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特表2024-521363改良された置換心臓弁送達のためのガイドワイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】改良された置換心臓弁送達のためのガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61M25/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574528
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022031766
(87)【国際公開番号】W WO2022256405
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,060
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、ティム
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シャンリー、ショーン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB06
4C267CC19
4C267DD10
4C267FF03
4C267GG02
4C267HH01
(57)【要約】
改良型ガイドワイヤは、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを含んでもよい。長尺シャフトは、遠位区分内に配置されたコイル状部分を含む。コイル状部分は、第1の平面内で第1の方向に湾曲される。長尺シャフトは、第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲した逆湾曲部分を含む。逆湾曲部分は、コイル状部分の近位に配置される。改良型ガイドワイヤを形成するためのキットは、コイル状部分を有するガイドワイヤと、コイル状部分の近位でガイドワイヤ内に逆湾曲部分を形成するように構成された形成ツールとを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換心臓弁インプラントを送達するための改良型ガイドワイヤであって、
遠位区分と、前記遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備え、
前記長尺シャフトが、前記遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、
前記コイル状部分が、第1の平面内で第1の方向に湾曲され、
前記長尺シャフトが、前記第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲された逆湾曲部分を含み、
前記逆湾曲部分が、前記コイル状部分の近位に配置される、前記改良型ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記逆湾曲部分が、前記第1の平面内で前記第2の方向に湾曲される、請求項1に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項3】
前記長尺シャフトの前記近位区分が、前記長尺シャフトの前記遠位区分よりも横方向に高い剛性を有する、請求項1および2のいずれか一項に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項4】
前記長尺シャフトの前記遠位区分が、遠位方向に先細にされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項5】
前記長尺シャフトが、前記コイル状部分に配置されたポリマーコーティングを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項6】
前記長尺シャフトの前記近位区分が、前記ポリマーコーティングを含まない、請求項5に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項7】
前記逆湾曲部分が、前記長尺シャフトの前記近位区分内に少なくとも部分的に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項8】
前記逆湾曲部分が、前記近位区分の遠位部分から前記遠位区分内に向かって延在する、請求項7に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項9】
置換心臓弁インプラントの送達に使用するためのキットであって、
遠位区分と、前記遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備えるガイドワイヤであって、前記長尺シャフトが前記遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、前記コイル状部分が第1の平面内で第1の方向に湾曲される前記ガイドワイヤと、
改良型ガイドワイヤを生成するために、前記コイル状部分の近位の前記長尺シャフト内に逆湾曲部分を形成するように構成され、前記逆湾曲部分が前記第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲される形成ツールとを備える前記キット。
【請求項10】
前記形成ツールが、
ベースプレートと、
前記ベースプレートを固定するためのプラットフォームと、
前記長尺シャフトの前記コイル状部分を前記プラットフォームに固定するように構成されたクランプと、
前記プラットフォームから横方向にオフセットされたポストに固定されるように構成された少なくとも1つの湾曲形成要素と、
前記ポストを中心として回転するように構成されたレバーアームとを含み、
前記少なくとも1つの湾曲形成要素が、第1の半径を規定する外面を有する第1の湾曲形成要素を含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの湾曲形成要素が、第2の半径を規定する外面を有する第2の湾曲形成要素を含み、前記第2の半径が前記第1の半径とは異なる、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記プラットフォームが、前記長尺シャフトの前記コイル状部分を受容するように構成された凹部を含む、請求項10および11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
前記クランプが、前記長尺シャフトの前記コイル状部分を前記プラットフォームの前記凹部内に固定するように構成される、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記改良型ガイドワイヤの前記逆湾曲部分が、前記第1の平面内で前記第2の方向に湾曲される、請求項9から13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
前記改良型ガイドワイヤの前記逆湾曲部分を形成した後、前記コイル状部分が前記改良型ガイドワイヤの前記近位区分の中心の長手方向の軸線を含む第2の平面の両側に横方向に延在し、前記第2の平面が前記第1の平面に実質的に直交する、請求項9から14のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、並びに医療デバイスを製造及び/又は使用するための方法に関する。より詳細には、本開示は、置換心臓弁インプラントを送達するためのガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な体内用の医療デバイスが医療用途のために、例えば、血管内用途のために開発されてきている。これらのデバイスのうちのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル、及び医療デバイス送達システム等(例えば、ステント、グラフト、置換弁等)を含む。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用されてもよい。既知の医療デバイス及び方法の各々は、特定の利点と欠点とを有する。代替的な医療デバイス及び医療デバイスを製造及び使用するための代替的な方法を提供することが常に必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
第1の例では、置換心臓弁インプラントを送達するための改良型ガイドワイヤは、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備えてもよい。長尺シャフトは、遠位区分内に配置されたコイル状部分を含むことができる。コイル状部分は、第1の平面内で第1の方向に湾曲されてもよい。長尺シャフトは、第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲した逆湾曲部分を含むことができる。逆湾曲部分は、コイル状部分の近位に配置されてもよい。
【0004】
本明細書で開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、第1の平面内で第2の方向に湾曲されている。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、長尺シャフトの近位区分は、長尺シャフトの遠位区分よりも横方向に高い剛性を有する。
【0005】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、長尺シャフトの遠位区分は、遠位方向に先細にされている。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、長尺シャフトは、コイル状部分上に配置されたポリマーコーティングを含む。
【0006】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、長尺シャフトの近位区分は、ポリマーコーティングを含まない。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、長尺シャフトの近位区分内に少なくとも部分的に配置される。
【0007】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、近位区分の遠位部分から遠位区分内に向かって延在する。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、置換心臓弁インプラントを送達する際に使用するためのキットは、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位部分とを含む長尺シャフトを備えるガイドワイヤであって、長尺シャフトが、遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、コイル状部分が、第1の平面内で第1の方向に湾曲されたガイドワイヤと、改良型ガイドワイヤを製造するためにコイル状部分の近位の長尺シャフト内に逆湾曲部分を形成するように構成された形成ツールであって、逆湾曲部分が、第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲された形成ツールとを備えてもよい。
【0008】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、形成ツールは、ベースプレートと、ベースプレートに固定されたプラットフォームと、長尺シャフトのコイル状部分をプラットフォームに固定するように構成されたクランプと、プラットフォームから横方向にオフセットされたポストに固定されるように構成された少なくとも1つの湾曲形成要素と、ポストの周りを回転するように構成されたレバーアームとを含む。少なくとも1つの湾曲形成要素は、第1の半径を規定する外面を有する第1の湾曲形成要素を含む。
