(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両又は電動車両における駆動モータとしての電流励起式の同期機の電流伝達サブ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 13/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
H02K13/00 T
H02K13/00 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549071
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022062871
(87)【国際公開番号】W WO2022268404
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021115993.8
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】メアト・フィリップ
【テーマコード(参考)】
5H613
【Fターム(参考)】
5H613AA02
5H613GA13
5H613GA17
(57)【要約】
【課題】ハウジング構成要素とのブラシストランドの不意の短絡を確実に防止する。
【解決手段】電流励起式の同期機の電流伝達サブ装置であって、同期機の回転子が、電流供給のために集電環を備えているとともに、カーボンブラシ2を介して接触して電気エネルギーを供給され、電流伝達サブ装置が、カーボンブラシ2を収容するためのブラシホルダ1を備えており、あらかじめ取り付けられたストランド4をカーボンブラシ2が備えており、ブラシホルダ1が、ブラシ支持部3に設けられているとともに、カーボンブラシ2がストランド4にもかかわらずブラシホルダ1にぴったりと押し込まれることができ、その後、ストランド4がブラシ支持部3における接続のためにたるみを低減するようにループ状のストランドガイド部5,7を通り抜けることができるよう、ループ状のストランドガイド部5,7を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流励起式の同期機(SSM)の電流伝達サブ装置であって、同期機の回転子が、電流供給のために集電環を備えているとともに、カーボンブラシ(2)を介して接触して電気エネルギーを供給され、電流伝達サブ装置が、カーボンブラシ(2)を収容するための少なくとも1つのブラシホルダ(1)を備えており、あらかじめ取り付けられたストランド(4)をカーボンブラシ(2)が備えており、ブラシホルダ(1)が、ブラシ支持部(3)に設けられているとともに、カーボンブラシ(2)がストランド(4)にもかかわらずブラシホルダ(1)にぴったりと押し込まれることができ、その後、ストランド(4)がブラシ支持部(3)における接続のためにたるみを低減するようにループ状のストランドガイド部(5,7)を通り抜けることができるよう、ループ状のストランドガイド部(5,7)を備えていることを特徴とする電流伝達サブ装置。
【請求項2】
ストランドガイド部(5)がブラシホルダ(1)の側方の凹部として形成されており、ブラシホルダ(1)の上側の凹部縁部からブラシ支持部(3)へのブリッジ状の接続部(6)の形態のループ部(7)が、カーボンブラシ(2)から離間して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流伝達サブ装置。
【請求項3】
ストランドガイド部(5)がブラシホルダ(1)の前方の凹部として形成されており、カーボンブラシ(2)から突出する上側の凹部縁部(8)からブラシ支持部(3)へのブリッジ状の接続部(6)の形態のループ部(7)が、カーボンブラシ(2)から離間して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流伝達サブ装置。
【請求項4】
ストランドガイド部(5)がブラシホルダ(1)の前方の凹部として形成されており、ブラシホルダ(1)の左側の凹部縁部から右側の凹部縁部へのブリッジ状の接続部(6)の形態のループ部(7)が、カーボンブラシ(2)から離間して形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電流伝達サブ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電流伝達サブ装置を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両又は電動車両における駆動モータとしての電流励起式の同期機の電流伝達サブ装置(電流伝達補助装置)に関するものであり、駆動モータの回転子(ロータ)は、電流供給のために集電環を備えているとともに、いわゆるブラシホルダモジュールのカーボンブラシを介して接触して電気エネルギーを供給される。電流伝達サブ装置は、特に、ブラシホルダモジュールを含むロータ-電流伝達装置の不動の部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3から知られている。