(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-30
(54)【発明の名称】物体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 3/12 20060101AFI20240523BHJP
E04C 2/36 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B32B3/12 A
E04C2/36 Z
E04C2/36 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568534
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2022054058
(87)【国際公開番号】W WO2022234441
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021000011732
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523419071
【氏名又は名称】ギマク インターナショナル ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】GIMAC INTERNATIONAL S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Gazza,4,21040 Castronno(Varese)Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】マッキャグナン,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ルッティコ,ピエルパオロ
【テーマコード(参考)】
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E162CE10
2E162GA01
2E162GA02
4F100AB10A
4F100AB10B
4F100AC06A
4F100AC06B
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AT00A
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4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DC02C
4F100EJ26
4F100EJ30
(57)【要約】
少なくとも1つのハニカムパネル(1)を備える物体の製造方法は、ハニカムパネルを準備し、予め定められた深さの堆積経路(P)を形成するようにそれを彫ることによって実行される。充填材料(4)は、堆積経路(P)を少なくとも部分的に充填するように堆積経路(P)に沿って適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのハニカムパネル(1)を備える物体を製造する方法であって、
- 一対のプレート(2)と、前記一対のプレート(2)の間に配置されたハニカム構造(3)と、を備える少なくとも1つのハニカムパネル(1)を準備するステップと、
- 予め定められた深さを有する堆積経路(P)を形成するように前記ハニカムパネル(1)を彫るステップと、
- 前記堆積経路(P)を少なくとも部分的に充填するように前記堆積経路(P)に沿って充填材料(4)を、積層造形プロセスによって、適用するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記充填材料(4)を適用する前記ステップ中に、前記ハニカムパネル(1)の少なくとも一部を温度調節するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充填材料(4)を適用する前記ステップの継続時間は、前記堆積経路(P)の深さに応じて決定され、好ましくは、前記継続時間は、前記堆積経路(P)の深さに比例する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記彫るステップは、ミリング、レーザ切断、ウォータ切断またはプラズマ切断プロセスを用いて少なくとも部分的に実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記彫るステップは、穴あけまたはボーリングプロセスを用いて、または打ち抜きプロセスによって少なくとも部分的に実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