(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】時間トラッキング装置およびラボラトリシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N35/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574217
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022065474
(87)【国際公開番号】W WO2022258651
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ハイネマイヤー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ケンプケン,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】レツァー,マリアン
(72)【発明者】
【氏名】シャインプフルーク,ロレンツ
(72)【発明者】
【氏名】シュバインベルガー,フロリアン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GD07
2G058GE08
(57)【要約】
少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置(112)が提案される。時間トラッキング装置(112)は、少なくとも1つの支持構造体(114)を備える。時間トラッキング装置(112)は、支持構造体(114)によって収容された少なくとも1つの電子ユニット(116)および少なくとも1つの運動センサ(118)をさらに備える。運動センサ(118)は、時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出するように構成される。電子ユニット(116)は、時間を測定するように構成され、時間の測定は、時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって終了する。支持構造体(114)は、複数の面(120)を備える多角形の支持構造体(114)であり、支持構造体(114)は、少なくとも2つのインタラクティブ面(136)を備える。インタラクティブ面(136)の各々は、少なくとも1つの表示装置(140)を備える少なくとも1つのユーザインターフェース(138)を備える。インタラクティブ面(136)の各々は、ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示(171)を表示するように構成され、ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面(136)を、時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きを変えることによってユーザが選択可能である。時間トラッキング装置(112)は、測定した時間に関するデータを少なくとも1つの通信インターフェース(172)を介して提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置(112)であって、
少なくとも1つの支持構造体(114)を備え、前記支持構造体(114)によって収容された少なくとも1つの電子ユニット(116)および少なくとも1つの運動センサ(118)を備えており、
前記運動センサ(118)は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出するように構成され、前記電子ユニット(116)は、時間を測定するように構成され、時間測定は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって終了し、
前記支持構造体(114)は、複数の面(120)を備える多角形の支持構造体(114)であり、前記支持構造体(114)は、少なくとも2つのインタラクティブ面(136)を備え、前記インタラクティブ面(136)の各々は、少なくとも1つの表示装置(140)を備える少なくとも1つのユーザインターフェース(138)を備え、前記インタラクティブ面(136)の各々は、前記ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示(171)を表示するように構成され、前記ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする前記インタラクティブ面(136)は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きを変えることによってユーザが選択可能であり、
前記電子ユニット(116)は、前記測定した時間を、前記選択されたインタラクティブ面(136)に応じた前記ラボラトリ機器の状態に割り当てるように構成され、前記ラボラトリ機器の状態は、使用中、スタンバイ、メンテナンス中、修理中、故障中、およびオフラインのうちの1つ以上であり、
前記時間トラッキング装置(112)は、前記測定した時間に関するデータを、少なくとも1つの通信インターフェース(172)を介して提供するように構成されている、時間トラッキング装置(112)。
【請求項2】
前記ユーザインターフェース(138)は、双方向のインターフェースである、請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項3】
前記インタラクティブ面(136)の各々は、前記時間トラッキング装置(112)の回転の回数にかかわらず、前記ラボラトリ機器の1つの状態表示(171)を表示するように構成されている、請求項1または2に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項4】
前記時間トラッキング装置(112)は、ハイパースクロールするように構成され、前記インタラクティブ面(136)によって表示される状態表示(171)が、前記時間トラッキング装置(112)の回転の回数に依存する、請求項1~3のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項5】
前記電子ユニット(116)は、前記表示装置(140)を制御するように構成され、前記制御は、前記時間トラッキング装置(112)の向きに応じて前記表示装置(140)によって表示される情報の向きを調整することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項6】
それぞれの前記インタラクティブ面(136)によって表示される前記ラボラトリ機器の状態表示(171)は、それぞれの前記インタラクティブ面(136)に割り当て可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項7】
前記インタラクティブ面(136)は、少なくとも1つの警告メッセージ、少なくとも1つのメンテナンス情報、ラボラトリ機器の所有者に関する情報、少なくとも1つのさらなるラボラトリ機器に関する情報、メニュー、少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの読み取り値、サードパーティアプリケーションおよび/またはセンサからのメッセージ、データソース全般、以前の状態情報、機器関連の文書化システムからの詳細、外部データベースによって提供される機器の予約状態、のうちの1つ以上を表示するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項8】
前記支持構造体(114)の前記面(120)の各々は、複数の波長で光を発するように構成された少なくとも1つの発光体(141)を備え、波長は、状態表示(171)の各々に割り当てられ、前記電子ユニット(116)は、ユーザによって選択された前記インタラクティブ面(136)に応じて前記発光体(141)の波長を切り換えるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項9】
前記運動センサ(118)は、少なくとも1つのジャイロセンサを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項10】
前記支持構造体(114)は、角錐(122)、横置きの三角柱、横置きの五角柱、横置きの六角柱(126)、立方体(124)、からなる群から選択される三次元構造体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項11】
前記電子ユニット(116)は、時間ログを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項12】
前記時間トラッキング装置(112)は、環境条件を監視するように構成された少なくとも1つのセンサ(160)を備え、少なくとも1つの前記センサ(160)は、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの湿度センサ、磁気妨害を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、並びに、少なくとも1つのGPSセンサ、Glonassセンサ、Galileoセンサ、BLEセンサなどの少なくとも1つの位置センサ、からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項13】
前記時間トラッキング装置(112)は、前記通信インターフェース(172)を介してコマンドを受信することによってリモート制御可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項14】
少なくとも1つのラボラトリ機器と、請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの時間トラッキング装置(112)とを備え、少なくとも1つの処理装置(190)をさらに備え、
前記処理装置(190)は、前記時間トラッキング装置(112)の前記通信インターフェース(172)から前記測定した時間に関するデータを受信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェース(173)を備え、前記処理装置(190)は、前記時間トラッキング装置(112)の前記通信インターフェース(172)から受信する前記測定した時間に関するデータを評価することによって前記ラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するように構成された少なくとも1つの評価装置(192)を備える、ラボラトリシステム(188)。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの時間トラッキング装置(112)を使用して、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための方法であって、
i)前記時間トラッキング装置(112)の前記インタラクティブ面(136)によって前記ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示(171)を表示するステップと、
ii)前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きを変更することによって、ユーザが前記ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする前記インタラクティブ面(136)を選択するステップと、
iii)前記運動センサ(118)を使用することによって前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出するステップと、
iv)前記電子ユニット(116)を使用することによって時間を測定するステップであって、時間の測定は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって終了するステップと、
v)前記測定した時間に関するデータを、前記時間トラッキング装置(112)の少なくとも1つの通信インターフェース(172)を介して提供するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置およびラボラトリシステムに関する。本発明による装置は、主に、ワークフローを支援および促進するためにラボラトリ職員によって使用され得る。他の用途も広く実現可能である。
【背景技術】
【0002】
ラボラトリ機器を含むラボラトリにおける機械および人員などのリソースのプランニングは、通常は、厳然たる事実および数字の代わりにシステムパフォーマンスを推定することによって、とくには非リアルタイムで実行される。これは、機器の不必要な停止時間およびリソースの未使用につながり、結果として不必要なコストにつながる可能性がある。ラボラトリにおいてシステムパフォーマンスを監視するための既知の時間トラッキング機械は、通常は、有益でない。機器の状態および他の機器関連情報の情報共有は、多くの場合、面倒なインキュベーションである。
【0003】
国際公開第2009/140967号が、病理検査室における試料処理ワークフローを分析するためのコンピュータシステムを記載している。コンピュータシステムは、ディスプレイと、第1のインターフェース、第2のインターフェース、およびディスプレイへの第3のインターフェースを提供するように構成されたプロセッサとを含む。プロセッサは、第1のインターフェースを介して、病理検査室における既存の試料処理ワークフローに関連する第1のパラメータセットを受信するようにさらに構成されている。第1のパラメータセットは、ワークフロープロセスおよびワークフロースケールを含む。プロセッサは、第1のパラメータセットに基づいて、関連する現在のコスト情報および現在の時間利用を有する既存の試料処理ワークフローの現在のパフォーマンスデータを決定するようにさらに構成されている。
【0004】
国際公開第2018/081379号が、ラボラトリ機器に関連する実験研究のパフォーマンスをリモート監視するための方法を記載している。この方法は、対象のラボラトリ機器について、a)1つ以上の試験を含む要求された研究が実行される対象のラボラトリ機器の場所へと設定データを送信することと、b)要求された研究が完了したか、あるいは進行中であるかを示す対象のラボラトリ機器に関する1つ以上の研究進捗値の組を更新することと、c)要求された研究に関するデータがキャプチャまたはレビューまたは印刷されたことを示す対象のラボラトリ機器についての1つ以上のデータ収集進捗値の組を更新することとを含む。
【0005】
米国特許出願公開第2020/319602号明細書が、タイマ装置を記載している。タイマ装置の形状は、立方体、角錐、五角柱、六角柱、または多角柱を含む。タイマ装置の形状は、好ましくは立方体である。タイマ装置は、タイミング面をさらに含む。タイミング面の各々は、カウントダウンすべき分/秒単位の値を表示する。タイマ装置は、表示面をさらに含む。表示面は、タイマおよびタイマ装置に関する制御部を提供する。タイマは、タイミング面が上部位置にあることが検出されたときに、タイミング面によって表示された値からカウントダウンを行うように構成される。タイマ装置は、停止面をさらに含む。停止面が上部位置にあることが検出されると、タイマはリセットされる。さらに、タイマ装置は、コントローラおよび方向センサを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/140967号
