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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】配列制御ポリマーの保存
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20240524BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALN20240524BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
C12N15/10 110Z
C12Q1/6813 Z ZNA
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575828
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022032831
(87)【国際公開番号】W WO2022261318
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,973
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バナル, ジェイムズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】バーリアント, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ライザーソン, チャールズ イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャードル, タオ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ベイズ, マーク
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS34
(57)【要約】
対象の配列制御保存に関する組成物および方法が開示されている。本開示の配列制御保存対象物は、(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および(b)複数の異なる特徴タグを含み得る。配列制御保存対象物は、(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および(b)複数の異なるディジットタグを含み得る。(i)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、(ii)複数の異なる特徴タグ、および(iii)必要に応じて、1つまたは複数の封入剤から配列制御保存対象物をアセンブルするステップを含む、所望の配列制御ポリマーを配列制御保存対象物として保存する方法も開示されている。フローを有するデバイスを使用するステップを含む、配列制御保存対象物のアセンブリーを自動化する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(b)複数の異なる特徴タグ
を含む配列制御保存対象物であって、
前記特徴タグが、前記配列制御保存対象物の表面に存在し、
各異なる特徴タグが、前記異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応し、
各異なる特徴タグが対応する前記単一の特徴が、前記異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴であり、
前記複数の異なる特徴タグが、前記1つまたは複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応し、
前記異なる特徴タグのそれぞれが、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、配列制御保存対象物。
【請求項2】
前記複数の異なる特徴タグのそれぞれが、特徴タグの異なるセットのメンバーであり、特徴タグの各セットが、関連する特徴のセットに対応し、
必要に応じて、
(i)特徴タグの前記セットの少なくとも1つのメンバーが、類似性コード化特徴タグである、および/または
(ii)特徴タグの前記セットの少なくとも1つのメンバーが、ハイブリダイゼーションを規定されており、同じ数のヌクレオチドを有する、請求項1に記載の配列制御保存対象物。
【請求項3】
前記セット内の前記特徴タグの相対的ハイブリダイゼーション性が、前記セット内の前記特徴タグが対応する前記特徴の類似性に関連し、
より類似性の高い特徴に対応する前記セット内の特徴タグが、より類似性の低い特徴に対応する前記セット内の特徴タグよりも、より緊密な相対的ハイブリダイゼーション性を有する、請求項2に記載の配列制御保存対象物。
【請求項4】
特徴タグの前記セットの前記類似性コード化特徴タグが、前記特徴タグが対応する前記特徴を、前記特徴の類似性に基づいてn次元超立方体にマッピングすることによって類似性コード化され、
nが、前記特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、
nが、前記特徴タグが対応する特徴の数の因数であり、
必要に応じて、前記特徴タグが対応する前記特徴をマッピングする前に、前記特徴タグが対応する前記特徴の次元数が削減され、
次元数を削減された特徴が、前記次元数を削減された特徴の類似性に基づいて超立方体にマッピングされる、請求項2または3に記載の配列制御保存対象物。
【請求項5】
特徴タグの前記セットの前記類似性コード化特徴タグが、
(a)前記特徴タグが対応する前記特徴の次元数を削減すること、および
(b)次元数を削減された特徴の類似性に基づいて、前記次元数を削減された特徴をn次元超立方体にマッピングすること
によって類似性コード化され、
nが、前記特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、
nが、前記特徴タグが対応する特徴の数の因数であり、
必要に応じて、マッピングされた特徴のうちの任意の2つがマッピングされるノード間の超立方体のエッジの数が、前記2つの特徴の類似性に比例する、請求項2から4のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項6】
特徴タグの前記セットの少なくとも1つにおいて、
(a)特徴タグの前記セットのメンバーが、同じ数のヌクレオチドを有し;
(b)前記セット内の前記特徴タグのそれぞれが、前記セット内の1つまたは2つの他の特徴タグと、1~x個のミスマッチヌクレオチドだけ異なり、前記ミスマッチヌクレオチドが、
(i)前記特徴タグのいずれかの端から少なくとも2つのヌクレオチドであり;
(ii)前記特徴タグ中の少なくとも1つのマッチするヌクレオチドによって分離されており、xが、前記セット内で変化する前記特徴タグ中の異なるヌクレオチド位置の数である、請求項2から5のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項7】
特徴タグの前記セットの前記少なくとも1つの1つまたは複数のセットについて独立して、前記セット内の各特徴タグが、前記セット内の他のすべての特徴タグと、1~w個のヌクレオチドだけミスマッチしており、
wが、2~(y-4)÷2の整数であり、
yが、前記セット内の前記特徴タグ中のヌクレオチドの数であり、
式(y-4)÷2が切り上げられる、請求項2から6のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項8】
複数の異なるディジットタグをさらに含み、前記ディジットタグが前記保存対象物の表面に存在し、前記ディジットタグが数をコードしており、
必要に応じて、前記複数の異なるディジットタグのそれぞれが、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、
前記保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数が、前記複数ディジットの数の位の数に等しく、
前記複数の異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、
ディジットタグの各セットが、前記複数ディジットの数の異なる位に対応し、
ディジットタグの各セットが、ディジットタグの前記セットが対応する前記複数ディジットの数の前記位の可能なディジット値のそれぞれに対応するディジットタグを有し、
前記異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの前記セットのすべてにおいて他の異なるディジットタグすべてとハイブリダイズ可能に区別でき、
前記異なるディジットタグのそれぞれが、前記異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、請求項1から7のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項9】
(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(b)複数の異なるディジットタグ
を含む配列制御保存対象物であって、
前記ディジットタグが、前記保存対象物の表面に存在し、
前記複数の異なるディジットタグのそれぞれが、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、
前記保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数が、前記複数ディジットの数の位の数に等しく、
前記複数の異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、ディジットタグの各セットが、前記複数ディジットの数の異なる位に対応し、
ディジットタグの各セットが、ディジットタグの前記セットが対応する前記複数ディジットの数の前記位の可能なディジット値のそれぞれに対応するディジットタグを有し、
前記異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの前記セットのすべてにおいて他の異なるディジットタグすべてとハイブリダイズ可能に区別でき、
必要に応じて、ディジットタグの各セットが、前記複数ディジットの数が表現される数学的基数と同じ数のメンバーを有する、配列制御保存対象物。
【請求項10】
前記複数ディジットの数が、前記異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する特徴に対応する、請求項9に記載の配列制御保存対象物。
【請求項11】
前記異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する前記特徴が、関連する特徴のセットのメンバーであり、
関連する特徴の前記セットの前記メンバーのそれぞれが、異なる数値を有するか、またはそれに関連付けることができ、
前記異なる数値が、関連する特徴の前記セット内の他の特徴に対する所与の特徴のレベルまたは強度に対応し、
前記複数ディジットの数が、前記異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する前記特徴の数値の所与のディジット数に等しいか、それに比例するか、またはそれと同じであり、
必要に応じて、
(i)関連する特徴の前記セットのメンバーが有するかまたは関連し得る数値の差が、関連する特徴の前記セットにおける前記特徴の類似性に比例し、
(ii)前記複数ディジットの数が、前記複数ディジットの数が対応する前記異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する前記特徴に任意に割り当てられ、
(iii)前記複数ディジットの数が、前記異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する前記特徴の数値の、前記数値の最上位のディジットから始まる所与のディジット数と同じである、請求項10に記載の配列制御保存対象物。
【請求項12】
1つまたは複数の封入剤をさらに含み、
前記封入剤が、前記配列制御ポリマーをコーティングまたは封入し、封入試薬が、化学的または機械的処理によって可逆的に除去され得、必要に応じて、
(i)前記特徴タグが、前記封入剤のうちの1つもしくは複数に含まれる、ならびに/または
(ii)前記1つもしくは複数の封入剤が、天然ポリマーおよび合成ポリマー、もしくはこれらの組合せからなる群より選択される、ならびに/または
(iii)1つまたは複数の封入剤が、タンパク質、多糖類、脂質、核酸、無機配位ポリマー、金属-有機フレームワーク、共有結合有機フレームワーク、無機配位ケージ、共有結合有機配位ケージ、エラストマー、熱可塑性プラスチック、合成繊維、またはそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項13】
前記配列制御ポリマーの少なくとも1つが一本鎖核酸であり、
前記核酸が、構造の各エッジにまたがる逆平行または平行クロスオーバーのいずれかによって接合される2つの核酸ヘリックスを含む三次元多面体ナノ構造にフォールディングされ、
前記三次元多面体構造が、ビットストリームデータを含む前記一本鎖核酸にハイブリダイズした一本鎖核酸ステープル配列から形成され、
ビットストリームデータを含む前記一本鎖核酸が、前記多面体構造の頂点と線によって定義されるネットワークのオイラーサイクルを通してルーティングされ、
前記ナノ構造が、二本鎖または一本鎖のクロスオーバーを含む少なくとも1つのエッジを含み、
前記二本鎖のクロスオーバーの位置が、前記多面体構造のスパニングツリーによって決定され、
前記ステープル配列が、前記ナノ構造の形状を規定するためにビットストリームデータを含む前記一本鎖核酸の前記頂点、エッジおよび二本鎖クロスオーバーにハイブリダイズされ、
前記ステープル配列のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項14】
ステープル鎖が、14~1,000ヌクレオチド(両端の値を含む)を含むか、または
前記一本鎖核酸が、およそ100~1,000,000ヌクレオチド(両端の値を含む)、またはそれらの組合せを含む、請求項13に記載の配列制御保存対象物。
【請求項15】
1つまたは複数のステープル鎖が、5’末端、3’末端、または5’末端と3’末端の両方に、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む、請求項13または14に記載の配列制御保存対象物。
【請求項16】
前記1つまたは複数の特徴タグ配列が、1つまたは複数のオーバーハングオリゴヌクレオチド配列を含み、
必要に応じて、前記1つまたは複数の特徴タグ配列が、異なる配列制御保存対象物に結合した1つまたは複数の特徴タグ配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の配列制御保存対象物。
【請求項17】
結合した1つまたは複数の追加の配列制御保存対象物をさらに含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物。
【請求項18】
所望の配列制御ポリマーを配列制御保存対象物として保存する方法であって、
(a)
(i)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(ii)複数の異なる特徴タグ、および
(iii)必要に応じて、1つまたは複数の封入剤
から配列制御保存対象物をアセンブルするステップであって、
前記特徴タグが、前記配列制御保存対象物の表面に存在し、
各異なる特徴タグが、前記異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応し、
各異なる特徴タグが対応する前記単一の特徴が、前記配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数の異なるものに起因する特徴であり、
前記複数の異なる特徴タグが、前記複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応し、
前記異なる特徴タグのそれぞれが、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、ステップと、
(b)前記配列制御保存対象物を保存するステップと
を含み、必要に応じて、
(c)前記所望の配列制御ポリマーを回収するステップをさらに含む、方法。
【請求項19】
ステップ(c)において前記所望の配列制御ポリマーを回収するステップが、配列制御保存対象物のプールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を選択することを含み、
前記選択することが、前記配列制御保存対象物上の1つまたは複数の特徴タグの配列、前記配列制御保存対象物の形状、前記配列制御保存対象物に結合した官能基への親和性、またはこれらの組合せに基づいて前記保存対象物を単離することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(d)1つまたは複数の異なる特徴タグを付加することによって、前記単離された配列制御保存対象物を修飾するステップ
をさらに含み、
必要に応じて、1つまたは複数の異なる特徴タグの付加が、前記異なる特徴タグを含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドで、前記配列制御保存対象物をリフォールディング、または再組織化することを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
1つまたは複数の配列制御保存対象物が、ブール論理を使用して配列制御保存対象物のプールから単離され、
必要に応じて、ブールNOT論理を使用して、対象物プールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を削除する、請求項19から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(f)前記所望の配列制御ポリマーにアクセスするステップをさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(b)の前記配列制御保存対象物を保存するステップが、前記配列制御保存対象物を脱水すること、凍結乾燥すること、または凍結することのうちの1つまたは複数をさらに含み、
必要に応じて、処理のために前記配列制御保存対象物を再湿潤化させることまたは解凍することのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記配列制御保存対象物を保存するステップが、セルロース、紙、マイクロフルイディクス、バルク3D溶液、電気力を使用する表面上、磁力を使用する表面上、無機塩または有機塩に封入されたもの、およびこれらの組合せからなる群より選択されるマトリックス中の保存を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(b)の前記配列制御保存対象物を保存するステップが、配列制御保存対象物を含有する液滴をデジタル的に処理することをさらに含む、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から17のいずれか一項に記載の配列制御保存対象物のアセンブリーを自動化する方法であって、フローを有するデバイスを使用することを含み、前記デバイスが、以下:
(a)前記配列制御保存対象物の構成成分をフローに加えるための手段、
(b)前記構成成分を混合するための手段であって、
前記混合するための手段が、前記フローに加えるための手段に作動可能に接続されている、手段、
(c)前記構成成分をアニーリングして、アセンブルされた配列制御保存対象物を形成するための手段であって、
前記アニーリングするための手段が、前記混合するための手段に作動可能に接続されている、手段、および
(d)前記アセンブルされた配列制御保存対象物を精製するための手段であって、
前記精製するための手段が、前記アニーリングするための手段に作動可能に接続されている、手段
を含み、
必要に応じて、
(e)前記配列制御対象物を保存する封入剤を導入するための手段、
(f)前記配列制御ポリマーに起因する複数の特徴タグを導入するための手段、
(g)対象物プールから封入された配列制御対象物を選択するための手段であって、
前記選択の手段が、ブール論理を使用して実施され得る、手段、および
(h)前記配列制御保存対象物を回収するために前記封入剤を除去するための手段
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された米国仮出願第63/208,973号に対する優先権およびその利益を主張する。2021年6月9日に出願された出願第63/208,973号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援研究に関する声明
本発明は、海軍研究局(Office of Naval Research)(ONR)から授与された助成金番号N00014-16-1-2506、N00014-12-1-0621、N00014-18-1-2290、N00014-17-1-2609、N00014-20-1-2084、およびN00014-21-1-4013、米国科学財団(National Science Foundation)(NSF)から授与された助成金番号CCF1564025、1729397、CHE1839155、OAC1940231、およびCCF1956054、エネルギー庁(Department of Energy)(DOE)から授与された助成金番号DE-SC0019998、陸軍研究局(Army Research Office)(ARO)から授与された助成金番号W911NF-13-D-0001、ならびに空軍研究所(Air Force Research Laboratory)(AFRL)から授与された助成金番号FA8750-19-2-1000の政府の援助によってなされた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0003】
配列表への言及
2022年6月9日に提出された、2022年5月26日に作成され、1,614バイトのサイズを有する「MIT 23164_ST25」という名称のテキストファイルとしての配列表は、37C.F.R.§1.52(e)(5)に従い、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
発明の分野
本発明は、分子バーコードを使用して一意的に特定することができるミリからナノスケールのカプセルを使用して、室温での超高密度保存を可能にする生体分子の封入のための方法を開示する。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
生物学のセントラルドグマは、DNAからRNA、次いで最終的にタンパク質へと進行する。これらの生体分子は生命を維持する上で重要な役割を果たす:DNAはタンパク質合成のための情報をコードし、RNAはDNAにコードされた指示を実行する。タンパク質はほとんどの生物学的プロセスを実行する。オミックス技術の爆発的な普及と進歩は、DNA、RNA、およびタンパク質の収集、保存、および分析を通じて、個人の健康状態および病気に対する素因を理解する需要を駆動してきた。核酸を分析するオミックス技術、すなわちゲノミクスとトランスクリプトミクスは、現在科学的に進歩し、大規模に商業化されている。
【0006】
核酸試料の大規模保存は、基礎研究、トランスレーショナル研究、および臨床研究、合成生物学ファウンドリー、ならびに生物多様性保全の取組みにおいて極めて重要である[Ivanova and Kuzmina. Mol Ecol Resour 13, 890-898, doi:10.1111/1755-0998.12134 (2013);Fabre, et al. European Journal of Human Genetics 22, 379-385, doi:10.1038/ejhg.2013.145 (2014)]。核酸の保存には、試料の品質、完全性、および機能を維持するための強固な手順が必要とされる。現在、核酸に必要な保存温度は4℃~-196℃であり[Fabre, et al. European Journal of Human Genetics 22, 379-385, doi:10.1038/ejhg.2013.145 (2014);Muller, et al. Biopreserv Biobank 14, 89-98, doi:10.1089/bio.2015.0022 (2016);Miernyk, et al. Biopreserv Biobank 15, 529-534, doi:10.1089/bio.2017.0040 (2017)]、この温度では分解はごくわずかである。しかし、このような低温を長期間維持するには多大なエネルギーが必要とされる。また、核酸物質の大規模な低温保存には、アクセスのための大規模なロボティクス、厳格なコールドチェーン管理ロジスティクス[Muller, et al. Biopreserv Biobank 14, 89-98, doi:10.1089/bio.2015.0022 (2016);Clermont, et al. Biopreserv Biobank 12, 176-183, doi:10.1089/bio.2013.0082 (2014);Wan, et al. Curr Issues Mol Biol 12, 135-142 (2010)]および試料損失のリスクを軽減するためのミラー保存施設に保存された試料の冗長なコピー[Muller, et al. Biopreserv Biobank 14, 89-98, doi:10.1089/bio.2015.0022 (2016)]が必要とされる。最後に、遠隔地または低資源地域での核酸の低温保存には、輸送中の単離試料の完全性および品質を維持するために費用のかかる手段および複雑なコールドチェーンロジスティクスが関与することになる[Clermont, et al. Biopreserv Biobank 12, 176-183, doi:10.1089/bio.2013.0082 (2014)]。低温保存から室温保存への移行により、エネルギー使用量が4000万キロワット時削減され、これにより、年間18,000メートルトンの二酸化炭素排出がなくなり、かつ10年間で1600万ドルのコスト削減につながり[Palmer. Nat Med 16, 1056-1057, doi:10.1038/nm1010-1056b (2010)]、低温保存に対して必要な空間が70%低減される[Lou, et al. Clin Biochem 47, 267-273, doi:10.1016/j.clinbiochem.2013.12.011 (2014)]。試料処理に関連するコストおよびワークフローの複雑さも低減される[Lou, et al. Clin Biochem 47, 267-273, doi:10.1016/j.clinbiochem.2013 .12.011 (2014)]。核酸試料の室温保存は、BiomatricaからのDNAstable(登録商標)およびRNAstable(登録商標)などの安定化剤の添加、またはImageneからのDNAshells(登録商標)やRNAshells(登録商標)などの真空キャニスターの使用によって達成される。これらの室温保存解決策によって、1年またはそれより長く核酸安定性が保証され得るが、試料を保存するためのスペースならびにアクセス用の広範なロボットプラットフォームおよび必要とされる湿度管理などのサポートインフラは、依然として重要なコスト検討事項となる[Muller, et al. Biopreserv Biobank 14, 89-98, doi:10.1089/bio.2015.0022 (2016);Lou, et al. Clin Biochem 47, 267-273, doi:10.1016/j.clinbiochem.2013.12.011 (2014)]。
【0007】
シリカ粒子[Grass, et al. Angewandte Chemie International Edition 54, 2552-2555 (2015);Puddu, et al. Advanced healthcare materials 4, 1332-1338 (2015)]、アルギネート[Gombotz and Wee. Advanced drug delivery reviews 31, 267-285 (1998);Machado, et al. Langmuir 29, 15926-15935 (2013)]、および合成ポリマー[Gill and Ballesteros. Trends in biotechnology 18, 282-296 (2000);Zelikin, et al. ACS nano 1, 63-69 (2007)]は、室温で生体分子を保存するために使用されてきたが、これらの保存材料を一意的に特定し、それらをまとめてプールして、生体分子の代替的な室温保存および回収プラットフォームを実現する能力は、まだ実証されていない。DNAベースのデータ保存におけるプログラムおよび機能は、WO2021231493A1に記載されている。
【0008】
10年またはそれより長くにわたって試料の完全性を維持するために、エネルギーをほとんど必要としない、スケーラブルな生体分子の保存が必要とされている。
【0009】
また、生体分子試料を保存するのに必要な設置面積を大幅に削減し、数千から数百万の試料を迅速に回収できるようにする必要がある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、あらゆる起源から収集された生体分子を保存し、回収する方法を提供することである。
【0011】
異なる化学的調製物および生化学的調製物ならびに異なる流体アプローチを使用して、様々な長さおよびサイズの生体分子を封入する方法を提供することも本発明の目的である。
【0012】
また、異なる流体アプローチを使用して封入された生体分子を標識する方法を提供することも本発明の目的である。
【0013】
封入された生体分子が試料のタイプ、供給源、および収集日/時を含むがこれらに限定されない様々な特徴によって関連する粒子のコレクションの回収を可能にするような方法で、各粒子のバーコードを選択する方法を提供することも本開示の目的である。バーコードは、結合強度および直交性などの最適な特性について設計された配列の既存のプールから選択することができる。
【0014】
プローブが、類似する配列の複数の別個のバーコードに結合するのを可能にすることによって、類似性ベースの回収を可能にするバーコード配列を設計するための新規な方法であって、これらのバーコードが、含有される生体分子が目的のいくつかのメトリック(metric)の下で類似している粒子を標識する、方法を提供することも本開示の目的である。
【0015】
化学的および生化学的なアプローチを使用して、バーコードの選別スループットを向上させる化学的および生化学的な戦略を提供することが、本開示の発明のさらなる目的である。
【0016】
ペプチド、核酸、または他の配列制御ポリマーを含み得る、ブール論理計算を可能にするバイオポリマー保存構造を提供することも本発明の目的である。
【0017】
シーケンシングまたは質量分析または他の分析化学アプローチのいずれかを使用して読み出すことができる、任意の核酸オリガミナノ構造ならびに他の核酸およびバイオポリマーを保存ブロックとして提供することも本発明の目的である。
【0018】
保存ブロック構造の関連付けおよび位置ベースの保存、ならびに並列計算処理のために、安定した再構成可能な超構造を形成することが可能な核酸保存ブロックを提供することがさらなる目的である。
【0019】
特定の外部刺激に応答して分解を加速することが可能な核酸保存対象物を提供することも目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第2021/231493号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Ivanova and Kuzmina. Mol Ecol Resour 13, 890-898, doi:10.1111/1755-0998.12134 (2013)
