(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】皮膚筋炎(DM)を治療するための抗C5抗体の投与量及び投与
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240524BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240524BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240524BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240524BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240524BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P17/00
A61P21/00
A61P29/00
A61K31/52
A61K31/573
A61K38/13
A61K31/4706
A61K31/42
A61K31/519
A61K31/5377
A61K31/365
A61K31/635
A61K31/192
A61K31/167
A61K45/00
A61K31/197
A61K31/714
A61K31/355
A61K31/122
A61K31/4188
C12N15/13 ZNA
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577159
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022032885
(87)【国際公開番号】W WO2022265915
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴールト, ローラ マリー
(72)【発明者】
【氏名】キールホーン, エイドリアン マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ラカデ, サンジャイ ナンドクマール
(72)【発明者】
【氏名】ソフール, ウシャーブッダ シブラジ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084DA11
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZB111
4C084ZC131
4C085AA14
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4C085GG02
4C086AA01
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4C086BA17
4C086BC28
4C086BC67
4C086BC73
4C086CB07
4C086CB09
4C086CB28
4C086DA10
4C086DA20
4C086DA39
4C086GA02
4C086GA12
4C086MA02
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4C086NA14
4C086ZA89
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4C086ZB11
4C206AA01
4C206CB27
4C206DA24
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4C206GA31
4C206HA32
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4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZA94
4C206ZB11
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
抗C5抗体又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))など)を用いたヒト患者における皮膚筋炎(DM)、特に重度及び/又は難治性DMの臨床治療のための投与量及び方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚筋炎(DM)のヒト患者を治療する方法であって、前記方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を前記患者に投与することを含み、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回
投与される、方法。
【請求項2】
前記抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回
投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗C5抗体又はその抗原結合断片が、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域をさらに含み、前記変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗C5抗体が、配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗C5抗体が、配列番号13に示される重鎖定常領域をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドと、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗C5抗体が、0.1nM≦K
D≦1nMの範囲(例えば、約0.5nM)の親和性解離定数(K
D)で、pH7.4及び25℃でヒトC5に結合する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗C5抗体が、K
D≧10nM(例えば、約22nM)で、pH6.0及び25℃でヒトC5に結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次々にその後8週間に1回投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療が、100μg/mL以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療が、200μg/mL以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗C5抗体が静脈内投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療が、可溶性C5b-9の正常レベルへのシフトをもたらす、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療が、筋炎特異的自己抗体の正常レベルへのシフトをもたらす、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記自己抗体が、抗黒色腫分化関連タンパク質5抗体(抗MDA5抗体)、抗核マトリックスタンパク質2抗体(抗NXP2/MJ抗体)、又は抗シンテターゼ/Jo1抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記治療が、筋酵素の正常レベルへのシフトをもたらす、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療が、国際筋炎評価及び臨床試験総改善スケール(IMACS-TIS)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記治療が、IMACS-TISスコアによって評価したときにベースラインと比較して少なくとも≧20ポイントの総改善スコア(TIS)をもたらす、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記治療が、IMACS-TISによって評価したときにベースラインと比較して少なくとも≧40ポイントのTISをもたらす、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記治療が、IMACS-TISによって評価したときにベースラインと比較して少なくとも≧60ポイントのTISをもたらす、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記治療が、皮膚筋炎の皮膚疾患領域及び重症度指数(CDASI)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記治療が、CDASIによって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して≧7ポイントの改善をもたらす、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記治療が、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目アンケート次元5レベル(EQ-5D-5L)スコアによって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記治療が、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記治療が、ショートフォーム健康調査(36問バージョン)(SF36)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記治療が、皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記治療が、30秒椅子起立試験(30sCST)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記治療が、写真解析によって評価したときにベースラインと比較して前記患者の検出可能な発疹の減少をもたらす、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記治療が、5D痒みスケールによって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記治療が、ハンドヘルドダイナモメトリー性能解析によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記治療が、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコアによって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記治療が、8筋徒手筋力検査サブセット(MMT8)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記治療が、筋炎疾患活動性評価ツール(MDAAT)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記治療が、医師グローバル活動性評価によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記治療が、患者グローバル活動性評価によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記治療が、健康評価アンケート(HAQ)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記治療が、皮膚筋炎の皮膚活動性の医師によるグローバル評価(CD-IGA)によって評価したときに前記患者においてベースラインと比較して改善をもたらす、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記治療が、前記患者の発疹及び/又は筋脱力の減少又は休止をもたらす、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記患者が、治療前、MMT-8≦142/150並びに以下の2つ以上:
f)10cmVAS上で≧2.0cmの患者グローバル活動性評価
g)10cmVAS上で≧2.0cmの医師グローバル活動性評価
h)≧0.25のHAQ障害指数
i)少なくとも1つの筋酵素が正常上限(ULN)の≧1.3倍に上昇;及び/又は
j)10cm視覚的アナログスケール(VAS)上で≧2.0cmのグローバル筋外疾患活動性スコア
を有する、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記グローバル筋外疾患活動性スコアが、MDAATの全身、皮膚、骨格、胃腸、肺、及び心臓スケール上での活動性スコアの評価に基づく、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記患者が、治療前、以下の1つ以上:
f)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時のDMの活動性病理所見の証拠を有する筋肉又は皮膚生検;
g)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の筋電図検査の証拠;
h)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の磁気共鳴イメージング(MRI)の筋肉の証拠;
i)治療開始前又は治療開始時のIMACSパネル中の少なくとも1つの筋酵素がULNの≧2倍;及び/又は
j)治療開始前又は治療開始時の炎症性変化(CDASI活動性スコア≧7)により特徴付けられる活動性DM皮疹
を有する、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの筋酵素が、クレアチンキナーゼ(CK)、アルドラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)からなる群から選択される、請求項48又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記治療が、以下の1つ以上:
a)アザチオプリン;
b)シクロスポリン;
c)グルココルチコイド;
d)筋内グルココルチコイド;
e)ヒドロキシクロロキン;
f)レフルノミド;
g)メトトレキセート、
h)ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸;及び/又は
i)スルファサラジン
を投与することをさらに含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記治療が、以下の1つ以上:
a)抗ヒスタミン剤;
b)イブプロフェン;
c)アセトアミノフェン;
d)抗掻痒剤;
e)局所ステロイド;
f)ビタミンB12;
g)ビタミンE、
h)クレアチン、
i)コエンザイムQ10、及び/又は
j)ビオチンサプリメント
を投与することをさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者が、治療開始時又は治療時、以下:
a)静脈内免疫グロブリン(IVIg);
b)皮下免疫グロブリン(SCIg);
c)IVグルココルチコイド;
d)コルチコトロピン注射;
e)シクロホスファミド、
f)リツキシマブ;
g)インフリキシマブ;
h)アダリムマブ;
i)エタネルセプト;
j)トファシチニブ;
k)ルキソリチニブ;又は
l)アナキンラ
のいずれも以前摂取しておらず、いずれも今も摂取していない、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記治療が終末補体阻害をもたらす、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記治療が有害事象の減少をもたらす、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記ヒト患者が成人患者である、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
ヒト患者におけるDMを治療するためのキットであって:
(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片;並びに
(b)請求項1~57のいずれか1項に記載の方法における抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用のための説明書
を含む、キット。
【請求項59】
配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片であって、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回
投与される、抗C5抗体又はその抗原結合断片。
【請求項60】
配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片であって、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回
投与される、抗C5抗体又はその抗原結合断片。
【請求項61】
前記抗体が、ヒト患者において、複数回のIV投与後、安全で、耐容性で、有用で、且つ十分に非免疫原性であると決定される、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年6月14日に出願された米国仮出願第63/210,280号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年4月22日に作成された前記ASCIIコピーは、0662WO_SL.txtと命名され、サイズが54,103バイトである。
【背景技術】
【0003】
補体媒介性傷害は、識別可能な皮疹及び筋脱力により特徴付けられる障害である皮膚筋炎(DM)の病理に関係するとされてきた(例えば、Dalakas MC,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747;Isak V,et a.,J.Dermatolog.Treat.2018;29(5):450-459;及びMahil S.et al.,Br.J.Hosp.Med.(Lond).2012;73(2):C18-22を参照されたい)。DMの患者は、典型的には、何ヵ月間か何年間かにわたり発生する近位筋脱力及び皮膚徴候を呈する(例えば、Selva-O’Callaghan A,et al.,The Lancet Neurology,2018;17(9):816-828を参照されたい)。筋内膜毛細血管の内皮細胞上の膜侵襲複合体(MAC)の存在がDMの患者からの筋生検により明らかにされている(例えば、Dalakas MC,et al.,Nat.Rev.Neurol.2020;16(11):601-617及びKissel JT,et al.,N.Engl.J.Med.1986;314(6):329-334を参照されたい)。現在、DMの治療用として承認された3つの療法:アザチオプリン、コルチコトロピン注射、及びグルココルチコイドが存在するにすぎない。しかしながら、療法にもかかわらず、DMの患者の約3分の1は、軽度~重度の障害が残り(例えば、Dalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982を参照されたい)、安定しているとみなされた患者の半分は、以前の作業レベルに戻らない(例えば、Marie I,et al.,J.Rheumatol.2001;28(10):2230-2237を参照されたい)。それゆえ、本開示の目的は、DMの患者を治療するための改善された方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Dalakas MC,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747
【非特許文献2】Isak V,et a.,J.Dermatolog.Treat.2018;29(5):450-459
【非特許文献3】Mahil S.et al.,Br.J.Hosp.Med.(Lond).2012;73(2):C18-22
【非特許文献4】Selva-O’Callaghan A,et al.,The Lancet Neurology,2018;17(9):816-828
【非特許文献5】Dalakas MC,et al.,Nat.Rev.Neurol.2020;16(11):601-617
【非特許文献6】Kissel JT,et al.,N.Engl.J.Med.1986;314(6):329-334
【非特許文献7】Dalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982
【非特許文献8】Marie I,et al.,J.Rheumatol.2001;28(10):2230-2237
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、部分的には、ラブリズマブ(ALXN1210;ULTOMIRIS)で患者を治療すると終末補体(C5)の阻害が達成されるとともに付随的に皮膚組織の終末補体媒介性損傷が低減されるという洞察に基づく。本発明者らの洞察は、部分的には、インビボでの終末補体に及ぼすラブリズマブの薬力学的(PD)効果及び皮膚筋炎(DM)の病態生理への膜侵襲複合体(MAC)の関与の同定についての知識に基づく。本開示は、具体的には、患者においてDMの臨床徴候を改善する際のラブリズマブの新しい治療的役割、特に、重度及び/又は難治性DM患者において筋脱力及び/又は皮膚徴候を低減する際のラブリズマブの有効性に関する。
本明細書には、抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含む、ヒト患者(例えば、成人患者)において皮膚筋炎(DM)を治療するための組成物及び方法が提供され、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、特定臨床投与レジメンに従って(例えば、具体的投与スケジュールに従って特定用量で)投与される(又は投与のためである)。本開示の組成物及び方法は、重度及び/又は難治性皮膚筋炎の治療に特に有用である。
【0006】
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖、又はその抗原結合断片及び変異体を含むラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))である。他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブの重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブの軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。
【0007】
別の実施形態では、抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含み、変異ヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付け規則に従って、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基にMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
【0008】
別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含み、変異ヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付け規則に従って、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基にMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
【0009】
別の実施形態では、抗C5抗体は、7086抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号参照)。別の実施形態では、抗C5抗体は、305LO5抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第9,765,135号参照)。別の実施形態では、抗C5抗体は、SKY59抗体(クロバリマブ)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、REGN3918抗体(ポゼリマブ)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、LFG316抗体(テシドルマブ)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブ又はそのバイオシミラー抗体(例えば、ABP959;SB12又はElizaria)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。
【0010】
