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特表2024-521328管腔の識別、評価、及び/又は閉ループ再処理のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】管腔の識別、評価、及び/又は閉ループ再処理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240524BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20240524BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61B1/12 510
A61B1/015 511
A61B1/00 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573313
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 AU2022050567
(87)【国際公開番号】W WO2022256870
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2021901734
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503412126
【氏名又は名称】サバン ベンチャーズ プロプライアタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スパーゴ、ギャヴィン
(72)【発明者】
【氏名】カイヴァーンプア、アミール ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】ナビプール、モーセン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF08
4C161FF42
4C161FF43
4C161GG08
4C161HH04
4C161HH51
4C161JJ11
4C161LL02
(57)【要約】
少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別し、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別し、医療デバイスの管腔の完全性を評価し、医療デバイスの管腔を再処理するためのシステム及び方法が提示される。例えば、これらの方法は、管腔を通して既知の比重を含む流体を流動させることと、管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、管腔の流量係数を計算することと、を含む。次に、流量、圧力差、及び/又は計算された流量係数は、医療デバイス及び医療デバイスのそれぞれの管腔の既知のパラメータと比較されて、医療デバイス、各管腔を識別し、任意の故障を検出し、かつ/又は流体組成物を管腔に灌流し、それによって、医療デバイスを再処理することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法であって、
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、
少なくとも1つの管腔の前記決定された流体抵抗に基づいて、前記流体構成を識別することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体抵抗を決定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して、既知の比重を含む流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記流体抵抗を計算することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの管腔の前記決定された流体抵抗に基づいて前記流体構成を識別することは、
前記少なくとも1つの管腔の計算された前記流体抵抗を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法であって、
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔を、少なくとも、前記少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて識別することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体抵抗を決定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して、既知の比重を含む流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記流体抵抗を計算することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔を、少なくとも、前記少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて識別することは、
計算された前記流体抵抗を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
医療デバイスの管腔の完全性を評価する方法であって、
前記管腔の流体抵抗を決定することと、
前記管腔の前記流体抵抗を、前記管腔の流体抵抗値の既知の公称範囲と比較することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記医療デバイスの前記管腔の前記流体抵抗を決定することは、
前記管腔を通して既知の比重を含む流体を流動させることと、
前記管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、
前記管腔の前記流体抵抗を計算することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
医療デバイスの管腔を洗浄する方法であって、
前記管腔の流体抵抗を決定することと、
前記決定された流体抵抗に基づいて、前記管腔を通して流体を流動させることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記管腔の前記流体抵抗を決定することは、
前記管腔を通して既知の比重を含む流体を流動させることと、
前記管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、
前記管腔の前記流体抵抗を計算することと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
計算された前記流体抵抗に基づいて、前記管腔を通して流体を流動させることは、
計算された前記流体抵抗に基づいて、流体組成物を前記管腔に灌流することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、洗浄量、体積、用量、ショットの数、前記数の各ショットのタイミング、及び前記流体組成物の速度を制御することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法であって、
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記流体構成を識別することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体パラメータを測定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記流体構成を識別することは、
前記少なくとも1つの管腔の前記流量及び/又は前記圧力差を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量及び/又は圧力差と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記流体構成を識別することは、
前記流量及び前記圧力差から前記少なくとも1つの管腔の流量係数を計算することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記流量及び/又は前記圧力差を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量及び/又は圧力差と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法であって、
前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔を識別することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体パラメータを測定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔を識別することは、
前記少なくとも1つの管腔の前記流量及び/又は前記圧力差を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量及び/又は圧力差と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記少なくとも1つの管腔を識別することは、
前記流量及び前記圧力差から前記少なくとも1つの管腔の流量係数を計算することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記計算された流量係数を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量係数と、のリストを含むデータベースと比較することと、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
医療デバイスの管腔の完全性を評価する方法であって、
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔の前記完全性を評価することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体パラメータを測定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔の前記完全性を評価することは、
前記少なくとも1つの管腔の前記流量及び/又は前記圧力差を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量及び/又は圧力差と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔の前記完全性を評価することは、
前記流量及び前記圧力差から前記少なくとも1つの管腔の流量係数を計算することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記計算された流量係数を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量係数と、のリストを含むデータベースと比較することと、を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
医療デバイスの管腔を再処理する方法であって、
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔を再処理することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記医療デバイスの少なくとも1つの管腔の前記流体パラメータを測定することは、
前記少なくとも1つの管腔を通して流体を流動させることと、
前記少なくとも1つの管腔を通して流動させられている前記流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔を再処理することは、
前記少なくとも1つの管腔の前記流量及び/又は前記圧力差を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量及び/又は圧力差と、のリストを含むデータベースと比較することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの管腔の前記測定された流体パラメータに基づいて、前記医療デバイスの前記管腔を再処理することは、
前記流量及び前記圧力差から前記少なくとも1つの管腔の流量係数を計算することと、
前記少なくとも1つの管腔の前記計算された流量係数を、医療デバイスと、前記医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量係数と、のリストを含むデータベースと比較することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、洗浄量、体積、用量、ショットの数、前記数の各ショットのタイミング、及び流体組成物の速度を制御することを更に含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
医療デバイスの再処理システムを較正する方法であって、
前記医療デバイスの管腔を通して第1の流体を流動させることと、
前記第1の流体の第1の圧力及び第1の流量を測定することと、
前記第1の流体の前記流動を停止することと、
第2の流体の用量を前記医療デバイスの前記管腔に導入することであって、
前記第2の流体の粘度が、前記第1の流体の粘度よりも大きく、
