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特表2024-521440末梢神経様の微細組織の製造方法及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】末梢神経様の微細組織の製造方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/079 20100101AFI20240524BHJP
   A61K 35/30 20150101ALI20240524BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C12N5/079
A61K35/30
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575974
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2022007991
(87)【国際公開番号】W WO2022260389
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075824
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523435831
【氏名又は名称】イノステム バイオ
【氏名又は名称原語表記】INNOSTEM BIO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヨンイル
(72)【発明者】
【氏名】イ ウォンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヨム チュンウン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB45
4C087BB64
4C087NA14
4C087ZA01
(57)【要約】
本発明は、末梢神経様の微細組織の製造方法及びその用途に関するものであって、末梢神経に由来した成体幹細胞(PNSC)を分離培養し、該分離培養したPNSC細胞を浮遊培養を通じて細胞-細胞間、そして、細胞-細胞外基質間結合を形成して100~500余個の細胞で構成された直径100±20μmサイズの末梢神経様の微細組織の製造方法に係わるものである。浮遊培養環境で培養して製造される微細組織は、100~500余りの細胞がβ-cateninによって細胞-細胞間結合を通じて細胞が凝集され、細胞-細胞間の間内PNSCから生成されて分泌される細胞外基質(ECM)が蓄積され、該蓄積されたECMと細胞との間にβ1-integrinによって結合される構造的特性を有する。これは、損傷後、再生される末梢神経構成と構成細胞と類似する。機能的に末梢神経様の微細組織で神経再生に中枢的に作用する神経活性因子を分泌して神経組織再生を誘導することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)末梢神経由来の幹細胞(PNSCs)を単層培養する段階と、
2)前記単層培養されたPNSCsを回収して、ヒト血清アルブミン(HSA)、デキサメタゾン(DEX)及びN-アセチルシステイン(NAC)が含まれた培養液で浮遊培養させる段階と、
を含む、末梢神経様の微細組織の製造方法。
【請求項2】
前記浮遊培養させる段階では、培養容器cm面積当たり0.25~2.5×10PNSCsを播種することを特徴とする請求項1に記載の末梢神経様の微細組織の製造方法。
【請求項3】
前記培養液は、0.01~1% HSA、0.1~5μM DEX及び0.1~10mM NACを含むことを特徴とする請求項1に記載の末梢神経様の微細組織の製造方法。
【請求項4】
前記浮遊培養は、前記PNSCsの細胞-細胞間結合を誘導することを特徴とする請求項1に記載の末梢神経様の微細組織の製造方法。
【請求項5】
前記末梢神経様の微細組織は、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の末梢神経様の微細組織の製造方法。
【請求項6】
HSA、DEX及びNACが含まれた培養液で浮遊培養された、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであり、PNSCsの細胞-細胞間結合及びPNSCs-細胞外基質(ECM)間結合からなる、末梢神経様の微細組織。
【請求項7】
前記末梢神経様の微細組織は、PNSCsから生成分泌して細胞間質内コラーゲンタイプ-VI及びラミニンが蓄積され、CD29によって細胞-細胞外基質間結合され、β-カテニンによって細胞-細胞間結合される構造であることを特徴とする請求項6に記載の末梢神経様の微細組織。
【請求項8】
前記末梢神経様の微細組織は、末梢神経由来の成体幹細胞、シュワン前駆細胞、修復型シュワン細胞、ミエリンシュワン細胞及び間葉系の間質細胞からなることを特徴とする請求項6に記載の末梢神経様の微細組織。
【請求項9】
前記末梢神経様の微細組織は、GFAP-/S100β-/Sox10+未分化神経冠細胞、GFAP+/S100β+/Myelin+ミエリン陽性シュワン細胞、GFAP+/GAP43+/Myelin-ミエリン陰性シュワン前駆細胞及びGFAP-/CD140a+間質細胞からなることを特徴とする請求項8に記載の末梢神経様の微細組織。
【請求項10】
前記末梢神経様の微細組織は、Wnt/β-カテニン信号伝達経路が活性化されたことを特徴とする請求項6に記載の末梢神経様の微細組織。
【請求項11】
前記末梢神経様の微細組織は、BDNF、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA4、EFNA5、EFNB1、EFNB2、EFNB3、CTNF、GDNF、LIF、NGFB、NTF3、NTF5、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、及びZFP91からなる群から選択された何れか1つ以上の神経活性因子;EGF、FGF1、FGF2、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF18、FGF19、FGF20、FGF23、IGF1、及びGAS6からなる群から選択された何れか1つ以上の成長因子;CLC、CTF1、CSF1、CSF2、CSF3、GH1、GH2、FLT3LG、IDO1、IL2、IL3、IL5、IL7、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL15、IL20、IL21、IL22、IL23A、IL24、IL26、IL28A、IL29、IFNA1、IFNB1、IFNW1、IFNK、IFNE1、IFNG、KITLG、LEP、PRL、TGFB、TPO、及びTSLPからなる群から選択された何れか1つ以上の免疫反応調節因子;またはANGPT1、ANGPT2、ANGPT4、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA4、EFNA5、EFNB3、EPO、PDGFC、PDGFD、VEGFA、VEGFB、及びVEGFCからなる群から選択された何れか1つ以上の新生血管誘導因子の発現が増加したことを特徴とする請求項6に記載の末梢神経様の微細組織。
【請求項12】
請求項6から請求項11のうち何れか一項に記載の末梢神経様の微細組織を有効成分として含む、神経損傷疾患治療用薬学組成物。
【請求項13】
