IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルトン メディカル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-521468脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法
<>
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図1
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図2
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図3
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図4
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図5
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図6
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図7
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図8
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図9
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図10
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図11
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図12
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図13
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図14
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図15
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図16
  • 特表-脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】脈管大動脈修復のための支持リングおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240524BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576404
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022033247
(87)【国際公開番号】W WO2022265989
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,258
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,エドゥアルド,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ロステッター,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】マジェン,アイタン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC05
4C097CC13
4C097DD02
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD12
4C097EE06
(57)【要約】
内部表面および外部表面、開放近位端、開放遠位端および開窓を画定する管状グラフト構成要素を含む、大動脈瘤の治療のためのステントグラフトおよび方法。近位半径方向ステントは開窓の近位にあり、遠位半径方向ステントは開窓の遠位にある。管状グラフト構成要素でのリングは、管状グラフト構成要素に沿って、開窓の周囲に伸長する。ライナーは、内部表面と外部表面の間で、開窓を通って伸長し、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素;
b) 少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素での近位ステント;
c) 管状グラフト構成要素で、管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長するリング;ならびに
d) 内部表面と外部表面の間で、開窓を通って伸長するライナー、それにより該リングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される、
を含む、ステントグラフト。
【請求項2】
ライナーが、第1の開口を画定する第1の層および第2の開口を画定する第2の層を含み、第1の開口および第2の開口が整列され、第1の層および第2の層が第1の開口および第2の開口で互いに固定され、第1の層および第2の層のそれぞれが、それらのそれぞれが管状グラフト構成要素の内部表面または外部表面の1つに固定される周を画定する、請求項1記載のステントグラフト。
【請求項3】
リングが複数の放射線不透過性マーカーバンドを含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項4】
放射線不透過性マーカーバンドの少なくとも一部が、ライナーから離れたファブリックにより包まれる、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項5】
放射線不透過性マーカーを包む、ライナーから離れたファブリックが、管状グラフト構成要素に固定される、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項6】
放射線不透過性マーカーバンドが、管状グラフト構成要素に縫い付けられる、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項7】
放射線不透過性マーカーの少なくとも一部が、細長い円筒および管の少なくとも1つとして形作られる、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項8】
開窓の周囲に伸長する支持リングをさらに含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項9】
支持リングが自己拡張している、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項10】
支持リングが形状記憶合金を含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項11】