一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。一実施形態では、例えば、900mg、1200mg、2400mg、2700mg、3000mg、3300mg、又は3600mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、患者の体重に基づいて投与される。別の実施形態では、900mg及び/又は2100mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重<30kgの患者に投与される。別の実施形態では、1200mg及び/又は2700mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧30~<40kgの患者に投与される。別の実施形態では、2400mg及び/又は3000mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧40~<60kgの患者に投与される。別の実施形態では、2700mg及び/又は3300mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧60~<100kgの患者に投与される。別の実施形態では、3000mg及び/又は3600mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧100kgの患者に投与される。特定の実施形態では、投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効応答)を提供するように調整される。
【0011】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0012】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0013】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、各々EU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0014】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、各々EU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0015】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0016】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0017】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0018】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0019】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0020】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0021】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0022】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0023】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で投与される、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次々にその後8週間に1回、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0024】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0025】
一実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されていない。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されている。
【0026】
別の態様では、記載される治療レジメンは、抗C5抗体又はその抗原結合断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。一実施形態では、例えば、治療レジメンは、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395又は400μg/mL以上の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、治療レジメンは、100μg/mL以上、150μg/mL以上、200μg/mL以上、250μg/mL以上、又は300μg/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、治療は、100μg/mL~200μg/mLの抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、治療は、約175μg/mLの抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0027】
別の実施形態において、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg又は260μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg~250μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg~200μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。
【0028】
別の実施形態において、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持する量及び頻度で患者に投与される。一実施態様において、例えば、抗C5抗体は、0.5μg/mL以下(例えば、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、又は0.1μg/mL以下)の遊離C5濃度を維持する量及び頻度で患者に投与される。
【0029】
抗C5抗体又はその抗原結合断片は、任意の適切な手段によって患者に投与することができる。一実施形態では、抗体は、静脈内投与用に処方される。
【0030】
本明細書で提供される治療方法の有効性は、任意の適切な手段を使用して評価することができる。一実施形態において、治療は、可溶性C5b-9の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0031】
別の実施形態では、治療は、筋炎特異的自己抗体(例えば、抗黒色腫分化関連タンパク質5抗体(抗MDA5抗体)、抗核マトリックスタンパク質2抗体(抗NXP2/MJ抗体)、及び/又は抗シンテターゼ/Jo1抗体)の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0032】
別の実施形態では、治療は、筋酵素(例えば、クレアチンキナーゼ(CK)、アルドラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST))の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0033】
別の実施形態では、治療は、国際筋炎評価及び臨床試験総改善スケール(IMACS-TIS)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。一実施形態では、治療は、IMACS-TISスコアによって評価したときにベースラインと比較して少なくとも≧20、25、30、35、40、45、50、55、又は60ポイントの総改善スコア(TIS)をもたらす。
【0034】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎の皮膚疾患領域及び重症度指数(CDASI)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0035】
別の実施形態では、治療は、CDASIによって評価したときに患者においてベースラインと比較して≧7、8、9、10、11、又は12ポイントの改善をもたらす。
【0036】
別の実施形態では、治療は、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目アンケート次元5レベル(EQ-5D-5L)スコアによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0037】
別の実施形態では、治療は、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0038】
別の実施形態では、治療は、ショートフォーム健康調査(36問バージョン)(SF36)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0039】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0040】
別の実施形態では、治療は、30秒椅子起立試験(30sCST)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0041】
別の実施形態では、治療は、写真解析によって評価したときにベースラインと比較して患者の検出可能な発疹の減少をもたらす。一実施形態では、治療は、写真解析によって評価したときにベースラインと比較して患者の検出可能な発疹の25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又は100%の減少をもたらす。
【0042】
別の実施形態では、治療は、5D痒みスケールによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0043】
別の実施形態では、治療は、ハンドヘルドダイナモメトリー性能解析によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0044】
別の実施形態では、治療は、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコアによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0045】
別の実施形態では、治療は、8筋徒手筋力検査サブセット(MMT8)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0046】
別の実施形態では、治療は、筋炎疾患活動性評価ツール(MDAAT)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0047】
別の実施形態では、治療は、医師グローバル活動性評価によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0048】
別の実施形態では、治療は、患者グローバル活動性評価によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0049】
別の実施形態では、治療は、健康評価アンケート(HAQ)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0050】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎の皮膚活動性の医師によるグローバル評価によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0051】
別の実施形態では、治療は、患者の発疹及び/又は筋脱力の減少又は休止をもたらす。
【0052】
別の実施形態では、治療は、終末補体阻害をもたらす。
【0053】
別の実施形態では、治療は、有害事象の減少をもたらす。
【0054】
別の実施形態では、患者は、治療前、MMT-8≦142/150並びに以下の2つ以上:
a)10cmVAS上で≧2.0cmの患者グローバル活動性評価
b)10cmVAS上で≧2.0cmの医師グローバル活動性評価
c)≧0.25のHAQ障害指数
d)少なくとも1つの筋酵素が正常上限(ULN)の≧1.3倍に上昇;及び/又は
e)10cm視覚的アナログスケール(VAS)上で≧2.0cmのグローバル筋外疾患活動性スコア
を有する。
【0055】
一実施形態では、グローバル筋外疾患活動性スコアは、MDAATの全身、皮膚、骨格、胃腸、肺、及び心臓スケール上での活動性スコアの評価に基づく。
【0056】
別の実施形態では、患者は、治療前、以下の1つ以上:
a)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時のDMの活動性病理所見の証拠を有する筋肉又は皮膚生検;
b)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の筋電図検査の証拠;
c)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の磁気共鳴イメージング(MRI)の筋肉の証拠;
d)治療開始前又は治療開始時のIMACSパネルの少なくとも1つの筋酵素(例えば、CK、アルドラーゼ、LDH、ALT、及び/又はAST)がULNの≧2倍;及び/又は
e)治療開始前又は治療開始時の炎症性変化(CDASI活動性スコア≧7)により特徴付けられる活動性DM皮疹
を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、単独で投与される。他の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、1つ以上の追加治療剤との組み合わせで(例えば、同時に又は別々に)投与される。一実施形態では、治療は、アザチオプリンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、シクロスポリンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、グルココルチコイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、筋内グルココルチコイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ヒドロキシクロロキンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、レフルノミドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、メトトレキセートを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、スルファサラジンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、抗ヒスタミン剤を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、イブプロフェンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、アセトアミノフェンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、抗掻痒剤を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、局所ステロイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビタミンB12を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビタミンEを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、クレアチンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、コエンザイムQ10を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビオチンサプリメントを投与することをさらに含む。
【0058】
一実施形態では、患者は、治療開始時又は治療時、以下をいずれも以前摂取しておらずいずれも今も摂取していない:静脈内免疫グロブリン(IVIg)、皮下免疫グロブリン(SCIg)、IVグルココルチコイド、コルチコトロピン注射、シクロホスファミド、リツキシマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、トファシチニブ、ルキソリチニブ、又はアナキンラ。
【0059】
さらに、本明細書に記載の方法における使用に適合された治療有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片、例えばラブリズマブ、及び薬学的に許容される担体を、場合により背景療法と一緒に含む医薬組成物を含むキットが提供される。一実施形態では、キットは、(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む、抗C5抗体又はその抗原結合断片と、(b)本明細書に記載の方法のいずれかにおいて抗C5抗体又はその抗原結合断片を使用するための説明書とを含む。
【0060】
また、本明細書には、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片提供され、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば医薬組成物又は医薬品に関し、組成物は、DMを治療するための背景療法を場合により含む。具体的には、ヒト患者におけるDMの治療のための、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片を含む組成物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、有効量は、抗C5抗体、例えばラブリズマブについて記載された投与量の使用及びスケジューリングの使用を含む。
【0062】
さらなる実施形態では、本開示は、ヒト患者においてDMを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用に関し、組成物は、DMの治療のための背景療法を場合により含む。具体的には、ヒト患者においてDMを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片の使用が本明細書において提供され、組成物は、DMの治療のための背景療法を含む。いくつかの実施形態において、有効量は、抗C5抗体、例えばラブリズマブについて記載された投与量及びスケジューリングを、場合により背景療法の投与量及びスケジューリングと一緒に使用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】サンプル医師グローバル活動性評価(IMACSフォーム02)である。
【
図3】サンプル患者/親グローバル活動性評価(IMACSフォーム03)である。
【
図4】サンプル慢性疾病治療の機能評価-疲労(FACIT-疲労)アンケートを示す。
【
図5】サンプル皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)を示す。
【
図6-1】パートAの活動のスケジュール(スクリーニングから無作為化対照期間の終了まで)を示す。
【
図7-1】パートBの活動のスケジュール(スクリーニングから無作為化対照期間の終了まで)を示す。
【
図8-1】パートA及びBの非盲検化延長期間の活動のスケジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
I.定義
本明細書で使用される場合、用語「対象」又は「患者」は、ヒト患者(例えば、DMを有する患者)である。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「小児」患者は、非成人カテゴリーに属するものとして医師又は介護者によって分類されているヒト患者であり、例えば、新生児(早期及び満期の両方)、乳児、小児、及び青年を含むことができる。典型的には、小児患者は、18歳未満(<18歳)の患者である。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「成人」患者は、医師又は介護者によって、例えば、年齢、発達状態、生理学的特徴などに基づいて、例えば新生児、乳児、小児又は青年ではない人に分類されているヒト患者である。典型的には、成人患者は、18歳以上(≧18歳)の患者である。
【0067】
本明細書で使用される場合、皮膚筋炎(DM)は、識別可能な皮疹及び筋脱力により特徴付けられる自己免疫性特発性炎症性疾患である(例えば、Bendewald MJ,et al.,Archives of dermatology.2010;146(1):26-30;Bohan A,et al.,N.Engl.J.Med.1975;292(7):344-347;Dalakas MC,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747;Isak V.et al.,J.Dermatolog.Treat.2018;29(5):450-459;及びMahil S,et al.,Br.J.Hosp.Med.(Lond).2012;73(2):C18-22を参照されたい)。DMの患者は、典型的には、何ヵ月間か何年間かにわたり発生する近位筋脱力及び皮膚徴候を呈する(例えば、Selva-O’Callaghan A,et al.,The Lancet Neurology.2018;17(9):816-828を参照されたい)。DMは、小児(若年性DM)及び成人の両方に並びに男性よりも女性に影響を及ぼす(例えば、Dalakas MC,et al.,Lancet;2003;362(9388):971-982を参照されたい)。米国では、DMの発生率は、9.63/100万と推定されており、5~15齢及び50~60齢の年齢でピークになるバイモーダル分布を有する(例えば、Bendewald MJ,et al.,Archives of dermatology.2010;146(1):26-30);Bohan A,Peter JB.,N.Engl.J.Med.1975;292(7):344-347;Isak V,et al.,J.Dermatolog.Treat.2018;29(5):450-459を参照されたい)。DMの患者は、一般に、緩徐な筋衰弱を発生することにより、ボタンを掛けたり若しくは物を持ったり、髪を梳かしたり、椅子から立ち上がったり、階段を上ったり、又は物を持ち上げたりするような日常的作業をこなすことが困難になる(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747;及びDalakas MC,Lancet.2003;362(9388):971-982を参照されたい)。
【0068】
血管、肺、胃腸、及び心臓系などの器官系が関与し得るとともに、間質性肺疾患の稀な症例が致命的になる可能性がある(例えば、Ernste FC,et al.,Mayo.Clin.Proc.2013;88(1):83-105を参照されたい)。DMの成人患者は、DM診断後の最初の3~5年間に9%~32%の癌リスク増加を有する(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747を参照されたい)。DMの女性における最も一般的な癌は、乳癌及び卵巣癌であり;一方、肺癌及び前立腺癌は、DMの男性において最も一般的である(例えば、Ernste FC,et al.,Mayo.Clin.Proc.2013;88(1):83-105を参照されたい)。
【0069】
現在、アザチオプリンは、EUではDMの治療用として承認されている。米国では、グルココルチコイド及びコルチコトロピン注射(Acthar(登録商標)Gel)は、DMの治療用として承認された唯一の利用可能な薬である(例えば、Isak V,et al.,J.Dermatolog Treat.2018;29(5):450-459を参照されたい)。DMの管理は、グルココルチコイド単独又はリツキシマブ及びIV免疫グロブリン(IVIg)を含む免疫抑制/免疫調節療法(IST)との組み合わせからなる(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747を参照されたい)。コルチコステロイドの長期使用は、骨粗鬆症、圧迫骨折、及び無血管性壊死などの有害合併症をもたらし得るとともに、ISTの使用は、重篤な感染のリスクを増加させ得るうえに耐容性問題さらには肝毒性に関連する(例えば、Chandra T,et al.,Expert Opin.Emerg.Drugs.2020:1-16;及びErnste FC,et al.,Mayo.Clin.Proc.2013;88(1):83-105を参照されたい)。さらに、療法にもかかわらず、DMの患者の約3分の1は、軽度~重度の障害が残り(例えば、Dalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982を参照されたい)、安定しているとみなされた患者の半分は、以前の作業レベルに戻らない(例えば、Marie I,et al.,J Rheumatol.2001;28(10):2230-2237を参照されたい)。利用可能な療法では、5年死亡率は低減されるが、依然としてほぼ25%である(例えば、Rider LG,et al.,JAMA.2011a;305(2):183-190を参照されたい)。