【0009】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、少なくとも1つの湾曲形成要素は、第2の半径を規定する外面を有する第2の湾曲形成要素を含み、第2の半径は第1の半径とは異なる。
【0010】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、プラットフォームは、長尺シャフトのコイル状部分を受容するように構成される凹部を含む。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、クランプは、長尺シャフトのコイル状部分をプラットフォームの凹部内に固定するように構成される。
【0011】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、改良型ガイドワイヤの逆湾曲部分は、第1の平面内で第2の方向に湾曲される。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、改良型ガイドワイヤの逆湾曲部分を形成した後、コイル状部分は、改良型ガイドワイヤの近位区分の中心の長手方向の軸線を含む第2の平面の両側に横方向に延在し、第2の平面は、第1の平面に対して実質的に直交する。
【0012】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、患者の心臓の生来の心臓弁を治療する方法は、カテーテルを、生来の心臓弁を介して患者の心臓の心室内に向かって前進させる工程と、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを含む改良型ガイドワイヤを、カテーテルの遠位端から患者の心臓の心室内に向かって前進させる工程であって、長尺シャフトが、遠位区分に配置されたコイル状部分を含み、コイル状部分が、第1の平面内で第1の方向に湾曲され、長尺シャフトが、第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲された逆湾曲部分を含み、逆湾曲部分が、コイル状部分の近位に配置された工程と、長尺シャフトのコイル状部分が患者の心臓の心室内に配置されたときに、近位区分の遠位部分が生来の心臓弁の弁口から半径方向内側に離間されるように、コイル状部分を患者の心臓の心室内に配置する工程と、長尺シャフトのコイル状部分を患者の心臓の心室内に維持しながらカテーテルを取り除く工程と、改良型ガイドワイヤ上で展開デバイスを生来の心臓弁まで前進させる工程と、拡張可能なフレームワークと、拡張可能なフレームワーク内に配置された複数の弁尖とを含む置換心臓弁インプラントを生来の心臓弁内で展開する工程と、置換心臓弁インプラントの拡張可能なフレームワークに接触することなく、展開デバイスを引き抜く工程とを含む。
【0013】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、長尺シャフトの近位区分の遠位部分を生来の心臓弁の中心に向かって付勢する。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、少なくとも部分的に生来の心臓弁の上流に配置される。
【0014】
本明細書で開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、逆湾曲部分は、第1の平面内で第2の方向に湾曲されている。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はその代わりに、長尺シャフトの近位区分は、長尺シャフトの遠位区分よりも横方向に高い剛性を有する。
【0015】
いくつかの実施形態、態様及び/又は例の上記概要は、本開示のそれぞれの開示された実施形態又は全ての実施を記載することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
図1】先行技術の置換心臓弁送達システムを概略的に示す。
図2】本開示による例示的ガイドワイヤの選択された態様を示す。
図3】例示的な形成ツールの選択された態様を示す。
図4】ガイドワイヤ及び形成ツールを含むキットの選択された態様を示す。
図5図3図4の形成ツールの選択された態様を示す。
図6】キットのガイドワイヤをキットの形成ツール内に配置している選択された態様を示す。
図7】形成ツールを使用してガイドワイヤを形成している選択された態様を示す。
図8】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
図9】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
図10】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
図11】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
図12】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
図13】本開示の例示的なガイドワイヤを使用して置換心臓弁インプラントを送達する方法の態様を示す。
【0017】
本開示の態様は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に記載される。しかし、その意図は、本開示の態様を記載される特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。対照的に、その意図は本開示の技術的思想及び範囲に収まる全ての変更、均等物及び代替物を対象とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読まれるべきであり、同様の参照番号は、いくつかの図面を通して同様の要素を示す。詳細な説明及び図面は、本開示を例示することを意図しているが、本開示を限定することを意図していない。当業者は、記載及び/又は示される様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せ及び構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかし、明確さ及び理解の容易さのために、全ての特徴及び/又は要素が各図面に示されない場合があるが、特徴(複数可)及び/又は要素(複数可)は、別段の指示がない限り、関係なく存在すると理解され得る。
【0019】
異なる定義が本明細書の特許請求の範囲又は他の部分において与えられない限り、以下に定義される用語はこれらの定義が適用されるものとする。
明確に示されているか否かに関わらず、全ての数値は本明細書において用語「約」によって修飾されると想定される。数値の文脈において、用語「約」は、一般に、当業者が、列挙された値と同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考える数の範囲を示す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。用語「約」の他の使用(例えば、数値以外の文脈において)は、別段の指示がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、それらの通常の慣習的な定義(複数可)を有すると想定され得る。
【0020】
端点による数値範囲の列挙は、端点を含むその範囲内の全ての数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの好適な寸法、範囲及び/又は値が開示され得るが、本開示によって触発された当業者は、要望の寸法、範囲及び/又は値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は」を含む意味として一般に用いられる。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、開示された実施形態(複数可)内でそれらの特徴が複数又は繰り返され得るとしても、単数形で記載され得ることに留意されたい。特徴の各事例は、反対のことが明示的に述べられていない限り、単数の開示(複数可)を含み、及び/又はそれによって包含され得る。簡潔及び明確にするために、本開示の全ての要素が必ずしも各図面に示されているわけではなく、又は以下で詳細に議論されているわけではない。しかし、以下の議論は、反対のことが明示的に述べられていない限り、2つ以上の構成要素のいずれか及び/又は全てに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、いくつかの要素又は特徴の全ての事例が各図面に示されているわけではない。
【0022】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、及びそれらの変形等の相対的な用語は、一般に、デバイスのユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は動作に関して考慮されてもよく、「近位」及び「後退」は、ユーザにより近い又はユーザに向かうことを示すか又は指し、「遠位」及び「前進」は、ユーザからより遠い又はユーザから離れることを示すか又は指す。場合によっては、用語「近位」及び「遠位」は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられてもよく、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」等の他の相対的な用語は、体管腔、血管等のルーメン(lumen)内、又はデバイス内の流体流れの方向を示す。「軸方向」、「円周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」等のさらに他の相対的な用語、及び/又はそれらの変形は、一般に、開示される構造又はデバイスの中心の長手方向の軸線に対する方向及び/又は配向を示す。
【0023】
用語「範囲」は、問題の範囲又は寸法が、記載されるか又は特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る「最小」が寸法の前にあるか又は「最小」として特定されない限り、記載されるか又は特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は外側寸法を意味すると理解されてもよく、「半径方向範囲」は半径方向寸法を意味すると理解されてもよく、「長手方向範囲」は長手方向寸法を意味すると理解されてもよい、などである。「範囲」の各例は異なっていてもよく(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向等)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。一般に、「範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最大の寸法と考えられてもよく、「最小範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最小の寸法と考えられてもよい。場合によっては、「範囲」は、一般に、平面及び/又は断面内で直交して測定されてもよいが、特定の文脈から明らかであるように、限定されないが、角度のある、半径方向に、円周方向に(例えば、弧に沿って)等、異なって測定されてもよい。
【0024】
用語「モノリシック(monolithic)」及び「単一(unitary)」は、一般に、単一の構造又は基本単位/要素から作製されるか、又はそれからなる、1つ以上の要素を指すものとする。モノリシック及び/又は単一要素は、複数の別個の構造又は要素を共に組み立てるか、又はそれ以外で接合することによって作製される構造及び/又は特徴を除外するものとする。
【0025】
用語「経大動脈弁移植」及び「経カテーテル大動脈弁移植」は、互換的に使用されてもよく、それぞれ頭字語「TAVI」を使用して呼ばれてもよい。用語「経大動脈弁置換」及び「経カテーテル大動脈弁置換」は、互換的に使用されてもよく、それぞれ頭字語「TAVR」を使用して呼ばれてもよい。用語TAVI及びTAVRは、同一又は類似の処置を指すために使用されてもよく、少なくともいくつかの実施形態では、用語TAVI及びTAVRは互換的に使用されてもよい。
