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特表2024-521331ビーズのサイズ除外機能を備えたアッセイ装置用の移送ディスペンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ビーズのサイズ除外機能を備えたアッセイ装置用の移送ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240524BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240524BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G01N35/10 H
C12M1/00 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573560
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022032559
(87)【国際公開番号】W WO2022261135
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/197,972
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/273,389
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300824
【氏名又は名称】プレクシアム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Plexium, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】マハカルカル,カピル
(72)【発明者】
【氏名】ハンマール,ギャレン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,イー
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058DA07
2G058EA19
4B029AA09
4B029GA03
4B029HA02
(57)【要約】
アッセイ装置用の移送ディスペンサが開示される。該ディスペンサは、単一のアッセイコンポーネントをアッセイ装置の単一のウェルに移送することを可能にする。これにより、各ウェルで実施されるアッセイには単一の構成要素のみが含まれることが保証される。前記ディスペンサは複数のシャフトを含み、各シャフトは、可変の断面幅を有し、該シャフト内の最小断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネントを放出可能に収容し得る。各ディスペンサは、各シャフトがアッセイ装置上の単一のウェルに位置合わせされるようにアッセイ装置上に取り付けられ、ディスペンサから単一のアッセイコンポーネントが放出されると、単一のアッセイコンポーネントのみが単一のウェルに捕捉される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイ装置内に複数のビーズを分配するためのシステムであって、
複数のウェルを有する備えるアッセイ装置と、
複数のシャフトを有するディスペンサと、を備え、
前記シャフトのそれぞれは、可変の断面幅を有し、且つ、当該シャフト内の最小の断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネントを放出可能に収容し、
前記ディスペンサから前記単一のアッセイコンポーネントが放出されると前記単一のアッセイコンポーネントのみが単一のウェル内に堆積されるような態様で、前記アッセイ装置上の前記単一のウェルにそれぞれの前記シャフトが位置合わせされるように、前記アッセイ装置上または前記アッセイ装置の上方に前記ディスペンサが取り付けられる、
システム。
【請求項2】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、錐台状または砂時計状の輪郭を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは円形の断面を有し、前記第1のシャフトの断面幅は前記円形の断面の直径である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に減少する第1の部分と、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に増大する第2の部分とを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1の幅を有する第1の部分と、第2の幅を有する第2の部分とを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において徐々に減少する減少率で断面幅が減少する部分を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において徐々に増大する減少率で断面幅が減少する部分を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のシャフトの下に配置されたチャネルをさらに備え、
前記チャネルは、前記複数のシャフトの前記最小の断面幅以上の高さを有し、
前記チャネルは、前記アッセイコンポーネントが通過する前記シャフトの前記最小の断面幅よりも小さい第2の幅を有する1つ又は複数の第2のアッセイコンポーネントを回収するように、且つ、複数の第2のシャフトを備える第2のディスペンサに前記第2のアッセイコンポーネントを送り出すように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2のディスペンサを更に備え、
前記複数の第2のシャフトのそれぞれは、第2の可変の断面幅を備え、前記複数の第2のシャフトのそれぞれの第2の最小の断面幅が、前記シャフトの前記最小の断面幅よりも小さく、
前記複数の第2のシャフトのそれぞれは、該第2のシャフト内の前記第2の最小の断面幅よりも大きい第2の幅を有する単一の第2のアッセイコンポーネントを放出可能に収容する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ディスペンサは、1つ又は複数の第3のアッセイコンポーネントが送り出される出口を備え、前記第3のアッセイコンポーネントは、対応する前記シャフトの開口部の開口幅を超える第3の幅を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記単一のアッセイコンポーネントは、ビーズ又は細胞である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
複数のシャフトを備えるディスペンサであって、
それぞれの前記シャフトは、可変の断面幅を有し、且つ、該シャフト内の最小の断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネントを放出可能に収容し、
前記ディスペンサから前記単一のアッセイコンポーネントが放出されると前記単一のアッセイコンポーネントのみがアッセイ装置上の単一のウェル内に保持されるような態様で、前記アッセイ装置上の前記単一のウェルにそれぞれの前記シャフトが位置合わせされるように、前記アッセイ装置上または前記アッセイ装置の上方に前記ディスペンサが取り付けられる、
ディスペンサ。
【請求項13】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、錐台状または砂時計状の輪郭を有する、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に減少する第1の部分と、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に増大する第2の部分とを備える、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは円形の断面を有し、前記第1のシャフトの断面幅は前記円形の断面の直径である、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1の幅を有する第1の部分と、第2の幅を有する第2の部分とを備える、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において徐々に減少する減少率で断面幅が減少する部分を備える、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記複数のシャフトの下に配置されたチャネルをさらに備え、
前記チャネルは、前記複数のシャフトの前記最小の断面幅以上の高さを有し、
前記チャネルは、前記アッセイコンポーネントが通過する前記シャフトの前記最小の断面幅よりも小さい第2の幅を有する1つ又は複数の第2のアッセイコンポーネントを回収するように、且つ、複数の第2のシャフトを備える第2のディスペンサに前記第2のアッセイコンポーネントを送り出すように構成されている、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記ディスペンサは、1つ又は複数の第3のアッセイコンポーネントが送り出される出口を備え、前記第3のアッセイコンポーネントは、対応する前記シャフトの開口部の開口幅を超える第3の幅を有する、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記単一のアッセイコンポーネントは、ビーズ又は細胞である、
請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、前記第1のシャフトの高さ方向において徐々に断面幅が減少する第1の部分と、該第1の部分に隣接し、全体にわたって断面幅が一定のままである第2の部分とを含み、
前記第1のシャフトに対応する前記アッセイコンポーネントは、前記第1の部分と前記第2の部分との境界において前記第1のシャフトに保持される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
それぞれの前記シャフト内における前記単一のアッセイコンポーネントは、第1の閾値幅と第2の閾値幅との間の幅を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
それぞれの前記シャフト内における前記単一のアッセイコンポーネントは、標的幅の閾値範囲内の幅を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記閾値範囲は、前記標的幅の10パーセントである、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ディスペンサは、1つ又は複数の予備チャネルを更に備え、
前記第2の閾値幅よりも小さい幅を有するビーズは前記予備チャネルを通過し、前記第2の閾値幅よりも大きい幅を有するビーズは保持されてコレクタに送られ、
前記予備チャネルは、前記複数のシャフトよりも上流側に配置される、
請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記予備チャネルの幅は、前記予備チャネルの高さ全体にわたって一定であるか、又は前記予備チャネルの高さ方向において徐々に減少している、
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記予備チャネルの幅は、前記予備チャネルの上部開口の第4の幅と、前記予備チャネルの底部開口の第5の幅とを含み、前記第4の幅は、前記第5の幅よりも小さい、
請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記予備チャネルの入口および出口のそれぞれに配置されたバルブを更に備える、
請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月7日に出願された米国仮出願第63/197972号と、2021年10月29日に出願された米国仮出願第63/273389号とに対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、アッセイ装置用の移送ディスペンサについて説明する。当該ディスペンサは、使用ごとに単一のアッセイコンポーネントをアッセイ装置内の単一のウェルに送り込むことを可能にする。これにより、実施されるアッセイに上記の構成要素の単一ユニットの存在が必要な場合、各ウェルで実施されるアッセイにはそのような単一ユニットのみが含まれることが保証される。
【背景技術】
【0003】
コンビナトリアルライブラリーは文献でよく知られており、多くの場合、ビーズを利用する。各ビーズには、リンカーによってビーズに結合された単一化合物の複数のコピーが含まれる。さらに、ビーズには通常、ビーズ上の単一化合物の構造の評価を可能にするDNAなどのレポート要素が含まれる。これらのライブラリーの多くは、試験対象の化合物がアッセイ中にビーズ上に残るという事実によって制限される。そのため、結合した化合物が選択した標的に効果的に結合できない可能性により、アッセイによって生成される生物学的データが損なわれる可能性がある。このことは、ビーズから生じる物理的干渉が原因になる可能性があり、また、化合物をビーズに接続するリンカーの結合による立体的干渉が原因になる可能性もある。後者に関しては、この結合により、他の強力な化合物の標的への適切な結合能力が阻害され、その結果、化合物の実際の効力よりも弱い証拠となるアッセイ結果が得られる可能性がある。さらに、標的が細胞であり、アッセイの一部として化合物の細胞への浸透が必要な場合、ビーズに結合したままの化合物が細胞に浸透する可能性は低い。
【0004】
