって形成される辺の長さの差異によって表現することもできる。これらのセルは一般的に、第1のセル及び第2のセルとも呼ばれる。一般的に、長い方のストラットは短いストラットよりも剛性(力と変形との比)が低い。つまり、当該実施形態は、異なる持続的な外向き力(COF)又はラジアルフォースレベルは、ストラットの横断面を変化させることによってだけではなく、その自由長を変化させることによっても得ることが可能であり、これによって、より大きなセルが得られる、という認識に基づいている。しかしながら、セルはすべて閉じている必要はなく、むしろ、例えば2辺又は3辺のみが区切られたオープンセルも含まれている。さらに、当該実施形態は、軸方向において隣接するストラットが、平行に配置されたバネ又は並列に連結されたバネと同様に作用するという認識に基づいている。ラージセルでは、スモールセルと比較して、互いに隣接して配置されたストラットの数が少なくなり、したがって、並列に連結されたバネ要素の数が少なくなるので、これによって、これらの区間におけるラジアルフォースを減少させ得る。
【0038】
好ましいさらなる発展形態では、スモールセルは、ステントの軸方向において互いに隣接して並んでおり、それぞれ4つのストラットから構成され、それらの交点を介して互いに連結されている。ラージセルは、スモールセルの列の間に配置されており、ラージセルはそれぞれ少なくとも6つのストラットによって形成される。ステントが拡張する際、スモールセルは公称直径を決定し、ラージセルは予備拡張を形成する。
【0039】
好ましくは、リングセグメントは、その間に多数のスモールセルとラージセルとを形成するように配置されている。この際、好ましくは、スモールセルは互いに隣接して延在し、軸方向において並んでおり、一実施形態では、それぞれ4つのストラットから形成される。軸方向において隣接するセルは、好ましくは、その交点において、連結ストラットを介して、又は共通の交点若しくは結合点を介して直接、互いに連結されている。
【0040】
リングセグメントの間及び軸方向に延在するスモールセルの間には、ラージセルが配置されており、一実施形態では、それぞれ少なくとも6つのストラットによって形成される。8つ以上のストラットから形成されるラージセルも有用である。
【0041】
スモールセルは、拡張マトリックスを形成し、拡張マトリックスは、拡張に際して公称直径を決定する。スモールセルは、その面積当たりのストラット数が少ないので、大きいラジアルフォースを供給し、当該ラジアルフォースは、血管の拡張に決定的な影響を与える。ラージセルは予備拡張を形成し、最大直径を決定し、当該最大直径は、能動的又は受動的な後拡張によって、拡張する血管に追従することが可能である。面積当たりのストラット数が多いので、これらのラージセルは、より小さいラジアルフォースを供給し、これは、ステントが拡張する血管を追従する必要のある、受動的な後拡張にとって特に有利であることが明らかになっている。
【0042】
自明のことながら、スモールセルは、リングセグメントの間に配置されていてもよく、例えば、隣接する2つのリングセグメントをその交点を介して互いに連結することができる。
【0043】
したがって、スモールセルは、ラジアルフォースが大きい硬質ステントセグメント(第1の円周方向セグメント)であり、ラージセルは、ラジアルフォースが小さい軟質ステントセグメント(第2の円周方向セグメント)である。
【0044】
ラージセルは、好ましくはそれぞれ、軸方向に並んで配置されたスモールセルの間に配置され、好ましくは、2つのリングセグメントの間に2つのラージセルが配置されている。軸方向において、ラージセルは直線状に、好ましくは軸方向に隣接して、互いに位置合わせされて、又は螺旋状にオフセットして配置されていてよい。
【0045】
成形、特に部分的な予備拡張によって、ラージセル(軟質ステントセグメント)に、スモールセルと比較して小さいラジアルフォースで能動的な拡張挙動を与えることも可能である。このことは、血管が拡張した場合、ラージセルもそれ自身の小さいCOFでこの拡張に能動的に追従できることを意味している。
【0046】
本発明はさらに、ラジアルフォースを変化させて段階的なラジアルフォースプロファイルを生成するための、上述の好ましい実施例の1つに係るステントの使用に関する。さらに、本発明は、硬質ステントセグメント及び軟質ステントセグメントが、異なる長さ及び/若しくは厚さを有するストラットによって、又は異なる寸法を有するセルによって形成される使用に関する。
【0047】
