(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】湾曲した物体を測定するための自己較正フレキシブル超音波アレイ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/15 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61B8/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577818
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 NL2022050340
(87)【国際公開番号】W WO2022265507
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595115802
【氏名又は名称】ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパスト-ナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク テーエヌオー
【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast-natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ステーン、ヤン-ラウレンス ピーテル ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス、ラウレンス クリスティアン ヨハンネス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ネール、パウル ルイ マリア ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、アルノ ヴィレム フレデリック
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD08
4C601DE17
4C601EE11
4C601GA07
4C601GA18
4C601GA26
4C601GB09
4C601GB42
(57)【要約】
湾曲した物体(Obj)を測定するための音響システム(100)及び方法。シート(20)の表面(20s)上に配置された音響変換器(10)のアレイを有する可撓性シート(20)が提供される。シート(20)は、異なる変換器(10a,10b,10c)が異なる側から物体(Obj)に音響的に接触するように少なくとも部分的に物体(Obj)を包む。変換器(10)は、湾曲した物体(Obj)の周囲の可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定するために用いられる。三次元空間での可変位置の空間座標(X,Y,Z)は、物体(Obj)を包むシート表面(20s)の変形に依存する。変換器(10)の空間座標(X,Y,Z)は、シート(20)が物体(Obj)を包む間に、物体(Obj)を通って、例えば異なる変換器(10a,10b)の間で送信される音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて決定される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した物体(Obj)を少なくとも部分的に包むように構成された可撓性シート(20)であって、前記可撓性シート(20)は、前記可撓性シート(20)のシート表面(20s)上に配置された、前記湾曲した物体(Obj)に異なる側から音響的に接触するための音響変換器(10)のアレイを備え、前記音響変換器(10)は、互いに対して可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定するように構成され、三次元空間での可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)を包む前記シート表面 (20s) の変形に依存する、可撓性シート(20)と、
前記可撓性シート(20)が前記湾曲した物体(Obj)を包んでいる間に、前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて前記音響変換器(10)の空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成された制御部(30)と、
を備える、
湾曲した物体(Obj)を測定するための音響システム(100)。
【請求項2】
前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組は、前記シート表面(20s)上に配置され前記湾曲した物体(Obj)に前記湾曲した物体(Obj)の周縁の異なる側で音響的に接触する前記音響変換器(10)のアレイの異なる音響変換器(10a,10b,10c)の間で前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間を含む、又はそれらのみからなる、請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイを用いて前記湾曲した物体(Obj)の画像を生成するように構成され、
前記画像は、前記音響変換器(10)によって生成及び/又は測定される音波、及び前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて決定されるそれらの前記空間座標(X,Y,Z)に基づいて生成される、
請求項1又は2に記載の音響システム。
【請求項4】
それぞれの前記音響変換器は、前記シート表面(20s)に沿った前記音響変換器の間の所定の表面座標(Sx,Sy)及び/又は所定の表面距離(Dp,Dab)の組を有し、
前記制御部(30)は、前記所定の表面座標(Sx,Sy)及び/又は前記所定の表面距離(Dp,Dab)に更に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成された、
請求項1から3のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項5】
前記制御部(30)は、前記シート表面(20s)のモデル化された形状(20m)を決定するように構成され、
前記モデル化された形状(20m)は、前記音響変換器(10a,10b;10b,10c;10a,10c)の対の間の前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)に基づいて計算され、
それぞれの前記音響変換器は前記シート表面(20s)に束縛されたモデル化された位置を有し、前記音響変換器の前記モデル化された位置は、前記可撓性シート(20)上の前記音響変換器(10)の所定の表面座標(Sx,Sy)の組及び/又は前記シート表面(20s)に沿った前記音響変換器(10)の間の表面距離(Dab)によって更に束縛される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項6】
前記可撓性シート(20)は、伸縮可能であり、前記音響変換器(10)の間の、前記シート表面(20s)に沿った可変表面距離(Dab)を可能にし、
前記音響変換器(10)は、前記可変表面距離(Dab)を決定するために、前記シート表面(20s)の内部及び/又は前記シート表面(20s)に沿って伝播するガイド波を生成及び/又は測定するように更に構成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項7】
前記制御部(30)は、可変スケーリングパラメータ(a,b,c)及び/又は座標の組によって定義される分析関数に従って、所定のパラメータ化された形状に基づいて前記モデル化された形状を計算するように構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項8】
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)の所定の空間座標の組を前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に従って調整することによって、前記音響変換器(10)の現在の空間座標(X,Y,Z)の組を決定するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項9】
