IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハッピーマインド カンパニー.,リミテッドの特許一覧

特表2024-521462アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法
<>
  • 特表-アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法 図1
  • 特表-アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法 図2
  • 特表-アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法 図3
  • 特表-アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240524BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20240524BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20240524BHJP
【FI】
A61B10/00 H
A61B3/113
G16H50/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576346
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2021007590
(87)【国際公開番号】W WO2022265131
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0077875
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521459990
【氏名又は名称】ハッピーマインド カンパニー.,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ソン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ハン イク
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA21
4C316AA30
4C316FA01
5L099AA04
(57)【要約】
アイトラッキングを用いた精神科検査データに基づいて、精神障害診断及び治療反応の予測システム及び方法が開示される。一実施形態による精神科検査システムによって実行される精神障害診断及び治療反応の予測方法は、検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてユーザの注意力情報を生成するステップと、前記生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力されるステップと、前記精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを使用して、前記ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出するステップとを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神科検査システムにより行われる精神障害診断及び治療反応の予測方法において、
検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてユーザの注意力情報を生成するステップと、
前記生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力されるステップと、
前記精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを使用して、前記ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出するステップと
を含む精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項2】
前記学習モデルは、
精神障害診断及び治療反応を予測するためのデータセットを用いて学習されることによって構築された、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項3】
前記生成するステップは、
前記アイトラッキング(eye-tracking)を用いた視線座標値を通じて、ユーザから前記検査が行われているモニタ画面内又は前記モニタ画面内に設定されたターゲット領域を見ているかどうかの注意力の程度を予め設定された1秒当たりのフレーム数に基づいて判断するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項4】
前記生成するステップは、
前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対する関心領域を設定し、予め設定された基準情報に基づいて前記ユーザに対する前記設定された関心領域に集中しているかどうかを判定するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項5】
前記生成するステップは、
眼球運動(Saccade)回数又は固定された眼球運動を用いて、前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対するユーザの眼球運動状態情報(eye movement state)を判定するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項6】
前記生成するステップは、
前記検査が行われているモニタ画面内又は前記モニタ画面内に設定されたターゲット領域に凝視されるユーザの視線座標と時間データを用いてユーザの眼球運動の速度情報を計算し、前記計算されたユーザの眼球運動の速度情報の偏差を測定するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項7】
前記生成するステップは、
前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域以外の残りの領域について非関心領域に設定し、視覚的指標を用いて前記設定された非関心領域に対して凝視されたユーザの反応抑制(response inhibition)情報を判断するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、
ユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データが予め設定された基準以上である場合、前記検査が行われているモニタ画面内に新規刺激物が登場したとき、前記新規刺激物を凝視するためのユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データを測定するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項9】
前記生成するステップは、
