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特表2024-521321適応型吸引流量制御を伴う外科用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】適応型吸引流量制御を伴う外科用システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240524BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20240524BHJP
   A61B 17/32 20060101ALN20240524BHJP
   A61B 18/12 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
A61M1/00
F04B49/10 311
A61B17/32
A61B18/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572923
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022030885
(87)【国際公開番号】W WO2022251332
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/330,054
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フジェーレル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フロイド,エドウィン
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ケネス
【テーマコード(参考)】
3H145
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
3H145AA22
3H145BA31
3H145BA45
3H145CA02
3H145CA06
3H145EA13
3H145EA14
3H145EA42
4C077AA30
4C077DD01
4C077JJ08
4C077JJ16
4C077KK30
4C160KK57
(57)【要約】
外科用デバイスの適応型流量制御システムであって、制御システムは、手持ち式外科用デバイスから下流に延在する吸引導管上に位置決めされ、流量を測定するとともに、吸引導管内の詰まりを低減するように構成される1つ以上の非侵襲センサーを備える、適応型流量制御システムが開示される。非侵襲センサーは、手持ち式外科用デバイスシステムのコントローラーに、吸引システムの詰まりを防止するために、適応型流量制御システムからのデータの少なくとも一部に基づいて手持ち式外科用デバイスの動作を制御することを可能にするように、データを提供することができる。適応型流量制御システムは、詰まり追跡モジュール及び詰まり予測モジュールを備えることもできる。適応型流量制御システムは、外科用デバイスシステムの他の構成要素と通信するように構成される無線通信システムを備えることができ、外部ネットワーク及びインターネット上のリソースと通信することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイス(18)の適応型流量制御システム(10)であって、
手持ち式外科用デバイス(18)から下流に延在する吸引導管(16)上に配置されるように構成される、少なくとも1つの非侵襲センサー(14)を備え、
少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記適応型流量制御システム(10)の少なくとも1つのコントローラー(19)にデータを提供し、それにより、少なくとも1つの前記コントローラー(19)が、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)によって提供される前記データの少なくとも一部に基づいて、前記適応型流量制御システム(10)の少なくとも1つの構成要素の動作を制御することを可能にする、適応型流量制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、前記適応型流量制御システム(10)の少なくとも1つの前記構成要素は、吸引ポンプ(40)を制御するように構成される少なくとも1つの吸引システムコントローラー(41)を備える、適応型流量制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、前記適応型流量制御システム(10)の少なくとも1つの前記構成要素は、少なくとも1つの手持ち式外科用デバイス(18)を制御するように構成される少なくとも1つのデバイスコントローラー(20)を備える、適応型流量制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)の外面(42)上にスナップ留めされるように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項5】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)内を流れる流体の密度を検知するように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)内を流れる流体速度を検知するように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、少なくとも1つの前記吸引導管(16)を通って流れる物質の温度を検知するように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項8】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、前記吸引導管(16)内の詰まりの場所を追跡するように構成される詰まり追跡モジュール(26)をさらに備え、前記詰まり追跡モジュール(26)は、前記吸引導管(16)内の詰まりの場所を追跡するために、前記吸引導管(16)に沿って配置されるように構成される複数の非侵襲センサー(14)を備える、適応型流量制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、将来的な詰まりの場所を、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