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特表2024-521305カーボンナノチューブで結束された高耐摩耗性薄膜コーティングを含む複合研磨パッド及びその製造方法
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  • 特表-カーボンナノチューブで結束された高耐摩耗性薄膜コーティングを含む複合研磨パッド及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブで結束された高耐摩耗性薄膜コーティングを含む複合研磨パッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20240524BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20240524BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B24B37/24 B
B24B37/24 Z
B24B37/24 A
B24B37/26
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571616
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2021016560
(87)【国際公開番号】W WO2023085470
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)精密工学と持続可能な製造(Precision Engineering and Sustainable Manufacturing)に関するオンライン国際シンポジウム(PRESM2020)のプログラムブックおよび予稿集 公開日 :2020年11月16日 (2)CIRP Annals-Manufacturing Technology 70(2021),第273~276頁 公開日 :2021年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】517187924
【氏名又は名称】ケーピーエックス ケミカル カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】ミン ビュンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソクジ
(72)【発明者】
【氏名】キム スングン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジュンヒ
(72)【発明者】
【氏名】カン ミンウ
(72)【発明者】
【氏名】オウ ナムグ
(72)【発明者】
【氏名】キム サンハ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジフン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヒュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン スクキュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンジェ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB04
3C158EB20
3C158EB21
3C158EB28
3C158EB29
5F057AA24
5F057AA25
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB06
5F057EB09
(57)【要約】
本発明は、上部面に成形された多数の突起を含む軟質ポリマー基材層;前記基材層の上部に埋め込まれて結着されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;及び前記カーボンナノチューブ層の上部に外部へ突出したカーボンナノチューブを埋め込んで結着させた硬質ポリマーコーティング層;を含むCMP用複合研磨パッド及びその製造方法を提供する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部面に成形された多数の突起を含む軟質ポリマー基材層;
前記軟質ポリマー基材層の上部に埋め込まれて結着されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;および
前記カーボンナノチューブ層の上部に外部へ突出した前記カーボンナノチューブを埋め込んで結着させた硬質ポリマーコーティング層;を含むCMP用複合研磨パッド。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ層は、前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に垂直方向に埋め込まれた前記カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項3】
前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に垂直方向に埋め込まれた前記カーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ層の全体の前記カーボンナノチューブのうち50%以上であることを特徴とする、請求項2に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ層の前記カーボンナノチューブが前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれたことを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項5】
前記不規則な網状(net form)構造は、前記カーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らして形成された構造であることを特徴とする、請求項4に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項6】