さらなる態様において、冒頭で挙げた課題は、ステント、好ましくは本発明の第1の態様に係るステントの上述の好ましい実施形態の1つに係るステントの製造方法であって、以下のステップを含む製造方法によって解決される:形状記憶材料から成るチューブ片を調達するステップ、チューブ片からステントを切断するステップであって、ステントが第1及び第2の円周方向セグメントを有しているステップ、第2の円周方向セグメントを機械的に閉じるステップ、第1の円周方向セグメントを機械的に拡張することによって第1の成形ステップを実行するステップ、その後に、第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖を解除し、第2の円周方向セグメントを機械的に拡張することによって第2の成形ステップを実行するステップ。当該方法は、第2の円周方向セグメントが第1の円周方向セグメントよりも小さいラジアルフォースを生じさせるという認識に基づいている。したがって、ステントを最初の切断された状態から拡張された形状にするために拡張させる際には、まず大きな力で第1の円周方向セグメントを成形し、しかしながらこの際、第2の円周方向セグメントに過負荷が加えられないように第2の円周方向セグメントを閉じることが有用である。次に、第2のステップで、第2の円周方向セグメントの閉鎖を解除し、第2の円周方向セグメントを、より小さい力で引き伸ばし、成形することができる。代替的に、まず閉じずに小さい力で引き伸ばし、第2の円周方向セグメントのみを成形し、次に第2の円周方向セグメントを閉じて(拡張状態で、又はこの目的のために部分的にクリンプされた状態で)、次により大きい力で第1の円周方向セグメントを引き延ばすことも可能であろう。しかしながら、どちらの選択肢においても、第2の円周方向セグメントは、第1の円周方向セグメントが引き伸ばされる際に閉じられ、力の流れから取り出されるので、第1の円周方向セグメントが引き伸ばされる際、力は専ら第1の円周方向セグメントに作用する。
【0048】
第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖は、好ましくは、第2の円周方向セグメントを機械的に閉じるための機械的保持手段、特にクランプを用いるステップを含んでいる。代替的に、好ましくは、第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖は、好ましくは切断ステップの間に、第2の円周方向セグメントのストラット間に材料ブリッジを挿入するステップを含んでいる。例えば一時的に取り付けられた保持ベルトのような他の閉鎖技術も考えられ、好ましい。
【0049】
以下において、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。これらの図面は、必ずしも実施形態を縮尺通りに示すことを意図したものではなく、むしろ、説明に有用である場合には、概略的及び/又はわずかに歪んだ形で示される図面である。図面から直接認識可能である教示に対する補足に関しては、関連する先行技術が参照される。この際、本発明の一般的な思想から逸脱することなく、実施形態の形状及び細部に関して様々な修正及び変更を加えることができるということが考慮されるべきである。本明細書、図面、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々に、及び任意の組み合わせの両方で、本発明のさらなる発展形態に関して重要であり得る。加えて、明細書、図面及び/又は特許請求の範囲に開示された特徴の少なくとも2つから成る組み合わせのすべては、本発明の範囲に含まれる。本発明の一般的な思想は、以下に示され説明される好ましい実施形態の正確な形状又は詳細に限定されるものではなく、又は、特許請求の範囲で請求される対象と比較して限定されている対象に限定されるものではない。寸法範囲が記載されている場合、記載された境界内にある値も限界値として開示され、任意で用いられ、要求されるべきである。以下において、説明を容易にするために、同一若しくは類似の部材、又は同一若しくは類似の機能を有する部材には、同一の参照符号が用いられる。
【0050】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、以下の好ましい実施形態の説明及び図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明に係るステントの端部領域を示す平面図である。
【
図2】拡張状態にある本発明に係るステントのリングセグメントを概略的に示す図である。
【
図3】後拡張の状態(予備拡張)における本発明に係るステントのリングセグメントを概略的に示す図である。
【
図4】ラジアルフォースとステントの拡張/直径との関係を示す図である。
【
図5】ラジアルフォースとステントの拡張/直径との関係を示すさらなる図である。
【
図6a】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるステントのリングセグメントを示す図である。
【
図6b】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるステントのリングセグメントを示す図である。
【
図6c】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるステントのリングセグメントを示す図である。
【
