(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波及び/又は爆風により引き起こされる脳損傷の診断法又は診断の一助となる方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/573 20060101AFI20240524BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G01N33/573 A
G01N33/53 D ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577171
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022033337
(87)【国際公開番号】W WO2022266034
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクイストン,ベス
(72)【発明者】
【氏名】ダトワイラー,ソール
(72)【発明者】
【氏名】マリノ,ジェイミー
(57)【要約】
音響エネルギー、電磁エネルギー(例えば、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せによる)、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷又は推測される損傷を負った又は負った可能性がある対象(例えば、ヒト対象)から採取される試料中のユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せなどのバイオマーカーのレベルを検出することにより、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)などの、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象(例えば、ヒト対象)の診断及び査定の一助となる方法が本明細書で開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得られた試料でアッセイを実施して、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこの組合せのレベルを測定する又は検出することにより頭部への損傷を負った又は負った可能性がある前記対象の診断及び査定の一助となる方法の改善であって、前記対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を有する又は負ったと推測される後に前記試料を得ること、及びUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、前記対象が、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)を負っていると決定することを含む改善。
【請求項2】
前記UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルが基準レベルよりも低い場合、前記対象が軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを負っていないと決定される、請求項1に記載の改善。
【請求項3】
GFAPについての基準レベルが約15~約50pg/mLである、請求項1又は請求項2に記載の改善。
【請求項4】
UCH-L1についての基準レベルが約320~約400pg/mLである、請求項1~3のいずれかに記載の改善。
【請求項5】
GFAPについての基準レベルが約30pg/mLである、請求項1~4のいずれかに記載の改善。
【請求項6】
UCH-L1についての基準レベルが約360pg/mLである、請求項1~5のいずれかに記載の改善。
【請求項7】
前記対象が、前記アッセイが実施される前又は後でGCSスコアを受けている、請求項1~6のいずれかに記載の改善。
【請求項8】
前記対象が、前記GCSスコアに基づいて中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有すると推測される、請求項1~7のいずれかに記載の改善。
【請求項9】
前記基準レベルが、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象と相関している、請求項8に記載の改善。
【請求項10】
前記基準レベルが、3~8(重度のTBI)、9~12(中等度のTBI)、13~15(軽度のTBI)、又は3~12(中等度~重度のTBI)のGCSスコアと相関している、請求項9に記載の改善。
【請求項11】
前記対象が、前記GCSスコアに基づいて軽度の外傷性脳損傷を有すると推測される、請求項7~10のいずれかに記載の改善。
【請求項12】
前記基準レベルが、13~15のGCSスコアと相関している、請求項10に記載の改善。
【請求項13】
前記基準レベルが、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している、請求項1に記載の改善。
【請求項14】
前記試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される、請求項1~13に記載の改善。
【請求項15】
前記試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される、請求項14のいずれかに記載の改善。
【請求項16】
軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象を、TBI治療を用いて治療することをさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載の改善。
【請求項17】
軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることをさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載の改善。
【請求項18】
前記方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料で前記アッセイを実施した後で、
前記対象から第2の時点で採取された少なくとも第2の試料中のUCH-L1について第2のアッセイを実施すること、及び
前記第2の試料中のUCH-L1のレベルが前記第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも大きい若しくはこれに等しい変化倍率を示す場合、中等度~重度のTBIに対して前記対象を治療すること、又は前記第2の試料中のUCH-L1のレベルが前記第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも小さい変化倍率を示す場合、軽度のTBIに対して前記対象を治療すること
をさらに含み、
前記第1の時点が前記頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、前記第2の時点が前記第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、請求項1に記載の改善。
【請求項19】
前記方法が、前記試料中のUCH-L1のレベルが、
(a)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は前記試料中のUCH-L1のレベルが約350pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して;
(b)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は前記試料中のUCH-L1のレベルが約450pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して;又は
(c)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は前記試料中のUCH-L1のレベルが約550pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して
前記対象を治療すること
をさらに含み、
前記試料が、前記頭部損傷若しくは推測される頭部損傷後約24時間以内に得られる、請求項1に記載の改善。
【請求項20】
前記方法が、頭部への実際の若しくは推測される損傷後約2時間以内に前記対象から得られた前記試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
i.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;
ii.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;又は
iii.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して前記対象を治療すること
をさらに含む、請求項1に記載の改善。
【請求項21】
前記方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後で、
前記対象から得られた第2の時点で採取された少なくとも1つの第2の試料においてUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;
ii.GFAPのレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;又は
iii.UCH-L1のレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいないかつGFAPのレベルが前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI
に対して前記対象を治療すること
をさらに含み、
前記第1の時点は、実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、前記第2の時点は前記第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、請求項1に記載の改善。
【請求項22】
前記方法が、前記対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に前記対象由来の試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて少なくとも1つのアッセイを実施すること;並びに
i.前記試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しい、
ii.前記試料中のUCH-L1のレベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは
iii.前記試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1の基準レベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい
場合、TBI;又は
(2)(a)(i)前記試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、(ii)前記試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mL~約3000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、又は(iii)前記試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが約215pg/mL~約3000pg/mLの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい場合、中等度~重度のTBI;又は
(b)(i)前記試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さい、(ii)前記試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも小さい、若しくは(iii)前記試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLの基準レベルよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して前記対象を治療すること
をさらに含む、請求項1に記載の改善。
【請求項23】
前記方法が、前記対象が頭部への実際の若しくは推測される損傷を負った後約48時間以内に前記対象から得られる試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
(1)前記試料中のGFAPのレベルが、約105pg/mL~約890pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約110pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、軽度のTBI;又は
(2)前記試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約40pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約70pg/mL~約150pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、TBI
に対して前記対象を治療すること
をさらに含む、請求項1に記載の改善。
【請求項24】
前記方法が、前記対象が頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に前記対象から得られる試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
前記試料中のGFAPのレベルが、約80pg/mL~約2000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約130pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、前記対象に対して、好ましくないものである可能性が高い転帰を予想し、TBIに対して前記対象を治療すること
をさらに含む、請求項1に記載の改善。
【請求項25】
前記音響エネルギー、電磁エネルギー又は音響と電磁エネルギーが、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である、請求項1~24のいずれかに記載の改善。
【請求項26】
前記凶器が、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せである、請求項25に記載の改善。
【請求項27】
前記音響兵器が、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターである、請求項26に記載の改善。
【請求項28】
前記指向性エネルギー兵器が、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せである、請求項26に記載の改善。
【請求項29】
前記アッセイが、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである、請求項1~28のいずれかに記載の改善。
【請求項30】
前記アッセイが、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである、請求項1~29のいずれかに記載の改善。
【請求項31】
前記試料が、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される、請求項1~30のいずれかに記載の改善。
【請求項32】
頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得られた試料でアッセイを実施してユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せのレベルを測定する又は検出することにより、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある前記対象において頭部コンピュータ(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施するかどうかを決定する一助となる方法の改善であって、前記対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った後に前記試料を得ること、並びにUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、前記対象に頭部CTスキャン、MRI手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施することを含む改善。
【請求項33】
頭部CT、MRI又は頭部CTとMRIが、UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも低い場合、前記対象で実施されない、請求項32に記載の改善。
【請求項34】
GFAPについての基準レベルが約15~約50pg/mLである、請求項32又は33に記載の改善。
【請求項35】
UCH-L1についての基準レベルが約320~約400pg/mLである、請求項32~34のいずれかに記載の改善。
【請求項36】
GFAPについての基準レベルが約30pg/mLである、請求項32~35のいずれかに記載の改善。
【請求項37】
UCH-L1についての基準レベルが約360pg/mLである、請求項32~36のいずれかに記載の改善。
【請求項38】
前記基準レベルが、陽性頭部コンピュータ断層撮影と相関している、請求項32に記載の改善。
【請求項39】
前記基準レベルが、陽性磁気共鳴画像と相関している、請求項32に記載の改善。
【請求項40】
前記基準レベルが、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している、請求項32に記載の改善。
【請求項41】
前記試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される、請求項32~40に記載の改善。
【請求項42】
前記試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後、約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される、請求項41に記載の改善。
【請求項43】
軽度、中等度、重度又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることをさらに含む、請求項32~42のいずれかに記載の改善。
【請求項44】
前記方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され前記対象から得られた第2の試料でUCH-L1について第2のアッセイを実施すること;及び
前記第2の試料中のUCH-L1のレベルが、(1)前記第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合、約1.81未満;又は(2)前記第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合、1.5未満の変化倍率を示す場合、前記対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
前記第1の時点が前記頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、前記第2の時点が前記第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、請求項32に記載の改善。
【請求項45】
前記方法が、頭部への実際の又は推測される損傷から約2時間以内に前記対象から得られた前記試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
i.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、前記対象で頭部CTスキャンを実施すること;
ii.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
iii.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含む、請求項32に記載の改善。
【請求項46】
前記方法が、第1の時点で採取された第1の試料である前記試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され前記対象から得られた第2の試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;
ii.GFAPのレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
iii.UCH-L1のレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
前記第1の時点が、前記実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、前記第2の時点が、前記第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、請求項32に記載の改善。
【請求項47】
前記方法が、頭部への前記実際の又は推測される損傷後約24時間以内に前記対象から得られた前記試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
前記試料中のUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、前記対象でMRI手順を実施して、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して前記対象を治療すること
をさらに含み、
前記基準レベルは少なくとも約20pg/mL~約200pg/mLの間である、請求項32に記載の改善。
【請求項48】
前記方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料で前記アッセイを実施した後、
第2の時点で採取され前記対象から得られた第2の試料においてUCH-L1、GFAP及びUCH-L1とGFAPからなる群から選択される少なくとも1つの初期バイオマーカーについて第2のアッセイを実施すること、並びに
UCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルが、前記第1の試料から前記第2の試料までで少なくとも約10pg/mL~少なくとも約150pg/mLの間の量で減少している又は増加している場合、前記対象でMRI手順を実施し、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して前記対象を治療すること
をさらに含み、
前記第1の時点は前記頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、前記第2の時点は前記第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、請求項32に記載の改善。
【請求項49】
前記方法が、前記対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に前記対象から得られた前記試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
(1)(i)前記試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)前記試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)前記試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は
(2)(i)前記試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)前記試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)前記試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい
場合、前記対象で頭部CTスキャンを実施すること;又は
前記試料中のGFAPのレベルが、約50pg/mL~約975pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ前記試料中のUCH-L1のレベルが、約90pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、頭部CTスキャンを実施せず、軽度の外傷性脳損傷(TBI)に対して前記対象を治療すること
をさらに含む、請求項32に記載の改善。
【請求項50】
前記方法が、前記対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に前記対象から得られた前記試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;並びに
(a)前記試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約1000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、及び前記試料中のUCH-L1のレベルが、約50pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は
(b)前記試料中のGFAPのレベルが、約1000pg/mLのGFAPの基準レベルよりも大きい、及び前記試料中のUCH-L1のレベルが、約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも大きい
場合、MRI手順を実施すること
をさらに含む、請求項32に記載の改善。
【請求項51】
前記音響エネルギー又は電磁エネルギーが、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である、請求項32~50のいずれかに記載の改善。
【請求項52】
前記凶器が、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せ由来である、請求項51に記載の改善。
【請求項53】
前記音響兵器が、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターである、請求項52に記載の改善。
【請求項54】
前記指向性エネルギー兵器が、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せである、請求項52のいずれかに記載の改善。
【請求項55】
前記アッセイが、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである、請求項32~54のいずれかに記載の改善。
【請求項56】
前記アッセイが、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである、請求項32~54のいずれかに記載の改善。
【請求項57】
前記試料が、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される、請求項32~56のいずれかに記載の改善。
【請求項58】
前記対象がヒトである、請求項1~57のいずれかに記載の改善。
【請求項59】
前記対象がヒト成人対象又はヒト小児対象である、請求項58に記載の改善。
【請求項60】
音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされると考えられる損傷又は推測される損傷が、多数傷病者事故の一部である、請求項1~59のいずれかに記載の改善。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月14日提出の米国特許出願第63/210,397号、2021年7月30日提出の米国特許出願第63/227,844号、及び2021年11月22日提出の米国特許出願第63/282,016号の優先権を主張するものであり、前記特許文献のそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込む。
【0002】
これと共に同時に提出されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は参照によりその全体を本明細書に組み込み、以下の2022年6月13日に作成された“39614_204_ST25.TXT”と名付けられた1つの6,694バイトASCII(テキスト)ファイルの通りに確認される。
【0003】
本開示は、音響エネルギー、電磁エネルギー(例えば、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せによる)、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷又は推測される損傷を負った対象(例えば、ヒト対象)から採取される試料中のユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せなどのバイオマーカーのレベルを検出することにより、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)などの、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象(例えば、ヒト対象)の診断及び査定の一助となる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
合衆国だけで毎年5百万人を超える軽度外傷性脳損傷(TBI)が起きている。今のところ、患者評価の一助となる利用可能である簡便で、客観的で、正確な測定法は存在しない。実際、TBI査定及び診断の多くが主観的データに基づいている。残念ながら、頭部CT及びGCS(Glasgow Coma Score)などの客観的測定法は、軽度TBIの査定において、それほど総合的又は高感度ではない。さらに、頭部CTは、軽度TBIについて、ほとんどの場合何も明らかにせず、高価であり、患者を、不要な放射線へと曝露する。加えて、陰性の頭部CTは、患者が、脳振盪を有さないことが明確になったこと意味するわけではなく、手術などの、ある特定の介入が正当ではないことを意味するに過ぎない。医師及び患者は、この状態を正確に査定して、適切なトリアージ及び回復を促進するために、客観的かつ信頼できる情報を必要とする。
【0005】
軽度のTBI又は震盪は客観的に検出するのがはるかに困難であり、世界的に救急治療室での日常的な難問となっている。脳振盪は、通例出血及び脳に対する従来のコンピュータ断層撮影スキャンにおける異常などの、肉眼的病態を引き起こさないが、数日間~数週間かけて、自発的に消失する、急速発症型の神経機能不全を引き起こすことが多い。軽度のTBI患者のおおよそ15%が遷延性の認知機能不全を被る。現場で、救急治療室及び診療所で、スポーツ場で並びに軍事活動(例えば、戦闘)で軽度のTBI被害者を検出し査定するまだ満たされていない必要性が存在する。
【0006】
脳損傷の重症度を評価するための現在のアルゴリズムは、GCS(Glasgow Coma Scale)スコア及び他の基準を含む。これらの基準は、急性重症度を関連付けるには適切である場合もあるが、持続的な欠損を生じることがある微妙な病理には感度は不十分である。GCS及び他の基準はまた、損傷のタイプ間の区別を可能にせず、適切でない場合がある。したがって、臨床治験に入る単一のGCSレベルに分類される患者は、損傷の非常に異質な重症度及びタイプを有することがある。転帰もそれに応じて変動するので、不適切な分類が臨床治験の完全性を台無しにする。損傷の分類が改善されると、臨床治験でのTBI患者についての疾患重症度及びタイプのより正確な描写が可能になる。
【0007】
さらに、現在の脳損傷試験は、グラスゴー転帰スケール拡張などの転帰基準に頼っており、この基準は全体的な現象を捕らえるが、転帰の微妙な違いについて査定できない。したがって、脳損傷治療薬についての30の連続する試験が、失敗に終わった。治療薬及び予防薬を試験するために患者が脳損傷からどれほどよく回復したのかを決定するのに、感度のよい評価基準が必要である。
【0008】
少なくとも約2016年以降、TBIであると思われる頭部損傷と一致している一群の効果が、頭部へのいかなる打撃も又は既存の状態もない対象について報告されている。具体的には、これらの対象は、様々な強度及び特性の異常な聴覚刺激及び/又は感覚刺激を体験し、変化に富んだ神経症状を随伴して発病した。対象は、認知、前庭及び眼球運動機能障害を、聴覚症状、睡眠異常及び頭痛と共に経験した。これらの対象は、頭部外傷の随伴する病歴がないにもかかわらず広範な脳ネットワークへの損傷を負ったと思われると判断された(例えば、Swansonら、JAMA、319(11):1125~1133(2018)及びMuthら、JAMA、322(3)、348(7月23/30、2019)参照)。一部の報告は、これらの損傷は、マイクロ波などの電磁エネルギー又は超音波などの音響エネルギーに対象が曝されたことにより引き起こされたと示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Swansonら、JAMA、319(11):1125~1133(2018)
【非特許文献2】Muthら、JAMA、322(3)、348(7月23/30、2019)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得た試料でアッセイを実施して、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せのレベルを測定する又は検出することにより、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象の診断及び査定の一助となる方法の改善に関する。具体的には、改善された方法は、対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を有する又は負ったと推測される後に試料を得ること並びにUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象が、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)を負っていると決定することを含む。
【0011】
上記改善された方法における一態様では、対象は、ヒト、ウマ、又はイヌである。さらに別の態様では、対象はヒト(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象)である。さらなる態様では、対象はウマである。なおさらにさらなる態様では、対象はイヌである。
【0012】
改善された方法のなおさらにさらなる態様では、UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルが基準レベルよりも低い場合、対象は、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを負っていないと決定される。
【0013】
改善された方法の別の態様では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLである。
【0014】
改善された方法のなおさらに別の態様では、UCH-L1の基準レベルは約320~約400pg/mLである。
【0015】
改善された方法のなおさらに別の態様では、GFAPの基準レベルは約30pg/mLである。
【0016】
改善された方法のなおさらに別の態様では、UCH-L1の基準レベルは約360pg/mLである。
【0017】
改善された方法のなおさらに別の態様では、対象はアッセイが実施される前に又は後でGCSスコアを受けている。
【0018】
改善された方法のなおさらに別の態様では、対象は、GCSスコアに基づいて中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有すると推測される。
【0019】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象と相関している。
【0020】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは、3~8(重度のTBI)、9~12(中等度のTBI)、13~15(軽度のTBI)、又は3~12(中等度~重度のTBI)のGCSスコアと相関している。
【0021】
改善された方法のなおさらに別の態様では、対象は、GCSスコアに基づいて軽度の外傷性脳損傷を有すると推測される。
【0022】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは13~15のGCSスコアと相関している。
【0023】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している。
【0024】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約24、48、72、96、120、144又は168時間以内に採取される。なおさらにさらなる態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される。
【0025】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される。
【0026】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象を、TBI治療を用いて治療することをさらに含む。
【0027】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることをさらに含む。
【0028】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後で、
対象から第2の時点で採取された少なくとも第2の試料中のUCH-L1について第2のアッセイを実施すること、及び
第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも大きい若しくはこれに等しい変化倍率を示す場合、中等度~重度のTBIに対して、又は第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも小さい変化倍率を示す場合、軽度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0029】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、
試料中のUCH-L1のレベルが
(a)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約350pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して;
(b)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約450pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して;又は
(c)約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約550pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して
対象を治療すること
をさらに含み、
試料は、頭部損傷若しくは推測される頭部損傷後約24時間以内に得られる。
【0030】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、頭部への実際の若しくは推測される損傷後約2時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
i.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;
ii.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;又は
iii.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含む。
【0031】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後で、
対象から得られた第2の時点で採取された少なくとも1つの第2の試料においてUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;
ii.GFAPのレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;又は
iii.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいないかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点は、実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0032】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象由来の試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて少なくとも1つのアッセイを実施すること;並びに
(1)i.試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しい
ii.試料中のUCH-L1のレベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは
iii.試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1の基準レベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい
場合、TBI;又は
(2)(a)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mL~約3000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、又は(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きくかつ試料中のUCH-L1のレベルが約215pg/mL~約3000pg/mLの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい場合、中等度~重度のTBI;又は
(b)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも小さい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さくかつ試料中のUCH-L1のレベルが約215pg/mLの基準レベルよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含む。
【0033】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、対象が頭部への実際の若しくは推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
(1)試料中のGFAPのレベルが、約105pg/mL~約890pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい及び試料中のUCH-L1のレベルが、約110pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、軽度のTBI;又は
(2)試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約40pg/mLのGFAPの基準レベルに等しく及び試料中のUCH-L1のレベルが、約70pg/mL~約150pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、TBI
に対して対象を治療すること
をさらに含む。
【0034】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、対象が頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得た試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
試料中のGFAPのレベルが、約80pg/mL~約2000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しく及び試料中のUCH-L1のレベルが、約130pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象に対して、好ましくないものである可能性が高い転帰を予想し、TBIについて対象を治療すること
をさらに含む。
【0035】
改善された方法のなおさらに別の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー又は音響と電磁エネルギーは、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である。凶器は、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せが可能である。音響兵器の例は、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターを含む。指向性エネルギー兵器の例は、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せを含む。
【0036】
改善された方法のなおさらに別の態様では、アッセイは、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである。
【0037】
改善された方法のなおさらに別の態様では、アッセイは、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである。
【0038】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される。
【0039】
改善された方法のなおさらに別の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる損傷(例えば、実際の損傷)又は推測される損傷は、多数傷病者事故の一部である。
【0040】
本開示は、さらに、頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得た試料でアッセイを実施してユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せのレベルを測定する又は検出することにより、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象で頭部コンピュータ(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施するかどうかを決定する一助となる方法の改善に関する。具体的には、改善された方法は、対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った後に試料を得ること、並びにUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象に頭部CTスキャン、MRI手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施することを含む。
【0041】
上記改善された方法における一態様では、対象は、ヒト、ウマ又はイヌである。さらに別の態様では、対象はヒト(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象)である。さらなる態様では、対象はウマである。なおさらにさらなる態様では、対象はイヌである。
【0042】
改善された方法のなおさらに別の態様では、頭部CT、MRI又は頭部CTとMRIは、UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも低い場合、対象で実施されない。
【0043】
改善された方法のなおさらに別の態様では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLである。
【0044】
改善された方法のなおさらに別の態様では、UCH-L1についての基準レベルは約320~約400pg/mLである。
【0045】
改善された方法のなおさらに別の態様では、GFAPについての基準レベルは約30pg/mLである。
【0046】
改善された方法のなおさらに別の態様では、UCH-L1についての基準レベルは約360pg/mLである。
【0047】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは陽性頭部コンピュータ断層撮影と相関している。
【0048】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは陽性磁気共鳴画像と相関している。
【0049】
改善された方法のなおさらに別の態様では、基準レベルは、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している。
【0050】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約24、48、72、96、120、144又は168時間以内に採取される。さらにさらなる態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される。
【0051】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される。改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後、約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される。
【0052】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、軽度、中等度、重度又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることを含む。
【0053】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料でUCH-L1について第2のアッセイを実施すること;及び
第2の試料中のUCH-L1のレベルが、(1)第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合約1.81未満、又は(2)第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合1.5未満の変化倍率を示す場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
第1の時点は頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0054】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷から約2時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
i.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること;
ii.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
iii.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含む。
【0055】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;
ii.GFAPのレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
iii.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
第1の時点は実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0056】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後約24時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
試料中のUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象でMRI手順を実施して、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
基準レベルは少なくとも約20pg/mL~約200pg/mLの間である。
【0057】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料においてUCH-L1、GFAP及びUCH-L1とGFAPからなる群から選択される少なくとも1つの初期バイオマーカーについて第2のアッセイを実施すること、並びに
UCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約10pg/mL~少なくとも約150pg/mLの間の量で減少している又は増加している場合、対象でMRI手順を実施し、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点は頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0058】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
(1)(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は
(2)(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること;又は
試料中のGFAPのレベルが、約50pg/mL~約975pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約90pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、頭部CTスキャンを実施せず、軽度の外傷性脳損傷(TBI)に対して対象を治療すること
をさらに含む。
【0059】
改善された方法のなおさらに別の態様では、方法は、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;並びに
(a)試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約1000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、及び試料中のUCH-L1のレベルが、約50pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は
(b)試料中のGFAPのレベルが、約1000pg/mLのGFAPの基準レベルよりも大きい、及び試料中のUCH-L1のレベルが、約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも大きい場合、MRI手順を実施すること
をさらに含む。
【0060】
