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特表2024-521337流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法
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  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図1
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図2A
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図2B
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図2C
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図3
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図4
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図5
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図6A
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図6B
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図7
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  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図10
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図11
  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図12
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  • 特表-流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】流体組成物で管腔を洗浄するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61B1/12 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573616
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 AU2022050568
(87)【国際公開番号】W WO2022256871
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2021901729
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503412126
【氏名又は名称】サバン ベンチャーズ プロプライアタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイヴァーンプア、アミール ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】ナビプール、モーセン
(72)【発明者】
【氏名】スパーゴ、ギャヴィン
(72)【発明者】
【氏名】バーカー、テイラー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF42
4C161FF43
4C161GG08
(57)【要約】
汚染物質除去流体組成物を使用して、医療デバイス(医療器械)などの装置の内部管腔/内側管腔(例えば、チャネル、シリンダ、バルブソケット、及びコネクタなど)を洗浄するための技術が、本明細書に提示される。特に、本明細書に提示される技術は、配分された量の汚染物質除去流体組成物を医療デバイスの内部管腔に導入する。汚染物質除去流体組成物は、汚染物質除去流体組成物が、内部管腔の壁を洗浄する(例えば、内部管腔の壁と相互作用して、そこから汚染物質を除去する)ことができるように構成され、内部管腔デバイスの少なくとも一部分を通して推進される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスの少なくとも1つの内部管腔を洗浄するための方法であって、
液体を粉末と混合してスラリーを形成することと、
流体の少なくとも1つの流れを前記スラリーの一部分に適用して、前記スラリーの前記一部分を前記医療デバイスの前記少なくとも1つの内部管腔を通して推進することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記スラリーの前記一部分は、前記少なくとも1つの内部管腔の少なくとも近位セクションの流体抵抗に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体を前記粉末と混合して前記スラリーを形成することは、
前記液体を、前記粉末を保持する消耗品チャンバに導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
流体の少なくとも1つの流れを前記スラリーの一部分に適用することは、
前記スラリーの前記一部分を、保持チャンバから送達チャンバに提供することと、
前記少なくとも1つの内部管腔に前記スラリーの前記一部分を送達する前に、前記送達チャンバ内に前記流体の少なくとも1つの流れを適用して、前記スラリーの前記一部分を加速することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送達チャンバ内に前記流体の少なくとも1つの流れを適用することは、
前記送達チャンバ内に流体の第1の流れ、及び前記送達チャンバ内に流体の第2の流れを適用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリーのいかなる部分も伴わずに、前記少なくとも1つの内部管腔を通して流体の流れを送達することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの保持チャンバ内で前記粉末を前記液体と混合することを更に含み、前記少なくとも1つの保持チャンバは、1つ以上の送達チャンバと流体連通している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの保持チャンバから前記1つ以上の送達チャンバのうちの少なくとも1つに、前記スラリーの前記一部分を引き出すことを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの保持チャンバから前記1つ以上の送達チャンバのうちの少なくとも1つに、前記スラリーの前記一部分を圧送することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
分配マニホールドが、前記1つ以上の送達チャンバに流体接続され、かつ前記少なくとも1つの内部管腔に流体接続されており、前記方法は、
前記分配マニホールドを介して、前記スラリーの前記一部分を前記少なくとも1つの内部管腔に送達することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記粉末を前記液体と混合して前記スラリーを形成することは、
溶解していない粉末が前記スラリーの中に懸濁するように、前記液体に対して過剰な粉末を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末を前記液体と混合して前記スラリーを形成することは、
重炭酸ナトリウムを水と混合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記流体の少なくとも1つの流れを前記スラリーの前記一部分に適用することは、
前記スラリーの前記一部分に圧縮空気の流れを適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記流体の少なくとも1つの流れを前記スラリーの前記一部分に適用することは、
前記スラリーの前記一部分に水の流れを適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの内部管腔は、第1の内部寸法を有する少なくとも第1のセクション、及び前記第1のセクションと流体接続された第2のセクションを有する流体複合管腔であり、前記第2のセクションは、前記第1の内部寸法よりも小さい第2の内部寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの内部管腔の前記第1のセクションから前記少なくとも1つの内部管腔の前記第2のセクションへの移行部において、前記スラリーの前記一部分の少なくとも1つの属性を調節すること、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のセクションは、流体チャンバを介して前記第1のセクションに接続されており、前記方法は、
前記流体チャンバにおいて、前記スラリーの前記一部分の前記少なくとも1つの属性を調節すること、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スラリーの前記一部分の前記少なくとも1つの属性を調節することは、
前記スラリーの前記一部分の粉末に対する流体の比率を増加させること、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
方法であって、
液体粉末混合物を洗浄スラグに配分することと、
前記洗浄スラグが少なくとも1つの管腔の近位端部から遠位端部まで通過するように、前記洗浄スラグを前記少なくとも1つの管腔の前記近位端部に送達することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの管腔の少なくとも近位セクションの流体抵抗に少なくとも基づいて、前記液体粉末混合物を前記洗浄スラグに配分することを更に含む、請求項19に記載に方法。
【請求項21】
前記洗浄スラグを少なくとも1つの管腔の近位端部に送達することは、
前記洗浄スラグを保持チャンバから少なくとも1つの送達チャンバまで移送することと、
前記洗浄スラグが前記少なくとも1つの内部管腔に入るときに、前記少なくとも1つの送達チャンバ内に流体の少なくとも1つの流れを適用して、前記洗浄スラグを第1の速度に加速することと、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記流体の少なくとも1つの流れを前記洗浄スラグに適用して、前記洗浄スラグを円錐台形の内面に沿って回転させることは、
前記洗浄スラグに圧縮空気の少なくとも1つの流れを適用することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記流体の少なくとも1つの流れを前記洗浄スラグに適用して、前記洗浄スラグを円錐台形の内面に沿って回転させることは、
前記洗浄スラグに水の少なくとも1つの流れを適用すること、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの送達チャンバ内に前記流体の少なくとも1つの流れを適用することは、
前記少なくとも1つの送達チャンバ内に流体の第1の流れを適用し、かつ前記送達チャンバ内に流体の第2の流れを適用すること、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記洗浄スラグを少なくとも1つの管腔の近位端部に前記送達することに続いて、いかなる洗浄スラグも伴わずに前記少なくとも1つの内部管腔を通して流体の流れを送達すること、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記液体粉末混合物を形成する、粉末及び液体の事前混合物を取得すること、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
保持チャンバ内で粉末を液体と混合して前記液体粉末混合物を形成することであって、前記保持チャンバは、少なくとも1つの送達チャンバと流体連通している、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記液体粉末混合物は、溶解していない粉末が前記液体粉末混合物の中に懸濁するように、液体に対して過剰な量の粉末を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの管腔は、第1の内部寸法を有する少なくとも第1のセクション、及び前記第1のセクションと流体接続された第2のセクションを有する流体複合管腔であり、前記第2のセクションは、前記第1の内部寸法よりも小さい第2の内部寸法を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの管腔の前記第1のセクションから、前記少なくとも1つの管腔の前記第2のセクションへの移行部において、前記洗浄スラグの少なくとも1つの属性を調節すること、を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のセクションは、流体チャンバを介して前記第1のセクションに接続されており、前記方法は、
前記流体チャンバにおいて、前記洗浄スラグの前記少なくとも1つの属性を調節すること、を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記洗浄スラグの前記少なくとも1つの属性を調節することは、
前記洗浄スラグの粉末に対する流体の比率を増加させること、を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記洗浄スラグは、第1の構成を有する前記第1のセクションに送達され、前記方法は、
前記少なくとも1つの管腔の前記第1のセクションから、前記少なくとも1つの管腔の前記第2のセクションへの移行部において、前記洗浄スラグを第2の構成に変更すること、を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
システムであって、
液体粉末混合物を内部に保持するように構成された保持チャンバと、
装置の少なくとも1つの内部管腔に流体接続された少なくとも1つの送達チャンバと、
配分された量の前記液体粉末混合物を前記少なくとも1つの送達チャンバに提供するように構成されたバルブ又はポンプのうちの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの送達チャンバ内の前記配分された量の前記液体粉末混合物に流体の少なくとも1つの流れを適用して、前記少なくとも1つの内部管腔を通して前記配分された量の前記液体粉末混合物を推進するように構成された送達機構と、を備える、システム。
【請求項35】
前記少なくとも1つの内部管腔の少なくとも近位セクションの流体抵抗に基づいて、前記液体粉末混合物の前記配分された量を決定するように構成された制御サブシステムを更に備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも1つの送達チャンバは、円錐台形の内面を含み、前記送達機構は、前記配分された量の前記液体粉末混合物が前記円錐台形の内面に沿ってスピンするように、前記少なくとも1つの送達チャンバ内に前記流体の少なくとも1つの流れを適用するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記少なくとも1つの送達機構は、前記少なくとも1つの送達チャンバ内に流体の第1の流れを適用し、かつ前記送達チャンバ内に流体の第2の流れを適用するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記保持チャンバは、前記システムから機械的に切り離されるように構成されている消耗品構成要素である、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記保持チャンバは、粉末を保持するように構成されており、前記システムは、前記粉末と混合して前記液体粉末混合物を形成するための前記保持チャンバに流体を送達するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記流体を前記粉末と混合して前記液体粉末混合物を形成するのに使用するためのモータを更に備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記システムは、前記保持チャンバと、前記少なくとも1つの送達チャンバとの間に圧力差を生成して、前記配分された量の前記液体粉末混合物を、前記保持チャンバから前記少なくとも1つの送達チャンバに引き出すように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項42】
