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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】自動化された縫製システム
(51)【国際特許分類】
   D05B 23/00 20060101AFI20240524BHJP
   D05B 27/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
D05B23/00 Z
D05B27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574703
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022064663
(87)【国際公開番号】W WO2022253784
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】PA202100597
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523453569
【氏名又は名称】ミケルセン イノベーション エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ミケルセン、 スティーン ビー.
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CB04
3B150CE21
3B150CE23
3B150CE24
3B150CE27
3B150DE08
(57)【要約】
本発明は、自動化された縫製システムに関し、これは、I)a)2以上の層の織布を接続し又はb)2以上の層の織布にパターンを作る縫製ヘッド又は超音波溶接ヘッドと、II)コンベアベルトユニットとを含み、前記コンベアベルトユニットは、i)一以上の層の織布を支持するべく適合されるコンベアベルトと、ii)前記コンベアベルトを動かすべく適合されるモータユニットとを含み、前記コンベアベルトがさらに、c)前記コンベアベルトにキャビティを形成するべく適合される機構を含み、前記キャビティは前記縫製ヘッドの下に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化された縫製システムであって、
・a)2以上の層の織布を接続し又はb)2以上の層の織布にパターンを作る縫製ヘッド(3)又は超音波溶接ヘッドと、
・コンベアベルトユニットと
を含み、
前記コンベアベルトユニットは、
i)一以上の層の織布を支持するべく適合されるコンベアベルト(1)と、
ii)前記コンベアベルトを動かすべく適合されるモータユニットと
を含み、
特徴は、前記コンベアベルト(1)がさらに、c)前記コンベアベルト(1)にキャビティ(2)を形成するべく適合される機構(5、8、9)を含み、前記キャビティ(2)は前記縫製ヘッド(3)の下に形成されることにある、自動化された縫製システム。
【請求項2】
前記コンベアベルト(1)にキャビティ(2)を形成するべく適合される前記機構は、上側対のローラー(5)又はノーズバーと、下側対のローラー(9)とを含み、前記対のローラー(5、9)又はノーズバーが前記キャビティ(2)を画定する、請求項1に記載の自動化された縫製システム。
【請求項3】
前記コンベアベルト(1)にキャビティ(2)を形成するべく適合される前記機構は、ボビン(7)及びボビンケージ(8)を有するボビンユニット(4)を含み、前記ボビンケージ(8)は滑らかに湾曲した下側面を有し、前記コンベアベルト(1)は、前記湾曲した下側面に沿って動くことによって前記キャビティ(2)を形成する、請求項1に記載の自動化された縫製システム。
【請求項4】
前記縫製ヘッド(3)は、前記コンベアベルト(1)にわたってX方向及びY方向に動くように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動化された縫製システム。
【請求項5】
前記キャビティの中に配置されるボビン(7)をさらに含み、前記キャビティ(2)を形成するべく適合される前記機構が、前記キャビティ(2)及びボビン(7)を同時に又は前記縫製ヘッド(3)の動きに同期するように変位させるべく適合される、請求項4に記載の自動化された縫製システム。
【請求項6】
