(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】繊維ワインディング装置
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20240524BHJP
F16F 3/10 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F16F1/36 B
F16F3/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563312
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 KR2022007550
(87)【国際公開番号】W WO2022260322
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0073696
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515018286
【氏名又は名称】コリア エアロスペース リサーチ インスティトゥート
【氏名又は名称原語表記】KOREA AEROSPACE RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】169-84, Gwahak-ro, Yuseong-gu, Daejeon 305-806 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チェ,イッキョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンウォン
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059BA01
3J059BA41
3J059BB01
3J059BC13
3J059EA20
(57)【要約】
一実施例による繊維ワインディング装置は、らせん状のワイヤの周りに円周方向に複数のボビンが設けられてスプール面を形成するスプールアセンブリ;前記スプールアセンブリの中央の前方部にスプール面と斜め方向に設けられたガイドリング;および、前記らせん状のワイヤが前記ガイドリングを通過するように移送させるワイヤ移送ユニット;を含み、前記ガイドリングの中心を直角に貫通するようにワイヤが配置され、前記スプールアセンブリがワイヤに斜め方向に配置され、前記ガイドリングに沿って前記らせん状のワイヤに前記複数のボビンから繊維が巻き取る繊維ワインディング装置であって、さらに複数の前記繊維ワインディング装置を前記らせん状のワイヤに沿って順に配列することで、1つのらせん状のワイヤに順に連続して幾層の繊維が巻き取ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
らせん状のワイヤの周りに円周方向に複数のボビンが設けられてスプール面を形成するスプールアセンブリ;
前記スプールアセンブリの中央にスプール面と斜め方向に設けられたガイドリング;および
前記らせん状のワイヤを前記ガイドリングを通過するように移送させる、ワイヤ移送ユニット;
を含み、
前記ガイドリングの中心を直角で貫通するようにワイヤが配置され、前記スプールアセンブリのスプール面がワイヤに斜め方向に配置され、前記ガイドリングに沿って前記らせん状のワイヤに前記複数のボビンから繊維が巻き取られる、
繊維ワインディング装置。
【請求項2】
前記複数のボビンは、すべてが一方向に動いて一方向に繊維を巻き取るか、一部のボビンが互いに逆方向に動いて製織形態で繊維を巻き取る、
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項4】
前記ワイヤ移送ユニットは、らせん状のワイヤに沿って複数設置される、
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項5】
第1項において,
前記ワイヤ移送ユニットは、らせん状のワイヤに移送力を提供する第1のローラおよびらせん状のワイヤの離脱を防止する第2のローラを含み、
前記第1のローラは、らせん状のワイヤの両側面に配置され、前記第2のローラは、らせん状のワイヤの内側または外側の少なくともいずれか一方に配置される、
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項6】
前記第1のローラはテーパ状を有し、前記第1のローラの直径が広いテーパ部分が、前記らせん状のワイヤの外側を向けるように配置される、
請求項5に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項7】
ワイヤ移送速度測定ユニット;および
前記ワイヤ移送ユニットのローラを駆動するモータの回転速度を調節するローラモータ回転速度調節ユニット;
をさらに含む、
