(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】低圧チャンバーロータリーコンプレッサー及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20240524BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20240524BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20240524BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20240524BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240524BHJP
F04C 18/356 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F04C29/04 J
F04C29/02 351A
F04C29/06 B
F04C29/12 D
F04C29/00 D
F04C29/00 T
F04C18/356 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575892
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2022077321
(87)【国際公開番号】W WO2023060816
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111205587.6
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523451473
【氏名又は名称】広州市徳善数控科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU DESHAN CNC TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Workshop, Henglujie Mechanical Garden, No. 122, Beilong Road ,Dagang Town,Nansha District, Guangzhou, Guangdong 511470, China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】▲ルオ▼ ▲イン▼学
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA13
3H129AA33
3H129AB03
3H129BB12
3H129BB42
3H129CC05
3H129CC07
3H129CC09
3H129CC23
3H129CC27
3H129CC28
3H129CC44
3H129CC46
(57)【要約】
低圧チャンバーロータリーコンプレッサー及び空気調和機であって、前記低圧チャンバーロータリーコンプレッサーは、ハウジング(100)、モーターアセンブリ及びポンプアセンブリを含み、ハウジング(100)には、低圧吸気部材(120)と高圧排気部材(130)とが設けられ、ハウジング(100)内には、低圧チャンバー(110)が設けられ、モーターアセンブリは、低圧チャンバー(110)内に設けられ、モーターアセンブリは、ステータ(231)とロータ(232)とを含み、ポンプアセンブリは、クランクシャフト(210)、クランクシャフトケーシング(220)、シリンダー(310)、ピストン(340)、スライディングベーン(330)及びベアリング(320)を含み、ポンプアセンブリは、低圧チャンバー(110)内に設けられ、圧縮チャンバーが形成されるようにピストン(340)、スライディングベーン(330)、シリンダー(310)、ベアリング(320)及びクランクシャフトケーシング(220)が組み合わされる。低圧冷媒は、ロータ(232)とステータ(231)を直接に冷却し、低圧冷媒が加熱されて気化され、圧縮前の気体状態の冷媒の温度が上昇する。低圧チャンバー(110)内に設けられたシリンダー(310)、ベアリング(320)及びスライディングベーン(330)は、十分に冷却されて熱膨張変形を最小化する。ピストン(340)とクランクシャフト(210)は、シリンダー(310)内に設けられ、内部の熱が効果的に放散できず、大きな熱膨張変形が得られるため、シリンダー(310)とピストン(340)との間のシール性を効果的に高め、冷媒の圧縮効果を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧チャンバーロータリーコンプレッサーであって、
ハウジングであって、前記ハウジング内には、低圧冷媒が充填された低圧チャンバーが設けられ、前記ハウジングには、前記低圧冷媒を受け入れるための低圧吸気部材と、高圧冷媒を排出するための高圧排気部材とが設けられるハウジングと、
前記低圧チャンバー内に設けられ、ステータ、ロータ、及び上下バランスウェイトを含むモーターアセンブリと、
ポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリは、前記低圧チャンバー内に設けられ、前記ポンプアセンブリは、クランクシャフト、クランクシャフトケーシング、シリンダー、ピストン、スライディングベーン及びベアリングを含み、圧縮チャンバーが形成されるように、前記ピストン、前記スライディングベーン、前記シリンダー、前記ベアリング及び前記クランクシャフトケーシングが組み合わされ、前記シリンダーには、スライディングベーン溝が設けられ、前記スライディングベーンは、前記スライディングベーン溝に設けられ、前記スライディングベーンは前記ピストンとともに、前記圧縮チャンバーが低圧領域と高圧領域に仕切られるポンプアセンブリと、
を含み、
前記クランクシャフトケーシングには、低圧吸気口が設けられ、前記ポンプアセンブリには、シリンダー用吸気穴と高圧排気口が設けられ、前記低圧吸気口の位置は、前記低圧吸気部材の位置に対応し、前記高圧排気口は、前記高圧排気部材に接続され、
前記クランクシャフトと前記ピストンは、前記シリンダー内に設けられ、前記シリンダー、前記ベアリング及び前記スライディングベーンは、前記低圧チャンバー内に設けられることを特徴とする低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項2】
前記ポンプアセンブリには、潤滑油と冷媒を分離するためのオイルセパレータが更に接続され、前記オイルセパレータは、チャンバーと、オイルガスを分離するための幾つかの分離バッフルと、前記チャンバーに設けられたオイルガス分離吸気口と、前記チャンバーに設けられたオイルガス分離排気口と前記チャンバーの下方に設けられた幾つかのオイル落し穴とを含み、前記分離バッフルは、前記チャンバー内に設けられ、前記オイルガス分離排気口は、前記シリンダー用吸気穴に接続されることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項3】