前記モータユニットは、前記縫製ヘッド(3)に対する織布の初期位置決めの間に、及び前記装填解除動作の間に、前記コンベアベルト(1)をX方向において前後に動かすためだけに適合される、請求項4及び5のいずれか一項に記載の自動縫製システム。
【請求項7】
前記縫製ヘッド(3)は、前記コンベアベルト(1)にわたってY方向にだけに動くように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動化された縫製システム。
【請求項8】
前記モータユニットは、前記コンベアベルト(1)を、前記縫製ヘッド(3)の移動及び/又は作動と同時に又は同期してX方向において前後に動かすように適合される、請求項7に記載の自動化された縫製システム。
【請求項9】
切断のために前記キャビティ(2)の中に入るように適合される切断ヘッドをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動化された縫製システム。
【請求項10】
・前記コンベアベルト(1)に第2キャビティを形成するべく適合される機構と、
・切断のために前記第2キャビティの中に入るように適合される切断ヘッドと
をさらに含み、
前記第2キャビティは請求項1~8のいずれか一項に記載の前記キャビティ(2)に隣接するように形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動化された縫製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化された縫製システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
産業縫製システムにおける現行の最先端技術によれば、縫製機構(典型的には、周期的に振動する針が糸を上から送り、その糸を(ボビンに保持された)下からの糸に接続する機構)が固定された位置にあるので、オペレータは、織布を縫製アクションの中に及び周辺に正確に向けなければならない。これは労働集約的であり、優れた手作業の機械技術を必要とし、時間がかかる。
【0003】
また、縫製ヘッド及びボビンが、固定された織布面を横切るようにX及びYに移動する産業縫製システムが存在する。しかしながら、ここでは、織布が下から支持されていないので、フレーム構造物に又は当該機械の側部及び端部にクランプによって織布を吊り下げて保持しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した課題のうちの少なくともいくつかを解決する解決策を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
提案される発明により、今や織布を下から支持する付加コンベアベルトによって織布が固定されている間に縫製ヘッド及びボビンがX及びYに移動している。この方法により、織布の張力を保持するための、フレームにおける又は機械エッジにおける機械的クランプがまったく必要なくなる。提案されるシステムにより、コンベアを、縫製ヘッドの下にあるキャビティの中へと方向転換することが許容されるので、針糸をボビン糸と接続する縫製アクションのための十分な空間が許容される。さらに、織布がコンベア上の同じ位置に依然として保持したまま縫製エッジをトリム切断することもできる。縫製アクション及び切断アクションの双方が正確かつ高速になる。双方の処理中、織布がコンベアベルト上において同じ固定位置に静止したままだからである。縫製及び切断の双方が完了すると、コンベアベルトは、アイテムを機械エリアの外へと移動させる一方、他端で処理予定の新たな材料を一のロール又は複数のロールから引っ張り入れる。
【発明の効果】
【0006】
利点は以下のとおりである。すなわち、
1)一つ、2つ又はそれ以上の層を、エッジをクランプすることなしに縫製及び切断できること、
2)エッジまでのすべての工程での織布の良好な利用、
3)任意の形状又は輪郭でも縫製及び切断できること、
4)無駄を省くように多数のパーツを入れ子にできること、
5)ロールすべての縫製及び切断の間、クランプが関与しないので手作業不要となること、
6)同じ機械における縫製及び切断が占める空間が、2つの別個の縫製テーブル及び切断テーブルを有する現行システムよりも少ないこと、及び
7)手による縫製が、オペレータの技量によりわずかな違いをもたらすこと、である。2つの縫い目がわずかに異なり得る一方、本発明は、はるかに完璧な定寸(sizing)をもたらす。服を試着するとき、同じ「寸法(size)」が実際には、縫製がわずかに異なるためアイテムごとにわずかに異なる。
【0007】