【特許文献2】国際公開第2018/081379号
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/319602号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置および少なくとも1つのラボラトリシステムであって、この種の既知の装置および方法の欠点を少なくとも部分的に回避し、上述の課題に少なくとも部分的に対処する時間トラッキング装置およびラボラトリシステムを提供することである。具体的には、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための単純かつ正確な時間トラッキング測定を可能にする装置および方法が開示されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項の特徴を有する少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置および少なくとも1つのラボラトリシステムによって対処される。単独で実現されても、任意の組み合わせで実現されてもよい有利な実施形態が、従属請求項ならびに明細書全体に挙げられる。
【0009】
以下で使用されるとき、用語「・・・を有する」、「・・・を備える」、または「・・・を含む」、あるいはこれらの任意の文法的変種は、非排他的なやり方で使用される。したがって、これらの用語は、この文脈において説明されているエンティティに、これらの用語によって導入される特徴以外のさらなる特徴が存在しない状況、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の双方を指すことがある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみで排他的に構成される状況)、およびB以外に要素C、要素CおよびD、あるいはまたさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指すことがある。
【0010】
さらに、特徴または要素が1回または2回以上存在してもよいことを示す「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という用語あるいは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を紹介するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素に言及する場合に、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という表現を、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在してもよいという事実にもかかわらず、繰り返さない。
【0011】
さらに、以下で使用されるとき、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「とくには」、「さらにとくには」、「具体的には」、「より具体的には」、または同様の用語は、代案の可能性を制限することなく、随意による特徴に関して使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、随意による特徴であり、特許請求の範囲の技術的範囲をいかなるやり方でも限定することを意図していない。本発明は、当業者であれば理解できるとおり、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の随意による特徴または随意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない随意による特徴であることが意図される。
【0012】
本発明の第1の態様において、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置が開示される。
【0013】
本明細書において使用されるとき、「ラボラトリ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのラボラトリ機器を備える少なくとも1つの環境を指すことがある。ラボラトリは、対応する測定および制御を行う機会を提供するという点において、自然科学および/または工学の分野における作業のために構成された場所であってよい。ラボラトリは、体外診断ラボラトリとして設計されてよい。本明細書において使用されるとき、「体外診断」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。具体的には、体外診断は、例えば人体または動物の体から取得された生体サンプルなどのサンプルについて少なくとも1つの検査を実行することを含み得る。例えば、サンプルについての検査は、少なくとも1つの試薬をサンプルに適用し、検出可能な反応を監視することを含み得る。例えば、ラボラトリは、臨床検査室、医療検査室、法医学検査室、または血液バンクであってよい。
【0014】
本明細書において使用されるとき、「生体サンプル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、目的の少なくとも1つの被検物質を含んでいる可能性があり得る少なくとも1つの生物学的物質を指すことがある。例えば、生体サンプルは、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液を含み得る。例えば、生体サンプルは、生物学的化合物などの物質のアリコートであってよく、あるいは生物学的化合物などの物質のアリコートを含んでよい。具体的には、生体サンプルは、血液、血清、血漿、尿、唾液、のうちの1つ以上などの少なくとも1つの生体試料であってよく、あるいはそのような生体試料を含んでよい。生体サンプルは、液体サンプルであってよい。例えば、液体サンプルは、液体物質および/または1つ以上の液体物質を含有する溶液など、生物学的物質を含む少なくとも1つの純粋な液体であってよく、あるいはそのような少なくとも1つの純粋な液体を含んでよい。液体サンプルは、生物学的物質の懸濁液、エマルジョン、および/または分散液などの液体混合物であってもよく、あるいはそのような液体混合物を含んでもよい。生体サンプルは、例えば組織の少なくとも1つのサンプルなど、個体サンプルであってよい。
【0015】
本明細書において使用されるとき、「ラボラトリ機器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、生体サンプルの分析などの少なくとも1つの機能を実行するように構成されたラボラトリの任意の装置を指すことがある。ラボラトリ機器は、前分析ラボラトリ機器、分析ラボラトリ機器、または後分析ラボラトリ機器のうちの1つ以上であってよい。
【0016】
本明細書において使用されるとき、「時間トラッキング」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ラボラトリ機器の一状態の持続時間を測定するプロセスを指すことがある。本明細書において使用されるとき、「時間トラッキング装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、時間トラッキングを実行するように構成された装置を指すことがある。時間トラッキング装置は、時間を測定するための少なくとも1つのタイマまたはクロックを備え得る。タイマまたはクロックは、電子的に駆動されてよい。これに加え、あるいは代えて、時間トラッキング装置は、衛星テレビまたはコンピュータ接続を介して原子時計からなどの外部時間信号を受信するように設計されてもよい。時間トラッキング装置は、msまたはμs範囲の精度で時間を測定するように構成されてよい。
【0017】
本明細書において使用されるとき、「システムパフォーマンス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、使用時間に関する情報、可用性に関する情報、修理時間に関する情報などのシステム停止時間に関する情報、メンテナンス時間に関する情報、ラボラトリ機器の故障の時間に関する情報、ラボラトリ機器がオフラインである時間に関する情報、を指すことがある。本明細書において使用されるとき、「システムパフォーマンスを監視する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、例えば或る期間にわたる少なくとも2つの異なる時点におけるラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを判断することを指すことがある。監視は、システムパフォーマンスを文書化すること、少なくとも1つの時間ログを決定すること、手動レポートなどのシステムパフォーマンスに関する少なくとも1つのレポートを作成すること、のうちの1つ以上を含み得る。
【0018】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの支持構造体を備える。時間トラッキング装置は、支持構造体によって収容された少なくとも1つの電子ユニットおよび少なくとも1つの運動センサを備える。運動センサは、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するように構成される。電子ユニットは、時間を測定するように構成され、時間の測定は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって終了する。支持構造体は、複数の面を備える多角形の支持構造体である。支持構造体は、少なくとも2つのインタラクティブ面を備える。インタラクティブ面の各々は、少なくとも1つの表示装置を備える少なくとも1つのユーザインターフェースを備える。インタラクティブ面の各々は、ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示を表示するように構成される。ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面を、ユーザが、時間トラッキング装置の運動および/または向きを変更することによって選択することができる。時間トラッキング装置は、測定した時間に関するデータを少なくとも1つの通信インターフェースを介して提供するように構成される。
【0019】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの支持構造体を備える。本明細書において使用されるとき、「支持構造体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、任意の形状の三次元物体を指すことがある。支持構造体は、1つ以上の構成要素を完全に、または部分的に囲み、かつ/または覆い、これら1つ以上の構成要素に環境の影響および/または機械的影響および/または湿度などに対する保護を提供するように構成された一要素であってよい。支持構造体は、取り付けベースおよび/またはハウジングとして構成されてもよい。支持構造体は、具体的には、プラスチック材料、金属材料、または厚紙材料のうちの1つ以上で作られた剛的な支持構造体であってよい。例えば、支持構造体は、例えばプラスチックシェルまたは金属シェルなど、少なくとも1つの多角形の固いシェルを備えてよい。本明細書において使用されるとき、「少なくとも部分的に囲む」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、支持構造体が時間トラッキング装置の指定された構成要素を完全に囲む実施形態、および時間トラッキング装置のいくつかの部分または要素が支持構造体によって覆われない実施形態を指すことがある。例えば、支持構造体は、表示装置の画面を時間トラッキング装置の外側から視認できるようにユーザインターフェースを挿入可能であってよい切り欠きおよび/または窓を備え得る。
【0020】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの電子ユニットを備える。本明細書において使用されるとき、「電子ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、時間測定の実行、データの記憶、データの処理、時間トラッキング装置のさらなる構成要素への電力の供給、などのうちの1つ以上のために構成された時間トラッキング装置の少なくとも1つのユニットを指すことがある。電子ユニットは、少なくとも1つのマイクロプロセッサなどの少なくとも1つのプロセッサを備え得る。プロセッサは、コンピュータまたはシステムの基本的な動作を実行するように構成された任意の論理回路であってよく、かつ/または、一般に、計算または論理演算を実行するように構成された装置であってよい。とくに、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されてよい。例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算装置(ALU)、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給し、演算結果を記憶するように構成されたレジスタ、ならびにL1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを備えてよい。とくには、プロセッサは、マルチコアプロセッサであってよい。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)であってよく、あるいはCPUを備えてよい。これに加え、あるいは代えて、プロセッサは、Raspberry Pi(登録商標)またはArduino(登録商標)ベースのマイクロプロセッサなどのマイクロプロセッサであってよく、あるいはそのようなマイクロプロセッサを備えてよい。具体的には、プロセッサの要素は、単一の集積回路(IC)チップに含まれてよい。これに加え、あるいは代えて、プロセッサは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよく、あるいはこれらを備えてよい。プロセッサは、具体的には、ソフトウェアプログラミングなどによって、1つ以上の評価動作を実行するように構成されてよい。
【0021】
時間トラッキング装置は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するように構成された少なくとも1つの運動センサを備える。本明細書において使用されるとき、「運動センサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ装置をさすことがある。運動の変化は、水平面内、垂直面内、および/または回転軸周りなどの少なくとも1つの軸に沿った加速度であってよい。例えば、運動の変化は、時間トラッキング装置の振動を含んでもよい。向きの変化は、回転軸を中心にした時間トラッキング装置の少なくとも1回の移動を含んでよい。向きの変化は、例えば、時間トラッキング装置の回転および/または反転および/またはスクロールを含んでもよい。例えば、運動センサは、少なくとも1つのジャイロセンサを備えてよい。
