(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-30
(54)【発明の名称】内トロコイド容積式機械
(51)【国際特許分類】
F01C 1/22 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
F01C1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575734
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 CA2022050937
(87)【国際公開番号】W WO2022256944
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520144266
【氏名又は名称】ジェネシス アドバンスド テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン,ジェイムズ ブレント
(72)【発明者】
【氏名】リ,アレクザンダー シーン
(72)【発明者】
【氏名】ミュニヤッパン,アルティ
(72)【発明者】
【氏名】マッギー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】エベール,ジャスティン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス-ハン,ハビエル ピーター
(72)【発明者】
【氏名】バーソン,ティモシー デイビス
(57)【要約】
容積式装置が、突出部がかみ合っているインナーロータ及びアウターロータを含む。各ロータ上の点は、他のロータに対して内トロコイド経路をトレースする。アウターロータ突出部の先端は、上死点(TDC)及び下死点(BDC)でインナーロータに接触し、より高い圧力領域とより低い圧力領域を形成する。種々の要素が、シールを形成するために他の要素を成形し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと;
径方向外向き突出部を有するインナーロータであって、第1の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定される、インナーロータと;
前記インナーロータの前記径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有するアウターロータであって、前記第1の軸に平行かつ前記第1の軸からオフセットされた第2の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定される、アウターロータと;を有し、
前記インナーロータ、前記アウターロータ及び前記ハウジングは集合的に、前記第1の軸に垂直な平面内で相対運動するように配置されたコンポーネントのセットを形成し、前記コンポーネントのセットは、少なくとも1つの表面対の第1の軸方向を向く表面と第2の軸方向を向く表面との間の界面を形成するように配置された前記少なくとも1つの表面対を含む軸方向を向く表面を規定し、前記第1の軸方向を向く表面及び前記第2の軸方向を向く表面は、前記セットの異なるコンポーネントによって規定され、前記少なくとも1つの表面対の前記第1の軸方向を向く表面は、前記少なくとも1つの表面対の前記第2の軸方向を向く表面を成形する、又は前記第2の軸方向を向く表面によって成形される、又は両方であるように構成される、
容積式装置。
【請求項2】
前記アウターロータの前記径方向内向き突出部は、前記容積式装置の下死点(BDC)を含む下死点ゾーンにおいて前記インナーロータの前記径方向外向き突出部に対してシールし、前記容積式装置の上死点(TDC)を含む上死点ゾーンにおいて前記インナーロータの前記径方向外向き突出部の間のトラフに対してシールし、前記BDC及び前記TDCシールゾーンは、前記容積式装置を高圧領域及び低圧領域に分離する、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項3】
前記アウターロータの前記径方向内向き突出部は、前記インナーロータに対する前記アウターロータの前記径方向内向き突出部のシールと組み合わせて、TDC及びBDCにおいて高圧流体に曝されるそれらの類似の表面積の結果として、前記アウターロータに実質的に等しく反対のトルクを生成するように構成される、
請求項2に記載の容積式装置。
【請求項4】
前記アウターロータの前記径方向内向き突出部の2つの連続する径方向内向き突出部及び前記インナーロータの前記径方向外向き突出部の間の2つの連続するゾーンはそれぞれ、TDCを通過する圧縮流体の内部膨張を提供するために、TDCを越えたチャンバ内の前記インナーロータと前記アウターロータとの間にシールが維持されるように成形される、
請求項2に記載の容積式装置。
【請求項5】
前記インナーロータの前記径方向外向き突出部の2つの連続する径方向外向き突出部はそれぞれ、BDCを通過する流体の内部圧縮を提供するために、BDCを越えたチャンバ内の前記インナーロータと前記アウターロータとの間にシールが維持されるように成形される、
請求項2に記載の容積式装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの表面対は、前記ハウジングの第1の表面と、第1のハウジング界面を形成するように配置された前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの1つの外側表面とを有する第1のハウジング表面対と、を含み、前記ハウジングの前記第1の表面は、前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面を成形する、又は前記外側表面によって成形される、又は両方であるように構成される、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項7】
前記ハウジングはポートプレートを含み、前記少なくとも1つの表面対は、前記ポートプレートの表面と、ポートプレート界面を形成するように配置された前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの1つの外側表面とを有するポートプレート表面対と、を含み、前記ポートプレートの前記表面は、前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面を成形する、又は前記外側表面によって成形される、又は両方であるように構成される、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項8】
前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面は、前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つのエンドプレートによって規定される、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項9】
前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面は、前記アウターロータの外側表面である、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項10】
デブリ除去のために前記ポートプレート界面に圧力下で流体を供給するように構成されたポートプレート界面流体供給チャネルをさらに有する、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項11】
前記ポートプレートの表面上に又は前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側面表上に、突き出たポートプレート界面要素をさらに有し、前記突き出たポートプレート界面要素が前記ポートプレートの前記表面上にある場合には、前記突き出たポートプレート界面要素は、前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面を成形するように配置され、前記突き出たポートプレート界面要素が前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面上にある場合には、前記突き出たポートプレート界面要素は、前記ポートプレートの前記表面を成形するように配置される、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項12】
前記突き出たポートプレート界面要素は、螺旋形状のポートプレート界面成形エッジを有し、前記ポートプレート界面成形エッジは、前記ポートプレート表面対の前記軸方向を向く表面が前記容積式装置の使用中に予想される相対運動の方向に移動するときに、前記ポートプレート界面から成形デブリを径方向外側方向に押し出すように方向付けられる、
請求項11に記載の容積式装置。
【請求項13】
前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面は、前記突き出たポートプレート界面要素を有する、
請求項11に記載の容積式装置。
【請求項14】
前記ポートプレートの前記表面は、金属バッキングプレート上のプラスチック材料を含む、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項15】
前記ポートプレートの前記表面を、前記インナーロータ及び前記アウターロータの前記1つの前記表面に接触又は近接して位置決めするアクチュエータをさらに含む、
請求項13に記載の容積式装置。
【請求項16】
前記アクチュエータは、加圧流体を受け入れるように構成された前記ハウジング内のチャンバを有し、前記ポートプレートはピストンとして機能するように前記チャンバと接触している、
請求項15に記載の容積式装置。
【請求項17】
前記チャンバを前記機械の入口に接続するパージバルブをさらに有する、
請求項16に記載の容積式装置。
【請求項18】
前記ポートプレートを前記インナーロータ及び前記アウターロータのうちの前記1つの前記外側表面から離れる方向に停止部に対して付勢するバイアス要素をさらに有する、
請求項15に記載の容積式装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの表面対は、前記インナーロータの第1の表面及び第1のロータ界面を形成するように配置された前記アウターロータの第1の表面を有する第1のロータ表面対を含み、前記アウターロータの前記第1の表面は、前記インナーロータの前記第1の表面を成形する、又は前記第1の表面によって成形される、又は両方であるように構成される、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項20】
前記アウターロータの前記第1の表面は、前記アウターロータのエンドプレートによって規定される、
請求項19に記載の容積式装置。
【請求項21】
デブリ除去のために前記第1のロータ界面に圧力下で流体を供給するように構成された第1のロータ界面流体供給チャネルをさらに有する、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項22】
前記インナーロータの前記第1の表面上又は前記アウターロータの前記第1の表面上に、突き出た第1のロータ界面要素をさらに有し、前記突き出た第1のロータ界面要素が前記アウターロータの前記第1の表面上にある場合には前記突き出た第1のロータ界面要素は、前記インナーロータの前記第1の表面を成形するように配置され、前記突き出た第1のロータ界面要素が前記インナーロータの前記第1の表面上にある場合には前記突き出た第1のロータ界面要素は、前記アウターロータの前記第1の表面を成形するように配置される、
請求項19に記載の容積式装置。
【請求項23】
前記突き出た第1のロータ界面要素は、螺旋形状の第1のロータ界面成形エッジを有し、前記第1のロータ界面成形エッジは、前記容積式装置の使用中、前記第1のロータ表面対の前記表面が予想される相対運動の方向に移動するときに、前記第1のロータ界面から径方向外側方向に成形デブリを押し出すように方向付けられる、
請求項22に記載の容積式装置。
【請求項24】
前記アウターロータの前記第1の表面は、前記突き出た第1のロータ界面要素を有する、
請求項22に記載の容積式装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの表面対は、前記インナーロータの第2の表面及び第2のロータ界面を形成するように配置された前記アウターロータの第2の表面を有する第2のロータ表面対を含み、前記アウターロータの前記第2の表面は、前記インナーロータの前記第2の表面を成形する、又は前記第2の表面によって成形される、又は両方であるように構成される、
請求項19に記載の容積式装置。
【請求項26】
前記アウターロータの前記第2の表面は、前記アウターロータの第2のエンドプレートによって規定される、
請求項25に記載の容積式装置。
【請求項27】
デブリ除去のために前記第2のロータ界面に圧力下で流体を供給するように構成された第2のロータ界面流体供給チャネルをさらに有する、
請求項7に記載の容積式装置。
【請求項28】
前記インナーロータの前記第2の表面上又は前記アウターロータの前記第2の表面上に、突き出た第2のロータ界面要素をさらに有し、前記突き出た第2のロータ界面要素が前記アウターロータの前記第2の表面上にある場合には前記突き出た第2のロータ界面要素は前記インナーロータの前記第2の表面を成形するように配置され、前記突き出た第2のロータ界面要素が前記インナーロータの前記第2の表面上にある場合には前記突き出た第2のロータ界面要素は前記アウターロータの前記第2の表面を成形するように配置される、
請求項25に記載の容積式装置。
【請求項29】
前記突き出た第2のロータ界面要素は、螺旋形状の第2のロータ界面成形エッジを有し、前記第2のロータ界面成形エッジは、前記容積式装置の使用中に前記第2のロータ表面対の前記表面が予想される相対運動の方向に移動するときに、前記第2のロータ界面から径方向外側に成形デブリを押し出すように方向付けられる、
請求項28に記載の容積式装置。
【請求項30】
前記アウターロータの前記第2の表面は、前記突き出た第2のロータ界面要素を有する、
請求項28に記載の容積式装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの表面対は、軸方向を向くハウジング表面と、ハウジング界面を形成するように配置された前記インナーロータ又は前記アウターロータのうちの少なくとも1つの対応する軸方向を向く表面とを有するハウジング表面対を含み、前記軸方向を向くハウジング表面は、前記対応する軸方向を向く表面を成形する、又は前記対応する軸方向を向く表面によって成形される、又は両方であるように構成される。
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項32】
デブリ除去のために前記ハウジング界面に圧力下で流体を供給するように構成されたハウジング界面流体供給チャネルをさらに有する、
請求項31に記載の容積式装置。
【請求項33】
前記軸方向を向くハウジング表面上又は前記対応する軸方向を向く表面上に突き出たハウジング界面要素をさらに含み、前記突き出たハウジング界面要素が前記軸方向を向くハウジング表面上にある場合には、前記突き出たハウジング界面要素は前記対応する軸方向を向く表面を成形するように配置され、前記突き出た第2のロータ界面要素が前記対応する軸方向を向く表面上にある場合には、前記突き出たハウジング界面要素は前記軸方向を向くハウジング表面を成形するように配置される、
請求項31に記載の容積式装置。
【請求項34】
前記突き出たハウジング界面要素は螺旋形状のハウジング界面成形エッジを有し、前記第2のハウジング成形エッジは、前記容積式装置の使用中に前記ハウジング表面対の表面が予想される相対運動の方向に移動するときに、前記ハウジング界面から成形デブリを径方向外側方向に押し出すように方向付けられる、
請求項33に記載の容積式装置。
【請求項35】
前記インナーロータ又は前記アウターロータのうちの前記少なくとも1つの前記軸方向を向く表面は、前記突き出た第2のロータ界面要素を有する、
請求項33に記載の容積式装置。
【請求項36】
前記ポートプレート界面流体供給チャネル、第1のロータ界面流体供給チャネル、第2のロータ界面流体供給チャネル及びハウジング界面流体供給チャネルのいずれかが存在し、前記インナーロータのシャフトを通る流路を含む流体供給チャネル構成の一部を形成する、
請求項10に記載の容積式装置。
【請求項37】
前記アウターロータは、前記アウターロータの前記内向き突出部の根元と前記インナーロータの前記外向き突出部の先端との間にクリアランスを設けるように構成され、前記クリアランスは、前記アウターロータの前記突出部の間に蓄積された氷を収容するように選択される、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項38】
前記第1の軸が非垂直、非水平の向きを有して前記容積式装置の排出ポートが前記容積式装置の有効容積の実質的に最下部分に位置するように、前記容積式装置を外部表面又は構造に取り付けるための取り付け機構を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項39】
前記第1の軸の向きは垂直から1°から45°の間である、
請求項38に記載の容積式装置。
【請求項40】
前記インナーロータは成形可能な材料を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項41】
前記インナーロータは成形可能な材料を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項42】
前記インナーロータは摩耗可能な材料を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項43】
前記インナーロータはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項44】
前記容積式装置に流入する流体に接触するように配置されたスクリーンをさらに有し、前記スクリーンは、前記容積式装置が使用後にシャットダウンされるときに、前記アウターロータの流体に面する表面よりも急速に冷却されるスクリーン温度を有するように配置される、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項45】
前記スクリーンは、周囲温度にさらされるヒートシンクに熱的に接続される、
請求項44に記載の容積式装置。
【請求項46】
前記径方向内向き突出部は、前記シールゾーンの間で前記インナーロータの前記径方向外向き突出部に接触するように構成された先頭部分及び後続部分を有する、
請求項2に記載の容積式装置。
【請求項47】
上死点(TDC)又はその付近において、前記インナーロータの前記径方向外向き突出部と前記アウターロータの前記径方向内向き突出部との間のシールされた二次チャンバの形成を防止するように配置された流路をさらに有する、
請求項46に記載の容積式装置。
【請求項48】
前記径方向内向きのアウターロータ突出部の前記後続部分は、前記アウターロータ及び前記インナーロータの相対的な回転位置決めを提供し、1以上の回転方向における前記ロータ間のかみ合い率を提供する、
請求項46に記載の容積式装置。
【請求項49】
前記径方向内向きのアウターロータ突出部の前記先頭部分は、前記アウターロータ及び前記インナーロータの相対的な回転位置決めを提供し、1以上の回転方向における前記ロータ間のかみ合い率を提供する、
請求項46に記載の容積式装置。
【請求項50】
前記インナーロータの前記径方向外向き突出部は、成形可能な材料を含む成形可能なシールゾーン表面を有し、前記アウターロータに対する回転位置決めを提供する前記インナーロータ外向き突出部の一部も、前記成形可能な材料を含む、
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項51】
前記少なくとも1つの表面対の前記軸方向を向く表面の各々は、摩耗可能な材料を含み、前記少なくとも1つの表面対の前記軸方向を向く表面の他方を成形するように構成される
請求項1に記載の容積式装置。
【請求項52】
ハウジングと;
外向き突出部のインナーロータ突出部数を持つインナーロータであって、第1の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定されている、インナーロータと;
内向き突出部のアウターロータ突出部数を持つアウターロータであって、前記第1の軸に平行且つ前記第1の軸からオフセットされた第2の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定されている、アウターロータと;を有し、
前記インナーロータの前記外向き突出部及び前記アウターロータの前記内向き突出部は噛み合い、前記アウターロータ及び前記インナーロータは、前記アウターロータ突出部数に対する前記インナーロータ突出部数の比によって定義される回転速度の相対比で回転するように構成され;
前記アウターロータの前記内向き突出部は、前記ロータの回転中に、前記インナーロータに対する内トロコイド経路を規定する最も内側の先端を有し;前記インナーロータは、前記外向き突出部の先端における先端シールゾーンと、前記外向き突出部の間のトラフにおけるトラフシールゾーンとを有し、前記先端シールゾーン及び前記トラフシールゾーンは、前記最も内側の先端が前記内トロコイド経路をトレースするとき、前記アウターロータの前記突出部の前記最も内側の先端に対してシールするように配置される、
容積式装置。
【請求項53】
