(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】イオン性不純物質を除去するシェル及びコアを有する組成物
(51)【国際特許分類】
G21F 9/12 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G21F9/12 511
G21F9/12 511A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574177
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022072648
(87)【国際公開番号】W WO2022256791
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】コレフ、エフゲニー トドロフ
(72)【発明者】
【氏名】レンデ、ディーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】タマイ、ツカサ
(57)【要約】
廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための組成物。本組成物は粒子に形成される。本組成物は、第1のイオン性不純物質に対する非活性物質から形成されたコアと、第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェルとを含み、活性物質が、粒子の10~50重量%を構成する。シェルはまた、第1のイオン性不純物質に対して非活性であってもよいが、第2のイオン性不純物質に対して活性であってもよい、結合剤物質を含んでもよい。コアは、ガラス形成性物質から形成されてもよく、その結果、ガラス化プロセスは、消費された固体廃棄物向けに使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための、粒子(10)に形成された組成物であって、
前記第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコア(12)と、
前記第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェル(14)であって、前記活性物質が、前記粒子の10~50重量%を構成する、前記シェル(14)と
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記シェル(14)が結合剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シェル(14)が、0.1~40重量%の前記結合剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子(10)が、2.1~0.4mmのメジアン径サイズを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子(10)が、球体形状又は非球体形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シェル(14)が、20~100μmの厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1のイオン性不純物質が、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属、ヨウ素、ランタニド及びアクチニド金属イオンからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記コア(12)若しくは前記結合剤、又はそれらの両方が、前記廃水流中の第2のイオン性不純物質に対して活性であり、前記第2のイオン性不純物質が前記第1のイオン性不純物質とは異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記コア(12)が、前記第1及び/又は前記第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記シェル(14)が、金属チタン酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、柱状クレイ、金属ホスホン酸塩及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年5月31日出願の米国仮特許出願第63/195,074号への優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、核除染のための組成物に関し、より詳細には、活性吸着性物質の一層良好な利用を伴うこのような組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
イオン交換組成物は周知であり、モレキュラーシーブ、クレイ及び非多孔質無機酸化物を含む。これらの組成物は、通常、粉末として合成されて、商業的に有用となるように、ビーズ、押出成形物、ペレット、ピルなどの成形物品が形成される。これらの物品は、その最終形状への形成時に、使用、充填及び移動の間、摩耗又は摩損及び破壊に耐える程の十分な物理的強度を有さなければならない。
【0004】
これらの組成物は、活性物質を有する粒子を用意し、不純物質が粒子と接触する可能性があるように廃水(不純物質を含む)を粒子に通して流すことによって、選択されたイオン種を廃水から除去するために使用することができる。多数の慣用的な用途において、本組成物は、イオン交換カラムに充填されて、処理された廃棄物をカラムに通す。このような物質の有用性は、除去された不純物質の量、及び吸着床を通る不純物質移動区域の分散によって評価される。分散は、かなりの程度が、活性相の選択性及び粒子を通る拡散率によって支配される。
【0005】
