IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アパリオ グローバル ソリューションズ (アーゲーエス) アーゲーの特許一覧

特表2024-521230アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム
<>
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図1
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図2
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図3
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図4
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図5
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図6
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図7
  • 特表-アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】アクティブディスプレイを作動させる為の方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20240521BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20240521BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240521BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240521BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20240521BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240521BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/3225
G09G3/20 650J
G09G3/20 650B
G09G3/20 612U
G09F9/00 362
H10K59/12
G09F9/30 365
G09F9/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024510539
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022061734
(87)【国際公開番号】W WO2022233799
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21171736.8
(32)【優先日】2021-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21189860.6
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523413482
【氏名又は名称】アパリオ グローバル ソリューションズ (アーゲーエス) アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン ブラウン, マックス
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107EE03
3K107HH04
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080EE28
5C080EE29
5C080JJ04
5C080KK34
5C094AA01
5C094AA60
5C094BA23
5C094BA27
5C094DA01
5C094DA02
5C094HA01
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB39
5C380AC16
5C380BA45
5C380DA06
5C380DA07
5C380DA16
5C380DA35
5C380EA18
5C380EA20
5G435AA01
5G435BB05
5G435BB12
5G435LL19
(57)【要約】
【要約】 本発明は、アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる為の方法に関しており、この方法は、
直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンス(F0)の第1フィードを提供するステップと、
直接視聴者が見ることを意図されていない第2画像データシーケンス(F1,C1;F2,C2;F3,C3)の少なくとも一つの第2フィードを提供するステップであって、各画像の組合せ(F1とC1;F2とC2;F3とC3)が結果的に均質なグレー画像となるように、第2画像データシーケンス(F1;F2;F3)と、第2画像データシーケンスの逆/補完画像データから成る第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)とを少なくとも第2フィードは包含するステップと、
第1及び少なくとも第2画像データシーケンスがアクティブディスプレイに提示される際の基準フレームレート(SFR)を選択するステップと、
基準フレームレート(SFR)の基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRにおいてnd HDFR画像スロット/スライスを包含するディスプレイ高フレームレート(HDFR)でアクティブディスプレイを作動し、各HDFR画像スロットは、
【数8】
による持続時間τを有するステップと、
各基準フレームレート時間間隔のnd HDFR画像スロットにおいて第1フィード及び少なくとも第2フィードの画像データをタイムスライス多重化方式でアクティブディスプレイに提示するステップと、を包含し、
第1フィードと少なくとも一つの第2フィードとの少なくとも二つのフィードが、画像データと補完画像データとの組合せ(F1とC1;F2とC2;F3とC3)から得られるグレー画像を包含し、基準フレームレート(SFR)の2倍以上の周波数でアクティブディスプレイの輝度変化が発生するようなやり方で、グレー画像はアクティブディスプレイに等輝度で提示されてnd HDFR画像スロット内で均一に分配される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる方法であって、
直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンス(F0)の第1フィードを提供するステップと、
前記直接視聴者が見ることを意図されていない第2画像データシーケンス(F1,C1;F2,C2;F3,C3)の少なくとも一つの第2フィードを提供するステップであって、前記少なくとも第2フィードは、各画像の組合せ(F1とC1;F2とC2;F3とC3)が結果的に均質なグレー画像になるように、第2画像データシーケンス(F1;F2;F3)と、前記第2画像データシーケンスの逆/補完画像データから成る第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)とを包含するステップと、
前記第1画像データシーケンス及び前記少なくとも第2画像データシーケンスは前記アクティブディスプレイに提示される際の基準フレームレート(SFR)を選択するステップと、
ここで、前記アクティブディスプレイは、前記基準フレームレート(SFR)の基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRにおいてnd HDFR画像スロット/スライスを包含するディスプレイ高フレームレート(HDFR)で作動し、各HDFR画像スロットは
【数7】
による持続時間τを有し、
各基準フレームレート時間間隔の前記nd HDFR画像スロットにおいて前記第1フィード及び前記少なくとも第2フィードの前記画像データをタイムスライス多重化方式で前記アクティブディスプレイに提示し、
前記第1フィードと前記少なくとも一つの第2フィードとの少なくとも二つのフィードが、画像データと補完画像データとの前記組合せ(F1とC1;F2とC2;F3とC3)から得られる前記グレー画像を包含し、このグレー画像は、前記アクティブディスプレイの輝度変化が前記基準フレームレート(SFR)の2倍以上の周波数で発生するようなやり方で、前記アクティブディスプレイに等輝度で提示されて前記nd HDFR画像スロット内に均一に分配される、方法。
