(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】光ファイバケーブルを終端させるデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G02B6/44 386
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577603
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 GB2022051094
(87)【国際公開番号】W WO2022263788
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ラング,イアン・デヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ハーカー,アンドリュー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ストラウド,ジョン・アール
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201BB03
2H201BB11
2H201BB22
2H201BB33
2H201BB65
2H201FF07
2H201KK17
2H201KK34C
2H201KK36C
(57)【要約】
少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルのための終端器が、光ファイバケーブルの切断端と協働するように構成された閉端および反対側の開端を有する中空の終端部材と、管状のカラーとを備え、管状のカラーは、終端部材の開端が封止される方法で受容される第1の端部と、終端部材の開端と協働するように光ファイバケーブルの切断端を受容する反対側の第2の端部とを有し、第2の端部は、光ファイバケーブルの周りに管状のカラーを封止するように低減可能な内径を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルのための終端器であって、
閉端と、光ファイバケーブルの切断端と協働するように構成された反対側の開端とを有する中空の終端部材と、
管状のカラーであって、前記終端部材の前記開端が封止される手法で受容される第1の端部と、前記終端部材の前記開端と協働するように前記光ファイバケーブルの前記切断端を受容する反対側の第2の端部とを有し、前記第2の端部は、前記光ファイバケーブルの周りに前記管状のカラーを封止するように低減可能な内径を有する、管状のカラーと
を備える終端器。
【請求項2】
請求項1に記載の終端器であって、前記終端部材の前記開端は、前記光ファイバケーブルの前記切断端に係合するように構成されることによって、前記光ファイバケーブルの前記切断端と協働するように構成される、終端器。
【請求項3】
請求項2に記載の終端器であって、前記終端部材の前記開端は、前記切断端の少なくとも一部が前記終端部材内へ挿入されることによって、前記光ファイバケーブルの前記切断端に係合するように構成される、終端器。
【請求項4】
請求項1に記載の終端器であって、前記終端部材の前記開端と前記光ファイバケーブルの前記切断端との前記協働は、前記管状のカラーが前記光ファイバケーブルの周りに封止されたときに、前記終端部材の前記開端が前記光ファイバケーブルの前記切断端に対向することを含むように構成された、終端器。
【請求項5】
請求項4に記載の終端器であって、前記協働は、前記終端部材の前記開端が、前記光ファイバケーブルの前記切断端に対向し、前記光ファイバケーブルの前記切断端から長手方向に隔置されることを含む、終端器。
【請求項6】
請求項3に記載の終端器であって、前記終端部材の前記開端の内径は、前記光ファイバケーブルのジャケットの外径以上であり、それによって、前記終端部材は、前記光ファイバケーブルの末端部分を前記終端部材の前記開端内へ挿入することによって前記光ファイバケーブルの前記切断端に係合するように構成される、終端器。
【請求項7】
請求項3に記載の終端器であって、前記終端部材の前記開端の内径は、前記光ファイバケーブルのジャケットの外径よりも小さく、かつ、前記光ファイバケーブル内の光ファイバ束の外径以上であり、それによって、前記終端部材は、前記光ファイバケーブルの前記ジャケットから突出する前記光ファイバ束の末端部分を前記終端部材の前記開端内へ挿入することによって前記光ファイバの前記切断端に係合するように構成される、終端器。
【請求項8】
請求項7に記載の終端器であって、前記終端部材は、前記光ファイバケーブルの前記ジャケットの前記外径に実質的に等しい外径を有する、終端器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の終端器であって、前記管状のカラーは熱収縮材料の管を備え、それによって、前記第2の端部への加熱は前記内径を低減させて前記光ファイバケーブルの周りに前記管状のカラーを封止することになる、終端器。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の終端器であって、前記管状のカラーは、前記第2の端部の前記内径が機械的な調整によって低減させられることが可能になるように構成される、終端器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の終端器であって、前記終端部材はポリマー材料から形成された単体の物品である、終端器。
【請求項12】
請求項11に記載の終端器であって、前記ポリマー材料は透明である、終端器。
【請求項13】
請求項11または12に記載の終端器であって、前記終端部材は、前記終端器が光ファイバケーブルに嵌合されているときに、前記終端器内の雰囲気から汚染物質を吸収することが可能な1つまたは複数の材料を含む、終端器。
【請求項14】
請求項13に記載の終端器であって、前記1つまたは複数の材料は、水および二酸化炭素の一方または双方を吸収することが可能である、終端器。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の終端器であって、前記終端部材は、管と、前記終端部材の前記閉端を形成するように前記管の端部内へ挿入可能なプラグとを備える、終端器。
【請求項16】
請求項15に記載の終端器であって、前記プラグは、前記終端部材が前記光ファイバケーブルの前記切断端と協働するときに、前記光ファイバケーブル内の中心強化部材に係合するような形状である、終端器。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の終端器であって、前記終端器が光ファイバケーブルに嵌合された後に、前記終端器内の圧力を増大させることができる弁を更に備える、終端器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の終端器によって封止された切断端を有する光ファイバケーブル。
【請求項19】
少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルのための終端器を形成するためのキットであって、
閉端と、光ファイバケーブルの切断端と協働するように構成された反対側の開端とを有する中空の終端部材と、
管状のカラーであって、前記終端部材の前記開端を封止可能な手法で受容する第1の端部と、前記終端部材の前記開端と協働するように前記光ファイバケーブルの前記切断端を受容する反対側の第2の端部とを有し、前記第2の端部は、前記光ファイバケーブルの周りに前記管状のカラーを封止するように低減可能な内径を有する、管状のカラーと
を備えるキット。
【請求項20】
請求項19に記載のキットであって、前記管状のカラーは熱収縮材料の管を備え、それによって、前記第2の端部への加熱は前記内径を低減させて前記光ファイバケーブルの周りに前記管状のカラーを封止することになり、前記第1の端部への加熱は前記終端部材の周りに前記管状のカラーを封止することになる、キット。
【請求項21】
請求項19または20に記載のキットであって、前記管状のカラーは、前記第2の端部の前記内径が機械的な調整によって低減可能であるように構成される、キット。
【請求項22】
請求項18から21のいずれか一項に記載のキットであって、前記終端部材はポリマー材料から形成された単体の物品である、キット。
【請求項23】
請求項22に記載のキットであって、前記ポリマー材料は透明である、キット。
【請求項24】
請求項22または23に記載のキットであって、前記終端部材内に含めるための1つまたは複数の吸収材料であって、前記終端器が光ファイバケーブルに嵌合されているときに、前記終端器内の雰囲気から汚染物質を吸収することが可能な前記1つまたは複数の吸収材料をさらに含むキット。
【請求項25】
請求項24に記載のキットであって、前記1つまたは複数の材料は、水および二酸化炭素の一方または双方を吸収することが可能である、キット。
