(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電気アーク炉を備えた製鉄プラント
(51)【国際特許分類】
C21B 11/10 20060101AFI20240524BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20240524BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C21B11/10
B01D53/86 222
B01D53/86 ZAB
B01D53/94 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569955
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 IB2022054162
(87)【国際公開番号】W WO2022238822
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021000012065
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520378953
【氏名又は名称】エスエムエス・グループ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】SMS GROUP S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ベルトリッシオ,アルリーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ラナリ,アンドレーア
【テーマコード(参考)】
4D148
4K012
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148CA03
4D148CC61
4D148CD05
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA06
4D148DA07
4D148DA12
4D148DA13
4D148DA20
4K012CA04
4K012CA08
4K012CA09
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの電気アーク炉(10)と、ヒューム回収処理システム(100)とを備える製鉄プラント(1)に関する。ヒューム回収処理システム(100)は、電気アーク炉(10)内で発生したヒュームを吸引するように電気アーク炉(10)に流体的に接続された第1の一次吸引ライン(110)と、少なくとも1つの吸引フード(121)によって電気アーク炉(10)の周囲の環境を換気するのに適した二次吸引ライン(120)と、ヒューム回収処理システム(100)によって回収された排出物を大気中に放出する前に濾過するのに適した少なくとも1つの濾過装置(130)とを備える。電気アーク炉(10)は、連続装入システム(11)によって原料が装入される。第1の一次吸引ライン(110)に沿って、電気アーク炉(10)から始まり、ヒューム冷却装置(111)、集塵装置(112)、およびデノックス選択的触媒還元装置(113)が順に配置される。二次吸引ライン(120)は、デノックス選択的触媒還元装置(113)の下流かつ前記少なくとも1つの濾過装置(130)の上流で第1の一次吸引ライン(110)に合流する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気アーク炉(10)とヒューム回収処理システム(100)とを備えた製鉄プラント(1)であって、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記製鉄プラント(1)によって生成されるガス状排出物を回収して処理するように構成されており、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記電気アーク炉(10)内で発生したヒュームを吸引するように前記電気アーク炉(10)に流体的に接続された第1の一次吸引ライン(110)と、少なくとも1つの吸引フード(121)によって前記電気アーク炉(10)の周囲の環境を換気するように構成された二次吸引ライン(120)と、前記ヒューム回収処理システム(100)によって回収された排出物を大気中へ放出する前に濾過するように構成された少なくとも1つの濾過装置(130)とを備え、
前記電気アーク炉(10)は、連続装入システム(11)によって原料が装入され、
前記第1の一次吸引ライン(110)に沿って、前記電気アーク炉(10)から始まって、ヒューム冷却装置(111)、集塵装置(112)、及び、デノックス選択的触媒還元装置(113)が順に配置されており、
前記二次吸引ライン(120)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも下流側、且つ前記少なくとも1つの濾過装置(130)よりも上流側で前記第1の一次吸引ライン(110)に合流している、
製鉄プラント。
【請求項2】
前記第1の一次吸引ライン(110)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも上流側の前記第1の一次吸引ライン(110)の部分を、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも下流側の前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に流体的に接続するバイパスライン(110a)を備える、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項3】
前記バイパスライン(110a)は、前記ヒューム冷却装置(111)と前記集塵装置(112)との間における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分を、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に流体的に接続している、
請求項2に記載の製鉄プラント。
【請求項4】
前記第1の一次吸引ライン(110)には、前記バイパスライン(110a)におけるヒュームの通過を調節するように構成された1つ又は複数のバイパス弁(110b,110c)が設けられ、
少なくとも1つの温度センサ(110d)によって測定される、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームの温度に応じて、前記バイパス弁(110b,110c)の作動が制御システムによって制御される、
請求項2または請求項3に記載の製鉄プラント。
【請求項5】
前記デノックス選択的触媒還元装置(113)は、
ヒュームが通過するように前記第1の一次吸引ライン(110)に流体的に接続された触媒床(113a)と、
前記触媒床(113a)よりも上流側における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に窒素ベースの試薬を注入するように構成された試薬投与手段(113b)と、を備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項6】
前記試薬投与手段(113b)は、少なくとも1つの流量計(113c)によって測定される、前記触媒床(113a)に入るヒュームの流量と、少なくとも1つのガス分析器(113d,113e)によって測定される、前記触媒床(113a)の上流側および/または下流側のNOx濃度とに応じて、前記窒素ベースの試薬の投与量を調整するように制御システムによって制御される、
請求項5に記載の製鉄プラント。
【請求項7】
前記ヒューム冷却装置(111)は、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームが前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲内の温度を有するように、調整可能な冷却能力を生成可能に構成されており、
好ましくは、前記ヒューム冷却装置(111)は、少なくとも1つの温度センサ(110d)によって測定される、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームの温度に応じて、制御システムによってフィードバック制御される、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項8】
前記ヒューム冷却装置(111)は、シェルアンドチューブ式の熱交換器と複数のファン(111a)とを備え、
