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特表2024-521377三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータを処理するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータを処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240524BHJP
   G06T 17/20 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T17/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023574775
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 FR2022051173
(87)【国際公開番号】W WO2022263781
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2106478
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520330548
【氏名又は名称】4ディ・ビュー・ソリューションズ
【氏名又は名称原語表記】4D VIEW SOLUTIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンタン ペローソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランタン ボノーム
(72)【発明者】
【氏名】オディロン ヴァトンヌ
(72)【発明者】
【氏名】クレマン メニエール
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050FA10
5B050GA08
(57)【要約】
三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータをデジタル処理するための方法であって、本方法は、コンピュータによって実施され、シーンを表現する当該データにアクセスするステップと、第1のメッシュ(M0)に関連付けられた第1のフレームを指定するステップと、第1のメッシュ内の第1の位置(P)を指定するステップと、第1の位置が位置する第1のメッシュの第1のファセット(T)を判定するステップと、第1のファセット(T)の頂点(V0、V1、V2)の元の位置と、第2のフレームの第2のメッシュ(M1)に固有であり、第1のメッシュ(M0)とは異なるトポロジを有する基準フレームにおいて表されるそれぞれの関連付けられた位置(PV0’、PV1’、PV2’)との間の事前に確立された関連付けであって、これらの関連付けは、経時的なシーンの進化を表現する、関連付けのリストにアクセスするステップと、それぞれの関連付けられた位置に基づいて、第1のメッシュにおいて指定された位置に関連付けられている、第2のメッシュ(M1)内に位置する位置(P’)を判定するステップと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファセットからなり、所与の瞬間における三次元シーンのボリュメトリックデータを表現するそれぞれのメッシュに各々関連付けられたフレーム(F0、F1、F2)を有する3Dビデオシーケンスを含む三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータをデジタル処理するための方法(500)であって、前記方法は、コンピュータによって実施され、
-データ記憶及び処理システム(140)において、三次元ボリュメトリックシーン(125)を表現する前記データにアクセスするステップ(510)と、
-前記フレームのシーケンスにおいて、前記それぞれのメッシュの第1のメッシュ(M0)に関連付けられた第1のフレームを指定するステップ(520)と、
-前記第1のメッシュ(M0)内の第1の位置(P)を指定するステップ(530)と、を含み、
前記方法は、
-前記第1の位置が位置する前記第1のメッシュ(M0)の第1のファセット(T)を判定するステップ(540)と、
-前記システム(140)において、前記第1のファセット(T)の頂点(V0、V1、V2)の元の位置と、前記フレームのシーケンスの第2のフレームの第2のメッシュ(M1)に固有の基準フレームにおいて表されたそれぞれの関連付けられた位置(PV0’、PV1’、PV2’)との間の事前に確立された関連付け(フィックス)のリストにアクセスするステップ(550)であって、これらの関連付けは、経時的な前記シーンの進化を表現し、前記第1のメッシュ(M0)及び前記第2のメッシュ(M1)は、異なるトポロジを有する、アクセスするステップ(550)と、
-前記それぞれの関連付けられた位置から、前記第1のメッシュ内の指定された前記位置に関連付けられた前記第2のメッシュ(M1)内に位置する位置(P’)を判定するステップ(560)と、を更に含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記それぞれの関連付けられた位置の各々は、それが位置する前記第2のメッシュの所属ファセットと、この所属ファセットに関連付けられた重心座標とによって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のフレーム及び前記第2のフレームは、2つの連続するフレームである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のメッシュ内に位置する前記位置に音源の位置を関連付けるステップ(570)を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フレーム(F0、F1、F2)は、異なるトポロジを有するフレーム(F)の少なくとも2つのブロック(BL0、BL1)に属し、前記リストは、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の事前に確立された関連付けを含み、これらの関連付けは、経時的な前記シーンの要素の空間における進化を表現し、考慮される2つのフレーム(F1、F2)がフレームの同じブロック(BL1)に属するとき、前記事前に確立された関連付けは、恒等演算子(デルタ)によって定義される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のファセット(T)の前記頂点(V0、V1、V2)の前記元の位置と、第2のメッシュに固有の前記基準フレームにおいて表された前記それぞれの関連付けられた位置(PV0’、PV1’、PV2’)との間の前記事前に確立された関連付け(フィックス)のリストを生成する予備ステップを更に含み、前記予備ステップは、
-前記第1のメッシュ(M0)の現在の頂点(Vi)を指定するステップ(210)と、
