(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】試薬貯蔵システム用使い捨てカートリッジとその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20240524BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240524BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240524BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240524BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240524BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALN20240524BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N35/02 A
G01N37/00 101
C12M1/00 A
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6851 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576371
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021055647
(87)【国際公開番号】W WO2022086989
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520225875
【氏名又は名称】フォーミュラトリックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Formulatrix, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】カビル ヤマナ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ニルソン
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB09
2G058CC14
2G058CC17
2G058DA07
4B029AA07
4B029BB13
4B029CC01
4B029FA01
4B029FA11
4B029GA08
4B029GB10
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ10
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
一般に、本出願は、試薬貯蔵に使用できるカートリッジ組立体、およびそれを使用するシステムおよび方法に向けられている。本開示の態様は、1回使用のみを意図する使い捨てカートリッジ組立体を含み得る。例えば、例示的なカートリッジ組立体は、不可逆的な方法でアッセイシステム(例えば、チップ組立体)に結合できるインターロック機能を含むことができる。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイを実施するためのシステムであって、
カートリッジ組立体であって、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、1つ以上の前記リザーバの内の少なくとも1つが湿潤試薬を収容する前記リザーバと、
を備える前記カートリッジ組立体と、
チップ組立体であって、
マイクロ流体チャネルと、
前記チップ組立体に湿潤試薬を供給するために、前記第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材と、
を備える前記チップ組立体と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1のシールが、
1つ以上の前記リザーバを囲む非反応性層と、
該非反応性層に接触する可撓性層と、
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のシールが、
1つ以上の前記リザーバを囲む不活性層と、
該不活性層に接触する圧縮性層と、
を備える請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カートリッジ組立体と前記チップ組立体とが、前記カートリッジ組立体と前記チップ組立体とを係合させることにより、1つ以上の前記穿刺部材が前記第2のシールを貫通し、前記圧縮性層が前記チップ組立体に接触して前記マイクロ流体チャネルを流体密封するように方向づけられる請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記チップ組立体が、光学的に透明なシールをさらに備え、
光学的に透明な該シールが、前記マイクロ流体チャネルの底部を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カートリッジ組立体と前記チップ組立体とが、前記カートリッジ組立体と前記チップ組立体とを係合させることにより、1つ以上の前記穿刺部材が前記第2のシールを貫通し、圧縮性層が前記チップ組立体に接触して前記マイクロ流体チャネルの上部を流体密封するように方向づけられる請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カートリッジ組立体が、機構が作動するまで、前記カートリッジ組立体が前記チップ組立体と係合するのを防止するように構成された機構をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記カートリッジ組立体および/または前記チップ組立体が、生物学的試料を供給するための試料ポートをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記チップ組立体が、前記生物学的試料中に存在するRNAと相互作用するように構成された複数の金属ビーズをさらに備える請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カートリッジ組立体が、前記チップ組立体と不可逆的に係合するように構成された1つ以上の一方向クリップをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
1つ以上の前記リザーバが、
洗浄液を収容する第1のリザーバと、マスターミックスを収容する第2のリザーバとを備え、