記彫るステップは、前記ハニカムパネル(1)のエッジに少なくとも部分的に沿う堆積経路(P)を形成するように実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記彫るステップは、少なくとも1つの折り線(5)に沿って延びる堆積経路(P)を形成するように実行され、前記方法は、前記ハニカムパネル(1)を前記折り線(5)の周囲で折り曲げるステップを含み、折り曲げる前記ステップは、前記彫るステップと前記充填材料(4)を適用する前記ステップとの間に実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ハニカムパネル(1)を準備する前記ステップは、少なくとも部分的にオーゼティック材料で作られた、および/または幾何学的形状および/またはオーゼティックな特徴および/またはトポロジを有する断面プロファイルに基づくハニカム形状を有するハニカム構造(3)を備えるハニカムパネル(1)を準備することによって実行される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ハニカムパネル(1)を準備する前記ステップは、少なくとも1つの非平面プレート(2)を備える一対のプレート(2)を準備することによって実行される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ハニカムパネル(1)は非平面であり、17:1から23:1の曲率半径と厚さの比を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ハニカムパネル(1)を彫る前記ステップは、前記ハニカム構造(3)の複数のハニカムを露出させるように実行され、前記充填材料(4)の堆積ステップ中に前記複数のハニカムへの前記充填材料(4)の進入を可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記彫るステップは、前記堆積経路(P)の底壁とのアンダーカットを画定する複数のハニカムを露出させるように実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハニカムパネル(1)を準備する前記ステップは、前記一対のプレート(2)を準備し、前記一対のプレート(2)の間に配置されるように前記ハニカム構造(3)を、好ましくは積層造形プロセスを用いて、製造することによって実行される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ハニカム構造(3)を製造する前記ステップは、複数の好ましくは球状ハニカムを有する肺胞構造(3)を製造することによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ハニカムパネル(1)を準備する前記ステップは実行され、前記一対のプレート(2)のうちの少なくとも1つのプレート(2)を、好ましくは積層造形プロセスを用いて、製造する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
- 少なくとも2つのハニカムパネル(1)を準備するステップと、
- 前記少なくとも2つのハニカムパネル(1)をそれぞれのエッジ部分で並べるステップと、
- 前記それぞれのエッジ部分に沿って少なくとも部分的に延びる堆積経路(P)を形成するように前記少なくとも2つのハニカムパネル(1)を彫るステップと、
- 前記少なくとも2つのハニカムパネル(1)を前記それぞれのエッジ部分で接続するように前記充填材料(4)を適用するステップと、を含む請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記充填材料(4)を適用する前記ステップは、前記堆積経路(P)の外側に延在する、好ましくは堆積経路(P)から離れるように延在する事前定義された構造を画定するように前記充填材料(4)を適用することによって実行される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセスの技術分野に関し、特に、ハニカムパネルの製造およびハニカムパネルを備える構造の製造に関わる、またはそれを目的とした製造プロセスに関する。
【0002】
特に、本発明は、物体、特に少なくとも1つのハニカムパネルを備える物体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハニカムパネルは、2枚のプレートに囲まれたハニカム構造を持つ特殊なパネルで、その特殊な形態のおかげで多種多様の分野で使用可能であり、当該特殊な形態は、特殊なパネルを軽量にし、したがって、使用および設置を容易にすると同時に、衝撃、亀裂および負荷に対して(指向的に)高い耐性を持つ。