費用削減及び放射性固形廃棄物の最小化が必要であることによって推進される、液状核廃棄物の除染において、一層効率的な吸着剤を利用する必要性が高まっている。吸着剤は、狭い物質移動区域にすることができるほど高い選択性を維持すると同時に、イオン交換カラムの過負荷を防止する制御可能な能力を維持し、かつ固体廃棄物として一層高度な分類にシフトさせるべきである。固体核廃棄物は、多数の法律において、いくつかの高いリスク工程を経由してガラス化される必要がある。危険性が一層低く、かつガラス化廃棄物の形成体積を一層少なくすることを可能にする固有の特性を有する物質は、プロセスを一層安全にすること、費用を一層削減すること、及び長期保管という利点をもたらす。
【0006】
既存の無機吸着剤のいくつかの構造的安定性及び化学安定性は、操作上の問題及び不具合をもたらすので、過去において懸念事項であった。それらの構成成分の強度の増大又は溶液中への浸出を最小限にする方法により、これらの懸念に対処することができる。
【0007】
したがって、廃水流から不純物質を効果的かつ効率的に除去する組成物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
廃水流から不純物質を選択的に除去するための新規組成物が発明された。本新規組成物によって、同一の活性相に基づく既存の市販吸着剤に比べて、効率の向上及び選択性の改善が可能である。結果は、現在使用されている製品に比べて、総合的な処理費用が低減される。
【0009】
本新規組成物は、活性相が外側層に存在する、コア-シェルに基づく手法の使用に依存する。活性構成成分の層の厚さ及びレベルは、性能と線形相関しないので、所望の使用に基づいてこれらの2つの属性を調節して選択されてもよい。
【0010】
コアの形状及びタイプは、所望の使用に基づいて調節及び選択されてもよい。例えば、一部の例では、不規則形状又は非球体形状のものを使用することにより、球体と比較して、更なる接近可能な表面積を供給することが見出されたと考えられる。コアは、ガラス形成剤とすることができる物質であってもよい。これによって、本組成物は、一旦、充填されると、ガラス化プロセスによって変換されることが可能となる。コアは、一層高い濃度で二次不純物質を吸着する活性相とすることができる。例えば、チタン酸一ナトリウム(MST)などのチタン酸塩又はチタンケイ酸塩を含むシェルによって被覆された、粒状形状のチャバザイトコアは、セシウムが高い廃棄物、及びストロンチウムをやはり含有する廃棄物にとって有用な物質となり得る。
【0011】
コア物質は、シェルが添加される前には、狭い粒子(類似の量の活性物質を含む従来の粒子との比較)及び分布となるよう選択することができるので、最終製品は等価な分布となり、良好な流動特性をもたらす。同時に、小さな(?約0.5mm)のビーズの形成に伴う損失が低減されて、原料の観点及び製造時間の両方で更なる費用削減をもたらす。結合剤は、シェルに含まれ得る。例えば、合成されたままの結晶性シリコチタネート(CST)粉末の使用が可能になり、シェルに不純物質に対する更なる選択性をもたらす、酸化物を使用することができる。
【0012】
したがって、本発明は、少なくとも一態様では、廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための組成物を提供することを特徴とすることができる。本組成物は、粒子に形成され、第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコア及び第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェルを含む。活性物質は、粒子の10~50重量%を構成する。シェルは、結合剤を更に含んでもよい。シェルは、0.1~40重量%の結合剤を有することができる。粒子は、2.1~0.4mmのメジアン径サイズを有することができる。粒子は、球体形状又は非球体形状を有することができる。シェルは、20~100μmの厚さを有することができる。第1のイオン性不純物質は、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属、ヨウ素、ランタニド及びアクチニド金属イオンからなる群から選択されてもよい。コア若しくは結合剤、又はそれらの両方が、廃水流中のイオン性不純物質に対して活性であり得、イオン性不純物質は、同一であってもよく、又は第1のイオン性不純物質とは異なってもよい。イオン性不純物質は、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属、ヨウ素、ランタニド金属及びアクチニド金属イオンからなる群から選択されてもよい。コアは、第1及び/又は第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質を含んでもよいか、又はこの物質から形成されてもよい。シェルは、金属チタン酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、柱状クレイ、金属ホスホン酸塩及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含んでもよい。結合剤は、ヒドロキシル金属酸化物であってもよい。コアは、セラミック、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリケート、チタネート、ゼオライト及びそれらの組合せからなる群から選択される物質であってもよい。
【0013】
第2の態様では、本発明は、廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための組成物を提供することを幅広く特徴とすることができる。本組成物は、粒子に形成されてもよく、第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコア及び第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェル並びに結合剤を含む。シェルは、0.1~40重量%の結合剤を含んでもよく、活性物質は、粒子の10~50重量%を占めることができる。シェルは、10~30重量%の結合剤であってもよい。結合剤は、廃水流中のイオン性不純物質に対して活性であり得、イオン性不純物質は、第1のイオン性不純物質とは異なってもよく、又は同一であってもよい。コアは、第1及び/又は第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質であってもよい。粒子は、2.1~0.4mmのメジアン径サイズを有することができる。シェルは、20~100μmの厚さを有することができる。