前記マスターミックスが、少なくとも1つのポリメラーゼを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記アッセイが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記容積が5μL~30μLである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
アッセイを実施する方法であって、
生物学的試料をカートリッジ組立体に供給することを含み、
該カートリッジ組立体が、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、少なくとも1つが湿潤試薬を収容する前記リザーバとを備え、
前記カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させて、前記生物学的試料を前記チップ組立体に移送することを含み、
前記チップ組立体が、
マイクロ流体チャネルと、
前記チップ組立体に前記湿潤試薬を供給するために前記第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材とを備え、
前記マイクロ流体チャネルを通して前記生物学的試料を移動させることを含み、
前記カートリッジ組立体を前記チップ組立体に係合させた後に、1つ以上の前記リザーバが前記マイクロ流体チャネルに流体的に接続される方法。
【請求項15】
前記生物学的試料を、前記マイクロ流体チャネルを通して移動させることが、前記第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加え、それによって、圧力が前記生物学的試料に流体的に伝達されることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カートリッジ組立体を前記チップ組立体に係合させた後に、前記湿潤試薬が前記生物学的試料と混合して液体生物学的試料を生成する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロ流体チャネルが、第1の温度に保持された第1の蛇行領域と、第2の温度に保持された第2の蛇行領域と、前記第1の蛇行領域と前記第2の蛇行領域との間に位置する検出容積とを備え、前記第2の温度が前記第1の温度と異なり、前記マイクロ流体チャネルを通して前記生物学的試料を移動させることが、
前記第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加えることによって流体の流れを誘導することを含み、該流体の流れが、前記生物学的試料を前記第1の蛇行領域から前記検出容積および前記第2の蛇行領域へと方向的に移動させ、
前記第1のシールの前記少なくとも1つの領域への圧力を除去すること、前記第1のシールの他の領域に圧力を加えること、またはその両方によって、前記流体の流れを反転させることを含み、前記第1のシールの前記他の領域が、前記第1のシールの前記少なくとも1つの領域とは異なり、前記流体の流れを反転させることが、前記生物学的試料を、前記第2の蛇行領域から前記検出容積および前記第1の蛇行領域へと方向的に移動させる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記流体の流れを誘導することと、前記流体の流れを反転させることとを、多数のサイクルにわたって反復して繰り返すことをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的試料から信号を検出することをさらに含み、該信号を検出することが、前記マイクロ流体チャネルを通して前記生物学的試料を移動させる間に実行される請求項14に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の前記リザーバが、
洗浄液を収容する第1のリザーバと、マスターミックスを含む第2のリザーバとを備え、前記マスターミックスが、少なくとも1つのポリメラーゼを含む請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記アッセイが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記容積が5μL~30μLである請求項14に記載の方法。
【請求項23】
湿潤試薬を貯蔵するためのカートリッジ組立体であって、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、少なくとも1つがポリメラーゼを収容する1つ以上の前記リザーバとを備えるカートリッジ組立体。
【請求項24】
前記第1のシールおよび前記第2のシールが、それぞれ、前記リザーバによって画定される容積を囲む上部および底部を提供する請求項23に記載のカートリッジ組立体。
【請求項25】
前記第1のシールが、1つ以上の前記リザーバに面する非反応性層と、該非反応性層に接着された圧縮性層とを備える請求項23に記載のカートリッジ組立体。
【請求項26】
前記第2のシールが、1つ以上の前記リザーバに面する不活性層と、該不活性層と接触する可撓性層とを備える請求項25に記載のカートリッジ組立体。
【請求項27】
前記不活性層、前記非反応性層、またはその両方が、金属箔、フッ素化ポリマー、またはそれらの組み合わせからなる請求項26に記載のカートリッジ組立体。
【請求項28】
前記フッ素化ポリマーがポリテトラフルオロエチレンである請求項27に記載のカートリッジ組立体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2020年10月19日に出願され、「Point of Collection qPCR System」と題された米国仮特許出願第63/093,640号のPCT第8条に基づく優先権の利益を主張する。本出願はまた、全て2021年10月19日に同時出願され、同一の出願人であるFormulatrix, Inc.が記載されている「Method and Apparatus for Controlling Fluid Volumes to Achieve Separation and PCR Amplification」、「Fluidic Detection and Control Algorithm for PCR Analysis」および「Apparatuses with Fluidic Channel Geometries for Sample to Answer PCR Analysis and Methods of Using Same」と題されたPCT出願および「Fluidic Channel Geometries of a Chip」と題された米国意匠出願第29/812,034号に関連する。上記出願の内容はすべて、参照により、その全体が本明細書に完全に記載されているように組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、試薬貯蔵システムに向けられている。より詳細には、本開示は、ポリメラーゼ連鎖反応のようなアッセイにおいて使用され得る貯蔵システムに向けられている。
