(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】圧電センサ、その作製方法及び触覚フィードバック装置
(51)【国際特許分類】
H10N 30/079 20230101AFI20240524BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20240524BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20240524BHJP
G01L 1/16 20060101ALI20240524BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H10N30/079
H10N30/30
H10N30/853
G01L1/16 A
G01L1/16 B
H03H9/17 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523582
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2021096891
(87)【国際公開番号】W WO2022246821
(87)【国際公開日】2022-12-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】陳 右儒
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA09
5J108CC12
5J108HH03
5J108KK01
(57)【要約】
本開示は、圧電センサ、その作製方法及び触覚フィードバック装置を提供する。前記圧電センサは、ベース基板、及び前記ベース基板から順次に離間して設けられた第1電極層、圧電薄膜層、絶縁層及び第2電極層を含み、前記絶縁層は、前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触することにより、圧電センサの短絡を回避し、製品の歩留まりを向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電センサであって、
ベース基板、及び前記ベース基板から順次に離間して設けられた第1電極層、圧電薄膜層、絶縁層及び第2電極層を含み、
前記絶縁層は、前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する
圧電センサ。
【請求項2】
前記圧電薄膜層の前記ベース基板から離れた側に少なくとも1つの中空構造を含み、
それぞれの前記中空構造内に前記絶縁層が充填されている
請求項1に記載の圧電センサ。
【請求項3】
前記ベース基板での前記絶縁層の正射影は、前記ベース基板での前記圧電薄膜層の正射影の領域範囲内に完全に収まる
請求項1又は2に記載の圧電センサ。
【請求項4】
前記ベース基板での前記絶縁層の正射影とベース基板での前記圧電薄膜層の正射影は、互いにオーバーラップする
請求項1又は2に記載の圧電センサ。
【請求項5】
前記絶縁層は、ポリイミド、シリカ、アルミナのうちの少なくとも1つを含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項6】
前記絶縁層と前記圧電薄膜層との間の厚さ関係は、以下の関係式を満たし、
d
PI≦0.1*d
PZT
d
PIは、前記絶縁層の厚さを表し、d
PZTは、前記圧電薄膜層の厚さを表す
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項7】
前記絶縁層の厚さ範囲は、[50nm,200nm]である
請求項1から6のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項8】
前記圧電薄膜層の厚さ範囲は、(0,2μm]である
請求項1から7のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項9】
前記圧電薄膜層と前記絶縁層と間のキャパシタンス関係は、以下の関係式を満たし、
C
PI≧100C
PZT
C
PIは、前記圧電薄膜層のキャパシタンスを表し、C
PZTは、前記絶縁層のキャパシタンスを表す
請求項1から8のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項10】
前記圧電薄膜層と前記絶縁層と間の電気抵抗関係は、以下の関係式を満たし、
R
PI≧1000R
PZT
R
PIは、前記圧電薄膜層の電気抵抗を表し、R
PZTは、前記絶縁層の電気抵抗を表す
請求項1から9のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項11】
前記圧電薄膜層の前記ベース基板から離れた側に親液性材料層が設置されている
請求項1から10のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項12】
前記圧電薄膜層は、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ケイ酸ガリウムランタンのうちの少なくとも1つを含む
請求項1から11のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項13】
前記第1電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第1ポール状構造を有する
請求項1から12のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項14】
前記第2電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第2ポール状構造を有する
請求項1から12のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項15】
前記第1電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第3ポール状構造を有し、前記第2電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第4ポール状構造を有し、前記ベース基板でのいずれかの前記第3ポール状構造の正射影と前記ベース基板でのいずれかの前記第4ポール状構造の正射影は、互いに重ならない