前記分離バッフルは、前記チャンバー内に設けられた幾つかの第1分離バッフルと幾つかの第2分離バッフルとを含み、幾つかの前記第1分離バッフルは、前記チャンバーの下側に設けられ、幾つかの前記第2分離バッフルは、前記チャンバーの上側に設けられ、前記第1分離バッフルと前記第2分離バッフルは、前記チャンバー内で交互に配列されることを特徴とする請求項2に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項4】
前記チャンバーの上方には、幾つかの取付バックルが設けられ、前記クランクシャフトケーシングには、前記取付バックルに対応する取付穴が設けられ、前記オイルセパレータと前記クランクシャフトケーシングは、前記取付バックルと前記取付穴の係合により固定されることを特徴とする請求項2に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項5】
前記ポンプアセンブリは、消音エンドカバーをさらに含み、前記消音エンドカバーは、前記ベアリングに設けられ、前記消音エンドカバーは、前記高圧排気口と連通し、前記消音エンドカバーには、排気チャンバーが設けられ、前記排気チャンバーは前記ベアリングとともに、高圧チャンバーが形成され、前記排気チャンバーには、幾つかの仕切板が設けられ、前記仕切板と前記消音エンドカバーとの間には、消音ノッチが形成され、前記消音エンドカバーには、排気のためのエンドカバー排気口がさらに設けられることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項6】
前記ベアリングは、前記シリンダーと前記消音エンドカバーの間に設けられ、前記ベアリングは前記シリンダーとともに、圧縮チャンバーが形成され、前記ベアリングは前記消音エンドカバーとともに、高圧チャンバーが形成され、前記ベアリングには、幾つかの変形溝と、前記高圧チャンバーと前記圧縮チャンバーとを連通する排気弁とが設けられ、前記変形溝は、前記ベアリングと前記シリンダーの間に薄壁が形成されるように、前記ベアリングの前記シリンダーから離れた側に設けられることを特徴とする請求項5に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項7】
前記高圧排気アセンブリは、前記ハウジングに設けられた排気口と、前記排気口の片側に設けられた排気取付部と、前記排気口に設けられた排気ジョイントと、前記排気取付部に取り付けられた高圧銅管と、前記高圧銅管と前記排気取付部を接続して固定するシール部材とを含み、前記シール部材と前記高圧銅管は、一体に成形され、前記排気取付部には、前記排気口に接続された通気溝が設けられ、前記シール部材は、シールヘッドと接続ボルトとを含み、前記シールヘッドは前記接続ボルトとともに前記高圧銅管を前記排気取付部に固定させることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項8】
前記高圧銅管は、螺旋状に設けられ、かつ前記高圧排気口に接続され、前記高圧銅管は、前記高圧冷媒に対する中間冷却を実現するように、前記ポンプアセンブリの周りに設けられることを特徴とする請求項7に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項9】
前記クランクシャフトは、シャフト本体と、前記シャフト本体に設けられた偏心部とを含み、前記偏心部は、前記ピストン内に設けられ、前記偏心部には、弾性変形部が設けられ、前記弾性変形部は、外側に突出する凸部と前記凸部の側壁に設けられた変形穴とを含むことを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項10】
前記ポンプと前記ハウジングとの間には、接続部材がさらに設けられ、前記ハウジング内には、幾つかの取付ボスが設けられ、前記ポンプには、幾つかの取付位置が設けられ、幾つかの前記取付ボスは、前記ハウジングに均一に配置され、前記接続部材は、前記取付ボスと前記取付位置との間に設けられ、かつ前記ポンプと前記ハウジングを接続することを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項11】
前記ハウジングの底部は、下方に窪んでオイル貯蔵プールが形成され、前記オイル貯蔵プールには、潤滑油が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項12】
前記ハウジングの外側には、電気制御取付部がさらに設けられ、前記電気制御取付部と前記ハウジングは、一体に成形され、前記電気制御取付部は前記ハウジングとともに電気制御取付チャンバーが形成され、前記電気制御取付チャンバーの底部には、電気制御部材を取り付けるための取付穴位置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項13】
前記クランクシャフトの前記クランクシャフトケーシングに適合した側には、オイル投入溝が設けられ、前記オイル投入溝は、複数設けられ、複数の前記オイル投入溝は、前記クランクシャフトに放射状に均一に配置され、前記ピストンの内端面には、端面面取りが設けられ、前記クランクシャフトケーシングには、オイル供給溝が設けられ、前記スライディングベーンには、オイル貯蔵溝が設けられ、前記スライディングベーンの前記クランクシャフトケーシングと接着した側には、オイル受け面取りが設けられることを特徴とする請求項1に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサー。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを含むことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサー分野に関し、特に低圧チャンバーロータリーコンプレッサー及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
日常の生産や生活において、コンプレッサーは、動作原理に応じてピストンコンプレッサー、ロータリーコンプレッサー及びスクロールコンプレッサーに分類されてもよい。ロータリーコンプレッサーは、高いエネルギー効率比と成熟した加工技術により冷却業界で広く応用されて発展される。しかし、既存のロータリーコンプレッサーの構造に多くの欠点があり、既存のロータリーコンプレッサーのモーターが常に高温環境で動作するため、モーターの寿命とエネルギー効率比に影響を与える。また、従来のロータリーコンプレッサーの主ポンプ本体は、高圧冷媒を貯蔵する高圧チャンバーに包まれており、構成部品が多く(ベアリング、シリンダー、クランクシャフト、ピストン、スライディングベーン)、そして、各部品の材質の熱変形パラメータは、大きく異なり、低圧冷媒を圧縮する過程で、高圧チャンバー内の各部品が加熱されて膨張するとシール隙間も増大するため、圧縮動作のたびに高圧ガスが隙間を通って低圧チャンバーに送り込まれ、その結果、冷媒の圧縮効果が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する技術的問題の一つを少なくとも解決することを目的とする。このため、本発明は、低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを提供する。