【背景技術】
【0003】
様々な応用が試薬貯蔵のためのシステムを必要としている。これらのシステムのいくつかの例は、Roche Cobas Liatプラットフォームのような市販のアプリケーションに見出すことができる。このシステムは、貯蔵バッファから試薬貯蔵用消耗品内に試料溶液を分注するために、小さな使い捨てトランスファーピペットを利用する。アッセイを実行するために必要な試薬は、別々のセクションを持つチューブに密封される。アッセイ中、特定のセクションを破裂させ、適切な試薬を適切なタイミング、適切な順序で導入する。これは便利であるが、システムを使用する前に、複雑で手動の試料操作が必要となる。
【0004】
別のアプローチとして、油と水/水溶液のような二相流体によるエレクトロウェッティングがある。このアプローチは、NuGen(Mondrian)、Advanced Liquid Logic、Illumina(NeoPrep)によって商品化され、NGSライブラリ調製専用の試薬を分離しておき、所定のエレクトロウェッティング手順において導入する。
【0005】
これらのアプローチはいずれも特定の用途に適しており、より一般的な適用を妨げる欠点がある。自動化されたアプリケーションにおいて、より使いやすく、より低コストで使用できるシステムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一般に、本出願は、試薬貯蔵に使用できるカートリッジ組立体、システムおよびそれを使用する方法に向けられている。本開示の態様は、1回使用のみを意図する使い捨てカートリッジ組立体を含み得る。例えば、例示的なカートリッジ組立体は、不可逆的な方法でアッセイシステム(例えば、チップ組立体)に結合することができるインターロック機能を含むことができる。ここで、不可逆的とは、カートリッジがアッセイシステムから取り外されるためには、システムが損傷、破損、または故障する必要があるという特徴を含むことを示すことを意図している。
【0007】
本開示の1つの例示的な態様は、アッセイを実施するためのシステムである。例示的なシステムは、カートリッジ組立体とチップ組立体とを備えることができる。カートリッジ組立体は、第1のシールを有する第1の表面と、第2のシールを有する第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバとを備えることができる。チップ組立体は、マイクロ流体チャネルと、湿潤試薬をチップ組立体に供給するために第2のシールを貫通するように構成された一つ以上の穿刺部材とを備えることができる。
【0008】
本開示の他の例示的な態様は、アッセイを実施するための方法であって、この方法は、生物学的試料をカートリッジ組立体に提供することと、カートリッジ組立体をチップ組立体と係合させて生物学的試料をチップ組立体に移送することと、生物学的試料を、マイクロ流体チャネルを通して移動させることと、生物学的試料を温度に晒すこととを含む。
【0009】
本開示の他の例示的な態様は、湿潤試薬を貯蔵するためのカートリッジ組立体であって、このカートリッジ組立体は、第1のシールを有する第1の表面と、第2のシールを有する第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に位置する1つ以上のリザーバであって、容積を規定し、その少なくとも1つはポリメラーゼを収容するリザーバとを備える。
【0010】
特に、本開示の例示的なカートリッジ組立体、システムおよび方法は、患者の生物学的試料に基づいて、患者の感染状態を決定するために、ウイルスRNAの存在および/または非存在を同定するためのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(rtPCR)アッセイなどの用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することにより、よりよく理解することができる。図面の構成部材は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を明確に例示することに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照数字は、複数の図を通して対応する部分を指定する。
【0012】
【
図1】本開示の例示的な態様によるカートリッジ組立体およびチップ組立体を含む例示的なシステムを示す図である。
【
図2A】本開示の例示的な態様による例示的なチップ組立体の上側斜視図である。
【
図2B】本開示の例示的な態様による例示的なチップ組立体の下側斜視図である。
【
図3】本開示の例示的な態様によるマイクロ流体チャネルを備える例示的なチップ組立体の平面図である。
【
図4A】本開示の例示的な態様による例示的なカートリッジ組立体の上側斜視図である。
【
図4B】本開示の例示的な態様による例示的なカートリッジ組立体の下側斜視図である。
【
図5】本開示の例示的な態様による例示的なカートリッジ組立体の上面図である。
【
図6A】チップ組立体が本開示の例示的な態様によるカートリッジ組立体に係合される前のアッセイを実施するための例示的なシステムの側面図である。
【
図6B】チップ組立体が本開示の例示的な態様によるカートリッジ組立体に係合された後のアッセイを実施するための例示的なシステムの側面図である。
【
図7A】本開示の例示的な態様による例示的なチップ組立体の上側斜視図である。
【
図7B】本開示の例示的な態様による例示的な穿刺部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において説明する実施形態は、以下の詳細な説明および実施例並びにそれらの前後の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載される部材、装置および方法は、詳細な説明および実施例に示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理を単に例示するものであることを認識すべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更および適応が当業者には容易に明らかであろう。