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項8】
ワイヤ移送速度測定ユニット;および
ボビンの回転速度を調節するボビン回転速度調節ユニット;
をさらに含む、
請求項1に記載の繊維ワインディング装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の繊維ワインディング装置を含み、
前記繊維ワインディング装置は複数備えられ、前記らせん状のワイヤに沿って順に配列された、
繊維ワインディングシステム。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の繊維ワインディング装置、または請求項9に記載の繊維ワインディングシステムを用いて製作された複合材構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維ワインディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の軽量化および最適化に関する研究が益々重要になりつつ、従来によく使用してきた鉄鋼素材の部品を軽量、新素材に取り替えるための研究が様々な産業分野で活発に進んでいる。
【0003】
一般的に小型航空機の着陸装置や自動車の懸架装置に、鋼鉄で製作されたらせん状のコイルスプリングが使用される。この鋼鉄スプリングの軽量化のために、炭素繊維またはガラスファイバ複合材料を使用してコイルスプリング複合材構造物を製作する技術が持続的に開発されている。
【0004】
このように軽量材料に取り替えて複合材構造物を製作する場合において、繊維束をシリンダ状のフレームに巻き取るかモールドに挿入する過程などで構造的性能をより効果的に、かつ安定的に増加させる必要がある。
【0005】
これに関連し、韓国公開特許公報第2021-0030330号は、繊維ウェブ、フィブリル状繊維集合体または不織布を製造するための装置および方法、並びにそれにより製造された繊維ウェブ、フィブリル状繊維集合体または不織布について開示する。
【0006】
前述の背景技術は、発明者が本願の開示内容を導き出す過程で保有、または習得したものであり、必ずしも本出願の前に一般公衆に公開された公知技術であるとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施例による目的は、らせん状のワイヤに複合材繊維を巻き取るための繊維ワインディング装置を提供することである。
【0008】
一実施例による目的は、スプリング複合材構造物の剛性/強度の構造的性能を増加させる繊維ワインディング装置を提供することである。
【0009】
一実施例による目的は、らせん状のワイヤに斜め方向に配置されて空間の制約がより少ない繊維ワインディング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施例による繊維ワインディング装置は、らせん状のワイヤの周りに円周方向に複数のボビンが設けられてスプール面を形成するスプールアセンブリ;前記スプールアセンブリの中央に設けられたガイドリング;および、前記らせん状のワイヤを前記ガイドリングを通過するように移送させる、ワイヤ移送ユニット;を含み、前記ガイドリングの中心を直角で貫通するようにワイヤが配置され、前記スプールアセンブリのスプール面がワイヤに斜め方向に配置され、前記ガイドリングに沿って前記らせん状のワイヤに前記複数のボビンから繊維が巻き取られることができる。
【0011】
一側面によれば、前記複数のボビンは、すべてが一方向に動いて一方向に繊維を巻き取るか、一部のボビンが互いに逆方向に動いて製織形態で繊維を巻き取ってもよい。
【0012】
一側面によれば、一実施例による繊維ワインディング装置は、繊維の張力を調節する張力調節ユニットが取り付けられたボビンキャリアをさらに含んでもよい。
【0013】
一側面によれば、前記ワイヤ移送ユニットは、らせん状のワイヤに沿って複数設置されてもよい。
【0014】
一側面によれば、前記ワイヤ移送ユニットは、らせん状のワイヤに移送力を提供する第1のローラおよびらせん状のワイヤの離脱を防止する第2のローラを含み、前記第1のローラは、らせん状のワイヤの両側面に配置され、前記第2のローラは、らせん状のワイヤの内側または外側の少なくともいずれか一方に配置されてもよい。
【0015】
一側面によれば、前記第1のローラはテーパ状を有し、前記第1のローラの直径が広いテーパ部分が、前記らせん状のワイヤの外側を向けるように配置されてもよい。
【0016】
一側面によれば、一実施例による繊維ワインディング装置は、ワイヤ移送速度測定ユニット;および、前記ワイヤ移送ユニットのローラを駆動するモータの回転速度を調節するローラモータ回転速度調節ユニット;をさらに含んでもよい。
【0017】
一側面によれば、一実施例による繊維ワインディング装置は、ワイヤ移送速度測定ユニット;および、ボビンの回転速度を調節するボビン回転速度調節ユニット;