【0004】
本発明は、上記低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを備えた空気調和機をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様の実施例による低圧チャンバーロータリーコンプレッサーは、
ハウジングであって、前記ハウジング内には、低圧冷媒が充填された低圧チャンバーが設けられ、前記ハウジングには、前記低圧冷媒を受け入れるための低圧吸気部材と、高圧冷媒を排出するための高圧排気部材とが設けられるハウジングと、
前記低圧チャンバー内に設けられ、ステータ、ロータ、及び上下バランスウェイトを含むモーターアセンブリと、
ポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリは、前記低圧チャンバー内に設けられ、前記ポンプアセンブリは、クランクシャフト、クランクシャフトケーシング、シリンダー、ピストン、スライディングベーン及びベアリングを含み、圧縮チャンバーが形成されるように、前記ピストン、前記スライディングベーン、前記シリンダー、前記ベアリング及び前記クランクシャフトケーシングが組み合わされ、前記シリンダーには、スライディングベーン溝が設けられ、前記スライディングベーンは、前記スライディングベーン溝に設けられ、前記スライディングベーンは前記ピストンとともに、前記圧縮チャンバーが低圧領域と高圧領域に仕切られるポンプアセンブリと
を含み、
前記クランクシャフトケーシングには、低圧吸気口が設けられ、前記ポンプアセンブリには、シリンダー用吸気穴と高圧排気口が設けられ、前記低圧吸気口の位置は、前記低圧吸気部材の位置に対応し、前記高圧排気口は、前記高圧排気部材に接続され、
前記クランクシャフトと前記ピストンは、前記シリンダー内に設けられ、前記シリンダー、前記ベアリング及び前記スライディングベーンは、前記低圧チャンバー内に設けられる。
【0006】
本発明の第1態様の実施例による低圧チャンバーロータリーコンプレッサーは、少なくとも次のような有益な効果を有する。ハウジングには、低圧吸気部材と高圧排気部材とが設けられ、ハウジング内には、低圧チャンバーが設けられ、モーターアセンブリは、低圧チャンバー内に設けられ、モーターアセンブリは、ステータ、ロータ、及び上下バランスウェイトを含み、ポンプアセンブリは、前記低圧チャンバー内に設けられ、ポンプアセンブリは、クランクシャフト、クランクシャフトケーシング、シリンダー、ピストン、スライディングベーン及びベアリングを含み、圧縮チャンバーが形成されるように、前記ピストン、前記スライディングベーン、前記シリンダー、前記ベアリング及び前記クランクシャフトケーシングが組み合わされ、前記シリンダーには、スライディングベーン溝が設けられ、前記スライディングベーンは、前記スライディングベーン溝に設けられ、前記スライディングベーンは前記ピストンとともに、前記圧縮チャンバーが低圧領域と高圧領域に仕切られる。クランクシャフトケーシングには、低圧吸気口が設けられ、低圧吸気口の位置が低圧吸気部材の位置に対応するため、低圧冷媒をクランクシャフトケーシング内のロータ及びステータに直接に導入し、ロータ及びステータを直接に冷却することができる。そして、モーターアセンブリは、完全に気化していない低圧冷媒を加熱して気化させ、圧縮前の気体状態の冷媒の温度を上げることができ、これにより、冷却係数が高くなり、エネルギーの有効利用率が最大化される。モーターアセンブリとポンプアセンブリは、低圧チャンバー内に設けられ、クランクシャフトとピストンは、シリンダー内に設けられ、シリンダー、ベアリング及びスライディングベーンは、低圧チャンバー内に設けられ、シリンダー、ベアリング及びスライディングベーンは、十分に冷却されて熱膨張変形を最小化する。ピストンとクランクシャフトは、シリンダー内に設けられ、内部の熱が適時かつ効果的に放散できず、大きな熱膨張変形が得られるため、シリンダーとピストンとの間のシール性を効果的に高め、冷媒の圧縮効果を向上させることができる。
【0007】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ポンプアセンブリには、潤滑油と冷媒を分離するためのオイルセパレータが更に接続され、前記オイルセパレータは、チャンバーと、オイルガスを分離するための幾つかの分離バッフルと、前記チャンバーに設けられたオイルガス分離吸気口と、前記チャンバーに設けられたオイルガス分離排気口と前記チャンバーの下方に設けられた幾つかのオイル落し穴とを含み、前記分離バッフルは、前記チャンバー内に設けられ、前記オイルガス分離排気口は、前記シリンダー用吸気穴に接続される。
【0008】
本発明の幾つかの実施例によれば、 前記分離バッフルは、前記チャンバー内に設けられた幾つかの第1分離バッフルと幾つかの第2分離バッフルとを含み、幾つかの前記第1分離バッフルは、前記チャンバーの下側に設けられ、幾つかの前記第2分離バッフルは、前記チャンバーの上側に設けられ、前記第1分離バッフルと前記第2分離バッフルは、前記チャンバー内で交互に配列される。
【0009】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記チャンバーの上方には、幾つかの取付バックルが設けられ、前記クランクシャフトケーシングには、前記取付バックルに対応する取付穴が設けられ、前記オイルセパレータと前記クランクシャフトケーシングは、前記取付バックルと前記取付穴の係合により固定される。
【0010】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ポンプアセンブリは、消音エンドカバーをさらに含み、前記消音エンドカバーは、前記ベアリングに設けられ、前記消音エンドカバーは、前記高圧排気口と連通し、前記消音エンドカバーには、排気チャンバーが設けられ、前記排気チャンバーは前記ベアリングとともに、高圧チャンバーが形成され、前記排気チャンバーには、幾つかの仕切板が設けられ、前記仕切板と前記消音エンドカバーとの間には、消音ノッチが形成され、前記消音エンドカバーには、排気のためのエンドカバー排気口がさらに設けられる。
【0011】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ベアリングは、前記シリンダーと前記消音エンドカバーの間に設けられ、前記ベアリングは前記シリンダーとともに、圧縮チャンバーが形成され、前記ベアリングは前記消音エンドカバーとともに、高圧チャンバーが形成され、前記ベアリングには、幾つかの変形溝と、前記高圧チャンバーと前記圧縮チャンバーとを連通する排気弁とが設けられ、前記変形溝は、前記ベアリングと前記シリンダーの間に薄壁が形成されるように、前記ベアリングの前記シリンダーから離れた側に設けられる。