請求項1から12のいずれか1項に記載の圧電センサ。
【請求項16】
触覚フィードバック装置であって、
触覚フィードバック回路、及び、請求項1から15のいずれか1項に記載の圧電センサを含み、
前記触覚フィードバック回路は、前記第2電極層の前記第1電極層から離れた側に位置し、又は、前記第1電極層の前記第2電極層から離れた側に位置し、
前記触覚フィードバック回路は、構造体に振動を発生させるように、受信した命令に基づいて電圧パルスを発生するために用いられる
触覚フィードバック装置。
【請求項17】
圧電センサの作製方法であって、
ベース基板上に第1電極層を形成することと、
前記第1電極層の前記ベース基板から離れた側に圧電薄膜層を形成することと、
前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することと、
前記絶縁層の前記圧電薄膜層から離れた側に第2電極層を形成することと、を含む
圧電センサの作製方法。
【請求項18】
前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することは、
湿式法プロセスを採用して、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側にポリイミド材料を塗布することと、
前記ポリイミド材料を高温硬化し、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することと、を含む
請求項17に記載の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ技術分野に関し、特に、圧電センサ、その作製方法及び触覚フィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
触覚フィードバック(Haptics)は、現在の科学技術開発の重要なポイントであり、具体的に、触覚フィードバックは、触覚によって、端末に人体とインタラクションを発生させることができる。触覚フィードバックは、振動フィードバックと触覚再生技術的2種類に分けることができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、圧電センサ、その作製方法及び触覚フィードバック装置を提供し、具体な技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0004】
本開示の実施例は、圧電センサを提供し、該圧電センサは、
ベース基板、及び前記ベース基板から順次に離間して設けられた第1電極層、圧電薄膜層、絶縁層及び第2電極層を含み、ここで、前記絶縁層は、前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する。
【0005】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層の前記ベース基板から離れた側に少なくとも1つの中空構造を含み、
それぞれの前記中空構造内に前記絶縁層が充填されている。
【0006】
選択可能に、本開示の実施例では、前記ベース基板での前記絶縁層の正射影は、前記ベース基板での前記圧電薄膜層の正射影の領域範囲内に完全に収まる。
【0007】
前記ベース基板での前記絶縁層の正射影とベース基板での前記圧電薄膜層の正射影は、互いにオーバーラップする。
【0008】
選択可能に、本開示の実施例では、前記絶縁層は、ポリイミド、シリカ、アルミナのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
選択可能に、本開示の実施例では、前記絶縁層と前記圧電薄膜層との間の厚さ関係は、以下の関係式を満たし、
dPI≦0.1*dPZT
dPIは、前記絶縁層の厚さを表し、dPZTは、前記圧電薄膜層の厚さを表す。
【0010】
選択可能に、本開示の実施例では、前記絶縁層の厚さ範囲は、[50nm,200nm]である。
【0011】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層の厚さ範囲は、(0,2μm]である。
【0012】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層と前記絶縁層と間のキャパシタンス関係は、以下の関係式を満たし、
CPI≧100CPZT
CPIは、前記圧電薄膜層のキャパシタンスを表し、CPZTは、前記絶縁層のキャパシタンスを表す。
【0013】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層と前記絶縁層と間の電気抵抗関係は、以下の関係式を満たし、
RPI≧1000RPZT
RPIは、前記圧電薄膜層の電気抵抗を表し、RPZTは、前記絶縁層の電気抵抗を表す。
【0014】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層の前記ベース基板から離れた側に親液性材料層が設置されている。
【0015】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層は、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ケイ酸ガリウムランタンのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
選択可能に、本開示の実施例では、前記第1電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第1ポール状構造を有する。
【0017】
選択可能に、本開示の実施例では、前記第2電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第2ポール状構造を有する。
【0018】
選択可能に、本開示の実施例では、前記第1電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第3ポール状構造を有し、前記第2電極層の前記圧電薄膜層に近い側に複数の第4ポール状構造を有し、前記ベース基板でのいずれかの前記第3ポール状構造の正射影と前記ベース基板でのいずれかの前記第4ポール状構造の正射影は、互いに重ならない。
【0019】
それに対応して、本開示の実施例は、触覚フィードバック装置を提供し、該触覚フィードバック装置は、触覚フィードバック回路、及び、上述したいずれか1項に記載の圧電センサを含み、