図7a】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図7b】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図7c】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図8a】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図8b】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図8c】公称直径及び最大直径での、クリンプ状態におけるさらなる実施例に係るステントのリングセグメントを示す図である。
【
図9】ステントのさらなる実施例を示す平面図である。
【
図10】ステントのさらなる実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1には、拡張していない本発明に係るステント1(自己拡張型)の端部領域が平面図で示されている。自明のことながら、ステント1は一般的には管状構造を有するが、ここではより良く視覚化するために平面的に示されており、すなわち管状ステントの表面のみが示されている。
【0053】
図1に示す実施形態では、ステント1は2つのリングセグメント2、2aを有しており、リングセグメント2、2aは軸方向において(
図1に関しては水平方向に)互いに隣接して配置されている。個々のリングセグメント2及び2aは、この場合、連結ストラット3によって、隣接するリングセグメント2及び2aに連結されている。すなわち、
図1を参照すると、リングセグメント2の右側には、1つ又は複数のリングセグメント(図示せず)を連結することが可能であり、これらのリングセグメントは、連結ストラット3を介してリングセグメント2に連結されている。連結ストラット3は、特に個々のリングセグメント2、2aの軸方向の位置合わせを確実にするが、それ自体はラジアルフォースをもたらさないか、又は大きなラジアルフォースをもたらさない。図示されたステント部分では、縁側のリングセグメント2aはさらに、軸方向において隣接して向かい合うベンド7の接触点3aで、隣接するリングセグメント2に直接連結されている。リングセグメント2及び2aの個々のストラット4、4aは、拡張に際してジグザグ状に広がるように蛇行している。すべてのストラット4及び4aは、ベンド7によって隣接するストラット4及び4aに連結されている。
【0054】
ステント1は、リングセグメント2、2aが、公称直径DNよりも小さい第1の直径範囲D1(
図4、
図5参照)において第1の拡張特性を有し、公称直径DNよりも大きい第2の直径範囲D2において第2の拡張特性を有するように形成されており、第1の拡張特性と第2の拡張特性とは異なっている。このようにして、ステント1は、第1の直径範囲D1において、第1の持続的な外向き力(慢性外向き力)COF1を、好ましくは第1の範囲における第1のラジアルフォースを供給し、第2の直径範囲D2において、第2の持続的な外向き力(慢性外向き力)COF2を、好ましくは第2の範囲における第2のラジアルフォースを供給することができる。これについては、以下において、また
図2~
図5を参照してさらに詳細に説明する。
【0055】
図1に示された第1の実施例では、リングセグメント2、2aのそれぞれは、複数の円周方向セグメント、ここでは全部で3つの第1の円周方向セグメント20と3つの第2の円周方向セグメント22とを有しており、これらはそれぞれ、各リングセグメント2、2aの円周上に交互に配置されている。この意味で、第2の円周方向セグメント22は、円周上に均等に分配されており、この場合、互いに120°オフセットされている。ステント1の均一な拡張を得るためには、均等な分配が有利である。第1及び第2の円周方向セグメント20、22をそれぞれ3つより多く又は3つより少なく設けることも可能である。特に、1つの第2の円周方向セグメント22のみを有するステント1も同様に、本発明に係るものであり得る。さらなる実施形態では、ラジアルフォースのさらなる段階付けを得るために、1つ又は複数の第3の円周方向セグメント(図示せず)が設けられていてもよい。
【0056】
図1に示されたステント1では、各リングセグメント2及び2aに、それぞれより小さい幅b2を有する6つのストラット4aが配置されている。これらのより小さい幅b2のストラット4aは、対を成して、「軟質ステントセグメント5a」とも呼ばれる第2の円周方向セグメント22を構成している。「硬質ステントセグメント5」とも呼ばれる第1の円周方向セグメント20は、本図に示された実施例では、それぞれ8つのストラット4又は4対のストラットを有している。第1の円周方向セグメント20のストラット4は、第1の幅b2を有している。クリンプ状態から公称直径までの通常の拡張の際は、第1の円周方向セグメント20(硬質ステントセグメント5)のみが広げられ、第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント5a)は閉じた状態のままである。
【0057】
