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特表2024-521289受容装置にあるディスペンス缶の重量情報を決定するための秤を有する、ディスペンス缶のための再充填ステーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】受容装置にあるディスペンス缶の重量情報を決定するための秤を有する、ディスペンス缶のための再充填ステーション
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/28 20060101AFI20240524BHJP
   B65B 1/32 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B65B3/28
B65B1/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565538
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2022061898
(87)【国際公開番号】W WO2022253507
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021114323.3
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523401803
【氏名又は名称】ウルト インターナショナル エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューバー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロイター、ハーバート
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA02
3E118AB16
3E118AB18
3E118AB20
3E118BA08
3E118BB21
3E118CA06
3E118CA09
3E118CA20
3E118DA01
3E118DA02
3E118DA03
3E118EA01
3E118FA06
3E118FA11
(57)【要約】
再充填ステーション(100)において、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶(104)を受容するための受容装置(102)と、受容装置(102)にあるディスペンス缶(104)に関連する重量情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するための秤(126)と、検出された重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶(104)の再充填を制御するように構成された制御デバイス(110)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充填ステーションにおいて、
作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置(102)と、
前記受容装置にある前記ディスペンス缶に関連する重量情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するための秤と、
検出された重量情報をベースとして、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を制御するように構成された制御デバイスと、
を有する、再充填ステーション。
【請求項2】
前記秤は前記受容装置の下に配置され、前記ディスペンス缶は前記受容装置に受容された状態のとき直立して配置される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項3】
前記秤は前記受容装置の上に配置され、前記ディスペンス缶は前記受容装置に受容された状態のとき倒立して配置される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項4】
前記秤は天秤である、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項5】
前記秤は前記秤の過荷重に対して防護を提供する安全メカニズムを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項6】
前記安全メカニズムは、秤竿の他方の端部に向かい合う、前記秤の前記秤竿の一方の端部に取り付けられる二重板ばねを有し、前記他方の端部は前記受容装置に受容された状態のとき前記ディスペンス缶と力結合される、請求項5に記載の再充填ステーション。
【請求項7】
前記制御デバイスは、再充填プロセスの前に前記秤によって決定される重量情報をベースとして前記ディスペンス缶の残存充填量を再充填プロセスの前に判定し、特に前記ディスペンス缶の過剰充填を回避するために、前記重量情報をベースとして再充填プロセスを制御するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項8】
前記制御デバイスは、再充填プロセス中に前記秤によって重量情報を決定し、それ以後は前記重量情報をベースとして再充填プロセスを続行するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項9】
前記制御デバイスは、再充填プロセスの前と再充填プロセスの少なくとも一部の後に前記秤によって実行される前記ディスペンス缶の重量差決定をベースとして、特に実際・目標・照合をベースとして、再充填プロセスを制御するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項10】
前記秤は、前記ディスペンス缶と、前記ディスペンス缶の残存充填量と、前記再充填ステーションの一部との、特に前記受容装置との、合計重量について指標となる重量情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するために構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項11】
前記ディスペンス缶に割り当てられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データを読み取るためのトランスポンダ読取器具を有し、
前記制御デバイスは、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を制御するために構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項12】
前記トランスポンダ読取器具は、前記ディスペンス缶の空重量、前記ディスペンス缶に充填されるべき作用物質、および/または前記ディスペンス缶の最大充填量について指標となるディスペンス缶関連データを読み取るために構成される、請求項11に記載の再充填ステーション。
【請求項13】
前記受容装置は、前記ディスペンス缶を受容するための受容側と、前記受容側に向かい合う計量側とを有し、この計量側に、前記秤と、前記受容側に受容されるべき前記ディスペンス缶へ作用物質および/または圧縮ガスを供給するための供給接続部とが取り付けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーション。
【請求項14】
前記受容装置は前記計量側に突起を有し、この突起に前記秤が取り付けられ、この突起は切欠きを区切り、この切欠きを通して前記供給接続部が挿通される、請求項13に記載の再充填ステーション。
【請求項15】
再充填機構において、
請求項1から3のいずれか1項に記載の再充填ステーションと、
前記受容装置に取付可能な、または取り付けられた前記ディスペンス缶とを有し、前記秤によって、前記ディスペンス缶が前記受容装置に取り付けられているときに、前記受容装置にある前記ディスペンス缶に関連する重量情報を検出可能である、再充填機構。
【請求項16】
作用物質を含み、前記ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために前記受容装置とリンクされた、またはリンク可能である作用物質容器を有する、請求項15に記載の再充填機構。
【請求項17】
圧縮ガスを提供するために構成され、前記ディスペンス缶を再充填するための圧縮ガスを提供するために前記受容装置とリンクされた、またはリンク可能であるガスリザーバを有する、請求項15に記載の再充填機構。
【請求項18】
再充填ステーションを作動させる方法において、前記方法は、
作用物質で再充填されるべきディスペンス缶が前記再充填ステーションの受容装置に受容されることと、
前記受容装置にある前記ディスペンス缶に関連する重量情報が再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に秤によって検出されることと、
検出された重量情報をベースとして、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填が制御されること、
とを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再充填ステーション、再充填機構、および、再充填ステーションを作動させる方法に関する。
【0002】
再充填ステーションによって自動的に補充可能であるディスペンス缶が知られている。このような周知の再充填ステーションのひとつは、出願人WurthのREFILLO(登録商標)mat-Stationである。安全で経済的なこのシステムは、空になったディスペンス缶に作用物質と圧縮空気を自動的に補充することに依拠する。このことは、大型容器(たとえばキャニスターやドラム)からの作用物質でディスペンス缶を充填することを可能にする。そのために個々の作用物質のためのディスペンス缶が、相応の再充填ステーションに押圧される。そして、作用物質と圧縮空気でのディスペンス缶の充填が所定の比率で行われる。ディスペンス缶と、これに対応する作用物質との取り違えを排除するために、缶受容部は機械式にコーディングされており、それにより、正しいディスペンス缶だけを正しい缶受容部へ機械的に取り付けることができる。それにより機械的に適合するディスペンス缶だけを、対応する再充填ステーションで使用することができる。このようにして、状況によっては危険のある、作用物質とディスペンス缶の取り違えが機械式に抑止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、高い精度を有する、ディスペンス缶を再充填するための再充填ステーションを提供することにある。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載の構成要件を有する対象物によって解決される。その他の実施例は従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施例では、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置と、受容装置にあるディスペンス缶に関連する(特に受容装置を含めたディスペンス缶に関連する)重量情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するための秤と、検出された重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するように構成された制御デバイスとを有する再充填ステーションが提供される。
