(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】環状RNA Circ-ACE2翻訳によるポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/57 20060101AFI20240524BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240524BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240524BHJP
C12N 9/64 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240524BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240524BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240524BHJP
A61P 31/14 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
C12N15/57 ZNA
C07K19/00
C07K16/00
C12N9/64
C12N15/62 Z
A61P11/00
A61K31/7088
A61K38/16
A61P31/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574669
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2022097024
(87)【国際公開番号】W WO2022253340
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110624105.4
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110765444.4
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511015560
【氏名又は名称】中国科学院広州生物医薬及健康研究院
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU INSTITUTE OF BIOMEDICINE AND HEALTH,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】190 Kai Yuan Avenue,Science Park Guangzhou,Guangdong China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】劉 興国
(72)【発明者】
【氏名】劉 明
(72)【発明者】
【氏名】張 茂雷
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 広鎖
(72)【発明者】
【氏名】梁 珊
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
(57)【要約】
環状RNA Circ-ACE2翻訳によるポリペプチド及びその使用を提供し、該環状RNA分子は、1)SEQ ID NO:1に示すRNA配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された環状RNA分子であって、前記環状RNA分子は、
1)SEQ ID NO:1に示すRNA配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする単離された環状RNA分子。
【請求項2】
前記環状RNA分子はアンジオテンシン変換酵素2をコードするmRNA配列の第2エキソン単独環化によって形成され、
任意選択に、前記環化は胎盤組織中に発生することを特徴とする請求項1に記載の環状RNA分子。
【請求項3】
前記環状RNA分子は1)または2)に示すヌクレオチド配列の開始ヌクレオチドと末端ヌクレオチドが連結して形成され、前記開始ヌクレオチドは前記環状RNA分子の1番目のヌクレオチドとして設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の環状RNA分子。
【請求項4】
前記環状RNA分子のコード領域は前記環状RNA分子の104番目から45番目のヌクレオチドを含み、
任意選択に、前記環状RNAコード領域の核酸配列は、
1)SEQ ID NO:2に示すRNA配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の環状RNA分子。
【請求項5】
ポリペプチドであって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、
1)SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドはシグナルペプチド配列を含み、
任意選択に、前記シグナルペプチドのアミノ酸配列はMSSSSWLLLSLVAVTAAであることを特徴とする請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドは胎盤組織中に存在することを特徴とする請求項5または6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
融合タンパク質であって、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチドとFcを含み、前記ポリペプチドのC端はFcのN端に連結されることを特徴とする融合タンパク質。
【請求項9】
前記融合タンパク質は、
1)SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
単離された核酸であって、請求項5-7のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項8または9に記載の融合タンパク質をコードすることを特徴とする単離された核酸。
【請求項11】
請求項8または9に記載の融合タンパク質をコードする前記核酸は、
1)SEQ ID NO:5に示すヌクレオチド配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか1項に記載のRNA分子、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸の、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制するための薬物またはキットの調製における使用。
【請求項13】
