IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-521327マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル
<>
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図1
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図2A
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図2B
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図3
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図4
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図5
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図6
  • 特表-マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】マッピング及びエレクトロポレーションアブレーション用のカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240524BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20240524BHJP
   A61B 5/367 20210101ALN20240524BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/287 200
A61B5/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573289
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022031038
(87)【国際公開番号】W WO2022251429
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,689
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーホーファー、エドワード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アクターホフ、トレイ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン イー.
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127LL08
4C127LL15
4C160KK03
4C160KK16
4C160KK30
4C160KK39
4C160MM38
(57)【要約】
本開示の様々な態様は、エレクトロポレーションアブレーションのための装置、システム、及び方法を対象とする。エレクトロポレーションカテーテルは、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含む電極アセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、測定された電気信号は、電気解剖学的マップを作成するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションカテーテルであって、
電極アセンブリを含み、前記電極アセンブリは、
複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、
心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極と
を含み、測定された電気信号は、電気解剖学的マップの作成に使用される、エレクトロポレーションカテーテル。
【請求項2】
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトをさらに含み、
前記電極アセンブリは前記カテーテルシャフトの前記遠位端から延びる、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項3】
前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含む、請求項1又は2に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項4】
前記1つ以上のマッピング電極のうちの1つのマッピング電極は、前記複数のスプラインのうちの1つのスプラインの第1の表面上に配置されており、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの1つのアブレーション電極は、前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの第2の表面上に配置されている、請求項3に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項5】
前記アブレーション電極は、前記マッピング電極よりも前記カテーテルシャフトの遠位端から遠くに配置されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項6】
前記複数のスプラインの各スプラインが、導電層、ポリイミド層、接着層、及び硬化層を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項7】
前記1つ以上のアブレーション電極のうちの少なくとも1つのアブレーション電極がフレキシブル回路を含み、前記1つ以上のマッピング電極のうちの少なくとも1つのマッピング電極がフレキシブル回路を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項8】
前記1つ以上のアブレーション電極が内部コンポーネント上に配置された内部電極を含み、前記内部コンポーネントが前記複数のスプラインによって形成されたキャビティ内に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項9】
前記1つ以上のアブレーション電極が、
前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と、
前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、請求項3に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項10】
前記先端電極が先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極が前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、請求項9に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項11】
前記電極アセンブリが前記遠位端に対向する近位端を有し、前記エレクトロポレーションカテーテルは、
前記電極アセンブリの前記近位端に配置されたリング電極をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項12】
患者の標的組織を治療するためのエレクトロポレーションアブレーションシステムであって、前記エレクトロポレーションアブレーションシステムは:
電極アセンブリを含むカテーテルであって、前記電極アセンブリは:
複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して、前記標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と;
電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含む前記カテーテルと;
前記カテーテルに結合され、前記1つ以上のマッピング電極から測定された電気信号を受信するように構成されたコントローラと;
前記カテーテル及び前記コントローラに動作可能に結合されたエレクトロポレーション発生器とを含む、エレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項13】
前記電極アセンブリは複数のスプラインをさらに含み、前記1つ以上のマッピング電極の少なくとも一部が前記複数のスプライン上に配置されている、請求項12に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のアブレーション電極は:
前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と;
前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、請求項13に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項15】