【0004】
これらのパネルは、建築および産業分野の両方で、構造要素やフレームなどの複雑な物体の製造に使用でき、ハニカム構造のおかげで軽量且つ強靭である。
【0005】
したがって、幅広い用途が考えられることから、構造的形態によってこのような物体に付与される特殊な特性、特に機械的特性を最大限に活用することを可能にする新しい製造および加工プロセスが産業界で強く求められている。
【0006】
高度に最適化された材料によくあることであるが、ハニカムパネルは、意図された分野および使用態様において優れた特性を提供する。しかしながら、応力/ひずみベクトルが異なる方向から、または異なる強度で適用される場合、これらの特性は急速に低下し得る。これとは別に、ハニカムパネルは、接合されない限り、平面に対して法線方向に延びる固定点を提供しない。そのような付属品を追加することが決定された場合、追加の要素を固定する方法に応じて問題が生じる。
【0007】
要素を表面に接合することは、例えば、接着剤のせん断または剥離特性に完全に依存し、狭い温度範囲内で持続し、その温度範囲外では、たとえ短期間であっても、コンポーネントの位置ずれまたは接着特性の低下による永久的な特性の損失がある。
【0008】
要素を溶接することは、サンドイッチの内側に熱応力をかけ、「予測的な」態様で検証も定量化もできないように、ハニカムとそれを含む一対のプレートとの間の界面を損う。
【0009】
ボルトによる固定には、パネル内で、特にそのような最適化された要素において、機能的且つ重要なコンポーネントが切断される危険がある。
【発明の概要】
【0010】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、上述の既知の技術の欠点の少なくとも一部を克服する、物体を製造する方法を提案することである。
【0011】
特に、本発明の目的は、特に効果的且つ効率的なハニカムパネルを備える物体を製造する方法であって、当該パネルの特殊な構造的形態によってもたらされる利点を高めながら、そのようなパネルの製造および加工を簡素化できる方法を提供することである。
【0012】
特定された技術的課題および特定された目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載された技術的特徴を備える、物体の製造方法によって実質的に達成される。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1つのハニカムパネルを備える物体の製造方法が示される。
【0014】
本方法は、少なくとも1つのハニカムパネルを提供することによって実行される。
【0015】
好ましくは、前記ハニカムパネルは、一対のプレートと、当該一対のプレート間に配置される複数のハニカムによって画定されるハニカム構造と、を備える。
【0016】
ハニカムパネルは、次いで、予め定められた深さの堆積経路を形成するように彫られる。
【0017】
特に、ハニカムパネルは、堆積経路に隣接する複数のハニカムを露出させてアクセス可能になるように、そのプレートの少なくとも一方に彫られる。
【0018】
本発明によれば、ハニカムキャビティ、特にトッププレートに対してアンダーカットされることになるキャビティで、彫られた溝が遮断されることによって形成された容積の結果として、パネル自体内に粘着するための且つ強固な耐剥離性および耐せん断性セクションを生成するための有用な容積が形成される。
【0019】
充填材料は、堆積経路自体と、彫られた溝と既存のキャビティとの間の連結の結果形成されたアンダーカット領域と、を少なくとも部分的に充填するように、堆積経路に沿って適用される。
【0020】
具体的には、充填材料は、ハニカムパネルの彫刻作業の結果としてアクセス可能になった複数のハニカムに入り込み、好ましくは充填するように、適用される。
【0021】
有利には、充填材料の適用は、積層造形(またはオーバーモールディング)プロセスを用いて実行される。
【0022】
好ましくは、充填材料の適用は、物体の一部を実現するように、すなわち、前記充填材料が予め定められた構造を画定する堆積経路の外側に延在するように、実行される。
【0023】
特に、充填材料は、堆積経路の外側に延在する、好ましくは堆積経路から離れるように延在する予め定められた構造が画定されるように、適用される。
【0024】
代替的または追加的に、堆積経路は、ハニカムパネルの少なくともエッジ部分に沿って展開する。
【0025】
好ましくは、本方法は、少なくとも2つのハニカムパネルを配置し、前記少なくとも2つのハニカムパネルのそれぞれのエッジの少なくとも一部を彫ることによって、実行される。