図示された場合において、第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント5a)のストラット4aは、第1の円周方向セグメント20(硬質ステントセグメント5)のストラット4の約半分の幅を有している。第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント5a)を広げるために必要な力はそれに応じて小さくなり、拡張する血管によって容易に加えられ得る(受動的拡張)。代替的に、第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント)は、成形によって予備拡張を得ることが可能であり、予備拡張は、血管が拡張した際の能動的な拡張を可能にする。個々のストラット4、4aの半径方向に測定された厚さ及び軸方向に測定された長さは、当該実施例ではすべてのストラット4、4aにおいて同じであり、ステント1は好ましくは均一な管状材料から切断されている。第1の円周方向セグメント20の第1のストラット4の第1の幅b1は、好ましくは第1の半径方向剛性を決定し、第2の円周方向セグメント22の第2のストラット4aの第2の幅b2は、好ましくは第2の半径方向剛性を決定する。したがって、
図1の実施例における半径方向剛性及びラジアルフォース‐直径プロファイルは、ストラット4、4aの形状及び構造によって予め決定され、これらによって調整され得る。好ましくは、第1の円周方向セグメント20の第1のストラット4の第1の幅b1は、第2の円周方向セグメント22の第2のストラット4aの第2の幅b2よりも係数の分大きい。比b1/b2は、好ましくは1.5~5、好ましくは1.5~4、より好ましくは2~3.5の範囲である。
【0058】
ベンド7は連結ストラット3の取り付け点であり、自己拡張型ステント1を拡張又はクリンプする際の回転点又は曲げ点である。
【0059】
図示された点8は、軟質ステントセグメント5aが公称直径において閉じたままとなるように、ステント1が成形に際して担体に固定される固定点である。
【0060】
図示された右側端部領域には、図示されていないステント1の中央領域が、連結ストラット3を介して連結可能であり、連結ストラット3は、軟質ステントセグメント5aを除いて従来の構造を有し得る。しかしまた、ステント1は2つのリングセグメント2、2aのみから形成されていてもよく、この場合は連結ストラット3を有しない。また、連結ストラット3の代わりに、直接接触点3aを通じて、
図1に関して右側の軸方向端部において、リングセグメント2、2aと同一又は同様に形成され得る1つ又は複数のさらなるリングセグメントを連結することも考えられる。
【0061】
図2は、血管100に留置された後の公称直径DNを有するステント1を概略的に示している。図示されたリングセグメント2は、開かれた状態における拡張された第1の円周方向セグメント20(硬質ステントセグメント5)を示しており、第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント5a)は依然として閉じられている。F1は、第1の円周方向セグメント20(硬質ステントセグメント5)の大きいラジアルフォースを示している。
【0062】
図1の実施例と比較して、
図2及び
図3にはそれぞれ、1つのリングセグメント2のみが示されている。しかしながら、
図2及び
図3の実施例も同様に、2つ以上のリングセグメント2、2aを含み得ると理解されるべきである。この点で、
図2及び
図3における1つのリングセグメント2のみを有する描写は、特に説明の目的で用いられる。
図1はステント1のクリンプ状態を示しているが、このクリンプ状態では、ステント1は、最小直径Dminでクリンプ状態において留置されるように、最小直径Dminまで圧縮される(
図4~
図6も参照)。クリンプ状態(
図1参照)では、個々のストラット4、4aは互いに対してほぼ平行である。拡張状態では、ストラット4、4aは互いに角度を成し、当該ストラット間には空間又はセルが含まれる。
【0063】
公称直径DN(
図2)まで拡張した場合、第1の円周方向セグメント20のみが完全に拡張し、第2の円周方向セグメント22は依然として閉じられているか、又は、部分的にクリンプ状態にある。第1の円周方向セグメント20が完全に拡張した状態では、第1の円周方向セグメント20はもはやそれ以上のラジアルフォースを及ぼさない。第2の円周方向セグメントの半径方向剛性は、好ましくは、第2の円周方向セグメント22によってもたらされ得る第2のラジアルフォースF2が、第1の円周方向セグメント20によってもたらされる第1のラジアルフォースF1よりもはるか低くなるように選択されている。加えて、第2の円周方向セグメント22の第2の半径方向剛性は、第2の円周方向セグメント22によってもたらされる第2のラジアルフォースF2が、血管100の拡張が起こらないほど低くなるように選択されている。この点で、第2の円周方向セグメント22は、第1の円周方向セグメント20によって公称直径DNまで閉じた状態に保たれ、第2の円周方向セグメント22は、第1の円周方向セグメント20によって生じる第1のラジアルフォースF1に抗して拡張することができない。なぜなら、第2の円周方向セグメント22によって生じる第2のラジアルフォースF2が低すぎるからである。