前記制御部(30)は、凸状サブセクション領域を通る前記音響変換器(10a,10i)の対の間の経路に沿って遮断される一つ以上の音響信号に基づいて、前記可撓性シート(20)の前記凸状サブセクション領域を決定するように構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項10】
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイの少なくともサブセット(10a,10b;10a,10c;10b,10c)内の前記音響変換器(10a,10b)のそれぞれの対について、
前記音響変換器(10a,10b)の対の第1音響変換器(10a)と第2音響変換器(10b)との間で前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される音波(W)の伝播時間(Tab)に基づく、前記音響変換器(10a,10b)の対の間のユークリッド距離(Eab)と、
前記音響変換器(10)の相対又は絶対位置に関する所定の情報に基づく、前記第1音響変換器(10a)と前記第2音響変換器(10b)との間の、前記シート表面(20s)に沿った表面距離(Dab)と、
を比較することによって前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項11】
前記シート表面(20s)の曲率の度合(Rab)は、一つ以上の前記音響変換器(10)の間の前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて決定され、
前記シート表面(20s)の形状は、変換器のそれぞれの対の間の、前記可撓性シート(20)の一つ以上の前記曲率の度合(Rab)に基づいて決定され、
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイの少なくともサブセット(10a,10b;10a,10c;10b,10c)の前記音響変換器(10a,10b)のそれぞれの対について、それぞれの前記ユークリッド距離(Eab,Ebc)とそれぞれの前記表面距離(Dab,Dbc)とを比較して曲率(Rab,Rbc)の組を計算することによって、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成される、
請求項1から10のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項12】
前記制御部(30)は、モデル化されたシート表面上のモデル化された音響変換器のそれぞれの位置を含む前記シート表面(20s)のモデルを用いて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成され、
前記モデルは、前記モデル化された音響変換器の間のモデル化された伝播時間の組を計算するために用いられ、
前記モデル化された伝播時間は前記モデル化された音響変換器の間のそれぞれの距離に依存し、
前記モデル化された音響変換器の間のそれぞれの距離は、前記モデル化されたシート表面上のそれぞれの位置およびモデル化されたシート表面の可変形状に依存し、
前記モデル化されたシート表面の可変形状は、前記モデル化された伝播時間が測定された伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に適合するように調整され、
前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)は、前記モデル化されたシート上の前記モデル化された音響変換器のそれぞれの位置に基づいて決定される、
請求項1から11のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項13】
前記制御部(30)は、第1音響変換器(10a)と第3変換器(10c)との間で湾曲した物体(Obj)を通って送信される音波(W)の伝播時間(Tac)を測定するように構成され、
第2変換器(10b)は、前記第1音響変換器(10a)と前記第3変換器(10c)との間の、前記可撓性シートの前記シート表面上の表面経路に沿って配置され、
前記制御部(30)は、前記可撓性シート(20)のモデル化されたシート表面(20m)上の前記第1音響変換器(10a)と前記第3変換器(10c)とに対する前記第2変換器(10b)の表面距離(Dab,Dbc)及び/又は所定の表面座標を少なくとも部分的に補間することに基づいて、前記第2変換器(10b)の空間座標(Xb、Yb、Zb)を決定するように構成される、
請求項1から12のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項14】
可撓性シート(20)に、前記可撓性シート(20)のシート表面(20s)上に配置された音響変換器(10)のアレイを提供することと、
前記音響変換器(10)が湾曲した物体(Obj)に異なる側から音響的に接触するように前記可撓性シート(20)で前記湾曲した物体(Obj)を少なくとも部分的に包むことと、
前記湾曲した物体(Obj)の周囲の可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定する前記音響変換器(10)を用いることであって、三次元空間での前記可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)を包む前記シート表面 (20s)の変形に依存する、ことと、
前記可撓性シート(20)が前記湾曲した物体(Obj)を包んでいる間に、前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定することと、
を備える、
湾曲した物体(Obj)を音響的に測定する方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の音響システム(100)によって実行される場合、前記音響システムに、
湾曲した物体(Obj)の周囲の可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定するように一組の音響変換器(10)を制御させることであって、三次元空間での前記可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)の周縁に依存する、ことと、
前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定させることと、
前記音響変換器(10)の少なくともサブセットから測定された音響信号を処理することによって画像を生成させることであって、前記音響信号は決定された前記空間座標(X,Y,Z)に基づいて処理される、ことと、
を行わせる命令を記憶する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湾曲した物体を測定するための音響システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音響システムは、組織のような物質及び物体を測定するために様々な適用がある。例えば、マンモグラフィ又は他の音響画像は、音響変換器によって実行されるパルスエコー測定を用いてして生成され得る。物体又は組織の内部の物質又は構造に関する情報は、振幅、周波数、位相、及び/又は放射パルスと受信エコーとの間の時間のような、物質内部構造を透過する及び/又は反射される音波の測定された特性から引き出され得る。パルスエコー及び/又は断層撮影法測定が異なる変換器間で実行される場合、画像化された超音波の再構成は、変換器の(相対的な)位置の先験的な知識に依存し得る。しかしながら、適合性、可撓性及び/又は伸縮性の超音波アレイでは、異なる変換器の素子間位置が不明であり得、画像の再構成を妨げる。
【0003】