からのデータの少なくとも一部に基づいて予測するように構成される、詰まり予測モジュール(28)をさらに備える、適応型流量制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の適応型流量制御システム(10)であって、前記詰まり予測モジュール(28)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)によって生成された濃度データから、前記適応型流量制御システム(10)の流体によって確定される密度値に基づいて、前記吸引導管(16)内の詰まりを予測するように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、ユーザーから、詰まり除去機能を作動させる少なくとも1つの入力を受信するように構成されるユーザー入力受信部(54)をさらに備え、前記適応型流量制御システム(10)は、速度を増大して、より大きな真空をもたらすように、前記吸引ポンプ(40)を作動させるように構成される、適応型流量制御システム。
【請求項12】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、前記非侵襲センサー(14)を収容するとともに、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)から無線通信を介してデータを受信するように構成される、インターフェースハウジング(64)をさらに備える、適応型流量制御システム。
【請求項13】
請求項1に記載の適応型流量制御システム(10)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からデータを受信するとともに、前記適応型流量制御システム(10)の少なくとも1つの構成要素の動作を制御するように構成される少なくとも1つの前記コントローラー(20)に、前記データを送信するように構成される、無線通信システム(60)をさらに備える、適応型流量制御システム。
【請求項14】
外科用デバイスシステム(22)であって、
作動要素(38)を備える手持ち式外科用デバイス(18)と、
吸引ポンプ(40)と、吸引システムコントローラー(41)と、前記手持ち式外科用デバイス(18)から前記吸引ポンプ(40)に延在する吸引導管(16)とを備える吸引システム(24)と、
前記吸引導管(16)上で前記手持ち式外科用デバイス(18)の前記作動要素(38)の下流に配置される少なくとも1つの非侵襲センサー(14)を備える適応型流量制御システム(10)と、
を備え、
少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引ポンプ(40)の動作を制御する前記吸引システムコントローラー(41)と通信し、前記吸引ポンプ(40)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)によって提供されるデータの少なくとも一部に基づいて、ポンプ動作を介して前記吸引導管(16)内の吸引を制御するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項15】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記手持ち式外科用デバイス(18)を制御する少なくとも1つのデバイスコントローラー(20)と通信し、少なくとも1つの前記デバイスコントローラー(20)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)によって提供されるデータの少なくとも一部に基づいて、少なくとも1つの前記手持ち式外科用デバイス(18)の動作を制御するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項16】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)上で前記手持ち式外科用デバイス(18)と前記吸引ポンプ(40)との間に配置される、外科用デバイスシステム。
【請求項17】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)の外面(42)上にスナップ留めされる、外科用デバイスシステム。
【請求項18】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記手持ち式外科用デバイス(18)内に配置される、外科用デバイスシステム。
【請求項19】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)内の閉塞の可能性がある場所に配置され、前記適応型流量制御システム(10)が、前記吸引導管(16)内の詰まりを検出することを可能にする、外科用デバイスシステム。
【請求項20】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)内のトラブルの可能性がある箇所の上流に配置され、丸塊によって前記吸引導管(16)を通る流れが停止する前に、前記適応型流量制御システム(10)が前記丸塊を検出することを可能にする、外科用デバイスシステム。
【請求項21】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からのデータにより、前記適応型流量制御システム(10)が流体速度を確定することを可能にする、外科用デバイスシステム。
【請求項22】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からのデータにより、前記適応型流量制御システム(10)が流体密度を確定することを可能にする、外科用デバイスシステム。
【請求項23】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からのデータにより、前記適応型流量制御システム(10)が流体温度を確定することを可能にする、外科用デバイスシステム。
【請求項24】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、前記吸引導管(16)内の詰まりの場所を追跡するように構成される詰まり追跡モジュール(26)をさらに備え、前記詰まり追跡モジュール(26)は、前記吸引導管(16)内の詰まりの場所を追跡するために、前記吸引導管(16)に沿って配置される複数の非侵襲センサー(14)を備える、外科用デバイスシステム。