【0064】
図3は、血管100が拡張し、第1の円周方向セグメント20が完全に拡張した後の最大直径Dmaxを有するステント1を概略的に示している。描かれたリングセグメント2は、
図2に示すように、開かれた状態における拡張した第1の円周方向セグメント20(硬質ステントセグメント5)と、血管の拡張に追従して同様に拡張した第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント5a)とを示している。F2は、後拡張にとって重要な第2の円周方向セグメント22(軟質ステントセグメント)のより小さいラジアルフォースを示している。
【0065】
ステント1が、第1の円周方向セグメント20及び第2の円周方向セグメント22によって生じたラジアルフォースによって公称直径DNまで拡張し、この際、場合によって、第1の持続的な外向き力(慢性外向き力)COF1を加えることによって血管100の直径がわずかに拡張した後、血管壁は依然としてたわみ、最終的に血管100のさらなる拡張がもたらされ得る(いわゆるリモデリング)。ステント1によって、公称直径DNよりも大きい直径範囲D2において、力を、すなわち第2の持続的な外向き力(ラジアルフォース)COF2を加えることが依然として可能である。
図1~
図3に示す実施例では、これは第2の円周方向セグメント22によって実現され、第2の円周方向セグメント22は、第2のラジアルフォースF2を生じさせる剛性(第2の半径方向剛性)のみを有している。当該剛性は、血管100のさらなる拡張又はリモデリングが防止される程度に低くなるように選択されている。第2のラジアルフォースF2は、好ましくは、血管壁がステント1を通って単に追従できる範囲で選択されている。
【0066】
最大直径Dmaxでは、第2の円周方向セグメント22も完全に拡張している。第2の円周方向セグメント22がラジアルフォースF2=0を生じさせるように設計されている場合、最大直径は特に、その直径を超過した場合にラジアルフォースが内側に作用しなければならない直径、すなわち血管100がさらなるリモデリングの際にステント1を引っ張らなければならない直径によって決定されている。第2の円周方向セグメント22がラジアルフォースF2>0を生じさせるように設計されている場合、最大直径は特に、ステント1が弛緩した位置にある際の直径によって決定されている。最大直径を超えると、ラジアルフォースは再び内側に向かって作用し、すなわち血管100がさらなるリモデリングの際にステント1を引っ張らなければならなくなる。とはいえ、第2の円周方向セグメント22の第2の半径方向剛性は、好ましくは、外向きの大きなラジアルフォースによるか、内向きの大きなラジアルフォースよるかにかかわらず、血管壁に影響を及ぼさないように選択されている。したがって、ステント1を緩めなくとも、公称直径DNを超える血管100の拡張は可能であり、公称直径DNより小さい血管100の収縮は効果的に回避される。
【0067】
図4は、
図1に係るステント1のラジアルフォース曲線を、拡張度又は直径の関数として示している。留置の後、自己拡張型に構成されているステント1は、ラジアルフォースが減少するにつれて公称直径DNまで拡張し、第1の範囲において第1のラジアルフォースF1が作用している。公称直径にはDNで達する。最後に、血管100のリモデリングの際に、最大直径Dmaxに達する。この後拡張の際、減少した第2のラジアルフォースF2は第2のラジアルフォース範囲で作用する。範囲Eは予備拡張を示している。
【0068】
第1の持続的な外向き力COF1は、ここでは、ステント1が拡張に際して血管100に接触する、又は接触し得る範囲によって決定されている。
図4では、公称直径DNでまさに力F1が作用している。しかしながら、血管100が公称直径DNよりわずかに小さい場合、わずかに大きなラジアルフォースが作用する。ステント1は、ステント1が第1の持続的な外向き力COF1が第1の平坦域P1、すなわち直径D
*と公称直径DNとの間にある範囲において血管と接触するように設計されていた方がよい。当該範囲では、第1の持続的な外向き力COF1は、第1のラジアルフォースレベルFN1にある。
【0069】
ステント1のクリンプ状態における最小直径Dminから、最小直径Dminと公称直径DNとの間の第1の直径範囲D1のほぼ半分より後(D
*において)で、ほぼ一定であると解釈され得る第1のラジアルフォースレベルFN1の範囲の高さに達するまで、作用するラジアルフォースは急速に減少する。この時点まで、ラジアルフォースは漸減する。ステント1はこの時点まで第1の拡張特性、すなわち漸減する拡張特性を有している。血管100はステント1の力によって公称直径DNまで半径方向に拡張する。