【0014】
本開示の例示的な一実施形態は、アッセイを実施するためのシステムを含むことができる。例示的なシステムは、本明細書の例による態様を有するカートリッジ組立体およびチップ組立体を含むことができる。例えば、カートリッジ組立体の態様は、第1のシールを有する第1の表面と、第2のシールを有する第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバとを備えることができ、リザーバは容積を画定し、1つ以上のリザーバの少なくとも1つは湿潤試薬を収容する。チップ組立体の態様は、マイクロ流体チャネルと、チップ組立体に湿潤試薬を供給するために第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材とを備えることができる。
【0015】
第1のシールの態様は、様々な材料の層を備えることができる。例えば、いくつかの実施態様では、第1のシールは、1つ以上のリザーバを囲む非反応性層と、非反応性層と接触する可撓性層とを備えることができる。
【0016】
第2のシールの態様はまた、種々の材料の層を備えることができる。例えば、いくつかの実施態様において、第2のシールは、1つ以上のリザーバを囲む不活性層と、不活性層と接触する圧縮性層とを備えることができる。
【0017】
1つ以上の穿刺部材の態様は、中空構造を備えることができる。例えば、ある実施態様では、穿刺部材は針構造を有することができ、針構造は、リザーバからの流体が針の中空内部を流れてマイクロ流体チャネルに到達することを可能にする。
【0018】
ある実施態様によれば、カートリッジ組立体とチップ組立体とを係合させることにより、1つ以上の穿刺部材が第2のシールを貫通し、圧縮性層がチップ組立体に接触してマイクロ流体チャネルを流体密封するように、カートリッジ組立体とチップ組立体とを配向させてもよい。例えば、カートリッジ組立体およびチップ組立体は、チップ組立体上の穿刺部材がリザーバと位置合わせされるように、カートリッジ組立体およびチップ組立体が配向されるように位置決め特性を備えていてもよい。このようにして、カートリッジ組立体とチップ組立体とを係合させると、穿刺部材がリザーバの第2のシールを貫通し、湿潤試薬をチップ組立体に供給する。
【0019】
さらに、いくつかの実施態様では、カートリッジ組立体とチップ組立体とを係合させることにより、両組立体を圧縮してマイクロ流体チャネルを流体密封することができる。説明のための一例として、圧縮性層は、カートリッジ組立体とチップ組立体とを係合する際に変形して、水密または実質的に水密のシールを生成するように構成されてもよい。より詳細には、カートリッジ組立体およびチップ組立体を係合させることにより、1つ以上の穿刺部材が第2のシールを貫通し、圧縮性層がチップ組立体に接触してマイクロ流体チャネルの上部を流体密封するように、カートリッジ組立体およびチップ組立体を配向させることができる。
【0020】
チップ組立体の1つの例示的な態様は、光学的に透明なシールを含むことができる。例えば、特定のチップ組立体は、マイクロ流体チャネルに底部を形成する光学的に透明なシールを含むことができる。この光学的に透明なシールは、マイクロ流体チャネルを通って流れる物質の光学的な検出を可能にすることができる。したがって、いくつかの例示的な実施態様によれば、カートリッジ組立体およびチップ組立体が係合された後、マイクロ流体チャネルは、マイクロ流体チャネルを通る流体(例えば、試料)の通過を可能にするように流体密封されることができる。
【0021】
一部の例示的なシステムにおいて、カートリッジ組立体は、機構が作動するまでカートリッジ組立体がチップ組立体と係合するのを防止するように構成された機構をさらに備えていてもよい。例えば、機構は、チップ組立体とカートリッジ組立体とを距離を隔てて保持する変形可能な構造を備えることができる。圧力または他の力を加えると、変形可能な構造は、チップ組立体とカートリッジ組立体とが接触するように、曲がるかまたは他の方法で距離を縮めることができる。
【0022】
励磁的なシステムの他の態様は、生物学的試料を供給するための試料ポートを備えることができる。これらの実施態様において、試料ポートは、カートリッジ組立体、チップ組立体、またはその両方に備えられ得る。
【0023】
特定の実施態様において、チップ組立体はまた、生物学的試料中に存在するRNAと相互作用するように構成された複数の金属ビーズを含むことができる。複数の金属ビーズの一態様は、磁気特性を備えることができる。磁気特性は、磁場(例えば、固定された磁石の磁場)に対する複数の金属ビーズの吸引力を含み得る。例えば、いくつかの実施態様では、複数の金属ビーズは、鋼鉄ビーズなどの鉄を含むビーズを含むことができる。
【0024】
追加的または代替的に、いくつかの実施態様において、カートリッジ組立体は、チップ組立体に係合するように構成された1つ以上の一方向クリップをさらに備えることができる。このようにして、カートリッジ組立体とチップ組立体との係合は、一方向クリップがチップ組立体と係合できるように、予め定義された圧力および/または距離を有することができる。この態様は、流体シールされたマイクロ流体チャネルを製造するための選択肢の一例を提供することができる。さらに、いくつかの実施態様では、一方向クリップは、システムが一旦係合されると、システムを破壊することなく流体的に密封されたマイクロ流体チャネルを破壊することができないように、チップ組立体を不可逆的に係合する特徴を含むことができる。
【0025】
本開示の例示的なシステムの態様は、異なる読取装置を使用して後に分析することができる試料収集のための手持ち式試験のようなアッセイを含むことができる。本開示のいくつかの実施態様において、アッセイの種類は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み得る。例えば、特定の実施態様において、1つ以上のリザーバは、洗浄液を収容する第1のリザーバおよびマスターミックスを収容する第2のリザーバを含むことができ、マスターミックスは少なくとも1つのポリメラーゼを含む。理解されるべきであるように、実施されるPCRのタイプに応じて様々なポリメラーゼが使用され得る。いくつかの実施態様において、PCRはリアルタイム(rtPCR)であってもよく、マスターミックスはまた、RNAを相補的DNAに変換するための逆転写酵素を含み得る。
【0026】
本開示の実施態様の1つの例示的な利点は、コンパクトかつ/または商業的に実行可能な設計である。例えば、マイクロ流体チップは、10μL~30μL、5μL~10μL、または10μL~20μLなど、5μL~30μLの範囲の体積を有する試薬を含むシステムの使用を可能にし得る。