前記少なくとも1つの送達チャンバと、前記少なくとも1つの内部管腔との間に流体接続された分配マニホールド、を更に備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項43】
前記送達機構は、前記少なくとも1つの送達チャンバ内の前記配分された量の前記液体粉末混合物に圧縮空気の流れを適用するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項44】
前記送達機構は、前記少なくとも1つの送達チャンバ内の前記配分された量の前記液体粉末混合物に水の流れを適用するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項45】
前記少なくとも1つの内部管腔は、第1の内部寸法を有する少なくとも第1のセクション、及び前記第1のセクションと直列に流体接続された第2のセクションを有する流体複合管腔であり、前記第2のセクションは、前記第1の内部寸法よりも小さい第2の内部寸法を有しており、前記システムは、前記第1の内部寸法から前記第2の内部寸法への、前記少なくとも1つの内部管腔の移行部において、流体を送達するように構成された流体送達コネクタを備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項46】
前記流体送達コネクタは、前記第1の内部寸法から前記第2の内部寸法への、前記少なくとも1つの内部管腔の前記移行部において、前記配分された量の前記液体粉末混合物の少なくとも1つの属性を調節するように前記流体を送達するように構成されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記第2のセクションは、流体チャンバを介して前記第1のセクションに接続されており、前記流体送達コネクタは、前記流体チャンバに流体接続するように構成されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記流体送達コネクタは、前記流体チャンバを第1のチャンバ及び第2のチャンバに分岐するように構成されており、前記流体送達コネクタは、前記流体を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに別個に送達するように構成されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記少なくとも1つの送達チャンバは、前記保持チャンバに各々別個に流体接続された第1の送達チャンバ及び第2の送達チャンバを含む、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された、「Systems and methods for cleaning a medical device having a lumen using abrasive fluidic compositions」と題するオーストラリア特許出願第2021/901729号、及び2021年6月9日に出願された、「Systems and methods for the identification, evaluation, and/or closed-loop cleaning of lumens」と題するオーストラリア特許出願第2021/901734号の優先権を主張する。本出願はまた、参照により、「Systems and Methods for the Identification, Evaluation, and/or Closed-Loop Reprocessing of Lumens」と題する同時出願された特許出願の内容、及び2022年6月3日に出願された「Medical Device Port Connectors」と題する国際特許出願第PCT/AU2022/050547号の内容を組み込む。
【0002】
本発明は、概して、例えば、内視鏡などの医療デバイスの内部管腔を洗浄するための技術に関する。
【0003】
本明細書全体にわたる先行技術に関するいかなる考察も、そのような先行技術が広く知られているか、又は当分野において共通の一般的な知識の一部を形成していることを容認するものとは、決して見なされるべきではない。
【背景技術】
【0004】
診断及び/又は外科手技を実施するために使用することができるいくつかの異なるタイプの医療デバイス(医療器械)がある。例えば、内視鏡は、中空の臓器又は体腔を視覚的に検査するために使用することができる医療デバイスである。特別に設計された内視鏡は、気管支鏡検査、膀胱鏡検査、胃鏡検査、及び直腸鏡検査など、異なる検査に使用される。内視鏡、並びに他の利用可能な診断及び/又は外科手術の医療デバイスは、複数の患者にわたって再利用可能であり、使用の間に洗浄されなければならない1つ以上の内部管腔を含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、医療デバイスの少なくとも1つの内部管腔を洗浄するための方法が提供され、この方法は、
液体を粉末と混合してスラリーを形成することと、
流体の少なくとも1つの流れをスラリーの一部分に適用して、スラリーの一部分を医療デバイスの少なくとも1つの内部管腔を通して推進することと、を含む。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、方法が提供され、この方法は、
液体粉末混合物を洗浄スラグに配分することと、
洗浄スラグが少なくとも1つの管腔の近位端部から遠位端部まで通過するように、洗浄スラグを少なくとも1つの管腔の近位端部に送達することと、を含む。
【0007】
本開示の第3の態様によれば、システムが提供され、このシステムは、
液体粉末混合物を内部に保持するように構成された保持チャンバと、
装置の少なくとも1つの内部管腔に流体接続された少なくとも1つの送達チャンバと、
配分された量の液体粉末混合物を少なくとも1つの送達チャンバに提供するように構成されたバルブ又はポンプのうちの少なくとも1つと、
少なくとも1つの送達チャンバ内の配分された量の液体粉末混合物に流体の少なくとも1つの流れを適用して、少なくとも1つの内部管腔を通して配分された量の液体粉末混合物を推進するように構成された送達機構と、を備える。
【0008】
一態様では、医療デバイスの少なくとも1つの内部管腔を洗浄するための方法が提供される。この方法は、液体を粉末と混合してスラリーを形成することと、流体の少なくとも1つの流れをスラリーの一部分に適用して、スラリーの一部分を医療デバイスの少なくとも1つの内部管腔を通して推進することと、を含む。
【0009】
別の態様では、方法が提供される。この方法は、液体粉末混合物を洗浄スラグに配分することと、洗浄スラグが少なくとも1つの管腔の近位端部から遠位端部まで通過するように、洗浄スラグを少なくとも1つの管腔の近位端部に送達することと、を含む。
【0010】
別の態様では、システムが提供される。このシステムは、液体粉末混合物を内部に保持するように構成された保持チャンバと、装置の少なくとも1つの内部管腔に流体接続された少なくとも1つの送達チャンバと、配分された量の液体粉末混合物を少なくとも1つの送達チャンバに提供するように構成されたバルブ又はポンプのうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの送達チャンバ内の配分された量の液体粉末混合物に流体の少なくとも1つの流れを適用して、少なくとも1つの内部管腔を通して、配分された量の液体粉末混合物を推進するように構成された送達機構と、を含む。
【0011】
文脈が別段明らかに要求しない限り、説明及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は徹底的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるものとする。
【0012】
本発明の実施形態は、以下の添付図面と併せて本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に提示される技術の態様を使用して洗浄することができる内部管腔を有する内視鏡を例示する概略図である。
図2A】本発明の特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための例示的な方法のフロー図である。
図2B】本発明の特定の実施形態による、管腔を洗浄するためのプロセスの第1のステージ/段階を例示する概略図である。
図2C】本発明の特定の実施形態による、管腔を洗浄するためのプロセスの第2のステージ/段階を例示する概略図である。
図3】本発明の特定の実施形態による、少なくとも1つの構成成分で予め充填されたチャンバ内に生成された汚染物質除去流体組成物を使用して、医療デバイスの内部管腔を洗浄するための方法のフロー図である。
図4】本発明の特定の実施形態による、送達機構を使用して、汚染物質除去流体組成物の一部分を、標的管腔を通して推進する場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するためのシステムを示す。
図5】本発明の特定の実施形態による、送達チャンバの形態の送達機構を使用して、汚染物質除去流体組成物の一部分を、標的管腔を通して推進する場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための別のシステムを示す。
図6A】本発明の特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物が消耗品チャンバ内で生成される場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための別のシステムを示す。
図6B】本発明の特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物が消耗品チャンバ内で生成される場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための更に別のシステムを示す。
図7】本発明の特定の実施形態による、医療デバイスの内部管腔を洗浄するのに使用するための汚染物質除去流体組成物を保持するための消耗品チャンバを示す。
図8】本明細書に提示される特定の実施形態による、送達マニホールドを使用して、洗浄される標的管腔に汚染物質除去流体組成物を送達する場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための別のシステムを示す。
図9】本明細書に提示される特定の実施形態による、送達マニホールドを使用して、洗浄される標的管腔に汚染物質除去流体組成物を送達する場合の、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するための更に別のシステムを示す。
図10】本明細書に提示される特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物を使用して洗浄することができる例示的な内視鏡の空気チャネル及び水チャネルを例示する概略図である。
図11】本明細書に提示される特定の実施形態による、流体送達コネクタ、及び流体複合管腔を伴う洗浄スラグの調節を例示する概略図である。
図12】本発明の特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物を使用して流体複合管腔を洗浄するための例示的な方法のフロー図である。
図13】本発明の特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物を使用して流体複合管腔を洗浄するための例示的な別の方法のフロー図である。
図14】本明細書に提示される特定の実施形態による、汚染物質除去流体組成物を使用して医療デバイスの内部管腔を洗浄するのに使用するための例示的な制御サブシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に提示されるのは、「汚染物質除去流体組成物」を使用して、医療デバイス(医療器械)などの装置の内部管腔/内側管腔(例えば、チャネル、シリンダ、バルブソケット、及びコネクタなど)を洗浄するための技術であり、本明細書では単に「流体組成物」と称されることもある。本明細書で使用される場合、本明細書に記載される汚染物質除去流体組成物は、一般に、固体粒子(例えば、粉末)を含む。
【0015】
本明細書に提示される実施形態によれば、1つ以上の配分された量の汚染物質除去流体組成物が、医療デバイスの内部管腔に導入される。汚染物質除去流体組成物の配分された量は、内部管腔デバイスの少なくとも一部分を通るように構成及び推進され、その結果、配分された量は、内部管腔の壁を洗浄する。すなわち、汚染物質除去流体組成物内の粒子は、管腔壁から汚染物質を物理的に除去することができる。
【0016】
単に説明を簡単にするために、本明細書に提示される技術は、主に、特定のタイプの管腔、すなわち、内視鏡のチャネルを洗浄することに言及して説明される。しかしながら、本発明は、内視鏡での使用、又は、より一般的には、医療デバイスでの使用のみに限定されないことが理解されよう。したがって、本明細書に提示される技術を使用して、多数の異なる用途のいずれかで使用される多数の異なるデバイス/器械の管腔を洗浄することができることを理解されたい。
【0017】
内視鏡は、剛性又は可撓性があり得、かつ光学又はビデオシステム、及び光源を組み込む細長い管状の医療デバイスである。典型的には、内視鏡は、一端が、外科的切開部を介して、又は身体の本来の開口部のうちの1つを介して、患者の体内に挿入され得るように構成される。したがって、内視鏡の挿入された端部の近くの内部構造は、外部観察者によって見ることができる。
【0018】
内視鏡は、検査に使用されるだけでなく、診断及び外科手技を実行するためにも使用される。内視鏡による手技は、本質的に低侵襲であり、(治癒時間、及び感染への曝露の短縮を通じて)より良い患者転帰を提供し、病院及び診療所がより高い患者の入れ替え率を達成することが可能になるため、ますます普及している。
【0019】
図1は、本明細書に提示される技術の態様を実装することができる例示的な内視鏡100の概略図である。図に示すように、内視鏡100は、ほとんどの内視鏡と同様に、患者への挿入のための一端に遠位端部/先端102と、反対側の近位端部又はコネクタ端部104とを有する長い管状構造を有し、制御ハンドル106は、2つの端部の間に(例えば、一般に、コネクタ端部104と遠位端部102との間の長さの中心に)配置される。コネクタ端部104は、内視鏡が、例えば、光源108、水源110、吸引源(図1には図示せず)、及び加圧空気源112に取り付けられることを可能にする複数のコネクタを含む。例えば、図1Aに示されるのは、吸引ポート/コネクタ137、ウォータージェット(補助)ポート/コネクタ139、水ポート/コネクタ141、及び空気ポート/コネクタ143である。制御ハンドル106は、この例では、手技中に操作者によって保持されて、吸引バルブ114、空気/水バルブ116、及び生検バルブ118、及び制御ホイール120を含むバルブを介して、内視鏡100を制御する。
【0020】
図1に示すように、内視鏡100は、空気及び/又は水を送達するか、吸引を提供するか、又は手技中に必要とされる鉗子及び他の医療機器へのアクセスを可能にするかのいずれかのために使用される内部チャネルを含む。したがって、遠位先端102は、カメラレンズ(図1には、示されていない)、並びに照明、空気、及び水のための出口、並びに吸引及び鉗子のための出口を含む。内部チャネルのいくつかは、内視鏡100の一端から他端まで通っており、他の内部チャネルは、制御ハンドルにおけるバルブソケットを介して通っている。いくつかのチャネルは、分岐し、一方、他のチャネルは、2つから1つに結合する。
【0021】
より具体的には、図1には、生検/吸引チャネル122、空気チャネル124、水チャネル126、及びウォータージェットチャネル128が示されている。生検/吸引チャネル122は、2つのセクションを含み、それらは、近位セクション122A及び遠位セクション122Bと呼ばれ、吸引バルブ114を介して接続されている。空気チャネル124はまた、2つのセクションを含み、それらは、近位セクション124A及び遠位セクション124Bと呼ばれ、空気/水バルブ116を介して接続されている。同様に、水チャネル126はまた、2つのセクションを含み、それらは、近位セクション126A及び遠位セクション126Bと呼ばれ、空気/水バルブ116を介して接続されている。水チャネルの遠位セクション126Bは、遠位端部102内の位置130において空気チャネルの遠位セクション124Bに接合する。ウォータージェットチャネル128は、(制御ハンドル106を介して)コネクタ端部104から遠位端部102に直接延在するが、同様に、近位セクション128A及び遠位セクション128Bを有するものとして称される。チャネルの近位セクション122A、124A、126A、及び128Aは、内視鏡100のユニバーサルコードセクション(コード)132内に配置されているものとして称されることがあり、一方、チャネルの遠位セクション122B、124B、126B、及び128Bは、内視鏡の挿入チューブ134内に配置されているものとして称されることがある。より一般的には、本明細書で使用されるように、近位セクション122A、124A、126A、及び128Aは、該当する場合、制御ハンドル106及び/又は制御ハンドル106の中間点で、コネクタ端部104とバルブ(例えば、バルブ114又は116)との間に位置するチャネルの一部分である。遠位セクション122B、124B、126B、及び128Bは、制御ハンドル106におけるバルブ(例えば、バルブ114又は116)及び/又は制御ハンドル106の中間点と、内視鏡102の遠位端部102との間に配置されたチャネルの一部分である。