この問題に対処するための1つの選択肢には、適切な刺激(例えば、光)の下で開裂することで化合物をビーズから解放させる開裂可能なリンカーの使用が含まれる。化合物は、テストウェルなどの溶液に入ると、アッセイで最大の効力を発揮するように自由に配向する。さらに、これらの化合物の放出は、有意の用量依存性データを提供するように、放出される化合物の量が制御されるような方法で行われ得る。例えば、特許文献1(米国特許出願公開第2019/0358629号明細書、又は米国特許第10828643号明細書)を参照されたい。特許文献1の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
典型的なコンビナトリアルライブラリーでは、各ビーズに同じテスト化合物の複数のコピーが含まれる数千のビーズが使用される。このようなビーズは、周知のスプリット/プール合成法によって作製され得る。あるケースでは、ビーズ上の化合物の識別は、DNAなどのレポーター分子によって記録される。別のケースでは、各ビーズ上で行われる各反応ステップの識別は、そのステップに対応するDNAセグメントの追加によって記録され、これにより、各化合物に固有のDNA鎖が生成される。通常、各ウェルは、単一のビーズと、例えば単一の哺乳動物細胞などの他のアッセイコンポーネントとを含む。アッセイ装置の所定のウェルが陽性の「ヒット」(活性化合物)を示した場合、DNAが回収され、増幅されて、配列決定される。得られる配列は、その化合物を合成するために使用される特定の反応ステップの集合体であり、これにより、合成化学者は活性化合物の構造を確認することができる。
【0006】
アッセイによって生成される情報の量を増やすための1つの選択肢は、アッセイ装置(例えば、ハイスループット装置)のウェルの個数を増やすことである。一般に、数十個から数百個のウェルを含むアッセイ装置とは対照的に、一万個以上から数百万個のウェルを含むアッセイ装置は、特定の標的に対してどのような構造が活性を提供するかについてより多くの情報を提供する。
【0007】
さらに、水溶液および他のアッセイコンポーネントを収容するために、ウェルの大きさはビーズなどのアッセイコンポーネントよりもはるかに大きくなければならない。このため、単一のウェルに単一の小さなビーズのみを添加することは重大な課題になる。偶然、それぞれ異なる化合物を含む2つ以上のビーズが1つのウェルに添加された場合、どの化合物が活性であるか(又は、両方が活性であるか)を評価する能力は、せいぜい問題になる。アッセイ装置に数千個から数百万個の個別のウェルが含まれる場合、各ウェルに1つのビーズだけを添加する機能は大きな課題になる。アッセイで2つの異なる構成要素(例えば、単一ウェル内の単一ビーズと単一細胞)を添加する必要がある場合、単一のアッセイコンポーネントを各ウェルに添加する方法がさらに複雑になる。
【0008】
さらに、市販のビーズは均一の大きさを有していない。むしろ、これらのビーズは通常、ガウス曲線(釣鐘型曲線)を持ち、報告されるこれらのビーズの大きさはその曲線の平均になる。このことは、直径が20ミクロンであると報告されたビーズの集団には、直径が20ミクロンよりも大幅に小さいビーズのサブセットが存在し得ることを意味する。球の体積は式「4/3×π×R」に基づいているため、平均半径の70%の半径を有するビーズは、平均サイズのビーズの空間の34%しか占有しない。したがって、2つの小さなビーズが同じキャビティを占有する可能性があり、これにより、移送装置の価値が制限される可能性がある。
【0009】
これまで、複数のキャビティを備えたディスペンサが特許文献2(米国特許第11027272号明細書)に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。特許文献2には、上記の問題を回避するための1つの方法は、ビーズの集団から小さなビーズを除外することであると開示されている。換言すると、小さなビーズが除去されるような大きさでガウス曲線が切り取られ得る。このことは、例えば、サイズ除外技術によってなされ得る。ただし、このためには、使用前にビーズがさらに処理される必要があり、場合によっては、小さなビーズが使用に適さなくなってしまうことがある。
【0010】
したがって、ハイスループットアッセイ装置の単一のウェルに単一のアッセイコンポーネントを添加するためのディスペンサを提供する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0358629号明細書(米国特許第10828643号明細書)
【特許文献2】米国特許第11027272号明細書
【発明の概要】
【0012】
以下の特徴のうちの1つ又は複数は、任意の実現可能な組み合わせにおいて備えられてもよい。
【0013】
一実施形態では、上面2および底面3と、ディスペンサ1を貫通して延びる複数のシャフト4とを備えるディスペンサ1が提供され、シャフト4のそれぞれは、第1の開口部(上部開口部)5と、第1の開口部5に比べて小さい第2の開口部(底部開口部)6とを有する。いくつかの実施形態において、第2の開口部6は、ディスペンサ1の底部またはその近傍部に位置することが好ましい。ただし、図5図7および図11図12に示すように、第2の開口部6は、ディスペンサ1又はシャフト4の先端(例えば、底部)から離れて配置されてもよく、シャフト4の内部にあってもよい。第1の開口部5は、前記シャフト4内またはシャフト4上にアッセイコンポーネントを配置できるように構成され、一方、シャフト4の第2の開口部6は、所定の直径以下のより小さなアッセイコンポーネントが前記シャフト4を通過してディスペンサ1の外に出ることができるように構成される。意図された通り、シャフト4は、ビーズ11などの単一のアッセイコンポーネントのみを可逆的に、放出可能に、または転移可能に保持/捕捉する。より小さなアッセイコンポーネントはシャフト4を通過し、シャフト4の幅または直径を超える幅または直径を有するより大きなアッセイコンポーネントは前記シャフト4上またはシャフト4内に嵌合しないためである。
【0014】
一実施形態において、ディスペンサ1は、複数のウェル21を備えるアッセイ装置20に取り付けられる(嵌合する、結合する、係合する)ように構成され、取り付けられたときに、前記ディスペンサ1の各シャフト4が前記アッセイ装置20の単一のウェル21に位置合わせされる。放出されると、アッセイコンポーネントはディスペンサ1からアッセイ装置20内に移動し、単一のアッセイコンポーネントが単一のウェル21内に捕捉される。
【0015】
一実施形態において、ディスペンサ1のシャフト4は、単一のアッセイコンポーネント10のみを保持するように構成されている。該アッセイコンポーネント10は、開裂可能なリンカーによって可逆的に連結された複数の同じ化合物を含むビーズ11であってもよい。該ビーズ11は、ビーズ11に結合したテスト化合物(試験化合物)の構造、又は、テスト化合物を作製するために使用された合成ステップのいずれかを記録するDNAレポーターも任意選択で含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、アッセイコンポーネント10は、実施されるアッセイに不可欠なヒト細胞などの哺乳動物細胞を含む。
【0017】
一実施形態において、ビーズ(例えば、ビーズ11)をアッセイ装置(例えば、アッセイ装置20)に分配(分注)するためのシステムは、複数のウェル(例えば、ウェル21)を含むアッセイ装置と、複数のシャフト(例えば、シャフト4)を含むディスペンサ(例えば、ディスペンサ1)とを備える。前記シャフトのそれぞれは、可変(非一定)の断面幅を備え、当該シャフト内の最小の断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネントを放出可能に収容し得る。前記ディスペンサは、各シャフトが前記アッセイ装置上の単一のウェルに位置合わせされるように、前記アッセイ装置上に嵌合され(取り付けられ)、前記ディスペンサから前記単一のアッセイコンポーネントが放出されると、単一のアッセイコンポーネントのみが単一のウェルに捕捉される。
【0018】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、錐台状または砂時計状の輪郭を有する。
【0019】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1シャフトは円形断面を有し、第1シャフトの断面幅は円形断面の直径である。
【0020】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1シャフトは、第1シャフトの高さ方向において幅が徐々に減少する第1の部分と、第1シャフトの高さ方向において幅が徐々に増大する第2の部分とを備える。
【0021】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1の幅を有する第1の部分と、第2の幅を有する第2の部分とを備える。
【0022】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1のシャフトの高さ方向において断面幅の減少率が徐々に減少する部分を有する。
【0023】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1のシャフトの高さ方向において断面幅の増大率が徐々に減少する部分を有する。
【0024】
一実施形態において、前記システムは、シャフトの下に配置されたチャネル(流路)(例えば、チャネル17)をさらに備え、チャネルは、シャフトの最小の断面幅以上の高さを有する。前記チャネルは、前記アッセイコンポーネントが通過する前記シャフトの最小の断面幅よりも小さい第2の幅を有する1つ又は複数の第2のアッセイコンポーネントを回収するように、且つ、複数の第2のシャフトを備える第2のディスペンサに前記第2のアッセイコンポーネントを送り出すように構成されている。
【0025】
一実施形態において、前記システムは、前記第2のディスペンサを更に備え、前記複数の第2のシャフトのそれぞれは、第2の可変の断面幅を備え、前記複数の第2のシャフトのそれぞれの第2の最小断面幅が、前記シャフトの前記最小断面幅よりも小さい。前記複数の第2のシャフトのそれぞれは、該第2のシャフト内の第2の最小断面幅よりも大きい第2の幅を有する単一の第2のアッセイコンポーネントを放出可能に収容する。
【0026】
一実施形態において、前記ディスペンサは、1つ又は複数の第3のアッセイコンポーネントが送り出される出口を備え、前記第3のアッセイコンポーネントは、対応する前記シャフトの開口部の開口幅を超える第3の幅を有する。
【0027】
一実施形態において、前記単一のアッセイコンポーネントは、ビーズ又は細胞である。
【0028】
一実施形態において、ディスペンサは、複数のシャフトを備える。それぞれの前記シャフトは、可変の断面幅を有し、且つ、該シャフト内の最小の断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネントを放出可能に収容する。前記ディスペンサから前記単一のアッセイコンポーネントが放出されると前記単一のアッセイコンポーネントのみが単一のウェル内に保持されるような態様で、前記アッセイ装置上の前記単一のウェルにそれぞれの前記シャフトが位置合わせされるように、前記アッセイ装置上または前記アッセイ装置の上方に前記ディスペンサが嵌合される(取り付けられる)。
【0029】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、錐台状または砂時計状の輪郭を有する。
【0030】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に減少する第1の部分と、該第1のシャフトの高さ方向において幅が徐々に増大する第2の部分とを備える。
【0031】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは円形の断面を有し、前記第1のシャフトの断面幅は前記円形の断面の直径である。
【0032】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、第1の幅を有する第1の部分と、第2の幅を有する第2の部分とを備える。
【0033】
一実施形態において、前記複数のシャフトのうちの第1のシャフトは、該第1のシャフトの高さ方向において徐々に減少する減少率で断面幅が減少する部分を備える。
【0034】
一実施形態において、前記ディスペンサは、前記複数のシャフトの下に配置されたチャネルをさらに備え、前記チャネルは、前記複数のシャフトの最小の断面幅以上の高さを有する。前記チャネルは、前記アッセイコンポーネントが通過する前記シャフトの最小の断面幅よりも小さい第2の幅を有する1つ又は複数の第2のアッセイコンポーネントを回収するように、且つ、複数の第2のシャフトを備える第2のディスペンサに前記第2のアッセイコンポーネントを送り出すように構成されている。
【0035】
一実施形態において、前記ディスペンサは、1つ又は複数の第3のアッセイコンポーネントが送り出される出口を備え、前記第3のアッセイコンポーネントは、対応する前記シャフトの開口部の開口幅を超える第3の幅を有する。
【0036】
一実施形態において、前記単一のアッセイコンポーネントは、ビーズ又は細胞である。
【0037】
本明細書に開示される主題の以上の機能および他の機能は、以下の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲を参照することで、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の詳細な説明と下記の添付図面とから、以上の特徴およびその他の特徴がより容易に理解され得る。
【0039】
図1】ディスペンサ1の上面図を示す。ディスペンサ1は、上面2と、底面3と、ディスペンサ1を貫通するシャフト4とを有する。例示的な実施形態に係る1つのシャフト4が三次元で示されている。
図2A】単一のアッセイコンポーネントにフィットする大きさのシャフト4を示す。図示の例において、アッセイコンポーネントは、例示的な実施形態に係る略球形のビーズ11である。
図2B】例示的な実施形態に係るシャフト4へのビーズ11の挿入を示す。この実施形態において、ビーズ11の更なる通過が妨げられるように幅すなわち直径が狭まっているシャフト4部分において、シャフト4内にビーズ11が引っ掛かる。