背景として米国特許出願公開第2020/0278327号明細書は、配列及び収差補正のためのフェーズドアレイ較正を開示している。複数の変換器素子を有する超音波変換器の配列を較正するための様々な手法は、全ての(又は少なくともいくつかの)変換器素子から焦点領域に放射される超音波の複数のビーム経路によって横断される領域に渡る音響反射器を提供すること、変換器素子に焦点領域に超音波を放射させること、音響反射器からの超音波の反射を測定すること、及び測定された反射に少なくとも部分的に基づいて変換器素子に関する最適な配列パラメータを決定すること、を含む。残念ながら、較正は撮像中には(そのままでは)実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0278327号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、可変形状を持つ湾曲した物体を簡単に測定できるような、改良された音響システム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、湾曲した物体を測定するための音響システム及び方法に向けられている。可撓性シートは、湾曲した物体を少なくとも部分的に包むよう構成される。可撓性シートは湾曲した物体に異なる側から音響的に接触するための、可撓性シートの表面上に配置された音響変換器のアレイを備える。音響変換器は、互いに対して可変位置で音波を生成及び/又は測定するよう構成される。三次元空間での可変位置の空間座標は、典型的には、湾曲した物体を包むシート表面の変形に依存する。有利には、音響変換器の空間座標は、可撓性シートが湾曲した物体を包む間に決定され得る。特に、空間座標は、湾曲物体を通って、例えば湾曲した物体の異なる側に配置された変換器の様々な組み合わせの間で送信される音波の伝播時間の組に基づいて決定され得る。このようにして決定された変換器の位置は、変換器の音響信号を処理して画像を生成し、及び/又は物体の内部の他の物質特性及び内部構造を測定することに使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の請求項、及び添付の以下の図面からよりよく理解され得る。
【0008】
【
図1A】変換器のアレイを備える可撓性シートを有する音響システムの斜視図である。
【
図1B】湾曲した物体の周りに少なくとも部分的に巻き付けられた可撓性シートの断面図である。
【
図2A】シート表面上の変換器間で測定された伝播時間及び/又は相対距離に基づいてモデル化された可撓性シートの形状を示す図である。
【
図2B】モデル化された形状の様々なパラメトリゼーションを示す図である。
【
図3B】凸及び凹部分領域を有する湾曲した物体の測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の実施の形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。ここで使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。用語「及び/又は」は、関連する列挙された一つ以上の項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。「含む」及び/又は「備える」という文言は、記述された特徴の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴の存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。方法の特定のステップが他のステップに続くものとして言及される場合、そうでないと特定されない限り、当該他のステップに直接続くことも、特定のステップを実行する前に一つ以上の中間ステップが実行され得ることが更に理解されよう。同様に、構造体又は構成要素の間の接続が記載されている場合、この接続は、そうでないと特定されない限り、直接的に成立してもよいし、中間的な構造体又は構成要素を介して成立してもよいことが理解されよう。
【0010】
以下、本発明の実施の形態が示された添付の図面を参照して、本発明が詳細に説明される。図面において、システム、構成要素、層、及び領域の絶対的及び相対的大きさは、明確性のために誇張され得る。実施の形態は、理想化された実施の形態及び本発明の中間構造の概略図及び/又は断面図を参照して説明され得る。本明細書及び図面を通して、同様の番号は同様の要素を指す。相対的な文言及びその派生は、議論されている説明又は図面に示されている向きを指すものと解釈されるべきである。これらの相対的な文言は、説明の便のためであり、そうでないと特定されない限り、システムが特定の向きで構成又は操作されることを要求しない。
【0011】
図1Aは、湾曲した物体「Obj」を測定するための音響システム100の斜視図である。
図1Bは、湾曲した物体「Obj」の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられた可撓性シート20の断面図を示す。
【0012】
ある実施の形態では、可撓性シート20は音響変換器10のアレイを備える。例えば、変換器は、可撓性シート20のシート表面20s上に配置される。例えば、変換器は1又は2次元のアレイを形成する。このようにして、変換器(10)は、例えば、少なくとも部分的に物体の周縁で少なくとも部分的に互いに対向するように、湾曲した物体「Obj」に異なる側から音響的に接触するために用いられ得る。一つの実施の形態では、音響変換器10は、湾曲した物体「Obj」の周縁で決定される互いに対して可変の位置で音波「W」を発生及び/又は測定するように構成される。従って、可変の位置の3次元空間における空間座標(X,Y,Z)は、湾曲した物体「Obj」を包むシート表面20sの変形に依存する。一つの実施の形態では、好ましくは可撓性シート20が湾曲物体「Obj」の周囲に巻き付けられる間に、制御部30が音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)を決定するよう構成される。
【0013】
ある実施の形態では、空間座標は、湾曲した物体「Obj」を通って送信される音波「W」の伝播時間Tab,Tbc,Tacの組に基づいて決定される。好ましくは、伝播時間の組は、湾曲した物体「Obj」の異なる側の異なる変換器10a,10b,10cの間の、最も好ましくは物体を通る直接の(最短の)経路に沿った、音波「W」の伝播時間Tab,Tbc,Tacを含む、又はそれらからなる。例えば、一対の変換器10a,10bの間の伝播時間は、第1変換器10aでの音波の送信の第1タイムスタンプTaと、第2変換器10bでの音波の受信の第2タイムスタンプTbとの間の測定された時間差Tabに基づいて決定される。例えば、それぞれのタイムスタンプ及び/又は伝播時間を決定することは、音波のピークを検出すること、変換器上で測定された放出波と到着した圧力パルスとを相互相関させること、受信波の開始点を決定すること、受信信号の位相と送信信号の位相との差を測定すること(到着時間は、周波数領域で周波数に渡る線形位相として現れ得る)、のうちの一つ以上を含み得る。伝播時間は飛行時間とも呼ばれ得る。第1音響変換器10aから送信された同じ音波(又は別の音波)は、第3音響変換器10cによっても受信され得、第1音響変換器10aと第3音響変換器10cとの間の伝播時間Tacを決定するために用いられる別のタイムスタンプを生じる。同様に、伝播時間Tbcは、第2変換器10bと第3変換器10cとの間で決定され得る。これらの測定は、所望の伝播時間の組を生じるために、アレイ内の任意の対の変換器の間で連続的に及び/又は並行して実行され得る。例えば、音波は、音波のそれぞれの原点を区別するために、固有のシグネチャ(例えば周波数)と共に送信され得る。伝播時間は任意の対について反対方向においても決定され得る。また、同方向又は反対方向で測定を繰り返すことにより、任意の対間で平均又は中央値伝播時間も決定され得る。例えば、これは任意の雑音を軽減するために行われ得る。
【0014】
ある実施の形態では、音響システム100は、断層撮影法に基づく音響装置として機能するよう構成される。他の又は更なる実施の形態では、音響システム100は、反射に基づく音響装置として機能するよう構成される。また、光音響装置のような他の又は更なるタイプの音響装置も想定され得る。原則として、各音響変換器は、音響及び電気信号の間の変換が可能な一つ以上の音響素子を含む。例えば、各音響素子は、圧電構造、膜等を含み得る。一つの実施の形態では、各音響変換器は、複数の音響素子を有する領域によって形成され、例えば局所アレイを形成する。典型的には、それぞれの変換器は、0.1から10mm2、好ましくは0.2から1mm2の局所面積によって形成され得る。例えば、0.5×0.5mm2の面積の変換器は、間隔50μmで40×40μm2の100本のピラーの局所アレイを含む。
【0015】