【0070】
まとめると、DMの患者(とりわけ、重度及び/又は難治性DMの患者)に利用可能な治療オプションの数が現在限られているので、多くの臨床治療決定は、経験的に及び適正臨床データなしで行われる。従って、この疾患のための有効性のある安全な治療オプションに対する満たされていない高い医学的ニーズが依然として存在する。
【0071】
ジェネティック素因を有する個体における環境リスク因子による免疫系の慢性的活性化は、DMの根本的原因であると考えられる(例えば、Rider LG,et al.,JAMA.2011a;305(2):183-190を参照されたい)。連鎖球菌、エコーウイルス、ヒト成長ホルモン、インターフェロン-α、インターフェロン-γ、ウシコラーゲンインプラント、身体労作、及び紫外線を含む環境暴露は、DMの発生に関係するとされてきた。DMに対する個体の感受性に関連するジェネティックリスク因子としては、環境因子への後期応答を調節することが知られている遺伝子多型性(例えば、ヒト白血球抗原[HLA]及びサイトカイン及び免疫グロブリン遺伝子の多型性)が挙げられる。
【0072】
DMの病理発生は、筋内膜毛細血管の内皮に対する自己抗体が補体成分3(C3)障害を活性化したときに誘発され(例えば、Dalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982を参照されたい)、筋障害で内皮細胞に対する補体媒介性傷害(例えば、Dalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982;及びMahil S,et al.,Br.J.Hosp.Med.(Lond).2012;73(2):C18-22を参照されたい)、さらには皮膚及び筋組織中へのMAC沈着(例えば、Magro CM,et al.,J.Cutan.Pathol.1997;24(9):543-552を参照されたい)をもたらすと考えられる。この仮説は、DMの早期疾患発現としての補体系の活性化により支持される(例えば、Pinal-Fernandez I,et al.,J Rheumatol.2015;42(8):1448-1454を参照されたい)。
【0073】
補体経路(古典的、代替、及びレクチン)は全て、C5に集中する。C5の活性化は、このタンパク質を補体成分5a及び5b(C5a及びC5b)に切断し;ラブリズマブは、この活性化をロバストに阻害する。C5aは、最強の化学誘引剤及び炎症促進性モジュレーターの1つであり(例えば、Harris CL,et al.,Mol.Immunol.2018;102:89-119を参照されたい)、B及びT細胞、マクロファージ、並びに他の免疫性細胞を炎症部位にリクルートする。これらの不適切に活性化された免疫性細胞は、サイトカインを放出することにより自己抗体形成及びさらなる組織損傷を伴う異常免疫応答をさらに増強する。DMでは、活性化された補体C5aは、内皮細胞への結合後に接着分子発現をアップ調節することによりサイトカイン誘導をもたらし得ることが示されている(例えば、Sallum AM,et al.,Autoimmun.Rev.2006;5(2):93-100を参照されたい)。
【0074】
C5bは、終末補体(C5b-9)MACの形成に関与する(例えば、Tegla CA,et al.,Immunol.Res.2011;51(1):45-60を参照されたい)。MACは、毛細血管上に沈着されて筋線維に血管周囲炎症を誘発する(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747;及びDalakas MC,et al.,Lancet.2003;362(9388):971-982を参照されたい)。DMでのMACは、壊死、筋内膜毛細血管の密度の低減、虚血、及び筋線維破壊の原因になる(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747;及びPinal-Fernandez I,et al.,J Rheumatol.2015;42(8):1448-1454を参照されたい)。筋線維の微視的病変は、血流低減及び線維束周囲萎縮をもたらし(例えば、Dalakas MC.,N.Engl.J.Med.2015;372(18):1734-1747を参照されたい)、これがDMの患者におけるきわめて特異的な特徴となっている(特異性>90%)(例えば、Suarez-Calvet X,et al.,Arthritis.Res.Ther.2017;19(1):174を参照されたい)。
【0075】
本明細書で使用される場合、「有効な治療」は、有益な効果、例えば、疾患又は障害の少なくとも1つの症状の改善をもたらす治療を指す。有益な効果は、ベースラインに対する改善、例えば、本方法による治療の開始前に行われる測定又は観察に対する改善の形態をとることができる。有効治療は、DMの少なくとも1つの症状(例えば、最も一般的には、顔、眼瞼、指関節、肘、膝、胸部、及び背部に発生する青紫色又は薄暗赤色発疹)及び/又は筋脱力(例えば、股関節部、大腿、肩、上腕、及び頸部の筋肉などの体幹に最も近い筋肉の進行性筋脱力)の緩和を指し得る。有効治療は、DMの少なくとも1つの症状(例えば、識別可能な発疹及び/又は筋脱力)の緩和を指し得る。
【0076】
用語「有効量」は、所望の生物学的、治療的及び/又は予防的結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の1つ以上の徴候、症状若しくは原因の低減、改善、緩和(palliation)、軽減、遅延及び/若しくは緩和(alleviation)、又は生体系の任意の他の所望の変化であり得る。一例では、「有効量」は、DMの少なくとも1つの症状(例えば、識別可能な発疹及び/又は筋脱力)を緩和することが臨床的に証明されている抗C5抗体又はその抗原結合断片の量である。有効量は、1回以上の投与において投与され得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「負荷用量」は、投与される最初の用量(例えば、投与サイクル中)を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「維持」及び「維持相」は、互換的に使用され、治療の第2の相を指す。特定の実施形態において、治療は、臨床的利益が観察される限り、又は管理不可能な毒性若しくは疾患進行が起こるまで継続される。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「血清トラフレベル」は、薬剤(例えば、抗C5抗体又はその抗原結合断片)又は医薬が血清中に存在する最低レベルを指す。対照的に、「ピーク血清レベル」は、血清中の薬剤の最高レベルを指す。「平均血清レベル」は、経時的な血清中の薬剤の平均レベルを指す。
【0080】
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、VH/VL領域若しくはFv、又はCDR)を含むポリペプチドを記載する。抗体には、既知の形態の抗体が含まれ、例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、又はキメラ抗体であり得る。抗体はまた、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、Affibody(登録商標)、ナノボディ又は単一ドメイン抗体であり得る。抗体はまた、以下のアイソタイプのいずれかのものであり得る:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgE又はそれらの組み合わせ。抗体は、天然に存在する抗体、又はタンパク質工学技術によって(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションによって)改変された抗体であり得る。抗体は、例えば、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる(天然に存在する抗体と比較して)1つ以上の変異体アミノ酸を含むことができる。例えば、半減期、エフェクター機能、及び/又は患者における抗体に対する免疫応答に影響を及ぼす、多数のそのような改変が当技術分野で公知である。抗体という用語はまた、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工又は操作されたポリペプチド構築物を含む。
【0081】
II.抗C5抗体
本明細書に記載の抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、C5の断片C5a及びC5bへの切断を阻害する。上述したように、そのような抗体はまた、例えば、治療目的のために使用される他の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)と比較して改善された薬物動態特性を有する。
【0082】
本明細書に記載の方法における使用に適した抗C5抗体(又はそれに由来するVH/VLドメイン)は、当技術分野で公知の方法を用いて作製することができる。或いは、当技術分野で認識されている抗C5抗体を使用することができる。C5への結合について、これらの当技術分野で認識されている抗体又は本明細書に記載の抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。
【0083】
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むラブリズマブ、又はその抗原結合断片及び変異体である。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)、BNJ441及びALXN1210としても知られる)は、国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。ラブリズマブ、BNJ441、及びALXN1210という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用され得るが、全てが同じ抗体を指す。ラブリズマブは、ヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化中のC5a及びC5bへのその切断を阻害する。この阻害は、炎症促進性メディエーターC5aの放出及び細胞溶解性細孔形成膜攻撃複合体(MAC)C5b-9の形成を防止する一方で、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに必須の補体活性化の近位又は初期成分(例えば、C3及びC3b)を保存する。
【0084】
他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖CDR又は重鎖及び軽鎖可変領域(VH/VL)を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブのVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブのVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常領域を含む。
【0085】
別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む抗体BNJ421、又はその抗原結合断片及び変異体である。BNJ421(ALXN1211としても知られる)は、国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
他の実施形態では、抗体は、BNJ421の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常領域を含む。
【0087】
別の実施形態では、抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0088】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号に記載の7086抗体である。一実施形態において、抗体は、7086抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号を参照されたい)。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号21、22及び23に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号24、25及び26に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域、及び配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含む。
【0089】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第9,765,135号に記載されている305LO5抗体である。一実施形態において、抗体は、305LO5抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号29、30及び31に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号32、33及び34に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号35に示される配列を有する305LO5抗体のVH領域、及び配列番号36に示される配列を有する305LO5抗体のVL領域を含む。
【0090】
別の例示的な抗C5抗体は、SKY59抗体である(Fukuzawa,T.et al.,Sci.Rep.,7:1080,2017)。一実施形態において、抗体は、SKY59抗体(クロバリマブ)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号37を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、REGN3918抗体(ポゼリマブ)の重鎖及び軽鎖可変領域又は重鎖及び軽鎖を含む(米国特許第10,633,434号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39に示される重鎖可変領域配列及び配列番号40に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号41に示される重鎖配列及び配列番号42に示される軽鎖配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、LFG316抗体(テシドルマブ)の重鎖及び軽鎖CDR又は重鎖及び軽鎖を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブ又はそのバイオシミラー抗体(例えば、ABP959;SB12又はElizaria)の重鎖及び軽鎖CDR又は重鎖及び軽鎖を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、抗体は、可変重CDR(VHCDR1-3)及び可変軽CDR(VLCDR1-3)を含む相補性決定領域(CDR)を含む。CDRの厳密境界は、異なる方法に従って異なって定義される。いくつかの実施形態では、軽鎖又は重鎖可変ドメイン内のCDR又はフレームワーク領域の位置は、Kabat et al.[(1991)“Sequences of Proteins of Immunological Interest.”NIH Publication No.91 3242,U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda,MD]によって定義される通りである。そのような場合には、CDRは、「Kabat CDR」(例えば、「Kabat LCDR2」又は「Kabat HCDR1」)といわれ得る。いくつかの実施形態では、軽鎖又は重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al.(Nature,342:877-83,1989)によって定義される通りである。それゆえ、これらの領域は、「Chothia CDR」(例えば、「Chothia LCDR2」又は「Chothia HCDR3」)といわれ得る。いくつかの実施形態では、軽鎖及び重鎖可変領域のCDRの位置は、Kabat-Chothiaの組み合わせ定義によって定義することができる。そのような実施形態では、これらの領域は、「組み合わせKabat-Chothia CDR」といわれ得る。Thomas,C.et al.(Mol.Immunol.,33:1389-401,1996)は、Kabat及びChothia番号付けスキームに従ったCDR境界の同定を例証する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:GHIFSNYWIQ(配列番号19)を含むか、又はそれからなる重鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:EILPGSGHTEYTENFKD(配列番号18)を含むか、又はそれからなる重鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【化1】
【0096】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【化2】
【0097】
本明細書に記載の抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、変異体ヒトFc定常領域が由来する天然ヒトFc定常領域の親和性よりも高い親和性でヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含むことができる。Fc定常領域は、例えば、変異体ヒトFc定常領域が由来する天然ヒトFc定常領域と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、又は8個以上)のアミノ酸置換を含むことができる。置換は、相互作用のpH依存性を維持しながら、変異体Fc定常領域を含むIgG抗体のpH6.0でのFcRnへの結合親和性を増加させることができる。抗体のFc定常領域における1つ以上の置換が、pH6.0でのFcRnに対するFc定常領域の親和性を増加させるかどうかを試験するための方法は、当技術分野で公知であり、実施例に例示されている。例えば、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号を参照されたい。
【0098】
FcRnに対する抗体Fc定常領域の結合親和性を増強する置換は、当技術分野で公知であり、例えば、(1)M252Y/S254T/T256E三重置換(Dall’Acqua,W.et al.,J.Biol.Chem.,281:23514-24,2006);(2)M428L又はT250Q/M428L置換(Hinton,P.et al.,J.Biol.Chem.,279:6213-6,2004;Hinton,P.et al.,J.Immunol.,176:346-56,2006);及び(3)N434A又はT307/E380A/N434A置換(Petkova,S.et al.,Int.Immunol.,18:1759-69,2006)を含む。さらなる置換対:P257I/Q311I、P257I/N434H及びD376V/N434H(Datta-Mannan,A.et al.,J.Biol.Chem.,282:1709-17,2007)、これらの各開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
本明細書に記載の方法で使用するのに適した抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。或いは、本明細書に記載の方法で使用するための抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
【0100】
一実施態様において、抗体は、pH7.4及び25℃で(そうでなければ、生理学的条件下で)、少なくとも0.1(例えば、少なくとも0.15、0.175、0.2、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95又は0.975)nMの親和性解離定数(KD)でC5に結合する。一実施態様では、抗体は、pH7.4及び25℃で(そうでなければ、生理学的条件下で)、約0.5nMである親和性解離定数(KD)でC5に結合する。いくつかの実施形態において、抗C5抗体又はその抗原結合断片のKDは、1nM以下(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2以下)である。いくつかの実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃で(そうでなければ、生理的条件下で)、約22nMであるKDで、C5に結合する。
【0101】
他の実施形態では、[(25℃でのpH6.0でのC5に対する抗体のKD)/(25CでのpH7.4でのC5に対する抗体のKD)]が21を超える(例えば、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500又は8000を超える)。
【0102】
抗体がタンパク質抗原に結合するかどうか、及び/又はタンパク質抗原に対する抗体の親和性を決定する方法は、当技術分野で公知である。タンパク質抗原に対する抗体の結合は、例えば、限定されないが、ウェスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)検出(例えば、BIAcoreシステム;Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden及びPiscataway、NJ)、又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA;Benny K.C.Lo(2004)「Antibody Engineering:Methods and Protocols,」Humana Press(ISBN:1588290921);Johne,B.et al.,J.Immunol.Meth.,160:191-8,1993;Jonsson,U.et al.,Ann.Biol.Clin.,51:19-26,1993;Jonsson,U.et al.,Biotechniques,11:620-7,1991)などの多様な技術を用いて検出及び/又は定量することができる。さらに、親和性(例えば、解離及び会合定数)を測定するための方法は、実施例に記載されている。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「ka」は、抗原に対する抗体の会合の速度定数を指す。用語「kd」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を指す。用語「KD」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。平衡解離定数は、速度定数の比、KD=Ka/Kdから導かれる。そのような決定は、例えば、25C又は37Cで測定することができる(実施例を参照されたい)。ヒトC5への抗体結合の動態は、例えば、Fc捕捉法を用いて抗体を固定化して、BIAcore 3000機器上でSPRを介してpH8.0、7.4、7.0、6.5及び6.0で決定することができる。
【0104】
一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、C5のC5a及びC5bへの切断を遮断する。この遮断効果により、例えば、C5aの炎症誘発効果、及び細胞表面でのC5b-9膜攻撃複合体(MAC)の生成が阻害される。
【0105】
本明細書に記載される特定の抗体がC5切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で公知である。ヒト補体成分C5の阻害は、対象の体液中の補体の細胞溶解能力を低下させることができる。体液中に存在する補体の細胞溶解能のそのような低下は、当技術分野で公知の方法、例えば、溶血アッセイ(Kabat and Mayer(eds.),「Experimental Immunochemistry,2nd Edition,」135-240,Springfield,IL,CC Thomas(1961),135-139頁)などの従来の溶血アッセイ、又はニワトリ赤血球溶血法(Hillmen,P.et al.,N.Engl.J.Med.,350:552-9,2004)などのそのアッセイの従来の変形によって測定することができる。候補化合物がヒトC5の形態C5a及びC5bへの切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で公知である(Evans,M.et al.,Mol.Immunol.,32:1183-95,1995)。体液中のC5a及びC5bの濃度及び/又は生理活性は、例えば、当技術分野で公知の方法によって測定することができる。C5bについては、溶血アッセイ又は本明細書で論じられる可溶性C5b-9についてのアッセイを使用することができる。当技術分野で公知の他のアッセイも使用することができる。これら又は他の適切なタイプのアッセイを用いて、ヒト補体成分C5を阻害することができる候補薬剤をスクリーニングすることができる。