をさらに含んでもよい。
【0018】
前述の一実施例による繊維ワインディング装置により、複合材構造物を製作することができる。
【発明の効果】
【0019】
一実施例による繊維ワインディング装置は、らせん状のワイヤに複合材繊維を一方向にまたは製織方向に巻き取ることができる。
【0020】
一実施例による繊維ワインディング装置は、スプリング複合材構造物の剛性/強度の構造的性能を最大に向上することができる。
【0021】
一実施例による繊維ワインディング装置は、らせん状のワイヤ上に斜め方向に配置されることで、隣接したワイヤによる空間の制約を避けることができる。
【0022】
一実施例による繊維ワインディング装置の効果は、以上で言及したものなどに限定されず、言及されていない他の効果は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施例による繊維ワインディング装置の平面図を示す。
【
図2】一実施例による繊維ワインディング装置の正面図を示す。
【
図3】一実施例による繊維ワインディング装置のワイヤ移送ユニットの平面図を示す。
【
図4】一実施例による繊維ワインディング装置のワイヤ移送ユニットの正面図を示す。
【
図5】一実施例による繊維ワインディング装置のワイヤ移送ユニットのローラ構成を示す。
【
図6】一実施例による繊維ワインディング装置にワイヤ移送速度測定ユニットおよびローラモータ回転速度調節ユニットがさらに設けられた実施例を示す。
【
図7】一実施例による繊維ワインディング装置にワイヤ移送速度測定ユニットおよびボビン回転速度調節ユニットがさらに設けられた実施例を示す。
【
図8】複数の一実施例による繊維ワインディング装置が設けられた実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかしながら、実施例には様々な変更を加えることができるので、特許出願の権利範囲はこれらの実施例によって制限または限定されない。実施例に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0025】
実施例で使用された用語は、説明の目的のためだけに使用されたものであり、限定する意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、1つまたは複数の他の特徴または数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を予め排除しないことが理解されるべきである。
【0026】
特に定義されない限り、技術的または科学的用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される、辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0027】
なお、添付の図面を参照して説明するにあたり、参照符号にかかわらず同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これに対する重複説明は省略する。実施例の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不必要に不明瞭にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0028】
また、実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によって該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載した場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結され、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに別の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されることもあり得ると理解されるべきである。
【0029】
いずれかの実施例に含まれた構成要素と共通の機能を含む構成要素は、他の実施例において同一の名称を用いて説明することとする。断りのない限り、いずれかの実施例に記載した説明は他の実施例にも適用可能であり、重複される範囲で具体的な説明は省略する。
【0030】
本発明においては、「ボビン」とは、繊維が巻き取られている筒状の糸巻きを意味し、「スプール面」とは、ボビンが設けられた面を意味する。
【0031】
図1は、一実施例による繊維ワインディング装置10の平面図を示す。
図2は、一実施例による繊維ワインディング装置10の
図1のA-A方向の正面図を示す。