第1側面は、自動化された縫製システムに関し、この縫製システムは、
・a)2以上の層の織布を接続し又はb)2以上の層の織布にパターンを作る縫製ヘッド又は超音波溶接ヘッドと、
・コンベアベルトユニットと
を含み、このコンベアベルトユニットは、
i)一以上の層の織布を支持するように適合されるコンベアベルトと、
ii)前記コンベアベルトを動かすべく適合されるモータユニットと
を含み、前記コンベアベルトはさらに、
c)前記コンベアベルトにキャビティを形成するべく適合される機構を含み、
前記キャビティは前記縫製ヘッドの下に形成される。
【0008】
本文脈において、用語「キャビティ」は広く理解されるべきであり、システムの上側作業面から離れるようにコンベアベルトのルート変更を確保するコンベアベルトから作られる任意の折り目を含む。
【0009】
本開示で使用される用語「コンベアベルト」は一般に、ギア付き機構又はドラムにより駆動されるように構成されるのが典型的な任意のタイプの無端トラック又はベルトを言及する。用語「コンベアベルト」は、ここで特に明記されない限り、いずれかの特定タイプのコンベアベルトに限られるようにみなすべきではない。ここで、コンベアベルトは、いくつかの実施形態において、例えば、一緒になって一つのコンベアベルトを画定するベルト間幅(例えば約1~15cm、好ましくは約2~5cm)で並んで配置される相対的に狭い幅(例えば約1~15cm、好ましくは約2~5cm)の複数のベルトを含んでよい。
【0010】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「一の」、「一つの」、「その」、及び「この」は、文脈による別段の明確な定めがない限り、複数の言及も含む。範囲はここで、「約」若しくは「近似的」一特定値から、及び/又は「約」若しくは「近似的」他特定値までのように表現され得る。かかる範囲が表現される場合、他実施形態が、一特定値から及び/又は他特定値までを含む。同様に、値が、先行する「約」の使用によって近似値として表現されるとき、特定値が他実施形態を形成することが理解される。
【0011】
留意すべきことだが、本発明の複数側面のうちの一つの文脈において記載される実施形態及び特徴は、本発明の他側面にも適用される。
【0012】
本発明が、図を参照して、好ましい実施形態の以下の詳細な説明において、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の様々な実施形態にかかる自動化された縫製システムの模式的な図である。
図2】キャビティ、及びそこに配置されるボビンユニットを良好に示す図1の拡大図である。
【符号の説明】
【0014】
1 コンベアベルト
2 キャビティ
3 縫製ヘッド
4 ボビンユニット
5 ローラー又はノーズバー
6 ローラー
7 ボビン
8 ボビンケージ
9 ローラー
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1側面は、自動化された縫製システムに関し、この縫製システムは、
・a)2以上の層の織布を接続し又はb)2以上の層の織布にパターンを作る縫製ヘッド又は超音波溶接ヘッドと、
・コンベアベルトユニットと
を含み、このコンベアベルトユニットは、
i)一以上の層の織布を支持するように適合されるコンベアベルトと、
ii)前記コンベアベルトを動かすべく適合されるモータユニットと
を含み、前記コンベアベルトはさらに、
c)前記コンベアベルトにキャビティを形成するべく適合される機構を含み、
前記キャビティは前記縫製ヘッドの下に形成される。
【0016】
[実施形態1]
縫製ヘッドの動きとボビンの動きとは双方ともX方向及びY方向である。縫製の間、コンベア及び織布は固定される(図1)。
【0017】
一以上の実施形態において、前記コンベアベルトにキャビティを形成するべく適合される機構は、上側対のローラー又はノーズバーと、下側対のローラーとを含み、前記対のローラー又はノーズバーが前記キャビティを画定する。
【0018】
一以上の実施形態において、縫製ヘッドは、前記コンベアベルトにわたってX方向及びY方向に動くように構成される。
【0019】
一以上の実施形態において、自動化された縫製システムはさらに、前記キャビティの中に配置されるボビンを含む。ここで、前記キャビティを形成するべく適合される前記機構は、前記縫製ヘッドの動きと同時に前記キャビティ及びボビンを変位させるように適合される。
【0020】
図1は、動くボビンケージを含む自動化された縫製システムの図を示す。