前記ファン(111a)の作動は、前記ヒューム冷却装置(111)によって必要とされる冷却能力に従って前記シェルアンドチューブ式の熱交換器上の冷却空気流量を調整するように、前記制御システムによって制御される、
請求項7に記載の製鉄プラント。
【請求項9】
少なくとも1つの取鍋炉(20)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、第2の一次吸引ライン(140)を備え、
前記第2の一次吸引ライン(140)は、前記取鍋炉(20)内で発生したヒュームを吸引するように前記取鍋炉(20)に流体的に接続され、且つ、前記ヒューム冷却装置(111)よりも上流において、又は、前記ヒューム冷却装置(111)において前記第1の一次吸引ライン(110)に合流しており、
好ましくは、前記第2の一次吸引ライン(140)は、少なくとも1つのファン(141)を備え、前記ファン(141)の作動は、少なくとも1つの圧力センサ(142)によって測定される前記取鍋炉(20)内の圧力に応じて制御システムによって制御される、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項10】
鉄鋼生産活動を動作的に支援するように構成されており、主に煤塵を含む排出物を生成しやすい1つ又は複数の補助ステーション(51,52,53,54)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記補助ステーション(51,52,53,54)ごとに、補助吸引ライン(151,152,153,154)を備え、
前記補助吸引ライン(151,152,153,154)は、対応する前記補助ステーション(51,52,53,54)によって生成された排出物を吸引するように該補助ステーション(51,52,53,54)に流体的に接続され、且つ、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間の部分において前記二次吸引ライン(120)または前記第1の一次吸引ライン(110)に直接的または間接的に合流している、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項11】
前記第1の一次吸引ライン(110)において、前記ヒューム冷却装置(111)よりも上流側にヒューム後燃焼チャンバ(114)が配置されている、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項12】
前記第1の一次吸引ライン(110)は、前記電気アーク炉(10)の炉蓋に作られた穴を通じて、又は、前記連続装入システム(11)の材料供給チャネルを通じて、前記電気アーク炉(10)に流体的に接続されている、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項13】
前記電気アーク炉(10)の前記連続装入システム(11)は、前記電気アーク炉(10)の炉壁または炉蓋に接続可能なタイプのものである、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項14】
前記連続装入システム(11)と前記電気アーク炉(10)との接続ゾーンを閉鎖可能に構成された格納ケーシング(12)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記格納ケーシング(12)の内部に入り込む空気を吸引するように前記格納ケーシング(12)に流体的に接続されたシール吸引ライン(160)を備え、
前記シール吸引ライン(160)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間の部分において、前記二次吸引ライン(120)に合流するか又は前記第1の一次吸引ライン(110)に直接合流し、
好ましくは、前記シール吸引ライン(160)は、少なくとも1つの圧力センサ(162)によって測定される前記格納ケーシング(12)内の圧力に応じて作動が制御される少なくとも1つのファン(161)を備える、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項15】
前記集塵装置(112)は電気フィルタである、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項16】
前記少なくとも1つの濾過装置(130)はバグフィルタである、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の製鉄プラント。
【請求項17】
製鉄プラント(1)によって生成されるヒュームを回収して処理する方法であって、
前記製鉄プラント(1)は、少なくとも1つの電気アーク炉(10)と、前記製鉄プラント(1)によって生成されるガス状排出物を回収して処理するように構成されたヒューム回収処理システム(100)とを備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記電気アーク炉(10)内で発生したヒュームを吸引するように前記電気アーク炉(10)に流体的に接続された第1の一次吸引ライン(110)と、少なくとも1つの吸引フード(121)によって前記電気アーク炉(10)の周囲の環境を換気するように構成された二次吸引ライン(120)と、前記ヒューム回収処理システム(100)によって回収された排出物を大気中へ放出する前に濾過するように構成された少なくとも1つの濾過装置(130)とを備え、
前記方法は、
前記二次吸引ライン(120)によって吸引される空気が、前記電気アーク炉(10)から直接来るヒュームによって実質的に汚染されないように、連続装入システム(11)によって、装入段階中の前記電気アーク炉(10)から前記環境へのヒュームの直接放出を防止するステップと、
前記電気アーク炉(10)から吸引されたヒュームを、デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理する前に、前記二次吸引ライン(120)によって吸引されたヒュームで希釈および冷却しないように、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームを、前記二次吸引ライン(120)によって回収されたヒュームと一緒に前記濾過装置(130)に送る前に、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理するステップと、を備え、
前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームを前記デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理する前に、前記ヒュームが集塵装置(112)で煤塵から解放されてヒューム冷却装置(111)で冷却されることで、前記ヒュームの温度が、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲内にもたらされる、
方法。
【請求項18】
前記電気アーク炉(10)からの溶鋼の出湯段階中に、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームが、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)をバイパスして前記濾過装置(130)に送られることで、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲を下回る温度を有する低温のヒュームが前記デノックス選択的触媒還元装置(113)に送られないようにする、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記製鉄プラント(1)は、少なくとも1つの取鍋炉(20)を備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記取鍋炉(20)内で発生したヒュームを吸引するように前記取鍋炉(20)に流体的に接続された第2の一次吸引ライン(140)を備え、
前記第2の一次吸引ライン(140)によって回収されたヒュームが、前記ヒューム冷却装置(111)内で冷却される前に、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームと混合される、
請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記製鉄プラント(1)は、鉄鋼生産活動を動作的に支援するように構成されており、主に煤塵を含む排出物を生成しやすい1つ又は複数の補助ステーション(51,52,53,54)を備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記補助ステーション(51,52,53,54)ごとに、補助吸引ライン(151,152,153,154)を備え、
