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特表2024-521296複数の検出温度を使用する複数の標的核酸の検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】複数の検出温度を使用する複数の標的核酸の検出
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6816 20180101AFI20240524BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240524BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240524BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240524BHJP
   C12Q 1/6823 20180101ALI20240524BHJP
【FI】
C12Q1/6816 Z
C12N15/11 Z
C12Q1/6876 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6823 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569819
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 KR2022008659
(87)【国際公開番号】W WO2022265463
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0078463
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507292955
【氏名又は名称】シージーン アイエヌシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イ, ハン ビット
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ベ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本発明の開示は、単一の反応容器で、単一のタイプの標識単独によって、複数の検出温度を使用することによって、複数の標的核酸を検出するための方法であって、標的核酸のそれぞれの対応する検出温度で、対応する標的核酸の存在に依存するシグナル変化を提供することによることを特徴とする方法に関する。単一のタイプの標識を使用する従来技術は、複数の標的核酸が検出されるように、標的の増幅の後に融解分析に供される。対照的に、本発明の方法は、単一のタイプの標識を使用する場合でも、標的の増幅の後に融解曲線分析を必要としないことから、分析時間を著しく低減することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のn個の標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記n個の標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、前記標的核酸を検出するためのn個の組成物と共にインキュベートしながら、n個の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
nは、2又はそれより大きい整数であり、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、対応する標的核酸の存在下で、前記n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、前記シグナル変化は、前記対応する標的核酸の存在を示し、
前記標的核酸を検出するためのn個の組成物のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、前記n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、前記第iの標的核酸の存在下で、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第iの標的核酸の存在を示し、
iは、1~nの整数を表し、前記第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、ステップ;及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記n個の標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第iの標的核酸の存在は、前記第iの検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナルが前記第iの標的核酸の存在に応じて変化するシグナル変化温度範囲(SChTR)、及びシグナルが前記第iの標的核酸の存在下でさえも一定であるシグナル一定温度範囲(SCoTR)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、1又は2つのシグナル一定温度範囲を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、
(i)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;
(ii)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び
(iii)前記シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、前記2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物
のいずれか1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第iの検出温度が、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、前記第iの検出温度が、前記他の標的核酸を検出するための組成物の前記シグナル変化温度範囲に含まれない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップし、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物のそれぞれが、InterSC組成物である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記第iの標的核酸の存在に依存するシグナルを提供する標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標識が、前記インキュベーション中に、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はオリゴヌクレオチドに組み込まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が解離した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、最初から、前記第iの標的核酸を検出するための組成物に含まれていた、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、前記標識が連結されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーション可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって生成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、インキュベーション中に生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、前記標的核酸とのハイブリダイゼーションによって生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、前記標的核酸の存在に依存する切断反応によって生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記標的核酸を検出するための組成物が、前記標的核酸にハイブリダイズするタギングオリゴヌクレオチドを含み、前記標的核酸の存在に依存する切断反応は、前記タギングオリゴヌクレオチドの切断を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、単一のタイプの二重鎖であるか、又は複数のタイプの二重鎖である、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が単一のタイプの二重鎖である場合、前記単一のタイプの二重鎖の量が、前記標的核酸の存在に応じて変化し、それによって前記シグナルを変化させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、前記複数のタイプの二重鎖間の量の比率が、前記標的核酸の存在に応じて変化し、それによって前記シグナルを変化させる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、前記二重鎖のTm値は、互いに異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のタイプの二重鎖のうちの少なくとも2つが、同じ一本鎖を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、標識を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、前記二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
前記シグナルの検出が、前記複数のサイクルのうちの少なくとも2つで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記シグナル変化が、前記複数のサイクルのうちの前記少なくとも2つで検出されたシグナルを使用して測定される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第iの検出温度におけるシグナル変化が、前記複数のサイクルのうちの前記少なくとも1つで検出されたシグナル及び参照シグナル値を使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記参照シグナル値が、前記第iの標的核酸の非存在下における反応から得られる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記n個の検出温度のそれぞれにおけるシグナルの検出が、単一のタイプの検出器を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記n個の検出温度で検出されたシグナルが、前記単一のタイプの検出器によって互いに区別されない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記インキュベーションが、核酸増幅反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
試料中の2つの標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記2つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記第1の標的核酸を検出するための組成物は、前記第1の標的核酸の存在下で、前記第1の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第1の標的核酸の存在を示し;前記第2の標的核酸を検出するための組成物は、前記第2の標的核酸の存在下で、前記第2の検出でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第2の標的核酸の存在を示し、
前記第1の検出温度は、前記第2の検出温度より低い、ステップ、及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記2つの標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第1の標的核酸の存在は、前記第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第2の標的核酸の存在は、前記第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項36】
試料中の3つの標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記3つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物、第2の標的核酸を検出するための組成物、及び第3の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記第1の標的核酸を検出するための組成物は、前記第1の標的核酸の存在下で、前記第1の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第2の検出温度及び前記第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第1の標的核酸の存在を示し;前記第2の標的核酸を検出するための組成物は、前記第2の標的核酸の存在下で、前記第2の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度及び前記第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第2の標的核酸の存在を示し;前記第3の標的核酸を検出するための組成物は、前記第3の標的核酸の存在下で、前記第3の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度及び前記第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第3の標的核酸の存在を示し、
前記第1の検出温度は、前記第2の検出温度より低く、前記第2の検出温度は、前記第3の検出温度より低い、ステップ、及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記3つの標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第1の標的核酸の存在は、前記第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第2の標的核酸の存在は、前記第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第3の標的核酸の存在は、前記第3の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項37】
試料中のn個の標的核酸を検出するためのn個の組成物を含むキットであって、
nは、2又はそれより大きい整数であり、
前記n個の標的核酸を検出するための前記n個の組成物のそれぞれは、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、前記シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、
前記n個の標的核酸のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、前記第iの標的核酸の存在下で、前記n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、
iは、1~nの整数を表し、前記第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、キット。
【請求項38】
前記n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナルが前記第iの標的核酸の存在に応じて変化するシグナル変化温度範囲(SChTR)、及びシグナルが前記第iの標的核酸の存在下でさえも一定であるシグナル一定温度範囲(SCoTR)を有する、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、1又は2つのシグナル一定温度範囲を有する、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、
(i)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;
(ii)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び
(iii)前記シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、前記2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物
のいずれか1つである、請求項38に記載のキット。
【請求項41】
前記第iの検出温度が、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、前記第iの検出温度が、前記他の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲に含まれない、請求項38に記載のキット。
【請求項42】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップし、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない、請求項38に記載のキット。
【請求項43】
nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物である、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物のそれぞれが、InterSC組成物である、請求項40に記載のキット。
【請求項45】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記第iの標的核酸の存在に依存するシグナルを提供する標識を含む、請求項37に記載のキット。
【請求項46】
前記キット及び前記試料のインキュベーション中に、前記標識が、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はオリゴヌクレオチドに組み込まれる、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する、請求項37に記載のキット。
【請求項48】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が解離した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項45に記載のキット。
【請求項50】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、前記二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される、請求項38に記載のキット。
【請求項51】
前記n個の標的核酸を検出するための前記n個の組成物によって提供されるシグナルが、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない、請求項37に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1]本発明は、複数の検出温度を使用して複数の標的核酸を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[2]標的核酸の検出のために、リアルタイム方式で標的の増幅をモニターすることにより標的核酸を検出することが可能なリアルタイムの検出方法が広く使用されている。リアルタイムの検出方法は、一般的に、標的核酸と特異的にハイブリダイズした標識されたプローブ又はプライマーを使用する。
【0003】
[3]標識されたプローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを使用する方法の例としては、ヘアピン構造を有する二重標識されたプローブを使用する分子ビーコン方法(Tyagiら、Nature Biotechnology v.14 1996年3月)、Hyビーコン方法(French D Jら、Mol.Cell Probes、15(6):363~374(2001))、それぞれドナー及びアクセプターとして標識された2つのプローブを使用するハイブリダイゼーションプローブ方法(Bernardら、147~148 Clin.Chem.2000;46)及び単一の標識されたオリゴヌクレオチドを使用するLux方法(米国特許第7,537,886号)が挙げられる。DNAポリメラーゼの5’-ヌクレアーゼ活性による二重標識されたプローブの切断を使用するTaqMan方法(米国特許第5,210,015号及び5,538,848号)もまた、本発明の技術分野で広く使用される。
【0004】
[4]標識されたプライマーを使用する方法の例としては、サンライズ(Sunrise)プライマー方法(Nazarenkoら、2516~2521 Nucleic Acids Research、1997、25巻12号、及び米国特許第6,117,635号)、スコルピオン(Scorpion)プライマー方法(Whitcombeら、804-807、Nature Biotechnology、17巻、1999年8月及び米国特許第6,326,145号)、及びTSGプライマー方法(国際公開第2011/078441号)が挙げられる。
【0005】
[5]代替アプローチとして、標的核酸の存在に応じて形成された二重鎖を使用するリアルタイムの検出方法:インベーダーアッセイ(米国特許第5,691,142号、6,358,691号及び6,194,149号)、PTOCE(PTO切断及び伸長)方法(国際公開第2012/096523号)、PCE-SH(PTO切断及び伸長依存性シグナリングオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション)方法(国際公開第2013/115442号)、及びPCE-NH(PTO切断及び伸長依存性非ハイブリダイゼーション)方法(PCT/KR2013/012312)が提唱されている。
【0006】
[6]従来のリアルタイムの検出方式は、単一の標識で単一の標的核酸しか検出できないことから、単一の反応で同時に検出できる標的核酸の数は、使用できる標識の数(例えば、5つ又はそれ未満)によって限定される。
【0007】
[7]融解分析は、単一の標識の使用で複数の標的核酸を検出することに使用される可能性があるが、リアルタイムの方式より長い実行時間がかかるという短所を有する。
【0008】
[8]一方近年では、異なる検出温度でのシグナル検出を使用して、単一のタイプの標識で複数の標的核酸をリアルタイムで検出することができる方法が提唱されている(国際公開第2015/147370号、国際公開第2015/147377号、国際公開第2015/147382号、国際公開第2015/147412号)。しかしながら、このような異なる検出温度のなかでも、より相対的に低い検出温度で、これらの方法はまた、より相対的に高い検出温度を有する標的核酸を、より相対的に低い検出温度を有する標的核酸と共に検出することも可能にし、したがって、異なる検出温度で検出されるシグナル間の差(例えば、より相対的に低い検出温度で検出されるシグナルと、より相対的に高い検出温度で検出されるシグナルとの間の差)を得るプロセスを必要とする。
【0009】
[9]したがって、高度に改善された利便性及び高効率を有する複数の標的核酸を検出するための新規の方法又はアプローチを開発する必要がある。
[10]
【0010】
[11]本出願にわたり、様々な特許及び公報が参照されており、引用はカッコ内に提供される。これらの特許及び公報の開示は、本発明と本発明が関連する最先端技術をより詳細に説明するために、それらの全体が本発明の開示に参照により本明細書に組み入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[12]本発明者らは、単一の反応容器で単一のタイプの標識及び単一のタイプの検出器を使用することによって複数の標的核酸を検出するための方法を開発することに向けて努力した。結果として、本発明者らは、複数の検出温度を使用しながらも、単一の検出温度で、単一の標的核酸配列の存在を示す単一のシグナルのみが提供されるように検出温度及びシグナル生成メカニズムを調整することによって、単一の反応容器で単一のタイプの標識及び単一のタイプの検出器を使用することによって複数の標的核酸を、改善された利便性と高い費用有効性及び効率で、リアルタイム方式で検出することが可能であることを確認した。
【0012】
[13]それゆえに、本発明の開示の目的は、試料中のn個の標的核酸を検出するための方法を提供することである。
【0013】
[14]本発明の開示の別の目的は、試料中のn個の標的核酸を検出するためのキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[15]本発明の開示の一態様によれば、試料中のn個の標的核酸を検出するための方法であって、(a)反応容器中で、n個の標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、標的核酸を検出するためのn個の組成物と共にインキュベートしながら、n個の検出温度でシグナルを検出するステップであって、nは、2又はそれより大きい整数であり、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、対応する標的核酸の存在下で、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、標的核酸を検出するためのn個の組成物のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、第iの標的核酸の存在下で、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第iの標的核酸の存在を示し、iは、1~nの整数を表し、第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、ステップ;及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、n個の標的核酸の存在を決定するステップであって、第iの標的核酸の存在は、第iの検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
【0015】
[16]本発明の開示の実施形態によれば、n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナルが第iの標的核酸の存在に応じて変化するシグナル変化温度範囲(SChTR)、及びシグナルが第iの標的核酸の存在下でさえも一定であるシグナル一定温度範囲(SCoTR)を有する。
【0016】
[17]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、1又は2つのシグナル一定温度範囲を有する。
【0017】
[18]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、(i)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;(ii)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び(iii)シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物のいずれか1つである。
【0018】
[19]本発明の開示の実施形態によれば、第iの検出温度は、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、第iの検出温度は、他の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲に含まれない。
【0019】
[20]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップし、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない。
【0020】
[21]本発明の開示の実施形態によれば、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物である。
【0021】
[22]本発明の開示の実施形態によれば、nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物のそれぞれは、InterSC組成物である。
【0022】
[23]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在に依存するシグナルを提供する標識を含む。
【0023】
[24]本発明の開示の実施形態によれば、標識は、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はインキュベーション中にオリゴヌクレオチドに組み込まれる。
【0024】
[25]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する。
【0025】
[26]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態である場合、第iの標的核酸を検出するための組成物は、標識からのシグナルを提供する。
【0026】
[27]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、シグナル変化を提供する二重鎖が解離した形態である場合、第iの標的核酸を検出するための組成物は、標識からのシグナルを提供する。
【0027】
[28]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、最初から、第iの標的核酸を検出するための組成物に含まれていた。
【0028】
[29]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、標識が連結されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーション可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって生成される。
【0029】
[30]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション中に生成される。
【0030】
[31]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、標的核酸とのハイブリダイゼーションによって生成される。
【0031】
[32]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、標的核酸の存在に依存する切断反応によって生成される。
【0032】
[33]本発明の開示の実施形態によれば、標的核酸を検出するための組成物は、標的核酸にハイブリダイズするタギングオリゴヌクレオチドを含み、標的核酸の存在に依存する切断反応は、タギングオリゴヌクレオチドの切断を含む。
【0033】
[34]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、単一のタイプの二重鎖であるか、又は複数のタイプの二重鎖である。
【0034】
[35]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖が単一のタイプの二重鎖である場合、単一のタイプの二重鎖の量は、標的核酸の存在に応じて変化し、それによってシグナルを変化させる。
【0035】
[36]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、複数のタイプの二重鎖間の量の比率は、標的核酸の存在に応じて変化し、それによってシグナルを変化させる。
【0036】
[37]本発明の開示の実施形態によれば、二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、二重鎖のTm値は、互いに異なる。
【0037】
[38]本発明の開示の実施形態によれば、複数のタイプの二重鎖のうちの少なくとも2つは、同じ一本鎖を含む。
【0038】
[39]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化を提供する二重鎖は、標識を含む。
【0039】
[40]本発明の開示の実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される。
【0040】
[41]本発明の開示の実施形態によれば、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも2つで行われる。