【請求項25】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、将来的な詰まりの場所を、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からのデータの少なくとも一部に基づいて予測するように構成される詰まり予測モジュール(28)をさらに備える、外科用デバイスシステム。
【請求項26】
請求項25に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記詰まり予測モジュール(28)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)によって生成された濃度データから、前記適応型流量制御システム(10)の流体によって確定される密度値に基づいて、前記吸引導管(16)内の詰まりを予測するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項27】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、ユーザーから、詰まり除去機能を作動させる少なくとも1つの入力を受信するように構成されるユーザー入力受信部(54)をさらに備え、前記適応型流量制御システム(10)は、速度を増大して、より大きな真空をもたらすように前記吸引ポンプ(40)を作動させるように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項28】
請求項27に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、前記作動要素(38)における窓(44)を閉鎖して、前記吸引導管(16)内の前記真空をさらに増大させるように、デバイスコントローラー(20)と通信するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項29】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、前記手持ち式外科用デバイス(18)内に配置されるローラーバルブ(56)をさらに備え、ユーザーが、前記ローラーバルブ(56)の回転運動を介して前記吸引導管(16)を通る吸引を制御することを可能にし、前記適応型流量制御システム(10)は、前記ローラーバルブ(56)の運動によって生じる前記吸引の低減を検知するとともに、前記吸引ポンプ(40)に、速度を増大して、より大きな真空をもたらすための信号を送信するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項30】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、前記非侵襲センサー(14)を収容するとともに、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)から無線通信を介してデータを受信するように構成される、インターフェースハウジング(64)をさらに備える、外科用デバイスシステム。
【請求項31】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)からデータを受信するとともに、前記システム(22)の少なくとも1つの構成要素の動作を制御するように構成される少なくとも1つの外科用コンソールに、前記データを送信するように構成される、通信システム(60)をさらに備える、外科用デバイスシステム。
【請求項32】
請求項31に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記通信システム(60)は、無線通信を介して通信するように構成される、外科用デバイスシステム。
【請求項33】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、前記適応型流量制御システム(10)は、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)を前記吸引システムコントローラー(41)と通信させるデータバス(72)をさらに備える、外科用デバイスシステム。
【請求項34】
請求項14に記載の外科用デバイスシステム(22)であって、少なくとも1つの前記非侵襲センサー(14)は、前記吸引導管(16)内を流れる物体の画像を捕捉するように構成されるカメラ(80)である、外科用デバイスシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、手持ち式回転医療デバイスの吸引システムに関し、より詳細には、手持ち式外科用デバイスを保守する吸引システムの動作監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式回転医療デバイスは、作動端部を備え、この作動端部は、患者の身体から硬組織又は軟組織を除去するように構成されるシェーバー又はバー(burrs)であることが多い。これらのデバイスの多くは、軟組織を除去するように構成される。吸引システムは、患者内の手術部位から流体及び組織を除去する。従来の吸引システムは、流量を直接測定はせず、吸引システム内の吸引ポンプの動作速度に基づいて流量を推定する。しかしながら、吸引ポンプの動作及び吸引ポンプの速度がわかっても、吸引システム内の吸引流体についての実際が知れるわけではない。多くの手持ち式デバイスは、吸引流体が冷却のために作動要素を通過し、デバイスを通るように構成される。患者における手術部位からの組織及び他の物質により、吸引導管が詰まる場合があり、それが手持ち式デバイス及び吸引ポンプの過熱を引き起こすおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
外科用デバイスの適応型流量制御システムであって、制御システムは、手持ち式外科用デバイスから下流に延在する吸引導管上に配置されて、流量を測定するとともに、吸引導管内の詰まりを低減するように構成される、1つ以上の非侵襲センサーを備える、適応型流量制御システムが開示される。非侵襲センサーは、吸引システムの詰まりを防止するために、適応型流量制御システムからのデータの少なくとも一部に基づいて、吸引システムコントローラーが吸引ポンプを制御するか、若しくは手持ち式外科用デバイスシステムのデバイスコントローラーが手持ち式外科用デバイスを制御するか、又はその双方を可能にするように、データを提供することができる。適応型流量制御システムは、吸引導管を通って流れる丸塊及び詰まりを追跡する詰まり追跡モジュールと、吸引導管内での詰まりの形成の発生を予測する詰まり予測モジュールとを備えることもできる。適応型流量制御システムは、外科用システムの他の構成要素と通信するように構成される無線通信システムを備えることができ、外部ネットワーク及びインターネット上のリソースと通信することができる。