【請求項26】
請求項18から21のいずれか一項に記載のキットであって、前記終端部材は、管と、前記終端部材の前記閉端を形成するように前記管の端部内へ挿入可能なプラグとを備える、キット。
【請求項27】
請求項26に記載のキットであって、前記プラグは、前記終端部材が前記光ファイバケーブルの前記切断端と協働するときに、前記光ファイバケーブル内の中心強化部材に係合するような形状である、キット。
【請求項28】
少なくとも1つの微細構造ファイバを含む光ファイバケーブルを終端させる方法であって、
前記光ファイバケーブルを切断して、前記光ファイバケーブル内の光ファイバが露出された切断端を作製するステップと、
請求項19から27のいずれか一項に記載のキットを使用して、前記光ファイバケーブルの前記切断端に封止された請求項1から17のいずれか一項に記載の終端器を形成するステップと
を含む方法。
【請求項29】
少なくとも1つの微細構造ファイバを含む光ファイバケーブルを終端させる方法であって、
前記光ファイバケーブルを切断して、前記光ファイバケーブル内の光ファイバが露出された切断端を作製するステップと、
中空の終端部材の開端と協働するように前記切断端を配置するステップであって、前記中空の終端部材は前記開端の反対側に閉端を有する、ステップと、
第1の端部および第2の端部を有する管状のカラーを、前記終端部材の前記開端が前記管状のカラーの前記第1の端部内に封止される手法で受容され、前記第1の端部とは反対側の前記管状のカラーの第2の端部が前記光ファイバケーブルの周りに封止されるように配置するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルを終端させるデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、光信号によって搬送されるデータの伝送に広く使用されており、別個のデータチャネルを並行して搬送するために複数のファイバが使用される。利便性および保護のために、複数のファイバは通常、保護用の外側ジャケット内にともに束ねられて、光ファイバケーブルを形成する。
【0003】
ケーブルは、伝送地と受信地との間で、長距離および短距離にわたって、ならびに地下および建物内の両方でデータを搬送するために、様々な環境に設置される。多くの場合、ケーブルは、ダクトまたはパイプを通って配備され、個々のファイバは、さらなるケーブルまたは関連する光学装置へのスプライシングによって、ケーブルの各端部に接続される。ケーブルの配備およびケーブルのスプライシングは異なる技法を必要とし、必要な技能を有する異なる個人によって実施されることがある。たとえば、配備担当者またはチームが、データセンターから建物まで地下ダクトを通ってケーブルを設置することがあり、スプライシング担当者またはチームが、それを引き継いでケーブルを建物内に引き込み、次いでケーブル内のファイバを処理する。これら2つの段階の間には遅延が生じることがあり、したがって配備チームは、配備されたケーブルを必要とされる長さに切断し、後でスプライシングチームに引き継がれる用意をして保管しておくことが必要とされる。
【0004】
汚染物質を遮断するために、ケーブルの端部を切断後に保護することが望ましい。これは、通常でも適切であるが、ケーブルがファイバ構造内に汚染物質が入りうる空隙を有するファイバを含むとき、特に重要である。これらには、限定されるものではないが、中空コアファイバおよび微細構造クラッディングを有するファイバが含まれる。汚染を回避するための1つのやり方は、加熱によってファイバを構成するガラスを溶かして端部を閉じることによって、個々のファイバの端部を封止することである。これは、ファイバスプライシング機械を使用して実施されることが可能であるが、これらのデバイスはコストがかかり電力を必要とし、通常はケーブル配備チームによって実施されていない。別法として、ホットメルトグルーまたは紫外硬化性溶液がファイバ端部に塗布されることがあるが、これらもまた、普通ならケーブル配備で使用されない専用の電気機器を必要とする。加えて、封止されたファイバ端部は、保護筐体内に包装されることがあり、この場合も機器および技能を必要とする。さらに、典型的に1本のケーブル内に含まれるファイバの数によって、これらのアプローチは魅力に欠けるものになる。単一のファイバを取り扱うのに約15分かかることがあり、1本のケーブルが4本、16本、32本、またはそれ以上のファイバを含むことがある。また、包装されたファイバ端部は比較的かさばり、したがってケーブル内のすべてのファイバに適用されたとき、最終的にケーブルジャケットから突出するファイバの端部は、扱いにくく、長くて注意を要する末端になり、これはケーブルのさらなる設置に使用され得る技法として好適でない。
【0005】
それに応じて、実際の状況においてこれらのアプローチは一般に採用されておらず、光ファイバケーブルのカット端を保護するために、より大雑把な方法が使用されている。電気絶縁テープなどがケーブル端部の周りに巻き付けられることがあるが、これは汚染物質に対して効果的でない障壁しか提供しない。ケーブル製造者は、切断されたケーブル端部に被せられることが意図されたプラスチックのエンドキャップを供給することがあるが、これらは失われやすい小さい物品であり、また貧弱な封止しか提供しない。
【0006】
したがって、内部空隙を有する微細構造ファイバを保護するために光ファイバケーブル端部の封止を改善するアプローチが関心を集めている。
【発明の概要】
【0007】
態様および実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
本明細書に記載される特定の実施形態の第1の態様によれば、少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルのための終端器が提供され、終端器は、光ファイバケーブルの切断端と協働するように構成された閉端および反対側の開端を有する中空の終端部材と、管状のカラーとを備え、管状のカラーは、終端部材の開端が封止される手法で受容される第1の端部と、終端部材の開端と協働するように光ファイバケーブルの切断端を受容する反対側の第2の端部とを有し、第2の端部は、光ファイバケーブルの周りに管状のカラーを封止するように低減可能な内径を有する。
【0009】
本明細書に記載される特定の実施形態の第2の態様によれば、第1の態様による終端器によって封止された切断端を有する光ファイバケーブルが提供される。
【0010】
本明細書に記載される特定の実施形態の第3の態様によれば、少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルのための終端器を形成するためのキットが提供され、キットは、光ファイバケーブルの切断端と協働するように構成された閉端および反対側の開端を有する中空の終端部材と、管状のカラーとを備え、管状のカラーは、終端部材の開端を封止可能に受容する第1の端部と、終端部材の開端と協働するように光ファイバケーブルの切断端を受容する反対側の第2の端部とを有し、第2の端部は、光ファイバケーブルの周りに管状のカラーを封止するように低減可能な内径を有する。
【0011】
本明細書に記載される特定の実施形態の第4の態様によれば、少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルを終端させる方法が提供され、この方法は、光ファイバケーブルを切断して、光ファイバケーブル内の光ファイバが露出された切断端を作製するステップと、第3の態様によるキットを使用して、光ファイバケーブルの切断端の上に封止された第1の態様による終端器を形成するステップとを含む。
【0012】
本明細書に記載される特定の実施形態の第5の態様によれば、少なくとも1つの微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルを終端させる方法が提供され、この方法は、光ファイバケーブルを切断して、光ファイバケーブル内の光ファイバが露出された切断端を作製するステップと、中空の終端部材の開端と協働するように切断端を配置するステップであって、中空の終端部材が開端の反対側に閉端を有する、配置するステップと、第1の端部および第2の端部を有する管状のカラーを配置するステップであって、終端部材の開端が管状のカラーの第1の端部内に封止される手法で受容され、第1の端部とは反対側の管状のカラーの第2の端部が光ファイバケーブルの周りに封止される、配置するステップとを含む。
【0013】
特定の実施形態のこれらの態様およびさらなる態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、互いに組み合わされてもよく、独立請求項の特徴と組み合わされてもよいことが理解されよう。さらに、本明細書に記載されるアプローチは、以下に記載されるような特有の実施形態に制限されるものではなく、本明細書に提示される特徴のあらゆる適当な組合せを包含しかつ企図する。たとえば、必要に応じて、以下に記載される様々な特徴のいずれか1つまたは複数を含む本明細書に記載されるアプローチによる方法およびデバイスが提供されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる理解のために、本発明がどのように実施され得るのかを示すために、次に添付の図面が例として参照される。