【0106】
限定されないが、ELISAなどの免疫学的技術を用いて、C5及び/又はその分割生成物のタンパク質濃度を測定して、抗C5抗体又はその抗原結合断片の、C5の生物学的に活性な生成物への変換を阻害する能力を決定することができる。いくつかの実施形態では、C5a生成が測定される。いくつかの実施形態では、C5b-9ネオエピトープ特異的抗体を用いてMAC形成を検出する。
【0107】
補体活性化に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の阻害活性を決定するために、溶血アッセイを用いることができる。インビトロでの血清試験溶液中の古典的補体経路媒介溶血に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の効果を決定するために、例えば、溶血素でコーティングされたヒツジ赤血球又は抗ニワトリ赤血球抗体で感作されたニワトリ赤血球を標的細胞として使用する。100%溶解を阻害剤の非存在下で起こる溶解に等しいと考慮することによって、溶解のパーセンテージを正規化する。いくつかの実施形態では、古典的補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)古典的経路補体キット(Wieslab(登録商標)COMPL CP310、Euro‐Diagnostica、Sweden)において利用されるように、ヒトIgM抗体によって活性化される。簡潔には、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片と共に、ヒトIgM抗体の存在下でインキュベートする。生成されたC5b-9の量は、混合物を酵素結合抗C5b-9抗体及び蛍光発生基質と接触させ、適切な波長で吸光度を測定することによって測定される。対照として、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片の非存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、試験血清はC5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。
【0108】
代替経路媒介溶血に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の効果を決定するために、非感作ウサギ又はモルモット赤血球を標的細胞として使用することができる。いくつかの実施形態では、血清試験溶液は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。100%溶解を阻害剤の非存在下で起こる溶解に等しいと考慮することによって、溶解のパーセンテージを正規化する。いくつかの実施形態では、代替補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)代替経路補体キット(Wieslab(登録商標)COMPL AP330、Euro‐Diagnostica、Sweden)において利用されるように、っは、リポ多糖によって活性化される。簡潔には、試験血清を、リポ多糖の存在下で、抗C5抗体又はその抗原結合断片と共にインキュベートする。生成されたC5b-9の量は、混合物を酵素結合抗C5b-9抗体及び蛍光発生基質と接触させ、適切な波長で蛍光を測定することによって測定される。対照として、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片の非存在下でインキュベートする。
【0109】
いくつかの実施形態において、C5活性又はその阻害は、CH50eqアッセイを用いて定量される。CH50eqアッセイは、血清中の全古典的補体活性を測定するための方法である。この試験は、古典的補体経路の活性化因子として抗体感作赤血球を使用し、試験血清の様々な希釈を用いて、50%溶解(CH50)を得るのに必要な量を決定する溶解アッセイである。溶血パーセントは、例えば、分光光度計を用いて決定することができる。CH50eqアッセイは、TCC自体が測定される溶血に直接関与するので、終末補体複合体(TCC)形成の間接的測定値を提供する。このアッセイは、当業者に公知であり、一般的に実施されている。簡潔には、古典的補体経路を活性化するために、未希釈血清サンプル(例えば、再構成ヒト血清サンプル)を、抗体感作赤血球を含むマイクロアッセイウェルに添加し、それによってTCCを生成する。次に、活性化された血清を、捕捉試薬(例えば、TCCの1つ以上の成分に結合する抗体)でコーティングされたマイクロアッセイウェル中で希釈する。活性化サンプル中に存在するTCCは、マイクロアッセイウェルの表面をコーティングするモノクローナル抗体に結合する。ウェルを洗浄し、検出可能に標識され、結合したTCCを認識する検出試薬を各ウェルに添加する。検出可能な標識は、例えば、蛍光標識又は酵素標識であり得る。アッセイ結果を、CH50単位当量/ミリリットル(CH50 U Eq/mL)で表す。
【0110】
阻害は、例えば、終末補体活性に関する場合、類似の条件下及び等モル濃度での対照抗体(又はその抗原結合断片)の効果と比較して、例えば、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおける終末補体の活性の少なくとも5(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60)%の減少を含む。本明細書で使用される実質的な阻害は、少なくとも40(例えば、少なくとも45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95以上)%の所与の活性(例えば、終末補体活性)の阻害を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、エクリズマブのCDR(即ち、配列番号1~6)に対して1つ以上のアミノ酸置換を含むが、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおいて、エクリズマブの補体阻害活性の少なくとも30(例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95)%をなお保持する。
【0111】
本明細書に記載の抗C5抗体は、少なくとも20(例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55)日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、少なくとも40日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、約43日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、39~48日のヒトにおける血清半減期を有する。抗体の血清半減期を測定するための方法は、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体又はその抗原結合断片は、例えば、実施例に記載のマウスモデル系(例えば、C5欠損/NOD/scidマウス又はhFcRnトランスジェニックマウスモデル系)の1つで測定したエクリズマブの血清半減期よりも少なくとも20(例えば、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、400又は500)%大きい血清半減期を有する。
【0112】
一実施形態では、抗体は、本明細書に記載の抗体と結合について競合し、及び/又はC5上の同じエピトープに結合する。2つ以上の抗体に関して、用語「同じエピトープに結合する」は、所与の方法によって決定して、抗体がアミノ酸残基の同じ区分に結合することを意味する。抗体が本明細書に記載の抗体と同じC5上のエピトープに結合するかどうかを決定するための技術としては、例えば、エピトープマッピング法、例えば、抗原:抗体複合体の結晶のx線分析、及び水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)が挙げられる。他の方法は、ペプチド抗原断片又は抗原の突然変異体への抗体の結合をモニターし、ここで抗原配列内のアミノ酸残基の修飾による結合の喪失は、しばしばエピトープ成分の指標とみなされる。さらに、エピトープマッピングのためのコンビナトリアル計算法(computational combinatorial method)も使用することができる。これらの方法は、コンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリーから特異的な短いペプチドを親和性単離する、目的の抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、CDR2及びCDR3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予想される。
【0113】
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するかどうか、即ち、一方の抗体が他方の抗体の標的への結合を阻害するかどうか、及びどの程度阻害するかは、公知の競合実験を用いて決定することができる。特定の実施形態では、抗体は、別の抗体と競合し、標的に対する別の抗体の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する。阻害又は競合のレベルは、どちらの抗体が「遮断抗体」(即ち、最初に標的と共にインキュベートされる抗体)であるかに応じて異なり得る。競合抗体は、例えば、同じエピトープ、重複エピトープ、又は隣接エピトープに結合することができる(例えば、立体障害によって証明されるように)。
【0114】
本明細書に記載される方法で使用される、本明細書に記載される抗C5抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で認められた多様な技術を用いて生成され得る。モノクローナル抗体は、当業者によく知られている様々な技術によって得ることができる。簡潔には、所望の抗原で免疫化された動物由来の脾臓細胞を、一般に骨髄腫細胞との融合によって不死化させる(Koehler,G.&Milstein,C.,Eur.J.Immunol.,6:511-9,1976)。不死化の方法には、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子、若しくはレトロウイルスによる形質転換、又は当技術分野で公知の他の方法が含まれる。単一の不死化細胞から生じるコロニーを、抗原に対する所望の特異性及び親和性を有する抗体の産生についてスクリーニングし、それらの細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収率を、脊椎動物宿主の腹腔への注射を含む様々な技術によって増強することができる。或いは、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体又はその結合断片をコードするDNA配列を単離してもよい(Huse,W.et al.,Science,246:1275-81,1989)。
【0115】
いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片(例えば、エクリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(それぞれ、HCDR1-3及びLCDR1-3)を含む)を含まない。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))のバイオシミラー、例えば、ABP 959抗体(Amgen Inc.、USA製)、ELIZARIA(登録商標)(Generium JNC、Russia製)、又はSB12(Samsung Bioepis、Incheon、韓国製)ではない。
【0116】
III.組成物
抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物も本明細書に提供される。一実施形態では、組成物は、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含み、配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む。
【0117】
組成物は、例えば、DMの治療のための対象への投与のための医薬溶液として処方することができる。医薬組成物は、一般に、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合可能な任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指し、それらを含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩又は塩基付加塩、糖、炭水化物、ポリオール及び/又は張度調整剤を含むことができる。
【0118】
組成物は、標準的な方法に従って処方することができる。医薬処方は、確立された技術である(例えば、Gennaro(2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」20th Edition,Lippincott,Williams&Wilkins(ISBN:0683306472);Ansel et al.(1999)「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,」7th Edition,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(ISBN:0683305727);及びKibbe(2000)「Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,」3rd Edition(ISBN:091733096X)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、適切な濃度の、2~8C(例えば、4℃)での保存に適した緩衝溶液として処方することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、0C未満の温度(例えば、-20℃又は80℃)での貯蔵のために処方することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で2年間まで(例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、1.5年間又は2年間)の貯蔵のために処方することができる。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年間の貯蔵において安定である。
【0119】
医薬組成物は、様々な形態であり得る。これらの形態には、例えば、液体、半固体及び固体剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム及び坐薬が含まれる。好ましい形態は、部分的には、意図される投与様式及び治療的適用に依存する。全身又は局所送達を意図した組成物を含む組成物は、例えば、注射可能又は注入可能な溶液の形態であり得る。従って、組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内注射)による投与のために処方することができる。「非経口投与」、「非経口的に投与される」及び他の文法的に等価な語句は、本明細書で使用される場合、通常、注射による、腸内及び局所投与以外の投与方法を指し、静脈内、鼻腔内、眼内、肺内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5、及び6に示されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)と、を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば、医薬組成物又は医薬品に関し、有効量は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与することを含む。
【0121】
他の実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5、及び6に示されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)と、を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば、医薬組成物又は医薬品に関し、有効量は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与することを含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、配列番号19、18及び3を含むHCDR1-3並びに配列番号4、5及び6を含むLCDR1-3を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば医薬組成物又は医薬品に関し、抗C5抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域をさらに含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。特に、本明細書は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、例えばラブリズマブのHCDR1-3及びLCDR1-3を含む、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片を含む医薬組成物又は医薬品に関する。
【0123】
IV.方法
抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含む、ヒト患者におけるDMを治療するための方法が本明細書に提供され、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、特定の臨床投与量レジメンに従って(例えば、特定の用量で、特定の投与スケジュールに従って)投与される(又は投与のためである)。
【0124】
一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。一実施形態では、例えば、900mg、1200mg、2400mg、2700mg、3000mg、3300mg、又は3600mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、患者の体重に基づいて投与される。別の実施形態では、900mg及び/又は2100mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重<30kgの患者に投与される。別の実施形態では、1200mg及び/又は2700mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧30~<40kgの患者に投与される。別の実施形態では、2400mg及び/又は3000mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧40~<60kgの患者に投与される。別の実施形態では、2700mg及び/又は3300mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧60~<100kgの患者に投与される。別の実施形態では、3000mg及び/又は3600mgの抗C5抗体又はその抗原結合断片が、体重≧100kgの患者に投与される。特定の実施形態では、投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効応答)を提供するように調整される。
【0125】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0126】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0127】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、各々EU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0128】
別の実施形態では、DMのヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、各々EU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0129】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0130】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0131】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0132】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0133】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、1日目に3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0134】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重<30kgの患者に、1日目に900mgの負荷用量で、続いて15日目に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0135】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧30~<40kgの患者に、1日目に1200mgの負荷用量で、続いて15日目に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0136】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、1日目に2400mgの負荷用量で、続いて15日目に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0137】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧60~<100kgの患者に、1日目に2700mgの負荷用量で投与される、続いて15日目に3300mgの維持用量で、次々にその後8週間に1回、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0138】
別の実施形態では、抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、3000mgの負荷用量で、続いて15日目に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される、DMのヒト患者を治療する方法が提供される。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、単独で投与される。他の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、1つ以上の追加治療剤との組み合わせで(例えば、同時に又は別々に)投与される。一実施形態では、治療は、アザチオプリンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、シクロスポリンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、グルココルチコイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、筋内グルココルチコイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ヒドロキシクロロキンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、レフルノミドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、メトトレキセートを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、スルファサラジンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、抗ヒスタミン剤を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、イブプロフェンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、アセトアミノフェンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、抗掻痒剤を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、局所ステロイドを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビタミンB12を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビタミンEを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、クレアチンを投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、コエンザイムQ10を投与することをさらに含む。別の実施形態では、治療は、ビオチンサプリメントを投与することをさらに含む。