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【非特許文献4】Miernyk, et al. Biopreserv Biobank 15, 529-534, doi:10.1089/bio.2017.0040 (2017)
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【非特許文献13】Machado, et al. Langmuir 29, 15926-15935 (2013)
【非特許文献14】Gill and Ballesteros. Trends in biotechnology 18, 282-296 (2000)
【非特許文献15】Zelikin, et al. ACS nano 1, 63-69 (2007)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概要
任意の起源から精製された核酸は、有機または無機のポリマーネットワークから構成される合成パケットに封入される。封入は、目的の生体分子を封入試薬と混合する自動液体ハンドリング、またはミリメートルからナノメートルのサイズのエマルション反応容器に生体分子および封入試薬を閉じ込めるミリ流体アプローチおよびマイクロ流体アプローチを使用して実施され得る。封入された生体分子は、次に、試料の内容物を一意的に標識および特定する、240,000のプールから特定された直交分子バーコードの組合せで標識される[Xu, et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 106, 2289-2294, doi:10.1073/pnas.0812506106 (2009)]。封入された生体分子はまた、類似性ベースの回収を可能にする非直交分子バーコードで標識されてもよく、その結果、単一のプローブ配列は類似する配列の複数の別個のバーコードのうちのいずれか1つに結合し得るため、類似する生体分子のコレクションを同時に回収することができる。分子バーコードは、ヌクレアーゼに対する鎖の安定性を向上させるために、非リン酸骨格で構成されていてもよい。バーコード化のプロセスは、ミリ流体アプローチまたはマイクロ流体アプローチを使用して同様に実施することができる。封入およびバーコード化の際に、すべての試料を収集し、単一の容器にプールすることができる。試料は、ミリ流体ストラテジーまたはマイクロ流体ストラテジーを使用する下流の光学的または機械的選別のマーカーとして使用することができる光学的、化学的、または生化学的タグを含有し得る相補的プローブを使用してプールから選択される。化学的および生化学的反応は、バーコード上で実施され、選別速度、選別精度、および特定の選別アプローチの検出限界を改善することができる。
【0023】
対象の配列制御保存に関する組成物および方法が開示されている。本開示の配列制御保存対象物は、(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および(b)複数の異なる特徴タグを含む。いくつかの形態では、特徴タグは、配列制御保存対象物の表面に存在する。いくつかの形態では、各異なる特徴タグは、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応する。いくつかの形態では、各異なる特徴タグが対応する単一の特徴は、配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数の異なるものに起因する特徴である。一部の形態では、複数の異なる特徴タグは、複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応する。一部の形態では、異なる特徴タグはそれぞれ、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる。
【0024】
一部の形態では、複数の異なる特徴タグはそれぞれ、特徴タグの異なるセットのメンバーであり、特徴タグの各セットは、関連する特徴のセットに対応する。一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーは、類似性コード化特徴タグである。一部の形態では、セット内の特徴タグの相対的ハイブリダイゼーション性(relative hybridizability)は、セット内の特徴タグが対応する特徴の類似性に関連し、より類似性の高い特徴に対応するセット内の特徴タグは、より類似性の低い特徴に対応するセット内の特徴タグよりも、より緊密な相対的ハイブリダイゼーション性を有する。
【0025】
一部の形態では、特徴タグのセットの類似性コード化特徴タグは、特徴タグが対応する特徴を特徴の類似性に基づいてn次元超立方体にマッピングすることによって類似性コード化され、ここで、nは、特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、nは、特徴タグが対応する特徴の数の因数である。
【0026】
一部の形態では、特徴タグが対応する特徴をマッピングする前に、特徴タグが対応する特徴の次元数が削減され、次元数を削減された特徴は、次元数を削減された特徴の類似性に基づいて超立方体にマッピングされる。
【0027】
一部の形態では、特徴タグのセットの類似性コード化特徴タグは、(a)特徴タグが対応する特徴の次元数が削減され、(b)次元数を削減された特徴の類似性に基づいて、次元数を削減された特徴をn次元超立方体にマッピングすることによって類似性コード化され、ここで、nは、特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、nは、特徴タグが対応する特徴の数の因数である。
【0028】
一部の形態では、マッピングされた特徴のうちの任意の2つがマッピングされるノード間の超立方体のエッジの数は、2つの特徴の類似性に比例する。一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーはハイブリダイゼーションを規定されており、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーは同じ数のヌクレオチドを有する。
【0029】
一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つにおいて、(a)特徴タグのセットのメンバーは同じ数のヌクレオチドを有し、(b)セット内の特徴タグはそれぞれ、セット内の1つまたは2つの他の特徴タグと1~x個のミスマッチヌクレオチドだけ異なり、ここで、ミスマッチヌクレオチドは、(i)特徴タグのいずれかの端から少なくとも2ヌクレオチドであり、(ii)特徴タグ中の少なくとも1つのマッチするヌクレオチドによって分離されており、ここで、xは、セット内で変化する特徴タグ中の異なるヌクレオチド位置の数である。
【0030】
一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つの1つまたは複数のセットについて独立して、セット内の各特徴タグは、セット内のすべての他の特徴タグと1~wヌクレオチドだけミスマッチしており、ここで、wは、2~(y-4)÷2の整数であり、yは、セット内の特徴タグのヌクレオチドの数であり、式(y-4)÷2は切り上げられる。
【0031】
一部の形態では、配列制御保存対象物は、複数の異なるディジットタグをさらに含み、ディジットタグは保存対象物の表面に存在し、ディジットタグは数をコードしている。
【0032】
一部の形態では、配列制御保存対象物は、複数の異なるディジットタグをさらに含み、ディジットタグは、保存対象物の表面に存在し、複数の異なるディジットタグのそれぞれは、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数は、複数ディジットの数の位の数に等しい。一部の形態では、複数の異なるディジットタグのそれぞれは、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、ディジットタグの各セットは、複数ディジットの数の異なる位に対応する。一部の形態では、ディジットタグの各セットは、ディジットタグのセットが対応する複数ディジットの数の位の可能なディジット値の各々に対応するディジットタグを有する。一部の形態では、異なるディジットタグのそれぞれは、ディジットタグのセットのすべてにおいて他の異なるディジットタグのすべてとハイブリダイズ可能に区別でき、異なるディジットタグのそれぞれは、異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる。
【0033】
一部の形態では、配列制御保存対象物は、(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および(b)複数の異なるディジットタグを含む。一部の形態では、ディジットタグは、保存対象物の表面に存在する。一部の形態では、複数の異なるディジットタグのそれぞれは、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数は、複数ディジットの数の位の数に等しい。一部の形態では、複数の異なるディジットタグのそれぞれは、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、ディジットタグの各セットは、複数ディジットの数の異なる位に対応する。一部の形態では、ディジットタグの各セットは、ディジットタグのセットが対応する複数ディジットの数の位の可能なディジット値の各々に対応するディジットタグを有する。一部の形態では、異なるディジットタグのそれぞれは、ディジットタグのセットのすべてにおいて他の異なるディジットタグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる。
【0034】
一部の形態では、複数ディジットの数は、異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する特徴に対応する。一部の形態では、異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する特徴は、関連する特徴のセットのメンバーであり、関連する特徴のセットのメンバーのそれぞれは、異なる数値を有するか、またはそれに関連付けることができ、異なる数値は、関連する特徴のセット内の他の特徴に対する所与の特徴のレベルまたは強度に対応し、複数ディジットの数は、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴の数値の所与のディジット数に等しいか、それに比例するか、またはそれと同じである。
【0035】
一部の形態では、関連する特徴のセットのメンバーが有するかまたは関連し得る数値の差は、関連する特徴のセットにおける特徴の類似性に比例する。一部の形態では、複数ディジットの数は、複数ディジットの数が対応する異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴に任意に割り当てられる。一部の形態では、複数ディジットの数は、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴の数値の、その数値の最上位のディジットから始まる所与のディジット数と同じである。
【0036】
一部の形態では、ディジットタグの各セットは、複数ディジットの数が表現される数学的基数(mathematical base)と同じ数のメンバーを有する。一部の形態では、配列制御保存対象物は、1つまたは複数の封入剤をさらに含み、封入剤は、配列制御ポリマーをコーティングまたは封入し、封入試薬は、化学的または機械的処理によって可逆的に除去することができる。
【0037】
一部の形態では、特徴タグは、封入剤のうちの1つまたは複数に含まれる。一部の形態では、1つまたは複数の封入剤は、天然ポリマーおよび合成ポリマー、またはこれらの組合せから選択される。一部の形態では、1つまたは複数の封入剤は、タンパク質、多糖類、脂質、核酸、無機配位ポリマー、金属-有機フレームワーク、共有結合有機フレームワーク、無機配位ケージ、共有結合有機配位ケージ、エラストマー、熱可塑性プラスチック(thermoplast)、合成繊維、またはそれらの任意の誘導体から選択される。
【0038】
一部の形態では、配列制御ポリマーの少なくとも1つは一本鎖核酸であり、核酸は、構造の各エッジにまたがる逆平行または平行クロスオーバーのいずれかによって接合される2つの核酸ヘリックスを含む三次元多面体ナノ構造にフォールディングされ、三次元多面体構造は、ビットストリームデータを含む一本鎖核酸にハイブリダイズされた一本鎖核酸ステープル配列から形成され、ビットストリームデータを含む一本鎖核酸は、多面体構造の頂点および線によって規定されるネットワークのオイラーサイクルを通ってルーティングされ、ナノ構造は、二本鎖クロスオーバーまたは一本鎖クロスオーバーを含む少なくとも1つのエッジを含み、二本鎖クロスオーバーの位置が、多面体構造のスパニングツリーによって決定され、ステープル配列が、ビットストリームデータを含む一本鎖核酸の頂点、エッジおよび二本鎖クロスオーバーにハイブリダイズして、ナノ構造の形状を規定し、ステープル配列のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む。
【0039】
一部の形態では、ステープル鎖は、14~1,000個(両端の値を含む)のヌクレオチドを含む。一部の形態では、一本鎖核酸は、およそ100~1,000,000(両端の値を含む)ヌクレオチドを含む。一部の形態では、1つまたは複数のステープル鎖は、5’末端、3’末端、または5’末端と3’末端の両方に、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む。一部の形態では、1つまたは複数の特徴タグ配列は、1つまたは複数のオーバーハングオリゴヌクレオチド配列を含む。一部の形態では、1つまたは複数の特徴タグ配列は、異なる配列制御保存対象物に付着した1つまたは複数の特徴タグ配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む。一部の形態では、配列制御保存対象物は、それに結合した1つまたは複数の追加の配列制御保存対象物をさらに含む。
【0040】
また、所望の配列制御ポリマーを配列制御保存対象物として保存する方法であって、
(a)
(i)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(ii)複数の異なる特徴タグ、および
(iii)必要に応じて、1つまたは複数の封入剤
から配列制御保存対象物をアセンブルするステップであって、
特徴タグが、配列制御保存対象物の表面に存在し、
各異なる特徴タグが、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応し、
各異なる特徴タグが対応する単一の特徴が、配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数の異なるものに起因する特徴であり、
複数の異なる特徴タグが、複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応し、
異なる特徴タグのそれぞれが、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、ステップと、
(b)配列制御保存対象物を保存するステップと
を含む方法も開示されている。
【0041】
一部の形態では、本方法は、
(c)所望の配列制御ポリマーを回収するステップをさらに含む。一部の形態では、ステップ(c)において所望の配列制御ポリマーを回収するステップは、配列制御保存対象物のプールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を単離することを含む。一部の形態では、選択は、配列制御保存対象物上の1つまたは複数の特徴タグの配列、配列制御保存対象物の形状、配列制御保存対象物に結合した官能基への親和性、またはこれらの組合せによって決定される。
【0042】
一部の形態では、本方法は、1つまたは複数の異なる特徴タグを付加することによって、単離された配列制御保存対象物を修飾するステップをさらに含む。一部の形態では、1つまたは複数の異なる特徴タグの付加は、異なる特徴タグを含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドで、配列制御保存対象物をリフォールディング、または再組織化することを含む。一部の形態では、1つまたは複数の配列制御保存対象物は、ブール論理を使用して配列制御保存対象物のプールから単離される。一部の形態では、ブールNOT論理を使用して、対象物プールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を削除する。
【0043】
一部の形態では、本方法は、
(d)所望の配列制御ポリマーにアクセスするステップをさらに含む。一部の形態では、ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップは、配列制御保存対象物を脱水すること、凍結乾燥すること、または凍結することのうちの1つまたは複数をさらに含む。一部の形態では、ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップは、処理のために配列制御保存対象物を再湿潤化させる(rehydrate)ことまたは解凍することのうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0044】
一部の形態では、配列制御保存対象物を保存するステップは、セルロース、紙、マイクロフルイディクス、バルク3D溶液、電気力を使用する表面上、磁力を使用する表面上、無機塩または有機塩に封入されたもの、およびこれらの組合せから選択されるマトリックス中の保存を含む。一部の形態では、ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップは、配列制御保存対象物を含有する液滴をデジタル的に処理することをさらに含む。
【0045】
また、配列制御保存対象物のアセンブリーを自動化する方法であって、フローを有するデバイスを使用することを含み、デバイスが、
(a)配列制御保存対象物の構成成分をフローに加えるための手段、
(b)構成成分を混合するための手段であって、
混合するための手段が、フローに加えるための手段に作動可能に接続されている、手段、
(c)構成成分をアニーリングして、アセンブルされた配列制御保存対象物を形成するための手段であって、
アニーリングするための手段が、混合するための手段に作動可能に接続されている、手段、および
(d)アセンブルされた配列制御保存対象物を精製するための手段であって、
精製するための手段が、アニーリングするための手段に作動可能に接続されている、手段
を含む、方法も開示されている。
【0046】
一部の形態では、本方法は、
(e)配列制御対象物を保存する封入剤を導入するための手段、
(f)配列制御ポリマーに起因する複数の特徴タグを導入するための手段、
(g)対象物プールから封入された配列制御対象物を選択するための手段であって、選択手段がブール論理を使用して実行可能である、手段、および
(h)配列制御保存対象物を回収するために封入剤を除去するための手段
をさらに含む。
【0047】
一部の形態では、保存ブロックは、1つまたは複数の封入剤内に1つまたは複数の配列制御ポリマーを封入することによって形成される。例示的な封入剤には、タンパク質、脂質、糖類、多糖類、核酸、およびそれらの任意の誘導体、ならびにポリスチレン、またはシリカ、ガラス、および常磁性材料を含むヒドロゲルおよび合成ポリマーが含まれる。これらの封入されたバイオポリマーは、ブロックの制御された分離を可能にする離散的保存単位を形成する。一部の実施形態では、保存ブロックは、核酸ナノ構造などの特定のナノ構造形態にフォールディングされた配列制御バイオポリマーを含む。一部の形態では、保存ブロックは、2種以上の配列制御バイオポリマー内に1つまたは複数の離散的単位を含む。例えば、一部の形態では、核酸配列は、1つもしくは複数のポリペプチドまたは他の配列制御バイオポリマーを含むか、またはそれと関連する核酸ナノ構造内にフォールディングされている。一部の形態では、保存ブロックは、1つもしくは複数のポリペプチドまたは他の配列制御バイオポリマーとともに封入された核酸配列を含む。
【0048】
一部の形態では、保存対象物は、核酸ナノ構造内にフォールディングされた核酸「足場」配列を含み得る。核酸足場配列は、任意の長さ、例えば、100~1,000,000ヌクレオチドであり得る。典型的には、核酸足場配列は、300~500,000ヌクレオチド長、例えば、約300ヌクレオチド~約51,000ヌクレオチド長(両端の値を含む)である。一部の形態では、本方法は、およそ14~1,000ヌクレオチド長、例えば、およそ14~600ヌクレオチド長の短い一本鎖オリゴヌクレオチドステープル鎖の配列を提供し、これにより、一本鎖核酸足場配列が、ユーザー定義の任意の幾何学を有する核酸ナノ構造(例えば、多面体またはDNAブリック)内にフォールディングされる。典型的には、核酸ナノ構造のアセンブリーには、足場型核酸オリガミまたは非足場型核酸オリガミのいずれかで実施されるように、足場のルーティング、ステープル鎖の選択、幾何学および足場配列の入力、オリゴヌクレオチド合成、およびフォールディング(「ナノ構造化」)が含まれる。ステープル鎖は、ナノ構造形成の一部として、ステープルの5’末端がそれ自体または別のステープルの3’末端と合致するニックを有する。これらのニックは、次に、任意の配列の一本鎖オーバーハング核酸配列(「タグ」)を有し得る。
【0049】
本方法はまた、保存のための核酸封入も提供し、核酸は天然、または合成物質の層内に封入される。任意の形態の核酸を封入することができ、例えば、直鎖状、一本鎖、塩基対二本鎖、または足場型核酸が挙げられる。例示的な封入剤には、タンパク質、脂質、糖類、多糖類、核酸、およびそれらの任意の誘導体、ならびにポリスチレン、またはシリカ、ガラス、および常磁性材料を含むヒドロゲルおよび合成ポリマーが含まれる。これらの封入された核酸は、ブロックの制御された分離を可能にする離散的保存単位を形成する。
【0050】
したがって、配列制御ポリマー保存対象物(「SSO」)を作出する方法が提供される。一部の形態では、保存対象物は、核酸ナノ構造または核酸保存対象物(「NSO」)を表す核酸封入単位である。SSO保存「ブロック」は可変サイズであり得、緩衝液の変化、酵素、核酸「キー」、温度、電気信号または光を含む外在的な合図に基づいて再構成可能であり、物理的な識別および回収または選択のために同一性タグを提示する。本方法は、SSOを、分離および結合的保存適用のためにSSOを空間的に関連付けるより大きな超保存ブロックに一緒にアセンブルすることを含む。この方法はまた、SSOの捕捉、迅速な精製、および計算に使用できるタグを有するようにステープル鎖を機能化することも含む。この方法は、配列制御ポリマーを、超分子保存ブロックを形成するために使用できる、任意の形状とサイズを有する物理的、構造化単位として提供する。保存ブロックをナノ構造化、または封入することで、入力信号に基づく対象物の空間的分離を自然に拡張することができ、関連する配列制御ポリマーを超ブロック保存に関連付けることができる。アドレス空間は使用するタグの数で乗算されるため、4(k*n)(nはタグ当たりのアドレスのヌクレオチド数であり、kはタグの数である)となる。
【0051】
配列制御ポリマーの選択およびアクセスは、一本鎖オーバーハングタグの特異的かつ直交する相互作用によって媒介されるSSOの捕捉によって達成することができる。当技術分野で公知のプライマーライブラリーで利用可能なオーバーハングタグを含めることができる(Xu, et al., PNAS., V.106, (7) pp. 2289-2294 (2009))。
【0052】
機能化されたステープル鎖からのタグは、新しいアドレス指定システムで修飾することができ、配列制御ポリマーは、新しいタグ付きステープルのセット、および/またはオーバーハング配列で再度フォールディングされ得る。これにより、すべての配列制御ポリマー配列を再合成する必要のない動的アドレス指定システムが可能になる。シリカまたは常磁性または配列制御ポリマーベースのナノ粒子に封入された配列制御ポリマーも同様に再使用することができ、特定のオーバーハング配列の数および化学量論比を指定する標準的な化学反応によって共有結合または非共有結合で結合されたタグを表示する。配列制御ポリマー、あるいは離散的SSOのプールからの配列制御ポリマーのサブセットにアクセスするための方法も提供される。一部の形態では、配列制御ポリマーへのアクセスは、ブール論理による選択を可能にするために行われる。例えば、ブールNOT論理を使用して、配列制御ポリマープールから配列制御ポリマーを削除することができる。一部の形態では、削除された配列制御ポリマーは、例えば、新しい構造およびアドレスのセットで置き換えられる。他の形態では、削除された配列制御ポリマーは将来の計算/選択から省かれる。
【0053】
一部の形態では、本方法は、必要に応じて、SSOの長期保存も含む。例えば、本方法は、最大1年間、最大10年間、最大20年間、30年間、または30年を超えて、足場型核酸、または封入核酸の保存を含み得る。典型的には、本方法は、SSOの安定性および長期保存に有害なステップもプロセスも含まない。例えば、選択された出力のみがPCRまたはシーケンシングによって処理される。データの価値を下げる可能性のある新たな緩衝液および生物学的物質の添加は必要ない。ある形態では、DNAはその寿命を最大化するために乾燥状態で保存される。DNAが乾燥状態で保存される場合、乾燥したSSOを分離し、秩序立てて保存し、再湿潤化するために使用することができる適切な機構およびシステム、例えば、凍結乾燥および/またはNSOの凍結を使用することができる。一部の形態では、紙ベースの保存が使用される。紙ベースの保存は、多数の核酸保存溶液の分離、または保存の回収のために必要な場合のみ選択およびシーケンシングのために湿潤化され得る区画を提供する。さらなる形態では、システムは、例えば、電磁気的に作動する表面上または溶液中の、液滴ベースのデジタルマイクロフルイディクスを含む。液滴ベースのデジタルマイクロフルイディクスは、選択および回収ステップに必要な湿式生化学を実施する実用的な手段を提供する。したがって、一部の形態では、本方法は、選択および回収ステップを実施するための液滴ベースのデジタルマイクロフルイディクスの使用を含む。
【0054】
一部の形態では、保存対象物は、所望の多角形または多面体形状を有する足場型核酸ナノ構造である。したがって、一部の形態では、本方法は、核酸配列を提供するステップと、配列を含有する核酸ナノ構造、または核酸封入単位を作出するステップと、配列を含有する核酸ナノ構造、または核酸封入単位を保存するステップとを含む。
【0055】
一部の形態では、本方法は、核酸ナノ構造、または核酸封入単位のように、保存対象物内に配列制御ポリマーを組織化するステップも必要に応じて含む。一部の形態では、本方法は、配列にアクセスすることも必要に応じて含む。さらなる形態では、本方法は、保存対象物から配列を回収することを含む。
【0056】
一部の形態では、核酸保存対象物は、構造全体の周りにフォールディングされている任意の長さの足場一本鎖核酸を含む。理論的には、構造全体の周囲にフォールディングされている核酸足場鎖のサイズに制限はないが、実用的には、一本鎖核酸足場は典型的には約100~1,000,000ヌクレオチドを含む。一部の形態では、ナノ構造はまた、1つまたは複数のオーバーハングオリゴヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のステープル鎖を含む。ステープル鎖は、足場鎖にアニーリングするようにカスタム設計され、配列制御ポリマーを含有する任意の所望の三次元ナノ構造を形成する。一部の形態では、1つまたは複数のオーバーハングオリゴヌクレオチド配列は特徴タグである。例示的な特徴タグには、およそ4~少なくとも30ヌクレオチド長のバーコード配列が含まれる(Xu, et al., PNAS., V.106, (7) pp. 2289-2294 (2009))。一部の形態では、核酸ナノ構造は、規則的または不規則なワイヤーフレーム多面体の幾何学的形状を有する。典型的には、幾何学的形状は、核酸および酵素による内部保存ブロックへのアクセス性を提供する。したがって、ある形態では、構造の形状は、例えば、超分子保存構造全体の多孔性に起因する、保存ブロックの選択、または回収、または再構成を可能にする。したがって、ある特定の形態において、所望の標的構造は、例えば、酵素および/または核酸などの他の分子へのアクセスを提供するために、その全体に小分子の拡散を提供するものである。他の形態では、所望の標的構造は、酵素および/または核酸などの他の分子のアクセスを妨げる。一部の形態では、SSOは、特定のオーバーハング核酸配列、またはSSO中の別個の保存ブロック間のプログラム可能な相互作用を提供する他の高親和性および特異性タグを有するヒドロゲル、ポリマー、ガラス、シリカ、または常磁性ナノ粒子を含む。したがって、一部の形態では、構造自体の形状を、SSO間で異なるまたは類似の機能性を選択する手段として使用することができる。
【0057】
天然または合成物質内に封入された核酸または他の配列制御バイオポリマーを含む配列制御バイオポリマー保存対象物も提供される。一部の形態では、任意の形態の核酸または他のバイオポリマーを封入することができる。例えば、一部の形態では、直鎖状、一本鎖、塩基対二本鎖、または足場型核酸が封入される。例示的な封入剤としては、タンパク質、脂質、糖類、多糖類、核酸、合成ポリマー、ヒドロゲルポリマー、シリカ、常磁性物質、および金属、ならびに任意のそれらの誘導体が挙げられる。これらの封入核酸または他のバイオポリマーは、アドレス、および/または精製タグを付加するために使用される1つまたは複数のオーバーハング核酸配列と関連する。一部の形態では、封入およびオーバーハング核酸の多層は、配列制御ポリマーの性質をさらに選別およびタグ付けするために設計される。
【0058】
一部の形態では、保存対象物は、緩衝液または核酸オーバーハングまたは他の物理的会合を使用して制御される非特異的または特異的スタッキング相互作用のいずれかを介して、長いリボンまたは拡張した2Dもしくは3D結晶様アレイに末端間でスタッキングすることもできるコンパクトなレンガ様ユーザー規定構造の幾何学的形状を有する。一部の形態では、1つまたは複数のステープル鎖は、異なる核酸ナノ構造などの異なる保存対象物からの1つまたは複数のステープル鎖、または架橋オリゴヌクレオチドに対して相補的である「オーバーハング」オリゴヌクレオチド配列を含む。一部の形態では、1つまたは複数の保存対象物は、1つまたは複数のステープル鎖からの、または架橋ヌクレオチドへのヌクレオチド配列の相補性によって超構造へと組織化される。例えば、一部の形態では、核酸ナノ構造は、1つまたは複数のステープル鎖からの、または架橋ヌクレオチドへのヌクレオチド配列の相補性によって超構造へと組織化される。一部の形態では、核酸ナノ構造または封入核酸などの保存対象物は、上述の保存ブロック間のユーザー規定の関連付けに基づいて超構造へと組織化される。超構造化された配列制御ポリマーは次いで、pH、温度、塩、核酸、酵素、光などの外部シグナル、およびエレクトロウェッティングまたは従来の2相フローベースのマイクロフルイディクスを使用する液滴ベースのオンチップ操作であり得るマイクロ流体操作によって特異的に操作することができる。Cas9または制限酵素などの切断酵素を含む他のビーズまたは試薬と同様に、SSOの選択的なプールに混合および分割操作を適用することで、複雑かつ選択的な計算と、保存操作および回収との両方を実施する能力がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1A~1Cは、本明細書に記載の対象物の概略図であり、それぞれ、アドレス指定された保存対象物のプール内で生じ得る多様な異なる形態を示す。図1Aは、それぞれが同等の形態(閉じた立方体として示される)を有するが、それぞれ0.5kb~100kbのデータを含むナノ構造保存対象物の数桁にわたるサイズの多様性を示す。図1Bは、それぞれが、オープンワイヤーフレーム多面体およびコンパクトなレンガ様の幾何学を含む幾何学において多様性を有する、いくつかの保存対象物を示す概略図である。図1Cは、複数の保存ブロックを、外因性の合図に応答して安定するか、または再構成されるか、またはアクセスすることができるより大規模なアセンブリーに特異的に関連付けるいくつかの手段のうちの1つとして、あらかじめ規定された幾何学的位置で外側に提示される一本鎖核酸オーバーハングの数および配向に多様性を有するいくつかの保存対象物を示す概略図である。