【
図1】本開示の実施形態が適用可能な切断端を有する光ファイバケーブルの第1の例の概略的な長手方向断面図である。
【
図2】本開示の実施形態が適用可能な切断端を有する光ファイバケーブルの第2の例の概略的な長手方向断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による例示的な終端器の概略的な長手方向断面図である。
【
図4】光ファイバケーブルの切断端に嵌合された
図3の終端器の概略的な長手方向部分断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による終端器の例示的な終端部材に係合された光ファイバケーブルの切断端の概略的な長手方向部分断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による終端器の別の例示的な終端部材に係合された光ファイバケーブルの切断端の概略的な長手方向部分断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態による終端器のさらなる例示的な終端部材に係合された光ファイバケーブルの切断端の概略的な長手方向部分断面図である。
【
図8】光ファイバケーブルの切断端に嵌合された本開示の一実施形態による別の例示的な終端器の概略的な長手方向部分断面図である。
【
図9】本開示の例示的な実施形態による終端器を光ファイバケーブルの切断端に嵌合する例示的な方法におけるステップの流れ図である。
【
図10】本開示の一実施形態によるさらなる例示的な終端器の概略的な長手方向断面図である。
【
図11】本開示の別の例示的な方法によって設置された例示的な終端器の概略的な長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特定の例および実施形態の態様および特徴が、本明細書に議論/記載される。特定の例および実施形態のいくつかの態様および特徴は従来どおり実装されてよく、簡潔にする目的で、これらについては詳細に議論/記載されない。したがって、本明細書で議論されるが詳細には記載されないデバイスおよび方法の態様および特徴は、そのような態様および特徴を実装するための従来の技法に従って実装されてよいことが理解されよう。
【0016】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、以下でより詳細に議論される1つまたは複数の微細構造光ファイバを含む光ファイバケーブルに特に適用可能である。光ファイバケーブルは、束の中に並行に配置された複数の光ファイバを備え、束はジャケットまたはシースなどの外側保護層によって取り囲まれる。ジャケットは、たとえば、ポリマー材料、低煙ゼロハロゲン(LS0HまたはLSZH)材料、またはステンレス鋼の管材から形成されてよい。ジャケットは、光ファイバのみを収容してよく、またはいくつかの例では、ケーブルをより頑強にし、損傷に耐えるものにするために、他の要素が含まれてもよい。これらは、ガラス強化プラスチック(GRP)、ファイバ強化プラスチック(FRP)、撚鋼線、ナイロン、またはパラアラミド糸などの高張力強化材料から作られ、光ファイバの急な屈曲および潜在的な損傷に耐えるようにケーブルの長さにわたって延び、その周りに光ファイバが配置され、束にされ、包まれ、巻き付けられ、または捩られた、中心強化部材(CSM)と、個々のまたはまとめられたファイバを固定して保護するためのポリマー材料の1つまたは複数の緩衝層とを含んでよい。ファイバ束とジャケットとの間の層などの形態でファイバを取り囲む強化部材も使用されてよい。
【0017】
光ファイバケーブルは、任意のタイプまたは設計の光ファイバを備えてよく、1本のケーブル内に2つ以上のタイプを含んでよい。概して、ケーブルおよびファイバの内部が露出される場合、ケーブルのカット端または切断端を介した汚染物質の侵入を低減または防止することが望ましい。より具体的には、ケーブルがファイバの内部構造内に空隙を有する微細構造ファイバを含むとき、ファイバ内に汚染物質が存在すると光学性能を低減させることがあるため、個々のファイバ内への汚染物質の侵入を低減させることが望ましい。汚染される可能性がある末端部を処分するために、ケーブルの一部分が除去されることがあるが、これは無駄になり望ましくない。それに応じて、本開示は、ファイバの汚染、より全体的にはケーブルの汚染も抑制して保護するように、光ファイバケーブル端部を終端させるデバイスおよび方法を提案する。
【0018】
記載されるように、光ファイバケーブルが1つまたは複数の微細構造ファイバを含む場合、露出されたケーブル端部の保護は特に重要である。本明細書において、この用語は、1つまたは複数の内部長手方向空隙を有するあらゆる光ファイバを示すために使用され、空隙は、ファイバコア、ファイバクラッディング、または両方の一部を画定または形成してよい。より詳細には、微細構造ファイバは、ファイバ材料内に孔、毛細管、または内腔のアレイまたは配置を含む内部構造を有し、内部構造は、長手方向軸に平行なファイバの長さに沿って延び、ガラスなどの材料内に画定される。孔の配置は微細構造と呼ばれてよく、典型的には、微細構造は、ファイバのクラッディングの少なくとも一部を形成し、追加または別法としてコアを画定することができる。
【0019】
後者の構成は、中空コア光ファイバを提供することができ、微細構造クラッディングが、光誘導コアを提供する中心中空空隙または領域を取り囲む。微細構造の毛細管は、典型的には、ガラスから作られたより大きい外側クラッディング管内に支持される。中実のガラスコアの不在によって可能にされる空気(または他の気体もしくは真空)中の光の伝播は、中実のコアファイバと比べてガラス内を伝播する誘導光波の割合を低減させ、伝播速度の増大、吸収および散乱の両方による損失の低減、ならびに非線形相互作用の低減などの利益を提供する。したがって中空コアファイバは、電気通信の用途で非常に魅力的であり、真空中においてより高い光パワーおよびより広い光帯域幅でほぼ光速のデータ伝送を可能にし、中実のファイバ内を進む光に影響し得る非線形の熱光学効果などの問題から相対的に解放される。中空コアファイバは、その光誘導機構に従って、中空コアフォトニックバンドギャップファイバ(HCPBF、あるいは、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HCPCF)とも呼ばれる)、および反共振中空コアファイバ(AR-HCFまたはARF)という2つの主要なクラスまたはタイプに分類され得る。HCPBFにおいて、構造化クラッディング領域は、多くの小さいガラス毛細管の規則的な密に詰まったアレイを備え、そこから中心グループは除外されて、実質的に円形の中空コアを画定する。クラッディング構造の周期性は、実質的に周期的に構造化された屈折率を提供し、したがって伝播する光波をコアの方へ制限するフォトニックバンドギャップ効果を提供する。ARFにおいて、構造化クラッディングは、はるかに少数のより大きいガラス毛細管または管を含み、その構造は高い周期性を欠き、したがってフォトニックバンドギャップ効果は大きくないが、管が均一に隔置されるため、ある程度の周期性をより大きい規模で有する。構造は、クラッディング毛細管の壁の厚さに共振しない波長を伝播する反共振を提供し、クラッディング毛細管は中心空隙または空洞を取り囲み、それによってファイバの中空コアを提供し、反共振誘導光モードに対応することが可能である。
【0020】
本開示は、2つの主なクラスの中空コアファイバ、およびそれに関連するサブタイプ、ならびに他の中空コア設計を含む、すべてのタイプの微細構造ファイバに適用可能である。他の例には、微細構造中実コアファイバが含まれ、空隙の構造は、中実材料内に画定されるコアの周りのクラッディング領域内のみに提供される。クラッディングは、フォトニック効果を提供するために多くの毛細管のアレイであってよく、または中心中実コア(浮遊するコアファイバ)を支持するガラスの出っ張りによって分離されるより大きい空隙の単一のリングであってもよい。1つまたは複数の内部空隙を有する光ファイバのすべての他の設計も該当する。当技術分野では、様々なクラスの微細構造または「多孔」ファイバに対して、いくつかの用語が重複して使用されることに留意されたい。本開示の目的で、「微細構造ファイバ」という用語は、内部構造内に1つまたは複数の長手方向空隙を有するすべてのタイプを包含することが意図され、「中空コアファイバ」および「中空コア微細構造ファイバ」という用語は、上述された中空コアを有するすべてのタイプのこれらのファイバを包含することが意図される。中空コアファイバへの特定の参照によってなされる言及は、文脈が別途示さない限り、すべての微細構造ファイバに適用可能であることが理解されよう。