公知の電流伝達サブ装置は、特に、いわゆるブラシブラケット又はブラシホルダを有するブラシホルダシステムである。特許文献1には、例えば、当該ブラシプレート(ブラシ支持部)に配置されたブラシブラケット(ブラシホルダ)を有するブラシプレート(ブラシ支持部)が記載されている。ここで、それぞれその中に配置されたカーボンブラシを有する複数のブラシブラケットが設けられており、カーボンブラシは、径方向に変位可能にブラシブラケットに収容されている。ブラシブラケットは、ブラシプレートに固結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013222629号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008044189号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102015220897号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ハウジング構成要素とのブラシストランドの不意の短絡のより確実な防止に関して上述の電流伝達サブ装置を発展形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、本発明により、請求項1の特徴によって解決される。本発明の有利な発展形成は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明による電流伝達サブ装置は、特に、電気モータ用のブラシホルダユニットを有するカーボンブラシシステムに関するものである。従来技術から公知のハイブリッド車両又は電動車両における電気的なエネルギー供給部の基本的な構造において、おおまかに簡略化して説明すれば、高電圧バッテリが、高電圧インバータへの高電圧ポテンシャルの適当な接続部を介して、及び高電圧インバータを介して、ここではSSM同期モータである電気的な駆動モータに接続されている。電流励起式の同期機SSMを使用する場合には、高電圧インバータの範囲におけるブリッジ回路を介して、励起電流が同期機SSMの回転子に提供される。これとは別に、駆動モータのロータ-電流伝達装置の不動の部分も、高電圧インバータによって、適当に準備された電気エネルギーを、供給ラインを介して供給される。本発明は、ロータ-電流伝達装置の不動の部分からカーボンブラシの回転子への当該高電圧エネルギーの伝達に関するものである。
【0007】
本発明は以下の考察を基礎とする:
【0008】
電気駆動システムにおいては、特に電流励起式の同期機(SSM)の形態の電気機械における構成要素、例えば電流伝達サブ装置の導電性のストランド及びカーボンブラシを介した高電圧の伝導における高電圧絶縁に際しての、あるいは安全対策に際しての特に高い課題が存在する。熱的及び化学的な要求により、このような高電圧ストランドは、収縮ホースを用いてむしろ絶縁されないため、他の態様で保護される必要がある。熱的に最適化されたコンセプトは、絶縁ハウジングによって周縁部(導電性のアース部材)から分離されておらず、これにより、ハウジング構成要素を有する高電圧構成要素の接触のおそれがある。
【0009】
本発明の基本思想は、特に、カーボンブラシにあらかじめ取り付けられた絶縁されていない銅ストランドの圧入方向、長さ及び固定ガイド部を変更するためのカーボンブラシホルダにおける代替的な薄板打抜き及び/又は薄板曲げである。
【0010】
本発明によれば、電流伝達サブ装置は、電流励起式の同期機(「SSM」)の電流伝達装置の不動の部分として、カーボンブラシを収容するための複数のブラシホルダを備えている。カーボンブラシの電気的な接続は、統合された(あらかじめ取り付けられ、特に圧入された)銅ストランドによってなされる。銅ストランドは、(カーボンブラシの懸架に関して)側方で、又は前方でカーボンブラシに設けられることが可能である。銅ストランドは、(薄板打抜きされた)凹部によって、(側方又は前方で)ブラシホルダにおいてガイドされており、当該凹部は、ストランドにかかわらず実際にぴったりと保持されるべきブラシの押し込みを可能とするものである。凹部(部分スリット)は、特に、ブラシからのストランドの出口の範囲に設けられており、したがって、ホルダにおけるブラシの最終位置までのストランドガイド部として用いられる。加えて、当該凹部又はストランドガイド部は、ストランドを、ブラシ支持部にゆるく接続する(固定ガイドする)もののできる限りわずかな長さでガイドし、たるみに対して保護するために、ループ部を備えている。したがって、ループ状のストランドガイド部は、既に支持プレートに固定されたブラシホルダへの導入時のブラシにあらかじめ取り付けられたストランドのせん断に抗して、及び同時にたるみ防止部として設けられている。
【0011】
以下に、本発明による実施形態の更なる特徴及び利点を、図面に基づく実施例を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】側方の凹部と、ループを形成する側方のカンチレバーとを有するカーボンブラシホルダの構成についての本発明による第1の実施例の原理図を3つの異なる視点方向において示すものである。
