(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】免疫細胞の条件付き活性化のための合成受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240524BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240524BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240524BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240524BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240524BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240524BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240524BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240524BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240524BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240524BHJP
C07K 5/037 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/005 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/37 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/44 20060101ALI20240524BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240524BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61K39/00 H
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
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A61P37/04
A61K35/12
A61K35/17
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N5/0783
C07K5/037
C07K14/705
C07K14/195
C07K14/005
C07K14/37
C07K14/44
C07K19/00
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576203
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022032865
(87)【国際公開番号】W WO2022261346
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523464071
【氏名又は名称】セロティニー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャッコ, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーベル, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ファーロウ, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】バルガス-インチャウステギ, ディエゴ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴフマン, ヤナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
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4H045AA10
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4H045DA76
4H045DA86
4H045EA28
4H045EA29
4H045FA74
(57)【要約】
キラー細胞免疫グロブリン様受容体4(KIR2DL4)に由来する細胞内ドメインを含む合成受容体を発現する組換え免疫細胞を活性化する方法が提供される。本明細書に記載の合成受容体により、組換え免疫細胞は、従来の組換え細胞ベースの療法に関連する免疫応答の過剰活性化を制限しながら、がんまたは感染症の治療を必要とする対象におけるその治療に使用することができる。様々な実施形態では、(a)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、合成受容体を発現する組換え免疫細胞を活性化する方法が本明細書に開示され、方法は、抗原を抗原結合ドメインに結合し、それによって組換え免疫細胞を活性化することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成受容体を発現する組換え免疫細胞(recombinant immune cell)を活性化する方法であって、以下を含む方法:
(a)抗原結合ドメイン、
(b)膜貫通ドメイン、及び
(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含む、細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
前記方法が、抗原を前記抗原結合ドメインに結合させ、それによって前記組換え免疫細胞を活性化することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号8または9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号8のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号12~16のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14のアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号15のアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号16のアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記膜貫通ドメインが、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜貫通ドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記膜貫通ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記膜貫通ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記合成受容体が、前記抗原結合ドメインと前記膜貫通ドメインとの間に挿入されたヒンジ領域をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒンジ領域が、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒンジ領域が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒンジ領域が、配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記合成受容体が、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記合成受容体が、前記配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項21】
前記合成受容体が、前記配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項22】
前記合成受容体が、前記配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項23】
前記合成受容体が、前記配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項24】
前記合成受容体が、前記配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項25】
前記合成受容体が、前記配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項26】
前記合成受容体が、前記配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項27】
前記合成受容体が、前記配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項28】
前記合成受容体が、前記配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項29】
前記合成受容体が、前記配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項30】
前記合成受容体が、前記配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項31】
前記合成受容体が、前記配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項32】
前記合成受容体が、前記配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項33】
前記合成受容体が、前記配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項34】
前記合成受容体が、前記配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項35】
前記合成受容体が、前記配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項36】
前記合成受容体が、前記配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項37】
前記合成受容体が、前記配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または19に記載の方法。
【請求項38】
前記抗原結合ドメインが、抗体またはその機能的断片を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗原結合ドメインが、一本鎖可変断片(scFv)を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗原結合ドメインが、最小活性抗体断片を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗原結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗原結合ドメインが、単一の軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗原結合ドメインが、単一の重鎖可変ドメインを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記抗原結合ドメインが、ナノボディを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記組換え免疫細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはナチュラルキラー型T(NK-T)細胞である、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記組換え免疫細胞が、T細胞である、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記組換え免疫細胞が、NK細胞である、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記組換え免疫細胞が、NK-T細胞である、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記抗原が、CD19、メソテリン、CD123、BCMA、GD2、CD30、GPC3、CD22、HER2、CD20、EGFR、Flt3、CD33、Muc-16、CS1、及び腫瘍新抗原からなるリストから選択される、全タンパク質またはその断片である、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記抗原が、CD19またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗原が、メソテリンまたはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項53】
前記抗原が、CD123またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項54】
前記抗原が、BCMAまたはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項55】
前記抗原が、GD2またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項56】
前記抗原が、CD30またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項57】
前記抗原が、GPC3またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項58】
前記抗原が、CD22またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項59】
前記抗原が、HER2またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項60】
前記抗原が、CD20またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項61】
前記抗原が、EGFRまたはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項62】
前記抗原が、Flt3またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項63】
前記抗原が、CD33またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項64】
前記抗原が、Muc-16またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項65】
前記抗原が、CS1またはその断片である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項66】
前記抗原が、腫瘍新抗原である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項67】
前記抗原が、感染因子に由来する、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記感染因子が、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
発現された合成受容体(synthetic receptor)を含む組換え免疫細胞であって、該受容体が、
(a)抗原結合ドメイン、
(b)膜貫通ドメイン、及び
(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含むかまたはそれからなる、細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
前記組換え免疫細胞が、同族抗原を前記抗原結合ドメインに結合させることによって活性化される、前記組換え免疫細胞。
【請求項70】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号8または9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69に記載の組換え免疫細胞。
【請求項71】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69または70に記載の組換え免疫細胞。
【請求項72】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号12~16のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~71のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項73】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~72のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項74】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~72のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項75】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14のアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~72のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項76】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号15のアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~72のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項77】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号16のアミノ酸配列をさらに含む、請求項69~70のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項78】
前記膜貫通ドメインが、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69~77のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項79】
前記膜貫通ドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69~78のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項80】
前記膜貫通ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69~78のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項81】
前記膜貫通ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項69~78のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項82】
前記合成受容体が、前記抗原結合ドメインと前記膜貫通ドメインとの間に挿入されたヒンジ領域をさらに含む、請求項69~81のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項83】
前記ヒンジ領域が、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む、請求項82に記載の組換え免疫細胞。
【請求項84】
前記ヒンジ領域が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項82または83に記載の組換え免疫細胞。
【請求項85】
前記ヒンジ領域が、配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項82または83に記載の組換え免疫細胞。
【請求項86】
前記合成受容体が、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項68に記載の組換え免疫細胞。
【請求項87】
前記合成受容体が、前記配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項88】
