(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】人工心臓弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575945
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022032983
(87)【国際公開番号】W WO2022261419
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・グロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブキン
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー・ドヴォルスキー
(72)【発明者】
【氏名】エラン・グロス
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ニア
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・モルデチャイ・ライフネル
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】ギレルモ・ダブリュー・モラトリオ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD15
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
人工心臓弁は、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖と、を含む。各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含み、弁尖は、開放状態と、流出エッジ部分どうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各弁尖の流入エッジ部分は、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動し得ることで弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助する可動部分でありかつ弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁であって、
流出端部分と、複数の流入頂点を有した流入端部分と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、各軸線方向延長部分は、固定端と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置された自由端と、を有している、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、
前記フレーム内に配置されているとともに前記フレームに対して結合された複数の弁尖であって、各弁尖は、メインボディを含み、前記メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している、複数の弁尖と、を含み、
前記弁尖の前記流入エッジ部分は、前記軸線方向延長部分の前記自由端に対して固定されている、人工心臓弁。
【請求項2】
前記弁尖の前記流入エッジ部分と、前記軸線方向延長部分の前記自由端とは、血液の逆流下で前記弁尖が閉塞する時には径方向内向きに移動するように構成されているとともに、血液の順流下で前記弁尖が開放する時には径方向外向きに移動するように構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項3】
前記弁尖の前記流入エッジ部分と、前記軸線方向延長部分の前記自由端とは、前記軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、隣接した流入頂点に向けて横方向に移動するように構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項4】
前記フレームは、前記流入端部分から前記流出端部分へと延びた中央長手方向軸線をさらに含み、前記軸線方向延長部分は、血液の逆流下で前記弁尖が閉塞する時には前記フレームの前記長手方向軸線に向けた径方向移動に対して抵抗するように構成されているとともに、血液の順流下で前記弁尖が開放する時には前記長手方向軸線から離間する向きへの径方向移動に対して抵抗するように構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項5】
前記フレームは、前記フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、前記外側スカートは、一つまたは複数の軸線方向延長部分に対して結合されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項6】
前記軸線方向延長部分の前記自由端は、開口部を含む、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項7】
前記軸線方向延長部分の前記自由端は、前記フレームが径方向に圧縮される時には、前記フレームの周方向に圧縮されるように構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項8】
前記フレームは、一つまたは複数の交連クラスプをさらに含み、各クラスプは、第一凹所を有した第一交連アームと、第二凹所を有した第二交連アームと、前記第一交連アームと前記第二交連アームとの間に位置し、かつ二つの隣接した弁尖によって形成された交連を受領するように構成された開口と、を含み、前記第一および第二凹所は、前記第一および第二交連アームと締結部材とが、内部に受領された前記交連の軸線方向移動を制限するよう、前記締結部材を受領するように構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項9】
人工心臓弁であって、
流入端と、流出端と、前記流入端を形成しているストラットからなる周方向に延びた列を形成するように配置された複数のストラットと、を含む径方向に拡張可能なフレームであって、一つまたは複数の選択されたストラットは、内部を通して延びた少なくとも一つの開口を有している、径方向に拡張可能なフレームと、
前記フレームの内部に配置されているとともに前記フレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖であって、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを含む、複数の弁尖と、を含み、
前記弁尖の前記流入エッジ部分は、前記開口を通して延びた縫合糸によって、前記フレームの前記選択されたストラットに対して結合されている、人工心臓弁。
【請求項10】
前記選択されたストラットは、隣接した選択されたストラットからなる対として配置されており、隣接した選択されたストラットからなる対に関して、一方の前記選択されたストラットは、前記弁尖の一つに対して結合されており、他方の前記選択されたストラットは、隣接した弁尖に対して結合されている、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項11】
各々の選択されたストラットは、径方向に貫通して延びた一つまたは複数の開口を有している、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項12】
各々の選択されたストラットは、流入セクションと、中間セクションと、流出セクションと、を含み、前記開口は、前記ストラットの前記中間セクションを通して径方向に延びている、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項13】
前記選択されたストラットの前記中間セクションは、前記選択されたストラットの前記流入セクションおよび前記流出セクションの周方向幅と比較して、より大きな周方向幅を有している、請求項12に記載の人工心臓弁。
【請求項14】
前記フレームは、軸線方向に延びた複数のポストをさらに含み、前記ポストのそれぞれは、前記フレームが径方向圧縮状態にある時に、隣接した選択されたストラットの前記中間セクションを受領するように構成された凹所を含む、請求項13に記載の人工心臓弁。
【請求項15】
前記フレームの外面に対して取り付けられ、かつ縫合糸によって前記フレームに対して接続された外側スカートをさらに含み、前記縫合糸は、前記選択されたストラットの前記開口を通して延びている、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項16】
前記フレームは、軸線方向に延びた複数の第一ポストと、軸線方向に延びた複数の第二ポストと、をさらに含み、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる選択された対は、選択されたポストからなる第一組を形成しており、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる他の選択された対は、選択されたポストからなる第二組を形成しており、
前記フレームは、
選択されたポストからなる前記第一組における前記第二ポストに対して結合された第一組のナットと、選択されたポストからなる前記第二組における前記第二ポストに対して結合された第二組のナットであって、前記第一組のナットは、前記第二組のナットと比較して、少なくとも一つの寸法が異なる、第一組および第二組のナットと、
前記第一組の選択されたポストと前記第一組のナットとを通して延びる、複数の第一アクチュエータ部材、および前記第二組の選択されたポストと前記第二組のナットとを通して延びる、複数の第二アクチュエータ部材であって、前記第一アクチュエータ部材は、第一の向きに回転駆動されるように構成されており、前記第二アクチュエータ部材は、第二の向きに回転駆動されるように構成されており、前記第一および第二アクチュエータ部材は、径方向圧縮状態から径方向拡張状態へと前記フレームを径方向に拡張させるように構成されている、複数の第一および第二アクチュエータ部材と、をさらに含む、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項17】
前記フレームは、軸線方向に延びた複数のポストをさらに含み、少なくとも一つのポストは、内部を通して延びた内部穴と、前記フレームの外面から前記ポストの前記内部穴へと延びた開口部と、を含む、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項18】
人工心臓弁であって、
流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、
前記フレーム内に配置されているとともに前記フレームに対して結合された複数の弁尖であって、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、前記メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含み、前記弁尖は、前記流入端から前記流出端へと前記フレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、前記流出エッジどうしが互いに接合することで前記流出端から前記流入端へと前記フレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されている、複数の弁尖と、を含み、
各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、前記フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連でありかつ流入端および流出端を有した複数の交連を形成しており、前記弁尖は、前記弁尖が前記開放状態とされた時には、前記弁尖の前記流出エッジの全体にわたって張力が印加される、人工心臓弁。
【請求項19】
前記弁尖は、前記弁尖が前記開放状態とされた時には、前記弁尖の前記流出エッジに向けてテーパー形状とされた流出チャネルを規定する、請求項18に記載の人工心臓弁。
【請求項20】
前記弁尖に対して張力が印加された時には、径方向間隙が、前記弁尖の前記流出エッジと前記フレームの内面との間に延びている、請求項18に記載の人工心臓弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2022年5月31日付けで出願された米国仮出願第63/347,384号明細書、2022年1月10日付けで出願された米国仮出願第63/298,130号明細書、2021年11月12日付けで出願された米国仮出願第63/278,636号明細書、および2021年6月11日付けで出願された米国仮出願第63/209,904号明細書の優先権を主張するものである。先行出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、人工心臓弁、およびそのような人工弁のための送達アセンブリ、に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、様々な弁膜症に罹患する可能性がある。これらの弁膜症は、心臓の深刻な機能不全を引き起こし得るものであって、最終的には、天然弁を修復することが必要となったり、天然弁を人工弁へと置換することが必要となったり、することがある。修復デバイス(例えば、ステント)および人工弁として、多数のものが知られているとともに、それらデバイスおよび弁をヒト内へと移植するための方法としても、多数のものが知られている。経皮的なおよび低侵襲的な外科的アプローチを、様々な手順で使用することで、患者の身体内部における、手術では容易にアクセスし得ない位置へと、また、手術なしでアクセスすることが望ましい位置へと、人工医療デバイスを送達することができる。一具体例では、人工心臓弁を、送達装置の遠位端部上に圧着状態で装着し得るとともに、患者の血管系を通して(例えば、大腿動脈および大動脈を通して)前進させることができ、人工心臓弁を心臓内の移植部位へと到達させることができる。その後、人工心臓弁を、例えば、人工弁が上面上に装着されているバルーンを膨張させることにより、または人工心臓弁に対して拡張力を印加する機械的アクチュエータを駆動することにより、または人工心臓弁を送達装置のシースから展開することで人工心臓弁をその機能的サイズへと自己拡張させ得ることにより、その機能的サイズへと拡張させる。
【0004】
拡張のために機械的アクチュエータを使用する人工弁は、「機械的に拡張可能な」人工心臓弁と称することができる。アクチュエータは、典型的には、引張ケーブル、縫合糸、ワイヤ、および/またはシャフト、の形態をとるものとされ、拡張力を送達装置のハンドルから人工弁へと伝達するように構成されている。
【0005】
大部分の拡張可能な経カテーテル心臓弁は、円筒形の金属フレームすなわちステントと、フレーム内に装着された人工弁尖と、を含む。弁尖は、その尖端エッジ(尖端エッジどうしの取付は、「スカラップライン」と称され得る)に沿って、および弁尖の交連タブ(また、弁尖タブとも称される)のところで、フレームに対して取り付けられてもよい。人工弁のための弁尖を設計または選択するに際しては、ある種のトレードオフが存在する。例えば、比較的長い弁尖は、血液の逆流下でも適正な接合を確保し得るけれども、弁全体にわたって望ましくない圧力勾配をもたらす可能性がある。他方、比較的短い弁尖は、より小さな圧力勾配とより望ましい血行動態とを達成し得るけれども、血液の逆流下では、弁尖どうしが完全に接合する能力に影響を与える可能性がある。人工弁が、単一の動作直径での使用を意図したものである場合には、弁尖は、典型的には、意図された動作直径で弁尖の自由端に沿って適正かつ完全な接合を可能とするよう、充分な長さのものとされる。しかしながら、人工弁が、ある範囲の動作直径(例えば、26mm~29mm)での使用を意図したものである場合には、小さな圧力勾配と完全な弁尖の接合との間において、適切なバランスをとることが困難である。弁尖の長さを長くすると、広範囲の動作直径で適正な接合を確保し得るけれども、望ましくない圧力勾配が生じる可能性があり、他方、弁尖の長さを短くすると、特に動作直径の範囲における上限のところで、完全な接合が得られない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、弁全体にわたっての圧力勾配を望ましく減少させるような、かつ、特に様々な動作直径を有した人工弁の場合に弁尖の適正な接合を可能とするような、改良された人工心臓弁が、要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
代表的な例では、人工心臓弁は、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含む、複数の弁尖と、を含む。弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジ部分どうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各弁尖の流入エッジ部分は、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動し得ることで弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助する可動部分でありかつ弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む。
【0008】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流出端部分と、流入端部分と、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線と、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間にそれぞれが配置された複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖と、を含む。各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含み、流入エッジ部分は、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に延びているとともに、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された可動部分を有しており、弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、軸線方向延長部分とは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には長手方向軸線に向けて移動するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きに移動するように構成されている。
【0009】
別の代表的な例では、人工心臓弁の送達アセンブリは、送達装置を含み、送達装置は、ハンドルと、ハンドルに対して結合された近位端部分を有したおよび遠位端部分を有したシャフトと、を含み、送達アセンブリは、シャフトの遠位端部分に対して結合された拡張可能な人工心臓弁をさらに含む。人工心臓弁は、径方向に拡張可能なフレームを含み、径方向に拡張可能なフレームは、流出端と、流入端と、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖が、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジ部分どうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されている。各弁尖の流入エッジ部分は、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動し得ることで弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助する可動部分でありかつ弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む。
【0010】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流入端と、流出端と、周方向に延びたセルの列と、セル内に第一端部を有した軸線方向に延びた複数の第一ポストと、セル内に第二端部を有した軸線方向に延びた複数の第二ポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、第一ポストのそれぞれは、フレームの長さに沿って第二ポストの一つに対して位置合わせされることで、第一ポストと第二ポストとからなる対を形成している、径方向に拡張可能なフレームと、フレームを径方向圧縮状態から径方向拡張状態へと径方向に拡張するように構成された複数のアクチュエータ部材と、を含む。フレームが径方向圧縮状態とされた時には、第一端部および第二端部は、互いに軸線方向に離間して配置されており、フレームが径方向拡張状態とされた時には、第一端部および第二端部は、フレームの過度な拡張を阻止するよう、互いに接触している。フレームの内部に配置された複数の弁尖は、フレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成されている。
【0011】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流出端部分と、流入端部分と、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分でありかつそれぞれが一対の隣接した流入頂点どうしの間に配置された複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖と、を含む。各弁尖は、メインボディを含み、メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している。弁尖の流入エッジ部分と、軸線方向延長部分とは、軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、隣接した流入頂点に向けて横方向に移動するように構成されている。
【0012】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流入端と、流出端と、流入端を形成しているストラットからなる周方向に延びた列を形成するように配置された複数のストラットと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、一つまたは複数の選択されたストラットは、内部を通して延びた少なくとも一つの開口を有している、径方向に拡張可能なフレームと、フレームの内部に配置されているとともにフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖と、を含む。各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを含む。弁尖の流入エッジ部分は、開口を通して延びた縫合糸によって、フレームの選択されたストラットに対して結合されている。
【0013】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流出端と、流入端と、流入端から流出端へと延びた中央長手方向軸線と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連を形成しており、弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には弁尖の流出エッジに向けてテーパー形状をなす流出チャネルを規定する。
【0014】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連でありかつ流入端および流出端を有した複数の交連を形成しており、弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には、弁尖の流出エッジの全体にわたって張力が印加される。
【0015】
別の代表的な例では、人工心臓弁のための弁尖は、流入エッジと、流出エッジと、長手方向軸線と、対をなす対向する交連タブと、を含むメインボディを含み、各交連タブは、流入端および流出端を有しているとともに、メインボディの長手方向軸線に対してゼロよりも大きな角度で、メインボディの各サイドから延びている。
【0016】
別の代表的な例では、人工心臓弁を組み立てるための方法は、弁尖アセンブリが、複数の弁尖を含み、各弁尖は、流入エッジと、流出エッジと、対をなす対向する交連タブと、を有しており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、流入端および流出端を有した複数の弁尖交連を形成しており、フレームは、複数の交連支持部分を含む場合に、径方向に拡張可能なフレームの内部に、弁尖アセンブリを位置決めすることと、各弁尖を、それぞれ対応する交連タブどうしの間において、流出エッジに沿って伸張させることにより、各弁尖交連を、フレームの交連支持部分に対して隣接して位置決めすることと、弁尖アセンブリの弁尖が、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されている場合に、各交連を、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合することと、を含む。
【0017】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流出端部分と、複数の流入頂点を有した流入端部分と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであり、各軸線方向延長部分は、固定端と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置された自由端と、を有している、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、メインボディを含み、メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分は、軸線方向延長部分の自由端に対して固定されている。
【0018】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流入端と、流出端と、軸線方向に延びた複数の第一ポストと、軸線方向に延びた複数の第二ポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームを含み、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる選択された対は、選択されたポストからなる第一組を形成しており、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる他の選択された対は、選択されたポストからなる第二組を形成している。フレームは、選択されたポストからなる第一組における第二ポストに対して結合された第一組のナットと、選択されたポストからなる第二組における第二ポストに対して結合された第二組のナットと、をさらに含み、第一組のナットは、第二組のナットと比較して、少なくとも一つの寸法が相違しており、複数の第一アクチュエータ部材が、第一組の選択されたポストと第一組のナットとを通して延びており、複数の第二アクチュエータ部材が、第二組の選択されたポストと第二組のナットとを通して延びており、第一アクチュエータ部材は、第一の向きに回転駆動されるように構成されており、第二アクチュエータ部材は、第二の向きに回転駆動されるように構成されており、第一アクチュエータ部材および第二アクチュエータ部材は、径方向圧縮状態から径方向拡張状態へとフレームを径方向に拡張させるように構成されており、複数の弁尖が、フレームの内部に配置されているとともに、フレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成されている。
【0019】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、流入端と、流出端と、軸線方向に延びた複数のポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、少なくとも一つのポストは、内部を通して延びた内部穴と、フレームの外面からポストの内部穴へと延びた開口部と、を含む、径方向に拡張可能なフレームと、フレームの内部に配置された複数の弁尖でありかつフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖と、を含む。
【0020】
本発明における、上記のおよび他の、目的、特徴、および利点は、添付図面を参照しながら進められる以下の詳細な説明により、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、人工心臓弁およびそのフレームに関する例示的な一例の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1~
図2の人工弁における一つの弁尖を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1~
図2の人工弁に関する平面図であって、弁尖が開位置および閉位置のそれぞれとされた状態で示されている。
【
図6】
図6は、
図1~
図2の人工弁に関する平面図であって、弁尖が開位置および閉位置のそれぞれとされた状態で示されている。
【
図7】
図7は、外側スカートが、および/または、一つまたは複数の弁尖が、弁の流入端内へと延びた状態における、人工心臓弁の底面図である。
【
図8】
図8は、人工心臓弁のためのフレームに関する代替可能な一例を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図8のフレームを含む人工心臓弁の斜視図である。
【
図10】
図10は、人工弁の一部に対して外側スカートが取り付けられた状態における、
図9の人工弁の一部に関する拡大図である。
【
図11】
図11は、人工心臓弁のためのフレームに関する別の例を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図12】
図12は、
図11のフレームにおける、単一の組をなすセルを、径方向拡張状態で示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図11のフレームにおける、単一の組をなすセルを、径方向拡張状態で示す側面図である。
【
図14A】
図14Aは、
図11のフレームにおける交連支持部材に関する、および交連支持部材に対して取り付けられた二つの弁尖によって形成された交連に関する正面図である。
【
図14B】
図14Bは、
図11のフレームにおける交連支持部材に関する、および交連支持部材に対して取り付けられた二つの弁尖によって形成された交連に関する断面図である。
【
図15】
図15は、人工弁のためのフレームに関する別の例を、径方向拡張状態で示す側面図である。
【
図18】
図18は、フレームに対して外側スカートが取り付けられた状態における、
図15のフレームの側面図である。
【
図19】
図19は、人工心臓弁のためのフレームに関する別の例を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図22】
図22は、人工弁のためのフレームの別の例における、単一の組をなすセルを、径方向圧縮状態で示す側面図である。
【
図24】
図24は、人工弁のためのフレームの代替可能な一例における、単一の組をなすセルを、径方向圧縮状態で示す拡大側面図である。
【
図25】
図25は、
図24のフレームにおける、単一の組をなすセルの、一つのストラットの一部に関する拡大図である。
【
図29】
図29は、長手方向を向いたタブを有した弁尖を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図30】
図30は、
図29の複数の弁尖を含む人工心臓弁の平面図であって、弁尖が開放位置で示されている。
【
図32】
図32は、一例による、本開示の人工心臓弁のための送達装置に関する側面図である。
【
図33】
図33は、人工心臓弁のためのフレームに関する別の例を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図34】
図34は、人工心臓弁のためのフレームに関する別の例を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図35】
図35は、人工心臓弁のためのフレームに関する別の例における一部を、平坦な構成で示す平面図である。
【
図37】
図37は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図38】
図38は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図39】
図29は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図40】
図40は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図41】
図41は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図42】
図42は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図43】
図43は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図44】
図44は、様々な例による、軸線方向延長部分の拡大側面図である。
【
図45A】
図45Aは、別の例による、複数の軸線方向延長部分を有したフレームに関する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の例における特定の態様、利点、および新規な特徴について、本明細書で説明する。説明する方法、装置、およびシステムは、いかようにも限定的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、互いの様々な組合せで、および互いの様々な下位組合せで、様々な開示する例に関する、すべての新規かつ非自明な、特徴および態様を対象とする。開示する方法、装置、およびシステムは、特定の態様、特徴、またはこれらの組合せに限定されるものではなく、また、開示する例は、任意の一つまたは複数の特定の利点が存在することを必要とするものでも、解決すべき問題点を必要とするものでも、ない。
【0023】
いくつかの開示する例における操作は、提示の便宜上、特定の連続した順序で説明されているけれども、この説明の態様が、以下に記載した具体的な文言によって特定の順序が要求されない限り、並べ替えを包含するものであることは、理解されよう。例えば、順次的に説明する操作は、場合によっては、並べ替えられてもよく、また、同時に実行されてもよい。その上、簡略化のために、添付図面は、開示する方法を他の方法と組み合わせて使用し得る様々な態様を示していないことがあり得る。追加的に、説明では、開示する方法を記述するために、時に、「提供する」または「達成する」などの用語を使用する。これらの用語は、実行される実際の操作に関する高レベルの抽象概念である。これらの用語に対応した実際の操作は、特定の実装によって相違し得るものであって、当業者であれば容易に認識可能である。
【0024】
本出願および特許請求の範囲で使用した際には、「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」という単数形は、文脈が別段のことを明確に記述しない限り、複数形を含む。追加的に、「含む(includes)」という用語は、「含む(comprises)」ことを意味する。さらに、「結合する(coupled)」および「接続する(connected)」という用語は、物理的に、機械的に、化学的に、磁気的に、および/または電気的に、結合または連結することを一般的に意味するものであり、特定の反対の文言がない限り、結合されたまたは関連付けられた部材どうしの間における中間介在要素の存在を排除するものではない。本明細書で使用した際には、「および/または」は、「および」もしくは「または」を意味し、また、「および」と「または」との両方を意味する。
【0025】
本明細書で使用した際には、「近位」という用語は、ユーザに対してより近くであり、かつ、移植部位から離間している、デバイスの位置、方向、または部分を指す。本明細書で使用した際には、「遠位」という用語は、ユーザから離間しており、かつ、移植部位に対してより近くである、デバイスの位置、方向、または部分を指す。よって、例えば、デバイスの近位移動とは、デバイスが移植部位から離間して、ユーザへと向かう(例えば、患者の身体外へと)移動であり、他方、デバイスの遠位移動とは、デバイスがユーザから離間して、移植部位へと向かう(例えば、患者の身体内へと)移動である。「長手方向」および「軸線方向」という用語は、別段に明示的に定義されない限り、近位向きにおよび遠位向きに延びた軸線を指す。さらに、「径方向」という用語は、軸線に対して垂直に位置した方向を指すとともに、物体の中心から半径に沿ったポイントを指す(この場合、軸線は、中心に位置決めされ、人工心臓弁の長手方向軸線を有している)。
【0026】
開示した例が、心臓における任意の天然の弁輪(例えば、大動脈、肺、僧帽弁、および三尖弁、の弁輪)内へと人工心臓弁を送達して移植することに適合され得ること、また、任意の多数の送達アプローチ(例えば、逆行性、順行性、経中隔、経心室、経心房、等)を使用して人工心臓弁を送達するための任意の様々な送達デバイスと共に使用され得ることは、理解されよう。本明細書で開示する送達装置の例は、人工心臓弁を移植するという文脈で説明されているけれども、送達装置は、静脈弁、ステント、グラフト、心臓弁修復デバイス、等を含むがこれらに限定されない任意の様々な医療用インプラントを身体内へと送達して移植するために使用することができる。
【0027】
開示する技術の例
本明細書で説明するものは、心臓における任意の天然弁(例えば、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁)内へと移植し得るような、人工心臓弁などの、人工インプラントに関する例である。本開示は、また、そのような人工インプラントと共に使用するためのフレームを提供する。フレームは、異なる形状および/またはサイズを有したストラットを含むことができ、これにより、インプラントの全体的な圧縮プロファイルまたは圧着プロファイルを最小化し得るとともに、必要とされた領域に対して、充分な構造的強度と剛性とを提供することができる。そのようなフレームにおける隣接した頂点どうしの間隔は、従来的なフレームと比較して、かなり大きなものとすることができ、いくつかの実例では、二倍とすることができる。
【0028】
本明細書で説明するフレームを含む人工弁は、弁尖のスカラップラインの一部がフレームの頂点どうしの間へと延びる態様で、ならびに、人工弁の動作サイクル時にフレームの内部に対して径方向内向きにおよび径方向外向きに自由に撓む態様で、フレームの内部に取り付けられた複数の弁尖を有することができる。いくつかの実例では、本開示のフレームは、頂点どうしの間に配置された軸線方向延長部分を含むことができ、軸線方向延長部分に対しては、頂点どうしの間に延びた弁尖のスカラップラインの部分を結合することができる。これら軸線方向延長部分は、軸線方向延長部分と、軸線方向延長部分に対して結合された弁尖部分と、の両方が、フレームの内部に対して径方向内向きにおよび径方向外向きに撓み得るように、構成することができる。有利なことに、弁尖の径方向内向き移動および/またはフレームの軸線方向延長部分に起因して、開示した人工弁では、より短く設計された弁尖を利用することができる。これらの特徴が内向きに移動することにより、短い弁尖どうしが適正に接合することが可能とされ、従来的な人工弁と比較して血液流に対する障害を低減することにより、人工弁全体にわたっての圧力勾配を改良することができる。加えて、短い弁尖は、バルブインバルブ手順で起こり得るような、冠動脈口を弁尖によって覆ってしまう(閉塞してしまう)というリスクを、低減することができる。
【0029】
いくつかの実例では、本開示のフレームは、また、フレームの一端のところで、頂点に向けての向きにおいて、横方向に撓むように構成された軸線方向延長部分を含むことができる。これらの軸線方向延長部分の一部または全部は、また、上述した軸線方向延長部分の追加的な機能を有することもできる。例えば、横方向に撓むように構成された軸線方向延長部分は、また、フレームの内部に対して内向きにおよび外向きに撓むように構成することもできる。上述した第一タイプの軸線方向延長部分と同様に、これらの横方向に撓む軸線方向延長部分も、また、人工弁の弁尖に対して結合することができ、これにより、弁尖と軸線方向延長部分との両方が、横方向に撓むことができる。そのような横方向の撓みは、場合によっては、天然組織が軸線方向延長部分に対して印加する力に応答して、およびそのような力の影響下で、軸線方向延長部分を移動させることができる。これにより、とりわけ、患者の血管系を通して人工弁を送達する際に、天然組織と軸線方向延長部分との間の接触によって引き起こされ得るような組織損傷リスクを低減することができる。有益なことに、そのような軸線方向延長部分を含むフレームを有した人工弁は、より非外傷性の態様で送達することができる。
【0030】
本明細書で説明する人工弁に含まれるフレームは、また、フレームの流入端を形成することとなる下部ストラットの列を有することもでき、下部ストラットのいくつかは、下部ストラットを通して延びた開口を有するように選択される。これらの選択されたストラットの開口は、ストラットの開口を通して延びた縫合糸を、ならびに、フレームの内部で弁尖に対して取り付けられた接続スカートを通して延びた縫合糸をまたは弁尖に対して直接的に取り付けられた接続スカートを通して延びた縫合糸を、受領するようなサイズおよび形状とすることができる。これらの選択されたストラットに対して隣接した軸線方向ポストは、また、選択されたストラットの、ストラットの開口を含む部分を、受領するように構成された凹所を含むことができる。これらの凹所は、フレームおよび人工弁が、部分的にまたは完全に圧縮された際には、開口を形成するストラットのそれら部分の一部または全体が凹所内に受領されるようにして、位置することができ、これにより、選択されたストラットと、それぞれ対応した軸線方向ポストと、の間の接触が回避される。いくつかの実例では、選択されたストラットの、開口を形成する部分は、選択されたストラットと軸線方向ポストとの接触が回避されるよう、比較的小さな周方向幅を有して形成することができる。
【0031】
本明細書で説明する人工弁は、また、複数の弁尖を含むことができ、複数の弁尖は、これら弁尖が開放状態とされた時には、流出エッジに沿って張力が印加される。例えば、各弁尖は、弁尖の長手方向軸線に対して傾斜したタブを有することができ、この場合、弁尖ボディと、タブどうしの間の距離とは、流出エッジに向けて徐々に狭くなるものとされる。フレームに対して取り付けられた時には、各弁尖は、流出エッジのところにおけるタブどうしの間の最も狭い距離が、副交連部分のところにおけるタブどうしの間の最も広い距離と等しくなるような態様で、流出エッジに沿って、それぞれ対応したタブどうしの間において、伸張することができる。その結果、弁尖が開放した時に弁尖全体にわたっておよび人工弁の周囲において印加される張力は、弁の流出エッジに向けてテーパー形状をなす流出チャネルを規定することができる。いくつかの実例では、このテーパー形状の流出チャネルは、流出エッジのところでの不要な擾乱を回避することなどにより、また、弁尖の流出エッジをフレームの内面からオフセットすることなどにより、弁の血行動態および耐久性を改良することができる。
【0032】
本明細書で説明するフレームは、弁ボディの径方向圧縮または径方向拡張をより強く制御し得るよう、アクチュエータ(例えば、拡張機構)および/またはロック機構をさらに含むことができる。開示したフレームの軸線方向ポストは、また、そのような弁の過度の拡張を制限または阻止するよう、フレームが径方向に拡張される際には、軸線方向に互いに向けて移動するようにさらに互いに接触するように構成することができる。フレームは、また、複数の交連支持部材を含むことができ、これら複数の交連支持部材に対しては、弁尖タブまたは交連を、径方向にまたは軸線方向に挿入して取り付けることができる。
【0033】
本明細書で開示する人工弁は、径方向圧縮構成と径方向拡張構成との間にわたって、径方向に圧縮可能かつ拡張可能とすることができる。よって、人工弁は、送達時には、径方向圧縮状態でインプラント送達装置によって圧着されて保持され得るとともに、人工弁が移植部位へと到達した後には、径方向拡張状態に拡張されることができる。本明細書で開示する弁が、以下の開示においてその例についてより詳細に説明されることとなる様々なインプラント送達装置と共に使用され得ることは、理解されよう。
【0034】
図1は、一例による、例示的な人工心臓弁100を示している。人工弁100は、流入端104と流出端106とを有するような、環状ステントすなわちフレーム102を含むことができる。人工弁100は、また、フレーム102に対して結合されておりかつフレーム102の内部に支持された弁膜構造108を含むことができる。弁膜構造108は、人工弁100を通して流れる血液流を、流入端104から流出端106へと規制するように構成されている。
【0035】
人工弁100は、径方向圧縮構成と径方向拡張構成との間にわたって、径方向に圧縮可能かつ拡張可能とすることができる。フレームは、相互接続されたストラット110からなる周方向に延びた複数の列を含むことができ、ストラット110は、格子タイプのパターンで配置されているとともに、人工弁100の流入端104のところに、複数の頂点112を形成しており、さらに、人工弁100の流出端106のところに、複数の同様の頂点114を形成している。
【0036】
図示した例では、ストラット110は、フレーム102を径方向に拡縮させ得るよう、互いに対して枢動可能または屈曲可能とされている。例えば、フレーム102は、単一片の材料(例えば、金属チューブ)から、形成することができる(例えば、レーザーカットによって、電鋳または物理的蒸着によって)。よって、フレーム102の流入端104および流出端106は、人工弁100の組立または作製または移植などの際に径方向に拡張または圧縮される際には、人工弁100の長手方向軸線に対して平行に軸線方向に移動することができる。
【0037】
