(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】抗uPAR抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240524BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240524BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240524BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240524BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240524BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240524BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240524BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240524BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240524BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12Q1/02
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/53 D
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575821
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022032956
(87)【国際公開番号】W WO2022261405
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】399026731
【氏名又は名称】スローン - ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】522023761
【氏名又は名称】メモリアル ホスピタル フォー キャンサー アンド アライド ディジージズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, スコット ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】サデライン, ミチェル
(72)【発明者】
【氏名】アモル ベガス, コリーナ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QS33
4B063QX02
4B064AG27
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4B064DA01
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA19
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に開示される主題は、uPARに結合する抗体又はその抗原結合断片、及びそのような抗体又はその抗原結合断片を使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
(a)配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
(b)配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域が、
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに
(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
(a)配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
(b)配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに
(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む重鎖可変領域と、CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域と、を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR3ドメインが、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(b)配列番号9に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(c)配列番号15に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号21に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(e)配列番号43に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、並びに
(f)配列番号51に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3から選択される、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR2ドメインが、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号5に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号11に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号14に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号17に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(d)配列番号20に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号23に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(e)配列番号42に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号45に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、並びに
(f)配列番号50に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2から選択される、請求項15に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR1ドメインが、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、並びに
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1から選択される、請求項15又は16に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
前記CDR配列のうちの1つ以上が、最大約5個のアミノ酸置換を有する、請求項15~17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
前記CDR配列のうちの1つ以上が、最大約3個のアミノ酸置換を有する、請求項15~17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項20】
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項21】
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(c)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(d)配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(e)配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は
(f)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、又は
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項23】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、請求項22に記載の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【請求項24】
前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むuPAR又はその断片に結合する、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項25】
前記抗体の前記配列が、軽-重可変鎖配向(V
L-V
H)にある、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項26】
前記抗体が、ヒト可変領域フレームワーク領域を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項27】
完全ヒト又はその抗原結合断片である、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項28】
キメラ抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項29】
ヒト化抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~28のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項30】
前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)
2、可変断片(Fv)、又は単鎖可変領域(scFv)である、請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項31】
前記抗原抗原結合断片が、scFvである、請求項30に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項32】
uPARへの結合について、請求項1~31のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と交差競合する、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項33】
請求項1~31のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と同じuPAR上のエピトープ領域に結合する、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む、組成物。
【請求項35】
薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
治療剤に連結された、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む、免疫コンジュゲート。
【請求項37】
前記治療剤が、薬物、細胞毒素、又は放射性同位体である、請求項36に記載の免疫コンジュゲート。
【請求項38】
請求項36又は37に記載の免疫コンジュゲートを含む、組成物。
【請求項39】
薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
1つ以上の機能部分に連結された、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む、多重特異性分子。
【請求項41】
前記1つ以上の機能部分が、前記抗体又はその抗原結合断片とは異なる結合特異性を有する、請求項40に記載の多重特異性分子。
【請求項42】
請求項40又は41に記載の多重特異性分子を含む、組成物。
【請求項43】
薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする、核酸。
【請求項45】
請求項44に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項46】
請求項45に記載のベクター又は請求項44に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項47】
細胞、組織、又は血液試料中のuPARを検出するための方法であって、
細胞、組織、又は血液試料を、前記請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させることであって、前記抗体又はその抗原結合断片が、検出可能な標識を含む、接触させることと、
前記細胞、組織、又は血液試料に関連付けられた検出可能な標識の量を測定することによって、前記細胞、組織、又は血液試料に結合された前記標識された抗体又はその抗原結合断片の量を決定することであって、結合された抗体又はその抗原結合断片の前記量が、前記細胞、組織、又は血液試料中のuPARの量を示す、決定することと、を含む、方法。
【請求項48】
対象における疾患又は障害を治療又は緩和する方法であって、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項36若しくは37に記載の免疫コンジュゲート、請求項40若しくは41に記載の多重特異性分子、又は請求項34、35、38、39、42、及び43のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項49】
前記疾患又は障害が、腫瘍、老化関連病態、及び加齢に関連する組織減退からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患又は障害が、老化関連病態である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記老化関連病態が、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病、変形性関節症、肝線維症、慢性腎疾患、心臓線維症、及びパーキンソン病からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患又は障害が、腫瘍である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記腫瘍が、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、胃がん(stomach cancer)、前立腺がん、胃がん(gastric cancer)、腎がん、膵がん、血液がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝がん、尿路上皮がん、黒色腫、及び脳がんからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記血液がんが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄線維症、真性多血症、骨髄異形成症候群、及び赤白血病からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記腫瘍が、がんである、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させる方法であって、前記対象に、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項36若しくは37に記載の免疫コンジュゲート、請求項40若しくは41に記載の多分子、又は請求項34、35、38、39、42、及び43のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項57】
前記免疫活性化サイトカインが、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-21、インターフェロン制御因子7(IRF7)、CCL1、CCL2、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCL13、CCL16、CXCL1、CXCL3、CXCL5、CXCL9、CXCL10、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、ヒトである、請求項48~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるためのキットであって、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項36若しくは37に記載の免疫コンジュゲート、請求項40若しくは41に記載の多重特異性分子、又は請求項34、35、38、39、42、及び43のいずれか一項に記載の組成物を含む、キット。
【請求項60】
前記キットが、対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるために前記抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は組成物を使用するための書面による説明書を更に含む、請求項59に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月11日に出願された米国仮出願第63/209,941号に対する優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が組み込まれ、優先権が主張される。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年6月10日に作成された当該ASCIIコピーは、072734.1362_ST25.txtという名称であり、31,984バイトのサイズである。
【0003】
本明細書に開示される主題は、uPARに結合する抗体、及びこのような抗体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
uPARは、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、胃がん、前立腺がん、腎がん、膵がん、直腸がん、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び急性骨髄性白血病(AML)を含む、様々な異なるタイプのがんにおける腫瘍成長又は転移に関連する。それはまた、加齢に関連する老化関連疾患との関連など、加齢においても役割を果たす。また、免疫応答及び細胞-マトリックス相互作用を調節し、腫瘍細胞の増殖及び休眠状態からの覚醒を促進することができる。
【0005】
様々な疾患又は障害におけるuPARの重要な役割を考えると、uPARを認識する抗体、及びそのような薬剤を使用する方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される主題は、uPARに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及び抗体又はその抗原結合断片を使用する方法を提供する。
【0007】
ある特定の実施形態では、uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0008】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに
(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される。
【0011】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに
(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む重鎖可変領域と、CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域と、を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR3ドメインは、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(b)配列番号9に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(c)配列番号15に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号21に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、
(e)配列番号43に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、並びに
(f)配列番号51に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3からなる群から選択される。
【0017】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR2ドメインは、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号5に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号11に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号14に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号17に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(d)配列番号20に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号23に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、