【請求項2】
前記アクティブディスプレイの前記輝度変化は100Hzより大きい周波数で発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1画像データシーケンス(F0)の前記第1フィードは、各画像(F0とC0)の組合せが結果的に均質なグレー画像となるように、前記第1画像データシーケンスの逆/補完画像から成る第1補完画像データシーケンス(C0)を更に包含し、
前記少なくとも二つのフィードの前記グレー画像は、前記第1フィード(F0とC0)からのグレー画像と前記第2フィード(F1とC1)からのグレー画像とを包含する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2画像データシーケンス(F1;F2;F3)の画像と前記第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)の逆/補完画像との各ペア(F0,C0;F1,C1;F2,C2;F3,C3)が3.3ミリ秒以下の時間間隔内で提示される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
基準フレームレート時間間隔ΔTの前記nd HDFRスロットは同じ長さτを有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
基準フレームレート時間間隔ΔTの前記nd HDFRスロットは可変長τを有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記nd HDFRスロットの各々の長さτ,τが、Gクロック(GCLK)により供給されるパルスカウンタを介して生成される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
パルスカウンタを介して同じ所定数のパルスをカウントしながら前記Gクロック(GCLK)の周波数を変化させることにより前記HDFR画像スロットの異なる持続時間τが得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記nd HDFR画像スロットの少なくとも一つが、それぞれのHDFR画像スロットの持続時間τより短い持続時間を有するブラック位相を包含する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ブラック位相の前記持続時間は前記nd HDFR画像スロットの前記持続時間の20%より短い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRに少なくとも6個のHDFR画像スロットが提供される、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)の画像を提示するHDFR画像スロットが、前記第1画像データシーケンス(F0)の画像データを包含する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記補完画像成分の輝度を比例して低下させながら前記アクティブディスプレイの前記アクティブ発光素子を高電流で作動させることを包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)の画像を提示する前記HDFR画像スロットは、直前及び直後のHDFR画像スロットの画像成分を包含する、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクティブディスプレイはLED又はOLEDディスプレイである、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる為のシステムであって、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の方法を行うように構成される制御ユニットを具備するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブディスプレイ、とりわけLEDディスプレイを作動させる為の方法及びシステムに関しており、二つ以上の画像データシーケンスがタイムスライス多重化方式でアクティブディスプレイに示される。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)ディスプレイなどのアクティブディスプレイには、一般的に単一のディスプレイあるいは2台又は3台の独立ディスプレイが使用されるオフィス又は家庭環境におけるコンピュータディスプレイ又はテレビ画面から、多数のLEDパネルが本質的に継目なく接合されてLED列又はLEDウォールを形成する広告又はエンターテインメント業界における大規模な用途まで、多様な用途が見られる。本出願の文脈では、アクティブディスプレイの一般的な例として主にLEDディスプレイが言及されるが、他のタイプのアクティブディスプレイ、とりわけアクティブマトリクス式有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は量子ドットディスプレイなどの画素ベースのアクティブディスプレイにも、本明細書に記載の技術が使用され得ることは明白であろう。そのうえ、本出願の文脈において、横又は縦のLEDディスプレイ列あるいはLEDパネルは、(例えば水平行又は垂直列として)一次元で接合される個々のLEDディスプレイ/パネルを指すが、LEDウォールは二次元で接合された多数のLEDパネルを指す。各パネルに同じ画像データ/映像コンテンツを示す以外に、利用可能な数のLEDパネルに各画像フレームを分配することに、適当な制御機器が一般的に使用され、したがって、視聴者は、巨大な寸法を有する単一のディスプレイの印象を得る。そのうえ、本発明の文脈において、アクティブディスプレイに示される画像データのシーケンスは、「映像ストリーム」とも記される。概して、「映像ストリーム」なる用語は、LEDディスプレイに示される何らかのタイプの画像コンテンツ、例えば連続して示される画像フレームシーケンスの実際の映像ストリーム、あるいは静止画像、単色静止画像も指すものとする。この意味において、「映像ストリーム」は、単一の静止画像が一度のみ、つまり画像コンテンツ又は再送画像コンテンツを変更する必要なく、或るフレームレートでLEDディスプレイに提示される事例も包含する。
【0003】
LED又はOLED(AMOLED)ディスプレイは、TV又はコンピュータ画面から車両及び携帯電話のメディアディスプレイに及ぶ非常に多様な用途でよく見られるディスプレイ技術である。ウォール、行、又は列の形態のLEDディスプレイは、情報又は広告を視聴者に伝える掲示板又は看板として広く使用されている。そのうえ、LEDウォールは最近、バーチャルスタジオ設備において背景及び照明を提供する為に、エンターテインメント業界ではますますポピュラーになっている。
【0004】
過去には、単一の専用画像データシーケンス(又は単一の映像ストリーム)がアクティブディスプレイに示されていた。しかしながら、近年、新たな技術開発では画像データシーケンスへの付加的な画像コンテンツの挿入が必要とされ、異なる画像データシーケンスの個々の画像(又はフレーム)が互いに交互配置される。これらの事例で、(ここでは「第1画像データシーケンス」と記される)一つの画像データシーケンスのみが、直接視聴者により自覚的に認識されるという意味で見ることが意図されているが、交互配置される追加の画像データシーケンスは、通常、直接視聴者が見ないように又は認識しないように、隠されている。
【0005】
一般的な用途では、アクティブディスプレイは、ビデオカメラ又は写真用スチルカメラなどのカメラにより捕捉/撮影されるシーンの一部である用途を含む。
【0006】
これらの用途のうちの一つは、バーチャルスタジオに関し、LEDディスプレイ、とりわけファインピッチディスプレイで作られたウォールが従来の緑色スクリーン又は青色スクリーンの背景パネル/スクリーンに置き換わったバーチャルスタジオに関する。これは、背景とともに前景を撮影しながら(つまり画像データの第1処理として)背景シーンがLEDウォールに提示されるのを可能にし、そのことは映像ポストプロダクションの量を著しく減少させる。出願人による特許文献1に記載されているように、シーン内でのLEDディスプレイとシーンを捕捉するカメラとの位置及び相対的向きを特定する為に第1画像データシーケンスと交互配置された追加の画像データシーケンス、例えばクロマキー画像データ及び/又は追跡パターン画像データをLEDディスプレイに提示することは有益であり得る。
【0007】
他の用途では、カメラにより捕捉されるべきではない特徴又は情報、例えばカメラによるシーンの録画では不要であるテキストプロンプティング又は何らかの種類のロケータを直接視聴者は見ることができることが要求される場合がある。