フレームのストラットは、および本明細書で説明するフレームを構築するために使用される任意の構成要素は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、または、例えばニチノールといったニッケルチタン合金(「NitTi」)などの、任意の様々な適切な材料から作製することができる。フレームおよび人工弁の構造に関する更なる詳細は、2020年9月30日付けで出願された米国特許出願第63/085,947号明細書、2021年1月18日付けで出願された米国特許出願第63/138,599号明細書、および2021年4月26日付けで出願された米国特許出願第63/179,766号明細書、で説明されており、これらの文献は、参照により本明細書に援用される。
【0038】
他の例では、フレーム102は、個々の構成要素(例えば、フレームのストラットおよび締結部材)から構築することができ、その後、個々の構成要素どうしを互いに機械的に組み立てて接続することができる。例えば、ストラット110は、各ストラットの長さに沿って、一つもしくは複数の枢動ジョイントのところで、または一つもしくは複数の枢動接合部分のところで、互いに枢動可能に結合することができる。枢動ジョイントまたは枢動接合部分(例えば、ヒンジ)のそれぞれは、フレーム102が径方向に拡張または圧縮される際に、ストラット110が互いに枢動することを可能とすることができる。枢動可能に接続されたストラットを有したそのようなフレームの例は、米国特許公開第2018/0153689号明細書、米国特許公開第2018/0344456号明細書、および米国特許公開第2019/0060057号明細書、およびWIPO公開第2020/081893号、に開示されており、これらの文献は、参照により本明細書に援用される。
【0039】
弁膜構造108は、可撓性材料から作製された一つまたは複数の弁尖116(
図4)を有した弁尖アセンブリを含むことができる。弁尖116は、全体的にまたは部分的に、生物学的材料から、生体適合性合成材料から、または他のそのような材料から、作製することができる。適切な生物学的材料は、例えば、ウシ心膜(または、他の供給源からの心膜)を含むことができる。弁尖116は、これら弁尖どうしの隣接した側面のところで互いに固定することにより、交連118を形成することができ、交連118のそれぞれは、弁100のフレーム102における交連支持部材120に対して固定することができる。
【0040】
図1および
図2に図示した例では、弁膜構造108は、三尖弁配置で圧潰するように構成され得る三つの弁尖116を含む。
図2に最も明瞭に示すように、各弁尖116は、流入エッジ部分(また、頂点エッジ部分とも称される)122と、流出エッジ部分124と、を有することができる。弁尖116の流入エッジ部分122は、縫合糸126を介して、フレームの隣接したストラット152a、152bに対して固定され得るとともに、周方向において、弁膜構造の、フレーム102のストラット152a、152bの部分に対して追従または追跡する起伏を有した全体的にスカラップ形状のエッジ132を規定している。よって、弁尖116の流入エッジ部分122は、また、「スカラップライン」とも称することができる。
【0041】
弁膜構造を人工弁のフレームに対して取り付け得る態様を含めて、経カテーテル人工心臓弁に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第6,730,118号明細書、米国特許第7,393,360号明細書、米国特許第7,510,575号明細書、米国特許第7,993,394号明細書、米国特許第8,252,202号明細書、米国特許出願第15/978,459号明細書(米国特許公開第2018/0325665号明細書として公開された)、および、2019年5月30日付けで出願された米国仮出願第62/854,702号明細書、に見出すことができ、これら文献のすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0042】
人工弁100は、一つまたは複数の、スカートまたはシール部材を含むことができる。いくつかの実装では、人工弁100は、フレームの内面上に取り付けられた内側スカート(図示せず)を含むことができる。内側スカートは、弁周囲漏洩を防止するために、弁尖をフレームに対してアンカー止めするために、およびまたは、人工弁の圧着時や動作サイクル時にフレームに対する接触によって損傷することから弁尖を保護するために、シール部材として機能することができる。
【0043】
図1に示すように、人工弁100は、また、縫合糸130を介してフレーム102の外面上に取り付けられた外側スカート128を含むことができる。外側スカート128は、天然弁輪の組織に対して密封することによって人工弁のためのシール部材として機能するものであって、人工弁を通過する弁周囲漏洩を減少させることを補助する。本明細書でさらに説明するように、外側スカート128は、また、人工弁の動作サイクル時に外側スカート128が弁尖と一緒に移動するよう、縫合糸194を介して弁膜構造108の一つまたは複数の弁尖(例えば、流入エッジ部分122)のスカラップラインに対して縫合することができる。
【0044】
内側スカートおよび外側スカートは、織物(例えば、ポリエチレンテレフタレート織物)または天然組織(例えば、心膜組織)を含めた任意の様々な合成材料を含む様々な適切な生体適合性材料から形成することができる。人工弁におけるスカートまたはシール部材の構造ならびに組立に関する更なる詳細は、例えば、WIPO公開第2020/198273号に見出すことができ、この文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0045】
図2および
図3は、人工心臓弁100と、その一体型格子状フレーム102と、を図示している。例示の目的で、また、フレーム102の説明を容易とするために、
図2では、外側スカート128が図示省略されており、
図3は、むき出しのフレーム102を図示している。
図3では、フレーム102の片側のみが図示されているけれども、フレーム102が、環状構造を形成していることは、理解されよう。
【0046】
上記で言及したように、また
図1~
図3に示すように、フレーム102は、相互接続されたストラット110からなる周方向に延びた複数の列を含むことができ、ストラット110は、格子タイプのパターンで配置されているとともに、フレーム102の流入端104のところに、複数の第一頂点112を形成しており、さらに、流出端106のところに、複数の第二頂点114を形成している。ストラット110は、例えば、フレーム102の周縁まわりにおいて周方向に延びた複数の第一セルおよび第二セルを規定している。周方向に延びたセルは、第一セル134を含むことができ、第一セル134は、第一セル134の内部に配置された第二セル136よりも相対的に大きなものとされている。
【0047】
各第一セル134は、軸線方向に延びた楕円形状を有することができ、第一頂点112は、フレーム102の流入端104のところで、楕円の長軸上の頂点に配置されており、第二頂点114は、流出端106のところで、楕円の長軸上の頂点に配置されている。このようにして、各第一頂点112は、流入頂点と称されることができ、各第二頂点114は、流出頂点と称されることができる。その上、各第二セル136は、周方向に延びた楕円形状を有することができ、第一頂点138および第二頂点140(例えば、流入頂点138および流出頂点140)は、楕円の短軸上の頂点に配置されている。
図2および
図3に最も明瞭に図示しているように、各第二セル136は、それぞれ対応する第一セル134の外周の内部に配置することができる。
【0048】
フレーム102は、本明細書では、楕円形状の第一セル134および第二セル136を有するものとして説明されるけれども、他の例では、第一セルおよび第二セルは、六角形、菱形、三角形、涙滴形状、長方形、正方形、卵形、長円形、などの様々な形状で構成することができる。例えば、各第一セルは、比較的大きな六角形状のセルとされることができ、内部に配置された比較的小さな菱形形状の第二セルを有することができる。
【0049】
図1~
図3は、フレーム102が、また、軸線方向に延びた複数のストラットすなわちポスト142を含むこと、および、ポスト142のそれぞれが、第二セル136の頂点138、140と、第一セルの頂点112、114と、の間に延びていることを、さらに示している。図示したフレーム102は、また、軸線方向に延びた複数のストラットすなわちポスト144を含み、ポスト144のそれぞれは、周方向に隣接した第一セル134どうしの間に配置することができる。
【0050】
各第一セル134は、二つの上側ストラット150a、150bと二つの下側ストラット152a、152bとによって形成されている。上側ストラット150および下側ストラット152のそれぞれは、一端がポスト142に対して結合されており、他端がポスト144に対して結合されている。上側ストラット150a、150bは、フレーム102の流出端106を規定しているストラットの上側列の一部とすることができ、下側ストラット152a、152bは、フレーム102の流入端104を規定しているストラットの下側列の一部とすることができる。各第二セル136は、二つの上側ストラット154a、154bと二つの下側ストラット156a、156bとによって形成されている。上側ストラット154a、154bの下端と、下側ストラット156a、156bの上端とは、ポスト144の側方延長部分146に対して接続することができる。上側ストラット154a、154bの上端と、下側ストラット156a、156bの下端とは、それぞれ対応するポスト142に対して接続することができる。
【0051】
図1~
図3に図示しているように、フレーム102は、周方向に一列で延びた六つの第一セル134と、六つの支持ポスト144と、を含み、第二セル136が、各第一セルの内部に配置されている。他の例では、フレーム102は、一列とされたより多数のもしくはより少数の第一セル134と、対応したより多数のもしくはより少数の第二セル136および/または144と、を含むことができる。
【0052】
言及したように、フレーム102は、各第一セル134の内部に、対をなすポストとして配置された、軸線方向に延びた複数のポスト142を含むことができる。対をなすポストのそれぞれは、上側ポスト142aと下側ポスト142bとを含む。
図3に最も明瞭に図示するように、対をなすポスト142a、142bのそれぞれは、互いに対して、軸線方向に位置合わせすることができる。各ポスト142a、142bは、ポストの長さに沿って延びた内部穴(図示せず)を含むことができ、この内部穴を通して、アクチュエータ部材(例えば、ロッド)158が延びることができる。それぞれ対応したポスト142a、142bを通して延びた各穴は、例えば、ロッド158を操作することによって第一ポスト142aを第二ポスト142bに対して軸線方向に移動させるよう、ロッド158に対して係合するように構成することができる。この例では、例えば、アクチュエータ部材158を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一ポスト142aおよび第二ポスト142bが互いに向けて軸線方向に駆動され、これにより、フレーム102を径方向に拡張させる。同様の態様で、ロッド158を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一ポスト142aおよび第二ポスト142bが互いに離間する向きに軸線方向に駆動され、これにより、フレーム102を径方向に圧縮する。
【0053】
いくつかの例では、一対のポスト142a、142bにおける少なくとも一方のポストの穴は、アクチュエータ部材158の対応したネジ山に対して係合するようにネジ山付きとされており、これにより、アクチュエータ部材158を回転駆動することにより、第一ポスト142aは、第二ポスト142bに対して軸線方向に駆動されることとなる。例えば、第一ポスト142aは、アクチュエータ部材158のネジ山に対して係合する内部ネジ山を有することができ、第二ポスト142bは、ネジ山を有していないものとされることができる。代替的には、第二ポスト142bが、アクチュエータ部材158のネジ山に対して係合する内部ネジ山を有することができ、第一ポスト142aは、ネジ山を有していないものとされることができる。別の例では、第一ポスト142aおよび第二ポスト142bの両方が、アクチュエータ部材158の対応したネジ山に対して係合するネジ山を有することができ、この場合、第一ポスト142aのネジ山およびアクチュエータ158の対応したネジ山は、第二ポスト142bのネジ山およびアクチュエータ部材158の対応したネジ山とは逆向きに螺着される。
【0054】
代替可能な例では、アクチュエータ部材158は、アクチュエータ部材158を引っ張ることでフレームを径方向に拡張させるように構成されたかつアクチュエータ部材158を押すことでフレームを径方向に圧縮させるように構成される、プッシュプル部材とすることができる。例えば、アクチュエータ部材158の遠位端部分は、第二ポスト142bに対して軸線方向に対して固定することができ、かつ、アクチュエータ部材158の近位端部分は、第一ポスト142aの穴を通して延びることなどによって、第一ポスト142aに対してスライド可能に結合することができる。このようにして、アクチュエータ部材158を近位向きに駆動することにより、第二ポスト142bは、第一ポスト142aに向けて駆動され、これにより、フレームは、径方向に拡張されることとなり、また、アクチュエータ部材158を遠位向きに駆動することにより、第二ポスト142bは、第一ポスト142aから離間する向きに駆動され、これにより、フレームは、径方向に圧縮されることとなる。
【0055】
図示した例では、支持ポスト142a、142bからなる各対は、それぞれ対応したアクチュエータ部材158を含むけれども、他の例では、支持ポスト142a、142bからなる一つの対または複数の対は、アクチュエータ部材158を含まないものとすることができる。人工弁のアクチュエータ部材および対応した構成要素の、使用ならびに構造に関する更なる詳細は、例えば、米国特許出願第63/085,947号明細書、米国特許出願第63/138,599号明細書、および米国特許出願第63/179,766号明細書、に見出すことができ、これらの文献は、参照により本明細書に援用される。本明細書で説明するフレームは、アクチュエータとロッドとの組合せによって径方向に拡張および/または圧縮されるけれども、開示するフレームのそれぞれが、引張ロッド、引張ワイヤ、および/またはテザー(例えば、ケーブルもしくは縫合糸)、などの様々な他の手段によって径方向に拡張および/または圧縮され得ることは、理解されよう。
【0056】
図1~
図3に示すように、支持ポスト144は、長手方向に延び得るとともに、流入端部分160と流出端部分162とを有することができる。一つまたは複数の支持ポスト144の流出端部分162は、交連支持部材120を含むことができ、この場合、交連支持部材120は、二つの流出頂点114の間に配置されている。特に、交連支持部材120の数は、弁尖116の数に等しい。図示した例では、三つの弁尖116が存在しており、それぞれ対応した支持ポスト144から延びた三つの交連支持部材120が存在しており、さらに、交連支持部材を有していない三つの支持ポスト144が存在している。
【0057】
図3に最も明瞭に示すように、各交連支持部材120は、支持ポスト144によって形成されたウィンドウ164を含むことができ、ウィンドウ164は、支持ポスト144の厚さを径方向に貫通して延びた開口166を、完全に囲んでいるまたは縁取っている。交連支持部材120のウィンドウ164は、例えば、弁膜構造108をフレーム102に対して結合するために、弁膜構造108の、弁尖交連118などの一部を受領するように、構成することができる。例えば、弁尖交連118は、ウィンドウ164の開口166を径方向に貫通して挿入され得るとともに、交連支持部材120に対して結合されることができる。図示した例では、ウィンドウ164および開口166は、長方形の形状であるけれども、他の例では、交連支持体のウィンドウおよび/または開口は、正方形、正方形-卵形、三角形、楕円形、L字形状、T字形状、C字形状、等)を含めた様々な形状で構成することができる。他の例では、各交連支持部材は、ウィンドウの流出端部分のところに、開口を含むことができ、この場合、この開口は、完全に囲まれたものではなく、弁尖交連は、交連支持部材の開口内へと、軸線方向にスライドすることができる(例えば、
図8)。
【0058】
上記で言及したように、
図3は、フレーム102の片側のみを図示している。
図3には、交連支持部材120を含むただ一つの支持ポスト144が示されているが、フレーム102が、任意の数の支持ポスト144を含み得ること、また、それら支持ポスト144の任意の数が、交連支持部材120として構成され得ることに、留意すべきである。例えば、
図1~
図3に示すように、フレーム102は、六つの支持ポスト144を含むことができ、それらのうちの三つが、交連支持部材120を含むように構成されている。いくつかの例では、フレームは、一つの、または二つの、または四つ以上の、交連支持部材を含むことができる。
【0059】
図2に示すように、弁膜構造108と、その弁尖116とは、フレーム102の内部に取り付けられている。弁膜構造108の弁尖116は、例えば、フレームの、一つもしくは複数の交連支持部材120に対して、および/または、一つもしくは複数のストラット152a、152に対して、結合することができる。各弁尖116の流入エッジ部分122は、隣接した流入頂点112からなる対どうしの間に流入エッジ部分122がアンカー止めされることなく延びるようにして、ストラット152a、152bに対して結合することができる。このようにして、弁尖116は、フレーム102の内部に取り付けられ得るものであり、「自由な」流入エッジ部分122を有するものと見なすことができる。本明細書でさらに説明するように、流入エッジ部分122のこれらの部分は、人工弁の動作サイクル時にフレーム102に対して径方向内向きにおよび径方向外向きに撓むようにまたは移動するように構成された、弁尖の流入エッジ部分の可動部分であり(
図5および
図6)、これにより、弁尖の流出エッジどうしの接合を促進することができる。
【0060】
図4を参照すると、弁膜構造108の各弁尖116は、メインボディ168と、流出エッジ部分170と、流入エッジ部分122と、を含むことができ、流入エッジ部分122は、全体的にスカラップ形状を形成している。
図4に図示しているように、流出エッジ部分170は、弁尖116のメインボディ168の両サイドに配置されて互いに対向する上側タブ172および下側タブ174の間に延びている。各上側タブ172の直下には、対応した下側タブ174から上側タブを分離している切欠176が存在している。仮想の折り曲げ線178が、上側タブと下側タブとからなる各対の間において、切欠を通して延びている。各上側タブ172は、メインボディ168の各サイド上の両タブが、構造的に補強された交連タブアセンブリを形成し得るよう、下側タブ174上へと折り重ね得るとともに、下側タブ174に当接して位置決めすることができる。弁膜構造108の各弁尖116は、それらの隣接タブ172、174(例えば、折り重ねられて補強されたタブ)のところで互いに固定されることにより、それぞれ対応した弁尖交連118を形成することができ、弁尖交連118のそれぞれは、それぞれ対応した交連支持部材120に対して固定することができる。
【0061】
図4に図示しているように、各弁尖116の流入エッジ部分122(弁尖のスカラップラインとも称される)は、傾斜したサイドエッジ部分182と、サイドエッジ部分182どうしの間に延びた頂点エッジ部分184と、を含む。頂点エッジ部分184およびサイドエッジ部分182のそれぞれは、流入エッジ部分122が切頭V字形状を有するよう、直線状とすることができる、または実質的に直線状とすることができる。他の例では、流入エッジ部分122は、U字形状または放物線曲線などのように、曲線とすることができる。各弁尖116は、軸線方向に延びたサイドエッジ部分180を含む副交連部分を、さらに含み、副交連部分のそれぞれは、下側タブ174から、傾斜したサイドエッジ部分182までにわたって、延びている。
【0062】
上記で言及したように、弁膜構造108の弁尖116は、フレーム102の一つもしくは複数のストラットに対して、および/または、人工弁100の他の軟質構成要素に対して、結合することができる。例えば、
図2に最も明瞭に示すように、弁膜構造108は、本明細書で説明するような弁尖116を含むことができ、弁尖116は、交連支持部材120に対して結合されているとともに、フレーム102の流入頂点112を形成する一つまたは複数の下側ストラット152a、152bに対して結合されている。弁膜構造108の弁尖116は、また、フレーム102の外面に対して取り付けられた外側スカート128に対して、結合されることができる(
図1および
図5~
図6)。
【0063】
交連118を形成するために、各弁尖116の各上側タブ172は、それぞれ対応した下側タブ174に対して、折り重ねられることができる。その後、タブ172、174からなる各対は、隣接した弁尖のタブ172、174からなる対に対して、対を構成することで、交連118を形成する。
図2に示すように、隣接した弁尖116の上側タブ172と下側タブ174とによって形成された交連118は、交連支持部材120のウィンドウ164(
図3)を径方向に貫通して、受領されることができる。
図2に図示しているように、弁膜構造108の交連118は、縫合糸186を介して交連支持部材120に対して固定することができる。いくつかの例では、弁膜構造すなわち弁尖アセンブリ108は、予め組み立てることができ、その後、フレーム102に対して取り付けることができる。例えば、弁膜構造108は、すべての弁尖116が交連118のところで互いに接続されるよう、タブ172、174からなる各対を、隣接したタブ172、174からなる対に対して接続することにより(例えば、縫合糸によって)、予め組み立てることができる。その後、予め組み立てられた弁尖アセンブリは、フレーム102の内部に位置決めすることができ、交連118は、交連支持部材120のウィンドウ164を径方向に貫通して挿入され得るとともに、縫合糸186によって適所に固定されることができる。弁尖116の残りの部分は、以下でさらに説明するように、人工弁のフレームに対しておよび/またはスカート128に対して、結合することができる。
【0064】
図2に図示しているように、弁尖116の特定の部分は、縫合糸126、127によって、フレーム102の一つもしくは複数の支持ポスト144に対して、および/または、フレーム102のストラットに対して、直接的に結合することができる。例えば、各弁尖116の軸線方向に延びたサイドエッジ部分180のそれぞれは、隣接した弁尖116の隣接したサイドエッジ部分180に対して、対をなし得るとともに、その後、縫合糸127によって、交連支持部材120の下方の隣接した支持ポスト144に対して、固定することができる。縫合糸127は、例えば、対をなすサイドエッジ部分180を通して支持ポスト144の周囲に延びたホイップステッチを形成することができる。
【0065】
同様に、弁尖116の傾斜したエッジ部分182は、第一セル134を形成している一つまたは複数の下側ストラット152に対して、結合することができる。
図2に示すように、傾斜したエッジ部分182は、流入頂点112と支持ポスト144との間に延びた下側ストラット152に対して、大いに追従するおよび/または位置合わせされる。縫合糸126を使用することにより、各エッジ部分182を、隣接したストラット152aまたは152bに対して、接続することができる。縫合糸126は、例えば、各エッジ部分182を通して隣接したストラット152a、152bの周囲に延びたホイップステッチを形成することができる。
図2に図示しているように、傾斜したエッジ部分182の、頂点エッジ部分184に対して最も近い端部は、それぞれ対応する第一セル134および第二セル136の長軸頂点112と短軸頂点138との間に延びた下側ストラット152および/またはポスト142の下端に対して、結合することができる。傾斜したエッジ部分182を、下側ストラット152および/またはポスト142に対して、このように結合させることで、頂点エッジ部分184は、フレーム102の流入端104および流入頂点112のところに、または実質的にそのようなところに、位置決めされる。いくつかの例では、弁尖の傾斜したエッジ部分182は、それらが結合される下側ストラット152と比較して、同様の長さを有することができる。このような例では、軸線方向エッジ部分180は、それに対して結合された支持ポスト144に対して、大いに追従するとともに、同様の長さを有することができる。
【0066】
図2に最も明瞭に示すように、弁尖116の頂点エッジ部分184は、流入端104のところでフレーム102に対して固定されていないすなわちアンカー止めされていない互いに隣接した流入頂点112どうしの間で、延びている。言い換えれば、フレーム102と、頂点エッジ部分184の、それぞれ対応する流入頂点112どうしの間に延びた部分と、の間には、直接的な結合が存在していない。特に、頂点エッジ部分184は、一つの流入頂点112のポスト142および/または下側ストラット152と、対応する隣接した流入頂点のポスト142および/または下側ストラット152と、の間にわたって自由に延びている。この実例では、頂点エッジ部分184は、隣接した流入頂点112どうしの間における径方向空間または径方向間隙にわたって広がっている。
【0067】
上記で言及したように、弁膜構造108を形成する弁尖116は、可撓性材料から作製することができる。頂点エッジ部分184を、フレーム102に対してアンカー止めしないままで残すことにより、頂点エッジ部分184をなす可撓性材料は、フレーム102の内面に対して、径方向内向きにおよび径方向外向きに、自由に移動することができる。特に、弁尖116の頂点エッジ部分184は、以下でさらに説明するように、例えば人工弁の動作サイクル時には、フレーム102の長手方向軸線に向けて径方向内向きに撓むように構成されているとともに、フレーム102の長手方向軸線から離間する向きにかつフレーム102の外側境界に向けて径方向外向きに撓むように構成されている。本明細書で使用した際には、フレーム102の外側境界とは、フレーム102の外面の周縁である。
【0068】
弁尖116の頂点エッジ部分184は、フレーム102に対する直接的な結合を有していないものとして説明されているけれども、いくつかの例では、頂点エッジ部分184の外側端部(頂点エッジ部分184の、傾斜したエッジ部分182に対して近い端部)は、頂点エッジ部分184の大部分が依然としてフレーム102に対してアンカー止めされていないものであるように、および、フレーム102の長手方向軸線に向けて径方向内向きに移動するようにかつフレーム102の長手方向軸線から離間する向きに径方向外向きに移動するように構成されているよう、フレームに対して結合することができる。
【0069】
図2に図示しているように、弁尖116の頂点エッジ部分184は、フレーム102の周縁まわりに位置した流入頂点112どうしによって形成された一つおきの周方向間隙188の間に弁尖116が延びるよう、一対をなす隣接した流入頂点112の間に延びることができる。例として、
図2に図示した人工弁100は、三つの弁尖116と、六つの流入頂点112と、を含む。二つの隣接した流入頂点112のそれぞれは、それらの間に延びた周方向間隙188を形成しており、合計で六つの周方向間隙を形成している。この例では、各弁尖116は、弁尖116がフレーム102の周縁まわりにおいて一つおきの周方向間隙(例えば、六つの周方向間隙のうちの三つ)の間に延びるよう、それぞれ対応した対をなす流入頂点112に対して、結合することができる。よって、それらの間に延びた弁尖を有していない周方向間隙188は、弁尖116の頂点エッジ部分184の間において、対をなす流入頂点112の間に延びていると言うことができる。
【0070】
図2に図示した例では、フレーム102は、六つの流入頂点112および流出頂点114と、六つの周方向間隙と、三尖配置で配置された三つの弁尖116と、を含む。しかしながら、いくつかの例では、フレーム102は、弁尖が
図2に示すパターンとは異なるパターンで配置され得るよう、より多数のまたはより少数の流入頂点および流出頂点と、それらの間に位置したより多数のまたはより少数の対応した周方向間隙と、を有することができる。
【0071】
再び
図1に目を向けると、図示した例は、弁尖116の各頂点エッジ部分184が、フレーム102の外面に対して取り付けられた外側スカート128を含めた、人工弁100の一つまたは複数の軟質構成要素に対して、結合され得ることを示している。外側スカート128は、例えば、フレーム102の流入端104のところに位置決めされた流入端部分190と、フレーム102の流入端104と流出端106との間に位置決めされた流出端部分192と、を含むことができる。
図1に示すように、外側スカート128は、フレーム102の外面まわりに周方向に延び得るとともに、流入端部分190から流出端部分192までにわたって軸線方向に延びることができる。
図1に最も明瞭に示すように、外側スカート128は、第二セル136を形成している下側ストラット156などの、フレーム102の一つまたは複数の相互接続されたストラット110に対して、縫合糸130を介して結合することができる。しかしそれでも、外側スカート128は、フレーム102の任意の他のストラットに対して結合することができる。
【0072】
しかしながら、外側スカート128の流入エッジ部分190は、隣接した流入頂点112がなす一つまたは複数の対の間において、フレーム102に対して固定されないまますなわちアンカー止めされないままとすることができる。外側スカートがアンカー止めされていないような隣接した流入頂点112がなす各対は、例えば、それらの間に延びた弁尖116を有した流入頂点112に対応することができる。このようにして、外側スカート128の流入端部分190は、例えば縫合糸194を介して、フレーム102の内部に取り付けられた各弁尖116の頂点エッジ部分184に対して自由に結合される。この例では、外側スカート128は、頂点エッジ部分184の径方向内向き移動および径方向外向き移動を妨害することなく、人工弁100の動作サイクル時における弁尖116と外側スカート128との間での漏洩を阻止するように構成されている。特に、外側スカート128の流入端部分190は、弁尖116の頂点エッジ部分184と一緒に径方向内向きにおよび径方向外向きに移動するように構成することができる。
【0073】
図5および
図6を参照すると、図示した例は、フレーム102の中心を通して延びた長手方向軸線に沿って、「下方」から(例えば、弁100の流出端から流入端に向けて)見た人工弁100の流出端114を示している。
図5および
図6は、弁を横断する圧力勾配が弁尖116を開放させる時(例えば、血液が流入端112から流出端114へと流れる時)(
図5)などの、またその後に、背圧下で弁尖どうしが接合させられる時(
図6)などの、動作時における、人工弁100の弁膜構造108および外側スカート128の移動を図示している。
【0074】
図5および
図6に示すように、弁100の動作時には、外側スカート128の流入端部分190の、弁尖に対して結合された部分は、フレーム102の内面に対して径方向内向きにおよび径方向外向きに移動する際には、頂点エッジ部分184と一緒に移動するように構成されている。例えば、弁尖116が開放している際には、頂点エッジ部分184と、外側スカート128の、頂点エッジ部分184に対して結合された部分とは、フレーム102の内面196から、第一距離D1のところへと、径方向に離間している。同様に、頂点エッジ部分184および外側スカート128は、弁尖が閉塞されている際には、内面196から第二距離D2のところへと径方向に離間している。
【0075】
特に、例として、
図5の下半分に位置した頂点エッジ部分184は、圧力勾配が、弁尖を開放させるとともに、頂点エッジ部分184をフレームの内面196に向けて径方向外向きに移動させる際には、フレームの内面から第一距離D1のところへと径方向に離間することができる。同様の態様で、
図6の下半分に示された同じ頂点エッジ部分184は、背圧が、弁尖の接合を引き起こすとともに、弁尖116の自由部分(例えば、メインボディ168および頂点エッジ部分184)をフレーム102から離間させる際には、フレーム102の長手方向軸線に向けて径方向内向きに移動することができる。この場合、頂点エッジ部分184は、弁尖116が閉塞している時には、弁尖116が閉塞している時に頂点エッジ部分184が径方向に離間している距離D1と比較して、より大きな距離D2のところへと、内面196から径方向に離間するようになる。
【0076】
弁尖116の頂点エッジ部分184に関するこの径方向内向き移動は、例えば、弁尖のメインボディ168および自由端170が人工弁の長手方向軸線に向けてより近接するように移動することを可能とすることにより、自由端170どうしの適正な接合を促進することができる。よって、流入エッジに沿ってフレームに対して固定された弁尖と比較して、人工弁を横断した圧力勾配を低減し得る比較的短い弁尖を使用することができる。よって、短い弁尖を、本明細書で説明するフレームと組み合わせて使用することができ、これにより、弁尖の適正な接合を達成し得るものとしつつ、弁を横断する圧力勾配を低減させるような、人工弁を構築することができる。
【0077】
その上、弁サイクル時における流入エッジ部分の移動を可能とするようにして弁尖をフレームに対して取り付けるこの技法は、人工弁を横断した過度の圧力勾配を誘発することなく、動作直径範囲にわたっての完全な接合を確保することができる。弁尖の全体的なサイズは、動作直径範囲の下限に基づいて選択することができる。例えば、26mm~29mmの動作直径へと径方向に拡張するように構成された人工弁100の場合には、弁尖のサイズは、フレームが26mmへと拡張された時に所望の圧力勾配と完全な接合とが達成されるように、選択することができる。弁の閉塞時に流入エッジ部分が内向きに移動し得ることに起因して、弁尖の自由端は、26mmよりも大きな直径へとフレームが拡張された時でも、なおも完全に接合することができる。動作直径範囲を有した公知の人工弁とは対照的に、弁尖は、動作直径範囲の上限における完全な接合を確保するために、過剰なサイズとする必要はない。
【0078】
ここで、
図7を参照すると、図示した例は、フレーム212の中心を通して延びた長手方向軸線に沿って、「上向き」に(例えば、弁の流入端から流出端に向けて)見た人工弁200の流入端を示している。人工弁200は、三尖配置とされた三つの弁尖202を含む弁膜構造を有しており、各弁尖は、流出エッジ部分204と、外側スカート208に対して結合された流入エッジ部分206と、を含む。
図7に示すように、いくつかの実例では、フレームの流入頂点210からなる隣接した対どうしの間における径方向間隔が大きすぎるため、弁尖202および/または外側スカート208における、望ましくない量の弛み部分または緩み部分が、弁の流入端内へと延びることとなり、血液流を閉塞したり圧力勾配を増加させたりする可能性がある。
【0079】
図8は、人工心臓弁300(
図9および
図10)のためのフレーム302の一例を、平坦化された状態でまたは展開された状態で、図示している。フレーム302は、説明したフレーム102に対して、構造的に同様のものとされ得るとともに、同様の態様で機能することができる。例えば、フレーム302は、流入端304と、流出端306と、相互接続されたストラット308からなる周方向に延びた複数の列と、を含むことができ、ストラット308は、複数の第一楕円形状セル310と、複数の第二楕円形状セル312と、を形成しているとともに、流入端304に位置した複数の流入頂点314と、流出端306に位置した複数の流出頂点316と、を形成している。この例におけるフレーム302は、また、軸線方向に延びた複数のポスト318、320と、軸線方向に延びた複数の支持ポスト324と、を含むことができ、一つまたは複数の支持ポスト324は、交連支持部材330を有している。フレーム302は、また、フレーム302の内部に取り付けられた弁膜構造における一つまたは複数の弁尖と一緒に径方向内向きに移動するように構成された、一つまたは複数の支持ポストから延びた更なる特徴を含むことができる。以下でさらに説明するように、フレーム302は、一つまたは複数の軸線方向延長部分を含むことができ、これらの軸線方向延長部分は、弁の動作サイクル時に弁尖と一緒に内向きに撓むように構成されているとともに、また、弁尖および/または外側スカートのスカラップラインにおける過度の弛み部分すなわち「緩み」部分が、血液流を妨害することを阻止するようにも構成されている。
【0080】
上記で言及したように、また
図8に示すように、フレーム302は、軸線方向に延びた複数のストラットまたはポスト318、320を含むことができる。特に、フレーム302は、流出端306に位置した流出頂点316から延びているとともに流出頂点316に対して結合された複数の第一ポスト318と、流入端304に位置した流入頂点314から延びているとともに流入頂点314に対して結合された複数の第二ポスト320と、を含むことができる。各第一ポスト318は、それぞれ対応した第二ポスト320に対して軸線方向に位置合わせすることができ、これにより、第一ポストと第二ポストとからなる対を規定することができる。ポスト318、320は、ポスト318、320がアクチュエータ部材(後述する)と協働してフレーム302を径方向に拡張および/または圧縮するように構成されるよう、ポスト142(
図1~
図3)と同じ態様で機能することができる。
【0081】
各支持ポスト324は、長手方向に延び得るとともに、流入端部分326と流出端部分328とを有することができる。
図8に図示しているように、一つまたは複数の支持ポスト324の流出端部分328は、交連支持部材330を含むことができる。交連支持部材330は、第一交連アーム332と第二交連アーム334とを含むことができ、それらの間に、交連開口336を規定している。交連開口336は、ポスト324の厚さを径方向に貫通して延び得るとともに、弁膜構造340の弁尖交連338を受領するように構成することができる(
図9)。図示した例では、交連開口336は、実質的に長方形の形状を有しているとともに、フレーム302の流出端306に向けて開口している。この実例では、隣接した弁尖がなす対によって形成された交連は、第一交連アーム332と第二交連アーム334との間を通して軸線方向にスライドして開口336内へと進入することができ、人工弁を構築する時などには、フレーム302の内部に弁膜構造を取り付けて支持することができる。
【0082】
他の例では、交連開口は、正方形、卵形、正方形-卵形、三角形、L字形状、T字形状、C字形状などの、様々な形状を有することができる。いくつかの例では、開口336は、ポスト324(例えば、
図3の交連支持部材120)によって完全に閉塞されることができ、この場合、弁膜構造は、交連開口内へと軸線方向にスライドさせるのではなく、交連開口内へと径方向にスライドさせることができる。
【0083】
図8に示すように、第一交連アーム332および第二交連アーム334のそれぞれは、それぞれ対応した切欠または凹所342を含むことができる。各凹所342は、フレーム302の流出端306に近接して各アーム332、334に沿って配置することができる。凹所342を、対応した各アーム332、334の端部のところで、フレーム302の流出端306の近傍に配置することにより、各凹所は、交連支持部材330の開口336内へと挿入された弁尖交連の上側エッジ(例えば、弁尖の流出エッジに対して最も近い弁尖交連のエッジ)のところにまたはその上方に、位置することができる。各凹所342は、第一交連アーム332の凹所342から第二交連アーム334の凹所342(および、その逆)までにわたって延びた、縫合糸などの、一つまたは複数の締結部材を受領するように構成することができる。凹所342と、一つまたは複数の締結部材と、の組合せは、フレーム302の流出端306に向けての、また、第一交連アーム332と第二交連アーム334との間での、弁尖交連の軸線方向移動を阻止または制限するために、凹所342のところでまたはその近傍で、境界を形成することができる。一つもしくは複数の締結部材と、一つもしくは複数の凹所342とは、弁尖交連を固定するために、それぞれ対応する交連アーム332、334を互いに近くへと引き寄せるように機能することができる。例えば、アーム332、334の間における距離を横切ってピンと張られた締結部材により、第一交連アーム332および第二交連アーム334は、弁尖交連の側面に対して、横方向の力を印加することができる。アーム332、334によって弁尖に対して印加されたこの横方向の力は、弁尖交連を開口336の内部に固定するように作用し得るとともに、あらゆる径方向移動を、またあらゆる軸線方向移動を、制限するように作用することができる。よって、交連支持部材330は、また、「クラスプ」とも称されることができる。いくつかの例では、各弁尖交連は、また、互いに対して、および/またはアーム332、334に対して、縫合されることができる、あるいは他の態様で固定されることができる。
【0084】
図8に示すように、各支持ポスト324の流入端部分326は、フレーム302の流入端304に向けて延びた片持ち式ストラットまたは軸線方向延長部分344を含むことができる。図示した例では、軸線方向延長部分344のそれぞれは、それぞれ対応した支持ポストに対して結合された固定端346と、フレーム302の流入端304に向けて延びた自由端348と、を含むことができる。軸線方向延長部分344は、フレーム302の径方向拡張時に、自由端348がフレーム302の流入端に対して位置合わせされるような、または自由端348がフレーム302の流入端に対して近接して配置されるような、長さを有することができる(
図9および
図10)。一つまたは複数の軸線方向延長部分344の自由端348は、また、延長部分の厚さを径方向に貫通して延びた開口部350を含むことができる。開口部350は、例えば、一つもしくは複数の締結部材(例えば、縫合糸)を受領するような、および/または人工弁の軟質構成要素(例えば、外側スカート)を受領するような、サイズと形状とを有したものとすることができる。いくつかの例では、軸線方向延長部分344は、その長さに沿った様々なポイントに配置された二つ以上の開口部を含むことができる。
【0085】
各軸線方向延長部分344は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、または、例えばニチノールといったニッケルチタン合金(「NitTi」)などの、様々な適切な材料から形成することができる。特定の例では、各軸線方向延長部分344は、ニチノールなどの、形状記憶特性を有する材料から、形成することができる。そのような材料から作製されていることにより、例えば、軸線方向延長部分344を、直線構成と、屈曲構成すなわち湾曲構成と、の間にわたって移行するように構成することができる。例えば、この場合、各軸線方向延長部分344は、固定端346と自由端348との間において、その長さに沿って径方向に湾曲するように構成することができ、これにより、自由端348は、フレーム302内へと径方向内向きに(例えば、フレーム302の長手方向軸線に向けて)延びることとなる。このようにして、以下でさらに詳細に説明するように、軸線方向延長部分344は、弁尖の流入エッジと軸線方向延長部分344との両方がフレーム302内へと径方向内向きに移動することを可能とするよう、対応した弁尖(例えば、弁尖354)の流入エッジに対して結合することができる。そのような径方向内向き移動は、例えば、フレーム302を有した人工弁の動作サイクル時に適正な弁尖の接合を提供するに際して、有益とすることができる。弁尖に対しておよび/または外側スカートに対して結合されていることにより、軸線方向延長部分344は、また、弁尖および外側スカートの、望ましくない弛み部分または「緩み」部分が、血液流の邪魔になるように延びて血液流を妨害してしまうことを阻止することができる。
【0086】
いくつかの例では、軸線方向延長部分344の固定端346は、狭められたネック部分352(
図9および
図10)を含むことができ、ネック部分352により、各軸線方向延長部分344は、可撓性が増大し、これにより、フレーム302の中心に向けて径方向内向きに屈曲または湾曲することができる。更なる例では、フレーム302が径方向拡張構成とされた時には、軸線方向延長部分344の自由端348は、フレーム302の流入端304を軸線方向に超えて延びることができる、または代替的には、フレーム302の流入端304と流出端306との間に位置することができる。
図8に図示した例は、フレーム302が、六つの軸線方向延長部分344を含むことを示しているけれども、他の例では、フレームは、任意の数をなす、より多数のまたはより少数の軸線方向延長部分を含むことができる。
【0087】
図8に図示した例に示すように、フレーム302は、一列をなして周方向に延び得る六つの第一セル310を含み、各第一セルの内部に、第二セル312が位置している。フレームは、また、セル310、312からなるそれぞれ対応した対に対して結合された六対のポスト318、320と、六つの支持ポスト324と、六つの軸線方向延長部分344と、三つの交連支持部材330と、を含むことができる。しかしながら、他の例では、フレーム302は、これらの構成要素のそれぞれに関して、より多数のまたはより少数のものを含むことができる。
【0088】
図9および
図10は、フレーム302を含む人工弁300の一例を、径方向拡張構成で図示している。言及したように、フレーム302は、複数の交連支持部材330と、軸線方向延長部分344と、ポスト318、320と、を含むことができる。
図9に示すように、人工弁300は、弁膜構造340を含むことができ、弁膜構造340は、フレーム302に対して結合されているとともに、フレーム302の内部に支持されている。弁膜構造340は、人工弁300を通して流れる血液流を、流入端304から流出端306へと規制するように構成されている。この例における人工弁300は、人工弁100に関して上述したものに対して、同じ特徴を含み得るとともに、同様の態様で機能することができる。
【0089】
弁膜構造340は、可撓性材料から作製された、本明細書で説明する弁尖116と同じ構造的特徴を有する一つまたは複数の弁尖354を含む、弁尖アセンブリを含むことができる。弁尖354は、全体的にまたは部分的に、生物学的材料から、生体適合性合成材料から、または他のそのような材料から、作製することができる。適切な生物学的材料は、例えば、ウシ心膜(または、他の供給源からの心膜)を含むことができる。各弁尖354は、上述した弁尖116と同じ形状を有することができる。
【0090】
弁膜構造340の各弁尖354は、メインボディと、流出エッジ部分356と、流入エッジ部分358と、を含むことができる。各弁尖354の流入エッジ部分358は、傾斜したエッジ部分362と、頂点エッジ部分364と、を含むことができる。各弁尖は、また、弁尖354のメインボディおよび流出エッジ部分356の両サイドに位置した一つあるいは複数のタブを含むことができる(例えば、