前記先端電極は先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極は前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、請求項14に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不可逆エレクトロポレーションパルス列をマッピング及び適用するための医療装置、システム、及び方法に関する。より具体的には、本開示は、マッピング目的のための1つ以上の電極を含むエレクトロポレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーション処置は、患者の様々な症状を治療するために使用される。アブレーションは、不整脈、良性腫瘍、癌性腫瘍の治療、及び手術中の出血の制御に使用され得る。通常、アブレーションは、高周波(RF)アブレーションや冷凍アブレーションなどの熱アブレーション技術によって行われる。RFアブレーションでは、プローブが患者に挿入され、高周波がプローブを通じて周囲の組織に送られる。高周波は熱を発生させ、この熱が周囲の組織を破壊し、血管を焼灼する。冷凍アブレーションでは、中空の針又は冷凍プローブが患者に挿入され、冷たい熱伝導性の流体がプローブ内を循環することで周囲の組織を凍らせて破壊する。RFアブレーション及び冷凍アブレーション技術は、細胞壊死によって組織を無差別に破壊する。これにより、食道の組織、横隔神経細胞、冠状動脈の組織など、本来は健康な組織が損傷又は破壊される可能性がある。
【0003】
別のアブレーション技術はエレクトロポレーションを使用する。エレクトロポレーション又は電気透過処理では、細胞膜の透過性を高めるために細胞に電場が適用される。エレクトロポレーションは、電場の強さに応じて可逆的又は不可逆的になる場合がある。エレクトロポレーションが可逆的である場合、細胞膜の透過性の増加を利用して化学物質、薬物、及び/又はデオキシリボ核酸(DNA)を、細胞が治癒して回復する前に、細胞に導入する。エレクトロポレーションが不可逆的である場合、影響を受けた細胞はアポトーシスによって死滅する。
【0004】
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)は、非熱的アブレーション技術として使用され得る。IREでは、一連の短い高電圧パルスを使用することで、アポトーシスによって細胞を破壊するのに十分な強さの電場を生成する。心臓組織のアブレーションにおいて、IREは、RFアブレーションや冷凍アブレーションなどの熱アブレーション技術による無差別な破壊に代わる安全かつ効果的な代替手段となり得る。IREは、標的組織を破壊するが、非標的心筋組織、赤血球、血管平滑筋組織、内皮組織、神経細胞などの他の細胞や組織には永久的な損傷を与えない電場の強度と持続時間を使用することにより、心筋組織などの標的組織を破壊するために使用され得る。
【0005】
IRE治療セクションの過程では、例えばコスト重視の場合には、マップの作成とIREパルス列の適用の両方ができるカテーテルが望ましい。換言すれば、IREパルス列用の双極及び/又は単極伝導経路だけでなく、複数のマッピング電極を提供できるカテーテルが必要である。
【発明の概要】
【0006】
例1では、エレクトロポレーションカテーテルは電極アセンブリを含む。電極アセンブリは、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含み、測定された電気信号は、電気解剖学的マップの作成に使用される。
【0007】
例2では、例1のエレクトロポレーションカテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトをさらに含み、前記電極アセンブリは前記カテーテルシャフトの前記遠位端から延びる。
【0008】
例3では、前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含む、例1~2のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
例4では、前記1つ以上のマッピング電極のうちの1つのマッピング電極は、前記複数のスプラインのうちの1つのスプラインの第1の表面上に配置されており、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの1つのアブレーション電極は、前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの第2の表面上に配置されている、例3のエレクトロポレーションカテーテル。
【0009】
例5では、前記アブレーション電極は、前記マッピング電極よりも前記カテーテルシャフトの遠位端から遠くに配置されている、例2~4のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
【0010】
例6では、前記複数のスプラインの各スプラインが、導電層、ポリイミド層、接着層、及び硬化層を含む、例3~5のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
例7では、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの少なくとも1つのアブレーション電極がフレキシブル回路を含み、前記1つ以上のマッピング電極のうちの少なくとも1つのマッピング電極がフレキシブル回路を含む、例1~6のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
【0011】
例8では、前記1つ以上のアブレーション電極が内部コンポーネント上に配置された内部電極を含み、前記内部コンポーネントが前記複数のスプラインによって形成されたキャビティ内に配置されている、例1~7のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
【0012】
例9では、前記1つ以上のアブレーション電極が、前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と、前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、例3のエレクトロポレーションカテーテル。
【0013】
例10では、前記先端電極が先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極が前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、例9のエレクトロポレーションカテーテル。
【0014】
例11では、前記電極アセンブリが前記遠位端に対向する近位端を有し、前記エレクトロポレーションカテーテルは前記電極アセンブリの前記近位端に配置されたリング電極をさらに含む、例1~10のいずれかのエレクトロポレーションカテーテル。
【0015】
例12では、患者の標的組織を治療するためのエレクトロポレーションアブレーションシステムであって、前記エレクトロポレーションアブレーションシステムは:電極アセンブリを含むカテーテルであって、前記電極アセンブリは:複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して、前記標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と;電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含む前記カテーテルと;前記カテーテルに結合され、前記1つ以上のマッピング電極から測定された電気信号を受信するように構成されたコントローラと;前記カテーテル及び前記コントローラに動作可能に結合されたエレクトロポレーション発生器とを含む、エレクトロポレーションアブレーションシステム。
【0016】
例13では、前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含み、前記1つ以上のマッピング電極の少なくとも一部が前記複数のスプライン上に配置されている、例12のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【0017】
例14では、前記1つ以上のアブレーション電極は:前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と;前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、例13のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【0018】
例15では、前記先端電極は先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極は前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、例14のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【0019】