改善された方法のなおさらに別の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー又は音響と電磁エネルギーは、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である。凶器は、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せが可能である。音響兵器の例は、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターを含む。指向性エネルギー兵器の例は、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せを含む。
【0061】
改善された方法のなおさらに別の態様では、アッセイは、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである。
【0062】
改善された方法のなおさらに別の態様では、アッセイは、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである。
【0063】
改善された方法のなおさらに別の態様では、試料は、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される。
【0064】
改善された方法のなおさらに別の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされると考えられる損傷(例えば、実際の損傷)又は推測される損傷は、多数傷病者事故の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本開示は、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せなどの1つ以上のバイオマーカーを使用して、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)などの、頭部への損傷を負った対象(例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象などのヒト対象)の診断及び査定の一助となる方法に関する。これらの方法は、頭部への実際の又は推測される損傷から約24、48、72、96、120、144又は168時間以内の時点で対象(例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象などのヒト対象)から採取される1つ以上の試料中の1つ以上のバイオマーカーレベルを検出することを含み、試料は、頭部損傷が音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる対象から得られる。一部の他の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる損傷は、多数傷病者事故の一部である。
【0066】
本開示はまた、頭部へのそのような損傷を負った対象(例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象などのヒト対象)が、UCH-L1、GFAP又はその組合せなどの1つ以上のバイオマーカーのレベルに基づいて、頭部コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)手順又は頭部CTスキャンとMRI手順の両方から利益を得、したがってこれを受けるかどうかの決定の一助となる方法にも関する。これらの方法は、頭部への損傷(例えば、実際の損傷)又は頭部への推測される損傷から約24、48、72、96、120、144又は168時間以内の時点で対象(例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象などのヒト対象)から採取される1つ以上の試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せなどの少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを検出することを含み、試料は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露により引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った対象から得られる。頭部への損傷(例えば、実際の損傷)又は推測される損傷後、バイオマーカーの基準レベルよりも高い、UCH-L1、GFAP又はその組合せなどのバイオマーカーの検出レベルは、対象が頭部CTスキャン及び/又はMRIを受けるべきかどうかの決定の一助となる。例えば、UCH-L1、GFAP又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルよりも高い、UCH-L1、GFAP又はその組合せなどのバイオマーカーのレベルを有する対象(例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象などのヒト対象)はまた、陽性頭部CTスキャン及び/又はMRIを有する可能性が高いと同定され、したがって、CTスキャン及び/又はMRI手順を有することから利益を得る可能性もある。
【0067】
本明細書の本節及び全開示において使用された節の小見出しは、構成上の目的だけのものであり、限定的であることを意図するものではない。
【0068】
1.定義
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用された、全ての技術用語及び科学用語は、当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。齟齬が生じる場合は、定義を含む本文献に従う。本開示の実施又は試験において、本明細書において記載された方法及び材料と同様又は同等な方法及び材料も使用されうるが、下記において、好ましい方法及び材料について記載される。本明細書において言及された、全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体において組み込まれる。本明細書において開示された材料、方法及び例は、例示的なものであるに過ぎず、限定を意図するものではない。
【0069】
本明細書において使用された「~を含む(comprise(s))」、「~を含む(include(s))」「~を有すること」、「~を有する」、「~でありうる」、「~を含有する」という用語は、さらなる行為又は構造の可能性を除外しない、オープンエンドな移行句、移行用語又は移行語である。単数形の「ある」「及び」及び「その」は、文脈によりそうでないことが明らかに指示されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示されているのであれ、そうでないのであれ、本明細書において提示された実施形態又は要素「を含み」、これら「からなり」、これら「から本質的になる」、他の実施形態も想定する。
【0070】
本明細書において、数値範囲を列挙するために、それらの間に介在する、同じ精度を伴う各数が明示的に想定される。例えば、6~9の範囲について、6及び9に加えて、7及び8の数も想定され、6.0~7.0の範囲について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0の数が、明示的に想定される。
【0071】
「音響エネルギー又は電磁エネルギー」とは、音響エネルギー単独、電磁エネルギー単独、又は音響と電磁エネルギーの組合せを意味する。音響又は電磁エネルギーの源は様々であり、累積効果(例えば、医学的治療若しくは航空旅行、又は携帯電話、テレビ、マイクロ波、実験用具等などの装置の常用からの曝露)を発揮することがある、又は事故(例えば、人為的な)、自然災害(例えば、異常な量又はタイプの紫外線照射又は他の音響及び/若しくは電磁エネルギーへの曝露を引き起こす)の結果としての日常生活の間の偶発的曝露、並びに故意に向けられた曝露(例えば、意図的な攻撃として)を含む。音響エネルギーとは、物質(例えば、固体、液体及び/又は気体)及び/又は対象中に移る、通過する又は中に移って通過するエネルギーの攪乱のことである。音響エネルギーは波の形態で進む。一態様では、音響エネルギーは音であることが可能である。音は、縦波、機械波又は圧力波などの波の中を伝播する。音は、可聴周波数(20ヘルツ(Hz)~20キロヘルツ(kHz))又は超音波(20kHzよりも大きい)若しくは超低周波(20Hz未満)などの不可聴周波数が可能である。別の態様では、音響エネルギーは、例えば、機械システムにより引き起こされる振動、例えば、鉄道線路、地震等からの地盤振動などの、1つ以上の振動であることが可能である。なおさらに別の態様では、音響エネルギーは音と振動の両方を含む。
【0072】
電磁エネルギーとは、真空、すなわち、宇宙を移動する荷電粒子の運動により発生するタイプの運動エネルギーのことである。電磁エネルギーは波の形態で進む。放射により伝達される電磁エネルギーは電磁放射として知られる。電磁エネルギーの例は、電波、テレビ(TV)電波、レーダー波、赤外線、光、紫外線、X線、短波、マイクロ波及びガンマ波を含む。
【0073】
一態様では、音響エネルギー又は電磁エネルギーは、日常生活中の偶発的曝露の結果として、事故(例えば、人為的事故などの)、自然災害の結果として、又は故意に向けられた曝露(例えば、意図的な攻撃(例えば、1つ以上の凶器の使用を通じての戦闘などの))の結果として対象に1つ以上の損傷を与えることができる。例えば、たとえ短期間でも大きな音に曝露される対象は騒音誘発聴覚損失を体験することがあることは公知である。85デシベルの又はそれよりも上の音に長期間又は繰り返し曝露されるとヒト対象で聴覚損失を引き起こすことがあることは公知である。例えば、破裂時に花火のあまりにも近くに立っているヒト対象は、130~150デシベルの間の音を浴びる場合があり、これは対象が即座に聴覚損失を被る「音響外傷」をもたらすことがある。携帯電話、電子レンジ、電話、MRI機械装置等などの電磁エネルギーを使用する種々の装置に長期間、繰り返し曝露されると、種々のタイプのがんを引き起こすことがあると考えられている。ことによると、音響又は電磁エネルギーへのそのような偶発的な曝露は同様にTBIの一因になる又はこれを引き起こすことがある。
【0074】
別の態様では、音響エネルギー又は電磁エネルギーを使用すれば、対象を意図的に損傷する及び/又は無能力にすることができる。音響エネルギー又は電磁エネルギーをどのように使用すれば、対象を意図的に損傷する及び/又は無能力にすることができるかの例は、1つ以上の凶器の使用を通してである。音響兵器は、音響エネルギー、具体的には、音を使用して対象を損傷する及び/又は無能力にする装置又は器械の例である。音響兵器は、2つの範疇:(a)可聴周波数(20Hz~20kHz)を含む音響兵器;及び(b)超音波(20kHzよりも大きい))又は超低周波(20Hz未満)であり不可聴である音響兵器に分類されうる。一部の態様では、音響兵器は、音、超音波又は超低周波の集束ビームを使用する。他の態様では、音響兵器は、音、超音波又は超低周波の領域場を作り出す。音響兵器の例は、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターを含む。
【0075】
指向性エネルギー兵器は、高度集束電磁エネルギーを使用して対象を損傷する及び/又は無能力にする装置又は器械の例である。指向性エネルギー兵器で使用可能な高度集束エネルギーは、レーザー(例えば、紫外波)、マイクロ波及び粒子ビームを含む。一態様では、指向性エネルギー兵器はレーザーである。別の態様では、指向性エネルギー兵器はマイクロ波を使用する。なおさらに別の態様では、指向性エネルギー兵器は粒子ビームを使用する。
【0076】
本明細書において使用された「成人対象」とは、18歳又はそれよりも年上の(例えば、小児対象ではない)対象のことである。対象は、約18歳、約19歳、約20歳、約25歳、約30歳、約35歳、約40歳、約45歳、約50歳、約55歳、約60歳、約65歳、約70歳、約75歳、約80歳、約85歳、約90歳、約95歳、約100歳又はそれよりも年上でもよい。一部の態様では、成人対象は、約18歳~約100歳である。別の態様では、成人対象は、約18歳と1日~約100歳である。他の態様では、成人対象は、約18歳と6カ月~約100歳である。さらに他の態様では、成人対象は、約19歳~約100歳である。なおさらにさらなる態様では、成人対象は、約20歳~約100歳である。さらにさらなる態様では、成人対象は、約21歳~約100歳である。
【0077】
本明細書において「アフィニティー成熟抗体」とは、標的抗原に対する抗体のアフィニティー(すなわち、KD、kd又はka)の変更を有さない親抗体と比較した改善を結果としてもたらす、1つ以上のCDR内の、1カ所以上の変更を伴う抗体を指すように使用される。例示的なアフィニティー成熟抗体は、標的抗原に対する、ナノモル単位なお又はピコモル単位のアフィニティーを有する。BioDisplay法を使用して調製されたコンビナトリアル抗体ライブラリーのスクリーニングを含め、アフィニティー成熟抗体を作製するための様々な手順が当技術分野において公知である。例えば、Marksら、BioTechnology、10:779~783(1992)は、VHとVLとのドメインシャッフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813(1994);Schierら、Gene、169:147~155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~3319(1995)及びHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992)により記載されている。選択的突然変異誘発位置及び活性増強アミノ酸残基を伴う接触位置はたは超変異位置における選択的突然変異については、米国特許第6,914,128B1号において記載されている。
【0078】
本明細書において使用された「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」とは、モノクローナル抗体、多特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全ヒト化抗体又は部分的ヒト化抗体)、鳥類(例えば、アヒル又はガチョウ)抗体、サメ抗体、クジラ抗体及び非霊長動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)抗体又は非ヒト霊長動物(例えば、サル、チンパンジーなど)抗体を含む哺乳動物抗体などであるがこれらに限定されない動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(「scFv」)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド連結型Fv(「sdFv」)及び抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、二重ドメイン抗体、二重可変ドメイン(DVD)又は三重可変ドメイン(TVD)抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリン及びそれらを作り出すための方法について、それらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25(11):1290~1297(2007)及びPCT国際出願第2001/058956号において記載されている)並びに上記のうちのいずれかの、機能的に活性なエピトープ結合性断片を指す。特に、抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性断片、すなわち、解析物結合性部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスの分子でありうる。簡潔さのために、本明細書において、解析物に対する抗体は、「抗解析物抗体」又は、単に、「解析物抗体」(例えば、抗UCH-L1抗体又はUCH-L1抗体)と称されることが多い。
【0079】
本明細書において使用された「抗体断片」とは、抗原結合性部位又は可変領域を含む、無傷抗体の部分を指す。部分は、無傷抗体のFc領域の重鎖定常ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3又はCH4)を含まない。抗体断片の例は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディー、単鎖Fv(scFv)分子、1つだけの軽鎖可変ドメインを含有する単鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する単鎖ポリペプチド、1つだけの重鎖可変領域を含有する単鎖ポリペプチド及び重鎖可変領域の3つのCDRを含有する単鎖ポリペプチドを含むがこれらに限定されない。
【0080】
「曲線下面積」又は「AUC」とは、ROC曲線下面積を指す。ROC曲線下AUCとは、精度についての尺度である。AUCが1であることが、完全な検査を表すのに対し、AUCが0.5であることは、非有意な検査を表す。好ましいAUCは、少なくとも約0.700、少なくとも約0.750、少なくとも約0.800、少なくとも約0.850、少なくとも約0.900、少なくとも約0.910、少なくとも約0.920、少なくとも約0.930、少なくとも約0.940、少なくとも約0.950、少なくとも約0.960、少なくとも約0.970、少なくとも約0.980、少なくとも約0.990又は少なくとも約0.995でありうる。
【0081】
本明細書において、「ビーズ」と「粒子」とは、互換的に使用され、実質的に球形の固体支持体を指す。ビーズ又は粒子の一例は、マイクロ粒子である。本明細書において使用されうるマイクロ粒子は、当技術分野において公知である、任意の種類でありうる。例えば、ビーズ又は粒子は、磁気ビーズ又は磁気粒子でありうる。磁気ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性又は磁性流体でありうる。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO2、MnAs、MnBi、EuO及びNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe2O4、CoFe2O4、Fe3O4(又はFeO.Fe2O3)を含む。ビーズは、磁性であり、1つ以上の非磁性層により取り囲まれた、固体コア部分を有しうる。代替的に、磁性部分は、非磁性コアの周囲の層でありうる。マイクロ粒子は、本明細書において記載された方法において働く、任意のサイズ、例えば、約0.75~約5nm又は約1~約5nm又は約1~約3nmでありうる。
【0082】
本明細書において、「結合性タンパク質」とは、例えば、ポリペプチド、抗原、化合物若しくは他の分子、又は任意の種類の基質などの、結合パートナーに結合し、これと共に複合体を形成する、単量体又は多量体のタンパク質を指すように使用される。結合性タンパク質は、結合パートナーに特異的に結合する。結合性タンパク質は、抗体のほか、当技術分野において公知であり、本明細書の下記において記載される、これらの抗原結合性断片及びこれらの他の多様な形態及び誘導体並びに抗原分子又は抗原分子上の特定の部位(エピトープ)に結合する、1つ以上の抗原結合性ドメインを含む他の分子を含む。したがって、結合性タンパク質は、四量体の免疫グロブリンである抗体、IgG分子、IgG1分子、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、アフィニティー成熟抗体及び抗原に結合する能力を保持する、任意のこのような抗体の断片を含むがこれらに限定されない。
【0083】
本明細書において、「二特異性抗体」とは、それらのうちの1つだけが機能的な二特異性抗体である複数の異なる免疫グロブリン分子種を結果としてもたらす形で、クァドローマ技術(Milsteinら、Nature、305(5934):537~540(1983)を参照されたい)、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的コンジュゲーション(Staerzら、Nature、314(6012):628~631(1985)を参照されたい)、又はFc領域内の突然変異を導入するKIH(knob-into-hole)法若しくは同様の手法(Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90(14):6444~6448(1993)を参照されたい)により作出された全長抗体を指すように使用される。二特異性抗体は、その2つの結合性アーム(HC/LCの1つの対)のうちの1つにおける、1つの抗原(又はエピトープ)に結合し、その第2のアーム(HC/LCの異なる対)における、異なる抗原(又はエピトープ)に結合する。この定義により、二特異性抗体は、2つの顕著に異なる抗原結合性アーム(特異性配列及びCDR配列の両方)を有し、それが結合する各抗原について一価である。
【0084】
本明細書において互換的に使用された「爆風」又は「強制加熱気流」とは、対象と相互作用して損傷又は傷害を与えることができる過熱空気の流れのことである。強制加熱気流又は爆風の源は下位爆発物を含む。下位爆発物は、亜音速爆発を創出し、高位爆発物過圧波を欠く。下位爆発物の例は、パイプ爆弾、火薬(例えば、爆弾又は他の爆発装置に含まれる爆薬などの)及び石油系爆弾(例えば、火炎瓶又は誘導ミサイルとして間に合わせに作られる航空機)を含む。
【0085】
一部の態様では、爆風又は強制加熱気流により引き起こされる対象の頭部への損傷又は傷害は、「非外傷性」脳損傷のタイプであるとみなすことができる。非外傷性脳損傷は、頭部への外部物理力(例えば、頭部が物体若しくは発射体(例えば、銃弾、ハンマー、レンガ、石、金属、瓦礫、弾丸、棒等)に当たること又は頭部が物体若しくは表面(例えば、地面又は床、車のハンドル、ダッシュボード等)にぶつかること)により引き起こされずその結果でもない脳損傷である。これとは対照的に、「外傷性脳損傷」は、脳が、頭部への外部物理力(例えば、頭部が物体若しくは発射体(例えば、銃弾、ハンマー、レンガ、石、金属、瓦礫、弾丸、棒等)に当たること又は頭部が物体若しくは表面(例えば、地面又は床、車のハンドル、ダッシュボード等)にぶつかること)により傷つけられる場合に起こる。外傷性脳損傷は、頭部の特定の分野又は領域に局在することが多く、爆風又は強制熱気流により引き起こされる非外傷性脳損傷は頭部全体に影響を及ぼすことがある。
【0086】
本明細書において、「CDR」とは、抗体の可変配列内の「相補性決定領域」を指すように使用される。重鎖及び軽鎖の可変領域の各々において、3つずつのCDRが存在する。重鎖又は軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、可変領域の各々について、「CDR1」、「CDR2」及び「CDR3」と表記されている。本明細書において使用された「CDRセット」という用語は、単一の可変領域において生じる、3つのCDRの群であって、抗原に結合するCDRの群を指す。したがって、抗原結合性部位は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の各々に由来するCDRセットを含む、6つのCDRを含みうる。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2又はCDR3)を含むポリペプチドは、「分子認識単位」と称されうる。抗原-抗体複合体についての結晶構造解析は、CDRのアミノ酸残基が、結合した抗原との、広範な接触部を形成し、この場合、最も広範な抗原の接触部は、重鎖CDR3との接触部であることを裏付けている。したがって、分子認識単位は、主に、抗原結合性部位の特異性の一因となりうる。一般に、CDR残基は、抗原への結合に対する影響に、直接、かつ、極めて実質的に関与する。
【0087】
これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従い、異なる形で規定されている。Kabat(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)及び(1991))により記載されているシステムは、抗体の任意の可変領域へと適用可能である、明確な残基番号付けシステムを提示するだけではなく、また、3つのCDRを規定する、正確な残基の境界も提示している。これらのCDRは、「Kabat CDR」と称されうる。Chothia及び同僚(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.、196:901~917(1987);並びにChothiaら、Nature、342:877~883(1989))は、Kabat CDR内の、ある特定の下位部分(sub-portion)が、アミノ酸配列のレベルにおいて、大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一なペプチド骨格のコンフォメーションを取ることを見出した。これらの下位部分は、「L」及び「H」が、それぞれ、軽鎖領域及び重鎖領域を名指す、「L1」、「L2」及び「L3」、又は「H1」、「H2」及び「H3」と名指された。これらの領域は、「Chothia CDR」と称される場合があり、これらは、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを規定する他の境界について、Padlan、FASEB J.、9:133~139(1995);及びMacCallum、J.Mol.Biol.、262(5):732~745(1996)により記載されている。さらに他のCDRの境界の定義は、本明細書のシステムの定義に厳密に従わない場合もあり、特定の残基若しくは残基群なお又は全CDRが、抗原への結合に、著明な影響を及ぼさないという予測又は実験による知見に照らして、短くなる場合もあり、長くなる場合もあるが、それでも、Kabat CDRと重複する。本明細書において使用された方法は、これらのシステムのうちのいずれに従い規定されたCDRも用いうるが、ある特定の実施形態は、Kabatより規定されたCDR又はChothiaにより規定されたCDRを使用する。
【0088】
「構成要素(component)」、「構成要素(components)」又は「少なくとも1つの構成要素」とは、一般に、本明細書において記載された方法及び当技術分野において公知である他の方法に従う、患者の尿試料、全血試料、血清試料又は血漿試料などの被験試料についてのアッセイのためのキット内に含まれうる捕捉抗体、検出試薬又は検出コンジュゲート、較正物質、対照、感度パネル、容器、緩衝液、希釈剤、塩、酵素、酵素に対する補因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、基質(例えば、溶液としての)、停止溶液などを指す。一部の構成要素は、溶液でありうる、又はアッセイにおける使用のための復元のために、凍結乾燥させられうる。
【0089】
本明細書において使用された「~に相関する」とは、~に匹敵するのことである。
【0090】
本明細書において使用された「CTスキャン」とは、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを指す。CTスキャンは、異なる角度から得られた、一連のX線画像を組み合わせ、コンピュータ処理を使用して、体内の骨、血管及び軟部組織についての断面画像又は切片を創出する。CTスキャンは、X線CT、ポジトロン放射断層撮影(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ軸方向断層撮影(CATスキャン)又はコンピュータ支援断層撮影を使用しうる。CTスキャンは、従来のCTスキャン又は渦巻き状/らせん状CTスキャンでありうる。従来のCTスキャンにおいて、スキャンは、切片ごとに得られ、各切片のスキャンの後、停止及び次の切片への移動、例えば、腹部の上方から、骨盤への移動がなされる。従来のCTスキャンは、動きによるアーチファクトを回避するために、患者が息を止めることを要求する。渦巻き状/らせん状CTスキャンは、連続スキャンであり、渦巻き状に得られ、スキャンされた画像が連続的であるので、工程がはるかに迅速である。
【0091】
本明細書において使用された、抗体の「誘導体」とは、純正抗体又は親抗体と比較した場合、そのアミノ酸配列に対する、1つ以上の修飾を有する抗体を指す場合があり、修飾ドメイン構造を呈しうる。誘導体は、標的(抗原)に特異的に結合することが可能なアミノ酸配列を採用するだけでなく、天然抗体内で見出された、典型的なドメイン構成を採用することもさらに可能でありうる。抗体誘導体の典型的な例は、他のポリペプチドへとカップリングさせた抗体、再配列された抗体ドメイン又は抗体の断片である。誘導体はまた、少なくとも1つのさらなる化合物、例えば、タンパク質ドメインも含むことが可能であり、前記タンパク質ドメインは、共有結合又は非共有結合により連結されている。連結は、当技術分野で公知の方法に従う遺伝子融合に基づきうる。抗体を含む融合タンパク質内に存在するさらなるドメインは、ペプチドリンカーであると有利な、可動性リンカーにより連結されることが好ましい場合があり、この場合、前記ペプチドリンカーは、さらなるタンパク質ドメインのC末端及び抗体のN末端又はこの逆の間の距離にわたるのに十分な長さである、複数の、親水性で、ペプチド結合されたアミノ酸を含む。抗体は、生物学的活性に適するコンフォメーションを有するか、又は、例えば、固体支持体、生物学的活性物質(例えば、サイトカイン又は成長ホルモン)、化学的薬剤、ペプチド、タンパク質若しくは薬物に選択的に結合する、エフェクター分子へと連結されうる。
【0092】
本明細書において「アッセイにより決定された」とは、任意の適切なアッセイによる、基準レベルの決定を指すように使用される。一部の実施形態において、基準レベルの決定は、対象に由来する試料へと適用されるアッセイと同じ種類のアッセイにより(例えば、イムノアッセイ、臨床化学アッセイ、単一分子検出アッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、化学分析、SDS-PAGE及びウェスタンブロット解析又はタンパク質免疫染色、電気泳動解析、タンパク質アッセイ、競合的結合アッセイ、機能的タンパク質アッセイ又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)などの、クロマトグラフィー法若しくは分光法により)達成されうる。一部の実施形態において、基準レベルの決定は、対象に由来する試料へと適用されるアッセイと同じ種類のアッセイにより、同じアッセイ条件下において達成されうる。本明細書において言及される通り、本開示は、例示的な基準レベルを提示する(例えば、異なる時点における基準レベルを比較することにより計算される)。本明細書における本開示を、他のアッセイに適合させて、本開示により提示された記載に基づき、これらの他のアッセイについて、アッセイ特異的な基準レベルを得ることは、十分に、当業者の技術の範囲内にある。例えば、頭部に損傷を負ったことがあると知られている対象から得られた試料(例えば、(i)軽度のTBI及び/又は(ii)中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIを負ったことがあると知られているヒト対象から得られた試料)及び頭部に損傷を負ったことがないと知られている対象(例えば、ヒト対象)から得られた試料を含むトレーニングサンプルのセットを使用してアッセイ特異的基準レベルを得てもよい。本明細書において、「アッセイにより決定され」、列挙されたレベルの「感度」及び/又は「特異度」を有する、基準レベルは、前記基準レベルが、本開示の方法において採用された場合に、列挙された感度及び/又は特異度についての方法をもたらすことが決定された、基準レベルを指すように使用されることが理解される。例えば、複数の異なる可能な基準レベルを使用する、アッセイデータについての統計学的解析の反復により、本開示の方法において与えられた基準レベルと関連する感度及び特異度を決定することは、十分に、当業者の技術の範囲内にある。
【0093】
実際には、対象を、外傷性脳損傷を有する若しくは外傷性脳損傷がないとして又は対象を軽度に対して中等度、重度、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷を有するとして区別する場合、当業者であれば、感度及び特異度に対するカットオフを上げる効果の釣り合いを取る。カットオフを上げる又は下げると、感度及び特異度並びに他の標準統計的尺度に対してよく定義され予測可能な影響を及ぼす。カットオフを上げると特異度を改善するが感度(疾患を有し検査が陽性であるヒトの割合)を悪化させる可能性が高いことは周知である。これとは対照的に、カットオフを下げると感度を改善するが、特異度(疾患がなく検査が陰性であるヒトの割合)を悪化させる。外傷性脳損傷を検出する又は軽度対中等度、重度、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷を決定することの派生効果は当業者には容易に明らかになる。対象が外傷性脳損傷又は軽度対中等度、重度、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷を有するのかそれがないのかどうかを判別する際に、カットオフが高いほど、より多くの真の陰性(すなわち、外傷性脳損傷がない、軽度外傷性脳損傷がない、中等度外傷性脳損傷がない、重度外傷性脳損傷がない、又は中等度~重度の外傷性脳損傷がない対象)が外傷性脳損傷、軽度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷、重度外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象と区別されるにしたがって特異度は改善する。しかし、同時に、カットオフを上げると、陽性全体として同定される症例の数、並びに真の陽性の数を減らすので、感度は必ず減少する。反対に、カットオフが低いほど、より多くの真の陽性(すなわち、外傷性脳損傷を有する、軽度外傷性脳損傷を有する、中等度外傷性脳損傷を有する、重度外傷性脳損傷を有する、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象)が外傷性脳損傷、軽度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷、重度外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷がない対象と区別されるにしたがって感度は改善する。しかし、同時に、カットオフを下げると陽性全体として同定される症例の数、並びに偽陽性の数を増加させるので、特異度は必ず減少する。
【0094】
一般に、高感度値は、当業者が疾患又は状態(外傷性脳損傷、軽度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷、重度外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷などの)を除外するのに役立ち、高特異度値は、当業者が疾患又は状態を含めるのに役立つ。当業者が疾患を除外したいのか含めたいのかは、それぞれのエラーのタイプについて患者にとってどのような結果であるのか次第である。したがって、値がどのようにして選択されたのかに関する基礎をなす情報を完全に開示せずに、試験カットオフを導き出すのに用いられる正確なバランス取りを知る又は予測することはできない。特異度及び他の要因に対する感度のバランス取りは、個々の場合に応じて異なる。こういうわけで、医師又は医療従事者が選択できるように、代替のカットオフ(例えば、基準)値を提供するのが好ましい場合がある。
【0095】
本明細書において使用された「指向性エネルギー兵器」とは、高度集束エネルギーを使用して対象を損傷する及び/又は無能力にする装置又は器械のことである。指向性エネルギー兵器で使用可能な高度集束エネルギーは、レーザー、マイクロ波及び粒子ビームを含む。一態様では、指向性エネルギー兵器はレーザーである。別の態様では、指向性エネルギー兵器はマイクロ波を使用する。なおさらに別の態様では、指向性エネルギー兵器は粒子ビームを使用する。
【0096】
本明細書において、「二重特異性抗体」とは、その2つの結合性アーム(HC/LCの対)の各々において、2つの異なる抗原(又はエピトープ)に結合しうる全長抗体(PCT公開第02/02773号を参照されたい)を指すように使用される。したがって、二重特異性結合タンパク質は、同一な特異性及び同一なCDR配列を伴う、2つの同一な抗原結合性アームを有し、それが結合する各抗原について二価である。
【0097】
本明細書において、「二重可変ドメイン」とは、二価結合性タンパク質(2つの抗原結合性部位)、四価結合性タンパク質(4つの抗原結合性部位)、又は多価結合性タンパク質でありうる結合性タンパク質上の、2つ以上の抗原結合性部位を指すように使用される。DVDは、単一特異性、すなわち、1つの抗原(又は1つの特異性エピトープ)に結合することが可能な場合もあり、多特異性、すなわち、2つ以上の抗原(すなわち、同じ標的抗原分子の2つ以上のエピトープ又は異なる標的抗原2つ以上のエピトープ)に結合することが可能な場合もある。好ましいDVD結合性タンパク質は、2つの重鎖DVDポリペプチド及び2つの軽鎖DVDポリペプチドを含み、「DVD免疫グロブリン」又は「DVD-Ig」と称される。したがって、このようなDVD-Ig結合性タンパク質は、四量体であり、IgG分子と類似するが、IgG分子より多くの抗原結合性部位をもたらす。したがって、四量体DVD-Ig分子の各半分は、IgG分子の半分と類似し、重鎖DVDポリペプチド及び軽鎖DVDポリペプチドを含むが、単一の抗原結合性ドメインをもたらす、IgG分子の重鎖及び軽鎖の対と異なり、DVD-Igの重鎖及び軽鎖の対は、2つ以上の抗原結合性部位をもたらす。
【0098】
DVD-Ig結合性タンパク質の各抗原結合性部位は、ドナー(「親」)モノクローナル抗体に由来しうるので、抗原結合性部位1つ当たり、合計6つのCDRであって、抗原への結合に関与するCDRを伴う、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含みうる。したがって、2つの異なるエピトープ(すなわち、2つの異なる抗原分子の、2つの異なるエピトープ又は同じ抗原分子の、2つの異なるエピトープ)に結合するDVD-Ig結合性タンパク質は、第1の親モノクローナル抗体に由来する抗原結合性部位及び第2の親モノクローナル抗体の抗原結合性部位を含む。
【0099】
DVD-Ig結合性分子のデザイン、発現及び特徴付けについての記載は、PCT公開第2007/024715号、米国特許第7,612,181号及びWuら、Nature Biotech.、25:1290~1297(2007)においてなされている。このようなDVD-Ig分子の好ましい例は、構造式:VD1-(X1)n-VD2-C-(X2)n[式中、VD1は、第1の重鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の重鎖可変ドメインであり、Cは、重鎖定常ドメインであり、X1は、それがCH1ではないことを条件として、リンカーであり、X2は、Fc領域であり、nは、0又は1であるが、好ましくは1である]を含む重鎖;及び構造式:VD1-(X1)n-VD2-C-(X2)n[式中、VD1は、第1の軽鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の軽鎖可変ドメインであり、Cは、軽鎖定常ドメインであり、X1は、これがCH1ではないことを条件として、リンカーであり、X2は、Fc領域を含まず、nは、0又は1であるが、好ましくは1である]を含む軽鎖を含む。このようなDVD-Igは、2つのこのような重鎖及び2つのこのような軽鎖を含むことが可能であり、この場合、各鎖は、可変領域の間に介在する定常領域を伴わずに、タンデムにより連結された可変ドメインを含み、重鎖及び軽鎖は、会合して、タンデムの機能的抗原結合性部位を形成し、重鎖及び軽鎖の対は、重鎖及び軽鎖の別の対と会合して、4つの機能的な抗原結合性部位を伴う、四量体の結合性タンパク質を形成しうる。別の例において、DVD-Ig分子は、各々が可変ドメインの間に介在する定常領域を伴わずに、タンデムに連結された、3つの可変ドメイン(VD1、VD2、VD3)を含む重鎖及び軽鎖を含むことが可能であり、この場合、重鎖及び軽鎖の対は、会合して、3つの抗原結合性部位を形成することが可能であり、重鎖及び軽鎖の対は、重鎖及び軽鎖の別の対と会合して、6つの抗原結合性部位を伴う、四量体の結合性タンパク質を形成しうる。
【0100】
好ましい実施形態において、DVD-Ig結合性タンパク質は、その親モノクローナル抗体が結合する同じ標的分子に結合するだけでなく、また、その親モノクローナル抗体のうちの1つ以上の、1つ以上の所望の特性も保有する。好ましくは、このようなさらなる特性は、親モノクローナル抗体のうちの1つ以上の抗体パラメータである。その親モノクローナル抗体のうちの1つ以上に由来するDVD-Ig結合性タンパク質に寄与されうる抗体パラメータは、抗原特異性、抗原アフィニティー、効力、生物学的機能、エピトープの認識、タンパク質の安定性、タンパク質の可溶性、作製効率、免疫原性、薬物動態、バイオアベイラビリティー、組織との交差反応性、及びオーソログ抗原への結合を含むがこれらに限定されない。
【0101】
DVD-Ig結合タンパク質は、UCH-L1、GFAP、又はUCH-L1とGFAPの少なくとも1つのエピトープに結合する。DVD-Ig結合タンパク質の非限定的例は、(1)UCH-L1の1つ以上のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、ヒトUCH-L1のエピトープ及び別の種(例えば、マウス)のUCH-L1のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、並びにヒトUCH-L1のエピトープ及び別の標的分子のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質;(2)GFAPの1つ以上のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、ヒトGFAPのエピトープ及び別の種(例えば、マウス)のGFAPのエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、並びにヒトGFAPのエピトープ及び別の標的分子のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質;又は(3)UCH-L1及びGFAPの1つ以上のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、ヒトUCH-L1、ヒトGFAPのエピトープ及び別の種(例えば、マウス)のUCH-L1のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質、並びにヒトUCH-L1、ヒトGFAPのエピトープ及び別の標的分子のエピトープに結合するDVD-Ig結合タンパク質を含む。
【0102】
本明細書において使用された「ダイナミックレンジ」とは、アッセイのリードアウトが、解析される試料中の標的分子又は解析物の量と比例する範囲を指す。
【0103】
「エピトープ(epitope)」又は「エピトープ(epitopes)」又は「目的のエピトープ」とは、認識され、その特異的結合パートナー上の相補的な部位に結合しうる、任意の分子上の部位を指す。分子及び特異的結合パートナーは、特異的結合対の一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、炭水化物抗原(糖脂質、糖タンパク質又はリポ多糖などであるがこれらに限定されない)又は多糖の上にありうる。その特異的結合パートナーは、抗体でありうるがこれに限定されない。
【0104】
本明細書において使用された「Fab(fragment antigen-binding)断片」又は「Fab断片」とは、抗原に結合し、1つの抗原結合性部位である、1つの完全な軽鎖及び1つの重鎖の一部を含有する抗体の断片を指す。Fabは、VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン及びCH1ドメインからなる一価断片である。Fabは、各重鎖及び各軽鎖の、1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインから構成される。可変ドメインは、単量体のアミノ末端において、相補性決定領域のセットを含む、パラトープ(抗原結合性部位)を含有する。したがって、Y字の各アームは、抗原上のエピトープに結合する。Fab断片は、例えば、免疫グロブリン単量体を、2つのFab断片及びFc断片へと切断するのに使用されうる、酵素であるパパインを使用して、当技術分野において記載されている通りに作出されうる、又は組換え手段により作製されうる。
【0105】
本明細書において使用された「F(ab’)2断片」とは、ヒンジ領域の一部を無傷のままとしながら、Fc領域の大半を除去する、全IgG抗体のペプシン消化により作出された抗体を指す。F(ab’)2断片は、ジスルフィド結合により、一体に連結された、2つの抗原結合性F(ab)部分を有するので、分子量を約110kDaとする、二価断片である。二価抗体断片(F(ab’)2断片)は、全IgG分子より小型であり、組織への良好な浸透を可能とするので、免疫組織化学における、良好な抗原認識を容易とする。F(ab’)2断片の使用はまた、生細胞上のFc受容体又はプロテインA/Gへの非特異的結合も回避する。F(ab’)2断片は、抗原に結合し、かつ、これを沈殿させうる。
【0106】
本明細書において使用された「フレームワーク」(FR)又は「フレームワーク配列」とは、CDRを除いた、可変領域の残りの配列を意味しうる。CDR配列の正確な定義は、異なるシステム(例えば、上記を参照されたい)により決定されうるため、フレームワーク配列の意味は、これに応じて異なる解釈を受ける。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3並びに重鎖のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3)はまた、軽鎖上及び重鎖上のフレームワーク領域を、各鎖上の4つの部分領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)へも分割するが、ここで、CDR1は、FR1及びFR2の間に位置し、CDR2は、FR2及びFR3の間に位置し、CDR3は、FR3及びFR4の間に位置する。他の研究者により言及される通りに、特定の部分領域を、FR1、FR2、FR3又はFR4と指定しない場合、フレームワーク領域は、単一の、天然の免疫グロブリン鎖の可変領域内の、FRの組合せを表す。本明細書において使用されたFRは、4つの部分領域のうちの1つを表し、FRは、フレームワーク領域を構成する、4つの部分領域のうちの2つ以上を表す。
【0107】
当技術分野において公知の技法を使用して、非ヒト抗体をヒト化するのに、重鎖及び軽鎖の「アクセプター」フレームワーク配列(又は、単に、「アクセプター」配列)として使用されうる、ヒト重鎖及びヒト軽鎖のFR配列は、当技術分野において公知である。一実施形態において、ヒト重鎖及びヒト軽鎖のアクセプター配列は、V-base(hypertext transferprotocol://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)又は国際的なImMunoGeneTics(登録商標)(IMGT(登録商標))情報システム(hypertext transferprotocol://imgt.cines.fr/texts/IMGTrepertoire/LocusGenes/)などの、一般に公開されているデータベースにおいて列挙されたフレームワーク配列から選択される。
【0108】
本明細書において使用された「機能的な抗原結合性部位」とは、標的抗原に結合することが可能な、結合性タンパク質(例えば、抗体)上の部位を意味しうる。抗原結合性部位の抗原結合アフィニティーは、抗原結合性部位が由来する、親の結合性タンパク質、例えば、親抗体ほど強くない場合があるが、抗原に結合する能力は、抗原に結合するタンパク質、例えば、抗体を査定するための、公知の様々な方法のうちのいずれか1つを使用して測定可能でなければならない。さらに、多価タンパク質、例えば、本明細書の多価抗体の抗原結合性部位の各々の抗原結合アフィニティーは、定量的に同じである必要はない。
【0109】
「GFAP」は、グリアル原線維性酸性タンパク質を記載するのに本明細書では使用される。GFAPは、ヒトではGFAP遺伝子により及び他の種ではGFAP遺伝子対応物によりコードされ、産生することができる(例えば、他の種では組換え手段により)タンパク質である。
【0110】
「GFAP状態」とは、ある時点(GFAPの単一の測定値を伴う時点など)における、GFAPのレベル若しくは量、モニタリング(対象において、GFAP量の上昇又は低下を同定する反復検査を伴うモニタリングなど)と関連する、GFAPのレベル若しくは量、外傷性脳損傷(一次脳損傷であれ、かつ/又は二次脳損傷であれ)のための治療と関連する、GFAPのレベル若しくは量又はこれらの組合せを意味しうる。
【0111】
本明細書において使用された「GCS(Glasgow Coma Scale)」又は「GCS」とは、脳損傷を被った患者において意識レベルの機能障害を査定するための実用的方法を提供する15点スケール(例えば、1974年にGraham Teasdale and Bryan Jennett、Lancet 1974;2:81~4頁により記載されている)のことである。検査は、最良運動応答、言語応答及び開眼応答を、これらの値:I.最良運動応答(6:2部要請に従う;5:鎖骨よりも上の頭頚部の刺激に手を持っていく;4:腕を肘から急に曲げるが特徴は主として異常ではない;3:腕を肘から曲げ、特徴は明らかに主として異常である;2:腕を肘から伸ばす;1:腕/脚の動きなし、干渉因子なし;NT:麻痺した又は他の制限因子);II.言語応答(5:名前、場所及び日付を正しく与える;4:見当識はないが意思疎通は一貫している;3:理解できる単語;2:うめき声/唸り声のみ;1:聞き取れる応答なし、干渉因子なし;NT:意思疎通を妨げる因子)及びIII.開眼(4:刺激前に開く;3:口頭での又は叫ばれる要請後;2:指先刺激後;1:いかなるときでも開眼なし、干渉因子なし;NT:局所因子により閉じられる)により測定する。最終スコアはI+II+IIIの値を加算することにより決定される。GCSスコアが13~15の場合、対象は軽度のTBIを有するとみなされる。GCSスコアが9~12の場合、対象は中等度のTBIを有するとみなされる。GCSスコアが8又はそれよりも少ない、典型的には3~8の場合、対象は、重度のTBIを有するとみなされる。
【0112】
本明細書において使用された「GOS(Glasgow Outcome Scale)」とは、機能的転帰についてのグローバルスケールであって、患者の状態を、5つの類型:死、植物状態、重度身体障害、中等度身体障害又は回復良好のうちの1つへと評価するグローバルスケールを指す。本明細書において互換的に使用された「GOSE(Extended Glasgow Outcome Scale)」又は「GOSE」は、重度身体障害、中等度身体障害及び回復良好の類型を、表1において示される、上下の類型へと細分することによる、8つの類型への、より詳細な類別を提示する。
【0113】
【0114】
本明細書において、「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えば、マウス)に由来する重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含むが、VH配列及び/又はVL配列の少なくとも一部が、より「ヒト様」となる、すなわち、ヒト生殖細胞系列可変配列と、より類似するように変更された抗体について記載するのに使用される。「ヒト化抗体」とは、目的の抗原に免疫特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又はこの変異体、誘導体、類似体若しくは断片である。本明細書において使用された、CDRの文脈における「実質的に」という用語は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一なアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つであるが、典型的に2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)であって、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である可変ドメインの実質的に全てを含む。ある実施形態において、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖のほか、重鎖の、少なくとも可変ドメインを含有する。抗体はまた、重鎖の、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域及びCH4領域も含みうる。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖だけを含有する。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖だけを含有する。具体的な実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖及び/又はヒト化重鎖のヒト化可変ドメインだけを含有する。
【0115】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス並びに、限定なしに述べると、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、任意のアイソタイプから選択されうる。ヒト化抗体は、1つを超えるクラス又はアイソタイプに由来する配列を含むことが可能であり、特定の定常ドメインは、当技術分野において周知の技法を使用して、所望のエフェクター機能を最適化するように選択されうる。
【0116】
ヒト化抗体のフレームワーク領域及びCDRは、親配列に正確に対応する必要がない、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、この部位におけるCDR残基又はフレームワーク残基が、ドナー抗体又はコンセンサスフレームワークに対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失により突然変異誘発されてもよい。しかし、好ましい実施形態において、このような突然変異は、広範にわたる突然変異ではない。通例、ヒト化抗体残基のうちの、少なくとも80%、好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%であり、最も好ましくは、少なくとも95%は、親のFR配列及びCDR配列の残基に対応する。本明細書において使用された「コンセンサスフレームワーク」という用語は、コンセンサスの免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。本明細書において使用された「コンセンサスの免疫グロブリン配列」という用語は、類縁の免疫グロブリン配列のファミリーにおいて、最も高頻度で発生するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成された配列(例えば、Winnaker、「From Genes to Clones」(Verlagsgesellschaft、Weinheim、1987)を参照されたい)を指す。したがって、「コンセンサスの免疫グロブリン配列」は、「コンセンサスフレームワーク領域」及び/又は「コンセンサスCDR」を含みうる。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列内の各位置は、ファミリー内のこの位置において、最も高頻度で発生するアミノ酸により占有されている。2つのアミノ酸が、同等に高頻度で発生する場合、いずれもが、コンセンサス配列内に含まれうる。
【0117】
本明細書の、2つ以上のポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列の文脈において使用された「同一な」又は「同一性」とは、配列が、指定された領域にわたり同じである、指定された百分率の残基を有することを意味しうる。百分率は、2つの配列を、最適にアライメントし、2つの配列を、指定された領域にわたり比較し、両方の配列内において、同一な残基が生じる位置の数を決定して、マッチした位置の数を求め、マッチした位置の数を、指定された領域内の位置の総数により除し、結果を、100により乗じて、配列同一性の百分率を求めることにより計算されうる。2つの配列の長さが異なる、又はアライメントが1つ以上の粘着末端をもたらし、指定された比較領域が、単一の配列だけを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母に組み入れられるが、分子に組み入れられない。
