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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】医療用ストレッチャー
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/003 20060101AFI20240524BHJP
   A61G 1/02 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
A61G1/003 701
A61G1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508047
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 CN2021118220
(87)【国際公開番号】W WO2022262131
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110679023.X
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523039961
【氏名又は名称】佳泰康医療設備(広州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】JTK MEDICAL EQUIPMENT (GUANGZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】307 Workshop No.8,3rd of No.33,Fenghuang 5th Road,Huangpu District,Guangzhou,Guangdong 510700,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 敏
(72)【発明者】
【氏名】汪 雪華
(57)【要約】
本願は、ボディ及びボディに取り付けられた移動ベッド板機構を備える医療用ストレッチャーであって、移動ベッド板機構は上層ベッド板、駆動ローラ、搬送ベルト及び取付座を含み、上層ベッド板は取付座に取り外し可能に接続され、駆動ローラは取付座に回転可能に接続され、搬送ベルトは駆動ローラ及び上層ベッド板外に嵌着され且つ駆動ローラ及び上層ベッド板により緊張され、駆動ローラは両端にクラッチ機構によって第2駆動機構が取り外し可能に接続され且つ第2駆動機構の駆動下で回転し、取付座には駆動ローラを径方向に制限するための制限部材が設けられ、制限部材と駆動ローラがずれた場合、駆動ローラは取付座から分離して設けることができる、前記医療用ストレッチャーに関する。本願は、クラッチ機構によって第2駆動機構との分離を容易にし、取り外しやすい駆動ローラ及び上層ベッド板を設けることで、搬送ベルトの容易な取り外し、交換及び洗浄を実現する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ及びボディに取り付けられた移動ベッド板機構(3)を備える医療用ストレッチャーであって、前記移動ベッド板機構(3)は、上層ベッド板(32)、駆動ローラ(33)、搬送ベルト(35)及び取付座(34)を備え、
前記上層ベッド板(32)は取付座(34)に取り外し可能に接続され、
前記駆動ローラ(33)は取付座(34)に回転可能に接続され、
前記搬送ベルト(35)は、駆動ローラ(33)及び上層ベッド板(32)外に嵌着され、且つ駆動ローラ(33)及び上層ベッド板(32)により緊張され、
前記駆動ローラ(33)は、両端にクラッチ機構(6)によって第2駆動機構(5)が取り外し可能に接続され、且つ第2駆動機構(5)の駆動下で回転し、前記取付座(34)には駆動ローラ(33)を径方向に制限するための制限部材が設けられ、制限部材と駆動ローラ(33)がずれた場合、前記駆動ローラ(33)は前記取付座(34)から分離して設けることができることを特徴とする
前記医療用ストレッチャー。
【請求項2】
前記移動ベッド板機構(3)は下層ベッド板(31)をさらに備え、前記下層ベッド板(31)の片側が取付座(34)に接続され且つ上層ベッド板(32)の下端に支持され、前記上層ベッド板(32)は同期部材によって下層ベッド板(31)と互いに水平に制限されることを特徴とする