前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域及び時間に応じたユーザの瞳孔の大きさの変化データを抽出するステップを含む、請求項1に記載の精神障害診断及び治療反応の予測方法。
【請求項10】
精神科検査システムにおいて、
検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてユーザの注意力情報を生成する情報生成部と
前記生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを、精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力される入力部と
前記精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを用いて、前記ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出する結果導出部とを含む、精神科検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下の説明は、アイトラッキング技術を用いた精神科検査データに基づいて精神障害診断及び治療反応を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
脳疾患、特に脳の異常で発現される精神疾患を経験した人の数は徐々に増加している状況である。保健福祉部で実施した「精神疾患実態調査」によると、2016年基準で全国満18歳以上の成人5,102人の調査対象のうち、主要17の精神疾患のうち1回以上該当精神疾患に罹患したことがある人の割合は25.4%を記録し、過去1年間に精神健康問題を経験した人の割合は11.9%を記録した。
【0003】
このように、脳疾患は患者の社会生活を深刻に妨げるだけでなく、治療を受けずに長期間進行すると自殺などの深刻な問題を引き起こすため、個人はもちろん社会的にも管理が必要である。しかし、自分が脳疾患を患っているかどうかを認識できない、あるいは脳疾患を患っていることを認識しても、その重症度を認知できず、医療機関を訪問しない患者の数は、医療機関に訪問して診療を受ける患者の数より多くなっている状況だ。
【0004】
一例として、精神疾患の1つである注意力欠陥及び過剰行動障害は、別名ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)としてよりよく知られている症状であり、主に児童期に多く現れる。ADHD症状の特性は、持続的な注意力の不足による散漫、多動性、衝動性を示す状態で現れ、これらの症状を治療せずに放置すると、児童期の成長過程における様々な行動で困難が持続し、一部の場合、青少年期と成人期になっても症状が維持される。ADHD症状を持つ児童向けの治療薬が開発され、特許まで獲得したケースがあるが、治療薬の処方だけで完治が不可能であり、継続的に一定量の練習と訓練が必要な現実である。
【0005】
ADHDの症状が疑われるか心配される場合これを診断する必要があるが、診療室で単純に特定の行動だけを持って判断するには不足している。これにより、単純選択注意力(視覚)、単純選択注意力(聴覚)、抑制持続注意力検査、干渉選択注意力検査、分割注意力検査、作業記憶力検査を含む総合注意力検査を通じてADHDを診断し、治療反応を予測する技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アイトラッキングを用いて生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査結果を活用して下した専門医の診断に基づいて精神障害を診断する方法及びシステムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
精神科検査システムによって実行される精神障害診断及び治療反応の予測方法は、検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてーザの注意力情報を生成するステップと、前記生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力されるステップと、前記精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを使用して前記ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出するステップとを含むことができる。
【0008】
前記学習モデルは、精神障害診断及び治療反応を予測するためのデータセットを用いて学習されることによって構築されたものであり得る。
【0009】
前記生成するステップは、前記アイトラッキング(eye-tracking)を用いた視線座標値を通じて、ユーザから前記検査が行われているモニタ画面内又は前記モニタ画面内に設定されたターゲット領域を見ているか否かに対する注意力の程度を、予め設定された1秒当たりのフレーム数に基づいてステップを含むことができる。
【0010】
前記生成するステップは、前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対する関心領域を設定し、予め設定された基準情報に基づいて前記ユーザに対する前記設定された関心領域に集中しているかどうかを判定するステップを含むことができる。
【0011】
前記生成するステップは、眼球運動(Saccade)回数又は固定された眼球運動を用いて前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対するユーザの眼球運動状態情報(eye movement state)を判断するステップを含むことができる。
【0012】
前記生成するステップは、前記検査が行われているモニタ画面内又は前記モニタ画面内に設定されたターゲット領域に凝視されるユーザの視線座標と時間データを用いてユーザの眼球運動の速度情報を算出し、前記計算されたユーザ眼球運動の速度情報の偏差を測定するステップを含むことができる。
【0013】
前記生成するステップは、前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域以外の残りの領域について非関心領域に設定し、視覚的指標を用いて前記設定された非関心領域に対して凝視されたユーザの反応抑制(response inhibition)情報を判断するステップを含むことができる。
【0014】
前記生成するステップは、ユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データが予め設定された基準以上である場合、前記検査が行われているモニタ画面内に新規刺激物が登場したとき、前記新規刺激物を凝視するためのユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データを測定するステップを含むことができる。
【0015】
前記生成するステップは、前記検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域及び時間によるユーザの瞳孔の大きさの変化データを抽出するステップを含むことができる。