新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制する方法であって、前記方法は、
新型コロナウイルスまたは感染対象細胞と請求項1~4のいずれか1項に記載のRNA分子、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸とを接触させるステップを含むことを特徴とする新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制する方法。
【請求項14】
前記接触は、
1)新型コロナウイルスと請求項1~4のいずれか1項に記載のRNA分子、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸とに第1の混合処理を行うステップと、
2)ステップ1)で得られた混合物と感染対象細胞とに第2混合処理を行い、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制するステップと、によって行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリペプチドまたは融合タンパク質の混合系における最終濃度は10μg/mLまたは160μg/mLであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
新型コロナウイルス肺炎を治療または予防する方法であって、患者に、薬学的に許容できる請求項1~4のいずれか1項に記載のRNA分子、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸を投与するステップを含むことを特徴とする新型コロナウイルス肺炎を治療または予防する方法。
【請求項17】
請求項1~4のいずれか1項に記載のRNA分子、請求項5~7のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸の、新型コロナウイルス肺炎の治療または予防における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年06月04日に中国国家知識産権局に提案された、出願番号が202110624105.4及び2021年07月07日に中国国家知識産権局に提案された、出願番号が202110765444.4の特許出願の優先権を主張し、その全部内容は援用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明はバイオ医薬の分野に関し、具体的に、本発明は、環状RNA Circ-ACE2翻訳によるポリペプチド及びその使用に関し、より具体的に、本発明は、単離された環状RNA分子、単離された環状RNA分子でコードされるポリペプチド、融合タンパク質、融合タンパク質をコードする単離された核酸、及び環状RNA分子でコードされるポリペプチド、融合タンパク質、融合タンパク質をコードする単離された核酸の薬物またはキットの製造における使用、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制する方法、新型コロナウイルス肺炎を治療または予防する方法、及び新型コロナウイルス肺炎の治療または予防における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
胎盤(Placenta)は、妊娠中の胎児と母体との間の物質交換の重要な一時的な器官であるだけなく、胎児の発育中に病原性微生物による感染から胎児を保護することができ、胎盤細胞は妊娠母体から胎児へのウイルスの伝達を抑制する上で重要な役割を果たす可能性がある。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは世界の健康に重大な影響を及ぼし、一部の研究グループは、COVID-19ウイルスの母子垂直感染に一定の制限があると報告しており、データによると、新生児が母体からCOVID-19を感染させる割合は5%未満であり、胎盤組織に新型コロナを感染した母体からウイルスへの胎児の伝達を抑制する独特な抗ウイルス物質が存在することが示唆された。
【0004】
ポリペプチド薬物はすでに臨床で広く使用されており、典型的な代表は、インスリンポリペプチド薬物である。ポリペプチドの薬物代謝産物はアミノ酸であり、アミノ酸は人体に必須の元素であり、ポリペプチド薬物はタンパク質薬物と類似しているため、ポリペプチド薬物の毒性が小さく、安全性が高い。大規模なタンパク質及び抗体薬物に比べて、ポリペプチド薬物は免疫原性が低く、且つ人工的に合成しやすく、注射及び鼻腔霧化の投与に適し、優れた創薬性を有する。
【0005】
近年の研究では、多くの生物体から大量に存在した環状RNA分子が発見し、環状RNAは真核生物に広く存在し、個体の発育や疾病の発生発展において重要な生物機能を有する。新型コロナウイルスによる疫病はすでに全世界で流行しており、それによって引き起した疾病はまだ特効と副作用が小さい治療薬物がないため、新しい視野から、新型コロナウイルスに対抗する理想的な薬物を発見、開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本願は、発明者が以下の事実と問題に対する発見と認識に基づいて作成されたものである。
【0007】
新型コロナウイルスがACE2(アンジオテンシン2)と結合して細胞に感染するが、発明者は、環状RNA circAtlas統合データベースの深さ分析マイニングと実験を行ったところ、ヒト胎盤組織中でACE2遺伝子が特異的に環化剪断を起こし、環状RNA Circ-ACE2を形成し、且つ該環状RNAがコードするポリペプチド及び該ポリペプチドを利用して得られた組換えポリペプチドはCOVID-19が真核細胞を感染するのを抑制する能力を有することを発見した。
【0008】
このため、本発明の第1の態様では、本発明は、単離された環状RNA分子を提供する。本発明の実施例によれば、前記環状RNA分子は、1)SEQ ID NO:1に示すRNA配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含む。
【0009】
本発明の実施例によれば、前記SEQ ID NO:1の具体的な配列は、
CGCCCAACCCAAGUUCAAAGGCUGAUAAGAGAGAAAAUCUCAUGAGGAGGUUUUAGUCUAGGGAAAGUCAUUCAGUGGAUGUGAUCUUGGCUCACAGGGGACGAUGUCAAGCUCUUCCUGGCUCCUUCUCAGCCUUGUUGCUGUAACUGCUGCUCAGUCCACCAUUGAGGAACAGGCCAAGACAUUUUUGGACAAGUUUAACCACGAAGCCGAAGACCUGUUCUAUCAAAGUUCACUUGCUUCUUGGAAUUAUAACACCAAUAUUACUGAAGAGAAUGUCCAAAACAUGである。