【0006】
本発明の別の実施例では、上で説明した構成要件を有する再充填ステーションと、受容装置に取付可能な、または取り付けられた、ディスペンス缶とを有する再充填機構が提供され、秤によって、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときに、受容装置にあるディスペンス缶に関連する(特に受容装置を含めたディスペンス缶に関連する)重量情報を検出可能である。
【0007】
本発明のさらに別の実施例では、再充填ステーションを作動させる方法が提供され、この方法は、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶が再充填ステーションの受容装置に受容されることと、受容装置にあるディスペンス缶に関連する(特に受容装置を含めたディスペンス缶に関連する)重量データが再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に秤によって検出されることと、検出された重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶の再充填が制御されることとを有する。
【0008】
本件出願の枠内において「再充填ステーション」とは、特に、少なくとも部分的に空になった、再充填ステーションと機械的および流体的にリンク可能なディスペンス缶を、接続されるべき作用物質容器からの作用物質で再充填するために構成された機器であると理解することができる。したがって再充填ステーションは、再充填されるべき作用物質を提供するための容器と、再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供することができ、ならびに任意選択として、再充填されるべき圧縮ガスをディスペンス缶に提供するために構成されていてよい。
【0009】
本件出願の枠内において「受容装置」とは、特に機械的および流体的なアダプタであって、再充填されるべきディスペンス缶を特に形状接合式に受容するために構成され、受容された状態のときに作用物質および/または圧縮ガスをディスペンス缶へ提供することができるものであると理解することができる。機械的なアダプタ機能をさらに超えて、受容装置は、作用物質を含む容器と、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供するための流体的なアダプタとしても機能することができる。
【0010】
本件出願の枠内において「ディスペンス缶」(たとえばスプレー缶として構成される)とは、特に利用者により取扱可能な缶であって、好ましくは液体の作用物質を吐出するため(特にスプレー霧を噴射するため、または作用物質ジェット、泡、もしくはジェルの形態の作用物質を吐出するため)に構成されたものであると理解することができる。このような作用物質はディスペンス缶の内部で圧力のもとにあり、ディスペンス缶の中の加圧ガスまたはプロペラントガス(たとえばプロパン、ブタン、圧縮空気、二酸化炭素、ヘリウム、または窒素)を、ディスペンス缶からの作用物質の吐出のために利用することができる。ノズルによって、1つまたは複数の内容物質(特に作用物質または作用物質・プロペラントガス・混合物)を噴射缶から噴出し、噴霧化し、および/またはその他の形態で吐出することができる。噴射缶の中にある媒体は、特にエアロゾルとして、スプレー缶から噴出することができる。
【0011】
本件出願の枠内において「作用物質」とは、特に、ディスペンス缶から噴出された状態でディスペンス缶の本来の機能を提供する媒体であると理解することができる。そのような作用物質は、液体、ジェル、粘性媒体、および/またはガスを有していてよく、任意選択として固体粒子を有する。たとえばこのような作用物質は、洗浄剤(たとえばブレーキ洗浄剤)、錆取り剤、メンテナンスオイル、シリコーンスプレー、窓ガラス洗浄剤、リークテスタ媒体、溶接スプレーなどであり得る。再充填ステーションで、このような作用物質を容器(たとえばキャニスター)から、再充填されるべきディスペンス缶へと再充填することができる。
【0012】
本件出願の枠内において「制御デバイス」とは、特に、ディスペンス缶への作用物質の再充填のプロセスを制御し、特に定義された方式で許容し、またはエラー発生時に阻止するデバイスであると理解することができる。特にこのような制御デバイスは、意図および/または実行される再充填プロセスに関して提供される情報を評価して、再充填プロセスを場合により実行し、適合化し、制限し、拡張し、または実行不可能にする、少なくとも1つのプロセッサおよび/またはプロセッサの一部を有することができる。特に制御デバイスは、この目的のために再充填ステーションの個々のコンポーネントを制御またはコントロールする。
【0013】
本発明の枠内において「秤」とは、特に、質量決定または重量決定を行うことができる、または質量もしくは重量について指標となるデータを提供することができる、器具であると理解することができる。秤による1つまたは複数の物体の質量の測定は、1つまたは複数の物体の重量の力の測定を通じて行うことができる。本発明の実施例では、秤は、受容装置に組み付けられたディスペンス缶の質量または重量を決定するように、特に、ディスペンス缶の重量(さらには特にその空重量)に受容装置の重量を加えたものを決定するように、構成されていてよい。あるいは1つの実施例では、ディスペンス缶と、その部分的または全面的な、作用物質および/または圧縮ガスでの充填量とを含めた受容装置の重量を、秤によって決定することも可能である。特に実施例では、空になった、または作用物質および/または圧縮ガスで部分充填または完全充填されている、ディスペンス缶の重量を、再充填ステーションの少なくとも1つの部分を含めて、特にその受容装置を含めて、秤によって決定することが可能である。
【0014】
本発明の枠内において「受容装置にあるディスペンス缶に関連する重量情報」とは、特に、ディスペンス缶が受容装置のところにあり、秤によって計量が行われたときに、秤によって検出される情報であると理解することができる。このような重量情報は、秤で検知される測定生データの形態で、または秤の処理された測定データの形態で、提供されていてよい。さらにこのような重量情報は、(たとえば完全に空になった)ディスペンス缶の重量、または作用物質および/または圧縮ガスでの充填量を含めた、(たとえば部分的にのみ充填された、または完全に充填された)ディスペンス缶の重量に関連することができ、好ましくは、これにそれぞれ受容装置またはその一部の重量が加わる。
【0015】
本発明の例示としての実施例では、それまでに少なくとも部分的に空になっているディスペンス缶の、作用物質および/または圧縮ガスでの再充填が実行される前および/または途中に、再充填ステーションの受容装置に組み付けられているディスペンス缶の重量について指標となる質量決定または重量決定が実行される。このようにして、検知された重量情報に呼応するように、再充填プロセスを正確かつ適正に制御することが可能である。特に、秤によって簡易な方式であるにもかかわらず正確に検知される重量情報をベースとして、ディスペンス缶の最新の充填度を判定し、再充填プロセスを相応の方式で制御することができる。それにより、測定技術と装置に関わる少ないコストをもって、望ましくない部分的のみの再充填だけでなく、場合により危険のあるディスペンス缶の過剰充填も回避することができる。部分的のみの再充填は、ディスペンス缶の2回の再充填の間のインターバルが不必要に短くなり、利用者の手間がかかることを意味する。ディスペンス缶が過剰充填されると、状況によってはその爆発が懸念され、このことは利用者の怪我の危険や、ディスペンス缶の破壊と結びつく可能性がある。再充填ステーションを利用して再充填可能なディスペンス缶の再充填プロセスが、受容装置にある、再充填されるべきディスペンス缶に関する最新の重量情報をベースとして実行されることによって、顕著なユーザーフレンドリー性のもとで、再充填動作のときの高い動作安全性を保証することができる。受容装置に組み付けられた状態にあるディスペンス缶に関する重量情報が秤によって検出され、それにより、それまでに少なくとも部分的に空になっているディスペンス缶へ再充填プロセス中に再充填されるべき作用物質および/または圧縮ガスの量に関する推定が可能となることによって、ディスペンス缶の充填量を定量化するための、従来は困難又は不正確であった作用物質および/または圧縮ガスの流量測定が不要となり得る。重量検出は、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられている状態のときに秤によって行われるのが好ましい。その場合に重量検出に含まれる受容装置の重量は、計算で考慮に入れることができ、または取り除くことができ、したがって、ディスペンス缶の再充填プロセスを制御するための重量評価を狂わせることはない。利用者はディスペンス缶を受容装置に装着する必要しかなく、それ以外は秤と制御デバイスが処理する。
【0016】
以下において再充填ステーション、再充填機構、および本方法の、追加の例示としての実施例について説明する。
【0017】
1つの実施例では、ディスペンス缶の充填量の秤ベースの定量化は、上で説明したように、ディスペンス缶の充填度を決定するための精度又はデータベースをいっそう改善するために、流量測定と組み合わせることができる。
【0018】
例示としての実施例では、秤は受容装置の下に配置されていてよく、ディスペンス缶は受容装置に受容された状態にあるとき直立して配置されていてよい。換言するとディスペンス缶は、利用者にとって特別に直感的な方式で、その下に配置される受容装置の上に立つように組み付けることができ、さらに受容装置が秤の上方に配置されていてよい。その場合、ディスペンス缶が上に配置されている受容装置が、秤に対して作用する。このような実施例が図9に示されている。
【0019】