-前記第2のメッシュ(M1)を近似するように前記第1のメッシュ(M0)を変形させるステップ(220)と、
-前記現在の頂点(Vi)に対応する、変形された前記第1のメッシュの位置(PVidef)について、前記第2のメッシュのファセット(Tj)に最も近い近似位置(PVi’)を計算するステップ(230)と、
-前記近似位置(PVi’)が位置する前記ファセットを識別するステップ(240)と、
-前記第2のメッシュ(M1)に固有の前記基準フレーム内の前記近似位置(PVi’)を定義する前記重心座標(C0、C1、C2)を計算するステップ(250)と、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための手段を備えるデータ処理システム。
【請求項8】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータが請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施することを可能にする、コンピュータプログラム。
【請求項9】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータが請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施することを可能にする、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータ、すなわち、空間の3つの方向に延びるオブジェクトを含むデータを処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ボリュメトリックデータの連続フレーム間の連続リンクを確立するため、すなわち、三次元ボリュメトリックシーンを表現するための方法、及びこれらのボリュメトリックデータの連続フレームのデジタル処理へのこの方法の適用に関する。
【0003】
本発明者らの知る限り、この主題は、これまで、三次元インフォグラフィックスの分野において開発されておらず、特にトポロジの大きな変化を伴うシーケンスの場合に、技術的に満足のいく解決策は知られていない。
【0004】
二次元ビデオシーケンス又は2Dビデオシーケンスの場合、フレームの連続画像のピクセルに基づく既知の計算によって、ビデオシーケンスを形成する連続フレームにエフェクト又はフィルタを適用することが可能である。
【0005】
この種の適用は、例えば、デジタルビデオシーケンスの1つのフレームから次のフレームへのピクセルのアイデンティティに基づいて、「オプティカルフロー」技術によって実行され、アイデンティティは、連続するフレーム内のオブジェクトの動きを追跡し、したがってその追跡を実行し、所望であれば、オブジェクトの追跡のおかげでこれらのフレームのそれぞれに処理を自動的に適用することを可能にする。
【0006】
三次元ボリュメトリックビデオシーケンス又は3Dビデオシーケンスの場合、ボリュメトリックデータはピクセルに対応しないが、各フレームに固有のファセットからなるメッシュを定義する。
【0007】
したがって、2Dビデオシーケンスに適用可能な方法は、3Dビデオシーケンスには適用可能ではない。
【0008】
したがって、音源を三次元シーン内で動く人物の口に関連付けるには、口の動きを手動で監視する必要があり、これは、前のものとは異なるトポロジによって定義されたシーンの各フレームについて口の位置を手動で識別することを含む面倒で時間のかかる方法であり、定性的にあまり満足できる結果とは言えない。
【0009】
各フレームにおける顔検出によるアプローチも存在するが、これは、シーン内にいくつかの顔が存在する場合には満足できるものではない。
【0010】
更に、これらのアプローチは顔に対してのみ機能し、より全般的な場合に拡張することができない。
【0011】
Sotiris Malassiotis及びMichael G.Strintzisによる論文「Tracking Textured Deformable Objects Using a Finite-Element Mesh」、IEEE transactions on circuits and Systems for video technology、第8巻、第6番(1998年10月)は、非剛体変形を受けるオブジェクトの動きを推定するためのアルゴリズムに関する。
【0012】
Peter Eisert及びAnna Hilsmannによる論文「Hybrid Human Modeling:Making Volumetric Video Animatable」、Computer Vision-ECCV 2020:16th European Conference、Glasgow、英国、Springer International Publishingは、人体及び顔のハイブリッドビデオ/アニメーション表現を作成するための方法に関する。
【0013】
Farrerらによる米国特許第9,224,245(B2)号は、三次元シーケンスを形成するために奥行きマップと二次元画像とを組み合わせるアニメーション方法に関する。
【0014】
Andreas Schoobらによる論文「Stereo vision-based tracking of soft tissue motion with application to online ablation control laser microsurgery」、Medical Image Analysis 40(2017)、第80-95頁、Elsevierは、画像によるレーザ顕微手術の分野において、ステレオ撮像による非剛体追跡の方法及びレーザによる外科的アブレーションへのその適用に関する。
【0015】
Derek Bradleyらによる論文「High Resolution Passive Facial Performance Capture」、ACM Transactions on Graphics、第29巻、第4番、第41項(2010年)は、人間の顔の表情のビデオキャプチャのための方法に関する。
【0016】
この論文によれば、ビデオシーケンス中に顔のジオメトリ及びテクスチャの一様な追跡を進めるために、単一の基準メッシュが使用され、同じトポロジの、すなわち対応する頂点及びこれらの頂点間の同じ接続性を有するメッシュのセットを生成する働きをする。
【0017】
このようにして、アーティストによって最初のフレームのジオメトリ及びテクスチャに対して行われた修正を、1つのメッシュから別のメッシュへ、シーケンス全体について1つのフレームから別のフレームへ伝搬することが可能である。
【0018】
しかしながら、この方法は、同じトポロジを有するメッシュによって記述されるビデオシーケンスに限定され、例えば、基準メッシュ内で見えないオブジェクトがシーン内に出現する間など、メッシュのトポロジの変化を伴うシーンに適用することができない。
【0019】