図2図2は、バイオポリマー保存対象物のプール間の結合的ナノ構造化データフレームワークを示す概略図である。立方体として示される一般化された保存対象物(A~D)は、分離した個々の構造として維持され得るか、または最初のシグナル事象によってそれぞれAB、ACおよびDのより大きな超構造にアセンブルされ得る。立方形構造は、第2のシグナル伝達事象によって、ABCの異なって組織化されたより大きな超構造に再度アセンブルされ、再仕分けすることができ、第3のシグナル伝達事象によって、再選別されて、それぞれ内部ブロックを露出させるために幾何学を変更させ得、これは、フルイディクスまたはSSOのサブプールの固体状態操作によって媒介されるマイクロ流体またはその他の混合によって、外因的/外的に作動させることもできる。
図3A-C】図3A~3Dは、それぞれが核酸保存対象物のプールをアセンブルするための方法のステップを示す模式図である。核酸オリガミ対象物の足場鎖は、例えば、TDTポリメラーゼ、固体状態のDNA合成、細菌合成、PCRベースの酵素合成、または別のアプローチを使用する鋳型を用いないDNA合成を使用して合成されてもよく、ステープル鎖上のメタデータタグオーバーハング配列で多重にアドレス指定され(図3A)、足場の両端に2つの特徴タグ()を含む足場鎖と、フォールディングデータに複数のアドレス(AおよびB)をコードするためにオーバーハングタグが使用されるステープル鎖が合成され(図3B)、一本鎖核酸保存足場がステープルオリゴヌクレオチドと組み合わされてDNAオリガミ対象物へとフォールディングされ(図3C)、フォールディングされ、多重にアドレス指定されたDNAオリガミ対象物が保存プールに追加される(図3D)。
図3D】同上。
図4A-D】図4A~4Dは、任意の形態の配列制御バイオポリマーを、配列制御ポリマーを保存するための離散的SSOに封入した状態を示す略図である。図4Aは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNA、PNA、LNA、または他の核酸もしくはペプチド、または他の配列制御ポリマー(2)を、ポリマーの配列に公知の/特徴付けられたエラーがあるもの、または高忠実度配列のいずれかで示す。核酸などの配列制御ポリマーは、ゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ(例えば、M13、アデノ随伴ウイルスなど)、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、金属、常磁性材料、または多様なポリマーおよびポリマーの種類(図4B)、もしくは2つ以上の核酸対象物(2、および3)(図4C)を使用して多重化ポリマー保存のために1つの核酸を封じ込めるかもしくは含むように設計されたポリマー(6)に「パッケージングされている」か、「封入されている」か、「包まれている」か、または「収容されている」(4)。これらのパッケージングされた核酸(10)は、一本鎖タグ配列などの分子識別子、またはブール論理を使用して特定の配列制御ポリマーの選択および/または回収を可能にする任意の精製タグ(8)を有する(図4D)。図4Eは、配列制御ポリマー(14)の多重化付着および封入、ならびに下流の分子論理演算および配列制御ポリマー選択のための分子コア(12)の修飾のワークフローを示す略図である。複数の配列制御ポリマーが分子コアによって付着しているかまたは吸着されている。次に、分子コアは、多重化された計算および選択のために、アドレス指定/特異性タグ(16)により機能化される。
図4E】同上。
図5A-B】図5A~5Eは、核酸保存対象物(NSO)を超構造化して、保存ブロックを空間的に分離し、関連付ける方法の略図である。ブロックは、タグ配列の直接的な相補性(図5A)、または2つのタグに対して相補的な「架橋」DNAオリゴヌクレオチド(図5B)、またはキッシングループ(図5C)、または塩基対末端スタッキングを含む他の二次構造相互作用(図5D)によって、結合的保存ブロック超構造に会合させることができる。次に、結合的保存ブロック超構造は、さらなる選択、個々のNSOの解離、または配列制御ポリマーの異なる超構造への再仕分けに使用することができる(図5E)。
図5C-E】同上。
図6図6は、指定されたブロックのタグに対して相補的な一本鎖DNA配列を使用して特定のNSOを回収するために使用される方法の一般的な概要を提供する略図である。NSOの精製および選択の例示的な方法は、NSO上のタグに対する固定相相補鎖に基づき:単一のNSOは、a(a’)に対して相補的な配列を有する捕捉支持体を使用して捕捉したNSOのプールから捕捉され、次いで、オーバーハング配列aを有する捕捉されたNSOは、支持体から放出される。四面体は、封入核酸を含む任意のNSOの代表である。
図7A-B】図7A~7Dは、配列とオーバーハングの幾何学的配置の両方に基づくNSOの選択を示す略図である。図7Aおよび7Bは、特定のエッジにタグaおよびタグbを表示して四面体のNSOを示し、図7Cは、捕捉支持体上の相補的な幾何学的DNAナノ構造を示し、適切な幾何学的位置にタグaおよびタグbを有するNSOを捕捉する位置にa’およびb’を表示し、図7Dは、特定のエッジに相補的なタグaおよびタグbを表示したNSOが、より大きなDNAナノ構造によって選択されることを示す。このように、NSOはオーバーハングタグの配列だけでなく、NSOの幾何学にも基づいて特異的に選択される。四面体は、封入された核酸または他の生物学的ポリマーまたは合成ポリマーを含む、任意の保存対象物の代表である。
図7C-D】同上。
図8図8は、NSOプールに関するAND論理演算の計算に使用される方法のワークフローを示す略図である。様々にアドレス指定されたNSOのプールが示されており、a(a’)に対して相補的なタグを有する支持体(●)を使用して、オーバーハング配列aを有するNSOを捕捉し、その結果、2つの異なる構成の特徴タグ(それぞれa、bおよびa、c)を有するNSOのプールが得られ、次いで、オーバーハング配列aを有する捕捉されたNSOが支持体から放出され、b(b’)に対して相補的なタグを有する支持体を使用して、支持体から放出されたオーバーハング配列bをさらに有するNSOを捕捉し、次いで、オーバーハング配列bを有する捕捉されたNSOが支持体から放出される。全体として、2ステップの捕捉精製により、オーバーハング配列aおよびbを有するNSOが得られる。四面体は、封入された核酸または他の生物学的ポリマーまたは合成ポリマーを含む、任意の保存対象物の代表である。
図9図9は、NSOプールに関するOR論理演算の計算に使用される方法のワークフローを示す略図である。様々にアドレス指定されたNSOのプールが示されており、配列aのオーバーハングまたは配列eのオーバーハングを含有するNSOは、a(a’)およびe(e’)に対して相補的な配列を有する捕捉支持体(●)を使用して捕捉され、どちらも含有しないNSOは捕捉支持体から洗い流され、次いで、配列aのオーバーハングまたは配列eのオーバーハングを有する捕捉されたNSOが、支持体から放出される。四面体は、封入された核酸または他の生物学的ポリマーまたは合成ポリマーを含む、任意の保存対象物の代表である。
図10図10は、NSOプールに関するNOT論理演算の計算に使用される方法のワークフローを示す略図である。様々にアドレス指定されたNSOのプールが示されており、aのオーバーハングタグ配列を有するNSOは、a(a’)に対して相補的な捕捉配列を使用して捕捉支持体(●)に捕捉され、よって、この捕捉支持体由来の未結合の対象物はすべて、aのオーバーハングを含有しない対象物であり、したがってaではない。四面体は、封入された核酸または他の生物学的ポリマーまたは合成ポリマーを含む、任意の保存対象物の代表である。
図11図11は、選択されたNSOを読み出すために使用される方法のワークフローを示す略図である。所望のNSOが最初に選択され、NSOは変性され、放出された一本鎖核酸足場は、DNA配列に隣接するマスタープライマー配列によって増幅され、足場鎖はシーケンシングされる。あるいは、質量、電荷、長さ、または他の物理化学的特性に基づいて、配列制御ポリマーを解読するために、直接ポリマーベースのシーケンシングを必要としない質量分析または他の分析手順を使用してもよい。四面体は、封入された核酸または他の生物学的ポリマーまたは合成ポリマーを含む、任意の保存対象物の代表である。
図12図12は、NSOの自動アセンブリーと精製を可能にする例示的なマイクロ流体デバイス内で実行されるワークフローを示す略図である。足場およびステープルは、混合チャンバー(「ミキサー」)への入力として提供され、続いてアニーリングチャンバー(アニーリング装置(annealer))、NSOをステープルから精製するための透析チャンバーまたはフィルターチャンバー(交換器)が続く。配列制御ポリマー、または他の材料が粒子形態の保存封入に使用される場合、他の上流の分取デバイスがインターフェイスで接続され、例えばアニーリングの必要性を回避することができる。
図13図13は、複雑な論理ゲーティングのためにデバイスを「デイジーチェーン」する能力を含め、ナノ構造NSOの迅速な精製を可能にする例示的なマイクロ流体デバイス内で実行されるワークフローを示す略図である。捕捉チャンバーの複数のアウトポート(out-port)により、マイクロ流体レベルでのAND/OR/NOT論理の実行が可能になる。NSOの保存プール;タグのオーバーハングに基づいて標的NSOを選択するための例示的なシグナル入力;入力シグナル(複数可)に基づいて選択するための捕捉、洗浄、および溶出のための例示的な捕捉チャンバー;選択を実行するための無制限の数のシグナル入力および捕捉チャンバー;タグのオーバーハングに基づいて標的NSOを選択するためのさらなる例示的なシグナル入力;入力シグナル(複数可)に基づいて選択するための捕捉、洗浄、および溶出のためのさらなる例示的な捕捉チャンバー;足場配列が増幅、シーケンシングおよび解読される最終出力。Mondrianなどのエレクトロウェッティングに基づく液滴操作デバイスは、これらの制御された混合および分割操作を、完全に自動化もされている迅速かつ制御された方法で実施するために使用することができる。
図14図14は、配列制御ポリマーを再利用可能な「保存ブロック」または計算分子要素として作出、保存および組織化するための例示的なシステムのエレメントを示す概略図である。正方形の構造化核酸保存ブロックとして、立方八面体などの構造化保存ブロックを示す。保存ブロックは、配列制御ポリマーを収容するために必要な小さなものから大きなものまで、多くのサイズのものであってもよい。各ブロックは、複数の異なるファイルハンドル、またはインデックス(a~dとして示される)を有することができ、選択および演算のために配列制御ポリマーの複数のアドレス指定を可能にする。オーバーハング配列などの特定の修飾は、複数のブロックをまとめて大きなスーパーブロックの保存に関連付けるために使用することができ、関連付けられた、または分類された配列制御ポリマーを用いて、迅速な回収、再仕分けおよび計算を行うことができる。また、修飾されたオーバーハングにより、ブール論理のAND、OR、およびNOT演算を保存ブロックに対して使用することができ、例えば、保存ブロックのプールから1つまたは複数の保存ブロックを精製するために選択することができる。
図15A図15Aおよび15Bはフローチャートである。図15Aは、DNAの保存ブロックの形態で配列制御ポリマーを長期保存するための1つのシステム内のワークフローを示す。配列制御ポリマーを分離し、後で回収するために、任意の数の核酸保存対象物(例えば、数百万のうちの1~十数)をブロッティングし、長期保存物質(「紙」)に凍結乾燥する。乾燥した保存ブロックは、ブロットに水または緩衝液を加えることにより、選択的に再湿潤化される。このプロセスは、正しい空間的に分離された保存プールを選択的に引き出すために自動化することができ、湿潤化された保存ブロックは、記載されたように処理され、例えば、手持ち式デバイスまたはベンチトップシーケンサーによってシーケンシングされる。図15Bは、分子データの保存および計算に対する一般的なアプローチを説明するフローチャートである。コンピュータからの任意のデジタルファイルおよびフォルダ。デジタルファイルはコード化される、および/または分子保存コードに変換される(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、ポリマー、原子、表面)。このコードは、データの保存に使用される物理的な保存ブロックに書き込まれる。保存されたデータは、保存ブロックを識別するためのアドレスコードのセットと関連付けられる。アドレスは、物理的タグ、静電特性もしくは磁気特性、化学特性、または光学特性を含む、その後の読み取り、操作、選択、および計算に使用することができるように、保存ブロックに貼り付けられる。アドレスを有する保存ブロックは、保存および計算のために他の保存ブロックのプールに置かれる。プールは物理特性に基づいて分離され、選択基準を満たすいくつかの保存ブロックとそうでない保存ブロックがあり、そのように選別される。この選別基準と他の選別基準は、並列または直列に何度も繰り返され得る。選別された目的の保存ブロックはプールから精製される。選別された保存ブロックは読み出され、デジタルフォーマットに解読される。元のデジタルファイはがプールから回収される。
図15B】同上。
図16図16は、時間をわたっての読み取り可能なメッセージ集団の%を示す折れ線グラフである。NSOの分解は、光、熱、酵素、化学反応物、または空気の存在などの外部スイッチに曝された時点(▲)で開始され、DNA、RNA、または他の核酸の時限分解を活性化し、分解されたメッセージプールをもたらす。
図17A-D】図17A~17Dは、配列制御ポリマー保存ブロックのシリカ封入の略図である。図17Aはシリカ粒子(18)を示す。図17Bは、DNA粒子の吸着を可能にするように修飾されたシリカ粒子(20)を示す。図17Cは、表面修飾されたシリカ粒子に吸着された核酸保存ブロック(22)を示す。図17Dは、核酸保存ブロックが吸着したシリカ(26)上で成長した二次シリカシェル(24)を示す。このシェルは、核酸保存ブロックの環境保護を提供する。図17Eは、DXタイルの構造をモニタリングするためのリードアウトとしてCy3およびCy5エネルギー移動ペアを含有する例示的なDNAアセンブリー(ダブルクロスオーバーまたはDXタイル)の概略図である。図17Fは、封入プロセスの前のDXタイルの発光スペクトル(-)、および封入ステップ完了時のDXタイルの発光スペクトル(--)にそれぞれ対応する、波長(nm)に対する強度(cps)を示すグラフである。
図17E-F】同上。
図18図18A~18Fは、NSOの超構造化による結果の例を示している。図18Aは単一の(モノマーの)NSOを示す。図18B~Dは、それぞれ、頂点で(図18B)、エッジにそって(図18C)、または面で(図18D)、オーバーハングアドレス指定を使用して2つのNSOを合わせた例示的な「二量体」を示す。図18E~18Fはそれぞれ、相補性を介してエッジに沿って集まるようにアドレス指定された拡張四量体として(図18E)、異なるアドレスで、よりコンパクトな構成のアセンブリーを可能にする拡張四量体として(図18F)、より大きな超構造にまとまったNSOの「四面体」を示す。
図19A-C】図19A~19Cは、保存対象物の分子シェル化を示す略図である。図19Aは、多孔質コア(28)に複数の配列制御ポリマー(30)を負荷し、シェル化(32)し、シェル化された保存対象物(36)に特徴タグを付加することを示すスキームである。図19Bは、コア(38)からの保存対象物(44)のアセンブリーにおける第1段階を示すスキームであり、認識部位(40)が最初に結合し、次いで、コアに結合した認識部位に特異的な1つまたは複数のタグを含む配列制御ポリマー(42)が複合体化される。図19Cは、図19Bに示された保存対象物(50)のアセンブリーの最終ステップを示すスキームである。コア(44)および関連する配列制御ポリマーは、次いで、シェル(46)に封入され、これに特徴タグ(48)が結合する。
図20図20A~20Bは、多重化分子論理演算および配列制御ポリマー選択のための、複数の配列制御ポリマーおよび親和性タグによるシェルの修飾を含む、保存対象物の分子シェル化を示す略図である。(図20A)分子コア(52)に付着している配列制御ポリマー(54)は、分子シェル(56)によってさらに取り囲まれており、多重化計算(60)のためにアドレス指定/特異性タグ(58)で機能化されており、あるいは(図20B)分子コア(62)によって吸収された配列制御ポリマー(64)は、分子シェル(68)によってさらに取り囲まれており、多重化計算(70)のためにアドレス指定/特異性タグ(66)で機能化されている。シェルまたはコアは、シェル/コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する。
図21図21A~21Bは、配列制御ポリマーが分子コアまたはシェル内にある保存を示す略図である。図21Aは、分子コア上の配列制御ポリマーから形成された保存対象物を示しており、コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する。分子コアは、分子論理および配列制御ポリマーの回収操作のためのアドレス/特異性タグを含有する。図21Bは、分子コアを取り囲む分子シェル上の配列制御ポリマーから形成された保存対象物を示す。シェル/コアは、シェル/コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する。シェルは、分子論理および配列制御ポリマーの回収操作のためのアドレス指定/特異性タグで機能化されている。
図22図22は、核酸を例として使用する、生体分子の保存および回収用に提案されたワークフローの概略図である。生体分子は任意の起源の試料から抽出され、マイクロプレートに集められる。試料の封入およびバーコード化の際に、カプセルが一緒にプールされる。試料は、光学マーカーまたは化学的/生化学的親和性タグを含有するプローブを使用して選択される。タグは、プールから試料を光学的または機械的に選別するために使用される。プールの残りは、さらなる使用まで保管に戻される。
図23図23A~Bは、合成バーコード付きパケットを使用する生体分子の概念実証的な保存および回収を示すデータパネルの概略図である。B.taurus(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-05」、および「Bos taurus」標識を含有する)およびM.musculus(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-03」、および「Mus musculus」標識を含有する)ゲノムを含有するカプセルは、H.sapiensの総RNA(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-03」、および「Homo sapiens」標識を含む)およびSARS-CoV-2 RNAゲノム(「Riboviria」、「Orthornavirae」、「2020-12-20」、および「SARS-CoV-2」標識を含有する)を含有するプールからの回収の標的とされた。「Eukaryote」、「Animalia」、および「Homo sapiens」というクエリー文字列にマッチする分子プローブを使用するブール論理クエリーをプールに追加した(図23A)。各プローブに関連する異なる色を使用する蛍光ゲート選択により、目的の集団が特定される。「Eukaryote」および「Animalia」で陽性の集団を選択すると、B.taurus、M.musculus、およびH.sapiensが選択される。追加の「Homo sapiens」ゲートは、「Homo sapiens」に関して陰性である、またはブール論理表現ではNOT Homo sapiensの集団を選択するために使用することができる。したがって、最終的なブール論理検索クエリーは、「Eukaryote」AND「Animalia」AND(NOT「Homo sapiens」)となり、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を使用して検証されたB.taurusおよびM.musculusが選択される(図23B)。
図24図24A~Bは、試料表面のバーコードを開始剤として使用する概念実証反応を示す。図24Aは、ハイブリダイゼーションに基づく選択を示す概略図であり、「Homo sapiens」タグ(図では「z」と表示)を含有するカプセルは、トーホールド(toehold)配列「a」およびステム配列「b」も含む相補的なzタグとハイブリダイズされ、色素または化学的/生化学的タグであり得るマーカーで修飾された2つのヘアピン構造間のハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)を誘発する。図24Bは、HCR修飾カプセル、単一プローブ修飾カプセル、および直交バーコード+HCR対照カプセルのそれぞれについての、波長(nm)に対する強度(a.u.)のグラフであり、単一の色素を含有する相補鎖のみでハイブリダイズしたカプセルと比較して、HCR増幅カプセルで観察された蛍光の増強を示している。
図25図25A~Cは、エマルションリアクターを使用して生体分子を封入し、バーコード化するために使用することができる例示的なミリ流体デバイスの図面である。図25Aは、ミリ流体デバイスのCAD設計である。図25Bは、3Dプリントされたミリ流体デバイスを示す。図25Cは、図25Bの写真のデバイス内での液滴形成の詳細を示す概略図であり、2mMのCa2+と2%(w/w)の低粘度アルギネートが、界面活性剤含有オイルが流されているT字路に接続されたチャネルに流されている。
図26図26は、基礎となる生体分子のなんらかの数値特徴の範囲に対応する粒子のコレクションを回収するプロセスの概略図である。数値の各ディジットの位の各可能なディジット値は、別個の直交バーコードと関連付けられ、ディジットの位のサブセットで特定のディジット値を有する粒子を選択することにより、値の範囲の回収を可能にする。一例として、数値特徴は基数3で表すことができ、27の位で「1」、9の位で「0」に関連するバーコードを有する粒子を選択することにより、範囲[1000、1100]内の数値に対応するバーコードを有する粒子のコレクションを回収することができる。
図27図27は、類似性メトリックが、特徴類似性空間から低次元超立方体への正確な等尺性埋め込みを可能にするのに十分単純である特徴に関して、正確な類似性ベースの回収を可能にするバーコード配列設計プロセスの概略図である。等尺性埋め込みは、類似性ベースの回収を可能にする各粒子へのバーコードの割り当てに直接対応する。一例として、模式図は、配列中の異なる位置に4つの変異の選択を有する核酸配列CCCATCGTGTCATTA(配列番号1)と、4次元超立方体グラフに正確に等尺的に埋め込むことができる8つのノードを有する環状グラフで表される単純な類似性メトリックを示している。
図28図28は、任意の複雑な類似性メトリックを有する特徴に関しておよその類似性ベースの回収を可能にするバーコード配列設計プロセスの概略図である。特徴類似性空間は、標準的な次元削減を使用して簡略化され、少数の次元に縮小される。次いで、これらの次元はビニングによってさらに近似され、その後、ノードがバーコードのセットの変異バリアントを表す超立方体グラフに直接埋め込むことができる。概念実証の例として、ペアワイズ遺伝的類似性が計算された4187個のSARS-CoV2ゲノムに由来する複雑な類似性メトリックから始まるプロセスを概略図に示す。この類似性メトリックは、多次元尺度法(MDS)を使用して18次元に削減され、ここでは可視化の目的のみのために、プロットする前に次元数を2次元にさらに削減した。ビニング後、線形回帰により、元の類似性メトリックと54次元の超立方体埋め込みにおける最終距離の間に強い相関が示された。超立方体埋め込みは、元の特徴空間の各ノードに6つのバーコード配列を割り当て、それぞれ9つの変異部位を有することに直接対応する。例示的なバーコード配列には、GCCTTGTATGTGAATATCCGTGTCA(配列番号2)、およびGGAGAATGATTAGCACGGAGAGTGG(配列番号3)が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
発明の詳細な説明
封入化学は、個々の試料の識別および回収のための分子バーコードとしてのDNA塩基対合の精度と組み合わされ、DNA、RNA、ペプチド、およびタンパク質のための室温超高密度保存および回収システムを実現する。開示された技術は、ヒト患者、動物、および環境などのあらゆる供給源からの生体分子の保存および分類に広く適用可能である。
【0061】
一実装形態では、生体分子は直径1nm~100μmの範囲のカプセルの表面に表面吸着される。生体分子は粒子表面に共有結合または非共有結合により結合される。表面に吸着した分子の封入は、表面に吸着したモノマーでの無機モノマーと有機モノマーの縮合、重合、および架橋によって進行する。次いで、封入された生体分子の表面は、一本鎖DNAバーコードを使用して標識される。
【0062】
別の実装形態では、生体分子は多孔質粒子のチャネル内に封入される。
【0063】
別の実装形態では、生体分子および封入試薬は、自動液体取扱デバイスを使用して、吸着剤粒子を含有するマイクロプレートのウェルに導入される。
【0064】
別の実装形態では、電気または光子を使用して制御されるマイクロ流体チャンネルを使用して生体分子をエマルションに捕捉し、エマルション内に封入する。バーコードは封入後に付着させる。
【0065】
別の実装形態では、生体分子とバーコードとを組み合わせ、マイクロ流体アプローチを使用して水性溶媒と有機溶媒の多層から構成されるエマルションに収容する。有機または無機ポリマーを使用する恒久的な封入およびバーコード化は、1つのステップで進行する。
【0066】
別の実装形態では、分子バーコードは、バーコードの安定性を向上させるために、非標準ヌクレオチドまたは非リン酸骨格を含んでもよい。
【0067】
別の実装形態では、分子バーコードは化学合成または酵素を使用して付着させることができる。
【0068】
封入された試料の選択は、目的のバーコードに相補的なプローブのハイブリダイゼーションによって進行する。プローブは、ミリ流体またはマイクロ流体アプローチを使用する光学的または機械的選別のための光学的、化学的、および生化学的マーカーを含有し得る。
【0069】
別の実装形態では、化学的および生化学的反応がタグ上で実施され、選別スループットを増加させることができる。
【0070】
この保存および回収システムは、10年またはそれより長くにわたって生体分子の完全性を保護するために目的の生体分子を環境から隔離し、低温保管条件に対する必要性を排除する。ミクロンからナノスケールのカプセルをバーコード化することで、数百万の個々のチューブではなく、すべての試料を単一容器にプールすることが可能になり、したがって生体分子保存の設置面積がデスクトップの上に置くことができる寸法に縮小される。
【0071】
本明細書において、カプセルは、生体分子を含有する粒子として封入された分子と称され、回収のために分子バーコードで標識されている。本明細書における封入剤は、有機材料および無機材料から構成され得る。本明細書における分子バーコードは、240,000のプールに由来するオリゴヌクレオチドのショートプライマー鎖である[Xu, et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 106, 2289-2294, doi:10.1073/pnas.0812506106 (2009)]。バーコードはこのプールから取り出され、個々の粒子または関連する粒子のコレクションを回収できるように、配列修飾の有無にかかわらず使用される。バーコードの選択により、離散的カテゴリー、離散的数値特徴(例えば、試料採取日)の範囲、または連続的もしくは非離散的な特徴に関する類似性ベースの回収に対応する関連粒子のコレクションの回収が可能になる。封入およびバーコード化アプローチは、自動液体取扱装置またはミリ流体/マイクロ流体デバイスを使用して実施することができる。試料は、標的バーコードにハイブリダイズするプローブの添加により、回収用に選択される。選択された試料は、蛍光活性化選別、磁気選別、動電学的選別、および類似の選別アプローチを使用するがこれらに限定されない光学的および機械的選別法を使用して溶液から選別される。試料の選択および選別は、自動液体取扱装置またはミリ流体/マイクロ流体デバイスを使用して実施することもできる。
【0072】
関連粒子の異なるコレクションの選択を可能にするために、バーコードを粒子に割り当てることができる様々なスキームを以下に説明する。いくつかの離散的カテゴリーのうちの1つに属する粒子のコレクションの回収を可能にするために、1つの直交バーコード配列が各カテゴリーに関連付けられ、各カテゴリーにおける粒子のメンバーシップは、粒子の対応するバーコードの選択によって示される。離散化された数値特徴の範囲に属する粒子のコレクションの回収を可能にするために、1つの直交バーコード配列が、数値の各ディジットで可能な各ディジット値に関連付けられる。このアプローチでは、数値のディジットの一部のサブセットで特定のディジット値を選択することによって、この範囲を指定することができる限り、特徴の任意の数値範囲に対応する粒子のコレクションを回収することができる。数値範囲回収の例を図26に示す。
【0073】
連続的または非離散的な特徴に関して互いに類似している粒子のコレクションの回収を可能にするために、バーコード配列は、配列内の注意深く選択された少数の部位で変異する。変異したバリアントバーコード配列の限定されたセットは、超立方体グラフなどのグラフGで表されるが、これに限定されない。変異部位は、グラフGがバーコードとプローブとして使用されるバーコードに対する相補配列との間の結合親和性を忠実に表すように選択される。連続的特徴類似性空間もグラフHで表され、その後グラフGに等尺的に埋め込まれる。ある種の単純なグラフHについては、多項式時間アルゴリズムを使用して正確な等尺性埋め込みを見い出すことができる。任意の複雑なグラフHの場合、等尺性埋め込みは、Hによって表される対応するメトリック空間に対して次元削減を最初に実施することによって見い出すことができる。次元削減は、変換中に距離を保持しようとする任意の標準的な技法を使用して実施され得る。次いで、低次元空間を離散化して、Gへの等尺性埋め込みを近似することができる。Hが単純な場合と複雑な場合の両方で等尺性埋め込みを求める例を図27および28に示す。
【0074】
I.定義
「特徴タグ」は、配列制御ポリマーに起因する特徴に対応する、定義された配列のオリゴヌクレオチドである。ある特徴とある特徴タグとの対応とは、その特徴とその特徴タグとの1対1マッピングを指す。
【0075】
「配列制御ポリマーに起因する特徴」は、配列制御ポリマーが有するかまたは具現化する特徴を指す。
【0076】
「ハイブリダイズ可能に区別できる」は、ハイブリダイゼーションに対して直交することを意味する。
【0077】
「類似性コード化」とは、特徴タグの相対的ハイブリダイゼーション性が、特徴タグが対応する特徴の類似性に関連し、より類似性の高い特徴に対応する特徴タグが、より類似性の低い特徴に対応する特徴タグよりも、より緊密な相対的ハイブリダイゼーション性を有することを意味する。特徴タグの類似性コード化セットでは、セット内の特徴タグのハイブリダイゼーションエネルギーの差が、特徴タグが対応する特徴の類似性の単調増加関数であることが有用である。