【0010】
本発明の実施例による環状RNA配列翻訳によるポリペプチドは細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0011】
本発明の実施例によれば、上記環状RNA分子はさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記環状RNA分子はアンジオテンシン変換酵素2をコードするmRNA配列の第2エキソン単独環化によって形成される。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記環化は胎盤組織中で発生する。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記環状RNA分子は、1)または2)に示すヌクレオチド配列の開始ヌクレオチドと末端ヌクレオチドとが連結することにより形成され、前記開始ヌクレオチドは、前記環状RNA分子の1番目のヌクレオチドとして設定される。
【0015】
本発明の実施例によれば、前記環状RNAコード領域は前記環状RNA分子の104番目から45番目までのヌクレオチドを含む。
【0016】
本発明の実施例によれば、前記環状RNAコード領域の核酸配列は、1)SEQ ID NO:2に示すRNA配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含む。
【0017】
本発明の実施例によれば、前記SEQ ID NO:2の具体的な配列は、
AUGUCAAGCUCUUCCUGGCUCCUUCUCAGCCUUGUUGCUGUAACUGCUGCUCAGUCCACCAUUGAGGAACAGGCCAAGACAUUUUUGGACAAGUUUAACCACGAAGCCGAAGACCUGUUCUAUCAAAGUUCACUUGCUUCUUGGAAUUAUAACACCAAUAUUACUGAAGAGAAUGUCCAAAACAUGCGCCCAACCCAAGUUCAAAGGCUGAUAAGAGAGAAAAUCUCAUGAである。
【0018】
本発明の実施例による環状RNAコード領域核酸配列翻訳によるポリペプチドは細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0019】
本発明の第2態様では、本発明は、ポリペプチドを提供する。本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、1)SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含む。本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドは細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0020】
本発明の実施例によれば、前記SEQ ID NO:3の具体的な配列は、
MSSSSWLLLSLVAVTAAQSTIEEQAKTFLDKFNHEAEDLFYQSSLASWNYNTNITEENVQNMRPTQVQRLIREKISである。
【0021】
本発明の実施例によれば、上記ポリペプチドはさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドにシグナルペプチド配列が含まれる。
【0023】
本発明の実施例によれば、前記シグナルペプチドのアミノ酸配列はMSSSSWLLLSLVAVTAAである。
【0024】
本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドは胎盤組織に存在する。
【0025】
本発明の第3の態様では、本発明は、融合タンパク質を提供する。本発明の実施例によれば、前記融合タンパク質は第2態様に記載のポリペプチドとFcを含み、前記ポリペプチドのC端はFcのN端に接続される。本発明の実施例によれば、前記融合タンパク質は細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0026】
本発明の実施例によれば、前記融合タンパク質はさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
本発明の実施例によれば、前記融合タンパク質は、1)SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0028】
本発明の実施例によれば、前記SEQ ID NO:4の具体的な配列は、
MSSSSWLLLSLVAVTAAQSTIEEQAKTFLDKFNHEAEDLFYQSSLASWNYNTNITEENVQNMRPTQVQRLIREKISLVPRGSGGGGDPEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKである。
【0029】
本発明の第4の態様では、本発明は、単離された核酸を提供する。本発明の実施例によれば、前記単離された核酸は第2態様に記載のポリペプチドまたは第3の態様に記載の融合タンパク質をコードする。本発明の実施例による単離された核酸配列は適切な条件で発現することにより、前記ポリペプチドまたは融合タンパク質を大量に取得し、前記単離された核酸配列翻訳によるポリペプチドまたは融合タンパク質はいずれも細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0030】
本発明の実施例によれば、前記単離された核酸はさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0031】
本発明の実施例によれば、前記融合タンパク質をコードする前記核酸は、1)SEQ ID NO:5に示すヌクレオチド配列、2)1)と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の実施例によれば、前記SEQ ID NO:5の具体的な配列は、
ATGTCAAGCTCTTCCTGGCTCCTTCTCAGCCTTGTTGCTGTAACTGCTGCTCAGTCCACCATTGAGGAACAGGCCAAGACATTTTTGGACAAGTTTAACCACGAAGCCGAAGACCTGTTCTATCAAAGTTCACTTGCTTCTTGGAATTATAACACCAATATTACTGAAGAGAATGTCCAAAACATGCGCCCAACCCAAGTTCAAAGGCTGATAAGAGAGAAAATCTCACTGGTGCCCAGAGGCTCCGGCGGCGGCGGCGATCCTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGAである。
【0033】
