(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-29
(54)【発明の名称】大きい表面を工業的に3D噴霧するための再帰反射性組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240522BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240522BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240522BHJP
C09D 5/33 20060101ALI20240522BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D7/43
C09D5/33
B05D5/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571149
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022063160
(87)【国際公開番号】W WO2022243231
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522166275
【氏名又は名称】インク インベント アイピー ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】INK INVENT IP B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クノート, ヤックス アルテュール
(72)【発明者】
【氏名】メイネン, ポール ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ケレス, ハラルド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ミュイス, フィリップス ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】クノート, メンノ アルテュール
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA08
4D075AC14
4D075CB03
4D075DB01
4D075DB11
4D075DB12
4D075DB16
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4D075DB31
4D075DB33
4D075DB35
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4D075DC12
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4D075EC01
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4D075EC10
4D075EC11
4D075EC23
4D075EC33
4J038BA202
4J038CG141
4J038CG142
4J038HA216
4J038HA486
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA14
4J038NA19
(57)【要約】
本発明は、組成物の総重量を基準にして、15~75重量%の溶媒;レーザー回折を用いて測定して1から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに1から75pmの間の平均直径、1pm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比を有する0.20~4.5重量%の合成顔料薄片、合成顔料薄片以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、合成顔料薄片並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は0.20から4.5重量%の間にある再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物であって、前記組成物の総重量を基準にして、
15~75重量%の溶媒;
1~85重量%の、レーザー回折を用いて測定して1から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
0.20~4.5重量%の、1から75μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)又はこれらの組み合わせから選択される合成顔料薄片; 合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、MgF
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al
2O
3、SiO
2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO
2、ZrO
2、SiO
2、SnO
2、In
2O
3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl
2O
3小板を含む薄片;
前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、0.20から4.5重量%の間にある、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量を基準にして、
15~68重量%の溶媒;
10~50重量%の、レーザー回折を用いて測定して5から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
0.20~4.5重量%の、5から50μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)又はこれらの組み合わせから選択される合成顔料薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、MgF
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al
2O
3、SiO
2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO
2、ZrO
2、SiO
2、SnO
2、In
2O
3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl
2O
3小板を含む薄片、
前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量が、0.20から4.5重量%の間にある、請求項1に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項3】
前記合成顔料薄片の平均直径が、前記球状ガラスビーズの中央粒径D50の30%を超え、より好ましくは33%を超え、例えば、35を超え、40を超え、50%を超え、55%を超え、60%を超え、70%を超え、90%を超え、110%を超え又は130%を超える、請求項1又は2に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項4】
前記球状ガラスビーズが、
(i)2.0から2.8の間、好ましくは2.1から2.4の間;又は
(ii)1.7から2.1の間、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項5】
前記球状ガラスビーズがアルミニウムコーティングを用いて半球状にコーティングされた、請求項1~4のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項6】
SiO
2層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片又はSiO
2層を用いてコーティングされ、且つ1種若しくは複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片である合成顔料薄片(A)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項7】
TiO
2を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片、Fe
2O
3を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片、TiO
2及びFe
2O
3の混合物を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片及びそれらの組み合わせからなる群から選択される合成顔料薄片(B)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項8】
コーティングのないアルミニウム薄片、又はコーティングのない合成雲母薄片である合成顔料薄片(A)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項9】
前記溶媒が水又は水性溶媒であり、前記1種又は複数の増粘剤が、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション、変性尿素又は尿素変性ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項10】
前記溶媒が有機溶媒であり、前記1種又は複数の増粘剤が、(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項11】
2種の増粘剤、好ましくは、変性水素化ヒマシ油及び有機親和性フィロシリケートが適用される、請求項10に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項12】
0.20~4.0重量%、好ましくは0.20~3.5重量%、より好ましくは0.20~3.0重量%、さらにより好ましくは0.20~2.5重量%、なおより好ましくは0.20~2.0重量%の合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)の合計量を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項13】
前記1種又は複数のさらなる成分が、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料及び硬化開始剤からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項14】
再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法であって、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の前記基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)の前記プライマー層に有色の基層を塗布するステップ;
d)ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)若しくは(c)の層上に請求項1~13のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を、0.25から30g/m
2の間の、前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を提供する量で噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた前記基材を乾燥及び硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた前記再帰反射性層を用いてコーティングされた前記乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥又は硬化するステップを含む、方法。
【請求項15】
前記再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が、カーテンコーティング、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して又は噴射剤を含むスプレー缶を使用してステップ(d)で前記基材上に噴霧される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(d)がn個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、ここで、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた、基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物、及びそれらの調製の方法に関する。本発明は、さらに、前記再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を使用して再帰反射性層を有する基材にコーティングするプロセス、及び前記プロセスによって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関する。
[発明の背景]
【0002】
再帰反射性塗料、インク及びコーティングは、様々な用途で使用される。例えば、暗い条件下で道路標識、道路マーカー、布地、自動車などの視認性を改善するために。塗料、インク及びコーティングは、典型的には、特定の屈折率を有する球状ガラスビーズを添加することにより再帰反射特性が付与される。再帰反射は、球状ガラスビーズの上表面を通る入射光の屈折、球状ガラスビーズの下内側表面からの内部反射、及びその後、衝突する光が来た方向に戻って球状ガラスビーズの上表面から出る際の光の屈折のタンデム型作用により生じる。
【0003】
国際公開第2004/017104号は、再帰反射性微小球体、結合剤系、及び再帰反射性組成物を基準として約2~約5重量%の量の少なくとも2種のチキソトロピー剤を含むチキソトロピーブレンドを含む再帰反射性組成物を開示している。再帰反射性組成物は、塗料、インク及びコーティングとして使用されることが意図され、噴射剤を用いてエアロゾルアプリケータを使用して基材に塗布される。
【0004】
国際公開第01/16223号は、布地に印刷する再帰反射性インクに関する。国際公開第01/16223号のただ一つの実施例はスクリーン印刷インクを開示している。スクリーン印刷インクは、専門的又は工業用の(高速)噴霧に適切ではない。一般に、印刷分野の当業者にとって、基材にそれらを塗布するために使用される技法が根本的に異なるために、スクリーン印刷インク、及び専門的又は工業用の(高速)噴霧用のインクのレオロジー特性が根本的に異なることは公知である。
【0005】
国際公開第00/42113号は、液体キャリア媒体中にマイクロビーズを含む再帰反射性インクに関する。インクは布地へのスクリーン印刷用に意図される。
【0006】
国際公開第2003/016964号は、再帰反射性コーティング系、及び基材へコーティング系を提供する方法に関する。方法は、
(a) 基材に色を提供する組成物を塗布し、その結果として色を提供する組成物の未硬化フィルム層を形成するステップ;及び
(b) 色を提供する組成物の未硬化フィルム層に少なくとも部分的に透明なクリアコート組成物をウェットオンウェットで塗布し、それによって色を提供する組成物の未硬化フィルム層にクリアコート組成物の未硬化フィルム層を形成するステップを含み;
ここで、色を提供する組成物及びクリアコート組成物の少なくとも1つは、架橋性であり、色を提供する組成物及びクリアコート組成物の少なくとも1つは、基材に再帰反射性コーティング系を提供する再帰反射性微小球体を含む。着色されたベースコート組成物は、100重量部の着色されたベースコート組成物を基準にして5~40重量部の顔料、例えば、8~25重量部などの薄片状アルミニウム顔料を含む。
【0007】
一般に当業者によって認識されるように、基材がコーティング又は塗装される場合、基材の表面の又は表面の上の不均質性に関係なく表面全体にわたってコーティング又は塗料の意図した効果を提供したいと、人は考える。基材に再帰反射特性が提供される場合、明らかに、表面全体にわたって均質な再帰反射性を実現したいと人は考える。同様に、基材にコーティング又は塗料の有色層が提供される場合、コーティング又は塗装された基材に存在する色差は、コーティング又は塗料の有色層によってそれ以上視覚可能ではないことが必要とされ、すなわち、コーティング又は塗料の有色層は十分に不透明でなければならない。以下に続く内容において、「十分に不透明な」という用語は、「十分な被覆性を有する」又は「十分な隠蔽能力を有する」と置き換えられる。本発明の文脈において、これらの3つの用語は、基材に塗布された場合、基材の表面に存在する色差をマスクするインク、塗料又はコーティング配合物に関係がある。当業者に一般に公知であるように、色の不均質性の問題は、(例えば、塗装又はコーティングの必要がある車体などの)大きい基材に、より一般的である。