前記薬学組成物は、神経組織の再生を促進することを特徴とする請求項12に記載の神経損傷疾患治療用薬学組成物。
【請求項14】
請求項6から請求項11のうち何れか一項に記載の末梢神経様の微細組織を有効成分として含む、神経炎症疾患治療用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末梢神経様の微細組織(peripheral nerve-mimicking microtissue)の製造方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
神経組織は、損傷後、非可逆的であり、永久的な運動、感覚、自律神経機能が消失される合併症を誘発する。その結果、神経損傷は、社会的、経済的、医療的に深刻な問題を招く。代表的神経損傷疾患の1つである脊髄損傷の場合、米国で約20万人の患者が存在し、毎年10,000人前後に新規患者が発生すると発表された。重症度によって患者当たり数十億ウォンの治療費が必要となり、年2億ウォンレベルの費用が発生するものであって、経済的、社会的未充足需要が高い代表的な難治性疾患である。大韓民国の場合、約7万人の永久的脊髄損傷患者がいると調査された。
【0003】
神経損傷は、一次損傷と二次損傷とに分類され、一次損傷は、外傷による物理的圧迫による神経組織及び血管の損傷で発生する。一次損傷後、続発する炎症反応、遊離酸素、自由ラジカル、虚血及び低酸素症、浮腫、細胞死などによって二次的損傷が続発する。損傷後、1日内高容量副腎皮質ホルモン(corticosteroids)の投与、外科的処置を通じた神経組織を圧迫する損傷した組織、血腫、そして、骨の除去、脊椎固定術などが唯一の治療法である。現在、一次損傷後、続発する二次損傷を予防し、緩和して損傷した神経を再生することができる治療剤はない実情である。
【0004】
幹細胞治療剤は、神経損傷のような通常の治療剤で治療することができない難治性疾患に適用することができるバイオ医薬品である。幹細胞治療剤は、神経損傷後、続発する二次損傷を緩和し、抑制する機転と効果とが提示され、抗炎症、免疫反応調節、抗ラジカル、細胞保護、新生血管誘導、神経活性分泌を通じた間接的作用機転と直接神経細胞(neuron cell)ないし希突起膠細胞(oligodendrocyte)に分化して神経軸索(axon)とミエリンとの成長と生成とを促進する直接的作用機転を通じて神経損傷後、再生効果を媒介すると明らかになった。
【0005】
神経再生用幹細胞治療剤は、移植された細胞から神経活性因子を分泌して再生を向上する機転が提示された。神経再生に主要に作用する神経活性因子(neurotrophic factors、NFs)は、BDNF(brain-derived neurotrophic factor)、CNTF(ciliary neurotrophic factor)、GDNF(glial-derived neurotrophic factor)、NGF(nerve growth factor)、NT-3(neurotrophin-3)などが代表的である。神経活性因子は、神経損傷後、周辺細胞の内在性組織再生機転を活性化する。移植後、生着した細胞治療剤から分泌される神経活性因子は、損傷周囲にあるTrk受容体またはp75NTR受容体陽性細胞と結合して神経細胞の生存と軸索とを生成し、神経内在性組織恒常性機転を活性化して再生に作用する機転が提示された。BDNF及びNGFは、rubospinal神経細胞、adrenergic/sensory神経細胞の細胞保護及び軸索生成に主要に作用すると報告された。
【0006】
神経損傷治療剤として適用される幹細胞は、骨髄(bone marrow、BM)、臍帯血及び臍帯(cord blood、CB;umbilical cord、UC)、脂肪(adipose tissue、AT)由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell、MSC)がほとんどを占め、中枢神経系由来の神経幹細胞(neural stem cells、NSC)、胚性幹細胞ないし誘導万能幹細胞由来のNSCないし希突起膠細胞前駆細胞(oligodendrocyte progenitor cell、OPC)が幹細胞治療剤として適用して前臨床あるいは臨床研究が試みられている。皮膚あるいは毛嚢由来の神経冠幹細胞(skin derived progenitor cells)は、末梢神経系組織に存在する幹細胞であって、シュワン細胞、神経細胞、間葉系細胞に分化することができる細胞であり、発生過程中、一時的に存在する神経冠由来細胞と類似した特性を有して、神経損傷後、再生治療療法の細胞源として適用されている。しかし、幹細胞治療剤の神経再生機能を極大化するために、神経活性因子の遺伝子発現とタンパク質分泌とを増加させることができる技術が要求される。
【0007】
人工的な遺伝子導入を通じて幹細胞の神経活性遺伝子発現とタンパク質分泌とを増加させることができるが、人為的操作による安全性の問題が提起されて臨床的適用に障害物として作用する。しかし、3次元培養技術を結合して、細胞に3次元環境を提供することにより、細胞内在性遺伝子機能を増加させることができる。3次元培養を通じて人体内と類似した3次元(3-dimension、3D)環境を提供するにつれて、細胞-細胞、そして、細胞-ECM(extracellular matrix)相互作用が可能であり、その結果、細胞内遺伝子及びタンパク質発現と生成機転とが増加する。3次元環境を提供するために、多孔性支持体あるいはハイドロゲルが広く用いられている。このような生体材料内細胞を播種して3次元構造を構築した場合、このような構造体と細胞とを同時に移植時に、許認可の問題が台頭する可能性があるので、支持体ないしハイドロゲルの支持なしに細胞が3次元構造を形成することができる技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、大人末梢神経由来の幹細胞(peripheral nerve-derived stem cells、PNSCs)を浮遊培養環境で培養して100~500余りの細胞がβ-catenin及びintegrin-β1によって細胞-細胞及び細胞-ECM間結合が行われ、細胞間質内PNSCから生成されて分泌される末梢神経特異ECMが蓄積され、PNSCから生成されて分泌される神経活性因子であるBDNF、NGF、Neutrophin-3、及びNeurotrophin-4からなる群から選択された何れか1つ以上のNeurotrophic Family因子;Ephrin Family因子;GDNF及びArteminからなる群から選択された何れか1つ以上のGDNF Family因子;またはIL-6、CNTF及びLIFからなる群から選択された何れか1つ以上のCNTF Family因子を分泌して神経再生を誘導することができる末梢神経様の微細組織の製造方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ヒト血清アルブミン(Human Serum Albumin;HSA)、デキサメタゾン(dexamethasone;DEX)及びN-アセチルシステイン(N-acetylcystein;NAC)が含まれた培養液で浮遊培養された、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであり、PNSCsの細胞-細胞間結合及びPNSCs-細胞外基質(extracellular matrix;ECM)間結合からなる末梢神経様の微細組織を提供することである。