図4からは、ラジアルフォースが公称直径DNから第2のラジアルフォースレベルFN2の範囲まで、特に第2のラジアルフォースレベルFN2の範囲においてやはりほぼ一定であると解釈され得る第2のラジアルフォースF2まで段階的に減少することが明らかである。つまり、ステント1は第2の持続的な外向き力COF2を作用させることができる。第2の直径範囲D2では、ラジアルフォースは再び漸減し、これに応じてステント1は第2の拡張特性を有する。第2の拡張特性は第1の拡張特性とは異なっている。なぜなら、減少の度合い及び達成される力のレベルが異なるからである。第2の持続的な外向き力COF2は小さいので、血管100はもはやステント1によって能動的に拡張することはなく、ステント1は血管100の起こり得るリモデリングに、穏やかに、大きな力を加えることなく追従するのみである。したがって、公称直径DNより大きい第2の直径範囲D2は、予備拡張Eを表している。同様に
図4から認識されるように、ラジアルフォース‐直径曲線は、公称直径DNの範囲で折れ目K1又は段を有している。当該範囲では、従来のステントで知られているように、曲線はもはや連続的かつ漸近的には延在せず、第2のラジアルフォースレベルFN2まで突然低下する。
図4の実施例では、第1のラジアルフォースF1は、第2のラジアルフォースF2の約5倍~6倍である。
【0070】
さらに、
図4では勾配S1~S4が直線で描かれている。第1の直径範囲D1では、ラジアルフォースは第2の勾配S2を示す直線S2に漸近する。第2の直径範囲D2では、ラジアルフォースは第4の勾配S4を示す直線S4に漸近する。第2の勾配S2及び第4の勾配S4はいずれも小さく、概ね直線的であるとみなすことができる。Dminでのクリンプ状態から出発して、ラジアルフォースは、まず接線方向に示された勾配S1で急激に減少し、これによって、その後、直径D
*から公称直径DNまで第2の勾配S2で減少する。第1の勾配S1は第2の勾配S2より明らかに大きい。公称直径DNを超えて拡張すると、ラジアルフォースは再びまずより大きな勾配S3で減少し、その後、より小さな勾配S4で再び減少する。
【0071】
図5は、本発明に係るステント1のさらなるラジアルフォース‐直径曲線を示している。やはり、ステント1のクリンプ状態における最小直径Dminから、Y座標にプロットされたラジアルフォースがまず第1の区間30において、ラジアルフォースが第1の直径範囲D1で第1の平坦域32に達するまで漸減する。
図4の実施例における第1のラジアルフォースレベルFN1に対応する第1の平坦域32では、たとえそれが望ましいとしても、一定の力が完全に第1の直径範囲D1にわたって及ぼされる必要は必ずしもない。当該範囲で生じる第1の持続的な外向き力COF1は、公称直径DNまでの拡張の際、ほぼ一定のままであり、勾配S2でわずかに減少する。ステント1が公称直径DNを超えて拡張すると、ラジアルフォースは次に第3の勾配S3で、段34で急激に減少するが、当該勾配は必ずしも直線的である必要はなく、漸減するように延在していてもよい。力の減少は可能な限り急勾配であることが好ましく、ラジアルフォースは、公称直径DNを超えた場合には可能な限りすぐに、第1の持続的な外向き力COF1のレベルから、はるかに低いレベルまで減少する。
図5に示された実施例では、ラジアルフォースは、第2の平坦域36まで減少し、平坦域36は、第1の平坦域32に類似して、再び概ね一定のラジアルフォースを表しており、当該ラジアルフォースは、ここでは第2の持続的な外向き力COF2と称される。第2の持続的な外向き力COF2のレベルは、第2の直径範囲D2にわたって概ね一定のままであり、第4の勾配S4でわずかに低下する。最大直径Dmaxに達すると、ラジアルフォースは0まで減少する。これは、ここに示された実施例では、再び段38で行われるが、より平坦、直線的、又は漸減するように進行してもよい。
図5に示す例では、第1の持続的な外向き力COF1は、第2の持続的な外向き力COF2の3倍~3.5倍である。
【0072】
図6aから
図6cは、ステント1のさらなる実施例を示している。3つの図とも、ほどいた状態におけるステント1の外周を示している。しかしながら、ステント1は実際にはリング状であり、
図6aから
図6cにおいてそれぞれ上側に示されている端部は、それぞれ下側に示されている端部に連結されていると理解されるべきである。図解は、レーザー切断プロセスのための切断パターンとしても理解され得る。
図6aは、最小直径Dminでのクリンプ状態におけるステント1を示している。
図6aは公称直径DNでのステント1を示し、
図6cは最大直径Dmax、すなわち完全に拡張した状態のステント1を示している。
【0073】
図1の第1の実施例と同様に、
図6a~
図6cに係るステント1は、3つの第1の円周方向セグメント20と、3つの第2の円周方向セグメント22とを有している。第2の円周方向セグメント22はそれぞれ、リングセグメント2、2aごとに2つの第2のストラット4aを有し、第2のストラット4aは、第2のベンド7aを介して互いに連結されている。第1の円周方向セグメント20は、リングセグメント2、2aごとに6つの第1のストラット4を有している。6つの第1のストラット4は、第1の円周方向セグメント20のそれぞれにおいて3つの第1の突出部24を形成し(
図6b参照)、そのうちの中央の突出部には任意でアンカー25が設けられており、ここではアンカー25はリングとして形成されている。第2のストラット4aは、共に1つの第2の突出部26を構成している。第1のストラット4の第1の幅b1は、第2のストラット4aの第2の幅b2よりもかなり大きく、この場合は約3倍である。