【0118】
本明細書において互換的に使用された「頭部への損傷」又は「頭部損傷」とは、頭皮、頭蓋骨又は脳への、任意の外傷を指す。このような損傷は、頭部上の軽症の瘤だけを含みうる、又は重篤な脳損傷でありうる。このような損傷は、脳への一次損傷及び/又は脳への二次損傷を含む。一次脳損傷は、初期傷害時に生じ、脳の物理的構造のずれの結果としてもたらされる。より具体的に、一次脳損傷は、外傷性事象時に生じる、実質(組織、血管)への物理的ダメージであり、周囲の脳組織のせん断及び圧迫を結果としてもたらす。二次脳損傷は、一次損傷に後続して生じ、一連の細胞過程を伴いうる。より具体的に、二次脳損傷は、一次脳損傷の後、ある期間(数時間~数日間)にわたり発展する変化を指す。二次脳損傷は、脳内の、細胞、化学物質、組織又は血管の変化の全体のカスケードであって、脳組織のさらなる破壊に寄与するカスケードを含む。
【0119】
本明細書に記載された頭部への損傷は、種々の異なる要因又は要因の組合せにより引き起こすことができる。例えば、一態様では、頭部への損傷は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こすことができる。さらに、別の態様では、頭部への損傷は、例えば、爆風損傷で起こることがあるものなど、他の形態の鈍力外傷又は非鈍力外傷の一部、例えば、人の物理的振盪、閉鎖性若しくは開放性頭部外傷を生じる外部からの機械力若しくは他の力による鈍的衝撃及び/又は任意の他のタイプの鈍力外傷のうちの1つ以上として起こる音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされることがある。
【0120】
本明細書において使用された「単離ポリヌクレオチド」とは、その単離ポリヌクレオチドが、その由来において、「単離ポリヌクレオチド」が天然において共に見出されるポリヌクレオチドの全部若しくは一部に付随していない;それが天然においては連結されてないポリヌクレオチドと作動可能に連結されている;又は天然においてより大きな配列の一部として存在してはいないようなポリヌクレオチド(例えば、ゲノム、cDNA若しくは合成由来又はこれらの一部の組合せによる)を意味しうる。
【0121】
本明細書において使用された「標識」及び「検出可能な標識」とは、抗体と解析物との反応を検出可能とするように、抗体又は解析物へと接合された部分を指し、このように標識された抗体又は解析物は、「検出可能に標識された」と称される。標識は、視覚手段又は計測手段により検出可能なシグナルをもたらしうる。多様な標識は、色原体、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物などのシグナル発生物質を含む。標識の代表例は、光をもたらす部分、例えば、アクリジニウム化合物及び蛍光をもたらす部分、例えば、フルオレセインを含む。他の標識も、本明細書において記載されている。この点で、部分自体は、検出可能でない場合もあるが、さらに別の部分と反応すると、検出可能となりうる。「検出可能に標識された」という用語は、このような標識を包含することが意図される。
【0122】
当技術分野において公知である、任意の適切な、検出可能な標識が使用されうる。例えば、検出可能な標識は、放射性標識(3H、14C、32P、33P、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho及び153Smなど)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼなど)、化学発光標識(アクリジニウムエステル、チオエステル又はスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、蛍光標識(フルオレセイン(例えば、5-フルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン、3’6-カルボキシフルオレセイン、5(6)-カルボキシフルオレセイン、6-ヘキサクロロフルオレセイン、6-テトラクロロフルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセインなど)など)、ローダミン、フィコビリタンパク質、R-フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛によりキャッピングされたセレン化カドミウム)、測熱標識又はイムノポリメラーゼ連鎖反応標識でありうる。標識、標識手順及び標識の検出への導入は、Molecular Probes,Inc.、Eugene、Oregonにより公刊された、ハンドブックとカタログとの組合せである、Polak及びVan Noorden、「Introduction to Immunocytochemistry」、2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)並びにHaugland、「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(1996)において見出される。蛍光標識は、FPIA(例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれた、米国特許第5,593,896号、同第5,573,904号、同第5,496,925号、同第5,359,093号及び同第5,352,803号を参照されたい)において使用されうる。アクリジニウム化合物は、同種化学発光アッセイにおける検出可能な標識(例えば、Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、16:1324~1328(2006);Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、4:2313~2317(2004);Adamczykら、Biorg.Med.Chem.Lett.、14:3917~3921(2004)及びAdamczykら、Org.Lett.、5:3779~3782(2003)を参照されたい)として使用されうる。
【0123】
一態様において、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム-9-カルボキサミドである。アクリジニウム9-カルボキサミドを調製するための方法については、Mattingly、J.Biolumin.Chemilumin.、6:107~114(1991);Adamczykら、J.Org.Chem.、63:5636~5639(1998);Adamczykら、Tetrahedron、55:10899~10914(1999);Adamczykら、Org.Lett.、1:779~781(1999);Adamczykら、Bioconjugate Chem.、11:714~724(2000);Mattinglyら、「Luminescence Biotechnology:Instruments and Applications」、Dyke,K.V.編、CRC Press:Boca Raton、77~105(2002);Adamczykら、Org.Lett.、5:3779~3782(2003);並びに米国特許第5,468,646号、同第5,543,524号及び同第5,783,699号(それらの各々が、参照によりその全体において、これについてのその教示について、本明細書に組み込まれる)において記載されている。
【0124】
アクリジニウム化合物の別の例は、アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルである。式IIのアクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルの例は、10-メチル-9-(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホネート(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから市販されている)である。アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルを調製するための方法については、McCapraら、Photochem.Photobiol.、4:1111~21(1965);Razaviら、Luminescence、15:245~249(2000);Razaviら、Luminescence、15:239~244(2000)及び米国特許第5,241,070号(それらの各々が、参照によりその全体において、これについてのその教示について、本明細書に組み込まれる)において記載されている。このようなアクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルは、シグナルの強度及び/又はシグナルの迅速性の点において、少なくとも1つのオキシダーゼによる、解析物の酸化において生成された過酸化水素についての、有効な化学発光指示薬である。アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルの化学発光過程は、迅速に、すなわち、1秒間未満において完了されるが、アクリジニウム-9-カルボキサミドの化学発光は、2秒間を超えて遷延する。しかし、アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルは、タンパク質の存在下において、その化学発光特性を失う。したがって、その使用は、シグナルの発生時及び検出時における、タンパク質の非存在を要求する。試料中のタンパク質を分離又は除去するための方法は、当業者に周知であり、限外濾過、抽出、沈殿、透析、クロマトグラフィー及び/又は消化(例えば、Wells、「High Throughput Bioanalytical Sample Preparation.Methods and Automation Strategies」、Elsevier (2003)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。被験試料から除去又は分離されるタンパク質の量は、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%でありうる。アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステル及びその使用に関する、さらなる詳細については、2007年4月9日において出願された、米国特許出願第11/697,835号において明示されている。アクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステルは、脱気無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又は含水コール酸ナトリウムなどの、任意の適切な溶媒中に溶解されうる。
【0125】
「連結配列」又は「連結ペプチド配列」とは、1つ以上の、目的のポリペプチド配列(例えば、全長配列、配列断片など)へと接続された、天然又は人工のポリペプチド配列を指す。「接続された」という用語は、連結配列の、目的のポリペプチド配列への接合を指す。このようなポリペプチド配列は、1つ以上のペプチド結合により接合されることが好ましい。連結配列は、約4~約50アミノ酸の長さを有しうる。好ましくは、連結配列の長さは、約6~約30アミノ酸である。天然の連結配列は、人工の連結配列を創出するように、アミノ酸の置換、付加又は欠失により修飾されうる。連結配列は、組換えFab内の使用を含む、多くの目的で使用されうる。例示的な連結配列は、以下を含むがこれらに限定されない:(i)HHHHHH(配列番号3)のアミノ酸配列を有する、6×Hisタグなどのヒスチジン(His)タグは、目的のポリペプチド及び抗体の単離及び精製を容易とする連結配列として有用である;(ii)Hisタグなどのエンテロキナーゼ切断部位は、目的のタンパク質及び抗体の単離及び精製において使用される。エンテロキナーゼ切断部位は、Hisタグと併せて、目的のタンパク質及び抗体の単離及び精製において使用されることが多い。当技術分野において、多様なエンテロキナーゼ切断部位が公知である。エンテロキナーゼ切断部位の例は、DDDDK(配列番号4)のアミノ酸配列及びその誘導体(例えば、ADDDDK(配列番号5)など)を含むがこれらに限定されない;(iii)その他の配列も、単鎖可変領域断片の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域を連結又は接続するのに使用されうる。他の連結配列の例は、Birdら、Science、242:423~426(1988);Hustonら、PNAS USA85:5879~5883(1988)及びMcCaffertyら、Nature、348:552~554(1990)において見出されうる。連結配列はまた、薬物の接合又は固体支持体への接合などの、さらなる機能のためにも修飾されうる。本開示の文脈において、モノクローナル抗体は、例えば、Hisタグ、エンテロキナーゼ切断部位又はこれらの両方などの連結配列を含有しうる。
【0126】
本明細書において使用された「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種である抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、少量で存在しうる、可能な天然の突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原に対するものである(例えば、交差反応性又は共有反応性が生じる場合があるが)。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して方向付けられた、異なる抗体を含むことが典型的な、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して方向付けられている。本明細書におけるモノクローナル抗体は、とりわけ、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りの部分は、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体のほか、それらが、所望の生体を呈する限りにおいて、このような抗体の断片も含む。
【0127】
本明細書で互換的に使用される「磁気共鳴画像法」又は「MRI」とは、健康と疾患の両方での解剖及び身体の生理的過程の画像を形成するために放射線医学で使用される医用イメージング技法(例えば、本明細書では互換的に「MRI」、「MRI手順」又は「MRI検査」と呼ばれる)のことである。MRIは、強磁場に置かれると高周波電波に対する身体組織の原子核の応答を測定し、内臓の画像を作り出す医用イメージングの一形態である。MRIスキャナーは、核磁気共鳴(NMR)の科学に基づいており、強磁場、電波、及び場勾配を使用して身体内部の画像を生み出す。
【0128】
本明細書において互換的に使用された「多数傷病者事故(MCI)」又は「多数傷病者イベント(MCE)」とは、一人よりも多い対象(例えば、複数の個人)に同時に損傷又は推測される損傷(例えば、外傷性脳損傷などの)をもたらすイベントのことである。一部の態様では、MCI又はMCEは、地域医療制度を圧倒する場合があり、傷病者の数が地域資源及び/又は能力を短期間(例えば、約数分~約数日以内)上回る。MCI又はMCEの例は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、強制熱流、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる、例えば、頭部への損傷を含む。
【0129】
一部の態様では、傷病者の数は少なくとも約2対象でありうる。他の態様では、傷病者の数は少なくとも約5対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約10対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約20対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約50対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約100対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約500対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約1,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約5,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約10,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約25,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約50,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約100,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約500,000対象でありうる。さらに他の態様では、傷病者の数は少なくとも約1,000,000対象でありうる。
【0130】
なおさらに他の態様では、傷病者の数は、約2~約100(例えば、約2~約10、約2~約25、約2~約50、約2~約75、約10~約100、約10~約75、約10~約50、約10~約25、約20~約100、約20~約75、約20~約50、約50~約100、約50~約75、又は約75~約100)、約101~約500(例えば、約101~約450、約101~約350、約101~約250、約250~約500、約250~約450、約250~約350、約350~約500、約350~約450又は約400~約500)、約501~約1000(例えば、約501~約950、約501~約850、約501~約750、約501~約650、約650~約1000、約650~約950、約650~約850、約650~約750、約750~約1000、約750~約950、約750~約850、約850~約1000又は約850~約950)、約1001~約5000(例えば、約1001~約4500、約1001~約3500、約1001~約2500、約2500~約5000、約2500~約4500、約2500~約3500、約3500~約5000、約3500~約4500又は約4500~約5000)、又は約5001~約10,000(例えば、約5001~約9500、約5001~約8500、約5001~約7500、約5001~約6500、約6500~約10,000、約6500~約9500、約6500~約8500、約6500~約7500、約7500~約10,000、約7500~約9500、約7500~約8500、約8500~約10,000、若しくは約8500~約9500に及ぶことがある。
【0131】
本明細書において、「多価結合性タンパク質」とは、2つ以上の抗原結合性部位(本明細書において、「抗原結合性ドメイン」ともまた称される)を含む結合性タンパク質を指すように使用される。多価結合性タンパク質は、3つ以上の抗原結合性部位を有するように操作されていることが好ましく、一般に、天然の抗体ではない。「多特異性結合性タンパク質」という用語は、2つ以上の、類縁又は非類縁の標的に結合しうる結合性タンパク質であって、同じ標的分子の、2つ以上の異なるエピトープへの結合が可能な結合性タンパク質を含む結合性タンパク質を指す。
【0132】
本明細書において互換的に使用された「陰性予測値」又は「NPV」とは、対象が、陰性の検査結果を有する場合に、陰性の転帰を有する確率を指す。
【0133】
「整形外科損傷」とは、骨格筋系の1つ以上の部分に対する1つ以上の損傷であって、骨格の骨、筋肉、軟骨、腱、靱帯、関節、及び組織及び臓器を、併せて支持しこれらに結合する他の結合組織に対する損傷を含む損傷を指す。一態様において、整形外科損傷は、突然の事故の結果であり、医学的注意を必要とする場合がある。整形外科損傷の例は、脱臼(例えば、関節に対する脱臼など)、骨折(例えば、疲労骨折又は圧迫骨折を含む)又は破壊(例えば、1つ以上の骨に対する破壊など)、捻挫(例えば、足首、手首、膝、肩等に対する捻挫など)、断裂(例えば、ACL断裂若しくは半月板断裂などの靱帯断裂、口唇断裂などの軟骨断裂又は腱板断裂などの腱断裂及び/若しくは筋肉断裂など)、又は過剰使用による損傷(例えば、足底筋膜炎、テニス肘、手根管症候群など)を含む。一態様において、整形外科損傷は、骨折である。別の態様において、整形外科損傷は、破壊である。別の態様において、整形外科損傷は、捻挫である。なおさらに別の態様において、整形外科損傷は、断裂である。なおさらに別の態様において、整形外科損傷は、骨折、破壊、捻挫又は断裂のうちの1つ以上である。
【0134】
本明細書において互換的に使用された「過圧波」又は「爆発過剰圧力」とは、常気圧より上の衝撃又は他の波により引き起こされる圧力のことである。過圧波の源は、超音波過圧衝撃波を発生させることが知られている高位爆発物を含む。高位爆発物の例は、TNT、C-4、セムテックス、ニトログリセリン、ダイナマイト及び硝安燃料油を含む。損傷の4つの基本的メカニズムが高位爆発物により引き起こされることが知られており、一次、二次、三次、及び四次損傷を含む。一次損傷は、対象の身体の表面上への過圧波の衝撃から生じる。二次損傷は、爆弾破片などの飛散片から生じる。一部の態様では、一次及び二次損傷は、外傷性脳損傷などの、開放性又は閉鎖性頭部損傷を生じることがある。三次損傷は、対象が爆風により飛ばされることから生じる。四次損傷は全て、一次、二次、又は三次メカニズムに起因しない爆発関連損傷、病気又は疾患であり、対象の既存の状態の悪化又は合併症を含む。過圧波の他の源は、火器のレトルト及び/又は繰り返しファーミング(firming)が過圧波を発生する又は生じる、火器(例えば、銃(例えば、拳銃、短機関銃及び/又は機関銃)、回転弾倉式拳銃、ライフル(例えば、狩猟ライフル、バトルライフル、アサルトライフル、狙撃ライフル)等)を含む。
【0135】
「小児対象」とは、18歳未満(すなわち、18歳又はそれよりも年上ではない)の年齢の対象のことである。例えば、小児対象は、約18歳未満、又は約17歳、約16歳、約15歳、約14歳、約13歳、約12歳、約11歳、約10歳、約9歳、約8歳、約7歳、約6歳、約5歳、約4歳、約3歳、約2歳、約1歳、若しくは約1歳未満でもよい。一部の態様では、小児対象は、約1歳未満~約18歳未満まででよい。一部の態様では、小児対象は、約1歳未満~約17歳まででよい。例えば、小児対象は、約1日から、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週、約2週、約3週、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、又は約11カ月のいずれか、全体で、約18歳未満、又は約17歳、又は約16歳、又は約15歳、又は約14歳、又は約13歳、又は約12歳、又は約11歳、又は約10歳、又は約9歳、又は約8歳、又は約7歳、又は約6歳、又は約5歳、又は約4歳、又は約3歳、又は約2歳、又は約1歳、又は約1歳未満でもよい。
【0136】
「ポイントオブケアデバイス」とは、ポイントオブケア(すなわち、検査室の外部)又はこの近傍の、患者ケアの時間及び場所(病院、診療所、救急ケア施設又は他の医療ケア施設、患者の自宅、介護施設及び/又は長期ケア施設及び/又はホスピス施設など)において、医学的診断検査を提供するのに使用されるデバイスを指す。ポイントオブケアデバイスの例は、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)(例えば、i-STAT及びi-STAT Alinity、Universal Biosensors(Rowville、Australia))(米国特許出願公開第2006/0134713号を参照されたい)、Axis-Shield PoC AS(Oslo、Norway)及びClinical Lab Products(Los Angeles、USA)により作製されたポイントオブケアデバイスを含む。
【0137】
本明細書において互換的に使用された「陽性予測値」又は「PPV」とは、対象が、陽性の検査結果を有する場合に、陽性の転帰を有する確率を指す。
【0138】
本明細書において記載されたイムノアッセイ及びキットの文脈における「品質管理試薬」は、較正物質、対照及び感度パネルを含むがこれらに限定されない。「較正物質」又は「標準物質」(例えば、複数、1つ以上の)は、抗体又は解析物などの、解析物の濃度を内挿するための、較正曲線(検量線)を確立するために使用されることが典型的である。代替的に、基準レベル又は対照レベルの近傍(例えば、「低」レベル、「中」レベル、又は「高」レベル)にある、単一の較正物質も使用されうる。「感度パネル」を含むように、複数の較正物質(すなわち、1つを超える較正物質又は変動量の較正物質)が使用されうる。
【0139】
「ROC(receiver operating characteristic)」曲線又は「ROC」曲線とは、その識別閾値が変動するのに応じて、二項分類子システムの作動を例示する、グラフによるプロットを指す。例えば、ROC曲線は、診断検査の、異なる可能なカットオフ点についての、偽陽性率に対する真陽性率のプロットでありうる。ROC曲線は、多様な閾値状況において、陽性中の真陽性の割合(TPR=真陽性率)を、陰性中の偽陽性の割合(FPR=偽陽性率)と対比してプロットすることにより創出される。TPRはまた、感度としても公知であり、FPRは、[1-特異度又は真陰性率]である。ROC曲線は、感度と特異度とのトレードオフ(任意の感度の上昇は、特異度の低下により伴われる);曲線が、ROC空間の左側境界に近接し、次いで、上側境界に近接するほど、検査は、より正確となること;曲線が、ROC空間の45度の対角線に近接するほど、検査は、より正確でなくなること;カットオフ点における接線の傾きが、検査のこの値についての尤度比(LR)を与えること及び曲線下面積が、検定の精度の尺度であることを裏付ける。
【0140】
「組換え抗体(recombinant antibody)」及び「組換え抗体(recombinant antibodies)」とは、組換え法により、1つ以上のモノクローナル抗体の全部又は一部をコードする核酸配列を、適切な発現ベクターへとクローニングし、その後、抗体を、適切な宿主細胞において発現させるステップを含む、1つ以上のステップにより調製された抗体を指す。用語は、組換えにより作製されたモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全ヒト化抗体又は部分的ヒト化抗体)、抗体断片から形成された多特異性構造又は多価構造、二官能性抗体、ヘテロコンジュゲートAb、DVD-Ig(登録商標)及び本明細書の(i)において記載された他の抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリン及びそれらを作り出すための方法について、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25:1290~1297(2007)において記載されている)を含むがこれらに限定されない。本明細書において使用された「二官能性抗体」という用語は、1つの抗原性部位に対する特異性を有する第1のアーム及び異なる抗原性部位に対する特異性を有する第2のアームを含む抗体を指す、すなわち、二官能性抗体は、二重特異性を有する。
【0141】
本明細書において使用された「基準レベル」とは、診断的有効性、予後診断的有効性又は治療的有効性を評価するのに使用され、本明細書において、多様な臨床パラメータ(例えば、疾患の存在、疾患の病期、疾患の重症度、疾患の進行、非進行又は改善など)と連関付けられた、又は関連付けられた、アッセイカットオフ値を指す。本開示は、例示的な基準レベルを提示する。しかし、基準レベルは、イムノアッセイの性質(例えば、利用された抗体、反応条件、試料の純度など)に応じて、変動する場合があり、アッセイは、比較及び標準化されうることが周知である。さらに、本明細書における本開示を、他のイムノアッセイに適合させて、本開示により提示された記載に基づき、これらの他のイムノアッセイについて、イムノアッセイ特異的な基準レベルを得ることは、十分に、当業者の技術の範囲内にある。基準レベルの正確な値は、アッセイ間において変動しうるが、本明細書において記載された知見は、一般に、適用可能であり、他のアッセイへの外挿が可能であるものとする。
【0142】
本明細書に記載されるある特定の態様では、基準レベルは、ある特定の特異度及び感度を有する任意のアッセイにより決定されると言われる。
【0143】
本明細書において使用された、対象(例えば、患者)についての「危険性の評価」、「危険性の分類」、「危険性の同定」又は「危険性の層別化」とは、対象に関する治療決定が、より情報を得た状態ベースにおいてなされうるように、疾患の発生又は疾患の進行を含む将来の事象の発生の危険性を予測するためのバイオマーカーを含む因子についての査定を指す。
【0144】
本明細書で使用される「試料」、「試験試料」、「検体」、「対象由来の試料」、及び「患者試料」は互換的に使用してよく、全血(例えば、毛細管血、静脈血、乾燥血液スポット等を含む)などの血液、組織、尿、血清、血漿、羊水、痰、気管内吸引液若しくは気管支肺胞洗浄液などのしかしこれらに限定されない下気道検体、鼻粘液、脳脊髄液、胎盤細胞若しくは組織、内皮細胞、白血球、又は単球の試料でもよい。試料は、患者から得られた通りに直接使用されうる、又は濾過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、干渉成分の不活化、試薬の添加など、本明細書において論じられている形において、又は当技術分野において公知である、別の形において、試料の特徴を変更するように前治療されうる。
【0145】
様々な細胞型、組織、又は体液を利用して試料を得てもよい。そのような細胞型、組織、及び体液は、生検及び部検試料、口咽頭検体、上咽頭検体、鼻粘液検体、組織学的目的で採取した凍結切片などの組織の切片、血液(全血、乾燥血液スポット等などの)、血漿、血清、赤血球、血小板、肛門試料(肛囲スワブなどの)、間質液、脳脊髄液等を含みうる。細胞型及び組織は、リンパ液、脳脊髄液、又は吸引により収集された任意の液体を含んでもよい。組織又は細胞型は、細胞試料を、ヒト及び非ヒト動物から摘出することにより用意されうるが、また、あらかじめ単離された細胞(例えば、別の者により、別の時間において、かつ/又は別の目的のために単離された)を使用することによっても達せられうる。治療履歴又は転帰履歴を有する組織などのアーカイブ組織もまた、使用されうる。タンパク質又はヌクレオチドの単離及び/又は精製は、必要でない場合もある。一部の実施形態では、試料は全血試料である。一部の実施形態では、試料は毛細管血試料である。一部の実施形態では、試料は乾燥血液スポットである。一部の実施形態では、試料は血清試料である。さらに他の実施形態では、試料は血漿試料である。一部の実施形態では、試料は口咽頭検体である。他の実施形態では、試料は上咽頭検体である。他の実施形態では、試料は痰である。他の実施形態では、試料は気管内吸引液である。さらに他の実施形態では、試料は気管支肺胞洗浄液である。さらに他の実施形態では、試料は鼻粘液である。
【0146】
「感度」とは、その転帰が陽性である対象であって、陽性であると正しく同定された対象の比率(例えば、対象が検査されつつある疾患又は医学的状態を伴う対象を、正しく同定する比率)を指す。例えば、これは、TBIがない対象からTBIを有する対象を正確に識別すること、軽度のTBIを有する対象から中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIを有する対象を正確に識別すること、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIを有する対象から軽度のTBIを有する対象を正確に識別すること、TBIがない対象から中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIを有する対象を正確に識別すること又はTBIがない対象から軽度のTBIを有する対象を正確に識別すること等)を含む可能性がある。
【0147】
本明細書において使用された「音響兵器」とは、音を使用して対象を損傷する及び/又は無能力にする装置又は器械のことである。音響兵器は、2つの範疇:(a)可聴周波数(20ヘルツ(Hz)~20キロヘルツ(kHz))を含む音響兵器;及び(b)超音波(20kHzよりも大きい)又は超低周波(20Hz未満)であり不可聴である音響兵器に分類されうる。一部の態様では、音響兵器は、音、超音波又は超低周波の集束ビームを使用する。他の態様では、音響兵器は、音、超音波又は超低周波の領域場を作り出す。音響兵器の例は、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターを含む。
【0148】
本明細書において使用された、アッセイの「特異度」とは、その転帰が陰性である対象であって、陰性であると正しく同定された対象の比率(例えば、対象が検査されつつある疾患又は医学的状態を有さない対象を、正しく同定する比率)を指す。例えば、これは、TBIがない対象からTBIを有する対象を正確に識別すること、軽度のTBIを有する対象から中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIがない対象を正確に識別すること、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBIを有する対象から軽度のTBIがない対象を正確に識別すること又はいかなるTBIもない対象を正確に識別すること又はTBIがない対象から軽度のTBIを有する対象を正確に識別すること等を含む可能性がある。
【0149】
「較正組成物のシリーズ」とは、既知の濃度の(1)UCH-L1であって、組成物のそれぞれはシリーズ中のその他の組成物とはUCH-L1の濃度が異なっている、UCH-L1;及び/又は既知の濃度の(2)GFAPであって、それぞれの組成物はシリーズ中のその他の組成物とはGFAPの濃度が異なっている、GFAPを含む、複数の組成物のことである。
【0150】
本明細書において互換的に使用された、「固相」又は「固体支持体」とは、(1)1つ以上の捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)1つ以上の検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを接合させ、かつ/又は誘引し、固定化させる、任意の材料を指す。固相は、捕捉剤を誘引し、固定化させる、その内因性の能力について選択されうる。代替的に、固相は、(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを誘引し、固定化させる能力を有する、連結剤を付加されている。例えば、連結剤は、捕捉剤(例えば、捕捉のための特異的結合パートナー)又は検出剤(例えば、検出のための特異的結合パートナー)自体若しくは(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーへとコンジュゲートされた帯電物質に対して、逆向きに帯電した帯電物質を含みうる。一般に、連結剤は、固相上に固定化され(固相へと接合され)、結合反応を介して、(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを固定化させる能力を有する、任意の結合パートナー(好ましくは特異的結合パートナー)でありうる。連結剤は、アッセイの実施前に、又はアッセイの実施時に、捕捉剤の、固相材料への間接的結合を可能とする。例えば、固相は、例えば、試験管、マイクロ滴定ウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ及び当業者に公知の他の構成を含む、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性金属又は非磁性金属、ガラス又はシリコンでありうる。
【0151】
本明細書において使用された「特異的結合」又は「~に特異的に結合すること」とは、抗体、タンパク質、又はペプチドの、第2の化学的分子種との相互作用を指す場合があり、この場合、相互作用は、化学的分子種上の特定の構造(例えば、抗原性決定基又はエピトープ)の存在に依存する;例えば、抗体は、タンパク質一般ではなく、特異的なタンパク質構造を認識し、これに結合する。抗体が、エピトープ「A」に対して特異的である場合、エピトープAを含有する分子(又は遊離のA、非標識A)の、標識「A」及び抗体を含有する反応物中の存在は、抗体に結合した標識Aの量を低減する。
【0152】
「特異的結合パートナー」とは、特異的結合対のメンバーである。特異的結合対は、化学物質又は物理的手段を介して、互いと特異的に結合する、2つの異なる分子を含む。したがって、一般的なイムノアッセイの、抗原と抗体との特異的結合対に加えて、他の特異的結合対は、ビオチン及びアビジン(又はストレプトアビジン)、炭水化物及びレクチン、相補的なヌクレオチド配列、エフェクター分子及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素及び酵素阻害剤などを含みうる。さらに、特異的結合対は、元の特異的結合メンバーの類似体、例えば、解析物類似体であるメンバーを含みうる。免疫反応性の特異的結合メンバーは、抗原、抗原断片並びにモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のほか、単離されたものであれ、組換えにより作製されたものであれ、これらの複合体及び断片を含む抗体を含む。
【0153】
本明細書において使用された「統計学的に有意な」とは、2つ以上の変数の間の関係が、ランダムな偶然以外の何かにより引き起こされる可能性を指す。統計学的仮説検定は、データセットの結果が、統計学的に有意であるのかどうかを決定するのに使用される。統計学的仮説検定において、統計学的有意な結果は、検定統計量について観察されたp値が、研究について規定された有意性レベル未満である場合なら、いかなる場合にも達せられる。p値とは、少なくとも帰無仮説が真である場合に観察される結果と、少なくとも同程度に極端な結果を得る確率である。統計学的仮説解析の例は、ウィルコクソンの符合順位検定、t検定、カイ二乗検定又はフィッシャーの正確検定を含む。本明細書において使用された「著明な」とは、統計学的に有意であることが決定されていない変化(例えば、統計学的仮説検定にかけられていない可能性がある)を指す。
【0154】
本明細書において互換的に使用された、「対象」及び「患者」とは、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット及びマウス、非ヒト霊長動物(例えば、カニクイザル又はアカゲザル、チンパンジーなどのサル)及びヒト)を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。一部の実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒトでありうる。一部の実施形態において、対象は、ヒトである。対象又は患者は、他の形態の治療を受けている最中である場合がある。一部の実施形態では、対象は、他の形態の治療を受けていることもあるヒトである。一部の実施形態では、対象は、ヒトヘルパー対象、例えば、ウマ、イヌ、又はヒトがその日々の業務(例えば、伴侶動物)又は職業(例えば、サービスアニマル)を実行するのを手伝う他の種である。一部の態様では、対象はヒト対象である。さらに他の態様では、対象は小児対象、例えば、ヒト小児対象である。さらなる態様では、対象は成体対象、例えば、ヒト成人対象である。
【0155】
本明細書において、「~を治療する」、「~を治療すること」又は「治療」は各々、疾患及び/若しくは損傷又はこのような用語が適用される、このような疾患の、1つ以上の症状を阻止、緩和すること又はこれらの進行を阻害することについて記載するのに、互換的に使用される。対象の状態に依存して、用語はまた、疾患を予防することも指し、疾患の発生を予防すること又は疾患と関連する症状を予防することを含む。治療は、急性的に、又は慢性的に実施されうる。用語はまた、疾患への罹患の前における、疾患又はこのような疾患と関連する症状の重症度を軽減することも指す。罹患の前における、疾患の重症度のこのような予防又は低減は、医薬組成物の、投与時において疾患に罹患していない対象への投与を指す。「~を予防すること」はまた、疾患又はこのような疾患と関連する、1つ以上の症状の再発を予防することも指す。「治療」及び「治療的に」とは、「~を治療すること」が、上記において規定された通りである場合の、治療する行為を指す。
【0156】
本明細書において互換的に使用された「外傷性脳損傷」又は「TBI」とは、広範囲にわたる症状及び身体障害を伴う複合損傷を指す。TBIはほとんどの場合、他の損傷に類似する急性イベントである。TBIは、「軽度の」、「中等度の」、「重度の」、又は「中等度~重度の」として分類することができる。TBIの原因は多様である。例えば、一部の態様では、TBIの原因は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又は任意の組合せが可能である。さらに、TBIは、例えば、爆風損傷で起こることがあるものなど、他の形態の鈍力外傷又は非鈍力外傷の一部、例えば、人の物理的振盪、閉鎖性若しくは開放性頭部外傷を生じる外部からの機械力若しくは他の力による鈍的衝撃及び/又は任意の他のタイプの鈍力外傷のうちの1つ以上として起こる音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされることがある。さらに、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露から生じるTBIは、例えば、整形外科損傷などの、音響エネルギー、電磁エネルギー(例えば、非音響エネルギー曝露及び非電磁エネルギー)、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露の結果ではない1つ以上のさらなる損傷から生じるTBIと組み合わさって、累積的TBI損傷を生じることがある。例えば、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せに曝露されTBIを被る対象は、転倒して彼又は彼女の頭部を打つことがある。転倒は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後直ちに若しくは間もなく又は曝露と同時に生じることがある。この結果としての転倒は、対象へのさらなるTBIをもたらすことがある。したがって、累積的TBIは、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露から生じるTBI並びに対象が転倒して彼又は彼女の頭部を打つことから生じるさらなるTBIである。あるいは、対象は、転倒して彼又は彼女の頭部を打ち、TBIを被って、次に、その後直ちに若しくは間もなく又は同時に、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せに曝露されてさらなるTBIを被って累積的TBI損傷を生じることがある。
【0157】
本明細書において使用された「軽度のTBI」とは、対象が意識喪失を経験することも経験しないこともある頭部損傷のことである。意識喪失を経験する対象では、意識喪失は典型的には短時間であり、通常は数秒又は数分のみ持続する。軽度TBIはまた、脳振盪、軽症の頭部外傷、軽症のTBI、軽症の脳損傷及び軽症の頭部損傷とも称される。MRI及びCTスキャンは、正常であることが多いが、軽度TBIを伴う個体は、頭痛、思考困難、記憶問題、注意欠陥、気分変動及び欲求不満などの認知問題を有しうる。
【0158】
軽度TBIは、最も高頻度のTBIであり、初期損傷時に、見逃されることが多い。典型的に、対象は、13~15(13~15又は14~15など)の間のGCS数を有する。軽度TBIを伴う人々のうち、15パーセント(15%)は、3カ月間以上にわたり持続する症状を有する。軽度TBIの一般的な症状は、疲労感、頭痛、視覚障害、記憶喪失、注意/集中力の低下、睡眠障害、回転性めまい/平衡感覚の喪失、易刺激性(感情障害)、抑うつ感覚及び発作を含む。軽度TBIと関連する他の症状は、悪心、嗅覚喪失、光及び音への過敏性、気分の変化、迷子若しくは意識混濁及び/又は思考遅滞を含む。
【0159】
本明細書において使用された「中等度TBI」とは、意識喪失及び/又は意識混濁並びに見当識の喪失が、1~24時間の間であり、対象が9~13(例えば、9~12又は9~13)の間のGCS数を有する脳損傷を指す。中等度TBIを伴う個体は、脳イメージング結果の異常を有しうる。本明細書において使用された「重度TBI」とは、意識喪失が、24時間を超え、損傷又は穿通性頭蓋骨損傷後の記憶喪失が、24時間より長く、対象が、3~8の間のGCS数を有する脳損傷を指す。欠損は、高レベルの認知機能の機能障害~昏睡状態の範囲にわたる。生存者は、腕部又は脚部の機能の限定、発話又は言語の異常、思考能力の喪失又は感情問題を有しうる。重度損傷を伴う個体は、長期にわたる不応状態に置かれたままになりうる重度TBIを伴う多くの人々の場合、機能及び自立を最大化するために、長期にわたるリハビリが必要となることが多い。
【0160】
本明細書において使用された「中等度~重度の」TBIとは、中等度から重度のTBIへの経時的な変化を含み、したがって、中等度のTBI単独、重度のTBI単独、及び組み合わされた中等度~重度のTBIを包含する(例えば、時間的に)範囲の脳損傷のことである。例えば、一部の臨床状況では、対象は、最初は中等度のTBIを有すると診断されることがあるが、この対象は時間(分、時間又は日)が経つにつれ重度のTBI(例えば、脳出血がある状況でなどの)を有するようになる。あるいは、一部の臨床状況では、対象は、最初は重度のTBIを有すると診断されることがあるが、この対象は時間(分、時間又は日)が経つにつれ中等度のTBIを有するようになる。そのような対象は、「中等度~重度の」として分類できる患者の例だと考えられる。中等度~重度のTBIの一般的な症状は、注意に関する困難、集中力、散漫性、記憶、処理速度、混乱、固執、衝動性、言語処理及び/又は「実行機能」、発話された単語の無理解(受容失語症)、発話及び理解されることの困難(表現失語症)、発話の不明瞭、発話が極めて速い又は極めて遅い、読むときの問題、書くときの問題、接触、温度、運動の解釈、肢の位置及び微細な識別、感覚的印象の、心理学的に有意味なデータへの統合又はパターン化に関する困難、部分的又は全体的な視覚の喪失、眼筋力の低下及び二重視覚(複視)、かすみ目、距離を判断するときの問題、非自発的な眼運動(眼振)、光不耐性(羞明)、聴力の低下又は喪失などの聴覚問題、耳が鳴ること(耳鳴り)、音に対する過敏性、嗅覚の喪失又は低下(無嗅覚)、味覚の喪失又は低下、てんかんと関連する痙攣であって、いくつかの種類であることが可能であり、意識、感覚的認知又は運動、腸及び膀胱の制御の問題を伴いうる痙攣、睡眠障害、気力の喪失、食欲の変化、体内温度の調節、月経困難、依存性行動、感情能力又は安定性に関する問題、意欲の欠如、易刺激性、攻撃、抑うつ、脱抑制又は意識の否認/欠如を含む認知欠損を含む。中等度~重度のTBIを有する対象は、3~12(中等度のTBIでは9~12、及び重度のTBIでは3~8の範囲を含む)のGCSスコアを有することができる。
【0161】
本明細書で互換的に使用される「ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1」又は「UCH-L1」とは、ヒトでのUCH-L1遺伝子により及び他の種でのUCH-L1遺伝子対応物によりコードされる脱ユビキチン化酵素のことである。ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼL1及びユビキチンチオールエステラーゼとしてもまた公知のUCH-L1は、その産物が、ユビキチンの、小型のC末端付加物を加水分解して、ユビキチン単量体を発生させる遺伝子ファミリーのメンバーである。
【0162】
「UCH-L1状態」とは、ある時点(UCH-L1の単一の測定値を伴う時点など)における、UCH-L1のレベル若しくは量、モニタリング(対象において、UCH-L1量の上昇又は低下を同定する反復検査を伴うモニタリングなど)と関連する、UCH-L1のレベル若しくは量、外傷性脳損傷(一次脳損傷であれ、かつ/又は二次脳損傷であれ)のための治療と関連する、UCH-L1のレベル若しくは量又はこれらの組合せを意味しうる。
【0163】
本明細書において、「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失又は保存的置換により、アミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチド又はポリペプチドについて記載するのに使用される。「生物学的活性」の代表例は、特異的抗体による結合を受ける能力又は免疫反応を促進する能力を含む。本明細書において、変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を伴う基準タンパク質と実質的に同一なアミノ酸配列を伴うタンパク質について記載するのにも使用される。当技術分野において、アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性、帯電の程度及び帯電領域の分布)を有する、異なるアミノ酸により置き換えることは、典型的に、小さな変化を伴うこととして当技術分野において認識されている。当技術分野において理解された通り、これらの小さな変化は、部分的に、アミノ酸の疎水性指数を検討することにより同定されうる(Kyteら、J.Mol.Biol.157:105~132(1982))。アミノ酸の疎水性指数は、その疎水性及び電荷の検討に基づく。当技術分野において、同様の疎水性指数を有するアミノ酸は、置換される場合があるが、なおも、タンパク質の機能を保持することが公知である。一態様において、±2の疎水性指数を有するアミノ酸は、置換される。アミノ酸の親水性もまた、生物学的機能を保持するタンパク質を結果としてもたらす置換を明らかにするのに使用されうる。ペプチドの文脈における、アミノ酸の親水性についての検討は、抗原性及び免疫原性とよく相関することが報告されている、有用な尺度である、このペプチドの局所平均親水性の最大値の計算を可能とする(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,554,101号)。同様の親水性値を有するアミノ酸による置換は、生物学的活性、例えば、当技術分野において理解された免疫原性を保持するペプチドを結果としてもたらしうる。置換は、互いから±2以内の親水性値を有するアミノ酸により実施されうる。アミノ酸の疎水性指数及び親水性値のいずれも、このアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ及び他の特性により明らかにされる通り、アミノ酸の相対的類似性に依存し、特に、これらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されることは、この観察と符合する。「変異体」はまた、抗UCH-L1抗体の、抗原的に反応性の断片であって、アミノ酸配列内の、対応する抗UCH-L1抗体の断片と異なるが、なおも抗原的に反応性であり、UCH-L1との結合について、対応する抗UCH-L1抗体の断片と競合しうる断片を指すようにも使用されうる。「変異体」はまた、タンパク質分解、リン酸化又は他の翻訳後修飾によるなどの、異なる形でプロセシングされているが、その抗原反応性を保持する、ポリペプチド又はこの断片について記載するのにも使用されうる。
【0164】
本明細書において、「ベクター」とは、連結された別の核酸を運びうる核酸分子について記載するのに使用される。ベクターの1つの種類は、さらなるDNAセグメントがライゲーションされうる、環状二本鎖DNAループを指す、「プラスミド」である。ベクターの別の種類は、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムへとライゲーションされうる、ウイルスベクターである。ある特定のベクターは、これらが導入される宿主細胞内の自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点及び哺乳動物エピソームベクターを有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピソームベクター)は、宿主細胞へと導入されると、宿主細胞のゲノムへと組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと共に複製されうる。さらに、ある特定のベクターは、作動的に連結される遺伝子の発現を方向付けることが可能である。本明細書において、このようなベクターは、「組換え発現ベクター」(又は、単に、「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドは、最も一般に、ベクターの形態で使用されるので、「プラスミド」と「ベクター」とは、互換的に使用されうる。しかし、ウイルスベクター(例えば、複製欠損性のレトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などの、同等な機能を果たす、発現ベクターの他の形態も使用されうる。この点で、ベクターのRNA形(ウイルス性RNAベクターを含む)もまた、本開示の文脈において使用されうる。
【0165】
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有するものとする。例えば、本明細書において記載された、細胞培養法及び組織培養法、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションとの関連において使用された用語法、並びにこれらについての技法は、周知の用語法及び技法であり、当技術分野において一般的に使用されている用語法及び技法である。用語の意味及び範囲は、明確であるものとするが、万一、何らかの潜在的な曖昧さが生じた場合、本明細書において提示された定義が、任意の辞書又は外部の定義に対して優先される。さらに、文脈により、そうでないことが要求されない限りにおいて、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0166】
2.基準レベルを使用して対象が頭部への損傷を負ったかどうか又は負ったと推測されるかどうかの診断及び査定の一助となる方法
本開示は、とりわけ、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)が頭部への損傷を負ったのか又は負った可能性があるかどうかを査定する方法又はその診断及び査定を助ける方法に関する。方法は、頭部への実際の又は推測される損傷を有する対象(例えば、ヒト対象)における外傷性脳損傷の程度を決定する、例えば、対象(例えば、ヒト対象)が軽度の外傷性脳損傷、中等度の外傷性脳損傷、重度の外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有するのかどうかを決定する一助となることができる。本明細書で使用される場合、「対象(例えば、ヒト対象)が軽度の外傷性脳損傷、中等度の外傷性脳損傷、重度の外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有するのかどうかを決定する」とは、前述の方法を、例えば、他の情報(例えば、臨床評価データ)と一緒に使用すれば、対象が、軽度の外傷性脳損傷、中等度の外傷性脳損傷、重度の外傷性脳損傷、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する可能性が有さない可能性よりも高いことを決定することができるという事実のことである。方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に対象(例えば、ヒト対象)から得られる試料でアッセイを実施して、試料中のユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこれらの組合せなどの、外傷性脳損傷のバイオマーカーのレベルを測定する又は検出すること、及び対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)が軽度、中等度、重度又は中等度~重度外傷性脳損傷(TBI)を負ったかどうかを決定することを含むことができる。試料は、対象(例えば、ヒト対象)が、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露により引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った後に得られる。例えば、一部の態様では、対象は、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せのうちの1つ以上に曝露されうる。一部の他の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる損傷は多数傷病者事故の一部である。一部の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカー(例えば、UCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPの組合せ)の基準レベルよりも高い場合、対象は、軽度、中等度、重度又は中等度~重度のTBIを有すると決定される。試料は、生物学的試料が可能である。