【0008】
本発明者らは、顔料及び再帰反射性球状ガラスビーズの両方を含む、先行技術のコーティング又は塗料の再帰反射特性及び被覆性は、十分な被覆性を得るために通常必要とされる顔料の量が、再帰反射特性を大部分減じるか完全に破壊さえするという意味で矛盾していることを見いだした。
【0009】
国際公開第2003/016964号の
図4は、アルミニウム顔料を用いるコーティング系を開示し、ここで、再帰反射性微小球体は着色されたベースコートフィルム層中に配置されている。上記に説明されたように、国際公開第2003/016964号は、着色されたベースコート組成物が、100重量部の着色されたベースコート組成物を基準にして、5~40重量部、例えば、8~25重量部の顔料、例えば薄片状アルミニウム顔料を含むことを教示している。添付された実施例に示すように、本発明者らは、再帰反射性微小球体が配置されたベースコート組成物中に少なくとも5重量部の顔料を使用することが、ベースコートフィルム層の再帰反射特性に不利益な影響を有することを見いだした。
【0010】
この問題は、第1に十分な被覆性を提供する量の顔料を含む基層を塗布すること、次いで、基層の上に再帰反射性球状ガラスビーズを含む第2の層を塗布することによって解決することができる。国際公開第2003/016964号の
図1及びパラグラフ[00043]-[00046]中の実施例は、例えば着色されたベースコートフィルム層とクリアコートフィルム層の間の中間コートフィルム層中に配置された再帰反射性微小球体を含む再帰反射性コーティング系を開示している。この解決法は、しかし、異なる組成物を用いる後続の塗装又はコーティングするステップを含むという点でより好まれない製作のプロセスを必要とする。
【0011】
保存に安定であり、それでもなお様々な基材に、好ましくは専門的又は工業用の(高速)噴霧を使用して容易に塗布することができ、良好な被覆性を有する再帰反射性層又はコーティングが結果として得られる、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が必要とされている。
【0012】
したがって、本発明は、十分な安定性又は保存寿命を有し、様々な基材に、好ましくは専門的又は工業用の(高速)噴霧を使用して専門的又は工業的に塗布することができる、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供することを目的とする。
【0013】
様々な基材に専門的又は工業的に、好ましくは専門的又は工業用の(高速)噴霧を使用して塗布し、良好な被覆性を有する再帰反射性層又はコーティングを結果として得ることができる再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0014】
好ましくは専門的又は工業的(高速)噴霧を使用して、車体などの大きい表面に良好な被覆性を有する再帰反射性層の製造のための単純化された方法を提供することは本発明のなお別の目的である。
【0015】
[発明の概要]
本発明者らは、予想外にも再帰反射性球状ガラスビーズ、及び、特定のサイズを有する薄片の形の削減された量の顔料を含むインク、コーティング又は塗料組成物の使用によって、目的の1つ又は複数が達成され得ることを確証した。
【0016】
したがって、第1の態様において、本発明は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物であって、組成物の総重量を基準にして、
15~75重量%の溶媒;
レーザー回折を用いて測定して1から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
1から75μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する0.20~4.5重量%の合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)及びこれらの組み合わせから選ばれる合成顔料薄片:
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、MgF2、合金、希土類化合物からなる群から選択される、1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al2O3、SiO2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO2、ZrO2、SiO2、SnO2、In2O3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl2O3小板を含む薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、0.20から4.5重量%の間、好ましくは0.20から4.0重量%の間にある、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供する。
【0017】
本発明者らは、この組成物が、例えば、各種基材に専門的又は工業用の(高速)噴霧を使用して塗布して、優れた被覆性を有する再帰反射性コーティング層をもたらすことができることを見いだした。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本発明者らは、1から75μmmの間、例えば5から50μmの間の特定範囲の平均(表面)直径の合成顔料薄片及びそれらの平滑な表面領域が、反射をそれほど低下させずに、十分な被覆性を提供するという仮説を立てている。改善された被覆性は通常より少ない再帰反射性を暗示する。しかし、合成顔料薄片の平滑な表面領域の反射は、やはり再帰反射性を改善すると考えられる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、発明者らはさらに、合成顔料薄片の非常に限定された厚さ - 可視光線の波長順に - が、再帰反射特性にさらに寄与するという仮説を立てている。
【0018】
本発明者らはさらに、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が、各種基材に塗布した結果として、再帰反射特性のないインク、コーティング又は塗料組成物のそれと同様の優れた色認知を有する再帰反射性コーティング層を得ることができることを確証した。
【0019】
第2の態様において、本発明は、再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法に関し、前記方法は、
a) 基材を用意するステップ;
b) 任意選択でステップ(a)の基材にプライマー層を塗布するステップ;
c) 任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の基材又はステップ(b)のプライマー層に有色基層を塗布するステップ;
d) 上文に定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物をステップ(a)の基材上に、又はステップ(b)若しくは(c)の層上に0.25から30g/m2の間の、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を提供する量で噴霧するステップ;
e) ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を乾燥及び硬化するステップ;並びに
f) 任意選択でステップ(e)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥又は硬化するステップを含む。
【0020】
第3の態様において、本発明は、本明細書において定義される基材をコーティングするための方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関する。
【0021】
定義
本発明の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の文脈における「剪断減粘挙動」という用語は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が、最初静的状況で、剪断速度にかけられたときの粘度の低下に関係する。
【0022】
本明細書において使用される「顔料」という用語は、微粒子着色剤、例えば球状部分又は薄片を指す。それらは使用される結合剤又は溶媒に不溶性である。
【0023】
本明細書において使用される「染料」という用語は、使用される結合剤又は溶媒に分子状で溶解することができる着色剤を指す。
【0024】
本明細書において使用される「着色剤」という用語は染料だけでなく顔料も含む。
【0025】
本明細書において使用される「亜酸化チタン」という用語は、式TinO2n-1[式中、nは1を超える整数である。]を有する酸化チタン化合物を指す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】法線照明条件下の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の被覆性を示す。
【
図2】トーチ光(「フラッシュ」)適用下の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の被覆性及び再帰反射性を示す。
【詳細な説明】
【0027】
第1の態様において、本発明は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物であって、組成物の総重量を基準にして、
15~75重量%の溶媒;
レーザー回折を用いて測定して1から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
1から75μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する0.20~4.5重量%の合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)及びこれらの組み合わせから選ばれる合成顔料薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、MgF2、合金、希土類化合物からなる群から選択される、1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al2O3、SiO2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO2、ZrO2、SiO2、SnO2、In2O3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択される1種又は複数の成分を用いてドープされたAl2O3小板を含む薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、0.20から4.5重量%の間、好ましくは0.20から4.0重量%の間にある、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に関する。
【0028】
非常に好ましい実施形態において、第1の態様は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物であって、
組成物の総重量を基準にして、
15~68重量%の溶媒;
レーザー回折を用いて測定して5から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する10~50重量%の球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
5から50μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する0.20~4.5重量%の合成顔料薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
ここで、前記合成顔料薄片は、(A)、(B)、(C):
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、MgF2、合金、希土類化合物からなる群から選択される、1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al2O3、SiO2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO2、ZrO2、SiO2、SnO2、In2O3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl2O3小板を含む薄片又はそれらの組み合わせから選ばれ、
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、0.20から4.5重量%の間、好ましくは0.20から4.0重量%の間にある、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に関する。
【0029】
好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、少なくとも1日間、より好ましくは少なくとも2日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間安定であり、目視及び触覚的検査で沈澱、離液及び分離を観察することができない場合、組成物は安定と考えられる。好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は少なくとも24時間噴霧安定である。組成物は、再混合なしでそれを噴霧することができる場合、噴霧安定性であると考えられる。
【0030】
溶媒
実施形態において、溶媒は水溶媒又は水である。本明細書において使用される「水溶媒」という用語は、水性溶媒の重量を基準にして少なくとも70重量%の水、好ましくは少なくとも80重量%の水、より好ましくは少なくとも90重量%の水、さらにより好ましくは少なくとも95重量%の水、例えば、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%及び少なくとも98重量%の水を含む溶媒に関係する。水性溶媒中の残りの溶媒は特に限定されないが、しかし、通常、水混和性有機溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール)、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、又はチオジグリコール)、例えば、エーテル又はエステルなどのグリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル又はエチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン又はテトラメチルプロピレンジアミン)、アミド(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミド)、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-オキサゾリドン、l,3-ジメチル-2-イミジゾリジノン、アセトニトリル、アセトン及びそれらの組み合わせである。
【0031】
別の実施形態において、溶媒は有機溶媒又は有機溶媒の混合物である。好ましい有機溶媒は、脂肪族及び芳香族溶媒、ケトン、エステル、グリコエーテル、アルコール、ハロゲン化炭化水素及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。非常に好ましい有機溶媒は、キシレン(異性体の混合物)、トルエン、エチルベンゼン、ナフサ、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、n-プロピルベンゼン、酢酸イソペンチル、n-酢酸ブチル、(2-メトキシメチルエトキシ)プロパノール、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸2-メチルブチル、イソブタノール、1-ブタノール、1-エトキシプロパン-2-オール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、4,6-ジメチル-ヘプタン-2-オン、4-メチル-2-ペンタノン、1-メトキシ-2-プロパノール、酢酸1-メトキシ-2-プロピル、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、5-メチルヘキサン-2-オン、酢酸エチル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
非常に好ましい実施形態において、溶媒の量は、組成物の総重量を基準にして15~68重量%である。
【0033】
実施形態において、溶媒の量は、組成物の総重量を基準にして20~68重量%、30~68重量%、40~68重量%、50~68重量%、又は52~68重量%である。
【0034】