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経損傷疾患治療用薬学組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明のさらに他の目的は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経炎症疾患治療用薬学組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を果たすために、本発明は、1)末梢神経由来の幹細胞(PNSCs)を単層培養する段階;及び2)前記単層培養されたPNSCsを回収して、ヒト血清アルブミン(HSA)、デキサメタゾン(DEX)及びN-アセチルシステイン(NAC)が含まれた培養液で浮遊培養(suspension culture)させる段階;を含む末梢神経様の微細組織の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、HSA、DEX及びNACが含まれた培養液で浮遊培養された、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであり、PNSCsの細胞-細胞間結合及びPNSCs-細胞外基質(ECM)間結合からなる末梢神経様の微細組織を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経損傷疾患治療用薬学組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経炎症疾患治療用薬学組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、末梢神経様の微細組織の製造方法及びその用途に関するものであって、末梢神経に由来した成体幹細胞(peripheral nerve-derived stem cells、PNSC)を分離培養し、該分離培養したPNSC細胞を浮遊培養を通じて細胞-細胞間、そして、細胞-細胞外基質間結合を形成して100~500余個の細胞で構成された直径100±20μmサイズの末梢神経様の微細組織の製造方法に係わるものである。浮遊培養環境で培養して製造される微細組織は、100~500余りの細胞がβ-cateninによって細胞-細胞間結合を通じて細胞が凝集され、細胞-細胞間の間内PNSCから生成されて分泌される細胞外基質(ECM)が蓄積され、該蓄積されたECMと細胞との間にβ1-integrinによって結合される構造的特性を有する。構成する細胞は、未成熟末梢神経由来の幹細胞と共に、シュワン前駆細胞(Schwann progenitor cell)、修復型シュワン細胞(repair Schwann cell)、ミエリンシュワン細胞(myelinating Schwann cell)、間質細胞(interstitial stromal cell)で構成される。これは、損傷後、再生される末梢神経構成と構成細胞と類似する。機能的に末梢神経様の微細組織で神経再生に中枢的に作用する神経活性因子を分泌して神経組織再生を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】末梢神経由来の成体幹細胞(PNSC)で神経再生用末梢神経様の微細組織の製造方法を示す図面である。
図2】末梢神経様の微細組織を構成するPNSC細胞数によるサイズの相関関係を示す図面である。
図3】浮遊培養培地内のヒト血清アルブミン(HSA)添加濃度による微細組織の生成頻度とサイズとを調節する方法を示す図面である。
図4】PNSC細胞の播種密度の調節を通じた末梢神経様の微細組織のサイズを調節する方法を示す図面である。
図5】微細組織内ROS(radical oxygen species、酸素遊離基、活性酸素)の蓄積は、サイズによって比例して増加する結果を示す図面である。
図6】微細組織のサイズによる細胞生存率を示す図面である。
図7】NAC(N-acetyl cysteine)及びDEX(dexamethasone)による微細組織内構成細胞の保護効果を示す図面である。
図8】NAC及びDEXによる微細組織内構成細胞の保護する機転を示す図面である。
図9】産業化レベルの生産のための培養環境で製造された末梢神経様の微細組織の構造的特性を示す図面である。
図10】末梢神経様の微細組織内Wnt信号伝達経路が強化される効果を示す図面である。
図11】産業化レベルの生産のための培養環境で製造された末梢神経様の微細組織を構成する細胞の特性を示す図面である。
図12】産業化レベルの生産のための培養環境で製造された末梢神経様の微細組織の神経活性遺伝子発現の特性を示す図面である。
図13】末梢神経様の微細組織のROSによる細胞損傷を評価した結果を示す図面である。
図14】末梢神経様の微細組織の細胞死調節因子の発現率を比較した結果を示す図面である。
図15】PNSCsに比べて、微細組織で有意に高い細胞生存率と低いannexin V発現とを確認した結果を示す図面である。
図16】微細組織の形成を通じてPNSCの神経活性タンパク質分泌能力が強化されることを確認した結果を示す図面である。
図17】微細組織とPNSCsとから得られた条件培地を用いて細胞基盤分析を通じて神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を比較評価した結果を示す図面である。
図18】微細組織とPNSCsとから得られた条件培地を用いて細胞基盤分析を通じて神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を比較評価した結果を示す図面である。
図19】微細組織とPNSCsとから得られた条件培地を用いて細胞基盤分析を通じて神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を比較評価した結果を示す図面である。
図20】微細組織とPNSCsとから得られた条件培地を用いて細胞基盤分析を通じて神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を比較評価した結果を示す図面である。
図21】末梢神経様の生体内移植後、生存率及び効力に対して評価した結果を示す図面である。
図22】PNSCsあるいは微細組織投与1週後、脊髄内神経活性因子の含量を評価した結果を示す図面である。
図23】PNSCsあるいは微細組織投与を通じて投与していない動物と比較してミエリン生成と軸索突起の成長とを確認した結果を示す図面である。
図24】PNSCsと比較して微細組織を投与した場合、ミエリン生成と軸索突起の成長とが有意に高いという結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、1)末梢神経由来の幹細胞(PNSCs)を単層培養する段階;及び2)前記単層培養されたPNSCsを回収して、ヒト血清アルブミン(HSA)、デキサメタゾン(DEX)及びN-アセチルシステイン(NAC)が含まれた培養液で浮遊培養させる段階;を含む末梢神経様の微細組織の製造方法を提供する。
【0019】
望ましくは、前記浮遊培養させる段階では、培養容器cm面積当たり0.25~2.5×10PNSCsを播種することができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
望ましくは、前記培養液は、0.01~1% HSA、0.1~5μM DEX及び0.1~10mM NACを含みうるが、これに限定されるものではない。