【0012】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記高圧排気アセンブリは、前記ハウジングに設けられた排気口と、前記排気口の片側に設けられた排気取付部と、前記排気口に設けられた排気ジョイントと、前記排気取付部に取り付けられた高圧銅管と、前記高圧銅管と前記排気取付部を接続して固定するシール部材とを含み、前記シール部材と前記高圧銅管は、一体に成形され、前記排気取付部には、前記排気口に接続された通気溝が設けられ、前記シール部材は、シールヘッドと接続ボルトとを含み、前記シールヘッドは前記接続ボルトとともに前記高圧銅管を前記排気取付部に固定させる。
【0013】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記高圧銅管は、螺旋状に設けられ、かつ前記高圧排気口に接続され、前記高圧銅管は、前記高圧冷媒に対する中間冷却を実現するように、前記ポンプアセンブリの周りに設けられる。
【0014】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記クランクシャフトは、シャフト本体と、前記シャフト本体に設けられた偏心部とを含み、前記偏心部は、前記ピストン内に設けられ、前記偏心部には、弾性変形部が設けられ、前記弾性変形部は、外側に突出する凸部と前記凸部の側壁に設けられた変形穴とを含む。
【0015】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ポンプと前記ハウジングとの間には、接続部材がさらに設けられ、前記ハウジング内には、幾つかの取付ボスが設けられ、前記ポンプには、幾つかの取付位置が設けられ、幾つかの前記取付ボスは、前記ハウジングに均一に配置され、前記接続部材は、前記取付ボスと前記取付位置との間に設けられ、かつ前記ポンプと前記ハウジングを接続する。
【0016】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ハウジングの底部は、下方に窪んでオイル貯蔵プールが形成され、前記オイル貯蔵プールには、潤滑油が充填されている。
【0017】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ハウジングの外側には、電気制御取付部がさらに設けられ、前記電気制御取付部と前記ハウジングは、一体に成形され、前記電気制御取付部は前記ハウジングとともに電気制御取付チャンバーが形成され、前記電気制御取付チャンバーの底部には、電気制御部材を取り付けるための取付穴位置が設けられる。
【0018】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記クランクシャフトの前記クランクシャフトケーシングに適合した側には、オイル投入溝が設けられ、前記オイル投入溝は、複数設けられ、複数の前記オイル投入溝は、前記クランクシャフトに放射状に均一に配置される。
【0019】
前記ピストンの内端面には、端面面取りが設けられ、前記クランクシャフトケーシングには、オイル供給溝が設けられ、前記スライディングベーンには、オイル貯蔵溝が設けられ、前記スライディングベーンの前記クランクシャフトケーシングと接着した側には、オイル受け面取りが設けられる。
【0020】
本発明の第2態様の実施例による空気調和機は、上記第1態様の実施例の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを含む。
【0021】
本発明の第2態様の実施例による空気調和機は、少なくとも次の有益な効果を有する。空気調和機は、第1態様の実施例の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを採用しており、モーターアセンブリを冷却することができ、そして、モーターアセンブリは、完全に気化されていない低圧冷媒を加熱して気化させ、圧縮前の気体冷媒の温度を上昇させることができ、これにより、冷却係数が高くなり、エネルギーの有効利用率が最大化される。ポンプが低圧チャンバー内に配置されることにより、シリンダーとピストンの間のシール性を効果的に高め、冷媒の圧縮効果を向上させることができる。
【0022】
本発明の付加態様及び利点は一部が以下の記述に示され、一部が以下の記述から明らかになり、或いは、本発明の実践によって理解される。
【0023】
本発明の上記及び/又は追加の態様と利点は、以下の図面を参照した実施例の説明から明らかになり、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーの断面図である。
【
図2】
図1に示す低圧チャンバーロータリーコンプレッサーの別の視点からの断面図である。
【
図3】
図1に示すオイルセパレータの構造概略図である。
【
図4】
図3に示すオイルセパレータの別の視点からの構造概略図である。
【
図5】
図3に示すオイルセパレータのオイルガス分離の構造原理図である。
【
図6】
図1に示す消音エンドカバーの構造概略図である。
【
図9】
図1に示すクランクシャフトの構造概略図である。
【
図10】
図1に示すスライディングベーンの構造概略図である。
【
図11】
図1に示すクランクシャフトケーシングの構造概略図である。
【
図12】本発明の一実施例のポンプアセンブリの動作状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。図面には前記実施例が示される。ここで、同様又は類似の符号は同様又は類似の部材或いは同様又は類似の機能を有する部材を終始的に示す。以下、図面を参照して説明する実施例は例示のものであり、本発明を解釈するためのみであり、本発明に対する限定を理解すべきではない。
【0026】
本発明の記載において、方位に係る記載、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「外」、「内」などによって指示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づいてものであり、単に本発明の説明を容易にして簡略化するためのものであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0027】
本発明の記載において、「若干」の意味は一つ又は複数であり、「複数」の意味は二つ及び二つ以上であり、「より大きい」、「より小さい」、「超える」等はその数自身を含まないと理解され、「以上」、「以下」、「以内」等はその数自身を含むと理解される。第1の、第2という説明は、単に技術的特徴を区別するために用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示し、又は指示される技術的特徴の数を示唆し、又は指示される技術的特徴の前後関係を示唆すると理解すべきではない。
【0028】
本発明の記載において、特に明確な規定がない限り、設け、取り付け、接続などの用語は広義に理解されるべきであり、当業者は技術案の具体的な内容に応じて上述した用語の本発明における具体的な意味を適当的に決定することができる。
