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特表2024-521483低減電力及び面積効率の良い受信機回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】低減電力及び面積効率の良い受信機回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240524BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H04L25/02 R
H04L25/49 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577283
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022020477
(87)【国際公開番号】W WO2022265704
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/351,028
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チャオイン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤヤ, パラッグ
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA02
5K029DD12
5K029DD22
5K029DD29
5K029HH08
(57)【要約】
一例では、通信システムのための受信機回路は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、エラースライサ回路とを備える。エラースライサ回路は、信号処理回路の出力に結合されており、処理されたデータ信号を受信するように構成されている。エラースライサ回路は、クロック信号を受信し、クロック信号の第1の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力するように構成された第1のエラースライサを備える。第1のエラースライサは、クロック信号の第2の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力するように更に構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムのための受信機回路であって、前記受信機回路が、
データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路の出力に結合されており、前記処理されたデータ信号を受信するように構成されたエラースライサ回路と、を備え、前記エラースライサ回路が、
第1のエラースライサを備え、前記第1のエラースライサが、
クロック信号を受信し、
前記クロック信号の第1の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力し、かつ
前記クロック信号の第2の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力するように構成されている、受信機回路。
【請求項2】
前記第1のエラースライサが、
前記クロック信号を受信するように構成されており、かつ前記クロック信号に基づいて第1の基準信号と第2の基準信号とを生成するように構成されたマルチプレクサ回路を備える基準回路と、
前記第1の基準信号の極性と前記第2の基準信号の極性とに基づいて、第1のエラー電圧値又は第2のエラー電圧値のうちの1つをキャプチャするように構成されたフリップフロップと、を更に備える、請求項1に記載の受信機回路。
【請求項3】
前記クロック信号が前記第1の状態を有することに基づいて、前記マルチプレクサ回路が、正の極性を有する前記第1の基準信号と負の極性を有する前記第2の基準信号とを生成し、前記クロック信号が前記第2の状態を有することに基づいて、前記マルチプレクサ回路が、負の極性を有する前記第1の基準信号を生成し、前記マルチプレクサ回路が、正の極性を有する前記第2の基準信号を生成する、請求項2に記載の受信機回路。
【請求項4】
前記フリップフロップは、
前記第1の基準信号の前記極性が正であり、前記第2の基準信号の前記極性が負であることに基づいて、前記第1のエラー電圧値をキャプチャし、かつ
前記第1の基準信号の前記極性が負であり、前記第2の基準信号の前記極性が正であることに基づいて、前記第2のエラー電圧値をキャプチャするように構成されており、前記第1のエラー電圧値が正の極性を有し、前記第2のエラー電圧値が負の極性を有する、請求項3に記載の受信機回路。
【請求項5】
通信システムであって、
データ信号を送信するように構成された送信機回路と、
チャネルを介して前記送信機回路に接続された受信機回路と、を備え、前記受信機回路が、
前記データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路の出力に結合されたエラースライサ回路と、を備え、前記エラースライサ回路が、
第1のエラースライサを備え、前記第1のエラースライサが、
クロック信号を受信し、
前記クロック信号の第1の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力し、かつ
前記クロック信号の第2の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力するように構成されている、通信システム。
【請求項6】
前記第1のエラー信号が正の電圧を有し、前記第2のエラー信号が負の電圧を有し、前記第1のエラー信号の大きさ及び前記第2のエラー信号の大きさが同様である、請求項1又は5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記エラースライサ回路が、
第2のエラースライサを更に備え、前記第2のエラースライサが、
前記クロック信号を受信し、
前記クロック信号の前記第1の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第3のエラー信号を出力し、かつ