図4におけるタブ172、174)。各弁尖は、タブと傾斜したエッジ部分362との間に延びているような、軸線方向に延びたサイドエッジ部分360を有することができる。弁膜構造340の各弁尖354は、それらの隣接タブのところで互いに固定されることにより、それぞれ対応した弁尖交連338を形成することができ、弁尖交連338のそれぞれは、交連支持部材330に対して(図示のように)および/またはフレーム302の他の部分に対して、固定することができる。例えば、
図9に示すように、隣接した弁尖354の隣接したタブから形成された交連338は、第一交連アーム332と第二交連アーム334との間へと軸線方向に挿入され得るとともに、縫合366によって、それぞれ対応した交連支持部材330に対して結合することができる。
【0091】
図9および
図10に図示した例では、弁膜構造340は、フレーム302に対して結合されているとともに三尖配置で圧潰するように構成された三つの弁尖354を含む。
図9に図示しているように、弁尖354の流入エッジ部分358における特定の部分は、一つもしくは複数の支持ポスト320に対して直接的に結合することができる、および/または、縫合糸368によって、フレーム302のストラット308に対して結合することができる。流入エッジ部分358は、フレームの周縁まわりにおいてフレーム302の下側ストラット370に対して追従する全体的にスカラップ形状のエッジを規定している。
【0092】
図9および
図10に示すように、弁尖354の傾斜したエッジ部分362は、第一セル310と流入頂点314とを形成している一つまたは複数の下側ストラット370に対して、結合することができる。傾斜したエッジ部分362は、流入頂点314と支持ポスト324との間に延びた下側ストラット370に対して大いに追従し得るとともに、そのような下側ストラット370に対して位置合わせされることができる。
図10に図示した例では、傾斜したエッジ部分362の、頂点エッジ部分364に対して最も近い端部は、それぞれ対応する第一セル310および第二セル312の長軸頂点と短軸頂点との間に延びた下側ストラット370および/またはポスト320の下端に対して、結合することができる。傾斜したエッジ部分362を、流入頂点314の下側ストラット370および/またはポスト320に対して結合させることで、頂点エッジ部分364は、フレーム302の流入端304のところに、または実質的にフレーム302の流入端304のところに、位置決めされる。いくつかの例では、弁尖の傾斜したエッジ部分362は、下側ストラット370と同様の長さを有することができる。このような例では、軸線方向エッジ部分360は、それに対して近接したおよび/またはそれに対して結合された支持ポスト324に対して、大いに追従し得るとともに、同様の長さを有することができる。
【0093】
図9に示すように、弁尖354の軸線方向エッジ部分360は、隣接した第一セル310どうしの間に配置された支持ポスト324に沿って延びることができる。
図9および
図10に図示しているように、弁尖354の頂点エッジ部分364は、隣接した流入頂点314どうしの間に延び得るとともに、流入頂点314どうしの間に配置された軸線方向延長部分344を介して、フレーム302に対して固定またはアンカー止めすることができる。特に、各弁尖の頂点エッジ部分364は、それぞれ対応した流入頂点314どうしの間に延びているとともに、対応した軸線方向延長部分344のところにおいてのみ、フレーム302に対して直接的に結合されている(例えば、縫合糸372を介して)。よって、軸線方向延長部分344の両側上における、頂点エッジ部分364の部分は、アンカー止めされておらず、軸線方向延長部分344と、弁尖が結合されたポスト320および/または下側ストラット370と、の間に延びている。頂点エッジ部分364は、また、下側ストラット370と支持ポスト320とによって形成された隣接した流入頂点314どうしの間の周方向間隙にわたって広がっている。いくつかの例では、頂点エッジ部分364の、傾斜したエッジ部分362の近くに位置した外側端部は、頂点エッジ部分364の大部分がフレーム302に対してアンカー止めされないままで残されるよう、流入頂点314を形成しているポスト320および/または下側ストラット370に対して、結合することができる。
【0094】
人工弁100と同様に、弁尖354の頂点エッジ部分364は、フレーム302の周縁まわりに位置した流入頂点314どうしによって形成された一つおきの周方向間隙の間に弁尖354が延びるよう、一対をなす隣接した流入頂点314の間に延びることができる。具体的には、二つの隣接した流入頂点314のそれぞれは、それらの間に周方向間隙を形成しており、各弁尖354は、弁尖354が、フレーム302の流入端304のところで、六つの周方向間隙における三つの間隙の間において交互的に延びるよう、それぞれ対応した対をなす流入頂点314に対して結合することができる。よって、それらの間に延びた弁尖を有していない周方向間隙は、弁尖354の頂点エッジ部分364の間において、対をなす流入頂点314の間に延びていると言うことができる。この場合、弁尖を有していない一つまたは複数の周方向間隙は、また、流入頂点314どうしの間に配置された軸線方向延長部分344を含むことができる。
【0095】
上記で言及したように、弁膜構造340を形成している弁尖354は、可撓性材料から作製することができ、軸線方向延長部分344は、延長部分344がその長さに沿って容易に屈曲することを可能とするような、または枢動することを可能とするような、材料から作製することができる。このようにして、頂点エッジ部分364および軸線方向延長部分344は、人工弁300の動作サイクル時には、フレーム302の内面に対して、径方向内向きにおよび径方向外向きに自由に移動する。特に、軸線方向延長部分344の頂点エッジ部分364および自由端348は、軸線方向延長部分が直線構成へとまたは部分的な直線構成へと戻るように移動する時などには、フレーム302の長手方向軸線に向けて径方向内向きに移動するように構成されているとともに、フレーム302の長手方向軸線から離間する向きに径方向外向きに移動するように構成されている。
【0096】
血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には、弁尖354に対して結合された各軸線方向延長部分344は、頂点エッジ部分364および自由端348がフレーム102の内面から第一距離の分だけ径方向に離間することとなるよう、固定端346から自由端348までにわたるその長さに沿って湾曲することができる、または、内向きに撓むことができる。血液の順流下で弁尖が開放される時には、各軸線方向延長部分344は、頂点部分364および自由端348が、第一距離よりも小さな第二距離のところで、フレームの内面から径方向に離間されることとなるよう、直線化することができる、または、外向きに撓むことができる。代替可能な例では、軸線方向延長部分344は、実質的に直線のままであり得るとともに、弁尖が閉塞位置と開放位置との間にわたって循環する際には、それらの固定端346のところで、内向きにおよび外向きに枢動することができる。狭められたネック部分352は、固定端346のところにおける軸線方向延長部分の撓みを促進する。
【0097】
いくつかの例では、軸線方向延長部分344の自由端348と、頂点エッジ部分364とは、フレーム302の内面から、常に径方向に離間されているけれども、説明したものなどのように、弁尖が開閉する際には、様々な程度でフレーム302から径方向に離間されている。他の例では、軸線方向延長部分344は、弁尖が開放構成とされた時には、自由端348および頂点エッジ部分364が、フレーム302の内面もしくは外面に対して、径方向に位置合わせされるようまたは径方向に実質的に位置合わせされるよう、直線構成へとまたは部分的な直線構成へと、戻るように移動することができる。このような例では、直線構成とされた軸線方向延長部分344は、血液が流入端304へと流入する際に、頂点エッジ部分364の一部および/または外側スカート374の一部が、弁300を横断する血液流の邪魔になるように延びて血液流を妨害してしまうことを阻止または低減することができる。
【0098】
図10に示すように、弁尖354の各頂点エッジ部分364は、および/または軸線方向延長部分344は、また、人工弁300の、フレーム302の外面に対して取り付けられた外側スカート374を含めた、一つまたは複数の軟質構成要素に対して、結合することができる。弁300の流入端304に関する拡大側面図を示している
図10に示すように、外側スカート374は、フレーム302の流入端304のところに位置決めされた流入端部分376と、フレーム102の流入端304と流出端306との間に位置決めされた流出端部分378と、を含むことができる。外側スカート374は、フレーム302の外面まわりに周方向に延び得るとともに、流入端部分376から流出端部分378までにわたって軸線方向に延びることができる。外側スカート374は、第二セル312を形成している下側ストラットなどの、および/またはフレーム302における他のストラットなどの、一つあるいは複数の相互接続されたストラット308に対して、結合することができる。
【0099】
図10に図示しているように、外側スカート374の流入端部分376は、弁尖354の頂点エッジ部分364に対して、および軸線方向延長部分344に対して、結合することができる。例えば、スカート374の流入端部分376は、縫合糸380を介して、それぞれ対応した流入頂点314どうしの間に延びた頂点エッジ部分364に対して、直接的に接続することができる。縫合糸380は、弁尖の頂点エッジ部分364(および/または、頂点エッジ部分364に対して接続された接続スカート)を通して、また、スカートの流入端部分376を通して、頂点エッジ部分の流入エッジの周囲へと延びた、また、スカートの流入端の周囲へと延びた、ホイップステッチを形成することができる。縫合糸380は、また、スカートを軸線方向延長部分344に対して接続するために、軸線方向延長部分344の周囲へと延びることができる、または、軸線方向延長部分の開口部350を通して延びることができる。縫合糸380に代えて、またはそれに加えて、一つもしくは複数の他の締結部材(例えば、ピン、スクリュー、等)を使用することにより、スカート374を、弁尖の頂点部分に対して、および/または軸線方向延長部分に対して、固定することができる。いくつかの例では、外側スカート374は、また、縫合糸388を介して、第二セル312を形成している一つまたは複数のストラットに対して、接続することができる。外側スカート374は、周囲の天然弁輪に対してシールを確立するように構成されており、これにより、弁周囲漏洩を阻止または最小化するとともに、弁尖とフレームとの間における逆行性血液がフレームのセルを通して外向きに流出することを阻止する。特に、外側スカート374の流入端部分376は、人工弁の動作サイクル時には、軸線方向延長部分344と一緒に、また、弁尖354の頂点エッジ部分364と一緒に、径方向内向きにおよび径方向外向きに移動することができる。
【0100】
有利なことに、軸線方向延長部分344は、弁の閉塞時に弁尖の自由端どうしが互いに向けて接近移動することを可能とすることにより、弁尖の頂点エッジ部分が弁尖の接合に参加することを可能としつつ、弁尖の頂点エッジ部分および外側スカートに関する、弁尖の性能を損ない得るような過度の内向き移動を阻止するために、弁尖の頂点エッジ部分および外側スカートに対する充分な支持を提供する(
図7に図示しているように)。
【0101】
代替可能な例では、軸線方向延長部分344を使用することにより、また、外側スカート374に加えて、フレーム302の内面に対して接続された内側スカート(図示せず)を支持することができ、これにより、内側スカートと、外側スカートと、弁尖の頂点エッジ部分とは、人工弁の動作サイクル時に、内向きにおよび外向きに移動することができる。いくつかの例では、人工弁300は、軸線方向延長部分344によって支持された内側スカートを有することができ、外側スカートを省略することができる。いくつかの例では、人工弁300は、縫合糸または他の締結部材によって軸線方向延長部分に対して固定されていないような、内側スカートおよび/または外側スカートを有することができる。
【0102】
図8に示すように、いくつかの例では、軸線方向延長部分344は、それらの間に延びた弁尖を有することなく、一対または複数対をなす隣接した流入頂点314の間に配置することができる(
図8)。この実例では、弁尖に対して結合されていないそれら軸線方向延長部分344は、外側スカート374の、それら軸線方向延長部分344に対して接続された部分が、人工弁の動作サイクル時に、弁内へと径方向内向きに移動することを阻止または緩和するように構成することができる。
【0103】
図9および
図10を参照すると、上記で言及したように、第一ポスト318および第二ポスト320は、これらポスト318、320の内部に受領されたアクチュエータ部材と連動してフレーム302を径方向に拡張および/または圧縮するために、ポスト142に対して機能的に同様のものとすることができる。ポスト318、320は、互いに軸線方向に位置合わせされ得るとともに、ポストの長さに沿って延びた内部穴を含むことができ、この内部穴を通して、図示したネジ山付きロッド382などのアクチュエータ部材が、延びることができる。各第二ポスト320の流出端部分384は、ナット386を含むことができる、または、ナット386を収容することができる。
図9および
図10に示すように、ナット386は、流出端部分384のウィンドウを通して見ることができる。ナット386は、ネジ山付きロッド382のネジ山に対して係合するように構成された内部ネジ山付き穴を含むことができ、これにより、ネジ山付きロッド382を回転駆動することにより、ナット386に対して結合された第二ポスト320を、第一ポスト318に対して移動させることができ、第一ポスト318は、以下でさらに説明するように、送達装置に対して静止した状態に保持されることができる。
【0104】
アクチュエータ部材382は、フレーム302の流出頂点316に対して隣接したヘッド部分382aを含むことができる。ストッパ383を、ポスト318、320の間において、各アクチュエータ部材382上に取り付けることができる。ヘッド部分382aは、送達装置のそれぞれ対応した駆動アセンブリ(例えば、
図32における駆動アセンブリ1108)に対して着脱可能な接続を形成するように構成することができる。送達装置の駆動アセンブリは、人工弁のアクチュエータ部材382に対して回転を伝達することで人工弁を径方向に拡張したり径方向に圧縮したりする回転可能なアクチュエータを含むことができる。送達装置の駆動アセンブリを、フレームの流出端のところで、ヘッド部分382aに対して結合することは、逆行性アプローチで大動脈を通して天然の大動脈弁に対して人工弁を送達する時には、有利なこととすることができる。
図36に示すものなどの他の例では、アクチュエータ部材のヘッド部分382aは、経心尖送達アプローチで天然の大動脈弁に対して人工弁を送達するためなどのように、または経中隔送達アプローチで天然の僧帽弁に対して人工弁を送達するためなどのように、送達装置の駆動アセンブリに対して結合するために、フレームの流入端のところに位置決めすることができる。
【0105】
他の例では、ナットを使用することに加えて、またはナットを使用することに代えて、第二ポスト320の内部穴の一部または全部に、ネジ山を形成することができる。例えば、第二ポスト320の流出端部分は、ネジ山付きロッド382に対して係合するように構成された内部ネジ山を含むことができ、これにより、ネジ山付きロッド382を回転駆動することにより、第二ポスト320を、第一ポスト318に対して移動させることができる。
【0106】
ネジ山付きロッド382を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、これに対応して、第二ポスト320を、第一ポスト318に向けて軸線方向に移動させることができ、これにより、フレーム302を拡張させることができる。ネジ山付きロッド382を回転駆動することでフレームを径方向に拡張させる時には、ヘッド部分382aは、流出頂点316に対して当接し得るとともに、ポスト318に対して遠位向きの力を印加することができ、他方、ロッド382とナット386との間における螺着接続は、ポスト320に対して印加される近位向きの力を生成し、ポスト320をポスト318に向けて移動させる。ネジ山付きロッド382を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、これに対応して、第二ポスト320を、第一ポスト318から離間する向きに軸線方向に移動させることができ、これにより、フレーム302を径方向に圧縮することができる。ネジ山付きロッドを回転駆動することでフレームを径方向に圧縮する時には、ストッパ383が、第一ポスト318の隣接端部に対して当接することで、ポスト318に対して近位向きの力を印加することができ、他方、ロッド382とナット386との間における螺着接続は、ポスト320に対して印加される遠位向きの力を生成し、ポスト320をポスト318から離間する向きに移動させる。フレーム302が径方向圧縮構成から径方向拡張構成へと移動する際には、第一ポスト318と第二ポスト320との間の軸線方向間隔は、減少する。フレーム302が径方向拡張構成から径方向圧縮構成へと移動する際には、第一ポスト318と第二ポスト320との間の軸線方向間隔は、増大する。
【0107】
図11は、人工心臓弁(例えば、弁100)のためのフレーム400に関する別の例を、圧縮されて平坦化された状態で、図示している。フレーム400は、フレーム102およびフレーム302に対して、構造的に同様のものとされ得るとともに、同様の態様で機能することができる。例えば、フレーム400は、流入端402と、流出端404と、相互接続されたストラット406からなる周方向に延びた複数の列と、を含むことができ、ストラット406は、複数の第一楕円形状セル408と、複数の第二楕円形状セル410と、を形成しているとともに、流入端402に位置した複数の流入頂点412と、流出端404に位置した複数の流出頂点414と、を形成している。この例におけるフレーム400は、また、それぞれ対応した第一セル408および第二セル410を相互接続している対をなす第一ポスト416ならびに第二ポスト418と、隣接したセル408どうしの間に配置された支持ポスト422と、を含めた、軸線方向に延びた複数のポストを含むことができ、ポスト422のいくつかは、それぞれ対応した交連支持部材428を含むことができる。
【0108】
図11に図示した例に示すように、フレーム400は、一列をなして周方向に延び得る六つの第一セル408を含み、各第一セルの内部に、第二セル410が位置している。フレームは、また、セル408、410からなるそれぞれ対応した対に対して結合された六対のポスト416、418と、六つの支持ポスト422と、六つの軸線方向延長部分438と、三つの交連支持部材428と、を含むことができる。しかしながら、他の例では、フレーム400は、列挙されたこれら特徴のそれぞれに関して、より多数のまたはより少数のものを含むことができる。
【0109】
フレーム400の支持ポスト422は、長手方向に延び得るとともに、流入端部分424と流出端部分426とを有することができる。一つまたは複数の支持ポスト422の流出端部分426は、本明細書で説明する交連支持部材330に対して構造的におよび機能的に同様であるような、交連支持部材428を含むことができる。例えば、交連支持部材428は、第一交連アーム430と第二交連アーム432とを含むことができ、それらの間に、交連開口434を規定している。交連開口434は、交連支持部材428の流出端部分426のところで、ポスト422の厚さを径方向に貫通して径方向に延びることができ、これにより、交連支持部材428は、弁尖交連(例えば、交連118、338)を受領するように構成されている。この実例では、弁膜構造の隣接した弁尖がなす対によって形成された交連は、第一交連アーム430と第二交連アーム432との間を通して軸線方向にスライドして開口434内へと進入することができ、人工弁を構築する時には、フレーム400の内部に弁膜構造を取り付けて支持することができる。いくつかの例では、開口434は、ポスト422(例えば、
図3の交連支持部材120)によって完全に閉塞されることができ、この場合、弁膜構造は、交連開口434内へと軸線方向にスライドさせるのではなく、交連開口434内へと径方向にスライドさせることができる。
【0110】
図示した例では、第一交連アーム430および第二交連アーム432のそれぞれは、それぞれ対応した切欠または凹所436を含むことができる。各凹所436は、フレーム400の流出端404に近接して各アーム430、432に沿って配置することができる。各凹所436は、第一交連アーム430の凹所436から第二交連アーム432の凹所436(および、その逆)までにわたって延びた、一つまたは複数の締結部材(例えば、縫合糸)を受領するように構成することができる。凹所436と、一つまたは複数の締結部材と、の組合せは、フレーム400の流出端404に向けての、また、第一交連アーム430と第二交連アーム432との間での、弁尖交連の軸線方向移動を阻止または制限するために、凹所436のところでまたはその近傍で、境界を形成することができる。凹所436と、一つまたは複数の締結部材と、の組合せは、また、交連支持部材428の開口434内へと弁尖交連を固定するために、第一交連アーム430および第二交連アーム432を介して、弁尖交連の側面に対して横方向の力を印加するように機能することができる。
【0111】
図14Aおよび
図14Bは、弁尖アセンブリの交連を、交連支持部材428に対して取り付けるための一例を示している。図示のように、第一弁尖450aおよび第二弁尖450bは、アーム430、432の間の空間を径方向に貫通して延びたそれぞれ対応する交連タブ452a、452bを有している。交連タブ452aは、タブの端部がフレーム内で弁尖450aのメインボディに対して近接または当接するようにして、アーム430の周囲に巻回することができる。交連タブ452bは、タブの端部がフレーム内で弁尖450bのメインボディに対して近接または当接するようにして、アーム432の周囲に巻回することができる。一つまたは複数の縫合糸454を、タブ452a、452bを通して、および弁尖450a、450bのメインボディを通して、縫合することにより、交連タブを所定位置に固定することができる。可撓性部材456(例えば、縫合糸、ワイヤ、ヤーン、ケーブル、等)を、凹所436内でアーム430、432の周囲に巻回することができる。可撓性部材456を、アーム430、432の周囲で締め付けることにより、アームどうしをより接近させ得るとともに、交連タブ452a、452bに対して圧縮力を印加することができ、これにより、交連タブをアーム430、432上において所定位置に保持することが、補助される。
【0112】
図14Aおよび
図14Bが、交連タブを折り曲げてアーム430、432に対して固定するための一つの具体的手法を示していることは、理解されよう。しかしながら、様々な他の手法を使用することができる。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第9,393,110号明細書は、交連タブを折り畳むとともに、それら交連タブを、交連ウィンドウを規定している交連支持部材に対して取り付けるための様々な方法を開示している。第’110号特許に開示された方法および技法を、代替的に使用することにより、弁尖450a、450bを、交連支持部材428に対して取り付けることができる。上述した方法および技法を使用することにより、ならびに第’110号特許に開示された方法を使用することにより、また、弁尖アセンブリの交連を、本明細書で開示する任意の人工弁におけるフレームの交連支持部材に対して取り付けることができる。
【0113】
図11に示す軸線方向に延びた複数のストラットもしくはポスト416、418の、一つまたは複数は、また、アクチュエータ部材を受領するように構成することができる、および/または、フレーム400の過度な拡張を阻止するためのストッパとして機能するように構成することができる。
図11に図示しているように、フレーム400は、流出端404のところで流出頂点414から延びるとともに流出頂点414に対して結合された複数の第一軸線方向ポスト416と、流入端402のところで流入頂点412から延びるとともに流入頂点412に対して結合された複数の第二軸線方向ポスト418と、を含むことができる。各軸線方向ポスト416、418は、それぞれ対応した流出頂点414または流入頂点412から延び得るとともに、第一セル408および第二セル410によって形成された開口内へと延びることができる。各第一軸線方向ポスト416は、対応した第二軸線方向ポスト418に対して軸線方向に位置合わせされることができ、これにより、第一軸線方向ポストおよび第二軸線方向ポストからなる対を形成することができる。
【0114】
軸線方向ポスト416、418からなる各対は、人工弁100、300に関して上述したように、フレーム400を径方向に拡張および/または圧縮するためのそれぞれ対応したアクチュエータ部材を受領するように構成することができる。例えば、各軸線方向ポスト416、418は、ポスト416、418の長さに沿って延びた内部穴(図示せず)を含むことができ、この内部穴を通して、アクチュエータ部材(例えば、ロッド158、またはネジ山付きロッド382)が、延びることができる。それぞれ対応したポスト416、418を通して延びた各穴は、例えば、アクチュエータ部材を回転駆動することにより第二ポスト418を第一ポスト416に対して軸線方向に移動させるよう、アクチュエータ部材に対して係合するように構成することができる。例えば、アクチュエータ部材を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418が互いに向けて軸線方向に駆動され、これにより、フレーム400を拡張させる。同様の態様で、アクチュエータ部材を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418が互いに離間する向きに軸線方向に駆動され、これにより、フレーム400を圧縮する。代替可能な例では、アクチュエータ部材は、第二ポスト418を第一ポスト416に向けて移動させるよう、軸線方向に引っ張られたりスライドされたりするように(回転させるのではなく)構成することができ、これにより、フレームを径方向に拡張させることができる。そのような例では、アクチュエータ部材は、ロッド、テザー、縫合糸、ケーブル、ワイヤ、および同種のもの、とすることができる。
【0115】
ここで、
図12および
図13を参照すると、アクチュエータ部材を受領するように構成されることに加えて、またはそれに代えて、第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418は、フレーム400の過度な拡張を阻止するためのストッパとして構成することができる。例示のために、また議論を容易とするために、
図12および
図13は、フレーム400における、単一の第一セル408と、対応した第二セル410と、を図示している。
図12および
図13には、フレーム400における、単一の第一セル408と単一の第二セル410とのみが図示されているけれども、フレーム400が、環状構造を形成していることは、理解されよう。
【0116】
図12および
図13は、それぞれ対応した流入頂点412および流出頂点414を形成している、第一セル408と第二セル410とを示している。第一セル408および第二セル410は、一対をなす隣接した支持ポスト422どうしの間に位置しており、これら支持ポスト422は、一方の支持ポスト422が交連支持部材428を含んだ状態で、軸線方向延長部分438(例えば、軸線方向延長部分344と同様のもの)を含んでもよい。
図12および
図13は、第一セル408および第二セル410を、径方向拡張構成で示している。
図12に図示したフレーム400は、部分的な拡張構成であると考えられ、他方、
図13に図示したフレーム400の拡張構成は、最大の拡張構成または完全な拡張構成であると考えられる。第一ポスト416は、第二ポスト418に向けて第二セル410内へと延びた、流入端部分または流入端延長部分417を有している。第二ポスト418は、第一ポスト416に向けて第二セル410内へと延びた、流出端部分または流出端延長部分420を有している。
【0117】
図12に示すように、各第二軸線方向ポスト418の流出端(図面では、上端)と、それぞれ対応した第一軸線方向ポスト416の流入端(図面では、下端)とは、フレーム400が径方向圧縮構成または部分的な拡張構成とされている時には、軸線方向間隙Gによって、分離することができる。軸線方向間隙Gは、フレーム400の径方向拡張時にポスト416、418が互いに向けて移動するのに充分な、および/または、径方向圧縮時には互いに離間する向きに移動するのに充分な、軸線方向間隔を提供する。例えば、間隙Gは、フレーム400が径方向に拡張される際には、減少または縮小するとともに、フレームが径方向に圧縮される際には、増大または拡大する。軸線方向間隙Gのそのような縮小は、また、フレームの径方向拡張時におけるフレーム400の外径の増大に対応したものであり、他方、軸線方向間隙Gのそのような拡大は、また、フレームの径方向圧縮時におけるフレーム400の外径の減少に対応したものである。
【0118】
図13に示すように、第二軸線方向ポスト418の流出端と、第一軸線方向ポスト416の流入端とは、フレーム400が完全拡張構成へと拡張した後には、互いに当接または接触することができる。例えば、フレーム400が、連続的に径方向に拡張された場合には、軸線方向間隙Gが狭まり、ポスト416、418の端部どうしは、最終的には互いに接触する。第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418の間におけるこの接触により、ストラット406どうしの互いに対する更なる軸線方向移動が阻止され、これにより、フレーム400のあらゆる更なる拡張が阻止される。このようにして、ポスト416、418の流出端と流入端とが互いに接触している時には、軸線方向ポスト416、418は、フレーム400の過度な拡張を阻止するためのストッパとして機能し、フレームは、最大の径方向拡張構成であると考えられる。
【0119】
いくつかの例では、第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418の各長さは、より具体的には、延長部分417および延長部分420の長さは、フレーム400の最大の径方向拡張すなわち完全な径方向拡張を改変するよう、変更することができる。例えば、第一ポスト416の流入延長部分の長さ、および第二ポスト418の流出延長部分の長さは、フレームが径方向に拡張し得る程度を減少または増加させるために、長くしたりおよび/または短くしたりすることができる。特に、
図12および
図13に示すように、第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418の長さは、等しい、または実質的に等しい。したがって、一方または両方の軸線方向ポスト416、418の長さを増加させることにより、
図12および
図13に図示した径方向拡張よりも小さな径方向拡張で、ポストどうしが互いに接触することができる。逆に、一方または両方の軸線方向ポスト416、418の長さを減少させることにより、
図12および
図13に図示した径方向拡張を超えるような、より大きな径方向拡張を必要とすることができる。ポスト416、418は、等しい長さまたは実質的に等しい長さを有し得るけれども、他の例では、第一ポストおよび第二ポストの一方は、第一ポストおよび第二ポストの他方と比較して、より大きな長さを有することができる。
【0120】
フレーム400の第一軸線方向ポスト416および第二軸線方向ポスト418がアクチュエータ部材を受領するように構成されているとともにストッパとして機能するように構成されている例では、ポスト416、418の長さは、ポストを通して延びた内部穴を延長させることができる。これにより、とりわけ、フレーム400のそれぞれ対応した流入頂点412と流出頂点414との間に露出された、ロッド(例えば、ロッド158、およびネジ山付きロッド382)などの、アクチュエータ部材の長さを、制限することができる。例えば、アクチュエータ部材の露出は、第二ポスト418の上端と第一ポスト416の下端との間における軸線方向間隔へと制限することができ、これにより、フレームの径方向拡張時におけるまたは径方向圧縮時におけるアクチュエータ部材の座屈を阻止または低減することができる。アクチュエータ部材が可撓性引張ワイヤおよび/または縫合糸を含む例では、軸線方向ポスト416、418は、それぞれ対応する穴の延長された長さのために、対応する流入頂点と流出頂点との間における位置ズレを低減または除去することができる。
【0121】
図12および
図13に示すように、軸線方向ポスト416、418は、第一セル408と第二セル410とによって形成された開口内へと軸線方向に延びている。このようにして、第一軸線方向ポスト416および/または第二軸線方向ポスト418は、フレーム400の外面に対して結合された外側スカート(例えば、外側スカート128、または外側スカート374)に対して追加的な支持構造を提供することができる。よって、外側スカートが、第一セル408および/または第二セル410の開口を通して内向きに突出することは、血液流の乱れを引き起こし得るものであるとともに、弁を横断しての圧力勾配の望ましくない増加を引き起こし得るものであるけれども、ポスト416および/またはポスト418は、外側スカートの、そのような内向き突出を阻止するように構成することができる。また、外側スカートは、ポストが内側セル410内へと延びているポスト416、418の一方または両方に対して、接続することができる。例えば、一実装では、外側スカートは、フレームの流入端から、フレームの流入端と流出端との間の位置までにわたって、延びることができ、典型的には、フレームの長さの少なくとも半分を覆うものである。
図1および
図10に示すように、外側スカートは、フレームの流入端から、内側セルを二等分する平面までにわたって、延びることができる。そのような構成では、第二ポスト418の延長部分420は、外側スカートがセル410を通して内向きに突出することを阻止することができる。
【0122】
その上、
図1~
図3のフレームなどのように、フレームの中央に比較的大きな開放空間が存在する場合には、アクチュエータ部材は、フレームの遠位端(送達装置から最も遠い端部、すなわち、図示した例では、流入端)のところで、フレームの近位端(送達装置に対して最も近い端部、すなわち、図示した例では、流出端)と比較して、より大きな力を印加することができる。不均等な力により、フレームの遠位端がフレームの近位端と比較してより大きな速度で拡張するモーメントを生成することができ、これにより、フレームが不均等かつ非円筒的な態様で拡張し、その結果、径方向拡張時にフレームが湾曲することとなる。有利なことに、ポスト416、418の延長部分417、420は、
図1のフレームなどと比較して、ポストの隣接した端部どうしの間において、フレームの中間部分における開放空間の量を減少させる。これにより、アクチュエータ部材(例えば、部材158または382)に対して追加的な支持が提供され、アクチュエータ部材の力が、フレームの長さに沿って、フレームの両端部から離間する向きに、より良好に分散され、これにより、フレームの両端部は、同じ速度で、または実質的に同じ速度で、拡張することとなる。したがって、フレームは、湾曲することなく、均一かつ予測可能な態様で円筒的に拡張する。
【0123】
図15は、人工心臓弁のためのフレーム500の別の例を、径方向拡張構成で図示している。
図15には、フレーム500の片側のみが示されているけれども、フレーム500が、環状構造を形成していることは、理解されよう。フレーム500は、フレーム102、フレーム302、およびフレーム400に対して、構造的に同様のものとされ得るとともに、同様の態様で機能することができる。フレーム500は、例えば、流入端502と、流出端504と、相互接続されたストラット506からなる周方向に延びた複数の列と、を含む。ストラット506がなす列は、複数の第一楕円形状セル508および複数の第二楕円形状セル510と、流入端502のところにおける複数の流入頂点512と、流出端504のところにおける複数の流出頂点514と、を形成している。フレーム500は、また、軸線方向に延びた複数のポストを含むことができ、これらポストは、それぞれ対応した第一セル508と第二セル510とを相互接続している第一ポスト516および第二ポスト518からなる対と、隣接したセル508どうしの間に配置された支持ポスト520と、を含み、支持ポスト520のいくつかは、それぞれ対応した交連支持部材522を含むことができる。
【0124】
第一ポスト516および第二ポスト518からなる対は、ポスト142(
図1~
図3)、ポスト318、320(
図8~
図10)、およびポスト416、418(
図11~
図13)、に対して機能的に同様のものとすることができ、これにより、ポスト516、518は、フレーム500を径方向に拡張および/または圧縮するように構成されている。ポスト516、518は、例えば、互いに軸線方向に位置合わせすることができ、各ポスト318、320は、ポストの長さに沿って延びた内部穴を含むことができ、この内部穴を通して、ネジ山付きロッド(例えば、ネジ山付きロッド382)などのアクチュエータ部材が、延びることができる。ネジ山付きロッドのネジ山に対して係合するために、例えば、各第二ポスト518の流出端部分524は、また、それぞれ対応したネジ山付きロッドに対して係合するよう、それぞれ対応した内部穴の一部もしくは全体に沿って内部ネジ山を含むことができる、および/または、ネジ山付き穴を有したナット(例えば、
図9~
図10)を収容することができる。この実例では、上述したように、ネジ山付きロッドを、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一ポスト516および第二ポスト518を互いに向けて軸線方向に移動させることができ、これにより、フレーム500を拡張させることができる。同様に、ネジ山付きロッドを、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一ポスト516および第二ポスト518を互いに離間する向きに軸線方向に移動させることができ、これにより、フレーム500を圧縮することができる。
【0125】
代替可能な例では、アクチュエータ部材は、軸線方向に引っ張られるようにまたはスライドさせるように(回転させるのではなく)構成することができ、これにより、第一ポスト516および第二ポスト518を、互いに向けてまたは互いに離間する向きに駆動することができ、フレームを径方向に拡張させたり圧縮したりすることができる。そのような例では、アクチュエータ部材は、ロッド、テザー、縫合糸、ケーブル、ワイヤ、および同種のもの、とすることができる。
【0126】
各支持ポスト520は、長手方向に延び得るとともに、流入端部分526と流出端部分528とを有することができる。
図15に図示しているように、一つまたは複数の支持ポスト520の流出端部分528は、それぞれ対応した支持ポストのボディの内部に(または、ボディから延びたところに)交連支持部材522を含むことができる。交連支持部材522は、例えば、支持ポスト520によって形成されたウィンドウ530を含むことができ、ウィンドウ530は、支持ポスト520の厚さを径方向に貫通して延びた開口を、完全に囲んでいるまたは縁取っている。交連支持部材522の各ウィンドウ530は、弁膜構造をフレーム500の内部に取り付けるために、人工弁を組み立てる時には、隣接した弁尖によって形成された一対の弁尖交連を受領するように構成することができる。
【0127】
他の例では、交連開口は、正方形、卵形、正方形-卵形、三角形、L字形状、T字形状、C字形状などの、様々な形状を有することができる。いくつかの例では、開口は、完全に囲まれたものではなく、弁尖交連は、交連支持部材の開口内へと、軸線方向にスライドすることができる(例えば、
図11、および、
図14A~
図14B)。
【0128】
各支持ポスト520の流入端部分526は、また、フレーム500の流入端502に向けて延びた片持ち式ストラットまたは軸線方向延長部分532を含むことができる。図示した例では、軸線方向延長部分532のそれぞれは、それぞれ対応した支持ポストに対して結合された固定端534と、フレーム500の流入端502に向けて延びた自由端536と、を含むことができる。軸線方向延長部分532は、フレーム500の径方向拡張時に自由端536がフレーム500の流入端から径方向に離間するような長さを有することができる。しかしながら、いくつかの例では、自由端348は、フレームの拡張時に、フレーム500の流入端に対して位置合わせされることができる、または、フレーム500の流入端に対して近接して配置されることができる。
図15に示すように、各軸線方向延長部分532は、隣接した流入頂点512どうしの中間に配置されているとともに、対をなす、それぞれ対応した隣接した第一セル508の下部の半分を形成している下側ストラット506aと506bとの中間に配置されている。
【0129】
ここで、
図16A~
図16Bに目を向けると、
図16Aは、軸線方向延長部分532の周方向外面に関する拡大図を示しており、
図16Bは、
図16Aによる軸線方向延長部分532に関する側面プロファイルを示している。
図16A~
図16Bに示すように、各軸線方向延長部分532は、周方向(すなわち、それぞれ対応した隣接した流入頂点512へと向かう方向)において、第一厚さまたは第一幅W1を有し得るとともに、径方向(すなわち、フレーム500の内面と外面との間に延びる方向)において、第二厚さまたは第二幅W2を有することができる。
図16Aは、各軸線方向延長部分532が、その長さの大部分に沿って、比較的狭い周方向の第一幅W1を有し得ることを示している。より具体的には、軸線方向延長部分532は、固定端534から、軸線方向延長部分532の、開口または開口部538を収容するために延長部分のエッジどうしが周方向の第三幅W3にまで広がり始めるセグメントまでにわたって、延長部分の長さに沿って、狭い幅を有することができる。したがって、軸線方向延長部分532の自由端536は、軸線方向延長部分532の固定端534および残部の周方向幅W1と比較して、より広いかまたはより大きな周方向の第三幅W3を有するものと考えることができる。いくつかの例では、軸線方向延長部分532の周方向の第一幅W1は、本明細書で説明するように、周方向の第三幅W3および/または径方向の第二幅W2と比較して、より狭い幅のままで、軸線方向延長部分の長さに沿って変化(例えば、増減)することができる。
【0130】
図16Bは、軸線方向延長部分の径方向の第二幅W2が、周方向の第一幅W1と比較して、かなり広いまたはかなり大きいことを示している。ひいては、軸線方向延長部分532の周方向の第一幅W1は、径方向の第二幅W2と比較して、かなり狭いまたはかなり小さい。軸線方向延長部分532の第一幅W1と第二幅W2との間におけるこの相対的な差により、軸線方向延長部分は、横方向または周方向には、撓み得るものの、径方向には、比較的硬質に維持されることができる。具体的には、軸線方向延長部分532の比較的狭い周方向の第一幅W1は、延長部分に対して、軸線方向の力が自由端536に対して作用した時には軸線方向延長部分532が横方向のいずれかの向きに撓むように構成されるような充分な可撓性または湾曲性を、提供する。よって、各軸線方向延長部分532は、軸線方向延長部分に対して印加される力に応じて、軸線方向延長部分が間に配置された隣接した流入頂点512のどちらかに向けて、移動することができる。
【0131】
軸線方向延長部分532のこの横方向移動すなわち周方向移動により、例えば、患者の血管系を通して人工弁が送達されている時に、天然組織が、自由端536に対して接触して、自由端536に対して軸線方向の力を印加した場合には、軸線方向延長部分は、一方の側へと、または一方の側から他方の側へと、移動することを可能とする。一例として、人工心臓弁が、天然内腔を通して前進駆動される際には、および/または天然弁の内部で操作される際には、軸線方向延長部分532は、天然組織が軸線方向延長部分に対して印加し得る力に対して、降伏または屈服するように構成されており、これにより、人工心臓弁を、非外傷性の態様で、前進駆動させることができる。その上、自由端536は、また、丸められた外側エッジを有することで、非外傷性の頂点を形成することができ、これにより、天然組織に対する接触が発生した時には、天然組織に対する潜在的損傷を低減することができる。
【0132】
逆に、軸線方向延長部分532における比較的広い径方向の第二幅W2により、延長部分は、軸線方向延長部分532の横方向における撓みと比較して、径方向内向き方向において、比較的剛性とされる。特に、
図16A~
図16Bに示す例における軸線方向延長部分532は、径方向の第二幅W2によって、横方向の可動性を維持しながら、径方向内向きの移動(例えば、フレーム500の長手方向軸線に向けての移動)に対して比較的抵抗性を有するように構成されている。第二幅W2は、このようにして、フレーム500の外面上へと、例えば外側スカートなどの、人工心臓弁の軟質構成要素を保持するのに充分な剛性および支持力を提供することができる(例えば、
図18)。例えば、人工心臓弁の動作時に軟質構成要素がフレーム500の開口内へと径方向内向きに突出することが起こった場合には、弁を横断しての圧力勾配の望ましくない増大が引き起こされてしまう可能性があるけれども、軟質構成要素のこの保持により、軟質構成要素のそのような径方向内向きの突出を、阻止することができる。
【0133】
各軸線方向延長部分532は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、または、ニチノールを含めたニッケルチタン合金(「NitTi」)などの、様々な適切な材料から形成することができる。特定の例では、各軸線方向延長部分532は、ニチノールなどの、形状記憶特性を有する材料から、形成することができる。そのような材料から作製されていることにより、例えば、軸線方向延長部分532がより剛性の材料から作製されている場合と比較して、軸線方向延長部分532を、隣接した流入頂点512どうしにおける方向において、より容易に横方向に撓ませることができる。
【0134】
図16Aは、また、軸線方向延長部分532が非対称な外面を有し得ることを示している。例えば、軸線方向延長部分532は、軸線方向延長部分を二等分する中央長手方向線(例えば、自由端536から固定端534までにわたって)に対して、非対称な曲率を有することができる。いくつかの例では、この非対称性または曲率により、軸線方向延長部分532の自由端536は、流出端504の向きへと軸線方向に移動することができる。例えば、軸線方向延長部分532の長さに沿った一つまたは複数の屈曲は、軸線方向延長部分が天然組織に対して接触した時には、軸線方向延長部分がある程度の軸線方向圧縮を受けることを可能とすることができ、これにより、自由端536の最も外側の流入端と、それぞれ対応した支持ポスト520と、の間の長さを、短縮または減少させる。