【0004】
適応型流量制御システムは、限定はしないがシェーバー又はRFプローブとすることができる手持ち式外科用デバイスの作動要素から、下流に延在する、吸引導管上に配置されるように構成される、1つ以上の非侵襲センサーを備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサーは、吸引導管に取外し可能に取り付けることができ、少なくとも1つの実施形態において、締まり嵌め等を介して吸引導管の外面上にスナップ留めすることができる。非侵襲センサーは、吸引システムコントローラーにデータを提供することができ、それにより、吸引システムコントローラーが、非侵襲センサーによって生成されたデータの少なくとも一部に基づいて吸引ポンプを制御することを可能にするか、若しくは、デバイスコントローラーにデータを提供することができ、それにより、デバイスコントローラーが、非侵襲センサーによって生成されたデータの少なくとも一部に基づいて手持ち式外科用デバイスを制御することを可能にするか、又はその双方である。非侵襲センサーは、限定はしないが、超音波センサー、無線センサー、又は充電可能であり得るバッテリ給電センサーとすることができる。少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサーは、手持ち式外科用デバイス内の吸引流体の流れを検出し、それにより、吸引システムによって手持ち式外科用デバイスの冷却を監視するように、手持ち式外科用デバイス内に位置決めすることができ、それにより、手持ち式外科用デバイスは、高速で安全に動作することができる。
【0005】
適応型流量制御システムは、作動要素を備える手持ち式外科用デバイスと、吸引ポンプ及び手持ち式外科用デバイスから吸引ポンプに延在する吸引導管を備える吸引システムとを備える外科用システム内に組み込むことができる。適応型流量制御システムは、吸引上に配置される1つ以上の非侵襲センサーを備えることができ、非侵襲センサーは、吸引ポンプの動作を制御するコントローラーと通信する。吸引ポンプは、非侵襲センサーによって提供されるデータの少なくとも一部に基づいて、吸引ポンプ動作を介して吸引を制御するように構成することができる。適応型流量制御システムは、人工知能及び他の適切なプロトコルを介して、非侵襲センサーのうちの1つ以上によって得られたデータを処理するように構成することができる。
【0006】
非侵襲センサーは、吸引導管内を流れる流体の密度を検知するように構成することができる。非侵襲センサーは、電波、音波等によるドップラー効果等によって、吸引導管内を流れる流体速度を検知するように構成することもできる。非侵襲センサーは、少なくとも1つの吸引導管を通って流れる物質の温度を検知するように構成することができる。適応型流量制御システムは、吸引導管内を流れる物体の画像を捕捉するように構成されるカメラを備えることもできる。捕捉された画像データを、例えば、限定はしないが人工知能及び他の撮像処理システムを介して処理して、例えば、限定はしないが血液、骨、組織、金属等、吸引導管内の物質における粒子の性質を確定することができる。
【0007】
非侵襲センサーは、適応型流量制御システムが吸引導管内の丸塊を検出することを可能にするように、吸引導管内の閉塞の可能性がある場所に配置することができる。特に、非侵襲センサーは、吸引導管に沿った様々なトラブルの可能性がある箇所、例えば、限定はしないが吸引導管の内径が変化する場所、例えば、2つの異なるセクション間の接続部等、物質が停滞し得る場所に、配置することができる。非侵襲センサーは、吸引導管内のトラブルの可能性がある箇所の上流に配置され、適応型流量制御システムが、丸塊によって吸引導管を通る流れが停止する前に丸塊を検出し、吸引導管の閉塞を防止するように調整を行うことを可能にすることができる。適応型流量制御システムは、非侵襲センサーからの入力に基づいて、丸塊の速度、密度、及び場所を確定するように構成することができる。
【0008】
適応型流量制御システムは、吸引導管内の丸塊若しくは詰まり又はその双方の場所を追跡するように構成される、詰まり追跡モジュールを備えることもできる。詰まり追跡モジュールは、吸引導管内の丸塊又は詰まりの場所を追跡するために吸引導管に沿って配置される複数の非侵襲センサーを備えることができる。詰まり追跡モジュールは、任意の望ましいユーザーインターフェースにおいてユーザーが視認可能な結果を生成することができる。
【0009】
適応型流量制御システムは、将来的な詰まりの場所を、非侵襲センサーからのデータの少なくとも一部に基づいて予測するように構成される、詰まり予測モジュールを備えることができる。詰まり予測モジュールは、非侵襲センサーによって生成された濃度データから適応型流量制御システムの流体によって確定される密度値に基づいて、吸引導管内の詰まりを予測するように構成することができる。詰まり予測モジュールは、任意の望ましいユーザーインターフェースにおいてユーザーが視認可能な結果を生成することができる。
【0010】
適応型流量制御システムは、ユーザーから、詰まり除去機能を作動させる1つ以上の入力を受信するように構成されるユーザー入力受信部を備えることができ、適応型流量制御システムは、閉塞した管路を一掃するように吸引ポンプを作動させるように構成される。少なくとも1つの実施形態において、ユーザーは、単一の入力、例えば、限定はしないが単一の作動を提供し、閉塞した管路を一掃するように吸引ポンプを作動させることができる。少なくとも1つの実施形態において、詰まり除去機能を作動させることで、吸引ポンプの速度が増大して、より大きな真空がもたらされ、閉塞を防止する又は閉塞を取り除く。適応型流量制御システムは、手持ち式外科用デバイスの作動要素における窓を閉鎖して、吸引導管内の真空をさらに増大させるように、デバイスコントローラーと通信するように構成することができる。作動要素における窓を閉鎖することで、吸引導管内の真空が増大し、吸引システム内で大きな流動がもたらされる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、適応型流量制御システムは、手持ち式外科用デバイス内に配置されるローラーバルブを備え、ユーザーが、ローラーバルブの回転運動を介して吸引導管を通る吸引を制御することを可能にすることができる。適応型流量制御システムは、ローラーバルブの運動によって生じる吸引の低減を検知するとともに、吸引ポンプに、速度を増大して、より大きな真空をもたらすための信号を送信するように構成することができる。