前記補助吸引ライン(151,152,153,154)は、対応する前記補助ステーション(51,52,53,54)によって生成された排出物を吸引するように該補助ステーション(51,52,53,54)に流体的に接続され、
それぞれの前記補助吸引ライン(151,152,153,154)によって回収された排出物は、前記濾過装置(130)に直接送られる、
請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク炉を備えた製鉄プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、スクラップなどの鉄を含む材料の直接溶解は、電気アーク炉(EAF)で行われる。
【0003】
電気アーク炉のための主な原料は、鉄スクラップ(鉄屑)である。この鉄スクラップは、例えば、製鉄所内からのスクラップ、機械産業(例えば、自動車メーカー)からのスクラップ、廃棄物、及び、解体後または使用後のスクラップ(例えば、自動車や建物などの使用済み製品)で構成され得る。
【0004】
直接還元鉄(DRI)も、脈石の含有量が少なく、不要な金属(例えば、銅)の含有量が少なく、製造プロセスでのCO2排出量が少ないため、電気アーク炉のための原料として使用されることが増えている。
【0005】
最後に、電気アーク炉に供給する材料混合物において、液体銑鉄も使用され得る。
【0006】
電気アーク炉には、通常、スクラップ、DRI、及び/又は、液体銑鉄が、次の方法で装入される。
【0007】
[金属製バスケット]
スクラップ及び/又はDRIは、通常、バスケットに積み込まれてから、炉蓋の開放後に炉に装入される。
【0008】
[連続壁面装入システム]
スクラップ及び/又はDRIのための振動コンベア、トラバースコンベア、又は回転コンベアが、原料を炉内に連続的に排出する。あるいは、液体銑鉄が専用のシュートで装入される。連続壁面装入には、スクラップの予熱が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0009】
[炉蓋からの連続装入システム]
スクラップ及び/又はDRIのための振動コンベア、トラバースコンベア、回転コンベア、又は空気圧コンベアにより、炉蓋の専用開口部(第5の穴または第3の穴とも呼ばれる)に原料が排出される。
【0010】
二次冶金は、電気アーク炉(EAF)で鋳造点まで溶解した後の溶鋼に対して実行される。二次冶金は、通常、取鍋処理ステーションで行われ、溶鋼は取鍋自体に残る。これらの処理ステーションは、通常、取鍋炉(LF)と呼ばれるアーク加熱ユニットで構成されており、これにより、鋳造作業のための溶鋼の最終温度が調整可能になる。この処理には、完成後の鉄鋼の化学組成を調整するための鉱滓処理剤と結合要素の添加が含まれる。場合によっては、特殊なガス含有量要件を達成するために真空処理ユニットが使用される。
【0011】
図1に、電気アーク炉と取鍋炉を備えた製鉄プラントの概略図が示される。
【0012】
[ヒューム回収システム]
製鉄プラントは、一般に、特に溶解プロセス中に発生する排気を吸引して処理システムに運び得るような、排気回収システムを備えている。
【0013】
電気アーク炉(EAF)と取鍋炉(LF)には、それぞれ独自の吸引システムが設けられる。
図1において、EAF吸引システムは参照符号P1で示され、LF吸引システムは参照符号P2で示される。これらの吸引システムP1,P2の吸引は一次吸引と呼ばれる。
【0014】
電気アーク炉(EAF)において、一次吸引は、炉蓋の適切な穴(第4の穴または第2の穴とも呼ばれる)を通して、又は、連続装入システムを備えた炉への材料供給チャネルを通して、実行されてもよい。後者の場合、ヒュームは、連続装入システムを通じて吸引され、電気アーク炉(EAF)に装入される前のスクラップを予熱する。
【0015】
さらに、電気アーク炉(EAF)には、フードCが設けられる。フードCは、炉を収容する建屋の屋上に配置される。フードCの機能は、溶解プロセス中に建屋内を換気すること、及び、バスケット装填工程中に炉蓋を開放した後に建屋内に発生するヒュームを回収することである。電気アーク炉(EAF)のこの更なる吸引システムは二次吸引システムと呼ばれ、
図1において参照符号S1で示されている。
【0016】
バスケット装填工程で発生するガスは建屋内で拡散し、強力に希釈されてフードCに回収される。したがって、二次吸引システムS1は、一次吸引システムP1よりも遥かに大量のヒュームを処理する必要がある。このため、二次吸引システムの吸引能力は、一次吸引システムの吸引能力よりもはるかに大きくなる。さらに、希釈のため、二次吸引システムS1によって処理されるヒュームは、一次吸引によって処理されるものよりもはるかに低温になる。
【0017】
電気アーク炉(EAF)および取鍋炉(LF)の吸引システムから回収されるヒュームには、煤塵、窒素酸化物、硫黄酸化物、一酸化炭素、及び、例えば、揮発性有機化合物(VOC)、クロロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、多環芳香族炭化水素(PAH)、ダイオキシン(PCDD)、フラン(PCDF)などの有機汚染物質が含まれている。排出物中の有機物の存在は、主に使用されるスクラップの品質によって決まります。
【0018】
図1に示されているように、製鉄プラント内には、ヒュームの排出が生じ得る他の箇所(例えば、添加剤コンベアシステムADの集塵のゾーン、取鍋LとタンディッシュPの耐火物の解体とライニングのゾーン、スラグMSの処理のゾーンなど)も存在し得る。これらのヒュームの排出は機械的活動の結果であり、燃焼および/または溶融プロセスの結果ではない。これらの理由により、これらのヒュームには主に煤塵が含まれており、窒素酸化物や硫黄酸化物などのガス状排出物は含まれない。したがって、ヒューム回収システムは、これらの排出箇所に特化した補助吸引部A1,A2,A3を備えている。
【0019】
図 1 は、電気アーク炉(EAF)を備えた製鉄プラントにおけるヒュームの回収処理システムを概略的に示している。
【0020】
ヒューム回収処理システムは、すべての吸引システムP1,P2,S1,A1,A2,A3から排出されるメインダクトL1を備えている。吸引システムによって回収された全てのヒュームは、メインダクトL1を通って、以下でより詳細に説明されるヒューム処理システムに導かれる。
【0021】
[電気アーク炉(EAF)からの一次吸引システムP1の吸引]
電気アーク炉(EAF)からの高温のヒュームは、炉蓋から水冷エルボを通って回収されて、冷却チャンバ(水冷ダクト)CHに運ばれ、冷却チャンバCHにおいて、溶解プロセスで生成された一酸化炭素の後燃焼が完了する。一次ヒュームは高温(1000度以上)で吸引され、冷却チャンバCHによって冷却され、次に水冷塔QTまたは(自然また若しくは強制の)対流交換器 によって温度が下げられる。これにより、メインダクトL1およびヒューム処理システムの一部に設置されたバグフィルタBFにおいて、下流でヒュームが処理され得る。
【0022】
[取鍋炉(LF)からの一次吸引システムP2の吸引]
ヒュームは単壁(非冷却)パイプを使用して取鍋炉(LF)の炉蓋から回収され、ヒュームシステムのメインダクトL1に運ばれる。取鍋炉(LF)から吸引されるヒュームの温度は180度以下である。
【0023】
[電気アーク炉(EAF)からの二次吸引システムS1の吸引]
建屋の上部に設置されたフードCは、電気アーク炉(EAF)の装入ステップ中にヒュームを捕集し、溶解ステップ中における換気を可能にする。また、バグフィルタBFで処理される前に、一次吸引システムP1によって回収されたヒュームをさらに冷却するために必要な空気の吸引も、該フードCによって可能になる。
【0024】
[補助吸引部A1,A2,A3]
ヒューム回収システムは、場所特有のプラント構成に応じた補助吸引部を備え得る。場所特有のプラント構成には、例えば、材料または添加剤の取り扱い、タンディッシュ取鍋の解体、タンディッシュ取鍋の転倒、電気アーク炉の耐火物の解体などが含まれ得る。
【0025】
[ヒューム処理システム]
【0026】
捕集されたヒュームは、バグフィルタBFで処理された後、大気中に分散される。
【0027】
実質的に、バグフィルタは、濾過温度で粒子状物質として存在する全ての重金属と一部の有機化合物とを含む煤塵を捕集する。
【0028】
一般に、吸着材(例えば、活性炭、粉砕活性褐炭コークス、又は、これらと石灰および粘土との混合物)が、適切な投入装置ADSを使用してバグフィルタの上流のヒュームメインダクトL1に投入され、これにより、特に、ダイオキシン(PCDD)とフラン(PCDF)の含有量が管理されるように、残留性の有機汚染物質が削減される。吸着材はバグフィルタBFに保持され、ダイオキシンやフランを吸着した後、バグフィルタで捕集された煤塵とともに処分される。