【0021】
望ましくは、前記浮遊培養は、前記PNSCsの細胞-細胞間結合を誘導することができる。
【0022】
望ましくは、前記末梢神経様の微細組織は、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明は、HSA、DEX及びNACが含まれた培養液で浮遊培養された、100~500個のPNSCsが結合された球状細胞構造体であって、直径は、100±20μmであり、PNSCsの細胞-細胞間結合及びPNSCs-細胞外基質(ECM)間結合からなる末梢神経様の微細組織を提供する。
【0024】
望ましくは、前記末梢神経様の微細組織は、PNSCsから生成分泌して細胞間質内コラーゲンタイプ-VI(collagen type-VI)及びラミニン(laminin)が蓄積され、CD29によって細胞-細胞外基質間結合され、β-カテニン(β-catenin)によって細胞-細胞間結合される構造であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
望ましくは、前記末梢神経様の微細組織は、末梢神経由来の成体幹細胞、シュワン前駆細胞、修復型シュワン細胞、ミエリンシュワン細胞及び間葉系の間質細胞からなり、より望ましくは、GFAP-/S100β-/Sox10+未分化神経冠細胞、GFAP+/S100β+/Myelin+ミエリン陽性シュワン細胞、GFAP+/GAP43+/Myelin-ミエリン陰性シュワン前駆細胞及びGFAP-/CD140a+間質細胞からなるが、これに限定されるものではない。
【0026】
望ましくは、前記末梢神経様の微細組織は、Wnt/β-カテニン信号伝達経路が活性化されたものである。
【0027】
望ましくは、前記末梢神経様の微細組織は、BDNF、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA4、EFNA5、EFNB1、EFNB2、EFNB3、CTNF、GDNF、LIF、NGFB、NTF3、NTF5、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、及びZFP91からなる群から選択された何れか1つ以上の神経活性因子;EGF、FGF1、FGF2、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF18、FGF19、FGF20、FGF23、IGF1、及びGAS6からなる群から選択された何れか1つ以上の成長因子;CLC、CTF1、CSF1、CSF2、CSF3、GH1、GH2、FLT3LG、IDO1、IL2、IL3、IL5、IL7、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL15、IL20、IL21、IL22、IL23A、IL24、IL26、IL28A、IL29、IFNA1、IFNB1、IFNW1、IFNK、IFNE1、IFNG、KITLG、LEP、PRL、TGFB、TPO、及びTSLPからなる群から選択された何れか1つ以上の免疫反応調節因子;またはANGPT1、ANGPT2、ANGPT4、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA4、EFNA5、EFNB3、EPO、PDGFC、PDGFD、VEGFA、VEGFB、及びVEGFCからなる群から選択された何れか1つ以上の新生血管誘導因子の発現が増加するが、これに限定されるものではない。
【0028】
また、本発明は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経損傷疾患治療用薬学組成物を提供する。
【0029】
望ましくは、前記薬学組成物は、神経組織の再生を促進することができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
また、本発明は、前記末梢神経様の微細組織を有効成分として含む神経炎症疾患治療用薬学組成物を提供する。
【0031】
より具体的に、本発明による末梢神経様の3D微細組織は、下記のような構成、構造、生物学的成分として特徴づけられ、神経再生治療剤として適応することができる根拠を提供する。
【0032】
(1)末梢神経様の微細組織は、100~500余りのPNSCs細胞が結合された球状構造体であって、直径が100±20μmサイズの細胞構造体である。
【0033】
(2)末梢神経様の微細組織は、末梢神経由来の成体幹細胞、シュワン前駆細胞、修復型シュワン細胞、ミエリンシュワン細胞、間葉系の間質細胞で構成される。
【0034】
(3)末梢神経様の微細組織は、細胞間質内PNSCから生成分泌された末梢神経特異細胞外基質であるlaminin及びcollagen type-IVが沈着されており、β-cateninとintegrin-β1とによって細胞-細胞、そして、細胞-ECM間結合を通じて構造的安定性が強化された構造的特性を示す。
【0035】
(4)末梢神経様の微細組織は、構造的安定性が強化されて構成細胞で神経活性因子の分泌が増加する生物学的特性を有する。末梢神経様の微細組織は、細胞-細胞、そして、細胞-細胞外基質間相互作用が可能な微細環境が造成されて、Wnt/β-catenin及びIntegrin-β1/FAK信号伝達経路が活性化してdownstream target遺伝子発現の増加を誘導することができる。その結果、PNSCsに比べて、末梢神経様の微細組織は、末梢神経特異ECMが蓄積され、PNSCから生成されて分泌される神経活性因子であるArtemin、BDNF、CNTF、GDNF、IGF、IL-6、NGF、NT-3 mRNA発現が増加し、タンパク質分泌が増加する微細組織である。
【0036】
(5)末梢神経様の微細組織は、有効成分であるArtemin、BDNF、CNTF、GDNF、IGF、NGF及びNT-3を含む神経活性因子の分泌を通じて神経再生機転を活性化し、損傷部位内に神経細胞、軸索再生、そして、ミエリン生成を増進する機転を誘導することができる。
【0037】
(6)最終PNSCsに比べて、末梢神経様の微細組織は、神経活性遺伝子発現とタンパク質分泌とが増進し、PNSCの神経再生生物学的作用機転を強化することができ、PNSCに比べて、神経再生効果を増加させることができる。
【0038】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これらの実施例によって制限されないということは当業者にとって自明である。
【0039】
<実施例1>
本実施例は、末梢神経様の微細組織を構成するPNSC細胞数によって微細組織のサイズを調節する方法を提供する。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1%ヒト血清アルブミン(HSA、緑十字)、1μMデキサメタゾン、1mM N-アセチルシステインを添加して製造する。細胞付着抑制(Ultra Low Attachment、ULA)培養容器を使用して播種されたPNSCの培養容器への付着を防止して細胞-細胞間結合を誘導する。浮遊培養の培養液に懸濁したPNSCsは、96-well ULA培養容器(SPL Life Sciences、Seoul、Korea)の各ウェル当たり100、200、500、750、1000、2500、5000個の細胞を播種した後、500×gで10分間遠心分離して培養容器の中央に細胞を集める。以後、培養1日、2日、3日目の写真を撮影してImageJ(NIH、Bethesda、MD)を用いてphotoplanimetry方法で微細組織の直径を測定した。