請求項1に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項3】
前記同期部材は断面がT形の異形ボルト(322)であり、前記異形ボルト(322)が上層ベッド板(32)に接続され、前記取付座(34)にT形溝(341)が開設され、前記異形ボルト(322)がT形溝(341)内に位置し且つT形溝(341)により水平に制限されることを特徴とする
請求項2に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項4】
前記T形溝(341)の溝底に嵌合溝が開設され、前記制限部材に位置決めボス(3433)が設けられ、前記位置決めボス(3433)が嵌合溝内に位置し、前記異形ボルト(322)が嵌合溝内に位置する場合、異形ボルト(322)が位置決めボス(3433)の上端に当接されることを特徴とする
請求項3に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項5】
前記制限部材は係止板(343)であり、前記係止板(343)が取付座(34)に回転可能に接続され、前記係止板(343)が駆動ローラ(33)を覆うようにそこに設けられ且つ取付溝(342)と係合して取付キャビティを形成することを特徴とする
請求項1に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項6】
前記係止板(343)は別体で設けられる遮蔽部(3431)と制限部(3432)を備え、前記制限部(3432)が駆動ローラ(33)の両端にそれぞれ1つ設けられ、前記遮蔽部(3431)が2つの前記制限部(3432)間に位置することを特徴とする
請求項5に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項7】
前記クラッチ機構(6)は駆動ローラ(33)の端部に接続される第1クラッチ軸(61)及び自身の軸方向に穿設され且つ取付座(34)に摺動可能に接続される第2クラッチ軸(62)を備え、前記ボディには第2クラッチ軸(62)を摺動させるための第3駆動機構(7)が設けられ、前記第1クラッチ軸(61)と第2クラッチ軸(62)が同軸であり、前記第1クラッチ軸(61)と第2クラッチ軸(62)の対向する一端にいずれも接続ボス(63)が設けられ、前記第1クラッチ軸(61)と第2クラッチ軸(62)が同期して回転する場合、前記第1クラッチ軸(61)の接続ボス(63)が第2クラッチ軸(62)の接続ボス(63)の片側に当接され、前記第2駆動機構(5)が第2クラッチ軸(62)を回転させることを特徴とする
請求項1に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項8】
前記第2駆動機構(5)は、第2クラッチ軸(62)の上方に位置し且つ取付座(34)の摺動方向に延在するラック(52)、及び第2クラッチ軸(62)に沿って周方向に設けられるギア(53)を備え、前記ラック(52)がボディに接続され、前記第2クラッチ軸(62)が取付座(34)に摺動した場合、前記第2クラッチ軸(62)が常にギア(53)とラック(52)によって噛合状態に維持されていることを特徴とする
請求項7に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項9】
前記第3駆動機構(7)は、ボディに回転可能に接続される回動板(71)、回動板(71)を回転させる駆動部材、及び第2クラッチ軸(62)を第1クラッチ軸(61)から離れるように駆動するための弾性部材(72)を備え、前記回動板(71)が取付座(34)の摺動方向に延在し、前記第2クラッチ軸(62)の一端が取付座(34)に露出し、前記弾性部材(72)が第2クラッチ軸(62)と取付座(34)との間に位置することを特徴とする
請求項7に記載の医療用ストレッチャー。
【請求項10】
前記取付座(34)内に取付溝(342)が設けられ、前記駆動ローラ(33)が取付溝(342)内に配置され且つそこに回転可能に接続され、取付キャビティの内壁に少なくとも3つの制限ロール群が回転可能に接続され、前記制限ロール群は全て駆動ローラ(33)に沿って周方向に配列され、前記制限ロール群は駆動ローラ(33)に沿って軸方向に配列される複数の制限ロール(345)を備え、前記制限ロール(345)及び駆動ローラ(33)がそれぞれ搬送ベルト(35)の両面に当接されることを特徴とする
