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特表2024-521459分散型光ファイバセンシングを使用した、配備されたファイバケーブルの内部ファイバの特定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】分散型光ファイバセンシングを使用した、配備されたファイバケーブルの内部ファイバの特定
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G01H9/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576210
(86)(22)【出願日】2022-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022038105
(87)【国際公開番号】W WO2023004181
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/224,963
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/871,888
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ミン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA01
2G064AB22
2G064BC12
2G064BC32
2G064BC33
(57)【要約】
ファイバ切断など何らかの重大な信号障害を受けている光ファイバケーブル内の個々のファイバを自動的に特定するためのシステムおよび方法。動作上、分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムを使用して、影響を受けたファイバに沿って反射信号を検出し、反射特性の変化から影響を受けたファイバの判定を行う。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシングシステム(DFOS)を用いて切断されたファイバケーブルの内部ファイバを特定するための方法であって、
分散型光ファイバセンシングシステム(DFOS)を準備するステップであって、前記システムは、
複数の個々の切断された光ファイバを内部に含む切断された光ファイバケーブルと、
DFOSインタロゲータおよびアナライザと、を含み、前記DFOSインタロゲータは、レーザ光から光パルスを生成し、該パルスを光ファイバに取り込み、該光ファイバからのレイリー反射信号を検出/受信するように構成され、前記アナライザは、前記レイリー反射信号を分析して該分析したレイリー反射信号から位置/時間ウォーターフォールプロットを生成するように構成されているステップと、
前記切断された光ファイバケーブルに含まれる前記光ファイバの個々に前記DFOSシステムを接続するステップと、
前記個々の切断された光ファイバのうちの1つの切断端を屈折率整合ゲルの中に配置するステップと、
前記DFOSシステムを動作させ、受信した反射信号から、前記DFOSシステムが接続されている前記個々の光ファイバが前記屈折率整合ゲル中に配置された同じファイバであるかどうかを判断するステップと、
前記判断の指標を提供するステップと、
逐次切断された個々のファイバについて上記の手順を繰り返すステップと、を含む方法。
【請求項2】
モバイル装置を使用して、ファイバ切断の位置からリアルタイムのフィードバックを提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、光ファイバ通信設備およびそれを介した分散型光ファイバセンシング(DFOS)に関する。より詳細には、本開示は、分散型光ファイバセンシングを使用して、配備されたファイバケーブルの内部ファイバを特定するためのシステムおよび方法について説明する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、現在、数百万マイルに亘って光ファイバ通信設備が配備され、数多くの現代の通信サービスが提供されている。このような配備された設備には、効率的な配置を強化するために、多数の個別のファイバを含む光ファイバケーブルが含まれている。したがって、通信サービスプロバイダにとって、ファイバケーブルに障害(例えば、ファイバ切断またはその他の損傷)が発生した場合に、広大な光ファイバケーブル内の個々のファイバの位置を特定することが極めて重要である。多くの場合、サービスプロバイダは、手動で記録された情報や建設/現場の地図(これらは古い場合が多い)に頼らざるを得ない。したがって、光ファイバケーブル内の個々のファイバの位置特定を容易にするシステムおよび方法は、当技術分野にとって好適なものの1つとなるであろう。
【発明の概要】
【0003】
何らかの形で重大な信号障害を受けている光ファイバケーブル内の個々のファイバを自動的に特定するためのシステムおよび方法を対象とする本開示の態様に従って、当技術分野の進歩がもたらされる。動作上、本発明のシステムおよび方法は、光ファイバの切断点の端からの反射の変化を利用する。DFOSシステムは、ファイバに沿った反射信号を検出するために使用される。光ファイバが切断されると、空気からの最大4%の反射により、反射信号は切断されていないファイバの場合よりも大きくなる。
【0004】
より具体的には、本開示の態様による本発明の方法は、DFOSシステムを準備し、そのシステムを調査中のフィールドファイバに接続する。ケーブル(ファイバ)の切断が指摘された場所に技術者が配置される。技術者は、ファイバを終端するか、屈折率整合ゲルを端部に塗布して屈折率を変更する。技術者は、DFOSの動作中に、終端するファイバ、または屈折率整合ゲルを適用するファイバを繰り返し交換する。DFOSは、減少した反射信号を識別し、影響を受けたファイバを特定する。技術者は、損傷したファイバを修復する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示のより完全な理解は、添付図面を参照することによって実現され得る。