【0021】
中空コアファイバおよび他の微細構造ファイバ内の構造的空隙により、これらのタイプのファイバは、光ファイバケーブルがカットされるときなどに生じるような、ファイバの露出されて開いた端部を通って空隙に入る可能性のある汚染物質の侵入に対して特に脆弱になる。汚染物質は、光損失を引き起こすことによって、ファイバの性能を低減させる可能性がある。ケーブルの汚染された末端部分は切り取られることも可能であるが、上述されたように、これは特に中空コアファイバとして魅力に欠け、製造上の複雑さが増すため、従来の中実コアファイバよりもコストが高くなる。存在する場合は光損失および減衰の増大を引き起こす可能性のある微細構造ファイバにとって問題の汚染物質には、粒子状物質、水(蒸気または液体)、および二酸化炭素が含まれる。水の侵入は、ケーブルもしくはファイバの開端を介した長手方向の貫入として、またはケーブルジャケットおよび何らかの付属品を通って水蒸気が吸収されうる径方向の浸透として、発生する可能性がある。本明細書に記載されるファイバ保護のための技法は、これらの汚染経路の両方に対処することができる。
【0022】
本明細書に記載されるアプローチは、微細構造ファイバを備えるケーブルに特に該当するが、従来の中実コア光ファイバを有するケーブルにも適用されてよいことに留意されたい。
【0023】
図1は、本開示の実施形態が適用可能な光ファイバケーブルの第1の例の概略的な長手方向断面図を示す。光ファイバケーブル10は、その末端部または末端部分が示されており、端面12aを有する切断端12を与えるようにカットまたは切断されており、端面12aを介して、ケーブルの内部、および重要なことにケーブル10内の微細構造ファイバの内部が開きまたは露出される。現場では、光ファイバケーブル10の設置または再構築は、ハサミ(shears)、ハサミ(scissors)、ナイフ、または他の刃物などを使用してケーブル10を粗く簡単にカットすることを含むことがあり、したがって端面12aは、きれいな、またはきちんとしたものではなく、粗い可能性が高い。ケーブル10は、複数の光ファイバ14を備え、この例では4本のファイバによって表されているが、2本、8本、16本、24本、48本、またはそれ以上もしくはそれ以下などの任意の数であってよい。また、単一の光ファイバを有するケーブルも除外されない。光ファイバ14は、中実コアおよび中空コア、または1本のケーブル内に複数のタイプの混合を含む任意のタイプであってよいが、本発明の実施形態は、あらゆる種類の微細構造ファイバにとって特に有益であることが意図される。概して、ケーブル10内の各光ファイバ14は、クラッディングによって取り囲まれたコアを備え、クラッディングは、保護層または被覆によって取り囲まれる。光ファイバ14は、略並行の配置において、ケーブル10に沿って長さ方向に延びるようにともにまとめられるか、または束ねられる。「並行」という用語は、光ファイバ14が長手方向に並んでいることのみを示し、個々のファイバがまっすぐであることを必要とせず、実際のケーブルにおいて、ファイバはケーブル内で互いの周りまたは他の要素の周りに捩じれていることがある(この例には示されていない)。光ファイバ14は、単一の束の中にあってもよく、より小さい束にまとめられてもよく、その場合、各束はともに束ねられる。すべてのファイバの周り、個々のファイバの周り、または複数ファイバのグループの周りに、緩衝層(図示せず)が含まれてよい。ケーブル10は、光ファイバ14の束を取り囲んでしっかりと封入する管状の形状を有する外側保護層またはジャケット16をさらに備え、それにより外部の損傷要因から光ファイバを保護し、束をより管理可能かつ安全にする。ジャケット16は、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニルなどのポリマー材料から作られてよい。ジャケット16、したがってケーブル10全体の外幅または外径は、典型的には5mm~20mm、たとえば8mm~10mmの範囲内であるが、本開示はケーブルのすべての幅に適用可能である。この例では、光ファイバケーブル10は、単一のカット線に沿ってカットされており、したがってジャケット16およびファイバ14はすべて、切断端12の同じ端面12aで終端している。
【0024】
図2は、本開示の実施形態が適用可能な光ファイバケーブルの第2の例の概略的な長手方向断面図を示す。前述のように、光ファイバケーブル10は、その末端部分が示されており、外側ジャケット16内に束として固定された複数の光ファイバ14を備える(例示のみを目的として、2つが示されている)。この例はまた、光ファイバ14の束の中央に、ケーブル10の長さに沿って長手方向に延びる細長い強化要素である中心強化部材またはCSM18を含み、光ファイバ14の束は、CSM18の周りに捩られるか、または巻かれてよい。この場合も、光ファイバケーブル10は切断端12を有するが、この例では、ケーブル10のカットが、刃物による簡単な切取り(snipまたはchop)ではなく、より詳細なプロセスによって実施されている。構成要素の各々は、異なる位置でカットされている。CMS18は、端面12bを与えるように選択された位置でカットされている。光ファイバ14は、CSM18よりも短くカットされており、したがって光ファイバ14は端部12cを有し、CSMの端面12bは、端部12cを越えて突出している。ジャケット12は、光ファイバ14の端部12cから変位された端面12aまでの短い距離にわたって、光ファイバ14から剥ぎ取られている。したがって、光ファイバ14はジャケット16から突出し、CSM18は、より長い量だけジャケット16から突出し、それによって光ファイバ14の端部12cも越えて突出する。
【0025】
異なるカットによって実現される切断された光ファイバケーブル端部の異なる構成は、所望される場合、本開示の様々な実施形態に従って異なるやり方で終端させることが可能である。他のカットも可能であり、結果として得られるカット端は同様に終端させることが可能である。たとえば、光ファイバ14およびCSM18または他の強化部材は、実質的に同じ長さになるようにカットされてよく、ジャケット16は、光ファイバ14およびCSM18がジャケットから類似の量だけ突出するように剥ぎ取られる。
【0026】
図3は、本開示の例示的な実施形態による終端器の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。本明細書において、終端器とは、光ファイバケーブルの内部、具体的には光ファイバケーブル内の微細構造ファイバの内部への汚染物質の侵入を防止または抑制する目的で、光ファイバケーブルの端部に閉鎖もしくは封止された終端を形成する、またはそのような終端を形成するように構成された、デバイスまたは装置である。
【0027】
終端器20は、終端部材22およびカラー30という2つのパーツまたは構成要素を備える。終端部材22は、終端部材22の閉端24と、閉端24の反対側にある終端部材22の開端26との間に延びる1つまたは複数の側壁22aを備える容器またはキャップの形態の中空の要素である。この例では、側壁22aはまっすぐな円筒形であり、閉端24は湾曲しており、側壁22aに対して隅部または縁部を形成せず、したがって終端部材22は、試験管に類似した全体的に細長い管状の形状を有する。終端部材22の他の形状も可能であるが、本発明はこれに関して限定されない。終端部材22の開端26は、光ファイバケーブル10の切断端12と協働するように構成される。この協働を実現するための様々な選択肢が想定され、いくつかの例では、協働はケーブルの切断端12と終端部材の開端26との係合であってよい。係合は、切断端12の少なくとも一部が終端部材22内へ挿入されるか、または終端部材22内に受容されることによって行われてよい。協働は、終端部材の閉端24が切断端12における光ファイバケーブル10およびファイバ14の露出された内部と外部環境との間にカバーまたは障壁を形成するように、これらのパーツを配置し、したがって潜在的な汚染材料が光ファイバケーブル10の内部およびファイバ14の内部に入ることが防止される。
【0028】
終端器20のカラー30は、終端器20を光ファイバケーブル10に固定するために提供される。好ましくは、固定は、粒子状、液体状、および気体状の汚染物質の侵入を抑制または防止することができる封止された終端を光ファイバケーブル10に提供するように実現される。そのような場合、終端器20によって提供される封止は、気密封止を提供すると考えられてよいが、特に終端器20が短時間だけ光ファイバケーブル10に嵌合されることが予期される状況では、すべての気体、液体、またはより小さい粒子を完全には阻止しない、より小さい封止でも有益となる可能性がある。
【0029】