前記触覚フィードバック回路は、前記第2電極層の前記第1電極層から離れた側に位置し、又は、前記第1電極層の前記第2電極層から離れた側に位置し、
前記触覚フィードバック回路は、構造体に振動を発生させるように、受信した命令に基づいて電圧パルスを発生するために用いられる。
【0020】
それに対応して、本開示の実施例は、圧電センサの作製方法を提供し、該作製方法は、
ベース基板上に第1電極層を形成することと、
前記第1電極層の前記ベース基板から離れた側に圧電薄膜層を形成することと、
前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することと、
前記絶縁層の前記圧電薄膜層から離れた側に第2電極層を形成することと、を含む。
【0021】
選択可能に、本開示の実施例では、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することは、
湿式法プロセスを採用して、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側にポリイミド材料を塗布することと、
前記ポリイミド材料を高温硬化し、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】関連技術において薄膜振動チップにおける圧電層にクラックが存在する平面構造模式図である。
【
図2】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図3】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図4】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図5】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図6】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図7】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図8】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図9】本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図である。
【
図10】本開示の実施例による触覚フィードバック装置の1つの構造模式図である。
【
図11】本開示の実施例による圧電センサの作製方法の方法フローチャートである。
【
図12】
図11におけるステップS103の1つの方法フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施例の目の、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下は本開示の実施例の図面を参照し、本開示の実施例の技術的解決手段を明確に、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。また、本開示の実施の形態および実施例の特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。説明された本開示の実施例に基づき、当業者の創造的な労働を必要としない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0024】
特に定義しない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、本開示の属する分野において一般なスキルを有する者が理解した一般な意味でなければならない。本願において使用される「含む」又は「含み」等の類似する言語は、該言語の前に出現する素子又は物品が該言語の後に列挙される素子又は物品及びその同等をカバーし、他の素子又は物品を排除しないことを意味する。
【0025】
薄膜圧電材料は高誘電率と透明の特性を有し、スクリーン集積の振動子構造に非常に適し、表面電荷分布が不均一に蓄積され又は電圧が高すぎると、振動子に破壊現象が発生する。例えば、上下電極は、開回路を維持するが、圧電薄膜層構造が破壊される。また例えば、上下電極は、破壊により短絡を発生し、振動子全体の失効を引き起こす。短絡が発生する原因は主にプロセス過程において、微粒子、粒子又は薄膜応力により、圧電薄膜層にクラックが発生することを引き起こす。このクラック状態で、直接電極を圧電薄膜層に堆積すると、高度な短絡リスクを引き起こす。このように、圧電センサの短絡をどのように回避するかは緊急に解決すべき技術的問題となる。
【0026】
関連技術において、
図1は、薄膜振動チップにおける圧電層にクラックが存在する平面構造模式図である。プロセス過程において、微粒子、粒子又は薄膜応力により常に圧電層にクラックが発生することを引き起こし、そして、直接電極を圧電層に堆積すると、該クラックによって薄膜振動チップの短絡を引き起こし、それにより製品の歩留まりを低下させる。
【0027】
これに鑑みて、本開示の実施例は、圧電センサの短絡を回避し、製品の歩留まりを向上させるために、圧電センサ、その作製方法及び触覚フィードバック装置を提供する。
【0028】
図2に示すように、
図2は、本開示の実施例による圧電センサの1つの構造模式図であり、前記圧電センサは、ベース基板1、及び前記ベース基板1から順次に離間して設けられた第1電極層2、圧電薄膜層3、絶縁層4及び第2電極層5を含み、ここで、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の少なくとも一部に接触する。
【0029】
具体な実施過程において、前記ベース基板1は、ガラスで製造された基板であってもよく、またシリコン又はシリカ(SiO2)作制の基板で製造された基板であってもよく、またサファイアで製造された基板であってもよく、また金属ウェハで製造された基板であってもよく、ここで限定せず、当業者は実際の応用需要に応じて前記ベース基板1を設置することができる。
【0030】