支持リングがニチノールを含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項12】
支持リングがライナーにより密封される、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項13】
支持リングが、第1の層または第2の層の周の周囲に伸長する、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項14】
支持リングが、管状グラフト構成要素に縫い付けられる、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項15】
リングが支持リングである、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項16】
支持リングが連続リングである、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項17】
支持リングが自己拡張している、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項18】
支持リングが形状記憶合金を含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項19】
支持リングがニチノールを含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項20】
管状グラフト構成要素とライナーの間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項21】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、管状グラフト構成要素の開窓の周囲に伸長する、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項22】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、支持リングと管状グラフト構成要素の開窓との間に伸長する、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項23】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが支持リングの周囲に伸長し、支持リングが、放射線不透過性マーカーと管状グラフト構成要素の開窓との間にある、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項24】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、複数の放射線不透過性マーカーである、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項25】
近位ステントがベアステントである、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項26】
開窓に対して遠位である管状グラフト構成要素で、遠位ステントをさらに含む、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項27】
管状グラフト構成要素が、開窓に対して遠位で二叉に分けられる、前記請求項いずれか記載のステントグラフト。
【請求項28】
a) ステントグラフトを、動脈を通って患者の動脈瘤に送達する工程、ここで動脈瘤は少なくとも1つの動脈分岐を含む動脈の領域にわたり、該ステントグラフトは、ステントグラフト送達デバイスにより半径方向に収縮され、該ステントグラフトは:
i) 内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素;
ii) 少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素での近位ステント;
iii) 管状グラフト構成要素で、管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長するリング;ならびに
iv) 内部表面と外部表面の間で、少なくとも1つの開窓を通って伸長するライナーを含み、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される;
b) 患者の動脈瘤部位で、少なくとも1つの開窓と少なくとも1つの動脈分岐を整列する工程;
c) 少なくとも1つの分岐プロテーゼを、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の近位開放端または遠位開放端を通って、少なくとも1つの開窓を通って動脈分岐に送達する工程、ここで分岐プロテーゼは、分岐プロテーゼ送達デバイスにより半径方向にかつ解放可能に収縮される;ならびに
d) 分岐プロテーゼ送達デバイスから分岐プロテーゼを解放する工程、ここで分岐プロテーゼの拡張により、管状グラフト構成要素での接触が引き起こされ、それによりステントグラフトと分岐プロテーゼの間で密封が形成され、大動脈瘤が治療される、
を含む、大動脈瘤を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年6月14日に出願された米国仮特許出願第63/210,258号の利益を主張し、該出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
開窓が開けられた脈管内大動脈修復(fenestrated endovascular aortic repair)(FEVAR)は、腎臓、腸および肝臓などの生命維持に必要な臓器に血液を供給する、大動脈から分岐する血管にわたる大動脈瘤を治療するための最小の侵襲性手順である。FEVARに使用される脈管内グラフトは、動脈分岐を通る生命維持に必要な臓器への血流のための経路として働く分岐プロテーゼの挿入のための開窓を画定する。開窓が開けられた脈管プロテーゼを用いる動脈瘤、例えば傍腎(juxtarenal)大動脈瘤およびショートネック(short-neck)腹部大動脈瘤の修復後に生命維持に必要な臓器への血流を最大化することおよびエンドリークを最小化することは、さらなる外科的介入が回避される場合に克服または最小化されなければならない医学的困難さを提示する。
【0003】
そのため、特に傍腎およびショートネック腹部大動脈瘤などの大動脈の内臓周囲の区分における大動脈病状を治療するための新規の向上された脈管内修復デバイスおよび方法のための必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、大動脈瘤ならびに生命維持に必要な臓器および組織に血液を供給する動脈分岐を有する大動脈の領域に関連する血管損傷、例えば腎傍大動脈瘤およびショートネック腹部大動脈瘤などの大動脈血管損傷の治療および修復における使用のための脈管プロテーゼ、ならびに使用方法に関する。
【0005】