【0032】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、らせん状のワイヤWの周りに円周方向に複数のボビン110が設けられてスプール面(spool plane)120を形成するスプールアセンブリ100と、スプールアセンブリ100の中央に設けられたガイドリング(guide ring)200とを含んでもよい。また、一実施例による繊維ワインディング装置10は、らせん状のワイヤWをガイドリング200を通過するように移送させる、ワイヤ移送ユニット300を含んでおり、
図3および
図4で詳述する。
【0033】
一般的に、繊維を巻き取る装置、すなわち、製織する(braiding)装置は、ガイドリングがスプール面と平行に設置され、繊維が巻き取られる対象物、ワイヤなどがガイドリングとスプール面に直角で配置された状態で繊維が巻き取られる速度に合わせて外方へ、すなわち直角方向に引き出す(引っ張る)のが一般的である。
【0034】
本発明では、一実施例による繊維ワインディング装置10のスプール面120が、ガイドリング200を中央に置いてワイヤWに斜めな斜め方向に配置される。らせん状のワイヤW上に設置されつつ、ワイヤWは、ガイドリング200の中心を直角で貫通するように配置される。スプールアセンブリ100の複数のボビン110は、ガイドリング200の中心にスプール面120上に、ガイドリング200を中心に円周方向に配列される。一実施例による繊維ワインディング装置10のスプール面120がワイヤW上に斜め方向に配置されることで、隣接したワイヤによる空間の制約を避けることができる。
【0035】
図2を参照すると、スプールアセンブリ100の複数のボビン110から繊維が取り出されながら、ガイドリング200に沿ってらせん状のワイヤWに繊維が巻き取られるようになる。複数のボビン110が、スプール面上にすべてが一方向に動いて一方向に繊維を巻き取るか、一部のボビン110が互いに逆方向に動いて製織形態で繊維を巻き取るようになる。
図2では、繊維が巻き取られているボビン110の数と回転方向などが簡略に表現されているが、本発明では、ボビン110の数に制限がなく、繊維を一方向に巻き取る(winding)装置またはボビン110が互いに異なる方向に捩じられて回ることにより対象物に繊維を製織する(braiding)装置を含んでもよい。
【0036】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、繊維の張力を調節する張力調節ユニットが取り付けられたボビンキャリア(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0037】
一実施例による繊維ワインディング装置10のスプールアセンブリ100において、スプール面120とガイドリング200が並行ではないため、ボビン110がスプール面120の円周上を回転することによりワイヤまでの距離が周期的に変わるようになる。したがって、ボビン110に張力調節ユニットが設けられる必要がある。すなわち、ボビン110から多くの繊維が巻き出されたり、少ない繊維が巻き出されたりする場合に、繊維をボビン110の方に引っ張って一定の張力を維持できるスプリングなどの弾性装置の設置が必要とされる。そこで、スプール面120上にボビン110の側に繊維の張力を調節する張力調節ユニットが取り付けられたボビンキャリアが設けられる。
【0038】
図3は、一実施例による繊維ワインディング装置10のワイヤ移送ユニット300の平面図を示す。
図4は、一実施例による繊維ワインディング装置のワイヤ移送ユニット300の正面図を示す。
【0039】
らせん状のワイヤWをらせん状で移送するために、一実施例による繊維ワインディング装置10は、らせん状のワイヤWをガイドリング200を通過するように移送させるワイヤ移送ユニット300を別途に備えてもよい。
【0040】
特に、ワイヤWに繊維Fを一方向に巻き取る場合、ボビン110から繊維Fにかかる張力により、ワイヤWに拗じりモーメントが作用するようになり、これを打ち消しながら、コイルの円形状の直径を維持しながらワイヤWをらせん状で移送するためには、
図3におけるように複数のワイヤ移送ユニット300が必要である。
【0041】
図4は、4つのワイヤ移送ユニット300を使用してらせん状のワイヤWの移送機能が具現される実施例を示している。さらには、ワイヤに繊維を数回繰り返して巻き取る場合には、
図3におけるように複数のワイヤ移送ユニット300が順に設置される必要がある。この場合、
図4における下側の2つのワイヤ移送ユニット300が隣接したセットのワイヤ移送ユニット300と重なって活用される。
【0042】
ワイヤ移送ユニット300は、スプール面120および繊維の回転、およびワイヤWのらせん状の移動を制限しないように、空間上の適切な位置に固定される必要がある。
【0043】
ワイヤ移送ユニット300は、ローラ310、320を駆動することでワイヤを移送しなければならず、
図5は、一実施例による繊維ワインディング装置10のワイヤ移送ユニット300のローラ構成の実施例を示す。
【0044】