他の実施形態において、1種又は複数のさらなる成分の量は、組成物の総重量を基準にして25~67重量%、35~66重量%又は45~65重量%である。
【0035】
実施形態において、溶媒の量は、組成物の総重量を基準にして20~75重量%、30~75重量%、40~75重量%、50~75重量%又は52~75重量%である。
【0036】
球状ガラスビーズ
上文に定義されたように、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、1.5から2.8の間にある。
【0037】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、
(a)2.0から2.8、好ましくは2.1から2.4の間の;又は
(b)1.7から2.1、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する。
【0038】
好ましい実施形態において、本明細書において使用される「球状ガラスビーズ」中の「ガラス」という用語は、酸化物でできた非晶質の無定形固体及び透明な材料を指す。他の実施形態において、「球状ガラスビーズ」中の「ガラス」という用語は、酸化物ででき、多少の微小結晶度を含有する固体及び透明な材料を指す。球状ガラスビーズの屈折率は、ガラスの密度と密接に関係するが、関係は線形ではない。ガラスの性質のために、密度はおよそその組成物の加法的関数である。1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズの密度は、通常2.5から4.5g/cm3の間で変動する。
【0039】
ガラスに使用することができる酸化物は、シリコン、ホウ素、アルミニウム、ナトリウム、バリウム、バナジウム、チタン、ランタン、ストロンチウム、ジルコニウム、カリウム、マグネシウム、鉄、カルシウム、亜鉛、リチウム、バリウム及び鉛の酸化物である。球状ガラスビーズは、例えばシリカ(SiO2)、酸化ホウ素(B2O3)、五酸化リン(P2O5)、五酸化バナジウム(V2O5)、三酸化二ヒ素(As2O3)、酸化ゲルマニウム(GeO2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化カリウム(K2O)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化鉛(PbO)、酸化バリウム(BaO)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化チタン(TiO2)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ランタン(La2O3)及び酸化ジルコニウム(ZrO2)の種々の組み合わせを含み得る。シリカ及び酸化ホウ素は一般に密度が最も低い。これらの酸化物の大きい重量パーセントを含有するガラスは、したがって、一般に低い屈折率を有するガラスビーズをもたらす。屈折率は、高分子量を有する酸化物の添加により増加させることができる。
【0040】
好ましくは、球状ガラスビーズはPbOを含まない。
【0041】
1.5~2.51の範囲の屈折率を有するガラスビーズ及び酸化物の観点でのそれらの組成が、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2014/109564号に開示されている。2.15を超える屈折率を有する、PbOを含まない透明ガラスビーズが、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,082,427号に開示されている。
【0042】
球状ガラスビーズは、透明性を維持する限り、有色球状ガラスビーズであってもよい。有色透明ガラスで作製された有色球状ガラスビーズ、及び同心の透明有色コーティングが施された球状ガラスビーズの両方が、本発明に包含される。色は、酸化物の組成によってもたらされた自然の色であってもよく、又は、特定の色を有する成分を添加することによって意図的に選択されてもよい。高い屈折率及び高い透明性を有する有色ガラスビーズが、国際公開第2014/109564号に開示されている。
【0043】
したがって、実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は有色透明ガラスで作製された球状ガラスビーズであり、及び/又は、球状ガラスビーズの少なくとも一部は同心の透明有色コーティングが施されている。
【0044】
球状ガラスビーズは、レーザー回折により測定される中央粒径D50を有する。したがって、中央粒径D50は、体積分布に基づく体積中央値である。中央粒径D50は、球状ガラスビーズの集団の半分がそれ未満に収まる直径である。この体積中央粒径は、当技術分野においてしばしばDv50又はDv0.5と呼ばれる。
【0045】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0046】
実施形態において、球状ガラスビーズは、25から100μmの間、好ましくは30から75μmの間、より好ましくは35から50μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0047】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から100μmの間、例えば5から75μmの間、5から50μmの間、5から45μmの間、5から40μmの間又は5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0048】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から100μmの間、例えば1から75μmの間、1から50μmの間、1から45μmの間、1から40μmの間、1から35μmの間、1から30μmの間、1から25μmの間、1から20μmの間、1から15μmの間、又は1から10μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0049】
なお別の実施形態において、球状ガラスビーズは、25から150μmの間、例えば50から150μmの間、75から150μmの間、100から150μmの間、110から150μmの間、又は115から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0050】
直径D10及びD90はそれぞれ、当技術分野においてしばしばDv10又はDv0.1及びDv90又はDv0.9と呼ばれる。D10直径は、球状ガラスビーズの集団の10%がそれ未満に収まる直径である。同様に、D90直径は、球状ガラスビーズの集団の90%がそれ未満に収まる直径である。
【0051】
レーザー回折により測定される球状ガラスビーズの粒子サイズ分布のスパンは、以下により定義される。
【0052】
【0053】
別の実施形態において、球状ガラスビーズは、15から100μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0054】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、30から75μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間、又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0055】
別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、15から50μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0056】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0057】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0058】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、10から25μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0059】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から25μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間、又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0060】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から15μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0061】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から10μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、好ましくは0から1.5の間、より好ましくは0から1の間、さらにより好ましくは0から0.5の間、例えば0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0062】
当業者により理解されるように、スパン=0は、単分散球状ガラスビーズに対応する。
【0063】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は、光反射コーティングで、好ましくは半球状アルミニウムコーティング(HAC)を用いて半球状にコーティングされている。有機溶媒に基づく組成物に特に適している別の実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は、フッ素化学的にコーティングされている。水性組成物の水系に特に適している別の実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部はシランコーティングされている。水性組成物の水系に特に適している別の実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部はシリコーンコーティングされている。
【0064】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして10~50重量%である。
【0065】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして15~50重量%、より好ましくは20~48重量%、よりさらに好ましくは25~45重量%である。
【0066】
実施形態において、球状ガラスビーズの量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして20~50重量%、20~49重量%、20~48重量%、20~47重量%、20~46重量%、20~45重量%又は20~44重量%である。
【0067】
他の実施形態において、球状ガラスビーズの量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、1~80重量%、1~78重量%、1~76重量%、1~74重量%、1~72重量%、1~70重量%又は1~68重量%である。
【0068】
他の実施形態において、球状ガラスビーズ量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして22~50重量%、23~50重量%、24~50重量%、25~50重量%、26~50重量%、27~50重量%、又は28~50重量%である。
【0069】
他の実施形態において、球状ガラスビーズ量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして2~85重量%、5~85重量%、8~85重量%、10~85重量%、12~85重量%、14~85重量%又は16~85重量%である。
【0070】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の特定の用途は、球状ガラスビーズの最適の屈折率を決定する。組成物が乾燥した環境において、又は乾燥条件下で再帰反射性を示すことになる基材上に塗布される場合、また、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層がさらなる層によってコーティングされない場合、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、1.8から2.8の間にあってもよい。
【0071】
実施形態において、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する球状ガラスビーズを含む。
【0072】
他方では、組成物が湿潤環境において、又は湿潤条件下で再帰反射性を示すことになる基材上に塗布されることになる場合、又は、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層が1つ又は複数のさらなる透明層によってコーティングされる場合、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、好ましくは2.0から2.8の間、より好ましくは2.2から2.4の間にある。乾燥及び湿潤条件の両方の下の再帰反射性を示すことになる組成物、及び、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層が1つ又は複数のさらなる透明層によってコーティングされるか、コーティングされない場合、異なる屈折率、及び任意選択で異なるサイズを有する異なるタイプのガラスビーズを含むことができる。実施形態において、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、2.0から2.8の間、好ましくは2.2から2.4の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する球状ガラスビーズを含む。
【0073】
別の実施形態において、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、少なくとも2つのタイプの球状ガラスビーズを含み、少なくとも1つのタイプの球状ガラスビーズは、1.8及び2.0未満の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有し、球状ガラスビーズの少なくとも1つのさらなるタイプは、2.0から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する。
【0074】
増粘剤
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は増粘剤を含む。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、増粘剤は、組成物中の球状ガラスビーズ及び任意選択で顔料薄片及び粒子などのさらなる微粒子物質の沈殿及び/又は沈降を制限又は低減し、その結果、組成物は容易に再懸濁することができると考えられる。さらに、やはりいかなる理論にも束縛されることを望まないが、増粘剤は、剪断減粘挙動を有する再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供すると考えられる。
【0075】
実施形態において、増粘剤は、異なる増粘剤の混合物を包含する。他の実施形態において、増粘剤は単一の増粘剤からなる。
【0076】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の溶媒の量は独立して指定される。増粘剤が溶媒中の例えば溶液、懸濁液又は分散体の形で適用される場合、上文に定義される増粘剤の量は、増粘剤の乾燥重量に関係する。
【0077】
好ましい実施形態において、増粘剤の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.05~2.3重量%、より好ましくは0.08~1.5重量%、さらにより好ましくは0.09~1.25重量%である。
【0078】
実施形態において、増粘剤の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.05~2.0重量%、0.05~1.5重量%、0.05~1.2重量%、0.05~1.1重量%、0.05~1.0重量%、0.05~0.9重量%、0.05~0.8重量%、0.05~0.7重量%、0.05~0.6重量%、又は0.05~0.55重量%である。
【0079】
他の実施形態において、増粘剤の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.10~2.5重量%、0.15~2.5重量%、0.20~2.5重量%、0.25~2.5重量%、0.35~2.5重量%、0.45~2.5重量%、0.55~2.5重量%、0.65~2.5重量%又は0.75~2.5重量%である。
【0080】
