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特表2024-521508反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造におけるメタノール/水混合物の後処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造におけるメタノール/水混合物の後処理方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/70 20060101AFI20240524BHJP
   C07C 31/30 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C07C29/70
C07C31/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577826
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022057591
(87)【国際公開番号】W WO2022263032
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21179722.0
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディアク レトガー
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス パウル
(72)【発明者】
【氏名】アーミン マティアス リクス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ツィッツェヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン オルデマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴュラー
(72)【発明者】
【氏名】タニタ ヴァレリー シックス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ルーヴェ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC41
4H006AD11
4H006BD33
4H006BD51
4H006BD84
4H006BE10
4H006FE11
(57)【要約】
本発明は、反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造時に使用されるメタノール/水混合物の後処理方法に関する。ここで、混合物は精留塔で蒸留により分離される。精留塔の上端で得られた蒸気は少なくとも2段階で圧縮され、それぞれ圧縮された蒸気のエネルギーが、有利には精留塔の底部流および側流へ移動する。これにより、圧縮蒸気のエネルギーを、本発明による方法において特にエネルギー効率よく利用することが可能となる。メタノール/水混合物の後処理方法は、反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造時に使用され、その際、反応塔ではメタノールとアルカリ液を向流で互いに反応させる。ここで、メタノールに溶解したアルカリ金属メトキシドを下端で取り出し、メタノール/水混合物を上端で取り出して本発明による後処理方法で後処理する。圧縮蒸気のエネルギーを、さらに、この反応塔の運転に使用することも、アルカリ金属アルコキシドのアルコール交換法が実施される反応塔の運転に使用することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式MOR[式中、Rは、メチルであり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属である]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法において、
(α1)反応精留塔RRで、ROHを含む反応物流SAE1を、MOHを含む反応物流SAE2と向流で反応させて、MORと水とROHとMOHとを含む粗製物RPを生成し、
RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPを取り出し、RRの上端で、水とROHとを含む蒸気流SABを取り出し、
(α2)および任意に、ステップ(α1)と同時にかつ空間的に離れた状態で、反応精留塔RRで、ROHを含む反応物流SBE1を、MOHを含む反応物流SBE2と向流で反応させて、MORと水とROHとMOH[式中、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属である]とを含む粗製物RPを生成し、
RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPを取り出し、RRの上端で、水とROHとを含む蒸気流SBBを取り出し、
(β)蒸気流SABの少なくとも一部を、そしてステップ(α2)が実施される場合にはSBBの少なくとも一部を、SABと混合された状態で、またはSABとは別に、水とアルコールROHとを含む混合物Gの後処理方法のステップ(a)で混合物Gとして使用し、
前記混合物Gの後処理方法において、
(a)混合物Gを精留塔RDに送り、RDにおいて、RDの上端で取り出される、ROHを含む少なくとも1つの蒸気流SOAと、RDの下端で取り出される、水を含む少なくとも1つの流れSUAとに分離し、
(b)少なくとも1つの側流SZAをRDから取り出し、再びRDに返送し、
(c)SOAの少なくとも一部を圧縮することにより、SOAと比較して圧縮された蒸気流SOA1を得て、
(d)SZAをRDに返送する前に、圧縮蒸気流SOA1の第1の部分SOA11からSZAへとエネルギーを移動させ、
(e)SOA11とは異なる圧縮蒸気流SOA1の部分SOA12をさらに圧縮することにより、SOA11と比較して圧縮された蒸気流SOA2を得て、
(f)SUA1をRDに返送する前に、SOA2の少なくとも一部からSUAの少なくとも一部SUA1へとエネルギーを移動させる、方法。
【請求項2】
ステップ(d)において、中間蒸発器VZRDで、SOA11からSZAへとエネルギーを移動させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(f)において、底部蒸発器VSRDで、SOA2の少なくとも一部からSUAの少なくとも一部SUA1へとエネルギーを移動させる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)によりSOA11からSZAへとエネルギーを移動させた後に、SOA11からSOAへとエネルギーを移動させ、かつ/またはステップ(f)によりSOA2の少なくとも一部からSUAの少なくとも一部SUA1へとエネルギーを移動させた後に、SOA2の少なくとも一部からSOAへとエネルギーを移動させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
精留塔RD、反応塔RR、そしてステップ(α2)が実施される場合には反応塔RRから選択される塔のうちの少なくとも2つが塔ジャケットに収容されており、その際、各塔は、少なくとも部分的に、塔底部まで通された隔壁によって互いに分離されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
OAの一部を、ステップ(α1)で反応物流SAE1として使用し、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的にステップ(α2)で反応物流SBE1として使用する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