【0026】
本明細書における「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載される実施形態(複数可)が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を示すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して記載されるとき、明示的に記載されているか否かにかかわらず、明確に反対のことが述べられていない限り、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内であろう。すなわち、以下で記載される様々な個々の要素は、たとえ特定の組合せで明示的に示されていなくても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、又は記載される実施形態(複数可)を補完及び/又は補強するために、互いに組合せ可能又は配置可能であると考えられる。
【0027】
明確にするために、特定の識別数字命名法(例えば、第1、第2、第3、第4等)が説明及び/又は特許請求の範囲の全体にわたって使用され、様々な記載された及び/又は請求された特徴を命名及び/又は区別することがある。数字命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔さ及び明確さのために、以前に使用された数字命名法の変更及びそれからの逸脱が行われ得る。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素等と示されてもよく、又は完全に省略されてもよく、及び/又は異なる特徴が「第1の」要素と示されてもよい。各例における意味及び/又は名称は、当業者には明らかであろう。
【0028】
心血管系に影響を与える疾患及び/又は医学的状態は、世界中で蔓延している。従来、心血管系の治療は、多くの場合、系の影響を受けた部分に直接アクセスすることによって行われていた。例えば、1つ以上の冠状動脈における閉塞の治療は、従来、冠状動脈バイパス手術を用いて治療されていた。容易に理解され得るように、このような治療は、患者に対してかなり侵襲性であり、かなりの回復時間及び/又は治療を必要とする。より最近では、例えば、閉塞された冠状動脈が経皮カテーテルを介してアクセスされ、治療され得る(例えば、血管形成術)、より侵襲性の低い治療法が開発されている。そのような治療法は、患者及び臨床医の間で広く受け入れられている。
【0029】
いくつかの哺乳動物(例えば、ヒトなど)の心臓は、4つの心臓弁、すなわち、三尖弁、肺動脈弁、大動脈弁、及び僧帽弁を含む。いくつかの比較的一般的な医学的状態は、心臓内の弁のうちの1つ以上の非効率性、非有効性、又は完全な機能不全を含み得るか、又はそれらの結果であり得る。欠陥のある心臓弁の治療には、治療が欠陥のある弁の修復又は完全な置換を必要とすることが多いという点で、他の課題を提起する。このような治療は、患者にとって非常に侵襲的であり得る。本明細書に開示されるのは、例えば、TAVI又はTAVR処置の間及び/又はそれと併せて、又はTAVI又はTAVR処置に適さない患者においてTAVI又はTAVR処置の代わりに、心血管系を診断、治療、及び/又は修復するために、心血管系の一部内で使用され得る医療デバイス及び/又は処置である。本明細書に開示される医療デバイス及び/又は処置のうちの少なくともいくつかは、経皮的に送達及び/又は実施されてもよく、したがって、患者に対してはるかに低侵襲性であってもよいが、他の外科的方法及びアプローチもまた、使用されてもよい。本明細書に開示されるデバイスはまた、以下でより詳細に記載されるように、多くの付加的な望ましい特徴及び利益を提供し得る。本開示の目的のために、以下の議論は、生来の大動脈弁の治療を対象としており、簡潔にするためにそのように記載される。しかし、これは、限定することを意図するものではなく、当業者であれば、以下の説明が、本開示の構造及び/又は範囲に対する変更がないか又は最小限の変更で、僧帽弁又は別の心臓弁にも適用され得ることを認識するであろう。同様に、本明細書に開示される医療デバイス及び/又は処置は、限定ではないが、動脈、静脈、及び/又は他の体管腔等の患者の解剖学的構造の他の部分における適用及び用途を有してもよい。
【0030】
図は、解剖学的構造の選択された構成要素及び/又は配置、ガイドワイヤ、形成ツール、並びに/又はガイドワイヤ及び/又は形成ツールを使用する方法を示す。任意の所与の図において、解剖学的構造、ガイドワイヤ、及び/又は形成ツールのいくつかの特徴は、簡略化のために、示されなくてもよく、又は概略的に示されてもよいことに留意されたい。解剖学的構造、ガイドワイヤ、及び/又は形成ツールの構成要素のうちのいくつかに関するさらなる詳細は、他の図においてより詳細に示され得る。さらに、明確にするために、いくつかの要素又は特徴の全ての事例が各図面に示されているわけではない。
【0031】
図1は、弁尖14を有する大動脈弁12と、左心室16と、例えば、大動脈弓22によって患者の心臓10の大動脈弁12に接続された大動脈20、冠状動脈24、冠状動脈24の弁口23、及び大動脈弓22から重要な内部器官に延在する他の大動脈26(例えば、鎖骨下動脈、頸動脈、腕頭動脈)などの特定の接続された血管系とを含む、患者の心臓10の一部分の概略的部分断面図を示す。上述したように、本開示の目的のために、本明細書における議論は、大動脈弁12の治療における使用を対象にして、簡潔にするためにそのように記載される。しかし、これは、限定することを意図するものではなく、当業者であれば、以下の議論が、本開示の構造及び/又は範囲に対する変更を加えずに、又は最小限の変更を加えて、患者内の他の心臓弁、血管、及び/又は治療部位にも適用され得ることを認識するであろう。
【0032】
図1は、患者の心臓10の大動脈弁12内に配置された置換心臓弁インプラント30の概略的な例を用いて患者の心臓10を治療する先行技術の例をさらに示す。先行技術のガイドワイヤ40は、左心室16内に配置された遠位部分42と共に配置されてもよく、送達デバイス50は、先行技術のガイドワイヤ40上を大動脈弁12まで前進させられ得る。送達デバイス50は、部分断面図で示されている。典型的な先行技術のガイドワイヤ40は、図1に示すように構成されてもよく、遠位部分42の近位において、先行技術のガイドワイヤ40の近位部分44は、実質的に直線であってもよい。すなわち、先行技術のガイドワイヤ40は、患者の解剖学的構造を大動脈弁12まで案内するのに十分な可撓性であり得るが、何らかの制約(例えば、血管壁、カテーテル壁、蛇行した解剖学的構造など)がない場合、先行技術のガイドワイヤ40の近位部分44は、応力を受けていない状態において実質的に直線であり得る。送達デバイス50は、一般に、先行技術のガイドワイヤ40の近位部分44の経路に沿って進む。大動脈弁12内での置換心臓弁インプラント30の展開に続いて、送達デバイス50の遠位部分52は、図1に見られるように、大動脈弁12の弁口及び/又は大動脈弓22の壁及び/又は大動脈20に向かってオフセットされてもよい。送達デバイス50及び/又は先行技術のガイドワイヤ40が真っ直ぐになる自然な傾向もまた、議論された位置決めに寄与し得る。残念ながら、これは、送達デバイス50が患者の心臓10から引き抜かれるときに、送達デバイス50の遠位部分52と置換心臓弁インプラント30の流入端との間の物理的接触につながる可能性がある。この物理的接触は、置換心臓弁インプラント30を損傷し、大動脈弁12内の置換心臓弁インプラント30の位置決め及び/又は配向を変化させ、及び/又は置換心臓弁インプラント30を大動脈弁12から取り除き得るので、望ましくない場合がある。これらの結果はいずれも、患者に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0033】
図2は、置換心臓弁インプラントを生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12など)に送達するための改良型ガイドワイヤ100の選択された態様を示す。いくつかの実施形態では、改良型ガイドワイヤ100は、遠位区分112と、遠位区分112から近位方向に延在する近位区分114とを含む長尺シャフト110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、近位区分114は、参照のために近位区分114の遠位方向に突出され得る中心の長手方向の軸線116を規定し得る。長尺シャフト110は、付勢されていない状態及び/又は拘束されていない状態で遠位区分112内に配置されたコイル状部分120を含むことができ、長尺シャフト110のコイル状部分120は、近位から遠位に見たとき、第1の平面内で第1の方向に湾曲されている。いくつかの実施形態では、コイル状部分120は、長尺シャフト110に沿って遠位方向に、第1の平面内で第1の方向に湾曲されてもよい。いくつかの実施形態では、コイル状部分120は、長尺シャフト110の長さに沿って近位から遠位に、第1の平面内で第1の方向に延在してもよい。いくつかの実施形態では、中心の長手方向の軸線116は、第1の平面内に配置されてもよい。他の構成も想定される。いくつかの実施形態では、第1の方向は反時計回りであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の方向は時計回りであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、近位から遠位に見たときに、付勢されていない状態及び/又は拘束されていない状態で第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲した逆湾曲部分130を含むことができる。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、第1の平面内に配置されてもよく、及び/又は第1の平面内で第2の方向に湾曲されてもよい。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110に沿って遠位方向に、第1の平面内で第2の方向に湾曲されてもよい。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110の長さに沿って近位から遠位に、第1の平面内で第2の方向に延在してもよい。第1の方向が反時計回りであるいくつかの実施形態では、第2の方向は時計回りであってもよい。第1の方向が時計回りであるいくつかの実施形態では、第2の方向は反時計回りであってもよい。少なくともいくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110のコイル状部分120の近位に配置されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110の近位区分114に少なくとも部分的に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110の近位区分114の遠位部分から長尺シャフト110の遠位区分112内へ延在してもよい。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110の近位区分114と長尺シャフト110の遠位区分112との間の接合部及び/又は移行領域にまたがってもよい。いくつかの実施形態では、逆湾曲部分130は、長尺シャフト110の近位区分114内に全体に配置されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110のコイル状部分120は、付勢されていない状態及び/又は拘束されていない状態において、長尺シャフト110の近位区分114の中心の長手方向の軸線116を含む第2の平面の両側に横方向に延在し得る。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110のコイル状部分120の第1の部分は、長尺シャフト110の近位区分114の中心の長手方向の軸線116を含む第2の平面の第1の側に配置されてもよく、長尺シャフト110のコイル状部分120の第2の部分は、長尺シャフト110の近位区分114の中心の長手方向の軸線116を含む第2の平面の第2の側に配置されてもよく、第2の平面の第2の側は、第2の平面に対して第2の平面の第1の側の反対側である。いくつかの実施形態では、第2の平面は、第1の平面に対して斜角に配向されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、第2の平面は、第1の平面に実質的に直交してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、選択されたレベルの軸方向剛性及び/又はプッシャビリティ(pushability)特性を有する一方で、患者の血管系を介するナビゲーションを可能にする選択されたレベルの横方向剛性及び/又は可撓性も有することができる。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110の近位区分114は、長尺シャフト110の遠位区分112よりも横方向に高い剛性を有する。いくつかの実施形態では、遠位区分112は、長尺シャフト110の近位区分114よりも可撓性が高くてもよい。他の構成も想定される。