請求項1に記載の医療用ストレッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月18日に中国特許局に提出された、出願番号「202110679023.X」、発明の名称「医療用ストレッチャー」の中国特許出願の優先権を主張する。
本願は、医療用補助搬送機器に関し、特に医療用ストレッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ストレッチャーは、患者のベッド間での移送、患者の手術台から病室への移送及びその救急車からの移送のための専門医療用ベッドである。ストレッチャーの応用により、患者を手術後に手術台から病室に移送する困難が解決され、従来の手動持ち上げによる患者移送が患者に与える苦痛及びその困難が軽減されるため、これは病院に必須の医療用機器である。
【0003】
医療用ストレッチャーの関連技術では、主に移動用のボディ及び患者の横方向移動による搬入出用の移動ベッド板機構を含み、移動ベッド板機構は主に第1駆動機構の駆動下で横行可能なベッド板を含む。患者が容易に元の患者ベッドからベッド板に移動できるように、移動ベッド板機構は搬送ローラ及び搬送ローラとベッド板外に嵌着されて緊張された搬送ベルトが設けられることが多く、搬送ベルトが搬送ローラの回転により搬送ローラ及びベッド板回りに循環的に回転する。患者を元の患者ベッドからストレッチャーに移送する必要がある場合、第1駆動機構の駆動によってベッド板を患者と元の患者ベッドとの間に横行させ、この動作の間に、搬送ローラは搬送ベルトを回転させ、搬送ベルトと患者の体との間の摩擦力によって患者をベッド板に移動させた後、最終的に第1駆動機構によって反転駆動を行い、ベッド板をボディに横行するように復帰させると、患者の移転が完了される。
【0004】
しかし、搬送ベルトは患者の体に直接接触するため、表面に血痕、薬物等の汚れが付きやすく、既存の医療用ストレッチャーでは、搬送ベルトの取り外しが不便で、ベルト表面の汚れの洗浄が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本開示は医療用ストレッチャーを提供し、その技術的解決手段は以下のとおりである。
【0006】
ボディ及びボディに取り付けられた移動ベッド板機構を備える医療用ストレッチャーであって、前記移動ベッド板機構は上層ベッド板、駆動ローラ、搬送ベルト及び取付座を備え、前記上層ベッド板が取付座に取り外し可能に接続され、前記駆動ローラが取付座に回転可能に接続され、前記搬送ベルトが駆動ローラ及び上層ベッド板外に嵌着され且つ駆動ローラ及び上層ベッド板により緊張され、前記駆動ローラは両端にクラッチ機構によって第2駆動機構が取り外し可能に接続され、且つ第2駆動機構の駆動下で回転し、前記取付座に駆動ローラを径方向に制限するための制限部材が設けられ、制限部材と駆動ローラがずれた場合、前記駆動ローラは前記取付座から分離して設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施可能な形態において、前記移動ベッド板機構は下層ベッド板をさらに備え、前記下層ベッド板の片側が取付座に接続され且つ上層ベッド板の下端に支持され、前記上層ベッド板が同期部材によって下層ベッド板と互いに水平に制限される。
【0008】
一実施可能な形態において、前記同期部材は断面がT形の異形ボルトであり、前記異形ボルトが上層ベッド板に接続され、前記取付座にT形溝が開設され、前記異形ボルトがT形溝内に位置し且つT形溝により水平に制限される。
【0009】
一実施可能な形態において、前記T形溝の溝底に嵌合溝が開設され、前記制限部材に位置決めボスが設けられ、前記位置決めボスが嵌合溝内に位置し、前記異形ボルトが嵌合溝内に位置する場合、異形ボルトが位置決めボスの上端に当接される。
【0010】
一実施可能な形態において、前記制限部材は係止板であり、前記係止板が取付座に回転可能に接続され、前記係止板が駆動ローラを覆うようにそこに設けられ且つ取付溝と係合して取付キャビティを形成する。
【0011】