一態様において、本発明は、内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素を含むステントグラフトである。近位ステントは、少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素に配置される。リングは、管状グラフト構成要素に配置され、管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長する。ライナーは、管状グラフト構成要素の内部表面と外部表面の間で、少なくとも1つの開窓を通って伸長し、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される。
【0006】
別の態様において、本発明は、動脈を通って患者の動脈瘤までステントグラフトを送達する工程を含む大動脈瘤を治療するための方法であり、ここで動脈瘤は、少なくとも1つの動脈分岐を含む動脈の領域にわたり、ステントグラフトは、ステントグラフト送達デバイスにより半径方向に収縮され、ステントグラフトは:内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素;少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素での近位ステント;管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長する、管状グラフト構成要素でのリング;ならびに内部表面と外部表面の間で、少なくとも1つの開窓を通って伸長するライナーを含み、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される。少なくとも1つの開窓は、患者の動脈瘤部位で少なくとも1つの動脈分岐と整列される。少なくとも1つの分岐プロテーゼは、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の遠位開放端の近位開放端を通って、および少なくとも1つの開窓を通って動脈分岐まで送達され、分岐プロテーゼは、分岐プロテーゼ送達デバイスにより半径方向に、解放可能に収縮される。分岐プロテーゼは、分岐プロテーゼ送達デバイスから解放され、管状グラフト構成要素での接触を引き起こす分岐プロテーゼの拡張を生じ、それによりステントグラフトと分岐プロテーゼの間の密封が形成され、大動脈瘤が治療される。
【0007】
本発明は、いくつかの利点を有する。例えば、開窓でのリングと、開窓を通って大動脈の分岐血管まで伸長する架橋ステントとの間の擦り減りに対する保護は、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で、リングを暴露から密封することにより有意に低減される。具体的に、開窓を通って伸長するライナーにより提供されるリングと架橋ステントの間の保護の単一の層よりもむしろ、管状グラフトは、リングと架橋ステントの間の擦り減りに対する保護のさらなる層を提供する。種々の態様において、リングは、開窓のための支持として使用され得るか、または代替的にステントグラフト上で管状グラフト構成要素に連結および固定されることの両方である放射線不透過性マーカーで形成され得る。一態様において、リングの放射線不透過性マーカーは、互いに異なり、リングの放射線不透過性マーカーを独立して包むファブリックの使用などにより、管状グラフト構成要素に別々に固定され、それによりリングまたはリングの構成要素と、管状グラフト構成要素により画定される開窓を通って伸長する架橋ステントとの間の擦り減りに対するさらなる保護が提供される。リングが別個の放射線不透過性マーカーで構成されるかかる態様において、ニチノールなどの適切な材料で形成されるさらなるリングは、管状グラフト構成要素に固定され得、開窓の周の周囲に伸長し得、それにより、リングの放射線不透過性マーカーが、本発明のステントグラフトおよび架橋ステントグラフトを患者の外科的部位に植え込む際に、開窓に明確に印をつけることを可能にしながらも、開窓のための支持を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
前述のものは、同様の参照記号が異なる図面を通じて同じ部分を言及する添付の図面に図示されるように、例示的な態様の以下のより具体的な記載から明らかである。図面は、必ずしも一定の縮尺で作られておらず、代わりに態様の説明に重点が置かれる。
図1図1は、本発明のステントグラフトの一態様の側面図である。
図2図2は、図1に示される本発明の態様の部分的な断面図であり、ここで架橋ステントは、本発明のステントグラフトの管状グラフト構成要素により画定される開窓を通って伸長し、マーカーと架橋ステントの間の擦り減りに対する保護のさらなる層が、管状グラフト構成要素のライナーおよび壁の両方の存在により提供される場合を示す。
図3図3は、本発明のステントグラフトに使用されるライナーの一態様の斜視図であり、ここでそれぞれが開窓を有する2つのディスクは、整列された開窓で、一緒になって整列され、縫い付けられる。図3Aは、図3に示されるライナーの分解組立図である。
図4図4は、図1のステントグラフトの開窓の周囲に放射線不透過性マーカーのリングを含む本発明のステントグラフトの一態様の詳細であり、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の内部表面と外部表面の間に伸長するライナーは、点線の輪郭線で示される。図4Aは、図4の線4A-4Aに沿って得られる図4に示される詳細の断面図である。
図5図5は、図1に示されるステントグラフトの開窓の周囲の放射線不透過性マーカーのリングの一態様の詳細であり、放射線不透過性マーカーはそれぞれ、ライナーと離れた点線の輪郭線で示されるファブリック内に包まれ、管状グラフト構成要素の外部表面内の内部表面の間に伸長するステントグラフトのライナーも、点線の輪郭線で示される。図5Aは、図5の線5A-5Aに沿って得られる図5に示される詳細の断面図である。
図6図6は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、連続支持リングは、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の内部表面と外部表面の間に伸長するライナーの周の周囲に伸長する。図6Aは、図6の線6A-6Aに沿って得られる図6に示される詳細の断面図である。
図7図7は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、リングは、管状グラフト構成要素により画定される開窓の周囲に伸長する連続支持リングであり、支持リングは、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の1つの面とライナーの間に固定される。図7Aは、図7の線7A-7Aに沿って得られる図7に示される詳細の断面図である。
図8図8は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、管状グラフト構成要素の1つの表面での放射線不透過性マーカーは、支持リングと管状グラフト構成要素の開窓との間にある。図8Aは、図8の線8A-8Aに沿って得られる図8に示される詳細の断面図である。