前記軟質ポリマー基材層は、ショア硬度が20D~45Dであり、前記硬質ポリマーコーティング層はショア硬度が45D~70Dであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項7】
前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項9】
前記硬質ポリマーコーティング層の厚さは、1μm~30μmであることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項10】
前記突起は、類似半球状であることを特徴とする、請求項1に記載のCMP用複合研磨パッド。
【請求項11】
(a) カーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板を準備する段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから前記基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして、前記軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、前記カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、前記軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列された前記カーボンナノチューブ層、及び前記硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項12】
前記(f)段階のエンボス処理は、前記多数の突起が陰刻された金型で前記硬質ポリマーコーティング層の上部面を加熱条件下で加圧して行うことを特徴とする、請求項11に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項13】
前記(b)段階及び(e)段階は、真空状態で行うことを特徴とする、請求項11に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項14】
(a) 多数の突起が陰刻された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記金型を脱型する段階;
(d) 前記脱型された面をプラズマエッチングして前記軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、前記カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;及び
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーをコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項15】
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから前記基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして、前記軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、前記カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、前記軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列された前記カーボンナノチューブ層、及び前記硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項16】
前記(f)段階のエンボス処理は、前記多数の突起が陰刻された金型で前記硬質ポリマーコーティング層の上部面を加熱条件下で加圧して行うことを特徴とする、請求項15に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【請求項17】
前記(b)段階及び(e)段階は、真空状態で行うことを特徴とする、請求項14又は15に記載のCMP用複合研磨パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブで結束された高耐摩耗性薄膜コーティングを含む複合研磨パッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing; CMP)は、ウエハやガラスパネルを平坦化、鏡面化する核心工程で、研磨パッドとナノ粒子を含むスラリーの機械的、化学的作用によって研磨を行う。
【0003】
図1は、CMP装置の概略図である。CMP装置は、キャリア(3)が研磨対象物(2、例えば、ウエハ)をしっかりと固定した状態で、回転テーブル(1)に固定された研磨パッド(100)面に前記研磨対象物を加圧して研磨を行う。具体的には、キャリア(3)と回転テーブル(1)がそれぞれ独立して回転する間、液体スラリー(研磨剤)がノズル(5)から研磨パッド(100)に加わり、これにより化学的及び機械的研磨が行われる。また、研磨工程中にコンディショナー(conditioner)(4)が研磨対象物(1)から離隔した位置で研磨パッド(100)に加圧され、研磨パッド(100)の表面を粗くし、研磨パッドの粗い表面状態を維持する。
【0004】
前記CMP装置には、一般的にポリウレタンベースの研磨パッドが使用されている。しかし、従来のポリウレタンベースの研磨パッドは、研磨工程で高硬度のナノ粒子、研磨対象物、およびダイヤモンドコンディショナー(Diamond conditioner)との摩擦によって摩耗が急速に進行し、寿命が短いという欠点がある。また、不規則な表面粗さのため、均一な研磨性能を保証できないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開 第10-2021-0002429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の前記のような問題を解消するために創案されたものであり、研磨性能及び寿命が大幅に向上したCMP用複合研磨パッド及びその効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、