【0027】
本開示の他の実施形態は、アッセイを実施するための方法を含む。例示的な方法は、生物学的試料をカートリッジ組立体(例えば、本明細書に記載のカートリッジ組立体)に供給することを含み得る。例えば、カートリッジ組立体は、第1のシールを有する第1の表面と、第2のシールを有する第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、リザーバが容積を画定し、1つ以上のリザーバの内の少なくとも1つが湿潤試薬を収容するリザーバとを備えることができる。
【0028】
例示的な方法はまた、生物学的試料をチップ組立体に移すために、カートリッジ組立体をチップ組立体(例えば、本明細書に記載のチップ組立体)と係合させることを含むことができる。例えば、チップ組立体は、マイクロ流体チャネルと、チップ組立体に湿潤試薬を供給するために第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材とを備えることができる。
【0029】
例示的な方法は、マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることをさらに含むことができる。
【0030】
例示的な方法の一態様は、カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させて、カートリッジ組立体の1つ以上のリザーバをチップ組立体のマイクロ流体チャネルに流体的に接続することを含むことができる。
【0031】
いくつかの方法において、マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることは、第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加え、それによって圧力が生物学的試料に流体的に伝達されることを含むことができる。
【0032】
特定の方法の他の態様は、生物学的試料を可溶化することを含み得る。例示のための一例として、いくつかの方法において、カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させた後、湿潤試薬を生物学的試料と混合して液体生物学的試料を生成する。
【0033】
特定の方法の他の態様は、生物学的試料を温度に晒すことを含むことができる。例えば、いくつかの方法において、マイクロ流体チャネルは、第1の温度に保持された第1の蛇行領域と、第2の温度に保持された第2の蛇行領域と、第1の蛇行領域と第2の蛇行領域との間に配置された検出容積とを含むことができ、第2の温度は第1の温度と異なる。これらの実施態様において、マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることは、第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加えることによって流体の流れを誘導することを含むことができ、流体の流れは、生物学的試料を第1の蛇行領域から検出容積および第2の蛇行領域へと方向的に移動させる。さらに、第1のシールの少なくとも1つの領域への圧力を除去すること、第1のシールの他の領域に圧力を加えること、またはその両方によって流体の流れを逆転させることであり、第1のシールの他の領域は第1のシールの少なくとも1つの領域とは異なり、流体の流れを逆転させることによって、生物学的試料が第2の蛇行領域から検出容積および第1の蛇行領域へ方向転換して移動する。
【0034】
このように、一般に、アッセイを実施するための例示的な方法は、生物学的試料を第1の温度に晒し、生物学的試料を第2の温度に曝露し、その後、このプロセスを繰り返すことを含むことができる。この温度サイクリングは、例示的な実施態様において、生物学的試料を含む流体を、第1の温度に保持されたマイクロ流体チャネルの第1の領域を通し、第2の温度に保持されたマイクロ流体チャネルの第2の領域へ流すことによって例示される。その後、流れの方向を反転させ、流体をマイクロ流体チャネルの第1の領域に移行させる。この方法論は、本明細書に開示されているような例示的なマイクロ流体チャネルを用いて実施することができる。例えば、マイクロ流体チャネルは、第1の蛇行領域を有し、検出容積に続いて第2の蛇行領域を有する連続チャネルとすることができ、第1および第2の蛇行領域は両方ともチップ組立体上に別個に位置し、検出容積が第1および第2の蛇行領域の位置を離している。
【0035】
本開示の特定の例示的な方法について、アッセイを実施することはまた、流体の流れを誘導することと、流体の流れを反転させることとを、多数のサイクルにわたって反復的に繰り返すことを含むことができる。生物学的試料を第1の温度および第2の温度に繰り返し晒すプロセスは、特定のアッセイを実施するために使用され得る温度サイクリングとも呼ばれ得る。
【0036】
本開示のいくつかの実施態様は、定性的および/または定量的スクリーニングのための検出ベースのアッセイを含み得る。例えば、特定の方法の一態様は、生物学的試料から信号を検出することを含むことができ、信号の検出は、マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させながら実行される。いくつかの例示的な信号は、蛍光プローブおよび/または着色プローブからの発光プロファイルを含み得る。
【0037】
本開示の特定の実施態様の態様は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施するための方法および/またはシステムを含むことができる。いくつかの実施態様において、カートリッジ組立体(例えば、1つ以上のリザーバ)は、少なくとも1つのポリメラーゼを含むマスターミックスのようなPCRにおいて使用される湿潤試薬を含み得る。他の例示的な湿潤試薬は、洗浄、緩衝液、pH調整剤、溶解組成物、または他のPCR試薬を含み得る。
【0038】
本開示の別の実施形態は、湿潤試薬を貯蔵するためのカートリッジ組立体を含み得る。例示的なカートリッジ組立体は、第1のシールを有する第1の表面と、第2のシールを有する第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、リザーバが容積を画定し、1つ以上のリザーバの少なくとも1つがポリメラーゼを含むリザーバと、を備えることができる。
【0039】
本開示に係るカートリッジ組立体の態様は、第1のシールおよび第2のシールが、それぞれ、リザーバによって規定される容積を囲む上部および底部を提供することを含むことができる。
【0040】