【0022】
内視鏡のコストが高いため、それらは、再利用される必要がある。結果として、1人の患者から次の患者への交差感染を避ける必要があるため、各内視鏡は、使用するたびに徹底的に洗浄し、消毒又は滅菌する必要がある。これは、内視鏡100の外側の洗浄だけでなく、内部チャネル/管腔(例えば、図1の管腔122、124、126、及び128)の洗浄及び消毒も含む。
【0023】
結腸鏡検査手技に使用される内視鏡は、典型的には、長さが2.5~4メートルであり、直径が数ミリメートル以下の1つ以上の管腔チャネルを有する。このような長い狭いチャネルが患者間で適切に洗浄及び消毒されていることを確認することは、かなりの課題を提示する。洗浄の課題はまた、内視鏡の構成/タイプが1つだけではないという事実によっても困難になる。実際、結腸に挿入された結腸鏡、気道に挿入された気管支鏡、胃の調査のための胃鏡など、特定の挿入用途にそれぞれ適した様々な内視鏡デバイスがある。例えば、胃鏡は、大腸内視鏡よりも直径が小さい。気管支鏡は再び小さく、長さが短いが、十二指腸内視鏡は、胆管にアクセスするための異なる先端設計を有する。
【0024】
洗浄及び消毒プロセスの第1の段階である、管腔から生物学的残留物を機械的に除去することのために、様々な選択肢が利用可能である。管腔を洗浄するための圧倒的に最も一般的な手技は、長くて薄くて柔軟な線に取り付けられた小さなブラシを利用することである。ブラッシングは、一部の国において、管腔を洗浄するために義務付けられている手段である。これらのブラシは、内視鏡が温水及び洗浄液に浸されている間に、管腔に供給される。次に、ブラシは、管腔の長さを通して押し込まれ/引っ張られて、どうにかして汚れ/生物汚染をこすり落とす。手動による前後のこすり落としが、典型的には必要とされる。次に、水及び洗浄液が、管腔に押し流される。これらの押し流しブラシプロセスは、3回繰り返されるか、又は内視鏡再処理技術者が、管腔が清潔であると確認されるまで繰り返される。この洗浄プロセスの最後において、空気が管腔を下って圧送されて、それらを乾燥させる。ワイピングブレードを有する柔軟な引き通しデバイスを使用して、材料を物理的に除去することもできる。限られた圧力で管腔を通る液体流動も使用することができる。
【0025】
しかしながら、一般には、より大きな吸引/生検管腔(例えば、図1の122)のみが、ブラッシング又は引き通しによって洗浄することができる。空気/水チャネル(例えば、チャネル124及び126)は、ブラシには小さすぎるため、これらの管腔は、通常、水及び洗浄液のみで押し流される。
【0026】
機械的洗浄後、化学的洗浄が、残りの生物学的汚染物質を除去するために行われる。内視鏡は、高感度でかつ高価な医療器械であるため、生物学的残留物は、高温又は強力な化学物質で処理することはできない。この理由のため、機械的な洗浄は、できるだけ徹底する必要がある。多くの場合、現在の機械的洗浄方法は、特に洗浄が液体の流動だけに依存する場合、管腔からバイオフィルムを完全に除去することができない。従来の洗浄プロセスがどれほど優れているかにかかわらず、小さな微生物による負荷がチャネル内に残ることは、ほとんど避けられない。
【0027】
ブラシで洗浄する方法は、規定されたように実行された場合であっても、内視鏡管腔のバイオフィルムを完全に除去するとは限らないことを示す重要な研究が行われている。有効性に欠けているだけでなく、現在の手動ブラッシング手技には、他の欠点もある。多数の異なる内視鏡メーカ及びモデルは、手動洗浄手技の多くの小さなばらつきをもたらす。これは、混乱を招き、最終的には、洗浄プロセスの順守が不十分になっている。ブラッシングの現在のシステムは、内視鏡を洗浄するために現在使用されている化学物質が再処理スタッフに悪影響を及ぼす可能性があるという点でも危険である。
【0028】
手動ブラッシングの現在のシステムはまた、労働集約的であり、コストの増加につながる。したがって、医療用洗浄装置における管腔の洗浄及び消毒に対する現在のアプローチは、依然として不十分であり、残留微生物は、これらのデバイスに曝露された患者及びスタッフにとって重大な脅威として現在認識されている。例えば、内視鏡の内部構造の不十分な洗浄及び消毒からの患者間の細菌伝播の証拠があり、これは、今度は、患者が致命的な感染症を獲得することにつながっている。2010年~2015年の間に、ほとんどが米国内ではあるが、世界中の41を超える病院が、視鏡に関連する細菌感染を報告し、300~350人の患者に影響を与えた(http://www.modernhealthcare.com/article/20167415/NEWS/167419935)。様々な医療デバイスにおける生物汚染度の低減により、感染率及び死亡率に伴う全体的な低減がもたらされることが期待される。
【0029】
更に、内視鏡が適切に洗浄及び乾燥されない場合、バイオフィルムは、管腔壁に蓄積する可能性がある。バイオフィルムは、自由浮遊微生物自体が表面に付着し、保護多糖層で囲まれたときに形成され始める。次いで、微生物は、他の微生物とともに増殖するか、又は集合体を形成し始め、多糖層の範囲を増加させる。複数の付着部位が、時間内に結合し得、バイオフィルムの重大な堆積物を形成する。細菌又は他の微生物がバイオフィルムに組み込まれると、それらは、自由浮遊状態にあるよりも、化学的及び機械的洗浄に対して有意に耐性を有するようになる。生物自体は、本質的には、より抵抗性はなく、むしろ、多糖フィルムによって抵抗性が付与され、事実として、微生物が、フィルムに深く埋め込まれ、任意の化学的相互作用から隔離され得る。洗浄を試みた後に残った残留バイオフィルムは、どれもすぐに平衡状態に戻り、フィルム内の微生物の更なる増殖が継続する。内視鏡管腔は、特にバイオフィルム形成を生じやすい。それらは、かなりの量の生物汚染に晒されており、その後の長い狭い管腔の洗浄は、アクセスが不可能であり、洗浄プロセスを監視することができないため、非常に困難である。
【0030】
できるだけ迅速に内視鏡を再処理するように、医療施設には、かなりの圧力がある。内視鏡は、手で洗浄されるため、技術者の訓練及び態度は、デバイスの清潔さを決定する上で重要である。器械上の残留バイオフィルムは、患者が内視鏡により獲得される感染症を獲得する結果となり得る。通常、これらの感染症は、感染爆発として発生し、患者に致命的な結果をもたらす可能性がある。
【0031】
先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服若しくは改善するか、又は有用な代替案を提供することが、本明細書に提示される技術の目的である。特に、以下でより詳細に説明されるように、本明細書に提示される技術は、内部管腔(例えば、チャネル、ポート/シリンダなど)を有する内視鏡などの医療デバイスを洗浄するためのシステム及び方法を含む。例えば、特定の実施形態は、医療デバイスのそれぞれの管腔を通って推進される汚染物質除去流体組成物の使用に関する。特定の汚染物質除去組成物及び関連する技術は、管腔と相互作用してそれらを洗浄する物理的接触を介して(その上、安全に)不要な物質を除去することに特に効果的であることが判断されている。したがって、例えば、本明細書に記載の技術を使用して、医療デバイスの管腔内に存在し得るバイオフィルムを除去することができる。
【0032】
したがって、特定の実施形態によれば、医療デバイスの内部管腔を洗浄する方法が提供される。この方法は、液体粉末混合物(汚染物質除去流体組成物)を生成することと、液体粉末混合物を好適な量に配分することと、配分された液体粉末混合物を管腔の少なくとも一部分を通して好適な速度で送達することと、を含む。推進される配分された量の液体粉末混合物(例えば、汚染物質除去流体組成物の一部分)の洗浄有効性/効率は、それが管腔を通過する速度に比例し得るため、「好適な速度」又は「適切な速度」は、管腔の流体特性の制約、及び管腔の機械的制約(例えば、圧力上限)が与えられた比較的高い速度を指すことが理解され得る。
【0033】
液体粉末混合物(例えば、汚染物質除去流体組成物)は、本明細書では「スラリー」と呼ばれることがあり、液体粉末混合物の配分された量は、本明細書では「洗浄スラグ」又は「スラグ」と呼ばれることがある。図2Aは、本開示の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄する典型的な方法240を例示している。本明細書で使用される場合、管腔の「洗浄」への言及は、管腔を形成/画定する内面又は「壁」を含む、管腔の内側/内部の一部分の洗浄を指すことを理解されたい。
【0034】
図2Aの方法240は、液体粉末混合物の生成、混合、又はその他の場合では、取得する242において開始する。244において、液体粉末混合物は、好適な量に配分される。246において、配分された量の液体粉末混合物は、洗浄される管腔の少なくとも一部分を通して送達される(例えば、推進される)。このプロセスは、もちろん、本発明の実施形態による様々な方法のいずれかで実装することができる。
【0035】
例えば、任意の好適な液体粉末混合物が、実装され得る。理解され得るように、混合物の液体成分は、混合物の流動性を促進することができ、一方、粉末の存在は、標的管腔(例えば、チャネル)の壁と相互作用する(例えば、洗浄する)ように作用して、それによって、管腔を洗浄することができる。本明細書に提示される様々な実施形態によれば、液体粉末混合物の粉末成分は、混合物内に、それぞれの液体内のそれぞれの飽和限界よりも大きい量で存在し、これは、混合物と管腔の壁との間の洗浄相互作用を容易にすることができる。特定の実施形態では、液体粉末混合物は、重炭酸ナトリウム粉末及び水の混合物を含み、ここで、重炭酸ナトリウムは、それぞれの飽和レベルを超える量で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、重炭酸ナトリウムは、特定の段階で、混合物の10質量%を超える量で存在し得る。重炭酸ナトリウムと水との混合物は、開示された出願において特に有効であり得ることが判断されている。更に、これらの構成成分は、容易に入手可能である。しかしながら、本明細書の他の箇所に記載されているように、本明細書に提示される技術は、重炭酸ナトリウムと水との混合物の使用に限定されず、したがって、任意の好適な液体粉末混合物を、本発明の実施形態に従って実装することができることが理解されるであろう。
【0036】
本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、混合物中の粉末は、関連する液体のそれぞれの飽和度未満の量で存在する。ただし、液体は、液体中の粉末の完全な溶解の前に、標的管腔に送達される。このようにして、溶解していない粉末は、依然として、洗浄される標的管腔と相互作用することができる。
【0037】
更に、本発明の実施形態によれば、液体粉末混合物は、様々な方法のいずれかで生成/得ることができることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、粉末は、カートリッジ又は他の消耗品チャンバ/容器から得られ、水は、蛇口から得られ、これらの構成成分は、洗浄の時間に近い(例えば、数日又は数週間以内に)保持チャンバ内(又は消耗品チャンバ自体内)で混合される。このアプローチは、重炭酸ナトリウムなどの粉末が比較的安定であり得、長い貯蔵寿命を有することができ、好適な水源が容易に入手可能である限り、有利であり得る。ただし、他の実施形態では、混合物は、既に混合された形態で得てもよい。
【0038】
前述のように、方法240は、液体粉末混合物を好適な量に配分することを含む。図に示されているように、配分された量は、その後、洗浄される管腔を通って送達される。別個の量の混合物を送達することは、別個の量が好適な速度で定期的に送達され得る限り、有利であり得、組成物を定期的に適用することは、標的管腔を目詰まり/閉塞しない間に、管腔の洗浄を容易にするのに役立つことができる。更に、送達量の離散的な性質は、好適な送達速度の維持を容易にすることができ、これはまた、洗浄を助けることができる。例えば、液体粉末混合物が連続的に送達された場合(離散的に配分された量ではない)、このアプローチは、汚染物質除去流体組成物が管腔を通って流れる速度を低下させるように、管腔を「目詰まりさせる」ないし閉塞させるリスクを負う可能性があり、それによって、洗浄効果に大きな影響を与える可能性がある。
【0039】
特に、異なる量の液体粉末混合物は、洗浄される管腔の異なる特性に対して異なるように適し得る。例えば、内視鏡内の空気/水チャネルは、典型的には、最も狭い管腔の中にあり、したがって、比較的少量の液体粉末混合物でより好適に洗浄され得る(一方、より大量の液体粉末混合物を使用すると、そのような狭いチャネルを閉塞させる可能性がある)。対照的に、内視鏡の吸引/生検チャネルは、典型的には、最も広い管腔の中にあり、したがって、比較的多くの量の液体粉末混合物でより好適に洗浄され得る。このように、所与の管腔の洗浄に使用するために配分された液体粉末混合物の量は、洗浄される管腔の幾何学的形状の関数である。もちろん、本発明の実施形態による、配分された液体粉末混合物の量はまた、又は代替的に、標的管腔に関連するものを含む様々なパラメータのいずれかの関数であり得ることを理解されたい。
【0040】
液体粉末混合物の配分された量は、様々な方法のうちのいずれかで決定することができる。例えば、特定の実施形態では、バルブは、リザーバから目標量の液体粉末混合物を引き出すために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、自己調整加圧システムを使用して、リザーバから好適な量の液体粉末混合物を引き出す。
【0041】
上述したように、図2Aの方法240は、配分された量の液体粉末混合物を、洗浄される管腔の少なくとも一部分を通して送達することを更に含む。一般に、キャリア流体(例えば、空気、水など)は、好適な速度で洗浄される管腔の少なくとも一部分を通して、配分された量の液体粉末混合物を送達(例えば、推進)するために使用される。配分された量の液体粉末混合物は、混合物と管腔の壁との間に適切な物理的相互作用を提供するような方法(例えば、好適なサイズ、好適な速度など)で送達され、これは、溶解していない粉末が管腔の壁に物理的に接触又は衝突して、そこから汚染物質(例えば、生物汚染)を除去することになることを意味する。もちろん、配分された量の液体粉末混合物は、本発明の実施形態による、管腔の洗浄を可能にするための任意の好適な方法で管腔を通って送達され得る。
【0042】
特に、方法240は、任意の回数が反復されて、医療デバイスの管腔の洗浄を容易にすることができる。例えば、図2Bは、管腔252を通して1つの洗浄スラグ248(例えば、配分された量の液体粉末混合物)を送達して、管腔の壁から汚染物質を除去することを示しており、スラグ248の一般的な進行方向は、矢印261によって表される。すなわち、図に示されているように、管腔252は、管腔の内面/壁256に配設された1つ以上の汚染物質254(例えば、生物汚染)を有する。更に、洗浄スラグ248が管腔252を介して送達され、管腔の壁と物理的に相互作用し、それによって、そこから汚染物質254を除去することが更に示されている。洗浄スラグ248は、この例では、空気(矢印263で表される)を含むキャリア流体内に含まれると見なすことができる。
【0043】
一般に、洗浄スラグ248などの本明細書に提示される洗浄スラグは、異なる形態/配置を有し得る。例えば、特定の実施形態では、本明細書に提示される洗浄スラグは、本明細書では「単体のスラグ」と呼ばれることがある、比較的単一/単体の質量(例えば、そこを通って移動している間に、潜在的に管腔を実質的に閉塞する)であり得る。しかしながら、他の実施形態では、洗浄スラグは、緩いグループとして管腔を通って移動する(例えば、そこを通って移動している間に、管腔を閉塞しない可能性がある)、本明細書では「クラスタスラグ」と呼ばれることもある、より小さな塊/グループの「凝集」又は「クラスタ」であり得る。図2Bは、スラグ248がクラスタスラグである例を概略的に示している。
【0044】
特定の実施形態では、洗浄スラグは、スラグのライフサイクル中に異なる形態間で遷移することができる。例えば、スラグは、単体のスラグとして配分されてもよい(最初に生成されてもよい)が、その後、クラスタスラグに遷移してもよい。この遷移は、管腔に入る前(例えば、送達チャンバ内に)、かつ/又は管腔を通って移動している間に生じ得る。
【0045】