【0014】
それらのすべてが任意の方式で組合せ可能となり得る、本発明の更なる態様、実施形態、及び詳細が、以下の本発明の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態について、以下の図面の各図と併せて以下に説明する。
【
図1】本発明の1つ以上の態様による、粒子の部分断面図である。
【
図2】本発明の1つ以上の態様による、球体粒子の断面画像である。
【
図3】本発明の1つ以上の態様による、非球体粒子の断面画像である。
【
図4】特定の標的層厚さの場合のコアサイズと比較した最終組成物のサイズを示すグラフである。
【
図5】同量の活性相物質を有する、2種の異なるサイズの粒子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記のとおり、活性相の利用を増大するよう、コアシェル粒子の工学的設計を利用する新規組成物が発明された。コア-シェルに加え、粒子の形状及びサイズにより、外部表面積、すなわち性能の調節が可能となる。本新規組成物はまた、所望の特性(第2の不純物質混入に対する選択性など)を有する結合剤の選択を可能にする。従来の物質に比べて、本新規組成物は、良好な摩耗特徴及び浸出特徴を有する、すなわち性能の改善及び安全性という有益性を実現すると考えられる。更に、本発明の組成物は、ガラス化を容易にするためのガラス形成性前駆体と共に形成されたコアを使用してもよい。最後に、本発明の組成物は、従来の設計と比較して、少ない活性物質しか使用せず(性能を低下させることなく)、こうして、動的特性を維持しながら、消費された物質の核廃棄物分類が制限及び制御される。
【0017】
これらの一般原理を考慮すると、本発明の1つ以上の実施形態は、以下の記載が限定を意図するものではないという理解と共に説明される。
【0018】
図1~3に示されているとおり、本発明は、粒子10の形態にある組成物を提供する。粒子10は、コア12、及びコア12を取り囲むシェル14を有する。
【0019】
図2及び3は、特定のサイズ及び形状だけではなく、多孔性も有するコア12の選択の例を示している。それらはまた、コア12の物質によって果たされるさまざまな追加的な役割を標的とするさまざまな化学的性質を有する。
【0020】
シェル14は、選択された又は特定のイオン性不純物質に対する活性物質から形成され、結合剤又は結合剤物質を更に含んでもよい。コア12及び結合剤は、特定の不純物質に対する非活性物質であってもよい。本明細書において使用する場合、「活性物質」とは、組成物の構造中に存在するイオンを、本発明の組成物に接触するフィード流中の1種と選択的に交換することが可能な組成物を指す。「非活性物質」とは、組成物の構造中に存在するイオンを、同じ標的イオン性種と選択的に交換しない物質のことである。したがって、1種の物質は、特定の種に対して「非活性」であってもよいが、別の種に対して「活性」であり得る。したがって、コア12及び結合剤は、異なる不純物質に対して活性物質であってもよいことが理解されるべきである。このように、粒子10は、第1及び第2の不純物質の両方を除去するために使用されてもよい。
【0021】
シェル14の活性物質は、粒子10の10~50重量%となる。代替的に、その量は、粒子10の20~50重量%、粒子10の20~40重量%、又は粒子10の25~35重量%、又は粒子10の28~33重量%とすることができる。結合剤がシェル14に存在する場合、結合剤は、シェル14の0.1~40重量%、好ましくはシェル14の10~30重量%となることが企図される。
【0022】
シェル14の厚さは、10~200μmとさまざまとなり得る。シェル14の厚さは、より具体的には、20~100μmの範囲にあり得る。コア12の半径の百分率として表すと、シェル14の厚さは、コア12の半径の5~50%の範囲内のいずれかになり得る。
図4は、コア12であって、その表面に成長させた2種の異なるシェル14を有するコア12を示している。480μmの平均コア径から始め、物質2709は、コア12の半径の13%に等しい、31μmの厚さを有するシェル14を用いて調製した。代わりに、同じコア12を使用する物質2700は、98μmの厚さ又はコア12の半径の41%を有するシェル14を用いて調製した。コア12のサイズは、シェル14の特定の所望の厚さとなるよう選択することができる。
【0023】
更に、シェル14の厚さは、
図5に示されているとおり、さまざまであってもよい。
図5では、同量の活性物質を有する粒子10が小さいほど、より大きな粒子10に比べて、より多くの不純物質を除去することが可能と考えられる。したがって、粒子10のサイズ、シェル14の厚さ、及び活性物質の量を調節して、所望の選択性レベルを有する粒子10を得ることができる。
【0024】
粒子10の形状は、球体(
図2)であってもよく、又は非球体(
図3)であってもよい。非球体形状としては、いくつかの例を挙げると、円筒形状、長楕円形、楕円形、錐体、ディスク、不規則な形状粒子、球面円柱、楕円形、球四面体及び球立方体が挙げられる。
【0025】
本発明の組成物が液流からの除去に有用であると企図される不純物質には、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属のイオン、ヨウ素、並びにランタニド及びアクチニド金属イオンが挙げられる。
【0026】
シェルの活性物質