【0026】
さらに好ましくは、本方法は、少なくとも2つのハニカムパネルの彫られたエッジを当接させ、これらのハニカムパネルを接続して確実に結び付けるようにこれらのエッジにわたって充填材料を適用することによって、実行される。
【0027】
代替的または追加的に、堆積経路は、ハニカムパネルの少なくとも1つの折り線に沿って展開する。
【0028】
好ましくは、本方法は、これに関連して、特に
図5に示されるように、ハニカムパネルの折り線を決定する彫刻を跨ぐその堆積経路を確立するハニカムパネルに対する彫刻の実行を受けて、
図6Aおよび6Bに示されるように、ハニカムパネルを少なくとも1つの折り線の周囲で折り曲げることによって、実行される。
【0029】
好ましくは、充填材料は、ハニカムパネルの折り曲げの発生およびその後の維持を助けるように、堆積経路に沿って適用される。
【0030】
有利には、本明細書に提示され説明される方法は、ハニカムパネルに基づく、またはハニカムパネルを備える幅広い製品の特に効率的な製造を可能にする。
【0031】
参照のためにここに含まれる従属請求項は、本発明の種々の実施形態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるような、物体の製造方法の例示的であるが排他的ではなく、したがって非限定的な好ましい実施形態の開示からより明らかになる。
【
図1A-11H】本方法のステップの1つを実行する様々な可能な方法を示す。
【
図2A-2L】異なる内部構造を備えたハニカムパネルを示す。
【
図3A-3D】ハニカムパネルに充填材料を適用する様々な可能な方法を示す。
【
図4A-4D】ハニカムパネルに充填材料を適用する様々な可能な方法を示す。
【
図5】ハニカムパネルが彫られ、続いて彫られた経路の周囲で折り曲げられる方法の特定のステップの実行を示す。
【
図6A-6B】ハニカムパネルが彫られ、続いて彫られた経路の周囲で折り曲げられる方法のいくつかの特定のステップの実行を示す。
【
図7A-7B】それぞれ
図6Aおよび6Bの折り曲げられたパネルの彫られた経路内での充填材料の適用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書に開示される方法は、少なくとも1つのハニカムパネル1を備える物体の製造を目的としている。
【0034】
言い換えれば、本方法は、少なくとも1つのハニカムパネル1、すなわち複数のハニカムを画定する構造を内部に有するパネルを備える半製品または完成品を製造する目的を有する。
【0035】
動作に関して、本方法は、一対のプレート2であって、その間に複数のハニカムによって画定される肺胞構造3が配置された一対のプレート2を備えるハニカムパネル1を提供することによって、実行される。
【0036】
前記ハニカムパネル1は、例示に過ぎないが、以下の材料の1つまたは複数を含み得る、または以下の材料の1つまたは複数を使用して作製され得る。すなわち、材料は、ガラス、大理石、アルミニウム(またはいずれにしても任意の金属材料もしくは金属合金)、アルミニウム-木材(または任意の金属または金属合金と木材との組み合わせ)、ポリマー、複合材料、セメント混合物、樹脂またはセラミック材料であり、一対のプレート2は、例えば、必要に応じて、皮革、木材、大理石、金属または複合材料、織物、不織布などから作製され得る1つまたは複数の表面仕上げまたはコーティング表面層を有し得る。
【0037】
構造的に、パネルは全体的に平坦であり得る、または予め定められた曲率半径を有し得る。
【0038】
より詳細には、パネルは少なくとも1つの非平面プレート2を備え得る。これは、2枚のプレート2であって、その間に肺胞構造3が囲まれる2枚のプレート2が互いに平行である必要がないことを意味する。
【0039】
全体として、ハニカムパネルは、例えば、17:1から23:1の曲率半径と厚さの比で湾曲し得る。
【0040】
有利には、肺胞構造3は、少なくとも部分的にオーゼティック材料で作製され得る、または幾何学的形状および/またはオーゼティック特性を有する断面プロファイルに基づくハニカム形状を特徴とし得る。
【0041】
オーゼティック材料は、応力を受けた容積のポアソン数が全体として負になる領域を容積自体の内に残す、容積充填のためのトポロジである「オーゼティックトポロジ」として知られているものと同様に、負のポアソン数によって特徴づけられるという点で特殊である。負のポアソン数を持つ材料および構造は、引張応力を受けると応力の方向に対して横方向に膨張し、圧縮されると応力の方向に対して横方向に収縮する傾向を持つ。同時に、「オーゼティック格子」、またはいずれにしてもオーゼティック形態を有する構造は、幾何学的再構成の挙動を有し、その結果、一の方向または配向の圧縮または拡張を得ることを目的としてそれらに加えられる任意の機械的応力は、他の方向または配向の圧縮または拡張も同様に、機械的応力そのものの適用方向または配向に垂直な方向または配向の圧縮または拡張を意味する(「等方性」構造では、2つの直交する方向に沿って反対方向に変形幾何学的再構成が行われるのではなく、一の方向または配向における所定の応力が、互いに直交する2つの方向における等価な変形幾何学的再構成を決定するのとは対照的である)。