前記第1の流体を流動させて、前記第2の流体を前記医療デバイスの前記管腔を通して移動させ、前記第1の流体の第2の流量を測定することと、
前記第1の流量及び前記第2の流量を使用して、前記医療デバイスの前記管腔の再処理における、前記医療デバイスの再処理システムの動作パラメータを通知することと、を含む、方法。
【請求項31】
前記医療デバイスの前記管腔を前記再処理することは、
前記第1の流体の前記流量を監視しながら、前記第1の流体を使用して、前記管腔を通して再処理流体のショットを断続的に推進すること、を含み、
下限流量が、前記第2の流量に基づき、
再処理流体は、前記第1の流体の前記流量が前記下限流量を下回るまで、前記管腔に追加される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記医療デバイスの前記管腔を前記再処理することは、
前記第1の流体の前記流量を監視しながら、前記第1の流体を使用して、前記管腔を通して再処理流体のショットを断続的に推進すること、を含み、
上限流量が、前記第1の流量に基づき、
再処理流体は、前記第1の流体の前記流量が前記上限流量を上回るときに、前記管腔に追加される、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021/901734号の利益を主張するものであり、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書全体にわたる先行技術に関するいかなる考察も、そのような先行技術が広く知られているか、又は当分野において共通の一般的な知識の一部を形成していることを容認するものとは、決して見なされるべきではない。
【0003】
内視鏡は、剛性又は可撓性があり得、かつ光学又はビデオシステム、及び光源を組み込む細長い管状の医療デバイスである。典型的には、内視鏡は、一端が、外科的切開部を介して、又は身体の本来の開口部のうちの1つを介して、患者の体内に挿入され得るように構成される。したがって、内視鏡の挿入された端部の近くの内部構造は、外部観察者によって見ることができる。
【0004】
内視鏡は、検査に使用されるだけでなく、診断及び外科手技を実行するためにも使用される。内視鏡による手技は、本質的に低侵襲であり、(治癒時間、及び感染への曝露の短縮を通じて)より良い患者転帰を提供し、病院及び診療所がより高い患者の入れ替え率を達成することが可能になるため、ますます普及している。
【0005】
内視鏡は、典型的には、長い管状構造の形態をとり、これは、一方の端部に患者への挿入のための「遠位先端」と、他方の端部に「コネクタ端部」とを有し、長さの中央に制御ハンドルを有する。コネクタ端部は、通常、光、水、吸引、及び加圧空気の供給源に接続される。制御ハンドルは、手技中にオペレータによって保持されて、バルブ及び制御ホイールを介して内視鏡を制御する。遠位先端には、カメラレンズ、照明、空気及び水のためのノズル出口、吸引のための出口箇所、及び鉗子が含まれる。全ての内視鏡は、空気及び/若しくは水を送達し、吸引を提供し、又は手技中に必要な鉗子及び他の医療デバイスへのアクセスを可能にするために使用される内部チャネルを有する。これらの内部チャネルのいくつかは、内視鏡の一方の端部から他方の端部まで通っており、他の内部チャネルは、制御ハンドルにおいてバルブソケットを介して通っている。いくつかのチャネルは、分岐し、一方、他のチャネルは、2つから1つに結合する。
【0006】
内視鏡のコストが高いため、それらは、再利用される必要がある。結果として、ある患者から次の患者への交差感染を避ける必要があるため、各内視鏡は、使用するたびに再処理される(例えば、徹底的に洗浄され、消毒され、滅菌され、かつ/又はリークのための試験が行われる)必要がある。これには、内視鏡の外側の洗浄だけでなく、内部チャネル/管腔の洗浄及び消毒も含まれる。
【0007】
結腸鏡検査手技に使用される内視鏡は、典型的には、長さが2.5~4メートルであり、直径が数ミリメートル以下の1つ以上の管腔チャネルを有する。このような長い狭いチャネルが患者間で適切に洗浄及び消毒されていることを確認することは、かなりの課題を提示する。洗浄の課題はまた、内視鏡の構成/タイプが1つだけではないという事実によっても困難になる。実際、それぞれが特定の挿入用途に適した様々な内視鏡デバイス、すなわち、結腸に挿入された結腸内視鏡、気道に挿入された気管支内視鏡、及び胃の調査のための胃鏡がある。例えば、胃鏡は、結腸鏡よりも直径が小さく、気管支鏡は、再び小さく、かつ長さが短く、一方、十二指腸鏡は、胆管にアクセスするための異なる先端設計を有する。
【0008】
洗浄及び消毒プロセスの第1の段階である、管腔から生物学的残留物を機械的に除去することのために、様々な選択肢が利用可能である。管腔を洗浄するための圧倒的に最も一般的な手技は、長くて薄くて柔軟な線に取り付けられた小さなブラシを利用することである。ブラッシングは、一部の国において、管腔を洗浄するために義務付けられている手段である。これらのブラシは、内視鏡が温水及び洗浄液に浸されている間に、管腔に供給される。次に、ブラシは、管腔の長さを通して押し込まれ/引っ張られて、どうにかして汚れ/生物汚染をこすり落とす。手動による前後のこすり落としが、典型的には必要とされる。次に、水及び洗浄液が、管腔に押し流される。これらの押し流しブラシプロセスは、3回繰り返されるか、又は内視鏡再処理技術者が、管腔が清潔であると確認されるまで繰り返される。この洗浄プロセスの最後において、空気が管腔にポンプダウンされて、それらを乾燥させる。ワイピングブレードを有する柔軟な引き通しデバイスを使用して、材料を物理的に除去することもできる。限られた圧力で管腔を通る液体流動も使用することができる。
【0009】
しかしながら、一般に、より大きな吸引/生検管腔のみが、ブラッシング又は引き通しによって洗浄することができる。空気/水チャネルは、ブラシには小さすぎるため、これらの管腔は、通常、水及び洗浄液のみで押し流される。
【0010】
機械的洗浄後、化学的洗浄が、残りの生物学的汚染物質を除去するために行われる。内視鏡は、高感度でかつ高価な医療デバイスであるため、生物学的残留物は、高温又は強力な化学物質で処理することはできない。この理由のため、機械的な洗浄は、できるだけ徹底する必要がある。多くの場合、現在の機械的洗浄方法は、特に洗浄が液体の流動だけに依存する場合、管腔からバイオフィルムを完全に除去することができない。従来の洗浄プロセスがどれほど優れているかにかかわらず、小さな微生物による負荷が管腔のチャネルに残ることは、ほとんど避けられない。
【0011】
ブラシで洗浄する方法は、規定されたように実行された場合であっても、内視鏡管腔のバイオフィルムを完全に除去するとは限らないことを示す重要な研究が行われている。有効性に欠けているだけでなく、現在の手動ブラッシング手技には、他の欠点もある。多数の異なる内視鏡メーカー及びモデルは、手動洗浄手技の多くの小さなばらつきをもたらす。これは、混乱を招き、最終的には、洗浄プロセスの順守が不十分になっている。ブラッシングの現在のシステムは、内視鏡を洗浄するために現在使用されている化学物質が再処理スタッフに悪影響を及ぼす可能性があるという点でも危険である。
【0012】
手動ブラッシングの現在のシステムはまた、労働集約的であり、コストの増加につながる。したがって、医療用洗浄装置における管腔の洗浄及び消毒に対する現在のアプローチは、依然として不十分であり、残留微生物は、これらのデバイスに曝露された患者及びスタッフにとって重大な脅威として現在認識されている。
【0013】
内視鏡の内部構造の不十分な洗浄及び消毒からの患者間の細菌伝播の証拠があり、これは、今度は、患者が致命的な感染症を獲得することにつながっている。2010年~2015年の間に、ほとんどが米国内であるが、世界中の41を超える病院が、視鏡に関連する細菌感染を報告し、300~350人の患者に影響を与えた(http://www.modernhealthcare.com/article/20160415/NEWS/160419937)。様々な医療デバイスにおける生物汚染度の低減により、感染率及び死亡率に伴う全体的な低減がもたらされることが期待される。更に、内視鏡が適切に洗浄及び乾燥されない場合、バイオフィルムは、管腔壁に蓄積する可能性がある。バイオフィルムは、自由浮遊微生物自体が表面に付着し、保護多糖層で囲まれたときに形成され始める。次いで、微生物は、他の微生物とともに増殖するか、又は集合体を形成し始め、多糖層の範囲を増加させる。複数の付着部位が、時間内に結合し得、バイオフィルムの重大な堆積物を形成する。細菌又は他の微生物がバイオフィルムに組み込まれると、それらは、自由浮遊状態にあるよりも、化学的及び機械的洗浄に対して有意に耐性を有するようになる。生物自体は、本質的には、より抵抗性はなく、むしろ、多糖フィルムによって抵抗性が付与され、事実として、微生物が、フィルムに深く埋め込まれ、任意の化学的相互作用から隔離され得る。洗浄を試みた後に残った残留バイオフィルムは、どれもすぐに平衡状態に戻り、フィルム内の微生物の更なる増殖が継続する。内視鏡管腔は、特にバイオフィルム形成を生じやすい。それらは、かなりの量の生物汚染に晒されており、その後の長い狭い管腔の洗浄は、アクセスが不可能であり、洗浄プロセスを監視することができないため、非常に困難である。
【0014】
できるだけ迅速に内視鏡を再処理するように、医療施設には、かなりの圧力がある。内視鏡は、手で洗浄されるため、技術者の訓練及び態度は、デバイスの清潔さを決定する上で重要である。器具上の残留バイオフィルムは、患者が内視鏡により獲得される感染症を獲得する結果となり得る。通常、これらの感染症は、感染爆発として発生し、患者に致命的な結果をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服若しくは改善するか、又は有用な代替案を提供する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、
少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて、流体構成を識別することと、を含む。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔を、少なくとも1つの管腔のそれぞれの決定された流体抵抗に基づいて識別することと、を含む。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、医療デバイスの管腔の完全性を評価する方法が提供され、この方法は、
管腔の流体抵抗を決定することと、
管腔の流体抵抗を、管腔の流体抵抗値の既知の公称範囲と比較することと、を含む。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、医療デバイスの管腔を洗浄する方法が提供され、この方法は、
管腔の流体抵抗を決定することと、
決定された流体抵抗に基づいて、管腔を通して流体を流動させることと、を含む。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の測定された流体パラメータに基づいて、流体構成を識別することと、を含む。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の測定された流体パラメータに基づいて、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別することと、を含む。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、医療デバイスの完全性を評価する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の測定された流体パラメータに基づいて、医療デバイスの管腔の完全性を評価することと、を含む。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、医療デバイスの管腔を再処理する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定することと、
少なくとも1つの管腔の測定された流体パラメータに基づいて、医療デバイスの管腔を再処理することと、を含む。
【0024】
本発明の第9の態様によれば、医療デバイス再処理システムを較正する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスの管腔を通して第1の流体を流動させることと、
第1の流体の第1の圧力及び第1の流量を測定することと、
第1の流体の流動を停止することと、
第2の流体の用量を医療デバイスの管腔に導入することであって、
第2の流体の粘度が、第1の流体の粘度よりも大きい、導入することと、
第1の流体を流動させて、第2の流体を医療デバイスの管腔を通して移動させ、第1の流体の第2の流量を測定することと、
第1の流量及び第2の流量を使用して、医療デバイスの管腔の再処理における、医療デバイス再処理システムの動作パラメータを通知することと、を含む。
【0025】
したがって、本開示は、医療デバイスの管腔の識別、評価、及び/又は閉ループ再処理のためのシステム及び方法を提供し、これは、当技術分野における様々な問題を解決することができる。例えば、内視鏡が自動再処理デバイスに接続されている場合、デバイスが、どの構成の内視鏡が接続されているかを検出し、その結果、正しい洗浄/消毒パラメータが、その特定の内視鏡構成のために使用することができることが有益であり得る。例えば、内視鏡には異なるメーカー/モデルがあり、それぞれ異なる構成によって特徴付けられ得る。例えば、内視鏡は、異なる流路、形状、管腔形状などを有し得る。理解され得るように、これは、管腔を含む様々な医療デバイスにも当てはまる。
【0026】