シェル14の例示的な活性物質としては、非限定的に、金属チタン酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、柱状クレイ及び/又は金属ホスホン酸塩が挙げられる。金属チタン酸塩の例には、シリコチタネート及び置換シリコチタネートが挙げられる。例えば、シェル14の物質は、結晶性シリコチタネート(CST)、又はそれらの誘導体若しくは修飾物(置換結晶性シリコチタネート(sCST)など)であってもよい。活性物質の例の別のクラスは、いくつかの例を挙げると、ナトリウム若しくはカリウムのモノチタネート、ヘキサチタネート、オクタチタネート及びナノチタネートなどの、アルカリ金属チタネート又はそのプロトン化形態/混合形態である。イオン交換組成物はまた、クレイ層間に柱を含有する膨張可能なクレイである、柱状クレイから形成されてもよい。イオン交換能を有しており、かつ柱状であり得るクレイの例は、モンモリロナイト、ソーコナイト、ノントリナイト、サポナイト及びヘクトライトを含む。柱は、希土類元素又はジルコニウムを有する、アルミニウムクロロヒドロキシドを含むことができる。
【0027】
結合剤
結合剤に関する例示的な物質は、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの、ヒドロキシル金属酸化物を含む。「ヒドロキシ金属酸化物」とは、実験式MO2.xH2Oを有する酸化物を指し、xは、2~4の範囲であり、Mは、ジルコニウム、チタン又はそれらの混合物である。
【0028】
上で明記されているとおり、結合剤は、同じ不純物質に対する選択性をやはり有する物質、又は第2の不純物質に対して活性な物質から作製され得ることが企図される。したがって、結合剤は、活性相の活性に寄与することができるか、又は二次不純物質の共吸着に寄与することができる。
【0029】
コア
コア12は、チャバザイト、斜プチロル沸石、モルデナイト又は他の潜在的なイオン交換体などの、セラミック材料、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリケート、ゼオライトから形成されてもよい。例えば、本発明の組成物に、ストロンチウムイオンの除去が望まれる場合、コア12は、ゼオライト4Aであってもよい。ゼオライト4Aは、以下の式:Na2O:[AlO2]12:[SiO2]12:[H2O]27を有する。代替的に、本発明の組成物は、セシウムイオンの除去に望ましいことがある。セシウムイオンの除去の場合、例示的な本発明の組成物は、コア12として、チャバザイト型又はチャバザイト-エロナイト(eronite)型ゼオライトを含むことができる。例示的なチャバザイト型ゼオライトは、(K2O,Na2O,MgO,CaO)[(Al2O3)(SiO2)4-6].zH2Oである。
【0030】
コア12は、第2の不純物質に対して活性な物質から作製されてもよいことが企図される。したがって、シェル14は、イオン交換及び第1の不純物質を吸着することによって、第1の不純物質を除去する一方、コア12は、やはり、例えばイオン交換によって第2の不純物質を除去することができる。
【0031】
コア12は、第1及び/又は第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質から形成されてもよいことがやはり更に企図される。したがって、コア12は、ガラス形成性物質から作製されてもよい。
【0032】
物質は、結合剤及びコア12に対する活性相からなるシェル14の粘着方法によって作製され得る。代替的に、それらの活性相は、コア12の外側表面にエピタキシャル成長させることができる。最後に、コア12の上部層は、反応制御によって反応性相に変換することができ、この場合、粒子10のサイズは変化しない。例は、合成変換の制御による、アルミナコア12の外側層のゼオライトへの変換、又はチタニアコア12の外側層のチタネートへの変換である。
【0033】
本粒子10は、選択的イオン交換として有用である。具体的には、本新規組成物は、水流などの液流からさまざまな金属イオン不純物質の選択的イオン交換体として有用であり、これにより液流からこれらの金属イオンを除去する。一般に、これらの金属イオンは、金属イオンを除去し、粒子10の表面にこれらの金属イオンを捕捉するのに十分な時間、液流に粒子10を接触させることにより、液流から除去され得る。例えば、粒子10は、カラム内に入れることができ、不純物質である金属イオンがカラムの排出流中で検出されるまで、処理されることになるストリームが、カラムに、通常、下向きに流され得る。金属イオン含有物品は、いずれにせよ廃棄され得る。コア12が、適切な物質からなる場合、混入した粒子10に、ガラス化プロセスが施され得る。
【0034】
本発明の組成物及び本明細書に記載されている粒子10は、それらの構成成分の選択に応じて、高度に酸性の、中性の及び高度に塩基性の水溶液中でイオン交換を行うことができる。更に、本発明の組成物及び本明細書に記載されている粒子10は、所望のイオンに対する選択的活性を伴って形成され得る。言い換えると、本発明の組成物及び粒子10は、微調節されるか、又は調節されて、ストロンチウムイオン及び/又はセシウムイオンなどのイオン交換可能なイオンに対する活性の任意の実用レベルを実現することができる。
【0035】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0036】
本発明の第1の実施形態は、廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための、粒子に形成された組成物であって、当該組成物が、第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコアと第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェルとを含み、活性物質が、粒子の20~50重量%を構成する、組成物である。