【0042】
本発明の特有の態様によれば、ハニカムパネル1の用意は、少なくとも肺胞構造3を成形することによって、好ましくは積層造形プロセスを用いて(または必要に応じてオーバーモールディングによって)、実行される。
【0043】
言い換えれば、積層造形(またはオーバーモールディング)プロセスを用いて、例えば上に列挙した材料群から材料を選択することによって、適切な材料を成形することによって肺胞構造3を作成して、既存のプレート2を準備することが可能である。
【0044】
より具体的には、積層造形プロセスの作業面として機能する第1のプレート2を準備し、その後に、その上に肺胞構造3を規定する材料を成形することが可能である。続いて、第2のプレート2を肺胞構造3に結合し、それによりハニカムパネル1を画定することが可能である。
【0045】
例示に過ぎないが、肺胞構造3は、複数の球状ハニカム、すなわち、球状、半球状、または実質的に球状の形状の球状ハニカムを有してもよい。
【0046】
これは、パネル準備プロセスが複数の球状ハニカムを有する肺胞構造3を備えるハニカムパネル1を製造するように実行され得ることを意味する。
【0047】
代替的または追加的に、ハニカムパネル1の用意はまた、一対のプレート2のうちの少なくとも一方のプレート2、好ましくは両方のプレート2を製造することによって実行されてもよい。
【0048】
有利には、少なくとも1つのプレート2の製造はまた、積層造形プロセスによって実行され得る。
【0049】
したがって、一般に、ハニカムパネル1の準備は、そのコンポーネント、すなわち一対のプレート2および肺胞構造3の1つまたは複数を製造および/または組み立てることによって実行され得ると思われる。
【0050】
ハニカムパネル1の準備に至る特定のモードに関係なく、ハニカムパネル1は、予め定められた深さ(および、パネルの内部容積の観点から、パネル自体にすでに存在するキャビティの「遮断(interception)機能」)を有する堆積経路「P」を形成するように彫刻される。
【0051】
「彫刻」という用語は、ハニカムパネル1内に予め定められた深さの凹部、すなわち堆積経路「P」を形成し画定することを目的としたあらゆる作業およびプロセスを包含することを意図している。次に、本発明によって実現可能な堆積経路「P」は、ハニカムパネル1の表面に対して任意の経路を有し得、パネルの任意の点から始まってパネルの任意の他の点に到達する任意の幾何学的形状に展開し得る(当該幾何学的形状は、その時々のニーズに応じて、例えば、開いた経路、閉じた経路、単一の経路または複数の分岐経路などを規定する)。
【0052】
堆積経路「P」の深さは、彫刻の基部または底部と彫刻が行われるプレート2の表面との間の距離として理解される。
【0053】
本発明の可能な態様によれば、彫刻ステップは少なくとも部分的にミリングプロセスによって実行される。
【0054】
言い換えれば、堆積経路「P」は、正確な事前定義されたパターンに従ってハニカムパネル1自体の特定の深さまで材料の除去が生じるように、ハニカムパネル1のプレート2および肺胞構造3をミリングすることによって実現される。
【0055】
この種の加工は、加工経路が直線セクションに沿って展開する場合に特に効率的である。
【0056】
代替的または追加的に、彫刻フェーズは、少なくとも部分的に穴あけまたはボーリングプロセスを用いて実行される。
【0057】
言い換えれば、堆積経路「P」は、正確な事前定義されたパターンに従ってハニカムパネル1に形成された1つまたは複数の穴(必ずしも貫通穴ではない)によって画定され得る。
【0058】
この種の加工は、堆積経路「P」が複数の実質的に区別できる別個の点によって画定される場合に特に効率的である。
【0059】
製造される物体の特性および特定の構造のニーズに応じて、上で説明した可能なタイプの加工を組み合わせて使用して、線状セクションと点状セクションの組み合わせを含む堆積経路「P」を画定するようにハニカムパネル1を彫ることも可能である。
【0060】
堆積経路「P」についてのさらなる詳細は、以下に記載される。
【0061】