ある実施の形態では、(同じ又は他の)制御部は、音響変換器10のアレイを用いて湾曲した物体「Obj」の画像を生成するよう構成される。一つの実施の形態では、画像は、音響変換器10によって生成及び/又は測定された音波と、伝播時間の組Tab,Tbc,Tacに基づいて決定されたそれらの空間座標(X,Y,Z)と、に基づいて生成される。例えば、音響システムは超音波イメージング装置として構成される。典型的には、画像は、湾曲した物体「Obj」の内部で音響変換器10のアレイを用いて測定された構造及び/又は特性を含む。湾曲物体「Obj」の表面及び/又は内部の他の測定も想定され得る。好ましくは、音響信号の測定された特性は、音響信号の到達時間、振幅、周波数、及び/又は位相のうちの一つ以上を含む。例えば、(同じ又は他の)制御部は、異なる変換器(断層撮影及び/又は反射)の間で湾曲物体「Obj」を通って送信される又は同じ変換器(反射)に戻る(同じ又は他の)音波「W」の振幅の組を用いて、湾曲物体「Obj」の内部で測定された構造及び/又は特性の画像又は他の測定を生成するように構成される。
【0016】
理解されるように、測定された信号(及び、例えば画像を生成するためのそれらの信号の特定の処理)は変換器の実際の(相対的な)位置に依存し得る。例えば、断層撮影測定では、一対の変換器の間の音響信号の振幅又は他の特性が処理され、変換器の間の経路における物質の構造及び/又は特性が決定され得、経路の起点及び目的地は、物体に対する一つ以上の変換器の空間的位置によって決定される。例えば、反射測定では、反響時間が、例えば同じ又は変換器に戻る音波の振幅又は他の特性と組み合わせて処理され、反射経路における物質の構造及び/又は特性が決定され、経路の起点及び目的地は、物体に対する変換器の空間的位置によって決定される。異なる信号のそれぞれの経路が、配置、例えば物体にマッピングされ得る場合、信号は、画像又は他の測定を生成するために組み合わされ得る。従って、物体の内部の構造及び/又は特性の測定は、ここで説明されるように決定された変換器の空間座標(X,Y,Z)に従って、測定された音響信号(例えば、反射及び/又は断層撮影)に基づいて処理され得る。
【0017】
ある実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)の決定に続いて物体のイメージング又は他の測定が行われる。他の又は更なる実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)は、湾曲した物体「Obj」の測定が行われている間に決定される、又はそのような測定の間に断続的に決定される。例えば、断層撮影及び/又は反射に基づく測定は、変換器の測定された位置を常に更新することによって、(例えば呼吸動作による)体の形状変化を許容しながら、体に対して実行され得る。
【0018】
原理的には、空間座標を決定するために用いられる同じ音響信号又は類似の音響信号が物体のイメージングにも用いられ得る。例えば、物体の内部の構造及び/又は特性は、異なる変換器間の音波の反射及び/又は吸収に基づいて決定され得る。典型的には、一対の変換器の間の測定された伝播時間は、波が変換器の間の任意の物質を透過して変換器の間の直接的な経路を伝播するのにかかる時間である。直接波が変換器の間の(ユークリッド)距離を比較的容易に再構築し、(直接)経路に沿った構造のマッピング又はイメージング特性も得られる。
【0019】
代わりに、又は更に、物体の内部構造で反射して同じ又は異なる変換器に到達する音波のような間接的な経路も考慮され得る。 例えば、音波が特定の内部構造又は異なる変換器からの散乱要素で反射される場合、(発信元の変換器又は他の変換器への)それぞれの反射時間が、特定の内部構造と各変換器との間のそれぞれの距離を再構築し得る。 これは、音響変換器10自体の空間座標(X,Y,Z)も決定し得る。 内部構造で反射する間接波は、例えば音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)が決定された後、又は自己矛盾のない画像が構築されるまで空間座標が変更される反復手段において、構造のイメージングにも用いられ得る。
【0020】
ある実施の形態では、第1の周波数範囲の音波が、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)を決定するための伝播時間の組を決定するために用いられる。他の又は更なる実施の形態では、第2周波数範囲の音波が、物体の画像又は他の測定を決定するために用いられる。一つの実施の形態では、第1の周波数範囲は、対象の物質及び/又は内部構造と最小の相互作用を持つよう選択される。これにより、波が比較的妨害されずに物体内を伝播することができる。例えば、信号強度及び/又は伝播時間は、対象の物質及び/又は内部構造の影響を比較的受けない。別の又は更なる実施形態では、第2の周波数範囲は、対象の物質及び/又は内部構造とより相互作用を持つよう選択される。例えば、第2の周波数は、音波が反射及び/又は吸収され、反射及び/又は断層撮影測定を促進するよう選択される。一つの実施の形態では、第2周波数範囲は、第1の周波数範囲と異なり、例えばそれよりも高い。代わりに、第1及び第2の周波数範囲は、同一又は類似であり得る。例えば、断層撮影及び/又は反射に基づく測定を行うために、物体の内部構造における十分な吸収又は反射を生じつつ比較的一定の波速度を生じる周波数範囲が選択され得る。
【0021】
測定の種類に依存して、異なる超音波周波数が用いられ得る。例えば、断層撮影法に基づく測定では、典型的には1から5MHz、好ましくは2から3MHzの超音波周波数を用いる。反射に基づく測定では、典型的にはより高い超音波周波数、例えば3.5MHzより高い、好ましくは7MHzより高い周波数を用いる。 例えば、心臓/肝臓イメージングでは、典型的には3.5MHzの周波数が用いられ、一方、頸動脈イメージングでは、典型的には7MHzの周波数が用いられる。 光音響測定では、典型的にはより低い超音波周波数、例えば2MHzより低い周波数が使用される。周波数はイメージングされる構造物の大きさにも依存する。
【0022】
ある実施の形態では、各変換器は、シート表面20sに沿った所定の表面座標(Sx,Sy)の組を有する。他の又は更なる実施の形態では、制御部30は、所定の表面座標(Sx,Sy)に更に基づいて、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)を(可撓性シート20が湾曲物体「Obj」に巻き付けられる間に)決定するよう構成される。一つの実施の形態では、表面座標(Sx,Sy)は、各変換器のそれぞれの位置の二次元座標、例えば、シート上の原点から測定された絶対(X,Y)位置の組、及び/又は変換器の間で測定された相対位置を含む。別の又は更なる実施の形態では、表面座標(Sx,Sy)は、各変換器の相対位置又は列を含み、実際の位置は、例えば変換器の間の既知の距離と組み合わせて、そこから計算され得る。
【0023】
ある実施の形態では、アレイ内の変換器は、特にシート表面20sに沿って、その間に所定の表面距離を有する(例えば、示されるようにDp,Dab)。他の又は更なる実施の形態では、制御部30は、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)を(可撓性シート20が湾曲した物体「Obj」に巻き付けられている間に)、所定の表面距離(D及び/又はDab)に更に基づいて決定するよう構成される。一つの実施の形態では、所定の表面距離Dは、(最も近く)隣接する変換器の間の距離、例えば固定又は可変の周期的距離を含む。例えば、変換器10a,10bの任意の組の間のそれぞれの表面距離Dabは、周期的距離D及び相対表面座標の組(例えば、行又は列に沿った変換器の数を数える)に基づいて計算される。別の又は更なる実施の形態において、変換器10a,10bの組の間のそれぞれの表面距離Dabは、各変換器のそれぞれの(絶対)表面位置(Xa,Ya;Xb,Yb)(例えば原点からのcmで測定)を記憶するテーブルに基づいて計算される。例えば、変換器の間の相対位置(ΔXab=Xa-Xb;ΔYab=Ya-Yb)を決定するためにテーブルからの絶対表面位置が減算され、ピタゴラスの定理(Dab2=ΔXab2+ΔYab2)を用いて距離が計算され得る。別の又は更なる実施の形態では、一つ以上の(好ましくはそれぞれの)変換器について、アレイ内の一つ以上の、好ましくは全ての他の変換器までのそれぞれの表面距離Dabを直接記憶するテーブルが用いられる。このようにして、アレイ内の任意の変換器の組について表面距離が素早く取得され得る。
【0024】