【
図2】第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示を左方からの側面視において示すものである。
【
図3】第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示を右方からの側面視において示すものである。
【
図4】第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示を前方からの平面視において示すものである。
【
図5】第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示を上方からの平面視において示すものである。
【
図6】前方の凹部と、ループを形成し長手方向に突出するウェブとを有するカーボンブラシホルダの構成についての本発明による第2の実施例の原理図を3つの異なる視点方向において示すものである。
【
図7】前方の凹部と、ループを形成し前方へふくらんだ半ループとを有するカーボンブラシホルダの構成についての本発明による第3の実施例の原理図を3つの異なる視点方向において示すものである。
【
図8】内部の(社内の)従来技術によるカーボンブラシホルダを有する電流伝達サブ装置の写真的な図示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
異なる図示にわたって、同一の要素には常に同一の符号が用いられる。ここで、以下では、限定することなく、蓄電池あるいは高電圧バッテリからの電気エネルギー供給部を有する車両における1つのアプローチのみを考察する。
【0014】
基本的に、他励式の同期機(SSM)の本発明による電流伝達サブ装置がカーボンブラシ2を収容するための少なくとも1つのブラシホルダ1を備えていること、あらかじめ取り付けられたストランド4をカーボンブラシ2が備えていること、及びブラシホルダ1がブラシ支持部3に設けられていることが、
図1~
図7について共通に当てはまる。また、ブラシホルダ1は、カーボンブラシ2がストランド4にもかかわらずブラシホルダ1にぴったりと押し込まれることができ、その後、ストランド4がブラシ支持部3における接続のためにたるみを低減するようにループ状のストランドガイド部5,7を通り抜けることができるよう、特に凹部5及びループ部7(広義には部分ループ部も含む)から成るループ状のストランドガイド部を備えている。
【0015】
図1には、これについて有利な第1の実施例が概略的に示されている。ここで、ループガイド部5はブラシホルダ1の側方の凹部として形成されており、ループ部7は、ブラシホルダ1の上側の凹部縁部からブラシ支持部3へのカンチレバー6の形態のブリッジ状の接続部によって形成されている。ブリッジ状の接続部6は、ストランド4がこのとき生じるループ部7を通り抜けることができ、ブラシ支持部3における固定後にたるみに対してループ部7によって大部分が固定されるように、カーボンブラシ2から離間している。
【0016】
図2には、
図1による第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示が左方からの側面視において示されている。
【0017】
図3には、
図1による第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示が右方からの側面視において示されている。
【0018】
図4には、
図1による第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示が前方からの平面視において示されている。
【0019】
図5には、
図1による第1の実施例についての具体的な実施形態の三次元的な図示が上方からの平面視において示されている。
【0020】
図6には、上述の基本的な(全ての
図1~
図7について当てはまる)構成について本発明による第2の実施例が示されている。ここで、ループガイド部5はブラシホルダ1の前方の凹部として形成されており、ループ部7は、カーボンブラシ2から突出する上側の凹部縁部8からブラシ支持部3へのウェブの形態のブリッジ状の接続部6によって形成されている。当該ブリッジ状の接続部6は、ここでも、ストランド4がこのとき生じるループ部7を通り抜けることができるように、カーボンブラシ2から離間している。
【0021】
図7には、上述の基本的な(全ての
図1~
図7について当てはまる)構成について本発明による第3の実施例が示されている。ここで、ループガイド部5はブラシホルダ1の前方の凹部として形成されており、ループ部7は、ブラシホルダ1の左側の凹部縁部から右側の凹部縁部への前方へ突出した小穴の形態のブリッジ状の接続部6によって形成されている。ここでも、当該ブリッジ状の接続部6は、ストランド4がこのとき生じるループ部7を通り抜けることができるように、カーボンブラシ2から離間している。
【0022】
図8は、内部の(社内の)従来技術によるカーボンブラシホルダを有する電流伝達サブ装置の写真的な図示である。これに示されたストランドガイド部はたるみやすいが、本発明によれば、当該たるみが少なくとも低減される。
【国際調査報告】