【0040】
図2の(A)では、ULA 96-well培養容器に播種されたPNSCは、培養容器の表面に付着されず、播種された細胞-細胞間凝集と接合は、培養2時間内形成され、その以後、前培養期間の間に形成された微細組織の形態は保持された。末梢神経様の微細組織を構成する細胞数によるそのサイズが比例して増加することを確認することができる。図2の(B)で提示したように、微細組織のサイズと構成するPNSC数との相関係数(coefficient of correlation(R)value)は、0.99であって、播種する細胞数を調節して末梢神経様の微細組織のサイズを調節する方法を提示している。しかし、培養期間によって形成された微細組織のサイズは変化しなかった。
【0041】
<実施例2>
本実施例は、浮遊培養の培養液内添加するヒト血清アルブミン(HSA)の濃度を調節して末梢神経様の微細組織の形成、数とサイズとを制御する方法を提供する。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1μMデキサメタゾン及び1mM N-アセチルシステインを添加して製造する。末梢神経様の微細組織の製造のために、ULA 6-well培養容器(SPL Life Sciences)を使用した。ULA 6-well培養容器内にcm面積当たり1.0×10PNSCを播種した。培養容器内に0、0.01、0.1、1% HSAが含有した3mL浮遊培養の培養液を添加した後、24時間浮遊培養した。形成される末梢神経様の微細組織の数とサイズは、ImageJを用いてphotoplanimetry方法で測定した。
【0042】
図3の(A)で浮遊培養の培養液内HSA濃度による微細組織の生成頻度及びサイズ分布の差を示す。HSAが添加されていない培養液と0.01、0.1、1% HSAが添加された培養液とを用いて培養した条件で形成された微細組織の数及びサイズをImageJを用いて測定した。図3の(B)-図3の(D)で提示したように、HSA添加によって微細組織の形成頻度は、HSAを添加していない群と比較して有意に増加した。HSAが添加された群において、HSA濃度によって形成される微細組織の頻度は、有意差は確認されなかった。しかし、HSA添加濃度によって末梢神経様の微細組織のサイズは、比例して有意に増加することを確認することができ、浮遊培養環境でHSA添加及び添加濃度調節を通じて微細組織の形成とサイズとを制御することができることを提示する。
【0043】
<実施例3>
本実施例は、末梢神経様の微細組織の産業化量産のために、培養容器面積当たり播種するPNSC密度を調節して末梢神経様の微細組織の数とサイズとを制御する方法を提供する。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1%ヒト血清アルブミン(HSA、緑十字)、1μMデキサメタゾン、1mM N-アセチルシステインを添加して製造する。末梢神経様の微細組織の製造のために、ULA 6-well培養容器(SPL Life Sciences)を使用した。培養容器内にcm面積当たり2.5、5.0、7.5、10.0、15.0×10PNSCを播種し、3mL浮遊培養の培養液を添加した後、24時間培養した。形成された微細組織の数とサイズは、ImageJを用いて測定した。
【0044】
図4では、PNSC播種密度を調節して末梢神経様の微細組織のサイズを制御する結果を提示する。単位面積当たり播種するPNSC密度、すなわち、細胞数によって形成される微細組織の数は、有意差を確認することができないが、細胞播種密度が増加するほど微細組織のサイズが増加する相関性を確認することができた。直径100±20μmサイズの末梢神経様の微細組織の製造するために、cm当たり1.0~1.5×10密度で細胞を播種して浮遊培養する条件を確認することができる。
【0045】
<実施例4>
微細球のサイズが増加するほど単純拡散によって空気及び代謝物交換と栄養分供給とが制限され、その結果、微細組織内ROSが蓄積され、細胞損傷と死とを誘発することができる。本実施例は、末梢神経様の微細組織のサイズによって構成細胞のROS媒介細胞損傷に対する影響を提示しようとする。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1%ヒト血清アルブミン(HSA、緑十字)を添加して製造する。細胞付着抑制(Ultra Low Attachment、ULA)培養容器を使用して播種されたPNSCの培養容器への付着を防止して細胞-細胞間結合を誘導する。浮遊培養の培養液に懸濁したPNSCsは、96-well ULA培養容器(SPL Life Sciences、Seoul、Korea)の各ウェル当たり100、200、500、750、1000、2500、5000個の細胞を播種した後、500×gで10分間遠心分離して培養容器の中央に細胞を集め、24時間培養する。24時間浮遊培養後、CM-H2DCFDA(Molecular Probe、Eugene、OR)を用いて微細組織内ROS蓄積程度をconfocal scanning microscopeを用いて評価する。
【0046】
図5では、微細組織のサイズによるROS(酸素遊離基、活性酸素)の蓄積結果を示す。微細組織のサイズと比例してROS蓄積程度を示す蛍光強度が比例するように増加することを確認することができる。特に、末梢神経様の微細組織を構成する細胞数が1000個以上である場合、ROS蓄積が急激に増加することを確認することができ、微細組織の直径は、200μM以下に、そして、その構成細胞数は、1000個未満に構成することが微細組織の安定性を確保することができることを確認することができる。
【0047】
<実施例5>
微細球のサイズが増加すれば、単純拡散によって酸素及び栄養分供給が制限され、その結果、末梢神経様の微細組織内細胞の死を招くことができる。本実施例は、末梢神経様の微細組織のサイズによって構成細胞の細胞死に対する影響を提示しようとする。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1%ヒト血清アルブミン(HSA、緑十字)を添加して製造する。細胞付着抑制(Ultra Low Attachment、ULA)培養容器を使用して播種されたPNSCの培養容器への付着を防止して細胞-細胞間結合を誘導する。浮遊培養の培養液に懸濁したPNSCsは、96-well ULA培養容器(SPL Life Sciences、Seoul、Korea)の各ウェル当たり100、200、500、750、1000、2500、5000個の細胞を播種した後、500×gで10分間遠心分離して培養容器の中央に細胞を集め、24時間培養する。24時間浮遊培養後、ethidium homodimer-1(EthD-1、Molecular Probe)陽性細胞数を算定して細胞死を評価する。Confocal scanning microscopeを用いて末梢神経様の微細組織を撮影してImageJを用いて細胞死を評価する。
【0048】
図6で提示したように、末梢神経様の微細組織のサイズが増加するほど細胞死が増加することを確認することができる。ROS蓄積結果と類似した傾向で末梢神経様の微細組織を構成する細胞数が1000個以上であり、そのサイズが200μm以上である場合、細胞死が急激に増加することを確認することができる。本実施例を通じて微細球構成細胞数及びサイズの調節は、末梢神経様の微細組織の製造に重要な調節因子であることを確認することができる。
【0049】
<実施例6>