具体な実施過程において、前記第1電極層2は酸化インジウムスズ(ITO)で製造されてもよく、酸化インジウム亜鉛(IZO)で製造されてもよく、チタン金(Ti-Au)合金、チタンアルミニウムチタン(Ti-Al-Ti)合金、チタンモリブデン(TiMo)合金のうちの1種で製造されてもよく、また、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、タングステン(W)、クロム(Cr)のうちの1種で製造されてもよく、当業者は実際の応用需要に応じて前記第1電極層2を設置することができ、ここで限定しない。それに応じて、前記第5電極層5も前記第1電極層2と同じ材料で作製することができ、ここでは詳述しない。
【0031】
具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3は、窒化アルミニウム(AlN)、ZnO(酸化亜鉛)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O3、PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)のうちの少なくとも1種であってもよく、このように、前記圧電センサの透明を両立すると同時に、前記圧電センサの振動特性を保証し、具体的には当業者の実際の使用ニーズに応じて前記圧電薄膜層3を作製する材料を選択することができ、ここで限定しない。ここで、PZTを用いて前記圧電薄膜層3を製造する時、PZTは、高い圧電係数を有するため、対応する前記圧電センサの圧電特性を保証し、対応する前記圧電センサを触覚フィードバック装置に応用することができ、且つPZTは、高い透光性を有するため、それを表示装置に集積する時、表示装置の表示品質に影響を与えない。
【0032】
前記圧電薄膜層3と前記第2電極層5との間に位置する前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の少なくとも一部に接触し、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の全部と接触することができ、例えば、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側を完全に覆い、
図2において、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側を完全に覆い、さらに前記圧電薄膜層3の一部に接触することができ、例えば、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3におけるクラック部分のみを充填する。また例えば、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた部分領域内のみに設けられる。
【0033】
具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3全体は、前記第1電極層2の前記ベース基板1から離れた側に設けられてもよく、それにより、前記圧電センサの作製効率を向上させる。また、さらに、必要に応じて前記圧電薄膜層3に対してパターニング処理を行うことができ、例えば、前記第1電極層2の前記ベース基板1から離れた側の領域に前記圧電薄膜層3を設置し、前記圧電センサに対する柔軟な設計を実現することができる。具体な実施過程において、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の少なくとも一部に接触するため、前記圧電薄膜層3にクラックが存在した場合であっても、前記絶縁層4によりクラックを効果的に充填することができ、このように、前記第2電極層5を堆積した後、前記絶縁層4の存在により、前記第2電極層5と前記第1電極層2との間の接触による短絡を回避し、それにより前記圧電センサの短絡リスクを回避し、製品の歩留まりを向上させる。
【0034】
本開示の実施例では、
図3は、前記圧電センサの1つの構造模式図であり、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側に少なくとも1つの中空構造fを含み、それぞれの前記中空構造f内に前記絶縁層4が充填されている。ここで、前記少なくとも1つの中空構造fは一つであってもよく、また複数であってもよい。
図3において、前記少なくとも1つの中空構造fが一つである場合を示し、もちろん他の個数であってもよく、ここでは限定しない。前記中空構造fは、前記圧電薄膜層3に存在するクラックであってもよい。前記中空構造fが複数である場合、それぞれの前記中空構造fのサイズは、等しくなくてもよく、その分布は、実際のプロセス条件に基づいてランダムに分布され得る。
図4に示すように、前記絶縁層4は、それぞれの前記中空構造fを完全に充填し、そして、各前記中空構造fに充填された前記絶縁層4の厚さは、対応する前記中空構造fの深さに等しい。ここで、前記絶縁層4の厚さ方向及び前記中空構造fの深さ方向は、いずれも、前記ベース基板1が位置する平面に垂直な方向であり、ここでいう「等しい」は、完全に等しくなく、略等しく、ほぼ等しい。このように、前記絶縁層4を介して前記圧電薄膜層3における各前記中空構造fを効果的に充填し、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、また、前記絶縁層4が、それぞれの前記中空構造fを完全に充填するため、前記絶縁層4における各前記中空構造fに充填された部分以外の他の部分が、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側を完全に覆う時、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側の面一設置を実現し、後続の前記圧電センサを製造する構造の安定性を保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0035】
本開示の実施例では、
図4及び
図5に示すように、前記ベース基板1での前記絶縁層4の正射影は、前記ベース基板1での前記圧電薄膜層3の正射影の領域範囲内に完全に収まる。具体な実施過程において、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3にクラックが発生しやすい領域のみに設けられてもよく、例えば、前記中空構造fが存在する領域のみに設けられ、前記絶縁層4は、前記中空構造fのみに充填されてもよく、また部分的に前記中空構造fに充填されてもよく、例えば、前記ベース基板1が位置する平面に垂直する方向に沿った前記圧電薄膜層3の全体の厚さはbであり、前記中空構造fの深さはcであり、前記ベース基板1が位置する平面に垂直する方向に沿った前記絶縁層4の厚さはdであり、c≦b且つd≦cである。ここで、