一実施可能な形態において、前記係止板は別体で設けられる遮蔽部と制限部を備え、前記制限部が駆動ローラの両端にそれぞれ1つ設けられ、前記遮蔽部が2つの前記制限部間に位置する。
【0012】
一実施可能な形態において、前記クラッチ機構は駆動ローラの端部に接続される第1クラッチ軸及び自身の軸方向に穿設され且つ取付座に摺動可能に接続される第2クラッチ軸を備え、前記ボディに第2クラッチ軸を摺動させるための第3駆動機構が設けられ、前記第1クラッチ軸と第2クラッチ軸が同軸であり、前記第1クラッチ軸と第2クラッチ軸の対向する一端にいずれも接続ボスが設けられ、前記第1クラッチ軸と第2クラッチ軸が同期して回転する場合、前記第1クラッチ軸の接続ボスが第2クラッチ軸の接続ボスの片側に当接され、前記第2駆動機構が第2クラッチ軸を回転させる。
【0013】
一実施可能な形態において、前記第2駆動機構は、第2クラッチ軸の上方に位置し且つ取付座の摺動方向に延在するラック、及び第2クラッチ軸に沿って周方向に設けられるギアを備え、前記ラックがボディに接続され、前記第2クラッチ軸が取付座に摺動した場合、前記第2クラッチ軸が常にギアとラックによって噛合状態に維持されている。
【0014】
一実施可能な形態において、前記第3駆動機構はボディに回転可能に接続される回動板、回動板を回転させる駆動部材及び第2クラッチ軸を第1クラッチ軸から離れるように駆動するための弾性部材を備え、前記回動板が取付座の摺動方向に延在し、前記第2クラッチ軸の一端が取付座に露出し、前記弾性部材が第2クラッチ軸と取付座との間に位置する。
【0015】
一実施可能な形態において、前記取付座内に取付溝が設けられ、前記駆動ローラが取付溝内に配置され且つそこに回転可能に接続され、前記取付キャビティの内壁に少なくとも3つの制限ロール群が回転可能に接続され、前記制限ロール群が全て駆動ローラに沿って周方向に配列され、前記制限ロール群は駆動ローラに沿って軸方向に配列される複数の制限ロールを備え、前記制限ロール及び駆動ローラがそれぞれ搬送ベルトの両面に当接される。
【0016】
従来技術に比べ、本願の医療用ストレッチャーは以下の有益な効果を有する
1.駆動ローラはクラッチ機構によって第2駆動機構と分離可能であり、且つ制限部材を設けることで、駆動ローラは取付座から直接取り出すことができ、上層ベッド板と取付座を取り外し可能に接続することで、駆動ローラ及び上層ベッド板外に嵌着される搬送ベルトは全体として取り出すことができ、交換及び洗浄に便宜を与える。
【0017】
2.下層ベッド板を設けることで、上層ベッド板を支持し、上層ベッド板の取付及び患者移転時の安定性が向上する。
【0018】
3.異形ボルト及びT形溝を設けることで、上層ベッド板を取り付ける際に、異形ボルトをT形溝内に配置し、そして上層ベッド板を下層ベッド板に乗り上げるだけで、上層ベッド板と下層ベッド板の制限及び同期摺動を実現することができ、上層ベッド板の取付及び取り外しの利便性が向上する。
【0019】
4.位置決めボスと異形ボルトの係合により、上層ベッド板が下層ベッド板に取り付けられた場合、異形ボルトは位置決めボスを制限することができ、それによって使用中の制限部は開放できなくなり、駆動ローラの取付キャビティ内での安定的な回転が維持される。
【0020】
5.取付座に回転可能に接続される係止板を設けることで、駆動ローラを着脱する際に、係止板を回転させるだけで、駆動ローラを取付座から分離することができる。
【0021】
6.遮蔽部と制限部を別体で設けることで、上層ベッド板は使用中でも、遮蔽部を開くことで駆動ローラを清掃することができ、操作しやすい。
【0022】
7.制限ロール群を設けることで、駆動ローラの回転安定性を向上させ、且つ駆動ローラの力変形を低減できる。
【0023】
8.第1クラッチ軸と第2クラッチ軸との接続ボスを設けることで、駆動ローラと第2駆動機構の接続及び分離を容易にし、駆動ローラを取り外す利便性を向上させる。
【0024】
9.第2駆動機構を設けることで、第1駆動機構との連動を実現し、上層ベッド板が水平に摺動する場合、回動板によって第2クラッチ軸を摺動するように押動するだけで、駆動ローラの回転への制御を実現でき、制御しやすくて第2駆動源が節約される。
【0025】
10.第3駆動機構を設けることで、第2クラッチ軸に対する駆動制御が容易になる。
【0026】