例16では、エレクトロポレーションカテーテルは電極アセンブリを含む。前記電極アセンブリは、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含み、測定された電気信号は、電気解剖学的マップの作成に使用される。
【0020】
例17では、例16のエレクトロポレーションカテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトをさらに備え、前記電極アセンブリは前記カテーテルシャフトの前記遠位端から延びる。
【0021】
例18では、前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含む、例17のエレクトロポレーションカテーテル。
例19では、前記1つ以上のマッピング電極のうちの1つのマッピング電極が、前記複数のスプラインのうちの1つのスプラインの第1の表面上に配置されている、例18のエレクトロポレーションカテーテル。
【0022】
例20では、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの1つのアブレーション電極が、前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの第2の表面上に配置されている、例19のエレクトロポレーションカテーテル。
【0023】
例21では、前記アブレーション電極が、前記マッピング電極よりも前記カテーテルシャフトの前記遠位端から遠くに配置されている、例20のエレクトロポレーションカテーテル。
【0024】
例22では、前記複数のスプラインの各スプラインが、導電層、ポリイミド層、接着層、及び硬化層を含む、例18のエレクトロポレーションカテーテル。
例23では、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの少なくとも1つのアブレーション電極がフレキシブル回路を含む、例16のエレクトロポレーションカテーテル。
【0025】
例24では、前記1つ以上のマッピング電極のうちの少なくとも1つのマッピング電極がフレキシブル回路を含む、例16のエレクトロポレーションカテーテル。
例25では、前記1つ以上のマッピング電極が偶数のマッピング電極を含む、例16のエレクトロポレーションカテーテル。
【0026】
例26では、前記1つ以上のアブレーション電極が内部コンポーネント上に配置された内部電極を含み、前記内部コンポーネントが前記複数のスプラインによって形成されたキャビティ内に配置されている、例18のエレクトロポレーションカテーテル。
【0027】
例27では、前記1つ以上のアブレーション電極が、前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と、前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、例18のエレクトロポレーションカテーテル。
【0028】
例28では、前記先端電極が先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極が、前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の90%~110%の範囲にある、例27のエレクトロポレーションカテーテル。
【0029】
例29では、前記電極アセンブリが前記遠位端に対向する近位端を有し、前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記電極アセンブリの前記近位端に配置されたリング電極をさらに含む、例16のエレクトロポレーションカテーテル。
【0030】
例30では、前記第1の表面が前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの内面であり、前記第2の表面が前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの外面である、例20のエレクトロポレーションカテーテル。
【0031】
例31では、患者の標的組織を治療する方法は、マッピング及びアブレーションカテーテルを標的組織に近接して配置する工程であって、前記マッピング及びアブレーションカテーテルは、1つ以上のアブレーション電極及び1つ以上のマッピング電極を含む、前記配置する工程;1つ以上のマッピング電極によって電気信号を収集する工程;収集された電気信号に基づいて、標的組織に近接する領域の電気解剖学的マップを作成する工程;及び、エレクトロポレーションパルスを1つ以上のアブレーション電極に展開し、標的組織に近接して電場を生成する工程を含む。
【0032】
例32では、1つ以上のマッピング電極を介して電気信号を収集する工程が、エレクトロポレーションパルスを1つ以上のアブレーション電極に展開する前に、前記1つ以上のマッピング電極によって電気信号を収集することを含む、例31の方法。
【0033】
例33では、1つ以上のマッピング電極を介して電気信号を収集する工程が、エレクトロポレーションパルスを1つ以上のアブレーション電極に展開した後に、前記1つ以上のマッピング電極によって電気信号を収集することを含む、例31の方法。
【0034】
例34では、患者の標的組織を治療するためのエレクトロポレーションアブレーションシステムであって、前記エレクトロポレーションアブレーションシステムは、電極アセンブリを含むカテーテルと、前記1つ以上のマッピング電極から測定された電気信号を受信するように構成されたコントローラと、前記カテーテル及び前記コントローラに動作可能に結合されたエレクトロポレーション発生器とを含む。前記電極アセンブリは、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含み、測定された電気信号は電気解剖学的マップを作成するために使用される。
【0035】
例35では、前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含む、例34のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
複数の実施形態が開示されるが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の主題の実施形態による、電気生理学システムを使用して患者を治療し、患者の心臓を治療するための例示的な臨床設定を示す図である。
図2A】本開示の主題の実施形態による、マッピング及びアブレーションカテーテルの例の遠位端を示す概略斜視図である。
図2B】同上。
図3】本開示の主題の実施形態による、例示的なマッピング及びアブレーションカテーテルの遠位端を示す概略図である。
図4】本開示の主題の実施形態による、例示的なエレクトロポレーションアブレーションカテーテルの概略図である。
図5】本開示の主題の実施形態による、スプラインの層構造の説明的な例である。
図6】本開示の主題の実施形態による、患者の標的組織を治療する方法を示す例示的なフロー図である。
【0037】
本発明は様々な修正及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、以下に詳細に説明される。しかしながら、本発明を説明された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるすべての修正、等価物、及び代替物を包含することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
以下の詳細な説明は本質的に例示的なものであり、本発明の範囲、適用可能性、又は構成をいかなる形でも限定することを意図するものではない。むしろ、以下の説明は、本発明の例示的な実施形態を実装するためのいくつかの実際的な説明を提供するものである。選択された要素について、構造、材料、及び/又は寸法の例が提供されている。当業者であれば、記された例の多くには様々な適切な代替案があることを認識するであろう。
【0039】
本明細書では、測定値(例えば、寸法、特性、属性、コンポーネントなど)、及びそれらの範囲、有形のもの(例えば、製品、在庫など)及び/又は無形のもの(例えば、データ、通貨の電子表現、口座、情報、物の割合(例えば、パーセンテージ、分数)、計算、データモデル、動的システムモデル、アルゴリズム、パラメータなど)に関する用語が使用されるため、「約」及び「およそ」が、記載された測定値、及び、記載された測定値に合理的に近いが関連する分野の当業者によって測定誤差に起因するものであると理解され、容易に確認されるような、合理的に小さい量だけ異なり得る測定値も含む任意の測定値;測定及び/又は製造装置の校正における差異;測定値の読み取り及び/又は設定における人的エラー;他の測定値(例えば、他のものに関連する測定値)を考慮して、性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる調整;特定の実装シナリオ;人間、コンピューティングデバイス、及び/又は機械による、物、設定、及び/又は測定の不正確な調整及び/又は操作;システムの許容誤差;制御ループ;機械学習;予測可能な変動(例えば、統計学的に有意でないばらつき、無秩序なばらつき、システム及び/又はモデルの不安定性など);優先傾向;及び/又は同様のものを含む測定値を参照して互換的に使用される場合がある。