前記アウターロータ突出部数は前記インナーロータ突出部数よりも1大きい、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項54】
前記先端シールゾーンは、前記容積式装置の下死点(BDC)を含む下死点ゾーンにおいて生じ、前記トラフシールゾーンは、前記容積式装置の上死点(TDC)を含む上死点ゾーンにおいて生じ、前記BDC及び前記TDCシールゾーンは、前記容積式装置を高圧領域及び低圧領域に分離する、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項55】
前記アウターロータの前記径方向内向き突出部は、前記インナーロータに対する前記アウターロータの前記径方向内向き突出部のシールと組み合わせて、TDC及びBDCで高圧流体に曝されるそれらの類似の表面積の結果として、前記アウターロータに実質的に等しく反対のトルクを生成するように構成される、
請求項54に記載の容積式装置。
【請求項56】
前記アウターロータの前記径方向内向き突出部の2つの連続する径方向内向き突出部及び前記インナーロータの前記径方向外向き突出部の間の2つの連続する領域は、それぞれ、TDCを通過する圧縮流体の内部膨張を提供するために、TDCを越えたチャンバ内の前記インナーロータと前記アウターロータとの間にシールが維持されるように成形される、
請求項54に記載の容積式装置。
【請求項57】
前記インナーロータの前記径方向外向き突出部の2つの連続する径方向外向き突出部は、それぞれ、BDCを通過する流体の内部圧縮を提供するために、BDCを越えたチャンバ内の前記インナーロータと前記アウターロータとの間にシールが維持されるように成形される、
請求項54に記載の容積式装置。
【請求項58】
前記容積式装置への流体流に接触するように配置されたスクリーンをさらに有し、前記スクリーンは、前記容積式装置が使用後にシャットダウンされるときに、前記アウターロータの流体に面する表面よりも急速に冷却されるスクリーン温度を有するように配置される、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項59】
前記スクリーンは、周囲温度にさらされるヒートシンクに熱的に接続される、
請求項58に記載の容積式装置。
【請求項60】
前記先端シールゾーン、前記トラフシールゾーン、又は両方が、前記アウターロータの前記最も内側の先端によって成形される前記アウターロータの前記最も内側の先端で構成される、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項61】
前記アウターロータの第1の内向き突出部が、前記アウターロータの第2の内向き突出部の第2の先端形状とは異なる第1の先端形状を有し、前記第1の先端形状は、下死点(BDC)において相対運動方向に前記インナーロータの前記外向き突出部の前記先端とのより鋭い入射角を有し、前記第2の先端形状は、上死点(TDC)において相対運動方向に前記インナーロータの前記外向き突出部間のトラフにおいてより鋭い入射角を有する、
請求項60に記載の容積式装置。
【請求項62】
前記第1の内向き突出部は、前記アウターロータの前記最も内側の先端の第1の先端を有し、前記第2の内向き突出部は、前記アウターロータの前記最も内側の先端の第2の先端を有し、前記第1の先端及び前記第2の先端は、前記インナーロータに対して共通の内トロコイド経路を前記第1の先端及び前記第2の先端がトレースするように配置される、第2の先端を有する、
請求項61に記載の容積式装置。
【請求項63】
前記アウターロータの前記内向き突出部は、突出部の複数個のセットを含み、各セットの前記突出部はそれぞれ共通の幾何学的形状を有し、前記アウターロータ突出部数は前記複数個のセットの倍数である、
請求項61に記載の容積式装置。
【請求項64】
前記アウターロータの前記内向き突出部の前記最も内側の先端は、前記先端シールゾーン及び前記トラフシールゾーンよりも硬い材料で作られ、前記アウターロータの前記内向き突出部の前記最も内側の先端は、前記容積式装置の作動時に前記先端シールゾーン及び前記トラフシールゾーンを成形するように構成される、
請求項60に記載の容積式装置。
【請求項65】
前記アウターロータの前記内向き突出部は、前記最も内側の先端において鋭いエッジに先細りにされる、
請求項60に記載の容積式装置。
【請求項66】
前記アウターロータの前記最も内側の先端は、丸みを帯びた表面で構成される、
請求項60に記載の容積式装置。
【請求項67】
前記先端シールゾーン又は前記トラフシールゾーン又は両方は、径方向可動シールを含む、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項68】
前記径方向可動シールは、第1の温度で径方向に移動可能であり、第2の温度で径方向に固定されるように構成される、
請求項67に記載の容積式装置。
【請求項69】
前記径方向可動シールは、第1の温度で径方向に移動可能であり、第2の温度でそれらの溝にきつい嵌合になるように構成される、
請求項67に記載の容積式装置。
【請求項70】
前記内向きのアウターロータ突出部は、前記先端シールゾーンと前記トラフシールゾーンとの間で前記インナーロータの前記外向き突出部に接触するように構成された先頭部分及び後続部分を有する、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項71】
上死点(TDC)又はその近くにおいて前記インナーロータの前記外向き突出部と前記アウターロータの前記内向き突出部との間のシールされた二次チャンバの形成を防止するように配置された流路をさらに有する、
請求項70に記載の容積式装置。
【請求項72】
前記内向きのアウターロータ突出部の前記後続部分は、前記アウターロータ及び前記インナーロータの相対的な回転位置決めを提供し、1以上の回転方向における前記ロータ間のかみ合い率を提供する、
請求項71に記載の容積式装置。
【請求項73】
前記内向きのアウターロータ突出部の前記先頭部分は、前記アウターロータ及び前記インナーロータの相対的な回転位置決めを提供し、1以上の回転方向における前記ロータ間のかみ合い率を提供する、
請求項70に記載の容積式装置。
【請求項74】
前記外向き突出部の間の前記トラフのうちのトラフが、上死点(TDC)を通過する流体の内部膨張を提供するために、シールされたチャンバがTDCを越えて維持されるような形状を有する、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項75】
前記外向き突出部のうちのインナーロータ突出部が、下死点(BDC)を通過する流体の内部圧縮を提供するために、シールされたチャンバがBDCを越えて維持されるような形状を有する、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項76】
前記先端シールゾーン、前記トラフシールゾーン、又は両方は、成形可能な材料を含み、
前記アウターロータに対して回転位置決めを提供する前記インナーロータ外向き突出部の部分が前記成形可能な材料を含む、
請求項52に記載の容積式装置。
【請求項77】
容積式装置の慣らし運転をする方法であって、前記方法は:
インナーロータ及びアウターロータを有する容積式装置を提供するステップであって、前記インナーロータは、前記アウターロータの内向き突出部の径方向の最も内側の先端に対してシールするように構成された径方向可動シールを有し、前記径方向可動シールは、前記シールの温度に応じて径方向に移動又は固定され;前記径方向可動シールは:
A) 前記インナーロータの外向き突出部の先端に位置する、又は
B) 前記インナーロータの前記外向き突出部の間のトラフに位置する、
又は両方に位置する、ステップと;
前記容積式装置を第1の温度で動作させるステップであって、前記容積式装置が前記第1の温度で動作するときに、前記径方向可動シールが、前記アウターロータの前記内向き突出部の前記径方向に最も内側の先端に接触するそれぞれのトップアウト位置まで径方向に進むことを可能にする、ステップと;
第2の温度で前記容積式装置を動作させるステップであって、前記径方向可動シールは、前記容積式装置が前記第2の温度で動作するときに前記それぞれのトップアウト位置に固定される、ステップと;を含む、
方法。
【請求項78】
前記径方向可動シールの前記径方向の前進は、前記容積式装置が前記第1の温度で動作するとき、遠心力によって生じる、
請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記径方向可動シールは径方向内側に付勢される、
請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記シールは溝内に配置され、前記径方向可動シールは、前記第1の温度で径方向に移動可能であり、前記第2の温度で前記溝内に、前記溝を規定する材料に対する前記シールの熱膨張差により、固定される又はより密接する、
請求項77乃至79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
容積式装置を慣らし運転する方法であって、前記方法は:
容積式装置を提供するステップであって、前記容積式装置はハウジング及び径方向外向き突出部を有するインナーロータを有し、前記インナーロータは第1の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定され、アウターロータが前記インナーロータの前記径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有し、前記アウターロータは、前記第1の軸に平行かつ前記第1の軸からオフセットされた第2の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定され、前記インナーロータは第1の軸方向を向く表面及び第2の軸方向を向く表面を有する、ステップを含み、前記方法はさらにA又はBを含み:
Aは、前記第1の軸方向を向く表面が、前記アウターロータの第1の対応する軸方向を向く表面又は前記ハウジングと干渉して前記第1の対応する軸方向を向く表面に前記第1の軸方向を向く表面を成形させるような条件下で前記容積式装置を動作させ、及び、その後、前記第1の軸方向を向く表面と前記第1の対応する軸方向を向く表面との間の干渉なしに前記容積式装置を動作させることであり、
Bは、前記第2の軸方向を向く表面が前記アウターロータの第2の対応する軸方向を向く表面又は前記ハウジングに干渉して前記第2の対応する軸方向を向く表面に前記第2の軸方向を向く表面を成形させるような条件下で前記容積式装置を動作させ、その後、前記第2の軸方向を向く表面と前記第2の対応する軸方向を向く表面との間の干渉なしに前記容積式装置を動作させることである、
方法。
【請求項82】
A及びBの両方を含む、
請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記インナーロータは、前記容積式装置が構築されたように動作するときに干渉を引き起こすように構築され、干渉を伴わないその後の前記動作は、前記容積式装置が構築されたとおりに動作するときの前記インナーロータの成形に起因する、
請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
前記第1の軸方向を向く表面が前記アウターロータの前記第1の対応する軸方向を向く表面又は前記ハウジングに干渉するA、又は前記第2の軸方向を向く表面が前記アウターロータの前記第2の対応する軸方向を向く表面又は前記ハウジングに干渉するBのような条件は、前記インナーロータが第1の温度を有し、前記インナーロータが、干渉なしの前記その後の動作中に前記第1の温度と異なる第2の温度を有する条件である、
請求項81又は82に記載の方法。
【請求項85】
容積式装置の慣らし運転する方法であって、前記方法は:
容積式装置を提供するステップであって、前記容積式装置は、ハウジングと、径方向外向き突出部を有するインナーロータとを有し、前記インナーロータは、第1の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定され、アウターロータが、前記インナーロータの前記径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有し、前記アウターロータは、前記第1の軸に平行かつ前記第1の軸からオフセットされた第2の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定され、前記ハウジングは、前記インナーロータ又は前記アウターロータの対応する軸方向を向く表面に面するポートプレートの軸方向を向く表面を有するポートプレートを含む、ステップを含み、前記方法はさらに、前記ポートプレートの軸方向を向く表面が前記インナーロータ又は前記アウターロータの前記対応する軸方向を向く表面と干渉して、前記対応する軸方向を向く表面に前記ポートプレートの軸方向を向く表面を成形させるような条件で前記容積式装置を動作させるステップと、次いで、前記ポートプレートの軸方向を向く表面と前記対応する軸方向を向く表面との間の干渉なしに前記容積式装置を動作させるステップとを含む、方法。
【請求項86】
前記ポートプレートは、前記容積式装置が構築されたとおりに動作するときに干渉を引き起こすように構築され、干渉なしのその後の前記動作は、前記容積式装置が構築されたとおりに動作するときの前記ポートプレートの成形に起因する、
請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記ポートプレートの軸方向を向く表面が前記インナーロータ又は前記アウターロータの前記対応する軸方向を向く表面と干渉するような条件は、前記ポートプレートが第1の温度を有し、前記干渉なしのその後の動作中に前記ポートプレートが前記第1の温度と異なる第2の温度を有する条件である、
請求項86に記載の方法。
【請求項88】
請求項1乃至76のいずれか1項に記載の容積式装置から氷を除去する方法であって、前記方法は:
前記容積式装置を動作させるステップであって、動作中の前記容積式装置の内部温度が0°Cより大きい、ステップと;
前記容積式装置の動作を停止するステップと;
前記容積式装置の動作を停止するステップの後、前記容積式装置の前記内部温度が0°C未満の周囲温度に向かって冷却するとき、冷却期間にわたって前記容積式装置の前記内部温度を監視するステップと;
前記容積式装置の前記内部温度が0°Cに近づいていることを検出すると、前記容積式装置内の水を前記容積式装置から移動させるように前記容積式装置を回転させるステップと;を含む、
方法。
【請求項89】
前記容積式装置は、前記容積式装置への流体の流れをフィルタリングするように配置されたスクリーンをさらに有し、前記スクリーンは、前記冷却期間中、前記容積式装置の装置温度より低いスクリーン温度を有するように配置される、
請求項88に記載の方法。
【請求項90】
ハウジングと、径方向外向き突出部を有するインナーロータであって、第1の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定された、インナーロータと、前記インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有するアウターロータであって、前記第1の軸に平行かつ前記第1の軸からオフセットされた第2の軸周りに前記ハウジングに対して回転するように固定された、アウターロータと、を有する容積式装置から氷を除去する方法であって、前記方法は:
前記容積式装置を動作させるステップであって、動作中の前記容積式装置の内部温度が0°Cより大きい、ステップと;
前記容積式装置の動作を停止するステップと;
前記容積式装置の動作を停止するステップの後、前記容積式装置の前記内部温度が0°C未満の周囲温度に向かって冷却するとき、前記容積式装置の前記内部温度を監視するステップと;
前記容積式装置の前記内部温度が0°Cに近づいていることを検出すると、前記容積式装置内の凝縮水を前記容積式装置の前記ロータから遠心分離させるように前記容積式装置の前記ロータを回転させるステップと;を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内部ギア流体移送装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
容積式装置(displacement device)は、ハウジング、インナーロータ及びアウターロータを有し得る。インナーロータは、第1の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され得、アウターロータは、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットされた第2の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され得る。インナーロータは、径方向外向き突出部を有し、アウターロータは、インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有する。インナーロータ、アウターロータ及びハウジングは集合的に、第1の軸に垂直な平面内で相対運動するように配置されたコンポーネントのセットを形成し得、コンポーネントのセットは、少なくとも1つの表面対(surface pairing)の第1の軸方向を向く表面(axially facing surface)と第2の軸方向を向く表面との間の界面(interface)を形成するように配置された少なくとも1つの表面対を含む軸方向を向く表面を規定し、第1の軸方向を向く表面及び第2の軸方向を向く表面は、そのセットの異なるコンポーネントによって規定され、少なくとも1つの表面対の第1の軸方向を向く表面は、少なくとも1つの表面対の第2の軸方向を向く表面を成形する、それによって成形される、又は、両方であるように構成される。
【0003】
様々な実施形態では、以下の特徴のうちのいずれか1つ又は複数を含み得る:アウターロータの径方向内向き突出部は、容積式装置の下死点(BDC)を含む下死点ゾーンにおいてインナーロータの径方向外向き突出部に対してシールし得、容積式装置の上死点(TDC)を含む上死点ゾーンにおいてインナーロータの径方向外向き突出部の間のトラフ(troughs(凹部))に対してシールし得、BDC及びTDCシールゾーンは容積式装置を高圧領域及び低圧領域に分離する。アウターロータの径方向内向き突出部は、インナーロータに対するアウターロータの径方向内向き突出部のシールと組み合わせて、TDC及びBDCにおいて高圧流体に曝されるそれらの類似の表面領域の結果として、アウターロータに実質的に等しく反対のトルクを生成するように構成され得る。アウターロータの径方向内向き突出部の2つの連続する径方向内向き突出部及びインナーロータの径方向外向き突出部の間の2つの連続するゾーンは、それぞれ、TDCを通過する圧縮流体の内部膨張を提供するために、TDCを越えたチャンバ内のインナーロータとアウターロータの間にシールが維持されるように成形され得る。インナーロータの径方向外向き突出部の2つの連続する径方向外向き突出部はそれぞれ、BDCを通過する流体の内部圧縮を提供するために、BDCを越えたチャンバ内のインナーロータとアウターロータの間にシールが維持されるように成形され得る。少なくとも1つの表面対は、ハウジングの第1の表面と、第1のハウジング界面を形成するように配置されたインナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面とを有する第1のハウジング表面対を含み得、ハウジングの第1の表面は、インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面を成形する、それによって成形される、又は両方であるように構成される。ハウジングは、ポートプレートを含み、少なくとも1つの表面対は、ポートプレートの表面と、ポートプレート界面を形成するように配置されたインナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面とを有するポートプレート表面対を含み、ポートプレートの表面は、インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面を成形する、それによって成形される、又は両方であるように構成される。インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面は、インナーロータ及びアウターロータのうちの1つのエンドプレートによって規定され得る。インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面は、アウターロータの外側表面であり得る。また、デブリ除去のために圧力下で流体をポートプレート界面に供給するように構成されたポートプレート界面流体供給チャネルがあり得る。また、ポートプレートの表面又はインナーロータ上に及びアウターロータのうちの1つの外側表面上に、突き出た(proud)ポートプレート界面要素があり得、突き出たポートプレート界面要素がポートプレートの表面上にある場合には、突き出たポートプレート界面要素はインナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面を成形するように配置され、突き出たポートプレート界面要素がインナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面上にある場合に突き出たポートプレート界面要素はポートプレートの表面を成形するように配置され得る。