【0078】
「相対的ハイブリダイゼーション性」とは、ある特徴タグに対するプローブの、異なる特徴タグに対する同じプローブのハイブリダイゼーションエネルギーと比べたハイブリダイゼーションエネルギーを意味する。
【0079】
「ハイブリダイゼーションを規定された」は、セット内の特徴タグのそれぞれが、セット内の他の特徴タグのすべてと、1~x個のミスマッチヌクレオチドだけ異なることを意味し、ここで、ミスマッチヌクレオチドは、(i)特徴タグのいずれかの端から少なくとも2ヌクレオチドであり、(ii)特徴タグ中の少なくとも1つのマッチするヌクレオチドによって分離されており、ここで、xは、セット内で変化する特徴タグ中の異なるヌクレオチド位置の数である。
【0080】
「数をコード化した」は、各異なるディジットタグが、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応していることを意味する。
【0081】
「ペイロード」という用語は、保存のための配列制御ポリマーを指す。例えば、核酸保存では、ペイロードは指定されたヌクレオチド配列である。「所望のポリマー」または「所望の核酸」という用語は、所与の保存対象物内の配列に含有されるペイロードを指定するために互換的に使用される。
【0082】
「配列」という用語は、保存される任意の天然または合成の配列制御ポリマー配列を指す。例えば、核酸を使用してデータを保存する場合、「配列」は、その核酸の核酸配列である。核酸は、直鎖状核酸配列、二次元核酸対象物、または三次元核酸対象物の形態であり得る。核酸は、合成された配列、または天然に存在する配列を含み得る。任意の配列制御ポリマーの配列は、ポリマーの配列によって表されるデータをコードすると考えることができる。例えば、天然に存在する核酸は、核酸の天然に存在する配列が核酸によってコードされるデータである配列制御ポリマーである。
【0083】
「ビット」という用語は、「2進数字」の短縮形である。一般的に「ビット」は、計算および遠距離通信における情報の基本的な容量を指す。「ビット」は慣例的に1または0(1またはゼロ)のみを表すが、すべての位置に4ヌクレオチドの可能性(ATGC)を含有する核酸では他のコードを使用することができ、連続した2-、3-、4-などのヌクレオチドを含む高次のコーデックは、ビット、文字、または単語を表すために代替的に使用することができる。
【0084】
「核酸分子」、「核酸配列」、「核酸断片」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、デオキシリボヌクレオチド(DNA)もしくはリボヌクレオチド(RNA)、またはロックド核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)を含むがこれらに限定されないその類似体もしくは修飾ヌクレオチドのいずれか、様々な長さを有し得るヌクレオチドのポリマー形態を含むことを意図しているが、これらに限定されない。オリゴヌクレオチドは、典型的には、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合は、チミン(T)の代わりにウラシル(U))の4つのヌクレオチド塩基の特定の配列から構成される。このように、「オリゴヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表現であり、あるいは、この用語は、ポリヌクレオチド分子それ自体に適用されてもよい。このアルファベット表記は、中央処理装置を有するコンピュータのデータベースに入力することができ、機能ゲノミクスおよび相同性検索などのバイオインフォマティクス適用に使用される。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の非標準ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体および/または修飾ヌクレオチドを必要に応じて含んでもよい。
【0085】
「ステープル鎖」または「ヘルパー鎖」という用語は、互換的に使用される。核酸ナノ構造対象物の文脈で使用される場合、「ステープル鎖」または「ヘルパー鎖」は、足場核酸をその三次元幾何学に保持するための接着剤として作用するオリゴヌクレオチドを指す。
【0086】
「足場型オリガミ」、「オリガミ」または「核酸ナノ構造」という用語は、互換的に使用される。これらは、ポリヌクレオチドの長い一本鎖(足場鎖)を約10nmから1ミクロン、またはそれより大きいオーダーで所望の形状にフォールディングする、1本または複数の短い一本鎖の核酸(ステープル鎖)(例えば、DNA)であり得る。あるいは、一本鎖の合成核酸は、例えば、平行クロスオーバーモチーフまたは並行クロスオーバーモチーフを使用して、ヘルパー鎖なしでオリガミ対象物にフォールディングし得る。あるいは、純粋なステープル鎖は、有限範囲の核酸保存ブロックを形成することができる。足場型オリガミまたはオリガミは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)もしくはリボヌクレオチド(RNA)、またはロックド核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)を含むがこれらに限定されないその類似体もしくは修飾ヌクレオチドで構成され得る。DNAから構成される足場またはオリガミは、例えば、足場型DNAオリガミまたはDNAオリガミなどと称することができる。本明細書の組成物、方法、およびシステムがDNA(例えば、DNAオリガミ)を用いて例示されている場合、他の核酸分子に置換され得ることが認識されるであろう。
【0087】
「核酸封入」および「核酸パッケージ」という用語は、互換的に使用される。これらは、任意の長さまたは幾何学の核酸を材料によって封入し、離散的単位を形成する方法を指す。封入材料は、任意の適切な天然または合成材料、例えば、タンパク質、脂質、糖類、多糖類、天然ポリマー、合成ポリマー、またはそれらの誘導体であり得る。したがって、封入単位は、ゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、ポリマーパッケージング、またはこれらの任意の組合せの形態である。
【0088】
「配列制御ポリマー」または「配列制御高分子」という用語は、ポリマーの「鎖」として、特定の非ランダムな方法で順次配置された2つまたはそれより多い別個のモノマー単位から構成される高分子を指す。すなわち、配列制御ポリマーは、ポリマー中のモノマー単位の順序が非ランダムであるか、特定されているか、または特異的に決定されたポリマーである。2つまたはそれより多い別個のモノマー単位の配置は、ポリマー鎖内の正確な分子「シグネチャー」または「コード」を構成する。配列制御ポリマーは、生物学的ポリマー(すなわち、バイオポリマー)であっても、合成ポリマーであってもよい。例示的な配列制御バイオポリマーには、核酸、ポリペプチドまたはタンパク質、直鎖状または分岐状の炭水化物鎖、または他の配列制御ポリマーが含まれる。例示的な配列制御ポリマーは、Lutz, et al., Science, 341, 1238149 (2013)に記載されている。
【0089】
「配列制御ポリマー対象物」という用語は、配列制御ポリマーと、1つまたは複数の特徴タグ、ディジットタグ、および/またはバーコードとを含む対象物を指す。
【0090】
用語「配列制御ポリマー保存対象物」、または「SSO」、または「保存ブロック」、または「保存対象物」は、互換的に使用される。これらは、配列制御ポリマーと1つもしくは複数の特徴タグまたはバーコードとを含む対象物を指す。ポリマーは離散的配列を含み、特徴タグは保存対象物の選択、組織化、および分離を可能にする。ある形態では、保存対象物は、配列制御ポリマーの連続ストレッチの形態で配列を含む。ある形態では、保存対象物は配列の非連続的セグメントを含む。一部の形態では、保存対象物は、二次元または三次元形状にフォールディングされた配列制御ポリマーを含む。例えば、配列制御ポリマーは、ナノ構造化核酸対象物などのSSO全体であるナノ構造形態にフォールディングされ得る。一部の形態では、配列制御ポリマーは1つまたは複数の追加材料と組み合わされてナノ粒子を形成する。SSOは、直鎖状配列分子、または二次元対象物、または三次元対象物などの任意の形態をとることができる。時には、保存対象物は、ステープル核酸配列の有無にかかわらず、足場ポリマー配列から、または1つもしくは複数の封入剤内に封入された、任意の長さ/形態の配列制御ポリマーから作製される。
【0091】
「核酸保存対象物」または「NSO」という用語は、配列として核酸を含むSSOを指すために互換的に使用される。NSOは、核酸配列の1つまたは複数のセグメントを含む。一部の形態では、NSOはそれ自体にフォールディングする一本鎖核酸の足場、またはプログラムされた幾何学的ブロックに自己アセンブルする複数の一本鎖核酸分子の形態で存在する。NSOは、直鎖状核酸配列、二次元核酸対象物または三次元核酸対象物などの任意の形態をとることができる。時には、核酸保存対象物は、ステープル核酸配列の有無にかかわらず足場核酸から、もしくは任意の長さ/形態の封入核酸から作製される核酸対象物、またはこれらの任意の組合せである。NSOは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)もしくはリボヌクレオチド(RNA)、またはロックド核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)を含むがこれらに限定されないその類似体もしくは修飾ヌクレオチドで構成され得る。DNAから構成されるNSOは、DNA保存対象物(「DMO」)などと称することができる。本明細書の組成物、方法、およびシステムがDNA(例えば、DMO)を用いて例示されている場合、他の核酸分子に置換され得ることが認識されるであろう。
【0092】
「スプリント鎖(splint strand)」と「架橋鎖(bridge strand)」という用語は、重複しない別個の位置にある2つまたはそれより多い核酸配列の鎖に相補的な核酸配列を指すために互換的に使用される。例えば、スプリント鎖上の第1の領域は第1のNSOのオーバーハングタグ上の領域と相補的であり、一方、同じスプリント鎖上の第2の領域は第2のNSOのオーバーハングタグの領域と相補的である。スプリント鎖の2つの領域は、第1のNSOの結合が第2のNSOの結合を立体的に妨げないように配置されている。したがって、スプリント鎖または架橋鎖は、2つのNSOを一定の所定の距離で近接させる役割を果たす。
【0093】
「特徴タグ」、「核酸オーバーハング」、「DNAオーバーハングタグ」、および「ステープルオーバーハングタグ」という用語は、機能化され得るSSOに関連付けられたヌクレオチドを指すために互換的に使用される。一部の事例では、オーバーハングタグは、関連するSSOのメタデータをコードする1つまたは複数の核酸配列を含有する。一部の形態では、ヌクレオチドはNSOのステープル鎖に付加される。一部の形態では、オーバーハングタグは、磁気ビーズ、表面、アガロースまたは他のポリマービーズなどの他の固定相対象物にハイブリダイズするように設計された配列を含有する。ある事例では、オーバーハングタグは、他のSSOのタグ上、またはスプリント鎖上などの他の核酸配列とハイブリダイズするように設計された配列を含有する。他の事例では、オーバーハングは分子へのコンジュゲーションのための1つまたは複数の部位を含有する。例えば、オーバーハングタグは、例えば、SSOの親和性結合を可能にするために、タンパク質、または非タンパク質分子にコンジュゲートされ得る。オーバーハングタグにコンジュゲートするための例示的なタンパク質としては、ビオチンおよび抗体、または抗体の抗原結合性断片が挙げられる。一部の形態では、オーバーハングタグは、例えば、ブール論理と計算の原理を使用しているので、どのようなインプリメンテーションであっても、2つの相互作用する保存対象物間のプログラム可能な親和性と特異性を可能にするために、SSO内で設計および実装される。
【0094】
「封入」、「包むこと(enveloping)」、「コーティング」、「覆うこと(covering)」、および「シェル化」という用語は、SSOが封入剤によって完全または部分的に囲まれるプロセスを指すために互換的に使用される。「封入剤」という用語は、ポリマーまたは他のマトリックスなどの分子実体を指す。
【0095】
II.配列ベースの保存のための方法およびシステム
核酸分子(例えば、DNA)などの配列制御ポリマーは、情報密度(例えばDNAの場合、最大1024ビット/kg)、長期安定性、および維持するための低いコストのエネルギーについて非常に高い潜在性を有する、優れた保存対象物および媒体を表す。
【0096】
ナノ構造に形成された配列制御ポリマーの保存のための方法が開発されている。配列制御ポリマーは、配列制御ポリマー保存対象物(SSO)として機能する、明確に画定された離散的構造にフォールディングされるか、またはその中に埋め込まれる。したがって、配列制御ポリマーの別個のパッケージは、1つまたは複数の特定の配列タグを含む複数の面を有する三次元構造として提供される。SSO構造を操作することにより、本方法により、各SSO内でのポリマー配列の分割、会合、および再仕分けが可能となる。情報回収は、配列制御ポリマーの配列、構造または他の物理的もしくは化学的特性を解釈することによって迅速に達成される。したがって、本方法は、SSO内に保存された配列制御ポリマーの迅速かつ効率的な組織化およびアクセスを可能にする。
【0097】
任意の長さ、または任意の形態の配列制御ポリマーの保存のための方法も開発されている。典型的には、任意の所望の長さの配列を有する配列制御ポリマーは、本明細書において「配列制御ポリマー保存ブロック」と呼ばれるゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、またはポリマーパッケージングにパッケージングされるか、封入されるか、包まれるか、または収容される。一部の形態では、合成ポリマーまたはバイオポリマーは、ナノ粒子内に含有される、単一の連続的ポリマーを含む。一部の形態では、合成ポリマーまたはバイオポリマーは、単一のナノ粒子内に組み合わされた多数のこのようなポリマーを含む。これらの離散的バイオポリマー「パッケージ」は、配列制御ポリマー保存対象物(SSO)として機能し、構造の表面に1つまたは複数の特定のタグの組み込みを可能にする。一部の例示的なタグには、核酸配列タグ、タンパク質タグ、炭水化物タグ、および任意の親和性タグが含まれる。
【0098】
一部の形態では、配列制御ポリマーは、核酸配列、ポリペプチドアミノ酸配列、タンパク質、炭水化物配列、またはこれらの組合せなどのバイオポリマーである。
【0099】
A.配列制御ポリマーの保存
ポリマーを保存する方法は、1つまたは複数のポリマー配列および1つまたは複数の特徴タグを含む配列制御ポリマー保存対象物(SSO)のアセンブリーを含むことができる。1つまたは複数のポリマー配列は、粒子コア内に存在するか、またはコアを取り囲む1つもしくは複数の層と関連して、例えば封入材料内に埋め込まれて存在することができる。インデックス/親和性タグは露出しており、アクセス可能である。例えば、インデックス/親和性タグは、粒子内に埋め込まれるか、またはそうでなければ粒子の外面に付着している。インデックス/バーコードがコア粒子および/または配列の外面に付着する方式は、配列制御ポリマーのプール、選別、組織化およびアクセスのための所望の方式に従って変化させることができる。
【0100】
一部の形態では、「シェル化」の産物である「シェル」は、配列制御ポリマーを含有する。
【0101】
1.核酸ナノ構造
例示的な形態では、配列制御バイオポリマーは核酸である。核酸ナノ構造を使用する配列制御ポリマーの保存のための方法が開発されている。数10キロ塩基(kb)までの一本鎖核酸足場から形成される核酸ナノ構造は、核酸保存対象物(NSO)として機能する、明確に画定された別個の構造にフォールディングされる。したがって、配列制御ポリマーの別個のパッケージは、1つまたは複数の特定の配列タグを含む複数の面を有する三次元核酸構造として提供される。NSO構造を操作することにより、本方法により、NSO内での配列制御ポリマーの分割、会合、および再仕分けが可能となる。情報回収はシーケンシングにより迅速に達成される。したがって、本方法は、NSO内に保存された配列制御ポリマーの迅速かつ効率的な組織化およびアクセスを可能にする。
【0102】
任意の長さ、または任意の形態の核酸の保存のための方法も開発されている。典型的には、任意の所望の長さの核酸は、本明細書において「核酸パッケージ」と呼ばれるゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、またはポリマーパッケージングにパッケージングされるか、封入されるか、包まれるか、または収容される。一部の形態では、直鎖状核酸は塩基対合した二本鎖である。他の形態では、直鎖状核酸は、長い連続的な一本鎖核酸ポリマーまたは多数のこのようなポリマーを含む。これらの離散的核酸パッケージは、核酸保存対象物(NSO)として機能し、構造の表面に1つまたは複数の特定のタグの組み込みを可能にする。一部の例示的なタグには、核酸配列タグ、タンパク質タグ、炭水化物タグ、および任意の親和性タグが含まれる。
【0103】
したがって、一本鎖足場の配列に配列をアセンブルするための方法は、配列制御ポリマーの自然な空間的分離を可能にし、対象物をフォールディングするのに使用されるステープル鎖を機能化することによって配列制御ポリマーに複数回タグ付けまたはアドレス指定し、アドレスを改変するためにステープル鎖を異なるオーバーハングと交換し、目的の配列制御ポリマーを空間的にさらに分離するためにNSOを一緒に関連付ける。核酸は、サイズおよび構造の多様なセットにナノ構造化することができ、幾何学的に特異的な位置に多重にアドレス指定することができる(図1A~1C)。ナノ構造化核酸は、理論的にはサイズに制限はないユーザー定義の高度に特異的な幾何学で、ほんの数100ヌクレオチドから数十万ヌクレオチドまで、幅広い足場サイズにフォールディングすることができる。一本鎖足場は、相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドステープルによって特定の形状にフォールディングされた対象物を通してルーティングされる足場として、あるいは一本鎖足場配列がそれ自体にフォールディングされるようにプログラムすることによって、使用することができる。これらの形状は、例えばユーザーによって定義されるような、任意の所望の形態をとることができる。一部の形態では、構造は閉じた緊密にパッケージングされたブロックである。他の形態では、構造は、オープンワイヤーフレームメッシュの形態、例えば多面体構造を有する。各々の場合で、構造の幾何学は、全体的な保存ブロックの超構造化およびタグの提示/アクセス性に適するように、任意の方法で規定され得る。
【0104】
2.配列制御ポリマーの保存アクセス
異なるSSOのプールの中で、SSO内の配列制御ポリマーを選別し、組織化し、アクセスする方法が記載されている。典型的には、本方法は、プール中の異なるまたは等しくアドレス指定されたSSO間の分子間相互作用に基づいてSSOを選択および選別する。典型的には、本方法は、1つまたは複数のSSOに特異的に結合した核酸標識を用いる。一部の形態では、各SSOは単一のタグを含有する。他の形態では、各SSOは2つ以上のタグを含有する。したがって、一部の形態では、本方法は多重にアドレス指定されたSSOを提供する。多重にアドレス指定されたSSOは、AND、OR、およびNOT論理を含むブール論理のユーザー定義の組合せを使用して、核酸の迅速な選択を可能にする。一部の形態では、本方法は、別個のSSOを互いに物理的に関連付けるために核酸標識を用いる。したがって、一部の形態では、本方法は、以前の論理を使用して迅速な回収のためのシステムを提供し、関連する配列制御ポリマーのブロックをネットワーク化し、空間的に分離するための超保存ブロックにおける物理的な関連付けを可能にする。他の形態では、保存ブロックは、保存位置の調整を可能にする特定の位置に幾何学的に配置される。
【0105】
ナノ構造化NSOを含むSSOSは、保存対象物のプールへのシグナルに基づいて、より大きな超構造に関連付けることができる(図2A~2D)。一部の形態では、溶液中に含有されるSSOのプールは、正確な位置にあるオーバーハング配列の特定の幾何学に基づいてアセンブルされる。典型的には、オーバーハング上の相補配列によって、架橋オリゴヌクレオチド(スプリント鎖)によって、またはオーバーハングへのタンパク質もしくは化学的付加物によってアセンブリーが起こる。超構造化SSOは、ユーザーが望むように外部シグナルを使用することによって特異的に解離および再グループ化することができる。解離を制御するために使用される例示的な外部シグナルには、pHの変化、塩の低下、温度の上昇、電磁放射線の適用、トウホールド鎖の置換、相補鎖の過剰、または制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、UV感受性リンカーを使用する放出、CRISPR/Cas9およびガイドRNAの使用、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0106】
配列制御ポリマーは、DNAまたはポリペプチドなどのバイオポリマーであっても、ペプチド模倣体などの合成バイオポリマーであってもよい。
【0107】
好適な配列制御ポリマーの非限定的リストには、天然に存在する核酸、天然に存在しない核酸、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、アルファペプチド、ベータペプチド、デルタペプチド、ガンマペプチドおよびこれらの組合せから形成されるポリペプチドなどのペプチド模倣体、炭水化物、ブロックコポリマー、ならびにこれらの組合せが含まれる。配列を規定された非天然ポリマーは、非カノニカルアミノ酸を組み込んだポリマー(例えば、β-ペプチドなどのペプチド模倣体(Gellman, SH. Acc. Chem. Res., 31, 173-180 (1998))、ペプチド核酸(PNA)、ペプトイドまたはポリ-N-置換グリシン(Zuckermann, et al., J. Am. Chem. Soc., 1 14, 10646-10647(1992))、オリゴカルバメート(Cho, CY et al., Science, 261, 1303-1305(1993))、糖高分子、ナイロン型ポリアミド、およびビニルコポリマー)など、バイオポリマーに酷似している。
【0108】
配列を規定された非天然ポリマーの酵素的および非酵素的合成は、鋳型重合により達成することができる(Brudno Y et al., Chem Biol.; 16(3): 265-276 (2009)に概説されている)。
【0109】
一部の形態では、複数の類似するかまたは異なる配列を含有するプールから核酸配列を提供するステップを含む方法が提供される。一部の形態では、プールは、公知の配列のデータベースである。例えば、ある特定の形態では、離散的な「ブロック」は、サイズが約100~1,000,000塩基の範囲の核酸配列のプール内に含有されるが、この上限は理論的には無制限である。一部の形態では、複数の核酸配列のプール内の核酸配列は、1つまたは複数の共通配列を共有する。提供される核酸が配列のプールから選択される場合、選択プロセスは、例えば、ユーザーの嗜好に基づく選択によって手動で、または自動的に実施され得る。
【0110】
B.SSOの構築
一般に、個々のSSOを生成する目的は、配列制御ポリマーのブロックを他のブロックから分離し、識別タグを基礎となる配列制御ポリマーから分離し、必要に応じて大きなパッケージを操作し選択できるようにすることである。
【0111】
1.配列制御ポリマーの封入によるSSOのカスタム設計
配列制御ポリマーは、封入によってSSO内に形成することができる(図4A~4E、図19A~19C、図20A~20B、および図21A~21B)。例えば、一本鎖DNAおよびまたは二本鎖DNA、または他の任意の核酸を使用して、封入によってNSOを生成することができる。封入される配列制御ポリマーは、例えば、直鎖状DNA配列、二次元DNA対象物または三次元DNA対象物、ポリペプチド、タンパク質など、任意の形態をとることができる。一部の形態では、直鎖状ポリマーは塩基対合した二本鎖である核酸である。他の形態では、直鎖状核酸は、長い連続的な一本鎖核酸ポリマーまたは多数のこのようなポリマーを含む。さらなる形態では、同一粒子内に封入された核酸は、直鎖状核酸と非直鎖状核酸の混合物である。例えば、1つまたは複数の一本鎖核酸および1つまたは複数の足場型核酸ナノ構造を同じ粒子内に封入することができる。
【0112】
一部の形態では、配列制御ポリマーは、封入によって離散的SSOにパッケージングされる。好適な封入剤としては、ゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、またはポリマーパッケージングが挙げられる。
【0113】
一部の形態では、封入剤はウイルスキャプシド、またはその機能部分、誘導体および/もしくは類似体である。一部の形態では、封入剤は、核酸を取り囲むミセル、またはリポソームを形成する脂質である。一部の形態では、封入剤は天然または合成のポリマーである。一部の形態では、封入剤は無機化、例えばアルギネートビーズ、または多糖類のリン酸カルシウムによる無機化である。他の形態では、封入剤はシリコン処理されている。配列制御ポリマー配列を保存ブロックにパッケージングすることにより、分子識別子、すなわち「アドレス」の使用による選択および超構造化が可能になる。核酸オーバーハングに加えて、他の精製タグを、精製(すなわち、配列制御ポリマーの回収)のために任意のSSOのオーバーハング核酸配列に組み込むことができる。一部の形態では、オーバーハングは1つまたは複数の精製タグを含有する。一部の形態では、オーバーハングは親和性精製のための精製タグを含有する。一部の形態では、オーバーハングは、核酸、または非核酸分子へのコンジュゲーションのための1つまたは複数の部位を含有する。例えば、オーバーハングタグは、例えば、SSOの親和性結合を可能にするために、タンパク質、または非タンパク質分子にコンジュゲートされ得る。オーバーハングタグにコンジュゲートするための例示的なタンパク質としては、ビオチン、抗体、または抗体の抗原結合性断片が挙げられる。
【0114】
封入による保存対象物のアセンブリー、または配列制御ポリマーと特徴タグの直接的アセンブリーを行うことで、一連の異なる構造を有する保存対象物を生成することができる。例えば、一部の形態では、保存対象物はコア粒子を含み、コア粒子上に1つまたは複数の配列制御ポリマーが結合されている。配列制御ポリマーの粒子コアへの結合は、共有結合または非共有結合を使用して達成することができる。一部の形態では、コア分子は、中間受容体である分子、例えば、配列制御ポリマーに関連する1つまたは複数のリガンドによって認識される結合部位でコーティングされているかまたは連結している(図19Bを参照されたい)。配列制御ポリマーは、受容体をコーティングされたコア分子に連結またはハイブリダイズされ得る。一部の形態では、次に、ポリマー/コア部分構造を1つまたは複数の封入剤でコーティングして(すなわち、「分子シェル化」)、コーティングされたポリマー/コア構造を生成し、これを1つまたは複数の特徴タグに連結させる(図19Cを参照されたい)。コーティングされたポリマー/コア粒子への特徴タグの結合は、共有結合もしくは非共有結合、または相補的核酸のハイブリダイゼーションを使用して達成され得る。
【0115】
一部の形態では、保存対象物のアセンブリーは、多孔性、またはそれ以外ではアクセス可能なポリマーコア分子または構造(図19Aを参照されたい)の内部空間内に、1つまたは複数の配列制御ポリマーを負荷または複合体化することを含む。一部の形態では、保存対象物のアセンブリーは、ポリマーを負荷したコアを封入またはシェル化し、封入されたポリマーを負荷した粒子を作出することを含み、次いで、この粒子を1つまたは複数の特徴タグと複合体化する。
【0116】
一部の形態では、保存対象物には、配列制御ポリマー、および必要に応じて、複数の異なるタイプの特徴タグでコーティングされたコア分子および/または封入剤が含まれる。例えば、一部の形態では、多重化された分子論理演算と配列制御ポリマーの選択を可能にするために、保存対象物がアセンブルされる。例えば、一部の形態では、配列制御ポリマーの複数の断片を含む1つまたは複数の配列制御ポリマーの封入または分子シェル化は、複数の特徴タグで標識される。特徴タグは、分子コアに直接付着させることも、分子コアに吸着させることもでき、さらに分子シェルで取り囲み、多重計算のためのアドレス指定/特異性タグで機能化させる(図20A~20B)。
【0117】
一部の形態では、保存対象物は、配列制御ポリマー、および必要に応じて、特徴タグでコーティングされたコア分子または封入剤を含み、次いで、それ自体がシグナルを生じるか、またはリードアウトを生成するために検出および測定することができる別の特性を有するシェルまたはコアでコーティングされる。したがって、保存粒子の外側の「シェル」または内側の「コア」は、保存対象物をアドレス指定または標識するために使用することができる。検出および測定され得る例示的な物理的または化学的特性には、光学的、磁気的、電気的、または物理的特性が含まれる。したがって、一部の形態では、保存対象物の外側のシェルまたは内側のコアは、シェル/コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを生成する。図21A~21Bは、配列制御ポリマーが分子コアまたはシェル内にある保存を示す略図である。したがって、一部の形態では、配列制御ポリマーは分子コア上に直接配置され、コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する。分子コアは、分子論理および配列制御ポリマーの回収操作のためのアドレス/特異性タグも含有する。一部の形態では、配列制御ポリマーは分子コアを取り囲む分子シェル上にある。シェル/コアは、シェル/コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する。シェルは、分子論理および配列制御ポリマーの回収操作のためのアドレス指定/特異性タグで機能化されている。一部の形態では、粒子のコア構造は、3D多面体または2D多角形形状にフォールディングされた配列制御ポリマーから形成される。例えば、一部の形態では、配列制御ポリマーは核酸であり、これは2Dまたは3D形状を有する核酸ナノ構造にフォールディングされ、1つまたは複数の特徴タグが付加される。したがって、一部の形態では、核酸ナノ粒子の形状を使用して、保存対象物中の配列制御ポリマーを特定、選別または選択することができる。一部の形態では、核酸ナノ粒子は、コアの光学的、磁気的、電気的、または物理的特性に基づくリードアウトを有する、1つまたは複数の追加のコアまたは封入分子を含有する。
【0118】
i.核酸ナノ構造
核酸保存対象物(NSO)を構築する2つの一般的アプローチを以下に述べる:(1)足場型核酸とそれに関連するステープル鎖を使用する、(2)封入材料を使用して、規定量の核酸を単一のNSO単位に収容する。したがって、足場型核酸ナノ構造は主に核酸で構成されているが、オーバーハング配列には追加の非核酸成分、例えば精製用のタンパク質タグ、または核酸分解用のヌクレアーゼを加えることができる。封入された核酸単位は、任意の天然または合成材料で作製することができる。一部の形態では、足場型核酸ナノ構造は、アドレス/メタデータタグの追加層、および/または長期安定性のために、1層または複数層のポリマーにも封入される。
【0119】
a.足場型核酸