図2C】例示的な実施形態に係るビーズ11を捕捉するためには、シャフト4内へビーズ11が部分的に挿入されれば十分であることを示す。
図2】シャフト4の幅すなわち直径が最も狭い部分よりも小さい幅すなわち直径を有する小さなビーズ12が除去されることを示す。この場合、小さなビーズ12はシャフト4の底部の第2の開口部6から出る。
図3A】空のディスペンサ1へのアッセイコンポーネントの充填を示す。図示された封止キャップ30は、入口31および出口32を備え、例示的な実施形態に係るディスペンサ1のシャフト4内にビーズ11を送達するために漏斗状コーン40と併せて使用される。
図3B】空のディスペンサ1へのアッセイコンポーネントの充填、特に、例示的な実施形態に係るディスペンサ1のシャフト4内に送達されたビーズ11を示す。シャフト4内に入らない余分なビーズは、封止キャップ30から出て、別のディスペンサにリサイクルされる。例えば、第1の開口部5の幅を超えるビーズ11は、出口32を通ってx軸の正方向に沿って導かれ得る。別のディスペンサからの余分なビーズは分析され、且つ/又は、シャフト4とは異なる大きさのシャフトに導き直され得る。
図3C】シャフト4内に保持されない小さなビーズ12をシャフト4からチャネル17へ送られることを示す。小さなビーズ12は、個別に回収されてもよいし、小さなビーズ12の一部または全部を保持し得るより小さなシャフト54に送られてもよい。図3Cには、小さなビーズが通過する下向きに傾斜したチャネル17が示されている。
図3D】シャフト4内に保持されない小さなビーズ12をシャフト4からチャネル17へ送られることを示す。図3Dには、小さなビーズが通過する緩やかに傾斜した比較的平坦なチャネル17が示されている。
図3E】バルブの開閉の制御を利用して、特定範囲の幅を有するビーズを2段階で得るためのサイズ除外のメカニズムを示す。第1段階では、第2の閾値よりも大きな幅のビーズが除外または除去され、第2段階では、 第1の閾値よりも小さな幅のビーズが除外または除去される。
図3F】特定の範囲の幅を有するビーズを2段階で得るためのサイズ除外のメカニズムを示す。第1段階では、第2の閾値よりも大きな幅のビーズが除外または除去され、第2段階では、第1の閾値よりも小さな幅のビーズが除外または除去される。
図3G】特定の範囲の幅を有するビーズを2段階で得るためのサイズ除外のメカニズムを示す。第1段階では、第2の閾値よりも大きな幅のビーズが除外または除去され、第2段階では、第1の閾値よりも小さな幅のビーズが除外または除去される。これにより、第1の閾値と第2の閾値との間の幅を有するビーズが得られる。
図4A】ビーズ11をシャフト4からアッセイ装置20のウェル21に送達するために、ディスペンサ1をアッセイ装置20に一体化または取り付けられた状態を示す。任意のロック機構23を使用することで、アッセイ装置20に対してディスペンサ1を位置合わせしやすくなる。所定の位置にロックされていれば、ディスペンサ1とアッセイ装置20は互いにぴったりくっついている必要はない。例示的な実施形態によれば、ビーズ11または他のアッセイコンポーネントの幅よりも小さい(狭い)限りは、任意のギャップ22が存在し得る。
図4B】例示的な実施形態に係る、図4Aの組付構造を反転させた構造、及び、ディスペンサ1からアッセイ装置20のウェル21へのビーズ11または他のアッセイコンポーネントの送達を示す。
図5】砂時計状の輪郭を有するシャフト4の内部に、シャフト4の幅または直径が最も狭い部分がある代替実施形態を示す。図5の例では、シャフト4の高さ方向において、シャフト4の幅または直径が減少する割合が一定である。
図6】別の例に係る砂時計状の輪郭を有するシャフト4を示す。図6の例でも、シャフト4の幅または直径が最も狭い部分はシャフト4の端部に位置していない。図6の例では、シャフト4の高さ方向において、シャフト4の幅または直径が減少する割合は徐々に減少している。
図7】更に別の例に係る砂時計状の輪郭を有するシャフト4を示す。図7の例でも、シャフト4の幅または直径が最も狭い部分はシャフト4の端部に位置していない。図7の例では、シャフト4の高さ方向において、シャフト4の幅または直径が減少する割合は徐々に増大している。
図8】凹状の輪郭を有するシャフト4を示す。
図9】凸状の輪郭を有するシャフト4を示す。
図10】一定または略一定の異なる断面幅をそれぞれ有する複数の領域(部分またはセクション)を備えたシャフト4を示す。図10では、シャフト4が、互いに異なる2つの領域を含むように示されている。
図11】一定または略一定の異なる断面幅をそれぞれ有する複数の領域(部分またはセクション)を備えたシャフト4を示す。図10では、シャフト4が、互いに異なる3つの領域を含むように示されている。
図12】砂時計状の輪郭を有し、1つ又は複数の変曲点を有するシャフト4を示す。
図13A】ジグザグの輪郭を有し、断面幅が変化する領域と断面幅が一定または略一定である領域とを交互に含むシャフト4を示す。
図13B図13Aのシャフトをビーズと共に示す。
図13C図13Aのシャフトを別の大きさのビーズと共に示す。
図13D図13Aのシャフトを更に別の大きさのビーズと共に示す。
【0040】
図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示される主題の典型的な態様のみを示すことを意図したものであり、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書に具体的に説明されて添付の図面に示された構造、システム、装置、および方法が非限定的で例示的な実施形態であり、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者であれば理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図4A及び図4Bに示すような、コンビナトリアルケミストリー技術によって生成されたテスト化合物(試験化合物)のライブラリーをアッセイ可能なアッセイ装置20に、アッセイコンポーネントを装填するためのディスペンサが開示される。ただし、これらの実施形態をより詳細に説明する前に、まず、以下の用語が定義される。ここで定義されていない場合、本明細書で使用される用語は、一般的に受け入れられている科学的意味を有する。
【0042】
参照を容易にするために、本明細書で使用される多数の装置および数値は以下のように要約される。
【0043】
[ディスペンサ]
図2A図2B図2C図2D図3A、及び図5に示すように、ディスペンサ1は、ビーズ11などのアッセイコンポーネントをアッセイ装置20に送達する。本明細書において、ビーズ11は単数形でも複数形でも言及される場合がある。ディスペンサ1は、上面(上部)2と、底面(底部)3と、ディスペンサ1を貫通する1つ又は複数のシャフト(チャネル、くぼみ、キャビティ)4とを備える。図1は、一実施形態に係るディスペンサ1を1つのシャフト4と共に示す拡大図である。シャフト4は、可変(非一定)の断面幅すなわち直径を有してもよい。いくつかの実施例において、シャフト4は円形の断面を有してもよく、断面幅は直径であってもよい。シャフト4が円形の断面を有する例では、図1に示されるように、シャフト4の直径7は、第1の開口部5と比較して第2の開口部6において狭くなってもよい。図示の実施形態において、シャフト4の形状は、円錐の底部が除去された略円錐台状である(なお、図面は必ずしも縮尺通りではない)。図3Aおよび図3Bにおいて、シャフト4の深さ、すなわち高さh1は、シャフト4がy軸に沿ってどれだけ延びているかを示す。一方、シャフト4の断面幅、すなわち直径は、異なる複数のxz平面に沿って測定され得る。他の実施例において、シャフト4は楕円形の断面を有してもよく、シャフト4の断面幅は短軸であってもよい。
【0044】
図5図12で後に説明されるように、シャフト4は円錐台状に限定されるものと解釈されるべきではない。さらに、「幅」または「断面幅」という用語は、文脈に応じて、且つ/又は、どの実体(例えば、シャフト4またはビーズ11)が参照されるかに応じて、短軸または長軸のいずれかを指す場合がある。例えば、シャフト4の幅または断面幅がビーズ11の幅または断面幅よりも大きいという言及は、シャフト4の短軸がビーズ11の長軸よりも大きいことを意味すると解釈され得る。
【0045】
[ビーズ]
ビーズ11は、好ましくは略球形であり、各ビーズは、他のビーズと比較して、同じ固有の化合物の複数のコピーを含む。ビーズ11が球形である場合、直径と高さは同一である。ビーズ11が非球形であるか、又は異なる複数の軸(例えば、長軸、短軸、高さ)に沿って異なる寸法を有する場合、ビーズ11の第1の寸法がシャフト4の短軸を超え、ビーズ11の第2の寸法がシャフト4の長軸を超える限り、ビーズ11は、シャフト4内に捕捉または保持される。例えば、図2A図2C図3A図5、及び図11に示されるように、ビーズ11は、アッセイコンポーネントの一例である。
【0046】
[アッセイ装置]
図4A図4Bに示すように、アッセイ装置20は、単一のテスト化合物の複数のコピーを使用してアッセイが行われる、複数のウェル21を含むハイスループットアッセイ装置である。
【0047】
[封止キャップ]
図3Aおよび図3Bに示すように、封止キャップ30は、ディスペンサ1の上に嵌合(フィット)する大きさを有するキャップである。封止キャップ30は、入口としての入口ポート(取込ポート)31を備える。入口ポート(取込ポート)31は、ビーズ11をディスペンサ1のシャフト4に送達し、これにより、各シャフト4に単一のビーズ11がもたらされる。封止キャップ30は、シャフト4によって捕捉されなかったビーズ11を回収するために、入口ポート(取込ポート)31の反対側に、出口ポート(出口)32を有してもよい。このようなビーズ11は、x軸の正方向に沿って出口32に送り込まれる。封止キャップ30により、ビーズ11がシャフト4内に流入することが可能になる。シャフト4内にビーズ11が捕捉される(預け入れられる)と、封止キャップ30は取り外されてもよい。さらに、出口32またはシャフト4の第2の開口部(底部開口部)6を通って出る余分なビーズ11は、さらなる使用のために回収されてもよい。一実施形態において、図3C図3Dに示すように、シャフト4内の最小幅よりも小さい幅をそれぞれ有する1つ又は複数の小さなビーズ12は、シャフト4を通って、シャフト4の下方のチャネル(レーン)17内に流れてもよい。
【0048】
[細胞]
細胞は、例えば、マウス細胞、ブタ細胞、霊長類細胞(ヒト細胞を含む)などの哺乳動物細胞である。細胞は、テスト化合物の生物活性を評価するためにアッセイ装置20で使用されてもよい。
【0049】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用される場合、単数形は、文脈上において別段の明示がない限り、複数形も含むものとする。
【0050】
「任意の」または「任意に」とは、その後に説明される出来事または状況が発生してもよいし、発生しなくてもよいことを意味し、その説明には、その出来事または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0051】
「約」という用語は、例えば温度、時間、量、濃度など、範囲を含む数値指定の前に使用される場合、その数値の前後10%だけ、前後5%だけ、若しくは前後1%だけ変動し得る近似値、又は、これらの範囲に含まれる任意の部分的な範囲または値を示す。
【0052】
例えば、「約」という用語は、ある量に関して使用される場合、その量が前後20%だけ変動し得ることを意味する。ビーズの直径は、記載された平均直径の前後20%または前後10%であってもよいと解釈される。
【0053】
「備える」、「有する」、または「含む」とは、組成物および方法が列挙された要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することが意図されている。
【0054】
「から本質的になる」とは、組成物および方法を定義するために使用される場合、記載された目的のための組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、請求される発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない他の材料またはステップを排除するものではない。
【0055】
「からなる」とは、他の成分の微量を超える要素、及び、実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。これらの用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0056】
「アッセイ装置」という用語は、単一のウェル内で複数のテスト化合物をそれぞれ標的に対して同時にアッセイできる装置を指す。アッセイ装置は複数のウェルを含み、各ウェルは、好ましくは、実質的に同じ化合物の複数のコピーを提供するビーズなどのアッセイコンポーネント(アッセイ構成要素、アッセイ成分)を含む。アッセイ装置は、例えば最大で2000000個、又はそれ以上の、多数のウェルを備える。一実施形態において、ウェルの個数は、5000個から約2000000個までの範囲である。一実施形態において、アッセイ装置上のウェル密度は、1平方ミリメートル当たり少なくとも10ウェルであり、ウェルの個数は、少なくとも約50000個である。
【0057】
「アッセイコンポーネント(アッセイ構成要素、アッセイ成分)」という用語は、特定のアッセイを実施する際に使用されるミクロンサイズ、ミクロン形状のコンポーネント(構成要素、成分)を指す。一実施形態において、アッセイコンポーネントはビーズである。別の実施形態において、アッセイコンポーネントは、哺乳動物細胞である。さらに別の実施形態において、アッセイコンポーネントには、ビーズと細胞の両方が含まれる。
【0058】