【0021】
システムはコンベアベルト1を含む。コンベアベルト1は、約1mmの厚さを有し、高摩擦シリコーン表面に穿孔されており、約15mmの直径の一対のローラー5まわりに、又は約8mmの半径の丸まったエッジ(ノーズバー)まわりに巻き付くように十分な可撓性を有する。かかるベルトタイプの一例は、ハバジット(Habasit)社のFAB-5ER10としてよい。この実施形態において、(事前に切断されたシート形態又はロール形態の)新たなフルテーブルの織布が装填又は装填解除されるときにのみベルトが動く(インデックス送りになる)。コンベアベルト1及び織布(図示せず)はそれゆえ、実際の縫製プロセス中は動かない(固定されている)。縫製ヘッド3及びボビンユニット4が縫製プロセス中に動く。これは、縫製中に織布が動く大抵の一般的な縫製機械とは異なる。
【0022】
4つの大きなローラー6(例えば直径が約60mm)が、システム全体まわりを走行するコンベアベルト1を支持する。ローラー6のうちの一つが、切断対象の織布を引き込むときに(縫製中ではないときに)コンベアベルト1を前方に動かすようにモータ駆動される。
【0023】
コンベアベルト1は、縫製動作と対立することを避けるべく、ボビンユニット4の下を通るように「方向転換」されてキャビティ2を形成する。したがって、織布は、例えば、針を受容するチャネルを有する滑らかな金属面において、ボビンの上を通り越す。縫製ヘッドは縫製シューを含み得る。
【0024】
ボビンユニット4が、縫製ヘッド3に同期して、織布の下においてX方向及びY方向に動く。
【0025】
相対的に小さなローラー(又はノーズバー)5により、コンベアベルト1は下方に方向転換され、ボビンユニット4の下に向かう。ボビンユニット4は、細長いボビンケージ8を含み得る。細長いボビンケージ8はX方向に(すなわちシステムに沿う方向に)動くことができ、ボビン7自体はY方向に(すなわちシステムを横切る方向に)動くように構成される。ボビン7は、サーボモータと、ボビン7に接続されたベルト(例えば鋼ベルト)との支援によって、Y方向に動くように構成され得る。鋼ベルトは、織布への摩擦が非常に少ないので、縫製中に織布がずれることがない。必要に応じて、わずかなエアクッションが摩擦の解消に役立つ可能性がある。
【0026】
したがって、好ましくは、ボビン7を含むボビンケージ8と、2つの小さな上ローラー又はノーズバー5と、2つの大きな下ローラー9と、Y方向モータ及びベルトと、支持フレーム(図示せず)とがX方向に動く。
【0027】
ボビンユニット4のX及びYの動きは、上からサーボ制御されて縫製ヘッド3と同期され得るので、上糸を分配する針と下糸を分配するボビン7とが正確に接続されてロックステッチ又は他のタイプのステッチが作成される。
【0028】
サーボモータは、ボビンケージ8をX方向に動かすように構成され得る。代替的に、モータは、上ビーム(横断)からの一セットのブラケットを使用して、これらのブラケットが常にX方向に同期して動くようにボビンケージ8を動かすことができる。針動作とボビンユニット動作とが分割されるので、上から下への接続は、縫製振動中の針がボビンに出会う場所のみである(図3)。これにより、非常に広い織布を、コンベアベルト上に固定して平らに置いたまま縫製することができる。先行技術の解決策のように、側面の複数のクランプによって織布が引き伸ばされることがない。
【0029】
一つのサーボモータを、システムの作業面全体の上でX方向にビーム(横断)を動かすように構成してよい。
【0030】
一つのサーボモータを、システムの作業面の深さ全体にわたってY方向に縫製ヘッド3を動かすように構成してよい。
【0031】
一つのサーボモータを、システムの作業面全体の下でX方向にボビンケージ8を動かすように構成してよい。代替的に、上述した上ビーム(横断)は、両側の(コンベアベルト領域の外側)の2つのブラケットを介してボビンケージ8に接続される。これにより、サーボモータが一つ不要となり、動作システムが簡素化される。
【0032】
一つのサーボモータは、システムの作業面の深さ全体にわたってY方向にボビンを動かすように構成されてよい。
【0033】
一以上の実施形態において、モータユニットは、前記縫製ヘッドに対する織布の初期位置決めの間に、及び装填解除動作の間に、前記コンベアベルトをX方向において前後に動かすためだけに適合される。
【0034】
[実施形態1の利点]