本発明の第5の態様では、本発明は発現ベクターを提供する。本発明の実施例によれば、前記発現ベクターは第1の態様に記載のRNA分子または第4の態様に記載の単離された核酸を含む。本発明の実施例による前記発現ベクターによって翻訳されるポリペプチドは細胞に対する新型コロナウイルスの感染能力を顕著に抑制することができる。
【0034】
本発明の第6の態様では、本発明は組換え細胞を提供する。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は第1の態様に記載のRNA分子、第4の態様に記載の単離された核酸または第5の態様に記載の発現ベクターを担持する。前記組換え細胞は強い新型コロナウイルス感染に抵抗する能力を備える。
【0035】
本発明の第7の態様では、本発明は薬物組成物を提供する。本発明の実施例によれば、前記薬物組成物は第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクターまたは第6の態様に記載の組換え細胞を含む。本発明の実施例によれば、前記薬物組成物は、新型コロナウイルスによる細胞の感染に抵抗するために使用される。
【0036】
本発明の実施例によれば、前記薬物組成物はさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
本発明の実施例によれば、前記薬物組成物は溶液、粉末、マイクロスフェア、マイクロカプセルのうちの少なくとも1種を呈する。さらに、本発明の実施例による薬物は投与が容易であり、薬物効果を保持するのに適する。
【0038】
本発明の実施例によれば、前記薬物の投与量は特に制限されず、実用上で、投与対象の健康状況に応じて柔軟に選択することができる。
【0039】
本発明の第8の態様では、本発明は、第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクター、第6の態様に記載の組換え細胞または第7の態様に記載の薬物組成物の、薬物またはキットの調製における使用を提供し、前記薬物またはキットは、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制するために使用される。本発明の実施例によれば、前記薬物またはキットは新型コロナウイルスによる細胞の感染を顕著に抑制することができ、前記薬物またはキットは臨床診断または科学研究に用いることができる。
【0040】
本発明の第9の態様では、本発明は、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制する方法を提供し、前記方法は、新型コロナウイルスまたは感染対象細胞と第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクター、第6の態様に記載の組換え細胞または第7の態様に記載の薬物組成物を接触するステップを含む。本発明の実施例によれば、前記方法は、新型コロナウイルスによる細胞の感染を顕著に抑制することができる。
【0041】
本発明の実施例によれば、上記方法はさらに、以下の付加的な技術特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0042】
本発明の実施例によれば、前記接触は生体内接触または生体外接触である。例えば、前記生体内接触は、直接顕微注射、経口、鼻腔投与、経皮投与、静脈注射、気道吸入、直腸投与の中の少なくとも1つによって実現することができ、即ち上記方式によって第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクター、第6の態様に記載の組換え細胞または第7の態様に記載の薬物組成物を被験者の体内に導入し、それを感染対象細胞、例えば肺上皮細胞に接触させる。例えば、前記生体外接触とは、第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクター、第6の態様に記載の組換え細胞または第7の態様に記載の薬物組成物を直接新型コロナウイルスまたは単離された感染対象細胞と、生体外で混合インキュベートまたは接触処理を行うことである。
【0043】
本発明の具体的な実施例によれば、前記接触は、1)新型コロナウイルスと第1の態様に記載のRNA分子、第2態様に記載のポリペプチド、第3の態様に記載の融合タンパク質、第4の態様に記載の単離された核酸、第5の態様に記載の発現ベクター、第6の態様に記載の組換え細胞または第7の態様に記載の薬物組成物に第1の混合処理を行うこと、2)ステップ1)で得られた混合物と感染対象細胞に第2混合処理を行い、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制することによって行われる。
【0044】
本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドまたは融合タンパク質の混合系における最終濃度は10μg/mLまたは160μg/mLである。本発明の実施例によれば、前記ポリペプチドの混合系における最終濃度は10μg/mLであると、新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染の能力が91.61%抑制され、最終濃度が160μg/mLであると、新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は95.50%抑制され、前記融合タンパク質(組換えポリペプチド)の混合系における最終濃度が10μg/mLであると、新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は52.11%抑制され、最終濃度が160μg/mLであると、新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は92.18%抑制されることができ、本発明の実施例によるポリペプチドまたは融合タンパク質の混合系における最終濃度投与は、薬物の薬効を保持するのに適する。
【0045】
本発明の第10の態様では、本発明は新型コロナウイルス肺炎を治療または予防する方法を提供する。本発明の実施例によれば、患者に、薬学的に許容できる前記のRNA分子、ポリペプチド、融合タンパク質または前記の単離された核酸を投与する。本発明の実施例による前記方法は新型コロナウイルス肺炎を効果的に治療または予防することができる。
【0046】
本発明の第11の態様では、本発明は、以上に記載のRNA分子、ポリペプチド、融合タンパク質または以上に記載の単離された核酸の新型コロナウイルス肺炎の治療または予防における使用を提供する。
【0047】
本発明の付加的な態様と利点を以下の説明では部分的に示し、部分的に以下の説明から明らかになり、または本発明の実践を通じて了解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の上記および/または付加的な態様と利点は、以下の図面を組み合わせた実施例の説明から明らかになり、理解しやすい。