(e)配列番号42に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号45に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、並びに
(f)配列番号50に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2からなる群から選択される。
【0018】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の抗uPAR重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR1ドメインは、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、並びに
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1からなる群から選択される。
【0019】
ある特定の実施形態では、CDR配列のうちの1つ以上は、最大約5個のアミノ酸置換を有する。ある特定の実施形態では、CDR配列のうちの1つ以上は、最大約3個のアミノ酸置換を有する。
【0020】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域を含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(c)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(d)配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、
(e)配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は
(f)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、又は
(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、抗体の配列は、軽-重可変鎖配向(VL-VH)にある。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒト可変領域フレームワーク領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、完全ヒト又はその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、キメラ抗体又はその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体又はその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変断片(Fv)、又は単鎖可変領域(scFv)である。
【0025】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の抗原結合断片は、scFvである。
【0026】
加えて、本明細書に開示される主題は、uPARへの結合について、上記の抗体又はその抗原結合断片のいずれかと交差競合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0027】
本明細書に開示される主題は、上記抗体又はその抗原結合断片のいずれかと同じuPAR上のエピトープ領域に結合する、抗体又はその抗原結合断片を更に提供する。
【0028】
本明細書に開示される主題はまた、治療剤に連結された、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片を含む、免疫コンジュゲートを提供する。ある特定の実施形態では、治療剤は、薬物、細胞毒素、又は放射性同位体である。
【0029】
更に、本明細書に開示される主題は、第2の機能部分に連結された、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片を含む、多重特異性分子を提供する。ある特定の実施形態では、第2の機能部分は、抗体又はその抗原結合断片とは異なる結合特異性を有する。
【0030】
追加的に、本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片、本明細書に開示される免疫コンジュゲート、又は本明細書に開示される多重特異性分子を含む、組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である。
【0031】
加えて、本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸、かかる核酸分子を含むベクター、及びかかるベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0032】
本明細書に開示される主題は、細胞、組織、又は血液試料中のuPARを検出するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、細胞、組織、又は血液試料を、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片と接触させることであって、抗体又はその抗原結合断片が、検出可能な標識を含む、接触させることと、細胞、組織、又は血液試料に関連付けられた検出可能な標識の量を測定することによって、細胞、組織、又は血液試料に結合された標識された抗体又はその抗原結合断片の量を決定することであって、結合された抗体又はその抗原結合断片の量が、細胞、組織、又は血液試料中のuPARの量を示す、決定することと、を含む。
【0033】
更に、本明細書に開示される主題は、対象における疾患又は障害を治療又は緩和する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、抗体又はその抗原結合断片、その免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は本明細書に開示される組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、uPARを発現する。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、uPARの過剰発現と関連する。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、腫瘍、又は老化関連病態、及び加齢に関連する組織減退からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、肺線維症、心臓線維症、肝線維症、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、糖尿病、慢性腎疾患、アルツハイマー病、及びパーキンソン病からなる群から選択される。
【0034】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、老化関連病態である。ある特定の実施形態では、老化関連病態は、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病、変形性関節症、肝線維症、慢性腎疾患、心臓線維症、及びパーキンソン病からなる群から選択される。
【0035】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は、乳がん(トリプルネガティブ乳がんを含む)、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、胃がん(stomach cancer)、前立腺がん、胃がん(gastric cancer)、腎がん、膵がん、血液がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝がん(例えば、胆管がん、肝細胞がん、及び線維層状型肝細胞がん(fibrolamaellar hepatocellular carcinoma))、尿路上皮がん、黒色腫、及び脳がん(多形膠芽腫を含む)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、血液がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄線維症、真性多血症、骨髄異形成症候群、赤白血病からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、腫瘍は、がんである。
【0036】
更に、本明細書に開示される主題は、対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片、その免疫コンジュゲート、その多重特異性分子、又はその組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、免疫活性化サイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-21、インターフェロン制御因子7(IRF7)、CCL1、CCL2、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCL13、CCL16、CXCL1、CXCL3、CXCL5、CXCL9、CXCL10、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0037】
更に、本明細書に開示される主題は、対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるためのキットであって、本明細書に開示される抗体若しくはその抗原結合断片、その免疫コンジュゲート、その多重特異性分子、又は組成物を含むキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるために本明細書に開示される抗体若しくはその抗原結合断片、その免疫コンジュゲート、その多重特異性分子、又はその組成物を使用するための書面による説明書を更に含む。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書に開示される主題は、抗uPAR抗体を提供する。本開示の非限定的な実施形態は、本明細書及び実施例によって説明されている。
【0039】
制限のためではなく、開示を明確にする目的で、この詳細な説明は、以下のサブセクションに分けられる。
4.1.定義、
4.2.uPAR、
4.3.抗uPAR抗体、
4.4.抗体又は抗原結合断片をコードする核酸、
4.5.薬学的組成物及び治療方法、
4.6.診断及び予後方法、
4.7.キット、並びに
4.8.例示的な実施形態。
【0040】
4.1.定義
以下の説明では、用語の使用に関してある特定の規則に従う。一般に、本明細書で使用される用語は、それらが当業者に既知であるように、それらの用語の意味と一貫して解釈されることが意図される。
【0041】
「抗原結合タンパク質」は、抗原結合領域又は抗原結合断片を含む、すなわち、それが結合する別の分子に対して強い親和性を有するタンパク質又はポリペプチドである。抗原結合タンパク質は、抗体、キメラ抗原受容体(CAR)及び融合タンパク質を包含する。
【0042】
当該技術分野で知られている「抗体」及び「抗体」という用語は、免疫系の抗原結合タンパク質を指す。本明細書で言及される「抗体」という用語は、抗原結合領域を有する全長抗体、及び「抗原結合断片」若しくは「抗原結合領域」が保持されているその任意の断片、又はその単鎖、例えば、単鎖可変断片(scFv)を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互に接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でVHと略される)及び重鎖定常領域(CH)からなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3の3つのドメインで構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)及び軽鎖定常CL領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLで構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域へと更に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRで構成される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)、及び古典的な補体系の第1の構成成分(C1 q)を含む、宿主組織又は因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0043】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、フレームワーク領域とCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。更に、抗体が定常領域を含む場合、定常領域はまた、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本明細書に開示される主題のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発によって、又はインビボでの体細胞変異によって導入される変異)を含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する変異を含むか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能なバリアント抗体(かかるバリアントは、一般に少量で存在する)を除いて、同一であり、かつ/又は同じエピトープを結合する。更に、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向性である異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向性である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本明細書に開示される主題に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない、様々な技術によって作製されてもよく、かかる方法及びモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法が本明細書に記載される。
【0045】
本明細書で使用される場合、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離された全てのヒト抗体、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニック又はトランス染色体である動物(例えば、マウス)又はそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体(以下に更に記載される)、(b)形質転換されてヒト抗体を発現する宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、及び(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、又は単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域及びCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、かかる組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される場合、インビボ体細胞変異誘発)に供され得、それ故に、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列及びVL配列に由来し、かつそれに関連している一方で、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー中に天然に存在しない場合がある配列である。
【0046】
「ヒト化抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を指すことが意図される。追加のフレームワーク領域の修飾は、ヒトフレームワーク配列内で行われ得る。
【0047】
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことが意図される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「uPARに特異的に結合する」抗体は、約5×10-7M以下、約1×10-7M以下、約5×10-8M以下、約1×10-8M以下、約5×10-9M以下、約1×10-9M以下、約5×10-10M以下、約1×10-10M以下、約5×10-11M以下、又は約1×10-11M以下の解離定数(KD)で、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する抗体を指すことが意図される。
【0049】
抗原、例えば、uPARへの結合について、参照抗体と「結合について競合する抗体」又は「結合について交差競合する抗体」は、競合アッセイにおいて参照抗体の抗原(例えば、uPAR)への結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体の抗原(例えば、uPAR)への結合を50%以上遮断する。例示的な競合アッセイは、「Antibodies」、Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY)に記載されている。
【0050】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgM又はIgGl)を指す。
【0051】
「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」という語句は、本明細書で「抗原(例えば、uPARポリペプチド)に特異的に結合する抗体」という用語と同義に使用され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」又は「抗原結合領域」という用語は、抗原に結合し、抗体に抗原特異性を付与する抗体のその領域又は断片を指し、抗原結合タンパク質の断片、例えば、抗体は、抗原(例えば、uPARポリペプチド)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を含む。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって発揮され得ることが示されている。抗体の「抗体断片」という用語に包含される抗原結合断片の例としては、VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片、VHドメイン及びCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインからなるFv断片、VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 1989;341:544-546)、並びに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0053】
更に、Fv断片の2つのドメインVL及びVHが、別々の遺伝子によってコードされているが、これらを、VL領域及びVH領域が対形成して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え方法を使用して接続することができる。これらは、単鎖Fv(scFv)として知られており、例えば、Bird et al.,Science(1988);242:423-426;及びHuston et al.,Proc Natl Acad Sci(1998);85:5879-5883を参照されたい。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得られ、断片は、無傷の抗体と同じ方法で、有用性についてスクリーニングされる。
【0054】
「抗体」又は「抗原結合タンパク質」は、その天然環境の構成成分から特定され、分離され、かつ/又は回収されたものである。「合成抗体」又は「組換え抗体」は、一般に、組換え技術を使用して、又は当業者に既知のペプチド合成技術を使用して生成される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「単鎖可変断片」又は「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有結合される免疫グロブリン(例えば、マウス又はヒト)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)及び軽鎖(VL)は、直接的に接続されるか、又はペプチドをコードするリンカー(例えば、10、15、20、25個のアミノ酸)によって接続されるかのいずれかであり、VHのN末端をVLのC末端に接続するか、又はVHのC末端をVLのN末端に接続する。リンカーは通常、可撓性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリン又はトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を連結し得る。
【0056】
リンカーの非限定的な例は、Shen et al.,Anal Chem(2008);80(6):1910-1917及びWO2014/087010に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、リンカーは、G4Sリンカーである。ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号62]
【0057】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGSGGGGSGGGGS[配列番号63]
