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特表2024-521231PrPCのモジュレーター及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】PrPCのモジュレーター及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 279/02 20060101AFI20240521BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/542 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240521BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
C07D279/02 CSP
C07D417/12 ZNA
C07D513/04
A61K31/5415
A61K31/542
A61P1/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P29/00
A61P37/02
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515729
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2022063806
(87)【国際公開番号】W WO2022243549
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021000013244
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】523440341
【氏名又は名称】フォンダッツィオーネ テレソン イーティーエス
(71)【出願人】
【識別番号】506027099
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ・デッリ・ストゥーディ・ディ・ペルージャ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA DEGLI STUDI DI PERUGIA
(71)【出願人】
【識別番号】521035417
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ・デッリ・ストゥーディ・ディ・トレント
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA DEGLI STUDI DI TRENTO
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】ビアシーニ, エミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】バッレーカ, マリア レティツィア
(72)【発明者】
【氏名】マンフローニ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ファッラリーノ, フランチェスカ
【テーマコード(参考)】
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC89
4C086CB29
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA68
4C086ZB07
4C086ZB11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、正常型プリオンタンパク質(PrPC)の活性を調節できる化合物、並びに免疫疾患及び神経変性疾患の治療のためのそれらの利用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患又は免疫疾患の治療に使用するための、好ましくは、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患、クローン病の治療に使用するための、下記一般式(I)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物:
【化1】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造:
【化2】
のベンゼン環であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)、C(=S)、CHであるか、又は存在せず、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子(bridging atoms)とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
、R、R2a及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、SC1-4アルキルから選択され、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで、
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
(ただし、下記化合物
【化3】
は含まれない。)
【請求項2】
多発性硬化症、自己免疫性脳炎又は免疫疾患の治療に使用するための、好ましくは、前記免疫疾患が炎症性腸疾患又はクローン病である疾患の治療に使用するための、下記一般式(I)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物:
【化4】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造:
【化5】
のベンゼン環であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)、C(=S)、CHであるか、又は存在せず、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子(bridging atoms)とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
、R、R2a及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、SC1-4アルキルから選択され、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで、
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
【請求項3】
- Aがベンゼンであり、及び/又は
- YがSOであり、及び/又は
- WがC(=O)又はCHであり、及び/又は
- ZがNであり、及び/又は
- X及びXがHである、
請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
下記一般式(II):
【化6】
を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
【化7】
【化8】
【化9】
である請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
【化10】
である請求項2記載の化合物。
【請求項7】
【化11】
である請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
下記一般式(III)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物:
【化12】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造のベンゼン環:
【化13】
(式中、
、R及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-6アルキル、OC1-4アルキルアミノ、ヒドロキシ、SC1-4アルキルから選択され、
2aは、水素、CF、F、OH、OC1-4アルキル、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノであり、
ただし、
- R2aが水素又はFである場合、R及びRは、各々独立して、F、Cl、Br、CF、OMe、OHから選択されるか、又は
- Rがハロゲンである場合、R2aは水素であり、かつR及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-6アルキル、OC1-4アルキルアミノ、ヒドロキシ、SC1-4アルキルから選択される。)
であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-6アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)であり、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子(bridging atoms)とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
【請求項9】
- Aがベンゼンであり、及び/又は
- YがSOであり、及び/又は
- ZがNであり、及び/又は
- X及びXがHである、
請求項8記載の式(III)の化合物。
【請求項10】
【化14】
【化15】
である請求項8及び9のいずれか一項に記載の式(III)の化合物。
【請求項11】
医療用である請求項8~10のいずれか一項に記載の式(III)の化合物。
【請求項12】
神経変性疾患又は免疫疾患の治療に使用するための、好ましくは、プリオン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患、クローン病の治療に使用するための、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
正常型プリオンタンパク質(PrPC)の活性を調節する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための化合物又は請求項8~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか一項に示される少なくとも1つの化合物を単独で又は少なくとも1つのさらなる活性化合物と組み合わせて、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む医薬組成物であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
請求項8~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を単独で又は少なくとも1つのさらなる活性化合物と組み合わせて、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む医薬組成物であって、好ましくは、神経変性疾患又は免疫疾患の治療に使用するための、好ましくは、前記疾患がプリオン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患又はクローン病である疾患の治療に使用するための、組成物。
【請求項16】
請求項6記載の一般式(III)の化合物(式中、Aはベンゼンであり、かつYはSOである。)の合成方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)ジクロロメタンなどの溶媒及びピリジン、トリメチルアミン、ジエチルイソプロピルアミンなどのアミンの存在下、式1aの化合物を、式1bの芳香族又はヘテロ芳香族アミンと反応させて、式2aの化合物を得る工程:
【化16】
(b)適切な条件下、ラネーニッケル(Raney-Nichel)触媒の存在下で又はSnCl・2HOを用いて、式2aの化合物のニトロ基を水素化によってアミノ基に還元して、式3aの化合物を得る工程:
【化17】
(c)適切な条件下でNaNO、NaOH及びHClと反応させることを含む第1の工程、及び室温でCu粉末と溶媒としてDMSOとを用いる第2の工程によって、化合物3aを式5aの化合物に変換する工程:
【化18】
(d)式5aの化合物を式(I)又は式(II)の化合物に変換する工程であって、ここで、この反応は、以下の工程の少なくとも1つを含む:
- 5aと、式:hal-(CH-C(=O)0Etのアルキル化剤又は式:hal-(CH-Qのアルキル化剤(式中、halは臭素又は塩素である。)との反応、
- マイクロ波照射及びニート条件(neat conditions)下、式:Q-NHXのアミンでの処理、
- CHCl中のTBTU及びDIPEAなどの縮合剤の存在下又は塩素化剤としてSOClを用いる、式:Q-NHXのアミンとのカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、正常型プリオンタンパク質(cellular prion protein)(PrPC)の活性を調節できる化合物、並びに神経変性疾患及び免疫疾患の治療(処置)のためのそれらの使用に関する。特に、本発明の化合物は、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患及びクローン病の治療(処置)に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
加齢は、広範な分子的、細胞的及び機能的変化に関連しており、特に、神経系の恒常性(integrity)に影響を及ぼす。加齢によって変化する主要なプロセスの1つは、タンパク質フォールディング(protein folding)である。タンパク質がミスフォールドする(misfold)と、分子事象のカスケードを伝播(seeding)できる異なる立体配座(alternative conformations)を取り、最終的には神経機能障害(neuronal dysfunction)及び死に至る。実際に、広範な加齢性障害は、脳内のタンパク質のミスフォールディング及び凝集に関連する。例としては、プリオン病などのよりまれな障害だけでなく、パーキンソン病及びアルツハイマー病などの一般的な障害も挙げられる(非特許文献1)。アルツハイマー病は、高齢者(elderly population)に最もよくみられる認知症であり、現在、世界中で約3,600万人が罹患している。人口の高齢化に伴い、今後数十年でその数は劇的に増加し、壊滅的な医学的及び社会経済的影響をもたらすであろう。アミロイドカスケード仮説(amyloid cascade hypothesis)によると、アルツハイマー病は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断産物である40~42個のアミノ酸からなるAβペプチドが脳内に蓄積した結果生じる。アルツハイマー病の症例の大部分は、遅発性の散発性の症例(late onset, sporadic form)として現れる。しかし、症例の約5%は、常染色体顕性(優性)遺伝である。家族性アルツハイマー病と総称されるこれらの形態は、APP又はプレセニリン(PS1又はPS2)をコードする遺伝子における少なくとも230の変異(mutations)に関連する(非特許文献2)。この変異は、Aβペプチドの産生を増加させたり、そのクリアランス(排出)を減少させたりすることで、脳内でのAβペプチドの蓄積を促進すると考えられている。Aβペプチドは、小さな可溶性オリゴマーから大きな不溶性フィブリルに及ぶさまざまなポリマーを自発的に形成する。アルツハイマー病における認知機能低下の根底にあるシナプス機能障害(synaptic dysfunction)の主な原因が、線維状凝集よりもむしろ可溶性Aβオリゴマーにあることは、多くの証拠により示唆されている(非特許文献3)。Aβオリゴマーは、シナプスに有害な影響を伝達する細胞表面受容体に結合することによって作用すると考えられている。このような受容体部位は薬理学的介入の潜在的な標的となるため、その同定は治療上重要な意味を有する。近年、Aβオリゴマーの受容体として、正常型(細胞型)プリオンタンパク質(PrPC)という新たな候補が浮上している(非特許文献4)。PrPCは、未知の機能を有する内因性の細胞表面糖タンパク質であり、一般にプリオン病と称される伝染性神経変性障害において中心的な役割を果たしている。
【0003】
PrPCは、初めは伝染性海綿状脳症(プリオン病とも呼ばれる。)における中心的な役割を果たすとして発見され、さまざまなミスフォールドされたタンパク質アイソフォームの毒性伝達受容体(toxicity-transducing receptor)として作用することにより、アルツハイマー病及びパーキンソン病を含む神経系の他のいくつかの病理(pathologies)に関与することが主張されている。興味深いことに、PrPCは神経系外、特に免疫系においても重要な機能を発揮することも報告されており、このタンパク質はミエリンのホメオスタシスの鍵となる因子として浮上している。これらの概念と調和して、さらなる研究により、脳虚血、脳外傷、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)及び実験的大腸炎のさまざまな実験室モデルにおいて、PrPCの欠如が炎症性損傷を悪化させることが明らかとなった。
【0004】
プリオン病は、散発性、遺伝性又は後天性で発現する可能性があり、PrPCがミスフォールドされたアイソフォーム[異常型(スクレイピー型)PrP(scrapie form of PrP)又はPrPSc]に立体配座変換され、PrPScが罹患した個体の中枢神経系に蓄積することによって引き起こされる。PrPScは感染性タンパク質(プリオン)であり、PrPCに結合することで自己伝播し、新たなPrPSc分子への立体配座転位(conformational rearrangement)を引き起こす(非特許文献5)。多くの証拠は、プリオンの感染性と毒性との区別を示しており、PrPCの生理学的機能は、PrPScに結合すると変化して、神経毒性シグナルを送達する可能性があることを示唆していた。実際、プリオンに感染したマウスのニューロンPrPC(neuronal PrPC)を遺伝的に枯渇させると、周囲のアストロサイトによるPrPScの継続的な産生にもかかわらず、ニューロンの欠損(neuronal loss)及び臨床的進行を逆転させることが示されている(非特許文献6)。したがって、神経細胞表面上のPrPCの存在は、PrPScの伝播をサポートするためのみならず、その神経毒性を変換する(transducing)ためにも重要である7,8(非特許文献7、8)。この結論は、近年、Aβオリゴマーに関するデータから予想外の裏付けを得た。PrPCは、ナノモル親和性でAβオリゴマーを結合できる受容体として、発現クローニングスクリーンから現れた。重要なことに、PrPCは、Aβ誘発性シナプス毒性(synaptotoxicity)のメディエーターであることも見出された(非特許文献4)。この結論を裏付けるように、PrPノックアウト(KO)マウス由来の海馬スライス(切片)は、記憶及びシナプス機能のin vitro相関であるAβオリゴマー誘発性長期増強(LTP)抑制に耐性を有することが示された。このことと調和して、抗PrP抗体の適用により、海馬スライスにおいてAβ誘発性シナプス機能障害を妨げることが示された(非特許文献9)。最後に、PrPCは、アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルで観察された認知障害及び生存率低下の両方に必要であった10(非特許文献10)。その後の多くの研究により、神経毒性Aβオリゴマーを含むいくつかのAβ集合体が、タンパク質の非構造化N末端尾部の2つの部位(残基23~27及び95~105)を介してPrPCに高い親和性で結合することを発見し、この所見を拡張している11(非特許文献11)。この相互作用は、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)、チロシンキナーゼFynの活性化及びNMDA受容体のNR2Bサブユニットのリン酸化を含む有毒なシグナル伝達を解放し、最終的に受容体機能の制御異常(dysregulation)、興奮毒性(excitoxicity)及び樹状突起棘退縮(dendritic spine retraction)を生じさせる12(非特許文献12)。他の近年の研究では、PrPCがAβオリゴマーの毒性のみならず、パーキンソン病に関与するα-シヌクレインを含む他のβ-シートリッチなタンパク質コンフォーマーの毒性も媒介できるという証拠が得られた13-15(非特許文献13~15)。これらの結果は、いくつかの異なる病原性タンパク質のミスフォールドされた集合体が、PrPCの正常な活性を妨害、増強又は変更することによってその作用を発揮する可能性があることを示す(非特許文献8)。この結論は、いくつかの神経変性疾患におけるPrPCの役割とその生理学的機能との間に密接な関係があることを強調する。いくつかの活性は、神経系においてPrPCに起因しており、たいていはマウス又はPrPCが枯渇した細胞において検出されたわずかな異常に基づいている。これらには、神経保護、シナプス恒常性、神経細胞の興奮性、及び記憶形成における役割が含まれる16(非特許文献16)。近年、PrPCは、神経系外、特に免疫系においても重要な機能を果たすことも示されている17(非特許文献17)。PrPCは、自己免疫性大腸炎において予防的であるようである。炎症性腸疾患は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)によって誘発され、野生型マウスよりもPrP0/0マウスのほうがより重症である。したがって、PrPCの過剰発現は、DSS誘発性大腸炎を大幅に減弱させる。T細胞と樹状細胞(DC)との間のMHC/ペプチド駆動相互作用により、PrPCは、免疫シナプスに移動し、DC又はシナプスのリンパ球側でのアブレーション又は抗体マスキングによって明らかにされているように、T細胞増殖及びサイトカイン産生に異なる効果を発揮する18(非特許文献18)。DCは、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)であり、ヘルパーT(Th)細胞の分化に重要な役割を果たす非常に可塑的な(plastic)細胞でもあるので、自己免疫及び寛容(tolerance)の両方の誘導に関与している19(非特許文献19)。驚くべきことに、本発明の著者らは、選択されたDCサブセットが高レベルのPrPCを発現することを見出した。また、最近のデータでは、PrPCを欠損したマウスではEAEが悪化することも明らかとなり、このタンパク質が制御分子として作用し得ること、及びPrPCを欠損した細胞が炎症性を増し、中枢神経系に対してより攻撃的になり得ることが示されている。これらの結果から、本発明者らは、PrPCを薬理学的に標的とすると、多発性硬化症(MS)における防御免疫調節効果(protective immunoregulatory effects)を活性化し得るという仮説を立てた。
【0005】
細胞培養における変異型PrPCの自然毒性(spontaneous toxicity)を検出するための非常に堅牢で迅速なアッセイは、細胞ベースの薬物アッセイ(cell-based drug assay)(DBCA)と名付けられ、従前に記載されている20(非特許文献20)。この新規なアッセイは、近年、変異型PrPC活性を消失できる小分子を同定するために使用された21,22(非特許文献21、22)。重要なことに、化学的最適化のいくつかのサイクルから生じるこのような分子の1つの誘導体(SMと称される。)は、初代海馬ニューロンのAβ誘発性シナプス機能障害をレスキュー(rescued)し、かつマウス脳スライスのプリオンによって誘発される電気生理学的異常をレスキューした。これらのデータを総合して、本発明者らは、進行性ミエリン喪失(myelin loss)を特徴とする神経変性障害である多発性硬化症(MS)において、PrPC活性の薬理学的調節が治療効果をもたらすかもしれないという仮説を立てた。また、EAEのマウスモデルにおいて、このようなPrPCモジュレーターの全身投与の結果、未処置の対照と比較して、疾患の重症度が有意に低下することが見出された。この概念的枠組みの中で、PrPCの活性を調節できる化合物が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chiti, F. & Dobson, C. M. Protein Misfolding, Amyloid Formation, and Human Disease: A Summary of Progress Over the Last Decade. Annu Rev Biochem 86, 27-68, doi:10.1146/annurev-biochem-061516-045115 (2017).
【非特許文献2】Selkoe, D. J. & Hardy, J. The amyloid hypothesis of Alzheimer's disease at 25 years. EMBO Mol Med 8, 595-608, doi:10.15252/emmm.201606210 (2016).
【非特許文献3】Walsh, D. M. et al. Naturally secreted oligomers of amyloid beta protein potently inhibit hippocampal long-term potentiation in vivo. Nature 416, 535-539, doi:10.1038/416535a (2002).
【非特許文献4】Lauren, J., Gimbel, D. A., Nygaard, H. B., Gilbert, J. W. & Strittmatter, S. M. Cellular prion protein mediates impairment of synaptic plasticity by amyloid-beta oligomers. Nature 457, 1128-1132, doi:10.1038/nature07761 (2009).
【非特許文献5】Prusiner, S. B. Prions. Proc Natl Acad Sci U S A 95, 13363-13383, doi:10.1073/pnas.95.23.13363 (1998).
【非特許文献6】Mallucci, G. et al. Depleting neuronal PrP in prion infection prevents disease and reverses spongiosis. Science 302, 871-874, doi:10.1126/science.1090187 (2003).
【非特許文献7】Brandner, S. et al. Normal host prion protein necessary for scrapie-induced neurotoxicity. Nature 379, 339-343, doi:10.1038/379339a0 (1996).
【非特許文献8】Biasini, E., Turnbaugh, J. A., Unterberger, U. & Harris, D. A. Prion protein at the crossroads of physiology and disease. Trends Neurosci 35, 92-103, doi:10.1016/j.tins.2011.10.002 (2012).
【非特許文献9】Chung, E. et al. Anti-PrPC monoclonal antibody infusion as a novel treatment for cognitive deficits in an Alzheimer's disease model mouse. BMC Neurosci 11, 130, doi:10.1186/1471-2202-11-130 (2010).
【非特許文献10】Gimbel, D. A. et al. Memory impairment in transgenic Alzheimer mice requires cellular prion protein. J Neurosci 30, 6367-6374, doi:10.1523/JNEUROSCI.0395-10.2010 (2010).
【非特許文献11】Fluharty, B. R. et al. An N-terminal fragment of the prion protein binds to amyloid-beta oligomers and inhibits their neurotoxicity in vivo. J Biol Chem 288, 7857-7866, doi:10.1074/jbc.M112.423954 (2013).
【非特許文献12】Um, J. W. et al. Alzheimer amyloid-beta oligomer bound to postsynaptic prion protein activates Fyn to impair neurons. Nat Neurosci 15, 1227-1235, doi:10.1038/nn.3178 (2012).
【非特許文献13】Ferreira, D. G. et al. alpha-synuclein interacts with PrP(C) to induce cognitive impairment through mGluR5 and NMDAR2B. Nat Neurosci 20, 1569-1579, doi:10.1038/nn.4648 (2017).
【非特許文献14】Aulic, S. et al. alpha-Synuclein Amyloids Hijack Prion Protein to Gain Cell Entry, Facilitate Cell-to-Cell Spreading and Block Prion Replication. Sci Rep 7, 10050, doi:10.1038/s41598-017-10236-x (2017).
【非特許文献15】Resenberger, U. K., Winklhofer, K. F. & Tatzelt, J. Cellular prion protein mediates toxic signaling of amyloid beta. Neurodegener Dis 10, 298-300, doi:10.1159/000332596 (2012).
【非特許文献16】Linden, R. The Biological Function of the Prion Protein: A Cell Surface Scaffold of Signaling Modules. Front Mol Neurosci 10, 77, doi:10.3389/fnmol.2017.00077 (2017).
【非特許文献17】Manni, G. et al. The cellular prion protein beyond prion diseases. Swiss Med Wkly 150, w20222, doi:10.4414/smw.2020.20222 (2020).
【非特許文献18】Ballerini, C. et al. Functional implication of cellular prion protein in antigen-driven interactions between T cells and dendritic cells. J Immunol 176, 7254-7262, doi:10.4049/jimmunol.176.12.7254 (2006).
【非特許文献19】Esterhazy, D. et al. Classical dendritic cells are required for dietary antigen-mediated induction of peripheral T(reg) cells and tolerance. Nat Immunol 17, 545-555, doi:10.1038/ni.3408 (2016).
【非特許文献20】Massignan, T. et al. A novel, drug-based, cellular assay for the activity of neurotoxic mutants of the prion protein. J Biol Chem 285, 7752-7765, doi:10.1074/jbc.M109.064949 (2010).
【非特許文献21】Imberdis, T. et al. Identification of Anti-prion Compounds using a Novel Cellular Assay. J Biol Chem 291, 26164-26176, doi:10.1074/jbc.M116.745612 (2016).
【非特許文献22】Massignan, T. et al. A Small-Molecule Inhibitor of Prion Replication and Mutant Prion Protein Toxicity. ChemMedChem 12, 1286-1292, doi:10.1002/cmdc.201700302 (2017).