前記クロック信号の前記第2の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第4のエラー信号を出力するように構成されている、請求項1又は5に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第2のエラースライサが、前記第1のエラースライサによって生成された前記第1のエラー信号の電圧レベルよりも低い電圧レベルを有する前記第3のエラー信号を生成する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1のエラースライサが、
前記クロック信号を受信するように構成されており、前記クロック信号に基づいて第1の基準信号と第2の基準信号とを生成するように構成されたマルチプレクサ回路を備える基準回路と、
前記第1の基準信号の極性と前記第2の基準信号の極性とに基づいて、第1のエラー電圧値又は第2のエラー電圧値をキャプチャするように構成されたフリップフロップと、を更に備える、請求項5に記載の通信システム。
【請求項10】
前記クロック信号が前記第1の状態を有することに基づいて、前記マルチプレクサ回路が、正の極性を有する前記第1の基準信号と負の極性を有する前記第2の基準信号とを生成し、前記クロック信号が前記第2の状態を有することに基づいて、前記マルチプレクサ回路が、負の極性を有する前記第1の基準信号を生成し、前記マルチプレクサ回路が、正の極性を有する前記第2の基準信号を生成する、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記フリップフロップは、
前記第1の基準信号の前記極性が正であり、前記第2の基準信号の前記極性が負であることに基づいて、前記第1のエラー電圧値をキャプチャし、かつ
前記第1の基準信号の前記極性が負であり、前記第2の基準信号の前記極性が正であることに基づいて、前記第2のエラー電圧値をキャプチャするように構成されており、前記第1のエラー電圧値が正の極性を有し、前記第2のエラー電圧値が負の極性を有する、請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
受信機回路を動作させるための方法であって、前記方法が、
データ信号を受信することと、
前記データ信号を処理して、処理されたデータ信号を生成することと、
エラースライサ回路の第1のエラースライサにおいて、クロック信号を受信することと、
前記第1のエラースライサから、前記クロック信号の第1の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力することと、
前記第1のエラースライサから、前記クロック信号の第2の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記エラースライサ回路の第2のエラースライサから、前記クロック信号の前記第1の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第3のエラー信号を出力することと、
前記第2のエラースライサから、前記クロック信号の前記第2の状態と前記処理されたデータ信号とに基づいて第4のエラー信号を出力することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の期間中に前記第1のエラー信号を生成し、第2の期間中に前記第3のエラー信号を生成することを更に含み、前記第1の期間が、前記第2の期間と少なくとも部分的に重複し、前記第3のエラー信号の電圧レベルが、前記第1のエラー信号の電圧レベルよりも低い、請求項16に記載の方法。
【請求項15】
前記クロック信号が、前記第1のエラースライサの基準回路のマルチプレクサによって受信され、前記基準回路が、前記クロック信号に基づいて第1の基準信号と第2の基準信号とを生成するように構成されており、第1のエラー電圧値及び第2のエラー電圧値のうちの1つが、前記第1の基準信号の極性と前記第2の基準信号の極性とに基づいて、前記第1のエラースライサのフリップフロップによってキャプチャされる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、概して、電子回路に関し、特に、受信機回路のエラースライサ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス振幅変調4レベル(pulse amplitude modulation 4-level、PAM4)受信機の受信機回路は、クロック位相ごとに3つのデータスライサを使用して、4つのデータレベル(例えば、00、01、10、及び11)を検出する。データスライサの各々は、DH(高データラッチ電圧)閾値、DZ(中データラッチ電圧)閾値、及びDL(低データラッチ電圧)閾値のそれぞれ1つに対応する。したがって、4つのクロック位相に対して、受信機回路は12個のデータスライサを含む。更に、受信機回路内のオフセットキャンセル及びデータ閾値レベル適応のために、受信機回路は、クロック位相ごとに1つのエラースライサを含む。各クロック位相に対して、第1のエラースライサは、電圧レベルEHP(高い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出し、第2のエラースライサは、電圧レベルELP(低い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出し、第3のエラースライサは、電圧レベルEHN(高い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出し、第4のエラースライサは、電圧レベルELN(低い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出する。したがって、4つのクロック位相に対して、受信機回路は4つのエラースライサを含む。合計で、4つのクロック位相を使用する受信機回路は、合計16個のスライサ(例えば、12個のデータスライサ及び4個のエラースライサ)を有する。多数のエラースライサ及びデータスライサは、受信機回路の全体的な回路サイズ、及び受信機回路によって使用される電力を増加させる。更に、多数のエラースライサ及びデータスライサは、受信機回路の信号処理回路への負荷を増加させ、信号処理回路の帯域幅を制限する。