【0029】
現在、製鉄プラントのヒューム処理システムは、以下の汚染物質を軽減するように構成されている。
【0030】
[機械的濾過機能を備えたバグフィルタ内の煤塵]
【0031】
バグフィルタの前に活性炭、褐炭、粘土を注入することによってダイオキシンが吸着される。注入された吸着剤は煤塵とともにバグフィルタに捕集される。煤塵は特殊な廃棄物(重金属、ダイオキシン、有機物などを含む)であり、適切に処理/処分される必要がある。
【0032】
しかし、製鉄プラントにおける現在のヒューム処理システムでは、ガス状の排気中の窒素酸化物(NOx)を軽減することができない。
【0033】
窒素酸化物(NOx)は、燃焼制御技術によって上流で封じ込められる。しかし、後燃焼排気からの窒素酸化物(NOx)を軽減するための技術は、化石燃料ボイラーや焼却炉などのプラントでは広く適用されているものの、電気アーク炉を備えた製鉄プラントでは、現在まで首尾よく導入されていない。
【0034】
窒素酸化物(NOx)の生成は、いくつかのメカニズムを通じて発生する。
【0035】
電気アーク炉(EAF)の場合、窒素酸化物(NOx)は、主に、「サーマルNOx」と呼ばれる、熱解離と燃焼用空気中の窒素分子と酸素分子の連続反応とによって形成される。他の窒素酸化物(NOx)生成メカニズム、すなわち、(酸素を含む燃料中の窒素化合物の発生と反応による)「フューエルNOx」、及び、(シアン化水素(HCN)の形成とその後の窒素酸化物(NOx)への酸化による)「プロンプトNOx」は、電気アーク炉(EAF)からの窒素酸化物(NOx)排出量にあまり寄与しない。
【0036】
後燃焼のNOx削減および制御システムには、以下のものが含まれる。
【0037】
[選択的触媒還元(SCR)]
【0038】
[非選択的触媒還元(NSCR)]
【0039】
[選択的無触媒還元(SNCR)]
【0040】
より詳細に、SCRユニットは、アンモニア(NH3)や尿素などの窒素ベースの試薬を利用して、窒素酸化物(NOx)を窒素分子と水蒸気に化学的に還元する。試薬は、インジェクタのシステムを介して、触媒床(すなわち、反応器)の上流でヒュームの流れに注入される。排気ガスは反応物と混合し、触媒を含む反応器モジュールに入る。高温の燃焼ガスと反応物は触媒を通って拡散し、触媒において、反応物は窒素酸化物(NOx)と選択的に反応する。該反応は、ヒューム温度が特定の範囲内にある場合に生じる。一般に、触媒還元プロセスが効率的に行われるためには、触媒床において、ガス流の動作温度がセ氏220度(カ氏430度)以上、セ氏420度(カ氏800度)以下である必要がある。アンモニア(NH3)と窒素酸化物(NOx)との反応は、(1%を超える)余剰の酸素の存在によって促進される。
【0041】
最適温度範囲を下回ると、触媒活性が大幅に低下し、未反応のアンモニア(「アンモニアスリップ」として知られる)が大気中に直接放出される可能性がある。SCRシステムは、物理的失活および/または化学的被毒により、時間の経過とともに触媒の失活にもさらされ得る。
【0042】
したがって、SCRシステムがNOx排出を効果的に削減するには、比較的安定したガス流量、NOx濃度、および温度が、排気ガスの流れに供給される必要がある。
【0043】
一方、電気アーク炉(EAF)のヒューム処理システムでは、ガス流量、温度、NOx濃度などの動作条件が溶解サイクル中に大きく変動するため、デノックスシステムを適用できないことが知られている。
【0044】
特に、SCRシステムは、有効動作範囲を大幅に逸脱する低いヒューム温度(セ氏90度(カ氏195度)以上、セ氏150度(カ氏300度)以下)のために、微粒子除去後に設置できない。
【0045】
現在、電気アーク路を備えた製鉄プラントのNOx排出を制御するためのSCR技術の応用例は知られていない。実際、NOx削減(デノックス)システムは、以上で概説された未解決の技術的問題のため、技術的に実現不可能であると考えられている。
【0046】
したがって、本技術分野では、電気アーク炉を備えた製鉄プラントのガス状排出物からのNOxを軽減する必要性は依然として完全には満たされていない。
【発明の概要】
【0047】
したがって、本発明の主な目的は、SCR型デノックス装置によって効率的にNOxを低減可能なヒューム回収処理システムを備えた、電気アーク炉の製鉄プラントを提供することによって、前述の従来技術の欠点を完全に又は部分的に解消することである。
【0048】
本発明の更なる目的は、SCR型デノックス装置により効率的にNOxを除去可能であるとともに、動作信頼性が高く操作が簡単なヒューム回収処理システムを備えた、電気アーク炉の製鉄プラントを提供することである。
【0049】
本発明のさらなる目的は、電気アーク炉の製鉄プラントによって発生するヒュームを回収および処理する方法を提供し、製鉄プラント自体によって発生する排気からNOxを効率的に軽減可能にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以上の目的に従った本発明の技術的特徴は、特許請求の範囲の内容に明確に見て取れる。本発明の利点は、非限定的な例としてのみ挙げられる1つまたは複数の実施形態を示す添付図面を参照して、以下の詳細な説明からより明らかになる。
【0051】
【
図1】従来のヒューム回収処理システムを有する電気アーク炉を備えた製鉄プラントの簡略図を示す。
【
図2】本発明の好ましい実施形態に係るヒューム回収処理システムを備えた電気アーク炉の製鉄プラントの簡略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図2において、本発明に係る電気アーク炉の製鉄プラントは、参照符号1によって全体的に示されている。
【0053】
本発明の一般的な実施形態によれば、製鉄プラント1は、少なくとも1つの電気アーク炉10と、製鉄プラント1によって生成されるガス状排出物を回収して処理するのに適したヒューム回収及び処理システム100とを備える。
【0054】
この説明および添付の特許請求の範囲において、「ガス状排出物」、「排出物(排気)」、または「ヒューム」という表現は同義であり、別段の明示的な記載がない限り、製鉄プラント1の運転中に生成されるガスと煤塵の混合物を総称して指す。前記ガス状排出物の組成は、製鉄プラント1のゾーンによって異なる。例えば、添加剤輸送システムの集塵装置、取鍋およびタンディッシュの耐火物の解体およびライニングエリア、又は、スラグ処理エリアなど、一部のゾーンでは、前記排出物は主に煤塵のみを含むことがある。電気アーク炉の場合、前記排出物には、煤塵に加えて、窒素酸化物や硫黄酸化物などの燃焼生成物、一酸化炭素、及び、有機汚染物質(例えば、揮発性有機化合物(VOC)、塩素化ベンゼン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、多環芳香族炭化水素(PAH)、ダイオキシン(PCDD)、フラン(PCDF)など)が含まれる。排出物中の有機物の存在は、主に、使用される原料の品質によって決まる。一方、取鍋炉の場合、排出物には主に窒素酸化物(NOx)と煤塵のみが含まれる。
【0055】
前述の一般的な実施形態によれば、ヒューム回収処理システム100は、以下の要素を備える。
【0056】
ヒューム回収処理システム100は、第1の一次吸引ライン110を備える。第1の一次吸引ライン110は、電気アーク炉10内で発生したヒュームを吸引するように電気アーク炉10に流体的に接続されている。
【0057】
ヒューム回収処理システム100は、二次吸引ライン120を備える。二次吸引ライン120は、少なくとも1つの吸引フード121によって電気アーク炉10の周囲の環境を換気するのに適している。
【0058】
好ましくは、電気アーク炉10は、建屋(
図2において図示せず)の内部に設置される。吸引フード121は、前記建屋の屋根近くに設置され、建屋によって区切られた、電気アーク炉10の周囲環境を換気するために使用される。
【0059】
さらに、
図2に示すように、ヒューム回収処理システム100は、少なくとも1つの濾過装置130を備える。濾過装置130は、ヒューム回収処理システム100によって回収された排出物を、大気中に放出される前に濾過するのに適している。
図2に示すように、処理されたヒュームは、排気筒131を通って大気中に排出されてもよい。
【0060】
前述の少なくとも1つの濾過装置130は、目的に適した任意のタイプのものでよい。好ましくは、濾過装置130はバグフィルタである。
【0061】
本発明によれば、電気アーク炉10は、連続装入システム11によって原料が装入される。
【0062】