【0038】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110の遠位区分112は、遠位方向に半径方向内向きに先細にされてもよい。例えば、長尺シャフトの遠位区分112の近位部分は、遠位区分112の遠位部分の外径よりも大きい外径を有してもよい。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110の遠位区分112は、長尺シャフト110の近位区分114から長尺シャフト110の最遠位先端まで半径方向内向きに先細にされてもよい。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110の遠位区分112は、遠位方向に連続的に先細にされてもよい。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110の遠位区分112は、遠位方向に段階的に先細にされてもよい。いくつかの実施形態では、コイル状部分120の少なくとも一部分は、遠位方向に半径方向内向きに先細にされてもよい。いくつかの実施形態では、コイル状部分120の全体は、遠位方向に半径方向内向きに先細にされてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、金属材料を含んでもよく、及び/又は金属材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110はステンレス鋼から形成される。他の構成も想定される。長尺シャフト110のための材料の好適であるが非限定的ないくつかの例を、以下に記載する。いくつかの実施形態では、長尺シャフト110は、長尺シャフト110のコイル状部分120及び/又は長尺シャフト110の遠位区分112上に配置されたポリマーコーティング140を含んでもよい。少なくともいくつかの実施形態では、長尺シャフト110の近位区分114は、ポリマーコーティング140を含まなくてもよい。ポリマーコーティングのための材料の好適であるが非限定的ないくつかの例を、以下に記載する。
【0040】
図3は、ガイドワイヤ90(例えば、図4)を改良型ガイドワイヤ100に変更するように構成された形成ツール200の選択された態様を示す。図4に見られるように、ガイドワイヤ90は、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを含んでもよく、遠位区分は、付勢されていない状態及び/又は拘束されていない状態で、第1の平面内で第1の方向に形成されたコイル状部分92を含む。形成ツール200は、改良型ガイドワイヤ100を形成及び/又は製造するために、コイル状部分92の近位のガイドワイヤ90の長尺シャフト内に逆湾曲部分を形成するように構成されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、ベースプレート210を含むことができる。形成ツール200は、ベースプレート210に固定されたプラットフォーム220を含むことができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、ベースプレート210に取り外し可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、ベースプレート210に固定的に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、機械的締結具、接着結合、溶接等を使用して、ベースプレート210に取り付けられてもよい。これらは例にすぎず、他の構成も想定される。代わりに、いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、ベースプレート210と一体的に形成されてもよく、及び/又はベースプレート210とモノリシックであってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、第1のレベル222及び第2のレベル224を含むことができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は階段状であってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220はモノリシックであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のレベル222は、形成ツール200及び/又はプラットフォーム220の上から見たとき、及び/又は上面図において、第1の断面積を有し、及び/又は第1の断面積を規定してもよい。いくつかの実施形態では、第2のレベル224は、形成ツール200及び/又はプラットフォーム220の上から見たとき、及び/又は上面図において、第2の断面積を有し、及び/又は第2の断面積を規定してもよい。少なくともいくつかの実施形態では、第2の断面積は、第1の断面積より小さくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の断面積は、第1の断面積と実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、形成ツール200及び/又はプラットフォーム220の上から見たとき、及び/又は上面図において、第2のレベル224を越えて、及び/又は第2のレベル224の外側に延在する第1のレベル222の一部分は、段差226を規定し得る。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224は、その中に形成された凹部228を含むことができる。いくつかの実施形態では、凹部228は、プラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224から素材を取り除くことによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、凹部228は、他の可能な方法の中でもとりわけ、鋳造又は射出成形などによって、プラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224と一体的に及び/又は同時に形成されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、ガイドワイヤ90の長尺シャフトのコイル状部分を、プラットフォーム220に、プラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に、及び/又はプラットフォーム220の凹部228及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224の凹部228内に、固定するように構成されたクランプ230を含んでもよい。いくつかの実施形態では、クランプ230は、取り付けブラケット232と、締め付け足部234と、取り付けブラケット232から締め付け足部234まで延在する締め付け機構236とを含み得る。取り付けブラケット232は、プラットフォーム220、及び/又はプラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、取り付けブラケット232は、プラットフォーム220に、及び/又はプラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に固定的に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、取り付けブラケット232は、プラットフォーム220に、及び/又はプラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に取り外し可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220上の、及び/又はプラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224上の取り付けブラケット232の位置は、調整可能であってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220上の、及び/又はプラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224上の取り付けブラケット232の位置は固定されてもよい。
【0044】
締め付け機構236は、締め付け足部234及び/又はガイドワイヤ90の長尺シャフトのコイル状部分を、プラットフォーム220に対して、プラットフォーム220の上面及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に、及び/又はプラットフォーム220の凹部228及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224の凹部228内に固定するための様々な適切な機械的機構のうちの1つ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、締め付け機構236は、カム機構、オーバーセンター機構、ラチェット機構、又は他の好適な手段を含んでもよい。これらは単なる例である。
【0045】