【0041】
[42]本発明の開示の実施形態によれば、シグナル変化は、複数のサイクルのうちの少なくとも2つで検出されたシグナルを使用して測定される。
【0042】
[43]本発明の開示の実施形態によれば、第iの検出温度におけるシグナル変化は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで検出されたシグナル及び参照シグナル値を使用して測定される。
【0043】
[44]本発明の開示の実施形態によれば、参照シグナル値は、第iの標的核酸の非存在下における反応から得られる。
【0044】
[45]本発明の開示の実施形態によれば、n個の検出温度のそれぞれにおけるシグナルの検出は、単一のタイプの検出器を使用して行われる。
【0045】
[46]本発明の開示の実施形態によれば、n個の検出温度で検出されたシグナルは、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない。
【0046】
[47]本発明の開示の実施形態によれば、インキュベーションは、核酸増幅反応を含む。
【0047】
[48]本発明の開示の実施形態によれば、核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。
【0048】
[49]本発明の開示の他の態様によれば、試料中の2つの標的核酸を検出するための方法であって、
[50](a)反応容器中で、2つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナルを検出するステップであって、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第1の標的核酸の存在を示し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第2の標的核酸の存在を示し、第1の検出温度は、第2の検出温度より低い、ステップ、及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、2つの標的核酸の存在を決定するステップであって、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
【0049】
[51]本発明の開示の他の態様によれば、試料中の3つの標的核酸を検出するための方法であって、
[52](a)反応容器中で、3つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物、第2の標的核酸を検出するための組成物、及び第3の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度でシグナルを検出するステップであって、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、第2の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第1の標的核酸の存在を示し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第2の標的核酸の存在を示し;第3の標的核酸を検出するための組成物は、第3の標的核酸の存在下で、第3の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の検出温度及び第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第3の標的核酸の存在を示し、第1の検出温度は、第2の検出温度より低く、第2の検出温度は、第3の検出温度より低い、ステップ、及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、3つの標的核酸の存在を決定するステップであって、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
【0050】
[53]本発明の開示の他の態様によれば、試料中のn個の標的核酸を検出するためのn個の組成物を含むキットであって、nは、2又はそれより大きい整数であり、n個の標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、n個の標的核酸のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在下で、n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、iは、1~nの整数を表し、第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、キットが提供される。
【発明の効果】
【0051】
[54]本発明の開示の特徴及び利点を以下の通り要約する:
【0052】
[55](a)本発明の開示は、単一の反応容器で、単一のタイプの標識単独によって、複数の検出温度を使用することによって、複数の標的核酸を検出するための方法であって、標的核酸のそれぞれの対応する検出温度で、対応する標的核酸の存在に依存するシグナル変化を提供することによることを特徴とする方法に関する。
【0053】
[56](b)興味深いことに、本発明者らは、当業界において周知の標的核酸の検出のための様々なシグナル生成メカニズムは、シグナルが標的核酸の存在に応じて変化する温度範囲(すなわち、シグナル変化温度範囲)及び標的核酸の存在下でさえもシグナルが変化しない温度範囲(すなわち、シグナル一定温度範囲)を含み、これらのシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲の数及び/又は順番に従って3つのタイプに類別することができることを見出した。本発明者らはまた、シグナル生成メカニズムのこれらの3つのタイプの適切な組合せが、複数の標的核酸の検出において有用であることも見出した。
【0054】
[57](c)特に、1つのシグナル変化温度範囲及び2つのシグナル一定温度範囲を含むシグナル生成メカニズム(すなわち、標的核酸を検出するためのInterSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズム)が本発明の開示に適用される場合、本発明の開示による方法によって検出可能な標的核酸の数はさらに増加した。
【0055】
[58](d)上述した3つのタイプのシグナル生成メカニズムの1つ又は複数を採用することによって、さらに、各検出温度で単一の標的核酸の存在を示すシグナルのみが提供されるように1つ又は複数のシグナル生成メカニズムのシグナル変化温度範囲を調整することによって、本発明の開示は、特定の標的核酸の存在を、特定の検出温度単独で測定されたシグナル変化によって決定でき、他の検出温度(例えば、特定の検出温度以外の検出温度、すなわち、他の標的核酸の存在を示すシグナル変化を示す検出温度)でのシグナル変化を考察する必要がない点において利点を有する。本発明の開示によれば、本発明の開示による方法は、n個の異なる標的核酸を検出するためのn個の組成物を利用し、各組成物は標的核酸のそれぞれに対応する。一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、対応する標的核酸の存在を示すシグナル変化が、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でのみ提供されるように、シグナル生成メカニズムの3つのタイプのうちの1つを採用する。
【0056】
[59](e)本発明の開示による方法は、単一の反応容器で、単一のタイプの標識を単独で使用することによって、リアルタイムで複数の標的核酸を検出することを可能にする。単一のタイプの標識を使用する従来技術は、複数の標的核酸が検出されるように、標的の増幅の後に融解分析に供される。対照的に、本発明の方法は、単一のタイプの標識を使用する場合でも、標的の増幅の後に融解曲線分析を必要としないことから、分析時間を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1a図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1b図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1c図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1d図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1e図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1f図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1g図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図1h図1a~1hは、UnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図2a図2a~2cは、OverSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図2b図2a~2cは、OverSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図2c図2a~2cは、OverSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図3a図3a~3bは、InterSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図3b図3a~3bは、InterSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例を示す。各図面において、「(a)」は、標的核酸の存在下又は非存在下におけるプレインキュベーション又は標的核酸の非存在下におけるポストインキュベーションを表し、「(b)」は、標的核酸の存在下におけるポストインキュベーションを表す。
図4図4は、SChTRが互いにオーバーラップしないか又はSChTRが部分的に互いにオーバーラップするケースにおける、検出温度としてそれぞれ選択可能な温度範囲を示す。
図5図5は、実施例で使用されるUnderSC組成物によって採用することができるPTOCEベース1のシグナル生成メカニズムを図解で示す。 図面に描写される通り、CTOは、そのテンプレーティング部分にレポーター分子及びクエンチャー分子を有する。
図6図6は、実施例で使用されるInterSC組成物によって採用することができるPTOCEベース2のシグナル生成メカニズムを図解で示す。 図面に描写される通り、PTOは、その5’-タギング部分にクエンチャー分子を有し、CTOは、その捕捉部分にレポーター分子を有する。
図7図7は、実施例で使用されるOverSC組成物によって採用することができる二重クエンチ方法のシグナル生成メカニズムを図解で示す。 図面に描写される通り、PTOは、第1のクエンチャー分子及びレポーター分子を有し、CQOは、第2のクエンチャー分子を有する。
図8図8は、実施例において組合せ1で使用される2つの組成物、UnderSC組成物及びInterSC組成物のシグナル生成メカニズムを図解で示す。
図9図9は、実施例において組合せ2で使用される2つの組成物、UnderSC組成物及びOverSC組成物のシグナル生成メカニズムを図解で示す。
図10図10は、実施例において組合せ3で使用される2つの組成物、InterSC組成物及びInterSC組成物のシグナル生成メカニズムを図解で示す。
図11図11は、実施例において組合せ4で使用される2つの組成物、InterSC組成物及びOverSC組成物のシグナル生成メカニズムを図解で示す。
図12図12は、実施例において組合せ5で使用される3つの組成物、UnderSC組成物、InterSC組成物及びOverSC組成物のシグナル生成メカニズムを図解で示す。
図13図13は、実施例における組合せ1のリアルタイムPCRの結果を示す。 図面において、「標的1」は、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis;CT)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae;NG)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
図14図14は、実施例における組合せ2のリアルタイムPCRの結果を示す。 図面において、「標的1」は、クラミジア・トラコマティス(CT)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、ウレアプラズマ・パルバム(UP)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
図15図15は、実施例における組合せ3のリアルタイムPCRの結果を示す。 図面において、「標的1」は、クラミジア・トラコマティス(CT)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、淋菌(NG)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
図16図16は、実施例における組合せ4のリアルタイムPCRの結果を示す。 図面において、「標的1」は、淋菌(NG)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、ウレアプラズマ・パルバム(UP)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
図17a図17a及び17bは、実施例における組合せ5のリアルタイムPCRの結果を示す。 各図面において、「標的1」は、クラミジア・トラコマティス(CT)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、淋菌(NG)のゲノムDNAを表し、「標的3」は、ウレアプラズマ・パルバム(UP)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
図17b図17a及び17bは、実施例における組合せ5のリアルタイムPCRの結果を示す。 各図面において、「標的1」は、クラミジア・トラコマティス(CT)のゲノムDNAを表し、「標的2」は、淋菌(NG)のゲノムDNAを表し、「標的3」は、ウレアプラズマ・パルバム(UP)のゲノムDNAを表し、「NTC」は、鋳型対照なしを表し、「RFU」は、相対蛍光単位を表す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[84]本発明者らは、当業界において周知の標的核酸の検出のための様々なシグナル生成メカニズムは、シグナルが標的核酸の存在に応じて変化する温度範囲(すなわち、シグナル変化温度範囲)、及び標的核酸の存在下でさえもシグナル変化がない温度範囲(すなわち、シグナル一定温度範囲)を含み、これらのシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲の数及び/又は順番に従って3つのタイプに類別することができることを見出した。シグナル生成メカニズムのこれらの3つのタイプの様々な組合せを標的核酸の検出に適用することによって、本発明者らは、単一の反応容器で単一のタイプの標識及び単一のタイプの検出器を使用することによって複数の標的核酸を検出するための新規の方法を開発した。
[85]
【0059】
[86]I.標的核酸を検出するためのプロセス
[87]
【0060】
[88]本発明の開示の一態様によれば、試料中のn個の標的核酸を検出するための方法であって、(a)反応容器中で、n個の標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、標的核酸を検出するためのn個の組成物と共にインキュベートしながら、n個の検出温度でシグナルを検出するステップであって、nは、2又はそれより大きい整数であり、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、対応する標的核酸の存在下で、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、標的核酸を検出するためのn個の組成物のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、第iの標的核酸の存在下で、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第iの標的核酸の存在を示し、iは、1~nの整数を表し、第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、ステップ;及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、n個の標的核酸の存在を決定するステップであって、第iの標的核酸の存在は、第iの検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
【0061】
[89]本発明は、以下のように各ステップにつき記載される場合がある:
[90]
[91]
【0062】
[92]ステップ(a):インキュベーション及びシグナルの検出
[93]第一に、単一の反応容器で、n個の標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料は、標的核酸を検出するためのn個の組成物と混合され、インキュベートされる。
【0063】
[94]一実施形態において、nは、2又はそれより大きい整数である。例えば、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、又は50であってもよいが、これらに限定されない。
【0064】
[95]用語「標的核酸」、「標的核酸配列」、又は「標的配列」は、本明細書で使用される場合、検出又は定量化しようとする核酸配列を指す。標的核酸配列としては、一本鎖に加えて二本鎖が挙げられる。標的核酸配列としては、反応において新たに生成した配列だけでなく、最初から核酸試料中に存在する配列もを含む。
【0065】
[96]標的核酸としては、あらゆるDNA(gDNA及びcDNA)及びRNA分子、並びにそれらのハイブリッド(キメラ核酸)が挙げられる。配列は、二本鎖の形態であってもよいし、又は一本鎖の形態であってもよい。
【0066】
[97]標的核酸としては、あらゆる天然に存在する原核生物、真核生物(例えば、原生動物及び寄生虫、真菌、酵母、高等植物、下等動物、及び哺乳動物やヒトなどの高等動物)又はウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、エプスタイン-バーウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)又はウイロイド核酸が挙げられる。加えて、核酸分子は、組換えによって生産されたか若しくは生産可能なあらゆる核酸分子、又は化学的に合成されたか若しくは化学的に合成できるあらゆる核酸分子であってもよい。したがって、核酸配列は、天然に見出されるものでもよいし、又は天然に見出されないものでもよい。標的核酸配列は、公知の配列であってもよいし、又は未知の配列であってもよい。
【0067】
[98]一実施形態において、n個の標的核酸は、ヌクレオチドバリエーションを含んでいてもよい。例えば、n個の標的核酸のうちの1つは、1つのタイプのヌクレオチドバリエーションを含んでいてもよいし、別のn個の標的核酸のうちの1つは、異なるタイプのヌクレオチドバリエーションを含んでいてもよい。
【0068】
[99]用語「ヌクレオチドバリエーション」は、本明細書で使用される場合、連続するDNAセグメント間の特定の位置におけるDNA配列中のあらゆる単一又は複数のヌクレオチドの置換、欠失又は挿入を指す。このような連続するDNAセグメントは、染色体の遺伝子又は他のあらゆる部分を含む。これらのヌクレオチドバリエーションは、変異体又は多型対立遺伝子のバリエーションであり得る。例えば、本発明の開示で検出されたヌクレオチドバリエーションとしては、単一ヌクレオチド多型(SNP)、突然変異、欠失、挿入、置換及び転移が挙げられる。ヌクレオチドバリエーションの例としては、ヒトゲノムにおける多数のバリエーション(例えば、MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ)遺伝子におけるバリエーション)、病原体の薬剤耐性に関与するバリエーション、及び腫瘍形成を引き起こすバリエーションが挙げられる。用語「ヌクレオチドバリエーション」は、本明細書で使用される場合、核酸配列中の特定の位置におけるあらゆるバリエーションを含む。すなわち、用語「ヌクレオチドバリエーション」は、野生型及びその核酸配列中の特定の位置におけるあらゆる突然変異を含む。
【0069】
[100]用語「試料」は、本明細書で使用される場合、本発明においてにおいて有用であることを証明することが可能な、生物学的な供給源からの細胞、組織若しくは流体、又は他のあらゆる媒体を指し、その例としては、ウイルス、細菌、組織、細胞、血液、血清、血漿、リンパ液、乳汁、尿、便、眼内液、唾液、精液、脳抽出物、脊髄液、虫垂、脾臓及び扁桃組織抽出物、羊水、腹水、並びに非生物学的試料(例えば、食物及び水)が挙げられる。加えて、試料としては、生物学的な供給源から単離された天然に存在する核酸分子、及び合成された核酸分子が挙げられる。
【0070】
[101]本発明は、n個の標的核酸のうちの少なくとも1つが試料中に存在するかどうかを決定するのに使用される。例えば、nが2である場合、本発明は、第1の標的核酸及び第2の標的核酸のうちの少なくとも一方が試料中に存在するかどうかを決定するのに使用することができる。別の例として、nが3である場合、本発明は、第1の標的核酸、第2の標的核酸、及び第3の標的核酸のなかでも少なくとも1つが試料中に存在するかどうかを決定するのに使用することができる。
【0071】
[102]一実施形態において、インキュベーション反応は、標的核酸のそれぞれが標的核酸を検出するための対応する組成物と反応したときに、対応する検出温度で、対応する標的核酸の存在に応じてシグナル変化を誘導するあらゆる反応を指す。
【0072】
[103]一実施形態において、インキュベーションは、複数のサイクルを含む。
【0073】
[104]一実施形態において、ステップ(a)におけるインキュベーションは、増幅反応を含んでいてもよく、増幅反応の例としては、例えば、シグナル増幅反応及び/又は核酸増幅反応を挙げることができる。
【0074】
[105]一実施形態において、増幅反応は、複数のサイクルを含む。
【0075】
[106]一実施形態において、ステップ(a)におけるインキュベーションは、標的核酸を検出するための組成物によって標的の増幅及びシグナル変化を可能にする条件下で行われる。このような条件としては、溶液の温度、塩濃度及びpHが挙げられる。
【0076】
[107]一実施形態において、ステップ(a)におけるインキュベーションは、核酸増幅がないシグナル増幅プロセスで行われる。
【0077】
[108]一実施形態において、シグナルは、標的の増幅と同時に増幅されてもよい。代替として、シグナルは、標的の増幅なしで増幅されてもよい。
【0078】
[109]一実施形態において、シグナル変化は、シグナル増幅及び標的の増幅を含むプロセス中に起こる。
【0079】
[110]一実施形態において、標的核酸の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われてもよい。PCRは、標的核酸を増幅するために当業界において広く使用されており、標的核酸の変性、標的核酸とプライマーとのアニーリング(ハイブリダイゼーション)、及びプライマーの伸長のサイクルを含む(Mullisら、米国特許第4,683,195号、4,683,202号、及び4,800,159号;Saikiら、(1985)Science 230、1350~1354)。
【0080】
[111]一実施形態において、標的核酸の増幅は、リガーゼ連鎖反応(LCR)(米国特許第4,683,195号及び4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編、1990))、鎖置換増幅(SDA)(Walkerら、Nucleic Acids Res.20(7):1691~6(1992);Walker PCR Methods Appl 3(1):1~6(1993))、転写媒介増幅(Phyfferら、J.Clin.Microbiol.34:834~841(1996);Vuorinenら、J.Clin.Microbiol.33:1856~1859(1995))、ヘリカーゼ依存性増幅(HAD)(M.Vincent,Y.Xu及びH.Kong、EMBO Rep.、2004、5、795~800)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)(Compton、Nature 350(6313):91~2(1991))、ローリングサークル増幅(RCA)(Lisby、Mol.Biotechnol.12(1):75~99(1999);Hatchら、Genet.Anal.15(2):35~40(1999))、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardiら、BiolTechnology6:1197(1988))、ループ介在等温増幅(LAMP)(Y.Mori、H.Kanda及びT.Notomi、J.Infect.Chemother.、2013、19、404~411)、又はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)(J.Li、J.Macdonald及びF.von Stetten、Analyst、2018、144、31~67)によって行ってもよい。
【0081】
[112]増幅反応において、様々なDNAポリメラーゼを使用でき、その例としては、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIの「クレノー」断片、熱安定性DNAポリメラーゼ、及びバクテリオファージT7 DNAポリメラーゼが挙げられる。特に、ポリメラーゼは、様々な細菌から入手できる熱安定性DNAポリメラーゼであり、そのような細菌の例としては、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus;Taq)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus;Tth)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、テルムス・フラーブス(Thermis flavus)、サーモコッカス・リテラリス(Thermococcus literalis)、及びパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus;Pfu)が挙げられる。上記のポリメラーゼのほとんどは、細菌からそのまま単離してもよいし、又は商業的に購入してもよい。
【0082】
[113]上述した増幅方法は、温度を変化させて、又は変化させないで一連の反応を繰り返すことによって、標的核酸及び/又はシグナルを増幅することができる。このような一連の反応の繰り返しを含む増幅の単位は、「サイクル」と称される。サイクルは、使用される増幅方法に応じて、繰り返しの回数又は持続時間として表すことができる。
【0083】
[114]一実施形態において、一連の反応は、逐次的に行われてもよい。例えば、PCRの場合、標的核酸(すなわち、鋳型)を変性させた後、プライマーのアニーリング及びその後のプライマーの伸長が逐次的に行われてもよい。このケースにおいて、サイクルは、繰り返しの回数として表すことができる。
【0084】
[115]一実施形態において、一連の反応は、同時に行われてもよい。例えば、等温増幅アッセイであるLAMPにおいて、プライマーのアニーリングは、複数の鋳型のうち一部の鋳型で起こっていてもよく、一方で、一部の他の鋳型では、プライマーはすでにアニールされており、そのプライマーの伸長が起こっていてもよい。このケースにおいて、サイクルは、持続時間として表すことができる。特に、1サイクルは、5秒、10秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、20分、30分、1時間、又は2時間であってもよい。
【0085】
[116]一実施形態において、インキュベーションは、標的核酸の存在に依存するシグナル変化の測定を可能にする複数のサイクルで行われてもよい。例えば、複数のサイクルとしては、2~100サイクル、2~90サイクル、2~80サイクル、2~70サイクル、2~60サイクル、2~50サイクル、2~40サイクル、2~30サイクル、2~20サイクル、2~10サイクル、5~100サイクル、5~90サイクル、5~80サイクル、5~70サイクル、5~60サイクル、5~50サイクル、5~40サイクル、5~30サイクル、5~20サイクル、5~10サイクル、10~100サイクル、10~90サイクル、10~80サイクル、10~70サイクル、10~60サイクル、10~50サイクル、10~40サイクル、10~30サイクル、10~20サイクル、20~100サイクル、20~90サイクル、20~80サイクル、20~70サイクル、20~60サイクル、20~50サイクル、20~40サイクル、又は20~30サイクルを挙げることができ、特に、10サイクル、15サイクル、20サイクル、25サイクル、30サイクル、35サイクル、40サイクル、45サイクル、又は50サイクルを挙げることができる。
【0086】
[117]一実施形態において、シグナルの検出は、複数のサイクルを含むインキュベーション反応の、各サイクルで、選択された数サイクルで、又はエンドポイントで行ってもよい。
【0087】
[118]一実施形態において、標的核酸の増幅反応は、複数の標的核酸の増幅反応であり得る。
【0088】
[119]本明細書において使用される用語「複数の標的核酸の増幅反応」は、単一の反応容器で、標的として2つ又はそれより多くの核酸を増幅する反応を指す。複数の標的核酸の増幅反応は、2つ又はそれより多くの核酸を一緒に増幅する反応を指す。例えば、複数の標的核酸の増幅反応は、単一の反応で、2種又はそれより多く、3種又はそれより多く、4種又はそれより多く、5種又はそれより多く、6種又はそれより多く、7種又はそれより多く、8種又はそれより多く、9種又はそれより多く、10種又はそれより多く、20種又はそれより多く、30種又はそれより多く、40種又はそれより多く、又は50種又はそれより多くの標的核酸を一緒に増幅することができる。
【0089】
[120]一実施形態において、本発明の方法は、単一の反応容器で、単一のタイプの標識を使用することによって、2~50、2~40、2~30、2~20、2~15、2~12、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、3~50、3~40、3~30、3~20、3~15、3~12、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、4~50、4~40、4~30、4~20、4~15、4~12、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6又は4~5種の標的核酸を検出することができる。
【0090】
[121]一実施形態において、本発明の方法は、複数のタイプの標識を使用する場合、本発明の方法に従って単一のタイプの標識を使用して検出可能な標的核酸の数より多くの数の標的核酸を検出することができ、例えば、使用される標識タイプの数を倍増させることによって、より多くの標的核酸を検出することが可能になり得る。
【0091】
[122]本発明によれば、本発明の開示による方法は、n個の標的核酸を検出するために、それらそれぞれの標的核酸に対応するn個の異なる組成物を利用する。
【0092】
[123]例えば、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物が使用され;nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物、第2の標的核酸を検出するための組成物、及び第3の標的核酸を検出するための組成物が使用され;nが4である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物~第4の標的核酸を検出するための組成物が使用される。
【0093】
[124]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示す。
【0094】
[125]例えば、n個の標的核酸のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、第iの標的核酸の存在下で、他の検出温度で一定のシグナルを提供する。
【0095】
[126]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在下で、第iの検出温度で標的核酸が増幅されたときシグナル変化(すなわち、第iのシグナル変化)を提供するが、他の検出温度では、標的核酸が増幅されたとしてもシグナル変化を提供しない(すなわち、シグナルは一定である)。
【0096】
[127]用語「第iのシグナル」は、本明細書で使用される場合、第iの検出温度で、第iの標的核酸を検出するための組成物によって提供されるシグナルを指し、これは、「第iの検出温度でのシグナル」と同義的に使用される。