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明において、驚くべきことに、適切に官能基化されたチアジン-ジオキシドスキャフォールド(thiazine-dioxide scaffold)が、変異型PrPC活性を消失できる一連の化合物を提供することを見出した。本発明内で得られた結果は、化合物が、プリオン病、アルツハイマー病、自己免疫性脳炎及びMSなどのいくつかの異なる病理に対する新たな治療選択肢を提示し得ることを明確に実証する。
【0008】
本発明の目的は、神経変性疾患又は免疫疾患の治療(処置)に使用するための、好ましくは、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患、クローン病の治療に使用するための、下記一般式(I)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物である:
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造:
【0011】
【化2】
【0012】
のベンゼン環であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)、C(=S)、CHであるか、又は存在せず、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、好ましくは、Yは、CH、SO、SO、C(=O)及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、残基(residues)X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子(bridging atoms)とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
、R、R2a及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、SC1-4アルキルから選択され、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで、
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
(ただし、下記化合物
【0013】
【化3】
は含まれない。)
【0014】
本発明のさらなる目的は、多発性硬化症、自己免疫性脳炎又は免疫疾患の治療(処置)に使用するための、下記式(I)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物であって、好ましくは、前記免疫疾患は、炎症性腸疾患及びクローン病から選択される:
【0015】
【化4】
【0016】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造:
【0017】
【化5】
【0018】
のベンゼン環であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)、C(=S)、CHであるか、又は存在せず、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、好ましくは、Yは、CH、SO、SO、C(=O)及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、残基X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
、R、R2a及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、SC1-4アルキルから選択され、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで、
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
【0019】
好ましくは、式(I)の化合物において、Aはベンゼンであり、及び/又は、YはSOであり、及び/又は、WはC(=O)又はCHであり、及び/又は、ZはNであり、及び/又は、X及びXはHである。
【0020】
さらになお好ましくは、本発明の使用のための化合物は、下記一般式(II)を有する:
【0021】
【化6】
【0022】
(式中、X、X、X,R、R、R2a、R及びQは、上記で定義したとおりである。)
【0023】
好ましい一実施形態において、本発明の使用のための化合物は、以下のリストから選択される:
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
本発明のさらなる目的は、下記一般式(III)の化合物、及びその任意の立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物である:
【0029】
【化11】
【0030】
[式中、
Aは、ベンゼン環又は5員若しくは6員ヘテロ芳香族環であり、
Bは、下記一般構造のベンゼン環:
【0031】
【化12】
【0032】
(式中、
、R及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-6アルキル、OC1-4アルキルアミノ、ヒドロキシ、SC1-4アルキルから選択され、
2aは、水素、CF、F、OH、OC1-4アルキル、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノであり、
ただし、
- R2aが水素又はFである場合、R及び/又はRは、各々独立して、F、Cl、Br、CF、OMe、OHから選択されるか、又は
- Rがハロゲンである場合、R2aは水素であり、かつR及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-6アルキル、OC1-4アルキルアミノ、ヒドロキシ、SC1-4アルキルから選択される。)
であるか、
又は、Bは、1又は複数の置換基によって置換されていてもよい5員又は6員ヘテロ芳香族環であって、前記置換基は、各々独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-4アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択され、
Wは、C(=O)であり、
Yは、CH、SO、SO、S、C(=O)、PO及びNRから選択され、好ましくは、Yは、CH、SO、SO、C(=O)及びNRから選択され、
Zは、N又はCHであり、
及びXは、各々独立して、いずれの場合も、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノ、OH、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジンから選択され、
は、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、
及びXは、独立して、いずれの場合も、水素、C1-3アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロから選択され、nは、0、1、2、3、4であり、
又は、残基X及びXは、一体となって単結合又はC1-4アルカンジイルを示し、X及びXがそれぞれ結合しているブリッジング原子とともに5員又は6員ヘテロ環を形成し、
は、水素、C1-4アルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4ニトロアルキル、C1-4チオアルキル、C1-6ハロアルキルから選択され、
Qは、C1-8アルキル、C1-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール環、ヘテロ芳香族環から選択され、ここで、
- 前記C1-8アルキルは、ヒドロキシ、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)、NH(C=O)C1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルで置換されていてもよく、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルの各々は、メチル、ハロゲン、ヒドロキシで置換されていてもよく、
- 前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルは、各々、OH、OSO、C1-3アルキル、NRで置換されていてもよく、ここで、
・Rは、水素、フェニル、ヘテロアリール、アミノフェニル及びニトロフェニルから選択され、かつ、ここで
・R及びRは、各々独立して、H、メチル、C(=O)CH、SOCHから選択され、
- 前記アリール環又は前記ヘテロ芳香族環は、各々、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、前記置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオール、C1-4アルキル、ハロアルキル、O-ハロアルキル、OC1-4アルキル、NH、NHSO1-4アルキル、NHC1-4アルキル、C(=O)C1-6アルキル、C(=O)OC1-6アルキル、C(=O)NHC1-4アルキル、ヒドロキシ、SC1-4アルキル、OC1-4アルキルアミノから選択される。]
【0033】
好ましくは、上記で定義した化合物において、Aはベンゼンであり、及び/又は、YはSOであり、及び/又は、ZはNであり、及び/又は、X及びXはHである。
【0034】
好ましい一実施形態において、式(III)の化合物は、下記式(IIIA)の化合物である:
【0035】
【化13】
【0036】
(式中、X、X、R、R、R2a、R及びQは、一般式(III)について上記で定義したとおりである。)
【0037】
さらになお好ましくは、式(III)の化合物は、以下から選択される:
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
式(I)又は(II)の好ましい一実施形態において、Bは、以下から選択される:
【0041】
【化16】
【0042】
式(I)の一実施形態において、環Bは、以下である:
【0043】
【化17】
【0044】
式(III)の好ましい一実施形態において、Bは、以下から選択される:
【0045】
【化18】
【0046】
好ましい一実施形態において、上記で定義した化合物は、医療用、好ましくは、神経変性疾患又は免疫疾患の治療(処置)用、さらにより好ましくは、プリオン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患、クローン病の治療用である。
【0047】
本発明の別の態様は、PrPcの活性の調節の利点が得られる疾患を治療(処置)する方法に関する。前記疾患は、プリオン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、自己免疫性脳炎、パーキンソン病、炎症性腸疾患、クローン病であり、前記方法は、必要としている患者に、治療的有効量の式(I)、(II)又は(III)の化合物を投与する工程を含み、上記に示す限定及び規定には、上記で定義したその任意の薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は立体異性体が含まれる。
【0048】
本発明のさらなる目的は、神経変性疾患の治療(処置)に使用するための、好ましくは、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症及び自己免疫性脳炎の治療に使用するための、さらにより好ましくは、多発性硬化症及び自己免疫性脳炎の治療に使用するための、医薬組成物であって、上記で定義した少なくとも1つの化合物を単独で又は少なくとも1つのさらなる活性化合物と組みあわせて、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む医薬組成物である。
【0049】
本発明のさらなる目的は、一般式(III)(式中、Aはベンゼンであり、かつYはSOである。)の化合物の合成方法であって、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)ジクロロメタンなどの溶媒及びピリジン、トリメチルアミン、ジエチルイソプロピルアミンなどのアミンの存在下、式1aの化合物を、式1bの芳香族又はヘテロ芳香族アミンと反応させて、式2aの化合物を得る工程:
【0050】
【化19】
【0051】
(b)適切な条件下、ラネーニッケル(Raney-Nichel)触媒の存在下で又はSnCl・2HOを用いて、式2aの化合物のニトロ基を水素化によってアミノ基に還元して、式3aの化合物を得る工程:
【0052】
【化20】
【0053】
(c)適切な条件下でNaNO、NaOH及びHClと反応させることを含む第1の工程、及び室温でCu粉末と溶媒としてDMSOとを用いる第2の工程によって、化合物3aを式5aの化合物に変換する工程:
【0054】
【化21】
【0055】
(d)式5aの化合物を式(I)の化合物に変換する工程であって、ここで、この反応は、以下の工程の少なくとも1つを含む:
- 5aと、式:hal-(CH-C(=O)OEtのアルキル化剤又は式:hal-(CH-Qのアルキル化剤(式中、halは臭素又は塩素である。)との反応、
- マイクロ波照射及びニート条件(neat conditions)下、式:Q-NHXのアミンでの処理、
- CHCl中のTBTU及びDIPEAなどの縮合剤の存在下又は塩素化剤としてSOClを用いる、式:Q-NHXのアミンとのカップリング。
【0056】
本明細書で使用する場合、「アルキル」は、指定の数の炭素原子を有する分岐鎖状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図する。例えば、「C1-6アルキル」は、直鎖状又は分岐鎖状に配列した1、2、3、4、5又は6つの炭素を有する基を含むように定義され、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。好ましくは、「C1-6アルキル」は、「C1-4アルキル」又は「C1-3アルキル」を指す。より好ましくは、「C1-6アルキル」又は「C1-3アルキル」は、メチルを指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「C1-4アルカンジイル」は、メチレン、1,2-エタンジイル及びそれらの高級同族体(higher homologues)を含む。
【0058】
本明細書で使用する場合、「O-アルキル」又は「アルコキシ」は、酸素ブリッジ(oxygen bridge)に結合した、表示された炭素原子数のアルキル基を表す。したがって、「O-アルキル」は、上記のアルキルの定義を包含する。好ましくは、O-アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状OC1-6アルキル基、OC1-4アルキル基、OC1-3アルキル基、又はOC1-2アルキル基、又はOCHを指す。適切なO-アルキル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ又はt-ブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ及びt-ブトキシが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「ハロアルキル」及び「O-ハロアルキル」は、1又は複数(特に、1~3つ)の水素原子がハロゲン原子(特に、フッ素又は塩素原子)に置換されたアルキル又はアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシ基は、好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状ハロアルコキシ、より好ましくは、ハロC1-3アルコキシ基、さらにより好ましくは、ハロC1-2アルコキシ基であり、例えば、OCF、OCHF、OCHF、OCHCHF、OCHCHF又はOCHCF、特に、OCF又はOCHFである。ハロアルキル基は、好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状ハロアルキル基、より好ましくは、ハロC1-3アルキル基、さらに好ましくは、ハロC1-2アルキル基であり、例えば、CF、CHF、CHF、CHCHF、CHCHF、CHCF又はCH(CH)CFである。さらに好ましくは、ハロアルキル、ハロC1-6アルキル、ハロC1-4アルキル基、ハロC1-3アルキル基のいずれか1つは、CF、CHF、CH(CH)CF、CHCF又は(CHCFを指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアミノ」は、少なくとも1つのアミノ基によって置換された、表示された炭素原子数のアルキル基を表し、ここで、前記アミノ基は、-NHであるか、又は1若しくは2つのアルキル基でさらに置換されている。例えば、C1-4アルキルアミノは、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、ブチル-NH(CH)、イソブチル-NH(CH)、tert-ブチル-NH(CH)、ブチル-N(CH、イソブチル-N(CH、tert-ブチル-N(CH、ブチル-NH(C)、イソブチル-NH(C)、tert-ブチル-NH(C)、ブチル-N(C、イソブチル-N(C、tert-ブチル-N(C、ブチル-N(C)(CH)、イソブチル-N(C)(CH)、tert-ブチル-N(C)(CH)などを示す。本明細書で使用する場合、「OC1-4アルキルアミノ」は、酸素ブリッジに結合した上記C1-4アルキルアミノを表す。
【0061】
本明細書で使用する場合、「NH-アルキル」は、NHブリッジ(NH bridge)に結合した、表示された炭素原子数のアルキル基を表す。好ましくは、NH-アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状NHC1-6アルキル基、NHC1-4アルキル基、NHC1-3アルキル基、又はNHC1-2アルキル基、又はNHCHを指す。
【0062】
同様に、「N(アルキル)」は、窒素ブリッジ(nitrogen bridge)に結合した、表示された炭素原子数の2つのアルキル基を表す。
【0063】
本明細書で使用する場合、「S-アルキル」は、硫黄ブリッジ(sulphur bridge)に結合した、表示された炭素原子数のアルキル基を表す。したがって、「S-アルキル」は、上記アルキルの定義を包含する。好ましくは、S-アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状SC1-6アルキル基、SC1-4アルキル基、SC1-3アルキル基、又はSC1-2アルキル基、又はSCHを指す。適切なS-アルキル基の例としては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオ-i-プロピル、チオ-n-ブチル、チオ-s-ブチル又はチオ-t-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいS-アルキル基としては、チオメチル、チオエチル及びチオプロピルが挙げられる。
【0064】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、炭素原子及び水素原子を含む単環式又は多環式芳香族環を意味する。必要であれば、このような芳香族環は1又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、その場合は、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族環」とも称される。本発明のヘテロアリール基の実例としては、チオフェン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリミジン、ピラジン及びピリジンなどの5員又は6員ヘテロアリールが挙げられる。本発明の好ましいアリールは、フェニルである。本発明の好ましいヘテロアリールは、ピリジルである。さらに好ましい5員ヘテロアリール環は、オキサジアゾール及びオキサゾールである。前記オキサジアゾールは、好ましくは、1つのメチル基で置換されている。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、3、4、5又はそれ以上の炭素原子を有する飽和環式炭化水素(シクロアルキル)を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの総称である。用語「シクロアルキル」は、さらに、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロ-1H-インデン、アダマンタンなどの多環式飽和環系も指す。前記飽和環は、少なくとも1つの炭素原子が、N、O及びSから、特にN及びOから選択されるヘテロ原子によって置換されるように、1又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよい(「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環(複素環)」又は「ヘテロシクロアルキル」とも称される)。好ましくは、前記シクロアルキルは、シクロヘキシル、さらに好ましくは、シクロペンチルである。好ましくは、前記ヘテロシクロアルキルは、ピペリジン(pyperidine)、ピロリジン、モルホリン、ピペラジンなどの環式アミンである。さらに好ましくは、前記ヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)又はテトラヒドロピラン(tetrahydropyrane)である。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指し、そのなかで、フッ素、塩素及び臭素が好ましい。
【0067】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸及びキラル面を有していてもよく(E.L. Eliel and S.H. Wilen, Stereochemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pages 1119-1190に記載のとおり)、ラセミ体として、ラセミ混合物として、及び光学異性体を含むすべての生じ得る異性体及びそれらの混合物とともに、個々のジアステレオマーとして存在してもよく、このような立体異性体はすべて本発明に含まれる。オレフィン二重結合を含む本発明に記載の化合物は、特に明記しない限り、E及びZ幾何異性体(シス-トランス異性体)を含む。また、本発明には、すべての塩の形態、多形、水和物及び溶媒和物も含まれる。
【0068】
用語「多形」は、本発明の化合物のさまざまな結晶構造を指す。多形としては、結晶形態(及びアモルファス物質)及びすべての結晶格子形態(crystal lattice forms)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の塩は、結晶であってもよく、1つより多い多形として存在してもよい。
【0069】
前記塩又は前記遊離化合物の溶媒和物、水和物と同様に無水形態もまた、本発明に包含される。溶媒和物に含まれる溶媒は、特に限定されず、任意の薬学的に許容可能な溶媒であってもよい。例としては、水及びC1-4アルコール(メタノール又はエタノールなど)が挙げられる。
【0070】
「薬学的に許容可能な塩」は、開示された化合物の誘導体として定義され、ここで、親化合物は、その酸塩又は塩基塩を作製することによって修飾される。薬学的に許容可能な塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。前記薬学的に許容可能な塩としては、例えば、無毒性の無機酸又は有機酸から形成される、親化合物の慣用の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような慣用の無毒性塩としては、無機酸に由来する塩及び有機酸から得られる塩が挙げられ、前記無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などが挙げられるがこれらに限定されず、前記有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の薬学的に許容可能な塩は、慣用の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離の酸又は塩基形態を、化学量論的量の適切な塩基又は酸と、水中、有機溶媒中又は水と有機溶媒との混合物中で反応させることによって調製することができる。有機溶媒としては、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水系溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1990, p. 1445に見ることができ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
「薬学的に許容可能な」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題若しくは合併症なしに、ヒト及び動物の組織と接触しての使用に適している化合物、材料、組成物及び/又は剤形として定義される。
【0072】
本発明の化合物は、ヒト及び動物の健康のためのさまざまな用途に使用される。本発明の化合物は、変異型PrPC活性を調節又は消失できる小分子である。より詳細には、本発明の化合物は、変異型PrP(Δ105-125)の自発的な細胞毒性を抑制する。それだけでなく、変異型PrP分子は、G418及びZeocinなどのある特定の(certain)抗生物質の細胞毒性作用に対して細胞を感作するので、この抗生物質過敏性表現型の抑制は、DBCAアッセイで小分子ライブラリーをスクリーニングするための細胞読み出し(cellular read-out)として使用された。このアプローチを用いて、本発明の化合物は、神経変性表現型の抑制において、参照(基準)化合物に対して少なくとも30%の活性、好ましくは、60%を超える活性、さらにより好ましくは、基準化合物の100%を超える活性を示すことが見出された。
【0073】
本発明の化合物は、ファルネソイドX受容体(FXR)を介したシグナル伝達経路を間接的に調節する可能性がある。ファルネソイドX受容体(FXR)は、胆汁酸の核内受容体である。リガンド活性化FXRは、遺伝子の転写を制御して、胆汁酸の合成及び分泌のフィードバック制御を可能にする。生理学的条件下では、FXRの活性化は、肝臓及び腸の両方で、小さなヘテロ二量体パートナー(NR0B2/Nr0b2遺伝子によってコードされるSHP/Shp)及び線維芽細胞増殖因子(Fgf)15(ヒトではFGF19)を含む標的遺伝子を直接的に誘導することにより、胆汁酸合成を抑制するための主要な機序(メカニズム)であり、次に、CYP7A1/Cyp7a1及びCYP8B1/Cyp8b1遺伝子転写を阻害するか、又はシグナル伝達経路を活性化して前記遺伝子転写を阻害する36。本発明の中で、SM231と同様に、FXRアゴニストWAY-362450が変異型PrP毒性を強力にレスキューすることも発見された。さらに、SM231はマウス初代肝細胞において有意なFXR転写活性を促進したが、SM誘導体は直接的なFXR受容体アゴニストとして作用しない(データは示さず)。これらの知見は、FXR活性の間接的な調節が本発明の化合物の作用機序に関与しているという仮説を開くものである。
【0074】
本発明の化合物は、免疫疾患の治療(処置)に使用される。本明細書で使用する場合、「免疫疾患」は、自己免疫疾患又は免疫系障害を指す。本発明の好ましい一実施形態において、免疫疾患は、自己免疫性大腸炎、炎症性腸疾患又はクローン病を指す。
【0075】
本発明の化合物は、単回用量で又は分割用量で、1日あたり、哺乳動物(例えば、ヒト)体重1kgあたり0.001~1000mg(0.001~1000mg/kg)の投与量範囲で、経口的に又は非経口的に投与することができる。1つの投与量範囲は、単回用量で又は分割用量で、経口投与で、1日あたり0.01~500mg/kg体重である。別の投与量範囲は、単回又は分割用量で、経口投与で、1日あたり0.1~100mg/kg体重である。経口投与の場合、前記組成物を、1.0~500ミリグラムの有効成分(活性成分)、特に、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400及び500ミリグラムの有効成分を含む錠剤又はカプセル剤の形態で提供し、治療(処置)対象に対する投与量の対症調整(symptomatic adjustment)を行うことができる。任意の特定の被験体に対する特定の用量レベル及び投与頻度はさまざまであり、使用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の期間、年齢、体重、健康全般(general health)、性別、食事、投与の様式(mode)及び時間、排泄率(rate of excretion)、薬物の組み合わせ、特定の状態(症状)の重症度、並びに宿主が受けている治療(host undergoing therapy)を含むさまざまな要因に依存するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図面の簡単な説明
本発明の原理を説明する実施形態及び実験は、以下の図を参照して議論される。
図1図1.SM3の化学的及び生物学的キャラクタリゼーション。パネル(A)に示される構造を有する化合物SM3(元となる研究ではLD24と称される21。)を、従前に、用量依存的様式(dose-dependent fashion)において、カチオン性抗生物質に対するΔCR PrP依存性過敏性を抑制する能力について、HTSスクリーニングで同定した。(B)薬物ベースの細胞アッセイ(DBCA)を、従前に記載されたように実施した20,25。簡単に説明すると、タンパク質(Δ105-125)の中央領域に欠損を有する毒性PrP変異体を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞を24ウェル(24穴)プレートに播種し、500μg/mLのZeocinを含む培地中で、48時間、37℃でインキュベートした。SM3(0.1~10μM)との併用処理(co-treatment)に反応(応答)した細胞死を、MTTアッセイによって評価した。データを、未処理細胞(untreated cells)のパーセンテージとして表す。
図2図2.SM3誘導体の効力の評価。グラフは、カチオン性抗生物質に対するΔCR PrP依存性過敏性を抑制する各化合物(1μMで試験)の相対的な能力を示す。データを、親化合物SM3(グラフではLD24と称される。)に対する平均パーセンテージとして表す。エラーバーは標準偏差を表す。各化合物は、少なくとも3つの生物学的に独立した反復(replicates)(n≧3)で試験されている。
図3図3.選択した化合物の用量反応解析。(A)選択した分子の化学構造をパネルに示す。(B)DBCAによる用量反応解析を用いて、さまざまな分子の抗ΔCR PrP効果を評価した。グラフは、各分子の用量に対するレスキュー効果(dose-dependent, rescuing effect)の定量化を示す。平均値は、最低限3つの独立した実験(n≧3)から得られ、未処理細胞における細胞生存率(cell viability)のパーセンテージとして表した。データを、4パラメーターロジスティック(4PL)非線形回帰モデルを使用してシグモイド関数に当てはめ、半数阻害濃度(IC50)を推定した。(C)各化合物の内在性の毒性を、ナイーブHEK293細胞において、各分子/濃度に対して48時間、37℃で曝露して評価した。細胞毒性をMTTによって評価した。平均値は、最低限3つの独立した実験(n≧3)から得られ、未処理細胞における細胞生存率のパーセンテージとして表した。データを、4PL非線形回帰モデルを使用して逆シグモイド関数に当てはめ、半数致死量(LD50)を推定した。
図4図4.SM231はAβ神経毒性をレスキューする。初代海馬ニューロンを、さまざまな濃度のAβオリゴマーに短時間(10、20又は60分)、又はビヒクル(VHC)対照に曝露した。本発明者らは、このオリゴマーがFynキナーゼの急速な一過性リン酸化を誘導することを確認した(20分時点での結果をパネルAに示す)。以前の所見と一致して、この効果は、PrPC指向性化合物TMPyPとの併用処理によって妨げられた。興味深いことに、SM231との共インキュベーション(co-incubation)により、Aβ効果が完全に消失し、Fynのリン酸化が正常なレベルまで回復した。(B)初代海馬ニューロンを、Aβオリゴマー(3μM)又はVHC対照と3時間インキュベートした。以前の報告と一致して、トリトンX不溶画分のウェスタンブロッティングによって評価されるように、本発明者らは、(示されている)いくつかの後シナプスマーカー(post-synaptic markers)の減少を観察した。重要なことに、Aβオリゴマーとのインキュベーションの前に、SM231と20分間共インキュベーションすると、すべての後シナプスマーカーのレベルを有意にレスキュー(回復又は正常化)した。対照タンパク質(アクチン)のレベルは、Aβオリゴマー又はSM231のいずれによっても影響を受けなかった(スチューデントのt検定によるp<0.05;**p<0.01)。