例示としての別の実施例では、秤は受容装置の上に配置されていてよく、ディスペンス缶は受容装置に受容された状態にあるとき倒立して配置されていてよい。ディスペンス缶を充填中に懸架されるように配置できることが明らかであり、ディスペンス缶の上方に、これを受容する受容装置が配置されていてよく、さらに受容装置が秤の下方に配置される。このようにして、ディスペンス缶が下に配置された受容装置が、秤に対して作用する。このような実施例を図10が示している。
【0020】
例示としての実施例では、秤は天秤であってよい。天秤は、水平方向の軸に可動に支承された水平方向の竿で構成される計量装置と呼ぶことができる。本発明の例示としての実施例に基づいて適用される天秤は、重心の上方の中心で回転可能に支承された対称の2アーム式のレバーを有することができ、このレバーが一方の端部で受容装置およびこれに組み付けられたディスペンス缶によって、および他方の端部で参照質量等によって、負荷される。別の実施例では、たとえばばね秤などのこれ以外の秤を適用することができる。
【0021】
例示としての実施例では、秤は、秤の過荷重に対する防護のために構成された安全メカニズムを有することができる。このような安全メカニズムは、再充填ステーションの各コンポーネントを損傷させかねない高すぎる重量が及ぼされることから再充填ステーションを防護する。たとえば安全メカニズムは、秤竿の他方の端部に向かい合う、秤の秤竿の一方の端部に取り付けられる二重板ばねを有することができ、この他方の端部は受容装置に受容された状態のときに受容装置およびディスペンス缶と力結合される。このような予防策は、高すぎる重量が秤に及ぼされた場合にこれを保全する。それにより、機械的にロバストな再充填ステーションを提供することができる。
【0022】
例示としての実施例では、制御デバイスは、再充填プロセスの前に秤によって決定される重量情報をベースとしてディスペンス缶の残存充填量を再充填プロセスの前に判定し、この重量情報をベースとして、特にディスペンス缶の過剰充填を回避するために、再充填プロセスを制御するように構成されていてよい。それまでに部分的にのみ空になっているディスペンス缶の再充填の実行前に、その残存充填量の決定が実行されることによって、ディスペンス缶の再充填プロセスの完了後に過小充填も過剰充填も懸念されることがないように、以後の再充填プロセスを正確に調整することができる。部分的にのみ空になっているディスペンス缶の残存充填量を判定するために、たとえばディスペンス缶を受容する受容装置の既知の重量のもとで、およびディスペンス缶の既知の空重量のもとで、部分充填量と受容装置とを含めたディスペンス缶の重量を秤によって決定し、そこから受容装置の重量とディスペンス缶の空重量とを差し引くことができる。ディスペンス缶の空重量は事前に既知となっていてよく、または、ディスペンス缶の識別表示によって判定することができ、たとえば、ディスペンス缶のディスペンス缶トランスポンダからトランスポンダ読取器具によってディスペンス缶を特徴付けるディスペンス缶データを受容装置で読み出すことによって判定することができる。
【0023】
例示としての実施例では、制御デバイスは、再充填プロセス中に秤によって重量情報を決定し、それ以後はこの重量情報をベースとして再充填プロセスを続行するように構成されていてよい。たとえばディスペンス缶の重量を(たとえば受容装置および/または再充填プロセスの他の少なくとも1つのコンポーネントとの組み合わせで)再充填プロセスの実行中に連続的に、または時間的間隔をおいて、検出し、それによって再充填の進捗を判定することができる。このことは正確な制御を、または再充填プロセスの残りの部分の追従制御を、どの時点でも可能にする。特に、そのつどの再充填の進展が追跡されることで、残りの再充填プロセスの予測も外挿によって可能にすることができ、それに伴い、再充填プロセスの精度をさらにいっそう向上させることができる。
【0024】
例示としての実施例では、制御デバイスは、再充填プロセスの前および再充填プロセスの少なくとも1つの部分の後に秤によって実行される、受容装置にあるディスペンス缶の重量差決定をベースとして、特に実際・目標・照合をベースとして、再充填プロセスを制御するように構成されていてよい。完全に空になっているディスペンス缶の初期重量、または部分的にのみ空になっているディスペンス缶の初期重量、ならびに開始時の残存充填量が既知であれば、または測定技術的に判定されていれば、再充填プロセスを適正に続行するために、又は正しい時点で終了するために、再充填プロセスの前ならびに途中および/または最後に重量差決定をするだけで足りる。再充填プロセスの前と後の重量決定は、秤によって簡易な方式で実行することができる。再充填プロセスの開始時に場合により存在するディスペンス缶の残存充填量は、受容装置の空重量が既知であるか、または測定されており、かつディスペンス缶の空重量が既知であるか、または測定されていれば、再充填プロセスの実行前に受容装置にあるディスペンス缶の重量決定をすることで判定することができる。
【0025】
例示としての実施例では、秤は、ディスペンス缶と、ディスペンス缶の中の作用物質の残存充填量と、再充填ステーションの一部(特に充填装置)との合計重量について指標となる重量情報を、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するために構成されていてよく、制御デバイスは、検出された重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するように構成されていてよい。既知の個別重量(たとえば受容装置、ディスペンス缶の空重量)、又は(特にディスペンス缶のトランスポンダを利用して)検知可能な個別重量、および/または秤によって決定可能な個別重量(たとえばディスペンス缶なしでの受容装置)との組み合わせで、ディスペンス缶を完全に再充填するために充填されるべき不足量を決定するために、上述した合計重量の簡易な決定だけで足りるという利点があるその場合、たとえば部分充填されたディスペンス缶の個別の重量決定を不要にすることができ、このことは、高いコストをかけてディスペンス缶に秤を直接的に取り付けるのを不要にすることができる。その代わりに、たとえば秤を受容装置に直接的に、およびそれによりディスペンス缶には間接的にのみ、取り付けることができ、このことは装置面でいっそう簡易である。
【0026】
例示としての実施例では、再充填ステーションは、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときに、ディスペンス缶に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データを読み取るためのトランスポンダ読取器具を有することができ、制御デバイスは、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するために構成される。特にトランスポンダ読取器具は、ディスペンス缶の空重量、ディスペンス缶に充填されるべき作用物質、および/またはディスペンス缶の最大充填量について指標となるディスペンス缶関連データを読み取るために構成されていてよい。たとえばRFIDタグをディスペンス缶トランスポンダとしてディスペンス缶に取り付けることができ、たとえばRFID読取器具として構成される、再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によって読み出すことができる。ディスペンス缶に割り当てられるディスペンス缶トランスポンダには、たとえばディスペンス缶の空重量、ディスペンス缶の最大充填量、およびディスペンス缶に収容される作用物質に関する情報(たとえばその密度)などの、ディスペンス缶関連データが保存されていてよい。このような情報を、特に重量差決定を実行するときに、作用物質および/または圧縮ガスでディスペンス缶を再充填するための再充填プロセスの制御のためのベースとして利用することができる。
【0027】
その代替または補足として、作用物質および/または圧縮ガスで再充填するためのディスペンス缶の再充填プロセスの制御のためのベースとして、ディスペンス缶に再充填されるべき作用物質を提供する作用物質容器と関連付けられた作用物質容器トランスポンダ(たとえば別のRFIDタグ)から、作用物質容器関連データを読み出すことができる。たとえば作用物質容器関連データは、ディスペンス缶に再充填されるべき作用物質に関する情報を、たとえばその密度を、供給することができる。作用物質容器関連データは、再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によって読み出すことができる。このような情報を、特に重量差決定を実行するときに、作用物質および/または圧縮ガスでディスペンス缶を再充填するための再充填プロセスの制御のためのベースとして利用することができる。
【0028】
例示としての実施例では、受容装置は、ディスペンス缶を受容するための受容側と、受容側に向かい合う計量側とを有することができ、この計量側に、秤と、受容側で受容されるべきディスペンス缶へ作用物質および/または圧縮ガスを供給するための供給接続部とが取り付けられる。秤と、再充填されるべきディスペンス缶へ媒体を供給するための供給接続部とがいずれも、受容装置にディスペンス缶を利用者側で取り付けるための受容側に向かい合う受容装置の計量側に配置されることによって、受容装置にディスペンス缶が利用者側で取り付けられるときに、秤と供給接続部が機械的な影響に対して防護されて配置される。それにより、再充填ステーションが作動時の厳しい条件にも耐えることができ、重量決定機能や、ディスペンス缶への媒体の提供が損なわれることがない。
【0029】
例示としての実施例では、受容装置は計量側に突起を有していて、この突起に秤が取り付けられ、この突起が切欠きを区切り、この切欠きを通して供給接続部が挿通される。たとえば突起は複数のピンによって、または環状突起として、構成されていてよい。硬質の突起は、受容装置と秤の力結合のための役目を果たし、このことは、ディスペンス缶重量について指標となる重量情報の決定を可能にする。それと同時に突起は円周で切欠きを区切り、その中に、媒体(特に作用物質および/または圧縮ガス)を受容装置へ、およびそこから受容装置に受容されているディスペンス缶へ、供給するための供給接続部の形態の流体インターフェースが防護されて収容される。上述したコンフィグレーションは省スペースであり、正確な重量決定と、媒体の同時の供給とを可能にし、再充填されるべきディスペンス缶が受容装置に装着されるときの圧力衝撃から影響を受けにくい。
【0030】
例示としての実施例では、制御デバイスは、秤による重量情報の検出をベースとして、ディスペンス缶の中の作用物質の残存量を再充填プロセスの前に判定し、後続する再充填プロセスを相応に制御するように構成されていてよい。特に、重量決定をベースとする、再充填されるべきディスペンス缶の残存充填量の判定は、残存充填されているディスペンス缶に再充填されるべき作用物質および場合により圧縮ガスの量の正確な決定を可能にする。