前記合成受容体が、前記配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項89】
前記合成受容体が、前記配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項90】
前記合成受容体が、前記配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項91】
前記合成受容体が、前記配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項92】
前記合成受容体が、前記配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項93】
前記合成受容体が、前記配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項94】
前記合成受容体が、前記配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項95】
前記合成受容体が、前記配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項96】
前記合成受容体が、前記配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項97】
前記合成受容体が、前記配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項98】
前記合成受容体が、前記配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項99】
前記合成受容体が、前記配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項100】
前記合成受容体が、前記配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項101】
前記合成受容体が、前記配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項102】
前記合成受容体が、前記配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項103】
前記合成受容体が、前記配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項104】
前記合成受容体が、前記配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項69または86に記載の組換え免疫細胞。
【請求項105】
前記抗原結合ドメインに結合した前記同族抗原をさらに含み、前記細胞が活性状態にある、請求項69~104のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項106】
前記抗原結合ドメインが、抗体またはその機能的断片を含む、請求項69~105のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項107】
前記抗原結合ドメインが、一本鎖可変断片(scFv)を含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項108】
前記抗原結合ドメインが、最小活性抗体断片を含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項109】
前記抗原結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項110】
前記抗原結合ドメインが、単一の軽鎖可変ドメインを含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項111】
前記抗原結合ドメインが、単一の重鎖可変ドメインを含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項112】
前記抗原結合ドメインが、ナノボディを含む、請求項69~106のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項113】
前記組換え免疫細胞が、T細胞、NK細胞、またはNK-T細胞である、請求項69~112のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項114】
前記組換え免疫細胞が、T細胞である、請求項69~113のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項115】
前記組換え免疫細胞が、NK細胞である、請求項69~113のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項116】
前記組換え免疫細胞が、NK-T細胞である、請求項69~113のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞。
【請求項117】
疾患の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、請求項69~116のいずれか1項に記載の組換え免疫細胞を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項118】
前記対象が、哺乳動物である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記対象が、ヒトである、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記組換え細胞が、前記対象に対して自己由来である、請求項117~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記組換え細胞が、前記対象に対して同種異系である、請求項117~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記疾患が、がんである、請求項117~121のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記がんが、造血器悪性腫瘍である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記がんが固形腫瘍である、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
前記抗原が、CD19、メソテリン、CD123、BCMA、GD2、CD30、GPC3、CD22、HER2、CD20、EGFR、Flt3、CD33、Muc-16、CS1、及び腫瘍新抗原からなるリストから選択される、全タンパク質またはその断片である、請求項122~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記抗原が、CD19またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項127】
前記抗原が、メソテリンまたはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項128】
前記抗原が、CD123またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項129】
前記抗原が、BCMAまたはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項130】
前記抗原が、GD2またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項131】
前記抗原が、CD30またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項132】
前記抗原が、GPC3またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項133】
前記抗原が、CD22またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項134】
前記抗原が、HER2またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項135】
前記抗原が、CD20またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項136】
前記抗原が、EGFRまたはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項137】
前記抗原が、Flt3またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項138】
前記抗原が、CD33またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項139】
前記抗原が、Muc-16またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項140】
前記抗原が、CS1またはその断片である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項141】
前記抗原が、腫瘍新抗原である、請求項124または125に記載の方法。
【請求項142】
前記疾患が、感染因子によって引き起こされる感染症である、請求項117~121のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記感染因子が、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫である、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
合成受容体を発現する組換え免疫細胞(recombinant immune cell)を活性化する方法であって、以下を含む方法:
(a)目的の抗原を結合させるための手段、
(b)膜貫通ドメイン、及び
(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含む、細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
前記方法が、前記受容体を前記目的の抗原に結合させ、それによって前記組換え免疫細胞を活性化することを含む、前記方法。
【請求項145】
発現された合成受容体(synthetic receptor)を含む組換え免疫細胞であって、該受容体が、
(a)目的の抗原を結合させるための手段、
(b)膜貫通ドメイン、及び
(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含むかまたはそれからなる、細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
前記組換え免疫細胞が、前記目的の抗原を前記合成受容体に結合させることによって活性化される、前記組換え免疫細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された米国仮特許出願第63/208,580号の利益及び優先権を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。上記ASCIIコピーは、2022年5月31日に作成され、SRT-001WO_SL.txtという名前であり、536,567バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
合成免疫受容体及びそれらを発現する組換え細胞は、がん及び感染症などの状態に対する個別化治療のための胸躍る技術である。いわゆる「養子細胞療法」は、選択された抗原を標的とする合成受容体(しばしば「キメラ抗原受容体」または「CAR」)を免疫細胞に導入し、組換え免疫細胞(しばしば、選択された免疫細胞の種類に応じて「CAR-T」または「CAR-NK」細胞と称される)を生成することを伴う。対象への注入後、組換え免疫細胞は、病害(diseased)細胞または病原体を選択的に標的とする。
【0004】
CARベースの療法は、特にB細胞悪性腫瘍(B-cell malignancies)の治療において有望性を示しているが、そのような療法にはリスクがないわけではない。特定の限定は、免疫応答の過剰活性化(例えば、サイトカイン放出症候群、神経毒性、及びアナフィラキシー)に関連する毒性である。そのため、CARベースの治療に関連する毒性を低減するためには、新しい技術が必要である。CARに関連する毒性を制限するための1つのアプローチは、CAR活性化に関連する細胞内シグナル伝達ダイナミクスの調節である。従来のCAR分子は、抗原がCARに結合すると、T細胞またはNK細胞などの免疫細胞を活性化する、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する、CD3-ゼータ(CD3z)細胞内シグナル伝達ドメインを含む。しかしながら、CD3zシグナル伝達の堅牢な活性化は、免疫応答の過剰活性化及び結果として生じる毒性をもたらし得る。免疫細胞の過剰活性化はまた、免疫疲弊をもたらし得、免疫細胞は、免疫応答が持続するにつれて標的に対する活性を失う。
【0005】
1つの代替的なアプローチは、CD3zの細胞内シグナル伝達ドメインを、活性化時の毒性が低減された代替的なドメインに置き換えることである。キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)は、NK細胞によって発現される免疫受容体である。KIRは、免疫細胞の活性化を調節するために、ITAMまたは免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含有し得る。したがって、KIRベースの合成受容体は、毒性が低減され、疲弊の可能性が低い疾患の治療のための従来のCD3zベースのCARの有望な代替物を提供し得る。追加的なアプローチは、KIRドメインまたはその部分をCD3zドメインまたはその部分と組み合わせて組換え免疫細胞を生成することによって応答を調整することを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な実施形態では、(a)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、合成受容体を発現する組換え免疫細胞を活性化する方法が本明細書に開示され、方法は、抗原を抗原結合ドメインに結合し、それによって組換え免疫細胞を活性化することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8もしくは9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号12~16のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号12のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号13のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号14のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号15のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号16のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0009】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に配置されたヒンジ領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体またはその機能的断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、最小活性抗体断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一の軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一の重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはナチュラルキラー型T(NK-T)細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、NK-T細胞である。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍関連抗原である。一部の実施形態では、抗原は、CD19、メソテリン、CD123、BCMA、GD2、CD30、GPC3、CD22、HER2、CD20、EGFR、Flt3、CD33、Muc-16、CS1、および腫瘍新抗原からなるリストから選択される全タンパク質またはその断片である。一部の実施形態では、抗原は、CD19またはその断片(fragment)である。いくつかの実施形態では、抗原は、メソテリンまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD123またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、BCMAまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、GD2またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD30またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、GPC3またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD22またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、HER2またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD20またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、EGFRまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、Flt3またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD33またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、Muc-16またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CS1またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍新抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、感染因子に由来する。一部の実施形態では、感染因子は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫(parasitie)である。
【0014】
また、様々な実施形態では、発現された合成受容体を含む、組換え免疫細胞であって、受容体が、(a)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含むかまたはそれからなる細胞内シグナル伝達ドメインを含み、組換え免疫細胞が、抗原結合ドメインに同族抗原を結合させることによって活性化される組換え免疫細胞もまた、本明細書に開示される。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8もしくは9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号12~16のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号12のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号13のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号14のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号15のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号16のアミノ酸を含む共刺激ドメインをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1、2または3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0017】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に配置されたヒンジ領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体またはその機能的断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、最小活性抗体断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一の軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、単一の重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、T細胞、NK細胞、またはNK-T細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、NK-T細胞である。