形成ツール200は、プラットフォーム220から横方向にオフセットされたポスト260に固定されるように構成された少なくとも1つの湾曲形成要素250を含むことができる。ポスト260は、ベースプレート210に固定的に留められ得る。少なくともいくつかの実施形態では、ポスト260は実質的に円筒形であってもよい。いくつかの実施形態では、ポスト260は、ベースプレート210に対して実質的に直交する長手方向の軸線を規定することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ポスト260の周りに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ポスト260に取り外し可能に固定されてもよい。少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ポスト260に摺動可能に係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ポスト260に対して回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ポスト260に対して回転不能であってもよい。例えば、少なくとも1つの湾曲形成要素250及び/又はポスト260は、少なくとも1つの湾曲形成要素250とポスト260との間の相対回転を防止するように構成されたタブ及びスロット、非円形形状、又は他の構造などのキーイング形体を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、ねじ、ボルト、ナット、ピン、又は、少なくとも1つの湾曲形成要素250がポスト260から外れることを防止することが可能な他の好適な締結具又は固定手段を使用して、ポスト260に固定されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、第1の湾曲形成要素252、第2の湾曲形成要素254、第3の湾曲形成要素256、第4の湾曲形成要素258などのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、第1の半径を規定する外面を有する第1の湾曲形成要素252を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、第2の半径を規定する外面を有する第2の湾曲形成要素254を含むことができる。第2の半径は、第1の半径と異なってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、第3の半径を規定する外面を有する第3の湾曲形成要素256を含んでもよい。第3の半径は、第1の半径及び第2の半径と異なってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、第4の半径を画定する外面を有する第4の湾曲形成要素258を含んでもよい。第4の半径は、第1の半径、第2の半径、及び第3の半径と異なってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの湾曲形成要素250は、約8ミリメートル(mm)~約30mmの範囲内の半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径は約12mmであってもよく、第2の半径は約10.5mmであってもよく、第3の半径は約15mmであってもよく、第4の半径は約8mmであってもよい。これらは単なる例である。他の構成及び/又は寸法も想定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、少なくとも1つの湾曲形成要素250及び/又は使用されていない及び/又はポスト260から取り外されている少なくとも1つの湾曲形成要素250のうちの1つ以上を保管するために、ベースプレート210上に及び/又はベースプレート210に固定されたインベントリ領域212を含むことができる。いくつかの実施形態では、インベントリ領域212は、少なくとも1つの湾曲形成要素250をその上に受容するように構成された複数のポストを含んでもよい。いくつかの実施形態では、インベントリ領域212は、少なくとも1つの湾曲形成要素250をその中に受容及び/又は保持するように構成された側壁を有する容器又は区画を含んでもよい。いくつかの実施形態では、容器又は区画は、取り外し可能なカバーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、取り外し可能なカバーは、容器又は区画にヒンジ式に取り付けられてもよい。他の構成も想定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、第1の端部272と、第1の端部272の反対側の第2の端部274とを有するレバーアーム270を含むことができる。レバーアーム270は、第1の端部272において及び/又はそれに隣接してポスト260の周りを回転するように構成されてもよい。レバーアーム270は、横方向寸法よりも大きい長手方向寸法を有する長尺形状を規定することができる。レバーアーム270は、第2の端部274に固定及び/又は配置されたノブ276を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ノブ276は、レバーアーム270に対して回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、ノブ276は、レバーアーム270に対して回転不能であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、レバーアーム270及びポスト260に固定された取り付け棒280を含むことができる。いくつかの実施形態では、取り付け棒280は、ポスト260に回転可能及び/又は枢動可能に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、レバーアーム270は、レバーアーム270に移動可能に固定されてもよく、及び/又は移動可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、レバーアーム270は、取り付け棒280に枢動可能に取り付けられてもよい。一例では、レバーアーム270は、ピン282又は別の機械的締結具によって取り付け棒280に枢動可能に取り付けられてもよい。ピン282は、圧入、摩擦嵌合、接着結合、溶接などによって、レバーアーム270及び/又は取り付け棒280に固定され得る。機械的締結具の他の例としては、リベット、ボルト、ねじなどが挙げられるが、これらに限定されない。取り付け棒280は、横方向寸法よりも大きい長手方向寸法を規定することができる。取り付け棒280は、ポスト260及びピン282を通って延在する長手方向の取り付け棒軸線を規定することができる。レバーアーム270は、ピン282とノブ276の軸線との間に延在する長手方向のレバーアーム軸線を規定し得る。
【0050】
レバーアーム270をポスト260の周りで反時計回り方向に移動させるとき、長手方向のレバーアーム軸線は、長手方向の取り付け棒軸線と整列されてもよく、及び/又は長手方向の取り付け棒軸線と平行であってもよい。いくつかの実施形態では、レバーアーム270は、レバーアーム270の底面から延在する1つ以上の突起を含んでもよく、1つ以上の突起は、長手方向のレバーアーム軸線が長手方向の取り付け棒軸線と整列するとき、及び/又は平行であるときに取り付け棒280に係合するように構成され、したがって、レバーアーム270と取り付け棒280との間の任意のさらなる相対回転運動を防止する。レバーアーム270と取り付け棒280との間の反時計回り方向への相対回転運動を防止する他の手段も想定される。例えば、ピン、ボルト、締結具、段差、停止部、又は他の形体は、レバーアーム270と取り付け棒280との間の干渉を引き起こし、したがって、反時計回り方向へのレバーアーム270と取り付け棒280との間の相対回転運動を防止し得る。いくつかの実施形態では、ボルト又はねじは、取り付けノブ284と係合するように、レバーアーム270を通って延在してもよく、取り付けノブ284を締め付けることにより、取り付け棒280をレバーアーム270に固定し、及び/又は取り付け棒280をレバーアーム270に対して締め付け、及び/又はそれらの間の相対運動に対する摩擦抵抗を増加させてもよい。いくつかの実施形態では、形成ツール200の動作に関して本明細書に記載するように、ボルト又はねじは、長手方向のレバーアーム軸線が長手方向の取り付け棒軸線と整列するとき、及び/又は平行であるときに、レバーアーム270と取り付け棒280との間の反時計回り方向の相対回転運動を防止するようにレバーアーム270のスロットに係合してもよく、一方で、レバーアーム270と取り付け棒280との間の時計回り方向のいくつかの相対回転運動を可能にすることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、レバーアーム270は、取り付け棒280に面する少なくとも1つの戻り止め又は凹部を含んでもよく、取り付け棒280は、長手方向のレバーアーム軸線が長手方向の取り付け棒軸線と整列するとき、及び/又は平行であるときに、少なくとも1つの戻り止め又は凹部に係合するように構成された少なくとも1つのばね搭載形体を含んでもよい。この係合は、レバーアーム270が時計回り方向に回転されるとき、形成ツール200の動作に関して本明細書に記載する場合を除いて、及び/又は本明細書に記載するまで、レバーアーム270と取り付け棒280との間の時計回り方向の自由な相対回転運動を防止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、レバーアーム270が時計回り方向に回転させられるとき、レバーアーム270と取り付け棒280との間の時計回り方向の自由な相対回転運動が摩擦により防止され得る。他の構成も想定される。
【0052】
いくつかの実施形態では、形成ツール200は、プラットフォーム220に及び/又はプラットフォーム220の第2のレベル224に取り外し可能及び/又は移動可能に固定されたガイドアーム290を含むことができる。ガイドアーム290は、プラットフォーム220の第1のレベル222及び/又は段差226の上に延在するように構成されてもよく、及び/又はそれらから離間されてもよい。いくつかの実施形態では、ガイドアーム290は、横方向寸法よりも大きい長手方向寸法を規定することができる。いくつかの実施形態では、ガイドアーム290は、ポスト260及び/又はポスト260に配置及び/又は固定された少なくとも1つの湾曲形成要素250に向かって、及び/又はそこから離れるように長手方向に移動するように構成されてもよい。ガイドアーム290の他の構成及び/又は動きも考えられる。いくつかの実施形態では、ガイドアーム290は、ガイドアーム290の遠位端に近接して配置された遠位ローラ292を含んでもよい。遠位ローラ292は、ポスト260上に配置及び/又は固定された少なくとも1つの湾曲形成要素250に係合するように構成されてもよい。遠位ローラ292の少なくとも一部分は、ガイドアーム290の遠位端の遠位方向に延在してもよい。いくつかの実施形態では、遠位ローラ292は、ガイドアーム290に対して長手方向に並進するように構成されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、遠位ローラ292は、ばねによって遠位方向に付勢されてもよい。いくつかの実施形態では、ばねは、ガイドアーム290内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ばねは、ガイドアーム290に取り付けられてもよい。他の構成も想定される。
【0053】
図4は、置換心臓弁インプラントを送達する際に使用するためのキットの態様を示す。キットは、本明細書に記載する形成ツール200と、ガイドワイヤ90とを含んでもよい。ガイドワイヤ90は、遠位区分と、遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備えてもよく、長尺シャフトは、遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、コイル状部分は、第1の平面内で第1の方向に湾曲される。形成ツール200は、本明細書に記載するように、改良型ガイドワイヤ100(例えば、図2)を製造するために、コイル状部分の近位の長尺シャフト内に逆湾曲部分を形成するように構成されてもよい。
【0054】
図4において、形成ツール200は、開放位置で示されている。形成ツール200を開放位置に配置するために、互いに軸方向に整列され得るレバーアーム270及び取り付け棒280は、取り付け棒280がプラットフォーム220の第1のレベル222に接触するまで、ポスト260の周りで時計回り方向にノブ276を移動させることによって、ポスト260の周りで共に時計回り方向に回転及び/又は枢動され得る。この接触により、取り付け棒280の回転は停止する。ノブ276及び/又はレバーアーム270の第2の端部274の時計回り方向へのさらなる及び/又は連続する回転及び/又は運動により、レバーアーム270がピン282の周りで枢動して、レバーアーム270を取り付け棒280との整列からシフトさせ、その結果、長手方向のレバーアーム軸線は、開放位置において長手方向の取り付け棒軸線に対して傾いている。レバーアーム270は、レバーアーム270がプラットフォーム220の第2のレベル224に接触するまで、プラットフォーム220の第1のレベル222の一部分の上を、及び/又はプラットフォーム220の段差226の上を移動され得る。