【0029】
以下に
図1から
図14を参照して本発明の実施例の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを説明する。
【0030】
本発明の実施例の低圧チャンバーロータリーコンプレッサーは、
図1から
図14に示すように、ハウジング100と、モーターアセンブリと、ポンプアセンブリとを含む。ハウジング100内には、低圧冷媒が充填された低圧チャンバー110が設けられる。ハウジング100には、低圧冷媒を受け入れるための低圧吸気部材120と高圧冷媒を排出するための高圧排気部材とが設けられる。低圧冷媒は、ハウジング100の外部から低圧吸気部材120を通ってハウジング100に入り、ハウジング100内のポンプを冷却する。低圧冷媒は、ポンプに入った後に圧縮されて高圧冷媒となり、高圧冷媒は、高圧排気部材を通ってハウジング100から排出される。ポンプは、低圧チャンバー110内に設けられる。モーターアセンブリは、低圧チャンバー内に設けられ、モーターアセンブリは、ステータ231、ロータ232、及び上下バランスウェイトを含む。ポンプアセンブリは、低圧チャンバー110内に設けられ、ポンプアセンブリは、クランクシャフト210、クランクシャフトケーシング220、シリンダー310、ピストン340、スライディングベーン330及びベアリング320を含む。圧縮チャンバーが形成されるようにピストン340、スライディングベーン330、シリンダー310、ベアリング320及びクランクシャフトケーシング220が組み合わされる。シリンダー310には、スライディングベーン溝が設けられ、スライディングベーン330は、スライディングベーン溝に設けられ、スライディングベーン330はピストン340とともに、圧縮チャンバーを低圧領域と高圧領域に仕切られる。クランクシャフトケーシング220は、クランクシャフト210の外側に嵌合される。テータ231とロータ232は、クランクシャフトケーシング220内に設けられる。クランクシャフトケーシング220には、低圧吸気口が設けられ、ポンプアセンブリには、シリンダー用吸気穴と高圧排気口が設けられ、低圧吸気口の位置が低圧吸気部材120の位置に対応し、高圧排気口が高圧排気部材に接続され、低圧吸気口の位置が低圧吸気部材120の位置に対応する。低圧冷媒は、低圧吸気部120を通ってハウジング100内に入り、ハウジング100内の低圧冷媒は、低圧吸気口を通ってポンプに入り、ポンプ内のモーターアセンブリを冷却する。具体的には、低圧冷媒は、低圧吸気口を通ってステータ231及びロータ232を直接に冷却し、それによってモーターアセンブリの耐用年数を確保する。冷却の過程で、モーターアセンブリは、冷媒の全部がポンプアセンブリに吸入されるように完全に気化していない低圧冷媒を加熱して気化させ、低圧冷媒を完全に気化させることができる。これにより、圧縮前の気体冷媒の温度が上昇し、冷却係数が高くなり、エネルギーの有効利用率が最大化される。ポンプアセンブリは、クランクシャフト210、クランクシャフトケーシング220、シリンダー310、ピストン340、スライディングベーン330及びベアリング320を含む。クランクシャフト210とピストン340は、シリンダー310内に設けられむ。シリンダー310、ベアリング320とスライディングベーン330は、低圧チャンバー110内に設けられむ。低圧チャンバー110に低圧冷媒が充填され、低圧冷媒は、低圧チャンバー110内のシリンダー310、ベアリング320及びスライディングベーン330を冷却することができる。これにより、シリンダー310、クランクシャフト320とスライディングベーン330は、十分に冷却されて熱膨張変形を最小化する。ピストン340とクランクシャフト210は、シリンダー310内に設けられ、内部の熱が適時かつ効果的に放散できず、大きな熱膨張変形が得られるため、シリンダー310とピストン340との間のシール性を効果的に高め、冷媒の圧縮効果を向上させることができる。
【0031】
低圧冷媒は、低圧吸気部材120を通ってハウジング100内の低圧チャンバー110に入り、低圧チャンバー110に気体状態の冷媒は、ハウジング100内の潤滑油の一部と混合し、冷媒圧縮空間を毎回最大限に利用するために、気体状態の冷媒がシリンダー310内に吸入されて圧縮される前に、オイルミストを気体状態の冷媒からできるだけ多く分離する必要があり、ポンプアセンブリにオイルセパレータ360が設けられることにより、オイルミストと気体状態の冷媒を効果的に分離することができ、オイルミストを沈降させ分離して、オイルプールに排出し、潤滑油と冷媒の両方が十分に利用できることを確保する。
【0032】
幾つかの実施例では、ポンプアセンブリには、潤滑油と冷媒を分離するためのオイルセパレータ360が更に接続され、オイルセパレータ360は、チャンバー361と、オイルガスを分離するための幾つかの分離バッフルと、チャンバー361に設けられたオイルガス分離吸気口364と、チャンバー361に設けられたオイルガス分離排気口364と、チャンバー361の下方に設けられた幾つかのオイル落し穴 366とを含む。分離バッフルは、チャンバー361内に設けられる。オイルガス分離排気口365は、シリンダー310の吸気口に接続される。オイルセパレータ360は、チャンバー361と、分離バッフルと、オイルガス分離吸気口364と、オイルガス分離排気口365とオイル落し穴 366とを含む。オイルガス混合物は、オイルガス分離吸気口364からチャンバー361に入り、チャンバー361内には、幾つかの分離バッフルが設けられ、分離バッフルは、オイルミストを遮断することができ、チャンバー361の下方には、オイル落し穴 366が設けられ、オイルミストは、遮断された後に沈降し、オイル落し穴 366から流出してオイルプールに流れる。オイルガス分離排気口365は、シリンダー310の吸気口に接続され、オイルミストから分離された気体状態の冷媒は、オイルガス分離排気口365からシリンダー310の吸気口に流入し、最終的にシリンダー310に吸入されて圧縮される。
【0033】
具体的には、幾つかの実施例では、分離バッフルは、チャンバー361内に設けられた幾つかの第1分離バッフル362と幾つかの第2分離バッフル363とを含み、幾つかの第1分離バッフル362は、チャンバー361の下側に設けれ、幾つかの第2分離バッフル363は、チャンバー361の上側に設けられ、第1分離バッフル362と第2分離バッフル363は、チャンバー361内で交互に配列される。第1分離バッフル362は、チャンバー361の上側に設けられ、第2分離バッフル363は、チャンバー361の下側に設けられ、第1分離バッフル362と第2分離バッフル363が上下に交互に配列されることにより、オイルミストに対する遮断効果を強化し、分離効果をさらに高めることができる。第1分離バッフル362が幾つか設けられ、第2分離バッフル363が幾つか設けられるが、実際の製造において、第1分離バッフル362と第2分離バッフル363の数は、必要に応じて調整されてもよく、第1分離バッフル362と第2分離バッフル363の数が多いほど、オイルミストに対する遮断及び分離効果が高くなることが理解できる。