したがって、3Dビデオシーケンスのデジタル処理、より具体的には、メッシュのトポロジの変化を伴うそのようなシーケンスの連続フレームのデジタル処理に対する満たされていない要求がある。
【発明の開示】
【0020】
本発明は、点の位置の時間追跡を実施する三次元ボリュメトリックシーンのデジタル処理方法を提供することを目的とする。
【0021】
より具体的には、本発明は、ファセットからなり、所与の瞬間におけるシーンのボリュメトリックデータを表現するそれぞれのメッシュに各々関連付けられたフレームを有する3Dビデオシーケンスを含む三次元ボリュメトリックシーンを表現するデータをデジタル処理するための方法であって、本方法は、コンピュータによって実施され、データ記憶及び処理システムにおいて、三次元ボリュメトリックシーンを表現する当該データにアクセスするステップと、フレームのシーケンスにおいて、当該それぞれのメッシュの第1のメッシュに関連付けられた第1のフレームを指定するステップと、第1のメッシュにおける第1の位置を指定するステップと、を含み、本方法は、第1の位置が位置する第1のメッシュの第1のファセットを判定するステップと、システムにおいて、第1のファセットの頂点の元の位置と、フレームのシーケンスの第2のフレームの第2のメッシュに固有の基準フレームにおいて表されたそれぞれの関連付けられた位置との間の事前に確立された関連付けのリストにアクセスするステップであって、これらの関連付けは、経時的なシーンの展開を表現し、第1のメッシュ及び第2のメッシュは異なるトポロジを有する、アクセスするステップと、それぞれの関連付けられた位置から、第1のメッシュにおいて指定された位置に関連付けられた第2のメッシュ内に位置する位置を判定するステップと、を更に含む、方法に関する。
【0022】
上記の方法は、フレームの各々にそれぞれ関連付けられたメッシュを有する一連のフレームによってモデル化された三次元ボリュメトリックシーンの点の空間及び時間における追跡を自動化することを可能にする。
【0023】
加えて、この追跡は全般的であり、すなわち、フレーム間の強いトポロジカル変動の場合を含む任意のタイプのビジュアルコンテンツに適用可能であり、計算能力の要求が低く、リアルタイム追跡を実行し、この一連のフレームにデジタル処理を適用することを可能にする。
【0024】
本発明によるボリュメトリックビデオストリームを処理する方法は、
-それぞれの関連付けられた位置の各々は、それが位置する第2のメッシュの所属ファセットと、この所属ファセットに関連付けられた重心座標とによって定義することができるという特徴と、
-第1のフレーム及び第2のフレームは、2つの連続するフレームであってもよいという特徴と、
-本方法は、音源の位置を第2のメッシュ内に位置する位置に関連付けるステップを更に含んでもよいという特徴と、
-フレームは、異なるトポロジを有するフレームの少なくとも2つのブロックに属してもよく、リストは、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の事前に確立された関連付けを含み、これらの関連付けは、経時的なシーンの要素の空間における進化を表現し、2つの考慮されるフレームが同じフレームブロックに属するとき、事前に確立された関連付けは、恒等演算子によって定義されるという特徴と、
-本方法は、第1のファセットの頂点の元の位置と、第2のメッシュに固有の基準フレームにおいて表されるそれぞれの関連付けられた位置との間の事前に確立された関連付けのリストを生成する予備ステップを更に含むことができ、予備ステップは、第1のメッシュの現在の頂点を指定するステップと、第2のメッシュに近似するように第1のメッシュを変形させるステップと、現在の頂点に対応する、変形された第1のメッシュの位置について、第2のメッシュのファセットに最も近い近似位置を計算するステップと、第2のメッシュの位置が位置するファセットを識別するステップと、第2のメッシュに固有の基準フレーム内の近似位置を定義する重心座標を計算するステップとを含み得るという特徴と、を有し得る。
【0025】
本発明は、
-方法のステップを実行するための手段を含むデータ処理システムと、
-命令を含むコンピュータプログラムであって、命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、方法のステップを実施する、コンピュータプログラムと、
-命令を含むコンピュータ可読媒体であって、命令は、コンピュータによって実行されると、方法のステップを実施する、コンピュータ可読媒体とに拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、非限定的な例として添付の図面によって示される実施形態の詳細な説明を読むことによって、より良く理解され、他の利点が明らかになるであろう。
図1A】ビデオグラメトリスタジオを示す。
図1B】メッシュによるシーンのモデル化を示す。
図1C】一連のフレームを示す。
図1D】ソースフレームのメッシュの変形による対象フレームのメッシュの近似を示す。
図2A】本発明による一連のフレーム及びブリッジを示す。
図2B図2Aのブリッジを計算するための方法を示す。
図3A図2Aのブリッジの簡単な適用を示す。
図3B図2Aのブリッジの全般的な適用を示す。
図4A図2Aのブリッジの使用に基づく計算方法を示す。
図4B】ブリッジを作成する方法を示す。
図5】連続フレーム内の点を追跡するための適用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による方法の対象であるボリュメトリックデータは、例えば、図1Aに示されるような三次元シーン125のビデオグラメトリによるキャプチャから、すなわち、空間的に分散され、ビデオグラメトリスタジオ100において俳優105によって演じられたシーン125の画像を一般に毎秒30~60画像程度の頻度でキャプチャするカメラ130のセットによって推定することができる。
【0028】
カメラ130は、データ記憶及び処理システム140に、並びにカメラ及び1つ以上のハードディスクを装備したコンピュータなどのシステムを制御することを可能にするユーザインターフェース150に機能的に接続される。
【0029】
当該画像は、キャプチャの各瞬間について点群を計算することによってシーンのアクションを再生成するために使用される。
【0030】
次いで、各点群は、互いに連続的に接続され、それらの頂点である特定の点によって定義されるファセットのメッシュMによってモデル化される。
【0031】
これらのファセットは、人間の頭部をモデル化するメッシュMを表現する、図1Bに示すような、三角形であることが多い。
【0032】
以下では、この実施形態は、三角形からなるメッシュによって示されるが、他のタイプのファセットを使用することもできる。
【0033】
メッシュは、カメラによって見られる、シーンの要素の表面を表現している。
【0034】
各三角形は、それを定義する3つの頂点V、すなわちトリプレット{V0,V1,V2}の形式においてそれぞれV0、V1及びV2によって識別され、各頂点の位置は、シーンに関連付けられた三次元基準フレームにおいて知られている。