理解されるように、所定の表面座標(Sx,Sy)及び/又は距離(D,Dab)は、シートが平坦であるとき、例えば水平な平面に置かれたとき、可撓性シート20の表面に沿って好ましくは測定される。典型的には、可撓性シートに沿った距離は、シートが物体の周囲で湾曲しているときに短縮され得る最大距離を表し得る。物体を通る距離は、直接ユークリッド距離(最短の線分又は弦)と呼ばれることがあり、例えば湾曲したシート表面に沿った表面距離よりも短い。代わりに、測定される物体に適合された、例えば伸ばされた可撓性シート20が、ある固有の曲率を有することも想定され得る。例えば、本質的に凹状のシートは、凸状の物体を包むために伸ばされ又は圧縮され得る。
【0025】
図2Aは、シート表面20s上の変換器10a,10b,10cの間で測定された伝播時間及び/又は相対距離Eab,Eac,Ebcに基づく可撓性シート20のモデル化された形状20mを示す。ある実施の形態は、シート表面20sのモデル化された形状20mを、例えば制御部によって決定することを含む。例えば、モデル化された形状は、変換器10a,10b;10b,10c;10a,10cの対の間の伝播時間Tab,Tbc,Tacに基づいて計算される。一つの実施の形態では、各変換器は、シート表面20sに束縛されたモデル化された位置を有する。 別の又は更なる実施の形態では、変換器のモデル化された位置は、可撓性シート20上の音響変換器10の所定の表面座標(Sx,Sy)の組及び/又はシート表面20sに沿ったその間の表面距離Dabによって束縛される。
【0026】
ある実施の形態では、シート表面20sの曲率の度合Rabは、一つ以上の変換器の対の間の伝播時間Tab,Tbc,Tacの組に基づいて決定される。例えば、曲率の度合Rabは、可撓性シート20の曲げ性及び/又は物体の予想される曲率に従って制限され得る。一つの実施の形態では、シート表面20sの形状は、変換器のそれぞれの対の間の可撓性シート20の一つ以上の曲率の度合Rabに基づいて決定される。
【0027】
ある実施の形態では、変換器10a,10bの対の第1変換器10aと第2変換器10bとの間で湾曲した物体「Obj」を通って送信される音波「W」の伝播時間Tabに基づいて、変換器10a,10bの対の間でユークリッド距離Eabが決定される。一つの実施の形態では、物体を通るユークリッド距離は、物体を通る音波の伝播時間と波速度「C」とに基づいて決定される。例えば、音波の速度は予め決定、測定、仮定、及び/又は(例えばパラメータとして)モデル化され得る。一つの実施の形態では、音波の速度は、例えば、それらの間の既知の距離にある変換器の対の間で、物体又はモデル物体を通る測定を用いて、予め決定される。別の又は更なる実施の形態では、例えば最も近い隣接する変換器の間の表面距離が物体を通る距離と類似又は同一であると仮定することによって、アレイ内の変換器の一つ以上の対についての音波の速度が測定される。別の又は更なる実施の形態では、音波の速度は、例えば物体の既知の波の透過特性に基づいて仮定される。別の又は更なる実施の形態では、音波の速度は、シートのレイアウト/形状のモデリングのパラメータとして用いられる。ある実施の形態では、速度「C」は、物体全体を通して一定であると仮定される。他の又は更なる実施形態では、速度「C」は、例えば、物体の内部の内部構造に応じて可変であり得る。例えば、内部構造は、音響システム自体によって、例えば反復的に決定され得る。例えば、パルスエコーモードが用いられる。
【0028】
ある実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)は、変換器10のアレイの少なくともサブセット10a,10b;10a,10c;10b,10cの内の変換器10a,10bのそれぞれの対ごとに、ユークリッド距離Eabと表面距離Dabとを比較することによって決定される。一つの実施の形態では、変換器10a,10bの対の間のユークリッド距離Eabは、変換器10a,10bの対の第1変換器10aと第2変換器10bとの間で湾曲物体「Obj」を通って送信される音響波「W」の伝播時間Tabに基づいて決定される。別の又は更なる実施の形態では、第1変換器10aと第2変換器10bとの間との間のシート表面20sに沿った表面距離Dabは、変換器10の相対又は絶対位置に関する所定の情報に基づく。
【0029】
典型的には、変換器10a,10bの対の間のそれぞれのユークリッド距離Eabは、可撓性シート20の曲率の度合に応じて、それぞれの表面距離Dabよりも短くなるであろう。例えば、シートが一対の変換器10a,10bの間で比較的高い曲率の度合を有する場合、その間のユークリッド距離Eabは比較的短くなるであろう。例えばシートが一対の変換器10a,10bの間で比較的低い曲率の度合を有する場合、その間のユークリッド距離Eabは比較的長く、例えば、シートが変換器の間で本質的に湾曲していない場合の表面距離Dabに近づくであろう。これは、様々な対の変換器間の曲率の度合を決定するために用いられることが理解されるであろう。
【0030】
ある実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)は、変換器10のアレイの少なくともサブセット10a,10b;10a,10c;10b,10cの内の変換器10a,10b;10b,10cのそれぞれの対ごとに、それぞれのユークリッド距離Eab,Ebcとそれぞれの表面距離Dab,Dbcとを比較する曲率Rab,Rbcの組を計算することによって決定される。一つの実施の形態では、一対の変換器の間の曲率は、変換器の間の円弧の長さがそれらの相対的な表面距離Dabに等しいと仮定することによって決定される(シートの伸張/圧縮係数によって任意にスケーリングされる)。別の又は更なる実施の形態では、一対の変換器の間の曲率は、一対の変換器の間の曲率半径が一定であると仮定することによって決定される。例えば、特定の円弧長と点の間のユークリッド距離との組み合わせが特定の曲率半径を決定し得る。原則として、曲率半径は、シート表面20sの異なる部分について異なっていても、同じと仮定されても、特定の形状でモデル化されても良い。
【0031】
好ましくは、それぞれの曲率を決定するための各サブセットは、相対的な距離/伝播時間の三角形を決定するための少なくとも三つの変換器を含み、より好ましくは、サブセット内の変換器の各対の間の距離に基づいて3次元形状(例えば、三面ピラミッド)を決定するための少なくとも四つの変換器を含む。例えば、制御部は、それぞれの変換器がメッシュのそれぞれのノード及び/又はメッシュ要素のそれぞれの中心に形成されたメッシュ表面を決定するよう構成される。例えば、メッシュ内の線分のそれぞれの曲率は決定された曲率の組に基づく。当然表面のモデルは任意の測定の組に一般に適合され得る。一つの実施の形態では、曲線全体が全ての測定データ、例えばフルインバージョンに基づいて適合される。
【0032】
ある実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)は、モデル化されたシート表面上のモデル化された変換器のそれぞれの位置を含むシート表面20sのモデルを用いて決定される。一つの実施の形態では、モデルは、モデル化された変換器の間のモデル化された伝播時間の組を計算するために用いられる。別の又は更なる実施の形態では、モデル化された伝播時間はモデル化された変換器の間のそれぞれの距離に依存する。別の又は更なる実施の形態では、モデル化された変換器の間のそれぞれの距離は、モデル化されたシート表面上のそれぞれの位置及びモデル化されたシート表面の可変形状に依存する。別の又は更なる実施の形態では、モデル化されたシート表面の可変形状は、モデル化された伝播時間が測定された伝播時間Tab,Tbc,Tacの組に適合するよう調整される。別の又は更なる実施の形態では、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)は、モデル化されたシート上のモデル化された変換器のそれぞれの位置に基づいて決定される。
【0033】
収束する適合を可能にするために、モデル化された表面に様々な束縛(constraint)が適用され得る。一つの実施の形態では、シート表面及び/又はその曲率の連続性を仮定することによってモデルが束縛される。例えば、シートは相互連結されたメッシュとしてモデル化される。別の又は更なる実施の形態では、モデルは、シート及び/又は物体の最大曲率(例えば最小半径)によって束縛される。例えば、シートはある程度の可撓性及び/又は曲げ性を有すると仮定される。例えば、物体は一定の最大曲率(例えば最小半径)を有すると仮定される。別の又は更なる実施の形態では、モデルは可撓性シート20の最大伸縮性によって束縛される。例えば、可撓性シート20が本質的に伸縮性を有しなければ、シート表面に沿った任意の所定の距離は固定され得、又は、可撓性シート20がある程度の伸縮性を有すれば、シート表面に沿った所定の距離は可変であり得、例えば、モデルに従って可変のスケーリング係数によって調整される。例えば、可撓性シート20は、球状の物体を包むためのある程度の伸張及び/又は圧縮が許容され得る。