【0034】
幾つかの実施例では、チャンバー361の上方には、幾つかの取付バックル367が設けられ、クランクシャフトケーシング220には、取付バックル367に対応する取付穴が設けられ、オイルセパレータとクランクシャフトケーシング220は、取付バックル367と取付穴の係合により固定される。シリンダー310は、クランクシャフトケーシング220に適合される。オイルセパレータ360は、シリンダー310の外側に覆われ、オイルセパレータ360のオイルガス分離排気口365は、シリンダー310の吸気口に接続される。具体的には、チャンバー361には、幾つかの取付バックル367が設けられ、クランクシャフトケーシング220には、取付バックル367に対応する取付穴が設けられ、オイルセパレータとクランクシャフトケーシング220は、取付バックル367と取付穴の係合により固定される。これにより、オイルセパレータの固定が実現される。取付バックル367は、幾つか設けられ、取付穴の数は、取付バックル367の数に対応する。取付バックル367と取付穴の数は、実際の取付ニーズに応じて、1つ、2つ、3つ又はそれ以上に設定される。取付バックル367と取付穴の数が多いほど、オイルセパレータとクランクシャフトケーシング220の間の接続がより安定する。幾つかの他の実施例では、取付穴がチャンバー361に設けられ、取付バックル367がクランクシャフトケーシング220に設けられる。これにより、オイルセパレータ360とランクシャフトシェル220との組み立て及び固定が同様に実現され得る。なお、チャンバー361は、ねじ接続などの他の接続方式によってクランクシャフトケーシング220に固定されてもよく、これも本発明の保護範囲内にある。また、オイルセパレータ360のチャンバー361は、環状に設けられ、環状のチャンバー361は、シリンダー310を覆うことができ、チャンバー361内のオイルガス混合物の移動距離を増加させ、分離効果をより高めることができる。
【0035】
幾つかの実施例では、ポンプアセンブリは、消音エンドカバー350をさらに含み、消音エンドカバー350は、ベアリング320に設けられる。消音エンドカバー350は、高圧排気口と連通し、消音エンドカバー350はベアリング320とともに、高圧チャンバー351が形成される。消音エンドカバー350には、排気チャンバー352が設けられ、排気チャンバー352には、幾つかの仕切板353が設けられ、仕切板353と消音エンドカバー350との間には、消音ノッチ354が形成される。消音エンドカバー350には、排気のためのエンドカバー排気口がさらに設けられる。ポンプアセンブリには、シールのための消音エンドカバー350が設けられ、消音エンドカバー350は、ベアリング320に設けられる。消音エンドカバー350には、排気チャンバー352が設けられ、排気チャンバー352はベアリング320とともに、高圧チャンバー351が形成される。圧縮された高圧冷媒は、高圧チャンバー351に流入し、高圧冷媒は、排気チャンバー352内を流れる。排気チャンバー352には、幾つかの仕切板353が設けられ、仕切板353と消音エンドカバー350との間には、消音ノッチ354が形成され、幾つかの仕切板353は、排気チャンバー352を複数の異なるチャンバーに仕切りる。高圧冷媒は、消音ノッチ354を通って異なるチャンバー間で流れ、最終的にエンドカバーの排気口から排出される。消音ノッチ354と排気チャンバー352の断面積は、異なる。高圧冷媒は、小さい断面積の消音ノッチ354を通って大きな断面積の排気チャンバー352に流入し、これにより、高圧冷媒が消音エンドカバー350を流れるときに発生するノイズを効果的に低減し、消音及びノイズ低減を実現することができる。仕切板353は、幾つか設けられてもよく、幾つかの仕切板353は、排気チャンバー352に設けられて排気チャンバー352を複数のチャンバーに仕切り、消音及びノイズ低減機能を向上させることができる。
【0036】
幾つかの実施例では、ベアリング320は、シリンダー310と消音エンドカバー350の間に設けられ、ベアリング320はシリンダー310とともに圧縮チャンバーが形成される。ベアリング320は消音エンドカバー350とともに高圧チャンバー351が形成される。ベアリング320には、幾つかの変形溝322と、高圧チャンバー351と圧縮チャンバーとを連通するための排気弁321とが設けられる。変形溝322は、ベアリング320とシリンダー310の間に薄壁323が形成されるように、ベアリング320のシリンダー310から離れた側に設けられる。シリンダー310と消音エンドカバー350との密接を容易にし、シール性を高めるためにベアリング320のシリンダー310及び消音エンドカバー350と接触する2つの面は、研磨面として設けられる。ベアリング320は、シリンダー310と消音エンドカバー350の間に設けられ、ベアリング320の一面はシリンダー310とともに圧縮チャンバーが形成され他の面は消音エンドカバー350とともに高圧チャンバー351が形成される。ベアリング320には、圧縮チャンバーと高圧チャンバー351とを連通する排気弁321が設けられる。低圧冷媒は、圧縮チャンバーに流入し、圧縮されて高圧冷媒となる。高圧冷媒は、排気弁321を通って高圧チャンバー351に入り、最終的に高圧チャンバー351から排出される。ベアリング320には、幾つかの変形溝322が設けられ、変形溝322は、ベアリング320のシリンダー310から離れた側に設けられる。変形溝322を設けることにより、ベアリング320とシリンダー310の間に薄壁323が形成される。高圧冷媒は、高圧チャンバー351に流入すると、変形溝322側においてベアリング320に圧力を加え、薄壁323は、高圧圧力を受けると、圧力の低い側に変形することが多く、即ち、ベアリング320の薄壁323は、高圧冷媒からの圧力を受けて変形してシリンダー310とピストン340に当接し、これにより、ベアリング320とピストン340の端面との嵌合隙間を最小化し、シリンダー310及びピストン340に対するベアリング320のシール効果を高める。変形溝322と薄壁323の位置及び数は、実際のシール効果に応じて設定されてもよく、本発明の保護範囲にある。
【0037】