「ビーズ」という用語は、コンビナトリアルケミストリーで使用するための当技術分野で周知のビーズ11を指す。一実施形態において、ビーズ11の表面は、開裂可能なリンカーを介して結合した複数の同じテスト化合物を含む。ビーズ11はまた、テスト化合物の構造または化合物を合成するために使用される合成ステップを記録するDNAバーコード、および/または、場合によりDNAバーコードと組み合わせられ得るmRNA捕捉成分を含んでもよい。これらのDNAバーコードは、開裂可能なリンカーまたは非開裂リンカーのいずれかによってビーズ11に結合される。バーコードが開裂可能なリンカーを介して結合されている場合、DNAバーコードとともに使用される開裂可能なリンカーは、ビーズからテスト化合物を放出するのに必要な機構とは異なる機構によって開裂されることが好ましい。
【0059】
別の実施形態において、ビーズ11は、同じレポーター分子の複数のコピーを含む。レポーター分子の一例は、開裂可能なリンカーを介してビーズ11に結合された蛍光分子である。好ましくは、レポーター分子は、テスト化合物をビーズ11に結合するために使用されるのと同じ開裂可能なリンカーを使用して結合される。このように使用される場合、ビーズ11は、生成される蛍光を減衰させるために、ビーズ11上の蛍光分子に近接して結合されるクエンチャー分子(図示せず)を含んでもよい。典型的には、クエンチャー分子は、非開裂結合によって、または、蛍光分子をビーズに結合するために使用される開裂可能なリンカーとは異なる機構によって開裂される開裂可能な結合によってビーズに結合される。
【0060】
あるいは、クエンチャーは、テスト化合物をビーズに結合するのに使用されるのと同じリンカーによってビーズに結合される。この実施形態において、蛍光化合物は、非開裂結合によって、または、消光剤をビーズに結合するために使用される開裂可能なリンカーとは異なる機構によって開裂される開裂可能な結合によってリンカーに結合される。
【0061】
アッセイ中、開裂可能な結合を開裂する刺激によってビーズ11から放出されるテスト化合物の程度を知ることは、そのアッセイにとって不可欠であることがある。レポーター分子とともにビーズ11を使用すると、蛍光化合物をクエンチャーから切り離すことによって生成される蛍光の変化を標準曲線に対して測定することで、その知見が得られ得る。
【0062】
例えば、レポーター分子とテスト化合物が同じ開裂可能なリンカーによってビーズに結合している場合、開裂可能なリンカーを切断する刺激によるテスト化合物の放出により、同じ定量化可能な方法でレポーター分子も放出される。そうすることで、レポーター分子とクエンチャーが分離され、その結果生じる蛍光の変化は、放出されたテスト化合物の量と相関する。例えば、特許文献1(米国特許出願公開第2019/0358629号明細書、又は米国特許第10828643号明細書)を参照されたい。特許文献1の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
あるいは、クエンチャー分子とテスト化合物が同じ開裂可能なリンカーによってビーズに結合している場合、開裂可能なリンカーを破壊する刺激によるテスト化合物の放出により、同じ定量化可能な方法でクエンチャーも放出される。そうすることで、レポーター分子とクエンチャーが分離され、その結果生じる蛍光の変化は放出されたテスト化合物の量と相関する。
【0064】
別の代替実施形態において、クエンチャー分子、テスト化合物、およびレポーター化合物はすべて同じ開裂可能なリンカーによってビーズ11に結合され、これらのすべてが印加刺激によってビーズ11から開裂される。そうすることで、レポーター分子とクエンチャー分子はアッセイの水性環境中で互いに切り離されることになる。これにより、放出されたテスト化合物の量に相関する蛍光の変化が生じる。
【0065】
ビーズ11は、典型的にはポリマーの形態である。例えば、アミノ官能化ビーズ、カルボキシル官能化ビーズ、官能基を有する磁気ビーズなどを含む、多数のビーズ11が市販されており、これらのビーズ11は、例えば、約0.1ミクロン~約50ミクロン以上など、様々な大きさを有する。例えば、米国イリノイ州レイクフォレストのSpherotech社、及び、米国カリフォルニア州サンタクララのAgilent社を参照されたい。これらのビーズは、当技術分野で周知の従来の化学を使用して、テスト化合物および/またはレポーター分子を含むように容易に官能化される。約25ミクロンの公称直径を有するビーズには、約25ミクロンよりも小さいビーズと大きいビーズが含まれ、数平均は約25ミクロンであることが理解される。
【0066】
一実施形態において、アッセイコンポーネントは、ヒト細胞などの生存可能な哺乳動物細胞である。この細胞は、所定のテスト化合物の生物学的活性 (存在する場合) を評価するためのアッセイに使用される。哺乳動物細胞を使用するアッセイは当技術分野でよく知られている。適切な細胞には、癌細胞、インスリン発現を担うベータ細胞、ニューロンなどが含まれる。
【0067】
「テスト化合物(試験化合物)」という用語は、ビーズ11に放出可能に結合し、放出されると、アッセイ装置20のウェル21で行われるアッセイにおいて生物活性について試験される化合物を意味する。
【0068】
「放出可能に結合」という用語は、ビーズ11に結合したテスト化合物が、結合を破壊する刺激の適用によって放出され得ることを意味する。このような結合は、本明細書では「開裂可能な」結合と呼ばれることがある。この技術には、開裂可能な結合とその結合を破壊する適切な刺激の例が豊富にある。開裂可能な結合の非限定的な例として、いくつか例を挙げると、pH変化、酵素活性、酸化的変化、酸化還元、UV光、赤外光、超音波、磁場の変化によって放出される結合が含まれる。このような開裂可能な結合と、これらの結合を切断するために必要な対応する刺激の包括的な概要は、「ADVANCED THERAPEUTICS 1:1800030、薬物送達のための刺激応答性プロドラッグ化学」(Taresco, V.、Alexander, C.、Singh, N.、Pearce, A.K.、2018年、onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/adtp.201800030)によって提供されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
「シャフト」という用語は、ディスペンサ1の上面2から底面3を貫通するシャフト(くぼみ、キャビティ、または穴)4を指す。前記シャフト4は、本明細書に記載されるように、ビーズ11などの1つ又は複数のアッセイコンポーネントを捕捉および保持するような大きさ及び/又は形状を有する。シャフト4の大きさは、単一のビーズ11などの1つのアッセイコンポーネントのみが単一のシャフト4に確実に捕捉されるように、アッセイコンポーネント10の大きさと相関している。シャフト4は単一のアッセイコンポーネントを捕捉し、その結果、単一の構成要素をアッセイ装置20内の単一のウェル21に確実に移送することができる。したがって、取得されたアッセイ結果は、その単一のアッセイコンポーネントに存在する化合物に直接起因するか、相関するか、又はそれによって引き起こされる可能性がある。一方、複数のアッセイコンポーネントが単一のウェル21に同時に移送された場合、アッセイ結果は、個々のアッセイコンポーネントのいずれか、または個々のアッセイコンポーネント上に存在する対応する化合物のいずれかに直接起因することはできない。このように、一度に単一のアッセイコンポーネントのみを単一のウェル21に移送または導くことによって、特定の化合物に対するアッセイ結果を確認することができ、ひいては、アッセイの精度、信頼性、および効率が大幅に向上する。一実施形態において、シャフト4の捕捉/放出機構は、第1の開口部5と比較して第2の開口部6で減少する直径に基づいて重力補助される。
【0070】
アッセイコンポーネントの捕捉機構は、シャフト4の直径7、及び、シャフト4の高さh1に対する(シャフト4の高さ方向における)シャフト4の直径の減少率に基づいており、これにより、アッセイコンポーネントがシャフト4からどの程度下方に進行し得るかが決定される。一実施形態において、第1の開口部5は、ビーズ11などのアッセイコンポーネントの平均幅の少なくとも約110%である。シャフト4の高さh3は、2つ以上のアッセイコンポーネントが同時にシャフト4に嵌合して保持される可能性を排除するために、ビーズ11などのアッセイコンポーネントの平均幅の少なくとも約110%に設定される。2つ以上のアッセイコンポーネントが同時にシャフト4内に保持される場合、2つ以上のアッセイコンポーネントが単一のウェル21に同時に移送され、不確実な及び/又は信頼性の低いアッセイ結果がもたらされる可能性がある。一実施形態において、第2の開口部6は、シャフト4内で最も狭い開口、幅、または直径であり、アッセイコンポーネントの平均サイズ、すなわち平均幅の約70%である。別の実施形態において、第2の開口部6は、アッセイコンポーネント10の幅または直径の約80%、約85%、又は約90%である。第1の開口部5と第2の開口部6の前述の相対寸法を使用して、シャフト4は十分な範囲の幅または直径を有するアッセイコンポーネントを保持することができる。さらに、これらの相対的な寸法を利用することにより、アッセイコンポーネントがすでに捕捉された後のシャフト4内のデッドスペースまたは無関係なスペースの量を減らすことができる。デッドスペースまたは無関係なスペースの量が減少すると、追加のアッセイコンポーネントが、既に捕捉されたアッセイコンポーネントの上に、または既に捕捉されたアッセイコンポーネントの捕捉後の隙間内に詰まったり滞留したりする可能性が防止または低減されるであろう。さもなければ、第1の開口部5と第2の開口部6との間の幅または直径の相対的な差が大きすぎる場合、すなわち、所定の閾値比率を超える場合、様々な幅または直径を有する広範囲のビーズがシャフト4によって捕捉される可能性があるが、シャフト4内にビーズが捕捉された後、多大な未使用スペースが残され得る。
【0071】
図5図12及び図13A図13Dに、様々なシャフト4が示されている。図5図12及び図13A図13Dのいずれかに示されるシャフト4は、図1図2A図2D図3A図3G、及び図4A図4Bのいずれかと組み合わせて実施され得る。図5において、シャフト4は、砂時計状の輪郭を有し得る。特に、シャフト4は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少している第1の開口部5と第2の開口部6との間の第1の部分(第1のセクション)と、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に増大している第2の開口部6とシャフト4の底部の第3の開口部15との間の第2の部分(第2のセクション)と、を有してもよい。第2の開口部6は、シャフト4の内部に位置していてもよい。図5において、第2の開口部6は、第1の部分と第2の部分との間の境界を表し、第2の開口部6は、シャフト4内における他の任意の断面と比較して最小の幅または直径を有する断面であってもよい。一実施形態では、図5に示すように、第2の部分は、いかなる介在部分もなしに第1の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第1の部分と第2の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に減少若しくは増大するか、又は、減少と増大が交互に繰り返されるような、可変(非一定)の幅を有してもよい。第2の開口部6は、第1の開口部5と第3の開口部15とに対して等距離にあってもよいし、第1の開口部5または第3の開口部15のいずれかに対してより近くてもよい。換言すれば、第1の部分の高さh3は、第2の部分の高さh4と同一であってもよいし、異なっていてもよい。図5において、シャフト4の高さh1方向において断面の幅または直径が徐々に減少する第1の割合(減少率)は、第1の部分において一定であり、且つ/又は、シャフト4の高さh1方向において断面の幅または直径が徐々に増大する第2の割合(増大率)は、第2の部分において一定である。第1の割合(減少率)は、第2の割合(増大率)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。このような砂時計形状は、シャフト4へのビーズ11の接着を促進し得る。第3の開口部15の幅は、第1の開口部5の幅に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0072】
図6において、シャフト4は、図5とは異なる砂時計状の輪郭を有してもよい。図5に示されるシャフト4とは異なり、図6のシャフト4では、第1の部分において、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少する第1の割合(減少率)が可変(非一定)であり、且つ/又は、第2の部分において、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に増大する第2の割合(増大率)が可変(非一定)である。第1の部分は、第1の開口部5と第2の開口部6との間に位置して高さh3を有し、第2の部分は、第2の開口部6と第3の開口部15との間に位置して高さh4を有する。高さh3は、高さh4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。一実施形態では、図6に示すように、第2の部分は、いかなる介在部分もなしに第1の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第1の部分と第2の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に減少若しくは増大するか、又は、減少と増大が交互に繰り返されるような、可変(非一定)の幅を有してもよい。第1の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において負であって(徐々に減少して)もよい。このことは、第1の開口部5から第2の開口部6に近づくにつれて徐々に緩やかに断面の幅または直径が減少することを意味する。第2の割合(増大率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において正であって(徐々に増大して)もよい。このことは、第2の開口部6から第3の開口部15に近づくにつれて徐々に急激に断面の幅または直径が増大することを意味する。図6のシャフト4は、凹状の輪郭を有していてもよい。第3の開口部15の幅は、第1の開口部5の幅に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0073】