当業者により理解されるように、異なるタイプの溶媒は通常、異なる増粘剤を必要とする。以下に続く内容において、水性組成物のための好ましい増粘剤が記載され、有機溶媒に基づく組成物用の好ましい増粘剤である。
【0081】
水性系用の増粘剤
水性組成物用の増粘剤の1つの好ましい群は、ASEポリマー(アルカリ膨潤性エマルション;これらのポリマーは乳化重合を用いて製造される)である。ASEポリマーは、親水性(メタ)アクリル酸モノマー及び疎水性(メタ)アクリレートエステルモノマーのバランスに基づいており、液体形態で高い体積固形分で供給され得る。ASEポリマーは、低pHから高pHへの変化(中和)に依存して増粘を誘引する。「誘引」は、約50:50の比の水に可溶性の(メタ)アクリル酸及び水に不溶性の(メタ)アクリレートエステルを形成することにより、ポリマー中に組み込まれる。酸が中和されていない(低pHである)場合、ポリマーは水に不溶性で増粘しない。酸が完全に中和された(高pHである)場合、ポリマーは可溶性となり増粘する。ASEポリマーは低pH(<5)で供給され、最大35%の固形分で低い供給時の粘度(<100cP)を維持する。約7以上のpHに供された場合、ASEポリマーは体積排除により組成物を可溶化、膨潤及び増粘させる。増粘の程度は、ポリマーの分子量に関連し得る。ASEポリマーは、その性能が吸水及び膨潤に依存するため、非常に高い分子量となる傾向があり、これによってポリマーは効率的に増粘し得る。ASEポリマーが形成するレオロジープロファイルは、典型的には急激な剪断減粘(擬塑性)を示し、したがって、ASEポリマーは非常に低い剪断速度で高粘度を付与するのに十分適している。
【0082】
実施形態において、ASEポリマーの親水性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
別の実施形態において、ASEポリマーの疎水性モノマーは、C1~C4-アルコールとの(メタ)アクリル酸のエステル、特にアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルからなる群から選択される。
【0084】
なお別の好ましい実施形態において、ASEポリマーの親水性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、ASEポリマーの疎水性モノマーは、C1~C4-アルコールとの(メタ)アクリル酸のエステル、特にアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及びメタクリル酸メチルからなる群から選択される。
【0085】
実施形態において、ASEポリマーは、ASEポリマーの重量を基準として10~90重量%の1種又は複数の親水性モノマーAに基づく繰り返し単位、及び10~90重量%の1種又は複数の疎水性モノマーBに基づく繰り返し単位からなるコポリマーであり、モノマーA及びBの量は、合計して100重量%である。
【0086】
【化1】
[式中、R
1及びR
2は、独立して水素又はメチルであり、R
3はC
1~C
4-アルキルである。]。
【0087】
水性組成物用の増粘剤の別の好ましい群は、HASEポリマー(疎水性変性アルカリ膨潤性エマルション、これらのポリマーは乳化重合を用いて製造される。)である。HASEポリマーは、1種又は複数種の疎水性会合性モノマー、例えばアクリル酸エステル及び/又はビニルエステルモノマーをASEポリマー組成物に添加することによる、ASEポリマー化学に基づくコポリマーである。HASEポリマーは、そのASE相当物のpH依存的挙動を保持するが、HASEポリマーはまた、吸水に加えて疎水性会合によって増粘する。この機構は会合性増粘(すなわち組成物中の任意の疎水性部分と会合する)として知られている。
【0088】
HASEポリマーの親水性及び疎水性モノマーは、ASEポリマーに関して説明されたのと同じであってもよい。好ましい疎水性会合性モノマーは、(メタ)アクリル酸及びC8~C22-アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、並びに/又は(置換)ビニルアルコール及びC8~C22-アルキル酸のビニルエステルモノマーである。別の好ましい実施形態において、1種又は複数種の疎水性会合性モノマーは、ステアレス-20メタクリレート、ベヘネス-25メタクリレート、ネオデカン酸ビニル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0089】
一実施形態において、HASEポリマーは、HASEポリマーの重量を基準として10~90重量%の本明細書で前に定義された1種又は複数種の親水性モノマーAに基づく繰り返し単位、10~90重量%の本明細書で前に定義された1種又は複数種の疎水性モノマーBに基づく繰り返し単位、並びに0.01~2重量%の1種又は複数種の疎水性会合性モノマーC及び/又はDに基づく繰り返し単位からなるコポリマーであり、モノマーA、B、C及びDの量は、合計して100重量%である。
【0090】
【化2】
[式中、R
4は水素又はメチルであり、R
5は、C
8~C
22-アルキルであり、nは、0~50の整数であり、R
6は、水素又はメチルであり、R
7は、C
8~C
22-アルキルである。]。
【0091】
水性組成物用の増粘剤のさらに別の好ましい群は、疎水性変性エトキシル化ウレタン(HEUR)ポリマーである。ASE又はHASE型増粘剤とは異なり、HEURポリマーは非イオン性であり、任意のpHで可溶性である。この可溶性は、ポリマーのエチレンオキシド骨格に起因し、これは水溶性でポリマー構造の大部分を構成する。したがって、HEURポリマーは、エチレンオキシド骨格と相互作用して構造を付与するために、組成物中に疎水性部分を必要とする。
【0092】
ASEポリマーの例は、レオビス(Rheovis)(登録商標)1125(BASF Corporationから入手可能)、アキュリン(ACULYN)(商標)33;アキュリン(商標)38、アキュソール(ACUSOL)(商標)810A、アキュソール(商標)830、アキュソール(商標)835、アキュソール(商標)842(全てDOW Chemicalから入手可能)、及びカルボポール(Carbopol)(登録商標)Aqua30ポリマー(Lubrizol Corporation製)を含む。
【0093】
HASEポリマーの例は、アキュリン(商標)Excel、アクリソール(ACRYSOL)(商標)TT615、アキュリン(商標)22;アキュリン(商標)88、アキュソール(商標)801S、アキュソール(商標)805S、アキュソール(商標)820及びアキュソール(商標)823(全てDOW Chemicalから入手可能)を含む。
【0094】
HEURポリマーの例は、アキュソール(商標)880、アキュソール(商標)882、アキュリン(商標)44及びアキュリン(商標)46N(全てDOW Chemicalから入手可能)を含む。
【0095】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション、変性尿素又は尿素変性ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0096】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー及び架橋ポリアクリル酸コポリマーからなる群から、特にLubrizol Corporationからのカルボポール(登録商標)ポリマー製品、例えばカルボポール(登録商標)AQUA SF-1ポリマー、カルボポール(登録商標)AQUA SF-1 OSポリマー及びカルボポール(登録商標)Aqua SF-3 ポリマーから選択される。
【0097】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体からなる群から選択される。
【0098】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション、例えばBYKから入手可能なAquatix 8421からなる群から選択される。
【0099】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、変性尿素又は尿素変性ポリアミド、例えばBYKから入手可能なRheobyk-420からなる群から選択される。
【0100】
実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション、変性尿素又は尿素変性ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0101】
別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0102】
別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0103】
なお別の実施形態において、溶媒は水又は水性溶媒であり、1種又は複数の増粘剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態において、増粘剤は、ASEポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態において、増粘剤は、HASEポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0104】
有機溶媒に基づく組成物用の増粘剤
有機溶媒に基づく再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に使用することができる増粘剤の例は、好ましくは(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。変性粘土の例は、ベントン(BENTONE)(登録商標)LT及びベントン(登録商標)38(Elementis Global)を含む。シリカゲルの例は、HDK(登録商標)N20(Wacker Chemical Corporation)、又はアエロジル(AEROSIL)(登録商標)(Evonik)を含む。有機親和性フィロシリケートの例はClaytone 40(Byk)を含む。変性水素化ヒマシ油の例はエフカ(Efka)(登録商標)RM 1900(BASF)である。水素化ヒマシ油の例はエフカRM 1920(BASF)である。イソブタノール/モノフェニルグリコール中の尿素変性無極性ポリアミドの溶液の例は、Rheobyk-431(Byk)である。イソブタノール/ソルベントナフサ中の中極性の尿素変性ポリアミドの溶液の例は、Rheobyk-430(Byk)である。合成無定形シリカの例はゼオシクス(Zeothix)(登録商標)(Huber)である。
【0105】
好ましい実施形態において、有機溶媒に基づく再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物において、2種の増粘剤が、より好ましくは
有機親和性フィロシリケート及び変性水素化ヒマシ油;又は
スルホン酸カルシウム複合体及びポリ尿素分散体が使用される。
【0106】
顔料薄片及び粒子
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、1から75μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ、及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片を含み、前記合成顔料薄片は(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせから選ばれる:
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、MgF2、合金、希土類化合物からなる群から選択される、1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択された1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al2O3、SiO2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO2、B2O3、GeO2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO2、ZrO2、SiO2、SnO2、In2O3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl2O3小板を含む薄片。
【0107】
非常に好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、5から50μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ、及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する、(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせから選ばれる合成顔料薄片を含む。
【0108】
「平均直径」という用語は合成顔料薄片の文脈において中央粒径D50を指す。
【0109】
当業者によって認識されるように、「合成顔料薄片」中の「合成」という用語は、顔料薄片が天然に存在する顔料薄片ではなく、化学的に製造された顔料薄片、又は化学的/物理的に加工された、天然に存在する顔料薄片であることを意味する。合成色素薄片を使用する利点の1つは、非常に平滑な表面を有し、その結果として反射性を増加させることができることである。
【0110】
本明細書において使用される「薄片」又は「小板」という用語は、大きい表面積及び薄い厚さを有する顔料の形状を指す。通常、薄片又は小板は、最大の寸法(すなわち最も小さな寸法(すなわち厚さ)によって除された表面の最大の直径)として定義されるそれらの「アスペクト比」を特徴とする。本明細書において使用される合成顔料薄片は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20のアスペクト比を有する。
【0111】
実施形態において、本明細書において使用される合成顔料薄片は、10から500の間、好ましくは15から250の間、より好ましくは20から100の間のアスペクト比を有する。
【0112】
好ましい実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、6~45μm、より好ましくは7~35μm、さらにより好ましくは8~25μm、なおより好ましくは9~20μm、最も好ましくは10~16μmである。
【0113】
実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、1.5~65μm、好ましくは2~50μm、より好ましくは2.5~40μm、なおより好ましくは3~35μm、最も好ましくは4~30μmである。
【0114】
別の実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、1~65μm、例えば1~50μm、1~40μm、1~35μm、1~25μm、1~20μm、1~15μm又は1~13μmである。
【0115】
別の実施形態において、顔料薄片の平均直径は、1.5~75μm、例えば3~75μm、5~75μm、7~75μm、9~75μm又は11~75μmである。
【0116】
好ましい実施形態において、合成顔料薄片の厚さは、10nmから800nmの間、より好ましくは15nmから600nmの間にある。別の好ましい実施形態において、合成顔料薄片の厚さは、10から200nmの間、より好ましくは10から150nmの間、さらにより好ましくは10から100nmの間、なおより好ましくは10から50nmの間にある。なお別の好ましい実施形態において、合成顔料薄片の厚さは、200nmから980nmの間、例えば300nmから980nmの間、400nmから980nm、又は500nmから980nmの間にある。
【0117】
本発明者らは、顔料及び再帰反射性球状ガラスビーズの両方を含む、インク、コーティング又は塗料の再帰反射特性及び被覆性は、十分な被覆性を得るために通常必要とされる顔料の量が、再帰反射特性を大部分減じるか完全に破壊さえするという意味で矛盾していることを見いだした。
【0118】
インク、塗料又はコーティング配合物への大きく平滑な表面領域を有する顔料薄片の適用が、通常高反射を有する層をもたらすことは当技術分野において公知である。他方では、インク、塗料又はコーティング配合物に不規則な表面領域を有する薄片又は粒子を添加すると、通常高い被覆性を有する層をもたらす。しかしながら、高反射及び高被覆性を同時に得るのに困難である。十分な反射及び十分な被覆性の組み合わせは、通常平滑な表面(合成顔料薄片)を有し、1から75μmの間、例えば5から50μmの間の平均(表面)直径を有する薄片を用いて得ることができる。
【0119】
本発明者らは、顔料及び再帰反射性球状ガラスビーズの両方を含むインク、コーティング又は塗料層の満足な再帰反射特性及び十分な被覆性が、組成物中の顔料薄片及び顔料粒子の特定の限定濃度の適用によって、また、1から75μmの間、例えば5から50μmの間の平均(表面)直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比を有する合成顔料薄片の最小濃度の適用によって得ることができることを見いだした。