【0097】
[128]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の非存在下にある場合、インキュベーション反応(例えば、標的核酸増幅反応)中に、第iの検出温度で、シグナル変化を提供せず、すなわち一定のシグナルを提供する。一実施形態において、n個の標的核酸を検出する場合、第iのシグナルは、第iの検出温度での、第iの標的核酸を検出するための組成物を含む標的核酸を検出するためのn個の組成物によって提供されるシグナルを意味する場合がある。
【0098】
[129]一実施形態において、iは、1~nの整数を表し、第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い。一実施形態において、iがnである場合、i+1の検出温度(すなわち、n+1の検出温度)は存在しない。例えば、nが3である場合、iは、1~3の整数を表し、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度が存在し、第1の検出温度は、第2の検出温度より低く、第2の検出温度は、第3の検出温度より低い。
【0099】
[130]特定の実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で、すなわち第2の検出温度で、一定のシグナルを提供し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で、すなわち第1の検出温度で、一定のシグナルを提供する。
【0100】
[131]別の具体的な実施形態において、nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の標的核酸の存在下で、他の検出温度で、すなわち第2の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で、すなわち第1の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し;第3の標的核酸を検出するための組成物は、第3の標的核酸の存在下で、第3の検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で、すなわち第1の検出温度及び第2の検出温度で一定のシグナルを提供する。
【0101】
[132]一実施形態において、シグナル変化としては、標識からの「シグナルの生成又は消失」及び「シグナルの増加又は減少」が挙げられる。
【0102】
[133]本発明の開示において、シグナル変化は、有意な「シグナル変化」、すなわち、シグナル変化が標的核酸の存在を示す場合におけるシグナルにおける有意な変化を意味する。例えば、有意なシグナル変化、すなわち標的核酸の存在を示すシグナル変化は、バックグラウンドシグナル強度、又は標的核酸の非存在下におけるシグナルの強度と比較して、明確な強度を有するシグナルの生成又は消失を指す場合もあるし、又はステップ(a)におけるインキュベーション反応中に標的核酸及び/又はシグナルが増幅されるときの、標的核酸の存在を示すシグナルの強度の実質的な増加又は減少を指す場合もある。
【0103】
[134]一実施形態において、シグナル変化は、標的核酸の存在に応じて生成される場合もある。例えば、シグナル変化は、標的核酸の存在を示すシグナルが生成又は消失するときに生成する場合もある。
【0104】
[135]一実施形態において、シグナル変化は、標的核酸の増幅のときに生成する場合もある。すなわち、シグナル変化は、標的核酸の増幅のときに標的核酸の量が増加したときに生成する場合もある。例えば、標的核酸の増幅のときに、標的核酸の存在を示すシグナルは、増加又は減少する可能性があり、それによってシグナル変化が誘導される。
【0105】
[136]一実施形態において、シグナル変化は、標的核酸に依存するシグナルの増幅のときに生成する場合もある。すなわち、標的核酸に依存してシグナルが増幅されると、シグナルの強度が変化し、それによってシグナルが変化する。例えば、標的核酸の存在に依存するシグナルが増幅されるとき、標的核酸の存在を示すシグナルは、増加又は減少する可能性があり、それによってシグナル変化が誘導される。
【0106】
[137]用語「一定のシグナル」は、本明細書で使用される場合、インキュベーション反応中(例えば、標的核酸増幅反応中)にシグナルの実質的な変化がないことを指す。すなわち、用語「一定のシグナル」は、存在する標的核酸の増幅によって生じる有意なシグナル変化以外の全ての又はいずれかのシグナルパターンを指す。具体的には、一定のシグナルは、シグナル変化がないことを意味する。例えば、増幅反応中のシグナルがバックグラウンドのシグナル強度、又は標的核酸の非存在下におけるシグナルの強度を超えない場合、これは、「シグナルは一定である」と表すことができる。本発明の開示において、一定のシグナルは、変化しないシグナル、又は変化を示さないシグナルと同義的に使用される場合がある。
【0107】
[138]本発明の開示において、「シグナル変化」及び/又は「一定のシグナル」の意味は、標的核酸を検出するための同じ組成物を使用して、核酸増幅反応中に同じ温度で検出されるシグナルに基づく。例えば、「シグナル変化」及び/又は「一定のシグナル」の表示は、標的核酸を検出するためのn個の組成物を使用して同じ温度で検出されるシグナル値間の差に基づいて使用され、より具体的には、「シグナル変化」及び/又は「一定のシグナル」は、(i)複数のサイクルにおいて同じ温度で検出されるシグナル値間の差、又は(ii)後述される「参照シグナル値」と参照シグナル値が設定される温度と同じ温度で検出されるシグナル値との差に基づく「シグナル変化」及び/又は「一定のシグナル」に基づき表示される。すなわち、「シグナル変化」及び/又は「一定のシグナル」の表示は、異なる温度で検出されたシグナル値間の差に基づいていない。
[139]
【0108】
[140]本発明の開示において、標的核酸に関するシグナル変化を提供するために、標的核酸を検出するための組成物が使用される。標的核酸のそれぞれは、標的核酸を検出するための対応する組成物によって検出される。
【0109】
[141]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在に応じてシグナルを提供する標識を含む。
【0110】
[142]一実施形態において、標識は、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はインキュベーション中(例えば、核酸増幅反応中)にオリゴヌクレオチドに組み込まれ、すなわち、標的核酸を検出するための組成物は、最初から、標識が連結されたオリゴヌクレオチドを含んでいてもよいし、又はインキュベーション反応中に、標識が、新たに生成されたオリゴヌクレオチド(例えば、伸長した鎖)に組み込まれる場合、標識が連結されたオリゴヌクレオチドを提供してもよい。
【0111】
[143]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、インキュベーション中にオリゴヌクレオチドに組み込まれる組込み標識を含み、第iの標的核酸の存在に応じてシグナルを提供する。
【0112】
[144]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在に応じてシグナルを提供するのに役立つ標識が連結されたオリゴヌクレオチドを提供する。
【0113】
[145]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、最初から、第iの標的核酸の存在に応じてシグナルを提供するのに役立つ標識が連結されたオリゴヌクレオチドを含む。代替として、第iの標的核酸を検出するための組成物は、標的核酸の存在に応じてシグナルを提供するオリゴヌクレオチド及び標識を含んでいてもよいし、インキュベーション反応中(例えば、核酸増幅反応中)に標識がオリゴヌクレオチドに組み込まれるとき、標的核酸の存在に応じてシグナルを提供するのに役立つ標識が連結されたオリゴヌクレオチドを提供するオリゴヌクレオチド及び標識を含んでいてもよい。
【0114】
[146]用語「標識が連結されたオリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、検出されるシグナルの生成に関与するオリゴヌクレオチドを指す。
【0115】
[147]一実施形態において、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸(例えば、プローブ又はプライマー)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含んでいてもよく;標的核酸にハイブリダイズしたプローブ又はプライマーが切断されて断片を放出する場合、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、断片に特異的にハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドを含んでいてもよく;捕捉オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした断片が伸長して伸長した鎖を形成する場合、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、伸長した鎖に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、断片伸長中に標識を組み込むことによって生産されたオリゴヌクレオチド、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0116】
[148]一実施形態によれば、標識が連結されたオリゴヌクレオチドとしては、実際のシグナル生成に関与するオリゴヌクレオチドが挙げられる。例えば、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと別のオリゴヌクレオチド(例えば、標識が連結されたオリゴヌクレオチド又は標的核酸に相補的なヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド)とのハイブリダイゼーション又は非ハイブリダイゼーションが、シグナル生成を決定する。
【0117】
[149]一実施形態において、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、当業界において公知の「プローブ」であってもよい。用語「プローブ」は、本明細書で使用される場合、標的核酸配列に実質的に相補的な1つ又は複数の部分を含む一本鎖核酸分子を指す。本発明の実施形態によれば、プローブの3’末端は、その伸長を妨げるために「ブロックされる」。ブロックは、従来の方法に従って達成することができる。例えば、ブロックは、最後のヌクレオチドの3’-ヒドロキシル基に、ビオチン、標識、リン酸基、アルキル基、非ヌクレオチドリンカー、ホスホロチオエート又はアルカン-ジオール残基などの化学部分を付加することによって実行してもよい。代替として、ブロックは、最後のヌクレオチドの3’-ヒドロキシル基を除去することによって、又はジデオキシヌクレオチドなどの3’-ヒドロキシル基がないヌクレオチドを使用することによって行ってもよい。
【0118】
[150]一実施形態によれば、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドで構成されていてもよい。本発明の実施形態によれば、標識が連結されたオリゴヌクレオチドが複数のオリゴヌクレオチドで構成される場合、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、様々な様式で標識することができる。例えば、複数のオリゴヌクレオチドの全部又は一部は、少なくとも1つの標識を有していてもよい。
【0119】
[151]一実施形態において、相互作用標識は、1つのレポーター分子及び1つのクエンチャー分子を含む相互作用二重標識であってもよい。
【0120】
[152]一実施形態において、相互作用標識は、少なくとも1つのレポーター分子及び少なくとも1つのクエンチャー分子を含む相互作用標識であってもよい。特に、相互作用標識は、1つのレポーター分子及び1つのクエンチャー分子を含む相互作用二重標識であってもよい。又は相互作用標識は、1つのレポーター分子及び2つのクエンチャー分子を含む相互作用標識であってもよい。
【0121】
[153]一実施形態において、標識が単一の標識である場合、単一の標識は、1つのオリゴヌクレオチドに連結されていてもよい。
【0122】
[154]一実施形態において、標識が相互作用標識である場合、相互作用標識は、少なくとも1つのレポーター分子及び少なくとも1つのクエンチャー分子を含む相互作用標識であってもよく、相互作用標識は、全て1つのオリゴヌクレオチドに連結されていてもよいし、又は複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれに連結されていてもよい。
【0123】
[155]例えば、単一の標識としては、蛍光標識、発光標識、化学発光標識、電気化学的標識及び金属標識が挙げられる。一実施形態において、単一の標識は、二本鎖又は一本鎖におけるその存在に応じて、異なるシグナル(例えば、異なるシグナル強度)を提供する。一実施形態において、単一の標識は、蛍光標識である。本発明の開示で使用される単一の蛍光標識の好ましいタイプ及び結合部位は、米国特許第7,537,886号及び7,348,141号に開示されており、これらの教示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。例えば、単一の蛍光標識としては、JOE、FAM、TAMRA、ROX及びフルオレセインベースの標識が挙げられる。単一の標識は、様々な方法によってオリゴヌクレオチドに連結されていてもよい。例えば、標識は、炭素原子を含有するスペーサー(例えば、3炭素スペーサー、6炭素スペーサー、又は12炭素スペーサー)を介してプローブに連結されていてもよい。
【0124】
[156]相互作用標識系の代表例として、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)標識系は、蛍光レポーター分子(ドナー分子)及びクエンチャー分子(受容体分子)を含む。FRETにおいて、エネルギードナーは蛍光性であるが、エネルギーアクセプターは、蛍光性であってもよいし、又は非蛍光性であってもよい。相互作用標識系の別の形態において、エネルギードナーは、非蛍光性であり、例えば発色団であり、エネルギーアクセプターは、蛍光性である。相互作用標識系のさらに別の形態において、エネルギードナーは、発光性であり、例えば、生物発光性、化学発光性、電気化学発光性であり、アクセプターは、蛍光性である。相互作用標識系としては、「接触媒介クエンチ(contact-mediated quenching)」に基づく標識対が挙げられる(Salvatoreら、Nucleic Acids Research、2002(30)第21巻 e122及びJohanssonら、J.AM.CHEM.SOC 2002(124)6950~6956頁)。相互作用標識系としては、少なくとも2つの分子(例えば、色素)間の相互作用を介してシグナル変化を誘導するいずれか又は全ての標識系が挙げられる。
【0125】
[157]本発明において有用なレポーター分子及びクエンチャー分子としては、当業界において公知のあらゆる分子を挙げることができる。このような分子の例は、以下の通りである:Cy2(商標)(506)、YO-PRO(商標)-1(509)、YOYO(商標)-1(509)、カルセイン(517)、FITC(518)、FluorX(商標)(519)、Alexa(商標)(520)、ローダミン110(520)、Oregon Green(商標)500(522)、Oregon Green(商標)488(524)、RiboGreen(商標)(525)、Rhodamine Green(商標)(527)、ローダミン123(529)、Magnesium Green(商標)(531)、Calcium Green(商標)(533)、TO-PRO(商標)-1(533)、TOTO1(533)、JOE(548)、BODIPY530/550(550)、Dil(565)、BODIPYTMR(568)、BODIPY558/568(568)、BODIPY564/570(570)、Cy3(商標)(570)、Alexa(商標)546(570)、TRITC(572)、Magnesium Orange(商標)(575)、フィコエリトリンR&B(575)、ローダミンファロイジン(575)、Calcium Orange(商標)(576)、ピロニンY(580)、ローダミンB(580)、TAMRA(582)、Rhodamine Red(商標)(590)、Cy3.5(商標)(596)、ROX(608)、Calcium Crimson(商標)(615)、Alexa(商標)594(615)、テキサスレッド(615)、ナイルレッド(628)、YO-PRO(商標)-3(631)、YOYO(商標)-3(631)、Rフィコシアニン(642)、C-フィコシアニン(648)、TO-PRO(商標)-3(660)、TOTO3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5(商標)(670)、チアジカルボシアニン(671)、Cy5.5(694)、HEX(556)、TET(536)、バイオサーチブルー(447)、CALフルオロ(CAL Fluor)ゴールド540(544)、CALフルオロオレンジ560(559)、CALフルオロレッド590(591)、CALフルオロレッド610(610)、CALフルオロレッド635(637)、FAM(520)、フルオレセイン(520)、フルオレセイン-C3(520)、パルサー(Pulsar)650(566)、クエーサー(Quasar)570(667)、クエーサー670(705)及びクエーサー705(610)。括弧内の数字は、ナノメートル単位での最大発光波長である。好ましくは、レポーター分子及びクエンチャー分子としては、JOE、FAM、TAMRA、ROX及びフルオレセインベースの標識が挙げられる。
【0126】
[158]レポーター-クエンチャーの好適な対は、以下のような様々な刊行物に開示されている:編集者Pesceら、Fluorescence Spectroscopy(Marcel Dekker、New York、1971);Whiteら、Fluorescence Analysis:A Practical Approach(Marcel Dekker、New York、1970);Berlman、Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules、第2版(Academic Press、New York、1971);Griffiths、Color AND Constitution of Organic Molecules(Academic Press、New York、1976);編集者Bishop、Indicators(Pergamon Press、Oxford、1972);Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes、Eugene、1992);Pringsheim、Fluorescence and Phosphorescence(Interscience Publishers、New York、1949);Haugland,R.P.、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、第6版(Molecular Probes、Eugene、Oreg.、1996);米国特許第3,996,345号及び4,351,760号。
【0127】
[159]一実施形態において、組込み標識は、シグナルを生成するためのプライマー伸長中に標識を組み込むプロセスにおいて使用することができる(例えば、Plexor technology、Sherrill C Bら、Journal of the American Chemical Society、126:4550~45569(2004))。加えて、組込み標識は、標的核酸配列にハイブリダイズした媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で形成された二重鎖によるシグナル生成において使用することができる。
【0128】
[160]一実施形態において、組込み標識は、一般的にヌクレオチドに連結されていてもよい。加えて、非天然塩基を有するヌクレオチドが使用されてもよい。
【0129】
[161]用語「非天然塩基」は、本明細書で使用される場合、水素結合した塩基対を形成することが可能な、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)などの天然塩基の誘導体を指す。本明細書で使用される用語「非天然塩基」は、例えば、米国特許第5,432,272号、5,965,364号、6,001,983号、及び6,037,120号に記載されるような、親化合物としての天然塩基と異なる塩基対合パターンを有する塩基を含む。非天然塩基間の塩基対合は、天然塩基の場合と同様に、2つ又は3つの水素結合を含む。非天然塩基間の塩基対合はまた、特異的な方式でも形成される。非天然塩基の具体的な例としては、塩基対の組合せの形態で、以下の塩基が挙げられる:イソC/イソG、イソdC/イソdG、Z/P、V/J、K/X、H/J、Pa/Ds、Pa/Q、Pn/Ds、Pn/Dss、Px/Ds、NaM/5SICS、5FM/5SICS、及びM/N(米国特許第5,432,272号;5,965,364号;6,001,983号;6,037,120号;6,140,496号;6,627,456号;6,617,106号;及び7,422,850号;及びFilip Wojciechowskiら、Chem.Soc.Rev.、2011、40、5669~5679を参照)。
【0130】
[162]複数の標的核酸を検出するための従来の方法は、異なる標的核酸に対して異なるタイプの蛍光標識の使用を必要とするか、又は単一のタイプの蛍光標識を使用する場合であっても、これらの方法は、それらが融解曲線分析などの追加の分析を必要とするという点で短所を有する。このような方法とは異なり、二重鎖を提供する標的核酸を検出するための組成物を使用することによって、本発明の開示による方法は、融解分析などの追加の分析を行うことなく、単一のタイプの標識(例えば、単一の蛍光標識)を使用して、リアルタイム方式で複数の標的核酸を検出することができる。
【0131】
[163]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、1つ又は複数の二重鎖を提供する。
【0132】
[164]用語「二重鎖」は、本明細書において、会合した形態の二重鎖と解離した形態の二重鎖の両方を包含するものとして使用される。すなわち、前記用語は、ハイブリダイゼーション条件下で2つの一本鎖核酸分子が二重鎖構造を有するように互いにハイブリダイズ可能なように、互いに部分的又は完全に相補的な配列を有する2つの一本鎖核酸分子を指す場合もある。例えば、検出温度に応じて、二重鎖の全部又は一部は、会合した形態であってもよいし、又は解離した形態であってもよい。
【0133】
[165]用語「会合又は解離」は、用語「ハイブリダイゼーション又は変性」と同じ意味を有する。
【0134】
[166]表現「標的核酸を検出するための組成物は、二重鎖を提供する」は、本明細書で使用される場合、会合した形態の二重鎖及び/又は解離した形態の二重鎖を提供することを意味する場合がある。同様に、表現「標的核酸を検出するための組成物は、インキュベーション中に二重鎖を生成する」は、本明細書で使用される場合、インキュベーション反応中に会合した形態の二重鎖及び/又は解離した形態の二重鎖を生成することを意味する場合がある。
【0135】
[167]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖のうちの少なくとも1つは、シグナルを提供する二重鎖である。特に、二重鎖は、シグナル変化を提供する二重鎖である。すなわち、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナルを提供する二重鎖を提供し、特に、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在に応じて、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する。
【0136】
[168]用語「シグナルを提供する二重鎖」は、本明細書で使用される場合、二重鎖が会合した形態であるか又は解離した形態であるかに応じて区別できるシグナルを提供することが可能な二重鎖を指す。例えば、これは、会合した形態の二重鎖は、シグナルを生成し(又は消失させ)、解離した形態の二重鎖は、シグナルを消失させる(又は生成する)ことを意味する。
【0137】
[169]一実施形態において、シグナルを提供する二重鎖は、少なくとも1つの標識を含んでいてもよい。特に、少なくとも1つの標識は、二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの少なくとも一方の鎖に連結される。例えば、シグナルを提供する二重鎖は、単一の標識を含み、このケースにおいて、単一の標識は、二重鎖を構成する2つの一本鎖のいずれか一方の鎖に連結される。別の例として、シグナルを提供する二重鎖は、相互作用標識を含み、このケースにおいて、相互作用標識は全て、シグナルを提供する二重鎖を構成する2つの鎖のうちの一方に連結されるか、又は相互作用標識のうちの一方が、2つの一本鎖のいずれかに連結され、相互作用標識のうちの他方が、2つの一本鎖の他方に連結される。
【0138】
[170]用語「シグナル変化を提供する二重鎖」は、本明細書で使用される場合、シグナル変化を提供する二重鎖の量が標的核酸の存在に応じて変化する場合の、標的核酸の存在を示すシグナル変化を提供する二重鎖を指す。特に、後述されるPTOCEベースの方法において、標的核酸の存在に応じて生成された標識を含む伸長した二重鎖が、本出願に記載されるシグナル変化を提供する二重鎖の例である。
【0139】
[171]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、標識を含む。特に、少なくとも1つの標識が、二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの少なくとも一方の鎖に連結される。例えば、シグナル変化を提供する二重鎖は、単一の標識を含み、このケースにおいて、単一の標識は、二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちのいずれか一方の鎖に連結される。別の例として、シグナル変化を提供する二重鎖は、相互作用標識を含み、このケースにおいて、相互作用標識は全て、シグナル変化を提供する二重鎖を構成する2つの鎖のうちの一方に連結されるか、又は相互作用標識のうちの一方は、2つの一本鎖のうちのいずれかに連結され、相互作用標識のうちの他方は、2つの一本鎖のうちの他方に連結される。
【0140】
[172]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する。
【0141】
[173]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態で存在する場合、標識からのシグナルを提供する。すなわち、第iの標的核酸を検出するための組成物は、二重鎖を構成する2つの一本鎖核酸分子の会合に応じてシグナルを提供する。
【0142】
[174]代替の実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖が解離した形態で存在する場合、標識からのシグナルを提供する。すなわち、第iの標的核酸を検出するための組成物は、二重鎖を構成する2つの一本鎖核酸分子の解離に応じてシグナルを提供する。
【0143】
[175]一実施形態において、二重鎖の会合又は解離は、温度によって引き起こされる場合もある。
【0144】
[176]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、最初から(元から)標的核酸を検出するための組成物に含まれていた二重鎖であってもよい。
【0145】
[177]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖が、標的核酸を検出するための組成物に含まれていた場合、二重鎖は、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、標識が連結されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーション可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって生成する場合もある。例えば、後述されるYin-Yangプローブは、標的核酸の存在に応じてシグナル変化を提供する二重鎖の例であり、最初から、標的核酸を検出するための組成物に含まれている。
【0146】
[178]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖が、最初から、標的核酸を検出するための組成物に含まれている場合、シグナル変化を提供する二重鎖の量は、標的核酸の存在に依存する方式で変化し、特に減少し、それによってシグナル変化が提供される。例えば、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれているYin-Yangプローブの場合、標的核酸が増幅されるとき、Yin-Yangプローブを構成する2つの一本鎖のうちの一方が、増幅した標的核酸と対合して、新しい二重鎖を生成し、Yin-Yangプローブの量が減少することから、標的核酸の存在に応じてシグナル変化が提供される。
【0147】
[179]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に標的核酸を検出するための組成物によって新たに提供される二重鎖であってもよい。
【0148】
[180]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に生成されるものであり、これは、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと標的核酸とのハイブリダイゼーションによって提供されてもよい。
【0149】
[181]標識が連結されたオリゴヌクレオチドと標的核酸との二重鎖の形成によるシグナルは、スコルピオン方法(Whitcombeら、Nature Biotechnology 17:804-807(1999))、サンライズ(又はAmplifluor)方法(Nazarenkoら、Nucleic Acids Research、25(12):2516-2521(1997)、及び米国特許第6,117,635号)、LUX方法(米国特許第7,537,886号)、Plexor方法(Sherrill CBら、Journal of the American Chemical Society、126:4550~4556(2004))、分子ビーコン方法(Tyagiら、Nature Biotechnology v.14 1996年3月)、Hyビーコン方法(French DJら、Mol.Cell Probes、15(6):363~374(2001))、隣接ハイブリダイゼーションプローブ方法(Bernard P.S.ら、Anal.Biochem.、273:221(1999))、及びLNA方法(米国特許第6,977,295号)などの様々な方法によって生成することができる。
【0150】
[182]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に生成されるものであり、これは、標的核酸の存在に依存する切断反応によって生成された二重鎖であってもよい。
【0151】
[183]上記の反応の場合、5’-ヌクレアーゼ及び3’-ヌクレアーゼ、特に5’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、3’-ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、又はFENヌクレアーゼを使用することができる。
【0152】
[184]一実施形態において、シグナル変化は、標的核酸に特異的にハイブリダイズした媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で生成された二重鎖によって生成される。
【0153】
[185]用語「媒介オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、標的核酸を含まない、二重鎖の生成を媒介するオリゴヌクレオチドを指す。
【0154】
[186]一実施形態において、媒介オリゴヌクレオチドの切断は単独でシグナルを生成しないが、媒介オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション及び切断の後、切断によって生産された断片(切断生成物)は、シグナル生成のための連続的な反応に関与する。
【0155】
[187]一実施形態において、媒介オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション又は切断は単独でシグナルを生成しない。
【0156】