したがって、開示された方法のいくつかの態様は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータ(例えば、流量、圧力、流量係数、及び/又は流体抵抗)を測定/決定することを含む。医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定/決定することは、流体を少なくとも1つの管腔を通して流動させることと、少なくとも1つの管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、流体パラメータを測定/決定することは、流量係数を計算することを含み得る。次に、流体パラメータは、例えば、管腔を識別し、それを評価し、かつ/又はその洗浄を容易にするために有益に使用され得る。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つの管腔の流量係数は、流量及び圧力差から計算され得る。少なくとも1つの管腔の計算された流量係数を、医療デバイスと、医療デバイスのそれぞれの管腔についての関連付けられた流量係数と、のリストを含むデータベースと比較すると、医療デバイスの流体構成は、識別され得、医療デバイスの管腔は、識別され得、管腔の完全性は、評価され得、かつ/又は医療デバイスは、再処理され得る。
【0028】
再処理パラメータは、流体組成物の洗浄量、体積、用量、ショットの数、当該数のショットの各ショットのタイミング、及び速度を制御することを含む、流体パラメータ又は流量係数に基づいて選択され得る。本明細書で使用されるとき、「用量」という用語は、医療デバイスの1つ以上の管腔を通って流動する流体の量を意味する。いくつかの場合では、用量は、管腔全体を満たし得、他の場合では、用量は、管腔の全体の体積未満を含み得、「用量」又は「ショット」のいずれかと同義的に呼ばれ得る。好適な速度は、1000mm/秒のオーダーにすることができる。もちろん、任意の好適な速度が、本開示の実施形態に従って実装され得ることを理解されたい。
【0029】
いくつかの実施形態では、流体は、水及び重炭酸ナトリウムを含む。例えば、180~200グラムの重炭酸ナトリウムを使用して、医療デバイス、例えば、可撓性胃腸内視鏡を再処理することができる。より大きなチャネル(例えば、吸引/生検チャネル)のうちの1つについて、80~100グラムが使用され得る。より小さいチャネル(例えば、空気/水チャネル)のうちの1つについては、60~80グラムが使用され得、最も小さいチャネル(例えば、補助チャネル)のうちのいくつかについては、10~20グラムが使用され得る。1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して管腔を再処理するためのシステム/方法に関する更なる詳細は、2021年6月9日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021/901729号の優先権を主張する、「Systems and Methods for Cleaning Lumens with Fluidic Compositions」と題された出願人の同時出願された特許出願に見ることができる。これらの出願の内容は、特に、1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して、管腔を有する医療デバイスを再処理するためのシステム及び方法に関するため、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
一例として、再処理サイクルは、補助管腔内ショット1回、吸引生検管腔内ショット9回、補助管腔内ショット1回、吸引生検管腔内ショット3回、補助管腔内ショット1回、及び吸引生検管腔内ショット9回を含み得る。並行して、6つのショットが、空気管腔に送達され得、6つのショットが、水管腔に送達され得る。
【0031】
各ショットのタイミングは、より大きな(例えば、吸引/生検)管腔への各ショットの間の約15秒と、より小さい(例えば、空気/水及び補助)管腔への各ショットの間の約30秒との間で変化し得る。
【0032】
更なる実施形態では、医療デバイスの閉ループ再処理方法は、第1に、再処理システムを医療デバイスの少なくとも1つの管腔に対して較正し、第2に、この較正を使用して、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を閉ループ方式で再処理することを含む。
【0033】
したがって、いくつかの実施形態では、医療デバイス再処理システムを較正する方法は、医療デバイスの管腔を通して空気を流動させることと、第1の空気圧及び第1の空気流量を測定することと、医療デバイスの管腔を通して空気を流動させるステップを停止することと、医療デバイスの管腔を通して用量の水を流動させることと、医療デバイスの管腔を通して空気を流動させることと、第2の空気圧及び第2の空気流量を測定することと、第1の空気流量よりも低い無負荷限界、及び第2の空気流量よりも高い負荷限界を決定することと、を含む。
【0034】
また更なる実施形態では、医療デバイスの管腔は、再処理流体を医療デバイスの管腔に流動させ、実質的に無負荷限界に達するまで、負荷限界以下で医療デバイスの管腔を通して空気を流動させることによって再処理される。これらのステップは、医療デバイスの管腔が再処理されるまで繰り返され得る。
【0035】
本発明の他の実施形態では、洗浄/消毒される予定の内視鏡の内部経路のうちの1つ以上の流体抵抗は、決定することができ、次いで、同様に試験された内視鏡の流体抵抗のデータベースと比較することができ(例えば、内視鏡モデル/構成の「流体指紋」が確立され得る)、次いで、内視鏡は、データベース内の流体抵抗測定値を流体指紋と照合することによって識別することができる。特定の実施形態では、そのような比較を使用して、ユーザが洗浄/消毒デバイスに正しい内視鏡情報を入力したことを確認することができる。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて流体構成を識別することと、を含む。一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を少なくとも1つの管腔を通して流動させることと、少なくとも1つの管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、少なくとも1つの管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。例示的な方法の一態様では、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて流体構成を識別することは、少なくとも1つの管腔の計算された流体抵抗を、医療デバイスと、その医療デバイスのそれぞれの管腔の関連付けられた流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む。
【0037】
どの管腔医療デバイスが(上記又は他の手段によって)自動洗浄/消毒デバイスに接続されているかを確認したことで、デバイスが内視鏡のどの流体経路に接続されているかを識別することも有益である。流体経路/管腔を識別する利点は、その特定の内視鏡構成の特定の経路のための好適な洗浄/消毒パラメータの選択(又は好適なパラメータが選択されていることの確認)を含むことができる。内視鏡の複数の内部経路を洗浄/消毒するデバイスについて、デバイスが内部経路のどの組み合わせに接続されているかの識別、及びデバイス出力が対応する内視鏡ポートと一致するかどうかの確認は、各内視鏡経路についての好適な洗浄/消毒パラメータの選択及び使用を支援することができる。
【0038】
上記のように、内視鏡全体の流体指紋がデータベースに一致させることができるのと同じように、内視鏡の各管腔は、その流体抵抗を、既知の内視鏡内の各管腔の様々な流体指紋と一致させることによって識別することができる。
【0039】
一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、少なくとも1つの管腔のそれぞれの決定された流体抵抗に基づいて医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別することと、を含む。一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を少なくとも1つの管腔を通して流動させることと、少なくとも1つの管腔を通して流動させられている流体の流速及び/又は圧力差を測定することと、少なくとも1つの管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。別の実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて識別することは、計算された流体抵抗を、医療デバイスと、そのそれぞれの管腔の関連付けられた流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む。
【0040】
再利用可能な医療デバイス/内視鏡は、摩耗及び破損、並びに一般的な使用による故障の影響を受ける。これらの故障の中のいくつかには、内部管腔の閉塞、管腔の穿刺又は破損からの漏出、及び部分的な閉塞などの更に微妙な問題が含まれる。内視鏡の性質が不透明であり、長い内腔が内視鏡の本体内にあるため、任意の損傷又は他の問題は、単純な検査によって決定することが困難であり、場合によっては不可能である。
【0041】
本発明者らは、前述の問題の全てではないにしても、多くの問題が、チャネルの流体抵抗に影響を与える可能性があるという共通の特徴を有することを理解する。通常の条件下でのチャネルの流体抵抗が既知であり、試験条件下での内視鏡のチャネルの流体抵抗と比較される場合、この比較によって故障を判定することができる。閉塞又は部分的な閉塞は、予想よりも高い流体抵抗をもたらすことになるであろうし、一方、穿刺又は破損によるリークは、予想よりも低い流体抵抗をもたらすことになるであろう。この方法はまた、洗浄/消毒デバイスと内視鏡ポートとの間の接続が完全に係合しているかどうかを判定することにも拡張することができる。
【0042】
一実施形態では、医療デバイスの管腔の完全性を評価する方法は、管腔の流体抵抗を決定することと、管腔の流体抵抗を、管腔の流体抵抗値の既知の公称範囲と比較することと、を含む。更なる実施形態では、医療デバイスの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を管腔に流動させることと、管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。
【0043】
本開示はまた、好適な再処理流体体積の選択、及びその再処理流体の内視鏡への放出の効率的なタイミングに関連付けられる問題を解決する閉ループ制御システム及び方法にも関する。例えば、内視鏡の内部チャネルに流体を流動させるいくつかの自動再処理デバイスでは、それらの有効性は、流体の体積、並びに流体が管腔を移動する速度の組み合わせに結びついている。清掃/消毒にかかる時間も重要な要素であるため、バランスを取る必要がある。例えば、同じ体積の再処理流体について、内視鏡の圧力上限以下でより少ない数のより大きな部分を搬送することは、流体の速度を低下させる効果を有する一方、内視鏡の圧力上限以下でより多くの数のより小さな部分を搬送することは、流体の速度を増加させる効果を有するが、また、洗浄/消毒にかかる時間を大幅に増加させる。体積、圧力、流量、及び時間の間のこのバランスは、静的ではなく、むしろ、例えば、再処理流体が通過しているチャネルの幾何学的形状(長さ、直径など)に応じて変化する可能性があるという点で、状況は、更に複雑である。
【0044】
1つの解決策は、各内視鏡構成の各流体経路を試験して、それぞれのための最適な設定を見つけ、次いで、この情報をパラメータデータベースに記憶することである。これは、時間がかかる可能性があり、新しい内視鏡モデルがリリースされると、更新が必要になる。加えて、所与の内視鏡チャネルの流体応答には、同じモデルの2つの内視鏡にわたって同じチャネルを比較した場合でさえ、問題の内視鏡の摩耗及び破損、更には物理的配置の違い(例えば、再処理時に巻かれた又はまっすぐな内視鏡)に起因する、より微妙な違いが存在し得る。更に、このアプローチは、各内視鏡構成のチャネル及び内視鏡識別情報をデバイスに入力するユーザに依存し、そのため、人為ミスが発生しやすい。したがって、本発明者らは、水(又は既知の比重を有する別の流体)の試験ショットを実行して、流体抵抗をマッピングし、内視鏡構成の限られた、もしあれば、事前の知識で、特定の内視鏡チャネルに即座に適合するように再処理パラメータを調整するという、上述のアプローチを利用するエレガントな方法を考案した。
【0045】
一実施形態では、医療デバイスの管腔を再処理する方法は、管腔の流体抵抗を決定することと、決定された流体抵抗に基づいて流体を、管腔を通して流動させることと、を含む。更なる実施形態では、管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を、管腔を通して流動させることと、管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。更に別の実施形態では、計算された流体抵抗に基づいて流体を、管腔を通して流動させることは、計算された流体抵抗に基づいて流体組成物を管腔に灌流することを含む。なおも更なる実施形態では、方法は、再処理の程度、再処理流体の体積、再処理流体の用量、ショットの数、ショットの数の各ショットのタイミング、及び流体組成物の速度のうちの少なくとも1つを制御することを更に含む。