図9図9は、図1に示される本発明の一態様の詳細である。リングは、連続支持リングであり、放射線不透過性マーカーは、支持リングと管状グラフト構成要素の開窓の間の連続リングである。図9Aは、図9の線9A-9Aに沿って得られる図9に示される詳細の断面図である。
図10図10は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、リングは、管状グラフト構成要素の表面とライナーの間の支持リングであり、複数の放射線不透過性マーカーをさらに含む。図10Aは、図10の線10A-10Aに沿って得られる図10に示される詳細の断面図である。
図11図11は、ベアステントである、管状グラフト構成要素の開窓の近位のステントを含む、本発明のステントグラフトの別の態様の側面図である。図11Aは、図11のベアステントの近位頂部および近位バーブを示す、図11に示される本発明の態様の詳細である。
図12図12は、本発明のステントグラフトの態様の側面図であり、管状グラフト構成要素の開窓の遠位のステントは、二叉の管状グラフト構成要素のレグ内に配置される伸長(extender)ステントグラフトの近位端にある。
図13図13は、本発明のステントグラフトのさらに別の態様の側面図であり、ステントは、管状構成要素により画定される開窓のすぐ近位および遠位にある。
図14図14は、本発明のステントグラフトのさらに別の態様の側面図であり、ステントグラフトは、開窓のすぐ近位および遠位にあるステント、ならびに管状グラフト構成要素の近位端にあるベアステント、および二叉管状構成要素のレグ内に配置される伸長ステントグラフトの近位端にあるステントを含む。
図15図15は、本発明のステントグラフトの側面図であり、分岐プロテーゼは、本発明のステントグラフトのそれぞれの開窓および関連のある開窓リングを通って植え込まれている。
図16図16は、両端を結び合わされた(crimped)コネクタにより互いに固定されるワイヤの第1の末端およびワイヤの第2の末端を示す、本発明の一態様の構成要素としての使用に適した支持リングの態様の側面図であり、ワイヤの第1の末端とワイヤの第2の末端の間のワイヤの少なくとも1つの長さLは、両端を結び合わされたコネクタの両面上で互いに対して反対にあるらせん形コイルの第1の末端およびらせん形コイルの第2の末端により画定される間隔を横切る。図16Aは、線16A-16Aに沿って得られる図16の支持リングの詳細の図である。図16Bは、2つの点で両端を結び合わされてそれによりワイヤの第1の末端およびワイヤの第2の末端を一緒に固定している両端を結び合わされたコネクタを示す図16支持リングの詳細である。図16Cは、図16および16Aのらせん形コイルの第1の末端と第2の末端の間の間隔を横切るワイヤの第1の末端と第2の末端の間の長さLを示すようにまっすぐにされている支持ワイヤの側面図である。
図17図17は、分岐スリーブの外部表面に固定される支持リングを有する分岐スリーブの別の態様の側面図であり、分岐スリーブは、分岐スリーブによる締まりばめにより、管状グラフトの開窓で密封リングを覆うライナーおよび分岐スリーブで固定される分岐ステントグラフトに固定される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の特徴および他の詳細は、本発明の工程としてまたは発明の部分の組合せとしてのいずれかで、特許請求の範囲においてここでより具体的に記載および指摘される。本発明の具体的な態様は、本発明の限定ではなく例示として示されることが理解される。本発明の主な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様において使用され得る。異なる図面中に見られる同じ番号は同じ項目を示すことも理解される。
【0010】
本発明は一般的に、生命維持に必要な臓器および組織に血液を供給する動脈分岐を有する大動脈の領域での大動脈瘤に関連する血管損傷などの血管損傷の治療および修復における使用のための脈管プロテーゼに関する。
【0011】
例示態様の説明を以下にする。
【0012】
患者に送達または植え込まれる、本明細書において「ステントグラフト」、「ステントグラフトプロテーゼ」または「脈管プロテーゼ」とも称されるプロテーゼを参照する場合、単語「近位」は、プロテーゼの一部またはプロテーゼの構成要素が患者の心臓からの血流の源に相対的に近いことを意味する。「遠位」は、プロテーゼの一部またはプロテーゼの構成要素が患者の心臓からの血流の源から相対的に遠くに離れることを意味する。「頭方」は、該用語を本明細書で使用する場合に、患者の心臓への絶対的な距離において相対的に近いことを意味する。「尾方」は、該用語を本明細書で使用する場合に、患者の心臓への絶対的な距離において相対的に遠いことを意味する。そのため、プロテーゼの近位端は、同じプロテーゼの遠位体に対して、患者の心臓に対して頭方または尾方であり得ることが理解される。
【0013】
しかしながらプロテーゼの送達もしくは植え込みに使用される送達システムまたは送達システムの構成要素について参照する場合、単語「近位」は、本明細書で使用する場合、送達システムを使用する臨床医により近いことを意味する。送達システムまたは送達システムの構成要素について参照する場合、「遠位」は、該用語を本明細書で使用する場合、送達システムを使用する臨床医からさらに遠く離れることを意味する。
【0014】
明確性のために、単語「最近傍」は、プロテーゼまたは送達システムのいずれかに関して上述の「近位」または「遠位」に起因する意味とは異なり、「近い」ことを意味する。
【0015】
本発明のステントグラフトの一態様を図1に示す。ここで示されるように、ステントグラフト10は、内部表面14、外部表面16、開放近位端18および開放遠位端を画定する管状グラフト構成要素12を含む。開放遠位端は、図1に示されるように、二叉に分かれ得、それにより第1の開放遠位端20および第2の開放遠位端22を画定する。管状グラフト構成要素12はさらに、少なくとも1つの開窓24を画定する。近位ステント26は、開窓24の近位の管状グラフト構成要素12の円周の周囲に伸長する。遠位ステント28は、少なくとも1つの開窓24の遠位の管状グラフト構成要素12の円周の周囲に伸長する。態様において、ステントグラフトは、1、2、3、4、または5個の開窓および1、2、3、4または5個の開窓のそれぞれの周囲に1、2、3、4または5個のリングを含む。
【0016】
近位ステント26および遠位ステント28は、図1に示されるように、反対にある末端を連結して、近位頂部32および遠位頂部34を画定する支柱30を含む。近位ステント26および遠位ステント28は、少なくとも一態様において、半径方向に自己拡張している。典型的に、近位ステント26および遠位ステント28は、ニチノールなどの形状記憶合金で形成される。他の態様において、ステントグラフト10は、管状グラフト構成要素12の長手方向の長さに沿って分布されるさらなるステントを含む。また、特定の態様において、開窓24は、近位ステント26もしくは遠位ステント28またはその両方の支柱30の間で入れ子にされ得る。