【0031】
例示としての実施例では、再充填機構は、作用物質を含み、ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器を有することができる。このような作用物質容器は、たとえば5 lから100 lの範囲内の、特に5 lから80 lの範囲内の作用物質の、収容容積を有する、たとえばキャニスターまたはドラムであってよい。
【0032】
例示としての実施例では、再充填機構は、圧縮ガスを提供するために構成され、ディスペンス缶を再充填するための圧縮ガスを提供するために受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、ガスリザーバを有することができる。このようなガスリザーバはたとえば加圧ガス容器であってよく、または加圧ガス配管への接続部であってよい。圧縮ガスが恒常的に内蔵され、作用物質が吐出されるときにディスペンス缶から漏れ出ることがないBoV(Bag-on-Valve)ディスペンス缶としてディスペンス缶が構成されている場合には、ディスペンス缶へ圧縮ガスを再充填するための圧縮ガスリザーバは不要となり得る。
【0033】
次に、本発明の例示としての実施例について、以下の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構を示す。
図2図2は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションを作動させる方法を表すフローチャートを示す。
図3図3は、追加注文装置と通信可能にリンクされた、本発明の例示的な実施例に基づく複数の再充填機構を有するシステムを示す。
図4図4は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構でのマテリアルフローを示す。
図5図5は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの受容装置を示す。
図6図6は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構のディスペンス缶の底面を示す。
図7図7は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの裏面を示す。
図8図8は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構でディスペンス缶を再充填するためのメカニズムを示す。
図9図9は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーションの秤を示す。
図10図10は、本発明の例示としての別の実施例に基づく、再充填ステーションの秤を示す。
【0035】
異なる図面の同一または類似のコンポーネントには、同じ符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面を参照して本発明の例示的な実施例を記述する前に、本発明の実施例のいくつかの一般的な側面についてさらに説明しておく。
【0037】
本発明の各実施例では、容器(たとえば20 lキャニスターや60 lドラム)からの作用物質を利用してディスペンス缶を充填又は再充填する、再充填ステーションが提供される。このディスペンス缶は、たとえば下面に充填弁を有するエアロゾル缶であってよい。さらにディスペンス缶の下面に、再充填ステーションの受容装置の相応の形状に対応する機械的なコーディングが構成されていてよい。それに加えてディスペンス缶はその上面に、作用物質又は媒体をディスペンス缶から吐出するための噴射弁を有することができる。
【0038】
充填ステーションは容器との流体接続部を有することができ、そこから作用物質が、再充填されるべきディスペンス缶へと充填される。たとえばこのような流体接続部は、再充填ステーションの容器から作用物質又は媒体をディスペンス缶へ供給するために、ホースによって構成されていてよい。このようなホースはESD減衰型(ESD=electrostatic discharge、静電放電)であるのが好ましい。特に再充填ステーションは、機械的に適合するようにコーディングされたディスペンス缶だけを相応の再充填ステーションにセットできるようにするために、機械的なコーディングを有するディスペンス缶のための受容装置または装着デバイスを有することができる。さらに受容装置には、ディスペンス缶をその充填中に受容装置で保持するために、係止部が設けられていてよい。ディスペンス缶は、ディスペンス缶と受容装置との間の適正な結合が損なわれることなしに、受容装置に対する角度位置に関わりなく、すなわち明らかにコーディングプレートの上で360°自由に、位置決め可能なように、長軸を中心として回転可能に構成されていてよいのが好ましい。任意選択として再充填ステーションは、作用物質と一緒に圧縮空気をディスペンス缶へ充填するために圧縮空気接続部を装備していてよい(圧縮空気は、たとえばどの自動車工場でも利用可能である)。充填プロセスの制御は制御デバイスによって行うことができる。たとえばディスペンス缶の充填にあたって、まず最初に作用物質、その後に圧縮媒体(たとえば圧縮空気)を送出することができる。この両者は、たとえば3方向弁によって空気圧式に制御することができる。この目的のために再充填ステーションは、作用物質を収容して定義された量の作用物質をディスペンス缶へ充填するために、シリンダ(たとえば特殊鋼シリンダまたはプラスチックシリンダ)を有するピストンを装備していてよい。
【0039】
再充填ステーションは、電気的な電位補償部に接続することができるのが好ましい。再充填のときの作用物質の摩擦が、静電気の帯電につながる可能性があるからである。たとえば棚への再充填ステーションの組付けを行うことができ、少なくとも1つの容器(たとえば、たとえば20 lの収容容積を有するキャニスター)が棚に配置されていてよい。(たとえば60 lの収容容積を有する)作用物質ドラムの上への載置部を有するように再充填ステーションを構成し、または、危険物キャビネットの中で支持荷重アダプタとして構成することも可能である。適切な電位補償をアースによって実現することができる。
【0040】
本発明の例示としての実施例では、ディスペンス缶へ作用物質および/または圧縮ガスを再充填するための再充填ステーションを提供するために、再充填動作のときディスペンス缶を受容する受容装置に秤が組み付けられる。秤は、現時点で完全に空になっている、部分的に充填されている、または完全に充填されている、受容装置にあるディスペンス缶の最新の質量又は最新の重量について指標となる重量情報を、充填プロセスの前および/または途中に検出するために構成される。特に、秤によって検出される重量情報は、ディスペンス缶の現時点での充填度を判定し、これをベースとして、ディスペンス缶の目標充填状態を達成するために、再充填プロセスがどのように実行または続行されるべきかを決定することを可能にすることができる。重量ベースでの、又は重量コントロール式の、ディスペンス缶の再充填によって、ディスペンス缶の望ましくない過小充填だけでなく、危険のある過剰充填も回避できるという利点がある。したがって再充填プロセスを動作安全的に実行できるだけでなく、作用物質および/または圧縮ガスでディスペンス缶を再充填するための連続する再充填手続の間の不必要に短い再充填インターバルを回避したうえで、およびそれに伴ってユーザーフレンドリーに実行することができる。
【0041】
本発明の例示としての実施例では、秤は、再充填可能なディスペンス缶を再充填するための再充填ステーションの受容装置で、たとえばエアロゾル缶として構成されるディスペンス缶の重量又は質量を充填プロセスの前および途中に測定する。特に、それによってディスペンス缶に注入される媒体(特に作用物質および/または圧力媒体)の量を、たとえば天秤として構成される秤を通じて測定することができる。ディスペンス缶を充填するときの計量プロセスの実行によって、充填量の制限を実現できるという利点がある。1つの好ましい実施例では、制御デバイスによる再充填プロセスの制御または調節は、目標/実際照合を実行しながらディスペンス缶のコントロールされた充填を可能にする。たとえば秤によって、ディスペンス缶の現時点での実際充填を決定し、目標充填と比較することができる。実際充填が目標充填に達するまで再充填プロセスを続行し、それから終了することができる。再充填プロセスの前または開始時に、場合によりたとえばエアロゾル缶として構成されるディスペンス缶の中にある作用物質および/または圧縮ガスの残存量を測定することができる。このような重量情報に合わせて、再充填プロセスを適合化することができる。
【0042】
再充填ステーションの秤は、ディスペンス缶の中の媒体(特に作用物質および/または圧縮ガス)の、(たとえばエアロゾル缶として構成される)ディスペンス缶そのものの、および充填装置(特に再充填されるべきディスペンス缶が再充填のために受容される受容装置)の、重量又は質量を決定するように構成されていてよいのが特別に好ましい。このようなコンフィグレーションは、厳密にディスペンス缶そのものの重量だけを判定するように複雑な手段によって配慮しなくてすむという利点がある。たとえばその代わりに、充填プロセスの前と充填プロセスの途中に、および/または充填プロセス中のそれぞれ異なる時間で、たとえば既知の空重量および/またはたとえば既知の残存充填量を有する既知のディスペンス缶の重量差決定を実行したうえで、重量決定が受容装置を含めて行われる場合にも、ディスペンス缶に関する情報を導き出すことができる。このことは秤のコンフィグレーションを簡素化する。その場合、これを簡易な方式で受容装置に取り付けることができ、複雑な方式でディスペンス缶に直接的に配置しなくてすむからである。
【0043】
図1は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116を示している。再充填機構116は、全面的または部分的に空の、または空になった、ディスペンス缶104に作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)を充填または再充填し、割り当てられた作用物質でディスペンス缶104を簡易な方式で利用者により充填できるようにするための役目を果たす。そして作用物質を使用場所で噴出することができ、または、さらに一般的にはディスペンス缶104から吐出することができる。そしてディスペンス缶104が空になった後に、または再度空になった後に、再充填機構116でディスペンス缶104を再び新しい作用物質で充填することができ、その後も同様である。
【0044】