上述したように、図2Bは、概して、管腔252を通る洗浄スラグ248の送達を例示している。特定の例では、図2Bは、洗浄プロセスの第1のステージ/段階を表し、一方、図2Cは、洗浄プロセスの第2のステージ/段階を表す。より具体的には、(図2Bのように)洗浄スラグ248が管腔252を通って送達された後、流体の流れは、いかなるスラグもなく管腔252を通って送達される。図2Cの例では、流体の流れは、水265で構成されており、一般的な移動方向は、再び矢印261で表されている。特定の例において、流体の流れ(例えば、水265)は、管腔から残留物247を除去するように構成される。残留物247は、例えば、汚染物質254の一部分の残りの部分、及び/又はスラグ248の一部分を含み得、これらは、スラグの通過後に管腔252の壁に残り得る(例えば、スラグは、異なるクラスタに分解し得、そのうちの一部分は、管腔252の壁に残る)。存在する場合、管腔252の壁上に残り得るスラグ248の一部分は、これらの一部分が流体の流れによって管腔252を通って押し流されるときに、洗浄プロセスを助けることができる。
【0046】
図2B及び図2Cは、一般的に、第2の段階(流体の流れ)が洗浄スラグの送達の間に散在する配置を例示している。すなわち、図2B及び図2Cの実施形態では、各洗浄スラグの送達に続いて流体のみの流れが続く。特定の代替的な実施形態では、複数のスラグは、分離することなく(例えば、流体のみの流れなしで)、同時に又は順次のいずれかで管腔を通って送達され得る。
【0047】
図2Bは、1つの洗浄スラグ248の送達を例示しているが、異なる実施形態では、任意の数の洗浄スラグが、管腔を通って送達され得ることを理解されたい。一般に、単一の大きな流れとは対照的に、一連の離散的な/別々の洗浄スラグ248の使用は、別々の洗浄スラグが、スラグを有する粒子が管腔壁と有利に相互作用して、管腔壁から汚染物質を除去することを可能にする速度で管腔を通過するのに十分な運動エネルギーを維持することを可能にすることができる。
【0048】
上述したように、図2A図2B、及び図2Cを参照して上述したような管腔洗浄プロセスは、多数の異なる管腔を有する多数の異なる方法で実装することができる。文脈上、1つの特定の例示的な実装は、図1Aの内視鏡100の少なくとも一部分を洗浄することを参照して説明される。
【0049】
より具体的には、1つの例示的な洗浄プロセス/サイクルでは、1つ(1)の洗浄スラグは、ウォータージェットコネクタ138を介してウォータージェットチャネル128に発射/射出され、次いで、9つ(9)の洗浄スラグは、吸引コネクタ137を介して生検/吸引チャネル122に発射され、次いで、1つ(1)の洗浄スラグは、ウォータージェットコネクタ138を介してウォータージェットチャネル128に発射され、次いで、3つ(3)の洗浄スラグは、生検バルブ128を介して生検/吸引チャネル122の遠位セクション122Bに発射され、次いで、1つ(1)の洗浄スラグは、ウォータージェットコネクタ138を介してウォータージェットチャネル128に発射され、次いで、9つ(9)の洗浄スラグは、吸引コネクタ137を介して生検/吸引チャネル122に発射される。洗浄サイクルは、空気コネクタ143を介して6つ(6)の洗浄スラグを空気チャネル124内に発射/射撃することと、水コネクタ141を介して(例えば、並行して)6つ(6)の洗浄スラグを水チャネル126内に発射することと、を更に含むことができる。各標的管腔内の洗浄スラグの発射は、図2Cを参照して上述したように、流体の流れの後に続くことができる。洗浄スラグ、及び流体の流れは、1つ、又は可能な複数のコネクタ(例えば、空気パイプのための1つのコネクタ、及び空気/水ボトル用の1つのコネクタ)を介して送達することができる。
【0050】
特定の例では、約180~200グラムのスラリーを使用して、典型的な可撓性GI内視鏡を洗浄することができる。例えば、約80~100グラムを使用して、比較的大きなチャネル(例えば、吸引/生検チャネル122)を合計21ショットで、かつ各ショット間に約15秒の遅延を伴って、洗浄することができる。比較的小さいチャネル(例えば、空気/水チャネル)の場合、プロセスは、合計12ショットで、かつ各ショット間に約30秒の遅延を伴って、約60~80グラムを使用することができる。他の小さいチャネル(例えば、ウォータージェットチャネル128)の場合、プロセスは、合計3ショットで、かつ各ショット間に約30秒の遅延を伴って、約10~20グラムを使用することができる。繰り返しになるが、図2Cを参照して上述したように、これらのチャネルのそれぞれはまた、後続の流体の流れ(例えば、各洗浄スラグの後)を受け取ることができる。
【0051】
上述したように、洗浄スラグは、標的管腔の壁から汚染物質を除去するのに適した/十分な速度で標的管腔に送達される。洗浄スラグの速度は、例えば、標的管腔の属性、スラグを形成するために使用される汚染物質除去流体組成物(スラリー)の属性などに基づいて変化し得る。例示的な一例では、比較的大きな管腔のスラグ速度は、約1000mm/秒であってもよい。
【0052】
更に、洗浄スラグは、特定の圧力及び流体流量(空気)範囲内で送達することができる。特定の例では、洗浄スラグは、最大約26psi(空気、これは、以下に説明されるように、PPRによって調整されることに注意されたい)、最大約24psi(水)などの圧力で送達され得る。例示的な空気流量の測定基準は、約50SLPM(大チャネル無負荷)、約11~17SLPM(投与中の大チャネル)、約7~10SLPM(全負荷中の大チャネル)、約5~7SLPM(小チャネル無負荷)、及び約0.1SLPM(全負荷中の小チャネル)を含むことができる。これらの範囲及び値は単に例示的なものであり、本明細書に提示される技術の態様は、決してこれらの特定の範囲及び値に限定されないことを理解されたい。
【0053】
図3は、本発明の実施形態による、標的管腔を洗浄するための別の方法358を例示している。図に示されているように、方法358は、粉末を含む保持チャンバを提供する360において開始する。これは、様々な方法のいずれかで達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、洗浄を実行するための専用システムは、例えば、カートリッジを介して粉末を受け入れるように構成された「耐久性のある」チャンバを含み、それによって、その提供は、達成され得る。そのようなチャンバは、システムの寿命の間作動可能であることが意図されている限り、「耐久性」があると見なされ得る。特定の実施形態では、洗浄を実行するための専用システムは、本質的に粉末を含む使い捨て/消耗品チャンバを受容するように構成され、このように、それによって、その提供は、達成され得る。そのような使い捨て/消耗品チャンバには、複数の洗浄サイクルを可能にし、その後、それらが「消費」(枯渇)されるのに十分な粉末が提供され得る。その後、ユーザは、元々粉末を含む追加の使い捨て/消耗品チャンバを得ることができる。
【0054】
方法358は、362において、流体液体粉末混合物を生成するために、保持チャンバに液体を加えることを更に含む。特定の実施形態では、液体は、保持チャンバのみを整備することに専念する液体源からやって来ることができる。更なる実施形態では、液体源は、保持チャンバに液体を提供するためと、キャリア流体として機能する液体を提供するためと、の両方に使用される。このような構成は、より効率的な設計を可能にすることができる。
【0055】
方法358は、364において、液体粉末混合物の一部分を送達チャンバに提供することを更に含む。前述したように、これは、様々な方法のいずれかで達成することができる。例えば、バルブを使用して、液体粉末混合物の一部分を送達チャンバに提供することができる。特定の実施形態では、送達チャンバに提供される液体粉末混合物の一部分のサイズは、洗浄される標的管腔の特性の関数である。この態様は、以下に更に説明される。
【0056】
方法358は、366において、流体液体粉末混合物の一部分を、キャリア流体を使用して標的管腔に送達することを更に含む。実際には、流体液体粉末混合物は、管腔と相互作用するように行うことができる(それを「ブラッシングする」ことに類似している)。図示されているように、送達チャンバへの流体液体粉末混合物のこの提供及び後続の送達は、複数回反復されて、管腔の洗浄を実現することができる。
【0057】
本明細書に提示される実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステムは、多数の異なる形態/配置のいずれかを取ることができることを理解されたい。ただし、概して、システムは、粉末及び/又は液体粉末混合物を生成/収容するための保持チャンバと、液体粉末混合物の一部分を標的管腔に送達するための機構とを含む。図4図5、及び図6は、本明細書に提示される実施形態によって実装され得る例示的なシステムの様々な態様を図示している。
【0058】
最初に図4を参照すると、本明細書に提示される実施形態による、液体粉末混合物を使用して医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステム470が示されている。より具体的には、システム470は、液体粉末混合物474を生成/収容するための保持チャンバ472を含む。例示された実施形態では、保持チャンバ472は、液体粉末混合物を形成するために使用される粉末を備えている。例えば、保持チャンバ472は、システム470の消耗品構成要素であってもよく、その内容物が使用されてしまったときに交換することができる。保持チャンバ472は、液体源478から液体を受け入れるための注入口バルブ476とインターフェース接続する。リリーフバルブ480は、混合物の生成中に生成された圧力を解放するために使用され得る。理解され得るように、液体粉末混合物474は、任意の好適な構成成分を使用して生成することができる。例えば、特定の実施形態では、保持チャンバ472に提供される粉末は、重炭酸ナトリウムであり、液体源478は、水源である。もちろん、保持チャンバ472は、本発明の実施形態による様々な方法のいずれかで液体及び粉末を受容することができることを理解することができる。例えば、いくつかの実施形態では、チャンバは、粉末リザーバ、例えば、重炭酸ナトリウムカートリッジから粉末を受容するように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、液体をそのように提供するためのバルブを直接使用する代わりに、チャンバに液体を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、保持チャンバ472は、受容された粉末及び液体の混合を容易にするための機構(図示せず)を含むことができる。例えば、かき混ぜ機構又は攪拌機構を実装して、混合を容易にすることができる。
【0059】
システム470は、液体粉末混合物の一部分を標的管腔に送達するための送達機構482を更に含む。例示された実施形態では、送達機構は、キャリア流体源484、第1のバルブ486、及び第2のバルブ488の集合体の形態である。理解され得るように、キャリア流体484は、バルブ486を介して標的管腔を通って流れるように作製され得、液体粉末混合物の一部分は、この流れの内部に含まれ得る。任意の好適なキャリア流体が実装されてもよいことに留意されたい。例えば、キャリア流体源は、空気、水、エタノール、窒素、及び二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例示された実施形態では、バルブ420は、キャリア流体内に含まれている液体粉末混合物の量を実装するように構成される。例えば、バルブ482は、保持チャンバ472に対して開放されてもよく、保持チャンバ472は、液体源478及びバルブ476を介して加圧されてもよく、それによって、液体粉末混合物の一部分が送達機構482に送達される結果となる。もちろん、キャリア流体内に含まれる量を実装するための任意の好適な機構が、本発明の実施形態に従って適用され得ることを理解されたい。
【0060】
管腔を有する医療デバイスを洗浄するための1つのシステムアーキテクチャを例示してきたが、本発明の実施形態に従って、説明された概念が様々な方法のいずれかで実装することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、キャリア流体源は、液体粉末混合物を生成するために追加的に使用され、したがって、別個の液体源(例えば、478)は、必要でない場合がある。いくつかの実施形態では、選択可能な複数のキャリア流体源が実装され得る。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、空気源及び水源は、それぞれ、液体粉末混合物を管腔に送達するためのキャリア流体を供給することができ、水源を更に使用して、液体粉末混合物の生成を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、チャンバは、液体粉末混合物の一部分を送達機構に送達することを容易にするための別個の圧力源を含むことができ、その結果、液体源は、当該送達を容易にする必要がない。
【0061】
特定の実施形態では、洗浄される管腔を通る混合物の推進を容易にするために、別個のチャンバが実装される。例えば、図5は、液体粉末混合物574の生成/収容のための保持チャンバ572と、管腔を通る後続の送達のための液体粉末混合物の速度を展開するための送達チャンバ583と、を含むシステム570を例示している。例示された実施形態では、粉末源581は、バルブ580を介して保持チャンバ572に結合され、液体源578は、バルブ576を介して保持チャンバ572に結合されている。粉末源581は、例えば、カートリッジであってもよく、液体源578は、例えば、圧力調整された水道水であってもよい。
【0062】
上述のように、システム570はまた、洗浄される標的管腔に液体粉末チャンバの一部分を送達するための送達チャンバ583も備える。
【0063】
図に示されているように、送達チャンバ583は、それぞれのバルブ586A及び586Bを介して2つのキャリア流体源584A及び584Bの各々に結合されている。例えば、空気及び水は、例示されたシステムのキャリア流体として機能し得る。キャリア流体に含まれる液体粉末混合物の量は、バルブ588によって制御することができる。
【0064】
一般に、送達チャンバ583などの本明細書に提示される送達チャンバの1つの例示的な目的は、スラグ源(保持チャンバ572)と、洗浄される標的管腔との間に空気間隙を生成することである。空気間隙の生成は、洗浄スラグが加速されて、好適な(例えば、選択された)速度で標的管腔に入ることができる場所(例えば、送達チャンバ583)を提供する。すなわち、送達チャンバ583は、システム570が1つ以上の流体(例えば、空気及び/又は水)を使用して洗浄スラグを加速する領域を提供する。送達チャンバ583がなければ、洗浄スラグは、洗浄スラグが保持チャンバ571を出るのと同じ速度で標的管腔に入ることになり、これは、標的管腔を効果的に洗浄するには遅すぎる可能性が高い(例えば、送達チャンバ583は、システム570が、所望の速度で全管腔を通してスラグを推進するのに十分な運動エネルギーを提供することを可能にする)。
【0065】
図5に示されているように、送達チャンバ582は、いくつかの点で有益であり得る円錐台形を画定する。例えば、そのような幾何学的形状は、「スラリー」の流れを補助し、例えば、それを標的管腔に向けることができる。更に、円錐台形は、送達チャンバ582内でキャリア流体の「渦」を発生させる可能性がある。
【0066】
特定の構成が例示されているが、本発明の実施形態に従って、別個の送達チャンバを実装するシステムは、様々な方法のいずれかで実装することができることを理解することができる。例えば、いくつかの実施形態では、送達チャンバは、単一のキャリア流体源のみに結合される。
【0067】
図5に例示された実施形態は、粉末が、例えば、カートリッジを介してチャンバに提供することができるアーキテクチャを示しているが、いくつかの実施形態では、前述のように、チャンバは、消耗品構成要素であってもよい。したがって、図6Aは、消耗品構成要素及び送達チャンバを用いて医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステム670Aを例示している。
【0068】
特に、システム670Aは、粉末を備えている消耗品構成要素の形態での保持チャンバ672を含む。液体粉末混合物674は、キャリア流体源684Aからの液体を使用して、保持チャンバ672内に生成/収容することができる。システム670Aは、ガス状のキャリア流体を収容することができるキャリア流体源684Bを更に含む。図5のシステム570と同様に、システム670Aは、洗浄のために液体粉末混合物を管腔に送達するように動作可能な送達チャンバ683を更に含む。特定の実施形態では、ポンプ690はまた、保持チャンバ672と送達チャンバ683との間にも設けられる。
【0069】
図6Aに示されているように、消耗品構成要素の形態におけるチャンバの使用は、設計を簡素化し、ユーザ操作性を向上させる限り、有利であり得る。例えば、そのような構成の使用は、別個の粉末処理機構の必要性を排除することができる。図示された実施形態は、その後に水和される粉末を収容するチャンバを示しているが、いくつかの実施形態では、チャンバは、事前に作られた液体粉末混合物を備えている。例えば、対応する液体中に不溶性である粉末を収容するチャンバが実装されてもよい。それぞれの液体中の粉末の不溶性は、チャンバが好適な貯蔵寿命を有することを可能にし得、したがって、商業的に実行可能であり得る。