【0140】
一実施形態では、患者は、治療開始時又は治療時、以下をいずれも以前摂取しておらずいずれも今も摂取していない:静脈内免疫グロブリン(IVIg)、皮下免疫グロブリン(SCIg)、IVグルココルチコイド、コルチコトロピン注射、シクロホスファミド、リツキシマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、トファシチニブ、ルキソリチニブ、又はアナキンラ。
【0141】
一実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されていない。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されている。
【0142】
別の実施形態では、患者は、治療前、MMT-8≦142/150並びに以下の2つ以上:
a)10cmVAS上で≧2.0cmの患者グローバル活動性評価
b)10cmVAS上で≧2.0cmの医師グローバル活動性評価
c)≧0.25のHAQ障害指数
d)少なくとも1つの筋酵素が正常上限(ULN)の≧1.3倍に上昇;及び/又は
e)10cm視覚的アナログスケール(VAS)上で≧2.0cmのグローバル筋外疾患活動性スコア
を有する。
【0143】
一実施形態では、グローバル筋外疾患活動性スコアは、MDAATの全身、皮膚、骨格、胃腸、肺、及び心臓スケール上での活動性スコアの評価に基づく。
【0144】
別の実施形態では、患者は、治療前、以下の1つ以上:
a)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時のDMの活動性病理所見の証拠を有する筋肉又は皮膚生検;
b)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の筋電図検査の証拠;
c)治療開始前の過去6ヵ月以内又は治療開始時の活動性筋炎の磁気共鳴イメージング(MRI)の筋肉の証拠;
d)治療開始前又は治療開始時のIMACSパネルの少なくとも1つの筋酵素(例えば、CK、アルドラーゼ、LDH、ALT、及び/又はAST)がULNの≧2倍;及び/又は
e)治療開始前又は治療開始時の炎症性変化(CDASI活動性スコア≧7)により特徴付けられる活動性DM皮疹
を有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるDMの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5、及び6に示されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)と、を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば、医薬組成物又は医薬品に関し、組成物は、DMを治療するための背景療法を任意に含む。具体的には、本明細書には、ヒト患者におけるDMの治療のために有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、有効量は、抗C5抗体、例えば、ラブリズマブに対する本明細書に記載の投与量及びスケジューリングの使用を含む。
【0146】
さらなる実施形態では、本開示は、ヒト患者においてDMを治療するための組成物、例えば、医薬組成物又は医薬品の製造における、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5、及び6に示されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)と、を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用に関し、組成物は、DMの治療のための背景療法を任意に含む。具体的には、本明細書には、ヒト患者においてDMを治療するための組成物、例えば、医薬組成物又は医薬品の製造における、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片の使用が提供される。いくつかの実施形態では、有効量は、任意に背景療法の投与量及びスケジューリングと共に、抗C5抗体、例えば、ラブリズマブに対する本明細書に記載の投与量及びスケジューリングの使用を含む。
【0147】
V.アウトカム
本明細書には、抗C5抗体を患者に投与することを含む、患者においてDMを治療する方法が提供される。
【0148】
DMの症状としては、限定されるものではないが、発疹(例えば、最も一般的には、顔、眼瞼、指関節、肘、膝、胸部、及び背部に発生する青紫色又は薄暗赤色発疹)及び/又は筋脱力(例えば、股関節部、大腿、肩、上腕、及び頸部の筋肉などの体幹に最も近い筋肉の進行性筋脱力)が挙げられる。
【0149】
一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、少なくとも150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395又は400g/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、少なくとも175μg/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0150】
一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、0.5μg/mL以下(例えば、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、又は0.1μg/mL以下)の遊離C5濃度を有する。
【0151】
本明細書で提供される治療方法の有効性は、任意の適切な手段を用いて評価することができる。一実施形態では、治療は、可溶性C5b-9の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0152】
別の実施形態では、治療は、筋炎特異的自己抗体(例えば、抗黒色腫分化関連タンパク質5抗体(抗MDA5抗体)、抗核マトリックスタンパク質2抗体(抗NXP2/MJ抗体)、及び/又は抗シンテターゼ/Jo1抗体)の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0153】
別の実施形態では、治療は、筋酵素(例えば、クレアチンキナーゼ(CK)、アルドラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST))の正常レベルへのシフトをもたらす。
【0154】
別の実施形態では、治療は、国際筋炎評価及び臨床試験総改善スケール(IMACS-TIS)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。一実施形態では、治療は、IMACS-TISスコアによって評価したときにベースラインと比較して少なくとも≧20、25、30、35、40、45、50、55、又は60ポイントの総改善スコア(TIS)をもたらす。
【0155】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎の皮膚疾患領域及び重症度指数(CDASI)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0156】
別の実施形態では、治療は、CDASIによって評価したときに患者においてベースラインと比較して≧7、8、9、10、11、又は12ポイントの改善をもたらす。
【0157】
別の実施形態では、治療は、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目アンケート次元5レベル(EQ-5D-5L)スコアによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0158】
別の実施形態では、治療は、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0159】
別の実施形態では、治療は、ショートフォーム健康調査(36問バージョン)(SF36)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0160】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0161】
別の実施形態では、治療は、30秒椅子起立試験(30sCST)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0162】
別の実施形態では、治療は、写真解析によって評価したときにベースラインと比較して患者の検出可能な発疹の減少をもたらす。一実施形態では、治療は、写真解析によって評価したときにベースラインと比較して患者の検出可能な発疹の25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又は100%の減少をもたらす。
【0163】
別の実施形態では、治療は、5D痒みスケールによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0164】
別の実施形態では、治療は、ハンドヘルドダイナモメトリー性能解析によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0165】
別の実施形態では、治療は、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコアによって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0166】
別の実施形態では、治療は、8筋徒手筋力検査サブセット(MMT8)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0167】
別の実施形態では、治療は、筋炎疾患活動性評価ツール(MDAAT)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0168】
別の実施形態では、治療は、医師グローバル活動性評価によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0169】
別の実施形態では、治療は、患者グローバル活動性評価によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0170】
別の実施形態では、治療は、健康評価アンケート(HAQ)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0171】
別の実施形態では、治療は、皮膚筋炎の皮膚活動性の医師によるグローバル評価(CD-IGA)によって評価したときに患者においてベースラインと比較して改善をもたらす。
【0172】
別の実施形態では、治療は、患者の発疹及び/又は筋脱力の減少又は休止をもたらす。
【0173】
別の実施形態では、治療は、終末補体阻害をもたらす。
【0174】
別の実施形態では、治療は、有害事象の減少をもたらす。
【0175】
VI.キット及び単位剤形
抗C5抗体又はその抗原結合断片、例えばラブリズマブ又はBNJ421、及び薬学的に許容される担体を、前述の方法における使用に適合された治療有効量で含有する医薬組成物を含むキットも本明細書に提供される。キットはまた、場合により、施術者(例えば、医師、看護師、又は患者)がその中に含有される組成物を投与して、DMを有する患者に組成物を投与することを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含むことができる。キットはまた、注射器を含むことができる。
【0176】
場合により、キットは、上記で提供される方法に従って、単回投与のための、それぞれ有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む単回投与医薬組成物の複数のパッケージを含む。医薬組成物を投与するために必要な器具又はデバイスもまた、キットに含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む1つ以上のプレフィルド注射器を提供し得る。
【0177】
一実施形態では、ヒト患者におけるDMを治療するためのキットは:(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片;並びに(b)本明細書に記載の方法のいずれかに従って抗C5抗体又はその抗原結合断片を使用するための説明書を含む。一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重<30kgの患者に、900mgの負荷用量で、続いて2週間後に2100mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(b)体重≧30~<40kgの患者に、1200mgの負荷用量で、続いて2週間後に2700mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(c)体重≧40~<60kgの患者に、2400mgの負荷用量で、続いて2週間後に3000mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;
(d)体重≧60~<100kgの患者に、2700mgの負荷用量で、続いて2週間後に3300mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回;又は
(e)体重≧100の患者に、3000mgの負荷用量で、続いて2週間後に3600mgの維持用量で、次いでその後8週間に1回、投与される。
【0178】
以下の実施例は、単なる例示であり、本開示を読むことによって多くの変形及び等価物が当業者に明らかになるため、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての参考文献、Genbankエントリー、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0179】
実施例1:皮膚筋炎の成人参加者におけるラブリズマブの有効性及び安全性を評価するための第2/3相二重盲検無作為化プラセボ対照並行群多施設試験
1.目的
a.第2相目的
試験の主要目的は、成人DMに対する2016ACR/EULAR筋炎応答基準(IMACSとしても知られる)に従った総改善スコア(TIS)の改善に基づいてDMの治療でプラセボと比較してラブリズマブの効果を決定することである(例えば、無作為化対照期間の26週目のIMACS TISに関して≧20ポイント改善応答(TIS20)を有する参加者の割合により評価される)。
【0180】
副次的目的は、有効性エンドポイントの改善に基づいてDMの治療でプラセボと比較してラブリズマブの有効性を評価することである(例えば、(a)26週目の平均TIS、(b)26週目のCDASI活動性スコアのベースラインからの平均変化、(c)26週目のIMACSコアセット尺度の各々のベースラインからの変化、(d)最初のCDASI活動性スコア改善(最小臨床上重要差[MCID]=7ポイント改善)までの時間、(e)26週目のCDASI MCID改善を有する参加者の割合、(f)26週目のCD-IGAの変化、(g)各来院時のTIS20を有する参加者の割合、(h)各来院時のTIS40を有する参加者の割合、(i)各来院時のTIS60を有する参加者の割合、(j)TIS20、TIS40、又はTIS60のそれぞれの最初の応答までの時間、及び/又は(k)最初のIMACS筋炎コアセット尺度改善までの時間(各コアセット尺度に対するMCIDを参照されたい)に基づいて。
【0181】
さらなる目的は、DMの成人参加者においてラブリズマブのPK/PD及び免疫原性を特徴付けることである(例えば、試験期間にわたる血清中ラブリズマブ濃度、試験期間にわたる血清遊離及び合計C5濃度の変化、並びに試験期間にわたるADAの存在及び力価により評価される)。
【0182】
別の目的は、DMの参加者においてラブリズマブの全体的安全性を特徴付けることである(例えば、治療下の有害事象(TEAE)、治療下の重篤な有害事象(TESAE)、及び試験介入中止をもたらすTEAEの発生率を介して)。
【0183】
探索的目的は、(1)DMでの全体的健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HR-QoL)並びに参加者中心及び参加者報告結果に及ぼすラブリズマブの効果(例えば、各来院時のEQ5D5Lのベースラインからの変化、PROMIS29v2.1ドメインのベースラインからの経時的変化、SF-36のベースラインからの経時的変化、DM-DSQで捉えられたDM症状のベースラインからの経時的変化、及び疾患活動性の患者自己評価(DM-DSQの最後の質問)のベースラインからの経時的変化により評価される)、(2)DMの成人参加者における補体、炎症性、自己免疫性、及び他の可溶性バイオマーカー(例えば、血液中の筋炎特異的自己抗体(例えば、抗MDA5、抗NXP2/MJ、及び抗シンテターゼ/Jo-1)の存在、並びに試験期間にわたる1つ/複数の特異的自己抗体のベースラインからの変化)、並びに試験期間にわたる血漿中補体活性化(例えば、sC5b-9など)のベースラインからの変化により評価される)、(3)ラブリズマブを並行して摂取しているDMの参加者における可視臨床皮膚徴候の変化(例えば、各来院時の特化写真解析を用いて検出可能な発疹を有する領域の変化により評価される)、(4)試験全体を通して他の有効性エンドポイントに基づくDMの治療でのラブリズマブの有効性(例えば、各来院時の掻痒測定スケール(5D痒みスケール)を用いたベースラインからの変化、臨床的悪化基準を満たす参加者の割合、各来院時のハンドヘルドダイナモメトリーパフォーマンスのベースラインからの変化、各来院時の30秒椅子起立試験(30sCST)のベースラインからの変化、及びFACIT-疲労スコアのベースラインからの経時的変化により評価される)を評価することを含む。
【0184】
b.第3相目的
主要第3相目的は、2016IMACSに従ったTISの改善に基づいてDMの治療でプラセボと比較してラブリズマブの効果を決定することである(例えば、無作為化対照期間の定義複合エスティマンドに従った50週目のIMACS-TISに関して≧20ポイント改善応答(TIS20)を有する参加者の割合により評価される)。
【0185】
鍵を握る副次的目的は、IMACS及び他の筋炎活動性尺度の成分の改善に基づいてDMの治療でプラセボと比較してラブリズマブの有効性を評価することである(例えば、50週目の平均TIS、50週目のMMT-8のベースラインからの平均変化、50週目のMDAATに基づく筋外疾患活動性のベースラインからの平均変化、及び50週目のCDASI活動性スコアのベースラインからの平均変化により評価される)。
【0186】
副次的目的は、他の有効性エンドポイントに基づいてDMの治療でプラセボと比較してラブリズマブの有効性を評価することである(例えば、(a)50週目の患者グローバル活動性評価のベースラインからの平均変化、(b)50週目の医師グローバル活動性評価のベースラインからの平均変化、(c)50週目のHAQのベースラインからの平均変化、(d)50週目の筋酵素値のベースラインからの平均変化、(e)2週目から50週目までの各来院時の平均TIS、(f)各来院時のTIS20を有する参加者の割合、(g)各来院時のTIS40を有する参加者の割合、(h)各来院時のTIS60を有する参加者の割合、(i)TIS20、TIS40、又はTIS60のそれぞれの最初の応答までの時間、(j)最初のIMACS筋炎コアセット尺度改善までの時間(各コアセット尺度に対するMCIDを参照されたい)、(k)T=最初のCDASI活動性スコア改善(最小臨床上重要差[MCID]=7ポイント改善)までの時間、(l)50週目のCDASI MCID改善を有する参加者の割合、及び(m)50週目のCD-IGAの変化により評価される)。
【0187】
さらなる目的は、DMの成人参加者においてラブリズマブのPK/PD及び免疫原性を特徴付けることである(例えば、試験期間にわたる血清中ラブリズマブ濃度、試験期間にわたる血清遊離及び合計C5濃度の変化、並びに試験期間にわたるADAの存在及び力価により評価される)。
【0188】
別の目的は、DMの参加者においてラブリズマブの全体的安全性を特徴付けることである(例えば、治療下の有害事象(TEAE)、治療下の重篤な有害事象(TESAE)、及び試験介入中止をもたらすTEAEの発生率により評価される)。
【0189】
探索的目的は、(1)DMでの全体的健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HR-QoL)並びに参加者中心及び参加者報告結果に及ぼすプラセボと比較したラブリズマブの効果(例えば、各来院時のEQ5D5Lのベースラインからの変化、PROMIS29v2.1ドメインのベースラインからの経時的変化、SF36のベースラインからの経時的変化、DM-DSQで捉えられたDM症状のベースラインからの経時的変化、及び疾患活動性の患者自己評価(DM-DSQの最後の質問)のベースラインからの経時的変化により評価される)、(2)DMの成人参加者における補体、炎症性、自己免疫性、及び他の可溶性バイオマーカー(例えば、血液中の筋炎特異的自己抗体(例えば、抗MDA5、抗NXP2/MJ、及び抗シンテターゼ/Jo-1)の存在、並びに試験期間にわたる1つ/複数の特異的自己抗体のベースラインからの変化、並びに試験期間にわたる血漿中補体活性化(例えば、sC5b-9など)のベースラインからの変化により評価される、(3)ラブリズマブを並行して摂取しているDMの参加者における可視臨床皮膚徴候の変化(例えば、特化写真解析を用いて検出可能な発疹を有する領域の変化により評価される)、(4)試験全体を通して他の有効性エンドポイントに基づくDMの治療でのプラセボと比較したラブリズマブの有効性(例えば、各来院時の掻痒測定スケール(5D痒みスケール)を用いたベースラインからの変化、疾患悪化基準を満たす参加者の割合、各来院時のハンドヘルドダイナモメトリーパフォーマンスのベースラインからの変化、各来院時の30秒椅子起立試験(30sCST)のベースラインからの変化、及びFACIT-疲労スコアのベースラインからの経時的変化により評価される)を評価することを含む。
【0190】
c.非盲検化延長目的
非盲検化延長試験の目的は、(1)試験全体を通して他の有効性エンドポイントに基づくDMの治療でのラブリズマブの長期有効性(例えば、各来院時の掻痒測定スケール(5D痒みスケール)を用いたベースラインからの変化、各来院時のCDASI活動性スコアのベースラインからの変化、78週目のCD-IGAの変化、疾患悪化基準を満たす参加者の割合、各来院時のハンドヘルドダイナモメトリーパフォーマンスのベースラインからの変化、各来院時の30秒椅子起立試験(30sCST)のベースラインからの変化、及び各来院時のFACIT-疲労スコアのベースラインからの変化を介して)、並びにラブリズマブを並行して摂取しているDMの参加者におけるDM治療の長期使用(例えば、OLE期間の終了時の5mg以下のステロイドフリー又は最小限の維持用量の参加者のパーセンテージ、ベースラインからの累積ステロイド用量、救済療法事象の数及び最初の救済療法治療までの時間、許容DM治療を変更した参加者のパーセンテージ及び最初のDM治療変更までの時間を介して)を評価することを含む。
【0191】
探索的目的は、(1)IMACSの成分の改善に基づいてDMの参加者におけるラブリズマブ治療の長期作用を評価すること(例えば、78週目の平均TIS、各来院時のMMT-8のベースラインからの変化、各来院時の医師グローバル活動性評価のベースラインからの変化、各来院時のMDAATに基づく筋外疾患活動性のベースラインからの変化、及び各来院時のHAQのベースラインからの変化を介して)、(2)DMでの全体的健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HR-QoL)並びに参加者中心及び参加者報告結果に及ぼすラブリズマブの長期効果を評価すること(例えば、各来院時のEQ-5D-5Lのベースラインからの変化、各来院時のPROMIS29v2.1ドメインのベースラインからの変化、各来院時のSF-36のベースラインからの変化、各来院時のDM-DSQで捉えられたDM症状のベースラインからの変化、及び各来院時の疾患活動性(DM-DSQの最後の質問)の患者グローバル評価のベースラインからの変化を介して)、(3)DMの参加者においてラブリズマブの長期安全性を特徴付けること(例えば、治療下の有害事象(TEAE)、治療下の重篤な有害事象(TESAE)、及び試験介入中止をもたらすTEAEの発生率を介して)、(4)DMの成人参加者においてラブリズマブの長期PK/PD及び免疫原性を特徴付けること(例えば、試験期間にわたる血清中ラブリズマブ濃度、試験期間にわたる血清遊離及び合計C5濃度の変化、並びに試験期間にわたるADAの存在及び力価を介して)、並びに(5)DMの成人参加者において補体、炎症性、自己免疫性、及び他の可溶性バイオマーカーを評価すること(例えば、試験期間にわたる特異的自己抗体(例えば、抗MDA5、抗NXP2/MJ、及び抗シンテターゼ/Jo-1)力価のベースラインからの変化(ベースラインで陽性の対象においてのみ)、並びに試験期間にわたる血漿中補体活性化(例えば、sC5b-9など)のベースラインからの変化を介して)を含む。