カラー30は略管状であり、第1の端部32と第1の端部32の反対側の第2の端部34との間に延びる1つまたは複数の側壁30aを備える。側壁30aは、略円筒形の形状(円形の断面)を有すると好都合であり、それは、同じく実質的に円形の断面を有する光ファイバケーブル10とのより良好な結合を提供するからである。カラー30の第1の端部32は、終端部材22の開端を封止するように受容し、したがってカラー30と終端部材22との間、典型的にはカラー30の内面と終端部材22の外面との間の境界に、封止が形成される。封止は、カラー30(その例は以下でさらに議論される)および終端部材22の構造および構成に応じて、任意の好都合な手法で実現されてよい。簡単な例として、普通なら存在し得るあらゆる間隙を閉じ、カラー30と終端部材22との間にある程度の摩擦および締めを提供するために、カラー30および終端部材22の対向面間に接着剤が塗布されてよく、または対向表面間にゴムなどのOリングが提供されてもよい。
【0030】
また、終端器20は、カラー30および終端部材22がすでにともに封止結合された状態で使用するために提供されてもよい。別法として、カラー30および終端部材22は、キット内の別個の構成要素として、光ファイバケーブル10を終端させることが必要とされる場合、現場でともに結合されるように提供されてもよい。これら2つの代替形態は、2つの構成要素のために選択された構造および構成、ならびに2つの間の封止が提供される手法に従って便宜上選択されてよい。
【0031】
カラー30の第2の端部34は、内径Dを有する開端である。カラー30は、その内径Dが低減可能であるように、言い換えればより小さくする(サイズを低減させる)ことができるように構成される。第2の端部34は、光ファイバケーブル10の切断端12を受容して終端部材22の開端26に係合するように構成され、切断端12は、
図3に矢印Rによって示されている方向に沿って受容される。様々な例では、切断端12は、カラー30の第2の端部34内へ挿入されることによって開端26に係合されてよく(終端要素22およびカラー30は事前にともに連結されている)、または切断端12は、カラーがケーブル10および終端部材22の両方の周りに適用もしくは配置される前に、開端26に係合されてもよい。いずれの代替形態でも、ケーブル10の切断端12が終端部材22の開端に係合されると、カラー30の第2の端部34の内径Dが低減されて、ケーブル10の外面に接触し、ケーブル10の周りにカラー30の封止を形成する。カラー30の第1の端部32と終端部材22との間の封止とともに、ケーブル10の周りのカラー30の封止は、光ファイバケーブル10の切断端12に対して閉鎖および封止された終端を提供し、それによって切断端12を汚染から保護する。
【0032】
ケーブル10をカラー30の第2の端部34内へ挿入すること(カラー30は終端部材22にすでに結合されていてもいなくてもよい)、またはカラー30の第2の端部34をケーブル10の上へ摺動させることなどによって、カラー30をケーブル10の周りに配置すること(カラー30は終端部材22の開端26にすでに係合されていてもいなくてもよい)を可能にするために、カラーの第2の端部34の内径Dは最初、ケーブル10の外径(outer or external diameter)DC以上である。ある程度の隙間空間を提供することによって、ケーブルの切断端12がカラー30の第2の端部34内に受容されることを容易にするために、内径Dはケーブルの外径DCよりも大きいと好都合である。たとえば、内径Dは、外径DCよりも約1mmもしくは2mmもしくは3mm大きくてよく、または0.5mm~5mmの範囲内でより大きくてもよい。光ファイバケーブル10の外面の周りに封止を作るために内径Dが低減可能である必要がある量を最小にするために、この差が小さいことが好ましいことがある。
【0033】
図4は、光ファイバケーブル10上に設置された
図3の終端器20の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。ケーブル10の切断端12は、終端部材22の開端26に係合される。この例では、この係合は、ジャケット16の末端部が終端部材22内に受容されるように、終端部材22の開端26内へ切断端12をケーブル10の全幅にわたって挿入することを含む。これは、終端部材22の開端26がケーブル10の外径DC以上の内径diを有することによって可能にされる。示されているように、内径dは外径DCと実質的に同じであり、またはほんのわずかに大きく、したがってケーブル10は終端部材20内にぴったりと嵌合し、これは切断端12を保護し、様々な構成要素を安全な構成で保持することを支援することができる。
【0034】
ここで、カラー30の第2の端部34の内径はDRに低減されており、DRは、ケーブル10の外径DCに整合して、上述のようにカラー10をケーブル10の外面の周りに封止する。
【0035】
様々な実施形態は、ケーブルのいずれの特定の幅または直径にも限定されるものではない。様々な実施形態は、光ファイバケーブルの地上の形態および空中の形態の両方に適用可能であり、これらは、典型的には約1mm~25mmの範囲内の外径を有する。この範囲の中央部分内のケーブルは、本発明の実施形態を実装する状況でより容易に取り扱われることが可能であり、外径はたとえば約3mm~13mmの範囲内である。
【0036】
図5は、さらなる例による終端部材22に係合された光ファイバケーブル10の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。終端器のカラーは見やすいように省略されているが、本明細書に記載される例および実施形態のいずれかによるものとしてよい。この例では、ケーブル10の内部がジャケット16を越えて突出するように、ジャケット16がケーブル10の末端部から剥ぎ取られていることから、光ファイバケーブル10は、
図2の例のものと同様に準備された切断端12を有する。この例では、ケーブル10は、光ファイバ14のみを含むものとして示されているが、上述のように強化部材および/または緩衝材を含んでもよい。ケーブル10の切断端12は、突出する光ファイバ14(およびケーブル内のあらゆる他の内部要素)が終端部材22内に配置される(かつ側壁22aによって取り囲まれる)のに十分なほど遠くまで、ただし、ジャケット16も挿入されるほど遠くないように、終端部材内へ挿入されることによって、終端部材22の第2の端部26に係合される。ジャケット16は、終端部材22の外部に留まる。終端部材22の開端26の内径diは、ケーブル10の外径DCよりも大きくてもよいが、部分的な挿入によるこの係合は、他の方法で(otherwise)配置されてよい。
図5に示されているように、終端部材22の開端26の内径diは、ケーブル10の外径DCよりも小さいが、ケーブル10内の光ファイバ14の束の外径df以上である。このようにして、光ファイバ14の突出する末端部は、終端部材22内に受容されることが可能であるが、ジャケット自体は、幅が広すぎるため、終端部材22内に受容される可能性はない。したがって、終端部材22内への切断端12の挿入は、終端部材22の開端26の縁がジャケット16のカット縁部に当接することによって阻止される。このアプローチは、たとえば終端器の嵌合中にファイバ端部を損傷から保護するのに有用となりうる。突出するファイバ14が終端部材22の内部長さよりも短くなるようにカットされた場合、ファイバの端部は、終端部材の閉端24の内側に接触することから保護される。そうでない場合、そのような接触は、ケーブル10の切断端12が終端部材22内へ挿入され得る量を制限するものがない場合に発生する可能性がある。
【0037】
図5の例では、終端部材22は、ケーブル10の外径DCと実質的に同じ外径または幅deを有するものとして示されている。本質的ではないが、この配置により、ケーブル10が終端部材22内へ係合するために、比較的連続する途切れない外面を提供することができる。これは、カラーのより容易かつ簡単な嵌合または適用を促進することができる。また、使用されるカラーの様式に応じて、嵌合された終端器の外面は、ケーブル10および終端部材22の下にある表面に追従し、またはそれを反映してよく、したがって同様に平滑で途切れないものであってよい。これは、終端させられた光ファイバケーブルのその後の取扱いおよび操作を容易にすることができる。
【0038】
本明細書で提案されるケーブル終端器は、本明細書で議論されているように、環境からの汚染物質がファイバおよびケーブルの内部に入ることを抑制するために、開いたケーブル端部と周辺環境との間に封止された物理的障壁を提供する。加えて、終端器が取り付けられる前からすでに存在し得る汚染物質をさらに除去するように終端器を構成することによって、ケーブルのさらなる保護および維持が提供されることも可能である。たとえば、汚染物質は、ケーブルの切断と終端器の嵌合との間に入っている可能性があり、またはケーブルもしくは個々のファイバの製造から存在する可能性もある。特に、ケーブルの内部またはファイバの内部は、水(液体または蒸気)または二酸化炭素を含むことがある。
【0039】