【0135】
言及したように、軸線方向延長部分532の自由端536は、また、延長部分の厚さを径方向に貫通して延びた開口または開口部538を含むことができる。開口部538は、一つもしくは複数の締結部材(例えば、縫合糸)を受領するような、および/または人工弁の軟質構成要素(例えば、外側スカート)を受領するような、サイズならびに形状とすることができる。例えば、
図16A~
図16Bに示すように、開口部538は、円形形状とされ得るとともに、内部を通して延びる縫合糸を受領するようなサイズとすることができる。しかしながら、いくつかの例では、開口部538は、一つもしくは複数の縫合糸を受領するようにまたは他の締結部材を受領するように構成されるよう、矩形形状または任意の他の適切な形状とすることができる。
【0136】
図16Bに示すように、軸線方向延長部分532は、軸線方向延長部分の長さに沿って、直線状のまたは実質的に直線状の、側面プロファイルを有することができる。別の言い方をすれば、軸線方向延長部分532の径方向の第二幅W2は、軸線方向延長部分の、大部分に沿って、および/または全長に沿って、一定とすることができる。しかしながら、いくつかの例では、径方向の幅は、軸線方向延長部分の一部が比較的狭い径方向幅を有するよう、軸線方向延長部分の長さに沿って変化することができる。
【0137】
図17A~
図17Bは、別の例による軸線方向延長部分540を示している。特に、
図17A~
図17Bに示す片持ち式ストラットまたは軸線方向延長部分540は、それぞれ対応した支持ポストに対して結合された固定端542と、フレーム500の流入端502に向けて延びた丸められた自由端544でありかつ内部を通して延びた開口部546を含む丸められた自由端544と、を含むことができる。軸線方向延長部分532と同様の態様で、各軸線方向延長部分540は、対をなす隣接した流入頂点512どうしの間に配置され得るとともに、軸線方向延長部分540の径方向第二幅W2’よりも狭いまたは小さいような、かつ軸線方向延長部分540の周方向第三幅W3’よりも狭いまたは小さいような、周方向第一幅W1’を有することができる。
【0138】
軸線方向延長部分540と軸線方向延長部分532との間での、一つの相違点は、軸線方向延長部分540の固定端542が、径方向第二幅W2’よりも狭い径方向第四幅W4’を含むことである。このようにして、軸線方向延長部分540は、軸線方向延長部分344(
図8~
図10)および軸線方向延長部分438(
図11~
図13)に対して、機能的に同様であるように構成されている。すなわち、固定端542のより狭い第四幅W4’は、軸線方向延長部分540に対して、固定端542と自由端544との間において延長部分が径方向に屈曲もしくは湾曲することを可能とする充分な可撓性または湾曲性を提供するものであり、これにより、自由端544は、フレーム500内へと径方向内向きに(例えば、フレーム500の長手方向軸線に向けて)屈曲することができる。このようにして、軸線方向延長部分540は、上述したように、人工心臓弁の動作サイクル時に、弁尖の流入エッジと軸線方向延長部分540との両方がフレーム500内へと径方向内向きに移動することを可能とするようにして、人工心臓弁の対応した弁尖(例えば、弁尖116)の流入エッジに対して、結合することができる。
【0139】
その上、
図18に示すように、軸線方向延長部分532および/または軸線方向延長部分540のそれぞれは、フレーム500の外面に対して取り付けられた外側スカート548を含めた、人工心臓弁の一つまたは複数の軟質構成要素に対して、結合することができる。外側スカート548は、フレーム500の流入端502のところに位置決めされた流入端部分550と、フレーム500の流入端502と流出端504との間に位置決めされた流出端部分552と、を含むことができる。外側スカート548は、フレーム500の外面まわりに周方向に延び得るとともに、流入端502から流出端504までにわたって軸線方向に延びることができる。外側スカート548は、縫合糸556を介して、第一セル508と第二セル510とを形成している下側ストラットなどの、および/またはフレーム500における他のストラットなどの、一つあるいは複数の相互接続されたストラット506に対して、結合することができる。外側スカート548の流入端部分550は、また、縫合糸554を介して、軸線方向延長部分532に対して、および/または軸線方向延長部分540に対して、結合することができる。縫合糸554は、例えば、軸線方向延長部分532、540の周囲に延びた、および/または開口部538、546を通して延びた、縫合を形成することができる。いくつかの例では、縫合糸554に代えて、またはそれに加えて、ピンもしくはスクリューなどの、一つもしくは複数の他の締結部材を使用することにより、外側スカート548を、軸線方向延長部分532、540に対して、固定することができる。
【0140】
いくつかの例では、外側スカート548は、弁尖の流入エッジ部分とスカート548の流入端部分550とを通して延びるとともに弁尖の流入エッジ部分とスカート548の流入エッジとの周囲に延びたホイップステッチを使用して、一つまたは複数の弁尖の流入エッジ部分(例えば、頂点エッジ部分)に対して結合することができる。とりわけ、これにより、スカート548の流入端部分550は、人工弁の動作サイクル時に、軸線方向延長部分532および/または軸線方向延長部分540と一緒に、ならびに弁尖の流入エッジ部分と一緒に、横方向におよび/または径方向内向きに、移動することができる。このように構成された外側スカート548は、例えば、周囲の天然弁輪に対するシールを確立することができ、これにより、弁周囲漏洩を阻止または最小化し得るとともに、弁尖とフレームとの間における逆行性血液がフレームのセルを通して外向きに流出してしまうことを、阻止することができる。
【0141】
図15および
図18に図示しているように、フレーム500は、一列をなして周方向に延び得る六つの第一セル508を含み、各第一セルの内部に、第二セル510が位置している。フレームは、また、セル508、510からなるそれぞれ対応した対に対して結合された六対のポスト516、518と、六つの支持ポスト520と、六つの軸線方向延長部分532(または代替的には、軸線方向延長部分540)と、三つの交連支持部材522と、を含むことができる。しかしながら、他の例では、フレーム500は、列挙されたこれら特徴のそれぞれに関して、より多数のまたはより少数のものを含むことができる。いくつかの例では、フレーム500は、また、軸線方向延長部分532と軸線方向延長部分540との任意の組合せを含むことができる。例えば、フレーム500は、三つの軸線方向延長部分532と、三つの軸線方向延長部分540と、を含むことができ、この場合、三つの軸線方向延長部分は、横方向にのみ撓むように構成されており、三つの軸線方向延長部分は、横方向と径方向内向きとの両方に撓むように構成されている。
【0142】
図19および
図20は、人工心臓弁(例えば、弁100)のためのフレーム600に関する別の例を図示している。
図19は、フレーム600を、拡張させて平坦化した状態で示しており、
図20は、フレーム600を、径方向拡張状態で示している。フレーム600は、フレーム102、フレーム302、フレーム400、およびフレーム500に対して、構造的に同様のものとされ得るとともに、同様の態様で機能することができる。例えば、フレーム600は、流入端602と、流出端604と、相互接続されたストラット606からなる周方向に延びた複数の列と、を含み、ストラット606は、複数の第一楕円形状セル608と、複数の第二楕円形状セル610と、を形成しているとともに、流入端602に位置した複数の流入頂点612と、流出端604に位置した複数の流出頂点614と、を形成している。フレーム600は、また、それぞれ対応した第一セル608および第二セル610を相互接続している対をなす第一ポスト616ならびに第二ポスト618と、隣接したセル608どうしの間に配置された支持ポスト620と、を含めた、軸線方向に延びた複数のポストを含む。支持ポスト620のいくつかは、交連支持部材522と同様のものとされ得るそれぞれ対応した交連支持部材622を含むことができ、この場合、交連支持部材622は、支持ポスト620によって形成されたウィンドウ624を含むことができ、ウィンドウ624は、支持ポストの厚さを径方向に貫通して延びた開口を、完全に囲んでいるまたは縁取っている。
【0143】
フレーム600は、流出端604のところで流出頂点614から延びるとともに流出頂点614に対して結合された複数の第一軸線方向ポスト616と、流入端602のところで流入頂点612から延びるとともに流入頂点612に対して結合された複数の第二軸線方向ポスト618と、を含むことができる。各第一軸線方向ポスト616は、フレーム600のそれぞれ対応した流出頂点614と、第二セル610の短軸上の頂点に配置された流出頂点628と、の間に延びることができる。各第二軸線方向ポスト618は、それぞれ対応した流入頂点612から延び得るとともに、第二セル610の流入頂点630を通して、第二セル610によって形成された開口内へと延びることができる。第一ポスト616および第二ポスト618は、互いに対して軸線方向に位置合わせされることができ、これにより、第一軸線方向ポストおよび第二軸線方向ポストからなる対を形成することができる。
【0144】
軸線方向ポスト616、618がなす各対は、フレーム102、302、400、および500に関して上述したように、フレーム600を径方向に拡張および/または圧縮するためのそれぞれ対応したアクチュエータ部材を受領するように構成することができる。例えば、各軸線方向ポスト616、618は、内部に、内部穴(図示せず)を含むことができ、および/または、内部穴を有したナットを収容することができ、内部穴を通して、アクチュエータ部材(例えば、ロッド158、またはネジ山付きロッド382)が延びることができる。それぞれ対応したポスト616、618を通して延びた各穴は、および/またはナットを通して延びた各穴は、アクチュエータ部材を回転駆動することにより第二ポスト618を第一ポスト616に対して軸線方向に移動させるよう、アクチュエータ部材に対して係合するように構成することができる。特に、アクチュエータ部材を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一軸線方向ポスト616および第二軸線方向ポスト618が互いに向けて軸線方向に駆動され、これにより、フレーム600を拡張させる。同様の態様で、アクチュエータ部材を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、対応して第一軸線方向ポスト616および第二軸線方向ポスト618が互いに離間する向きに軸線方向に駆動され、これにより、フレーム600を圧縮する。
【0145】
代替可能な例では、アクチュエータ部材は、第二ポスト618を第一ポスト616に向けて移動させるよう、軸線方向に引っ張られたりスライドされたりするように(回転させるのではなく)構成することができ、これにより、フレームを径方向に拡張させることができる。そのような例では、アクチュエータ部材は、ロッド、テザー、縫合糸、ケーブル、ワイヤ、および同種のもの、とすることができる。
【0146】
図19および
図20は、一つまたは複数の支持ポスト620の流入端部分632が、隣接した下側ストラット606と流入頂点612との間に配置された片持ち式ストラットまたは軸線方向延長部分626を含み得ることを、示している。各軸線方向延長部分626は、それぞれ対応した支持ポスト620に対して結合された固定端634と、フレーム600の流入端602に向けて延びた自由端636と、自由端636の厚さを径方向に貫通して延びた開口部638と、を含むことができる。
図19に最も明瞭に示すように、自由端636の最も外側の流入エッジは、丸められたエッジとすることができ、このエッジは、その後、固定端634に向けて延びてテーパー形状とされる。したがって、軸線方向延長部分532および軸線方向延長部分540の場合と同様に、軸線方向延長部分626の固定端634は、軸線方向延長部分の自由端636の周方向幅と比較して、より狭いまたはより小さな周方向幅を有しているものと考えられる。
【0147】
軸線方向延長部分626は、本明細書で説明する、軸線方向延長部分344、軸線方向延長部分438、軸線方向延長部分532、および軸線方向延長部分540に対して、機能的に同様のものとすることができる。一例として、人工弁の動作サイクル時には、軸線方向延長部分626は、フレーム600の長手方向軸線に向けて径方向内向きに撓むように構成され得るとともに、長手方向軸線から離間する向きにかつフレーム600の外側境界(例えば、軸線方向延長部分344および軸線方向延長部分438)に向けて、径方向外向きに撓むように構成することができる。径方向内向きにおよび径方向外向きに撓むように構成されていることに加えて、またはそれに代えて、軸線方向延長部分626は、軸線方向の力が自由端636上に作用した時(例えば、軸線方向延長部分532および/または軸線方向延長部分540などのように)などには、横方向にまたは周方向に撓むように構成することができる。
【0148】
なおも
図19および
図20を参照すると、各第一セル610は、二つの上側ストラット640a、640bと、二つの下側ストラット642a、642bと、によって形成することができる。各上側ストラット640は、一端部が、第一軸線方向ポスト616に対して結合されているとともに、他端部が、支持ポスト620に対して結合されており、他方、各下側ストラット642は、一端部が、第二軸線方向ポスト618に対して結合されているとともに、他端部が、支持ポスト620に対して結合されている。上側ストラット640a、640bは、ストラットの上側列の、フレーム600の流出端604を規定している一部とすることができ、下側ストラット642a、642bは、ストラットの下側列の、フレーム600の流入端602を規定している一部とすることができる。
【0149】
一つまたは複数の下側ストラット642は、ストラットの中間セクション648を径方向に貫通して延びた開口または開口部646を有するように選択することができる。例えば、選択されたストラット644a、644bからなる対は、ストラットの、フレーム600の流入端602を規定している下側列に沿って、配置することができる。選択されたストラット644からなる各対は、隣接した第一セル608からなる対を形成しているような、隣接した下側ストラット642からなる対とすることができる。例えば、選択された各ストラット644は、一端部が、それぞれ対応した流入頂点612に対して結合されており、他端部が、選択されたストラットと支持ポスト620との接合部のところに位置している。このようにして、選択されたストラット644の、フレーム600の流入頂点612に対して結合された端部は、流入セクション650と称されることができ、選択されたストラット644の、支持ポスト620に対して結合された部分は、選択されたストラットの流出セクション652と称されることができる(
図20)。一端部が流入頂点612に対して結合されておりかつ他端部が支持ポスト620に対して結合されていることにより、選択されたストラット644の流入セクション650および流出セクション652は、また、フレーム600が径方向に拡張および/または径方向に圧縮される際には、中間セクション648に対して屈曲するように構成されているものと考えられる。
【0150】
下側ストラット642の列は、また、隣接した選択されたストラット644からなる各対の間に配置された開口部646を有していないストラットを含むことができる。例えば、フレーム600は、隣接した選択されたストラット644からなる各対の間に配置された開口部を有していない一対をなす隣接した下側ストラット642を含むことができる。この場合、フレーム600は、フレーム600の周縁まわりにおいて交互的な態様で配置されているような、選択されたストラット644からなる三つの対と、開口部を有していない下側ストラット642からなる三つの対と、を有することができる。例えば、交互的な選択されたストラット644からなる三つの対を使用することにより、弁膜構造における弁尖の流入エッジ部分を結合することができる(例えば、
図21)。いくつかの例では、選択された各ストラット644は、隣接した選択されたストラットからなる対の一つである必要はなく、連続する選択された各ストラット644の間に配置された開口部を有していない一つまたは複数の下側ストラットを有した単一の選択されたストラットとすることができる。他の例では、選択されたストラット644は、三つ以上の連続する選択されたストラットへとグループ分けすることができる。
【0151】
いくつかの例では、選択されたストラット644は、隣接した第一セル608を形成する下側ストラットから形成されるのではなく、選択されたストラットがなす対は、単一の第一セル608の流入頂点612を形成している隣接した下側ストラットから形成することができる。例えば、一つまたは複数の第一セル608の下側ストラット642a、642bのそれぞれは、内部を径方向に貫通して延びた開口部を有することができる。その上、選択されたストラットは、選択されたストラットの中間セクションの内部に単一の開口部を有するものとして説明されているにもかかわらず、選択されたストラット644が、ストラットの、流入セクション、中間セクション、および/または流出セクションに沿って、二つ以上の開口部を有し得ることは、理解されよう。
【0152】
図19および
図20に示すように、選択されたストラット644の中間セクション648のそれぞれは、開口部646の位置に、バンプまたは突起649を形成することができ、この場合、突起649は、第一セル608の開口内へと延びているとともに、中間セクション648を通して延びたそれぞれ対応する開口部646を縁取っている。突起649は、図示のように、丸められることができる。一例として、
図20に示すように、フレーム600が拡張状態である時には、突起649は、流入セクション650および流出セクション652に対して外向きに突出しているとともに、それぞれ対応する第二セル610および/または第二軸線方向ポスト618に向けて突出している。それゆえ、選択されたストラット644のボディ内に開口部646を収容するために、突起649は、選択されたストラット644の流入セクション650および流出セクション652の幅と比較して、より大きな幅を有することができる。
【0153】
図20に最も明瞭に示すように、流入頂点612から延びているとともにそれぞれ対応した隣接した選択されたストラット644に対して結合された第二軸線方向ポスト618のそれぞれは、ストラット644の突起649を受領するように構成された凹所654を含むことができる。具体的には、各凹所654は、フレーム600が径方向圧縮状態とされた時に突起649を受領するために、選択されたストラット644に対して隣接した第二軸線方向ポスト618の長手方向エッジ部分の内部に位置決めして形成することができる。いくつかの例では、凹所654は、突起649の内側エッジと同一のまたは同様の曲率を有することができ、これにより、フレームが径方向圧縮状態とされた時には、突起は、凹所654内に収容されることができる。例えば、突起を受領するための凹所654を形成することで、フレーム600は、凹所654が設けられていない場合に可能であるよりも大きな程度まで圧縮されることができ、それは、中間セクション648と第二軸線方向ポスト618との間の接触によって、凹所を有していないフレームの場合には、凹所654を有したフレーム600の場合と同程度にまで圧縮されることが妨害されるからである。いくつかの例では、各凹所654は、突起の全体を受領するものとされ、他の例では、各凹所654は、突起の一部のみを受領するものとされる。例えば、突起649は、凹所654の内部に全体的に受領される必要はなく、選択されたストラット644と第二軸線方向ポスト618との間における接触を防止するのに充分な程度でよい。
【0154】
いくつかの例では、各第二軸線方向ポスト618は、また、隣接したストラット644がなすそれぞれ対応した対における突起を受領するように構成することができる。例えば、隣接した選択されたストラット644からなる対が、それぞれ対応した第一セル608を形成している時には、選択されたストラットどうしの間に配置された軸線方向ポスト618は、ポスト618の一方の長手方向エッジ内に一つの凹所654を有することができ、ポスト618の他方の側における反対側に位置した長手方向エッジ内に別の凹所654を有することができる。したがって、ポスト618の両側における凹所654は、フレーム600が径方向圧縮状態とされた時には、それぞれ対応する突起を受領するように構成されている。追加的に、第二軸線方向ポスト618の各長手方向エッジは、隣接した選択されたストラット644が、中間セクション648に沿って、また、流入セクション650および/または流出セクション652に沿って、開口部646を形成する二つ以上の突起649を有している時などには、一つまたは複数の凹所654を含むことができる。
【0155】
図21は、径方向拡張構成とされているとともにフレーム600を含む人工弁656に関する一例を図示している。人工弁656は、上述したような人工弁100と人工弁300とに対して、同様の特徴および同様の機能性を含むことができる。
【0156】
人工弁656は、フレーム600に対して結合されているとともにフレーム600の内部に支持された弁膜構造658を含み、弁膜構造658は、人工弁656を通して流れる血液流を、流入端602から流出端604へと規制するように構成されている。弁膜構造658は、一つまたは複数の弁尖660を含む弁尖アセンブリを含むことができ、一つまたは複数の弁尖660は、可撓性材料から作製されているとともに、本明細書で説明する弁尖116、弁尖354、または弁尖904(
図26~
図28C)に対して、同一の構造的特徴および同一の形状を有している。例えば、弁尖660は、全体的にまたは部分的に、生物学的材料から、生体適合性合成材料から、または他のそのような材料から、作製することができる。適切な生物学的材料は、例えば、ウシ心膜(または、他の供給源からの心膜)を含むことができる。
【0157】
弁膜構造658の各弁尖660は、メインボディと、流出エッジ部分662と、流入エッジ部分664と、を含むことができる。各弁尖660の流入エッジ部分664は、傾斜したエッジ部分666と、頂点エッジ部分668と、を含むことができる。各弁尖は、また、弁尖660のメインボディおよび流出エッジ部分662の両サイドに位置した一つあるいは複数のタブを含むことができる(例えば、
図4におけるタブ172、174)。各弁尖は、タブと傾斜したエッジ部分666との間に延びているような、軸線方向に延びたサイドエッジ部分670を有することができる。弁膜構造658の各弁尖660は、それらの隣接タブのところで互いに固定されることにより、それぞれ対応した弁尖交連680を形成することができ、弁尖交連680のそれぞれは、縫合糸690を介して、交連支持部材622(例えば、径方向に貫通したウィンドウ624)に対して固定することができる。
【0158】
図21に図示しているように、弁膜構造658は、フレーム600の内部に取り付けられているとともに三尖配置で圧潰するように構成された三つの弁尖660を含むことができる。弁尖660の流入エッジ部分664は、フレーム600の周縁まわりにおいて下側ストラット642の列に対して追従する全体的にスカラップ形状のエッジを規定することができる。各流入エッジ部分664は、開口部646を有した一つもしくは複数の選択されたストラット644に対して、および/または、開口部638を有した一つもしくは複数の軸線方向延長部分626に対して、結合することができる。
【0159】
傾斜したエッジ部分666は、例えば、第一セル610と流入頂点612とを形成しているとともに流入頂点612と支持ポスト620との間に延びている選択されたストラット644に対して、結合することができる。具体的には、
図21に示すように、隣接した弁尖660の隣接した傾斜したエッジ部分666は、隣接した選択されたストラット644a、644bからなるそれぞれ対応した対に対して、結合することができる。この構成では、弁尖660の傾斜したエッジ部分666は、フレーム600の周縁まわりにおいて、選択されたストラット644からなる対に対して大いに追従する。
図21に示す例などのいくつかの例では、弁656は、選択されたストラット644からなる対どうしの間における周方向間隙にまたがる開口部を有していない隣接した下側ストラット642からなる対と、弁尖660の頂点エッジ部分668がそれらの間に延びている流入頂点612からなる隣接した対と、を有することができる。そのような例では、弁尖660のスカラップ形状のエッジは、フレーム600の周縁まわりにおいて、選択されたストラット644に対して追従するものと考えられる。しかしながら、代替可能な例では、選択されたストラット644からなる対どうしの間に配置された一方または両方の下側ストラット642は、また、開口部646を有することができ、これにより、人工弁656の一つまたは複数の軟質構成要素をフレーム600に対して結合するなどのために、選択されたストラットとして構成されることができる。
【0160】
弁尖660の流入エッジ部分664に対しては、また、織布製の接続スカート674を縫合することができ、接続スカート674を使用することにより、弁尖660の傾斜したエッジ部分666(さらには、頂点部分および軸線方向部分)のそれぞれを、対応する選択されたストラット644aまたは644bに対して、接続することができる。接続スカート674は、例えば、縫合糸676を介して、流入エッジ部分664に対して結合され得るとともに、弁尖がフレーム600に対して直接的に縫合されている場合には弁尖660だけでは弁656の動作時に抵抗し得ない可能性がある引き裂きに対して、抵抗することができる。
図21に図示しているように、縫合糸672を使用することで、弁尖の流入エッジ部分が、フレームに対して結合されている。縫合糸672は、選択されたストラット644の中間セクション648内における開口部646を通して延びているとともに接続スカート674(および任意選択的には、弁尖)を通して延びているホイップステッチを形成することにより、弁尖660をフレーム600に対して固定することができる。縫合糸672は、また、流入セクション650および流出セクション652の周囲などの、ストラット644の残部分の周囲へと、さらに、接続スカート674を通して(および任意選択的には、弁尖を通して)、延びることができる。
【0161】
図21に図示しているように、傾斜したエッジ部分666の、頂点エッジ部分668に対して最も近い端部は、下側ストラット642の下端に対して、選択されたストラット644の下端に対して、および/または、第一セル608の長軸上の頂点と第二セル610の短軸上の頂点との間に延びたポスト618に対して、結合することができる。よって、頂点エッジ部分668は、フレーム600の流入端602のところに、または実質的に流入端602のところに、位置決めされている。弁尖660の軸線方向エッジ部分670は、隣接した第一セル608どうしの間に配置された支持ポスト620に沿って延びることができる。いくつかの例では、軸線方向エッジ部分670も、また、支持ポスト620に対して結合されている。
【0162】
弁尖660の頂点エッジ部分668は、隣接した流入頂点612どうしの間に延び得るとともに、軸線方向延長部分626を介してフレーム600に対して固定またはアンカー止めすることができる。特に、各弁尖の頂点エッジ部分668は、それぞれ対応する流入頂点612どうしの間に延びているとともに、軸線方向延長部分の自由端636における開口部638を通して延びた縫合糸678を介して、対応した軸線方向延長部分626のところでのみ、フレーム600に対して直接的に結合されている。よって、図示した例では、軸線方向延長部分626の両側上における頂点エッジ部分668のそれら部分は、アンカー止めされていない。頂点エッジ部分668の、傾斜したエッジ部分666の近くに位置した外側端部は、頂点エッジ部分668の大部分が依然としてアンカー止めされていないままであるようにして、流入頂点612を形成しているような、ポスト618および/または下側ストラット642、644に対して、結合することができる。したがって、弁尖660の流入エッジ部分664は、より具体的には、頂点エッジ部分668は、上述したように、軸線方向延長部分の可撓性に応じて、軸線方向延長部分626と一緒に、フレーム600の長手方向軸線に対して径方向内向きにおよび径方向外向きに、ならびに/あるいは、一方または両方のそれぞれ対応した流入頂点612に向けて横方向に、移動するように構成することができる。
【0163】
人工心臓弁656は、また、上記で説明したように、フレーム600の外面に対して取り付けられた外側スカート(図示せず)(例えば、外側スカート374および外側スカート548)を含むことができる。外側スカートは、フレーム600の外面まわりに周方向に延び得るとともに、外側スカートの流入端部分からスカートの流出端部分までにわたって軸線方向に延びることができる。弁の外側スカート656は、例えば、第一セル608および第二セル610のそれぞれ対応した下側ストラットに対して接続することができる。一例として、外側スカートは、開口部646を通して延びた縫合糸672がまた外側スカートを通しても延びているようにして、弁尖660に対して結合された選択されたストラット644に対して、縫合することができる。そのような例では、縫合糸672は、また、弁尖660の流入エッジ部分664に対して縫合された接続スカート674を通して、延びることができる。外側スカートを、選択されたストラット644に対して接続することにくわえて、またはそれに代えて、外側スカートは、第二軸線方向ポスト618に対して結合された第二セル610を形成している下側ストラットに対して、接続することができる。いずれの場合においても、外側スカートは、ストラットまわりに延びたさらに外側スカートを通して延びたホイップステッチを介して、第二セル610の下側ストラットに対して、および/または選択されたストラット644(例えば、流入セクション650および流出セクション652)に対して、接続することができる。
【0164】
いくつかの例では、外側スカートは、また、スカートの頂点エッジ部分668と流入端とを通して延びているとともに頂点エッジ部分およびスカートの流入端の周囲に延びているホイップステッチを使用して、一つまたは複数の弁尖660の流入エッジ部分664に対して結合することができる。これにより、スカートの流入端部分は、人工弁656の動作サイクル時には、弁尖の軸線方向延長部分626および頂点エッジ部分668と一緒に、横方向に、ならびに/あるいは、径方向内向きにおよび径方向外向きに、移動することができる。更なる例では、外側スカートの流入端部分は、それ自体が、軸線方向延長部分626の周囲に延びたステッチを介して、および/または開口部638を通して延びたステッチを介して、軸線方向延長部分626に対して結合することができる。代替可能な例では、ピンもしくはスクリューなどの一つまたは複数の他の締結部材を使用することにより、外側スカートを軸線方向延長部分626に対して固定することができる。
【0165】
図19~
図21に示すように、フレーム600は、一列をなして周方向に延び得る六つの第一セル608を含み、各第一セルの内部に、第二セル610が位置している。フレームは、また、セル608、610からなるそれぞれ対応した対に対して結合された六対のポスト616、618と、六つの支持ポスト620と、六つの軸線方向延長部分626と、六つの選択されたストラット644と、三つの交連支持部材622と、を含むことができる。しかしながら、他の例では、フレーム600は、列挙されたこれら特徴のそれぞれに関して、より多数のまたはより少数のものを含むことができる。
【0166】
図33は、別の例によるフレーム600’を図示している。フレーム600’は、圧縮されて平坦化された状態で示されており、
図19~
図21および
図36のフレーム600に関連して上記で説明したようなすべての構成要素を含むことができる。簡略化のために、フレーム600に関する詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
【0167】
フレーム600とフレーム600’との間での、一つの相違点は、流入頂点612および流出頂点614に関する相対的な幅である。具体的には、フレーム600’の各流入頂点612は、各流出頂点614の周方向幅W2と比較して、より狭いまたはより小さな周方向幅W1を有することができる。例えば、各流出頂点614は、一般に、内部を通してアクチュエータ部材(例えば、ロッド158、もしくはネジ山付きロッド382)が延び得る内部穴をおよび/または内部穴付きナットを適切に支持するために、各流入頂点612と比較して、より広いまたはより大きな周方向幅W2を有するように構成することができる。この実例における各アクチュエータ部材は、それぞれ対応する流入頂点612内へとまたはそれぞれ対応する流入頂点612を通してアクチュエータ部材を延びさせることを回避するよう、アクチュエータ部材を受領するように構成されたそれぞれ対応する第一軸線方向ポスト616および第二軸線方向ポスト618からなる対内へと延びることができる。例えば、軸線方向ポスト616、618は、フレーム102、302、400、500、および600、に関して上述したように、フレーム600’を径方向に拡張および/または圧縮するように構成することができる。したがって、流出頂点614とは異なり、各流入頂点612は、アクチュエータ部材を支持するための周方向幅を有する必要はなく、流出頂点614の周方向幅W2と比較して、より狭いまたはより小さな周方向幅W1を有することができる。人工弁の軟質構成要素における比較的大きな部分が、弁の流入領域内に配置され得ることのために、流入頂点612に関するより狭い幅W1は、有利なことに、軟質構成要素がフレーム600’の流入端602まわりに折り曲げられるためのより大きな空間を提供し、これにより、送達時における弁の全体的圧縮プロファイルまたは全体的圧着プロファイルが低減される。
【0168】
フレーム600とフレーム600’との間における別の相違点は、フレーム600’の選択された第二軸線方向ポスト618(または、軸線方向ポスト617)からなる二つ以上の組が、互いに寸法が異なるそれぞれ対応したウィンドウとナットとの組を含み得ることである。選択された第二軸線方向ポスト618のそれぞれは、例えば、アクチュエータ部材を受領するためのそれぞれ対応したナット697、699を収容する完全に囲まれたウィンドウ696、698を規定することができるまたは縁取ることができる。第一組の第二ポスト618における第一組のウィンドウ696は、第一組のナット697を収容することができ、第二組の第二ポスト618における第二組のウィンドウ698は、第二組のナット699を収容することができる。
図33に示すように、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697、およびウィンドウとナットとからなる第二対698、699は、互いに異なる軸線方向長さを有することができる。特に、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697は、ウィンドウとナットとからなる第二対698と比較して、相対的に切頭形状とされていて、長さが短いものとすることができる。ウィンドウとナットとからなる第一対696、697は、全体的に、正方形形状とすることができ、他方、ウィンドウとナットとからなる第二対698、699は、長方形形状とされ得るとともに、フレーム600’の流入端602および流出端604の方向において長尺に延びている。ウィンドウとナットとからなる第二対698、699は、延長により、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697と比較して、より長尺とされ得るとともに、長さがより長いものとすることができる。追加的にまたは代替的に、フレーム600’の周方向におけるものなどの、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697の、周方向幅は、同様の区別を達成するために、ウィンドウとナットとからなる第二対698、699の周方向幅と比較して、より大きくしたりまたはより小さくしたりすることができる。寸法および形状における他の相違点も、また、必要に応じて実装することができる。
【0169】
各ナット697、699は、第二ポスト618のそれぞれ対応したウィンドウ696、698を通して見ることができるとともに、アクチュエータ部材(例えば、ロッド158、またはネジ山付きロッド382)に対して係合するように構成された内部穴を含むことができる。フレーム600’は、本明細書で説明するように、アクチュエータ部材の相対移動によって、径方向に拡張および/または圧縮されることができる。
図33に図示した例では、フレーム600’は、ウィンドウとナットとからなる三つの第一対696、697を有した第一組の選択された第二ポスト618と、ウィンドウとナットとからなる三つの第二対698、699を有した第二組の選択された第二ポスト618と、を含み、ウィンドウとナットとからなる各組合せは、それぞれ対応するアクチュエータ部材を受領するように構成されているとともに、それぞれ対応するアクチュエータ部材に対して係合するように構成されている。いくつかの例では、アクチュエータ部材の一つまたは複数は、時計まわりの向きにおけるアクチュエータ部材の回転駆動がフレーム600’の拡張をもたらすものとされた「右まわり」アクチュエータとして構成することができる。代替的には、アクチュエータ部材は、反時計まわりの向きにおけるアクチュエータ部材の回転駆動がフレーム600’の拡張をもたらすものとされた「左まわり」アクチュエータとして構成することができる。右まわりアクチュエータ部材を反時計まわりの向きに回転駆動することにより、また、左まわりアクチュエータ部材を時計まわりの向きに回転駆動することにより、同様に、フレーム600’の圧縮をもたらすことができる。
【0170】
いくつかの例では、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697は、右まわりアクチュエータ部材または左まわりアクチュエータ部材の一方に対して排他的に関連付けられることができ、他方、ウィンドウとナットとからなる第二対698、699は、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697に対して関連付けられていない右まわりアクチュエータ部材または左まわりアクチュエータ部材の他方に対して排他的に関連付けられることができる。一例として、右まわりアクチュエータ部材は、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697のみに対して排他的に関連付けられて係合することができ、左まわりアクチュエータ部材は、ウィンドウとナットとからなる第二対698、699のみに対して排他的に関連付けられて係合することができる。このようにして、ウィンドウとナットとからなる第一対696、697とウィンドウとナットとからなる第二対698、699との間における目に見える相違により、どのタイプのアクチュエータ部材がそれぞれを通して延びているかを識別することができる(例えば、長さ、幅、および/または形状、における相違を介して)。上記の例と同様に、例えば、右まわりアクチュエータ部材は、それぞれ対応したウィンドウとナットとからなる第一対696、697によって識別することができ、左まわりアクチュエータ部材は、ウィンドウとナットとからなる第二対698、699によって識別することができる。右まわりアクチュエータ部材と左まわりアクチュエータ部材との識別は、人工弁の組立時におよび/または弁の移植時に、フレームを径方向に拡張または圧縮する際に有用とすることができる。例えば、移植時に使用される時には、一方または両方のナット697、699は、それぞれ対応する第二ポスト618を形成するために使用される放射線不透過性材料とは異なる放射線透過性を有した放射線不透過性材料から作製することができる。よって、一方または両方のタイプのナット697、699は、第二ポスト618の放射密度とは異なる放射密度を有することができ、これは、移植手順時に撮像を介して、アクチュエータ部材どうしの間の識別を可能とすることができる。
【0171】
図33に図示しているように、フレーム600とフレーム600’との間での、別の相違点は、一つまたは複数の軸線方向延長部分の構造である。特に、フレーム600’は、隣接した下側ストラット644(および/または、下側ストラット642)と流入頂点612との間に配置された、開口部を有していない一つもしくは複数の片持ち式ストラットまたは軸線方向延長部分684を含むことができる。軸線方向延長部分626と同様に、各軸線方向延長部分684は、それぞれ対応した支持ポスト620に対して結合された固定端686と、フレーム600’の流入端602に向けて延びた自由端688と、を含むことができる。しかしながら、軸線方向延長部分626とは異なり、軸線方向延長部分684は、自由端688の厚さを径方向に貫通して延びた開口部(例えば、開口部638)を有していない。本明細書で示すように、軸線方向延長部分626の開口部638は、弁尖および/または他の軟質構成要素をフレーム600’に対して縫合するために、一般に、縫合糸および/または針の頭部が、内部を通して通過させ得るようなサイズおよび形状とされている。これにより、軸線方向延長部分626の自由端636は、直径が、より広いものまたはより大きなものとなり、これにより、弁の圧縮プロファイルまたは圧着プロファイルを増大させることができる。したがって、開口部を有していないことのために、軸線方向延長部分684の自由端688は、軸線方向延長部分626の丸められた自由端636と比較して、直径がより狭いものまたはより小さなものとすることができる。流入頂点612の場合と同様に、軸線方向延長部分684のより狭いプロファイルは、軸線方向延長部分626が提供する空間と比較して、より大きな空間を提供することができ、これにより、送達時における弁の全体的な圧縮プロファイルを減少させることができる。
【0172】
開口部を有していないことにより、いくつかの実例では、軸線方向延長部分684は、軸線方向延長部分が弁尖に対して直接的に結合されていないフレーム600’に沿って、位置決めすることができる。一例として、
図33は、各軸線方向延長部分684が、交連支持部材622を含むそれぞれ対応した支持ポスト620から、それぞれ対応する隣接した流入頂点612と選択されたストラット644とからなる対の中間へと、軸線方向に延び得ることを、示している。この点において、各軸線方向延長部分684は、フレーム600’の内部に配置された隣接した弁尖から形成された弁尖交連(例えば、交連680)に対して位置合わせされ得るとともに、中間に延びた弁尖を有していない隣接した流入頂点612どうしの間に延びることができる(例えば、
図21に示すような、前方かつ右側の軸線方向延長部分626と同様の位置)。例えば、弁尖の、弁尖の流入エッジ(例えば、流入エッジ部分664)から全体的に形成されたスカラップ形状エッジは、フレーム600’の周縁まわりにおいて、選択されたストラット644および軸線方向延長部分626に対して結合されて追従することができ、これにより、弁尖は、隣接した流入頂点612と選択されたストラットとからなる対でありかつそれらの間に軸線方向延長部分684が配置されている対どうしの間の空間を、存在するとしても、ほとんど占有することがない。したがって、開口部を有していない軸線方向延長部分684は、弁尖に対して取り付けられていないままで残される。弁尖に対しては結合されないけれども、軸線方向延長部分684は、フレーム600’の外面に対して取り付けられた外側スカートなどの軟質構成要素がフレーム600’内へと径方向内向きに延びることを阻止するように構成され得るとともに、そのような阻止のために使用することができ、これも、また、弁の全体的な圧縮プロファイルを減少させる。そのような例では、軸線方向延長部分684は、外側スカートがフレーム600’内へと径方向内向きに移動することを阻止または制限するのに適した剛性度合いを有するように構成することができる。更なる例では、軸線方向延長部分684は、また、フレーム600’の長手方向軸線に向けて、および/またはそれぞれ対応する流入頂点612に向けて横方向に、径方向内向きへの撓み度合いを提供するように構成することができる。
【0173】
図33に図示しているように、フレーム600’は、開口部638を有した三つの軸線方向延長部分626と、開口部を有していない三つの軸線方向延長部分684と、を含むことができる。軸線方向延長部分626および軸線方向延長部分684は、それぞれ対応する対をなす軸線方向延長部分626どうしの間に各軸線方向延長部分684が位置するような交互的なパターンで、フレーム600’の周縁まわりに配置することができる。よって、各軸線方向延長部分626は、それぞれ対応する対をなす軸線方向延長部分684どうしの間に、位置することができる。いくつかの例では、軸線方向延長部分626および軸線方向延長部分684は、様々な構成で配置されることができる、および/または、互いに任意のより多数でもしくは任意のより少数で含まれることができる。
【0174】
図34は、別の例によるフレーム600”を、圧縮されて平坦化された状態で図示しており、フレーム”は、フレーム600’と同様に、
図19~
図21に関連して上記で説明したようなすべての構成要素を含むことができる。別段の記載がない限り、フレーム600”は、また、フレーム600’および
図33に関連して説明したようなすべての構成要素を含むことができる。フレーム600’の場合と同様に、フレーム600に関する詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
【0175】
フレーム600’と比較すると、
図34に示すように、フレーム600”は、隣接した流入頂点612からなる一つおきの対の間に配置された軸線方向延長部分626だけを含む。具体的には、フレーム600’とフレーム600”との間における、一つの相違点は、軸線方向延長部分626および軸線方向延長部分684がフレームの周縁まわりにおいて交互的な態様で含んで配置されているのではなく、フレーム600”における軸線方向延長部分が、隣接した流入頂点612からなる対どうしの間に配置された軸線方向延長部分626のみであるよう、開口部を有していない各軸線方向延長部分684が除去されていることである。