【0016】
精神科検査システムは、検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてユーザの注意力情報を生成する情報生成部と、前記生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを、精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力される入力部と、前記精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを用いて前記ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出する結果導出部を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
アイトラッキング技術を用いてユーザの注意力情報を導出することにより、精神障害診断及び治療反応を予測するための機械学習モデルの信頼性を向上させることができる。
【0018】
アイトラッキング技術を用いて抽出されたユーザの注意力情報を通じて、機械学習モデルから導出された精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を高度化することができる。
【0019】
精神科検査の結果を活用して下した専門医の診断に基づいて、精神障害診断及び治療反応を予測する機械学習モデルを通じて、より正確かつ総合的に精神障害を判断することができる。これにより、専門病院だけでなく心理相談所などでも活用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態による精神科検査システムの構成を説明するためのブロック図である。
図2】一実施形態による精神科検査システムにおける注意力欠陥及び精神障害診断及び治療反応を予測する方法を説明するためのフローチャートである。
図3】一実施形態による精神科検査システムにおける学習モデルを通じて精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出することを説明するための図である。
図4】一実施形態による精神科検査システムにおける学習モデルを通じて精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出することを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、一実施形態による精神科検査システムの構成を説明するためのブロック図であり、図2は、一実施形態による精神科検査システムにおける精神障害診断及び治療反応を予測する方法を説明するためのフローチャートである。
【0023】
精神科検査システム100のプロセッサは、情報生成部110、入力部120及び結果導出部130を含むことができる。このようなプロセッサの構成要素は、精神科検査システムに記憶されたプログラムコードが提供する制御命令に従いプロセッサによって実行される異なる機能(different functions)の表現であり得る。プロセッサ及びプロセッサの構成要素は、図2の精神障害診断及び治療反応を予測する方法が含むステップ210~230を実行するように精神科検査システムを制御することができる。このとき、プロセッサ及びプロセッサの構成要素は、メモリが含むオペレーティングシステムのコードと、少なくとも1つのプログラムコードに従って命令(instruction)を実行するように実現されてもよい。
【0024】
プロセッサは、精神障害診断及び治療反応を予測する方法のためのプログラムファイルに記憶されたプログラムコードをメモリにロードすることができる。例えば、精神科検査システムでプログラムが実行されると、プロセッサは、オペレーティングシステムの制御に従ってプログラムのファイルからプログラムコードをメモリにロードするように精神科検査システムを制御することができる。このとき、プロセッサ及びプロセッサが含む情報生成部110、入力部120及び結果導出部130のそれぞれは、メモリにロードされたプログラムコードのうち対応する部分の命令を実行して後のステップ210~230を実行するためのプロセッサの異なる機能的表現であり得る。
【0025】
ステップ210において、情報生成部110は、検査が行われているモニタ画面内のユーザのアイトラッキング(eye-tracking)を用いてユーザの注意力情報を生成することができる。例えば、情報生成部110は、それぞれ異なる方法で単純選択注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力などの(総合注意力)検査がオンラインで実行されると同時に、ユーザの注意力情報を生成することができる。情報生成部110は、画面に集中できない(screen state)場合、ターゲットに集中できない(visual fixation)場合、眼球運動が多い(eye movement state)場合、眼球運動の速度の偏差、見てはならないターゲットを見る反応抑制報告(response inhibition)は場合、目が動くまで遅延(latency)が長い場合、瞳孔の大きさが変化する場合などを含む7つのデータを通じてユーザの注意力情報を生成することができる。
【0026】
一例として、情報生成部110は、アイトラッキング(eye-tracking)を用いた視線座標値を通じて、ユーザから検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域を見ているか否かに対する注意力の程度を、予め設定された1秒当たりのフレーム数に基づいて判断することができる。1秒当たりのフレーム数は、フィルムのフレーム(画面)が変わる速度を秒単位で表す単位である。例えば、NTSC方式のテレビはインターレース方式を採用し、2つのフィールドが1フレームとなって1秒当たり30フレームである。例えば、情報生成部110は、ユーザから検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域に凝視される視線座標値を取得することができる。このとき、視線座標値は、ユーザから凝視される位置データが変更されるたびに視線座標値を取得することができ、リアルタイム又は予め設定された時間ごとに視線座標値(例えば、x、y座標)を取得することができる。情報生成部110は、取得された視線座標値を用いて検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域を見ているか否かを30FPSを用いて測定することができる。
【0027】