これらおよびその他の汚染物質を除去するために、終端器は、終端器がケーブルに取り付けられているときに、ファイバ内の空隙の末端部を含む終端器内の雰囲気から汚染物質を吸収することが可能な材料を含んでよい。1つまたは複数のそのような吸収材料は、中空の終端部材内に含まれることが可能であると好都合である。したがって、ケーブルの切断端が終端部材に係合されたとき、終端部材内の空隙(閉端および側壁によって囲まれる)は、吸収材料によって部分的に占有され、かつケーブルの切断端の少なくとも一部によって部分的に占有される。
【0040】
図6は、そのような例による終端部材22に係合された光ファイバケーブル10の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。この場合も、終端器のカラーは見やすいように省略されている。ケーブル10の切断端12は、終端部材22の内部長さよりも短い距離だけ終端部材22の開端26内へ挿入されることによって係合される。これにより、ケーブル10の端面12aと終端部材22の閉端24との間に空間を残す。終端部材22は、この空間内に、光ファイバケーブル10から汚染物質を吸収することが可能な、ある量の吸収材料40を含む。たとえば、吸収材料40は、光ファイバケーブル10の末端部に存在し得る液体の水または水蒸気を吸収することが可能なシリカゲルを含んでよい。追加または別法として、他の吸収材料が含まれてもよい。たとえば、二酸化炭素は、モノエタノールアミン(MEA)およびジエタノールアミン(DEA)などのアミンによって、または水酸化カルシウムによって、光ファイバケーブルから除去されることが可能である。
【0041】
吸収材料40は、任意の好都合な形態をとってよい。
図6に示されているように、吸収材料40は、シリカゲルにとって一般的であるように、粒子状の形態を有してよい。そのような場合、吸収材料の粒子サイズは、ケーブル10の係合端12の外面と終端部材22の内面との間に存在し得るあらゆる間隙28よりも大きいことが有用であり、したがって吸収材料は、ケーブル10の端部12の存在によって終端部材22内に保持され、終端部材22から容易に滑り出る可能性がなくなる。たとえば、シリカゲルにとって約2mmの典型的な粒子サイズは、この効果を実現するのに完全に好適である。
【0042】
所望に応じて、水および二酸化炭素または他の汚染物質を除去するための他の吸収材料が含まれることも可能である。2つ以上のタイプの汚染物質を除去するために、2つ以上の吸収材料が含まれることも可能である。
【0043】
終端部材内にすでに存在する1つまたは複数の吸収物質を有する終端器が、使用のために提供されてよい。他の例では、吸収物質は、必要に応じておよび必要とされるときに、たとえば慣例として、終端部材内へ追加されることが可能な別個の構成要素として提供されてよく、またはケーブルの知られている汚染が生じた場合に提供されてもよい。いずれの代替形態も、事前に組み立てられた終端器(終端部材およびカラーがすでにともに結合されている)ならびに現場で組み立てるための別個の終端部材およびカラーのキットの代替形態とともに使用されてよい。
【0044】
提供される1つまたは複数の吸収物質の量は、ケーブルおよび終端器の寸法を参照して、または管理されるべき見込まれるもしくは疑わしい汚染の量を参照して、選択されてよい。比較的少ない量、たとえば約0.5g~20gまたは約1g~5gの範囲内が有用となり得るが、好ましい場合、または必要とされる場合、より多い量が使用されてもよい。適当な重量は、当該物質の密度および有効性にも依存する。
【0045】
終端部材を形成するために、様々な構成および材料が可能である。
図3~
図6の例では、終端部材は単体で一体型の構成要素であり、ポリマー材料などの好適な材料を成形または機械加工することによって形成されてよい。場合によっては、終端器が嵌合された後に終端させられたケーブル端部が見えることが有用であると考えられ得る。これは、透明ポリマーなどの透明材料から終端部材を形成することによって実現されることが可能である。吸収材料が終端部材内に含まれる実施形態では、透明の終端部材は、ケーブルの切断端の代わりに、またはそれに加えて、吸収材料の観察を可能にすることができる。いくつかの吸収材料は、吸収が生じたときに目に見える状態の変化を受け、したがって吸収の発生は、終端器の簡単な目視検査から判定されることが可能である。たとえばシリカゲルは、色が変化する調合で利用可能であり、水が吸収されたときに第1の色から第2の色への色変化が発生する。
【0046】
他の例では、終端部材は、上述された単体の構造ではなく、2つ以上の部品または構成要素を備えてよい。これらの部品は、使用(既製の物品として、または複数の部品からなるキットとして)のための終端器の供給の前に、終端部材を組み立てるためにともに連結されてよい。別法として、終端部材は、組み立てられていないパーツまたは部品として使用するために提供されてよく、光ファイバケーブルへの終端器の嵌合の一部として現場で組み立てられることが意図される。
【0047】
終端部材は、2つの部品から形成されてよい。これら2つの部品間の区分は、どこでも好都合なまたは好ましい場所に位置してよいが、特定の例では、2つの部品は、側壁または壁を提供する第1の部品と、閉端を提供する第2の部品とを含む。
【0048】
図7は、そのような例の2つの部品からなる終端部材22に係合された光ファイバケーブル10の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。
図5の例と同様に、ケーブル10は切断されて、ジャケットを剥ぎ取って突出するファイバ14の束を現すことを含み、終端部材22の開端26の縁がジャケット16のカット端に当接するまで、突出するファイバ14を終端部材内へ挿入することによって、終端部材22に係合される。終端部材22は、両端が開いた管42の形態を有する第1の部品、この例ではまっすぐな円筒形の管を備える。管42の一端は、終端部材22の開端26を提供する。終端部材22の第2の部品は、管42の反対側の端部内へ挿入可能なプラグまたは栓44を備え、それによりその端部の開口を閉じ、したがって終端部材22の閉端24を形成する。プラグ44は、管42に係合してよく、またはそうでなければ、終端部材22の2つのパーツの安全な組立てを提供する任意の好都合なやり方で、定位置に保持されてよい。たとえば、ねじ接続が提供されてもよく、したがってプラグ44が管42の端部にねじ留めされる。別法として、摩擦嵌合が用いられてもよく、したがってプラグ44は管42の端部に押し込まれる。したがって、プラグ44の内側は、管42との係合を可能にする形状とされてよい。示されている例では、プラグ44は、管42の内部形状およびサイズに整合するように、内方へ段状のプロファイルを有し、したがってプラグ44は、管42の端部内へ押し込まれることが可能である。摩擦嵌合を支援するために、プラグ44または管42上に1つまたは複数のフランジなどが設けられてもよい。この例では、プラグ44の外面は、隅部を回避し、終端要素の前述の例の試験管の形状を真似るように、平滑に湾曲したプロファイルを有する。好ましい場合、他の形状が使用されてもよい。
【0049】
終端部材の2つの部品に対して、任意の好適な材料が使用されてよい。たとえばこれら2つの部品は、前述のように、ポリマー材料から形成されてよい。特に管は、ケーブルの係合された切断端の目視検査を可能にするために、ポリマーなどの透明材料から作られてよい。別法として、管およびプラグは金属から作られてもよい。たとえば、管としてステンレス鋼管材が使用されてよく、これは容易に利用可能であり、必要とされる適当な長さに簡単にカットされることが可能である。金属プラグは、ダクトまたはパイプ作業によって押したり引いたりするなど、その後の設置プロセスにおいて終端されたケーブルが粗い取扱いを受けた場合に脆弱なことがある終端器に対して、強く頑強な端部を提供する。ポリマー、ゴム、または他のプラスチック材料から成形されたプラグは、管との嵌合を容易にするために、わずかに変形可能とすることができる。
【0050】
図7を再び参照すると、この例では、光ファイバケーブル10は、カットされてファイバ14の端部を越えて突出するCSM18を含むことに留意されたい。また、プラグ44の内面46は、成形などによって、CSM18のカット端12bに係合するように構成される。この係合により、プラグがCSM18に連結または接続されることが可能になり、これは、終端部材22を定位置に固定するのに役立つだけでなく、ケーブル10の終端された端部に補強および全体的な強度を提供する。この係合は、CSM18の端部12bに当接する当接面を提供するように内面を成形することによって実現されてよい。終端部材が2つの部品で供給される場合、当接面およびCSM端部12bの一方または両方にグルー(接着剤)が塗布されることが可能であり、したがってケーブルおよび終端部材の部分がすべてともに組み立てられたとき(当業者には理解される様々な順序で行われることが可能である)、プラグ44はCSM18の端部12bに接合され、ケーブル10と一体化される。CMSおよびプラグを係合するために、他の代替形態が使用されてもよい。別の例として、内面46は、終端部材22がケーブル10と組み立てられるときにCSM18の端部12bが受容される中心凹部を有するように形成されてよい。