この構成により、炉蓋を開ける必要がなく、これにより、電気アーク炉10の装入ステップ中に電気アーク炉10から周囲環境へのヒュームの直接放出が回避される。したがって、二次吸引ライン120から吸引フード121を介して吸引される空気は、電気アーク炉10からの直接のヒュームによって実質的に汚染されない。実際、ヒュームは、実質的に電気アーク炉10および/または連続装入システム11に閉じ込められたままであり、避けられない漏れによる少量の排出に限定される。特に、二次吸引ライン120から吸引される空気は、NOxを含まないか、又は、無視できる程度のNOx濃度である。したがって、動作上、電気アーク炉10によって生成されるNOxは、実質的にすべて一次吸引ライン110から吸引される。
【0063】
特に、電気アーク炉10の連続装入システム11は、電気アーク炉10の炉壁または炉蓋に接続可能なタイプのものである。
【0064】
特に、第1の一次吸引ライン110は、電気アーク炉10の炉蓋に作られた穴を通じて、又は、連続装入システム11の材料供給チャネルを通じて、電気アーク炉10に流体的に接続されてもよい。
【0065】
本発明によれば、一次吸引ライン110に沿って、電気アーク炉10から始まって、以下の要素が順番に配置される。
【0066】
[ヒューム冷却装置111]
【0067】
[集塵装置112]
【0068】
[デノックス選択的触媒還元(SCR)装置113]
【0069】
また、本発明によれば、二次吸引ライン120は、デノックス選択的触媒還元装置113の下流かつ前記少なくとも1つの濾過装置130の上流で第1の一次吸引ライン110に合流する。
【0070】
本発明によれば、一次吸引ライン110から回収されたヒュームは、二次吸引ライン120から回収されたヒュームと混合されて濾過装置130に送られる前に、デノックス選択的触媒還元装置113に供給される。したがって、電気アーク炉10から吸引されるヒュームは、二次吸引ライン120から吸引されるヒュームによって希釈されたり冷却されたりしない。したがって、デノックス選択的触媒還元装置113は、安定した制御可能な条件下で動作可能である。特に、デノックス選択的触媒還元装置113は、冷却されていないヒュームおよび希釈されていないNOxを処理することができる。したがって、デノックス選択的触媒還元装置113を用いて、製鉄プラント1で発生するNOxを効率よく低減することができる。
【0071】
さらに、デノックス選択的触媒還元装置113の上流に、第1の一次吸引ライン110がヒューム冷却装置111および集塵装置112を備えているという事実により、第1の一次吸引ライン110から回収されたヒュームは、以下のように予防的に処理され得る。
【0072】
第1の一次吸引ライン110から回収されたヒュームは、所定の温度範囲になるように、デノックス選択的触媒還元装置113の動作要件に応じて冷却される。
【0073】
過度に高濃度の煤塵がデノックス選択的触媒還元装置113の触媒床に損傷を与えるのを防ぐために、第1の一次吸引ライン110から回収されたヒュームから煤塵が除去される。
【0074】
集塵装置112は、目的に適しており、電気アーク炉10によって生成されるヒュームを処理可能な任意の塵濾過装置であってもよい。
【0075】
好ましくは、集塵装置112は、電気集塵器としても知られる電気フィルタである。電気集塵機は、機械的濾過機能が無く、塵に誘発された静電荷の力を利用して、ガス流から煤塵やヒュームなどの粒子を除去する装置である。
【0076】
好ましくは、
図2に示すように、デノックス選択的触媒還元装置113は、以下の要素を備える。
【0077】
[触媒床(すなわち、反応器)113a]
触媒床(すなわち、反応器)113aは、ヒュームが通過するように一次吸引ライン110に流体的に接続されている。
【0078】
[窒素ベースの試薬の投与手段113b]
窒素ベースの試薬(例えば、アンモニアおよび/または尿素などの窒素系試薬)の投与手段113bは、触媒床113aの上流の一次吸引ライン110の部分に、計量された量(所定量)の試薬を注入するのに適している。
【0079】
特に、投与手段113bは、集塵装置112の上流または下流に試薬を注入するのに適している。好ましくは、
図2に示すように、投与手段113bは、集塵装置112と触媒床113aとの間の一次吸引ライン110の部分に試薬を注入するのに適している。
【0080】
有利には、投与手段113bは、窒素ベースの試薬の投与量を以下の関数として調整するように制御システムによって制御される。
【0081】
[少なくとも1つの流量計113cによって測定される、触媒床113aへの入口におけるヒューム流量]
【0082】
[1つ以上のガス分析器113d,113eによって検出される、触媒床113aの上流および/または下流のNOx濃度]
【0083】
デノックス選択的触媒還元装置113の動作自体は当業者にはよく知られており、したがって詳細には説明されない。
【0084】
デノックス選択的触媒還元装置113は、アンモニア(NH3)や尿素などの窒素ベースの試薬を使用して、窒素酸化物(NOx)を窒素分子と水蒸気に化学的に還元する。窒素ベースの試薬は、触媒床の上流で集塵装置112の前または後のいずれかでヒュームの流れに注入される。窒素ベースの試薬の流れは、ヒュームの流路に設置されたガス分析計と流量計を使用する自動化/制御システムによって自動的に制御され、汚染物質の量と試薬の「スリップ」を測定することができる。
【0085】
有利なことに、窒素ベースの試薬を注入する触媒はNOxを軽減するが、ダイオキシン、フラン、一酸化炭素(CO)も化学的に削減できる。この能力のおかげで、既知のヒューム回収処理システムではヒュームからダイオキシン、フラン、および一酸化炭素を軽減するために伝統的に提供されている吸着材料(例えば、活性炭、粉砕活性褐炭コークス、またはこれらと石灰、粘土との混合物)の注入装置を、ヒューム回収処理システムへ挿入することを回避可能になる。吸着材料の注入装置の廃止により、注入される材料の運転コストの削減、および、濾過装置130内で生成および回収される煤塵の量の削減が可能になる。
【0086】
動作上、以下の理由により、デノックス非選択的触媒還元(NSCR)システムではなく、デノックス選択的触媒還元システム(デノックス選択的触媒還元装置113)によってNOxを軽減することが選択された。
【0087】
非選択的触媒還元(NSCR)システムでは、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素が触媒を通じて二酸化炭素(CO2)と窒素N2に変換される。この技術では、未燃の炭化水素が還元剤として使用されるため、追加の試薬を注入する必要がない。しかしながら、ガスの酸素含有量は非常に低くなければならない。NOxの除去は2つの連続したステップで行われる。第1のステップにおいて、酸素は、窒素酸化物(NOx)よりも一酸化炭素(CO)および炭化水素とよく反応するため、余剰の酸素が除去される。第2のステップでは、炭化水素が混合物中のNOxと反応して還元される。このため、ヒューム中の酸素濃度は非常に低く、特に、0.5%未満でなければならない。したがって、非選択的触媒還元(NSCR)システムは、燃料が豊富で酸素が少ない混合気でのみ使用され得る。しかしながら、この制限はデノックス選択的触媒還元(SCR)システムには当てはまらず、デノックス選択的触媒還元(SCR)システムは、電気アーク炉から抽出されるヒュームの特徴である酸素リッチ混合物も処理できる。
【0088】
好ましくは、
図2に示すように、第1の一次吸引ライン110は少なくとも1つのファン110eを備える。ファン110eの作動は、少なくとも1つの圧力センサ110fによって測定される電気アーク炉10内の圧力の関数として吸引能力を調節するように、制御システムによって制御される。
【0089】
電気アーク炉(EAF)での鉄鋼の製造は、溶解ステップと、溶鋼の出湯および/または装入ステップとが交互に行われる不連続プロセスである。出湯ステップ中、電気アーク炉によって発生するヒュームは低温であり、NOx排出物の発生は基本的に無視できる。出湯ステップ中に捕捉されたヒュームがデノックス選択的触媒還元(SCR)装置113に運ばれると、触媒床が動作温度以下に冷却され、システムが損傷する可能性がある。
【0090】
このため、第1の一次吸引ライン110は、デノックス選択的触媒還元装置113の上流側の第1の一次吸引ライン110の部分と下流側の第1の一次吸引ライン110の部分とを流体的に接続するバイパスライン110aを備えることが好ましい。
【0091】
特に、
図2に示すように、バイパスライン110aは、ヒューム冷却装置111と集塵装置112との間に構成される第1の一次吸引ライン110の部分を、デノックス選択的触媒還元装置113と濾過装置130との間に構成される第1の一次吸引ライン110の部分に流体的に接続する。
【0092】