【0035】
シーンのキャプチャの各瞬間は、このフレームに関連付けられたメッシュからなるボリュメトリックデータセットに関連付けられたフレームに対応する。
【0036】
処理の前に、使用される三角形の数及びそれらの接続性は、概して、フレームごとに異なる。
【0037】
従来、処理されるべきデータの量を制限するために、メッシュの幾何学的追跡が経時的に実行され、これは、「キーフレーム」と呼ばれる基準フレームに属する基準メッシュの変形によって特定のフレームのメッシュを近似することからなり、後続のフレームのメッシュは、この基準メッシュと同じ接続性の同じ三角形からなり、これらのフレームは、フレームのブロックを構成することになる。
【0038】
したがって、フレームの同じブロックのメッシュは、構成によって、同じトポロジを有する、すなわち、同じ接続性を有する同じ三角形からなる。
【0039】
基準フレームのメッシュを変形することによってメッシュを許容可能に近似することができない場合、新しい基準メッシュが新しい基準フレームを用いて定義され、全てのフレームのメッシュが処理されるまで操作を繰り返し、したがって、フレームの全ブロックを定義する。
【0040】
フレームの2つの連続したブロック、実際には2つの別個のブロックのメッシュは、構成によって異なるトポロジを与えており、すなわち、それらは、異なる接続性を有する異なる三角形からなる。
【0041】
そのメッシュがキーフレームのメッシュに基づいて本明細書で上述のように定義され、2つの連続するキーフレーム間に位置するフレームは、「インターフレーム」と呼ばれる。
【0042】
図1Cは、フレームFのブロックFBのセットを示し、フレームの各ブロックは、単一のキーフレームKFとインターフレームIFとからなる。
【0043】
文献「High-quality streamable free-viewpoint video」、ACM Trans.Graphics(SIGGRAPH)、34(4)(2015年)は、上述した周知の方法の概要を与える。
【0044】
ボリュメトリックデータは、2Dビデオの場合のようにピクセルに対応しないが、表面からなるメッシュによって定義され、表面自体は、頂点が座標系において既知の位置決めを有する三角形によって定義されることが分かる。
【0045】
本実施形態は、いわゆる「ブリッジ」要素の使用に基づいており、「ブリッジ」要素は、「ソースフレーム」と呼ばれる第1のフレームのメッシュの各頂点について、「対象フレーム」と呼ばれる第2のフレームのメッシュの表面上の近似位置を定義し、この近似位置は、対象フレームのメッシュに固有の基準フレームで表される。
【0046】
これらのブリッジは、メッシュを定義する点の時間追跡を実行し、3Dビデオシーケンスにフィルタを適用することを可能にする。
【0047】
所与のメッシュに固有の基準フレームは、構成要素の頂点の識別及び互いに対するそれらの頂点のそれぞれの接続性によって定義される。
【0048】
この定義の直接的な結果は、メッシュに特有の基準フレームが、このメッシュの表面の任意の点をその頂点の座標に容易に接続することを可能にすることである。特に、この固有の基準フレームによって定義された位置点がメッシュのファセット上に位置することを容易に保証することができる。
【0049】
そのような基準フレームを使用する例は、メッシュの点の位置を、この点が位置するファセットと、このファセットを定義する頂点に関連付けられた重心座標とによって定義することにあり、これらの重心座標は、ファセット上の点の位置を定義する。
【0050】
本発明で説明されるような各メッシュに固有の基準フレームの使用は、ビデオシーケンス内のこれらのメッシュによって定義された位置の追跡を、計算リソースの単純かつ効率的な使用で可能にする。
【0051】
ユークリッド基準フレーム(三次元空間を定義する3つの軸に沿った3つの座標によって位置を定義する)は、ビデオシーケンスのフレームのメッシュに固有の基準フレームとはみなされないことに留意されたい。ユークリッド基準フレームを定義する点は、フレームのメッシュによって定義されず、ユークリッド基準フレームは、全てのフレームについて同じであり、したがって、計算リソースの効率的な使用において、フレーム中にメッシュによって定義された位置を追跡することができない。
【0052】
完全な3Dビデオシーケンスでは、第1のフレーム、最後のフレーム、及びこれらの2つのフレームの間に含まれる中間フレームを用いて、図2Aに示すように、3つのタイプのブリッジ、すなわち、空ブリッジ、デルタブリッジ、及びフィックスブリッジが定義される。
【0053】
図2Aは、開始フレームBFで始まり、終了フレームEFで終わるフレームFの完全なシーケンスを示し、フレームは、少なくとも1つのブロックBL0と、上記で定義されたブロックBL1とにグループ化され、ブロックBL1は、ビデオシーケンスの方向においてブロックBL0の直後にあり、BLからBLへの変化は、ブロック変化線BCによって視覚化される。
【0054】
(BL0からBL1への)ビデオストリームの方向において、ブロックBL0の最後のフレームはフレームF0であり、ブロックBL1の第1のフレームはフレームF1であり、フレームF1の直後のブロックBL1の第2のフレームはフレームF2である。
【0055】
空ブリッジ
シーケンスの第1のフレーム及び最後のフレーム、それぞれBF及びEFは、図2Aに示されるように、それぞれ左フレーム及び右フレーム、すなわちシーケンスの外側に向かうフレームを有していない。
【0056】
これらの特定の場合において、本発明者らは、いわゆる空ブリッジを定義し、これは、図2Aにおいて「空」によって識別される、フレームの不在による頂点の対応の不在を任意に示す。
【0057】
全般的な場合
図の他の場合について、予備的方法200は、図2Bの(a)に示されるように、ソースフレームのメッシュの頂点の元の位置と、対象フレームのメッシュに固有の基準フレームにおいて表されたそれぞれの関連付けられた位置との間の関連付けのリストを定義するために実施され、ソースフレーム及び対象フレームを指定するステップ205によって開始し、ソースフレーム及び対象フレームが同じフレームブロック(Y)に属するか、又は2つの別個のフレームブロック(N)に属するかを判定するテストステップTが続く。
【0058】
2つのフレームが同じフレームブロックに属する場合、これらの2つのフレームに関連付けられたブリッジは、ステップ205Dによって判定されたデルタブリッジであり、一方、ソースフレーム及び対象フレームが2つの異なるブロック(N)に属し、したがって、2つの異なるメッシュトポロジ及び2つの異なる固有の基準フレームに関連付けられる場合、これらの2つのフレームに関連付けられたブリッジは、ステップ205Fで判定されたフィックスブリッジである。
【0059】
デルタブリッジ
図2AのブロックBL1のような所与のブロック内では、各フレームのメッシュは同じトポロジを有する、すなわち、同じ三角形から形成される。
【0060】