図5図5.SM231に関する代謝研究。(A)ソフトウェアMetaSiteにより、主要な代謝部位として分子の3つの領域(3D構造では赤色及び黄色、2D構造では白抜き矢印で示される太丸(bold spheres))が示唆され、メチレンブリッジ(methylene bridge)が最も反応性が高いと予測された(SM231の2D構造では赤/青の丸で強調され、黒塗りの矢印で示される)。(B)CYP450の活性部位に対するドッキング実験により、シクロヘキシル部分及びC-3(灰色の矢印)のみが肝代謝酵素に接近できるので、代謝可能であることが示された。(C)SM231とラット肝ミクロソーム(RLM)とのインキュベーション(4時間)により、t1/2が25分であることが示され(右側のパネルC)、得られた混合物のHPLC-MS分析により、4つの代謝産物(MET1~4)が示唆され、前記シクロヘキシル及びC-3は、程度は低いものの、主要な代謝部位であることが確認された。
図6図6.新たに開発された誘導体のDBCAに基づく検証。各分子の化学構造をグラフ内に示す。DBCAによる用量反応解析を用いて、さまざまな分子の抗ΔCR PrP効果を評価した。グラフは、各分子の用量に対するレスキュー効果の定量化を示す。平均値は、最低限3つの独立した実験(n≧3)から得られ、未処理細胞における細胞生存率のパーセンテージとして表した。データを、4PL非線形回帰モデルを使用してシグモイド関数に当てはめ、半数阻害濃度(IC50)を推定した。
図7図7.SM884は、プリオン株によるLTPの抑制をレスキューする。棒グラフは、マウス馴化ヒトM1000プリオン株に感染した細胞のライセート(lysate)で急性処理した脳スライス(切片)にSM884を慢性投与することによって誘導されるLTPに対するレスキュー効果の定量化を示す。値は、平均+/-SEMで表され、ビヒクル対照に対するLTPのレスキューのパーセンテージとして算出される。SM884処理スライスと未処理スライスとの間の統計学的に有意な差は、スチューデントのt検定で計算される。M1000対884 0.03μM+M1000 p=0.0038(**);M1000対884 0.1μM+M1000 p=0.0031(**)。M1000 n=4;884 0.03μM+M1000 n=4;884 0.1μM+M1000 n=5。
図8図8.DCサブセットは、内因性PrPCを発現し、SM231で処理されたDC2は、DC-T細胞の共培養においてTreg細胞を促進する。A.選別されたマウスのDC1及びDC2細胞をTMP又はSM231で処理した後、ウェスタンブロット解析を行い、特異的抗PrPC抗体を用いてPrPC発現を評価した。示した結果は、2つの独立したEAE実験からの平均±標準偏差(S.D.)である。P<0.05;マン-ホイットニーの両側検定。B.TMP又はSM231又はビヒクルで前条件付けし(preconditioned)、特異的PrPC SiRNA又はSiRNA対照のいずれかで処理し、ナイーブCD4+T細胞とともに5日間培養したDC(すなわち、DC1又はDC2)の培養物におけるCD4+LAP+FOXP3+細胞頻度。T:DC2共培養におけるCD4+CD25+LAP+FOXP3+細胞頻度の代表的な結果(右上の象限)。3つの実験のうち1つの実験からの代表的な結果。
図9図9.化合物SM888及びSM889は、cDC2における寛容原性活性(tolerogenic activity)を促進する。さまざまな濃度のPrPC調節分子又は対照としてのビヒクルで一晩処理したcDC2を、さまざまな濃度のOVAの存在下、OT.IIマウスの脾臓由来のCFSE標識化CD4+T細胞と共培養した。3日後、FACSによって増殖を分析し、特異的抗原に反応するT細胞増殖の%を評価した。データを、平均±標準偏差として示す。**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、ANOVAとそれに続くボンフェローニの多重比較検定。
図10A図10.参照PrPC結合分子TMP又はPrPC活性化分子SM231の投与は、EAE重症度を改善する。A.EAE誘導及び処置のスキーム。
図10B図10.参照PrPC結合分子TMP又はPrPC活性化分子SM231の投与は、EAE重症度を改善する。B.さまざまな用量のSM231で処置したC57BL/6バックグラウンドに対するマウスのEAE臨床スコア(±SEM)(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;スチューデントのt検定)。
図10C図10.参照PrPC結合分子TMP又はPrPC活性化分子SM231の投与は、EAE重症度を改善する。C.PBS又はSM231で処置したMOG 35-55免疫化マウス由来の脊髄断片(spinal code sections)の代表的な染色。PBS又はSM231で処置したマウスにおける免疫化後25日目の免疫浸潤及び脱ミエリン化を視覚化する。
図11図11.SM231はPrPCに直接作用しない。(A)SM231は、PrPCの細胞表面局在化を変化させない。EGFPタグ付きPrPCを安定的に発現するHEK293細胞を、ガラス製カバースリップ上で60%以下のコンフルエントまで増殖させ、次いで、示された濃度のSM231又はCPZで24時間処理した。固定(fixation)及び洗浄の後、倒立顕微鏡と488nm励起フィルターを備えた高解像度カメラとを組み合わせて、EGFP-PrPCの固有の緑色シグナルを取得した。(B)SM231は、PrPCの発現を変化させない。WT PrPCを発現するHEK293細胞を、さまざまな(示された)濃度のSM231で48時間処理した。全細胞ライセート中の総PrPレベルを、抗PrP抗体D18を用いたウェスタンブロットによって評価した。上のパネルの写真は、代表的なウェスタンブロッティングを示す。下のパネルのグラフは、4つの独立した(n=4)実験の密度測定分析によって得られたPrPレベルの定量化を示し、対応するPonceau S染色レーンの各値を正規化している。バーは、平均(±SEM)を表し、未処理細胞のレベルに対するパーセンテージとして表される。(C)SM231は、PrPCに結合しない。ポルフィリンFe(III)-TMPyP(略称TP)、クロロプロマジン(CPZ)又はSM231と組換えPrPCとの相互作用を、DMRによって評価した。さまざまな濃度の各化合物(0.1~1000μM)を、全長ヒト組換えPrPC又はBSAを前もって固定化した(immobilized)ラベルフリーマイクロプレートウェル表面(EnSpire-LFB HSマイクロプレート、Perkin Elmer)に添加した。測定は、化合物の添加前(ベースライン)及び添加後(最終)に実施した。反応(pm)は、ベースライン出力を最終出力シグナルから差し引いて得た。各ウェルの出力シグナルは、タンパク質被覆された参照領域のシグナルを被覆されていない領域のシグナルから差し引いて得た。TP(青色の点)又はCPZ(緑色の点)のシグナルを、4PL非線形回帰モデルを用いてシグモイド関数に当てはめた(青色及び緑色の線);R=0.99;p=0.00061。逆に、SM231では結合は検出されず、この化合物はPrPCに直接結合しても効果を発揮しないことが示唆された。
図12図12.FXRアゴニストは変異型PrP毒性を強力にレスキューする。DBCAを用いて、HEK293細胞で発現したマウスΔCR PrP分子の発現によってもたらされたZeocin過敏性をレスキューするために、2つのFXRアゴニストの能力をさまざまな(示された)濃度で試験し、評価した。棒グラフは、各分子の用量に対するレスキュー効果の定量化を示す。平均値は、最低限3つの独立した細胞培養調製物から得られ、下記式を用いて細胞生存率レスキュー(cell viability rescue)のパーセンテージとして表される。R=(T-Z)/(U-Z)(R:レスキュー効果;T:化合物処理されたサンプルの細胞生存率;Z:zeocin処理されたサンプルの細胞生存率;U:未処理サンプルの細胞生存率)。
図13図13.SM231で処理した肝細胞におけるFXR転写活性。マウス肝細胞を、示されたように、4時間又は12時間処理した。FXR及びNr0b2のmRNAレベルを、RT-qPCRによって評価した。未処理細胞におけるmRNAレベルを、任意に1に設定した。
【発明を実施するための形態】
【0077】
材料及び方法
化学:一般式(I)の化合物を作製する方法
本明細書で使用する場合、以下の略語は、以下の意味を有する。略語が定義されていない場合、その略語は一般的に受け入れられている意味を有する。
【0078】
略語
BOP:N-(ベンゼンスルホニル)-L-プロリル-L-O-(1-ピロリジニルカルボニル)チロシンナトリウム塩、
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、
DMSO:N,N-ジメチルスルホキシド、
EtOAc:酢酸エチル、
MeOH:メタノール、
TBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボラート、
Pyr:ピリジン。
【0079】
特に断りのない限り、試薬及び溶媒は、一般的な商業的供給業者から購入し、そのまま使用した。HPLC分析に使用したHPLCグレードの溶媒は、Sigma-Aldrichにより購入し、使用したすべての移動相は、10分間の超音波処理で脱気してから使用した。有機溶液は、無水NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて低圧で濃縮した。すべての反応を、シリカゲル60F254(Merck)による薄層クロマトグラフィー(TLC)によって定期的にチェックし、UV又はヨウ素を用いて視覚化した。マイクロ波反応器Biotage Initiator 2.0を用いてマイクロ波アシスト反応を行い、以下の例に示されるように、反応に応じてパラメーターを調整した。Merckシリカゲル60(メッシュ230~400)によるフラッシュクロマトグラフィー。融点は、キャピラリーチューブ(Buechi Electrotermalモデル 9100)で測定され、補正されていない。H NMRスペクトルは200MHz又は400MHz(それぞれ、Bruker Avance DRX-200又は400)で記録され、13C NMRスペクトルは100MHz(Bruker Avance DRX-400)で記録され、2D H NMR NOESYは位相検波モードで実行された。化学シフトは、TMSに対するppm(δ)で表される。スペクトルは298Kで取得した。データ処理は標準的なBrukerソフトウェアXwinNMRで行い、スペクトルデータは帰属された構造と一致している。収率は、精製生成物の収率であり、最適化されなかった。すべての化合物の純度は、190~640nmのDAD検出器を備えたAgilent 1290 Infinity Systemマシンを用いてLC/MSによって測定したところ、≧95%であった。純度は、ZORBAX Eclipse Plus C18(2.1×50mm、1.8μM粒子径)カラムを用いて270.44nmで確認し、逆相カラムは、0.1%ギ酸を含むCHCN(チャンネルB)及び0.1%ギ酸を含む水(チャンネルA)を、0.3mL/分で20分間、0~100%のグラジエント条件で用いた。注入量は0.5μLであり、カラム温度は50℃であった。すべての化合物の純度は、UV検出器を備えたWaters Systemマシンを用いてHPLCによって測定したところ、≧95%であった。純度は、X Terra C18(x mm、μM粒子径)カラムを用いて254nm及び270nmで確認し、逆相カラムは、CHCN(チャンネルC)及び0.1%ギ酸を含む水(チャンネルB)のアイソクラティック溶離液70:30を用いて、1mL/分で10分間使用した。注入量は20μLであり、カラム温度は25℃であった。ピーク保持時間は分単位で示される。HRMS検出は、MS検出器Agilent 6540UHD Accurate Mass Q-TOFを備えたAgilent 1290 Infinity Systemを用いる負極性のエレクトロスプレーイオン化(ESI)に基づいた。
【0080】
本発明の化合物は、当業者に周知の一連の化学反応を用いて調製することができ、前記化合物を調製するためのプロセスを全体として構成し、さらに例示することができる。さらに記載されるプロセスは、一例としてのみ意味するものであり、決して本発明の範囲を限定することを意味するものではない。特に、本発明の化合物は、以下のスキーム1、2、3及び4に概説される一般的手順に従って調製され得る。代替の合成経路及び類似体構造は、有機化学の当業者に明らかであろう。
【0081】
スキーム1は、ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5ジオキシドスキャフォールドを有する式(I)のヘテロ環式(複素環式)化合物を作製するのに有用な手順を示す。すなわち、式中、Aはフェニルであり、Bはフェニルであり、YはSO基であり、かつ式中、Wはカルボニルであり、Zは窒素であり、X及びXは水素であり、nは一般式(I)に定義されるとおりである。置換基Qは、一般式(I)に記載の基から選択できる。
【0082】
スキーム1.中間体及び標的化合物を調製するための合成手順
【0083】
【化22】
【0084】
試薬及び条件:(i)アニリン、乾燥Pyr、乾燥CHCl、40℃、
(ii)ラネーNi(Raney-Ni)、Hフラックス、DMF、室温(rt)又はSnCl・2HO、8N HCl、還流、
(iii)NaOH、NaNO、次いで濃HCl、0℃、
(iv)Cu粉末、DMSO、室温、
(v)BrCHCOEt、DIPEA、DMF、マイクロ波、80℃、又はアルキルアルコール、PhP、DEAD、超音波、25℃、
(vi)過剰のアミン、マイクロ波、120℃、ニート条件、
(vii)10% NaOH水溶液/EtOH(1:1)、還流、
(viii)(a)アミン、TBTU、DIPEA、乾燥CHCl、室温、又は(b)SOCl、還流、次いでアミン、乾燥DMF、室温、又は(c)BOP、DIPEA、乾燥CHCl、室温。
【0085】
乾燥ピリジン中40℃で行われた式(1a)の適切な2-ニトロ-ベンゼンスルホニルクロリドと無置換又は官能化アニリンとのカップリング反応により、対応する式(2a)のアリール2-ニトロベンゼンスルホンアミドが高収率で得られる。式(2a)の中間体のニトロ基を、基質に応じて酸性条件下でラネーNi及びHフラックス又はSnCl・2HOを使用する触媒還元により還元して式(3a)のアミノ化合物を得、続いてNaNO及びHClを用いてジアゾ化した後、NaOHを添加して、ジアゾ化合物を式(4a)の不安定な中間体にin situ変換させた。これらの後者を、直ちに粗生成物として単離し、室温でCu粉末及び溶媒としてのDMSOを用いて、適度な収率(moderate yields)で式(5a)の中間体に変換させた。式(5a)の化合物を、マイクロ波照射下、DMF中、スカベンジャーとしてDIPEAを用いて、50℃で15分間、2-ブロモ酢酸エチルと反応させて、良好な収率(good yields)で式(6a)の化合物を得た。式(5a)のいくつかの中間体を、光延反応を利用してアルキル化し、式(6a)のある特定の化合物を得た。式(6a)の中間体のいくつかの例を、120℃及びニート条件でマイクロ波照射を用いて、置換基Qで示される過剰のアミンで処理し、式(8a)の標的化合物を得た。いくつかの場合において、式(7a)の中間体を、10% NaOH水溶液とEtOH(1:1の比率)との混合物で処理して対応する式(7a)のカルボン酸を得、これを置換基Qで示されるアリールアミン又はアルキルアミンとカップリングし、CHCl中のTBTUなどの縮合剤とスカベンジャーとしてDIPEAとを使用するか又は塩素化剤としてのSOClの後にアミンを添加する2つの異なる方法を利用して、式(8a)の標的化合物の他の例を得た。いくつかの例において、二置換アニリンを使用して、式(5a)の中間体を位置異性体の混合物として調製し、そのまま次の反応工程に使用して、式(8a)のある特定の化合物を得た。次いで、位置異性体をフラッシュクロマトグラフィーによって最終化合物に分離して、純粋な各位置異性体を得た。
【0086】
スキーム2は、ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5ジオキシドスキャフォールドを有する式(I)のヘテロ環式化合物を作製するのに有用な手順を示す。式中、Aはフェニルであり、Bはフェニルであり、YはSO基であり、Wは存在せず、Zは窒素であり、X及びXは水素であり、nは一般式(I)に定義されるとおりである。置換基Qは、一般式(I)に記載の基から選択できる。
【0087】
スキーム2.いくつかの標的化合物を調製するための合成手順
【0088】
【化23】
【0089】
試薬及び条件:ハロゲン化アルキル、DIPEA、マイクロ波、DMF、70℃。
【0090】
式(5a)のある特定の化合物を、ブロモ/クロロアルキルを用いてアルキル化した。ここで、Zは、マイクロ波照射下、80℃で、適切なジハロゲン化物を用い、かつスカベンジャーとしてDIPEAを用いることによって、式(I)に示される置換基とn=1,2,3,4とから選択された。
【0091】
スキーム3は、化合物SM225から出発して、化合物SM226及びSM230を合成するための手順を示し、SM225を、CHCl中のBBrを用いて脱メチル化して-60℃で添加した。次いで、反応を-30℃で維持し、中間体として用いるヒドロキシル誘導体SM226を得、この中間体を、DMF中、80℃で(2-クロロエチル)ジメチルアミン塩酸塩及びCsCOを用いて連続的にO-アルキル化して、標的化合物SM230を得た。
【0092】
スキーム3.標的化合物SM226及びSM230を調製するための合成手順
【0093】
【化24】
【0094】
試薬及び条件:(i)CHCl中1M BBr、乾燥CHCl、-60℃~-30℃、
(ii)ClCHCHN(Me)・HCl、CsCO、乾燥DMF、80℃。
【0095】
スキーム4は、式(I)の化合物の一例を示しており、ここで、Aはフェニルであり、Bは3-メチル-ピラゾールであり、YはSO基であり、Wはカルボニルであり、かつ置換基Qは式(I)に記載の基から選択できる。
【0096】
スキーム4.標的化合物SM879を調製するための合成手順
【0097】
【化25】
【0098】
試薬及び条件:(v)シクロヘキシルアミン、TBTU、DIPEA、乾燥THF、室温、(vi)
【0099】
韓国特許第KR2011060653号に報告された化合物11aを、DIPEAの存在下、縮合剤としてTBTUを用いてシクロヘキシルアミンと反応させて、良好な収率で中間体12aを得、次いで、ニート条件下、60℃でヒドラジン一水和物とともに濃縮して、標的生成物SM879を得た。
【0100】
以下の実施例は、本発明を説明する目的で提供されており、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
以下の例は、AMBINTERにより購入され、そのまま生物学的活性を試験した化合物である。スキーム1~3に示される合成手順に容易に当てはめて、合成が未だ報告されていない市販の化合物を調製することができる。
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】
【表9】
【0111】
【表10】
【0112】
実験
式2aのニトロベンゼンスルホンアミドを得るための一般的手順(スキーム1):商業用の又は合成された2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(1当量(equiv.))及び適切なアニリン(2当量)のCHClの溶液に、ピリジン(1当量)を一度に添加し、この混合物を、磁気攪拌下、30℃で2時間維持した。体積が3分の1になるまで濃縮した後、この混合物を氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=3)にし、磁気攪拌下で温浸(digestion)した後、沈殿物が形成された。濾過後、粗製物を、シクロヘキサン/EtOAc(8:2)でトリチュレーションし(triturated)、再度濾過して、式2aのベンゼンスルホンアミドを得た。
【0113】
実施例1
2-ニトロ-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:上記の一般的手順に従って、3-トリフルオロメチルアニリンを用いて、化合物を収率93%で赤色固体として得た。融点(mp)132.6~132.7℃。H NMR(200MHz,アセトン-d):δ 9.40(brs,1H,NH),8.10-7.75(m,4H,Ar-H),7.60-7.30(m,4H,Ar-H)。
【0114】
実施例2
N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド:上記の一般的手順に従って、3-クロロ-4-フルオロアニリンを用いて、化合物を収率90%で赤色固体として得た。融点110.0~110.1℃。H NMR(200MHz,アセトン-d):δ 9.25(brs,1H,NH),8.00-7.70(m,4H,Ar-H),7.50-7.40(m,1H,Ar-H),7.30-7.20(m,2H,Ar-H)。
【0115】
実施例3
N-(3,5-ジクロロフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド:上記に示された一般的手順に従って、3,4-ジクロロアニリンを用いて、化合物を収率95%で赤色固体として得た。融点128.0~129.0℃。H NMR(400MHz,アセトン-d):δ 9.55(brs,1H,NH),8.20(d,J=1.3及び7.8Hz,1H,Ar-H),8.10-7.80(m,3H,Ar-H),7.40-7.35(m,2H,Ar-H),7.28(t,J=1.8Hz,1H,Ar-H)。
【0116】
実施例4
5-フルオロ-2-ニトロ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド(2a(Int-1)):上記に示された一般的手順に従って、中間体5-フルオロ-2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(Buhr、WO 212110603に報告されたように調製した。)を、商業用3-トリフルオロメチルアニリンと反応させて、化合物を収率86%で赤色固体として得た。融点130~132℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.30-7.40(m,3H,Ar-H),7.50-7.60(m,3H,Ar-H及びNH),7.70(dd,J=2.8及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.90(dd,J=4.5及び8.8Hz,1H,Ar-H)。
【0117】
実施例5
N-(4-ブロモフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド:中間体を、Kurkin, A. et al., Tetrahedron: Asymmetry, 2009, 20, 1500-1505に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0118】
実施例6
N-(3-ブロモフェニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド:中間体を、Abramovitch, R. A. et al., J. Org. Chem. 1977, 42, 2914-2919に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0119】
実施例7
2-ニトロ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Kang, J. G. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 2002, 66, 2677-2682に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0120】
実施例8
N-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-ニトロベンゼンスルホンアミド:中間体を、PCT WO 2007/003962 A2に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0121】
実施例9
スキーム5.式2a(Int-2)の中間体を調製するための合成手順
【0122】
【化26】
【0123】
5-メトキシ-2-ニトロ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド(2a(Int-2))。10% NaOH水溶液(20mL)及びMeOH(40mL)に5-フルオロ-2-ニトロ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド2a(Int-1)(1.00g、2.86mmol)を攪拌した混合物を、室温で3時間保持した。この反応混合物を氷/水中に注ぎ、形成した沈殿物を濾過して(filtered off)、標題化合物を収率99%で白色固体として得た。融点142~144℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.89(s,3H,OCH),7.12(dd,J=2.7及び8.9Hz,1H,H-4),7.37(d,J=8.4Hz,2H,H-2’及びH-6’),7.48(d,J=2.7Hz,1H,H-6),7.58(d,J=8.5Hz,2H,H-3’及びH-5’),8.02(d,J=9.0Hz,1H,H-3)。
【0124】
式3aのアミノベンゼンスルホンアミドを得るための一般的手順(スキーム1):EtOH(150mL)に式(2a)のニトロ誘導体(1当量)を攪拌した溶液を、室温及び大気圧下で2.5時間、触媒量のラネーニッケルで水素化した。次いで、この混合物をCeliteで濾過し、濾液を蒸発乾固させて、TLC(CHCl/MeOH 98:2)によって純粋なアミノ誘導体を得た。
【0125】
実施例10
2-アミノ-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:上記に示された一般的手順に従って、化合物を収率96%でやや白い(whitish)固体として得た。融点88.1~88.2℃(dec.)。H NMR(200MHz,アセトン-d):δ 9.50(bs,1H,NH),7.60-7.25(m,5H,Ar-H),7.25-7.15(m,1H,Ar-H),6.75(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),6.50(t,J=8.0Hz,1H,Ar-H),6.75(bs,2H,NH)。
【0126】
実施例11
2-アミノ-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ベンゼンスルホンアミド:上記に示された手順に従って、化合物を収率95%で灰色固体として得た。融点102.1~102.2℃。H NMR(200MHz,アセトン-d):δ 9.15(bs,1H,NH),7.40(dd,J=1.6及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.25-7.00(m,4H,Ar-H),6.75(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),6.55(t,J=8.0Hz,1H,Ar-H),5.60(bs,2H,NH)。
【0127】
実施例12
2-アミノ-N-(3,5-ジクロロフェニル)ベンゼンスルホンアミド:上記に示された手順に従って、化合物を収率92%で灰色固体として得た。融点103.0~105.0℃。H NMR(400MHz,アセトン-d):δ 9.50(brs,1H,NH),7.59(dd,J=1.5及び7.9Hz,1H,Ar-H),7.25(dt,J=1.5及び7.0Hz,1H,Ar-H),7.18-7.12(m,2H,Ar-H),7.10(t,J=2.4Hz,1H,Ar-H),6.85(dd,J=0.9及び7.9Hz,1H,Ar-H),6.68(dt,J=0.9及び7.0Hz,1H,Ar-H),5.65(brs,2H,NH)。
【0128】
実施例13
2-アミノ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:上記に示された手順に従って、化合物を収率85%で灰色固体として得た(反応時間 1.5時間)。融点105.3~105.4℃。H NMR(200MHz,DMSO-d):δ 10.75(bs,1H,NH),7.40-7.60(m,3H,Ar-H),7.20-7.00(m,3H,Ar-H),6.70(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),6.50(t,J=8.0Hz,1H,Ar-H),5.95(bs,2H,NH)。
【0129】
実施例14
2-アミノ-N-[4-(メチルチオ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:対応する式2aのニトロ誘導体(0.20g、0.62mmol)を8N HCl(9.0mL)に攪拌した懸濁液に、8N HCl(2.0mL)に溶解したSnCl・2HO(0.42g、1.85mmol)を一度に添加し、この混合物を2時間還流した。pH6に到達するまで10% NaOHを添加し、このようにして得られた沈殿物を濾過し、CHClで3回(3×15mL)洗浄した。画分(fractions)を回収し、溶媒を乾燥及び蒸発乾固させて、アミノ誘導体(0.10g、収率50%)を粗固体として得、そのまま次の反応工程に使用した。融点94.1~94.3℃。H NMR(200MHz,CDCl):δ 7.40(dd,J=1.5及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.27-7.20(m,1H,Ar-H),6.75(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),7.10-6.90(m,2H,Ar-H),6.80-6.90(m,2H,Ar-H),6.75-6.55(m,3H,Ar-H及びNH),4.75(bs,2H,NH)。
【0130】
実施例15
2-アミノ-5-フルオロ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:上記に示された手順に従って、化合物を収率87%で淡橙色(pale orange)固体として得た(反応時間 1時間、精製方法:シクロヘキサンによるトリチュレーション(trituration))。融点115~117℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.60(bs,2H,NH),6.70(dd,J=4.3及び8.8Hz,1H,Ar-H),7.05(dt,J=2.9及び8.7Hz,1H,Ar-H),7.15(d,J=8.4Hz,2H,Ar-H),7.30(dd,J=2.9及び7.9Hz,1H,Ar-H),7.45(d,J=8.4Hz,2H,Ar-H)。
【0131】
実施例16
2-アミノ-N-(3-ブロモフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Abramovitch, R. A. et al., J. Org. Chem. 1977, 42, 2914-2919に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0132】
実施例17
2-アミノ-N-(4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Ramirez-Martinez, J. F. et al., Molecules, 2013, 18, 894-913に報告された手順に従って調製した。スペクトルデータは、文献に報告されたスペクトルデータと一致している。
【0133】
実施例18
2-アミノ-N-(4-クロロフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Ramirez-Martinez, J. F. et al., Molecules, 2013, 18, 894-913に報告された手順に従って調製した。スペクトルデータは、文献に報告されたスペクトルデータと一致している。
【0134】
実施例19
2-アミノ-N-(2-ブロモフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Giannotti, D. et al., J. Med. Chem. 1991, 34, 1356-1362に報告された手順に従って調製した。スペクトルデータは、文献に報告されたスペクトルデータと一致している。
【0135】
実施例20