[188]一実施形態において、媒介オリゴヌクレオチドとしては、標的核酸配列にハイブリダイズし、切断されて、断片を放出することにより、二重鎖の生成を媒介するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0157】
[189]一実施形態において、上記断片は、捕捉オリゴヌクレオチドでの断片の伸長によって二重鎖の生成を媒介する。
【0158】
[190]一実施形態によれば、媒介オリゴヌクレオチドは、(i)標的核酸配列に相補的なハイブリダイジングヌクレオチド配列を含む標的化部分、及び(ii)標的核酸配列に相補的ではないヌクレオチド配列を含むタギング部分を含む。
【0159】
[191]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物は、標的核酸にハイブリダイズするタギングオリゴヌクレオチドを含んでいてもよく、標的核酸の存在に依存する切断反応は、タギングオリゴヌクレオチドの切断を含んでいてもよい。タギングオリゴヌクレオチドは、上述した媒介オリゴヌクレオチドの例に対応する。
【0160】
[192]一実施形態によれば、媒介オリゴヌクレオチドの切断は、断片を放出し、断片は、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズされ、捕捉オリゴヌクレオチドで伸長される。捕捉オリゴヌクレオチドが標識を含む場合、捕捉オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される標識が連結されたオリゴヌクレオチドの例に対応する。
【0161】
[193]一実施形態によれば、標的核酸配列にハイブリダイズした媒介オリゴヌクレオチドは、切断され、断片を放出し、断片は、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズされ、断片は伸長されて、伸長した鎖を形成し、これは、伸長した鎖と捕捉オリゴヌクレオチドとの伸長した二重鎖の形成を誘導し、それによって標的核酸配列の存在を示すシグナルが提供される。
【0162】
[194]一実施形態において、標的核酸の存在を示すシグナルは、(i)断片及び/又は捕捉オリゴヌクレオチドに連結された少なくとも1つの標識、(ii)伸長反応中に伸長した二重鎖に組み込まれた標識、並びに(iii)伸長反応中に伸長した二重鎖に組み込まれた標識並びに断片及び/又は捕捉オリゴヌクレオチドに連結された標識によって提供されてもよい。
【0163】
[195]一実施形態によれば、伸長した鎖に相補的なハイブリダイジングヌクレオチド配列を含む第3のオリゴヌクレオチドが使用される場合、伸長した鎖と第3のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションは、別のタイプの二重鎖を形成し、それによって標的核酸の存在を示すシグナル(例えば、PCE-SH)が提供される。このケースにおいて、別のタイプの二重鎖は、シグナル変化を提供する二重鎖である。
【0164】
[196]一実施形態において、標的核酸の存在に依存する切断反応よって形成された二重鎖は、シグナル変化を提供する二重鎖ではないが、シグナル変化を提供する二重鎖の含量を変化させる二重鎖であってもよい。このケースにおいて、シグナル変化を提供する二重鎖は、最初から、標的核酸を検出するための組成物に含まれていた。一実施形態によれば、捕捉オリゴヌクレオチドに相補的なハイブリダイジングヌクレオチド配列を含む追加のオリゴヌクレオチドが使用される場合、追加のオリゴヌクレオチドと捕捉オリゴヌクレオチドとの二重鎖は、シグナル変化を提供する二重鎖であり、シグナル変化を提供する二重鎖の量は、伸長した鎖と捕捉オリゴヌクレオチドとの二重鎖が生成されることによって変化し(例えば、減少し)、それによって標的核酸の存在を示すシグナル変化が提供される。例えば、PCE-NH方法において、追加のオリゴヌクレオチドと捕捉オリゴヌクレオチドとの二重鎖は、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれていたシグナル変化を提供する二重鎖であり、シグナル変化を提供する二重鎖を構成する捕捉オリゴヌクレオチドは、標的核酸の存在に依存する切断反応によって新しい二重鎖(例えば、伸長した二重鎖)を生成するのに使用され、それによってシグナル変化を提供する二重鎖の量が減少して、シグナル変化が提供される。
【0165】
[197]一実施形態によれば、断片、伸長した鎖、捕捉オリゴヌクレオチド、追加のオリゴヌクレオチド、又はそれらの組合せは、標識が連結されたオリゴヌクレオチドとして作用し得る。
【0166】
[198]媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で形成された二重鎖によるシグナルは、PTOCE(PTO切断及び伸長)方法(国際公開第2012/096523号)、PCE-SH(PTO切断及び伸長依存性シグナル伝達オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション)方法(国際公開第2013/115442号)、及びPCE-NH(PTO切断及び伸長依存性非ハイブリダイゼーション)方法(国際公開第2014/104818号)などの様々な方法によって生成することができる。
【0167】
[199]上記の参考文献で開示された用語に関して、オリゴヌクレオチドの対応する例は、以下の通りである:媒介オリゴヌクレオチドは、PTO(プロービング及びタギングオリゴヌクレオチド)に対応し、捕捉オリゴヌクレオチドは、CTO(捕捉及びテンプレーティングオリゴヌクレオチド)に対応し、追加のオリゴヌクレオチドは、SO(シグナル伝達オリゴヌクレオチド)又はHO(ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド)に対応する。SO、HO、CTO、伸長した鎖又はそれらの組合せは、標識が連結されたオリゴヌクレオチドの役割を果たすことができる。
【0168】
[200]一実施形態において、媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で形成された二重鎖によるシグナルとしては、媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で形成された二重鎖によって他の二重鎖の量が減少する場合に提供されるシグナルが挙げられる(例えば、PCE-NH)。
[201]
【0169】
[202]一実施形態において、媒介オリゴヌクレオチドの切断に依存する方式で生成された二重鎖によるシグナルがPTOCE方法によって生成される場合、上流のオリゴヌクレオチド、標的核酸に相補的なハイブリダイジングヌクレオチド配列を含むプロービング及びタギングオリゴヌクレオチド(PTO)、捕捉及びテンプレーティングオリゴヌクレオチド(CTO)、適切な標識、及び5’-ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存性DNAポリメラーゼが反応に含まれていてもよく、標的核酸を検出するための組成物は、これらの構成要素を含んでいてもよい。
【0170】
[203]PTOは、(i)標的核酸配列に相補的なハイブリダイジングヌクレオチド配列を含む3’-標的化部分、及び(ii)標的核酸配列に相補的ではないヌクレオチド配列を含む5’-タギング部分を含む。CTOは、3’から5’の方向で、(i)PTOの5’-タギング部分又は5’-タギング部分の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む捕捉部分、並びに(ii)PTOの5’-タギング部分及び3’-標的化部分に相補的ではないヌクレオチド配列を含むテンプレーティング部分を含む。
【0171】
[204]PTOCE方法によるシグナル生成の特定の例は、以下のステップを含む:
【0172】
[205](a)標的核酸を、上流のオリゴヌクレオチド及びPTOとハイブリダイズさせるステップ;(b)PTOの切断のための条件下で、ステップ(a)の生成物を、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させるステップであって、切断が、PTOの5’-タギング部分又は5’-タギング部分の一部を含む断片を放出するように、上流のオリゴヌクレオチド又はその伸長した鎖は、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によるPTOの切断を誘導する、ステップ;(c)PTOから放出された断片をCTOとハイブリダイズさせるステップであって、PTOから放出された断片は、CTOの捕捉部分にハイブリダイズされる、ステップ;(d)ステップ(c)の結果物及び鋳型依存性核酸ポリメラーゼを使用して、伸長反応を実行するステップであって、CTOの捕捉部分にハイブリダイズした断片が伸長されて、伸長した二重鎖を形成し;伸長した二重鎖は、(i)断片の配列及び/又は長さ、(ii)CTOの配列及び/又は長さ、又は(iii)断片の配列及び/又は長さ並びにCTOの配列及び/又は長さによって調整可能なTm値を有し;伸長した二重鎖は、断片及び/又はCTOに連結された少なくとも1つの標識による標的シグナルを提供する、ステップ;及び(e)伸長した二重鎖がその二本鎖形態を保持する予め決定された温度で、標的シグナルを測定することによって、伸長した二重鎖を検出するステップであって、伸長した二重鎖の存在が標的核酸の存在を示す、ステップ。このケースにおいて、本方法は、ステップ(a)~(e)の全部又は一部を繰り返すことをさらに含み、繰り返しのサイクルの間に変性を含む。
【0173】
[206]語句「繰り返しのサイクルの間に変性」において、用語「変性」は、二本鎖核酸分子を一本鎖核酸分子に分離することを指す。
【0174】
[207]PTOCE方法のステップ(a)において、上流のオリゴヌクレオチドの代わりに、標的核酸の増幅のためのプライマーセットを使用することができる。このケースにおいて、本方法は、ステップ(a)~(e)の全部又は一部を繰り返すことをさらに含み、繰り返しのサイクルの間に変性を含む。
【0175】
[208]PTOCE方法は、CTOにハイブリダイズしたPTO断片が伸長されて伸長した鎖を形成し、伸長した鎖が検出されるプロセスとして分類することができる。PTOCE方法は、伸長した鎖の形成が、伸長した鎖とCTOとの二重鎖を使用して検出されることを特徴とする。
【0176】
[209]伸長した鎖の形成の検出のための他のアプローチがある。例えば、伸長した鎖の形成は、伸長した鎖に特異的にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを使用して検出することができる(例えば、PCE-SHアッセイ)。このような方法において、シグナルは、(i)伸長した鎖に特異的にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドに連結された標識、又は(ii)伸長した鎖に特異的にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドに連結された標識、及びPTO断片に連結された標識から提供される場合もある。
【0177】
[210]代替として、伸長した鎖の形成の検出は、CTOと、CTOに特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドとの二重鎖の量における変化を検出するための他の方法(例えば、PCE-NHアッセイ)によって行われる。このような変化は、標的核酸の存在を示すとみなされる。シグナルは、(i)CTOにハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドに連結された標識、(ii)CTOに連結された標識、又は(iii)CTO及びCTOに連結された標識にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドに連結された標識から提供される場合もある。
【0178】
[211]一実施形態によれば、CTOに特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドは、PTO断片とオーバーラップする配列を有する。
【0179】
[212]一実施形態によれば、標識が連結されたオリゴヌクレオチドとしては、伸長した鎖(例えば、PCE-SHアッセイ)及びCTOに特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド(例えば、PCE-NHアッセイ)に特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0180】
[213]PTOCEベースの方法は、一般的に、標的核酸の存在に依存する伸長した鎖の形成を伴う。用語「PTOCEベースの方法」は、本明細書において、PTOの切断及び伸長を介して伸長した鎖の形成を含むシグナルを提供するための様々な方法を含むものとして使用される。
【0181】
[214]PTOCEベースの方法によるシグナル生成の一例は、以下のステップを含む:(a)標的核酸を、上流のオリゴヌクレオチド及びPTOとハイブリダイズさせるステップ;(b)PTOの切断のための条件下で、ステップ(a)の生成物を、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させるステップであって、上流のオリゴヌクレオチド又はその伸長した鎖は、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によるPTOの切断を誘導し、切断が、PTOの5’-タギング部分又は5’-タギング部分の一部を含む断片を放出する、ステップ;(c)PTOから放出された断片をCTOとハイブリダイズさせるステップであって、PTOから放出された断片は、CTOの捕捉部分にハイブリダイズされる、ステップ;(d)ステップ(c)の生成物及び鋳型依存性核酸ポリメラーゼを使用して、伸長反応を実行するステップであって、CTOの捕捉部分にハイブリダイズした断片が伸長されて、伸長した二重鎖を形成する、ステップ;及び(e)伸長した鎖の存在に依存して生成されたシグナルを測定することによって、伸長した二重鎖の形成を検出するステップ。ステップ(a)において、標的核酸の増幅のためのプライマーセットは、上流のオリゴヌクレオチドの代わりに使用することができる。このケースにおいて、本方法は、ステップ(a)~(e)の全部又は一部を繰り返すことをさらに含み、繰り返しのサイクルの間に変性を含む。
【0182】
[215]媒介オリゴヌクレオチドの切断による二重鎖の形成に依存するシグナル生成メカニズムの別の例は、C-タグ技術(韓国特許第1961642号)である。この方法は、標的核酸に相補的ではないランダムな核酸配列、制限酵素認識配列、及び媒介オリゴヌクレオチドとしての標的核酸配列に相補的な核酸配列を連続して含む構造を有するプライマー(下記でC-タグプライマーと称される)を利用する。C-タグプライマーが標的核酸にハイブリダイズされ、伸長することで形成された増幅生成物は、制限酵素認識配列及びランダムな核酸配列に相補的な配列を含む。さらに、制限酵素が増幅生成物を切断し、それによってランダムな核酸配列に相補的なタグ断片が放出されたとき、タグ断片は、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズして、二重鎖を形成し、それによって標的核酸配列の存在を示すシグナルが提供される。
【0183】
[216]一実施形態において、シグナル変化は、標的核酸の存在に依存する方式で起こる、標的核酸にハイブリダイズした標識されたオリゴヌクレオチドの切断の後に、形成された二重鎖の解離によって生成する場合もある。
【0184】
[217]媒介オリゴヌクレオチドの切断による二重鎖の形成に依存するシグナル生成メカニズムの別の例としては、融解分析と組み合わされた二重クエンチアッセイが挙げられる(国際公開第2016/101959号)。
【0185】
[218]上記の刊行物で開示された用語に関して、オリゴヌクレオチドの対応する例は、以下の通りである:媒介オリゴヌクレオチドは、プロービング及びタギングオリゴヌクレオチド(PTO)に対応し、捕捉オリゴヌクレオチドは、捕捉及びクエンチオリゴヌクレオチド(CQO)に対応する。
【0186】
[219]一実施形態において、二重クエンチアッセイによるシグナル生成の特定の実施形態は、以下のステップを含む:
【0187】
[220](a)標的核酸配列をPTOとハイブリダイズさせるステップであって、PTOは、(i)標的核酸配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含む標的化部分、(ii)標的核酸配列に相補的ではないヌクレオチド配列を含む融解温度を決定する領域(MTDR)、及び(iii)少なくとも1つのフルオロフォア及び少なくとも1つのクエンチャーを含む相互作用標識の少なくとも1つのセットを含む、ステップ;
【0188】
[221](b)PTOをCQOとハイブリダイズさせるステップであって、
[222]CQOは、(i)PTOのMTDRに逆相補的なヌクレオチド配列を含む捕捉部分、及び(ii)少なくとも1つのクエンチ分子を含み、MTDRは、CQOの捕捉部分とハイブリダイズしてタグ二重鎖を形成するように構成される、ステップ;
【0189】
[223](c)タグ二重鎖をヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させるステップであって、ヌクレアーゼ活性を有する酵素は、タグ二重鎖が標的核酸配列とハイブリダイズするとタグ二重鎖の切断を誘導し、それによって、CQOの捕捉部分にハイブリダイズしたMTDR及び少なくとも1つのフルオロフォアを含むPTO断片を含む活性化されたタグ二重鎖断片が放出される、ステップ;
【0190】
[224](d)前記活性化されたタグ二重鎖断片を融解及び/又はハイブリダイズさせて、少なくとも1つのフルオロフォアからシグナルを得るステップ;及び
【0191】
[225](e)少なくとも1つのフルオロフォアからのシグナルを測定することによって、活性化されたタグ二重鎖断片を検出するステップであって、シグナルは、標的核酸配列の存在を示す、ステップ。一実施形態において、ステップ(a)~(c)の順番は、変更することができる。例えば、ステップは、以下の順番で実行してもよい:PTOをCQOとハイブリダイズさせるステップ(ステップ(b)) - 標的核酸配列をタグ二重鎖とハイブリダイズさせるステップ(ステップ(a)) - ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって、標的核酸配列にハイブリダイズしたタグ二重鎖を切断するステップ(ステップ(c));又はPTOを標的核酸配列とハイブリダイズさせるステップ(ステップ(a)) - ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって、少なくとも1つのフルオロフォア及びMTDRを含む活性化されたPTO断片を放出するステップ(ステップ(c)) - 活性化されたPTOをCQOとハイブリダイズさせるステップ(ステップ(b))。
【0192】
[226]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖は、単一のタイプの二重鎖又は複数のタイプの二重鎖であってもよい。具体的には、シグナル変化を提供する二重鎖が単一のタイプの二重鎖である場合、二重鎖の数は1であってもよく、シグナル変化を提供する二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、二重鎖の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20であってもよく、より具体的には、2、3、又は4であってもよく、より具体的には、2又は3であってもよい。
【0193】
[227]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖のなかでも、単一のタイプの二重鎖又はあらゆる二重鎖は、標識を含む。
【0194】
[228]一実施形態において、2つの異なる一本鎖が同じ一本鎖の異なる部位にハイブリダイズする二重鎖が、存在していてもよい。例えば、図1cで示されるように、2つのプローブを利用する隣接ハイブリダイゼーションプローブ方法は、2つのプローブが、一本鎖(例えば、標的核酸)の互いに隣接する異なる部位にハイブリダイズされるかどうかに応じてシグナルを提供する方法である。このケースにおいて、本発明の開示による方法は、2つのプローブのうちの少なくとも一方が解離したとき同じシグナルを提供することから、シグナルを提供する二重鎖は1つであり、それゆえに、本発明の開示による方法は、単一のタイプの二重鎖を提供する方法として分類することができる。
【0195】
[229]一実施形態において、シグナル変化を提供する二重鎖が単一のタイプの二重鎖である場合、単一のタイプの二重鎖の量は、標的核酸の存在に応じて変化し、それによってシグナルを変化させる。例えば、図面を参照すれば、図1aにおける分子ビーコン方法、図1bにおけるLUXプローブ方法、図1cにおけるハイブリッドプローブ方法、及び図1dにおけるYin-Yangプローブ方法、図1e、図1f、図1g、図1h、図2a、及び図2cにおけるPTOCEベースの方法、並びに図2bにおける二重クエンチ方法は、単一のタイプの二重鎖を提供する例である。
【0196】
[230]特に、図1a、図1b、図1c、図1f、図1g、図1h、図2a、図2b、及び図2cのケースにおいて、単一のタイプの二重鎖は、インキュベーション中に生成され、単一のタイプの二重鎖の量は、インキュベーション中(例えば、増幅反応中)に増加して、シグナル変化が提供される。図1d及び図1eのケースにおいて、単一のタイプの二重鎖は、最初から、標的核酸を検出するための組成物に含まれており、単一のタイプの二重鎖の量は、インキュベーション反応中に減少し、それによってシグナル変化が提供される。
【0197】
[231]一実施形態において、二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、複数のタイプの二重鎖間の量の比率は、標的核酸の存在に応じて変化し、それによってシグナルを変化させる。例えば、図面を参照すれば、図3a及び図3bにおけるPTOCEベースの方法は、複数のタイプの二重鎖(特に、2つのタイプの二重鎖)を提供する例である。図3a及び図3bにおいて、2つのタイプの二重鎖のうちの一方は、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれており、他方は、インキュベーション反応中に生成され、インキュベーション反応中(例えば、増幅反応中)、2つのタイプの二重鎖間の量の比率は変化し、それによってシグナル変化が提供される。特に、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれていた二重鎖の量は減少し、インキュベーション反応中に新たに生成された二重鎖の量は増加することから、これらの二重鎖間の量の比率は変化する。
【0198】
[232]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖のうちの少なくとも2つは、同じ一本鎖を含む。例えば、図3a及び図3bを参照すれば、2つの異なるタイプの二重鎖において、各二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの一方は、同じ鎖である。特に、CTO及びPTO(すなわち、切断されていないPTO)は、PTO(又はCTO)は、それに連結された相互作用二重標識を有するか、又はPTOは、相互作用二重標識のうちの一方を有し、CTOは、相互作用二重標識のうちの他方を有し、このようなCTO及びPTOは、第1のシグナル変化を提供する二重鎖を構成し、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれており、インキュベーション反応中に、PTOは、標的核酸の存在に応じて切断されて、断片を放出し、放出された断片はCTOにハイブリダイズされて、伸長した鎖を生成し、新たに-生成された伸長した鎖及びCTOは、第2のシグナル変化を提供する二重鎖を構成する。この場合、第1の二重鎖及び第2の二重鎖は、同じ一本鎖(すなわち、CTO)を含む。
【0199】
[233]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖のTm値は、互いに異なる。例えば、二重鎖のTm値は、少なくとも、2℃、3℃、4℃、5℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、又は20℃互いに異なる。
【0200】
[234]一実施形態において、二重鎖の量は、二重鎖を構成する2つの核酸鎖が解離している状況における二重鎖(すなわち、解離した形態の二重鎖)の量と、2つの核酸鎖がハイブリダイズしている状況における二重鎖(すなわち、会合した形態の二重鎖)の量との合計を指す。
【0201】
[235]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖が同じ一本鎖を含む場合、同じ一本鎖は、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれていた第1の二重鎖に含まれており、インキュベーション反応中、同じ一本鎖を含む新しい第2の二重鎖が生成される場合もある。このケースにおいて、第1の二重鎖に含まれる同じ一本鎖は、インキュベーション反応中に第2の二重鎖を生成しながら消費され、結果として、同じ一本鎖を含む第1の二重鎖の量は減少し、同じ一本鎖を含む第2の二重鎖の量は増加すると考えることができる。
【0202】
[236]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のいずれか1つは、対応する標的核酸を増幅することができる。
【0203】
[237]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のいずれか1つは、対応する標的核酸を増幅するのに役立つ増幅オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。一実施形態において、増幅オリゴヌクレオチドは、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと同じであってもよい。
【0204】
[238]用語「増幅オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、標的核酸を増幅するのに役立つあらゆるオリゴヌクレオチドを指す。
【0205】
[239]一実施形態において、増幅オリゴヌクレオチドは、当業界において公知の「プライマー」であってもよい。用語「プライマー」は、本明細書で使用される場合、標的核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に置かれた場合、すなわち、ヌクレオチド及び重合のための薬剤、例えばDNAポリメラーゼの存在下で、好適な温度及びpHで、合成の開始点として作用することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、重合のための薬剤の存在下で伸長生成物の合成を作動させるのに十分な程度の長さなければならない。プライマーの適切な長さは、温度、適用の分野、及びプライマー源などの複数の要因によって決定される。
【0206】
[240]プライマーは、フォワードプライマー(上流プライマー又は上流のオリゴヌクレオチドとも称される)、リバースプライマー(下流プライマー又は下流オリゴヌクレオチドとも称される)、又はその両方を含んでいてもよい。増幅オリゴヌクレオチドは、当業界において公知の構造を有するオリゴヌクレオチドであってもよいし、又は当業界において公知の方法によって合成されてもよい。
【0207】
[241]増幅オリゴヌクレオチド及び標識が連結されたオリゴヌクレオチドが同じであるということは、単一のオリゴヌクレオチドが同時に、標的核酸を増幅する増幅オリゴヌクレオチドとして、さらに標的核酸の存在下でシグナルを生成する標識が連結されたオリゴヌクレオチドとして作用することを意味する。一例として、標識が連結されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸にハイブリダイズされ、伸長されることで、シグナルを生成することができる。
【0208】
[242]本発明者らは、二重鎖を使用する様々なシグナル生成メカニズムは、シグナルが標的核酸の存在に応じて変化する温度範囲(すなわち、シグナル変化温度範囲)、及び標的核酸の存在下でさえもシグナルが変化しない温度範囲(すなわち、シグナル一定温度範囲)を含むことを見出した。さらに、本発明者らは、シグナルを提供する二重鎖を提供しない方法、例えばTaqManプローブアッセイは、シグナル一定温度範囲を有さないことを見出した。
【0209】
[243]さらに、本発明者らは、周知のシグナル生成メカニズムが、シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲の数及び/又は順番に応じて3つのタイプに分類できることを見出し、さらに、シグナル生成メカニズムのこれらの3つのタイプの様々な組合せを使用することによって、増幅後の融解分析を行うことなく、単一のタイプの標識を利用するリアルタイム方式で複数の標的核酸を検出することが可能な新規の方法を開発した。
【0210】
[244]一実施形態において、n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナルが第iの標的核酸の存在に応じて変化する「シグナル変化温度範囲」、及びシグナルが第iの標的核酸の存在下でさえも一定である「シグナル一定温度範囲」を有する。
【0211】
[245]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のなかでも、第iの標的核酸を検出するための組成物は、標的核酸が増幅されるときにシグナルが変化する「シグナル変化温度範囲」、及び標的核酸が増幅されるときでさえもシグナルが一定である「シグナル一定温度範囲」を有していてもよい。
【0212】
[246]一実施形態において、シグナル変化温度範囲は、標的核酸の存在に応じてシグナル値(例えば、シグナル強度)の差が生じる温度範囲である。
【0213】
[247]一実施形態において、シグナル変化温度範囲は、標的核酸の増幅レベル(例えば、増幅された標的核酸の量)に応じてシグナル値が変化する温度範囲である。
【0214】
[248]一実施形態において、シグナル一定温度範囲は、標的核酸の存在に関係なくシグナル値が変化しない温度範囲である。すなわち、シグナル一定温度範囲は、標的核酸の存在下におけるシグナル値と、標的核酸の非存在下におけるシグナル値との間で差がない温度範囲である。
【0215】
[249]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲を、連続する順番又は不連続な順番で有していてもよい。
【0216】
[250]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、1又は2つのシグナル一定温度範囲を有していてもよい。
【0217】
[251]一実施形態において、第iの検出温度は、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択することができる。このケースにおいて、本出願において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの検出温度を有すると称される。加えて、第iの標的核酸を検出するための組成物に対応する第iの標的核酸は、第iの検出温度を有する標的核酸と称することもできる。
【0218】
[252]一実施形態によれば、対応する標的核酸を検出するための組成物によって決定される1つの検出温度は、1つの標的核酸に割り当てられる。
【0219】
[253]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のシグナル変化温度範囲は、互いにオーバーラップしない。このケースにおいて、n個の検出温度のそれぞれにつき、対応するシグナル変化温度範囲内である限りは、検出温度としていずれの温度が選択されてもよい。
【0220】
[254]一実施形態において、第iの検出温度は、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、第iの検出温度は、他の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲に含まれない。
【0221】
[255]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物のうちのいずれか1つの組成物のシグナル変化温度範囲は、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしていてもよく、一方で、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしていなくてもよい。このケースにおいて、別の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップするシグナル変化温度範囲を有する、標的核酸を検出するための組成物の検出温度は、別の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしないシグナル変化温度範囲の温度範囲内から選択される。したがって、2つのシグナル変化温度範囲間でオーバーラップしない温度範囲内から検出温度を選択することによって、単一の特定の標的核酸の存在を示すシグナルのみを単一の検出温度で提供できる(図4を参照)。