有利には、第1の一次吸引ライン110に、1つ以上のバイパス弁110b,110cが設けられる。バイパス弁110b,110cは、バイパスライン110aを通るヒュームの通過を調整するのに適している。バイパス弁110b,110cの作動は、少なくとも1つの温度センサ110dによって測定される、ヒューム冷却装置111から出るヒュームの温度の関数として、制御システムによって制御される。
【0093】
動作上、温度センサ110dが、冷却装置111から出てくるヒュームの温度が所定値未満であることを検出すると、ヒュームがバイパスライン110aを通過できるように前記1つ以上のバイパス弁110b,110cが作動し、これにより、同時に触媒床113aを通過することが防止される。
【0094】
電気アーク炉(EAF)における溶解プロセスは、大量の一酸化炭素(CO)を発生する。このような理由から、ヒューム後燃焼チャンバ114は、好ましくは、前述の第1の一次吸引ライン110内のヒューム冷却装置111の上流に配置される。前記後燃焼チャンバ114では、一酸化炭素(CO)を燃焼させて、ヒューム中の一酸化炭素(CO)濃度を大幅に低減することができる。
【0095】
有利には、ヒューム冷却装置111は、ヒューム冷却装置111から出るヒュームがデノックス選択的触媒還元装置113の動作要件の関数として所定の温度範囲内の温度を有するように調整可能な冷却能力を生成するのに適している。一般に、デノックス選択的触媒還元装置113の動作要件は、セ氏220度とセ氏350度との間に含まれるヒューム温度範囲を必要とする場合がある。
【0096】
好ましくは、ヒューム冷却装置111は、少なくとも1つの温度センサ110dによって測定されるヒューム冷却装置111から出るヒュームの温度の関数として、制御システムによってフィードバック制御される。
【0097】
好ましい実施形態によれば、前述のヒューム冷却装置111は、シェルアンドチューブ式熱交換器と複数のファン111aとを備えてもよい。ファン111aの作動は、ヒューム冷却装置111によって必要とされる冷却能力の関数としてシェルアンドチューブ式熱交換器上の冷却空気流量を調整するように、制御システムによって制御される。
【0098】
あるいは、前記ヒューム冷却装置111は水冷塔を備えてもよい。ただし、シェルアンドチューブ式熱交換器システムは、ヒュームへの水の混入を避けるため、冷却塔よりも好ましい。
【0099】
図2に示すように、製鉄プラント1は、少なくとも1つの取鍋炉(LF)20を備えてもよい。この場合、ヒューム回収処理システム100は、次のような第2の一次吸引ライン140を備える。
【0100】
第2の一次吸引ライン140は、取鍋炉20内で発生したヒュームを吸引するように取鍋炉20に流体的に接続される。
【0101】
第2の一次吸引ライン140は、ヒューム冷却装置111の上流において、又はヒューム冷却装置111において、一次吸引ライン110に合流する。
【0102】
前述したように、取鍋炉から発生する排出物にはNOxが含まれる。第2の一次吸引ライン140から吸引されたヒュームは、第1の一次吸引ライン110から回収されたヒュームと混合され、デノックス選択的触媒還元装置113内で一緒に処理されてもよい。
【0103】
しかしながら、取鍋炉20によって生成され、前記第2の一次吸引ライン140によって吸引されるヒュームは、デノックス選択的触媒還元装置113で効率的に処理するには冷たすぎる。このため、第2の一次吸引ライン140によって吸引されるヒュームは、電気アーク炉10で発生するヒュームと結合されて加熱される。
【0104】
電気アーク炉10によって生成されるヒュームが高温(最終的な後燃焼によってさらに昇温する)であるため、2つのヒュームの流れ(EAF10からの流れとLF20からの流れ)の混合物は、依然としてデノックス選択的触媒還元装置113にとっては熱すぎる。このため、前記第2の一次吸引ライン140から吸引されるヒュームは、ヒューム冷却装置111の上流で第1の一次吸引ライン110から吸引されるヒュームと合流し、これにより、ヒュームの温度を効果的に制御することができる。
【0105】
好ましくは、第2の一次吸引ライン140は、少なくとも1つのファン141を備える。ファン141の作動は、少なくとも1つの圧力センサ142によって測定される取鍋炉20内の圧力の関数として制御システムによって制御される。
【0106】
図2に示すように、製鉄プラント1は、1つ又は複数の補助ステーション51,52,53,54を備えてもよい。補助ステーション51,52,53,54は、鉄鋼生産活動を動作的に支援するのに適したものであり、主に煤塵を含む排出物を生成する可能性が高い。例えば、補助ステーション51,52,53,54は、取鍋の耐火物の解体およびライニングゾーン51、タンディッシュの耐火物の解体およびライニングゾーン52、添加剤搬送システムの集塵ゾーン53、又は、スラグ処理ゾーン54であってもよい。この場合、前述のヒューム回収処理システム100は、補助ステーション51,52,53,54ごとに、補助吸引ライン151,152,153,154を備える。補助吸引ライン151,152,153,154は、対応する補助ステーション51,52,53,54によって生成される排出物を吸引するように該補助ステーション51,52,53,54に流体的に接続され、デノックス選択的触媒還元装置113と濾過装置130との間の部分において二次吸引ライン120または第1の一次吸引ライン110に、直接的または間接的に合流する。
【0107】
電気アーク炉の連続装入システム11と電気アーク炉10との間の接続ゾーンは、2つの可動部品間の接続部であり、機械的に閉じることができないため、電気アーク炉への誤った空気の侵入源となり、結果として電気アーク炉からの窒素酸化物の生成が増加する。
【0108】
有利には、
図2に概略的に示されるように、製鉄プラント1は、連続装入システム11と電気アーク炉10との間の接続ゾーンを包囲するように構成された格納ケーシング12を備えてもよい。このような場合、前述のヒューム収集および処理システム100は、格納ケーシング(格納容器)12の内部に浸透する空気を吸引するために格納ケーシング12に流体的に接続されるシール吸引ライン(密閉吸引ライン)160を備える。前記シール吸引ライン160は、デノックス選択的触媒還元装置113と濾過装置130との間に構成されるセクション内の二次吸引ライン120に合流するか、または直接一次吸引ライン110に合流する。
【0109】
好ましくは、シール吸引ライン160は、少なくとも1つのファン161を備える。ファン161の作動は、少なくとも1つの圧力センサ162によって測定される格納ケーシング12内の圧力の関数として制御される。
【0110】
電気アーク炉と装入システムとの接続ゾーンにおける前記シールシステムは、「アクティブ」と定義され得る。なぜなら、電気アーク炉の装入ゾーンで測定された圧力に基づいて吸引能力が調整され、電気アーク炉内の動作圧力を基準にして正しい吸引の程度が保証されるためである。
【0111】
本発明の目的は、製鉄プラントで発生するヒュームを回収して処理する方法を提供することである。
【0112】
本発明に係る方法は、電気アーク炉を備えた製鉄プラントに適用され、特に、上述したような本発明の目的である製鉄プラントに適用される。このため、以下では、製鉄プラント1を説明するのに使用したのと同じ参照符号を使用して、本発明の方法が説明される。
【0113】
一般に、製鉄プラント1は、少なくとも1つの電気アーク炉10と、製鉄プラント1によって生成されるガス状排出物を回収して処理するのに適したヒューム回収処理システム100とを備える。
【0114】
前述のヒューム回収処理システム100は、以下を備える。
【0115】
[第1の一次吸引ライン110]
第1の一次吸引ライン110は、電気アーク炉10に流体的に接続され、電気アーク炉10内で発生したヒュームを吸引する。
【0116】
[二次吸引ライン120]
二次吸引ライン120は、少なくとも1つの吸引フード121によって電気アーク炉10の周囲の環境を換気するのに適している。
【0117】
[少なくとも1つの濾過装置130]
少なくとも1つの濾過装置130は、ヒューム回収処理システム100によって回収された排出物を大気中に放出する前に濾過するのに適している。
【0118】
本発明に係る方法は、以下の特徴を有する。
【0119】
本発明に係る方法は、連続装入システム11により、電気アーク炉10の装入ステップ中に電気アーク炉10から環境へのヒュームの直接放出を防止し、これにより、二次吸引ライン120によって吸引される空気は、電気アーク炉10から直接来るヒュームによって実質的に汚染されない。
【0120】
本発明に係る方法は、第1の一次吸引ライン110によって回収されたヒュームを、二次吸引ライン120によって回収されたヒュームと一緒に濾過装置130に送る前に、デノックス選択的触媒還元装置113で処理し、これにより、電気アーク炉10から吸引されたヒュームを、デノックス選択的触媒還元装置113で処理する前に、二次吸引ライン120によって吸引されたヒュームで希釈および冷却しないようにする。