2-アミノ-N-(3-クロロフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、PCT WO 96/05185に報告された手順に従って調製した。融点及びスペクトルデータは、文献に報告された融点及びスペクトルデータと一致している。
【0136】
実施例21
2-アミノ-N-(4-ブロモフェニル)ベンゼンスルホンアミド:中間体を、Ramirez-Martinez, J. F. et al., Molecules, 2013, 18, 894-913に報告された手順に従って調製した。スペクトルデータは、文献に報告されたスペクトルデータと一致している。
【0137】
実施例22
2-アミノ-5-メトキシ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド。上記に示された手順に従って、化合物を収率73%で茶色固体として得た(反応時間 12時間、精製方法:EtOによるトリチュレーション)。融点150~152℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.64(s,3H,OCH),5.38(bs,2H,NH),6.52(d,J=8.4Hz,1H,H-3),6.66-6.69(m,1H,H-4),6.82(d,J=8.0Hz,2H,H-2’及びH-6’),7.15-7.21(m,3H,H-6、H-3’及びH-5’),7.97(s,1H,NH)。
【0138】
式5aの6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシドを得るための一般的手順(スキーム1):式3aのアミノベンゼンスルホンアミド(1当量)、NaOH(1.2当量)及びNaNO(1.2当量)を水に混合し、得られた溶液を37% HCl(6当量)に滴下し、0℃に保持した。この泥状(muddy)混合物をガラス棒で30分間混合し、β-ナフトールアッセイによってジアゾニウム塩の形成を確認した。次いで、この赤色混合物をHOで希釈し、pH=5になるまでAcONa粉末で処理し、このようにして得られた橙色固体を濾過し、シクロヘキサンで処理して、式4aの不安定な粗固体を得た。非常に不安定であるため、この固体を、直ちに、DMSOにCu(質量(mass weight)の5%)粉末を攪拌した懸濁液に一部ずつ(portion wise)添加した。30分後、反応混合物をCeliteで濾過してCu粉末を除去し、濾液を氷/水中に注ぎ、2N HClでpH=4まで酸性にして沈殿物を得、真空下で濾過して、式5aの中間体化合物を得た。
【0139】
実施例23
9-ブロモ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率70%で茶色固体として得、そのまま次の反応工程に使用した。融点229~231℃。H NMR(200MHz,DMSO-d):δ 11.50(bs,1H,NH),8.37(d,J=2.3Hz,1H,Ar-H),8.25(d,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.90(dd,J=1.3及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.76(dt,J=1.4及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.66(dd,J=1.1及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.59(dd,J=2.1及び8.6Hz,1H,Ar-H),7.55-7.80(m,3H,H-2,H-3及びH-8),7.10(d,J=8.6Hz,1H,H-7)。
【0140】
実施例24
9-クロロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 98:2)による精製後、化合物を収率26%で茶色固体として得た(反応時間 2時間)。融点231.4~231.5℃。H NMR(200MHz,DMSO-d):δ 11.50(bs,1H,NH),8.29-8.25(m,2H,Ar-H),7.89(dd,J=1.5及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.75(dt,J=1.5及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.62(dt,J=1.0及び9.0Hz,1H,Ar-H),7.48(dd,J=2.3及び7.2Hz,1H,Ar-H)。
【0141】
実施例25
9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率66%で茶色固体として得た(反応時間 1時間)。融点235~237℃。H-NMR(200MHz,CDCl):δ 8.22(brs,1H,Ar-H),8.03-7.98(m,2H,Ar-H),7.80-7.74(m,2H,Ar.H),7.64-7.57(m,2H,Ar-H),7.20(brs,1H,NH)。
【0142】
実施例26
9-(メチルチオ)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 98:2)による精製後、化合物を収率25%で淡茶色(pale brown)固体として得た(反応時間 2時間)。融点211.4~211.6℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 11.29(brs,1H,NH),8.25(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),8.00(brs,1H,Ar-H),7.87(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.85(t,J=7.3Hz,1H,Ar-H),7.61(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.34(d,J=8.5Hz,1H,Ar-H),7.09(d,J=8.5Hz,1H,Ar-H)。
【0143】
実施例27
9-メトキシ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 97:3)による精製後、化合物を収率41%で淡茶色固体として得た(反応時間:30分)。融点198~202℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d)δ 10.97(brs,1H,NH),8.25(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.85(dd,J=1.4及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.75(dt,J=1.4及び7.55Hz,1H,Ar-H),7.68-7.55(m,2H,Ar-H),7.13-6.95(m,2H,Ar-H),3.80(s,3H,CH)。
【0144】
実施例28
7-ブロモ-6H-ジベンゾ-[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率78%で黄色固体として得た。融点188.2~188.4℃(dec.)。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ 10.80(brs,1H,NH),8.25-8.30(m,2H,Ar-H),7.95(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.85-7.80(m,2H,Ar-H),7.72(t,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.36(t,J=7.9,1H,Ar-H)。
【0145】
実施例29
8,10-ジクロロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率77%で黄色固体として得た。融点190.0~191.0℃(dec.)。H-NMR(200MHz,アセトン-d):δ 10.25(brs,1H,NH),8.58(dd,J=1.7及び7.8Hz,1H,Ar-H),7.95(dd,J=1.5及び7.3Hz,1H,Ar-H),7.83-7.65(m,2H,Ar-H),7.48(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),7.32(J=2.1Hz,1H,Ar-H)。
【0146】
実施例30
3-フルオロ-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率83%で淡茶色固体として得た。融点195~197℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 7.35(d,J=8.4Hz,1H,H-7),7.70(dt,J=2.7及び8.7Hz,1H,H-2),7.80(d,J=8.5Hz,1H,H-8),7.85(dd,J=2.6及び7.6Hz,1H,H-4),8.50(dd,J=4.8及び8.9Hz,1H,H-1),8.55(s,1H,H-10),12.10(bs,1H,NH)。
【0147】
実施例31
8-ブロモ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド及び10-ブロモ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、分離が困難な2つの位置異性体の混合物を得、この粗製物を、さらなる精製をすることなく次の反応工程に使用した。
【0148】
実施例32
8-クロロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド及び10-クロロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、分離が困難な2つの位置異性体の混合物を得、この粗製物を、さらなる精製をすることなく次の反応工程に使用した。
【0149】
実施例33
8-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド及び10-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、分離が困難な2つの位置異性体の混合物を得、この粗製物を、さらなる精製をすることなく次の反応工程に使用した。
【0150】
実施例34
8-クロロ-9-フルオロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド及び10-クロロ-9-フルオロ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、分離が困難な2つの位置異性体の混合物を得、この粗製物を、さらなる精製をすることなく次の反応工程に使用した。
【0151】
実施例35
3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド:上記に示された一般的手順に従って、対応する式3aのアミノ-ベンゼンスルホンアミドから出発して、化合物を収率40%で茶色固体として得た。融点198~200℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 3.84(s,3H,OCH),7.30-7.43(m,3H,Ar-H),7.75(d,J=7.2Hz,1H,Ar-H),8.37(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),8.49(s,1H,Ar-H),11.78(s,1H,NH)。
【0152】
式6aの6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド N-6エチルアセテートを得るための一般的手順(スキーム1):マイクロ波反応チューブ内で、式5aの適切な化合物(1当量)、ブロモ酢酸エチル(1当量)及びDIPEA(3当量)の乾燥DMF(5mL)の溶液を、以下の実験パラメーターを設定して、50℃で15分間照射した:圧力5bar、クーリングオフ(cooling off)、FHTオン(FHT on)、非常に高い溶媒吸収。このピッチ状(pitchy)混合物を氷水中に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせてブライン(飽和食塩水)で洗浄し、乾燥し、蒸発乾固して、粗スラリー塊(crude slurry mass)を得、EtOHでトリチュレーションして沈殿物を得て、これを濾過して所望の化合物を得た。
【0153】
実施例36
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率75%でピンク色(pink)固体として得た。融点89~91℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 8.40(d,J=2.3Hz,1H,Ar-H),8.26(d,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.90-7.60(m,4H,Ar-H),7.40(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),4.77(s,2H,NCH),3.90(q,J=7.0Hz,2H,OCHCH),0.80(t,J=7.0Hz,3H,OCHCH)。
【0154】
実施例37
(9-クロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率86%で茶色固体として得た。融点102.8~102.9℃。H-NMR(200MHz,CDCl):δ 8.47-7.99(m,3H,Ar-H),7.64(dt,J=1.5及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.53(dt,J=1.2及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.34(dd,J=2.3及び8.7Hz,1H,Ar-H),7.17(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),4.59(s,2H,NCH),3.96(q,J=7.2Hz,2H,OCHCH),1.00(t,J=7.2Hz,3H,OCHCH)。
【0155】
実施例38
[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率80%で淡茶色固体として得た。融点101~103℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 8.60(brs,1H,Ar-H),8.35(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),8.00-7.75(m,3H,Ar-H),7.74-7.65(m,2H,Ar-H),4.91(s,2H,NCH),3.92(q,J=7.4Hz,2H,OCHCH),0.92(t,J=7.4Hz,3H,OCHCH)。
【0156】
実施例39
[9-(メチルチオ)-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率73%でやや黄色い(yellowish)固体として得た。融点103~105℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 8.02-7.91(m,3H,Ar-H),7.75(t,J=7.9Hz,1H,Ar-H),7.61(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.45-7.35(m,1H,Ar-H),7.26-7.23(m,1H,Ar-H),4.66(s,2H,NCH),4.05(q,J=6.9Hz,2H,OCHCH),2.57(s,3H,SCH),1.07(t,J=6.9Hz,3H,OCHCH)。
【0157】
実施例40
(9-メトキシ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率85%で茶色固体として得た。融点101~104℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 8.26(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),7.88-7.74(m,2H,Ar-H),7.70-7.62(m,2H,Ar-H),7.49(d,J=8.9Hz,1H,Ar-H),7.12(dd,J=2.7及び8.9Hz,1H,Ar-H),4.75(s,2H,NCH),3.94-3.77(m,5H,OCH及びOCHCH),0.90(t,J=7.0Hz,3H,OCHCH)。
【0158】
実施例41
(7-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、EtOHによる結晶化後、化合物を収率50%でピンク色固体として得た。融点169~171℃。H-NMR(400MHz,CDCl)δ 7.96-7.90(m,3H,Ar-H),7.75-7.67(m,2H,Ar-H),7.58(t,J=7.8,1H,Ar-H),7.30(t,J=7.9Hz,1H,Ar-H),4.73(s,2H,NCH),3.80(q,J=7.1Hz,2H,OCHCH),1.00(t,J=7.1Hz,3H,OCHCH)。
【0159】
実施例42
(8,10-ジクロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、収率90%でピンク色固体として得た。融点172~173℃。H-NMR(200MHz,CDCl)δ 8.49(dd,J=1.3及び7.9Hz,1H,Ar-H),7.90(dd,J=1.8及び7.6Hz,1H,Ar-H),7.70-7.55(m,2H,Ar-H),7.10(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),4.51(s,2H,NCH),4.02(q,J=7.2Hz,2H,OCHCH),1.05(t,J=7.2Hz,3H,OCHCH)。
【0160】
実施例43
[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、収率85%で淡茶色固体として得た。融点175~177℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.10(t,J=7.2Hz,3H,OCHCH),4.10(q,J=7.2Hz,2H,OCHCH),4.75(s,1H,NCH),7.35(d,J=8.5Hz,1H,H-7),7.45(dt,J=2.7及び8.3Hz,1H,H-2),7.60-7.70(m,2H,H-4及びH-8),8.00(dd,J=4.6及び8.8Hz,1H,H-1),8.20(s,1H,H-10)。
【0161】
実施例44
[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチル:上記に示された一般的手順に従って、対応する式5aのジベンゾチアジンから出発して、化合物を収率86%でピンク色固体として得た。融点190~192℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.03(t,J=7.0Hz,3H,OCHCH),3.95(s,3H,OCH),3.98(q,J=7.4Hz,2H,OCHCH),4.93(s,2H,NCH),7.42-7.45(m,2H,H-2及びH-4),7.73(d,J=8.6Hz,1H,H-7),7.85(d,J=8.4Hz,1H,H-8),8.38(d,J=8.4Hz,1H,H-1),8.54(s,1H,H-10)。
【0162】
実施例45
N-[2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)エチル]シクロヘキサンアミン(SM9)。マイクロ波反応チューブ内で、式5aの適切な化合物(0.6g、1.9mmol)、N-(2-クロロエチル)シクロヘキサンアミン(0.31g、1.9mmol)及びDIPEA(0.66mL、3.8mmol)の乾燥DMF(4mL)の溶液を、以下の実験パラメーターに設定して、70℃で60分間照射した:圧力5bar、クーリングオフ、FHTオン、非常に高い溶媒吸収。残渣を氷水中に注ぎ、2N HClでpH3まで酸性にし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発乾固して、粗スラリー塊を得、CHCl/MeOH(97:3)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標的化合物SM9(0.65g、79%)を低融点の淡茶色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.13(d,J=2.2Hz,1H,Ar-H),7.99(dd,J=1.1及び7.7Hz,1H,H-4),7.92(d,J=7.2Hz,1H,Ar-H),7.73(dt,J=1.3及び7.8Hz,1H,Ar-H),7.64-7.58(m,2H,Ar-H),7.40(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),4.00(t,J=6.7Hz,2H,SONCH),2.85(t,J=6.7Hz,2H,NCH),2.40-2.25(m,1H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.25-1.00(m,4H,Cy-CH),1.00-0.80(m,2H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 137.58,135.22,133.05,132.42,131.16,128.95,128.45,127.15,125.68,123.56,122.51,118.59,56.17,49.17,44.52,32.97,25.87,24.72。HRMS(ESI) C2023BrNS [M+H]の計算値(calcd.):435.0739、実測値(found):435.0735。LC-MS:保持時間(ret. time)4.075。
【0163】
実施例46
(R,S)-3-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-1-シクロヘキシルピロリジン-2-オン(SM11)。化合物SM9について記載した上記の手順に従って、3-ブロモ-1-シクロヘキシル-2-ピロリジノンを用いて37、標題化合物を、シクロヘキサン/EtOAc(6:4)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、続いて石油エーテル/EtOでトリチュレーションして、標的ラセミ化合物SM11を収率70%で白色固体として得た。融点177~179℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.42(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),8.28(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.91(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.85(t,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.75-7.70(m,2H,Ar-H),7.30(d,J=8.6Hz,1H,H-7),7.37(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),),4.90(t,J=9.4Hz,2-ピロリドン-CH),3.75-3.55(m,1H,Cy-CH),3.20-3.00(m,2H,2-ピロリドン-CH),2.10-2.00(m,1H,2-ピロリドン-CH),1.75-1.48(m,6H,Cy-CH及び2-ピロリドン-CH),1.40-1.00(m,5H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 168.65,136.83,135.87,133.56,133.48,131.05,130.15,129.38,128.95,127.40,126.72,122.36,119.96,62.56,51.37,25.45,25.38,25.33,25.19,22.83。HRMS(ESI) C2223BrNS:[M+H]の計算値:475.0692、実測値:475.03691。LC-MS:保持時間6.015。
【0164】
実施例47
3-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)プロパン酸メチル:式5aの適切な化合物(0.300g、0.92mmol)の乾燥THF(12mL)の溶液に、商業用3-ヒドロキシプロパン酸メチル(0.12mL、1.3mmol)及びPPh(0.33g、1.3mmol)を添加し、この溶液を25℃で7分間超音波処理した。次いで、DEAD(0.20mL、1.3mmol)を滴下し、この溶液を25℃で18時間超音波処理した(TLCにより約70%の変換が観察された)。この混合物を減圧下で濃縮し、氷水中に注ぎ、残存している出発物質を除去するために10% NaOH水溶液でpH10まで塩基性にし、そしてEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発乾固した。得られた茶色油をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 7:3)によって精製した後、EtOでトリチュレーションして、式6aの所望の標題化合物(0.100g、30%)を白色固体として得た。融点101~103℃。H NMR(200MHz,CDCl):δ 8.10(d,J=2.3Hz,1H,Ar-H),7.94-7.83(m,2H,Ar-H),7.70(dt,J=1.5及び7.4Hz,2H,Ar-H),7.60-7.50(m,2H,Ar-H),7.28(d,J=8.8Hz,1H,Ar-H),4.10(t,J=7.4Hz,2H,NCH),3.50(s,3H,CH),2.50(t,J=7.4Hz,2H,CH)。
【0165】
式6aの化合物をシクロヘキシルアミンで直接アミド化して、式8aの標的化合物を得るための一般的手順(スキーム1):電子レンジを用いて、適切なジベンゾチアジンエチルアセテート(dibenzothiazine ethyl acetate)又は実施例44における一般式6aの中間体(1当量)とシクロヘキシルアミン(4当量)との混合物を含むチューブを、以下の実験パラメーターを設定して、120℃で4時間照射した:圧力5bar、クーリングオフ、FHTオン、溶媒吸収ノーマル(solvent absorption normal)。残渣を氷水中に注ぎ、2N HClでpH3まで酸性にした。得られた沈殿物を濾過し、EtOHにより結晶化して、式8aの標的化合物を得た。
【0166】
実施例48
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM3):上述の一般的手順に従って、標題化合物を収率62%で白色固体として得た。融点211~213℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.20(brs,1H,Ar-H),8.00(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.87(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.75(t,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.73(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.57(d,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.12(d,J=8.7Hz,1H,H-7),6.54(d,J=7.0Hz,1H,NH),4.42(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),1.95-1.75(m,2H,Cy-CH),1.65-1.50(m,3H,Cy-CH),1.45-1.25(m,2H,Cy-CH),1.25-1.05(m,3H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 166.29,137.11,134.09,133.49,133.12,131.05,129.18,128.57,125.91,125.59,122.56,121.09,118.62,51.64,48.45,32.45,25.35,24.35。HRMS(ESI) m/z[M+H]2021BrNSの計算値:448.0535、実測値:448.0456。LC-MS:保持時間5.754。
【0167】
実施例49
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロペンチルアセトアミド(SM4):上述の一般的手順に従って、EtOHによる結晶化後、標題化合物を収率43%で白色固体として得た。融点192~194℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.19(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),8.04(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),7.99(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),7.80(dt,J=1.2及び7.6Hz,1H,Ar-H),7.69-7.61(m,2H,Ar-H),7.15(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),6.62(d,J=7.5Hz,1H,NH),4.46(s,2H,NCH),4.31-4.24(m,1H,シクロペンチル-CH),2.00-1.92(m,2H,シクロペンチル-CH),1.70-1.55(m,4H,シクロペンチル-CH),1.45-1.30(m,2H,シクロペンチル-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ166.76,137.03,134.04,133.49,133.14,131.00,129.20,128.57,125.90,125.53,122.53,121.04,118.61,51.60,51.49,32.80,23.45。HRMS(ESI) m/z[M+H]1919BrNSの計算値:435.0379、実測値:435.03733。LC-MS:保持時間5.434。
【0168】
実施例50
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘプチルアセトアミド(SM5):上述の一般的手順に従って、EtOHによる結晶化後、標題化合物を収率51%で白色固体として得た。融点208~210℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.18(d,J=1.8Hz,1H,Ar-H),8.03(d,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.98(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),7.80(t,J=7.6Hz,1H,H-2),7.70-7.60(m,2H,Ar-H),7.15(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),6.60(d,J=7.5Hz,1H,NH),4.45(s,2H,NCH),4.20-3.95(m,1H,シクロヘプチル-CH),1.90-177(m,2H,シクロヘプチル-CH),1.70-1.30(m,10H,シクロヘプチル-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 166.01,137.08,134.08,133.47,133.13,131.04,129.18,128.57,125.92,125.55,122.55,121.04,118.60,51.60,50.63,34.59,27.84,23.72。HRMS(ESI) m/z[M+H]2123BrNSの計算値:463.0689、実測値:463.0688。LC-MS:保持時間6.018。
【0169】
実施例51