【0070】
図6Bは、消耗品構成要素及び送達チャンバを用いて医療デバイスの管腔を洗浄するための別のシステム670Bを例示している。システム670Bは、図6Aのシステム670Aと同様であり、また、粉末が提供される、消耗品構成要素の形態での保持チャンバ672も含み、そこでは、液体粉末混合物674が、キャリア流体源684Aからの液体を使用して、保持チャンバ672内に生成/収容され得る。システム670Bは、ガス状キャリア流体を収容し得るキャリア流体源684Bを更に含む。
【0071】
しかしながら、図6Aのシステム670Aとは異なり、システム670Bは、それぞれが、洗浄のために液体粉末混合物を標的管腔に送達するように動作可能な2つの送達チャンバ683を含む。また、図6Bには、保持チャンバ672と、対応する送達チャンバ683との間に設けられた2つのポンプ690が示されている。特定の例では、システム670Bは、同時に(例えば、同時に、連続してなど)、2つの管腔を洗浄するために使用することができる。
【0072】
特定の実施形態では、本明細書に提示されるシステムは、洗浄される医療デバイスの複数のポート/チャネル/管腔に結合することができる少なくとも1つの分配マニホールドを更に含む。いくつかの実施形態では、単一の送達チャンバは、医療デバイスの単一のポートに結合されている。複数の送達チャンバの各々は、単一の医療デバイスの別個のポートに同時に結合され得る。同様に、いくつかの実施形態では、システムは、保持チャンバ及び複数の送達チャンバを含むことができ、保持チャンバは、複数の送達チャンバの各々に洗浄スラグを提供することができる。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、管腔を有する医療デバイス(例えば、本明細書の他の場所に記載されているもの)を洗浄するためのシステムで使用するための洗浄に使用される構成成分を収容する消耗品チャンバが実装される。この文脈では、「消耗品チャンバ」は、それらが相互作用するシステムの恒久的な備品であることが意図されていないものであると理解することができる。例えば、そのような消耗品チャンバを取得し、それぞれの洗浄システムとインターフェース接続を行うようにすることができ、その中のその構成成分が洗浄システムによって使い果たされると、それらは廃棄されるか、さもなければ再処理のためにセンターに送られ得る。その後、ユーザは、更なる洗浄が必要とされる別の消耗品チャンバを得ることができる。このような「消耗品チャンバ」の使用は、開示された洗浄システムの効率及び操作性を大幅に向上させることができる。
【0074】
したがって、図7は、本発明の実施形態による、医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステムで使用するための少なくとも1つの構成成分を収容する消耗品保持チャンバ772を例示している。特に、消耗品保持チャンバ772は、洗浄システム(例えば、上記のもののいずれかなど)で使用するための少なくとも1つの構成成分771を含むことが例示されている。例えば、特定の実施形態では、消耗品保持チャンバ772は、重炭酸ナトリウムを備え、消耗品チャンバとインターフェース接続する洗浄システムは、その後、保持チャンバ772に水を提供して、洗浄に使用することができる重炭酸ナトリウム水混合物を生成することができる。いくつかの実施形態では、消耗品保持チャンバ772は、元々、液体粉末混合物を含む(例えば、それぞれの洗浄システムとインターフェース接続する前に)。例えば、特定の液体粉末混合物の組み合わせは、(例えば、重炭酸ナトリウムと水との混合物と比較して)より耐久性のある貯蔵寿命を有し得、したがって、消耗品チャンバがそのような液体水混合物を含むことは、より商業的に実行可能であり得る。消耗品保持チャンバ772が、洗浄システムと係合するための2つのインターフェース787、789を含むことが更に例示されている。例えば、インターフェース787は、洗浄システムがバルブを介して保持チャンバ772に液体を提供して、洗浄に使用される液体粉末混合物を生成することを可能にすることができる。インターフェース787は、追加的/代替的に、洗浄システムが、標的管腔へのその後の送達のためにチャンバから液体粉末混合物の一部分を引き出すことを可能にすることができる。図示された消耗品チャンバは、洗浄システムと係合するためのインターフェース789を更に含む。特に、789は、消耗品チャンバがリリーフバルブとインターフェース接続することを可能にし、これは、消耗品チャンバとの間の流体の流れを誘導するのに役立つことができることが示されている。
【0075】
消耗品チャンバのための特定の構成が例示されているが、本発明の実施形態は、本発明の実施形態に従って、様々な方法のいずれかで実装され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、液体粉末混合物のクレアチンのための専用の液体源と係合するための第3のインターフェースが含まれる。いくつかの実施形態では、それぞれのバルブは、消耗品チャンバと一体化されてもよい。一般に、開示された概念は、本発明の実施形態による様々な方法のいずれかで実装することができる。
【0076】
特定の実施形態では、医療デバイスの管腔を洗浄する方法は、洗浄される標的管腔の流体抵抗/インピーダンス(及び/又はコンダクタンス)を決定することと、決定された流体抵抗を使用して洗浄方法を通知することと、を含む。例えば、異なる管腔は、幾何学的形状などの異なる特性を有し得、洗浄の有効性/効率を高めることは、これらの特定の特性の関数であり得る。流体抵抗は、これらの特性の好適な指標であり得る。一般に、流体抵抗は、管腔が流れをどの程度制限するかに関連することが理解され得る。
【0077】
例えば、医療デバイスの標的管腔の流体抵抗を決定することは、既知の比重を含む流体を医療デバイスの標的管腔を通して流すことと、医療デバイスの標的管腔を通って流れている流体の流量及び/又は圧力差を測定することと、を含むことができる。次に、これらのパラメータを使用して、標的管腔の流体抵抗を計算することができる。このような方法は、単なる例示的なものであり、代替的に、他の技術を使用して、標的管腔の流体抵抗を決定する(例えば、標的管腔の既知の寸法から直接流体抵抗を決定する)ことができる。
【0078】
上述したように、標的管腔の流体抵抗を使用して、液体粉末混合物の配分、及び/又は配分された量の送達を制御することができる。例えば、1つの構成では、内視鏡の吸引/生検チャネルは、洗浄されるべき標的管腔である。吸引/生検チャネルは、比較的大きな管腔であり、チャネルの寸法を使用して、配分された量の比較的大きなサイズを確立することができる。逆に、内視鏡の空気水チャネルは、比較的小さい内部管腔であり、これらのチャネルの寸法を使用して、配分された量の比較的小さいサイズを確立することができる。
【0079】
特定の例では、標的管腔の流体抵抗を(例えば、定期的に、継続的になど)使用して、洗浄パラメータを(例えば、リアルタイムで)適宜更新して、洗浄の有効性を向上させることができる。例えば、配分された量の送達の頻度は、決定された流体抵抗によって知らせることができる。標的管腔の流体抵抗を決定する技術に関する更なる詳細は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月9日に出願された「Systems and Methods for the Identification、Evaluation、and/or Closed-Loop Cleaning of lumens」と題するオーストラリア特許出願第2021/901734号、及び、その内容も参照により本明細書に組み込まれる、同時に出願された「Systems and Methods for the Identification,Evaluation,and/or Closed-Loop Reprocessing of Lumens」と題する特許出願に見出すことができる。
【0080】
上述の概念は、本発明の実施形態による様々な方法のうちのいずれかで適用され得ることを理解されたい。しかしながら、図8は、本発明の実施形態による、上述の概念の特定の要素を組み込むことができる管腔を洗浄するための1つの例示的なシステム870を示している。説明を容易にするために、システム870は、概して、図1の内視鏡100を参照して説明される。
【0081】
より具体的には、システム870は、制御サブシステム817、保持サブシステム895、及び送達サブシステム897を含む。保持サブシステム895は、他の要素の中でも、粉末及び液体を混合して液体粉末混合物874を形成するための保持チャンバ872を含む。送達サブシステム897は、他の要素の中でも、内視鏡100のチャネル122、124、126、又は128などのチャネルの少なくとも一部分を通して洗浄スラグを推進するための流体の流れを生成するための送達チャンバ883を備える。図8の例示された実施形態では、送達チャンバ883は、1つ以上の側面からの流体の流れの入口が、流体が円錐台の狭い端部に近づくにつれて速度が増加する流体の流れを生成するように、円錐台状の形状を有するものとして特徴付けることができる内部容積を含む。ただし、円錐台形の使用は、潜在的に有利であるが、単なる例示であること、及び、送達チャンバは、本発明の実施形態による任意の好適な幾何学的形状を有することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、送達チャンバは、円筒形のフォームファクタを有することができる。いくつかの実施形態では、送達チャンバは、半球形状を有するものとして特徴付けることができる。
【0082】
図8の例に戻ると、スラリー導管889は、保持チャンバ872を送達チャンバ883に流体接続し、スラリーバルブ892は、好ましくは、スラリー導管内に設けられる。もちろん、液体粉末スラリーを開発し、洗浄スラグに配分し、好適な速度で医療デバイスの管腔に送達することを可能にする任意の好適な構成が、本発明の実施形態に従って実装することができることを理解されたい。
【0083】
図8の例示された実施形態では、送達チャンバ883は、順番に、内視鏡100のチャネル(例えば、122、124、126、又は128)のうちの少なくとも1つに流体接続可能である。例示された実施形態では、分配マニホールド894は、送達チャンバと内視鏡チャネルとの間に設けられ、その結果、チャネル、又はチャネルの一部分は、洗浄のために選択されることができる。いくつかの実施形態では、送達チャンバは、医療デバイスの単一のポートに関連付けることができる。他の実施形態では、1つの保持チャンバは、いくつかの送達チャンバの各々にスラリーを提供し、いくつかの送達チャンバの各々は、医療デバイスの単一のポートに関連付けられる。もちろん、液体粉末スラリーの洗浄スラグが医療デバイスの管腔を通って好適な速度で送達されることを可能にする任意の好適な構成は、本発明の実施形態に従って実装され得ることを理解されたい。
【0084】
図8の例示された実施形態では、粉末は、粉末カートリッジ896から粉末導管898を介して保持チャンバに提供される。必要に応じて、粉末バルブ899は、保持チャンバ872の入口の上流の粉末導管898に位置付けられて、保持チャンバを粉末カートリッジから密封する。保持チャンバ872はまた、液体充填中に捕捉された任意の空気の排出を可能にするためのリリーフバルブ880も含む。
【0085】
もちろん、上記の説明から理解され得ることは、粉末は、本発明の実施形態に従って、スラリーを形成するための任意の好適な方法で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、粉末カートリッジは省略されてもよく、洗浄プロセスに必要な粉末は、使用可能な保持チャンバに単純に配置される。更なる図示されていない実施形態では、1つの完全な洗浄サイクルのための粉末は、貫通可能な粉末ポッド内の保持チャンバ内に配置される。
【0086】
例示された実施形態では、送達チャンバ883は、一次液体供給源884Aからの液体、及びガス供給源885Aからのガスの入口をそれぞれ可能にするための一次液体ポート801及び一次ガスポート803を含む。同様に、保持チャンバ872は、液体供給源844B及びガス供給源885Bからそれぞれ供給される二次液体ポート805及び二次ガスポート807を含む。例示された実施形態では、振動モータ809が提供され、必要に応じて、スラリーの排出を促進するため、又は混合プロセスを支援するために、保持チャンバ872の出口に近接して配置されている。
【0087】
上記に加えて、図8のシステム870は、スラリー生成及び洗浄プロセスの動作を監視するために、以下でより具体的に説明されるように、光センサ811及び圧力センサ813を含む。例えば、圧力センサ813は、内視鏡100がシステムに接続されているかどうかを検出し、システム内に閉塞があるかどうかを感知するように協働することができる。それらの状況では、故障状態は、制御サブシステム817(例えば、本発明の提案された実施形態の方法による、様々な制御バルブ、モータ、及び/又は他の圧送システムの動作のプログラム可能な制御のためのコンピュータ制御(図示せず))によって生成されることになる。システム870又は別個のコンピューティングデバイスと統合することができる制御サブシステム817は、システム870が、様々な規制当局に準拠するのに十分な程度まで、かつデバイスのダウンタイムを短縮するための強化された時間内に、市場で入手可能な様々な内視鏡又は他の医療デバイスを洗浄するようにプログラムされることを可能にすることができる。ユーザは、ただ単に、システムを内視鏡に接続し、必要な洗浄プログラムを呼び出すだけである。もちろん、理解することができるように、任意の好適なセンサ及び制御サブシステムを実装して、本発明の実施形態による洗浄システムの動作に影響を与えることができる。
【0088】
ここで、具体的に図8のシステム870の動作に目を向けると、図8の例示された実施形態による第1のステップは、内視鏡100の1つ以上の標的チャネルが水、並びに又はガス及び水の組み合わせで押し流されることであり得る。これは、例えば、最初にスラリーバルブ892を閉じることによって達成され得る。次いで、圧縮空気などのガスの流れ、及び水は、一次液体ポート801及びガスポート803から送達チャンバ883に供給される。次いで、空気及び水の混合物は、分配マニホールド894を介して内部チャネルのそれぞれに入り、内視鏡の出口点を通って出ていく。チャネルは、押し流しサイクルのいくつかの段階で順次押し流され得、かつ/又はチャネルは、押し流しサイクルのいくつかの段階で同時に押し流され得ることが理解され得る。他の実施形態では、押し流しのステップは省略され、プロセスは、以下の第1の実質的な洗浄ステップから始まる。
【0089】
前述のように、洗浄プロセスのステップは、スラリー混合物の取得(例えば、形成)である。図8の例では、スラリー混合物は、粉末カートリッジ896から一定量の粉末、並びに適切な量の液体を保持チャンバ872に供給し、それによってスラリー混合物874を生成することによって形成される。液体は、スラリーバルブを開いた後に保持チャンバ872まで供給する送達チャンバ883内の一次液体ポート801から保持チャンバ872内に、又は二次液体ポート805から直接供給され得る。動作中、粉末は、液体と混合されて、スラリー874を生成する。スラリー混合物874は、液体を保持チャンバに導入すると自然に形成することができ、あるいは、振動モータ809を作動させて、スラリーが所望のレベルに混合されることを確実にすることができる。全ての粉末が液体中に溶解することは提案されていないことに留意されたい。この目的のために、非溶解粉末は、洗浄機能を支援する。
【0090】
図8は、粉末が重炭酸ナトリウムであり、液体が水である実施形態を参照して説明される。ただし、他の粉末を使用して、本発明の範囲から逸脱することなく、スラリーを生成することができる。同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、水以外の他の液体を使用することができる。
【0091】
スラリー(液体粉末混合物)874は、様々な方法で生成することができることを理解されたい。例えば、1つの方法では、分配マニホールド894の出力における全ての制御バルブ815は、最初に閉じられ、ガスは、チャンバのいずれにも提供されていない。次いで、リリーフバルブ880、スラリーバルブ892、及び一次液体ポート801が開かれ、水が送達チャンバ883を充填することを可能にする。送達チャンバが満たされると、水は、スラリー導管889を介して保持チャンバ872に入り、底部から粉末を水和する。このようにして、均一なスラリーが、振動モータ809を使用することを必要とすることなく、形成される。送達チャンバ883の充填中のある時点で、二次液体ポート805は、必要に応じて、保持チャンバ872をより速く充填するために開いてもよい。保持チャンバが水で適切に充填されると、例えば、リリーフバルブの光センサ811によって判定されるように、一次液体ポート及び二次液体ポートは閉じる。
【0092】