したがって、本願は搬送ベルトの取り外し、洗浄が容易である等の特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願で提供される医療用ストレッチャーの初期状態での全体構造模式図である。
図2】本願で提供される医療用ストレッチャーの移動ベッド板機構の構造分解模式図である。
図3】本願で提供される医療用ストレッチャーのクラッチ機構における構造模式図である。
図4】本願で提供される医療用ストレッチャーの移動ベッド板機構が外へ摺動する状態での全体構造模式図である。
図5図2中のAにおける局所拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の目的、特徴、利点をより明確に且つ分かりやすくするために、以下において本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、当然ながら、説明される実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【実施例
【0029】
図1から図5は本願で提供される医療用ストレッチャーの実施例を示す。
【0030】
図1を参照すると、医療用ストレッチャーはボディ及びボディに取り付けられた移動ベッド板機構3を備え、ボディは移動フレーム1、及び移動ベッド板機構3を取り付けるためのベッド台座2を備え、移動フレーム1の下端にボディ移動用のキャスター11が取り付けられ、移動フレーム1内にベッド台座2の高さを垂直に調節する調節機構が設けられる(図示せず)。移動ベッド板機構3はベッド台座2に対して往復して水平に横行可能である。
【0031】
使用時、ボディをキャスター11によって患者のいる元の患者ベッドの片側に移動させた後、まず、移動ベッド板機構3が元の患者ベッドの上面よりやや高くなるように、調節機構によってベッド台座2の高さを調節し、次に移動ベッド板機構3を患者の体と元の患者ベッドとの間に水平に横行させ、患者を移動ベッド板機構3に移転し、最後に移動ベッド板機構3をベッド台座2まで横行するように復帰させると、患者の移転が完了する。
【0032】
図2及び図3を参照すると、移動ベッド板機構3は下層ベッド板31、上層ベッド板32、駆動ローラ33、取付座34、搬送ベルト35、上層ベッド板32及び下層ベッド板31を水平に摺動させるための第1駆動機構4、駆動ローラ33を回転させるための第2駆動機構5、駆動ローラ33と第2駆動機構5を連動させるためのクラッチ機構6を備える。搬送ベルト35が駆動ローラ33及び上層ベッド板32外に嵌着され、且つ駆動ローラ33及び上層ベッド板32により緊張される。
【0033】
駆動ローラ33は表面がゴム材質のゴムローラであり、搬送ベルト35との摩擦力を増大し、搬送の安定性を提供することができる。駆動ローラ33は他の材質で製造してもよく、本願はここで限定しない。
【0034】
図4を参照すると、下層ベッド板31がベッド台座2の上端面に配置される。取付座34が下層ベッド板31の移出方向から離れる側に固定接続され、移出方向は移動ベッド板機構3が元の患者ベッドへ移動する方向である。
【0035】
図4を参照すると、第1駆動機構4は取付座34の両端にそれぞれ1群設けられる。第1駆動機構4はチェーン41、チェーン41と噛合するスプロケット42及びスプロケット42を回転するように駆動するモータ(図示せず)を備え、モータが移動フレーム1内に取り付けられる。取付座34にチェーン連結板346が固設され、チェーン41の両端がそれぞれチェーン連結板346の摺動方向の両端に固定接続される。ベッド台座2の取付座34摺動方向に位置する両端にいずれも1つの支持ホイール21が回転可能に接続され、それによりチェーン41の取付座34に位置する部分は水平に設けられるようになる。モータがスプロケット42を回転するように駆動した場合、チェーン41が作動し、それにより取付座34及び下層ベッド板31を水平に摺動させる。
【0036】
図2及び図5を参照すると、上層ベッド板32が下層ベッド板31に乗り上げられ且つ取付座34の片側に位置し、上層ベッド板32が同期部材によって下層ベッド板31と互いに水平に制限され、且つ水平同期摺動の状態に維持される。
【0037】