幾つかの実施例では、高圧排気アセンブリは、ハウジング100に設けられた排気口131と、排気口131の片側に設けられた排気取付部と、排気口131に設けられた排気ジョイント132と、排気取付部に取り付けられた高圧銅管136と、高圧銅管136と排気取付部を接続して固定するためのシール部材とを含む。シール部材と高圧銅管136は、一体に成形される。排気取付部には、排気口131に接続された通気溝133が設けられる。シール部材は、シールヘッド135と接続ボルト134とを含み、シールヘッド135は接続ボルト134とともに、高圧銅管136を排気取付部に固定させる。ハウジング100には、排気口131が設けられ、排気口131には、外部の排気管と接続するための排気ジョイント132が設けられる。排気ジョイント132は、高圧冷媒を排出することができる。排気口131の片側には、排気取付部が設けられ、排気取付部の内部の中空部に、通気溝133が形成される。シール部材は、高圧銅管136を通気溝133内にシールし、高圧銅管136と通気溝133の間の接続及びシールを実現できる。シール部材は、シールヘッド135と接続ボルト134とを含み、接続ボルト134はシールヘッド135とともに、高圧銅管136を排気取付部にシールして取り付ける。ねじ接続の取付方式により、組み立てが容易になり、ライン組み立て作業に適用する。高圧銅管136は、溶接等の他の接続手段により排気取付部に固定接続されてもよい。また、幾つかの実施例では、高圧銅管136は、螺旋状に設けられ、高圧銅管136は、高圧排気口に接続される。高圧銅管136は、高圧冷媒に対する中間冷却を実現するように、ポンプアセンブリの周りに設けられる。螺旋状に設けられた高圧銅管136は、低圧チャンバー110の周りに設けられる。螺旋状に設けられた高圧銅管136は、曲げ疲労を緩衝して抵抗し、接続をより安定させることができる。高圧銅管は、インタークーラーとして高圧冷媒を中間冷却することができ、熱回収の役割を果たすだけでなく、外部凝縮器の圧力を低下させ、蒸発器から戻ってくるガスを予熱し、吸気温度を上昇させ、冷却係数を高めることができる。
【0038】
幾つかの実施例では、クランクシャフト210は、シャフト本体211と、シャフト本体211に設けられた偏心部212とを含む。偏心部212は、ピストン340内に設けられ、偏心部212には、弾性変形部が設けられ、弾性変形部は、外側に突出する凸部213と凸部213の側壁に設けられた変形穴214とが設けられる。クランクシャフト210の偏心部212は、ピストン340内に設けられ、ピストン340は、偏心部212とシリンダー310の間に設けられる。偏心部212には、弾性変形部が設けられ、弾性変形部は、凸部213と、凸部213の側壁に設けられた変形穴214とを含む。凸部213は、偏心部212の最高点であり、凸部213は、外側に突出してピストン340の内輪面と適合して、ピストン340を動かして回転させ、ピストン340の外輪面をシリンダー310の内面にシールさせ、冷媒を圧縮する。ピストン340とシリンダー310の間の隙間が大きいと、弾性変形能力を有する変形穴214は、ピストン340の外輪面とシリンダー310の内面との隙間を小さくするように、外側に弾性変形してピストン340を支持する。ピストン340とシリンダー310の間に隙間がなく、又は隙間が小さいと、変形穴214は、圧力で内側に変形し、ピストン340の外輪面とシリンダー310の内面が動作中に引っ掛かることを防止することができる。弾性変形部を設けることにより、ピストン340とシリンダー310の間の隙間を小さくし、シール効果を向上し、それによって圧縮効果を高めることができる。
【0039】
幾つかの実施例では、ポンプとハウジング100の間には、接続部材141がさらに設けられ、ハウジング100内には、幾つかの取付ボス140が設けられ、ポンプには、幾つかの取付位置142が設けられ、幾つかの取付ボス140は、ハウジング100に均一に配置され、接続部材141は、取付ボス140と取付位置142の間に設けられ、ポンプとハウジング本体100を接続する。ハウジング100内には、幾つかの取付ボス140が設けられ、ポンプには、幾つかの取付位置142が設けられ、取付ボス140の位置及び数は、取付位置142の位置及び数に対応する。接続部材は、取付ボス140と取付位置142の間に設けられ、ポンプとハウジング100を接続する。取付ボス140及び取付位置142は、幾つか設けられ、幾つかの取付ボス140及び取付位置142がクランクシャフト210の周りに均一に設けられるため、ポンプを複数の位置から固定し、ポンプに対する固定効果を高めることができる。具体的には、幾つかの実施例では、接続部材141は、支持バネ又はガスバネなどの弾性接続部材として設けられ、弾性接続部材でポンプとハウジング100とを接続するため、弾性接続部材は、振動を緩衝することができ、高速回転中にコンプレッサーの振動がハウジングに直接伝わってノイズが発生することを効果的に回避し、コンプレッサーのスムーズな動作を確保することができる。また、幾つかの実施例では、接続部材141は、固定接続部材として設けられる。固定接続部材でコンプレッサーのポンプとハウジング100を接続することにより、コンプレッサーのポンプとハウジング100の間の距離が相対的に固定され、衝突しないことを保証し、様々な状態でのコンプレッサーのポンプの相対位置が固定され、揺れないことを確保することができ、変位を必要とし且つ変位幅が大きい機器に適する。
【0040】
幾つかの実施例では、ハウジング100の底部は、下方に窪んでオイル貯蔵プール150が形成され、オイル貯蔵プール15には、潤滑油が充填されている。ハウジング100の底部には、オイル貯蔵プール150が設けられ、オイル貯蔵プール150は、潤滑油を貯蔵することができる。潤滑油は、潤滑の役割を果たすことができ、潤滑油は、部材間に保護膜を形成して部材間の直接接触を回避し、それによって摩擦力の作用を緩衝し、摩耗を軽減し、ポンプの耐用年数を延長する。
【0041】
幾つかの実施例では、ハウジング100の外側には、電気制御取付部160がさらに設けられ、電気制御取付部160とハウジング100は、一体に成形される。電気制御取付部160はハウジング100とともに、電気制御取付チャンバー161が形成される。電気制御取付チャンバー161の底部には、電気制御部材を取り付けるための取付穴位置が設けられる。電気制御取付部160は、ハウジング100の外部に設けられ、電気制御取付部160とハウジング100は、一体に成形される。ハウジング100内には、低圧チャンバー110が設けられ、電気制御取付部160の電気制御取付チャンバー161とハウジング100の低圧チャンバー110の間には、シェル100の厚さだけが隔てられ、電気制御取付チャンバー161内の熱は、低圧チャンバー110内の低温冷媒に迅速かつ効果的に伝達されることができる。低温冷媒は、電気制御チャンバー161に対して温度を下げて放熱することができ、電気制御取付チャンバー161の熱は、冷媒の十分な蒸発を促進することもできる。幾つかの実施例では、ハウジング100は、アルミニウム合金で作られる。アルミニウム合金は、良好な熱伝導性能を有しており、電気制御取付チャンバー161と低圧チャンバ110の間の熱交換を実現することに有利である。アルミニウム材料は、加工及び成形が容易であり、必要な形状及び構造を安価な加工コストで得ることができる。
【0042】