図5(a)において、ワイヤ移送ユニット300は、らせん状のワイヤWに移送力を提供する第1のローラ310、およびらせん状のワイヤWの離脱を防止する第2のローラ320を含んでいる。第1のローラ310は、コイル状ワイヤWの丸い形を考慮して、コイル状の半径の外方がさらに大直径に製作されたテーパ状を有している。すなわち、第1のローラ310の直径の広いテーパ部分がらせん状のワイヤWの外側を向けるように配置されている。第1のローラ310は、らせん状のワイヤWの両側面に互いに回転軸が平行になるように配置されている。第2のローラ320は、コイル状のらせん状のワイヤWの内側に配置されている。
【0045】
図5(b)において、ワイヤ移送ユニット300のローラ構成の他の例を示す概念図である。この例では、第2のローラ320がコイル状のらせん状のワイヤWの外側に配置されており、第1のローラ310がらせん状のワイヤWの両側面にワイヤWの半径の外方に互いに開く方向に配置されている。
図5(a)とは異なり、両側面の第1のローラ310の回転軸が互いに並行ではないため、製作がさらに複雑になるが、コイル状の半径の内側への設置空間の狭小を避けることができる長所がある。
【0046】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、ローラを駆動するモータをさらに備えてもよく、ローラを駆動する駆動モータが側面の第1のローラ310または第2のローラ320側に設けられてもよい。
【0047】
図6は、一実施例による繊維ワインディング装置10に、ワイヤ移送速度測定ユニット400、およびワイヤ移送ユニット300のローラ310、320を駆動するモータの回転速度を調節するローラモータ回転速度調節ユニット500がさらに設けられた実施例を示す。
【0048】
ワイヤ移送ユニット300は、ローラ310、320とワイヤWとの間の摩擦力によってワイヤWを移送させるため、ギアやチェーンなどによる移送とは異なり、摩擦力の増減によりワイヤWの移送速度に誤差が生じることがある。したがって、ワイヤWの移送速度を正確に維持するために、ワイヤ移送速度測定ユニット400が別途に備えられる必要がある。このワイヤ移送速度測定ユニット400の測定値を基に、ローラ310、320の回転速度を増減するローラモータ回転速度調節ユニット500が別途に備えられてもよい。
【0049】
ワイヤ移送速度測定ユニット400およびローラモータ回転速度調節ユニット500により、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取るためには、ボビン310の回転速度とワイヤWの移送速度との間に正確な比例関係が維持されなければならない。ボビン310の回転速度が一定に維持される場合に、ボビン310の回転速度から算出された値でワイヤWの移送速度を制御することにより、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取ることができる。
【0050】
図7は、一実施例による繊維ワインディング装置に、ワイヤ移送速度測定ユニット400、およびボビン110の回転速度を調節するボビン回転速度調節ユニット600がさらに設けられた実施例を示す。
【0051】
図7は、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取るための他の方法を示す。ワイヤWの移送速度を測定し、この速度に合わせてボビン110の回転速度を調節する方法について示す。ワイヤWの移送速度が所望の値に比べて誤差が生じても、ワイヤ移送速度測定ユニット400により測定されたワイヤWの移送速度値に合わせて、ボビン回転速度調節ユニット600により、ボビン110の回転速度を調節すれば、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取ることができる。
【0052】
上記に示された実施例に制限されず、ワイヤ移送速度測定ユニット400、ローラモータ回転速度調節ユニット500、およびボビン回転速度調節ユニット600が同時に使用されてもよい。この場合は、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取りながらワイヤWに繊維を巻き取る速度を調節することができる。すなわち、繊維が巻き取られた角度の正確性など、所望の品質を維持しながら、繊維を巻き取る速度を最大にしようとする場合、ワイヤ移送速度測定ユニット400、ローラモータ回転速度調節ユニット500、およびボビン回転速度調節ユニット600の3つのユニットを同時に活用して作業の生産性と品質との関係などを確認し、最高の生産速度を決めることができる。
【0053】
図8は、複数の一実施例による繊維ワインディング装置が設けられた実施例を示す。一実施例による繊維ワインディング装置10が複数設けられて、ワイヤWに多数の繊維層を順に連続して巻き取る実施例に対する平面図を示す。
【0054】