【0120】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本発明者らは、1から75μmの間、例えば5から50μmの間の特定範囲の平均(表面)直径の合成顔料薄片及びそれらの平滑な表面領域が、反射をそれほど低下させずに、十分な被覆性を提供するという仮説を立てている。改善された被覆性はより少ない再帰反射性を暗示する。しかし、合成顔料薄片の平滑な表面領域の反射は、やはり再帰反射性を改善すると考えられる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本発明者はさらに、合成顔料薄片の非常に限定された厚さ(可視光線の波長のオーダーで)は、再帰反射特性にさらに寄与するという仮説を立てている。
【0121】
当業者によって認識されるように、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量の高過ぎる濃度は、再帰反射性の低下をもたらす。他方、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量の低過ぎる濃度は、被覆性の低下をもたらすことがある。しかしながら、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量の低濃度による被覆性の低下は、より厚い層を基材に塗布することにより補正することができる。
【0122】
したがって、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.20から4.5重量%の間、好ましくは0.20から4.0重量%の間、より好ましくは0.20から3.5重量%の間、さらにより好ましくは0.20~3.0重量%の間、なおより好ましくは0.20~2.5重量%の間、なおより好ましくは0.20~2.0重量%の間にある。
【0123】
好ましい実施形態において、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0から1.5重量%の間、より好ましくは0から1.25重量%の間、例えば0から1重量%の間、0から0.75重量%の間又は0から0.5重量%の間にある。
【0124】
好ましい実施形態において、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)の合計量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.20から4.0重量%の間、より好ましくは0.20から3.5重量%の間、なおより好ましくは0.20から3.0重量%の間、さらにより好ましくは0.20から2.5重量%の間、なおより好ましくは0.20~2.0重量%の間にある。
【0125】
好ましい実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、球状ガラスビーズの中央粒径D50の30%を超え、より好ましくは33%を超え、例えば、35を超え、40を超え、50%を超え、55%を超え、60%を超え、70%を超え、90%を超え、110%を超え又は130%を超える。
【0126】
別の好ましい実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、球状ガラスビーズの中央粒径D50の30から400%の間、より好ましくは40から400%の間、例えば45から400%の間、50から400%の間、55から400%の間、60から400%の間、70から400%の間、90から400%の間、110から400%の間又は130から400%の間にある。
【0127】
なお別の好ましい実施形態において、合成顔料薄片の平均直径は、球状ガラスビーズの中央粒径D50の30から350%の間、より好ましくは30から300%の間、例えば30から250%の間、30から225%の間、30から200%の間、30から175%の間、30から150%の間、30から125%の間、30から100%の間又は30から75%の間にある。
【0128】
薄片(A)の例
薄片(A)は0から複数のコーティング層、例えば1、2、3、4又は5のコーティング層を有することができる。
【0129】
実施形態において、金属薄片(A)中の金属は、アルミニウム、銀及び金、好ましくはアルミニウムからなる群から選択される。好ましい実施形態において、金属薄片(A)は、コーティングのないアルミニウム薄片である。コーティングのない適切なアルミニウム薄片(A)の例は、デコメット(Decomet)(登録商標)アルミニウム薄片(Schlenk、Germany)を含む。通常、デコメット(登録商標)アルミニウム薄片は、10から15μmの間の平均粒子サイズ(D50)及び<50nmの厚さを有する。
【0130】
実施形態において、薄片(A)は、コーティングのない合成雲母薄片である。
【0131】
実施形態において、顔料薄片(A)は、いくつかのコーティング層を有する雲母薄片、例えばTiO2、Fe2O3及びSnO2を用いてコーティングされた雲母薄片である。例としてはイリオジン(Iriodin)(登録商標)Silver-Grey SW 顔料薄片(Merck、Germany)を含む。
【0132】
実施形態において、金属薄片(A)は、金属酸化物、SiO2、B2O3及びGeO2からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片である。実施形態において、金属薄片(A)は、SiO2層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片である。
【0133】
SiO2層を用いてコーティングされた適切なアルミニウム薄片(A)の例は、アクアメット(Aquamet)(登録商標)アルミニウム薄片(Schlenk、Germany)である。アクアメット(登録商標)アルミニウム薄片は通常、5から50μmの間の平均粒子サイズ、及び20nmから1μmの間の厚さを有する。
【0134】
MgF2を用いてコーティングされた適切なアルミニウム薄片(A)の例は、通常、14から35μmの間の平均粒子サイズ(D50)、及び250nmから900nmの間の厚さを有するSpectraFlair顔料(VIAVI Solutions Inc., USA)である。
【0135】
実施形態において、薄片(A)は、SiO2層を用い、且つ1種又は複数の着色剤、及び1種又は複数の着色剤の定着のための結合剤を含む外側層を用いてコーティングされる。SiO2層を用い、且つ1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた適切なアルミニウム薄片(A)の例はToyal flakes(Toyo Aluminium K.K., Japan)である。Toyal flakesは、約10μmの平均粒子サイズ及び1μm未満、例えば、約100nmの厚さを有していてもよい。
【0136】
金属薄片(A)のコーティング層に塗布することができる金属酸化物の例は、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnO、MnO2、MgO、Ce2O3、Fe2O3、Fe3O4、FeTiO5、Cr2O3、CoO、CO3O4、VO2、V2O3、NiO及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0137】
(i)SiO2、B2O3、MnO2、MgO、GeO2又はAl2O3からなる第1の層、(ii)第1の層の上の第2のFe2O3層及び任意選択で(iii)第2の層の上のTiO2、ZrO2又はAl2O3の第3の層を用いてコーティングされた適切なアルミニウム薄片(A)の例は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/044679号に開示されている。
【0138】
薄片(B)及び(C)の例
薄片(B)及び(C)は、1から複数のコーティング層、例えば2、3、4又は5つのコーティング層を有することができる。
【0139】
金属薄片(A)のコーティング層に適用することができる金属酸化物の例は、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnO、MnO2、MgO、Ce2O3、Fe2O3、Fe3O4、FeTiO5、Cr2O3、CoO、CO3O4、VO2、V2O3、NiO及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0140】
実施形態において、薄片(B)は、ホウケイ酸ガラスであるガラス小板を含む。
【0141】
非常に好ましい実施形態において、薄片(B)はAl2O3小板を含む。
【0142】
実施形態において、薄片(B)又は(C)は、金属酸化物の1つ又は複数の層を用いて、例えばTiO2、ZrO2、SnO2、ZnO、MnO2、MgO、Ce2O3、Fe2O3、Fe3O4、FeTiO5、Cr2O3、CoO、CO3O4、VO2、V2O3、NiO及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物の少なくとも1つの層を用いてコーティングされる。好ましい実施形態において、薄片(B)又は(C)は、TiO2、Fe2O3、Fe3O4、SnO2、ZrO2、Cr2O3及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物の1つ又は複数の層を用いてコーティングされ、例えばTiO2、Fe2O3及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物の1つの層を用いてコーティングされる。
【0143】
金属酸化物、SiO2及びトップコートとしての有機染料の異なる層を用いてコーティングされたAl2O3小板を含む薄片(B)の例は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許第2799398号に開示されている。
【0144】
TiO2、Fe2O3及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を用いてコーティングされたAl2O3小板を含む薄片(B)の例、及びそれらの調製は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6267810号に開示されている。
【0145】
TiO2層又はFe2O3層を用いてコーティングされたAl2O3小板を含む薄片(B)の例は、キシラリック(Xirallic)(登録商標)顔料(Merck、Germany)である。キシラリック顔料は通常、5から50μmの間の平均粒子サイズ、及び最大1μmの厚さを有する。
【0146】
別の実施形態において、薄片(B)又は(C)は、亜酸化チタン(TinO2n-1、nは1を超える整数である、例えば、酸化物Ti3O5、Ti2O3)の層を用いて、酸窒化チタンの層を用いて、FeO(OH)の層を用いて、又は例えばAl、Fe、Cr、Ag、Au、Pt若しくはPd、又はそれらの組み合わせを含む薄い半透明の金属層を用いてコーティングされる。
【0147】
なお別の実施形態において、薄片(B)又は(C)は、金属硫化物の層を用いてコーティングされ、例えばタングステン、モリブデン、セリウム、ランタン又は希土類元素の硫化物を用いてコーティングされる。
【0148】
別の実施形態において、薄片(B)又は(C)は、1種又は複数の着色剤、例えばプルシャンブルー又はカルミンレッド、及び着色剤の定着のための結合剤の外側層を用いてコーティングされる。
【0149】
当業者によって認識されるように、これらの異なる層は、1種又は複数の着色剤及び結合剤の層が、存在する場合、常に外側層であることを条件にして、組み合わせることができる。
【0150】
酸化チタンを用いてドープされ、金属酸化物を用いてコーティングされたAl2O3の小板を含む薄片(C)の例及びそれらの製作は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許第0763573号に開示されている。
【0151】
TiO2、ZrO2、SiO2、SnO2、In2O3又はZnOでドープされ、金属酸化物を用いてコーティングされたAl2O3の小板を含む薄片(C)の例は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許第2799398号に開示されている。
【0152】
さらなる成分
上文に記載されたように、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分を含む。当業者によって認識されるように、「さらなる」成分は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物において定義された他の成分とは異なる。言いかえれば、さらなる成分は、球状ガラスビーズ、増粘剤、溶媒、顔料薄片又は粒子(D)、及び合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)を含まない。
【0153】
好ましい実施形態において、さらなる1種又は複数の成分は、泡制御剤、発光剤、UV吸収剤、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料及び硬化開始剤からなる群から選択される。
【0154】
水系又は水性組成物、及び有機溶媒に基づく組成物に適切な結合剤及び樹脂は、一般に当業者に公知である。結合剤又は樹脂は放射線硬化性であってもよい。結合剤又は樹脂が放射線硬化性である場合、さらなる成分は、光開始剤又は熱開始剤などの硬化開始剤を含むことができる。
【0155】
実施形態において、1種又は複数のさらなる成分の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~12重量%、0~10重量%、0~8重量%、0~6重量%、又は0~5重量%である。
【0156】
他の実施形態において、1種又は複数のさらなる成分の量は、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして0.1~20重量%、0.5~15重量%、1~12重量%、1.5~10重量%、2~8重量%又は2.5~6重量%である。
【0157】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の溶媒の量は独立して指定される。1種又は複数のさらなる成分が、例えば溶媒中の溶液、懸濁液又は分散体の形で適用される場合、上文に定義された1種又は複数のさらなる成分の量は、乾燥重量、すなわち1種又は複数のさらなる成分の、溶媒なしの重量に関係する。
【0158】
レオロジー挙動
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は剪断減粘挙動を示す。これは、静的な/安定な状況が特定の増加された剪断速度にそれをかけることにより乱されると、組成物の粘度が低下することを意味する。本明細書において定義される粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで回転する#5スピンドルを使用して25℃の温度で、又はブルックフィールド粘度計を用いて0.5及び20rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で測定される。
【0159】
好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで回転する#5スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、150から5000mPa・sの間、より好ましくは200から2500mPa・sの間、さらにより好ましくは220から1500mPa・sの間、例えば500から1000mPa・sの間、又は220から750mPa・sの間の粘度を有する。
【0160】
別の好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ブルックフィールド粘度計を用いて0.5rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、500から8000mPa・sの間の第1の粘度η1、及びブルックフィールド粘度計を用いて20rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、150から1000mPa・sの間である第2の粘度η2を有し、これは第1の粘度のせいぜい1/3倍である。
【0161】
別の好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ブルックフィールド粘度計を用いて0.5rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、500から8000mPa・sの間の第1の粘度η1、及びブルックフィールド粘度計を用いて20rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、150から600mPa・sの間である第2の粘度η2を有し、これは第1の粘度のせいぜい1/3である。