この目的のために再充填ステーション100は、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶104を形状接合式および流体リンク式に受容するために、ディスペンス缶アダプタとして機能する受容装置102を有している。受容装置102は、再充填されるべきディスペンス缶104の対応する機械的なインターフェースに合わせて形状が適合化された、機械的なインターフェースを有するコーディングプレートとして構成されていてよい。このようにして、機械的に適合するディスペンス缶104だけを受容装置102に取り付けることができ、このことは誤操作がほぼ起こらないようにする。図1には図示していないが、受容装置102に係止デバイスが取り付けられていてよく、この係止デバイスにより、受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104を充填中に受容装置102で係止しておくことができる。このようにして、再充填のときディスペンス缶104に及ぼされる圧力または作用する力が、受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れることにつながるのを排除することができる。再充填の終了後、係止デバイスをディスペンス缶104から自動的に解放することができ、または利用者の操作によって、ディスペンス缶104を解放した状態へと移行させることができる。そして利用者は、再充填されたディスペンス缶104を受容装置102から取り外して、使用場所に持っていくことができる。
【0045】
さらに再充填機構116は、たとえばキャニスターやドラムとして再充填されるべき作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)で充填されていてよい作用物質容器114を有することができる。このように、作用物質容器114はディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質を含んでおり、ディスペンス缶104を再充填するための作用物質を提供するために受容装置102と流体的にリンクされていてよく、またはリンク可能であってよい。
【0046】
ディスペンス缶104が-下記の説明を参照すべき図1のものとは異なり-圧縮媒体に恒常的に含まれているBoV(Bag-on-Valve)ディスペンス缶ではない場合、再充填機構116は、圧縮ガスを提供するために構成された、受容装置102と流体的にリンクされている、またはリンク可能である、ガスリザーバ124をさらに有することができる。このようにしてガスリザーバ124により、ディスペンス缶104へ充填するための圧縮ガス(たとえば圧縮空気)を提供することができる。たとえばガスリザーバ124は圧縮ガス配管への接続部であってよく、または、負圧のもとにあるガスが中に含まれる圧縮ガスボンベであってよい。
【0047】
図1に明示しているように、図示した実施例では3方向弁として構成された少なくとも1つの弁111が、作用物質容器114と、任意選択の圧縮ガスリザーバ124と、受容装置102との間の流体接続部を形成することができる。図示するように、受容装置102は、作用物質容器114から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120と流体的にリンクされていてよい。さらに受容装置102は、ガスリザーバ124から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと圧縮ガスを供給するための任意選択の圧縮ガス供給デバイス122と流体的にリンクされていてよい。たとえば少なくとも1つの弁111を制御デバイス110により制御して、まず最初に作用物質だけが少なくとも部分的に空になったディスペンス缶104に充填されてから、少なくとも1つの弁111が切り換えられて、続いて圧縮ガスだけがガスリザーバ124からディスペンス缶104に充填されるようにすることができる。それにより、事前定義された量の作用物質がディスペンス缶104に充填されることを保証することができる。作用物質容器114と受容装置102の間には、作用物質を作用物質容器114から受容装置102へ、およびそこからディスペンス缶104の中へと送出するために、たとえばポンプなどの送出デバイス113が配置されていてよい。任意選択として、ガスリザーバ124と受容装置102の間にも、たとえばコンプレッサやポンプなどの送出デバイス115が配置されていてよい。
【0048】
図1は、受容装置102にディスペンス缶104が装着される様子を矢印で示している。ディスペンス缶104の底面領域でその再充填弁162の領域に、ディスペンス缶104はたとえばRFIDタグなどのディスペンス缶トランスポンダ108を装備している。上記の底面領域で、ディスペンス缶104が受容装置102に受容される。このような無接触式に通信可能なディスペンス缶トランスポンダ108は、たとえばディスペンス缶104にラベルとして貼り付けることができ、または、缶ハウジング166の表面および/または内部に取り付け、もしくは埋め込むことができる。ディスペンス缶トランスポンダ108のソリッドステートドライブにはディスペンス缶関連データが保存されていて、これは、たとえばディスペンス缶104ならびにその中に充填されるべき作用物質を識別または特徴付けすることができ、および/またはディスペンス缶104の収容容積に関する情報、ディスペンス缶104での所望の圧縮ガス特性に関する情報、ディスペンス缶104の利用者に関する情報などを含むことができる。
【0049】
受容装置102には、ディスペンス缶104に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データを無接触式に読み取るためのトランスポンダ読取器具106が配置されている。トランスポンダ読取器具106は、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ、ディスペンス缶104がトランスポンダ読取器具106の読取領域内に入るような、受容装置102の領域に配置されている。それにより、トランスポンダ読取器具106のさらに遠くの周辺領域にあるディスペンス缶104の、トランスポンダ読取器具106による誤った読取プロセスが確実に阻止されることが保証されるという利点がある。この目的のために、トランスポンダ読取器具106とディスペンス缶トランスポンダ108が通信をするベースとなるトランスポンダテクノロジーは、たとえば10cm以下、特に5cm以下の到達範囲を有する短到達範囲トランスポンダテクノロジーとして構成されていてよい(たとえば短到達範囲RFIDテクノロジーとして)。それに伴い、ディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データをトランスポンダ読取器具106により、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ選択的に読み出すことができる。読み出されたデータは、トランスポンダ読取器具106から制御デバイス110に供給することができ、または、再充填ステーション100の図示しない電子式の大容量メモリに保存することができる。
【0050】
作用物質容器114も、作用物質容器トランスポンダ112が付与されていてよく(図示せず)、またはこれと関係付けられるのが好ましい。作用物質容器トランスポンダ112のソリッドステートメモリには、作用物質容器トランスポンダ112が-図示するように-再充填ステーション100のハウジング130に取り付けられているときにトランスポンダ読取器具106により選択的に読出可能である作用物質容器関連データが保存される。トランスポンダ読取器具106による作用物質容器トランスポンダ112の読出可能性を可能にするために、または簡易にするために、作用物質容器トランスポンダ112は、作用物質容器114から定義されたとおりに分離可能なラベル132として構成されていてよい。たとえばラベル132は、作用物質容器トランスポンダ112を装備する接着ラベルとして構成されていてよく、これを利用者はたとえばキャニスターとして構成される作用物質容器114から分離し、そのために意図されるハウジング130の(たとえば相応に識別表示がなされた)位置に貼り付けることができる。このような取り付けまたは貼り付けによって、またはその代替として提示によって、作用物質容器トランスポンダ112をトランスポンダ読取器具106の可読距離内に入れることができ、それにより、作用物質容器関連データをトランスポンダ読取器具106によって読み出すことができる。作用物質容器トランスポンダ112も、定義された利用者行為によって初めてトランスポンダ読取器具106の可読距離内へ移行されてから、作用物質容器関連データがトランスポンダ読取器具106によって検出できることによって、誤った作用物質容器関連データの読み出しに対する確実な防護が提供される。たとえば作用物質容器関連データは、作用物質容器114の中の作用物質に関する情報、作用物質容器114の中の充填量または残存充填量に関する情報、当該作用物質に適したディスペンス缶104または再充填ステーション100に関する情報などを含むことができる。
【0051】
制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106からこれに提供されるディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データとを評価して、たとえばそれらの適合性をチェックすることができる。特に制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106によって読み出されたデータから、作用物質容器114により提供される作用物質が、受容装置102で受容されているディスペンス缶104に適合するか否かを判定することができる。このようにして動作安全性を高めることができる。たとえば危険な(たとえばベンジンを有し、したがって発火の危険がある)作用物質に適さないディスペンス缶104が使用されるのを排除することができるからである。これに準ずる方式で、許容されない出所を起源とする作用物質が、ディスペンス缶104の再充填のために許容されることも排除することができる。利用者がディスペンス缶104の形状を不正操作して、受容装置102と流体的にリンクされている作用物質容器114の不適合性に関わりなく受容装置102に組み付けようとした場合でさえ、ディスペンス缶トランスポンダ108の読み出しによって、そのことを制御デバイス110により認識することができる。したがって、特定の作用物質に適さないディスペンス缶104の充填を、上述したトランスポンダ・コンフィグレーションによって確実に回避することができる。それにより、再充填機構116を使用するときの高い動作安全性を実現することができる。ディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データが一致を示している場合、再充填プロセスが制御デバイス110によってリリースまたは許容され、それ以外の場合には再充填プロセスが阻止されて許容されない。