【0074】
図1の第1の実施例とは異なり、第2の円周方向セグメント22の第2のストラット4aは、第1の円周方向セグメント20の第1のストラット4とは異なる長さを有している。具体的には、第2のストラット4aは第2の長さL2を有し、第1のストラット4は第1の長さL1を有している。当該実施例(
図6a~
図6c)では、第2の長さL2は第1の長さL1よりも短い。これによって、剛性をわずかに高めることができるが、最大直径Dmaxを制限することが可能であり、これは、過度のリモデリングを防止するためにも有利である。
【0075】
隣り合うリングセグメント2、2aの第1のストラット4は、第1のセル40を形成するように、それぞれ反対方向に配置されている。同様に、隣り合うリングセグメント2、2aの第2のストラット4aは、第2のセル42を形成している。ここでは、第2のストラット4aは第1のストラット4より短いので、第2のセル42は第1のセル40より小さく、この場合は約1/3である。
【0076】
図7a~
図7cは、
図6a~
図6cと同様に、さらなる実施例のステント1を示している。同一及び類似の要素には、
図6a~
図6cと同じ参照符号を付しており、以下においては、主に
図6a~
図6cの実施例との相違点を記載する。
【0077】
図7a~
図7cに示す実施例では、すべてのストラット、第1のストラット4と第2のストラット4aとは同じ長さ、この場合L1を有している。当該実施例では、異なる剛性、したがってラジアルフォースも、専らそれぞれのストラットの幅によって表される。第1のストラット4は第1の幅b1を有し、第2のストラット4aは第2の幅b2を有している。すべてのストラットが同じ長さを有するので、ストラットによって形成される第1及び第2のセル40、42も概ね同一である。
【0078】
図8a~
図8cは、
図6a~
図6cと同様に、さらなる実施例におけるステント1を示している。同一及び類似の要素には、
図6a~
図6cと同じ参照符号を付しており、以下においては、主に
図6a~
図6cの実施例との相違点を記載する。
【0079】
図6a~
図6cの実施例とは異なり、
図8a~
図8cの実施例では、すべてのストラット、第1のストラット4及び第2のストラット4aは、同じストラット幅、この場合b1を有している。当該実施例では、異なる剛性又はそれに伴うラジアルフォースは、ただストラットの長さによってのみ表される。第1のストラット4は長さL1を有しているが、第2のストラット4aはより大きい長さL2を有している。このようにベンド3、3aに作用するレバーが短くなるので、第2の円周方向セグメント22の剛性が低下する。比L2/L1は、ここでは約3/2であるが、適用事例に応じてより大きく又は小さく選択することもできる。これによって、第1及び第2のセル40、42のセル寸法も異なる。この点で、当該実施例は、第2の円周方向セグメント22が第1の円周方向セグメント20よりも大きなセルを形成するように記載することもできる。
【0080】
図6a~
図6c及び
図7a~
図7cの実施例とのさらなる相違点は、第1の円周方向セグメント20はそれぞれ4対の第1のストラット4、したがって4つの第1のセル40も有しているのに対して、
図6a~
図6c及び
図7a~
図7cの実施例ではそれぞれ3つのみが設けられていたことにある。
【0081】
図9及び
図10は、段階的なラジアルフォースプロファイルを有するステント1の代替的な実施例を示している。ただし、先行する実施例とは異なり、すべてのストラットは同じ幅と、同じ横断面とを有している。
【0082】
図9は、本発明に係るステント1を拡張した状態において示した原理図であり、すなわちやはり周面のみを示した図である。ステント1はリング状で、
図9では中心軸が水平に延在している。周面は蛇行するリングセグメント2によって形成され、リングセグメント2は、軸方向において、交点105に連結されたストラット4によって、一連のスモールセル103を形成する。軸方向において、図示された場合におけるステント1は、3つの列107に配置された、それぞれ4つのストラット4から成るスモールセル103によって画定される。
【0083】
つまり、上記の実施例とは異なり、リングセグメント2はストラット4の連続的なジグザグ形状によって形成されるのではなく、むしろストラット4は突出部24、26を有する完全なストラット網から選択的に取り出されている。規則的なジグザグ形状では、
図9の左上隅のセル103の場合のように、セルはそれぞれ4つのストラット4から形成される。このようなセルは、先行する実施例でも設けられている。
【0084】
リングセグメント2と列107との間には、それぞれラージセル108が配置されており、ラージセル108は、図示された場合では、それぞれ8つのストラット4によって形成される。ラージセル108は、斜め又はL字形に構成されており、その寸法において、斜めに配置された3つのスモールセル103に相当する。別の実施変型例では、ラージセル108を長方形、六角形又は正方形に形成し、これによってラジアルフォースを変化させることも可能である。いずれにしても、スモールセル103から成る列107の間には、さらにスモールセル103を配置することが可能であり、これらのスモールセルは、ステント1のラジアルフォースに影響を与える。