【0021】
また、様々な実施形態では、疾患の治療を必要とする対象において疾患を治療する方法であって、本明細書に開示される組換え免疫細胞を対象に投与することを含む方法が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、組換え細胞は、対象に対して自己由来である。いくつかの実施形態では、組換え細胞は対象に同種異系である。
【0022】
いくつかの実施形態では、疾患はがんである。いくつかの実施形態では、がんは、造血器悪性腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍癌である。一部の実施形態では、抗原は、CD19、メソテリン、CD123、BCMA、GD2、CD30、GPC3、CD22、HER2、CD20、EGFR、Flt3、CD33、Muc-16、CS1、および腫瘍新抗原からなるリストから選択される全タンパク質またはその断片である。一部の実施形態では、抗原は、CD19またはその断片(fragment)である。いくつかの実施形態では、抗原は、メソテリンまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD123またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、BCMAまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、GD2またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD30またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、GPC3またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD22またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、HER2またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD20またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、EGFRまたはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、Flt3またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CD33またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、Muc-16またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、CS1またはその断片である。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍新抗原である。
【0023】
いくつかの実施形態では、疾患は、感染因子によって引き起こされる感染症である。一部の実施形態では、感染因子は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫(parasitie)である。
【0024】
また、様々な実施形態では、合成受容体を発現する組換え免疫細胞を活性化する方法であって、合成受容体が、(a)目的の抗原を結合させるための手段、(b)膜貫通ドメイン、及び(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、方法は、目的の抗原を結合させ、それによって組換え免疫細胞を活性化することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0025】
また、様々な実施形態では、発現された合成受容体を含む、組換え免疫細胞であって、受容体が、(a)目的の抗原を結合させる手段、(b)膜貫通ドメイン、及び(c)キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)に由来する10~29個のアミノ酸の配列を含むかまたはそれからなる細胞内シグナル伝達ドメインを含み、組換え免疫細胞が、同族抗原を抗原結合ドメインに結合させることによって活性化される組換え免疫細胞が本明細書に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】がん細胞への曝露(-Raji)なし、または(+Raji)有りで示される、組換え受容体を発現するJurkat T受容体細胞の活性化を示す。データを、X軸上の受容体導入遺伝子発現の代替測定であるmCherryによるフローサイトメトリー解析、及びY軸上のT細胞活性化の遺伝子発現レポーターであるmCitrineを用いた散布図として提示される。Aは、抗原結合ドメインを有しない合成受容体を発現する細胞を示す。Bは、CD3z細胞内シグナル伝達ドメイン(ICD)を含有する対照抗CD19CARを発現する細胞を示す。Cは、完全長KIR2DL4 ICDを含む合成受容体を発現する細胞を示す。象限は、組換え受容体(右側の2つの象限)及び活性化細胞(上部の2つの象限)を発現する細胞を示すゲートを示す。
【
図2】T細胞活性化の尺度としてのmCitrineレポーター発現の対数2倍変化を示す棒グラフ(左)と、KIR2DL4 ICDのN末端及び/またはC末端切断を示す合成受容体構築物(右)のダイアグラムを示す。
【
図3】Y軸上での、活性化性能の対数2倍率変化(log2FC)の棒グラフを示す。X軸は、CD3z ICDを伴う抗CD19陽性対照CARである、ICDを伴わない陰性対照CAR(ICD CARを伴わない)を含む、合成受容体を示す。発現される追加の構築物(1~5)は、完全長のKIR2DL4膜貫通ドメイン(TM)及びICD(#1)、KIR2DL4 ICD切断Aを有するKIR2DL4 TM(#2)、KIR2DL4 ICD ITIM T37A Y38F置換を有するKIR2DL4 TM(#3)、ICDを有しないKIR2DL4 TM(#4)、及びKIR2DL4 ICDを有するCD8a TM(#5)を含む。エラーバーは、標準エラーを表す。
【
図4A】CD19 scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次T細胞の形質導入及び機能評価を示す。FITCコンジュゲートCD19タンパク質を用いて測定し、MFIとして報告した形質導入効率を示す。細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した。
【
図4B】CD19 scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次T細胞の形質導入及び機能評価を示す。Raji標的細胞に曝露した
図4Aの形質導入されたT細胞についての短期ルシフェラーゼベースの細胞傷害性アッセイの読み出しを示す。細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した。
【
図4C】CD19 scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次T細胞の形質導入及び機能評価を示す。Raji標的細胞に曝露した
図4Aの形質導入されたT細胞についての反復ルシフェラーゼベースの細胞傷害性アッセイの読み出しを示す。細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した。
【
図5】CD19 scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次NK細胞の形質導入及び機能評価を示す。Aは、FITCコンジュゲートCD19タンパク質を用いて測定し、MFIとして報告した形質導入効率を示す。Bは、Raji標的細胞で活性化した
図5Aの形質導入したNK細胞におけるCD107aの測定を示す。
【
図6】NFAT-NFkB遺伝子活性化のマーカーとしてmCitrineを発現するように修飾され、CD19またはMSLN scFvを用いて示される組換え受容体を発現するJurkat T受容体細胞の活性化を示す。Aは、CD19を発現するRaji標的細胞に曝露した後のJurkat T細胞活性化を示す。Bは、MSLNを発現するK562標的細胞に曝露した後のJurkat T細胞活性化を示す。mCitrineを発現する細胞の割合を、フローサイトメトリーによって測定する。
【
図7】BCMA scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次T細胞の形質導入及び機能評価を示す。Aは、mScarlet蛍光レポータータンパク質の発現によって測定される形質導入効率を示す。Bは、24時間のインキュベーション後にAからの形質導入されたT細胞によって誘導されるK562-BCMA
+標的細胞の細胞傷害性を示す。これらのCAR T細胞の細胞毒性能力を、フローサイトメトリー(flow cytometry)によって評価した。
【
図8】MSLN scFvを有する示された組換え受容体を発現する一次T細胞の形質導入及び機能評価を示す。Aは、mScarlet蛍光レポータータンパク質の発現によって測定される形質導入効率を示す。Bは、24時間のインキュベーション後にAから形質導入されたT細胞によって誘導されるK562-MSLN
+標的細胞の細胞傷害性を示す。これらのCAR T細胞の細胞毒性能力を、フローサイトメトリー(flow cytometry)によって評価した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0028】
本明細書で使用される「a」及び「an」という用語は、「1つまたは複数」を意味し、文脈が適切でない限り、複数を含む。
【0029】
「抗原」という用語は、免疫応答を誘発することができる分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)またはその免疫学的に活性な断片を指す。ペプチド抗原は、典型的には、抗原提示細胞(APC)によって、Tリンパ球(T細胞とも呼ばれる)などの免疫細胞に提示される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「抗原特異的」は、所与の抗原に特異的である宿主において生成される免疫応答を指す。この用語は、高親和性で目的の抗原に結合させることができる抗体によって認識される抗原に対する応答、及びMHC分子及び目的の抗原の分解産物である短いペプチドを含む複合体を認識し、それに結合するT細胞受容体(TCR)による抗原に対する応答を含む。
【0031】
「融合ペプチド(fusion peptide)またはタンパク質」または「融合ペプチド(fused peptide)またはタンパク質」という用語は、配列中に同じアミノ酸鎖に発現する2つ以上のタンパク質またはペプチドを含む組換えタンパク質を指す。2つ以上のタンパク質またはペプチド核酸コード配列は、ベクターまたは発現プラスミドの単一のオープンリーディングフレームで順次発現させることができる。したがって、得られるペプチドまたはタンパク質は、N末端またはC末端でエンドツーエンド融合を介して接続された2つ以上の目的のタンパク質を有する単一のアミノ酸鎖を含む。本明細書で使用される場合、「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(がんなど)の発症を延期する、妨げる、遅延させる、阻止する、安定させる、抑制する、及び/または延期することを意味する。この遅延は、治療されている病歴及び/または個体に応じて異なる期間であり得る。当業者に明らかであるように、十分な、または著しい遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で予防を包含し得る。例えば、転移の発生などの後期がんは、遅延され得る。
【0032】
投与の関連での薬剤、例えば、細胞または薬学的組成物の「有効量」は、治療的または予防的結果などの所望の結果を達成するのに必要な投与量/量及び期間で有効な量を指す。
【0033】
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列に関してパーセント「同一性」または「配列同一性」という用語は、以下に記載の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して、または目視検査によって測定される、最大一致について比較及び整列させたときに、同じ特定のパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列またはサブ配列を指す。用途に応じて、パーセント「同一性」は、比較される配列の領域上にわたり、例えば、機能ドメイン上にわたり、あるいは、比較される2つの配列の全長上にわたり存在することができる。
【0034】
配列比較のために、典型的には、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)のパーセント配列同一性を計算する。
【0035】
比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所同一性アルゴリズムによって、the homology alignment algorithm of Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の同一性の検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または目視検査(一般に下記のAusubel et alを参照されたい)によって行うことができる。
【0036】
パーセント配列同一性及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のウェブサイトを介して一般に利用可能である。
【0037】
「薬学的組成物」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつその製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほどに有毒である追加の構成成分を全く含有しない、調製物を指す。
【0038】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられる。
【0039】
本明細書において使用される「予防すること」は、疾患に罹りやすいが、まだ疾患と診断されていない対象における疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。いくつかの実施形態では、提供される細胞及び組成物は、疾患の発症を遅らせるため、または疾患の進行を遅らせるために使用される。
【0040】
「予防的に有効な量」とは、所望の予防的結果を達成するために必要な投与量及び期間にわたって有効な量を指す。典型的であって必ずしもそうではないが、疾患の早期段階前または早期段階で予防用量が対象において用いられるため、予防上有効な量は、治療上有効な量よりも少ない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「組換え体」という用語は、天然に存在しないタンパク質、細胞、または生物を指す。用語は、「操作された」または「改変された」と互換的に使用される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」という用語は、同義的に使用され、合成受容体を発現する組換え免疫細胞が投与される生物を指す。対象は、哺乳動物対象、例えば、ヒト対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、状態、または障害を有する。いくつかの実施形態では、疾患、病態、または障害は、合成受容体によって標的化され得る特定の抗原の存在を特徴とする。
【0043】
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑制」することは、関心のある状態またはパラメータを除く他の同じ条件と比較した場合、または代替的に、別の状態と比較した場合、機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍の成長を抑制する組換え免疫細胞は、組換え免疫細胞の不在下での腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低下させる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法的変形)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに関連する症状、有害作用もしくは転帰、または表現型の完全または部分的な緩和または低減を指す。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾患進行速度の低減、病状の回復または一次緩和、および寛解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。本用語は、疾患の完全な治癒または全ての症状または転帰に対する任意の症状または効果(複数可)の完全な排除を意味するものではない。
【0045】
「治療有効量」の薬剤、例えば、細胞または薬学的組成物は、治療の疾患、状態、または障害の治療、及び/または薬物動態学的もしくは薬力学的効果のためなど、所望の治療結果を達成するのに必要な投与量及び期間で有効な量を指す。治療有効量は、対象の病態、年齢、性別、及び体重、ならびに投与される細胞の集団などの因子に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、提供される方法は、有効量、例えば、治療上有効な量で細胞及び/または組成物を投与することを含む。
【0046】
II.合成受容体
組換え免疫細胞及び合成受容体の活性化によって組換え免疫細胞を活性化する方法が本明細書に開示される。「合成受容体」は、リガンドによって結合されたときに応答を誘発する、複数の異なるタンパク質に由来する部分を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、合成受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。「キメラ抗原受容体」は、TCRの活性を模倣し、抗原に結合すると抗原特異的免疫細胞活性化を誘導することができる合成受容体である。CARは、ヒト白血球抗原(HLA)とは独立した細胞表面抗原を認識し、1つ以上のシグナル伝達分子を用いて、殺滅、増殖、及びサイトカイン産生のために遺伝子改変された免疫細胞を活性化する(Jena et al.,2010)。CARは、モノクローナル抗体の特異性を免疫細胞に付与するために用いられ得、それによって、例えば、養子細胞療法で使用するために、多数の特異的免疫細胞が生成されることを可能にする。いくつかの実施形態では、CARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及びリガンド結合領域を含む標的化ドメインを含む。他のCARデザインの特異性は、受容体(例えば、ペプチド)のリガンド、またはDectinなどのパターン認識受容体に由来し得る。いくつかの場合には、共刺激分子、撮像のためのレポーター遺伝子(例えば、ポジトロン放出断層撮影のための)、プロドラッグ、ホーミング受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、及びサイトカイン受容体の添加時にT細胞を条件的に除去する遺伝子産物を含む、分子をCARと共発現させることができる。
【0047】
CARを含む例示的な抗原受容体、及びそのような受容体を操作及び細胞に導入するための方法には、例えば、国際特許出願公開第WO2000/14257号、同第WO2013/126726号、同第WO2012/129514号、同第WO2014/031687号、同第WO2013/166321号、同第WO2013/071154号、同第WO2013/123061号、米国特許出願公開第US2002/131960号、同第US2013/287748号、同第US2013/0149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、及び同第8,479,118号に記載されているもの、ならびに欧州特許出願第EP2537416号及び/またはSadelain et al.,Cancer Discov.2013 April;3(4):388-398、Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338、Turtle et al.,Curr.Opin.Immunol.,2012 October;24(5):633-39、Wu et al.,Cancer,2012 March 18(2):160-75.