【0034】
ある実施の形態では、シート表面に沿った変換器の間の距離は、可撓性シート20又は変換器の間の別の界面/接続部に沿って及び/又はその内部を伝播する(ガイド)波を好ましくは用いて測定される。一つの実施の形態では、変換器間距離を測定するための波は、ラム波、例えば伸長(A0)及び/又は屈曲(S0)ガイド波を含む。別の又は更なる実施の形態では、変換器間距離を測定するための波は、シート/組織界面に沿って伝播する界面波(例えばショルテ波)を含む。シートが固体と組み合わされて用いられる場合、界面波はストンレー波と呼ばれ得る。通常の圧縮波(組織について、又は試料が固体の場合は圧縮/剪断波)は、変換器シートの3D形状を決定するためにも使用され得る。例えば、変換器の間の測定された距離は、所定の距離の代替として用いられても、伸長/圧縮の場合に所定の距離を補正するために追加で用いられても良い。特に、伸長可能な変換器シートの場合について、変換器シート上の変換器の間の距離を変換器シートの3D形状とは別に決定することが有利であり得る(前者について変換器シートに沿って伝播するガイド波を用い、後者についてバルク波(圧縮波/剪断波を用いる)。一つの利点として、3D形状の反転のために、最小の自由度が用いられ、変換器シートのより複雑な3D形状の再構成、又はよりロバストな再構成過程が可能になる。
【0035】
ある実施の形態では、モデルは、表面上の変換器の所定の位置(表面座標)によって束縛される。例えば、所定の位置は、物体を通る変換器の間の最大距離及び/又はシート表面に沿った固定距離についての束縛としてモデルに設定される。自由形状表面に代えて、形状が特定の形状、例えば球状、円柱状等に束縛され得る。これにより、自由パラメータの数が制限され、より束縛された(より簡単な)適合が可能になる。
【0036】
ある実施の形態では、適合は反復手順で実行され、例えばモデル化された伝播時間と測定された伝播時間との間の差を最小化する。他の又は更なる実施の形態では、適合は解析的に実行され、例えば、最良の適合を直接計算する。また、計算及び/又は適合ルーチンの組み合わせも可能である。機械学習/人工知能のような他のアルゴリズムも、例えば可撓性シートの最も可能性の高い形状を計算するために使用され得る。
【0037】
ある実施の形態では、シートの対応するサブセクション領域の局所的な形状又は曲率を決定するために、異なる変換器のサブセットについて複数の適合が実行される。例えば、全体の形状を提供するために複数の適合が組み合わされ得る。一つの実施の形態では、二つ変換器の間の特定の距離を決定する線を形成するために二つの変換器のサブセットが用いられる。そのため、モデル化されたシートは、特定の距離に適合するように変換器の間で湾曲され得る。別の又は更なる実施の形態では、三つの変換器の間の特定の距離を決定する三角形を形成するために三つの変換器のサブセットが用いられる。そのため、モデル化されたシートは、特定の距離に適合するように変換器の間で湾曲され得る。別の又は更なる実施の形態では、四つの変換器のサブセットが三面ピラミッドを形成し得る(例えば、他の三つの点で囲まれた一つの中心点を有する)。四つ以上の点のサブセットを用いることで、シートのサブセクション領域の三次元形状をより直接的に決定することができる。 また、より多くの変換器が適合に含まれ得る。ある実施の形態では、全ての測定された伝播時間を用いて適合がグローバルに実行される。例えば、これは、局所的な適合又は物体の所定の一般的な形状に基づいて一般的な形状が決定された後に実行され得る。
【0038】
ある実施の形態では、音響変換器10の現在の空間座標(X,Y,Z)の組は、音響変換器10の所定の空間座標の組を伝播時間Tab,Tbc,Tacの組に従って調整することによって決定される。一つの実施の形態では、所定の空間座標の組は、湾曲した物体「Obj」の初期仮定形状に基づく初期座標の組を含む。例えば、球、円柱等の一つ以上の所定の形状の選択が、初期仮定形状として(例えば制御部に)入力され得る。これにより、形状の適合が容易になり得る。別の又は更なる実施の形態では、所定の空間座標の組は、以前に測定及び/又は適合された音響変換器10の座標を含む。例えば、音響変換器10の空間座標は、形状が変化し得る物体(例えば、呼吸時の体)を追跡するために、連続的又は断続的に測定又は更新される。シート表面をメッシュとしてモデル化することの代わりに又は加えて、例えば所定の形状の表面方程式に従って、シート表面を連続的にパラメータ化された表面としてモデル化することも想定される。
【0039】
ある実施の形態では、第1音響変換器10aと第3変換器10cとの間で、湾曲した物体「Obj」を通って送信される音波「W」の伝播時間Tacが測定される。一つの実施の形態では、第2変換器10bが、可撓性シートのシート表面上の表面経路に沿って第1音響変換器10aと第3変換器10cとの間に配置される。別の又は更なる実施の形態では、第2変換器10bの空間座標Xb,Yb,Zbが、第2変換器10bの所定の表面座標及び/又は表面距離Dab,Dbcを、可撓性シート20のモデル化された表面20m上の第1音響変換器10a及び第3変換器10cに対して少なくとも部分的に補間することに基づいて決定される。例えば、第2変換器10bが第1音響変換器10aと第3変換器10cとの間に表面に沿って配置される変換器アレイの所定の距離及び/又は座標から既知であり、表面のレイアウトが、例えば第1音響変換器10aと第3変換器10cとの間の様々な伝播時間に基づいてモデル化される場合、第2変換器10bの位置が補間され得る。これは、第1音響変換器10aと第2変換器10bとの間及び/又は第3変換器10cと第2変換器10bとの間の音波の直接測定に代えて、又は加えて用いられ得る。
【0040】
図2Bは、モデル化された形状20mの様々なパラメータ化を示す。ある実施の形態では、可撓性シートのモデル化された形状は、可変スケーリングパラメータの組a,b,c及び/又は座標を有する所定のパラメータ化された形状に基づく。例えば、座標は、形状の原点(x0,y0,z0)を含み得る。パラメータ化された形状を使用すると、より一般的なメッシュと比較して、自由パラメータの数が制限され得る。例えば、スケーリングパラメータ及び/又は座標の組は、測定された伝播時間Tab,Tbc,Tacの組に従って適合される。 ある実施の形態では、モデル化された形状20mは、球又は楕円体(のサブセクション領域)としてパラメータ化され得る。楕円体は、方向スケーリング、より一般的にはアフィン変換によって球を変形することによって球から得られ得る表面である。例えば、楕円体は六つのパラメータ(x0,y0,z0,a,b,c)によって一意に定義され得る。これらは、少なくとも七つの独立した測定の組によって決定され得る。実際には、測定の情報が直交しておらず、信号対雑音(SNR)が制限され得るため、より多くの測定が必要になり得る。異なる測定の直交性/独立性を改善するために、好ましくは物体の周囲の異なる位置に散在する変換器が選択される。
【0041】
図3Aは、様々な湾曲した物体「OBj」の例を示す。ある実施の形態では、音響システムは(乳房)組織を測定するために用いられる。この場合、初期メッシュ形状及び/又はパラメータ化された機能表面は、球面の一部を用いて決定され得る。同様に他の組織又は他の構造が(部分的な)球面形状を有し得る。他の又は更なる実施の形態では、湾曲した物体「Obj」は、管状又は円柱状の形状を有し得る。例えば、音響システムは、未知の又は可変の直径を有し得るパイプの内部を測定するために用いられ得る。同様に、他のパラメータ化された形状は、円錐(台)形状又は解析関数等によって記述され得る任意の表面のように想定され得る。例えば、音響システムは、体の他の部分又は任意の他の湾曲した物体を測定するために使用される。理解されるように、本方法及びシステムは、音波が、例えば少なくとも部分的に互いに対向する、異なる変換器の間で物体を通って伝播することを可能にする、凸状の特徴を有する湾曲した物体を測定するために有利に用いられ得る。代わりに、又は加えて、湾曲した物体は凹状の特徴を含み得る。
【0042】