【0046】
文脈が別段明らかに要求しない限り、説明及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は徹底的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるものとする。
【0047】
上記の実施形態は、典型的なものに過ぎない。本明細書に記載の他の実施形態は、開示の主題の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本開示の特徴が理解されることができる様式において、詳細な説明は、特定の実施形態を参照することによって有することができ、それらのうちのいくつかは、添付の図面において図示される。しかしながら、図面が特定の実施形態のみを例示し、したがって、開示された主題の範囲が他の実施形態も包含するため、その範囲を限定するものと見なされないことに留意されたい。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の実施形態の特徴を例示することに、おおむね重点が置かれる。図面において、様々な図面を通して同様の部分を示すために、同様の番号が使用される。
【0049】
図1】本明細書に記載の1つ以上の態様による典型的な内視鏡を示す。
図2】識別、評価のためのシステムの別の実施形態の概略図を示し、これは、本明細書に記載の1つ以上の態様による、管腔の閉ループ再処理を可能にするために使用することができる。
図3】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を再処理する方法のフロー図を示す。
図4】本開示の特定の実施形態による、医療デバイスの管腔を再処理する方法のためのフロー図を示す。
図5】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療の管腔を再処理する方法のためのフロー図を示す。
図6】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法のためのフロー図を示す。
図7A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、管腔の閉ループ再処理を可能にするために使用され得る再処理パラメータを決定するためのシステムの一実施形態の概略図を示す。
図7B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、空気及び水の較正データのグラフを示す。
図7C】本明細書に記載の1つ以上の態様による、再処理デバイスと併せた閉ループ制御システムの動作中の気流追跡のモデルを示す。
図8】本開示の特定の実施形態による、医療デバイスの流体構成を識別し、ユーザエラーを検出し、故障を検出する方法のためのフロー図を示す。
【0050】
対応する参照符号は、いくつかの図全体にわたって対応する部分を示す。本明細書において記載される実施例は、いくつかの実施形態を例示するが、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、医療デバイス、例えば、内視鏡100(図1)の管腔の識別、評価、及び閉ループ再処理のためのシステム及び方法に関する。本出願の文脈内では、「閉ループ再処理」への言及は、管腔/流体システムを特徴付けることを包含し、この特徴付けを使用してその再処理を通知する。1つの課題は、医療デバイスの識別であり、このため、好適な再処理条件が用いられ得る。メニューからデバイスを選択するなどの方法が企図されるが、時間がかかり、ユーザエラーの影響を受けやすい場合がある。更に、それらは、新しい医療デバイスがリリースされるときに選択のメニューを更新する方法を必要とする。医療デバイスを識別する必要性を排除するために、本開示は、流体パラメータ、例えば、圧力、流量を測定し、かつ流量係数を計算することによって、医療デバイスを識別する方法を提供する。
【0052】
別の形態のユーザエラーは、ユーザが流体源を誤った医療デバイス入口に接続するときに発生する。これは、あるチャネルの再処理に適した再処理パラメータが別のチャネルに適用される場合に好適でない可能性があるため、誤った再処理パラメータが適用されることにつながる可能性がある。したがって、本開示は、流体パラメータ、例えば、圧力、流量を測定して流量係数を計算することによって、ユーザエラーを検出する方法を提供する。
【0053】
特定の態様では、これらの流体パラメータを使用して、配分された量の流体の送達の頻度を含む閉ループ再処理パラメータを設定することができる。いくつかの実施形態では、再処理パラメータは、1回設定される。他の実施形態では、再処理パラメータは、先行するサイクルで測定された流体パラメータに基づいて継続的に更新される。
【0054】
更なる態様では、流量係数が計算され、その流量係数を使用して、ユーザエラーを検出し、医療デバイスを識別し、医療デバイスの流体構成を確認し、かつ/又は再処理パラメータを設定することができる。
【0055】
本発明者らは、流体(例えば、空気及び/又は水)を、設定された圧力で内視鏡の管腔を通して流動させ、流量を測定することを企図する。理解され得るように、流量は、一定に保たれ、圧力降下を測定することができる。更に、流量及び圧力降下の両方を測定することができる。
【0056】
図2は、水21が、内視鏡27を通って流動する前に、圧力調整器23、隔離バルブ24、圧力センサ25、及び流量計26を通って流動する閉ループ制御システムの一実施形態の概略図20を示す。この実施形態では、水21が流体として使用され、圧力調整器23が、水流の圧力を設定するために使用される。一実施形態では、圧力センサ25は、水の圧力が、圧力調整器23によって設定された圧力の範囲内にあるかどうかを判定する。別の実施形態では、圧力センサ23は、圧力調整器23が設定された圧力の範囲内に水圧を維持するよう調整されるように、圧力調整器23と一体化される。隔離バルブ24を使用して、例えば、内視鏡27を取り付ける/取り外す前に、又は水圧が閾値を超える場合に、内視鏡27への流動を停止することができることを理解されたい。流量計26は、水が内視鏡27の管腔に入る前に、水の流体流量を測定する。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定/決定することを含む。医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体パラメータを測定/決定することは、流体を少なくとも1つの管腔に流動させることと、少なくとも1つの管腔を通して流動させられている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、流体パラメータを測定/決定することは、流量係数を計算することを含み得る。
【0058】
再処理パラメータは、上記のように、流体組成物の洗浄量、体積、用量、ショットの数、当該数のショットの各ショットのタイミング、及び速度を制御することを含む、流体パラメータ又は流動係数に基づいて選択され得る。
【0059】
別の実施形態では、流量係数を計算するために、圧力降下及び流量が使用される。一実施形態では、計算された流量係数は、ユーザエラーを検出し、内視鏡27の流体構成を識別し、内視鏡27の管腔内の任意の故障を検出し、かつ/又は内視鏡27の再処理パラメータを設定するために使用される。
【0060】
有利なことに、より低い流量係数は、より高い流体抵抗と相関し、より高い流量係数は、より低い流体抵抗と相関する。流体抵抗は、表面粗さ又は突然の屈曲、収縮、又は拡張など、流体の流動を妨げる導管又はチャネル内の任意の要因の関数であり得、各管腔の特徴的な特性である。流体抵抗は、要素若しくはシステムを通る所与の流体の流動に対する流体要素若しくはシステムの抵抗を示し得るか、又は流体要素若しくはシステムの流動に抵抗する傾向を示し得る。
【0061】
空気及び/又は水を使用して医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流量係数を決定することに加えて、任意の好適な流体が使用され得る。好適な流体は、既知の比重を有し、そのため、流量係数を計算することができる。典型的な流体としては、窒素、アルゴン、酸素、オゾンなどのガス、及び水溶液、混合物、懸濁液、コロイド懸濁液/分散液、アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール)、有機溶媒、並びにそれらの組み合わせを含む液体が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つの流体を使用して、第1の流量係数を決定し、続いて、異なる比重を有する別の流体を使用して、第2の流量係数を決定する。
【0062】
流量係数は、バルブなどの流体構成要素の性能を評価するために一般的に使用される。流量係数は、典型的には、Cv(米国単位)又はKv(SI単位)として示され、ここで、その値は、所与の圧力差に対する固定抵抗にわたる流量に等しい。Cvについては、1PSIの圧力降下を伴う60°Fの温度での水の1分当たりの米国ガロンの流量であり、Kvについては、1barの圧力降下を伴う16℃での水のm3/時の流量である。このように、流量係数は、その数が流体抵抗に反比例するため、電気的なモデルと比較すると、コンダクタンスに類似している。流体抵抗は、流体システムが流動に抵抗する傾向を説明し、流体抵抗を測定/決定するための1つの方法は、上述したように、流体抵抗と逆の関係を有する流量係数を計算することであることを理解することができる。流量係数は、以下によって計算することができる。
【数1】

式中、
Cv=流量係数(英国単位)
Kv=流量係数(メートル法単位)
Q=体積流量(メートル法:m3/時、英国単位:米国GPM)
SG=比重(無次元)
dP=流体構成要素/システム全体の圧力降下(メートル法単位:バー、英国単位:PSI)
【0063】
流体システムを特徴付けるための流量係数を使用する利点は、それが実験的に容易に計算されることである。既知の流体(したがって、既知の比重)がシステムを横切ってポンピングされるため、圧力降下及び体積流量を測定し、したがって流量係数を計算することは、比較的容易である。例えば、Olympus EVIS EXERA II CF-H180AI結腸ビデオスコープの吸引生検及び補助管腔の流量係数は、それぞれ、Kv=0.0498及びKv=0.0063のオーダーであることが測定された。
【0064】
流量係数は、経験的に生成された数であるため、その数が生成されたパラメータ内の圧力及び流量を予測するために使用することができる。例えば、流量係数は、層流、遷移流、及び乱流との間の差を考慮に入れず、1つの流動レジームで計算された値は、別の流動レジームに適用されない場合がある(例えば、層流レジームで計算された値は、乱流レジームで適用されない場合がある)。同様に、上記の式から分かるように、粘度などの圧力及び流量に影響を与える可能性がある流体の他の特性は、考慮されない。流量係数が、流動レジームの特徴、及び関心のある流体特性に適合する条件下で生成された測定値を使用して計算されることを確実にするように注意が払われるべきである。複数の、広く変化する流動レジーム及び/又は流体特性が興味深い場合、これらの不正確さを回避するために、対応する条件下で行われる測定に基づいて、これらのシナリオの各々の流量係数を計算することが有用であり得る。
【0065】
流体システムをより包括的な方法で特徴付けるための他の式及びアプローチもあり(例えば、レイノルズ数及びダーシー摩擦係数を計算する)、これは、システムが異なる流れ条件下でどのように応答するかについての別の図をもたらす可能性がある。しかしながら、これらの方法は、管腔長及び断面積などの情報、すなわち、本明細書に開示される方法が取得しようとするシステムに関する知識そのものを必要とする。更に、これらの計算は厳密であり、複雑な流体構成に関連して使用される場合に複雑である。対照的に、本開示の方法は、容易に取得された測定値に基づいて、流体システムが、流れることがどの程度制限的であるかを分析するための単純なアプローチを提供する。流量係数は、健全なアプローチである。もちろん、本発明の実施形態に従って、流体回路内の流れに対する抵抗を決定するための任意の技術が利用され得ることを理解することができる。
【0066】
図3は、本開示の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法300の一実施形態を示す。任意選択のステップ305は、医療デバイスの識別情報を受信することを含む。一実施形態では、システムは、ユーザが再処理される医療デバイスを選択することができるユーザデバイスのメニューを提示することができ、ユーザの選択は、システムによって受信される。別の実施形態では、システムは、RFID、QRコード(登録商標)、バーコード、又はシステムが検出及び/又は読み取りするように構成されている他の識別子を含み、このため、システムは、再処理中に使用するために医療デバイスに関する情報、例えば、流体構成及び/又は洗浄プロトコルにアクセスして使用する。更なる実施形態では、任意選択のステップ305が省略され、システムは、医療デバイスの流体構成を識別し、これは、ユーザがシステムに誤った医療デバイスの識別情報を提供する可能性を有利に回避する。医療デバイスを識別する実施形態はまた、異なる流動特性を有する医療デバイスの新しいモデルの場合と同様に、システムが、事前にプログラムされた情報がない医療デバイスを検出することも可能にする。
【0067】
医療デバイスの識別情報を受信する任意選択のステップの前又は後に、ユーザは、流体源を医療デバイスの管腔に接続する(任意選択のステップは、示されていない)。好適な流体としては、空気、窒素、水、アルコール、洗浄流体(例えば、水、重炭酸ナトリウム、及び/又は洗剤を含む洗浄流体)、滅菌流体、並びにそれらの混合物(例えば、水溶液中の70%エタノール)が挙げられる。