また、情報生成部110は、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対する関心領域を設定し、予め設定された基準情報に基づいてユーザに対して設定された関心領域に集中しているかどうかを判断することができる。このとき、予め設定された基準情報は固定関連指標を意味することができる。例えば、情報生成部110は、予め設定された時間の間、ユーザが関心領域に集中しているかどうかによって集中スコアを取得することができる。情報生成部110は、ユーザから関心領域に集中する場合は1点、集中しない場合は-1点とカウントすることができる。情報生成部110は、カウントされた集中スコアと予め設定された基準情報を比較し、比較結果カウントされた集中スコアが予め設定された基準情報の以下である場合、関心領域に集中できていないと判断することができる。あるいは、情報生成部110は、ユーザから関心領域に集中する時間又は集中できない時間をそれぞれ取得し、取得された時間に対する平均時間を算出してもよい。情報生成部110は、予め設定された基準情報と算出された平均時間(集中できない平均時間)とを比較し、比較結果算出された平均時間が予め設定された基準情報以下である場合、関心領域に集中できていないと判断することができる。実施形態では、集中スコアカウントと平均時間を例えて説明したが、関心領域に集中できていないことを測定する方法は、他にも様々に存在し得る。このとき、領域に対する固定関連指標を用いてSDKで提供される数値を用いて、プログラムレベルで簡単な機能だけを追加する方式で、関心領域に集中しているかどうかを測定することができる。
【0028】
また、情報生成部110は、眼球運動(Saccade)回数又は固定された眼球運動を用いて検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対するユーザの目の運動状態情報を判断することができる。例えば、情報生成部110は、精神科検査中における眼球運動の総数を用いて、眼球運動に対するユーザ別の相対的な眼球運動回数を測定することができる。精神科検査を行う様々なユーザから取得された眼球運動回数が記憶されていてもよい。これを活用して、ユーザ別の相対的な眼球運動回数に対する相対的な順位を並べ替えることができる。あるいは、情報生成部110は、固定された眼球運動の平均持続時間を利用して、眼球運動に対するユーザ別の相対的な眼球運動状態を測定することができる。精神科検査が行われるとき、異なる種類の複数個の検査が行われるが、情報生成部110は、各検査中に固定された眼球運動に対する平均持続時間を測定することができる。精神科検査を行う様々なユーザから取得された固定された眼球運動の平均持続時間が記憶されていてもよい。これを活用して、ユーザごとに相対的な固定された眼球運動の平均持続時間に対する順位を並べ替えることができる。
【0029】
さらに、情報生成部110は、検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域に凝視されるユーザの視線座標と時間データを用いて、ユーザの眼球運動の速度情報を算出し、算出されたユーザの眼球運動の速度情報の偏差を測定することができる。この場合、算出機能コードを追加することで、眼球運動に対する速度情報の偏差を測定することができる。
【0030】
また、情報生成部110は、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域以外の残りの領域について非関心領域に設定し、視覚的指標を用いて設定された非関心領域について凝視されたユーザの反応抑制(response inhibition)情報を判断することができる。例えば、情報生成部110は、反応抑制情報を判断するための視覚的指標として、コミッションエラー(commission error)、反応時間(反応平均、標準偏差など)、トータル時間などを用いることができる。情報生成部110は、ユーザから凝視されてはならないターゲット又はターゲットを含む領域が凝視される場合の時間データを測定することができ、測定された時間データと視覚的指標とを比較して反応抑制情報を判断することができる。このとき、反応抑制情報に従って測定された時間データを加工(例えば、平均、標準偏差の計算など)することができる。
【0031】
また、情報生成部110は、ユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データが予め設定された基準以上である場合、検査が行われているモニタ画面内に新規刺激物が登場したとき、新規刺激物を凝視するためのユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データを測定することができる。
【0032】
また、情報生成部110は、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域及び時間によるユーザ瞳孔の大きさの変化データを抽出することができる。例えば、情報生成部110は、ユーザ瞳孔の大きさが小さくなったり大きくなったりすることを確認することができる。
【0033】
前記叙述されたアイトラッキング技術を用いて取得された各データを通じてユーザの注意力情報を生成することができる。このとき、取得された各データは、特定の演算によって1つのユーザの注意力情報として生成されてもよい。
【0034】
実施形態で生成されたユーザの注意力情報は、学習モデルの入力パラメータとして使用されてもよい。あるいは、学習モデルを用いて導出された精神科検査データに対する検査結果に対してユーザの注意力情報が追加的に考慮され、精神障害診断及び治療反応を予測することができる。
【0035】
ステップ220において入力部120は、生成されたユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データを精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルに入力されてもよい。このとき、学習モデルは、精神障害診断及び治療反応を予測するためのデータセットを用いて学習されることによって構築されたものであってもよい。例えば、ユーザの注意力情報と複数個の総合注意力検査データ(単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力)を学習モデルの入力データとして用いることができる。画面に集中できない(screen state)場合、視線座標値を用いて検査が行われているモニタ画面の内側領域を見ているか否かが測定されることによってデータセットを取得してもよい。また、ターゲットに集中できない場合(visual fixation)は、視覚的ターゲット領域に対して関心領域(Area Of Interest;AOI)領域を設定し、設定された関心領域の固定関連指標(Fixation Count、Fixation Mean Durationなど)を使用し、SDKで提供する数値(Fixationかどうか)を使用してプログラムレベルで簡単な機能だけを追加する方法で測定することによりデータセットを取得することができる。また、眼球運動が多い場合(eye movement state)、眼球運動(Saccade)の総数、又は固定された眼球運動の平均持続時間などを活用して、眼球運動に対するユーザごとの相対サイズを測定してデータセットを取得することができる。また、眼球運動速度の偏差は、視線座標と時間値を用いて速度を計算することができ、計算した速度の偏差を測定してデータセットを取得することができる。また、見てはならないターゲットを見なければならないときの反応抑制(response inhibition)情報に対してAOIを設定して測定し、反応抑制を測定するための視覚的指標としてコミッションエラー(Commission error)、反応時間(平均、標準偏差など)、トータル時間(Total time)を適用させることによりデータセットを取得することができる。また、目が動くまでの遅延(latency)が長い場合、眼球運動遅延(saccadic latency)、運動遅延(movement latency)に対して新規刺激物が登場したとき、これを見つめるための眼球運動が発生するまでの遅延時間を測定(=Saccadic Latency)することによりデータセットを取得することができる。さらに、ターゲット及び時間による瞳孔の大きさの変化データを抽出してデータセットを取得することができる。このように、取得した7つのデータセットを利用して学習モデルを学習させてもよい。このようなデータセットは、精神障害診断及び治療反応が予測されることにより取得され得る。さらに、幼稚園生から成人までの年齢を対象に、ADHD、反抗挑発症、行動障害、難読症、算数障害、自閉症まで診断及び治療反応が予測されることにより取得され得る。