本開示の実施態様において、第1のシールは、1つ以上のリザーバに面する非反応性層と、非反応性層に接着された圧縮性層とを含むことができる。
【0041】
追加的にまたは代替的に、第2のシールは、1つ以上のリザーバに面する不活性層と、不活性層に接触する可撓性層とを含むことができる。
【0042】
より詳細には、本開示のいくつかの実施態様によれば、不活性層、非反応性層、またはその両方は、金属箔(例えば、アルミニウム箔)、フッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0043】
本発明は、前述の図面を参照して、以下の非限定的な実施例および実施形態を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【実施例】
【0044】
本実施例は、本開示に係るいくつかの実施態様を例示する。これらの実施例は、本明細書におけるそのような実施例にのみ実施形態を限定することを意図するものではなく、むしろ、いくつかの可能な実施形態を例示することを意図するものである。
【0045】
以下の設計仕様に従って、チップ組立体およびカートリッジ組立体を有する例示的なシステムが製造された。
チップおよびカートリッジが不可逆的なステップで組み立てられること。
チップが湿潤試薬リザーバを早期貫通することを防止するため、複数の貫通防止機能が含まれること。
カートリッジがアッセイ読取装置に配置され、アッセイを行う準備が整うと、貫通防止機能は移動/変更されること。
試料綿棒を追加し、その後それを密封するためのユーザ操作ポートが含まれること。
チップとカートリッジは、器具がチップをカートリッジに押し付けることにより、チップ上の尖った部分が各リザーバのカートリッジの底部を貫通し、後続のアッセイが可能になるような向きになっていること。
消耗品全体がアッセイのために密封されたままであり、アッセイ後に廃棄できること。
【0046】
カートリッジ組立体は以下の特徴を含んでいた。
化学的適合性のために湿潤試薬に最も近い弾力性のある薄膜シール、およびゴムの層。カートリッジの上部において、ゴム層が圧力膜として働き、ピンの下で伸びたり変形したりする。カートリッジの底部において、ゴム層がガスケット材として機能し、チップがカートリッジに一旦係合すると、カートリッジとチップとの間に強固なシールを形成する。
【0047】
チップ組立体には以下の特徴を含んでいた。
片側の流体チャネルは、チップの上部の穿刺ピンに流体的に接続されている。チップがカートリッジ内に一旦一緒に押し込まれると、ピンがゴムと薄膜シールを介して押される。柔軟なゴムは、一次シールとしてピンの両方にシールを形成することができる。チップには、ピンのシールが不良であったり不完全であったりした場合に、ゴムに対する二次シールを形成する役割も果たす隆起リングがある。
【0048】
図1を参照すると、カートリッジ組立体とチップ組立体とを含むシステムを共に形成する部材の向きが図示されている。
図1は、可撓性層(1番上)、非反応性層(上から2番目)、リザーバ、試料ポート、および試料ポート用キャップを含むカートリッジ(上から3番目)、不活性層(上から4番目)、および圧縮性層(上から5番目)の部材を含む。最初の5つの部材が組み合わさって、例示的なカートリッジ組立体を形成する。
図1にはさらに、チップ(上から6番目)と、チップに接着する底部シール(一番下)の部材を含む。最後の2つの部材は一緒になって、例示的なチップ組立体を形成する。
【0049】
描かれた実施例では、非反応性層(上から5番目)に接着するチップ上部の可撓性層は、収容された液体を移動させるための膜として機能することができる。さらに、圧縮性層は、カートリッジ組立体とチップ組立体が一旦係合すると、カートリッジをチップに流体的にシールする役割を果たすことができる。カートリッジ自体の流体リザーバは両端が開いており、リザーバの上部はゴム膜がピンで押されて変形するのに十分な幅があり、下部にはチップの穿刺部材よりわずかに大きい開口がある。元の状態の開口は密封されている。さらに、付属のキャップを含むカートリッジ組立体の場合、試料は密封可能である。
【0050】
図2Aを参照すると、この図は、穿刺された後にリザーバから移送される損失を減少させるように機能することができる密封特徴によって取り囲まれた複数の穿刺部材を示す、例示的なチップ組立体の上側斜視図である。
図2Bは、
図2Aの例示的なチップ組立体の下側斜視図である。
図2Bのマイクロ流体チャネルは、
図2Aの穿刺部材に流体的に接続されており、カートリッジ組立体と係合した後、リザーバからの流体がリザーバからマイクロ流体チャネルに移送されるようになっている。例えば、穿刺部材は、リザーバ内の流体が穿刺部材を通って穿刺部材下のマイクロ流体チャネルの領域に移動するように、中空にすることができる。
【0051】
図3を参照すると、図はマイクロ流体チャネルの設計例を示している。マイクロ流体チャネルは、複数の蛇行領域、カートリッジ組立体のリザーバに収容される流体のための複数の入口点、少なくとも1つのフィルタ、少なくとも1つのバーストバルブ(チャネルの狭窄部)、および光検出領域を含むことができる。
【0052】
図4Aを参照すると、図は、例示的なカートリッジ組立体の上側斜視図を示している。上部において、カートリッジ組立体は、生物学的試料を挿入するためのポートを備えることができる。カートリッジ組立体はまた、アッセイ成分を含む流体(例えば、溶液)を含むことができる1つ以上のリザーバを含むことができる。
図4Bは、
図4Aの例示的なカートリッジ組立体の下側斜視図である。
図4Bは、リザーバの底部の特徴(同心円として描かれている)を示している。
図4Bはまた、チップをカートリッジに保持するための一方向クリップの1つの可能な設計を示している。カートリッジ組立体の下部可撓性クリップはチップ組立体に係合し、工場で最初に組み立てた後、アッセイを実施するまでシステムを一緒に保持することができる。チップ組立体をチップストップ機能に対して保持するために、保持クリップを含めることができる。チップストップ機能は、チップの貫通部材がカートリッジの底部シールに早期に穴をあけるのを防ぐために、チップ組立体をカートリッジ組立体から離すように設計することができる。これらの特徴の一部または全部を一緒に使用して、チップ組立体とカートリッジ組立体との間の向きを維持し、2つの組立体を係合させることにより、生物学的試料がマイクロ流体チャネルに供給されるようにすることができる。
【0053】
図5を参照すると、例示的なカートリッジ組立体の平面図が示されている。図には、4つのリザーバ(2つの同心円として示される特徴)、廃棄物出口ポート(廃棄物領域に廃液を排出する)、リリース(
図6Aに示される第1の構成から