取付座34の両端位置にいずれも水平断面がT形のT形溝341が開設される。上層ベッド板32の取付座34に向かっている一端の底部に接続ブロック321が固設され、同期部材は水平断面がT形の異形ボルト322であり、異形ボルト322が水平に穿設され且つ接続ブロック321に螺合され、接続しやすく、且つ異形ボルト322と接続ブロック321の螺合関係によって駆動ローラ33と上層ベッド板32との間隔を調節し、それにより搬送ベルト35の緊張度を調節することができる。
【0038】
上層ベッド板32が下層ベッド板31に乗り上げられた場合、異形ボルト322がT形溝341内に位置し、これによって上層ベッド板32は下層ベッド板31に対して水平に制限され、同期摺動の状態に維持される。
【0039】
上層ベッド板32を取り外す際に、上層ベッド板32を水平状態で上に持ち上げ、異形ボルト322をT形溝341内から離脱させればよく、搬送ベルト35の上層ベッド板32からの取出しが容易である。
【0040】
図5を参照すると、取付座34内に断面が半円形の取付溝342が開設され、駆動ローラ33は取付溝342内に配置され且つ取付溝342内で自身の軸線に沿って回転することができる。
【0041】
図3及び図5を参照すると、取付座34に駆動ローラ33を径方向に制限するための制限部材が設けられ、本実施例において、制限部材は係止板343とし、係止板343が取付座34に回転可能に接続され取付溝342の上方に位置する。
【0042】
係止板343は遮蔽部3431及び2つの制限部3432を備え、遮蔽部3431と2つの制限部3432は別体で設けられ、独立して回転可能であり、係止板343が駆動ローラ33の上方までそれを覆うように回転した場合、係止板343と取付溝342は係合して取付キャビティを形成する。2つの制限部3432は駆動ローラ33の両端に位置し且つ駆動ローラ33の端部位置にそれを覆うように設けられ、それらは駆動ローラ33を取付溝342内に制限するためのものであり、駆動ローラ33を取り出す必要がある場合、制限部3432を取付座34に対して回転させて取付溝342を開けばよく、操作しやすい。遮蔽部3431は駆動ローラ33の中間部分にそこを覆うように設けられ、塵埃等の異物が取付溝342内に入って、駆動ローラ33の回転を妨害するのを防止でき、遮蔽部3431は独立して開かれるものであり、駆動ローラ33の清掃を容易にする。
【0043】
図5を参照すると、取付キャビティの内壁に少なくとも3つの制限ロール群が回転可能に接続され、複数の制限ロール群が駆動ローラ33に沿って周方向に等間隔に配列され、駆動ローラ33に対する三点制限が形成され、これによって駆動ローラ33の取付キャビティ内での安定的な回転が維持される。本実施例において、制限ロール群が4つ設けられ、且つそれぞれ駆動ローラ33の上下両側及び水平方向の左右両側に位置し、駆動ローラ33の下側に位置する制限ローラ群は駆動ローラ33を同時に支持し、駆動ローラ33の変形を防止することができる。制限ロール群は駆動ローラ33に沿って軸方向に配列される複数の制限ロール345を備え、搬送ベルト35が駆動ローラ33外に嵌着された場合、搬送ベルト35は駆動ローラ33と制限ロール345との間を通過し、制限ロール345は搬送ベルト35と駆動ローラ33との間の摩擦力をさらに増大させる。
【0044】
図3を参照すると、T形溝341の溝底に嵌合溝が開設され、制限部3432のT形溝341に向かっている側に位置決めボス3433が一体的に接続され、位置決めボス3433が嵌合溝内に位置する。上層ベッド板32が下層ベッド板31に乗り上げられ、且つ下層ベッド板31と互いに水平に制限された場合、異形ボルト322はT形溝341内に位置し且つ位置決めボス3433の上端面に当接され、これによって制限部3432は回転による開放ができなくなり、さらに駆動ローラ33は制限部3432により取付溝342内に安定して位置決めされる。
【0045】
搬送ベルト35を交換する必要がある場合、係止板343を開き、クラッチ機構6によって第2駆動機構5との接続を解除すれば、駆動ローラ33を取付溝342から取り出すことができ、搬送ベルト35の交換が容易である。
【0046】
図3及び図5を参照し、クラッチ機構6は駆動ローラ33の端部に一体成形された第1クラッチ軸61及び自身の軸方向に穿設され且つ取付座34に摺動可能に接続される第2クラッチ軸62を備え、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62が同軸であり、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62の対向する一端にいずれも接続ボス63が設けられる。