【0036】
ステップ230において、結果導出部130は、精神障害診断及び治療反応を予測するための学習モデルを用いて、ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断の臨床様相と治療反応に関連する結果情報を導出することができる。結果導出部130は、ユーザの注意力情報が含まれた精神科検査データに対する精神障害診断の臨床様相と治療反応に関する薬物治療効果結果情報を導出することができる。このとき、データのドメインによって重要な尺度が異なる可能性があるため、学習モデルによる精神障害の予測適合率(Precision)又はモデルが正確に予測した精神障害の再現率(Recall)間の重要度が、予め設定された基準によって定義され得る。結果導出部130は、ユーザの注意力情報が含まれた総合注意力検査データに対する注意力欠陥及び過剰行動障害の臨床様相及び治療反応に関する薬物治療効果の結果情報を導出することができる。例えば、注意力欠陥及び過剰行動障害の診断において、注意力欠陥及び過剰行動障害の予測適合率(Precision)又はモデルが正確に予測した注意力欠陥及び過剰行動障害の再現率(Recall)間の重要度が、予め設定された基準によって定義され得る。実施形態では、注意力欠陥及び過剰行動障害の予測適合率及び割合をドメインの専門家によって定義された例を挙げて説明する。まず、薬物治療効果の結果情報を導出するための混同行列(Confusion Matrix)を設定することができる。設定されたコンフュージョンマトリックスに構成された(TP(True Positives)、TN(True Negatives)、FP(False Positives)、FN(False Negative))に基づいて薬物治療効果の結果情報を導出することができる。
【0037】
【表1】
【0038】
注意力欠陥及び過剰行動障害の正解率(Accuracy):
【0039】
【数1】
【0040】
注意力欠陥及び過剰行動障害の予測適合率(Precision):
【0041】
【数2】
【0042】
注意力欠陥及び過剰行動障害の再現率(Recall)又は(感度(sensitivity)、TPR):
【0043】
【数3】
【0044】
注意力欠陥及び過剰行動障害の特異度(Specificity)又はTNR:
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、注意力欠陥及び過剰行動障害の正解率は、注意力欠陥及び過剰行動障害の正確な予測割合、注意力欠陥及び過剰行動障害の割合は正確に検知した陽性サンプルの割合、注意力欠陥及び過剰行動障害の予測適合率は陽性予測の適合率、注意力欠陥及び過剰行動障害の特異性は正確に検知した陰性サンプルの割合を意味する。
【0047】
結果導出部130は、精神障害の可能性を数値的に示すことができる。結果導出部130は、精神障害の可能性を%で表すことができる。例えば、結果導出部130は、精神障害の可能性を0~100の数値で表現することができる。このとき、精神障害の可能性が100に近いほど精神障害の程度がひどいと判断できる。あるいは、結果導出部130は、精神障害の可能性を予め設定されたレベル(例えば、0~25正常、25~50若干危険、50~75危険、75~100警告)に分類することができ、分類された予め設定されたレベルに基づいて、精神障害の数値データに該当するレベルを導出することもできる。実施形態で説明される数値は例示的なものに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0048】
図3及び図4は、一実施形態による精神科検査システムにおける学習モデルを通じて精神障害診断及び治療反応に関する結果情報を導出することを説明するための図である。
【0049】
図3及び図4では、精神科検査中の総合注意力検査に例えて説明する。なお、明細書内に記載された数値は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0050】
総合注意力検査(Comprehensive Attention Test)とは、児童、青少年及び成人の注意力を総合的に評価する標準化された検査ツールを意味する。注意力とは、所望の情報に関心を寄せ、問題を解決するために持続的に集中力を維持し、時には目的に応じて必要な刺激へ注意力を切り替えることができる脳の高等機能を意味する。総合注意力検査は、それぞれ異なる方式で単純選択注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力の5種類の注意力を6つの検査で多様に調べることができる。これを通じて、各注意力のレベルを把握することができ、注意力欠陥の有無を評価することができる。
【0051】
単純選択注意力(視覚)は所望の視覚刺激に反応できる能力、単純選択注意力(聴覚)は所望の聴覚刺激に反応できる能力、抑制持続注意力は持続的に注意力を維持し衝動性を抑制する能力、干渉選択注意力は周囲の干渉刺激を無視して必要な刺激に反応できる能力、分割注意力は2つ以上の刺激を同時に処理できる能力、作業記憶力は一連の刺激を順番に記憶し、処理する能力を意味する。
【0052】
一例として、総合注意力検査は年齢に応じた基本セットメニューが存在し、検査者の状況を考慮して個別検査を組み合わせることで検査者に適した新しい検査セットを生成することもできる。例えば、満4歳~5歳の幼稚園セットは、単純選択注意力検査(視覚及び聴覚:10分+10分)、抑制持続注意力検査で構成することができ、幼稚園セット短縮型(満4歳~5歳)は単純選択注意力検査(視覚及び聴覚:5分+5分)、抑制持続注意力検査で構成することができ、満6歳~8歳の低学年セットは単純選択注意力検査(視覚及び聴覚:10分+10分)、抑制持続注意力検査、干渉選択注意力検査で構成することができ、低学年セット短縮型(満6歳~8歳)は単純選択注意力検査(視覚及び聴覚:5分+5分)、抑制持続注意力検査、干渉選択注意力検査で構成することができ、満9歳~15歳の高学年セット/満16歳以上の成人セットは、抑制持続注意力検査、干渉選択注意力検査、分割注意力検査、作業記憶力検査で構成することができ、満9歳~15歳の総合検査セット/満16歳以上の総合検査セットは、単純選択注意力検査(視覚及び聴覚:10分+10分)、抑制持続注意力検査、干渉選択注意力検査、分割注意力検査、作業記憶力検査で構成することができる。