【発明の概要】
【0003】
受信機回路は、エラースライサ回路及びデータスライサ回路の両方を含む。データスライサ回路は、送信されたデータ信号の異なるデータレベルを検出する。例えば、パルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機では、DH閾値(高電圧閾値)、DZ閾値(中電圧閾値)、及びDL閾値(低電圧閾値)のうちの1つのそれぞれを検出するために、クロック位相ごとに3つのデータスライサが使用される。エラースライサ回路は、各クロック位相について異なる電圧基準に関連付けられた電圧レベルを検出する。検出された電圧レベルは、受信機回路内のオフセットキャンセル及びデータ閾値レベル適応のために使用され得る。一例では、受信機回路の回路面積のサイズ、及び受信機回路によって使用される電力を低減するために、エラースライサ回路のエラースライサは、時間多重化方式で使用される。例えば、エラースライサ回路の各エラースライサは、2つの異なる電圧基準を検出する。エラースライサ回路の各エラースライサは、第1の期間中に正の電圧基準を検出し、第2の期間中に負の電圧基準を検出することができる。エラースライサを時間多重化することにより、受信機回路の回路面積、及び受信機回路によって使用される電力が低減される。
【0004】
一例では、通信システムのための受信機回路は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、エラースライサ回路とを備える。エラースライサ回路は、信号処理回路の出力に結合されており、処理されたデータ信号を受信するように構成されている。エラースライサ回路は、クロック信号を受信し、クロック信号の第1の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力するように構成された第1のエラースライサを備える。第1のエラースライサは、クロック信号の第2の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力するように更に構成されている。
【0005】
一例では、通信システムは、データ信号を送信するように構成された送信機回路と、チャネルを介して送信機回路に接続された受信機回路とを備える。受信機回路は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、信号処理回路の出力に結合されたエラースライサ回路とを備える。エラースライサ回路は、第1のエラースライサを備える。第1のエラースライサは、クロック信号を受信し、クロック信号の第1の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力するように構成されている。第1のエラースライサは、クロック信号の第2の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラーを出力するように更に構成されている。
【0006】
一例では、受信機回路を動作させるための方法は、データ信号を受信することと、データ信号を処理して、処理されたデータ信号を生成することとを含む。この方法は、エラースライサ回路の第1のエラースライサにおいて、クロック信号を受信することと、第1のエラースライサから、クロック信号の第1の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第1のエラー信号を出力することとを更に含む。更に、この方法は、第1のエラースライサから、クロック信号の第2の状態と処理されたデータ信号とに基づいて第2のエラー信号を出力することを含む。
【0007】
これら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を参照して理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡潔に要約されたより具体的な説明が、例示的な実装形態を参照することによって行われ得、それらの実装形態のうちのいくつかが添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、典型的な例示の実装形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
図1】一例による、例示的な通信システムを示すブロック図である。
図2】一例による、例示的な受信機回路を示すブロック図である。
図3】一例による、受信機回路の例示的なアイダイアグラムである。
図4】一例による、例示的なエラースライサ回路のブロック図である。
図5】一例による、例示的なエラースライサの概略図である。
図6】一例による、データ信号を受信するための方法のフローチャートである。
【0009】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一例の要素は、他の例に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
受信機回路は、エラースライサ回路及びデータスライサ回路を含む。一例では、エラースライサ回路及びデータスライサ回路は、受信機回路のフロントエンドの一部であってもよい。更に、受信機回路は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)通信システムのデータ信号を受信するように構成され得る。データスライサ回路は、送信されたデータ信号の異なるデータレベルを検出する。PAM4通信システムでは、4つのデータレベル(00、01、10、及び11)を検出するために、データスライサ回路は、クロック信号の位相ごとに3つのデータスライサを含む。第1のデータスライサは、クロック信号の位相ごとに第1の電圧閾値(例えば、DH閾値)を検出するために使用され、第2のデータスライサは、クロック信号の位相ごとに第2の電圧閾値(例えば、DZ閾値)を検出するために使用され、第3のデータスライサは、クロック信号の位相ごとに第3の電圧閾値(例えば、DL閾値)を検出するために使用される。DH閾値は、DZ閾値の電圧レベルよりも高い電圧レベルを有し、DZ閾値は、DL閾値の電圧レベルよりも高い電圧レベルを有する。更に、受信機回路は、各クロック位相について異なる電圧基準に関連付けられた電圧レベルを検出するエラースライサ回路を含む。検出された電圧レベルは、受信機回路内のオフセットキャンセル及びデータ閾値レベル適応のために使用される。