末梢神経様の微細組織の生成過程中、酸素及び栄養分の交換の限界の結果、組織内ROSが蓄積され、細胞損傷及び死を招く。本実施例は、細胞損傷及び死を抑制するために、デキサメタゾン(DEX)及びN-アセチルシステイン(NAC)を通じた細胞保護方法を提示しようとする。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1% HSAを添加して製造する。ULA T75 flask(SPL Life Sciences)培養容器内にcm培養容器面積当たり1.0×10細胞を播種する。15mL浮遊培養の培養液内1mM NAC、1μM DEX、NAC及びDEXを同時に添加して3日間培養した。細胞の死は、LIVE/DEAD染色を通じて評価し、細胞死は、総DAPIに染色された細胞数を算定し、ethidium homodimer-1(EthD-1)に陽性である細胞数を計数して生存率を評価した。また、細胞死を調節する因子であるp38 MAPK、cleaved caspaseの発現と抗細胞死調節因子であるp-Akt発現程度は、免疫蛍光染色を通じて評価した。
【0050】
図7で提示したように、NAC及びDEXによる末梢神経様の微細組織内構成細胞の保護効果を確認することができる。NACに比べて、DEXの添加による細胞保護効果が大きいことを確認することができ、NAC混合有無は、DEXの細胞保護機転を有意に強化することはできなかった。
【0051】
図8で提示したように、NAC及びDEXは、細胞損傷及び死を招く細胞死タンパク質であるHif、p38 MAPK及びcleaved caspase発現を有意に抑制することができた。特に、DEXは、NACを同時に浮遊培養の培養液内添加した時、Hif、p38 MAPK、cleaved caspase発現を単独投与と比較して高い抑制能力を確認することができる。また、細胞保護タンパク質であるp-Akt発現は、NAC及びDEX混合投与で増進することができる。本実施例を通じて浮遊培養環境に使われる培養液内低濃度DEX及びNAC添加を通じて細胞死を抑制して細胞生存率を高めうる方法を提示する。
【0052】
<実施例7>
本実施例は、末梢神経様の微細組織の産業化量産する方法を提示する。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1% HSA、1μM DEX及び1mM NACを添加して製造する。ULA T75 flask(SPL Life Sciences)培養容器を用いて浮遊培養を施行する。培養容器cm培養容器面積当たり1.0~1.5×10細胞を播種する。ULA T75培養容器内7.5~11.1×10細胞を播種して15mL浮遊培養の培養液を添加した後、3日間培養した。
【0053】
製造した微細組織は、通常の方法でパラフィン組織ブロックを製造した後、5μm厚さのパラフィン切片を薄切し、構造的特性を評価するために、HE染色及び免疫蛍光染色を施行した。微細組織内末梢神経特異細胞外基質であるcollagen type-IV及びlaminin蓄積は、免疫蛍光染色を用いて評価した。微細組織内細胞-細胞間、そして、細胞-細胞外基質間接合は、β-cantenin及びintegrin-β1発現を通じて評価した。
【0054】
微細組織のWnt信号伝達経路関連mRNA発現を評価するために、浮遊培養前、PNSC及び製造後、末梢神経様の微細組織からRNAを分離した後、逆転写酵素を用いてcDNAを製造した。Wnt信号伝達経路調節因子を増幅することができる始発体で構成されたPCR microarrayを用いて遺伝子発現を評価した。Wnt信号伝達の活性化有無は、Wnt受容体、リガンド、そして、Wnt経路によって活性化される標的遺伝子発現を評価し、mRNA発現率は、微細組織の構成前、PNSCに比べて、発現率(fold)で表記した。
【0055】
図9で提示したように、3日間培養後、T75 flask内86.5±27.3μmサイズの2,350±451個の微細組織を製造することができた。微細組織は、PNSCが結合された構造を有し、免疫蛍光染色で微細組織内末梢神経特異ECMであるcollagen type-VI及びlamininが蓄積され、細胞-細胞、そして、細胞-ECM間結合を意味するβ-cantenin及びCD29(integrin-β1)が微細組織内均一に発現され、これは、培養過程を通じて製造した微細組織は、細胞の間に末梢神経ECMが生成されて蓄積され、PNSCと結合することができる基質として機能を担当して細胞と結合して構造的安定性を獲得することを確認することができる。また、密集された細胞-細胞間は、β-cateninによって接合されて細胞-細胞間接合力が強化されて、単純な細胞凝集逓加ではなく、人体内組織と類似した構造で製造することができることを提示した。
【0056】
図10では、末梢神経様の微細組織の形成を通じてWnt/β-catenin信号伝達経路を活性化することを提示する。Wnt経路のうち、canonical及びnon-canonical信号経路いずれも微細組織の形成を通じてmRNA発現が数倍から数千倍の増加を誘導する方法を確認することができる。特に、微細組織の製造時に、NAC及びDEXの添加を通じて細胞死を保護すると共に、mRNA発現増加を誘導する方法を確認することができる。微細組織の形成を通じてPNSCのcanonical信号伝達経路に中枢的調節遺伝子であるAPC、CTNB1、GSK3B mRNA発現を数倍から数十倍の発現が増加することを確認することができた(表1及び表2)。表1は、Canonical Wnt Pathwayを、表2は、Non-Canonical Wnt Pathwayを示す。
【0057】
微細組織の形成を通じてWnt信号伝達経路が活性化され、Wnt信号伝達に作用する水溶体、リガンド及び下位標的遺伝子発現を調査した試験で、微細組織の形成前、PNSCsに比べて、遺伝子発現が数倍から数十倍増加した(表3、表4及び表5)。表3は、Wnt Receptorsを、表4は、Wnt Ligandsを、表5は、Wnt Targetを示す。Wnt標的遺伝子は、細胞の移動と分化とを調節する機能性遺伝子発現が著しく増加することを確認することができる。
【0058】
本実施例を通じて産業化量産体制で播種するPNSC細胞密度を調節し、NAC及びDEX添加を通じて微細組織内細胞を保護して構造的に安定性を提供し、同時に微細組織の形成を通じてPNSCs Wnt信号伝達経路を活性化してPNSCの生物学的機能を強化することができる方法を提供する。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
<実施例8>
本実施例は、産業化レベルで大量製造した末梢神経様の微細組織の構造的特性と生物学的特性とを提示する。単層培養環境で回収したPNSCsは、1.0E+06/mLの密度で浮遊培養の培養液で懸濁する。浮遊培養の培養液は、DMEM/F12培養培地内1% HSA、1μM DEX及び1mM NACを添加して製造する。ULA T75 flask(SPL Life Sciences)培養容器を用いて浮遊培養を施行する。培養容器cm培養容器面積当たり1.5×10細胞を播種する。ULA T75培養容器内1.1×10細胞を播種して15mL浮遊培養の培養液を添加した後、3日間培養した。製造した微細組織は、通常の方法でパラフィン組織ブロックを製造した後、5μm厚さのパラフィン切片を薄切し、構成細胞を評価するために、神経細胞、神経冠細胞、神経膠細胞、シュワン細胞、ミエリン標識子を使用して免疫蛍光染色を施行した。
【0065】