【0017】
管状グラフト構成要素12は、当該技術分野で公知のものなどの適切な材料で作製される。管状グラフトの適切な材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えばePTFEおよびポリエチレンテレフタレート(PET)、例えば編まれたポリエステルが挙げられる。
【0018】
リング36は、管状グラフト構成要素12にあり、管状グラフト構成要素12に沿って、開窓24の周囲に伸長する。図1に示される態様において、リング36は、開窓24を画定する周38の外側の管状グラフト構成要素12に沿って伸長し、管状グラフト構成要素12のいくらかの部分は、リング36から、管状グラフト構成要素12により画定される開窓24の周38へと伸長する。図1に示されるステントグラフト10の管状グラフト構成要素12の部分断面図である図2に見られ得るように、管状グラフト構成要素12により画定される開窓24の直径dは、リング36の内径d'よりも小さい。
【0019】
ライナー40は、管状グラフト構成要素12の内部表面14と外部表面16の間に、開窓24を通って伸長し、それによりライナー40により管状グラフト構成要素12の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素12およびライナー40により管状グラフト構成要素12の他の表面14で暴露からリング36を密封する。図2に示されるリング36は、ライナー40により暴露から密封されるので、図1に見られ得ない。
【0020】
架橋ステントグラフト42がステントグラフト構成要素12の開窓24を通って伸長する図2から見られ得るように、架橋ステントグラフト42(本明細書において「分岐ステントグラフト」または「分岐プロテーゼ」とも称される)とリング36の間の接触は、ライナー40により管状グラフト構成要素12の1つの面16ならびに管状グラフト構成要素12およびライナー40の材料により管状グラフト構成要素12の他の面14上で防がれる。リング36と架橋ステントグラフト42の間の管状グラフト構成要素12のさらなる層により提供される保護のさらなる層は、リング36と架橋ステントグラフト42の間のファブリックの擦り減りおよびリング36と架橋ステントグラフト42の間の結果的な接触の可能性を低減する。架橋ステントグラフト42は、ステンレス鋼およびコバルトクロムの少なくとも1つで作製され得る。リング36は、金属または金属合金、例えばニチノールで作製され得る。リング36と架橋ステントグラフト42の間のファブリックの低減される擦り減りは、ライナー40のファブリックの完全性の経時的な損失を低下し、それによりリング36と架橋ステントグラフト42の間に形成される密封を通過する血液の漏れの可能性を低減する。
【0021】
図3は、図1および2に示されるライナー40の一態様の斜視図であるが、ライナー40の少なくとも1つの態様の構築を明確化するために、管状グラフト構成要素12の存在がない。図3に示されるように、ライナー40は、第1の開口46を画定する第1の層44および第2の開口50を画定する第2の層48を含む。第1の開口46および第2の開口50は、縫合糸56の使用などにより、第1の開口46および第2の開口50のそれぞれの周52、54で、互いに整列および固定される。図3Aは、第1の層44および第2の層48を別々にならびに第1の開口46および第2の開口50を別々に示す図3のライナー40の分解組立図である。代替的に、第1の層44および第2の層48は、接着剤の使用など当該技術分野で公知の他の適切な手段により、開口46、50で互いに固定され得る。示されない代替的な態様において、ライナー40は、例えば図1および2に示されるものなどの開窓24の周38に一致し、内部表面14および外部表面16で固定されるように編まれたまたは成形された単一の構成要素で作製され得る。ライナー40は、編まれたファブリックで作製される必要はないが、その代わりおよびある態様において、適切なポリマーを適切な形状に成形することにより形成される連続材料であり得る。適切な材料の例としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えばePTFEおよびポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0022】
図4は、図1のステントグラフト10の一態様の詳細であり、ここでリング36は、管状グラフト構成要素12の開窓24の周38の周りに分布されるマーカー58の環状の配置である。図4に図示されるように、ライナー40の縁39、41は、リング36の放射線不透過性マーカー58と開窓24の間の空間的な関係を示すために点線で示される。
【0023】
図4Aは、図4の線4A-4Aに沿って得られる図4に示される詳細の側面図である。図4Aに見られ得るように、ライナー40は、開窓24を通って伸長し、それにより、ライナー40により管状グラフト構成要素12の1つの表面16でならびに管状グラフト構成要素12およびライナー40により管状グラフト構成要素12の他の表面14で暴露から放射線不透過性マーカー58を密封する。リング36の放射線不透過性マーカー58は、例えば縫合糸、接着剤等を含む当該技術分野で公知のものなどの適切な手段により、管状グラフト構成要素12に固定される。ライナー40は、適切な手段により、内部表面14および外部表面16の周54で固定される。
【0024】
図5は、図1に示されるステントグラフト10の別の態様の詳細であり、ここで放射線不透過性マーカー58はそれぞれ、ファブリック60により包まれ、それぞれの放射線不透過性マーカー58を包むファブリック60は、縫合糸または接着剤により管状グラフト構成要素12に固定される。
【0025】
図5Aは、ファブリック60による放射線不透過性マーカー58の包み込みも図示する図5の線5A-5Aに沿って得られる図5に示される詳細の断面図であり、ここでそれぞれの放射線不透過性マーカー58を包むファブリック60はそれ自体、ライナー40により暴露から密封される。
【0026】
放射線不透過性マーカーは、図5および5Aに示されるような細長い形状などの代替的な形状を有し得ることが理解される。代替的に、放射線不透過性マーカーは、円形、非対称D形状、球または連続リングであり得る。
【0027】
図6は、本発明のステントグラフトの別の態様の詳細であり、ここで支持リング62は、ライナー40の周64の外側の周囲に伸長する。本発明のリング36は、図4および4Aに示されたものなどの複数の別々の放射線不透過性マーカー58である。
【0028】
図6Aは、線6A-6Aに沿って得られる図6に示される態様の断面図であり、縫合糸66により管状グラフト構成要素12に固定される支持リング62を示す。
【0029】
図7は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、ここでリング36は、管状グラフト構成要素12により画定される開窓24の周囲に伸長する連続支持リングであり、支持リング36は、ステントグラフト10の管状グラフト構成要素12の1つの面16とライナー40の間に固定される。ライナー40は周39を有する。