【0040】
例示的な方法は、1つ以上の図(例えば、フロー図、通信フローなど)によって表される場合があるが、図面は本明細書に開示される様々なステップの任意の要件、又はそれらの間の特定の順序を暗示するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、特定のいくつかの実施形態は、本明細書で明示的に説明され得るように、及び/又はステップ自体の性質から理解され得るように、特定のステップ及び/又は特定のステップ間の特定の順序を必要とする場合がある(例えば、一部のステップの実行は、前のステップの結果に依存し得る)。さらに、項目(例えば、インプット、アルゴリズム、データ値など)の「セット」、「サブセット」、又は「グループ」には1つ以上の項目が含まれる場合があり、同様に、項目のサブセット又はサブグループには1つ以上の項目が含まれる場合がある。「複数」は、1つよりも多いことを意味する。
【0041】
本明細書で使用される「に基づいて」という用語は、限定的なものではなく、「に基づいて」に続く用語のものをインプットとして少なくとも使用して、決定、特定、予測、計算、及び/又は同様のものが実行されることを示す。例えば、特定の情報に基づいて結果を予測することは、追加又は代替として、別の情報に基づいて同じ決定をしてもよい。
【0042】
不可逆エレクトロポレーション(IRE)は、高電圧の短い(例えば、100マイクロ秒以下の)パルスを使用することで、アポトーシスによって細胞を死滅させる。IREは、食道血管平滑筋及び内皮を含む他の隣接組織を温存しながら、心筋を破壊することを標的にすることができる。IRE治療セクションの過程では、例えばコスト重視の場合、電気解剖学的マップの作成と、IREパルス列に応答した電気アブレーション領域の生成の両方ができるカテーテルが望ましい。換言すれば、IREパルス列を受信するために、複数のマッピング電極及び複数のアブレーション電極を含むカテーテルが必要である。
【0043】
本開示の少なくともいくつかの実施形態は、IRE治療中に同じエレクトロポレーションカテーテルを使用して電気解剖学的マップを作成するためのシステム及び方法を対象とする。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションカテーテルは、1つ以上のアブレーション電極及び1つ以上のマッピング電極を含む電極アセンブリを含む。特定の実施形態では、1つ以上のアブレーション電極は、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して、標的組織に近接して電場を生成するように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のマッピング電極は、心臓の電気信号を測定するように構成され、測定された電気信号は電気解剖学的マップの作成に使用される。
【0044】
図1は、本開示の主題の実施形態に従って、電気生理学システム50を使用して患者20を治療し、患者20の心臓30を治療するための例示的な臨床設定10を示す図である。電気生理学システム50は、エレクトロポレーション装置60、マッピングコントローラ90、及びディスプレイ92を含む。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置60は、エレクトロポレーション発生器130、コントローラ120、エレクトロポレーションカテーテル105、及び導入器シース110を含む。また、臨床設定10は、イメージング装置94(Cアームによって表される)などの追加の装置と、オペレータが電気生理学システム50の様々な態様を制御できるように構成されたフットコントローラ96などの様々なコントローラ要素とを含む。当業者には理解されるように、臨床設定10は、図1に示されていない他の構成要素及び構成要素の配置を有してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置60は、患者の心臓30内の標的組織に電場エネルギーを送達することで、組織のアポトーシスを引き起こし、組織が電気信号を伝導できなくするように構成される。コントローラ120は、エレクトロポレーション装置60の機能的側面を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション発生器130は、パルスシーケンスを生成してエレクトロポレーションカテーテル105に供給するためのパルス発生器として動作可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、導入器シース110は送達導管を提供するように動作可能であり、この送達導管を通してエレクトロポレーションカテーテル105を患者の心臓30内の特定の標的部位に展開することができる。しかしながら、導入器シース110は、本願では電気生理学システム50全体に対する状況を提供するために図示され、説明されていることが理解されるであろう。
【0047】
図示された実施形態では、エレクトロポレーションカテーテル105は、ハンドル105a、シャフト105b、及び以下でさらに説明する電極アセンブリ150を含む。ハンドル105aは、電極アセンブリ150を所望の解剖学的位置に配置するために使用者によって操作されるように構成される。シャフト105bは遠位端105cを有し、通常、エレクトロポレーションカテーテル105の長手方向軸を画定する。図示のように、電極アセンブリ150は、シャフト105bの遠位端105c又はその近傍に配置される。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ150は、エレクトロポレーション発生器130に電気的に結合されることで、電気パルスシーケンス又はパルス列を受信し、それによって、不可逆エレクトロポレーションによって標的組織をアブレーションするための電場を選択的に生成する。
【0048】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、電極アセンブリ150は、1つ以上のマッピング電極152を含む。マッピング電極152は、詳細な三次元幾何学的解剖学的マップ又は心腔の表現、ならびに関心のある心臓の電気的活動が幾何学的解剖学的マップに重ね合わされた電気解剖学的マップを生成し、ディスプレイ92を介して表示するために使用されるように構成されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションカテーテル105上の1つ以上のマッピング電極152は、電気信号を測定し、電気解剖学的マップを生成するためにマッピングコントローラ90によって処理され得る出力信号を生成することができる。場合によっては、電気解剖学的マップは、関心のある心腔内の心臓組織の電気的活動を決定するためにアブレーションの前に生成される。場合によっては、電気解剖学的マップは、アブレーション後に、アブレーションされた組織及びチャンバ全体の電気的活動の所望の変化を検証する際に生成される。マッピング電極152は、体内の三次元空間におけるカテーテル105の位置を決定するために使用することもできる。例えば、オペレータが関心のある心腔内でカテーテル105の遠位端を移動させるとき、カテーテルの移動の境界は、コントローラ90によって使用されることができ、コントローラ90は、マッピング及びナビゲーションシステムを含むか、又はそれに結合することで、心腔の解剖学的構造を形成することができる。心腔の解剖学的構造は、蛍光透視法などの電離放射線を使用せずにカテーテル105のナビゲーションを容易にするために、及び、アブレーションの間隔をガイドし、オペレータが関心のある解剖学的構造を完全にアブレーションするのを助けるために、アブレーションが完了したときにアブレーションの位置にタグを付けるために使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、電気生理学システム50の様々なコンポーネント(例えば、マッピングコントローラ90、コントローラ120)が、1つ以上のコンピューティングデバイス上に実装され得る。コンピューティングデバイスは、本開示の実施形態を実装するのに適した任意のタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。コンピューティングデバイスの例には、専用コンピューティングデバイスや汎用コンピューティングデバイス、例えば、ワークステーション、サーバ、ラップトップ、ポータブルデバイス、デスクトップ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、汎用グラフィックスプロセッシングユニット(GPGPU)などが含まれ、これらのすべてが、システム50の様々なコンポーネントを参照して、図1の範囲内で想定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、プロセッサ、メモリ、入出力(I/O)ポート、I/Oコンポーネント、及び電源といったデバイスを直接的及び/又は間接的に結合するバスを含む。