【0222】
[256]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物のいずれか1つのシグナル変化温度範囲は、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしていてもよいが、2つのシグナル変化温度範囲のうちのいずれか一方は、他方のシグナル変化温度範囲にその全体が含まれない。
【0223】
[257]用語「隣接する検出温度」は、本明細書において、n個の検出温度のなかでも連続した検出温度を指すものとして使用され、例えば、第iの検出温度の隣接する検出温度は、第(i-1)の検出温度又は第(i+1)の検出温度である。
【0224】
[258]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップしていてもよく、一方で、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしていなくてもよい。
【0225】
[259]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、1つのシグナル変化温度範囲及び1つのシグナル一定温度範囲を有していてもよい。
【0226】
[260]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、1つのシグナル変化温度範囲及び2つのシグナル一定温度範囲を有していてもよい。
【0227】
[261]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、以下のいずれか1つであってもよい:(i)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;(ii)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び(iii)シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物。
【0228】
[262]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲に関して使用される表現「一方の温度範囲が他方の温度範囲より低い」は、一方の温度範囲の最も高い温度が、他方の温度範囲の最も低い温度より低いことを意味する。さらに、表現「一方の温度範囲が他方の温度範囲より高い」は、一方の温度範囲の最も低い温度が、他方の温度範囲の最も高い温度より高いことを意味する。例えば、シグナル一定温度範囲がシグナル変化温度範囲より高いことは、シグナル一定温度範囲内の最も低い温度が、シグナル変化温度範囲内の最も高い温度より高いことを意味する。
【0229】
[263]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、シグナル変化を提供する二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定することができる。
【0230】
[264]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、単一のタイプの二重鎖を提供し、標的核酸を検出するための組成物は、1つのシグナル変化温度範囲及び1つのシグナル一定温度範囲を有していてもよい。シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、単一のタイプの二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定することができる。
【0231】
[265]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物が、複数のタイプの二重鎖、特に2つのタイプの二重鎖を提供する場合、標的核酸を検出するための組成物は、1つのシグナル変化温度範囲及び2つのシグナル一定温度範囲を有していてもよい。シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、2つのタイプの二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定することができる。
【0232】
[266]本明細書において使用される標的核酸を検出するためのn個の組成物のいずれか1つは、上述した様々なシグナル生成メカニズムを採用してもよい。
【0233】
[267]一実施形態において、上述した様々なシグナル生成メカニズムは、UnderSC組成物、InterSC組成物、及びOverSC組成物のいずれか1つに使用することができる。
【0234】
[268]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムが同じであるとしても、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドを含む標的核酸を検出するための組成物は、互いに異なるとみなすことができる。核酸を検出するための異なる組成物は、互いに異なる検出温度を有する。
【0235】
[269]より具体的には、図面を参照すれば、UnderSC組成物、InterSC組成物、及びOverSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムの例が記載されるが、これらに限定されない。
【0236】
[270](i)標的核酸を検出するためのUnderSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズム
[271]図1a~図1hは、UnderSC組成物によって採用することができる様々なシグナル生成メカニズムを示す。
【0237】
[272]図1a及び図1hにおけるシグナル生成メカニズムは、標的核酸が増幅されるとシグナルが変化する1つのシグナル変化温度範囲、及び標的核酸が増幅されるときでさえもシグナルが一定である1つのシグナル一定温度範囲を有し、シグナル変化温度範囲は、シグナル一定温度範囲より低い。
【0238】
[273]一実施形態において、図1aにおける分子ビーコン方法、図1bにおけるLUX方法、及び図1cにおけるハイブリダイゼーションプローブ方法の場合と同様に、標識(例えば、単一の標識又は相互作用標識)と連結されたオリゴヌクレオチドと、標的核酸とのハイブリダイゼーションによって、二重鎖(すなわち、シグナル変化を提供する二重鎖)からのシグナル変化を提供する様々なシグナル生成メカニズムが、標的核酸を検出するためのUnderSC組成物に利用することができる。この場合、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に生成された二重鎖である。
【0239】
[274]一実施形態において、標的核酸を検出するためのUnderSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして、図1dにおけるYin-Yangプローブ方法や図1eにおけるPCE-NH方法に示されるものなどの様々なシグナル生成メカニズムが利用されてもよく、それにおいて、標的核酸を検出するための組成物は、最初からシグナル変化を提供する二重鎖を含み、シグナル変化を提供する二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの一方が、標的核酸と対合し、それによって新しい二重鎖が形成されるか、又はシグナル変化を提供する二重鎖の量が変化することで(特に、減少することで)、シグナルの変化が提供されるように、シグナル変化を提供する二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの一方が、標的核酸と媒介オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに依存する切断反応によって形成された二重鎖を構成する2つの鎖のうちの一方と対合するときに、新しい二重鎖が形成される。
【0240】
[275]一実施形態において、図1f、図1g、及び図1hにおけるPTOCEベースの方法に示されるものなどの、シグナル変化が、媒介オリゴヌクレオチドと標的核酸とのハイブリダイゼーションに依存する切断反応によって形成された、シグナル変化を提供する二重鎖から提供される様々なシグナル生成メカニズムは、UnderSC組成物に使用することができる。この場合、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に生成された二重鎖であり、特に、図1fにおけるシグナル変化を提供する二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖)の標識は、インキュベーション反応中に組み込まれる。
【0241】
[276](ii)標的核酸を検出するためのOverSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズム
【0242】
[277]図2a~図2cは、OverSC組成物によって採用することができる様々なシグナル生成メカニズムを示す。
【0243】
[278]図2a及び図2cにおけるシグナル生成メカニズムは、標的核酸が増幅されるときにシグナルが変化する1つのシグナル変化温度範囲、及び標的核酸が増幅されるときでさえもシグナルが一定である1つのシグナル一定温度範囲を有し、シグナル変化温度範囲は、シグナル一定温度範囲より高い。
【0244】
[279]一実施形態において、図2a及び図2cにおけるPTOCEベースの方法、並びに図2bにおける二重クエンチ方法に示されるものなどの、シグナル変化が、媒介オリゴヌクレオチドと標的核酸とのハイブリダイゼーションに依存する切断反応によって形成された、シグナル変化を提供する二重鎖から提供される様々なシグナル生成メカニズムは、UnderSC組成物に使用することができる。この場合、シグナル変化を提供する二重鎖は、インキュベーション反応中に生成された二重鎖であり、特に、図2cにおけるシグナル変化を提供する二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖)の標識は、インキュベーション反応中に組み込まれる。
【0245】
[280](iii)標的核酸を検出するためのInterSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズム
【0246】
[281]図3a~図3bは、InterSC組成物によって採用することができる様々なシグナル生成メカニズムを示す。
【0247】
[282]図3a及び図3bにおけるシグナル生成メカニズムは、標的核酸が増幅されるときにシグナルが変化する1つのシグナル変化温度範囲、及び標的核酸が増幅されるときでさえもシグナルが一定である2つのシグナル一定温度範囲を有し、シグナル変化温度範囲は、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低い。
【0248】
[283]一実施形態において、複数のタイプのシグナル変化を提供する二重鎖からシグナル変化を提供する様々なシグナル生成メカニズムは、InterSC組成物に使用することができる。
【0249】
[284]例えば、図3a及び図3bに示されるPTOCEベースの方法における場合のように、シグナル変化が、2つのタイプのシグナル変化を提供する二重鎖から提供されるメカニズムを使用することができ、特に、図3a及び図3bにおける方法において、2つのタイプの二重鎖のうちの一方は、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれており、他方は、媒介オリゴヌクレオチドと標的核酸とのハイブリダイゼーションに依存して切断反応によって生成され、インキュベーション反応が進行するにつれて、これらの2つのタイプの二重鎖間の量の比率が変化し、それによってシグナル変化が提供される。この場合、2つのタイプの二重鎖は、互いに異なるTm値を有する。
【0250】
[285]一実施形態において、複数の二重鎖は、互いに異なるTm値を有していてもよい。
【0251】
[286]一実施形態において、InterSC組成物は、シグナルが標的核酸の存在に応じて変化する1つのシグナル変化温度範囲、及び標的核酸の存在下でさえもシグナルが一定である2つのシグナル一定温度範囲を有し、シグナル変化温度範囲は、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低い。
【0252】
[287]一実施形態において、InterSC組成物は、複数のタイプのシグナル変化を提供する二重鎖を提供する。
【0253】
[288]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖は、互いに異なるTm値を有する。
【0254】
[289]一実施形態において、InterSC組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、複数のタイプの二重鎖のTm値を調整することによって調整でき、標的核酸は、シグナル変化温度範囲から選択される検出温度を使用して検出することができる。
【0255】
[290]一実施形態において、複数のタイプの二重鎖間の量の比率は、標的核酸の存在に応じて変化し、それによってシグナルを変化させる。
【0256】
[291]一実施形態において、InterSC組成物は、2つのシグナル変化を提供する二重鎖を提供する。標的核酸の存在に応じて、2つの二重鎖間の量の比率が変化し、結果としてシグナル変化が生じる。2つの二重鎖(dplexes)は、異なるTm値を有する。
【0257】
[292]一実施形態において、2つのシグナル変化を提供する二重鎖のうち一方(例えば、相対的に低いTmを有する二重鎖)は、最初からInterSC組成物に含まれており、他方(例えば、相対的に高いTmを有する二重鎖)は、インキュベーション反応中に生成される。
【0258】
[293]一実施形態において、2つの二重鎖における各二重鎖を構成する2つの一本鎖のうちの一方は、同じ鎖である。特に、最初から標的核酸を検出するための組成物に含まれていた二重鎖の量が減少し、インキュベーション反応中に新たに生成された二重鎖の量が増加することから、これらの二重鎖間の量の比率は変化する。すなわち、同じ鎖を含む2つの二重鎖のうち、最初からInterSC組成物に含まれていた第1の二重鎖の量は、インキュベーション反応中に新たに生成された第2の二重鎖によって減少し、インキュベーション中、第2の二重鎖の量は増加し、それらの間の量の比率が変化する。
【0259】
[294]一実施形態において、InterSC組成物によって提供される二重鎖のいずれか1つは、標的核酸の存在に依存する切断反応によって提供される二重鎖である。例えば、インキュベーション反応中に新たに生成される二重鎖は、標的核酸の存在に依存する切断反応(例えば、PTOCEベースの方法)によって生成することができる。
【0260】
[295]一実施形態において、2つの二重鎖はそれぞれ、相互作用二重標識(例えば、レポーター分子及びクエンチャー分子)を含む。特に、(i)2つの二重鎖が会合した形態である場合、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされ、2つの二重鎖が解離した形態である場合、クエンチャー分子は、レポーター分子から分離され、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされないか(図3aを参照)、又は(ii)2つの二重鎖が会合した形態である場合、クエンチャー分子は、レポーター分子から分離され、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされず、2つの二重鎖が解離した形態である場合、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる(図3bを参照)。
【0261】
[296]InterSC組成物によって採用することができるシグナル生成メカニズムは、単一の標的核酸を検出するのに使用することができ、加えて、複数のInterSC組成物を使用し、複数のInterSC組成物の各シグナル変化温度範囲を調整することによって、複数の標的核酸を検出するのに使用することができる。
【0262】
[297]上述したように、標的核酸を検出するための組成物は、それらのシグナル生成メカニズムが同じであっても、(i)標識のタイプ(例えば、単一の標識、相互作用標識など)、(ii)標識が連結されたオリゴヌクレオチドのタイプ(例えば、PTO、CTOなど)、並びに(iii)標識が連結される位置及び/又は標識が連結される方式(標識が、インキュベーション反応の前に最初からオリゴヌクレオチドに連結されているのかどうか、又はインキュベーション反応中にそこに組み込まれることによってオリゴヌクレオチドに連結されているのかどうか、など)などに応じて、シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲の異なる順番を有していてもよい。したがって、同じシグナル生成メカニズムを、UnderSC組成物、InterSC組成物、及びOverSC組成物のいずれか1つに使用してもよい。例えば、PTOCEベースの方法において、標的核酸の存在がPTOの伸長及び切断からのシグナルによって決定されるメカニズムは、同じであってもよいが、相互作用二重標識が全てCTOに連結されるケース(例えば、図1g、図1h)及び相互作用標識のうちの一方がPTOに連結され、相互作用標識のうちの他方がCTOに連結されるケース(例えば、図3a)は、それぞれUnderSC組成物及びInterSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして適用されてもよい。加えて、相互作用二重標識が組み込まれるケース(例えば、図2c)及び相互作用二重標識が最初からオリゴヌクレオチドに連結されているケース(例えば、図3b)は、それぞれ標的核酸を検出するためのOverSC組成物及びInterSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして適用されてもよい。
【0263】
[298]特定の実施形態において、上述したPTOCEベースの方法における場合のように、具体的には、それに連結された相互作用二重標識を有するCTOが、標的核酸の存在に応じて切断されたPTO断片の伸長した鎖と二重鎖を形成することでシグナルが提供されるPTOCEベースの方法は、UnderSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして採用され得る(図5を参照)。この場合、UnderSC組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、伸長した二重鎖(すなわち、相互作用の二重の標識が連結されたCTOと伸長した鎖との二重鎖)のTm値を調整することによって制御することができる。
【0264】
[299]特定の実施形態において、上述した二重クエンチ方法は、OverSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして採用され得る(図7を参照)。この場合、OverSC組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、タグ二重鎖(すなわち、活性化されたタグ二重鎖断片)のTm値を調整することによって制御することができる。
【0265】
[300]特定の実施形態において、上述したPTOCEベースの方法、具体的には、それに連結された相互作用二重標識のうちの一方を有するPTO、及びそれに連結された相互作用二重標識のうちの他方を有するCTOを使用するPTOCEベースの方法は、InterSC組成物のためのシグナル生成メカニズムとして採用され得る(図6を参照)。この場合、InterSC組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、CTOと切断されていないPTOのタギング部分との二重鎖のTm値、及びCTOと、標的核酸の存在に依存して切断されたPTO断片の伸長した鎖との伸長した二重鎖のTm値を調整することによって制御することができる。
【0266】
[301]一実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物であってもよい。
【0267】
[302]特定の実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよい。例えば、図8で示されるように、第1の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、相互作用二重標識と連結されたCTOを使用するPTOCEベースの方法を使用することができ、第2の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、相互作用二重標識のうちの一方がPTOに連結され、他方がCTOに連結されるPTOCEベースの方法を使用することができる。一実施形態において、第1の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖)及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖(すなわち、切断されていないPTOとCTOとの二重鎖、及び伸長した二重鎖)が全て会合した形態である温度になるように選択することができ、第2の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される伸長した二重鎖、及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が解離した形態であり、第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される伸長した二重鎖が会合した形態である温度になるように選択することができる。第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度で(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子から分離されるように、会合した形態の伸長した二重鎖が、標的核酸が増幅されるときに生成され、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされないとき)シグナル変化を提供し、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、伸長した二重鎖は、生成された場合でさえも全て解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、2つのタイプの二重鎖が両方とも会合した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度でシグナル変化を提供する(クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が消費され、会合した形態の伸長した二重鎖が生成され、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)。
【0268】
[303]特定の実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、OverSC組成物であってもよい。例えば、図9で示されるように、第1の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、相互作用二重標識と連結されたCTOを使用するPTOCEベースの方法を使用することができ、第2の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、二重クエンチ方法を使用することができる。一実施形態において、第1の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖)及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖(すなわち、タグ二重鎖)が会合した形態である温度になるように選択することができ、第2の検出温度は、伸長した二重鎖及びタグ二重鎖が両方とも解離した形態である温度になるように選択することができる。このケースにおいて、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子から分離されるように、会合した形態の伸長した二重鎖が、標的核酸が増幅されるときに生成され、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされないとき)でシグナル変化を提供し、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、伸長した二重鎖は、生成された場合でさえも全て解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる);第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、会合した形態のタグ二重鎖(切断されていないタグ二重鎖及び活性化されたタグ二重鎖断片)において、2つのクエンチャーのうちの少なくとも一方が、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度でシグナル変化を提供する(すなわち、2つのクエンチャー分子の両方がレポーター分子から分離されるように、標的核酸が増幅されるときに生成された活性化されたタグ二重鎖断片が解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない)。
【0269】
[304]特定の実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよい。例えば、図10で示されるように、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムのように、相互作用二重標識のうちの一方がPTOに連結され、他方がCTOに連結されるPTOCEベースの方法を使用することができる。一実施形態において、第1の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖及び切断されていないPTOとCTOとの二重鎖)及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖及び切断されていないPTOとCTOとの二重鎖)のなかでも、全ての他の二重鎖は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖を除いて会合した形態であり、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖は解離した形態である温度になるように選択することができ;第2の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖のなかでも、第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される伸長した二重鎖のみが会合した形態であり、他の二重鎖の残りが全て解離した形態である温度になるように選択することができる。第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し(すなわち、会合した形態の伸長した二重鎖が、標的核酸が増幅されるときに生成されるとき、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子から分離されるように、伸長した二重鎖は、生成された場合でさえも全て解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない);第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、2つのタイプの二重鎖は両方とも会合した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度でシグナル変化を提供する(切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が消費され、会合した形態の伸長した二重鎖が生成されるとき、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)。
【0270】
[305]特定の実施形態において、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、OverSC組成物であってもよい。例えば、図11で示されるように、第1の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、二重標識のうちの一方がPTOに連結され、他方がCTOに連結されるPTOCEベースの方法を使用することができ、第2の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、二重クエンチ方法を使用することができる。一実施形態において、第1の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖(すなわち、伸長した二重鎖及び切断されていないPTOとCTOとの二重鎖)及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される活性化されたタグ二重鎖断片のなかでも、全ての他の二重鎖が、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖を除いて、全て会合した形態であり、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が解離した形態である温度になるように選択することができ;第2の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される2つのタイプの二重鎖(伸長した二重鎖及び切断されていないPTOとCTOとの二重鎖)及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される活性化されたタグ二重鎖断片が全て解離した形態である温度になるように選択することができる。このケースにおいて、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し(すなわち、会合した形態の伸長した二重鎖が、標的核酸が増幅されるときに生成されるとき、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子から分離されるように、伸長した二重鎖は、生成された場合でさえも全て解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない);第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、会合した形態のタグ二重鎖(切断されていないタグ二重鎖及び活性化されたタグ二重鎖断片)において、2つのクエンチャーのうちの少なくとも一方が、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第2の検出温度でシグナル変化を提供する(すなわち、2つのクエンチャー分子の両方が、レポーター分子から分離されるように、標的核酸が増幅されるときに生成された活性化されたタグ二重鎖断片が解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない)。
【0271】
[306]一実施形態において、nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であってもよく、第nの標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物であってもよく、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物(複数可)は、InterSC組成物であってもよい。
【0272】