【0058】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号64]
【0059】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号65]
【0060】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGS[配列番号66]
【0061】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
GGGGSGGGGS[配列番号67]
【0062】
定常領域の除去及びリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。単鎖Fvポリペプチド抗体は、Huston,et al.(Proc.Nat.Acad.Sci.USA,1988;85:5879-5883)によって記載されるように、VH及びVLをコードする配列を含む核酸から発現することができる。また、米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号、及び同第4,956,778号、並びに米国特許公開第2005/0196754号及び同第2005/0196754号を参照されたい。阻害活性を有する拮抗性scFvが記載されている(例えば、Zhao et al.,Hyrbidoma(Larchmt) 2008;27(6):455-51;Peter et al.,J Cachexia Sarcopenia Muscle 2012 August 12;Shieh et al.,J Imunol 2009;183(4):2277-85;Giomarelli et al.,Thromb Haemost 2007;97(6):955-63;Fife eta.,J Clin Invst 2006;116(8):2252-61;Brocks et al.,Immunotechnology 1997;3(3):173-84;Moosmayer et al.,Ther Immunol 1995;2(10:31-40を参照されたい)。刺激活性を有する作動性scFvが記載されている(例えば、Peter et al.,J Bioi Chern 2003;25278(38):36740-7;Xie et al.,Nat Biotech 1997;15(8):768-71;Ledbetter et al.,Crit Rev Immunol 1997;17(5-6):427-55;Ho et al.,BioChim Biophys Acta 2003;1638(3):257-66を参照されたい)。
【0063】
本明細書で使用される場合、「F(ab)」は、抗原に結合するが、一価であり、Fc部分を有しない抗体構造の断片を指し、例えば、酵素パパインによって消化される抗体は、2つのF(ab)断片及びFc断片(重(H)鎖定常領域、抗原に結合しないFc領域)を生成する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「F(ab’)2」は、全IgG抗体のペプシン消化によって生成される抗体断片を指し、この断片は、2つの抗原結合(ab’)(二価)領域を有し、各(ab’)領域は、抗原を結合するためにS-S結合によって連結されるH鎖の一部及び軽(L)鎖の2つの別個のアミノ酸鎖を含み、残りのH鎖部分が、一緒に連結される。「F(ab’)2」断片は、2つの個々のFab’断片に分けることができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、適切な制御要素と関連する場合に複製することができ、かつ遺伝子配列を細胞に移入することができる、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどの任意の遺伝子要素を指す。したがって、この用語は、クローニング及び発現ビヒクル、並びにウイルスベクター及びプラスミドベクターを含む。
【0066】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987),Chothia,or IMGT numbering system(Lefranc,The Immunologist(1999);7:132-136、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.(2003);27:55-77)を参照されたい。ある特定の実施形態では、CDRは、http://www.imgt.org/IMGT_vquest/inputでアクセス可能なIMGT番号付けシステムを使用して識別される。本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変であり(「相補性決定領域」又は「CDR」)、かつ/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含有する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、抗体は、可変領域中に3つの重鎖及び3つの軽鎖のCDR又はCDR領域を含む。CDRは、抗原又はエピトープ領域に対する抗体の結合のための接触残基の大部分を提供する。ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステム及びChothiaシステムに従って識別される。
【0067】
「単離された」という用語は、元の供給源又は周囲からの分離の程度を示す。
【0068】
「単離された抗体」は、その天然環境の構成成分から分離されたものである。ある特定の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換若しくは逆相HPLC)によって決定される、95%又は99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr(2007);B 848:79-87を参照されたい。
【0069】
「単離された核酸」は、その天然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常、核酸分子を含有する細胞内に含有された核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外に、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0070】
「抗体をコードする単離された核酸」(特異的抗体、例えば、抗KLB抗体への言及を含む)は、単一のベクター別個のベクター内のそのような核酸分子を含む、抗体重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、そのような核酸分子は、宿主細胞内の1つ以上の位置に存在する。
【0071】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、それが連結されている別の核酸を伝搬することができる核酸分子を指すことを意図している。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示することができる。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。
【0072】
「免疫コンジュゲート」は、細胞毒性薬剤を含むが、これに限定されない、1つ以上の異種分子にコンジュゲートされた抗体である。
【0073】
「有効量」(又は「治療有効量」)は、治療時に有益又は所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回以上の用量で対象に投与され得る。治療の観点から、有効量は、疾患の進行を緩和するか、改善するか、安定化するか、逆行させるか、又は遅らせる、あるいは疾患の病理学的結果をその他の方法で減少させるのに十分な量である。有効量は、一般に、症例ごとに医師によって決定され、当業者の技能の範囲内である。いくつかの因子は、典型的には、有効量を達成するために適切な投薬量を決定する際に考慮される。これらの因子としては、対象の年齢、性別、及び体重、治療される状態、状態の重症度、並びに投与される細胞の形態及び有効濃度が挙げられる。
【0074】
本明細書における「個体」又は「対象」は、脊椎動物、例えば、ヒト又は非ヒト動物、例えば、哺乳動物である。哺乳動物には、ヒト、霊長類、家畜、スポーツ動物、げっ歯類、及びペットが含まれるが、これらに限定されない。非ヒト動物対象の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスターなどのげっ歯類、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、並びに類人猿及びサルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」などの文法上のバリエーション)は、治療される個体の自然経過を改変しようとする試みにおける臨床介入を指し、予防のために、又は臨床病理学の経過中のいずれかで実行することができる。治療の望ましい効果としては、疾患の発生又は再発を予防すること、症状の緩和(alleviation)、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の軽減、転移を予防すること、疾患進行の速度を低減すること、疾患状態の緩和(amelioration)又は改善、及び寛解又は改善された予後が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される主題の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、又は疾患、例えば、腫瘍、例えば、uPARに関連する腫瘍の進行を遅らせるために使用される。
【0076】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語は、米国特許法においてそれらに起因する広範な意味を有することが意図され、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味し、それは、部分的には、その値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、及び更により好ましくは1%までの範囲を意味し得る。代替的に、特に生体系又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、及びより好ましくは2倍以内であることを意味し得る。
【0078】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、又は整数範囲は、別段の指示がない限り、列挙した範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0079】
本明細書に開示される主題の他の態様は、以下の開示に記載され、本明細書に開示される主題の範囲内である。
【0080】
4.2.uPAR
CD87としても知られているuPAR(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体)は、グリコシルホスファチジルイノシトール固定タンパク質である。uPARは、システインが豊富であり、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)を結合する3つのタンデムLUドメインからなる。(Kessler et al.,J.Neurochem.(2017);142:7-18、Llinas et al.,EMBOJ.(2005);24(9):1655-63、Huai et al.,Science(2006);311(5761):656-9、Chelsea et al.,Human Genomics(2016);10:10)。uPARはまた、ビトロネクチン、uPAR関連タンパク質(uPARAP)、及び膜タンパク質のインテグリンファミリーを含む他のいくつかのタンパク質と相互作用する。
【0081】
uPARは、乳がん(トリプルネガティブ乳がんを含む)、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、胃がん(stomach cancer)、前立腺がん、腎がん、膵がん、直腸がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝がん、胃がん(gastric cancer)、尿路上皮がん、黒色腫、脳がん(多形膠芽腫を含む)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び急性骨髄性白血病(AML)を含む、様々な異なるタイプのがんにおける腫瘍の成長又は転移に関連している。それはまた、加齢に関連する老化関連疾患との関連など、加齢においても役割を果たす。また、免疫応答及び細胞-マトリックス相互作用を調節し、腫瘍細胞の増殖及び休眠状態からの出現を促進することができる。
【0082】
uPARは、細胞老化のプロセス中に誘導され、ある特定のがん剤によって誘発され、加齢関連病態及び組織損傷病態の範囲に蓄積され得る(LIST)。老化細胞の除去は、療法の応答を改善し、線維症などを含む組織損傷病態の症状を緩和することができる。
【0083】
可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(suPAR)は、上記のいくつかの病態において、また、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肝不全、心不全、心血管疾患、及び関節リウマチにおいて上方調節されることが見出される。(Desmedt et al.,Crit.Rev.Clin.Lab.Sci.(2017);54(2):117-133)。uPARは、老化細胞上で高度に発現されることが見出される。(Wagner et al.,Nature(2020);583(7814):37-38、Amor et al.,Nature(2020 Jul);583(7814):127-132)。したがって、uPAR(例えば、suPAR)は、疾患段階のバイオマーカーとして使用することができる。低酸素症などの多くの発がん性シグナル伝達経路及び腫瘍微小環境条件は、転写因子を活性化させ、次にuPARを調節することができる。uPARは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって形質膜の外層と会合することによってタンパク質分解を調節することができるが、細胞表面から分泌されるか、又は脱落することがある。(Harvey et al.,Nat.Rev.Mol.Cell Biol(2010);11,23-36)。uPAR発現は、子宮内膜がんの浸潤可能性と直接相関する。(Foca et al.,Gynecol.Oncol.(2000);79(2):244-50)。uPARは、いくつかの血液悪性腫瘍、特に急性白血病及び多発性骨髄腫に関与している。(Hata et al.,Blood(1993);81:3357-3364、MC Bene et al.,Leukemia(2004);18,394-400)。uPARは、乳がん患者における予後不良と関連することが報告されている。(Bo et al.,Oncol.Rep.(2005);14(1):105-12、Foekens et al.,Cancer Res.(2000);60(3):636-43)。
【0084】
ある特定の実施形態では、uPARは、UniProt参照番号Q03405-1(配列番号61)のアミノ酸配列又はその断片を含むか、又はそれからなるヒトuPARである。配列番号61を以下に提供する。ある特定の実施形態では、uPARは、ドメイン1(ドメインUPAR/Ly6 1)、ドメイン2(ドメインUPAR/Ly6 2)、及びドメイン3(ドメインUPAR/Ly6 3)の3つのドメインを含む。ある特定の実施形態では、ドメイン1は、配列番号61のアミノ酸23~114を含むか、又はそれからなる。ある特定の実施形態では、ドメイン2は、配列番号61のアミノ酸115~213を含むか、又はそれからなる。ある特定の実施形態では、ドメイン3は、配列番号61のアミノ酸214~305を含むか、又はそれからなる。
【化1】
【0085】
ある特定の実施形態では、uPARは、配列番号61に記載のアミノ酸配列又はその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%、少なくとも約100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0086】
ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、ヒトuPARの一部分に結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、ドメイン1、ドメイン2、及びドメイン3のうちの少なくとも1つに結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、ドメイン2に結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、ドメイン3に結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、ドメイン2及びドメイン3の両方に結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号61のアミノ酸115~303に結合する。ある特定の実施形態では、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、配列番号61のアミノ酸115~305に結合する。
【0087】
4.3.抗uPAR抗体
本明細書に開示される主題の抗体は、抗体の特定の機能的特徴又は特性によって特徴付けられる。例えば、抗体は、uPARに特異的に結合する(例えば、ヒトuPARに結合する)。
【0088】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、結合親和性、例えば、1×10-6M以下、例えば、約1×10-7M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、又は約1×10-11M以下の解離定数(KD)で、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約1×10-7M以下のKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約1×10-9M~約1×10-7MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約1×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約1.9×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約2×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約3×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約3.5×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約4×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約4.2×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約1×10-7MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約9.5×10-8MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約6×10-9MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約7×10-9MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、約6.6×10-9MのKDで、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に結合する。
【0089】
本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片の重鎖及び軽鎖は、全長であり得る(例えば、抗体は、少なくとも1つ(例えば、1つ若しくは2つ)の完全な重鎖、及び少なくとも1つ(例えば、1つ若しくは2つ)の完全な軽鎖を含むことができる)、又は抗原結合断片(Fab、F(ab’)2、Fv若しくは単鎖Fv断片(「scFv」))を含むことができる。ある特定の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4から選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である。ある特定の実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパ又はラムダ、特にカッパから選択される。
【0090】
4.3.1.単鎖可変断片(scFv)
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される主題は、scFv配列が1つ以上の定常ドメインに融合してヒト免疫グロブリンのFc領域を有する抗体を形成して二価タンパク質を産生し、抗体の全体的な親和性及び安定性を増加させる、抗体又はその抗原結合断片を含む。加えて、Fc部分は、例えば、抗原定量研究での使用のために、蛍光染料、細胞毒素、放射性同位体などを含むがこれらに限定されない他の分子を抗体に直接コンジュゲートさせて、親和性測定のために、治療剤の標的送達のために、免疫エフェクター細胞及び多くの他の用途を使用してFc媒介性細胞毒性を試験するために、抗体を固定化する。
【0091】
本明細書に提示される結果は、uPARポリペプチド(例えば、ヒトuPAR)を標的とする際の本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片の特異性、感受性及び有用性を強調する。
【0092】