【0162】
なお別の実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ブルックフィールド粘度計を用いて0.5rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、2000から8000mPa・sの間の第1の粘度η1、及びブルックフィールド粘度計を用いて20rpmで回転する#3スピンドルを使用して25℃の温度で求められる、350から600mPa・sの間である第2の粘度η2を有し、これは第1の粘度のせいぜい1/4である。
【0163】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法
概して言えば、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の成分は任意の順序で添加することができる。しかしながら、増粘した組成物中では均質に成分を分布させることがより困難になるので、少なくとも溶媒に球状ガラスビーズを添加した後、プロセスの終わりに1種又は複数の増粘剤を添加することが好ましい。
【0164】
好ましい実施形態において、増粘剤は、溶媒及び球状ガラスビーズを混合した後に添加される。別の好ましい実施形態において、増粘剤は、溶媒、球状ガラスビーズ、合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせ、1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)、及び任意のさらなる成分を混合した後に添加される。再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の空気泡の包含を回避するために、撹拌又は均質化は、好ましくは低い剪断速度で遂行される。
【0165】
水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法
上文に説明されたように、水性又は水系組成物中の増粘剤の増粘効果は、pHの値に依存し得る。したがって、水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法は、pHを調節する、例えば6.0から11の間、例えば7.0から11の間、7.0から9.5の間、又は7.4から7.9の間の値にpHを調節するステップを含んでもよい。pHは適切に、希釈したNaOH又はアミノメチルプロパノール中和剤、例えばAMPウルトラ(Ultra)(登録商標)PC 2000を使用して調節することができる。
【0166】
したがって、実施形態において、溶媒が水又は水性溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)水又は水性溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせ、上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)、上文に定義される1種又は複数の増粘剤、及び、上文に定義される任意選択の1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から30℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、撹拌又は均質化するステップ;並びに
(iii)任意選択でステップ(ii)の前又は後に、好ましくは6.0から11の間の値に、より好ましくは7.0から11の間の値に、例えば7.0から9.5の間の値にpHを調節するステップを含む。
【0167】
しかしながら、異なる成分の添加もまた方法の異なる段階で遂行されてもよい。結果的に、実施形態において、溶媒が水又は水性溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)水又は水性溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される1種又は複数の増粘剤の少なくとも一部、任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部、任意選択で上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの一部、及び任意選択で上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の一部を、容器に添加するステップ;
(ii)好ましくは15から30℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化するステップ;
(iii)任意選択でステップ(ii)の前又は後に好ましくは6.0から11の間の値に、より好ましくは7.0から11の間の値に、例えば7.0から9.5の間の値にpHを調節するステップ;
(iv)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの少なくとも一部、及び上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の少なくとも一部をステップ(ii)又は(iii)で得られた組成物に添加し、任意選択で上文に定義される1種又は複数の増粘剤の一部を添加し、任意選択で水又は水性溶媒を添加するステップ;
(v)ステップ(iv)で得られた混合物を好ましくは15から30℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、撹拌又は均質化するステップ;並びに
(vi)任意選択でステップ(v)の前又は後に好ましくは6.0から11の間の値に、より好ましくは7.0から11の間の値に、例えば7.0から9.5の間の値にpHを調節するステップを含む。
【0168】
実施形態において、一方でステップ(i)から(iii)、他方ではステップ(iv)から(vi)に遂行する間の時間は、数日若しくは数か月、又はさらに長くてもよい。
【0169】
水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法はまた、最終の水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が上文に定義される組成物及び特性をなお有することを条件として、上文に定義される組成物及び特性を有する中間の水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の生成、続いて別の組成物を添加し混合して最終の水性又は水系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップを包含してもよい。
【0170】
結果的に、実施形態において、溶媒が水又は水性溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)水又は水性溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される1種又は複数の増粘剤の少なくとも一部、任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの一部、及び任意選択で上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の一部を、容器に添加するステップ;
(ii)好ましくは15から30℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化して、上文に定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の組成物及び特性を有する中間の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップ;
(iii)任意選択でステップ(ii)の前又は後に好ましくは6.0から11の間の値に、より好ましくは7.0から11の間の値に、例えば7.0から9.5の間の値にpHを調節するステップ;
(iv)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの少なくとも一部、及び上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の少なくとも一部をステップ(ii)又は(iii)で得られた中間の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に添加し、任意選択で上文に定義される増粘剤の一部を添加し、任意選択で水又は水性溶媒を添加するステップ;
(v)ステップ(iv)で得られた混合物を、好ましくは15から30℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、撹拌又は均質化して再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップ;並びに
(vi)任意選択でステップ(v)の前又は後に、好ましくは6.0から11の間の値に、より好ましくは7.0から11の間の値に、例えば7.0から9.5の間の値にpHを調節するステップを含む。
【0171】
実施形態において、一方でステップ(i)から(iii)に遂行する間の時間、他方では、ステップ(iv)から(vi)は、数日又は数か月、又はさらに長くてもよい。
【0172】
有機溶媒に基づく再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法
実施形態において、溶媒が有機溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせ、上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)、上文に定義される1種又は複数の増粘剤及び上文に定義される任意選択の1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;並びに
(ii)好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化するステップを含む。
【0173】
ステップ(ii)は、この実施形態において、より好ましくは45から65℃の間の温度で遂行される。
【0174】
しかしながら、異なる成分の添加もまた、方法の異なる段階で遂行することができる。結果的に、実施形態において、溶媒が有機溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される1種又は複数の増粘剤の少なくとも一部、任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの一部、及び任意選択で上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の一部を、容器に添加するステップ;
(ii)好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化するステップ;
(iii)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの少なくとも一部、及び上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の少なくとも一部をステップ(ii)又は(iii)で得られた組成物に添加し、任意選択で上文に定義される1種又は複数の増粘剤の一部を添加し、任意選択で有機溶媒を添加するステップ;並びに
(iv)ステップ(iii)で得られた混合物を好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、撹拌又は均質化するステップを含む。
【0175】
ステップ(ii)及び(iv)は、この実施形態において、より好ましくは、45から65℃の間の温度で遂行される。実施形態において、一方でステップ(i)及び(ii)を遂行する間の時間、他方では、ステップ(iii)及び(iv)は、数日又は数か月、又はさらに長くてもよい。
【0176】
溶媒が有機溶媒である、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法はまた、有機溶媒に基づく最終の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が上文に定義される組成物及び特性をなお有することを条件として、上文に定義される組成物及び特性を有する、有機溶媒に基づく中間の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の生成、続いて別の組成物を添加し混合して、有機溶媒に基づく最終の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップを包含してもよい。
【0177】
結果的に、実施形態において、溶媒が有機溶媒である、本明細書において定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される1種又は複数の増粘剤の少なくとも一部、任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの一部、及び任意選択で上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の一部を、容器に添加するステップ;
(ii)好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化するステップ;上文に定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の組成物及び特性を有する中間の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップ;
(iii)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部、上文に定義される合成顔料薄片(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせの少なくとも一部、及び上文に定義される1種又は複数の任意選択の顔料薄片又は粒子(D)の少なくとも一部をステップ(ii)で得られた中間の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に添加し、任意選択で上文に定義される増粘剤の一部を添加し、任意選択で有機溶媒を添加するステップ;並びに
(iv)ステップ(iii)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から15分の間の期間、撹拌又は均質化して再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップを含む。
【0178】
ステップ(ii)及び(iv)は、この実施形態において、より好ましくは45から65℃の間の温度で遂行される。実施形態において、一方でステップ(i)及び(ii)を遂行する間の時間、他方では、ステップ(iii)及び(iv)は、数日又は数か月、又はさらに長くてもよい。
【0179】
基材にコーティングする方法
第2の態様において、本発明は、再帰反射性層を用いて基材にコーティングする方法に関係し、前記方法は、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の基材又はステップ(b)のプライマー層に有色基層を塗布するステップ;
d)上文に定義される再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物をステップ(a)の基材上に、又はステップ(b)若しくは(c)の層上に、0.25から30g/m2の間の、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を与える量で噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を乾燥及び硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥又は硬化するステップを含む。
【0180】
好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ステップ(d)で0.3から25g/m2の間、より好ましくは0.4から23g/m2の間の合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を与える量で噴霧される。
【0181】
別の好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ステップ(d)で1から15g/m2の間、より好ましくは1から8g/m2の間の、合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)、並びに1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を与える量で、噴霧される。