【0055】
ピン282の周りでレバーアーム270を枢動させることによっても、レバーアーム270の第1の端部272と、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)との間に間隙を開かせる。加えて、ガイドアーム290は、取り付け棒280の少なくとも一部分及び/又はレバーアーム270の一部分の上に延在してもよい。いくつかの実施形態では、レバーアーム270の第1の端部272は、上部アーム部分及び下部アーム部分を含むことができる。上部アーム部分は、ピン282の近くに、かつそこから横方向にオフセットされた傾斜角部を含んでもよく、上部アーム部分の一部分は、レバーアーム270から取り外されている。形成ツール200が開放位置にあるとき、ガイドアーム290の側面は、レバーアーム270の上部アーム部分の傾斜角部と整列及び/又は係合してもよい。図5は、形成ツール200の選択された態様をより詳細に示す。
【0056】
加えて、図5に見られるように、レバーアーム270の第1の端部272は、上部アーム部分と下部アーム部分との間に配置されたローラ278を含んでもよい。ローラ278は、ポスト260及び/又はピン282の軸線に実質的に平行な回転軸を有してもよい。ローラ278は、ローラ278の周囲に円周方向に延在する溝279を含んでもよい。溝279は、ローラ278の外面に形成されてもよい。溝279は、ガイドワイヤ90の長尺シャフトを受容するようなサイズ及び構成であってもよい。溝279は、ローラ278の回転軸に実質的に直交し得る。いくつかの実施形態では、ローラ278は、レバーアーム270の第1の端部272を越えて延在してもよい。いくつかの実施形態では、ローラ278は、レバーアーム270の第1の端部272と実質的に同一平面であってもよい。いくつかの実施形態では、ローラ278は、レバーアーム270の第1の端部272内にはめ込まれてもよく、及び/又はそこから凹設されてもよい。
【0057】
図6は、改良型ガイドワイヤ100を形成する方法の態様を示す。形成ツール200が開放位置にある状態で、ガイドワイヤ90を形成ツール200内に配置することができる。コイル状部分は、プラットフォーム220の第2のレベル224の凹部228内に配置されてもよい。ガイドワイヤ90の長尺シャフトは、少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252)とレバーアーム270の第1の端部272との間に配置されてもよい。ガイドワイヤ90の長尺シャフトは、少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252)とガイドアーム290の遠位ローラ292との間に配置されてもよい。
【0058】
その後、クランプ230は、図7に示すように、締め付け足部234が、プラットフォーム220の第2のレベル224の凹部228内に及び/又はそれに対してコイル状部分を保持する、はめ込む、及び/又は締め付けるように構成されるように、ガイドワイヤ90のコイル状部分上にて閉鎖されてもよい。ガイドアーム290の遠位ローラ292は、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に対してガイドワイヤ90を付勢する、はめ込む、及び/又は押圧するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ガイドアーム290は、遠位ローラ292をガイドワイヤ90及び/又はポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に対して係合させるように、ポスト260に向かって長手方向に並進されてもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ90が、遠位ローラ292と、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)との間の位置に配置されたときに、ガイドアーム290のばねは、ガイドアーム290自体を移動させることなく、遠位ローラ292がポスト260から離れるように長手方向に並進することを可能にするように構成されてもよく、ばね及び/又は遠位ローラ292を解放することにより、遠位ローラ292をガイドワイヤ90及び/又はポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に対して係合させるように、遠位ローラ292がポスト260に向かって長手方向に並進することを可能にする。
【0059】
次に、図7に示すように、改良型ガイドワイヤ100の逆湾曲部分130を形成する(例えば、ガイドワイヤ90を改良型ガイドワイヤ100に変換する)ために、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)の周りでガイドワイヤ90を屈曲及び/又は形成するように、レバーアーム270及び/又はノブ276をポスト260の周りで反時計回り方向に回転させてもよい。改良型ガイドワイヤ100の逆湾曲部分130を形成するために、レバーアーム270及び/又はノブ276をポスト260の周りで反時計回り方向に回転させたときに、レバーアーム270のローラ278及び/又はガイドアーム290の遠位ローラ292は、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に対してガイドワイヤ90を付勢する、はめ込む、及び/又は押圧することができる。さらに、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)の周りに改良型ガイドワイヤ100の逆湾曲部分130を形成するためにレバーアーム270及び/又はノブ276をポスト260の周りで反時計回り方向に回転させたときに、ガイドワイヤ90が、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に沿って上下に移動するのを防止するようにガイドワイヤ90をローラ278の溝279内に配置することができる。改良型ガイドワイヤ100を製造及び/又は形成するために、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)の周りにガイドワイヤ90を形成した後、逆湾曲部分130は、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)の半径に一致及び/又は近似する屈曲半径を有することができる。したがって、異なる湾曲形成要素(例えば、第2の湾曲形成要素254、第3の湾曲形成要素256など)を使用するために、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)を変更することにより、特定の必要性又は患者の特性に従って、改良型ガイドワイヤ100及び/又は逆湾曲部分130を形成するときに、異なる屈曲半径をガイドワイヤ90に適用することが可能になる。
【0060】
図7に見られるように、ローラ278及び/又はレバーアーム270の第1の端部272は、レバーアーム270及び取り付け棒280をポスト260の周りで反時計回りに回転させるときに、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素250(例えば、第1の湾曲形成要素252など)に係合するように構成され得る。レバーアーム270及び取り付け棒280をポスト260の周りで反時計回りに回転させるとき、ガイドワイヤ90は、ポスト260上に配置された少なくとも1つの湾曲形成要素252(例えば、第1の湾曲形成要素250など)に沿ったガイドワイヤ90の垂直移動を防止するために、ローラ278の溝279内に配置され得る。これはまた、逆湾曲部分130がコイル状部分120とともに第1の平面内に形成されることを確実にするのに役立ち得る。他の構成も想定される。
【0061】
図8図13は、患者の心臓10の生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)を治療する方法の態様を示す。図8に見られるように、本方法は、カテーテル300の遠位端310を、患者の血管系(例えば、大動脈20等)を介して生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)へ、及び/又は生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)を介して患者の心臓10の心室16の中へ向かって前進させることを含んでもよい。カテーテル300の遠位端310は、患者の心臓10の心室16内に配置され得る。カテーテル300は、カテーテル300を通って遠位端310まで延在する1つ以上のルーメンを含んでもよい。1つ以上のルーメンのうちの少なくとも1つは、ガイドワイヤルーメン及び/又はワーキングルーメンであってもよい。いくつかの実施形態では、患者の心臓10は、より直接的にアクセスされてもよく、患者の血管系(例えば、大動脈20)を介するナビゲーションは、必要とされなくてもよい。
【0062】
本方法は、図9に示すように、改良型ガイドワイヤ100をカテーテル300の遠位端310から患者の心臓10の心室16内に向かって前進させることを含むことができる。改良型ガイドワイヤ100は、本明細書に記載されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、改良型ガイドワイヤ100は、カテーテル300が患者の心臓10の生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)に向かって前進するときに、カテーテル300の1つ以上のルーメン内に真っ直ぐな形態で収容及び/又は拘束されてもよい。いくつかの実施形態では、改良型ガイドワイヤ100は、カテーテル300と同時に、及び/又はその中で、患者の血管系を介して患者の心臓10の生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)まで前進させられてもよい。いくつかの実施形態では、改良型ガイドワイヤ100は、カテーテル300の遠位端310を患者の心臓10の心室16内に配置した後に、カテーテル300を介して前進させられてもよい。
【0063】
本方法は、改良型ガイドワイヤ100の長尺シャフト110のコイル状部分120が患者の心臓10の心室16内に配置されたときに、近位区分114の遠位部分が生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の弁口から半径方向内側に離間されるように、改良型ガイドワイヤ100のコイル状部分120を患者の心臓10の心室16内に配置することを含んでもよい。本方法は、図10に示すように、患者の心臓10の心室16内に改良型ガイドワイヤ100のコイル状部分120を維持しながら、カテーテル300を取り除くことを含んでもよい。図10はまた、改良型ガイドワイヤ100の長尺シャフト110のコイル状部分120が患者の心臓10の心室16内に配置されたときに、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の弁口から半径方向内側に離間された長尺シャフト110を示す。逆湾曲部分130は、図1の先行技術のガイドワイヤと比較して、長尺シャフト110の近位区分114の遠位部分を生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の中心に向かって付勢する。
【0064】