【0011】
エラースライサ回路のエラースライサは、受信機回路の回路面積のサイズを低減し、受信機回路によって使用される電力を低減するために、時間多重化方式で使用される。例えば、エラースライサ回路内の各エラースライサは、2つの異なるエラー電圧値(例えば、電圧基準)を検出する。2つの異なるエラー電圧値は、第1の期間中に検出される正のエラー電圧値と、第2の期間中に検出される負のエラー電圧値とを含む。一例では、エラー電圧値は、高い正のエラー電圧レベル(エラー電圧値EHP)、低い正のエラー電圧レベル(エラー電圧値ELP)、高い負のエラー電圧レベル(エラー電圧値EHN)、及び低い負のエラー電圧レベル(エラー電圧値ELN)を含む。エラースライサのうちの第1のエラースライサは、時間多重化方式に基づいてエラー電圧値EHP及びEHNを交互に検出し、エラースライサのうちの第2のエラースライサは、時間多重化方式に基づいてエラー電圧値ELP及びELNを交互に検出する。エラースライサを時間多重化することにより、受信機回路の回路面積、及び受信機回路によって使用される電力が低減される。
【0012】
様々な特徴が、図面を参照して以下に記載される。図面は縮尺どおりに描かれている場合もあるし、描かれていない場合もあり、同様の構造又は機能の要素は図面全体を通して同様の参照番号によって表されていることに留意されたい。図面は、特徴の説明を容易にすることのみを意図していることに留意されたい。それらは、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明として又は特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定するものとして意図されていない。加えて、図示された例は、示された全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の例に関連して記載される態様又は利点は、必ずしもその例に限定されず、そのように図示されていなくても、又はそのように明示的に記載されていなくても、任意の他の例において実施され得る。
【0013】
図1は、1つ以上の例による、通信システム100のブロック図を示す。通信システム100は、シリアライザ/デルシリアライザ(serializer/derserializer、SerDes)110及びSerDes120を含む。SerDes110は、チャネル130を介してSerDes120に通信可能に結合される。チャネル130は、1つ以上のトレース(ルーティング)を含んでもよい。例えば、チャネル130は、2つのトレースを含んでもよく、差動通信チャネルであってもよい。SerDes110及びSerDes120は、1つ以上の特定用途向けIC(application specific IC、ASIC)又は1つ以上のプログラマブルIC(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))など、1つ以上の集積回路(integrated circuit、IC)の一部であってもよい。
【0014】
SerDes110は、パラレルインシリアルアウト(parallel-in-serial-out、PISO)回路112及び送信機回路114を含む。様々な例では、SerDes110は、追加の回路要素を含む。例えば、SerDes110は、受信機回路及び対応する回路要素を含むことができる。更に、SerDes110は、信号処理回路(例えば、とりわけエンコーダ回路又はデコーダ回路)を含むことができる。PISO回路112は、チャネル130を介した送信機回路114による送信のために、パラレル入力データをシリアル出力データに変換する。
【0015】
SerDes120は、受信機回路122及びシリアルインパラレルアウト(serial-in-parallel-out、SIPO)回路124を含む。SerDes120は、図1に示されていない追加の回路要素を含むことができる。例えば、SerDes120は、送信機回路及び/又は信号処理回路(例えば、とりわけエンコーダ回路又はデコーダ回路)を含むことができる。受信機回路122は、チャネル130を介して送信機回路114から信号を受信する。更に、受信機回路122は、受信された信号を処理し、出力信号をSIPO回路124に出力する。出力信号はシリアルデータ信号である。SIPO回路124は、受信機回路122から受信されたシリアルデータ信号をパラレル出力データに変換する。
【0016】
一例では、通信システム100は、エクストラショートリーチ(extra short reach、XSR)通信システム又はウルトラショートリーチ(ultra-short reach、USR)通信システムである。一例では、チャネル130の長さは約15mm未満である。いくつかの例では、チャネル130の長さは約15mmより大きい。
【0017】
通信システム100は、SerDes110及びSerDes120を含むものとして示されているが、他の例では、送信機回路114及び/又は受信機回路122は、スタンドアロン回路要素であってもよい。更に、送信機回路114及び受信機回路122は、1つ以上のASIC又は1つ若しくはプログラマブルICなど、1つ以上のICの一部であってもよい。
【0018】