図34に図示しているように、フレーム600”の軸線方向延長部分626は、隣接した下側ストラット642どうしの間で軸線方向に延びているけれども、隣接した選択されたストラット644と、それぞれ対応した流入頂点612と、からなる各対の間における周方向は、軸線方向延長部分を有していない。しかしながら、いくつかの例では、各軸線方向延長部分626は、隣接した選択されたストラット644どうしの間で軸線方向に延び得るけれども、隣接した下側ストラット642と、それぞれ対応した流入頂点612と、からなる各対の間における周方向間隙は、軸線方向延長部分を有していない。その結果、フレーム600”は、フレーム600またはフレーム600’と比較して、より少数の軸線方向延長部分を含み、これにより、フレーム600”の流入領域のところで、より大きな空間を提供する。これは、単独で、あるいは、フレーム600およびフレーム600’に関連して本明細書で説明する特徴と組み合わせて、フレーム600”を含む圧縮された弁に関する、全体的な圧着プロファイルを減少させることができる。
【0176】
図37~
図44は、本明細書で説明する任意の軸線方向延長部分(例えば、軸線方向延長部分344、438、532、540、626、または810)に代えてまたはそれと組み合わせて、本明細書で説明する任意のフレームと一緒に実装され得るような、片持ち式の軸線方向延長部分1200A~1200Hに関する様々な例を示している。各軸線方向延長部分1200A~1200Hは、一般に、それぞれ対応するフレームに対して結合される固定端1202と、フレームの流入端に向けて延びる自由端1204A~1204Hと、を含むことができる。
図37~
図44に図示しているように、軸線方向延長部分1200A~1200Hの自由端1204A~1204Hは、軸線方向延長部分を有したフレームが比較的最小限の圧縮プロファイルを達成し得るような、構造上の相違点を有することができる。固定端1202は、上記で説明したように、それぞれ対応する支持ポストに対してなど、フレームに対して接続することができる。
【0177】
図37は、本明細書で説明する軸線方向延長部分344、軸線方向延長部分438、軸線方向延長部分532、軸線方向延長部分540、および軸線方向延長部分626に対して、構造が全体的に同様であるような、片持ち式の軸線方向延長部分1200Aを図示している。すなわち、軸線方向延長部分1200Aの自由端1204Aは、延長部分の厚さを径方向に貫通して延びた開口部1206を含むことができる。開口部1206は、一つまたは複数の縫合糸を、他の締結部材を、および/または弁の軟質構成要素を、受領するようなサイズならびに形状とすることができる。開口部1206を有することの一つの結果として、軸線方向延長部分1200Aの自由端1204Aは、開口部に対して縫合糸を通すために使用される針を収容するために、周方向幅または直径Dを有している。いくつかの実例では、軸線方向延長部分1200Aを有したフレームが径方向に圧縮された時に自由端1204Aの直径Dが占有する空間の程度は、フレームおよび弁の全体的な圧着プロファイルを制限することができる。フレームのそのような制限された圧縮プロファイルまたは圧着プロファイルは、自由端1204Aの外側エッジが、フレームの隣接した下側ストラット(例えば、下側ストラット370、下側ストラット642、等)からなる対に対して当接した時に、生じ得る。
【0178】
代替的には、以下の軸線方向延長部分1200B~1200Hの自由端1204B~1204Hは、フレームストラットが接触した時に圧縮されるような構造とすることができる。すなわち、軸線方向延長部分1200B~1200Hの自由端1204B~1204Hは、自由端1204B~1204Hが、軸線方向延長部分1200Aの自由端1204Aの直径Dと比較して、より小さな周方向プロファイルを達成するよう、そしてこれにより、より少ないスペースを占有するよう、フレームが径方向に圧縮される際には、圧縮可能とすることができる。自由端1204B~1204Hに関するこの圧縮性により、一つまたは複数の軸線方向延長部分1200B~1200Hを有したフレームは、軸線方向延長部分1200Aを有したフレームと比較して、より大きな程度で圧縮されることができる。
【0179】
図38および
図39は、圧縮可能な片持ち式の軸線方向延長部分1200B、1200Cに関する、二つの異なる例であるものの、構造的に同様とされた例を示している。特に、軸線方向延長部分1200B、1200Cは、V字形状とされたそれぞれ対応する自由端1204B、1204Cを含むことができる。各自由端1204B、1204Cは、例えば、隣接したアーム1208、1210からなるそれぞれ対応した対を有することができ、隣接したアーム1208、1210は、V字形状とされた共通の接合部から、それぞれ対応するフレームの周方向において外向きに延びている。軸線方向延長部分1200Bのアーム1208B、1210Bは、また、軸線方向延長部分1200Cのアーム1208C、1210Cは、アーム1208、1210が撓んだ状態とされた時には、軸線方向延長部分1200B、1200Cが、
図38および
図39に図示した非圧縮プロファイルと比較して、より狭い周方向プロファイルを有するよう、それらの共通の接合部まわりに互いに向けて横方向に撓むように構成することができる。撓んだ状態では、軸線方向延長部分1200B、1200Cの周方向プロファイルは、延長部分1200Aの直径Dよりも小さい。そのような撓みは、径方向圧縮時にアーム1208、1210がフレームの隣接したストラットに対して接触した時に生じることができる。それぞれ対応する弁尖または他の軟質構成要素を、軸線方向延長部分1200B、1200Cに対して固定するために、縫合糸は、弁尖または軟質構成要素のエッジ部分を通してその周囲に延びた、さらに、軸線方向延長部分1200B、1200Cのアーム1208、1210の周囲に延びた、ホイップステッチを形成することができる。縫合糸は、また、それぞれ対応したアーム1208、1210どうしの接合部の周囲に巻回することができる。
【0180】
軸線方向延長部分1200Bと軸線方向延長部分1200Cとにおける、一つの相違点は、延長部分1200Cが、アーム1208C、1210Cの長手方向エッジに沿って、一つもしくは複数のバンプまたは突起1212を含むことである。これら突起1212は、突起の周囲におよび上方に延びた縫合糸がアーム1208C、1210Cに沿ってかつアーム1208C、1210Cから外れるように移動したりスライドしたりする可能性を阻止あるいは低減することができる。
【0181】
図40は、別の例による圧縮可能な片持ち式の軸線方向延長部分1200Dを図示している。軸線方向延長部分1200Dは、複数の外向きに延びたアーム1214を有した自由端1204Dを含むことができ、複数の外向きに延びたアーム1214は、X字形状で配置されているとともに、フレームに対して周方向に位置合わせされている。軸線方向延長部分1200B、1200Cのアーム1208、1210と同様の態様で、アーム1214からなる隣接した対は、自由端1204Dが、
図40に示す非圧縮プロファイルまたは拡張プロファイルと比較して、より狭い圧縮プロファイルを有し得るよう、互いに向けて横方向に撓むことができる。例えば、
図40に示すような、二つの上側アーム1214と、二つの下側アーム1214とは、それぞれ互いに向けて撓むことができる。縫合糸または他の締結部材は、
図40がなす平面の内外にわたって、各アーム1214の周囲へと、さらには、アーム1214からなる隣接した対どうしの間へとおよび/またはアーム1214どうしの共通の接合部の周囲へと、十字形の態様などで、延びることができる。
【0182】
圧縮可能な片持ち式の軸線方向延長部分1200E、1200Fに関する二つの更なる例が、
図41および
図42に図示されている。軸線方向延長部分1200E、1200Fは、圧縮可能なアイレットを規定しているそれぞれ対応する自由端1204E、1204Fを含むことができる。軸線方向延長部分1200Eの自由端1204Eは、例えば、不連続セグメントまたは開放セグメント1218を有したU字形状アイレット1216を含むことができる。縫合糸は、それぞれ対応する弁尖および/または他の軟質構成要素を、軸線方向延長部分1200Eに対して固定するために、開口を通してさらにアイレット1216の縁取りの周囲へと延びることができる、および/または、開放セグメント1218を通してスライドすることができる。軸線方向延長部分1200Eを含むフレームが径方向に圧縮された時には、自由端1204Eの、U字形状アイレット1216を縁取っている側部または側方部分1219どうしは、互いに向けて移動して収束することができ、これにより、開放セグメント1218を狭めるまたは閉塞させることができる。
【0183】
同様の態様で、軸線方向延長部分1200Fの自由端1204Fは、囲まれた楕円形状アイレットまたは長尺アイレット1220を縁取って規定することができる。軸線方向延長部分1200Eの場合と同様に、自由端1204Fの、アイレット1220を縁取っている側部または側方部分1221は、フレームの径方向圧縮時にそれぞれ対応したフレームの隣接した部分が自由端1204Fに対して接触した際には、互いに向けて移動し、その結果、比較的最小の周方向プロファイルをもたらす。それぞれ対応する弁尖または他の軟質構成要素を、軸線方向延長部分1200Fに対して固定するために、縫合糸は、弁尖および/または軟質構成要素のエッジを通してその周囲へと、アイレット1220を通して、さらに、側方部分1221の周囲へと、延びるホイップステッチを形成することができる。
【0184】
図43は、隣接したアーム1222からなる対によって規定されたU字形状自由端1204Gを有した別の圧縮可能な片持ち式の延長部分1200Gを図示している。アーム1222は、互いに周方向に離間して配置され得るとともに、縫合糸または他の締結部材を受領するための周方向空間をそれらの間に規定することができる。各アーム1222は、他方に向けて、さらに、アーム1222どうしの間に延びた空間内へと、撓むように構成することができ、これにより、それぞれ対応したフレームが径方向に圧縮された時には、軸線方向延長部分1200Gの自由端1204Gは、延長部分1200Aの直径Dと比較して、より狭い周方向プロファイルを有することができる。縫合糸は、それぞれ対応する弁の弁尖および軟質構成要素を通してそれらの周囲へと、さらには、アーム1222の間へとさらにそれらの周囲へと、延びることができる。締結部材は、また、アーム1222の共通の接合部の周囲を、巻回することができる。
【0185】
図44に図示しているように、圧縮可能な片持ち式の軸線方向延長部分1200Gの別の例は、自由端1204Hを含むことができ、自由端1204Hは、長手方向エッジ部分1225を有しているとともに、長手方向エッジ部分1225に沿って、一つまたは複数の切欠1224が設けられている。切欠1224は、延長部分1200Gの、一方または両方の長手方向エッジ1225に沿って、位置することができる。各切欠1224は、それぞれ対応する弁の弁尖および/または他の軟質構成要素を通してその周囲へと延びる縫合糸あるいは他の締結部材を受領するようなサイズならびに形状とすることができる。そのような締結部材または縫合糸は、また、軸線方向延長部分1200Hを横断して、一つの切欠1224から別の切欠へと、例えば十字形状の態様で、延びることができる。
【0186】
片持ち式の延長部分1200A~1200Hのそれぞれが、また、本明細書で説明する軸線方向延長部分(例えば、軸線方向延長部分344、軸線方向延長部分438、軸線方向延長部分532、軸線方向延長部分540、および軸線方向延長部分626)に対して、機能的に同様のものとされ得ることは、理解されよう。一例として、人工弁の動作サイクル時には、軸線方向延長部分1200A~1200Hの一つまたは複数は、それぞれ対応したフレームの長手方向軸線に向けて径方向内向きに撓むように、さらに、長手方向軸線から離間する向きにおいて、フレームの外側境界に向けて径方向外向きに撓むように、動作可能とすることができる(例えば、軸線方向延長部分344、および軸線方向延長部分438)。径方向内向きにおよび径方向外向きに撓むように構成されていることに加えて、あるいはそれに代えて、軸線方向延長部分1200A~1200Hは、軸線方向の力が自由端1204A~1204H上に作用する時などには、横方向にまたは周方向に撓むように構成することができる(例えば、軸線方向延長部分532および/または軸線方向延長部分540のように)。
【0187】
本明細書で説明する任意の片持ち式の延長部分は、また、軸線方向延長部分344、軸線方向延長部分438、軸線方向延長部分532、軸線方向延長部分540、軸線方向延長部分626、および軸線方向延長部分1200A~1200H、を含めて、それぞれ対応するフレームの中心に向けて径方向内向きにテーパー形状となる態様とすることができる。一例として、
図45Aおよび
図45Bは、一実装によるフレーム1300の流入端1302を図示している。
図45Aおよび
図45Bは、それぞれ径方向拡張状態でおよび径方向圧縮状態で、フレーム1300を示している。
図45Aにおいてフレームの中央長手方向軸線1310に沿った「上向き」の図として示されているフレーム1300は、フレーム1300の周縁に沿って周方向に互いに離間して配置された複数の流入頂点1304を含むことができる。隣接した流入頂点1304からなる各対の間には、それぞれ対応した自由端1308を有したそれぞれ対応する軸線方向延長部分1306が設けられている。
【0188】
図45Aにおける径方向線Rによって示すように、軸線方向延長部分1306における自由端1308の一つまたは複数は、フレーム1300の長手方向軸線1310に向けて径方向内向きにテーパー形状とすることができる。例示の目的で、軸線方向延長部分1306の自由端1308のみが示されている。各軸線方向延長部分1306は、また、それぞれ対応した対をなす下側ストラット1312どうしの間に位置することもできる。各下側ストラット1312は、それぞれ対応した流入頂点1304と、ストラット1312からなる対に関する共通の接合部と、の間に延びている。いくつかの例では、各軸線方向延長部分1306は、ストラット1312の共通の接合部から延びている。
【0189】
単一の軸線方向延長部分1306に関する拡大図を示している
図45Bに示すように、フレーム1300が径方向に圧縮され、対をなす隣接した下側ストラット1312が互いに向けて周方向に移動した時には、一対の下側ストラット1312は、軸線方向延長部分1306の自由端1308に対して接触する。自由端1308がテーパー形状であることに起因して、下側ストラット1312が自由端1308の側方部分に対して接触して側方部分を押し込んだ際には、自由端1308は、印加された圧力によって、径方向外向きに移動する。軸線方向延長部分1306の径方向外向き移動は、矢印1314によって全体的に示されている。このようにして、テーパー形状の軸線方向延長部分1306により、フレーム1300は、テーパー形状の軸線方向延長部分1306を有していないフレームと比較して、より大きな程度で圧縮されることができる。いくつかの例では、自由端1308は、フレームが印加する圧力下では、部分的にのみ径方向外向きに移動する。他の例では、自由端1308は、フレーム1300の外側境界よりも、全体的に外側へと、またはほぼ全体的に外側へと、移動する(
図45B)。また、いくつかの例では、軸線方向延長部分1306の自由端1308が、また、軸線方向延長部分1200B~1200Hと同様に、圧縮可能であり得ることは、理解されよう。そのような例では、自由端1308は、初期的には、下側ストラット1312に対する接触時に圧縮されることができ、その後、圧力が増大してフレームがさらに圧縮された際には、径方向外向きに移動することができる。
【0190】
図35は、別の例によるフレーム600’’’の一部を図示している。フレーム600’’’は、径方向に圧縮されて平坦化された状態で示されており、フレーム600’、フレーム600”、およびそれぞれ対応する
図33~
図34、に関連して説明したすべての構成要素に加えて、フレーム600および
図19~
図21に関連して上記で説明したすべての構成要素を含むことができる。フレーム600’’’の一部のみが図示されているけれども、フレーム600’’’が、フレーム600、フレーム600’、およびフレーム600”のそれぞれが環状構造を形成するのと同じ態様で、環状構造を形成することは、理解されよう。
【0191】
図35に示すように、第一軸線方向ポスト616の一つまたは複数は、一つまたは複数の開口部692を含むことができる。上記で説明したように、各第一軸線方向ポスト616は、フレーム600’’’の流出端604のところで、それぞれ対応する流出頂点614から延び得るとともに、内部を通してアクチュエータ部材(例えば、ロッド158、またはネジ山付きロッド382)が延び得る内部穴(図示せず)を含むことができる。
図35に示す各開口部692は、各開口部がポスト616の穴に対して連通するよう、フレーム600’’’の外面と内部穴との間に延びるようなサイズおよび形状とすることができる。特に、各開口部692は、フレーム600’’’の内面682および/または外面694から、第一軸線方向ポスト616の内部穴までにわたって、延びることができる。図示のように、
図35における右側の軸線方向ポスト616の面に沿って、ポスト616の一つまたは複数は、互いに軸線方向に離間して配置された二つ以上の開口部692を含むことができる。第二軸線方向ポスト618の一つまたは複数も、また、フレーム600’’’の外面からそれぞれ対応した内部穴までにわたって延びた一つまたは複数の開口部692を含むことができる。図示していないけれども、第二軸線方向ポスト618の一つまたは複数は、ポスト618のそれぞれ対応した穴もしくはチャネルに対して連通した一つまたは複数の開口部692を含むことができる。第一ポスト616における開口部692に代えて、任意の第二ポスト618が、一つまたは複数の開口部692を含むことができる。
【0192】
本明細書で開示するフレームに関する任意の例は、フレームの一つもしくは複数の軸線方向ポスト内に、一つまたは複数のそのような開口部692を含むことができる。
【0193】
図36は、別の例による、人工弁のためのフレーム600’’’’の一部を図示している。第一(外側)セル609と第二(内側)セル611とを含む単一のセル列のみが示されているけれども、全体的なフレーム600’’’’が、複数のセル列(各セル列は、第一セル609と第二セル611とからなる対を含む)と、
図36に図示したそれぞれ対応する第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619と、を含むことは、理解されよう。フレーム600’’’’は、以下で説明する相違点を除き、フレーム600、フレーム600’、フレーム600”、またはフレーム600’’’に関連して上記で説明したすべての構成要素を含むことができる。
【0194】
図36に示すように、第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619の配置は、
図19~
図21に示す第一軸線方向ポスト616および第二軸線方向ポスト618の配置とは、逆とされている。すなわち、第二軸線方向ポスト619は、フレーム600のそれぞれ対応する流出頂点614から、第二セルの流出頂点628へと、さらには、第二セル611内へと、延びることができる。各第一軸線方向ポスト617は、フレームのそれぞれ対応する流入頂点612から、第二セル611の流入頂点630までにわたって、延びることができる。軸線方向ポスト617、619は、軸線方向に位置合わせすることができる。
【0195】
フレームの流出端のところで、送達装置のアクチュエータアセンブリ(例えば、アクチュエータアセンブリ1108)に対して着脱可能に結合するように構成されたアクチュエータ部材(例えば、ネジ山付きロッド382)を有するものとして全体的に図示された本明細書で説明する他のフレームと比較して、
図36に示すフレーム600’’’’は、フレームの流入端のところで、送達装置のアクチュエータアセンブリに対して着脱可能に結合するように構成されている。特に、第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619は、第一軸線方向ポスト617の長さに沿っておよび第二ポスト619の少なくとも長さに沿って延びた内部穴(図示せず)を含むことができる。ネジ山付きロッドの形態などといったアクチュエータ部材621は、第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619の内部穴を通して延び得るとともに、フレームの流入頂点612に隣接して配置されたヘッド部分621aを有している。アクチュエータ部材621は、フレーム600の径方向拡張および径方向圧縮を制御するように構成することができる。アクチュエータ部材621は、螺着係合を介して、プッシュプル構成を介して、あるいは、
図3およびフレーム102に関連して言及したものなどの任意のテザーシステムを介して、穴に対して係合することができる。いくつかの例では、ナット623は、第二軸線方向ポスト619が縁取っているウィンドウ625を通して見ることができるとともに、アクチュエータ部材621(
図33)に対して係合するように構成された内部ネジ山付き穴を含む。
【0196】
有利なことに、第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619の反転配置は、フレーム600の構成および他の特徴を、ほぼ同じに維持することを可能としながらも、フレーム600の使用を、他の移植位置および/または他の送達アプローチへと拡張することができる。一例として、フレーム600を使用して構築された人工弁でありかつ反転した第一軸線方向ポスト617および第二軸線方向ポスト619を有した人工弁は、送達装置(例えば、送達装置1100)によって、患者の天然の僧帽弁に向けて、右心房から左心房へと、経中隔的に前進させることができる。この場合、人工弁は、左心房から左心室内への血液流を調節するために、フレーム600の流入端602が左心房の内部に位置するようにして、天然の僧帽弁内に位置決めされ得るとともに、送達装置から係合解除されることができる。別の例では、送達装置を、フレーム600’’’’の流入端602に対して結合することにより、人工弁を、人工弁と送達装置とが左心室の心尖内の外科的開口を介して左心室内へと挿入される経心尖送達アプローチによって、天然の大動脈弁へと送達することができる。比較のために、
図19~
図21に示されているとともに第一軸線方向ポスト616および第二軸線方向ポスト618を有したフレーム600の例は、流出端604のところで、アクチュエータ部材を受領することができる。フレーム600のこの例は、例えば、人工弁が天然の大動脈弓を通して送達される時などのように、大動脈弁内への移植に関して望ましいものであり得る。本明細書で開示する任意の人工弁フレームは、フレームの流出端のところではなく、フレームの流入端のところにヘッド部分621aを有したアクチュエータ部材621を含むように適合させることができる。
【0197】
図22および
図23は、径方向圧縮状態とされた、別の例によるフレーム700の一部を示している。例示および説明を容易とするために、
図22および
図23は、フレーム700の、単一の第一セル702と、対応した第二セル704と、を図示している。フレーム700の単一の第一セル702および第二セル704のみが図示されているけれども、フレーム700が、複数のセル702、704を有した環状構造を形成することは、理解されよう。
【0198】
図22および
図23は、フレーム700が、それぞれ対応する流入頂点706と流出頂点708とを形成するような、第一セル702および第二セル704を含み得ることを示している。第一セル702および第二セル704は、一対の隣接した支持ポスト710の間に配置されており(
図22には、各支持ポストの半分だけが示されている)、この場合、一方の支持ポストは、両セルの片側において、交連支持部材740(例えば、交連支持部材622)を含む。支持ポスト710の一つまたは複数は、また、上述した軸線方向延長部分の任意の一つを含むことができる。
【0199】
各第一セル702は、二つの上側ストラット712a、712bと、二つの下側ストラット714a、714bと、によって形成することができる。各上側ストラット712は、一端が、第一軸線方向ポスト716に対して結合されており、他端が、支持ポスト710に対して結合されており、他方、各下側ストラット714は、一端が、第二軸線方向ポスト718に対して結合されており、他端が、支持ポスト710に対して結合されている。上側ストラット712a、712bは、フレーム700の流出端720を規定しているストラットの上側列の一部とすることができ、下側ストラット714a、714bは、フレーム700の流入端722を規定しているストラットの下側列の一部とすることができる。
【0200】
図22および
図23に示すように、フレーム700の下側ストラット714の一つまたは複数は、フレーム600の選択されたストラット644と同様の構成を有することができる。具体的には、選択されたストラットとも称され得るフレーム700の下側ストラット714は、フレーム700の流入頂点706に対して結合された流入端セクション724と、支持ポスト710に対して結合された流出端セクション726と、径方向に貫通して延びた開口または開口部730を縁取っている中間セクション728と、を含むことができる。各中間セクション728は、また、第一セル702によって形成された開口内へと突出した突起729(丸められたエッジを有し得る)を有することができ、この場合、突起は、流入セクション724および流出セクション726の幅よりも大きな幅を有するものとされている。
【0201】
フレーム600とフレーム700とにおける、一つの相違点は、それぞれ対応する凹所である。特に、中間セクション728の突起729に対して同一または同様の曲率を有して形成されている(例えば、凹所654は、そのように形成されている)のではなく、フレーム700の凹所732は、ポスト718の長手方向エッジ734の大部分をなす軸線方向長さに形成されているとともに、そのような軸線方向長さに沿って延びている。
図23に最も明瞭に示すように、例えば、第二軸線方向ポスト718は、流入頂点706を形成している第一端部部分736と、流入エッジ部分736から第二セル704の長軸頂点までにわたって延びた第二端部部分738と、を含む。
図23に示すように、凹所732は、ポスト718の流入端部分736と比較して、ポスト718の第二端部部分738のより狭い周方向幅によって生じた空間内に形成することができる。第二端部セクション738の周方向幅は、隣接した一対の選択されたストラット714の突起729を凹所732が受領するように構成されるよう、充分に狭いものとすることができる。いくつかの例では、より長い凹所732は、選択されたストラット714が、開口部730を形成している二つ以上の突起729を含む時などのように、選択されたストラット714の比較的長尺のおよび/または一つもしくは複数の突起を受領するように構成することができる。代替可能な例では、ポスト718の第一端部部分736および第二端部部分738は、異なる周方向幅を有する必要はなく、フレーム700が径方向圧縮状態とされている時に中間セクション728が第二軸線方向ポスト718に対して接触することを阻止するよう充分に狭い単一の幅を有するだけでよい。
【0202】
図24は、別の例による、径方向圧縮状態とされたフレーム800の一部における流入端を示している。説明の目的のために、
図24は、フレーム800のより大きな環状構造における、第一セル802および第二セル804からなる単一の組だけを図示している。
図24に示すように、第一セル802および第二セル804は、それぞれ対応した流入頂点806および流出頂点(図示せず)を形成し得るとともに、一方の支持ポストが軸線方向延長部分810(例えば、軸線方向延長部分532)を含む状態で、隣接した一対の支持ポスト808の間に位置することができる。本明細書で説明する交連支持部材の任意の一つは、また、支持ポスト808内へと延びることができる、および/または、支持ポスト808内に形成することができる。
【0203】
各第一セル802は、二つの上側ストラットと、二つの下側ストラット812a、812bと、によって形成することができる。上側ストラットは、フレーム800の流出端を規定しているストラットの上側列の一部とすることができ、下側ストラット812a、812bは、フレーム800の流入端814を規定しているストラットの下側列の一部とすることができる。
図24に示すように、下側ストラット812は、一端が、二つの軸線方向に位置合わせされたポスト816の一方に対して結合されており、他端が、支持ポスト808に対して結合されている。
【0204】
選択されたストラットとも称され得るフレーム800の下側ストラット812は、フレーム600の選択されたストラット644に対して、およびフレーム700の選択されたストラット714に対して、同様の構成を有することができる。フレーム800の選択されたストラット812のそれぞれは、例えば、フレーム800の流入頂点806に対して結合された流入端部セクション818と、支持ポスト808に対して結合された流出セクション820と、径方向に貫通して延びた開口または開口部824を縁取っている中間セクション822と、を含むことができる。
【0205】
選択されたストラット644および選択されたストラット714とは対照的に、選択されたストラット812の中間セクション822は、全体的に矩形形状とされ得る長尺の開口部824を形成している。中間セクション822は、外向きに延びた一対の平行な厚肉のエッジまたは突起826を有することができる。具体的には、選択されたストラット812bの中間セクション822に関する拡大図を示している
図25に示すように、ストラット812の内側エッジおよび外側エッジは、それぞれ、第一セル802によって形成された開口内へと(例えば、それぞれ対応する第二セル804および/またはポスト816に向けて)突出しているとともに、フレーム800の流入端814に向けて外向きに突出している。
図24および
図25に示すように、開口部824は、また、矩形または長尺とされ得るとともに、丸められたエッジ826どうしの間に配置されることができる。
【0206】
選択されたストラット644に対しての、および選択されたストラット714に対しての、選択されたストラット812の一つの利点は、ストラット812の中間セクション822の突起が、ストラット644、714の中間セクション648、728の突起649、729と比較して、より少ない程度で外向きに突出していることである。言い換えれば、ストラット812の中間セクション822は、選択されたストラット644、714の中間セクション648、728と比較して、より狭い周方向プロファイルすなわち幅を有している。この狭い幅により、例えば、フレーム800は、ポスト816内に凹所が設けられていなくても、ポスト816が中間セクション822を受領するように構成されていることで、ストラット812の中間セクション822とポスト816との間の接触を回避しつつ、完全に圧縮されることができる。
【0207】
図22~
図25は、それぞれ対応するフレーム700、800の選択されたストラットを、個々の第一セル702を形成している一対の隣接したストラットとして示しているけれども、いくつかの例では、選択されたストラットは、隣接した第一セル702を形成する一対の隣接した選択されたストラット(例えば、フレーム600の選択されたストラット644)とすることができる。そのような例では、フレームの流入端を形成する下側ストラットの列内における一つまたは複数のストラットは、開口または開口部を有していない。
【0208】
図26は、径方向拡張構成とされた人工弁900に関する別の例を図示している。図示した例における人工弁900は、フレーム600を含む。フレーム600は、
図19~
図21に関連して上記で説明したすべての構成要素を含むことができ、したがって、フレーム600に関する詳細な説明は、簡略化のために、ここでは繰り返さない。フレーム600を含むものとして図示して説明しているけれども、人工弁は、本明細書で説明する任意のフレーム(例えば、フレーム102、フレーム302、フレーム400、フレーム500、フレーム600’、フレーム600”、フレーム600’’’、フレーム600’’’’、フレーム700、およびフレーム800)を含むことができる。したがって、人工弁900は、上記で説明したように、人工弁100、人工弁300、および人工弁656に対して、同様の特徴および同様の機能性を含むことができる。
【0209】
人工弁900は、フレーム600に対して結合されていてフレーム600の内部に支持されているとともに、人工弁900を通して流れる血液流を、流入端602から流出端604へと規制するように構成された、弁尖アセンブリ902を含む。弁尖アセンブリ902は、フレーム600の内部に取り付けられているとともに三尖配置で圧潰するように構成された三つの弁尖904(
図27には、単一の弁尖が示されている)を含む弁尖アセンブリを含むことができる。弁尖904は、全体的にまたは部分的に、生物学的材料、生体適合性合成材料、または他のそのような材料、などの可撓性材料から、作製することができる。適切な生物学的材料は、例えば、ウシ心膜(または、他の供給源からの心膜)を含むことができる。いくつかの実例では、弁尖アセンブリ902は、より多数のまたはより少数の弁尖を含むことができる。
【0210】
図27に示すように、弁尖アセンブリ902の各弁尖904は、メインボディ906と、流出エッジ部分908と、流入エッジ部分910と、を含むことができる。流入エッジ部分910は、一対の傾斜したサイドエッジ部分912と、傾斜したサイドエッジ部分912どうしの間に延びた頂点エッジ部分914と、を含むことができる。頂点エッジ部分914およびサイドエッジ部分912は、流入エッジ部分910が切頭V字形状を有するよう、直線状または実質的に直線状とすることができる。他の例では、流入エッジ部分910は、U字形状または放物曲線などのように、湾曲したものとすることができる。各弁尖904は、軸線方向に延びたサイドエッジ918を含む副交連エッジ部分916をさらに含み、副交連エッジ部分916のそれぞれは、弁尖の下側タブ922と、それぞれ対応する傾斜したサイドエッジ部分912と、の間に延びている。
【0211】
各流出エッジ部分908は、メインボディ906の両サイド上に配置された対向する上側タブ920および下側タブ922からなる対どうしの間に、延びることができる。流出エッジ部分908は、拡張期圧力下では隣接した弁尖の他の流出エッジ部分908に対して接合するよう径方向内向きに移動するように構成されているとともに、収縮期圧力下ではフレーム600に向けて径方向外向きに移動するように構成されている。
図27に示すように、流出エッジ部分908の両側における上側タブ920および下側タブ922は、弁尖904の、頂点エッジ部分914から流出エッジ部分908までにわたってメインボディ906を通して中央に延びた長手方向軸線972に対して、傾斜することができる。特に、上側タブ920および下側タブ922は、長手方向軸線972に対して、ゼロよりも大きな角度で(すなわち、非平行に)、傾斜することができる。この実例では、各弁尖904の上側タブ920および下側タブ922は、弁尖の長手方向軸線972に向けて内向きに傾斜しているものと考えられる。上側タブ920および下側タブ922は、また、弁尖904の長手方向軸線972に対して全体的に垂直とされ得る流出エッジ部分908に対して、および、弁尖904の長手方向軸線972に対して全体的に平行とされ得る副交連エッジ部分916に対して、傾斜することができる。
【0212】
図27に図示しているように、上側タブ920および下側タブ922が、弁尖904の長手方向軸線972に対して傾斜している時には、タブ920、922間におけるメインボディ906の幅は、弁尖904の副交連エッジ部分916から流出エッジ部分908にかけて狭くなる。具体的には、下側タブ920が副交連エッジ部分916に対して当接するところにおける、下側タブどうしの間の幅W1は、流出エッジ部分908のところにおけるまたはその近傍における、下側タブ922どうしの間の(すなわち、下側タブ922の、切欠924に対して最も近い上側エッジどうしの間の)幅W2よりも大きい。よって、メインボディ906の幅は、副交連エッジ918から弁尖904の流出エッジ部分908に向けて、漸次的に減少する。逆に、タブ920、922の間の幅は、流出エッジ部分908から副交連エッジ部分916にかけて広がり、これにより、メインボディ906の幅は、流出エッジ部分908から副交連エッジ部分916に向けて漸次的に増大する。
【0213】
各上側タブ920の直下には、上側タブ920を下側タブ922から分離している切欠924が存在することができる。仮想的な折り曲げ線926は、切欠924を通り、右側タブ920と下側タブ922とからなる各対の間へと、延びている。以下でさらに詳細に説明するように、各上側タブ920は、折り曲げ線926に沿って折り曲げられ得るとともに、下側タブ922に対して当接した状態で位置決めされることができ、これにより、メインボディ906の両サイド上で、タブは、補強された交連タブを、または補強されたタブアセンブリを、形成することとなる。
図27に示すように、上側タブ920および下側タブ922が、弁尖904の長手方向軸線に対して傾斜していることにより、折り曲げ線926も、また、長手方向軸線972に対して、流出エッジ部分908に対して、および副交連部分916に対して、非ゼロ角度で傾斜している。折り曲げ線926のこの角度により、折り曲げられた時には、弁尖904の各上側タブ920は、対応した下側タブ922に対して位置決めされ得るとともに、タブどうしを互いに接続するのに適切な角度で、対応した下側タブ922に対してオーバーラップすることができる。この場合、折り曲げ線926は、また、タブ920、922を接続しているそれぞれ対応する縫合線928に対して、垂直とすることができる、または実質的に垂直とすることができる。
【0214】
それぞれ対応する交連タブを形成することで、各上側タブ920は、弁尖904の縫合線928に沿って延びた縫合糸を介して、対応した下側タブ922に対して接続することができる。特に、上側タブ920が折り曲げ線926に沿って折り曲げられた後には、上側タブ920および下側タブ922は、上側タブ920を通しておよび下側タブ922を通して延びた内外ステッチおよび/またはホイップステッチを形成する縫合糸によって、縫合線928に沿って互いに接続することができる。上側タブ920および下側タブ922から形成された交連タブは、隣接した弁尖904の交連タブに対して対を形成することができ、これにより、弁尖アセンブリと、それぞれ対応した弁尖交連934と、を形成することができる(例えば、
図26および
図28A~
図28Cを参照されたい)。いくつかの実例では、弁尖交連934を形成するために、上側タブ920および下側タブ922によって形成された一つの交連タブの縫合線928は、その一つの交連タブが、隣接した弁尖904のそれぞれ対応した交連タブに対して、および/または、隣接した弁尖のそれぞれ対応した交連タブに対して結合されたコネクタ(例えば、コネクタ940)に対して、縫合されるような、縫合線とすることができる。弁尖交連のこれらの縫合線928は、また、各弁尖交連がフレーム600のそれぞれ対応した交連支持部材622に対して結合される位置としても、機能することができる。
【0215】
図26に示すように、上側タブ920および下側タブ922から形成された各弁尖交連934は、それぞれ対応した副交連エッジ部分916に対して最も近い流入端936と、弁尖904の流出エッジ部分908に対して最も近い流出端938と、を有することができる。上側タブ920が、折り曲げられて、対応した下側タブ922に対して縫合された時には、上側タブ920の、縫合線928よりも内側に位置した材料は、また、弁尖交連934の内側エッジ932を形成することもできる。内側エッジ932は、それぞれ対応する交連934の流入端936から流出端938までにわたって延びることができる。
【0216】
図27に図示しているように、各縫合線928は、それぞれ対応する上側タブ920および下側タブ922に対して平行とすることができ、したがって、弁尖904の長手方向軸線972に対して、非ゼロ角度で傾斜することができる。特に、縫合線928は、それぞれ対応する上側タブ920および下側タブ922の内側エッジに対して、および、メインボディ906の幅に対して、追従する。その結果、フレーム600に対して取り付けられる前の状態では、弁尖904の流出エッジ部分908の長さは、すなわち、タブ920、922と縫合線928との間における流出エッジ部分908の長さは、例えば、タブ920、922の幅が狭くなってそれらのタブ間の距離が比較的短くなることに起因して、長手方向を向いたタブを有した弁尖(
図29)の流出エッジと比較して、より短くなる。
【0217】
図28A~
図28Cは、弁尖904を含む人工弁900の弁尖アセンブリ902に関する組立を、さらに詳細に図示している。例えば、
図28Aを参照すると、特定の例では、弁尖アセンブリ902は、可撓性コネクタ940を、弁尖904aの下側タブ922aのところで、および弁尖904bの下側タブ922bのところで、一対の弁尖904a、904bに対して接続することにより、形成することができる。可撓性コネクタ940は、縫合糸によって、下側タブ922a、922bに対して接続することができる。可撓性コネクタ940は、例えば、織布片(例えば、PET織布)を含むことができる。楔部材942(
図28Bおよび
図28C)を、可撓性コネクタ940の片側に対して接続することができる。楔部材942は、例えば、編組縫合糸(例えば、エチボンド縫合糸)などの比較的重いゲージの縫合糸、または織布片、を含むことができる。この段階で、補強ストリップ(図示せず)を、各弁尖904a、904bの流入エッジ部分910に対して接続することができる。補強ストリップは、例えば、流入エッジ部分910のところで引き裂かれることから弁尖材料を保護し得るものであって、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの、生体適合性を有した引裂抵抗性材料から作製することができる。いくつかの例では、様々な他の合成材料または天然材料が使用されてもよい。
【0218】
第三弁尖904(図示せず)を、第二コネクタ940を弁尖904aの下側タブ922bに対しておよび第三弁尖の対応した下側タブに対して接続することにより、さらに、第三コネクタ940を弁尖904bの下側タブ922aに対しておよび第三弁尖の他の下側タブに対して接続することにより、弁尖904a、904bに対して同様に結合することができ、これにより、それぞれ対応したコネクタ940によって互いに結合された三つの弁尖(例えば、
図26)からなる弁尖アセンブリ902を形成する。弁尖アセンブリが、追加的なコネクタ940によって互いに結合された追加的な弁尖を含み得ることは、理解されよう。
【0219】
隣接した弁尖の、隣接した軸線方向に延びた副交連エッジ部分916a、916bは、一連のマーキング944に沿ってなど、縫合糸によって互いに接続することができる。縫合糸は、例えば、隣接した副交連エッジ916a、916bを通して延びた内外ステッチまたはホイップステッチを形成することができる。
【0220】
言及したように、各弁尖904の上側タブ920a、920bは、対応した下側タブ922a、922bに対して当接するように、下向きに折り曲げることができる(例えば、
図27に示す折り曲げ線926に沿って)。例えば、
図28Aを参照すると、弁尖904aの上側タブ920aは、コネクタ940と同じ弁尖側で、弁尖904aの下側タブ922aに対して当接するように下向きに折り曲げることができる。このようにして、上側タブ920aは、下側タブ922aに対して、および、コネクタ940の、下側タブ922aと上側タブ920aとの間に位置した部分に対して、部分的にオーバーラップすることができる。同様に、弁尖904bの上側タブ920bは、弁尖904bの下側タブ922bに対して当接するように、および、コネクタ940の、下側タブ922bと上側タブ920bとの間に位置した部分に対して当接するように、下向きに折り曲げることができる。
【0221】
上側タブ920a、920bが折り曲げられた後に、各上側タブ920a、920bのタブ部分946a、946bを、垂直な折り曲げ軸線に沿って長手方向に折り曲げることにより、内側部分948と外側部分950とを有したL字形状を形成することができる(例えば、
図28B)。内側部分948は、弁尖の内面に対して接触することができ、外側部分950は、コネクタ940に対して接触することができる。外側部分950は、縫合糸952(
図28C)などによって、コネクタ940に対して縫合することができる。
【0222】
上側タブ920a、920bが下向きに折り曲げられ、さらにタブ部分946a、946bが長手方向に折り曲げられた後に、得られた弁尖アセンブリ902を、フレーム600内に位置決めすることができる。各弁尖904に関して、比較的狭い流出エッジ部分908と、メインボディ906の、それぞれ対応した縫合線928(
図27)と交連934(
図26および
図28B~
図28C)との間に位置した部分とは、伸張されることにより、それぞれ対応した交連934を交連支持部材622(
図20~
図21および
図26)に隣接して位置決めすることができる。交連934を、フレーム600の交連支持部材622に対して当接させて位置決めした時には、各交連934(二つの隣接した弁尖からの上側タブ920および下側タブ922を含む)は、上側タブ920および下側タブ922からなる各対が、傾斜配向(縫合線928が長手方向軸線972に対して傾斜している)から垂直配向(縫合線928が長手方向軸線972に対して平行である)へと枢動するよう、引っ張られて変形する。これにより、交連934の流出端938のところにおける縫合線928どうしの間の幅W2は、交連934の流入端936のところにおける縫合線928どうしの間の幅W1に対して、等しくなる、または実質的に等しくなる。本明細書でさらに説明するように、メインボディ906の、タブ920、922どうしの間における流出エッジ部分908に沿ったこれらの比較的伸張された部分は、流出エッジ908に沿った弛みを除去することができて、弁尖に対して事前張力を印加することができる。
【0223】
図28Bを参照すると、コネクタ940と、弁尖904aのタブ922a、920aと、弁尖904bのタブ922b、920bと、によって形成された弁尖交連934は、以下のようにして、フレーム600の交連支持部材622に対して結合することができる。
図28Bに示すように、コネクタ940および下側タブ922a、922bは、上側タブ920a、920bをフレームの内部に留めた状態で、交連支持部材622のストラット622a、622bによって規定されたウィンドウ624(
図19~
図20)を通して挿入することができる。その後、交連934は、タブ部分946aの外側部分950とコネクタ940の一部とが、ウィンドウ624の一方の側でフレームに対して当接するよう、かつ、タブ部分946bの外側部分950とコネクタ940の一部とが、ウィンドウ624の他方の側でフレームに対して当接するよう、楔部材942のところで内向きに(矢印954の向きに)押圧される。
【0224】
図28Cに示すように、交連934を押圧することにより、下側タブ922aおよびコネクタ940の一部も、また、上側タブ920aの外側部分950とは反対側におけるフレーム外側上でストラット622aの周囲へと折り曲げられ、下側タブ922bおよびコネクタ940の一部も、また、上側タブ920bの外側部分950とは反対側におけるフレーム600の外側上でストラット622bの周囲へと折り曲げられる。一対の縫合線956を、下側タブ922a、922bをフレームに対して当接した状態で保持するために、形成することができる。各縫合線956は、コネクタ940と、下側タブと、楔部材942と、コネクタ940の別の部分と、を通して延びている。