本明細書に開示される分子は、ファージディスプレイを使用した単鎖可変断片(scFv)の識別及び選択に基づいており、そのアミノ酸配列は、目的のuPARポリペプチドに対する分子の特異性を付与し、本開示の全ての抗原結合タンパク質の基礎を形成する。したがって、scFvは、例えば、全長抗体、Fab及びF(ab’)2などのその断片、ミニボディ、scFv-Fc融合物を含む融合タンパク質、多価抗体、すなわち、同じ抗原又は異なる抗原に対して複数の特異性を有する抗体、例えば、多重特異性抗体、トリボディなどを含む、多様な「抗体」分子群を設計するために使用され得る(Cuesta et al.,Multivalent antibodies:when design surpasses evolution.Trends in Biotechnology 28:355-362 2010)。
【0093】
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、全長抗体であり、本明細書に開示される主題の抗体の重鎖及び軽鎖は、全長であり得る(例えば、抗体は、少なくとも1つ、又は2つの完全な重鎖、及び少なくとも1つ、好ましくは2つの完全な軽鎖を含むことができる)か、又は抗原結合断片(Fab、F(ab’)2、Fv、若しくはscFv)を含むことができる。ある特定の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgEなどから選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4から選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である。抗体アイソタイプの選択は、抗体が誘発するように設計されている免疫エフェクター機能に依存し得る。
【0094】
組換え免疫グロブリンを構築する際に、様々な免疫グロブリンアイソタイプの定常領域に適切なアミノ酸配列、及び広範囲の抗体群を産生するための方法は、当業者に公知である。
【0095】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むVL、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号25及び26は、以下の表1に提供される。ある特定の実施形態では、scFvは、「8B1」と称される。
【0096】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表1から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号1~3を表1に提供する。
【0098】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号4に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号4~6を表1に提供する。
【0099】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHと、配列番号4に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列又は保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLと、を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH、並びに配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号25のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号33に記載する。配列番号26のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号34に記載する。配列番号:33及び34は、以下の表1に提供される。
【0102】
ある特定の実施形態では、可変領域は、重鎖可変領域(VH)がN末端に位置するように、次々に連結されている。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0103】
ある特定の実施形態では、表1に開示されるCDR配列は、Kabatシステム、又はKabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。配列番号:2~6は、Kabatシステムに従って識別される。配列番号1は、KabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。
【表1】
【0104】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むVL、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号27及び28は、以下の表2に提供される。ある特定の実施形態では、scFvは、「11E10」と称される。
【0105】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表2から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表2に示すように、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。
【0106】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号7に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号9に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号7~9を表2に提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号11に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号10~12を表2に提供する。
【0108】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号7に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号9に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHと、配列番号10に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号11に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列又は保存的修飾を含むCDR3を含むVLと、を含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VH、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VLを含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号27のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号35に記載する。配列番号28のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号36に記載する。配列番号:35及び36は、以下の表2に提供される。
【0111】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0112】
ある特定の実施形態では、表2に開示されるCDR配列は、Kabatシステム、又はKabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。配列番号:8~12は、Kabatシステムに従って識別される。配列番号7は、KabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。
【表2-1】
【表2-2】
【0113】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むVH、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号29及び30は、以下の表3に提供される。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、「17C9」と称される。
【0114】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表3から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0115】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。
【0116】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号13に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号14に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号13~15を表3に提供する。
【0117】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号16に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号17に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号16~18を表3に提供する。
【0118】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号13に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号14に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHと、配列番号16に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号17に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLと、を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VH、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VLを含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号29のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号37に記載する。配列番号30のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号38に記載する。配列番号:37及び38は、以下の表3に提供される。
【0121】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0122】
ある特定の実施形態では、表3に開示されるCDR配列は、Kabatシステム、又はKabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。配列番号:14~18は、Kabatシステムに従って識別される。配列番号13は、KabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。
【表3】
【0123】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVL、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号31及び32は、以下の表4に提供される。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、「19D7」と称される。
【0124】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表4から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。配列番号31及び32は、表4に提供される。
【0125】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号19に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号21に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号19~21を表4に提供する。
【0126】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号22に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号23に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号22~24を表4に提供する。
【0127】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号19に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号21に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHと、配列番号22に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号23に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLと、を含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VH、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VLを含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号31のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号39に記載する。配列番号32のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号40に記載する。配列番号:39及び40は、以下の表4に提供される。
【0130】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0131】
ある特定の実施形態では、表4に開示されるCDR配列は、Kabatシステム、又はKabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。配列番号:20~24は、Kabatシステムに従って識別される。配列番号19は、KabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。
【表4】
【0132】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVL、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号47及び48は、以下の表5に提供される。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、「6C8」と称される。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表5から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。配列番号47及び48は、表5に提供される。
【0134】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号41に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号42に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号43に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号41~43を表5に提供する。
【0135】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号44に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号45に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号44~46を表5に提供する。
【0136】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号41に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号42に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号43に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHと、配列番号44に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号45に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLと、を含む。
【0137】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VH、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VLを含む。
【0138】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号47のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号57に記載する。配列番号48のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号58に記載する。配列番号:57及び58は、以下の表5に提供される。
【0139】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0140】
ある特定の実施形態では、表5に開示されるCDR配列は、Kabatシステム、又はKabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。配列番号:42~46は、Kabatシステムに従って識別される。配列番号41は、KabatシステムとChothiaシステムとの組み合わせに従って識別される。
【表5】
【0141】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むVH、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVL、及び任意選択で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチドを含む。配列番号59及び60は、以下の表6に提供される。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、「14C5」と称される。
【0142】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、表6から選択されるVH領域及びVL領域若しくはCDRを有する、scFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。配列番号59及び60は、表6に提供される。
【0143】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号49に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVHを含む。配列番号49~51を表6に提供する。
【0144】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号52に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。配列番号52~54を表6に提供する。
【0145】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号49に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVH、配列番号52に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR2、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含むCDR3を含むVLを含む。
【0146】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VH、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、VLを含む。
【0147】
ある特定の実施形態では、抗uPAR scFvは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、リンカーを介して連結されている。配列番号55のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号59に記載する。配列番号56のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を、配列番号60に記載する。配列番号:59及び60は、以下の表6に提供される。
【0148】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VH-VL。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(VL)は、N末端に配置される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端へと配置される:VL-VH。