3-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルプロパンアミド(SM10)。上述の一般的手順に従って、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 7:3)による精製後、標題化合物を収率34%で白色固体として得た。融点114~116℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.13(brs,1H,Ar-H),8.00(d,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.90(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.75(t,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.65-7.60(m,2H,Ar-H),7.42(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),5.55(d,J=6.4Hz,1H,NH),4.15(t,J=6.6Hz,2H,NCH),3.75-3.60(m,1H,Cy-CH),2.60(t,J=6.6Hz,2H,CH),1.85-1.53(m,5H,Cy-CH),1.50-1.10(m,5H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 168.33,137.37,134.19,132.91,132.21,130.81,128.46,127.79,126.07,125.26,123.13,122.13,118.23,47.96,45.98,36.49,32.36,24.90,24.18。HRMS(ESI) C2123BrNS [M+H]の計算値:463.0689、実測値:463.0693。LC-MS:保持時間4.772。
【0170】
実施例52
2-(9-クロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM254):上述の一般的手順に従って、EtOHによる結晶化後、標題化合物を収率60%で白色固体として得た。融点218~220℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.02-7.95(m,2H,Ar-H),7.92(d,J=8.1Hz,1H,Ar-H),7.75(dt,J=1.2及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.63(dt,J=0.8及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.43(dd,J=2.2及び8.7Hz,1H,Ar-H),7.18(d,J=8.7Hz,1H,H-7),6.53(d,J=7.0Hz,1H,NH),4.42(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),1.90-1.75(m,2H,Cy-CH),1.65-1.50(m,4H,Cy-CH),1.40-1.25(m,2H,Cy-CH),1.25-1.05(m,2H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 166.29,136.69,134.16,133.08,131.17,131.11,130.58,129.16,125.88,125.61,125.32,122.58,120.97,51.75,48.45,32.45,25.34,24.32。HRMS(ESI) m/z[M+H]2021ClNSの計算値:405.1039、実測値:404.1032。LC-MS:保持時間6.492分。
【0171】
実施例53
N-シクロヘキシル-2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM231):上述の一般的手順に従って、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 7:3)による精製後、標題化合物を収率70%で白色固体として得た。融点225~226℃。H-NMR(200MHz,CDCl):δ 8.29(brs,1H,Ar-H),8.03(d,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.81(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.75-7.65(m,2H,Ar-H),7.35(d,J=8.4Hz,1H,Ar-H),6.57(brs,1H,NH),4.52(s,2H,NCH),3.85-3.75(m,1H,Cy-CH),1.85-1.75(m,2H,Cy-CH),1.65-1.48(m,3H,Cy-CH),1.40-1.25(m,2H,Cy-CH),1.20-1.10(m,3H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 166.04,140.60,134.01,133.29,131.16,129.36,127.33(q,JC-F=33.1Hz,C-9),127.32(d,JC-F=3.5Hz,C-10),126.02,123.86,123.63(q,JC-F=270.7Hz,CF),122.96(d,JC-F=3.8Hz,C-8),119.49,51.25,48.55,32.43,25.32,24.33。HRMS(ESI) m/z[M+Na]2121Sの計算値:461.1118、実測値:461.1124。LC-MS:保持時間4.688分。
【0172】
実施例54
N-シクロヘキシル-2-[9-(メチルチオ)-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM340):上述の一般的手順に従って、EtOHによる結晶化後、標題化合物を収率63%で白色固体として得た。融点178~180℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.03-7.98(m,2H,Ar-H),7.92(d,J=1.6Hz,1H,Ar-H),7.78(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.64(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.39(dd,J=1.9及び8.6Hz,1H,Ar-H),7.20(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),6.60(d,J=7.5Hz,1H,NH),4.44(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),2.58(s,3H,SCH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,3H,Cy-CH),1.40-1.25(m,2H,Cy-CH),1.20-1.10(m,3H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 166.60,135.92,135.61,134.20,132.99,131.79,129.14,128.79,125.81,124.44,124.07,122.59,120.25,51.84,48.39,32.46,25.35,24.35,16.44。HRMS(ESI) m/z[M+H]2124の計算値:417.1309、実測値:417.1305。LC-MS:保持時間5.403分。
【0173】
実施例55
N-シクロヘキシル-2-(9-メトキシ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)アセトアミド(SM225):上述の一般的手順に従って、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 7:3)による精製後、標題化合物を収率45%で白色固体として得た。融点216~217℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 7.99-7.93(m,2H,Ar-H),7.74(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.59(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.49(d,J=2.6Hz,1H,Ar-H),7.20(d,J=8.9Hz,1H,Ar-H),7.02(dd,J=2.7及び8.9Hz,1H,Ar-H),6.59(d,J=7.8Hz,1H,NH),4.32(s,2H,NCH),3.88-3.75(m,4H,OCH,及びCy-CH),1.85-1.75(m,2H,Cy-CH),1.65-1.50(m,3H,Cy-CH),1.35-1.25(m,2H,Cy-CH),1.20-1.10(m,3H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 166.82,157.36,134.29,132.96,132.22,131.86,128.76,125.87,125.50,122.84,121.68,116.50,110.77,55.78,52.75,48.27,32.52,25.39,24.43。HRMS(ESI) m/z[M+H]2124Sの計算値:401.1539、実測値:401.1533。LC-MS:保持時間5.544分。
【0174】
実施例56
2-(7-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM227):上述の一般的手順に従って、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 6:4)による精製後、標題化合物を収率40%で白色固体として得た。融点159~160℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d)δ 8.15(d,2H,H-4及びH-8),7.70-7.85(m,4H,H-1,H-9,H-10及びNH),7.55-7.70(t,J=7.4Hz,1H,H-2),7.40(t,J=7.9Hz,1H,H-3),4.40(brs,2H,NCH),3.00-3.10(m,1H,シクロヘキシルCH),0.60-1.60(m,10H,シクロヘキシルCH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 165.51,139.33,134.86,133.55,133.17,132.58,130.40,129.51,129.50,126.35,125.40,125.09,121.45,54.69,48.36,32.70,25.52,25.40。HRMS(ESI) m/z[M+H]2021BrNSの計算値:448.0539、実測値:448.0267。LC-MS:保持時間4.10分。
【0175】
実施例57
2-(8-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM228)及び2-(10-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM229):上述の一般的手順に従って、式6aの2つの位置異性体の混合物をシクロヘキシルアミンと反応させて、式8aの2つの位置異性体を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 98:2)によって分離し、各化合物をさらにEtOHによる結晶化によって精製して、標的化合物SM228(TLCによるR>)及びSM229(TLCによるR<)を得た。
【0176】
SM228:収率8%:融点184~185℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.10-7.80(m,3H,Ar-H),7.82(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),7.65(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.52(dd,J=1.5及び8.5 1H,Ar-H),7.40(brs,1H,Ar-H),6.55(d,J=8.0Hz,1H,NH),4.50(s,2H,NCH),4.00-3.75(m,1H,Cy-CH),2.00-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,2H,Cy-CH),1.45-1.00(m,6H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 165.60,140.02,134.99,133.22,131.50,129.45,128.16,127.94,126.66,123.86,123.82,123.30,121.76,50.06,48.12,32.67,25.53,24.76。HRMS(ESI) m/z[M+Na]2021BrNSの計算値:471.0354、実測値:471.041。LC-MS:保持時間12.592分。
【0177】
SM229:収率21%:融点211~212℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.62(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),8.00(dd,J=1.4及び7.8Hz,1H,Ar-H),7.75-7.65(m,4H,Ar-H),7.28-7.24(m,2H,Ar-H),6.50(d,J=8.1Hz,1H,NH),4.40(s,2H,NCH),3.80-3.70(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,2H,Cy-CH),1.45-1.00(m,6H,Cy-CH)。NMR COSYスペクトルは、2つの関連するNOEクロスピークを示した:H-9(δ7.70,dd)→H-8(δ7.32,t),H-9→H-7(δ7.28,dd)。NMR NOESYスペクトルは、1つの関連するNOEクロスピークを示した:H-8→NCH13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 165.49,140.92,134.85,131.81,131.48,131.19,131.13,130.37,129.41,125.44,121.64,121.38,120.59,50.77,48.11,32.66,25.52,24.76。HRMS(ESI) m/z[M+Na]2021BrNSの計算値:471.0354、実測値:471.0407。LC-MS:保持時間12.893分。
【0178】
実施例58
2-(8-クロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM586)及び2-(10-クロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM585):上述の一般的手順に従って、式6aの2つの適切な位置異性体の混合物をシクロヘキシルアミンと反応させて、式8aの2つの位置異性体を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 98:2)によって分離し、各化合物をさらにEtOHによる結晶化によって精製して、標的化合物SM586(TLCによるR>)及びSM585(TLCによるR<)を得た。
【0179】
SM586:収率18%:融点193~195℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.02-7.90(m,3H,Ar-H),7.74(dt,J=1.2及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.60(dt,J=0.7及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.33(dd,J=2.0及び8.2Hz,1H,Ar-H),7.28(d,J=2.0Hz,1H,Ar-H),6.50(d,J=7.5Hz,1H,NH),4.49(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.45-1.35(m,2H,Cy-CH),1.20-1.05(m,2H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 166.05,139.07,136.51,133.87,133.07,131.56,128.74,126.80,125.71,125.68,122.52,122.41,119.71,51.57,48.41,32.41,25.36,24.30。HRMS(ESI) m/z[M+H]2021ClNSの計算値:405.1039、実測値:405.1037。LC-MS:保持時間5.628分。
【0180】
SM585:収率15%:融点200~202℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.60(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),7.95(dd,J=1.2及び8.5Hz,1H,Ar-H),7.70(dt,J=1.3及び8.5Hz,1H,Ar-H),7.59(dd,J=1.2及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.43(dd,J=1.1及び8.1Hz,1H,Ar-H),7.34(t,J=8.1Hz,1H,Ar-H),7.20(dd,J=1.1及び8.1Hz,1H,Ar-H),6.35(d,J=7.0Hz,1H,NH),4.48(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.45-1.35(m,2H,Cy-CH),1.20-1.05(m,2H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 166.25,139.99,135.69,132.59,131.57,130.35,130.16,130.02,128.78,128.70,123.48,122.29,118.69,52.15,48.38,32.45,25.34,24.33。HRMS(ESI) m/z[M+H]2021ClNSの計算値:405.1039、実測値:405.1037。LC-MS:保持時間5.631分。
【0181】
実施例59
N-シクロヘキシル-2-[5,5-ジオキシド-8-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM338)及びN-シクロヘキシル-2-[5,5-ジオキシド-10-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM339):上述の一般的手順に従って、式6aの2つの適切な位置異性体の混合物をシクロヘキシルアミンと反応させて、式8aの2つの位置異性体を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 99:1)によって分離し、各化合物をさらにEtOHによる結晶化によって精製して、標的化合物SM338(TLCによるR>)及びSM339(TLCによるR<)を得た。
【0182】
SM338:収率40%:融点230~232℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.20-8.10(d,J=8.2Hz,1H,Ar-H),8.05-7.98(m,2H,Ar-H),7.78(dt,J=1.5及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.78(dt,J=1.5及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.69(dt,J=1.3及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.65(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),7.50(brs,1H,Ar-H),6.50(d,J=6.9Hz,1H,NH),4.48(s,2H,NCH),3.90-3.75(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.45-1.35(m,2H,Cy-CH),1.20-1.05(m,2H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 165.86,138.57,134.66,133.16,132.50(q,JC-F=33.1Hz,C-8),131.11,129.58,127.08,126.42,126.27,123.79(q,JC-F=271.0Hz,CF),122.59,121.89(q,JC-F=5Hz,C-9),116.83(q,JC-F=6Hz,C-7),51.71,48.44,32.40,25.33,24.33。HRMS(ESI) m/z[M+H]2121Sの計算値:439.1303、実測値:439.1296。LC-MS:保持時間6.892分。
【0183】
SM339:収率26%:融点211~212℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.03-7.95(m,2H,Ar-H),7.82-7.58(m,4H,Ar-H),7.51(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),6.35(d,J=8.0Hz,1H,NH),4.40(s,2H,NCH),4.00-3.75(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.45-1.05(m,4H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,CDCl):δ 168.08,140.01(brs,C-6a),139.80,134.90,134.32,132.30,130.56,127.7(d,JC-F=2.0Hz,C-8),124.57,122.30(q,JC-F=29.0Hz,C-10),119.60(q,JC-F=270.1Hz,CF),117.80(q,JC-F=3.1Hz,C-9),115.85(q,JC-F 2.0Hz,C-10a),115.09,52.02,49.50,32.40,26.28,24.12。HRMS(ESI) m/z[M+H]2121Sの計算値:439.1303、実測値:439.1298。LC-MS:保持時間6.598分。
【0184】
実施例60
2-(8-クロロ-9-フルオロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM336)及び2-(10-クロロ-9-フルオロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM337):上述の一般的手順に従って、式6aの2つの適切な位置異性体の混合物をシクロヘキシルアミンと反応させて、式8aの2つの位置異性体を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 7:3)によって分離した後、EtOHにより結晶化して、標的化合物SM336(TLCによるR>)及びSM337(TLCによるR<)を得た。
【0185】
SM336:収率21%:融点211~213℃。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ 7.96(dd,J=1.5及び7.0Hz,1H,Ar-H),7.8(d,J=8.2Hz,1H,Ar-H),7.78-7.70(m,2H,Ar-H),7.61(dt,J=1.4及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.33(d,J=6.4Hz,1H,Ar-H),6.4(d,J=9.0Hz,1H,Ar-H),4.35(s,2H,NCH),3.80-3.70(m,1H,Cy-CH),1.85-1.75(m,2H,Cy-CH),1.75-1.45(m,2H,Cy-CH),1.45-1.00(m,6H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 165.59,154.86(d,JC-F=243.0Hz,C-9),136.05(d,JC-F=2.6Hz,C-6a),135.17,133.19,130.80,130.05,127.16,125.69(d,JC-F=8.0Hz,C-10a),123.97,121.84,121.29(d,JC-F=20.0Hz,C-8),113.96(d,JC-F=24.0Hz,C-10),50.97,48.12,32.62,25.51,24.73。HRMS(ESI) m/z[M+H]2020ClFNSの計算値:423.0946、実測値:423.0938。LC-MS:保持時間6.560分。
【0186】
SM337:収率53%:融点216~217℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.51(d,J=8.2Hz,1H,Ar-H),8.00(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.73(dt,J=1.2及び7.5Hz,1H,Ar-H),7.64(t,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.35-7.20(m,2H,Ar-H),6.25(d,J=7.1Hz,1H,NH),4.25(s,2H,NCH),3.80-3.70(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.40-1.00(m,4H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 166.08,156.77(d,JC-F=246.1Hz,C-9),135.85(brs,C-6a),135.81,131.72,129.99,129.81(d,JC-F=2.8Hz,C-10a),129.39,125.44,122.69,120.41(JC-F=8.1Hz,C-7),119.5(JC-F=20.1Hz,C-10),117.43(JC-F=24.0Hz,C-8),52.73,48.45,32.53,25.33,24.39。HRMS(ESI) m/z[M+H]2020ClFNSの計算値:423.0946、実測値:423.0938。LC-MS:保持時間6.520分。
【0187】
実施例61
N-シクロヘキシル-2-(8,10-ジクロロ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)アセトアミド(SM587):上述の一般的手順に従って、EtOHによる結晶化後、標題化合物を収率50%で白色固体として得た。融点212.0~213.0℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d)δ 8.50(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),7.97(dd,J=1.3及び7.8,Hz,1H,Ar-H),7.71(dt,J=1.4及び8.0Hz,1H,Ar-H),7.61(dt,J=0.9及び7.6,Hz,1H,Ar-H),7.45(d,J=2.0Hz,1H,Ar-H),7.22(d,J=2.0Hz,1H,Ar-H),6.28(d,J=7.6Hz,1H,NH),4.31(s,2H,NCH),3.80-3.70(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.75-1.50(m,4H,Cy-CH),1.40-1.00(m,4H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 165.74,140.50,135.53,135.44,133.58,131.78,129.81,129.75,129.03,128.46,122.36,122.06,119.02,52.00,48.47,32.46,25.32,24.37。HRMS(ESI) m/z[M+H]2020ClSの計算値:439.0649、実測値:439.0646。LC-MS:保持時間1.920分。
【0188】
実施例62
2-(5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(SM7):0℃に冷却した乾燥THF(1mL)にLiAlH(0.021g、0.55mmol)を懸濁した液に、SM3(0.100g、0.22mmol)の乾燥THF(4mL)の溶液をN下で滴下し、次いでこの混合物を50℃で2時間攪拌した。冷却し、EtOAc、続いてMeOHでクエンチした後、この混合物を氷水中に注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発乾固した。得られた粗無色油を、シクロヘキサン/EtOAc(7:3)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、SM7(0.040g、49%)を白色固体として得た。融点176~178℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.25-8.00(m,3H,Ar-H),7.77(dt,J=1.2及び8.4Hz,1H,Ar-H),7.62(t,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.51(dt,J=1.3及び8.6Hz,1H,Ar-H),7.39(dt,J=1.0及び8.4Hz,1H,Ar-H),7.25(dd,J=1.8及び7.2Hz,1H,Ar-H),6.60(brs,1H,NH),4.48(s,2H,N-CH),3.91-3.83(m,1H,Cy-CH),1.90-1.80(m,2H,Cy-CH),1.60-1.50(m,3H,Cy-CH),1.40-1.25(m,2H,Cy-CH),1.20-1.00(m,3H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 166.18,137.66,133.57,132.43,131.81,130.31,127.98,125.31,125.21,124.88,123.36,121.96,118.99,51.19,47.85,31.92,24.87,23.81。HRMS(ESI) C2022S [M+H]の計算値:371.1429、実測値:371.1397。LC-MS:保持時間5.212。
【0189】
実施例63
N-シクロヘキシル-2-(9-ヒドロキシ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)アセトアミド(SM226):Nフラックス下、標的化合物SM225(0.22g、0.55mmol)の乾燥CHCl(12mL)の溶液に、CHCl(2.75g、2.75mmol)中の1M BBrを-60℃で滴下し、次いで、この溶液を-30℃で12時間攪拌した。過剰のBBrをMeOH、HO及びNaHCO飽和溶液でクエンチした後、この混合物をpHまで2N HClで酸性にし、CHCl(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発乾固して、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 95:5)によって精製して、化合物SM226を収率88%で白色固体として得た:融点216~217℃。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ 9.77(s,1H,OH),8.15(d,J=8.9Hz,1H,Ar-H),7.90-7.74(m,3H,Ar-H及びNH),7.62(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.45(d,J=2.5Hz,1H,Ar-H),7.25(d,J=8.8Hz,1H,Ar-H),6.85(dd,J=2.6及び8.7Hz,1H,Ar-H),4.30(s,2H,NCH),3.40-3.30(m,1H,Cy-CH),1.75-1.40(m,5H,Cy-CH),1.30-0.90(m,5H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,DMSO-d):δ 166.19,154.95,143.08,135.01,133.28,132.00,129.29,126.41,126.31,123.94,121.99,118.10,111.45,51.74,48.13,32.38,25.31,24.59。HRMS(ESI) m/z[M+H]2022Sの計算値:387.1380、実測値:387.1372。LC-MS:保持時間4.691分。
【0190】
実施例64