【0052】
図1は、制御デバイス110を用いて再充填機構116をユーザー側で制御するためのソフトウェアアプリを有するユーザー端末機134が、通信可能にリンクされていることをさらに示している。ユーザー端末機134は、たとえば通信ネットワーク117(たとえば移動無線ネットワークや公共のインターネット)を介して再充填ステーション100の通信インターフェース119とワイヤレス式に通信可能にリンクされていてよい移動無線機であってよい。このようにして利用者は、離れた位置からでも制御コマンドを再充填機構116に伝送することができ、または、再充填機構116の動作時に監視を行うことができる。
【0053】
さらに図1に示すように再充填ステーション100は、たとえばディスペンス缶関連データ、作用物質容器関連データ、および/または利用者についての情報などの情報を表示するための表示デバイス118を有している。たとえば表示デバイス118は、LCD表示器またはタッチスクリーンとして構成されていてよい。再充填プロセスの前、途中、および/または後に、表示デバイス118によって付属の情報を表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0054】
図1に示す再充填ステーション100は、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に受容装置102でのディスペンス缶104の重量またはこれについて指標となる重量情報を検出するために、たとえば天秤として構成される秤126を有することができるのが好ましい。再充填プロセスの前のディスペンス缶104の重量検出は、場合により存在する作用物質および/または圧縮ガスによるディスペンス缶104の残存充填量を定性的または定量的に判定し、続いて実行されるべき再充填プロセスを相応に適合化または実行することを可能にする場合により存在するディスペンス缶104の残存充填量が再充填前に考慮されることで、ディスペンス缶104の過剰充填を回避することができる。再充填プロセスの途中に、再充填されるべきディスペンス缶104の重量増加を監視して、場合により生じる過剰充填や過小充填を回避することも可能である。したがって、秤126による重量検出の結果の提供を受けることができる制御デバイス110は、検出された重量をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するように構成されていてよい。
【0055】
秤126は、ディスペンス缶104と、ディスペンス缶104の中の作用物質の残存充填量と、再充填ステーション100の一部(特に受容装置102の少なくとも1つの部分)との合計重量について指標となる合計重量情報を、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するために構成されていてよいのが好ましい。そして制御デバイス110により、検出された合計重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御することができる。すなわち、ディスペンス缶104の重量だけを的確に検出することが不要になり得るという利点がある。前述した合計重量を単に検出することも可能であり、測定技術的には大幅に簡易である。その場合、重量決定プロセス中にディスペンス缶104と受容装置102とを分離することが不要になるからである。ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられる前に、ディスペンス缶104なしでの受容装置102の空重量が検出されることによって、受容装置102へのディスペンス缶104の取付後に秤126によって合計重量が決定されたときに、ディスペンス缶重量から区別される合計重量の残存重量を計算で差し引くことができる。
【0056】
すでに説明したとおり、再充填されるべきディスペンス缶104が受容装置102へ取り付けられた後に、制御デバイス110により、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容することができるのは、トランスポンダ108,112によって判定されたデータが、再充填のために受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104と、接続された作用物質容器114から提供される作用物質との適合性を示している場合に限られる。
【0057】
その代替または補足として、作用物質でのディスペンス缶104の再充填の許容は、検出デバイス138で検出された作用物質が、事前決定された許容性基準を充足するかどうかに依存して決めることができる。許容性基準として、供給デバイス120で送出されている作用物質が、ディスペンス缶104について許容される作用物質であるか否か、および/または供給デバイス120で検出された作用物質が、ディスペンス缶104について許容されると見なされる作用物質由来を充足するか否かを適用することができる。
【0058】
図1に示すように、作用物質容器114から作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120の検出デバイス138によって、ディスペンス缶104の再充填時に、たとえばホースとして構成される供給デバイス120を通る作用物質を特徴付けるため、および/または識別するための役目を果たす測定を実行することができる。このようにして、1つまたは複数の事前決定された許容性基準に反してディスペンス缶104の再充填に使われようとしている作用物質を認識することができる。
【0059】
たとえばディスペンス缶104の再充填のために使用許可されている作用物質に工場側で、たとえば蛍光マーカーやDNAマーカーなどの光学的に認識可能なマーカーを付与することができる。このようにして、たとえば特定のディスペンス缶104への再充填のために使用許可されている、および/または必要な品質基準を充足している、作用物質を識別表示することができる。そのような作用物質が供給デバイス120を通して送出されているとき、送出中に検出デバイス138によって、当該作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かを、好ましくは光学式に検出することができる。たとえば作用物質でのディスペンス缶104の充填の許容性は、予期される蛍光信号を検出デバイス138によって光学的に検出できることに依存して決めることができる。
【0060】
検出デバイス138によって検出される、事前決定された許容性基準について指標となるデータを、制御デバイス110に供給することができる。そして制御デバイス110は、検出デバイス138で検出された作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かに依存して、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容または拒否することができる。たとえばある作用物質をディスペンス缶104の充填のために許容することができるのは、たとえば特定の作用物質を示す、および/または許容される出所(たとえば特定の製造者)への作用物質の帰属性を示す、相応の予期される蛍光マーカーが作用物質に含まれている場合に限られる。このように、事前決定された許容性基準をチェックすることは、作用物質の高い品質と、ディスペンス缶104との組み合わせにおける作用物質の動作安全性とを保証する。
【0061】
図示した実施例では、検出デバイス138は、再充填されるべき作用物質の事前決定された光学的な信号特性を検出するための光学式の検出デバイスとして構成されている。前述した信号特性の存在は、その作用物質が事前決定された許容性基準を充足することを示している。このとき検出デバイス138は、ホース又は供給デバイス120の中の作用物質を、好ましくは供給デバイス120を通る流動中に検出できるという利点がある。ディスペンス缶104を再充填するための作用物質候補の信号特性を検出デバイス138が判定すると、この信号特性を評価のために制御デバイス110へ伝送することができる。そして制御デバイス110は、たとえば判定された実際信号特性と予期される目標信号特性との間の比較をベースとして、信号特性が事前決定された許容性基準の充足を示しているか否かを決定することができる。そしてこのような検査の結果に依存して、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容するか否かの措置を講じることができる。
【0062】
作用物質が許容性基準を充足しないことを、検出された信号特性が示している場合、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を阻止するための阻止デバイス140を作動させることができる。たとえば阻止デバイス140は、柔軟なホースとして構成される供給デバイス120を押し潰して、作用物質が供給配管120を通過できなくなるようにすることができる。その代替として阻止デバイス140は、流体配管として構成される供給デバイス120の中に硬化可能な接着剤を入れることができ、この接着剤が供給配管120を化学的に閉止して、供給配管120を通る作用物質の導通を不可能にする。
【0063】
ディスペンス缶104はその内部に作用物質と圧縮ガスとの混合物を有することができ、操作ノズル121が操作されると、作用物質・圧縮ガス・混合物がたとえばエアロゾルとして、ディスペンス缶104から吐出又は噴出される。このケースではディスペンス缶104の再充填のために、新しい作用物質だけでなく新しい圧縮ガスも必要である。
【0064】
その代替としてディスペンス缶104は、図1に示すように、特別にコンフィグレーションされたバッグオンバルブ・ディスペンス缶として構成されていてよい。図1に示す再充填可能なディスペンス缶104は作用物質を放出するための役目を果たすものであり、その内部に、作用物質を収容するための変形可能なバッグ160を有している。バッグ160は、たとえばプラスチックや金属フォイルで製造することができる。バッグ160はその下面で、再充填バルブ162と流体密に結合されている。再充填バルブ162は受容装置102へ液密に装着することができ、それによって再充填ステーション100と流体的にリンクして、作用物質容器114からの作用物質でバッグ160を充填または再充填することができる。これに加えてバッグ160はその上面で、バッグ160から作用物質を利用者が定義したとおりに噴射するための放出弁164と結合されている。操作ノズル121は放出弁164に装着することができ、操作ノズル121の操作によって放出弁164を開き、それによって作用物質をバッグ160からスプレーの形態で吐出する。
【0065】