図2は、1つ以上の例による、受信機回路122の概略ブロック図を示す。受信機回路122はマルチレベル受信機である。例えば、受信機回路122は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機であってもよく、4つのレベルを有するデータ信号を受信して処理する。他の例では、受信機回路122は、4つのレベルより少ない又は多いデータ信号を受信して処理する。図2の例では、受信機回路122は、入力パッド212、レベルシフタ回路214、連続時間線形等化器(continuous time linear equalizer、CTLE)回路216、データスライサ回路218、エラースライサ回路220、デシリアライザ回路222、224、クロック及びデータ復元(clock and data-recovery、CDR)適応回路226、クロック生成器回路228、及びオフセットキャンセル回路230を含む。
【0019】
送信機回路(例えば、送信機回路114)から送信された信号は、入力パッド212において受信される。レベルシフタ回路214は、入力パッド212に接続され、受信された信号の電圧レベルをCTLE回路216の動作パラメータ内になるように調整する。CTLE回路216は、レベルシフタ回路214に接続される。CTLE回路216は、チャネル130の低域通過特性を補償するために高域通過フィルタ又は帯域通過フィルタとして動作する。レベルシフタ回路214及びCTLE回路216は、信号処理回路213の少なくとも一部を形成する。
【0020】
CTLE回路216は、等化アナログ信号をデータスライサ回路218及びエラースライサ回路220に出力する。データスライサ回路218は、閾値基準DH、DZ、及びDLに関連付けられた等化アナログ信号内の1つ以上のデータレベルを検出する。図3を参照すると、閾値基準DHはデータ閾値電圧DH306に対応し、閾値基準DZはデータ閾値電圧DZ304に対応し、閾値基準DLはデータ閾値電圧DL302に対応する。データ閾値電圧DL302の電圧レベルは、データ閾値電圧DZ304の電圧レベルよりも低く、データ閾値電圧DZ304の電圧レベルは、データ閾値電圧DH306の電圧レベルよりも低い。
【0021】
図3は、PAM-4シグナリング方式の例示的なアイダイアグラムを示す。PAM-4などの4レベルシグナリング方式では、信号導体(例えば、チャネル130)上の電圧(例えば、送信されるデータ信号)は、増加する電圧の4つの値のうちの1つをとる。例えば、電圧は、第1の値であるエラー電圧値ELN308、第2の値であるエラー電圧値EHN310、第3の値であるエラー電圧値ELP312、又は第4の値であるエラー電圧値EHP314をとり得る。図3に示すように、エラー電圧値ELN308はエラー電圧値EHN310よりも低く、エラー電圧値EHN310はエラー電圧値ELP312よりも低く、エラー電圧値ELP312はエラー電圧値EHP314よりも低い。一例では、エラー電圧値EHP314及びエラー電圧値EHN310の大きさは類似しており(例えば、互いに製造公差、回路関連公差、及び/又は信号処理公差内、あるいは互いに約5~約10パーセント以内)、エラー電圧値ELP312及びエラー電圧値ELN308の大きさは類似している(例えば、互いに製造公差、回路関連公差、及び/又は信号処理公差内、あるいは互いに約5~約10パーセント以内)。更にまた、一例では、エラー電圧値EHP314及びエラー電圧値ELP312は正の電圧であり、エラー電圧値EHN310及びエラー電圧値ELN308は負の電圧である。
【0022】
データ閾値電圧DL302は、エラー電圧値ELN308とエラー電圧値EHN310との間にある。データ閾値電圧DZ304は、エラー電圧値EHN310とエラー電圧値ELP312との間にある。データ閾値電圧DH306は、エラー電圧値ELP312とエラー電圧値EHP314との間にある。
【0023】
図2を更に参照すると、データスライサ回路218は、クロック信号(例えば、クロック信号234)の位相ごとに3つのデータスライサを含む。データスライサ回路218は、クロック生成器回路228からクロック信号234を受信する。クロック信号234の各位相について、第1のデータスライサ回路は、閾値基準DHに関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによってデータ信号DHを出力し、第2のデータスライサ回路は、閾値基準DZに関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによってデータ信号DZを出力し、第3のデータスライサ回路は、閾値基準DLに関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによってデータ信号DLを出力する。データ信号DH、DZ、及びDLの各々は、1つ以上のデータビットに対応し得る。
【0024】
データスライサの各々は、クロック信号234の対応する位相を受信する。例えば、クロック信号234の第1の位相は、データスライサのうちの第1の3つに提供され、クロック信号234の第2の位相は、データスライサのうちの第2の3つに提供され、クロック信号234の第3の位相は、データスライサのうちの第3の3つに提供され、クロック信号234の第4の位相は、データスライサのうちの第4の3つに提供される。一例では、第1の位相は0度であり、第2の位相は90度であり、第3の位相は180度であり、第4の位相は270度である。
【0025】
データスライサ回路218によって生成されたデータ信号は、デシリアライザ回路222に出力される。デシリアライザ回路222は、シリアルデータ信号をパラレル信号に変換し、パラレル信号を通信システム(例えば、通信システム100)内の他の回路要素に提供する。
【0026】
エラースライサ回路220は、CTLE回路216から等化アナログ信号を受信する。エラースライサ回路220は、等化アナログ信号をサンプリングすることによって1つ以上のエラー出力を生成する。例えば、エラースライサ回路220は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧値EHP、ELP、EHN、及びELNを生成し、対応するエラー信号EHP、ELP、EHN、及びELNを出力する。
【0027】