上部面に成形された多数の突起を含む軟質ポリマー基材層;
前記基材層の上部に埋め込まれて結着されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層;および
前記カーボンナノチューブ層の上部に外部へ突出したカーボンナノチューブを埋め込んで結着させた硬質ポリマーコーティング層;を含むCMP用複合研磨パッド。
【0008】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブ層は、前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に垂直方向に埋め込まれたカーボンナノチューブを含んでもよい。
【0009】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に垂直方向に埋め込まれたカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ層の全体のカーボンナノチューブのうち50%以上であってもよい。
【0010】
本発明の一実体態様において、前記カーボンナノチューブ層のカーボンナノチューブは、前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれてもよい。
【0011】
本発明の一実施態様において、前記不規則な網状(net form)構造は、カーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らして形成された構造であってもよい。
【0012】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層は、ショア硬度が20D~45Dであり、前記硬質ポリマーコーティング層は、ショア硬度が45D~70Dであってもよい。
【0013】
本発明の一実施態様において、前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであってもよい。
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであってもよい。
【0014】
本発明の一実施態様において、前記硬質ポリマーコーティング層の厚さは、1μm~50μmであってもよい。
本発明の一実施態様において、前記突起は、類似半球状であってもよい。
【0015】
また、本発明は、
(a) カーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板を準備する段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして、軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列されたカーボンナノチューブ層、および硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の一実施態様において、前記(f)段階のエンボス処理は、多数の突起が陰刻された金型で前記硬質ポリマーコーティング層の上部面を加熱条件下で加圧して行ってもよい。
本発明の一実施態様において、前記(b)段階及び(e)段階は、真空状態で行ってもよい。
【0017】
また、本発明は、
(a) 多数の突起が陰刻された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記金型を脱型する段階;
(d) 前記脱型された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;および
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーをコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして、軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列されたカーボンナノチューブ層、および硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階;を含むCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施態様において、前記(f)段階のエンボス処理は、多数の突起が陰刻された金型で前記硬質ポリマーコーティング層の上部面を加熱条件下で加圧して行ってもよい。
本発明の一実施態様において、前記(b)段階及び(e)段階は、真空状態で行ってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のCMP用複合研磨パッドは、カーボンナノチューブで結束された軟質ポリマー基材層及び硬質ポリマーコーティング層を含むことにより、改善した研磨性能及び寿命を提供する。
【0021】
また、本発明のCMP用複合研磨パッドの製造方法は、前記研磨パッドを効率的に製造することができる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】代表的なCMP装置の構造を示した斜視図である。
図2】本発明の複合研磨パッドの一実施態様を模式的に示した断面図である。
図3】本発明の一実施態様として、複合研磨パッドに含まれる突起の構造を模式的に示した断面図である。
図4】本発明の複合研磨パッドの他の実施態様を模式的に示した断面図である。
図5】本発明の他の実施態様として、複合研磨パッドに含まれる突起の構造を模式的に示した断面図である。
図6】研磨パッドに備えられた微細突起の機械的物性の差による微細突起、研磨粒子、及び研磨対象物の接触様相を模式的に示した図である。
図7】本発明の一実施態様として、複合研磨パッドの製造方法を模式的に示した図である。
図8】本発明の他の実施態様として、複合研磨パッドの製造方法を模式的に示した図である。
図9】本発明により製造された複合研磨パッドに形成された微細突起のSEM写真を示す。