【0012】
適応型流量制御システムは、非侵襲センサーからデータを受信するとともに、1つ以上の制御システム、例えば、限定はしないが、吸引ポンプの動作を制御するように構成される吸引コントローラー、手持ち式外科用デバイスの動作を制御するように構成されるデバイスコントローラー等にデータを送信するように構成される、通信システムを備えることができる。特に、通信システムは、1つ以上の非侵襲センサー、1つ以上の手持ち式外科用デバイス、1つ以上の吸引コントローラー、1つ以上のデバイスコントローラー、及び1つ以上の外部ネットワーク、例えば限定はしないがリモートサーバー、インターネット、クラウドストレージプラットホーム、及びAMAZON WEB SERVICES等に、データを送信するか、若しくはそれらからデータを受信するか、又はその双方を行うことができる。通信システムは、有線通信又は無線通信、例えば、限定はしないが無線周波数信号、例えば、限定はしないがBLUETOOTH(登録商標)を介して通信するように構成される。通信システムは、限定はしないが、吸引導管内の吸引流体の流速、吸引流体の流れ密度、吸引流体の流れ温度、及び吸引流体の圧力を含むデータを、送受信するように構成することができる。適応型流量制御システムは、少なくとも1つの非侵襲センサーを吸引コントローラー、デバイスコントローラー、並びに他のデバイス及びシステムと通信させるデータバスを備えることもできる。
【0013】
適応型流量制御システムの利点は、システムが、吸引導管を詰まらせる可能性なしに、手持ち式外科用デバイスの作動要素から離れて吸引導管内を搬送される物質の様々なパラメーターを検知する、非侵襲センサーを備えることである。
【0014】
適応型流量制御システムの別の利点は、非侵襲センサーを、吸引導管の長さに沿った任意の場所において、吸引導管の外面上に解除可能にスナップ留めすることができることである。したがって、非侵襲センサーは、詰まり及び丸塊を検出するセンサーの有効性を増大させるために、吸引導管の長さに沿って再位置決めすることができる。
【0015】
適応型流量制御システムのさらに別の利点は、システムが、吸引導管内の詰まり又は丸塊の場所を追跡するために、吸引導管に沿って配置される複数の非侵襲センサーを備える、詰まり追跡モジュールを備えることができることである。
【0016】
適応型流量制御システムの別の利点は、システムが、詰まり点の上流に配置される1つ以上の非侵襲センサーを備えることができ、それにより、システムが、詰まり点に達する前に詰まりを識別し、吸引システム及び作動要素の調整を行うことで、吸引導管を詰まらせないことを確実にすることができることである。
【0017】
適応型流量制御システムのまた別の利点は、システムが、詰まりの発生を予測し、吸引システム及び作動要素の調整を行うことで、吸引導管を詰まらせないことを確実にすることができることである。
【0018】
これらの実施形態及びその他の実施形態を、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、適応型流量制御システムの概略図である。
図2図2は、適応型流量制御システムの斜視図である。
図3図3は、図2に示されている手持ち式外科用デバイスの部分組立平面図である。
図4図4は、図3の4-4切断線に沿った手持ち式外科用デバイスの部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図4に示されているように、手持ち式外科用デバイスシステム22の適応型流量制御システム10であって、手持ち式外科用デバイス18から下流に延在する吸引導管16上に配置され、流量を測定するとともに、吸引導管16内の詰まりを低減するように構成される1つ以上の非侵襲センサー14を備える、適応型流量制御システム10が開示される。非侵襲センサー14は、適応型流量制御システム10若しくは手持ち式外科用デバイスシステム22又はその双方の、1つ以上のコントローラー19にデータを提供することができ、コントローラー19が、吸引システム24の詰まりを防止するために、非侵襲センサー14からのデータの少なくとも一部に基づいて動作することができるようになっている。特に、非侵襲センサー14は、吸引システム24の詰まりを防止するために、適応型流量制御システム10からのデータの少なくとも一部に基づいて、吸引システムコントローラー41が吸引ポンプ40を制御するか、若しくは手持ち式外科用デバイスシステム22のデバイスコントローラー20が手持ち式外科用デバイス18を制御するか、又はその双方を可能にするように、データを提供することができる。適応型流量制御システム10は、吸引導管16を通って流れる丸塊及び詰まりを追跡する詰まり追跡モジュール26と、吸引導管16内での詰まりの形成の発生を予測する詰まり予測モジュール28とを備えることもできる。適応型流量制御システム10は、手持ち式外科用デバイスシステム22の他の構成要素と通信するように構成される無線通信システムを備えることができ、外部ネットワーク32及びインターネット上のリソースと通信することができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態において、図1及び図2に示されているように、適応型流量制御システム10は、適応型流量制御システム10若しくは手持ち式外科用デバイスシステム22又はその双方の、1つ以上のコントローラー19にデータを提供するように構成することができる。コントローラー19は、限定はしないが、1つ以上の吸引システムコントローラー41、1つ以上のデバイスコントローラー20、他のコントローラー、又はそれらの任意の組合せとすることができる。1つ以上のコントローラー19は、限定はしないが、吸引システム24の構成要素21及び手持ち式外科用デバイスシステム22の構成要素21を含む、適応型流量制御システム10の1つ以上の構成要素21を制御するように構成することができる。吸引システム24の構成要素21は、限定はしないが、1つ以上の吸引ポンプ40を含むことができる。手持ち式外科用デバイスシステム22の構成要素21は、限定はしないが、1つ以上の手持ち式外科用デバイス18を含むことができる。
【0022】