突き出たポートプレート界面要素は、螺旋形状のポートプレート界面成形エッジを有し得、ポートプレート界面成形エッジは、ポートプレート表面対の軸方向を向く表面が容積式装置の使用中に予想される相対運動の方向に移動したときに、ポートプレート界面から成形デブリを径方向外側方向に押し出すように方向付けられる。インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの外側表面は、突き出たポートプレート界面要素を有し得る。ポートプレートの表面は、金属バッキングプレートの上のプラスチック材料を含み得る。ポートプレートの表面を、インナーロータ及びアウターロータのうちの1つの表面に接触又は近接して位置決めするアクチュエータがあり得る。アクチュエータは、加圧流体を受け入れるように構成されたハウジング内のチャンバを含み得、ポートプレートはピストンとして機能するようにチャンバと接触している。チャンバを機械の入口に接続するパージバルブがあり得る。インナーロータとアウターロータのうちの1つの外側表面から離れる方向にポートプレートを停止部に対して付勢する(biasing(バイアスする))バイアス要素があり得る。少なくとも1つの表面対は、インナーロータの第1の表面と第1のロータ界面を形成するように配置されたアウターロータの第1の表面とを有する第1のロータ表面対を含み得、アウターロータの第1の表面は、インナーロータの第1の表面を成形される、それによって成形される、又は両方であるように構成される。アウターロータの第1の表面は、アウターロータエンドプレートによって規定され得る。デブリ除去のために第1のロータ界面に圧力下で流体を供給するように構成された第1のロータ界面流体供給チャネルがあり得る。インナーロータの第1の表面又はアウターロータの第1の表面上に突き出た第1のロータ界面要素があり得、突き出た第1のロータ界面要素がアウターロータの第1の表面上にある場合には、突き出た第1のロータ界面要素はインナーロータの第1の表面を成形するように配置され、突き出た第1のロータ界面要素がインナーロータの第1の表面上にある場合には、突き出た第1のロータ界面要素はアウターロータの第1の表面を成形するように配置される。突き出た第1のロータ界面要素は、螺旋形状の第1のロータ界面成形エッジ(spiral-shaped first rotor interface shaping edges)を有し得、第1のロータ界面成形エッジは、容積式装置の使用中、第1のロータ表面対の表面が予想される相対運動の方向に移動するときに、成形デブリを第1のロータ界面から径方向外側方向に押し出すように方向付けられる。アウターロータの第1の表面は、突き出た第1のロータ界面要素を有し得る。少なくとも1つの表面対は、インナーロータの第2の表面と、第2のロータ界面を形成するように配置されたアウターロータの第2の表面とを有する第2のロータ表面対を含み、アウターロータの第2の表面は、インナーロータの第2の表面を成形する、それによって成形される、又は両方であるように構成される。アウターロータの第2の表面は、アウターロータの第2のエンドプレートによって規定され得る。第2のロータ界面流体供給チャネルは、デブリ除去のために第2のロータ界面に圧力下で流体を供給するように構成され得る。インナーロータの第2の表面又はアウターロータの第2の表面上に突き出た第2のロータ界面要素があり得、突き出た第2のロータ界面要素がアウターロータの第2の表面上にある場合には、突き出た第2のロータ界面要素はインナーロータの第2の表面を成形するように配置され、突き出た第2のロータ界面要素がインナーロータの第2の表面上にある場合には、突き出た第2のロータ界面要素はアウターロータの第2の表面を成形するように配置される。突き出た第2のロータ界面要素は、螺旋形状の第2のロータ界面成形エッジを有し得、第2のロータ界面成形エッジは、第2のロータ表面対の表面が容積式装置の使用中に予想される相対運動の方向に移動するときに、第2のロータ界面から径方向外側方向に成形デブリを押し出すように方向付けられる。アウターロータの第2の表面は、突き出た第2のロータ界面要素を有し得る。少なくとも1つの表面対は、軸方向を向くハウジング表面と、ハウジング界面を形成するように配置されたインナーロータ又はアウターロータのうちの少なくとも1つの対応する軸方向を向く表面と有するハウジング表面対を含み得、軸方向を向くハウジング表面は、対応する軸方向を向く表面を成形する、それによって成形される、又は両方であるように構成される。デブリ除去のためにハウジング界面に圧力下で流体を供給するように構成された界面流体供給チャネルがあり得る。軸方向に面するハウジング表面上又は対応する軸方向に面する表面上に、突き出たハウジング界面要素があり得、突き出たハウジング界面要素が軸方向に面するハウジング表面上にある場合には、突き出たハウジング界面要素は対応する軸方向に面する表面を成形するように配置され、突き出た第2のロータ界面要素が対応する軸方向に面する表面上にある場合には、突き出たハウジング界面要素は軸方向に面するハウジング表面を成形するように配置される。突き出たハウジング界面要素は、螺旋形状のハウジング界面成形エッジを有し得、第2のハウジング成形エッジは、ハウジング表面対の表面が容積式装置を使用中に予想される相対運動の方向に移動するときに、ハウジング界面から径方向外側方向に成形デブリを押し出すように方向付けられる。インナーロータ又はアウターロータのうちの少なくとも1つの軸方向を向く表面は、突き出た第2のロータ界面要素を有し得る。デブリ除去のために上述の界面のいずれか1つ以上に流体を供給する流体供給チャネルを含み得る流体供給チャネル構成(fluid supply channel arrangement)があり得る。流体供給チャネル構成は、例えば、インナーロータのシャフトを通る流路を含み得る。異なる界面への流体供給チャネルは、一緒に接続されてもよく又は別々に接続されてもよく、別々の場合、同じ又は異なる流体を供給し得る。流体は、容積式装置の作動流体と同じであってもよく又は異なるものであってもよい。アウターロータは、アウターロータの内向き突出部の根元とインナーロータの外向き突出部の先端との間にクリアランスを設けるように構成され得、このクリアランスは、アウターロータの突出部の間に蓄積された氷を収容するように選択される。第1の軸が非垂直、非水平方向を有して容積式装置の排出ポートが容積式装置の有効容積(active volume)の実質的に最下部に位置するように、容積式装置を外部表面又は構造に取り付けるための取付機構があり得る。第1の軸の向きは、垂直から1度から45度の間であり得る。インナーロータは、成形可能な材料、例えば、機械加工可能又は研磨可能な材料を含み得る。インナーロータは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。容積式装置への流体流に接触するように配置されたスクリーンがあり得、スクリーンは、容積式装置が使用後にシャットダウンされたときに、アウターロータの流体に面する面よりも急速に冷却されるスクリーン温度を有するように配置され得る。スクリーンは、周囲温度にさらされるヒートシンクに熱的に接続され得る。径方向内向き突出部は、シールゾーン間のインナーロータの径方向外向き突出部に接触するように構成された先頭部分及び後続部分(leading and trailing portions)を有し得る。上死点(TDC)又はその近くにおいてインナーロータの径方向外向き突出部とアウターロータの径方向内向き突出部との間のシールされた二次チャンバの形成を防止するように配置された流路があり得る。径方向内向きのアウターロータ突出部の後続部分は、アウターロータ及びインナーロータの相対的な回転位置決めを提供し得、1以上の回転方向におけるロータ間のかみ合い率(contact ratio)を提供し得る。径方向内向きのアウターロータ突出部の先頭部分は、アウターロータとインナーロータの相対的な回転位置決めを提供し得、1以上の回転方向におけるロータ間のかみ合い率を提供し得る。インナーロータの径方向外向き突出部は、成形可能な材料を含む成形可能なシールゾーン表面を有し得、アウターロータに対する回転位置決めを提供するインナーロータの外向き突出部の部分も、成形可能な材料を含み得る。少なくとも1つの表面対の軸方向を向く表面の各々は、摩耗可能な材料を含み得、少なくとも1つの表面対の軸方向を向く表面の他方を成形するように構成され得る。
【0004】
容積式装置は、ハウジング、インナーロータ及びアウターロータを有し得る。インナーロータは、いくつかの外向き突出部を有し得、アウターロータは、いくつかの内向き突出部を有し得る。インナーロータは、第1の軸周りでハウジングに対して回転するように固定され得、アウターロータは、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットした第2の軸周りでハウジングに対して回転するように固定され得る。アウターロータの内向き突出部の数は、例えば、インナーロータの外向き突出部の数よりも1だけ多くてもよい。インナーロータの外向き突出部及びアウターロータの内向き突出部は噛み合うことができ、アウターロータ及びインナーロータは、アウターロータの突出部の数に対するインナーロータ突出部数の比によって規定される回転速度の相対比で回転するように構成される。アウターロータの内向き突出部は、インナーロータに対して内トロコイド経路(hypotrochoid path)を規定する最も内側の先端(inward-most tips)を有し得、インナーロータは、外向き突出部の先端における先端シールゾーンと、外向き突出部の間のトラフにおけるトラフシールゾーンとを有し、先端シールゾーン及びトラフシールゾーンは、最も内側の先端が内トロコイド経路をトレースするときに、アウターロータの突出部の最も内側の先端に対してシールするように配置される。
【0005】
様々な実施形態において、以下の特徴のいずれか1つ又は複数を含み得る:先端シールゾーンは、容積式装置の下死点(BDC)を含む下死点ゾーンにおいて生じ得、トラフシールゾーンは、容積式装置の上死点(TDC)を含む上死点ゾーンにおいて生じ得、BDC及びTDCシールゾーンは、容積式装置を高圧及び低圧領域に分離する。アウターロータの径方向内向き突出部は、インナーロータに対するアウターロータの径方向内向き突出部のシールと組み合わせて、TDC及びBDCで高圧流体に曝されるそれらの類似の表面積の結果として、アウターロータに実質的に等しく反対のトルクを生成するように構成され得る。アウターロータの径方向内向き突出部の2つの連続する径方向内向き突出部及びインナーロータの径方向外向き突出部の間の2つの連続するゾーンは、それぞれ、TDCを通過する圧縮流体の内部膨張を提供するために、TDCを越えたチャンバ内のインナーロータとアウターロータとの間にシールが維持されるように成形され得る。インナーロータの径方向外向き突出部の2つの連続する径方向外向き突出部は、それぞれ、BDCを通過する流体の内部圧縮を提供するために、BDCを越えたチャンバ内のインナーロータとアウターロータとの間にシールが維持されるように成形され得る。スクリーンが、容積式装置への流体流に接触するように配置され得、スクリーンは、容積式装置が使用後にシャットダウンされるときに、アウターロータの流体に面する面よりも急速に冷却されるスクリーン温度を有するように配置される。スクリーンは、周囲温度にさらされるヒートシンクに熱的に接続され得る。外向き突出部の先端のシールゾーン又は外向き突出部の間のトラフのシールゾーン又は両方は、アウターロータの最も内側の先端によって成形されるアウターロータの最も内側の先端で構成され得る。アウターロータの第1の内向き突出部は、アウターロータの第2の内向き突出部の第2の先端形状とは異なる第1の先端形状を有し、第1の先端形状は、下死点(BDC)にいて相対運動方向にインナーロータの外向き突出部の先端とのより鋭い入射角を有し、第2の先端形状は、上死点(TDC)において相対運動方向にインナーロータの外向き突出部の間のトラフにおいてより鋭い入射角を有する。第1の先端及び第2の先端は、第1の先端及び第2の先端がインナーロータに対して共通の内トロコイド経路をトレースするように配置され得る。アウターロータの内向き突出部は、複数の突出部のセットを含み得、各セットの突出部はそれぞれ共通の幾何学的形状を有し、アウターロータの突出部数は、複数のセット数の倍数である。アウターロータの内向き突出部の最も内側の先端は、先端シールゾーン及びトラフシールゾーンよりも硬い材料で作られ得、アウターロータの内向き突出部の最も内側の先端は、容積式装置の動作時に先端シールゾーン及びトラフシールゾーンを成形するように構成され得る。アウターロータの内向き突出部は、最も内側の先端で鋭いエッジに先細りにされ得る。アウターロータの最も内側の先端は、丸みを帯びた表面(rounded surfaces)で構成され得る。丸みを帯びた表面上の各点は、依然として内トロコイド経路を規定し得、インナーロータのシール表面は、アウターロータ先端の丸みを帯びた表面に対してシールするように設計され得、アウターロータフィンの先端は、実施形態に応じて、依然として、インナーロータのシール表面を含む、例えば、それを付ける(wear-in)、形状をし得る。先端シールゾーン又はトラフシールゾーン又は両方は、径方向可動シールを有し得る。径方向可動シールは、第1の温度で径方向に移動可能であり得、第2の温度でそれらの溝に径方向に固定される又はよりきつい嵌合になるように構成され得る。内向きのアウターロータの突出部は、先端シールゾーンとトラフシールゾーンとの間でインナーロータの外向き突出部に接触するように構成された先頭部分及び後続部分を有し得る。上死点(TDC)又はその近くにおいてインナーロータの外向き突出部とアウターロータの内向き突出部との間のシールされた二次チャンバの形成を防止するように配置された流路があり得る。本開示の目的のために、チャンバが、2つ以上の要素、例えばインナーロータとアウターロータとの間の、接触又は近接接触相互作用、例えばそのような相互作用の対によって形成される容積(volume)として定義される。内向きアウターロータ突出部の後続部分は、アウターロータとインナーロータの相対的な回転位置決めを提供し得、1以上の回転方向におけるロータ間のかみ合い率を提供し得る。内向きアウターロータ突出部の先頭部分は、アウターロータとインナーロータの相対的な回転位置決めを提供し得、1以上の回転方向におけるロータ間のかみ合い率を提供し得る。外向き突出部の間のトラフの1つのトラフは、TDCを通過する流体の内部膨張を提供するために、シールされたチャンバが上死点(TDC)を越えて維持されるような形状を有し得る。他のトラフ、例えば、外向き突出部の間のすべてのトラフは、同様の形状を有し得る。外向き突出部のインナーロータ突出部は、下死点(BDC)を通過する流体の内部圧縮を提供するために、シールされたチャンバがBDCを越えて維持されるような形状を有し得る。他の突出部、例えば、外向き突出部のすべては、同様の形状を有し得る。先端シールゾーン、トラフシールゾーン、又は両方は、成形可能な材料を含み得、アウターロータに対する回転位置決めを提供するインナーロータ外向き突出部の部分も、成形可能な材料を含み得る。
【0006】
容積式装置を慣らし運転する方法が、インナーロータ及びアウターロータを有する容積式装置を提供することを含み得、インナーロータは、アウターロータの内向き突出部の径方向の最も内側の先端に対してシールするように構成された径方向可動シールを有し、径方向可動シールは、シールの温度に応じて径方向に移動可能であるか又は固定される。径方向可動シールは、インナーロータの外向き突出部の先端又はインナーロータの外向き突出部の間のトラフ又は両方に位置し得る。この方法は、さらに、容積式装置を第1の温度で動作させることを含み、容積式装置が第1の温度で動作するとき、径方向可動シールが、アウターロータの内向き突出部の径方向に最も内側の先端に接触するそれぞれのトップアウト(top-out(上限の))位置まで径方向に進むことを可能にし、例えば、その後、容積式装置を第2の温度で作動させ、容積式装置が第2の温度で作動されるとき、径方向可動シールがそれぞれのトップアウトの位置に固定される。
【0007】
様々な実施形態では、以下の特徴のいずれか1つ又は複数を含み得る:容積式装置が第1の温度で動作するとき、径方向可動シールの径方向への前進は、遠心力によって生じ得る。径方向可動シールは、径方向内側に付勢され得る。例えば、径方向可動シールは、バネにより径方向内側に付勢され得る。シールは、代替的に、例えば、バネにより、例えば、付勢力の下で径方向の前進が生じるように、径方向外側に付勢され得る。シールは、溝内に配置され得、径方向可動シールは、第1の温度で径方向に移動可能であり、溝を規定する材料に対するシールの熱膨張差により第2の温度でそれらの溝内で固定又はより密接する(tighter)。固定されるシールは、例えば、小さなギャップを確立する位置が設定されることを可能にし得る。より密接するシールは、例えば、溝内のシールの周りの漏れ経路を減少させ得る。
【0008】
容積式装置をならし運転する(running-in)更なる方法が、容積式装置を提供することを含み、容積式装置は、ハウジングと径方向外向き突出部を有するインナーロータとを有し、インナーロータは、第1の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、アウターロータが、インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有し、アウターロータは、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットされた第2の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、インナーロータは、第1の軸方向を向く表面面及び第2の軸方向を向く表面を有する。この方法はまた、第1の軸方向を向く表面がアウターロータ又はハウジングの第1の対応する軸方向を向く表面に干渉して第1の対応する軸方向を向く表面が第1の軸方向を向く表面を成形するような条件下で容積式装置を作動させること、又は、第2の軸方向を向く表面がアウターロータ又はハウジングの第2の対応する軸方向を向く表面に干渉して第2の対応する軸方向を向く表面が第2の軸方向を向く表面を成形するような条件下で容積式装置を作動させること、又は、両方が生じるような条件下で容積式装置を作動させることを含み得る。その後、容積式装置は、上記の干渉の少なくともいくつかが生じない条件下で動作し得る。
【0009】
様々な実施形態において、以下の特徴のいずれか1つ又は複数を含み得る:インナーロータは、容積式装置が構築されたように動作するときに上記の干渉を引き起こすように構築され得、干渉なしのその後の動作は、容積式装置が構築されたように動作するときのインナーロータの成形に起因し得る。干渉が発生する条件は、インナーロータが第1の温度を有する条件であり得、インナーロータは、干渉なしのその後の動作中に第1の温度とは異なる第2の温度を有し得る。
【0010】
容積式装置をならし運転するさらに別の方法は、容積式装置を提供することを含み得、容積式装置は、ハウジングと径方向外向き突出部を有するインナーロータとを有し、インナーロータは、第1の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、アウターロータが、インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有し、アウターロータは、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットされた第2の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、ハウジングは、インナーロータ又はアウターロータの対応する軸方向を向く表面に面するポートプレートの軸方向を向く表面を有するポートプレートを含む。この方法はまた、ポートプレートの軸方向を向く表面がインナーロータ又はアウターロータの対応する軸方向を向く表面と干渉して、対応する軸方向を向く表面にポートプレートの軸方向を向く表面を成形させるような条件で容積式装置を動作させること、次いで、ポートプレートの軸方向を向く表面と対応する軸方向を向く表面との間の干渉なしに容積式装置を動作させることを含み得る。
【0011】
様々な実施形態において、以下の特徴のいずれか1つ又は複数を含み得る:ポートプレートは、容積式装置が構築されたように作動されるときに干渉を引き起こすように構築され得、干渉なしの後続の作動は、容積式装置が構築されたように作動されるときのポートプレートの成形に起因し得る。ポートプレートの軸方向を向く表面がインナーロータ又はアウターロータの対応する軸方向を向く表面に干渉する条件は、ポートプレートが第1の温度を有する条件であり得、ポートプレートは、干渉なしのその後の動作中に第1の温度と異なる第2の温度を有し得る。
容積式装置から氷を除去する(clearing)方法が、ハウジングと、径方向外向き突出部を有するインナーロータであって、第1の軸周りにハウジングに対して回転するように固定されているインナーロータと、インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有するアウターロータであって、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットされた第2の軸周りにハウジングに対して回転するように固定されているアウターロータとを有する容積式装置、又は上述した任意の容積式装置に適用され得る。方法は、容積式装置を動作させるステップであって、動作中の容積式装置の内部温度が0°Cより大きい、ステップと、容積式装置の動作を停止するステップと、容積式装置の動作を停止した後、容積式装置の内部温度が0°C未満の周囲温度に向かって冷却するとき冷却期間にわたって容積式装置の内部温度を監視するステップと、容積式装置の内部温度が0°Cに近づいていることを検出すると、例えば容積式装置内の凝縮水を容積式装置のロータから遠心分離させるように容積式装置のロータを回転させることによって、容積式装置内の水を容積式装置から移動させるように容積式装置を回転させるステップと、を含む。容積式装置の内部温度が0°Cに近づいていることの検出は、例えば、内部温度が閾値温度に達したことを検出すること、又は、例えば、内部温度の温度トレンドが時間閾値内で0°C又は異なる温度閾値につながることを検出することによって実施され得る。容積式装置は、容積式装置への流体の流れをフィルタリングするように配置されたスクリーンを含み得、スクリーンは、冷却期間中に容積式装置の装置温度より低いスクリーン温度を有するように配置される。