【0149】
ある特定の実施形態では、表6に開示されるCDR配列は、Kabatシステムに従って識別される。
【表6】
【0150】
4.3.2.モノクローナル抗体
本明細書に開示される主題は、uPAR(例えば、ヒトuPAR)に特異的に結合する抗体(例えば、ヒト抗体、例えば、ヒトモノクローナル抗体)を提供する。抗uPAR抗体8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVHアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号25、27、29、31、47、及び55に記載される。8B1、11E10、17C9、及び19D7のVLアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号26、28、30、32、48、及び56に記載される。
【0151】
8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体の各々がuPARに結合することができることを考えると、VH配列及びV配列を「混合し、かつマッチングさせ」て、他の抗uPAR結合分子を作製することができる。そのような「混合し、かつマッチングさせ」た抗体のuPAR結合は、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、Biacore分析を含む、当該技術分野で既知の結合アッセイを使用して試験することができる。好ましくは、VH及びVL鎖が混合され、かつマッチングされる場合、特定のVH/VL対合からのVH配列は、構造的に類似したVH配列に置き換えられる。同様に、特定のVH/VL対合からのVL配列は、構造的に類似したVL配列に置き換えられる。
【0152】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号25、27、29、31、47、及び55から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)配列番号26、28、30、32、48、及び56から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片が、uPAR、例えば、ヒトuPARに特異的に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。ある特定の実施形態では、VH及びVLは、
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、又は
(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに
(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される。
【0153】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される主題は、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0154】
8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVH CDR1のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1、7、13、19、41、及び49に示される。それぞれ、配列番号2、8、14、20、42、及び50に記載の8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体のVH CDR2のアミノ酸配列。それぞれ、配列番号3、9、15、21、43、及び51に記載される8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVH CDR3のアミノ酸配列。
【0155】
8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVL CDR1のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号4、10、16、22、44、及び52に記載される。8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVL CDR2のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号5、11、17、23、45、及び53に記載される。8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のVL CDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号6、12、18、24、46、及び54に記載される。CDR領域は、Kabatシステム、Chothiaシステム、又はこれらの組み合わせを使用して描写される。
【0156】
これらの抗体又はその抗原結合断片の各々がuPARに結合することができ、抗原結合特異性が主にCDR1、CDR2、及びCDR3領域によって提供されることを考えると、VH CDR1配列、VH CDR2配列及びVH CDR3配列、並びにVL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列を、「混合し、かつマッチングさせ」て(すなわち、異なる抗体由来のCDRを混合し、かつマッチングさせることができるが、各抗体は、VH CDR1、CDR2及びCDR3、並びにVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含有しなければならない)、他の抗uPAR結合分子を作製することができる。そのような「混合し、かつマッチングさせ」た抗体のuPAR結合は、上記の結合アッセイを使用して試験することができる。VH CDR配列を混合し、かつマッチングさせる場合、特定のVH配列由来のCDR1配列、CDR2配列、及び/又はCDR3配列は、構造的に類似したCDR配列に置き換えられる。同様に、VL CDR配列を混合し、かつマッチングさせる場合、特定のVL配列由来のCDR1配列、CDR2配列、及び/又はCDR3配列は、好ましくは、構造的に類似したCDR配列で置き換えられる。当業者には、新規のVH配列及びVL配列が、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片(8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5)のCDR配列由来の構造的に類似した配列で、1つ以上のVH CDR領域配列及び/又はVL CDR領域配列を置換することによって作製することができることが容易に明らかであろう。
【0157】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される主題は、
(a)配列番号1、配列番号7、配列番号13、配列番号19、配列番号41、若しくは配列番号49から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号2、配列番号8、配列番号14、配列番号20、配列番号42、若しくは配列番号50から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号3、配列番号9、配列番号15、配列番号21、配列番号43、若しくは配列番号51から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号4、配列番号10、配列番号16、配列番号22、配列番号44、若しくは配列番号52から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号5、配列番号11、配列番号17、配列番号23、配列番号45、若しくは配列番号53から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号6、配列番号12、配列番号18、配列番号24、配列番号46、若しくは配列番号54から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0158】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、
(a)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0160】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0161】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号23に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0162】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び
(f)配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。本明細書に開示される抗uPAR抗体の定常領域/フレームワーク領域は、例えば、アミノ酸置換によって、抗体の特性を改変する(例えば、抗原結合親和性、Fc受容体結合、抗体炭水化物、例えば、グリコシル化、フコシル化など、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、エフェクター細胞機能、補体機能、又はコンジュゲーション部位の導入のうちの1つ以上を増加又は減少させる)ことができる。
【0164】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗uPAR抗体は、完全ヒト抗体、例えば、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5のうちのいずれか1つである。完全ヒトmAbは、ヒトに投与されると、アナフィラキシー反応及び過敏反応を含む重篤な副作用を引き起こす。
【0165】
ファージディスプレイライブラリの使用により、非常に明確なエピトープに対する独自の希少なAbに対して多数の抗体レパートリーを選択することが可能になった(ファージディスプレイの更なる詳細については、McCafferty et al.,Phage antibodies:filamentous phage displaying antibody variable domains.Nature,348:552-554を参照されたい)。したがって、腫瘍抗原由来ペプチド-MHC複合体分子に非常に特異的なヒトFab又は単鎖Fv(scFv)断片の迅速な識別が可能になった。加えて、Fab断片を使用して完全長モノクローナル抗体(mAb)を操作することにより、通常、治療用mAbの開発に必要な数ヶ月の時間がかかる作業を回避して、治療用ヒトmAbを直接生成することが可能である。本明細書に開示される主題は、例えば、がん療法のためのヒトuPARポリペプチド(例えば、配列番号61に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を認識する完全ヒトmAbの開発を伴う。
【0166】
4.3.3.相同抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の抗体(例えば、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体)のアミノ酸配列と相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖可変領域を含み、抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片の所望の機能特性を保持する。
【0167】
例えば、本明細書に開示される主題は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)重鎖可変領域が、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相同又は同一であるアミノ酸配列を含み、
(b)軽鎖可変領域が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0168】
ある特定の実施形態では、VHアミノ酸配列及び/又はVLアミノ酸配列は、上述の配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相同又は同一であり得る。上述の配列のVH領域及びVL領域と高い(すなわち、80%以上の)相同性又は同一性を有するVH領域及びVL領域を有する抗体は、変異誘発(例えば、部位特異的又はPCR媒介性変異誘発)、続いて、本明細書に記載の結合アッセイを使用して、コードされた改変抗体の、保持された機能(すなわち、結合親和性)についての試験によって得ることができる。
【0169】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、2つの配列間の同一性パーセントに相当する。2つの配列間の同一性又は相同性パーセントは、それらの2つの配列の最適アライメントのために導入される必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、それらの配列によって共有された同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定は、以下の非限定的な例に記載されるように、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0170】
2つのアミノ酸配列間の相同性又は同一性パーセントは、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用した、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers and W.Miller(Comput Appl Biosci (1988);l4:11-17)のアルゴリズムを使用して決定され得る。加えて、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、Blossum62行列又はPAM250行列のいずれか、及びギャップ重み16、14、12、10、8、6、又は4、及び長さ重み1、2、3、4、5、又は6を使用した、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで利用可能)内のGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch(J Mol Biol(1970);48:444-453)のアルゴリズムを使用して決定され得る。
【0171】
追加的に又は代替的に、本明細書に記載される主題のタンパク質配列は、例えば、関連配列を特定するために、公開データベースに対する検索を行うための「問い合わせ配列」として更に使用され得る。かかる検索は、Altschul et al.,J Mol Biol(1990);215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行され得る。本発明の抗体分子と相同のアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索が、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行され得る。比較目的のためにギャップドアライメントを得るために、ギャップドBLASTがAltschul et al.,Nucleic Acids Res(1997);25(17):3389-3402に記載されるように利用され得る。BLAST、Gapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0172】
4.3.4.保存的修飾を有する抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片は、CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列を含む重鎖可変領域と、CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列を含む軽鎖可変領域と、を含み、これらのCDR配列のうちの1つ以上は、本明細書に記載の好ましい抗体(例えば、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体)に基づく特定のアミノ酸配列又はその保存的修飾を含み、抗体は、本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片の所望の機能特性を保持する。本明細書に開示される主題は、CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列を含む重鎖可変領域と、CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)重鎖可変領域CDR3配列が、配列番号3、9、15、21、43、及び51のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含み、
(b)軽鎖可変領域CDR3配列が、配列番号6、12、18、24、46、及び54のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0173】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR3配列は、配列番号3、9、15、21、43、及び51のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含み、軽鎖可変領域CDR3配列は、配列番号6、12、18、24、46、及び54のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む。
【0174】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR2配列は、配列番号2、8、14、20、42、及び50のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含み、軽鎖可変領域CDR2配列は、配列番号5、11、17、23、45、及び53のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む。
【0175】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR1配列は、配列番号1、7、13、19、41、及び49のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含み、軽鎖可変領域CDR1配列は、配列番号4、10、16、22、44、及び52のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む。
【0176】
本明細書で使用される場合、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴に著しく影響しないか、又はその結合特徴を著しく改変しないアミノ酸修飾を指すことが意図される。かかる保存的修飾は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含む。修飾は、部位特異的変異誘発及びPCR媒介性変異誘発などの当該技術分野で既知の標準的な技術によって、本開示の抗体に導入することができる。
【0177】
保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。代表的な保存的アミノ酸置換を表7に示す。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入され得、生成物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングされる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される配列、例えば、CDR配列、V
H配列、又はV
L配列は、修飾及び/又は置換される最大約1個、最大約2個、最大約3個、最大約4個、最大約5個、最大約6個、最大約7個、最大約8個、最大約9個、又は最大約10個のアミノ酸残基を有し得る。
【表7】
【0178】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る:
●疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
●中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
●酸性:Asp、Glu、
●塩基性:His、Lys、Arg、
●鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
●芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0179】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを必然的に伴う。
【0180】
4.3.5.uPARへの結合について、本発明の抗uPAR抗体と交差競合する抗uPAR抗体
本明細書に開示される主題は、uPAR(例えば、ヒトuPAR)への結合について、開示される抗uPAR抗体のうちのいずれかと交差競合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。例えば、限定としてではなく、交差競合抗体は、本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれかと同じエピトープ領域、例えば、同じエピトープ、隣接エピトープ、又は重複に結合することができる。ある特定の実施形態では、相互競合研究のための参照抗体又はその参照抗原結合断片は、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれか1つ、例えば、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体であり得る。
【0181】
