(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】溶接高温割れを抑制する溶接装置及び溶接システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/30 20060101AFI20240524BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20240524BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20240524BHJP
B23K 9/133 20060101ALI20240524BHJP
B23K 9/23 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
B23K9/30
B23K9/12 350D
B23K9/127 510C
B23K9/133 502D
B23K9/23 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575956
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2022070338
(87)【国際公開番号】W WO2022257446
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110648169.8
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520112818
【氏名又は名称】シーアールアールシー チンダオ スーファン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】ハン シァォフゥイ
(72)【発明者】
【氏名】リー シゥアィヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン ヂーイー
(72)【発明者】
【氏名】ワン パァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ ヂェンドン
(72)【発明者】
【氏名】マー グオロン
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB06
4E001CB01
4E001DA01
4E001DC01
4E001DF04
4E001DF05
4E001PA05
4E001PA08
4E001QA01
(57)【要約】
本願は、溶接高温割れを抑制する溶接装置を提供し、前記装置は、第1の固定板(10)と第2の固定板(20)とは間隔をあけて設けられており、ガス電気スリップリングは、第1の固定板の第2の固定板に向かう側に接続されており、中空軸駆動ユニット(30)は、第2の固定板の第1の固定板に向かう側に接続されており、導電リンク(40)は、中空軸駆動ユニットに接続されて、第2の固定板を貫通しており、湾曲コンタクトチップ(50)は、第2の固定板の外側で導電リンクに接続されており、複数のサポートロッド(60)は、中空軸駆動ユニットの回転軸方向の周りに均等に分布して、それぞれ第1の固定板及び第2の固定板に接続されており、中空軸駆動ユニットは導電リンクを回転駆動し、導電リンクは湾曲コンタクトチップを揺動駆動する。また、本願は前記溶接装置を有する溶接システムを提供する。当該溶接装置及び溶接システムは、アークの揺動によって液状金属の流れを促進し、溶接ビードの結晶粒組織を微細化し、不純物元素の偏析を減少させ、液状金属を溶融池領域から熱影響領域の粒界液化領域に還流させ、クラックの発生を減少させ、クラックの拡張に対する抵抗を増大させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定板、第2の固定板、ガス電気スリップリング、中空軸駆動ユニット、導電リンク、湾曲コンタクトチップ、及びサポートロッドを含み、
前記第1の固定板と前記第2の固定板とは間隔をあけて設けられており、
前記ガス電気スリップリングは、前記第1の固定板の前記第2の固定板に向かう側に接続されており、
前記中空軸駆動ユニットは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に向かう側に接続されており、
前記導電リンクは、前記中空軸駆動ユニットに接続されて、前記第2の固定板を貫通しており、
前記湾曲コンタクトチップは、前記第2の固定板の外側で前記導電リンクに接続されており、
複数の前記サポートロッドは、前記中空軸駆動ユニットの回転軸方向の周りに均等に分布して、それぞれ前記第1の固定板及び前記第2の固定板に接続されており、
ここで、前記中空軸駆動ユニットは前記導電リンクを回転駆動し、前記導電リンクは前記湾曲コンタクトチップを揺動駆動することを特徴とする溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項2】
前記ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング固定子、ガス電気スリップリング可動子、ガス電気スリップリング第1のケーブル、及びガス電気スリップリング第2のケーブルを含み、
前記ガス電気スリップリング固定子は前記第1の固定板に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第1のケーブルは前記ガス電気スリップリング固定子に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記ガス電気スリップリング可動子に接続されており、
ここで、前記湾曲コンタクトチップに電気を供給するように、前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記導電リンクに接続されていることを特徴とする
請求項1に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項3】
前記ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング第1のガスポート及びガス電気スリップリング第2のガスポートを更に含み、