【0022】
電子ユニットは、時間を測定するように構成される。電子ユニットは、時間を測定するための少なくとも1つのタイマまたはクロックを備え得る。タイマまたはクロックは、電子的に駆動されてよい。これに加え、あるいは代えて、電子ユニットは、衛星テレビまたはコンピュータ接続を介して原子時計からなどの外部時間信号を受信するように設計されてもよい。電子ユニットは、時間の測定を制御し得る。時間の測定の開始は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出する運動センサによって開始されてよい。運動センサは、センサ信号を電子ユニットに提供するように構成されてよい。電子ユニットは、センサ信号を受信すると時間の測定を開始するように構成されてよい。時間の測定は、運動センサがその後の時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出して、さらなるセンサ信号を電子ユニットに提供することで、終了し得る。電子ユニットは、センサ信号を受信すると時間の測定を終えるように構成されてよい。
【0023】
電子ユニットは、時間ログを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリを備え得る。本明細書において使用されるとき、「メモリ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、コンピュータ実行可能命令を記憶したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことがある。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、あるいはこれらを備えてもよい。本明細書において使用されるとき、「時間ログ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、とくにはラボラトリ機器の状態変化に関する事象の時間分解記録を含むプロトコル指すことがある。
【0024】
支持構造体は、複数の面を備える多角形の支持構造体である。本明細書において使用されるとき、「面」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、支持構造体の外面を指すことがある。支持構造体は、角錐、横置きの三角柱、横置きの五角柱、横置きの六角柱、立方体、からなる群から選択される三次元構造体であってよい。時間トラッキング装置は、モバイルおよび/またはポータブル時間トラッキング装置であってよい。時間トラッキング装置の寸法は、平均的な成人の手の直径に合わせられてよい。例えば、時間トラッキング装置の直径は、5~10cmの範囲にあってよい。
【0025】
支持構造体は、少なくとも2つのインタラクティブ面を備える。本明細書において使用されるとき、「インタラクティブ面」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、時間トラッキング装置のユーザに一方向または双方向のインターフェースを提供するように構成された支持構造体の面を指すことがある。インタラクティブ面の各々は、少なくとも1つの表示装置を備える少なくとも1つのユーザインターフェースを備える。本明細書において使用されるとき、「ユーザインターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、限定はされないが、1つ以上のデータまたはコマンドの交換など、例えば一方向または双方向に情報を交換する目的で、周囲の環境と対話するように構成された時間トラッキング装置の機能を指すことがある。例えば、ユーザインターフェースは、双方向のインターフェースであってよい。ユーザインターフェースは、ユーザと情報を共有し、ユーザによって情報を受信するように構成されてよい。ユーザインターフェースは、ユーザと視覚的に対話するように構成されてよい。したがって、ユーザインターフェースは、少なくとも1つの表示装置を備える。
【0026】
「表示装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのディスプレイを備える少なくとも1つの電子装置を指すことがある。本明細書においてさらに使用されるとき、「ディスプレイ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つの画像、少なくとも1つの図、少なくとも1つのヒストグラム、少なくとも1つのテキスト、少なくとも1つの標識、などの情報アイテムを表示するように構成された任意の形状の装置を指すことがある。具体的には、表示装置は、少なくとも1つの画面を備える。画面は、矩形の形状などの任意の形状を有してよい。画面の形状は、支持構造体の形状に合わせられてよい。表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、とくにはOLEDホイルディスプレイ、eINK(登録商標)ディスプレイ、のうちの1つ以上を備え得る。表示装置は、タッチ感知型および/またはジェスチャ感知型であってもよい。例えば、表示装置は、例えば時間の測定を開始させるために振り動かす、ホーム画面に戻るために2回タップする、など、単純なジェスチャによって時間トラッキング装置の1つ以上の動作がトリガされるように構成されてよい。時間トラッキング装置は、例えば、電子ユニットによって表示装置を制御する、表示装置に電力を供給する、などのために、表示装置と電子ユニットとの間の電気的接続を備え得る。
【0027】
インタラクティブ面の各々は、表示装置によってラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示を表示するように構成されてよい。ラボラトリ機器の状態は、使用中、スタンバイ、メンテナンス中、修理中、故障中、オフライン、のうちの1つ以上であってよい。「状態表示」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、任意の視覚的表示を指すことがある。視覚的指示は、ラボラトリ機器の状態を示す特定の波長の光、ラボラトリ機器の状態を示すテキストおよび/または数字および/または文字の使用を含むことがある。
【0028】
それぞれのインタラクティブ面によって表示されるラボラトリ機器の状態表示を、それぞれのインタラクティブ面に割り当てることが可能であってよい。電子ユニットは、インタラクティブ面によって表示される状態表示を制御し、例えば設定するように構成されてよい。電子ユニットは、例えば時間トラッキング装置に接続された少なくとも1つのコンピュータを介して、リモート制御部によって制御可能であって、状態表示をリモート制御部によって割り当てることが可能であってよい。例えば、状態表示は、ラボラトリ機器の種類および/またはラボラトリ機器の履歴に応じて割り当てられてよい。
【0029】
インタラクティブ面の各々は、時間トラッキング装置の回転の回数にかかわらず、ラボラトリ機器の1つの状態表示を表示するように構成されてよい。例えば、時間トラッキング装置は、6つの異なる状態表示を選択することを可能にし得、支持構造体は、1つの状態表示に対して1つずつ、6つのインタラクティブ面を備える。
【0030】
時間トラッキング装置は、ハイパースクロールするように構成されてよい。時間トラッキング装置の回転の回数に応じた状態表示がインタラクティブ面によって表示され得る。例えば、時間トラッキング装置は、6+x個の異なる状態表示を選択することを可能にし得る。支持構造体は、6つのインタラクティブ面を備えてよく、状態表示は、時間トラッキング装置のオーバーツイストによって視認可能になる。時間トラッキング装置を、支持構造体の側面よりも多数または少数のページを有する仮想スクロールホイールとして構成してもよい。
【0031】
「現在の状態」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ラボラトリ機器の実際の状態を指すことがある。ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面を、ユーザが、時間トラッキング装置の運動および/または向きを変更することによって選択することができる。例えば、時間トラッキング装置は、少なくとも1つの選択位置を備え得る。時間トラッキング装置は、ラボラトリ機器の現在の状態に対応するインタラクティブ面を選択位置へともたらすことによって、ラボラトリ機器の現在の状態を選択するように構成されてよい。選択位置は、重力の方向に対して定義されてよい。選択位置は、選択されるインタラクティブ面が上方に向けられる位置、すなわち重力の方向がインタラクティブ面の平面の法線になる位置であってよい。しかしながら、他の選択位置も可能であってよい。選択位置は、支持構造体の三次元構造体に応じて規定されてもよい。例えば、立方体の場合、選択位置は、選択されるインタラクティブ面が上方へと向けられる位置であってよい。例えば、横置きの六角形の場合、選択位置は、選択されるインタラクティブ面が重力の方向と30°の角度をなす位置であってよい。選択位置は、充電要素の表面などの時間トラッキング装置が配置される表面に応じて規定されてもよい。充電要素は、充電ステーションと呼ばれることもある。重力の方向に対する向きは、ジャイロセンサなどの運動センサによって決定することが可能である。これに加え、あるいは代えて、ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする状態表示を、インタラクティブ面をタップするなどの少なくとも1つのジェスチャを使用することによって選択してもよい。
【0032】
電子ユニットは、測定した時間を、選択されたインタラクティブ面に応じたラボラトリ機器の状態に割り当てるように構成されてよい。
【0033】
電子ユニットは、表示装置を制御するように構成されてよい。上記で概説したように、時間トラッキング装置は、回転させられ、あるいは裏返されるなど、移動させられ得る。具体的には、制御は、時間トラッキング装置の向きに応じて表示装置によって表示される情報の向きを調整することを含み得る。これにより、ユーザによる状態表示のユーザフレンドリーな読み取りが可能になり得る。
【0034】
インタラクティブ面は、追加の情報を示すように構成されてよい。インタラクティブ面は、少なくとも1つの警告メッセージ、少なくとも1つのメンテナンス情報、ラボラトリ機器の所有者に関する情報、少なくとも1つのさらなるラボラトリ機器に関する情報、メニュー、少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの読み取り値、サードパーティアプリケーションおよび/またはセンサからのメッセージ、データソース全般、以前の状態情報、Digital Instrument Bookなどの機器関連の文書化システムからの詳細、予約システムおよび/または活動計画部などの外部データベースによって提供される機器の予約状態、のうちの1つ以上を表示するように構成されてよい。例えば、インタラクティブ面は、例えば近傍の他の分析器のエラーを示すために、ラボラトリのさらなる時間トラッキング装置および/またはラボラトリ機器からの相互情報を表示するように構成されてよい。これにより、ユーザに限られた数の情報だけを示すのではなく、ラボラトリ機器の使用に関する情報を示すことが可能になり得る。
【0035】
支持構造体の面の各々は、複数の波長の光を放射するように構成された少なくとも1つの発光体を備え得る。発光体は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)であってよい。例えば、インタラクティブ面の場合、発光体は、表示装置および/またはLED などの少なくとも1つのさらなる発光体であってよい。波長が、状態表示の各々に割り当てられてよく、電子ユニットは、ユーザによって選択されたインタラクティブ面に応じて発光体の波長を切り換えるように構成されてよい。
【0036】
時間トラッキング装置は、環境条件を監視するように構成された少なくとも1つのセンサを備え得る。センサは、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの湿度センサ、磁気妨害を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、並びに、少なくとも1つのGPSセンサ、Glonassセンサ、Galileoセンサ、少なくとも1つのブルートゥース(登録商標)・ロー・エナジー(BLE)センサなどの少なくとも1つの位置センサ、からなる群から選択されてよい。少なくとも1つのセンサは、温度、圧力、湿度、などの環境条件を監視し得る。これらの手段は、機器エラーの故障をトラブルシューティングするために役立つ可能性がある。また、これらの測定は、ラボラトリ機器の測定データに追加の情報層を追加し得る。GPSセンサは、機器の位置を自動的に割り当てるように構成されてよい。これは、複数の場所または建物に関してとくに有用であり得る。
【0037】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つのRFIDリーダおよび/または少なくとも1つのNFC(近距離通信)リーダなどの少なくとも1つのリーダを備えてよい。リーダは、ユーザのタグまたはカードなどの少なくとも1つの識別装置からユーザに関する情報を受信するように構成されてよい。例えば、RFIDリーダは、ユーザのRFIDタグなどの少なくとも1つのRFID識別装置からユーザに関する情報を受信するように構成されてよい。本明細書において使用されるとき、「RFID識別装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、無線周波数電磁放射線を使用し、とくにはNFC規格を使用することによって、RFIDリーダとデータ情報を交換するように構成されたラベルを指すことがある。RFID識別装置は、無線周波数信号を受信および放射するように構成されたアンテナと、データ情報を記憶するように構成されたマイクロチップなどの電子チップとをさらに備え得る。具体的には、RFID識別装置は、電子導電コイルを有し、随意により少なくとも1つのマイクロチップを有する可撓性基板であってよい。電子ユニットは、測定された時間をユーザに関する情報と組み合わせるように構成されてよい。システムの使用をユーザと組み合わせるためにRFIDリーダを追加することは、生産性を評価し、かつ/またはユーザの最良の実施を明らかにする可能性を有することを可能にし得る。例えば、RFID識別装置は、例えば企業IDを介してユーザを識別するように利用可能なインフラストラクチャを使用して実現されてもよい。例えば、時間トラッキング装置は、少なくとも1つのNFCチップを備えてよく、NFCリーダが使用されてよい。RFIDの使用は、NFCと比較してより長い距離にわたる通信を可能にし得る。
【0038】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの指紋センサを備え得る。指紋センサは、ユーザから少なくとも1つの指紋を読み取ることでユーザに関する情報を受信するように構成されてよい。指紋センサは当業者に知られている。指紋センサは、時間トラッキング装置および接続されたラボラトリ機器へのアクセスを制御するためにアクセス制御システムと組み合わせて使用され得る。電子ユニットは、指紋センサによる指紋の読み出しと、アクセス制御システムに記憶されたユーザの少なくとも1つの指紋とを組み合わせて、ラボラトリ機器またはラボラトリのさらなる要素へのアクセスを制御するように構成されてよい。例えば、指紋識別装置は、指紋を介してユーザを識別するために利用可能なインフラストラクチャを使用して実現され得る。