さらに図1のディスペンス缶104は、バッグ160を収容する硬質な缶ハウジング166を有していて、これに対して再充填弁162と放出弁164とが下面又は上面に露出している。換言すると、放出弁164は頭部側で、および再充填弁162は底面側で、硬質な缶ハウジング166から突出する。缶ハウジング166は、たとえば硬質な金属ハウジングであってよい。圧縮ガスは、バッグ160と缶ハウジング166との間の中間容積部168で流体密に包囲されていてよく、ディスペンス缶104から漏れ出ないように防護されていてよい。このように圧縮ガスにとって、再充填弁162および/または放出弁164を通って漏れ出ることは不可能である。すなわち作用物質が放出弁164を通って噴射されるとき、作用物質は圧縮ガスとは混合されない。圧縮ガスは中間容積部168の中に、すなわちディスペンス缶104の中に、とどまるからである。それにより図1に示すディスペンス缶104では、圧縮ガスの再充填も不要である。中間容積部168への圧縮ガスの充填は、たとえば弁162,164のうちの一方を通して、および/または缶ハウジング166のその他の弁を通して(図示せず)、工場側で行うことができる。
【0066】
図2は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100を作動させる方法を表すフローチャート200を示している。
【0067】
再充填ステーション100を作動させる方法は、再充填ステーション100が本方法の実施の準備を完了していることを示すブロック202で開始される。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0068】
ブロック204で、再充填されるべきディスペンス缶104の、秤126によって検出された重量が、事前決定された範囲内で安定しているかどうかがチェックされる。
【0069】
それが該当する場合、ブロック206で、トランスポンダ読取器具106によってディスペンス缶トランスポンダ108が読み出される。さらにトランスポンダ読取器具106により、作用物質容器トランスポンダ112を読み出すことができる。
【0070】
ブロック208で、ディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質又は媒体が許容されるかどうか判定される。それが該当しない場合、本方法は、それが誤ったディスペンス缶104であると推定する。ブロック210を参照。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0071】
それに対して上記が該当する場合、ブロック212で、再充填されるべきディスペンス缶104の中の作用物質の残存量が決定される。次いでポンプ113をオンに切り換えて、ディスペンス缶104の補充のために作用物質を送出することができる(ブロック214)。
【0072】
充填物質によるディスペンス缶104の補充の後、ディスペンス缶104に再充填された作用物質の量が適合しているかどうかを(たとえば秤126によって)判定することができる。ブロック216を参照。それが該当しない場合、本方法はブロック214およびブロック216の手順を繰り返す。
【0073】
それに対して上記が該当する場合、本方法はブロック218で作用物質による充填量を決定し、全体充填量を合算する。ブロック220で、このことを表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0074】
そして任意選択のブロック222で、ポンプ115又はコンプレッサをオンに切り換えて、圧縮ガスをディスペンス缶104に充填することができる。
【0075】
ブロック224で、再充填されたディスペンス缶104の中の圧力が適合しているかどうかチェックされる。それが該当しない場合、ブロック222およびブロック224の手順がチェックされる。
【0076】
逆に上記が該当する場合には作動方法が終了する。ブロック226を参照。表示デバイス118で相応の情報を表示することができる。音響信号(たとえばブザーによって生成される)が、作動方法の終了を表示することができる。
【0077】
上述した充填の進行手順に追加して、充填前に圧力パルスを用いて、ディスペンス缶104が受容装置102の上で正しく装着されているかどうかを検知することが可能である。さらに充填の後に、通信可能にリンクされたノードへのデータ伝送が可能である。作用物質容器114(たとえばドラムやキャニスター)が空であるかどうかを検知することも可能である。このことは、たとえばディスペンス缶104の充填時に、そのような作用物質容器114の重量推移を監視することによって可能である。
【0078】
図3は、追加注文デバイス123と通信可能にリンクされた、本発明の例示としての実施例に基づく複数の再充填機構116を有するシステムを示している。
【0079】
図3のシステムでは、上で説明した構成要件を有する複数の再充填機構116が、ノード121(たとえばゲートウェイ)と通信可能にリンクされている。ノード121は、通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123とリンクされている。(たとえば作用物質を含む作用物質容器114の残存充填量が事前決定された閾値を下回っていることからして)作用物質容器114がまもなく空になるであろうことを再充填機構116の制御デバイス110および/または秤126が認識すると、その情報をノード121および通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123に伝送することができ、それにより、作用物質を含む新しい作用物質容器114の追加注文がリリースされる。
【0080】
図3では、作用物質に関わる消費データをたとえばカンバンシステムに伝送することができる。伝送されるデータは、それぞれの再充填機構116の識別子、ディスペンス缶104の識別子、日付と時間、ならびに作用物質、および消費および/または追加注文された作用物質の量を含むことができる。図示するように、ノード121は複数の再充填機構116に共通するゲートウェイとして機能することができる。ソフトウェアおよび特にファームウェアを、再充填機構116、ノード121、および/または追加注文デバイス123にインストールすることができる。
【0081】
図4は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116におけるマテリアルフローを示している。
【0082】
作用物質は、作用物質容器114から再充填ステーション100の供給デバイス120を経て、そこから、カバー135を上に開いた後に受容装置102に組み付けられるディスペンス缶104へと移送することができる。圧縮ガスは、圧縮ガスリザーバから再充填ステーション100の供給デバイス122を経て、そこから、受容装置102に組み付けられたディスペンス缶104へと移送することができる。ディスペンス缶104がBoVディスペンス缶である場合、圧縮ガスの再充填は不要である。
【0083】
図5は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の受容装置102を示している。
【0084】
図6は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116の、図5の受容装置102に組み付けられるべきディスペンス缶104の底面を示している。
【0085】
受容装置102には、ディスペンス缶104の底面領域133を受容するためのコーディングプレート129が形成されている。コーディングプレート129は、ディスペンス缶104の底面領域133(図6参照)に対して機械的に相補的に構成されている。コーディングプレート129は、図4に示すフラップまたはカバー135を上方に向かって開くことによって露出させることができる。コーディングプレート129の中央領域に流体接続部137が示されていて、これをディスペンス缶104の再充填弁162と流体的にリンクさせることができ、それは、この流体接続部137によって作用物質および/または圧縮ガスを、再充填弁162を通してディスペンス缶104に再充填するためである。
【0086】
コーディングプレート129にディスペンス缶104が組み付けられた後、ディスペンス缶104をコーディングプレート129でロックするためのロックデバイスを操作して、再充填プロセス中に受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れるのを防止することができる。再充填プロセスの終了後、ディスペンス缶104を受容装置102からロック解除して取り出すことができる。
【0087】
図7は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の裏面を示している。特に図7には、供給デバイス120,122の各区域が示されている。
【0088】
図8は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116でディスペンス缶104を再充填するためのメカニズムを示している。上記のメカニズムは事前決定されたサイズのピストンとシリンダを含んでおり、それにより適切な圧力によって、調量されるべき充填量を定義可能である。
【0089】
図9は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100の秤126を示している。
【0090】
厳密に言うと図9は、再充填ステーション100と、再充填ステーション100の受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104とを有する再充填機構116を示している。ディスペンス缶104は受容装置102の上に装着することができ、その際に係止される。図9には図示しない作用物質容器(図1または図4の符号114を参照)によって作用物質を、および/または図9には図示しないガスリザーバ(図1の符号124を参照)によって圧縮ガスを、供給デバイス120又は122を介して、および受容装置102を介して、ディスペンス缶104に再充填することができる。再充填プロセスの終了後、利用者はロック解除ボタン188を操作することができ、それによってディスペンス缶104が受容装置102からロック解除される。その代替として、受容装置102からのディスペンス缶104のロック解除は、受容装置102に受容されているディスペンス缶104に対して単に引張力を及ぼすことによって惹起可能であってよい。供給デバイス120又は122は作用物質配管又は圧縮ガス配管として機能し、図9には図示しないポンプに接続されていてよい(このポンプは、圧力のもとにある媒体をディスペンス缶104へ供給するために、たとえば最大2バールまたはさらに最大6バールの圧力を及ぼすことができる)。
【0091】