【0192】
2.主要エスティマンド
試験のパートAは、探索的な性質を帯びており、主要エスティマンドは、あらかじめ定義されていない。
【0193】
パートBでは、主要エスティマンドは、試験エントリー基準によって定義されるように、DMの参加者における無作為化対照期間の終了時のラブリズマブ及びプラセボ間の応答の割合(TIS20)の差である。主要エスティマンドは、以下に基づく複合ストラテジーに基づく。
【0194】
以下の介入事象のいずれかを有する参加者は、無作為化対照期間中の主要エスティマンドの目的では治療失敗とみなされる:(1)ラブリズマブに関連する安全性、耐容性、又は有効性の理由に起因して試験を尚早に中止した、(2)無作為化対照期間中の安全性、耐容性、又は有効性への懸念からの試験介入、(3)無作為化対照期間中に何らかの理由で用量を増加させた又は新しいDM治療(グルココルチコイド及び/又はIST)を開始した、或いは(4)無作為化対照期間中の任意の時点で禁止薬/療法を受けた。
【0195】
併発性事象を何ら伴わない参加者は全て、主要エスティマンドの目的に使用される自身のIMACS-TIS評価を有する。
【0196】
試験介入を中止したがコンセントを撤回していない者はいずれも、試験に残って予定された評価を完了させることが許される。
【0197】
以下の介入事象のいずれかを有する参加者は、無作為化対照期間中の主要エスティマンドの目的では治療失敗とみなされる:ラブリズマブに関連する安全性、耐容性、又は有効性の理由に起因して試験を尚早に中止した。
【0198】
3.試験デザイン
試験ALXN1210-DM-310は、DMの成人参加者におけるラブリズマブの有効性、安全性、PK、PD、及び免疫原性を評価するための第2/3相二重盲検無作為化プラセボ対照並行群多施設試験である。試験の概観は
図1に示される。試験は、2パート:パートA(第2相)及びパートB(第3相)で行われる。このプロトコルの目的では、パートA又はパートBにのみ適用可能な提供情報は、明確に区分される。パートA又はパートBのどちらに関するものかについて具体的に示されていない情報は、両方のパートに適用可能である。
【0199】
a.パートA(第2相部分)
この試験のパートAには、3つの期間:スクリーニング期間、無作為化対照期間、及びOLE期間が存在する。参加者は、スクリーニング期間中の4週間までの適格性についてスクリーニングされる。約48人の適格参加者は、二重盲検無作為化対照期間中にラブリズマブ又は一致プラセボのどちらかの体重ベースのIV注入を受けるように2:1の比で無作為化される。26週目の無作為化対照期間の最後の評価を完了したら、参加者は、続いてOLE期間に入ることが可能である。
【0200】
各参加者に対して、無作為化対照期間が終了し、OLE期間が26週目に始まる。OLE期間中、ラブリズマブ群の参加者は、続いてラブリズマブ治療を受け、プラセボ群の参加者は、ラブリズマブ治療を受けるように切り替える。参加者は、ラブリズマブが登録若しくは承認されるまで(国特有の規制に従って)又は74週間(約1.5年間)までのいずれか早い方まで、ラブリズマブを摂取する。
【0201】
何らかの理由で試験介入を早期に中止し試験に残ることに同意する無作為化対照期間中の参加者は、無作為化対照期間の期間にわたり安全性及び有効性評価のためのフォローアップを受ける。試験介入を中止する決定が試験来院の範囲外である場合、参加者は、1週間以内で可能な限り早い予定されていない再来院を行うことが期待される。試験介入を早期に中止し試験の継続に同意しない無作為化対照期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は1週間以内で可能な限り早い予定されていない再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びにAEを収集する。無作為化対照期間中に試験介入を中止する参加者は、OLE期間に適格ではない。
【0202】
OLE期間中の試験介入の最終用量投与の8週間後、登録参加者は全て、100週目のEOS来院のために再来院し、最終試験評価が行われる。試験介入を早期に中止するOLE期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は予定されていない来院のために1週間以内で可能な限り早い再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びにAEを収集する。
【0203】
試験介入の最終投与後の8週間にわたり、全て参加者で安全性に関してフォローアップを試みるべきである。
【0204】
投与目的でパートAに対して計画される1つの中間解析。中間解析は、参加者の約50%が投与前26週目来院を完了したとき又はパートAの無作為化対照期間を尚早に中止したとき、慎重に行われる。非盲検化中間解析を行うために独立統計を確立する。
【0205】
パートAからの参加者は、試験のパートB(第3相)に登録されないので、パートBの形式上の統計的仮説検定に寄与しない。
【0206】
b.パートB(第3相部分)
この試験のパートBには、3つの期間:スクリーニング期間、無作為化対照期間、及びOLE期間が存在する。約132人の適格参加者は、地域(北米、欧州、及びアジア太平洋)並びに皮膚徴候(皮膚筋炎の皮膚疾患領域及び重症度指数[CDASI]活動性スコア≦14及び>14)により層別化され、ラブリズマブIV注入又はプラセボIV注入のどちらかに1:1で無作為化される。
【0207】
各参加者に対して、無作為化対照期間が終了し、OLE期間が50週目に始まる。OLE期間中、ラブリズマブ群の参加者は、続いてラブリズマブを摂取し、プラセボ群の参加者は、ラブリズマブを摂取するように切り替える。参加者は、ラブリズマブが登録若しくは承認されるまで(国特有の規制に従って)又は74週間(約1.5年間)までのいずれか早い方まで、ラブリズマブを摂取する。
【0208】
試験介入を早期に中止し試験に残ることに同意する無作為化対照期間中の参加者は、無作為化対照期間の期間にわたり安全性及び有効性評価のためのフォローアップを受ける。試験介入を中止する決定が試験来院の範囲外である場合、参加者は、1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のために再来院することが期待される。
【0209】
試験介入を早期に中止し試験の継続に同意しない無作為化対照期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のための再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びに有害事象(AE)を収集する。無作為化対照期間中に試験介入を中止する参加者は、OLE期間に適格ではない。OLE期間中の試験介入の最終用量投与の8週間後、登録参加者は全て、124週目のEOS来院のために再来院し、最終試験評価が行われる。試験介入を早期に中止するOLE期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は予定されていない来院のために1週間以内で可能な限り早い再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びにAEを収集する。
【0210】
試験介入の最終投与後の8週間にわたり、全て参加者で安全性に関してフォローアップを試みる。
【0211】
パートBのサンプルサイズ再推定のために1つの中間解析を計画する。非盲検化中間解析は、独立データモニタリング委員会(DMC)により実施される。無作為化対照期間中の治療割付けは、試験全体を通して盲検化されたままである。サンプルサイズ再推定のための中間解析は、参加者の約30%が投与前50週目来院を完了したとき又はパートBを尚早に中止したとき、慎重に行われる。
【0212】
c.臨床的悪化
このプロトコルでは、臨床的悪化は、約4週間間隔の2回の連続来院で以下の基準の1つを呈するものとして定義される:
a.ベースラインと比較して医師のグローバル活動性視覚的アナログスケール(VAS)悪化≧2cm及び8筋徒手筋力検査サブセット(MMT-8)悪化≧20%;
b.ベースラインと比較して筋炎疾患活動性評価ツール(MDAAT)VASのグローバル筋外活動性悪化≧2cm;並びに/又は
c.ベースラインと比較して5つのコアセット尺度(CSM)(筋酵素を除く)のうちいずれか3つが≧30%の悪化。
【0213】
悪化は、以上に提供される基準を用いて決定される。参加者が悪化の最初の徴候を示した来院の4週間後に予定されていない来院が行われる。予定されていない来院時、治験責任医師は、参加者が悪化の徴候を継続して示すかを決定するために以上の基準をチェックする。参加者が臨床的悪化の定義を満たす場合、グルココルチコイド救済療法を施し得る。
【0214】
参加者は、DM症状を治療するために現在使用している医薬の用量増加又は新たに開始されるDM治療(グルココルチコイド及び/若しくはIST)である救済医薬を摂取し得るとともに、試験介入は中止される。
【0215】
何らかの理由で試験介入を早期に中止し試験に残ることに同意する無作為化対照期間中の参加者は、無作為化対照期間の期間にわたり安全性及び有効性評価のためのフォローアップを受ける。試験介入を中止する決定が試験来院の範囲外である場合、参加者は、1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のために再来院することが期待される。
【0216】
試験介入を早期に中止し試験の継続に同意しない無作為化対照期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のための再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びにAEを収集する。治験責任医師は、臨床的悪化の定義を満たす参加者を試験介入に残すべきであるかを決定する。無作為化対照期間中に試験介入を中止する参加者は、OLE期間に適格ではない。
【0217】
臨床的悪化基準は、無作為化対照期間中及びOLE期間中の両方の来院でチェックされる。
【0218】
d.治療の完了
参加者は、26週目(パートA)又は50週目(パートB)の来院前に試験介入を永久に中止しなければ、無作為化対照期間中の試験治療を完了したとみなされる。無作為化対照期間中に試験介入を中止する参加者は全て、無作為化対照期間終了、コンセント撤回、又はフォローアップ不能のいずれか早い方まで、安全性及び有効性評価のためのフォローアップを受ける。
【0219】
参加者は、100週目(パートA)又は24週目(パートB)のEOS来院前、参加者が試験の停止又は承認製品への参加者移行に起因して試験を早期に停止する前、ラブリズマブによる治療を中止しなければ、OLE期間中の試験治療を完了したとみなされる。
【0220】
参加者は、当該期間の活動のスケジュールに明記された最後の予定された来院を完了した場合、試験の無作為化対照期間を完了したとみなされる。
【0221】
4.試験集団
a.選択基準
参加者は、以下の基準の全てに当てはまる場合のみ、試験に含めるのに適格である:
1.インフォームドコンセントに署名した時点で18歳以上。
2.スクリーニングの時点で体重≧30kg。
3.男性又は女性。
4.診断:確定又は推定DMの2017ACR/EULAR分類基準を満たす(Lundberg IE,et al.,Arthritis Rheumatol.2017;69(12):2271-2282を参照されたい)。
5.全身性グルココルチコイド又はIST(例えば、アザチオプリン、メトトレキセート、リツキシマブ、IVIg)を含めて、組み合わせ又は単独療法のどちらかで、不適正応答を有する又は2つ以上のDM治療に不耐容である参加者。
6.無作為化対照期間全体を通して表5に記載の安定療法を受けるとともに安定療法に残り得るグルココルチコイド及び/若しくはIST治療下の参加者、又は表12に記載の1日目の来院前のこれらの治療に適切なウォッシュアウト期間(例えば、リツキシマブでは6ヵ月間のウォッシュアウト期間;IVIg又は皮下免疫グロブリン[SCIg]では3ヵ月間のウォッシュアウト期間)を完了したグルココルチコイド及び/若しくはIST治療下の参加者。
7.疾患重症度:スクリーニング時に以下の基準を用いた疾患重症度を示す参加者:≦142/(最大150のうち)のMMT-8及びスクリーニング時に5つのうち2つの追加のIMACS CSM、例えば:(a)10cmVAS上で≧2.0cmの患者グローバル活動性評価、(b)10cmVAS上で≧2.0cmの医師グローバル活動性評価、(c)≧0.25のHAQ障害指数、(d)筋酵素(クレアチンキナーゼ[CK]、アルドラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ[LDH]、アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]を含む)の少なくとも1つが正常上限(ULN)の≧1.3倍に上昇、及び/又は(e)10cmVAS上で≧2.0cmのグローバル筋外疾患活動性スコア(この尺度は、医師の複合評価であり、MDAATの全身、皮膚、骨格、胃腸、肺、及び心スケールでの活動性スコアの評価に基づく)。
8.疾患活動性:参加者は、筋損傷に起因する脱力ではなく活動性疾患の登録を確保するために、下記基準の1つを満たさなければならない。以下に列挙される基準を満たさないが治験責任医師の意見で試験の資格を得る参加者の適格性を評価するために、独立判定委員会(IAC)が使用される。
a.スクリーニング前の過去6ヵ月以内又はスクリーニング時のDMの活動性病理所見の証拠を有する筋肉又は皮膚生検;
b.スクリーニング前の過去6ヵ月以内の活動性筋炎の筋電図検査の証拠;
c.スクリーニング前の過去6ヵ月以内の活動性筋炎の磁気共鳴イメージング(MRI)の筋肉の証拠;
d.スクリーニング時のIMACSパネルの少なくとも1つの筋酵素(CK、LDH、アルドラーゼ、AST、ALT)がULNの≧2倍;及び/又は
e.スクリーニング時の炎症性変化(CDASI活動性スコア≧7)により特徴付けられる活動性DM皮疹。
9.国及び地方のガイドラインに従ってラブリズマブ開始前3年以内に髄膜炎菌(N meningitidis)に対するワクチン接種を受ける。参加者は、最初の試験介入の少なくとも2週間前にワクチン接種を受けなければならない。予防的抗生物質についての国及び地方のガイドラインにも従う。
10.過去3年以内に癌と診断された参加者は、スクリーニング前6ヵ月以内に地方標準治療に従って適切な陰性癌スクリーニングを有する必要がある(頸部の基底若しくは扁平上皮細胞皮膚癌又は上皮内癌腫は、切除されてスクリーニングの少なくとも3ヵ月前に治癒している必要がある)。
11.出産可能性のある女性参加者及び男性参加者は、プロトコルに記載のように明記された避妊ガイダンスに従わなければならない。
12.インフォームドコンセントフォーム(ICF)及びプロトコルに列挙される要件及び制限の遵守を含む、プロトコルに記載のように署名されたインフォームドコンセントを与える能力がある。
【0222】
b.除外基準
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、参加者は試験から除外される。
1.癌の診断の3年以内の筋炎の診断として定義される癌関連筋炎(切除されてスクリーニングの少なくとも3ヵ月前に治癒している頸部の基底若しくは扁平上皮細胞皮膚癌又は上皮内癌腫を除く)。
2.過去5年以内に診断された活動性悪性疾患又は悪性病変の証拠(血液学的悪性病変及び固形腫瘍を含む)(切除されてスクリーニング前の少なくとも3ヵ月間にわたり治癒されている頸部の基底若しくは扁平上皮細胞皮膚癌又は上皮内癌腫を除く)。
3.他の形態の筋炎:封入体筋炎、多発性筋炎、壊死性筋症、薬物誘発筋炎/筋症、DM非併発抗シンテターゼ症候群、癌関連筋炎(皮膚扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、任意の位置の上皮内癌腫病変、又は子宮頸上皮内癌腫を除く悪性病変の診断の前又は後のどちらかの3年以内に診断された筋炎)、SLEなどのオーバーラップ結合組織疾患を併発する筋炎、関節リウマチ、又は全身性硬化の臨床診断を有する参加者。続発性シェーグレン症候群の参加者は許容される。
4.治験責任医師の意見に従って有意な筋損傷(例えば、重度筋萎縮、末期筋疾患、重度萎縮又は線維脂肪置換を併発するMRI)を有する参加者。
5.髄膜炎菌(N meningitidis)感染の病歴。
6.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染(HIV1型又は2型抗体価により立証される)。
7.原因不明感染の病歴。
8.ラブリズマブ投与前14日以内の活動性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染。
9.1日目の試験介入投与前7日間以内の発熱≧38℃(100.4°F)の存在。
10.ネズミタンパク質又はラブリズマブの賦形剤の1つに対する過敏性の病歴。
11.胸部X線で線維症の病歴、肺のコンピュータートモグラフィー(CT)スキャンで間質性肺疾患の病歴、又はDMに関連する強制肺活量予測パーセント<80%の確定病歴により支持される進行臨床的症状性間質性肺疾患の参加者(治験責任医師の意見で)。
12.治験責任医師の意見で、トライアルへの参加者の参加に干渉したり、参加者に任意の追加リスクを課したり、又は参加者の評価に交絡したりし得る任意の医学的状態(例えば、心疾患、肺疾患、腎疾患、オンコロジック疾患、精神医学的疾患、又は線維筋痛症の診断)。これは、運動範囲が限られる重度関節炎又は重度瀰漫性石灰沈着症又は定量筋強度検査を妨害する他の状態の参加者を含む。
13.治験責任医師により決定したときに試験への参加者の参加を制限するおそれのあるスクリーニング来院の1年間以内の薬物及び/又はアルコール乱用の病歴(精神障害の診断及び統計マニュアル[DSM]5に従って)。
14.1日目の来院前に禁止薬の任意の適切なウォッシュアウト期間を完了する気がない又は完了することができない参加者。
15.無作為化前8週間以内に≧1mg/kg/日のプレドニゾン若しくは等価物を摂取した又は>20mg/日のプレドニゾン若しくは等価物維持用量を現在摂取している。
16.補体阻害剤で以前治療された又は現在治療されている。
17.スクリーニングの30日以内又は治験薬の5半減期以内のいずれか大きい方で任意の他の治験薬試験への参加又は治験薬若しくは機器への接触。
18.1日目の来院前の最後の4週間で筋炎に対する新しい筋強化運動プログラム(例えば、物理療法[PT])を始める又は最大4週間までその現在の運動レジメンを変更する参加者。参加者は、トライアルの無作為化相全体を通していずれの新しい運動プログラムを開始すべきでなく、その現在の運動レジメンを変更すべきでもない。
19.試験期間中の妊娠、授乳、又は受胎意図。
20.プロトコル要件を遵守することができない又は遵守する気がない。
【0223】
5.試験介入
試験介入は、試験プロトコルに従って試験参加者に施行されることが意図される任意の治験介入、市販品、プラセボ、又はメディカル機器として定義される。
【0224】
ラブリズマブIVは、pH7.0及び7.4でそれぞれ10mg/mL及び100mg/mL濃度で処方される。両製剤は、IV投与のために無菌保存剤を含まない溶液として提示されるとともに単回使用バイアルで供給される。
【0225】
プラセボ比較薬品は、同じ緩衝剤成分を有するが活性成分を含まない適合する無菌の透明な無色の溶液として処方される。
【0226】
ラブリズマブIV製剤に関する詳細は表1に示される。
【0227】
【0228】
予定された投与来院時、試験介入注入は、PK/PDについての投与後血液サンプリングを除いて全ての他の検査及び手順が完了した後、実施されるべきである。
【0229】
各参加者に対するラブリズマブ又はプラセボ用量は、体重に基づいてIV注入として投与される。投与レジメンは、負荷用量に続いてq8wで投与される維持投与からなる(表2参照)。維持投与は、負荷用量投与の2週間後に開始される。表3は、体重ベースの投与のための参照チャートである。
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
a.パートA
パートAの各参加者では、全治療期間は、最大100週間までであり、無作為化対照期間(26週間)及びOLE期間(最大74週間まで)からなる。
【0234】
無作為化対照期間は、二重盲検無作為化プラセボ対照期間である。適格参加者は、1日目に開始して26週目の投与前評価後に終了する盲検化用量のラブリズマブ又はプラセボを摂取するように2:1で無作為化される。ラブリズマブ群の参加者は、1日目にIV注入を介して盲検化負荷用量のラブリズマブ(10mg/mL製剤)を摂取し、続いて2週目、10週目、及び18週目に盲検化維持用量を摂取する。プラセボ群の参加者は、1日目にIV注入を介して盲検化一致プラセボを摂取し、続いて2週目、10週目、及び18週目に盲検化一致プラセボを摂取する。試験介入を中止する参加者は、無作為化対照期間終了、コンセント撤回、又はフォローアップ不能のいずれか早い方まで、鍵を握る有効性及び安全性評価のために追跡される。
【0235】
無作為化対照期間は、全ての投与前評価が26週目来院で完了した後に終了する。非盲検化延長期間(OLE)の期間は、継続して治療を受けることを選択する参加者が26週目の試験介入注入を受けるときに始まる。プラセボ群及びラブリズマブ群の両方の参加者は、次の通り盲検化用量のラブリズマブを摂取する:プラセボ群の参加者は、26週目に盲検化負荷用量のラブリズマブ(10mg/mL製剤)を摂取するように切り替える(表3)。ラブリズマブ群の参加者は、26週目に900mgの盲検ラブリズマブ用量(10mg/mL製剤)を摂取する。26週目の900mg用量は、その次の予定された維持用量まで2週間の期間にわたり完全C5阻害を維持するように選ばれる。この投与は、無作為化対照期間の治療無作為化盲検を維持する。28週目から開始して、全ての参加者は、OLE期間の終了まで非盲検化ラブリズマブ維持用量(10mg/mL又は100mg/mL製剤)をq8wで摂取する(表3参照)。
【0236】
b.パートB
パートBの各参加者では、全治療期間は、最大124週間までであり、無作為化対照期間(50週間)及びOLE期間(最大74週間まで)からなる。
【0237】
無作為化対照期間は、二重盲検無作為化プラセボ対照期間である。適格参加者は、1日目に開始して50週目の投与前評価後に終了する盲検化用量のラブリズマブ又はプラセボを摂取するように1:1で無作為化される。ラブリズマブ群の参加者は、1日目にIV注入を介して盲検化負荷用量のラブリズマブ(10mg/mL製剤)を摂取し、続いて2週目及びその後q8wで42週目まで盲検化維持用量を摂取する(表3)。プラセボ群の参加者は、1日目にIV注入を介して盲検化一致プラセボを摂取し、続いて2週目及びその後q8wで42週目まで盲検化一致プラセボを摂取する(表3)。試験介入を中止する参加者は、無作為化対照期間終了、コンセント撤回、又はフォローアップ不能のいずれか早い方まで、鍵を握る安全性及び有効性評価のために追跡される。
【0238】
無作為化対照期間は、全ての投与前評価が50週目来院で完了した後に終了する。OLE期間は、継続して治療を受けることを選択する適格参加者が50週目の試験介入注入を受けるときに始まる。プラセボ群及びラブリズマブ群の両方の参加者は、次の通り盲検化用量のラブリズマブを摂取する。プラセボ群の参加者は、50週目に盲検化負荷用量のラブリズマブ(10mg/mL製剤)を摂取するように切り替える(表3)。ラブリズマブ群の参加者は、50週目に900mgの盲検ラブリズマブ用量(10mg/mL製剤)を摂取する。50週目の900mg用量は、その次の予定された維持用量まで2週間の期間にわたり完全C5阻害を維持するように選ばれる。この投与は、無作為化対照期間の治療無作為化盲検を維持する。52週目から開始して、全ての参加者は、OLE期間の終了まで非盲検化ラブリズマブ維持用量(10mg/mL又は100mg/mL製剤)をq8wで摂取する(表3)。
【0239】
c.調製/取扱い/貯蔵/アカウンタビリティー
試験施設に試験介入品が到着したら、試験介入品キットは、輸送用容器から取り出され、2℃~8℃(35°F~47°F)の冷蔵条件下でそのオリジナルカートン中に貯蔵され、光から保護される。試験介入品はフリーズされない。試験介入品は、温度を毎日モニターしながら安全なアクセス制限貯蔵領域に貯蔵されなければならない。試験介入品の注入は、無菌技術を用いて準備される。ラブリズマブ及びプラセボは、適合性希釈剤で1:1の比でさらに希釈される。ラブリズマブ及びプラセボは、注入時に0.2ミクロンフィルターで濾過される。
【0240】
6.併用療法
任意の医薬(市販医薬若しくは処方医薬、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)、ワクチン、或いは参加者が登録時に摂取している又は試験時に摂取する他の具体的対象カテゴリーは、以下と共に記録でなければならない:(1)使用理由、(2)開始日及び終了日を含む投与日、及び(3)用量及び頻度を含む投与量情報。
【0241】
併用療法として許容されたDM治療を継続する参加者は、1日目の来院前に少なくとも表4に記載の時間量で当該治療を受けていることが必要とされるとともに、無作為化対照期間中に安定用量を維持することが必要とされる。最大限許容された安定用量は、表4に記載されている。いくつかの場合には、許容DM治療の安定用量は、安全性及び/又は耐容性課題に起因して減少され得る。
【0242】