図7において、シャフト4は、図5及び図6のものとは異なる砂時計状の輪郭を有してもよい。図7のシャフト4では、第1の部分において、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少する第1の割合(減少率)が可変(非一定)であり、且つ/又は、第2の部分において、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に増大する第2の割合(増大率)が可変(非一定)である。第1の部分は、第1の開口部5と第2の開口部6との間に位置して高さh3を有し、第2の部分は、第2の開口部6と第3の開口部15との間に位置して高さh4を有する。高さh3は、高さh4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。一実施形態では、図7に示すように、第2の部分は、いかなる介在部分もなしに第1の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第1の部分と第2の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に減少若しくは増大するか、又は、減少と増大が交互に繰り返されるような、可変(非一定)の幅を有してもよい。第1の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に増大してもよい。このことは、第1の開口部5から第2の開口部6に近づくにつれて徐々に急激に断面の幅または直径が減少することを意味する。第2の割合(増大率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に減少してもよい。このことは、第2の開口部6から第3の開口部15に近づくにつれて徐々に緩やかに断面の幅または直径が増大することを意味する。図7のシャフト4は、凸状の輪郭を有していてもよい。第3の開口部15の幅は、第1の開口部5の幅に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0074】
図8において、シャフト4は、図6に示されるシャフト4の第1の部分と同様に、凹状の輪郭を有してもよい。図8のシャフト4は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少する可変(非一定)の割合(減少率)を示し得る。可変(非一定)の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において負であって(徐々に減少して)もよい。このことは、y軸の負方向に向かって第1の開口部5から第2の開口部6に近づくにつれて徐々に緩やかに断面の幅または直径が減少することを意味する。
【0075】
図9において、シャフト4は、図6に示されるシャフト4の第1の部分と同様に、凹状の輪郭を有してもよい。図9のシャフト4は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少する可変(非一定)の割合(減少率)を示し得る。可変(非一定)の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に増大してもよい。このことは、y軸の負方向に向かって第1の開口部5から第2の開口部6に近づくにつれて徐々に急激に断面の幅または直径が減少することを意味する。
【0076】
図10において、シャフト4は、高さh3を有し、直径または幅w2が一定または略一定である第1の部分と、高さh4を有し、直径または幅w3が一定または略一定である第2の部分とを有してもよい。第2の部分の直径または幅w3は、第1の部分の直径または幅w2よりも小さい。第1の部分の高さh3は、第2の部分の高さh4よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。また、第1の部分の高さh3は、第2の部分の高さh4と等しくてもよい。一実施形態では、図10に示すように、第2の部分は、いかなる介在部分もなしに第1の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第1の部分と第2の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に減少するような可変(非一定)の幅を有してもよい。
【0077】
図11において、シャフト4は、図10に示す第1の部分および第2の部分を含むことに加えて、高さh5を有する第3の部分をさらに含んでもよい。第3の部分の直径または幅w4は、一定または略一定である。第3の部分の直径または幅w4は、第2の部分の直径または幅w3よりも大きい。第3の部分の直径または幅w4は、第1の部分の直径または幅w2よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、第3の部分の直径または幅w4は、第1の部分の直径または幅w2と等しくてもよい。第3の部分の端部は、第3の開口部15であってもよい。一実施形態において、図11に示すように、第3の部分は、いかなる介在部分もなしに第2の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第2の部分と第3の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に増大するような可変(非一定)の幅を有してもよい。
【0078】
図12において、シャフト4は、図5図7のものとは異なる砂時計状の輪郭を有してもよい。図12のシャフト4は、第1の部分における高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に減少する可変(非一定)の第1の割合(減少率)を有してもよく、且つ/又は、第2の部分における高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において断面の幅または直径が徐々に増大する可変(非一定)の第2の第1の割合(増大率)を有してもよい。第1の部分は、第1の開口部5と第2の開口部6との間に位置して高さh3を有し、第2の部分は、第2の開口部6と第3の開口部15との間に位置して高さh4を有する。高さh3は、高さh4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。一実施形態において、図12に示すように、第2の部分は、いかなる介在部分もなしに第1の部分に直接接続される。ただし、別の実施形態では、第1の部分と第2の部分との間に介在部分が接続されてもよい。この介在部分は、高さh1方向(例えば、y軸の負方向)に沿って、一定の幅を有してもよいし、例えば、徐々に減少若しくは増大するか、又は、減少と増大が交互に繰り返されるような、可変(非一定)の幅を有してもよい。第1の部分において、シャフト4の輪郭は変曲点61を有してもよい。第1の開口部5から変曲点61まで、可変(非一定)の第1の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に増大してもよい。このことは、第1の開口部5から変曲点61に近づくにつれて、断面の幅または直径が徐々に急激に減少することを意味する。ただし、変曲点61から第2の開口部6に至るまでは、可変(非一定)の第1の割合(減少率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に減少してもよい。このことは、変曲点61から第2の開口部6に近づくにつれて、断面の幅または直径が徐々に緩やかに減少することを意味する。
【0079】
第2の部分において、シャフト4の輪郭は第2の変曲点62を有してもよい。第2の開口部6から変曲点62まで、可変(非一定)の第2の割合(増大率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に増大してもよい。このことは、第2の開口部6から変曲点62に近づくにつれて、断面の幅または直径が徐々に急激に増大することを意味する。ただし、変曲点62から第3の開口部15に至るまでは、可変(非一定)の第2の割合(増大率)の変化率は、シャフト4の高さh1方向(例えば、y軸の負方向)において徐々に減少してもよい。このことは、変曲点62から第3の開口部15に近づくにつれて、断面の幅または直径が徐々に緩やかに増大することを意味する。第3の開口部15の幅は、第1の開口部5の幅に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0080】
図13A図13Dにおいて、シャフト4は、断面幅が変化する領域と、一定または略一定の幅の領域とが交互に繰り返されるジグザグの輪郭を有してもよい。特に、シャフト4は、断面幅w2を有する第1の開口部5を有してもよい。第1の開口部5の直下(y軸の負方向)には、断面幅がw2からw3まで徐々に減少する第1の領域71が存在してもよい。第1の領域71は、y軸の負方向において高さh2だけ延びてもよい。第1の領域71の直下(y軸の負方向)には、断面幅w3が一定または略一定のままである第2の領域72が存在してもよい。第2の領域72は、y軸の負方向において高さh3だけ延びてもよい。第2の領域72の直下(y軸の負方向)には、断面幅がw3からw4まで徐々に減少する第3の領域73が存在してもよい。第3の領域73は、y軸の負方向において高さh4だけ延びてもよい。第3の領域73の直下(y軸の負方向)には、断面幅w4が一定または略一定のままである第4の領域74が存在してもよい。第4の領域74は、y軸の負方向において高さh5だけ延びてもよい。第4の領域74の直下(y軸の負方向)には、断面幅がw4からw5まで徐々に減少する第5の領域75が存在してもよい。第5の領域75は、y軸の負方向において高さh6だけ延びてもよい。第5の領域75の直下(y軸の負方向)には、断面幅w5が一定または略一定のままである第6の領域76が存在してもよい。第6の領域76は、y軸の負方向において高さh7だけ延在し、第2の開口部6で終端してもよい。いくつかの実施形態において、高さh2、h3、h4、h5、h6、およびh7の値は互いに等しくてもよいし、これらの値のうち少なくとも一部が異なっていてもよい。ただし、いくつかの実施形態では、高さh2、h3、h4、h5、h6、およびh7の値は互いに略等しくてもよい。例えば、高さh2、h3、h4、h5、h6、およびh7の値のうちの最大値と最小値との比は、2以下であってもよいし、1.5以下であってもよい。さらに、y軸に対する第1の領域71、第3の領域73、及び第5の領域75の角度は、互いに等しくてもよいし、これらの角度のうちの少なくとも1つが異なっていてもよい。例示の目的で、図13Cでは、y軸に対する第1の領域71の角度が参照符号θとして示されている。いくつかの実施形態において、y軸に対する第1の領域71、第3の領域73、および第5の領域75の角度は、45度未満、または60度未満であってもよい。いくつかの実施形態において、y軸に対する第1の領域71、第3の領域73、および第5の領域75の角度は、30度以上、60度以下であってもよい。いくつかの実施形態において、y軸に対する第1の領域71、第3の領域73、および第5の領域75の角度は、15度以上、75度以下であってもよい。図13A図13Dには6つの領域が示されているが、領域の個数は任意である。
【0081】
上記の構成は、第1の領域71、第3の領域73、および第5の領域75の傾きが一定であると仮定しているが、いくつかの代替実施形態において、第1の領域71、第3の領域73、および第5の領域75の傾きの少なくとも一部は一定でなくてもよい。換言すれば、第1の領域71、第3の領域73、および/または第5の領域75における、y軸の負方向に沿った断面幅の減少率は、例えば、図6図9及び図12に示されるように、可変(非一定)であってもよい。
【0082】
図13Bにおいて、ビーズ11は、第1の領域71と第2の領域72との境界(交差部)で側壁に接触し、側壁に保持(固定)され得る。ビーズ11は、他の位置ではシャフト4に接触しなくてもよい。図13Cでは、ビーズ11よりも小さなビーズ81が、第3の領域73と第4の領域74との境界(交差部)で側壁に接触し、側壁に保持(固定)され得る。ビーズ81は、他の位置ではシャフト4に接触しなくてもよい。図13Dでは、ビーズ81よりも小さなビーズ91が、第5の領域75と第6の領域76との境界(交差部)で側壁に接触し、側壁に保持(固定)され得る。ビーズ91は、他の位置ではシャフト4に接触しなくてもよい。このように、図13B図13Dは、シャフト4内のそれぞれ単一の位置に留まり得る様々な大きさのビーズを示している。ビーズ11,81,91はそれぞれ、シャフト4の側壁内において、y軸方向における単一の位置でのみ、すなわち、2つの領域間の境界にのみ保持(固定)され得るため、ビーズ11,81,91は、シャフト4が移動されると、シャフト4内に詰まることなくアッセイウェル内に放出され得る。
【0083】
シャフト4は、図2A図2D図5図12、及び図13A図13Dに明示的に示された輪郭以外の輪郭を有してもよい。前述の特徴に関して図示または説明された特徴の任意の組み合わせが企図され得る。例えば、シャフト4は、図10図11に示すように、一定の幅または直径を有する1つ又は複数の部分と、図5図9図12、及び図13A図13Dに示すように、可変(非一定)の幅または直径を有する1つ又は複数の部分とを含んでもよい。別の例として、シャフト4は、幅または直径の変化率が一定になるような可変(非一定)の幅または直径を有する1つ又は複数の部分と、幅または直径の変化率が増加または減少するような可変(非一定)の幅または直径を有する1つ又は複数の部分とを含んでもよい。1つ又は複数のシャフト4への言及は、図2A図2D図5図12、及び図13A図13Dに関して図示および説明された任意の輪郭を指し得る。図6図9、及び図12では、y軸の負方向において、異なる複数の領域の断面幅の減少率は可変(非一定)であってもよい。