以下、一実施例による繊維ワインディング装置10の構成部品について具体的に後述しながら、ワイヤW上に繊維を巻き取ってコイルスプリング複合材構造物を製作する作動方式を具体的に後述する。
【0055】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、繊維Fが巻き取られるワイヤW上に設置され、スプールアセンブリ100がワイヤW上に斜め方向に斜めに設けられてもよい。この場合、スプールアセンブリ100の中央にガイドリング200が設けられて、ワイヤWがガイドリング200を直角で通過できるように配置されてもよい。
【0056】
ガイドリング200の周りのスプール面120上に円周方向に配列された複数のボビン110から繊維が巻き出されてガイドリング(120)を通じてワイヤW上に巻き取られてもよい。この場合、スプール面120上に複数のボビン110がすべて一方向に動いて一方向に繊維を巻き取るか、一部のボビン110が互いに逆方向に動いて製織形態で繊維に巻き取ってもよい。
【0057】
ワイヤ移送ユニット300がワイヤWの両側面に配置された第1のローラ310を通じてワイヤWに移送力を提供することができ、ワイヤWの内側または外側に配置された第2のローラ320を通じてワイヤWの離脱を防止することができる。
【0058】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、ワイヤ移送速度測定ユニット400を通じてワイヤWの移送速度を測定することができ、ローラモータ回転速度調節ユニット500またはボビン回転速度調節ユニット600を通じてワイヤWに繊維Fを正確な角度方向で巻き取ることができる。ローラモータ回転速度調節ユニット500は、測定されたワイヤWの移送速度値を基にローラ310、320を駆動するモータの回転速度を調節し、ボビン回転速度調節ユニット600は、ボビン110の回転速度を調節することで、ワイヤWに繊維を正確な角度方向で巻き取ることができる。
【0059】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、ワイヤW上に炭素繊維、複合繊維などを巻き取って製作されたコイルスプリング複合材構造物を提供することができる。
【0060】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、スプール面とガイドリング200が平行ではなく、らせん状のワイヤW上に斜め方向に配置されて、隣接したワイヤによる空間の制約を避けることができる効果を提供できる。
【0061】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、繊維が巻き取られる対象物に繊維が巻き取られる進行速度に合わせて対象物を外方へ引き出すことができる効果を提供できる。
【0062】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、従来の複合材コイルスプリングの製作方法による、捩じれた繊維束をシリンダ状のフレームに巻き取るか、またはモールドに挿入する過程で繊維の方向がずれたり、繊維が真っ直ぐな状態ではなく曲げられた状態で成形されることを防止して、成形後に複合材構造物の剛性や強度などの構造的性能が設計値よりも低くなる可能性を効果的に防止することができる。
【0063】
一実施例による繊維ワインディング装置10は、複合材コイルスプリングの製作時に、スプリングの断面からみて、内部のコアにあたるらせん状の線材、すなわちワイヤに繊維を直接巻き取った後、そのままで樹脂に浸漬して成形する方法を利用することにより、繊維の方向が、最初にワイヤに巻き取った方向をそのまま成形後にも正確に維持している効果を提供することができる。また、成形過程で繊維が曲げられる可能性を防止して、製作後のスプリングの剛性/強度など構造的性能が設計目標どおり表れる効果も提供できる。
【0064】
以上のように、実施例が限定された図面によって説明されたが、該技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる手順で行われ、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合または組み合され、または他の構成要素または均等物によって交換または置き換えられても、適切な結果が達成されることができる。
【0065】
よって、他の具現例、他の実施例および特許請求の範囲と等しいものなども、後述の特許請求の範囲の範囲に属する。
【符号の説明】
【0066】
110:繊維ワインディング装置
100:スプールアセンブリ
110:ボビン
120:スプール面
200:ガイドリング
300:ワイヤ移送ユニット
310:第1のローラ
320:第2のローラ
400:ワイヤ移送速度測定装置
500:ローラモータ回転速度調節装置
600:ボビン回転速度調節装置
W:ワイヤ
F:繊維
【国際調査報告】