幾つかの実施例では、クランクシャフト210のクランクシャフトケーシング220に近い側には、オイル投入溝215が設けられ、オイル投入溝215は、複数設けられ、複数のオイル投入溝215は、クランクシャフト210に放射状に均一に配置される。ピストン340の内端面には、端面面取りが設けられ、クランクシャフトケーシング220には、オイル供給溝216が設けられ、スライディングベーン330には、オイル貯蔵溝331が設けられ、スライディングベーン330のクランクシャフトケーシング220と接着する側には、オイル受け面取り332が設けられる。クランクシャフト210には、ポンピング用ブレード217が設けられ、オイル貯蔵プール150内の潤滑油は、クランクシャフト210が回転するときに、ポンピング用ブレード217の螺旋構造の作用により、クランクシャフト210の中心穴にポンピングされ、遠心力の作用により、クランクシャフト210に設けられたオイル投入溝215を通って潤滑が必要な部位に投入され、ポンプ構造の潤滑を実現する。スライディングベーン330には、オイル貯蔵溝331とオイル受け面取り332が設けられ、潤滑油は、オイル受け面取り332を通ってスライディングベーンに入り、スライディングベーンを潤滑することができる。オイル貯蔵溝331を設けることにより、スライディングベーン330の低圧側の潤滑油を貯蔵し、スライディングベーン330の直線運動中に潤滑油を低圧チャンバー110に排出することができる。具体的には、クランクシャフトケーシング220の底面には、オイル供給溝216が設けられ、ピストン340には、端面面取りが設けられ、オイル投入溝215、オイル供給溝216及び端面面取りは、ロータの回転時の移動軌跡に応じて自動的に開閉できるオイル通路が形成される。クランクシャフト210の中央の潤滑油は、遠心力の作用によりオイル投入溝215から投入され、ピストン340は、クランクシャフト210の外側に設けられ、オイル投入溝215から投入された潤滑油は、ピストン340の端面面取りを通ってクランクシャフトケーシング220のオイル供給溝216に入る。オイル通路により、潤滑油は、低圧チャンバーの片側に流入してスライディングベーン330、ピストン340を十分に潤滑することができ、その後、スライディングベーン330の往復運動により、流入した潤滑油を低圧チャンバー110から効果的に排出してオイル貯蔵プールに流れ、潤滑油の循環を実現する。各潤滑部位の潤滑油が作動部位とオイル貯蔵プールの間で効果的に循環して潤滑し、各組み立て間隙に効果的なシールオイルフィルムを形成することを確保する。
【0043】
潤滑油循環には、ガス圧縮チャンバーの潤滑回路と、スライディングベーンの低圧側及びピストンの上下端面の潤滑回路と、スライディングベーンの高圧側の潤滑回路と、ベアリング320とクランクシャフト220の間の潤滑回路とが含まれる。潤滑油の循環は、具体的には次のとおりである。
【0044】
ガス圧縮チャンバーの潤滑回路には、次のステップが含まれる。
まず、クランクシャフト220にオイルポンピングが行われ、クランクシャフト220cの中央の潤滑油は、遠心力の作用によりオイル投入溝215から投入され、潤滑油は、遠心力の作用によりオイル供給溝216を通ってシリンダー310とピストン340の外径の間の吸気低圧チャンバーに流入する。潤滑油は、コンプレッサーの動作中にシリンダー310内の高圧圧縮チャンバーに移送され、高圧圧縮チャンバーと外部の低圧チャンバー110の間には、圧力差があり、潤滑油は、圧力差により低圧チャンバー110に排出される。低圧チャンバー110に排出された潤滑油は、ハウジングの底部のオイル貯蔵プール150に落ち、最終的にクランクシャフト220のカウンタシャフトオイルホールは、オイル貯蔵プール150からオイルを吸い込み、クランクシャフト220のオイルポンピングを達成し、最終的にガス圧縮チャンバーの潤滑回路の潤滑油循環を完了する。
【0045】
スライディングベーンの低圧側及びピストンの上下端面の潤滑回路には、次のステップが含まれる。
まず、クランクシャフト220にオイルポンピングが行われ、潤滑油は、オイル供給溝216を通ってスライディングベーン330の低圧上面に入る。スライディングベーン330は、直線運動し、潤滑油は、スライディングベーン330の低圧上面からスライディングベーン330の低圧側面に入る。冷媒が中間圧力まで圧縮されると、低圧側面の潤滑油は、外部低圧との圧力差により排出され低圧チャンバー110に戻る。低圧チャンバー110に排出された潤滑油は、ハウジングの底部のオイル貯蔵プール150に落ち、最終的にクランクシャフト220のカウンタシャフトオイルホールは、オイル貯蔵プール150からオイルを吸い込み、クランクシャフト220のオイルポンピングを達成し、最終的にスライディングベーンの低圧側及びピストンの上下断面の潤滑回路の潤滑油循環を完了する。
【0046】
スライディングベーンの高圧側の潤滑回路には、次のステップが含まれる。
まず、クランクシャフト220にオイルポンピングが行われ、潤滑油は、オイル供給溝216を通ってスライディングベーン330の高圧側表面に入る。冷媒が高圧まで圧縮されると、高圧側表面の潤滑油は、圧力差により排出され低圧チャンバー110に戻る。低圧チャンバー110に排出された潤滑油は、ハウジングの底部のオイル貯蔵プール150に落ち、最終的にクランクシャフト220のカウンタシャフトオイルホールは、オイル貯蔵プール150からオイルを吸い込み、クランクシャフト220のオイルポンピングを達成し、最終的にスライディングベーンの高圧側の潤滑回路の潤滑油循環を完了する。
【0047】
ベアリング320とクランクシャフト220の間の潤滑回路には、次のステップが含まれる。
まず、クランクシャフト220にオイルポンピングが行われ、潤滑油は、クランクシャフト220のオイルホールを通ってクランクシャフト220及びベアリング320の内径に入る。潤滑油は、螺旋状のオイル溝を通って低圧チャンバー110に入る。低圧チャンバー110に排出された潤滑油は、ハウジングの底部のオイル貯蔵プール150に落ち、最終的にクランクシャフト220のカウンタシャフトオイルホールは、オイル貯蔵プール150からオイルを吸い込み、クランクシャフト220のオイルポンピングを達成し、最終的にベアリング320とクランクシャフト220の間の潤滑回路の潤滑油循環を完了する。
【0048】
上記の潤滑油の循環により、各潤滑位置の潤滑油が作動部位とオイル貯蔵プール150の間で効果的に循環して潤滑し、各組み立て間隙に効果的なシールオイルフィルムを形成することができ、潤滑油の循環が実現され、ポンプアセンブリは、ムーズに動作することができ、ポンプアセンブリの耐用年数が長くなる。
【0049】
本発明は、上記実施例に係る低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを含む空気調和機をさらに提供する。空気調和機は、上記実施例に係る低圧チャンバーロータリーコンプレッサーを採用しており、モーターアセンブリを冷却することができ、そして、モーターアセンブリは、完全に気化されていない低圧冷媒を加熱して気化させ、圧縮前の気体状態の冷媒の温度を上昇させることができ、これにより、冷却係数が高くなり、エネルギーの有効利用率が最大化される。ポンプが低圧チャンバー110内に配置されることにより、シリンダー310とピストン340の間のシール性を効果的に高め、冷媒の圧縮効果を向上させることができる。
【0050】
以上、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が有する知識の範囲内において、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【国際調査報告】