【0051】
図7は、ファイバ束が突出するようにカットされたケーブルとともに使用される2つの部品からなる終端部材を示すが、2つの部品からなる終端部材は、
図6の例に示されているように、簡単な平面にカットされたケーブルとともに使用されてもよく、CSMとプラグとの間の係合は省略する。同様に、2つの部品からなる終端部材は、CSMのないケーブルとともに使用されてもよい。2つの部品からなる終端部材は、
図6に関連して記載されている吸収材料とともに使用されてもよい。任意のそのような吸収材料は、終端部材自体が組み立てられた後に、開端を通して終端部材内へ追加されてよく、または管がプラグによって閉じられる前に、管の反対側の端部を通して追加されることも可能である。
【0052】
終端器のカラーも同様に、必要とされる特徴を提供するように複数のやり方で構成されてよい。
図3および
図4を再び参照すると、カラー30aが管として非常に簡単に示されている。これは一部には、カラーの全体的な位置ならびに終端要素およびケーブルとのその関係を伝えることが意図された代表的な例示に過ぎないが、カラーが好適な材料の簡単な管であるいくつかの実施形態のより正確な描写としての機能も果たすことができる。
【0053】
たとえば、カラーは、ポリオレフィンまたはポリエステルなどの熱収縮材料の管を備えてよい。加熱された管の収縮は、第2の端部の内径を低減させ、ケーブルの周りにカラーを封止する。熱収縮カラーを使用するために、いくつかの代替形態が好適である。終端器は、カラーおよび終端部材が別個の物品である複数のパーツからなるキットとして提供されてよい。終端部材は、ケーブルの切断端を終端部材の開端に係合させることによって、ケーブルと組み立てられる。次いで、カラーは、ケーブルと終端部材との間の連結をつなぐまで、終端部材の上を摺動させられることが可能である。少なくともカラーの両端への加熱によりカラーを収縮させて、単一の組立てステップにおいて、第1の端部に終端部材との封止を提供し、第2の端部にケーブルとの封止を提供する。別法として、カラーの第1の端部は、終端部材の開端の周りに事前に収縮させられて、事前に組み立てられた終端器を作製してよく、その中に切断されたケーブル端部が挿入される、またはそうではなく受容されることが可能であり、その後、カラーの第2の端部が加熱されて、終端器をケーブルに封止する。熱収縮カラーはまた、一方の側に沿って開いた分割管として提供されることも可能であり、それによりケーブルおよび終端部材の周りにその側から配置されることが可能になり、これは端部の上に摺動させるより簡単なことがある。
【0054】
カラーは、管として成形された弾性またはゴム引き材料から形成されてよく、ケーブルおよび終端部材の上に引き伸ばされたり引っ張られたりすることが可能である。この弾性により、ケーブルおよび終端部材に対してカラーをしっかりと引っ張り、これらの構成要素との封止を形成する。
【0055】
図8は、異なる設計のカラーを有する、本開示のさらなる例示的な実施形態による終端器20の簡略化された長手方向部分断面概略図を示す。カラー30は、たとえばプラスチックまたは金属材料から形成された略管状の部材を備える。カラーが作られる材料の固有の特性によってカラーの低減可能な内径が提供される前述の例とは対照的に、この例では、低減可能な内径が可動部分によって実現され、したがって内径を低減させてケーブル10の周りにカラー30の第2の端部を封止するには、ツールまたは手による機械的な調整が必要とされる。
【0056】
前述のように、中心の中空孔を有する管状のカラー30は、終端部材22の開端が封止される手法で受容される第1の端部32を有する。この例では、封止は、カラー30の孔の内面の周りに取り付けられた第1のOリングまたはグロメット36によってもたらされ、これは、カラー30の内面と終端部材22の側壁の外面との間の間隙を封止する。他の方法が封止に使用されてもよく、押込み嵌め、摩擦嵌め、もしくはねじ配置のように可逆的であっても、または糊付けもしくは他の接合方法のようにより恒久的なものであってもよい。すでに組み立てられた終端器を供給するように、これらのいずれかが事前に実行されてもよく、または終端器が複数のパーツからなるキットとして提供される場合、終端器の嵌合の一部として実行されてもよいことが想定される。カラー30の第2の端部34は、孔の内面の周りに取り付けられた第2のOリングまたはグロメット38を備える。カラーはまた、1つまたは複数の可動部分39を備え、可動部分39上にOリング38が配置され、可動部分39は、挿入されたケーブル10の外面に対してOリング38を締め付けるか、または圧縮するように、内方へ(すなわち、ケーブル10の方へ)動くように構成される。この動きは、カラーの外面上の回転カフの動作によって実現されてよく、たとえばその回転が、可動部分39の内方への動きを引き起こす。レバーまたはラチェット動作も同様に使用されてよく、これらおよびその他の方法は当業者には明らかである。
【0057】
機械的に動作可能なカラーは、可動部分の動作を逆にすること(たとえば、回転可能なカフの逆回転)などによって、内径の低減が可逆的になるように構成されてよく、したがって内径は再び増大させられることが可能である。これにより、ケーブル10の切断端へのアクセスが再び必要とされるとき、終端器20の簡単で迅速な取外しが可能になり、終端器の再利用を可能にすることができる。
【0058】
図8に第1のOリング36によって示されるカラー30と終端部材22との間の封止も同様に、機械的な調整および動作のために構成されてよい。終端器が複数のパーツからなるキットとして提供される場合、これは、現場でのカラー30と終端部材22との間の結合を容易にすることができる。別法として、カラー30および終端部材22は、すでに記載されたように、事前に組み立てられた終端器を提供するために事前に連結されていてもよい。
【0059】
切断された光ファイバケーブル内のファイバを汚染材料の侵入から保護する機能に加えて、本明細書に提案される終端器は、他の利点も提供する。特に、ケーブルの端部はまた、ダクト、パイプ、チャネルなどを介したケーブルのその後の設置中の物理的な衝撃などによる損傷から保護される。さらに、提案される終端器の実施形態によって終端させられたケーブルは、これらの場所にケーブルを設置するための一般的な技法に完全に適合している。
【0060】
第1の技法は、ダクトなどを介してケーブルを引き込むまたは引っ張ることを伴う。この引っ張り動作を実現するために、ケーブルの前端に線が取り付けられる。この取付けは、ケーブルソックの使用によって実現され、ケーブルソックは、ケーブルの端部に嵌合し、収縮してケーブルの周りを把持する亜鉛めっきされた鋼の調整可能な管状の格子を備える。ソックは、線が取り付けられたその端部にスイベルジョイントを有し、それによりケーブルを捩ることなく引き込みが可能になる。本提案による終端器は、ケーブルの端部の幅または全体的なかさを著しく増大させない、たとえば
図4、
図5、および
図7の特徴を有する実施形態を使用して小型のものであってよく(たとえば、ケーブルの外径に類似した外径を有する終端部材、および熱収縮性または弾性などの好適な材料特性を介してその直径を収縮させることが可能な管として形成されたカラー)、その場合、むき出しのケーブル端部に嵌合するように構成されたケーブルソックは、本明細書に記載されるように、終端させられたケーブルに同様に適合している。
【0061】
吹き込みと呼ばれるケーブルを設置するための第2の技法は、ケーブルをダクト内へ送り出し、ケーブルの前端の後ろに圧縮空気を注入して、ケーブルを前方へ搬送することによって、ダクトなどを介してケーブルを押し込むことを伴う。この場合も、小型終端器がこの用途によく適しており、金属端を有する終端部材の使用により、吹き込みによりケーブル端部がダクトの壁に押し付けられる場合のあらゆる衝撃からケーブル端部をさらに保護することができる。
【0062】
これらの設置技法を好都合に実施するために、終端器はケーブル幅と比べて過度に大きくないことが有用である。たとえば、終端器の全体的な長さは、ケーブルの外径の約1~20倍、より詳細にはケーブルの外径の約2~15倍の範囲内であってよい。ケーブルに嵌合されたときの終端器の最大の外径は、ケーブルの外径よりも約5mm~15mmの範囲内で大きくてよく、または小型化を強化するために、ケーブルの外径よりも約0mm~3mmのより小さい範囲内で大きくてもよい。終端器の全体的な外部形状は、その概略的な横断面プロファイルがケーブルの断面形状のものなどと同じまたは同様になるようなものであってよい。たとえば、略円形の断面を有する終端器は、円形の断面のケーブルに嵌合されることが可能であることが有用である。しかし、これらの様々なパラメータは限定的ではなく、本発明は、他の形状および寸法で実装されてもよい。終端器にとって有用であると考えられ得るケーブルの全長もまた限定されず、例としては、約0.01km~30kmまたは約0.05km~6kmの範囲内のケーブル設置長さが含まれる。