前記ガス電気スリップリング第1のガスポートは、前記ガス電気スリップリング固定子の、前記ガス電気スリップリング可動子とは反対側に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第2のガスポートは、前記ガス電気スリップリング可動子の、前記ガス電気スリップリング固定子に背向する側に接続されており、
ここで、前記ガス電気スリップリング第2のガスポートはパイプラインを介して前記導電リンクに接続されており、
前記ガス電気スリップリング第1のガスポート、前記ガス電気スリップリング第2のガスポート、前記パイプライン、及び前記導電リンクは、順次連通して保護ガス通路を形成することを特徴とする
請求項2に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項4】
分流器をさらに含み、前記分流器は、前記導電リンクの前記湾曲コンタクトチップに近い側に外嵌されており、前記保護ガス通路と連通していることを特徴とする
請求項3に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項5】
導電リングをさらに含み、前記導電リングは、前記中空軸駆動ユニットの前記ガス電気スリップリング可動子に近い側に設けられ、前記導電リンクの外側に外嵌されており、
ここで、前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記導電リングに接続されており、
前記導電リングは、前記導電リンクを介して前記中空軸駆動ユニット及び前記湾曲コンタクトチップに電気を供給することを特徴とする
請求項2に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項6】
ワイヤ送給パイプをさらに含み、前記ワイヤ送給パイプは、前記ガス電気スリップリング固定子、前記ガス電気スリップリング可動子、及び前記導電リンクを順次貫通した後に、溶接ワイヤを前記湾曲コンタクトチップに供給することを特徴とする
請求項2に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項7】
リミットストッパ及び第1のセンサをさらに含み、
前記リミットストッパは、前記導電リンクの前記湾曲コンタクトチップに近い側に接続されており、
複数の前記第1のセンサは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に背向する側に設けられており、前記湾曲コンタクトチップの揺動角度を測定するために用いられることを特徴とする
請求項1に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項8】
前記サポートロッドは、第1の調整部、第2の調整部、及び調整ジョイントを含み、
前記第1の調整部は前記第1の固定板に接続されており、
前記第2の調整部は前記第2の固定板に接続されており、
前記第1の調整部と前記第2の調整部は前記調整ジョイントを介して接続されており、
ここで、前記第1の調整部及び/又は前記第2の調整部は、伸縮長さが調整可能な伸縮ロッドであり、且つ前記調整ジョイントにより、前記第1の調整部と前記第2の調整部との間の角度を調整することができることを特徴とする
請求項1から7のいずれか1項に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項9】
第2のセンサをさらに含み、複数の前記第2のセンサは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に背向する側に設けられており、
ここで、前記第2のセンサは、前記サポートロッドと一対一に対応して設けられており、前記湾曲コンタクトチップの水平高さを測定するために用いられることを特徴とする
請求項8に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の溶接高温割れを抑制する溶接装置を有することを特徴とする溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年06月10日に提出された、出願番号が202110648169.8であり、名称が「溶接高温割れを抑制する溶接装置及び溶接システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本願は、溶接の技術分野に関し、特に、溶接高温割れを抑制する溶接装置及び溶接システムに関する。
【背景技術】
【0003】
アルミニウム合金材料は、比強度が高く、塑性が良好で、耐食性がある等の利点を有し、鉄道交通、高速鉄道、航空宇宙分野における軽量担持構造として幅広く使用されており、運搬具の軽量化の分野で重要な役割を果たしている。溶接高温割れは、アルミニウム合金の溶接過程において発生しやすい溶接欠陥である。溶接溶融池における液状金属の流動性、溶接ビードの組織の状態、低融点共晶の拡散状態は、溶接高温割れの発生に顕著な影響がある。溶接冷却過程において、溶融池の尾部に位置する溶接ビード及びその熱影響領域の金属は、固液共存状態にあり、凝固した樹枝状結晶の骨格は液状金属によって囲まれている。液状金属の流動性が良好である場合、液状金属の流動により樹枝状結晶の隙間を充填し、クラックの治癒を促進する。樹枝状結晶が発達し、液状金属の流動性が弱い場合、液状金属を樹枝状結晶の間に滞留させ、塑性が悪い液体フィルムを形成し、引っ張り歪みの作用を受けると、クラックが形成されやすくなる。溶接ビードの組織が粗大になるほど、柱状結晶の方向性が顕著になり、溶接ビードに高温割れが発生する傾向が顕著になる。不純物元素は粒界で偏析し、低融点共晶を形成し、溶接高温割れが発生しやすい。従って、如何に液状金属の流動性を向上させ、溶接ビードの組織を微細化し、低融点共晶を拡散して分布させ、不純物元素の偏析を減少させて、溶接高温割れの発生を抑制することは、早急に解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来の溶接過程において、樹枝状結晶が発達し、液状金属の流動性が弱い場合、液状金属を樹枝状結晶の間に滞留させ、塑性が悪い液体フィルムを形成し、引っ張り歪みの作用を受けると、クラックが形成されやすく、且つ溶接ビードの組織が粗大になるほど、柱状結晶の方向性が顕著になり、不純物元素が粒界で偏析し、低融点共晶を形成し、溶接高温割れが発生しやすいという欠陥を解決するために、溶接高温割れを抑制する溶接装置を提供し、アークの揺動によって液状金属の流れを促進し、溶接ビードの結晶粒組織を微細化し、不純物元素の偏析を減少させ、液状金属を溶融池領域から熱影響領域の粒界液化領域に還流させ、クラックの発生を減少させ、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、それにより、アルミニウム合金の溶接高温割れの発生を抑制することを実現する。