エラースライサ回路220は、エラー電圧値のうちの第1の2つ(例えば、エラー電圧値EHP及びEHN)のための第1のエラースライサと、エラー電圧値のうちの第2の2つ(例えば、エラー電圧値ELP及びELN)のための第2のエラースライサとを含む。エラースライサの各々はマルチプレクサ回路を含む。例えば、図4を参照すると、エラースライサ420の各々は、対応する多重化回路422を含む。エラースライサ420内のマルチプレクサ回路422の使用は、エラースライサ420が時間多重化(例えば、時分割)方式で使用されることを可能にする。一例では、マルチプレクサを含まないエラースライサ回路を含むエラースライサ回路と比較して、エラースライサ回路220は、低減された数のエラースライサを含む。例えば、エラースライサ回路220は、2つのエラースライサ420を含むが、時間多重化方式を使用しない実装形態では、エラースライサ回路は、4つのエラースライサを含む。したがって、時間多重化方式を使用するエラースライサを含むエラースライサ回路220は、より少ないエラースライサを使用し、受信機回路122によって使用される電力、及び受信機回路122の回路面積を低減する。更に、低減された数のエラースライサ回路を使用することによって、CTLE回路216上の負荷が低減され、受信機回路122によって使用される電力、及び受信機回路の回路面積が更に低減される。また、デシリアライザ回路224の回路規模が低減され得る。例えば、データを提供するエラースライサの数が任意の期間中に低減される(例えば、各期間中に2つのエラースライサ)ので、デシリアライザ回路224の回路サイズは、時間多重化エラースライサが使用されない場合と比較して約半分だけ低減され得る。
【0028】
一例では、エラースライサ回路220の第1のエラースライサは、EHP及びEHNのエラー電圧レベルを検出し、エラースライサ回路220の第2のエラースライサは、ELP及びELNを検出する。時間多重化方式を使用しない実装形態では、EPHのエラー電圧レベル、ELPのエラー電圧レベル、EHNのエラー電圧レベル、及びエラー電圧レベルELNを決定するために、異なるエラースライサが使用される。
【0029】
エラースライサ回路220は、クロック生成器回路228からクロック信号234を受信し、CDR適応回路226からクロック信号236を受信する。クロック信号234は、エラースライサ回路220の各エラースライサにクロック信号を供給する。クロック信号234は、エラースライサ回路220内のエラースライサ420の動作を制御する。クロック信号236は、エラースライサ回路220の各エラースライサ内のマルチプレクサ回路を制御する。一例では、クロック信号236が第1の値を有することに基づいて、エラースライサ回路220は、EHP及びELPを検出し、クロック信号236が第2の値を有することに基づいて、エラースライサ回路220は、EHN及びELNを検出する。
【0030】
図4は、1つ以上の例による、エラースライサ回路220を示す。エラースライサ回路220は、エラースライサ420及び420を含む。エラースライサ420及び420の各々は、それぞれのマルチプレクサ回路422(例えば、マルチプレクサ回路422及び422)を含む。
【0031】
エラースライサ420及び420は、CTLE回路216からクロック信号234、クロック信号236、及び等化アナログ信号を受信する。クロック信号236の状態は、エラースライサ420及び420の各々のマルチプレクサ回路422の状態を制御する。例えば、クロック信号236が第1の状態を有することに基づいて、エラースライサ420及び420のマルチプレクサ回路422は、第1の状態(例えば、正の状態)に設定される。第1の状態では、エラースライサ420はエラー電圧値EHPを検出し、エラースライサ420はエラー電圧値ELPを検出する。一例では、エラースライサ420は、第1の期間中にエラー電圧値EHPを検出し、エラースライサ420は、第1の期間と少なくとも部分的に重複する第2の期間中にエラー電圧値ELPを検出する。一例では、第1の期間及び第2の期間は、第1の期間及び第2の期間が同じ長さを有し、同時に開始及び終了するように、互いに完全に重複する。クロック信号236が第2の状態を有することに基づいて、エラースライサ420及び420のマルチプレクサ回路422は、第2の状態(例えば、負の状態)に設定される。第2の状態では、エラースライサ420は電圧値EHNを検出し、エラースライサ420は電圧値ELNを検出する。一例では、エラースライサ420は、第3の期間中に電圧値EHNを検出し、エラースライサ420は、第3の期間と少なくとも部分的に重複する第4の期間中に電圧値ELNを検出する。更に、第1及び第2の期間は、第3及び第4の期間と重複しない。第3及び第4の期間は、第1及び第3の期間の後又は前に生じる。一例では、第3の期間及び第4の期間は、第3の期間及び第4の期間が同じ長さを有し、同時に開始及び終了するように、互いに完全に重複する。それに加えて、又はその代わりに、第1の期間、第2の期間、第3の期間、及び第4の期間は、データスライサ回路218のデータスライサがCTLE回路216からの等化アナログ信号を処理する期間と少なくとも部分的に重複し、それにより、エラースライサ420及び420並びにデータスライサ回路218のデータスライサは、少なくとも部分的に重複する期間中に等化アナログ信号を処理して、電圧値EHP、ELP、EHN、及びELN、並びにデータ閾値電圧DL、DZ、及びDHを生成する。
【0032】
クロック信号236の第1の状態は、クロック信号236のハイレベルに対応し、クロック信号236の第2の状態は、クロック信号236のローレベルに対応する。
【0033】
一例では、クロック信号236の第1の状態に関連付けられた第1の期間中に、エラースライサ420は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧値EHPをデシリアライザ回路224に出力し、エラースライサ420は、等化アナログ信号をサンプリングすることによって電圧値ELPをデシリアライザ回路224に出力する。
【0034】
クロック信号236の第2の状態に関連付けられた第2の期間中に、エラースライサ420は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧信号EHNをデシリアライザ回路224に出力し、エラースライサ420は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧信号ELNをデシリアライザ回路224に出力する。