【0006】
図1】本開示の態様による例示的な分散型光ファイバセンシングシステムの概略図である。
【0007】
図2(A)】本開示の態様による、配備された光ファイバケーブルにおけるケーブル切断の問題を示す概略図である。
図2(B)】本開示の態様による、配備された光ファイバケーブルにおけるケーブル切断の問題を示す概略図である。
【0008】
図3】本開示の態様による例示的なアーキテクチャレイアウトを示す概略図である。
【0009】
図4】本開示の態様による例示的な実験装置を示す概略図である。
【0010】
図5】本開示の態様による、ファイバがFC/APCファイバパッチケーブルに接続された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0011】
図6】本開示の態様による、ファイバが手で切断された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0012】
図7】本開示の態様による、ファイバ端が水中に配置された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0013】
図8】本開示の態様による、ファイバが手で切断された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0014】
図9】本開示の態様による、ファイバ端が水中に配置された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0015】
図10】本開示の態様による、ファイバ端が終端された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0016】
図11】本開示の態様による方法の例示的な特徴を示す概略特徴図である。
【0017】
図12】本開示の態様による例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は様々な形態で実施することができ、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【0019】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者は本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0020】
さらに、本明細書に記載されているすべての実施例および条件付き用語は、本開示の原理および技術を促進するために発明者によって寄与された概念を読者が理解するのを助けるための教育目的のためだけのものであることを意図しており、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0021】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態を記載する本明細書のすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物と、将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発された要素との両方を含むことが意図されている。
【0022】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことは、当業者には理解されるであろう。
【0023】
本明細書で特に明記しない限り、図面を構成する図は、縮尺通りに描かれていない。
【0024】
いくつかの追加の背景として、分散型光ファイバセンシングシステムは、光電子インテグレータを光ファイバ(またはケーブル)に相互接続し、ファイバをファイバの長さに沿って分散されたセンサの配列に変換することに留意する。実際には、ファイバはセンサになり、インタロゲータはファイバ内にレーザ光エネルギーを生成/注入し、ファイバ長に沿った事象を感知/検出する。
【0025】
当業者が理解し、認識するように、DFOS技術は、車両の動き、人間の往来、掘削活動、地震活動、温度、構造的完全性、液体および気体の漏れ、ならびにその他多くの条件および活動を連続的に監視するために展開することができる。これは、発電所、通信ネットワーク、鉄道、道路、橋、国境、重要なインフラ、地上および海底の電力およびパイプライン、ならびに、石油、ガスおよび強化された地熱発電におけるダウンホール用途を監視するために世界中で使用されている。有利には、分散型光ファイバセンシングは、見通し線(line of sight)または遠隔電力アクセスによって制約されることがなく、システム構成によっては、30マイルを超える連続的な長さで展開することができ、その長さに沿ったすべてのポイントで感知/検出が可能である。したがって、長距離にわたるセンシングポイント当たりのコストは、通常、競合する技術とは比較にならない。
【0026】
光ファイバセンシングは、センシングファイバが振動、歪み、または温度変化の事象に遭遇したときに、光センシングファイバで発生する光の「後方散乱」の変化を測定する。上述のように、センシングファイバは全長にわたってセンサとして機能し、物理的/環境的な周囲の状況、およびファイバの保全/セキュリティに関するリアルタイム情報を提供する。さらに、分散型光ファイバセンシングデータは、センシングファイバまたはその近傍で発生する事象および状態の正確な位置を特定する。
【0027】