本発明の実施形態は、シェルが結合剤を更に含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、シェルが0~40重量%の結合剤を含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、粒子が、2.1~0.4mmのメジアン径サイズを有する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、粒子が球体形状を有する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、粒子が非球体形状を有する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、シェルが20~100μmの厚さを有する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、第1のイオン性不純物質が、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属、ヨウ素、ランタニド及びアクチニド金属イオンからなる群から選択される、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、コア若しくは結合剤、又はそれらの両方が、廃水流中の第2のイオン性不純物質に対して活性であり、第2のイオン性不純物質が第1のイオン性不純物質とは異なる、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、第2のイオン性不純物質が、セシウム、ストロンチウム、水銀、銀、鉛、遷移金属、ヨウ素、ランタニド金属及びアクチニド金属イオンからなる群から選択される、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、コアが、第1及び/又は第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質を含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、シェルが、金属チタン酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、柱状クレイ、金属ホスホン酸塩及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、結合剤がヒドロキシル金属酸化物を含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、コアが、セラミック、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリケート、チタネート、ゼオライト及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。
【0037】
本発明の第2の実施形態は、廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための、粒子に形成された組成物であって、当該組成物が、第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコアと第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェルと結合剤とを含み、シェルが0~40重量%の結合剤を含み、活性物質が粒子の20~50重量%を構成する、組成物である。本発明の実施形態は、シェルが10~30重量%の結合剤を含む、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、結合剤が、廃水流中の第2のイオン性不純物質に対して活性であり、第2のイオン性不純物質が第1のイオン性不純物質とは異なる、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、コアが、第1及び/又は第2のイオン性不純物質を放出することなく、ガラス化プロセスが施されるよう構成されている物質を含む、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、粒子が、2.1~0.4mmのメジアン径サイズを有する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。本発明の実施形態は、シェルが20~100μmの厚さを有する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか又はすべてである。
【0038】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明のさまざまな変更及び修正を行い、さまざまな使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるさまざまな修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0039】
上記では、すべての温度は摂氏度で記載され、すべての部及び百分率は、別途記載のないかぎり、重量基準である。
【0040】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形例が存在する点を理解されたい。例示的な実施形態(単数又は複数)は、単なる例に過ぎず、本発明の範囲、適用可能性又は構成の限定を決して意図していない点もまた理解されるべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するうえで便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される機能及び要素の配置にさまざまな変更がなされ得る点は理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水流から第1のイオン性不純物質を選択的に除去するための、粒子(10)に形成された組成物であって、
前記第1のイオン性不純物質に対する非活性物質のコア(12)と、
前記第1のイオン性不純物質に対する活性物質から形成されたシェル(14)であって、前記活性物質が、前記粒子の10~50重量%を構成する、前記シェル(14)と
を含む、組成物。
【請求項2】
前記シェル(14)が結合剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シェル(14)が、0.1~40重量%の前記結合剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【国際調査報告】