秤126により、作用物質(および任意選択として追加的に圧縮ガス)でディスペンス缶104を再充填するための再充填機構116の再充填動作の枠内で、受容装置102にあるディスペンス缶104に関連する重量情報を検出することができる。図9の秤126は受容装置102に取り付けられ、さらにこれに再充填されるべきディスペンス缶104が組み付けられているので、秤126は、空のディスペンス缶104と、作用物質および/または圧縮ガスでのディスペンス缶104の考えられる部分的または全面的な充填量と、受容装置102との個別重量を含む質量又は重量を決定する。
【0092】
秤126は、受容装置102にあるディスペンス缶104に関連する検出する重量情報を、再充填プロセスの前および再充填プロセスの途中に検出する役目を果たすのが好ましい。再充填ステーション100の制御デバイス110は、検出される前述した重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するように構成される。図9では、秤126は受容装置102の下に配置されている。ディスペンス缶104は、作用物質および/または圧縮ガスでの再充填のために、利用者によって上から受容装置102に装着し、受容装置102に受容された状態にあるとき直立するように、すなわち操作ノズル121が上方を向くように、配置することができる。
【0093】
図9では秤126は、機械的に簡素に設計されたロバストな天秤として構成されている。秤126と皿状の受容装置102との機械的なリンクは、上皿・竿・構造と呼ぶことができることが明らかである。このとき竿状の秤126は、秤126の過荷重に対して防護をするために構成された安全メカニズム142を有している。前述した安全メカニズム142は、秤126の秤竿146の一方の端部に取り付けられた二重板ばね144を含んでいる。前述した端部は秤竿146の他方の端部に向かい合い、この他方の端部は受容装置102と、および-受容装置102に受容された状態にあるときに-ディスペンス缶104と、力結合される。上述した安全メカニズム142は、過度に高い重量が印加された場合に秤126が防護されるように作用する。
【0094】
受容装置102は、ディスペンス缶104を取外し可能に受容するための受容側160と、受容側160に向かい合う計量側162とを有するのが好ましい。計量側162には、秤126と、受容側160で受容されるべきディスペンス缶104へ作用物質又は圧縮ガスを供給するための供給接続部168とが取り付けられている。媒体の供給部からの、ならびに重量決定部からの、ディスペンス缶組付部の空間的な分断は、再充填されるべきディスペンス缶104の利用者側での受容装置102に対する取付けや取外しと関連する機械的な負荷に対して、秤126と供給接続部168を防護する。同時にエラーロバストな再充填ステーション100につながる設計的に特別に簡易な方策として、受容装置102は計量側162で硬質の突起164(好ましくは環状突起)を装備することができ、これに秤126が取り付けられる。それと同時に突起164の内部では切欠き166が区切られ、これを通して供給接続部168が挿通される。
【0095】
図9の実施例では制御デバイス110は、場合により存在するディスペンス缶104の残存充填量を再充填プロセスの前に、秤126によって再充填プロセスの前に決定される重量情報をベースとして判定し、この重量情報をベースとして再充填プロセスを制御するように構成されている。作用物質および/または圧縮ガスでのディスペンス缶104の残存充填量が再充填の前に確認されることによって、再充填のときのディスペンス缶104の望ましくない過小充填だけでなく、危険のある過剰充填も回避することができる。すなわちディスペンス缶104の再充填プロセスの重量ベースの制御によって、一方では、ディスペンス缶104が実質的に完全に作用物質および/または圧縮ガスで充填される前に、再充填プロセスが終了するのを回避することができる。このことは利用者の快適性を高める。ディスペンス缶104の過度に頻繁な再充填が、それによって不要となるからである。それと同時に再充填プロセスの重量ベースの制御によって、ディスペンス缶104が作用物質および/または圧縮ガスで過剰充填されるのを回避することができ、このことは、ディスペンス缶104の過剰な内圧につながりかねず、不都合な状況のもとでは、さらに爆発の危険および/またはディスペンス缶104からの攻撃性の化学薬品の漏出につながりかねない。このようにディスペンス缶104の過剰充填の阻止は、利用者にとっての高い動作安全性をもたらし、場合により健康を脅かす作用物質の化学薬品に対して利用者を保護する。
【0096】
制御デバイス110は、再充填プロセス中に秤126によって重量情報を継続して決定し、それ以後はこの重量情報を連続的にベースとして再充填プロセスを制御し、適合化し、または調節するように構成されていてよいのが好ましい。特に制御ユニット110は、再充填プロセスの前、途中、および/または終了時に秤126によって実行されるディスペンス缶104の重量差決定をベースとして、再充填プロセスを制御するように構成されていてよい。このとき秤126は、ディスペンス缶104と、ディスペンス缶104の中の作用物質の残存充填量と、ディスペンス缶104を担持する受容装置102との合計重量について指標となる重量情報を、再充填プロセスの前および再充填プロセスの途中に提供すると、特別に好ましいことが判明している。そして再充填プロセスを制御デバイス110により、これらの情報をベースとして正確に実行することができる。特に制御デバイス110は、秤126による重量情報の検出をベースとして、ディスペンス缶104の中の作用物質の残存量を再充填プロセスの前に判定し、それ以後の再充填プロセスを相応に制御するように構成されていてよい。
【0097】
ディスペンス缶104に取り付けられる、RFIDタグとして構成されたディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データを読み取るために、たとえばRFID読取器具として構成されるトランスポンダ読取器具106を受容装置102に取り付けるのも特別に好ましい。ディスペンス缶104が再充填のために受容装置102に取り付けられると、ディスペンス缶トランスポンダ108がトランスポンダ読取器具106の可読間隔内に入ることができ、それにより、トランスポンダ読取器具106がディスペンス缶トランスポンダ108からディスペンス缶関連データを読み出すことができる。このようなディスペンス缶関連データは、たとえばディスペンス缶104の空重量、ディスペンス缶104に充填されるべき作用物質、および/またはディスペンス缶104の最大充填量を表すことができる。
【0098】
制御デバイス110は、作用物質および/または圧縮ガスでのディスペンス缶104の再充填を制御するとき、読み取られたディスペンス缶関連データをディスペンス缶104の特徴付けのために考慮することができるのが好ましい。制御デバイス110は、秤126の制御と、再充填プロセスについての進行制御とをいずれも実行する、たとえばプロセッサ(たとえばCPU,central processing unit)を有することができる。これに加えて制御デバイス110はさらに別の機能も果たすことができ、特に、供給デバイス120,122を介してのディスペンス缶104への媒体供給のためにポンプを制御し、図1又は図3で説明したインターネットなどの通信ネットワーク117を介しての通信を制御し、および/または表示デバイス118(図1を参照)を制御することができる。
【0099】
以下において、秤126の測定データをベースとして、好ましくは読み出されたディスペンス缶関連データとの組み合わせで、当初は未知の残存充填量を有するディスペンス缶104を再充填するための再充填プロセスをどのように実行できるかを例示として説明する。
【0100】
作用物質および/または圧縮ガスの未知の残存充填量を含むディスペンス缶104を利用者が受容装置102の上に組み付けると、秤126が、ディスペンス缶104の空重量と、その残存充填量の重量と、受容装置102の重量とからなる合計重量を検出することができる。ディスペンス缶104の空重量はたとえば既知であってよく、または、ディスペンス缶関連データとしてディスペンス缶トランスポンダ108から読み出すことができる。受容装置102の重量は既知であってよく、または、たとえばキャリブレーション中にディスペンス缶104を載置せずに秤126によって決定することができる。そしてこれらの情報をベースとして、一方における検出された合計重量と、他方における受容装置102およびディスペンス缶104の空重量との間の差異形成によって、ディスペンス缶104の残存充填量を判定することが可能である。完全に充填された状態でのディスペンス缶104の目標充填量が事前決定されていてよく、または、ディスペンス缶関連データとしてディスペンス缶トランスポンダ108から読み出すことができる。そして目標充填量と残存充填量との間の差異決定により、ディスペンス缶104を過小充填も過剰充填もしないために、どれだけの充填量がディスペンス缶104の再充填のために充填されるべきかを判定することができる。そしてこの充填量を、制御デバイス110による制御のもとで、ディスペンス缶104に充填することができる。その代替として、再充填の実行中に合計重量が継続的または定期的に秤126によって測定され、最新の部分充填量(すなわち連続して上昇していく残存充填量)と目標充填量との間の差異形成により、充填プロセスがどれだけ長く続行されるべきかが決定されることによって、ディスペンス缶104の完全な充填を保証することもできる。最新の充填量と目標充填量の間の差異がゼロに等しくなったとき、ディスペンス缶104が完全に再充填されており、再充填プロセスを終了することができる。
【0101】
図10は、本発明の例示としての別の実施例に基づく、再充填ステーション100の秤126を示している。
【0102】
図10の実施例が図9の実施例と相違するのは、特に、図10では秤126が受容装置102の上方に配置されていることによる。ディスペンス缶104は、図10では、受容装置102に受容された状態にあるとき倒立して配置され、すなわち、下方に向かって懸架されるように受容装置102に装着される。ディスペンス缶104の操作ノズル121は下方を向く。換言すると、受容装置102に取り付けられたコンフィグレーションでの図10のディスペンス缶104の向きは、図9の向きに対して180°回転している。
【0103】
補足として指摘しておくと、「有する」は他の部材や工程を排除するものではなく、不定冠詞の「eine」や「ein」は複数を排除するものではない。さらに指摘しておくと、上記の各実施例のうちの1つを援用して説明した構成要件または工程は、上記で説明した他の実施例の他の構成要件または工程との組み合わせでも適用することができる。特許請求の範囲における符号は、限定と見なされるべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】