【0012】
装置及び方法のこれら及び他の態様は、請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、図を参照して実施形態が説明され、図中の類似の参照文字は、例として、類似の要素を示す。
【0014】
【
図1】ハウジング、ポートプレート、アウターロータ及びインナーロータを示す例示的な流体移送装置の分解等角図である。
【0015】
【
図2】
図1の例示的な流体移送装置のポートプレートの上面図である。
【0016】
【
図3】インナーロータ及びアウターロータ並びにハウジングを示す
図1の例示的な流体移送装置の上面図である。
【0017】
【
図4】吸入ポート及び排出ポート、並びにポートプレート調整ネジを示す
図1の例示的な流体移送装置のハウジングの底面図である。
【0018】
【
図5】径方向に移動可能なアペックスシール(apex seals)を有するインナーロータ、及びアウターロータエンドプレートを含む更なる例示的な流体移送装置のコンポーネントのアセンブリの等角図である。
【0019】
【
図6】入力シャフト、インナーロータ、アウターロータ、及びエンドプレートを示す
図5の更なる例示的な流体移送装置の等角断面図である。
【0020】
【
図7】ポートプレート、吸入ポート及び排出ポートを示す
図5の更なる例示的な流体移送装置の等角断面図である。
【0021】
【
図8】インナーロータ、アウターロータ、入力シャフト、ポートプレート、及びハウジングを示す他の例示的な流体移送装置の断面図である。
【0022】
【
図9】流体移送装置で実行する方法を示すフローチャートである。
【0023】
【
図10】インナーロータに対するアウターロータローブの端部によってトレースされる内トロコイド経路の概略図である。
【0024】
【
図11】例示的な機械のインナーロータ及びアウターロータの上に重ねられたアウターロータ突出部の先端によってトレースされる
図10に示される内トロコイド経路の概略図を示す上面図である。
【0025】
【
図12】インナーロータの駆動表面及び対応するアウターロータの被駆動表面を示す例示的な機械の上面図である。
【0026】
【
図13】
図5の例示的な機械のインナーロータ及びアウターロータの上面図であり、アウターロータの突出部の先端によってトレースされる内トロコイド経路を示す。
【0027】
【
図14】
図13に示されるインナーロータ及びアウターロータの等角図である。
【0028】
【
図15】例示的な機械のインナーロータ及びアウターロータの上面図であり、インナーロータは7個の外向き突出部を有し、アウターロータは8個の内向き突出部を有する。
【0029】
【
図16】例示的な機械のインナーロータ及びアウターロータの上面図であり、インナーロータは11個の外向き突出部を有し、アウターロータは12個の内向き突出部を有する。
【0030】
【
図17】9個の外向き突出部を有するインナーロータ及び10個の内向き突出部を有するアウターロータを有する例示的な機械の上面図である。
【0031】
【
図18】インナーロータ及びアウターロータ間のシール/成形相互作用の詳細図を示す下死点(BDC)近くで接触する
図17の機械の内側及び外側の突出部の拡大上面図である。
【0032】
【
図19】アウターロータ突出部の成形エッジの拡大上面図である。
【0033】
【
図20】上死点(TDC)近くでインナーロータと成形接触しているアウターロータの突出部の図である。
【0034】
【
図21】アウターロータの交互突出部上の2つの異なるタイプの成形エッジを示す例示的な機械におけるインナーロータの内向き突出部のBDC近くの上面図である。
【0035】
【
図22】9個の外向き突出部を有するインナーロータ及び10個の内向き突出部を有するアウターロータを有し、隣接するアウターロータ突出部が異なる成形エッジを有する
図21の例示的な機械の上面図である。
【0036】
【
図23】
図21の実施形態のアウターロータ突出部の成形エッジを示す上面図の拡大である。
【0037】
【
図24】先端が同じ位置でシールすることを示すために他の例示的な機械の2つの異なるアウターロータ成形エッジを上に重ねた上面図オーバーレイである。
【0038】
【0039】
【
図26】成形特徴部を示す
図25の例示的な機械のエンドプレートの等角分解図である。
【0040】
【0041】
【
図28】二次チャンバのシールを防止する流路を提供する非シール部分とアウターロータの軸方向面(axial face)上の成形特徴部とを示す
図22の例示的な機械のアウターロータの第1の等角分解図である。
【0042】
【
図29】
図22の例示的な機械の選択されたコンポーネントの等角分解図である。
【0043】
【
図30】アウターロータの軸方向面上の成形特徴部を示す
図22の例示的な機械のアウターロータの底面図である。
【0044】
【
図31】アウターロータの軸方向面上の成形特徴部を示す
図22の例示的な機械のアウターロータの第2の等角図である。
【0045】
【
図32】成形特徴部がアウターロータエンドプレート上に示された
図29の例示的な機械のアウターロータ端面とインナーロータのアセンブリを示す等角図である。
【0046】
【
図33】径方向及び軸方向の成形特徴部を示すアウターロータの上面図である。
【0047】
【
図34】
図33に示すものとは別の成形特徴部設計を有するアウターロータの上面図であり、流体チャネルを提供する非シール部分の図でもある。
【0048】
【
図35】9個の外向き突出部を有するインナーロータ及び10個の内向き突出部を有するアウターロータを有する例示的な機械のアウターロータの上面図であり、軸方向成形特徴部を示す。
【0049】
【
図36】9個の外向き突出部を有するインナーロータと10個の内向き突出部を有するアウターロータを有する例示的な機械の断面図であり、氷を除去するコンポーネントを示す。
【0050】
【
図37】低温運転条件における氷の蓄積を低減するためのメッシュスクリーンを含む装置を示す概略図である。
【0051】
【
図38】アウターロータ上の非シール流路の断面図を含む、9個の外向き突出部を有するインナーロータ及び10個の内向き突出部を有するアウターロータを示す例示的な機械の断面図である。
【0052】
【
図39】加圧された流体が対応するポートに印加されたときに並進する(translates)、
図44にも示されるポートプレートを示す例示的な機械の拡大側面断面図である。
【0053】
【
図40】マルチパート構造(multi-part construction)を有するポートプレートの第1の等角図である。
【0054】
【0055】
【
図42】マルチパート構造を有する代替ポートプレートの等角図である。
【0056】
【
図43】ねじの調整によって軸方向に移動するポートプレートを示す例示的な機械の断面図である。
【0057】
【
図44】対応するポートが加圧流体を供給するときに並進するポートプレートを含む例示的な機械の断面図である。
【0058】
【
図45】アウターロータに向かって並進するように配置されたポートプレートを示す例示的な機械の拡大断面図である。
【0059】
【
図46】異なる軸方向から見た
図38に示す例示的な機械の断面図である。
【0060】
【
図47】二次チャンバのシールを妨げる軸方向非シール部分示す、異なる軸方向から見た
図35に示す例示的な機械の第2の断面図である。
【0061】
【
図48】機械の成形領域に加圧空気を搬送し、機械から削りくずを搬出する機械全体の通路を有する
図43に示す例示的な機械の拡大断面図である。
【0062】
【
図49】機械の成形領域に加圧空気を搬送し、機械から削りくずを搬出する機械全体の通路を有する別の例示的な機械の断面図であり、削りくず除去排出ポートが取り外されている。
【0063】
【
図50】削りくず除去排出ポートが差し込まれた
図49に示す例示的な機械の断面図である。
【0064】
【
図51】入力シャフト、吸入ポート、及び排出ポートを含む例示的な機械のハウジングの等角図である。
【0065】
【
図52】片側のみで軸方向に相互作用するインナーロータ及びアウターロータを有し、両方のロータが反対側のハウジングの軸方向面と相互作用する例示的な機械の側面断面図である。
【0066】
【
図53】
図52のものと同様の例示的な機械の側面断面図であるが、チャンバからの水などの流体のパージを補助するために、インナーロータ及びアウターロータの軸が垂直から約45度傾いている。
【0067】
【
図54】容積式装置における氷形成を防止する例示的な方法を示すフローチャートである。
【0068】
【
図55】容積式装置における慣らし運転の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0069】
【
図56】インナーロータ及びアウターロータの組合せとハウジングとの間に2つの表面対を有する例示的な機械の断面図である。
【0070】
【
図57】インナーロータ及びアウターロータに対してシールするハウジングを示す
図56に概略的に示された例示的な機械の断面図である。
【0071】
【
図58】インナーロータ及びアウターロータに対してシールする
図57に示したハウジングを示す等角図である。
【0072】
【
図59】吸入ポート及び排出ポートを含むハウジングの外部を示す
図58に示したハウジングの別の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
特許請求の範囲に記載されているものから逸脱することなく、ここに記載された実施形態に重要でない変更を加えることができる。
【0074】
本文書に開示されているのは、いくつかの実施形態において、低い内部漏れ、低い内部摩擦、低い製造公差要件、動作中の低い摩耗、及び高効率を提供し得るポンプ又は圧縮機又は膨張機(expander)又は関連装置のための形状、設計方法、及びバリエーションである。
【0075】
装置の非限定的な例示的実施形態を、簡略化された分解図で
図1に示す。このような装置は、他のコンポーネントの中で、その軸がインナーロータ0105の軸に平行であるが同一直線状にないアウターロータ0100を有し得る。アウターロータは、他の特徴の中で、ここではフィンと呼ばれる形状の径方向内向き突出部0110を有し得る。アウターロータ0100のこれらのフィン0110上の点は、装置が動作しているとき、インナーロータ0105に対して内トロコイド経路をトレースする(trace(たどる))。この内トロコイド運動は、アウターロータのフィン形状及び本明細書に開示される他の特徴と併せて、本文書全体で議論される動作中の利点を達成するために必要な装置形状を導出するために使用され得る。
【0076】
インナーロータ0105は、他の特徴の中でも特に、径方向外向き突出部0115(以下「ローブ(lobes)」)を有し得、その形態の一部は、フィン0110がインナーロータ0105に対して内トロコイド経路をトレースするように、フィン0110の形態から導出される。また、インナーロータ0105から始めて、アウターロータ0100上のフィン0110の形態を導出することも可能である。さらに、フィンとローブの形態を並行して導出することも可能である。インナーロータローブ形状の導出は、設計段階で正確に行うことができ、動作中のインナーロータローブのさらなる成形なしに製造することができる。これらの表面の導出は、設計段階中の動作条件において、表面の成形が製造中に大まかに行われ、その後、後述するような自己成形効果によって動作中により正確に行われるように、ある程度の意図された干渉を伴って、近似的に行われることもできる。
【0077】
装置は、ポンプ又は圧縮機として、又は油圧モータ又は膨張機として動作することができる。装置のポンプ又は圧縮機としての動作は、次のとおりである。
【0078】
吸入ポート0125から装置に入る流体は、ポートプレート0130を通って、インナーロータ0105とアウターロータ0100との間の接触又は近接接触相互作用によって形成される1つ又は複数のチャンバ0135(ラベルの付いたものなど)に引き込まれる。ロータがハウジング0155に対して矢印0140で示される方向に回転するとき、流体は1つ又は複数のチャンバ0135の膨張を介して装置に引き込まれる。
【0079】
本文書で使用される「シール」という用語は、装置の動作速度及び圧力での回転が容積(positive displacement)をもたらすように、高圧領域から低圧領域へのこのギャップを通る流れ抵抗を大幅に増加させるように、コンポーネントがそれらの間に十分に小さなギャップを有することを示す。シールは漏れがゼロである必要はない。
【0080】
ロータ0100及び0105が回転され、チャンバの体積が増加すると、1又は複数のチャンバの体積が理想値に達するまで、流体は1又は複数のチャンバを満たす。多くの場合、流体の体積が最大値に達するまでチャンバ内に流体を引き込むことが優先される。チャンバが最大値に達する回転のポイントは、本開示では、下死点(BDC)と呼ばれる。例えば、チャンバ0135は、
図1に示すように、BDCの近く又はBDCにある。作動流体(装置によって流量が制御される流体)が水や油などの非圧縮性流体である場合、ポートの開閉タイミングは、チャンバがBDC位置に回転して吸入ポートからシールされる点が、同チャンバが排出ポートに開口する点又はその近くとなるように配置されることが望ましい。同様に、作動流体が圧縮性流体である場合又はチャンバが排出ポートに開口する前に圧縮性流体の圧力を上昇させることが望ましい場合、チャンバがBDC位置に回転して吸入ポートからシールされる点が当該チャンバの最大容積位置となり、同じチャンバが排出ポートに開口する前に内部圧縮を達成するために容積が減少するように、ポートの開閉タイミングが配置されることが望ましい。換言すれば、非圧縮性流体については、チャンバが容積を変化させるときには、チャンバが常に又はほぼ常に、吸入ポート又は排出ポートのいずれかと連通していることを確実にし、BDCにおけるチャンバの容積の変化によって流体の圧縮又は膨張が暗示されないか又は非常に少ないことを確実にし、実際には、容積の変化に伴って非圧縮性流体がチャンバの内部又は外部に小さな隙間を強制的に通過する際に生じる摩擦による損失を低減することが重要である。あるいは、作動流体の圧力を増加させることが望ましい用途における圧縮性作動流体については、BDCからチャンバの容積が減少して流体の圧力が圧縮機の排出ポートの圧力のような望ましいレベルに上昇するまで、各チャンバ内のシールを維持することが好ましい。
【0081】
チャンバが最小の容積を有する位置は、本開示では、上死点(TDC)と呼ばれる。例えば、チャンバ0145は、
図1に示されるように、TDC又はその近くにある。チャンバ内の流体が排出ポートから排出された後、最小容積位置(TDC)又はその近くにおいてチャンバは排出ポートからシールされるようになり得る。非圧縮性流体については、チャンバはこの点又はその近くで吸入ポートに開かれてもよい。圧縮性流体については、吸入ポートの圧力に近い又は等しい圧力まで圧縮流体を膨張させることを可能にする回転角度に対してチャンバをシールした状態に保つことが望ましい場合がある。流体は、静止ポートプレート0130を通って装置の圧縮側から、そしてハウジング0155内の排出ポート0150を介して装置から排出される。上死点又は下死点を超える追加のシールが、インナーロータとアウターロータとの間のチャンバを囲む2つのシールが、チャンバが体積を変化させる間維持されるような長さに延びるシールゾーンを持つ形状を有するインナーロータ突出部によって提供され得る。例えば
図3に見られるように、この実施形態のインナーロータトラフは、TDCを通過する圧縮流体の内部膨張を提供するために、シールが上死点(TDC)を超えて維持されることを可能にする。また、
図3に示すように、この実施形態のインナーロータローブ突出部は、シールがBDCを通過する流体の内部圧縮を提供するために下死点(BDC)を超えて維持されることを可能にする形状を有する。この内部圧縮及び膨張を可能にするために、チャンバが吸入及び排出ポートと連通することを可能にするチャンバ回転チャンバポート(この図には示されていないが、
図5に0515として示されている)が、BDC及びTDCにおいてまたはそれらの近くで閉じられ、シールされたチャンバ内で所望の圧力に達することを可能にするのに十分な長さで閉じられたままであることが好ましい。
【0082】
開示された発明はまた、明確にするために
図1に示されていない追加の特徴又はコンポーネントを取り付けることができる。
【0083】
図3において、この非限定的な例示的実施形態におけるインナーロータ0305及びアウターロータ0310の好ましい回転方向は、矢印0315によって示されている。
図2、3及び4に示されるように、ポートプレート0200は、入口ポート0205を有し得、これは、インナーロータ0305及びアウターロータ0310が回転するときに膨張中の1つ又は複数のチャンバに露出し得、複数のチャンバからの流れを結合しスムーズにするマニホールドとして作用し得るポートチャネル0210に接続され得る。同様に、出口ポート0215は、インナーロータ0305及びアウターロータ0310が回転するときに体積が減少し出口ポートチャネルに流体を排出する1つ又は複数のチャンバに露出し得、複数のチャンバからの流れを結合しスムーズにするマニホールドとして作用し得る出口ポートチャネル0220に接続され得る。流体は、吸入ポート0405及び排出ポート0410を介してハウジング0400を通過する。
【0084】
さらなる非限定的な実施形態を
図7に示す。この実施形態は、膨張機としての動作に関連して議論される。圧縮機構成では、ポート0710は、排出部として機能するポート0715とインナーロータの機械的入力として機能するシャフト0725を持つ吸入部として使用されるが、本発明者は、排出ポートとして機能するポート0710の圧力よりも高い圧力で吸入部として機能するポート0715に流体が供給される膨張機構成で装置が作動し得ることを予想している。流体がロータ間に形成されたチャンバ内に移動して膨張すると、インナーロータ及びシャフト0725を回転させ、機械的仕事を提供する。多くの他のポート構成が可能であり、発明者によって考えられる。
【0085】
図5は、
図7の実施形態のインナーロータ0505及びアウターロータエンドプレート0510を示す。参考として、エンドプレート0510は
図1に示されている。インナーロータ0505は、アウターロータエンドプレート0510に接している。アウターロータエンドプレート0510は、装置への流体の出入りを可能にする回転チャンバポート0515のアレイを有する。入口及び出口への流体の流れを可能にする径方向ポート(Radial ports)を使用することもできるが、発明者は、示された軸方向ポートの例示的な実施形態よりもシールすることがより困難であると考えている。これは、径方向ポートは、ハウジング又は他の表面の内側径方向表面に対してシールするためにアウターロータの外側径方向表面を必要とし、これらの表面は、熱膨張及び/又はロータが遠心力によって膨張及び変形するときに、同軸を維持し、狭い(tight)ギャップを維持する同軸シリンダを形成しなければならないためである。
【0086】
図5、13、及び14に示す実施形態では、これらのシールのエッジの周りの追加の漏れ経路なしに、TDC及びBDCにおけるシールゾーンに径方向に移動可能な径方向にスライドするアペックスシールを提供することがこの装置の目的である。
図9に示すような形状及び方法を提案する。ステップ1では、インナーロータ/アウターロータ容積式装置は、インナーロータ上に径方向にスライドするアペックスシールを備える。用語「アペックスシール」とは、一般的には突出部先端のシールを指すが、ここでは、シールが突出部先端上にあるか、シールが取り付けられたロータの突出部間のトラフにあるかにかかわらず、他のロータの突出部先端に対してシールするシールを指す。
図5、13、及び14に示す例示的な実施形態では、アペックスシールは、下死点(BDC)においてアウターロータのフィンの先端に対してシールするためのインナーロータローブの先端におけるシールと、上死点(TDC)においてアウターロータのフィンの先端に対してシールするためのインナーロータローブ間のトラフにおけるシールとを含む。TDC及びBDCにおける別々の径方向可動シールのこの使用により、それぞれが独自の位置を設定することができる。径方向可動シールは、第1の温度で径方向に移動可能であり得、第2の温度で径方向に固定されるように又はシールの側部の周りにより小さなギャップクリアランスを提供するように構成され得る。