【0048】
IIa.細胞内シグナル伝達ドメイン
標的化ドメインは、一般に、CARの場合は、TCR複合体などの抗原受容体複合体を介した活性化を模倣するシグナル伝達成分、及び/または別の細胞表面受容体を介した信号などの1つ以上の細胞内シグナル伝達成分に連結される。したがって、いくつかの実施形態では、標的化(例えば、抗原結合)及び膜貫通ドメインは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは標的化ドメインに融合される。一実施形態では、受容体内のドメインのうちの1つ、例えば、CARと自然に会合する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの場合において、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避し、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、アミノ酸置換によって選択または修飾される。
【0049】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む。ITIMは、多くの免疫受容体の細胞内細胞質ドメイン上に見出されるタンパク質ドメインである。ITIMは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)による細胞活性化を阻害することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のITIMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMを含まない。
【0050】
様々な実施形態では、本明細書に開示される合成受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、KIR2DL4の細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列を含む。キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)の、またはKIR2DL4に由来する例示的な細胞内ドメインは、表1に提供される。様々な実施形態では、合成受容体は、表1に提供されるアミノ酸配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【表1】
【0051】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、完全長KIR2DL4(配列番号6)のアミノ酸263~377の配列に対応するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列内にアミノ酸置換T37A及び/またはY38Fを含む。細胞内シグナル伝達ドメインの長さが配列番号6の長さ未満である実施形態では、同一性パーセントは、細胞内シグナル伝達ドメインの長さにわたる、配列番号6に対するシグナル伝達ドメインの同一性に関して定義される。
【0052】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0053】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0054】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0055】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0056】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0057】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。
【0058】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、10~29個のアミノ酸の配列を含むかたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、完全長KIR2DL4のアミノ酸配列263~272に対応する配列、またはその配列に必須な同一性パーセントを有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、同一性パーセントは、90%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%である。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、完全長KIR2DL4のアミノ酸配列263~291のアミノ酸配列に対応する配列、またはその配列に必須なパーセント同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、同一性パーセントは、90%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%である。
【0059】
KIR
KIRは、NK細胞を含むリンパ球の特定のサブセットに存在する受容体の大きなファミリーである。KIRの命名法は、細胞外ドメイン(KIR2DまたはKIR3D)の数、及び細胞質尾部が長い(KIR2DLもしくはKIR3DL)または短い(KIR2DSまたはKIR3DS)のいずれかであるかに基づく。ヒト内では、所与のKIRの存在または不在は、単一の個体に存在するNK集団内の1つのNK細胞から別のNK細胞に可変である。ヒト集団内には、KIR分子の多型の比較的高いレベルも存在し、特定のKIR分子が一部の個体に存在するが、全ての個体に存在するわけではない。ある特定のKIR遺伝子産物は、適切なリガンドに結合したときにリンパ球活性の刺激を引き起こす。確認された刺激性KIRは全て、本質的に阻害性である他のKIR遺伝子産物以外のITAMを有するアダプター分子と会合する荷電膜貫通残基を有する短い細胞質尾部を有する。確認された全ての阻害性KIRは、長い細胞質尾部を有し、KIRサブタイプに応じて、HLA抗原の異なるサブセットと相互作用するように見える。阻害性KIRは、その細胞質内部分において、ホスファターゼを動員する1つ以上のITIMを示す。既知の阻害性KIR受容体は、KIR2DL及びKIR3DLサブファミリーのメンバーを含む。2つのIgドメイン(KIR2D)を有するKIR受容体は、HLA-Cアロタイプ:KIR2DL2(旧称p58.2)、または密接に関連する遺伝子産物であるKIR2DL3は、グループ2 HLA-Cアロタイプ(Cw1、3、7、及び8)によって共有されるエピトープを認識し、KIR2DL1(p58.1)は、逆グループ1 HLA-Cアロタイプ(Cw2、4、5、及び6)によって共有されるエピトープを認識する。KIR2DL1による認識は、HLA-C対立遺伝子の80位におけるLys残基の存在によって決定される。KIR2DL2及びKIR2DL3の認識は、80位におけるAsn残基の存在によって決定される。重要なことに、HLA-C対立遺伝子の大部分は、80位にAsnまたはLys残基のいずれかを有する。3つのIgドメインを有する1つのKIRであるKIR3DL1(p70)は、HLA-Bw4対立遺伝子によって共有されるエピトープを認識する。最後に、3つのIgドメインKIR3DL2(p140)を有する分子のホモ二量体は、HLA-A3及びHLA-A11を認識する。
【0060】
阻害性KIR及び他のクラスIの阻害受容体(Moretta et al,1997、Valiante et al,1997a、Lanier,1998)は、NK細胞によって共発現され得るが、任意の所与の個体のNKレパートリーには、単一のKIRを発現する細胞が存在し、したがって、対応するNK細胞は、特定のクラスI対立遺伝子群を発現する細胞によってのみブロックされる。
【0061】
共刺激ドメイン
様々な実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインをさらに含む。共刺激ドメインは、合成受容体の活性化に応答して免疫細胞の活性化を支持する追加のシグナル伝達入力を提供することができる。共刺激ドメインの機能に関するさらなる詳細は、Weinkove et al.,Clin Transl Immunology.2019;8(5):e1049に提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、例えば、CD3ゼータ(CD3z)鎖などの、T細胞活性化及び細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖などの、TCR複合体の細胞内成分を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、CD28、4-1BB、DAP10、またはDAP12などの免疫共刺激分子の細胞内成分を含む。例示的な共刺激ドメインは、表2に提供される。様々な実施形態では、合成受容体は、表2に提供されるアミノ酸配列を含む共刺激ドメインを含む。
【表2】
【0063】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0067】
IIb.膜貫通ドメイン
様々な実施形態では、合成受容体は、膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、標的化ドメイン及び/またはヒンジドメインは、1つ以上の膜貫通ドメインに連結されている。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、1つ以上の正荷電アミノ酸残基を含む。本明細書に開示される合成受容体で使用され得る例示的な膜貫通ドメインは、表3に提供される。様々な実施形態では、合成受容体は、表3に提供されるアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインを含む。
【表3】
【0068】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、KIR2DL4の膜貫通ドメインの配列、またはその機能的断片に類似または同一の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8aの膜貫通ドメインの配列に類似または同一の配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメインの配列に類似または同一の配列を含むかまたはそれからなる。
【0069】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%の配列同一性のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%の配列同一性のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%の配列同一性のアミノ酸配列を有するセグメントを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を有するセグメントを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、CARなどの組換え受容体は、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、及び/またはCH1/CL及び/またはFc領域などの免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは修飾バージョンであり得るか、またはそれらの少なくとも一部を含み得るスペーサーをさらに含む。いくつかの態様では、定常領域の一部は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として機能する。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加をもたらす長さであり得る。いくつかの例では、スペーサーは、12アミノ酸長であるか、約12アミノ酸長であるか、または約12アミノ酸長以下である。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有し、列挙された範囲のいずれかのエンドポイントの間の任意の整数を含むスペーサーが挙げられる。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、約12個以下のアミノ酸、約119個以下のアミノ酸、または約229個以下のアミノ酸を有する。例示的なスペーサーとしては、IgG4ヒンジ単独、CH2及びCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが挙げられる。例示的なスペーサーには、Hudecek et al.(2013)Clin.Cancer Res.,19:3153、国際特許出願公開第WO2014/031687号、米国特許第8,822,647号または公開された出願第US2014/0271635号が挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】
IIc.標的化ドメイン
様々な実施形態では、合成受容体は、標的化ドメインを含む。標的化ドメインは、対象となるリガンドに結合し、受容体活性化をもたらす立体構造な変化を誘導することができる。いくつかの実施形態では、標的化ドメインは、抗原結合ドメインである。抗原結合ドメインは、高い特異性で細胞外抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体またはその機能的断片を含む。本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、最も広い意味で使用され、インタクトな抗体及び機能的(抗原結合)抗体断片、ならびに標的抗原に特異的に結合することができる他の部分を含む、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。
【0074】
様々な実施形態では、抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに由来する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合部位は、単一のドメイン(単一ドメイン抗体またはsdAb)、例えば、ラクダ科抗体に由来する抗原結合部位、ラクダ科抗体(VNAR)に由来する抗原結合部位、またはナノボディ(VHH)を含む。抗原結合ドメインは、抗原結合断片(Fab)、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、一本鎖抗体断片(一本鎖可変断片(scFv)を含む)、及び単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む、任意の好適な形式であり得る。抗原結合ドメインはまた、遺伝子操作された及び/またはそうでなければ改変された形態の免疫グロブリン、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、及び多特異性、例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvなどのヘテロコンジュゲート抗体を含むことができる。