OLE期間中、許容DM治療の用量を変更又は中止し得る。OLE期間中、新たな許容DM治療を開始し得る。OLE期間中、表5に列挙された医薬は禁止される。医薬のいかなる変更も、CRFに適正に文書化される。
【0243】
【0244】
代替的に、参加者は、1日目の来院前に以前のDM治療を中止するように選ぶことが可能であるが、表5に記載のように適切なウォッシュアウト期間を完了することが必要とされる。
【0245】
【0246】
以下の医薬は、必要に応じて摂取可能であるが、試験来院前72時間以内に投与されるべきでない:抗ヒスタミン剤(経口及び局所)、イブプロフェン、アセトアミノフェン、抗掻痒剤、並びに及び局所ステロイド(1%ヒドロコルチゾン)。
【0247】
ビタミンB12、ビタミンE、クレアチン、コエンザイムQ10、及びビオチンサプリメントは、この試験で許容される。これらのサプリメントのいずれか又は全てを摂取する参加者は、試験介入の初回投与の14日前に安定用量で始めて、用量の改変がメディカルに必要であるとみなされない限り試験の無作為化対照期間の期間にわたり安定用量を維持すべきである。全ての他のビタミン及びサプリメントは、この試験で許容される。参加者は、試験の無作為化対照期間の期間にわたり安定投与を維持することが奨励される。
【0248】
試験時、下記医薬及び療法は禁止される:(1)表6に列挙される治療(参加者は、1日目の来院前にこれらの治療に対する適切なウォッシュアウト期間を完了しなければならない)、(2)エクリズマブ又は他の補体阻害剤、及び(3)試験時、DM治療用として現在治験使用下の承認製品の任意のオフラベル使用。
【0249】
【0250】
試験時の任意の時点で禁止薬を必要とする参加者は、試験介入を中止する。
【0251】
試験薬が有効になる十分な時間を可能にするために、参加者は、無作為化対照期間中の試験介入を受ける最初の10週間はいかなる救済療法も受けないことが推奨される。無作為化対照期間中の任意の時点で、参加者が用量増加又は新たなDM治療(グルココルチコイド及び/若しくはIST)開始の救済療法を必要とする場合、参加者は試験介入を中止する。
【0252】
何らかの理由で試験介入を早期に中止し試験に残ることに同意する無作為化対照期間中の参加者は、無作為化対照期間の期間にわたり安全性及び有効性評価のためのフォローアップを受ける。試験介入を中止する決定が試験来院の範囲外である場合、参加者は、1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のために再来院することが期待される。
【0253】
試験介入を早期に中止し試験の継続に同意しない無作為化対照期間中の参加者は、試験来院(施設での予定された来院の場合)又は1週間以内で可能な限り早い予定されていない来院のための再来院及びET来院を参加者の試験介入の最終投与の8週間後に完了することが期待される。さらに、参加者の試験介入の最終投与の20週間後にフォローアップ電話を行って、併用薬、非薬理学的療法及び手順、並びにAEを収集する。無作為化対照期間中に試験介入を中止する患者は、OLE期間に適格ではない。グルココルチコイド漸減は、OLE期間全体を通して必要に応じて許容される。
【0254】
7.試験評価手順
試験手順及びそのタイミングは、活動のスケジュールにまとめられる。パートAの活動のスケジュール(スクリーニングから無作為化対照期間の終了まで)は、
図6A~6Fに示される。パートBの活動のスケジュール(スクリーニングから無作為化対照期間の終了まで)は、
図7A~7Fに示される。パートA及びBの非盲検化延長期間の活動のスケジュールは、
図8A~8Gに示される。
【0255】
プロトコル放棄又は免除は許容されない。全てのスクリーニング評価を完了しレビューし、潜在的参加者が全ての適格性基準を満たすことを確認しなければならない。治験責任医師は、スクリーニングされた全ての参加者の詳細を記録するために及び適格性を確認したり又は適用可能であればスクリーニング失敗の理由を記録したりするために、スクリーニングログを維持する。参加者の日常的臨床管理(例えば、血球数)の一部として行われた及びインフォームドコンセントフォーム(ICF)の署名前に達成された手順は、手順がプロトコルに明記された基準を満たすとともに活動のスケジュールに定義された時間フレーム内で実施されたものである限り、スクリーニング又はベースライン目的に利用され得る。
【0256】
a.有効性評価
参加者自身により完了しなかった全ての有効性評価は、好ましくは、試験全体を通して同じ試験スタッフメンバーにより実施されるべきである。以下は例示的有効性評価である。
【0257】
i.国際筋炎評価及び臨床試験(IMACS)コアセット尺度(CSM)
IMACSグループは、DMの臨床トライアルに使用されるべき改善の結果尺度及び定義に関してコンセンサスを開発した(Aggarwal R,et al.,Arthritis Rheumatol.2017;69(5):898-910を参照されたい)。CSMは、以下のサブセクションに記載されている。
【0258】
ii.8筋徒手筋力検査グループ(MMT-8)
MMT-8の目的は、健康診断の一部として筋強度を測定することである。それは、8筋グループ:首屈筋、三角筋、二頭筋、手関節伸筋、大殿筋及び中殿筋、四頭筋、並びに足関節背屈筋のサブセットを含む(Rider LG,et al.,Measures of adult and juvenile dermatomyositis,polymyositis,and inclusion body myositis:Physician and Patient/Parent Global Activity,Manual Muscle Testing(MMT),Health Assessment Questionnaire(HAQ)/Childhood Health Assessment Questionnaire(C-HAQ),Childhood Myositis Assessment Scale(CMAS),Myositis Disease Activity Assessment Tool(MDAAT),Disease Activity Score(DAS),Short Form 36(SF-36),Child Health Questionnaire(CHQ),physician global damage,Myositis Damage Index(MDI),Quantitative Muscle Testing(QMT),Myositis Functional Index-2(FI-2),Myositis Activities Profile(MAP),Inclusion Body Myositis Functional Rating Scale(IBMFRS),Cutaneous Dermatomyositis Disease Area and Severity Index(CDASI),Cutaneous Assessment Tool(CAT),Dermatomyositis Skin Severity Index(DSSI),Skindex,and Dermatology Life Quality Index(DLQI).Arthritis Care Res(Hoboken).2011b;63 Suppl 11:S118-157を参照されたい)。MMT-8は、評価のスケジュールに列挙されるタイムポイントで施行される。
【0259】
iii.医師グローバル活動性評価
医師グローバル活動性評価は、筋炎に関連する疾患活動性の全体的等級を提供する。疾患活動性は、参加者の外見、病歴、健康診断、臨床検査、及び処方医学療法を含めて、評価の時点で利用可能な全ての情報に基づいて医師により判断される。グローバル疾患活動性スコアは、端点及び中点が固定された10cmVAS上に記録される。医師グローバル活動性評価は、評価のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。例示的医師グローバル活動性評価は、
図2に示される。
【0260】
iv.患者グローバル活動性評価
患者グローバル活動性評価は、参加者の観点から筋炎に関連する疾患活動性の全体的等級を提供する。参加者は、自身の筋肉、皮膚、関節、腸、心臓、肺、又は治療で改善可能な身体の他の部分の活動性炎症の全てを考慮するように要求される。患者グローバル疾患活動性スコアは、参加者がスケールを理解する助けとなるように、0cm固定点に笑顔及び10cm固定点に悲しい顔を含有する10cmVAS上に記録される(Rider LG,et al.,Arthritis Care Res(Hoboken).2011b;63 Suppl 11:S118-157を参照されたい)。患者グローバル活動性評価は、活動のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。例示的患者グローバル活動性評価は、
図3に示される。
【0261】
v.健康評価アンケート(HAQ)
HAQは、様々なドメインで日常生活動作に関する身体機能を評価する簡易自己報告アンケートである(Rider LG,et al.,Arthritis Care Res(Hoboken).2011b;63 Suppl 11:S118-157を参照されたい)。全5次元HAQは、次のドメイン:障害、不快及び疼痛、薬物副作用、及びドルコストを含む。この試験では、HAQ障害指数は、活動のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。
【0262】
vi.筋酵素
IMACS CSMの一部として、CK、ALT及びAST、LDH、並びにアルドラーゼを含む筋肉関連酵素の血清中活性を測定する臨床検査が実施される。ベースラインで最も異常な血清中筋酵素値が使用される(Aggarwal R,et al.,2016 American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism Criteria for Minimal,Moderate,and Major Clinical Response in Adult Dermatomyositis and Polymyositis:An International Myositis Assessment and Clinical Studies Group/Paediatric Rheumatology International Trials Organisation Collaborative Initiative.Arthritis Rheumatol.2017;69(5):898-910)。筋酵素は、活動のスケジュールに列挙されるタイムポイントで評価される。
【0263】
vii.筋炎疾患活動性評価ツール(MDAAT)
MDAATは、DMの患者において筋外器官系及び筋肉の疾患活動性を評価する。それは、筋炎疾患活動性評価VAS(MYOACT)及び筋炎治療意図活動性指数(MITAX)を含む組み合わせツールである。MITAXは、7つの器官/系:全身、皮膚、骨格、胃腸、肺、心臓、及び筋肉の特異的徴候を評価する。MYOACT、各器官系及び全体に対する10cmVASからなる。MDAATは、直接本人により施行され、臨床医が完了させる(Rider LG,et al.,Arthritis Care Res(Hoboken).2011b;63 Suppl 11:S118-157を参照されたい)。MDAATは、評価のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。
【0264】
viii.皮膚筋炎の皮膚疾患領域及び重症度指数(CDASI)
CDASIは、DM患者の皮膚で活動性及び損傷を別々に測定する手段である。それは、3つの活動性尺度(紅斑、鱗片、及び糜爛/潰瘍化)並びに2つの損傷尺度(多形皮膚萎縮及び石灰沈着)を含有する1ページ手段である。CDASIは、参加者を検査しつつ臨床医又は臨床医-治験責任医師が完了させる(Rider LG,et al.,Arthritis Care Res(Hoboken).2011b;63 Suppl 11:S118-157を参照されたい)。CDASIは、活動のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。
【0265】
ix.皮膚筋炎の皮膚活動性の医師によるグローバル評価(CD-IGA)
CD-IGAは、皮膚疾患の患者において疾患重症度を測定するために作成されたスケールである。それは、各スコアに対して形態学的記述子を有する5ポイントスケール(0=クリア、1=ほぼクリア、2=軽度、3=中等度、4=重度)である。CD-IGAは、治験責任医師が完了させ、所与のタイムポイントで病変の全体的外観を記述する。CD-IGAは、評価のスケジュールに列挙されるタイムポイントで完了する。
【0266】
x.EuroQoL5次元(EQ-5D-5L)
欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目アンケート次元5レベル(EQ5D5L)は、健康関連クオリティ・オブ・ライフを測定する自己評価標準化手段であり、広範にわたる健康状態で使用されてきた(Schrag A,et al.,Journal of neurology,neurosurgery,and psychiatry.2000;69(1):67-73)。EQ5D5Lは、2ページ:EQ-5D-5L記述系及びEQVASからなる。EQ-5D-5Lは、評価のスケジュールに明記されたタイムポイントで完了し、又はEQ-5D-5Lは、参加者が予定されたオンサイト来院を行うことができなければ、電話を介して評価可能である。
【0267】
xi.EQ-5D-5L記述系
記述系は、モビリティー、セルフケア、日常活動、疼痛/不快、及び不安/鬱を含む5成分スケールである。各レベルは、その領域での問題の程度を記述するスケールに基づいて等級付けされる。
【0268】
xii.EQ視覚的アナログスケール
EQVASは、自身の健康状態を記述する0~100の数を参加者が選択する全体的健康状態スケールであり、100は、「あなたが想像できる最良の健康状態」であり、0は、「あなたが想像できる最悪の健康状態」である。
【0269】
この情報は、個別応答者により判断される健康結果の定量的尺度として使用可能である。EuroQolグループメンバーによる既報の試験は、手段の実現可能性、信頼性、及び妥当性の予備的証拠を示した。
【0270】
xiii.5D痒みスケール
5D痒みスケールは、次の5次元:程度、期間、方向、障害、及び分布を含む多次元アンケートである(例えば、Elman et al.,Br.J.Dermatol.2010 Mar;162(3):587-93を参照されたい)。5D痒みスケールは、活動のスケジュールに記載のタイムポイントで参加者が完了させる。
【0271】
xiv.患者報告アウトカム測定情報系(PROMIS)29v2.1ツール
PROMIS29v2.1プロファイルは、1ドメイン当たり4項目を用いた単一0~10数値等級項目及び7健康ドメイン(身体機能、疲労、疼痛干渉、鬱症状、不安、社会的役割及び活動に関与する能力、並びに睡眠妨害)を用いて疼痛強度を評価する(例えば、Hays et al.,Qual.Life Res.2018 Jul;27(7):1885-1891を参照されたい)。PROMIS29v2.1は、活動のスケジュールに記載のタイムポイントで参加者が完了させる。
【0272】
xv.ショートフォーム健康調査(36問バージョン)(SF-36)
SF-36(バージョン2.0)は、健康関連クオリティ・オブ・ライフの36項目自己報告である(Stewart AL,et al.,Med Care.1988;26(7):724-735;及びWare et al.,Med Care.1992;30(6):473-483を参照されたい)。それは、健康関連クオリティ・オブ・ライフの異なるドメインを測定する8つのサブスケール:身体的機能、身体的問題に起因する役割制限、体痛、全般的健康知覚、生命力、社会的機能、情動問題に起因する役割制限、及び精神的健康を含有する。SF-36は、スクリーニング時及び活動のスケジュールごとに具体的に示されるタイムポイントで行われる。2つの要約スコアは、身体的成分要約及び精神的成分要約である。SF-36には、単一の全体的スコアは存在しない。
【0273】
xvi.慢性疾病治療の機能評価-疲労(FACIT-疲労)
FACIT-疲労スケール(バージョン4)は、過去1週間にわたり通常の日常活動時の個体の疲労レベルを測定する、簡易13項目自己報告施行容易ツールである(例えば、Tennant,K.,Supportive Care in Cancer 23.5(2015):1355-1364を参照されたい)。疲労レベルは、5ポイントリッカート型スケール(0=まったく疲労なし、1=少し疲労あり、2=いくらか疲労あり、3=かなり疲労あり、及び4=非常に疲労あり)上で測定される。全ての項目は、等加重で和スコアに寄与する。FACIT疲労は、活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで完了する。例示的FACIT疲労は
図4に示される。
【0274】
xvii.皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)
皮膚筋炎疾患症状アンケート(DM-DSQ)バージョン1.0は、過去24時間でDMの患者の経験に関連する症状を評価するためにデザインされた14項目PRO手段である。各項目は、公開された定性的文献(インタビュー若しくは患者を含むフォーカスグループ)から又は直接患者入力(自身の疾患を記述した患者を含むミーティングの議事録及び筋炎協会からの患者のビデオ証言)から抽出された対応する概念に基づいて発生させた。5ポイント応答スケール(無症状、軽度、中等度、重度、及び非常に重度)上の重症度に従って等級付けされる13の症状質問及び5ポイント応答スケール(まったく活動性なし、軽度に活動性、中等度に活動性、非常に活動性、きわめて活動性)上で等級付けされる疾患活動性に関する1つの全体的質問が存在する。DM-DSQは、活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで完了する。例示的DM-DSQは
図5に示される。
【0275】
xviii.30秒椅子起立試験(30sCST)
30sCSTは、近位筋機能を評価する手順である(Agarwal S,Kiely PD,Rheumatology (Oxford).2006;45(7):874-879;及びRider LG,et al.,Nat.Rev.Rheumatol.2018;14(5):303-318を参照されたい)。試験時、参加者は、30秒間で可能な限り何回も標準高さの椅子から立ち上がって座るように要求される。30sCSTは、活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで評価される。
【0276】
xix.ハンドヘルドダイナモメトリー
ハンドヘルドダイナモメトリー(Rider LG,et al.,Nat.Rev.Rheumatol.2018;14(5):303-318を参照されたい)は、定量強度検査のための手順である。この検査は、定量筋強度評価のために適正にトレーニングされた治験責任医師又は任意の被指名者により行われる。可能であれば、全ての評価を同じ評価者により行うことがきわめて推奨される。筋強度検査は、上肢及び下肢の両側であらかじめ明記された筋肉上で実施され、力測定が記録される。ハンドヘルドダイナモメトリーは、スクリーニング時及び活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで評価される。
【0277】
xx.皮疹写真
活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで皮疹の高分解能ディジタル画像を撮影する。
【0278】
xxi.ホームエレクトロニック患者報告結果
パートAでは、参加者は、次のPRO:DM-DSQ、HAQ、PROMIS29v2.1、FACIT-疲労、及びSF-36を活動のスケジュールに記載の頻度で完了するように要求される。
【0279】
これらのPROは、エレクトロニック機器(例えば、iPad(登録商標))を用いて完了させる。選択されるPRO及びPROを完了することに関連するプロセスのさらなる詳細は、別々の電子PRO(ePRO)マニュアルに含まれる。
【0280】
b.安全性評価
全ての安全性評価に対する計画されたタイムポイントは、活動のスケジュールに提供される。
【0281】
いずれの補体C5阻害とも同様に、ラブリズマブの使用は、髄膜炎菌感染(髄膜炎菌(N meningitidis))に対する参加者の感受性を増加させる。髄膜炎菌感染のリスクを低減するために、全ての参加者は、試験介入の開始前3年以内に又は開始時に髄膜炎菌感染に対するクチン接種を受けなければならない。参加者は、最初の試験介入の少なくとも2週間前にワクチン接種を受けなければならない。参加者は、補体阻害剤(例えば、エクリズマブ、ラブリズマブ)と共にワクチン接種使用のために、現在の国のワクチン接種ガイドライン又は地方の規範に従ってワクチン接種又は再ワクチン接種を受けなければならない。通常の病原性髄膜炎菌血清型を防止するために、利用可能な場合、血清型A、C、Y、W135、及びBに対するワクチンが推奨される。ワクチン接種は、髄膜炎菌感染を防止するのに十分でないおそれがある。考慮事項は、抗細菌剤の適切な使用に関する公式ガイダンス及び地方の規範に従って与えられるべきである。全ての参加者は、髄膜炎菌感染の早期徴候に関してモニターされ、感染が疑われた場合、直ちに評価され、必要であれば、適切な抗生物質で治療されるべきである。
【0282】
完全健康診断は、少なくとも、次の器官/体組織:皮膚、頭、耳、眼、鼻、喉、頸部、リンパ節、胸部、心臓、腹部、四肢、及び筋骨格の評価を含む。指示健康診断は、最小でも、治験責任医師判断及び参加者症状に基づく体組織関連検査を含む。検査員は、以前の重篤な疾病に関連する臨床徴候に特別な注意を払うべきである。一貫性を保つために、あらゆる努力を払って、各試験来院時に同じ認定試験スタッフにより健康診断を行うようにすべきである。試験時に医学的に適応があれば、治験責任医師の裁量で追加の健康診断を実施可能である。
【0283】
体重は、ポンド又はキログラム単位で測定される。身長は、インチ又はセンチメートル単位で測定される。
【0284】
温度(℃又は°F)、脈拍数、呼吸数、並びに収縮期及び拡張期血圧(mmHg)、並びにパルスオキシメトリーが評価される。
【0285】
血圧及び脈拍測定は、着席して完全自動化機器により評価される。自動化機器が利用可能でない場合のみ、マニュアル技術が使用される。
【0286】
血圧及び脈拍測定は、気が散ること(例えば、テレビ、セルフォン)なく静かな状況で参加者を少なくとも5分間安静にしてから行われるべきである。理想的には、各参加者の同じ腕を測定に使用すべきである。O2飽和度(%)は、パルスオキシメトリーを用いて収集される。
【0287】
単一12誘導心電図(ECG)は、心拍数並びにPR、QRS、QT、及びQTインターバルの尺度を得るために、活動のスケジュールのプロトコルに明記された来院時にECG機を用いて提供される。参加者は、ECG収集の約5~10分前に仰臥し仰臥を維持するが、ECG収集時は覚醒していなければならない。
【0288】
表7に示される臨床検査は、中央検査室により実施される。追加検査は、治験責任医師により必要と判断された場合又は現地規制により必要とされる場合、試験時の任意の時点で実施され得る。
【0289】
【0290】
治験責任医師は、検査室レポートをレビューし、このレビューを文書化し、試験時に発生するいかなる臨床関連変化もeCRFの有害事象セクションに記録しなければならない。検査室レポートは、原文書と共にファイルされなければならない。臨床的に有意な異常検査室所見は、参加者の病態に対して予想されるよりも重度であると治験責任医師により判断されない限り、基礎疾患に関連しないものである。
【0291】
試験への参加時に又は試験介入の最終投与後8週間以内に臨床的に有意に異常とみなされる値を有する全ての臨床検査は、値が正常若しくはベースラインに戻るまで又はもはや臨床的に有意とみなされなくなるまで、繰り返されるべきである。
【0292】
妊娠試験は、全ての出産可能性のある女性で実施されなければならない。
【0293】
8.有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)
有害事象は、参加者により(又は適切な場合、ケア提供者、代理人、若しくは参加者の法的認可代理人により)治験責任医師に報告される。AEは、参加者又は医薬品が投与された臨床治験参加者における任意の有害な医学的発生として定義され、必ずしもこの治療との因果関係を有していなければならないわけではない(ICH E2A)。従って、AEは、試験介入に関連するとみなされるか否かにかかわらず、試験介入の使用に時間的に関連する任意の有害な及び意図せぬ徴候(異常検査室所見を含む)、症状、又は疾患[新しい又は増悪した]であり得る。
【0294】
以下の事象は、有害事象の定義を満たしている:
1.治験責任医師の医学的及び科学的判断において臨床的に有意であると考えられる(即ち、基礎疾患の進行とは関連しない)、ベースラインから悪化したものを含む、異常な臨床検査結果(血液学、臨床化学、又は尿検査)又は他の安全性評価(例えば、心電図、放射線スキャン査、バイタルサイン測定)。
2.状態の頻度及び/又は強度の増加を含む、慢性又は断続的な既存の状態の増悪。
3.試験開始前に存在していた可能性があるにもかかわらず、試験介入投与後に検出又は診断された新たな状態。
4.薬物間相互作用が疑われる徴候、症状、又は臨床的続発症。
5.試験介入又は併用薬の過剰投与が疑われる徴候、症状又は臨床的続発症。過剰投与自体は、自殺/自傷行為の可能性のある意図的な過剰投与でない限り、AE/SAEとして報告されない。このような過剰投与は、続発症に関係なく報告するべきである。