【0068】
ステップ310は、設定された圧力で管腔を通して流体を流動させることを含む。好適な圧力は、管腔特性、例えば、管腔断面直径及び長さに依存する。多くの内視鏡は、24又は26psiの圧力上限を有し、これは、本開示の実施形態による方法において加えられる圧力を制限し得る。例えば、空気圧は、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、最大28psi、最大29psi、又は最大30psiを含み得る。いくつかの実施形態では、空気圧は、0.5~30psi、10~30psi、15~30psi、20~30psi、21~29psi、22~28psi、23~27psi、又は24~26psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18psi、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、約28psi、約29psi、又は約30psiである。
【0069】
例示的な水圧は、最大18psi、最大19psi、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、又は最大28psiを含み得る。いくつかの実施形態では、水圧は、0.5~28psi、10~28psi、15~28psi、20~28psi、21~29psi、20~26psi、21~25psi、又は22~24psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約8psi、約9psi、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18psi、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、又は約28psiである。
【0070】
ステップ320は、流体流量を測定することを含み、これは、上述のように、任意選択のステップ330において流量係数を計算するために使用される。任意の好適な流量計又は圧力センサは、本開示のシステム及び方法で使用することができることを理解されたい。例えば、好適な流量センサとしては、Siargo社が販売するMEMSマスフローセンサが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な例示的な圧力変換器としては、Honeywell PX3 Series Heavy Duty Pressure Transducersが挙げられる。有利なことに、異なる圧力及び流量は、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0071】
次いで、計算された流量係数を使用して、ユーザエラー340を検出し、医療デバイス350を識別し、医療デバイス350の流体構成を確認し、任意の故障360を検出し、かつ/又は再処理パラメータ370を設定することができる。これらの任意選択のステップのそれぞれは、任意選択であり、任意の順序で実行することができる。
【0072】
ユーザエラー340を検出する任意選択のステップは、ユーザが流体源を間違った管腔に接続したこと、かつ/又は流体源を管腔に確実に接続しなかったことを検出することを含み得る。例えば、管腔の流量係数が予想よりも大きい場合、それは、管腔が、より小さい流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。逆に、管腔の流量係数が予想よりも小さい場合、それは、管腔が、より大きな流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。予想よりも小さい流量係数はまた、流体源と管腔との間の接続がリークしていることも示し得、ユーザは、流体源を管腔により確実に結合する必要がある。
【0073】
ユーザエラーが検出された場合、ステップ342は、エラーをユーザに通知することを含む。好適な通知には、光、音、テキスト(書面又は聴覚)、アニメーション、又はビデオが含まれる。通知に続いて、任意選択のステップ344は、例えば、接続を切り替えかつ/又は締めることによって、流体源と医療デバイスとの間の接続を是正する方法をユーザに指示することを含む。
【0074】
任意選択のステップ350は、医療デバイスの流体構成を識別及び/又は確認することを含む。有利なことに、任意選択のステップ330で計算された流量係数は、医療デバイスの流体構成を識別するために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスがその医療デバイスを識別するための流量係数又は流量係数の範囲と一致する。一実施形態では、別の管腔の流量係数は、医療デバイスの流量係数又は流量係数の範囲と一致する。例えば、空気管腔の流量係数が医療デバイスに一致し、水管腔の流量係数が同じ医療デバイスに一致する場合、医療デバイスの識別における信頼性は、1つの管腔の流量係数を使用する識別における信頼性よりも高い。追加の管腔(例えば、吸引管腔及び/又は生検管腔)の流量係数を医療デバイスの既知の流量係数と一致させることも企図される。一実施形態では、そのような医療デバイス流体構成識別は、任意選択のステップ305において入力された医療デバイスの識別情報を確認するために使用される。
【0075】
任意選択のステップ360は、医療デバイスの管腔内の任意の故障(例えば、リーク又は閉塞)を検出することを含む。一実施形態において、任意選択のステップ330において計算された流量係数は、医療デバイスの故障に対して使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスのその管腔の流量係数又は流量係数の範囲と比較される。一実施形態では、流量係数が管腔の流量係数よりも大きい(又は許容流量係数の範囲を超える)場合、それは管腔が少なくとも部分的に閉塞されていることを示すであろう。一実施形態では、流量係数が管腔についての流量係数未満である(又は許容流量係数の範囲未満である)場合、それは、管腔が、例えば、破損又は穿刺からリークしている可能性があることを示すであろう。医療デバイスの各管腔の完全性は、このようにして決定することができる。医療デバイスの流体構成に応じて、2つ以上の管腔の故障を並列に検出することが可能であり得ることを理解されたい。
【0076】
故障が検出された場合、任意選択のステップ362は、故障をユーザに通知することを含む。任意選択のステップ362は、故障をどのように修復するかについての指示を提供するなどの、追加の任意選択のステップを更に含み得る。例えば、1つの指示は、生検管腔を手動で創面切除を行うようにユーザに指示することであってもよい。
【0077】
任意選択のステップ370は、医療デバイスの再処理パラメータを設定することを含む。一実施形態では、流量係数を使用して、配分された量の流体の送達の頻度などの再処理パラメータを決定する。例えば、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示している可能性があり、それによって、より厳格な洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示していることになり、より高い流量係数は、より厳密でない洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示していることになる。別の例では、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示している可能性があり、それによって、より大きな量の再処理流体を使用するパラメータを確立することになる。別の実施形態では、再処理パラメータは、流量係数に基づいて(例えば、「リアルタイム」で)適宜更新されて、洗浄有効性を向上させる。
【0078】
任意選択のステップ380は、医療デバイスを再処理することを含む。いくつかの実施形態では、再処理のステップは、ステップ370において設定された再処理パラメータを採用する。一実施形態において、デバイスは、洗浄剤を含む流体を流動させ、続いて、すすぎ流体、及び滅菌空気を流動させて、医療デバイスの各管腔からすすぎ流体を押し流すことによって再処理される。任意選択のステップ380は、医療デバイスの清潔さ及び/又は滅菌が特定の基準を満たすまで繰り返され得る。
【0079】
ステップ390は、方法の終了を含み、これは、医療デバイスの識別情報、方法の実行中に行われた測定のいずれか、生成された任意の通知、及び/又は洗浄結果の説明若しくは証明を含むレポートを生成することを更に含み得る。
【0080】
図4は、本開示の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法400の別の実施形態を示す。任意選択のステップ405は、医療デバイスの識別情報を受信することを含む。一実施形態では、システムは、ユーザが再処理される医療デバイスを選択することができるユーザデバイスのメニューを提示することができ、ユーザの選択は、システムによって受信される。別の実施形態では、システムは、RFID、QRコード(登録商標)、バーコード、又はシステムが検出及び/又は読み取りするように構成されている他の識別子を含み、その結果、システムは、再処理中に使用するために医療デバイスに関する情報、例えば、流体構成及び/又は洗浄プロトコルにアクセスして使用する。更なる実施形態では、任意選択のステップ405が省略され、システムは、医療デバイスの流体構成を識別し、これは、ユーザがシステムに誤った医療デバイスの識別情報を提供する可能性を有利に回避する。医療デバイスを識別する実施形態はまた、異なる流動特性を有する医療デバイスの新しいモデルの場合と同様に、システムが、事前にプログラムされた情報がない医療デバイスを検出することも可能にする。
【0081】
医療デバイスの識別情報を受信する任意選択のステップの前又は後に、ユーザは、流体源を医療デバイスの管腔に接続する(任意選択のステップは、示されていない)。好適な流体としては、空気、窒素、水、アルコール、洗浄流体(例えば、水、重炭酸ナトリウム、及び/又は洗剤を含む洗浄流体)、滅菌流体、及びそれらの混合物(例えば、水溶液中の70%エタノール)が挙げられる。
【0082】
ステップ410は、設定された圧力で管腔を通して流体を流動させることを含む。好適な圧力は、管腔特性、例えば、管腔断面直径及び長さに依存する。多くの内視鏡は、24又は26psiの圧力上限を有し、これは、本開示の実施形態による方法において加えられる圧力を制限し得る。例えば、空気圧は、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、最大28psi、最大29psi、又は最大30psiを含み得る。いくつかの実施形態では、空気圧は、0.5~30psi、10~30psi、15~30psi、20~30psi、21~29psi、22~28psi、23~27psi、又は24~26psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18psi、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、約28psi、約29psi、又は約30psiである。
【0083】
例示的な水圧は、最大18psi、最大19psi、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、又は最大28psiを含み得る。いくつかの実施形態では、水圧は、0.5~28psi、10~28psi、15~28psi、20~28psi、21~29psi、20~26psi、21~25psi、又は22~24psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約8psi、約9psi、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18PSI、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、又は約28psiである。
【0084】
ステップ420は、圧力及び流体流量を測定することを含み、これは、圧力が、設定された圧力の特定の範囲内にあることを確認するために使用される。圧力及び流体流量はまた、上述したように、ステップ430において流量係数を計算するためにも使用される。有利なことに、異なる圧力及び流量は、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0085】
次いで、流量係数は、ユーザエラー440を検出し、医療デバイス450を識別し、医療デバイス450の流体構成を確認し、任意の故障460を検出し、かつ/又は再処理パラメータ470を設定するために用いられ得る。これらのステップのそれぞれは、任意選択であり、任意の順序で実行することができる。
【0086】
ユーザエラー440を検出する任意選択のステップは、ユーザが流体源を間違った管腔に接続したこと、かつ/又は流体源を管腔に確実に接続しなかったことを検出することを含み得る。例えば、管腔の流量係数が予想よりも大きい場合、それは、管腔が、より小さい流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。逆に、管腔の流量係数が予想よりも小さい場合、それは、管腔が、より大きな流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。予想よりも小さい流量係数はまた、流体源と管腔との間の接続がリークしていることも示し得、ユーザは、流体源を管腔により確実に結合する必要がある。