図1には、人工知能分析およびクラウドストレージ/サービスを含む分散型光ファイバセンシングシステムの一般化された構成および動作を示す概略図が示されている。図1を参照すると、インタロゲータに接続された光センシングファイバを観察することができる。知られているように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱された後に受信された信号を検出/分析するシステムである。信号が分析され、ファイバに沿って遭遇する環境条件を示す出力が生成される。このように受信された信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、およびブリリオン後方散乱などのファイバ内の反射から生じ得る。また、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号であってもよい。一般性を失うことなく、以下の説明では、反射信号を想定しているが、同じアプローチを転送信号にも適用することができる。
【0028】
理解されるように、現代のDFOSシステムは、周期的に光パルス(または任意の符号化信号)を生成し、それらを光ファイバに注入するインタロゲータを含む。注入された光パルス信号は、光ファイバに沿って伝送される。
【0029】
ファイバに沿った位置では、信号のごく一部が散乱/反射され、インタロゲータに戻される。散乱/反射信号は、インタロゲータが検出するために使用する情報、例えば、機械的な振動を示す電力レベルの変化を伝送する。
【0030】
反射信号は、電気領域に変換され、インタロゲータの内部で処理される。パルス注入時間と信号が検出された時間とに基づいて、インタロゲータは信号がファイバに沿ったどの位置から来ているかを決定し、したがって、ファイバに沿った各位置の活動を感知することができる。
【0031】
分散型音響センシング(DAS)/分散型振動センシング(DVS)システムは、振動を検出し、光センシングファイバに沿って音響エネルギーを捕捉する。有利には、既存の、トラフィックを運ぶ光ファイバネットワークを利用して、分散型音響センサに変換し、実時間データを捕捉することができる。さらに、分類アルゴリズムを使用して、漏洩、ケーブル障害、侵入活動、または音響および/または振動の両方を含む他の異常な事象などの事象を検出および位置特定することができる。
【0032】
現在、様々なDAS/DVS技術が使用されており、最も一般的なものはコヒーレント光時間領域反射率測定(C-OTDR)に基づくものである。C-OTDRは、レイリー後方散乱を利用し、音響周波数信号を長距離にわたって検出することができる。インタロゲータは、光センサファイバ(ケーブル)に沿ってコヒーレントレーザパルスを送信する。ファイバ内の散乱サイトにより、ファイバはパルス長と同じゲージ長(例えば、10メートル)を有する分散型干渉計として機能する。センサファイバに作用する音響/機械的擾乱(Acoustic/mechanicaldisturbance)は、ファイバの微視的な伸び又は圧縮(微小歪み)を発生させ、その結果、ファイバ内を通る光パルスの位相関係及び/又は振幅の変化を引き起こす。
【0033】
次のレーザパルスが送信される前に、前のパルスがセンシングファイバの全長を移動し、その散乱/反射が戻る時間がなければならない。よって、最大パルスレートはファイバの長さによって決定される。したがって、通常はパルスレートの半分であるナイキスト周波数までの周波数で変化する音響信号を測定することができる。より高い周波数は非常に速く減衰するため、事象の検出と分類に関連する周波数のほとんどは、2kHzの範囲の低い範囲にある。
【0034】
図2(A)および図2(B)は、本開示の態様による配備された光ファイバケーブルにおけるケーブル切断の問題を示す概略図である。通常、図2(A)に示すように、配備されたファイバケーブルには、F1ファイバ(中央局からの主要ファイバケーブル)およびF2ファイバ(ファイバ分散ハブ(FDH)からのドロップファイバ)が含まれる。F1ファイバケーブル内には数百または数千の個々の光ファイバが存在することが多く、地下に埋められることが多いF2ファイバケーブル内には数十または数百の個々の光ファイバが存在することが多いことに留意する。ケーブル切断事象が発生すると、図2(B)に例示的に示すように、直ちに修理が必要な影響を受けたファイバを特定することは困難である。もちろん、派遣されている現場技術者は、切断されたケーブルのファイバ束全体を修復することは可能であるが、これは時間のかかるプロジェクトである。その結果、派遣された現場技術者は、通常、顧客の緊急の順序に従ってファイバを特定/修理する。
【0035】
図3は、本開示の態様による例示的なアーキテクチャレイアウトを示す概略図である。この図を参照すると、分散型光ファイバセンシングシステム(DFOS)(101)は、分散型音響センシング(DAS)および/または分散型振動センシング(DVS)システムであることが有利であり、一般に、ケーブル経路全体を遠隔監視するための制御局(CO)/中央局(100)に配置されていることが分かる。DFOSシステムは、フィールド光ファイバに接続され、センシング機能を提供する。有利なことに、センサファイバは、サービスプロバイダからのダークファイバ(ライブトラフィックを伝送しない)または運用ファイバー(ライブトラフィックを伝送する)とすることができる。ケーブル切断事象が発生すると、以下の動作が行われる。
【0036】
ステップ-1:ファイバをDFOSシステムに接続。現場技術者は、ファイバケーブル(201)内のダークファイバまたはターゲットファイバ(顧客の緊急のニーズのためにできるだけ早く修理する必要があるファイバ)(202)をDFOSシステムに接続する。
【0037】
ステップ-2:モバイル装置を持って現場に行く。現場技術者は、4G/5G信号によってDFOSシステム(101/102)と通信し、DFOSシステム(101/102)からリアルタイム信号分析結果を受信するモバイル装置(301)を持って、ケーブル切断位置(300)に移動する。
【0038】