【0063】
記載されるように、終端器は、使用のためにすでに組み立てられた状態で供給されることが可能である。この場合、終端器は、切断されたケーブル端部をカラー内へ、したがって終端部材の開端内へ挿入し、切断端を終端部材に係合させ、次いでカラーの第2の端部の内径を低減させて、終端器をケーブルの周りに封止することによって嵌合される。終端器は、終端部材内に含まれる吸収材料を含んでも含まなくてもよい。別法として、終端器は、終端器をケーブルに嵌合するプロセスの一部として終端器に組み立てられる複数のパーツからなるキットとして供給されることが可能である。キットは、カラーおよび一体型もしくは単体の終端部材を備えてよく、または終端部材を作製するためにともに連結する必要のある2つ(またはそれ以上)の部品としてカラーおよび終端器を備えてもよい。いずれの場合も、キットは、終端部材内に含まれる吸収材料をさらに含んでよい。別法として、キットは、事前に組み立てられた終端器と、必要とされる場合に終端部材に追加するための別個の吸収材料とを備えてよい。キットが別個の構成要素として提供される終端器を含む場合、終端器は、まずカラーおよび終端部材を連結することによって組み立てられてよく、組み立てられた終端器は次いで、ケーブルに嵌合される。別法として、切断されたケーブル端部は、カラーが追加される前に、まず終端部材(または2つ以上の部品として供給された場合、その一部)に係合されてもよい。
【0064】
図9は、光ファイバケーブルを終端させるための例示的な方法におけるステップの流れ図を示す。この方法の第1のステップS1は、上記で説明された様々な例などにおいて、光ファイバケーブルをカットして切断端を作製することを必要とする。第2のステップS2で、切断端は、中空の終端部材の開端に係合され、中空の終端部材は反対側に閉端を有する。次いで、第3のステップS3で、管状の形状を有するカラーがケーブルおよび終端部材の周りに配置され、それによってカラーの第1の端部が終端部材の開端の周りに封止される(代替形態では、カラーは、ステップS1における切断端の係合前に、終端部材の周りに封止的に配置されてもよい)。最終ステップS4で、第1の端部とは反対側のカラーの第2の端部の内径が低減されて、カラーをケーブルの周りに封止し、それによってケーブルの切断端の上に終端器を封止する。
【0065】
代替形態では、ステップS1、S2、およびS3は、まずカラーをケーブル上へねじ留めし(ケーブルがカットされて切断端を形成する前または後)、次いでケーブルの切断端を終端部材に係合させ、次いでカラーを封止によって終端部材の周りに配置することによって修正されてよい。これは、終端器が複数のパーツからなるキットとして提供されるときの選択肢である。
【0066】
図10は、ケーブル10に嵌合された別の例示的な終端器20の概略的な長手方向断面図を示す。終端器20のカラー30は、
図8の例と同様に構成され、終端部材22は吸収材料40を含むが、これらの態様は必須ではない。
図10の例は、周辺環境から終端器20の内部空間へ再封止可能な空気流の連通を与えるように構成された弁50をさらに備えることから、前述の例とは異なる。弁50は、終端器の内側が加圧されること、言い換えれば周辺環境の大気圧よりも高い圧力にされることが可能になるように、終端器20がケーブル10の切断端に嵌合されると、空気が終端器20の内部へ導入されることを可能にする。この加圧により、液体および気体がカラーとケーブルとの間およびカラーと終端部材との間の封止を越えて漏れ出すことを抑制するため、終端器の封止効果を増大させる。たとえば温度変化などの要因により、封止の品質がわずかに損なわれてもよく、これは周辺流体の侵入を許す可能性があるが、終端器20内の内部圧力が増大されることによって相殺される可能性がある。これは、汚れた水を含み得る屋外キャビネットまたはアクセスチャンバなどの汚染された場所でケーブル端部が配備チームによって放置されなければならない場合がある状況で特に有用である。
【0067】
弁50は、ハンドポンプ(自転車用空気入れ)、フットポンプ、電動ポンプ、またはガスカートリッジもしくはガスボンベなど、弁50を通して終端器20内へ空気(または別の気体)を導入する好都合な手段に係合するのに好適な任意の設計または構成とすることができる。使用の際、終端器20はまずケーブル10に嵌合され、1つまたは複数の適当な封止がなされ(終端器20の元の構成に応じる)、次いで内部空気圧を弁50によって増大させることが可能である。
図10は、カラー30の壁に位置する弁50を示すが、別法として終端部材22の壁に位置してもよい。
【0068】
上記の実施形態および例はすべて、ケーブルの切断端と終端部材の開端との間の協働を係合として実装しており、典型的には、2つの部分間の物理的な接触を伴い、場合により、終端部材内へのケーブル端部の少なくとも一部の挿入を含む。協働は、他の方法で実装されてもよいが、それでもなお、ケーブルの周りに封止的に固定される障壁として終端部材の閉端を提供することによって、ケーブル端部の封止を可能にする。
【0069】
図11は、ケーブル10の切断端12の端面12aが終端部材22の開端26から隔置されるようにケーブル10に嵌合された例示的な終端器20の概略的な長手方向断面図を示す。終端器20のカラー30は、
図8の例と同様に構成され、終端部材22は吸収材料40を含むが、これらの態様は必須ではなく、代わりに他の例に従ってもよい。したがって、ケーブル10の長さによって画定される長手方向に沿って切断端12および開端26が互いに対向することによって、ケーブル10の切断端12は終端部材22の開端26と協働するように配置され、一方、カラー30は、前述のように、その第1の端部32で終端部材22の周りに封止され、その第2の端部34でケーブル10の周りに封止される。対向する関係では、切断端12および開端26が互いにすぐ隣接しても、互いに当接してもよい。別法として、
図11に示されるように、切断端12および開端26は、長手方向に沿って互いから隔置されてもよい。
【0070】
対向する協働は、たとえばケーブルの外径が終端部材の内径以上である場合、係合、挿入、協働に比べて、より明快に実現することができ、またはより迅速に実現することができる。
【0071】
終端部材内に吸収材料40(含まれる場合)を保持する(終端器がケーブルから外れた場合に漏れを防止する)ために、終端部材22の孔にわたって延びる透明の障壁52が提供されることが可能である。障壁52は、吸収材料40が吸収することが可能な物質の通過を可能にし、したがって物質は吸収材料40に到達することができるが、吸収材料40が終端部材22から出ることは阻止するように構成される。吸収材料40の粒子サイズよりも小さい孔または開口を有する任意の設計がこれを実現し、したがって障壁は、たとえば膜、メッシュ、またはグリルを備えてよい。終端器が複数のパーツからなるキットとして提供される場合、終端部材は、障壁の後ろですでに定位置にある吸収材料とともに使用するために供給されてよく、または終端部材、吸収材料、および障壁は、終端器の設置中に組み立てるために別個のパーツとして供給されてもよい。
【0072】
カラー、終端部材に関する終端器の様々な特徴、切断されたケーブル端部と終端部材との係合の手法、およびケーブル内部から汚染物質を吸収することが可能な材料の包含などは、任意の使用可能な組合せで組み合わされてよく、本明細書に詳述および/または描写される特有の組合せに限定されるものではない。また、終端器は、他のタイプのケーブル、たとえば電気ケーブルの終端など、他の用途でも有用性を見出すことができる。
【0073】
本明細書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解および教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供されており、網羅的および/または排他的なものではない。本明細書に記載される利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定、または特許請求の範囲の均等物に対する限定であると見なされるべきではないこと、ならびに特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてよく、修正が加えられてもよいことを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載される組合せ以外の、開示される要素、構成要素、特徴、パーツ、ステップ、手段などの適当な組合せを好適に含んでよく、そのような組合せからなってよく、または本質的にそのような組合せからなってよい。加えて、本開示は、本明細書に特許請求されていないが将来特許請求され得る他の発明を含んでよい。
【国際調査報告】