【0087】
ユーザエラーが検出された場合、ステップ442は、エラーをユーザに通知することを含む。好適な通知には、光、音、テキスト(書面又は聴覚)、アニメーション、又はビデオが含まれる。通知に続いて、任意選択のステップ444は、例えば、接続を切り替えかつ/又は締めることによって、流体源と医療デバイスとの間の接続を修正する方法をユーザに指示することを含む。
【0088】
任意選択のステップ450は、医療デバイスの流体構成を識別及び/又は確認することを含む。有利なことに、ステップ430において計算された流量係数は、医療デバイスの流体構成を識別するために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスがその医療デバイスを識別するための流量係数又は流量係数の範囲と一致する。一実施形態では、別の管腔の流量係数は、医療デバイスの流量係数又は流量係数の範囲と一致する。例えば、空気管腔の流量係数が医療デバイスに一致し、水管腔の流量係数が同じ医療デバイスに一致する場合、医療デバイスの識別における信頼性は、1つの管腔の流量係数を使用する識別における信頼性よりも大きい。追加の管腔(例えば、吸引管腔及び/又は生検管腔)の流量係数を医療デバイスの既知の流量係数と一致させることも企図される。一実施形態では、そのような医療デバイス流体構成識別は、任意選択のステップ405において入力された医療デバイスの識別情報を確認するために使用される。
【0089】
任意選択のステップ460は、医療デバイスの管腔内の任意の故障(例えば、リーク又は閉塞)を検出することを含む。一実施形態において、ステップ430において計算された流量係数は、医療デバイスを故障させるために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスのその管腔の流量係数又は流量係数の範囲と比較される。一実施形態では、流量係数が管腔の流量係数よりも大きい(又は許容流量係数の範囲を超える)場合、それは管腔が少なくとも部分的に閉塞されていることを示すであろう。一実施形態では、流量係数が管腔についての流量係数未満である(又は許容流量係数の範囲未満である)場合、それは、管腔が、例えば、破損又は穿刺からリークしている可能性があることを示すであろう。医療デバイスの各管腔の完全性は、このようにして決定することができる。医療デバイスの流体構成に応じて、2つ以上の管腔の故障を並列に検出することが可能であり得ることを理解されたい。
【0090】
故障が検出された場合、ステップ462は、故障をユーザに通知することを含む。ステップ462は、故障をどのように修復するかについての指示を提供するなどの追加の任意選択のステップを更に含み得る。例えば、1つの指示は、生検管腔を手動で創面切除を行うようにユーザに指示することであってもよい。
【0091】
任意選択のステップ470は、医療デバイスの再処理パラメータを設定することを含む。一実施形態では、流量係数を使用して、配分された量の流体の送達の頻度などの再処理パラメータを決定する。例えば、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より厳格な洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得、より高い流量係数は、より厳密でない洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得る。別の例では、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より大きな量の再処理流体を使用するパラメータを確立することになる。別の実施形態では、再処理パラメータは、流量係数に基づいて(例えば、「リアルタイム」で)適宜更新されて、洗浄有効性を向上させる。
【0092】
任意選択のステップ480は、医療デバイスを洗浄することを含む。いくつかの実施形態では、再処理のステップは、ステップ470において設定された再処理パラメータを採用する。一実施形態において、デバイスは、洗浄剤を含む流体を流動させ、続いて、すすぎ流体、及び滅菌空気を流動させて、医療デバイスの各管腔からすすぎ流体を押し流すことによって再処理される。任意選択のステップ480は、医療デバイスの清潔さが特定の基準を満たすまで繰り返され得る。
【0093】
ステップ490は、方法の終了を含み、これは、医療デバイスの識別情報、方法の実行中に行われた測定のいずれか、生成された任意の通知、及び/又は洗浄結果の説明若しくは証明を含むレポートを生成することを更に含み得る。
【0094】
図5は、本開示の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法500の一実施形態を示す。任意選択のステップ505は、医療デバイスの識別情報を受信することを含む。一実施形態では、システムは、ユーザが再処理される医療デバイスを選択することができるユーザデバイスのメニューを提示することができ、ユーザの選択は、システムによって受信される。別の実施形態では、システムは、RFID、QRコード(登録商標)、バーコード、又はシステムが検出及び/又は読み取りするように構成されている他の識別子を含み、その結果、システムは、再処理中に使用するために医療デバイスに関する情報、例えば、流体構成及び/又は洗浄プロトコルにアクセスして使用する。更なる実施形態では、任意選択のステップ505が省略され、システムは、医療デバイスの流体構成を識別し、これは、ユーザがシステムに誤った医療デバイスの識別情報を提供する可能性を有利に回避する。医療デバイスを識別する実施形態はまた、異なる流動特性を有する医療デバイスの新しいモデルの場合と同様に、システムが、事前にプログラムされた情報がない医療デバイスを検出することも可能にする。
【0095】
医療デバイスの識別情報を受信する任意選択のステップの前又は後に、ユーザは、流体源を医療デバイスの管腔に接続する(任意選択のステップは、示されていない)。好適な流体としては、空気、窒素、水、アルコール、洗浄流体(例えば、水、重炭酸ナトリウム、及び/又は洗剤を含む洗浄流体)、滅菌流体、及びそれらの混合物(例えば、水溶液中の70%エタノール)が挙げられる。
【0096】
ステップ510は、設定された流量で管腔を通して流体を流動させることを含む。好適な流量は、管腔特性、例えば、管腔断面直径及び長さに依存する。多くの内視鏡は、24又は26psiの圧力上限を有し、これは、本開示の実施形態による方法において加えられる圧力を制限し得る。例えば、空気流量は、小さい直径の管腔について、約0.1SLPM(例えば、管腔が事前に水で満たされているとき)から約5~7SLPM(例えば、管腔が乾燥しているとき)であり得る。大きな直径の管腔の例示的な空気流量は、約7~10SLPM(例えば、管腔が事前に水で満たされている場合)~約50SLPM(例えば、管腔が乾燥しているとき)の範囲である。流体(例えば、水又は洗浄液)の用量がそれを充填することなく管腔内にあるとき、空気流量は、約11SLPM~約17SLPMの範囲である。
【0097】
ステップ520は、圧力を測定することを含み、これは、上に説明されたように、ステップ530において流量係数を計算するために使用される。有利なことに、異なる圧力及び流量は、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0098】
次いで、流量係数は、ユーザエラー540を検出し、医療デバイス550を識別し、医療デバイス550の流体構成を確認し、任意の故障560を検出し、かつ/又は再処理パラメータ570を設定するために用いられ得る。これらのステップのそれぞれは、任意選択であり、任意の順序で実行することができる。
【0099】
ユーザエラー540を検出する任意選択のステップは、ユーザが流体源を間違った管腔に接続したこと、かつ/又は流体源を管腔に確実に接続しなかったことを検出することを含み得る。例えば、管腔の流量係数が予想よりも大きい場合、それは、管腔が、より小さい流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。逆に、管腔の流量係数が予想よりも小さい場合、それは、管腔が、より大きな流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。予想よりも小さい流量係数はまた、流体源と管腔との間の接続がリークしていることも示し得、ユーザは、流体源を管腔により確実に結合する必要がある。
【0100】
ユーザエラーが検出された場合、ステップ542は、エラーをユーザに通知することを含む。好適な通知には、光、音、テキスト(書面又は聴覚)、アニメーション、又はビデオが含まれる。通知に続いて、任意選択のステップ544は、例えば、接続を切り替えかつ/又は締めることによって、流体源と医療デバイスとの間の接続を修正する方法をユーザに指示することを含む。
【0101】
任意選択のステップ550は、医療デバイスの流体構成を識別及び/又は確認することを含む。有利なことに、ステップ530において計算された流量係数は、医療デバイスの流体構成を識別するために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスがその医療デバイスを識別するための流量係数又は流量係数の範囲と一致する。一実施形態では、別の管腔の流量係数は、医療デバイスの流量係数又は流量係数の範囲と一致する。例えば、空気管腔の流量係数が医療デバイスに一致し、水管腔の流量係数が同じ医療デバイスに一致する場合、医療デバイスの識別における信頼性は、1つの管腔の流量係数を使用する識別における信頼性よりも大きい。追加の管腔(例えば、吸引管腔及び/又は生検管腔)の流量係数を医療デバイスの既知の流量係数と一致させることも企図される。一実施形態では、そのような医療デバイス流体構成識別は、任意選択のステップ505において入力された医療デバイスの識別情報を確認するために使用される。
【0102】
任意選択のステップ560は、医療デバイスの管腔内の任意の故障(例えば、リーク又は閉塞)を検出することを含む。一実施形態において、ステップ530において計算された流量係数は、医療デバイスを故障させるために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスのその管腔の流量係数又は流量係数の範囲と比較される。一実施形態では、流量係数が管腔の流量係数よりも大きい(又は許容流量係数の範囲を超える)場合、それは管腔が少なくとも部分的に閉塞されていることを示すであろう。一実施形態では、流量係数が管腔についての流量係数未満である(又は許容流量係数の範囲未満である)場合、それは、管腔が、例えば、破損又は穿刺からリークしている可能性があることを示すであろう。医療デバイスの各管腔の完全性は、このようにして決定することができる。医療デバイスの流体構成に応じて、2つ以上の管腔の故障を並列に検出することが可能であり得ることを理解されたい。
【0103】
故障が検出された場合、ステップ562は、故障をユーザに通知することを含む。ステップ562は、故障をどのように修復するかについての指示を提供するなどの追加の任意選択のステップを更に含み得る。例えば、1つの指示は、生検管腔を手動で創面切除を行うようにユーザに指示することであってもよい。
【0104】
任意選択のステップ570は、医療デバイスの再処理パラメータを設定することを含む。一実施形態では、流量係数を使用して、配分された量の流体の送達の頻度などの再処理パラメータを決定する。例えば、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より厳格な洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得、より高い流量係数は、より厳密でない洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得る。別の例では、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より大きな量の再処理流体を使用するパラメータを確立することになる。別の実施形態では、再処理パラメータは、流量係数に基づいて(例えば、「リアルタイム」で)適宜更新されて、洗浄有効性を向上させる。
【0105】
任意選択のステップ580は、医療デバイスを洗浄することを含む。一実施形態において、デバイスは、洗浄剤を含む流体を流動させ、続いて、すすぎ流体、及び滅菌空気を流動させて、医療デバイスの各管腔からすすぎ流体を押し流すことによって再処理される。いくつかの実施形態では、再処理のステップは、ステップ570において設定された再処理パラメータを採用する。任意選択のステップ580は、医療デバイスの清潔さが特定の基準を満たすまで繰り返され得る。
【0106】
ステップ590は、方法の終了を含み、これは、医療デバイスの識別情報、方法の実行中に行われた測定のいずれか、生成された任意の通知、及び/又は洗浄結果の説明若しくは証明を含むレポートを生成することを更に含み得る。
【0107】
図6は、本開示の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法600の一実施形態を示す。任意選択のステップ605は、医療デバイスの識別情報を受信することを含む。一実施形態では、システムは、ユーザが再処理される医療デバイスを選択することができるユーザデバイスのメニューを提示することができ、ユーザの選択は、システムによって受信される。別の実施形態では、システムは、RFID、QRコード(登録商標)、バーコード、又はシステムが検出及び/又は読み取りするように構成されている他の識別子を含み、その結果、システムは、再処理中に使用するために医療デバイスに関する情報、例えば、流体構成及び/又は洗浄プロトコルにアクセスして使用する。更なる実施形態では、任意選択のステップ605が省略され、システムは、医療デバイスの流体構成を識別し、これは、ユーザがシステムに誤った医療デバイスの識別情報を提供する可能性を有利に回避する。医療デバイスを識別する実施形態はまた、異なる流動特性を有する医療デバイスの新しいモデルの場合と同様に、システムが、事前にプログラムされた情報がない医療デバイスを検出することも可能にする。