【0167】
一部の実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷から約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に試料を得ること、及び試料をユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこれらの組合せなどの、TBIのバイオマーカーに対する抗体と接触させて、抗体とバイオマーカーの複合体の形成を可能にすることを含むことができる。方法は、こうして生じた抗体-バイオマーカー複合体を検出することも含む。
【0168】
一部の実施形態では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷という損傷から約48時間以内に対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)から採取される。例えば、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約0分、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約20分、約30分、約60分、約90分以内に、約2時間以内に、約3時間以内に、約4時間以内に、約5時間以内に、約6時間以内に、約7時間以内に、約8時間以内に、約9時間以内に、約10時間以内に、約11時間以内に、約12時間以内に、約13時間以内に、約14時間以内に、約15時間以内に、約16時間以内に、約17時間以内に、約18時間以内に、約19時間以内に、約20時間以内に、約21時間以内に、約22時間以内に、約23時間以内に、約24時間以内に、約25時間以内に、約26時間以内に、約27時間以内に、約28時間以内に、約29時間以内に、約30時間以内に、約31時間以内に、約32時間以内に、約33時間以内に、約34時間以内に、約35時間以内に、約36時間以内に、約37時間以内に、約38時間以内に、約39時間以内に、約40時間以内に、約41時間以内に、約42時間以内に、約43時間以内に、約44時間以内に、約45時間以内に、約46時間以内に、約47時間以内に、又は約48時間以内に対象(例えば、ヒト対象)から採取することができる。
【0169】
一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの存在の始まりは、頭部への実際の又は推測される損傷後約0分、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約20分、約30分、約60分、約90分以内に、約2時間以内に、約3時間以内に、約4時間以内に、約5時間以内に、約6時間以内に、約7時間以内に、約8時間以内に、約9時間以内に、約10時間以内に、約11時間以内に、約12時間以内に、約13時間以内に、約14時間以内に、約15時間以内に、約16時間以内に、約17時間以内に、約18時間以内に、約19時間以内に、約20時間以内に、約21時間以内に、約22時間以内に、約23時間以内に、約24時間以内に、約25時間以内に、約26時間以内に、約27時間以内に、約28時間以内に、約29時間以内に、約30時間以内に、約31時間以内に、約32時間以内に、約33時間以内に、約34時間以内に、約35時間以内に、約36時間以内に、約37時間以内に、約38時間以内に、約39時間以内に、約40時間以内に、約41時間以内に、約42時間以内に、約43時間以内に、約44時間以内に、約45時間以内に、約46時間以内に、約47時間以内に、又は約48時間以内に現れる。
【0170】
一部の実施形態では、対象は、アッセイが実施される前に又は後でGCSスコアを受けている。一部の実施形態では、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)は、GCSスコアに基づいて、中等度、重度又は中等度~重度外傷性脳損傷を有すると推測される。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、中等度、重度又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象と相関している。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、9~13(中等度のTBI)のGCSスコアと相関している。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、3~8(重度のTBI)のGCSスコアと相関している。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、3~12(中等度、重度、又は中等度~重度のTBI)のGCSスコアと相関している。一部の実施形態では、対象は、GCSスコアに基づいて軽度の外傷性脳損傷を有すると推測される。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、軽度の外傷性脳損傷を有する対象と相関している。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、13~15(軽度のTBI)のGCSスコアと相関している。
【0171】
一般に、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーについて検査試料をアッセイすると得られる結果を査定する基準になるベンチマークとしても用いることができる。一般に、そのような比較をする際に、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、解析物の存在、量又は濃度とTBIの特定の段階若しくはエンドポイントを又は特定の徴候を連動又は関連させることができるように、特定のアッセイを十分な回数及び適切な条件下で実行する又は遂行することにより得られる。典型的には、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、基準対象(又は対象の集団)のアッセイを用いて得られる。測定される、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーは、その断片、その分解生成物、及び/又はその酵素切断産物を含むことができる。
【0172】
ある特定の実施形態では、基準レベルは、頭部損傷を負ったことがない対照対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)と相関していてよい。
【0173】
一部の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約320~約400pg/mLである。他の態様では、UCH-L1についての基準レベルは約360pg/mLである。
【0174】
一部の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約320~約400pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。他の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約360pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。
【0175】
一部の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLである。一部の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約30pg/mLである。他の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。他の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約30pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。
【0176】
さらなる実施形態では、本明細書の方法は、UCH-L1についての基準レベルが約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBI又はUCH-L1のレベルが約350pg/mL未満である場合、軽度のTBIに対して対象を治療することをさらに含み、試料は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後約24時間以内に対象から得られる。
【0177】
さらにさらなる実施形態では、本明細書の方法は、UCH-L1についての基準レベルが約450pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBI又はUCH-L1のレベルが約450pg/mL未満である場合、軽度のTBIに対して対象を治療することをさらに含み、試料は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後約24時間以内に対象から得られる。
【0178】
さらにさらなる実施形態では、本明細書の方法は、UCH-L1についての基準レベルが約550pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBI又はUCH-L1のレベルが約550pg/mL未満である場合、軽度のTBIに対して対象を治療することをさらに含み、試料は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後約24時間以内に対象から得られる。
【0179】
さらにさらなる実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後(例えば、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後)約2時間以内に対象から得た試料でUCH-L1、GFAP、又はその組合せについてのアッセイを実施すること、及び、次に
(a)GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、若しくはGFAPのレベルが約9.0pg/mL未満である場合、軽度のTBI;
(b)UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、若しくはUCH-L1のレベルが約73.5pg/mL未満である場合、軽度のTBI;又は
(c)GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、若しくはGFAPのレベルが約9.0pg/mL未満でありかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mL未満である場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
を含む。
【0180】
さらにさらなる実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後(例えば、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後)約48時間以内に対象から得た試料でUCH-L1、GFAP、又はその組合せについてのアッセイを実施すること、及び次に、試料中のGFAPのレベルが、約105pg/mL~約890pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約110pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、軽度のTBIについて対象を治療することについてアッセイを実施することを含む。
【0181】
さらにさらなる実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後(例えば、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後)約48時間以内に対象から得た試料でUCH-L1、GFAP、又はその組合せについてのアッセイを実施すること、及び次に、試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約40pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約70pg/mL~約150pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、TBIについて対象を治療することを含む。
【0182】
さらにさらなる実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露により引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷並びに少なくとも1つの整形外科損傷を負った対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)で使用することもできる。整形外科損傷は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せへの曝露と同時に又はそのような損傷後直ぐに起きた(例えば、対象は1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せに曝露され、その後直ちに転倒してその頭部を打つ)可能性がある。一部の実施形態では、方法は、対象が1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せに曝露され、整形外科損傷を負った後約48時間以内に試料を得ることを含む。一部の態様では、(1)試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しい、(2)試料中のUCH-L1のレベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい、又は(3)試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1の基準レベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい場合、TBIについて対象を治療することができる。他の態様では、(1)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはそれよりも大きい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mL~約3000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい若しくはそれよりも大きい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはそれよりも大きくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mL~約3000pg/mLの基準レベルに等しい若しくはそれよりも大きい場合、中等度~重度のTBI、又は(2)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルより低い、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLのUCH-L1の基準レベルより低い、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルより低くかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLの基準レベルより低い場合、軽度のTBIについて対象を治療することができる。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象から第1の時点で第1の試料及び第2の時点で第2の試料を得ることを含む。一部の実施形態では、第1の試料は推測される損傷後24時間以内に採取され、第2の試料は第1の試料後約3時間~約6時間以内に採取される。例えば、第1の試料は、推測される損傷後約0時間以内に、約30分以内に、約1時間以内に、約2時間以内に、約3時間以内に、約4時間以内に、約5時間以内に、約6時間以内に、約7時間以内に、約8時間以内に、約9時間以内に、約10時間以内に、約11時間以内に、約12時間以内に、約13時間以内に、約14時間以内に、約15時間以内に、約16時間以内に、約17時間以内に、約18時間以内に、約19時間以内に、約20時間以内に、約21時間以内に、約22時間以内に、約23時間以内に、約24時間、又は約24より多い時間以内に採取することができる。一部の実施形態では、方法は、第1の試料及び第2の試料でアッセイを実施して第1の試料及び/又は第2の試料においてUCH-L1のレベルを測定する又は検出することであって、第1の試料は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せへの曝露後24時間以内の第1の時点で対象から採取され、第2の試料は、第1の時点の約3時間~約6時間後などの、第1の時点後の第2の時点で対象から採取されること、並びに外傷性脳損傷の程度を決定することにより対象が頭部への損傷を負ったかどうかを決定することを含む。例えば、一態様では、方法は、第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも大きい若しくはこれに等しい変化倍率を示す場合、中等度~重度のTBIについて、又は第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも低い変化倍率を示す場合、軽度のTBIについて対象を治療することを含み、第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。別の態様では、方法は、(1)UCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加する若しくは減少する場合、中等度、重度若しくは中等度~重度のTBI、若しくはUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;(2)GFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加する若しくは減少する場合、中等度、重度若しくは中等度~重度のTBI、若しくはGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI、又は(3)UCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加する若しくは減少しかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加する若しくは減少する場合、中等度、重度若しくは中等度~重度のTBI、若しくはUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもおらずかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBIについて対象を治療することを含み、第1時点が実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点が第1の試料を採取した後約3~約6時間以内である。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、米国リハビリテーション医学会(ACRM)に基づく表2中の以下の基準を使用して、対象が外傷性脳損傷を有する(例えば、陽性である)又は外傷性脳損傷がない(例えば、陰性である)かどうかを決定することも含む。
【0185】
【0186】
一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、少なくとも約65%~約100%の間の感度及び少なくとも約30%~約100%の間の特異度を有するアッセイにより決定される。一部の実施形態において、感度は、少なくとも約65%~約100%の間、少なくとも約65%~少なくとも約99%の間、少なくとも約65%~少なくとも約95%の間、少なくとも約65%~少なくとも約90%の間、少なくとも約65%~少なくとも約85%の間、少なくとも約65%~少なくとも約80%の間、少なくとも約65%~少なくとも約75%の間、少なくとも約65%~少なくとも約70%の間、少なくとも約75%~約100%の間、少なくとも約75%~少なくとも約99%の間、少なくとも約75%~少なくとも約95%の間、少なくとも約75%~少なくとも約90%の間、少なくとも約75%~少なくとも約85%の間、少なくとも約75%~少なくとも約80%の間、少なくとも約85%~約100%の間、少なくとも約85%~少なくとも約99%の間、少なくとも約85%~少なくとも約95%の間、少なくとも約85%~少なくとも約90%の間、少なくとも約95%~約100%の間、又は少なくとも約95%~少なくとも約99%の間である。一部の実施形態において、感度は、少なくとも約65.0%、少なくとも約70.0%、少なくとも約75.0%、少なくとも約80.0%、少なくとも約85.0%、少なくとも約87.5%、少なくとも約90.0%、少なくとも約95.0%、少なくとも約99.0%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.2%、少なくとも約99.3%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約100.0%である。
【0187】
一部の実施形態では、方法は、下に記載されるように、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を、外傷性脳損傷治療を用いて治療することをさらに含む。さらに他の実施形態では、方法は、下に記載されるように、軽度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を、外傷性脳損傷治療を用いて治療することをさらに含む。さらに他の実施形態では、方法は、下に記載されるように、中等度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を、外傷性脳損傷治療を用いて治療することをさらに含む。さらに他の実施形態では、方法は、重度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象を、外傷性脳損傷治療を用いて治療することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、下に記載されるように、軽度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)をモニターすることをさらに含む。他の実施形態では、方法は、下に記載されるように、中等度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)をモニターすることをさらに含む。さらに他の実施形態では、方法は、下に記載されるように、重度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)をモニターすることをさらに含む。さらに他の実施形態では、方法は、中等度~重度の外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)をモニターすることをさらに含む。
【0188】
本明細書において記載された方法において利用されたアッセイの性質は、それほど重要ではなく、検査は、例えば、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、化学解析、SDS-PAGE及びウェスタンブロット解析又はタンパク質免疫染色、電気泳動解析、タンパク質アッセイ、競合的結合アッセイ、機能的タンパク質アッセイ、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)などの、クロマトグラフィー法若しくは分光法などの、当技術分野において公知である、任意のアッセイでありうる。にもかかわらず、例えば、本明細書に記載される種々の感度及び感度を有するアッセイなどの請求される方法を実施する能力がある検査又はアッセイが用いられる。さらに、本明細書に記載される方法において用いられるアッセイは、当業者であれば知っていると考えられる臨床化学フォーマットにおいて用いることができる。そのようなアッセイは、本明細書のセクション5~9でさらに詳細に説明される。当技術分野において、特異的な試料型を利用するアッセイ(例えば、血清を用いるイムノアッセイ又は全血を利用するポイントオブケアデバイスなどの)において使用された値(例えば、基準レベル、カットオフ、閾値、特異度、感度、較正物質及び/又は対照の濃度など)は、アッセイ標準化などの、当技術分野において公知の技法を使用して、他のアッセイフォーマットへと外挿されうることが公知である。例えば、アッセイの標準化が実施されうる、1つの方式は、比較法に見合う傾きを得るように、試料濃度の読取りを高値又は低値とするために、アッセイにおいて利用される較正物質へと、係数を適用することによるものである。1つのアッセイにおいて得られた結果を、別のアッセイへと標準化する、他の方法も周知であり、文献において記載されている(例えば、その内容が、参照により本明細書に組み込まれた、David Wild、「Immunoassay Handbook」、4版、3.5章、315~322頁を参照されたい)。
【0189】
3.基準レベルを使用して頭部への損傷を負った対象においてCTスキャン及び/又はMRIを実施するかどうかの決定をする一助となる方法
本開示は、とりわけ、頭部への実際の又は推測される損傷を負った又は負った可能性がある対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)でコンピュータ断層撮影(CT)スキャン及び/又は磁気共鳴イメージングを実施するかどうかを決定する一助となる方法に関する。本態様では、試料は、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)が音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露により引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った後に得られる。例えば、一部の態様では、対象は、音響兵器、指向性エネルギー兵器、又はその組合せのうちの1つ以上に曝露されうる。一部の他の態様では、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる損傷は多数傷病者事故の一部である。本明細書で使用される場合、「対象でCTスキャンを実施するかどうかの決定」とは、例えば、他の情報(例えば、臨床評価データ)を用いて前述の方法を使用すれば、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)が陽性の頭部CTスキャンを有する可能性が有さない可能性よりも高いことを決定できるという事実のことである。本明細書で使用される場合、「対象でMRIを実施するかどうかの決定」とは、例えば、他の情報(例えば、臨床評価データ)を用いて前述の方法を使用すれば、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)が陽性の頭部MRIスキャンを有する可能性が有さない可能性よりも高いことを決定できるという事実のことである。具体的には、そのような方法は、(a)頭部への実際の又は推測される損傷後約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に対象から得られる試料でアッセイを実施して試料中のバイオマーカーのレベルを測定する又は検出し、前記バイオマーカーが試料中にユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこれらの組合せを含むステップ;及び(b)試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの基準レベルよりも高い場合、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)でCTスキャン及び/又はMRIを実施し、試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの基準レベルよりも低い場合、対象でCTスキャン及び/又はMRIを実施しないステップを含むことができる。一部の態様では、対象でCTスキャンが実施される。他の態様では、対象でMRIが実施される。さらにさらなる態様では、対象でCTスキャンとMRIが実施される(CTスキャンとMRIが実施される順番はそれほど重要ではない)。試料は、生物学的試料が可能である。
【0190】
一部の実施形態では、方法は、対象への実際の又は推測される損傷から約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に試料(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を得ること、及び試料をユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこれらの組合せなどのTBIのバイオマーカーに対する抗体と接触させ、抗体とバイオマーカーの複合体の形成を可能にすることを含むことができる。方法は、こうして得られた抗体-バイオマーカー複合体を検出することも含む。
【0191】
一部の実施形態では、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷から約2時間以内に対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)から採取される。例えば、試料は、頭部への実際の又は推測される損傷後約0分、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約20分、約30分、約60分、約90分、又は約2時間以内に対象から採取することができる。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの存在の始まりは、頭部への実際の又は推測される損傷後約0分、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約20分、約30分、約60分、約90分以内に、約2時間以内に、約3時間以内に、約4時間以内に、約5時間以内に、約6時間以内に、約7時間以内に、約8時間以内に、約9時間以内に、約10時間以内に、約11時間以内に、約12時間以内に、約13時間以内に、約14時間以内に、約15時間以内に、約16時間以内に、約17時間以内に、約18時間以内に、約19時間以内に、約20時間以内に、約21時間以内に、約22時間以内に、約23時間以内に、約24時間以内に、約25時間以内に、約26時間以内に、約27時間以内に、約28時間以内に、約29時間以内に、約30時間以内に、約31時間以内に、約32時間以内に、約33時間以内に、約34時間以内に、約35時間以内に、約36時間以内に、約37時間以内に、約38時間以内に、約39時間以内に、約40時間以内に、約41時間以内に、約42時間以内に、約43時間以内に、約44時間以内に、約45時間以内に、約46時間以内に、約47時間以内に、又は約48時間以内に現れる。
【0192】
一部の実施形態では、対象は、アッセイが実施される前に又は後でCTスキャンを受けた。一部の実施形態では、対象は、CTスキャンに基づいて、外傷性脳損傷を有すると推測される。一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、陽性の頭部CTスキャンと相関している。
【0193】
一般に、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、UCH-L1について検査試料をアッセイすると得られる結果を査定する基準になるベンチマークとして用いることができる。一般に、そのような比較をする際に、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、解析物の存在、量又は濃度とTBIの特定の段階若しくはエンドポイントを又は特定の徴候を連動又は関連させることができるように、特定のアッセイを十分な回数及び適切な条件下で実行することにより得られる。典型的には、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、基準対象(又は対象の集団)のアッセイを用いて得られる。測定される、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーは、その断片、その分解生成物、及び/又はその酵素切断産物を含むことができる。
【0194】
一部の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約320~約400pg/mLである。他の態様では、UCH-L1についての基準レベルは約360pg/mLである。一部の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約320~約400pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。他の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約360pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。
【0195】
一部の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLである。一部の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約30pg/mLである。一部の実施形態では、GFAPについての基準レベルは約15~約50pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。他の実施形態では、UCH-L1についての基準レベルは約30pg/mLであり、試料は約24時間又はそれ未満以内に対象から得られる。
【0196】
さらにさらなる実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後(例えば、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後)約2時間以内に対象から得られる試料でUCH-L1、GFAP、又はその組合せについてのアッセイを実施すること、及び(1)GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい;(2)UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい;又は(3)GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、対象で頭部CTスキャンを実施することを含む。
【0197】
さらにさらなる実施形態では、方法は、頭部への実際の又は推測される損傷後(例えば、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露後)約24時間以内に対象から得られる試料でUCH-L1、GFAP、又はその組合せについてのアッセイを実施すること、及び対象でMRI手順を実施すること、及び試料中のUCH-L1、GFAP、又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP、又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療することを含む。一部の態様では、基準レベルは、少なくとも約20pg/mL~約200pg/mLの間である。
【0198】
さらにさらなる実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せへの曝露により引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷並びに少なくとも1つの整形外科損傷を負った対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)で使用することもできる。整形外科損傷は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せへの曝露と同時に又はそのような損傷後直ぐに起きた(例えば、対象は1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せに曝露され、その後直ちに転倒してその頭部を打つ)可能性がある。一部の実施形態では、方法は、対象が1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せに曝露され、整形外科損傷を負った後約48時間以内に試料を得ることを含む。この態様では、(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象で頭部CTスキャンが実施される。なおさらに別の態様では、(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象で頭部CTスキャンが実施される。なおさらに別の態様では、(1)試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約1000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約50pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は(2)試料中のGFAPのレベルが、約1000pg/mLのGFAPの基準レベルより大きくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも大きい場合、対象でMRI手順が実施される。なおさらに他の態様では、試料中のGFAPのレベルが、約50pg/mL~約975pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約90pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、頭部CTスキャンは対象で実施されず、対象は軽度のTBIに対して治療される。
【0199】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象から第1の時点で第1の試料及び第2の時点で第2の試料を得ることを含む。一部の実施形態では、第1の試料は推測される損傷後24時間以内に採取され、第2の試料は第1の試料後約3時間~約6時間以内に採取される。例えば、第1の試料は、推測される損傷後約0時間以内に、約30分以内に、約1時間以内に、約2時間以内に、約3時間以内に、約4時間以内に、約5時間以内に、約6時間以内に、約7時間以内に、約8時間以内に、約9時間以内に、約10時間以内に、約11時間以内に、約12時間以内に、約13時間以内に、約14時間以内に、約15時間以内に、約16時間以内に、約17時間以内に、約18時間以内に、約19時間以内に、約20時間以内に、約21時間以内に、約22時間以内に、約23時間以内に、約24時間、又は約24より多い時間以内に採取することができる。一部の実施形態では、方法は、第1の試料及び第2の試料でアッセイを実施して第1の試料及び/又は第2の試料においてUCH-L1のレベルを測定する又は検出することであって、第1の試料は、1つ以上の音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せへの曝露後24時間以内の第1の時点で対象から採取され、第2の試料は、第1の時点の約3時間~約6時間後などの、第1の時点後の第2の時点で対象から採取されること、並びに頭部CTスキャン、MRI又は頭部CTスキャン若しくはMRIのうちの1つ以上を実施するかどうかを決定することを含む。例えば、一実施形態では、方法は、第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約1.81よりも小さい変化倍率を示す場合、対象に頭部CTスキャンを実施することを含み、第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。別の実施形態では、方法は、第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約1.5よりも小さい変化倍率を示す場合、対象に頭部CTスキャンを実施することを含み、第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。別の実施形態では、方法は、(1)UCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料まで少なくとも約40pg/mL増加する若しくは減少する;(2)GFAPのレベルが第1の試料から第2の試料まで少なくとも約1pg/mL増加する若しくは減少する;若しくは(3)UCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料まで少なくとも約40pg/mL増加する若しくは減少しかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料まで少なくとも約1pg/mL増加する若しくは減少する場合、頭部CTスキャンを実施することを含み、第1の時点が実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。なおさらにさらなる態様では、別の実施形態では、方法は、UCH-L1、GFAP、又はUCH-L1とGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料まで少なくとも約10pg/mL~少なくとも約150pg/mLの間の量で減少する又は増加する場合、対象でMRI手順を実施して、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療することを含み、第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である。
【0200】
一部の実施形態では、UCH-L1、GFAP、又はその組合せなどのバイオマーカーの基準レベルは、少なくとも約65%~約100%の間の感度及び少なくとも約30%~約100%の間の特異度を有するアッセイにより決定される。一部の実施形態では、感度は、少なくとも約65%~約100%の間、少なくとも約65%~少なくとも約99%の間、少なくとも約65%~少なくとも約95%の間、少なくとも約65%~少なくとも約90%の間、少なくとも約65%~少なくとも約85%の間、少なくとも約65%~少なくとも約80%の間、少なくとも約65%~少なくとも約75%の間、少なくとも約65%~少なくとも約70%の間、少なくとも約75%~約100%の間、少なくとも約75%~少なくとも約99%の間、少なくとも約75%~少なくとも約95%の間、少なくとも約75%~少なくとも約90%の間、少なくとも約75%~少なくとも約85%の間、少なくとも約75%~少なくとも約80%の間、少なくとも約85%~約100%の間、少なくとも約85%~少なくとも約99%の間、少なくとも約85%~少なくとも約95%の間、少なくとも約85%~少なくとも約90%の間、少なくとも約95%~約100%の間、又は少なくとも約95%~少なくとも約99%の間である。一部の実施形態では、感度は、少なくとも約65.0%、少なくとも約70.0%、少なくとも約75.0%、少なくとも約80.0%、少なくとも約85.0%、少なくとも約87.5%、少なくとも約90.0%、少なくとも約95.0%、少なくとも約99.0%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.2%、少なくとも約99.3%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、又は少なくとも約100.0%である。
【0201】
一部の実施形態では、方法は、下に記載されるように、対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を、外傷性脳損傷治療を用いて治療すること、及び/又は対象をモニターすることをさらに含む。
【0202】
本明細書に記載される方法で用いられるアッセイの特質はそれほど重要ではなく、検査は、例えば、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、ウェスタンブロット、若しくはタンパク質免疫染色、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)などの分光法などの当技術分野で公知の任意のアッセイが可能である。その上、アッセイは、当業者であれば知っていると考えられる臨床化学フォーマットで用いることができる。そのようなアッセイは、本明細書のセクション5~9でさらに詳細に説明される。
【0203】
4.外傷性脳損傷を患っている対象の治療及びモニタリング
音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せの結果として、軽度の外傷性脳損傷、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷などの外傷性脳損傷を有すると上記の方法において同定された又は査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)は治療される又はモニターされうる。一部の実施形態では、方法は、外傷性脳損傷を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)を、当技術分野で公知である任意の治療などの外傷性脳損傷治療を用いて治療することをさらに含む。例えば、外傷性脳損傷の治療は、頭部への損傷の重症度に応じて、様々な形態を取りうる。例えば、軽度のTBIを患っている対象では、治療は、休息、スポーツなどの身体活動を控えること、外の明るいところにいるときは光を避ける又はサングラスをかけること、頭痛又は偏頭痛を軽減するための薬、制吐薬等のうちの1つ以上を含みうる。中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを患っている患者のための治療は、1つ以上の適切な薬(例えば、利尿剤、抗痙攣薬、個人を鎮静して薬物性昏睡状態にする薬、又は他の医薬若しくは生物医薬(TBIの治療のために公知の医薬又は将来開発される医薬)などの)の投与、1つ以上の外科手術(例えば、血腫の摘出、頭蓋骨折の修復、減圧開頭術等などの)及び1つ以上の療法(例えば、1つ以上のリハビリテーション、認知行動療法、アンガーマネージメント、カウンセリング心理学等などの)を含んでよい。一部の実施形態では、方法は、外傷性脳損傷(例えば、軽度、中等度、重度、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷、又は軽度、中等度、重度、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷)を有すると査定された対象(例えば、ヒト成人対象又はヒト小児対象などのヒト対象)をモニターすることをさらに含む。一部の実施形態では、軽度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷、重度外傷性脳損傷、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷、又は軽度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷、重度外傷性脳損傷、若しくは中等度~重度の外傷性脳損傷などの外傷性脳損傷を有すると同定された対象は、CTスキャン及び/又はMRIを用いてモニターしてよい。
【0204】
5.UCH-L1のレベルを測定するための方法
上記において記載された方法において、UCH-L1レベルは、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、化学解析、SDS-PAGE及びウェスタンブロット解析、タンパク質免疫染色などの抗体依存的方法、電気泳動解析、タンパク質アッセイ、競合的結合アッセイ、機能的タンパク質アッセイ、又は、例えば、WO2018/067468、WO2018/191531、WO2018/218169及びWO2019/112860に記載される方法などの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)などのクロマトグラフィー法又は分光法などの、任意の手段により測定することができる。前記特許文献のそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込む。また、このアッセイは、当業者に公知と考えられる臨床化学フォーマットにも利用されうる。
【0205】
一部の実施形態において、UCH-L1のレベルを測定するステップは、試料を、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーと接触させるステップを含む。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、捕捉抗体であり、第2の特異的結合メンバーは、検出抗体である。一部の実施形態において、UCH-L1のレベルを測定するステップは、試料を、同時に、又は逐次的に、任意の順序において、(1)UCH-L1上又はUCH-L1断片上のエピトープに結合して捕捉抗体-UCH-L1抗原複合体(例えば、UCH-L1捕捉抗体-UCH-L1抗原複合体)を形成する捕捉抗体(例えば、UCH-L1捕捉抗体)、及び(2)検出可能な標識を含み、捕捉抗体が結合していないUCH-L1上のエピトープに結合してUCH-L1抗原-検出抗体複合体(例えば、UCH-L1抗原-UCH-L1検出抗体複合体)を形成する検出抗体(例えば、UCH-L1検出抗体)と接触させて、捕捉抗体-UCH-L1抗原-検出抗体複合体(例えば、UCH-L1捕捉抗体-UCH-L1抗原-UCH-L1検出抗体複合体)を形成すること、並びにUCH-L1の、試料中量又は試料中濃度を、捕捉抗体-UCH-L1抗原-検出抗体複合体内の検出可能な標識により発生したシグナルに基づき測定することを含む。
【0206】
一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第2の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、下記で記載されるUCH-L1抗体である。
【0207】
一部の実施形態において、試料は、希釈される、又は希釈されない。試料は、約1~約25マイクロリットル、約1~約24マイクロリットル、約1~約23マイクロリットル、約1~約22マイクロリットル、約1~約21マイクロリットル、約1~約20マイクロリットル、約1~約18マイクロリットル、約1~約17マイクロリットル、約1~約16マイクロリットル、約15マイクロリットル又は約1マイクロリットル、約2マイクロリットル、約3マイクロリットル、約4マイクロリットル、約5マイクロリットル、約6マイクロリットル、約7マイクロリットル、約8マイクロリットル、約9マイクロリットル、約10マイクロリットル、約11マイクロリットル、約12マイクロリットル、約13マイクロリットル、約14マイクロリットル、約15マイクロリットル、約16マイクロリットル、約17マイクロリットル、約18マイクロリットル、約19マイクロリットル、約20マイクロリットル、約21マイクロリットル、約22マイクロリットル、約23マイクロリットル、約24マイクロリットル又は約25マイクロリットルでありうる。一部の実施形態において、試料は、約1~約150マイクロリットル若しくはこれ未満又は約1~約25マイクロリットル若しくはこれ未満である。
【0208】
ポイントオブケアデバイス以外の、一部の測定器(例えば、Abbott Laboratories製の測定器であるARCHITECT(登録商標)、Alinity、及び他のコア検査測定器など)は、UCH-L1の、25,000pg/mL以上の試料中レベルを測定することが可能でありうる。
【0209】
他の検出法は、ナノポアデバイス又はナノウェルデバイスの使用を含む、又はこれらにおける使用に適合させられうる。ナノポアデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、国際特許公開第2016/161402号において記載されている。ナノウェルデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、国際特許公開第2016/161400号において記載されている。
【0210】
6.UCH-L1抗体
本明細書において記載された方法は、「UCH-L1抗体」と称される、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(「UCH-L1」)(又はこの断片)に特異的に結合する単離抗体を使用しうる。UCH-L1抗体は、UCH-L1状態を、外傷性脳損傷の尺度として評価する、又はUCH-L1の、試料中の存在を検出する、UCH-L1の、試料中に存在する量を定量する、若しくはUCH-L1の、試料中の存在を検出し、かつ、UCH-L1の、試料中量を定量するのに使用されうる。
【0211】
a.ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)
「ユビキチンC末端ヒドロラーゼ」としてもまた公知のユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)(「UCH-L1」)は、脱ユビキチン化酵素である。UCH-L1は、その産物が、ユビキチンの、小型のC末端付加物を加水分解して、ユビキチン単量体を発生させる遺伝子ファミリーのメンバーである。UCH-L1の発現は、ニューロン及びびまん性神経内分泌系の細胞並びにそれらの腫瘍に、高度に特異的である。UCH-L1は、全てのニューロン内に、豊富に存在し(全脳タンパク質のうちの、1~2%を占める)、とりわけ、ニューロン及び精巣/卵巣において発現する。UCH-L1の触媒三残基は、そのヒドロラーゼ活性の一因となる、90位におけるシステイン、176位におけるアスパラギン酸及び161位におけるヒスチジンを含有する。
【0212】
ヒトUCH-L1は、以下のアミノ酸配列:
【0213】
【0214】
ヒトUCH-L1は、配列番号1の断片又は変異体でありうる。UCH-L1の断片は、5~225アミノ酸の間、10~225アミノ酸の間、50~225アミノ酸の間、60~225アミノ酸の間、65~225アミノ酸の間、100~225アミノ酸の間、150~225アミノ酸の間、100~225アミノ酸の間又は175~225アミノ酸の間の長さでありうる。断片は、配列番号1に由来する、連続番号のアミノ酸を含みうる。
【0215】
b.UCH-L1認識抗体