図3Bは、凸状及び凹状サブセクション領域Av,Acを有する湾曲した物体「Obj」の測定を示す。一つの実施の形態では、可撓性シート20の凸状サブセクション領域は、凸状サブセクション領域を通る一対の音響変換器10a,10iの間の経路に沿って遮断されている一つ以上の音響信号に基づいて決定される。物体に面する正面側から見た可撓性シート20の凸状サブセクション領域は、物体の凹状サブセクション領域Acに対応し、その逆に、物体の凸状サブセクション領域Avは、可撓性シート20の凹状サブセクション領域に対応することが理解されよう。例えば、第1変換器10aは、凹状のサブセクション領域Acに形成された物体のエッジ又は周縁が直接の経路を遮断し得るため変換器10c及び10dによって受信され10iによっては受信されない音響信号を発信する。変換器10iにそのような信号がないことから、物体の凹状サブセクション領域及び/又は可撓性シート20の凸状サブセクション領域を推測するために用いられ得る。代わりに、又は加えて、変換器10dと変換器10a(及び/又は他の変換器、例えば10c)との近接も、シート表面の局所形状を決定するためにも用いられ得る。
【0043】
明瞭かつ簡潔な説明のために、ここでは、特徴が同じ又は別の実施の形態の一部として説明される、本発明の範囲は、説明された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施の形態が含まれ得ることが理解されよう。特定のシステム及び装置を参照して説明されたた態様は、湾曲した物体を音響的に測定するための対応する方法として実施され得る。一つの実施の形態では、本方法は、可撓性シート20のシート表面20s上に配置された音響変換器10のアレイを可撓性シート20に提供することを含む。別の又は更なる実施の形態では、本方法は、音響変換器10が異なる側面から湾曲物体「Obj」に音響的に接触するように可撓性シート20を湾曲物体「Obj」に少なくとも部分的に巻き付けることを含む。別の又は更なる実施の形態では、本方法は、音響変換器10を用いて、湾曲した物体「Obj」の周囲の可変位置で音波「W」を発生及び/又は測定することを含む。例えば、三次元空間における可変位置の空間座標(X,Y,Z)は、湾曲した物体「Obj」を包むシート表面20sの変形に依存する。別の又は更なる実施の形態では、本方法は、好ましくは可撓性シート20が湾曲物体「Obj」に巻き付けられている間に、音響変換器10の空間座標(X,Y,Z)を決定することを含む。好ましい実施の形態では、本方法は、音響変換器10によって発生及び/又は測定された音波と、伝播時間の組Tab,Tbc,Tacに基づいて決定されたそれらの空間座標(X,Y,Z)とに基づいて、湾曲した物体をイメージング及び/又は測定することを更に含む。有利に、湾曲した物体のイメージング及び/又は測定に使用される同じ変換器10a,10b,10cが空間座標(X,Y,Z)の決定に用いられ、その逆も同様である。したがって、空間座標を決定するためにさらなる参照変換器を必要としない。更に、空間座標の決定と湾曲物体のイメージング及び/又は測定の両方に使用されるアレイ10の音響変換器は、すべて同じ二次元平面内に配置され得る(可撓性シート20が平らに置かれた場合)。例えばアレイから平面外への更なる変換器の追加が必要ないので、シートは比較的薄く及び/又は柔軟であり得る。これら及び他の態様は、実行されるとここに記載の方法及びシステムを実行させる命令を記憶した(非一時的)コンピュータ読み取り可能な媒体として実施され得る。
【0044】
可撓性シート上の音響変換器の様々なレイアウトについて実施の形態が示されたが、同様の機能及び結果を達成するために、本開示の利益を有する当業者によって代替的な方法も想定され得る。例えば、変換器が測定される湾曲した物体に直接配置される場合は、可撓性シートが省略され得る。また、変換器を一緒に保持するために、例えば可撓性ワイヤ及び/又は変換器の間のネットの他の又は類似の構造も可撓性シートの代わりに用いられ得る。説明され示された実施の形態の様々な要素は、自己較正適合音響装置のような特定の利点を提供する。当然、設計及び利点を見出し適合させることのさらなる改善を提供するために、上記の実施の形態又は過程のいずれか一つが、一つ以上の他の実施の形態又は過程と組み合され得ることが理解されよう。本開示は、音響イメージングに特定の利点を提供し、一般に、音響変換器のそれぞれの位置が決定される任意の用途に適用され得ることが理解されよう。
【0045】
添付の請求項の解釈において、「備える」という語は、所定の請求項に列挙された要素以外の要素又は行為の存在を排除せず、要素に先行する「a」又は「an」という語は、そのような要素の複数の存在を排除せず、請求項での任意の参照符号は、その範囲を限定せず、複数の「手段」は同じ又は異なる項目によって表されるか或いは実装された構造又は機能によって表され得、開示の装置又はその一部は、そうでないと特定されない限り、一緒に組み合わされる、又はさらなる部分に分離され得ることを理解されたい。ある請求項が別の請求項に言及している場合、これはそれぞれの特徴の組み合わせによって達成される相乗的な利点を示し得る。しかし、ある手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。したがって、本実施の形態は、文脈によって明確に除外されない限り、請求項の全ての実施可能な組み合わせを含み、各請求項が原則として先行する請求項を参照し得る。
【0046】
(付記)
(付記1)
湾曲した物体(Obj)を少なくとも部分的に包むように構成された可撓性シート(20)であって、前記可撓性シート(20)は、前記可撓性シート(20)のシート表面(20s)上に配置された、前記湾曲した物体(Obj)に異なる側から音響的に接触するための音響変換器(10)のアレイを備え、前記音響変換器(10)は、互いに対して可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定するように構成され、三次元空間での可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)を包む前記シート表面 (20s) の変形に依存する、可撓性シート(20)と、
前記可撓性シート(20)が前記湾曲した物体(Obj)を包んでいる間に、前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて前記音響変換器(10)の空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成された制御部(30)と、
を備える、
湾曲した物体(Obj)を測定するための音響システム(100)。
【0047】
(付記2)
前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組は、前記シート表面(20s)上に配置され前記湾曲した物体(Obj)に前記湾曲した物体(Obj)の周縁の異なる側で音響的に接触する前記音響変換器(10)のアレイの異なる音響変換器(10a,10b,10c)の間で前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間を含む、又はそれらのみからなる、付記1に記載の音響システム。
【0048】
(付記3)
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイを用いて前記湾曲した物体(Obj)の画像を生成するように構成され、
前記画像は、前記音響変換器(10)によって生成及び/又は測定される音波、及び前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて決定されるそれらの前記空間座標(X,Y,Z)に基づいて生成される、
付記1又は2に記載の音響システム。
【0049】
(付記4)
それぞれの前記音響変換器は、前記シート表面(20s)に沿った前記音響変換器の間の所定の表面座標(Sx,Sy)及び/又は所定の表面距離(Dp,Dab)の組を有し、
前記制御部(30)は、前記所定の表面座標(Sx,Sy)及び/又は前記所定の表面距離(Dp,Dab)に更に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成された、
付記1から3のいずれか一つに記載の音響システム。
【0050】
(付記5)
前記制御部(30)は、前記シート表面(20s)のモデル化された形状(20m)を決定するように構成され、