【0008】
別の用途は、いわゆる「バーチャル広告」に関する。フットボールの試合などのスポーツイベントでは、通常、スポーツイベント中に広告コンテンツが提示される多くのLEDディスプレイがスタジアムに設置される。スポーツイベントの映像が世界中に放送される時に、イベントでの特定の広告コンテンツは映像でも見られるだろう。しかしながら、或る広告は或る場所での観客にのみ関連しており、さらに重要なことには、一つの国で許可されている或る広告が他の国では法律により禁止されていることさえもあるかもしれない。バーチャル広告では、捕捉された映像でLEDディスプレイを特定し、それぞれのターゲット観客に応じて、スタジアムに示される実際のコンテンツを代替コンテンツと置き換えることにより、これらの問題の解決法が得られる。この趣旨で、画像内でのLEDディスプレイの場所を特定するばかりでなく、特定のLEDディスプレイに対するカメラの位置及び向きを特定することが必要である。それゆえ、バーチャル広告の文脈では映像スタジオと同様の問題がスポーツイベントでも生じる、すなわち、例えばクロマキー画像及び追跡パターンなど付加的な画像コンテンツを導入することにより、LEDディスプレイの場所とカメラの向きとを特定することができる。
【0009】
上記したバーチャル広告技術の代替的な解決法として、本願の出願人は、異なる観客を対象とした異なる画像コンテンツがLED看板などのアクティブディスプレイにタイムスライス多重化方式で示されるのを可能にする方法を開発した。全体的なシーンに関する限り同一であるがLED看板に異なる画像を示すシーンの多数の映像が作成されるように、アクティブディスプレイに示される異なる画像データシーケンスに同期化されるシーンの映像が、一以上のビデオカメラで生成される。この技術は例えば本出願人の特許文献2に記載されている。
【0010】
上記した技術により、LEDパネルなどのアクティブディスプレイが、ビデオカメラ、TVカメラ、あるいは写真用スチルカメラ又は携帯電話/タブレットカメラで録画されるシーンの一部であり、これらのアクティブディスプレイが異なる画像コンテンツをタイムスライス多重化方式で示す多数の用途があることが実証される。これらの用途の全てにおいて、シーンを録画するカメラであるだけではなく、シーンの一部である人間(以下では「人物」又は「直接視聴者」と記される)であり、例えば、スポーツイベント又はエンターテイメントイベントの観客、俳優又は映画スタジオのスタジオスタッフとしてのシーンの一部であり、それゆえシーンに存在するアクティブディスプレイを含めたシーンを見ている人間(以下では「人物」又は「直接視聴者」と記される)が存在している。異なる画像データシーケンスがタイムスライス多重化方式で提示されるやり方でこれらのアクティブディスプレイを作動する時には、一般的にはこれらの画像シーケンスのうち一つのみが、シーン内又はシーンの近くに存在する人物が、見るように又は認識するように意図される。特許文献3では、追加の画像データシーケンスは録画用フレームレートの時間間隔のわずかな部分にのみ提示され、関連の画像コンテンツを人物が見ないこと又は認識しないことが提案されている。本願の出願人による特許文献2では、追加の画像データシーケンスが画像及び対応する逆/補完画像のシーケンスとして提示されることを提案することにより、この概念は更に発展されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第21169258.7号明細書
【特許文献2】国際公開第2018/138366号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/102957号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、二以上の無関係の画像データシーケンスが互いに交互配置される時には、幾つかの問題が発生し得る。付加的な画像データの非常に短い導入でさえ、画像データ自体を認識できない場合でもアクティブディスプレイの顕著なちらつきを招き得る。そのうえ、人間の眼は(一般的には40ミリ秒の範囲である)眼の時間分解能内でも統合を行なうので、付加的な画像データの導入は、直接視聴者が見る又は認識する第1画像データシーケンスの、特に画像の暗領域での第1画像データシーケンスのブラックレベルの顕著な増加を招くだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それゆえ、本発明の目的は、シーン内又はシーンの近くに存在している人物が、とりわけちらつきの最小化及びブラックレベルの顕著な上昇の回避について、彼らが見ることを意図されている第1画像データシーケンスの視聴体験の向上を得る一方で、広範囲の環境照明条件において一以上の画像データシーケンスと同期化したシーンの録画を可能にするようなやり方で、シーンの一部である一以上のアクティブディスプレイに異なる画像データシーケンスをタイムスライス多重化方式で提示する為の方法及びシステムを提供することである。そのうえ、最新の映像又は映画スタジオでは、一つの制御装置を通して全ての光源を同レベルにすることができる制御システムが採用される。ちらつき、振動、退色効果等を回避するには、これらの光源の全てを同期化する必要がある。
【0014】
この技術的問題は、本出願の請求項1に規定された方法により解決される。本発明の更なる実施形態は従属請求項の対象である。
【0015】
したがって、本発明は、アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる為の方法に関係し、この方法は、
直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンス(F0)の第1フィードを提供するステップと、
直接視聴者が見ることを意図されていない第2画像データシーケンス(F1,C1;F2,C2;F3,C3)の少なくとも一つの第2フィードを提供するステップであって、各画像の組合せ(F1とC1、F2とC2、F3とC3)の結果として均質なグレー画像が得られるように、第2画像データシーケンス(F1;F2;F3)と、第2画像データシーケンスの逆/補完画像データから成る第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)とを少なくとも第2フィードが包含するステップと、
第1及び少なくとも第2画像データシーケンスはアクティブディスプレイに提示される際の基準フレームレート(SFR)を選択するステップと、
基準フレームレート(SFR)の基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRにおいてnd HDFR画像スロット/スライスを包含するディスプレイ高フレームレート(HDFR)でアクティブディスプレイは作動され、各HDFR画像スロットは、
【数1】
による持続時間τを有し、
各基準フレームレート時間間隔のnd HDFR画像スロットにおいて第1フィードと少なくとも第2フィードとの画像データをタイムスライス多重化方式でアクティブディスプレイに提示するステップと、を包含し、
第1フィードと少なくとも一つの第2フィードとの少なくとも二つのフィードが、画像データと補完画像データとの組合せ(F1とC1、F2とC2、F3とC3)から得られたグレー画像を包含し、グレー画像は基準フレームレート(SFR)の2倍以上の周波数でアクティブディスプレイの輝度変化が発生するようなやり方でアクティブディスプレイに等輝度で提示されてnd HDFR画像スロット内で均一に分配される。
【0016】
本発明によれば、「アクティブディスプレイ」は、LED、AMOLEDアレイ、プラズマセルのアレイ、あるいは量子ドットのアレイなど、電流が素子を通過する時に光を発することが可能なアクティブ光素子のアレイである。本発明の意味における「光」なる用語は、普通は「光」なる用語を使用して記される電磁放射、特に400nmから700nmの範囲の波長を有する可視光、そしてこれより長い波長の赤外線と短い波長の紫外線も指す。
【0017】
本発明の文脈において、「フィード」は、互いに関係している画像データのシーケンス、例えば或る映像のフレームであり得る画像データのシーケンスを指す。フィードはレートで特徴付けられ、本発明では「画像データ」と記されるが、個々の画像又は「フレーム」としても考えられ得る新しいデータコンテンツインスタンスが提示される。映像(video)の文脈では、フィードのフレームレートは「基準フレームレート」を規定する。本発明の文脈において、最低基準フレームレートは、人間の眼の融合レートの周辺、つまり人間の眼が個々の画像をもはや判別できずに個々の画像を映像ストリームとして視聴する際のレートである。一般的に、この文脈での最低基準フレームレートは24Hz又は25Hzの周辺である。しかしながら、50Hz又は60Hzなど高い基準フレームレートの方がより一般的である。