【0030】
図7Aは、ライナー40内で密封されるリング36を示す、図7の線7A-7Aに沿って得られる図7に示される詳細の断面図である。
【0031】
図8は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、ここで管状グラフト構成要素12の1つの表面で放射線不透過性マーカー68は、支持リング36と管状グラフト構成要素12の開窓24の間にある。
【0032】
図8Aは、支持リング36および放射線不透過性マーカー68の両方がライナー40内で密封されることを示す、図8の線8A-8Aに沿って得られる図8に示される詳細の断面図である。
【0033】
図9は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、ここでリング36は連続支持リングであり、放射線不透過性マーカー70も連続リングであり、支持リング36と管状グラフト構成要素12の開窓24の間にある。
【0034】
図9Aは、図9の線9A-9Aに沿って得られる図9に示される詳細の断面図であり、ライナー40内に密封される支持リング36および放射線不透過性リング70の両方を示す。
【0035】
図10は、図1に示される本発明の一態様の詳細であり、ここでリング36は、リング36の周囲に伸長する放射線不透過性マーカー72と開窓24の間にある支持リングである。
【0036】
図10Aは、支持リング36および管状グラフト構成要素12の1つの面16とライナー40の間にある放射線不透過性マーカー72の両方を示す、図10に示される詳細の断面図である。
【0037】
図11は、管状グラフト構成要素12の開窓24の近位にあるベアステント74を含む、本発明のステントグラフト73の別の態様の側面図である。
【0038】
図11Aは、近位頂部76を示す図11に示される本発明のステントグラフト73の態様の詳細であり、架橋78は、支柱80の間に伸長し、近位バーブ82は、ベアステント74の架橋78から遠位に伸長する。
【0039】
図12は、本発明のステントグラフト84の態様の側面図であり、ここで管状グラフト構成要素90の開窓24の遠位のステント86は、二叉管状グラフト構成要素のレグ92に配置される伸長ステントグラフトの近位端にある。ここに見られ得るように、プロテーゼ伸長94(本明細書において「伸長ステントグラフト」とも称される)は、それぞれのレグ92の遠位端86から遠位に伸長し、それぞれのプロテーゼ伸長94は、その近位端98にステント96を含む。
【0040】
図13は、さらに別の態様の側面図であり、ここで本発明のステントグラフト100は、管状グラフト構成要素12により画定される開窓24のすぐ近位および遠位にある支柱26、28を含む。ステント96は、管状グラフト構成要素12のレグ92内に配置される伸長ステントグラフト94の近位端98にある。
【0041】
図14は、本発明のさらに別の態様の側面図であり、ここでステントグラフト110は、開窓24のすぐ近位および遠位にあるステント26、28、ならびに管状グラフト構成要素12の近位端18にあるベアステント74、および二叉管状グラフト構成要素12のレグ92内に配置される伸長ステントグラフト94の近位端98のステント96を含む。
【0042】
ステントグラフトは、動脈瘤、特に、大動脈の内臓周囲区分に広がる外科的部位で、当該技術分野で公知のものなどの適切な方法により植え込まれ得る。植込みの後、架橋ステントは、開窓、開窓リングを通って、腎臓、上部腸間膜または腹腔動脈などの大動脈の分岐に送達され得る。ステントグラフトを植え込むための適切な送達デバイスは、例えばそれらの全ての関連のある教示が、それらの全体において参照により本明細書に援用される米国特許出願第63/111,357号、同63,153,701号および同63,210,381号に記載される。
【0043】
態様において、図15に示されるように、開窓リング152、154、156、158を含むステントグラフト150は、動脈瘤部位160で植え込まれる。分岐プロテーゼ162、164、166、168は、それぞれの対応する開窓を通って送達され、それぞれの対応する開窓から伸長する。遠位端162'、164'、166'、168'はそれぞれ、それぞれの分岐プロテーゼ送達デバイス(示さず)により動脈瘤160で大動脈170のそれぞれの分岐へと方向づけられ、開窓リング152、154、156、158により近位端でそれぞれの開窓および遠位端で分岐動脈内に固定される。それぞれの分岐プロテーゼ162、164、166、168の近位端は、開窓リング152、154、156、158によりそれぞれの開窓で固定される。次いで、それぞれの分岐プロテーゼ162、164、166、168は、それぞれの分岐プロテーゼ送達デバイスから解放される。次いで、脈管プロテーゼ送達デバイスおよび分岐プロテーゼ送達デバイスは、同時または連続のいずれかで取り外され、それにより植込みおよび動脈瘤の治療を完了する。態様において、さらなる分岐プロテーゼ172、174は、ステントグラフト150の遠位端176に植え込まれ得る。ステントグラフト150のベアステント151は、バーブ153を含み得る。
【0044】
示されないが、本発明の脈管修復デバイスの遠位端は二叉に分岐され得、さらなるプロテーゼが、二叉の脈管プロテーゼの遠位端に植え込まれ得る。
【0045】
特定の一態様において、図1に示される密封リング36は、図16に示される支持リング200であり、らせん形コイルの第1の末端204およびらせん形コイルの第2の末端206を有するらせん形コイル202を含む。線16A-16Aに沿って得られる図16の支持リング200の図である図16Aに見られ得るように、らせん形コイル202は管腔208を画定する。図16に戻って参照すると、らせん形コイル202は弓形に伸長し、ここでらせん形コイルの第1の末端204およびらせん形コイルの第2の末端206は、互いに対して向かい合う関係にあり、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間にあり管腔208の外側にある長さLを画定する。ワイヤ210は管腔208を通って伸長し、図16Bに示されるように、ワイヤの第1の末端212およびワイヤの第2の末端214を含む。図16Bにも示されるように、ワイヤ210は、ワイヤの第1の末端212とワイヤの第2の末端214の間のワイヤ210の少なくとも1つの長さ216に沿って、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間の間隔の長さLを横切る。ワイヤの第1の末端212とワイヤの第2の末端214の間のワイヤ210の長さ216は、図16Cに示されるように、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間の間隔の長さLである。ワイヤの第1の末端212およびワイヤの第2の末端214で互いに固定されるワイヤ210の一部を含まない、ワイヤの第1の末端212とワイヤの第2 214の間にワイヤ210の包みがある場合と同様に多い、ワイヤの第1の末端212とワイヤの第2の末端214の間にワイヤ210の長さ216がある。ワイヤの第1の末端212およびワイヤの第2の末端214は、図16の支持リング200の詳細である図16Bに示されるように両端を結び合わせるコネクタ218などによる適切な手段により互いに固定される。コネクタ218は、図16Bに示されるように2つのクリンプ220を有するが、1、3、4または5個のクリンプ220などの他の数のクリンプ220が使用され得る。図16の支持リング200のさらなる記載は、U.S.S.N. 63/210,265に見られ得、その関連のある教示は、それらの全体において、参照により本明細書に援用される。