【0075】
様々な実施形態では、抗原結合部位は、1セットの相補性決定領域(CDR)を含む。「相補性決定領域」及び「CDR」という用語は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、抗原特異性及び/または結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが当該技術分野で既知である。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」及び「FR」は、重鎖及び軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すこと当該技術分野で既知である。一般に、各完全長重鎖可変領域(FR-H1、FR-H2、FR-H3、及びFR-H4)には4つのFRがあり、各完全長軽鎖可変領域(FR-L1、FR-L2、FR-L3、及びFR-L4)には4つのFRがある。
【0076】
所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(「Kabat」番号付けスキーム),Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」番号付けスキーム),MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,”J.Mol.Biol.262,732-745.”(「Contact」番号付けスキーム),Lefranc M P et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,”Dev Comp Immunol,2003 January;27(1):55-77(「IMGT」番号付けスキーム),and Honegger A and Pluckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,”J Mol Biol,2001 Jun.8;309(3):657-70,(「Aho」番号付けスキーム)に記載されるものを含む、任意の多くの既知のスキームを使用して容易に決定され得る。
【0077】
所与のCDRの境界は、同定に使用されるスキームに応じて変動し得る。例えば、Kabatスキームは、構造的アライメントに基づいており、一方、Chothiaスキームは、構造的情報に基づいている。Kabat及びChothiaスキームの両方の番号付けは、最も共通な抗体領域配列長に基づいており、挿入は、挿入文字、例えば、「30a」によって収容され、欠失は、いくつかの抗体に見られる。2つのスキームは、特定の挿入及び欠失(「インデル」)を異なる位置に配置し、差分(differential)番号付けをもたらす。Contactスキームは、複雑な結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothiaの番号付けスキームと類似している。
【0078】
様々な実施形態では、抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに由来しない。非免疫グロブリン抗原結合ドメインの非限定的な例としては、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アンチカリン、アビマー、ペプチドアプタマー、設計されたアンキリン反復タンパク質(DARPin)、モノボディ、nanoCLAMP、内因性リガンドまたはその断片、小分子、糖、脂質、ペプチド、及び目的の標的抗原に特異的及び/または選択的に結合する任意の他の好適な部分が挙げられる。
【0079】
本発明は、現在存在する、または将来開発され得る任意の好適な抗原結合ドメインを含むことができる。
【0080】
本明細書に開示される合成受容体に好適な例示的な抗原結合ドメインの非限定的なリストが、配列番号35~277として提供される。表4は、配列番号35~277に提供される各抗原結合ドメインによって結合される標的抗原を同定する。様々な実施形態では、合成受容体は、表4に提供されるアミノ酸配列を含む抗原結合ドメインを含む。
【表4】
【0081】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも99.9%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、配列番号35~277のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、標的化ドメインは、細胞内または細胞表面上の別のタンパク質の調節ドメインに結合する。いくつかの実施形態では、標的化ドメインは細胞内であり、受容体の細胞内ドメインに結合する。
【0083】
IId.ヒンジドメイン
様々な実施形態では、合成受容体は、ヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、合成受容体の細胞外部分(例えば、標的化ドメイン)を膜貫通部分及び細胞内部分に連結することができる。ヒンジドメインは、タンパク質内のその構造的役割に加えて、合成受容体の活性に影響を与えることができる。本明細書に開示される合成受容体に使用され得る例示的なヒンジドメインが、表5に提供される。様々な実施形態では、合成受容体は、表5に提供されるアミノ酸配列を含むヒンジドメインを含む。
【表5】
【0084】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4または5のアミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0087】
IIe.完全長受容体及び受容体断片
表6は、本明細書に記載される、または当該技術分野で既知の任意の標的化ドメインに作動可能に連結され得る、合成受容体の断片の例示的な配列を示す。いくつかの実施形態では、合成受容体は、N末端からC末端まで、標的化ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン(TM)、及び細胞内シグナル伝達ドメイン(ICD)を含む。様々な実施形態では、合成受容体は、表6に提供されるアミノ酸配列を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0088】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17~34のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号28のアミノ酸配列を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号32のアミノ酸配列を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号33のアミノ酸配列を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、合成受容体は、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0107】
III.組換え免疫細胞
合成受容体を発現する活性組換え免疫細胞及びその活性化方法が、本明細書に開示される。「活性免疫細胞」は、「抗原提示細胞」(または「APC」)によって提示される抗原に遭遇した免疫細胞である。APCは、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質を介して免疫細胞に抗原を提示する。主要組織適合性複合体(MHC)は、複数の遺伝子座を有する大きな遺伝子複合体である。MHC遺伝子座は、クラスI及びクラスII MHCと称される、MHC膜分子の2つの主要なクラスをコードする。「プロフェッショナルAPC」(例えば、樹状細胞、単核食細胞、またはB細胞)は、MHCクラスIIを発現するが、「プロフェッショナルAPC」ではない任意の有核細胞であり得る非プロフェッショナルAPCは、MHCクラスIを発現する。APCに遭遇すると、免疫細胞は「活性化状態」に入り、活性免疫細胞は、標的細胞において細胞死を直接誘導することができるか、または他の免疫細胞の機能を促進することができる(例えば、細胞外環境にサイトカインを放出することによって)。活性免疫細胞は、「不活性免疫細胞」と対比される。不活性免疫細胞は、標的細胞または他の免疫細胞に影響を及ぼさない。不活性免疫細胞は、「ナイーブ免疫細胞」であってもよく、これは、免疫細胞が抗原に遭遇したことがないことを意味する。不活性免疫細胞はまた、(例えば、「調節性」免疫細胞に遭遇することによって)不活性化された以前に活性な免疫細胞であってもよい。
【0108】
IIIa.免疫細胞の種類
T細胞
いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞はT細胞であり得る。T細胞は、典型的には、T細胞受容体(TCR)複合体と標的細胞の表面上の主要組織適合性(MHC)抗原複合体との間の有効な相互作用によって活性化される。ある場合には、標的細胞に対する免疫細胞活性化は、共刺激を必要とする。例えば、T細胞活性化は、TCRとMHC抗原複合体との間の相互作用(シグナル1)、及び1つ以上の共受容体と1つ以上の標的細胞抗原との間の相互作用(シグナル2)の両方による刺激を必要とし得る。シグナル2を提供しないと、T細胞アネルギー/寛容またはアポトーシスをもたらし得る(Macian et al,Curr Opin Immunol,16(2):209-216,2004;Pardigon et al,J Immunol,164(9):4493-4499,2000;Ward,Biochem J,318(Pt 2):361-377,1996;Zhong et al,Mol Ther,18(2):413-420,2010)。
【0109】
CD8+T細胞
いくつかの実施形態では、T細胞はCD8陽性「細胞傷害性」T細胞である。細胞傷害性T細胞は、MHC-I分子との関連で細胞表面上に提示されるペプチド断片を示す標的細胞を認識し、殺滅する。細胞傷害性T細胞は、標的細胞の膜と融合する溶解性顆粒中に予め形成された細胞毒素を貯蔵する。CD8+細胞傷害性T細胞はさらにFasリガンド(FasL)を発現し、それはFas発現標的細胞においてアポトーシスを誘導する。
【0110】
CD4+T細胞
いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4陽性「Tヘルパー」(TH)細胞である。TH細胞は、B細胞の増殖及びB細胞応答を調節するように機能する。TH細胞は、体液性免疫及び免疫病理において重要な役割を果たす。CD4+ Tヘルパー細胞は、TH1及びTH2細胞のいずれかに分化し、両方ともCD4を発現し、MHC-II分子の文脈で、細胞内小胞内で処理され、細胞表面上に提示されるペプチド断片を認識する。TH1細胞は、マクロファージ及びB細胞を含むいくつかの他の免疫細胞を直接的または間接的に活性化することができ、それによって、細胞内微生物のより効率的な破壊及びクリアランスを促進する。TH1細胞はまた、CD8細胞傷害性T細胞の活性化をもたらす経路(例えば、樹状細胞「ライセンシング」)に関与し得る。TH2細胞は、B細胞の分化を刺激し、体液性免疫応答の抗体及び他のエフェクター分子の産生を促進する。TH細胞は、抗原刺激及びサイトカイン環境に応じて、TH1またはTH2T細胞に分化することができる。IL-12の存在下で抗原によって最初に活性化されたTヘルパー細胞は、主にTH1細胞に発達するが、IL-4の存在下で活性化されたものは、主にTH2細胞に発達する。前駆体Tヘルパー細胞は、TH1またはTH2経路のいずれかを示すサイトカインを合成することができるようになる前に、個々の細胞分裂を必要とし得る。TH1及びTH2細胞の表現型は、早期活性化シグナル伝達経路において、特にTCR関連タンパク質チロシンキナーゼの役割において、互いに異なる。TCR及びFyn、p56(Ick)、及びZAP-70などのその下流タンパク質チロシンキナーゼは、TH1及びTH2細胞の発達及び分化に関与している。
【0111】
TH1及びTH2細胞は両方とも、CD4を発現し、細胞内小胞内で処理され、MHC-II分子の文脈で細胞表面上に提示されるペプチド断片を認識する。TH1細胞は、マクロファージ及びB細胞を含むいくつかの他の免疫細胞を活性化することができ、それによって、細胞内微生物のより効率的な破壊及びクリアランスを促進する。TH1細胞はまた、CD8+細胞傷害性T細胞の活性化をもたらす経路に関与し得る(例えば、樹状細胞「ライセンシング」)。TH2細胞は、B細胞の分化を刺激し、体液性免疫応答の抗体及び他のエフェクター分子の産生を促進する。
【0112】
TH17細胞は、IL-17を発現する炎症促進性TH細胞のサブセットである。TH17細胞は、TH1及びTH2細胞とは発生的に異なる。TH細胞のTH17細胞への分化を誘導するシグナル伝達経路は、Treg分化を阻害する。
【0113】
濾胞性Tヘルパー細胞(TFH)は、CD4+細胞のサブセットである。濾胞性Tヘルパー細胞は、同族のB細胞が胚中心(GC)反応を形成し維持するのを助け、体液性免疫応答を発達させるのに不可欠である。これらの細胞は、ケモカインCXCL131の勾配を介して濾胞性B細胞に誘導するケモカイン受容体CXCR5の発現によって広く定義される。TFH細胞はまた、転写因子Bcl6(Blimp-1/Prdm1を抑制する)及び高レベルの共刺激受容体ICOSを発現し、これらは両方ともそれらの分化及び維持に重要である。さらに、TFH細胞は、大量のIL-21を分泌し、これは、GC形成、アイソタイプスイッチング、及び形質細胞形成を補助する。機能的に類似したTFH細胞は、ヒト及びマウスにおいて、二次リンパ器官に見出すことができる。CXCR5+ TFH細胞はまた、末梢血中に存在し、自己抗体を有する個体において上昇したレベルで見られる。
【0114】
NK-T細胞
いくつかの実施形態では、T細胞は、ナチュラルキラーT(「NK-T」)細胞である。ナチュラルキラーT細胞は、固有の特性を有するTリンパ球のサブセットを表す。NK-T細胞は、機能的に分化した従来のαβ T細胞とは異なり、ナチュラルキラー細胞及びT細胞の両方の特性を共有しており、リガンドによる刺激時にTH1型及びTH2型の両方の応答を急速に生成することができる(先天性免疫)。逆説的に、NK-T細胞の活性化は、免疫応答の抑制または刺激のいずれかにつながり得る。例えば、TH1サイトカインの産生は、抗腫瘍、抗ウイルス/抗菌、及びアジュバント活性を有する細胞免疫を促進すると考えられているが、TH2サイトカインの産生は、自己免疫疾患を抑制し、抗体産生を促進すると考えられている。
【0115】