したがって、図2Aにおいて「デルタ」によって識別されたデルタブリッジによって、対象フレームの頂点がソースフレームの対応する頂点と同じ識別子を有することを示すだけで十分であるので、1つのフレームから別のフレームへの頂点の追跡は極めて単純である。
【0061】
この操作は、図2Aに示される例におけるフレームF1とF2との間のように、フレームの所与の頂点と直接隣接するフレーム内の同じ頂点との間の同一性の表現に対応し、これはフレームの頂点の各々についてである。
【0062】
したがって、フレームF2内のフレームF1の頂点を追跡するブリッジBR12及びフレームF1内のフレームF2の頂点を追跡するブリッジBR21は、それぞれ{Id}と書くことができ、ここで、Idは、頂点のそれぞれの識別子が2つのフレームF1及びF2について同一であることを示す恒等演算子を識別する。
【0063】
フィックスブリッジ
最も複雑な場合は、ソースフレームのメッシュと対象フレームのメッシュが異なるトポロジを有する場合、すなわち、それらが異なる数の三角形を含み、その接続も異なる場合である。
【0064】
この状況は、図2AのフレームF0からフレームF1への変化のような1つのブロックから他のブロックへの変化に対応する。
【0065】
これらの2つのフレーム間の位置の追跡は、図2Aにおいて「フィックス」によって識別され、ステップ205Fのサブステップとみなすことができる方法200のステップ210~250に従って計算されるフィックスブリッジによって保証される。
【0066】
実際に、フィックスブリッジは、ソースフレームのメッシュに固有の基準フレーム内の定義された位置から、対象フレームに固有の基準フレーム内の対応する位置に変更することを可能にする関連付けを定義し、したがって、シーンを表現するメッシュ内のトポロジが変更された場合であっても、時間内にシーンの点を追跡することを可能にする。
【0067】
ステップ210では、フレームF0の現在の頂点Viがソースフレームとして指定され、フレームF1が対象フレームとして指定され、これらのフレームは、それぞれのメッシュによって定義された図1Dのシルエット(a)及び(e)によってそれぞれ例示され、(c)は、これらのメッシュの重ね合わせを示す。
【0068】
対象フレームF1に固有の基準フレームにおいて、ソースフレームF0のメッシュの頂点Viが、例えば、シーンの人物の動き及び/又はその動きに対応する、示されるシーンの全体的な動きに従うように変形された場合に有するであろう位置PVi’を表すことが求められる。
【0069】
ステップ220では、フレームF0の変形されたメッシュをフレームF1のメッシュに重ね合わせて作成する傾向があることによって、ソースフレームのメッシュを対象フレームのメッシュに近似するように変形する。
【0070】
図1Dは、(b)において、対象フレーム(e)のメッシュのものに近似するように変形されたソースフレーム(a)のメッシュを示す。
【0071】
加えて、図1Dは、(d)において、(b)のメッシュで変形された(a)のメッシュの重ね合わせを示す。
【0072】
メッシュの変形は、そのトポロジ、すなわちメッシュを構成する三角形の数及びそれらの接続性を保持するが、これらの三角形の頂点の空間における位置を修正する。
【0073】
このステップは、手動で実行することもできるが、Liuらによる文献「A local/global approach to mesh parameterization」、Eurographics Symposium on Geometry Processing 2008、第27巻(2008年)、第5番に記載されているように、ARAP(As Rigid As Possible)法、ASAP(As Similar As Possible)、LABF(Linear Angle Based Flattening)法、IC(Inverse Curvature)法、又はCP(Curvature Prescription)法などの従来のマッチングアルゴリズムを適用することによって実行することが好ましい。
【0074】
ステップ220の終わりに、2つのメッシュは空間的に互いに非常に近接しているが、異なるトポロジ及び頂点を有する。
【0075】
フレームF0のメッシュの頂点Viと、フレームF1のメッシュを近似するためにフレームF0のメッシュの変形によって移動された頂点Viに対応する、変形されたメッシュの位置PVidefとを考える。
【0076】
Videf位置は、概して、フレームF1のメッシュのファセット上に位置していない。
【0077】
ステップ230では、位置PVidefについて、対象フレームのメッシュのファセット上の最も近い位置PVi’が、従来の計算方法によって計算される。
【0078】
ステップ240では、位置PVi’が位置するファセット、ここでは三角形Tjは、図2Bの(b)に示すように、従来の方法によって識別される。
【0079】
三角形Tjは、フレームF1のメッシュの3つの頂点V0(F1)、V1(F1)、及びV2(F1)によって定義される。
【0080】
ステップ250では、三角形Tj内の位置PVi’を表す重心座標C0、C1及びC2が従来の方法で計算され、これらの座標はそれぞれ頂点V0(F1)、V1(F1)及びV2(F1)に関連付けられる。
【0081】
そうすることで、位置PV’は、ソースフレームF0の頂点Viに関連付けられ、この位置は、対象フレームF1に固有の基準フレームで表され、この位置PVi’は、フレームF0及びF1のメッシュによって定義されたボリュームの時間的移動を反映する。
【0082】
ソースフレームF0のメッシュの頂点の各々に対してステップ210~250を適用することによって、ブリッジBR01は、対象フレームF1のメッシュの三角形Tに対するソースフレームF0のメッシュの頂点Vの全てのそれぞれの関連付け、並びにこれらの三角形内の位置を特定する重心座標C0、C1、及びC2を集めて定義され、このブリッジは、頂点Vの位置の、フレームF0からフレームF1への経時的な進化を表現する。
【0083】
ブリッジBR01にリストされた関連付けの各々は、{T,C0,C1,C2}によって表すことができ、ブリッジは、例えば、これらの関連付けの各々を収集するテーブルの形態をとる。
【0084】
正規化された重心座標が使用され、その和が1である場合、ブリッジBR01の表現は、{Tj,C0,C1}に簡略化することができ、C2は、C0及びC1から推定される。
【0085】
また、両方の時間方向に追跡を行うためには、ブリッジBR01だけでなく、今度はフレームF1をソースフレーム、フレームF0を対象フレームとして割り当てることによって、ブリッジBR10を計算する必要がある。
【0086】
ブリッジBR10の計算は、ブリッジBR01を計算するステップ中に以前に計算された対象フレームF1に向かうソースフレームF0の変形を使用し、フレームF1のメッシュの頂点の各々について、フレームF0のメッシュのファセット上の最も近い位置PVi’を定義することによって最適化することが可能である。
【0087】