【0053】
精神科検査システムは、総合注意力検査結果に関連する総合注意力検査データを含むことができる。このとき、総合注意力検査データは、各病院で収集された病院資料及びデータの値を標準化した標準化データを含むことができる。例えば、総合注意力検査データは、病院資料の総合注意力検査データを利用して下した専門医の診断が含まれた病院資料を含むことができる。また、各病院資料から特定の範囲に存在する資料のみを利用したり、検査データの単位を統一したり、各病院によって診断基準が異なることを反映するための標準化を行うことができる。
【0054】
精神科検査システムは、総合注意力検査データの分析を行うことができる。精神科検査システムは、総合注意力検査データから複数の種類の異常値を除去及び除外変数を設定することができる。例えば、5種類の異常値を設定することができる。5種類の異常値は、4歳未満又は100歳以上の年齢範囲を超える第1タイプ、単純選択注意力(視覚)/単純選択注意力(聴覚)検査のパラメータが欠落している第2タイプ、作業記憶力検査の逆方向正反応数/逆方向空間幅が欠落している第3タイプ、作業記憶力の逆方向空間幅AQ以外に、作業記憶力の観測値が欠落している第4タイプ、性別を問わない第5タイプを含むことができる。精神科検査システムは、総合注意力検査データから5種類の異常値を少なくとも1つ以上又は/及びいずれも除去することができる。また、精神科検査システムは、総合注意力検査データのうち、病院、MR、共存診断、重症度、治療可否、治療反応に対する変数については除外変数に設定することができる。
【0055】
総合注意力検査データから、予め定められた基準に基づいて、各検査を代表する検査データを選別的に選択することができる。言い換えれば、精神科検査システムは、総合注意力検査データから予め定義された基準に基づいて、一部の検査データをモデリングから除外することができる。除外した結果、除外前と比較して正常検査データとADHD検査データの不均衡度を改善することができる。したがって、不均衡度を改善するためのリサンプリング(resampling)方法、例えばSMOTE、Random oversamplingを考慮しない。SMOTEは、各クラスに類似のデータを任意に生成する方法であり、単純に同じクラス内の各点の間の区間を埋める方式で任意のデータを生成することができる。精神科検査システムは、病院資料のADHDデータが標準化資料の範囲内にある場合、又は病院資料の正常資料が標準化資料の範囲外にある場合、前記資料を除外するアンダー・サンプリング(Under-Sampling)を実行することができる。
【0056】
総合注意力検査を行うことにより取得した検査データ(値)に対して単位を統一する標準化を行うことができる。例えば、病院資料にこのとき、標準化方法でScaling with Random Over-Samplingを行うことができる。Scaling with Random Over-Samplingは、総合注意力検査データに対してStandardScaler、RobustScaler、MinMaxScalerを実行することができる。
【0057】
図3を参照すると、精神科検査システムは、総合注意力検査に関連する検査データを選別的に選択して学習モデルを生成するモデリングを行い、学習モデルを通じて注意力欠陥及び過剰行動障害を分類及び治療反応を予測することができる。
【0058】
一例として、精神科検査システムは、ランダムフォレスト基盤のアンサンブルモデルを学習モデルとして生成し、総合注意力検査データを学習させることができる。精神科検査システムは、学習モデルに総合注意力検査データを入力することができる。精神科検査システムは、総合注意力検査データを検査別に分類することができる。例えば、精神科検査システムは、総合注意力検査データから単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力に分類することができる。
【0059】
精神科検査システムは、検査別に分類された各検査データに対する前処理を行うことができる。精神科検査システムは、前処理が行われた各検査データに対する各分類モデルを、ランダムフォレストを用いて分類することができる。精神科検査システムは、ランダムフォレストを使用して分類された各検査データに対する欠測値を推定することができる。このとき、欠測値に対する特定の処理を行うことができる。例えば、欠測値を削除したり、他の値に置き換えたりするなどの特定処理を行ってもよい。
【0060】
精神科検査システムは、欠測値に対する処理を行った後、ランダムフォレストを用いて分類された各検査データをランダムフォレストを用いて分類することで、注意力欠陥及び過剰行動障害の可能性を導出することができる。
【0061】
他の例として、精神科検査システムは、ガウス過程分類器基盤のアンサンブルモデルを学習モデルとして生成し、総合注意力検査データを学習させることができる。精神科検査システムは、学習モデルに総合注意力検査データを入力することができる。精神科検査システムは、総合注意力検査データを検査別に分類することができる。例えば、精神科検査システムは、総合注意力検査データから単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力に分類することができる。精神科検査システムは、検査別に分類された各検査データを、標準化資料の範囲テストを行うことができる。このとき、作業記憶力に対する範囲テストは行わない。
【0062】
精神科検査システムは、テストを行うにつれて、テストに通過した各検査データをマージすることができる。このとき、精神科検査システムは、各検査データを全てマージした後、単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力のうち3つ以上の検査を施行していない検査データを除外することができる。
【0063】
精神科検査システムは、単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力のうち3つ以上の検査を施行していない検査データを除外することにより欠測値を推定することができる。例えば、精神科検査システムは、ある被験者が単純選択注意力(視覚)検査を行わず、単純選択注意力(聴覚)、抑制持続注意力、干渉選択注意力及び分割注意力検査を行った場合、単純選択注意力(聴覚)、抑制持続注意力、干渉選択注意力及び分割注意力それぞれに対する検査データの平均で単純選択注意力(視覚)検査データを推定することができる。このとき、推定された欠測値に対する特定処理を行うことができる。例えば、欠測値を削除したり、他の値に置き換えたりするなど、特定処理を行ってもよい。
【0064】
精神科検査システムはすべての検査データの測定値をマージしたので、PCA(Principal Component Analysis)を通じて高次元のデータを低次元のデータに縮小させることができる。精神科検査システムは、すべての検査データの測定値をマージすることによってカラム(column)の数が約100個以上になるため、PCA(Principal Component Analysis)を通じて約30個のpcaに次元を縮小させることができる。精神科検査システムは、分類器としてガウス過程分類器に置き換えることができる。精神科検査システムは、ガウス過程分類器を通じて次元が縮小かつマージされた検査データを分類し、注意力欠陥及び過剰行動障害の分類及び治療反応度の可能性を導出することができる。