【
図1】本発明の実施例によるACE2 mRNA分子の人体の各組織における発現量の状況の分布図である。
【
図2】本発明の実施例による環状RNA circ-ACE2の人体の各組織における発現量の状況の分布図である。
【
図3】本発明の実施例による環状RNA Circ-ACE2形成の模式図であり、ACE2 RNAは第2エキソン(Exon2)位置で剪切環化が発生して環状RNA Circ-ACE2を形成する。
【
図4】本発明の実施例によるRNA Circ-ACE2のPCR生成物配列決定による環状RNA Circ-ACE2環化配列の検証結果図であり、ここで、PCR結果図の左から右までの方向はPCR産物配列3’端から5’までの方向である。
【
図5】本発明の実施例による環状RNA Circ-ACE2のインターフェイスのコードリーディングフレームを横断する分析図であり、ここで、環状RNA分子のコード配列は環状RNA分子配列の104番目から45番目までのヌクレオチドが環化インターフェイスを横断するヌクレオチド配列であり、具体的な配列は図中の下線付きの配列である。
【
図6】本発明の実施例によるCircACE2-76aaポリペプチドとACE2でコードするタンパク質のアミノ酸配列の比較分析図であり、ここで、ACE2タンパク質アミノ酸配列と比較すると、CircACE2-76aaはACE2のN端の62個のアミノ酸及び特異的な14個のアミノ酸(RPTQVQRLIREKIS)を担持するC末端を含む。
【
図7】本発明の実施例による環状RNA Circ-ACE2分子翻訳によるポリペプチドの質量分析同定結果図である。
【
図8】本発明の実施例によるCircACE2-76aaのアミノ酸配列のオンラインプログラム分析図である。
【
図9】本発明の実施例によるCircACE2-76aaの蛍光顕微鏡下における細胞局在図である。
【
図10】本発明の実施例による化学合成ポリペプチドCircACE2-76aaから新型コロナ偽ウイルス感染細胞実験では偽ウイルスが担持するEGFP遺伝子の発現量の差の倍数を検出する結果図である。
【
図11】本発明の実施例による組換えタンパク質CircACE2-76aa-FCから新型コロナ偽ウイルス感染細胞実験では偽ウイルスが担持するEGFP遺伝子の発現量の差の倍数を検出する結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、例が図面に示される本発明の実施例を詳細に説明する。以下、参考図面を介して説明する実施例は例示的なものであり、本発明を説明するためのものであり、本発明に対する制限として理解すべきではない。
【0050】
用語解釈
【0051】
文中では、「新型コロナウイルス」、「コロナウイルス」、「COVID-19」という用語は、いずれも新型コロナウイルス肺炎を引き起こす病原体を指す。
【0052】
同一性については、本発明では、2つまたはより多くのヌクレオチド配列を比較するために、[第1の配列中の対応する位置のヌクレオチドと同じヌクレオチドの数を除算]することによって第1の配列と第2配列との間の「配列同一性」のパーセントを算出することができる。[第2の配列中のヌクレオチド]から[1番目の配列中のヌクレオチドの総数]を引いて、[100%]を掛け、ここで、第2のヌクレオチド配列中の各ヌクレオチドの欠損、挿入、置換または添加は、第1のヌクレオチド配列に対して単一のヌクレオチド(位置)上の違いと考えられる。
【0053】
または、標準的な設定を使用し、NCBI Blast v2.0などの配列比較に使用される既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、2つまたは複数のヌクレオチド配列の間の配列の同一性程度を計算する。
【0054】
配列の同一性程度を決定するための幾つかの他の技術、コンピュータアルゴリズム及び設定は、例えばWO 04/037999、EP 0 967 284、EP 1 085 089、WO 00/55318、WO 00/78972、WO 98/49185和GB 2357768-Aに記載されている。
【0055】
同一性について、本発明では、2つまたは複数のアミノ酸配列を比較するために、第1のアミノ酸配列と第2アミノ酸配列との間の「配列同一性」のパーセントは、[第1のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の数を[第2のアミノ酸配列中の対応する位置のアミノ酸残基]と同じ数で割ることにより、[第1のアミノ酸配列中のヌクレオチドの総数]であり、次に、[100%]を掛け、各欠損、挿入、置換または添加は第1のアミノ酸配列と比べて、第2アミノ酸配列中のアミノ酸残基の「残基」は、単一のアミノ酸残基(位置)上の違い、即ち、本文で定義した「アミノ酸の違い」と考えられる。
【0056】
或いは、標準的な設定を再度使用して、上記のヌクレオチド配列の配列同一性程度を決定するためのアルゴリズムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して2つのアミノ酸配列の間の配列同一性程度を計算することができる。
【0057】
通常、上記で概説した計算方法に基づいて2つのアミノ酸配列間の「配列の同一性」の割合を決定するために、最大アミノ酸残基の数を有するアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列として、他方のアミノ酸配列を「第2」アミノ酸配列とする。
【0058】
同様に、2つのアミノ酸配列間の配列の同一性程度を決定する場合、技術者は所謂「保守的な」アミノ酸置換を考えることができ、それは、通常、その中のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸で置換されることと記述することができる。類似した化学構造を持つ他方のアミノ酸残基は、ポリペプチドの機能、活性またはその他の生物学的特性にほとんど影響しなく、または基本的に影響しない。このような保守的なアミノ酸置換は当該分野で知られており、例えば、WO 04/037999、GB-A-2357768、WO 98/49185、WO 00/46383とWO 01/09300、及びWO 01/09300が挙げられる。WO 04/037999及びWO 98/49185からの関連する教示及びそこから引用された他の参考文献に基づいてこのような置換のタイプ及び/又は組み合わせを選択及び/又は(好ましく選択する)ことができる。
【0059】