【0108】
医療デバイスの識別情報を受信する任意選択のステップの前又は後に、ユーザは、流体源を医療デバイスの管腔に接続する(任意選択のステップは、示されていない)。好適な流体としては、空気、窒素、水、アルコール、洗浄流体(例えば、水、重炭酸ナトリウム、及び/又は洗剤を含む洗浄流体)、滅菌流体、及びそれらの混合物(例えば、水溶液中の70%エタノール)が挙げられる。
【0109】
ステップ610は、流体圧力又は流量を制御することなく、管腔を通して流体を流動させることを含む。
【0110】
ステップ620は、圧力及び流体流量を測定することを含み、これは、上記のように、ステップ630において流量係数を計算するために使用される。好適な圧力及び流量は、管腔特性、例えば、管腔断面直径及び長さに依存する。多くの内視鏡は、24又は26psiの圧力上限を有し、これは、本開示の実施形態による方法において加えられる圧力を制限し得る。例えば、空気圧は、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、最大28psi、最大29psi、又は最大30psiを含み得る。いくつかの実施形態では、空気圧は、0.5~30psi、10~30psi、15~30psi、20~30psi、21~29psi、22~28psi、23~27psi、又は24~26psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18psi、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、約28psi、約29psi、又は約30psiである。
【0111】
例示的な水圧は、最大18psi、最大19psi、最大20psi、最大21psi、最大22psi、最大23psi、最大24psi、最大25psi、最大26psi、最大27psi、又は最大28psiを含み得る。いくつかの実施形態では、水圧は、0.5~28psi、10~28psi、15~28psi、20~28psi、21~29psi、20~26psi、21~25psi、又は22~24psiである。更なる実施形態では、空気圧は、約8psi、約9psi、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18PSI、約19psi、約20psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、又は約28psiである。
【0112】
そして、好適な空気流量には、小さい直径の管腔について、約0.1SLPM(例えば、管腔が事前に水で満たされているとき)~約5~7SLPM(例えば、管腔が乾燥しているとき)が含まれる。大きな直径の管腔の例示的な空気流量は、約7~10SLPM(例えば、管腔が事前に水で満たされている場合)~約50SLPM(例えば、管腔が乾燥しているとき)の範囲である。流体(例えば、水又は洗浄液)の用量がそれを充填することなく管腔内にあるとき、空気流量は、約11SLPM~約17SLPMの範囲である。
【0113】
次いで、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650を識別し、医療デバイス650の流体構成を確認し、任意の故障660を検出し、かつ/又は再処理パラメータ670を設定するために用いられ得る。これらのステップのそれぞれは、任意選択であり、任意の順序で実行することができる。
【0114】
例えば、一実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650の流体構成を識別し、医療デバイス650の流体構成を確認し、任意の故障660を検出し、又は再処理パラメータ670を設定するために使用される。別の実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650の流体構成を識別するために使用される。別の実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650の流体構成を確認するために使用される。別の実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、任意の故障660を検出するために使用される。別の実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640が再処理パラメータ670を設定したことを検出するために使用される。更なる実施形態では、流量係数は、医療デバイス650の流体構成を識別し、任意の故障660を検出するために使用される。更なる実施形態では、流量係数は、医療デバイス650の流体構成を識別し、再処理パラメータ670を設定するために使用される。更なる実施形態では、流量係数は、医療デバイス650の流体構成を確認し、任意の故障660を検出するために使用される。更なる実施形態では、流量係数は、医療デバイス650の流体構成を確認し、再処理パラメータ670を設定するために使用される。更なる実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650の流体構成を識別し、任意の故障660を検出するために使用される。また更なる実施形態では、流量係数は、ユーザエラー640を検出し、医療デバイス650の流体構成を識別し、再処理パラメータ670を設定するために使用される。このようにして、方法300、400、500、又は600のうちのいずれかは、ユーザエラー640を検出すること、医療デバイス650の流体構成を識別及び/若しくは確認すること、任意の故障660を検出すること、並びに/又は再処理パラメータ670を設定することのうちのいずれかの組み合わせを含んでもよく、次いで、任意の好適な順序で実行され得ることを理解されたい。
【0115】
ユーザエラー640を検出する任意選択のステップは、ユーザが流体源を間違った管腔に接続したこと、かつ/又は流体源を管腔に確実に接続しなかったことを検出することを含み得る。例えば、管腔の流量係数が予想よりも大きい場合、それは、管腔が、より小さい流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。逆に、管腔の流量係数が予想よりも小さい場合、それは、管腔が、より大きな流量係数を有する管腔と結合することを意図された流体源に接続されていることを示し得る。予想よりも小さい流量係数はまた、流体源と管腔との間の接続がリークしていることも示し得、ユーザは、流体源を管腔により確実に結合する必要がある。
【0116】
ユーザエラーが検出された場合、ステップ642は、エラーをユーザに通知することを含む。好適な通知には、光、音、テキスト(書面又は聴覚)、アニメーション、又はビデオが含まれる。通知に続いて、任意選択のステップ644は、例えば、接続を切り替えかつ/又は締めることによって、流体源と医療デバイスとの間の接続を修正する方法をユーザに指示することを含む。
【0117】
任意選択のステップ650は、医療デバイスの流体構成を識別及び/又は確認することを含む。有利なことに、ステップ630において計算された流量係数は、医療デバイスの流体構成を識別するために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスがその医療デバイスを識別するための流量係数又は流量係数の範囲と一致する。一実施形態では、別の管腔の流量係数は、医療デバイスの流量係数又は流量係数の範囲と一致する。例えば、空気管腔の流量係数が医療デバイスに一致し、水管腔の流量係数が同じ医療デバイスに一致する場合、医療デバイスの識別における信頼性は、1つの管腔の流量係数を使用する識別における信頼性よりも大きい。追加の管腔(例えば、吸引管腔及び/又は生検管腔)の流量係数を医療デバイスの既知の流量係数と一致させることも企図される。一実施形態では、そのような医療デバイス流体構成識別は、任意選択のステップ605において入力された医療デバイスの識別情報を確認するために使用される。
【0118】
任意選択のステップ660は、医療デバイスの管腔内の任意の故障(例えば、リーク又は閉塞)を検出することを含む。一実施形態において、ステップ630において計算された流量係数は、医療デバイスを故障させるために使用される。一実施形態では、管腔(例えば、空気管腔、水管腔、吸引管腔、生検管腔、又はウォータージェット管腔)の流量係数は、医療デバイスのその管腔の流量係数又は流量係数の範囲と比較される。一実施形態では、流量係数が管腔の流量係数よりも大きい(又は許容流量係数の範囲を超える)場合、それは管腔が少なくとも部分的に閉塞されていることを示すであろう。一実施形態では、流量係数が管腔についての流量係数未満である(又は許容流量係数の範囲未満である)場合、それは、管腔が、例えば、破損又は穿刺からリークしている可能性があることを示すであろう。医療デバイスの各管腔の完全性は、このようにして決定することができる。医療デバイスの流体構成に応じて、2つ以上の管腔の故障を並列に検出することが可能であり得ることを理解されたい。
【0119】
故障が検出された場合、ステップ662は、故障をユーザに通知することを含む。ステップ662は、故障をどのように修復するかについての指示を提供するなどの追加の任意選択のステップを更に含み得る。例えば、1つの指示は、生検管腔を手動で創面切除を行うようにユーザに指示することであってもよい。
【0120】
任意選択のステップ670は、医療デバイスの再処理パラメータを設定することを含む。一実施形態では、流量係数を使用して、配分された量の流体の送達の頻度などの再処理パラメータを決定する。例えば、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より厳格な洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得、より高い流量係数は、より厳密でない洗浄サイクルに対応するパラメータを確立することを示し得る。別の例では、予想よりも低い流量係数は、問題のチャネルが過度に汚れていることを示し得、それによって、より大きな量の再処理流体を使用するパラメータを確立することになる。別の実施形態では、再処理パラメータは、流量係数に基づいて(例えば、「リアルタイム」で)適宜更新され、再処理の有効性を向上させる。
【0121】
任意選択のステップ680は、医療デバイスを再処理することを含む。一実施形態において、デバイスは、洗浄剤を含む流体を流動させ、続いて、すすぎ流体、及び滅菌空気を流動させて、医療デバイスの各管腔からすすぎ流体を押し流すことによって再処理される。いくつかの実施形態では、再処理のステップは、ステップ670において設定された再処理パラメータを採用する。任意選択のステップ680は、医療デバイスの清潔さが特定の基準を満たすまで繰り返され得る。
【0122】
ステップ690は、方法の終了を含み、これは、医療デバイスの識別情報、方法の実行中に行われた測定のいずれか、生成された任意の通知、及び/又は再処理結果の説明若しくは証明を含む、レポートを生成することを更に含み得る。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、流体システムの流体パラメータが測定され、続く洗浄サイクルを較正するために使用される。例えば、流体システムの最大流量及び最小流量が測定され得、これは、再処理パラメータを通知するために使用され得る。1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して管腔を再処理するためのシステム/方法に関する更なる詳細は、2021年6月9日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021/901729号の優先権を主張する、「Systems and Methods for Cleaning Lumens with Fluidic Compositions」と題された出願人の同時出願された特許出願に見ることができる。これらの出願の内容は、特に、1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して、管腔を有する医療デバイスを再処理するためのシステム及び方法に関するため、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
図7Aは、空気流及び水流を有する閉ループ制御システムの一実施形態の概略図70を示す。水71は、内視鏡77を通って流動する前に、圧力調整器73、隔離バルブ74、及び圧力センサ75を通って流動する。空気72は、内視鏡77を通って流動する前に、圧力調整器73、流量計76、隔離バルブ74、及び圧力センサ75を通って流動する。隔離バルブ74は、空気又は水が内視鏡に流動するべきかどうかに応じて開閉するように構成され得る。
【0125】
一実施形態では、隔離バルブは、空気隔離バルブが開放され、水隔離バルブが閉鎖されるように構成される。圧力調整器73は、空気72の圧力を調整し、流量計76は、空気流量を測定する。圧力センサ75は、流体が内視鏡77に入るときに、その流体の圧力を測定する。
【0126】