【0005】
本願は、従来の溶接過程において、樹枝状結晶が発達し、液状金属の流動性が弱い場合、液状金属を樹枝状結晶の間に滞留させ、塑性が悪い液体フィルムを形成し、引っ張り歪みの作用を受けると、クラックが形成されやすく、且つ溶接ビードの組織が粗大になるほど、柱状結晶の方向性が顕著になり、不純物元素が粒界で偏析し、低融点共晶を形成し、溶接高温割れが発生しやすい欠陥を解決するために、溶接システムをさらに提供し、アークの揺動によってアルミニウム合金溶接の液体溶融池を攪拌し、液状金属の流動性を増やし、溶接ビードの組織を微細化し、元素の偏析を減少させ、低融点共晶を拡散的かつ断続的に分布させ、クラックの発生を減少させ、柱状結晶の結晶化方向を乱し、液体フィルムの連続性を破壊し、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、液状金属の樹枝状結晶の隙間への還流を促進し、クラックの治癒を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置によれば、第1の固定板、第2の固定板、ガス電気スリップリング、中空軸駆動ユニット、導電リンク、湾曲コンタクトチップ、及びサポートロッドを含み、
前記第1の固定板と前記第2の固定板とは間隔をあけて設けられており、
前記ガス電気スリップリングは、前記第1の固定板の前記第2の固定板に向かう側に接続されており、
前記中空軸駆動ユニットは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に向かう側に接続されており、
前記導電リンクは、前記中空軸駆動ユニットに接続されて、前記第2の固定板を貫通しており、
前記湾曲コンタクトチップは、前記第2の固定板の外側で前記導電リンクに接続されており、
複数の前記サポートロッドは、前記中空軸駆動ユニットの回転軸方向の周りに均等に分布して、それぞれ前記第1の固定板及び前記第2の固定板に接続されており、
ここで、前記中空軸駆動ユニットは前記導電リンクを回転駆動し、前記導電リンクは前記湾曲コンタクトチップを揺動駆動する。
【0007】
なお、本願は、中空軸モータが湾曲コンタクトチップを往複に揺動駆動してアークの揺動を制御することにより、アルミニウム合金の液体溶融池を攪拌し、液体溶融池の流れを促進し、樹枝状結晶先端のフラッシング役割を果たし、樹枝状結晶の先端を解砕し、再溶融させ、核生成粒子を増加させ、溶接ビードの組織を微細化し、高温割れの傾向を低下させ、不純物元素の偏析を減少させ、低融点共晶を拡散的かつ断続的に分布させ、クラックの発生を減少させ、柱状結晶の結晶化方向を乱し、液体フィルムの連続性を破壊し、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、液状金属を溶融池領域から熱影響領域の粒界液化領域に還流させて、液状金属の樹枝状結晶の隙間への充填を促進し、溶接ビード及びその熱影響領域に発生したクラックを速やかに治癒する。
【0008】
なお、本願は、ガス電気スリップリングにより、アーク揺動過程における溶接電流通路、保護ガス通路、溶接ワイヤ送給通路を提供し、アーク揺動過程において溶接ケーブル、保護ガス通路、ワイヤ送給パイプが頻繁に揺動する問題を解決し、溶接過程をより安定で信頼性の高いものにする。中空軸モータの回転数によりアークの揺動速度を制御し、光電センサによりアーク揺動の幅と側壁の滞留時間を制御し、アークの揺動速度、揺動の幅、側壁の滞留時間を定量的に制御することができる。
【0009】
本願の1つの実施形態によれば、前記ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング固定子、ガス電気スリップリング可動子、ガス電気スリップリング第1のケーブル、及びガス電気スリップリング第2のケーブルを含み、
前記ガス電気スリップリング固定子は前記第1の固定板に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第1のケーブルは前記ガス電気スリップリング固定子に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記ガス電気スリップリング可動子に接続されており、
ここで、前記湾曲コンタクトチップに電気を供給するように、前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記導電リンクに接続されている。
【0010】
具体的に、本実施形態は、ガス電気スリップリングの実施形態を提供し、ガス電気スリップリング固定子及びガス電気スリップリング可動子を設けるにより、中空軸駆動ユニットが湾曲コンタクトチップを揺動駆動する過程において、溶接電流通路のスムーズさが実現され、湾曲コンタクトチップに対する電気供給が確保されている。
【0011】
さらに、ガス電気スリップリング第1のケーブル及びガス電気スリップリング第2のケーブルを設けることにより、溶接電流通路の形成が実現され、ガス電気スリップリング第1のケーブルが溶接電源ガン出力ポートに接続され、ガス電気スリップリング第2のケーブルの一方の端部はガス電気スリップリング第1のケーブルに接続され、ガス電気スリップリング第2のケーブルの他方の端部は導電リンクに接続されることにより、導電リンクを介した湾曲コンタクトチップへの電気供給が実現された。
【0012】
なお、中空軸駆動ユニットは、中空軸モータを採用してもよい。
【0013】
本願の1つの実施形態によれば、前記ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング第1のガスポート、及びガス電気スリップリング第2のガスポートを更に含み、
前記ガス電気スリップリング第1のガスポートは、前記ガス電気スリップリング固定子の、前記ガス電気スリップリング可動子とは反対側に接続されており、
前記ガス電気スリップリング第2のガスポートは、前記ガス電気スリップリング可動子の、前記ガス電気スリップリング固定子に背向する側に接続されており、
ここで、前記ガス電気スリップリング第2のガスポートはパイプラインを介して前記導電リンクに接続されており、