【0182】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を噴霧するステップ(d)は、1ステップで単層を、又は後続の噴霧ステップで互いの上に多重層を噴霧することを含むことができる。後続の層は、好ましくは「ウェットオンウェット」で塗布され、これは、後続の層が、少なくとも一部ないし事実上全部の溶媒を蒸発させ、しかし(完全には)硬化していない先の層の上に塗布されることを意味する。これは、後続の層が「ウェットオンウェット」で塗布された場合でも、中間の乾燥ステップが、後続の層の塗布間で塗布されることを意味する。
【0183】
有機溶媒に基づく層の中間の乾燥は、通常、20から30℃の間の温度で約2~15分間遂行される。水又は水性溶媒に基づく層の中間の乾燥は、通常、50から60℃の間の温度で約5~20分間遂行される。
【0184】
また、後続の層を塗布する前に先の層を完全に乾燥し硬化することも可能である。有機溶媒に基づく層の完全な乾燥及び硬化は通常、約60℃の温度で約20分間遂行される。水又は水性溶媒に基づく層の完全な乾燥及び硬化は、通常約60℃の温度で約20分間、又は室温で終夜遂行される。好適な乾燥条件を選ぶことは当業者の技術内にある。
【0185】
実施形態において、ステップ(d)は、複数の層、例えば2、3、4又は5つの層を噴霧するステップを包含する。
【0186】
実施形態において、ステップ(d)は、n個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、ここで、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である。
【0187】
好ましい実施形態において、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ステップ(d)において基材1m2当たり200~800gの量で、より好ましくは基材1m2当たり300~600gの量で塗布される。
【0188】
実施形態において、ステップ(b)は遂行されない。非常に好ましい実施形態において、ステップ(c)は遂行されない。
【0189】
コーティングされる基材の幾何形状は、噴霧によりそれをコーティングすることができる限り、すなわち、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の小滴が基材の表面に到達し得る限りいかなる意味においても限定されない。実施形態において、基材は平らである。他の実施形態において、基材は曲がっている。さらなる実施形態において、基材は平らな部分及び曲線部分を含む。
【0190】
本発明者らは、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を、例えば各種基材に工業用の高速噴霧を使用して塗布して、均質性及び広角度での再帰反射性などの優れた印刷又はコーティング品質を有する再帰反射性コーティング層をもたらすことができることを確証した。再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が鉛直に位置する基材の表面に塗布されるとき、また基材の表面が下から噴霧されてすら、これらの結果もまた得ることができる。
【0191】
再帰反射性コーティング層に1つ又は複数のさらなる透明コーティング層が提供される場合(すなわち、上文に定義される基材をコーティングする方法のステップ(f)が遂行される)、高い平滑性及び改善された清掃可能性を有する再帰反射性層が得られる。
【0192】
好ましい実施形態において、基材は布地、皮革、金属、コンクリート、ゴム、プラスチック、炭素繊維、及びそれらの組み合わせから選ばれる。本明細書において使用される布地は、織った又は編んだ布地織物、例えば綿、ポリエステル、ナイロン、絹、ウール、ビスコース及びアクリルを包含する。
【0193】
基材が製造された材料の種類に関係なく、基材は、衣服、交通標識、自動車のシャシー又は車体、自転車フレーム、道路、舗道及びガードレールからなる群から選択することができる。
【0194】
本発明による再帰反射性コーティングが設けられる基材は、ステップ(f)において1種又は複数のさらなる透明コーティング層が設けられてもよい。これらの1種又は複数のさらなる透明コーティング層は、擦過及び/又は湿分に対して再帰反射性層を保護する役目をすることができる。なおその上に、特定のマット又は輝き/光沢のある外観を有する再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を提供するために、それらを使用することができる。1種又は複数のさらなる透明コーティング層は有色であってもよい。任意選択のステップ(f)において塗布された1つ又は複数のさらなる透明コーティング層は、液体コーティング層、粉末コーティング層又はそれらの組み合わせを含んでもよく、それは、続いて硬化又は乾燥される。
【0195】
1つ又は複数のさらなる透明コーティング層が、有機溶媒に基づく再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の層にステップ(f)で塗布される場合、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物のこの層は通常完全には硬化されない。1つ又は複数のさらなる透明コーティング層が、水又は水性溶媒に基づく再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の層にステップ(f)で塗布される場合、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物のこの層は通常完全に硬化される。好適な乾燥条件を選ぶことは当業者の技術内にある。
【0196】
ステップ(c)の噴霧は好ましくは、カーテンコーティング、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して、又は噴射剤を含むスプレー缶を使用して遂行される。好ましい実施形態において、噴霧は噴射剤を使用せずに遂行される。
【0197】
第3の態様において、本発明は、上文に定義される方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関係する。再帰反射性層を用いてコーティングされた基材はマット又は輝きの外観を有することができる。
【0198】
好ましい実施形態において、再帰反射性層を用いてコーティングされた、好ましくは1つ又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングされた基材(すなわち、上文に定義される基材をコーティングする方法のステップ(e)が遂行される。)は、コーティング基材の垂直から0から80°の間、例えば0から78°の間、0から75の間、0から70°の間、0から65°の間、0から60の間、0から55°の間、0から50°の間、0から45°の間及び0から40°の間の任意の角度での再帰反射性層の再帰反射を示す。再帰反射性層のこの再帰反射は、眼の視線が実質上トーチのビームと一致するトーチのビームを再帰反射性層に向けることにより、及び再帰反射が観察されるかを視覚的に判定することによって求められる。実験はコーティングされた基材の垂直な0の角度で開始し、その後に、再帰反射がもはや識別されなくなるまで、角度は徐々に増加させられる。
【0199】
したがって、本発明は、上記に論じられたある特定の実施形態を参照して記載されている。これらの実施形態が、当業者に周知の様々な修飾及び代替形態を受け入れやすいことは認識されよう。
【0200】
さらに、本明細書及びその特許請求の範囲を正しく理解するために、「含む」という動詞及びその活用形は、その単語の後にくる項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が除外されないことを意味するように、非制限的な意味で使用されることを理解すべきである。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素の言及は、文脈上明確にその要素が1つのみ存在すると解すべき場合を除いて、その要素の2つ以上が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【実施例】
【0201】
実施例1
本発明による6種の組成物(試料1-5及び7)、及び2種の比較組成物(試料6及び8)をkgスケールで調製した。以下の成分を使用した。
【0202】
球状ガラスビーズ:
マイクロガラスビーズ(RI 2.2)、589nmの波長λで測定して約2.2の屈折率を有し、レーザー回折を用いて測定して26.56μmの中央粒径D50、19.77μmのD10直径及び32.41μmのD90直径、及び約4.5g/cm3の比重を有するJianxi Sunflex Light Retroreflective Material Co, Ltd.から得られた。これらの球状ガラスビーズは、TiO2、BaO、CaO、SiO2及びZnOを含む。
【0203】
Jianxi Sunflex Light Retroreflective Material Co, Ltd.から得られたマイクロガラスビーズ(RI 1.9、HAC)、589nmの波長λで測定して約1.9の屈折率を有し、レーザー回折を用いて測定して38.22μmの中央粒径D50、34.86μmのD10直径及び43.04μmのD90直径並びに約4.2g/cm3の比重を有する半球状にアルミニウムコーティングしたガラスビーズ。これらの球状ガラスビーズはTiO2、BaO、SiO2、CaO及びAl2O3を含む。
【0204】
ガラスビーズC(589nmの波長λで測定して屈折率2.2)が、Jianxi Sunflex Light Retroreflective Material Co, Ltd.から得られた。これらのガラスビーズは、レーザー回折を用いて測定して、40.4μmの中央粒径D50、37.3μmのD10直径及び44.1μmのD90直径を有する。
【0205】
溶媒
脱ミネラル水
Cromaxから得られたクロマックス XB155の溶媒部分、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、酢酸イソペンチル、n-酢酸ブチル、イソブタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル及び4,6-ジメチル-ヘプタン-2-オンを含む有機溶媒の混合物
有機溶媒の混合物、例えばキシレン、エチルベンゼン、ナフサ、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、n-プロピルベンゼン、酢酸イソペンチル、n-酢酸ブチル、酢酸2-メチルブチル及び4-メチル-2-ペンタノンを含む、Cromaxから得られたクロマックス XB383
Axalta Coating Systemsから得られたSyrox S900(結合剤)の溶媒部分
Axalta Coating Systemsから得られたSyrox S941(シンナー)の溶媒部分
【0206】
さらなる成分
AMP ウルトラ PC 2000、Angus Chemical Companyから得られた;中和剤
Acticide MBL、Thorから得られた;防腐剤
Aquabase Nexa P990-8999、PPG Industriesら得られた、水系結合剤
クロマックスXB155の結合剤部分
Syrox S900(結合剤)の固体部分、Axalta Coating Systemsから得られた
Syrox S941(シンナー)の固体部分、Axalta Coating Systemsから得られた
【0207】
増粘剤
Efka RM1900、BASFから得られた、変性水素化ヒマシ油、増粘剤
Claytone 40、Rheoから得られた、有機親和性フィロシリケート、増粘剤
ACULYN Excel、DOW Chemicalから得られた、HASE増粘剤
【0208】
顔料粒子及び薄片
デコメット(登録商標)1050/10 VP/13974、Schlenk Metallic Pigments GmbHから得られた、約12~15μmの平均直径及び厚さ<50nmを有するアルミニウム薄片。
Toyal EMRS-D710、TOYO ALUMIMNIUM K.K.から得られた、約10μmの平均直径及び厚さ<200nmを有するアルミニウム薄片。
アクアメット(登録商標)CP-BG/8500/60、Schlenk Metallic Pigments GmbHから得られた、約16μmの平均直径及び厚さ<1μmを有する、シリカコーティングされたアルミニウム薄片。
キシラリック(登録商標)T61-10 WNT Micro Silver、Merck KGaAから得られた、8から14μmの間の平均直径、及び厚さ<1μmを有する、コーティングされた酸化アルミニウム薄片。
Metallic Powder - PO6690 Silver、Deco Colors Holland B.V.から得られた、12から16μmの間の平均直径を有するアルミニウム薄片。
Merck Performance Materials Germany GmbHからイリオジン(登録商標)9602 Silver-Grey SW(薄片)を得た。これらの薄片は、22.3μmの平均直径(D50、レーザー回折)、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有するコーティングされた雲母薄片である。
Merck Performance Materials Germany GmbHからイリオジン(登録商標)9612 Silver-Grey Fine Satin SW(薄片)を得た。これらの薄片は、7.2μmの平均直径(D50、レーザー回折)、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有するコーティングされた雲母薄片である。
【0209】
容器に以下の順序で成分を添加することにより、有機溶媒に基づく本発明(試料1-3)による3種の組成物を調製した:
(1)室温(約20℃)で有機溶媒クロマックスXB383を添加するステップ;
(2)室温(約20℃)で混合しながらガラスビーズを添加するステップ;
(3)1400rpmで混合しながらClaytone 40を添加し、室温(約20℃)で10分間、1400rpmで混合し続けるステップ;
(4)1800rpmで混合しながらEfka RM1900を添加し、60℃に加熱を開始し、1800rpmで15分間混合し続けるステップ;
(5)1800rpm及び60℃で15分間混合し続けるステップ;
(6)ステップ(5)で得られた混合物を室温(約20~25℃)に冷却するステップ;並びに
(7)1800rpmで混合しながらクロマックスXB155及び顔料薄片を添加し、1800rpmで10分間混合し続けるステップ。
【0210】
溶媒として水に基づく、3種の本発明による組成物(試料4、5及び7)及び2種の比較組成物(試料6及び8)を室温(約20℃)で容器に以下の順序で成分を添加することにより調製した:
(1)脱ミネラル水を添加するステップ;
(2)600rpmで混合しながらActicide MBLを添加し、600rpmで10分間混合し続けるステップ;
(3)800rpmで混合しながらガラスビーズを添加し、800rpmで5分間混合し続けるステップ;
(4)800rpmで混合しながらAMP ウルトラPC 2000を添加し、約10.5のpHを確立するために800rpmで10分間混合し続けるステップ;
(5)2400rpmで混合しながらアキュリンExcelを添加し、2400rpmで10分間混合し続けるステップ;並びに
(6)1800rpmで混合しながらAquabase Nexa P990-8999、顔料薄片及び脱ミネラル水を添加し、1800rpmで10分間混合し続けるステップ。
【0211】
異なる成分の量を表1に列挙する。
【0212】
【0213】
実施例2
本発明による6種の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物、及び実施例1に記載された2種の比較組成物の安定性を、ある特定の日数の後に、試料が沈降、離液又は分離(相又はそれ以外)を示すかどうかの目視及び触覚的検査によって判定した。表2を参照されたい。目視及び触覚的検査で、沈降、離液及び分離を観察することができなければ、試料は安定であると考えられる。試料は、再混合なしでそれを噴霧することができる場合、噴霧安定性であると考えられる。
【0214】
【0215】
実施例3
本発明による6種の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物、及び実施例1に記載された2種の比較組成物を、1.3mmのノズルを備えたスプレーガン(DeVILBISS HVLP, DV1-C1 Plus)を使用して、垂直の黒色バー(0.3cm幅)を有する平らなねずみ色がかった金属試験プレート(10.5×14.9cm、154.2cm2の実効表面積を有する)に表面全体にわたって室温(約20℃)で塗布した。
【0216】
2つのタイプの層;「法線層」及び「ミスト層」を塗布した。「法線層」として、スプレーガンは、金属試験プレートから30cm離して位置決めし、1.8バールの圧力を印加した。「ミスト層」として、スプレーガンは、金属試験プレートから50cm離して位置決めし、1.3バールの圧力を印加した。上から下に水平に、又は垂直に試験プレートに噴霧した場合、好結果を得ることができた。