手持ち式外科用デバイス18のデバイスコントローラー20は、コンソール内に組み込むか又は別様に配置することができる。手持ち式外科用デバイス18は、例えば限定はしないがシェーバー、バー、ブレード等の任意の適切な作動要素38を備える、任意の手持ち式デバイス18、例えば限定はしないがシェーバー34、RFプローブ等の電気手術プローブ36等とすることができる。少なくとも1つの実施形態において、手持ち式外科用デバイスシステム22は、複数の手持ち式外科用デバイス18を有することができる。複数の手持ち式外科用デバイス18は、単一のデバイスコントローラー20を介して制御することができるか、又はそれぞれ固有の専用デバイスコントローラー20を用いて制御することができる。
【0023】
吸引システム24は、1つ以上の吸引ポンプ40と、手持ち式外科用デバイス18から吸引ポンプ40に延在する吸引導管16とを備えることができる。吸引ポンプ40は、手術部位から吸引導管16に物質を吸引するように構成することができる。吸引ポンプ40は、1つ以上の吸引システムコントローラー41を介して制御することができる。代替的に、吸引ポンプ40は、手持ち式外科用デバイス18を制御する同じデバイスコントローラー20、又は別個のコントローラーを介して、制御してもよい。非侵襲センサー14は、吸引ポンプ40の動作を制御する吸引システムコントローラー41と通信することができ、吸引ポンプ40が、非侵襲センサー14によって提供されるデータの少なくとも一部に基づいて、吸引ポンプ動作を介して吸引システム24内の吸引を制御するように構成されるようになっている。吸引システムコントローラー41は、吸引コンソール内に収容するか、外科用デバイスコンソール46内に含むか、又は別様に配置することができる。
【0024】
適応型流量制御システム10は、作動要素38の下流の吸引導管16上に配置されるように構成される1つ以上の非侵襲センサー14を備えることができる。非侵襲センサー14は、限定はしないが、超音波センサー又は他の適切なセンサーとすることができる。非侵襲センサー14は、有線センサー又は無線センサーとすることができる。無線非侵襲センサー14は、取付け場所が限られ得るワイヤを考慮することなく、センサー14を吸引導管16に沿って任意の所望の位置に配置することができるような柔軟性をもたらす。非侵襲センサー14は、場合によっては充電可能であるバッテリ給電センサーとすることができる。非侵襲センサー14には、限定はしないが公共電源等の外科手術室電源を介して給電することもできる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサー14は、吸引導管16上で手持ち式外科用デバイス18の下流に配置することができる。非侵襲センサー14は、吸引導管16上で手持ち式外科用デバイス18と吸引ポンプ40との間に配置することができる。非侵襲センサー14は、センサー14が吸引導管16の外面42上にスナップ留めされるように構成することができる。吸引導管16は、限定はしないが、可撓性チューブから形成することができる。少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサー14は、吸引導管16を形成するチューブ上にスナップ留めすることができる。したがって、非侵襲センサー14は、吸引導管16に解除可能に取り付けることができ、それにより、より良好な結果をもたらすために、非侵襲センサーを全体的に取り外すか、又は吸引導管16を形成するチューブ上の別の場所に再配置することを可能にする。
【0026】
別の実施形態において、非侵襲センサー14は、手持ち式外科用デバイス18内の吸引導管16上に配置することができる。非侵襲センサー14は、手持ち式外科用デバイス18を保護するために、手持ち式外科用デバイス18に配置することができる。手術部位から1つ以上の吸引導管16を介して除去された吸引流体は、手持ち式外科用デバイス18の高速動作によって発生する熱を除去することで、手持ち式外科用デバイス18を冷却する機能も果たす。手持ち式外科用デバイス18における非侵襲センサー14は、吸引導管16内の吸引流体の流れを確認し、手持ち式外科用デバイス18が高速で動作するときに、手持ち式外科用デバイス18が適切に冷却されていることを確認する機能を果たすことができる。
【0027】
非侵襲センサー14は、吸引システム24の1つ以上の吸引システムコントローラー41にデータを提供することができ、それにより、吸引システムコントローラー41が、吸引ポンプ40の動作を、そのデータの少なくとも一部に基づいて制御することを可能にする。非侵襲センサー14は、手持ち式外科用デバイスシステム22の1つ以上のデバイスコントローラー20にデータを提供することができ、それにより、コントローラー20が、手持ち式外科用デバイス18の動作を、そのデータの少なくとも一部に基づいて制御することを可能にする。非侵襲センサー14は、吸引システムコントローラー41若しくはデバイスコントローラー20又はその双方にデータを提供することができる。非侵襲センサー14は、流量異常及び無流状態についての早期警告を提供することができる。特に、非侵襲センサー14は、無流状態についての早期警告をデバイスコントローラー20に提供することができ、それにより、デバイスコントローラー20が、デバイス18の過熱を防止するために、取り付けられた手持ち式外科用デバイス18の速度を制限するか又は動作を停止することを可能にする。
【0028】
非侵襲センサー14は、適応型流量制御システムが吸引導管16内の丸塊又は詰まりを検出することを可能にするように、吸引導管16内の閉塞の可能性がある場所に恒久的に又は取外し可能に配置することができる。非侵襲センサー14は、吸引導管16に沿った様々なトラブルの可能性がある箇所、例えば、限定はしないが、吸引導管16の内径が変化する場所、例えば、2つの異なるセクション間の接続部等、物質が停滞し、詰まりを形成し得る場所に、配置することができる。非侵襲センサー14は、丸塊又は詰まりによって吸引導管16を通る流れが停止する前に、適応型流量制御システム10が丸塊又は詰まりを検出することを可能にするように、吸引導管16内のトラブルの可能性がある箇所の上流に配置することができる。吸引システムコントローラー41は、吸引導管16内を移動する丸塊又は詰まりに対処するように、吸引システム24の動作の調整を行うように構成することができ、デバイスコントローラー20は、吸引導管16内を移動する丸塊又は詰まりに対処するように、手持ち式外科用デバイス18の動作の調整を行うように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサー14は、吸引導管16内のトラブルの可能性がある箇所から上流に、例えば、限定はしないが、12インチの距離、又は他の適切若しくは所望の距離を置いて、配置することができる。非侵襲センサー14からのデータにより、適応型流量制御システム10が丸塊の速度、密度、及び場所を確定することを可能にすることができる。