本発明の意味における「画像データシーケンス」Fxは、アクティブディスプレイへ送信されるかこれに保存される二次元画像情報のシーケンスx(x=1,2,3,...)である。画像データシーケンスの一つの要素kは、一般的にアクティブディスプレイに示される一つの個別画像を表し、所与の画像データシーケンスの後続画像(k+1,k+2,...)は後続の基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRで物理的ディスプレイに提示される。基準フレームレート時間間隔ΔTにおいて、各画像データシーケンスの所与の画像は1回以上提示され得る。各個別画像データシーケンスは、一般的に、アクティブディスプレイに示されて、シーケンスの一つの画像からシーケンスの後続画像まで画像コンテンツが変化し得る映像ストリームを表す。一つの画像から後続画像までの画像コンテンツは、しかしながら、例えば映像ストリームに何の動きも見られない場合には、無変化のままであってもよい。他の実施形態で、画像データシーケンスは、幾つかの基準フレームレート時間間隔ΔTにわたって示される静止画像も含み得る。他の実施形態では、画像データシーケンスは、画像データシーケンス全体で全く変化しない単一タイプの画像、例えば単色画像又は追跡パターン画像のみを含み得る。
【0018】
本発明の概念における「直接視聴者」なる用語は、アクティブディスプレイが作動している会場/シーンに存在してアクティブディスプレイを直接視聴することが可能である人間を指す。
【0019】
「直接視聴者が見ることを意図されている」なる用語は、例えば、静止画像又は静止画像シーケンスの形態であるか、あるいは、個々の画像が時間的に分解されないような手法で画像データシーケンスが提示される時に映像の一部として画像データシーケンスを直接視聴者が視聴/認識可能であるようなやり方で、第1画像データシーケンスF0が提示されることを意味する。それゆえ、第1画像データシーケンスF0のフィードは、「会場フィード」とも記される。
【0020】
「直接視聴者が見ることを意図されていない」なる用語は、画像データシーケンスの画像に対応してアクティブディスプレイから発出される光が直接視聴者の眼に届くが、対応する画像は人間の眼で見ること/認識することができないようなやり方で画像データが提示されるという追加の画像データシーケンスF1,C1;F2,C2;F3,C3の提示を示している。これは映像提示について時間分解能を指すばかりでなく、より広くは個々の画像も画像シーケンスも見る又は認識することができないようなやり方で画像データが提示されるという事実を指す。追加の画像データシーケンスF1,F2,F3は「並列フィード」と記される。
【0021】
少なくとも一つの付加的な画像データシーケンスを直接視聴者により認識又は知覚されないように効果的に「隠す」為に、第1画像データシーケンスの画像が基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRに提示される時間積分輝度は、その時間間隔に提示される少なくとも一つの追加の画像データシーケンスの画像の時間積分輝度より高いことが好ましい。追加の画像データシーケンスが複数回提示される場合には、直接視聴者を対象とした第1画像データシーケンスの時間積分輝度は、好ましくは、直接視聴者が見ることを意図されていない追加の画像データシーケンス全ての時間積分輝度の合計より高い。好ましくは、第1画像データシーケンスの時間積分輝度は、2倍以上、より好ましくは4倍以上高い。
【0022】
第1画像データシーケンスに対する追加の画像データシーケンスの影響をさらに低下させる為に、少なくとも一つの追加の画像データシーケンスは、少なくとも第2画像データ画像データシーケンス(F1;F2;F3)と、第2画像データシーケンスの逆又は補完画像データから成る少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)とを包含する。したがって、第2画像データシーケンスの各画像F1は、同じ基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFR内でその逆/補完画像C1と交互配置される。直接視聴者に対するアクティブディスプレイのちらつきを低減させる為の逆画像の導入は、出願人の特許文献2に既に詳しく記載されている。或る実施形態では、追加の画像データシーケンスは画像データと逆/補完画像とのペアシーケンスを含み、第1画像データシーケンスの画像が基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRに提示される際の時間積分輝度は、その時間間隔に提示される少なくとも一つの追加の画像データシーケンスの画像の時間積分輝度より低い。追加の画像データシーケンスの画像と逆画像との組合せから結果的に得られるグレーレベルが概ね顕著に上昇するにも関わらず、第1画像データシーケンスはやはり直接視聴者が見ること/認識することができる。例えば、第1画像データシーケンスは、一部分、例えば基準フレームレート時間間隔の半分又は三分の一にのみ提示され得る。
【0023】
本発明の方法によれば、画像データシーケンスの第1及び少なくとも第2のフィードに基づいて、画像データがアクティブディスプレイに提示される際の適切な基準フレームレートが選択される。フィードが映像データを表す場合には、適切な基準フレームレートは映像の録画用基準フレームレートに対応する。
【0024】
各基準フレームレート時間間隔に或る数のnd HDFR画像スロット/スライスが提示され得るように、基準フレームレートより高いディスプレイ高フレームレート(HDFR)でアクティブディスプレイは作動する。前述のとおり、各基準フレームレート時間間隔には、少なくとも、直接視聴者を対象とした第1フィードと直接視聴者を対象としていない第2フィードとが、提示される。結果的に、第2フィードの補完画像データが直接視聴者を対象とした画像と混合され、好ましくはndがはるかに高く、少なくともndが4,8,12,16,24である場合には、基準フレームレート時間間隔当たりのnd HDFR画像スロット/スライスの数は、少なくとも2である。したがって、各基準フレームレート時間間隔は、異なる画像データが提示され得るP個のndスロット/スライスに細分される。所与の基準フレーム時間間隔のnd画像スロット/スライスの範囲内では、元のフィードの基準フレームレートでこのフレームに対応する画像データのみが提示されるが、各画像コンテンツインスタンスは多数回提示され得る。好ましくは、直接視聴者を対象とした第1フィードのそれぞれの画像データコンテンツインスタンスは、多数の利用可能なnd HDFR画像スロット/スライスに提示される。
【0025】
本発明によれば、第1フィードと少なくとも第2フィードとの画像データ、つまり各基準フレームレート時間間隔の対応する画像データコンテンツインスタンスが時間スライス多重化方式で提示されて各基準フレームレート時間間隔のnd HDFR画像スロット内で分配される。
【0026】
ちらつきを更に低減させる為に、本発明は、前記少なくとも第1フィードと前記少なくとも一つの第2フィードとの少なくとも二つのフィードが、画像データと補完/逆画像データとの組合せから得られた前記グレー画像を包含することを提案する。前記少なくとも二つのフィードのグレー画像は、等輝度でアクティブディスプレイに提示され、アクティブディスプレイの輝度変化が基準フレームレートの2倍以上の周波数で発生するようなやり方で、nd HDFR画像スロット内に均一に分配される。
【0027】
本発明によれば、直接視聴者による視聴が意図されている一つのフィードが常に設けられ、直接視聴者による視聴が意図されていない画像データの挿入により、第1フィードの印象のちらつきが発生する。先行技術で既に記載されている第1ステップでは、これらの付加的なフィードを画像データと補完画像データとの組合せとして提示することにより、ちらつきが低減される。それでも、顕著なちらつきがいくらかあり、本発明は、画像とそれぞれの逆/補完画像との組合せにより結果的に得られるグレー画像を含む少なくとも二つのフィードの提供を保証することにより、直接視聴者に対するちらつきを更に低減させることを提案している。アクティブディスプレイにグレー画像を提示する時に、本発明は、異なるフィードに由来するものであってもそれぞれのグレー画像は等輝度でアクティブディスプレイに提示されることを保証することを提案する。さらに、本発明によれば、アクティブディスプレイの輝度変化が基準フレームレートSFRの2倍以上の周波数で発生するようなやり方で、グレー画像はnd HDFR画像スロット/スライス内で均一に分配される。均一な分配は、各基準フレームレート時間間隔内のグレー画像分配について、後続の基準フレームレート時間間隔を考慮しても、基準フレームレートの2倍以上の或る周波数で発生することを意味する。これは、結果として得られるグレー画像が、多周波数成分という結果に終わるのはなく、基準フレームレートの整数倍である単一の周波数のみで分配されることを意味する。