前記モデル化された形状(20m)は、前記音響変換器(10a,10b;10b,10c;10a,10c)の対の間の前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)に基づいて計算され、
それぞれの前記音響変換器は前記シート表面(20s)に束縛されたモデル化された位置を有し、前記音響変換器の前記モデル化された位置は、前記可撓性シート(20)上の前記音響変換器(10)の所定の表面座標(Sx,Sy)の組及び/又は前記シート表面(20s)に沿った前記音響変換器(10)の間の表面距離(Dab)によって更に束縛される、
付記1から4のいずれか一つに記載の音響システム。
【0051】
(付記6)
前記可撓性シート(20)は、伸縮可能であり、前記音響変換器(10)の間の、前記シート表面(20s)に沿った可変表面距離(Dab)を可能にし、
前記音響変換器(10)は、前記可変表面距離(Dab)を決定するために、前記シート表面(20s)の内部及び/又は前記シート表面(20s)に沿って伝播するガイド波を生成及び/又は測定するように更に構成される、
付記1から5のいずれか一つに記載の音響システム。
【0052】
(付記7)
前記制御部(30)は、可変スケーリングパラメータ(a,b,c)及び/又は座標の組によって定義される分析関数に従って、所定のパラメータ化された形状に基づいて前記モデル化された形状を計算するように構成される、付記1から6のいずれか一つに記載の音響システム。
【0053】
(付記8)
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)の所定の空間座標の組を前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に従って調整することによって、前記音響変換器(10)の現在の空間座標(X,Y,Z)の組を決定するように構成される、付記1から7のいずれか一つに記載の音響システム。
【0054】
(付記9)
前記制御部(30)は、凸状サブセクション領域を通る前記音響変換器(10a,10i)の対の間の経路に沿って遮断される一つ以上の音響信号に基づいて、前記可撓性シート(20)の前記凸状サブセクション領域を決定するように構成される、付記1から8のいずれか一つに記載の音響システム。
【0055】
(付記10)
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイの少なくともサブセット(10a,10b;10a,10c;10b,10c)内の前記音響変換器(10a,10b)のそれぞれの対について、
前記音響変換器(10a,10b)の対の第1音響変換器(10a)と第2音響変換器(10b)との間で前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される音波(W)の伝播時間(Tab)に基づく、前記音響変換器(10a,10b)の対の間のユークリッド距離(Eab)と、
前記音響変換器(10)の相対又は絶対位置に関する所定の情報に基づく、前記第1音響変換器(10a)と前記第2音響変換器(10b)との間の、前記シート表面(20s)に沿った表面距離(Dab)と、
を比較することによって前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成される、
付記1から9のいずれか一つに記載の音響システム。
【0056】
(付記11)
前記シート表面(20s)の曲率の度合(Rab)は、一つ以上の前記音響変換器(10)の間の前記伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて決定され、
前記シート表面(20s)の形状は、変換器のそれぞれの対の間の、前記可撓性シート(20)の一つ以上の前記曲率の度合(Rab)に基づいて決定され、
前記制御部(30)は、前記音響変換器(10)のアレイの少なくともサブセット(10a,10b;10a,10c;10b,10c)の前記音響変換器(10a,10b)のそれぞれの対について、それぞれの前記ユークリッド距離(Eab,Ebc)とそれぞれの前記表面距離(Dab,Dbc)とを比較して曲率(Rab,Rbc)の組を計算することによって、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成される、
付記1から10のいずれか一つに記載の音響システム。
【0057】
(付記12)
前記制御部(30)は、モデル化されたシート表面上のモデル化された音響変換器のそれぞれの位置を含む前記シート表面(20s)のモデルを用いて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定するように構成され、
前記モデルは、前記モデル化された音響変換器の間のモデル化された伝播時間の組を計算するために用いられ、
前記モデル化された伝播時間は前記モデル化された音響変換器の間のそれぞれの距離に依存し、
前記モデル化された音響変換器の間のそれぞれの距離は、前記モデル化されたシート表面上のそれぞれの位置およびモデル化されたシート表面の可変形状に依存し、
前記モデル化されたシート表面の可変形状は、前記モデル化された伝播時間が測定された伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に適合するように調整され、
前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)は、前記モデル化されたシート上の前記モデル化された音響変換器のそれぞれの位置に基づいて決定される、
付記1から11のいずれか一つに記載の音響システム。
【0058】
(付記13)
前記制御部(30)は、第1音響変換器(10a)と第3変換器(10c)との間で湾曲した物体(Obj)を通って送信される音波(W)の伝播時間(Tac)を測定するように構成され、
第2変換器(10b)は、前記第1音響変換器(10a)と前記第3変換器(10c)との間の、前記可撓性シートの前記シート表面上の表面経路に沿って配置され、
前記制御部(30)は、前記可撓性シート(20)のモデル化されたシート表面(20m)上の前記第1音響変換器(10a)と前記第3変換器(10c)とに対する前記第2変換器(10b)の表面距離(Dab,Dbc)及び/又は所定の表面座標を少なくとも部分的に補間することに基づいて、前記第2変換器(10b)の空間座標(Xb、Yb、Zb)を決定するように構成される、
付記1から12のいずれか一つに記載の音響システム。
【0059】
(付記14)
可撓性シート(20)に、前記可撓性シート(20)のシート表面(20s)上に配置された音響変換器(10)のアレイを提供することと、
前記音響変換器(10)が湾曲した物体(Obj)に異なる側から音響的に接触するように前記可撓性シート(20)で前記湾曲した物体(Obj)を少なくとも部分的に包むことと、
前記湾曲した物体(Obj)の周囲の可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定する前記音響変換器(10)を用いることであって、三次元空間での前記可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)を包む前記シート表面 (20s)の変形に依存する、ことと、
前記可撓性シート(20)が前記湾曲した物体(Obj)を包んでいる間に、前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定することと、
を備える、
湾曲した物体(Obj)を音響的に測定する方法。
【0060】
(付記15)
付記1から13のいずれか一つに記載の音響システム(100)によって実行される場合、前記音響システムに、
湾曲した物体(Obj)の周囲の可変位置で音波(W)を生成及び/又は測定するように一組の音響変換器(10)を制御させることであって、三次元空間での前記可変位置の空間座標(X,Y,Z)は前記湾曲した物体(Obj)の周縁に依存する、ことと、
前記湾曲した物体(Obj)を通って送信される前記音波(W)の伝播時間(Tab,Tbc,Tac)の組に基づいて、前記音響変換器(10)の前記空間座標(X,Y,Z)を決定させることと、
前記音響変換器(10)の少なくともサブセットから測定された音響信号を処理することによって画像を生成させることであって、前記音響信号は決定された前記空間座標(X,Y,Z)に基づいて処理される、ことと、
を行わせる命令を記憶する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【国際調査報告】