そのような交差競合抗体は、標準的なuPAR結合アッセイにおいて、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれか1つと交差競合する能力に基づいて識別することができる。例えば、Biacore分析、ELISAアッセイ又はフローサイトメトリーを使用して、本明細書に開示される主題の抗体との交差競合を実証することができる。試験抗体が、例えば、本明細書に開示される抗uPAR抗体(例えば、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体)のうちのいずれか1つの、uPAR(例えば、ヒトuPAR)への結合を阻害する能力は、試験抗体が、uPAR(例えば、ヒトuPAR)への結合について、明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれか1つと競合することができ、したがって、本本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれか1つと同じuPAR(例えば、ヒトuPAR)上のエピトープ領域に結合することができることを実証する。ある特定の実施形態では、交差競合抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片のうちのいずれか1つと同じuPAR(例えば、ヒトuPAR)上のエピトープに結合する。
【0182】
4.3.6.抗原への抗体結合の特徴付け
本明細書に開示される対象の抗体又はその抗原結合断片は、例えば、標準ELISAによってuPARへの結合について試験することができる。選択された抗uPAR抗体が独自のエピトープに結合するかどうかを判定するために、各抗体を、市販の試薬(Pierce,Rockford,IL)を使用してビオチン化することができる。非標識モノクローナル抗体及びビオチン化モノクローナル抗体を使用する競合研究は、上述のようにuPARコーティングされたELISAプレートを使用して実行され得る。ビオチン化mAb結合は、strep-アビジン-アルカリホスファターゼプローブを用いて検出することができる。
【0183】
精製された抗体のアイソタイプを判定するために、アイソタイプELISAは、特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を使用して実行することができる。抗uPARヒトIgGは、ウェスタンブロッティングにより、uPAR抗原との反応性について更に試験することができる。
【0184】
ある特定の実施形態では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。ある特定の実施形態では、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原で実行される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定シリーズの存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原でFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体コーティングプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.,J Mol Biol(1999);293:865-881を参照されたい)。
【0185】
ある特定の実施形態では、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用したアッセイである。
【0186】
4.3.7.免疫コンジュゲート
本明細書に開示される対象は、細胞毒素、薬物(例えば、免疫抑制剤)又は放射性毒素などの治療部分にコンジュゲートされた、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。このようなコンジュゲートは、本明細書において「免疫コンジュゲート」と称される。1つ以上の細胞毒素を含む免疫コンジュゲートは、「免疫毒素」と称される。細胞毒素又は細胞毒性薬剤には、細胞に有害な(例えば、細胞を死滅させる)任意の薬剤が含まれる。細胞毒素の非限定的な例としては、タキソール(リシン、ジフテリア、ゲロニンなど)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、並びにそれらの類似体又は相同体が挙げられる。また、治療剤としては、例えば、カレケアミシン(calecheamicin)、アウレアスタチン(aureastatin)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、並びにシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、低メチル化剤(アザシチジン及びデシタビン)、並びに抗分裂剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
本明細書に開示される抗uPAR抗体にコンジュゲートされ得る治療用細胞毒素の他の例としては、ズオカルマイシン、カリケアミシン、メイタンシン、及びアウリスタチン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。細胞毒素は、当該技術分野で入手可能なリンカー技術を用いて、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片にコンジュゲートされ得る。細胞毒素を抗体にコンジュゲートするために使用されたリンカータイプの例としては、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド、及びペプチド含有リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。リンカーは、例えば、リソソーム区画内の低pHによる切断の影響を受けやすい、又はプロテアーゼ、例えば、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)などの腫瘍組織内で優先的に発現されるプロテアーゼによる切断の影響を受けやすい、リンカーを選択することができる。細胞毒素のタイプ、リンカー、及び治療剤を抗体にコンジュゲートするための方法についての更なる考察については、Saito,G.et al.(2003)Adv.Drug Deliv.Rev.55:199-215、Trail,P.A. et al.(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328-337、Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207-212、Allen,T.M.(2002)Nat.Rev.Cancer 2:750-763、Pastan,I.and Kreitman,R.J.(2002)Curr.Opin.Investig.Drugs 3:1089-1091、Senter,P.D.and Springer,C.J.(2001)Adv.Drug Deliv.Rev.53:247-264も参照されたい。
【0188】
加えて、本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、老化を誘導する薬剤にコンジュゲートされ得る。ある特定の実施形態では、老化を誘導する薬剤は、老化促進剤(senogenic agent)である。老化誘導剤の非限定的な例としては、Cdk4/6阻害剤、Cdk2阻害剤、MEK阻害剤、CDC7阻害剤、及び化学療法薬が挙げられる。MEK阻害剤の非限定的な例としては、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、TAK-733、CI-1040(PD184352)、PD0325901、MEK162、AZD8330、GDC-0623、リファメチニブ、ピマセルチビ、R04987655、R05126766、WX-554、HL-085、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、R05068760、U0126、及びSL327が挙げられる。CDK4/6阻害剤の非限定的な例としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、及びアベマシクリブが挙げられる。化学療法薬の非限定的な例としては、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、及びエトポシドが挙げられる。
【0189】
本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片はまた、放射性同位体にコンジュゲートされて、放射性免疫コンジュゲートとも呼ばれる、細胞毒性放射性医薬品を生成することができる。診断的又は治療的に使用するために抗体にコンジュゲートすることができる放射性同位体の非限定的な例としては、90Y、131I、225Ac、213Bi、223Ra、及び227Thが挙げられる。放射免疫コンジュゲートを調製するための方法は、当該技術分野において確立される。放射性免疫コンジュゲートの例は、Zevalin(商標)(IDEC Pharmaceuticals)及びBexxar(商標)(Corixa Pharmaceuticals)を含む市販のものであり、同様の方法を使用して、本発明の抗体を使用して放射性免疫コンジュゲートを調製することができる。
【0190】
本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片はまた、例えば、想像(imagining)技術、例えば、ImmunoPETにおける使用のために、想像剤又はプローブにコンジュゲートされ得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、immunoPETプローブ、例えば、9Zr-Df及び89Zrにコンジュゲートされている。
【0191】
本明細書に開示される主題の抗体コンジュゲートを使用して、所与の生物学的応答を修飾することができ、薬物部分は、古典的な化学療法剤に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドであり得る。かかるタンパク質には、例えば、酵素的に活性な毒素、又はその活性断片(例えば、アブリン、リシンA、pseudomonas外毒素、若しくはジフテリア毒素)、タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)若しくはインターフェロン-γ)、又は生物学的応答調整因子(例えば、リンホカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、若しくは他の成長因子)が含まれ得る。
【0192】
かかる治療的部分を抗体にコンジュゲートするための技法が周知であり、例えば、Arnon et al.,“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243 56(Alan R.Liss,Inc.1985)、Hellstrom et al.,“Antibodies For Drug Delivery”,Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623 53(Marcel Dekker,Inc.1987)、Thorpe,“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475 506(1985)、“Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”,Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwin et al.(eds.),pp.303 16(Academic Press 1985)、及びThorpe et al.,“The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照されたい。
【0193】
4.3.8.多重特異性抗体
本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその断片を含む、多重特異性分子を提供する。本明細書に開示されている又はその抗原結合断片は、1つ以上の機能分子、例えば、1つ以上のペプチド又はタンパク質(例えば、受容体に対する1つ以上の抗体又はリガンド)に誘導体化又は連結されて、2つ以上の異なる結合部位又は標的分子に結合する多重特異性分子を生成することができる。本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、実際には、2つ以上の他の機能分子に誘導体化又は連結されて、3つ以上の異なる結合部位及び/又は標的分子に結合する多重特異性分子を生成することができる。多重特異性分子を作製するために、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合性断片は、多重特異性分子となるように、別の抗体、抗体断片、ペプチド、又は結合性模倣物などの1つ以上の他の結合性分子に(例えば、化学的カップリング、遺伝的融合、非共有会合、又は他の方法によって)機能的に連結され得る。
【0194】
ある特定の実施形態では、多重特異性分子は、二重特異性分子である。ある特定の実施形態では、二重特異性分子は、uPARに対する少なくとも第1の結合特異性及び第2の標的エピトープ領域に対する第2の結合特異性を含む。第2の標的エピトープ領域は、uPARエピトープ、又は非uPARエピトープ、例えば、異なる抗原であり得る。ある特定の実施形態では、多重特異性分子は、uPARに対する第1の結合特異性、第2の標的に対する第2の結合特異性、及び第3の標的に対する第3の結合特異性を含む。ある特定の実施形態では、第2の標的は、免疫細胞(例えば、T細胞、又はヒト免疫エフェクター細胞)の表面上に発現される抗原である。ある特定の実施形態では、多重特異性分子は、ヒト免疫エフェクター細胞上のエフェクター抗原に特異的に結合することによって、その免疫エフェクター細胞の活性を動員し、それによって、エフェクター機能を増強することができる。ある特定の実施形態では、第3の標的は、老化細胞上で発現される抗原である。
【0195】
本明細書に開示される主題の多重特異性分子は、当該技術分野で既知の方法を使用して、構成要素の結合特異性をコンジュゲートすることによって調製することができる。例えば、多重特異性分子に対する各結合特異性は、別々に生成され、次いで互いにコンジュゲートされ得る。結合特異性がタンパク質又はペプチドである場合、様々なカップリング又は架橋剤が共有コンジュゲーションに使用され得る。架橋剤の非限定的な例としては、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)(例えば、Karpovsky et al.(1984)J.Exp.Med.160:1686;Liu, MA et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8648)を参照されたい)が挙げられる。他の方法としては、Paulus(1985)Behring Ins.Mitt.No.78,118-132;Brennan et al.(1985)Science 229:81-83)、及びGlennie et al.(1987)J.Immunol.139:2367-2375)が挙げられる。コンジュゲート剤は、SATA及びスルホ-SMCCであってもよく、いずれもPierce Chemical Co.(Rockford,IL)から入手可能である。
【0196】
結合特異性が抗体である場合、それらは、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介してコンジュゲートされ得る。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は、コンジュゲーションの前に、奇数個のスルフヒドリル残基、好ましくは1個を含むように修飾される。
【0197】
代替的に、両方の結合特異性を同じベクターにコードし、同じ宿主細胞内で発現させ、組み立てることができる。この方法は、多重特異性分子が、mAb×mAb、mAb×Fab、F(ab’)2、又はリガンド×Fab融合タンパク質である場合に特に有用である。
【0198】
多重特異性分子のそれらの特異的標的への結合は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、又はウエスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイの各々は、一般に、目的の複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体)を使用することによって、特定の目的のタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。代替的に、複合体は、様々な他のイムノアッセイのうちのいずれかを使用して検出され得る。例えば、抗体を放射性標識し、ラジオイムノアッセイ(RIA)で使用することができる(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,March,1986(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。放射性同位体は、γカウンター若しくはシンチレーションカウンターの使用、又は自己放射線検査のような手段によって検出され得る。
【0199】
4.4.抗体又は抗原結合断片をコードする核酸
本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片をコードする、核酸を提供する。
【0200】
更に、本明細書に開示される核酸を含む、ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。本明細書に開示される主題は、本明細書に開示されるベクターを含む、宿主細胞を更に提供する。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、T細胞である。
【0201】
4.5.薬学的組成物及び治療方法
本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、本明細書に開示される免疫コンジュゲート、又は本明細書に開示される多重特異性分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である。
【0202】
本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片は、薬学的に許容される担体を更に含む組成物の形態で投与され得る。好適な薬学的に許容される担体としては、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びにこれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。
【0203】
薬学的に許容される担体は、結合タンパク質の保存寿命又は有効性を高める、湿潤剤若しくは乳化剤、保存剤、又は緩衝剤などの少量の補助物質を更に含んでもよい。注射の組成物は、当業者に周知のように、哺乳動物への投与後に活性成分の迅速放出、持続放出又は遅延放出を提供するように製剤化することができる。
【0204】
本明細書に開示される主題は、療法において、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、及び組成物を使用する様々な方法を提供する。本明細書に開示される主題は、対象における疾患又は障害を治療又は緩和するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、uPARと関連する。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、uPARの過剰発現と関連する。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、腫瘍、老化関連病態、及び加齢に関連する組織減退からなる群から選択される。老化関連病態の非限定的な例としては、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病、変形性関節症、肝線維症、慢性腎疾患、心臓線維症、及びパーキンソン病が挙げられる。
【0205】
ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0206】
治療のために、本明細書で提供する抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子の投与量は、所望の効果、例えば、疾患若しくは障害(例えば、腫瘍及び老化関連病態)の治療若しくは緩和を生み出すのに有効な量である。有効量は、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子の1回の投与又は一連の投与で提供され得る。
【0207】
本明細書に開示される主題の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、及び多重特異性分子は、胸膜投与、静脈内投与、皮下投与、結節内投与、腫瘍内投与、髄腔内投与、硝子体内投与、胸膜内投与、腹腔内投与、及び胸腺への直接投与を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法によって投与され得る。
【0208】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、腫瘍である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子は、対象における腫瘍負荷を低減し、腫瘍細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを減少させ、かつ/又は腫瘍を根絶し、かつ/又は対象の生存を増加若しくは延長することができる。
【0209】