較正方法の一実施形態では、隔離バルブ74は、空気隔離バルブが閉じられ、水隔離バルブが開かれるように構成される。圧力調整器73は、水71の圧力を調整し、圧力センサ75は、試験水の用量を監視するために使用される圧力を測定する。試験水の用量が充填されると、隔離バルブ74は、内視鏡77への水の流動が停止され、内視鏡77への空気の流動が開始されるように切り替えられる。再処理サイクル中に、同様のプロトコルが使用され得る。
【0127】
図7Bは、上記の較正方法の空気圧追跡及び空気流追跡を示し、グラフは、較正の各段階についてセクションに分割されている。「無負荷安定化」701とラベル付けされた第1のセクションは、測定が実質的に安定するまで、空気のみが、設定された圧力(例えば、約24PSI)で内視鏡に搬送されている場合である。最初、流量データは、経時的に変化するが、このセクション701の最後までに約5SLPMの狭い流量内で安定するようになる。「無負荷較正」702とラベル付けされた次のセクションでは、空気のみが流動し続け、制御システムは、これらの流量読み取り値を取得し、「無負荷流量」値としてそれらの値を保存する。「最大負荷用量試験水」703とラベル付けされた次のセクションは、空気がオフにされ、水のみが内視鏡に押し下げられて水で満たされる(又は「用量」又は「ショット」で一定量の水を送達する)場合である。そのバルブが閉じるにつれて気流はゼロに降下し、水が内視鏡に入る間、圧力は減衰している。「最大負荷安定化」704とラベル付けされた次のセクションでは、水試験ショットが投与されると、水バルブが閉じられ、空気バルブが開かれて水が内視鏡を通って押し出される。遅延時間が経過すると、圧力及び流量の読み取り値は、実質的に安定する。「最大負荷較正」705とラベル付けされたセクションでは、水は、内視鏡を通って空気で押され、流量読み取り値は、「最大負荷流量」値として保存される。
【0128】
前述の例は、空気72及び水71を使用して、内視鏡77の少なくとも1つのチャネルの圧力及び流量などの無負荷及び最大負荷パラメータを決定したが、任意の好適な流体が使用されてもよい。好適な流体としては、空気、窒素、水、アルコール、洗浄流体(例えば、水、重炭酸ナトリウム、及び/又は洗剤を含む洗浄流体)、滅菌流体、並びにそれらの混合物(例えば、水溶液中の70%エタノール)が挙げられる。
【0129】
上記及び図7Bに詳細に記載されているように、較正サイクル中の最大負荷流量及び無負荷流量を測定及び記録した後、図7Cは、様々な実施形態において、これらの値が再処理サイクル中にどのように使用され得るかをモデル化している。グラフは、いくつかのゾーンを持つ縦軸の空気の流動を示している。最低ゾーンは、ゼロの流量から、以前に較正された最大負荷流量(最大負荷条件は、最小流量に対応する)まで拡張する。可能な最大流量(そのチャネルの場合の)は、グラフ上の最大値であり、以前に較正された無負荷流量としてマークされている。これらの両極端には、バッファが適用されて、「無負荷制限」及び「負荷制限」とマークされたグラフの中央に白いセクションが作成されている。これは、再処理デバイスの動作ウィンドウを定義する。
【0130】
「流体投与」706とラベル付けされたグラフの第1のセクションでは、洗浄/消毒デバイスは、洗浄/消毒される管腔にいくつかの洗浄/消毒流体を導入している。この材料は、流量が負荷限界に達するまで、空気の流れが洗浄/消毒流体を管腔に押し込むのに苦労するため、チャネル内の流動を劇的に遅くする。この時点において、この段階でこれ以上追加すると、内視鏡を通過するときに洗浄/消毒流体の一部の進行を遅くする効果があるため、洗浄/消毒デバイスは、洗浄剤を管腔内に導入するのを停止する。
【0131】
「無負荷待ち」707とラベル付けされた第2のセクションでは、空気のみが内視鏡に入り続け、以前に投与された洗浄/消毒流体を管腔に押し下げる。ある時点において、洗浄/消毒流体は、内視鏡から出始め、空気流量が増加することになる。ある時点において、空気の流れは、無負荷限界に達し、以前に投与されたショットは概ね内視鏡から出ているため、次のショットが投与される準備ができていると見なすことができる。
【0132】
この時点において、内視鏡が再処理されるまで、サイクルは、流体投与708、無負荷待ち709など、ショット後のショットを繰り返す。
【0133】
無負荷流量及び最大負荷流量を相殺する2つのバッファの理由の1つは、最初のケースでは、システムが、流体の最後の液滴が全て内視鏡から出るのを待つ必要がなく、2番目のケースでは、過剰な洗浄/消毒流体がそのショットのために内視鏡に送達されないようにするためである。
【0134】
流体抵抗の概念に戻ると、流体抵抗は管腔の特性であるという理由から、流体抵抗は、内視鏡の流体構成を識別し、かつ/又は内視鏡の管腔内の任意の故障を検出するために使用することができる。内視鏡の様々な内部流体経路の流体抵抗をマッピングすることは、以下の用途で有益であり得る。
【0135】
一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を識別する方法は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を、少なくとも1つの管腔のそれぞれの決定された流体抵抗に基づいて識別することと、を含む。
【0136】
一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を少なくとも1つの管腔を通して流動させることと、少なくとも1つの管腔を通して流動させられている流体の流速及び/又は圧力差を測定することと、少なくとも1つの管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。
【0137】
別の実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔を、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて識別することは、計算された流体抵抗を、医療デバイスと、そのそれぞれの管腔の関連する流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む。
【0138】
一実施形態では、少なくとも1つの管腔を有する医療デバイスの流体構成を識別する方法は、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することと、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて流体構成を識別することと、を含む。一実施形態では、医療デバイスの少なくとも1つの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を有する流体で少なくとも1つの管腔を通して流体を流動させることと、少なくとも1つの管腔を通って流動する流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、少なくとも1つの管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。
【0139】
例示的な方法の一態様では、少なくとも1つの管腔の決定された流体抵抗に基づいて流体構成を識別することは、少なくとも1つの管腔の計算された流体抵抗を、医療デバイスと、その医療デバイスのそれぞれの管腔の関連付けられた流体抵抗と、のリストを含むデータベースと比較することを含む。
【0140】
一実施形態では、医療デバイスの管腔の完全性を評価する方法は、管腔の流体抵抗を決定することと、管腔の流体抵抗を、管腔の流体抵抗値の既知の公称範囲と比較することと、を含む。別の実施形態では、医療デバイスの管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を、管腔を通して流動させることと、管腔を通って流動する流体の流速及び/又は圧力差を測定することと、管腔の流体抵抗を計算することと、を含む。
【0141】
一実施形態では、医療デバイスの管腔を再処理する方法は、管腔の流体抵抗を決定することと、決定された流体抵抗に基づいて流体を、管腔を通して流動させることと、を含む。別の実施形態では、管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を、管腔を通して流動させることと、管腔を通って流れる流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、管腔の流体抵抗を計算することとを含む。更なる実施形態では、計算された流体抵抗に基づいて流体を管腔に流動させることは、計算された流体抵抗に基づいて流体組成物を管腔に灌流することを含む。また更なる実施形態では、この方法は、洗浄の程度、洗浄流体の体積、洗浄流体の用量、ショットの数、ショットの数の各ショットのタイミング、及び流体組成物の速度のうちの少なくとも1つを制御することを更に含む。
【0142】
図8は、ユーザエラー840を検出し、医療デバイス850の流体構成を確認し、故障860及び865を検出する一実施形態の概略図である。流体抵抗スケール800は、潜在的な流体抵抗のグレースケール表現を提供し、そこでは、より明るい色合いが、より低い流体抵抗を示し、より暗い色合いが、より高い流体抵抗を示す。異なる医療デバイスは、流体抵抗指紋801、802、803、804、805を有し、それらの流体抵抗指紋は、破線矢印によって示されるように、更なる医療デバイスについて継続し得る。各指紋は、対応する医療デバイスの各管腔に期待される流体抵抗範囲のグレースケール表現を含む。医療デバイスの各チャネルの計算された流体抵抗を使用して指紋850を生成し、この指紋は、指紋801と一致し、指紋850を有する医療デバイスが、指紋801を有する医療デバイスの同一の製造元及びモデルの医療デバイスであることを識別/確認する。指紋850を使用して識別された医療デバイスについて、指紋840は、ユーザエラーを示している。第2の管腔内のより低い流体抵抗は、流体コネクタがリークしており、かつ固定される必要があることを示している。指紋860は、流体抵抗が予想される範囲よりも高いため、医療デバイスの第3の管腔内における閉塞を示している。指紋865は、流体抵抗が予想される範囲よりも低いため、医療デバイスの第3の管腔における穿刺を示している。
【0143】
本明細書に記載の閉ループ制御システムは、任意の好適な再処理デバイスと組み合わせて使用することができることを理解されたい。例えば、出願人は、洗浄剤流体組成物を使用して、管腔を有する医療デバイスを再処理するためのシステム及び方法を提案しており、これらは、開示された技術に適用可能であり得る。一般に、そのようなシステム及び方法は、流体である液体粉末混合物を作成/取得することと、液体粉末混合物を好適な量に配分することと、再処理される管腔/チャネルの少なくとも一部分を通して配分された量を送達することと、を含む。したがって、例えば、本明細書に開示された技術は、液体粉末混合物の配分、及び/又は配分された量の送達を制御するために使用され得る。例えば、開示された技術を使用して、内視鏡の吸引/生検チャネルが再処理の対象であると決定することができる。したがって、吸引/生検チャネルが比較的大きいため、この情報を使用して、配分された量の比較的大きなサイズを確立することができる。逆に、空気水チャネルが再処理の対象であると決定された場合、この情報を使用して、配分された量の比較的小さいサイズを確立することができる。
【0144】
更に、本明細書に開示された技術を継続的に使用して、流体抵抗を決定し、必要に応じて(例えば、「リアルタイム」で)再処理パラメータを更新して、再処理の有効性を高めることができる。例えば、配分された量の送達の頻度は、決定された流体抵抗によって知らせることができる。1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して管腔を再処理するためのシステム/方法に関する更なる詳細は、2021年6月9日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021/901729号において見ることができる。本出願の内容は、特に、1つ以上の洗浄剤を含む流体組成物を使用して管腔を有する医療デバイスを再処理するためのシステム及び方法に関するため、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
もちろん、本明細書に開示された技法は、様々なシステムのいずれにおいても適用可能性を見出すことができることを理解されたい。例えば、出願人は更に、「管腔を有する医療デバイスのための相乗的な洗浄システム及び方法」を提案している。そのようなシステム及び方法は、一般に、洗浄剤の目標用量をエダクタに送達することと、任意選択で界面活性剤をエダクタに送達することと、液体をエダクタに送達して洗浄剤、液体、及び任意選択で界面活性剤の混合物を作成することと、混合物を、キャリア流体を使用して再処理される標的管腔に送達することと、を含む。管腔を有する医療デバイスのための相乗的な再処理システム/方法に関する更なる詳細は、2021年6月9日に出願された、「Synergistic Cleaning Systems and Methods for Medical Devices Having a Lumen」と題するオーストラリア仮特許出願第2021/901732号に見ることができる。「Synergistic Cleaning Systems and Methods for Medical Devices Having a Lumen」の内容は、特に管腔を有する医療デバイスのための相乗的な再処理システム/方法に関するため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】