システム870の動作はまた、スラリー874を配分し、洗浄スラグを形成することを含む。1つの特定の例では、制御サブシステム817(例えば、コンピューティングデバイス)は、スラリーバルブ892を閉じ、制御バルブ815のうちの少なくとも1つを開く。次いで、制御サブシステム817は、保持チャンバ872と送達チャンバ883との間に正の圧力差を生成し、次いでスラリーバルブ892を開くように、システム870に命令する。生成された正の圧力差は、保持チャンバ872内に既に生成されたスラリーの流れを送達チャンバ883内に押し込む。次いで、スラリーバルブ892は、保持チャンバ872から送達チャンバ883へのスラリーの流れを閉じ、停止し、したがって、スラリーの洗浄スラグが画定される。
【0093】
保持チャンバ872と送達チャンバ883との間の圧力差を生成することは、様々な方法で行うことができることが理解され得る。例えば、正の圧力差は、ポンプ、圧力調整器、比例圧力調整器(PPR)、又は電気圧力調整器(EPR)を使用して、ガス又は液体の圧力を制御することによって達成することができる。例えば、1つの具体的かつ例示的な構成では、ガス圧力は、2つの比例圧力調整器、すなわち、一次PPR819及び二次PPR821を使用して制御することができる。一次PPR819は、一次ガス供給源885Aと一次ガスポート803との間に位置付けられ、送達チャンバ883内のガス圧力を制御する。二次PPR821は、二次ガス供給885Bと二次ガスポート807との間に位置付けられ、保持チャンバ872のガス圧力を制御する。PPR819及び821は、自動制御によって制御されて、保持チャンバと送達チャンバとの間に選択可能な正の圧力差を生成する。
【0094】
上述のように、システム870は、洗浄される内視鏡100のチャネルの少なくとも一部分を通して洗浄スラグ(配分された量の液体粉末混合物)を送達する。内視鏡チャネルへの洗浄スラグの送達は、様々な方法で引き起こすことができる。例えば、配分された液体粉末混合物が送達チャンバ883に移送される前に、一次ガス供給源884Bからのキャリア流体は、一次PPR819を使用して、調整された圧力で送達チャンバ883に供給される。キャリアガスは、配分された液体粉末混合物を、分配マニホールド894を通して内視鏡100の選択された内部チャネルに推進する流体の流れを送達チャンバ883内に生成することができ、その分配マニホールドは、この時点で開かれる制御バルブ815のうちの1つ(例えば、洗浄スラグが適切な速度に加速されている)を既に選択している。送達チャンバ883の底部に到達すると、洗浄スラグは、送達チャンバを出て、分配マニホールド894に入り、次に、適切な速度で内視鏡100の選択された内部チャネルに入る。本プロセスは、1つの制御バルブ815を閉じて別の制御バルブ815を開く次の内部チャネルに進む前に、内視鏡100の内部チャネルについて何度も繰り返すことができる。
【0095】
図8の標的管腔にスラリーの洗浄スラグを送達するための別の技術は、自己調整双安定プロセスを使用する。そのような例では、一次ガス供給源885Bからのキャリア流体は、一次PPR819を使用して調整された圧力で送達チャンバ883に再び供給される。スラリーバルブ892が開くと、スラリーの洗浄スラグが送達チャンバ883に移送することができる。第1の洗浄スラグの移送は、自動的に(例えば、重力のために)起こり得るか、又は保持チャンバ872と送達チャンバ883との間の正の圧力差の生成によって支援され得ることが理解され得る。使用されると、正の圧力差は、閉塞されていない管腔の低い流体抵抗に起因して、内視鏡を通る高い空気の流れによって、自然にもたらされ得る。この洗浄スラグが送達チャンバの出口を塞ぐと、送達チャンバ883の圧力は、送達チャンバの下流の流体経路の流体抵抗の増加により、増加することになる。結果として、保持チャンバ872及び送達チャンバ883は、同様の圧力で落ち着くことになり、今度は、送達チャンバへのスラリーの追加の流れを停止する。次いで、洗浄スラグは、選択された内部チャネルを通って進行し、次いで、内視鏡100を出る。スラリーの洗浄スラグが内視鏡チャネルを出ると、送達チャンバ883の圧力は、下流流体ラインのより低い流体抵抗、及びキャリアガスの制限された流量のために、低下する。これは、送達チャンバ883と保持チャンバ872との間の圧力差をもたらすことになる。結果として、スラリーの別の洗浄スラグが、保持チャンバ872から引き出されることになる。新たに引き出された洗浄スラグは、再び、ガス流によって作用して、送達チャンバ883、分配マニホールド894を通って、内視鏡100の選択された内部チャネル内に推進する。
【0096】
一般に、圧力調整されたガスの流れが継続し、保持チャンバ内のスラリーの供給が終了しない限り、プロセスは、どの内部チャネルがスラリーの洗浄スラグを受け取るかを選択するマニホールド894とともに、本質的に自動的に継続することになる。より具体的には、洗浄スラグが内部チャネルを通って洗浄すると、制御サブシステムは、制御バルブ815の状態を変更することができ、プロセスは、1つ以上の内視鏡チャネルに対して繰り返される。この変形例では、プロセスは、別のチャネルに移行する前に十分なレベルのデブリ除去が達成されるまで、同じ内部チャネルを通して複数回繰り返すことができる。
【0097】
チャンバのサイズ、液体の量、粉末の量、及びガス圧力などの適切なパラメータを選択することによって、システムは、内視鏡を洗浄しながら、内視鏡の内部チャネル閉塞を自己調整及び防止することができる。いくつかの実施形態では、洗浄スラグのサイズは、ガス圧力、水の量、粉末の量、チャンバのサイズなどを変更することによって、より意図的に変更することができる。
【0098】
更なる実施形態による上記プロセスの変形例では、スラリーバルブ892、及び各コネクタ823に関連付けられた全ての制御バルブ815は、最初に閉じられる。前述の技術と同様に、スラリーが前述のプロセスのうちのいずれかを使用して保持チャンバ872内に形成されると、正の圧力差が、一次及び二次比例圧力調整器(PPR)、又は電気圧力調整器(EPR)などの他の手段を使用して、保持チャンバと送達チャンバとの間に生成される。次いで、スラリーバルブ892が開き、正の圧力差は、スラリーの洗浄スラグを送達チャンバ内に引き出す。次いで、スラリーバルブは、保持チャンバから送達チャンバへのスラリーの流れを閉じて停止させ、スラリーの洗浄スラグを画定する。次いで、圧力調整されたガス、典型的には圧縮空気は、一次ガスポート803を通って送達チャンバ883中に導入されて、再び、ガスの流れを生成する。しかしながら、以前の方法とは異なり、洗浄スラグは、分配マニホールド894内の制御バルブ815のうちの1つが開かれるまで、送達チャンバ883内に保持される。選択可能な時間の後、制御バルブ815のうちの1つが開かれ、洗浄スラグは、加圧空気を使用して内視鏡チャネル内に適切な速度で推進される。そうすることによって、洗浄スラグが、部分的に推進されるのではなく全体として推進される前に、送達チャンバ内で完全に画定されるため、洗浄効率は、洗浄スラグのサイズにわたってより良い制御を提供することによって、向上させることができる。説明されたスラリーの高速洗浄スラグは、例えば、送達チャンバ内の加圧ガス、水、又はガスと水との混合物によって生成されるそれらの組成及び速度を使用して、選択された内視鏡チャネルの内壁にわたって強力な物理的洗浄作用を生成することができる。
【0099】
図9は、本発明の実施形態による、上述の概念の特定の要素を組み込むことができる、管腔を洗浄するための別の例示的なシステム970を示している。説明を容易にするために、システム970は、概して、図1の内視鏡100を参照して説明される。
【0100】
より具体的には、システム970は、制御サブシステム917、保持サブシステム995、第1の送達サブシステム997(1)、及び第2の送達サブシステム997(2)を含む。保持サブシステム995は、他の要素の中でも、粉末及び液体を混合して液体粉末混合物974(例えば、消耗品チャンバ)を形成するための保持チャンバ972を含み、一方、各送達サブシステム997(1)及び997(2)は、他の要素の中でも、内視鏡100のチャネル122、124、126、又は128などのチャネルの少なくとも一部分を通ってスラリーの洗浄スラグを推進するための流体の流れを生成するための送達チャンバ983を含む。図9の例示された実施形態では、送達チャンバ983は、それぞれ、1つ以上の側面からの流体の流れの入口が、流体が円錐台の狭い端部に近づくにつれて速度が増加する流体の流れを生成するように、円錐台のような形状を有するものとして特徴付けることができる内部容積を含む。ただし、円錐台形の使用は、潜在的に有利であるが、単なる例示であること、及び、送達チャンバは、本発明の実施形態による任意の好適な幾何学的形状を有することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、送達チャンバは、円筒形のフォームファクタを有することができる。いくつかの実施形態では、送達チャンバは、半球形状を有するものとして特徴付けることができる。
【0101】
上述したように、保持サブシステム995は、保持チャンバ972を備える。この例では、保持チャンバ972は、最初にその中に粉末を備えた消耗品構成要素を備える。液体は、粉末と混合して液体粉末混合物974を形成するための保持チャンバ972に導入される。この目的のために、保持チャンバ972は、液体供給源984B及びガス供給源985Bからそれぞれ供給される二次液体ポート905及び二次ガスポート907を含む。例示された実施形態では、必要に応じて、振動モータ909が、スラリーの排出を促進するか、又は混合プロセスを支援するために、任意選択で提供され、保持チャンバ972の出口に近接して位置付けされている。保持チャンバ972はまた、液体充填中に捕捉された任意の空気の排出を可能にするためのリリーフバルブ980を含むこともできる。
【0102】
前述のように、システム970は、2つの送達サブシステム997(1)及び997(2)を含む。一般に、2つの送達サブシステム997(1)及び997(2)は、実質的に類似しており、したがって、以下の説明は、送達サブシステム997(1)を参照して提供される。この説明は、送達サブシステム997(2)に同様に適用されることを理解されたい。
【0103】
図に示されているように、送達サブシステム997(1)は、ポンプ990と、保持チャンバ972を送達チャンバ983に流体接続するスラリーバルブ992と、を備える。ポンプ990及びスラリーバルブ992は、配分された量の液体粉末混合物974(洗浄スラグ)を送達チャンバ983に提供/送達するように動作可能である。もちろん、液体粉末スラリーを開発し、洗浄スラグに配分し、送達チャンバに送達することを可能にする任意の好適な構成が、本発明の実施形態に従って使用することができることを理解されたい。
【0104】
例示された実施形態では、送達チャンバ983は、それぞれ、一次液体供給源984Aからの液体、及びガス供給源985Aからのガスの入口を可能にするための1つ以上の一次液体ポート901、及び1つ以上の一次ガスポート903を含む(例えば、液体及びガス送達のそれぞれについて、チャンバ983を伴う複数の出口が存在し得る)。次に、送達チャンバ983は、内視鏡100のチャネル(例えば、122、124、126、128など)のうちの少なくとも1つに流体接続可能である。例示された実施形態では、分配マニホールド994は、送達チャンバと内視鏡チャネルとの間に設けられ、その結果、チャネル、又はチャネルの一部分は、洗浄のために選択されることができる。いくつかの実施形態では、送達チャンバは、医療デバイスの単一のポートに関連付けることができる。他の実施形態では、1つの保持チャンバは、いくつかの送達チャンバの各々にスラリーを提供し、いくつかの送達チャンバの各々は、医療デバイスの単一のポートに関連付けられる。もちろん、任意の好適な構成が、本発明の実施形態に従って実装され得ることを理解されたい。
【0105】
上記に加えて、送達サブシステム997(1)は、以下でより具体的に説明されるように、洗浄プロセスの動作を監視するための圧力センサ913を含む。例えば、圧力センサ913は、内視鏡100がシステムに接続されているかどうかを検出するために、かつ/又はシステム内に任意の閉塞があるかどうかを感知するために使用され得る。そのような状況では、故障状態は、本発明の提案された実施形態の方法に従って、様々な制御バルブ、モータ、及び/又は他の圧送システムの動作をプログラム可能に制御するために、制御サブシステム917(例えば、コンピュータ制御(図示せず))によって生成されることになる。システム970又は別個のコンピューティングデバイスと統合することができる制御サブシステム917は、システム970が、様々な規制当局に準拠するのに十分な程度まで、かつデバイスのダウンタイムを短縮するための強化された時間内に、市場で入手可能な様々な内視鏡又は他の医療デバイスを洗浄するようにプログラムされることを可能にすることができる。ユーザは、ただ単に、システムを内視鏡に接続し、必要な洗浄プログラムを呼び出すだけである。もちろん、理解することができるように、任意の好適なセンサ及び制御サブシステムを実装して、本発明の実施形態による洗浄システムの動作に影響を与えることができる。
【0106】
ここで具体的に、図9のシステム970の動作に目を向けると、図9の例示された実施形態による第1のステップは、内視鏡100の1つ以上の標的チャネルが、水、並びに又はガス及び水の組み合わせで押し流されることであり得る。これは、例えば、最初にスラリーバルブ992を閉じることによって達成され得る。次いで、圧縮空気などのガスの流れ、及び水は、一次液体ポート901及びガスポート903から送達チャンバ983に供給される。次いで、空気及び水の混合物は、分配マニホールド994を介して内部チャネルのそれぞれに入り、内視鏡の出口点を通って出ていく。チャネルは、押し流しサイクルのいくつかの段階で順次押し流され得、かつ/又はチャネルは、押し流しサイクルのいくつかの段階で同時に押し流され得ることが理解され得る。他の実施形態では、押し流しのステップは省略され、プロセスは、以下の第1の実質的な洗浄ステップから始まる。
【0107】
前述のように、洗浄プロセスのステップは、スラリー混合物の取得(例えば、形成)である。図9の例では、スラリー混合物は、保持チャンバ972内の粉末と混合するための流体の量を提供し、それによってスラリー混合物974を生成することによって形成される。液体は、二次液体ポート905(又は別の液体ライン)から直接保持チャンバ972に提供され得る。動作中、液体は、粉末と混合されて、スラリー974を生成する。スラリー混合物974は、液体を保持チャンバに導入すると自然に形成することができ、あるいは、振動モータ909を作動させて、スラリーが所望のレベルに混合されることを確実にすることができる。全ての粉末が液体中に溶解することは提案されていないことに留意されたい。この目的のために、非溶解粉末は、洗浄機能を支援する。
【0108】
図9は、粉末が重炭酸ナトリウムであり、かつ液体が水である実施形態を参照して説明される。ただし、他の粉末を使用して、本発明の範囲から逸脱することなく、スラリーを生成することができる。同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、水以外の他の液体を使用することができる。
【0109】
システム970の動作はまた、スラリー974を配分し、洗浄スラグを形成することを含む。1つの特定の例では、制御サブシステム917(例えば、コンピューティングデバイス)は、ポンプ990を使用して、洗浄スラグを送達チャンバ983に提供する。他の実施形態では(例えば、ポンプ990が省略されている場合)、制御サブシステム917は、スラリーバルブ992を閉じて、制御バルブ915のうちの少なくとも1つを開く。次いで、制御サブシステム917は、保持チャンバ972と送達チャンバ983との間に正の圧力差を生成し、次いでスラリーバルブ992を開くように、システム970に命令する。生成された正の圧力差は、保持チャンバ972内に既に生成されたスラリーの流れを送達チャンバ983内に押し込む。次いで、スラリーバルブ992は、保持チャンバ972から送達チャンバ983へのスラリーの流れを閉じ、停止し、したがって、スラリーの洗浄スラグが画定される。
【0110】
保持チャンバ972と送達チャンバ983との間の圧力差を生成することは、様々な方法で行うことができることが理解され得る。例えば、正の圧力差は、ポンプ、圧力調整器、比例圧力調整器(PPR)、又は電気圧力調整器(EPR)を使用して、ガス又は液体の圧力を制御することによって達成することができる。例えば、1つの具体的かつ例示的な構成では、ガス圧力は、2つの比例圧力調整器、すなわち、一次PPR919及び二次PPR921を使用して制御することができる。一次PPR919は、一次ガス供給源985Aと一次ガスポート903との間に位置付けられ、送達チャンバ983内のガス圧力を制御する。二次PPR921は、二次ガス供給源985Bと二次ガスポート907との間に位置付けられ、保持チャンバ972のガス圧力を制御する。PPR919及び921は、自動制御によって制御され、保持チャンバと送達チャンバとの間に選択可能な正の圧力差を生成する。
【0111】