ステップ-3:ファイバを水または屈折率整合ゲルの入ったコップに入れて、ターゲットとなるファイバを特定する。水槽または屈折率整合ゲル(IMG)を準備し、ファイバ(任意のファイバ)を水またはIMGに挿入し、モバイル装置からのセンシング結果を待つ。試験対象のファイバがターゲットファイバ(DFOSシステムに接続されている)ではない場合は、ターゲットファイバを特定するまで別のファイバに変更する。
【0039】
ステップ-4:ファイバを修復する。ターゲットファイバを特定した後、技術者は、サービス停止時間を短縮するためにファイバを修理する。
【0040】
図4は、本開示の態様による例示的な実験装置を示す概略図である。
【0041】
本発明の方法を評価するために、ファイバ切断事象を模した実験室での実験を行った。実験装置を図4に示す。19.95kmのファイバスプールの一端をDFOSシステムに接続し、もう一端を水槽内に入れた。いくつかの事象のシミュレーションを行った。(1)ファイバをAPCファイバパッチケーブルに接続、(2)ファイバを手で切断、(3)ファイバをハサミで切断、(4)ファイバの終端。
【0042】
図5は、本開示の態様による、ファイバがFC/APCファイバパッチケーブルに接続された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0043】
事象-1:ファイバをAPCファイバパッチケーブルに接続した。図5は、ファイバがFC/APCファイバパッチケーブルに接続された場合にDASによって受信された反射信号のプロットを示す。最後に反射された信号は、APCジャンパの終点を表していた。このプロットから、反射信号は、ファイバキャップ内の空気によって引き起こされるSNRが~9.2dBとなり、隣接信号よりも高いことがわかる。
【0044】
図6は、本開示の態様による、ファイバが手で切断された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0045】
事象-2:ファイバを手で切断した。図6は、ファイバが手で切断された場合(ケーブル切断事象のシミュレーション)にDASによって受信された反射信号を示す。この図から、反射信号は、空気中での反射によって引き起こされるSNRが15dBを超えており、隣接信号よりもはるかに高いことがわかる。
【0046】
図7は、本開示の態様による、ファイバ端が水中に配置された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。この図から、反射信号は、屈折率の変化により隣接信号と同様に~7dBに大幅に減少し、DASに戻る反射信号が減少していることがわかる。
【0047】
図8は、本開示の態様による、ファイバが手で切断された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0048】
事象-3:ファイバをハサミで切断した。図8は、ケーブル切断事象のシミュレーションを行うためにファイバをハサミで切断した場合にDASによって受信された反射信号を示す。この図から、反射信号は、空気中での反射によって引き起こされるSNRが15dBを超えており、隣接信号よりもはるかに高いことがわかる。
【0049】
図9は、本開示の態様による、ファイバ端が水中に配置された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。図9は、切断されたファイバが水中に配置された場合に受信された反射信号を示す。この図から、反射信号が~10.5dBまで大幅に減少したことがわかる。この反射信号は、手で切断したものよりも高かった。これは、手作業で切断した場合に平坦でない表面ができるのに対して、ハサミでは平らな切断面ができることに起因すると考えられる。ただし、空気中と水中とでは屈折率が変化するため、信号のSNRは低下した。
【0050】
図10は、本開示の態様による、ファイバ端が終端された場合にDASによって受信される例示的な信号を示すプロットである。
【0051】
事象-4:ファイバの終端。図10は、ファイバが終端された場合にDASによって受信された反射信号を示す。SNRは隣接信号と同等かそれより低く、これは終点からのさらなる反射がないことを示す。実験結果に基づいて、本開示の内部ファイバ特定方法は、反射信号の強度変化に基づいて個々のファイバを効果的に判定する。これまでに示したように、ファイバ終端技術は、本発明のDFOS手法と併用すると最も効果的である。有利なことに、そのような終端が不可能であるか、特定の現場作業において非実用的である場合、技術者はファイバを水または屈折率整合ゲルに挿入して反射率を変更できる。
【0052】
図11は、本開示の態様による方法の例示的な特徴を示す概略特徴図である。この図に例示的に示されているように、作業は、中央局(内部)とケーブル切断箇所の現場で行われる。中央局内では、DFOSシステムのDAS/DVSシステムがターゲットのファイバに動作可能に接続されている。反射信号は、DAS/DVSによって記録され、自動検出と分析が実行されてターゲット(影響を受けた)ファイバが特定される。現場での運用には、運用中のDAS/DVSと連携した技術者の配置と現場での運用試験が含まれる。ターゲットのファイバが決定されるまで、個々のファイバを試験する処理が繰り返し実行される。ファイバが特定されると、ファイバが修復され、トラフィックの運用を再開することができる。
【0053】
図12は、本開示の態様による例示的な方法を示すフロー図である。
【0054】
この時点で、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者であれば、本発明の教示がそれに限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2(A)】
図2(B)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】