図10】本発明の一実施態様として、複合研磨パッドの切断面を撮影したSEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付の図面を参照にして詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施例に限定されない。明細書の全体に亘って類似した部分については同じ図面符号を付した。
【0024】
ある構成要件が他の構成要件に「連結される、備えられる、又は設けられる」と言及されたときには、その他の構成要件に直接的に連結又は設けられてもよいが、その間に他の構成要件が存在してもよいと理解されるべきである。
【0025】
本発明のCMP用複合研磨パッドは、図2図5に示すように、
上部面に成形された多数の突起を含む軟質ポリマー基材層(10);
前記基材層の上部に埋め込まれて結着されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ層(20);及び
前記カーボンナノチューブ層の上部に外部へ突出したカーボンナノチューブを埋め込んで結着させた硬質ポリマーコーティング層(30);を含むことを特徴とする。
【0026】
図6は、研磨パッドに備えられる微細突起の機械的物性の差によって変わる微細突起、研磨粒子、及び研磨対象物(例えば、ウエハ)の接触様相を示す。
【0027】
図6の(a)に示すように、機械的に柔らかい物性を有する微細突起の場合、変形が容易で広い接触面積を有するが、研磨粒子に十分な荷重を加えないため、研磨対象物の表面を圧入して研磨することができない。また、摩耗しやすく、研磨パッドとして継続的な使用が不可能であるという欠点がある。
【0028】
一方、機械的に強い物性を有する微細突起(例えば、耐摩耗性の大きい素材で製造された微細突起)の場合、図6の(b)に示すように、研磨粒子に荷重を加え、研磨対象物の表面を深く圧入して研磨できるという利点があるが、研磨対象物と広い接触面積を形成できないという欠点がある。
【0029】
したがって、本発明の研究者らは、研磨対象物と広い接触面積を確保しつつ、研磨粒子に十分な負荷を加えることができる微細突起を有する研磨パッドを提供するために努力したところ、図6の(c)に示すように、機械的に柔らかい物性を有する微細突起の表面に機械的に強い物性を有する素材(例えば、耐摩耗性の大きい素材)でコーティング層を形成する場合、前記のような効果が得られることを見い出した。
【0030】
すなわち、前記のような微細突起を含む研磨パッドを使用する場合、柔らかい材質の微細突起部により広い接触面積を確保することができ、表面の高耐摩耗性コーティング層により研磨粒子を深く圧入することができる。したがって、研磨効率と研磨パッドの寿命を延ばすことも可能になる。
【0031】
しかし、前記のような構造を有する微細突起の場合(図6の(c))、従来の微細突起と比較して優れた効果を提供するが、微細突起の基材部の素材とコーティング層の素材が異なるため、これらの間の結合力が弱いという欠点がある。つまり、このような構造の微細突起を有する研磨パッドを実際の研磨工程で使用する場合、コーティング部が基材から分離して長時間の使用が難しいという欠点を有する。また、機械的物性の強いコーティング層の場合、研磨粒子の把持力が不足し、研磨効率を低下させる可能性がある。
【0032】
したがって、本発明の複合研磨パッドは、このような欠点を解決するために、図2図5に示すように、軟質ポリマー基材層(10)と硬質ポリマーコーティング層(30)にカーボンナノチューブを埋め込ませて形成されたカーボンナノチューブ層(20)を含むという特徴を有する。
【0033】
本発明の複合研磨パッドは、前記のような特徴的な構成により、研磨対象物と広い接触面積を有し、研磨粒子を研磨対象物に深く圧入できるという特徴を有する。また、軟質ポリマー基材層及び硬質ポリマーコーティング層がカーボンナノチューブで結束されて強い結合を形成することにより、寿命が大幅に延長されるという特徴を有する。すなわち、前記カーボンナノチューブ層(20)が軟質ポリマー基材層(10)と硬質ポリマーコーティング層(30)との間の結合面積を増加させるので、結合力が増加し、これに伴い研磨パッドの寿命が大幅に延長される。
【0034】
また、前記硬質ポリマーコーティング層に研磨粒子が圧入される場合、硬質ポリマーコーティング層内に位置するカーボンナノチューブが研磨粒子を支持する機能を果たすことにより、研磨粒子の把持力を向上させ、これに伴い、研磨効率も向上させる効果を提供する。
【0035】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブ層(20)は、図2及び図3に示すように、前記軟質ポリマー基材層(10)及び前記硬質ポリマーコーティング層(30)に垂直方向に埋め込まれたカーボンナノチューブ(22)を含んでもよい。
【0036】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層(10)及び前記硬質ポリマーコーティング層(30)に垂直方向に埋め込まれたカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ層の全体のカーボンナノチューブのうち50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であってもよい。
【0037】
前記垂直方向配列のカーボンナノチューブは、例えば、基板上に一定の間隔を有するようにカーボンナノチューブを気相成長させる方法により得られ、前記カーボンナノチューブを軟質ポリマー基材層(10)の上部に埋込み結着させてカーボンナノチューブ層(20)を形成することは、例えば、前記カーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板に軟質ポリマーを前記カーボンナノチューブより高い厚さでコーティングし、前記基板を除去した後、前記基板が除去された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材層を一定の厚さで除去することによって行うことができる。これらの方法に対しては、以下で詳しく説明する。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記垂直方向配列とは、厳密な意味での垂直配列を意味するものではなく、人為的にカーボンナノチューブを垂直方向に近く配列したことを意味する。前記垂直方向配列は、例えば、前記カーボンナノチューブがスパイク状に軟質ポリマー基材層上に配列されたものを含む。具体的には、前記垂直方向配列は、カーボンナノチューブが軟質ポリマー基材層の上部面となす角度が60度~90度、70度~90度、または80度~90度であるものであってもよい。