【0085】
ラージセル108は、規則的な、一般的にひし形の基本パターンから成る個々のストラット4を省略することによって形成されている。省略された2つのストラット4‘は、ラージセル108の中心に破線で示されている。
【0086】
ここに示す実施例では、段階的なラジアルフォースプロファイルは以下のように生じる:軸方向において隣り合う個々のストラット4は、周方向、つまりラジアルフォースの方向において、平行に連結されたバネ要素として機能する。完全な列107には、ここに示された実施例では、軸方向に隣接して、すなわち平行に連結されて、ストラット4が10個ずつ設けられている。不完全な列109では、軸方向に隣接して、4つのストラット4のみが設けられている。これによって、ストラット4によって供給される弾力が60%減少し、異なる持続的な外向き力COFを発生させることができる。
【0087】
図9の実施例では、周方向において、隣り合う2つの完全な列107が第1の円周方向セグメント20を形成し、2つの不完全な列109が第2の円周方向セグメント22を形成している。
図10は、
図9よりも縮小されたラージセル108を有する
図9のステント1の変型例を示している。ラージセル108はそれぞれ、長さが等しい4つのストラット4によって画定されている。各リングセグメント2は、同じ数のラージセル108を有し、図示された場合では2個のラージセル108を有している。
【0088】
完全な列107には、やはり10個のストラット4が設けられているが、不完全な列109には、全体で6個のストラット4が設けられている。すなわち、平行に連結されたストラット4の弾力は、ここでは40%しか減少しておらず、これによって、
図9と比較してより大きい第2の持続的な外向き力COF2が得られる。
【0089】
本発明に係るステント1は、好ましくはチューブ片から切り出される。チューブ片は好ましくはニチノール材料から成り、形状記憶特性を有している。
図1、
図6a、
図7a、
図8aは、クリンプ状態だけではなく、切断後、好ましくはレーザー切断後の初期状態も示している。つまり、ステント1の製造の際、ステント1は、
図1、
図6a、
図7a、
図8aに示す初期状態において、チューブ片から切断される。次に、複数の成形ステップが実施される。このために、第2の円周方向セグメントをまず機械的に閉じ、第1の円周方向セグメントを機械的に解除する。次に、ステント1は工具を用いて拡張される。第2の円周方向セグメントは機械的に閉じられているので、第1の円周方向セグメントのみが拡張され成形される。この第1の成形ステップの後、ステント1は
図6b、
図7b及び
図8bに示す構造を有する。次に、第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖が解除される。その後、同じ工具又は別の工具を用いて、ステント1がさらに拡張される。この際、第2の円周方向セグメントが主に成形される。このために必要な力は、第1の円周方向セグメントの拡張に必要な力よりも明らかに小さい。
【0090】
機械的な閉鎖は、クランプ、すなわち摩擦接続、形状接続及び/又は材料接続的に作用し得る。
図1において、符号8は、第2の円周方向セグメントの機械的閉鎖を形成するクリップを示している。代替的又は付加的に、第2の円周方向セグメント22のストラット間に材料ブリッジが設けられていてもよく、当該材料ブリッジは、第1の成形ステップの際、第2の円周方向セグメントの拡張に対抗する。当該材料ブリッジは、第2の成形ステップを実施する前に除去する必要がある。
【符号の説明】
【0091】
1 ステント
2、2a リングセグメント
3 連結ストラット
3a 接触点
4、4a ストラット
5 硬質ステントセグメント
5a 軟質ステントセグメント
7 ベンド
7a 第2のベンド
8 クリップ
20 第1の円周方向セグメント
22 第2の円周方向セグメント
24、26 突出部
25 アンカー
30 第1の区間
32 第1の平坦域
34、38 段
36 第2の平坦域
40 第1のセル
42 第2のセル
100 血管
103 スモールセル
105 交点
107、109 列
108 ラージセル
b1 第1の幅
b2 第2の幅
COF 持続的な外向き力
COF1 第1の持続的な外向き力
COF2 第2の持続的な外向き力
D1 第1の直径範囲
D2 第2の直径範囲
Dmax 最大直径
Dmin 最小直径
DN 公称直径
E 予備拡張
F1 第1のラジアルフォース
F2 第2のラジアルフォース
FN1 第1のラジアルフォースレベル
FN2 第2のラジアルフォースレベル
K1 折れ目
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
P1 第1の平坦域
S1 第1の勾配
S2 第2の勾配
S3 第3の勾配
S4 第4の勾配
【国際調査報告】