図5に示すように、前記絶縁層4が前記中空構造fを完全に充填する場合、b=c=dである。
図6に示すように、前記絶縁層4が前記中空構造fを部分的に充填する場合、b=c且つd<cである。このように、前記絶縁層4を介して前記圧電薄膜層3上の前記中空構造fを充填し、前記圧電センサの短絡リスクを回避する。
【0036】
本開示の実施例では、
図3に示すように、前記ベース基板1での前記絶縁層4の正射影とベース基板1での前記圧電薄膜層3の正射影は、互いにオーバーラップする。具体な実施過程において、前記絶縁層4は、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側を完全に覆うことができ、前記圧電薄膜層3に本来クラックが存在した場合であっても、前記絶縁層4を介して前記中空構造fを効果的に充填し、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、製品の歩留まりを向上させる。
【0037】
本開示の実施例では、前記絶縁層4は、ポリイミド(PI)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)のうちの少なくとも1つを含む。具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3に前記中空構造fが存在すれば、前記中空構造fの場所において、常に強い毛管力と気孔率を有し、湿式法プロセスを採用する場合、前記絶縁層4は、重力レベリングを介して前記中空構造fに流入することができる。例えば、湿式法プロセスを採用して前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側にPIを塗布する場合、PIは、前記圧電薄膜層3の表面に優れたレベリング特性を有するため、PIは、前記中空構造fを迅速にレベリングすることができる。前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側の表面の平坦性を保証すると同時に、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、PIは、優れた高温硬化(環化)特性を有するため、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側にPIを湿式塗布した後、200℃~300℃内でPIに対して高温硬化を行って前記絶縁層4を形成することにより、前記絶縁層4が安定した絶縁特性を有することを保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0038】
具体な実施過程において、さらに、湿式法プロセスを採用して前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側にSiO2を塗布することができ、それにより、前記中空構造fをレベリングし、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側の表面平坦性を保証すると同時に、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側にSiO2を湿式塗布した後、300℃以上で、SiO2を高温硬化して前記絶縁層4を形成することにより、前記絶縁層が安定した絶縁特性を有することを保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0039】
具体な実施過程において、さらに、乾式堆積プロセスを用いて前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側にAl2O3を塗布することができ、Al2O3の絶縁特性により、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。もちろん、他の方式で前記圧電薄膜層3を設置することができ、ここでは詳述しない。
【0040】
本開示の実施例では、前記絶縁層4と前記圧電薄膜層3との間の厚さ関係は、以下の関係式を満たし、
dPI≦0.1*dPZT
dPIは、前記絶縁層4の厚さを表し、dPZTは、前記圧電薄膜層3の厚さを表す。
【0041】
具体な実施過程において、本発明者は実際の研究において、前記圧電薄膜層3の厚さが一定である場合、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側に塗布された前記絶縁層4の厚さを前記圧電薄膜層3の厚さの10%内に設定し、例えば、前記圧電薄膜層3の厚さが2μmである場合、前記絶縁層4の厚さは、200nmであってもよく、さらに100nmであってもよく、さらに50nmであってもよく、ここで限定せず、このように、前記絶縁層4の絶縁特性を保証すると同時に、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、前記圧電センサの高周波交流駆動時の振動特性を保証し、それにより前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0042】
本開示の実施例では、前記絶縁層4の厚さ範囲は、[50nm,200nm]である。
【0043】
具体な実施過程において、前記絶縁層4の厚さは、50nm~200nmである。例えば、前記絶縁層4の厚さは、100nmであり、また例えば、前記絶縁層4の厚さは、60nmであり、また例えば、前記絶縁層4の厚さは、50nmである。前記絶縁層4の厚さが上記範囲内にある場合、前記絶縁層4は、優れた絶縁特性を有し、それにより前記圧電センサの短絡リスクを効果的に回避する。
本開示の実施例では、前記圧電薄膜層3の厚さ範囲は、(0,2μm]である。
【0044】
具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3の厚さは、0~2μmである。例えば、前記圧電薄膜層3の厚さは、0.5μmであり、また例えば、前記圧電薄膜層3の厚さは、1μmであり、また例えば、前記圧電薄膜層3の厚さは、2μmである。実際な応用において、前記圧電薄膜層3の厚さを可能な限りゼロに近いように設定することができ、前記圧電薄膜層3の良好な振動特性を保証すると同時に、前記圧電センサの薄型化設計を両立させる。