本実施例の発明者は環状RNA circAtlas統合データベースに深度分析マイニングを行い、発明者は、ACE2遺伝子が胎盤組織中で1つの環状RNA分子を特異的に形成したと発見し、前記環状RNA分子はACE2 RNAの第2エキソンで単独環化して形成され、発明者はこれをCirc-ACE2と命名し、環状RNA Circ-ACE2配列分析及び実験検証の結果、CircACE2は分泌シグナルペプチドを含むポリペプチドを翻訳することができることを示し、前記ポリペプチドは新しいポリペプチド分子として、発明者はそれをCircACE2-76aaと命名し、該ポリペプチドの長さは76個のアミノ酸である。本発明は、化学合成ポリペプチドCircACE2-76aa及び真核細胞発現融合したヒト免疫グロブリンGをFC断片から組換えポリペプチドCircACE2-76aa-FCを取得し、新型コロナ偽ウイルスによる体外でヒトhACE2-293T細胞の感染の計画を利用してCircACE2-76aaの抗ウイルス機能を検証したところ、化学合成CircACE2-76aaポリペプチド及び組換えポリペプチドCircACE2-76aa-FCは新型コロナ偽ウイルスの細胞感染能力を顕著に抑制し、本発明に関したCircACE2-76aaポリペプチド及び組換えポリペプチドCircACE2-76aa-FCはCOVID-19ウイルス感染を抑制する候補分子となることができる。
【0060】
以下、実施例を具体的に説明する。下記実施例に使用される実験方法は特別な説明がない限り、従来の方法である。下記実施例に使用される材料、試薬などは、特別な説明がない限り、商業的な方法で入手できる。
【0061】
実施例1 環状RNA Circ-ACE2の単離された胎盤組織における識別と同定
【0062】
本実施例におけるヒト胎盤組織は臨床産婦人科妊婦の自然分娩後の廃棄された胎盤に由来する。
【0063】
1、単離された胎盤組織における環状RNA Circ-ACE2の識別
【0064】
ACE2 mRNAがヒトの複数の組織中で広く発現され、該遺伝子の人体の各組織における発現分布を
図1に示す。
【0065】
発明者は環状RNA circAtlas統合データベースに深度分析マイニングを行うことによって、単離された胎盤組織中でACE2遺伝子が特異的に環化剪断して、環状RNA Circ-ACE2を形成したと発見し、
図2に示す。
【0066】
2、単離された胎盤組織中の環状RNA Circ-ACE2配列決定同定
【0067】
環状RNA Circ-ACE2を特異的に検出するPCR検出プライマーを設計し、プライマーの上流配列は、5′ GAAGCCGAAGACCTGTTCTA 3′であり、下流配列は、5′ TCTTATCAGCCTTTGAACTTGG 3′であり、増幅された断片のサイズは114bpである。Trizol法で単離された胎盤組織検体の全RNAを抽出し、逆転写キット(Vazyme社)を用いて、ランダムプライマーでRNAをcDNAに逆転写し、PCR増幅反応系及び条件は、PCRは50μLの全系であり、具体的に、2×PCR MIX(Vazyme社)25μL、上、下流プライマー(10mM)各2μL、cDNAテンプレート1μL、滅菌水で50μL系まで補充する。反応条件は、95℃でcDNAの予め変性、時間3min、第1ステップの増幅:変性、温度95℃、時間30s、アニール、温度60℃、時間30s、延伸、温度72℃、時間30s、35回サイクル、PCR反応サイクル後に72℃で3min延伸し続け、次に16℃で保存する。PCR産物は1.5%濃度のアガロースゲルで分離し、ゴムを切って精製した後、sanger DNA配列測定を行う。
図3から分かるように、環状RNA Circ-ACE2はACE2 mRNAの2番目の単独エキソンが環化剪断して形成された環状のRNA分子である。
図4に示すように、発明者はPCR産物Sanger DNA配列決定の方法で環状RNA Circ-ACE2の正確な環化インターフェイスを同定し、Circ-ACE2 RNAの配列長さは289ntであり、具体的な核酸配列はSEQ ID NO:1に示す。
【0068】
3、RNA Circ-ACE2のコード潜在能力分析
【0069】
RNA Circ-ACE2の核酸配列に基づいてORF finderオンラインプログラムを用いてコード潜在能力分析を行い、環状RNA Circ-ACE2には環状RNAインターフェイスを横断するリーディングフレームが含まれると発見し、
図5に示すように、環状RNA Circ-ACE2翻訳によるポリペプチドのコード領域は231個の塩基からなり、塩基配列はSEQ ID NO:2に示し、RNA Circ-ACE2翻訳ポリペプチドの長さは76個のアミノ酸であり、本発明においてそれをCircACE2-76aaと命名し、アミノ酸配列はSEQ ID NO:3に示す。CircACE2-76aaとRNA ACE2でコードしたタンパク質アミノ酸配列を比較して分析し、結果から、
図6に示すように、CircACE2-76aaにACE2のN端の62個のアミノ酸及び特異的な14個のアミノ酸(RPTQVQRLIREKIS)を担持するC末端が含まれることを示す。
【0070】
実施例2 環状RNA Circ-ACE2翻訳によるポリペプチドCircACE2-76aaの同定
【0071】
1、環状RNA Circ-ACE2発現プラスミド設計構築
【0072】
環状RNA Circ-ACE2配列情報に基づいて、全遺伝子化学合成の方法で目的の配列を取得し、次に、配列を制限酵素EcoRIとBamHIにより環状RNA発現ベクターpCD5-ciR(ギセイ生物)に構築した。
【0073】
2、赤色蛍光タンパク質融合発現プラスミドCircACE2-76aa-mcherryの構築
【0074】
環状RNA発現ベクター CircRNA Mini Vector(AddgeneID: #60648)の環状RNA発現設計方法に基づいて、CircACE2-76aaと赤色蛍光タンパク質mcherryが環状RNA発現ベクターCircACE2-76aa-mcherryを融合するように設計し、mcherry遺伝子断片自体の開始コドンATGと終了コドンを除去し、CircACE2-76aaの終了コドンの先端に挿入し、配列の両端にCircRNA Mini Vectorベクターの環化媒介配列を添加し、最終的に設計した発現フレームワークはSEQ ID NO:7に示し、CircACE2-76aa-mcherry環状RNA融合発現フレームワークを設計した後、全遺伝子化学合成の方法で発現フレームワークを取得し、次に、EcoRIとBamHI制限酵素部位で発現フレームワークをpcDNA3.1(+)発現ベクターに構築した。
【0075】
3、CircACE2-76aa-mcherryはhACE2-293T細胞をトランスフェクションする
【0076】
環状RNA Circ-ACE2発現プラスミドを293T細胞にトランスフェクションした後、環状RNA Circ-ACE2発現産物にSDS-PAGEタンパク質電気泳動、カウマブリリアントブルー染色を行い、ゴムを切って質量分析同定を行う。
図7に示すように、環状RNA Circ-ACE2によって翻訳された環化インターフェイスを横断したペプチドセグメントを質量分析同定し、質量分析したペプチドセグメント配列はQNMRPTAVQRであり、配列は、環状RNA circ-ACE2によって翻訳されていない末端の特異的アミノ酸配列を示し、CircACE2-76aaポリペプチドについてアミノ酸配列分析を行ったところ、分析にはsignalP-4.1オンラインプログラムを採用し、