【0084】
最長軸が全体にわたって均一であるような略球形のアッセイコンポーネントが使用されることが好ましいが、他の形状のものが使用されてもよい。本明細書において有用なそのような非球形の形状の1つは、全体に均一な幅を有する中実であり転動可能なオービフォームである。本明細書において有用なさらに他の形状は、楕円形である。楕円形の断面を有する好ましい形状には、長軸対短軸の比が約1よりも大きく且つ約1.5未満であり、好ましくは約1.2未満である楕円体が含まれる。本明細書で使用される場合、「軸」という用語は、アッセイコンポーネント内の最長の軸を指す。
【0085】
[ディスペンサ]
化合物の非常に大きなコンビナトリアルライブラリーをアッセイする能力は、典型的には、ビーズ11などの単一のアッセイコンポーネントをアッセイ装置20の単一のウェル21内に送達することを必要とする。実際には、アッセイ装置20には約200万個以上ものウェル21が組み込まれ得る。図3A図3B図4A、及び図4Bに示すように、これらのアッセイ装置20のウェル21の直径は、ディスペンサ1のシャフト4の直径または幅よりも著しく大きい。このような大きさの違いにより、ビーズ11として示される単一のアッセイコンポーネントを単一のウェル21に添加することは、技術的に困難な取り組みとなる。
【0086】
[アッセイコンポーネントとしてのビーズ]
本実施形態において、アッセイコンポーネントはビーズ11である。これらのビーズは、好ましくは球形、又は略球形であり、好ましくは約0.5ミクロン以上、約100ミクロン以下の直径を有する。図1は、複数のシャフト4を有するディスペンサ1を示す。
【0087】
より一般的に言えば、図1のディスペンサ1は、好ましくは少なくとも約0.1mm~約5mmである上面から底面までの厚さ8を有し、複数のシャフト4を含む。厚さ8は、上記の範囲(上限値および下限値を含む)内における任意の値または部分範囲であってもよい。ディスペンサ1は、複数の生体適合性材料のいずれかを備える。生体適合性材料の例としては、非限定的であるが、日本ゼオン株式会社(日本、東京)から商品名ZEONEXで市販されているシクロオレフィンポリマー(COP)、Polyplastics USA社(米国ミシガン州ファーミントンヒルズ)などの多くの供給元から市販されている環状オレフィンコポリマー(COC)、Putnam Plastics社(米国コネチカット州デイビル)などの多くの供給元から市販されているポリイミド、Foster Corporation(米国コネチカット州パットナム)などの多くの供給元から市販されているポリカーボネート、Edge Embossing社(米国マサチューセッツ州メドフォード)から市販されているポリジメチルシロキサン、Parchem Fine & Specialty Chemicals社(米国ニューヨーク州ニューロシェル)から市販されているポリメチルメタクリレートなどのポリマーが挙げられる。
【0088】
本明細書に記載のディスペンサ1は、当技術分野で周知のホットエンボス法によって容易に製造され得る。このようなホットエンボス法では、プラスチックを軟化させるためにガラス転移温度よりもわずかに高い温度に加熱される熱可塑性ポリマーのシートが使用される。表面上に所望のパターンで配置された複数の突起を含むスタンプが選択される。各プロングは、上述したようなシャフト4の大きさおよび形状に相関する幅または直径および深さを有するようにサイズ設定される。いくつかの実施形態において、プロングは、本質的に円錐台または錐台を含むか又は類似していてもよいが、断面幅が可変であれば、所望の任意の形状であってもよい。プロングを使用することで、第1の開口部5と比べて第2の開口部6が狭くなるように、又は、異なる断面幅を有するように、ディスペンサ1が生成または準備され得る。スタンプは、プロング全体が所定の深さまでシートに適合するような大きさに作られている。所望長さのプロングがシートに確実に沈み込んでシートを貫通するように、スタンプに十分な力が加えられる。このとき必要な力は、シートの柔らかさの程度に依存し、当業者であれば容易に確認できる。シートが冷えると、プロングが取り外されて、図1に示すようにシャフト4を含むシートが得られる。
【0089】
あるいは、図1のディスペンサ1は、2つの金型半体、すなわち、スタンプの突出部に対応する突出部を有する一方の半体(雄型半体)と、装置のベースを形成する他方の半体(雌型半体)とを使用する従来の射出成形によって製造されてもよい。2つの金型半体は、図1に示されるディスペンサ1の形状においてシャフト4を形成するように互いに並置される。モノマーまたは反応性オリゴマー組成物をこのキャビティに注入し、続いて重合させると、図1に示すように、シャフト4を含むディスペンサ1が得られる。
【0090】
実施形態において、ディスペンサ1は、シャフト4とウェル21との適切な位置合わせを保証するために、アッセイ装置20と併せて製造されてもよい。
【0091】
図2Aは、シャフト4の内部にビーズ11が完全に嵌合するような大きさに構成されたシャフト4の上方に配置された球形ビーズ11を示す。図2Bは、シャフト4の内部における球形ビーズ11を示す。一方、図2Cは、上部開口部(第1の開口部)5よりも大きな直径を有する球形ビーズ11を示しており、ビーズ11の一部はシャフト4の内側に位置し、ビーズ11の残りの部分はシャフト4の外側に位置している。この場合、シャフト4の内部には、ビーズ11をシャフト4内にしっかりと保持するような十分な容積のビーズ11が存在する。図2Dは、シャフト4の最も狭い直径よりも小さい直径を有する小さなビーズ12の除去を示しており、小さなビーズ12はシャフト4の底部から出る。換言すれば、図2Dにおいて、小さなビーズ12はシャフト4内に保持または捕捉されていない。したがって、シャフト4内への単一のビーズ11の装填または捕捉は、小さなビーズ12のサイズ除外とともに、手動介入なしに単一のステップでシームレスに達成され得る。小さなビーズ12が保持または捕捉されない当該構成のさらなる詳細は、図3C及び図3Dに示され、これらに関連して説明される。
【0092】
図2Aおよび図2Bに戻って参照すると、第1の開口部5の直径は、球形ビーズ11の直径よりも大きく、ビーズ11がシャフト4の内側に位置するようになっている。一実施形態において、第1の開口部5の直径は、球形ビーズ11の直径の150%以下、又は、球形ビーズ11の平均直径の150%以下の範囲である。これにより、このような実施形態において、すでに捕捉されたビーズの上に、又は、ビーズがすでにシャフト4内に捕捉または保持された後のシャフト4の隙間内に、第2のビーズが完全に又は部分的に留まる可能性を低減または排除するために、第1の開口部5の直径は、過剰な空きスペースが残らないような大きさであってもよい。さらに、第2のビーズは既に捕捉されているビーズによってブロックされるため、該ビーズが既に占めている空間を横切ることができず、シャフト4を通って出ることができない。例えば、第1の開口部5が球形ビーズ11の平均直径の1000%(例えば10倍)の直径を有していた場合、複数のビーズがシャフト4内に詰まったり滞留したりする確率は、許容される閾値確率を超え得る。同時に、第1の開口部5の直径は、異なる大きさのビーズ11をシャフト4内に十分に分配できるような大きさにする必要があり、そうでないと、過剰な数のビーズ11がシャフト4内に保持されなくなる。可変(非一定)の幅または直径を有するシャフト4、及び、球形または楕円形のビーズ11を使用することにより、2つのビーズがシャフト4内に同時に保持されるのではなく、小さなビーズが単にシャフト4を通過することが可能になる。その結果、2つのビーズが単一のウェル21に同時に充填されることはない。
【0093】
[装填]
ディスペンサ1のシャフト4へのビーズ11の装填は、当技術分野で認識されている多くの処理のいずれによっても達成され得る。図3Aに示すように、封止キャップ30は、ビーズ11を導入するための入口ポート31と、過剰なビーズ11を回収するための出口ポート32とを備える。封止キャップ30は、ディスペンサ1の上に嵌合するような大きさであり、入口ポート31と出口ポート32の両方がディスペンサ1の上に位置合わせされるように、ディスペンサ1に位置合わせされる。
【0094】
好ましい一実施形態において、封止キャップ30は、任意の数の周知の特徴によってディスペンサ1に嵌合するような大きさおよび形状を有する。周知の特徴には、ディスペンサ1から上方に延びる連結突起が含まれ、連結突起は、封止キャップ30の本体の穴の中を通るように延びる。あるいは、ディスペンサ1と封止キャップ30の両方を固定構成にスナップしてロックするクリップまたは他のロック装置/ロック構成が、ディスペンサ1または封止キャップ30のいずれかに取り付けられてもよい。具体的なロック機構は重要ではない。
【0095】
漏斗状コーン40は、その円錐の狭い方の端部が封止キャップ30の入口ポート31に嵌合するような大きさを有する。一方、漏斗状コーン40の広い方の端部はビーズ11の追加を可能にする。ビーズ11は、単独で、又は流体中で、入口ポート31を通ってディスペンサ1の表面上に送達されて、ビーズ11は、入口ポート31から出口ポート32に向かって(例えば、x軸の正方向に沿って)移動する。ビーズ11は、各シャフト4が単一のビーズ11を保持するまでシャフト4内に流し込まれてもよく、過剰なビーズは、別のディスペンサ1にリサイクルされるために出口ポート32を通ってリサイクルされる。過剰なビーズは、閾値の幅または直径(例えば、第1の開口部5の幅または直径)を超える可能性があり、これにより、第1の開口部5を介していずれのシャフト4に入ることもできない。一実施形態において、過剰なビーズは、アッセイされてもよく、且つ/又は、シャフト4と比較してより大きな幅または直径を有する異なる設定のシャフトに導き直されてもよい。したがって、過剰なビーズは、手作業による介入を全く行わないか、又は、最小限に抑えつつ、連続的な反復または段階でその大きさに応じて自動的に輸送および処理され得る。
【0096】
図3Aおよび図3Bに示すように、シャフト4の高さh1は、シャフト4がy軸方向に沿って延びる距離を示す。高さh1は、単一のビーズ11を保持するのに十分な高さであるが、同時に、シャフト4内のデッドスペースまたは無関係なスペースの量を減らすような高さに制限される。これにより、既に捕捉されたビーズ11の上、又は、ビーズ11の捕捉後の隙間内に、更なるビーズが詰まったり滞留したりする可能性が低減され得る。一実施形態において、高さh1は、ビーズ11の平均直径の0.5倍以上、2倍以下であってもよい。別の実施形態において、高さh1は、ビーズ11の平均直径の0.5倍以上、1.25倍以下であってもよい。さらに別の実施形態において、高さh1は、ビーズ11の平均直径の0.75倍以上、1.25倍以下であってもよい。
【0097】
一実施形態において、1つ又は複数のシャフト4は、円錐台または錐台の形状を有してもよい。シャフト4は、第1の開口部5と側面との間で測定される傾斜角(底角)を有してもよい。この傾斜角は、ディスペンサ1の上面2に対して約50度以上、80度以下の範囲であってもよい。傾斜角が小さいほど、高さh1方向におけるシャフト4の幅または直径の変化率は大きくなる。変化率が閾値を超える場合、1つのビーズ11が既にシャフト4内に留まるか又は固定された後でも残る空のスペースの量は、1つのビーズ11上、又はシャフト4の残りの隙間内に更なるビーズが留まる可能性を増大させ得る。したがって、傾斜角は、閾値角度(例えば30度)を超えるように選択されてもよい。同時に、傾斜角は、十分且つ過度に狭くない分布範囲を有するビーズがシャフト4内に導かれ得るように選択されるべきである。例えば、傾斜角度が90度に近すぎると、高さh1方向におけるシャフト4の幅または直径の変化率が最小となり、狭い範囲の大きさを有するビーズのみがシャフト4内に導かれることになる。したがって、傾斜角は、閾値角度(例えば85度)未満となるように選択されてもよい。
【0098】
一実施形態において、ビーズ11が部分的に水平方向に流れてビーズがシャフト4を満たし得るように、漏斗状コーン40は傾けられる。別の実施形態において、ディスペンサ1はわずかに傾斜しており、封止キャップ30の入口ポート31に隣接する側部が封止キャップ30の出口ポート32に隣接する側よりも高くなっている。このような構成は、入口ポートから出口ポートに向かって少なくとも約1度のわずかな下り勾配を適用することによって達成され得る。当該下り勾配は、好ましくは、少なくとも約1度~約10度であり、より好ましくは、約1度~約5度(又は、当該範囲(下限値と上限値を含む)内の任意の値または部分範囲)である。これにより、ビーズ11は、好適な速度で下り勾配を横切ることが可能になる。この速度は、ディスペンサ1内のシャフト4によって容易に捕捉され得る速度でありつつ、比較的小さなビーズ11はシャフト4を通過し、比較的大きな余剰のビーズ11は出口ポート(回収ポート)32を通って送られて捕捉され得る速度であることが好ましい。シャフト4の円錐形の大きさ及び輪郭は、2つのビーズ11が単一のウェル21に同時に捕捉される可能性がある方法でこれらのシャフトに存在する小さなビーズを除去するように設計されている。図3Bに示すように、このプロセスにより、幅d1を有する(例えば、長軸または両軸が幅d1を有することを示す)単一のビーズ11が、ディスペンサ1の単一のシャフト4内に捕捉され得る。
【0099】