[307]特定の実施形態において、nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第3の標的核酸を検出するための組成物は、OverSC組成物であってもよい。例えば、図12で示されるように、第1の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、相互作用二重標識と連結されたCTOを使用するPTOCEベースの方法を使用することができ、第2の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、相互作用二重標識のうちの一方がPTOに連結され、他方がCTOに連結されるPTOCEベースの方法を使用することができ、第3の標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムの場合、二重クエンチ方法を使用することができる。一実施形態において、第1の検出温度は、第1~第3の標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖(特に、シグナル変化を提供する二重鎖)が全て会合した形態である温度になるように選択することができ、第2の検出温度は、第1の標的核酸を検出するための組成物によって提供される伸長した二重鎖、及び第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が解離した形態である温度になるように選択することができ、他の二重鎖(すなわち、第2の標的核酸を検出するための組成物によって提供される伸長した二重鎖、及び第3の標的核酸を検出するための組成物によって提供されるタグ二重鎖)は、会合した形態であり、第3の検出温度は、全ての二重鎖が解離した形態である温度になるように選択することができる。このようなケースにおいて、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子から分離されるように、会合した形態の伸長した二重鎖は、標的核酸が増幅されるときに生成され、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない)、第2及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、伸長した二重鎖は、生成された場合でさえも全て解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる);第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第1及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、クエンチャー分子がレポーター分子に近接した状態になるように、2つのタイプの二重鎖は両方とも会合した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされるか、又はクエンチャー分子がレポーター分子から分離するように、2つのタイプの二重鎖は両方とも解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされない)、第2の検出温度でシグナル変化を提供し(切断されていないPTOとCTOとの二重鎖が消費され、会合した形態の伸長した二重鎖が、生成されるとき、クエンチャー分子は、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる);第3の標的核酸を検出するための組成物は、第3の標的核酸の存在下で、第1及び第2の検出温度で一定のシグナルを提供し(すなわち、会合した形態のタグ二重鎖(切断されていないタグ二重鎖及び活性化されたタグ二重鎖断片)において、2つのクエンチャーのうちの少なくとも1つが、レポーター分子に近接した状態であり、それによってレポーター分子からのシグナルがクエンチされる)、第3の検出温度でシグナル変化を提供する(すなわち、2つのクエンチャー分子の両方がレポーター分子から分離するように、標的核酸の増幅から生成した活性化されたタグ二重鎖は解離した形態であり、それによってレポーター分子からのシグナルはクエンチされない)。
【0273】
[308]特定の実施形態において、nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第3の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよい。
【0274】
[309]特定の実施形態において、nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第3の標的核酸を検出するための組成物は、OverSC組成物であってもよい。
【0275】
[310]特定の実施形態において、nが3である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよく、第3の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物であってもよい。
【0276】
[311]特定の実施形態において、nが4である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC又はInterSC組成物であってもよく、第2の標的核酸を検出するための組成物及び第3の標的核酸を検出するための組成物はどちらもInterSC組成物であってもよく、第4の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC又はOverSC組成物であってもよい。本発明の開示による方法は、標的核酸を検出するための組成物のシグナル生成メカニズムに応じたシグナル変化温度範囲が存在するという事実を活用する。
【0277】
[312]一実施形態において、本発明の開示による検出温度は、標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれのシグナル変化温度範囲の観点から予め決定することができる。
【0278】
[313]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物のいずれか1つのシグナル変化温度範囲は、二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定することができる。すなわち、二重鎖のTm値を調整することによって、シグナル変化温度範囲は、予め決定することができる。
【0279】
[314]一実施形態において、シグナル変化が、標的核酸に特異的にハイブリダイズする標識が連結されたオリゴヌクレオチド(例えば、LUXプローブ、分子ビーコンプローブ、Hyビーコンプローブ、隣接ハイブリダイゼーションプローブなど)によって生成される場合、シグナルの検出は、標識が連結されたオリゴヌクレオチドのTm値を調整することによって、予め決定された検出温度でうまく達成することができる。
【0280】
[315]一実施形態において、スコルピオンプライマーが標識が連結されたオリゴヌクレオチドとして使用される場合、シグナルの検出は、伸長した鎖にハイブリダイズする部分のTm値を調整することによって、予め決定された温度でうまく行われる。
【0281】
[316]一実施形態において、シグナルが、標的核酸配列の存在に基づいて、形成された二重鎖によって生成される場合、シグナルの検出は、二重鎖のTm値を調整することによって、予め決定された温度でうまく行われる。例えば、シグナルがPTOCE方法によって生成される場合、シグナルの検出は、CTOでのPTO断片の伸長によって形成された伸長した二重鎖のTm値を調整することによって、予め決定された温度でうまく達成される。
【0282】
[317]PTOCEベースの方法は、二重鎖のTm値、又はそのハイブリダイゼーションが二重鎖によって影響を受ける第3のハイブリダイゼーション生成物のTm値を制御することが容易であるという利点を有する。
【0283】
[318]上述したように、検出温度は、標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖に応じて変化するシグナル変化温度範囲を考慮して決定される。
【0284】
[319]一実施形態において、n個の標的核酸の検出のためのn個の組成物のいずれか1つの検出温度は、他の組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしないシグナル変化温度範囲内で予め決定することができる(図4を参照)。
【0285】
[320]一実施形態において、標的核酸を検出するための組成物に割り当てられた検出温度は、互いに、少なくとも2℃、3℃、4℃、5℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、15℃、又は20℃又は大きく異なる。
【0286】
[321]一実施形態において、n個の検出温度は、45℃~97℃、45℃~96℃、45℃~95℃、45℃~94℃、45℃~93℃、45℃~92℃、45℃~91℃、45℃~90℃、46℃~97℃、46℃~96℃、46℃~95℃、46℃~94℃、46℃~93℃、46℃~92℃、46℃~91℃、46℃~90℃、47℃~97℃、47℃~96℃、47℃~95℃、47℃~94℃、47℃~93℃、47℃~92℃、47℃~91℃、47℃~90℃、48℃~97℃、48℃~96℃、48℃~95℃、48℃~94℃、48℃~93℃、48℃~92℃、48℃~91℃、48℃~90℃、49℃~97℃、49℃~96℃、49℃~95℃、49℃~94℃、49℃~93℃、49℃~92℃、49℃~91℃、49℃~90℃、50℃~97℃、50℃~96℃、50℃~95℃、50℃~94℃、50℃~93℃、50℃~92℃、50℃~91℃、又は50℃~90℃の温度範囲から選択することができる。
【0287】
[322]例えば、上記の検出温度のなかでも最も高い検出温度(すなわち、第nの検出温度)は、70℃~97℃、70℃~95℃、70℃~93℃、70℃~90℃、73℃~97℃、73℃~95℃、73℃~93℃、73℃~90℃、75℃~97℃、75℃~95℃、75℃~93℃、75℃~90℃、78℃~97℃、78℃~95℃、78℃~93℃、78℃~90℃、80℃~97℃、80℃~95℃、80℃~93℃、80℃~90℃、83℃~97℃、83℃~95℃、83℃~93℃、83℃~90℃、85℃~97℃、85℃~95℃、85℃~93℃、又は85℃~90℃の温度範囲から選択することができる。
【0288】
[323]例えば、n個の検出温度のなかでも最も低い検出温度(すなわち、第1の検出温度)は、45℃~70℃、45℃~68℃、45℃~65℃、45℃~63℃、45℃~60℃、45℃~58℃、45℃~55℃、48℃~70℃、48℃~68℃、48℃~65℃、48℃~63℃、48℃~60℃、48℃~58℃、48℃~55℃、50℃~70℃、50℃~68℃、50℃~65℃、50℃~63℃、50℃~60℃、50℃~58℃、又は50℃~55℃の温度範囲から選択することができる。
【0289】
[324]例えば、n個の検出温度のなかでも中間の検出温度(例えば、第2の検出温度から第(n-1)の検出温度まで)は、55℃~85℃、55℃~83℃、55℃~80℃、55℃~78℃、55℃~75℃、55℃~73℃、55℃~70℃、55℃~68℃、55℃~65℃、55℃~63℃、55℃~60℃、58℃~85℃、58℃~83℃、58℃~80℃、58℃~78℃、58℃~75℃、58℃~73℃、58℃~70℃、58℃~68℃、58℃~65℃、58℃~63℃、58℃~60℃、60℃~85℃、60℃~83℃、60℃~80℃、60℃~78℃、60℃~75℃、60℃~73℃、60℃~70℃、60℃~68℃、60℃~65℃、60℃~63℃、63℃~85℃、63℃~83℃、63℃~80℃、63℃~78℃、63℃~75℃、63℃~73℃、63℃~70℃、63℃~68℃、63℃~65℃、65℃~85℃、65℃~83℃、65℃~80℃、65℃~78℃、65℃~75℃、65℃~73℃、65℃~70℃、65℃~68℃、68℃~85℃、68℃~83℃、68℃~80℃、68℃~78℃、68℃~75℃、68℃~73℃、68℃~70℃、70℃~85℃、70℃~83℃、70℃~80℃、70℃~78℃、70℃~75℃、又は70℃~73℃の温度範囲から選択することができる。
【0290】
[325]一実施形態によれば、n個の標的核酸はそれぞれ、n個の検出温度に割り当てられ、検出温度に対して適切なn個の標的核酸を検出するためのn個の組成物が調製され、次いでステップ(a)が実行されてもよい。
【0291】
[326]一実施形態において、nが3である場合、第1の検出温度は、50℃~60℃の温度範囲から選択することができ、第2の検出温度は、65℃~75℃の温度範囲から選択することができ、第3の検出温度は、80℃~95℃の温度範囲から選択することができる。
【0292】
[327]ステップ(a)において、シグナルは、インキュベーション中にn個の検出温度で検出される。
【0293】
[328]一実施形態において、シグナルの検出は、各サイクルで、又は選択されたサイクルで、又は反応のエンドポイントで行われてもよい。
【0294】
[329]一実施形態において、シグナルの検出は、少なくとも1つのサイクルで行われてもよい。例えば、シグナルは、選択された1つのサイクルにおいて、n個の検出温度で検出してもよいし、又は選択された2つのサイクルのそれぞれにおいて、n個の検出温度で検出してもよい。例えば、nが3であり、シグナルがサイクル1及びサイクル30で検出される場合、シグナル(すなわち、第1のシグナル、第2のシグナル、及び第3のシグナル)は、サイクル1において、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度で検出され、シグナルは、サイクル30において、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度で検出される。
【0295】
[330]一実施形態において、シグナルの検出は、少なくとも2つのサイクルにおいて行われてもよい。
【0296】
[331]一実施形態において、シグナル変化は、少なくとも2つのサイクルで検出されたシグナルを使用して測定することができる。例えば、核酸の増幅は、30サイクル、40サイクル、45サイクル、又は50サイクルのPCRにわたり行ってもよく、シグナルは、各サイクルで、n個の検出温度で測定してもよい。次いで、複数のサイクルにおける各検出温度で検出されたシグナルの値は、各検出温度で、増幅曲線として表すことができる(サイクル及びサイクルにおけるRFUのデータポイントの収集)。具体的な例として、nが3である場合、各標的核酸が存在する場合、第1の検出温度における増幅曲線、第2の検出温度における増幅曲線、及び第3の検出温度における増幅曲線を得ることができ、増幅曲線からシグナルの変化を同定することができる。
【0297】
[332]本明細書において使用される用語「増幅曲線」は、シグナル生成反応から、特に標的分析物(特に、標的核酸)の増幅反応から得られた曲線を指す。増幅曲線としては、試料中の標的核酸の存在下での反応から得られた曲線、及び試料中の標的核酸の非存在下での反応から得られた曲線又はラインが挙げられる。
【0298】
[333]一実施形態において、シグナル変化及び/又は一定のシグナルは、標的核酸の増幅を示すインジケーターから測定することができる。
【0299】
[334]用語「増幅を示すインジケーター」は、本明細書で使用される場合、ステップ(a)で提供されるシグナルから入手できる標的核酸の増幅の出現に密接に関連するあらゆるインジケーターを指す。インジケーターは、標的核酸の増幅に依存的に生成される値を指す場合もある。インジケーターは、標的核酸の増幅が増加するにつれて(すなわち、標的核酸の量が増加するにつれて)より大きい値を提供するインジケーターであってもよいし、又は増幅が増加するにつれてより小さい値を提供するインジケーターであってもよい。インジケーターは、それが増幅を示す限りはどのようなインジケーターであってもよい。
【0300】
[335]一実施形態において、増幅を示すインジケーターとしては、増幅曲線又は融解曲線から得られたものを挙げることができる。特に、インジケーターとしては、特定のサイクルにおけるシグナル値(例えば、RFU)、各サイクルにおけるシグナル値、特定のサイクル間のシグナル値の差、又は参照シグナル値と、増幅曲線における特定のサイクルにおけるシグナル値との差、又は融解曲線における最大融解ピークの高さ、幅若しくは面積を挙げることができる。一実施形態において、インジケーターは、これらに限定されないが、Ct(サイクル閾値)値、ΔRFU(例えば、2つのサイクルにおけるRFUの差、参照RFUと特定のサイクルにおけるRFUとの差など)、RFUの比率(例えば、2つのサイクルにおけるRFUの比率、又は参照RFUと特定のサイクルにおけるRFUとのRFUの比率など)、及び融解ピークの高さ/面積/幅(例えば、融解曲線における最大ピークの高さ/面積/幅)であってもよい。
【0301】
[336]一実施形態によれば、増幅を示すインジケーターは、Ct値である。Ct値は、増幅曲線と閾値ラインとの交差点であってもよい。Ct値の概念は当業界において周知である。
【0302】
[337]一実施形態によれば、増幅を示すインジケーターは、増幅反応で得られたRFU値間のΔRFU又はRFUの比率である。例えば、インジケーターは、2つのサイクルにおけるRFU間の差(減算)若しくは比率、又は特定のサイクルにおけるRFUと参照RFUとの差(減算)又は比率である。
【0303】
[338]一実施形態によれば、増幅を示すインジケーターは、融解ピークの面積又は幅である。融解ピークの面積又は幅は、融解分析で得られた融解曲線の導関数における最大ピークの面積又は幅を指す。融解ピークの面積又は幅は、当業界において広く公知である。
【0304】
[339]一実施形態において、シグナルの検出は、1つのサイクルで行われてもよい。このケースにおいて、1つのサイクル単独で検出されたシグナル値によってシグナル変化を測定することは困難である。それゆえに、シグナル変化は、別の参照シグナル値を使用して検出してもよい。
【0305】
[340]本発明の開示による方法は、標的核酸を検出するための組成物が、対応する検出温度でのみ、標的核酸の存在に応じてシグナル変化を提供するという事実を活用する。一実施形態によれば、本発明の開示による方法は、少なくとも2つのサイクルにおける検出温度で検出されたシグナル値を使用するシグナル変化を測定することができる。別の実施形態において、本発明の開示による方法は、1つのサイクルで検出された検出温度におけるシグナル値(すなわち、ステップ(a)で検出されたシグナル値)、及び参照シグナル値を使用することによってシグナル変化を測定することができる。
【0306】
[341]一実施形態において、シグナルが、ステップ(a)における複数のサイクルで検出される場合、シグナルが検出される第1のサイクル及び最終サイクルは、その間が少なくとも1サイクル~20サイクル互いに離れるように選択してもよい。特に、シグナルが検出される第1のサイクル及び最終サイクルは、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、13サイクル、14サイクル、15サイクル、16サイクル、17サイクル、18サイクル、19サイクル、又は20サイクル又はそれより大きく、より具体的には、5サイクル、10サイクル、15サイクル、20サイクル、又は30サイクル又はそれより大きく互いに離れるように選択してもよい。
【0307】
[342]一実施形態において、シグナルの検出は、対数期の領域を含む中間サイクルのいずれか、又はプラトーの領域を含む後期サイクルのいずれかで実行してもよい。例えば、シグナルは、2つのサイクルで検出してもよく、一方のサイクルがベースラインの領域を含む初期サイクルのいずれかであり、他方のサイクルが中間又は後期サイクルのいずれかであるか、又はシグナルは、2つのサイクルで検出してもよく、一方のサイクルが中間サイクルのいずれかであり、他方サイクルが中間又は後期サイクルのいずれかである。
【0308】
[343]一実施形態において、初期サイクルは、最終サイクルを3で割ることによって得られた値に隣接するサイクルまでのサイクルを含む。例えば、最終サイクルが45である場合、45を3で割った値が15であることから、初期サイクルは、サイクル1~サイクル20、サイクル1~サイクル15、サイクル1~サイクル10、又はサイクル1~サイクル5であると決定することができる。中間サイクルは、最終サイクルを2で割ることによって得られた値に隣接するサイクルであると決定することができる。例えば、最終サイクルがサイクル45である場合、45を2で割ると22.5が得られることから、中間サイクルは、サイクル16~サイクル30、サイクル18~サイクル30、サイクル20~サイクル30、サイクル16~サイクル27、サイクル18~サイクル27、サイクル20~サイクル27、サイクル16~サイクル25、サイクル18~サイクル25、又はサイクル20~サイクル25であると決定することができる。後期サイクルは、増幅反応の最後のサイクル、又は最終サイクルに隣接するサイクルであると決定することができる。例えば、最終サイクルがサイクル45である場合、後期サイクルは、サイクル31~サイクル45、サイクル35~サイクル45、サイクル38~サイクル45、サイクル40~サイクル45、又はサイクル43~サイクル45であると決定することができる。初期サイクル、中間サイクル及び後期サイクルは、増幅反応のサイクルの最終的な数に応じて変更することができる。特に、ステップ(a)において、シグナルが検出されるサイクルは、後期サイクルのいずれか(例えば、最終サイクル)であってもよいし、参照シグナルが陽性対照反応の初期サイクルのいずれか(例えば、サイクル1)であり得るサイクルであってもよい。
【0309】
[344]一実施形態において、シグナル変化は、少なくとも1つのサイクルで検出されたシグナル及び「参照シグナル値」を使用して測定することができる。参照シグナル値は、別個の反応を介して、標的核酸の存在に依存してシグナル変化を確認することができる値を指す場合もある。
【0310】
[345]一実施形態において、参照シグナル値は、対応する検出温度での対応する標的核酸の非存在下における反応から得ることもできる。例えば、参照シグナル値は、標的核酸の非存在下における「検出温度でのシグナル値」であってもよい。
【0311】
[346]一実施形態において、n個の検出温度に対してn個の参照シグナル値がある。
【0312】
[347]一実施形態において、標的核酸(例えば、i番目の標的核酸)の非存在下で検出される「検出温度(例えば、i番目の検出温度)におけるシグナル値」は、別個の陰性対照反応を介して得ることができる。
【0313】
[348]一実施形態において、参照シグナル値は、本発明の開示による方法と同時に、又はそれと別々に、陰性対照反応を実行することによって得てもよい。
【0314】
[349]一実施形態において、参照シグナル値は、陰性対照反応を介して得ることができる。1つの特定の実施形態によれば、第iの検出温度における参照シグナル値は、第iの標的核酸を含まない試料(例えば、蒸留水)を、標的核酸を検出するためのn個の組成物と混合し、核酸を増幅させながら第iの検出温度でシグナルを検出することによって得ることができる。この場合、シグナルの検出は、どのサイクルで実行してもよい。特に、陰性対照反応の初期サイクルのいずれかで検出されたシグナル値は、参照シグナル値として使用することができ、又は陰性対照反応の後期サイクルのいずれかで検出されたシグナル値は、参照シグナル値として使用することができる。より具体的には、ステップ(a)でシグナルが検出されるサイクルと同じサイクルで検出されたシグナル値は、参照シグナル値として使用することができる。
【0315】
[350]一実施形態において、参照シグナル値は、陽性対照反応を介して得ることができる。特定の実施形態によれば、参照シグナル値は、第iの標的核酸を含有する試料を、第iの標的核酸を検出するための組成物と混合し、核酸を増幅させながら第iの検出温度でシグナルを検出することによって得ることができる。
【0316】
[351]参照シグナル値が陽性対照反応を介して得られる場合、シグナル値が検出されるサイクルは、陽性対照反応のベースラインの領域におけるサイクルであってもよい。ベースラインの領域は、増幅反応(例えば、PCR)の初期サイクル中にシグナル(例えば、蛍光シグナル)が実質的に一定のままの領域を指す。この領域において、増幅生成物のレベルは、検出可能なほど十分ではなく、この領域における蛍光シグナルのほとんどは、反応試料に固有の蛍光シグナル、及び測定システムそれ自体の蛍光シグナルを含むバックグラウンドシグナルが原因である。すなわち、陽性対照反応のベースラインの領域におけるサイクルで検出されたシグナル値は、標的核酸の非存在下における反応(例えば、陰性対照反応)から得られた参照シグナル値と実質的に同一である。
【0317】
[352]一実施形態において、シグナル変化は、参照シグナル値とステップ(a)で検出されたシグナル値との差を介して測定することができる。
【0318】
[353]一実施形態において、参照シグナル値は、バックグラウンドシグナル及び検出器の感度、又は使用される標識の特徴を考慮することによって陰性対照反応から予め決定された閾値であってもよい。閾値を使用することで、シグナル変化の有意性を決定することができる。閾値は、公知の閾値設定方法によって決定することができる。例えば、閾値は、バックグラウンドシグナル、感度、標識の特徴、検出器のシグナル変動、又は誤差の許容範囲などを考慮して決定することができる。
【0319】
[354]一実施形態において、閾値が参照シグナル値として使用される場合、ステップ(a)で検出されたシグナル値が閾値に等しいか又はそれより大きい場合、シグナルが変化したと決定することができる。
【0320】
[355]一実施形態において、n個の検出温度のそれぞれにおけるシグナルの検出は、単一のタイプの検出器を使用して実行してもよい。
【0321】
[356]一実施形態において、単一のタイプの検出器は、1つの検出器である。一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物に含まれる標識が連結されたオリゴヌクレオチドのそれぞれにおける標識からのシグナルは、各標的核酸に対して単一のタイプの検出器によって互いに区別されない。
【0322】
[357]蛍光標識の単一又は1つのタイプは、本明細書で使用される場合、同一又は実質的に同一なシグナルの特徴(例えば、光学的特徴、発光波長、及び電気的シグナル)を有する蛍光標識を指す。
【0323】
[358]例えば、FAM及びCALフルオロ610(Fluor 610)は、異なるタイプのシグナルを提供する。本出願において、単一又は1つのタイプの蛍光標識は、蛍光標識からのシグナルが、検出チャネルを使用して互いに区別されないことを意味する。このような単一又は1つのタイプの蛍光標識は蛍光標識の化学構造に依存せず、したがって、2つの蛍光標識が互いに異なる化学構造を有していたとしても、それらが検出チャネルを使用して区別されない場合、それらは、1つのタイプとみなされる。
【0324】
[359]本発明の開示によれば、共通して1つのタイプの蛍光標識を含む標的核酸を検出するためのn個の組成物から生成したシグナルは、1つの検出チャネルによって区別されない。
【0325】
[360]用語「検出チャネル」は、本明細書で使用される場合、単一のタイプの蛍光標識からのシグナルを検出するための手段を指す。当分野における使用に適したサーモサイクラー、例えば、ABI7500(Applied Biosystems)、QuantStudio(Applied Biosystems)、CFX96(Bio-Rad Laboratories)、Cobas z 480(Roche)、LightCycler(Roche)などは、数種の異なるタイプの蛍光標識からのシグナルを検出するための複数のチャネル(例えば、光学的ダイオード)を含み、これらのチャネルは、本明細書において使用される検出チャネルに相当する。
【0326】
[361]本発明で使用される検出チャネルとしては、シグナルを検出するための手段が挙げられる。例えば、検出チャネルは、特定の波長で蛍光シグナルを検出することが可能な光学的ダイオードであってもよい。
【0327】
[362]一実施形態によれば、n個の検出温度で検出されたシグナルは、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない。
[363]
【0328】
[364]ステップ(b):標的核酸の存在を決定すること
【0329】
[365]シグナルの検出の後、n個の標的核酸の存在は、ステップ(a)で検出されたシグナルから決定される。
【0330】
[366]一実施形態において、第iの標的核酸の存在は、第iの検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される。例えば、シグナル変化を、第iの検出温度で検出されたシグナルから測定して、第iの標的核酸の存在を決定することができる。
【0331】
[367]一実施形態において、第iの検出温度でのシグナルの変化が測定される場合、第iの標的核酸が存在することを決定することができる。
【0332】
[368]一実施形態において、第iの検出温度でシグナルが一定である場合、第iの標的核酸が存在しないこと決定することができる。
【0333】
[369]一実施形態において、シグナル変化は、少なくとも2つのサイクルで検出されたシグナル、又は少なくとも1つのサイクルで検出されたシグナル、及び「参照シグナル値」を使用して測定することができる。
【0334】
[370]各検出温度で検出されたシグナルから標的核酸の存在を決定することは、シグナル変化を測定するためのステップ(a)に記載されるプロセス、例えば、増幅を示す標識を使用する方法、及び当業界において公知の他の様々な方法によって行ってもよい。
【0335】
[371]特定の実施形態において、nが3であり、シグナルの検出がサイクル10、サイクル20、及びサイクル30で行われる場合、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル(サイクル10における第1のシグナル、サイクル20における第1のシグナル、及びサイクル30における第1のシグナル)から決定することができ、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル(サイクル10における第2のシグナル、サイクル20における第2のシグナル、及びサイクル30における第2のシグナル)から決定することができ、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル(サイクル10における第3のシグナル、サイクル20における第3のシグナル、及びサイクル30における第3のシグナル)から決定することができる。
【0336】
[372]特定の実施形態において、nが4であり、シグナルの検出がサイクル30で実行される場合、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第1のシグナル)及び参照シグナル値から決定され、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第2のシグナル)及び参照シグナル値から決定され、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第3のシグナル)及び参照シグナル値から決定される。
【0337】
[373]一実施形態において、参照シグナル値は、別個の陰性対照反応又は陽性対照反応を介して得ることができる。
【0338】
[374]一実施形態において、本発明の開示による方法は、陰性対照反応と共に実行してもよい。陰性対照反応で検出されたシグナル値は、参照シグナル値として使用してもよい。例えば、第iの標的核酸を検出するための組成物を含む反応において、第iの検出温度で1つのサイクル(例えば、最終サイクル)で検出されたシグナルは、陰性対照反応において同じ検出温度(すなわち、i番目の検出温度)で同じサイクル(例えば、最終サイクル)で検出されたシグナルと比較して、シグナルが変化したかどうかを決定することができる。
【0339】
[375]特定の実施形態において、nが3であり、シグナルがサイクル30で検出される場合、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第1のシグナル)及び第1の参照シグナル値(例えば、陰性対照反応のサイクル30で検出された第1の検出温度におけるシグナル)から決定することができ、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第2のシグナル)及び第2の参照シグナル値(例えば、陰性対照反応のサイクル30で検出された第2の検出温度におけるシグナル)から決定することができ、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第3のシグナル)及び第3の参照シグナル値(例えば、陰性対照反応のサイクル30で検出された第3の検出温度におけるシグナル)から決定することができる。
【0340】
[376]一実施形態において、本発明の開示による方法は、陽性対照反応と共に実行してもよい。陽性対照反応で検出されたシグナル値は、参照シグナル値として使用してもよい。例えば、第iの検出温度で1つのサイクルで、例えば、サイクル30で検出されたシグナル、サイクル30で検出された第1のシグナルを、サイクル30の前のサイクルで、例えば、サイクル1で、陽性対照反応において第iの検出温度で検出されたシグナルと比較して、シグナルが変化したかどうかを決定することができる。
【0341】
[377]一実施形態において、シグナル検出がステップ(a)における1つのサイクルで実行され、シグナル変化が、陽性対照反応を介して得られた参照シグナル値を使用して測定される場合、参照シグナル値を得るための陽性対照反応におけるシグナル検出は、ステップ(a)においてシグナル検出が実行されるサイクルの前に、少なくとも30サイクル、20サイクル、10サイクル、又は5サイクルであるサイクルで実行してもよい。
【0342】
[378]特定の実施形態において、nが3であり、シグナル検出がサイクル30で実行される場合、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第1のシグナル)及び第1の参照シグナル値(例えば、第1の標的核酸の陽性対照反応のサイクル1で検出された第1の検出温度におけるシグナル)から決定することができ、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第2のシグナル)及び第2の参照シグナル値(例えば、第2の標的核酸の陽性対照反応のサイクル1で検出された第2の検出温度におけるシグナル)から決定することができ、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル(すなわち、サイクル30における第3のシグナル)及び第3の参照シグナル値(例えば、第3の標的核酸の陽性対照反応のサイクル1で検出された第3の検出温度におけるシグナル)から決定することができる。