【0028】
「輝度」なる用語は、「nit」としても知られるカンデラ毎平方メートル(cd/m)で測定されるアクティブディスプレイの単位面積当たりの光度の測光尺度を指す。対照的に、「明度」は、客観的な輝度の主観的印象を指すが、それゆえ輝度と密接に関係している。本発明の文脈における「輝度」なる用語は、基準フレームレート時間間隔内での個々のスロット/スライスの持続時間を考慮した時間成分も有する。各基準フレームレート時間間隔が持続時間の等しいスロット/スライスに細分される時には時間成分は無視され得るが、持続時間の異なるスロット/スライスが互いに比較される場合には、本発明の意味における「輝度」は、アクティブディスプレイの単位面積当たりの光度にそれぞれのスロット/スライスの個々の長さを掛けたものを指す。
【0029】
人間の眼の生理学では、臨界融合周波数(つまり、ちらつきが消える最低周波数)は、光強度の対数に比例する(フェリー・ポーターの法則)ことが知られている。本発明の文脈において、ちらつき体験は、直接視聴者が見ることを意図されているコンテンツ(第1画像データシーケンス)ばかりでなく、人間の眼により捕捉されるが直接視聴者が見ること/認識することは意図されていない「隠しコンテンツ」(後続の画像データシーケンス)の両方の明度に依存することを出願人は発見した。100Hz又はこれより高い周波数では直接視聴者の人間の眼によってちらつきが知覚されないことを本発明の出願人は発見した。しかしながら、暗光条件において、及び/又は、暗いコンテンツを表示する時には、低周波数も普通はちらつきを導入することなく人間の眼により一般に受容される。それゆえ、好ましくは、前記アクティブディスプレイの前記輝度変化は、100Hzより高い、好ましくは120Hzより高い、特に好ましくは200Hzより高い周波数で発生する。
【0030】
本発明の多くの実施形態では、直接視聴者による視聴が意図されている第1フィードと、直接視聴者が意図されていない複数の第2フィード、例えば第2フィードと第3フィードとが設けられるだろう。第2フィード(つまり第2フィード,第3フィード、第4フィード等)は常に画像と逆画像との組合せとして提示されるので、グレー画像を包含する少なくとも二つのフィードが提供されるという上記の要件が満たされ得る。
【0031】
しかしながら、本発明の或る実施形態では、第1フィードと一つの第2フィードのみ、つまり追加の第2フィードがない(追加の第3、第4等のフィードがない)実施形態ではとりわけ、グレー画像を作成する画像と逆画像とを包含する二つのフィードを提供するという上記の要件は、第1フィードが画像とそれぞれの補完/逆画像も包含する時のみ満たされ得る。画像と逆画像との単なる組合せは直接視聴者により知覚されないように画像自体を「隠す」ので、このような実施形態では、第1フィードの直接視聴者の為の正味の(net)可視画像が残るように、第1フィードの画像データは補完画像より多くのnd HDFR画像スロットで提示される。しかしながら、第1フィードの或る画像とそれぞれの補完/逆画像との組合せは、基準フレームレートの2倍以上のレートで輝度変化が発生するようにHDFRスロット内でグレー画像を均一に分配するという基準が満たされ得ることを保証する。
【0032】
本発明の好適な実施形態によれば、前記第2画像データシーケンス(F1;F2;F3)の画像と前記第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)の逆/補完画像との各ペア(F1,C1;F2,C2;F3,C3)が、3.3ミリ秒以下の時間間隔内に提示される。直接視聴者にとってのアクティブディスプレイのちらつき及び被写体ぶれは、対応する画像と補完/逆画像とが前記3.3ミリ秒の時間間隔内に提示される場合には特に効果的に最小化され得る。本発明の概念の多くの用途において、第2画像データシーケンスは、適切に同期化されたビデオカメラにより捕捉されることが意図される画像を含む(特許文献2参照)。明画像の捕捉を可能にする為に、第2画像データシーケンスの画像が提示される持続時間は、好ましくは可能な限り長い。3.3ミリ秒の制約を満たす為に、第2画像データシーケンスのHDFRタイムスロットの直前及び直後のタイムスロットにも補完画像は提示され得る。
【0033】
本発明の或る実施形態では、追加の画像データシーケンスごとに対応する補完画像データシーケンスが提供される。
【0034】
追加の画像データシーケンスは、様々な画像又は映像ストリームを含み得る。例えば、追加の画像データシーケンスは、適切に同期化されたビデオカメラにより捕捉される代替的な広告コンテンツを含み得る。一般的に、ビデオカメラは画像(F1;F2;F3)のみを捕捉するように同期化され、一方で逆/補完画像(C1;C2;C3)に対応する画像は録画されない。
【0035】
一実施形態において、nd HDFRスロットの各々は、
【数2】
である場合、同じ持続時間τを有する。
【0036】
別の実施形態において、基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRのnd HDFRスロットは互いに独立しており、それゆえnd HDFRスロットの持続時間τの合計が基準フレームレート時間間隔1/SFRの持続時間に対応する、つまり、
【数3】
である限り、可変の持続時間τを有する。
【0037】
本発明の方法の好適な実用的実装例において、HDFR画像スロット内での画像の各提示は、一以上の基本的パルス幅変調フレーム(「スクランブル」とも記されるPWMフレーム)から成り、その間では、新たな画像データは提示されないが、アクティブディスプレイの個々のアクティブ素子、例えばLED素子を、パルス幅変調スキームにしたがって作動させることにより、HDFRスロット内で提示される画像の明度は制御される。
【0038】
好ましくは、nd HDFRスロットの各々の持続時間τ,τは、Gクロック(GCLK)により供給されるパルスカウンタを介して生成される。したがって、ドライバのOE(出力イネーブル)ピンを介して外部PWM信号を受信する従来のLEDドライバを採用する代わりに、本発明は好ましくは、回路のパルスカウンタへ供給される内部生成Gクロック(GCLK)信号からPWMフレーム(スクランブル)を生成するLED制御回路(LEDドライバ)が設けられたアクティブディスプレイを使用する。LEDの実際の輝度は、PWMデューティサイクルにより、つまり各PWM時間間隔でLEDが「オン」モード対「オフ」モードの比により、制御される。パルス幅変調に加えて、あるいはその代替として、HDFR画像スロットの明度も、LED素子など個々のアクティブ素子が作動する際の電流を介して制御され得る。以下でより詳しく記載されるように、Gクロックを介してPWMフレームを制御することにより、持続時間の等しいHDFRスロットばかりでなく持続時間が可変のHDFRスロットも生成することが可能である。PWM信号はLEDのカラーグラデーションと輝度とを制御する。外部PWM信号は、長距離送信でひずみ及び減衰を受けてカラー及び輝度の変化という結果を生じる。対照的に、HDFRスロットの持続時間と輝度とを判断する為に内部生成のGクロックとPWM信号とを使用すると、対応する画像フレームの精度が高くなるという結果が得られる。
【0039】
これは、画像と補完/逆画像とのペアが、上記において言及した持続時間可変スキームとは異なる持続時間を有する時に、特に有益である。本発明の好適な実施形態では、パルスカウンタを介して同じ所定数のパルスをカウントしながらGクロックの周波数を変化させることにより、HDFR画像スロットの異なる持続時間τが得られる。したがって、本発明の方法は、両方の画像を組み合わせて正確に均質なグレー画像にすることを保証する。
【0040】
一以上のアクティブディスプレイを含むシーンを捕捉するカメラを同期化する時には、HDFRスロットの前端と後端のいずれかがトリガポイントとして使用され、可変長はトリガポイントの左又は右に合わせて調節され得る。
【0041】
追加の画像データシーケンスの一つを捕捉することが意図されているビデオカメラが使用される時に、通常は、例えば補完/逆画像が示される隣接画像スロットの部分を捕捉することなく所望のHDFR画像スロットのみが捕捉されることを保証するように、カメラとディスプレイとの間の同期化手順が実施されなければならない。好適な手順は、HDFR画像スロットの一部のみが捕捉されるように実際の映像撮影に必要なものよりはるかに短いシャッタ時間にカメラを設定することを伴う。短いシャッタ時間を考慮すると捕捉映像はかなり暗いが、適正な同期化が即座に達成されるように隣接のHDFR画像スロットとの干渉に対する感度は高いだろう。そして、照明条件にしたがって所望のシャッタ速度が選択され、映像撮影を開始できる。