本方法は、配列制御ポリマーを核酸ナノ構造にアセンブルするステップを含む。DNAオリガミ構造などの足場型核酸を作製するために、多くの公知の方法が利用可能である。例示的な方法には、Benson E et al(Benson E et al., Nature 523, 441-444 (2015))、Rothemund PW et al(Rothemund PW et al., Nature. 440, 297-302 (2006))、Douglas SM et al.,(Douglas SM et al., Nature 459, 414-418 (2009))、Ke Y et al(Ke Y et al., Science 338: 1177 (2012))、Zhang F et al(Zhang F et al., Nat. Nanotechnol. 10, 779-784 (2015))、Dietz H et al(Dietz H et al., Science, 325, 725-730 (2009))、Liu et al(Liu et al., Angew. Chem. Int. Ed., 50, pp. 264-267 (2011))、Zhao et al(Zhao et al., Nano Lett., 11, pp. 2997-3002 (2011))、Woo et al(Woo et al., Nat. Chem. 3, pp. 620-627 (2011))、およびTorring et al(Torring et al., Chem. Soc. Rev. 40, pp. 5636-5646 (2011))によって記載されるものが含まれ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
典型的には、NSOの作出には以下のステップのうちの1つまたは複数が含まれる
(1)NSOの設計、
(2)NSOの標識、
(3)NSOのアセンブル、および
(4)アセンブルされたNSOの精製。
【0121】
b.核酸ナノ構造のカスタム設計
核酸ナノ構造は、規定された形状およびサイズを有する。典型的には、ナノ構造のうちの1つまたは複数の次元は標的配列によって決定される。方法は、標的核酸配列を含むナノ構造を設計するステップを含む。
【0122】
NSOとして使用するための核酸ナノ構造は、幾何学的に単純なものであっても、任意幾何学の多面体三次元構造体などの幾何学的に複雑であってもよい。NSOナノ構造を生成するために、核酸の操作、仕分けまたは成形のためのあらゆる方法を使用することができる。典型的には、本方法には、DNAオリガミのための方法などの、核酸のコンフォメーションを「成形する」または他の方法で変化させる方法が含まれる。
【0123】
一部の形態では、核酸標的配列のナノ構造は、標的配列と組み合わせて所望の形態およびサイズの完全な三次元核酸ナノ構造を形成することができる一本鎖オリゴヌクレオチドステープル配列を決定する方法を使用して設計される。したがって、一部の形態では、本方法は、標的核酸配列に対応する核酸保存対象物(NSO)の自動化されたカスタム設計を含む。例えば、一部の形態では、ロバストな計算アプローチを使用して、任意の足場配列、対称性およびサイズのDNAベースのワイヤーフレーム多面体構造を生成する。特定の形態では、標的核酸配列に対応するNSOの設計は、NSOの所望の形態および次元に対応する幾何学的パラメーターを提供することを含み、このパラメーターを使用して、標的核酸「足場」配列にハイブリダイズして所望の形状を形成することができるオリゴヌクレオチド「ステープル」の配列を生成する。典型的には、標的核酸は、ナノ構造のワイヤーフレーム幾何学によって定義されるネットワークのオイラー回路全体にルーティングされる。
【0124】
したがって、一部の形態では、以下のステップを含む方法によってNSOが設計される:
(1)予め規定されたセットの幾何学に由来し得る標的構造を選択するステップ、またはさらに以下のステップを含んでもよい:
(a)すべての頂点の空間座標、頂点間のエッジ結合度(edge connectivity)、および頂点が属する面を標的構造において決定するステップ、
(b)標的構造全体にわたってたどる一本鎖核酸足場配列のルートを特定するステップ、および
(2)一本鎖核酸足場の核酸配列および対応するステープル鎖の核酸配列を決定するステップ。
【0125】
段階的なトップダウンアプローチにより、エッジが2の倍数(すなわち、2、4、6など)のヘリックスで構成され、エッジの長さが10.5の倍数で最も近い整数に切り捨てられる任意の規則的なまたは不規則なワイヤーフレーム多面体のDNAナノ構造オリガミ対象物を生成することが証明された。
【0126】
典型的には、足場核酸の経路は、以下によって特定される
(i)ノード-エッジネットワークのスパニングツリーを形成するエッジを決定すること(例えば、プリムのアルゴリズムを使用すること)、
(ii)スパニングツリーを形成しない各エッジを二分し、2つの分割エッジを形成すること、
(iii)スパニングツリーの各エッジに沿って2回通過するオイラー回路を決定すること。連続足場配列の方向は、DX-逆平行クロスオーバーにおけるノード-エッジネットワークの二分点で反転され、オイラー回路は、構造全体を通過する一本鎖核酸足場配列のルートを規定する。一部の形態では、足場のルーティングのために足場のクロスオーバーの位置を決定するために使用されるスパニングツリーは、最大幅スパニングツリーである。これは、対象物当たりのステープルの数を最小にする上で重要であり、より安定した/ロバストな構造につながる。しかし、どのようなスパニングツリーでも、有効な足場ルーティングにつながる。いくつかの形態では、本方法は計算ツールとして実装されている。
【0127】
ナノ粒子の幾何学および足場配列の入力を鑑みて、プログラム出力は、選択されたナノ粒子に足場をフォールディングするのに必要なステープル配列のものである。ステープル鎖は、(3)で決定された一本鎖核酸足場配列のルートの頂点およびエッジに配置される。一部の形態では、これらのステープルオリゴヌクレオチド配列は、いずれかのステープル鎖がそれ自体で閉じるか、または2つのステープル鎖が一緒になるニック位置を有し、ニック鎖は対象物の中心から離れるように(「外側」)配置される。
【0128】
任意の幾何学の核酸ナノ構造のトップダウン設計のための例示的な方法は、Venziano et al, Science, 352 (6293), 2016に記載されており、その内容は参照により全体が組み込まれる。
【0129】
他の形態では、NSOの配列は手作業で、または代替の計算配列設計手順を使用して設計される。NSOを作製し使用する方法に組み込むことができる例示的な設計戦略には、一本鎖タイルベースのDNAオリガミ(Ke Y, et al., Science 2012)、例えば、ヘルパー鎖を有する一本鎖足場を含むレンガ状のDNAオリガミ(Rothemund, et al.、およびDouglas, et al.)、および例えば、並行クロスオーバーを使用してPX-オリガミでそれ自体にフォールディングする純粋な一本鎖DNAが含まれる。
【0130】
代替的な構造化NSOには、正方形またはハニカム格子にパッケージングされた、DNA二重鎖を使用してアセンブルされるレンガ、穴または空洞のあるレンガが含まれる(Douglas et al., Nature 459, 414-418 (2009);Ke Y et al., Science 338: 1177 (2012))。1本の長い足場鎖をそれ自体にフォールディングすることによってナノ構造が形成された並行クロスオーバー(PX)-オリガミは、ベイト配列が依然として部位特異的に含まれるのであれば、代わりに使用することができる。6、8、10、または12-ヘリックスバンドルを含む異なるエッジタイプを使用するなど、さらなる多様性を導入することもできる。リング構造、例えば6-ヘリックスバンドルリングなどのさらなるトポロジーも使用可能である。
【0131】
c.核酸ナノ構造のアセンブル
本方法には、一本鎖核酸足場および対応するステープル配列の、所望の形状およびサイズを有するNSOナノ構造へのアセンブリーが含まれる。一部の形態では、アセンブリーはステープルを足場配列にハイブリダイズさせることによって行われる。他の形態では、NSOは一本鎖DNAオリゴのみを含む。さらなる形態では、NSOは、それ自体にフォールディングされた一本鎖DNA分子を含む。したがって、一部の形態では、NSOはDNAオリガミアニーリング反応によってアセンブルされる。
【0132】
典型的には、アニーリングは、ステープルおよび/または足場配列の特定のパラメーターに従って起こり得る。例えば、オリゴヌクレオチドのステープルは、適切な反応体積中に適切な量で混合される。好ましい形態では、ステープル鎖混合物は、ナノ構造の収量および正しいアセンブリーを最大化にするのに有効な量で加えられる。例えば、一部の形態では、ステープル鎖混合物は、足場鎖のモル過剰で加えられる。例示的な形態では、ステープル鎖混合物は、足場鎖の10~20倍モル過剰で加えられる。一部の形態では、タグのオーバーハングを有するおよび有さない合成オリゴヌクレオチドステープルを足場鎖と混合し、1~48時間かけてゆっくりと温度を下げる(アニーリングする)ことによってアニーリングする。このプロセスにより、ステープル鎖が足場を最終的なNSOにフォールディングすることをガイドする。これは、別々のウェルで行われ、NSOのプールに加えられるか(図3A~3Dのように)、またはオリゴヌクレオチドおよび足場のプールに加えられ、NSOのプールを生成する。図3A~3Dにおいて、例示的なNSOは、任意の保存ブロックを代表する四面体として示されている。
【0133】
マイクロ流体自動アセンブリーデバイスを使用することによって、アセンブリーのための材料使用量を最小化し、アセンブリーを早めることができる(図11~12)。例えば、ある特定の形態では、オリゴヌクレオチドのステープルを一つの入口に加え、足場を第2の入口に加え、溶液を当技術分野で公知の方法を使用して混合し、混合物を、温度が時間または距離にわたり一定して低下するアニーリングチャンバーを通して移動させることができる。そして出力ポートは、さらなる精製または保存のためにアセンブルされたNSOを含有する。同様の戦略を、表面でデジタルの液滴ベースのマイクロフルイディクスに基づいて使用し、溶液を混合およびアニーリングし、ヘルパー鎖の非存在下で、純粋な一本鎖オリゴベースのNSOまたは一本鎖足場オリガミに適用することができる。
【0134】
2.SSOの標識
核酸配列モチーフ、固有の配列識別子、または「タグ」などの1つまたは複数の特定の標識は、SSO上の配列制御ポリマーと関連付けられる。例えば、一部の形態では、1つまたは複数の標識が選択され、次いで、ユーザーが選択した変換方法を使用して核酸配列にコードされる。
【0135】
典型的には、標識はバーコード配列などの核酸配列モチーフである。一部の形態では、標識は、文字列(string)、整数、日付、時間、事象、ジャンル、メタデータ、参加者、ハッシュ、または著者を含むがこれらに限定されない、直接的変換のメカニズムを含む。ある特定の形態では、タグは、ユーザーがアドレスの外部ライブラリーを保持することで、配列の直接的選択を可能にする。
【0136】
配列制御ポリマーブロックをナノ構造化することにより、入力シグナルに基づいて配列制御ポリマーを空間的に分離し、関連する配列制御ポリマーを超ブロック保存に関連付けるという自然な拡張が可能になる。アドレス空間は、使用中のタグの数で乗算される。例えば、本方法は、4(k*n)塩基を有するヌクレオチドのアドレスを可能し、ここで、nはタグ当たりのアドレスのヌクレオチドの数であり、kはタグの数である。ナノ構造当たりのタグの数は、ユーザーによって決定され得る。典型的には、各ナノ構造は少なくとも1つのタグ、例えば2つもしくはそれより多いタグ、3つもしくはそれより多いタグ、最大10個のタグ、20個のタグ、100個のタグまたは1,000個のタグを有する。一部の形態では、多面体の各エッジは、1つのタグ、または2つ以上のタグを有する。一部の形態では、SSOは、多面体のサイズに正比例するか、または多面体の形状に依存するいくつかのタグを有する。
【0137】
一部の形態では、ナノ構造核酸対象物がNSOとして使用される場合、標識は、オーバーハング「タグ」配列の形態でステープル配列と関連する核酸配列である。例示的なオーバーハング配列は、4~60ヌクレオチドである。一部の形態では、これらのオーバーハングタグ配列は、ワイヤーフレームDNAを生成するために使用されるステープルのいずれかの5’末端に配置される。他の形態では、これらのオーバーハングタグ配列は、ワイヤーフレームDNAを生成するために使用されるステープルのいずれかの3’末端に配置される。一部の形態では、SSOを自己アセンブルするための論理AND/ORゲートを作製するために、オーバーハングの組合せが使用される。
【0138】
ある特定の形態では、オーバーハングタグのサイズ、電荷、コンフォメーションおよび配列を含むパラメーターは、ユーザーの嗜好、SSO上の位置、下流の精製技法、またはその組合せのうちの1つまたは複数によって決定される。典型的には、オーバーハングタグ配列は、足場型核酸のメタデータを含有する。例えば、オーバーハングタグ配列は、特定の配列制御ポリマーの場所を特定するためのアドレスを有する。一部の形態では、各オーバーハングタグは、アドレスなどの複数の機能的エレメント、および他のオーバーハングタグ配列、または架橋鎖にハイブリダイズするための領域を含有する。
【0139】
一部の形態では、1つのオーバーハングからの個々のNSO当たりのタグの最大総数は、最大2×(NSOのステープルの数)である。例えば、1つのステープルは1つのタグ、または2つのタグを有し、2つのステープルは1つのタグ、2つのタグ、3つのタグ、または4つのタグを有するなどである。これらのタグ配列は、ユーザーに規定された位置でステープル配列に付加され、タグのないステープル鎖は、その後、任意の公知の方法を使用して個々に、またはプールとして直接的に合成される。
【0140】
一部の形態では、タグは、タグとそれが相互作用する足場核酸との間の相互作用のうちの1つまたは複数を変化させるように設計される。一部の形態では、タグの核酸配列は、タグの物理的特性を変更する1つまたは複数の配列を付加することによって設計または操作される。修飾され得る核酸配列の例示的な物理的特性には、融解温度または核酸が含まれる。例えば、一部の形態では、核酸配列の融解温度および長さは、配列の全長の1/2、または全長の1/2より大きい値がハッシュ値であり、配列の残りの半分が、1種類のヌクレオチド、または2種類のヌクレオチド、または3種類のヌクレオチド、または3種類を超えるヌクレオチドのランダムまたは非ランダムに生成された順列を含む「ホモ型」配列であるように制御される。例示的な形態では、DNA配列の融解温度および長さは、配列の長さの1/2がハッシュ値であり、配列の残りの半分が、GC含量50%、長さ18merとするヌクレオチドで構成されるように制御される。
【0141】
変化させることができるタグの他の物理的特徴には、核酸の二次構造、1種もしくは複数の種類のヌクレオチドの1種もしくは複数の他の種類のヌクレオチドに対する比、または核酸配列の長さ、分子量、もしくは電気化学的特性が含まれる。
【0142】
他の形態では、タグ配列は離散値を有するカテゴリーである。例示的な離散値には、年などの任意の整数値、または日付などの整数値のコレクションが含まれる。他の形態では、タグ配列は、青の濃淡などの一部の連続変数をコードする。一部の形態では、タグは部分的にキーの保存に使用され、部分的に値の保存に使用され、値とキーのペアがタグに保存される。
【0143】
一部の形態では、プールは、単一の配列制御ポリマーが、対象物自体の許容される機能的ニック位置の数の何倍もの位置でアドレス指定されるように、同じ対象物に対するタグのオーバーハングの異なるセットを含有する。一部の形態では、足場ポリマーは、選択された幾何学の足場のサイズを超えて延びる長いメッセージのバイオインフォマティクスアセンブリーを可能にするために、複数の他の足場メッセージと配列が重なっている。
【0144】
3.アセンブルされたSSOの精製
本方法には、アセンブルされたSSOの精製が含まれる。精製は、アセンブルされた構造を、アセンブリープロセス中に必要な基材および緩衝液から分離する。典型的には、精製は、ナノ構造の物理的特質に従って行われ、例えば、フィルターおよび/またはクロマトグラフィープロセス(FPLCなど)の使用は、ナノ構造のサイズおよび形状に従って行われる。
【0145】
例示的な形態では、SSOは、遠心濾過、または重力濾過などの濾過、または透析などの拡散を使用して精製される。一部の形態では、濾過は、Amicon Ultra-0.5mL遠心フィルター(MWCO 100kDa)を使用して行われる。
【0146】
C.SSOとしての情報の保存
本方法は、SSO構造の保存を含む。精製されたSSOは、保存、ならびに/またはその後の構造分析および検証のために適切な緩衝液に入れることができる。
【0147】
一部の形態では、SSOは溶液中で保存される。例示的な形態では、SSOは水溶液中で保存される。好適な水性保存緩衝液としては、PBS、およびTAE-Mg2+が挙げられる。他の形態では、SSOは、油、またはエマルション、または他の疎水性溶液中に保存される。一部の形態では、SSOは、例えば凍結乾燥によって乾燥または脱水される。ある特定の形態では、SSOは乾燥され、濾紙などの固体支持体に固定される。
【0148】
保存は、室温(すなわち、25℃)、4℃、または4℃未満、例えば-20℃、-40℃、-80℃で行うことができる。一部の形態では、NSOは、例えば液体窒素に浸して凍結される。
【0149】
一部の形態では、SSOは所望の長寿命条件で保存される。例えば、NSO内の核酸は、長期間高忠実度で維持することができる。例えば、一部の形態では、NSOは、1日まで、1日より長く、1週間まで、1週間より長く、1ヶ月まで、6ヶ月まで、1年まで、1年より長く、2年まで、3年まで、5年まで、10年まで、10年より長く、20年まで、または20年より長く保存される。典型的には、メンテナンスに必要なエネルギーはほとんどない(Zhirnov, V et al., Nature materials. 15, 366-370 (2016))。典型的には、NSOは、ナノ構造内にコードされたか、または10~30年の寿命を有するテープベースの保存よりも長い期間封入された情報の忠実度を維持する。
【0150】
DNAの情報保持は、DNAをシリカに封入することによって、10℃で推定約2,000年、-18℃で約2,000,000年まで改善された(Grass, RN et al., Angew. Chem. Int. Ed. 54, 2552-2555 (2015))。
【0151】
一部の形態では、SSOは、化学的手段、例えばシリカ(SiO)中での封入によって保持される。例えば、一部の形態では、NSOは、化学的手段、例えば、シリカ(SiO)中での封入によって保持される。したがって、配列制御ポリマー保存の冗長性を使用して、ヌクレオチドの同一性が失われるランダムな様式で経時的に劣化する可能性のあるNSOの複製をリードアウトして、保存全体を再構築することができることを確実にすることができる。NSOの複数のコピーを読み取り、コンセンサス配列マッピングを使用することによって、シーケンシングエラーを排除することもできる。外部刺激にさらされた際に核酸保存対象物の分解を図16に示す。
【0152】
D.SSOとしての配列制御ポリマー
本方法は、SSO内に含有される配列制御ポリマーの組織化を可能にする。典型的には、配列制御ポリマーの組織化は、ある配列制御ポリマーを別の配列制御ポリマーを用いるか、または別の配列制御ポリマーから分離、会合、またはそうでなければ分割することによって行われる。したがって、一部の形態では、本方法は、1つまたは複数のSSOの会合または分離によって配列制御ポリマーを組織化する。一部の形態では、配列制御ポリマーの組織化は、SSOのプール内の1つまたは複数のSSOの物理的操作によって達成される。
【0153】
1.SSO超構造の会合
一部の形態では、本方法は、2つまたはそれより多いSSOを物理的に会合させてSSO超構造を形成することによって、配列制御ポリマーをグループ化するか、そうでなければ接続する。したがって、本方法は、より大きなSSOのセットの会合を可能にする。例示的な超構造が、10個の四面体が一緒に会合されている図5D~5Eに示されている。例示的な形態では、2つの四面体保存対象物が会合され、4つの四面体保存対象物が、それぞれ、エッジごとに2つの相補的オーバーハングによって、複合体のSSOの二量体および四量体において一緒にされる。このような会合技法は、四面体に限定されず、すなわち、超構造中のより大きいかまたはより小さい対象物のセットを有する任意の核酸保存対象物である。ステープルタグを介した会合は、典型的には、相補的なタグ配列、架橋配列またはスプリント配列、キッシングループ、またはハイブリッド相互連結ステープル鎖、またはハイブリッド相互連結ステープル鎖を含む。一部の形態では、DNA二重鎖末端の構造的相補性および非特異的塩基スタッキングに基づいて会合が起こり、溶液中または表面に、より大きなスケールの1D/2D/3D半結晶または結晶アレイを形成する。典型的には、緩衝液の条件および温度は、このような非特異的に会合したSSOの凝集状態を制御するために使用される。
【0154】
i.相補的タグ配列
一部の形態では、ユーザーによって関連付けのために選択されたSSO構造は、関連付けられる2つの対象物のタグオーバーハングがそれらのヌクレオチド配列において相補的であるようにアセンブルされる。相補配列を有する対象物は一緒にされ、オーバーハング配列がアニーリングし、対象物はより大きな超構造を形成する。図5Aに、2つのNSO間の例示的な相補的タグ相互作用を示す。
【0155】
ii.架橋配列またはスプリント配列
一部の形態では、2つのオーバーハング配列に相補的なヌクレオチド配列を含有する架橋オリゴヌクレオチドまたはスプリントオリゴヌクレオチドを使用して、2つの非相補的タグオーバーハング配列で2つの対象物を一緒にさせる。これは、スプリント鎖が個々の対象物のフォールディングの後に付加されるため、より動的な関連を可能にする。2つのNSO間の例示的な架橋相互作用を図5Bに示す。
【0156】
iii.相互接続ステープル
さらなる形態では、2つの保存足場間のステープルとして直接的に作用するハイブリッドステープルを使用して、2つのSSO構造をアセンブルし、フォールディング中に対象物を直接的に一緒にさせる。この場合、SSOは互いに安定的に結合する。
【0157】
iv.キッシングループ
ある特定の形態では、足場をまとめて混合した場合に、相補的ループが2つの異なる保存対象物中に存在し、そのループが2つの保存足場を直接的に連結しているキッシングループ機構を使用して、2つのSSO構造がアセンブルされる。本方法では、2つの対象物がフォールディング後に直接的に一緒にさせる。この場合、SSOは互いに安定的に結合する。2つのNSO間の例示的なキッシングループ相互作用を図5Cに示す。
【0158】
2.SSO超構造の解離
本方法は、SSO超構造の解離を含む。超構造対象物の解離のための方法には、例えばpHの増減によるpHの変化、塩濃度の変化、温度の上昇、トウホールド鎖の置換、制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、UV/光感受性リンカー、またはこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない複数の技法が含まれる。
【0159】
これは、例えば、H.sapiensという種をアドレス指定するメタデータでタグ付けされたすべての対象物を凝集させる配列を挿入することによって、H.sapiensという種に関連するすべての対象物の超構造を作製する際に、核酸保存ブロック構造の関連において適用を有する。中央の共有結合で、またはビーズ上で物理的に会合した一本鎖オーバーハングのアレイを含む樹状DNAスターを使用して、このようにSSOを凝集させてもよい。
【0160】
さらに、ナノ構造化データを使用して、超分子保存構造の再仕分けも実行可能である。スプリント鎖、相補的タグのオーバーハング、またはキッシングループ相互作用を介して会合したSSOは、pHの変化、塩の低下、温度の上昇、トウホールド鎖の置換、制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、またはこれらの任意の組合せを含む様々な技法によって解離させることができる。そしてSSOの再会合により、制御された凝集体の構造の改変eが可能になる。
【0161】
結合的保存の文脈では、これによって足場の新たな組合せの再会合が可能になる。例えば、H.sapiensという種をコードするメタデータタグを表示するSSOを表す超構造を分解し、ヒトの神経DNAをコードするメタデータタグを表示するすべてのNSOを会合する新しいSSO超構造を再会合することができる。
【0162】
機能化されたステープル鎖からのタグは、新しいアドレス指定システムで修飾することができ、ナノ構造は、タグ付きステープルの新しいセットで再度フォールディングされ得る。これにより、すべての配列制御ポリマーを再合成する必要のない動的アドレス指定システムが可能になる。解離は、上述した外部からのシグナルまたは合図に基づいて、SSOをある保存ブロックから別の保存ブロックへ移動させるためにも使用され得る。図2には、核酸保存対象物のプール間の結合的ナノ構造化データフレームワークを示す概略図が示されている。
【0163】
E.SSO内の配列制御ポリマーのアクセス
本方法は、配列制御ポリマーにアクセスするステップを含む。例えば、核酸配列は、1つまたは複数のSSOを選択することによって、例えば、SSOまたはSSO超構造のサブセットを選択することによってアクセスされ得る。典型的には、SSOの選択は、1つまたは複数のSSOまたはSSOのサブセットに関連する1つまたは複数の配列タグを選択的に捕捉または除去する方法を使用して行われる。したがって、本方法は情報のランダムアクセスを提供する。一部の形態では、選択は、SSOの幾何学、SSOのサイズ、SSOの配列、または組合せに基づく。一部の形態では、核酸および/または核酸構造は、SSOの選択および精製において使用するために固相に結合される。例えば、核酸はAMPure XL SPRIビーズなどのビーズにハイブリダイズされ得る。
【0164】
一部の形態では、封入された配列保存対象物を回収するための方法は、集団のプールから回収するための1つまたは複数の目的の集団を標的とする。例えば、一部の形態では、本方法は、集団のプールから1つまたは複数の目的の集団を含む封入された配列保存対象物を回収し、配列保存対象物は、目的の集団に関連する1つまたは複数の特質に対応する分子タグを含み、回収は以下を含む
(i)分子タグを、目的の集団に関連する分子タグに選択的に結合する分子プローブと接触させるステップと、
(ii)プローブに結合した配列保存対象物を単離するステップ。
【0165】
いくつかの離散的カテゴリーのうちの1つに属する粒子のコレクションの回収を可能にするために、1つの直交バーコード配列が各カテゴリーに関連付けられ、各カテゴリーにおける粒子のメンバーシップは、粒子の対応するバーコードの選択によって示される。関連粒子の異なるコレクションの選択を可能にするために、バーコードを粒子に割り当てることができる様々なスキームも以下に説明する。
【0166】
1.幾何学の選択
一部の形態では、ナノ構造化核酸対象物がNSOとして使用される場合、本方法はナノ構造化NSOの幾何学を選択するステップを含む。したがって、一部の形態では、ある特定の幾何学を有するNSOが、異なる幾何学を有するNSOのプールから選択される(図7A~7C)。例えば、一部の形態では、幾何学が1つまたは複数のタグの位置および/またはアクセス性を決定する。一部の形態では、NSO上のある特定の配向でタグを規定したNSOにより、それらのNSOのみを特異的に捕捉することができる。ある特定の形態では、相補的対象物または受容対象物上の相補鎖の特定の幾何学的配置を満たす、特定の配列および幾何学を有する1つまたは複数のNSOまたはNSO超構造が選択される。
【0167】
例えば、図7A~7Cに示される、2つのエッジ上などの異なる幾何学的位置に配列aおよびbを表示するナノ構造化NSO。これらの配列は、相補的な幾何学的DNAナノ構造上の2つのオーバーハングと相補的であり、NSOの選択に理想的な位置にa’とb’を表示する。典型的には、より大きなナノ構造は表面の一部であるか、または化学的、ハイブリダイゼーション、またはタンパク質相互作用によって表面または固体支持体に結合している。このように、NSOはタグ付けされたオーバーハングの配列だけでなく、NSOの幾何学にも基づいて特異的に選択される。
【0168】
2.配列に基づく選択
本方法は、SSOの配列の1つまたは複数の構成成分を選択するステップを含む。プールの所望の部分のみを選択的に回収するための(すなわち、ランダムアクセス)機構は、目的のSSOの所望の配列タグを選択することによって実行される。所望のDNA配列タグを捕捉する方法は、当技術分野で公知である。
【0169】
一部の形態では、所望の配列タグは核酸ハイブリダイゼーションによって捕捉され、その際、「ベイト」配列がSSOのタグ領域を選択するために使用される。一部の形態では、「ベイト」配列は、所望の配列タグに相補的なヌクレオチド配列である。一部の形態では、「ベイト」配列はDNA分子である。他の形態では、「ベイト」配列はRNA分子である。一部の形態では、ハイブリダイゼーション捕捉は溶液内アプローチである。好ましい形態では、ハイブリダイゼーション捕捉は固相(固定化)アプローチである。
【0170】
NSOのプールから目的のNSO構造を回収する例示的な方法を図6A~6Cに示す。例えば、一部の形態では、SSOのプール中の標的SSOを、タグオーバーハング配列を使用して回収することができる。一部の形態では、短い一本鎖オリゴヌクレオチドは、公知の方法を使用して、目的のSSOのタグオーバーハング配列に相補的な配列を用いて合成される。典型的には、これらの配列は、これらのオリゴヌクレオチドを固定相上で捕捉するために使用される標識、例えばビオチン5’標識とともに合成される。標識されたヌクレオチドは固定支持体に結合される。例示的な固定支持体には、ストレプトアビジンをコーティングしたビーズまたはストレプトアビジンをコーティングした表面が含まれる。ビオチンを使用する場合、ビオチン-オリゴヌクレオチドで捕捉した核酸をストレプトアビジン支持体とともにインキュベートして結合させる(以下、「捕捉支持体」)。結合していない配列は、例えば洗浄によって試料から除去される。
【0171】
例示的な形態では、特異的捕捉は、SSO相補的オーバーハング配列を捕捉支持体にアニーリングすることによって達成される。アニーリングによるSSOの特異的捕捉の方法は、SSOのプールを捕捉支持体と混合するステップと、例えば、4℃からSSOの融解温度(およそ55℃)までの温度でインキュベートし、次いでアニーリングを可能にするために冷却することによってアニーリングするステップとを含む。非特異的結合を除去するために、わずかな加熱または塩の低下などの穏やかな条件を使用して捕捉支持体から未結合画分を洗浄することにより、特異的捕捉が可能になり、その後プールから目的のSSOを精製することができる。
【0172】
一部の形態では、捕捉配列は、標的アドレスおよび対応する保存ブロックが捕捉され、ハミング距離が低い標的アドレスおよび対応する保存ブロックも捕捉されるように、キーと値のペアに相補的である。類似の特徴タグを有する保存ブロックのこのバックグラウンドを増減させる方法は、例えば、温度、pH、捕捉時間、塩の変化に基づく可能性があるが、これらに限定されない。例えば、「スカイブルー」のタグを有するNSOは、「ライトブルー」の相補的な捕捉支持体上の選択によって、捕捉の特定の条件が与えられた場合に捕捉される可能性がある。
【0173】
捕捉されたSSOは、当技術分野で公知の任意の機構によって捕捉支持体から放出される。非限定的な方法としては、pHの変更、塩の低下、温度の上昇、トウホールド鎖の置換、制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0174】
さらなる形態では、図5A~5Cの超構造について記載されているように、標的化されるタグオーバーハングに対して相補的な配列の一部、および捕捉支持体上の捕捉配列に対して相補的なスプリント配列の第2部分を含むスプリント鎖を生成することができる。
【0175】