【0039】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの電子カメラを備え得る。適切な電子カメラは、当業者に知られている。
【0040】
電子カメラは、1Dバーコード、2Dバーコード、またはQRコード(登録商標)などのバーコードを読み取るように構成されてよい。
【0041】
電子カメラは、画像を取り込むようにさらに構成されてよい。これらの画像は、機器エラーの故障のトラブルシューティングに役立つ可能性がある。画像は、ラボラトリ機器の測定データに追加の情報層を追加し得る。画像を、例えば、それらの画像がデータベースまたは電子ラボラトリブックに記憶される場合や、それらの画像が電子通信システムを介してシステムサポートに送信される場合に、システム障害の文書化に使用することが可能である。
【0042】
電子カメラは、顔認識のためにさらに構成されてよい。電子カメラは、ユーザの顔の画像を受信するように構成されてよい。電子カメラは、時間トラッキング装置および接続されたラボラトリ機器へのアクセスを制御するためにアクセス制御システムと組み合わせて使用され得る。電子ユニットは、電子カメラの読み出し(画像)とアクセス制御システムに記憶されたユーザの少なくとも1つの顔画像とを組み合わせて、システムへのアクセスを制御するように構成されてよい。例えば、電子カメラは、ユーザを顔画像によって識別するために利用可能なインフラストラクチャを使用して実現され得る。
【0043】
時間トラッキング装置は、少なくとも充電式エネルギーユニットを備えてよい。充電式エネルギーユニットは、少なくとも1つの充電式電池を備えてよい。充電式エネルギーユニットは、電子ユニットの一部であっても、別個のユニットであってもよい。例えば、充電式エネルギーユニットは、少なくとも1つの充電式電池を受け入れるように構成された少なくとも1つの電池ハウジングを備えてよい。充電式エネルギーユニットは、無線充電用に構成されてもよい。時間トラッキング装置は、充電式エネルギーユニットを充電するための少なくとも1つのコネクタを備えてよい。コネクタは、支持構造体の面に配置されてよい。例えば、時間トラッキング装置は、少なくとも1つのqi充電器を備えてよく、qi充電器は、充電式エネルギーユニットを充電するための充電ステーションに配置される。
【0044】
時間トラッキング装置は、可聴情報を提供するように構成された少なくとも1つのスピーカユニットを備えてよい。時間トラッキング装置は、音声コマンドを受信するように構成された少なくとも1つのマイクロホンユニットを備えてよい。スピーカユニットおよびマイクロホンユニットは、時間トラッキング装置を、指示および文書化などのためのラボラトリ日誌として使用することを可能にし得る。これは「ハンズフリーでの文書化」を可能にし得る。時間トラッキング装置は、例えば音声認識を使用することによるハンズフリーのデジタルデータ捕捉のために設計されてもよい。時間トラッキング装置は、時間トラッキング装置に割り当ておよび/または接続されたラボラトリ機器でのデータ捕捉のために設計されてよい。時間トラッキング装置は、外部ソースなどの他のソースからのデータおよび/または以前の時点からのデータを統合するように設計されてよい。時間トラッキング装置は、他の装置、例えば情報科学システムとの交換を可能にする通信ネットワークの一部であってもよい。
【0045】
時間トラッキング装置は、測定した時間に関するデータを少なくとも1つの通信インターフェースを介して提供するように構成されてよい。本明細書において使用されるとき、「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指すことがある。とくには、通信インターフェースは、例えば別の装置へと情報を送信または出力するなどの目的で、例えばコンピュータなどの計算装置から情報を転送するように構成されてよい。これに加え、あるいは代えて、通信インターフェースは、例えば情報を受信するために、例えばコンピュータなどの計算装置へと情報を転送するように構成されてよい。通信インターフェースは、具体的には、情報を転送または交換するための手段を提供し得る。とくには、通信インターフェースは、例えば、ブルートゥース(登録商標)、NFC、誘導結合、などのデータ転送接続を提供し得る。例として、通信インターフェースは、ネットワークまたはインターネットポート、USBポート、およびディスクドライブのうちの1つ以上を備える少なくとも1つのポートであってよく、あるいはそのような少なくとも1つのポートを備えてよい。通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースであってよい。時間トラッキング装置は、通信インターフェースを介してコマンドを受信することによってリモート制御可能であってもよい。
【0046】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つのスイッチ、具体的には少なくとも1つのマイクロスイッチを備えてよい。電子ユニットは、スイッチの作動によってトリガされる少なくとも1つの所定の動作を実行するように構成されてよい。所定の動作は、ラボラトリ機器が故障したという情報を通信インターフェースを介してさらなる装置に提供すること、時間トラッキング装置をオフにすること、時間トラッキング装置をスタンバイにすること、あるいはラボラトリ機器が利用可能であるという自動メッセージを通信インターフェースを介して次のユーザおよび/またはさらなる装置に提供すること、のうちの1つ以上を含む。スイッチの統合は、バックグラウンドで所定の動作をトリガすることを可能にし得、例えば、機器の故障、キューブの故障、サービスの警告、第2のアイデア:予約カレンダーと比較した場合の「スタンバイ」への早期切り換え、システムがより早期に利用可能である旨の次のユーザまたはインラインのサービスへの自動メッセージ。
【0047】
本発明のさらなる態様において、ラボラトリシステムが開示される。
【0048】
本明細書において使用されるとき、「システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、全体を形成する相互作用または相互依存する構成要素部分の任意の組を指すことがある。具体的には、構成要素は、少なくとも1つの共通の機能を果たすために互いに相互作用してよい。少なくとも2つの構成要素が、独立して取り扱われてよく、あるいは結合し、もしくは接続可能であってもよい。本明細書において使用されるとき、「ラボラトリシステム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ラボラトリ内で相互作用することができる少なくとも2つの要素または構成要素の群を指すことがある。
【0049】
ラボラトリシステムは、少なくとも1つのラボラトリ機器と、本発明による少なくとも1つの時間トラッキング装置とを備える。ラボラトリシステムは、少なくとも1つの処理装置をさらに備える。処理装置は、時間トラッキング装置の通信インターフェースから測定された時間に関するデータを受信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを備える。処理装置は、時間トラッキング装置の通信インターフェースから受信する測定された時間に関するデータを評価することによってラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するように構成された少なくとも1つの評価装置を備える。
【0050】
本明細書において使用されるとき、「処理装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、データについて動作するように構成された任意の電子回路を指すことがある。とくには、処理装置は、通信インターフェースを介して受信したデータについて動作を実行するように構成されてよい。例として、処理装置は、具体的には、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの集積回路(IC)であってよく、あるいはこれらを備えてよい。
【0051】
本明細書において使用されるとき、「評価装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、指すことがある。
【0052】
評価装置は、時間トラッキング装置の通信インターフェースから受信する測定された時間に関するデータを評価することによって、機器の使用および/または停止時間を予測するように構成されてよい。時間トラッキング装置の通信インターフェースから受信する測定された時間に関するデータの評価は、機器の使用および/または停止時間を予測するためのアルゴリズムの使用を含み得る。例えば、評価装置は、取得したデータなどに基づいて、いつがメンテナンスにとって理想的な時点であるか、どの時刻および曜日が使用の妨げになりにくいとして最良であるか、将来の現実的な設備使用時間は何か、などのうちの1つ以上を決定するように構成されてよい。
【0053】
ラボラトリシステムは、複数のラボラトリ機器を備えてもよい。ラボラトリシステムは、それぞれがラボラトリ機器のうちの1つに割り当てられた複数の時間トラッキング装置を備えてよい。ラボラトリシステムは、少なくとも1つの無線通信ネットワークを備え得る。時間トラッキング装置は、無線通信ネットワークのノードとして構成されてよい。
【0054】
時間トラッキング装置およびラボラトリシステムは、同様の種類の既知の装置と比べて多数の利点を提供する。時間トラッキング装置およびラボラトリシステムは、リアルタイム監視を可能にし得、したがって生産性、効率、および計画の信頼性を高め得る。例えば、システムパフォーマンスの監視を、ペーパーレスのプロセスとして可能にし得る。コンピュータへの面倒な移動を必要とする手書きの文書を不要にし得る。リアルタイムであると同時に、エラーが生じにくく、デジタルであり、よりユーザフレンドリーであり、とくにはユーザにとってほとんど時間に左右されない機械可読データの取得を、可能にし得る。これまでの手動のレポート、例えばシステム停止時間、パフォーマンス、および他の重要なパフォーマンス指標の自動化を可能にし得る。例えば、どの機械が現時点において利用可能であるか、および/または、どこに期限切れの「予約ツール」からの情報が存在するかなど、迅速かつ生のユーザフィードバックが利用可能であり得る。機器の停止時間の一貫した測定が、例えば、それが不要で計画されていない場所を明らかにするために可能であり得る。機器の停止時間における未知の要因を明らかにすることも可能であり得る。機器の数を増やすよりもむしろ既存の機器のパフォーマンスを向上させることが可能であり得るように、隠れたパフォーマンスを発見することが可能であり得る。通信および協調を強化することが可能であり得る。予想外の停止期間を有する機械を指摘し、まだ明らかにされていない原因を根絶することができる予知保全への切り換えが可能であり得る。実使用データに基づく計画の改善が可能であり得る。例えば、どのステップに時間がかかりすぎているか、可用性およびハードウェアの観点からも機器の使用をどのようにさらに改善できるのか、など、機器の使用と実際の機器の実行時間とを区別することが可能であり得る。標準化された手段によって異なるシステムおよび場所を互いにベンチマークし、最良の実施につなげることが可能であり得る。装置は、S2ラボラトリに好適であってよく、機器の種類および型式とは無関係であり得る。時間トラッキング装置を、WiFiおよび/またはIoT、例えばLora、BLEネットワークなどの既存の無線ネットワークに統合することが可能であり得る。
【0055】
WiFiおよび/またはIoT、例えばLora、BLEなどのトラッキング装置の無線ネットワークを使用することによって、時間トラッキング装置のソフトウェアの無線での更新(UOA)を行うことが可能であり得る。UOAは、時間トラッキング装置へと別のコンピュータシステムから受信またはプッシュされてよい。
【0056】
さらなる態様において、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための方法が提案される。本方法は、本発明による少なくとも1つの時間トラッキング装置を使用することを含む。したがって、時間トラッキング装置の実施形態および定義に関して、上記または下記の時間トラッキング装置の説明が参照される。本方法は、一例として、所与の順序で実行されてよい以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、方法ステップのうちの1つ以上を1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に、または時間的に重なって実行することが可能である。方法は、挙げられていないさらなる方法ステップを含んでもよい。本方法は、以下のステップ、すなわち、
i)時間トラッキング装置のインタラクティブ面によってラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示を表示するステップと、
ii)時間トラッキング装置の運動および/または向きを変更することによって、ユーザがラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面を選択するステップと、
iii)運動センサを使用することによって時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するステップと、
iv)電子ユニットを使用することによって時間を測定するステップであって、時間の測定は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって終了するステップと、
v)測定した時間に関するデータを、時間トラッキング装置の少なくとも1つの通信インターフェースを介して提供するステップと
を含む。
【0057】
要約すると、さらなる実施形態の可能性を排除することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0058】
実施形態1 少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置であって、少なくとも1つの支持構造体を備え、支持構造体によって収容された少なくとも1つの電子ユニットおよび少なくとも1つの運動センサを備えており、運動センサは、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するように構成され、電子ユニットは、時間を測定するように構成され、時間の測定は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって終了し、支持構造体は、複数の面を備える多角形の支持構造体であり、支持構造体は、少なくとも2つのインタラクティブ面を備え、インタラクティブ面の各々は、少なくとも1つの表示装置を備える少なくとも1つのユーザインターフェースを備え、インタラクティブ面の各々は、ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示を表示するように構成され、ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面は、時間トラッキング装置の運動および/または向きを変えることによってユーザが選択可能であり、時間トラッキング装置は、測定した時間に関するデータを、少なくとも1つの通信インターフェースを介して提供するように構成されている、時間トラッキング装置。