上述のように、システム970は、洗浄される内視鏡100のチャネルの少なくとも一部分を通して洗浄スラグ(配分された量の液体粉末混合物)を送達する。内視鏡チャネルへの洗浄スラグの送達は、様々な方法で引き起こすことができる。例えば、配分された液体粉末混合物が送達チャンバ983に移送される前に、一次ガス供給源984Bからのキャリア流体は、一次PPR919を使用して調整された圧力で送達チャンバ983に供給される。キャリア流体(例えば、ガス)は、配分された液体粉末混合物を、分配マニホールド994を介して内視鏡100の選択された内部チャネルに推進することができ、その分配マニホールドは、この時点で開かれる制御バルブ915のうちの1つを既に選択している(例えば、洗浄スラグが、適切な速度に加速される)。送達チャンバ983の底部に到達すると、洗浄スラグは、送達チャンバを出て、分配マニホールド994に入り、次に、適切な速度で内視鏡100の選択された内部チャネルに入る。プロセスは、1つの制御バルブ915を閉じて別の制御バルブ915を開く次の内部チャネルに進む前に、内視鏡100の内部チャネルについて何度も繰り返すことができる。
【0112】
図9の標的管腔にスラリーの洗浄スラグを送達するための別の技術は、自己調整双安定プロセスを使用する。そのような例では、一次ガス供給源985Bからのキャリア流体は、一次PPR919を使用して調整された圧力で、再び、送達チャンバ983に供給される。スラリーバルブ992が開くと、スラリーの洗浄スラグが送達チャンバ983に移送することができる。第1の洗浄スラグの移送は、自動的に(例えば、重力のために)生じることができるか、又はポンプ990、及び/若しくは保持チャンバ972と送達チャンバ983との間の正の圧力差の生成によって支援され得ることが理解され得る。使用されると、正の圧力差は、閉塞されていない管腔の低い流体抵抗に起因して、内視鏡を通る高い空気の流れによって、自然にもたらされ得る。この洗浄スラグが送達チャンバの出口を塞ぐと、送達チャンバ983の圧力は、送達チャンバの下流の流体経路の流体抵抗の増加により、増加することになる。結果として、保持チャンバ972及び送達チャンバ983は、同様の圧力で落ち着くことになり、今度は、送達チャンバへのスラリーの追加の流れを停止する。次いで、洗浄スラグは、選択された内部チャネルを通って進行し、次いで、内視鏡100を出る。スラリーの洗浄スラグが内視鏡チャネルを出ると、送達チャンバ983の圧力は、下流流体ラインのより低い流体抵抗、及びキャリアガスの制限された流量のために、低下する。これは、送達チャンバ983と保持チャンバ972との間の圧力差をもたらすことになる。結果として、スラリーの別の洗浄スラグが、保持チャンバ972から引き出されることになる。新たに引き出された洗浄スラグは、再び、ガス流によって作用されて、送達チャンバ983、分配マニホールド994を通って、内視鏡100の選択された内部チャネル内にスラグを推進する。
【0113】
一般に、圧力調整されたガスの流れが継続し、保持チャンバ内のスラリーの供給が終了しない限り、プロセスは、どの内部チャネルがスラリーの洗浄スラグを受け取るかを選択するマニホールド994とともに、本質的に自動的に継続することになる。より具体的には、洗浄スラグが内部チャネルを通って洗浄すると、制御サブシステムは、制御バルブ915の状態を変更することができ、プロセスは、1つ以上の内視鏡チャネルに対して繰り返される。この変形例では、プロセスは、別のチャネルに移行する前に十分なレベルのデブリ除去が達成されるまで、同じ内部チャネルを通して複数回繰り返すことができる。
【0114】
チャンバのサイズ、液体の量、粉末の量、及びガス圧力などの適切なパラメータを選択することによって、システムは、内視鏡を洗浄しながら、内視鏡の内部チャネル閉塞を自己調整及び防止することができる。いくつかの実施形態では、洗浄スラグのサイズは、ガス圧力、水の量、粉末の量、チャンバのサイズなどを変更することによって、より意図的に変更することができる。
【0115】
更なる実施形態による上記プロセスの変形例では、スラリーバルブ992、及び各コネクタ923に関連付けられた全ての制御バルブ915は、最初に閉じられる。前述の技術と同様に、スラリーが前述のプロセスのうちのいずれかを使用して保持チャンバ972内に形成されると、正の圧力差が、一次及び二次比例圧力調整器(PPR)、又は電気圧力調整器(EPR)などの他の手段を使用して、保持チャンバと送達チャンバとの間に生成される。次いで、スラリーバルブ992が開き、正の圧力差は、スラリーの洗浄スラグを送達チャンバ内に引き出す。次いで、スラリーバルブは、保持チャンバから送達チャンバへのスラリーの流れを閉じて停止させ、スラリーの洗浄スラグを画定する。次いで、圧力調整されたガス、典型的には圧縮空気は、一次ガスポート903を通って送達チャンバ983中に導入され、再び、ガスの流れを生成する。しかしながら、以前の方法とは異なり、洗浄スラグは、分配マニホールド994内の制御バルブ915のうちの1つが開かれるまで、送達チャンバ983内に保持される。選択可能な時間の後、制御バルブ915のうちの1つが開かれ、洗浄スラグは、加圧空気を使用して内視鏡チャネル内に適切な速度で推進される。そうすることによって、洗浄スラグが、部分的に推進されるのではなく全体として推進される前に、送達チャンバ内で完全に画定されるため、洗浄効率は、洗浄スラグのサイズにわたってより良い制御を提供することによって、向上させることができる。説明されたスラリーの高速洗浄スラグは、例えば、送達チャンバ内の加圧ガス、水、又はガスと水との混合物によって生成されるそれらの組成及び速度を使用して、選択された内視鏡チャネルの内壁にわたって強力な物理的洗浄作用を生成することができる。
【0116】
洗浄のシステム及び方法は、医療デバイスの内部チャネルを効率的に洗浄する手段を提供することができることを理解されたい。洗浄後の医療デバイス内の汚染の程度は、関連する全ての基準を満たし、かつ従来技術の手段を使用するよりも実質的に優れている可能性がある。洗浄プロセスが完了すると、内部チャネルは、上記の押し流しプロセスと同様の方法で、各内部チャネルを通して水及び/又はガスを流すことによって洗い流すことができる。特定の実施形態では、洗浄プロセスは、初期設定後に実質的に自動式とすることができ、その動作は、操作者にとって非常に簡単であり得る。有利なことに、全てのバルブ、ポート、及びポンプのコンピュータ制御を使用して、洗浄時間は、最適化されて、医療デバイスのダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0117】
上述したように、本明細書に提示される実施形態による管腔洗浄システムは、制御サブシステムを含むことができるか、又は制御サブシステムによって制御されることができる。図14は、本明細書に提示された特定の実施形態による、管腔洗浄システムのための制御サブシステムとして動作するように構成された例示的なコンピューティングデバイス1417を示すブロック図である。コンピューティングデバイス1417には、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、ラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス(例えば、スマートフォン)、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、タブレット、リモートコントロールユニット、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などが含まれ得る。コンピューティングデバイス1417は、移植可能な医療デバイス又は移植可能な医療デバイスシステムなどの1つ以上のリモートデバイスへの通信リンクを介してネットワーク環境で動作する単一の仮想デバイス又は物理デバイスであり得る。
【0118】
その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス1417は、少なくとも1つの処理ユニット1425及びメモリ1427を含む。処理ユニット1425は、命令を取得し、実行することができる1つ以上のハードウェア又はソフトウェアプロセッサ(例えば、中央処理ユニット)を含む。処理ユニット1425は、コンピューティングシステム1417の他の構成要素と通信し、その性能を制御することができる。
【0119】
メモリ1427は、処理ユニット1425によってアクセス可能な情報を記憶するように動作可能な1つ以上のソフトウェア又はハードウェアベースのコンピュータ可読記憶媒体である。メモリ1427は、他のもの中でも、処理ユニット1425によって実行可能な命令を記憶して、アプリケーションを実装するか、又は本明細書に記載の動作の性能、並びに他のデータを引き起こすことができる。メモリ1427は、揮発性メモリ(例えば、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、又はそれらの組み合わせとすることができる。メモリ1427は、一時的メモリ又は非一時的メモリを含むことができる。メモリ1427はまた、1つ以上の取り外し可能又は取り外し不可能な記憶デバイスを含むこともできる。いくつかの例では、メモリ1427には、RAM、ROM、EEPROM(電子的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリ、光ディスク記憶装置、磁気記憶装置、半導体記憶装置、又は後のアクセスのために情報を格納するために使用可能な任意の他のメモリ媒体が含まれ得る。いくつかの例では、メモリ1427は、搬送波又は他の輸送メカニズムなどの調節されたデータ信号(例えば、信号における情報を符号化するような方式で設定又は変更されたその特性のうちの1つ以上を有する信号)を包含し、任意の情報配信媒体を含む。限定ではなく、例として、メモリ1427は、有線ネットワーク若しくは直接有線接続などの有線媒体、並びに音響、RF、赤外線、及び他の無線媒体などの無線媒体、又はそれらの媒体の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、メモリ1427は、実行されると、処理ユニット1425が、提示された技術の態様を実行することを可能にする、管腔洗浄制御ロジック1429を備える。
【0120】
図示の例では、システム1417は、ネットワークアダプタ1431、1つ以上の入力デバイス1433、及び1つ以上の出力デバイス1435を更に含む。システム1417は、他の構成要素の中でも、システムバス、構成要素インターフェース、グラフィックスシステム、電源(例えば、バッテリ)などの他の構成要素を含むことができる。ネットワークアダプタ1431は、ネットワークアクセス(例えば、少なくとも1つのネットワークへのアクセス)を提供するコンピューティングシステム1417の構成要素である。ネットワークアダプタ1431は、有線又は無線ネットワークアクセスを提供することができ、とりわけ、イーサネット(登録商標)、セルラー、BLUETOOTH(登録商標)、近距離無線通信、及びRF(無線周波数)などの様々な通信技術及びプロトコルのうちの1つ以上をサポートすることができる。ネットワークアダプタ1431は、1つ以上の無線通信技術及びプロトコルに従って、無線通信のために構成された1つ以上のアンテナ及び関連構成要素を含むことができる。
【0121】
1つ以上の入力デバイス1433は、コンピューティングシステム1417がユーザから入力を受信するデバイスである。1つ以上の入力デバイス1433は、他の入力デバイスの中でも、物理的に作動可能なユーザインタフェース要素(例えば、ボタン、スイッチ、又はダイヤル)、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ペン、及び音声入力デバイスを含むことができる。1つ以上の出力デバイス1435は、コンピューティングシステム1417がユーザに出力を提供することができるデバイスである。出力デバイス1435は、他の出力デバイスの中でも、ディスプレイ、1つ以上のスピーカーを含むことができる。
【0122】
図14に示されるコンピューティングシステム1417のための構成は単に例示的なものであり、本明細書に提示された技術の態様は、いくつかの異なるタイプのシステム/デバイスで実装され得ることを理解されたい。例えば、コンピューティングシステム1417は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、外科システムなどであってもよい。
【0123】
上述したように、本明細書に提示された技術の態様を使用して、いわゆる「洗浄スラグ」(例えば、配分された量の液体粉末混合物)を標的管腔に送達し、汚染物質(例えば、生物汚染)の管腔をクリア/洗浄する。洗浄スラグのサイズ、流動性、速度、及び/又は他の特性/属性は、洗浄スラグが標的管腔(すなわち、洗浄される管腔)を通って移動するときに、洗浄スラグが標的管腔の壁と相互作用(例えば、洗い落と)して、管腔の内面/壁に配設された汚染物質を除去するように決定される。
【0124】
特定の構成において、洗浄スラグ属性は、洗浄される標的管腔の少なくとも近位部分の流体抵抗に基づいて決定される。流体抵抗は、流体経路が、経路の結合された幾何学的及び表面の特性による、所与の流体の流れに抵抗する傾向である。これらの特性の例は、洗浄される標的管腔の寸法を含み、ここで、その寸法は、標的管腔の断面幅(例えば、直径)及び標的管腔の長さ、管腔の内面粗さなどのうちの一方又は両方を含む。上述したように、流体抵抗を計算するいくつかの異なる方法が存在し、2021年6月9日に出願された「Systems and Methods for the Identification,Evaluation,and/or Closed-Loop Cleaning of lumens」と題するオーストラリア特許出願第2021/901734号、及び2022年6月9日に出願され、「Systems and Methods for the Identification,Evaluation,and/or Closed-Loop Reprocessing of lumens」と題する、同時に出願された特許出願に更に詳細に記載されている。これらの両方の出願の内容は、本明細書によって、参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
特定の管腔は、その細長い長さに沿って実質的に一定の内部寸法(断面幅)を有する。一定の幅の管腔では、送達時に決定された洗浄スラグパラメータは、管腔の全長(すなわち、管腔の近位端部から遠位端部まで)の十分な洗浄を確実にするには、おおむね十分である。例えば、一定の幅の管腔では、洗浄スラグが管腔を通って移動するときに、管腔の流動性及びサイズは、実質的に一定のままであり得る。更に、管腔の一定の幅及び管腔の長さが既知であるため、洗浄スラグは、洗浄スラグが許容される期間内に遠位端部に到達するように、かつ洗浄スラグが管腔を通って移動するときに、速度が管腔の壁から汚染物を除去するよう最適であるように、好適な速度で送達することができる。
【0126】
しかしながら、全ての医療デバイスの管腔が、その管腔の長さと一定の内部寸法を有するわけではない。逆に、特定の医療デバイスの管腔は、可変の内部寸法を有し、特定の管腔は、デバイス内でともに合流などを行い、スラグを洗浄するための複合流体経路を生成する。例えば、図10は、図1の内視鏡100を参照して、より具体的には、内視鏡100の空気チャネル124及び水チャネル126を参照して、管腔の可変内部寸法から生じる複合流体経路の具体例を例示する概略図である。空気チャネル124及び水チャネル126は、時には、内視鏡100の「空気/水チャネル」としてまとめて称される。ただし、説明を容易にするために、空気チャネル124及び水チャネル126は、本明細書では別々に説明及び言及される。
【0127】
図10、並びに本明細書に提示された他の実施形態における内視鏡の空気チャネル及び水チャネルへの具体的な言及(例えば、空気チャネル124及び水チャネル126)は、単に例示的なものであり、本発明は、これらの特定の管腔での使用、又は一般的に内視鏡での使用のみに限定されないことを理解されたい。したがって、本明細書に提示された技術を使用して、多数の異なる用途のいずれかで使用される異なるデバイス/器械の異なる複合管腔を洗浄することができることを理解されたい。
【0128】
図10には、空気チャネル124及び水チャネル126の概略図が示されている。上述のように、空気チャネル124は、空気/水バルブ116を介して接続されている近位セクション124A及び遠位セクション124Bと称される2つのセクションを含み、一方、水チャネル126は、同じく、空気/水バルブ116を介して接続されている近位セクション126A及び遠位セクション126Bと称される2つのセクションを同様に含む。水チャネルの遠位セクション126Bは、内視鏡100の遠位端部102内の位置130において、空気チャネルの遠位セクション124Bに接合している。
【0129】