【0121】
さらに、本発明によれば、第1の一次吸引ライン110によって回収されたヒュームをデノックス選択的触媒還元装置113で処理する前に、前記ヒュームが、集塵装置112で煤塵から解放され、ヒューム冷却装置111で冷却され、これにより、ヒュームの温度は、デノックス選択的触媒還元装置113の動作要件の関数としての所定の温度範囲内とされる。
【0122】
好ましくは、電気アーク炉10からの溶鋼の出湯ステップ中に、第1の一次吸引ライン110によって回収されたヒュームは、デノックス選択的触媒還元装置113をバイパスして濾過装置130に送られ、これにより、デノックス選択的触媒還元装置113の動作要件の関数としての所定の温度範囲未満の温度を有する低温のヒュームがデノックス選択的触媒還元装置113に送られないようにする。
【0123】
好ましくは、製鉄プラント1は、少なくとも1つの取鍋炉20を備える。ヒューム回収処理システム100は、取鍋炉20内で生成されたヒュームを吸引するために、取鍋炉20に流体的に接続される第2の一次吸引ライン140を備える。第2の一次吸引ライン140によって回収されたヒュームは、ヒューム冷却装置111内で冷却される前に、第1の一次吸引ライン110によって回収されたヒュームと混合される。
【0124】
好ましくは、前述の製鉄プラント1は、鉄鋼生産活動を動作的に支援することを目的とし、主に煤塵を含む排出物を生成する可能性が高い1つ又は複数の補助ステーション51,52,53,54を備えてもよい。ヒューム回収処理システム100は、補助ステーション51,52,53,54ごとに、補助吸引ライン151,152,153,154を備える。補助吸引ライン151,152,153,154は、対応する補助ステーション51,52,53,54によって生成された排出物を吸引するように、該補助ステーション51,52,53,54に流体的に接続される。各補助吸引ライン151,152,153,154から回収された排出物は、濾過装置130に直接送られる。
【0125】
本発明は多くの利点を提供し、そのうちのいくつかの利点は上述の通りである。
【0126】
本発明に係る電気アーク炉を備えた製鉄プラント1は、SCR式デノックス装置により効率的にNOxを除去することができるヒューム回収処理システムを備えている。
【0127】
本発明に係る電気アーク炉を備えた製鉄プラント1は、SCR式デノックス装置により効率的にNOxを除去することができるヒューム回収処理システムを備えており、同時に動作信頼性が高く、運転が簡単である。
【0128】
製鉄プラントから発生するヒュームを電気アーク炉で回収して処理する本発明の方法により、プラント自体から発生する排出物から効率よくNOxを低減することができる。
【0129】
したがって、以上のようにして考案された発明により、設定された目的を達成することができる。
【0130】
実施に際しては、本発明の保護範囲から逸脱しない限り、以上で開示したものとは異なる形状および構成をとり得ることは明らかである。
【0131】
さらに、すべての詳細は技術的に同等の要素で置き換え可能であり、必要に応じて任意の大きさ、形状、および材料が使用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気アーク炉(10)とヒューム回収処理システム(100)とを備えた製鉄プラント(1)であって、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記製鉄プラント(1)によって生成されるガス状排出物を回収して処理するように構成されており、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記電気アーク炉(10)内で発生したヒュームを吸引するように前記電気アーク炉(10)に流体的に接続された第1の一次吸引ライン(110)と、少なくとも1つの吸引フード(121)によって前記電気アーク炉(10)の周囲の環境を換気するように構成された二次吸引ライン(120)と、前記ヒューム回収処理システム(100)によって回収された排出物を大気中へ放出する前に濾過するように構成された少なくとも1つの濾過装置(130)とを備え、
前記電気アーク炉(10)は、連続装入システム(11)によって原料が装入され、
前記第1の一次吸引ライン(110)に沿って、前記電気アーク炉(10)から始まって、ヒューム冷却装置(111)、集塵装置(112)、及び、デノックス選択的触媒還元装置(113)が順に配置されており、
前記二次吸引ライン(120)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも下流側、且つ前記少なくとも1つの濾過装置(130)よりも上流側で前記第1の一次吸引ライン(110)に合流している、
製鉄プラント。
【請求項2】
前記第1の一次吸引ライン(110)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも上流側の前記第1の一次吸引ライン(110)の部分を、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)よりも下流側の前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に流体的に接続するバイパスライン(110a)を備える、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項3】
前記バイパスライン(110a)は、前記ヒューム冷却装置(111)と前記集塵装置(112)との間における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分を、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に流体的に接続している、
請求項2に記載の製鉄プラント。
【請求項4】
前記第1の一次吸引ライン(110)には、前記バイパスライン(110a)におけるヒュームの通過を調節するように構成された1つ又は複数のバイパス弁(110b,110c)が設けられ、
少なくとも1つの温度センサ(110d)によって測定される、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームの温度に応じて、前記バイパス弁(110b,110c)の作動が制御システムによって制御される、
請求項2に記載の製鉄プラント。
【請求項5】
前記デノックス選択的触媒還元装置(113)は、
ヒュームが通過するように前記第1の一次吸引ライン(110)に流体的に接続された触媒床(113a)と、
前記触媒床(113a)よりも上流側における前記第1の一次吸引ライン(110)の部分に窒素ベースの試薬を注入するように構成された試薬投与手段(113b)と、を備える、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項6】
前記試薬投与手段(113b)は、少なくとも 1 つの流量計(113c)によって測定される、前記触媒床(113a)に入るヒュームの流量と、少なくとも1つのガス分析器(113d,113e)によって測定される、前記触媒床(113a)の上流側および/または下流側のNOx濃度とに応じて、前記窒素ベースの試薬の投与量を調整するように制御システムによって制御される、
請求項5に記載の製鉄プラント。
【請求項7】
前記ヒューム冷却装置(111)は、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームが前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲内の温度を有するように、調整可能な冷却能力を生成可能に構成されて
いる、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項8】
前記ヒューム冷却装置(111)は、少なくとも1つの温度センサ(110d)によって測定される、前記ヒューム冷却装置(111)から出るヒュームの温度に応じて、制御システムによってフィードバック制御される、
請求項7に記載の製鉄プラント。
【請求項9】
前記ヒューム冷却装置(111)は、シェルアンドチューブ式の熱交換器と複数のファン(111a)とを備え、
前記ファン(111a)の作動は、前記ヒューム冷却装置(111)によって必要とされる冷却能力に従って前記シェルアンドチューブ式の熱交換器上の冷却空気流量を調整するように
、制御システムによって制御される、
請求項7
または請求項8に記載の製鉄プラント。
【請求項10】
少なくとも1つの取鍋炉(20)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、第2の一次吸引ライン(140)を備え、