図8に示すように、CircACE2-76aaに跨膜アミノ酸配列が含まれず、典型的な分泌シグナルペプチド配列が含まれ、CircACE2-76aaの分泌シグナルペプチド配列はN端の17個のアミノ酸からなり、配列はMSSSSWLLLSLVAVTAAであると発見し、蛍光顕微鏡によって融合したmcherry赤色蛍光タンパク質を利用してCircACE2-76aaポリペプチドを局在的に観察したところ、CircACE2-76aaポリペプチドが細胞外に分泌される特徴を有し、結果を
図9に示す。
【0077】
実施例3 ポリペプチドCircACE2-76aaの化学合成方法
【0078】
本実施例はポリペプチドの化学合成を上海波▲タイ▼生物公司に委託し、ポリペプチドは固相合成法を用いた。ペプチド鎖合成:Fmoc/PyBOP方法を用いた。Fmoc保護基の脱離には30%のヘキサヒドロピリジンのDMF溶液を用いて、樹脂からのペプチド鎖の切り落としにはペプチド切断用試薬(トリフルオロ酢酸/結晶フェノール/水/エチレンジチオール/硫化メチルエチル/=81.5/5/5/5/2.5/1)を用いた。ポリペプチド精製及び検出:C18逆相カラム、条件:A相が95%の水(メタノール配合比)、B相が95%のメタノール(メタノール配合比)、次に、それぞれ0.1%のTFAを添加し、通常の条件:サンプルをロードする前にA相でカラムを15分間平衡化させ、その後、サンプルをロードし、A相からB相まで25分間勾配をつける。検出波長:220nm、流速:1mL/min、A溶液でカラムを平衡化させ、サンプルをロードした後、AからB溶液までの勾配で25min溶出させ、目的のペプチドを収集し、合成したポリペプチドは質量分析装置を用いて質量分析同定を行う。
【0079】
実施例4 circACE2-76aa-FCポリペプチド組換え発現プラスミド構築及び真核細胞発現精製
【0080】
1、ポリペプチド組換え発現プラスミドの構築
【0081】
circACE2-76aaのコード核酸配列及びヒトの免疫グロブリンIGg配列に基づいて、組換え発現フレームワークを設計し、その核酸配列はSEQ ID NO:5に示し、セグメント化されたPCR増幅及びPCRを重ねて接合して増幅する計画を用いてcircACE2-76aa-FC発現フレームワークを取得し、次に、フレームワークをEcoRIとBamHIエンドヌクレアーゼ部位でpcDNA3.1(+)ベクターに連結する。
【0082】
2、プラスミド真核細胞のトランスフェクションの発現
【0083】
細胞を2.5-3.0million/mLの密度まで培養し、温度が37℃で、回転数が120rpm、8%のCO2条件下で2Lの培養瓶を用いて500mLの細胞を培養し、500mLの細胞ごとに0.5mgのプラスミドをトランスフェクションし、PEIはプラスミドの量の2.7倍でトランスフェクションする。まず、10mLの新鮮な培地(500mLを例とする)を準備し、50μgのプラスミドを添加し、均一に混合し、その分のPEIをゆっくりと添加し、5~10min(培地は元の透明状態からやや濁っていることが観察された)インキュベートし、インキュベートが終了した後に細胞に添加し、細胞を33℃で、CO2が8%で、回転数が120rpmの条件下で発現し、6日間発現した後、細胞上清を収集でき、発現が終了する。
【0084】
3、circACE2-76aa-FC組換えポリペプチドの精製
【0085】
収集管に管当たり5mLの中和液(1 M tris-HCl pH8.0)を添加し、AKTA prueカラム(AKTA prueカラム:protein A (Cytiva公司、カタログ番号:17040301))をBinding buffer(20mMリン酸塩)で平衡化し、細胞上清液は500mLであり、精製カラムに添加する体積を1500mLとし、カラムにロードした後にBinding buffer(20mMリン酸塩)で不純物タンパク質80mLを洗浄し、Elution buffer(0.1Mクエン酸、pH3.0)で100mL溶出し、収集管は管あたり5mLで、ピーク位置の収集管を取ってゲルを泳動し、タンパク質を含む収集管を決定し、タンパク質を濃縮し、最後にタンパク質をPBSに置換する。
【0086】
実施例5 CircACE2-76aaポリペプチド、組換えCircACE2-76aa-FCによるCOVID-19新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染の実験
【0087】
商業化された新型コロナウイルスSタンパク質組換え偽ウイルスの使用とヒトACE2全長遺伝子293T細胞株hACE2-293T(広州派真生物公司)の安定した過剰発現により、ウイルスが細胞に侵入する過程をシミュレートすることができ、化学的に合成したCircACE2-76aaポリペプチド(SEQ ID NO:6)及び293Tで真核発現させて得られた組換えポリペプチドCircACE2-76aa-FC(SEQ ID NO:4)をそれぞれ新型コロナ偽ウイルスと混合してインキュベートし、次に、hACE2-293T細胞を感染し、具体的な操作は、96ウェルプレートにhACE2-293T細胞を敷き、密度が1×104個の細胞/ウェルであり、細胞接着を12時間行い、偽ウイルスCOVID-19感染実験を実施し、各ウェルの細胞に5μLの偽ウイルス(約1万個のウイルス粒子)、及び異なる濃度のポリペプチドを添加し、偽ウイルスとポリペプチドは割合で生体外で100μLのDMEM完全培地内で混練し、常温で30min放置し、偽ウイルスが細胞を感染する前に最終濃度が8μg/mLのポリブレンアミンを添加する。
【0088】
新型コロナ偽ウイルスに担持したEGFP遺伝子配列によって、感染後の細胞を抽出したゲノムDNAを用いて、QPCR蛍光定量検出を行い、化学合成CircACE2-76aaポリペプチド及び組換えCircACE2-76aa-FCの新型コロナ偽ウイルスCOVID-19による細胞の感染における作用を定量的に検出し、具体的な操作は以下の通りであり、偽ウイルスでhACE2-293T細胞を15h感染した後、細胞培地を引き抜き、各ウェルに100μLの細胞ゲノムDNAを直接添加して溶解液を抽出し、細胞を96ウェルプレートに混練して溶解した後、1.5mL遠心管に移り、次に、ゲノムDNAを抽出し、無菌水で抽出したDNAを溶解し、1μLのゲノムDNAを取ってQPCR蛍光定量検出を行い、偽ウイルスに担持したEGFP遺伝子を細胞ゲノムに整合した状況を検出し、GAPDH遺伝子を内部参照として、新型コロナ偽ウイルスによるhACE2-293T細胞の感染能力を評価する。
【0089】