図9に示される例示的な方法では、ステップ2において、径方向可動シールは、予想される動作温度より低い温度で径方向外側に、それらがアウターロータの突出部の先端に接触するそれぞれの位置(「トップアウト位置」)に進むことを可能にされ、例えば、装置が低温で動作する際の遠心力の影響下で、シールは径方向外側位置に進み得る。ステップ3において、動作温度で熱がシステムに加えられ、シールを溝の側面に沿ったギャップを塞ぐ(take up)ようにあらゆる方向に膨張させる。シールは、シール溝を有するインナーロータの材料と比較してより高い熱膨張係数を持つ材料で作られる。慣らし運転(run-in)は、シールが摩耗し、噛み合う表面(mating surfaces)に引っかからないようにするために十分に緩やかでなければならない。一実施形態では、シールは、静止時にシールを内向きの位置に戻すように構成されたバネを用いるなど、径方向に内向きに予荷重をかけられ(preloaded)てもよく、遠心力がシールをそのトップアウト位置に向かって外側に押す。これにより、シールがそのトップアウト位置で外向きの動きを停止するところまで、冷たい間に徐々に速度を上げ、次に熱を加えてシール溝のギャップを閉じるように膨張させることによって慣らし運転を行うことができる。シールは、柔軟性、弾性又は剛性の材料であってもよい。ギャップを閉じることは、シールが所定の位置に固定されることを可能にし得る、又はシールが溝内でよりタイトになり、溝内のシールの周囲の漏れを低減することを可能にし得る、又は両方であり得る。
【0087】
図6は、
図7に示す装置の等角断面図であり、アウターロータの軸受座0615に偏心したインナーロータ0610の駆動シャフト0605を示す。ハウジングは
図5又は
図6に示されていないが、当業者であれば、ポンプ又は圧縮機として動作するときに吸入ポート0710及び排出ポート0715を有する
図7に示すポートプレート0705のようなスライドシールを持つポートを有するコンポーネントが、通常、アウターロータエンドプレート0625の軸方向端に位置する回転ポート0620に近接して配置されることを理解することを留意されたい。再び
図7に移動すると、シールプレート0720上に位置する吸入ポート0710及び排出ポート0715を有する静止ポートは、前述のロータが回転するときにインナーロータ0610及びアウターロータ0630の突出部の間に形成された容積に流体が流入することを可能にし、前述のロータの突出部の間に形成された容積から流体が出ることを可能にし、一方で、エンドプレート0625上に位置する回転ポート0620を、ロータ間の流体体積が最小又はそれに近い上死点及び流体体積間の体積が最大又はそれに近い下死点でシールする。作動中、流体は、
図6及び7に示すように、静止ポート(例えば、静止ポートプレート0705上に位置する吸入ポート0710及び排出ポート0715を含む)に対して回転するアウターロータの軸方向ポート0620を通過する。
【0088】
図6は、また、インナーロータシャフト0605とアウターロータ軸及び軸受支持体0615の平行軸を示す。非限定的な例示的実施形態では、両ロータ0610及び0630は、高い剛性のために両軸端で回転のために支持される。軸受は、明確にするために示されていないが、インナーロータ0610のシャフト0605がアウターロータのための軸受座0615を通って延びているその実装は、当業者によって
図6から理解され得る。この軸受配置は、発明者によって考えられた他の方法でも達成され得る。
【0089】
例えば、
図8に示される実施形態では、機械0800は、インナーロータ0805及びアウターロータ0810を含み、これらはインナーロータとアウターロータとの間にチャンバを形成する。
図1に示される実施形態では、インナーロータ0105及びアウターロータ0100は、それぞれ各ロータの一方の軸方向端部に2つの軸受を有する片持ちであるが、
図8に示される構成では、インナーロータ0805及びアウターロータ0810は、それぞれのロータの両方の軸方向端部の軸受によって各々支持され、高い剛性とコンパクトなフォームファクタを可能にする。
図8に示される非限定の実施形態では、インナーロータ軸受0820の軸受座は、アウターロータ軸受0815の内径内にある。あるいは、インナーロータの軸受0820を、軸方向にオフセットすることができ、より大きなインナーロータ軸受0820及び/又はより小さなアウターロータ軸受0815を可能にする。
【0090】
--------------------内トロコイド導出--------------------
【0091】
開示された発明の設計の態様は、以下の方法により決定され得る:
【0092】
装置の2つのロータの速度の好ましい比を選択し、これは、インナーロータ突出部数、又は、インナーロータ突出部がローブである場合には、インナーロータ上のローブの数、Nlobesの、アウターロータ突出部数、又は、アウターロータ突出部がフィンである場合には、アウターロータ上のフィンの数Nfinsに対する比である。すなわち:
【0093】
【0094】
この比は、各ロータがハウジングに対して回転する速度の相対比も決定する。いくつかの例では、アウターロータ突出部数はインナーロータ突出部数よりも1大きい。
【0095】
装置の2つのロータの軸の好ましいオフセットも選択し、これは軸間の距離であり、軸オフセット(Axis Offset)と呼ばれるものとする。
【0096】
アウターロータのフィンの内側先端で測定されるアウターロータの内側半径で定義される装置の好ましいサイズも選択し、これは半径(Radius)と呼ばれるものとする。アウターロータの先端が点ではなく丸められている実施形態では、半径はアウターロータの回転軸からアウターロータの丸められた先端を定める円の中心点までを測定される。
【0097】
パラメトリック方程式によって駆動され得るインナーロータのシール形状(sealing geometry)を構築する:
【数2】
【0098】
XとYを0から2π*N
finsまで変化するtを用いてプロットするとき、パラメトリック方程式は、半径によって決定されるサイズを持ち、軸オフセット及び比によって決定される形状を持つ内トロコイドを生成することを留意されたい。このような内トロコイドはN
lobes個のローブを有する。例えば、これらの方程式で定義され、9個のローブを有する内トロコイドを
図10に示す。
【0099】
この内トロコイドの外側及び内側の部分は、インナーロータの表面に対応し、これらの部分は、アウターロータフィンの先端がシールするシールゾーンを形成する。実施形態では、シールゾーンは、インナーロータローブの先端の部分及びインナーロータローブ間のトラフの部分を含む。シールゾーンは、
図5に関して上に示されるように、明示的な可動シールを含んでもよく、又はインナーロータの一体部分であってもよい。いずれの場合にも、先端、トラフ、又は両方のシールゾーンは、アウターロータの最も内側の先端を用いて、最も内側の先端によって、例えば、最も内側の先端と比較したシールゾーンの材料選択、最も内側の先端の形状、又は両方によって、成形されるように、例えば、機械加工されるように構成され得る。先端が表面を成形し得る他の方法は、成形可能な材料を押圧すること(pushing)(塑性変形)、摩耗可能な材料を研磨すること、又は、可動要素、例えば可動シールを押圧すること、したがって移動することを含む。アウターロータ先端が無限に鋭い(infinitely sharp)のではなく、R
OuterRotorTipの半径を有する実施形態では、インナーロータのすべてのシール表面は、インナーロータに対して丸められたアウターロータ先端を規定する円の中心点の運動によって規定される内トロコイドからR
OuterRotorTipに等しい距離だけ内側にオフセット(すなわち、インナーロータのシール表面に垂直な方向にオフセット)されなければならない。内トロコイドプロットは、直線フィン1105及び無限に鋭いアウターロータフィン先端1110を有する本明細書に開示される装置の非限定的実施形態に重ねて
図11に示される。アウターロータフィン1105の先端は、アウターロータ1125がハウジングに対してその軸回りに回転するときに、インナーロータ1120も突出部の相対数に比例して異なる速度で回転し、結果としてインナーロータ1120に対して内トロコイド経路1115が生じるので、インナーロータ1120に対して内トロコイド経路1115をトレースすることが留意され得る。さらに、インナーロータ1120の幾何学的形状は、フィン先端1110がフィンの残りの部分のインナーロータローブ1130との干渉なしに内トロコイド経路1115をトレースすることを可能にするインナーロータローブ1130の先頭エッジ及び後続エッジのような特定の例外を除いて、内トロコイド経路1115によって規定されることが留意され得る。
【0100】
図11に示された形状は、
図12においてさらに発展させる。この非限定的な実施形態では、インナーロータは、例えば電気モータによって駆動されるシャフトから外部トルク源を供給されると考えられる。インナーロータがアウターロータの先端のみでアウターロータを駆動することは不利であると発明者によって考えられているので(非常に小さな表面がインナーロータと接触するアウターロータのフィン先端であるため)、インナーロータローブ上に追加の駆動表面1205が設計されており、これはアウターロータフィン上の追加の被駆動表面1210を介してアウターロータを駆動する。
図12に示される実施形態では、この被駆動表面は、アウターロータフィン先端とほぼ交差する円弧(arc)である。いくつかの実施形態では、アウターロータフィン先端と正確に交差し得る;しかしながら、この実施形態では、円弧は、インナーロータローブによって駆動されるアウターロータフィン被駆動表面と、インナーロータローブ間のシールゾーンを成形するアウターロータフィン先端との間の遷移を補助するために、アウターロータのフィン先端に遷移ゾーンを成形するように径方向に外側に移動されている。フィン先端における円弧の角度は、インナーロータのシールゾーンを成形するための適切なレーキ角度のために選択されるべきである。この概念は、以下により詳細に説明される。
【0101】
発明者は、このアウターロータ表面が円弧である必要はないことに留意する;しかしながら、円弧は、インナーロータとアウターロータとの間の転がり及び滑り接触の適切な組み合わせを提供すると考えられる。アウターロータフィントレーリング/被駆動表面(outer rotor fin trailing/driven surface)1210の選択された形状にかかわらず、この表面は、インナーロータローブの駆動表面1205を規定し得る。円弧の場合、インナーロータローブの駆動表面は、以下の方法で規定され得る。
【0102】
アウターロータフィンの被駆動表面を定める円弧を含む円の中心の位置と円の半径(フィンバッキング半径(Fin Backing Radius)、1215)を選択する。
【0103】
この円の中心点からアウターロータの軸までの距離(フィンバッキング円径方向距離(Fin Backing Circle Radial Distance)、1220)を決定する。
【0104】
アウターロータ軸及びこの円の中心点を通る径方向の線(radial line)と、アウターロータ軸及びフィン先端を通る径方向の線との間に形成される角度(フィンバッキング円オフセット角度(Fin Backing Circle Offset Angle)、1225)を決定する。
【0105】
インナーロータの曲線を定めるために次の内トロコイド方程式を使用する。
【0106】
【0107】
【0108】
これらは、フィンバッキング円径方向距離に基づいて異なる点半径を用いる場合を除き、シール表面を定めるために使用されたものと同じ方程式であることを留意されたい。
【0109】
上記の方程式で定義された内トロコイドを、(インナーロータの軸の周りに、フィンバッキング円オフセット角度、1225の回転方向に)比で除算したフィンバッキング円オフセット角度、1225だけ回転させる。
【0110】
フィンバッキング円径方向距離、1220だけ内トロコイドをオフセットする。これにより、アウターロータ上の円弧が規定するインナーロータ駆動表面1205の対になる表面(conjugate surface)が得られる。この方法は、アウターロータに丸みを帯びたフィン先端が使用される場合に、TDC及びBDCにおけるインナーロータのシール表面を規定するためにも使用することができることを留意されたい。
【0111】
ORフィン被駆動表面が円弧でない場合、次の方法を使用してインナーロータの対になる表面を規定することができる。
【0112】
アウターロータフィン被駆動表面上の適切な数の点を選択する。
【0113】
これらの各点について、アウターロータの軸までの距離(点径方向距離(Point Radial Distance))を決定する。
【0114】
アウターロータ軸及び当該点を通る径方向の線とアウターロータ軸及びフィン先端を通る径方向の線との間に形成される角度(点オフセット角度(Point Offset Angle))を決定する。
【0115】
曲線を定義するために次の内トロコイド方程式を使用する。
【0116】
【0117】
【0118】
上記の方程式で定義された内トロコイドを、(インナーロータの軸周りに、ポイントオフセット角度の回転方向に)比で除算したポイントオフセット角度だけ回転させる。
【0119】
1で選択した点の各々によって形成される内トロコイドの集合内のすべての点の極点(extreme points)(すなわち、インナーロータローブの最も深い点)を選択し、それらを使用してインナーロータローブの駆動表面を表す曲線を定義する。極点のセット間のスプライン又は同様の補間が好ましい場合がある。
【0120】
図13は、アウターロータフィン1310の被駆動表面に円弧1305を使用する実施形態を示し、インナーロータ駆動表面に形成された結果のオフセット内トロコイド1330を示す。ポンプ用途のような逆動作に使用される、同じアウターロータフィン上の円弧1305によって規定されるものと反対の表面は、インナーロータに干渉しないように、この非限定的な例示的実施形態に示されるように、円弧として規定され得る。それらの設計は、以下でさらに議論される。
【0121】
図14は、インナーロータ1405及びアウターロータ1410の等角断面図を示し、インナーロータ1405に対するアウターロータ突出部先端1450の内トロコイド経路1440を示す。矢印1445は、上記説明のためのアウターロータ1410及びインナーロータ1405の回転方向を示す。
【0122】
-------------------かみ合い率(Contact Ratio)-------------------
【0123】
記述された形状の別の特徴は、
図14に見られるように、1以上であり、常に互いに対する両方のロータを回転方向に位置決めし、アウターロータ1410を回転させるのに必要なトルクを提供する、アウターロータ1410に対するインナーロータ1405のかみ合い率を設計する能力である。かみ合い率は、この文書では、インナーロータ1405の駆動、先頭表面(leading surfaces)1415とアウターロータ1410の被駆動、後続表面(trailing surfaces)1420との間の、それらが回転する際の平均接触点数(average number of points of contact)として定義される。開示された実施形態の装置では、1以上の比は、インナーロータとアウターロータとの間に常に少なくとも1つの接触点があることを確実にする。これは、駆動表面が被駆動表面との接触を停止すると、次の回転まで被駆動表面との接触を回復しないことを前提としていることが留意される。同様に、かみ合い率は、被駆動ロータが駆動されているよりも速く回転することを防ぐ、インナーロータの後続表面1425及びアウターロータの先頭表面1430の非駆動タイミング接触を参照するために使用することができる;例えば、インナーロータ1405の減速中。この文書では、先頭(leading)は主に回転方向に向かって面する特徴を表すために使用され、後続(trailing)は主に回転方向から離れる方を向く特徴を表すために使用される。駆動表面とタイミング表面の両方について1以上のかみ合い率は、本明細書に記載された油圧バランス駆動ロータのような装置の他の特徴と組み合わせて、外部タイミングギアを必要とせずに装置の動作を提供するために発明者によって考慮される。一次駆動接点(primary driving contact)1435は、発明者が、接触圧力の低下による低摩耗に理想的であると考える類似の曲率を持つ2つの表面の間にある。実施形態では、これらの表面は、アウターロータ被駆動表面上の凸表面及びインナーロータ駆動表面上の凹表面を含む。同様の曲率と共に凹表面及び凸表面のこの組み合わせはまた、動作時のロータ間接触を低減するために、これらの表面間に流体膜を成形するのにも理想的に適している。摩耗の更なる低減は、これらの表面の両方に沿って駆動表面と被駆動表面との間の接触の一定の進行から生じると、発明者によって信じられている。これは、ロータの1回転につき1回、ロータの表面に沿った各点での瞬間的な接触のみをもたらす。これは、各点での少量の加熱と摩耗のみを提供し、その点の冷却を可能にするためにそのロータの回転の残りの部分を提供する。代替的には、アウターロータは駆動ロータであり得るが、これは、インナーロータが油圧で回転バランスがとれていないため、接触圧力が高くなる。
【0124】
明確にするために、
図13に示されているような装置の実施形態は、スライド表面1320、1325、1330及び1335並びにシール表面1340及び1345を有する。
図13に示されている非限定的な実施形態では、シール表面は、径方向可動シール1370及び1380を有し得る。したがって、アウターロータ1355は、矢印1350で示される回転の方向の先頭側にある第1のスライド表面1320と、回転の方向の後続側にある第2のスライド表面1325とを有する。インナーロータ1360は、回転の方向の先頭側にある第1のスライド表面1330と、回転の方向の後続側にある第2のスライド表面1335とを有する。インナーロータ1360はまた、ローブの最も外側にあるシール表面1340とシール表面1345とを有する。スライド表面の相互作用は、対になる運動を達成するためにインナーロータとアウターロータの間に角度タイミングを提供し、シールを提供することを意図していない。例えば、径方向可動シール又はシールが発生する接触又は近接触の領域によって定められるシールゾーンは、回転タイミングを提供することを意図しておらず、低漏れ及び低ドラグトルクの利点を有するほぼゼロのクリアランスシールを提供する。インナーロータ先頭表面とアウターロータ後続表面との間の接触は、好ましくはBDCのシールゾーンの後に始まり、TDCのシールゾーンの前に終わる。インナーロータ後続表面とアウターロータ先頭表面との間のタイミング接触は、好ましくはTDCのシールゾーンの後に始まり、BDCのシールゾーンの前に終わる。
【0125】
インナーロータの外向き突出部の部分は、インナーロータに対するアウターロータの回転位置決めを提供するために上述のアウターロータの先頭表面又は後続表面に接触する。インナーロータのこれらの表面はまた、成形可能材料を含み得、そこではシールゾーンが成形可能材料を含む。一例では、インナーロータの径方向外側エンベロープ全体が、
図17に示されるような成形可能材料を含み、それにより、アウターロータ先端1735の接触圧力は、TDC及びBDCにおける成形可能材料を成形するのにTDC及びBDCにおけるシールゾーン上で十分に高いが、インナーロータの駆動表面1770上で最小限の摩耗でスライドするほど十分に低い。
【0126】
スライド表面は、好ましくは、矢印1350で示される回転の方向に1以上のかみ合い率で設計される。排出口からの流体の移動をもたらすインナーロータの前方回転中、アウターロータの回転抵抗は、流体との粘性摩擦から予想される。これは、アウターロータ1355の前方回転に抵抗し、駆動表面1325と被駆動表面1330との間に接触力を作り出す。減速時には、アウターロータ1355の回転運動量は、スライド表面1320及び1335が接触し得るようにアウターロータ1355をインナーロータ1360に対して前進させ得る。
【0127】
スライド接触表面は、低接触力を提供するために、インナーロータ及びアウターロータの対応する表面に同様の曲率を有することによって特徴付けられることが好ましい。例えば、スライド表面1325及びスライド接触表面1335は、同様の形態を有する。スライド接触表面は、動作中にいずれかのロータによって見られるように、同時にスライド及び転がり相互作用を有することによってさらに好ましく特徴付けられ、これは2つの利点を提供する。第1の利点は、ロータの所与の回転速度に対する低減されたスライド速度である。第2の利点は、少なくとも一方が円弧状の(arced)スライド表面を有する一対のロータの場合、ある量の転がり接触により、スライド表面上のいかなる点も同じ場所で一瞬以上接触しないことが保証されることである。換言すれば、インナー及びアウターロータスライド表面の間の接触点は常に移動しているので、ロータの回転ごとに一度だけ、スライド接触表面上の任意の点でのスライドからの局所加熱の瞬間があるだけであり、一方、ロータの回転の残りは表面の冷却を可能にする役割を果たす。これらのタイプの表面の摩耗は、発生する熱の量によって大きく影響されるので、この装置のスライド表面は、薄い流体膜又は潤滑なしであっても、低摩耗を提供するのによく適している。
【0128】
上記のような減速イベントの間に接触する接触表面も、1以上のかみ合い率によって特徴づけられることが好ましいが、
図17の表面1705及び1710に示されるように、より短い接触表面及び円弧半径の大きな差を有してもよく、ここで、1705はインナーロータ1715上の丸められた表面を示し、1710はアウターロータ1720上の曲面を示す。これは、摩耗に対する利点は少ないが、減速接触表面は、主に、上述のような減速イベントの間に生じる可能性のある、アウターロータがインナーロータに対して前進することを防止する役割を果たす。この減速は、駆動モータの速度制御によって制限することができるので、減速接触表面は、通常の使用中に、常にわずかに係合するか、又は全く係合しない。多くの用途では、装置が迅速に減速することよりも、装置が迅速に加速することの方が重要であるため、これは有用な動作パラメータであると考えられる。
【0129】
この装置では、一定量のバックラッシュが許容されることができ、低摩擦動作のためには少量のバックラッシュが好ましいことがあることが留意されるべきである。
【0130】
-----------------径方向成形(Radial Shaping)(丸いORフィン)-----------------