しかしながら、本発明者らの経験では、結果は、ソースフレームF1の対象フレームF0への変形を通過し、ブリッジBR01を得るために上述の全ての計算モードを繰り返すことよりも満足できるものではない。
【0088】
上記で詳述したように各フレームに対して、デルタブリッジ、空ブリッジ又はフィックスブリッジを定義することによって、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の関連付けが確立され、これらの関連付けは、経時的なシーンの要素の空間における進化を表現している。
【0089】
これらの関連付けに基づいて、3Dビデオシーケンス全体にわたるコンピューティングリソースの観点から、シーンの要素の点を単純かつ非常に効率的に追跡することが可能である。
【0090】
ブリッジの直接適用(VTransfer及びPTransfer関数、組み合わせブリッジ)
3Dビデオシーケンスの各フレームについて上記で定義されたブリッジは、メッシュによってモデル化された1つ又は複数の要素の動きを追跡するように、シーケンス内の前又は後ろのソースフレームと呼ばれる第1のフレームのメッシュの表面上の任意の点の位置を追跡することを可能にする。
【0091】
ソースフレームの位置を対象フレームの位置に関連付けることについて述べている。
【0092】
VTransfer
ブリッジの単純な適用は、位置PVint’におけるソースフレームの関心のある頂点Vintを対象フレームのメッシュの表面と関連付けることにある。
【0093】
PVint’位置をPVint’=VTransfer(Vint,BR)によって表すことが可能であり、ここで、VTransferは、上記で定義されたようなブリッジBRを使用することによって、ソースフレームの頂点Vintにおける対象フレームのメッシュの表面上の位置を関連付ける関数である。
【0094】
2つのフレームが1つの同じブロックに属する場合、VTransferは、デルタブリッジによって、位置PVint’を、Vintと同じ識別子を有する対象フレームの先頭の位置として定義する。
【0095】
2つのフレームが2つの別個のブロックに属する場合、VTransferは、フィックスブリッジによって、対象フレームのメッシュの三角形T’上の位置PVint’を(V0’C0+V1’C1+V2’C2)によって定義し、ここで、V0’、V1’及びV2’は、Vintに対するフィックスブリッジによって示された三角形T’の頂点に対応し、C0、C1及びC2は、図3Aに示されるように、このブリッジによって示される正規化された重心座標である。
【0096】
上記の表記において、VjCjは、シーンに関連付けられた基準フレーム内の頂点Vjの座標の各々に重心係数Cjを乗算することに対応し、位置Vint’の座標の各々をもたらす。
【0097】
関数VTransferは、ソースフレームのメッシュを対象フレーム、実際には3Dビデオシーケンス内の2つの連続フレームに変換した後に、頂点に関連付けられた位置を判定することを可能にする。
【0098】
PTransfer
VTransfer関数によって定義されるようなブリッジのより全般的な適用は、図3Bの(a)に示されるように、対象フレームF1のメッシュM1によって定義された表面の三角形T’上に位置する位置P’における、ソースフレームF0のメッシュM0によって定義された表面に属する関心のある位置Pの関連付けである。
【0099】
VTransferとは異なり、Ptransferは、位置Pがメッシュの頂点の位置であることを必要としない。
【0100】
図3B及び図4Aに示される方法400によって、位置P’は、P’=PTransfer(P BR01)によって表され、ここで、PTransferは、上記で定義されたように、フレームF0とF1との間の追跡のためにブリッジBR01を適用することによって、ソースフレームのメッシュ表面の任意の位置Pにおける対象フレームのメッシュの表面上の位置を関連付ける関数である。
【0101】
方法400のステップ410において、関心のある位置Pは、ソースフレームのメッシュ内にそれを含む三角形Tの重心座標C0、C1及びC2で表され、この三角形は、その3つの頂点V0、V1及びV2によって定義される。
【0102】
ステップ420において、対象フレームの位置PV0’、PV1’及びPV2’が計算され、それぞれソースフレームの3つの頂点V0、V1及びV2に関連付けられ、上記で定義されたVTransfer関数によって計算される:
PV0’=VTransfer(V0,BR01
PV1’=VTransfer(V1,BR01
PV2’=VTransfer(V2,BR01)。
【0103】
ステップ430では、頂点が3つの位置PV0’、PV1’、及びPV2’によって位置する三角形内の位置Qの重心座標が、これらの3つの位置に、対象フレームF1内のPに対応する位置Qを定義する位置Pの重心座標C0、C1、及びC2を適用することによって計算される:PV0’C0+PV1’C1+PV2’C2、図3Bの(b)に示され、上で使用されたものと同じ表記を有する。
【0104】
位置Qは、概して、対象フレームF1のメッシュM1の表面上に位置しない。
【0105】
ステップ440では、方法200のステップ230と同様に、図3Bの(c)に示されるように、対象フレームF1のメッシュの表面上のQに最も近く、所望の位置P’である位置が、位置PV1’、PV2’及びPV3’によって定義された平面内に位置する点から見て判定される。
【0106】
ステップ450では、方法200のステップ240と同様に、重心座標C0’、C1’及びC2’が計算され、それが位置するフレームM1の三角形T’内の位置P’を表している。
【0107】
そうすることで、ソースフレームF0の位置Pに関連付けられた位置P’は、対象フレームF1に固有の基準フレームにおいて表され、この位置は、メッシュによって定義されたボリューム全体の経時的な変位を考慮に入れる。
【0108】
PTransfer関数の適用は、フレームごとに繰り返されることができ、3Dビデオシーケンス全体におけるシーンの点又は要素の位置の追跡を可能にする。
【0109】
組み合わせブリッジ
所与の3Dビデオシーケンスでは、上で詳細に説明したように、2つの直接連続するフレームFp及びFq上で追跡を実行することが可能であるが、Fp及びFrなどの2つの非連続フレーム間でも追跡を実行することが可能であり、フレームFqはこれらの2つのフレーム間に挿入される。
【0110】
フレームFpとFqとの間、及びフレームFqとFrとの間の追跡をそれぞれ明確にするブリッジBpq及びBqrが存在する場合、非連続フレームFpとFrとの間の追跡を可能にするブリッジBprを得るために、以下に述べる規則に従ってこれらのブリッジ間の組み合わせを実施することが可能である。
【0111】
空ブリッジを任意のデルタブリッジ又はフィックスブリッジと組み合わせると、空ブリッジが得られる。
【0112】
デルタブリッジをデルタブリッジと組み合わせると、デルタブリッジが得られる。
【0113】