この設定により、ボビン自体(大きな糸)のための最大の空間が許容され、関与する機構がそれをX方向及びY方向に動かすことができる。この設定により、織布がベルト上の元の位置に保持されたまま、縫製動作直後の切断が許容される。縫製ヘッドに隣接して取り付けられた2次ツールヘッドが、織布を通ってボビンキャビティのすぐ隣の当該織布の下にある小さな一致キャビティの中に入るように切断ブレードを振動させる(双方のキャビティが同じキャビティに包含され得る)。織布が依然としてベルト上の元の位置にあるので、切断は、縫製経路に対して正確に行われる。
【0035】
[実施形態1の欠点]
穿孔されたコンベアベルトの下にある随意的な真空システム(例えば、狭い中空の押し出し)が、ボビンケージの動きを妨げないように(窓のブラインドのように)中及び外に折られる必要がある。
【0036】
[実施形態2]
縫製ヘッドの移動とボビンの移動はY方向のみである。コンベアベルト及び織布は、縫製の間、X方向に動く。
【0037】
この実施形態は、ボビンケージ8がここではX方向に固定され、かつ、縫製ヘッドを支持するビームもX方向に固定される点を除き、上述したものと同じコンポーネントすべてを包含する。ボビン7と縫製ヘッド3とはY方向に同期して動く。この実施形態において、コンベアベルト1はさらに動的であり、織布の装填及び装填解除の間だけでなく縫製動作の間にも、織布をX方向に動かすように構成される。
【0038】
一以上の実施形態において、縫製ヘッドは、前記コンベアベルトを横切るようにY方向にのみ動くように構成される。
【0039】
一以上の実施形態において、モータユニットは、前記コンベアベルトを、前記縫製ヘッドの移動及び/又は作動と同時に/同期してX方向において前後に動かすように適合される。
【0040】
[実施形態2の利点]
ボビンケージの前後の機械領域が、静止真空テーブルによって支持され得る。静止真空テーブルは、ベルトが動いているときでも、ベルトを支持し(保持し)、織布の一つ又は2つの層を保持する真空流を与えることができる。
【0041】
[実施形態2の欠点]
縫製されているアイテムの各端まで織布が動く必要があるので、上述した実施形態1と比べて2倍の空間(長さ)が占められる。空間は常に顧客にとって問題となる。縫製中にベルトコンベアを前後に動かすと、ベルトの伸びにより精度が低下し得る。縫製後に織布の切断はできない。
【0042】
[実施形態3]
実施形態1のように、縫製ヘッド3の動きとボビンユニット4の動きとはX方向及びY方向の双方である。縫製中、コンベア及び織布は静止している。ボビンケージ8は薄型(low profile)である。
【0043】
この実施形態において、ボビンケージ8は、底が湾曲し、(ピアノ鍵盤上を転がるボールのように)コンベアベルト1の経路を、ボビンケージ8の下に降りるように切り替えるように構成される。ボビンケージ8は相対的に浅くて(薄型で)よい。随意的に中空の、例えば押し出しアルミニウムの複数のコラム(図示せず)が、ピンに取り付けられてばねによって保持されてよい。ボビンケージ8が各コラムの上を通過するときにコラムが、例えばグライドシュー又はリニア軸受によって押し下げられるので、コンベアベルト1にキャビティ2が生成される。コラムは、中空であってよく、すなわちチャネルが設けられてよく、その中には、真空又は少なくとも周囲に対して低減された圧力が形成されて織布の保持が生じる。この状況において、コンベアベルト1は、低減された圧力がベルトを通って織布に及ぶように穿孔されていることが好ましい。
【0044】
よって、ボビンユニット4及び縫製ヘッド3が、実施形態1と同じようにX及びYに動く。
【0045】
一以上の実施形態において、前記コンベアベルトにキャビティを形成するように適合される前記機構は、滑らかに湾曲した下側面を有するケージを備えたボビンを含み、前記コンベアベルトが前記湾曲した下側面に沿って動いて前記キャビティが形成される。
【0046】
[実施形態3の利点]
真空システムは、コンベアベルトの下に静止するように配置される。ただし、各コラムが、ボビンケージがその上を通過するときに下に動くことができる。これによって、システムは、縫製動作又は切断動作のいずれかによっても織布がずらされることがないことを保証する真空押さえ保持システムにより、織布の縫製及び切断の双方を行うことができる。
【0047】
一以上の実施形態において、自動化された縫製システムはさらに、切断のために前記キャビティの中に入るように適合される切断ヘッドを含む。
【0048】
[実施形態3の欠点]