N-シクロヘキシル-2-[9-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM230):標的化合物SM226(0.18g、0.47mmol)の乾燥DMF(7mL)の溶液に、CsCO(0.23g、0.70mmol)及び商業用1-クロロ-N,N-ジメチルエタンアミン塩酸塩(0.07g、0.47mmol)を添加し、この混合物を、磁気攪拌下、85℃で2時間維持した。この混合物を氷水中に注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発乾固して油を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 9:1)によって精製して、SM230を収率57%で低融点固体として得た:融点66~67℃。H-NMR(200MHz,DMSO-d):δ 8.23(d,J=8.1Hz,1H,Ar-H),7.90-7.65(m,3H,Ar-H及びNH),7.60-7.55(m,2H,Ar-H),7.28(d,J=8.9Hz,1H,Ar-H),7.10(dd,J=2.5及び9.0Hz,1H,Ar-H),4.40(s,2H,SON-CH),4.20(t,J=5.3Hz,2H,OCH),3.90-3.80(m,1H,Cy-CH),2.80(t,J=5.3Hz,2H,NCH),2.40(s,6H,NCH),1.75-1.40(m,5H,Cy-CH),1.30-0.90(m,5H,Cy-CH)。13C-NMR(100MHz,DMSO-d):δ 165.84,156.34,135.42,132.86,132.29,132.26,129.15,126.89,126.26,123.65,121.87,117.63,110.75,66.68,51.40,48.04,45.99,32.66,25.53,24.77。HRMS(ESI) m/z[M+H]2431Sの計算値:458.2200、実測値:458.2200。LC-MS:保持時間6.360分。
【0191】
以下に、スキーム1において式7aの化合物を作製するための実験手順を説明する。
【0192】
実施例65
式7aの2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸:10% NaOH水溶液(7mL)及びEtOH(7mL)に式6aの2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸エチル(実施例36;0.600g、1.5mmol)を攪拌した混合物を、30分間還流し、次いで冷却し、減圧下で濃縮し、氷水中に注ぎ、2N HClでpH2まで酸性にした。形成した沈殿物を濾過して、化合物(0.540g、96%)を白色固体として得、そのまま次の反応工程に使用した:融点207~209℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.40(d,J=2.2Hz,1H,Ar-H),8.31(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),7.91(dd,J=1.1及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.84(dt,J=1.3及び7.7Hz,1H,Ar-H),7.75-7.69(m,2H,Ar-H),7.45(d,J=8.7Hz,1H,H-7),4.80(s,2H,NCH)。
【0193】
実施例66
式7aの3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸:式6aの[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチル(実施例43;1.25g、3.09mmol)のジオキサン(25mL)の溶液に、1N LiOH一水和物の溶液(2.47mL)を添加した。この反応混合物を室温で10分間攪拌し、次いで氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=2)にした。形成した沈殿物を濾過し、乾燥して、所望の化合物を白色固体として得た(1.16g、96%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.70(s,1H,NCH),7.35(d,J=8.5Hz,1H,H-7),7.40-7.50(m,1H,H-2),7.60-7.65(m,1H,H-4),7.70(d,J=8.5Hz,1H,H-8),8.00(dd,J=4.5及び8.8Hz,1H,H-1),8.20(s,1H,H-10)。
【0194】
実施例67
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキソ-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6(5H)-イル)-N-フェニルアセトアミド(SM6)。一般式7aの2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(実施例65)(0.530g、1.44mmol)とSOCl(2mL)との混合物を、磁気攪拌下で1時間還流し、次いで過剰のSOClを蒸留によって除去し、残渣を乾燥トルエンで3回洗浄した。得られた塩化アシルを乾燥DMF(7mL)中に可溶化し、N雰囲気下、乾燥DMF(3mL)にアニリン(0.264mL、2.88mmol)及びEtN(0.401mL、2.88mmol)を攪拌した溶液に室温で滴下した。この混合物を磁気攪拌下に一晩置き、次いで氷水中に注ぎ、2N HClでpH3まで酸性にした。沈殿物を濾過し、CHClで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標的化合物SM6(0.150g、25%)を白色固体として得た:融点128~130℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.37(bs,1H,NH),),8.20(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),8.10(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),8.00(d,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.80(t,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.70(t,J=7.7Hz,1H,Ar-H),7.60(dd,J=2.2及び7.8Hz,1H,Ar-H),7.55-7.48(m,2H,Ar-H),7.35-7.30(m,2H,Ar-H),7.20(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.10(t,J=7.4Hz,1H,Ar-H),4.52(s,2H,CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 165.47,137.03,136.86,133.88,133.75,133.33,131.09,129.30,129.06,128.73,126.02,125.66,125.09,122.76,121.21,120.04,118.98,52.02。HRMS(ESI) m/z[M+H]2015BrNSの計算値:443.0069、実測値:443.0057。LC-MS:保持時間5.571。
【0195】
実施例68
2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)-N-シクロヘキシル-N-メチルアセトアミド。一般式7aの適切な化合物(2-(9-ブロモ-5,5-ジオキシド-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸;実施例65)(0.59g、1.6mmol)を、上記に示されたように塩素化し、対応する塩化アシルを乾燥DMF(8mL)中に可溶化し、N雰囲気下、N-メチルシクロヘキシルアミン(0.83mL、6.4mmol)の乾燥DMF(2mL)の溶液に室温で滴下した。この混合物を40℃で1.5時間加熱し、次いで氷水中に注ぎ、2N HClでpH3まで酸性にした。沈殿物を濾過し、CHClで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、続いて石油エーテル/EtOでトリチュレーションして、標的化合物SM8(0.197g、30%)を白色固体として得た:融点170~172℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):(回転異性体の混合物)δ 8.42(d,J=1.7Hz,1H,Ar-H),8.30(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),7.87(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),7.82(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.75-7.65(m,2H,Ar-H),7.43(t,J=8.9Hz,1H,H-7),4.97(s,0.88H,NCH),4.90(s,1.12H,NCH),4.00-3.90(m,0.54H,Cy-CH),3.60-3.50(m,0.46H,Cy-CH),2.80(s,1.68H、NCH),2.60(s,1.32H,NCH),1.75-0.95(m,10H,Cy-CH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):(回転異性体の混合物)δ 165.91,165.87,138.45,138.32,135.56,135.52,133.15,133.11,132.94,132.91,131.09,129.59,128.36,126.96,126.92,123.76,123.73,121.54,121.48,117.71,117.65,55.11,52.84,50.10,30.59,29.48,28.68,27.38,25.61,25.45,25.30,25.15。HRMS(ESI) C2123BrNS [M+H]の計算値:463.0692、実測値:463.0678。LC-MS:保持時間6.034。50℃でNMRスペクトルを記録した後、2つの回転異性体は崩壊して1つの分子になった。
【0196】
実施例69
【化27】
【0197】
2-(3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(7a(Int-1))及び2-(3-エトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(7a(Int-2)):10% NaOH水溶液(3mL)及びEtOH(3mL)に式6a(Int-1)の化合物(0.40g、0.99mmol)を攪拌した混合物を、30分間還流した。冷却後、有機溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=2)にした。形成した沈殿物を濾過して、TLC(CHCl:MeOH 8:2)における2つのスポットの存在によって強調されるように、2つの化合物7a(Int-1)及び7a(Int-2)の1:1比の混合物を得、H-NMRスペクトルによっても確認した。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.20(bs,0.5H,H-10),8.17(bs,0.5H,H-10),7.90(dd,J=5及び9Hz,0.5H,H-1),7.85(d,J=9Hz,0.5H,H-1),7.73-7.60(m,1H,H-4及びH-8),7.60(d,J=8.5Hz,0.5H,H-8),7.45(m,0.5H,H-2),7.40(s,0.5H,H-4),7.35(d,J=8Hz,0.5H,H-7),7.20-7.30(m,1H,H-2及びH-7),4.67(s,1H,N-CH),4.65(s,1H,N-CH),4.10(q,J=7.0Hz,1H,OCH),1.45(t,J=7.0Hz、1.5H,CH)。化合物7a(Int-1)及び7a(Int-2)を橙色固体として得、後続のアミド化工程においてそのまま使用した。
【0198】
実施例70
スキーム6:スキーム1に含まれない一般式7aの中間体に由来する標的化合物の調製
【0199】
【化28】
【0200】
N-シクロヘキシル-2-(3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)アセトアミド(SM882)及びN-シクロヘキシル-2-(3-エトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)アセトアミド(SM883):乾燥CHCl(3mL)に7a(Int-1)及び7a(Int-2)(0.50g、1.33mmol)、シクロヘキシルアミン(0.18mL、1.6mmol)、TBTU(0.55g、1.7mmol)並びにDIPEA(0.93mL、5.33mmol)を攪拌した混合物を、室温で1時間反応させた。次いで、溶媒を蒸発乾固させ、残渣を氷水中に注ぎ、得られた沈殿物を濾過し、粗製物をCHClで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、SM882(R>)及びSM883(R<)をそれぞれ得た。各化合物をEtOHによる結晶化によって精製して、以下を得た:
【0201】
SM882:白色固体(0.064g、14%)、融点232~233℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.10-1.20及び1.30-1.40(m,各2H,シクロヘキシルCH),1.50-1.70(m,4H,シクロヘキシルCH),1.80-1.90(m,2H,シクロヘキシルCH),3.85-3.95(m,1H,シクロヘキシルCH),4.55(s,1H,NCH),6.45(d,J=7.5Hz,1H,CONH),7.40(d,J=8.5Hz,1H,Ar-H),7.55(dt,J=2.6及び8.1Hz,1H,Ar-H),7.75-7.85(m,2H,Ar-H),8.10(dd,J=4.6及び8.9Hz,1H,Ar-H),8.30(s,1H,Ar-H)。13C NMR(101MHz,CDCl):δ 24.2,25.2,32.4,48.5,51.4,109.8(d,JC-F=25.4Hz),119.8,120.8(d,JC-F=22.2Hz),122.7(d,JC-F=3.6Hz),123.5,128.8(q,JC-F=273.3Hz),127.1(d,JC-F=3.3Hz),127.4,127.7,128.5(d,JC-F=8.1Hz),135.4(d,JC-F=7.3Hz),140.1,162.2(d,JC-F=256.9Hz),165.6。HRMS(ESI) m/z[M+H]2120Sの計算値:457.1210、実測値:457.1207。
【0202】
SM883:白色固体(0.069g、15%)、融点201~202℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.10-1.20(m,4H,シクロヘキシルCH),1.30-1.40(m,2H,シクロヘキシルCH),1.50(t,J=6.9Hz,3H,OCHCH),1.60-1.70及び1.80-1.90(m,各2H,シクロヘキシルCH),3.80-3.90(m,1H,シクロヘキシルCH),4.20(q,J=6.9Hz,2H,OCHCH),4.55(s,1H,NCH),6.55(d,J=7.7Hz,1H,CONH),7.30-7.40(m,2H,Ar-H),7.50(d,J=2.1Hz,1H,Ar-H),7.70(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.95(d,J=8.9Hz,1H,Ar-H),8.25(s,1H,Ar-H)。13C NMR(101MHz,CDCl):δ 14.4,24.2,25.2,32.3,48.4,51.2,64.4,106.1,119.3,121.1,122.1(d,JC-F=3.6Hz),123.9,126.1(d,JC-F=3.3Hz),127.5,134.9,139.6,159.6,166.0。HRMS(ESI) m/z[M+H]2325Sの計算値:483.1566、実測値:483.1565。
【0203】
実施例71
N-(1-エチルプロピル)-2-[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM884):CHCl(6mL)に式7aの3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(実施例63;0.30g、0.8mmol)、3-アミノペンタン(0.084g、0.96mmol)、TBTU(0.33g、1.04mmol)、DIPEA(0.56mL、3.2mmol)を攪拌した混合物を、室温で3時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、この混合物を2N HClで酸性(pH=4)にし、この混合物を、沈殿物が観察されるまで、攪拌下で40分間維持した。沈殿物を濾過し、乾燥し、シクロヘキサン/EtOAc(3:1比)によって結晶化して、SM884を34%でややピンク色の(pinkish)固体として得た:融点184~185℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.80(t,J=7.4Hz,6H,ペンチルCH),1.30-1.40及び1.45-1.55(m,各2H,ペンチルCH),3.75-3.80(m,1H,ペンチルCH),4.50(s,1H,NCH),6.25(d,J=8.6Hz,1H,CONH),7.40(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.50(dt,J=2.6及び8.3Hz,1H,Ar-H),7.70-7.75(m,2H,Ar-H),8.10(dd,J=4.6及び8.9Hz,1H,Ar-H),8.25(s,1H,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 9.9,27.0,51.4,52.7,109.8(d,JC-F=25.5Hz),119.8,120.9(d,JC-F=22.3Hz),122.7(d,JC-F=3.5Hz),123.4,126.1(q,JC-F=273.0Hz),127.1(d,JC-F=3.2Hz),127.7,128.6(d,JC-F=8.1Hz),135.3(d,JC-F=7.3Hz),140.1,162.2(d,JC-F=257.0Hz),166.4。HRMS(ESI) m/z[M+H]2020Sの計算値:445.1210、実測値:445.1207。
【0204】
実施例72
2-[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド(SM885):化合物SM884について上記に示された手順に従って、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミンを用いて、シクロヘキサン/EtOAcによる結晶化後、標的化合物を収率34%で淡ピンク色(pale pink)固体として得た:融点241~242℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 1.40-1.50,1.80-1.90,3.40-3.50,及び3.75-3.85(m,各2H,ピランCH),4.00-4.10(m,1H,ピランCH),4.50(s,1H,NCH),6.45(d,J=7.4Hz,1H,CONH),7.40(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.50(dt,J=2.7及び8.5Hz,1H,Ar-H),7.65-7.75(m,2H,Ar-H),8.05(dd,J=4.6及び8.9Hz,1H,Ar-H),8.25(s,1H,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ 32.4,46.0,51.3,66.2,109.8(d,JC-F=25.5Hz),119.7,121.0(d,JC-F=22.2Hz),122.7(d,JC-F=3.5Hz),123.4,126.1(q,JC-F=273.0Hz),127.2,127.4(d,JC-F=3.2Hz),127.8,128.6(d,JC-F=8.1Hz),135.3(d,JC-F=7.3Hz),140.0,162.2(d,JC-F=257.2Hz),166.0。HRMS(ESI) m/z[M+H]2018Sの計算値:459.1002、実測値:459.1002。
【0205】
実施例73
2-[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-モルホリン-4-イルアセトアミド(SM881):化合物SM884について示された手順に従って、モルホリン-4-アミンを用いて、EtOHによる結晶化後、標的化合物を収率34%で淡ピンク色固体として得た:融点276~278℃。H-NMRによって2つの回転異性体を同定し、60℃で実験を行うと、これらは崩壊して1つの分子になった。H NMR(400MHz,DMSO-d,25℃):δ 2.50-2.60,2.75-2.95,3.40-3.50,及び3.60-3.80(m,各2H,モルホリンCH),4.50及び5.00(s,各1H,NCH),7.60-7.75(m,2H,Ar-H),7.75-7.80及び7.80-7.90(m,各1H,Ar-H),8.45(dd,J=4.6及び8.6Hz,1H,Ar-H),8.55(s,1H,Ar-H),8.80及び9.25(s,各0.5H,CONH)。13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 32.4,46.0,66.2,110.1(d,JC-F=25.5Hz),119.7,122.0(d,JC-F=22.2Hz),123.7(d,JC-F=3.5Hz),123.4,125.1(q,JC-F=273.0Hz),127.2,127.4(d,JC-F=3.2Hz),127.8,129.2(d,JC-F=8.1Hz),134.2(d,JC-F=7.3Hz),140.0,161.2(d,JC-F=257.2Hz),166.0。HRMS(ESI) m/z[M+H]1917Sの計算値:460.0955、実測値:460.0954。
【0206】
実施例74
N-(2-クロロピリジン-4-イル)-2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM880):式7aの2-(5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(実施例75)から出発し、化合物SM884について示された手順に従って、2-クロロ-4-ピリジンアミンを用いて、標題化合物を調製した。シクロヘキサン/EtOAcによる結晶化後、標題化合物を収率34%で淡ピンク色固体として得た:融点184~185℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.80(t,J=7.4Hz,6H,ペンチルCH),1.30-1.40及び1.45-1.55(m,各2H,ペンチルCH),3.75-3.80(m,1H,ペンチルCH),4.50(s,1H,NCH),6.25(d,J=8.6Hz,1H,CONH),7.40(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.50(dt,J=2.6及び8.3Hz,1H,Ar-H),7.70-7.75(m,2H,Ar-H),8.10(dd,J=4.6及び8.9Hz,1H,Ar-H),8.25(s,1H,Ar-H)。13C NMR(101MHz,CDCl):δ 9.9,27.0,51.4,52.7,109.8(d,JC-F=25.5Hz),119.8,120.9(d,JC-F=22.3Hz),122.7(d,JC-F=3.5Hz),123.4,126.1(q,JC-F=273.0Hz),127.1(d,JC-F=3.2Hz),127.7,128.6(d,JC-F=8.1Hz),135.3(d,JC-F=7.3Hz),140.1,162.2(d,JC-F=257.0Hz),166.4。HRMS(ESI) m/z[M+H]2020Sの計算値:445.1210、実測値:445.1207。
【0207】
スキーム7:スキーム1に含まれない一般式7aの中間体に由来する標的化合物の調製
【0208】
【化29】
【0209】
実施例75
2-(5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(7a(Int-3)):実施例65に記載される類似の化合物について示された手順に従って、[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸エチルから、式7a(Int-3)の化合物を調製した。中間体を収率81%で茶色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.55(d,J=2.2Hz,1H,Ar-H),8.27(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),8.00-7.75(m,4H,Ar-H),7.50-7.50(m,2H,Ar-H),4.75(s,2H,NCH)。
【0210】
実施例76
式8a(Int-3)のN-(1-ベンジルピペリジン-4-イル)-2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド:式7a(Int-3)の2-(5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル)酢酸(実施例75;0.280g、0.78mmol)の乾燥CHCl(10mL)の溶液に、N-ベンジル-4-アミノピペリジン(0.180g、0.94mmol)、TBTU(0.376g、0.12mmol)及びDIPEA(0.510mL、0.31mmol)を添加した。この反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いで氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=2)にした。この混合物をCHCl(3×30mL)で抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色油を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 95:5)によって精製して、N-(1-ベンジルピペリジン-4-イル)-2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミドを収率45%で固体として得た:融点℃。H-NMR(200MHz,CDCl):δ 8.27(s,1H,Ar-H),8.03-7.99(d,J=7.9Hz,2H,Ar-H),7.82-7.60(m,3H,Ar-H),7.32-7.15(m,6H,Ar-H),6.53(d,J=7.3Hz,1H,NH),4.54(s,2H,ベンジル-CH),4.83-4.71(m,1H,ピペリジン-CH),3.45(s,2H,CH),2.67-2.62(m,2H,ピペリジン-CH),2.15-1.80(m,6H,ピペリジン-CH×2),1.47-1.32(m,2H,ピペリジン-CH)。
【0211】
実施例77
一般式8aの2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-ピペリジン-4-イルアセトアミド(SM655):式8aの適切な化合物(0.180g、0.34mmol)のEtOH(20mL)の溶液に、Pd/C(20% w/w、0.036g)を添加した。この反応混合物を、Hバブリング下、室温で7時間攪拌した。この混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を蒸発乾固して茶色固体を得、EtOHによって結晶化して、SM665を収率27%で白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.55(s,1H,Ar-H),8.38-8.35(m,2H,Ar-H),7.91-7.81(m,3H,Ar-H),7.71(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.62(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),4.63(s,2H,ベンジル-CH),3.70-3.59(m,1H,ピペリジン-CH),3.16-3.13(m,2H,ピペリジン-CH),2.82(t,J=10.7Hz,2H,ピペリジン-CH),1.77-1.74(m,2H,ピペリジン-CH),1.49-1.37(m,2H,ピペリジン-CH)。
【0212】
スキーム8:スキーム1に含まれない一般式7aの中間体に由来する標的化合物の調製
【0213】
【化30】
【0214】
実施例78
式8a(Int-4)の2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-(trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)アセトアミド:式7a(Int-3)の化合物(実施例75;0.100g、0.30mmol)の乾燥CHCl(4mL)の溶液に、trans-4-アミノシクロヘキサノール(0.041g、0.36mmol)、BOP(0.199g、0.45mmol)及びDIPEA(0.200mL、1.2mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を室温で12時間攪拌し、次いで真空下で濃縮し、氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=4)にした。この混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色固体を得、EtOHによって結晶化して、SM588 8a(Int-4)を収率88%で白色固体として得た:融点212~213℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.29(d,J=1.3Hz,1H,Ar-H),8.03(d,J=7.3Hz,2H,Ar-H),7.81(td,J=1.3及び7.4Hz,1H,Ar-H),7.72(dd,J=1.6及び6.3Hz,1H,Ar-H),6.67(t,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.33(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),6.52(d,J=7.6Hz,1H,NH),4.51(s,2H,ベンジル-CH),3.85-3.77(m,1H,シクロヘキシル-CH),3.61-3.46(m,1H,シクロヘキシル-CH),1.99-1.89(m,4H,シクロヘキシル-CH×2),1.46(s,1H,OH),1.42-1.34(m,2H,シクロヘキシル-CH),1.23-1.16(m,2H,シクロヘキシル-CH)。
【0215】
実施例79
一般式8aのtrans-4-({2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)シクロヘキシル 4-ニトロベンゼンスルホネート(SM589):式8a(Int-4)の適切な化合物SM588(0.350g、0.77mmol)の乾燥CHCl(6mL)の溶液に、4-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(0.355g、1.60mmol)、DMAP(0.094g、0.77mmol)及びETN(0.320mL、2.30mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで真空下で濃縮し、氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=4)にした。この混合物をCHCl(3×20mL)で抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して白色固体を得、EtOHによって結晶化して、SM589を収率38%で白色固体として得た:融点151~152℃。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 8.35(d,J=8.5Hz,2H,Ar-H),8.29(s,1H,Ar-H),8.12-7.93(m,4H,Ar-H),7.81(t,J=7.0Hz,1H,Ar-H),7.72-7.61(m,2H,Ar-H),7.26(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),6.64(d,J=7.5Hz,1H,NH),4.60-4.51(m,1H,シクロヘキシル-CH),4.49(s,2H,CH),3.91-3.85(m,1H,シクロヘキシル-CH),2.01-1.88(m,4H,各2H シクロヘキシル-CH),1.68-1.59(m,2H,シクロヘキシル-CH),1.52(s,1H,OH),1.32-1.10(m,2H,シクロヘキシル-CH)。