抗体は、UCH-L1、この断片、UCH-L1のエピトープ又はこの変異体に結合する抗体である。抗体は、抗UCH-L1抗体の断片又はこの変異体若しくは誘導体でありうる。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体でありうる。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、アフィニティー成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体又はFab断片などの抗体断片又はこれらの混合物でありうる。抗体の断片又は誘導体は、F(ab’)2断片、Fv断片又はscFv断片を含みうる。抗体の誘導体は、ペプチド模倣体により作製されうる。さらに、単鎖抗体を作製するために記載されている技法は、単鎖抗体を作製するように適合させられうる。
【0216】
抗UCH-L1抗体は、キメラ抗UCH-L1又はヒト化抗UCH-L1抗体でありうる。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、一価である。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、Fc領域へと連結された、単一のFab領域を含む。
【0217】
ヒト抗体は、ファージディスプレイ技術又はヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させるトランスジェニックマウスにより導出されうる。ヒト抗体は、ヒトのインビボにおける免疫応答の結果として作出及び単離されうる。例えば、Funaroら、BMC Biotechnology、2008(8):85を参照されたい。したがって、抗体は、ヒトの産物であることが可能であり、動物レパートリーではない場合がある。抗体は、ヒト由来であるため、自己抗原に対する反応性の危険性は、最小化されうる。代替的に、標準的な酵母ディスプレイライブラリー及び酵母ディスプレイ技術は、ヒト抗UCH-L1抗体を選択及び単離するのに使用されうる。例えば、ナイーブヒト単鎖可変断片(scFv)のライブラリーは、ヒト抗UCH-L1抗体を選択するのに使用されうる。トランスジェニック動物は、ヒト抗体を発現させるのに使用されうる。
【0218】
ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体に由来する抗体分子であって、非ヒト種に由来する、1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する抗体分子でありうる。
【0219】
抗体は、それが、当技術分野において公知の抗体と異なる生物学的機能を保有するという点において、公知の抗体と識別可能である。
【0220】
(1)エピトープ
抗体は、UCH-L1(配列番号1)、この断片又はこの変異体に免疫特異的に結合しうる。抗体は、エピトープ領域内の、少なくとも3アミノ酸、少なくとも4アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも6アミノ酸、少なくとも7アミノ酸、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸又は少なくとも10アミノ酸を免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。抗体は、エピトープ領域のうちの、少なくとも3連続アミノ酸、少なくとも4連続アミノ酸、少なくとも5連続アミノ酸、少なくとも6連続アミノ酸、少なくとも7連続アミノ酸、少なくとも8連続アミノ酸、少なくとも9連続アミノ酸又は少なくとも10連続アミノ酸を有するエピトープを免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。
【0221】
c.抗体の調製/作製
抗体は、当業者に周知の技法を含む、様々な技法のうちのいずれかにより調製されうる。一般に、抗体は、従来の技法を介する、又は抗体の遺伝子、重鎖及び/若しくは軽鎖の、適切な細菌細胞宿主若しくは哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションであって、組換えでありうる抗体の作製を可能とするためのトランスフェクションを介する、モノクローナル抗体の作出を含む細胞培養法により作製されうる。「トランスフェクション」という用語の多様な形態は、外因性DNAの、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への導入のために一般に使用されている多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。抗体を、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において発現させることが可能であるが、そのような真核細胞(及び、特に、哺乳動物細胞)は、原核細胞より、アセンブルし、適正にフォールディングされ、免疫学的に活性である抗体を分泌する可能性が高いため、抗体の、真核細胞内の発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞内の発現が最も好ましい。
【0222】
組換え抗体を発現させるための、例示的な哺乳動物宿主細胞は、例えば、Kaufman及びSharp、J.Mol.Biol.、159:601~621(1982)において記載されているようにDHFR選択用マーカーと共に使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216~4220(1980)において記載されているdhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞へと導入される場合、抗体は、宿主細胞内の抗体の発現又は、より好ましくは、宿主細胞が増殖される培養培地への抗体の分泌を可能とするのに十分な時間にわたり、宿主細胞を培養することにより作製される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を使用して、培養培地から回収されうる。
【0223】
宿主細胞はまた、Fab断片又はscFv分子などの、機能的抗体断片を作製するのにも使用されうる。上記の手順に対する変動は、実施されうることが理解される。例えば、宿主細胞に、抗体の軽鎖及び/又は重鎖の機能的断片をコードするDNAをトランスフェクトすることが所望されうる。組換えDNA技術はまた、目的の抗原への結合に必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するのにも使用されうる。また、このような切断型DNA分子から発現させた分子も、抗体に包含される。加えて、1つの重鎖及び1つの軽鎖が、抗体(すなわち、ヒトUCH-L1に結合する)であり、他の重鎖及び軽鎖が、ヒトUCH-L1以外の抗原に特異的である、二官能性抗体も、抗体を、標準的な化学的架橋法を介して、第2の抗体へと架橋することにより作製されうる。
【0224】
抗体又はこの抗原結合性部分を組換え発現させるための好ましい系において、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションにより、dhfr-CHO細胞へと導入される。組換え発現ベクター内において、高レベルの遺伝子の転写を駆動するように、抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の各々が、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントへと作動的に連結される。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートによる選択/増幅を使用するベクターをトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も保有する。抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能とするように、選択された形質転換体の宿主細胞が培養され、無傷抗体が培養培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培養培地から回収するのに、標準的な分子生物学法が使用される。なおさらに、組換え抗体を合成する方法は、組換え抗体が合成されるまで、宿主細胞を、適切な培養培地中において培養することによる。方法は、組換え抗体を、培養培地から単離することをさらに含みうる。
【0225】
モノクローナル抗体を調製する方法は、所望の特異性を有する抗体を作製することが可能な不死細胞株の調製を伴う。このような細胞株は、免疫化された動物から得られた脾臓細胞から作製されうる。動物は、UCH-L1又はこの断片及び/若しくは変異体により免疫化されうる。動物を免疫化するのに使用されるペプチドは、ヒトFc、例えば、ヒト抗体のFc(fragment crystallizable)領域又はテール領域をコードするアミノ酸を含みうる。次いで、脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナーとの融合により不死化される。様々な融合法が利用されうる。例えば、脾臓細胞及び骨髄腫細胞が、非イオン性界面活性剤と、数分間にわたり組み合わされ、次いで、低密度において、ハイブリッド細胞の増殖を支援するが、骨髄腫細胞の増殖を支援しない選択培地上に播種される。このような一技法は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)選択を使用する。別の技法は、電気融合を含む。十分な時間、通例、約1~2週間の後、ハイブリッド体のコロニーが観察される。単一のコロニーが選択され、それらの培養物上清は、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高度な反応性及び特異性を有するハイブリドーマが使用されうる。
【0226】
モノクローナル抗体は、増殖するハイブリドーマコロニーの上清から単離されうる。加えて、収率を増強するように、ハイブリドーマ細胞株の、マウスなどの、適切な脊椎動物宿主の腹腔への注射などの、多様な技法が利用されうる。次いで、モノクローナル抗体は、腹水又は血液から採取されうる。夾雑物は、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿及び抽出などの、従来の技法により、抗体から除去されうる。アフィニティークロマトグラフィーは、抗体を精製する工程において使用されうる方法の例である。
【0227】
タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的にいくつかの断片に切断して、これらのうちの2つの(F(ab)断片)の各々が、無傷の抗原結合部位を含む、共有結合的ヘテロ二量体を含む断片をもたらす。酵素であるペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合性部位を含む、F(ab’)2断片を含む、いくつかの断片をもたらすことが可能である。
【0228】
Fv断片は、IgMの、優先的なタンパク質分解性切断により作製されうるが、まれな場合に、IgG免疫グロブリン分子又はIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解性切断によっても作製されうる。Fv断片は、組換え法を使用して導出されうる。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識能及び抗原結合能の大半を保持する抗原結合部位を含む、非共有結合的VH::VLヘテロ二量体を含む。
【0229】
抗体、抗体断片又は誘導体は、それぞれ、CDRに対する支持をもたらし、互いに対するCDRの空間的関係を規定する、重鎖と軽鎖のフレームワーク(「FR」)のセットの間に挿入された、重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(「CDR」)のセットを含みうる。CDRのセットは、重鎖V領域又は軽鎖V領域からなる、3つの超可変領域を含有しうる。
【0230】
必須の特異性を有する抗体を作製又は単離する、他の適する方法であって、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、Cambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire、UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg、Del.)、Biovation(Aberdeen、Scotland、UK)、BioInvent(Lund、Sweden)などの、多様な市販品の販売元から市販されている、ペプチドライブラリー又はタンパク質ライブラリー(例えば、バクテリオファージライブラリー、リボソームライブラリー、オリゴヌクレオチドライブラリー、RNAライブラリー、cDNAライブラリー、酵母ライブラリーなどのディスプレイライブラリーであるがこれらに限定されない)から組換え抗体を選択する方法を含むがこれらに限定されない方法が使用されうる。米国特許第4,704,692号;同第5,723,323号;同第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;同第5,976,862号を参照されたい。代替的な方法は、ヒト抗体のレパートリーを作製することが可能な、トランスジェニック動物の免疫化(例えば、SCIDマウス、Nguyenら(1997)、Microbiol.Immunol.、41:901~907;Sandhuら(1996)、Crit.Rev.Biotechnol.、16:95~118;Erenら(1998)、Immunol.、93:154~161)であって、当技術分野において公知であり、かつ/又は本明細書において記載された、トランスジェニック動物の免疫化に依拠する。このような技法は、リボソームディスプレイ(Hanesら(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:4937~4942;Hanesら(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:14130~14135);単一細胞による抗体作製技術(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenら(1987)J.Immunol.、17:887~892;Babcookら(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843~7848);ゲル微小液滴及びフローサイトメトリー(Powellら(1990)、Biotechnol.、8:333-337;One Cell Systems(Cambridge、Mass.);Grayら(1995)、J.Imm.Meth.、182:155~163;Kennyら(1995)、Bio/Technol.、13:787~790);B細胞の選択(Steenbakkersら(1994)、Molec.Biol.Reports、19:125~134(1994))を含むがこれらに限定されない。
【0231】
アフィニティー成熟抗体は、当技術分野において公知である、多数の手順のうちのいずれか1つにより作製されうる。例えば、Marksら、BioTechnology、10:779~783(1992)は、VHとVLとのドメインシャッフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813(1994);Schierら、Gene、169:147~155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~3319(1995);Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992)により記載されている。選択的突然変異誘発位置及び活性増強アミノ酸残基を伴う接触位置又は超変異位置における選択的突然変異については、米国特許第6,914,128B1号において記載されている。
【0232】
抗体の変異体はまた、抗体をコードするポリヌクレオチドを、トランスジェニック動物又はこのような抗体をそれらのミルク中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどの哺乳動物をもたらすのに適する宿主へと送達することを使用しても調製されうる。これらの方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号及び同第5,304,489号において記載されている。
【0233】
抗体の変異体はまた、このような抗体、指定された部分又は変異体を、植物の部分又はこれらから培養された細胞において産生する、トランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ、及びウキクサであるがこれらに限定されない)をもたらすように、ポリヌクレオチドを送達することによっても調製されうる。例えば、Cramerら(1999)、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、240:95~118及びこの文献において引用された参考文献は、例えば、誘導性プロモーターを使用する、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックのタバコ葉の産生について記載している。トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生された、又は天然の供給源から精製された哺乳動物タンパク質と同等の生物学的活性を伴う哺乳動物タンパク質を、市販品生産のレベルにおいて発現させるのに使用されている。例えば、Hoodら、Adv.Exp.Med.Biol.(1999)、464:127~147及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。抗体の変異体はまた、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物の種子であって、タバコの種子及びバレイショの塊茎を含む種子からも大量に作製されている。例えば、Conradら(1998)、Plant Mol.Biol.、38:101~109及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。したがって、抗体はまた、公知の方法に従いトランスジェニック植物を使用しても作製されうる。
【0234】
抗体の誘導体は、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を修飾する、又は結合、アフィニティー、オン速度、オフ速度、アビディティー、特異性、半減期若しくは他の任意の適切な特徴を低減、増強若しくは修飾することにより作製されうる。一般に、可変領域及び定常領域の非ヒト配列を、ヒトアミノ酸又は他のアミノ酸により置換しながら、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列のうちの一部又は全部は維持される。
【0235】
小型の抗体断片は、2つの抗原結合性部位を有するダイアボディーであって、断片が、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)へと接続された重鎖可変ドメイン(VH)(VH VL)を含む、ダイアボディーでありうる。例えば、EP404,097;WO93/11161及びHollingerら(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448を参照されたい。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。また、参照によりその全体を本明細書に組み込み、かつ、1つ以上のアミノ酸が、親抗体の超可変領域内へと挿入され、標的抗原に対する結合アフィニティーが、この抗原に対する親抗体の結合アフィニティーの少なくとも約2倍強い抗体変異体についても開示する、Chenらによる、米国特許第6,632,926号も参照されたい。
【0236】
抗体は、直鎖状抗体でありうる。当技術分野において、直鎖状抗体を作るための手順が公知であり、Zapataら(1995)、Protein Eng.、8(10):1057~1062において記載されている。略述すると、これらの抗体は、抗原結合領域の対を形成する、タンデムのFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む。直鎖状抗体は、二重特異性又は単一特異性でありうる。
【0237】
抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム沈殿又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィー又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない公知の方法により、組換え細胞培養物から回収及び精製されうる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)もまた、精製のために使用されうる。
【0238】
抗体を検出可能に標識することは、有用でありうる。抗体を、これらの薬剤へとコンジュゲートさせるための方法は、当技術分野において公知である。例示だけを目的として述べると、抗体は、放射性原子、発色団、フルオロフォアなどの検出可能部分により標識されうる。このような標識抗体は、インビボにおける、又は単離された被験試料中の診断法のために使用されうる。このような標識抗体は、サイトカイン、リガンド、別の抗体へと連結されうる。抗腫瘍効果を達成するための、抗体へのカップリングに適する薬剤は、インターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン;光力学療法における使用のための光増感剤であって、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホン酸、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む光増感剤;ヨウ素131(131I)、イットリウム90(90Y)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、テクネシウム99m(99mTc)、レニウム186(186Re)及びレニウム188(188Re)などの放射性核種;ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ダウノマイシン、ネオカルチノスタチン及びカルボプラチンなどの抗生剤;ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素A、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンA及び天然リシンA)、TGF-アルファ毒素、タイワンコブラに由来する細胞毒素(ナジャ・ナジャ・アトラ)及びゲロニン(植物毒素)などの、細菌毒素、植物毒素及び他の毒素;レストリクトシン(アスペルギルス・レストリクツスにより産生されたリボソーム不活化タンパク質)、サポリン(サポナリア・オフィキナリスに由来するリボソーム不活化タンパク質)及びRNアーゼなどの、植物、細菌及び真菌に由来する、リボソーム不活化タンパク質;チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(二フッ素化プリンヌクレオシド);抗嚢胞剤を含有するリポソーム(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキサートなど)並びに他の抗体又はF(ab)などの抗体断片を含む。
【0239】
ハイブリドーマ技術、選択リンパ球抗体法(SLAM)、トランスジェニック動物及び組換え抗体ライブラリーの使用を介する抗体の作製については、下記において、より詳細に記載される。
【0240】
(1)ハイブリドーマ技術を使用する、抗UCH-L1モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の、多種多様な技法であって、ハイブリドーマ、組換え及びファージディスプレイ技術又はこれらの組合せの使用を含む技法を使用して調製されうる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野において公知であり、例えば、Harlowら、「Antibodies:A Laboratory Manual」、2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1988);Hammerlingら、「Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas」(Elsevier、N.Y.、1981)において教示されているハイブリドーマ法を含むハイブリドーマ法を使用して作製されうる。また、本明細書において使用された「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術を介して作製された抗体に限定されないことも留意される。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物クローン、原核生物クローン又はファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体を指し、それが作製された方法を指すものではない。
【0241】
方法により作製されるモノクローナル抗体並びに抗体を作出する方法は、本開示の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養するステップを含みうるが、この場合、ハイブリドーマは、UCH-L1により免疫化された動物、例えば、ラット又はマウスから単離された脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合させ、次いで、融合体から生じるハイブリドーマを、本開示のポリペプチドに結合することが可能な抗体を分泌するハイブリドーマクローンについてスクリーニングすることにより作出されることが好ましい。略述すると、ラットは、UCH-L1抗原により免疫化されうる。好ましい実施形態において、UCH-L1抗原は、免疫応答を刺激するように、アジュバントと共に投与される。このようなアジュバントは、フロイント完全アジュバント又はフロイント不完全アジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)又はISCOM(免疫刺激性複合体)を含む。このようなアジュバントは、ポリペプチドを、局所的な沈着物内に封入することにより、急速な分散から保護しうる、又はこのようなアジュバントは、マクロファージ及び免疫系の他の構成要素に対して走化性である因子を分泌するように、宿主を刺激する物質を含有しうる。ポリペプチドが投与される場合、免疫化スケジュールは、何週間かにわたる、2回以上のポリペプチドの投与を伴うことが好ましいが、ポリペプチドの単回投与もまた、使用されうる。
【0242】
UCH-L1抗原による動物の免疫化の後、抗体及び/又は抗体産生細胞が、動物から得られうる。抗UCH-L1抗体含有血清は、動物から採血する、又は動物を屠殺することにより、動物から得られる。血清は、動物から得られたままに使用されうる、免疫グロブリン画分は、血清から得られうる、又は抗UCH-L1抗体は、血清から精製されうる。このようにして得られた血清又は免疫グロブリンは、ポリクローナルであるので、一連の異種特性を有する。
【0243】
免疫応答が検出されたら、例えば、ラット血清中において、抗原であるUCH-L1に特異的な抗体が検出されたら、ラット脾臓が摘出され、脾臓細胞が単離される。次いで、脾臓細胞が、周知の技法により、任意の適切な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、Va.、US)から市販されている細胞株である、SP20に由来する細胞へと融合させられる。ハイブリドーマが選択され、限界希釈によりクローニングされる。次いで、ハイブリドーマクローンが、当技術分野において公知の方法により、UCH-L1に結合することが可能な抗体を分泌する細胞についてアッセイされる。ラットを、陽性のハイブリドーマクローンにより免疫化することにより、一般に、高レベルの抗体を含有する腹水が作出されうる。
【0244】
別の実施形態において、抗体を産生する不死化ハイブリドーマが、免疫化された動物から調製されうる。免疫化の後、動物は、屠殺され、当技術分野において周知の通り、脾臓B細胞は、不死化された骨髄腫細胞へと融合される。例えば、Harlow及びLane、前出を参照されたい。好ましい実施形態において、骨髄腫細胞は、免疫グロブリンポリペプチドを分泌しない(非分泌性細胞株)。融合及び抗生剤による選択の後、ハイブリドーマは、UCH-L1若しくはこの部分又はUCH-L1を発現する細胞を使用してスクリーニングされる。好ましい実施形態において、初期スクリーニングは、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)又はラジオイムノアッセイ(RIA)、好ましくはELISAを使用して実施される。ELISAスクリーニングの例は、PCT公開第00/37504号において提示されている。
【0245】
抗UCH-L1抗体を産生するハイブリドーマは、ロバストなハイブリドーマの増殖、高度な抗体の産生、及び所望の抗体特徴を含む、所望の特徴について選択され、クローニングされ、さらにスクリーニングされる。ハイブリドーマは、インビボの同系動物、免疫系を欠く動物、例えば、ヌードマウスにおいて、又はインビトロの細胞培養物中において培養され、拡大されうる。ハイブリドーマを選択し、クローニングし、拡大する方法は、当業者に周知である。
【0246】
好ましい実施形態において、ハイブリドーマは、ラットハイブリドーマである。別の実施形態において、ハイブリドーマは、マウス、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ又はウマなどの、ヒト以外でラット以外の種において作製される。さらに別の好ましい実施形態において、ハイブリドーマは、ヒト非分泌性骨髄腫が、抗UCH-L1抗体を発現するヒト細胞と融合させられた、ヒトハイブリドーマである。
【0247】
特異的エピトープを認識する抗体断片は、公知の技法により作出されうる。例えば、本開示のFab断片及びF(ab’)2断片は、パパイン(2つの同一なFab断片をもたらす)又はペプシン(F(ab’)2断片をもたらす)などの酵素を使用する、免疫グロブリン分子のタンパク質分解性切断により作製されうる。IgG分子のF(ab’)2断片は、大型の(「親」)IgG分子の、2つの抗原結合性部位であって、親IgG分子の、両方の軽鎖(軽鎖可変領域及び定常領域を含有する)、重鎖のCH1ドメイン及びジスルフィド形成ヒンジ領域を含む、抗原結合性部位を保持する。したがって、F(ab’)2断片は、親IgG分子と同様に、抗原分子を架橋することが可能である。
【0248】
(2)SLAMを使用する、抗UCH-L1モノクローナル抗体
本開示の別の態様において、組換え抗体は、米国特許第5,627,052号;PCT公開第92/02551号及びBabcookら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843~7848(1996)において記載されている通り、当技術分野において、選択リンパ球抗体法(SLAM)と称される手順を使用して、単一の単離リンパ球から作出される。この方法において、ビオチンなどのリンカーを使用して、抗原であるUCH-L1、UCH-L1のサブユニット又はこの断片が、ヒツジ赤血球へとカップリングされ、UCH-L1に対する特異性を伴う抗体を分泌する単一細胞を同定するのに使用される、抗原特異的溶血プラークアッセイを使用して、目的の抗体を分泌する、単一の細胞、例えば、免疫化された動物のうちのいずれか1つに由来するリンパ球がスクリーニングされる。目的の抗体分泌細胞を同定した後、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のcDNAが、逆転写酵素PCR(RT-PCR)により、細胞からレスキューされ、次いで、これらの可変領域を、COS細胞又はCHO細胞などの、哺乳動物宿主細胞内の、適切な免疫グロブリン定常領域(例えば、ヒト定常領域)の文脈において発現させる。次いで、インビボにおいて選択されたリンパ球に由来する、増幅された免疫グロブリン配列をトランスフェクトされた宿主細胞は、例えば、UCH-L1に対する抗体を発現する細胞を単離するように、トランスフェクト細胞をパニングすることにより、インビトロにおいて、さらなる解析及び選択を経る場合がある。増幅された免疫グロブリン配列は、インビトロアフィニティー成熟法によるなど、インビトロにおいて、さらに操作されうる。例えば、PCT公開第97/29131号及びPCT公開第00/56772号を参照されたい。
【0249】
(3)トランスジェニック動物を使用する、抗UCH-L1モノクローナル抗体
本開示の別の実施形態において、抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部又は全部を含む非ヒト動物を、UCH-L1抗原により免疫化することにより作製される。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の大型断片を含み、マウス抗体の作製が欠損する操作マウス株である、XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスである。例えば、Greenら、Nature Genetics、7:13~21(1994)並びに米国特許第5,916,771号;同第5,939,598号;同第5,985,615号;同第5,998,209号;同第6,075,181号;同第6,091,001号;同第6,114,598号及び同第6,130,364号を参照されたい。また、PCT公開第91/10741号;PCT公開第94/02602号;PCT公開第96/34096号;PCT公開第96/33735号;PCT公開第98/16654号;PCT公開第98/24893号;PCT公開第98/50433号;PCT公開第99/45031号;PCT公開第99/53049号;PCT公開第00/09560号及びPCT公開第00/37504号も参照されたい。XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスは、完全ヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを産生し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を発生させる。XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスは、ヒト重鎖遺伝子座及びx軽鎖遺伝子座の、メガ塩基サイズの、生殖細胞系列構成のYAC断片を導入することにより、ヒト抗体レパートリーのうちの約80%を含有する。その開示が参照により組み込まれた、Mendezら、Nature Genetics、15:146~156(1997);Green及びJakobovits、J.Exp.Med.、188:483~495(1998)を参照されたい。
【0250】
(4)組換え抗体ライブラリーを使用する、抗UCH-L1モノクローナル抗体
インビトロ法もまた、本開示の抗体を作るのに使用されうる場合があり、この場合、所望のUCH-L1結合特異性を有する抗体を同定するのに、抗体ライブラリーがスクリーニングされる。組換え抗体ライブラリーの、このようなスクリーニングのための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、それらの各々の内容が、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第5,223,409号(Ladnerら);PCT公開第92/18619号(Kangら);PCT公開第91/17271号(Dowerら);PCT公開第92/20791号(Winterら);PCT公開第92/15679号(Marklandら);PCT公開第93/01288号(Breitlingら);PCT公開第92/01047号(McCaffertyら);PCT公開第92/09690号(Garrardら);Fuchsら、Bio/Technology、9:1369~1372(1991);Hayら、Hum.Antibod.Hybrodomas、3:81~85(1992);Huseら、Science、246:1275~1281(1989);McCaffertyら、Nature、348:552~554(1990);Griffithsら、EMBOJ.、12:725~734(1993);Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992);Clacksonら、Nature、352:624~628(1991);Gramら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:3576~3580(1992);Garrardら、Bio/Technology、9:1373~1377(1991);Hoogenboomら、Nucl.Acids Res.、19:4133~4137(1991);Barbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:7978~7982(1991);米国特許出願公開第2003/0186374号及びPCT公開第97/29131号、において記載されている方法を含む。
【0251】
組換え抗体ライブラリーは、UCH-L1又はUCH-L1の部分により免疫化された対象に由来しうる。代替的に、組換え抗体ライブラリーは、ヒトUCH-L1により免疫化されていないヒト対象に由来する、ヒト抗体ライブラリーなどの、ナイーブ対象、すなわち、UCH-L1により免疫化されていない対象に由来しうる。本開示の抗体は、ヒトUCH-L1を含むペプチドを伴う組換え抗体ライブラリーをスクリーニングして、これにより、UCH-L1を認識する抗体を選択することにより選択される。このようなスクリーニング及び選択を行うための方法は、前出の段落内の参考文献において記載されている方法など、当技術分野において周知である。UCH-L1に対して、特定の結合アフィニティーを有する本開示の抗体であって、ヒトUCH-L1から、特定のKoff速度定数により解離する抗体のような本開示の抗体を選択するために、所望のKoff速度定数を有する抗体を選択するように、当技術分野において公知の表面プラズモン共鳴法が使用されうる。hUCH-L1に対する、特定の中和活性を有する本開示の抗体であって、特定のIC50を伴う抗体などの本開示の抗体を選択するために、UCH-L1活性の阻害を評価するための、当技術分野において公知の標準的方法が使用されうる。
【0252】
一態様において、本開示は、ヒトUCH-L1に結合する、単離抗体又はこの抗原結合性部分に関する。好ましくは、抗体は、中和抗体である。多様な実施形態において、抗体は、組換え抗体又はモノクローナル抗体である。
【0253】
例えば、抗体はまた、当技術分野において公知である、多様なファージディスプレイ法を使用しても作出されうる。ファージディスプレイ法において、機能的な抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面に提示される。このようなファージは、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウスの)から発現させた抗原結合性ドメインを提示するのに用いられうる。目的の抗原に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージは、抗原により、例えば、標識抗原又は固体表面若しくはビーズに結合された、若しくはこれらへと捕捉された抗原を使用して選択又は同定されうる。これらの方法において使用されたファージは典型的に、ファージから発現させたfd結合性ドメイン及びM13結合性ドメインを、組換えにより、ファージ遺伝子IIIタンパク質又はファージ遺伝子VIIIタンパク質へと融合させた、Fab抗体ドメイン、Fv抗体ドメイン又はジスルフィド安定化Fv抗体ドメインと共に含む、繊維状ファージである。抗体を作るのに使用されうるファージディスプレイ法の例は、Brinkmannら、J.Immunol.Methods、182:41~50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods、184:177~186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.、24:952~958(1994);Persicら、Gene、187:9~18(1997);Burtonら、Advances in Immunology、57:191~280(1994);PCT公開第92/01047号;PCT公開第90/02809号;PCT公開第91/10737号;PCT公開第92/01047号;PCT公開第92/18619号;PCT公開第93/11236号;PCT公開第95/15982号;PCT公開第95/20401号及び米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号及び同第5,969,108号において開示されているファージディスプレイ法を含む。
【0254】
上記の参考文献において記載された通り、ファージ選択の後、ファージに由来する抗体のコード領域は、単離され、ヒト抗体を含む全抗体又は他の任意の所望の抗原結合性断片を作出するのに使用され、例えば、下記において詳細に記載される通り、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む、任意の所望の宿主内において発現させうる。PCT公開第92/22324号;Mullinaxら、BioTechniques、12(6):864~869(1992);Sawaiら、Am.J.Reprod.Immunol.、34:26~34(1995)及びBetterら、Science、240:1041~1043(1988)において開示されている方法などの、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、Fab断片、Fab’断片及びF(ab’)2断片を組換えにより作製する技法もまた利用されうる。単鎖Fv抗体を作製するのに使用されうる技法の例は、米国特許第4,946,778号及び同第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology、203:46~88(1991);Shuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7995~7999(1993)及びSkerraら、Science、240:1038~1041(1988)において記載されている技法を含む。
【0255】
ファージディスプレイによる組換え抗体ライブラリーのスクリーニングに対する代替法である、大型のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするための、当技術分野において公知である、他の方法も、本開示の抗体の同定へと適用されうる。代替的発現系の1つの種類は、組換え抗体ライブラリーをRNA-タンパク質融合体として発現させた発現系であって、PCT公開第98/31700号(Szostak及びRoberts)並びにRoberts及びSzostak、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:12297~12302(1997)において記載されている発現系である。3’末端において、ペプチジルアクセプター抗生剤であるピューロマイシンを保有する、合成mRNAのインビトロ翻訳により、この系の、mRNAと、mRNAがコードする、ペプチド又はタンパク質との間において、共有結合的融合が創出される。したがって、特異的mRNAは、抗体又はこの部分の、二重特異性抗原への結合などの、コードされたペプチド又はタンパク質、例えば、抗体又はこの部分の特性に基づき、mRNAの複合体混合物(例えば、コンビナトリアルライブラリー)から濃縮されうる。このようなライブラリーのスクリーニングから回収された、抗体又はこの部分をコードする核酸配列は、上記された(例えば、哺乳動物の宿主細胞内の)組換え手段により発現され、さらに、突然変異が、当初選択された配列へと導入された、mRNA-ペプチド融合体のスクリーニングのさらなるラウンドにより、又は上記された、インビトロにおける、組換え抗体のアフィニティー成熟のための他の方法により、さらなるアフィニティー成熟にかけられうる。この方法論の好ましい例は、PROfusionディスプレイ技術である。
【0256】
別の手法において、抗体はまた、当技術分野において公知の酵母ディスプレイ法を使用しても作出されうる。酵母ディスプレイ法において、抗体ドメインを、酵母細胞壁へとテザリングし、それらを、酵母の表面上に提示するのに、遺伝子法が使用される。特に、このような酵母は、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウスの)から発現させた抗原結合性ドメインを提示するのに用いられうる。抗体を作るのに使用されうる、酵母ディスプレイ法の例は、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第6,699,658号(Wittrupら)において開示された酵母ディスプレイ法を含む。
【0257】
d.組換えUCH-L1抗体の作製
抗体は、当技術分野において公知である、多数の技法のうちのいずれかにより作製されうる。例えば、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターが、標準的技法により、宿主細胞へとトランスフェクトされた、宿主細胞からの発現である。「トランスフェクション」という用語の多様な形態は、外因性DNAの、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への導入のために一般に使用されている、多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。本開示の抗体を原核宿主細胞又は真核宿主細胞において発現させることが可能であるが、そのような真核細胞(そして、特に、哺乳動物の細胞)は、原核細胞より、アセンブルし、適正にフォールディングさせられ、免疫学的に活性である抗体を分泌する可能性が高いため、抗体の、真核細胞内の発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞内の発現が最も好ましい。
【0258】
本開示の組換え抗体を発現させるための、例示的な哺乳動物宿主細胞は、例えば、Kaufman及びSharp、J.Mol.Biol.、159:601~621(1982)において記載されているようにDHFR選択用マーカーと共に使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216~4220(1980))において記載されている、dhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞へと導入される場合、抗体は、宿主細胞内の抗体の発現又は、より好ましくは、宿主細胞が増殖される培養培地への抗体の分泌を可能とするのに十分な時間にわたり、宿主細胞を培養することにより作製される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を使用して、培養培地から回収されうる。
【0259】
宿主細胞はまた、Fab断片又はscFv分子などの、機能的抗体断片を作製するのにも使用されうる。上記の手順に対する変形が実施されうることが、理解される。例えば、宿主細胞に、本開示の抗体の軽鎖及び/又は重鎖の機能的断片をコードするDNAをトランスフェクトすることが所望されうる。組換えDNA技術はまた、目的の抗原への結合に必要でない軽鎖と重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するのにも使用されうる。また、このような切断型DNA分子から発現させた分子も、本開示の抗体に包含される。加えて、1つの重鎖及び1つの軽鎖が、本開示の抗体(すなわち、ヒトUCH-L1に結合する抗体)であり、他の重鎖及び軽鎖が、ヒトUCH-L1以外の抗原に特異的である、二官能性抗体も、本開示の抗体を、標準的な化学的架橋法を介して、第2の抗体へと架橋することにより作製されうる。二官能性抗体はまた、二官能性抗体をコードするように操作された核酸を発現させることによっても作製されうる。
【0260】
本開示の抗体又はこの抗原結合性部分を組換え発現させるための好ましい系において、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションにより、dhfr-CHO細胞へと導入される。組換え発現ベクター内において、高レベルの遺伝子の転写を駆動するように、抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の各々が、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントへと作動的に連結される。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートによる選択/増幅を使用するベクターをトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も保有する。抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能とし、無傷抗体が培養培地から回収されるように、選択された形質転換体の宿主細胞が培養される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培養培地から回収するのに、標準的な分子生物学法が使用される。なおさらに、本発明は、本開示の組換え抗体が合成されるまで、本開示の宿主細胞を適切な培養培地中において培養することにより、本開示の組換え抗体を合成する方法を提供する。方法は、組換え抗体を、培養培地から単離するステップをさらに含みうる。
【0261】
(1)ヒト化抗体
ヒト化抗体は、目的の抗原に免疫特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又はこの変異体、誘導体、類似体若しくは部分でありうる。ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体であって、非ヒト種に由来する、1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する非ヒト種抗体に由来しうる。
【0262】
本明細書において使用された、CDRの文脈における「実質的に」という用語は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一なアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つであるが、典型的に2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)であって、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である可変ドメインの実質的に全てを含む。一態様に従い、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖、及び重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有する。抗体はまた、重鎖の、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域及びCH4領域も含みうる。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖だけを含有する。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖だけを含有する。具体的な実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖及び/又は重鎖のヒト化可変ドメインだけを含有する。
【0263】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス、並びに、限定なしに述べると、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、任意のアイソタイプから選択されうる。ヒト化抗体は、1つを超えるクラス又はアイソタイプに由来する配列を含むことが可能であり、特定の定常ドメインは、当技術分野において周知の技法を使用して、所望のエフェクター機能を最適化するように選択されうる。
【0264】
ヒト化抗体のフレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要がない、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、この部位におけるCDR残基又はフレームワーク残基が、ドナー抗体又はコンセンサスフレームワークに対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失により突然変異誘発されうる。しかし、一実施形態において、このような突然変異は、広範にわたる突然変異ではない。通例、ヒト化抗体残基のうちの、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%は、親のFR配列及びCDR配列の残基に対応する。本明細書において使用された「コンセンサスフレームワーク」という用語は、コンセンサスの免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。本明細書において使用された「コンセンサスの免疫グロブリン配列」という用語は、類縁の免疫グロブリン配列のファミリーにおいて、最も高頻度で発生するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成された配列(例えば、Winnaker、「From Genes to Clones」(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany、1987)を参照されたい)を指す。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列内の各位置は、ファミリー内のこの位置において、最も高頻度で発生するアミノ酸により占有されている。2つのアミノ酸が、同等に高頻度で発生する場合、いずれもが、コンセンサス配列内に含まれうる。
【0265】
ヒト化抗体は、ヒトレシピエントにおける、これらの部分の治療適用の持続時間及び有効性を制限する、抗ヒト齧歯動物抗体に対する、望ましくない免疫学的応答を最小化するようにデザインされうる。ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から、それへと導入された、1つ以上のアミノ酸残基を有しうる。これらの非ヒト残基は、典型的に、可変ドメインから採取される、「インポート」残基と称されることが多い。ヒト化は、超可変領域配列を、ヒト抗体の対応する配列で置換することにより実施されうる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、実質的に無傷に満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種に由来する、対応する配列により置換されたキメラ抗体である。例えば、その内容が、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第4,816,567号を参照されたい。ヒト化抗体は、一部の超可変領域残基と、おそらく、一部のFR残基とが、齧歯動物抗体内の相似部位に由来する残基により置換されたヒト抗体でありうる。本開示の抗体のヒト化又は操作は、米国特許第5,723,323号;同第5,976,862号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,766,886号;同第5,714,352号;同第6,204,023号;同第6,180,370号;同第5,693,762号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,225,539号及び同第4,816,567号において記載されている方法などであるがこれらに限定されない、任意の公知の方法を使用して実施されうる。