前記第2の一次吸引ライン(140)は、前記取鍋炉(20)内で発生したヒュームを吸引するように前記取鍋炉(20)に流体的に接続され、且つ、前記ヒューム冷却装置(111)よりも上流において、又は、前記ヒューム冷却装置(111)において前記第1の一次吸引ライン(110)に合流して
いる、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項11】
前記第2の一次吸引ライン(140)は、少なくとも1つのファン(141)を備え、前記ファン(141)の作動は、少なくとも1つの圧力センサ(142)によって測定される前記取鍋炉(20)内の圧力に応じて制御システムによって制御される、
請求項10に記載の製鉄プラント。
【請求項12】
鉄鋼生産活動を動作的に支援するように構成されており、主に煤塵を含む排出物を生成しやすい1つ又は複数の補助ステーション(51,52,53,54)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記補助ステーション(51,52,53,54)ごとに、補助吸引ライン(151,152,153,154)を備え、
前記補助吸引ライン(151,152,153,154)は、対応する前記補助ステーション(51,52,53,54)によって生成された排出物を吸引するように該補助ステーション(51,52,53,54)に流体的に接続され、且つ、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間の部分において前記二次吸引ライン(120)または前記第1の一次吸引ライン(110)に直接的または間接的に合流している、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項13】
前記第1の一次吸引ライン(110)において、前記ヒューム冷却装置(111)よりも上流側にヒューム後燃焼チャンバ(114)が配置されている、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項14】
前記第1の一次吸引ライン(110)は、前記電気アーク炉(10)の炉蓋に作られた穴を通じて、又は、前記連続装入システム(11)の材料供給チャネルを通じて、前記電気アーク炉(10)に流体的に接続されている、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項15】
前記電気アーク炉(10)の前記連続装入システム(11)は、前記電気アーク炉(10)の炉壁または炉蓋に接続可能なタイプのものである、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項16】
前記連続装入システム(11)と前記電気アーク炉(10)との接続ゾーンを閉鎖可能に構成された格納ケーシング(12)を更に備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記格納ケーシング(12)の内部に入り込む空気を吸引するように前記格納ケーシング(12)に流体的に接続されたシール吸引ライン(160)を備え、
前記シール吸引ライン(160)は、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)と前記濾過装置(130)との間の部分において、前記二次吸引ライン(120)に合流するか又は前記第1の一次吸引ライン(110)に直接合流し
ている、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項17】
前記シール吸引ライン(160)は、少なくとも1つの圧力センサ(162)によって測定される前記格納ケーシング(12)内の圧力に応じて作動が制御される少なくとも1つのファン(161)を備える、
請求項16に記載の製鉄プラント。
【請求項18】
前記集塵装置(112)は電気フィルタである、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項19】
前記少なくとも1つの濾過装置(130)はバグフィルタである、
請求項1に記載の製鉄プラント。
【請求項20】
製鉄プラント(1)によって生成されるヒュームを回収して処理する方法であって、
前記製鉄プラント(1)は、少なくとも1つの電気アーク炉(10)と、前記製鉄プラント(1)によって生成されるガス状排出物を回収して処理するように構成されたヒューム回収処理システム(100)とを備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記電気アーク炉(10)内で発生したヒュームを吸引するように前記電気アーク炉(10)に流体的に接続された第1の一次吸引ライン(110)と、少なくとも1つの吸引フード(121)によって前記電気アーク炉(10)の周囲の環境を換気するように構成された二次吸引ライン(120)と、前記ヒューム回収処理システム(100)によって回収された排出物を大気中へ放出する前に濾過するように構成された少なくとも1つの濾過装置(130)とを備え、
前記方法は、
前記二次吸引ライン(120)によって吸引される空気が、前記電気アーク炉(10)から直接来るヒュームによって実質的に汚染されないように、連続装入システム(11)によって、装入段階中の前記電気アーク炉(10)から前記環境へのヒュームの直接放出を防止するステップと、
前記電気アーク炉(10)から吸引されたヒュームを、デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理する前に、前記二次吸引ライン(120)によって吸引されたヒュームで希釈および冷却しないように、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームを、前記二次吸引ライン(120)によって回収されたヒュームと一緒に前記濾過装置(130)に送る前に、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理するステップと、を備え、
前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームを前記デノックス選択的触媒還元装置(113)で処理する前に、前記ヒュームが集塵装置(112)で煤塵から解放されてヒューム冷却装置(111)で冷却されることで、前記ヒュームの温度が、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲内にもたらされる、
方法。
【請求項21】
前記電気アーク炉(10)からの溶鋼の出湯段階中に、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームが、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)をバイパスして前記濾過装置(130)に送られることで、前記デノックス選択的触媒還元装置(113)の動作要件に従った所定の温度範囲を下回る温度を有する低温のヒュームが前記デノックス選択的触媒還元装置(113)に送られないようにする、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記製鉄プラント(1)は、少なくとも1つの取鍋炉(20)を備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記取鍋炉(20)内で発生したヒュームを吸引するように前記取鍋炉(20)に流体的に接続された第2の一次吸引ライン(140)を備え、
前記第2の一次吸引ライン(140)によって回収されたヒュームが、前記ヒューム冷却装置(111)内で冷却される前に、前記第1の一次吸引ライン(110)によって回収されたヒュームと混合される、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記製鉄プラント(1)は、鉄鋼生産活動を動作的に支援するように構成されており、主に煤塵を含む排出物を生成しやすい1つ又は複数の補助ステーション(51,52,53,54)を備え、
前記ヒューム回収処理システム(100)は、前記補助ステーション(51,52,53,54)ごとに、補助吸引ライン(151,152,153,154)を備え、
前記補助吸引ライン(151,152,153,154)は、対応する前記補助ステーション(51,52,53,54)によって生成された排出物を吸引するように該補助ステーション(51,52,53,54)に流体的に接続され、
それぞれの前記補助吸引ライン(151,152,153,154)によって回収された排出物は、前記濾過装置(130)に直接送られる、
請求項20に記載の方法。
【国際調査報告】