【0216】
実施例80
式8aのtrans-4-({2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)シクロヘキシル 4-アミノベンゼンスルホネート(SM656):化合物SM589(0.400g、0.63mmol)のDMF(30mL)の溶液に、ラネー/Ni(10% w/w、0.046g)を添加した。この反応混合物を、Hバブリング下、室温で2時間攪拌した。この混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を蒸発乾固して茶色固体を得、EtOHによって結晶化して、SM656を収率58%でやや茶色い(brownish)固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.45(s,1H,Ar-H),8.37(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),8.05(d,J=7.2Hz,1H,Ar-H),7.90-7.80(m,3H,Ar-H及びNH),7.70(t,J=7.6Hz,1H,Ar-H),7.57(d,J=8.4Hz,1H,Ar-H),7.44(d,J=8.8Hz,2H,Ar-H),6.59(d,J=8.6Hz,2H,Ar-H),6.19(s,2H,NH),4.58(s,2H,CH),4.11-4.23(m,1H,シクロヘキシル-CH),1.69-1.61(m,4H,各2H,シクロヘキシル-CH),1.39-1.31(m,2H,シクロヘキシル-CH),1.17-1.08(m,2H,シクロヘキシル-CH)。
【0217】
実施例81
2-(3-アセチル-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-2H-1,2-ベンゾチアジン-2-イル)-N-シクロヘキシルアセトアミド(12a)(スキーム4)。文献に従って調製した11a(0.63g、2.11mmol)、シクロヘキシルアミン(0.53mL、4.66mmol)、TBTU(1.63g、5.08mmol)及びEtN(4当量)を乾燥THFに混合した混合物を、室温で2時間反応させた。次いで、反応混合物を氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=4)にして沈殿物を得、濾過し、乾燥して、12a(0.75g、94%)を淡黄色(pale-yellow)固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 0.80-1.20及び1.40-1.60(m,各5H,シクロヘキシルCH),2.40(s,3H,CH),4.00(s,2H,NCH),7.75-7.85(m,4H,Ar-H及びCONH),7.95-8.10(m,1H,Ar-H),15.20(bs,1H,OH)。
【0218】
実施例82
N-シクロヘキシル-2-(3-メチル-5,5-ジオキシドピラゾロ[4,3-c][1,2]ベンゾチアジン-4(1H)-イル)アセトアミド(SM879)。12a(0.30g、0.79mmol)及びヒドラジン一水和物(0.19mL、3.96mmol)の混合物を、60℃で1時間反応させた。冷却後、反応混合物を氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=4)にして沈殿物を得、濾過し、CHCl:MeOH 97:3で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、次いでEtOHによって結晶化して、SM879(0.08g、54%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.10-1.20及び1.25-1.45(m,各2H,シクロヘキシルCH),1.50-1.75(m,4H,シクロヘキシルCH),2.80-2.90(m,2H,シクロヘキシルCH),2.30(s,1H,CH),3.75(m,1H,シクロヘキシルCH),4.05(s,2H,NCH),6.50(d,J=8.1Hz,1H,NH),7.55(dt,J=1.2及び7.8Hz,1H,Ar-CH),7.70(dt,J=1.2及び7.7Hz,1H,Ar-CH),7.80(dd,J=0.9及び7.8Hz,1H,Ar-CH),7.95(d,J=7.3Hz,1H,Ar-CH),10.50(bs,1H,CONH)。HRMS(ESI) m/z[M+H]2431Sの計算値:375.1460、実測値:375.1485。LC-MS:保持時間4.109分。
【0219】
実施例83
スキーム9:標的化合物SM886を調製するための合成手順
【0220】
【化31】
【0221】
N-(4-アミノシクロヘキシル)-2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM886)。乾燥DMF(3mL)に式7a(Int-3)の[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(0.10g、0.28mmol)、trans-1,4-ジアミノシクロヘキサン(0.32g、2.80mmol)、TBTU(0.12g、0.36mmol)、DIPEA(0.19mL、1.12mmol)を攪拌した混合物を、室温で3時間保持した。この反応混合物を氷/水中に注ぎ、CHCl(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色油を得た。EtOでのトリチュレーションによる精製後、標題化合物を収率16%で黄色固体として得た:融点212~214℃。H NMR(400MHz,MeOD):δ 1.16-1.29(m,4H,CH×2),1.87-1.89(m,4H,CH×2),2.60-2.63(m,1H,CH),3.49-3.54(m,1H,CH),4.66(s,2H,NCH),7.57(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),7.73(t,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.82-7.89(m,2H,Ar-H),7.99(d,J=7.8Hz,1H,Ar-H),8.24(d,J=8.0Hz,1H,Ar-H),8.49(s,1H,Ar-H)。HRMS(ESI) m/z[M+H]2122Sの計算値:454.1412、実測値:454.14162。
【0222】
実施例84
スキーム10:標的化合物SM887を調製するための合成手順
【0223】
【化32】
【0224】
3-({[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)ペンタン二酸ジメチル(8a(Int-5))。CHCl(10mL)に式7a(Int3)の[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(0.33g、0.92mmol)、3-アミノペンタン二酸ジメチル(0.19g、1.11mmol)、TBTU(0.38g、1.19mmol)、DIPEA(0.64mL、3.68mmol)を攪拌した混合物を、室温で2時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色油を得た。CHCl/MeOH(98:2)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率25%で白色固体として得た:融点126~128℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.37-2.44(m,4H,CH×2),3.58(s,6H,OCH×2),4.52(s,2H,NCH),4.59-4.64(m,1H,CH),7.17(d,J=8.4Hz,1H,NH),7.40(d,J=8.5Hz,1H,H-7),7.65(t,J=7.8Hz,1H,H-3),7.72(d,J=8.5Hz,1H,H-8),7.79(td,J=1.0及び7.4Hz,1H,H-2),8.02(d,J=8.1Hz,2H,H-1及びH-4),8.27(s,1H,H-10)。
【0225】
2-[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-[3-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシエチル)プロピル]アセトアミド(SM887)。乾燥THF(20mL)に式8a(Int-5)の3-({[5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)ペンタン二酸ジメチル(0.45g、0.87mmol)及びNaBH(1.32g、35.97mmol)を攪拌した混合物を、還流で16時間攪拌した。次いで、この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(15mL)を添加して過剰のNaBHをクエンチした。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して黄色油を得た。CHCl/MeOH(98:2)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率28%で白色固体として得た:融点136~138℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.45-1.58(m,4H,CH×2),3.29-3.39(m,4H,CH×2),3.76-3.78(m,1H,CH),4.30(t,J=5.1Hz,2H,OH×2),4.66(s,2H,NCH),7.65(d,J=8.5Hz,1H,H-7),7.76(t,J=7.5Hz,1H,H-3),7.86-7.93(m,2H,Ar-H),7.97(d,J=7.2Hz,1H,Ar-H),8.01(d,J=8.6Hz,1H,NH),8.43(d,J=7.9Hz,1H,Ar-H),8.60(s,1H,H-10)。13C NMR(101MHz,DMSO-d):δ 38.0,44.1,49.7,58.2,121.6,121.7,123.3,124.4(q,JC-F=268.4Hz),124.7,125.6(q,JC-F=32.6Hz),127.1,127.2,129.9,130.9,133.2,135.0,141.9,166.2。HRMS(ESI) m/z[M+K]2021Sの計算値:497.0760、実測値:497.0756。
【0226】
実施例85
スキーム11:標的化合物SM888を調製するための合成手順
【0227】
【化33】
【0228】
[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(7a(Int-1))の合成のための代替手順。1N LiOH水溶液(15.5mL、15.5mmol)及びジオキサン(30mL)に式6a(Int-1)の化合物(1.25g、3.10mmol)を攪拌した混合物を、室温で30分間保持した。この反応混合物を氷水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=2)にした。形成した沈殿物を濾過し、乾燥して、標題化合物を収率98%で得た:融点100~102℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.72(s,2H,NCH),7.33(d,J=8.4Hz,1H,Ar-H),7.45(td,J=2.5及び8.1Hz,1H,H-2),7.65-7.72(m,2H,Ar-H),7.98(dd,J=4.4及び8.6Hz,1H,H-1),8.21(s,1H,H-10)。
【0229】
3-({[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)ペンタン二酸ジメチル(8a(Int-6))。CHCl(30mL)に式7a(Int-1)の[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(0.71g、1.9mmol)、3-アミノペンタン二酸ジメチル(0.40g、2.28mmol)、TBTU(0.79g、2.47mmol)、DIPEA(1.32mL、7.6mmol)を攪拌した混合物を、室温で2時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、この混合物を2N HClで酸性(pH=4)にし、この混合物を、沈殿物が観察されるまで、攪拌下で10分間維持した。沈殿物を濾過して、標題化合物を87%で白色固体として得た:融点153~155℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.60-2.69(m,4H,CH×2),3.89(s,6H,OCH×2),4.57(s,2H,NCH),4.64-4.66(m,1H,CH),7.14(d,J=8.5Hz,1H,NH),7.48(d,J=8.4Hz,1H,Ar-H),7.54(td,J=2.3及び8.4Hz,1H,Ar-H),7.75-7.77(m,2H,Ar-H),8.07(dd,J=4.7及び8.9Hz,1H,Ar-H),8.26(s,1H,Ar-H)。
【0230】
2-[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-[3-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシエチル)プロピル]アセトアミド(SM888)。乾燥THF(15mL)に式8a(Int-6)の3-({[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセチル}アミノ)ペンタン二酸ジメチル(0.45g、0.85mmol)及びNaBH(1.28g、33.81mmol)を攪拌した混合物を、還流で30時間攪拌した。次いで、この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(15mL)を添加して過剰のNaBHをクエンチした。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して黄色油を得た。シクロヘキサン/EtOAc(70:30)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率9%で白色固体として得た:融点136~138℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.43-1.58(m,4H,CH×2),3.27-3.34(m,4H,CH×2),3.74-3.76(m,1H,CH),4.30(t,J=5.1Hz,2H,OH×2),4.66(s,2H,NCH),7.69(d,J=8.5Hz,1H,H-7),7.76(td,J=2.7及び8.7Hz,1H,H-2),7.84(dd,J=2.7及び8.6Hz,1H,H-4),7.91(dd,J=1.6及び8.5Hz,1H,H-8),8.02(d,J=8.6Hz,1H,NH),8.51(dd,J=4.4及び8.3Hz,1H,H-1),8.60(s,1H,H-10)。13C NMR(101MHz,DMSO-d):δ 38.2,44.3,50.7,58.3,109.1(d,JC-F=25.5Hz),120.8(d,JC-F=22.1Hz),122.5,123.5,124.5(q,JC-F=274.0Hz),124.7,126.1(q,JC-F=33.2Hz),127.2,127.9,130.7(d,JC-F=8.4Hz),136.7(d,JC-F=7.5Hz),141.7,162.3(d,JC-F=252.8Hz),166.4。HRMS(ESI) m/z[M+Na]2020Sの計算値:499.09267、実測値:499.09354。
【0231】
実施例86
N-{1-[(ジメチルアミノ)メチル]プロピル}-2-[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM889)。CHCl(30mL)に式7a(Int-1)の[3-フルオロ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(0.30g、0.8mmol)、(2-アミノブチル)ジメチルアミン(0.13mL、0.96mmol)、TBTU(0.33g、1.04mmol)、DIPEA(0.56mL、3.2mmol)を攪拌した混合物を、室温で1時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色油を得た。CHCl/MeOH(95:5)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率17%で薄茶色(light brown)固体を得た:融点167~169℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.88(t,J=7.4Hz,3H,CHCH),1.46-1.49(m,1H,CHCHCH×1/2),1.60-1.62(m,1H,CHCHCH×1/2),2.21-2.23(m,1H,CHCHN×1/2),2.26-2.29(m,1H,CHCHN×1/2),3.89-3.93(m,CH,1H),4.46(d,J=17.5Hz,1H,NCH×1/2),4.70(d,J=17.5Hz,1H,NCH×1/2),6.46(d,J=6.0Hz,1H,NH),7.51-7.56(m,1H,H-2),7.60(d,J=8.6Hz,1H,H-7),7.73-7.77(m,2H,H-4及びH-8),8.07(dd,J=4.5及び8.8Hz,1H,H-1),8.26(s,1H,H-10)。13C NMR(101MHz,CDCl):δ 9.9,25.9,45.7,49.3,51.5,62.5,110.0(d,JC-F=25.3Hz),120.8,120.9(d,JC-F=21.2Hz),122.7(d,JC-F=3.0Hz),123.7(q,JC-F=273.7Hz),123.9,127.2,127.7(d,JC-F=3.0Hz),127.8(q,JC-F=33.3Hz),128.7(d,JC-F=8.0Hz),135.9(d,JC-F=7.1Hz),140.5,162.4(d,JC-F=256.5Hz),166.8。HRMS(ESI) m/z[M+H]2123Sの計算値:474.1474、実測値:474.14908。
【0232】
実施例87
スキーム12:式7a(Int-4)の中間体を調製するための合成手順
【0233】
【化34】
【0234】
[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]酢酸(7a(Int-4))。10% NaOH水溶液(3mL)及びMeOH(3mL)に式6a(Int-2)の化合物(0.34g、0.76mmol)を攪拌した混合物を、還流で1時間攪拌した。この反応混合物を氷/水中に注ぎ、2N HClで酸性(pH=2)にした。形成した沈殿物を濾過し、乾燥して、標題化合物を収率46%で得た。融点184~186℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 3.47(s,3H,OCH),4.27(s,2H,NCH),7.38-7.41(m,2H,Ar-H),7.55-7.58(m,1H,Ar-H),7.76(d,J=7.3Hz,1H,Ar-H),8.31(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),8.45(s,1H,Ar-H)。
【0235】
スキーム13:式8a(Int-7)、8a(Int-8)及び8a(Int-9)の中間体を調製するための合成手順
【0236】
【化35】
【0237】
実施例88
N-シクロヘキシル-2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(8a(Int-7))。乾燥CHCl(10mL)に式7a(Int-4)の3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド(0.19g、0.48mmol)、シクロヘキシルアミン(0.07mL、0.57mmol)、TBTU(0.20g、0.62mmol)、DIPEA(0.25mL、1.91mmol)を攪拌した混合物を、室温で2時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注いだ。得られた沈殿物を濾過して、標題化合物を収率58%で白色固体として得た:融点184~185℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 1.14-1.22(m,4H,CH×2),1.32-1.41(m,2H,CH),1.63-1.66(m,2H,CH),1.86-1.89(m,2H,CH),3.87-3.89(m,1H,CH),3.98(s,3H,OCH),4.55(s,2H,NCH),6.58(d,J=7.3Hz,1H,NH),7.34-7.38(m,2H,H-1及びH-2),7.52(d,J=2.4Hz,1H,H-4),7.70(d,J=8.6Hz,1H,H-8),7.97(d,J=8.8Hz,1H,H-7),8.24(s,1H,H-10)。
【0238】
実施例89
2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド(8a(Int-8))。乾燥CHCl(10mL)に式7a(Int-4)の3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド(0.45g、0.96mmol)、4-アミノテトラヒドロピラン(0.12mL、1.15mmol)、TBTU(0.40g、1.25mmol)、DIPEA(0.67mL、3.84mmol)を攪拌した混合物を、室温で2時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注いだ。得られた沈殿物を濾過して、標題化合物を収率55%で白色固体として得た:融点118~120℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 1.07-1.24(m,2H,CH),1.29-1.40(m,1H,CH×1/2),1.59-1.65(m,1H,CH×1/2),3.23-3.42(m,3H,CH×1/2及びCH),3.60-3.69(m,1H,CH),3.75-3.80(m,1H,CH×1/2),3.93(s,3H,OCH),4.63(s,2H,NCH),7.38-7.40(m,2H,Ar-H及びCONH),7.56-7.63(m,1H,Ar-H),7.78-7.84(m,1H,Ar-H),8.21-8.25(m,1H,Ar-H),8.35-8.33(m,1H,Ar-H),8.50(s,1H,Ar-H)。
【0239】
実施例90
N-(1-エチルプロピル)-2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(8a(Int-9))。乾燥CHCl(10mL)に式7a(Int-4)の3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン5,5-ジオキシド(0.45g、0.96mmol)、3-アミノペンタン(0.13mL、1.15mmol)、TBTU(0.40g、1.25mmol)、DIPEA(0.67mL、3.84mmol)を攪拌した混合物を、室温で2時間保持した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を氷/水中に注いだ。得られた沈殿物を濾過して、標題化合物を収率55%で白色固体として得た:融点151~153℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.73(t,J=6.7Hz、6H,CH×2),1.24-1.29(m,2H,CH),1.38-1.44(m,2H,CH),3.39-3.43(m,1H,CH),3.93(s,3H,OCH),4.65(s,2H,NCH),7.39-7.42(m,2H,Ar-H及びCONH),7.63(d,J=8.1Hz,1H,Ar-H),7.83(d,J=8.2Hz,1H,Ar-H),7.89(d,J=8.2Hz,1H,Ar-H),8.35(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),8.50(s,1H,Ar-H)。
【0240】
スキーム14:標的化合物SM890を調製するための合成手順
【0241】
【化36】
【0242】
N-シクロヘキシル-2-[3-ヒドロキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM890)。N-シクロヘキシル-2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド 8a(Int-7)(0.13g、0.28mmol)の乾燥CHCl(8mL)の溶液に、乾燥CHCl(0.84mL、0.84mmol)中の1M BBrを0℃で滴下し、次いで、この反応混合物を10℃で2時間保持した。混合物を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色固体を得た。CHCl/MeOH(99:1)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率24%でわずかに茶色い(little brown)固体として得た:融点236~240℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.13-1.20(m,6H,CH×3),1.51-1.56(m,1H,CH),1.65-1.67(m,4H,CH×2),4.60(s,2H,NCH),7.22-7.25(m,2H,Ar-H),7.57(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),7.80(d,J=7.9Hz,1H,NH),8.06-8.09(m,1H,Ar-H),8.22(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),8.43(s,1H,Ar-H),10.78(bs,1H,OH)。13C NMR(101MHz,DMSO-d):δ 24.7,25.5,32.6,48.1,49.8,107.1,120.7,121.6,121.7,122.1(2C),124.5(q,JC-F=272.9Hz),125.4(q,JC-F=32.8Hz),125.6,129.2,136.2,140.8,158.9,165.5。HRMS(ESI) m/z[M+Na]2121Sの計算値:477.1071、実測値:477.10749。
【0243】
スキーム15:標的化合物SM891を調製するための合成手順
【0244】
【化37】
【0245】
2-[3-ヒドロキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド(SM891)。2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド 8a(Int-8)(0.25g、0.52mmol)の乾燥CHCl(6mL)の溶液に、乾燥CHCl(2.34mL、2.34mmol)中の1M BBrを0℃で滴下し、次いで、この反応混合物を10℃で24時間保持した。混合物を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して茶色固体を得た。CHCl/MeOH(98:2)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率6%でわずかに茶色い固体として得た:融点226~228℃。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 1.30-1.39(m,2H,CH),1.62-1.65(m,2H,CH),3.26-3.32(m,2H,CHO),3.63-3.67(m,1H,CH),3.77-3.80(m,2H,CHO),4.61(s,2H,NCH),7.21-7.24(m,2H,Ar-H),7.58(d,J=8.3Hz,1H,Ar-H),7.81(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),8.21-8.24(m,2H,Ar-H及びNH),8.44(s,1H,Ar-H),10.70(bs,1H,OH)。
【0246】
スキーム16:標的化合物SM892を調製するための合成手順
【0247】
【化38】
【0248】
N-(1-エチルプロピル)-2-[3-ヒドロキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド(SM892)。N-(1-エチルプロピル)-2-[3-メトキシ-5,5-ジオキシド-9-(トリフルオロメチル)-6H-ジベンゾ[c,e][1,2]チアジン-6-イル]アセトアミド 8a(Int-9)(0.23g、0.72mmol)の乾燥CHCl(6mL)の溶液に、乾燥CHCl(2.16mL、2.16mmol)中の1M BBrを0℃で滴下し、次いで、この反応混合物を10℃で2時間保持した。混合物を氷/水中に注ぎ、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して白色固体を得た。CHCl/MeOH(98:2)で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、標題化合物を収率35%で白色固体として得た:融点216~218℃。H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.74(t,J=7.2Hz、6H,CH×2),1.20-1.28(m,2H,CH),1.36-1.43(m,2H,CH),3.37-3.43(m,1H,CH),4.62(s,2H,NCH),7.19-7.24(m,2H,Ar-H及びCONH),7.59(d,J=8.4Hz,1H,Ar-H),7.79(d,J=7.5Hz,1H,Ar-H),7.87(d,J=8.6Hz,1H,Ar-H),8.22(d,J=8.8Hz,1H,Ar-H),8.43(s,1H,Ar-H),10.69(s,1H,OH)。
【0249】
生物学
細胞及びプラスミド
本書で使用した細胞株は、特に異なる指定がない限り、ダルベッコ最小必須培地(Dulbecco’s Minimal Essential Medium)(DMEM、Gibco、#11960-044)、10%熱不活性化ウシ胎児血清(Δ56-FBS)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep、Corning #20-002-Cl)、非必須アミノ酸(NEAA、Gibco、#11140-035)及びL-グルタミン(Gibco、#25030-024)中で培養している。HEK293細胞は、ATCC(ATCC CRL-1573)から入手した。本発明者らは、マウスWT、ΔCR又はEGFPタグ付きPrPを安定的に発現するHEK293のサブクローン(A23)を使用した。細胞を、200μg/mlのハイグロマイシンを含む培地中のT25フラスコ又は100mmシャーレに継代し、3~4日ごとに分割した。細胞は、元のストックから20回以上継代されていない。実験で使用した化合物をDMSO中に30又は50mMで再懸濁し、希釈して1000Xストック溶液を作製し、それを段階希釈に使用した。次いで、各化合物の希釈点の1μlアリコート(aliquot)を、選択抗生物質を添加していない1mLの培地に播種した細胞に添加した。WT、ΔCR又はEGFPタグ付きPrPをコードするcDNAを生成するために使用されるクローニング戦略は、従前に記載されている20,31,32。EGFP-PrPコンストラクト(EGFP-PrP construct)は、マウスPrPのコドン34の後に挿入されたEGFPのモノマー化バージョン(monomerized version of EGFP)を含む。すべてのコンストラクトの同一性を、コーディング領域全体をシーケシング(sequencing)することによって確認した。すべてのコンストラクトを、pcDNA3.1(+)/hygro発現プラスミド(Invitrogen)にクローニングした。すべてのプラスミドは、製造業者の指示に従って、Lipofectamine 2000(Life Technologies)を使用してトランスフェクトした。
【0250】
薬物ベースの細胞アッセイ(DBCA)及びMTTアッセイ
DBCAは、従前に記載されたように実施した24が、わずかな修正が加えられた。簡単に説明すると、ΔCR PrPを発現するHEK293細胞を、1日目に、24ウェルプレートで、60%以下のコンフルエントで培養した。2日目に、細胞を500μg/mLのZeocinで処理した。培地(新鮮なZeocin及び/又は化合物若しくはビヒクルを含む)を24時間ごとに交換した。5日目に、細胞培地を除去し、細胞を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Sigma Aldrich,St. Louis,MO)を1mg/mLの割合で含むPBS中で30分間、37℃でインキュベートした。MTTを慎重に除去し、細胞を500μLのDMSO中に再懸濁した。各ウェルの値は、プレート分光光度計(Biotek)を用いて570nmで測定することによって得られた。