【0225】
各下側タブ922a、922bは、対応した上側タブ920a、920bに対して、一次縫合線958によって固定することができる。各縫合線958は、コネクタ940の一つの層と、下側タブ922a、922bと、コネクタ940の別の層と、コネクタ940の別の層と、上側タブ920a、920bの外側部分950と、を通して延びている。一次縫合線958(または、別個の縫合糸)を形成するために使用されている縫合糸材料の端部は、タブ922a、920aの隣接した外側エッジのところで、およびタブ922b、920bの隣接した外側エッジのところで、ホイップステッチ960を形成するために使用することができる。第一組のステッチ960は、タブ922a、920aを通して、および、コネクタ940の、タブ922a、920aの間における二つの層を通して、延びることができ、第二組のステッチは、タブ922b、920bを通して、および、コネクタ940の、タブ922b、920bの間における二つの層を通して、延びることができる。
【0226】
拡張期時には、および収縮期時には、弁尖904a、904bは、主に、折り曲げられた内側部分948の内側エッジ932のところで、関節運動することができる。しかしながら、人工弁が送達状態へと径方向に圧縮された時には、弁尖に対して作用する比較的大きな力により、弁尖は、長手方向軸線962まわりに広がり、より小さな圧着直径を可能とする。
【0227】
弁尖アセンブリの残りの交連934は、上述したのと同じ態様で、フレーム600のそれぞれ対応した交連ウィンドウ624に対して結合することができる。交連タブアセンブリを形成するとともに、交連アセンブリタブをフレームに対して結合するための方法に関する更なる詳細は、米国特許第9,393,110号明細書に開示されており、この文献は、参照により本明細書に援用される。弁尖904をフレーム600に対して結合するものとして説明したけれども、
図28A~
図28Cを参照して説明した技法が、本明細書で説明する任意の人工弁を組み立てるに際して使用され得ることは、理解されよう。また、
図28A~
図28Cが、弁尖アセンブリの交連をフレームに対して結合するための一つの例示的な技法を示していることにも、留意すべきである。弁尖アセンブリの交連をフレーム600に対して結合するために、米国特許第9,393,110号明細書、米国公開第2018/0325665号明細書、または2020年3月31日付けで出願された米国出願第63/003,085号明細書、に開示された任意のものなどの、他の技法、方法、および機構を使用することができ、これらの文献は、参照により本明細書に援用される。
【0228】
また、流入エッジ部分910を含めた、弁尖904の残部が、本明細書で説明する任意の態様で、フレーム600に対して結合され得ることは、理解されよう。例えば、弁尖904は、人工弁656(
図21)の弁尖660に関して説明したのと同様の態様で、フレーム600に対して結合することができる。例えば、
図26に示すように、各流入エッジ部分910は、それぞれ対応した開口部646、638を有した一つもしくは複数の選択されたストラット644および/または軸線方向延長部分626に対して、結合することができる。傾斜したエッジ部分912は、例えば、第一セル610および流入頂点612を形成しているとともに縫合糸966を介して流入頂点612と支持ポスト620との間に延びた選択されたストラット644に対して、結合することができる。その上、頂点エッジ部分914は、隣接した流入頂点612どうしの間に延び得るとともに、軸線方向延長部分626を介してフレーム600に対して固定またはアンカー止めすることができ、これにより、各弁尖は、それぞれ対応した流入頂点612の間に延びるとともに、開口部638を通して延びた縫合糸968を介して、対応した軸線方向延長部分626のところで、フレーム600に対して直接的に結合されることとなる。弁尖904の軸線方向に延びた副交連エッジ部分916は、支持ポスト620に沿って延びることができる。いくつかの例では、隣接した副交連エッジ部分916は、支持ポスト620に対して結合されている。
【0229】
弁尖904の流入エッジ部分910に対して縫合されるものは、また、織布製の接続スカート964とすることができ、この接続スカート964を使用することにより、頂点エッジ部分914、傾斜したサイドエッジ部分912、および/または、軸線方向に延びた副交連エッジ部分916を、対応する選択されたストラット644に対して、接続することができる。接続スカート964は、例えば、縫合糸970を介して、流入エッジ部分910に対して結合することができる。人工心臓弁900は、また、上記で説明したように、フレーム600の外面に対して取り付けられた外側スカート(図示せず)(例えば、外側スカート374、および外側スカート548)を含むことができる、ならびに/あるいは、一つまたは複数の弁尖904の流入エッジ部分910に対して結合することができる。
【0230】
本明細書で説明するように、弁尖904がフレーム600に取り付けられた時には、各弁尖交連934は、長手方向および軸線方向において変形することができてそれぞれ対応した支持部材622に対して結合することができる。特に、それぞれ対応する弁尖904の上側タブ920と下側タブ922とからなる各組は、ならびに対応した縫合線928は、縫合線928が弁尖904の長手方向軸線972(
図27)に対して傾斜した傾斜配向から、縫合線928が長手方向軸線972に対して平行とされた垂直配向へと、枢動される。このようにしてフレーム600に対して結合された時には、比較的狭い流出エッジ部分908と、メインボディ906の、縫合線928どうしの間の部分とは、弁尖904の他の部分(例えば、流入エッジ部分910)に対して伸張される。この相対的な伸張は、交連934の流出端938のところにおける縫合線928どうしの間の幅W2が、交連934の流入端936のところにおける縫合線928どうしの間の幅W1に対して、等しくなった際に、または実質的に等しくなった際に、発生する(
図27)。流出エッジ部分908に沿って低減した弛みのために、収縮期時には、メインボディ906の、各弁尖904のタブ920、922と流出エッジ部分908との間に位置した伸張部分は、弁尖904が緊張状態または張りつめた状態を超えてさらに径方向外向きに移動することに対して抵抗する際には、それぞれ対応する弁尖交連934とフレーム600の支持部材622との間において緊張状態となる。
【0231】
したがって、弁尖の全体にわたっての張力は、弁尖の、それぞれ対応する対をなす交連934の間で最も伸張している部分のところで、最大となり得る。すなわち、弁尖が開放状態とされた時における、弁尖904の全体にわたっての張力は、弁尖の相対的に最も狭い部分では伸張が増大することに起因して、上側タブ920および下側タブ922と縫合線928との間における幅が減少する(例えば、
図27における幅W1から幅W2へと)につれて、増大する。よって、弁尖904の全体にわたっての張力は、交連934の流入端936と交差した平面から、流出エッジ部分908の最も外側のエッジへと、漸次的に増大することができる。しかしながら、他の例では、交連934の流入端936のところで、弁尖904の全体にわたっての張力は、ほとんど存在しないまたは全く存在しないこともあり得る。むしろ、そのような例では、弁尖904の全体にわたっての張力は、弁尖に対して交差した平面でありかつ交連934の流入端936と流出端936との間に張力が形成される平面から、流出エッジ部分908までにわたって、延びることができる。
【0232】
いくつかの例では、弁尖904がフレーム600に対して結合された時には、交連934の流出端938のところにおける縫合線928どうしの間の幅W2は、交連934の流入端936のところにおける縫合線928どうしの間の幅W1に対して、等しい必要はない。例えば、いくつかの実例では、流出エッジ部分908と、メインボディ906の、縫合線928どうしの間に位置した部分とは、弁尖904の全体にわたって張力が依然として発生するよう、弁尖904の他の部分に対して伸張され得るけれども、この場合には、流出端938のところにおける縫合線928どうしの間の幅W2は、交連934の流入端936のところにおける縫合線928どうしの間の幅W1と比較して、依然として、より小さい。そのような例では、縫合線928の一つまたは複数におけるセグメントは、フレーム600の長手方向軸線に向けて、内向きに傾斜することができる。
【0233】
弁尖904の全体にわたって張力が増大することにより、弁900の実効開口面積の漸次的な減少を、ならびに、流出エッジ部分908に向けておよびフレーム600の長手方向軸線に向けてテーパー形状とされた弁尖の流出チャネルにおける実効開口面積の漸次的な減少を、もたらすことができる。具体的には、弁尖アセンブリ902の内径は、張力が弁尖904の流出エッジ部分908に向けて漸次的に増大する際には、直径を漸次的に減少させることができる。弁尖904の内径におけるこの漸次的な減少は、フレーム600が円筒形のままでありながら、フレーム600の長手方向軸線に沿ってテーパー形状をなすような、弁900のテーパー形状の流出チャネルを規定することができる。
【0234】
流出チャネルが、弁尖904の全体にわたっての張力によって形成され得ることのために、いくつかの例では、テーパー形状の流出チャネルは、弁尖の内径が交連934の流入端936から流出エッジ部分908に向けて狭くなる際に、交連934の流入端936と流出端938との間に延びることができる。よって、交連934の流入端936のところにおける弁尖アセンブリ902および流出チャネルの内径は、流出エッジ部分908のところにおける弁尖アセンブリおよび流出チャネルの内径と比較して、より大きなものとすることができる。他の例では、テーパー形状の流出チャネルは、流出エッジ部分908へと延びるような、弁尖904の全体にわたっての張力によって生成され得るけれども、張力は、交連934の流入端936と流出端938との間における、弁尖に対して交差した平面から、延びている。
【0235】
弁尖904のテーパー形状の流出チャネルは、従来的な弁尖と比較して、格別の利点を提供することができる。従来的な弁尖における問題点は、例えば、弁尖の長手方向軸線に対して平行なタブを有した弁尖などの従来的な弁尖が、全体的に円筒形の流出チャネルを形成し得ることである。例えば、弁の全体にわたっての層流が乱流へと変化した際には、円筒形の流出チャネルの出口における流れの分離によって生じる流れの乱れは、出口における弁尖のはためきを引き起こし得る。弁尖のこのはためきにより、経時的に、疲労破壊が引き起こされ得る。比較すると、張力が印加された弁尖904によるテーパー形状の流出チャネルの形成は、流出エッジ部分908のところにおける乱流を低減させることができ、これにより、弁尖のはためきを引き起こし得るような乱流を最小化することができる。
【0236】
例示のために、
図29~
図31に関連した以下の説明は、従来的な弁尖と、本明細書で説明する弁尖904と、の間における比較を提供する。例えば、
図29は、長手方向を向いたタブを有した従来的な弁尖1000を示している。弁尖1000は、メインボディ1006の両サイドに位置した一対の上側タブ1002および下側タブ1004と、流出エッジ部分1008と、を含む。弁尖904(
図27)と比較して、上側タブ1002および下側タブ1004は、弁尖1000の長手方向軸線1024に対して略平行であり、このため、タブ1002、1004間の幅W2’は、変化しないものとされている。上側タブ1002および下側タブ1004は、また、副交連エッジ部分1012からオフセットされた内側エッジ1010を有することができる。例えば、対向する副交連エッジ部分1006どうしの間の幅W1’は、下側タブ1004の、内側エッジ1010どうしの間の幅W2’よりも大きい。例示の目的で、対向する副交連エッジ部分1012どうしの間の幅W1’は、副交連エッジ部分1012がフレームに対して結合された位置を示すマーキング1014どうしの間の距離とすることができる。
【0237】
弁尖1000の上側タブ1002は、対応した下側タブ1004上へと折り曲げることができて、その下側タブ1004に対して縫合することができ、これにより、それぞれ対応する交連タブを形成することができる。上側タブ1002および下側タブ1004から形成された各交連タブは、隣接した弁尖1000のそれぞれ対応する交連タブに対して結合することができ、これにより、弁尖交連と、対応した弁尖アセンブリと、を形成することができる。上側タブ1002および下側タブ1004は、弁尖1000の長手方向軸線1024に対して平行なタブの内側エッジ1010に対して追従する線に沿って、互いに対しておよび/または隣接弁尖1000の交連タブに対して、縫合することができる。フレームに対して結合された時には、上側タブ1002および下側タブ1004から形成された弁尖交連と、隣接した弁尖1000とは、隣接した弁尖の交連タブどうしを接続するステッチが、フレームの長手方向軸線に平行であり、かつ、軸線方向に延びるようにして、長手方向の態様でフレームに対して結合される。この実例では、内側エッジ1010と副交連エッジ部分1012との間におけるオフセット配置により、副交連エッジ部分1012が弁尖交連に対して当接する位置で、段差状の移行部分が形成される。弁尖1000が、収縮期圧力によって開放される際には、弁尖の流出エッジ部分1008は、全体的に円筒形の流出チャネルを集合的に形成し、非張力状態の流出エッジ部分1008に沿った弛みは、上記で簡単に説明した乱流および弁尖のはためきを引き起こすような流れの分離を生成することができる。
【0238】
特定の例として、
図30は、
図29に示す三つの弁尖1000から構築された弁膜構造1020を含む人工弁1018における流出端1016を図示している。人工弁1018は、弁フレーム1022の中心を通して延びた長手方向軸線に沿って下向きに(すなわち、弁1018の流出端から流入端に向けて)見た図を示している。
図30に図示しているように、収縮期時に弁の全体にわたっての圧力勾配が弁尖1000を開放した時には、圧力勾配は、各流出エッジ部分1008の全体にわたっての弛みに起因して、流出エッジ部分1008を、はためかせることができる。このはためきは、弁1018の全体にわたっての血液流に、乱れを引き起こすことができる。
【0239】
弁尖1000における平行なタブ1002、1004とは異なり、弁尖904における傾斜した上側タブ920および下側タブ922は、流出エッジ部分908の全体にわたって張力を生成して、テーパー形状の流出チャネルを形成し、これにより、そのような弛みおよびはためきを回避することができる。例として、
図31は、フレーム600の長手方向軸線に沿った人工弁900の流出端部分604を示しており、弁尖904が収縮期圧力下で開放された時における、弁尖アセンブリ902の全体にわたっての張力を図示している。血液が、フレーム600の流入端602から流出端604へと流れる際には、弁尖904の流出エッジ部分908は、弁900の全体にわたっての圧力勾配に起因して、フレーム600の内面682に向けて径方向外向きに移動する。この径方向外向きの移動により、弁900の組立時に伸張された弁尖904の比較的伸張された部分の全体にわたって張力が生成され、これにより、テーパー形状の流出チャネルが形成される。よって、弁尖904の全体にわたっての張力は、流出エッジ部分908およびメインボディ906の比較的伸張された部分が完全に張力を受けた状態となった際には(例えば、流出エッジ部分に、ほとんど弛みが無い状態で)、弁尖アセンブリ902の周囲の360度にわたって延びることとなり、フレーム600の内面682に向けた更なる径方向外向き移動に対して抵抗することとなる。
【0240】
図31に図示しているように、弁尖904の流出エッジ部分908の全体にわたっての張力は、また、テーパー形状の流出チャネルが形成されて弁尖904の内径が流出エッジ部分908に向けて漸次的に減少する際には、弁尖の流出エッジ部分908を、フレーム600の内面682から径方向内向きにオフセットすることができる。例えば、弁尖904が更なる径方向外向き移動に対して抵抗して、張力を受けるようになった際には、流出エッジ部分908は、流出エッジ部分908とフレーム600の内面682との間に、径方向間隙を形成する。とりわけ、この径方向間隙は、弁尖904とフレーム600の内面682との接触を除去することによりまたは少なくとも制限することにより、弁尖904の耐久性と寿命とを改良することができ、これにより、弁尖がフレームに対して接触可能とされている時に引き起こされ得るような潜在的摩耗および損傷を、制限することができる。
【0241】
図32は、本明細書で説明する人工心臓弁1102(例えば、人工心臓弁100、300、および656)を送達するように適合された、一例による送達装置1100を図示している。人工弁1102は、送達装置1100に対して、着脱可能に結合することができる。送達装置1100を使用することにより、人工弁以外の、ステントまたは移植片などの人工デバイスを、移植し得ることは、理解されよう。
【0242】
図示した例における送達装置1100は、一般に、ハンドル1104と、ハンドル1104から遠位向きに延びた外側長尺シャフト1106と、外側シャフト1106を通して遠位向きに延びた少なくとも一つのアクチュエータアセンブリ1108と、を含む。送達装置1100は、また、外側シャフト1106を通してハンドル1104から遠位向きに延びた長尺内側シャフト1120を含むことができる。ノーズコーン1122を、内側シャフト1120の遠位端に対して接続することができる。少なくとも一つのアクチュエータアセンブリ1108は、駆動された時には、人工弁1102を径方向に拡張および/または径方向に圧潰するように構成することができる。
【0243】
例示の目的のため、図示した例では、二つのアクチュエータアセンブリ1108のみを示している。しかしながら、人工弁1102の各アクチュエータ部材に関して、一つのアクチュエータアセンブリ1108を設け得ることは、理解されよう。例えば、三つのアクチュエータを有した人工弁1102に関しては、三つのアクチュエータアセンブリ1108を設けることができる。しかしながら、他の例では、任意のより多数の、または任意のより少数の、アクチュエータアセンブリが存在することができる。
図1、
図9、
図15、
図21、および
図26、の例では、人工弁は、六つのアクチュエータ部材(例えば、アクチュエータ部材158、382)を有しており、この場合、送達装置1100は、六つのアクチュエータアセンブリ1108を有することができる。
【0244】
シャフト1106の遠位端部分1110は、例えば患者の血管系を通して人工弁を送達する時に、径方向に圧縮された送達状態で人工弁1102を収容するようなサイズおよび形状とすることができる。このようにして、遠位端部分1110は、送達時には、人工弁のための、送達シースまたはカプセルとして機能する。
【0245】
アクチュエータアセンブリ1108は、人工弁1102に対して着脱可能に結合することができる。例えば、図示した例では、各アクチュエータアセンブリ1108は、人工弁1102のそれぞれ対応したアクチュエータ部材に対して結合することができる。各アクチュエータアセンブリ1108は、支持チューブ、アクチュエータ部材、および任意選択的にロックツール、を含むことができる。駆動された時には、アクチュエータアセンブリは、上記で説明したように、人工弁を径方向に拡張および収縮するために、人工弁の一部に対して、押込力および/または引張力を伝達することができる。アクチュエータアセンブリ1108は、外側シャフト1106の一つまたは複数の内腔の内部において少なくとも部分的に径方向に配置され得るとともに、外側シャフト1106の一つまたは複数の内腔を軸線方向に貫通して延びることができる。例えば、アクチュエータアセンブリ1108は、シャフト1106の中央内腔を通して延びることができる、または、シャフト1106内に形成された別個のそれぞれ対応した内腔を通して延びることができる。
【0246】
各アクチュエータアセンブリ1108のアクチュエータ部材は、人工弁のそれぞれ対応したアクチュエータ部材(例えば、アクチュエータ部材158または382)に対して着脱可能に結合することができる。各アクチュエータアセンブリ1108の支持チューブは、流出頂点(例えば、頂点114または316)などの、人工弁のフレームの隣接部分に対して、当接することができる。このようにして、弁の拡張時には、支持チューブは、送達装置に対する人工弁の流出端の移動を阻止することができ、他方、アクチュエータアセンブリ1108のアクチュエータ部材は、人工弁のアクチュエータ部材を駆動し得るとともに、人工弁の流入端を、人工弁の流出端に向けて移動させることができる。
【0247】
送達装置1100のハンドル1104は、人工弁1102を拡張および/または展開する目的で、送達装置1100の異なる構成要素を制御するための一つまたは複数の制御機構(例えば、ノブまたは他の駆動機構)を含むことができる。例えば、図示した例では、ハンドル1104は、第一ノブ1112と、第二ノブ1114と、第三ノブ1116と、を含む。
【0248】
第一ノブ1112は、人工弁が患者内における所望の移植部位の位置へとまたはそれに隣接した位置へと前進駆動された後に人工弁を送達シース1110から展開する目的で、人工弁1102に対して、外側シャフト1106を、遠位向きにおよび/または近位向きに軸線方向移動させるように構成された回転可能なノブとすることができる。例えば、第一ノブ1112を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、シース1110を、人工弁1102に対して近位向きに退避させることができ、第一ノブ1112を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、シース1110を、遠位向きに前進させることができる。他の例では、第一ノブ1112は、ノブを引っ張るおよび/または押し込むなどのように、ノブ1112を軸線方向にスライドまたは移動させることにより、駆動することができる。さらに他の例では、第一ノブ1112の回転駆動またはスライドなどによる、第一ノブ1112の駆動は、アクチュエータアセンブリ1108の軸線方向移動を引き起こすことができ、これにより、送達シース1110に対する人工弁1102の軸線方向移動を引き起こすことができ、人工弁を、シース1110から遠位向きに前進させることができる。
【0249】
第二ノブ1114は、人工弁1102の径方向拡張および/または径方向収縮を引き起こすように構成された回転可能なノブとすることができる。例えば、第二ノブ1114を回転駆動することにより、アクチュエータアセンブリ1108のアクチュエータ部材と支持チューブとを、互いに対して軸線方向に移動させることができる。アセンブリ1108のアクチュエータ部材は、次に、人工弁のアクチュエータ部材(例えば、部材158、382)の対応した移動を引き起こす。第二ノブ1114を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、人工弁1102を径方向に拡張させることができ、第二ノブ1114を、第二の向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、人工弁1102を径方向に圧潰させることができる。他の例では、第二ノブ1114は、ノブを引っ張るおよび/または押し込むなどのように、ノブ1114を軸線方向にスライドまたは移動させることにより、駆動することができる。
【0250】
第三ノブ1116は、人工心臓弁1102を拡張状態に保持するように構成された回転可能なノブとすることができる。例えば、第三ノブ1116は、各アクチュエータアセンブリ1108のロックツールの近位端部分に対して、動作可能に接続することができる。第三ノブ1116を、第一の向き(例えば、時計まわり)に回転駆動することにより、各ロックツールを回転させることができて、ロックナットを遠位位置へと前進させることができ、これにより、人工弁のフレームが径方向に圧縮されることに対して、抵抗することができる。ノブ1116を、逆向き(例えば、反時計まわり)に回転駆動することにより、各ロックツールを逆向きに回転させることができて、各ロックツールを、人工弁1102から結合解除することができる。他の例では、第三ノブ1116は、ノブを引っ張るおよび/または押し込むなどのように、ノブ1116を軸線方向にスライドまたは移動させることにより、駆動することができる。いくつかの例では、人工弁は、セルフロック式とすることができ、その場合、ロックツールは、必要ではない。例えば、人工弁のフレームは、米国出願第63/085,947号明細書、米国出願第63/138,599号明細書、および米国出願第63/179,766号明細書に開示されているものなどのように、拡張後における人工弁の径方向圧縮に対して抵抗するために、人工弁のアクチュエータ部材に対して自動的に係合するロック機能を含むことができる。
【0251】
図示していないけれども、ハンドル1104は、各アクチュエータ部材の近位端部分に対して動作可能に接続された第四の回転可能なノブを含むことができる。第四ノブは、ノブの回転駆動時には各アクチュエータ部材を回転させるように構成することができ、これにより、各アクチュエータ部材を、それぞれ対応したアクチュエータの近位部分から、螺着解除することができる。上述したように、ロックツールおよびアクチュエータ部材は、人工弁1102から結合解除された後には、患者から取り外すことができる。
【0252】
送達技術
経大腿送達アプローチを介して人工弁を天然の大動脈弁内へと移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部分とは、大腿動脈内へと挿入され、下行大動脈内へとおよび下行大動脈を通して、大動脈弓のまわりを、ならびに上行大動脈を通して、前進駆動される。人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされて、径方向に拡張される(例えば、バルーンを膨張させることにより、送達装置の一つまたは複数のアクチュエータを駆動することにより、あるいは、送達カプセルから人工弁を展開して人工弁を自己拡張可能とすることにより)。代替的には、人工弁は、経心尖手順で天然の大動脈弁の内部に移植することができ、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部および心臓の心尖部の外科的開口を通して左心室内へと導入され、人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされる。代替的には、経大動脈手順では、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、例えば部分的なJ胸骨切開または右胸骨傍の小開胸術などによって、上行大動脈の外科的切開を通して大動脈内へと導入され、その後、上行大動脈を通して天然の大動脈弁に向けて前進駆動される。
【0253】
経中隔送達アプローチを介して人工弁を天然の僧帽弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部分とは、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へとおよび下大動脈を通して、右心房内へと、心房中隔を横断して(心房中隔内で形成された穿刺を通して)、左心房内へと、ならびに天然の僧帽弁に向けて、前進駆動される。代替的には、人工弁は、経心尖手順で天然の僧帽弁の内部へと移植することができ、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部および心臓の心尖部の外科的開口を通して左心室内へと導入され、人工弁は、天然の僧帽弁の内部に位置決めされる。
【0254】
人工弁を天然の三尖弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部分とは、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へとおよび下大静脈を通して、右心房内へと前進駆動され、人工弁は、天然の三尖弁の内部に位置決めされる。同様のアプローチを、人工弁が天然の三尖弁を通して右心室内へとおよび肺動脈弁/肺動脈に向けて前進駆動されることを除いて、人工弁を天然の肺動脈弁または肺動脈の内部に移植するために使用することができる。
【0255】
別の送達アプローチは、経心房アプローチであり、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部の切開口を通して挿入され、切開口が、天然の心臓弁のいずれかに対してアクセスするために、心房壁(右心房または左心房の心房壁)を通して形成される。心房送達は、また、例えば肺静脈からなど、血管内から行うことができる。さらに別の送達アプローチは、経心室アプローチであり、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部の切開口を通して挿入され、切開口が、人工弁を天然の三尖弁の内部にまたは天然の肺動脈弁の内部にまたは肺動脈の内部に移植するために、右心室の壁(典型的には、心臓の基部またはその近傍)を通して形成される。
【0256】
すべての送達アプローチでは、送達装置は、以前に患者の血管系内へと挿入されたガイドワイヤ上を通してまたは導入器シース上を通して、前進駆動することができる。その上、開示した送達アプローチは、限定されることを意図したものではない。本明細書で開示する任意の人工弁は、当該技術分野で知られている任意の様々な送達手順および任意の様々な送達デバイスを使用して、移植することができる。
【0257】
本明細書における任意のシステム、デバイス、装置、等は、患者に使用しても安全であることを確保するために、滅菌することができ(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素、等によって)、本明細書における任意の方法は、方法の一つのステップとして、関連したシステム、デバイス、装置、等を滅菌すること(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素、等によって)を含むことができる。
【実施例】
【0258】
開示する技術に関する追加的な例
開示する主題に関して上述した実装を考慮して、本出願は、以下に列挙する追加的な実施例を開示する。一例における個別の一つの特徴が単独で、またはその例における組合せでの二つ以上の特徴が、および任意選択的に、一つもしくは複数の更なる例における一つ以上の特徴との組合せも、また、本出願の開示内に属する更なる例であることに、留意すべきである。
【0259】
実施例1:
人工心臓弁であって、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジ部分どうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各弁尖の流入エッジ部分は、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動し得ることで弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助する可動部分でありかつ弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む、人工心臓弁。
【0260】
実施例2:
フレームは、複数の流入頂点を含み、各弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に延びた頂点エッジ部分を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1に記載の、人工心臓弁。
【0261】
実施例3:
フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、各弁尖の流入エッジ部分は、外側スカートの流入エッジに対して結合されており、これにより、各弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、外側スカートの流入エッジとは、弁尖が閉塞状態へと移行する時には、フレームに対して径方向内向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1に記載の、人工心臓弁。
【0262】
実施例4:
フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、各弁尖の頂点エッジ部分は、外側スカートの流入エッジに対して結合されており、これにより、各弁尖の頂点エッジ部分と、外側スカートの流入エッジとは、弁尖が閉塞状態へと移行する時には、フレームに対して径方向内向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例2に記載の、人工心臓弁。
【0263】
実施例5:
各弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、弁尖が開放状態にある時には、フレームの内面から第一距離の分だけ径方向に離間して配置されているとともに、弁尖が閉塞状態にある時には、フレームの内面から第二距離の分だけ径方向に離間して配置されており、第二距離は、第一距離よりも大きいものとされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~4のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0264】
実施例6:
弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、フレームによって支持されていない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~5のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0265】
実施例7:
フレームは、複数の片持ち式ストラットを含み、弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、片持ち式ストラットに対して接続されており、片持ち式ストラットは、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動するように構成されているとともに、弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~5のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0266】
実施例8:
実施例3または4と組み合わされた場合、外側スカートの流入エッジは、片持ち式ストラットに対して接続されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例7に記載の、人工心臓弁。
【0267】
実施例9:
二つの隣接した流入頂点のそれぞれは、それらの間に周方向間隙を形成しており、各弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、一つおきの周方向間隙の間に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例2に記載の、人工心臓弁。
【0268】
実施例10:
フレームは、六つの流入頂点を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例9に記載の、人工心臓弁。
【0269】
実施例11:
フレームは、六つの流出頂点を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~10のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0270】
実施例12:
複数の弁尖は、三つの弁尖を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~11のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0271】
実施例13:
フレームは、フレームの一つまたは複数の隣接した対をなす流出頂点どうしの間に配置された交連支持部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~12のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0272】
実施例14:
フレームは、フレームの各対をなす隣接した流出頂点どうしの間に配置された交連支持部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~13のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0273】
実施例15:
一つまたは複数の交連支持部材は、第一交連アームと、第二交連アームと、第一交連アームと第二交連アームとの間に位置した開口でありかつ二つの隣接した弁尖によって形成された交連を受領するように構成された開口と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例13または14に記載の、人工心臓弁。
【0274】
実施例16:
フレームは、周方向に配置された複数のセルをさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~15のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0275】
実施例17:
セルのそれぞれは、軸線方向に延びた楕円形状を形成している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例16に記載の、人工心臓弁。
【0276】
実施例18:
セルは、フレームの流出頂点および流入頂点を形成している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例16または17に記載の、人工心臓弁。
【0277】
実施例19:
各セルは、外側セルであり、各外側セルは、外側セルの外周の内部に配置された内側セルを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例16~18のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0278】
実施例20:
セルは、フレームの流入端から流出端までにわたって延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例16~19のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0279】
実施例21:
フレームは、フレームの径方向拡張を引き起こすように構成された複数のアクチュエータ部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~20のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0280】
実施例22:
フレームは、軸線方向に延びた複数の第一ポストと、軸線方向に延びた複数の第二ポストと、を含み、各アクチュエータ部材は、第一ポストの一つを通して、および第二ポストの一つを通して、延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例21に記載の、人工心臓弁。
【0281】
実施例23:
各アクチュエータ部材は、ネジ山付きロッドを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例22に記載の、人工心臓弁。
【0282】
実施例24:
各ロッドは、第一ポストおよび第二ポストが互いに向けて軸線方向に移動してフレームを径方向に拡張させるよう、回転駆動されるように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例23に記載の、人工心臓弁。
【0283】
実施例25:
第一ポストおよび第二ポストは、フレームの過度な拡張を阻止するために、フレームが径方向に拡張された時には互いに接触するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例22~24のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0284】
実施例26:
各ネジ山付きロッドは、第一ポストの一つにおける内部ネジ山に対して係合するような、および/または第二ポストの一つにおける内部ネジ山に対して係合するような、外部ネジ山を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例23または24に記載の、人工心臓弁。
【0285】
実施例27:
人工心臓弁であって、流出端部分と、流入端部分と、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線と、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間にそれぞれが配置された複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖と、を含み、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含み、流入エッジ部分は、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に延びているとともに、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された可動部分を有しており、弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、軸線方向延長部分とは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には長手方向軸線に向けて移動するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きに移動するように構成されている、人工心臓弁。
【0286】
実施例28:
二つの隣接した流入頂点のそれぞれは、それらの間に周方向間隙を形成しており、各軸線方向延長部分は、間隙の一つ内に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27に記載の、人工心臓弁。
【0287】
実施例29:
各軸線方向延長部分は、自由端部分と固定端部分とを含み、軸線方向延長部分は、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には、フレーム内へと内向きに湾曲するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27または28に記載の、人工心臓弁。
【0288】
実施例30:
各軸線方向延長部分は、それぞれ対応した対をなす隣接した流入頂点どうしの中間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~29のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0289】
実施例31:
フレームは、フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、外側スカートは、一つまたは複数の軸線方向延長部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~30のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0290】
実施例32:
外側スカートは、各弁尖の流入エッジに対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例31に記載の、人工心臓弁。
【0291】
実施例33:
外側スカートは、外側スカートに対して結合された軸線方向延長部分と一緒に、および/または外側スカートに対して結合された弁尖と一緒に、移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例31または32に記載の、人工心臓弁。
【0292】
実施例34:
各軸線方向延長部分は、フレームの軸線方向に延びた支持ポストから延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~33のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0293】
実施例35:
フレームの軸線方向に延びた支持ポストのそれぞれは、フレームの隣接した対をなす周方向に配置されたセルどうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例34に記載の、人工心臓弁。
【0294】
実施例36:
セルは、フレームの流出頂点および流入頂点を形成している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例35に記載の、人工心臓弁。
【0295】
実施例37:
セルは、軸線方向に延びた楕円形セルである、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例35または36に記載の、人工心臓弁。
【0296】
実施例38:
各セルは、フレームの流出端部分を形成している上側ストラットの列と、フレームの流入端部分を形成している下側ストラットの列と、によって形成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例35~37のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0297】
実施例39:
各弁尖の流入エッジ部分は、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された頂点エッジ部分と、フレームの流出端部分を形成している下側ストラットに対して結合された傾斜したエッジ部分と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例38に記載の、人工心臓弁。
【0298】
実施例40:
各セルは、外側セルであり、各外側セルは、外側セルの外周の内部に配置された内側セルを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例35~39のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0299】
実施例41:
外側セルの外周の内部に配置された内側セルに対して結合された外側スカートをさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例40に記載の、人工心臓弁。
【0300】
実施例42:
一つまたは複数のセルは、対をなす軸線方向に位置合わせされたポストを含み、対をなす軸線方向に位置合わせされたポストどうしは、フレームが圧縮構成とされた時にはまたは部分拡張構成とされた時には、軸線方向に離間するように構成されているとともに、フレームが完全拡張構成とされた時には、互いに接触するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例35~41のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0301】
実施例43:
各対をなす軸線方向に位置合わせされたポストは、それぞれ対応する流出頂点からセル内へと延びた第一軸線方向ポストと、それぞれ対応する流入頂点からセル内へと延びた第二軸線方向ポストと、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例42に記載の、人工心臓弁。
【0302】
実施例44:
各対をなす軸線方向に位置合わせされたポストは、フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートが、セルによって形成された開口を通して延びることを、阻止するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例42または43に記載の、人工心臓弁。
【0303】
実施例45:
各対をなす軸線方向に位置合わせされたポストを通して延びたアクチュエータ部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例42~44のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0304】
実施例46:
各アクチュエータ部材は、ポストの内部穴を通して延びるネジ山付きロッドをさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例45に記載の、人工心臓弁。
【0305】
実施例47:
各ロッドは、ポストどうしが互いに向けて軸線方向に移動してフレームを径方向に拡張させるよう、回転駆動されるように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例46に記載の、人工心臓弁。
【0306】
実施例48:
各軸線方向延長部分は、少なくとも一つの開口を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~47のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0307】
実施例49:
各弁尖の流入エッジ部分は、軸線方向延長部分の少なくとも一つの開口を通して延びた縫合糸を介して、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例48に記載の、人工心臓弁。
【0308】
実施例50:
各弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、それぞれ対応する軸線方向延長部分のところにおいてのみ、フレームに対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~41のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0309】
実施例51:
フレームは、一つもしくは複数の隣接した対をなす流出頂点どうしの間に配置された一つまたは複数の交連クラスプをさらに含み、各クラスプは、第一交連アームと、第二交連アームと、第一交連アームと第二交連アームとの間に位置した開口でありかつ二つの隣接した弁尖によって形成された交連を受領するように構成された開口と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~50のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0310】
実施例52:
第一交連アームは、第一凹所を有しており、第二交連アームは、第二凹所を有しており、第一凹所および第二凹所は、締結部材を受領するように構成されており、この場合、第一交連アームと第二交連アームと締結部材とは、内部に受領された交連の軸線方向移動を制限するものとされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例51に記載の、人工心臓弁。
【0311】
実施例53:
各締結部材は、対をなす第一交連アームおよび第二交連アームの周囲に締め付けられた縫合糸を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例52に記載の、人工心臓弁。
【0312】
実施例54:
弁尖の流入エッジ部分と、軸線方向延長部分とは、軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、隣接した流入頂点に向けて横方向に移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例27~53のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0313】
実施例55:
軸線方向延長部分の径方向幅は、軸線方向延長部分の周方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例54に記載の、人工心臓弁。
【0314】
実施例56:
軸線方向延長部分の自由端部分の径方向幅は、軸線方向延長部分がフレームの長手方向軸線に向けて移動するように構成されるよう、軸線方向延長部分の固定端部分の径方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例54または55に記載の、人工心臓弁。
【0315】
実施例57:
軸線方向延長部分の自由端部分の径方向幅は、軸線方向延長部分の固定端部分の径方向幅に等しい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例54または55に記載の、人工心臓弁。
【0316】
実施例58:
自由端部分の周方向幅は、固定端部分の周方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例56または57に記載の、人工心臓弁。
【0317】
実施例59:
人工心臓弁の送達アセンブリであって、送達アセンブリは、送達装置を含み、送達装置は、ハンドルと、ハンドルに対して結合された近位端部分を有したおよび遠位端部分を有したシャフトと、を含み、送達アセンブリは、シャフトの遠位端部分に対して結合された拡張可能な人工心臓弁をさらに含み、人工心臓弁は、径方向に拡張可能なフレームを含み、径方向に拡張可能なフレームは、流出端と、流入端と、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖が、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを有したメインボディを含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジ部分どうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各弁尖の流入エッジ部分は、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動し得ることで弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助する可動部分でありかつ弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む、人工心臓弁の送達アセンブリ。
【0318】
実施例60:
人工心臓弁のフレームは、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、複数の軸線方向延長部分と、をさらに含み、各軸線方向延長部分は、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置されているとともに、弁尖が閉塞状態へと移行する時には径方向内向きに移動するように構成されていることで、弁尖の流出エッジ部分どうしの接合を補助し、さらに、弁尖が開放状態へと移行する時には径方向外向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例59に記載の、送達アセンブリ。
【0319】
実施例61:
人工心臓弁は、フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、外側スカートの流入エッジは、弁尖の流入エッジ部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例59または60に記載の、送達アセンブリ。
【0320】
実施例62:
人工心臓弁のフレームは、一つまたは複数の隣接した対をなす流出頂点どうしの間に配置された交連支持部材でありかつ二つの隣接した弁尖によって形成された交連を保持する交連支持部材を、さらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例59~61のいずれか一つに記載の、送達アセンブリ。
【0321】
実施例63:
人工心臓弁であって、流入端と、流出端と、周方向に延びたセルの列と、セル内に第一端部を有した軸線方向に延びた複数の第一ポストと、セル内に第二端部を有した軸線方向に延びた複数の第二ポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、第一ポストのそれぞれは、フレームの長さに沿って第二ポストの一つに対して位置合わせされることで、第一ポストと第二ポストとからなる対を形成しており、フレームが径方向圧縮状態とされた時には、第一端部および第二端部は、互いに軸線方向に離間して配置されており、フレームが径方向拡張状態とされた時には、第一端部および第二端部は、フレームの過度な拡張を阻止するよう、互いに接触している、径方向に拡張可能なフレームと、フレームを径方向圧縮状態から径方向拡張状態へと径方向に拡張するように構成された複数のアクチュエータ部材と、フレームの内部に配置された複数の弁尖でありかつフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖と、を含む、人工心臓弁。
【0322】
実施例64:
各アクチュエータ部材は、第一ポストと第二ポストとからなる対を通して延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63に記載の、人工心臓弁。
【0323】
実施例65:
アクチュエータ部材は、フレームの径方向拡張を引き起こすために、第一ポストおよび第二ポストに対して回転可能とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例64に記載の、人工心臓弁。
【0324】
実施例66:
各アクチュエータ部材は、それぞれ対応した第二ポストの内部ネジ山に対して係合する外部ネジ山を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例65に記載の、人工心臓弁。
【0325】
実施例67:
アクチュエータは、第一ポストおよび第二ポストに対して、軸線方向にスライド可能とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例64に記載の、人工心臓弁。
【0326】
実施例68:
第一ポストの第一長さと、第二ポストの第二長さとは、等しい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~67のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0327】
実施例69:
第一ポストと第二ポストとからなる各対における、第一ポストと第二ポストとの一方は、第一ポストと第二ポストとの他方に関する第二長さとは異なる第一長さを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~67のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0328】
実施例70:
第一ポストは、フレームの流出端から軸線方向に延びており、第二ポストは、フレームの流入端から軸線方向に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~69のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0329】
実施例71:
各セルは、フレームの流入端から流出端へと延びた外側セルと、外側セルの内部に配置された内側セルと、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~70のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0330】
実施例72:
第一ポストの第一端部と、第二ポストの第二端部とは、内側セルの内部に位置している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例71に記載の、人工心臓弁。
【0331】
実施例73:
外側セルおよび内側セルは、軸線方向に延びた楕円形状を形成しており、外側セルおよび内側セルのそれぞれは、それぞれ対応する流入頂点と、それぞれ対応する流出頂点と、を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例71または72に記載の、人工心臓弁。
【0332】
実施例74:
第一ポストは、外側セルおよび内側セルの流出頂点どうしの間において軸線方向に延びており、第二ポストは、外側セルおよび内側セルの流入頂点どうしの間において軸線方向に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例73に記載の、人工心臓弁。
【0333】
実施例75:
フレームは、片持ち式の複数の軸線方向ストラットをさらに含み、各軸線方向ストラットは、第一ポストと第二ポストとからなる隣接した対どうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~74のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0334】
実施例76:
各軸線方向ストラットは、第一ポストと第二ポストとからなるそれぞれ対応する隣接した対どうしの中間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例75に記載の、人工心臓弁。
【0335】
実施例77:
各軸線方向ストラットは、セルの列内における、対をなす隣接したセルどうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例75または76に記載の、人工心臓弁。
【0336】
実施例78:
フレームは、フレームの流入端のところに複数の流入頂点をさらに含み、各軸線方向ストラットは、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例75~77のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0337】
実施例79:
各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを含み、流入エッジ部分は、流出エッジ部分どうしが互いに接合する閉塞状態へと弁尖が移行する時には径方向内向きに移動し得る可動部分でありかつ血液流がフレームを通して流入端から流出端へと流れることが可能とされる開放状態へと弁尖が移行する時には径方向外向きに移動し得る可動部分を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~77のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0338】
実施例80:
実施例75~78のいずれか一つと組み合わされた場合、各軸線方向ストラットは、自由端部分と固定端部分とを含み、弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、軸線方向ストラットの自由端に対して接続されており、軸線方向ストラットは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には、フレーム内へと内向きに湾曲するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例79に記載の、人工心臓弁。
【0339】
実施例81:
軸線方向ストラットの固定端部分は、フレーム内へと内向きに湾曲するよう増大した可撓性を軸線方向ストラットが有するような狭窄セクションを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例80に記載の、人工心臓弁。
【0340】
実施例82:
軸線方向ストラットは、フレームが径方向拡張状態とされた時に軸線方向ストラットの自由端部分がフレームの流入端に対して位置合わせされるような長さを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例80または81に記載の、人工心臓弁。
【0341】
実施例83:
フレームは、複数の交連支持部材をさらに含み、各支持部材は、第一ポストと第二ポストとからなる隣接した対どうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例63~82のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0342】
実施例84:
各交連支持部材は、第一ポストと第二ポストとからなるそれぞれ対応する隣接した対どうしの中間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例83に記載の、人工心臓弁。
【0343】
実施例85:
各交連支持部材は、セルの列内における対をなす隣接したセルどうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例83または84に記載の、人工心臓弁。
【0344】
実施例86:
交連支持部材は、第一交連アームと、第二交連アームと、第一交連アームと第二交連アームとの間に位置した開口でありかつ二つの隣接した弁尖によって形成された弁尖交連を受領するように構成された開口と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例83~85のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0345】
実施例87:
各交連支持部材は、交連支持部材の開口の内部に弁尖交連を固定するために、弁尖交連とフレームの流出端との間で、第一交連アームの周囲におよび第二交連アームの周囲に巻回された可撓性部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例86に記載の、人工心臓弁。
【0346】
実施例88:
第一交連アームおよび第二交連アームのそれぞれは、可撓性部材を受領する凹所を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例87に記載の、人工心臓弁。
【0347】
実施例89:
可撓性部材は、縫合糸である、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例87または88に記載の、人工心臓弁。
【0348】
実施例90:
各弁尖交連は、隣接した一方の弁尖の、第一交連アームの周囲に巻回された第一交連タブと、隣接した他方の弁尖の、第二交連アームの周囲に巻回された第二交連タブと、を含み、第一交連タブおよび第二交連タブは、フレームの内部で互いに縫合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例86~89のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0349】
実施例91:
第一交連タブの第一端部は、それぞれ対応する弁尖のボディに対して隣接しており、第二交連タブの第二端部は、それぞれ対応する弁尖のボディに対して隣接しており、弁尖交連を固定するために、一つまたは複数の縫合糸が、フレームの内部で、第一交連タブと第二交連タブと弁尖のボディとを通して縫合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例90に記載の、人工心臓弁。
【0350】
実施例92:
人工心臓弁であって、流出端部分と、流入端部分と、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分でありかつそれぞれが一対の隣接した流入頂点どうしの間に配置された複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、メインボディを含み、メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分と、軸線方向延長部分とは、軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、隣接した流入頂点に向けて横方向に移動するように構成されている、人工心臓弁。
【0351】
実施例93:
フレームは、フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、外側スカートは、一つまたは複数の軸線方向延長部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92に記載の、人工心臓弁。
【0352】
実施例94:
外側スカートは、各弁尖の流入エッジに対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例93に記載の、人工心臓弁。
【0353】
実施例95:
外側スカートは、外側スカートに対して結合された軸線方向延長部分と一緒に、および/または外側スカートに対して結合された弁尖と一緒に、横方向に移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例93または94に記載の、人工心臓弁。
【0354】
実施例96:
軸線方向延長部分の径方向幅は、軸線方向延長部分の周方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~95のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0355】
実施例97:
各軸線方向延長部分は、自由端部分と固定端部分とを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~96のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0356】
実施例98:
自由端部分の径方向幅は、固定端部分の径方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例97に記載の、人工心臓弁。
【0357】
実施例99:
自由端部分の径方向幅は、固定端部分の径方向幅に等しい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例97に記載の、人工心臓弁。
【0358】
実施例100:
自由端部分の周方向幅は、固定端部分の周方向幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例97~99のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0359】
実施例101:
自由端部分は、固定端部分に向けてテーパー形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例97~100のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0360】
実施例102:
軸線方向延長部分の自由端部分は、丸められた形状を有しているとともに、開口部を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例97~101のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0361】
実施例103:
開口部は、内部を通して縫合糸を受領するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例102に記載の、人工心臓弁。
【0362】
実施例104:
各軸線方向延長部分は、フレームの流出端部分へと向かう向きに軸線方向において圧縮されるように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~103のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0363】
実施例105:
各軸線方向延長部分は、その長さに沿って湾曲している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~104のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0364】
実施例106:
各軸線方向延長部分は、軸線方向延長部分を二等分する中央長手方向軸線に沿って、非対称である、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~105のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0365】
実施例107:
各軸線方向延長部分は、それぞれ対応する対をなす隣接した流入頂点どうしの中間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~106のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0366】
実施例108:
各軸線方向延長部分は、フレームの軸線方向に延びた支持ポストから延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~107のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0367】
実施例109:
フレームの各軸線方向延長部分は、フレームの周方向に配置されたセルからなる隣接した対どうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~108のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0368】
実施例110:
フレームは、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線をさらに含み、各弁尖の流入エッジ部分は、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された可動部分を有しており、弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、軸線方向延長部分とは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には長手方向軸線に向けて移動するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~109のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0369】
実施例111:
フレームは、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線をさらに含み、各軸線方向延長部分は、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時にはフレームの長手方向軸線に向けた径方向内向き移動に対して抵抗するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きの移動に対して抵抗するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例92~110のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0370】
実施例112:
人工心臓弁であって、流入端と、流出端と、流入端を形成するストラットからなる周方向に延びた列を形成するように配置された複数のストラットと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、一つまたは複数の選択されたストラットは、内部を通して延びた少なくとも一つの開口を有している、径方向に拡張可能なフレームと、フレームの内部に配置されているとともにフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分は、開口を通して延びた縫合糸によって、フレームの選択されたストラットに対して結合されている、人工心臓弁。
【0371】
実施例113:
選択されたストラットは、隣接した選択されたストラットからなる対として配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112に記載の、人工心臓弁。
【0372】
実施例114:
隣接した選択されたストラットからなる各対に関して、一方のストラットは、弁尖の一つに対して結合されており、他方のストラットは、隣接した弁尖に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例113に記載の、人工心臓弁。
【0373】
実施例115:
ストラットからなる列は、隣接した選択されたストラットからなる各対の間に配置された、開口を有していない隣接したストラットからなる対を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例113または114に記載の、人工心臓弁。
【0374】
実施例116:
選択されたストラットのそれぞれは、径方向に貫通して延びた開口を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~115のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0375】
実施例117:
選択されたストラットは、径方向に貫通して延びた複数の開口を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~116のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0376】
実施例118:
選択されたストラットのそれぞれは、流入セクションと、中間セクションと、流出セクションと、を含み、開口は、ストラットの中間セクションを通して径方向に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例110~117のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0377】
実施例119:
選択されたストラットの中間セクションは、丸められたエッジを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例118に記載の、人工心臓弁。
【0378】
実施例120:
選択されたストラットの中間セクションは、対をなす平行な丸められたエッジを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例118に記載の、人工心臓弁。
【0379】
実施例121:
選択されたストラットの中間セクションは、選択されたストラットの流入セクションおよび流出セクションの周方向幅と比較して、より大きな周方向幅を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例118~120のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0380】
実施例122:
選択されたストラットの流入セクションおよび流出セクションは、フレームの径方向拡張時には、選択されたストラットの中間セクションに対して湾曲するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例118~121のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0381】
実施例123:
フレームは、軸線方向に延びた複数のポストをさらに含み、ポストのそれぞれは、フレームが径方向圧縮状態とされた時には、隣接した選択されたストラットの中間セクションを受領するように構成された凹所を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例118~122のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0382】
実施例124:
各ポストの凹所は、ポストの長手方向エッジに形成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例123に記載の、人工心臓弁。
【0383】
実施例125:
縫合糸が、開口を通しておよび弁尖の流入エッジ部分を通して延びたホイップステッチを形成している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~124のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0384】
実施例126:
各弁尖の流入エッジ部分は、二つの傾斜したエッジ部分を含み、傾斜したエッジ部分のそれぞれは、選択されたストラットの開口を通して延びた縫合糸を介して、隣接した選択されたストラットに対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~125のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0385】
実施例127:
各開口は、形状が円形とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~126のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0386】
実施例128:
各開口は、形状が矩形とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~126のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0387】
実施例129:
フレームは、複数の片持ち式の軸線方向延長部分をさらに含み、各軸線方向延長部分は、対をなす隣接した選択されたストラットどうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例113~128のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0388】
実施例130:
対をなす隣接した選択されたストラットどうしの間に配置された各軸線方向延長部分は、開口を有していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例129に記載の、人工心臓弁。
【0389】
実施例131:
フレームは、複数の片持ち式の軸線方向延長部分をさらに含み、各軸線方向延長部分は、開口を有していない対をなす隣接したストラットどうしの間に配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例115~130のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0390】
実施例132:
開口を有していない対をなす隣接したストラットどうしの間に配置された各軸線方向延長部分は、径方向に貫通して延びた開口を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例131に記載の、人工心臓弁。
【0391】
実施例133:
フレームは、複数の片持ち式の軸線方向延長部分をさらに含み、各軸線方向延長部分は、ストラットからなる列の、二つの隣接したストラットの間における接合部から延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~128のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0392】
実施例134:
少なくとも一つの軸線方向延長部分は、径方向に貫通して延びた開口を有しており、少なくとも一つの軸線方向延長部分は、開口を有していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例133に記載の、人工心臓弁。
【0393】
実施例135:
各軸線方向延長部分が、自由端と、二つの隣接したストラットの間に位置したそれぞれ対応する接合部に対して結合された固定端と、を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例134に記載の、人工心臓弁。
【0394】
実施例136:
開口を有した軸線方向延長部分の自由端は、第一直径を有しており、開口を有していない軸線方向延長部分の自由端は、第二直径を有しており、第一直径は、第二直径よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例135に記載の、人工心臓弁。
【0395】
実施例137:
軸線方向延長部分の少なくとも半分は、径方向に貫通して延びた開口を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例133~136のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0396】
実施例138:
軸線方向延長部分の少なくとも半分は、開口を有していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例133~137のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0397】
実施例139:
フレームは、フレームの周縁まわりにおいて交互的に配置された、開口を有していない三つの対をなす隣接したストラットと、三つの対をなす隣接した選択されたストラットと、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~138のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0398】
実施例140:
フレームは、複数の流出頂点と、複数の流入頂点と、をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~139のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0399】
実施例141:
実施例129~138のいずれか一つと組み合わされた場合、フレームは、一つまたは複数の隣接した対をなす流出頂点どうしの間に配置された交連支持部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例140に記載の、人工心臓弁。
【0400】
実施例142:
少なくとも一つの軸線方向延長部分は、それぞれ対応する交連支持部材に対して位置合わせされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例141に記載の、人工心臓弁。
【0401】
実施例143:
少なくとも一つの軸線方向延長部分は、二つの隣接した弁尖によって形成された弁尖交連でありかつフレームに対して取り付けられた弁尖交連に対して、軸線方向に位置合わせされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例129~142のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0402】
実施例144:
各流入頂点の周方向幅は、各流出頂点の周方向幅よりも小さい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例140~143のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0403】
実施例145:
各弁尖の流入エッジ部分は、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例140~144のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0404】
実施例146:
フレームは、流入端から流出端へと延びた中央長手方向軸線をさらに含み、各弁尖の流入エッジ部分は、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には長手方向軸線に向けて移動するように構成された可動部分でありかつ血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きに移動するように構成された可動部分を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~145のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0405】
実施例147:
実施例129~138のいずれか一つと組み合わされた場合、弁尖の流入エッジ部分の可動部分は、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例146に記載の、人工心臓弁。
【0406】
実施例148:
弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、軸線方向延長部分とは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には長手方向軸線に向けて移動するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例147に記載の、人工心臓弁。
【0407】
実施例149:
弁尖の流入エッジ部分の可動部分と、軸線方向延長部分とは、軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、周方向に移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例147または148に記載の、人工心臓弁。
【0408】
実施例150:
各弁尖の流入エッジ部分は、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された頂点エッジ部分と、頂点エッジ部分とは反対側において、フレームの選択されたストラットに対して結合された二つの傾斜したエッジ部分と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例147~149のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0409】
実施例151:
フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~150のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0410】
実施例152:
実施例129~138のいずれか一つと組み合わされた場合、少なくとも一つの軸線方向延長部分は、外側スカートがフレーム内へと径方向内向きに移動することを制限するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例151に記載の、人工心臓弁。
【0411】
実施例153:
外側スカートは、縫合糸によってフレームに対して接続されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例151または152に記載の、人工心臓弁。
【0412】
実施例154:
外側スカートをフレームに対して接続している縫合糸は、選択されたストラットの開口を通して延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例153に記載の、人工心臓弁。
【0413】
実施例155:
弁尖の流入エッジ部分に対して縫合された接続スカートをさらに含み、選択されたストラットの開口を通して延びた縫合糸は、接続スカートを通して延びることにより、弁尖の流入エッジ部分を、選択されたストラットに対して結合している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例112~156のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0414】
実施例156:
選択されたストラットの開口を通して延びた縫合糸は、また、選択されたストラットの周囲に延びておりさらに接続スカートを通して延びたホイップステッチを形成している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例155に記載の、人工心臓弁。
【0415】
実施例157:
人工心臓弁であって、流出端と、流入端と、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線と、を含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連を形成しており、弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には弁尖の流出エッジに向けてテーパー形状をなす流出チャネルを規定する、人工心臓弁。
【0416】
実施例158:
弁尖の流出チャネルは、弁尖まわりの360度にわたってテーパー形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157に記載の、人工心臓弁。
【0417】
実施例159:
弁尖の流出チャネルは、交連の流入端から弁尖の流出エッジに向けてテーパー形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157または158に記載の、人工心臓弁。
【0418】
実施例160:
弁尖が開放状態とされた時には、流出エッジに対して張力が印加される、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~159のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0419】
実施例161:
弁尖が開放状態とされた時には、交連の流入端に対して交差した平面内における弁尖の全体にわたっての張力は、流出エッジの全体にわたっての張力よりも小さい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例160に記載の、人工心臓弁。
【0420】
実施例162:
弁尖が開放状態とされた時には、交連の流入端に対して交差した平面内における弁尖の全体にわたっての張力は、存在していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例160に記載の、人工心臓弁。
【0421】
実施例163:
弁尖の全体にわたっての張力は、交連の流入端に対して交差した平面から、弁尖の流出エッジに向けて、漸次的に増大している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例161または162に記載の、人工心臓弁。
【0422】
実施例164:
弁尖の流出エッジは、弁尖が開放状態とされた時には、フレームの内面から内向きにオフセットされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~163のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0423】
実施例165:
弁尖が開放状態とされた時には、弁尖の流入エッジによって形成される第一断面積は、弁尖の流出エッジによって形成される第二断面積よりも大きく、第一断面積および第二断面積は、フレームの長手方向軸線に対して垂直である、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~164のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0424】
実施例166:
弁尖によって規定される流出チャネルの断面積は、交連の流入端から流出エッジにかけて減少している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~165のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0425】
実施例167:
フレームは、拡張状態では円筒形とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~166のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0426】
実施例168:
各交連の内側エッジは、フレームの長手方向軸線に向けて、径方向内向きに傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~167のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0427】
実施例169:
各交連の内側エッジは、交連の流入端から弁尖の流出エッジへと、フレームの内面に対してゼロより大きな角度で延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例168に記載の、人工心臓弁。
【0428】
実施例170:
各弁尖に関して、弁尖の副交連部分のところにおける交連タブどうしの間における弁尖の幅は、弁尖の流出エッジのところにおける交連タブどうしの間における弁尖の幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~169のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0429】
実施例171:
各弁尖に関して、交連タブは、弁尖の流出エッジに対して傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~170のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0430】
実施例172:
弁尖交連を形成している交連タブからなる各対は、それぞれ対応する弁尖の長手方向軸線に向けて内向きに傾斜した縫合線に沿って、互いに縫合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~171のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0431】
実施例173:
各弁尖に関して、交連タブは、それぞれ対応する下側タブと、下側タブから延びたそれぞれ対応する上側タブと、を含み、各上側タブは、縫合線に沿って、対応した下側タブに対して当接するように折り曲げられているとともに、対応した下側タブに対して縫合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~172のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0432】
実施例174:
各縫合線は、弁尖の長手方向軸線に向けて内向きに傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例173に記載の、人工心臓弁。
【0433】
実施例175:
各弁尖に関して、各交連タブの縫合線は、弁尖の流出エッジに対して傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例173または174に記載の、人工心臓弁。
【0434】
実施例176:
各交連支持部分は、第一ポストと、第二ポストと、第一ポストと第二ポストとの間に位置した開口と、を含み、各弁尖交連は、隣接した交連支持部分の開口を通して延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例157~175のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0435】
実施例177:
人工心臓弁であって、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連でありかつ流入端および流出端を有した複数の交連を形成しており、弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には、弁尖の流出エッジの全体にわたって張力が印加される、人工心臓弁。
【0436】
実施例178:
弁尖の全体にわたっての張力は、流出エッジから交連の流入端にかけて、漸次的に減少している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177に記載の、人工心臓弁。
【0437】
実施例179:
流出エッジに対して張力が印加されている時には、交連の流入端のところには、張力が存在していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177または178に記載の、人工心臓弁。
【0438】
実施例180:
弁尖は、交連の流入端から、弁尖の流出エッジにかけて、張力が印加されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177または178に記載の、人工心臓弁。
【0439】
実施例181:
流出エッジのところにおける弁尖の全体にわたっての張力は、交連の流入端のところでにおける弁尖の全体にわたっての張力よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例180に記載の、人工心臓弁。
【0440】
実施例182:
流出エッジと交連の流入端との間における弁尖の全体にわたっての張力は、流出エッジのところにおける張力よりも小さく、流入端のところにおける張力よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例180または181に記載の、人工心臓弁。
【0441】
実施例183:
弁尖の流出エッジと交連の流入端との間における弁尖の全体にわたっての張力は、交連の流入端と弁尖の流入エッジとの間における弁尖の全体にわたっての張力よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例180~182のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0442】
実施例184:
弁尖の全体にわたっての張力は、弁尖が開放状態とされた時には、テーパー形状の流出チャネルを規定する、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177~183のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0443】
実施例185:
弁尖に対して張力が印加された時には、径方向間隙が、弁尖の流出エッジとフレームの内面との間に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177~184のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0444】
実施例186:
弁尖に対して張力が印加された時には、流出エッジは、フレームの内面に対して、ゼロより大きな角度とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177~185のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0445】
実施例187:
弁尖の全体にわたっての張力は、複数の弁尖まわりの360度にわたって延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177~186のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0446】
実施例188:
流出エッジのところにおける弁尖の内径は、交連の流入端のところにおける弁尖の内径よりも小さい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例177~187のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0447】
実施例189:
人工心臓弁のための弁尖であって、流入エッジと、流出エッジと、長手方向軸線と、対をなす対向する交連タブと、を含むメインボディを含み、各交連タブは、流入端および流出端を有しているとともに、メインボディの長手方向軸線に対してゼロよりも大きな角度で、メインボディの各サイドから延びている、弁尖。
【0448】
実施例190:
メインボディの、流入端のところにおける交連タブどうしの間における幅は、メインボディの、流出端のところにおける交連タブどうしの間における幅よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189に記載の、弁尖。
【0449】
実施例191:
メインボディの、交連タブどうしの間における幅は、流入端から流出端にかけて漸次的に減少している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189または190に記載の、弁尖。
【0450】
実施例192:
流出エッジの長さは、メインボディの、流出端のところにおける交連タブどうしの間における幅に等しい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例190または191に記載の、弁尖。
【0451】
実施例193:
各交連タブは、下側タブと、縫合線に沿って下側タブに対して当接するように折り曲げられているとともに下側タブに対して縫合された上側タブと、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189~192のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0452】
実施例194:
各縫合線は、メインボディの長手方向軸線に向けて内向きに傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193に記載の、弁尖。
【0453】
実施例195:
各縫合線は、それぞれ対応する交連タブに対して平行とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193または194に記載の、弁尖。
【0454】
実施例196:
各交連タブの縫合線は、交連タブの流入端から流出端へと延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193~195のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0455】
実施例197:
流入端のところにおける交連タブの縫合線どうしの間の距離は、流出端のところにおける縫合線どうしの間の距離よりも大きい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193~195のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0456】
実施例198:
流出エッジの長さは、交連タブの流入端のところにおける縫合線どうしの間の距離よりも小さい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193~197のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0457】
実施例199:
各上側タブは、それぞれ対応する交連タブの縫合線に対して垂直とされた折り曲げ線に沿って折り曲げられている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193~198のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0458】
実施例200:
各上側タブは、それぞれ対応する交連の内側エッジを形成しており、内側エッジは、交連タブの流入端から弁尖の流出エッジへと延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例193~199のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0459】
実施例201:
各交連タブは、流出エッジに対して傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189~200のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0460】
実施例202:
流入エッジは、長手方向軸線に平行とされた軸線方向に延びた副交連エッジを含み、各交連タブは、隣接した副交連エッジに対して傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189~201のいずれか一つに記載の、弁尖。
【0461】
実施例203:
各交連タブは、隣接した副交連エッジから流出エッジへと延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例202に記載の、弁尖。
【0462】
実施例204:
弁尖アセンブリであって、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例189~203のいずれか一つに記載の、複数の弁尖を含み、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、複数の弁尖交連を形成している弁尖アセンブリ。
【0463】
実施例205:
人工心臓弁を組み立てるための方法であって、弁尖アセンブリが、複数の弁尖を含み、各弁尖は、流入エッジと、流出エッジと、対をなす対向する交連タブと、を有しており、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、流入端および流出端を有した複数の弁尖交連を形成しており、フレームは、複数の交連支持部分を含む場合に、径方向に拡張可能なフレームの内部に、弁尖アセンブリを位置決めすることと、各弁尖を、それぞれ対応する交連タブどうしの間において、流出エッジに沿って伸張させることにより、各弁尖交連を、フレームの交連支持部分に対して隣接して位置決めすることと、弁尖アセンブリの弁尖が、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されている場合に、各交連を、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合することと、を含む、方法。
【0464】
実施例206:
フレームの内部に弁尖アセンブリを位置決めする前に、方法は、隣接した弁尖の対をなす交連タブどうしを、縫合線に沿って互いに縫合することにより、それぞれ対応する交連を形成することをさらに含み、各縫合線は、弁尖アセンブリおよびフレームの長手方向軸線に向けて内向きに傾斜している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例205に記載の、方法。
【0465】
実施例207:
各交連をフレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合することは、各交連を、軸線方向に延びかつフレームの長手方向軸線に対して平行に延びた交連の縫合線によって、それぞれの交連支持部分に対して結合することをさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例206に記載の、方法。
【0466】
実施例208:
各弁尖を伸張させる前に、各弁尖に関して、流出エッジの長さは、流入端のところにおけるそれぞれ対応する交連どうしの間の距離よりも小さい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例205~207のいずれか一つに記載の、方法。
【0467】
実施例209:
各弁尖を伸張させた後に、各弁尖に関して、流出エッジの長さは、流入端のところにおけるそれぞれ対応する交連どうしの間の距離に等しい、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例208に記載の、方法。
【0468】
実施例210:
各交連をそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合することは、各交連をそれぞれ対応する交連支持部分に対して縫合することを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例205~209のいずれか一つに記載の、方法。
【0469】
実施例211:
弁尖が開放状態とされた時には、流出エッジは、張力が印加されるとともに、フレームの内面から径方向にオフセットされる、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例205~210のいずれか一つに記載の、方法。
【0470】
実施例212:
弁尖は、弁尖アセンブリまわりの360度にわたって張力が印加される、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例211に記載の、方法。
【0471】
実施例213:
弁尖アセンブリの全体にわたっての張力は、弁尖の流出エッジに向けてテーパー形状とされた流出チャネルを規定する、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例211または212に記載の、方法。
【0472】
実施例214:
人工心臓弁であって、流出端部分と、複数の流入頂点を有した流入端部分と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであり、各軸線方向延長部分は、固定端と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置された自由端と、を有している、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、メインボディを含み、メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分は、軸線方向延長部分の自由端に対して固定されている、人工心臓弁。
【0473】
実施例215:
軸線方向延長部分の自由端は、共通の接合部を共有した二つ以上の外向きに延びたアームを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例214に記載の、人工心臓弁。
【0474】
実施例216:
自由端のアームは、V字形状で配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215に記載の、人工心臓弁。
【0475】
実施例217:
自由端のアームは、U字形状で配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215に記載の、人工心臓弁。
【0476】
実施例218:
自由端のアームは、X字形状で配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215に記載の、人工心臓弁。
【0477】
実施例219:
少なくとも一つのアームは、その面に沿って突起を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215~218のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0478】
実施例220:
各アームは、軸線方向延長部分の自由端に対して力が印加された時には、隣接したアームに向けて撓むように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215~219のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0479】
実施例221:
弁尖の流入エッジ部分は、弁尖のエッジ部分を通してアームの周囲に延びた縫合糸によって、軸線方向延長部分の自由端のアームに対して固定されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例215~220のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0480】
実施例222:
請求項219に従属する場合、少なくとも一つのアームの突起は、アームの面に沿った縫合糸の移動を制限するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例221に記載の、人工心臓弁。
【0481】
実施例223:
軸線方向延長部分の自由端は、内部を通して縫合糸を受領するようなサイズおよび形状とされた圧縮可能なアイレットを規定している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例214に記載の、人工心臓弁。
【0482】
実施例224:
アイレットは、U字形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例223に記載の、人工心臓弁。
【0483】
実施例225:
アイレットの一部は、不連続であるとともに、アイレットに沿って開放セグメントを規定している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例224に記載の、人工心臓弁。
【0484】
実施例226:
アイレットは、形状が楕円形とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例223に記載の、人工心臓弁。
【0485】
実施例227:
アイレットは、軸線方向延長部分の自由端に対して力が印加された時には互いに向けて移動するように構成された一対の側方部分を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例223~226のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0486】
実施例228:
軸線方向延長部分の自由端は、長手方向エッジと、長手方向エッジに沿った少なくとも一つの切欠と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例214に記載の、人工心臓弁。
【0487】
実施例229:
軸線方向延長部分の自由端は、対をなす長手方向エッジと、長手方向エッジに沿った複数の切欠と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例214に記載の、人工心臓弁。
【0488】
実施例230:
切欠は、縫合糸を受領するようなサイズおよび形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例228または229に記載の、人工心臓弁。
【0489】
実施例231:
軸線方向延長部分は、フレームの長手方向軸線に向けて径方向内向きにテーパー形状とされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例214~230のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0490】
実施例232:
軸線方向延長部分は、フレームが径方向に圧縮された際には、フレームの長手方向軸線から径方向外向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例231に記載の、人工心臓弁。
【0491】
実施例233:
人工心臓弁であって、流入端と、流出端と、軸線方向に延びた複数の第一ポストと、軸線方向に延びた複数の第二ポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる選択された対は、選択されたポストからなる第一組を形成しており、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる他の選択された対は、選択されたポストからなる第二組を形成しており、フレームは、選択されたポストからなる第一組における第二ポストに対して結合された第一組のナットと、選択されたポストからなる第二組における第二ポストに対して結合された第二組のナットと、をさらに含み、第一組のナットは、第二組のナットと比較して、少なくとも一つの寸法が相違している、径方向に拡張可能なフレームと、第一組の選択されたポストと第一組のナットとを通して延びた複数の第一アクチュエータ部材、および、第二組の選択されたポストと第二組のナットとを通して延びた複数の第二アクチュエータ部材であって、第一アクチュエータ部材は、第一の向きに回転駆動されるように構成されており、第二アクチュエータ部材は、第二の向きに回転駆動されるように構成されており、第一および第二アクチュエータ部材は、径方向圧縮状態から径方向拡張状態へとフレームを径方向に拡張させるように構成されている、複数の第一および第二アクチュエータ部材と、フレームの内部に配置された複数の弁尖でありかつフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖と、を含む、人工心臓弁。
【0492】
実施例234:
第一組の選択されたポストの各第二ポストは、第一組のナットにおけるそれぞれ対応したナットを受領するように構成されたウィンドウを含み、第二組の選択されたポストの各第二ポストは、第二組のナットにおけるそれぞれ対応したナットを受領するように構成されたウィンドウを含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233に記載の、人工心臓弁。
【0493】
実施例235:
第一組のナットは、第一軸線方向長さを有しており、第二組のナットは、第一軸線方向長さよりも短い第二軸線方向長さを有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233または234に記載の、人工心臓弁。
【0494】
実施例236:
第一組のナットは、第一幅を有しており、第二組のナットは、第一組のナットの第一幅よりも小さな第二幅を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~235のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0495】
実施例237:
第一組の選択されたポストと、第二組の選択されたポストとは、交互的なパターンで、フレームの周縁まわりに配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~236のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0496】
実施例238:
第一組のナットと、第二組のナットとは、交互的なパターンで、フレームの周縁まわりに配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~237のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0497】
実施例239:
第一組のナットおよび第二組のナットは、第一放射線不透過性材料を含み、第二ポストは、第一組のナットおよび第二組のナットの第一放射線不透過性材料とは異なる第二放射線不透過性材料を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~238のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0498】
実施例240:
少なくとも一対の第一ポストおよび第二ポストは、それぞれ対応するナットを有しておらず、内部を通して延びたアクチュエータ部材も有していない、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~239のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0499】
実施例241:
第一組のナットおよび第二組のナットに対して少なくとも一つの寸法が相違したナットからなる少なくとも一つの追加的な組をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例233~240のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0500】
実施例242:
人工心臓弁であって、流入端と、流出端と、軸線方向に延びた複数のポストと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、少なくとも一つのポストは、内部を通して延びた内部穴と、フレームの外面からポストの内部穴へと延びた開口部と、を含む、径方向に拡張可能なフレームと、フレームの内部に配置された複数の弁尖でありかつフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖と、を含む、人工心臓弁。
【0501】
実施例243:
少なくとも一つのポストは、フレームの外面からポストの内部穴へと延びた複数の開口部を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242に記載の、人工心臓弁。
【0502】
実施例244:
開口部どうしは、軸線方向に互いに離間して配置されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例243に記載の、人工心臓弁。
【0503】
実施例245:
少なくとも一つの開口部は、フレームの内面からポストの内部穴へと延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~244のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0504】
実施例246:
少なくとも一つの開口部は、フレームの外面からポストの内部穴へと延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~245のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0505】
実施例247:
一つまたは複数のポストは、フレームの内面からポストの内部穴へと延びた少なくとも一つの開口部と、フレームの外面からポストの内部穴へと延びた少なくとも一つの開口部と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~246のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0506】
実施例248:
ポストの内部穴を通して延びた複数のアクチュエータ部材をさらに含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~247のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0507】
実施例249:
軸線方向に延びた各ポストは、フレームのそれぞれ対応した流出頂点から延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~248のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0508】
実施例250:
軸線方向に延びた各ポストは、フレームのそれぞれ対応した流入頂点から延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例242~249のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0509】
実施例251:
人工心臓弁が滅菌されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例1~250のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0510】
実施例252:
人工心臓弁であって、流出端部分と、複数の流入頂点を有した流入端部分と、複数の片持ち式の軸線方向延長部分と、を含む径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであり、各軸線方向延長部分は、固定端と、対をなす隣接した流入頂点どうしの間に配置された自由端と、を有している、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、メインボディを含み、メインボディは、流出エッジ部分と、それぞれ対応する軸線方向延長部分に対して結合された流入エッジ部分と、を有している、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分は、軸線方向延長部分の自由端に対して固定されている、人工心臓弁。
【0511】
実施例253:
弁尖の流入エッジ部分と、軸線方向延長部分の自由端とは、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時には径方向内向きに移動するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には径方向外向きに移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252に記載の、人工心臓弁。
【0512】
実施例254:
弁尖の流入エッジ部分と、軸線方向延長部分の自由端とは、軸線方向延長部分に対して力が印加された時には、隣接した流入頂点に向けて横方向に移動するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252または253に記載の、人工心臓弁。
【0513】
実施例255:
フレームは、流入端部分から流出端部分へと延びた中央長手方向軸線をさらに含み、軸線方向延長部分は、血液の逆流下で弁尖が閉塞する時にはフレームの長手方向軸線に向けた径方向移動に対して抵抗するように構成されているとともに、血液の順流下で弁尖が開放する時には長手方向軸線から離間する向きへの径方向移動に対して抵抗するように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252~254のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0514】
実施例256:
フレームは、フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートをさらに含み、外側スカートは、一つまたは複数の軸線方向延長部分に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252~255のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0515】
実施例257:
軸線方向延長部分の自由端は、開口部を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252~256のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0516】
実施例258:
軸線方向延長部分の自由端は、フレームが径方向に圧縮される時には、フレームの周方向に圧縮されるように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252~257のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0517】
実施例259:
フレームは、一つまたは複数の交連クラスプをさらに含み、各クラスプは、第一凹所を有した第一交連アームと、第二凹所を有した第二交連アームと、第一交連アームと第二交連アームとの間に位置した開口でありかつ二つの隣接した弁尖によって形成された交連を受領するように構成された開口と、を含み、第一凹所および第二凹所は、締結部材を受領するように構成されており、この場合、第一交連アームと第二交連アームと締結部材とは、内部に受領された交連の軸線方向移動を制限するものとされている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例252~258のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0518】
実施例260:
人工心臓弁であって、流入端と、流出端と、流入端を形成するストラットからなる周方向に延びた列を形成するように配置された複数のストラットと、を含む径方向に拡張可能なフレームであり、一つまたは複数の選択されたストラットは、内部を通して延びた少なくとも一つの開口を有している、径方向に拡張可能なフレームと、フレームの内部に配置されているとともにフレームを通して流れる血液流を一つの向きに規制するように構成された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジ部分と流入エッジ部分とを含む、複数の弁尖と、を含み、弁尖の流入エッジ部分は、開口を通して延びた縫合糸によって、フレームの選択されたストラットに対して結合されている、人工心臓弁。
【0519】
実施例261:
選択されたストラットは、隣接した選択されたストラットからなる対として配置されており、隣接した選択されたストラットからなる対に関して、一方の選択されたストラットは、弁尖の一つに対して結合されており、他方の選択されたストラットは、隣接した弁尖に対して結合されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260に記載の、人工心臓弁。
【0520】
実施例262:
選択されたストラットのそれぞれは、径方向に貫通して延びた一つまたは複数の開口を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260または261に記載の、人工心臓弁。
【0521】
実施例263:
選択されたストラットのそれぞれは、流入セクションと、中間セクションと、流出セクションと、を含み、開口は、ストラットの中間セクションを通して径方向に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260~262のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0522】
実施例264:
選択されたストラットの中間セクションは、選択されたストラットの流入セクションおよび流出セクションの周方向幅と比較して、より大きな周方向幅を有している、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例263に記載の、人工心臓弁。
【0523】
実施例265:
フレームは、軸線方向に延びた複数のポストをさらに含み、ポストのそれぞれは、フレームが径方向圧縮状態とされた時に、隣接した選択されたストラットの中間セクションを受領するように構成された凹所を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例264に記載の、人工心臓弁。
【0524】
実施例266:
フレームの外面に対して取り付けられた外側スカートでありかつ縫合糸によってフレームに対して接続された外側スカートをさらに含み、縫合糸は、選択されたストラットの開口を通して延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260~265のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0525】
実施例267:
フレームは、軸線方向に延びた複数の第一ポストと、軸線方向に延びた複数の第二ポストと、をさらに含み、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる選択された対は、選択されたポストからなる第一組を形成しており、軸線方向に位置合わせされた第一ポストと第二ポストとからなる他の選択された対は、選択されたポストからなる第二組を形成しており、フレームは、選択されたポストからなる第一組における第二ポストに対して結合された第一組のナットと、選択されたポストからなる第二組における第二ポストに対して結合された第二組のナットと、をさらに含み、第一組のナットは、第二組のナットと比較して、少なくとも一つの寸法が相違しており、複数の第一アクチュエータ部材が、第一組の選択されたポストと第一組のナットとを通して延びており、複数の第二アクチュエータ部材が、第二組の選択されたポストと第二組のナットとを通して延びており、第一アクチュエータ部材は、第一の向きに回転駆動されるように構成されており、第二アクチュエータ部材は、第二の向きに回転駆動されるように構成されており、第一および第二アクチュエータ部材は、径方向圧縮状態から径方向拡張状態へとフレームを径方向に拡張させるように構成されている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260~266のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0526】
実施例268:
フレームは、軸線方向に延びた複数のポストをさらに含み、少なくとも一つのポストは、内部を通して延びた内部穴と、フレームの外面からポストの内部穴へと延びた開口部と、を含む、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例260~267のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0527】
実施例269:
人工心臓弁であって、流出端と流入端とを含む径方向に拡張可能なフレームと、フレーム内に配置されているとともにフレームに対して結合された複数の弁尖であり、各弁尖は、流出エッジおよび流入エッジを有したメインボディと、メインボディの両サイドに位置した二つの交連タブと、を含み、弁尖は、流入端から流出端へとフレームを通して血液が流れることを可能とする開放状態と、流出エッジどうしが互いに接合することで流出端から流入端へとフレームを通して血液が流れることを阻止する閉塞状態と、の間にわたって移行するように構成されている、複数の弁尖と、を含み、各交連タブは、隣接した弁尖の交連タブと対をなすことで、フレームのそれぞれ対応する交連支持部分に対して結合された複数の交連でありかつ流入端および流出端を有した複数の交連を形成しており、弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には、弁尖の流出エッジの全体にわたって張力が印加される、人工心臓弁。
【0528】
実施例270:
弁尖は、弁尖が開放状態とされた時には、弁尖の流出エッジに向けてテーパー形状とされた流出チャネルを規定する、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例269に記載の、人工心臓弁。
【0529】
実施例271:
弁尖に対して張力が印加された時には、径方向間隙が、弁尖の流出エッジとフレームの内面との間に延びている、本明細書の任意の実施例に記載の、特に実施例269または270に記載の、人工心臓弁。
【0530】
本開示の原理が適用され得る多くの可能な実施例を考慮すると、例示した実施例が、好ましい例に過ぎないこと、また、本開示の範囲を限定するものとして捉えられるべきではないことは、認識されよう。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。したがって、特許請求の範囲内における範囲および精神に含まれるすべてのものが、特許請求される。
【国際調査報告】