【0065】
一実施形態による精神科検査システムは、総合注意力検査データに含まれる単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力それぞれに対する検査データを同時に活用する学習モデルであり、ガウス過程分類器を使用して性能を向上させることができる。したがって、注意力欠陥及び過剰行動障害である確率が妥当な結果を示す。ただし、10%の有病率を仮定した場合、学習モデルの適合率(precision)が低くなる。10%の有病率を仮定すると、学習モデルを使用するが、モデリングに使用されなかったテストデータのクラスバランスを注意力欠陥及び過剰行動障害に10%、正常に90%でサンプリングし、学習モデルを検証することができる。実際の症状の極端性や正常との違いを考慮したのではなく、単に注意力欠陥及び過剰行動障害と正常の割合を10:90に設定したため、有病率を10%と仮定した場合、注意力欠陥及び過剰行動障害の絶対数が少なくなり適合率の値が下がる。
【0066】
このように、精神科検査システムは、学習モデルを用いて総合注意力検査データに対する注意力欠陥及び過剰行動障害の臨床様相と治療反応に関する結果情報を導出することができる。例えば、精神科検査システムは、注意力欠陥及び過剰行動障害の分類及び治療反応度の可能性を導出することができる。精神科検査システムは、導出された検査結果にユーザの注意力情報を適用して最終結果を取得することができる。精神科検査システムは、導出された検査結果にアイトラッキング技術を用いて有効なデータを抽出して最終結果を取得することができる。精神科検査システムは注意力の程度判断、関心領域への集中の有無、眼球運動に対する眼球運動状態情報、眼球運動の速度/速度偏差、見てはならないターゲットを凝視するときの反応抑制情報、眼球運動が発生するまでの遅延時間データ、瞳孔の大きさの変化データに関連してユーザの注意力情報を生成することができる。
【0067】
詳細には、精神科検査システムは、アイトラッキング(eye-tracking)を用いた視線座標値を通じて、ユーザから検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域を見ているかどうかに対する注意力の程度を、予め設定された1秒あたりのフレーム数に基づいて判断することができる。また、精神科検査システムは、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して関心領域を設定し、予め設定された基準情報に基づいてユーザに対する設定された関心領域に集中しているかどうかを判断することができる。さらに、精神科検査システムは、眼球運動の数又は固定された眼球運動を使用して、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に関するユーザの眼球運動状態情報を判断することができる。あるいは、精神科検査システムは、固定された眼球運動の平均持続時間を利用して、眼球運動に対するユーザ別の相対的な眼球運動状態を測定することができる。また、精神科検査システムは、検査が行われているモニタ画面内又はモニタ画面内に設定されたターゲット領域に凝視されるユーザの視線座標と時間データを用いて、ユーザの眼球運動の速度情報を算出し、算出されたユーザの眼球運動の速度情報の偏差を測定することができる。また、精神科検査システムは、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域以外の残りの領域について非関心領域に設定し、視覚的指標を用いて設定された非関心領域に対して凝視されたユーザの反応抑制(response inhibition)情報を判断することができる。また、精神科検査システムは、ユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データが予め設定された基準以上である場合、検査が行われているモニタ画面内に新規刺激物が登場したとき、新規刺激物を凝視するためのユーザの眼球運動が発生するまでの遅延時間データを測定することができる。また、精神科検査システムは、検査が行われているモニタ画面内のターゲット領域に対して設定された関心領域及び時間に応じたユーザの瞳孔の大きさの変化データを抽出することができる。
【0068】
精神科検査システムは、導出された検査結果にアイトラッキング技術を用いて生成されたユーザの注意力情報を適用することで、より正確な最終結果を取得することができる。実施形態によれば、総合注意力検査を通じて、ADHD、反抗挑発症、行動障害、難読症、算数障害、自閉症までの診断及び治療反応を予測することができる。
【0069】
[74]図4を参照すると、精神科検査システムは、総合注意力検査に関連する検査データを選別的に選択することができる。精神科検査システムは、選択された検査データとユーザの注意力情報を用いて学習モデルを生成するモデリングを行い、学習モデルを通じて注意力欠陥及び過剰行動障害を分類及び治療反応を予測することができる。一例として、ランダムフォレスト基盤のアンサンブルモデルを学習モデルとして利用することができる。このとき、学習モデルは、事前にデータセットを用いて学習されることによって構築されたものであり得る。精神科検査システムは、学習モデルにユーザの注意力情報と総合注意力検査データを入力することができる。精神科検査システムは、ユーザの注意力情報と総合注意力検査データとを予め設定された基準(例えば、検査のタイプ)に基づいて分類することができる。例えば、総合注意力検査データから単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力に分類することができる。
【0070】
精神科検査システムは、検査別に分類された各検査データ及びユーザの注意力情報に対して前処理を行うことができる。精神科検査システムは、前処理が行われた各検査データ及びユーザの注意力情報に対する各分類モデルを、ランダムフォレストを用いて分類することができる。精神科検査システムは、ランダムフォレストを用いて分類された各検査データ及びユーザの注意力情報に対する欠測値を推定することができる。このとき、欠測値に対する特定処理を行うことができる。例えば、欠測値を削除したり、他の値に置き換えたりするなど、特定処理を行ってもよい。
【0071】
精神科検査システムは、欠測値に対する処理を行った後、ランダムフォレストを用いて分類された各検査データ及びユーザの注意力情報をランダムフォレストを用いて分類することにより、注意力欠陥及び過剰行動障害の可能性を導出することができる。
【0072】
他の例として、精神科検査システムは、ガウス過程分類器基盤のアンサンブルモデルを学習モデルとして使用することができる。このとき、学習モデルは、事前にデータセットを使用して学習されたことによって構築されたものであり得る。精神科検査システムは、学習モデルに総合注意力検査データ及びユーザの注意力情報を入力することができる。精神科検査システムは、総合注意力検査データ及びユーザの注意力情報を予め設定された基準(例えば検査の種類)に基づいて分類することができる。例えば、精神科検査システムは、総合注意力検査データから単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力、作業記憶力に分類することができる。精神科検査システムは、検査別に分類された各検査データ及びユーザの注意力情報を、標準化資料の範囲テストを行うことができる。このとき、作業記憶力に対する範囲テストは行わない。