図6Bに示される第2の構成への移行中にチップのクリップを外すためのもの)、およびキャッピング機能を有する試料ポートが図示されている。また、ユーザがカートリッジを容易に保持し操作できるようにするためのハンドリングタブも示されている。
【0054】
図6Aを参照すると、チップ組立体の上に配向されたカートリッジ組立体を含むシステムの縦断面が示されている。カートリッジ組立体およびチップ組立体の位置は、チップストップ機能(例えば、上部クリップ(複数可)、下部クリップ(複数可))によって所定の位置に保持される。
図6Bは、カートリッジ組立体とチップ組立体とが係合された後の
図6Aのシステムの縦断面を示す。2つの組立体が一旦係合されると、チップの穿刺部材はリザーバの底部のシールを穿孔する。リザーバの上部シール/膜にかかる重力または圧力は、リザーバに収容されている流体のマイクロ流体チャネルへの流れを導くことができる。
【0055】
図7Aを参照すると、多数の穿刺部材を含む他のチップの上側斜視図が示されている。
図7Bは、カートリッジのリザーバとチップのチャネルとの間の流体連通を可能にする中空内部構造を示す例示的な穿刺部材の縦断面を示している。各穿刺部材の周囲には、流体の漏れを受け止めて保持するためのわずかな捕捉トレイが設けられている。
【0056】
いくつかの追加の、非限定的な、例示的な実施形態が以下に提供される。
【0057】
(実施形態1)
アッセイを実施するためのシステムであって、
カートリッジ組立体であって、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、少なくとも1つが湿潤試薬を収容するリザーバと、
を備えるカートリッジ組立体と、
チップ組立体であって、
マイクロ流体チャネルと
チップ組立体に湿潤試薬を供給するために第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材と、
を備えるチップ組立体と、
を備えるシステム。
【0058】
(実施形態2)
第1のシールが、
1つ以上のリザーバを囲む非反応性層と、
非反応性層と接触する可撓性層と、
を備える実施形態1に記載のシステム。
【0059】
(実施形態3)
第2のシールが、
1つ以上のリザーバを囲む不活性層と、
不活性層と接触する圧縮性層と、
を備える実施形態2に記載のシステム。
【0060】
(実施形態4)
カートリッジ組立体およびチップ組立体が、カートリッジ組立体およびチップ組立体を係合させることによって、1つ以上の穿刺部材が第2のシールを貫通し、圧縮性層がチップ組立体に接触してマイクロ流体チャネルを流体密封するように配向される実施形態3に記載のシステム。
【0061】
(実施形態5)
チップ組立体が、光学的に透明なシールをさらに備え、光学的に透明なシールがマイクロ流体チャネルに底部を形成する実施形態1に記載のシステム。
【0062】
(実施形態6)
カートリッジ組立体およびチップ組立体が、カートリッジ組立体およびチップ組立体を係合させることによって、1つ以上の穿刺部材が第2のシールを貫通し、圧縮性層がチップ組立体に接触してマイクロ流体チャネルの上部を流体シールするように配向される、実施形態5に記載のシステム。
【0063】
(実施形態7)
カートリッジ組立体が、機構が作動するまでカートリッジ組立体がチップ組立体と係合するのを防止するように構成された機構をさらに備える実施形態1に記載のシステム。
【0064】
(実施形態8)
カートリッジ組立体および/またはチップ組立体が、生物学的試料を提供するための試料ポートをさらに備える実施形態1に記載のシステム。
【0065】
(実施形態9)
チップ組立体が、生物学的試料中に存在するRNAと相互作用するように構成された複数の金属ビーズをさらに備える実施形態8に記載のシステム。
【0066】
(実施形態10)
カートリッジ組立体が、チップの一部と不可逆的に係合するように構成された1つ以上の一方向クリップをさらに備える実施形態1に記載のシステム。
【0067】
(実施形態11)
1つ以上のリザーバが、洗浄液を収容する第1のリザーバと、マスターミックスを収容する第2のリザーバとを備え、マスターミックスが少なくとも1つのポリメラーゼを含む実施形態1に記載のシステム。
【0068】
(実施形態12)
アッセイがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む実施形態1に記載のシステム。
【0069】
(実施形態13)
容積が5μL~30μLである実施形態1に記載のシステム。
【0070】
(実施形態14)
アッセイを実施するための方法であって、
生物学的試料をカートリッジ組立体に提供することを含み、
カートリッジ組立体が、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、少なくとも1つが湿潤試薬を収容するリザーバとを備え、
カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させて、生物学的試料をチップ組立体に移送することを含み、
チップ組立体が、
マイクロ流体チャネルと、
チップ組立体に湿潤試薬を供給するために第2のシールを貫通するように構成された1つ以上の穿刺部材とを備え、
マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることを含み、
カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させた後に、1つ以上のリザーバがマイクロ流体チャネルに流体連通することを含む方法。
【0071】
(実施形態15)
マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることが、
第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加え、圧力が生物学的試料に流体的に伝達されること、
を含む実施形態14に記載の方法。
【0072】
(実施形態16)
カートリッジ組立体をチップ組立体に係合させた後に、湿潤試薬が生物学的試料と混合して液体生物学的試料を生成する、実施形態14に記載の方法。
【0073】
(実施形態17)
マイクロ流体チャネルが、第1の温度に保持された第1の蛇行領域と、第2の温度に保持された第2の蛇行領域と、第1の蛇行領域と第2の蛇行領域との間に配置された検出容積とを備え、第2の温度が第1の温度と異なり、
マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させることが、
第1のシールの少なくとも1つの領域に圧力を加えることによって流体の流れを誘導することを含み、流体の流れが、生物学的試料を第1の蛇行領域から検出容積および第2の蛇行領域へと方向的に移動させ、