図3Cに示されるように、シャフト4の最も狭い幅または直径m1よりも小さいそれぞれの幅または直径d2を有する、より小さなビーズ12が、シャフト4の外に導かれる。一実施形態において、より小さなビーズ12は、シャフト4からチャネル17に導かれる。チャネル17は、マイクロ流体チャネルなどの流体チャネルであってもよい。図3Cにおいて、チャネル17は、チャネル17を通るように小さなビーズ12を重力が押し込んだりアシストしたりできるように下向きに傾斜した態様で示されているが、図3Dに示されるように、チャネル17は、比較的平坦で緩やかな傾斜を有していてもよい。いくつかの実施形態において、より小さなビーズ12は、重力に加えて、又は重力の代替として、流体圧力および/または他の力(例えば、吸引力または真空力)を介してチャネル17に沿って押し込まれるか又はアシストされてもよい。小さなビーズ12がシャフト4を通過すると、小さなビーズ12がチャネル17内で詰まることが回避されるように、y軸に沿って延びるチャネル17の最小高さh2は、シャフト4の最小幅m1以上であってもよい。図3Dでは、より小さなビーズ12は、チャネル17を横切って、受容部(容器)18に入ることができる。より小さなビーズ12は、受容部18から、漏斗(チューブ、パイプ、チャネル、導管、又はガイド)19内に送られるか、又は導かれることができる。漏斗19は、漏斗状コーン40と同様、類似、又は同一の方法で実装され得る。漏斗19の最小の幅または直径は、すべての小さなビーズ12が詰まることなく漏斗19を通過できるような幅または直径wであってもよい。受容部18から漏斗19へのビーズの進入は、ゲート13または他の同様の機構を使用して調整(制御)されてもよい。ゲート13は、機械的および/または電気的に制御され得る。他の例において、ゲート13は、ある一定の時間間隔または可変の時間間隔で開くように回転または切換が行われ、他の時間間隔で閉じられたままであってもよい。いくつかの例において、小さなビーズ12は、受容部18内に一時的に保持されるのではなく、チャネル17から漏斗19内に直接通過してもよい。言い換えれば、チャネル17は、漏斗19に直接接続または連通してもよい。
【0100】
小さなビーズ12が漏斗19に入ると、小さなビーズ12は、シャフト4のものよりも小さな最小の幅または直径m2を有する一組の小さなシャフト54に通過または導かれてもよい。小さなビーズ12のサブセットは小さなシャフト内に捕捉され得るが、残りの小さなビーズはさらに小さなシャフトを通過し得る。このような方法で、全て又は略全てのビーズが個々のシャフト内に保持され、且つ、アッセイ対象のウェルに入れる準備が整うまで、手動介入を全く無くすか又は最小限に抑えて、より小さなビーズ12が、より小さなシャフトを通して連続的または反復的に送られてもよい。各反復またはサイクル中に、より小さなビーズがシャフト内に保持され、且つ/又はアッセイされてもよい。さらに別の利点は、ビーズに結合した化合物の量がビーズの幅または直径に相関または比例している場合、連続的なアッセイにより、化合物の量がアッセイ結果に影響を与えるかどうか、又は、どのように影響するかをさらに決定または確認できることである。単なる例示的で非限定的な構成として、第1の反復は、閾値幅または閾値直径の0.8倍以上、1倍以下の幅または直径を有するビーズ11に対してアッセイを行うことを含んでもよい。第2の反復は、閾値幅または閾値直径の0.64倍以上、0.8倍以下の幅または直径を有する小さなビーズ12に対してアッセイを行うことを含んでもよい。さらに、第3の反復は、閾値幅または閾値直径の0.512倍以上、0.64倍以下の幅または直径を有するさらに小さなビーズに対してアッセイを行うことなどを含んでもよい。受容部18および漏斗19は図3Dにのみ示されているが、受容部18および漏斗19は同一または同様の方法で図3Cに実装されてもよい。
【0101】
一方、図3E図3Gは、特定範囲の幅を有するビーズを2段階で得るためのサイズ除外のメカニズムを示す。第1段階では、第2の閾値幅よりも大きいビーズが予備チャネルを介して除外または除去される。第2段階では、 第1の閾値幅よりも小さいビーズが除外または除去される。第1の閾値幅は、第2の閾値幅よりも小さくてもよい。したがって、第1の閾値幅と第2の閾値幅との間のビーズが保持される。図3Eは、ビーズの装填または分配などのさまざまな処理中に、バルブ24,25,26,27の開閉を使用する実施例を示す。図3Eの実施例によれば、チャネル55および/またはチャネル56内に詰まった、第2の閾値幅よりも大きいビーズが放出され、第1の閾値幅よりも小さいビーズが放出され、経路43内には詰まっているがチャネル45,46,47,48内には詰まっていないビーズが放出される。
【0102】
図3E図3Gでは、図3Aに示されるものと同じまたは類似の漏斗状コーン40が、様々な幅を有するビーズ11,41,51を格納または収容し得る。例えば、ビーズ11は幅d1を有し、ビーズ41は幅d1よりも小さい幅d3を有し、ビーズ51は幅d1よりも大きい幅d4を有する。ビーズ11,41,51は、漏斗状コーン40またはビーズを格納する他の機構もしくは装置を介して、第1ステージ(第1段階)52に導入されてもよい。ビーズ11,41,51は、第1ステージ(第1段階)52から経路(チャネル)53に入ることができる。ビーズ11,41,51が経路53に入ると、ビーズ11,41,51は、チャネル(漏斗)55又はチャネル56を通過する。チャネル55,56は、第2の閾値幅m3よりも小さいビーズの通過を許容するが、第2の閾値幅m3よりも大きいビーズの通過を阻止する。チャネル55,56は、y軸の負方向に沿って徐々に増大する幅を有するように図3E図3Gに示されている。特に、チャネル55,56は、それぞれの入口で幅m3を有し、それぞれの出口で幅m4を有する。幅m4は、幅m3よりも大きくてもよい。チャネル55,56の幅は、(y軸方向に沿った)チャネル55,56の高さ全体にわたって徐々に増大するように示されているが、いくつかの代替実施形態において、チャネル55,56の幅は、それぞれのチャネル55,56の上部(例えば、y軸方向における上部半分、上部3分の1、又は上部3分の2)のみで徐々に増大しつつ、チャネル55,56の残りの部分の幅は、一定または略一定のままであってもよい。x軸に対するチャネル55,56の傾斜角は、30度以上、85度以下であってもよい。他の代替実施形態において、チャネル55,56は、y軸の負方向に関して一定または略一定の幅を有してもよい。図においては、2つのチャネルのみが示されているが、任意の数のチャネルが設けられてもよい。
【0103】
ここで、ビーズ51は、チャネル55の幅m3を超える幅d4を有してもよい。したがって、該ビーズ51は、チャネル55を通過することが妨げられてもよい。一方、ビーズ11,41は、幅d1,d3をそれぞれ有してもよい。幅d1,d3は、両方とも幅m3よりも小さくてもよい。したがって、ビーズ11,41はチャネル56を通過することができる。チャネル55,56の上部など、チャネル55,56の少なくとも一部内に留まっているか又は詰まっているビーズ51などのビーズは、超音波処理、重力、および/または流体の流れによって放出または除去され得る。
【0104】
チャネル56を通って放出されるビーズ11,41は、第2ステージ(第2段階)42に入ることができる。第2ステージ(第2段階)42において、ビーズ11,41は、経路43を横切ってチャネル45,46,47,48の1つに入ることができる。チャネル45,46,47,48は、それぞれのチャネル45,46,47,48の底部において、より小さな幅m1(例えば、第1の閾値)を有してもよい。一方、チャネル45,46,47,48の上部のより大きな幅m5は、幅m3以上であってもよい。ここで、ビーズ11に対応する幅d1は幅m1よりも大きくてもよく、ビーズ41に対応する幅d3は幅m1よりも小さくてもよい。したがって、ビーズ11はチャネル45内に保持されてもよく、ビーズ41はチャネル45を通過してもよい。図4Aおよび図4Bに示すように、チャネル内に保持される任意のビーズ(例えば、ビーズ11)は、アッセイされるようにアッセイ装置内に移送および/または通過されてもよい。例えば、図3Fに破線の長方形内で示すように、チャネル45,46,47,48のセットが取り外されて、アッセイ装置上に移設されてもよい。図では、4つのチャネル45,46,47,48が示されているが、任意の数のチャネルが第2ステージ42内に実装されてもよい。
【0105】
このようにして、第1の閾値幅と第2の閾値幅との間のビーズが、後続のアッセイのために保持されてもよい。一例として、第1の閾値幅は9ミクロンまたは8ミクロンであってもよく、第2の閾値幅は11ミクロンまたは12ミクロンであってもよい。したがって、ディスペンサ1内のビーズは、標的幅の閾値範囲内におけるそれぞれの幅を有し得る。例えば、ビーズの幅の範囲は、特定の標的幅(例えば、10ミクロン)の10パーセント以内または20パーセント以内であってもよい。他の実施形態において、ビーズの幅の範囲は、特定の標的幅の2パーセント以内または5パーセント以内であってもよい。このようなサイズ制御は、化合物の均一または略均一な量または濃度が複数のウェルにわたって比較されることを保証するために、信頼性の高いアッセイを実施する上で重要になり得る。ビーズには化学物質が含まれており、ビーズの表面積は幅の二乗に関係するため、ビーズの幅が別のビーズの2倍であるということは、1つのビーズに別のビーズの4倍の化学物質が含まれていることを意味することになる。このように、ビーズサイズの小さな違いでも、ビーズ上の化学物質の量または濃度には大きな違いが生じ得る。図3E図3Gの実施形態は、図3C図3Dの実施形態と組み合わされて、例えば、上述されたように、異なる複数の反復にわたって特定の範囲のビーズサイズが連続的に得られ得る。
【0106】
図3Eは、異なる複数の処理中に開閉するように制御されるバルブを示す。該バルブには、漏斗状コーン40の出口に配置された第1のバルブ24と、コレクタ57の出口に配置された第2のバルブ25と、経路43の出口に配置された第3のバルブ26と、チャネル45,46,47,48の下流側に配置された第4のバルブ27とが含まれる。バルブ24,25,26,27のいずれか又はすべては、流体バルブ又はマイクロ流体バルブであってもよく、電子的および/または機械的に制御されてもよい。バルブ24,25,26,27のいずれか又はすべては、二方弁であってもよい。
【0107】
漏斗状コーン40を介してビーズ(例えば、ビーズ11,41,51)を装填している間、第1のバルブ24は、漏斗状コーン40を通るビーズの流れを許容するように開放されてもよい。第2のバルブ25および第3のバルブ26は閉じていてもよい。第4のバルブ27は、より小さなビーズをパージ(除去)し、より小さなビーズの蓄積を防ぐために開放されてもよい。チャネル55,56内、経路53内、およびコレクタ57内に詰まったビーズ(例えば、ビーズ51)を放出する間、ビーズ51がコレクタ57を通過してコレクタ57から出るように、第2のバルブ25が開放されてもよい。いくつかの実施形態において、第3のバルブ26は、流体の流れ301に従って、逆方向(例えば、x軸の正方向ではなく負方向に向かって)に開放されてもよい。したがって、流体の流れ301において、流体のバックフラッシュおよび/または背圧により、チャネル55,56を通って第3のバルブ26を通る流体の進入が生じ、ビーズが第2のバルブ25を通ってさらに案内されてもよい。いくつかの実施形態では、これに加えて、またはその代わりに、流体ジェット58がビーズをコレクタ57の外へ押し出してもよい。なお、ビーズ放出中は、第1のバルブ24および第4のバルブ27は閉じられていてもよい。第1の閾値幅よりも小さいビーズ41が底面3を通って押し出されるプロセス中に、流体ジェット68などからの流体の流れが、第4のバルブ27を通ってビーズ41をx軸方向に沿って押し出すことができるように、第4のバルブ27が開放されてもよい。いくつかの実施形態において、流体の背圧が、経路43からチャネル45,46,47,48を通ってx軸の負方向に通過して、流体の流れ302に従って、第4のバルブ27を通してビーズを外にさらに導くことができるように、第3のバルブ26は逆方向に開放されてもよい。流体の流れ302は、チャネル48を通過するものとしてのみ示されているが、第4のバルブ27からの流体は、チャネル47,46,45を通過してもよい。いくつかの実施形態では、追加または代替として、流体ジェット68および/または流体ジェット49は、第4のバルブ27を通してビーズを押し出してもよい。特に、流体ジェット49からの流体は、チャネル45,46,47,48を通って流れてもよい。この間、第1のバルブ24および第2のバルブ25は閉じていてもよい。
【0108】
所望のビーズ11を抽出するプロセス中に、チャネル45,46,47,48内に捕捉されたビーズは、第3のバルブ26を通じて回収されてもよい。したがって、第3のバルブ26は開放されてもよい。いくつかの実施形態では、任意選択で、第4のバルブ27からのx軸の負方向への流体のバックフラッシュおよび/または背圧により、流体の流れ302と同様に、ビーズが押し出されて経路43を通って第3のバルブ26を通過できるように、第4のバルブ27が逆方向に開放されてもよい。いくつかの実施形態では、追加的または代替的に、超音波処理および/または重力によって除去が行われてもよい。
【0109】
あるいは、所望のビーズ11がチャネル45,46,47,48内に保持されるべきである場合、所望のビーズを抜き出す前述のプロセスはスキップされてもよい。所望のビーズ11を保持することにより、図4Aおよび図4Bに示されるように所望のビーズ11がアッセイ装置に落下するように、チャネルが180度ひっくり返されたり、反転されたり、置き換えられたりしてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態において、ビーズの装填、ビーズの放出、ビーズの押し出し、および所望の大きさのビーズの抽出のための前述の動作作は、所定の時間間隔で実行されてもよい。所定の時間間隔は、固定され、且つ/又は、周期的であってもよい。例えば、第1の時間間隔中に、ビーズが装填されてもよい。第1の時間間隔に続く第2の時間間隔中に、チャネル55,56内、経路53内、およびコレクタ57内に滞留または捕捉されたビーズが押し出されてもよい。第2の時間間隔に続く第3の時間間隔中に、ビーズ41が底面3から押し出されてもよい。第4の時間間隔中に、図4Aおよび図4Bに示すように、所望の大きさのビーズ11が抽出され、アッセイ装置20上に反転されてもよい。代替実施形態では、時間間隔で実行されるのではなく、前述の動作が、チャネル55,56内、経路53内、コレクタ57、底面3、およびチャネル45,46,47,48内で検出されたビーズの濃度に基づいて実行されてもよい。該検出は、透視検査などの画像化を介して行われてもよい。