任意の数の追加コンポーネント、異なるコンポーネント、及び/又はコンポーネントの組み合わせもコンピューティングデバイスに含めることができる。バスは、1つ以上であり得るバス(例えば、アドレスバス、データバス、又はそれらの組み合わせなど)を表す。同様に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、いくつかのプロセッサ、いくつかのメモリコンポーネント、いくつかのI/Oポート、いくつかのI/Oコンポーネント、及び/又はいくつかの電源を含み得る。さらに、任意の数のこれらのコンポーネント、又はそれらの組み合わせを、多数のコンピューティングデバイスにわたって分散させ及び/又は複製することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、システム50はメモリ(図示せず)を含む。メモリには、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、一時的及び/又は非一時的記憶媒体の形態のコンピュータ可読媒体が含まれ、取り外し可能、取り外し不能、又はそれらの組み合わせであり得る。媒体の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM);読み取り専用メモリ(ROM);電子的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM);フラッシュメモリ;光学又はホログラフィックメディア;磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又はその他の磁気記憶デバイス;データ送信;及び/又は情報を保存するために使用でき、例えば量子状態メモリなどのようなコンピューティングデバイスによってアクセスできる他の任意の媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、メモリは、プロセッサ(例えば、コントローラ120)に、本明細書で述べるシステムコンポーネントの実施形態の態様を実装させ、及び/又は本明細書で述べる方法及び手順の実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ実行可能命令を格納する。
【0053】
コンピュータ実行可能命令には、例えば、コンピュータコード、機械使用可能命令など、例えば、コンピューティングデバイスに関連付けられた1つ以上のプロセッサによって実行可能なプログラムコンポーネントなどが含まれる。プログラムコンポーネントは、様々な言語、開発キット、フレームワークなどを含む、任意の数の異なるプログラミング環境を使用してプログラムすることができる。本明細書で想定される機能の一部又はすべてはまた、あるいは代替的に、ハードウェア及び/又はファームウェアで実装されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、メモリは、以下に説明する構成のいずれかを使用して実装できるデータリポジトリを含み得る。データリポジトリは、ランダムアクセスメモリ、フラットファイル、XMLファイル、及び/又は1つ以上のデータベースサーバー又はデータセンターで実行される1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含み得る。データベース管理システムは、リレーショナル(RDBMS)、階層型(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMS又はOODBMS)、又はオブジェクトリレーショナル(ORDBMS)データベース管理システムなどであり得る。データリポジトリは、例えば、単一のリレーショナルデータベースであり得る。場合によっては、データリポジトリは、データ統合プロセス又はソフトウェアアプリケーションによってデータを交換及び集約できる複数のデータベースを含み得る。例示的な実施形態では、データリポジトリの少なくとも一部はクラウドデータセンターでホストされ得る。場合によっては、データリポジトリは、単一のコンピュータ、サーバー、ストレージデバイス、又はクラウドサーバーなどでホストされ得る。他の場合には、データリポジトリは、ネットワークに接続された一連のコンピュータ、サーバー、又はデバイスでホストされ得る。場合によっては、データリポジトリは、ローカル、リージョナル、セントラルなどのデータストレージデバイスの階層でホストされ得る。
【0055】
システム50の様々なコンポーネントは、通信インターフェース、例えば有線又は無線インターフェースを介して通信することができ、又は通信インターフェースを介して接続することができる。通信インターフェースには、限定するものではないが、任意の有線又は無線の短距離及び長距離通信インターフェースが含まれる。有線インターフェースは、ケーブル、アンビリカルなどを使用できる。短距離通信インターフェースは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、既知の通信規格に準拠するインターフェース、例えば、Bluetooth(登録商標)規格、IEEE802規格(例えば、IEEE802.11)、ZigBee(登録商標)又は同様の仕様など、例えば、IEEE802.15.4規格に基づくもの、又はその他の公共又は独自の無線プロトコルに基づくものであり得る。長距離通信インターフェースは、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラーネットワークインターフェース、衛星通信インターフェースなどであり得る。通信インターフェースは、イントラネットなどのプライベートコンピュータネットワーク内、又はインターネットなどのパブリックコンピュータネットワーク上にあり得る。
【0056】
図2A~2Bは、本開示の主題の実施形態による、マッピング及びアブレーションカテーテルの例の遠位端を示す概略斜視図である。図2Aに示すように、マッピング及びアブレーションカテーテル200Aは、半径方向に伸長した状態で展開された電極アセンブリ202を含む。電極アセンブリ202は、1つ以上のスプライン204及びエンドキャップ206を含み得る。スプライン204のそれぞれは、マッピング及びアブレーションカテーテル200Aの遠位端208とエンドキャップ206との間に延びることができ、内部キャビティ222を形成する。スプライン204のそれぞれは、可撓性ポリマー基板210、複数のマッピング電極212、及び複数のアブレーション電極220を含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性ポリマー基板210は、補強要素214を含み得る。補強要素214は、例えばニチノールの層であり得る。補強要素214は、電極アセンブリ202を展開されていない状態又は構成(図示せず)に向けて付勢する力をスプライン204のそれぞれに生成することができる。いくつかの実施形態では、マッピング及びアブレーションカテーテル200Aの遠位端208に接続された2~8個のスプライン204があってもよい。いくつかの実施形態では、マッピング及びアブレーションカテーテル200Aの遠位端208に接続された8個を超えるスプラインがあってもよい。当業者であれば、スプラインカテーテルの構造はよく知られており、スプラインの数の特定の詳細は本開示にとって決定的に重要ではないことを認識するであろう。
【0057】
いくつかの実施形態では、マッピング電極212はマッピング電極であってもよく、心臓の電気信号を測定するように構成され、測定された電気信号は電気解剖学的マップを作成するために使用される。いくつかの例では、1つ以上のマッピング電極212の少なくとも一部は、1つ以上のスプライン204の外面上に配置される。いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極212はフレキシブル回路を含む。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ202は偶数のマッピング電極212を含む。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ202は、6から64までの任意の数の範囲の任意の数のマッピング電極212を含み得る。いくつかの実施形態では、各スプライン上に2個のマッピング電極212があってもよい。いくつかの実施形態では、各スプライン上に3個以上のマッピング電極212(例えば、4、6、8個等)があってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、64個のマッピング電極を備えた直径2.667ミリメートルのカテーテル(例えば、8フレンチカテーテル)の場合、マッピング電極212は、幅約0.45mm、長さ0.95mmであり、0.23mmの半径を有する。いくつかの実施形態では、マッピング電極212の寸法は、より高いマッピング解像度を提供するためにより小さくてもよい。いくつかの実施形態では、マッピング電極212の寸法は、電圧を印加するときに生成される希釈電界においてより大きくてもよい。製造能力、コスト、電流密度、電流密度に耐える電極材料の能力、スプライン幅に応じて、様々なサイズのマッピング電極212がカテーテル200Aで使用され得る。いくつかの例では、スプライン幅は、所与のカテーテル直径についてスプラインの数と関連付けることができる。