前記ガス電気スリップリング第1のガスポート、前記ガス電気スリップリング第2のガスポート、前記パイプライン、及び前記導電リンクは、順次連通して保護ガス通路を形成する。
【0014】
具体的に、本実施形態は、別のガス電気スリップリングの実施形態を提供し、ガス電気スリップリング第1のガスポート及びガス電気スリップリング第2のガスポートを設けることにより、中空軸駆動ユニットが湾曲コンタクトチップを揺動駆動する過程において、保護ガス通路のスムーズさが実現され、溶接過程における保護ガスの搬送が確保されている。
【0015】
さらに、保護ガスボンベ出力インターフェースは、ガス電気スリップリング第1のガスポートと連通し、保護ガスは、保護ガスボンベ出力インターフェース、ガス電気スリップリング第1のガスポート、ガス電気スリップリング第2のガスポート、パイプライン、及び導電リンクを介して、溶融池への搬送を実現する。
【0016】
なお、導電リンクは、中空の金属ロッドである。
【0017】
1つの応用シーンにおいて、パイプラインはホースであり、パイプラインの一方の端部は、ガス電気スリップリング第2のガスポートに接続されており、パイプラインの他方の端部は、導電リンクに接続されており、パイプラインをホースとして設置することで、ガス電気スリップリング可動子と導電リンクの回転に伴うパイプラインの回転が容易になる。
【0018】
本願の1つの実施形態によれば、分流器をさらに含み、前記分流器は、前記導電リンクの前記湾曲コンタクトチップに近い側に外嵌されており、前記保護ガス通路と連通している。
【0019】
具体的に、本実施形態は、分流器の実施形態を提供し、分流器は導電リンクの湾曲コンタクトチップに近い側に設けられ、且つ分流器は導電リンクを介して保護ガス通路と連通することで、分流器による保護ガスに対する分流が実現された。
【0020】
なお、分流器には複数のガスホールが均等に分布し、導電リンクには分流器と連通する貫通孔が設けられており、さらに、保護ガス通路は、導電リンクにおける貫通孔、及び分流器におけるガスホールを介して、外部空間との連通を実現する。
【0021】
なお、本願は、分流器の具体的な構造について説明しておらず、実際の応用において、分流器の具体的な構造は、当分野での関連設計を参照することができ、分流器と導電リンクとの接続は、ネジ、係合、磁気吸引等の方式により実現することができる。
【0022】
1つの応用シーンにおいて、分流器の外側には、さらに導流溝がカバーされており、導流溝は、分流器内から流出した保護ガスを湾曲コンタクトチップ側により集中的に案内する。
【0023】
本願の1つの実施形態によれば、導電リングをさらに含み、前記導電リングは、前記中空軸駆動ユニットの前記ガス電気スリップリング可動子に近い側に設けられ、前記導電リンクの外側に外嵌されており、
ここで、前記ガス電気スリップリング第2のケーブルは前記導電リングに接続されており、
前記導電リングは、前記導電リンクを介して前記中空軸駆動ユニット及び前記湾曲コンタクトチップに電気を供給する。
【0024】
具体的に、本実施形態は、導電リングの実施形態を提供し、導電リングを設けることにより、ガス電気スリップリングにより伝達された電力を、導電リング及び導電リンクを介して、中空軸駆動ユニット及び湾曲コンタクトチップに伝達することが実現される。
【0025】
ここで、導電リングと導電リンクの電力伝送は、金属接触によって伝電することができる。
【0026】
1つの応用シーンにおいて、導電リングは導電リンクと共に回転する。
【0027】
もう1つの応用シーンにおいて、導電リングは導電リンクを介して前記湾曲コンタクトチップのみに電気を供給し、前記中空軸駆動ユニットは外部から電力を取得する。
【0028】
別の応用シーンにおいて、導電リングは導電リンクを介して前記中空軸駆動ユニット及び前記湾曲コンタクトチップに電気を供給する。
【0029】
本願の1つの実施形態によれば、ワイヤ送給パイプをさらに含み、前記ワイヤ送給パイプは、前記ガス電気スリップリング固定子、前記ガス電気スリップリング可動子、及び前記導電リンクを順次貫通した後に、溶接ワイヤを前記湾曲コンタクトチップに供給する。
【0030】
具体的に、本実施形態は、ワイヤ送給パイプの実施形態を提供し、ワイヤ送給パイプを設けることは、溶接ワイヤが通過するための通路を設けることに相当し、ワイヤ送給パイプは、ガス電気スリップリング固定子、ガス電気スリップリング可動子、及び導電リンクを順次貫通することにより、溶接ワイヤが外部から湾曲コンタクトチップに供給されることが確保される。
【0031】
1つの応用シーンにおいて、ガス電気スリップリング固定子とガス電気スリップリング可動子の中心には、ワイヤ送給パイプが貫通するための貫通孔が設けられており、導電リンクも、相対的にガス電気スリップリング固定子とガス電気スリップリング可動子の中心位置に設けられており、このような設置により、ワイヤ送給パイプが装置全体の中心を貫通し、溶接ワイヤを湾曲コンタクトチップに直接供給することが確保される。
【0032】
本願の1つの実施形態によれば、リミットストッパ及び第1のセンサをさらに含み、
前記リミットストッパは、前記導電リンクの前記湾曲コンタクトチップに近い側に接続されており、
複数の前記第1のセンサは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に背向する側に設けられており、前記湾曲コンタクトチップの揺動角度を測定するために用いられる。
【0033】
具体的に、本実施形態は、リミットストッパ及び第1のセンサの実施形態を提供し、リミットストッパは、湾曲コンタクトチップの揺動に伴って揺動することができ、第1のセンサは、少なくとも3つ設けられており、それぞれ湾曲コンタクトチップの揺動原点、揺動左限界、及び揺動右限界を測定するために用いられる。
【0034】
1つの応用シーンにおいて、リミットストッパは導電リンク又は分流器に接続されており、湾曲コンタクトチップと同期して揺動することができ、第1のセンサをトリガし、湾曲コンタクトチップの揺動位置信号を伝達するために用いられる。湾曲コンタクトチップが溶接ビードの中心、溶接ビードグルーブの左側壁、溶接ビードグルーブの右側壁を通過する場合、リミットストッパは、揺動原点の第1のセンサ、揺動左限界の第1のセンサ、及び揺動右限界の第1のセンサをそれぞれトリガする。
【0035】
本願の1つの実施形態によれば、前記サポートロッドは、第1の調整部、第2の調整部、及び調整ジョイントを含み、