【0131】
図13に戻ると、この装置の重要な特徴の1つは、尖った先端1365(これは、インナーロータに切り込むための鋭いエッジ、小さな半径、好ましくはインナーロータに摩耗する研磨性のテクスチャを持つ、又は様々な効果を持つ他の幾何学的形状の範囲であり得る)が、上死点(TDC)又はその近く及び下死点(BDC)又はその近くでシールするだけで、これらの両極の間に接触及び/又はシールする必要がないことである。TDCとBDCでのシールは、容積式装置を高圧部分と低圧部分に分離する。
【0132】
アウターロータ突出部は、TDCとBDCで高圧部分と低圧部分に露出したその表面領域から実質的に等しく反対のトルクを受けるように構成され得る。TDCとBDCでシールとしてアウターロータローブ1310上の鋭い又は小さい半径チップ1365を使用することにより、高圧流体に露出したアウターロータ1355の表面積は、TDCとBDCで等しいか又はほぼ等しい。これは、流体圧力の結果として、アウターロータ1355に作用するいかなる又はいかなる大きな(significant)トルクもない状況を作り出す。この効果は、本開示では、回転油圧バランスがとれている(rotationally hydraulically balanced)と呼ばれ、流体圧力からの大きな正味トルク(significant net torque)のないアウターロータ1355の運動は、本開示では、フリーホイーリングと呼ばれる。このフリーホイーリングは、例えば、2つのロータのそれぞれのローブのかみ合いによって、インナー(駆動)ロータ1360からアウター(被駆動)ロータ1355に伝達されなければならないトルクを減少させる。これは、低摩耗、低摩擦、及び高効率のためのインナーロータ1360とアウターロータ1355との間の非常に低い表面接触力をもたらす。
【0133】
鋭い先端1365は、インナーロータ1360のシール表面1340と1345を通る経路を切る又は摩耗させるように設計され得、特定の動作条件の間にインナーロータ1360のシール領域から材料を除去する。これは、装置が最初に低い公差で構成されるが、アウターロータ先端1365がインナーロータ1355のシール表面1340と1345を通る独自の経路を刻む動作において非常に高精度のシール形状を達成することを可能にし得る。そのような方法で開示された発明の設計と動作は、動作中に鋭いエッジ部1365とインナーロータ1360との間の密接(close fit)をもたらすことが期待される。この密接と狭いギャップは、ギャップを通る流体媒体の漏れ率を低減するように作用し、一方同時に低摩擦を提供する。
【0134】
インナーロータローブ1375上に位置するローブ先端シール1370及びインナーロータローブ根元1385内に位置する凹状シール1380のような径方向にスライドするシールも、
図13に示される非限定的な例示的実施形態に示される。これらのシールは、バネで内側又は外側に向かって跳ね上げられ得る及び/又はそれらの位置は遠心力(口語的な意味で使用される遠心力)によって決定され、動作中にシールがアウターロータに接触する傾向を有し、有効なシールを形成する。
図13のシール1370及び1380の形状によって示されるように、シールは、所望の点を超えて外側に移動することを防止する機械的な停止機構(stop feature)を有し得る。
図13に示される実施形態では、このような機械的な停止機構は、シール1385及び1390のフィットする丸いベースによって提供される。シールが内側に跳ね上げられる場合、シール表面の成形は、シールがアウターロータフィン先端1365によって所望の形状に完全に成形されるまで、遠心力がシールをバネ力に反して径方向に外側に押し出すので、慣らし運転フェーズ中に徐々に高速で行われ得る。
【0135】
この構成は、インナーロータ本体よりも強度の低い材料で作られる可能性のある可動シールがインナーロータ本体に挿入されることを可能にするという利点を有する。これは、組立直後に優れたシールを伴った高圧運転を可能にし、シールがスライド接触により摩耗した場合でさえ長期運転後にシール効果を維持する。この構造のもう一つの重要な利点は、アウターロータ先端がTDCとBDCで異なるインナーロータシールに接触することである。これは、インナーロータ及びアウターロータ軸が製造及び組立において正確に配置されていない場合に、TDCゾーン又はBDCゾーンのいずれかにギャップが形成されることを防止する。シールは、全て、例えば、流体圧力、プリロードバネ、多くの高速用途における遠心力、又はその他の機構が、シールがハード停止部(hard-stop)に当たるまでシールを外側に移動させる「トップアウト」機能を備えて構成される。これは、遠心放出からのシールを含み、アウターロータフィン先端の成形効果が、更なる摩耗を引き起こすのに十分な力で接触しなくなったときの点を超えて、作動中に摩耗が生じるのを防ぐ。
【0136】
図13及び14に示す非限定的実施形態は、(上記で定義されたように)9/10のローブ対フィン比を有し、1より大きい駆動ロータ-被駆動ロータかみ合い率を可能にする利点を有する。他のローブ対フィン比も可能であり、好ましくは、インナーロータローブとアウターロータフィンの数の間に1の差を有する。また、1よりも大きな差を有することも可能である。これは、以前に教えられたように、内トロコイドの形状に影響を与える。
【0137】
図15は、インナーロータが7個の外向きローブを有し、アウターロータが8個の内向きフィンを有する簡略化された半概略的実施形態を示す。インナーロータ3005及びアウターロータ3010の回転の方向を矢印1510で示す。この非限定的な例示的実施形態は、1以上のローブ対フィン駆動-被駆動かみ合い率を有し、常にTDCにおいてインナーロータとアウターロータとの間の1つ以上のシール接触点があり、常にBDCにおいてインナーロータとアウターロータとの間の1つ以上のシール接触点がある。
【0138】
図16は、インナーロータ5020が11個の外向きローブを有し、アウターロータ5010が12個の内向きフィンを有する実施形態を示す。この非限定的な例示的実施形態は、1以上のローブ対フィン駆動-被駆動かみ合い率を有し、常にTDCにおいてインナーロータとアウターロータとの間の1つ以上のシール接触点があり、常にBDCにおいてインナーロータとアウターロータとの間の1つ以上のシール接触点がある。インナーロータ5020及びアウターロータ5010の回転方向を矢印1615で示す。
【0139】
------------------径方向成形(尖った(Pointed)アウターロータフィン)---------
【0140】
図17を参照すると、インナーロータ1715とアウターロータ1720が調和して(in unison)回転すると、シール接触の2つの領域が生じる。
図17のチャンバ1725によってほぼ示されるように、チャンバがその最小容積に達する点又はその近傍で生じるTDCでは、インナーロータ1715の径方向表面の最も内側の部分1730がアウターロータのフィン先端1735と接触し、アウターロータ1720のフィン先端1735とインナーロータ1715の機械加工可能又は成形可能又は摩耗可能な部分1740との間で機械加工、研磨及び/又は摩耗による成形が生じる。TDCにおけるこの成形接触の例は、点線の円1745内に示されている。
【0141】
同様に、BDCでは、
図17のチャンバ1750によってほぼ示されるように、チャンバがその最大容積に達するか又はそれに近づくと、インナーロータ1715ローブの径方向表面の最も外側の部分1755の頂部がアウターロータ1720のフィン先端1735に接触し、インナーロータの外側表面の機械加工及び研磨を生じさせる。BDCにおけるこの成形接触の例は、点線の円1760内に示されている。
【0142】
図18は、BDCの近くの点におけるフィン先端とインナーロータの相互作用のより詳細な図を提供する。明確にするために、
図17で使用したのと同じ参照番号を、適用可能な場合には
図18で提供される。
【0143】
以下の説明を補助するために、以下で参照されるレーキ角は、アウターロータフィン先端の成形エッジと、成形エッジが2つのコンポーネントの相対運動方向において成形される表面と交差する点において、インナーロータの成形される表面に接する面に垂直な基準面との間の角度を指す。レーキ角は、接線面に垂直な基準面から測定される。
図19に、レーキ角が約-12度の非限定的な実施形態を示す。点線1925は基準面であり、点線1930は成形エッジの先頭面を表す面である。
図19に示すように、成形エッジ1930の先頭面が基準面1925よりも回転方向1920の前方にあるレーキ角を負のレーキ角と言い、基準面1925が成形エッジ1930の先頭面よりも回転方向1920の前方にあるレーキ角を正のレーキ角という。
【0144】
図19に概念的に示すように、本発明者は、実験を通して、
図20に示すような2005とラベル付けされた鋭い先端を持つアウターロータフィン1905を使用するとき、PTFEのような成形可能な表面を成形することを確認したが、発明者は、機械加工可能又は研磨可能なものを含む他の多くの成形可能な材料を使用しても様々な効果があると考えている。研磨可能な材料は、一般的に鋭い先端を必要としない。一例の成形可能な表面1910が、
図19に示され、
図20(
図19に示すフィン1905の拡大図であり、フィン先端2005と成形可能なインナーロータ2020表面2010との間の相互作用の文脈で示されている)に示された2010とラベルされており、レーキ角は適切な機械加工/成形特性を確保する上で重要である。例えば、発明者が成形エッジ1915のアウターロータフィン材料としての鋼及び成形可能表面材料としてのPTFEについて見出した
図19に
【数7】
で示されるレーキ角は、前述の成形エッジ1915が矢印1920で示される方向に成形される表面に対して移動しているときに、26度の負のレーキ角を超えてはならないことを見出した。約26度の負のレーキ角よりも負の角度は、鋭い鋼のアウターロータチップ及びインナーロータ2020の成形可能表面としてのPTFEにより、最適ではない表面仕上げをもたらすことが示されている。他の材料及びチップの鋭さのための最大(許容できる限りの負の意味で)及び理想的なレーキ角は、実験によって決定することができる。
【0145】
最大レーキ角は、材料の組み合わせ及び成形エッジのチップ硬度、鋭さ及び剛性を含む多くの要因に依存する。さらに、アウターロータ2015の成形エッジ1915とインナーロータの成形可能表面との間の有効レーキ角は、インナーロータ2020及びアウターロータ2015が調和して回転し、成形エッジ1915がインナーロータ2020の成形可能表面上を移動するにつれて連続的に変化する。その結果、本開示に示されているような多くの構成において、TDCにおける最適成形角度を達成することは、BDCにおける最適レーキ角を犠牲にするか、又はその逆を必要とする。これは、フィン先端とインナーロータシール表面との間の接触角が接触の過程にわたって変化し、同じ先端角で最適レーキ角を維持することが困難になるためである。
【0146】
これに対処するために、本発明者は、
図21-24に示す非限定的な例示的実施形態を提案し、ここでは、アウターロータの他のすべてのフィンが、いくつかの接触点でインナーロータを成形するために最適化された角度で動作するように設計された成形エッジを有する。残りの先端は、他の接触点でインナーロータを成形するために最適化された角度で動作するように設計された成形エッジを有し、これにより、インナーロータとアウターロータが調和して回転すると、インナーロータは、対応する交互のレーキ角を有する交互の先端形状を経験する。
【0147】
したがって、成形される領域の全部又は大部分について、フィンの半分(又は他の実施形態では、1つ以上)は、TDCでインナーロータシール表面を成形するために最適化された成形/レーキ角を有し、フィンの残りの半分(又は他の実施形態では、1つ以上)は、BDCでインナーロータシール表面を成形するために最適化された成形/レーキ角を有する。これは、フィンのすべてが同じレーキ角を有し、最適な成形がTDC又はBDCでのみ発生するか、又はどちらに対しても最適化されない場合とは対照的である。この非限定的構成は、
図21に示されており、第1アウターロータ2110フィン2115は、隣接する第2アウターロータ2110フィン2130の先端における成形特徴部2125の成形レーキ角、
【数8】
とは異なる成形レーキ角、
【数9】
を有する成形特徴部2120を有する。インナーロータの回転方向は矢印2135で示され、アウターロータの回転方向は矢印2140で示される。アウターロータ突出部の数がインナーロータ突出部よりも多いため、アウターロータはインナーロータよりもゆっくり回転し、矢印2135と2140の後続部分の長さの違いによって誇張されて示されている。この図では、インナーロータが示され、参照番号2105が与えられている。したがって、第2アウターロータフィン2130は、下死点(BDC)における相対運動方向におけるインナーロータの外向き突出部の先端において、より大きな(すなわち、
図21に示された非限定的な例では、より少ない負の)レーキ角、
【数10】
を有する。他方、第1アウターロータフィン2115は、上死点(TDC)における相対運動方向におけるインナーロータの外向き突出部間のトラフにおいて、より大きなレーキ角を有する。より多くの文脈を示す代替図を
図22に示し、単一フィンの拡大図を
図23に示す。
図22において、インナーロータ2105及びアウターロータ2110の回転方向を矢印2250で示す。
図22において、フィン2225(フィン2115と同じ形態)は、フィンがインナーロータのローブ2245の間のトラフにおいてインナーロータ表面2240に接触するとき、フィン2220(フィン2130と同じ形態)とインナーロータ表面2240との間よりも、インナーロータ表面2240上で大きいレーキ角を有することが観察され得る。明確にするために、該当する場合、
図21で使用したのと同じ参照番号が
図22及び23で使用される。
【0148】
交互フィン先端角の実施形態の重要な特徴は、両方のフィン形状2120及び2124の成形先端が、インナーロータに対して共通の内トロコイド経路をトレースすることである。これにより、両方の先端が一貫した接触又はギャップクリアランスを伴うシールに関与することができる。
図24は、両方のフィン(すなわち、
図21のフィン2115及びフィン2130)の重ね合わせた画像を示し、それらの先端位置がアウターロータフィンのスライド/タイミング表面に対して同じ位置にあることを示す。両方の(又はすべての)フィン形状の先端がアウターロータフィンのスライド表面に対して同じ位置にあることを確実にすることにより、すべてのフィン先端に対して一貫したシールギャップとタイミングが提供されることを確実にする。
【0149】
明確にするために、該当する場合、
図21で使用したのと同じ参照番号が
図24で使用される。
【0150】
発明者は、2つ以上の先端形状が使用され得ることを理解し、予想しており、例えば、複数の突出部セットにおいて、各突出部セットの突出部はそれぞれ共通の形状を有する。アウターロータフィンの数が、異なる先端形状の数、すなわち、異なる先端形状が複数の突出部セットに対応する複数のセットの数で割り切れることは、慣らし運転中の回転バランスと一貫した成形を維持するために、好ましいが、必須ではないと発明者によって考えられている。
【0151】
-------------軸方向成形(AXIAL shaping)---------------------
【0152】
一実施形態では、装置の高圧側から装置の低圧側へのインナーロータ2505の軸方向面に沿ったポンピング媒体の漏れを制限することがこの装置の目的であり、そうすることは、とりわけ、装置のより高い効率をもたらし得る。インナーロータは、第1及び第2の軸方向を向く表面を有し得る。インナーロータの第1の軸方向を向く表面は、第1の表面対を含むようにアウターロータの軸方向を向く表面に面し得る。インナーロータの第2の軸方向を向く表面は、第2の表面対を含むようにハウジング又はアウターロータの他の軸方向を向く表面に面し得る。
図25-27に示す例では、アウターロータ2510は、アウターロータエンドプレート2515を含み、アウターロータは、インナーロータの第1の軸方向を向く表面に接触する第1の軸方向を向く表面を有し、エンドプレート2515は、インナーロータの第2の軸方向を向く表面に面する軸方向を向く表面を有する。インナーロータ2505の外向きの軸方向端部とアウターロータ2510の内向きの軸方向端部との間の摩擦の少ない精密公差シール(close tolerance seal)を達成するために、アウターロータエンドプレート2515は、径方向に近接接触シールを作成するために既に説明した方法と同様の方法をとり得る。すなわち、装置の他の部分から材料を除去することができる鋭い、研磨性のある、又は他の方法で可能な特徴部の包含が使用され得る。そのような特徴部の例は、
図25-27に示される複数の成形特徴部である。摩耗性コーティングは、一方の表面が急速に摩耗し、又は両方の表面が互いに摩耗し得るように、接合表面の一方又は両方に使用することもできる。記載された軸方向表面対のいずれも、そのような特徴部又はコーティングを有することができ、特徴部は対のいずれかの表面上にあり、コーティングは対のいずれか又は両方の表面上にあり得る。
【0153】
図25に示される非限定的な実施形態では、第1の成形特徴部2520は、アウターロータエンドプレート2515上の小さな突出部であり、これは約0.01mmの距離だけプレート表面2525から突き出る。突出部の正確な大きさは、より大きくても小さくてもよく、結果として異なる効果をもたらすが、成形特徴部の上部だけでなく、先頭及び後続エッジの一方又は両方においても、軸方向の装置のシールを強化するために、
図26に示されるように0.01mmの突出部を選択することが有利であり得る。さらに、成形特徴部の形状は、成形表面特徴部の上部の表面積が、成形エッジ及び機械加工可能/研磨可能/又は他の方法で成形可能な材料の摩擦し得る及び局所的な加熱を引き起こし得る最小限の表面積を有するように、総シール表面積の小さな割合を占めるように設計され得る。非限定的な例示的な装置内のアウターロータプレート2515の位置及び第1の成形特徴部2520の向きは、
図25に示され得る。この向きでは、第1の成形特徴部2520が、慣らし段階中などの特定の動作条件中に回転するインナーロータ2505から材料を除去するように配置されていることが示され得る。第1の成形特徴部2520によるインナーロータ2505上の材料の除去は、試験手順中又は初期起動後の慣らし期間中に制御され得る。さらに、発明者は、装置が修理された後、又は、装置のシール表面が動作中に損傷又は摩耗した場合にシールを改善するプロセスとして生じる慣らし期間を考慮する。そのような除去を制御する方法を以下に著者が教える。
【0154】
装置の性能を向上させるために、記載された任意の表面対のための成形特徴部は、非限定的な例として
図25に示されているように、時計回りの回転装置(図が、成形特徴部2520を有するエンドプレート2515の表面に向かっている場合)のために、反時計回りの外側への螺旋方向に、概して角度を付けられ得る。これは、排出ポートから排出されることができるロータの外側に向かう成形デブリの除去に寄与する。
図26は、装置の残りの部分から分離されたエンドプレート2515を示す。
図26では、エンドプレート2515の回転方向を矢印2620で示す。
【0155】
図27には、アウターロータ2710に位置する第2の成形特徴部2715が示されており、これらは
図25の第1の成形特徴部2520と同様の方法で構成されている。
図27に示されている非限定的な実施形態では、これらの第2の切削特徴部は、慣らし段階中などの特定の条件下で装置が動作しているときに、インナーロータ2705から材料を除去するように方向付けられている。
【0156】
実施形態に応じて、インナーロータ又はアウターロータとハウジング、例えばハウジングのポートプレートとの間にさらに軸方向の表面対があり得る。
図25には、アウターロータ2510の軸方向外側面に位置する第3の成形特徴部2530が示されており、これは第1の成形特徴部2520と同様の方法で構成されている。
図25に示されている非限定的な実施形態では、これらの第3の成形特徴部は、慣らし期間中などの特定の条件下で装置が動作しているときに、シールプレート2535から材料を除去するように方向付けられている。
【0157】
このようなポートプレートとのいかなる相互作用も、ハウジングの他の部分と生じる可能性がある。後述する実施形態では、ロータがエンドプレートを有しない場合、このような相互作用はハウジングへのシールを補助し得る。ロータがエンドプレートを有する場合、ポートプレートとの相互作用はポートプレートへのシールを補助し得るが、エンドプレートが存在するポートプレートよりもハウジングの他の部分へのシールの必要性は少ない。なぜなら、エンドプレートはこの場合、穴を有する必要がなく、エンドプレートと非ポートプレートハウジング部分との間の任意のチャンバを装置の作動流体領域から切り離すことができるからである。
【0158】
「エンドプレート」という用語は、
図26のエンドプレート2515のように、ロータの一部に組み立てられた別個に構成されたプレート、又は、ロータの残りの部分と一体であり、そのロータと他のロータの突出部に面する軸方向を向く表面を有するプレート、例えば、
図27に示されるような成形特徴部2715を含む表面を指すために、本文書で使用され得る。
【0159】
インナーロータ、アウターロータ及びハウジングは、(ロータのいずれか1つの)軸に垂直な平面内の相対運動のために配置されたコンポーネントのセットを集合的に形成する。これらのコンポーネントの任意の対の間の界面を形成する軸方向を向く表面があり得る。いくつかの実施形態では、インナーロータは、2つのそのような界面でアウターロータに接触する。両方の界面は、例えば