一部の形態では、SSOの捕捉は、例えば、バルクまたは表面上のマイクロ流体デバイスを使用して、最小限の体積で起こる。一部の形態では、マイクロ流体デバイスは、1つまたは複数のSSOのタグオーバーハング配列に対して相補的な配列を有する、表面またはビーズベースのオリゴヌクレオチド支持体を含む。入口ポートは、プールされた保存対象物のアリコートを提供し、固定相捕捉領域に導き、捕捉対象物およびフロースルー対象物の分離を可能にする。このようにして、フロースルー(すなわち、未結合)対象物は、捕捉された対象物とは別に捕捉される(図13A~13G)。操作および捕捉の前に、SSOは乾燥状態で紙、または他の固体支持マトリックスに保存され、シークエンシングに基づくリードアウトの前の再湿潤化および操作の前に長期保存される。
【0176】
a.蛍光ゲート選択
配列保存対象物を選択および/または回収する方法において使用するための例示的な分子プローブには、配列保存対象物に関連する分子タグに選択的に結合する蛍光標識プローブが含まれる。したがって、一部の形態では、本方法は蛍光ゲート選択を含む。例えば、一部の形態では、プローブに結合した配列保存対象物を単離するための方法は、目的の集団を特定および回収するために、各プローブに関連する異なる色を使用する蛍光ゲート選択を含む。
【0177】
封入された配列保存対象物を回収するための例示的な方法では、B.taurus(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-05」、および「Bos taurus」標識を含有する)およびM.musculus(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-03」、および「Mus musculus」標識を含有する)ゲノムを含有するカプセルを、H.sapiensの総RNA(「Eukaryote」、「Animalia」、「2021-01-03」、および「Homo sapiens」標識を含有する)およびSARS-CoV-2 RNAゲノム(「Riboviria」、「Orthornavirae」、「2020-12-20」、および「SARS-CoV-2」標識を含有する)を含有するプールから回収するために標的化した(図23Aを参照されたい)。「Eukaryote」、「Animalia」、および「Homo sapiens」というクエリー文字列にマッチする分子プローブを使用するブール論理クエリーをプールに追加した。各プローブに関連する異なる色を使用する蛍光ゲート選択により、目的の集団が特定される。「Eukaryote」AND「Animalia」で陽性の集団を選択すると、B.taurus、M.musculus、およびH.sapiensが選択される。追加の「Homo sapiens」ゲートは、「Homo sapiens」またはブール論理表現では NOT Homo sapiensに陰性な集団を選択するために使用することができる。よって、最終的なブール論理検索クエリーは、「Eukaryote」AND「Animalia」AND(NOT「Homo sapiens」)となり、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を使用して検証されたB.taurusおよびM.musculusが選択される(図23Bを参照されたい)。
【0178】
b.ハイブリダイゼーション連鎖反応
一部の形態では、本方法は、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)も含む。例えば、一部の形態では、プローブに結合した配列保存対象物を単離するための方法は、配列保存対象物の表面にある別個の分子「バーコード」タグと別個のハイブリダイゼーション特性を有するように設計されたプローブに対するハイブリダイゼーションに基づく選択を含み、目的の集団を特定し、回収する。
【0179】
一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーはハイブリダイゼーションを規定されており、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーは同じ数のヌクレオチドを有する。一部の形態では、特徴タグのセットの少なくとも1つにおいて、(a)特徴タグのセットのメンバーは同じ数のヌクレオチドを有し、(b)セット内の特徴タグのそれぞれは、セット内の他の特徴タグと1~x個のミスマッチヌクレオチドだけ異なり、ここで、ミスマッチヌクレオチドは、(i)特徴タグのいずれかの端から少なくとも2ヌクレオチドであり、(ii)特徴タグ中の少なくとも1つのマッチするヌクレオチドによって分離されており、ここで、xは、セット内で変化する特徴タグ中の異なるヌクレオチド位置の数である。一部の形態では、特徴タグの1つまたは複数セットとは独立して、セット内の各特徴タグは、セット内のすべての他の特徴タグと1~wヌクレオチドだけミスマッチしており、ここで、wは、2~(y-4)÷2の整数であり、yは、セット内の特徴タグのヌクレオチドの数であり、式(y-4)÷2は切り上げられる。一部の形態では、配列制御保存対象物は、複数の異なるディジットタグをさらに含み、ディジットタグは保存対象物の表面に存在し、ディジットタグは数をコードしている。
【0180】
したがって、一部の形態では、本方法は、開始剤として試料表面のバーコードをハイブリダイゼーションに基づいて選択することにより、目的の配列を含む配列保存対象物を回収する。例示的な方法では、「Homo sapiens」タグ(例えば、図24Aにおいて「z」と標識されている)を含有するカプセルは、図24Aに示されているように、色素または化学的/生化学的タグであり得るマーカーで修飾された2つのヘアピン構造間のハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)を誘発する、トーホールド配列「a」およびステム配列「b」も含む相補的なzタグとハイブリダイズされる。マーカーが蛍光タグである場合、図24Bに示されているように、単一の色素を含有する相補鎖のみでハイブリダイズされたカプセルと比較して、HCRで増幅されたカプセルの蛍光増強が観察される。
【0181】
c.数値範囲に基づく選択
一部の形態では、本方法は、「バーコード」である分子タグに基づくか、またはそれを含む配列保存対象物の選択および/または単離を含み、バーコード配列設計プロセスは、基礎となる生体分子/配列の何らかの数値特徴の範囲を含む。
【0182】
一部の形態では、関連する特徴のセットのメンバーが有するかまたは関連し得る数値の差は、関連する特徴のセットにおける特徴の類似性に比例する。一部の形態では、複数ディジットの数は、複数ディジットの数が対応する異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴に任意に割り当てられる。一部の形態では、複数ディジットの数は、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴の数値の、その数値の最上位のディジットから始まる所与のディジット数と同じである。
【0183】
一部の形態では、ディジットタグの各セットは、複数ディジットの数が表現される数学的基数と同じ数のメンバーを有する。離散化された数値特徴の範囲に属する粒子のコレクションの回収を可能にするために、1つの直交バーコード配列が、数値の各ディジットで可能な各ディジット値に関連付けられる。このアプローチでは、数値のディジットの一部のサブセットで特定のディジット値を選択することによって、この範囲を指定することができる限り、特徴の任意の数値範囲に対応する粒子のコレクションを回収することができる。例えば、一部の形態では、数値の各ディジットの位の各可能なディジット値は、別個の直交バーコードと関連付けられ、ディジットの位のサブセットで特定のディジット値を有する粒子を選択することにより、値の範囲の回収を可能にする。
【0184】
一例として、数値特徴は基数3で表すことができ、図26に示されているように、27の位で「1」、9の位で「0」に関連するバーコードを有する粒子を選択することにより、範囲[1000、1100)内の数値に対応するバーコードを有する粒子のコレクションを回収することができる。
【0185】
d.正確かつおよその類似性ベースの回収のための配列タグの設計
一部の形態では、本方法は、「バーコード」である分子タグに基づくかまたはそれを含む配列保存対象物の選択および/または単離も含み、ここで、バーコード配列設計プロセスは、類似性メトリックが特徴類似性空間から低次元超立方体への正確な等尺性埋め込みを可能にするのに十分単純である特徴に関して、正確な類似性ベースの回収を可能にする。例えば、一部の形態では、配列保存対象物の選択および/または単離は、低次元超立方体への等尺性埋め込みによって決定される類似性に基づく。
【0186】
連続的または非離散的な特徴に関して互いに類似している粒子のコレクションの回収を可能にするために、バーコード配列は、配列内の注意深く選択された少数の部位で変異する。変異したバリアントバーコード配列の限定されたセットは、超立方体グラフなどのグラフGで表されるが、これに限定されない。変異部位は、グラフGがバーコードとプローブとして使用されるバーコードに対する相補配列との間の結合親和性を忠実に表すように選択される。連続的特徴の類似性空間もグラフHで表され、その後グラフGに等尺的に埋め込まれる。ある種の単純なグラフHについては、多項式時間アルゴリズムを使用して正確な等尺性埋め込みを見い出すことができる。任意の複雑なグラフHの場合、等尺性埋め込みは、Hによって表される対応するメトリック空間に対して次元削減を最初に実施することによって見い出すことができる。次元削減は、変換中に距離を保持しようとする任意の標準的な技法を使用して実施され得る。次いで、低次元空間を離散化して、Gへの等尺性埋め込みを近似することができる。Hが単純な場合と複雑な場合の両方で等尺性埋め込みを求める例を図27および28に示す。
【0187】
「超立方体」という用語は、本明細書で使用される場合、立方体または正方形のn次元への外挿を指す。例えば、4次元の超立方体は四次元立方体と呼ばれる。したがって、n次元の超立方体はn立方体としても公知である。これは非ユークリッド幾何学で描かれ、表現されるのが最適である。
【0188】
したがって、一部の形態では、封入された配列保存対象物を回収するための方法は、標的集団のおよその類似性ベースの回収に基づいて、集団のプールから回収するための1つまたは複数の目的の集団を標的とする。本方法は、配列保存対象物のプールから目的の配列保存対象物を回収し、目的の配列保存対象物は、任意に、複雑な類似性メトリックに関連する1つまたは複数の特質に対応する分子タグを含む。
【0189】
i.等尺性埋め込みによるバーコード設計
一部の形態では、配列保存対象物に関連する分子「バーコード」タグは、等尺性埋め込みによって決定される1つまたは複数の特質に関連する配列を含むかまたはコードする核酸配列であり、それによって、等尺性埋め込みは、類似性ベースの回収を可能にする各粒子へのバーコードの割り当てに直接対応する。したがって、一部の形態では、本方法は、等尺性埋め込みによって分子「バーコード」タグの配列を設計するための1つまたは複数のステップを含む。
【0190】
一部の形態では、本方法は、単純な類似性メトリックを、4次元超立方体グラフに正確に等尺的に埋め込まれ得る「n」個のノードを有する環状グラフとして表すことによって、タグを設計する。例示的な形態では、単純な類似性メトリックは、図27に示されているように、4次元超立方体グラフに正確に等尺的に埋め込まれ得る8個のノードを有する環状グラフで表される。
【0191】
任意に複雑な類似性メトリックを有する特徴に関するおよその類似性ベースの回収を可能にする例示的なバーコード配列設計プロセスの概略図を図28に示す。例示的な形態では、特徴類似性空間は、標準的な次元削減を使用して簡略化され、少数の次元に削減される。次いで、これらの次元はビニングによってさらに近似され、その後、ノードがバーコードのセットの変異バリアントを表す超立方体グラフに直接埋め込むことができる。
【0192】
例示的な方法では、プロセスは、例えば、ペアワイズ遺伝的類似性が計算された4187個のSARS-CoV2ゲノムから得られた複雑な類似性メトリックから始まる。この類似性メトリックは、多次元尺度法(MDS)を使用して18次元に削減され、可視化の目的のために、プロットする前に次元数を2次元にさらに削減した。ビニング後、線形回帰により、元の類似性メトリックと54次元の超立方体埋め込みにおける最終距離の間に強い相関が示された。超立方体埋め込みは、元の特徴空間の各ノードに6つのバーコード配列を直接割り当てたことに対応する。
【0193】
したがって、一部の形態では、2つまたはそれより多い類似する特徴と相関する分子バーコードタグを設計するための方法には、以下が含まれる
(a)2つまたはそれより多い類似する特徴の特徴類似性空間を簡略化することによって、2つまたはそれより多い類似する特徴の低次元特徴類似性メトリックを決定するステップと、
(b)簡略化した特徴を超立方体グラフに直接埋め込むステップであって、例えば、類似性メトリックが超立方体埋め込みにおける距離と相関し、対応して異なるバーコード配列を提供するステップと、
(c)バーコード配列タグを生成するステップ。
【0194】
(a)特徴類似性空間の簡略化
一部の形態では、分子バーコードタグを設計するための方法は、2つまたはそれより多い特徴の複雑な類似性メトリックの類似性メトリックを決定するための1つまたは複数のステップを含む。2つまたはそれより多い試料のプール間の複雑な類似性を提供するための例示的な方法は、プールの各メンバー間の配列同一性などの特徴類似性メトリックを決定するステップを含む。例示的な形態では、集団は、ゲノム配列のライブラリー、例えばウイルスゲノム配列のライブラリーなどの別個の種のライブラリーを含む。ウイルスゲノム配列の集団のメンバー間の類似性は、例えば、互いに対する配列同一性によって評価することができる。
【0195】
一部の形態では、特徴タグが対応する特徴をマッピングする前に、特徴タグが対応する特徴の次元数が削減される。
【0196】
したがって、一部の形態では、分子バーコードタグを設計するための方法は、特徴類似性メトリックを提供するために、次元削減によって特徴類似性空間を簡略化するための1つまたは複数のステップを含む。一部の形態では、特徴類似性空間を簡略化することは、標準的な次元削減を使用することを含む。特定の形態では、類似性メトリックは、多次元尺度法(MDS)を使用して削減される。典型的には、特徴類似性空間は、約2~約20次元(両端の値を含む)など、少ない次元数に削減される。したがって、一部の形態では、特徴タグのセットの類似性コード化特徴タグは、特徴タグが対応する特徴の次元数を削減することによって類似性コード化される。
【0197】
(b)超立方体グラフへの直接埋め込み
一部の形態では、次元数を削減された特徴は、次元数を削減された特徴の類似性に基づいて超立方体にマッピングされる。
【0198】
したがって、一部の形態では、本方法は、ノードがバーコードのセットの変異バリアントを表す「n」次元超立方体グラフに直接ビニングして埋め込むことによって次元をさらに近似するための1つまたは複数のステップを含み、ここで「n」は、特徴タグが対応する特徴の数未満またはそれに等しい整数であり、「n」は、特徴タグが対応する特徴の数の因数である。一部の形態では、本方法は、次元数が削減された特徴の類似性に基づいて、次元削減された特徴をn次元超立方体にマッピングし、ここで、nは、特徴タグが対応する特徴の数未満またはそれに等しい整数であり、nは、特徴タグが対応する特徴の数の因数である。一部の形態では、本方法は、ステップのうちの1つまたは複数を完了するためにコンピュータシステムを実装する。例えば、一部の形態では、マッピングは、コンピュータを使用して実装される。
【0199】
一部の形態では、このマッピングの品質は、元の類似性メトリックにおける距離と、埋め込み後のn次元超立方体における距離との間の相関を計算することによって評価され得る。一部の形態では、線形回帰モデリングを使用して、この相関を計算することができる。高い相関(すなわち、1に近い)は、マッピングが、元の類似性メトリックによって説明される特徴間の類似性をよく保持していることを示す。一部の形態では、相関は線形回帰モデリングを含む。好ましくは、超立方体埋め込みは、元の特徴空間の各ノードへのバーコード配列の割り当てに直接対応する。一部の形態では、マッピングされた特徴のうちの任意の2つがマッピングされるノード間の超立方体のエッジの数は、2つの特徴の類似性に比例する。
【0200】
(c)分子バーコードタグの生成
一部の形態では、本方法は、n次元超立方体のノードへのバーコード配列の割り当てに従って分子バーコードタグを生成するための1つまたは複数のステップを含む。バーコード配列バリアントの制限されたセットは、バーコードとその相補体(すなわちプローブ)の間の結合親和性がn次元超立方体で正確に表されるように、少数の部位で変異させることによって生成される。この超立方体は、(b)のn次元超立方体の各ノードに対するバーコード配列を決定する。(a)と(b)で決定されたマッピングを使用して、これは、元の特徴空間内の各ノードのバーコード配列を決定する。次いで、バーコード配列は、対応する配列制御ポリマーと関連付けられ、タグ付き配列保存対象物が生成される。
【0201】
3.ブール論理
一部の形態では、AND、OR、およびNOTのブール論理が、図8A~8E、図9A~9C、および図10A~10Bで説明したタグのオーバーハング配列を使用してSSOに適用される。これらの論理適用は補完的である。一部の形態では、これらの論理適用は一度だけ適用される。他の形態では、同じ論理適用が、複数回、例えば2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、20回、30回、40回、50回、100回、または100回より多く適用される。同じ論理の例示的な複数回の適用は、a AND b AND c AND d AND eなどである。一部の形態では、これらの論理適用は、論理計算の大規模なセットを作成するために、任意の所望の順序または組合せで使用される。例示的な組合せは、a AND bの後にNOT cが続く。一部の形態では、これらの論理適用は、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、20回、30回、40回、50回、100回、または100回より多くの任意の所望の順序または組合せで複数回使用される。
【0202】
i.AND論理
一部の形態では、AND論理は、2つまたはそれより多くのオーバーハングタグ配列を有するSSOの選択および精製において適用される(図8A~8E)。標的化されたSSOがAND論理を使用して分離できる場合、SSOのプールからSSOまたはSSOのセットが精製される。例えば、目的のSSOまたはSSOのセットは、最初に目的の1つのオーバーハングに特異的な捕捉支持体を使用して(すなわち、オーバーハング配列aを有するすべてのSSOを捕捉して)、複数回精製される。次いで、図5A~5Cに記載されているように、未結合のNSOを洗浄し、結合したSSOを捕捉支持体に付着させたままにする。次いで、捕捉されたSSOは、pHの変更、塩の低下、温度の上昇、トウホールド鎖の置換、制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、UV/光感受性リンカー、またはこれらの任意の組合せによって、支持体から放出される。この1回目に放出されたSSOのプールは、次いで、支持体に結合した第2の別個の捕捉配列のセットを用いる2回目の精製に適用される。次いで、SSOは、別個の捕捉配列で第2の捕捉支持体上に捕捉され(すなわち、オーバーハング配列bを有する放出プールのすべてのSSOを捕捉する)、未結合のSSOは、図6A~6Cのように洗浄される。次いで、結合したSSOは、pHの変更、塩の低下、温度の上昇、トウホールド鎖の置換、制限ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、ヘリカーゼ、レゾルバーゼによる酵素的放出、UVまたは光により、あるいはこれらの任意の組合せによって、支持体から放出される。これにより、オーバーハング配列a AND bを有するSSOが得られる。一部の形態では、このAND論理精製プロセスを2回、3回、4回、5回、最大10回、または10回より多く繰り返す。一部の形態では、このAND論理精製プロセスは、所与の対象物上のタグの発生数(2×(ステープルの数))だけ繰り返される。
【0203】
F.SSOからの配列制御ポリマーの回収
本方法は、配列制御ポリマー対象物内に保存された配列制御ポリマーを回収するステップを含む。例えば、一部の形態では、本方法は核酸ナノ構造を回収するステップを含む。
【0204】
1.NSOからの配列制御ポリマーの回収
一部の形態では、NSOをその一本鎖構成成分に解離させるための方法には、NSOの変性が含まれる。NSOは、pH、または温度の変化によって変性させることができる。例示的な形態では、NSOは融解によって変性される(図11A~11D)。放出された一本鎖の足場は精製され、DNA配列に隣接するマスタープライマー配列によって増幅される。ヌクレオチド配列は任意の公知のシーケンシング法によって読み出される。一部の形態では、PCRを使用して、最終的に選択されたメッセージを増幅する。一部の形態では、目的のNSOに特異的なプライマーセットを使用してPCRが達成される。一部の形態では、PCRは、配列に直交するように試験された「マスタープライマー」のセットを使用して行われる。典型的には、対象物プールはユーザーの要求を満たすメッセージのみにプールを絞り込むために特別に選択される。NSO内のすべての配列制御ポリマーが単一のセットのマスタープライマーで囲まれている場合、ワークフローで必要なPCR反応は1回のみである。一部の形態では、バーコード配列は、DNA合成機を使用して、ナノ粒子および/またはマイクロ粒子の足場表面に生成される。バーコードで修飾された足場は対象物プールから要求されたNSOを捕捉する。一部の形態では、チップアレイ上に生成されたバーコード配列は、回収とその後のPCR増幅のために、対象物プールから要求されたNSOを捕捉する。
【0205】
i.シーケンシング方法
任意の公知のDNAシーケンシング方法を使用することができる。一部の形態では、ヌクレオチド配列は、サンガーシーケンシング(Sanger F et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74 (12): 5463-7(1977))を含むシーケンシング方法によって読み出される。
【0206】
一部の形態では、ヌクレオチド配列は、Maxam&Gilbertシーケンシング(Maxam AM et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 74,560-564 (1977))、または任意の他の化学的方法によって読み出される。他の形態では、シーケンシングは、PYROSEQUENCING(商標)によって行われる。さらなる形態では、ヌクレオチド配列は、エキソヌクレアーゼを使用する1分子シーケンシングによって読み出される。
【0207】
一部の形態では、シーケンシングは次世代シーケンシングによって行われる。いくつかの例示的な技術には、ILLUMINA(登録商標)、Roche 454シーケンシング、Ion torrent:Proton/PGMシーケンシング、SOLiDシーケンシングが含まれる。次世代シーケンシングのいくつかの例示的な商業的提供者は、Pacific Biosciences、ILLUMINA(登録商標)、Oxford Nanopore Technologiesである。
【0208】
ii.エラー訂正
DNA合成はヌクレオチド配列にエラーを生じさせるが、そのエラー率はヌクレオチド当たり1%のオーダーである。さらに、NSOの長期保存はデータの完全性を損なう。一部の形態では、NSOを保存する手段によってデータの冗長性を高めたり、NSOを定期的に複製することでエラーが低減される。
【0209】
iii.データの冗長性
DNA保存の重要な態様は、冗長性を付加することでエラーを許容する適切なスキームを考案することである。一部の形態では、コードする段階で冗長性を付加することによってエラーを許容する。例えば、Goldmanらによって提案されたコード化では、入力DNAヌクレオチドを重複するセグメントに分割することで、各セグメントに数倍の冗長性を与える(Goldman N et al., Nature, 494:77-80 (2013))。一部の形態では、Bornholt J et al.(Bornholt, J et al., 21th ACM International Conference on Architectural Support for Programming Languages and Operating Systems.(2016))が提案したように、排他的、または2つのペイロードを使用して第3の鎖を形成するように、コード化の冗長性が組み込まれている。
【0210】
iv.NSOの複製
NSOによる配列制御ポリマーの長期保存では、脱アミノ化が古代DNAの情報損失の最大の原因であり、エネルギー障壁が最も低い(Zhirnov V et al., Nat Mater. 23;15(4):366-70 (2016))。実践的な保存または保存システムにおける情報損失と戦うために、エラー訂正コードが広く使用されている(Kim C et al., IEEE Trans. Consum. Electron. 61, 206-214 (2015))。幸いなことに、核酸はコピーが容易であるため、ECCのオーバーヘッドが減少し、したがってエラー訂正がデータ完全性の主要な要因となる。一部の形態では、核酸はそれ自体の多数の物理的コピーに高い忠実度および低コストで複製される。
【0211】
III.データベース
本方法にはデータベースの作出が含まれ得る。データベースは、同一または異なる試料のその後の分析を可能にするか、または支援するために使用することができる。例えば、データベースを使用して、類似するまたは異なるレベルの異種性を有する1つまたは複数の類似する種類の試料の分析を支援することができる。
【0212】
例えば、本方法は、配列制御ポリマーのデータベースを開発するステップを含むことができる。データベースは、例えば、デジタルコンピュータなどのデータシステムを用いることによって、当技術分野で公知の任意の形式で開始、開発および維持され得る。一部の形態では、データベースを集めるための配列制御ポリマーは、例えば、核酸ナノ構造、および/または封入された核酸単位のライブラリーを作出することによって、十分に多数の試料を含むことによって蓄積され得る。
【0213】
典型的には、データベースは、配列制御ポリマー、または配列制御ポリマーのサブセットを特定するために使用され得る配列またはタグなどの少なくとも2つの異なるデータ片を含む。一部の形態では、データベースは、例えばプール中の各SSO、またはSSOのライブラリーに対応する、プール中の各配列制御ポリマー対象物の核酸配列および/または対応するバーコードを含む。一部の形態では、データベース中の各タグまたはバーコードは、配列制御ポリマーの1つまたは複数の配列または他の特徴に対応する。記載された方法に従って生成されたSSOのライブラリーなどの、異なる配列制御ポリマーの配列を示すバイナリバーコードが集められたデータベースが開発され得る。データベースは、対象物の1つまたは複数の異なるプールに対応するバイナリ配列バーコードを保存することができる。例えば、データベースは、数十、数百、数千のより多くの非連続核酸配列を含むことができる。
【0214】
一部の形態では、SSOの多重にアドレス指定されたプールの作成は、配列制御ポリマーの長期保存のためのデータベースとして機能することになる。特徴に関する複数のインデックスは、使用される特徴に基づく配列制御ポリマーの高度に特異的な抽出を可能にする。したがって、一部の形態では、データベースは、SSOのタグに相補的な核酸配列に基づく特徴を使用して検索される。一部の形態では、タグは、メタデータに基づいてSSOを抽出するために外部データベースが必要とされないように公知のスキームによってコードされる。メタデータの捕捉配列への直接的変換を使用して、SSOの溶液データベース内に含有される配列制御ポリマーを、所与の幾何学で許されるタグの数によって許される限り深く掘り起こすことができる。PUT、GET、Delete、AND、およびORなどの一般的なデータベースクエリーをシステムに対して使用することができる。よって、SSOのすべての配列制御ポリマーのデータベースは、配列制御ポリマーの様々な特徴でインデックス付けされ得る。全対象物のプールが、目的の特定の特徴を捕捉するためにプローブされた後に、次いで特定の特徴を抽出することができる。結合的保存を使用することにより、ユーザーによって作成された基準のセットを満たし、適切なシグナルが与えられた場合に、記録の特定の集合が可能になる。例えば、所与の種に由来するすべての配列制御ポリマーを超構造に関連付けることができる。
【0215】
IV.組成物
以下に記載される組成物は、開示された方法に使用することができる材料、化合物、および構成成分を含む。これらの材料の様々な例示的な組合せ、サブセット、相互作用、グループなどは、上記でより詳細に記載されている。しかしながら、詳細に記載されていないこれらの化合物の他の様々な個々のおよび集合的な組合せおよび順列のそれぞれが、それにもかかわらず、本明細書において具体的に企図され、開示されていることが認識されるであろう。例えば、1つまたは複数の核酸ナノ構造が記載され、構造または配列パラメーターの1つまたは複数のいくつかの置換が議論される場合、可能な構造または配列パラメーターの各々およびすべての組合せおよび順列は、特に反対の指示がない限り、具体的に企図される。
【0216】
これらの概念は、開示された組成物を作製および使用する方法においてステップを含むがこれらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。よって、実施され得る種々の追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップのそれぞれは、開示された方法の任意の特定の形態または形態の組合せで実施することができ、このような組合せのそれぞれは、具体的に企図され、開示されたとみなされるべきであることが理解される。
【0217】
A.核酸保存対象物
1.核酸試料
記載された方法で使用するための核酸は、合成または天然の核酸であり得る。一部の形態では、核酸配列は天然に存在する核酸配列ではない。一部の形態では、核酸配列は合成核酸配列である。一部の形態では、核酸ナノ構造はウイルスのゲノム核酸ではない。一部の形態では、核酸ナノ構造はウイルス様粒子である。
【0218】
核酸試料の他の供給源は数多く知られており、または開発することが可能であり、いずれも記載された方法とともに使用することができる。一部の形態では、記載された方法で使用される核酸は天然に存在する核酸である。記載された方法で使用するのに好適な核酸試料の例としては、ゲノム試料、RNA試料、cDNA試料、核酸ライブラリー(cDNAおよびゲノムのライブラリーを含む)、全細胞試料、環境試料、培養試料、組織試料、体液、および生検試料が挙げられる。
【0219】
核酸断片は、より大きな核酸分子のセグメントである。核酸断片は、記載された方法で使用される場合、一般に、切断された核酸分子を指す。核酸切断試薬とともにインキュベートされた核酸試料は、消化試料と呼ばれる。制限酵素を使用して消化された核酸試料は、消化試料と呼ばれる。
【0220】
ある特定の形態では、核酸試料は、ヒトゲノムDNAなどのゲノムDNAの断片または一部である。ヒトゲノムDNAは、複数の商業的供給源から入手可能である(例えば、Coriell番号NA23248)。したがって、核酸試料は、ヒトゲノムDNAなどのゲノムDNA、またはその任意の消化もしくは切断された試料であり得る。一般に、核酸ナノ構造当たり375bp~1,000,000bpの間の量の核酸が使用される。
【0221】
2.核酸ナノ構造
様々な形状の核酸(例えばDNA)オリガミを作出するための基本的な技法は、「足場鎖」と呼ばれる長い一本鎖ポリヌクレオチドを、足場を所定の位置に保持するための接着剤としていくつかの小さな「ステープル鎖」を使用して、所望の形状または構造にフォールディングすることを含む。NSOの構築には、幾何学のいくつかのバリアントを使用することができる。例えば、一部の形態では、純粋に短い一本鎖のステープルからのNSOをアセンブルすることができ、または純粋に一本鎖の足場を含むNSOをそれ自体にフォールディングすることができ、そのいずれもがワイヤーフレームまたはレンガ状の対象物を含む多様な幾何学/構造をとることができる。