第1のシールの少なくとも1つの領域への圧力を除去すること、第1のシールの他の領域に圧力を印加すること、またはその両方によって、流体の流れを反転させることを含み、第1のシールの別の領域は、第1のシールの少なくとも1つの領域とは異なり、流体の流れを反転させることが、生物学的試料を、第2の蛇行領域から、検出容積および第1の蛇行領域へと方向的に移動させる実施形態15に記載の方法。
【0074】
(実施形態18)
流体の流れを誘導することと、流体の流れを反転させることとを、サイクル数にわたって反復的に繰り返すことをさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【0075】
(実施形態19)
生物学的試料から信号を検出することをさらに含み、信号を検出することが、マイクロ流体チャネルを通して生物学的試料を移動させながら実行される、実施形態14に記載の方法。
【0076】
(実施形態20)
1つ以上のリザーバが、洗浄液を収容する第1のリザーバと、マスターミックスを収容する第2のリザーバと、を備え、マスターミックスが少なくとも1つのポリメラーゼを含む、実施形態14に記載の方法。
【0077】
(実施形態21)
アッセイがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、実施形態14に記載の方法。
【0078】
(実施形態22)
容積が5μL~30μLである、実施形態14に記載の方法。
【0079】
(実施形態23)
湿潤試薬を貯蔵するためのカートリッジ組立体であって、
第1のシールを有する第1の表面と、
第2のシールを有する第2の表面と、
第1の表面と第2の表面との間に配置された1つ以上のリザーバであって、容積を画定し、少なくとも1つがポリメラーゼを収容するリザーバとを備える、
カートリッジ組立体。
【0080】
(実施形態24)
第1のシールおよび第2のシールが、それぞれ、リザーバによって画定される容積を囲む上部および底部を提供する、実施形態23に記載のカートリッジ組立体。
【0081】
(実施形態25)
第1のシールが、1つ以上のリザーバに面する非反応性層と、非反応性層に接着された圧縮性層とを備える、実施形態23に記載のカートリッジ組立体。
【0082】
(実施形態26)
第2のシールが、1つ以上のリザーバに面する不活性層と、不活性層と接触する可撓性層とを備える、実施形態25に記載のカートリッジ組立体。
【0083】
(実施形態27)
不活性層、非反応性層、またはその両方が、金属箔、フッ素化ポリマー、またはそれらの組み合わせからなる、実施形態26に記載のカートリッジ組立体。
【0084】
(実施形態28)
フッ素化ポリマーがポリテトラフルオロエチレンである、実施形態27に記載のカートリッジ組立体。
【0085】
用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」およびそれらの組合せは、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0086】
「からなる」という用語は、「~を含み、~に限定される」という意味である。
「本質的にからなる」という用語は、組成物、方法または構造が、追加の成分、ステップおよび/または部分を含んでもよいが、追加の成分、ステップおよび/または部分が、請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0087】
「複数」という用語は、「2つ以上」を意味する。
【0088】
本明細書において、単数形の「一の」、「ある」および「その」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数形の言及を含む。例えば、用語「ある化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0089】
本出願を通じて、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での説明は、単に便宜上、簡潔にするためのものであり、本発明の範囲を柔軟性なく限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値と同様に、可能な全ての部分範囲を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記述は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのような部分範囲、およびその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは範囲の広さに関係なく適用される。
【0090】
本明細書において数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内の引用数字(分数または積分)を含むことを意味する。本明細書において、第1の指示数値と第2の指示数値との「間の範囲」、および第1の指示数値「から」第2の指示数値までの「範囲」という表現は、互換的に使用され、第1および第2の指示数値、並びにその間の全ての分数および整数数字を含むことを意味する。
【0091】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴も、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の他の説明された実施形態において適切なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明された特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とはみなされない。
【0092】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替案、修正および変形が当業者に明らかであることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広範な範囲に属する、そのような代替案、修正例および変形例を全て包含することを意図している。
【0093】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における参考文献の引用または特定は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈してはならない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】