【0059】
実施形態2 ユーザインターフェースは、双方向のインターフェースである、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0060】
実施形態3 電子ユニットは、測定した時間を、選択されたインタラクティブ面に応じたラボラトリ機器の状態に割り当てるように構成される、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0061】
実施形態4 インタラクティブ面の各々は、時間トラッキング装置の回転の回数にかかわらず、ラボラトリ機器の1つの状態表示を表示するように構成されている、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0062】
実施形態5 時間トラッキング装置は、ハイパースクロールするように構成され、インタラクティブ面によって表示される状態表示が、時間トラッキング装置の回転の回数に依存する、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0063】
実施形態6 電子ユニットは、表示装置を制御するように構成され、制御は、時間トラッキング装置の向きに応じて表示装置によって表示される情報の向きを調整することを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0064】
実施形態7 それぞれのインタラクティブ面によって表示されるラボラトリ機器の状態表示は、それぞれのインタラクティブ面に割り当て可能である、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0065】
実施形態8 インタラクティブ面は、少なくとも1つの警告メッセージ、少なくとも1つのメンテナンス情報、ラボラトリ機器の所有者に関する情報、少なくとも1つのさらなるラボラトリ機器に関する情報、メニュー、少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの読み取り値、サードパーティアプリケーションおよび/またはセンサからのメッセージ、データソース全般、以前の状態情報、Digital Instrument Bookなどの機器関連の文書化システムからの詳細、予約システムおよび/または活動計画部などの外部データベースによって提供される機器の予約状態、のうちの1つ以上を表示するように構成される、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0066】
実施形態9 支持構造体の面の各々は、複数の波長で光を発するように構成された少なくとも1つの発光体を備え、波長は、状態表示の各々に割り当てられ、電子ユニットは、ユーザによって選択されたインタラクティブ面に応じて発光体の波長を切り換えるように構成される、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0067】
実施形態10 運動センサは、少なくとも1つのジャイロセンサを備える、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0068】
実施形態11 支持構造体は、角錐、横置きの三角柱、横置きの五角柱、横置きの六角柱、立方体、からなる群から選択される三次元構造体である、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0069】
実施形態12 支持構造体は、少なくとも1つの多角形の固いシェル、例えばプラスチックシェルまたは金属シェルを備える、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0070】
実施形態13 電子ユニットは、時間ログを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリを備える、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0071】
実施形態14 時間トラッキング装置は、環境条件を監視するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、センサは、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの湿度センサ、磁気妨害を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、並びに、少なくとも1つのGPSセンサ、Glonassセンサ、Galileoセンサ、BLEセンサなどの少なくとも1つの位置センサ、からなる群から選択される、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0072】
実施形態15 時間トラッキング装置は、少なくとも1つのリーダを備え、リーダは、ユーザの少なくとも1つの識別装置からユーザに関する情報を受信するように構成され、電子ユニットは、測定した時間をユーザに関する情報と組み合わせるように構成される、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0073】
実施形態16 時間トラッキング装置は、少なくとも1つの充電式エネルギーユニットを備え、充電式エネルギーユニットは、無線で充電されるように構成されている、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0074】
実施形態17 時間トラッキング装置は、可聴情報を提供するように構成された少なくとも1つのスピーカユニットを備える、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0075】
実施形態18 時間トラッキング装置は、音声コマンドを受信するように構成された少なくとも1つのマイクロホンユニットを備える、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0076】
実施形態19 時間トラッキング装置は、通信インターフェースを介してコマンドを受信することによってリモート制御可能である、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0077】
実施形態20 時間トラッキング装置は、少なくとも1つのスイッチを備え、電子ユニットは、スイッチの作動によってトリガされる少なくとも1つの所定の動作を実行するように構成され、所定の動作は、ラボラトリ機器が故障したという情報を通信インターフェースを介してさらなる装置に提供すること、時間トラッキング装置をオフにすること、時間トラッキング装置をスタンバイ状態にすること、あるいはラボラトリ機器が利用可能であるという自動メッセージを通信インターフェースを介して次のユーザおよび/またはさらなる装置に提供すること、のうちの1つ以上を含む、先行の実施形態のいずれか1つによる時間トラッキング装置。
【0078】
実施形態21 少なくとも1つのラボラトリ機器と、先行の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの時間トラッキング装置とを備え、少なくとも1つの処理装置をさらに備え、処理装置は、時間トラッキング装置の通信インターフェースから測定した時間に関するデータを受信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを備え、処理装置は、時間トラッキング装置の通信インターフェースから受信する測定した時間に関するデータを評価することによってラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するように構成された少なくとも1つの評価装置を備える、ラボラトリシステム。
【0079】
実施形態22 ラボラトリシステムは、複数のラボラトリ機器を備え、ラボラトリシステムは、複数の時間トラッキング装置を備え、各々の時間トラッキング装置が、ラボラトリ機器のうちの1つに割り当てられている、先行の実施形態によるラボラトリシステム。
【0080】
実施形態23 ラボラトリシステムは、少なくとも1つの無線通信ネットワークを備え、時間トラッキング装置は、無線通信ネットワークのノードとして構成されている、先行の実施形態によるラボラトリシステム。
【0081】
実施形態24 時間トラッキング装置に関する先行の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの時間トラッキング装置を使用して、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための方法であって、
i)時間トラッキング装置のインタラクティブ面によってラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示を表示するステップと、
ii)時間トラッキング装置の運動および/または向きを変更することによって、ユーザがラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面を選択するステップと、
iii)運動センサを使用することによって時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出するステップと、
iv)電子ユニットを使用することによって時間を測定するステップであって、時間の測定は、時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の時間トラッキング装置の運動および/または向きの変化を検出することによって終了するステップと、
v)測定した時間に関するデータを、時間トラッキング装置の少なくとも1つの通信インターフェースを介して提供するステップと
を含む方法。
【0082】
さらなる随意による特徴および実施形態が、好ましくは従属請求項と併せて、以下の実施形態の説明においてさらに詳細に開示される。そこで、それぞれの随意による特徴は、当業者であれば理解できるとおり、独立した様相ならびに任意の実行可能な組み合わせにて実現され得る。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるわけではない。実施形態は、図中に概略的に示されている。そこで、これらの図における同一の参照符号は、同一または機能的に同等の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1A】本発明による時間トラッキング装置の実施形態の典型的な寸法を示している。
【
図1B】本発明による時間トラッキング装置の実施形態の典型的な形状を示している。
【
図1C】本発明による時間トラッキング装置の実施形態の典型的な形状を示している。
【
図1D】本発明による時間トラッキング装置の実施形態の典型的な形状を示している。
【
図2A】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2B】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2C】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2D】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2E】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2F】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図2G】六角形の形状を有する時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図3A】立方体の形態の時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図3B】立方体の形態の時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図3C】立方体の形態の時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図3D】立方体の形態の時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図3E】立方体の形態の時間トラッキング装置の実施形態の図を示している。
【
図4A】ハイパースクロール機能を備えた時間トラッキング装置の実施形態を示している。
【
図4B】ハイパースクロール機能を備えた時間トラッキング装置の実施形態を示している。
【
図5A】時間トラッキング装置の使用を説明するフローチャートを示している。
【
図5B】それぞれの状況における時間トラッキング装置を示している。
【
図5C】それぞれの状況における時間トラッキング装置を示している。
【
図5D】時間トラッキング装置と対話するユーザを示している。
【
図6】本発明によるラボラトリシステムの実施形態の一部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1Aが、本発明による少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置112の一実施形態を示している。ラボラトリ機器は、生体サンプルの分析などの少なくとも1つの機能を実行するように構成されたラボラトリの任意の装置であってよい。ラボラトリ機器は、前分析ラボラトリ機器、分析ラボラトリ機器、または後分析ラボラトリ機器のうちの1つ以上であってよい。ラボラトリは、対応する測定および制御を行う機会を提供するという点において、自然科学および/または工学の分野における作業に向けて構成された場所であってよい。ラボラトリは、例えば人体または動物の体から取得された生体サンプルなどのサンプルについて少なくとも1つの検査を実行するように構成された体外診断ラボラトリとして設計されてよい。例えば、サンプルについての検査は、少なくとも1つの試薬をサンプルに適用し、検出可能な反応を監視することを含んでよい。例えば、ラボラトリは、臨床検査室、医療検査室、法医学検査室、または血液バンクであってよい。
【0085】
時間トラッキング装置112は、時間トラッキングを実行するように構成されてよい。時間トラッキング装置112は、ラボラトリ機器の一状態の継続時間を測定するように構成されてよい。時間トラッキング装置112は、時間を測定するための少なくとも1つのタイマまたはクロックを備えてよい。タイマまたはクロックは、電子的に駆動されてよい。これに加え、あるいは代えて、時間トラッキング装置112は、衛星テレビまたはコンピュータ接続を介して原子時計からなどの外部時間信号を受信するように設計されてもよい。時間トラッキング装置112は、msまたはμs範囲の精度で時間を測定するように構成されてよい。