図に示されているように、空気チャネル124の近位セクション124A、及び水チャネル126の近位セクション126Aは、それぞれ、内視鏡100のコネクタ端部104(例えば、空気/水ボトルコネクタ及び空気パイプコネクタ)から空気/水バルブ116まで延在する。空気チャネル124の遠位セクション124B、及び水チャネル126の遠位セクション126Bは、それぞれ、空気/水バルブ116から内視鏡100の遠位端部102内の位置130まで延在する。位置130は、空気チャネル124の遠位セクション124Bと水チャネルの遠位セクション126Bとが合流して合流出口チャネル137を形成する位置/点である。前述のように、チャネル124及び126の近位セクション124A及び126Aは、内視鏡100のユニバーサルコードセクション(コード)132内に配置されているものとして称されることがあり、一方、チャネル124及び126の遠位セクション124B及び126Bは、内視鏡の挿入チューブ134内に配置されているものとして称されることがある。説明を簡単にするために、生検/吸引チャネル122及びウォータージェットチャネル128は、図10から省略されている。
【0130】
また、図10には、空気チャネル124及び水チャネル126の各セクションについて、内部寸法及び長さを含む例示的な寸法も示されている。図10に示された例示的な寸法は単に例示的なものであり、本明細書に提示された技術は、異なる寸法を有する様々な他の管腔とともに使用することができることを理解されたい。
【0131】
図10の具体的な例では、空気チャネル124の近位セクション124Aは、約2.0ミリメートル(mm)の内部寸法(ID)(例えば、内径)及び約1.5メートル(m)の長さを有し、一方、空気チャネル124の遠位セクション124Bは、約1.4mmの内部寸法及び約1.5mの長さを有する。加えて、水チャネル126の近位セクション126Aは、約2.4mmの内部寸法(例えば、内径)及び約1.5mの長さを有し、一方、水チャネル126の遠位セクション126Bは、約1.4mmの内部寸法及び約1.5mの長さを有する。合流した出口チャネル137は、約1.0mmの内部寸法及び約0.185mの長さを有する。
【0132】
言い換えれば、空気チャネル124及び水チャネル126の近位セクション124A/126Aは、対応する遠位セクション124B/126Bの内部寸法よりも大きい内部寸法を有する(例えば、空気/水シリンダ116の後、管腔が狭くなる)。空気チャネル124及び水チャネル126の各々の可変内部寸法は、内視鏡100のコネクタ端部104から送達された洗浄スラグでこれらの管腔を洗浄するための問題を引き起こす。上述したように、空気パイプのための1つのコネクタ、及び空気/水ボトルのための1つのコネクタなど、複数のコネクタが存在し得る。特に、空気チャネル124及び水チャネル126のより大きな近位セクション124A及び126Aをそれぞれ洗浄するのに適した属性を有する洗浄スラグは、より狭い対応する遠位セクション124B及び126Bを詰まらせる可能性がある(例えば、管腔の2.0mm及び2.4mm IDセクションについて構成された洗浄スラグは、管腔の1.4mm及び1.0mm IDセクションを詰まらせる可能性が高い)。しかしながら、空気チャネル124及び水チャネル126の遠位セクション124B及び126Bをそれぞれ詰まらせないように構成された洗浄スラグは、空気チャネル124及び水チャネル126の近位セクション124A及び126Aをそれぞれ効果的に洗浄することができない場合がある(例えば、管腔の1.4mm及び1.0mm IDセクションについて構成された洗浄スラグは、壁と十分に相互作用して必要な作動を提供することなく、2.0mm及び2.4mm IDセクションを通過することになる)。更に、遠位セクション124A及び126B、並びに遠位端部の小さなノズル139の合流は、流体の複雑さを追加する。
【0133】
本明細書では、管腔の近位端部から送達される洗浄スラグを介して、流体複合管腔(例えば、可変内部寸法を有する管腔チャネルなど)を洗浄するための技術が提示される。これらの技術は、図11図15を参照して、より詳細に説明される。説明を容易にするために、図11図15の例は、内視鏡100の空気チャネル124及び水チャネル126を参照して説明されるであろう。
【0134】
最初に図11を参照すると、洗浄プロセス中に洗浄スラグの1つ以上の属性の調節(例えば、管腔の近位端部と遠位端部との間の1つ以上の位置での洗浄スラグ属性の調節)を介して、流体複合管腔を洗浄するための構成が示されている。より具体的には、図11に示されるのは、空気/水シリンダ116であり、それは、内部容積/開口部147、並びに空気/水シリンダ116に接続された空気チャネル124及び水チャネル126の各々の部分(例えば、空気チャネル124の近位セクション124Aの部分、水チャネル126の近位セクション126A、空気チャネル124の遠位セクション124B、及び水チャネル126の遠位セクション126B)を画定する。
【0135】
また、図11には、空気/水バルブ116と機械的に嵌合(取り付け)するように構成されている流体送達コネクタ151も示されている。図に示されているように、流体送達コネクタ151は、空気/水シリンダ116の内部容積147を、本明細書では空気チャンバ(又は第1のチャンバ)153及び水チャンバ(又は第2のチャンバ)155と呼ばれる2つのチャンバに分岐(分離)するように構成されている。例えば、図11に示されるように、流体送達コネクタ151は、水チャンバ155から空気チャンバ153を流体的に隔離するセパレータ部分157を含む。セパレータ部分157は、例えば、個々のチャネルの正確な閉塞検出を可能にすることができる。本発明の実施形態とともに使用することができる典型的な流体送達コネクタの更なる態様は、2022年6月3日に出願された「Medical Device Port Connectors」と題する国際特許出願第PCT/AU2022/050547号に更に詳細に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
空気/水シリンダ116の内部容積147を分岐させることに加えて、流体送達コネクタ151はまた、流体(例えば、水)を水チャンバ155から空気チャンバ153の各々に別々に送達するようにも構成されている。流体源(図11には示されていない)からのこの流体送達は、図11に矢印157及び159によって概略的に表されている。
【0137】
図11に示すように、洗浄スラグ1148Aは、空気チャネル124の近位セクション124Aのコネクタ端部に送達される。洗浄スラグ1148Aは、洗浄スラグ1148Aが近位セクション124Aを通過するときに、近位セクション124Aの壁と物理的に相互作用するように構成されている(例えば、サイズ設定されている)。しばらくすると、洗浄スラグ1148Aは、空気/水シリンダ116、より具体的には、流体送達コネクタ151によって形成された空気チャンバ153に到達する。上述したように、図11に概略的に示されるように、空気チャネル124の近位セクション124Aは、空気チャネルの遠位セクション124Bよりも比較的大きい。その結果、洗浄スラグ1148Aは、空気チャネル124の遠位セクション124Bに続くことができる場合、空気チャネルを詰まらせる(例えば、遠位セクション124B内で行き詰まる)可能性がある。
【0138】
この問題に対処するために、本明細書に提示された技術は、空気チャンバ153内の洗浄スラグ1148Aの属性を調節して、より小さい遠位セクション124Bを洗浄するために特別に構成(例えば、サイズ設定)された調節/変更された洗浄スラグ1148Bを形成する。特に、この例では、流体157が、空気チャンバ153に加えられて、例えば、洗浄スラグ1148Aの流動性を調節/変更(例えば、希釈)し、調節された洗浄スラグ1148Bを形成し、この洗浄フラグは、洗浄スラグ1148Aよりも小さく、したがって、空気チャネル124の遠位セクション124Bを洗浄するように適切にサイズ設定されている。より一般的には、これらの動作は、粉末と液体との比率を変化させ、そこでは、粉末に対する液体の比率が高いほど、洗浄スラグ1148Bがより狭い遠位セクション124Bを通ってより容易に流れることが可能になる。
【0139】
同様のアプローチが、洗浄スラグ1149Aが水チャネルの近位セクション126Aのコネクタ端部に送達される水チャネル126に適用されている。洗浄スラグ1149Aは、それがそこを通過するときに、洗浄スラグ1149Aが近位セクション126Aの壁と物理的に相互作用するように構成されている(例えば、サイズ設定されている)。しばらくすると、洗浄スラグ1149Aは、空気/水シリンダ116、より具体的には、流体送達コネクタ151によって形成された水チャンバ155に到達する。上述したように、かつ図11に概略的に示されているように、水チャネル126の近位セクション126Aは、水チャネルの遠位セクション126Bよりも比較的大きい。その結果、洗浄スラグ1149Aは、水チャネル126の遠位セクション126Bに続くことができる場合、水チャネルを詰まらせる(例えば、遠位セクション126B内に行き詰まる)可能性がある。
【0140】
上述したように、この問題に対処するために、本明細書に提示された技術は、水チャンバ155内の洗浄スラグ1149Aの属性を調節して、より小さい遠位セクション126Bを洗浄するために特別に構成(例えば、サイズ設定)されている調節/変更された洗浄スラグ1149Bを形成する。特に、この例では、流体159が水チャンバ155に加えられ、例えば、洗浄スラグ1149Aを希釈して、調節された洗浄スラグ1149Bを形成し、これは、洗浄スラグ1149Aよりも小さく、したがって、水チャネル126の遠位セクション126Bを洗浄するために適切にサイズ設定されている。
【0141】
上述したように、図11は、内視鏡100のより小さいセクションにスラグを押し込む前に、比較的大きな洗浄スラグを調節(例えば、希釈)するための技術を概して示している。比較的大きな洗浄スラグは、分岐した空気/水シリンダ内で調節される前に、空気及び水チャネルの近位セクション(空気入及び水入セクション)から比較的小さい洗浄スラグ中に汚染物質を除去することができ、その比較的小さい洗浄スラグは、比較的小さい遠位セクションを詰まらせることなく、空気及び水チャネルの遠位セクションから汚染物質を除去することができる。一般に、洗浄スラグに適用される調節は、管腔の遠位セクションに対する近位セクションの特性、例えば、管腔の近位セクションと遠位セクションとの間の相対的な内部寸法差に基づいて(例えば、遠位セクションの流体抵抗に対する近位セクションの流体抵抗に基づいて)、決定することができる。例えば、近位セクションと遠位セクションとの間の比較的大きな内部寸法差は、洗浄スラグの比較的大きな調節(例えば、希釈)を必要とし得る。
【0142】
図11は、内視鏡100の空気チャネル124及び水チャネル126を参照して説明されており、そこでは、空気チャネル124及び水チャネル126は、それぞれ、空気/水シリンダ116を介して流体接続された近位セクション及び遠位セクションを備える。上述のように、この使用は、単なる例示的なものであり、図11の実施形態は、いくつかの異なる管腔のいずれかとともに使用することができることを理解されたい。
【0143】
更に、図11の技術は、流体接続された管腔の任意の組み合わせで使用することができ、必ずしも近位セクション及び遠位セクションを有する管腔だけではないことを理解されたい。例えば、図11の技術は、第2の管腔(又は第2の管腔セクション)に流体接続され、例えば、第1の管腔と第2の管腔との間に内部寸法の変化がある第1の管腔(又は第1の管腔セクション)の任意の組み合わせで使用することができる。更に、第1の管腔(又は第1の管腔セクション)及び第2の管腔(又は第2の管腔セクション)は、直接直列に流体接続され得る(直接エンドツーエンドに接続される)か、又は流体チャンバ(例えば、空気/バルブ)などの中間構成要素を介して間接的に直列に接続され得る。この目的のために、「管腔」という用語は、少なくとも1つの流体入口点及び1つ以上の流体出口点を含む任意の流体経路として広く理解されるべきである。図11の技術を適用すると、第1の管腔に送達され、かつ第1の管腔を通過する洗浄スラグは、例えば、第2の管腔に移行するにつれて、異なるサイズ又は流動性を有する変更された洗浄スラグに調節され得る。
【0144】
図12は、本発明の実施形態による、管腔を洗浄するための例示的な方法1200のフロー図である。方法1200は、配分された量の液体粉末混合物(すなわち、洗浄スラグ)が、第1の管腔、又は第1の管腔の近位セクションを含むことができる第1の管腔部分を通って送達される1202において開始する。1204において、配分された量の液体粉末混合物を調節(例えば、希釈)して、変更された配分された量の液体粉末混合物(例えば、変更された洗浄スラグ)を形成する。1206において、変更された配分された量の液体粉末混合物は、第1の管腔部分に流体接続されている第2の管腔部分を通って送達される。第2の管腔部分は、第2の管腔、又は第1の管腔の遠位セクションを含むことができる。
【0145】
図13は、本発明の実施形態による、管腔を洗浄するための例示的な方法1300のフロー図である。方法1300は、第1の構成を有する洗浄スラグが、近位端部及び遠位端部、並びに近位端部と遠位端部との間の内部寸法の変化を有する、第1の管腔に送達される1302において開始する。本明細書の他の箇所に記載されているように、「第1の管腔」は、単一の管腔である必要はなく、逆に、互いに流体接続されている2つの管腔セクションを含むことができる。1304において、洗浄スラグは、管腔の近位端部と遠位端部との間の位置において第2の構成に変更される(例えば、希釈される)。
【0146】
特定の実施形態では、例えば、可変内部寸法を有するチャネルの流体の複雑性は、管腔を通して洗浄スラグを推進させるために使用される圧力を増加させることによって対処することができる。特に、圧力が増加すると、洗浄スラグは、「強制」されて、より狭い管腔のサイズに適合することができる。更に、圧力を増やして使用すると、洗浄スラグが狭い管腔内で詰まらないことを確実にすることができる。
【0147】
本明細書に提示された技術の特定の態様は、流体力学の様々な説明を参照して記載されてきた。これらの様々な説明は、例示の目的のために提供され、本明細書で提示される発明は、流体力学の真の理解にかかわらず機能することを理解されたい。
【0148】
理解されるべきであるように、技術の特定の使用を例示し、上記で説明してきたが、開示された技術は、技術の多くの例に従って、様々なデバイスで使用することができる。上記の説明は、開示された技術が図に示されているものと同様のシステム内での実装にのみ適していることを示唆するものではない。一般に、追加の構成を使用して、本明細書のプロセス及びシステムを実践することができ、かつ/又は本明細書に開示されたプロセス及びシステムから逸脱することなく、いくつかの説明された態様を除外することができる。
【0149】
本開示は、添付の図面を参照して本技術のいくつかの態様を説明し、可能な態様のうちのいくつかのみが示された。しかしながら、他の態様が、多くの異なる形式で具現化することができ、本明細書内に記載された態様に限定されるものと解釈されるべきではない。逆に、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、かつ可能な態様の範囲を当業者に完全に伝達するように提供された。
【0150】
理解されるべきであるように、本明細書の図面に関して説明された様々な態様(例えば、部分、構成要素など)は、システム及びプロセスを、説明された特定の態様に限定することを意図するものではない。したがって、追加の構成を使用して本明細書の方法及びシステムを実践することができ、かつ/又はいくつかの説明された態様は、本明細書に開示される方法及びシステムから逸脱することなく、除外することができる。
【0151】
特定の態様によれば、システム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。それらのシステムは、本開示の方法に類似する動作を実行するように構成されたハードウェアとともに構成される。1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、本開示の方法に類似する動作を実行させる命令を含む。
【0152】
同様に、プロセスのステップが開示される場合、それらのステップは、本方法及びシステムを例示する目的で説明されており、本開示を特定のステップ手順に限定することを意図されていない。例えば、ステップは、異なる順序で実行され得、2つ以上のステップが、同時に実行され得、追加のステップが、実行され得、開示されたステップが、本開示から逸脱することなく、除外され得る。更に、開示されたプロセスは、繰り返すことができる。
【0153】
特定の態様が本明細書に記載されたが、本技術の範囲は、それらの特定の態様に限定されない。当業者は、本技術の範囲内にある他の態様又は改善を認識するであろう。したがって、特定の構造、動作、又は媒体は、例示的な態様としてのみ開示される。技術の範囲は、以下の特許請求の範囲、及びその中の任意の等価物によって定義される。
【0154】
本明細書に提示された実施形態は、相互に排他的ではなく、様々な実施形態は、多数の異なる方法のいずれかで別の実施形態と組み合わされてもよいことも理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】