一対のプレート間の距離(すなわち、パネルの厚さ)に比例する溝の幅および深さは、堆積した材料の粘度、せん断に対するその耐性、およびプレートおよびハニカムを構成する材料への接着能力に依存する。
【0062】
堆積経路「P」が画定されると、それに充填材料4を適用することができる。これは、堆積経路「P」を少なくとも部分的に、好ましくは完全に充填するように、その時々のニーズに応じて、ポリマーまたは別のものであってもよい。
【0063】
言い換えれば、ハニカムパネル1を彫ることによって形成された溝は、トラックであって、それに沿って充填材料4を適用、挿入、堆積、成形または押し出すことができるトラックを画定し、その後、彫刻フェーズで作製された溝が充填される。
【0064】
さらに、充填材料4は、堆積経路「P」でハニカムパネル1に結び付けられ、この結合ゾーンから始まり、物体の部分を画定できる多かれ少なかれ複雑な構造を画定するように、適用され得る。
【0065】
有利には、充填材料4の適用は、積層造形プロセスによって実行される。
【0066】
具体的には、堆積経路「P」内に配置された充填材料4によって画定される結合部分を形成することによって充填材料4が適用される第1フェーズと、好ましくはハニカムプレートから離れるように延びる多かれ少なかれ複雑な事前定義された構造を形成するために結合部分が積層造形プロセスの継続のための基本機能および作業面を動作的に実行する第2フェーズに従って、積層造形プロセスを実行することが可能である。
【0067】
これに関連して、ハニカムパネル1は実際には、充填材料4によって画定される構造の支持基部を画定する。
【0068】
例示に過ぎないが、本明細書に記載されるすべてのステップ、および一般に積層造形プロセスによって実行できる本明細書に示されるすべての手順は、押出ヘッドであって、それを通って充填材料4が加工され作業面に堆積される押出ヘッドを備える3D成形機を用いて実現され得る。
【0069】
より詳細には、押出ヘッドは、特に堆積経路「P」の経路に従うために、正確な軌道に沿って移動可能であり得る。
【0070】
有利には、作業面はまた、移動可能であってもよく、例えばコンベヤベルトによって指定され得る。
【0071】
このようにして、ハニカムパネル1の1つまたは複数のコンポーネントの製造中、および/または堆積経路「P」内での充填材料4の適用中に、製造中の物体を押出ヘッドから徐々に遠ざけることができ、少なくともコンベヤベルトの前進方向と一致する方向に沿って無限に長い物品を製造することが可能になる。
【0072】
充填材料4を適用するステップを容易にするために、本方法は、充填材料4が堆積経路「P」に挿入されている間、ハニカムパネル1の少なくとも一部を温度調節することによって、さらに実行される。
【0073】
例えば、充填材料4が熱可塑性充填材料4であるか、熱可塑性充填材料4を含む場合、ハニカムパネル1、特に堆積経路「P」を、少なくとも前記熱可塑性充填材料4が適用されている部分において任意の時間加熱し、その後、冷却勾配を決定し、その結果、最終的な結晶化度のレベル、および結果として得られる機械的特性、より一般的には物理化学的特性を決定するように、それを制御された態様で冷却することが可能である(一方、材料が熱硬化性タイプの場合、同容積または表面が冷却され、その後、堆積した材料を架橋させるために加熱される)。
【0074】
ハニカムパネル1を加熱することは、堆積経路「P」への熱可塑性充填材料4の進入、したがって、ハニカムパネル1との正確な結合が促進されることによって、熱可塑性充填材料4の流動化を促進する。
【0075】
したがって、一般に、ハニカムパネル1の温度調節フェーズは、充填材料4が堆積経路「P」に適用される際のハニカムパネル1への結合を改善し容易にするために、充填材料4の流動化を促進する目的で実行される。
【0076】
一般に、彫刻フェーズ中に肺胞構造3の複数のハニカムが露出されるので、充填材料4の適用フェーズは実際には、彫られた溝とハニカムとの間のこれらの相互接続容積内に充填材料4を適用することによって実行されることに留意されたい。
【0077】
言い換えれば、ハニカムパネル1の彫刻により、肺胞構造3の1つまたは複数のハニカムが外部環境に露出され、充填材料4自体の堆積フェーズ中に充填材料4がそれらに入ることが可能になる。
【0078】
したがって、ハニカムパネル1との正確な結合を確実にすることを含めて、充填材料4の正確な適用を最適化するために、充填材料4の適用フェーズの時間の長さは、好ましくは、堆積経路「P」の深さ、その形態、材料の流動性、および周囲の表面との相互作用を決定するその特性に比例する時間の長さを設定することによって、充填材料4の深さの関数として決定される。
【0079】