【0058】
図2Aに示すように、エンドキャップ206から展開シャフト216が延び、遠位端208でカテーテルシャフト218内に入ることができる。いくつかの実施形態では、エンドキャップ206は、心臓刺激又は組織アブレーション又はマッピングのための電極であり得る。さらに、先端電極は、治療を適用するための単一の電極、又はマッピングのための多数の電極として機能する一連の表面であってもよい。いくつかの実施形態では、エンドキャップ206は、体内の電極アセンブリ202の位置を決定する際に使用するためのナビゲーションセンサを含み得る。いくつかの設計では、アブレーション電極220は丸い角を有する。いくつかの例では、アブレーション電極220は、各隅に選択された円弧を有する。いくつかの実施形態では、エンドキャップ206はアブレーション電極220を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、電極アセンブリ202は、電極アセンブリ202の内部キャビティ222に配置された内部コンポーネント224を含む。展開シャフト216は、内部コンポーネント224に接続され得る。場合によっては、内部コンポーネント224はナビゲーションセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリは、1つ以上のアブレーション電極220をさらに含む。いくつかの例では、アブレーション電極220の一部又は全部は、1つ以上のスプライン204の内面上に配置される。いくつかの例では、アブレーション電極220のうちの少なくとも1つは、1つ以上のスプライン204の外面上に配置される。1つ以上のアブレーション電極220は、複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して、標的組織内に電場を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアブレーション電極220はフレキシブル回路を含む。いくつかの設計では、各スプライン204は、スプライン上に配置された1つのアブレーション電極220を含む。いくつかの設計では、各スプライン204は、スプライン上に配置された1つ以上のマッピング電極212を含む。
【0060】
図2Bに示すように、1つ以上のアブレーション電極220はスプライン204の内面に配置され、1つ以上のマッピング電極212はスプライン204の外面に配置される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアブレーション電極220は、1つ以上のマッピング電極212よりもカテーテルシャフト218の遠位端208から遠くに配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアブレーション電極220は、スプライン204上に配置されたすべてのマッピング電極212よりもエンドキャップ206の近くに配置される。いくつかの実施形態では、スプライン204上の各マッピング電極212は、それぞれのアブレーション電極220よりも遠位端208の近くに配置される。
【0061】
いくつかの場合では、アブレーション電極220は、マッピング及びアブレーションカテーテル200Bの長手方向軸230に沿って第1の縁部226と、第1の縁部226に対向する第2の縁部228とを含み、第2の縁部228はエンドキャップ206により近い。場合によっては、マッピング電極212は、長手方向軸230に沿って第1の縁部232と、第1の縁部232に対向する第2の縁部234とを含む。いくつかの実施形態では、アブレーション電極220の第2の縁部228は、マッピング電極212の第2の縁部234よりもカテーテルシャフト218の遠位端208からさらに離れている。例えば示されるように、アブレーション電極220の第2の縁部228は、マッピング電極212の第2の縁部234よりもカテーテルシャフト218の遠位端208からさらに離れている。いくつかの実施形態では、アブレーション電極220の第2の縁部228は、マッピング電極212の第1の縁部232よりもカテーテルシャフト218の遠位端208に近い。他の実施形態(図示せず)では、アブレーション電極220の第1の縁部226は、マッピング電極212の第1の縁部232よりもカテーテルシャフト218の遠位端208からさらに離れている。
【0062】
図3は、本開示の主題の実施形態による、例示的なマッピング及びエレクトロポレーションカテーテル300の遠位端の概略図である。図3に示すように、カテーテル300は、半径方向に伸長した状態で展開される電極アセンブリ302を含む。電極アセンブリ302は、1つ以上のスプライン304及びエンドキャップ306を含み得る。スプライン304のそれぞれは、カテーテル300の遠位端308とエンドキャップ306との間に延びることができ、内部キャビティ322を形成する。スプライン304のそれぞれは、可撓性ポリマー基板310、複数のマッピング電極312、及び1つ以上のアブレーション電極328を含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性ポリマー基板310は、補強要素314を含み得る。補強要素314は、例えばニチノールの層であり得る。補強要素314は、電極アセンブリ302を展開されていない状態又は構成(図示せず)に向けて付勢する力をスプライン304のそれぞれに生成することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル300の遠位端308に接続された2~8個のスプライン304があってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル300の遠位端308に接続された8個を超えるスプラインがあってもよい。当業者であれば、スプラインカテーテルの構造は周知であり、スプラインの数の特定の詳細は本開示にとって決定的に重要ではないことを認識するであろう。
【0063】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、1つ以上のアブレーション電極320は、電極アセンブリ302の遠位端(例えば、エンドキャップ306)上に配置された先端電極326を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアブレーション電極320は、電極アセンブリ302のエンドキャップ306上に配置された先端電極326と、複数のスプライン304上に配置された複数のスプライン電極328とを含む。一例では、電極アセンブリ302は、4個のスプライン電極328及び先端電極326を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、スプライン314上に配置されたアブレーション電極328は、内部コンポーネント324上に配置された1つ以上の追加のリング電極332によって補足又は置換され得る。電極332でアブレーション電極328を置き換える場合、電極332の表面積は、先端電極326の表面積とほぼ等しくてもよい。電極332がアブレーション電極328を補う場合、電極332の表面積は、先端電極326の表面積の一部であり得る。いくつかの実施形態では、電極332は、電極328を置換し、補足するために複数のリング電極(図示せず)を含み得る。パルス列中に必要に応じて、いくつかのリングに通電することができる。
【0065】
先端電極326はリング表面積を有し、複数のスプライン電極328は、複数のスプライン電極328の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有する。いくつかの例では、先端電極326の表面積は、スプライン電極表面積の90%から110%の範囲にある。例えば、先端電極326の表面積が21.5mmである場合、スプライン電極328の表面積の合計は、19.35~23.65mmの範囲内となる。いくつかの例では、先端電極326の表面積は、スプライン電極表面積の80%から120%の範囲にある。いくつかの設計では、先端電極326の表面積は、スプライン電極表面積の50%から150%の範囲にある。特定の例では、先端電極326の表面積は、スプライン電極表面積の50%から120%の範囲にある。いくつかの実施形態では、スプライン電極表面積と同様である先端電極の表面積は、アーチング(arching)を低減し、マッピング及びアブレーションカテーテル300のアブレーション機能の有効性を向上させることができる。図7は、エンドキャップに先端電極を有する1つのカテーテルによって生成されるエレクトロポレーション場の一例を示す。
【0066】
いくつかの実施形態では、電極アセンブリ302は、電極アセンブリ302の近位端に配置された近位リング電極330を有する。一例では、電極アセンブリ302のアブレーション電極は、4個のスプライン電極328、先端電極326、リング電極332、及び近位リング電極330を含む。特定の実施形態では、アブレーション電極はアノード電極及びカソードを含み、アノード電極の全表面積(すなわち、それぞれの電極の表面積の合計)は、カソード電極の全表面積と同様である。例えば、アノード電極の全表面積とカソード電極の全表面積との差は、アノード電極の全表面積の50%以内である。別の例として、アノード電極の全表面積とカソード電極の全表面積との差は、アノード電極の全表面積の20%以内である。さらに別の例として、アノード電極の全表面積とカソード電極の全表面積との差は、アノード電極の全表面積の10%以内である。