【0045】
本開示の実施例では、前記圧電薄膜層3と前記絶縁層4との間のキャパシタンス関係は、以下の関係式を満たし、
CPI≧100CPZT
CPIは、前記圧電薄膜層3のキャパシタンスを表し、CPZTは、前記絶縁層4のキャパシタンスを表す。
【0046】
具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3に用いられる材料が一定である場合、例えば、PbTiO
3で製造される膜層、及び前記圧電薄膜層3の厚さが一定であり、前記第1電極層2と前記第2電極層5との間の正対面積が一定である場合、キャパシタンス計算式に基づき、前記圧電薄膜層3のキャパシタンスが
【数1】
であると決定し得る。ここで、
【数2】
は、前記圧電薄膜層3の誘電率を表し、その範囲は、450~1500であり、d
PZTは、前記圧電薄膜層3の厚さを表し、Aは、前記第1電極層2と前記第2電極層5との間の正対面積を表す。
前記圧電薄膜層3と前記絶縁層4との間のキャパシタンス関係がC
PI≧100C
PZTを満たす場合、前記圧電薄膜層3にロードされた電圧は、
【数3】
である。このように、C
PI≧100C
PZTの場合、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側の表面に前記絶縁層4を設置することによる前記圧電薄膜層3にロードされた電圧の大幅な損失を回避し、前記圧電センサが高周波交流駆動で比較的良好な振動特性を有することを保証し、それにより前記圧電センサの使用性能を保証する。また、前記圧電薄膜層3のキャパシタンスが一定である場合、上記前記圧電薄膜層3と前記絶縁層4との間のキャパシタンス関係に基づいて、前記絶縁層4の材料及び厚さを選択することができる。ここで、前記絶縁層4がPI材料で作制される場合、前記絶縁層4の誘電率の範囲は、2.3~2.8である。実際の応用において前記圧電薄膜層3の実情に基づいて前記絶縁層4を設置することができ、それにより前記圧電センサに対する柔軟な製造を実現する。
【0047】
本開示の実施例では、前記圧電薄膜層3と前記絶縁層4との間の電気抵抗関係は、以下の関係式を満たし、
RPI≧1000RPZT
RPIは、前記圧電薄膜層3の電気抵抗を表し、RPZTは、前記絶縁層4の電気抵抗を表す。
【0048】
具体な実施過程において、前記圧電薄膜層3に用いられる材料が一定である場合、例えば、PbTiO
3で製造される膜層、及び前記圧電薄膜層3の厚さが一定であり、前記ベース基板1が位置する平面に平行な前記圧電薄膜層3の断面積が一定である場合、電気抵抗計算式に基づいて、前記圧電薄膜層3のキャパシタンスが
【数4】
であると決定し得る。ここで、
【数5】
は、前記圧電薄膜層3の電気抵抗率を表し、その範囲は、10
9Ωcm以上であり、d
PZTは、前記圧電薄膜層3の厚さを表し、Aは、前記ベース基板1が位置する平面に平行な前記圧電薄膜層3の断面積を表し、それは、前記第1電極層2と前記第2電極層5との間の正対面積に等しいであってもよい。
【0049】
前記圧電薄膜層3と前記絶縁層4との間の電気抵抗関係がRPI≧1000RPZTを満たす場合、前記絶縁層4は、優れた絶縁特性を有し、前記圧電センサの短絡リスクを効果的に回避する。前記圧電薄膜層3の電気抵抗が一定である場合、電気抵抗計算式に基づいて、前記絶縁層4の材料及び対応する厚さ範囲を決定でき、実際の応用において前記圧電薄膜層3の実情に基づいて前記絶縁層4を設置することができ、それにより前記圧電センサに対する柔軟な製造を実現する。
【0050】
本開示の実施例では、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側に親液性材料層が設置されている。ここで、前記親液材料層を介して、前記絶縁層4が、前記圧電薄膜層3の前記ベース基板1から離れた側に迅速にレベリングすることを保証できるだけでなく、比較的良好な高温硬化特性を有し、前記絶縁層4の安定した絶縁特性を保証し、さらに前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0051】
本開示の実施例では、以下の4種の実現方式を採用して前記第1電極層2及び前記第2電極層5を設置することができる。第1種の実現方式において、
図2に示すように、前記第1電極層2及び前記第2電極層5は、いずれも、層全体の板状構造であり、又は第1電極層2及び第2電極層5のうちの少なくとも1つは、パターン設計を含んでもよく、前記ベース基板1での前記第2電極層5の正射影は、前記ベース基板1での前記第1電極層2の正射影の領域範囲内に完全に収まる。
【0052】
本開示の実施例では、第2種の実現方式において、
図6に示すように、前記第1電極層2の前記圧電薄膜層3に近い側に複数の第1ポール状構造10を有し、前記第2電極層5は、層全体の板状構造であり、又は第2電極層5は、パターン設計を含んでもよく、このように、前記絶縁層4を介して前記圧電センサの短絡を回避すると同時に、前記複数の第1ポール状構造10を介して、前記圧電薄膜層3と前記第1電極層2との間の接触面積を増大させ、前記圧電薄膜層3と前記第1電極層2との間の構造安定性を保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0053】
具体な実施過程において、それぞれの前記第1ポール状構造10のサイズは、同一のサイズであり、それぞれの前記第1ポール状構造10同士は、不等間隔の分布であってもよく、また等間隔の均一分布であってもよく、具体的には実際の応用需要に応じて前記第1ポール状構造10の分布状況を設置することができ、ここで限定しない。ここで、それぞれの前記第1ポール状構造10が等間隔で分布する場合、前記圧電センサの各位置における透過率の均一性を保証し、前記圧電センサの使用性能を保証する。
【0054】
本開示の実施例では、第3種の実現方式において、
図7に示すように、前記第1電極層2は、層全体の板状構造であり、又は第1電極層2は、パターン設計を含んでもよく、前記第2電極層5の前記圧電薄膜層3に近い側に複数の第2ポール状構造20を有し、このように、前記絶縁層4を介して前記圧電センサの短絡を回避すると同時に、前記複数の第2ポール状構造20を介して、前記圧電薄膜層3と前記第2電極層5との間の接触面積を増大させ、前記圧電薄膜層3と前記第2電極層5との間の構造安定性を保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。