【0046】
一態様において、支持リング200のらせん形コイル202は放射線不透過性である。図16、16A、16Bおよび16Cに示されるように、ワイヤ210は、2つのループを含み、ワイヤ210の一部は、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間の長さLを横切る部分216を含む。図16Cは、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間の長さLにわたるワイヤ210の部分216を示す。ワイヤ210の部分216は、ワイヤ210の第1の末端212とワイヤ210の第2の末端214の間にある。種々の態様において、ワイヤ210は、ワイヤ210に沿ったワイヤ210の第1の末端212とワイヤ210の第2の末端214の間の長さLの2、3、4、5、6、7、8、9または10個の部分216で、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間の長さLを有する間隔を横切り得る。
【0047】
一態様において、支持リング200は、らせん形コイルの第1の末端204から、らせん形コイルの第1の末端204とは反対のらせん形コイルの第2の末端206を通って弓形に伸長するらせん形コイル202により画定される管腔208を通って、らせん形コイル202により画定される管腔208の外側にあるらせん形コイルの第1の末端204およびらせん形コイルの第2の末端206により画定される間隔の長さLを横切って、ワイヤ210を方向づける工程を含み、ここでワイヤ210は、らせん形コイルの第1の末端204とらせん形コイルの第2の末端206の間のワイヤの第1の末端212とワイヤの第2の末端214の間のワイヤ210の少なくとも1つの長さ216に沿った間隔の長さLを横切る、ならびにワイヤの第1の末端212をワイヤの第2の末端214に固定して、それにより例えば上に示されるようにならびに図16、16A、16Bおよび16Cに関して上述されるように支持リング200を形成する工程を含む方法により形成される。一態様において、該方法はさらに、支持リング200を、開窓で管状グラフト構成要素12に固定する工程を含み、ここで開窓24は、らせん形コイル202の弧内にあり、それにより本発明の大動脈プロテーゼの別の態様が形成される。
【0048】
別の態様において、本発明は、管状グラフト構成要素12の開窓24の周囲におよびそれを通って伸長する密封リング36およびライナー40のそれぞれで、図17に示されるものなどのグラフトスリーブ250を含む。図17に示されるように、グラフトスリーブ250は、グラフトスリーブ近位端252、グラフトスリーブ遠位端254およびグラフトスリーブ近位端252とグラフトスリーブ遠位端254の間に伸長するグラフトスリーブ壁256を含む。グラフトスリーブ近位端252は基部直径を有し、グラフトスリーブ遠位端254は、グラフトスリーブ近位端252の基部直径よりも小さい直径を有し、ここでグラフトスリーブ近位端252は、グラフトスリーブ遠位端254により画定される面Bと交差する面Aを画定する。一態様において、グラフトスリーブ256は、角度αで管状グラフト構成要素12の長手軸13と交差する長手軸257を画定する。交差の角度αは、0°~180°の範囲、例えば30°、60°、90°、120°または150°の角度であり得る。支持リング200は、グラフトスリーブ遠位端254に対してよりもグラフトスリーブ近位端252に対して近いグラフトスリーブ壁256に固定され、それによりグラフトスリーブアセンブリ260を形成する。生じるグラフトスリーブアセンブリ260は、開窓24の周囲で管状グラフト壁12に固定され、それにより、大動脈プロテーゼ262を形成する。分岐ステントグラフト264は、開窓24を通って方向づけられ、グラフトスリーブ250で植え込まれ、グラフトスリーブ266の近位端266は、縁268により示されるように、グラフトスリーブ250との関係を干渉することにより固定される。一態様において、グラフトスリーブは円錐形であり、グラフトスリーブ250の相対近位端での直交的に横向きの第1の区分251は、直交的に横向きの第1の区分251に対して遠位である直交的に横向きの第2の区分253よりも広い。態様において、分岐ステントグラフトの近位端は広げられる。さらに別の態様において、グラフトスリーブは、円錐形に形作られ、分岐ステントの近位端は広げられる。さらなる記載は、U.S.S.N. 63/210,271に見られ得、その関連のある教示は、その全体において、参照により援用される。
【0049】
本発明の脈管プロテーゼは、例えば経大腿(transfemoral)アクセスにより植え込まれ得る。本発明の脈管プロテーゼに方向づけられるさらなる分岐プロテーゼは、例えば上部大動脈血管アクセスにより(例えば上腕動脈を通って)、または経大腿アクセス、またはいくつかの他の分岐もしくは末梢血管などの主要血管の分岐からのアクセスにより植え込まれ得る。
【0050】
[0079]
別の態様において、本発明は、(a)内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素;(b)少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素での近位ステント;(c)管状グラフト構成要素で、管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長するリング;ならびに(d)内部表面と外部表面の間で、開窓を通って伸長するライナーを含むステントグラフトであり、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される。
【0051】
[0080]
ライナーが、第1の開口を画定する第1の層および第2の開口を画定する第2の層を含み、第1の開口および第2の開口が整列され、第1の層および第2の層が第1の開口および第2の開口で互いに固定され、第1の層および第2の層のそれぞれが、それらのそれぞれが管状グラフト構成要素の内部表面または外部表面の1つに固定される周を画定する、段落[0079]記載のステントグラフト。
【0052】
[0081]
リングが、複数の放射線不透過性マーカーバンドを含む、段落[0080]記載のステントグラフト。
【0053】
[0082]
放射線不透過性マーカーバンドの少なくとも一部が、ライナーから離れたファブリックにより包まれる、段落[0081]記載のステントグラフト。
【0054】
[0083]