微細組織の神経活性mRNA発現を評価するために、浮遊培養前、PNSC及び製造後、末梢神経様の微細組織からRNAを分離した後、逆転写酵素を用いてcDNAを製造した。神経活性mRNAを増幅するための始発体で構成されたPCR microarrayを用いて遺伝子発現を評価した。また、微細組織の抗炎症調節因子及び新生血管誘導因子のmRNA発現も、PCR microarrayを通じて評価した。微細組織の神経活性タンパク質分泌力価は、神経再生に重要な役割を媒介するので、微細組織の製造後、培養液内代表的神経活性タンパク質であるBDNF、GDNF、IGF-1、IL-6、NGF及びNT-3タンパク質含量をELISAを通じて分析した。
【0066】
図11は、量産方法で製造した末梢神経様の微細組織内構成細胞の特性を示す。微細組織内構成細胞は、神経冠由来の細胞標識子であるCD105、nestin、p75NTR発現は保持され、これは、末梢神経由来の幹細胞特性と類似した。しかし、3日間培養後、微細組織内PNSCは、培養前状態で発現されなかったGFAP、GAP43及びS100β発現が検出された。これは、シュワン細胞に分化が進行した細胞が混在されており、特に、Sox2及びSox10が同時に発現されるシュワン前駆細胞の特性を有した細胞が構成されていることを示唆する。MBPが発現されるミエリン形成シュワン細胞及びCD140bが発現される神経内間質細胞で構成されることを確認することができ、これは、損傷後、再生される末梢神経と類似した細胞で構成されることを確認することができる。本実施例を通じて末梢神経様の微細組織は、GFAP-/S100β-/Sox10+未分化神経冠細胞、GFAP+/S100β+/Myelin+ミエリン陽性シュワン細胞、GFAP+/GAP43+/Myelin-ミエリン陰性シュワン前駆細胞、及びGFAP-/CD140a+間質細胞を構成される損傷後再生される過程の末梢神経を構成する細胞と類似した微細組織を製造する方法を提供する。
【0067】
図12は、量産方法で製造した末梢神経様の微細組織内神経活性遺伝子発現の特性を示す。量産した末梢神経様の微細組織内神経活性遺伝子の発現をPCR Microarray方法で評価した。微細球の形成前段階のPNSCsから発現される神経活性mRNA発現に比べて、微細組織の形成後、当該遺伝子発現が有意に増加し、特に、微細組織の形成時に、NAC及びDEX添加を通じた遺伝子発現を有意な増加を誘導する方法であるということを提示する。末梢神経様の微細組織は、神経再生に核心的に作用するBDNF、NGF、Neutrophin-3及びNeurotrophin-4を含むNeurotrophic Family mRNAs、Ephrin Family mRNAs、GDNF及びArteminを含むGDNF Family mRNAs、IL-6、CNTF及びLIFを含むCNTF Family mRNA発現が数倍ないし数十倍以上増加することを通じて末梢神経様の微細組織の形成を通じて神経再生に有意に適用することができる根拠を提示する(表6)。
【0068】
末梢神経様の微細組織を形成するにつれて、成長因子、免疫反応調節因子、新生血管誘導因子調節mRNA発現を試験した。表7ないし表9で提示したように、微細組織の形成を通じて形成前、PNSCと比較して成長因子、免疫反応調節因子及び新生血管誘導因子mRNAが著しく増加する結果を確認することができる。神経活性因子と共に、EGF、FGF及びIGF-1発現が有意に増加し(表7)、過度な炎症反応を調節することができる核心サイトカインであるIL10 mRNA発現が50倍以上増加し(表8)、新生血管誘導因子であるANGPT、EPNA、EPO、PDGF、VEGF mRNAが著しく増加し、微細組織の形成を通じてPNSCsの生物学的機能を強化し、活性化できるという結果を確認することができた(表9)。
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【表9】
【0073】
<実施例9>
本実施例は、大量製造した末梢神経様の微細組織のROSによる細胞損傷を評価した。同じ数の細胞(1.0E+07細胞)で構成された微細組織とPNSCsとを100nM sodium arseniteを1時間反応を通じてROS細胞損傷を誘導した。Sodium arsenite媒介細胞損傷を誘導した後、PNSCs及び微細組織は、RIPA bufferで処理してcell lysatesを得た。PAGEを通じてcell lysateは、電気泳動し、PVDF membraneにtransferし、細胞死調節タンパク質であるp-c-Jun、p-p38MAPK、p-MAPKAPK-2、p-JNK及びcleaved caspase 3の発現を評価した。半定量的発現率を分析するために、image anlyzer(Image J)を通じてバンドの密度(density)を測定して発現率を比較した。また、sodium arsenite処理後、PNSCs及び微細組織の生存率は、LIVE/DEAD染色とannexin V発現率とを評価して分析した。
【0074】
図13に提示したように、sodium arseniteは、PNSCs細胞死を誘導することを確認することができた。Sodium arsenit処理を通じて細胞死を媒介するp-c-Jun、p-p38MAPK、p-MAPKAPK-2、p-JNK及びcleaved caspase 3の発現が有意な増加を確認した。一方、微細組織の場合、PNSCsに比べて、著しく低いp-c-Jun、p-p38MAPK、p-MAPKAPK-2、p-JNK及びcleaved caspase 3の発現が著しく減少することが確認された。Densitometerを通じた細胞死調節因子の発現率を比較した結果(図14)で、微細組織は、PNSCsに比べて、有意に低い細胞死因子の発現をもう一度検証することができた(p<0.01)。Sodium arsenite処理を通じて細胞死を誘導した後、細胞生存率をLIVE/DEAD染色及びannexin V発現で定量的に評価し、細胞死調節因子の発現と類似した傾向でPNSCsに比べて、微細組織で有意に高い細胞生存率と低いannexin V発現とを確認することができた(図15、p<0.01)。
【0075】
以上の結果は、微細組織の構成を通じてPNSCsに比べて、ROSに対する抵抗性を向上することができる方法を提供する。
【0076】
<実施例10>
本実施例は、大量製造した末梢神経様の微細組織の力価を評価した。幹細胞治療剤は、投与する幹細胞から分泌する物質によって効力を期待した間接的作用機転が知られている。損傷した神経組織の再生は、神経幹細胞の動員、成長及び軸索突起の成長が要求され、また、損傷後、誘発される過度な炎症反応を抑制することができる効力が必要であり、損傷した組織内血管再生を通じて再生を促進することができる機転が要求される。
【0077】
PNSCsと微細組織とから分泌される神経活性タンパク質は、PNSC培養及び微細組織の製造時に、回収した条件培地内神経活性タンパク質を測定して評価した。条件培地内代表的神経活性タンパク質であるBDNF、GDNF、IGF-1、IL-6、NGF及びNT3含量は、ELISAを通じて測定した。神経活性タンパク質分泌能力を比較評価するために、骨髄由来の間葉系幹細胞(BMSC)を対照群として使用して分析した。PNSCs及び微細組織から分泌される物質による神経活性効力は、細胞基盤で評価し、神経冠由来の神経幹細胞株であるSH-SY5Yを利用した。
【0078】