【0295】
以下の事象は、有害事象の定義を満たしていない:
1.内科的又は外科的手順(例えば、内視鏡検査、虫垂切除術):この手順につながる状態は、AEである。有害な医学的発生が起こらなかった状態(例えば、ICFに署名する前に予定される場合、待機的手術のための入院、社会的理由又は便宜のための入院)。
2.試験開始時に存在し又は検出された、悪化しない既存の疾患又は状態の予測される日々の変動。
3.医薬ミス(治験薬の意図的な誤用、乱用、過剰投与を含む)又はプロトコルで定義されているもの以外の使用は、医薬ミスの結果として有害な医学的発生が存在しない限り、AEとはみなされない。
4.治験介入への母親又は父親の曝露中に発生した妊娠の事例は、試験責任医師/施設の認識から24時間以内に報告されるものとする。規制報告及び安全性評価のために、胎児の転帰及び授乳に関するデータを収集する。
5.治験責任医師により参加者の状態に対して予想されるよりも重度であると判断されない限り、基礎疾患に関連する臨床的に有意な異常な臨床検査所見又は他の異常な安全性評価。
6.参加者の状態に対して予想されるよりも重度でない限り、試験される疾患/障害、又は試験される疾患/障害の予想される進行、徴候、又は症状。
7.有害な医学的発生が生じなかった状況(病院への社会的及び/又は便宜的入院)。
8.「有効性の不足」又は「予想薬理学的作用の失敗」それ自体は、AE又はSAEとして報告されない。そのような例は、有効性評価で捉えられる。しかしながら、有効性の不足から生じる徴候、症状、及び/又は臨床的続発症は、それらがAE又はSAEの定義を満たす場合、AE又はSAEとして報告される。
【0296】
事象が以上の定義に従うAEでない場合、重篤条件を満たしたとしても(例えば、試験下の疾患の徴候/症状による入院、疾患の進行に起因する死)、それは重篤有害事象(SAE)でありえない。SAEは、任意の用量で以下を生じる任意の有害な医学的発生として定義される:
1.死に至る。
2.生命を脅かす。「重篤」の定義での用語「生命を脅かす」は、参加者が事象の時点で死のリスクがあった事象を指す。それは、より重篤になった場合に仮説として死の原因になったかもしれない有害事象を指すものではない。
3.患者の入院加療又は現行入院加療の延長を必要とする。一般的には、入院加療は、診療所又は外来診療の場では適切でなかったと思われる観察及び/又は治療のために参加者を病院又は救急病棟に収容することを意味する(通常、少なくとも1泊の滞在を含む)。入院加療時に発生する合併症はAEである。合併症が入院加療を延長する場合又は任意の他の重篤な基準を満たす場合、事象は重篤である。「入院加療」が行われたか又は必要であったか疑わしいときは、AEは重篤とみなされるべきである。ベースラインから悪化しなかった既存の病態の待機的治療のための入院加療は、AEとみなされない。
4.持続性障害/能力不足をもたらす。障害という用語は、人が正常な生活機能を遂行する能力の実質的破壊を意味する。この定義は、相対的にマイナーな医学的有意状態、例えば、合併症のない頭痛、悪心、嘔吐、下痢、インフルエンザ、及び日常生活機能に干渉したり又はそれを妨げたりし得るが実質的破壊とならない偶発的外傷(例えば、足関節捻挫)の経験を含むことは意図されない。
5.先天性異常/出生時欠損である。
6.他の状況:直ちに生命を脅かすおそれも死や入院加療をもたらすおそれもないが参加者を危険に晒し得る又は以上の定義に列挙される他の結果の1つを防止するために内科的若しくは外科的介入を必要とし得る重要メディカル事象などの他の状況では、SAE報告が適切であるかを決定する際、医学的又は科学的判断を下すべきである。これらの事象は、通常、重篤であるとみなされるべきである。そのような事象の例としては、浸潤性又は悪性癌、入院加療をもたらさないアレルギー性気管支痙攣、血液疾患、若しくは痙攣による救急室若しくは家庭での集中治療、又は薬物依存若しくは薬物乱用の発生が挙げられる。
【0297】
疑われる予想外の重篤な有害反応(SUSAR)は、適切な参照安全性情報(IB)に列挙されていない治験責任医師により重篤として評価された、且つ事象が治験責任医師薬品に関連する少なくとも合理的可能性が存在すると治験責任医師により評価された、事象として定義される。疑われる予想外の重篤な有害反応は、適用可能な場合、地方の規制報告要件に従って、国の規制当局、IRB/IEC、及び治験責任医師への報告が迅速に行われる。
【0298】
AE及び/又はSAEの記録に関して、事象に関連する全ての証拠書類(例えば、病院経過記録、検査室レポート、及び診断レポート)をレビューすることは、治験責任医師の責任である。次いで、治験責任医師は、全ての関連AE/SAE情報をeCRFに記録する。治験責任医師は、徴候、症状、及び/又は他の臨床情報に基づいて事象の診断を確立するように試みる。可能な限り、診断(個別の徴候/症状ではない)は、AE/SAEとして確定される。
【0299】
治験責任医師は、試験時に報告された各AE及びSAEに対する強度の評価を行い、それを2017年11月27日に刊行された国立癌研究所CTCAE v5.0からの次のカテゴリーの1つに割り当てる:グレード1:軽度(徴候又は症状の自覚はあるが、容易に耐えられる)、グレード2:中等度(正常な活動への干渉の原因になる十分な不快感)、グレード3:重度(能力が奪われて正常な活動を行えない)、グレード4:生命を脅かす、及びグレード5:致命的。事象が「重篤」として定義されるのは、SAEの定義に記載のあらかじめ定義された結果の少なくとも1つを満たすときであり、それが重度として等級付けされるときでない。
【0300】
治験責任医師は、試験介入と各AE又はSAEの各発生との関係を評価するように義務付けられている。治験責任医師の因果関係評価は、全てのAE(非重篤及び重篤の両方)に対して提供されなければならない。この評価は、適宜、任意の追加形態でeCRFに記録されなければならない。因果関係評価での定義は、次の通りである:(1)関連なし:試験介入がAEの原因になった合理的可能性は存在しない。AEは、代替病因を有する可能性がより高く;それは、基礎又は併発疾病、合併症、併用治療、又は別の併用薬の影響によるものであり得る。この事象は、試験介入の投与に対して合理的時間的関係に従わない。(2)関連あり:試験介入がAEの原因になった合理的可能性が存在する。AEは、試験介入の投与に対して時間的関係を有する。事象は、代替病因の可能性がない。事象は、試験介入の既知の医薬プロファイルに対応する。中止による改善及び/又は再チャレンジによる再発が見られる。
【0301】
治験責任医師は、臨床判断を使用して関係を決定する。基礎疾患、併用療法、及び他のリスク因子などの代替原因、さらには事象と試験介入投与との時間的関係が考慮され調べられる。治験責任医師はまた、自身の評価で、市販品に対してIB及び/又は製品情報を調べる。各AE/SAEに対して、治験責任医師は、自身がAE/SAEをレビューし因果関係の評価を提供したことを医療記録に文書化しなければならない。SAEが発生し治験責任医師が初期報告に含める最小限の情報を有するという状況が存在し得る。治験責任医師は、フォローアップ情報に照らして因果関係について自身の意見を変化し得るとともに、更新された因果関係評価を含むSAEフォローアップ報告を送る。因果関係評価は、規制報告要件を決定するときに使用される基準の1つである。
【0302】
9.薬物動態及び薬力学
血清中薬物濃度並びに血清遊離及び合計C5の決定のための血液サンプルは、試験介入の投与前及び投与後、活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで採取される。生物学的サンプルの採取及び取扱いのための説明書は提供される。各サンプルの実際の日付及び時間(24時間時刻)は、eCRF及び中央検査室要求フォームに記録される。ラブリズマブ血清中濃度の解析のために採取されたサンプルはまた、試験時又は試験後に生じる懸念に関連する安全性又は有効性の側面を評価するためにも使用され得る。ベースライン及びトラフPK/PD血液サンプルは、投与前に、活動のスケジュールに明記された来院時に試験介入投与前90分以内に採取される。投与前血液サンプルは、用量注入用に作成された静脈アクセスを介して、用量投与前に採取可能である。投与後PK/PD血液サンプルは、投与後、試験介入注入の完了後60分以内に採取される。投与後血液サンプルは、参加者の反対側の非注入腕から抜き取られる。ET/EOS来院及び予定されていない来院で採取されるPK/PD血液サンプルは、任意の時点で採取される。予定されていない来院の事象では、PK/PD血液サンプルは、いつでも採取可能である。
【0303】
10.バイオマーカー
バイオマーカー研究用の血液(血清及び血漿)サンプルは、活動のスケジュールに明記されたタイムポイントで全ての参加者から採取される。
【0304】
測定されるバイオマーカーとしては、限定されるものではないが、次の評価が挙げられ得る:補体経路ディスレギュレーション(例えば、可溶性C5b-9など)及び筋炎特異的自己抗体(例えば、抗黒色腫分化関連タンパク質5[抗MDA5]、抗核マトリックスタンパク質2(抗NXP2/MJ)、抗シンテターゼ/Jo1など)。
【0305】
PK、PD、免疫原性、及びバイオマーカー試験からの残りのサンプルは、アッセイのさらなる方法開発のために貯蔵される(例えば、試験介入標的に関連する予後診断及び/又はコンパニオン診断、疾患プロセス、疾患状態に関連する経路、他の補体関連疾患、及び/又はラブリズマブの作用機序)。
【0306】
サンプルは、ラブリズマブに関するさらなる解析を可能にするために保有されるが、試験停止後5年以内又は現地要件に従った他の期間である。
【0307】
11.免疫原性評価
ラブリズマブに対する抗体(すなわち、ADA)は、活動のスケジュールに従って全ての参加者から投与前(試験介入の注入開始90分間前)に採取された血清サンプルで評価される。さらに、血清サンプルはまた、試験介入を中止した又は試験から離脱した参加者からも最終来院時に採取されるべきである。
【0308】
血清サンプルは、ラブリズマブに結合する抗体に関してスクリーニングされ、確認された陽性サンプルの力価が報告される。ラブリズマブの免疫原性をさらに特徴付けるために、他の解析が実施され得る。
【0309】
ラブリズマブに対する抗体の検出及び特徴付けは、検証/認定アッセイ法を用いて実施される。抗体は、試験介入の活性を中和するその能力に関して、さらに特徴付け及び/又は評価され得る。サンプルは、ラブリズマブへの免疫応答のさらなる解析を可能にするために、最後の参加者の最後の来院後、現地規制に従って最大期間にわたり貯蔵され得る。
【0310】
12.統計的考察
パートAは、探索的な性質を帯びており、計画された形式上の統計的仮説検定は存在しない。
【0311】
パートBに関して、主要仮説は、ラブリズマブが主要エスティマンドでプラセボ群よりも優れていることである。応答者の割合に関する優位性を評価する仮説は、次の通りである:
H0:prav-ppbo≦0;H1:prav-ppbo>0
(式中、prav及びppboは、それぞれ、ラブリズマブ及びプラセボに対する応答者の割合である)。
【0312】
パートAに関して、総数48人の参加者は、40%のプラセボ応答率及び約15%のドロップアウト率を仮定し、約80%の検出力を確保し、0.1の片側第一種過誤でIMACS-TIS最小応答(IMACS-TIS≧20)で35%の治療差を検出するように、2:1(ラブリズマブ:プラセボ)の割付け比で無作為化して試験に導入される。サンプルサイズは、主要エンドポイント(IMACS-TIS≧20)に関して非プール分散推定値で割合の差に対して2サンプル検定を用いてEAST6.5により計算された。
【0313】
パートBに関して、総数132人の参加者は、40%のプラセボ応答率及び約20%ドロップアウト率を仮定し、約90%の検出力を確保し、0.025の片側第一種過誤でIMACS-TIS最小応答(IMACS-TIS≧20)で30%の治療差を検出するように、1:1(ラブリズマブ:プラセボ)の割付け比で無作為化して試験に導入される。サンプルサイズは、非プール分散推定値で割合の差に対して2サンプル検定を用いてEAST6.5により計算された。
【0314】
非盲検化サンプルサイズ再推定は、パートBで場合によりサンプルサイズを最大174人の参加者まで増加させるように計画される。
【0315】
解析の目的で、パートA及びパートBの各々に対して以下の解析セットが表8に独立して定義される。特に明記されていない限り、適用可能な場合、同じ定義がパートA及びパートBの統計解析に使用される。
【0316】
【0317】
統計解析は、参加者リスティング及び数値による要約データの作表、推論解析を含む。連続変数の要約統計は、限定されるものではないが、参加者数、平均、標準偏差、最小、メジアン、及び最大を含む。カテゴリー変数では、頻度及びパーセンテージが提示される。
【0318】
全ての有効性解析は、最大の解析セット(FAS)に基づく。主要及び副次的有効性エンドポイントに関する追加のプロトコル別解析は、FASに対して行われたのと同じ方法でプロトコルごとのセット(PPS)に基づいて実施される。安全性解析は、安全性セット(SS)で実施される。
【0319】
解析に対するベースライン値及び報告は、特に明記されていない限り、試験介入の初回投与時又はその前の最後の非欠測測定に基づく。
【0320】
解析は、SAS(登録商標)ソフトウェアバージョン9.4以上を用いて実施される。
【0321】
パートAに関して、パートAの最初の26週間無作為化対照期間に収集された全てのデータは、パートBとは独立して解析され、パートBの形式上の仮説検定に含まれない。一般的には、パートAの統計検定は、探索的な性質を帯びており、0.2の両側第一種過誤で実施される。そのような探索的仮説検定が実施されるエンドポイントでは、両側p値、ラブリズマブ及びプラセボ間の推定差、並びに治療差の両側80%信頼区間(CI)が提示される。
【0322】
パートAでは、主要エンドポイントに関する治療群の比較は、2つの割合の差のマンテル・ヘンツェル検定及び0.2の両側第一種過誤でFASに基づく。推定マンテル・ヘンツェルリスク差は、マンテル・ヘンツェル層加重(Mantel N,Haenszel W.,J.Natl.Cancer Inst.1959;22(4):719-748を参照されたい)及びSato分散推定量(Sato T.,letter to the editor.Biometrics.1989;45:1323-1324を参照されたい)を用いて両側80%CIと共にまとめられる。
【0323】
全ての二次有効性エンドポイントは、FASを用いて解析される。2種の独立したサンプル間の治療差を比較するために、連続有効性エンドポイントに関しては混合効果反復測定モデルが使用され;バイナリー有効性エンドポイントに関してはマンテル・ヘンツェル検定が使用され;且つ生存(時間対事象)有効性エンドポイントに関してはカプラン・マイヤー法が使用される。
【0324】
パートBに関して、パートBの最初の50週間無作為化対照期間に収集された全てのデータは、パートAとは独立して解析される。パートBの形式上の統計的仮説検定は、0.05の両側第一種過誤で実施される。
【0325】
主要帰無仮説は、ラブリズマブの効果がTIS20応答でプラセボと異なっていないことである。対立仮説は、TIS20応答に基づいてラブリズマブに有利なプラセボからの治療差が存在することである。
【0326】
主要エンドポイントに関する治療群の比較は、無作為化層別化因子により層別化された2つの割合の差の両側マンテル・ヘンツェル検定及び0.05の第一種過誤でFASに基づく。両側p値、推定マンテル・ヘンツェルリスク差は、マンテル・ヘンツェル層加重(Mantel,1959)及びSato分散推定量(Sato,1989)を用いて両側95%CIと共に提示される。
【0327】
帰無仮説がラブリズマブに有利に0.05の両側統計的有意レベルで棄却される場合、試験はその主要有効性目的を満たしたとみなされる。
【0328】
次の支援解析は、併発性事象に起因する主要有効性解析からのIMACS-TIS結果のロバスト性を調べるために、主要有効性エンドポイントに関して実施される。さらなる支援解析はまた、併発性事象後のデータに対して合理的ペナルティー付きストラテジーを用いて実施され得る。
【0329】
この解析で、いずれの併発性事象後のデータも、マルチプルインピュテーションアプローチを用いて、継続してその次の来院を行った対照治療群からの併発性事象なしの参加者のトラジェクトリーに従うと仮定される(対照ベース)。インピュテーションは、IMACS-TISデータに対して実施され、応答(TIS20)のバイナリー結果は、インピュートTISデータから誘導される。
【0330】
ティッピングポイント解析:デルタ調整ストレス検査法(ティッピングポイント解析)のこの感度解析では、いずれの併発性事象後の参加者からのデータも、同じ治療群で併発性事象を何ら伴うことなく試験を継続してその次の来院を受ける参加者と比較して、TISスコアであらかじめ明記された調整(デルタ)によって定義された悪化を用いて、無作為化対照期間の残りで悪化を経験すると仮定される。高いTISスコア(0 100)がより良好な改善を表すので、あらかじめ明記されたデルタ値は負量である。マルチプルインピュテーションを介するツーウェイティッピングポイント解析は、各治療群に対して異なるデルタ調整を用いることにより実施される。バイナリー応答は、インピュートTISデータから誘導され、主要エンドポイントの場合と同じ主要解析法を用いて解析される。
【0331】
ラブリズマブ及びプラセボに対するデルタ値の各組み合わせに対して治療効果が決定され、名目上の両側p値が0.05を横切るデルタの値が「ティッピングポイント」とみなされる。すなわち、参加者ドロップアウトが中止後にこの固定された悪化を経験すると仮定されたとき、主要解析から得られた陽性結論は逆転する。
【0332】
主要エンドポイントの支援解析はまた、治療方針エスティマンドストラテジーを用いて実施される。この解析では、いずれの併発性事象を経験するかに関係なく、参加者からのバイナリー結果(TIS20)に対して同じ分析方法が使用される。早期中止に起因する欠測データは、治療方針エスティマンドに合致するようにインピュートされる。
【0333】
バイナリー主要複合エスティマンド(TIS20)では、任意の併発性事象を経験した後の早期中止からの欠測TISデータを有する参加者は、治療失敗(非応答者)とみなされる。いずれの併発性事象も経験せずに早期に中止した参加者からの欠測TISデータは、マルチプルインピュテーションを介してランダム欠測(MAR)ストラテジーを用いてインピュートされ、継続してその次の来院を行った同じ治療群からの併発性事象なしの参加者のトラジェクトリーに従うと仮定される。インピュートTISデータからのバイナリーTIS応答データは、主要エンドポイントに関して統計的方法を用いて解析される。
【0334】
鍵を握る連続二次エンドポイント(IMACS-TIS)では、任意の併発性事象を経験した後に早期に中止する参加者からの欠測TISデータは、マルチプルインピュテーションを介して非ランダム欠測(MNAR)ストラテジーを用いて主要複合エスティマンドに合致するようにインピュートされる。いずれの併発性事象も経験せずに早期に中止した参加者からの欠測TISデータは、マルチプルインピュテーションを介してランダム欠測(MAR)ストラテジーを用いてインピュートされ、継続してその次の来院を行った同じ治療群からの併発性事象なしの参加者のトラジェクトリーに従うと仮定される。連続TISデータは、本明細書に記載の統計的方法を用いて解析される。
【0335】
パートBに関して、無作為化対照期間の50週目の平均IMACS-TISに関する治療群の比較は、FASに基づく。主要複合エスティマンドに合致するように、対照ベースマルチプルインピュテーションストラテジーが採用される。このアプローチでは、併発性事象のいずれかを経験した後の参加者からのデータは、マルチプルインピュテーションアプローチを用いて、継続してその次の来院を行った対照治療群からの併発性事象なしの参加者のトラジェクトリーに従うと仮定される。
【0336】
混合効果反復測定モデルは、インピュートTISデータの統計解析に使用される。モデルは、従属変数としてあらかじめ明記された各タイムポイントで、応答変数、治療の固定カテゴリカル効果、試験来院、及び治療と試験来院との相互作用、並びに領域、さらには重要なベースライン共変量を含む。治療効果は、50週目の治療-来院項に関するコントラストを介して評価される。非構造化共分散行列は、各参加者内の反復測定間の相関をモデリングするために使用される。収束問題が発生した場合、他の共分散構造が実装される。
【0337】
モデルからの差の両側95%CIと共に、両側p値、ラブリズマブ及びプラセボ間の推定最小二乗平均差が提示される。
【0338】
生存(時間対事象)エンドポイントは、カプラン・マイヤー法を用いて解析され、領域及び皮膚徴候により層別化されたログランク検定を用いて比較される。ハザード比及びリスク低減は、領域及び皮膚徴候により層別化されたコックス比例ハザードモデルからまとめられる。CI(95%)は、相補的log-log変換に基づいて生存推定値に関して提示される。両治療群に対してカプラン・マイヤー曲線が生成される。
【0339】
主要エンドポイントに関する最終主要仮説は、パートBの全体的第一種過誤を制御するために計画適応サンプルサイズ再推定に調整された最終検定統計で0.05の両側第一種過誤で検定される。鍵を握る二次エンドポイントに関連する仮説検定は、主要エンドポイントに関連する帰無仮説が棄却された場合のみ進める。
【0340】
ラブリズマブの安全性及び耐容性は、AEレポート、臨床検査室所見、ECG、及びバイタルサイン所見に基づいて評価される。安全性解析はSS集団で実施される。
【0341】
AEに関する解析及び報告は、無作為化対照期間中の試験介入の初回投与又はその後の発症を含むAEとして定義される、治療下の重篤な有害事象(TESAE)及び薬物中止をもたらす治療下の有害事象(TEAE)を含む、TEAEに基づく。TEAE及びTESAE及び薬物中止をもたらすTEAEは、重症度により及び試験介入との関係によりMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)System Organ Class(SOC)and Preferred Termにまとめられている。参加者年齢調整事象率は、長期安全性プロファイルを特徴付けるために発生される。
【0342】
検査室測定さらには適用可能であれば各来院時のベースラインからの変化及びベースラインからのシフトが記述的にまとめられる。ECG及びバイタルサインに関連する有意な知見も、記述的分析を用いてまとめられる。
【0343】
試験介入の少なくとも1用量を摂取し且つ少なくとも1つの投与後PKサンプルを有する全ての参加者の個別血清中濃度データは、ラブリズマブのPKパラメーターを誘導するために使用される。
【0344】
平均血清中濃度-時間プロファイルのグラフが構築される。個別参加者の血清中濃度-時間プロファイルのグラフもまた提供され得る。
【0345】
記述統計は、適宜、各サンプリング時間で血清中濃度データに対して計算される。集団-PKの評価は、この試験からのデータを用いて又は他の試験からのデータとの組み合わせで検討され得る。
【0346】
記述統計は、各サンプリング時間で全てのラブリズマブPDエンドポイントに対して提示される。IV投与されたPDラブリズマブの効果は、適宜、遊離及び合計C5血清中濃度の絶対値並びにベースラインからの経時的変化及びパーセント変化を評価することにより評価される。試験来院ごとに遊離及び合計C5血清中濃度の絶対値のボックスプロットが構築される。ラブリズマブPK/PD関係の評価は、この試験からのデータを用いて又は他の試験からのデータとの組み合わせで探究され得る。
【0347】
免疫原性の解析はSSに基づく。
【0348】
血清中のラブリズマブに対するADAの存在は、試験期間にわたり評価される。中和抗体及び確認陽性サンプルの力価を含めて、抗体応答のさらなる特徴付けは、適宜、行われ得る。免疫原性結果は、確認陽性ADAを発生する参加者の数及びパーセンテージをまとめることにより解析される。ADAとラブリズマブ濃度との関連、PDパラメーター、有効性、及びTEAEは、適宜、探求され得る。
【0349】
探索的バイオマーカーの解析は、別々の解析計画に記載されている。
【0350】
パートAに関して、中間解析は、投与目的で実施され得る。中間解析は、合計で約24名(50%)の参加者が投与前26週目来院に達したとき又は尚早に中止したときに慎重に行われる。比較主要及び鍵を握る有効性さらには安全性データは、この中間解析で評価される。パートA試験デザインを改変する計画は存在しないので、第一種過誤調整は最終統計解析に必要とされない。中間解析は、盲検化を維持するために独立DMCにより行われる。
【0351】
主要有効性エンドポイントさらには安全性データは、この中間解析で評価される。無益性基準が満たされた場合又は利益/リスクが有利であるとみなされない場合、さらなる登録は停止可能である。
【0352】
パートBに関して、1つの中間解析は、サンプルサイズ再推定のために行われ得る。非盲検化サンプルサイズ再推定のための中間解析は、参加者の約30%が投与前50週目来院を完了したとき又はパートBを尚早に中止したとき、慎重に行われる。サンプルサイズは、コンディショナルパワーアプローチを用いて最大174人の参加者に増加される。加重ステージワイズ統計の組み合わせ検定は、計画適応サンプルサイズ増加に起因する第一種過誤を制御するために最終統計解析に使用される。中間解析は、試験インテグリティー及び盲検化を維持するために独立DMCにより実施される。
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
【配列表】
【国際調査報告】