[379]
【0343】
[380]
本発明の開示の他の態様によれば、試料中の2つの標的核酸を検出するための方法であって、
[381](a)反応容器中で、2つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナルを検出するステップであって、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第1の標的核酸の存在を示し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出でシグナル変化を提供し、第1の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第2の標的核酸の存在を示し、第1の検出温度は、第2の検出温度より低い、ステップ、及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、2つの標的核酸の存在を決定するステップであって、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
【0344】
[382]
[383]本発明の開示の他の態様によれば、試料中の3つの標的核酸を検出するための方法であって、
[384](a)反応容器中で、3つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物、第2の標的核酸を検出するための組成物、及び第3の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度でシグナルを検出するステップであって、インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、第1の標的核酸を検出するための組成物は、第1の標的核酸の存在下で、第1の検出温度でシグナル変化を提供し、第2の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第1の標的核酸の存在を示し;第2の標的核酸を検出するための組成物は、第2の標的核酸の存在下で、第2の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の検出温度及び第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第2の標的核酸の存在を示し;第3の標的核酸を検出するための組成物は、第3の標的核酸の存在下で、第3の検出温度でシグナル変化を提供し、第1の検出温度及び第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、シグナル変化は、第3の標的核酸の存在を示し、第1の検出温度は、第2の検出温度より低く、第2の検出温度は、第3の検出温度より低い、ステップ、及び(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、3つの標的核酸の存在を決定するステップであって、第1の標的核酸の存在は、第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第2の標的核酸の存在は、第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、第3の標的核酸の存在は、第3の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップを含む方法が提供される。
[385]
【0345】
[386]本発明の開示の第2の実施形態及び第3の実施形態は、上述した本発明の開示の第1の実施形態と同じ原理に従うため、これらの実施形態間で共通の特徴は、本出願を明確にする目的で重複して記載しないこととする。
[387]
【0346】
[388]II.標的核酸を検出するためのキット
【0347】
[389]本発明の開示の他の態様によれば、試料中のn個の標的核酸を検出するためのn個の組成物を含むキットであって、nは、2又はそれより大きい整数であり、n個の標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、n個の標的核酸のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在下で、n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、iは、1~nの整数を表し、第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、キットが提供される。
[390]
【0348】
[391]本発明の開示のキットは、本発明の開示の方法を可能にするために調製されるため、2つに共有される共通の特徴は、本出願を明確にする目的で重複して記載しないこととする。
【0349】
[392]
[393]一実施形態によれば、n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナルが第iの標的核酸の存在に応じて変化する「シグナル変化温度範囲」、及びシグナルが第iの標的核酸の存在下でさえも一定である「シグナル一定温度範囲」を有する。
【0350】
[394]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、1又は2つのシグナル一定温度範囲を有する。
【0351】
[395]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、(i)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;(ii)シグナル変化温度範囲がシグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び(iii)シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物のいずれか1つである。
【0352】
[396]一実施形態によれば、第iの検出温度は、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、第iの検出温度は、他の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲に含まれない。
【0353】
[397]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップしていてもよく、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない。
【0354】
[398]一実施形態によれば、nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物である。
【0355】
[399]一実施形態によれば、nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物は、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び〆第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物は、InterSC組成物である。
【0356】
[400]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、第iの標的核酸の存在に応じてシグナルを提供する標識を含む。
【0357】
[401]一実施形態によれば、標識は、オリゴヌクレオチドに連結されているか、又はキットと試料とのインキュベーション中、オリゴヌクレオチドに組み込まれる。
【0358】
[402]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する。
【0359】
[403]一実施形態によれば、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、二重鎖が、会合した形態又は解離した形態の二重鎖として存在する場合、第iの標的核酸を検出するための組成物は、標識からのシグナルを提供する。
【0360】
[404]一実施形態によれば、n個の標的核酸を検出するためのn個の組成物によって提供されるシグナルは、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない。
【0361】
[405]一実施形態において、標的核酸を検出するためのn個の組成物によって提供される各標的核酸の存在を示すシグナルは、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない。例えば、標的核酸を検出するためのn個の組成物に含まれる標識の全ては、同一なタイプの標識(例えば、1つの蛍光標識)である。
【0362】
[406]一実施形態において、第iの標的核酸を検出するための組成物は、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲は、二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される。
【0363】
[407]一実施形態によれば、キットは、本発明の方法を説明する説明書をさらに含む。
【0364】
[408]一実施形態によれば、本発明の方法を説明又は実施するための説明書は、好適な記憶媒体に記録されていてもよい。例えば、説明書は、紙やプラスチックなどの基材に印刷されていてもよい。他の実施形態において、説明書は、CD-ROMやディスケットなどの好適なコンピューター読取り可能な記憶媒体に存在する電子記憶データファイルとして存在していてもよい。さらに他の実施形態において、実際の説明書は、キットに存在していなくてもよいが、遠隔の源から、例えばインターネットを介して説明書を得るための手段が提供される。この実施形態の例は、説明書を閲覧できる、及び/又は説明書をダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。
【0365】
[409]上記で説明したキットの全ては、任意選択で、標的核酸増幅反応(例えば、PCR反応)を実行するのに必要な試薬、例えば緩衝液、DNAポリメラーゼ補因子、及びデオキシリボヌクレオチド-5-三リン酸を含んでいてもよい。任意選択で、キットはまた、様々なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、様々な緩衝液及び試薬、並びにDNAポリメラーゼ活性を阻害する抗体を含んでいてもよい。キットはまた、陽性及び陰性対照反応を実行するのに必要な試薬を含んでいてもよい。所与の反応において使用されると予想される試薬の最適な量は、本発明の開示の利益を有する当業者によって容易に決定することができる。キットの上述した成分は、別々の容器に存在していてもよいし、又は複数の成分が、単一の容器に存在していてもよい。
[410]
【0366】
[411]下記で、実施形態を介して本発明をより詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明をさらに詳細に説明するために提供され、添付の特許請求の範囲で示唆される通りの本発明の範囲は、以下の実施形態によって限定されないことは、本発明が属する技術分野における当業者には明らかになると予想される。
[412]
[413]
【実施例
【0367】
[414]
[415]本発明者らは、本発明の開示の方法に従って、標的核酸を検出するためのUnderSC組成物、標的核酸を検出するためのInterSC組成物、及び標的核酸を検出するためのOverSC組成物の様々な組合せを使用することによって、同じタイプの、すなわち単一のタイプの標識を使用して、複数の標的核酸をリアルタイムで検出できるかどうかを確認した。
【0368】
[416]特に、3つのタイプの標的核酸を検出するための組成物によって採用することができる様々なシグナル生成メカニズムのなかでも、図5の場合のように、相互作用二重標識の全てが連結されるCTOを使用するPTOCEベースの方法(以降、PTOCEベース1と称される)をUnderSC組成物に使用し;図6の場合のように、相互作用二重標識のうちの一方がPTOの5’-タギング部分に連結され、他方がCTOの捕捉部分に連結されるPTOCEベースの方法(下記でPTOCEベース2と称される)をInterSC組成物に使用し;図7で示されるような二重クエンチ方法をOverSC組成物に使用した。
【0369】
[417]複数の標的核酸の鋳型のために、クラミジア・トラコマティス(CT)のゲノムDNA(受託番号:ATCC VR-1500、Koram Deo Lab)、淋菌(NG)(受託番号:ATCC700825、Koram Deo Lab)、及びウレアプラズマ・パルバム(UP)(受託番号:ATCC27815、Koram Deo Lab)を使用した。以下の表1で示されるように、上記の3つの標的核酸を、上記の3つのタイプの組成物と検出温度との様々な組合せを設定することによって検出した。組合せ1~4は、標的核酸の数(n)が2であるケースであり、組合せ5は、標的核酸の数(n)が3であるケースである。
[418]
[419]
【0370】
【表1】
【0371】
[420]
[421]実施例1:標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチドの調製
[422]
【0372】
[423]<組合せ1>
[424]第1の標的核酸であるCTの存在を示す第1のシグナル変化を検出するための第1の検出温度を50℃に設定し、第2の標的核酸であるNGの存在を示す第2のシグナル変化を検出するための第2の検出温度を72℃に設定した。次いで、CT標的核酸を検出するための組成物、及びNG標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチドを、以下の表2で示されるように調製した。
【0373】
[425]CT標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、PTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)及びクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1及び第2の検出温度の両方で解離した形態であり、CTの存在に応じて形成された伸長した二重鎖は、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図8を参照)。
【0374】
[426]NG標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、クエンチャー分子(BHQ-2)がそのタギング部分に連結されたPTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)がその捕捉部分に連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であり、NGの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1及び第2の検出温度の両方で会合した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図8を参照)。
[427]
【0375】
[428]<組合せ2>
[429]第1の標的核酸であるCTの存在を示す第1のシグナル変化を検出するための第1の検出温度を57℃に設定し、第2の標的核酸であるUPの存在を示す第2のシグナル変化を検出するための第2の検出温度を85℃に設定した。次いで、CT標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチド及びUP標的核酸を検出するための組成物を以下の表2で示されるように調製した。
【0376】
[430]CT標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、PTO、並びにレポーター分子(CALフルオロレッド610)及びクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1及び第2の検出温度の両方で解離した形態であり、CTの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図9を参照)。
【0377】
[431]UP標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、レポーター分子(CALフルオロレッド610)及び第1のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたPTO、並びに第2のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCQOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCQOとのタグ二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した。すなわち、PTOとCQOとのタグ二重鎖がUP標的核酸の存在に応じて切断されて、活性化されたタグ二重鎖断片を生成し、活性化されたタグ二重鎖断片が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した(図9を参照)。
[432]
【0378】
[433]<組合せ3>
[434]第1の標的核酸であるCTの存在を示す第1のシグナル変化を検出するための第1の検出温度を57℃に設定し、第2の標的核酸であるNGの存在を示す第2のシグナル変化を検出するための第2の検出温度を72℃に設定した。次いで、CT標的核酸を検出するための組成物及びNG標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチドを、以下の表2で示されるように調製した。
【0379】
[435]CT標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、クエンチャー分子(BHQ-2)がそのタギング部分に連結されたPTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)がその捕捉部分に連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1及び第2の検出温度で解離した形態であり、CTの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図10を参照)。
【0380】
[436]NG標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、クエンチャー分子(BHQ-2)がそのタギング部分に連結されたPTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)がその捕捉部分に連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であり、NGの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1及び第2の検出温度の両方で会合した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図10を参照)。
[437]
【0381】
[438]<組合せ4>
[439]第1の標的核酸であるNGの存在を示す第1のシグナル変化を検出するための第1の検出温度を72℃に設定し、第2の標的核酸であるUPの存在を示す第2のシグナル変化を検出するための第2の検出温度を95℃に設定した。次いで、NG標的核酸を検出するための組成物及びUP標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチドを、以下の表2で示されるように調製した。
【0382】
[440]NG標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、クエンチャー分子(BHQ-2)がそのタギング部分に連結されたPTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)がその捕捉部分に連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1及び第2の検出温度で解離した形態であり、NGの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図11を参照)。
【0383】
[441]UP標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、レポーター分子(CALフルオロレッド610)及び第1のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたPTO、及び第2のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCQOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCQOとのタグ二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した。すなわち、PTOとCQOとのタグ二重鎖がUP標的核酸の存在に応じて切断されて、活性化されたタグ二重鎖断片を生成し、活性化されたタグ二重鎖断片が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した(図11を参照)。
[442]
【0384】
[443]<組合せ5>
[444]第1の標的核酸であるCTの存在を示す第1のシグナル変化を検出するための第1の検出温度を50℃に設定し、第2の標的核酸であるNGの存在を示す第2のシグナル変化を検出するための第2の検出温度を72℃に設定し、第3の標的核酸であるUPの存在を示す第3のシグナル変化を検出するための第3の検出温度を95℃に設定した。次いで、CT標的核酸を検出するための組成物、NG標的核酸を検出するための組成物、及びUP標的核酸を検出するための組成物のためのオリゴヌクレオチドを、以下の表2で示されるように調製した。
【0385】
[445]CT標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、PTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)及びクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1~第3の検出温度の全てで解離した形態であり、CTの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2及び第3の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図12を参照)。
【0386】
[446]NG標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、クエンチャー分子(BHQ-2)がそのタギング部分に連結されたPTO、及びレポーター分子(CALフルオロレッド610)がその捕捉部分に連結されたCTOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCTOとの二重鎖が、第1の検出温度で会合した形態であり、第2及び第3の検出温度で解離した形態であり、NGの存在に応じて形成された伸長した二重鎖が、第1及び第2の検出温度で会合した形態であり、第3の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCTOの配列を設計した(図12を参照)。
【0387】
[447]UP標的核酸を検出するための組成物は、プライマー対、レポーター分子(CALフルオロレッド610)及び第1のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたPTO、及び第2のクエンチャー分子(BHQ-2)と連結されたCQOを含み、PTO(すなわち切断されていないPTO)とCQOとのタグ二重鎖が、第1及び第2の検出温度で会合した形態であり、第3の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した。すなわち、PTOとCQOとのタグ二重鎖がUP標的核酸の存在に応じて切断されて、活性化されたタグ二重鎖断片を生成し、活性化されたタグ二重鎖断片が、第1及び第2の検出温度で会合した形態であり、第3の検出温度で解離した形態であるように、PTO及びCQOの配列を設計した(図12を参照)。
[448]
【0388】
[449]PTOCEベース1におけるPTOの3’末端及びCTOの3’末端をスペーサーC3によってブロックして、DNAポリメラーゼによる伸長反応を妨げた。
[450]
[451]
【0389】
【表2】



【0390】
[452]
[453]
[454]実施例2:反応混合物の調製
[455]上記の実施例1で調製された組合せ1~5のオリゴヌクレオチドを使用して、反応混合物を以下のように調製した。5’ヌクレアーゼ活性を有するTaq DNAポリメラーゼを、フォワードプライマー及びリバースプライマーの伸長、並びにオリゴヌクレオチド切断のための反応混合物に含めた。
[456]
【0391】
[457]<組合せ1の反応混合物>
[458]標的核酸(試験管1:500pgのCTゲノムDNA;試験管2:500pgのNGゲノムDNA;試験管3:500pgのCTゲノムDNA及び500pgのNGゲノムDNAの混合物、並びに試験管4:蒸留水(陰性対照))を、CT標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号1)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号2)、3pmoleのPTO(配列番号3)及び1pmoleのCTO(配列番号4);並びにNG標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号5)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号6)、1pmoleのPTO(配列番号7)、及び1pmoleのCTO(配列番号8)と混合し、次いで5μLの4×マスターミックス(最終的な、200μMのdNTP、2mMのMgCl、2UのTaq DNAポリメラーゼ)(Enzynomics、韓国)と組み合わせて、20μLの最終体積で反応混合物を調製した。
[459]
【0392】
[460]<組合せ2の反応混合物>
[461]標的核酸(試験管1:50pgのCTゲノムDNA;試験管2:50pgのUPゲノムDNA;試験管3:50pgのCTゲノムDNA及び50pgのUPゲノムDNAの混合物、並びに試験管4:蒸留水(陰性対照))を、CT標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号1)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号2)、3pmoleのPTO(配列番号3)及び1pmoleのCTO(配列番号4);並びにUP標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号9)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号10)、1pmoleのPTO(配列番号11)、及び5pmoleのCQO(配列番号12)と混合し、次いで、5μLの4×マスターミックス(最終的な、200μMのdNTP、2mMのMgCl、2UのTaq DNAポリメラーゼ)(Enzynomics、韓国)と組み合わせて、20μLの最終体積で反応混合物を調製した。
[462]
【0393】
[463]<組合せ3の反応混合物>
[464]標的核酸(試験管1:500pgのCTゲノムDNA;試験管2:500pgのNGゲノムDNA;試験管3:500pgのCTゲノムDNA及び500pgのNGゲノムDNAの混合物、並びに試験管4:蒸留水(陰性対照))を、CT標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号1)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号2)、5pmoleのPTO(配列番号13)及び2pmoleのCTO(配列番号14);並びにNG標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号5)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号6)、3pmoleのPTO(配列番号7)、及び1pmoleのCTO(配列番号8)と混合し、次いで、5μLの4×マスターミックス(最終的な、200μMのdNTP、2mMのMgCl、2UのTaq DNAポリメラーゼ)(Enzynomics、韓国)と組み合わせて、20μLの最終体積で反応混合物を調製した。
[465]
【0394】
[466]<組合せ4の反応混合物>
[467]標的核酸(試験管1:500pgのNGゲノムDNA;試験管2:500pgのUPゲノムDNA;試験管3:500pgのNGゲノムDNA及び500pgのUPゲノムDNAの混合物、並びに試験管4:蒸留水(陰性対照))を、NG標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号5)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号6)、1pmoleのPTO(配列番号7)及び1pmoleのCTO(配列番号8);並びにUP標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号9)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号10)、0.5pmoleのPTO(配列番号11)、及び3pmoleのCQO(配列番号12)と混合し、次いで、5μLの4×マスターミックス(最終的な、200μMのdNTP、2mMのMgCl、2UのTaq DNAポリメラーゼ)(Enzynomics、韓国)と組み合わせて、20μLの最終体積で反応混合物を調製した。
[468]
【0395】
[469]<組合せ5の反応混合物>
[470]標的核酸(試験管1:50pgのCTゲノムDNA;試験管2:50pgのNGゲノムDNA;試験管3:50pgのUPゲノムDNA;試験管4:50pgのCTゲノムDNA及び50pgのNGゲノムDNAの混合物;試験管5:50pgのCTゲノムDNA及び50pgのUPゲノムDNAの混合物;試験管6:50pgのNGゲノムDNA及び50pgのUPゲノムDNAの混合物;試験管7:50pgのCTゲノムDNA、50pgのNGゲノムDNA及び50pgのUPゲノムDNAの混合物;試験管8:蒸留水(陰性対照))を、CT標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号1)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号2)、3pmoleのPTO(配列番号3)、及び1pmoleのCTO(配列番号4);NG標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号5)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号6)、1pmoleのPTO(配列番号7)、及び1pmoleのCTO(配列番号8);並びにUP標的核酸のためのオリゴヌクレオチドとして、5pmoleのフォワードプライマー(配列番号9)、5pmoleのリバースプライマー(配列番号10)、0.5pmoleのPTO(配列番号11)、及び3pmoleのCQO(配列番号12)と混合し、次いで、5μLの4×マスターミックス(最終的な、200μMのdNTP、2mMのMgCl、2UのTaq DNAポリメラーゼ)(Enzynomics、韓国)と組み合わせて、20μLの最終体積で反応混合物を調製した。
[471]
【0396】
[472]実施例3:リアルタイムPCR
[473]次に、実施例2で調製された組合せ1~組合せ5の反応混合物を使用してリアルタイムPCRを実行した。
[474]
【0397】
[475]<組合せ1の反応混合物を使用したリアルタイムPCR>
[476]組合せ1の反応混合物を含有する試験管を、リアルタイムサーマルサイクラー(CFX96リアルタイムサイクラー、Bio-Rad)に設置し、50℃で4分間インキュベートし、95℃で15分間変性させ、次いで、57℃で15秒間、50℃で1秒間、72℃で10秒間、85℃で1秒間、及び95℃で10秒間のサイクルの50回の繰り返しに供した。シグナルの検出を、各サイクルにおいて50℃(第1の検出温度)及び72℃(第2の検出温度)で実行した。
【0398】
[477]シグナル変化を、標的核酸が存在するケースと存在しないケースとの間で比較することによって測定した。これに関して、陰性対照のシグナル値に基づき(すなわちRFUは0である)、第1の検出温度におけるシグナル値が300の設定された閾値より大きいか又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされ、第2の検出温度におけるシグナル値が-300の設定された閾値未満か又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされた。