【0039】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブ層(20)のカーボンナノチューブは、図4及び図5に示すように、前記軟質ポリマー基材層(10)及び前記硬質ポリマーコーティング層(30)に不規則な網状(net form)構造で埋め込まれたものであってもよい。
【0040】
前記不規則な網状(net form)構造は、カーボンナノチューブを一部が重なるように撒き散らして形成された構造であってもよい。前記で撒き散らすという意味は、カーボンナノチューブを分散させて配置させるという意味であり、前記重なるという意味は、カーボンナノチューブの一部が重なって立体構造が強化された形態であることを意味する。
【0041】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層(10)は、ショア硬度が20D~45Dであり、前記硬質ポリマーコーティング層(30)は、ショア硬度が45D~70Dであってもよい。前記軟質ポリマー基材層及び前記硬質ポリマーコーティング層の硬度が前記範囲を満たす場合、突起と研磨対象物との接触面積を広く形成することができるだけでなく、研磨効率も向上することができる。
【0042】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層(10)を形成するショア硬度が20D~45Dである軟質ポリマーの素材としては、ポリウレタン樹脂、UV硬化性樹脂、シリコーン(Silicone)樹脂等からなる群から選択される1種以上が使用されてもよいが、これらに限定されず、本発明に悪影響を及ぼさないものであれば、この分野に公知の素材を制限なく使用してもよい。
【0043】
また、前記硬質ポリマーコーティング層(30)を形成するショア硬度(shore hardness)が45D~70Dである硬質ポリマー素材としては、ポリウレタン樹脂、UV硬化性樹脂、シリコーン(Silicone)樹脂等からなる群から選択される1種以上が使用されてもよいが、これらに限定されず、本発明に悪影響を及ぼさないものであれば、この分野に公知の素材を制限なく使用してもよい。
【0044】
本発明の一実施態様において、前記突起は、最大幅が10μm~500μmであり、高さが3μm~150μmであってもよい。しかし、前記範囲がこの範囲に限定されず、研磨対象物及び研磨条件に応じて適切に調節することができる。
【0045】
本発明の一実施態様において、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~50nmであり、長さが1μm~30μmであってもよい。しかし、前記直径及び長さがこの範囲に限定されず、研磨対象物及び研磨条件に応じて適切に調節することができる。
【0046】
本発明の一実施態様において、前記硬質ポリマーコーティング層(30)の厚さは、1μm~30μm、より好ましくは3μm~20μmであってもよい。前記コーティング層の厚さが前記厚さより薄い場合、摩耗により容易にカーボンナノチューブが露出するので好ましくなく、厚すぎる場合、カーボンナノチューブによる研磨粒子の把持力が低下するので好ましくない。しかし、前記範囲は、カーボンナノチューブの長さ、研磨対象物及び研磨条件に応じて適切に調節することができる。
【0047】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層(10)の厚さは、1mm~20mm、より好ましくは2mm~10mmであってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様において、前記突起は、例えば、半球に類似した形態を有してもよいが、特にその形態は限定されない。前記突起は、図2図5に示すように、軟質ポリマー基材層(10)、垂直方向に配列されたカーボンナノチューブ層(20)、および硬質ポリマーコーティング層(30)を含み、複合研磨パッドの上方向に突出する。
【0049】
本発明の一実施態様において、前記軟質ポリマー基材層(10)と硬質ポリマーコーティング層(30)は、図2及び図5に示すように、前記カーボンナノチューブ層(20)に配置されたカーボンナノチューブ間の空間で互いに接触する構造を有してもよい。
【0050】
本発明の一実施態様において、前記複合研磨パッドは、軟質ポリマー基材層(10)と前記基材層(10)に埋込み結着されたカーボンナノチューブとの間に気孔が存在しない構造を有してもよい。前記気孔が存在しない場合、前記軟質ポリマー基材層(10)と前記基材層(10)に埋込み結着されたカーボンナノチューブとがよりしっかりと結着することができるので好ましい。
【0051】
また、前記複合研磨パッドは、硬質ポリマーコーティング層(30)と前記コーティング層(30)に埋込み結着されたカーボンナノチューブとの間に気孔が存在しない構造を有してもよい。前記気孔が存在しない場合、前記硬質ポリマーコーティング層(10)と前記コーティング層(10)に埋込み結着されたカーボンナノチューブとがよりしっかりと結着することができるので好ましい。
【0052】
また、全体として、前記複合研磨パッドは、前記基材層(10)、カーボンナノチューブ層(20)、およびコーティング層(30)の界面に気孔が存在しない構造を有してもよい。このような構造は、以下に説明するように、真空中で前記層間の結合を形成することによって形成することができる。前記気孔が存在しないという表現は、実質的に気孔が存在しないことを意味することもある。
【0053】
本発明は、また、CMP用複合研磨パッドの製造方法を提供し、前記製造方法は、図7に示すように、次の(a)~(f)の段階を含むことができる:
(a) カーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板を準備する段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列されたカーボンナノチューブ層、及び硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階
【0054】
前述したCMP用複合研磨パッドに関する内容は、前記製造方法にそのまま適用することができる。したがって、重複する説明は省略する。
【0055】
前記(a)段階でカーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板は、例えば、シリコン基板または金属箔基板などの基板上に物理気相蒸着法(Physical Vapor Deposition; PVD)によってFe/Alのような触媒層を形成し、前記触媒層が形成された基板上に化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition; CVD)によって垂直方向に配列されたカーボンナノチューブを形成する方法で作製することができる。しかし、カーボンナノチューブが垂直方向に配列された基板の製造方法は前記方法に限定されず、この分野に公知の方法で製造してもよい。
【0056】
前記(b)段階及び(e)段階のコーティングは、この分野に公知の方法で実施することができる。例えば、スピンコーティング、スプレーコーティングなどの方法でコーティングしてもよく、その他、この分野に公知の方法でコーティングを行ってもよい。
【0057】
前記(c)段階の基板分離は、例えば、機械的なシリコン分離(離型)、シリコンエッチングなどの方法で行ってもよい。
前記(d)段階のプラズマエッチング方法は特に限定されず、この分野に公知の方法を用いて行うことができる。
【0058】
前記(f)段階のエンボス処理は、多数の突起が陰刻された金型で前記硬質ポリマーコーティング層の上部面を加熱条件下で加圧する方法で行ってもよい。具体的には、図7に示すように、マイクロパターンが形成された金型を使用して行うことができる。このとき、前記金型に熱を供給して、金型が加熱された状態でエンボス処理を行うことができる。このとき、前記金型の温度は200~250℃で行ってもよいが、これに限定されない。前記金型は、ニッケル、銅などの金属素材で製造されたものを使用してもよく、前記マイクロパターンは、微小電気機械システム(Micro Electro-Mechanical System; MEMS)工程を活用して製作してもよい。
【0059】
前記方法により製造された複合研磨パッドは、図9のSEM写真に示すような突起を有する。また、図10に示すような内部構造を有する。前記図10を参照すると、本発明の複合研磨パッドは、カーボンナノチューブ(22)によって軟質ポリマー基材層(10)と硬質ポリマーコーティング層(30)が結着された形態であることを確認できる。
【0060】
本発明の一実施態様において、前記(b)段階及び(e)段階の一つ以上は、真空状態で行ってもよい。真空状態でコーティングが行われる場合、カーボンナノチューブと軟質ポリマー基材層との間に気孔が形成されることを防止することができ、これにより、カーボンナノチューブがより強く埋込み結着することができるので好ましい。
【0061】
本発明は、また、他のCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供し、前記製造方法は、図8に示すように、次の(a)~(e)の段階を含むことができる:
(a) 多数の突起が陰刻された金型にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記金型を脱型する段階;
(d) 前記脱型された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;および
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーをコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階
前述したCMP用複合研磨パッド、その製造方法に関する内容は、前記製造方法にそのまま適用することができる。したがって、重複する説明は省略する。
【0062】
前記(a)段階のカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす方法は、この分野に公知の方法で行うことができる。例えば、図8に示すように、ノズルを通してカーボンナノチューブを金型に噴射する方法で行うことができる。このとき、カーボンナノチューブは溶媒に分散された形で噴射することもできる。前記溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
前記(b)、(d)及び(e)の段階は、前述した他の方法と同様に実施することができる。
【0063】
本発明は、また、他のCMP用複合研磨パッドの製造方法を提供し、前記製造方法は、次の(a)~(f)の段階を含むことができる:
(a) 基板上にカーボンナノチューブを互いに一部が重なるように撒き散らす段階;
(b) 前記カーボンナノチューブの上部に軟質ポリマーをコーティングして、上部面が平らな軟質ポリマー基材層を形成する段階;
(c) 前記カーボンナノチューブから基板を分離して除去する段階;
(d) 前記基板が除去された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材の一定の厚さを除去することにより、カーボンナノチューブの一部を露出させる段階;
(e) 前記カーボンナノチューブが露出された面に硬質ポリマーを上部面が平らにコーティングして硬質ポリマーコーティング層を形成する段階;および
(f) 前記硬質ポリマーコーティング層の上部面の方向でエンボス処理を行い、軟質ポリマー基材層、垂直方向に配列されたカーボンナノチューブ層、及び硬質ポリマーコーティング層を含む多数の突起を成形する段階
【0064】
前述したCMP用複合研磨パッド及び他の製造方法に関する内容は、前記製造方法にそのまま適用することができる。したがって、重複する説明は省略する。