放射線不透過性マーカーを包む、ライナーから離れたファブリックが、管状グラフト構成要素に固定される、段落[0082]記載のステントグラフト。
【0055】
[0084]
放射線不透過性マーカーバンドが、管状グラフト構成要素に縫い付けられる、段落[0081]記載のステントグラフト。
【0056】
[0085]
放射線不透過性マーカーの少なくとも一部が、細長い円筒および管の少なくとも1つとして形作られる、段落[0081]記載のステントグラフト。
【0057】
[0086]
開窓の周囲に伸長する支持リングをさらに含む、段落[0081]記載のステントグラフト。
【0058】
[0087]
支持リングが自己拡張している、段落[0086]記載のステントグラフト。
【0059】
[0088]
支持リングが形状記憶合金を含む、段落[0087]記載のステントグラフト。
【0060】
[0089]
支持リングがニチノールを含む、段落[0088]記載のステントグラフト。
【0061】
[0090]
支持リングがライナーにより密封される、段落[0086]記載のステントグラフト。
【0062】
[0091]
支持リングが、第1の層または第2の層の周の周囲に伸長する、段落[0086]記載のステントグラフト。
【0063】
[0092]
支持リングが、管状グラフト構成要素に縫い付けられる、段落[0086]記載のステントグラフト。
【0064】
[0093]
リングが支持リングである、段落[0079]記載のステントグラフト。
【0065】
[0094]
支持リングが連続リングである、段落[0093]記載のステントグラフト。
【0066】
[0095]
支持リングが自己拡張している、段落[0094]記載のステントグラフト。
【0067】
[0096]
支持リングが形状記憶合金を含む、段落[0095]記載のステントグラフト。
【0068】
[0097]
支持リングがニチノールを含む、段落[0096]記載のステントグラフト。
【0069】
[0098]
管状グラフト構成要素とライナーの間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに含む、段落[0097]記載のステントグラフト。
【0070】
[0099]
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、管状グラフト構成要素の開窓の周囲に伸長する、段落[0098]記載のステントグラフト。
【0071】
[0100]
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、支持リングと管状グラフト構成要素の開窓との間に伸長する、段落[0099]記載のステントグラフト。
【0072】
[0101]
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが支持リングの周囲に伸長し、支持リングが、放射線不透過性マーカーと管状グラフト構成要素の開窓との間にある、段落[0099]記載のステントグラフト。
【0073】
[0102]
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、複数の放射線不透過性マーカーである、段落[0098]記載のステントグラフト。
【0074】
[0103]
近位ステントがベアステントである、段落[0079]記載のステントグラフト。
【0075】
[0104]
開窓に対して遠位にある管状グラフト構成要素で、遠位ステントをさらに含む、段落[0079]記載のステントグラフト。
【0076】
[0105]
管状グラフト構成要素が、開窓に対して遠位に二叉に分けられる、段落[0079]記載のステントグラフト。
【0077】
[0106]
さらに別の態様において、本発明は、大動脈瘤を治療するための方法であって、該方法は:(a)動脈を通って患者の動脈瘤までステントグラフトを送達する工程、ここで動脈瘤は、少なくとも1つの動脈分岐を含む動脈の領域にわたり、該ステントグラフトは、ステントグラフト送達デバイスにより半径方向に収縮され、該ステントグラフトは:(i)内部表面、外部表面、開放近位端、開放遠位端および少なくとも1つの開窓を画定する管状グラフト構成要素;(ii)少なくとも1つの開窓の近位の管状グラフト構成要素での近位ステント;(iii)管状グラフト構成要素で、管状グラフト構成要素に沿って、少なくとも1つの開窓の周囲に伸長するリング;ならびに(iv)内部表面と外部表面の間で、少なくとも1つの開窓を通って伸長するライナーを含み、それによりリングは、ライナーにより管状グラフト構成要素の1つの表面でならびに管状グラフト構成要素およびライナーにより管状グラフト構成要素の他の表面で暴露から密封される;(b)患者の動脈瘤部位で、少なくとも1つの開窓と少なくとも1つの動脈分岐を整列させる工程;(c)少なくとも1つの分岐プロテーゼを、ステントグラフトの管状グラフト構成要素の近位開放端または遠位開放端を通って、少なくとも1つの開窓を通って動脈分岐に送達する工程、ここで該分岐プロテーゼは、分岐プロテーゼ送達デバイスにより半径方向にかつ解放可能に収縮される;ならびに(d)分岐プロテーゼ送達デバイスから分岐プロテーゼを解放する工程、ここで分岐プロテーゼの拡張により、管状グラフト構成要素での接触が引き起こされ、それによりステントグラフトと分岐プロテーゼの間で密封が形成され、大動脈瘤が治療される、を含む。
【0078】
本明細書に引用される全ての特許、公開された出願および参照文献の関連のある教示は、それらの全体において参照により援用される。米国特許番号US 10,987,235、US 11,000,359、US 11,291,572、US 11,278,390、US 11,219,540およびUS 11,154,392;米国公開特許出願番号:US 2019/0269498 A1、US 2019/0231514 A1、US 2019/0231571 A1、US 2019/0247178 A1、US 2019/0269497 A1、US 2019/0282355 A1、US 2019/0321207 A1、US 2020/352700A1およびUS 2021/0401602 A1;ならびに米国出願番号:17/522,251の関連のある教示も、それらの全体において参照により援用される。2022年6月13日にEitan MagenおよびEduardo Alejandro Garciaにより出願された、発明の名称「Support Ring, Aortic Prosthesis and Method of Forming」の米国特許出願(代理人事件番号:BMN-07825)の関連のある教示も、それらの全体において参照により本明細書に援用される。
【0079】
例示的態様が特に示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲に包含される態様の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本発明においてなされ得ることが当業者に理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】