QPCR検出:QPCR検出は蛍光定量反応キットQPCRキット(Vazyme公司)の明細書に従って反応系を配置し、QPCR反応系は20μL、10μLの2x SYBR Green PCR Master Mixであり、上、下流プライマー(10μM)をそれぞれ0.4μL添加し、テンプレートDNAを1μL添加し、最終的に無菌脱イオン水で20μLまで補充し、蛍光定量PCR反応条件:95℃でcDNA予め変性、時間5min、第1ステップの増幅:変性、温度95℃、時間10s、アニール、温度60℃、時間35s(このステップで蛍光信号を収集し)、40回サイクル、次に、融解曲線分析を行い、温度60℃~95℃で蛍光信号を収集する。QPCR検出プライマーの配列は、EGFP-上流プライマー:5′ TTCAAGGAGGACGGCAACAT 3′、EGFP-下流プライマー:5′ TGGCGGATCTTGAAGTTCAC 3′、プライマー増幅のサイズは119bpである。
【0090】
図10から分かるように、化学的に合成したポリペプチドCircACE2-76aaは10μg/mL濃度で新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は91.61%抑制され、160μg/mL濃度で新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は95.50%抑制されることができる。
図11から分かるように、組換えCircACE2-76aa-FCは10μg/mL濃度で新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は52.11%抑制され、160μg/mL濃度で新型コロナ偽ウイルスによる細胞の感染能力は92.18%抑制され、具体的な結果を
図11に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という参考用語などの説明は、該実施例または例を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料または特点は本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれる。本明細書では、上記用語例示的な叙述は必ずしも同じ実施例または例を対象とする必要がない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料または特点はいずれかまたは複数の実施例または例では適切な方式で結合することができる。なお、互いに衝突しない場合、当業者は本明細書に説明される異なる実施例または例以及び異なる実施例または例の特徴を結合と組み合わせることができる。
【0095】
本発明の実施例を提示し記述したが、上記実施例は例示的なものであり、本発明を制限するためのものとして理解することができなく、当業者であれば、本発明の範囲で上記実施例について様々な変化、修正、置換および変形が可能であることが理解できる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された環状RNA分子であって、前記環状RNA分子は、
1)SEQ ID NO:1に示すRNA配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする単離された環状RNA分子。
【請求項2】
前記環状RNA分子はアンジオテンシン変換酵素2をコードするmRNA配列の第2エキソン単独環化によって形成され、
任意選択に、前記環化は胎盤組織中に発生することを特徴とする請求項1に記載の環状RNA分子。
【請求項3】
前記環状RNA分子は1)または2)に示すヌクレオチド配列の開始ヌクレオチドと末端ヌクレオチドが連結して形成され、前記開始ヌクレオチドは前記環状RNA分子の1番目のヌクレオチドとして設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の環状RNA分子。
【請求項4】
前記環状RNA分子のコード領域は前記環状RNA分子の104番目から45番目のヌクレオチドを含み、
任意選択に、前記環状RNAコード領域の核酸配列は、
1)SEQ ID NO:2に示すRNA配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するRNA配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するRNA配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するRNA配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の環状RNA分子。
【請求項5】
ポリペプチドであって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、
1)SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドはシグナルペプチド配列を含み、
任意選択に、前記シグナルペプチドのアミノ酸配列はMSSSSWLLLSLVAVTAAであることを特徴とする請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドは胎盤組織中に存在することを特徴とする請求項5または6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
融合タンパク質であって、請求項
5に記載のポリペプチドとFcを含み、前記ポリペプチドのC端はFcのN端に連結されることを特徴とする融合タンパク質。
【請求項9】
前記融合タンパク質は、
1)SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
単離された核酸であって
、請求項
8に記載の融合タンパク質をコードすることを特徴とする単離された核酸。
【請求項11】
前記核酸は、
1)SEQ ID NO:5に示すヌクレオチド配列、
2)1)と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列配列、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列、より好ましくは、少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
請求項1
または2に記載のRNA分子、請求項5
または6に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸
を含む、新型コロナウイルスによる細胞の感染を抑制するための薬物またはキッ
ト。
【請求項13】
請求項1
または2に記載のRNA分子、請求項5
または6に記載のポリペプチド、請求項8または9に記載の融合タンパク質、請求項10または11に記載の単離された核酸
を含む、新型コロナウイルス肺炎
を治療または予防
するための治療薬。
【国際調査報告】