【0047】
ボディに第2クラッチ軸62を摺動させるための第3駆動機構7が設けられ、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62が同期して回転する場合、第3駆動機構7は第1クラッチ軸61を第2クラッチ軸62の方向に摺動するように押動し、第1クラッチ軸61の接続ボス63と第2クラッチ軸62の接続ボス63を互いに係合させて周方向の制限作用を発揮させ、伝動を実現する。駆動ローラ33を回転させる必要がない場合、第3駆動機構7は第1クラッチ軸61を第2クラッチ軸62から離れる方向に摺動させ、第1クラッチ軸61の接続ボス63を第2クラッチ軸62の接続ボス63から離脱させ、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62を分離させ、それにより駆動ローラ33の取付溝342内からの取出しを容易にする。
【0048】
図3及び図5を参照し、第2駆動機構5は、第2クラッチ軸62の上方に位置し且つ取付座34の摺動方向に延在するラック52、及び第2クラッチ軸62に沿って周方向に設けられるギア53を備える。ラック52の両端がベッド台座2に固定接続される。第2クラッチ軸62におけるギア53の幅はラック52の幅と第2クラッチ軸62の摺動距離とを加算した合計長さ以上にし、それにより第2クラッチ軸62が取付座34に摺動した場合、第2クラッチ軸62は常にギア53とラック52によって噛合状態に維持可能である。第1駆動機構4が取付座34及び第2クラッチ軸62を水平に摺動させる場合、第2クラッチ軸62がギア53とラック52の係合によって常に回転状態に維持されている。
【0049】
図3を参照し、第3駆動機構7はボディに回転可能に接続される回動板71、回動板71を回転させる駆動部材(図示せず)及び第2クラッチ軸62を第1クラッチ軸61から離れるように駆動するための弾性部材72を備える。
【0050】
第2クラッチ軸62の一端が取付座34を通過し且つそこに露出し、且つ第2クラッチ軸62の端部に復帰用凸輪621が一体成形されている。弾性部材72が取付座34に固定接続され、弾性部材72はばね又はゴム等の弾性材料で製造された弾性層であってもよく、本実施例ではばねを例にして説明し、ばねの一端が復帰用凸輪621に当接され、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62が噛合した場合、ばねは受力して圧縮状態になる。
【0051】
回動板71は回転軸711によってベッド台座2に回転可能に接続され、回転軸711は回動板71の第2クラッチ軸62から離れる側に位置する。回動板71が取付座34の摺動方向に延在し、取付座34の全摺動位置を覆い、それによって取付座34がどこまで摺動しても、回動板71は回転して第2クラッチ軸62を、第1クラッチ軸61の方向に摺動してそれと噛合するように押動することができる。
【0052】
回動板71を回転させる駆動部材は従来技術に属し、駆動シリンダ又はクランクスライダ構造によって実現可能であるが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
調節機構は従来技術に属し、ベッド台座2と移動フレーム1との間の距離を調節するためのものであり、スクリュースライダ構造又は油圧シリンダ等の構造で駆動することで、ベッド台座2の昇降を実現することができ、これによってベッド台座2及び移動ベッド板機構3は異なる高さの元の患者ベッドに適応して移転動作を完了することができるが、本願はここでの詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施例の具体的な実施原理は以下のとおりである。
【0055】
使用時、ベッド台座2を移動フレーム1によって元の患者ベッドの片側に移動させ、調節機構によってベッド台座2を適当な高さに調節し、下層ベッド板31の下面と元の患者ベッドの上面を面一にする。
【0056】