【0086】
時間トラッキング装置112は、システムパフォーマンスを監視するように構成される。システムパフォーマンスは、使用時間に関する情報、可用性に関する情報、修理時間に関する情報などのシステム停止時間に関する情報、メンテナンス時間に関する情報、ラボラトリ機器の故障の時間に関する情報、ラボラトリ機器がオフラインである時間に関する情報であってよい。システムパフォーマンスの監視は、例えば或る期間にわたる少なくとも2つの異なる時点におけるラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを判断することを含み得る。監視は、システムパフォーマンスを文書化すること、少なくとも1つの時間ログを決定すること、手動レポートなどのシステムパフォーマンスに関する少なくとも1つのレポートを作成すること、のうちの1つ以上を含んでよい。
【0087】
時間トラッキング装置は、少なくとも1つの支持構造体114を備える。支持構造体114は、任意の形状の三次元物体であってよい。支持構造体114は、1つ以上の構成要素を完全に、または部分的に囲み、かつ/または覆い、これら1つ以上の構成要素に環境の影響および/または機械的影響および/または湿度などに対する保護を提供するように構成された一要素であってよい。支持構造体114は、取り付けフレーム150および/またはハウジングと呼ばれることもある取り付けベースとして構成されてもよい。
【0088】
支持構造体114は、具体的には、プラスチック材料、金属材料、または厚紙材料のうちの1つ以上で作られた剛的な支持構造体であってよい。例えば、支持構造体114は、例えばプラスチックシェルまたは金属シェルなど、少なくとも1つの多角形の固いシェルを備えてよい。例えば、支持構造体114は、表示装置140の画面158を時間トラッキング装置112の外側から視認できるようにユーザインターフェース138が挿入可能であり得る切り欠きおよび/または窓156を備えてよい。
【0089】
支持構造体114は、角錐122、横置きの三角柱、横置きの五角柱、横置きの六角柱126、立方体124、からなる群から選択される三次元構造体であってよい。時間トラッキング装置112は、モバイルおよび/またはポータブル時間トラッキング装置112であってよい。
図1Aに示されるように、時間トラッキング装置112の寸法は、平均的な成人の手110の直径に合わせられてよい。
図1Aに示される実施形態において、時間トラッキング装置112は、立方体124の形状を有する。手110の直径および対応するサイズの時間トラッキング装置112の寸法が、
図1A~
図1Dにおいて「L」と標記された両矢印で示されている。例えば、時間トラッキング装置112の「L」と標記された寸法は、5cm~10cmの範囲にあってよい。これに応じて、
図1B~
図1Dに見られるように、「l」と標記された時間トラッキング装置112の辺128の長さが調整されてよい。
【0090】
時間トラッキング装置112は、支持構造体114によって収容された少なくとも1つの電子ユニット116および少なくとも1つの運動センサ118を備える(例えば、
図2を参照)。
【0091】
電子ユニット116は、時間測定の実行、データの記憶、データの処理、時間トラッキング装置112のさらなる構成要素への電力の供給、などのうちの1つ以上のために構成された時間トラッキング装置112の少なくとも1つのユニットであってよい。電子ユニット116は、少なくとも1つのマイクロプロセッサなどの少なくとも1つのプロセッサを備えてよい。プロセッサは、コンピュータまたはシステムの基本的な動作を実行するように構成された任意の論理回路であってよく、かつ/または、一般に、計算または論理演算を実行するように構成された装置であってよい。とくに、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されてよい。例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算装置(ALU)、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給し、演算結果を記憶するように構成されたレジスタ、ならびにL1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを備えてよい。とくには、プロセッサは、マルチコアプロセッサであってよい。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)であってよく、あるいはCPUを備えてよい。これに加え、あるいは代えて、プロセッサは、Raspberry Pi(登録商標)またはArduino(登録商標)ベースのマイクロプロセッサなどのマイクロプロセッサであってよく、あるいはそのようなマイクロプロセッサを備えてよい。具体的には、プロセッサの要素は、単一の集積回路(IC)チップに含まれてよい。これに加え、あるいは代えて、プロセッサは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよく、あるいはこれらを備えてよい。プロセッサは、具体的には、ソフトウェアプログラミングなどによって、1つ以上の評価動作を実行するように構成されてよい。
【0092】
運動センサ118は、時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ装置であってよい。運動の変化は、水平面内、垂直面内、および/または回転軸周りなどの少なくとも1つの軸に沿った加速度であってよい。例えば、運動の変化は、時間トラッキング装置112の振動を含んでもよい。向きの変化は、回転軸を中心とした時間トラッキング装置112の少なくとも1回の移動を含んでよい。向きの変化は、例えば、時間トラッキング装置112の回転および/または反転および/またはスクロールを含んでもよい。例えば、運動センサ118は、少なくとも1つのジャイロセンサを備え得る。
【0093】
電子ユニット116は、時間を測定するように構成される。電子ユニット116は、時間を測定するための少なくとも1つのタイマまたはクロックを備え得る。タイマまたはクロックは、電子的に駆動されてよい。これに加え、あるいは代えて、電子ユニット116は、衛星テレビまたはコンピュータ接続を介して原子時計からなどの外部時間信号を受信するように設計されてもよい。電子ユニット116は、時間の測定を制御し得る。時間の測定の開始は、時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出する運動センサによって開始されてよい。運動センサ118は、センサ信号を電子ユニット116に提供するように構成されてよい。電子ユニット116は、センサ信号を受信すると時間の測定を開始するように構成されてよい。時間の測定を、運動センサ118がその後の時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出して、さらなるセンサ信号を電子ユニット116に提供することで、終了させてよい。電子ユニット116は、センサ信号を受信すると時間の測定を終えるように構成されてよい。
【0094】
電子ユニット116は、時間ログを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリを備えてよい。メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことがある記憶媒体であってよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、あるいはこれらを備えてもよい。時間ログは、とくにはラボラトリ機器の状態変化に関する事象の時間分解記録を含むプロトコルであってよい。
【0095】
支持構造体114は、複数の面120を備える多角形の支持構造体114である。多角形の支持構造114は、
図1B、
図1C、および
図1Dに例示的に示される三次元構造体など、多数の異なる三次元構造体で具現化可能である。したがって、多角形の支持構造体114は、
図1B、
図1C、および
図1Dにそれぞれ示されるように、角錐122、立方体124、または六角柱126であってよい。
【0096】
他の形状の多角形支持構造体114も実現可能である。多角形の支持構造体114が
図1Cに示されるような六角柱126として具現化される場合、六角形134の2つの角129を結ぶ側面の辺128は、8cm~20cmの範囲の寸法を有してよい。この寸法は、
図1Dにおいて「k」と標記されている。
【0097】
図2Aが、横置きの六角柱126の形態の支持構造体114を有する時間トラッキング装置112の一実施形態を示している。
図2Aに示される時間トラッキング装置112の支持構造体114は、
図2B、
図2C、および
図2Dにさらに示される8つの面120を有する横置きの六角柱126である。
図2Bおよび
図2Cは、それぞれ「f」と標記された前部130および「e」と標記された後部132に相当する1つの面120を示している。前部130および後部132の両方は、六角形134の形状を有する。
図2Dは、面120「c2」と面120「a」とが継ぎ合わせられたときに
図2Aの横置きの六角柱126の周囲面を協働して形成する残りの6つの面120を示している。説明の目的のために、周囲面は、
図2Dにおいて、切り開かれて展開された様相で、6つの面120を横並びにして図示されている。
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dにおいて、それぞれの図に示された各々の面120に、標記が付されている。前面120は「f」と標記され、後面120は「e」と標記され、周囲面を形成する面120は、時間トラッキング装置112の全体の斜視図を示す
図2Aにおける各々の面120の位置に対応して、上部については「a」と、下部については「d」と、上方を向いた面120については「b1」および「b2」と、下方を向いた面120については「c1」および「c2」と標記されている。
【0098】
支持構造体114は、少なくとも2つのインタラクティブ面136を備え、インタラクティブ面136の各々は、少なくとも1つの表示装置140を備える少なくとも1つのユーザインターフェース138を備える。インタラクティブ面136は、時間トラッキング装置112のユーザ137に一方向または双方向のインターフェースを提供するように構成された支持構造体114の面120であってよい。ユーザインターフェース138は、1つ以上のデータまたはコマンドの交換など、例えば一方向または双方向に情報を交換する目的で、周囲の環境と対話するように構成されてよい。例えば、ユーザインターフェース138は、双方向インターフェースであってよい。ユーザインターフェース138は、ユーザ137と情報を共有し、ユーザ137による情報を受信するように構成されてよい。ユーザインターフェース138は、ユーザ137と視覚的に対話するように構成されてよい。したがって、ユーザインターフェース138は、少なくとも1つの表示装置140を備える。
【0099】
表示装置140は、少なくとも1つのディスプレイを備える少なくとも1つの電子装置であってよい。ディスプレイは、少なくとも1つの画像、少なくとも1つの図、少なくとも1つのヒストグラム、少なくとも1つのテキスト、少なくとも1つの標識、などの情報アイテムを表示するように構成されてよい。具体的には、表示装置140は、少なくとも1つの画面158を備える。画面158は、矩形の形状などの任意の形状を有してよい。画面158の形状は、支持構造体114の形状に適合させた形状であってよい。表示装置140は、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、とくにはOLEDホイルディスプレイ、eINK(登録商標)ディスプレイ、のうちの1つ以上を備えてよい。表示装置140は、タッチ感知型および/またはジェスチャ感知型であってもよい。例えば、表示装置140は、例えば時間の測定を開始させるために振り動かす、ホーム画面に戻るために2回タップする、など、単純なジェスチャによって時間トラッキング装置の1つ以上の動作がトリガされるように構成されてよい。時間トラッキング装置112は、例えば、電子ユニット116によって表示装置140を制御する、表示装置140に電力を供給する、などのために、表示装置140と電子ユニット116との間の電気的接続を備えてよい。
【0100】
インタラクティブ面136の各々が、表示装置140によってラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示171を表示するように構成されてよい。ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面136を、時間トラッキング装置112の運動および/または向きを変更することによってユーザ137が選択することができる。ラボラトリ機器の状態は、使用中、スタンバイ、メンテナンス中、修理中、故障中、オフライン、のうちの1つ以上であってよい。状態表示171は、任意の視覚的表示であってよい。視覚的指示は、ラボラトリ機器の状態を示す特定の波長の光、ラボラトリ機器の状態を示すテキストおよび/または数字および/または文字を使用することを含み得る。
【0101】
それぞれのインタラクティブ面136によって表示されるラボラトリ機器の状態表示171を、それぞれのインタラクティブ面136に割り当てることが可能であってよい。電子ユニット116は、インタラクティブ面136によって表示される状態表示171を制御、例えば設定するように構成されてよい。電子ユニット116は、例えば時間トラッキング装置112に接続された少なくとも1つのコンピュータを介して、リモート制御部によって制御可能であって、状態表示171をリモート制御部によって割り当てることが可能であってよい。例えば、状態表示171は、ラボラトリ機器の種類および/またはラボラトリ機器の履歴に応じて割り当てられてよい。現在の状態は、ラボラトリ機器の実際の状態であってよい。ラボラトリ機器の現在の状態にマッチするインタラクティブ面136を、時間トラッキング装置112の運動および/または向きを変更することによってユーザ137が選択することができる。例えば、時間トラッキング装置112は、例えば
図5の実施形態に示される少なくとも1つの選択位置184を備え得る。時間トラッキング装置112は、ラボラトリ機器の現在の状態に対応するインタラクティブ面136を選択位置184へともたらすことによって、ラボラトリ機器の現在の状態を選択するように構成されてよい。選択位置184は、重力の方向に対して定義され得る。選択位置184は、選択されるインタラクティブ面136が上方に向けられる位置、すなわち重力の方向がインタラクティブ面136の平面の法線になる位置であってよい。しかしながら、他の選択位置も可能であってよい。選択位置184は、支持構造体114の三次元構造体に応じて規定されてもよい。例えば、立方体124の場合、選択位置184は、選択されるインタラクティブ面136が上方へと向けられる位置であってよい。例えば、横置きの六角柱126の場合、選択位置184は、選択されるインタラクティブ面136が重力の方向と30°の角度をなす位置であってよい。選択位置184は、充電要素147の表面168などの時間トラッキング装置112が配置される表面168に応じて規定されてもよい。充電要素147は、充電ステーション147と呼ばれることもある。重力の方向に対する向きは、ジャイロセンサなどの運動センサ118によって決定することが可能である。これに加え、あるいは代えて、ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする状態表示171を、インタラクティブ面136をタップするなどの少なくとも1つのジェスチャを使用することによって選択してもよい。電子ユニット116は、測定した時間を、選択されたインタラクティブ面136に応じたラボラトリ機器の状態に割り当てるように構成されてよい。