【0399】
[478]結果として、図13で示されるように、CT標的核酸を含有する試験管1において、第1の検出温度でシグナル変化を同定し、NG標的核酸を含有する試験管2において、第2の検出温度でシグナル変化を同定し、CT及びNG標的核酸を含有する試験管3において、それぞれ第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナル変化を同定した。
【0400】
[479]その間に、陰性対照である試験管4は、第1の検出温度及び第2の検出温度の両方で増幅反応中に一定のシグナルを提供した。すなわち、シグナル変化は同定されなかった。
[480]
[481]
【0401】
【表3】
【0402】
[482]
[483]
[484]
[485]
[486]
[487]
[488]また表3でも示されるように、CT標的核酸のみを含有する試験管1においてCTの存在を示すCt(サイクル閾値)値(28.53)と、CT及びNG標的核酸の両方を含有する試験管3においてCTの存在を示すCt値(28.27)との間の差はなく、NG標的核酸のみを含有する試験管2においてNGの存在を示すCt値(29.59)と、CT及びNG標的核酸の両方を含有する試験管3においてNGの存在を示すCt値(29.28)との間の差はなかった。
【0403】
[489]これらの結果は、各検出温度で、対応する標的核酸の存在に依存するシグナル変化のみが提供され、他の標的核酸の存在に依存するシグナル変化は提供されないことを示す。すなわち、これらの結果は、複数の異なる標的核酸が、それぞれ独立して、その対応する検出温度で検出できることを示す。したがって、本発明の開示による方法は、特定の検出温度で検出されたシグナル変化単独によって特定の標的核酸の存在を決定することができ、特定の検出温度以外の検出温度(例えば、特定の検出温度以外の検出温度、すなわち、他の標的核酸の存在を示すシグナル変化を提供する検出温度)で検出されたシグナル変化を考察する必要がないという点で利点を有する。
[490]
【0404】
[491]<組合せ2の反応混合物を使用したリアルタイムPCR>
[492]組合せ2の反応混合物を含有する試験管を、リアルタイムサーマルサイクラー(CFX96リアルタイムサイクラー、Bio-Rad)に設置し、50℃で4分間インキュベートし、95℃で15分間変性させ、次いで、57℃で15秒間、50℃で1秒間、72℃で10秒間、85℃で1秒間、及び95℃で10秒間のサイクルの50回の繰り返しに供した。シグナルの検出を、各サイクルにおいて57℃(第1の検出温度)及び85℃(第2の検出温度)で実行した。
【0405】
[493]シグナル変化を、標的核酸が存在するケースと存在しないケースとの間で比較することによって測定した。これに関して、陰性対照のシグナル値に基づき(すなわちRFUは0である)、第1の検出温度及び第2の検出温度におけるシグナル値が300の設定された閾値より大きいか又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされた。
【0406】
[494]結果として、図14で示されるように、CT標的核酸を含有する試験管1において、第1の検出温度でシグナル変化を同定し、UP標的核酸を含有する試験管2において、第2の検出温度でシグナル変化を同定し、CT及びUP標的核酸を含有する試験管3において、それぞれ第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナル変化を同定した。
【0407】
[495]その間に、陰性対照である試験管4は、第1の検出温度及び第2の検出温度の両方で増幅反応中に一定のシグナルを示した。すなわち、シグナル変化は検出されなかった。
[496]
[497]
【0408】
【表4】
【0409】
[498]
[499]
[500]
[501]
[502]
[503]
[504]また表4でも示されるように、CT標的核酸のみを含有する試験管1においてCTの存在を示すCt(サイクル閾値)値(34.29)と、CT及びUP標的核酸の両方を含有する試験管3においてCTの存在を示すCt値(33.83)との間の差はなく、UP標的核酸のみを含有する試験管2においてUPの存在を示すCt値(33.93)と、CT及びUP標的核酸の両方を含有する試験管3においてUPの存在を示すCt値(33.47)との間の差はなかった。
【0410】
[505]これらの結果は、上述したように、複数の異なる標的核酸がそれぞれ独立してそれらそれぞれの検出温度で検出できることを示す。
[506]
【0411】
[507]<組合せ3の反応混合物を使用したリアルタイムPCR>
[508]組合せ3の反応混合物を含有する試験管を、リアルタイムサーマルサイクラー(CFX96リアルタイムサイクラー、Bio-Rad)に設置し、50℃で4分間インキュベートし、95℃で15分間変性させ、次いで、57℃で15秒間、50℃で1秒間、72℃で10秒間、85℃で1秒間、及び95℃で10秒間の反応プロセスの50回の繰り返しに供した。シグナルの検出を、各サイクルにおいて57℃(第1の検出温度)及び72℃(第2の検出温度)で実行した。
【0412】
[509]シグナル変化を、標的核酸が存在するケースと存在しないケースとの間で比較することによって測定した。これに関して、陰性対照のシグナル値に基づき(すなわちRFUは0である)、第1の検出温度及び第2の検出温度におけるシグナル値が-300の設定された閾値未満か又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされた。
【0413】
[510]結果として、図15で示されるように、CT標的核酸を含有する試験管1において、第1の検出温度でシグナル変化を同定し、NG標的核酸を含有する試験管2において、第2の検出温度でシグナル変化を同定し、CT及びNG標的核酸を含有する試験管3において、それぞれ第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナル変化を同定した。
【0414】
[511]その間に、陰性対照である試験管4は、第1の検出温度及び第2の検出温度の両方で増幅反応中に一定のシグナルを示した。すなわち、シグナル変化は検出されなかった。
[512]
[513]
【0415】
【表5】
【0416】
[514]
[515]
[516]
[517]
[518]
[519]
[520]上記の表5でも示されるように、CT標的核酸のみを含有する試験管1においてCTの存在を示すCt(サイクル閾値)値(30.62)と、CT及びNG標的核酸の両方を含有する試験管3においてCTの存在を示すCt値(30.33)との間の差はなく、NG標的核酸のみを含有する試験管2においてNGの存在を示すCt値(28.33)と、CT及びNG標的核酸の両方を含有する試験管3においてNGの存在を示すCt値(28.17)との間の差はなかった。
【0417】
[521]これらの結果は、上述したように、複数の異なる標的核酸がそれぞれ独立してそれらそれぞれの検出温度で検出できることを示す。
[522]
【0418】
[523]<組合せ4の反応混合物を使用したリアルタイムPCR>
[524]組合せ4の反応混合物を含有する試験管を、リアルタイムサーマルサイクラー(CFX96リアルタイムサイクラー、Bio-Rad)に設置し、50℃で4分間インキュベートし、95℃で15分間変性させ、次いで、57℃で15秒間、50℃で1秒間、72℃で10秒間、85℃で1秒間、及び95℃で10秒間の反応プロセスの50回の繰り返しに供した。シグナルの検出を、各サイクルにおいて72℃(第1の検出温度)及び95℃(第2の検出温度)で実行した。
【0419】
[525]シグナル変化を、標的核酸が存在するケースと存在しないケースとの間で比較することによって測定した。これに関して、陰性対照のシグナル値に基づき(すなわちRFUは0である)、第1の検出温度におけるシグナル値が-300の設定された閾値未満か又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされ、第2の検出温度におけるシグナル値が300の設定された閾値より大きいか又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされた。
【0420】
[526]結果として、図16で示されるように、NG標的核酸を含有する試験管1において、第1の検出温度でシグナル変化を同定し、UP標的核酸を含有する試験管2において、第2の検出温度でシグナル変化を同定し、NG及びUP標的核酸を含有する試験管3において、それぞれ第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナル変化を同定した。
【0421】
[527]その間に、陰性対照である試験管4は、第1の検出温度及び第2の検出温度の両方で増幅反応中に一定のシグナルを示した。すなわち、シグナル変化は検出されなかった。
[528]
[529]
【0422】
【表6】
【0423】
[530]
[531]
[532]
[533]
[534]
[535]
[536]また表6でも示されるように、NG標的核酸のみを含有する試験管1においてNGの存在を示すCt(サイクル閾値)値(29.62)と、NG及びUP標的核酸の両方を含有する試験管3においてNGの存在を示すCt値(30.72)との間の差はなく、UP標的核酸のみを含有する試験管2においてUPの存在を示すCt値(33.42)と、NG及びUP標的核酸の両方を含有する試験管3においてUPの存在を示すCt値(32.68)との間の差はなかった。
【0424】
[537]これらの結果は、上述したように、複数の異なる標的核酸配列は、それぞれ独立して、それらそれぞれの検出温度で検出できることを示す。
[538]
【0425】
[539]<組合せ5の反応混合物を使用したリアルタイムPCR>
[540]組合せ5の反応混合物を含有する試験管を、リアルタイムサーマルサイクラー(CFX96リアルタイムサイクラー、Bio-Rad)に設置し、50℃で4分間インキュベートし、95℃で15分間変性させ、次いで、57℃で15秒間、50℃で1秒間、72℃で10秒間、85℃で1秒間、及び95℃で10秒間の反応プロセスの50回の繰り返しに供した。シグナルの検出を、各サイクルにおいて50℃(第1の検出温度)、72℃(第2の検出温度)、及び95℃(第3の検出温度)で実行した。
【0426】
[541]シグナル変化を、標的核酸が存在するケースと存在しないケースとの間で比較することによって測定した。これに関して、陰性対照のシグナル値に基づき(すなわちRFUは0である)、第1の検出温度及び第3の検出温度におけるシグナル値が300の設定された閾値より大きいか又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされ、第2の検出温度におけるシグナル値が-300の設定された閾値未満か又はそれに等しい場合、シグナルは、変化したとみなされた。
【0427】
[542]結果として、図17a及び図17bで示されるように、CT標的核酸を含有する試験管1において、第1の検出温度でシグナル変化を同定し、NG標的核酸を含有する試験管2において、第2の検出温度でシグナル変化を同定し、UP標的核酸を含有する試験管3において、第3の検出温度でシグナル変化を同定した。
【0428】
[543]それぞれCT、NG、及びUPのうちの少なくとも2つを含有する試験管4~試験管7においても、試験管に存在する標的核酸に応じて対応する検出温度でシグナル変化を同定した。
【0429】
[544]その間に、陰性対照である試験管8は、増幅反応中に、第1、第2及び第3の検出温度の全てにおいて一定のシグナルを示した。すなわち、シグナル変化は検出されなかった。
[545]
[546]
【0430】
【表7】
【0431】
[547]
[548]
[549]
[550]
[551]
[552]
[553]
[554]
[555]
[556]
[557]上記の表7でも示されるように、特定の標的核酸が単独で存在する場合と、それが他の標的核酸と共に存在する場合とでCt値の差はなかった(CT:32.92対33.03対32.47対33.34;NG:33.00対33.23対33.99対34.12;UP:35.46対34.99対35.91対35.32)。
【0432】
[558]これらの結果は、上述したように、複数の異なる標的核酸がそれぞれ独立してそれらそれぞれの検出温度で検出できることを示す。
[559]
【0433】
[560]その間に、本出願において上述したように、検出温度は、標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択することができる。さらに、検出温度は、一緒に使用される標的核酸を検出するための他の組成物のシグナル変化温度範囲を考慮して選択してもよい。
【0434】
[561]検出温度が、シグナル変化温度範囲内の様々なポイントで選択できることを確認するために、本発明者らは、CTを検出するための組成物と同じ組成物を使用して、組合せ2及び組合せ5においてCTごとに異なる検出温度を設定した。すなわち、組合せ2のCTの検出温度を57℃に設定し、組合せ5のCTの検出温度を50℃に設定した。結果として、組合せ2及び組合せ5の両方が、それらそれぞれの検出温度(すなわち、57℃及び50℃)でのみ、CT標的核酸の存在を示すシグナル変化を提供することが見出された。組合せ2及び組合せ5でも、UPを検出するための組成物と同じ組成物を使用して、UPの検出温度を異なって設定した。すなわち、組合せ2のUPの検出温度を85℃に設定し、組合せ5のUPの検出温度を95℃に設定した。結果として、UP標的核酸の存在を示すシグナル変化は、それぞれの対応する検出温度(85℃及び95℃)でのみ提供されたことも見出された。
【0435】
[562]加えて、本明細書で上述したように、シグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、標的核酸を検出するための組成物によって提供される二重鎖の長さ及び/又は配列を調整すること(例えば、二重鎖のTmを調整すること)によって制御することができる。
【0436】
[563]標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲及びシグナル一定温度範囲は、二重鎖のTmを調整することによって制御できることを確認するために、本発明者らは、組合せ3において異なる標的核酸(CT及びNG)に同じシグナル生成メカニズムを用いて、InterSC組成物を使用し、CTが相対的に低いTmを有する二重鎖を提供し、NGが相対的に高いTmを有する二重鎖を提供するようにオリゴヌクレオチドの配列を設計することで、同じシグナル生成メカニズムを有する組成物を用いたとしても、異なる検出温度で(すなわち、第1の検出温度及び第2の検出温度で)検出を行うことを可能にした。
【0437】
[564]結果として、組合せ3のリアルタイムPCRの結果で示されるように、各検出温度が、それらの対応する標的核酸を示すシグナル変化のみを提供することが見出された。
【0438】
[565]それゆえに、本発明の開示によれば、上述した3つのタイプのシグナル生成メカニズムのうちの少なくとも1つを適用すること、及び各検出温度で単一の標的核酸の存在を示すシグナルのみが提供されるようにシグナル変化温度範囲を調整することによって、複数の標的核酸を単一のタイプの標識を使用してリアルタイム方式で検出することができる。
[566]
【0439】
[567]本発明の好ましい実施形態を説明したが、発明の本質の範囲内に含まれるそれらの変化形や改変は当業者にとって明らかになり得ることが理解されるであろう。それゆえに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって決定されるべきである。
[568]
[569]
[570]
[571]
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
【配列表】
2024521296000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のn個の標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記n個の標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、前記標的核酸を検出するためのn個の組成物と共にインキュベートしながら、n個の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
nは、2又はそれより大きい整数であり、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記標的核酸を検出するためのn個の組成物のそれぞれは、対応する標的核酸の存在下で、前記n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、前記シグナル変化は、前記対応する標的核酸の存在を示し、
前記標的核酸を検出するためのn個の組成物のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、前記n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、前記第iの標的核酸の存在下で、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第iの標的核酸の存在を示し、
iは、1~nの整数を表し、前記第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、ステップ;及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記n個の標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第iの標的核酸の存在は、前記第iの検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナルが前記第iの標的核酸の存在に応じて変化するシグナル変化温度範囲(SChTR)、及びシグナルが前記第iの標的核酸の存在下でさえも一定である1つ又は2つのシグナル一定温度範囲(SCoTR)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、
(i)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;
(ii)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び
(iii)前記シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、前記2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物
のいずれか1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第iの検出温度が、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、前記第iの検出温度が、前記他の標的核酸を検出するための組成物の前記シグナル変化温度範囲に含まれない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップし、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
(i)nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物である、又は
(ii)nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物のそれぞれが、InterSC組成物である、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記第iの標的核酸の存在に依存するシグナルを提供する標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標識が、前記インキュベーション中に、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はオリゴヌクレオチドに組み込まれる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が、標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態又は解離した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、最初から、前記第iの標的核酸を検出するための組成物に含まれていた、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、前記標識が連結されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーション可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、インキュベーション中に生成される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、
(i)標識が連結されたオリゴヌクレオチドと、前記標的核酸とのハイブリダイゼーションによって生成される、又は
(ii)前記標的核酸の存在に依存する切断反応によって生成される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的核酸を検出するための組成物が、前記標的核酸にハイブリダイズするタギングオリゴヌクレオチドを含み、前記標的核酸の存在に依存する切断反応は、前記タギングオリゴヌクレオチドの切断を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シグナル変化を提供する二重鎖が、単一のタイプの二重鎖であるか、又は複数のタイプの二重鎖である、請求項に記載の方法。
【請求項17】
(i)前記シグナル変化を提供する二重鎖が単一のタイプの二重鎖である場合、前記単一のタイプの二重鎖の量が、前記標的核酸の存在に応じて変化し、それによって前記シグナルを変化させる、又は
(ii)前記シグナル変化を提供する二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、前記複数のタイプの二重鎖間の量の比率が、前記標的核酸の存在に応じて変化し、それによって前記シグナルを変化させる、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記二重鎖が複数のタイプの二重鎖である場合、前記二重鎖のTm値は、互いに異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、前記二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記シグナルの検出が、前記複数のサイクルのうちの少なくとも2つで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記シグナル変化が、前記複数のサイクルのうちの前記少なくとも2つで検出されたシグナルを使用して測定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第iの検出温度におけるシグナル変化が、前記複数のサイクルのうちの前記少なくとも1つで検出されたシグナル及び参照シグナル値を使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記参照シグナル値が、前記第iの標的核酸の非存在下における反応から得られる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記n個の検出温度のそれぞれにおけるシグナルの検出が、単一のタイプの検出器を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記n個の検出温度で検出されたシグナルが、前記単一のタイプの検出器によって互いに区別されない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インキュベーションが、核酸増幅反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
試料中の2つの標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記2つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物及び第2の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度及び第2の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記第1の標的核酸を検出するための組成物は、前記第1の標的核酸の存在下で、前記第1の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第1の標的核酸の存在を示し;前記第2の標的核酸を検出するための組成物は、前記第2の標的核酸の存在下で、前記第2の検出でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第2の標的核酸の存在を示し、
前記第1の検出温度は、前記第2の検出温度より低い、ステップ、及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記2つの標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第1の標的核酸の存在は、前記第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第2の標的核酸の存在は、前記第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項28】
試料中の3つの標的核酸を検出するための方法であって、
(a)反応容器中で、前記3つの標的核酸のうちの少なくとも1つを含有する疑いのある試料を、第1の標的核酸を検出するための組成物、第2の標的核酸を検出するための組成物、及び第3の標的核酸を検出するための組成物と共にインキュベートしながら、第1の検出温度、第2の検出温度、及び第3の検出温度でシグナルを検出するステップであって、
インキュベーションは、複数のサイクルを含み、シグナルの検出は、前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つで行われ、
前記第1の標的核酸を検出するための組成物は、前記第1の標的核酸の存在下で、前記第1の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第2の検出温度及び前記第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第1の標的核酸の存在を示し;前記第2の標的核酸を検出するための組成物は、前記第2の標的核酸の存在下で、前記第2の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度及び前記第3の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第2の標的核酸の存在を示し;前記第3の標的核酸を検出するための組成物は、前記第3の標的核酸の存在下で、前記第3の検出温度でシグナル変化を提供し、前記第1の検出温度及び前記第2の検出温度で一定のシグナルを提供し、前記シグナル変化は、前記第3の標的核酸の存在を示し、
前記第1の検出温度は、前記第2の検出温度より低く、前記第2の検出温度は、前記第3の検出温度より低い、ステップ、及び
(b)ステップ(a)で検出されたシグナルから、前記3つの標的核酸の存在を決定するステップであって、前記第1の標的核酸の存在は、前記第1の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第2の標的核酸の存在は、前記第2の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定され、前記第3の標的核酸の存在は、前記第3の検出温度で検出されたシグナル変化によって決定される、ステップ
を含む方法。
【請求項29】
試料中のn個の標的核酸を検出するためのn個の組成物を含むキットであって、
nは、2又はそれより大きい整数であり、
前記n個の標的核酸を検出するための前記n個の組成物のそれぞれは、n個の検出温度のなかでも対応する検出温度でシグナル変化を提供し、前記シグナル変化は、対応する標的核酸の存在を示し、
前記n個の標的核酸のなかでも第iの標的核酸を検出するための組成物は、前記第iの標的核酸の存在下で、前記n個の検出温度のなかでも第iの検出温度でシグナル変化を提供し、他の検出温度で一定のシグナルを提供し、
iは、1~nの整数を表し、前記第iの検出温度は、第(i+1)の検出温度より低い、キット。
【請求項30】
前記n個の検出温度の全てをカバーする温度範囲において、第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナルが前記第iの標的核酸の存在に応じて変化するシグナル変化温度範囲(SChTR)、及びシグナルが前記第iの標的核酸の存在下でさえも一定である1つ又は2つのシグナル一定温度範囲(SCoTR)を有する、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、
(i)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より低いという特徴を有するアンダーシグナル変化(UnderSC)組成物;
(ii)前記シグナル変化温度範囲が前記シグナル一定温度範囲より高いという特徴を有するオーバーシグナル変化(OverSC)組成物;及び
(iii)前記シグナル変化温度範囲が、2つのシグナル一定温度範囲のうちの一方より高く、前記2つのシグナル一定温度範囲のうち他方より低いという特徴を有するインターシグナル変化(InterSC)組成物
のいずれか1つである、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記第iの検出温度が、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲内から選択され、前記第iの検出温度が、前記他の標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲に含まれない、請求項30に記載のキット。
【請求項33】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、隣接する検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲と部分的にオーバーラップし、それと隣接しない検出温度を有する標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲とオーバーラップしない、請求項30に記載のキット。
【請求項34】
(i)nが2である場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第2の標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物である、又は
(ii)nが3であるか又はそれより大きい場合、第1の標的核酸を検出するための組成物が、UnderSC組成物又はInterSC組成物であり、第nの標的核酸を検出するための組成物が、InterSC組成物又はOverSC組成物であり、第1の標的核酸及び第nの標的核酸以外の標的核酸を検出するための組成物のそれぞれが、InterSC組成物である、
請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記第iの標的核酸の存在に依存するシグナルを提供する標識を含む、請求項29に記載のキット。
【請求項36】
前記キット及び前記試料のインキュベーション中に、前記標識が、オリゴヌクレオチドに連結されるか、又はオリゴヌクレオチドに組み込まれる、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供する、請求項29に記載のキット。
【請求項38】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記シグナル変化を提供する二重鎖が会合した形態又は解離した形態である場合、前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、前記標識からのシグナルを提供する、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
前記第iの標的核酸を検出するための組成物が、シグナル変化を提供する二重鎖を提供し、前記第iの標的核酸を検出するための組成物のシグナル変化温度範囲が、前記二重鎖の長さ及び/又は配列に応じて決定される、請求項30に記載のキット。
【請求項40】
前記n個の標的核酸を検出するための前記n個の組成物によって提供されるシグナルが、単一のタイプの検出器によって互いに区別されない、請求項29に記載のキット。
【国際調査報告】