【0266】
ヒト化抗体は、UCH-L1に対する高アフィニティー及び他の好適な生物学的特性を保持しうる。ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列についての三次元モデルを使用して、親配列及び多様な概念的ヒト化産物を解析する工程により調製されうる。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能である。選択された候補免疫グロブリン配列の、可能な三次元コンフォメーション構造を例示及び提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検討は、残基の、候補免疫グロブリン配列の機能における、鍵となる役割についての解析、すなわち、候補免疫グロブリンが、その抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基についての解析を可能とする。このようにして、UCH-L1に対するアフィニティーの上昇などの、所望の抗体特徴が、達成されるように、FR残基が、レシピエント及びインポート配列から選択され、組み合わされうる。一般に、超可変領域残基は、直接、かつ、最も実質的に、抗原結合への影響に関与しうる。
【0267】
ヒト化に対する代替法として、ヒト抗体(本明細書において、「完全ヒト抗体」ともまた言及された)が作出されうる。例えば、PROfusion及び/又は酵母関連技術を介して、ヒト抗体を、ライブラリーから単離することが可能である。また、トランスジェニック動物(例えば、免疫化すると、内因性の免疫グロブリン産生の非存在下において、ヒト抗体の完全レパートリーを作製することが可能なマウス)を作製することも可能である。例えば、キメラマウス及び生殖細胞系列突然変異体マウスにおける、抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性の欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害を結果としてもたらす。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子アレイの、このような生殖細胞系列突然変異体マウスへの移入は、抗原投与時における、ヒト抗体の産生を結果としてもたらす。ヒト化抗体又は完全ヒト抗体は、それらの各々の内容が、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第5,770,429号;同第5,833,985号;同第5,837,243号;同第5,922,845号;同第6,017,517号;同第6,096,311号;同第6,111,166号;同第6,270,765号;同第6,303,755号;同第6,365,116号;同第6,410,690号;同第6,682,928号及び同第6,984,720号において記載されている方法に従い調製されうる。
【0268】
e.抗UCH-L1抗体
抗UCH-L1抗体は、上記の技法を使用して並びに当技術分野で公知のルーチンな技法を使用して作製しうる。一部の実施形態において、抗UCH-L1抗体は、United State Biological(型番:031320)、Cell Signaling Technology(型番:3524)、Sigma-Aldrich(型番:HPA005993)、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(型番:sc-58593又はsc-58594)、R&D Systems(型番:MAB6007)、Novus Biologicals(型番:NB600-1160)、Biorbyt(型番:orb33715)、Enzo Life Sciences,Inc.(型番:ADI-905-520-1)、Bio-Rad(型番:VMA00004)、BioVision(型番:6130-50)、Abcam(型番:ab75275又はab104938)、Invitrogen Antibodies(型番:480012)、ThermoFisher Scientific(型番:MA1-46079、MA5-17235、MA1-90008、又はMA1-83428)、EMD Millipore(型番:MABN48)又はSino Biological Inc.(型番:50690-R011)から市販されているUCH-L1抗体などの非コンジュゲートUCH-L1抗体でありうる。抗UCH-L1抗体は、BioVision(型番:6960-25)又はAviva Systems Biology(型番:OAAF01904-FITC)から市販されている、コンジュゲートUCH-L1抗体のように、フルオロフォアへとコンジュゲートされうる。
【0269】
7.GFAPのレベルを測定するための方法
上記において記載された方法において、GFAPレベルは、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、化学解析、SDS-PAGE及びウェスタンブロット解析、若しくはタンパク質免疫染色などの抗体依存的方法、電気泳動解析、タンパク質アッセイ、競合的結合アッセイ、機能的タンパク質アッセイ、又は、例えば、WO2018/067474、WO2018/191531、WO2018/218169及びWO2019/112860に記載される方法などの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)などのクロマトグラフィー法又は分光法などの、任意の手段により測定することができる。前記特許文献のそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込む。また、このアッセイは、当業者に公知と考えられる臨床化学フォーマットにも利用できる。
【0270】
一部の実施形態において、GFAPのレベルを測定するステップは、試料を、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーと接触させるステップを含む。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは捕捉抗体であり、第2の特異的結合メンバーは検出抗体である。一部の実施形態において、GFAPのレベルを測定するステップは、試料を、同時に、又は逐次的に、任意の順序において、(1)GFAP上又はGFAP断片上のエピトープに結合して、捕捉抗体-GFAP抗原複合体(例えば、GFAP捕捉抗体-GFAP抗原複合体)を形成する捕捉抗体(例えば、GFAP捕捉抗体)、及び(2)検出可能な標識を含み、捕捉抗体が結合していないGFAP上のエピトープに結合して、GFAP抗原-検出抗体複合体(例えば、GFAP抗原-GFAP検出抗体複合体)を形成する検出抗体(例えば、GFAP検出抗体)と接触させて、捕捉抗体-GFAP抗原-検出抗体複合体(例えば、GFAP捕捉抗体-GFAP抗原-GFAP検出抗体複合体)を形成すること、並びにGFAPの、試料中量又は試料中濃度を、捕捉抗体-GFAP抗原-検出抗体複合体内の検出可能な標識により発生したシグナルに基づき測定することを含む。
【0271】
一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第2の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、下記において記載されるGFAP抗体である。
【0272】
一部の実施形態において、試料は、希釈される、又は希釈されない。試料は、約1~約25マイクロリットル、約1~約24マイクロリットル、約1~約23マイクロリットル、約1~約22マイクロリットル、約1~約21マイクロリットル、約1~約20マイクロリットル、約1~約18マイクロリットル、約1~約17マイクロリットル、約1~約16マイクロリットル、約15マイクロリットル又は約1マイクロリットル、約2マイクロリットル、約3マイクロリットル、約4マイクロリットル、約5マイクロリットル、約6マイクロリットル、約7マイクロリットル、約8マイクロリットル、約9マイクロリットル、約10マイクロリットル、約11マイクロリットル、約12マイクロリットル、約13マイクロリットル、約14マイクロリットル、約15マイクロリットル、約16マイクロリットル、約17マイクロリットル、約18マイクロリットル、約19マイクロリットル、約20マイクロリットル、約21マイクロリットル、約22マイクロリットル、約23マイクロリットル、約24マイクロリットル又は約25マイクロリットルでありうる。一部の実施形態において、試料は、約1~約150マイクロリットル若しくはこれ未満又は約1~約25マイクロリットル若しくはこれ未満である。
【0273】
ポイントオブケアデバイス以外の、一部の測定器(例えば、Abbott Laboratories製の測定器であるARCHITECT(登録商標)、Alinity及び他のコア検査測定器などの)は、GFAPの、25,000pg/mLよりも大きな試料中レベルを測定することが可能でありうる。
【0274】
他の検出法は、ナノポアデバイス又はナノウェルデバイスの使用を含む、又はこれらにおける使用に適合させることができる。ナノポアデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、国際特許公開第2016/161402号において記載されている。ナノウェルデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、国際特許公開第2016/161400号において記載されている。
【0275】
8.GFAP抗体
本明細書において記載された方法は、「GFAP抗体」と称される、グリア細胞線維性酸性タンパク質(「GFAP」)(又はこの断片)に特異的に結合する単離抗体を使用しうる。GFAP抗体は、GFAP状態を、外傷性脳損傷の尺度として評価する、GFAPの、試料中の存在を検出する、GFAPの、試料中に存在する量を定量する、又はGFAPの、試料中の存在を検出し、かつ、GFAPの、試料中量を定量するのに使用されうる。
【0276】
a.グリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)
グリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)とは、星状細胞内の細胞骨格の部分を構成し、星状細胞由来の細胞についての、最も特異的マーカーであることが実証されている、50kDaの細胞質内線維性タンパク質である。GFAPタンパク質は、ヒトにおいて、GFAP遺伝子によりコードされる。GFAPとは、成熟星状細胞の、主要な中間体線維である。分子中央のロッドドメインにおいて、GFAPは、他の中間体線維との、大きな構造的相同性を共有する。GFAPは、星状細胞突起へと、構造的安定性をもたらすことにより、星状細胞の運動性及び形状に関与する。グリア細胞線維性酸性タンパク質及びその分解産物(GFAP-BDP)とは、外傷性脳損傷(TBI)後において、病態生理学的応答の一部として、血液へと放出された脳特異的タンパク質である。外傷、遺伝障害又は化学物質により引き起こされたヒトCNSへの損傷に続き、星状細胞は、増殖し、細胞体及び細胞突起の、多大な肥大を示し、GFAPは、顕著に上方調節される。これに対し、星状細胞の悪性腫瘍が増大すると、進行性の、GFAP産生の喪失が見られる。GFAPはまた、シュワン細胞、消化管グリア細胞、唾液腺新生物、転移性腎癌、喉頭蓋軟骨、下垂体細胞、未成熟希突起膠細胞、乳頭状髄膜腫及び乳腺の筋上皮細胞においても検出されうる。
【0277】
ヒトGFAPは以下のアミノ酸配列を有しうる。
【0278】
【0279】
ヒトGFAPは、配列番号2の断片又は変異体でありうる。GFAPの断片は、5~400アミノ酸の間、10~400アミノ酸の間、50~400アミノ酸の間、60~400アミノ酸の間、65~400アミノ酸の間、100~400アミノ酸の間、150~400アミノ酸の間、100~300アミノ酸の間又は200~300アミノ酸の間の長さでありうる。断片は、配列番号2に由来する、連続番号のアミノ酸を含みうる。配列番号2の、ヒトGFAPの断片又は変異体は、GFAP分解産物(BDP)でありうる。GFAP BDPは、38kDa、42kDa(薄いバンド:41kDa)、47kDa(薄いバンド:45kDa);25kDa(薄いバンド:23kDa);19kDa又は20kDaでありうる。
【0280】
b.GFAP認識抗体
抗体は、GFAP、この断片、GFAPのエピトープ又はこの変異体に結合する抗体である。抗体は、抗GFAP抗体の断片又はこの変異体若しくは誘導体でありうる。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体でありうる。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、アフィニティー成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体又はFab断片などの抗体断片又はこれらの混合物でありうる。抗体の断片又は誘導体は、F(ab’)2断片、Fv断片又はscFv断片を含みうる。抗体の誘導体は、ペプチド模倣体により作製されうる。さらに、単鎖抗体を作製するために記載されている技法は、単鎖抗体を作製するように適合させられうる。
【0281】
抗GFAP抗体は、キメラ抗GFAP又はヒト化抗GFAP抗体でありうる。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、一価である。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、Fc領域へと連結された、単一のFab領域を含む。
【0282】
ヒト抗体は、ファージディスプレイ技術又はヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスから導出されうる。ヒト抗体は、ヒトのインビボにおける免疫応答の結果として作出及び単離されうる。例えば、Funaroら、BMC Biotechnology、2008(8):85を参照されたい。したがって、抗体は、ヒトの産物であることが可能であり、動物レパートリーではない場合がある。抗体は、ヒト由来であるため、自己抗原に対する反応性の危険性は、最小化されうる。代替的に、標準的な酵母ディスプレイライブラリー及び酵母ディスプレイ技術は、ヒト抗GFAP抗体を選択及び単離するのに使用されうる。例えば、ナイーブヒト単鎖可変断片(scFv)のライブラリーは、ヒト抗GFAP抗体を選択するのに使用されうる。トランスジェニック動物は、ヒト抗体を発現させるのに使用されうる。
【0283】
ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体に由来する抗体分子であって、非ヒト種に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する抗体分子でありうる。
【0284】
抗体は、それが、当技術分野において公知の抗体と異なる生物学的機能を保有するという点において、公知の抗体と識別可能である。
【0285】
(1)エピトープ
抗体は、GFAP(配列番号2)、この断片又はこの変異体に免疫特異的に結合しうる。抗体は、エピトープ領域内の、少なくとも3アミノ酸、少なくとも4アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも6アミノ酸、少なくとも7アミノ酸、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸又は少なくとも10アミノ酸を免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。抗体は、エピトープ領域のうちの、少なくとも3連続アミノ酸、少なくとも4連続アミノ酸、少なくとも5連続アミノ酸、少なくとも6連続アミノ酸、少なくとも7連続アミノ酸、少なくとも8連続アミノ酸、少なくとも9連続アミノ酸又は少なくとも10連続アミノ酸を有するエピトープを免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。
【0286】
c.抗体の調製/作製
抗体は、当業者に周知の技法を含む、様々な技法のうちのいずれかにより調製されうる。一般に、抗体は、従来の技法を介する、又は抗体の遺伝子、重鎖及び/若しくは軽鎖の、適切な細菌細胞宿主若しくは哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションであって、組換えでありうる抗体の作製を可能とするためのトランスフェクションを介する、モノクローナル抗体の作出を含む細胞培養法により作製されうる。「トランスフェクション」という用語の多様な形態は、外因性DNAの、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への導入のために一般に使用されている、多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。抗体を、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において発現させることが可能であるが、そのような真核細胞(そして、特に、哺乳動物の細胞)は、原核細胞より、アセンブルし、適正にフォールディングされ、免疫学的に活性である抗体を分泌する可能性が高いため、抗体の、真核細胞内の発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞内の発現が最も好ましい。
【0287】
組換え抗体を発現させるための、例示的な哺乳動物宿主細胞は、例えば、Kaufman及びSharp、J.Mol.Biol.、159:601~621(1982)において記載されているようにDHFR選択用マーカーと共に使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216~4220(1980)において記載されているdhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞へと導入される場合、抗体は、宿主細胞内の抗体の発現又は、より好ましくは、宿主細胞が増殖される培養培地への抗体の分泌を可能とするのに十分な時間にわたり、宿主細胞を培養することにより作製される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を使用して、培養培地から回収できる。
【0288】
宿主細胞はまた、Fab断片又はscFv分子などの、機能的抗体断片を作製するのにも使用されうる。上記の手順に対する変形が実施されうることが、理解される。例えば、宿主細胞に、抗体の軽鎖及び/又は重鎖の機能的断片をコードするDNAをトランスフェクトすることが所望されうる。組換えDNA技術はまた、目的の抗原への結合に必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するのにも使用されうる。また、このような切断型DNA分子から発現させた分子も、抗体に包含される。加えて、1つの重鎖及び1つの軽鎖が抗体(すなわち、ヒトGFAPに結合する)であり、もう一方の重鎖及び軽鎖がヒトGFAP以外の抗原に特異的である二機能性抗体は、抗体を、標準的な化学的架橋法を介して、第2の抗体へと架橋することにより作製されうる。
【0289】
抗体又はこの抗原結合性部分を組換え発現させるための好ましい系において、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションにより、dhfr-CHO細胞へと導入される。組換え発現ベクター内において、高レベルの遺伝子の転写を駆動するように、抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の各々が、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントへと作動的に連結される。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートによる選択/増幅を使用するベクターをトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も保有する。抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能とするように、選択された形質転換体の宿主細胞が培養され、無傷抗体が培養培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培養培地から回収するのに、標準的な分子生物学法が使用される。なおさらに、組換え抗体を合成する方法は、組換え抗体が合成されるまで、宿主細胞を、適切な培養培地中において培養することによる。方法は、組換え抗体を、培養培地から単離するステップをさらに含みうる。
【0290】
モノクローナル抗体を調製する方法は、所望の特異性を有する抗体を産生することが可能な不死細胞株の調製を含む。そのような細胞株は、免疫化された動物から得られた脾臓細胞から作製されうる。動物は、GFAP又はこの断片及び/若しくは変異体により免疫化されうる。動物を免疫化するのに使用されるペプチドは、ヒトFc、例えば、ヒト抗体の断片結晶化可能(fragment crystallizable)領域又はテール領域をコードするアミノ酸を含みうる。次いで、脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナーとの融合により不死化されうる。様々な融合法が利用されうる。例えば、脾臓細胞及び骨髄腫細胞が、非イオン性界面活性剤と、数分間にわたり組み合わされ、次いで、ハイブリッド細胞の増殖を支援するが、骨髄腫細胞の増殖を支援しない選択培地上に低密度で播種されうる。このような一技法は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)選択を使用する。別の技法は、電気融合を含む。十分な時間、通例、約1~2週間の後、ハイブリッド体のコロニーが観察される。単一のコロニーが選択され、それらの培養物上清は、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高度な反応性及び特異性を有するハイブリドーマが使用されうる。
【0291】
モノクローナル抗体は、増殖するハイブリドーマコロニーの上清から単離されうる。加えて、収率を増強するように、ハイブリドーマ細胞株の、マウスなどの適切な脊椎動物宿主の腹腔への注射などの、多様な技法が利用されうる。次いで、モノクローナル抗体は、腹水又は血液から採取されうる。夾雑物は、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿及び抽出などの、従来の技法により、抗体から除去されうる。アフィニティークロマトグラフィーは、抗体を精製する工程において使用できる方法の例である。
【0292】
タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的にいくつかの断片に切断して、これらのうちの2つ(F(ab)断片)の各々が、無傷の抗原結合部位を含む共有結合的ヘテロ二量体を含む断片をもたらす。酵素であるペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合性部位を含む、F(ab’)2断片を含む、いくつかの断片をもたらすことが可能である。
【0293】
Fv断片は、IgMの、優先的なタンパク質分解性切断により作製されうるが、まれな場合に、IgG免疫グロブリン分子又はIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解性切断によっても作製されうる。Fv断片は、組換え法を使用して導出されうる。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識能及び抗原結合能の大半を保持する抗原結合部位を含む、非共有結合的VH::VLヘテロ二量体を含む。
【0294】
抗体、抗体断片又は誘導体は、それぞれ、CDRに対する支持をもたらし、CDRの、互いに対する空間的関係を規定する、重鎖及び軽鎖のフレームワーク(「FR」)のセットの間に挿入された、重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(「CDR」)のセットを含みうる。CDRのセットは、重鎖V領域又は軽鎖V領域からなる、3つの超可変領域を含有しうる。
【0295】
必須の特異性を有する抗体を作製又は単離する他の適する方法であって、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、Cambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire、UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg、Del.)、Biovation(Aberdeen、Scotland、UK)、BioInvent(Lund、Sweden)などの、多様な市販品の販売元から市販されている、ペプチドライブラリー又はタンパク質ライブラリー(例えば、バクテリオファージライブラリー、リボソームライブラリー、オリゴヌクレオチドライブラリー、RNAライブラリー、cDNAライブラリー、酵母ライブラリーなどのディスプレイライブラリーであるがこれらに限定されない)から組換え抗体を選択する方法を含むがこれらに限定されない方法が使用可能である。米国特許第4,704,692号;同第5,723,323号;同第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;同第5,976,862号を参照されたい。代替的な方法は、ヒト抗体のレパートリーを作製することが可能な、トランスジェニック動物の免疫化(例えば、SCIDマウス、Nguyenら(1997)、Microbiol.Immunol.、41:901~907;Sandhuら(1996)、Crit.Rev.Biotechnol.、16:95~118;Erenら(1998)、Immunol.、93:154~161)であって、当技術分野において公知であり、かつ/又は本明細書において記載された、トランスジェニック動物の免疫化に依拠する。このような技法は、リボソームディスプレイ(Hanesら(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:4937~4942;Hanesら(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:14130~14135);単一細胞による抗体作製技術(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenら(1987)J.Immunol.、17:887~892;Babcookら(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843~7848);ゲル微小液滴及びフローサイトメトリー(Powellら(1990)、Biotechnol.、8:333~337;One Cell Systems(Cambridge、Mass);Grayら(1995)、J.Imm.Meth.、182:155~163;Kennyら(1995)、Bio/Technol.、13:787~790);B細胞の選択(Steenbakkersら(1994)、Molec.Biol.Reports、19:125~134(1994))を含むがこれらに限定されない。
【0296】
アフィニティー成熟抗体は、当技術分野において公知である、多数の手順のうちのいずれか1つにより作製されうる。例えば、Marksら、BioTechnology、10:779~783(1992)は、VHとVLとのドメインシャッフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813(1994);Schierら、Gene、169:147~155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~3319(1995);Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992)により記載されている。選択的突然変異誘発位置及び活性増強アミノ酸残基を伴う接触位置又は超変異位置における選択的突然変異については、米国特許第6,914,128号明細書において記載されている。
【0297】
抗体の変異体はまた、抗体をコードするポリヌクレオチドを、トランスジェニック動物又はこのような抗体をそれらのミルク中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどの哺乳動物をもたらすのに適する宿主へと送達することを使用しても調製することができる。これらの方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号及び同第5,304,489号において記載されている。
【0298】
抗体の変異体はまた、このような抗体、指定された部分又は変異体を、植物の部分又はこれらから培養された細胞において産生する、トランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ、及びウキクサであるがこれらに限定されない)をもたらすように、ポリヌクレオチドを送達することによっても調製することができる。例えば、Cramerら(1999)、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、240:95~118及びこの文献において引用された参考文献は、例えば、誘導性プロモーターを使用する、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックのタバコ葉の産生について記載している。トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生された、又は天然の供給源から精製された哺乳動物タンパク質と同等の生物学的活性を伴う哺乳動物タンパク質を、市販品生産のレベルにおいて発現させるのに使用されている。例えば、Hoodら、Adv.Exp.Med.Biol.(1999)、464:127~147及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。抗体の変異体はまた、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物の種子であって、タバコの種子及びバレイショの塊茎を含む種子からも大量に作製されている。例えば、Conradら(1998)、Plant Mol.Biol.、38:101~109及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。したがって、抗体はまた、公知の方法に従いトランスジェニック植物を使用しても作製することができる。
【0299】
抗体の誘導体は、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を修飾する、又は結合、アフィニティー、オン速度、オフ速度、アビディティー、特異性、半減期若しくは他の任意の適切な特徴を低減、増強若しくは修飾することにより作製することができる。一般に、可変領域及び定常領域の非ヒト配列を、ヒトアミノ酸又は他のアミノ酸により置換しながら、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列のうちの一部又は全部は維持される。
【0300】
小型の抗体断片は、2つの抗原結合性部位を有するダイアボディーであって、断片が、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)へと接続された重鎖可変ドメイン(VH)(VH VL)を含む、ダイアボディーでありうる。例えば、EP404,097;WO93/1161及びHollingerら(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448を参照されたい。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。また、参照によりその全体において本明細書に組み込まれ、かつ、1つ以上のアミノ酸が、親抗体の超可変領域内へと挿入され、標的抗原に対する結合アフィニティーが、この抗原に対する親抗体の結合アフィニティーの少なくとも約2倍強い抗体変異体についても開示する、Chenらによる、米国特許第6,632,926号も参照されたい。
【0301】
抗体は、直鎖状抗体でありうる。当技術分野において、直鎖状抗体を作るための手順が公知であり、Zapataら(1995)、Protein Eng.、8(10):1057~1062において記載されている。略述すると、これらの抗体は、抗原結合領域の対を形成するタンデムのFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む。直鎖状抗体は、二重特異性又は単一特異性が可能である。
【0302】
抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム沈殿又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィー又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない、公知の方法により、組換え細胞培養物から回収及び精製されうる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)もまた、精製のために使用されうる。
【0303】
抗体を検出可能に標識することは、有用でありうる。抗体を、これらの薬剤へとコンジュゲートさせるための方法は、当技術分野において公知である。例示だけを目的として述べると、抗体は、放射性原子、発色団、フルオロフォア又は同類のものなどの検出可能部分により標識されうる。このような標識抗体は、インビボにおける、又は単離された被験試料中の診断法のために使用されうる。このような標識抗体は、サイトカインに、リガンドに、別の抗体に連結することができる。抗腫瘍効果を達成するための、抗体へのカップリングに適する薬剤は、インターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;光力学療法における使用のための光増感剤であって、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホン酸、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む光増感剤;ヨウ素131(131I)、イットリウム90(90Y)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、テクネシウム99m(99mTc)、レニウム186(186Re)及びレニウム188(188Re)などの放射性核種;ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ダウノマイシン、ネオカルチノスタチン及びカルボプラチンなどの抗生剤;ジフテリア毒素、緑膿菌(pseudomonas)外毒素A、ブドウ球菌(staphylococcal)エンテロトキシンA、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンA及び天然リシンA)、TGF-アルファ毒素、タイワンコブラに由来する細胞毒素(ナジャ・ナジャ・アトラ(naja naja atra))及びゲロニン(植物毒素)などの、細菌毒素、植物毒素及び他の毒素;レストリクトシン(アスペルギルス・レストリクツス(Aspergillus restrictus)により産生されたリボソーム不活化タンパク質)、サポリン(サポナリア・オフィキナリス(Saponaria officinalis)に由来するリボソーム不活化タンパク質)及びRNアーゼなどの、植物、細菌及び真菌に由来する、リボソーム不活化タンパク質;チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(二フッ素化プリンヌクレオシド);抗嚢胞剤を含有するリポソーム(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキサートなど)並びに他の抗体又はF(ab)などの抗体断片を含む。
【0304】
ハイブリドーマ技術、選択リンパ球抗体法(SLAM)、トランスジェニック動物及び組換え抗体ライブラリーの使用を介する抗体の作製については、下記においてより詳細に記載される。
【0305】
(1)ハイブリドーマ技術を使用する抗GFAPモノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の多種多様な技法であって、ハイブリドーマ、組換え及びファージディスプレイ技術又はこれらの組合せの使用を含む技法を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野において公知であり、例えば、Harlowら、「Antibodies:A Laboratory Manual」、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1988);Hammerlingら、「Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas」(Elsevier、N.Y.、1981)において教示されているハイブリドーマ法を含むハイブリドーマ法を使用して作製することができる。また、本明細書において使用された「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術を介して作製された抗体に限定されないことも留意される。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物クローン、原核生物クローン又はファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体を指し、それが作製された方法を指すものではない。
【0306】
方法により作製されるモノクローナル抗体並びに抗体を作出する方法は、本開示の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養するステップを含みうるが、この場合、ハイブリドーマは、GFAPにより免疫化された動物、例えば、ラット又はマウスから単離された脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合させ、次いで、融合体から生じるハイブリドーマを、本開示のポリペプチドに結合することが可能な抗体を分泌するハイブリドーマクローンについてスクリーニングすることにより作出されることが好ましい。略述すると、ラットは、GFAP抗原により免疫化できる。好ましい実施形態において、GFAP抗原は、免疫応答を刺激するように、アジュバントと共に投与される。このようなアジュバントは、フロイント完全アジュバント又はフロイント不完全アジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)又はISCOM(免疫刺激性複合体)を含む。このようなアジュバントは、ポリペプチドを、局所的な沈着物内に封入することにより、急速な分散から保護しうる、又はこのようなアジュバントは、マクロファージ及び免疫系の他の構成要素に対して走化性である因子を分泌するように、宿主を刺激する物質を含有しうる。ポリペプチドが投与される場合、免疫化スケジュールは、何週間かにわたって広がるポリペプチドの2回以上の投与を含むことが好ましいが、ポリペプチドの単回投与もまた、使用されうる。
【0307】
GFAP抗原による動物の免疫化の後、抗体及び/又は抗体産生細胞が、動物から得られうる。抗GFAP抗体含有血清は、動物から採血する、又は動物を屠殺することにより、動物から得られる。血清は、動物から得られたままに使用されうる、免疫グロブリン画分は、血清から得られうる、又は抗GFAP抗体は、血清から精製されうる。このようにして得られた血清又は免疫グロブリンは、ポリクローナルであるので、一連の異種特性を有する。
【0308】
免疫応答が検出されたら、例えば、ラット血清中において、抗原であるGFAPに特異的な抗体が検出されたら、ラット脾臓が摘出され、脾臓細胞が単離される。次いで、脾臓細胞が、周知の技法により、任意の適切な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、Va.、US)から市販されている細胞株である、SP20に由来する細胞へと融合させられる。ハイブリドーマが選択され、限界希釈によりクローニングされる。次いで、ハイブリドーマクローンが、当技術分野において公知の方法により、GFAPに結合することが可能な抗体を分泌する細胞についてアッセイされる。ラットを、陽性のハイブリドーマクローンにより免疫化することにより、一般に、高レベルの抗体を含有する腹水が作出できる。
【0309】
別の実施形態において、抗体産生不死化ハイブリドーマが、免疫化された動物から調製されうる。免疫化後、動物は屠殺され、当技術分野において周知の通り、脾臓B細胞は、不死化された骨髄腫細胞へと融合される。例えば、Harlow及びLane、前出を参照されたい。好ましい実施形態において、骨髄腫細胞は、免疫グロブリンポリペプチドを分泌しない(非分泌性細胞株)。融合及び抗生剤による選択の後、ハイブリドーマは、GFAP若しくはこの部分又はGFAPを発現する細胞を使用してスクリーニングされる。好ましい実施形態において、初期スクリーニングは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はラジオイムノアッセイ(RIA)、好ましくはELISAを使用して実施される。ELISAスクリーニングの例は、PCT公開第00/37504号において提示されている。
【0310】
抗GFAP抗体を産生するハイブリドーマは、ロバストなハイブリドーマの増殖、高度な抗体の産生、及び所望の抗体特徴を含む、所望の特徴について選択され、クローニングされ、さらにスクリーニングされる。ハイブリドーマは、インビボの同系動物、免疫系を欠く動物、例えば、ヌードマウスにおいて、又はインビトロの細胞培養物中において培養され、拡大されうる。ハイブリドーマを選択し、クローニングし、拡大する方法は、当業者に周知である。
【0311】
好ましい実施形態において、ハイブリドーマは、ラットハイブリドーマである。別の実施形態において、ハイブリドーマは、マウス、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ又はウマなどの、ヒト以外でラット以外の種において作製される。さらに別の好ましい実施形態において、ハイブリドーマは、ヒト非分泌性骨髄腫が、抗GFAP抗体を発現するヒト細胞と融合させられた、ヒトハイブリドーマである。
【0312】
特異的エピトープを認識する抗体断片は、公知の技法により作出されうる。例えば、本開示のFab断片及びF(ab’)2断片は、パパイン(2つの同一なFab断片をもたらす)又はペプシン(F(ab’)2断片をもたらす)などの酵素を使用する、免疫グロブリン分子のタンパク質分解性切断により作製されうる。IgG分子のF(ab’)2断片は、大型の(「親」)IgG分子の2つの抗原結合性部位であって、親IgG分子の、両方の軽鎖(軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含有する)、重鎖のCH1ドメイン及びジスルフィド形成ヒンジ領域を含む、抗原結合性部位を保持する。したがって、F(ab’)2断片は、それでも親IgG分子と同様に、抗原分子を架橋することが可能である。
【0313】
(2)SLAMを使用する抗GFAPモノクローナル抗体
本開示の別の態様において、組換え抗体は、米国特許第5,627,052号;PCT公開第92/02551号及びBabcookら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843~7848(1996)において記載されている通り、当技術分野において選択リンパ球抗体法(SLAM)と称される手順を使用して、単一の単離リンパ球から作出される。この方法において、抗原特異的溶血プラークアッセイを使用して、目的の抗体を分泌する単一の細胞、例えば、免疫化された動物のうちのいずれか1つに由来するリンパ球がスクリーニングされるが、このアッセイでは、ビオチンなどのリンカーを使用して、抗原であるGFAP、GFAPのサブユニット又はこの断片が、ヒツジ赤血球へとカップリングされ、GFAPに対する特異性を有する抗体を分泌する単一細胞を同定するのに使用される。目的の抗体分泌細胞を同定した後、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のcDNAが、逆転写酵素PCR(RT-PCR)により、細胞からレスキューされ、次いで、これらの可変領域は、COS細胞又はCHO細胞などの、哺乳動物宿主細胞内の、適切な免疫グロブリン定常領域(例えば、ヒト定常領域)の文脈において発現させることができる。次いで、インビボにおいて選択されたリンパ球に由来する、増幅された免疫グロブリン配列をトランスフェクトされた宿主細胞は、例えば、GFAPに対する抗体を発現する細胞を単離するように、トランスフェクト細胞をパニングすることにより、インビトロにおいて、さらなる解析及び選択を受けることができる。増幅された免疫グロブリン配列は、インビトロアフィニティー成熟法によるなど、インビトロにおいて、さらに操作されうる。例えば、PCT公開第97/29131号及びPCT公開第00/56772号を参照されたい。
【0314】
(3)トランスジェニック動物を使用する抗GFAPモノクローナル抗体
本開示の別の実施形態において、抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部又は全部を含む非ヒト動物を、GFAP抗原により免疫化することにより作製される。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の大型断片を含み、マウス抗体の作製が欠損する操作マウス株である、XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスである。例えば、Greenら、Nature Genetics、7:13~21(1994)並びに米国特許第5,916,771号;同第5,939,598号;同第5,985,615号;同第5,998,209号;同第6,075,181号;同第6,091,001号;同第6,114,598号及び同第6,130,364号を参照されたい。また、PCT公開第91/10741号;PCT公開第94/02602号;PCT公開第96/34096号;PCT公開第96/33735号;PCT公開第98/16654号;PCT公開第98/24893号;PCT公開第98/50433号;PCT公開第99/45031号;PCT公開第99/53049号;PCT公開第00/09560号及びPCT公開第00/37504号も参照されたい。XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスは、完全ヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを産生し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を発生させる。XENOMOUSE(登録商標)トランスジェニックマウスは、ヒト重鎖遺伝子座及びx軽鎖遺伝子座の、メガ塩基サイズの、生殖細胞系列構成のYAC断片を導入することにより、ヒト抗体レパートリーのうちの約80%を含有する。Mendezら、Nature Genetics、15:146~156(1997);Green及びJakobovits、J.Exp.Med.、188:483~495(1998)を参照されたい。前記文献の開示は参照により本明細書に組み込む。
【0315】
(4)組換え抗体ライブラリーを使用する抗GFAPモノクローナル抗体
インビトロ法もまた、本開示の抗体を作るのに使用することができ、この場合、所望のGFAP結合特異性を有する抗体を同定するのに、抗体ライブラリーがスクリーニングされる。組換え抗体ライブラリーのこのようなスクリーニングのための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,223,409号(Ladnerら);PCT公開第92/18619号(Kangら);PCT公開第91/17271号(Dowerら);PCT公開第92/20791号(Winterら);PCT公開第92/15679号(Marklandら);PCT公開第93/01288号(Breitlingら);PCT公開第92/01047号(McCaffertyら);PCT公開第92/09690号(Garrardら);Fuchsら、Bio/Technology、9:1369~1372(1991);Hayら、Hum.Antibod.Hybrodomas、3:81~85(1992);Huseら、Science、246:1275~1281(1989);McCaffertyら、Nature、348:552~554(1990);Griffithsら、EMBOJ.、12:725~734(1993);Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992);Clacksonら、Nature、352:624~628(1991);Gramら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:3576~3580(1992);Garrardら、Bio/Technology、9:1373~1377(1991);Hoogenboomら、Nucl.Acids Res.、19:4133~4137(1991);Barbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:7978~7982(1991);米国特許出願公開第2003/0186374号及びPCT公開第97/29131号において記載されている方法を含む。前記文献の各々の内容は、参照により本明細書に組み込む。
【0316】
組換え抗体ライブラリーは、GFAP又はGFAPの部分により免疫化された対象に由来しうる。代替的に、組換え抗体ライブラリーは、ヒトGFAPにより免疫化されていないヒト対象に由来するヒト抗体ライブラリーなどの、ナイーブ対象、すなわち、GFAPにより免疫化されていない対象に由来しうる。本開示の抗体は、GFAPを含むペプチドを有する組換え抗体ライブラリーをスクリーニングして、これにより、GFAPを認識する抗体を選択することにより選択される。このようなスクリーニング及び選択を行うための方法は、前出の段落内の参考文献において記載されている方法など、当技術分野において周知である。GFAPに対して、特定の結合アフィニティーを有する本開示の抗体であって、ヒトGFAPから、特定のKoff速度定数により解離する抗体などの抗体を選択するために、当技術分野において公知の表面プラズモン共鳴法を使用すれば、所望のKoff速度定数を有する抗体を選択することができる。hGFAPに対する特定の中和活性を有する本開示の抗体であって、特定のIC50を有する抗体などの抗体を選択するために、GFAP活性の阻害を評価するための、当技術分野において公知の標準的方法が使用されうる。
【0317】
一態様において、本開示は、ヒトGFAPに結合する単離抗体又はこの抗原結合性部分に関する。好ましくは、抗体は、中和抗体である。多様な実施形態において、抗体は、組換え抗体又はモノクローナル抗体である。
【0318】
例えば、抗体はまた、当技術分野において公知である多様なファージディスプレイ法を使用しても作出することができる。ファージディスプレイ法において、機能的な抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面に提示される。このようなファージを利用すれば、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウスの)から発現させた抗原結合性ドメインを提示することができる。目的の抗原に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージは、抗原により、例えば、標識抗原又は固体表面若しくはビーズに結合した若しくはこれらへと捕捉された抗原を使用して選択する又は同定することができる。これらの方法において使用されたファージは典型的に、ファージから発現させたfd結合性ドメイン及びM13結合性ドメインを、ファージ遺伝子IIIタンパク質又はファージ遺伝子VIIIタンパク質へと組換え的に融合させたFab抗体ドメイン、Fv抗体ドメイン又はジスルフィド安定化Fv抗体ドメインと共に含む、繊維状ファージである。抗体を作るのに使用できるファージディスプレイ法の例は、Brinkmannら、J.Immunol.Methods、182:41~50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods、184:177~186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.、24:952~958(1994);Persicら、Gene、187:9~18(1997);Burtonら、Advances in Immunology、57:191~280(1994);PCT公開第92/01047号;PCT公開第90/02809号;PCT公開第91/10737号;PCT公開第92/01047号;PCT公開第92/18619号;PCT公開第93/11236号;PCT公開第95/15982号;PCT公開第95/20401号及び米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号及び同第5,969,108号において開示されているファージディスプレイ法を含む。
【0319】
上記の参考文献において記載された通り、ファージ選択の後、ファージに由来する抗体のコード領域は、単離され、ヒト抗体を含む全抗体又は他の任意の所望の抗原結合性断片を作出するのに使用され、例えば、下記において詳細に記載される通り、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む、任意の所望の宿主内において発現させることができる。PCT公開第92/22324号;Mullinaxら、BioTechniques、12(6):864~869(1992);Sawaiら、Am.J.Reprod.Immunol.、34:26~34(1995)及びBetterら、Science、240:1041~1043(1988)において開示されている方法などの、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、Fab断片、Fab’断片及びF(ab’)2断片を組換えにより作製する技法もまた用いることができる。単鎖Fv及び抗体を作製するのに使用できる技法の例は、米国特許第4,946,778号及び同第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology、203:46~88(1991);Shuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7995~7999(1993)及びSkerraら、Science、240:1038~1041(1988)において記載されている技法を含む。
【0320】
ファージディスプレイによる組換え抗体ライブラリーのスクリーニングに対する代替法である、大型のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするための当技術分野において公知である他の方法も、本開示の抗体の同定へと適用できる。代替的発現系の1つの種類は、組換え抗体ライブラリーをRNA-タンパク質融合体として発現させた発現系であって、PCT公開第98/31700号(Szostak及びRoberts)並びにRoberts及びSzostak、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:12297~12302(1997)において記載されている発現系である。3’末端において、ペプチジルアクセプター抗生剤であるピューロマイシンを保有する合成mRNAのインビトロ翻訳により、この系では、mRNAと、mRNAがコードするペプチド又はタンパク質との間において、共有結合的融合が創出される。したがって、特異的mRNAは、抗体又はこの部分の、二重特異性抗原への結合などの、コードされたペプチド又はタンパク質、例えば、抗体又はこの部分の特性に基づき、mRNAの複合体混合物(例えば、コンビナトリアルライブラリー)から濃縮できる。このようなライブラリーのスクリーニングから回収された、抗体又はこの部分をコードする核酸配列は、上記の(例えば、哺乳動物の宿主細胞内の)組換え手段により発現でき、さらに、突然変異が当初選択された配列へと導入されたmRNA-ペプチド融合体のスクリーニングのさらなるラウンドにより、又は上記の通りに、インビトロにおける組換え抗体のアフィニティー成熟のための他の方法により、さらなるアフィニティー成熟にかけることができる。この方法論の好ましい例は、PROfusionディスプレイ技術である。