【0029】
適応型流量制御システム10は、吸引導管16内の詰まり又は丸塊の場所を追跡するように構成される、詰まり追跡モジュール26を備えることもできる。詰まり追跡モジュール26は、1つ以上の非侵襲センサー14を備えることができ、少なくとも1つの実施形態においては、吸引導管16内の詰まりの場所を追跡するために吸引導管16に沿って配置される複数の非侵襲センサー14を備えることができる。詰まり追跡モジュール26は、任意の所望のユーザーインターフェースにおいてユーザーが視認可能な結果を生成することができる。ユーザーは、吸引ポンプ40若しくは1つ以上の手持ち式外科用デバイス18又はそれらの任意の組合せの動作を制御するための入力を提供することができる。また、適応型流量制御システム10は、吸引導管の詰まりを防止するために、吸引導管16内の詰まり又は丸塊を考慮して、吸引ポンプ40若しくは1つ以上の手持ち式外科用デバイス18又はそれらの任意の組合せの動作を、自動的に調整することができる。
【0030】
適応型流量制御システム10は、将来的な詰まり又は丸塊の場所を、非侵襲センサー14からのデータの少なくとも一部に基づいて予測するように構成される、詰まり予測モジュール28を備えることもできる。詰まり予測モジュール28は、適応型流量制御システム10がユーザー、吸引システムコントローラー41、若しくはデバイスコントローラー、又はそれらの任意の組合せに警告することができるように、流量異常及びデブリの高集中についての早期警告を提供するように構成することができ、それにより、詰まりを防止するために適切な措置を講じることを可能にする。詰まり予測モジュール28は、非侵襲センサー14によって生成された濃度データから、適応型流量制御システム10の流体によって確定される密度値に基づいて、吸引導管16内の詰まりを予測するように構成することができる。詰まり予測モジュール28は、任意の望ましいユーザーインターフェースにおいてユーザーが視認可能な結果を生成することができる。ユーザーは、吸引ポンプ40若しくは1つ以上の手持ち式外科用デバイス18又はそれらの任意の組合せの動作を制御するための入力を、提供することができる。また、適応型流量制御システム10は、吸引導管の詰まりを防止するために、吸引導管16内に予測される詰まりを考慮して、吸引ポンプ40若しくは1つ以上の手持ち式外科用デバイス18又はそれらの任意の組合せの動作を自動的に調整することができる。
【0031】
適応型流量制御システム10は、吸引システムコントローラー41若しくはデバイスコントローラー20又はその双方と通信し、詰まりの存在、詰まりの形成の開始、若しくは吸引流量の低下、又はそれらの任意の組合せを示すことができる。そして、吸引システムコントローラー41が作動要素38を動作させるか、若しくはデバイスコントローラー20が作動要素38を動作させるか、又はその双方により、詰まりを排除し、吸引導管16に完全な妨げのない流れを回復することができる。図3及び図4に示されているように、作動要素38が、外部ハウジングの開口部と位置合わせされて切断窓44を形成するシェーバーである少なくとも1つの実施形態において、デバイスコントローラー20は、作動要素38における切断窓44を開閉して、手持ち式外科用デバイス18における圧送作用をもたらすように、作動要素38を動作させることができる。デバイスコントローラー20は、デバイスコントローラー20が窓の開放量及び吸引ポンプ40が同じ速度でいる時間の長さを変化させることに加えて、非侵襲センサー14からのデータに基づいて回転速度又は振動速度を変化させる信号を送信し、吸引導管16の詰まりを解消することができる。吸引システムコントローラー41は、陰圧プライミング及びリリーフを使用して、吸引導管16の詰まりを解消することができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、適応型流量制御システム10は、ユーザーから、吸引導管16内の障害を取り除くためにシステム10による動作条件の変更をもたらす1つ以上の入力を受信するように構成される、ユーザー入力受信部54を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、限定はしないが外科医等のユーザーが、手持ち式外科用デバイス18、外科用ポンプコンソール46、又はその他の場所に存し得る単一のボタンを作動させて、吸引導管16内の障害を取り除くためにシステム10による動作条件の変更をもたらすことができる。適応型流量制御システム10は、詰まり除去機能を作動させるように構成することができ、適応型流量制御システム10は、速度を増大して、より大きな真空をもたらすように、吸引ポンプ40を作動させるように構成される。適応型流量制御システム10は、コントローラー20と通信し、図3及び図4に示されているような、作動要素38における窓44を閉鎖し、吸引導管16内の真空をさらに増大させるように構成することができる。作動要素38における窓44を閉鎖することで、吸引導管16内の真空が増大し、吸引システム24内で大きな流動がもたらされる。少なくとも1つの実施形態において、ユーザー入力受信部54は、図3及び図4に示されているような、手持ち式外科用デバイス18に配置されるローラーバルブ56とすることができ、これにより、ユーザーがローラーバルブ56の回転運動を介して吸引導管16を通る吸引を制御することを可能にし、適応型流量制御システム10は、ローラーバルブ56の運動によってもたらされる吸引の増大を検知し、吸引ポンプ40に、速度を増大して、より大きな真空をもたらすための信号を送信するように構成される。
【0033】
非侵襲センサー14は、吸引導管16内の流体及び物質の複数のパラメーターを検知するように構成することができる。例えば、非侵襲センサー14は、吸引導管16内を流れる流体の密度を検知するように構成することができる。非侵襲センサー14は、吸引導管16内を流れる流体速度を検知するように構成することもできる。少なくとも1つの実施形態において、非侵襲センサー14は、電波又は音波によるドップラー効果によって動作することができる。適応型流量制御システム10は、吸引導管16を通って流れる物質の温度を検知するように構成される、1つ以上の非侵襲センサー14を備えることもできる。少なくとも1つの実施形態において、適応型流量制御システム10は、吸引導管16からRFを反射させ、吸引導管16内の流体の温度を推測するように構成することができる。別の実施形態において、適応型流量制御システム10は、熱センサーとして赤外線撮像を使用することができる。適応型流量制御システム10は、吸引導管16を通って流れる物質の温度を、他の方法によって確定することもできる。少なくとも1つの実施形態において、適応型流量制御システム10は、フレームレートを使用して、吸引導管16内の粒子の流量を特定することができる。適応型流量制御システム10は、圧力を検知するように構成される、1つ以上の非侵襲センサー14を備えることもできる。