これらの細胞の多くは、自己由来及び外来脂質及び糖脂質に結合する抗原提示分子である非多型性CD1d分子を認識する。NK-T細胞のTCRは、CD1 d分子によって提示される(シャペロン化された)糖脂質抗原を認識することができる。NK-T細胞の主な応答は、刺激後のIL-4、IFN-γ及びIL-10を含むサイトカインの急速な分泌であり、したがって、多様な免疫応答及び病原性プロセスに影響を与える。NK-T細胞は、均一な集団または不均一な集団であり得る。1つの例示的な実装態様では、集団は、「非不変のNK-T細胞」であり得、これは、例えば、多様なTCRを発現するCD1d反応性非不変T細胞であり、また、大量のIL-4及びIFN-γも産生し得る、ヒト及びマウスの骨髄及びヒト肝臓T細胞集団を含み得る。CD1d依存性NK-T細胞の最もよく知られているサブセットは、不変TCR-アルファ(TCR-t)鎖を発現する。これらは、I型または不変NK-T細胞(iNK-T細胞)と称される。これらの細胞は、ヒト(Vα24i NK-T細胞)とマウス(Vα14i NK-T細胞)との間で保存され、多くの免疫学的プロセスに関与している。
【0116】
γδ-T細胞
CD4+及びCD8+サブセットを含む主な集団は、アルファ及びベータ鎖で構成される受容体を発現する。小さなサブセットは、ガンマ鎖及びデルタ鎖から作られたTCRを発現する。いくつかの実施形態では、T細胞は、ガンマデルタ(γδ)T細胞である。ガンマデルタ(γδ)T細胞は、循環リンパ球の3~10%を構成し、Vδ2+サブセットは、血液中のγδ-T細胞の75%を構成する。Vδ2+細胞は、非ペプチドエピトープを認識し、MHCまたはHLAによる抗原提示を必要としない。Vδ2+T細胞の大部分もVγ9鎖を発現し、メバロン酸及び非メバロン酸ステロール/イソプレノイド合成経路の中間体である5-炭素ピロリン酸化合物への曝露によって刺激される。イソペンテニルピロリン酸(5-炭素)に対する応答は、健康なヒトの間で普遍的である。γδ-T細胞の別のサブセットであるVδ+は、血液中で循環しているT細胞のはるかに小さい割合を構成するが、Vδ+1細胞は、上皮粘膜及び皮膚に一般的に見られる。
【0117】
一般に、γδ-T細胞は、腫瘍細胞及び病原体感染細胞を殺滅することを含む、いくつかの機能を有する。γ及びδという2つの糖タンパク質鎖からなる独自のTCRを介した刺激は、細胞傷害性、サイトカイン分泌、及び他のエフェクター機能の能力を改善する。γδ-T細胞のTCRは独自の特異性を有し、細胞自体は高いクローン頻度で発生するため、腫瘍や病原体に対する迅速な先天性様応答を可能にする。
【0118】
NK細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、非従来型免疫に関与するリンパ球のサブ集団である。NK細胞の特徴及び生物学的特性には、CD16、CD56、及び/またはCD57を含む表面抗原の発現、細胞表面上にアルファ/ベータまたはガンマ/デルタTCR複合体が存在しないこと、特定の細胞溶解酵素の活性化によって「自己」MHC/HLA抗原を発現しない細胞に結合して殺滅する能力、腫瘍細胞またはNK活性化受容体リガンドを発現する他の疾患細胞を殺滅する能力、免疫応答を刺激または阻害するサイトカインを放出する能力、ならびに複数回の細胞分裂を受け、親細胞と同様の生物学的特性を有する娘細胞を産生する能力が含まれる。本発明の文脈において、「活性」NK細胞は、生物学的に活性なNK細胞、より具体的には、標的細胞を溶解する能力を有するNK細胞を指す。例えば、「活性」NK細胞は、NK活性化受容体リガンドを発現し、「自己」MHC/HLA抗原(KIR不適合細胞)を発現しない細胞を殺滅することができる。
【0119】
NK細胞は、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI特異的阻害受容体によって負に調節される(Karre et al.,1986、Ohlen et al,1989)。これらの特異的受容体は、他の細胞上に存在するMHCクラスI分子またはHLAの多型決定基に結合し、NK細胞溶解を阻害する。
【0120】
IIIb.免疫細胞の単離
免疫細胞は、当該技術分野で知られる任意の適切な方法を使用して単離され得る。例えば、T細胞は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、G-CSFによる刺激後に収集されたPBMC、骨髄、または臍帯血から単離することができる。NK細胞は、ヒトPBMCまたは臍帯血から単離することができる。免疫細胞は、例えば、胚性幹細胞(ESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、または造血前駆細胞(HPC)などの幹細胞または前駆細胞から分化することもできる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、操作の前に患者から単離された一次細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、エクスビボで増殖された確立された細胞株に由来する。本発明で使用される細胞株の非限定的な例としては、NK-70NK細胞及びJurkat T細胞が挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、単離された免疫細胞は自己由来である。「自己由来」細胞は、それらが単離された同じ対象に投与される。いくつかの実施形態では、単離された免疫細胞は、同種である。「同種」(または「異種」)細胞は、それらが単離された対象とは異なる対象に投与される。単離された免疫細胞は、1日以上から数週間またはそれ以上の範囲の期間、エクスビボで増殖させることができる。
【0122】
IIIc.免疫細胞内の合成受容体の発現
本明細書に開示される合成受容体は、当業者に既知の方法を用いて作製することができる。いくつかの実施形態では、単離された免疫細胞は、本明細書に記載の合成受容体の配列をコードする核酸を含み、「組換え」細胞として知られている。いくつかの実施形態では、核酸は、合成受容体タンパク質に翻訳されるRNA分子である。いくつかの実施形態では、核酸は、合成受容体タンパク質をコードするDNA分子である(すなわち、DNAはmRNAに転写され、mRNAは合成受容体タンパク質に翻訳される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、合成受容体を細胞の表面に局在させる「シグナル配列」をさらに含む。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、合成受容体のN末端成分の内因性シグナル配列であり得る。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、合成受容体のシグナル配列とは異なるシグナル配列であり得る。しかしながら、選択されるシグナル配列は、受容体が細胞表面上に提示されるように、免疫細胞の分泌経路と適合するべきである。
【0123】
いくつかの実施形態では、合成受容体をコードする核酸配列を含むベクターを使用して、核酸を免疫細胞に送達する。核酸ベクターは、調節された真核生物プロモーター、例えば、MNDU3プロモーター、CMVプロモーター、EF1アルファプロモーター、またはユビキチンプロモーターの制御下で、所望の遺伝子を免疫細胞に送達するように設計することができる。また、ベクターは、他の理由がない場合、インビトロでのそれらの操作を容易にするために、選択可能なマーカーを含み得る。
【0124】
核酸または核酸ベクターは、当業者に既知の任意の好適な方法を使用して、単離された免疫細胞内に送達され得る。1つの非限定的な例において、合成受容体をコードする核酸配列を含む核酸ベクターを、ウイルスを産生するように設計することができる。ウイルスは、パッケージング細胞株を使用して産生され、次いで単離された免疫細胞に接触させ、単離された免疫細胞に合成受容体タンパク質を発現させることができる。好適なウイルスの非限定的な例としては、レトロウイルス、レンチウイルス、及びアデノウイルスが挙げられる。別の非限定的な例では、核酸または核酸ベクターは、トランスフェクション試薬を使用して単離された免疫細胞に送達され得る。トランスフェクション試薬は、核酸が細胞膜を貫通することを可能にし、そこで転写及び/または翻訳されて合成受容体を産生する。トランスフェクション試薬の非限定的な例としては、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン)、カチオン性脂質(例えば、リポフェクタミン2000)、及びFuGENE(Fugent,LLC.,Madison,WI,USA)またはリン酸カルシウムなどの他の試薬が挙げられる。
【0125】
本発明で使用される免疫細胞は、当業者に既知の任意の適切な方法を使用して、対象に投与される前に増大され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、合成受容体の発現前に増大される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、合成受容体の発現後に増殖される。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞の拡大は、それらの活性化の後に生じる。
【0126】
IIId.組換え免疫細胞の活性化
本明細書に記載される合成受容体を発現する組換え免疫細胞は、当業者に既知の任意の好適な方法を使用して活性化され得る。例えば、組換え免疫細胞を抗原提示細胞(APC)に接触させることができる。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、例えば、それらを、発現された合成受容体によって認識される抗原を提示するAPCと接触させることによって、エクスビボで活性化することができる。いくつかの実施形態では、ナイーブ組換え免疫細胞は、インビボで活性化される対象に投与され得る。
【0127】
マクロファージ、Bリンパ球、樹状細胞を含むプロフェッショナル抗原提示細胞は、それらのMHCクラスIIタンパク質の発現によって区別される。対照的に、全ての有核脊椎動物細胞は、MHCクラス-I分子を発現し、APCとしても機能することができる。APCは、抗原を内在化し、その抗原の一部を、その外細胞膜上にMHC分子とともに再発現させる。Tヘルパーリンパ球は、一般に、MHCクラスII分子に関連する抗原を認識し、T細胞傷害性リンパ球は、MHCクラスI分子に関連する抗原を認識する。ヒトでは、MHCはHLA複合体と称され、マウスではH-2複合体と称される。
【0128】
IV.組換え免疫細胞による治療
IVa.対象及び疾患
本明細書に詳述されるように、実施形態のCAR免疫細胞を使用して、対象における広範囲の疾患及び状態を治療することができる。本質的に、特定の抗原の特異的発現または増強された発現を伴う任意の疾患は、CAR細胞を抗原に標的化することによって治療することができる。例えば、感染症及びがんを本発明の方法及び/または組成物で治療することができる。これらには、原発性、転移性、再発性、治療に対して感受性(sensitive-to-therapy)、治療に対して難治性(refractory-to-therapy)ながん(例えば、化学難治性がん)などのがんが含まれる。がんは、血液、肺、脳、結腸、前立腺、乳房、肝臓、腎臓、胃、子宮頸部、卵巣、精巣、下垂体、食道、脾臓、皮膚、骨など(例えば、B細胞リンパ腫または黒色腫)であり得る。がん治療の場合、CAR細胞は典型的には、がん細胞抗原(腫瘍関連抗原(TAA)としても知られる)を標的とする。
【0129】
IVb.腫瘍抗原
いくつかの実施形態では、(抗原結合ドメインと称され得る)合成受容体の標的化ドメインは、腫瘍関連抗原を標的化するように設計される。TAAは、腫瘍細胞の細胞表面上で発現される限り、任意の種類であってもよい。腫瘍関連抗原の非限定的な例示的な実施形態としては、CD19、メソテリン、CD123、BCMA、GD2、CD30、GPC3、CD22、HER2、HER3、CD20、EGFR、がん胎児性抗原、アルファフェトタンパク質、CA-125、MUC-1、CD56、c-Met、AKT、上皮腫瘍抗原、黒色腫関連抗原、Flt3、CD33、Muc-16、CS1、及び腫瘍関連ネオ抗原が挙げられる。「ネオ抗原」は、腫瘍の一部または全ての細胞に存在するが、非腫瘍細胞には存在しない変異タンパク質である。
【0130】
いくつかの実施形態では、細胞内腫瘍関連抗原、例えばHA-1、サバイビン、WT1、及びp53が標的化されてもよい。これは、例えば、HLAの文脈において細胞内腫瘍関連抗原から記載される処理されたペプチドを認識するユニバーサルT細胞上に発現される合成受容体によって達成することができる。加えて、ユニバーサルT細胞は、HLAの文脈における細胞内処理された腫瘍関連抗原を認識するT細胞受容体対を発現するように遺伝子改変され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、合成受容体は、腫瘍関連抗原の量が少ない場合に持続性を改善するために、膜結合サイトカインと共発現させることができる。例えば、CARは、膜結合IL-15と共発現することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは造血器悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、限定されないが、上皮性新生物、扁平上皮細胞新生物、扁平上皮細胞癌、基底細胞新生物、基底細胞癌、移行細胞乳頭腫及び癌、腺腫及び腺癌(腺)、腺腫、腺癌、形成性胃炎インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、VIP産生腫瘍、胆管癌、肝細胞癌、腺様嚢胞癌、虫垂のカルチノイド腫瘍、プロラクチノーマ、オンコサイトーマ、ハースル細胞腺腫、腎細胞癌、グラビッツ腫瘍、多発性内分泌腫傷、類内膜腺腫、皮膚及び付属器新生物、粘膜表皮新生物、嚢胞性、粘液性及び漿液性新生物、嚢胞腺腫、腹膜偽粘液腫、管性、小葉性及び骨髄性新生物、腺房細胞新生物、複合上皮性新生物、ワルチン腫瘍、胸腺腫、特化性腺新生物、性索間質腫瘍、卵胞膜細胞腫、顆粒膜細胞腫瘍、男化腫瘍、Sertoli-Leydig細胞癌、グロムス腫瘍、パラガングリオーマ、褐色細胞腫、グロムス腫瘍、母斑及び黒色腫、色素細胞母斑、悪性黒色腫、黒色腫、結節型黒色腫、異形成母斑、悪性黒子型、表在拡大型黒色腫、悪性末端黒子型黒色腫、Askin腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、胞巣状軟部肉腫、脈管肉腫、葉状嚢肉腫、皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、血管外皮腫、血管肉腫、カポシ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、胚細胞腫、未分化胚細胞腫、精上皮腫、非胚芽腫胚細胞腫瘍、胎児性癌、胚葉洞腫瘍、絨毛腫、奇形腫、多胎芽腫、性腺芽腫、腎芽腫、髄芽腫、網膜芽腫、口唇癌、咽頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺癌(延髄及び甲状腺乳頭癌)、腎癌、腎実質癌、子宮頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛癌、精巣癌、膀胱癌、黒色腫、膠芽腫、星細胞系腫瘍、髄膜腫、髄芽腫、及び末梢神経外胚葉腫瘍などの脳腫瘍、胆嚢癌、肺癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜黒色腫、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫及び形質細胞腫、を含む軟組織肉腫から選択される。造血器悪性腫瘍としては、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(ヴァルデンストロームマクログロブリン血症など)、脾臓辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、モノクローナル免疫グロブリン沈着疾患、重鎖疾患、節外辺縁帯B細胞リンパ腫(マルトリンパ腫とも呼ばれる)、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、T細胞性前リンパ球性白血病、T細胞大粒状リンパ性白血病、悪性度NK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸疾患型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖性疾患、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、不特定の未分化大細胞リンパ腫、古典的ホジキンリンパ腫(結節性硬化症、混合細胞性、リンパ球が豊富、リンパ球が枯渇しているか枯渇していない)、及び結節性リンパ球優勢型ホジキンリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