【0321】
別の手法において、抗体はまた、当技術分野において公知の酵母ディスプレイ法を使用しても作出できる。酵母ディスプレイ法において、抗体ドメインを、酵母細胞壁へと繋ぎ、それらを酵母の表面上に提示するのに、遺伝子法が使用される。特に、このような酵母を利用すれば、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウスの)から発現させた抗原結合性ドメインを提示することができる。抗体を作るのに使用できる酵母ディスプレイ法の例は、米国特許第6,699,658号(Wittrupら)において開示された酵母ディスプレイ法を含み、前記特許文献は参照により本明細書に組み込む。
【0322】
d.組換えGFAP抗体の作製
抗体は、当技術分野において公知である多数の技法のうちのいずれかにより作製されうる。例えば、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターが、標準的技法により、宿主細胞へとトランスフェクトされる宿主細胞からの発現である。「トランスフェクション」という用語の多様な形態は、外因性DNAの、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への導入のために一般に使用されている多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。本開示の抗体を原核宿主細胞又は真核宿主細胞において発現させることが可能であるが、そのような真核細胞(及び、特に、哺乳動物の細胞)は、原核細胞より、アセンブルし、適正にフォールディングさせられ、免疫学的に活性である抗体を分泌する可能性が高いため、抗体の、真核細胞内での発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞内での発現が最も好ましい。
【0323】
本開示の組換え抗体を発現させるための例示的な哺乳動物宿主細胞は、例えば、Kaufman及びSharp、J.Mol.Biol.、159:601~621(1982)において記載されているようにDHFR選択用マーカーと共に使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216~4220(1980))において記載されている、dhfr-CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞へと導入される場合、抗体は、宿主細胞内の抗体の発現又は、より好ましくは、宿主細胞が増殖される培養培地への抗体の分泌を可能とするのに十分な時間にわたり、宿主細胞を培養することにより作製される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を使用して、培養培地から回収できる。
【0324】
宿主細胞はまた、Fab断片又はscFv分子などの、機能的抗体断片を作製するのにも使用できる。上記の手順に対する変形が実施されうることが、理解される。例えば、宿主細胞に、本開示の抗体の軽鎖及び/又は重鎖の機能的断片をコードするDNAをトランスフェクトすることが所望されうる。組換えDNA技術はまた、目的の抗原への結合に必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するのにも使用されうる。また、このような切断型DNA分子から発現させた分子も、本開示の抗体に包含される。加えて、1つの重鎖及び1つの軽鎖が本開示の抗体(すなわち、ヒトGFAPに結合する)であり、もう一方の重鎖及び軽鎖がヒトGFAP以外の抗原に特異的である二官能性抗体が、本開示の抗体を、標準的な化学的架橋法を介して、第2の抗体へと架橋することにより作製されうる。
【0325】
本開示の抗体又はこの抗原結合性部分を組換え発現させるための好ましい系において、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションにより、dhfr-CHO細胞へと導入される。組換え発現ベクター内において、遺伝子の高レベルの転写を駆動するように、抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の各々が、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントへと作動的に連結される。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートによる選択/増幅を使用するベクターをトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も保有する。選択された形質転換体の宿主細胞を培養して、抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能とし、無傷の抗体が培養培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培養培地から回収するのに、標準的な分子生物学法が使用される。なおさらに、本開示は、本開示の組換え抗体が合成されるまで、本開示の宿主細胞を適切な培養培地中において培養することにより、本開示の組換え抗体を合成する方法を提供する。方法は、組換え抗体を培養培地から単離するステップをさらに含むことができる。
【0326】
(1)ヒト化抗体
ヒト化抗体は、目的の抗原に免疫特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又はこの変異体、誘導体、類似体若しくは部分でありうる。ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体であって、非ヒト種に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する非ヒト種抗体に由来しうる。
【0327】
本明細書において使用される場合、CDRの文脈における「実質的に」という用語は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列に少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つであるが、典型的に2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)であって、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である可変ドメインの実質的に全てを含む。一態様に従い、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖、及び重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有する。抗体はまた、重鎖の、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域及びCH4領域も含みうる。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖だけを含有する。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖だけを含有する。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖の及び/又は重鎖のヒト化可変ドメインだけを含有する。
【0328】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス、並びに、限定なしに述べると、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、任意のアイソタイプから選択できる。ヒト化抗体は、1つを超えるクラス又はアイソタイプに由来する配列を含むことが可能であり、特定の定常ドメインは、当技術分野において周知の技法を使用して、所望のエフェクター機能を最適化するように選択されうる。
【0329】
ヒト化抗体のフレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要がない、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、この部位におけるCDR残基又はフレームワーク残基が、ドナー抗体又はコンセンサスフレームワークに対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失により突然変異誘発されうる。しかし、一実施形態において、このような突然変異は、広範にわたる突然変異ではない。通例、ヒト化抗体残基のうちの、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%は、親のFR配列及びCDR配列の残基に対応する。本明細書において使用される場合、「コンセンサスフレームワーク」という用語は、コンセンサスの免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。本明細書において使用される場合、「コンセンサスの免疫グロブリン配列」という用語は、類縁の免疫グロブリン配列のファミリーにおいて、最も高頻度で発生するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成された配列(例えば、Winnaker、「From Genes to Clones」(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany、1987)を参照されたい)を指す。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列内のそれぞれの位置は、ファミリー内のこの位置において、最も高頻度で発生するアミノ酸により占有されている。2つのアミノ酸が同等に高頻度で発生する場合、いずれもが、コンセンサス配列内に含まれうる。
【0330】
ヒト化抗体は、ヒトレシピエントにおける、これらの部分の治療適用の持続時間及び有効性を制限する、抗ヒト齧歯動物抗体に対する望ましくない免疫学的応答を最小化するようにデザインされうる。ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から、ヒト化抗体へと導入された1つ以上のアミノ酸残基を有しうる。これらの非ヒト残基は、典型的に、可変ドメインから採取される、「インポート」残基と称されることが多い。ヒト化は、超可変領域配列を、ヒト抗体の対応する配列で置換することにより実施されうる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、実質的に無傷に満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種に由来する対応する配列により置換されたキメラ抗体である。例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。前記特許文献の内容は参照により本明細書に組み込む。ヒト化抗体は、一部の超可変領域残基と、おそらく、一部のFR残基とが、齧歯動物抗体内の相似部位に由来する残基により置換されたヒト抗体でありうる。本開示の抗体のヒト化又は操作は、米国特許第5,723,323号;同第5,976,862号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,766,886号;同第5,714,352号;同第6,204,023号;同第6,180,370号;同第5,693,762号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,225,539号及び同第4,816,567号において記載されている方法などであるがこれらに限定されない、任意の公知の方法を使用して実施できる。
【0331】
ヒト化抗体は、GFAPに対する高アフィニティー及び他の好適な生物学的特性を保持しうる。ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列についての三次元モデルを使用して、親配列及び多様な概念的ヒト化産物を解析する工程により調製されうる。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能である。選択された候補免疫グロブリン配列の、可能な三次元コンフォメーション構造を例示及び提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能における、残基のありそうな役割についての解析、すなわち、候補免疫グロブリンが、その抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基についての解析を可能とする。このようにして、GFAPに対するアフィニティーの上昇などの、所望の抗体特徴が達成されるように、FR残基が、レシピエント及びインポート配列から選択され、組み合わされることが可能である。一般に、超可変領域残基は、直接、かつ、最も実質的に、抗原結合への影響に関与しうる。
【0332】
ヒト化に対する代替法として、ヒト抗体(本明細書では「完全ヒト抗体」とも呼ばれる)を作出できる。例えば、PROfusion及び/又は酵母関連技術を介して、ヒト抗体を、ライブラリーから単離することが可能である。また、トランスジェニック動物(例えば、免疫化すると、内因性の免疫グロブリン産生の非存在下において、ヒト抗体の完全レパートリーを作製することが可能なマウス)を作製することも可能である。例えば、キメラマウス及び生殖細胞系列突然変異体マウスにおける、抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性の欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害を結果としてもたらす。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子アレイの、このような生殖細胞系列突然変異体マウスへの移入は、抗原投与時における、ヒト抗体の産生を結果としてもたらす。ヒト化抗体又は完全ヒト抗体は、米国特許第5,770,429号;同第5,833,985号;同第5,837,243号;同第5,922,845号;同第6,017,517号;同第6,096,311号;同第6,111,166号;同第6,270,765号;同第6,303,755号;同第6,365,116号;同第6,410,690号;同第6,682,928号及び同第6,984,720号に記載されている方法に従い調製されうる。前記特許文献の各々の内容は参照により本明細書に組み込む。
【0333】
e.抗GFAP抗体
抗GFAP抗体は、上記の技法を使用して並びに当技術分野で公知のルーチンな技法を使用して作出しうる。一部の実施形態において、抗GFAP抗体は、Dako(型番:M0761)、ThermoFisher Scientific(型番:MA5-12023、A-21282、13-0300、MA1-19170、MA1-19395、MA5-15086、MA5-16367、MA1-35377、MA1-06701又はMA1-20035)、AbCam(型番:ab10062、ab4648、ab68428、ab33922、ab207165、ab190288、ab115898又はab21837)、EMD Millipore(型番:FCMAB257P、MAB360、MAB3402、04-1031、04-1062、MAB5628)、Santa Cruz(型番:sc-166481、sc-166458、sc-58766、sc-56395、sc-51908、sc-135921、sc-71143、sc-65343又はsc-33673)、Sigma-Aldrich(型番:G3893又はG6171)又はSino Biological Inc.(型番:100140-R012-50)から市販されているGFAP抗体などの非コンジュゲートGFAP抗体でありうる。抗GFAP抗体は、ThermoFisher Scientific(型番:A-21295又はA-21294)、EMD Millipore(型番:MAB3402X、MAB3402B、MAB3402B又は MAB3402C3)又はAbCam(型番:ab49874又はab194325)から市販されている、コンジュゲートGFAP抗体のように、フルオロフォアへとコンジュゲートされうる。
【0334】
9.方法の変化形
試料中に存在する目的の解析物(UCH-L1及び/又はGFAP)の存在又は量を決定する、開示された方法は、上記された通りでありうる。方法はまた、解析物を解析するための他の方法を念頭に置いて、適合させられる場合もある。周知の変化形の例は、酵素による検出(酵素イムノアッセイ(EIA)又は酵素免疫測定アッセイ(ELISA))を含む、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、モノクローナル-ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)、競合阻害イムノアッセイ(例えば、フォワード競合阻害イムノアッセイ及びリバース競合阻害イムノアッセイ)、酵素多重化イムノアッセイ法(EMIT)、競合結合アッセイなどのイムノアッセイ、生物発光エネルギー移動(BRET)、ワンステップ抗体検出アッセイ、同種アッセイ、異種アッセイ、キャプチャーオンザフライアッセイなどを含むがこれらに限定されない。
【0335】
a.イムノアッセイ
目的の解析物及び/又はペプチド若しくはこれらの断片(例えば、UCH-L1及び/若しくはGFAP並びに/又はペプチド若しくはこの断片、すなわち、UCH-L1及び/又はGFAP断片)は、UCH-L1及び/又はGFAP抗体を、イムノアッセイにおいて使用して解析されうる。解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の存在又は量は、抗体を使用し、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)への特異的結合を検出して決定されうる。例えば、抗体又はこの抗体断片は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に特異的に結合しうる。所望の場合、抗体のうちの1つ以上は、1つ以上の、市販のモノクローナル/ポリクローナル抗体と組み合わせて使用されうる。このような抗体は、R&D Systems,Inc.(Minneapolis、MN)及びEnzo Life Sciences International,Inc.(Plymouth Meeting、PA)などの企業から市販されている。
【0336】
体内試料中に存在する、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の存在又は量は、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、放射性同位元素の検出(ラジオイムノアッセイ(RIA))及び酵素による検出(酵素イムノアッセイ(EIA)又は酵素免疫測定アッセイ(ELISA)(例えば、Quantikine ELISA Assay、R&D Systems、Minneapolis、MN)を含む、モノクローナル-モノクローナルサンドイッチイムノアッセイ、モノクローナル-ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)などのイムノアッセイを使用して、たやすく決定されうる。使用されうるポイントオブケアデバイスの例は、i-STAT(登録商標)(Abbott、Laboratories、Abbott Park、IL)である。使用できる他の方法は、化学発光微粒子イムノアッセイ、特に、例として、ARCHITECT(登録商標)を用いる方法又は分析機器のAlinity自動シリーズ(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を含む。他の方法は、例えば、質量分析及び解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に対する抗解析物(例えば、抗UCH-L1及び/又は抗GFAP)抗体(モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、ヒトなど)又はこれらの抗体断片を使用する、免疫組織化学(例えば、組織生検に由来する切片を伴う)を含む。他の検出法は、例えば、それらの各々が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、米国特許第6,143,576号;同第6,113,855号;同第6,019,944号;同第5,985,579号;同第5,947,124号;同第5,939,272号;同第5,922,615号;同第5,885,527号;同第5,851,776号;同第5,824,799号;同第5,679,526号;同第5,525,524号及び同第5,480,792号において記載されている検出法を含む。抗体の、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)への特異的免疫的結合は、抗体へと接合された、蛍光タグ又は発光タグ、金属及び放射性核種などの直接的標識を介して、又はアルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼなどの間接的標識を介して検出されうる。
【0337】
固定化された抗体又はこの断片の使用は、イムノアッセイへと組み込まれうる。抗体は、磁性粒子又はクロマトグラフィーマトリックス粒子、アッセイプレート(マイクロ滴定プレートなど)の表面、固体基質材料の小片などの、様々な支持体へと固定化されうる。アッセイストリップは、固体支持体上のアレイ内の抗体又は複数の抗体をコーティングすることにより調製されうる。次いで、このストリップは、被験試料へと浸漬させられ、有色スポットなどの、測定可能なシグナルを発生させるように、洗浄及び検出ステップを介して、速やかに処理されうる。
【0338】
同種フォーマットが使用されうる。例えば、被験試料が、対象から得られた後に、混合物が調製されうる。混合物は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)について評価される被験試料、第1の特異的結合パートナー及び第2の特異的結合パートナーを含有する。混合物を形成するのに、被験試料、第1の特異的結合パートナー及び第2の特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。被験試料は、第1の特異的結合パートナー及び第2の特異的結合パートナーと同時に接触させられる。一部の実施形態において、第1の特異的結合パートナーと、被験試料中に含有された、任意のUCH-L1及び/又はGFAPとは、第1の特異的結合パートナー-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)抗原複合体を形成することが可能であり、第2の特異的結合パートナーは、第1の特異的結合パートナー-目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の特異的結合パートナー複合体を形成しうる。一部の実施形態において、第2の特異的結合パートナーと、被験試料中に含有された、任意のUCH-L1及び/又はGFAPとは、第2の特異的結合パートナー-解析物(例えば、UCH-L1)抗原複合体を形成することが可能であり、第1の特異的結合パートナーは、第1の特異的結合パートナー-目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の特異的結合パートナー複合体を形成しうる。第1の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、配列番号1の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗UCH-L1抗体又は配列番号2の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗GFAP抗体)でありうる。第2の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、配列番号1の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗UCH-L1抗体又は配列番号2の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗GFAP抗体)でありうる。さらに、第2の特異的結合パートナーは、上記において記載された、検出可能な標識により標識されるか又はこれを含有する。
【0339】
異種フォーマットが使用されうる。例えば、被験試料が、対象から得られた後に、第1の混合物が調製されうる。混合物は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)について評価される被験試料及び第1の特異的結合パートナーを含有し、この場合、第1の特異的結合パートナーと、被験試料中に含有された、任意のUCH-L1及び/又はGFAPとは、第1の特異的結合パートナー-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)抗原複合体を形成する。第1の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、配列番号1の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗UCH-L1抗体又は配列番号2の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗GFAP抗体)でありうる。混合物を形成するのに、被験試料及び第1の特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。
【0340】
第1の特異的結合パートナーは、固相上に固定化されうる。(第1の特異的結合パートナー、及び、任意選択的に、第2の特異的結合パートナーのための)イムノアッセイにおいて使用される固相は、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロ滴定プレート、キュベット、膜、足場形成分子、薄膜、濾紙、ディスク及びチップなどであるがこれらに限定されない、当技術分野において公知である、任意の固相でありうる。固相がビーズである実施形態において、ビーズは、磁気ビーズ又は磁性粒子でありうる。磁気ビーズ/磁性粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性又は磁性流体でありうる。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO2、MnAs、MnBi、EuO及びNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe2O4、CoFe2O4、Fe3O4(又はFeO.Fe2O3)を含む。ビーズは、磁性であり、1つ以上の非磁性層により取り囲まれた固体コア部分を有しうる。代替的に、磁性部分は、非磁性コアの周囲の層でありうる。第1の特異的結合メンバーが固定化される固体支持体は、乾燥形態又は液体で保管されうる。磁気ビーズは、第1の特異的結合メンバーが固定化される磁気ビーズを伴う試料と接触させる前に、又はこの後で、磁界下に置かれうる。
【0341】
第1の特異的結合パートナー-解析物(例えば、UCH-L1又はGFAP)抗原複合体を含有する混合物が形成された後に、当技術分野において公知である、任意の技法を使用して、任意の結合していない解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)が、複合体から除去される。例えば、結合していない解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)は、洗浄することにより除去されうる。しかし、被験試料中に存在する、全ての解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に、第1の特異的結合パートナーが結合するように、第1の特異的結合パートナーは、被験試料中に存在する、任意の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に対する過剰量において存在することが所望される。
【0342】
任意の結合していない解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)が除去された後に、第2の特異的結合パートナーを、混合物へと添加して、第1の特異的結合パートナー-目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の特異的結合パートナー複合体を形成する。第2の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、配列番号1の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗UCH-L1抗体又は配列番号2の、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗GFAP抗体)でありうる。さらに、第2の特異的結合パートナーは、上記された、検出可能な標識により標識されるか又はこれを含有する。
【0343】
固定化された抗体又はこの断片の使用は、イムノアッセイへと組み込まれうる。抗体は、磁性粒子又はクロマトグラフィーマトリックス粒子(磁気ビーズなど)、ラテックス粒子又は表面修飾ラテックス粒子、ポリマー又はポリマー薄膜、プラスチック又はプラスチック薄膜、平面状基質、アッセイプレート(マイクロ滴定プレートなど)の表面、固体基質材料の小片などの、様々な支持体へと固定化されうる。アッセイストリップは、固体支持体上のアレイ内の抗体又は複数の抗体をコーティングすることにより調製されうる。次いで、このストリップは、被験試料へと浸漬させられ、有色スポットなどの、測定可能なシグナルを発生させるように、洗浄及び検出ステップを介して、速やかに処理されうる。
【0344】
(1)サンドイッチイムノアッセイ
サンドイッチイムノアッセイは、抗体(すなわち、少なくとも1つの捕捉抗体)と、検出抗体(すなわち、少なくとも1つの検出抗体)とからなる、2つの層の間の抗原の量を測定する。捕捉抗体及び検出抗体は、抗原、例えば、UCH-L1及び/又はGFAPなどの、目的の解析物上の、異なるエピトープに結合する。捕捉抗体の、エピトープへの結合は、検出抗体の、エピトープへの結合に干渉しないことが所望される。モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれも、サンドイッチイムノアッセイにおける、捕捉抗体及び検出抗体として使用されうる。
【0345】
一般に、少なくとも2つの抗体が、被験試料中の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を分離及び定量するのに利用される。より具体的に、少なくとも2つの抗体は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の、ある特定のエピトープに結合し、「サンドイッチ」と称される免疫複合体を形成する。1つ以上の抗体が、被験試料中の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を捕捉する(これらの抗体は、しばしば、「捕捉」抗体(antibody)又は「捕捉」抗体(antibodies)と称する)のに使用される場合があり、1つ以上の抗体が、検出可能な(すなわち、定量可能な)標識を、サンドイッチに結合させるのに使用される(これらの抗体は、しばしば、「検出」抗体(antibody)又は「検出」抗体(antibodies)と称する)。サンドイッチアッセイにおいて、抗体の、そのエピトープへの結合は、アッセイ中の他の任意の抗体の、そのそれぞれのエピトープへの結合により減弱されない。抗体は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を含有することが推測される被験試料と接触された、1つ以上の第1の抗体が、第2の抗体又は後続の抗体により認識されるエピトープの全部又は一部に結合せず、これにより、1つ以上の第2の検出抗体が、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に結合する能力に干渉しないように選択される。
【0346】
抗体は、前記イムノアッセイ中の、第1の抗体として使用されうる。抗体は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)上のエピトープに免疫特異的に結合する。本開示の抗体に加えて、前記イムノアッセイは、第1の抗体により認識されない、又は第1の抗体が結合しないエピトープに免疫特異的に結合する、第2の抗体を含みうる。
【0347】
解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を含有することが推測される被験試料は、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体(又は抗体)及び少なくとも1つの、第2の検出抗体と同時に、又は逐次的に接触されうる。サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、被験試料を含有することが推測される解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)はまず、第1の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)抗原複合体の形成を可能とする条件下で、特定のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体と接触される。1つを超える捕捉抗体が使用される場合、第1の複数の捕捉抗体-UCH-L1、及び/又はGFAP抗原複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体は、被験試料に予測される解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の最大量に対するモル過剰量において使用される。例えば、マイクロ粒子コーティング緩衝液1ml当たり約5μg/ml~約1mg/mlの抗体が使用されうる。
【0348】
i.抗UCH-L1捕捉抗体
任意選択的に、被験試料を、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体と接触させる前に、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体は、第1の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体の、被験試料からの分離を容易とする固体支持体に結合されうる。当技術分野において公知である、任意の固体支持体であって、ウェル、チューブ又はビーズ(マイクロ粒子など)の形態のポリマー材料から作られた固体支持体を含むがこれらに限定されない固体支持体が使用されうる。抗体(antibody(又はantibodies))は、そのような結合が、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に結合する抗体の能力に干渉しないという条件において、吸着により、化学的カップリング剤を使用する共有結合により、又は当技術分野において公知である他の手段により、固体支持体に結合されうる。さらに、必要な場合、固体支持体は、抗体上の多様な官能基との反応性を可能とするように、誘導体化されうる。このような誘導体化は、無水マレイン酸、N-ヒドロキシスクシンイミド及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどであるがこれらに限定されない、ある特定のカップリング剤の使用を必要とする。
【0349】
その後、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を含有することが推測される被験試料は、第1の捕捉抗体(又は複数の抗体)-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体の形成を可能とするためにインキュベートされる。インキュベーションは、約4.5~約10.0のpH、約2℃~約45℃の温度において、少なくとも約1分間~約18時間、約2~6分間、約7~12分間、約5~15分間又は約3~4分間の時間にわたり実行されうる。
【0350】
ii.検出抗体
次いで、第1の/複数の捕捉抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体の形成後、複合体は、少なくとも1つの、第2の検出抗体(第1の/複数の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)抗原-第2の抗体複合体の形成を可能とする条件下において)と接触される。一部の実施形態において、被験試料は、捕捉抗体と同時に、検出抗体と接触される。第1の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体が、1つを超える検出抗体と接触される場合、第1の/複数の捕捉抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-複数の抗体検出複合体が形成される。少なくとも第2の(及び後続の)抗体が、第1の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体と接触される場合、第1の抗体と同様に、上記された条件と同様の条件下におけるインキュベーション時間が、第1の/複数の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の/複数の抗体複合体の形成に要求される。好ましくは、少なくとも1つの、第2の抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、第1の/複数の抗体-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の/複数の抗体複合体の形成の前に、これと同時に、又はこの後に、少なくとも1つの、第2の抗体に結合されうる。当技術分野において公知である、任意の検出可能な標識が使用されうる。
【0351】
化学発光アッセイは、Adamczykら、Anal.Chim.Acta、579(1):61~67(2006)において記載されている方法に従い実施されうる。任意の適切なアッセイフォーマットが使用されうるが、マイクロプレート用化学発光測定器(Mithras LB-940、Berthold Technologies U.S.A.,LLC、Oak Ridge、TN)は、小容量の複数の試料についてのアッセイを、迅速に可能とする。化学発光測定器は、96ウェル黒色ポリスチレン製マイクロプレート(Costar、型番:3792)を使用する、複数の試薬注入器を装備されうる。各試料が、個別のウェルへと添加されうるのに続き、利用されたアッセイの種類により決定される通り、他の試薬の同時的/逐次的な添加がなされうる。酸性化によるなど、アクリジニウムアリールエステルを利用する、中性溶液中又は塩基性溶液中の擬塩基の形成は回避されることが所望される。次いで、化学発光応答が、ウェルごとに記録される。この点で、化学発光応答を記録するための時間は、部分的に、利用された試薬の添加と、特定のアクリジニウムの添加との間の遅延に依存する。
【0352】
化学発光アッセイのための混合物を形成するのに、被験試料及び特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。第1の特異的結合パートナーが、アクリジニウム化合物により、検出可能に標識される場合、検出可能に標識された第1の特異的結合パートナー-抗原(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)複合体が形成される。代替的に、第2の特異的結合パートナーが使用され、第2の特異的結合パートナーが、アクリジニウム化合物により、検出可能に標識される場合、検出可能に標識された第1の特異的結合パートナー-解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)-第2の特異的結合パートナー複合体が形成される。標識されたものであれ、標識されていないものであれ、結合していない任意の特異的結合パートナーは、洗浄などの、当技術分野において公知である、任意の技法を使用して、混合物から除去されうる。
【0353】
過酸化水素は、混合物中、インサイチューにおいて発生されうる、又は上記されたアクリジニウム化合物の添加の前に、これと同時に、又はこの後に、混合物へと施されうる、若しくは供給されうる。過酸化水素は、例えば当業者に明らかである、多数の方式により、インサイチューにおいて発生されうる。
【0354】
代替的に、過酸化水素の供給源は、混合物へと、単純に添加されうる。例えば、過酸化水素の供給源は、過酸化水素を含有することが公知である、1つ以上の緩衝液又は他の溶液でありうる。この点で、過酸化水素の溶液が、単純に添加されうる。
【0355】
少なくとも1つの塩基性溶液を、試料へと、同時的に、又はその後において添加したら、検出可能なシグナル、すなわち、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の存在を示す化学発光シグナルが発生する。塩基性溶液は、少なくとも1つの塩基を含有し、10以上、好ましくは、12以上のpHを有する。塩基性溶液の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、ナトリウム炭酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸カルシウムを含むがこれらに限定されない。試料へと添加される塩基性溶液の量は、塩基性溶液の濃度に依存する。使用された塩基性溶液の濃度に基づき、当業者は、試料へと添加される塩基性溶液の量を容易に決定しうる。化学発光標識以外の他の標識も利用されうる。例えば、酵素標識(アルカリホスファターゼを含むがこれに限定されない)が利用されうる。
【0356】
発生した化学発光シグナル又は他のシグナルは、当業者に公知の規定の技法を使用して検出されうる。発生したシグナルの強度に基づき、目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の、試料中の量が定量されうる。具体的に、目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の、試料中の量は、発生したシグナルの強度に比例する。存在する解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の量は、発生した光の量を、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)についての検量線と比較することにより、又は参照標準物質との比較により定量されうる。検量線は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)の公知の濃度の系列希釈液又は溶液を使用して、質量分析、重量測定法及び当技術分野において公知の他の技法により作成されうる。
【0357】
(2)フォワード競合阻害アッセイ
フォワード競合フォーマットにおいて、公知の濃度の、標識された目的の解析物(例えば、蛍光標識、切断可能なリンカーと接合されたタグなどを有する解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP))のアリコートが、被験試料中の目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)と、目的の解析物抗体(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP抗体)への結合について競合するように使用される。
【0358】
フォワード競合アッセイにおいて、固定化された特異的結合パートナー(抗体など)は、被験試料及び標識された目的の解析物、目的の解析物の断片又は目的の解析物の変異体と、逐次的に、又は同時に接触されうる。目的の解析物ペプチド、目的の解析物の断片又は目的の解析物の変異体は、切断可能なリンカーと接合されたタグから構成された、検出可能な標識を含む、任意の検出可能な標識により標識されうる。このアッセイにおいて、抗体は、固体支持体へと固定化されうる。代替法として、抗体は、微粒子又は平面基板などの固体支持体上に固定化された、抗種(antispecies)抗体などの抗体に連結することができる。
【0359】
標識された目的の解析物、被験試料及び抗体は、サンドイッチアッセイフォーマットとの関連において、上記で記載された条件と同様の条件下においてインキュベートされる。次いで、抗体-目的の解析物複合体の、2つの異なる分子種が作出されうる。具体的に述べると、作出された抗体-目的の解析物複合体のうちの1つが、検出可能な標識(例えば、蛍光標識など)を含有するのに対し、他の抗体-目的の解析物複合体は、検出可能な標識を含有しない。抗体-目的の解析物複合体は、検出可能な標識の定量の前に、残りの被験試料から分離されうるが、そうされなくともよい。次いで、抗体-目的の解析物複合体が、残りの被験試料から分離されるのかどうかに関わらず、抗体-目的の解析物複合体内において検出可能な標識の量が定量される。次いで、目的の解析物(膜に会合した目的の解析物、可溶性の目的の解析物、可溶性の目的の解析物の断片、目的の解析物(膜に会合した目的の解析物又は可溶性の目的の解析物)の変異体又はこれらの任意の組合せなど)の、被験試料中濃度が、例えば、上記で記載された通りに決定されうる。
【0360】
(3)リバース競合阻害アッセイ
リバース競合アッセイにおいて、固定化された目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)は、被験試料及び少なくとも1つの標識された抗体と、逐次的に、又は同時に接触されうる。
【0361】
目的の解析物は、上記においてサンドイッチアッセイフォーマットとの関連において論じられた固体支持体などの固体支持体に結合される。
【0362】
固定化された目的の解析物、被験試料及び少なくとも1つの標識された抗体は、サンドイッチアッセイフォーマットとの関連において、上記された条件と同様の条件下においてインキュベートされる。次いで、目的の解析物-抗体複合体の2つの異なる分子種が作出されうる。具体的に述べると、作出された目的の解析物-抗体複合体のうちの1つが、固定化され、検出可能な標識(例えば、蛍光標識など)を含有するのに対し、他の目的の解析物-抗体複合体は、固定化されず、検出可能な標識を含有しない。固定化されなかった目的の解析物-抗体複合体及び残りの被験試料は、洗浄などの、当技術分野において公知の技法を介して、固定化された目的の解析物-抗体複合体の存在から除去される。次いで、固定化されなかった目的の解析物-抗体複合体が除去されたら、タグの切断後に、固定化された、目的の解析物-抗体複合体内の、検出可能な標識の量が定量される。次いで、目的の解析物の、被験試料中濃度が、上記で記載された通り、検出可能な標識の数量を比較することにより決定されうる。
【0363】
(4)ワンステップイムノアッセイ又は「キャプチャーオンザフライ」アッセイ
キャプチャーオンザフライアッセイにおいて、固体基質は、固定化剤によりあらかじめコーティングされている。捕捉剤、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)及び検出剤が、固体基質へと併せて添加されるのに続き、検出の前に、洗浄ステップがなされる。捕捉剤は、解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に結合することが可能であり、固定化剤のためのリガンドを含む。捕捉剤及び検出剤は、本明細書において記載された、又は当技術分野で公知である、捕捉又は検出が可能な、抗体又は他の任意の部分でありうる。リガンドは、ペプチドタグを含むことが可能であり、固定化剤は、抗ペプチドタグ抗体を含みうる。代替的に、リガンド及び固定化剤は、キャプチャーオンザフライアッセイのために利用されるように、併せて結合することが可能な薬剤の任意の対(例えば、特異的結合対及び当技術分野で公知であるなどの他の対)でありうる。1つを超える解析物が測定されうる。一部の実施形態において、固体基質は、抗原によりコーティングされる場合があり、解析される解析物は、抗体である。
【0364】
ワンステップイムノアッセイ又は「キャプチャーオンザフライ」における、ある特定の、他の実施形態において、固定化剤(ビオチン、ストレプトアビジンなど)によりあらかじめコーティングされた固体支持体(マイクロ粒子など)並びに少なくとも第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバー(それぞれ、捕捉試薬及び検出試薬として機能する)が使用される。第1の特異的結合メンバーは、固定化剤のためのリガンド(例えば、固体支持体上の固定化剤が、ストレプトアビジンである場合、第1の特異的結合メンバー上のリガンドは、ビオチンでありうる)を含み、また、目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)にも結合する。第2の特異的結合メンバーは、検出可能な標識を含み、目的の解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)に結合する。固体支持体並びに第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、被験試料へと(逐次的に、又は同時に)添加されうる。第1の特異的結合メンバー上のリガンドは、固体支持体上の固定化剤に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバー複合体を形成する。試料中に存在する、任意の目的の解析物は、固体支持体/第1の特異的結合メンバー複合体に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/解析物複合体を形成する。第2の特異的結合メンバーは、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/解析物複合体に結合し、検出可能な標識が検出される。検出の前に、任意選択の洗浄ステップが利用されうる。ワンステップアッセイにおける、ある特定の実施形態において、1つを超える解析物が測定されうる。ある特定の、他の実施形態において、2つを超える特異的結合メンバーが利用されうる。ある特定の、他の実施形態において、複数の検出可能な標識が添加されうる。ある特定の、他の実施形態において、複数の、目的の解析物が検出されうる、又はこれらの量、レベル若しくは濃度が、測定、決定若しくは評価されうる。
【0365】
キャプチャーオンザフライアッセイの使用は、本明細書において記載され、当技術分野において公知である、様々なフォーマットにおいてなされうる。例えばフォーマットは、例えば上記されたサンドイッチアッセイでありうるが、代替的に、競合アッセイであることも可能であり、単一特異性の結合メンバーを利用しうる、又は例えば公知である、他の変化形も使用しうる。
【0366】
10.他の因子
上記された、診断法、予後診断法及び/又は評価法は、診断、予後診断及び評価のための他の因子の使用をさらに含みうる。一部の実施形態において、外傷性脳損傷は、GCS又はGOSE(Extended Glasgow Outcome Scale)を使用して診断されうる。他の検査、スケール又は指標もまた、単独で、又はGCSと組み合わせて使用されうる。例は、RLAS(Ranchos Los Amigos Scale)である。RLAS(Ranchos Los Amigos Scale)は、意識、認知、行動及び環境との相互作用のレベルを測定する。RLAS(Ranchos Los Amigos Scale)は、レベルI:応答なし;レベルII:一般的な応答;レベルIII:局所的応答;レベルIV:混乱(興奮);レベルV:混乱(不適切);レベルVI:混乱(適切);レベルVII:自動的(適切)及びレベルVIII:意図的(適切)を含む。別の例は、TBIに続く脳震盪後症状の重症度を測定するための自己申告スケールである、Rivermead脳震盪後症状質問票である。患者は16症状(例えば、頭痛、眩暈、吐気、嘔吐)のそれぞれがこの24時間の間どれほど重くなったかを等級付けするように求められる。それぞれの場合で、症状は、損傷が起きる前(発病前)に症状がどれほど重かったかと比較される。これらの症状は0~4の目盛りによる重症度:経験なし、全く問題なし、軽度の問題、中等度の問題、及び重度の問題により報告される。
【0367】
11.試料
一部の実施形態において、試料は、要因のいずれか1つ又は組合せにより引き起こされた可能性がある又はこれにより引き起こされた頭部への損傷を負った又は頭部への損傷を負ったと推測される対象(例えば、ヒト対象)から得られる。一部の態様では、試料は、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより負傷した又は負傷したと推測される対象から得られる。さらに、試料は、例えば、爆風損傷で起こることがあるものなど、他の形態の鈍力外傷又は非鈍力外傷の一部、例えば、人の物理的振盪、閉鎖性若しくは開放性頭部外傷を生じる外部からの機械力若しくは他の力による鈍的衝撃及び/又は任意の他のタイプの鈍力外傷のうちの1つ以上として起こる音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより負傷した又は負傷したと推測される対象から得られる。
【0368】
さらに別の実施形態において、本明細書において記載された方法は、また、下記において記載される抗UCH-L1抗体及び/又は抗GFAP抗体又はこの抗体断片を使用して、対象におけるUCH-L1及び/又はGFAPのレベルを決定することにより、対象が、軽度外傷性脳損傷を有するか、又はこれを発症する危険性があるのかどうかを決定するのにも使用されうる試料を使用する。したがって、特定の実施形態において、本開示はまた、本明細書において論じられ、当技術分野において公知である、外傷性脳損傷を有するか、又はこの危険性がある対象が、治療(therapy)又は治療(treatment)の候補であるのかどうかを決定するための方法も提示する。一般に、対象は、少なくとも、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、若しくはその任意の組合せにより引き起こされた頭部への損傷を経験した若しくはこれを有すると推測される対象並びに/又は本明細書に記載されるように、UCH-L1及び/若しくはGFAP若しくはUCH-L1断片及び/若しくはGFAP断片の都合の悪い(すなわち、臨床的に望ましくない)濃度若しくは量を示す対象である。
【0369】
b.被験又は生物学的試料
本明細書において使用された「試料」、「被験試料」、「生物学的試料」とは、GFAP、及び/又はUCH-L1を含有するか、又はこれを含有することが推測される体液試料を指す。試料は、任意の適切な供給源に由来しうる。場合によって、試料は、液体、流動性の粒子状固体又は固体粒子の懸濁流体を含みうる。場合によって、試料は、本明細書において記載された解析の前に処理されうる。例えば、試料は、解析の前に、その供給源から、分離又は精製されうるが、ある特定の実施形態において、GFAP、及び/又はUCH-L1を含有する非処理試料が、直接的にアッセイされうる。特定の例では、GFAP及び/又はUCH-L1を含有する供給源はヒト(例えば、小児ヒト又は成人ヒト)物質又は別の種由来の物質である。物質は、任意選択的に、身体物質(例えば、体液、全血、血清、血漿などの血液、尿、唾液、汗、痰、精液、粘液、涙液、リンパ液、羊水、間質液、肺洗浄、脳脊髄液、糞便、組織、臓器など)である。組織は、骨格筋組織、肝臓組織、肺組織、腎臓組織、心筋組織、脳組織、骨髄、子宮頸部組織、皮膚などを含みうるがこれらに限定されない。試料は、液体試料又は固体試料の液体抽出物でありうる。ある特定の場合、試料の供給源は、組織の分解/細胞の溶解により可溶化されうる、臓器又は生検試料などの組織でありうる。