デルタブリッジをフィックスブリッジと組み合わせると、この同じフィックスブリッジが得られる。
【0114】
上述の3つの組み合わせ規則は、代数的な意味で可換であり、すなわち、この順序でのブリッジBaとブリッジBbとの組み合わせは、この順序でのブリッジBbとブリッジBaとの組み合わせと厳密に等価である。
【0115】
2つのブリッジがフィックスブリッジである場合に上記で定義されたようなブリッジBRpq及びBRqrのこの順序での組み合わせ、すなわちBRpqBRqrは、以下で計算されるようなブリッジBprを与え、この規則は可換ではない。
【0116】
対象フレームFrに固有の基準フレームにおいて、ソースフレームFpのメッシュの頂点Vが、フレームのメッシュセルによって表現されたシーンの全体的な動きに追従するように移動された場合に有するであろう位置を表すことが求められる。
【0117】
この目的のために、上述の関数VTransfer(V,BRpq)は、フレームFqのメッシュの表面上の位置V’を得るために、フレームFpのメッシュのこの頂点Vに適用され、次いで、上述の関数PTransfer(V’,BRqr)は、図4Bに示されるように、表面上の位置V’‘を得るために、この位置V’に適用される。
【0118】
この操作をフレームFpのメッシュの各頂点で繰り返すことにより、ブリッジBRprをブリッジBRpq及びBRqrの一部として構成することができる。
【0119】
ブリッジの組み合わせのある適用は、毎秒60フレームのシーケンスを毎秒30フレーム(又はfps)に変更することであり、これは、1つおきのフレームが除去される操作である。
【0120】
この場合、30fpsでのシーケンスのためのブリッジの新しいセットの計算は、60fpsシーケンスのために既に計算されたブリッジから容易に行われる:3つの連続するフレーム(BRpq及びBRqr)にわたる追跡のために計算された2つのブリッジから、単一のブリッジ(BRpr)が、第1のフレームと第3のフレームとの間の追跡のために計算され、中間のフレームは、上で説明された組み合わせ手順に正確に従って除去される。
【0121】
上述のブリッジ組み合わせ演算子は結果として新しいブリッジを与え、この演算子は連想的であるので、例えば、並列加算又は別の同様のアプローチなどの事前計算に基づく既知のアプローチのおかげで、シーケンス全体にわたる1つ又はいくつかの点の追跡を最適化することが可能である。
【0122】
また、必要なブリッジが計算されると、上述したような最適化アプローチに従うことによって、必要な計算のほとんどが既に実行されている点をリアルタイムで追跡することが可能であることも理解される。
【0123】
固有の適用
概して、3Dビデオシーケンス内のメッシュの表面上の点の位置の追跡を必要とする任意のアプリケーションは、上記で詳述したブリッジ及び関数から利益を得ることができる。
【0124】
これは、例えば、このシーケンスの他のフレームに適用されるように意図されたシーケンスのフレームの任意のグラフィック処理の場合である。
【0125】
追跡アプリケーションの第1の例は、オーディオ追跡の例であり、ここでは、シーン内で動いている間に話をしている俳優の場合のように、3Dビデオシーンにおけるオーディオソースの3D位置を経時的に関連付けることが求められる。
【0126】
仮想現実アプリケーションのコンテキストでは、このオーディオソースがコヒーレントに空間に配置され、俳優の動きに追従することが重要である。
【0127】
この例では、オペレータがフレームを選択し、その中でオーディオソースの位置を俳優の口で、手動で定義し、次いで、この手動で定義された位置からフレームごとにPTransfer関数を再帰的に適用することによって、この位置の経時的な追跡が自動的に実行される。
【0128】
より具体的には、所与の瞬間におけるシーンを表現するそれぞれのメッシュにそれぞれ関連付けられた連続フレームのシーケンスを含む、3Dビデオシーン(又は三次元ボリュメトリックシーン)を表現するデータが、データ記憶及び処理システム140に記憶される。
【0129】
図5の略図500に示される追跡方法は、データ記憶及び処理システム140によって実施され、データ記憶システム(140)内のデータにアクセスするステップ510と、人間オペレータによって、連続フレームのシーケンスにおいて、第1のメッシュに関連付けられた第1のフレームを指定するステップ520とを含む。
【0130】
この第1のフレームにおいて、人間のオペレータは、第1のメッシュにおいて、指定するステップ530の間に、シーンの俳優の口に対応する第1の位置を指定する。
【0131】
ステップ540では、システム140は、次の操作の計算も実行するデータ記憶及び処理システム140によって実行された従来の計算手段によって、第1の位置が位置する第1のメッシュの第1のファセットを判定する。
【0132】
第1の位置は、第1のファセットの頂点によって形成された基準フレーム内の重心座標で表すことができる。
【0133】
追跡方法の開始に先立って、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の関連付けのリストが定義され、これらの関連付けは、経時的なシーンの要素の空間における進化を表現し、これらの関連付けは、上記で定義されたブリッジによって形成することができ、データ記憶及び処理システム140内に記憶される。
【0134】
ステップ550では、特に、第1のファセットの頂点の位置と、シーケンスの第2のフレームの第2のメッシュに固有の基準フレームにおいて表されるそれぞれの関連付けられた位置との間の関連付けを示す、事前に確立された関連付けのこのリストがアクセスされる。
【0135】
それぞれの関連付けられた位置から、ステップ560では、第2のメッシュ内に位置する位置が判定され、これは、第1のメッシュにおいて指定された位置に関連付けられ、それが属する第2のメッシュのファセットの重心座標によって表すことができる。
【0136】
オーディオ追跡の特定の場合では、音源は、ステップ570において、第1のメッシュの位置に関連付けられた第2のメッシュにおける位置に更に関連付けられる。
【0137】
2つのステップ550及び560は、例えば、上で定義されたPtransfer関数によって実施され得る。
【0138】
第1の位置の代わりに前の反復のステップ560で判定された位置から各反復について開始して、ステップ540~570をフレームごとに繰り返すことによって、人間オペレータによって手動で定義された位置を自動的に追跡し、それを音源の3D位置に関連付けるステップ580を実行することができる。
【0139】
第1のフレームは、ビデオシーケンスの始め、間、又は終わりに任意に選択することができ、第2のフレームは、第1のフレームの前又は後の時間に位置することができ、事前に確立された関連付けは、考慮されるフレームの順序とは無関係に位置を関連付けることを可能にすることに留意されたい。
【0140】