腫瘍の非限定的な例としては、乳がん(トリプルネガティブ乳がんを含む)、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、胃がん(stomach cancer)、前立腺がん、胃がん(gastric cancer)、腎がん、膵がん、血液がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝がん(例えば、胆管がん、肝細胞がん、及び線維層状型肝細胞がん(fibrolamaellar hepatocellular carcinoma))、尿路上皮がん、黒色腫、並びに脳がん(多形膠芽腫を含む)を含む。ある特定の実施形態では、血液がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄線維症、真性多血症、骨髄異形成症候群、赤白血病からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、腫瘍は、がんである。ある特定の実施形態では、がんは、再発がん又は難治性がんである。ある特定の実施形態では、がんは、がん療法、例えば、化学療法に耐性である。
【0210】
更に、本明細書に開示される主題は、対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子を対象に投与することを含む。免疫活性化サイトカインの非限定的な例としては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-21、インターフェロン制御因子7(IRF7)、CCL1、CCL2、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCL13、CCL16、CXCL1、CXCL3、CXCL5、CXCL9、CXCL10、及びこれらの組み合わせを含む。
【0211】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、老化関連病態である。ある特定の実施形態では、対象は、健常な対照対象において観察される細胞と比較して、老化細胞の蓄積の増加を示す。ある特定の実施形態では、老化関連病態は、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病、肝線維症、慢性腎疾患、変形性関節症、心臓線維症、及びパーキンソン病からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、老化細胞は、細胞老化関連分泌現象(SASP)を示す。細胞老化関連分泌現象は、複製、がん遺伝子(例えば、HRASG12D、NRAsG12D NRAsG12Dなど)、放射線、化学療法、又は薬物(例えば、Cdk4/6阻害剤、MEK阻害剤、化学療法薬など)によって誘導されてもよい。MEK阻害剤の非限定的な例としては、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、TAK-733、CI-1040(PD184352)、PD0325901、MEK162、AZD8330、GDC-0623、リファメチニブ、ピマセルチビ、R04987655、R05126766、WX-554、HL-085、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、R05068760、U0126、及びSL327が挙げられる。CDK4/6阻害剤の非限定的な例としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、及びアベマシクリブが挙げられる。化学療法薬の非限定的な例としては、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、及びエトポシドが挙げられる。
【0212】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害を治療又は緩和するための本明細書に開示される方法は、腫瘍特異的モノクローナル抗体を対象に投与することを更に含み、対象は、老化誘導療法(例えば、化学療法)を受けている/受けた。ある特定の実施形態では、腫瘍特異的モノクローナル抗体は、抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子の投与後に投与される。老化誘導療法の非限定的な例としては、ドキソルビシン、電離放射線療法、MEK阻害剤及びCDK4/6阻害剤との併用療法、CDC7阻害剤及びmTOR阻害剤との併用療法などが挙げられる。CDK4/6阻害剤の例としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、及びアベマシクリブが挙げられる。MEK阻害剤の非限定的な例としては、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、TAK-733、CI-1040(PD184352)、PD0325901、MEK162、AZD8330、GDC-0623、リファメチニブ、ピマセルチビ、R04987655、R05126766、WX-554、HL-085、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、R05068760、U0126、及びSL327が挙げられる。mTOR阻害剤の非限定的な例としては、ラパマイシン、セルトラリン、シロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、及びデフォロリムスが挙げられる。CDC7阻害剤の例としては、TAK-931、PHA-767491、XL413、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、2,3-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-4(1H)-オン、フラノン誘導体、トリ置換チアゾール、ピロロピリジノンなどが挙げられる。
【0213】
ある特定の実施形態では、腫瘍特異的モノクローナル抗体は、抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子の投与後に投与される。
【0214】
ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0215】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害を治療又は緩和するための本明細書に開示される方法は、がん療法を対象に投与することを更に含む。ある特定の実施形態では、がん療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、モノクローナル抗体、抗がん核酸又はタンパク質、抗がんウイルス又は微生物、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0216】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害を治療又は緩和するための本明細書に開示される方法は、対象にサイトカインを投与することを更に含む。ある特定の実施形態では、サイトカインは、抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、又は多重特異性分子の投与前、投与中、又は投与後に投与される。ある特定の実施形態では、サイトカインは、インターフェロンa、インターフェロン(3、インターフェロンy、補体C5a、IL-2、TNF-α、CD4OL、IL12、IL-23、IL15、IL17、CCL1、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14-1、CCL14-2、CCL14-3、CCL15-1、CCL15-2、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23-1、CCL23-2、CCL24、CCL25-1、CCL25-2、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L1、CCL4、CCL4L1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCR10、CCR2、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCRL1、CCRL2、CX3CL1、CX3CR、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL9、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、及びXCL2からなる群から選択される。
【0217】
ある特定の実施形態では、化学療法は、化学療法剤を対象に投与することを含む。化学療法剤の非限定的な例としては、窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、ゲムシタビン、トリアゼン、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、COX-2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素阻害剤、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、ホルモン拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、SN-38、ドキソルビシン、ドキソルビシン類似体、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗分裂剤、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP90)阻害剤、プロテオソーム阻害剤、HDAC阻害剤、アポトーシス促進剤(pro-apoptotic agent)、メトトレキサート、及びCPT-11が挙げられる。
【0218】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、肺線維症であり、本方法は、対象に、ピルフェニドン、ニンテダニブ、酸素療法、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸、及びアザチオプリンからなる群から選択される少なくとも1つの療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0219】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、アテローム性動脈硬化症であり、本方法は、対象に、スタチン(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンカルシウム、シンバスタチン)、フィブラート(例えば、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート)、ナイアシン、エゼチミブ、胆汁酸隔離剤(bile acid sequestrants)(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、プロタンパク質変換酵素サブチリシンケキシン9型(PCSK9)阻害剤、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、タカグレロール、ワルファリン、プラスグレル)、ベータ遮断薬、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、及び利尿薬からなる群から選択される少なくとも1つの療法を順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0220】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、アルツハイマー病であり、本方法は、対象に、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、メマンチン持続放出及びドネペジル(Namzaric)、アドカヌマブ、ソラネズマブ、インスリン、ベルベセスタット、AADvac1、CSP-1103、及びインテピルジンからなる群から選択される少なくとも1つの療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0221】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、糖尿病であり、本方法は、対象に、インスリン、メトホルミン、アミリン類似体、グルカゴン、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド)、メグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール)、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-4)阻害剤(例えば、アログリプチン、リナグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン)、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン(ertugliflozin))、及びインクレチン模倣薬(例えば、エキセナチド、リラグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド)からなる群から選択される少なくとも1つの療法を順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0222】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、変形性関節症であり、本方法は、対象に、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、トラマドール、オキシコドン、ヒドロコドン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ)、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、コルチコステロイド、及びヒアルロン酸からなる群から選択される少なくとも1つの療法を順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0223】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、肝線維症であり、本方法は、対象に、ACE阻害剤(例えば、ベナゼプリル、リシノプリル、ラミプリル)、α-トコフェロール、インターフェロン-α、PPAR拮抗薬、コルヒチン、コルチコステロイド、エンドセリン阻害剤、インターロイキン-10、ペントキシフィリン、ホスファチジルコリン、S-アデノシル-メチオニン、及びTGF-131阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つの療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0224】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、慢性腎臓病であり、本方法は、対象に、ACE阻害剤(例えば、ベナゼプリル、リシノプリル、ラミプリル)、スタチン(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンカルシウム、シンバスタチン)、フロセミド、エリスロポエチン、リン酸結合剤(例えば、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム)、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、及びシクロホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つの療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含む。
【0225】
4.6.診断及び予後方法
本明細書に開示される抗uPAR抗体、その抗原結合断片、多重特異性分子、及びそれらの核酸コードは、生物学的試料中、細胞中、組織中、及び/又は血液試料中のuPARの検出のための研究ツールとしての使用と同様に、診断及び予後用途に使用することができる。本明細書に開示される主題は、細胞、組織、又は血液試料中のuPARを検出するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、細胞又は組織を、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子と接触させることであって、抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子が、検出可能な標識を含む、接触させることと、細胞又は組織に関連する検出可能な標識の量を測定することによって、細胞、組織、又は血液試料に結合された標識された抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子の量を決定することであって、結合された抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子の量が、細胞、組織、又は血液試料中のuPARの量を示す、決定することと、を含む。細胞又は組織は、任意の正常、健常、又はがん性細胞及び組織を含む任意の細胞又は組織であり得る。ある特定の実施形態では、血液試料は、末梢血試料である。
【0226】
uPARは、対象の老化細胞負荷を検出するためのマーカーとして使用され得る。したがって、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子は、対象から得られた生物学的試料中の老化細胞を検出するために使用することができる。本明細書に開示される主題は、対象から得られる生物学的試料中の老化細胞を検出するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、a)生物学的試料を、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子と接触させることであって、抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子が、検出可能な標識を含む、接触させることと、b)生物学的試料中の検出可能な標識の量を測定することによって、生物学的試料中の標識された抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子の量を決定することであって、結合された抗体、その抗原結合断片、又は多重特異性分子の量が、生物学的試料中のuPARの量を示す、決定することと、c)i)参照試料中で観察されるものと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも100%増加した、及び/又はii)参照試料中で観察されるものと比較して、少なくとも0.5倍、少なくとも1.0倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、若しくは少なくとも10.0倍増加した生物学的試料中のuPARを検出することによって、生物学的試料中の老化細胞の存在を検出することと、を含む。検出可能な標識は、immunoPETプローブであり得る。参照試料は、健常な対照対象から得てもよく、又は所定レベルのuPARポリペプチド及び/又はsuPARポリペプチドを含有してもよい。生物学的試料の非限定的な例としては、粘液、唾液、気管支肺胞洗浄液(BAL)、気管支洗浄液(BW)、全血、脳脊髄液(CSF)、尿、血漿、血清、リンパ、精液、滑液、涙、羊水、胆汁、房水、及び体液が挙げられる。ある特定の実施形態では、生物学的試料中の検出可能な標識の量を測定することは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫電気泳動、免疫染色、イメージング技術(例えば、immunoPET)、等電点電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析を含む。
【0227】
4.7.キット
本明細書に開示される主題は、疾患又は障害を治療又は緩和するための、及び/又はuPARを検出するためのキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は組成物を含む。ある特定の実施形態では、キットは、治療用又は予防用ワクチンを収容する滅菌容器を含み、そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で既知の他の好適な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、積層紙、金属ホイル、又は医薬品を保持するのに適した他の材料で作製することができる。
【0228】
ある特定の実施形態では、キットは、治療を必要とする対象に、本明細書に開示される抗uPAR抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は組成物を投与するための説明書を更に含む。説明書は、一般に、疾患又は障害の治療又は緩和のための、本明細書に開示される抗uPAR抗体又はその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、及び組成物の使用に関する情報を含むことができる。ある特定の実施形態では、説明書は、治療剤の説明、腫瘍若しくは新生物若しくはその症状の治療及び/若しくは予防のための投薬スケジュール及び投与、予防措置、警告、適応症、対抗適応症、過剰投与情報、有害反応、動物薬理学、臨床研究、並びに/又は参考事項のうちの少なくとも1つを含む。説明書は、容器に直接(存在する場合)、又は容器に適用されるラベルとして、又は容器内若しくは容器とともに供給される別個のシート、パンフレット、カード、若しくはフォルダとして印刷され得る。
【0229】
4.8.例示的な実施形態
A.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0230】
A1.重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、前述のAの抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0231】
A2.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0232】