【0067】
図4は、本開示の主題の実施形態による、例示的なエレクトロポレーションアブレーションカテーテル400の概略図である。図4に示すように、カテーテル400はカテーテルシャフト402を含み、カテーテルシャフト402は長手方向軸405を備えるとともに遠位端406を有する。本明細書で使用する場合、長手方向軸とは、物体の断面の重心を通過する線を指す。カテーテル400はさらに、電極アセンブリ407を含む。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ407は、カテーテルシャフト402の遠位端406から延在する。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ407は、第1の収縮状態及び第2の拡張状態とをとるように構成される。場合によっては、電極アセンブリ407は、拡張可能コンポーネント420、複数のマッピング電極422、及び拡張可能コンポーネント420上に配置された複数のアブレーション電極425を含む。拡張可能コンポーネント420は、第1の状態では折り畳まれ、第2の状態では拡張され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、電極アセンブリ407は、内部キャビティ415を形成する複数のスプライン404と、キャビティ415内に配置された膨張可能なバルーン(図示せず)とを含む。そのような実施形態では、複数のスプライン404及びバルーンが集合的に拡張可能コンポーネント420を形成する。
【0069】
いくつかの実施形態では、カテーテル400は、複数のアブレーション電極425でアブレーションエネルギー(例えば、エレクトロポレーションパルス)を受け取り、アブレーション電極425で電場を生成するように構成される。一実施形態では、電場は、不可逆エレクトロポレーションによって標的組織をアブレーションするのに十分な電場強度を有する。いくつかの実施形態では、複数のマッピング電極422及び複数のアブレーション電極425は、第1の電極群408及び第2の電極群410を含む。場合によっては、第1の電極群408は複数のスプライン404の周囲に配置され、第2の電極群410はカテーテル400の遠位端412に隣接して配置される。場合によっては、第1の電極群408は近位電極と呼ばれ、第2の電極群410は遠位電極と呼ばれ、遠位電極410は、近位電極408よりもエレクトロポレーションアブレーションカテーテル400の遠位端412の近くに配置される。いくつかの実施形態では、アブレーション電極425は、導電性インク又は光学インクの薄膜を含むことができる。インクはポリマーベースであり得る。インクは、導電性材料と組み合わせたカーボン及び/又はグラファイトなどの材料をさらに含み得る。電極には、銀、銀フレーク、金、白金などの生体適合性のある低抵抗金属を含めることができ、これらはさらに放射線不透過性である。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1の電極群408の少なくとも一部又は全部、及び/又は第2の電極群410の少なくとも一部又は全部は、電気を伝導し、コントローラ及びアブレーションエネルギー発生器に動作可能に接続されるように構成される(図1を参照)。特定の実施形態では、第1の電極群408の少なくとも一部又は全部の電極、及び/又は第2の電極群410の少なくとも一部又は全部の電極は、電気信号を測定し(例えば、マッピング電極)、かつコントローラに動作可能に接続されるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の電極群408及び第2の電極群410の1つ以上の電極は、フレックス回路を含む。
【0071】
第1の電極群408の電極は、第2の電極群410の電極から隔てられている。第1の電極群208は電極408a~408fを含み、第2の電極群410は電極410a~410fを含む。また、電極408a~408fなどの第1の電極群408の電極は互いに隔てられており、電極410a~410fなどの第2の電極410の電極も互いに隔てられている。
【0072】
同じカテーテル400上の他の電極に対する第1の電極群408の電極の空間的関係及び配向、ならびに第2の電極群410の電極の空間的関係及び配向は既知であるか、決定することができる。いくつかの実施形態では、同じカテーテル400上の他の電極に対する第1の電極群408における電極の空間的関係及び配向、ならびに第2の電極群410における電極の空間的関係及び配向は、カテーテルが一旦展開されると一定である。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極422が、電極アセンブリ407の近位端及び遠位端に配置され得る。1つ以上のマッピング電極422は、心臓の電気信号を測定するように構成され、測定された電気信号は電気解剖学的マップを作成するために使用される。
【0074】
いくつかの実施形態(図示せず)では、1つ以上のマッピング電極は、同じスプラインの同じ側に、アブレーション電極の近位又は遠位に配置され得る。いくつかの実施形態(図示せず)では、1つ以上のマッピング電極は、フレックス回路の一部であってもよく、同じスプラインの異なる側に、電極425の近位又は遠位に配置されてもよい。いくつかの実施形態(図示せず)では、1つ以上のマッピング電極は、異なるスプライン上のアブレーション電極の近位又は遠位に配置され得る。マッピング電極とアブレーション電極が異なるスプライン又は交互のスプライン上に配置される場合、高電圧と低電圧の電気経路を分離し、互いにより適切に絶縁することができる。いくつかの実施形態では、遠距離場で感知される電気信号を最小限に抑えるために、マッピング電極の表面積はアブレーション電極の表面積よりも小さい。
【0075】
いくつかの実施形態では、電極群408はアブレーション電極であり得、電極群410はマッピング電極であり得る。いくつかの実施形態では、電極群408はマッピング電極であり得、電極群410はアブレーション電極であり得る。いくつかの実施形態では、電極408及び410が両方ともアブレーション電極である場合、マッピング電極はリング電極として内部コンポーネント424上に配置され得る。いくつかの実施形態では、アブレーション電極は、先端電極(例えば、カテーテル400の遠位端412にある)、1つ以上のリング電極(例えば、カテーテルシャフト402の遠位端406にある)、及び/又は1つ以上のスプライン電極を含み得、マッピング電極はスプライン上に配置され得る。いくつかの実施形態では、マッピング電極とアブレーション電極は異なるスプライン上に配置される。例えば、電極408a、408c、408e、410a、410c、及び410eはアブレーション電極であり、電極408b、408d、408f、410b、410d、及び410fはマッピング電極である。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極422が拡張可能コンポーネント420の外面上に配置され得る(図示せず)。いくつかの実施形態では、電極群408、410の少なくとも一部又は全部は、拡張可能コンポーネント420の内面上に配置され得る。
【0077】
図5は、本開示の特定の実施形態による、1つ以上のスプライン(例えば、図2A及び2Bのスプライン204、図3のスプライン304)を形成する層構造500の一例を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の層500は、1つ以上のフレキシブル回路層502を含む。各フレキシブル回路は、1つ以上の導電層504及びポリイミドフレキシブル回路材料層506を含む。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路層502は接着層508を含む。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路は、接着層508を含まない。いくつかの実施形態では、1つ以上の層500は、硬化層510を含む。
【0078】
いくつかの例では、硬化層510は、可撓性かつ非導電性の材料(例えば、プラスチック)を含む。いくつかの例では、硬化層510はポリイミドを含む。いくつかの例では、スプラインがより長いアスペクト比を有するように、硬化層510は、剛性かつ導電性の材料(例えば、ニチノール)を含む。
【0079】
いくつかの例では、導電層は銅を含む。いくつかの例では、導電層は、液晶ポリマー内に埋め込まれた金を含む。いくつかの例では、導電層は貴金属(例えば白金)を含む。いくつかの例では、導電層はチタンを含む。いくつかの例では、導電層は、腐食から保護するためにその上に金層を有する銅ベースの層を含む。いくつかの例では、導電層は白金又はイリジウムの層を含んでもよく、これらはその後酸化されて白金/酸化イリジウムを形成することで、マッピング性能を向上させる。いくつかの実施形態では、金への銅の拡散を遅らせるために、銅層と金層の間にニッケル層を追加することができ、これにより、金による腐食保護が低下する。