【0035】
図2を更に参照すると、エラースライサ回路220によって生成されたエラー信号(例えば、エラー電圧値EHP、ELP、EHN、及びELN)は、デシリアライザ回路224に出力される。デシリアライザ回路224は、シリアルデータ信号をパラレル信号に変換する。クロック信号236の第1の状態の間に、デシリアライザ回路224は、エラースライサ回路220から正のエラー信号(例えば、エラー電圧値EHP及びELP)を受信し、クロック信号236の第2の状態の間に、デシリアライザ回路224は、エラースライサ回路220から負のエラー信号(例えば、エラー電圧値EHN及びELN)を受信する。時間多重化方式を使用しないエラースライサと比較して、クロック信号236の各状態の間に、デシリアライザ回路224は、より少ないエラー信号を受信する。したがって、デシリアライザ回路224のサイズが低減され得、デシリアライザ回路224によって使用される電力、及びデシリアライザ回路224の回路面積が低減される。
【0036】
CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及びデシリアライザ回路224の出力信号を受信する。CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及びデシリアライザ回路224によって提供される出力信号からクロック制御信号を生成する。クロック制御信号は、クロック信号234を生成するためにクロック生成器回路228に出力される。更に、CDR適応回路226は、クロック信号236を生成する。CDR適応回路226は、CDR適応回路226の内部クロック信号のXサイクルごとに、クロック信号236の状態を変化させる。Xは、64、128、256、512、1024、又はそれ以上である。クロック信号236は、約50パーセントのデューティサイクルを有する。一例では、CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及びデシリアライザ回路224の出力信号から決定された生成されたタイミングエラー値に基づいて、クロック制御信号を生成する。一例では、CDR適応回路226は、データスライサ回路218のデータスライサ及びエラースライサ420の閾値電圧を制御するための制御信号を生成する。更に、CDR適応回路226は、受信信号のシンボルごとに、プリカーソル、メインカーソル、及びポストカーソルのカーソル重み(h)を生成することができる。
【0037】
クロック生成器回路228は、CDR適応回路226によって生成されたクロック制御信号とは異なる位相でクロック信号234を生成する。一例では、クロック生成器回路228は、0度位相のクロック信号234、90度位相のクロック信号234、180度位相のクロック信号234、及び270度位相のクロック信号234を生成する。クロック生成器回路228は、クロック信号234をデータスライサ回路218及びエラースライサ回路220に出力する。
【0038】
図5は、1つ以上の例による、例示的なエラースライサ500を示す。一実施形態では、エラースライサ420及び420の各々は、エラースライサ500と同様に構成され得る。エラースライサ500は、基準回路510、フリップフロップ520、及びデジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)回路530を含む。
【0039】
DAC回路530は、1つ以上の制御信号を基準回路510に出力する。例えば、DAC回路530は、制御信号UT、VP、及びVSを出力する。基準回路510は、マルチプレクサ回路512及び基準生成回路514を含む。基準生成回路514は、基準信号516及び518を生成し、フリップフロップ520に出力する。基準信号516及び518は、エラースライサ500の閾値電圧である。基準生成回路514は、マルチプレクサ回路512の出力に基づいて基準信号516及び518を生成する。基準信号516及び518は電圧信号である。基準信号518の極性は、基準信号516の極性と反対である。一例では、基準信号518は、基準信号516の負のバージョンである。基準生成回路514は、複数のトランジスタと、コモンモードフィードバック(common mode feedback、CMFB)回路515と、オフセット較正DAC回路517とを含む。マルチプレクサ回路512、CMFB回路515、及びオフセット較正DAC回路517の出力は、基準信号516及び518を生成するようにトランジスタを制御する。
【0040】
マルチプレクサ回路512は、3つ以上のマルチプレクサを含む。マルチプレクサ512は、制御信号UTの正及び負のバージョンを受信し、マルチプレクサ512は、制御信号VPの正及び負のバージョンを受信し、マルチプレクサ512は、制御信号VSの正及び負のバージョンを受信する。
【0041】
マルチプレクサ回路512は、クロック信号236の状態に基づいて、正の領域及び負の領域で動作する。例えば、クロック信号の第1の状態に基づいて、マルチプレクサ回路512は正の領域で動作する。更に、クロック信号の第2の状態に基づいて、マルチプレクサ回路512は負の領域で動作する。クロック信号の第2の状態に基づいて、UT制御信号を受信するマルチプレクサ512の入力は、クロック信号の第1の状態と比較して切り替えられ(例えば、反転され)、基準信号516及び518の極性(符号)が切り替えられる。したがって、クロック信号236が第1の状態を有するとき、基準信号516の極性は正であり、基準信号518の極性は負である。更に、クロック信号236が第2の状態を有するとき、基準信号516の極性は負であり、基準信号518の極性は正である。別の言い方をすれば、クロック信号236の状態を変更することにより、基準信号516及び518の極性(又は符号)が変更される。
【0042】