【0065】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0066】
実施例1:複合研磨パッドの製造
525μmの厚さのシリコン基板上に物理気相蒸着法(Physical Vapor Deposition; PVD)によりFe/Al触媒層を蒸着し、前記基板上に化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition; CVD)により垂直方向に配列された直径が約10nmであり、長さが3μmの多層カーボンナノチューブが形成された基板を準備した。このとき、前記カーボンナノチューブは~1011個/cmの密度に形成されたことを確認した。
【0067】
前記基板に垂直方向に配列されたカーボンナノチューブの上部にショア硬度が30Dのポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下で塗布し、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さ5mmの軟質ポリマー基材層を形成した。
【0068】
前記軟質ポリマー基材層を硬化させた後、シリコンを機械的に分離し、カーボンナノチューブをポリウレタンに転写した。次に、前記基板が除去された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材を1μmの厚さで除去し、カーボンナノチューブを露出させた。その後、前記カーボンナノチューブが露出された面にショア硬度が45Dのポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 45D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下でスピンコーティングにより塗布し、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5μmの硬質ポリマーコーティング層を形成した。
【0069】
前記硬質ポリマーコーティング層を硬化させた後、半径が50μmの多数の半球状突起が陰刻された金型を使用して200℃で加圧し、エンボス処理を行い、本発明の複合研磨パッドを製造した。
【0070】
実施例2:複合研磨パッドの製造
イソプロピルアルコールにカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製した。次に、半径が50μmの多数の半球状突起が陰刻された金型に空圧ノズルを用いて前記分散液を塗布した。前記カーボンナノチューブが塗布された金型の上にショア硬度が30Dであるポリウレタン樹脂(50μm)を真空雰囲気下で塗布し、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5mmの軟質ポリマー基材層を形成した。
【0071】
前記軟質ポリマー基材層を硬化させた後、金型を分離して除去した。次に、前記金型が除去された面をプラズマエッチングして、軟質ポリマー基材を1μmの厚さで除去し、カーボンナノチューブを露出させた。その後、前記カーボンナノチューブが露出された面にショア硬度が45Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 45D、製造社:Smooth-On)をスピンコーティングで塗布して、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5μmの硬質ポリマーコーティング層を形成した。
【0072】
実施例3:複合研磨パッドの製造
イソプロピルアルコールにカーボンナノチューブを分散させてカーボンナノチューブ分散液を調製した。次に、60℃に加熱されたホットプレート上に置かれたポリプロピレン基板上に空圧ノズルを用いて前記分散液を塗布した。前記カーボンナノチューブが塗布された金型の上に、ショア硬度が30Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を真空雰囲気下で塗布して、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5mmである軟質ポリマー基材層を形成した。
【0073】
前記軟質ポリマー基材層を硬化させた後、前記基板を分離して除去した。次に、前記基板が除去された面をプラズマエッチングして軟質ポリマー基材を1μmの厚さで除去し、カーボンナノチューブを露出させた。その後、前記カーボンナノチューブが露出された面にショア硬度が45Dであるポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 45D、製造社:Smooth-On)をスピンコーティングで塗布して、カーボンナノチューブの上端部を基準として厚さが5μmの硬質ポリマーコーティング層を形成した。
【0074】
前記硬質ポリマーコーティング層を硬化させた後、半径が50μmの多数の半球状突起が陰刻された金型を使用して200℃で加圧し、エンボス処理を行い、本発明の複合研磨パッドを製造した。
【0075】
比較例1:複合研磨パッドの製造
ショア硬度が30Dのポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 30D、製造社:Smooth-On)を塗布し、厚さが5mmの軟質ポリマー基材層を形成した。
【0076】
前記軟質ポリマー基材層を硬化させた後、前記軟質ポリマー基材層の上部にショア硬度が45Dのポリウレタン樹脂(商品名:Smooth-CastTM 45D、製造社:Smooth-On)を塗布して、厚さが5μmの硬質ポリマーコーティング層を形成した。
【0077】
前記硬質ポリマーコーティング層を硬化させた後、半径が50μmの多数の半球状突起が陰刻された金型を使用して200℃で加圧し、エンボス処理を行い、複合研磨パッドを製造した。
【符号の説明】
【0078】
1:回転テーブル
2:ウエハ
3:キャリア(回転ヘッド)
4:コンディショナー
5:ノズル
10:軟質ポリマー基材層
20:カーボンナノチューブ層
22:カーボンナノチューブ
30:硬質ポリマーコーティング層
100:複合研磨パッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】