図25-27に示すように、アウターロータの一体又は別個に形成されたエンドプレートの軸方向を向く表面を含み得る。他の実施形態では、例えば、アウターロータは、アウターロータが軸方向にインナーロータのエンドプレート内にあるように(「スプール」配置)、インナーロータのエンドプレートに接触し得る、又は、インナーロータ及びアウターロータの各々は、他のロータによって接触されるそれぞれのエンドプレートを有し得る。以下に議論する更なる実施形態では、ロータ間に2つ未満のそのような界面があり得る。
【0160】
図25-27に示す実施形態では、インナーロータが軸方向にアウターロータ表面の間にあるので、インナーロータとアウターロータの軸方向表面の間に2つの表面対があり、アウターロータのみがハウジングと表面対を有する。他の実施形態では、例えば、
図52に示される機械5200の非限定の簡略化された実施形態に示されるように、インナーロータ5205は、破線5230で示されるアウターロータ5210との単一の表面対を有し得、インナーロータ5205及びアウターロータ5210の各々は、ハウジング5270の内向きの軸方向面との表面対を有し得る。ロータ5205、5310とハウジング5230との間のこの対は、破線5240で示される。参考のために、ハウジング5260の下部は、インナーロータ5205の入力シャフト5265を支持する軸受5245及び5250を支持し、軸受5225及び5255はアウターロータ5210を支持する。また、参考のために、5215は吸入ポートであり、5220は排出ポートである。
【0161】
図56に示される代替の簡略化された非限定的な実施形態では、インナーロータは軸方向に2つのハウジング表面の間にあるので、インナーロータ軸方向表面とハウジング表面との間に2つの表面対があり、アウターロータ軸方向表面とハウジングの軸方向表面との間に2つの表面対がある。
図56に示されるように、組み立てを容易にするために、ハウジングは2つの部分、第1のハウジング部分5660と第2のハウジング部分5620を含み得る。インナーロータ5605は、前述のインナーロータの外向き軸方向表面と第1のハウジング部分5660の軸方向内向き表面との間の第1の表面対と、インナーロータの外向き軸方向表面と第2のハウジング部分5620の内向き軸方向面との間の第2の表面対とを有し得る。また、アウターロータの外向き軸方向表面は、前述のアウターロータの外向き軸方向表面と第1のハウジング部分5660の内向き軸方向表面との間の第1の表面対と、前述のアウターロータの外向き軸方向表面と第2のハウジング部分5620の内向き軸方向表面との間の第2の表面対とを有し得る。ロータがエンドプレートなしでハウジングに接触する場合、両方のロータはハウジングに接触し得る。請求項において、ハウジングの表面に接触する一方のロータの表面の記載は、他方のロータもハウジングの同じ表面に接触することを排除しない。
【0162】
図56に示す実施形態では、ハウジング5660の第1の部分は、アウターロータ5650の第1の端部を支持する軸受5670と、インナーロータシャフト5615の第1の端部を支持する軸受5635とを支持する。第2のハウジング部分5620は、アウターロータ5610の第2の端部を支持する軸受5665と、入力シャフト5215の第2の端部を支持する軸受5665とを支持する。また、5625は吸入ポートであり、5630は排出ポートである。他の実施形態は、軸受及びポートの異なる配置を有し得る。
【0163】
上記の実施形態をさらに説明するために、
図56に示すものと同様の実施形態の断面図を
図57に示す。
図57に示す実施形態では、吸入ポート5625と排出ポート5630は、
図58に示すように異なる位置にあるが、
図56に示すものと同じ目的を果たす。
図57から、どのポートプレートもインナーロータ5605とアウターロータ5610の軸方向を向く表面と相互作用しないことが観察される。むしろ、第2のハウジング部分5620は、
図58に示すように、第1の軸方向を向く表面5810を有し、これはインナーロータ5605とアウターロータ5610上の軸方向を向く表面との表面対を形成する。このような実施形態では、インナーロータ5605、アウターロータ5610、又は第2のハウジング部分5620のいずれか1つ又はこれらの組合せ上の成形特徴部は、低漏れ及び/又は低摩擦を有し得る近接触シールを形成するために、対向面を成形するように構成され得る。シールバリア5825は、第2のハウジング部分5620を吸気マニホールド5835及び排気マニホールド5830に分割する。シールバリア5825は、インナーロータ5605の軸方向表面と第2のハウジング部分5620との間のインナーロータ5605の軸方向表面を横切る排気マニホールド5830から吸気マニホールド5835への漏れを防止する。
図56に示す非限定的な例では、第2のハウジング部分5620は、非圧縮性流体と共に使用されるポンプ構成のために設計されている。しかしながら、他の実施形態に示されるように、例えば、内部圧縮及び/又は膨張を可能にするように、及び/又は圧縮機構成を含むように、どのように幾何学的形状を調整するかは、当業者には明白であろう。
【0164】
第2のハウジング部分5620の代替図を
図58及び59に示す。わかりやすくするために、該当する場合、
図56の参照番号を
図57、58及び59に再使用する。さらに明確にするために、好ましい回転方向を
図57に矢印5705で示す。
【0165】
本発明者は、成形特徴部が
図25-27に示されたものとは異なる構成を採用してもよいことを言及する。例えば、
図28に示される非限定的な実施形態では、第1の成形特徴部2805は、内側の軸方向を向くシール表面2815上の小さな突出部であり、これらの第1の成形特徴部2805は、アウターロータ2810の軸方向を向くシール表面2815から突き出る。先に教示されたように、様々な大きさの突出部を使用することができるが、
図28に示されるように、成形特徴部を囲む表面の狭いクリアランス(close clearance)で軸方向の装置のシールを増強するために、その大きさを最小化することが有利であり得る。非限定的な例の装置内のアウターロータ2810の軸方向を向くシール表面2815の位置及び第1の成形特徴部2805の向きは、
図29に示される。この向きでは、アウターロータ2910上の第1の成形特徴部2915は、装置が特定の条件下で動作しているときに回転するインナーロータ2905から材料を除去するように配置されることがわかる。第1の成形特徴部2915によるインナーロータ2905上の材料の除去は、テスト手順中又は装置組立又は修理後の期間における摩耗中に制御され得る。そのような除去を制御する方法は、以下に著者によって教示される。
【0166】
図32には、
図28からの第1の成形特徴部2805と同様の方法で構成された、アウターロータエンドプレート3215上に位置する第2の成形特徴部3210が見える。
図32に示される非限定的な実施形態では、これらの第2の成形特徴部3210は、例えば慣らし運転条件のような特定の動作条件中に、インナーロータ3205から材料を除去するように方向付けられる。
【0167】
図30及び31では、
図28からの第1の成形特徴部2805と同様の方法で構成された、アウターロータ3010上に位置する第3の成形特徴部3005が見える。
図30に示される非限定的実施形態では、これらの第3の成形特徴部3005は、装置が特定の条件下で動作しているときに、
図29のシールプレート2920から材料を除去するように方向付けられる。明確にするために、
図30からの参照番号は、該当する場合には
図31で再利用される。
【0168】
第1の成形特徴部2805、第2の成形特徴部3210及び第3の成形特徴部3005のような成形特徴部を含む隆起表面は、対応する表面を成形することと共に、前述の隆起表面とその対応する成形される表面との間にシールを形成することの2つの役割を有する。従って、隆起表面は、成形することとシールすることとの間の所定のバランスを備えて設計され得る。
図33に示される非限定的な実施形態に示されるように、隆起表面3305は、インナーロータとアウターロータとの間に中断されないシールチャンバを同時に提供しながら、成形エッジを有するようにアウターロータ3310突出部の端部3315からアウターロータ3310の中心軸に向かって延びるように設計される。
図33に示される3305のような円周方向に厚い隆起表面は、薄い隆起表面よりも改善されたシールを提供するチャンバ間の主に接線方向の長いシール通路を提供するが、これらの厚い隆起表面3305はまた、隆起表面が成形される表面の上を通過して成形表面を押すように、接触している成形される表面に刻みをつける(indent)又は変位させる。成形される柔らかい材料は、動作条件及び除去されることになる成形される表面材料の量に応じて、大きな滑り表面積のために成形中に過度に加熱されやすく、より薄い隆起表面を必要とする場合がある。矢印3415と3420との間の距離として示される成形特徴部3405の厚さは、
図34に示される非限定的な実施形態に示されるように、約10000分の1インチである。円周方向に広い成形特徴部と薄い成形特徴部の両方が効果的であることが示されており、特定の装置の理想的な幅は、実験を通じて決定され得る。
【0169】
図35に示される非限定的実施形態では、矢印3515と3520との間の距離として示される成形特徴部3505の厚さは約35000分の1インチであり、これは、隆起成形表面が鋼から作られ、インナーロータの成形される表面がPTFEである場合に、特定の用途のためのシールすることと成形することとの間の適切なバランスを提供するのに十分であると発明者が信じるものである。
図35に示される非限定的実施形態では、隆起表面は、アウターロータフィンの端部からインナーロータ軸の中心に向かって径方向に大きく放射状に広がる。これらの径方向に延びる隆起表面3505は、隆起表面の円形部分3530を介して互いに接続される。
【0170】
これらの成形特徴部の各々は、成形プロセスが終了したときに成形部分と成形される部分を近接接触させるような方法で、他の部分の対応する機械加工可能/研磨可能/その他の成形可能表面から材料を除去するのに役立つ。対の研磨可能コーティングの場合、コーティングは、研磨プロセスが終了したときにそれらを近接接触させるように両方の部分を研磨するのに役立つ。このようにして、2つの間のギャップと、それに応じて、2つの部分の間の装置の高圧側から装置の低圧側への作動流体の漏れを制限し、装置の効率を向上させる。追加の利点として、小さなギャップは、2つの部分の間の擦れ、引きずり、又は他の著しい大きさの接触がほとんど又は全くないことを確実にし、装置を回転させるために必要なトルクを低減し、装置の効率を向上させる。
【0171】
軸方向を向く表面間の成形を使用する上述したすべての実施形態は、そのような成形、例えば、初期構造において表面を所望の形状に形成するために高精度の機械加工を使用することによる成形なしで実施され得る。これは、高圧ポンプのようなより高い圧力に耐えることを意図した実施形態の場合に特に望ましい。高い圧力が予想される場合には、より高い強度が必要とされる可能性があり、強度が低い傾向にある成形可能な材料はあまり望ましくない。
【0172】
-----------------------慣らし運転方法(RUN-IN-METHOD)-----------------------
【0173】
図55は、例示的な慣らし運転する方法を示す。ステップ550において、インナーロータ、アウターロータ及びハウジングを含む容積式装置が提供される。インナーロータは、径方向外向き突出部を有し、インナーロータは、第1の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、アウターロータは、インナーロータの径方向外向き突出部と噛み合うように構成された径方向内向き突出部を有し、アウターロータは、第1の軸に平行かつ第1の軸からオフセットされた第2の軸周りにハウジングに対して回転するように固定され、インナーロータは、第1の軸方向を向く表面及び第2の軸方向を向く表面を有する。ステップ552において、容積式装置は、インナーロータの軸方向を向く表面の一方又は両方がアウターロータ又はハウジングの対応する軸方向を向く表面と干渉し、インナーロータの成形を引き起こす条件下で動作される。
【0174】
ステップ554において、容積式装置は、その後、シール表面のいずれの間の干渉なしに動作することができる。インナーロータは、容積式装置が構築されたように動作するときに干渉を引き起こすように構成されてもよく、干渉なしのその後の動作は、容積式装置が構築されたように動作するときのインナーロータの成形に起因し得る。あるいは、干渉を引き起こす条件は、インナーロータが第1の温度を有し、インナーロータは干渉なしのその後の作動中に第1の温度とは異なる第2の温度を有する条件であってもよい。温度変化は、他のコンポーネントの温度変化及び異なるコンポーネントの膨張係数に依存して、温度の増加又は減少であってもよい。
【0175】
例示的な慣らし運転する手順は、装置を所望の動作速度まで回転させること、次に、装置温度を動作中に予想される温度範囲まで上昇させるために熱を導入すること(例えば、実施形態によっては、装置がそれ自身で加熱することを可能にする)を含み得る。適切な厚さを有するインナーロータ成形可能(例えば、機械加工可能/研磨可能)表面材料(非限定的な例として、例えば、金属コアの周りのコーティング又はオーバーモールドとして使用される場合、PTFE)を選択することにより、この層の遠心力及び/又は熱膨張を使用して、成形可能表面を、成形エッジと接触するところまで、又は、摩耗可能表面が接触してタイトなクリアランスシールを作成するときまで、径方向及び軸方向に外側に成長させることが可能である。使用温度で十分な熱膨張を有する十分な厚さのPTFE表面により、インナーロータを射出成形などの低精度な製造方法で構築し、組み立てが容易な十分なクリアランスを有する部品を作成することも可能である。組み立て後、装置は、好ましくは意図された動作速度よりもわずかに高い速度まで回転し、次いで、装置は、(慣らし運転中に必要な材料が除去されるよりもわずかに多く除去されるか、材料の必要な成形よりもわずかに多く成形することを確実にするために)好ましくは意図された動作温度よりもわずかに高い温度まで加熱される(例えば、装置に入る作動流体を加熱することによって)ので、意図された速度及び温度範囲での動作中に、シール表面のさらなる成形又は接触がない、小さなシールギャップが達成される。
【0176】
-----------------氷の除去------------------------
【0177】
図36に示された例示的な実施形態3600のような装置が、燃料電池用の水素再循環ブロワーのような、しかしこれに限定されない多湿ガス用途で使用される場合、圧縮水素混合物は、燃料電池が停止されたときに低温の大気条件で凝縮して凍結する可能性のある水蒸気を含む可能性が高い。水を含む水素再循環ブロワーが作動していない間に凍結温度にさらされた場合、そして、以下に説明するように、この氷形成に対処するように適切に設計されていない場合、コンポーネントが一緒に凍結し、氷が溶けるまで機械を動作不能にする危険性がある。
【0178】
機械3600は、チャンバ3610を減圧するパージバルブ3605(以下に説明する)を含み得る。パージバルブ3605は、機械3600が作動していないときに、チャンバ3610から機械3600の入口側への経路を開くことによってチャンバを減圧するように構成され得、これにより、アウターロータ3625から離れるようにバネ3620によって付勢されたポートプレート3615は、アウターロータ3625とポートプレート3615の対応する軸方向表面の間に比較的大きなギャップを設けて格納され、これらの表面の間に氷が形成されるのを防ぐ。しかしながら、このようなパージバルブは、装置がもはや動作しなくなると、ポートプレート3615とアウターロータ3625との間の近接接触シールが、すべての圧力チャンバが均等になることを可能にし、また、ポートプレート3615がバネ3620の力の結果としてアウターロータ軸方向表面3630から引き離されること可能にするのに十分な速度で漏れるので、必要ではない可能性が高い。
【0179】
シール表面の間に氷が形成されたとしても、アウターロータの内向きの軸方向表面及びアウターロータの外向きの軸方向端部に位置する成形特徴部は、シール表面から氷を迅速に切削又は研磨し得る。
【0180】
氷点下での始動能力(ability to sub-zero temperature starting)に対する別のアプローチは、装置の底部に排出ポートがあり、装置が回転していないときにアウターロータの底部に落下又は流れる結露した水滴が排出ポートに下方に流れる傾向があるように、装置を1°から45°の間のような(ただしこれに限定されない)水平から傾けた姿勢で装置を使用することである。この範囲内の角度では、凝縮水は各チャンバの最下部及びアウターロータの最下部に落下する傾向がある。
【0181】
単独又は上記と組み合わせて使用できる冷間始動能力の別のアプローチを
図54に示す。ステップ540において、インナーロータ及びアウターロータを持つ容積式装置が提供される。ステップ541において、装置は、0°Cより大きい動作中の装置の温度(例えば、流体流に面しているアウターロータの表面の温度)で動作される。ステップ542において、装置の動作は停止される。ステップ543において、例えば、装置内部の温度が温度閾値に達したときにCPUに警告する内部温度センサを使用して、装置の温度が監視される。温度閾値は、例えば、0°Cをわずかに上回ってよい。
図54の非限定的な実施形態では、閾値は、1°Cから5°Cの間に設定される。決定ステップ544において、温度閾値に達した場合、方法はステップ545に進み、そうでなければ監視を継続する。ステップ545において、装置は、凝縮した水滴をアウターロータチャンバの最も外側の内側を向く表面に遠心分離するのに十分な速度で回転するようにCPUによって指示され、この水の一部又は全部が排出ポートから押し出されることができる。この短い回転サイクル(spin cycle)の後にロータチャンバ内に残る水滴は、チャンバの最も外側の容積内にアウターロータの底部に落下する傾向がある。アウターロータは、アウターロータフィンの内向き突出部の根元とインナーロータの外向き突出部の先端との間にクリアランスを形成するように成形され得、クリアランスは、シャットダウン及び起動中に蓄積された氷を収容するように選択され得る。したがって、この装置のチャンバの最も外側の部分は、TDC及び完全な回転の残りの部分でインナーロータとのクリアランスを維持する適切な再循環量(recirculation volume)を有するように構成することができる。その結果、いずれかのチャンバの最も外側の容積で凍結した水は、起動時にロータの噛み合いを妨げない。装置が動作温度まで温まると、氷は溶けて排出ポートから排出される。
【0182】
装置が氷点下の温度で起動できるようにするために、装置は、排出ポートが装置の底部に位置するように取り付けられることが好ましい。また、排出ポートの最下面は、排出ポートに入る水が重力の結果としてアウターロータから離れて流れるように、下方に、概してアウターロータから離れるように傾けられることが好ましい。これは、装置全体を傾斜させるか、又はアウターロータチャンバの最も外側の内側を向く表面にテーパを設けることによって行うことができる。
図53の非限定的な例に示されるように、装置5300は、例えば、取り付け機構5305を使用して、容積式装置を外部表面又は構造に取り付けるように傾けられることができ、その結果、第1の軸は、容積式装置の排出ポート5320が容積式装置の有効容積の実質的に最下部分に位置する非垂直、非水平方向を有する。例えば、インナーロータ5325軸の向き、破線5310によって示される軸は、垂直から1度から45度の間であり得る。
図53に示すインナーロータ軸の角度は垂直から約45°である。参考までに入口ポートは5315とラベルされている。
【0183】
凝縮水はアウターロータチャンバの最も外側の容積まで遠心分離され、その後、排出ポートから流出するように、冷却中に装置内のコンポーネントが0°Cに達する直前に装置を短時間回転させることができる。遠心力と重力の組み合わせを使用してアウターロータから排出ポートに水滴を追い出すことにより、発明者は、システムの他の場所からより多くの水滴を引き込むのに十分な高い流量を作ることなく、凝縮した水滴を装置から除去できる十分に遅い回転速度でこれを行うことができると考えている。例えば、装置の定格動作速度が数千rpmである場合、わずか数百rpmで1分未満の装置水除去サイクル中に凝縮した水の大部分を排出することが可能であり得る。この効果をさらに高めるために、アルミニウムなどの高い熱伝導率の材料で作られた高い熱伝導率のメッシュ又はスクリーン3705を装置3700の上流に配置し、大気温度にさらされ、したがって
図37に示されるようにメッシュ/スクリーンを冷却するヒートシンク3710として機能するフレーム/ハウジングに接続することができる。氷点下の外部温度では、ヒートシンクの結果として、このスクリーンは、インナーロータ又はアウターロータ、例えばアウターロータの流体に面する表面より先に、0°C未満に達する。インナーロータ及びアウターロータは、スクリーンよりも大きな熱質量を有し得、環境に直接さらされず、スクリーンよりもゆっくりと冷却するはずである。氷点下の環境条件でシャットダウン中にインナーロータ又はアウターロータが冷却されている場合、例えばアウターロータが氷点下のすぐ上にあるとき、スクリーンはすでに氷点下にある。オペレータ又はCPU3715がロータに低速で回転するように指示すると、この時点で、ロータ上で結露した水がロータの表面から排出され、流入する流れの中のいかなる湿度もスクリーン3705上で結露して凍結する傾向があり、追加の水滴が装置に入る可能性が低くなる。
【0184】
--------インナーロータ構造------------------
【0185】