クロック信号236の状態並びに基準信号516及び518の極性は、フリップフロップ520がエラー電圧値EPH若しくはEPL又はエラー電圧値ENH若しくはENLに対応する値を検出するかどうかを決定する。一例では、クロック信号236が第1の状態を有することに基づいて、フリップフロップ520は、エラー電圧値EPH又はEPLに対応する値をキャプチャする。フリップフロップ520は、フリップフロップ520の電圧レベルに基づいて、エラー電圧値EPH又はEPLに対応する値をキャプチャする。例えば、フリップフロップ520は、アナログ電圧からデジタル(例えば、0又は1)への決定が行われるキャプチャフリップフロップである。フリップフロップ520は、基準回路510によって提供される閾値電圧レベルに基づいて、目標入力電圧レベルを検出する。更に、クロック信号236が第1の状態を有するとき、エラースライサ500は正のエラースライサである。クロック信号236が第2の状態を有することに基づいて、フリップフロップ520は、エラー電圧値ENH又はENLに対応する値をキャプチャする。フリップフロップ520は、フリップフロップ520の電圧レベルに基づいて、エラー電圧値ENH又はENLに対応する値をキャプチャする。更に、クロック信号236が第2の状態を有するとき、エラースライサ500は負のエラースライサである。
【0043】
エラースライサ420に時間多重化方式を適用することによって、DAC回路530、オフセット較正DAC回路517、及びCMFB回路515のサイズを低減し、対応する受信機回路によって使用される電力、及び対応する受信機回路の回路面積を低減することができる。
【0044】
図6は、1つ以上の例による、データ信号を受信するための方法600のフローチャートを示す。方法600の動作610において、送信されたデータ信号を受信する。例えば、図1及び図2を参照すると、送信されたデータ信号は、入力パッド212において受信機回路122によってチャネル130から受信される。データ信号は、PAM4通信システムのデータ信号であってもよい。方法600の動作620において、データ信号を処理して等化アナログ信号を生成する。例えば、図2を参照すると、データ信号は、信号処理回路213によって処理される。レベルシフタ回路214は、CTLE回路216のパラメータに基づいてデータ信号の電圧レベルを変更することができ、CTLE回路216は、等化アナログ信号を生成する。方法600の動作630において、エラースライサ回路のエラースライサがクロック信号を受信する。図2及び図4を参照すると、CDR適応回路226は、CDR適応回路226のクロック信号に基づいてクロック信号236を生成し、クロック信号をエラースライサ回路220のエラースライサ440に出力する。一例では、CDR適応回路226のクロック信号のXパルスごとに、クロック信号236の状態が変更される。Xは、64、128、256、512、1024、又はそれ以上であってもよい。
【0045】
方法600の動作640において、エラースライサ回路のエラースライサが第1のエラー信号を出力する。第1のエラー信号は、図3のエラー電圧値EHP314又はエラー電圧値ELP312のうちの1つ以上に対応する。第1のエラー信号は、図2のCTLE回路216によって生成された等化アナログ信号をサンプリングすることによって生成される。図2及び図4を参照すると、エラースライサ420は、CTLE回路216から等化アナログ信号(例えば、信号処理回路213からの処理されたデータ信号)を受信し、等化アナログ信号からエラー電圧値EHP314を検出し、エラー電圧値EHP314を出力する。エラー電圧値EHP314は、クロック信号236の第1の状態に基づいて、エラースライサ420によって検出される。第1の状態では、クロック信号236は、エラー電圧値EHP314を検出するようにエラースライサ420を制御する基準電圧を生成するようにマルチプレクサ回路422を制御する。エラースライサ420は、クロック信号236が第1の状態を有するとき、正の電圧エラースライサと呼ばれ得る。動作640は第1の期間に対応し得る。
【0046】
方法600の650において、エラースライサ回路のエラースライサが第2のエラー信号を出力する。第2エラー信号は、図3のエラー電圧値EHN310である。図2及び図4を参照すると、エラースライサ420は、CTLE回路216から等化アナログ信号を受信し、等化アナログ信号からエラー電圧値EHN310を検出し、エラー電圧値EHN310を出力する。エラー電圧値EHN310は、クロック信号236の第2の状態に基づいて、エラースライサ420によって検出される。第2の状態では、クロック信号236は、エラー電圧値ELP312を検出するようにエラースライサ420を制御する基準電圧を生成するようにマルチプレクサ回路422を制御する。エラースライサ420は、クロック信号236が第2の状態を有するとき、負の電圧エラースライサと呼ばれ得る。動作650は、第1の期間と重複しない第2の期間に対応する。
【0047】
一例では、方法600の動作640及び650中に、エラースライサ500内のマルチプレクサ回路512は、クロック信号236を受信する。クロック信号236の状態は、マルチプレクサ回路512の状態を制御して、基準回路510によって生成される基準信号の極性、又は符号若しくは状態を制御する。例えば、クロック信号236の状態が変化することに基づいて、基準回路510によって生成される基準信号の極性が変化する。クロック信号236の各状態の間に、データスライサ回路218は、クロック信号234のそれぞれの位相ごとに閾値基準DH、DZ、及びDLを検出する。
【0048】
上記では、エラースライサ回路及びデータスライサ回路の両方を含む受信機回路について説明した。エラースライサ回路は、異なる電圧基準に関連付けられた電圧レベルを検出し、エラースライサ回路のエラースライサは、時間多重化方式で制御される。エラースライサを時間多重化することにより、受信機回路の回路面積のサイズ、及び受信機回路によって使用される電力が低減される。一例では、エラースライサ回路内の各エラースライサは、2つの異なる電圧基準を検出する。エラースライサ回路を有する各エラースライサは、第1の期間中に正の電圧基準を検出し、第2の期間中に負の電圧基準を検出することができる。
【0049】
上記は特定の例を対象とするが、他の例及び更なる例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の「特許請求の範囲」によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】