【0055】
具体な実施過程において、それぞれの前記第2ポール状構造20のサイズは、同一のサイズであり、それぞれの前記第2ポール状構造20同士は、不等間隔の分布であってもよく、また等間隔の均一分布であってもよく、具体的には実際の応用需要に応じて前記第2ポール状構造20の分布状況を設置することができ、ここで限定しない。ここで、それぞれの前記第2ポール状構造20が等間隔で分布する場合、前記圧電センサの各位置における光透過率の均一性を保証し、前記圧電センサの使用性能を保証する。
【0056】
本開示の実施例では、第4種の実現方式において、
図8に示すように、前記第1電極層2の前記圧電薄膜層3に近い側に複数の第3ポール状構造30を有し、前記第2電極層5の前記圧電薄膜層3に近い側に複数の第4ポール状構造40を有し、前記ベース基板1でのいずれかの前記第3ポール状構造30の正射影と前記ベース基板1でのいずれかの前記第4ポール状構造40の正射影は、互いに重ならない。前記複数の第3ポール状構造30を介して、前記圧電薄膜層3と前記第1電極層2との間の接触面積を増大させ、前記複数の第4ポール状構造40を介して、前記圧電薄膜層3と前記第2電極層5との間の接触面積を増大させ、それにより前記圧電薄膜層3がそれぞれ前記第1電極層2と前記第2電極層5との間の構造安定性を保証し、前記圧電センサの使用性能を向上させる。また、前記ベース基板1でのいずれかの前記第3ポール状構造30の正射影と前記ベース基板1でのいずれかの前記第4ポール状構造40の正射影は、互いに重ならない。例えば、前記ベース基板1でのいずれかの前記第4ポール状構造40の正射影は、前記ベース基板1での隣接する2つの第3ポール状構造30の間の間隔領域の正射影の領域範囲内に完全に収まり、構造安定性を両立すると同時に、前記圧電薄膜層3厚さの均一性を保証し、前記圧電薄膜層3の厚さの不均一による、薄い位置に発生する破壊しやすい状況を回避し、さらに前記圧電センサの使用性能を保証する。
【0057】
具体な実施過程において、それぞれの前記第3ポール状構造30のサイズは、同一のサイズであり、それぞれの前記第4ポール状構造40のサイズは、同一のサイズであり、それぞれの前記第3ポール状構造30同士は、不等間隔の分布であってもよく、また等間隔の均一分布であってもよく、それぞれの前記第4ポール状構造40同士は、不等間隔の分布であってもよく、また等間隔の均一分布であってもよく、具体的には実際の応用需要に応じて前記第3ポール状構造30及び前記第4ポール状構造40の分布状況を設定することができ、ここで限定しない。ここで、それぞれの前記第3ポール状構造30が等間隔で分布し、並びに、それぞれの前記第4ポール状構造40が等間隔で分布する場合、前記圧電センサの各位置における光透過率の均一性を保証し、前記圧電センサの使用性能を保証する。
【0058】
当然のことながら、実際な応用において以上の4種の実現方式を用いて前記第1電極層2及び前記第2電極層5を設置することができるほか、さらに実際の必要に応じて他の方式を用いて前記第1電極層2及び前記第2電極層5を設置することができ、ここでは詳述しない。
【0059】
なお、前記第1電極層2の厚さは、50nm~500nmであり、前記第2電極層5の厚さは、50nm~500nmであり、例えば、前記第1電極層2の厚さは、200nmであり、前記第2電極層5の厚さは、150nmであり。具体的な実施過程において実際の応用需要に応じて前記第1電極層2及び前記第2電極層5の厚さを設定することができ、ここで限定しない。本開示でいう[同一]とは、完全に同一である必要はなく、略同一であってもよい。
【0060】
本開示の実施例において、
図9は、前記圧電センサの1つの構造模式図であり、前記圧電センサは、上記の膜層以外に、さらに、前記第1電極層2、前記圧電薄膜層3、前記絶縁層4、前記第2電極層5の周辺に設けられた保護層6、及び、前記保護層6を貫通するビアホールによって結合された走線層7を含んでもよい。具体な実施過程において、逆圧電効果を利用し、前記第1電極層2を接地し、前記第2電極層5に高周波交流電圧信号(V
AC)をロードすることにより、前記圧電薄膜層3及び前記絶縁層4への高周波交流電圧信号の印加を実現し、それにより高周波振動を発生し、レーザを用いて振動変位の測定を実現することができ、それにより前記圧電センサの使用性能を保証する。ここで、前記保護層は、SiO
2、窒化シリコン(Si
3N
4)等であってもよく、ここで限定しない。当然のことながら、前記圧電センサは、上記各種の膜層以外に、実際の応用に応じて他の膜層を設置することができ、具体的には従来の設置を参照することができる。
【0061】
なお、本開示の実施例において、前記ベース基板1に沿って順次積層して設けられた前記第1電極層2、前記圧電薄膜層3、前記絶縁層4、前記第2電極層5は、それぞれ、前記ベース基板1での正射影面積が減少傾向を呈し、つまり、前記ベース基板1での前記第2電極層5の正射影は、前記ベース基板1での前記絶縁層4の正射影の領域範囲内に完全に収まり、前記ベース基板1での前記絶縁層4の正射影は、前記ベース基板1での前記圧電薄膜層3の正射影の領域範囲内に完全に収まり、前記ベース基板1での前記圧電薄膜層3の正射影は、前記第1電極層2在前記ベース基板1での正射影の領域範囲内に完全に収まる。このように、各膜層の間に段差が存在し、各膜層の湿式法プロセスにおける高速レベリングを保証する一方、前記圧電センサの構造安定性を保証し、それにより、前記圧電センサの使用性能を向上させる。また、前記圧電センサは、医療、自動車電子、運動追跡システム等の分野に応用することができる。特にウェアラブル装置分野、医療体外又は人体内部に移植する監視及び治療使用に適用し、又は人工知能の電子皮膚等の分野に応用する。具体的には、前記圧電センサをブレーキパッド、キーボード、移動端末、ゲームハンドル、車載等の振動及び力学的特性を発生できる装置に応用することができる。
【0062】
同一の開示思想に基づき、
図10に示すように、本開示の実施例は、さらに触覚フィードバック装置を提供し、該触覚フィードバック装置は、触覚フィードバック回路100及び上述した圧電センサ200を含む。
【0063】
前記触覚フィードバック回路100は、前記第2電極層5の前記第1電極層2から離れた側に位置し、又は、前記第1電極層2の前記第2電極層5から離れた側に位置し、前記触覚フィードバック回路100は、構造体に振動を発生させるように、受信した命令に基づいて電圧パルスを発生するために用いられる。