図38は、インナーロータの周りの成形可能な材料のクラムシェル構造を特徴とする装置の例示的な実施形態を示す。この実施形態では、インナーロータ3805は、ボルト又は接着剤などで、インナーロータ3805の内側部分3820の上にプラスチック材料3815を固定することによって構成され、内側部分3820は、外側部分3820の材料よりも剛性及び/又は強度が高く、好ましくはコストが低い材料から構成されることが好ましい。
【0186】
図17は、オーバーモールド構造(overmolded construction)の例示的な実施形態を示す。この実施形態では、インナーロータ1715は、インナーロータ1715の内側部分1770の上にプラスチック材料1765をオーバーモールディングすることによって構成され、内側部分1770は、オーバーモールディング材料よりも剛性及び/又は強度が高く、好ましくはコストが低い材料から構成される。
【0187】
図38に戻ると、アウターロータ3810上の内向きフィンの端部に位置するアウターロータ成形エッジ3825は、成形エッジ3825が、本開示で既に説明したように、インナーロータ3805のプロファイル上の内トロコイド経路をトレースするように、好ましくはより柔らかいインナーロータ外側材料3830を成形するように設計されている。動作中のインナーロータ3805及びアウターロータ3810の回転方向は、矢印3835によって示される。
【0188】
----------------ポートプレート構造及び調整機構---------
材料が不要な熱膨張及び摩耗の影響を避けるように選択され得る。
図25に示す非限定的な例では、ポートプレート2535は単一のピース(single piece)として構成されている。ポートプレート2535が、比較的柔らかい材料及び/又はPTFE又はPEEKのような容易に成形可能な材料から構成されることが有利であり得る。なぜなら、柔らかい材料は、上記の著者によって教示されたアウターロータ2510上の成形特徴部2530によってより容易に除去又は成形されるからである。しかし、このようなポートプレートをプラスチックの単一のピースで構成することは、材料コストが高いため、高価である可能性がある。さらに、このような材料は、熱膨張係数がアルミニウムを含む多くの金属の熱膨張係数を超えるという欠点がある。その結果、ポートプレートとアウターロータのシール表面の間のギャップは、異なる熱膨張係数のために、ポートプレートとハウジングの温度に依存して変化する可能性がある。したがって、ポートプレートの材料の熱膨張係数と比較して、異なる熱膨張係数を有する材料からハウジング2540を構成する場合、単一のピース構成のポートプレートにさらに不利な点がある可能性がある。このような不利な点は、高温条件下で、ポートプレート2535がハウジング2540よりも軸方向に大きく、又は小さく膨張し、アウターロータ2510の成形特徴部2530との接触又は両者のシール表面間に大きなギャップをもたらす場合に生じる。アウターロータによるポートプレートシールの少量の成形は、ほぼゼロギャップシールのために望ましい。この少量は、軸方向に移動可能で機械的にエネルギーを与えられるポートプレートの軸方向の動きの量を設定する機械的停止部(mechanical stops)及び/又はポートプレート又はポートプレート成形可能表面の熱膨張によって制御することができる。例えば、熱膨張が大きすぎる結果として、材料の除去が多すぎると、慣らし運転に必要な時間が長くなるため、望ましくない。最小の自己成形を確実にする1つの方法は、ポートプレートのシール表面に、限定されるものではないがPTFEなどの機械加工可能/研磨可能/他の方法で成形可能な材料の薄い部分と、ポートプレート表面の熱膨張の量を制限することであり、限定されるものではないがアルミニウムなどの材料から作られたより剛性の高いポートプレートボディとを使用することである。
図39、40、41、42に示す非限定的な例では、ポートプレート3905は、成形可能なピース3910(
図39に示す)と支持ピース3915とから構成されている。成形可能なピース3910は、例えばPEEK又はPTFEのような柔らかい材料であり得るが、これらに限定されない。この材料は、機械加工性のために選択され得る。参考までに、
図40及び41は、ポートプレート3905位置が加圧された流体を介して作動される同一の非限定的実施形態を示す。
図42は、ポートプレート4200位置がネジを介して調整される異なる非限定的実施形態を示す。
【0189】
支持ピース3915は、アルミニウムのような材料で構成され得るが、これに限定されず、その剛性は摩耗ピース3910材料の剛性を超え得るので、ポートプレート3905の変形に対する耐性を提供する。さらに、支持ピース3915の材料は、ハウジング3920の材料の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選択され得る。付加的な利点として、支持ピース3915の材料は、摩耗ピース3910の材料よりも大きな熱伝導率を有し得、ハウジング3920のような装置の接触コンポーネントとの伝導を介して、ポートプレート3905から熱がより迅速に伝達されることを可能にする。
【0190】
図40及び41は、
図39に示す実施形態の代替図を提供する。明確にするために、
図39で使用されるのと同じ参照番号が、該当する場合、
図40及び41で与えられる。
【0191】
図42の非限定的な実施形態に示されるように、ポートプレート4200は、支持部分4205及びシール部分4210の2つの部分を含む。支持部分4205及びシール部分4210は共にボルトで固定されて示されているが、接着剤、リベット及び熱継手の使用を含むがこれに限定されない他の締結方法もまた、発明者によって企図される。
図42において、入口ポート4215及び出口ポート4220は、ポートプレート4200を通る通路を提供し、プラットフォーム4225は、ポートプレート4200の軸方向位置を調整する軸ネジと接触する。軸ネジ機構を以下に説明する。ポート4230は、この非限定的な例示的実施形態においてセンサのためのオプションのポートであり、診断のために使用することができる。
【0192】
図43に示される非限定的実施形態では、ポートプレート4315は、アルミニウムのような金属からバッキングプレート4320が作られ、バッキングプレートが限定されるものではないがPEEK又はPTFEのようなプラスチック材料から作られたシール表面プレート4325によって覆われるツーピース構造を有し得る。限定されるものではないが軸方向ネジ4330のような手段が、ポートプレート4315を軸方向に移動させるために使用され得、ポートプレート4315をアウターロータ4310の軸方向端部に押し付けさせ、例えば、
図31に示される成形特徴部3105又は
図25に示される成形特徴部2530と同様であり得る成形特徴部を有するアウターロータ4310は、ポートプレート4315に面する表面4335上に位置し得る。これらの特徴部は、アウターロータとポートプレートとの間に軽く接触するか又は小さなギャップを形成するように、ポートプレートから材料を機械加工、研磨、粉砕、成形、又はその他の方法で除去する。
【0193】
図43に示すように、ポートプレート4315は、バッキングプレート4320とシール表面プレート4325とを含む。シール表面プレート4325は、アウターロータ4310の外側軸方向表面4335に位置する成形特徴部によって成形される。非限定的実施形態では、バッキングプレート4320は、ハウジング4340と同様の熱膨張係数を有する材料から作られる。したがって、ハウジングの温度が変化するとき、シール表面プレート4325のシール表面と、アウターロータ4310の軸方向外向き表面4335上に位置する対応する成形特徴部との間の距離は、ほぼ同じままである。
【0194】
非限定の例示的実施形態では、バッキングプレート4320及びハウジング4340はアルミニウムで作られ、成形可能部材4325はPTFEから作られる。
【0195】
図44に示される非限定の例示的実施形態では、ポートプレート4415は、軸方向に移動でき、アウターロータ4410から離れる方向に軸方向に移動するようにバネ4420を介して付勢される。チャネル4425内の加圧流体は、ポートプレート4415とハウジング4435との間のチャンバ4430内に流入し、ポートプレート4415をピストンとして作用させ、アウターロータ4410に向かって軸方向に移動させる。非限定の例示的実施形態では、チャンバ4430に供給される加圧流体は、外部空気圧縮機又は外部圧縮空気リザーバのような外部ソースによって、又は装置の出力によって生成される圧力によって供給される。これにより、軸方向位置の制御、ひいてはポートプレート4415の成形が可能となる。
【0196】
非限定的実施形態では、流体チャンバ4430は、排出ポートのような機械の高圧領域と連通しており、これにより、排出ポートが入口ポートと比較して高い圧力にあり、したがって追加のシールが必要とされる場合、チャンバ4430は、ポートプレート4415の反対側の平均圧力よりも大きな圧力を受け、バネ4420によって提供される力に打ち勝ち、ポートプレートをアウターロータ4410に向けて移動させる。
【0197】
図45に示すように、ポートプレート4515は、シール4570及び4590の第1の対と、シール4545及び4595の第2の対を備えたハウジング4575内に、アウターロータから最も遠いポートプレートの側の使用圧にさらされる断面積が、アウターロータ4530の外向き軸方向端部に対してシールするポートプレート4515の側の使用圧にさらされる断面積よりも大きくなるように配置される。ポート4580は、シール4570とシール4545との間の領域を作動流体の使用圧より低い圧力に維持するために使用され得、ポート4585は、シール4590とシール4595との間の領域を作動流体の使用圧より低い圧力に維持するために使用され得る。
【0198】
図45では、ポート4535は、アウターロータ内のポート及びポートプレート4515内の通路を通過する流体と連通するように配置されている。動作中、ポートプレートはアウターロータ4530に向かう矢印4550で示される方向に正味の力(net force)を受ける。
【0199】
他の非限定的実施形態では、バネは、ポートプレートをアウターロータに向かって押すように方向付けられ得、バッキング圧力室又は軸方向ネジは必要ない。
【0200】
図44に戻ると、「トップアウト」特徴部4440が、ポートプレート4415に作用するチャンバ4430内の加圧流体、又はバネが圧力チャンバの代わりに使用される場合には実施形態のバネが、シーリングプレート4445の表面がアウターロータの成形特徴部によって切削又は摩耗又は成形された後であっても、ポートプレート4415を所定の軸方向位置よりもアウターロータ4410に向かってさらに押すことを防止するために使用され得る。この追加的な動きは、ポートプレート4415とトップアウト特徴部4440との間の接触によって防止され、このトップアウト特徴部はハウジング4435の特徴部又は装置の他のコンポーネントの特徴部であり得る。さらに、特徴部4450は、バネ4435がポートプレート4415を所定の軸方向位置を超えてアウターロータ4410から離れる方向に押すのを防止する。この追加的な動きは、ハウジング4435の特徴部又は装置の他のコンポーネントの特徴部であり得るトップアウト特徴部4450とポートプレート4415との間の接触によって防止される。
【0201】
起動時にそれらを分離するために過剰なトルクを必要とするアウターロータ4410へのポートプレート4415の凍結を防止又は低減するために、装置が動作していない時に、ポートプレート4415とアウターロータ4410が分離することが望ましい場合がある。チャンバ4430が外部圧力供給で加圧されている実施形態では、装置が動作していないときに外部圧力供給を切断することは、圧力の力がバネに対向しないので、この分離を達成する。チャンバ4430が装置の吐出圧力を使用して加圧されている実施形態では、装置が動作していないときにチャンバ4430が減圧され、圧力の力がバネに対向しないので、分離が生じる。この実施形態では、このギャップがあっても、装置が動作を開始したときに、ポートプレート4415がアウターロータ4410を成形する又はそのトップアウト位置に達するように、装置がチャンバ4430内でバネに対向するのに十分な圧力を蓄積するのに十分にシールするように、この分離を十分に小さく保つことが望ましい。妥当な分離範囲は0.002-0.004インチであり、発明者はこれでも十分な圧力の蓄積を可能にすると考えているが、より高いギャップもまた、様々な構成(例えば、より大きな装置の場合)で機能し得る。
【0202】
図4は、機械の吸入側と排出側を示す。非限定の例示的実施形態では、ポートプレート位置は、ハウジングにねじ込み、アウターロータに向かって軸方向にポートプレートに力を加えてポートプレートの位置を規定する3つの調整ネジ0415を介して調整され得る。ポートプレートをアウターロータから離れる方向に押すバネは、ポートプレートが3つの調整ネジと完全に接触していることを確実にする反対の力を提供する。
【0203】
-----------------圧縮除去流路----------------------
【0204】
アウターロータ突出部の先頭エッジ又は後続エッジがインナーロータ突出部の対応する表面に接触すると、それぞれの突出部の湾曲表面は、上死点近くに、ここでは二次チャンバと呼ばれる追加のシールされたチャンバを形成し得る。これらの二次チャンバがシールされ、その結果、その空間内の流体の無駄な圧縮又は減圧が生じることを防止するために、流路が、これらの二次チャンバを吸入ポートのようなポートに接続するように配置され得る。流路は、例えば、アウターロータの内向き軸方向エンドプレート内、アウターロータの内向き突出部の接触表面内、又はインナーロータの外向き突出部内に位置することができる。
図46に示す例では、非シール部分4615は、アウターロータフィン4620の被駆動面に沿って流路を提供して、アウターロータ突出部4620の先端4630がインナーロータ表面4635に接触する所と、インナーロータローブ4640の先端がアウターロータフィン表面4645に接触する所の間に形成された非有用な二次チャンバ4625のシールを防止し、それによって、この容積内の流体の不必要な圧縮を回避し、したがって、このエネルギー損失を回避又は低減する。
【0205】
非シール部分4615はまた、
図27及び28に示す実施形態の非シール部分2720によって示されるような追加構成を取り得る。これらの非限定の例示的実施形態では、アウターロータは、アウターロータ突出部の先頭面にポケットを有して、流体が二次チャンバから出て、上記のように望ましくない圧縮を回避することを可能にする流路を提供する。
【0206】
明確にするために、
図27及び
図28の両方の非シール部分に同じ参照番号を使用する。
【0207】
図47に示される別の非限定的実施形態では、流路4715は、二次チャンバ4725からの流れを可能にし、それによって二次チャンバ内の不必要な圧縮を防止する、アウターロータ4710軸方向を向くシール表面4720上に位置する。
図47では、インナーロータ4735及びアウターロータ4710の回転方向は、矢印4730によって示される。
【0208】
----------------デブリ除去-------------------
【0209】
上述したように、実施形態では、軸方向を向く表面の対は、対の一方の表面が他方を成形するように構成される。流体流チャネルは、デブリ除去のためにこれらの表面対を含む任意の1つ以上の界面に流体を供給するために設けられ得る。表面を成形しない実施形態では、流体流チャネルは、冷却のような他の目的のために設けられ得る。
図48に示す非限定的な例示的実施形態では、入口ポート4820は、成形デブリをシール表面から除去して熱の蓄積を防止し、成形プロセスから生成された粒子が成形する又は成形された表面に蓄積すること及び前記表面間のスライド接触を妨げることを防止するように、ポートプレート4815とアウターロータ4810との間の内部機械加工/研磨/成形された表面に機械4800内でルーティングされる圧縮ガスを供給する。供給された圧縮ガスによる経路は、矢印4825によって示される。ボックスとして概略的に示される圧縮機4830からの圧縮ガスは、内側軸チャネル4835に入り、その点で圧縮ガスの第1の部分がアウターロータ4810の流路4895を通り、圧縮ガスがインナーロータ4805とアウターロータ4810との間で生成されたデブリを運ぶことを可能にし、デブリを運ぶ圧縮空気は、
図48のプラグ4855によって塞がれて示されるが、デブリ除去中には抜かれるポート4705を通って出て行く。
【0210】
圧縮ガスの第2の部分は、矢印6120によって示される代替経路を経由して進む。前述の圧縮ガスの第2の部分は、アウターロータ4700の軸のチャネル4835から、アウターロータ4700のシャフトの内軸に位置するチャネル4835からインナーロータ4805の軸のチャネル4650への圧縮ガスの流れを可能にする領域4855へと進む。圧縮ガスは、チャネル4650を通って移動した後、ポート4880を通ってチャネルを出て、インナー及びアウターロータによって生成されたデブリを蓄積する領域4710へと至る。デブリを運ぶ圧縮ガスは、次に、ハウジング4885とアウターロータ7400との間のギャップ4860を通って移動し、ポート4705を通って出て、プラグ4855が取り外されるとき、ポート4705を通って機械4600から離れる。
【0211】
図49に示される非限定的な実施形態では、圧縮ガスは、外部圧縮機4925、例えば空気圧縮機、(ボックスとして概略的に示される)から、ガス入口4930に、矢印6500で示される経路で供給される。次いで、圧縮ガスは、空気入口4930からインナーロータ4905のインナーロータシャフト4906内の流路4935まで移動する。この点で、ガスの第1の部分は、第1のインナーロータシャフトポート6640を経由して流路4935から出て、この経路は矢印6575で示されるが、第2の部分は、流路4935の端部である第2のインナーロータシャフトポート4940に到達するまで、流路4935内を移動し続け、この経路は矢印6570で示される。
【0212】
前述のガスの第1の部分は、ポート6640を通過した後、ガスの第3の部分とガスの第4の部分にさらに分かれる。矢印6615によって示される第3の部分は、それによって、デブリを拾い上げる領域6700を通過し、ポート6605を通って出る。矢印6620によって示される第4の部分は、デブリを蓄積する領域6705を通過し、装置の外部につながるポートプレート6710内のチャネル(
図42に見える排出ポート4225など)を通って移動する前に、アウターロータ4910内のチャネル、矢印6625及び6630によって示される経路を通って続き、それによって、矢印6635によって示される経路である機械からデブリを排出する。
【0213】
次いで、圧縮ガスの第2の部分は、前記第2のインナーロータシャフトポート4940、矢印4945によって示される経路を通って進む。圧縮ガスがポート4940から出て、デブリを生成する領域であるシール4950(アウターロータ4910の軸方向シール表面とインナーロータ4905の軸方向シール表面との間、矢印6610で示される経路のこの部分)、及びデブリを蓄積する領域でもある領域4955を通過するとき、バルク圧縮ガスは、ハウジング6545上に位置するポート4965を通ってデブリを機械から運び出し、経路のこの部分は、矢印6515によって示される。圧縮ガスは、また、圧縮機4925から機械7000の入口ポート5115(
図51に示す)に供給され得、これにより、ガスは、機械7000のインナーロータ4905とアウターロータ4910との間に形成されたチャンバを通って進み、排出ポート5120を通って排出され、それによって、チャンバから機械7000の外にデブリを運び出す。
【0214】
図50及び51に示される非限定的な実施形態では、外部ガス圧縮機が機械5000の入口ポート5115に接続され、これにより、圧縮ガスがアウターロータ5010及びインナーロータ5005の突出部間に形成されたチャンバに入る。入力シャフト5015が回転されると、圧縮ガスは機械5000を通って移動し、それによって排出ポート5120を通って機械5000からデブリを運び出す。
【0215】
図50の非限定の例によって示されるように、プラグ5025は、成形/慣らしプロセスが完了すると、機械5000のハウジング5030をシールするために使用され得る。他の実施形態では、圧縮ガス以外の流体、例えば、限定されるものではないが水、冷却剤又はアルコールを使用して、デブリを洗い流す及び/又は熱を除去し得る。明確にするために、
図50又は
図51のいずれかで使用される参照番号を、該当する場合には反対の図で再度使用する。異なる界面に流体を供給する流体供給チャネルは、一緒に接続されても、別々に接続されてもよく、別々の場合には、同じ又は異なる流体を使用してもよい。使用される流体は、容積式装置の作動流体と同じであっても、異なるものであってもよい。流体供給チャネルは、
図48-50に示すように、インナーロータのシャフトを通って示される流路を経由してのような、界面から離れた方向を介して界面に供給する流体チャネルを含み得る。流体流チャネルは、例えば、密着を形成せず、したがって、密着が生じたところから出口に至る界面を介して破片が移動することを可能にする界面を形成する表面のくぼみのように、界面内に供給されてもよい。
【0216】
特許請求の範囲において、「有する」という語は、その包括的な意味で使用され、他の要素が存在することを排除しない。請求項の特徴の前の不定冠詞「1つの(「a」及び「an」)」は、複数の特徴が存在することを除外しない。ここに記載された個々の特徴のそれぞれは、1つ又は複数の実施形態で使用することができ、ここに記載されていることのみによって、請求項によって定義されるすべての実施形態に不可欠であると解釈されるものではない。
【国際調査報告】