【0080】
いくつかの例では、フレックス回路層502は、はんだ付け温度に耐えられるようにポリイミド又は液晶ポリマー(LCP)を含み得る。いくつかの例では、フレックス回路層502はガラスを含み得る。いくつかの例では、フレックス回路層502は、低温相互接続方法(例えば、はんだ噴射)とともに使用される他のポリマーを含み得る。
【0081】
いくつかの例では、接着層508は、アクリル、ポリイミド、エポキシ、又はフルオロポリマー接着剤を含み得る。いくつかの設計では、スプライン(例えば、図2A及び2Bのスプライン204、図3のスプライン304)は、両側が非導電性材料を使用して封止された層構造500によって形成される。
【0082】
図6は、本開示の主題の実施形態による、患者の標的組織を治療する方法600を示すフローチャート図である。方法600の実施形態の態様は、例えば、エレクトロポレーションアブレーションシステム/装置(例えば、図1に示されるシステム/装置50)によって実行され得る。方法600の1つ以上のステップは任意であり、及び/又は本明細書に記載の他の実施形態の1つ以上のステップによって修正することができる。さらに、本明細書に記載されている他の実施形態の1つ以上のステップを方法600に追加することができる。図6に示すように、マッピング及びアブレーションカテーテルは、患者内の標的組織に近接して配置され得る(605)。いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極を介して電気信号が収集される(610)。いくつかの実施形態では、収集された電気信号に基づいて領域の電気解剖学的マップ、例えば、標的組織に近接した領域の電気解剖学的マップが作成される(615)。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションパルスが1つ以上のアブレーション電極に展開される(620)。いくつかの実施形態では、標的組織に近接して電場が生成される(625)。特定の実施形態では、アブレーション後に電気信号が1つ以上のマッピング電極を介して収集され、電気解剖学的マップが生成又は更新される。
【0083】
図7は、本開示の主題の実施形態による、展開状態にあるマッピング及びアブレーションカテーテルの例示的な双極電場を示す。示されるように、電場は、エレクトロポレーションアブレーションが行われることが望ましい先端電極の遠位の組織に面するすべての方向にほぼ均一な深さを与えるが、スプラインの内面内の近位リターン電極にも電場が含まれているため、より近位にある望ましくない部分の組織はアブレーションされない。
【0084】
いくつかの実施形態では、マッピング及びアブレーションカテーテルは、表面パッチで単極アブレーションを提供することができる。いくつかの例では、表面パッチは患者の皮膚に配置され得る。そのような例では、カテーテルから表面パッチ(図示せず)までのアブレーションにより、より深い損傷が引き起こされる可能性があり、また、カテーテル内の回路が高電圧から保護され得る。
【0085】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態や、記載された特徴のすべてを含まない実施形態も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべてのそのような代替、修正、及び変形を、そのすべての均等物とともに包含することを意図している。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションカテーテルであって、
電極アセンブリを含み、前記電極アセンブリは、
複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と、
心臓の電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極と
を含み、測定された電気信号は、電気解剖学的マップの作成に使用される、エレクトロポレーションカテーテル。
【請求項2】
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトをさらに含み、
前記電極アセンブリは前記カテーテルシャフトの前記遠位端から延びる、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項3】
前記電極アセンブリが複数のスプラインをさらに含む、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項4】
前記1つ以上のマッピング電極のうちの1つのマッピング電極は、前記複数のスプラインのうちの1つのスプラインの第1の表面上に配置されており、前記1つ以上のアブレーション電極のうちの1つのアブレーション電極は、前記複数のスプラインのうちの前記1つのスプラインの第2の表面上に配置されている、請求項3に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項5】
前記アブレーション電極は、前記マッピング電極よりも前記カテーテルシャフトの遠位端から遠くに配置されている、請求項2に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項6】
前記複数のスプラインの各スプラインが、導電層、ポリイミド層、接着層、及び硬化層を含む、請求項3に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項7】
前記1つ以上のアブレーション電極のうちの少なくとも1つのアブレーション電極がフレキシブル回路を含み、前記1つ以上のマッピング電極のうちの少なくとも1つのマッピング電極がフレキシブル回路を含む、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項8】
前記1つ以上のアブレーション電極が内部コンポーネント上に配置された内部電極を含み、前記内部コンポーネントが前記複数のスプラインによって形成されたキャビティ内に配置されている、請求項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項9】
前記1つ以上のアブレーション電極が、
前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と、
前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、請求項3に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項10】
前記先端電極が先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極が前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、請求項9に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項11】
前記電極アセンブリが前記遠位端に対向する近位端を有し、前記エレクトロポレーションカテーテルは、
前記電極アセンブリの前記近位端に配置されたリング電極をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項12】
患者の標的組織を治療するためのエレクトロポレーションアブレーションシステムであって、前記エレクトロポレーションアブレーションシステムは:
電極アセンブリを含むカテーテルであって、前記電極アセンブリは:
複数の治療セクションに送達される複数の電気パルスシーケンスに応答して、前記標的組織に近接して電場を生成するように構成された1つ以上のアブレーション電極と;
電気信号を測定するように構成された1つ以上のマッピング電極とを含む前記カテーテルと;
前記カテーテルに結合され、前記1つ以上のマッピング電極から測定された電気信号を受信するように構成されたコントローラと;
前記カテーテル及び前記コントローラに動作可能に結合されたエレクトロポレーション発生器とを含む、エレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項13】
前記電極アセンブリは複数のスプラインをさらに含み、前記1つ以上のマッピング電極の少なくとも一部が前記複数のスプライン上に配置されている、請求項12に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のアブレーション電極は:
前記電極アセンブリの遠位端に配置された先端電極と;
前記複数のスプライン上に配置された複数のスプライン電極とを含む、請求項13に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【請求項15】
前記先端電極は先端電極表面積を有し、前記複数のスプライン電極は前記複数のスプライン電極の表面積の合計であるスプライン電極表面積を有し、前記先端電極表面積は前記スプライン電極表面積の50%~120%の範囲にある、請求項14に記載のエレクトロポレーションアブレーションシステム。
【国際調査報告】