【0370】
広範にわたる容量の体液試料が解析されうる。少数の例示的な実施形態において、試料容量は、約0.5nL、約1nL、約3nL、約0.01μL、約0.1μL、約1μL、約5μL、約10μL、約100μL、約1mL、約5mL、約10mLなどでありうる。場合によって、体液試料の容量は、約0.01μL~約10mLの間、約0.01μL~約1mLの間、約0.01μL~約100μLの間又は約0.1μL~約10μLの間である。
【0371】
場合によって、体液試料は、アッセイにおける使用の前に希釈されうる。例えば、GFAP、及び/又はUCH-L1を含有する供給源が、ヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態において、体液は、適切な溶媒(例えば、PBS緩衝液などの緩衝液)により希釈されうる。体液試料は、使用の前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍以上希釈されうる。他の場合に、体液試料は、アッセイにおける使用の前に希釈されない。
【0372】
場合によって、試料は、解析前処理を経る場合がある。解析前処理は、非特異的タンパク質の除去及び/又は効果的であるが廉価で実施可能な混合機能性などの、さらなる機能性をもたらしうる。解析前処理の一般的方法は、動電トラッピング、AC動電現象、表面音響波、等速電気泳動、誘電泳動、電気泳動又は当技術分野において公知である、他の前濃縮法の使用を含みうる。場合によって、体液試料は、アッセイにおける使用の前に濃縮されうる。例えば、GFAP及び/又はUCH-L1を含有する供給源が対象(例えば、ヒト又は他の種)由来の体液(例えば、血液、血清)である実施形態では、体液は、沈殿、蒸発、濾過、遠心分離又はこの組合せにより濃縮しうる。体液試料は、使用の前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍以上濃縮されうる。
【0373】
c.対照
対照試料を含むことが所望でありうる。対照試料は、上記された通り、対象に由来する試料と共時的に解析されうる。対象試料から得られた結果は、対照試料から得られた結果と比較されうる。試料についてのアッセイ結果が比較されうる、検量線が用意されうる。このような検量線は、マーカーのレベルを、アッセイ単位、すなわち、蛍光標識が使用される場合なら、蛍光のシグナル強度の関数として提示する。複数のドナーから採取された試料を使用して、正常健常組織におけるUCH-L1及び/又はGFAPの基準レベルについて、並びに上述した特徴のうちの1つ以上を有することがあるドナーから採取された組織中のUCH-L1及び/又はGFAPの「リスク」レベルについても標準曲線を提供することができる。
【0374】
したがって、上記を念頭に置いて、UCH-L1及び/又はGFAPの、被験試料中の存在、量又は濃度を決定するための方法が提供される。方法は、例えば、UCH-L1及び/又はGFAP上のエピトープに結合する、少なくとも1つの捕捉抗体及び捕捉抗体に対するエピトープと異なる、UCH-L1及び/又はGFAP上のエピトープに結合する、少なくとも1つの検出抗体を利用するイムノアッセイにより、被験試料を、UCH-L1及び/又はGFAPについてアッセイするステップを含み、任意選択的に、検出可能な標識を含み、UCH-L1及び/又はGFAPの、被験試料中の存在、量又は濃度についての、直接的指標又は間接的指標として、検出可能な標識により発生したシグナルを、UCH-L1及び/又はGFAPの、較正物質中の存在、量又は濃度についての、直接的指標又は間接的指標として発生されたシグナルと比較するステップを含む。較正物質は、任意選択的に、較正物質の各々が、系列内の他の較正物質とUCH-L1及び/又はGFAPの濃度が異なる、較正物質の系列の一部であり、これが好ましい。
【0375】
12.キット
本明細書において、被験試料を、UCH-L1及び/若しくはGFAP又はUCH-L1及び/若しくはGFAP断片についてアッセイ又は評価するために使用されうるキットが提示される。キットは、被験試料を、UCH-L1及び/又はGFAPについてアッセイするための、少なくとも1つの構成要素、被験試料を、UCH-L1及び/又はGFAPについてアッセイするための指示書を含む。例えば、キットは、被験試料を、UCH-L1及び/又はGFAPについて、イムノアッセイ、例えば、化学発光マイクロ粒子イムノアッセイによりアッセイするための指示書を含みうる。キット内に含まれる指示書は、パッケージング材料に貼付されうる、又はパッケージの添付文書として含まれうる。指示書は、典型的に、文書又は印刷物でありうるが、このようなものに限定されない。このような指示書を保存し、これらを末端使用者へと通信することが可能な、任意のメディアが、本開示により想定される。このようなメディアは、電子保存メディア(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学メディア(例えば、CD ROM)などを含むがこれらに限定されない。本明細書において使用された「指示書」は、指示書を提供するインターネットサイトのアドレスを含みうる。
【0376】
少なくとも1つの構成要素は、UCH-L1及び/又はGFAPに特異的に結合する、1つ以上の単離抗体又はこれらの抗体断片を含む、少なくとも1つの組成物を含みうる。抗体は、UCH-L1及び/又はGFAP補足抗体並びに/又はUCH-L1及び/又はGFAP検出抗体でありうる。
【0377】
代替的に、又は、加えて、キットは、上記された較正物質若しくは対照、例えば、精製され、任意選択的に、凍結乾燥させられたUCH-L1及びに/若しくはGFAP並びに/又はアッセイを行うための、少なくとも1つの容器(例えば、抗UCH-L1及び/又はGFAPモノクローナル抗体により、あらかじめコーティングされうる、チューブ、マイクロ滴定プレート又はストリップ)並びに/又はそれらのうちの一方が濃縮溶液、検出可能な標識(例えば、酵素標識)のための基質溶液若しくは停止溶液として提供されうる、アッセイ緩衝液若しくは洗浄緩衝液などの緩衝液を含みうる。好ましくは、キットは、アッセイを実施するのに必要な、全ての構成要素、すなわち、試薬、標準物質、緩衝液、希釈剤などを含む。指示書はまた、検量線を作成するための指示書も含みうる。
【0378】
キットは、UCH-L1及び/又はGFAPを定量するための参照標準物質をさらに含みうる。参照標準物質は、UCH-L1及び/又はGFAP濃度を内挿及び/又は外挿するための検量線を確立するのに利用されうる。参照標準物質は、UCH-L1及び/若しくはGFAPの高濃度レベル、例えば、約100000pg/mL、約125000pg/mL、約150000pg/mL、約175000pg/mL、約200000pg/mL、約225000pg/mL、約250000pg/mL、約275000pg/mL若しくは約300000pg/mL;UCH-L1及び/若しくはGFAPの中濃度レベル、例えば、約25000pg/mL、約40000pg/mL、約45000pg/mL、約50000pg/mL、約55000pg/mL、約60000pg/mL、約75000pg/mL若しくは約100000pg/mL;並びに/又はUCH-L1及び/若しくはGFAPの低濃度レベル、例えば、約1pg/mL、約5pg/mL、約10pg/mL、約12.5pg/mL、約15pg/mL、約20pg/mL、約25pg/mL、約30pg/mL、約35pg/mL、約40pg/mL、約45pg/mL、約50pg/mL、約55pg/mL、約60pg/mL、約65pg/mL、約70pg/mL、約75pg/mL、約80pg/mL、約85pg/mL、約90pg/mL、約95pg/mL、又は約100pg/mLを含みうる。
【0379】
UCH-L1及び/又はGFAPに特異的な組換え抗体などの、キット内に提供される任意の抗体に、フルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識などの、検出可能な標識を組み込むことが可能である、又はキットは、抗体を標識付けするための試薬若しくは抗体(例えば、検出抗体)を検出するための試薬及び/又は解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を標識付けするための試薬若しくは解析物(例えば、UCH-L1及び/又はGFAP)を検出するための試薬を含みうる。抗体、較正物質及び/又は対照は、個別の容器内に用意されうる、又は適切なアッセイフォーマット、例えば、マイクロ滴定プレートへとあらかじめ分注されうる。
【0380】
任意選択的に、キットは、品質管理のための構成要素(例えば、感度パネル、較正物質及び陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は、当技術分野において周知であり、様々な免疫診断用生成物のための添付シート上に記載されている。感度パネルメンバーは、任意選択的に、アッセイ性能の特徴を確立するのに使用され、さらに、任意選択的に、イムノアッセイキット試薬の完全性及びアッセイの標準化についての、有用な指標である。
【0381】
キットはまた、任意選択的に、診断的アッセイを行うのに要求される、又は品質管理査定を容易とする、他の試薬であって、緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬などの試薬も含みうる。被験試料の単離及び/又は処理のための緩衝液及び溶液(例えば、前処理試薬)などの、他の構成要素もまた、キットに含まれうる。加えて、キットは、1つ以上の他の対照も含みうる。キットの構成要素のうちの1つ以上は、凍結乾燥させられる場合があり、この場合、キットは、凍結乾燥させられた構成要素の復元に適する試薬をさらに含みうる。
【0382】
キットの多様な構成要素は、必要に応じて、任意選択的に、適切な容器、例えば、マイクロ滴定プレートにより提供される。キットは、試料を保持又は保存するための容器(例えば、尿試料、全血試料、血漿試料又は血清試料のための容器又はカートリッジ)をさらに含みうる。適切な場合、キットはまた、任意選択的に、反応槽、混合槽及び試薬又は被験試料の調製を容易とする他の構成要素も含有しうる。キットはまた、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーンなどの、被験試料を得る一助となるための、1つ以上の器具も含みうる。
【0383】
検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットは、少なくとも1つのアクリジニウム-9-カルボキサミド、少なくとも1つのアクリジニウム-9-カルボキシレートアリールエステル、又はこれらの任意の組合せを含みうる。検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットはまた、緩衝液、溶液及び/又は少なくとも1つの塩基性溶液などの、過酸化水素の供給源も含みうる。所望の場合、キットは、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロ滴定プレート、キュベット、膜、足場形成分子、薄膜、濾紙、ディスク又はチップなどの固相を含有しうる。
【0384】
所望の場合、キットは、単独で、又は被験試料を、外傷性脳損傷又は障害のバイオマーカーなどのバイオマーカーでありうる、別の解析物についてアッセイするための指示書とさらに組み合わせて、1つ以上の構成要素をさらに含みうる。
【0385】
a.キット及び方法の適合
本明細書において記載されたイムノアッセイにより、UCH-L1及び/又はGFAPの、被験試料中濃度を評価又は決定するためのキット(又はこの構成要素)並びに方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開第2003/0170881号、同第2004/0018577号、同第2005/0054078号及び同第2006/0160164号において記載されており、例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により、Abbott Point of Care(i-STAT(登録商標)又はi-STAT Alinity、Abbott Laboratories)として市販されている、様々な自動式システム及び半自動式システム(固相がマイクロ粒子を含むシステムを含む)のほか、米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号において記載されており、例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により、ARCHITECT(登録商標)又はAbbott Alinityデバイスのシリーズとして市販されているシステムにおける使用に適合させられうる。
【0386】
自動式システム又は半自動式システムの、非自動式システム(例えば、ELISA)と比較した、一部の差違は、第1の特異的結合パートナー(例えば、解析物抗体又は捕捉抗体)が、接合された基質(サンドイッチの形成及び解析物の反応性に影響を及ぼしうる)並びに捕捉ステップ、検出ステップ及び/又は任意選択の洗浄ステップの長さ及びタイミングを含む。ELISAなどの非自動式フォーマットが、試料及び捕捉試薬(例えば、約2時間)を伴う、比較的長いインキュベーション時間を要求しうるのに対し、自動式フォーマット又は半自動式フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Alinity、及び任意の後継のプラットフォーム、Abbott Laboratories)は、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)の場合、約18分間)を有しうる。同様に、ELISAなどの非自動式フォーマットが、コンジュゲート試薬などの検出抗体を、比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)にわたりインキュベートするのに対し、自動式フォーマット又は半自動式フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Alinity、及び任意の後継のプラットフォーム)は、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)及び任意の後継のプラットフォームの場合、約4分間)を有しうる。
【0387】
Abbott Laboratoriesから市販されている、他のプラットフォームは、Alinity、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれた、米国特許第5,294,404号を参照されたい)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)及びQuantum(商標)II並びに他のプラットフォームを含むがこれらに限定されない。加えて、アッセイ、キット及びキットの構成要素は、例えば、電気化学アッセイシステム又は他の携帯型アッセイシステム若しくはポイントオブケアアッセイシステム上の、他のフォーマットにおいて利用されうる。前述の通り、本開示は、例えば、サンドイッチイムノアッセイを実施する、市販の、Abbott Point of Care(i-STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学イムノアッセイシステムに適用可能である。イムノセンサー並びにこれらの製造法及び単回使用のための検査デバイスにおける動作については、例えば、参照によりこれに関するそれらの教示について本明細書に組み込まれた、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開第2003/0170881号、同第2004/0018577号、同第2005/0054078号及び同第2006/0160164号において記載されている。
【0388】
特に、アッセイの、i-STAT(登録商標)システムへの適合に関して、以下の構成が好ましい。微細加工シリコンチップが、金製の電流測定用作業電極及び銀塩化銀基準電極の対と共に作製される。作業電極のうちの1つにおいて、捕捉抗体を固定化されたポリスチレンビーズ(直径を0.2mmとする)が、電極上の、パターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングへと接着させられる。このチップが、イムノアッセイに適する流体フォーマットと共に、i-STAT(登録商標)カートリッジへとアセンブルされる。シリコンチップの部分に、それらのうちのいずれかが、検出可能に標識されうる、1つ以上のUCH-L1及び/又はGFAP抗体(UCH-L1及び/又はGFAPに結合しうる、1つ以上のモノクローナル/ポリクローナル抗体又はこれらの断片、これらの変異体又はこれらの変異体の断片)又は1つ以上の抗UCH-L1及び/又はGFAPDVD-Ig(又はUCH-L1及び/又はGFAPに結合しうる、この断片、この変異体又はこの変異体の断片)などの、UCH-L1及び/又はGFAPに対する特異的結合パートナーが存在する。カートリッジの流体パウチ内に、p-アミノフェノールホスフェートを含む水性試薬が存在する。
【0389】
作動時に、TBIを患うことが推測される対象に由来する試料が、検査カートリッジの保持チャンバーへと添加され、カートリッジが、i-STAT(登録商標)リーダーへと挿入される。カートリッジ内のポンプエレメントが、試料を、チップを含有する導管へと押し出す。試料は、センサーと接触され、酵素コンジュゲートを、試料へと溶存させる。試料は、センサーにわたり振動させられて、約2~12分間にわたる、サンドイッチの形成を促進する。アッセイの最後から二番目のステップにおいて、試料は、廃液チャンバーへと押し出され、アルカリホスファターゼ酵素に対する基質を含有する洗浄液が、過剰量の酵素コンジュゲート及び試料を、センサーチップから洗い落とすのに使用される。アッセイの最後のステップにおいて、アルカリホスファターゼ標識は、p-アミノフェノールホスフェートと反応して、リン酸基を切断し、作業電極において、遊離p-アミノフェノールを、電気化学的に酸化させる。測定された電流に基づき、リーダーは、組み込まれたアルゴリズム及び工場において決定された較正曲線により、UCH-L1及び/又はGFAPの、試料中量を計算することが可能となる。
【0390】
本明細書において記載された方法及びキットは、必然的に、イムノアッセイを実行するための、他の試薬及び方法を包含する。例えば、当技術分野において公知であり、かつ/又は、コンジュゲート希釈剤及び/若しくは較正物質希釈剤として、例えば、洗浄用に、たやすく調製若しくは最適化され利用されうる、多様な緩衝液が包含される。例示的なコンジュゲート希釈剤は、ある特定のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において利用され、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッキング剤、抗微生物剤及び界面活性剤を含有する、ARCHITECT(登録商標)コンジュゲート希釈剤である。例示的な較正物質希釈剤は、MES、他の塩、タンパク質ブロッキング剤及び抗微生物剤を含有する緩衝液を含む、ある特定のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において利用された、ARCHITECT(登録商標)ヒト較正物質希釈剤である。加えて、2008年12月31日に出願された、米国特許出願第61/142,048号において記載されている通り、シグナル発生の改善は、例えば、シグナル増幅剤としてのシグナル抗体へと連結された核酸配列を使用する、i-STAT(登録商標)カートリッジフォーマットにおいて得られうる。
【0391】
本明細書の、ある特定の実施形態は、外傷性脳損傷などの疾患を評価するのに利用されると有利であるが、アッセイ及びキットはまた、適宜、任意選択的に、他の疾患、障害及び状態におけるUCH-L1及び/又はGFAPを評価するのにも利用されうる。
【0392】
アッセイ法はまた、外傷性脳損傷などの疾患を改善する化合物を同定するのにも使用されうる。例えば、UCH-L1及び/又はGFAPを発現する細胞は、候補化合物と接触されうる。本明細書において記載されたアッセイ法を使用して、化合物と接触された細胞内の、UCH-L1及び/又はGFAPの発現レベルは、対照細胞内の発現レベルと比較されうる。
【実施例】
【0393】
本開示は、以下の非限定例により例示された、複数の態様を有する。
【0394】
13.実施例
当業者に、本明細書において記載された、本開示の方法の、他の適切な改変及び適合は、容易に適用可能かつ認識可能であり、本開示の範囲又は本明細書において開示された態様及び実施形態から逸脱しない限りにおいて、適切な同等物を使用してなされうることが容易に明らかとなる。さて、本開示について詳細に記載してきたが、これは、本開示の実施形態の、一部の態様を例示することだけを意図するものであり、本開示の範囲に対して限定的であると考えられるべきではない、以下の例を参照することにより、より明確に理解される。本明細書において言及された、全ての雑誌の参考文献、米国特許及び刊行物の開示は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれている。
【0395】
本開示は、以下の非限定例により例示された、複数の態様を有する。
【0396】
[実施例2]
i-STAT(登録商標)UCH-L1アッセイ
i-STAT(登録商標)UCH-L1アッセイはTBI患者集団研究において使用された。捕捉モノクローナル抗体としての抗体A及び検出モノクローナル抗体としての抗体B及び抗体Cなどのモノクローナル抗体対を使用した。抗体Aは、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)社内において開発された、例示的な抗UCH-L1抗体である。Banyan Biomarkers(Alachua、Florida)により開発された、抗体B及び抗体Cは、UCH-L1の異なるエピトープを認識し、試料中の抗原の検出を増強する。Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)社内において開発された、他の抗体もまた、捕捉抗体又は検出抗体として、多様な組合せにおいて、併せて使用された場合に、同様のシグナルの増強を示す、又はこれを示すことが期待されている。UCH-L1アッセイデザインを、鍵となる性能属性に対して査定した。カートリッジ構成は、抗体構成:抗体A(捕捉抗体)/抗体B+C(検出抗体);試薬条件:0.8%の固体、125μg/mLのFabアルカリホスファターゼクラスターコンジュゲート及び試料注入口の印字:UCH-L1標準物質であった。アッセイ時間は、10~15分間(試料捕捉時間を7~12分間とする)であった。
【0397】
[実施例3]
i-STAT(登録商標)GFAPアッセイ
i-STAT(登録商標)GFAPアッセイを、TBI患者集団研究において使用した。捕捉モノクローナル抗体としての抗体A及び検出モノクローナル抗体としての抗体Bなどのモノクローナル抗体対を使用した。抗体A及び抗体Bは、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)社内において開発された、例示的な抗GFAP抗体である。GFAPアッセイデザインを、鍵となる性能属性に対して査定した。カートリッジ構成は、抗体構成:抗体A(捕捉抗体)/抗体B+C(検出抗体);試薬条件:0.8%の固体、250μg/mLのFabアルカリホスファターゼクラスターコンジュゲート及び試料注入口の印字:GFAP特異的であった。アッセイ時間は、10~15分間(試料捕捉時間を7~12分間とする)であった。
【0398】
[実施例4]
音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部損傷を被ったと考えられる対象(例えば、ヒト)由来の1つ以上の試料(例えば、全血、血漿、血清等)は、当技術分野で公知であるルーチンな技法を使用して推測される又は実際の頭部損傷から約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に得ることができる。これらの対象から得られる試料中のGFAP及びUCH-L1のレベルは、プロトタイプi-STAT GFAP及びUCH-L1アッセイ(Abbott Laboratories)を使用して測定することができる。プロトタイプi-STAT GFAPアッセイでは、基準レベルは約30pg/mLであり、プロトタイプi-STAT UCH-L1アッセイでは、基準レベルは約360pg/mLである。約30pg/mLよりも大きなGFAPレベルを有する対象は、外傷性脳損傷(TBI)を被ったと査定することができ、約30pg/mL未満のGFAPレベルを有する対象は、外傷性脳損傷(TBI)を被っていない査定することができる。同様に、約360pg/mLよりも大きなUCH-L1レベルを有する対象は、TBIを被ったと査定することができ、約360pg/mL未満のUCH-L1レベルを有する対象は、TBIを被っていないと査定することができる。さらに、約30pg/mLよりも大きなGFAPレベルかつ約360pg/mLよりも大きなUCH-L1レベルを有する対象は、TBIを被ったと査定することができ、約30pg/mL未満のGFAPレベルかつ約360pg/mL未満のUCH-L1レベルを有する対象は、TBIを被っていないと査定することができる。さらに、TBIを被ったと査定することができる対象は、1つ以上のTBI治療及び/又は本明細書で前に記載された方法及び技法を使用するモニタリングを受けることができる。
【0399】
[実施例4]
音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部損傷を被ったと考えられる対象(例えば、ヒト)由来の1つ以上の試料(例えば、全血、血漿、血清等)は、当技術分野で公知であるルーチンな技法を使用して推測される又は実際の頭部損傷から約24、48、72、96、120、144、又は168時間以内に得ることができる。これらの対象から得られる試料中のGFAP及びUCH-L1のレベルは、プロトタイプi-STAT GFAP及びUCH-L1アッセイ(Abbott Laboratories)を使用して測定することができる。プロトタイプi-STAT GFAPアッセイでは、基準レベルは約30pg/mLであり、プロトタイプi-STAT UCH-L1アッセイでは、基準レベルは約360pg/mLである。頭部コンピュータ(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング、又は頭部CTとMRIの両方は、約30pg/mLよりも大きなGFAPレベルを有する対象において実施することができ、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方は、約30pg/未満のGFAPレベルを有する対象では実施しなくてよい。同様に、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方は、約360pg/mLよりも大きなUCH-L1レベルを有する対象において実施することができ、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方は、約360pg/mL未満のUCH-L1レベルを有する対象では実施しなくてよい。さらに、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方は、約30pg/mLよりも大きなGFAPレベルかつ約360pg/よりも大きなUCH-L1レベルを有する対象において実施することができ、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方は、約30pg/mL未満のGFAPレベルかつ約360pg/mL未満のUCH-L1レベルを有する対象では実施しなくてよい。さらに、頭部CT、MRI、又は頭部CTとMRIの両方を受ける対象は、1つ以上のTBI治療並びに/又は頭部CT、MRI、若しくは頭部CTとMRIの両方を受ける前に及び/若しくは後で、本明細書で前に記載された方法及び技法を使用するモニタリングを受けることができる。
【0400】
一部の態様では、本実施例では、TBI陽性及び陰性を決定するステップは、米国リハビリテーション医学会(ACRM)に基づいている下の表Aに提供される基準の使用を含む。
【0401】
【0402】
前出の詳細な記載及び付属の実施例は、例示的なものであるに過ぎず、併載の特許請求の範囲及びそれらの均等物だけによって規定される、本開示の範囲に対する限定として理解されないものとすることが理解される。
【0403】
開示された実施形態に対する、多様な変化及び改変が、当業者に明らかである。この精神及び範囲から逸脱しない限りにおいて、限定せずに述べると、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤又は本開示の使用法に関する変化及び改変を含む、このような変化及び改変がなされうる。
【0404】
完全であるという理由により、本開示の様々な態様は以下の番号付きの条項において提示される。
【0405】
条項1.頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得た試料でアッセイを実施して、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はこの組合せのレベルを測定する又は検出することにより頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象の診断及び査定の一助となる方法の改善であって、対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を有する又は負ったと推測される後に試料を得ること、及びUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象が、軽度、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)を負っていると決定することを含む改善。
【0406】
条項2.UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルが基準レベルよりも低い場合、対象が軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを負っていないと決定される、条項1に記載の改善。
【0407】
条項3.GFAPについての基準レベルが約15~約50pg/mLである、条項1又は条項2に記載の改善。
【0408】
条項4.UCH-L1についての基準レベルが約320~約400pg/mLである、条項1~3のいずれかに記載の改善。
【0409】
条項5.GFAPについての基準レベルが約30pg/mLである、条項1~4のいずれかに記載の改善。
【0410】
条項6.UCH-L1についての基準レベルが約360pg/mLである、条項1~5のいずれかに記載の改善。
【0411】
条項7.対象が、アッセイが実施される前又は後でGCSスコアを受けている、条項1~6のいずれかに記載の改善。
【0412】
条項8.対象が、GCSスコアに基づいて中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有すると推測される、条項1~7のいずれかに記載の改善。
【0413】
条項9.基準レベルが、中等度、重度、又は中等度~重度の外傷性脳損傷を有する対象と相関している、条項8に記載の改善。
【0414】
条項10.基準レベルが、3~8(重度のTBI)、9~12(中等度のTBI)、13~15(軽度のTBI)、又は3~12(中等度~重度のTBI)のGCSスコアと相関している、条項9に記載の改善。
【0415】
条項11.対象が、GCSスコアに基づいて軽度の外傷性脳損傷を有すると推測される、条項7~10のいずれかに記載の改善。
【0416】
条項12.基準レベルが、13~15のGCSスコアと相関している、条項10に記載の改善。
【0417】
条項13.基準レベルが、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している、条項1に記載の改善。
【0418】
条項14.試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される、条項1~13に記載の改善。
【0419】
条項15.試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される、条項14のいずれかに記載の改善。
【0420】
条項16.軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象を、TBI治療を用いて治療することをさらに含む、条項1~15のいずれかに記載の改善。
【0421】
条項17.軽度、中等度、重度、又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることをさらに含む、条項1~16のいずれかに記載の改善。
【0422】
条項18.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後で、
対象から第2の時点で採取された少なくとも第2の試料中のUCH-L1について第2のアッセイを実施すること、及び
第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも大きい若しくはこれに等しい変化倍率を示す場合、中等度~重度のTBIに対して、又は第2の試料中のUCH-L1のレベルが第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べて約0.73よりも小さい変化倍率を示す場合、軽度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点が頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点が第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項1に記載の改善。
【0423】
条項19.方法が、試料中のUCH-L1のレベルが約550pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約550pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
試料は、頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内に得られる、条項1に記載の改善。
【0424】
条項20.方法が、試料中のUCH-L1のレベルが約450pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約450pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
試料は、頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内に得られる、条項1に記載の改善。
【0425】
条項21.方法が、試料中のUCH-L1のレベルが約350pg/mLよりも大きい若しくはこれに等しい場合、中等度~重度のTBIに対して、又は試料中のUCH-L1のレベルが約350pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
試料は、頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内に得られる、条項1に記載の改善。
【0426】
条項22.方法が、頭部への実際の若しくは推測される損傷後約2時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
i.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;
ii.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI;又は
iii.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きく、かつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも小さく、かつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0427】
条項23.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後で、
対象から得られた第2の時点で採取された少なくとも1つの第2の試料においてUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;
ii.GFAPのレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI;又は
iii.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、中等度、重度、若しくは中等度~重度のTBI、又はUCH-L1のレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加しても減少してもいないかつGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加しても減少してもいない場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点は、実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項1に記載の改善。
【0428】
条項24.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象由来の試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて少なくとも1つのアッセイを実施すること;並びに
i.試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しい、
ii.試料中のUCH-L1のレベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは
iii.試料中のGFAPのレベルが、約10pg/mL~約300pg/mLの間のGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1の基準レベルが、約100pg/mL~約2000pg/mLの間のUCH-L1の基準レベルに等しい
場合、TBIに対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0429】
条項25.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得た試料でUCH-L1、GFAP若しくはその組合せについて少なくとも1つのアッセイを実施すること;並びに
(a)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mL~約3000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい、又は(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mL~約3000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きくかつ試料中のUCH-L1のレベルが約215pg/mL~約3000pg/mLの基準レベルに等しい若しくはこれよりも大きい場合、中等度~重度のTBI;又は
(b)(i)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約215pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも小さい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、約205pg/mLのGFAPの基準レベルよりも小さくかつ試料中のUCH-L1のレベルが約215pg/mLの基準レベルよりも小さい場合、軽度のTBI
に対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0430】
条項26.方法が、対象が頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
試料中のGFAPのレベルが、約105pg/mL~約890pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約110pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、軽度のTBI;
に対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0431】
条項27.方法が、対象が頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約40pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約70pg/mL~約150pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、TBIに対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0432】
条項28.方法が、対象が頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについての少なくとも1つのアッセイを実施すること;及び
試料中のGFAPのレベルが、約80pg/mL~約2000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約130pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象に対して、好ましくないものである可能性が高い転帰を予想し、TBIに対して対象を治療すること
をさらに含む、条項1に記載の改善。
【0433】
条項29.音響エネルギー、電磁エネルギー又は音響と電磁エネルギーが、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である、条項1~28のいずれかに記載の改善。
【0434】
条項30.凶器が、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せである、条項29に記載の改善。
【0435】
条項31.音響兵器が、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターである、条項30に記載の改善。
【0436】
条項32.指向性エネルギー兵器が、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せである、条項30に記載の改善。
【0437】
条項33.アッセイが、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである、条項1~32のいずれかに記載の改善。
【0438】
条項34.アッセイが、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである、条項1~33のいずれかに記載の改善。
【0439】
条項35.試料が、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される、条項1~34のいずれかに記載の改善。
【0440】
条項36.頭部への実際の又は推測される損傷後に対象から得られた試料でアッセイを実施してユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、グリア原線維性酸性タンパク質(GFAP)又はその組合せのレベルを測定する又は検出することにより、頭部への損傷を負った又は負った可能性がある対象において頭部コンピュータ(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施するかどうかを決定する一助となる方法の改善であって、対象が、音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされたと考えられる頭部への損傷を負った後に試料を得ること、並びにUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象に頭部CTスキャン、MRI手順、又は頭部CTスキャンとMRI手順を実施することを含む改善。
【0441】
条項37.頭部CT、MRI又は頭部CTとMRIが、UCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP及び/又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも低い場合、対象で実施されない、条項36に記載の改善。
【0442】
条項38.GFAPについての基準レベルが約15~約50pg/mLである、条項36又は37に記載の改善。
【0443】
条項39.UCH-L1についての基準レベルが約320~約400pg/mLである、条項36~38のいずれかに記載の改善。
【0444】
条項40.GFAPについての基準レベルが約30pg/mLである、条項36~38のいずれかに記載の改善。
【0445】
条項41.UCH-L1についての基準レベルが約360pg/mLである、条項36~40のいずれかに記載の改善。
【0446】
条項42.基準レベルが、陽性頭部コンピュータ断層撮影と相関している、条項36に記載の改善。
【0447】
条項43.基準レベルが、陽性磁気共鳴画像と相関している、条項36に記載の改善。
【0448】
条項44.基準レベルが、頭部損傷を負ったことがない対照対象と相関している、条項36に記載の改善。
【0449】
条項45.試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後約48時間以内に採取される、条項36~44に記載の改善。
【0450】
条項46.試料が、頭部への実際の又は推測される損傷後、約5分以内、約10分以内、約12分以内、約15分以内、約20分以内、約30分以内、約60分以内、約90分以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約9時間以内、約10時間以内、約11時間以内、約12時間以内、約13時間以内、約14時間以内、約15時間以内、約16時間以内、約17時間以内、約18時間以内、約19時間以内、約20時間以内、約21時間以内、約22時間以内、約23時間以内、約24時間以内、約25時間以内、約26時間以内、約27時間以内、約28時間以内、約29時間以内、約30時間以内、約31時間以内、約32時間以内、約33時間以内、約34時間以内、約35時間以内、約36時間以内、約37時間以内、約38時間以内、約39時間以内、約40時間以内、約41時間以内、約42時間以内、約43時間以内、約44時間以内、約45時間以内、約46時間以内、約47時間以内又は約48時間以内に採取される、条項45に記載の改善。
【0451】
条項47.軽度、中等度、重度又は中等度~重度のTBIを有すると査定された対象をモニターすることをさらに含む、条項36~46のいずれかに記載の改善。
【0452】
条項48.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料でUCH-L1について第2のアッセイを実施すること;及び
第2の試料中のUCH-L1のレベルが、第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合、約1.81未満の変化倍率を示す場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
第1の時点は頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項36に記載の改善。
【0453】
条項49.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
頭部損傷又は推測される頭部損傷後、第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料においてユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)について第2のアッセイを実施すること;及び
第2の試料中のUCH-L1のレベルが、第1の試料中のUCH-L1のレベルと比べた場合、約1.5未満の変化倍率を示す場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
第1の時点は頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項36に記載の改善。
【0454】
条項50.方法が、頭部への実際の又は推測される損傷から約2時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
a.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きい場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること;
b.UCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
c.GFAPのレベルが約9.0pg/mLよりも大きくかつUCH-L1のレベルが約73.5pg/mLよりも大きい場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含む、条項36に記載の改善。
【0455】
条項51.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについて第2のアッセイを実施すること;及び
i.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;
ii.GFAPのレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること;又は
iii.UCH-L1のレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約40pg/mL増加している若しくは減少しているかつGFAPのレベルが、第1の試料から第2の試料までで少なくとも約1pg/mL増加している若しくは減少している場合、頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含み、
第1の時点は実際の又は推測される頭部損傷後約2時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項36に記載の改善。
【0456】
条項52.方法が、頭部への実際の又は推測される損傷後約24時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
試料中のUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルがUCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPの基準レベルよりも高い場合、対象でMRI手順を実施して、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
基準レベルは少なくとも約20pg/mL~約200pg/mLの間である、条項36に記載の改善。
【0457】
条項53.方法が、第1の時点で採取された第1の試料である試料でアッセイを実施した後、
第2の時点で採取され対象から得られた第2の試料においてUCH-L1、GFAP及びUCH-L1とGFAPからなる群から選択される少なくとも1つの初期バイオマーカーについて第2のアッセイを実施すること、並びに
UCH-L1、GFAP又はUCH-L1とGFAPのレベルが第1の試料から第2の試料までで少なくとも約10pg/mL~少なくとも約150pg/mLの間の量で減少している又は増加している場合、対象でMRI手順を実施し、中等度、重度又は中等度~重度のTBIに対して対象を治療すること
をさらに含み、
第1の時点は頭部損傷又は推測される頭部損傷後約24時間以内であり、第2の時点は第1の試料が採取された後約3~約6時間以内である、条項36に記載の改善。
【0458】
条項54.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含む、条項36に記載の改善。
【0459】
条項55.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
(i)試料中のGFAPのレベルが、約140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、(ii)試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい、若しくは(iii)試料中のGFAPのレベルが、140pg/mL~約1150pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約400pg/mL~約810pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、対象で頭部CTスキャンを実施すること
をさらに含む、条項36に記載の改善。
【0460】
条項56.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;及び
試料中のGFAPのレベルが、約50pg/mL~約975pg/mLのGFAPの基準レベルに等しくかつ試料中のUCH-L1のレベルが、約90pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい場合、頭部CTスキャンを実施せず、軽度の外傷性脳損傷(TBI)に対して対象を治療すること
をさらに含む、条項36に記載の改善。
【0461】
条項57.方法が、対象が整形外科損傷及び頭部への実際の又は推測される損傷を負った後約48時間以内に対象から得られた試料でUCH-L1、GFAP又はその組合せについてのアッセイを実施すること;並びに
(a)試料中のGFAPのレベルが、約15pg/mL~約1000pg/mLのGFAPの基準レベルに等しい、及び試料中のUCH-L1のレベルが、約50pg/mL~約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルに等しい;又は
(b)試料中のGFAPのレベルが、約1000pg/mLのGFAPの基準レベルよりも大きい、及び試料中のUCH-L1のレベルが、約2000pg/mLのUCH-L1の基準レベルよりも大きい場合、MRI手順を実施すること
をさらに含む、条項36に記載の改善。
【0462】
条項58.音響エネルギー又は電磁エネルギーが、日常生活中の偶発的曝露、事故、自然災害、凶器、又はその任意の組合せの結果である、条項36~57のいずれかに記載の改善。
【0463】
条項59.凶器が、音響兵器、指向性エネルギー兵器又はその組合せ由来である、条項58に記載の改善。
【0464】
条項60.音響兵器が、長距離音響装置、音響大砲、超低周波エミッターである、条項59に記載の改善。
【0465】
条項61.指向性エネルギー兵器が、レーザー、マイクロ波、粒子ビーム、又はその任意の組合せである、条項59のいずれかに記載の改善。
【0466】
条項62.アッセイが、イムノアッセイ又は臨床化学アッセイである、条項36~61のいずれかに記載の改善。
【0467】
条項63.アッセイが、単一分子検出アッセイ又はポイントオブケアアッセイである、条項36~62のいずれかに記載の改善。
【0468】
条項64.試料が、全血試料、血清試料、脳脊髄液試料、組織試料、体液及び血漿試料からなる群から選択される、条項36~63のいずれかに記載の改善。
【0469】
条項65.対象がヒトである、条項1~64のいずれかに記載の改善。
【0470】
条項66.ヒトがヒト成人対象又はヒト小児対象である、条項65に記載の改善。
【0471】
条項67.音響エネルギー、電磁エネルギー、過圧波、爆風、又はその任意の組合せにより引き起こされる又は引き起こされると考えられる損傷又は推測される損傷が、多数傷病者事故の一部である、条項1~66のいずれかに記載の改善。
【配列表】
【国際調査報告】