A3.軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、前述のA2の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0233】
A4.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0234】
A5.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0235】
A6.重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同又は同一であるアミノ酸配列を含む、前述のA5の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0236】
A7.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0237】
A8.重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、上述のA7の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0238】
A9.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0239】
A10.軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、上述のA9の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0240】
A11.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、又は配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、又は配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0241】
A12.(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(c)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(e)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに(f)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、前述のA~A11のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0242】
A13.重鎖可変領域が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、前述のA12の抗体又はその抗原結合断片。
【0243】
A14.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む重鎖可変領域と、CDR1ドメイン、CDR2ドメイン、及びCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域と、を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR3ドメインが、(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、CDR3、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、CDR3、(b)配列番号9に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、(c)配列番号15に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、(d)配列番号21に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、(e)配列番号43に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3、並びに(f)配列番号51に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR3、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR3から選択される、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0244】
A15.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR2ドメインが、(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号5に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号11に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、(c)配列番号14に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号17に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、(d)配列番号20に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号23に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、(e)配列番号42に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号45に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR2、並びに(f)配列番号50に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR2、及び配列番号53に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域から選択される、前述のA14の抗体又はその抗原結合断片。
【0245】
A16.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDR1ドメインが、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1、並びに(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、重鎖可変領域CDR1、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列と、その保存的修飾と、を含む、軽鎖可変領域CDR1から選択される、前述のA14又はA15の抗体又はその抗原結合断片。
【0246】
A17.CDR配列のうちの1つ以上が、最大約5個のアミノ酸置換を有する、前述のA14~A16のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0247】
A18.CDR配列のうちの1つ以上が、最大約3個のアミノ酸置換を有する、前述のA14~A16のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0248】
A19.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0249】
A20.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(c)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(d)配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、(e)配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、又は(f)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0250】
A21.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、(b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、(d)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域、又は(f)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、重鎖可変領域、及び配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、軽鎖可変領域を含む、抗uPAR抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0251】
A22.重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含み、軽鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、前述のA21の抗uPAR抗体又はその抗原結合断片。
【0252】
A23.抗体又はその抗原結合断片が、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むuPAR又はその断片に結合する、前述のA~A22のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0253】
A24.抗体の配列が、軽-重可変鎖配向(VL-VH)にある、前述のA~A23のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0254】
A25.抗体が、ヒト可変領域フレームワーク領域を含む、前述のA~A24のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0255】
A26.完全ヒト又はその抗原結合断片である、前述のA~A25のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0256】
A27.キメラ抗体又はその抗原結合断片である、前述のA~A26のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0257】
A28.ヒト化抗体又はその抗原結合断片である、前述のA~A27のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0258】
A29.抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変断片(Fv)、又は単鎖可変領域(scFv)である、前述のA~A28のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片。
【0259】
A30.抗原抗原結合断片が、scFvである、前述のA29の抗体又はその抗原結合断片。
【0260】
A31.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、uPARへの結合について、A~A30のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片と交差競合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0261】
A32.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、A~A30のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片と同じuPAR上のエピトープ領域に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0262】
B.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、A~A32のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片を含む、組成物を提供する。
【0263】
B1.薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、前述のBの組成物。
【0264】
C.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、治療剤に連結された、A~A32のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片を含む、免疫コンジュゲートを提供する。
【0265】
C1.治療剤が、薬物、細胞毒素、又は放射性同位体である、前述のCの免疫コンジュゲート。
【0266】
D.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、C又はC1の免疫コンジュゲートを含む、組成物を提供する。
【0267】
D1.薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、前述のDの組成物。
【0268】
E.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、1つ以上の機能部分に連結された、A~A32のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片を含む、多重特異性分子を提供する。
【0269】
E1.1つ以上の機能部分が、抗体又はその抗原結合断片とは異なる結合特異性を有する、前述のEの多重特異性分子。
【0270】
F.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、E又はE1の多重特異性分子を含む、組成物を提供する。
【0271】
F1.薬学的に許容される担体を更に含む薬学的組成物である、前述のFの組成物。
【0272】
G.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、A~A32のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片をコードする、核酸を提供する。
【0273】
G1.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、Gの核酸分子を含む、ベクターを提供する。
【0274】
H.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、Gのベクター又はG1の核酸を含む、宿主細胞を提供する。
【0275】
I.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、細胞、組織、又は血液試料中のuPARを検出するための方法であって、細胞、組織、又は血液試料を、A~A32のうちのいずれか1つの抗体又はその抗原結合断片と接触させることであって、抗体又はその抗原結合断片が、検出可能な標識を含む、接触させることと、当該細胞、組織、又は血液試料に関連付けられた検出可能な標識の量を測定することによって、細胞、組織、又は血液試料に結合された標識された抗体又はその抗原結合断片の量を決定することであって、結合された抗体又はその抗原結合断片の量が、細胞、組織、又は血液試料中のuPARの量を示す、決定することと、を含む、方法を提供する。
【0276】
J.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、対象における疾患又は障害を治療又は緩和する方法であって、A~A32のうちのいずれか1つの抗体若しくはその抗原結合断片、C若しくはC1の免疫コンジュゲート、E若しくはE1の多重特異性分子、又はB、B1、D、D1、F、及びF1のうちのいずれか1つの組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0277】
J1.疾患又は障害が、腫瘍、老化関連病態、及び加齢に関連する組織減退からなる群から選択される、前述のJの方法。
【0278】
J2.疾患又は障害が、老化関連病態である、前述のJ1の方法。
【0279】
J3.老化関連病態が、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病、変形性関節症、肝線維症、慢性腎疾患、心臓線維症、及びパーキンソン病からなる群から選択される、前述のJ1の方法。
【0280】
J4.疾患又は障害が、腫瘍である、前述のJ2の方法。
【0281】
J5.腫瘍が、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、胃がん(stomach cancer)、前立腺がん、胃がん(gastric cancer)、腎がん、膵がん、血液がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝がん、尿路上皮がん、黒色腫、及び脳がんからなる群から選択される、前述のJ4の方法。
【0282】
J6.血液がんが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄線維症、真性多血症、骨髄異形成症候群、及び赤白血病からなる群から選択される、前述のJ5の方法。
【0283】
J7.腫瘍が、がんである、前述のJ4~J6のうちのいずれか1つの方法。
【0284】
K.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させる方法であって、対象に、A~A32のうちのいずれか1つの抗体若しくはその抗原結合断片、C若しくはC1の免疫コンジュゲート、E若しくはE1の多重特異性分子、又はB、B1、D、D1、F、及びF1のうちのいずれか1つの組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0285】
K1.免疫活性化サイトカインが、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、IL-7、IL-8、IL-12、IL-15、IL-21、インターフェロン制御因子7(IRF7)、CCL1、CCL2、CCL3、CCL5、CCL7、CCL8、CCL13、CCL16、CXCL1、CXCL3、CXCL5、CXCL9、CXCL10、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上述のKに記載の方法。
【0286】
K2.対象が、ヒトである、前述のJ~J7、K、及びK1のうちのいずれか1つの方法。
【0287】
L.ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される主題は、対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるためのキットであって、A~A32のうちのいずれか1つの抗体若しくはその抗原結合断片、C若しくはC1の免疫コンジュゲート、E若しくはE1の多重特異性分子、又はB、B1、D、D1、F、及びF1のうちのいずれか1つの組成物を含む、キットを提供する。
【0288】
L1.キットが、対象における疾患若しくは障害を治療若しくは緩和するため、及び/又は対象における腫瘍細胞に応答して免疫活性化サイトカインの産生を増加させるために抗体若しくはその抗原結合断片、免疫コンジュゲート、多重特異性分子、又は組成物を使用するための書面による説明書を更に含む、前述のLのキット。
【実施例】
【0289】
以下の実施例は、当業者に、本明細書に開示される主題の抗体、多重特異性抗体、それらを含む組成物、スクリーニング、及び治療方法をどのように作製及び使用するかに関する完全な開示及び説明を提供するために提示されており、発明者らが本明細書に開示される主題とみなすことの範囲を限定することを意図するものではない。上記に提供される一般的な説明を考慮すると、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0290】
実施例1-抗uPAR抗体及びscFvの生成
R&Dからの組換えuPAR(https://www.rndsystems.com/products/recombinant-human-upar-protein_807-uk)を使用して、本明細書に開示される抗体及びその抗原結合断片を生成した。この組換えuPARは、C末端6-hisタグを有するヒトuPARタンパク質(Leu23-Arg303)である。
【0291】
6つのクローン8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5を産生した。次に、8B1、11E10、17C9、19D7、6C8、及び14C5抗体の結合親和性KDを評価した。KD値は、Biacoreの単一サイクル動態解析を使用して計算した。11E10抗体のKDは、9.52×10-8Mであった。8B1抗体のKDは、3.48×10-9Mであった。17C9抗体のKDは、1.86×10-8Mであった。6C8抗体のKDは、6.61×10-9Mであった。14C5抗体のKDは、4.24×10-8Mであった。
【0292】
本明細書に開示される主題の実施形態
上記の説明から、様々な用途及び条件にそれを採用するために、本明細書に開示される主題に対して変形及び修正が行われ得ることが明らかになるであろう。このような実施形態もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0293】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの記載は、列挙された要素の任意の単一の要素若しくは組み合わせ(又はサブコンビネーション)としてのその変数の定義を含む。本明細書における実施形態の記載は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはその一部分と組み合わせて、その実施形態を含む。
【0294】
本明細書に記載されている全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的及び個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】