前記第1の調整部は前記第1の固定板に接続されており、
前記第2の調整部は前記第2の固定板に接続されており、
前記第1の調整部と前記第2の調整部は、前記調整ジョイントを介して接続されており、
ここで、前記第1の調整部及び/又は前記第2の調整部は、伸縮長さが調整可能な伸縮ロッドであり、且つ前記調整ジョイントにより前記第1の調整部と前記第2の調整部との間の角度を調整することができる。
【0036】
具体的に、本実施形態は、サポートロッドの実施形態を提供し、第1の調整部、第2の調整部、及び調整ジョイントを設けることにより、サポートロッドの長さ及び角度に対する調整を実現し、さらに異なる角度の溶接物を溶接する場合、湾曲コンタクトチップの対応する角度の調整を実現し、第1の調整部及び/又は第2の調整部は、自体の長さを調整することができ、湾曲コンタクトチップと溶接物との間の距離の必要に応じてサポートロッドの長さを調整することができ、そして、調整ジョイントは第1の調整部と第2の調整部との間の角度の変換を実現し、溶接過程において、湾曲コンタクトチップの「上り坂」及び「下り坂」を実現し、溶接物の溶接方向に沿う角度の変化又は溶接物自体の平面度による変動、ひいては湾曲コンタクトチップの揺動効果及び溶接品質に影響を与える問題を回避する。
【0037】
1つの応用シーンにおいて、サポートロッドは4つ設けられており、各サポートロッドは、いずれも第1の調整部、第2の調整部、及び調整ジョイントを含み、第1の調整部及び第2の調整部によりサポートロッドの長さに対する調整を実現し、調整ジョイントは第1の調整部と第2の調整部との間の角度の調整を確保し、さらに、溶接過程における湾曲コンタクトチップの「上り坂」及び「下り坂」を実現する。
【0038】
本願の1つの実施形態によれば、第2のセンサをさらに含み、複数の前記第2のセンサは、前記第2の固定板の前記第1の固定板に背向する側に設けられており、
ここで、前記第2のセンサは、前記サポートロッドと一対一に対応して設けられ、前記湾曲コンタクトチップの水平高さを測定するために用いられる。
【0039】
具体的に、本実施形態は、第2のセンサの実施形態を提供し、第2のセンサを設けることにより、溶接物の表面平面度又は溶接物の角度の変更を実現し、さらにその変更に応じて、溶接高温割れを抑制する溶接装置の姿勢を計画し、各サポートロッドの伸び長さ及び角度を調整することにより、湾曲コンタクトチップの「上り坂」及び「下り坂」を満たす。
【0040】
本願の第2の態様に係る溶接システムによれば、上述したいずれかの、溶接高温割れを抑制する溶接装置を有する。
【発明の効果】
【0041】
本願における上述した1つ又は複数の技術方案は、少なくとも以下の技術効果の1つを有する。本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置及び溶接システムは、アークの揺動を採用することにより、液状金属の流れを促進し、溶接ビードの結晶粒組織を微細化し、不純物元素の偏析を減少させ、液状金属を溶融池領域から熱影響領域の粒界液化領域に還流させ、クラックの発生を減少させ、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、それにより、アルミニウム合金の溶接高温割れの発生を抑制することを実現する。
本願の付加的な側面及び利点は、一部が以下の説明で与えられ、一部が以下の説明から明らかになり、又は本発明の実施によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、本願又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本願の一部の実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいてその他の図面を取得することができる。
【
図1】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置の組立関係の模式図その1である。
【
図2】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置の組立関係の模式図その2である。
【
図3】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置の組立関係の模式図その3である。
【
図4】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置の組立関係の模式図その4である。
【
図5】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置におけるサポートロッドの構造関係の模式図その1である。
【
図6】本願に係る溶接高温割れを抑制する溶接装置におけるサポートロッドの構造関係の模式図その2である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本願の実施形態の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、本願における図面を参照しながら、本願における技術案を明確かつ完全に説明する。勿論、説明する実施形態は、全ての実施形態ではなく、本願の一部の実施形態に過ぎない。本願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をしないうちに取得する全ての他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0044】
本願の実施形態の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「トップ」、「ボトム」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の実施形態の説明の便宜や説明の簡略化のためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構成又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではないので、本願の実施形態に対する限定としては理解されることができない。また、「第1」、「第2」、「第3」のような用語は、説明するためのものに過ぎず、比較的な重要性を指示又は示唆するものとしては理解されることができない。
【0045】
本願の一部の具体的な実施態様において、
図1から