言い換えれば、堆積経路「P」が表面的であると考えられる場合、すなわち、ハニカムの容積間の連結に由来する限られた容積を有する場合、充填材料4の適用プロセスの全体の継続時間は、適用される材料の量と充填される堆積経路「P」の容積とがより小さくなるので、より短くなり得、一方、より深い堆積経路「P」、または既存のハニカムと連結してより大きな容積を生成した堆積経路「P」の場合、または導入された容積の抵抗を大きくするために、より大きな固体容積を挿入する場合、充填材料4の適用プロセスの継続時間を延長することが有利である。
【0080】
特に、露出されて充填材料4にアクセス可能になるハニカムの量は、堆積経路「P」の深さに正比例する。なぜなら、深さが増加するにつれて、堆積経路「P」の側壁に沿ってアクセス可能になるハニカムの数も比例して増加するからであり、したがって、堆積経路「P」を正確に充填できるように充填材料4の適用プロセスの継続時間を延長することが有利である。
【0081】
より具体的には、ハニカムパネル1の彫刻は、堆積経路「P」の底壁とのアンダーカットを画定する複数のハニカムを露出させるように、実行される。
【0082】
これは次のことを意味する、すなわち、彫刻によって複数のハニカムにアクセス可能になり、そのうちの少なくとも1つ(好ましくはすべて)が貫通孔によって充填材料4の進入を容易にし、貫通孔は、ハニカムによって画定され且つ当該貫通孔が画定されるチャンバの対応する内部表面領域よりも小さい表面領域を有する。
【0083】
このようにして、充填材料4が堆積経路「P」に適用され且つ露出したハニカムに入るとき、充填材料4はアンダーカットにくっつき、ハニカムパネル1と充填材料4との間の結合を引張応力に対して特に耐性のあるものにする。
【0084】
この側面は、製造される物体がこの種の応力に耐えなければならないフレームまたは構造要素であるか、それらを含むか、またはそれらの画定に寄与する場合に特に重要である。
【0085】
有利には、堆積経路「P」の特定の形態は、本方法が実行される目的に応じて、または製造される物体の構造的特徴に応じて規定され得る。
【0086】
特に、第1の態様によれば、堆積経路「P」は、ハニカムパネル1に沿って、少なくとも部分的にそのエッジに沿うように展開し得る。
【0087】
堆積経路「P」のこの特定の構造は、物体であって、その製造に複数のハニカムパネル1を結合する必要がある物体を得るのに特に有用である。
【0088】
実際、いくつかのハニカムパネル1のそれぞれのエッジを彫り、それらを当接させ、それぞれの堆積経路「P」にまたがって充填材料4を適用することが可能であり、それらを両方のパネルと結合させ、実際に、2つのパネル1の間の部分/結合要素の機能を果たさせ、それらを堅く結び付けることが可能である。
【0089】
特に、本方法は、上で述べた方法のいずれかに従って、少なくとも2つのハニカムパネル1を準備し、続いて当接されることになるエッジのそれぞれの部分を彫ることによって、実行され得る。
【0090】
パネルを個別に彫り、後の段階でのみパネルを当接させることによってそれらを組み立てることが可能であり、または、ハニカムパネル1の当接されたエッジをまたぐことによって実行される単一の彫刻ステップを用いて堆積経路「P」を実現できるように、パネルを当接させることが可能である。
【0091】
次に、上述された態様で充填材料4が適用され、ハニカムパネル1の彫られたエッジ部分が接続され、ハニカムパネル1同士が強固に接合される。
【0092】
代替的または追加的に、さらなる態様によれば、堆積経路「P」は少なくとも1つの折り線5に沿って展開し、本方法は、充填材料4を適用する前に少なくとも1つの折り線5の周囲でパネルを折り曲げることによってさらに実行される。
【0093】
言い換えれば、ハニカムパネル1は、前記折り線5に沿って彫られ、特に堆積経路「P」を広げるような方向の力を及ぼすことによって、その周囲で折り曲げられる。
【0094】
所望の形状が得られたら、充填材料4を適用することができる。
【0095】
このようにして、充填材料4は、その存在がハニカムパネル1が加えられた変形に戻るのを妨げるので、ハニカムパネル1がとる形態の維持に寄与する。
【0096】
有利には、本発明は、例えば、ハニカムパネル1を変形および/または結合することによって、または特に積層造形プロセスによってもたらされる特性および利点を利用することによって(または、上ですでに何度か述べたように、オーバーモールディングプロセスの可能な使用によって)前記ハニカムパネル1に事前定義された構造を製造することによって、複雑な構造を製造することを可能にする、少なくとも1つのハニカムパネル1を備える物体の製造方法をユーザに利用可能にすることによって、既知の技術に関連する欠点を克服することによって、提案された目的を達成する。
【国際調査報告】