【0111】
漏斗状コーン40からのすべてのビーズが処理されるか、又は、第2ステージ42のチャネルのそれぞれがビーズを保持すると、図3Fにおいて破線の長方形の内側に示されるように、チャネル45,46,47,48は、取り外されたり、分解してひっくり返されたり、裏返されしたり、アッセイ装置内に移動されたりしてもよい。漏斗状コーンからのビーズの処理は、ビーズを第1ステージ(第1段階)52のチャネルに通すか、又は、ビーズをコレクタ57に送り込むことを必要とし得る。このように、チャネル45,46,47,48内、及び、第2ステージ42の他のチャネル内に滞留したビーズは、アッセイ装置に移送され得る。
【0112】
[分配]
前述のように、ディスペンサ1のシャフト4のそれぞれは、アッセイ装置20の単一のウェル21に位置合わせするように事前に選択される。シャフト4内に既に捕捉されているビードの上に留まっているか又は詰まっている可能性がある追加のビードは、上面2に沿うか又は上面2の近傍における空気、流体、または真空圧を介して、シャフト4から出口32に向けて送り込まれてもよい。図4Aおよび図4Bに示すように、ウェル21へのビーズ11の分配は、アッセイ装置20をディスペンサ1の上に配置し、各シャフト4が対応するウェル21と位置合わせされていることを確認することによって達成される。ディスペンサ1およびアッセイ装置20は、分配中にシャフト4がウェル21に位置合わせされたままであることを保証するロック機構23によって所定の位置にロックされることが好ましい。位置合わせは、アッセイ装置20上のマーカー(図示せず)をディスペンサ1上の対応するマーカー(図示せず)に位置合わせすることによって確認されてもよい。図4Aおよび図4Bに示される機構は、他の図(図1図2A図2D図3A図3G図5図12、および、図13A図13Dなど)の関連部分と併せて実装されてもよい。
【0113】
図4Aでは、ギャップ22がビーズ11の幅または直径よりも小さく、好ましくはビーズ11の幅または直径の約50%以下であるという条件下において、ディスペンサ1とアッセイ装置20との間に任意の小さなギャップ22が存在してもよい。ギャップ22の(例えば、y軸に沿った)高さは、ロック機構23を使用して調節可能であってもよく、機械的および/または電気的に制御されてもよい。例えば、ロック機構23は、アッセイ装置20および/またはシャフト4上のレール内に固定されてもよく、ロック機構23がレール上に固定される相対位置は、調整可能であってもよい。したがって、ギャップ22は、ビーズ11の幅または直径の範囲または分布に基づいて調整され得る。いくつかの例示的な実施形態において、アッセイ装置20は、ギャップ22が無いように構成されてもよい。
【0114】
位置合わせが確認されると、ディスペンサ1とアッセイ装置20との組み合わせがひっくり返されるだけで、ディスペンサ1がアッセイ装置20の上に載置される得る。重力に基づく放出の場合、ビーズ11をウェル21内に放出するために、例えばディスペンサ1に、力またはエネルギーが必要となる場合がある。一実施形態において、このように必要とされる力またはエネルギーは、少なくとも約1ニュートンまたは少なくとも約0.01ジュールである。このような力またはエネルギーは、任意の方法(例えば、背圧、真空または吸引圧、タッピング、振動、超音波処理、向心力、温度変化など)によって適用され得る。ビーズの大きさの分布により、一部のビーズは他のビーズよりもディスペンサ内により緊密に結合する可能性があり、これらを取り外すためには力(追加の力)が必要になる場合がある。ビーズを取り外すのに必要な力の量は、ビーズ11の幅または直径に反比例し得る。シャフト4とウェル21の位置合わせにより、意図されたウェルとは異なるウェルにビーズ11が流れ込むことなく、単一のビーズ11が単一のウェル21に捕捉されることが保証される。
【0115】
[アッセイコンポーネントとしての細胞]
アッセイコンポーネントの別の例は、アッセイ中のテスト化合物の接触および/または取り込みに対する応答を評価するために使用される細胞である。細胞はビーズ11と同様の方法でディスペンサ1に加えられ得るが、以下の事項が補足される。シャフト4が円錐台状の輪郭を有する例において、シャフト4の形状は、周知の幾何学的原理によって評価され得る円錐台の傾斜角に基づく。一実施形態において、傾斜角は、ディスペンサ1の上面2に対して90度未満であってもよい。一実施形態において、傾斜角は、ディスペンサ1の上面2に対して約30度以上、約85度以下の範囲である。シャフト4の長さ、深さ、または高さは、ディスペンサ1の厚さに基づいており、典型的には約0.1mm以上、約5mm以下の範囲である。ヒトの細胞の直径は約6ミクロン~約50ミクロン以上の範囲であるため、このような細胞を保持するシャフト4の形状は、低めの側では約3ミクロン以上、約25ミクロン以下の範囲(又は、当該範囲内の任意の値または部分範囲)であることが好ましく、高めの側では約9ミクロン以上、約75ミクロン以下の範囲(又は、当該範囲内の任意の値または部分範囲)であることが好ましく、細胞の大きさとシャフト4の円錐台の角度とに応じて選択される。選択される細胞は、ディスペンサ1の表面を転がることができる必要がある。
【0116】
そうでない場合、細胞は、ビーズ11の場合と実質的に同様の方法でディスペンサ1に加えられ、続いてアッセイ装置20のウェル21に加えられる。場合によっては、同じ細胞の複数のコピーがアッセイ装置20の単一のウェル21に添加されることが望ましい。このような場合、これらの細胞は、ディスペンサ1と構造的に同一または類似の別のディスペンサに、ディスペンサごとに1つずつ装填されてもよい。追加の細胞は、最初の細胞の添加と同様の方法でアッセイ装置20のウェル21に添加される。同様に、他のアッセイコンポーネント10も同様に追加され得る。
【0117】
[システム]
一実施形態において、ビーズをアッセイ装置に分配するためのシステムが提供される。該システムは以下のように構成される。前記システムは、複数のシャフト4を有するディスペンサ1と、複数のウェル21を有するアッセイ装置20とを備える。それぞれのシャフト4は、可変(非一定)の断面幅を備える。それぞれのシャフト4は、該シャフト内の最小断面幅よりも大きい幅を有する単一のアッセイコンポーネント(例えば、ビーズ11)のみを放出可能に収容し得る。ディスペンサ1は、該ディスペンサ1から前記単一のアッセイコンポーネントが放出されると、単一のアッセイコンポーネントだけが単一のウェル21内に捕捉されるように、各シャフト4が前記アッセイ装置20上の単一のウェル21に位置合わせ可能に、前記アッセイ装置20上に取り付けられる(嵌合される)。
【0118】
本発明は、本開示の組成物、試薬、方法、システム、診断法、実験データなどに限定されるものではない。また、本発明は、本明細書に開示される好ましい実施形態に限定されるものではない。
【0119】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、および/または物品において具体化され得る。前述の説明に記載された実施形態は、本明細書に記載された主題と一致するすべての実施形態を表すものではなく、むしろ、記載された主題に関連する態様に一致するいくつかの例にすぎない。上記においていくつかの変形例が詳細に説明されたが、他の修正または追加も可能である。特に、本明細書に記載されたものに加えて、さらなる特徴および/または変形が提供されてもよい。例えば、上述の実施形態は、開示された特徴の様々な組み合わせ及びサブコンビネーション、並びに/または、上に開示されたいくつかのさらなる特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションを対象とし得る。さらに、添付の図に示され、且つ/又は、本明細書に記載された論理の流れは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序または連続した順序を必ずしも必要とするわけではない。以下の特許請求の範囲内には、他の実施形態も含まれ得る。
【0120】
さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの実施例のうちの1つだけに関して開示されている場合があるが、このような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途にとって望ましく有利であるように、他の実装形態の少なくとも1つの他の特徴と組み合わされてもよい。さらに、「備える」、「有する」、「含む」という用語、その変形、および他の同様の用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、これらの用語は、追加の要素や他の要素を排除することなく、オープントランジションワードとして包括的であることが意図されている。
【0121】
さらに、「例」または「例示的」という用語は、本明細書において、一例または一実施例として機能することを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明されるいかなる態様または構成も、必ずしも他の態様または構成よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という用語の使用は、概念を具体的な方法で示すことを目的としている。本出願で使用される「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。つまり、別段の指定がない限り、又は、文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを使用する」という文言は、自然な包括的置換のいずれかを意味することを意図している。つまり、「XはA又はBを使用する」という文言は、XがAを使用する場合、XがBを使用する場合、及び、XがAとBの両方を使用する場合のいずれの場合にも満たされる。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される可算名詞の要素は、別段の指定がない限り、又は、文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、一般に「1つ又は複数」の要素を意味すると解釈されるべきである。
【0122】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図したものではない。本明細書で使用される場合、可算名詞の用語は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。さらに、本明細書で使用される場合、「備える」、「有する」、「含む」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、ただし、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語には、関連する列挙された項目の1つ又は複数のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0123】
少なくとも1つの例示的な実施形態は、例示的なプロセスを実行するために複数のユニットを使用するものとして説明されるが、例示的なプロセスは1つ又は複数のモジュールによって実行されてもよいことが理解される。
【0124】
本明細書における「第1」、「第2」、「第3」などの用語の使用は、順序を説明するものでなく、さまざまな構造、寸法、または動作を識別するために提供されたものであり、本明細書で特定の順序が明確に指定されていない限り、構造、寸法、または動作は、指定された順序とは異なる順序で実行されてもよい。
【0125】
本明細書および特許請求の範囲を通じて本明細書で使用される近似表現は、関連する基本機能の変更をもたらさずに許容できる範囲で変化する可能性のある任意の定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」、「略」、および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例において、近似表現は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の制限は、組み合わせ、且つ/又は、置き換え可能であり、そのような範囲は、文脈または文言が別段の指定をしない限り、特定され、そこに含まれるすべての部分範囲を含む。
【0126】
上記の説明および特許請求の範囲では、「少なくとも1つの」または「1つ又は複数の」などの語句の後に、要素または特徴のリストが続く場合がある。「及び/又は」という用語は、2つ以上の要素または特徴のリストにおいても用いられ得る。使用される文脈によって暗黙的または明示的に矛盾しない限り、そのような語句は、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に、または列挙された要素または特徴のいずれかを他の列挙された要素または特徴と組み合わせて意味することを意図している。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つ又は複数」、「A及び/又はB」という文言は、それぞれ「A単独、B単独、又は、AとBの組み合わせ」を意味するものとする。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストにも適用される。「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」という文言は、「A単独、B単独、C単独、A及びB、A及びC、B及びC、又は、A及びB及びC」を意味するものとする。さらに、上記および特許請求の範囲における「に基づいて」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図しており、記載されていない特徴または要素も許容される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
【国際調査報告】