【0073】
精神科検査システムは、テストが進むにつれて、テストに通過した各検査データとユーザの注意力情報をマージすることができる。このとき、精神科検査システムは、それぞれの検査データとユーザの注意力情報のいずれもマージした後、単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力のうち3つ以上の検査を施行していない検査データを除外することができる。
【0074】
精神科検査システムは、単純注意力、干渉選択注意力、抑制持続注意力、分割注意力のうち3つ以上の検査を施行していない検査データを除外することにより欠測値を推定することができる。例えば、総合注意力検査システムは、ある被験者が単純選択注意力(視覚)検査を行わず、単純選択注意力(聴覚)、抑制持続注意力、干渉選択注意力及び分割注意力検査を行った場合、単純選択注意力(聴覚)、抑制持続注意力、干渉選択主義力及び分割注意力それぞれに対する検査データの平均で単純選択注意力(視覚)検査データを推定することができる。このとき、推定された欠測値に対して特定処理を行うことができる。例えば、欠測値を削除したり、他の値に置き換えたりするなど、特定処理を行ってもよい。
【0075】
精神科検査システムは、すべての検査データとユーザの注意力情報の測定値をマージしたので、PCA(Principal Component Analysis)を通じて高次元のデータを低次元のデータに縮小させることができる。精神科検査システムは、すべての検査データとユーザの注意力情報の測定値をマージすることによって、カラム(column)の数が約100個以上になるため、PCA(Principal Component Analysis)を通じて約30個のpcaに次元を縮小させることができる。精神科検査システムは、分類器としてガウス過程分類器に置き換えることができる。精神科検査システムは、ガウス過程分類器を通じて次元が縮小かつマージされた検査データを分類し、注意力欠陥及び過剰行動障害の分類及び治療反応度の可能性を導出することができる。
【0076】
上記に説明されている装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合わせで実現することができる。例えば、実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、又は命令(instruction)を実行し応答することができる他のある装置など、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的のコンピュータを使用して実現することができる。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及び前記オペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行することができる。さらに、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、保存、操作、処理及び生成することができる。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されると説明されているケースもあるが、当該技術分野において通常の知識を有する者は、処理装置が複数個の処理要素(processing element)及び/又は複数タイプの処理要素を含むことが理解するであろう。例えば、処理装置は、複数個のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含むことができる。さらに、パラレルプロセッサ(parallel processor)などの他の処理構成(processing configuration)も可能である。
【0077】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム(computer program)、コード(code)、命令(instruction)、又はこれらのうち1つ以上の組み合わせを含むことができ、所望の通り動作するように処理装置を構成するか、独立的又は結合的に(collectively)処理装置へ命令することができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり、処理装置に命令又はデータを提供するために、あるタイプの機械、構成要素(component)、物理装置、仮想装置(virtual equipment)、コンピュータ記憶媒体又は装置に具体化(embody)されてもよい。ソフトウェアはネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法で保存または実行され得る。ソフトウェア及びデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能記録媒体に記憶され得る。
【0078】
実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を通じて実行され得るプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読み取り可能媒体に記録され得る。前記コンピュータ読み取り可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独で又は組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施形態のために特別に設計され構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープといった磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDといった光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)といった光磁気媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリといったプログラム命令を記憶し、実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラによって作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。
【0079】
以上のように実施形態が限定された実施形態と図面によって説明されたが、当該技術分野において通常の知識を有する者なら前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって対置されたり置き換えられても、適切な結果が達成され得る。
【0080】
したがって、他の実現、他の実施形態及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】