神経幹細胞の成長を誘導する能力は、条件培地の添加後、細胞成長程度をdsDNA含量分析を通じて分析し、培養前、dsDNA含量を基準に増加した細胞によるdsDNA含量を百分率で比較評価した。神経再生効力は、条件培地を添加した後、SH-SY5Yが神経細胞に分化され、分化の結果、生成される軸索突起生成長さをimage analysisで測定して比較評価した。
【0079】
PNSCs及び微細組織の抗炎症効力は、RAW264.7細胞に基づいて評価した。RAW264.7細胞は、100ug LPSで減作させ、6時間後、培養液内RAW264.7から分泌されるTNF-α及びIL-1β含量をELISA方法で分析した。LPS減作時に、PNSCsあるいは微細組織から得られた条件培地を添加して、条件培地によるRAW264.7細胞の炎症性サイトカイン分泌の抑制程度を抗炎症効力を評価した。
【0080】
PNSCs及び微細組織の新生血管誘導能力は、HUVEC細胞に基づいて評価した。PNSCsあるいは微細組織から得られた条件培地を添加してHUVEC細胞成長誘導能力とsodium arsenite媒介細胞死抑制能力とを評価を通じて新生血管誘導能力を比較評価した。
【0081】
神経活性mRNA発現と類似した傾向で微細組織の形成を通じてPNSCの神経活性タンパク質分泌能力が強化されることを確認することができた(図16)。骨髄由来の間葉系幹細胞(BMSC)と比較してPNSCSで有意に高い神経活性タンパク質であるBDNF、GDNF、IGF-1、IL-6、NGF及びNT-3分泌能力が有意に高かった(p<0.01)。また、微細組織の形成を通じてPNSCが保有した神経活性タンパク質分泌能力が著しく強化することができる結果を確認した。試験したあらゆる神経活性タンパク質分泌が微細組織でPNSCsに比べて、有意に高かった(P、0.01)。
【0082】
微細組織とPNSCsとから得られた条件培地を用いて細胞基盤分析を通じて神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を比較評価した。図17で提示したように、PNSCsあるいは微細組織から得られた条件培地を添加した場合、神経幹細胞軸索突起の生成が増加し、軸索突起長さは、添加した条件培地濃度依存性を示した。定量的な分析でPNSCs及び微細組織条件培地を添加した場合、有意に神経幹細胞の軸索突起長さが増加することが確認された(図18、p<0.01)。また、条件培地の添加を通じた神経幹細胞の成長誘導能力を評価した。PNSCs及び微細組織条件培地いずれもで神経幹細胞の細胞成長を誘導することができた(図18)。特に、微細組織から得られた条件培地は、PNSCs条件培地に比べて、有意な神経幹細胞の成長及び軸索突起の成長を確認することができた(p<0.01)。
【0083】
図19において、PNSCs及び微細組織の抗炎症効力を確認することができた。LPSで減作されたRAW264.7細胞でTNF-α及びIL-1β分泌が著しく増加し、PNSCs及び微細組織から得られた条件培地は、減作された細胞に由来する炎症性サイトカイン分泌を抑制することができる抗炎症効力を確認することができた。特に、PNSCsに比べて、微細組織由来の条件培地で有意に高い炎症性サイトカイン分泌抑制能力(p<0.01)を示して微細組織の形成を通じて高い抗炎症効力を確保することができる結果を確認することができた。
【0084】
PNSCs及び微細組織の新生血管誘導能力は、HUVEC細胞基盤分析を通じて評価し、PNSCs及び微細組織から得られた条件培地の添加を通じて血管内皮細胞の有意な成長を誘導することができ、ROS媒介HUVEC細胞の有意な保護能力を確認するにつれて、新生血管誘導能力を確認することができた(図20)。特に、PNSCsに比べて、微細組織由来の条件培地の添加を通じてPNSCs条件培地と比較する時、血管内皮細胞であるHUVECの有意な細胞成長(p<0.01)を確認することができ、ROS媒介細胞損傷に対する有意な細胞保護効力(p<0.01)を示した。
【0085】
以上の結果、PNSCsの神経活性効力、抗炎症効力と新生血管誘導効力とを確認することができ、PNSCから微細組織を構成するにつれて、PNSCsの神経再生に作用する神経活性、抗炎症、そして、新生血管誘導力価を強化することができる方法であるということを提供した。
【0086】
<実施例11>
本実施例は、大量製造した末梢神経様の生体内移植後、生存率及び効力に対して評価した。Nude mouseの胸椎7番と8番との脊髄を圧迫して損傷を誘導し、損傷3日後、1.0E+05個のPNSCsあるいは同じ細胞で構成した微細組織を脊髄内注入した。PNSCsあるいは微細組織投与後、脊髄内残存率は、human特異Alu遺伝子を目標としてqPCRを通じて評価した。PNSCs及び微細組織投与を通じて脊髄内human特異神経活性タンパク質であるBDNF、GDNF、IGF-1、NGF及びNT-3の含量をELISAを通じて分析した。投入したPNSCsあるいは微細組織の神経再生効力は、損傷中央部位内にミエリン再生成と軸索突起の成長とを形態計測方法で分析して評価した。
【0087】
図21で提示したように、脊髄内に投与したPNSCs及び微細組織は、投与後、時間が長くなるほど比例して減少する傾向を確認することができた。PNSCsと比較して微細組織を投入した場合、試験した全期間にわたって細胞残存率が有意に高かった(p<0.01)。PNSCsの場合、投与2週後、5%細胞のみが残存すると調査され、投与4週後、残存する細胞はなかった。一方、微細組織を投与した場合、投与2週後、12.4%残存すると調査され、投与4週後にも、3.4%残存することを確認することができた。以上の結果は、実験の実績でROSに対する抵抗性が微細組織がPNSCsに比べて、有意に高く、このような細胞損傷に対する抵抗性は、生体内でも作動して高い生存率を示すと判断することができた。
【0088】
残存する細胞数は、当該細胞の力価と相関関係性は広く知られている。PNSCsあるいは微細組織の神経再生効力は、直接的作用機転よりは細胞から分泌される有効因子によって媒介される間接的効力が主要機転が作用すると期待される。PNSCsあるいは微細組織投与1週後、脊髄内神経活性因子の含量を評価した結果は、図22に提示した。残存率と類似した傾向で微細組織を投与した脊髄内分析した神経活性タンパク質いずれも有意に高く調査された(p<0.01)。PNSCsに比べて、微細組織を投与した場合、BDNF、GDNF、IGF-1、IL-6、NGF及びNT-3いずれも高い含量を確認することができ、これらの因子による神経再生効力を期待することができる根拠を確認することができた。
【0089】
脊髄損傷後、神経再生は、損傷中央部にミエリン再生成と軸索突起の成長とを通じて神経網が再び構築され、その結果、脊髄の運動機能と感覚機能とが回復されることを期待することができる。本実施例を通じてPNSCsあるいは微細組織投与を通じて投与していない動物と比較してミエリン生成と軸索突起の成長とを確認することができ、これは、投与細胞を通じて神経再生を向上させることができることを意味する(図23)。特に、PNSCsと比較して微細組織を投与した場合、ミエリン生成と軸索突起の成長とが有意に高く(図24、p<0.01)、これは、微細組織の高い神経再生効力を確認することができた。
【0090】
以上の結果は、微細組織を通じて構造的安定性と機能的力価とを強化することができ、これを通じて生体内移植後、残存率と力価とを向上させることができ、その結果、神経再生効力を増加させることができる方法であるということを示唆する。
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【国際調査報告】