【0064】
具体な実施過程において、
図10において、前記触覚フィードバック回路100は、前記第1電極層2の前記第2電極層5から離れた側に位置する。例えば、前記触覚フィードバック装置をタッチパネルと一体にすることができ、前記タッチパネルによって人体タッチの位置を確定することができ、それにより対応する振動波形、振幅及び周波数を生成し、ヒューマンコンピュータインタラクションを実現することができる。また例えば、前記触覚フィードバック装置を圧電体に多重化することができ、前記圧電センサによって人体タッチの位置を確定し、それにより対応する振動波形、振幅及び周波数を生成し、ヒューマンコンピュータインタラクションを実現することができる。当然のことながら、実際の必要に応じて前記触覚フィードバック装置を医療、自動車電子、運動追跡システム等の分野に応用することができ、ここでは詳述しない。
【0065】
また、前記触覚フィードバック装置が問題を解決する原理は前記圧電センサと類似するため、前記触覚フィードバック装置における圧電センサ200の関連構造は、前記圧電センサ200の実施を参照することができ、重複する箇所は説明を省略する。
【0066】
同一の開示思想に基づき、
図11に示すように、本開示の実施例は、さらに圧電センサの作製方法を提供し、該作製方法は、以下のS101~S104を含む。
【0067】
S101において、ベース基板上に第1電極層を形成する。
【0068】
S102において、前記第1電極層の前記ベース基板から離れた側に圧電薄膜層を形成する。
【0069】
S103において、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成する。
【0070】
S104において、前記絶縁層の前記圧電薄膜層から離れた側に第2電極層を形成する。
【0071】
具体な実施過程において、前記作製方法における前記圧電センサの具体な構造は、前記部分の説明と同じであり、ここでは詳述しない。ステップS101からステップS103の具体な実現過程は、以下のとおりである。
【0072】
まず、前記ベース基板1に第1電極層2を形成し、例えば、前記ベース基板1にITOをスパッタリングし、続いて、フォトリソグラフィ及びエッチングによりITOに対してパターニング処理を行い、所望のパターンの前記第1電極層2を形成する。続いて、前記第1電極層2の前記ベース基板1から離れた側に圧電薄膜層3を形成し、例えば、前記第1電極層2の前記ベース基板1から離れた側に前記圧電薄膜層3を堆積し、続いて、フォトリソグラフィ及びエッチングにより前記圧電薄膜層3に対してパターニング処理を行い、所望のパターンの前記圧電薄膜層3を形成する。続いて、前記圧電薄膜層3の前記第1電極層2から離れた側に前記圧電薄膜層3の少なくとも一部に接触する絶縁層4を塗布する、続いて、前記絶縁層4の前記圧電薄膜層3から離れた側に前記第2電極層5を形成し、例えば、前記絶縁層4の前記圧電薄膜層3から離れた側にITOをスパッタリングし、続いて、フォトリソグラフィ及びエッチングによりITOに対してパターニング処理を行い、所望のパターンの前記第2電極層5を形成する。
【0073】
本開示の実施例では、
図12に示すように、ステップS103、即ち、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成することは、S201及びS202を含む。
【0074】
S201において、湿式法プロセスを採用して、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側にポリイミド材料を塗布する。
【0075】
S202において、前記ポリイミド材料を高温硬化し、前記圧電薄膜層の前記第1電極層から離れた側に前記圧電薄膜層の少なくとも一部に接触する絶縁層を形成する。
【0076】
具体な実施過程において、ステップS201からステップS202の具体な実現過程は以下のとおりである。
【0077】
まず、湿式法プロセスを採用して、前記圧電薄膜層3の前記第1電極層2から離れた側にポリイミド材料を塗布し、前記圧電薄膜層3にクラックが存在した場合、クラックにおいて、強い毛管力と気孔率を有するため、前記ポリイミド材料は、重力レベリングによりクラックに流入し、それにより前記圧電薄膜層3と前記第2電極層5との間の絶縁特性を保証する。続いて、前記ポリイミド材料を高温硬化し、前記圧電薄膜層3の前記第1電極層2から離れた側に前記圧電薄膜層3少なくとも一部に接触する絶縁層4を形成し、例えば、200℃で前記ポリイミド材料を硬化し、前記絶縁層4が安定した絶縁特性を有することを保証し、それにより前記圧電センサの使用性能を保証する。
【0078】
具体な実施過程において、上記圧電センサの作製方法が問題を解決する原理は、前述圧電センサと類似し、そのため、圧電センサの作製方法は、前記圧電センサの実施を参照することができ、重複するところは説明を省略する。
【0079】
本開示の実施例は、圧電センサ及び作製方法を提供し、ここで、前記圧電センサは、前記ベース基板1、及び、前記ベース基板1から順次に離間して設けられた前記第1電極層2、前記圧電薄膜層3、前記絶縁層4及び前記第2電極層5を含み、前記絶縁層4が前記圧電薄膜層3の少なくとも一部に接触することで、前記圧電薄膜層3にクラックが存在した場合であっても、前記絶縁層4を介して効果的にクラックを充填し、このように、前記第2電極層5を堆積した後、前記絶縁層4を利用して前記第2電極層5と前記第1電極層2との間の接触による短絡のリスクを回避し、即ち、前記圧電センサの短絡リスクを回避し、それにより製品の歩留まりを向上させる。
【0080】
本開示の好ましい実施形態について説明してきたが、基本的な発明概念が理解されれば、当業者はこれらの実施形態に対して追加の変更および修正を行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、好ましい実施形態、ならびに本開示の範囲内にあるすべての変更および修正をカバーすると解釈されることが意図されている。
【0081】
明らかに、当業者であれば本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本開示に対して様々な修正及び変形を行うことができる。このように、本開示のこれらの修正及び変形は本開示の請求項及びその同等技術の範囲内に属する場合、本開示もこれらの修正及び変形を含むことを意図する。
【国際調査報告】