続いてモータによってスプロケット42を駆動してチェーン41を作動させ、取付座34を水平に摺動させ、取付座34が下層ベッド板31を水平に外へ摺動させ、上層ベッド板32が異形ボルト322と取付座34のT形溝341との係合によって同期運動を実現し、それによって上層ベッド板32及び下層ベッド板31は両方とも患者の体と元の患者ベッドの上面との間に移動する。上層ベッド板32が患者の体と元の患者ベッドとの間に移動する過程で、第2クラッチ軸62はギア53と上方のラック52との係合によって、自身の軸線に沿って取付座34の方向に持続的に回転し、この場合、回動板71の回転によって、第2クラッチ軸62を第1クラッチ軸61と噛合するまで押動し、第1クラッチ軸61が駆動ローラ33を回転させ、駆動ローラ33が搬送ベルト35を上層ベッド板32の移動方向と反対する方向に引っ張ることで、搬送ベルト35は、患者の体との間の摩擦力により、患者の体をより容易に上層ベッド板32に移動可能になる。患者の体が完全に上層ベッド板32に移転された場合、第1駆動機構4によって上層ベッド板32及び下層ベッド板31を駆動してベッド台座2に横行するように復帰させ、この過程で、回動板71の第2クラッチ軸62への付勢を解除し、第2クラッチ軸62が弾性部材72の弾力によって第1クラッチ軸61と分離され、この場合、上層ベッド板32の移動中に、駆動ローラ33と搬送ベルト35は静止状態に維持され、患者の上層ベッド板32上での状態を安定的にし、患者の移転を完了する。
【0057】
搬送ベルト35を取り外して交換するか又は洗浄する際に、まず上層ベッド板32を持ち上げ、異形ボルト322をT形溝341内から離脱させ、次に係止板343を開き、回動板71が付勢していない状態で、第1クラッチ軸61と第2クラッチ軸62は弾性部材72によって常に分離状態に維持されており、駆動ローラ33は取付溝342から直接取り出すことができ、それにより駆動ローラ33及び上層ベッド板32外に嵌着される搬送ベルト35は直接取り出すことができ、交換及び洗浄が容易である。
【0058】
本明細書の説明では、用語の「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」等を参照した説明は、該実施例又は例に基づいて説明した具体的な特徴、構造、材料又は特徴が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることが可能である。また、当業者であれば、本明細書に記載の異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を矛盾することなく結合又は組み合わせることができる。
【0059】
また、用語の「第1」、「第2」等は目的を説明するためのものに過ぎず、相対的重要性を指示又は暗示したり、指示される技術特徴の数量を暗示したりするものと理解してはならない。従って、「第1」、「第2」と限定される特徴は少なくとも1つの該特徴を含むことを明示又は暗示することが可能である。本願の記載では、明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」は2つ又は2つ以上を意味する。
【0060】
以上は本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲がそれに限定されるものでなく、本願に記載された技術範囲内に当業者に容易に想到され得る変化又は置換は、全て本願の保護範囲に含まれるものとする。従って、本願の保護範囲は請求項の保護範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0061】
1:移動フレーム
11:キャスター
2:ベッド台座
21:支持ホイール
3:移動ベッド板機構
31:下層ベッド板
32:上層ベッド板
321:接続ブロック
322:異形ボルト
33:駆動ローラ
34:取付座
341:T形溝
342:取付溝
343:係止板
3431:遮蔽部
3432:制限部
3433:位置決めボス
345:制限ロール
346:チェーン連結板
35:搬送ベルト
4:第1駆動機構
41:チェーン
42:スプロケット
5:第2駆動機構
52:ラック
53:ギア
6:クラッチ機構
61:第1クラッチ軸
62:第2クラッチ軸
621:復帰用凸輪
63:接続ボス
7:第3駆動機構
71:回動板
711:回転軸
72:弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】