【0217】
後続の層を「ウェットオンウェット」で塗布したが、これは、後続の層は少なくとも一部ないし事実上全部の溶媒を蒸発させ、しかし(完全には)硬化させずに先の層の上に塗布することを意味する。これは、後続の層の塗布の間に乾燥時間を適用したことを意味する。有機溶媒に基づく層の中間の乾燥を、50から60℃の間の温度で約10分間遂行した。水又は水性溶媒に基づく層の中間の乾燥を、50から60℃の間の温度で約10分間遂行した。
【0218】
基準として未処理の金属プレートの重量を取った。個々の層を塗布した後、また中間の乾燥をした後、処理した金属プレートの重量を測定した。これらのデータから、金属プレートに塗布した顔料薄片の量[g/m2]を計算することができる。事実上全溶媒が乾燥ステップ中に蒸発するとすれば、さらに金属プレートに塗布した組成物の量[g/m2]を計算することができる。実施例3.1では、1つの法線層を塗布した。実施例3.2では、1つの法線層及び1つのミスト層を塗布した。実施例3.3では、2つの法線層及び1つのミスト層を塗布した。最終的に、実施例3.4で、3つの法線層及び1つのミスト層を塗布した。
【0219】
コーティングした基材の総体の(中心から離れた)再帰反射性及び被覆性を完全乾燥及び硬化(すなわち60℃で20分後)の後に視覚的に検査し評価した。さらに、再帰反射の最大角[°]は、眼の視線が実質上トーチのビームと一致するトーチのビームを再帰反射性層に向けることにより、及び再帰反射が観察されるか否かを視覚的に判定することによって求められる。実験は、コーティングされた基材の垂直な0の角度で開始し、その後に、再帰反射がもはや識別されなくなるまで、角度を徐々に増加させる。
【0220】
適格性「----」は非常に悪いことを意味し、適格性「++++」は非常に良好であることを意味する。非常に良好な被覆性は、表面が均質な色を有し、再帰反射性を試験したとき、試験プレートの垂直の黒色バーが、法線照明条件下でも光のトーチの適用下でも目に見えないことを意味する。「+」のスコアは、不十分であると考えられる。表3に詳細を提示する。
【0221】
【0222】
表3、実施例3.1から本発明による組成物の単一法線層の塗布は、通常十分ではないと結論を下すことができる。本発明による試料4のみが十分な結果をもたらした。予想されたように、高濃度の顔料薄片を含む比較組成物(試料6及び8)の被覆性は十分である。しかしながら、試料6及び8の再帰反射性は明らかに不十分である。その結果、試料6の再帰反射の角度は求めることさえできない。
【0223】
また、表3、実施例3.2~3.4からさらなる層の塗布は、顔料薄片のより多量[g/m2]の塗布の結果として、被覆性を改善するがしかし、また予想外に本発明による組成物(試料1-5及び7)の再帰反射性を改善すると結論を下すことができる。しかし、試料6及び8の再帰反射性は、さらなる層を塗布しても明らかに不十分なままである。
【0224】
さらに表3から、本発明による組成物を用いて上文に規定される寸法を有する顔料薄片の十分に多い量[g/m2]をもたらす好適な量の層又は層厚さを選ぶことによって、常に、良好又はさらに非常に良好な被覆性、及び再帰反射性を有する層を得ることができると結論を下すことができる。上文に規定される寸法を有する高濃度の顔料薄片を含む比較組成物(試料6及び8)を用いても、良好な被覆性及び再帰反射性のこの独自の組み合わせを得ることはできない。さらに、合成顔料薄片及び球状ガラスビーズは相乗的に被覆性に寄与することが分かった。
【0225】
実施例4
ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで回転する#5スピンドルを使用して約25℃の温度で、またブルックフィールド粘度計を用いて0.5及び20rpmで回転する#3スピンドルを使用して約25℃の温度で実施例1の表1の組成物の粘度を測定した。結果を表5及び表6に示す。表6に示すように、本発明による再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物及び比較組成物は、剪断減粘挙動を示す。
【0226】
【0227】
【0228】
実施例5
合成顔料薄片のサイズのみ異なる2種の組成物(試料9及び試料10)を調製した。
組成物(重量パーセント)は表7に示した通りである(「溶媒」の下に成分の液体部分を集め、それらの固体分画と共に残りの成分の重量パーセントを示す。)
【0229】
【0230】
両方の組成物は、同じ濃度及び種類の合成顔料薄片を含む。2種の組成物間のただ一つの差異は合成顔料薄片の直径である。試料9の球状ガラスビーズの中央直径に対する平均合成顔料薄片直径の比(%)は56%であるが、この比は試料10では18%である。
【0231】
1.2mmのノズルを備えたスプレーガン(DV1.2 Mini)を使用して室温(約20℃)で垂直の黒色バー(0.3cm幅)を有する平らなねずみ色がかった金属試験プレート(10.5×14.9cm)に、表面にわたって両方の組成物を塗布した。2つのタイプの層;「法線層」及び「ミスト層」を塗布した。「法線層」として、スプレーガンは、金属試験プレートから30~40cm離して位置決めし、2.0バールの圧力を印加した。「ミスト層」として、スプレーガンは、金属試験プレートから40~50cm離して位置決めし、1.5バールの圧力を印加した。ミスト層は、接着を改善するために最初に塗布する、小滴の非常に薄い層(すなわち完全な層でない)である。
【0232】
後続の「法線層」の塗布間で乾燥を施した。ミスト層としてねずみ色がかった金属試験プレートに両方の組成物を塗布し、続いてミスト層の上の後続の法線層と共に乾燥し、続いて乾燥、及び透明トップコートの塗布、続いて、再度、乾燥した[「単層」、コーティング(b)及び(d)]。さらなるねずみ色がかった金属試験プレートにミスト層として2つの後続の法線層と共に、中間の乾燥及び最終の乾燥を含めて両方の組成物を塗布し、また透明トップコートを塗布し、続いて再度乾燥した[「多層」、コーティング(a)及び(c)]。
【0233】
コーティングした基材の総体の(中心から離れた)再帰反射性及び被覆性を視覚的に検査した。表面が均質な色を有するかどうか点検することによりコーティングした層の被覆性を、試験プレートの垂直の黒色バーが、法線照明条件(日光)下でもまた、再帰反射性の試験に使用するトーチ光(「フラッシュ」)の適用下でも目に見えないか点検することによって評価した。
【0234】
図1は、法線照明条件下のコーティングした層の被覆性を示す。殊に複数の層を塗布したとき、より大きい合成顔料薄片ははるかに良好な被覆性を与えることは明らかである。コーティング(a)において、垂直の黒色バーはもはやほとんど目立たない。
図2は、トーチ光(「フラッシュ」)の適用下での被覆性及び再帰反射性を示す。やはり、殊に複数の層を塗布したとき、より大きい合成顔料薄片ははるかに良好な被覆性を与えることは明らかである。コーティング(a)において、垂直の黒色バーは、トーチ光の適用下でさえもはやほとんど目立たない。なおその上に、再帰反射性は、予想外に、より大きい合成顔料薄片に対してはるかに良好である。したがって、球状ガラスビーズ直径に対する合成顔料薄片直径のより大きい比は、予想外に、良好な被覆性及び改善された再帰反射性の組み合わせをもたらす。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物であって、前記組成物の総重量を基準にして、
15~75重量%の溶媒;
1~
80重量%の、レーザー回折を用いて測定して1から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
0.20~4.5重量%の、1から75μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)又はこれらの組み合わせから選択される合成顔料薄片; 合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、MgF
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al
2O
3、SiO
2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO
2、ZrO
2、SiO
2、SnO
2、In
2O
3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl
2O
3小板を含む薄片;
前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量は、0.20から4.5重量%の間にあ
り、前記合成顔料薄片の平均直径が、前記球状ガラスビーズの中央粒径D50の30%を超える、再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量を基準にして、
15~68重量%の溶媒;
10~50重量%の、レーザー回折を用いて測定して5から150μmの間の中央粒径D50、及び589nmの波長λで測定して1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズ;
0.05~2.5重量%の1種又は複数の増粘剤;並びに
0.20~4.5重量%の、5から50μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片であって、(A)、(B)、(C)又はこれらの組み合わせから選択される合成顔料薄片;
合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)以外の0~2重量%の1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D);
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり、
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、MgF
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al
2O
3、SiO
2、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO
2、B
2O
3、GeO
2、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO
2、ZrO
2、SiO
2、SnO
2、In
2O
3、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl
2O
3小板を含む薄片、
前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量が、0.20から4.5重量%の間にある、請求項1に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項3】
前記合成顔料薄片の平均直径が、前記球状ガラスビーズの中央粒径D50の
33%を超え
、例えば、35を超え、40を超え、50%を超え、55%を超え、60%を超え、70%を超え、90%を超え、110%を超え又は130%を超える、請求項1又は2に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項4】
前記球状ガラスビーズが、
(i)2.0から2.8の間、好ましくは2.1から2.4の間;又は
(ii)1.7から2.1の間、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項5】
前記球状ガラスビーズがアルミニウムコーティングを用いて半球状にコーティングされた、請求項1~4のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項6】
SiO
2層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片又はSiO
2層を用いてコーティングされ、且つ1種若しくは複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされたアルミニウム薄片である合成顔料薄片(A)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項7】
TiO
2を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片、Fe
2O
3を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片、TiO
2及びFe
2O
3の混合物を用いてコーティングされたAl
2O
3薄片及びそれらの組み合わせからなる群から選択される合成顔料薄片(B)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項8】
コーティングのないアルミニウム薄片、又はコーティングのない合成雲母薄片である合成顔料薄片(A)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項9】
前記溶媒が水又は水性溶媒であり、前記1種又は複数の増粘剤が、ASEポリマー、HASEポリマー、HEURポリマー、液体アクリル架橋又はコポリマー分散体、アクリレートクロスポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマー、架橋ポリアクリル酸コポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマーワックスの非イオン性水性エマルション、変性尿素又は尿素変性ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項10】
前記溶媒が有機溶媒であり、前記1種又は複数の増粘剤が、(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項11】
2種の増粘剤、好ましくは、変性水素化ヒマシ油及び有機親和性フィロシリケートが適用される、請求項10に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項12】
0.20~4.0重量%、好ましくは0.20~3.5重量%、より好ましくは0.20~3.0重量%、さらにより好ましくは0.20~2.5重量%、なおより好ましくは0.20~2.0重量%の合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)の合計量を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項13】
前記1種又は複数のさらなる成分が、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料及び硬化開始剤からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物。
【請求項14】
再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法であって、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の前記基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)の前記プライマー層に有色の基層を塗布するステップ;
d)ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)若しくは(c)の層上に請求項1~13のいずれか一項に記載の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を、0.25から30g/m
2の間の、前記合成顔料薄片(A)、(B)及び(C)並びに前記1種又は複数の顔料薄片又は粒子(D)の合計量を提供する量で噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた前記基材を乾燥及び硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた前記再帰反射性層を用いてコーティングされた前記乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥又は硬化するステップを含む、方法。
【請求項15】
前記再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が、カーテンコーティング、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して又は噴射剤を含むスプレー缶を使用してステップ(d)で前記基材上に噴霧される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(d)がn個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、ここで、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた、基材。
【国際調査報告】