IVc.感染症抗原
いくつかの実施形態では、合成受容体の標的化ドメインは、感染症を引き起こす生物(すなわち、感染因子)からの抗原を標的化するように設計される。いくつかの実施形態では、感染因子は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫である。いくつかの実施形態では、感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、または寄生虫感染症である。いくつかの実施形態では、感染因子は細菌である。感染を引き起こす細菌の例としては、Bacillus anthracis、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Brucella abortus、Brucella canis、Brucella melitensis、Brucella suis、Campylobacter jejuni、Chlamydia pneumonia、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila psittaci、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Corynebacterium diphtheria、Enterobacter sakazakii、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Francisella tularensis、Haemophilus influenza、Helicobacter pylori、Legionella pneumophila、Leptospira interrogans、Listeria monocytogenes、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulcerans、Mycoplasma pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pseudomonas aeruginosa、Rickettsia rickettsia、Salmonella typhi及びSalmonella typhimurium、Shigella sonnei、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumonia、Streptococcus pyogenes、Treponema pallidum、Vibrio cholera、Yersinia enterocolitica、ならびにYersinia pestisが含まれるが、それらに限定されない。
【0134】
いくつかの実施形態では、感染因子はウイルスである。感染を引き起こすウイルスの例としては、アデノウイルス科、ピコルノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、レトロウイルス科、コロナウイルス科、パピローマウイルス科、レオウイルス科、ヘパウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、パポバウイルス科、ポリオーマウイルス科、ニューモウイルス科、フィロウイルス科、パルボウイルス科、ポックスウイルス科、ラブドウイルス科、トガウイルス科が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
いくつかの実施形態では、感染因子は真菌である。感染を引き起こす真菌の例としては、Aspergillus属、Candida属、Cryptococcus属、Fusarium Histoplasma属、Basidiobolus属、Conidiobolus属Pneumocystis属、Mucor属、Rhizopus属、Absidia属、Cunninghamella属、Trichophyton属、Microsporum属、Epidermophyton属、及びStachybotrys属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
いくつかの実施形態では、感染因子は寄生虫(例えば、原虫、アメーバ)である。感染を引き起こす寄生虫の例としては、限定されないが、Acanthamoeba、Balamuthia mandrillaris、Cryptosporidium canis、Cryptosporidium felis、Cryptosporidium hominis、Cryptosporidium meleagridis、Cryptosporidium muris、Cryptosporidium parvum、Dientamoeba fragilis、Endolimax nana、Entamoeba dispar、Entamoeba hartmanni、Entamoeba histolytica、Entamoeba coli、Entamoeba moshkovskii、Giardia lamblia、Iodamoeba butschlii、Leishmania aethiopica、Leishmania braziliensis、Leishmania chagasi、Leishmania donovani、Leishmania infantum、Leishmania major、Leishmania mexicana、Leishmania tropica、Naegleria fowleri、Plasmodium falciparum、Plasmodium knowlesi、Plasmodium malariae、Plasmodium ovale、Plasmodium vivax、Sappinia diploidea、Toxoplasma gondii、Trichomonas vaginalis、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi Taenia solium、Taenia saginata、Hymenolepis.、Echinococcus granulosus、Echinococcus multilocularis、Multiceps multiceps、Schistosoma mansoni、Schistosoma japonicum、Fasciola hepatica、Ascaris、Enterobius、Filarioidea、Onchocerca、Rhabditis、Trichuris、Necator americanus、及びAncylostomaが挙げられる。
【0137】
IVd.医薬組成物
様々な実施形態で、合成受容体を発現する組換え免疫細胞を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。薬学的組成物は、概して、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0138】
様々な実施形態では、担体の選択は、部分的に、特定の細胞及び/または投与方法によって決定される。したがって、様々な好適な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は、防腐剤を含有することができる。好適な保存剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、及び塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。いくつかの態様では、2種以上の保存剤の混合物が使用される。保存剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、用いる投薬量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質、保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、またはデキストリンなどを含む単糖、二糖、及び他の炭化水素、EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの対イオン形成塩、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0139】
いくつかの実施形態では、緩衝剤が組成物に含まれる。好適な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、及び種々の他の酸及び塩が挙げられる。いくつかの態様では、2つ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は、当業者に既知である。例示的な方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams & Wilkins;21st ed.(May 1,2005)により詳細に記述されている。
【0140】
製剤または組成物は、活性組換え細胞、好ましくは結合分子または細胞に相補的な活性を有するものであって、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない、治療される特定の適応症、疾患、または病態に有用な2つ以上の活性成分を含有してもよい。かかる活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて存在することが好適である。したがって、いくつかの実施形態では、薬学的組成物はさらに、例えば化学療法剤(例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなど)、抗生物質剤(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、リファマイシン、リピアルマイシン、キノロン、スルホンアミド、マクロライド、リンコサミド、テトラサイクリンなど)、抗ウイルス剤(例えば、アバカビル、アデフォビル、バロキサビル マルボキシル、コビシスタット、ドラビリン、エファビレンツ、エトラビリン、イミキモド、メチサゾン、ニタゾキサニド、オセルタミビル、ペラミビル、レムデシビル、ウミフェノビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ザナミビルなど)、抗真菌剤(例えば、ポリエン、アゾール、アリルアミン、エキノカンジンなど)、または抗寄生虫薬(例えば、ニタゾキサニド、マラルソプロル、エフロルニチン、メトロニダゾール、チニダゾール、ミルテフォシン、メベンダゾール、ピランテルパモエート、アルベンダゾール、プラジカンテル、リファンピンなど)などの他の薬学的に活性な薬剤または薬物を含む。いくつかの実施形態では、細胞または抗体は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態で投与される。好適な薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸などの鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、及びアリールスルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸などの有機酸に由来するものが挙げられる。
【0141】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、治療上有効または予防的に有効な量など、疾患または状態を治療または予防するのに有効な量で活性組換え免疫細胞を含有する。いくつかの実施形態では、治療的または予防的効力は、治療対象の定期的評価によって監視される。数日間以上にわたる繰り返し投与の場合、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで治療を繰り返す。しかしながら、他の投与レジメンが有用であり得、決定することができる。所望の用量は、組成物の単回ボーラス投与、組成物の複数回ボーラス投与、または組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、組成物は、無菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供され、これらはいくつかの態様では、選択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は、特に注射によって投与することがより便利である。他方では、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘度範囲内で調合することができる。液体または粘性組成物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい担体を含んでもよい。
【0143】
滅菌注射用溶液は、好適な担体、希釈剤、または滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの賦形剤との混合物などの溶媒に結合分子を組み込むことによって調製することができる。組成物は、所望の調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または粘度向上添加剤、防腐剤などの補助物質を含有することができる。好適な調製物を準備するために、いくつかの態様では標準的なテキストを参照することができる。