【0222】
i.ステープル鎖
ステープル鎖の数は、足場鎖のサイズおよび形状または構造の複雑さに応じて変わる。例えば、比較的短い足場鎖(例えば、長さが約50~1,500塩基)および/または単純な構造の場合、ステープル鎖の数は少ない(例えば、約5、10、50またはそれを超える)。より長い足場鎖(例えば、1,500塩基より多い)および/またはより複雑な構造の場合、ステープル鎖の数は数百から数千(例えば、50、100、300、600、1,000またはそれを超えるヘルパー鎖)である。
【0223】
典型的には、ステープル鎖は、10~600ヌクレオチド、例えば14~600ヌクレオチドを含む。
【0224】
足場型DNAオリガミでは、長い一本鎖DNAは、相補的な短い一本鎖オリゴヌクレオチドと会合し、長い鎖の2つの離れた配列空間部分を一緒にして、規定された形状にフォールディングする。歴史的に、DNAナノ構造のフォールディングは、一般化された足場配列を選択することなく、対象物ごとの面倒な設計に頼ってきた。
【0225】
ロバストな計算-実験アプローチを使用して、任意の足場配列、対称性およびサイズのDNAベースのワイヤーフレーム多面体構造を作成する。これらのDNAオリガミ対象物は、DNAベースの保存に有用にするいくつかの重要な特性を有し、1)任意の数の面またはエッジが、他の保存ブロックと物理的に会合するためのハンドルとして、またはビーズベースもしくは他の物理的な抽出/精製のためのこれらの保存ブロック上のバーコードとしてのいずれかで機能する外向きのssDNAタグを提示するようにプログラムされている、2)これらは、レンガ状のオリガミとは異なり、二重鎖の遊離末端がないため、互いに非特異的に会合または凝集しない、3)これらは、多孔質であるため、小分子および他の一本鎖核酸ならびに制限酵素およびポリメラーゼは、超分子保存ブロックにアセンブルされた場合でも、これらの保存ブロックを拡散することができる、4)これらは、中程度のイオン強度下で安定的にフォールディングされたままである、5)対合していない一本鎖DNAが、それ自体および部分的な塩基相補性を有する他の鎖と非特異的に会合するのとは異なり、これらのDNAナノ構造オリガミは、一本鎖DNAを、生化学的精製および輸送を実践的なものにする、強固に会合した安定な形態で封じ込める。
【0226】
ii.NSOの幾何学的形状
NSOは任意の幾何学的形状の核酸アセンブリーである。NSOは、プレートなどの二次元形状であってもよく、任意のサイズおよび形状の任意の他の2-D形状であってもよい。一部の形態では、NSOは単純なDX-タイルであり、2つのDNA二重鎖がステープルによって接続されている。DNAダブルクロスオーバー(DX)モチーフは、2D結晶を生成するようにプログラムされた小さなタイル(約4nm×約16nm)の例であり(Winfree E et al., Nature.394:539-544(1998))、多くの場合、これらのタイルは、2つ以上のタイルが結晶学的反復を構成する場合、パターン形成特徴を含有する。一部の形態では、NSOは各接続部位に粘着性末端を有する平行な二重らせんドメインによる2-D結晶アレイである(Winfree E et al., Nature. 6;394(6693):539-44 (1998))。一部の形態では、NSOは平行な二重らせんドメインによる2-D結晶アレイであり、クロスオーバーによって一緒に保持されている(Rothemund PWK et al., PLoS Biol. 2:2041-2053 (2004))。一部の形態では、NSOは、らせん軸が直交する方向に伝播するオリガミタイルによる2-D結晶アレイである(Yan H et al., Science.301:1882-1884 (2003))。
【0227】
一部の形態では、NSOは、面として正多角形を有し、かつ等角である一様多面体のワイヤーフレーム核酸(例えば、DNA)アセンブリーである。一部の形態では、NSOは、面として不等多角形を有する不規則な多面体のワイヤーフレーム核酸(例えば、DNA)アセンブリーである。一部の形態では、NSOは凸多面体のワイヤーフレーム核酸アセンブリーである。さらに一部の形態では、NSOは凹多面体のワイヤーフレーム核酸アセンブリーである。一部のさらなる形態では、NSOは、立方体、ロッド状、リボン状、または他の直線様幾何学の核酸二重鎖のレンガ状正方形またはハニカム格子である。これらの構造の波形端は、非特異的な塩基スタッキングによって自己アセンブルできる相補的な形状を形成するために使用される。NSOの一部の例示的な超構造には、プラトン型、アルキメデス型、ジョンソン型、カタロニア型、および他の多面体型が含まれる。一部の形態では、プラトン型多面体は、複数の面、例えば、4面(4面体)、6面(立方体または6面体)、8面(8面体)、12面(12面体)、20面(20面体)を有する。一部の形態では、NSOは、トロイダル多面体および穴のあいた他の幾何学のものである。一部の形態では、NSOは、任意の幾何学的形状のワイヤーフレーム核酸アセンブリーである。一部の形態では、NSOは、非球形トポロジーのワイヤーフレーム核酸アセンブリーである。いくつかの例示的なトポロジーには、入れ子の立方体、入れ子の八面体、トーラス、および二重トーラスが含まれる。
【0228】
好ましい形態では、NSO上の配列制御ポリマーに関連付けられるタグのセットが選択され、次いで、ユーザーが選択した変換方法を使用して、核酸(DNAまたはロックド核酸またはRNAなど)配列にコードされる。一部の形態では、文字列、整数、日付、事象、ジャンル、メタデータ、参加者、または著者を含むがこれらに限定されないものからの直接変換のメカニズムも含まれる。さらなる形態では、これは、ユーザーがアドレスの外部ライブラリーを保持することで、配列を直接選択することをさらに含む。
【0229】
B.配列制御ポリマーの封入
一本鎖および/もしくは二本鎖のDNA、または任意の他の配列制御ポリマーを封入してSSOを生成することができる。これらの封入された酸性配列制御ポリマー単位は、物理的選択および操作のために、1つまたは複数の表面ベースの分子識別子(特徴タグ)を有することもできる。典型的には、封入された酸性配列制御ポリマー単位は、可逆性およびインタクトな封入された配列制御ポリマーの回収のために設計され、よって、配列制御ポリマーのシーケンシングおよびリードアウトを可能にする。
【0230】
封入された保存対象物は、典型的には、コーティングの外側に連結された1つまたは複数の特徴タグを含む。特徴タグは直接的または間接的であり得る。特徴タグで機能化された粒子はプールされ、下流の対象物選択およびポリマー回収のために保存される。さらなる形態では、SSO含有粒子の表面上の特徴タグは、対象物プールから所望の対象物を単離するために、相補鎖を使用して対象物を選択するために使用される。SSOは、緩衝酸化物エッチングを使用して粒子から放出される。次いで、SSOは解読とリードアウトのために処理され得る。
【0231】
1.封入される配列制御ポリマー
封入される配列制御ポリマーは、直鎖状または分岐状のポリペプチド、直鎖状または分岐状の炭水化物、タンパク質、グリコシル化ポリペプチド、直鎖状核酸配列、二次元核酸対象物または三次元核酸対象物などの任意の形態をとることができる。一部の形態では、直鎖状核酸は塩基対合した二本鎖である。他の形態では、直鎖状核酸は、長い連続的な一本鎖核酸ポリマーまたは多数のこのようなポリマーを含む。さらなる形態では、同一粒子内に封入される配列制御ポリマーは、直鎖状、または非直鎖状の一本鎖または二本鎖核酸分子、ポリペプチド、炭水化物、タンパク質、またはグリコシル化ポリペプチドのいずれか1つまたは複数の混合物である。例えば、一部の形態では、1つまたは複数の一本鎖核酸および1つまたは複数の足場型核酸ナノ構造が同じ粒子内に封入されている。
【0232】
2.封入剤
一部の形態では、配列制御ポリマーは、封入によって離散的SSOにパッケージングされる。例えば、一部の形態では、核酸は封入によって離散的NSOにパッケージングされる。好適な封入剤としては、ゲルベースのビーズ、タンパク質ウイルスパッケージ、ミセル、無機化構造、シリコン処理された構造、またはポリマーパッケージングが挙げられる。
【0233】
一部の形態では、封入剤はウイルスキャプシド、またはその機能部分、誘導体および/もしくは類似体である。一部の形態では、NSOはウイルス様粒子であり、核酸内容物が表面のタンパク質内容物に包まれている。ウイルスキャプシドは、レトロウイルス、ヒトパピローマウイルス、M13ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、例えばアデノウイルス16に由来し得る。好ましい形態では、NSOの封入に使用されるウイルスキャプシドは、オーバーハングタグと干渉せず、すなわち、オーバーハングタグは、精製のためにアクセス可能である。
【0234】
一部の形態では、封入剤は、核酸を取り囲むミセル、またはリポソームを形成する脂質である。一部の形態では、ミセル、またはリポソームは、生理的pHで中性、アニオン性またはカチオン性であり得る1つまたは複数の脂質から形成される。好適な中性およびアニオン性脂質としては、ステロールおよび脂質、例えば、コレステロール、リン脂質、リゾ脂質、リゾリン脂質、スフィンゴ脂質またはPEG化脂質が挙げられるが、これらに限定されない。中性およびアニオン性脂質としては、以下に限定されないが、1,2-ジアシル-グリセロ-3-ホスホコリン;ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール(PI)などのホスファチジルコリン(PC)(卵PC、ダイズPCなど);糖脂質;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質およびセラミドガラクトピラノシド、ガングリオシドおよびセレブロシドなどのスフィンゴ糖脂質(1-セラミジルグルコシドとしても知られる);脂肪酸、カルボン酸基を含有するステロール、例えばコレステロール;1,2-ジオレイルホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジヘキサデシルホスホエタノールアミン(DHPE)、1,2-ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、および1,2-ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)を含むがこれらに限定されない1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンが挙げられるがこれらに限定されない。脂質は、脂質の様々な天然(例えば、組織由来のL-α-ホスファチジル:卵黄、心臓、脳、肝臓、ダイズ)および/または合成(例えば、飽和および不飽和の1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-アシル-2-アシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジヘプタノイル-SN-グリセロ-3-ホスホコリン)誘導体も含み得る。
【0235】
ミセル、またはリポソーム中の好適なカチオン性脂質としては、以下に限定されないが、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩が挙げられ、TAP脂質、例えばメチル硫酸塩も参照される。好適なTAP脂質としては、DOTAP(ジオレオイル-)、DMTAP(ジミリストイル-)、DPTAP(ジパルミトイル-)、およびDSTAP(ジステアロイル-)が挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム中の好適なカチオン性脂質としては、以下に限定されないが、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジアシルオキシ-3-トリメチルアンモニウムプロパン、N-[1-(2,3-ジオロイルオキシ)プロピル]-Ν,Ν-ジメチルアミン(DODAP)、1,2-ジアシルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1,2-ジアルキルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3-[N-(N’,N’-ジメチルアミノ-エタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol);2,3-ジオレオイルオキシ-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)-エチル)-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロ-アセテート(DOSPA)、β-アラニルコレステロール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ジC14-アミジン、N-フェルフ-ブチル-N’-テトラデシル-3-テトラデシルアミノ-プロピオンアミジン、N-(アルファ-トリメチルアンモニオアセチル)ジドデシル-D-グルタミン酸クロリド(TMAG)、ジテトラデカノイル-N-(トリメチルアンモニオ-アセチル)ジエタノールアミンクロリド、1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピルアミド(DOSPER)、およびN,N,N’,N’-テトラメチル-,N’-ビス(2-ヒドロキシルエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウムヨージドが挙げられる。一形態では、カチオン性脂質は、1-[2-(アシルオキシ)エチル]2-アルキル(アルケニル)-3-(2-ヒドロキシエチル)-イミダゾリニウムクロリド誘導体であり得、例えば1-[2-(9(Z)-オクタデセノイルオキシ)エチル]-2-(8(Z)-ヘプタデセニル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、および1-[2-(ヘキサデカノイルオキシ)エチル]-2-ペンタデシル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DPTIM)であり得る。一形態では、カチオン性脂質は、第四級アミン上にヒドロキシアルキル部分を含有する2,3-ジアルキルオキシプロピル第四級アンモニウム化合物誘導体、例えば、1,2-ジオレイル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド(DORIE-HP)、1,2-ジオレイル-オキシ-プロピル-3-ジメチル-ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド(DORIE-HB)、1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシペンチルアンモニウムブロミド(DORIE-Hpe)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシルエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2-ジパルミチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DPRIE)、および1,2-ジステリルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DSRIE)であり得る。
【0236】
脂質は、2つ以上の脂質の組合せから形成されてもよく、例えば、荷電脂質は、生理的pHで非イオン性または非荷電性の脂質と組み合わされてもよい。非イオン性脂質としては、以下に限定されないが、コレステロールおよびDOPE(1,2-ジオレオイルグリセリルホスファチジルエタノールアミン)が挙げられる。
【0237】
一部の形態では、封入剤は天然または合成のポリマーである。代表的な天然ポリマーは、ゼイン、血清アルブミン、ゼラチン、コラーゲンなどのタンパク質、およびセルロース、デキストラン、およびアルギン酸などの多糖類である。代表的な合成ポリマーとしては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、ポリ[ラクチド-コ-グリコリド]、ポリ無水物、ポリオルトエステルブレンドおよびこれらのコポリマーが挙げられる。これらのポリマーの具体例としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロースサルフェート、ポリ(メチルメタクリレート)、(ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレンおよびポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ[ラクチド-コ-グリコリド]、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(フマル酸)、およびポリ(マレイン酸)が挙げられる。
【0238】
一部の形態では、封入剤は無機化される(例えばアルギネートビーズ、または多糖類のリン酸カルシウムによる無機化)。他の形態では、封入剤はシリコン処理されている。一形態では、核酸は、無機構造でパッケージングされているが、その表面には、他のNSOとの会合、またはブール論理による選択に使用されるアドレスとして機能する一本鎖核酸を有する。
【0239】
一部の形態では、封入剤は金属酸化物粒子である。例示的な金属酸化物封入剤としては、二酸化ケイ素(SiO)、および二酸化チタン(TiO)が挙げられ、メソポーラスであるか、コンパクトであるか、または構造化されている可能性がある。一部の形態では、DNAは修飾された金属酸化物粒子の表面に吸着され、次いで、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド-コ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、およびポリ(アリルアミンヒドロクロリド)などのポリマー電解質でコーティングされる。
【0240】
3.特徴タグ
一部の形態では、特徴タグは封入された保存対象物上に直接合成される。一形態では、9-O-ジメトキシトリチル(DMT)-トリエチレングリコール、1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイトで表面をコーティングしたNSO含有粒子である。DNA合成機を使用して特徴タグを生成する場合、修飾シリカ粒子をDNA合成機の固相支持体として直接使用する。他の形態では、特徴タグは別々に合成され、化学的コンジュゲーションを用いてNSO含有粒子の表面に付着させる。例えば、一部の形態では、特徴タグは、保存対象物にコンジュゲートされ、ここで、コンジュゲーション化学は、ビオチン-アビジン認識対、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)カップリング、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)カップリング、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)に媒介されるカップリング、スルホ-SMCCカップリング、銅触媒アジド-アルキン環化付加(CuAAC)、歪み促進アジド-アルキン環化付加(SPAAC)、またはこれらの組合せを含む。特徴タグで機能化された粒子はプールされ、下流の対象物選択およびポリマー回収のために保存される。さらなる形態では、SSO含有シリカ粒子の表面上の特徴タグは、対象物プールから所望のデータを単離するために、相補鎖を使用して対象物を選択するために使用される。SSOは、緩衝酸化物エッチングを使用してシリカ粒子から放出される。次いで、SSOは解読とリードアウトのために処理され得る。
【0241】
核酸オーバーハングに加えて、他の精製タグを、精製(すなわち、対象物の回収)のために任意のSSOのオーバーハング核酸配列に組み込むことができる。一部の形態では、オーバーハングは1つまたは複数の精製タグを含有する。一部の形態では、オーバーハングは親和性精製のための精製タグを含有する。一部の形態では、オーバーハングは、核酸、非核酸分子へのコンジュゲーションのための1つまたは複数の部位を含有する。例えば、オーバーハングタグは、例えば、SSOの親和性結合を可能にするために、タンパク質、または非タンパク質分子にコンジュゲートされ得る。オーバーハングタグにコンジュゲートするための例示的なタンパク質としては、ビオチンおよび抗体、または抗体の抗原結合性断片が挙げられる。抗体でタグ付けされたSSOの精製は、例えば、抗原、およびまたはプロテインA、G、A/GまたはLとの相互作用によって達成され得る。
【0242】
さらに例示的な親和性タグは、ペプチド、核酸、脂質、糖類、または多糖類である。例えば、オーバーハングは、マンノース分子などの糖類を含有し、次いで、マンノース結合レクチンを使用して、マンノース含有SSOを選択的に回収することができ、逆もまた同様である。他のオーバーハングタグは、他の親和性タグとの相互作用をさらに可能にし、例えば、磁性粒子との任意の特異的相互作用により、磁気的相互作用による精製が可能になる。
【0243】
4.核酸オーバーハングタグ
一部の形態では、オーバーハング配列は、ユーザーの好みおよび下流の精製技法に依存して、4~60ヌクレオチドの間である。好ましい形態では、オーバーハング配列は4~25ヌクレオチドの間である。一部の形態では、オーバーハング配列は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長を含有する。
【0244】
一部の形態では、これらのオーバーハングタグ配列は、ワイヤーフレーム核酸を生成するために使用されるステープルのいずれかの5’末端に配置される。他の形態では、これらのオーバーハングタグ配列は、ワイヤーフレーム核酸を生成するために使用されるステープルのいずれかの3’末端に配置される。
【0245】
一部の形態では、オーバーハングタグ配列は、足場型核酸、または封入核酸のメタデータを含有する。例えば、オーバーハングタグ配列は、特定の配列制御ポリマーの位置を特定するためのアドレスを有する。一部のさらなる形態では、各オーバーハングタグは、アドレスなどの複数の機能的エレメント、および他のオーバーハングタグ配列、または架橋鎖にハイブリダイズするための領域を含有する。これらのタグ配列は、ユーザーに規定された位置でステープル配列に付加され、タグのないステープル鎖は、その後、任意の公知の方法を使用して個々に、またはプールとして直接合成される。
【0246】
5.ヌクレオチドへの修飾
一部の形態では、SSOの特徴タグのヌクレオチドのうちの1つまたは複数は修飾ヌクレオチドである。一部の形態では、NSOの足場型核酸配列のヌクレオチドのうちの1つまたは複数は修飾ヌクレオチドである。一部の形態では、NSOの封入核酸配列のヌクレオチドは修飾されている。一部の形態では、核酸ステープル配列のヌクレオチドのうちの1つまたは複数は修飾ヌクレオチドである。一部の形態では、DNAタグ配列のヌクレオチドは、SSOに関連するアドレスのさらなる多様化のために修飾される。修飾ヌクレオチドの例としては、以下に限定されないが、ジアミノプリン、ST、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、および(acp3)w,2,6-ジアミノプリンが挙げられる。核酸分子は、塩基部分(例えば、典型的には、相補的なヌクレオチドと水素結合を形成するために利用可能である1つもしくは複数の原子、および/または典型的には、相補的なヌクレオチドと水素結合を形成することができない1つもしくは複数の原子)、糖部分またはリン酸骨格で修飾されてもよい。核酸分子は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするために、アミノアリル-dUTP(aa-dUTP)およびアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基も含有し得る。
【0247】
ロックド核酸(LNA)は、コンフォメーション的にロックされたヌクレオチド類似体のファミリーであり、他の利点の中でも、DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドに真に前例のない親和性および非常に高いヌクレアーゼ耐性を付与する(Wahlestedt C, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 975633-5638 (2000);Braasch, DA, et al., Chem. Biol. 81-7 (2001);Kurreck J, et al., Nucleic acids Res. 301911-1918 (2002))。一部の形態では、足場型DNAは、合成RNA様高親和性ヌクレオチドアナログ、ロックド核酸である。一部の形態では、ステープル鎖は合成ロックド核酸である。
【0248】
ペプチド核酸(PNA)は、天然核酸の糖リン酸骨格を、通常N-(2-アミノ-エチル)-グリシン単位から形成される合成ペプチド骨格に置き換えた核酸類似体であり、アキラルで荷電していない模倣体をもたらす(Nielsen, et al., Science 254, 1497-1500 (1991))。これは化学的に安定であり、加水分解による(酵素的)切断に対して耐性である。一部の形態では、足場型DNAはPNAである。一部の形態では、ステープル鎖はPNAである。
【0249】
一部の形態では、PNA、DNA、および/またはLNAの組合せがNSOの核酸に使用される。他の形態では、PNA、DNA、および/またはLNAの組合せは、ステープル鎖、オーバーハング配列、またはSSOの任意の核酸構成成分に使用される。
【0250】
V.デバイス、データ構造およびコンピュータ制御
記載された方法において使用されるか、またはそれによって作成されたか、またはそれから作成されたデータ構造が記載されている。データ構造とは、一般に、組成物または媒体に収集、組織化、保存、および/または具現化されたデータ、情報、および/または対象物の任意の形態である。例えば、特定の配列タグで標識された核酸ナノ構造に関連するヌクレオチド配列、またはRAMもしくは保存ディスク上などの電子的形態で保存された配列のセットは、データ構造の一種である。記載された方法、またはそのいずれか一部もしくはそのための準備は、コンピュータ制御によって制御、管理、または他の方法で支援され得る。このようなコンピュータ制御は、コンピュータ制御プロセスまたは方法によって達成することができ、データ構造を使用および/または生成することができ、コンピュータプログラムを使用することができる。このようなコンピュータ制御、コンピュータ制御プロセス、データ構造、およびコンピュータプログラムは、本明細書に記載されることが企図され、理解されるべきである。
【0251】
分子データの保存および計算に向けた方法および一般的アプローチは、コンピュータベースのシステムを使用して行われ得る。一部の形態では、方法ステップの1つまたはすべては、コンピュータへの入力に続いて行われる。例えば、コードされるデータは、コンピュータからの任意のデジタルファイルおよびフォルダを含むことができる。デジタルファイルはコード化される、および/または分子保存コードに変換される(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、ポリマー、原子、表面)。このコードは、データの保存に使用される物理的な保存ブロックに書き込まれる。保存されたデータは、保存ブロックを識別するためのアドレスコードのセットと関連付けられる。一部の形態では、保存ブロックのアセンブリーは、例えばコンピュータによって制御されるような、1つまたは複数の自動化されたプロセスによって実行される。(物理的タグ、静電特性または磁気特性、化学特性、または光学特性を含む、その後の読み取り、操作、選択、および計算に使用できるように)保存ブロックに付されたアドレスは、コンピュータに書き込まれた1つまたは複数のデータベースまたはファイルに記録される。一部の形態では、保存および計算のための他の保存ブロックのプール内にアドレスを有する保存ブロックを物理的に配置することは、例えば、コンピュータによって制御されるように、1つまたは複数の自動化されたプロセスを通じて実施することができる。一部の形態では、物理的特性に基づく物理的分離、選択基準を満たすいくつかの保存ブロックと満たさない保存ブロック、および選別が、例えばコンピュータによって制御されるような1つまたは複数の自動化されたプロセスを通じて実施される。この選択基準および他の選択基準の多くのサイクルは、例えば、並列または直列に行われるように、自動化または中央制御することができる。これらのタグに関する選択および計算は、コンピュータによって記録された1つまたは複数のファイルまたはデータベースに記録される。一部の形態では、プールから目的の選択された保存ブロック(複数可)の物理的な精製および単離は、例えば、コンピュータによって制御されるように、1つまたは複数の自動化プロセスを通じて実施される。一部の形態では、選別された保存ブロックは、プールからのデータの自動回収を可能にするために、1つまたは複数の自動化されたか、または中央制御されたプロセスによって読み出され、デジタルフォーマットに解読される。
【0252】
A.デバイス
一部の形態では、1つまたは複数の装置が一緒に接続され、1つのシステムとして、装置を通る連続的または断続的なフローを促進する。一部の形態では、構成部品からの保存対象物のアセンブリーは、自動化されたデバイス、またはシステムを生成するために組み合わされる複数の相互接続されたデバイスを用いて実施される。例示的なデバイスまたはシステムは、マイクロ流体デバイスまたはシステムである。一部の形態では、配列制御ポリマーと1つまたは複数の特徴タグ、および必要に応じて、1つまたは複数の封入剤との混合は、マイクロ流体システムで実施される。
【0253】
マイクロフルイディクスは、従来の2相液滴の形態でも、誘電体上のエレクトロウェッティング(EWOD)の形態(Nelson and Kim, Journal of Adhesion Science and Technology, 26 1747-1771 (2012))でも使用することができ、計算もしくは処理または保存/回収のために、先行する保存対象物の特定のプールを組み合わせるか、分離するか、そうでなければ操作することができる。
【0254】
一部の形態では、自動化されたシステムを使用して、保存対象物の保存および回収または計算が行われる。
【0255】
保存のリードアウトは、DNA/RNAの場合はオンチップナノポアベースの単一分子シーケンシング、または光学的アプローチの場合はPCRベースの増幅およびシーケンシング、またはナノ粒子の情報内容または分子組成を読み出すために分子またはナノ粒子の電荷、サイズ、質量などを利用する質量分析を含む他の分析化学的アプローチのいずれかを使用して実施することができ、使用される親和性または他の特異的認識タグもこのワークフローに適用可能である。核酸保存対象物のアセンブリーのための記載された方法は、単一のデバイス内で実施することができる。例えば、一部の形態では、核酸保存対象物のアセンブリーは、以下のうちの1つまたは複数を含むデバイスを使用して達成される:
(a)例えば、外部供給源からの核酸保存対象物の1つまたは複数の構成成分の流入を促進するための入口、
(b)構成成分を混合するための装置、例えば、ボルテックス、シェーカー、撹拌棒、乱流コイルなど、
(c)構成成分をアニーリングしてアセンブルされた核酸保存対象物を形成するための装置、例えば制御可能な熱源、PCR機器など、および
(d)例えば、親和性クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、濾過などによって、アセンブルされた核酸保存対象物を精製するための装置。
【0256】
開示された組成物および方法は、以下の番号の段落を通してさらに理解することができる。
1.