図6に示すように、本態様は、溶接高温割れを抑制する溶接装置を提供し、当該溶接高温割れを抑制する溶接装置は、第1の固定板10、第2の固定板20、ガス電気スリップリング、中空軸駆動ユニット30、導電リンク40、湾曲コンタクトチップ50、及びサポートロッド60を含み、第1の固定板10と第2の固定板20とは間隔をあけて設けられており、ガス電気スリップリングは、第1の固定板10の第2の固定板20に向かう側に接続されており、中空軸駆動ユニット30は、第2の固定板20の第1の固定板10に向かう側に接続されており、導電リンク40は、中空軸駆動ユニット30に接続されて、第2の固定板20を貫通しており、湾曲コンタクトチップ50は、第2の固定板20の外側で導電リンク40に接続されており、複数のサポートロッド60は、中空軸駆動ユニット30の回転軸方向の周りに均等に分布して、それぞれ第1の固定板10及び第2の固定板20に接続されており、ここで、中空軸駆動ユニット30は導電リンク40を回転駆動し、導電リンク40は湾曲コンタクトチップ50を揺動駆動する
【0046】
具体的には、本願は、従来の溶接過程において、樹枝状結晶が発達し、液状金属の流動性が弱い場合、液状金属を樹枝状結晶の間に滞留させ、塑性が悪い液体フィルムを形成し、引っ張り歪みの作用を受けると、クラックが形成されやすく、且つ溶接ビードの組織が粗大になるほど、柱状結晶の方向性が顕著になり、不純物元素が粒界で偏析し、低融点共晶を形成し、溶接高温割れが発生しやすいという欠陥を解決するために、溶接高温割れを抑制する溶接装置を提供し、アークの揺動によって液状金属の流れを促進し、溶接ビードの結晶粒組織を微細化し、不純物元素の偏析を減少させ、液状金属を溶融池150領域から熱影響領域の粒界液化領域に還流させ、クラックの発生を減少させ、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、それにより、アルミニウム合金の溶接高温割れの発生を抑制することを実現する。
【0047】
なお、本願は、中空軸モータが湾曲コンタクトチップ50を往複に揺動駆動してアークの揺動を制御することにより、アルミニウム合金の液体溶融池150を攪拌し、液体溶融池150の流れを促進し、樹枝状結晶先端のフラッシング役割を果たし、樹枝状結晶の先端を解砕し、再溶融させ、核生成粒子を増加させ、溶接ビードの組織を微細化し、高温割れの傾向を低下させ、不純物元素の偏析を減少させ、低融点共晶を拡散的かつ断続的に分布させ、クラックの発生を減少させ、柱状結晶の結晶化方向を乱し、液体フィルムの連続性を破壊し、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、液状金属を溶融池領域150から熱影響領域の粒界液化領域に還流させて、液状金属の樹枝状結晶の隙間への充填を促進し、溶接ビード及びその熱影響領域に発生したクラックを速やかに治癒する。
【0048】
なお、本願は、ガス電気スリップリングにより、アーク揺動過程における溶接電流通路、保護ガス通路、溶接ワイヤ送給通路を提供し、アーク揺動過程において溶接ケーブル、保護ガス通路、ワイヤ送給パイプ100が頻繁に揺動する問題を解決し、溶接過程をより安定で信頼性の高いものにする。中空軸モータの回転数によりアークの揺動速度を制御し、光電センサによりアーク揺動の幅と側壁の滞留時間を制御し、アークの揺動速度、揺動の幅、側壁の滞留時間を定量的に制御することができる。
【0049】
本願の一部の可能な実施形態において、ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング固定子70、ガス電気スリップリング可動子71、ガス電気スリップリング第1のケーブル72、及びガス電気スリップリング第2のケーブル73を含み、ガス電気スリップリング固定子70は第1の固定板10に接続されており、ガス電気スリップリング第1のケーブル72はガス電気スリップリング固定子70に接続されており、ガス電気スリップリング第2のケーブル73はガス電気スリップリング可動子71に接続されており、ここで、湾曲コンタクトチップ50に電気を供給するように、ガス電気スリップリング第2のケーブル73は導電リンク40に接続されている。
【0050】
具体的に、本実施形態は、ガス電気スリップリングの実施形態を提供し、ガス電気スリップリング固定子70及びガス電気スリップリング可動子71を設けることにより、中空軸駆動ユニット30が湾曲コンタクトチップ50を揺動駆動する過程において、溶接電流通路のスムーズさが実現され、湾曲コンタクトチップ50に対する電気供給が確保されている。
【0051】
さらに、ガス電気スリップリング第1のケーブル72及びガス電気スリップリング第2のケーブル73を設けることにより、溶接電流通路の形成が実現され、ガス電気スリップリング第1のケーブル72が溶接電源ガン出力ポートに接続され、ガス電気スリップリング第2のケーブル73の一方の端部はガス電気スリップリング第1のケーブル72に接続され、ガス電気スリップリング第2のケーブル73の他方の端部は導電リンク40に接続されることにより、導電リンク40を介した湾曲コンタクトチップ50への電気供給が実現される。
【0052】
なお、中空軸駆動ユニット30は、中空軸モータを採用してもよい。
【0053】
本願の一部の可能な実施形態において、ガス電気スリップリングは、ガス電気スリップリング第1のガスポート74、及びガス電気スリップリング第2のガスポート75を更に含み、ガス電気スリップリング第1のガスポート74は、ガス電気スリップリング固定子70の、ガス電気スリップリング可動子71とは反対側に接続されており、ガス電気スリップリング第2のガスポート75は、ガス電気スリップリング可動子71の、ガス電気スリップリング固定子70に背向する側に接続されており、ここで、ガス電気スリップリング第2のガスポート75はパイプラインを介して導電リンク40に接続されており、ガス電気スリップリング第1のガスポート74、ガス電気スリップリング第2のガスポート75、パイプライン、及び導電リンク40は、順次連通して保護ガス通路を形成する。
【0054】
具体的に、本実施形態は、別のガス電気スリップリングの実施形態を提供し、ガス電気スリップリング第1のガスポート74及びガス電気スリップリング第2のガスポート75を設けることにより、中空軸駆動ユニット30が湾曲コンタクトチップ50を揺動駆動する過程において、保護ガス通路のスムーズさが実現され、溶接過程における保護ガスの搬送が確保されている。