本方法は、図11に見られるように、展開デバイス400を改良型ガイドワイヤ100上で患者の心臓10の生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)まで前進させることを含んでもよい。展開デバイス400は、部分断面図で示されている。いくつかの実施形態では、展開デバイス400は、外側シースと、外側シースに対して軸方向に並進可能な内側シャフトとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、展開デバイス400の内側シャフトは、それを通って展開デバイス400の遠位端まで延在する中央のガイドワイヤルーメンを含んでもよい。
【0065】
展開デバイス400及び/又は外側シースは、拘束及び/又は圧潰形態でその中に配置される置換心臓弁インプラント430を有する遠位格納区分を含んでもよい。遠位格納区分は、近位部分450及び遠位部分452を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位格納区分の近位部分450及び遠位部分452は、互いに対して軸方向に並進して、遠位格納区分を開き、置換心臓弁インプラント430を解放するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位格納区分の近位部分450は、外側シースに固定的に取り付けられてもよく、及び/又は外側シースと一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位格納区分の遠位部分452は、内側シャフトに固定的に取り付けられてもよく、及び/又は内側シャフトと一体的に形成されてもよい。したがって、外側シースと内側シャフトとの間の相対的な軸方向並進により、遠位格納区分を開き、置換心臓弁インプラント430を解放するように遠位格納区分の近位部分450及び遠位格納区分の遠位部分452の対応する相対的な軸方向並進を引き起こすことができる。展開デバイス400の遠位格納区分は、展開デバイス400の遠位格納区分を開く前に、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)に隣接して、及び/又はその中に配置されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、遠位格納区分の遠位部分452は、展開デバイス400の遠位格納区分を開く前に、少なくとも部分的に生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の上流に、及び/又は少なくとも部分的に患者の心臓10の心室16内に配置されてもよい。
【0066】
本方法は、図12に見られるように、遠位格納区分が生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)内に配置されている間に、展開デバイス400の遠位格納区分を開放することによって、置換心臓弁インプラント430を生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)内に展開することを含んでもよい。置換心臓弁インプラント430は、拡張可能なフレームワークと、拡張可能なフレームワーク内に配置された複数の弁尖とを含み得る。いくつかの実施形態では、拡張可能フレームワークは、自己拡張式であってもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能フレームワークは、機械的に拡張可能であってもよく、及び/又はバルーン拡張可能であってもよい。他の構成も想定される。
【0067】
遠位格納区分を開いた後、遠位格納区分の遠位部分452は、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の上流及び/又は患者の心臓10の心室16内に配置されてもよく、遠位格納区分の近位部分450は、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の下流及び/又は患者の大動脈弓22及び/又は大動脈20内に配置されてもよい。改良型ガイドワイヤ100の長尺シャフト110の逆湾曲部分130は、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の遠位及び/又は上流に、及び/又は患者の心臓10の心室16内に、少なくとも部分的に配置され得る。遠位格納区分を開くと、置換心臓弁インプラント430は、拡張された展開形態に向かって、及び/又は拡張された展開形態にシフトし得る。いくつかの実施形態では、置換心臓弁インプラント430は、拡張された展開形態にシフトする前に、遠位格納区分及び/又は展開デバイス400から解放されてもよい。いくつかの実施形態では、置換心臓弁インプラント430は、拡張された展開形態にシフトした後に、遠位格納区分及び/又は展開デバイス400から解放されてもよい。
【0068】
図12に見られるように、改良型ガイドワイヤ100の長尺シャフト110の逆湾曲部分130は、改良型ガイドワイヤ100の長尺シャフト110の近位区分114(図示無し)の遠位部分を生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の中心に向かって、及び/又は生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)の弁口から離れるように付勢する。この配置により、図13に見られるように、展開デバイス400が患者の心臓10から取り外されるときに、展開デバイス400の遠位格納区分の遠位部分452が置換心臓弁インプラント430に接触することを防止し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、遠位格納区分は、患者の心臓10及び/又は血管系から展開デバイス400を取り外す前に閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、展開デバイス400は、患者の心臓10及び/又は血管系から取り外される前に、送達カテーテル(図示無し)内に配置されてもよく、及び/又はその中に後退されてもよい。他の構成も想定される。
【0070】
いくつかの実施形態では、カテーテル300、展開デバイス400、遠位格納区分、及び/又はそれらの要素は、患者の血管系を介した送達及び/又はナビゲーション中の可視化のための少なくとも1つの放射線不透過性マーカを含んでもよい。少なくとも1つの放射線不透過性マーカにより、生来の心臓弁(例えば、大動脈弁12)、心室16、及び/又は患者の心臓10に対する、カテーテル300の遠位端310及び/又は展開デバイス400の遠位格納区分の蛍光透視下での正確な配置が可能になり得る。
【0071】
ガイドワイヤ、カテーテル、置換心臓弁インプラント、展開デバイス、及び/又は形成ツール(及び/又は本明細書に開示された他の要素)の様々な構成要素、及び本明細書に開示されるその様々な構成要素のために使用されることができる材料は、医療デバイスと一般的に関連付けられるものを含んでもよい。簡略化のために、以下の議論では、医療デバイス(複数可)に言及する。しかし、これは、本明細書に記載されたデバイス及び方法を限定することを意図せず、議論は、限定ではないが、長尺シャフト、外側シース、内側シャフト等及び/又はそれらの要素又は構成要素等の本明細書に開示された他の要素、部材、構成要素、又はデバイスに適用されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素は、金属、合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、及びそれらの組み合わせ等、又は他の好適な材料から作製されてもよい。適切な金属及び合金のいくつかの例は、444V、444L、及び314LVステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、及び他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、及びNICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R44035など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、及び他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、及びPHYNOX(登録商標)等のUNS:R44003)、白金強化ステンレス鋼、チタン、及びこれらの組み合わせ等、又は任意の他の適切な材料を含む。
【0073】
本明細書で言及されるように、市販のニッケル-チタン又はニチノール合金のファミリー内には、「線形弾性」又は「非超弾性」と称されるカテゴリーがあり、これは、従来の形状記憶及び超弾性の種類と化学的に類似し得るが、別個の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみの増加につれて、応力は、塑性変形が始まるまで実質的に線形である又はいくつかは線形であるが必ずしも全体的に線形ではない関係において、又は少なくとも、超弾性ニチノールに見られ得る超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形である関係において増加を継続する。従って、本開示の目的のために、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールと称されてもよい。
【0074】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが、実質的に弾性のままでありながら(例えば、塑性変形前に)、最大約2から5%の歪みを受け入れることができるが、一方、超弾性ニチノールは、塑性変形前に最大約8%の歪みを受け入れることができるという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変形前に約0.2から0.44パーセントの歪みのみを受け入れ得るステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)等の他の線形弾性材料と区別することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(DMTA)分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、摂氏約-60度(℃)から約120℃の範囲で、DSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がなくてもよい。従って、そのような材料の機械的屈曲特性は、一般に、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的屈曲特性は、例えば、それらが超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。言い換えると、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特徴及び/又は特性を維持する。
【0076】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50から約60重量パーセントの範囲のニッケルを含み残りは実質的にチタンであってもよい。いくつかの実施形態では、組成は、約54から約57重量パーセントの範囲のニッケルを含む。好適なニッケル-チタン合金の一例は、日本神奈川県の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料は、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)及びGUM METAL(商標)(トヨタから入手可能)を含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、望ましい特性を達成するために、超弾性合金、例えば、超弾性ニチノールが使用されてもよい。
【0077】