【0251】
電気生理学
11週齢のC57BL/6マウスの興奮性シナプス後場電位(Field Excitatory Post-Synaptic Potential)(EPSP)マウス海馬スライスを、マルチ電極アレイ(MEA)システムで測定した。スライスを30分ベースラインで記録し、次いで、LTPをテタヌス刺激(3連(3 trains)、各500MHz)で誘導し、さらに30分間記録した。プリオンシナプス毒性は、M1000プリオン株に慢性的に感染したMoRK13細胞の4% w/vライセートで、ベースライン中にスライスを5分間インキュベートすることによって誘発させた。SM884の潜在的なレスキュー活性(rescuing activity)を評価するために、記録全体を通して分子を連続的に潅流した(perfused)。LTPのパーセンテージは、テタヌス刺激前の最後の5分間の平均EPSP振幅に対する、記録の最後の10分間の平均EPSP振幅を考慮して計算された。
【0252】
免疫蛍光法
EGFP-PrPを発現する細胞を、CellCarrier-384 Ultraマイクロプレート(Perkin Elmer)に12,000細胞/ウェルの濃度で播種し、約24時間増殖させて、セミコンフルエント(semi-confluent)層(60%)を得た。ビヒクル(0.1% DMSO、体積当量(volume equivalent))を、ネガティブ対照(ネガティブコントロール)として使用した。細胞を24時間処理し、次いで、メタノールフリーのパラホルムアルデヒド(Thermo Fisher Scientific)を添加して室温で12分間固定して、最終濃度を4%に調整した。次いで、プレートをPBSで2回洗浄し、Hoechst 33342で対比染色した。EGFP-PrPの細胞局在化を、Operetta High-Content Imaging System(Perkin Elmer)を用いてモニターした。イメージングは、20倍の高NA対物レンズ(0.75)を用いて高視野モードで実施した。2つのチャネル(Hoechstについては380-445 励起-発光、EGFP及びAlexa 488については475-525)に対して各ウェルで5つの磁場を取得した。イメージ解析は、Harmonyソフトウェア バージョン4.1(Perkin Elmer)を用いて実施した。
【0253】
ウェスタンブロッティング
サンプルを、2X Laemliサンプル緩衝液(2% SDS、10%グリセロール、100mM Tris-HCl pH6.8、0.002%ブロモフェノールブルー、100mM DTT)で1:1に希釈し、95℃で10分間加熱した後、SDS-PAGEによって分析した。タンパク質を電気泳動でポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写し、次いで、5%(w/v)脱脂粉乳を含む0.05% Tween-20含有Tris緩衝生理食塩水で20分間ブロックした。適切な一次抗体及び二次抗体とのインキュベーション後、シグナルを、増強化学発光(Luminata、BioRad)を用いて明らかにし、Bio-Rad XRS Chemidocイメージスキャナー(Bio-Rad)によって視覚化した。
【0254】
Aβオリゴマーの調製
合成Aβ(1-42)ペプチド(Cat.番号 KP2107、Karebay Biochem.,Rochester,NY)をヘキサフルオロ-2-プロパノールに溶解し、最大出力でバスソニケーター(bath sonicator)中で10分間インキュベートし、15.000×gで1分間遠心分離し、分注し、乾燥して、-80℃で保存した。使用前に、乾燥したフィルムを、DMSOを用いて溶解し、F12培地(Invitrogen,Waltham,MA)中で100μMに希釈した。前記ペプチドを25℃で16時間インキュベートすることによって、オリゴマーを得た。この調製は、常法で(routinely)、Superdex 75 10/300サイズ排除カラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)の排除体積(void volume)付近に溶出しかつオリゴマー特異的抗体A11と反応するオリゴマーを生成する。オリゴマーのサイズが不均一であるため、最終的なAβオリゴマー濃度は、モノマー当量(monomer equivalents)とみなされた。
【0255】
培養した海馬ニューロン
初代ニューロン培養は、生後2日齢のマウスの海馬に由来し、従前に記載されたように培養した11。ニューロンは、0.5mMグルタミン、100ユニット/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(すべてInvitrogen製)を添加したB27/Neurobasal-A培地中に、25μg/mLポリ-D-リシン(Sigma P6407)をプレコートした35mmディッシュ(500,000細胞/ディッシュ)に播種した。実験は、播種の12日後に行った。ニューロンを、各候補化合物又は対照で20分間前処理した後、Aβオリゴマー(3μM)に20分間又は3時間曝露した。Triton不溶画分(TIF)を、リン酸化SFK(phospho-SFK)(Tyr 416)又はFynに対する抗体を用いてイムノブロットによって分析した。リン酸化SFK抗体は、いくつかのSFKでpY416を検出するが、以前の研究では、キナーゼのPrPC依存性活性化がFynに特異的であることが示された。アクチンを、負荷対照(loading control)として使用した。細胞内分画は、以前に報告されたように実施したが、わずかな修正が加えられた。プロテアーゼ阻害剤(Complete mini、Roche Applied Science,Penzberg,Germany)及びホスファターゼ阻害剤(PhosSTOP、Roche Applied Science)の存在下、1mM HEPES、1mM MgCl、10mM NAF、1mM NaHCO及び0.1mM PMSFを含む0.32M氷冷スクロース緩衝液(pH7.4)中で、Potter-Elvehjemホモジナイザーを用いてニューロンをホモジナイズした。サンプルを13.000×gで15分間遠心分離して、粗膜画分を得た。ペレットを、150mM KCl及び0.5% Triton X-100を含む緩衝液中に再懸濁し、100,000×gで1時間遠心分離した。Triton不溶画分と称される最終ペレットを、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤を添加した20mM HEPES中で再ホモジナイズした後、-80℃で保存するか、又はさらなる実験に直接使用した。各サンプル中のタンパク質濃度は、ブラッドフォード(Bradford)アッセイ(Bio-Rad)を用いて定量し、次いで、タンパク質(5μg)をウェスタンブロッティングによって分析した。一次抗体は以下のとおりであった:抗GluN2A及び抗GluN2B(いずれも1:2000;Invitrogen)、抗GluA1及び抗GluA2(いずれも1:1000;Millipore,Billerica,MA)、抗PSD-95(シナプス後肥厚部タンパク質95;1:2000;Cayman Chemical,Ann Arbor,MI)及び抗アクチン(1:5000;Millipore)。ウェスタンブロットを、Quantity Oneソフトウェア(Bio-Rad)を用いてデンシメトリーによって分析した。すべての実験を、少なくとも4つの独立した培養調製物(n≧4)で繰り返した。
【0256】
組換えPrPの産生
RecHuPrP23-231を、野生型ヒトPrnpコンストラクト(N-KKRPKPGGWNTGGSRYPGQGSPGGNRYPPQGGGGWGQPHGGGWGQPHGGGWGQPHGGGWGQPHGGGWGQGGGTHSQWNKPSKPKTNMKHMAGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPIIHFGSDYEDRYYRENMHRYPNQVYYRPMDEYSNQNNFVHDCVNITIKQHTVTTTTKGENFTETDVKMMERVVEQMCITQYERESQAYYQRGSS-C;配列番号1)を含むpOPIN E発現ベクターを保持するコンピテントE. coli Rosetta(DE3)細菌(competent E. coli Rosetta (DE3) bacteria)によって発現した。-80℃で維持したグリセロラート由来の細菌を、50mlのLBブロスを含む250ml三角フラスコ中で一晩増殖させた。次いで、培養物を、2つの2L三角フラスコに移した。これらのフラスコは、各々、3g/Lグルコース、1g/L NHCl、1M MgSO、0.1M CaCl、10mg/mLチアミン及び10mg/mLビオチンを添加した500mlの最小培地を含む。培養物が、0.9~1.2AUのOD600に達したとき、イソプロピル-β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して、同じ温度及び攪拌条件下で、PrPの発現を一晩誘導した。次いで、細菌をペレット化し、溶解し、封入体を遠心分離により回収し、20mM Tris-HCl、0.5M NaCl、6M Gnd/HCl、pH=8に可溶化した。タンパク質はHisタグを含まないが、タンパク質の精製は、PrPのオクタペプチド反復領域に存在する天然Hisを利用して、ヒスチジンアフィニティーカラム(HisTrap FF crude 5ml、GE Healthcare Amersham)を用いて実施した。20mM Tris-HCl、0.5M NaCl、500mMイミダゾール及び2Mグアニジン-HClを含む緩衝液(pH=8)で溶出した後、タンパク質バッチの品質及び純度を、SDS-PAGEゲル中での電気泳動後のBlueSafe(NZYTech,Lisbon)染色によって評価した。タンパク質は、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH=5)に対する透析によって、PrPC立体配座(PrPC conformation)にフォールドした(折りたたまれた)。凝集物を遠心分離によって除去した。正しいフォールディングをCDによって確認し、タンパク質濃度を280nmでの吸光度の測定によって確認した。タンパク質を、Amicon遠心装置を用いて濃縮し、濃縮した溶液は、使用するまで-80℃で保存した。
【0257】
動的質量再分布
EnSight Multimode Plate Reader(Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用して、DMR分析を実施した。ラベルフリーマイクロプレート(EnSpire-LFB高感度マイクロプレート、Perkin Elmer)への全長(残基23~230)ヒト組換えPrPC(2.5μM PrPCの10mM酢酸ナトリウム緩衝液の溶液を15μL/ウェル、pH5)の固定化は、アミンカップリング化学によって得られた。アッセイ緩衝液(10mM PO、pH7.5、2.4mM KCl、138mM NaCl、0.05% Tween-20)でさまざまな濃度に希釈した各分子とPrPCとの相互作用を、室温で30分間インキュベーションした後にモニターした。すべての工程を、Zephyr Compact Liquid Handling Workstation(Perkin Elmer)を用いて実行した。Kaleidoソフトウェア(Perkin Elmer)を使用して、データの取得及び処理を行った。
【0258】
生物学的データの統計解析
すべてのデータを、2名の異なるオペレーターによって盲目的に収集及び分析した。Prismソフトウェア バージョン7.0(GraphPad)で実施した統計解析には、ネガティブ及び/又はポジティブ対照が期待される結果をもたらさずに破棄された実験を除いて、得られたすべてのデータポイントが含まれていた。外れ値の検定は行われなかった。コルモゴロフ-スミルノフ正規性検定(Kolmogorov-Smirnov normality test)を適用した(可能な場合は、n≧5)。結果は、特に指定がない限り、平均±標準誤差として表した。いくつかの場合において、用量反応実験を、4-パラメーターロジスティック(4PL)非線形回帰モデルに当てはめ、Rを計算することによってフィッティング(fitting)を推定した。すべてのデータを、データの正規性の評価を含む一元ANOVA検定で分析し、ダネット事後検定(Dunnet post-hoc test)によって修正した。確率(p)値<0.05を有意であるとみなした(<0.05、**<0.01、***<0.001)。
【0259】
in vitro骨髄由来樹状細胞
骨髄細胞を、以前に記載されたように、C57BL/6マウスから単離した(DOI:10.1073/pnas.1619863114)。乳鉢及び乳棒を使用して、0.5% BSA及び2mM EDTAを添加した1×PBS(MACS緩衝液)中で大腿骨、脛骨及び骨盤からBMを収集し、70μmセルストレーナーに通し、1400r.p.mで5分間遠心分離した。赤血球をACK溶解緩衝液(塩化アンモニウム0.15M、炭酸カリウム10mM)で溶解し、培養前に、Histopaque1119(#11191、Sigma-Aldrich)を使用して勾配遠心分離によってデブリ(破片、debris)を除去した。0.1 非必須アミノ酸(Non-essential Amminoacids)(#11140-035 Thermo Fisher)、1mMピルビン酸ナトリウム(#11360-070、Thermo Fisher)、5mMグルタミン(#25030-024、Thermo Fisher)、50μM 2-メルカプトエタノール(#31350-010、Thermo Fisher)、100U/mlペニシリン、100g/mlストレプトマイシン(#15140-122、Thermo Fisher)及び10% FBS(#10270-106、Thermo Fisher)を添加したイスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Media)(IMDM、#12440053、Thermo Fisher)(完全IMDM)に、5%マウスFlt3-Lを含有させ、この培地中に細胞を2×106細胞/mlで再懸濁し、6プレート組織培養プレート(6-plate tissue culture plates)に、5ml/ウェルで、37℃で8~10日間播種した。すべての培養実験について、緩く接着した細胞及び浮遊細胞を、示された時点で穏やかなピペット操作によって収集した。
【0260】
cDC1及びcDC2を、完全IMDM中にソートし(sorted)、FACSAria Fusionによって、pDCをB220+Bst2+、cDC1をB220-CD11c+MHC-II+CD24+CD172α-、cDC2をB220-CD11c+MHCII+CD24-CD172α+としてソートした。細胞をさらなる実験に使用する前に、ソート後分析(post-sort analysis)によって、ソート純度(sort purity)が>95%であることを確認した。
【0261】
EAEの誘導
使用したすべてのマウスは、C57BL/6バックグラウンドの12週の動物であった。EAEは、200μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質フラグメントMEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK(配列番号2;MOG35-55ペプチド;#crb1000205n Cambridge Research Biochemicals)と、4mg/ml結核菌TB H37 Ra(#231141 BD)を含む不完全フロイントアジュバント(Freund’s Adjuvant)(#263910、BD)とを1:1(v/v)の比率で含む混合物で誘導した。マウスに、このMOG/CFA混合物を2回(それぞれ100μl)皮下注射した。次いで、マウスに、百日咳毒素(#180、List Biological Laboratories)を、200μLのPBS中に1ng/μLの濃度で、1回腹腔内注射した。マウスは、最初のEAE誘導の2日後に、同じ濃度で百日咳毒素の2回目の注射を受けた。マウスに、EAE誘導後10日目から開始して一日おきに、1×PBSに溶解したさまざまな用量のSM231を経口投与した。その後、マウスをモニターし、毎日スコア付けした。EAE臨床スコアは、従前に記載されたように(Mayo et al., 2014; Rothhammer et al., 2016)、以下のように定義された:0-徴候なし(no signs)、1-尾の完全下垂(fully limp tail)、2-後肢虚弱(hindlimb weakness)、3-後肢麻痺(hindlimb paralysis)、4-前肢麻痺(forelimb paralysis)、5-瀕死の状態(moribund)。性差は解析されなかったが、EAE実験のいずれのセットにおいても単一の性のみを用いた。マウスは、無作為に処置群に割り当てた。
【0262】
結果
SM3の同定、キャラクタリゼーション及び最適化。人為的欠損又は疾患関連点変異を含むPrPCの中央領域の変異は、パッチクランプ技術によってトランスフェクトされた細胞で検出できる毒性イオンチャネル活性を誘発する23,24。PrP変異体を発現する細胞は、アミノグリコシド及びフレオマイシン類似体を含む、トランスフェクトされた細胞株の選択に一般的に使用されるいくつかのカチオン性薬物に対しても過敏である20。後者の効果は、「薬物ベースの細胞アッセイ」又はDBCAと呼ばれる、変異型PrPC関連毒性を研究するための新規な細胞アッセイを確立するために使用された25。重要なことに、野生型(WT)PrPCの共発現は、チャネル活性及び細胞毒性(citoxicity)の両方を抑制し、変異型PrPが通常PrPCによって制御されるシグナル伝達経路を異常に活性化することを示している可能性がある。したがって、DBCAは、PrPC活性を調節できる化合物を同定するためのユニークなツールである。本発明者らは、384ウェルプレートでDBCAの最適化及びスケールアップされたフォーマットを開発し、後に数万の小分子のスクリーニングに採用された21,22。いくつかの化合物は、WT細胞では検出可能な毒性を示さず、変異型PrPの毒性を抑制することが見出された。本発明者らは、これらの化合物の1つ(図1Aに示すように、SM3[ジベンゾ[3,4][c,e]チアジン5,5-ジオキシド]と名付けた)に着目した。SM3は、最適化及び構造活性相関(SAR)実験に適した薬物様化学スキャフォールドを有する。数十種類の誘導体(図1C)を設計及び合成し、それらの生物学的活性をDBCAによって試験した。化合物の3つの化学領域を、効力の向上及びSAR情報の取得という2つの目的で調査した。親化合物SM3の生物学的活性(図1B)を参考として、本発明者らは、さまざまな誘導体の活性を評価した(図2)。本発明者らは、SM3についていくつかの重要な所見を述べた。スペーサー領域で行われた化学修飾は、実を結ばなかった。逆に、C環での置換は効力を改善し、9-CF3誘導体が最も強力であった。シクロヘキシル基の分岐置換基は許容されなかったが、置換フェニル環は基準化合物に匹敵する効力を有する類似体を生成した。これらの結果を総合すると、SM3についての重要なSAR情報を提供し、さらなる誘導体及び官能基化された類似体を設計するための化学スキームを直接示唆した。また、本発明者らは、マイクロモル以下の範囲でDBCAによる活性を示すSM231と称される強力な誘導体を同定した(図3)。
【0263】
【表11】
【0264】
【表12】
【0265】
【表13】
【0266】
【表14】
【0267】
【表15】
【0268】
SM231は、Aβオリゴマーのシナプス毒性作用を阻害する。最近の研究では、アミロイドβなどの疾患関連タンパク質のさまざまなミスフォールドされたオリゴマーの毒性に対するPrPCの役割が同定されており、その蓄積はアルツハイマー病で発生する認知機能低下を強調している2,4。PrPCとAβオリゴマーとの相互作用は、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)、チロシンキナーゼFynの活性化、及びNMDA受容体のNR2Bサブユニットのリン酸化を含む迅速で毒性のあるシグナル伝達経路を解放し、最終的に受容体機能の制御異常、興奮毒性及び樹状突起棘退縮を引き起こす12。Aβ誘発性のFynの活性化に対するSM231の効果を評価するために、本発明者らは、さまざまな濃度のAβオリゴマーに初代海馬ニューロンを短時間(10、20又は60分)曝露した。本発明者らは、オリゴマーがFynキナーゼの迅速なリン酸化を誘導することを確認した(20分時点の結果を図4に示す)。以前の所見26と同様に、この効果は、PrPC指向性化合物[Fe(III)-TMPyPと称される。]による処置によって阻害された35。興味深いことに、SM231との共インキュベーションによりAβ効果が完全に消失し、Fynのリン酸化が正常なレベルに回復した(図4A)。次に、本発明者らは、SM231がAβオリゴマー依存性シナプス毒性を阻害する能力について直接試験した。初代海馬ニューロンを、Aβオリゴマー(3μM)と3時間インキュベートした。以前の報告11と同様に、本発明者らは、トリトン不溶画分のウェスタンブロッティングによって評価されるように、いくつかの後シナプスマーカー(NMDA受容体のサブユニット、GluN2A及びGluN2B、及びAMPA、GluA1及びGluA2、及びシナプス後肥厚部タンパク質95、PSD-95)の減少を観察した。これらの効果は、抗PrPC分子Fe(III)-TMPyPによる処理によってレスキューされた。重要なことは、SM231との20分間の共インキュベーションにより、すべての後シナプスマーカーのレベルが有意にレスキューしたことである。対照タンパク質(アクチン)のレベルは、Aβオリゴマー又はSM231のいずれによっても影響を受けなかった。これらのデータは、AβオリゴマーがPrPCの機能を破壊しかつ神経毒性シグナル伝達経路を活性化する能力を、SM231が阻害することを示している。
【0269】
より代謝的に安定な誘導体へのSM231の化学的最適化。本発明内では、代謝安定性を積極的に向上させると予測される位置を官能基化するさらなる化学的最適化サイクルを実施した(図5)。特に、ジベンゾチアジン核のC-3位を、F及びEtOによって官能基化し(それぞれ、SM882誘導体及びSM883誘導体)、他の3つの分子では、シクロヘキシルを、より安定でかつ親水性の基(モルホリン及びテトラヒドロピラン)で置換したり、分岐鎖を形成するよう開環したりした(SM881、SM884及びSM885)。興味深いことに、DBCAでアッセイしたところ、化合物SM884はSM231よりも強力であり(図6)、これら2つの分子は、さらなる開発のための有望なリード化合物となった。
【0270】
SM884は、マウス脳スライスにおけるプリオンのシナプス毒性作用をレスキューする。SM884が疾患関連状況(disease-relevant context)でプリオン誘発性毒性を阻害できるか否かを試験するため、本発明者らは、最近開発されたex vivo毒性モデルに目を向けた27,28。このアッセイは、マウス馴化M1000ヒトプリオン株に慢性的に感染した細胞株のライセートに感染した末期マウスのいずれかの脳ホモジネートに急性曝露したマウス脳スライスに基づいている。本発明者らは、SM884を濃度0.1~0.03μMで投与すると、長期増強の有意な(それぞれ、34%及び71%)レスキューを誘導することを見出した(LTP;図7)。最も低い用量でより高い効力が検出されたのは、この実験条件で観察された分子の凝集傾向を反映している可能性がある。また、これらの結果は、DBCAで評価されたように、細胞内の化合物の推定半値最大レスキュー用量(estimated half-maximal rescuing dose)(0.018μM)と完全に一致しており、SM884が低ナノモル濃度範囲内のプリオンによって誘発されるシナプス障害(synaptic impairment)を抑制できることを明確に示した。
【0271】
マウスのDC1及びDC2サブセットはPrPCを発現し、SM231で処理したDC2はDC-T細胞共培養におけるTreg細胞の増殖を促進する。骨髄由来樹状細胞を、2つの異なる濃度のSM231又はFe(III)-TMPyP又はビヒクルで刺激した後のPrPCの発現について分析した。この分析について、各DCサブセットにおけるPrPC発現を、特異的抗PrPC抗体を用いたウェスタンブロットによって測定した。本発明の著者らは、DC1及びDC2が、特にDC2において、SM231処理の際にわずかに増加するベースラインレベルのPrPCを発現することを見出した(図8A)。SM231又はFe(III)-TMPyPで処理した後のDC1又はDC2細胞の阻害機能を評価するために、本発明者らは、DCとナイーブCD4+T細胞とのin vitro共培養を実施した。慣用のDC2のプライミング能は、SM231によるDC2処理によって有意に影響を受けることが見出された。具体的には、これらの細胞は、Treg細胞マーカーFoxP3及びLAPを発現するT細胞の増殖を促進することができ、この効果にはDCにおけるPrPC発現が必要であった。これは、特異的なPrPC siRNAによってトランスフェクトされたDC2細胞では防止されたが、対照siRNAでは防止されなかったためである(図8B)。全体として、これらのデータは、PrPC刺激がDC2に寛容原性機能を与え、このサブセットのデフォルトの免疫原性プログラムを抑制する可能性があることを示唆している。
【0272】
化合物SM888及びSM889は、SM231と同様に、cDC2の寛容原性活性を促進する。cDC2細胞は、EAEのモデルにおいて、ミエリンペプチド特異的脳原性病原性TH17(myelin peptide specific encephalitogenic pathogenic TH17)のプライミングに不可欠なIL-6をトランスプレゼンテーションすることが報告されている。追加の誘導体(すなわち、SM887、SM888、SM889)がDCサブセットで調節機能を誘導できるか否かを評価するために、本発明者らは、さまざまな濃度のOVAの存在下、cDC2細胞とナイーブオボアルブミン(OVA)特異的トランスジェニックCD4+T細胞とのin vitro共培養を実施した。T細胞の増殖を分析した。本発明者らは、cDC2のプライミングが、SM誘導体によるcDC処理によって有意な影響を受け、SM888及びSM889によってより有意に影響を受けることを見出した。具体的には、これらの細胞は抗原特異的CD4T細胞の増殖を抑制することができ、この効果は分子を10μMの濃度で用いた場合に、より顕著であった(図9)。
【0273】
SM231の投与はEAEを改善し、in vivoで炎症性サイトカインを抑制する。本発明の著者らは、PrPCモジュレーターがこの実験モデルにおいて保護的役割を有することができるか否かを調査した。WT雌性C57BL/6マウス群を、MOG35-55ペプチドで免疫し、ワクチン接種後3日目から24日目まで隔日2回用量でFe(III)-TMPyP又はSM231を腹腔内(i.p.)注射した。対照マウスにはビヒクルを単独で投与した。EAE臨床スコアは、この期間にわたって毎日記録された(図10A)。本発明者らは、SM231(図10B)を投与した結果、対照マウスと比較して疾患が低減した(P<0.05)ことを見出した。ワクチン接種後25日目(d 25 post-vaccination)に、ビヒクル処置した対照と比較して、白質脱髄及び炎症性湿潤がSM231によって減少した(図10C)。また、SM231のin vivo処置の結果、頸部リンパ節から精製しかつin vitroにおいてMOGで再刺激したCD4+T細胞によるIL-17A及びGM-CSFなどの炎症性サイトカインの分泌が減少した。これらのデータは、神経炎症の制御におけるPrPC活性化の治療的価値及び生理学的価値をも示唆する。また、これらのデータは、SM231などの分子がin vivoにおいても、潜在的な炎症性抗原提示細胞を制御することによってこれらの効果を発揮し得ることを示唆する。重要なことに、これらのデータは、SM231の他の誘導体で得られたデータと類似していた。
【0274】
SM231はPrPCを直接標的にすることによって作用しない。いくつかの実験状況においてSM化合物がPrPCの活性を調節する有望な能力を示す観点から、これらの分子はタンパク質を直接標的にすることによって作用するという仮説を検証した。最初に、抗プリオンフェノチアジン誘導体(クロロプロマジン、CPZ)について最近観察された作用モードである、細胞表面からのPrPCの再局在化をこの化合物が促進し得るという仮説を立てた29,30。EGFPタグ付きPrPCを安定的に発現するHEK293細胞を、さまざまな濃度のSM231、CPZ又はビヒクル対照で処理し、細胞表面でのPrPC局在化をイメージング(画像化)技術によってモニターした(図11A)。結果は、以前のデータと一致して、CPZが、細胞表面から細胞内コンパートメントへ用量依存的にEGPF-PrPCの再局在化を誘導することを示した30。逆に、SM231については変化が検出されず、この化合物が細胞表面からのPrPCの再局在化を誘導することによってその効果を発揮しないことを示唆した。次に、SM231がPrPC発現を変化できるか否かについて検証した。野生型PrPCを安定的に発現するHEK293細胞を、さまざまな濃度のSM231で処理した。次いで、総PrPCレベルを、ウェスタンブロッティングによって細胞全体のライセートにおいて評価した(図11B)。この検証で、SM231による処理の際にPrPC発現における差異はみられなかった。最後に、SM231の組換えPrPCへの直接結合を、PrPCに対する小分子の相互作用を検出するために以前に使用された生物物理的技術である、動的質量再分布(DMR)によって検証した26。Fe(III)-TMPyP及びクロロプロマジン(CPZ)は、PrPCに対して、それぞれ、高親和性及び低親和性を示すことが従前に報告された化合物であり19,30、これら2つの化合物を対照として使用した。しかし、SM231と組換えPrPCとの間には、最高濃度(1mM、図11C)であっても、相互作用は観察されなかった。これらの結果を総合すると、SM231は、PrPCに直接接合したり、その発現又は局在化を変化させたりすることによって作用しないことが示される。
【0275】
FXR阻害剤は、変異型PrP細胞毒性を抑制する。2つのFXRアゴニスト、WAY-362450及びフェキサラミン(これらの構造を以下に示す。)を、DBCAアッセイを用いて試験した。
【0276】
【化39】
【0277】
ΔCR PrPを発現するHEK293細胞を、1日目に24ウェルプレートにおいて60%以下のコンフルエントで培養した。2日目に、細胞を、500μg/mLのZeocin及び/又は個々のFXRアゴニストによって、さまざまな濃度(0.03~30μM)で72時間処理した。培地(新鮮なZeocin及び/又はFXRアゴニストを含む。)を、24時間ごとに交換した。5日目に、細胞培地を除去し、細胞を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を1mg/mLの割合で含むPBSとともに、30分間37℃でインキュベートして、細胞生存率を評価した。興味深いことに、FXRアゴニストであるWAY-362450は、マイクロモル以下の範囲の50%(IC50)値の阻害濃度で、用量依存的にΔCR PrP依存性細胞毒性をレスキューした(図12)。重要なことは、FXRアゴニストであるフェキサラミンは、はるかに低い効果を示すことであり、おそらく特異的FXRアイソフォームに対する2つのアゴニストの異なる活性を反映しているか、及び/又は異なるコアクチベーターもリクルート(recruiting)している。これらの結果を総合すると、変異型PrP毒性とFXR受容体の活性との間に直接的な薬理学的関連性が確立され、この受容体がSM化合物の標的である可能性が示唆される。
【0278】
SM231は、マウス肝細胞におけるFXR遺伝子転写活性を媒介する。マウス初代肝細胞を、6~8週齢のC57Bl6/J野生型雄性マウス(Charles Riverから入手)から単離した。3x10個の初代肝細胞を、SM231又はWAY-362450(強力でかつ選択的なファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト)の濃度を増加させながら、4又は12時間刺激した。FXR(nr1h4)及びFXR標的遺伝子NrOb2の発現を、特異的プライマーを用いてRT-qPCRによって評価した。
【0279】
この実験では、参照アゴニストWAY-362450と同様に、SM231は、特に処理後3時間で、これらの細胞において有意なFXR転写活性を促進した(図13)。この効果は、両方の分子について、活性化の6時間後に失われた。これらのデータは、SM231が細胞内でFXR受容体アゴニストとして作用し得ることを示唆する。
【0280】
参考文献
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【配列表】
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【国際調査報告】