【0055】
さらに、保護ガスボンベ出力インターフェースは、ガス電気スリップリング第1のガスポート74と連通し、保護ガスは、保護ガスボンベ出力インターフェース、ガス電気スリップリング第1のガスポート74、ガス電気スリップリング第2のガスポート75、パイプライン、及び導電リンク40を介して、溶融池150への搬送を実現する。
【0056】
なお、導電リンク40は、中空の金属ロッドである。
【0057】
1つの応用シーンにおいて、パイプラインはホースであり、パイプラインの一方の端部は、ガス電気スリップリング第2のガスポート75に接続されており、パイプラインの他方の端部は、導電リンク40に接続されており、パイプラインをホースとして設置することで、ガス電気スリップリング可動子71と導電リンク40の回転に伴うパイプラインの回転が容易になる。
【0058】
本願の一部の可能な実施形態において、分流器80をさらに含み、分流器80は、導電リンク40の湾曲コンタクトチップ50に近い側に外嵌されており、保護ガス通路と連通している。
【0059】
具体的に、本実施形態は、分流器80の実施形態を提供し、分流器80は導電リンク40の湾曲コンタクトチップ50に近い側に設けられ、且つ分流器80は導電リンク40を介して保護ガス通路と連通することで、分流器80による保護ガスに対する分流が実現される。
【0060】
なお、分流器80には複数のガスホールが均等に分布し、導電リンク40には分流器80と連通する貫通孔が設けられており、さらに、保護ガス通路は、導電リンク40における貫通孔、及び分流器80におけるガスホールを介して、外部空間との連通を実現する。
【0061】
なお、本願は、分流器80の具体的な構造について説明しておらず、実際の応用において、分流器80の具体的な構造は、当分野での関連設計を参照することができ、分流器80と導電リンク40との接続は、ネジ、係合、磁気吸引等の方式により実現することができる。
【0062】
1つの応用シーンにおいて、分流器80の外側には、さらに導流溝81がカバーされており、導流溝81は、分流器80内から流出した保護ガスを湾曲コンタクトチップ50側により集中的に案内する。
【0063】
本願の一部の可能な実施形態において、導電リング90をさらに含み、導電リング90は、中空軸駆動ユニット30のガス電気スリップリング可動子71に近い側に設けられ、導電リンク40の外側に外嵌されており、ここで、ガス電気スリップリング第2のケーブル73は導電リング90に接続されており、導電リング90は、導電リンク40を介して中空軸駆動ユニット30及び湾曲コンタクトチップ50に電気を供給する。
【0064】
具体的に、本実施形態は、導電リング90の実施形態を提供し、導電リング90を設けることにより、ガス電気スリップリングにより伝達された電力を、導電リング90及び導電リンク40を介して、中空軸駆動ユニット30及び湾曲コンタクトチップ50に伝達することが実現される。
【0065】
ここで、導電リング90と導電リンク40の電力伝送は、金属接触によって伝電することができる。
【0066】
1つの応用シーンにおいて、導電リング90は導電リンク40と共に回転する。
【0067】
もう1つの応用シーンにおいて、導電リング90は導電リンク40を介して湾曲コンタクトチップ50のみに電気を供給し、中空軸駆動ユニット30は外部から電力を取得する。
【0068】
別の応用シーンにおいて、導電リング90は導電リンク40を介して中空軸駆動ユニット30及び湾曲コンタクトチップ50に電気を供給する。
【0069】
本願の一部の可能な実施形態において、ワイヤ送給パイプ100をさらに含み、ワイヤ送給パイプ100は、ガス電気スリップリング固定子70、ガス電気スリップリング可動子71、及び導電リンク40を順次貫通した後に、溶接ワイヤを湾曲コンタクトチップ50に供給する。
【0070】
具体的に、本実施形態は、ワイヤ送給パイプ100の実施形態を提供し、ワイヤ送給パイプ100を設けることは、溶接ワイヤが通過するための通路を設けることに相当し、ワイヤ送給パイプ100は、ガス電気スリップリング固定子70、ガス電気スリップリング可動子71、及び導電リンク40を順次貫通することにより、溶接ワイヤが外部から湾曲コンタクトチップ50に供給されることが確保される。
【0071】
1つの応用シーンにおいて、ガス電気スリップリング固定子70とガス電気スリップリング可動子71の中心には、ワイヤ送給パイプ100が貫通するための貫通孔が設けられており、導電リンク40も、相対的にガス電気スリップリング固定子70とガス電気スリップリング可動子71の中心位置に設けられており、このような設置により、ワイヤ送給パイプ100が装置全体の中心を貫通し、溶接ワイヤを湾曲コンタクトチップ50に直接供給することが確保される。
【0072】
本願の一部の可能な実施形態において、リミットストッパ110及び第1のセンサ120をさらに含み、リミットストッパ110は、導電リンク40の湾曲コンタクトチップ50に近い側に接続されており、複数の第1のセンサ120は、第2の固定板20の第1の固定板10に背向する側に設けられており、湾曲コンタクトチップ50の揺動角度を測定するために用いられる。
【0073】
具体的に、本実施形態は、リミットストッパ110及び第1のセンサ120の実施形態を提供し、リミットストッパ110は、湾曲コンタクトチップ50の揺動に伴って揺動することができ、第1のセンサ120は、少なくとも3つ設けられており、それぞれ湾曲コンタクトチップ50の揺動原点、揺動左限界及び揺動右限界を測定するために用いられる。
【0074】
1つの応用シーンにおいて、リミットストッパ110は導電リンク40又は分流器80に接続されており、湾曲コンタクトチップ50と同期して揺動することができ、第1のセンサ120をトリガし、湾曲コンタクトチップ50の揺動位置信号を伝達するために用いられる。湾曲コンタクトチップ50が溶接ビードの中心、溶接ビードグルーブの左側壁、溶接ビードグルーブの右側壁を通過する場合、リミットストッパ110は、揺動原点の第1のセンサ120、揺動左限界の第1のセンサ120、及び揺動右限界の第1のセンサ120をそれぞれトリガする。
【0075】
本願の一部の可能な実施形態において、サポートロッド60は、第1の調整部61、第2の調整部62、及び調整ジョイント63を含み、第1の調整部61は第1の固定板10に接続されており、第2の調整部62は第2の固定板20に接続されており、第1の調整部61と第2の調整部62は、調整ジョイント63を介して接続されており、ここで、第1の調整部61及び/又は第2の調整部62は、伸縮長さが調整可能な伸縮ロッドであり、且つ調整ジョイント63により第1の調整部61と第2の調整部62との間の角度を調整することができる。