【0102】
電子ユニット116は、表示装置140を制御するように構成されてよい。上記で概説したように、時間トラッキング装置112は、回転させられ、あるいは裏返されるなど、移動させられてよい。具体的には、制御は、時間トラッキング装置112の向きに応じて表示装置140によって表示される情報の向きを調整することを含み得る。これは、ユーザ137による状態表示171のユーザフレンドリーな読み取りを可能にし得る。
【0103】
インタラクティブ面136は、追加の情報を示すように構成されてよい。インタラクティブ面136は、少なくとも1つの警告メッセージ、少なくとも1つのメンテナンス情報、ラボラトリ機器の所有者に関する情報、少なくとも1つのさらなるラボラトリ機器に関する情報、メニュー、少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの読み取り値、サードパーティアプリケーションおよび/またはセンサからのメッセージ、データソース全般、以前の状態情報、Digital Instrument Bookなどの機器関連の文書化システムからの詳細、予約システムおよび/または活動計画部などの外部データベースによって提供される機器の予約状態、のうちの1つ以上を表示するように構成されてよい。例えば、インタラクティブ面136は、例えば近傍の他の分析器のエラーを示すために、ラボラトリのさらなる時間トラッキング装置112および/またはラボラトリ機器からの相互情報を表示するように構成されてよい。これは、ユーザ137に限られた数の情報だけを示すのではなく、ラボラトリ機器の使用に関する情報を示すことを可能にし得る。
【0104】
支持構造体114の面120の各々は、複数の波長の光を放射するように構成された少なくとも1つの発光体141を備えてよい。発光体141は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)142であってよい。例えば、インタラクティブ面136の場合、発光体141は、表示装置140および/またはLED142などの少なくとも1つのさらなる発光体141であってよい。波長が、状態表示171の各々に割り当てられてよく、電子ユニット116は、ユーザ137によって選択されたインタラクティブ面136に応じて発光体141の波長を切り換えるように構成されてよい。
【0105】
図2E、
図2F、および
図2Gが、横置きの六角柱126の形状の時間トラッキング装置112の特定の実施形態を示している。
図2Eは、前部カバー148を有する外側フレームワーク146を備える支持構造体114を示している。
図2Fは、フレームワーク146の中へとスライドさせることができる電子インサート152を示している。
図2Gは、電子インサート152を外側フレームワーク146の中へとスライドさせた状態の時間トラッキング装置112の正面図を示している。この実施形態において、周囲面の面120の各々は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)142、または充電式エネルギーユニット143を充電するためのコネクタ144と組み合わせにおける表示装置140のいずれかを備える。LED142は、「a」、「c1」、および「b2」と標記された面120に配置されてよい。表示装置140とコネクタ144との組み合わせは、「b1」、「d」、および「c2」と標記された面120に配置されてよい。
図2Eに示される斜視図において、面「a」、「b1」、および「c1」を見て取ることができるが、面「d」、「b2」、および「c」は隠れている。面「a」、「b1」、「c1」、「d」、「c2」、および「b2」の順序は、
図2A~
図2Dに示した実施形態について示した順序と同じである。コネクタ144は、とくには、例えばqi充電器145などの少なくとも1つの誘導式充電器を備えてよく、qi充電器145は、充電式エネルギーユニット143を充電するための充電ステーション147に配置される。支持構造体114は、前部カバー148を有する外側フレームワーク146を備えてよい。外側フレームワーク146は、電子インサート152を取り付けるための取り付けフレーム150を備えてよい。電子インサート152は、外側フレームワーク146の中へとスライド可能であってよい。電子インサート152は、
図2Fに示されるように、後部カバー154を備えてよい。電子インサート152は、表示装置140、とくには
図2Gに示されるような3つの表示装置140、ならびに少なくとも1つのプロセッサおよびグラフィック(図示せず)を備えてよい。支持構造体114、とくには外側フレームワーク146は、電子インサート152を外側フレームワーク146の中へとスライドさせたときに表示装置140の画面158を時間トラッキング装置112の外側から視認できるように、切り欠きとも呼ばれる窓156を備えてよい。
図2Gは、時間トラッキング装置112のこの実施形態の正面図を示しており、LED142を有する面120が、表示装置140およびqi充電器145を備える面120と交互に位置している。表示装置140は、
図2Gにおいて破線で示されている。
【0106】
図3A~
図3Eが、立方体124の形状の時間トラッキング装置112のさらなる実施形態の種々の態様を示している。
図3A~
図3Eに示される実施形態において、時間トラッキング装置112は、環境条件を監視するように構成された少なくとも1つのセンサ160を備えてよい。センサ160は、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの湿度センサ、磁気妨害を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、並びに、少なくとも1つのGPSセンサ、Glonassセンサ、Galileoセンサ、少なくとも1つのブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)センサなどの少なくとも1つの位置センサ、からなる群から選択されてよい。センサ160は、温度、圧力、湿度、などの環境条件を監視し得る。センサ160は、とくには、
図3Bに示されるように、例えば外側フレームワーク146において、支持構造体114に一体化されてよい。時間トラッキング装置112は、やはり
図3Bに示されるように、可聴情報を提供するように構成された少なくとも1つのスピーカユニット162をさらに備えてよい。
【0107】
時間トラッキング装置112は、音声コマンドを受信するように構成された少なくとも1つのマイクロホンユニット164をさらに備えてよい。スピーカユニット162およびマイクロホンユニット164は、時間トラッキング装置112を、指示および文書化などのためのラボラトリ日誌として使用することを可能にし得る。これは「ハンズフリーでの文書化」を可能にし得る。
【0108】
時間トラッキング装置112は、充電式エネルギーユニット143を充電するためのコネクタ144をさらに備えてよい。充電のために、時間トラッキング装置112は、充電ステーション147の表面168に配置され得る。
【0109】
図3C、
図3D、および
図3Eの各々が、時間トラッキング装置112の立方体形状の実施形態の6つの面120を、切り開かれて展開された様相で示しており、6つの面120の各々が、「a」、「b」、「c」、または「d」のいずれかで標記されている。したがって、
図3C、
図3D、および
図3Eは、標記「a」に対応する表示装置140の画面158、標記「b」に対応するLED142またはOLED、標記「c」に対応する画面158を持たないベースプレート170、および標記「d」に対応する画面158を有するベースプレート170の可能な配置を示している。他の配置も実現可能である。
【0110】
図4Aおよび
図4Bが、六角柱126の形状を有する支持構造体114を備える時間トラッキング装置112の一実施形態の正面図を示している。したがって、
図4Aおよび
図4Bに示される支持構造体114は、8つの面120を備える。
【0111】
図4Aは、時間トラッキング装置112がハイパースクロールするように構成されてよい実施形態を示している。インタラクティブ面136によって表示される状態表示171は、時間トラッキング装置112の回転の回数に依存してよい。ページと呼ばれることもある仮想画面174の数が、支持構造体114の面120、とくにはインタラクティブ面136の数を超えてよい。したがって、支持構造体114は、
図4Aに示されるように、6つのインタラクティブ面136、ならびにインタラクティブ面136として具体化されてはいない前部130および後部132を提供する横置きの六角柱126であってよい。同時に、時間トラッキング装置112は、6+x個の仮想画面174に対応する6+x個の異なる状態表示171を選択することを可能にし得る。
図4Aに示される実施形態において、8つのそのような異なる状態表示171が予測され、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、および「H」と標記されている。さらに、
図4Aは、8つの異なる状態表示171について、時間トラッキング装置112の6つのインタラクティブ面120への可能な割り当てを示している。状態表示171は、時間トラッキング装置112をオーバーツイストすることによって視認可能になってよい。
【0112】
図4Bの実施形態において、インタラクティブ面136の各々が、時間トラッキング装置112の回転の回数にかかわらず、ラボラトリ機器の1つの状態表示を表示するように構成されてよい。時間トラッキング装置112は、支持構造体114の面120、とくにはインタラクティブ面136よりも少数の仮想画面174を有してもよい。
図4Bに示されるように、時間トラッキング装置112は、6つのインタラクティブ面120と、「A」、「B」、および「C」と標記された3つの状態表示171に対応する3つの仮想画面174とを備え得る。さらに、
図4Bは、3つの異なる状態表示171について、時間トラッキング装置112の6つのインタラクティブ面120への可能な割り当てを示している。さらに、ハイパースクロール機能の使用は、前方にスクロールするためのダブルタップ、後方にスクロールするためのトリプルタップ、およびホーム画面に戻るためのシェイクなど、ユーザ137による単純な動作で達成可能であってよい。
【0113】
図5Aが、時間トラッキング装置112の使用を説明するフローチャートを示し、
図5Bが、対応する状況における時間トラッキング装置112およびユーザ137を示している。このフローチャートは、以下のステップおよび状況を示している:「時間トラッキング装置112の『a』と標記された面が上方を向いている」(参照番号176);「時間トラッキング装置112が時計回りに120°回転させられる」(参照番号178);「『b2』および『c1』が180°回転させられる(参照番号180);「LEDがそれに応じて同時に色を変化させる」(参照番号182)。これらのステップおよび状況を、以下でさらに詳細に説明する。
【0114】
図5Aのステップ176に示されるように、時間トラッキング装置112に関する例示的な一連の状況および動作は、横置きの六角柱126の形状の時間トラッキング装置112が、「a」と標記された面120を上方に向けて位置することで開始し得る。この状況が、
図5Bに示されている。時間トラッキング装置112は、少なくとも1つの選択位置184を備え得る。時間トラッキング装置112は、ラボラトリ機器の現在の状態に対応するインタラクティブ面136を選択位置184へともたらすことによって、ラボラトリ機器の現在の状態を選択するように構成されてよい。例えば、横置きの六角形126の場合、選択位置184は、選択されるインタラクティブ面136が重力の方向と30°の角度をなす位置であってよい。
図5Bにおいては、「b1」と標記された面120が選択位置184にあってよい。これは、ユーザインターフェース138を備えるインタラクティブ面136であってよい。面「b1」のユーザインターフェース138は、表示装置140によって、例えば「スタンバイ」などのラボラトリ機器の状態表示171を表示してよい。
【0115】
次いで、時間トラッキング装置112は、ステップ178で説明したように、ユーザ137によって例えば時計回りに120°回転させられてよい。時計回りの回転は、
図5Bおよび
図5Cに示される時間トラッキング装置112の斜視図を比較することによって明らかである。運動センサ118は、例えばユーザ137によって達成された時計回りの120°回転など、時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出するように構成されてよい。電子ユニット116は、時間を測定するように構成され、時間の測定は、時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出することによって開始される。したがって、時間の測定は、ラボラトリ機器の「使用中」の状態表示171を表示するさらなるインタラクティブ面136を回転運動によって選択し得るユーザ137によって達成された120°の時計回りの回転によって開始し得る。120°の時計回りの回転の後に選択位置184に配置された前記さらなるインタラクティブ面136は、
図5Cに「b2」と標記されている。選択位置184は、
図5Cに示されるように、ユーザ137による把握が容易であるように選択されてよい。運動センサ118は、重力の方向に対する時間トラッキング装置112の向きを決定するための少なくとも1つのジャイロセンサを備えてよい。電子ユニット116は、例えばロゴが上向きになるように、例えば表示された情報を「b2」および「c1」については180°、「f」については120°回転させることにより、表示装置140によって表示される情報の向きを時間トラッキング装置120の向きに応じて調整するように構成されてよい。これが、ステップ180に示されている。回転によって時間トラッキング装置112の向きを変更するとき、LED142は、それに応じて、理想的には同時に、ステップ182に示されるように色を変化させてよい。ユーザ137は、例えば、特定の時間を要し得る測定のために、ラボラトリ機器を使用し得る。時間の測定は、後の時間トラッキング装置112の運動および/または向きの変化を検出することによって終了する。したがって、測定を終えると、ユーザ137は、時間トラッキング装置112をさらに回転させることによって時間の測定を終了させ得る。したがって、ユーザ137は、時間トラッキング装置112を回転させて、「スタンバイ」の状態表示171を再び選択してよい。メンテナンス、メンテナンス、修理、故障、オフライン、など、ラボラトリ機器のさらなる状態にマッチする他の選択肢も選択可能であってよい。時間トラッキング装置112は、測定した時間に関するデータを少なくとも1つの通信インターフェース172を介して提供するように構成される。
【0116】