【0042】
本発明の一実施形態において、nd HDFR画像スロットの少なくとも一つはブラック位相を包含する。「ブラック位相」なる用語は、物理的ディスプレイが暗い、例えばLEDディスプレイの事例では全てのLEDがオフになっている時間間隔を指す。これは、ブラック位相の持続時間にGクロック(CLK)をオフにすることにより達成され得る。ブラック位相は一般的なHDFR画像スロットの持続時間を有するが、好ましくは、ブラック位相はHDFR画像スロットの50%までの持続時間を有する。より好ましくは、ブラック位相は、それぞれのHDFR画像スロットの持続時間τより実質的に短い持続時間を有する。「実質的に短い」なる用語は、ブラック位相の持続時間が、それぞれのnd HDFR画像スロットの持続時間の20%より短い、好ましくは10%より短い、特に好ましくは5%より短いことを意味する。一般的に、例えば20ミリ秒(50Hz)又は16.7ミリ秒(60Hz)の基準フレーム時間間隔が採用される時には、HDFR画像スロットはミリ秒範囲の持続時間を有し、挿入されるブラック位相は0.1ミリ秒の範囲の持続時間を有する。ビデオカメラにより捕捉されることが意図されている追加の画像データシーケンス(F1;F2;F3)と関連するHDFR画像スロットの初期部分では、ブラック位相の挿入が特に好ましい。したがって、アクティブディスプレイの制御回路の増幅器の過渡振動中(制御回路のコンポーネントの整定時間中)にアクティブディスプレイはブラックであり、したがってビデオカメラは、所望の色及び発光値を既に呈している鮮明な画像を捕捉することが可能である。ブラック位相は第1画像データシーケンス(F0)の画像の初期位相にも挿入されるが、この事例では、第1画像データシーケンスの画像の逆/補完画像は一般的に存在しないので、色及び輝度のわずかな偏差はそれほど重要でない。
【0043】
基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFTに少なくとも6個のHDFR画像スロットが提供される場合には、アクティブディスプレイのちらつきが更に低減され得る。基準フレームレート時間間隔ΔTでの好適なスロット数は、12個,24個,36個のHDFRスロットである。
【0044】
前述のとおり、基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRに示される追加の画像データシーケンス(F1k,C1;F2,C2;F3,C3)は、直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンス(F0)の画像のブラックレベルを上昇させる傾向がある。この必然的なレベル上昇は、明るい環境、例えばLED広告看板に太陽が直接当たる屋外スポーツイベントで特に問題となる。このような条件下で、ビデオカメラによる捕捉が意図されている追加の画像データシーケンス、つまり画像データシーケンスF1;F2;F3の輝度が上昇して、第1画像データシーケンスのブラックレベル上昇という問題を悪化させる。結果的に、イベントに参加している直接視聴者は、ある種のグレーがかったオーバーレイを含む映像フィードとして第1画像データシーケンスを知覚する。第1画像データシーケンスのブラックレベル上昇を最小化する為に、本発明は、少なくとも第2補完画像データシーケンスC1;C2;C3の画像を提示するHDFR画像スロットが第1画像データシーケンス(F0)の画像データを包含することを提案する。これにより、第1画像データシーケンスからの画像と追加の画像データシーケンスからの画像との比を増大することが可能となり、直接視聴者の視聴体験を向上させることができる。同様に、二つ以上のHDFR画像スロット、例えば基準フレームレート時間間隔全体を捕捉する際の非同期化カメラの録画が改善されて直接視聴者の視聴体験に本質的に対応する。
【0045】
アクティブディスプレイは通常、或る輝度、例えば8ビット(256明度レベル)、9ビット(512明度レベル)、10ビット(1024明度レベル)、12ビット、あるいは更に16ビット又は24ビットで作動する。例えば明るい環境ゆえに、追加の画像データシーケンスF1;F2;F3の画像が高輝度で提示されなければならない時には、組合せ画像F1,C1;F2,C2;F3,C3が合計で均質なグレー画像を形成する為に、対応する補完画像データシーケンスC1;C2;C3も高輝度で提示されなければならない。大抵は、対応する追加の画像データシーケンスF1;F2;F3より短いHDFR画像スロットに補完画像データが提示され、したがって補完画像データシーケンスにはより高い輝度が必要とされる。したがって、対応するHDFR画像スロットを飽和させずに第1画像データシーケンスからの付加的な画像データを含めることは困難である。それゆえ、本発明の好適な実施形態では、前記アクティブディスプレイのアクティブ発光素子が増加した電流で作動する一方で、補完画像成分の輝度(ビットベースの明度レベル)は比例して低下する。或る実施形態では、アクティブ素子(例えばLED又はOLED)のドライバチップは、例えば調節可能なレジスタを介してアクティブ発光素子の公称電流(つまり100%電流の値)を減少できるので、その公称電流の100~200%でもLEDは安全に作動できる。
【0046】
通常は、LEDなどのアクティブ素子は非線形の電力・電流関係を有する。したがって、本発明により電流調節が行われる時には、追加の画像データシーケンスの画像と逆/補完画像との相殺が不充分であることにより、直接的(第1画像データシーケンス)又は間接的に直接視聴者を対象とした画像にさもなければ影響するような色変化が影響されないことを保証する為に、この非線形挙動の補正が適用されなければならない。それぞれの電力電流関係は通常、アクティブ素子の製造者により提供され、それゆえディスプレイを制御する為のハードウェアに実装され得る。一般的に、二つ(線形近似)、三つ、又は四つのデータポイントを使用して作動範囲にわたって内挿/外挿を行なうと、充分な結果が得られるだろう。
【0047】
別の実施形態において、少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1;C2;C3)の画像を提示する画像スロットは、HDFR画像スロットの直前又は直後の画像成分を包含する。
【0048】
好ましくは、本発明の方法に使用されるディスプレイは、LED又はOLED(AMOLED)ディスプレイである。
【0049】
本発明は、アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる為のシステムにも関しており、このシステムは、上記の方法を実施するように構成されている制御ユニットを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
これから添付図面に関連して本発明がより詳しく記載される。
図1図1は、本発明の方法が実践され得るスタジオ環境の略図である。
図2図2は、本発明の方法が実践され得るスポーツスタジアムの略図である。
図3図3は、二つのフィードを採用する本発明の方法の略図である。
図4図4は、三つのフィードを採用する本発明の方法の略図である。
図5図5は、個々のスロットが可変長を有するフレームシーケンスの略図である。
図6図6は、ブラック位相挿入を伴う図5のシーケンスに類似のフレームシーケンスである。
図7図7は、第1画像データシーケンスの比率増加を示すフレームシーケンスである。
図8図8は、図7のスキームの代替実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、多数の個別LEDパネル12で作られたLED背景ウォール11を具備するデジタル映像スタジオ10の略図を示す。LEDウォール11は、正面側13から見た時には本質的に継目のないウォールであるが、一部が可視であるウォール11の背面側14から見ると適当な取付構造15に固定された個別パネル12から成る。スタジオ10は更に、やはり個別LEDパネルで作られたLED床16とともに、やはり個別LEDパネルで作られたLED天井17を含む。スタジオ10は更に、上部照明18及び床照明19などの従来の照明機器と、図1ではカメラ20により概略的に表されている一以上のデジタルカメラを含む。図1は、円錐台21により記されているカメラ20の視野も示している。円錐台のカメラの視野の中でカメラ20の前には俳優22が示されている。カメラ22に装着されているのは、図1の例ではLED天井に向けられている補助カメラ23であり、メインカメラ20に装着された補助カメラ23により捕捉される追跡パターンが提示され得、これからカメラ20の位置及び向きが導出され得る。