【0076】
具体的に、本実施形態は、サポートロッド60の実施形態を提供し、第1の調整部61、第2の調整部62、及び調整ジョイント63を設けることにより、サポートロッド60の長さ及び角度に対する調整を実現し、さらに異なる角度の溶接物140を溶接する場合、湾曲コンタクトチップ50の対応する角度の調整を実現し、第1の調整部61及び/又は第2の調整部62は、自体の長さを調整することができ、湾曲コンタクトチップ50と溶接物140との間の距離の必要に応じてサポートロッド60の長さを調整することができ、そして、調整ジョイント63は第1の調整部61と第2の調整部62との間の角度の変換を実現し、溶接過程において、湾曲コンタクトチップ50の「上り坂」及び「下り坂」を実現し、溶接物140の溶接方向に沿う角度の変化又は溶接物140自体の平面度による変動、ひいては湾曲コンタクトチップ50の揺動効果及び溶接品質に影響を与える問題を回避する。
【0077】
1つの応用シーンにおいて、サポートロッド60は4つ設けられており、各サポートロッド60は、いずれも第1の調整部61、第2の調整部62、及び調整ジョイント63を含み、第1の調整部61及び第2の調整部62によりサポートロッド60の長さに対する調整を実現し、調整ジョイント63は第1の調整部61と第2の調整部62との間の角度の調整を確保し、さらに、溶接過程における湾曲コンタクトチップ50の「上り坂」及び「下り坂」を実現する。
【0078】
本願の一部の可能な実施形態において、第2のセンサ130をさらに含み、複数の第2のセンサ130は、第2の固定板20の第1の固定板10に背向する側に設けられており、ここで、第2のセンサ130は、サポートロッド60と一対一に対応して設けられ、湾曲コンタクトチップ50の水平高さを測定するために用いられる。
【0079】
具体的に、本実施形態は、第2のセンサ130の実施形態を提供し、第2のセンサ130を設けることにより、溶接物140の表面平面度又は溶接物140の角度の変更を実現し、さらにその変更に応じて、溶接高温割れを抑制する溶接装置の姿勢を計画し、各サポートロッド60の伸び長さ及び角度を調整することにより、湾曲コンタクトチップ50の「上り坂」及び「下り坂」を満たす。
【0080】
本願の一部の具体的な実施態様において、本態様は、溶接システムを提供し、当該溶接システムは、上述したいずれかの、溶接高温割れを抑制する溶接装置を有する。
【0081】
具体的には、本願は、従来の溶接過程において、樹枝状結晶が発達し、液状金属の流動性が弱い場合、液状金属を樹枝状結晶の間に滞留させ、塑性が悪い液体フィルムを形成し、引っ張り歪みの作用を受けると、クラックが形成されやすく、且つ溶接ビードの組織が粗大になるほど、柱状結晶の方向性が顕著になり、不純物元素が粒界で偏析し、低融点共晶を形成し、溶接高温割れが発生しやすい欠陥を解決するために、溶接システムをさらに提供し、アークの揺動によってアルミニウム合金溶接の液体溶融池150を攪拌し、液状金属の流動性を増やし、溶接ビードの結晶粒組織を微細化し、元素の偏析を減少させ、低融点共晶を拡散的かつ断続的に分布させ、クラックの発生を減少させ、柱状結晶の結晶化方向を乱し、液体フィルムの連続性を破壊し、クラックの拡張に対する抵抗を増大させ、液状金属の樹枝状結晶の隙間への還流を促進し、クラックの治癒を促進する。
【0082】
本願の実施形態の説明において、明確な規定又は限定がない限り、「連結」、「接続」のような用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、又は一体的な接続でも可能である。機械的接続や、電気的接続でも可能であり、直接的に互いに接続することや、中間媒体を介して間接的に互いに接続することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願の実施形態における具体的な意味を理解することができる。
【0083】
本明細書の説明において、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」等の用語を参照した説明は、当該実施形態又は例を参照しながら説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本願の実施形態の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語の模式的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は例に向けられているわけではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例においては適切な形式で組み合わせることができる。さらに、当業者であれば、本明細書に説明された異なる実施形態または例と、異なる実施形態または例の特徴とを、互いに矛盾することなく結合及び組み合わせることができる。
【0084】
最後に説明すべきなのは、上記の実施形態は、本願を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではないことである。実施形態を参照して本願を詳細に説明したが、当業者にとって、本願の技術案に対して組み合わせ、修正、または等価的に置き換えを行うことは、いずれも本願の技術案の精神及び範囲から逸脱せず、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0085】
10:第1の固定板、
20:第2の固定板、
30:中空軸駆動ユニット、
40:導電リンク、
50:湾曲コンタクトチップ、
60:サポートロッド、
61:第1の調整部、
62:第2の調整部、
63:調整ジョイント、
70:ガス電気スリップリング固定子、
71:ガス電気スリップリング可動子、
72:ガス電気スリップリング第1のケーブル、
73:ガス電気スリップリング第2のケーブル、
74:ガス電気スリップリング第1のガスポート、
75:ガス電気スリップリング第2のガスポート、
80:分流器、
81:導流溝、
90:導電リング、
100:ワイヤ送給パイプ、
110:リミットストッパ、
120:第1のセンサ、
130:第2のセンサ、
140:溶接物、
150:溶融池。
【国際調査報告】