図5Dが、立方体124の形状の時間トラッキング装置112と対話するユーザ137を示している。時間トラッキング装置112は、例えば無線充電のために構成された充電式エネルギーユニット143を備えてよい。充電式エネルギーユニット143は、少なくとも1つの充電式電池を備えてよい。充電式エネルギーユニット143は、電子ユニット116の一部であっても、別個のユニットであってもよい。例えば、充電式エネルギーユニット143は、少なくとも1つの充電式電池を受け入れるように構成された少なくとも1つの電池ハウジングを備えてよい。充電式エネルギーユニット143は、無線充電用に構成されてもよい。時間トラッキング装置112は、充電式エネルギーユニット143を充電するための少なくとも1つのコネクタ144を備えてよい。コネクタ144は、支持構造体114の面120に配置されてよい。例えば、時間トラッキング装置112は、少なくとも1つのqi充電器145を備えてよく、qi充電器145は、充電式エネルギーユニット143を充電するための充電ステーション147に配置される。時間トラッキング装置112は、複数のコネクタ144、とくには複数のqi充電器145を備えてよい。具体的には、時間トラッキング装置112の面120の各々が、qi充電器145のうちの1つを備えてよい。さらに、qi充電器145は、例えばインタラクティブ面136がqi充電器145を備える場合に、画面158の下方に配置されてもよい。
図5Dにおいて、時間トラッキング装置112は、無線充電のために充電ステーション147の表面168に配置されている。時間トラッキング装置112が充電のために配置される充電ステーション147の表面168は、傾斜面168であってもよい。傾斜面168が選択位置184を規定してもよい。傾斜面168の傾斜は、
図5Dに示されるように、ユーザ137の読み取り方向を定め得る。
【0117】
図6が、本発明によるラボラトリシステム188の実施形態の一部を示している。この実施形態においては、3つの立方体形状の時間トラッキング装置112が使用される。
図6に示されるラボラトリシステム188の実施形態は、3つのラボラトリ機器(図示せず)をさらに備え、3つの時間トラッキング装置112の各々が、ラボラトリ機器のうちの1つに割り当てられる。ラボラトリシステム188は、時間トラッキング装置112の通信インターフェース172から測定された時間に関するデータを受信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェース173を有する少なくとも1つの処理装置190をさらに備える。処理装置190は、時間トラッキング装置112の通信インターフェース172から受信する測定された時間に関するデータを評価することによってラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するように構成された少なくとも1つの評価装置192を備える。
【0118】
ラボラトリシステム188は、少なくとも1つの無線通信ネットワーク194をさらに備えてよく、時間トラッキング装置112は、無線通信ネットワーク194のノード196として構成される。具体的には、3つの時間トラッキング装置112は、測定された時間に関するデータを、それらの通信インターフェース172を介して、通信インターフェース175を介してデータを受信するように構成されたビーコン198に送信し得る。データを、
図6に点線で示されるように、Wi-Fiあるいは任意の他の無線または有線のデータ転送の選択肢を介して送信し得る。ビーコン198によって収集されたデータは、例えばUSB接続201を介してコンピュータ199に転送され得る。コンピュータ199は、例えばデータを記憶するためのハードドライブなどの記憶装置197を備えてよい。さらに、コンピュータは、ラボラトリシステム188の処理装置190および評価装置192を備えてもよい。コンピュータ199は、ブリッジPCと呼ばれることもある。時間トラッキング装置112によって最初に提供されたデータは、その後に、例えばデータ処理および分析のために、さらなる装置210と共有されても、さらなる装置210にとって利用可能にされてもよい。データ処理は、とくには、タブローサーバ202あるいは任意の他のデータベースサーバまたは記憶装置を使用して行われてよい。処理されたデータは、
図6に示されるように、例えばラボラトリ画面204を介してラボラトリシステムのラボラトリにおいて、インターネットウェブサイト206において、あるいはワークステーション208においてなど、さまざまな場所で、かつ/または複数のユーザにとって、利用可能にされてよく、そこでさらなる処理およびデータ分析が行われてよい。
【符号の説明】
【0119】
110 手
112 時刻トラッキング装置
114 支持構造体
116 電子ユニット
118 運動センサ
120 面
122 角錐
124 立方体
126 六角柱
128 辺
129 角
130 前部
132 後部
134 六角形
136 インタラクティブ面
137 ユーザ
138 ユーザインターフェース
140 表示装置
141 発光体
142 LED
143 充電式エネルギーユニット
144 コネクタ
145 qi充電器
146 外側フレーム
147 充電ステーション
148 前部カバー
150 取り付けフレーム
152 電子インサート
154 後部カバー
156 窓
158 画面
160 センサ
162 スピーカユニット
164 マイクロホンユニット
168 表面
170 ベースプレート
171 状態表示
172 通信インターフェース
173 通信インターフェース
174 仮想画面
175 通信インターフェース
176 時間トラッキング装置112の「a」と標記された面が上方を向いている。
178 時刻トラッキング装置112を時計回りに120°回転させる。
180 「b2」および「c1」を180°回転させる。
182 それに応じて、同時に、LEDが色を変化させる。
184 選択位置
188 ラボラトリシステム
190 処理装置
192 評価装置
194 無線通信ネットワーク
196 ノード
197 記憶装置
198 ビーコン
199 コンピュータ
200 共有された仮想空間
201 USB接続
202 タブローサーバ
204 ラボラトリ画面
206 ウェブサイト
208 ワークステーション
210 さらなる装置
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための時間トラッキング装置(112)であって、
少なくとも1つの支持構造体(114)を備え、前記支持構造体(114)によって収容された少なくとも1つの電子ユニット(116)および少なくとも1つの運動センサ(118)を備えており、
前記運動センサ(118)は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出するように構成され、前記電子ユニット(116)は、時間を測定するように構成され、時間測定は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって終了し、
前記支持構造体(114)は、複数の面(120)を備える多角形の支持構造体(114)であり、前記支持構造体(114)は、少なくとも2つのインタラクティブ面(136)を備え、前記インタラクティブ面(136)の各々は、少なくとも1つの表示装置(140)を備える少なくとも1つのユーザインターフェース(138)を備え、前記インタラクティブ面(136)の各々は、前記ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示(171)を表示するように構成され、前記ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする前記インタラクティブ面(136)は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きを変えることによってユーザが選択可能であり、
前記電子ユニット(116)は、前記測定した時間を、前記選択されたインタラクティブ面(136)に応じた前記ラボラトリ機器の状態に割り当てるように構成され、前記ラボラトリ機器の状態は、使用中、スタンバイ、メンテナンス中、修理中、故障中、およびオフラインのうちの1つ以上であり、
前記時間トラッキング装置(112)は、前記測定した時間に関するデータを、少なくとも1つの通信インターフェース(172)を介して提供するように構成されている、時間トラッキング装置(112)。
【請求項2】
前記ユーザインターフェース(138)は、双方向のインターフェースである、請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項3】
前記インタラクティブ面(136)の各々は、前記時間トラッキング装置(112)の回転の回数にかかわらず、前記ラボラトリ機器の1つの状態表示(171)を表示するように構成されている、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項4】
前記時間トラッキング装置(112)は、ハイパースクロールするように構成され、前記インタラクティブ面(136)によって表示される状態表示(171)が、前記時間トラッキング装置(112)の回転の回数に依存する、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項5】
前記電子ユニット(116)は、前記表示装置(140)を制御するように構成され、前記制御は、前記時間トラッキング装置(112)の向きに応じて前記表示装置(140)によって表示される情報の向きを調整することを含む、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項6】
それぞれの前記インタラクティブ面(136)によって表示される前記ラボラトリ機器の状態表示(171)は、それぞれの前記インタラクティブ面(136)に割り当て可能である、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項7】
前記インタラクティブ面(136)は、少なくとも1つの警告メッセージ、少なくとも1つのメンテナンス情報、ラボラトリ機器の所有者に関する情報、少なくとも1つのさらなるラボラトリ機器に関する情報、メニュー、少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの読み取り値、サードパーティアプリケーションおよび/またはセンサからのメッセージ、データソース全般、以前の状態情報、機器関連の文書化システムからの詳細、外部データベースによって提供される機器の予約状態、のうちの1つ以上を表示するように構成される、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項8】
前記支持構造体(114)の前記面(120)の各々は、複数の波長で光を発するように構成された少なくとも1つの発光体(141)を備え、波長は、状態表示(171)の各々に割り当てられ、前記電子ユニット(116)は、ユーザによって選択された前記インタラクティブ面(136)に応じて前記発光体(141)の波長を切り換えるように構成される、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項9】
前記運動センサ(118)は、少なくとも1つのジャイロセンサを備える、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項10】
前記支持構造体(114)は、角錐(122)、横置きの三角柱、横置きの五角柱、横置きの六角柱(126)、立方体(124)、からなる群から選択される三次元構造体である、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項11】
前記電子ユニット(116)は、時間ログを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリを備える、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項12】
前記時間トラッキング装置(112)は、環境条件を監視するように構成された少なくとも1つのセンサ(160)を備え、少なくとも1つの前記センサ(160)は、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの湿度センサ、磁気妨害を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、並びに、少なくとも1つのGPSセンサ、Glonassセンサ、Galileoセンサ、BLEセンサなどの少なくとも1つの位置センサ、からなる群から選択される、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項13】
前記時間トラッキング装置(112)は、前記通信インターフェース(172)を介してコマンドを受信することによってリモート制御可能である、
請求項1に記載の時間トラッキング装置(112)。
【請求項14】
少なくとも1つのラボラトリ機器と、
請求項1に記載の少なくとも1つの時間トラッキング装置(112)とを備え、少なくとも1つの処理装置(190)をさらに備え、
前記処理装置(190)は、前記時間トラッキング装置(112)の前記通信インターフェース(172)から前記測定した時間に関するデータを受信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェース(173)を備え、前記処理装置(190)は、前記時間トラッキング装置(112)の前記通信インターフェース(172)から受信する前記測定した時間に関するデータを評価することによって前記ラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するように構成された少なくとも1つの評価装置(192)を備える、ラボラトリシステム(188)。
【請求項15】
請求項1に記載の少なくとも1つの時間トラッキング装置(112)を使用して、少なくとも1つのラボラトリ機器のシステムパフォーマンスを監視するための方法であって、
i)前記時間トラッキング装置(112)の前記インタラクティブ面(136)によって前記ラボラトリ機器の少なくとも1つの状態表示(171)を表示するステップと、
ii)前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きを変更することによって、ユーザが前記ラボラトリ機器の現在の状態にマッチする前記インタラクティブ面(136)を選択するステップと、
iii)前記運動センサ(118)を使用することによって前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出するステップと、
iv)前記電子ユニット(116)を使用することによって時間を測定するステップであって、時間の測定は、前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって開始され、その後の前記時間トラッキング装置(112)の運動および/または向きの変化を検出することによって終了するステップと、
v)前記測定した時間に関するデータを、前記時間トラッキング装置(112)の少なくとも1つの通信インターフェース(172)を介して提供するステップと
を含む方法。
【国際調査報告】