(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(b)複数の異なる特徴タグ
を含む配列制御保存対象物であって、
特徴タグが、配列制御保存対象物の表面に存在し、
各異なる特徴タグが、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応し、
各異なる特徴タグが対応する単一の特徴が、配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数の異なるものに起因する特徴であり、
複数の異なる特徴タグが、複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応し、
異なる特徴タグのそれぞれが、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、配列制御保存対象物。
【0257】
2. 複数の異なる特徴タグのそれぞれが、特徴タグの異なるセットのメンバーであり、特徴タグの各セットが、関連する特徴のセットに対応する、段落1に記載の配列制御保存対象物。
【0258】
3. 特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーが、類似性コード化特徴タグである、段落2に記載の配列制御保存対象物。
【0259】
4. セット内の特徴タグの相対的ハイブリダイゼーション性が、セット内の特徴タグが対応する特徴の類似性に関係し、より類似性の高い特徴に対応するセット内の特徴タグが、より類似性の低い特徴に対応するセット内の特徴タグよりも、より緊密な相対的ハイブリダイゼーション性を有する、段落2に記載の配列制御保存対象物。
【0260】
5. 特徴タグのセットの類似性コード化特徴タグが、特徴タグが対応する特徴を特徴の類似性に基づいてn次元超立方体にマッピングすることによって類似性コード化され、nが、特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、nが、特徴タグが対応する特徴の数の因数である、段落3または4に記載の配列制御保存対象物。
【0261】
6. 特徴タグが対応する特徴をマッピングする前に、特徴タグが対応する特徴の次元数が削減され、次元数が削減された特徴が、次元数が削減された特徴の類似性に基づいて超立方体にマッピングされる、段落5に記載の配列制御保存対象物。
【0262】
7. 特徴タグのセットの類似性コード化特徴タグが、(a)特徴タグが対応する特徴の次元数が削減され、(b)次元数が削減された特徴の類似性に基づいて、次元数が削減された特徴をn次元超立方体にマッピングすることによって類似性コード化され、nが、特徴タグが対応する特徴の数より小さいかまたはそれに等しい整数であり、nが、特徴タグが対応する特徴の数の因数である、段落3または4に記載の配列制御保存対象物。
【0263】
8. マッピングされた特徴のうちの任意の2つがマッピングされるノード間の超立方体のエッジの数が、2つの特徴の類似性に比例する、段落5から7のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0264】
9. 特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーがハイブリダイゼーションを規定されており、特徴タグのセットの少なくとも1つのメンバーが同じ数のヌクレオチドを有する、段落2から8のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0265】
10. 特徴タグのセットの少なくとも1つにおいて、(a)特徴タグのセットのメンバーが同じ数のヌクレオチドを有し、(b)セット内の特徴タグのそれぞれが、セット内の1つまたは2つの他の特徴タグと1~x個のミスマッチヌクレオチドだけ異なり、ミスマッチヌクレオチドが、(i)特徴タグのいずれかの端から少なくとも2ヌクレオチドであり、(ii)特徴タグ中の少なくとも1つのマッチするヌクレオチドによって分離されており、xが、セット内で変化する特徴タグ中の異なるヌクレオチド位置の数である、段落2から8のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0266】
11. 特徴タグのセットの少なくとも1つの1つまたは複数のセットについて独立して、セット内の各特徴タグが、セット内のすべての他の特徴タグと1~wヌクレオチドだけミスマッチしており、wが、2~(y-4)÷2の整数であり、yが、セット内の特徴タグのヌクレオチドの数であり、式(y-4)÷2が切り上げられる、段落9または10に記載の配列制御保存対象物。
【0267】
12. 複数の異なるディジットタグをさらに含み、ディジットタグが保存対象物の表面に存在し、ディジットタグが数をコードしている、段落1から11のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0268】
13. 複数の異なるディジットタグをさらに含み、
ディジットタグが、保存対象物の表面に存在し、
複数の異なるディジットタグのそれぞれが、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数が、複数ディジットの数の位の数に等しく、
複数の異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、ディジットタグの各セットが、複数ディジットの数の異なる位に対応し、
ディジットタグの各セットが、ディジットタグのセットが対応する複数ディジットの数の位の可能なディジット値のそれぞれに対応するディジット値を有し、
異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグのセットのすべてにおいて他の異なるディジットタグのすべてとハイブリダイズ可能に区別でき、異なるディジットタグのそれぞれが、異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、段落1から11のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0269】
14.
(a)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(b)複数の異なるディジットタグであって、
保存対象物の表面に存在する、ディジットタグ、
を含む配列制御保存対象物であって、
複数の異なるディジットタグのそれぞれが、複数ディジットの数の異なる位のディジット値に対応し、保存対象物に含まれる異なるディジットタグの数が、複数ディジットの数の位の数に等しく、
複数の異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグの異なるセットのメンバーであり、ディジットタグの各セットが、複数ディジットの数の異なる位に対応し、
ディジットタグの各セットが、ディジットタグのセットが対応する複数ディジットの数の位の可能なディジット値のそれぞれに対応し、
異なるディジットタグのそれぞれが、ディジットタグのセットのすべてにおいて他の異なるディジットタグすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、配列制御保存対象物。
【0270】
15. 複数ディジットの数が、異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する特徴に対応する、段落14に記載の配列制御保存対象物。
【0271】
16. 異なる配列制御ポリマーの1つまたは複数に起因する特徴が、関連する特徴のセットのメンバーであり、関連する特徴のセットのメンバーのそれぞれが、異なる数値を有するか、またはそれに関連付けることができ、異なる数値が、関連する特徴のセット内の他の特徴に対する所与の特徴のレベルまたは強度に対応し、複数ディジットの数が、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴の数値の所与のディジット数に等しいか、それに比例するか、またはそれと同じである、段落15に記載の配列制御保存対象物。
【0272】
17. 関連する特徴のセットのメンバーが有するかまたは関連し得る数値の差が、関連する特徴のセットにおける特徴の類似性に比例する、段落16に記載の配列制御保存対象物。
【0273】
18. 複数ディジットの数が対応する異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴に、複数ディジットの数が任意に割り当てられる、段落15に記載の配列制御保存対象物。
【0274】
19. 複数ディジットの数が、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する特徴の数値の、その数値の最上位のディジットから始まる所与のディジット数と同じである、段落15から18のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0275】
20. ディジットタグの各セットが、複数ディジットの数が表現される数学的基数と同じ数のメンバーを有する、段落14から19のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0276】
21. 1つまたは複数の封入剤をさらに含み、
封入剤が、配列制御ポリマーをコーティングまたは封入し、封入試薬が、化学的または機械的処理によって可逆的に除去され得る、段落1から20のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0277】
22. 特徴タグが、封入剤の1つまたは複数に含まれる、段落21に記載の配列制御保存対象物。
【0278】
23. 1つまたは複数の封入剤が、天然ポリマーおよび合成ポリマー、またはこれらの組合せを含む群から選択される、段落21または22に記載の配列制御保存対象物。
【0279】
24. 1つまたは複数の封入剤が、タンパク質、多糖類、脂質、核酸、無機配位ポリマー、金属-有機フレームワーク、共有結合有機フレームワーク、無機配位ケージ、共有結合有機配位ケージ、エラストマー、熱可塑性プラスチック、合成繊維、またはそれらの任意の誘導体を含む群から選択される、段落21から23のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0280】
25. 配列制御ポリマーの少なくとも1つが一本鎖核酸であり、
核酸が、構造の各エッジにまたがる逆平行または平行クロスオーバーのいずれかによって接合される2つの核酸ヘリックスを含む三次元多面体ナノ構造にフォールディングされ、
三次元多面体構造が、ビットストリームデータを含む一本鎖核酸にハイブリダイズした一本鎖核酸ステープル配列から形成され、
ビットストリームデータを含む一本鎖核酸が、多面体構造の頂点と線によって規定されるネットワークのオイラーサイクルを通してルーティングされ、
ナノ構造が、二本鎖または一本鎖のクロスオーバーを含む少なくとも1つのエッジを含み、
二本鎖のクロスオーバーの位置が、多面体構造のスパニングツリーによって決定され、
ステープル配列が、ナノ構造の形状を規定するためにビットストリームデータを含む一本鎖核酸の頂点、エッジおよび二本鎖クロスオーバーにハイブリダイズされ、
ステープル配列のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む、段落1から24のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0281】
26. ステープル鎖が、14~1,000ヌクレオチド(両端の値を含む)を含む、段落25に記載の配列制御保存対象物。
【0282】
27. 一本鎖核酸が、およそ100~1,000,000ヌクレオチド(両端の値を含む)を含む、段落25に記載の配列制御保存対象物。
【0283】
28. 1つまたは複数のステープル鎖が、5’末端、3’末端、または5’末端と3’末端の両方に、1つまたは複数の特徴タグ配列を含む、段落25から27のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0284】
29. 1つまたは複数の特徴タグ配列が、1つまたは複数のオーバーハングオリゴヌクレオチド配列を含む、段落28に記載の配列制御保存対象物。
【0285】
30. 1つまたは複数の特徴タグ配列が、異なる配列制御保存対象物に結合した1つまたは複数の特徴タグ配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む、段落28または29に記載の配列制御保存対象物。
【0286】
31. 結合した1つまたは複数の追加の配列制御保存対象物をさらに含む、段落28から30のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物。
【0287】
32. 所望の配列制御ポリマーを配列制御保存対象物として保存する方法であって、
(a)
(i)1つまたは複数の異なる配列制御ポリマー、および
(ii)複数の異なる特徴タグ、および
(iii)必要に応じて、1つまたは複数の封入剤
から配列制御保存対象物をアセンブルするステップであって、
特徴タグが、配列制御保存対象物の表面に存在し、
各異なる特徴タグが、異なる配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数に起因する単一の特徴に対応し、
各異なる特徴タグが対応する単一の特徴が、配列制御ポリマーのうちの1つまたは複数の異なるものに起因する特徴であり、
複数の異なる特徴タグが、複数の異なる配列制御ポリマーに集合的に起因する複数の特徴に集合的に対応し、
異なる特徴タグのそれぞれが、他の異なる特徴タグのすべてとハイブリダイズ可能に区別できる、ステップと、
(b)配列制御保存対象物を保存するステップと
を含む方法。
【0288】
33.
(c)所望の配列制御ポリマーを回収するステップをさらに含む、段落32に記載の方法。
【0289】
34. ステップ(c)において所望の配列制御ポリマーを回収するステップが、配列制御保存対象物のプールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を単離することを含む、段落33に記載の方法。
【0290】
35. 選択が、配列制御保存対象物上の1つまたは複数の特徴タグの配列、配列制御保存対象物の形状、配列制御保存対象物に結合した官能基への親和性、またはこれらの組合せによって決定される、段落34に記載の方法。
【0291】
36. 1つまたは複数の異なる特徴タグを付加することによって、単離された配列制御保存対象物を修飾するステップをさらに含む、段落35に記載の方法。
【0292】
37. 1つまたは複数の異なる特徴タグの付加が、異なる特徴タグを含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドで、配列制御保存対象物をリフォールディング、または再組織化することを含む、段落36に記載の方法。
【0293】
38. 1つまたは複数の配列制御保存対象物が、ブール論理を使用して配列制御保存対象物のプールから単離される、段落37に記載の方法。
【0294】
39. ブールNOT論理を使用して、対象物プールから1つまたは複数の配列制御保存対象物を削除する、段落38に記載の方法。
【0295】
40.
(f)所望の配列制御ポリマーにアクセスするステップをさらに含む、段落32から39のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
41. ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップが、配列制御保存対象物を脱水すること、凍結乾燥すること、または凍結することのうちの1つまたは複数をさらに含む、段落32から40のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
42. ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップが、処理のために配列制御保存対象物を再湿潤化させることまたは解凍することのうちの1つまたは複数をさらに含む、段落41に記載の方法。
【0298】
43. 配列制御保存対象物を保存するステップが、セルロース、紙、マイクロフルイディクス、バルク3D溶液、電気力を使用する表面上、磁力を使用する表面上、無機塩または有機塩に封入されたもの、およびこれらの組合せを含む群から選択されるマトリックス中の保存を含む、段落32から42のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
44. ステップ(b)の配列制御保存対象物を保存するステップが、配列制御保存対象物を含有する液滴をデジタル的に処理することをさらに含む、段落32から43のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
45. 段落1から31のいずれか1つに記載の配列制御保存対象物のアセンブリーを自動化する方法であって、フローを有するデバイスを使用することを含み、デバイスが、
(a)配列制御保存対象物の構成成分をフローに加えるための手段、
(b)構成成分を混合するための手段であって、
混合するための手段が、フローに加えるための手段に作動可能に接続されている、手段、
(c)構成成分をアニーリングして、アセンブルされた配列制御保存対象物を形成するための手段であって、
アニーリングするための手段が、混合するための手段に作動可能に接続されている、手段、および
(d)アセンブルされた配列制御保存対象物を精製するための手段であって、
精製するための手段が、アニーリングするための手段に作動可能に接続されている、手段
を含む、方法。
【0301】
46.
(e)配列制御対象物を保存する封入剤を導入するための手段、
(f)配列制御ポリマーに起因する複数の特徴タグを導入するための手段、
(g)対象物プールから封入された配列制御対象物を選択するための手段であって、選択手段がブール論理を使用して実行可能である、手段、および
(h)配列制御保存対象物を回収するために封入剤を除去するための手段
をさらに含む、段落45に記載の方法。
【0302】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して、さらに理解されるであろう。
【実施例
【0303】
(実施例1)
試料収集、核酸抽出、核酸封入、核酸保存および回収のプロセスの概要を図22に示す。
【0304】
一例では、図23Aに示されているように、濃度100ngμL-1の10μLの体積のBos taurusの核酸を、900μLのヌクレアーゼを含まない水を含有するLoBind Eppendorfチューブに加える。次いで、10μLの体積の50mg mL-1のトリメチルアンモニウム修飾シリカ粒子を加え、チューブを数回ひっくり返して穏やかに混合する。その後、トリメチル-3-トリメトキシシリルクロリドおよびテトラエトキシシランを加え、サーマルミキサー上で室温で4日間混合する。封入完了の際に、混合物を遠心分離し、ペレットをエタノールで5回洗浄する。ペレットをボルテックスしながら900μLのエタノールに再懸濁させ、50μLの3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシランを加えた。混合物を室温で24時間サーマルミキサーで混合した。封入した核酸の表面修飾後、混合物を遠心分離し、ペレットをジメチルホルムアミドで5回洗浄した。ペレットをボルテックスしながら900μLのジメチルホルムアミドに再懸濁させ、10mg mL-1の2-アジド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル50μLを加えた。混合物を再び室温で24時間サーマルミキサーで混合した。アジド変換後、混合物を遠心分離し、ペレットをジメチルホルムアミドで5回洗浄した。ペレットをボルテックスしながら900μLのジメチルホルムアミドに再懸濁させ、100mg mL-1のジベンゾシクロオクチン-PEG13-NHSヒドロキシスクシンイミドエステル10μLを加えた。混合物を室温で4時間サーマルミキサーで混合した。PEG修飾後、混合物を遠心分離し、ペレットをジメチルホルムアミドで5回洗浄した。ペレットをボルテックスしながら200μLのジメチルホルムアミドに再懸濁させる。0.050Mのリン酸緩衝液および標識「Eukaryote」(AACGATTGTTATGCCCCTAACTCAG)(配列番号4)、「Animalia」(ATGGACGACTTGGGACGGGTATCAA)(配列番号5)、「Bos taurus」(TAATGTGGCTTGGCTCACCGCTAGG)(配列番号6)、「2021-01-05」(CGATGTAGTCATCCCGATGTGCTGG)(配列番号7)を割り当てた6μMの各アミン修飾バーコードを含む800μLの体積。混合物を再び室温で24時間サーマルミキサーで混合した。分子バーコード標識後、混合物を遠心分離し、ペレットを0.1%のTween(登録商標)-20を含む1×PBSで5回洗浄した。
【0305】
正確な封入およびバーコード化の手順を、追加試料について繰り返し、その後、封入されたすべての試料をプールし、分子ライブラリーを形成する(例えば、図23A~23Bを参照されたい)。分子データベースの照会は、下流の選別に使用される化学的または生化学的マーカーを含有するプローブの付加によって進行する。フッ化水素酸の添加により試料が放出される。スピンカラムを使用する脱塩により、余分な塩が除去され、試料は後続のシーケンシングまたは増幅反応への準備がここで整う。
【0306】
(実施例2)
別の例では、エマルションを使用して、合成ポリマーまたは生物学的ポリマーの代わりに試料を封入する。水溶性モノマーまたは架橋用ポリマーを含有し得る水性相の試料は、マイクロ流体またはミリ流体アプローチを使用して、界面活性剤を含有するオイル中で液滴にされる(図25A~24C)。重合反応および架橋反応は、すべてのモノマーが使い切られるまで行われる。エマルションは重合後に分解され、バーコードはポリマーの非終結末端を通してカプセルの表面に化学的/生化学的に貼り付けられる。
【0307】
一例として、2mMのCa2+と2%(w/w)の低粘度アルギネートを含有するヌクレアーゼを含まない水に溶解した100万コピーのSARS-CoV-2 RNAゲノムを、界面活性剤を含有するオイルが流されているT字路に接続されたチャネルに流した。メチレンブルーを水性相に添加し、液滴の形成をリアルタイムで可視化した(図25C)。
【0308】
(実施例3)
別の例では、試料の封入およびバーコード化は、多段階マイクロフルイディクスを使用して単一のステップで実施される(図25A~25B)。核酸を含有する水性相は、界面活性剤と水不溶性モノマー、架橋剤、および重合開始剤を含有するオイルに流す。液滴は、ポリマーの非終結末端に付着するための化学的/生化学的ハンドルで標識されたバーコードを含有する別の水性流体ストリームを通過する。反応は封入重合が終了するまで進行させる。
【0309】
(実施例4)
別の試料では、等温化学/生化学増幅法を使用して、封入された試料を溶液から選択することができる。トリガー配列を含有するか、または生化学的触媒または補因子で修飾されたプローブ鎖を、所望のバーコードを含む試料にハイブリダイズさせる。色素および化学的/生化学的親和性タグを含むがこれらに限定されない分子標識を増幅させ、提案されたシステムの選別効率を向上させる。
【0310】
(実施例5)
核酸保存対象物の超構造の設計
方法
相補的なオーバーハングによる超構造化を2つの四面体を使用して試験した。エッジの長さが63ヌクレオチドの四面体の同じエッジにある2つの異なるステープルニックの3’の一本鎖DNAオーバーハングを、M13ファージのゲノムDNAから増幅させた配列の足場とともに生成した。最初の四面体(tet-A)上の2つのオーバーハングに対して相補的な配列を作成し、足場もM13ゲノムDNAから増幅させた2番目の四面体(tet-B)の同じエッジ上に2つの異なるニックの3’の一本鎖DNAオーバーハングとして配置した。相補的なオーバーハングを有するこれら2つの構造を別々にフォールディングさせて精製し、次いで、プールして43℃~25℃まで2時間かけてゆっくりとアニーリングさせた。超構造化の検証は、2%のアガロース上でのゲルシフト移動度アッセイによって行い、SYBR Safe DNA染色を用いてUV光下で可視化させた。ゲルは定量的な二量体形成を示すシフトを示した。これと全く同じ手順が、エッジごとに相補的な鎖を使用することによるNSOの超構造化にも使用される。さらに、一連の4つの四面体を、1エッジ当たり2本のオーバーハングが2番目の四面体と相補的になるように構造化させ、その2番目の四面体は、そのエッジの反対側に、2番目の二量体セットに対して相補的な2本のオーバーハングの2番目のセットを有するようにした。こうして2つの四面体の二量体が互いにアニーリングし、四面体の四量体が形成された(図18B~18Dに示されている)。同じ足場配列を使用して、同じ足場の四面体セットを形成したが、4つの四面体がそれ自体に戻って閉じるような超構造への曲率を有する、異なるアドレスの四面体セットを形成した。このようにNSOは、露出したアドレスによって、細長い超構造にも、閉じた超構造にもアセンブルされ得る。
【0311】
結果
NSOの超構造化を実証するために、NSOをその頂点で、エッジに沿って、またはオーバーハングアドレス指定を使用してその面で一緒にさせた。例示的な四面体は、それぞれ単量体NSO、二量体NSO、および四量体NSOと比較して、超構造化を示すゲル移動度シフトアッセイによって、より大きな超構造で一緒になることが示された。拡張された4量体は、透過型電子顕微鏡によって決定されるように、相補性によってエッジに沿って一緒になるようにアドレス指定され、拡張された構成を示した。同じ四面体であるがアドレスが異なるものは、異なるコンパクトな構成を形成していることが観察された。
【0312】
(実施例6)
核酸保存対象物構造の紙での保存
方法
長期保持のための媒体として、NSOの紙上での保存を試験した。Whatman紙タイプ42をmmスケール(典型的には、2mm×5mm)にカットし、15μLの1×TAE+12mMのMgCl+1%のPEG 8000w/vで飽和させた。次いで、紙を乾燥剤の存在下で真空乾燥させた。その後、40nMのDNAナノ構造15μL(エッジ長63ヌクレオチドの四面体)を紙に加え、真空下で乾燥させた。室温で少なくとも14時間後、紙を別のチューブに移し、15μLのフォールディング緩衝液で洗浄し、遠心分離によって溶液を紙から分離した。ゲル移動度シフトアッセイにより、構造の安定性が示された。同様に、NSOは長期間保存することができ、必要に応じて再懸濁させることができる。
【0313】
結果
NSOを乾燥させ、NSOに曝露させる前に1%のポリエチレングリコール8000で前処理した紙に保存した。紙に移したNSOは後で再湿潤化され、ゲルシフトアッセイで示されるように、アセンブルされた形態で依然として存在していた。乾燥させたNSOを含有する例示的な紙タブを、1本のエッペンドルフチューブ内に保存した。
【0314】
(実施例7)
核酸保存対象物構造の金属酸化物での保存
非核酸ポリマーへの封入またはコーティングによる核酸のパッケージングおよびアクセス性を実証する実験を行った。手短に言えば、核酸をポリマー内に収容し、1つまたは複数のタグでアドレス指定した(図4A~4Dおよび図17A~17Dに示される)。
【0315】
方法および材料
シリカ粒子の調製
シリカ粒子は、18mLの水に、25%w/wの水酸化アンモニウム800μL、テトラエトキシシラン800μL、および蒸留水500μLを混合して調製した。この混合物をプラットフォームオービタルシェーカーで室温で500rpmにて6時間振盪させた。その後、混合物を室温で9,000gにて20分間遠心分離し、上清を捨てた。合計20mLのイソプロパノールを加え、次いで室温で1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスすることにより、シリカペレットを溶液中に再分散させ、均質なコロイド溶液を得た。混合物を再度、室温で9,000gにて20分間遠心分離し、上清を再度捨てた。合計4mLのイソプロパノールを加え、1分間超音波処理し、均質な分散物が再び得られるまで5秒間ボルテックスすることにより、ペレットを溶液中に再分散させた。
【0316】
DNA粒子の吸着を促進するためのシリカ粒子の修飾
シリカ粒子の1mLアリコートを採取し、メタノール中50%w/wのN-トリメトキシルシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウム(TMAPS)クロリド10μLを加えることにより、シリカ粒子を直ちに修飾した。この混合物をプラットフォームオービタルシェーカーで室温で500rpmにて12時間振盪させた。その後、混合物を21,500gで4分間遠心分離し、上清を捨てた。修飾されたシリカペレットを1mLのイソプロパノールで懸濁させ、1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスして均一な溶液にした。混合物を再度21,500gで4分間遠心分離し、上清を再度捨てた。溶液中に残留するTMAPSを除去するために、同じ洗浄手順を2回繰り返した。
【0317】
DNA粒子の封入
50μg mL-1のCy3およびCy5修飾DXタイル320μLを水700μLおよび機能化シリカ粒子35μLに添加することにより、リードアウトとしてCy3およびCy5エネルギー移動ペアで修飾したダブルクロスオーバー(DX)タイルを封入した(図17D)。混合物をマイクロチューブレボルバーで室温で3分間振盪させ、21,500gで4分間遠心分離して上清を捨てた。次いで、シリカペレットを1mLのDNAseを含まない水に懸濁させ、室温で1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスした。その後、混合物を21,500gで4分間遠心分離し、上清を捨てた。シリカペレットを500μLのDNAseを含まない水に再懸濁させ、室温で1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスした。この混合物に0.5μLの体積のTMAPSを加え、5秒間ボルテックスして混合した。次いで、さらに0.5μLのTEOSを加えた。混合物をマイクロチューブレボルバー上で室温で4時間振盪させた後、4μLのTEOSを添加した。混合物をさらにマイクロチューブレボルバー上で4日間振盪させた。混合物を21,500gで4分間遠心分離し、上清を捨てた。シリカで封入したDXタイルペレットを500μLのDNAseを含まない水で再懸濁させ、室温で1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスした。混合物を再度21,500gで4分間遠心分離し、上清を捨てた。ペレットを100μLのDNAseを含まない水で再懸濁させ、室温で1分間超音波処理し、5秒間ボルテックスした。DX-タイルは最終的に封入される。核酸保存ブロックのシリカ封入の模式図を図17A~17Dに示す。
【0318】
封入された粒子を紙の上に滴下し、DNAによるシリカの保護粒子を試験した。体積10μLを紙上に滴下し、周囲温度で乾燥させた。その後、体積10μLのDNA変性剤(0.1MのHCl、0.1MのNaOH、およびDNAse)を加え、室温で再度乾燥させた。
【0319】
結果
シリカ粒子の表面は、DNA保存対象物を吸着できるように修飾されており、修飾されたシリカ粒子は、核酸保存ブロックが結合するための足場として機能する。
【0320】
核酸保存ブロックは最初に表面修飾シリカ粒子に吸着され、次いで核酸保存ブロックが吸着したシリカ上に二次的なシリカシェルが付加される。DXタイルの構造をモニタリングするためのリードアウトとして、Cy3およびCy5のエネルギー移動ペアを含有する例示のDNAアセンブリー(ダブルクロスオーバーまたはDXタイル)の概略図を図17Eに示す。このシェルは、核酸保存ブロックの環境保護を提供する。
【0321】
シリカ封入粒子と非封入ナノ粒子を、ロングパスフィルターを使用してCy5蛍光のみをフィルタリングするUV照明下で比較することにより、封入粒子の評価を行った。封入ステップの完了時にDXタイルの発光スペクトルに変化はなく、封入プロセスがDXタイルの構造に影響を与えないことを示している(図17Fを参照されたい)。
【0322】
シリカ封入プロセスによるDNA保存対象物の保護を評価するため、シリカ封入DXタイルを紙ストリップに吸着させ、0.1MのNaOH、0.1MのHCl、およびDNAseに曝露させた。シリカコーティング紙は400nmで励起され、650nmのロングパスフィルターを使用して発光が選択された。
【0323】
(実施例8)
核酸保存対象物構造の自動アセンブリー用マイクロ流体デバイス
方法および材料
10cm×4cmのサイズで、3つの入力ポート、銅板上のミキサーとアニーリング装置、および3つの出力ポートを有する3Dプリントされたデバイスを含み、銅板の片足は80℃の水浴中、銅板のもう片足は氷水中となる、核酸保存対象物の自動アセンブリー用システムが設計され、アセンブルされた。
【0324】
入力ポートは流体ポンプに接続され、出力は画分収集チューブに接続され、流体のフローは、まず足場核酸、タグ付きステープル鎖およびステープルを含む試薬からミキサーに入り、次にアニーリング装置に入り、アニーリング装置を通って画分収集器に入る。アニーリング装置内では、流体は高温から低温へと通過する。画分を収集し、濾過によって精製した。
【0325】
オートアセンブラーでのDNAナノ粒子アニーリング反応は、1.2mLの反応体積で、80nMの濃度のssDNA足場と、15倍過剰のステープル鎖を用いて、Tris-酢酸EDTA-MgCl緩衝液(40mMのTris、20mMの酢酸、2mMのEDTA、12mMのMgCl、pH8.0)中で実現された。試料を注入する前に、流量100μL/分で4mLのフォールディング緩衝液でデバイスを洗浄した。試料注入では、Gilson,Inc.のMINIPULS(登録商標)3蠕動ポンプを使用するオートアセンブラーチャネルを通して、流量を10μL/分に維持した。銅板(変性領域)の端の一方を80℃の水浴に、銅板の収集端を4℃に保たれた冷水浴に接続させることによってオートアセンブラー内の温度勾配を生じさせた。試料の収集は、ナノドロップを使用して定期的にモニタリングした。自動化システムの概略図を図12に示す。例示的なマイクロ流体デバイス内での自動化システムのインプリメンテーションための例示的なワークフローも図13、14および15に示す。
【0326】
オートアセンブラーからの出力は、12mMのMgClを補充した1%のアガロースゲルのゲルによって検査した。
【0327】
結果
得られたナノ構造アセンブリーをゲル電気泳動で評価した。アセンブルされた対象物のフォールディングは、足場核酸単独、足場をステープルと室温で混合したもの、足場とステープルを混合しサーマルサイクラーで3時間かけてアニーリングしたもの、および足場とステープルを混合しオートアセンブラーで3時間かけてアニーリングしたものに対応するゲルの各レーンにおけるゲルバンドの目視観察によって決定した。
【0328】
ゲルシフトアッセイを使用して、フォールディングについて試験した。足場とステープルを混合しサーマルサイクラーで3時間かけてアニーリングしたものに対応するレーンは、足場とステープルを混合しオートアセンブラーで3時間かけてアニーリングしたものに対応するゲルレーンと同じ位置と強度であった。この実験は、オートアセンブリーシステムの有効性が、サーマルサイクラーを使用するアセンブリーと少なくとも同程度に効率的であることを実証した。
図1
図2
図3A-C】
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E-F】
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A-C】
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【配列表】
2024521416000001.app
【国際調査報告】