更に、第1のフレーム及び第2のフレームは、連続的か又は不連続的であってもよく、すなわち、1つ以上の他のフレームによって分離されていてもよく、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の関連付けにより、例えば、上述したブリッジの組み合わせによって、不連続フレーム間の関連付けを確立することが可能になる。
【0141】
第2の適用例は、幾何学的防振フィルタであり、シーンの点の位置が、上述したような所与のシーケンスで追従され、次いで比較され、フレームのメッシュが、この点からの振動を除去又は低減するように平均化された位置の周りで調整される。
【0142】
第1の例とは異なり、画像内の点を指定するステップ530は自動化され、例えば、所与のフレームのメッシュの頂点のセットを連続的に指定するように構成することができるデータ記憶及び処理システム140によってサポートされる。
【0143】
もちろん、本明細書で開示される実施形態の適用は、上記で引用された例に限定されず、当業者は、空間内及び経時的なシーンの点の追跡を伴う3Dビデオシーケンスの任意の処理が、本発明から利益を得ることができることを直ちに理解するであろう。
【0144】
本発明による方法の説明を簡潔にするために、使用される例は、フレームF0、F1、及びF2などの連続フレームのシーケンスを処理するが、本発明は、特にブリッジの定義中に、連続フレームに限定されず、ビデオシーケンス内の1つ以上の他のフレームの2つの別個のフレーム間のブリッジの定義に及ぶ。
【0145】
本発明は、上記に開示された実施形態に制限されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正され得ることは言うまでもない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元ボリュメトリックシーンを表現し、三次元シーン(125)のビデオグラメトリキャプチャから導出されたものであり、かつファセットからなり、特定の時間における前記三次元シーンのボリュメトリックデータを表現するそれぞれのメッシュに各々関連付けられているフレーム(F0、F1、F2)を有する3Dビデオシーケンスを含むデータをデジタル処理するための方法(500)であって、前記方法は、コンピュータによって実施され、
-データ記憶及び処理システム(140)において、三次元ボリュメトリックシーン(125)を表現する前記データにアクセスするステップ(510)と、
-前記フレームのシーケンスにおいて、前記それぞれのメッシュの第1のメッシュ(M0)に関連付けられた第1のフレームを指定するステップ(520)と、
-前記第1のメッシュ(M0)内の第1の位置(P)を指定するステップ(530)と、を含み、
前記方法は、
-前記第1の位置が位置する前記第1のメッシュ(M0)の第1のファセット(T)を判定するステップ(540)と、
-前記システム(140)において、前記第1のファセット(T)の頂点(V0、V1、V2)の元の位置と、前記フレームのシーケンスの第2のフレームの第2のメッシュ(M1)に固有の基準フレームにおいて表されたそれぞれの関連付けられた位置(PV0’、PV1’、PV2’)との間の事前に確立された関連付け(フィックス)のリストにアクセスするステップ(550)であって、これらの関連付けは、経時的な前記三次元ボリュメトリックシーンの進化を表現し、前記第1のメッシュ(M0)及び前記第2のメッシュ(M1)は、異なるトポロジを有する、アクセスするステップ(550)と、
-前記それぞれの関連付けられた位置から、前記第1のメッシュ内の指定された前記位置に関連付けられた前記第2のメッシュ(M1)内に位置する位置(P’)を判定するステップ(560)と、を更に含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記それぞれの関連付けられた位置の各々は、それが位置する前記第2のメッシュの所属ファセットと、この所属ファセットに関連付けられた重心座標とによって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のフレーム及び前記第2のフレームは、2つの連続するフレームである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のメッシュ内に位置する前記位置に音源の位置を関連付けるステップ(570)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フレーム(F0、F1、F2)は、異なるトポロジを有するフレーム(F)の少なくとも2つのブロック(BL0、BL1)に属し、前記リストは、各フレームの各頂点の位置と隣接フレーム内の位置との間の事前に確立された関連付けを含み、これらの関連付けは、経時的な前記三次元ボリュメトリックシーンの要素の空間における進化を表現し、考慮される2つのフレーム(F1、F2)がフレームの同じブロック(BL1)に属するとき、前記事前に確立された関連付けは、恒等演算子(デルタ)によって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のファセット(T)の前記頂点(V0、V1、V2)の前記元の位置と、第2のメッシュに固有の前記基準フレームにおいて表された前記それぞれの関連付けられた位置(PV0’、PV1’、PV2’)との間の前記事前に確立された関連付け(フィックス)のリストを生成する予備ステップを更に含み、前記予備ステップは、
-前記第1のメッシュ(M0)の現在の頂点(Vi)を指定するステップ(210)と、
-前記第2のメッシュ(M1)を近似するように前記第1のメッシュ(M0)を変形させるステップ(220)と、
-前記現在の頂点(Vi)に対応する、変形された前記第1のメッシュの位置(PVidef)について、前記第2のメッシュのファセット(Tj)に最も近い近似位置(PVi’)を計算するステップ(230)と、
-前記近似位置(PVi’)が位置する前記ファセットを識別するステップ(240)と、
-前記第2のメッシュ(M1)に固有の前記基準フレーム内の前記近似位置(PVi’)を定義する重心座標(C0、C1、C2)を計算するステップ(250)と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための手段を備えるデータ処理システム。
【請求項8】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータが請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施することを可能にする、コンピュータプログラム。
【請求項9】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータが請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実施することを可能にする、コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】