【0052】
図2は、サッカー場31と、サッカー場31を囲繞するスタンド構造32とを有するスポーツスタジアム―図2の事例ではサッカースタジアム30―を示す。サッカー場31の周囲33には、個別LED35パネルから成るLED列34が広告を示すように設けられている。本発明の方法では、スタジアムにいる視聴者が見る広告は第1画像データシーケンスとして提示され、一方でクロマキー画像が第2画像データシーケンスとして提示され得る。スタジアムにいる現場視聴者による外乱を低減する為に、本発明では、第2画像データシーケンスのクロマキー画像の補完/逆画像を表す画像フレームから成る第3画像データシーケンスが提供される。一実施形態において、第1画像データシーケンスは追跡パターンも含み、一方で第3画像データシーケンスは前記追跡パターンの補完画像を含み得る。
【0053】
以下では、一般的なHDFR画像スロットのシーケンスを参照して、本発明の方法がより詳しく説明される。以下に提示される例では、基準フレームレートは50Hzに対応し、結果的に基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRは20ミリ秒に対応すると仮定される。図3から図8には一つの基準フレームレート時間間隔kのみが示されているが、描かれている時間間隔の左には対応する時間間隔k-1,k-2,...が延在し、描かれている時間間隔の右には対応する時間間隔k+1,k+2,...が延在していることが理解されるはずである。そのうえ、多くの用途では、HDFR画像スロットの数は、単純化の為に今回の例で描かれている画像スロットの数より大きい。
【0054】
図3は、二つの異なるフィードがタイムスライス多重化方式でアクティブディスプレイに示される、本発明の方法の実施形態の略図である。図3の実施形態では、20ミリ秒(50Hz)の基準フレームレート時間間隔が、1.67ミリ秒の持続時間を各々が有する12個のスロット/スライスに細分される。第1列で、eはスロット数、Lはそれぞれのスロットが提示される相対輝度を指す。F0は直接視聴者を対象とした第1フィードを指し、F1は直接視聴者を対象としていないフィードを指す。図3の実施形態では、主として各基準フレームレート時間間隔で(スロット1,2,3,6,7,8,9,10,12において)二つのフィードのみが提供され、直接視聴者による視聴が意図されている画像データコンテンツインスタンスがアクティブディスプレイに表示される。スロット4及びスロット5の組合せ効果の結果として(自覚的にではないが)グレー画像が知覚されるように、第2フィードF1の画像データは画像F1と補完/逆画像C1との組合せとしてスロット4及びスロット5のみに示されている。画像コンテンツF1の挿入を更に隠す為に、スロット4及びスロット5の輝度は、画像データF0が提示されるスロットの輝度の30パーセントに過ぎない。本発明によれば、両方のフィードでグレー画像が提示されることを保証する為に、スロット10及びスロット11は第1フィードの画像データF0の「正規」表現で占められているわけではなく、スロット10及びスロット11は第1フィードの画像データの画像及び逆画像を提示するのに使用される。そのうえ、基準フレームレートより大きい規定の周波数で輝度変化が発生することを保証する為に、スロット10及びスロット11の相対輝度もスロット1,2,3,6,7,8,9,12の輝度の30パーセントまで低減されている。直接視聴者による視聴が意図されている画像データの一つのスロットを「隠す」という事実は、すなわちスロット10を「隠す」という事実は、スロット11に対応する補完/逆画像を提示することにより反直感的であるが、画像データの第2フィードの挿入から生じるちらつきを効果的に低減させる。
【0055】
図4は、図3と類似の例を示すが、直接視聴者による視聴が意図されている第1フィードに加えて、二つの付加的な「第2」フィード、すなわち第2フィードF1と第3フィードF2とが、画像F1,F2とそれぞれの補完/逆画像C1,C2の組合せとして、それぞれ提示されている。図3の実施形態と同じく、基準フレームレート50Hzより大きい規定周波数の輝度変化が発生するように、画像と逆画像との組合せは直接視聴者による視聴が意図されている画像より低い相対輝度で提示され、結果的に得られるグレー画像は12個のHDFR画像スロット内で均一に分配される。
【0056】
可変長のHDFR画像スロットを有するという概念を、以下に詳細に記載する。画像スロットの最小持続時間は、最小送信時間と垂直同期信号とを加えたものに等しい。GCLK周波数は、所与の時間内に全画像を示すように変更されるべきである。最大12個の画像スロットを有すると仮定すると、
F1はtF1=2ミリ秒についての利得GF1=0.5を示す。そしてtC1=1.67ミリ秒の最小時間と
【数4】
の利得で、C1が示される。
【0057】
図5は、個々のスロットが可変の持続時間を有するフレームシーケンスの略図を示す。図5のa)は、9個のHDFR画像スロットによる実際のシーケンスを示し、フレーム時間間隔の大きな割合は直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンスF0に起因する。3個の追加の画像データシーケンスF1,F2,F3が提供され、各々がその補完/逆画像データシーケンスC1,C2,C3を備える。図5のb)は、画像データの送信を支配するデータクロック(DCLK)シーケンスを示す。これから分かるように、スロット、例えばF1の提示中に、続くスロットC1の画像データがアクティブディスプレイ等へ送信される。画像データは、アクティブディスプレイの各LEDの輝度値を包含する。一例として、10ビットの分解能(1024輝度レベル)を有するLEDディスプレイは、データクロック情報にしたがって最大強度の50%で作動するものとするLEDを具備する。したがって、伝送される明度情報(0~1023の範囲)は511の値に対応する。図5のc)は、この値がどのようにして適当なパルス幅変調PWMに伝送されるかを示す。例えば10MHzの正常な周波数でGクロック(CLK)が生成される。単純な実施形態では、この画像スロットについて望ましい値(この例では511)に達するまで、パルスカウンタがパルス数をカウントする。Gクロックの残りのパルスの間、PWM信号はオフになる。したがって、PWM信号は50%のデューティサイクルで作動する。しかしながら、好適な実施形態では、スロットの時間間隔にわたってアクティブパルスが均一に分配される。
【0058】
図6は、ブラック位相が挿入された図5のシーケンスと同様のフレームシーケンスを示す。図6のa)から分かるように、0.1ミリ秒の持続時間を有するブラック位相は、第1画像データシーケンスF1,F2,F3の各々の最初の部分に挿入される。図6のb)から分かるように、所望のブラック位相の間にGクロックをオフに切り替えることにより、ブラック位相は生成される。
【0059】
会場フィード、つまり直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンスF0の明度を上昇させるという概念を、以下に詳細に記載する。逆画像はより高い電流で表示されるが、それゆえ輝度レベルは低下する。このように、色/輝度空間にヘッドルームが残され、直接視聴者の人間の眼の為のコンテンツが画像に追加され得る。図7は、PWM制御による10ビットの明度範囲、つまり0(ブラック)から1023(最大)までの強度と仮定したこの概念の一例を示す。画像利得係数はその範囲内のPWM制御による画像明度の比率である、つまり利得=0は「0」の10ビット値に対応し、利得=1は「1023」の10ビット値に対応する。アクティブディスプレイのアクティブ発光素子(例えばLED)の実際の輝度は、素子が作動する際の電流に利得係数を掛けることにより求められる。図7のa)に示されている本発明の方法の基本的実施形態において、F1とC1の合計が単調なグレー画像となるように、F1は0.5の利得(つまり511ビットのPWMレベル)と0.2の電流で表示されて補完/逆画像C1は同じ利得及び電流で表示される。図7のb)に示されている実施形態では、F1とC1の合計もやはり単調なグレー画像となるように、F1は同じく0.5の利得と0.2の電流で表示されてC1は0.25の利得と0.4の電流で表示されるが、会場フィードの全体比率が上昇するように直接視聴者の為の会場フィードF0には0.75の利得が更に追加され得る。しかしながら、R,G,BのLEDの電流・強度関係が変化することに留意しなければならない。したがって、色補正を行う必要がある。画像コンテンツが補完される際の輝度レベルが一定であることが保証される必要がある。逆画像スロットについてどのような電流設定でも選択される。ここで、光の量(本質的には光子数)が輝度/明度レベルBと利得Gに比例し、電流c(ドライバチップ電流設定により係数が求められるので、c∈[0,2])と時間tで画像は以下で表示されることに留意することは役立つ。