【0144】
抗菌防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、及び緩衝剤を含む、組成物の安定性及び無菌性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって確実にすることができる。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0145】
in vivo投与のために使用されるべき製剤は、一般に滅菌されている。無菌状態は、例えば、無菌濾過膜を介する濾過によって、容易に達成され得る。
【0146】
IVe.投薬及び投与
また、本明細書では、様々な実施形態で、合成受容体を発現する活性組換え細胞の使用方法及び使用を提供する。そのような方法及び使用は、例えば、疾患、状態、または障害を有する対象への、細胞または細胞を含む組成物の投与を伴う治療方法及び使用を含む。いくつかの実施形態では、細胞及び/または組成物は、疾患または障害の治療に効果をもたらすために有効量で投与される。使用には、そのような方法及び治療、ならびにそのような治療方法を実施するための薬剤の調製における細胞の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、方法は、疾患または状態を有するかまたは有する疑いを有する対象に細胞または細胞を含む組成物を投与することによって実施される。いくつかの実施形態では、方法は、それによって、対象の疾患または状態または障害を治療する。
【0147】
養子細胞療法のための細胞の投与方法は既知であり、提供される方法及び組成物と関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法方法は、例えば、Gruenbergらへの米国特許出願公開第2003/0170238号、Rosenbergらへの米国特許第4,690,915号、Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol.8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al.(2013)Nat Biotechnol.31(10):928-933、Tsukahara et al.(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9、Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338を参照されたい。
【0148】
組換え細胞は、標準的な投与技術、製剤、及び/またはデバイスを使用して投与され得る。組成物の保管及び投与のための、製剤ならびにシリンジ及びバイアルなどのデバイスが提供される。細胞の投与は、自己由来または異種であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、1つの対象から得ることができ、同じ対象または異なる、適合性のある対象に投与することができる。末梢血由来免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロ由来)は、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む、局所注射によって投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は、一般に、単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化される。
【0149】
いくつかの実施形態では、合成受容体を発現する組換え細胞との関連で、対象に、約100万~約1000億個の範囲の細胞、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちのいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のうちのいずれか2つによって定義される範囲)、及び場合によっては、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)もしくはこれらの範囲の間の任意の値、及び/または対象の体重1キログラム当たりのそのような数の細胞が投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、組換え細胞は非経口投与される。本明細書で使用される「非経口」という用語は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣、ならびに腹腔内投与を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は、末梢全身送達を使用して、静脈内、腹腔内、または皮下注射によって対象に投与される。
【実施例】
【0151】
実施例1-KIR2DL4ベースの合成受容体によるT細胞の活性化
KIR2DLの膜貫通(TM)及び細胞内シグナル伝達ドメイン(ICD)を含むキメラ抗原受容体(CAR)を、抗原結合ドメインのない陰性対照CAR、CD3zシグナル伝達ドメインを有する陽性対照CARとともに、レンチウイルスベクターを使用して4つのJurkat T細胞に形質導入した。次いで、形質導入細胞を2日間培養してから、細胞の一部を採取し、天然のCD19発現Raji細胞と3:1の比(Raji:Jurkat)で共培養することによって刺激した。次いで、非刺激細胞及び刺激細胞の両方を、フローサイトメトリー解析前にさらに24時間培養した。組み込まれたレンチウイルス導入遺伝子コード受容体の発現を、同じベクターから発現されたmCherryタンパク質の蛍光として測定した。免疫活性化は、免疫刺激時にmCitrine-PEST短命蛍光タンパク質の発現をもたらすNFAT-NFkB遺伝子レポーターの蛍光として測定した。
【0152】
図1Aに示すように、抗原結合ドメインを欠くCARを発現する細胞は、CD19発現細胞への曝露によって活性化されなかった。陽性対照のCD3z含有CARを発現する細胞は、Raji細胞への曝露後に強く活性化された(
図1B)。最後に、Raji細胞に曝露した後、KIR2DLベースのCARを発現する細胞も強く活性化した。これらの結果は、KIR2DL4ベースのCARがT細胞の抗原特異的活性化を促進することができることを示している。
【0153】
実施例2-KIR2DL4細胞内シグナル伝達ドメインの特徴付け
免疫細胞活性化に必要及び/または十分であるKIR2DL4 ICDの一部を決定するために、6~20個のアミノ酸を進行的に除去することによって、予測される配列特徴に基づいて、9個のC末端、7個のN末端、及び6個のN末端ならびにC末端KIR2DL4 ICD切断変異体を生成した。KIR2DL4(VTYAQL)中のITIMモチーフは、完全長ICD(配列番号2)の36~41位に存在する。次いで、切断変異体を含む合成受容体を含むさらなる変異体を、レンチウイルスベクターを介してJurkat T細胞に形質導入した。次いで、これらの形質導入細胞を、細胞の一部を採取する前に2日間培養し、3:1の比率(Raji:Jurkat)で天然のCD19発現Raji細胞と混合した。非刺激細胞及び刺激細胞の両方を、フローサイトメトリー分析の前にさらに24時間培養した。
【0154】
図2に示すように、ICD細胞の最初の29AAを含有するC末端切断変異体(C9:「切断A」または「#2CAR」)を含む合成受容体は、T細胞を活性化する強力な能力を有した。さらに、最初の10個のアミノ酸を欠くKIR2DL4 ICDを含むCARは、T細胞活性化(N1)を誘導する能力の低下をもたらした。これらのデータは、ICD10~29アミノ酸長のN末端領域の一部の組み合わせが、合成受容体の免疫活性化機能に不可欠であることを示す。
【0155】
KIR2DL4ベースの合成受容体の必須部分をさらに特徴付ける。ICDを欠く陰性対照CAR(ICD CARなし)、CD3z ICDを有する陽性対照CAR、及び全長KIR2DL4 TM-ICDを含むCAR(#1CAR)、KIR2DL4 ICD切断Aを有するKIR2DL4 TM(#2CAR)、KIR2DL4 ICD ITIM置換変異体を有するKIR2DL4 TM(#3CAR)、ICDを有しないKIR2DL4 TM(#4CAR)、及びKIR2DL4 ICDを有するCD8a TM(#5CAR)を含む、合成受容体の複数の変異体。次いで、これらの合成受容体を、レンチウイルスベクターを介してJurkat T細胞に形質導入した。次いで、形質導入細胞を2日間培養した後、3:1の比(Raji:Jurkat)で天然にCD19発現するRaji細胞と共培養することによって刺激した。FACS解析の前に、刺激細胞をさらに24時間培養した。最高(陽性)及び最低の活性化細胞のそれぞれ100,000個を単離し、次世代シーケンシングを使用して、これらの細胞に含まれる構築物を同定した。細胞の陽性及び陰性集団における構築物の比率は、log2倍率変化として表される。実験を3つの独立した反復で行った。
【0156】
図3に示すように、KIR2DL4 TMドメイン及び完全長KIR2DL4 ICD、最初の29個のアミノ酸、またはITIMに変異を有する完全長ICDのいずれかを含む合成受容体は、T細胞を活性化する強力な能力を有する。ICDを完全に除去し、KIR2DL4 TMドメイン(#4CAR)のみを残すことは、任意の活性を誘導するのに十分ではない。興味深いことに、KIR2DL4 TMを除去し、それをCD8a TM(#5)で置き換えることは、完全長KIR2DL4 ICDの存在下であっても活性を完全に排除する。
【0157】
別の実験では、一次T細胞を、示されているキメラ受容体でモック処理(非形質導入)または形質導入した。これらの構築物をCD19 scFvでクローニングした。製造終了時に、形質導入効率をFITC結合CD19タンパク質で測定し、MFIとして報告する。次に、形質導入されたT細胞を、ルシフェラーゼ発現Raji細胞に対して1:1のエフェクター対標的比で曝露して、細胞傷害性を測定する(
図4A)。短期細胞傷害性は、24時間後に測定される(
図4B)。反復的な細胞傷害性は、48時間ごとに2ラウンド連続してRaji細胞曝露を行うことによって測定される(
図4C)。両方の場合において、細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した。
【0158】
一次NK細胞を、示されたキメラ受容体でモック処理(非形質導入)または形質導入した。これらの構築物をCD19 scFvでクローニングした。製造終了時に、形質導入効率をFITC結合CD19タンパク質で測定し、MFIとして報告する。次に、形質導入されたNK細胞を、1:1のエフェクター対標的比でRaji細胞に1時間曝露させて、機能的脱顆粒を誘導する(
図5A)。脱顆粒は、細胞表面上のCD107aのフローサイトメトリーベースの検出によって測定される(
図5B)。
【0159】
総合すると、これらの結果は、KIR2DL4膜貫通ドメインならびに最初の10~29個のアミノ酸が、KIR2DL4ベースの合成受容体による免疫細胞の活性化に必要であることを示す。これらの結果はまた、このドメインを含む合成受容体が、短期的かつ持続的な免疫細胞活性化をサポートすることができることを実証する。
【0160】
実施例3-KIR2DL4ベースの合成受容体活性化と共刺激ドメインとの組み合わせ
操作されたJurkat T細胞を、CD28(28z)もしくは4-1BB(41BBz)共刺激ドメインのいずれかを有する、またはKIR2DL4ドメインを含有する異なるキメラ受容体を有する2つの陽性対照CARをコードするレンチウイルスベクターでモック処理(非形質導入)したか、または形質導入した。受容体には以下が含まれる:C8切断[KIR2DL4(C8)]ICDドメインを有するKIR2DL4 TM(#6CAR、配列番号32)、KIR2DL4(C8)及び4-1BB ICDドメインを有するWT KIR2DL4 TM(#7CAR;配列番号33)、ならびにKIR2DL4(C8)及びDAP10 ICDドメインを有するWT KIR2DL4 TM(#8CAR;配列番号44)。これらの構築物をCD19またはMSLN scFvでクローニングした。
【0161】
1つの実験では、形質導入細胞を2日間培養してから、細胞の一部を採取し、天然にCD19発現するRaji細胞またはMSLN発現K562細胞と1:1のエフェクター対標的細胞比で24時間混合した。免疫活性化は、免疫刺激時にmCitrine-PEST短命蛍光タンパク質の発現をもたらすNFAT-NFkB遺伝子レポーターの蛍光としてフローサイトメトリーによって測定した。データは、フローサイトメトリーによって測定したmCitrineを発現する細胞の割合として表される。
図6Aは、CD19
+標的細胞に対するCD19-CAR免疫細胞の活性化を示す。
図6Bは、MSLN
+標的細胞に対するMSLN-CAR免疫細胞の活性化を示す。
【0162】
別の実験では、一次T細胞を、示されているキメラ受容体でモック処理(非形質導入)または形質導入した。これらの構築物をBCMA scFvでクローニングした。製造の終わりに、形質導入効率は、mScarlet蛍光レポータータンパク質の発現によって測定される(
図7A)。その後、形質導入されたT細胞を、BCMA発現K562細胞に5:1のエフェクター対標的比で24時間曝露して、フローサイトメトリーによって細胞傷害性を測定する。細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した(
図7B)。
【0163】
別の実験では、一次T細胞を、示されているキメラ受容体でモック処理(非形質導入)または形質導入した。これらの構築物をMSLN scFvでクローニングした。製造の終わりに、形質導入効率が、mScarlet蛍光レポータータンパク質の発現によって測定される(
図8A)。その後、形質導入されたT細胞を、MSLN発現K562細胞に5:1のエフェクター対標的比で24時間曝露して、フローサイトメトリーによって細胞傷害性を測定する。細胞傷害性は、各条件における殺滅を、標的細胞のみを含有するウェルに正規化することによって計算した(
図8B)。
【0164】
これらの結果は、CD3z、4-1BB、またはDAP10などの共刺激ドメインが、KIR2DL4ベースの合成受容体と互換性があり、免疫細胞活性化をサポートするために使用され得ることを示している。
【0165】
参照による組み込み
本明細書において参照される特許資料及び科学論文の各々のすべての開示は、あらゆる目的のために参照により援用される。
【0166】
均等物
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書に説明される本発明を限定するものではなく、あらゆる点において例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入るすべての変更は、その中に含まれることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】