少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素の一部分又は全部はまた、放射線不透過性材料でドープされてもよく、放射線不透過性材料で作製されてもよく、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン又は別の撮像技術で比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素の場所を判定する際に、ユーザを補助する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラーが充填されたポリマー材料等を含み得る。加えて、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルもまた、同じ結果を達成するために、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素の設計に組み込まれてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像(MRI)適合性が、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素に付与される。例えば、医療デバイス(複数可)及び/又はその構成要素又は一部分は、画像を実質的に歪めず、実質的なアーチファクト(例えば、画像内の間隙)を生成しない材料で作製されてもよい。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生成する可能性があるので、適切でない場合がある。医療デバイス(複数可)又はその一部分はまた、MRI機器が撮像できる材料から作成されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R44035)、ニチノールなど、及びその他を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素は、ポリマー又は他の好適な材料から作製されてもよく、又はそれを含んでもよい。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルフォン、ナイロン、ナイロン-12(例えば、EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標))、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はその混合物、組み合わせ、コポリマー、及びポリマー/金属複合体等を含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合されてもよい。例えば、混合物は最大約6%までのLCPを含有することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素は、構造の上又は中に配置される布材料を含んでもよい。布材料は、組織の内部成長を促進するように適合されたポリマー材料又は生体材料などの生体適合性材料からなり得る。いくつかの実施形態では、布材料は、生体吸収性材料を含んでもよい。好適な布材料のいくつかの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン材料、ポリエステル、ポリウレタン、及び/又はそれらのブレンド若しくは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素は、繊維材料を含んでもよく、及び/又は繊維材料から形成されてもよい。好適な繊維材料のいくつかの例は、平坦、成形、撚り、テクスチャード加工、予備収縮又は未収縮であり得る合成糸を含み得る。本開示における使用に好適な合成生体適合性糸は、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然絹、及びポリテトラフルオロエチレンを含む。さらに、合成糸の少なくとも1つは、金属糸又はガラス又はセラミック糸又は繊維であってもよい。有用な金属糸は、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル又はNi-Co-Cr系合金で作成された糸又はそれらを含有する糸を含む。糸は、炭素、ガラス又はセラミック繊維をさらに含んでもよい。望ましくは、糸は、限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含む熱可塑性材料で作製される。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント、又はスパンタイプであってもよい。選択される糸の種類及びデニールは、生体適合性及び移植可能なプロテーゼ、より具体的には、望ましい特性を有する血管構造を形成するように選択されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療デバイス(複数可)及び/又は他の要素は、好適な治療薬を含んでもよく、及び/又は好適な治療薬を用いて処理されてもよい。適切な治療薬のいくつかの例は、抗血栓剤(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など)、抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することができるモノクローナル抗体、ヒルジン及びアセチルサリチル酸など)、抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンなど)、抗悪性腫瘍薬/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、及びチミジンキナーゼ阻害剤など)、麻酔剤(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインなど)、抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、及びダニ抗血小板ペプチドなど)、血管細胞増殖プロモータ(例えば、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写アクチベータ及び翻訳プロモータ)、血管細胞増殖阻害剤(例えば、増殖因子阻害剤、細胞増殖受容体アンタゴニスト、転写リプレッサ、翻訳リプレッサ、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子及び細胞毒素からなる二官能性分子、抗体及び細胞毒素からなる二官能性分子など)、コレステロール低下剤、血管拡張剤、及び内因性血管作動性メカニズムを阻害する薬剤を含んでもよい。
【0083】
本開示が、多くの態様において例示的なものにすぎないことは理解されるべきである。本開示の範囲を逸脱することなく、詳細に、特に形状、大きさ、及び工程の配置に関して変更され得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態に使用されている一つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本開示の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
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図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換心臓弁インプラントを送達するための改良型ガイドワイヤであって、
遠位区分と、前記遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備え、
前記長尺シャフトが、前記遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、
前記コイル状部分が、第1の平面内で第1の方向に湾曲され、
前記長尺シャフトが、前記第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲された逆湾曲部分を含み、
前記逆湾曲部分が、前記コイル状部分の近位に配置される、前記改良型ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記逆湾曲部分が、前記第1の平面内で前記第2の方向に湾曲される、請求項1に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項3】
前記長尺シャフトの前記近位区分が、前記長尺シャフトの前記遠位区分よりも横方向に高い剛性を有する、請求項1に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項4】
前記長尺シャフトの前記遠位区分が、遠位方向に先細にされている、請求項1に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項5】
前記長尺シャフトが、前記コイル状部分に配置されたポリマーコーティングを含む、請求項1に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項6】
前記長尺シャフトの前記近位区分が、前記ポリマーコーティングを含まない、請求項5に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項7】
前記逆湾曲部分が、前記長尺シャフトの前記近位区分内に少なくとも部分的に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項8】
前記逆湾曲部分が、前記近位区分の遠位部分から前記遠位区分内に向かって延在する、請求項7に記載の改良型ガイドワイヤ。
【請求項9】
置換心臓弁インプラントの送達に使用するためのキットであって、
遠位区分と、前記遠位区分から近位方向に延在する近位区分とを含む長尺シャフトを備えるガイドワイヤであって、前記長尺シャフトが前記遠位区分内に配置されたコイル状部分を含み、前記コイル状部分が第1の平面内で第1の方向に湾曲される前記ガイドワイヤと、
改良型ガイドワイヤを生成するために、前記コイル状部分の近位の前記長尺シャフト内に逆湾曲部分を形成するように構成され、前記逆湾曲部分が前記第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲される形成ツールとを備える前記キット。
【請求項10】
前記形成ツールが、
ベースプレートと、
前記ベースプレートを固定するためのプラットフォームと、
前記長尺シャフトの前記コイル状部分を前記プラットフォームに固定するように構成されたクランプと、
前記プラットフォームから横方向にオフセットされたポストに固定されるように構成された少なくとも1つの湾曲形成要素と、
前記ポストを中心として回転するように構成されたレバーアームとを含み、
前記少なくとも1つの湾曲形成要素が、第1の半径を規定する外面を有する第1の湾曲形成要素を含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの湾曲形成要素が、第2の半径を規定する外面を有する第2の湾曲形成要素を含み、前記第2の半径が前記第1の半径とは異なる、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記プラットフォームが、前記長尺シャフトの前記コイル状部分を受容するように構成された凹部を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
前記クランプが、前記長尺シャフトの前記コイル状部分を前記プラットフォームの前記凹部内に固定するように構成される、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記改良型ガイドワイヤの前記逆湾曲部分が、前記第1の平面内で前記第2の方向に湾曲される、請求項9に記載のキット。
【請求項15】
前記改良型ガイドワイヤの前記逆湾曲部分を形成した後、前記コイル状部分が前記改良型ガイドワイヤの前記近位区分の中心の長手方向の軸線を含む第2の平面の両側に横方向に延在し、前記第2の平面が前記第1の平面に実質的に直交する、請求項9から14のいずれか一項に記載のキット。
【国際調査報告】