【0034】
適応型流量制御システム10は、光センサー80とすることができる非侵襲センサー14を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、光センサー80は、吸引導管16内を流れる物体の画像を捕捉するように構成されるカメラ80、例えば、限定はしないが、スマートフォンにおいて使用されるカメラ等の小型カメラ、熱撮像等とすることができる。捕捉された画像データは、限定はしないが、人工知能及び他の画像処理等を介して処理し、例えば、限定はしないが、血液、骨、組織、金属等の、吸引導管内の物質における粒子の性質を確定することができる。光センサー80は、複数の画像を捕捉するとともに、それらの画像及びタイムスタンプを1つ以上のコントローラー19に送信し、吸引導管16内を流れる物質の速度を確定するように構成することができる。適応型流量制御システム10は、既知の距離だけ離れて配置される複数の光センサー80を備えることができ、複数の光センサー80は、複数の画像を捕捉するとともに、それらの画像及びタイムスタンプを1つ以上のコントローラー19に送信し、吸引導管16内で2つ以上の光センサー80を通過して流れる既知の物質片の場所を追跡することによって、吸引導管16内を流れる物質の速度を確定するように構成される。
【0035】
適応型流量制御システム10は、手持ち式外科用デバイスシステム22の1つ以上の構成要素、例えば、限定はしないが手持ち式外科用デバイス18の動作を制御するために、吸引システム制御部41において非侵襲センサー14からのデータを受信するとともに、デバイスコントローラー20、外部ネットワーク、他のシステム、及びそれらの任意の組合せにデータを送信するように構成される、通信システム60を備えることができる。通信システム60は、無線通信、例えば、限定はしないがBLUETOOTH(登録商標)を含む、限定はしないが無線周波数信号を介して、通信するように構成することができる。非侵襲センサー14は、手持ち式外科用デバイス18、吸引システム制御部41、デバイスコントローラー20、及び外部ネットワーク32と無線通信することができる。通信システム60は、限定はしないが、吸引導管16内の吸引流体の流速、吸引流体の流れ密度、吸引流体の流れ温度、吸引流体の圧力及び温度を含むデータを、送受信するように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、適応型流量制御システム10は、非侵襲センサー14からのデータを、吸引ポンプ40を制御する吸引システムコントローラー41、手持ち式外科用デバイス18を制御するデバイスコントローラー20、若しくは外部ネットワーク32、又はそれらの任意の組合せに送信するように、構成することができる。外部ネットワーク32は、1つ以上のリモートサーバー、インターネット、クラウドストレージプラットホーム、AMAZON WEB SERVICES、及び他のそのようなシステムとすることができる。適応型流量制御システム10は、例えば、限定はしないが、吸引流体の流速、吸引流体の流れ密度、吸引流体の流れ温度、吸引流体の圧力、温度、及び追加のデータ等のデータを、分析、記憶、及び他の用途で、外部ネットワーク32に送信するように構成することができる。
【0036】
適応型流量制御システム10は、手持ち式外科用デバイス18と吸引ポンプ40との間の吸引導管16の貫通路として機能するように構成される、インターフェースハウジング64を備えることができる。そのような構成は、単一の非侵襲センサー14のみが所望される場合に使用可能であり得る。単一の非侵襲センサー14は、インターフェースハウジング64に収容することができる。非侵襲センサー14と他の構成要素との間の通信が無線通信を介するものである場合、インターフェースハウジング64は、1つ以上の非侵襲センサー14から無線通信を介してデータを受信するとともに、そのデータを構成要素21、例えば、限定はしないが吸引システムコントローラー41、吸引ポンプ40、デバイスコントローラー20、手持ち式外科用デバイス18、外部ネットワーク32、及び他の宛先に送信するように構成される、通信ハブとすることができる。インターフェースハウジング64は、複数の非侵襲センサー14からのデータを束ね、これらの構成要素が非侵襲センサー14からのデータの少なくとも一部に基づいて動作することができるように、構成要素21にデータを受け渡すことができる。
【0037】
適応型流量制御システム10は、1つ以上の非侵襲センサー14を、吸引システムコントローラー41、及び1つ以上の手持ち式外科用デバイス18を制御するように構成される1つ以上のデバイスコントローラー20と通信させる、データバス72を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、データバス72は、1つ以上の非侵襲センサー14を、シェーバー34を制御するように構成されるデバイスコントローラー20及びRFプローブ36を制御するように構成されるデバイスコントローラー20と通信させることができる。データバス72は、任意の適切な形態とすることができる。
【0038】
使用中、適応型流量制御システム10は、詰まりを防止し、詰まりが形成された場合には管路を一掃する機能を果たす。1つ以上の非侵襲センサー14は、吸引ポンプ40を制御する吸引システムコントローラー41、手持ち式外科用デバイス18を制御するデバイスコントローラー20、若しくは外部ネットワーク32、又はそれらの任意の組合せにデータを送信するように構成することができ、それにより、ユーザー又はコントローラーのうちの1つ以上が、詰まりの形成を防止するか又は管路を一掃するための是正措置を講じることができる。
【0039】
上述の記載は、開示されたデバイスの実施形態を例示、説明、及び記載する目的で提供される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】