【数5】
【0060】
図8図7のスキームを拡張したものを示しており、所与の追加の画像データシーケンスF0(会場フィード)、F1(第1並列フィード)、F2(第2並列フィード)の直前及び直後の二つの逆画像と会場フィードの付加的な画像コンテンツとが一つのHDFR画像スロットで組み合わされて、第1画像データシーケンスF0の比率が上昇したフレームシーケンスが得られる。これにより、ロエビジュアル(ROE Visual)により販売されているLEDフロアシステム「ブラックマーブル(Black Marble)」のような低スロットシステムではとりわけ、より高い柔軟性と性能が可能となる。
【0061】
更に、可変持続時間を持つHDFR画像データスロットについてのこのアプローチは、第1画像データシーケンス(会場フィード)の輝度を上昇させるという概念と組み合わされ得る。したがって、逆画像の利得は、
【数6】
により計算され得る。電流は前の例から得られる。こうして、0.7*F0が色補正後の逆画像に追加され得る。或る状況下では、より多くのスキャンラインを有するように見せることにより一部のドライバチップが修正され得るが、この技術は幾つかの短所を有する。しかしながら、最短表示時間は送信時間から切り離されるだろう。
【符号の説明】
【0062】
10 デジタル映像スタジオ
11 LED背景ウォール
12 LEDパネル
13 正面側
14 背面側
15 取付構造
16 LED床
17 LED天井
18 上部照明
19 床照明
20 カメラ
21 円錐台
22 俳優
23 補助カメラ
30 サッカースタジアム
31 サッカー場
32 スタンド構造
33 サッカー場の周囲
34 LED列
35 LEDパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる方法であって、
直接視聴者が見ることを意図されている第1画像データシーケンス(F0k)の第1フィードを提供するステップと、
前記直接視聴者が見ることを意図されていない第2画像データシーケンス(F1k,C1k;F2k,C2k;F3k,C3k)の少なくとも一つの第2フィードを提供するステップであって、前記少なくとも第2フィードは、各画像の組合せ(F1kとC1k;F2kとC2k;F3kとC3k)が結果的に均質なグレー画像になるように、第2画像データシーケンス(F1k;F2k;F3k)と、前記第2画像データシーケンスの逆/補完画像データから成る第2補完画像データシーケンス(C1k;C2k;C3k)とを包含する、ステップと、
前記第1画像データシーケンス及び前記少なくとも第2画像データシーケンスは前記アクティブディスプレイに提示される際の基準フレームレート(SFR)を選択するステップと、
前記基準フレームレート(SFR)の基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRにおいてnd HDFR画像スロット/スライスを包含するディスプレイ高フレームレート(HDFR)で前記アクティブディスプレイを作動させるステップであって、各HDFR画像スロットは
【数7】
による持続時間τiを有する、ステップと、
各基準フレームレート時間間隔の前記nd HDFR画像スロットにおいて前記第1フィード及び前記少なくとも第2フィードの前記画像データをタイムスライス多重化方式で前記アクティブディスプレイに提示するステップであって、基準フレームレート時間間隔に提示される前記第1画像データシーケンスの時間積分輝度が前記第2画像データシーケンスの時間積分輝度の合計よりも高い、ステップと、
を包含し、
前記第1フィードと前記少なくとも一つの第2フィードとの少なくとも二つのフィードが、画像データと補完画像データとの前記組合せ(F1kとC1k;F2kとC2k;F3kとC3k)から得られる前記グレー画像を包含し、このグレー画像は、前記アクティブディスプレイの輝度変化が前記基準フレームレート(SFR)の2倍以上の周波数で発生するようなやり方で、前記アクティブディスプレイに等輝度で提示されて前記nd HDFR画像スロット内に均一に分配され、
この方法は、
前記第1画像データシーケンス(F0k)の前記第1フィードは、各画像(F0kとC0k)の組合せが結果的に均質なグレー画像となるように、前記第1画像データシーケンスの逆/補完画像から成る第1補完画像データシーケンス(C0k)を更に包含し、
前記少なくとも二つのフィードの前記グレー画像は、前記第1フィード(F0kとC0k)からのグレー画像と前記第2フィード(F1kとC1k)からのグレー画像とを包含し、前記nd HDFR画像スロットの少なくとも一つが、第1輝度での前記第1画像データシーケンスの正規表現を示し、前記nd HDFR画像スロットの一つが前記第2画像データシーケンスの表現を示し、前記nd HDFR画像スロットの一つが前記第2補完画像データシーケンスの表現を示し、前記nd HDFR画像データスロットの一つが前記第1輝度より低い輝度での前記第1画像データシーケンスの表現を示し、前記nd HDFR画像スロットの一つが前記第1輝度より低い輝度での前記第1補完画像データシーケンスを示す、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アクティブディスプレイの前記輝度変化は100Hzより大きい周波数で発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2画像データシーケンス(F1k;F2k;F3k)の画像と前記第2補完画像データシーケンス(C1k;C2k;C3k)の逆/補完画像との各ペア(F0k,C0k;F1k,C1k;F2k,C2k;F3k,C3k)が3.3ミリ秒以下の時間間隔内で提示される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基準フレームレート時間間隔ΔTの前記nd HDFRスロットは同じ長さτを有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
基準フレームレート時間間隔ΔTの前記nd HDFRスロットは可変長τiを有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記nd HDFRスロットの各々の長さτi,τが、Gクロック(GCLK)により供給されるパルスカウンタを介して生成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
パルスカウンタを介して同じ所定数のパルスをカウントしながら前記Gクロック(GCLK)の周波数を変化させることにより前記HDFR画像スロットの異なる持続時間τiが得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nd HDFR画像スロットの少なくとも一つが、それぞれのHDFR画像スロットの持続時間τiより短い持続時間を有するブラック位相を包含する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブラック位相の前記持続時間は前記nd HDFR画像スロットの前記持続時間の20%より短い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基準フレームレート時間間隔ΔT=1/SFRに少なくとも6個のHDFR画像スロットが提供される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1k;C2k;C3k)の画像を提示するHDFR画像スロットが、前記第1画像データシーケンス(F0k)の画像データを包含する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記補完画像成分の輝度を比例して低下させながら前記アクティブディスプレイの前記アクティブ発光素子を高電流で作動させることを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも第2補完画像データシーケンス(C1k;C2k;C3k)の画像を提示する前記HDFR画像スロットは、直前及び直後のHDFR画像スロットの画像成分を包含する、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アクティブディスプレイはLED又はOLEDディスプレイである、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
アクティブ発光素子のアレイを具備するアクティブディスプレイを作動させる為のシステムであって、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法を行うように構成される制御ユニットを具備するシステム。
【国際調査報告】