好ましくはボビンケージを薄型にしなければならないが、これは非実用的かもしれない。それにもかかわらず、この欠点は、コラムがさらに下に動いてボビンケージのための多くの空間が許容されれば克服され得るが、今度はシステムが複雑になる。
【0049】
[実施形態4]
実施形態2と同様に、縫製ヘッド3の動き及びボビン7の動きはY方向のみである。縫製中、コンベアベルト1及び織布はX方向に動く。
【0050】
この実施形態は、実施形態3と同じコンポーネントを含むが、コラムを下に動かす必要性をなくしている。ボビンケージ8の下には、ベルト1が通過する永続的な曲線が存在する。
【0051】
[実施形態4の利点]
静止した真空テーブルである。動くコラムは存在しない。ボビンケージの下へのベルトの経路切り替えが永続的である。
【0052】
[実施形態4の欠点]
ボビンケージは好ましくは、実施形態3においてのように相対的に薄型に構成しなければならないが、極めて可撓性のコンベアベルトであれば、ボビンケージのために多くの空間を与えるべくベルトの経路を十分下方に切り替えることの問題が軽減される。この設定では、縫製及び切断の双方を行うことができない。縫製されているアイテムの各端まで織布が動く必要があるので、上述した実施形態1及び3と比べて2倍の空間(長さ)が占められる。空間は常に顧客にとって問題となる。縫製中にベルトコンベアを前後に動かすと、ベルトの伸びにより精度が低下し得る。
【0053】
[実施形態5]
実施形態1~4のいずれか一つと同様であるが、縫製ヘッドの代わりに超音波溶接ヘッド(図示せず)が備えられる。
【0054】
この実施形態は、実施形態1~4と同じコンポーネントを含み得るが、伝統的なボビンの必要性をなくしている。むしろ、この修正されたボビンには、その上に適切な溶接によって固定される金属プレートが設けられることが好ましい。明らかなことだが、この実施形態は、溶融溶接されて一緒になり得る織布/織物にのみ適する。
【0055】
[実施形態6]
実施形態1及び3に切断ツールが統合される。
【0056】
このシステムはまた、縫製動作の後に織布を切断するように構成され得る。切断ツールは、(動くボビンケージによる)実施形態1及び3によって縫製されたばかりの同じ動かない(邪魔されない)織布を切断する。これにより、縫製された織布を別個の切断ステーションまで移動させる必要性がなくなる。
【0057】
この切断動作は、一般にEsko、Zund、MCT等によって使用されるもののような振動ブレードを有する切断ツールを使用して行い得る。切断ブレードは、好ましくは縫製ヘッドに隣接して(又はガントリの裏側に)配置される接線ツールヘッドの中に挿入されてよい。切断は、縫製の後に行われるので、同時とはならない。
【0058】
切断ツールは、切断ブレードが、好ましくは振動ブレードが、織布を貫いて、ボビンに隣接するキャビティの中へと動くように構成される。キャビティは、ボビンユニットのためのキャビティに隣接するように形成された別個のキャビティとしてよい。
【0059】
好ましくは、切断ツールは、切断動作が行われている最中に織布が動く(押される)リスクを低減するべく、切断ブレードを取り囲む低摩擦グライドシュー(一般にはZund、Eskos等からの切断機械において使用されるもの)を含む。グライドシューは、好ましくは、ボビン開口よりも広くなるように構成される。これにより、織布と動かないコンベアベルトとの間に十分な摩擦が存在するので、織布の望ましくない動きが防止される。
【0060】
よって、システムは一つの作業面において二役をこなすことができる。
【0061】
これにより本発明のシステムは、以下の機能を有し得る。すなわち、
1)2層(ロール)の材料の完全に自動化された縫製、
2)縫製パターンを任意のサイズ、形状又は輪郭(制限なし)でなし得ること、
3)縫製直後に、縫製されたエッジに沿って精密な切断を行い得ることである。
【0062】
[ユーザにとっての利益]
1)織布をエッジまでのすべての工程で(クランプ不要で)カットできるため、廃棄物が少なくなる。
2)(注文ごと、又はコレクション若しくは注文の取り込みごと/ジャストインタイム)の様々な形状の組み合わせが可能になる。
3)異なる形状を自動入れ子にすることができる=廃棄物を大幅に削減できる。
4)一人のオペレータが、いくつかの機械を同時に管理することができる。
5)クランプを取り付ける手作業、又は織布を懸架状態で保持するフレームを切り替えるために取り出す手作業、の時間がなくなる。
6)一つの機械での縫製及び切断が工場において占める空間が少なくなる。
図1
図2
【国際調査報告】