OA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへと、そしてステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへとエネルギーを移動させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
OR’を含む反応物流SCE1を、反応精留塔RRで、R’’OHを含む反応物流SCE2と向流で反応させて、MOR’’とR’OHとを含む粗製物RPを生成し、
RRの下端で、MOR’’を含む底部生成物流SCPが取り出され、RRの上端で、R’OHを含む蒸気流SCBが取り出され、
R’およびR’’は、互いに異なる2つのC~C炭化水素基であり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属であり、
OA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへとエネルギーを移動させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
R’=メチルである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によりSAPを得て、ここで、R=メチルであり、SAPの少なくとも一部をSCE1として使用する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(α2)を実施する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によりSBPを得て、ここで、R=メチルであり、SBPの少なくとも一部をSCE1として使用する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
R’’=エチルである、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造時に使用されるメタノール/水混合物の後処理方法に関する。ここで、混合物は精留塔で蒸留により分離される。精留塔の上端で得られた蒸気は少なくとも2段階で圧縮され、それぞれ圧縮された蒸気のエネルギーが、有利には精留塔の底部流および側流へ移動する。これにより、圧縮蒸気のエネルギーを、本発明による方法において特にエネルギー効率よく利用することが可能となる。メタノール/水混合物の後処理方法は、反応塔でのアルカリ金属メトキシドの製造時に使用され、その際、反応塔ではメタノールとアルカリ液を向流で互いに反応させる。ここで、メタノールに溶解したアルカリ金属メトキシドを下端で取り出し、メタノール/水混合物を上端で取り出して本発明による後処理方法で後処理する。圧縮蒸気のエネルギーを、さらに、この反応塔の運転に使用することも、アルカリ金属アルコキシドのアルコール交換法が実施される反応塔の運転に使用することもできる。
【0002】
1.発明の背景
アルコール/水混合物は、例えば、任意にアルコールと混合された水性アルカリ液とアルコールからアルカリ金属アルコキシドを製造する際に生じる。これらの方法では、特にメタノールおよびエタノールがアルコールとして使用される。
【0003】
アルカリ金属アルコキシドは、例えば医薬または農薬の有効成分の製造に際して多くの化学物質の合成において強塩基として使用されている。さらに、アルカリ金属アルコキシドは、エステル交換化反応やアミド化反応の触媒として使用されている。
【0004】
アルカリ金属アルコキシド(MOR)は、アルカリ金属水酸化物(MOH)とアルコール(ROH)から向流蒸留塔で反応蒸留により製造され、その際、次の反応<1>にしたがって生成された反応水が留出液とともに除去される。
【化1】
【0005】
このようなプロセス原理は、例えば米国特許第2,877,274号明細書に記載されており、アルカリ金属水酸化物水溶液とガス状メタノールを反応精留塔にて向流で反応させるものである。この方法は、原則的に変更されていない形で国際公開第01/42178号にも記載されている。
【0006】
英国特許出願公告第377,631号明細書および米国特許第1,910,331号明細書には、同様ではあるがさらに例えばベンゼンのような連行剤も使用される方法が記載されている。ここで、連行剤は、水と水溶性アルコールとを分離させる役割を果たす。どちらの特許明細書でも、反応水を分離するために凝縮液を相分離させる。もうひとつの類似の方法は、独国特許出願公開第2726491号明細書に記載のアルカリ金属アルコキシドと別のアルコールとの反応塔での反応(「アルコール交換」)である。
【0007】
相応して、独国特許発明第968903号明細書には、反応塔でアルカリ金属アルコキシドを連続的に製造するための方法が記載されており、この方法では、頂部で取り出された水-アルコール混合物が凝縮され、その後、相分離に供される。ここで、水相は廃棄され、アルコール相は、新鮮なアルコールとともに塔の頂部に返送される。同様の方法が欧州特許出願公開第0299577号明細書に記載されており、ここでは凝縮液における水の分離が膜を用いて行われる。工業的に非常に重要なアルカリ金属アルコキシドは、ナトリウムおよびカリウムのアルコキシドであり、特にメトキシドおよびエトキシドが重要である。それらの合成は、例えば欧州特許出願公開第1997794号明細書のような先行技術にしばしば記載されている。
【0008】
先行技術に記載されている反応精留によるアルカリ金属アルコキシドの合成では、通常、使用したアルコールおよび水を含む蒸気が得られる。経済的な理由から、蒸気に含まれるアルコールを反応蒸留で再び反応物として使用することが合理的である。そのため、通常は蒸気を精留塔に供給し、そこに含まれるアルコールを分離する(例えば、英国特許出願公告第737453号明細書および米国特許第4,566,947号明細書に記載)。こうして回収されたアルコールは、反応物として、例えば反応蒸留に供給される。
【0009】
代替的または追加的に、アルコール蒸気の一部を精留塔の加熱に使用することができる(国際公開第2010/097318号に記載)。しかし、そのためには精留塔を加熱するのに必要な温度レベルに達するまで蒸気を圧縮しなければならない。特に、蒸気の多段圧縮が熱力学的に有利である。この場合、圧縮段階間で蒸気を冷却する。また、中間冷却により、圧縮装置の最大許容温度を超えないようにすることができる。従来の方法で行われるこの冷却の欠点は、その際に取り出されたエネルギーが未使用のまま散逸してしまうことである。
【0010】
したがって、特にアルカリ金属アルコキシドの製造方法に関連して使用可能なアルコール/水混合物の後処理方法の改良が求められている。この方法は、圧縮蒸気に含まれるエネルギーを精留塔の運転に特に効率的に利用することを特徴とする。この方法により、蒸気の圧縮および冷却の際に発生する熱をエネルギー効率よく利用することが可能となることが望ましい。
【0011】
2.発明の概要
本発明は、式MOR[式中、Rは、メチルであり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属であり、好ましくはナトリウムである]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法に関する。
【0012】
本発明による少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法において、水とメタノールROHとを含む混合物Gが得られ、この混合物Gを、水とアルコールROH(ここで、Rはメチルである)とを含む混合物Gの後処理方法において使用し、混合物Gの後処理方法により後処理する。混合物Gの後処理方法は、精留塔で実施され、したがって蒸留方法である。
【0013】
さらなる好ましい一態様では、本発明は、アルカリ金属アルコキシドのアルコール交換方法に関する。本方法において、アルカリ金属アルコキシドMOR’のアルコールを、別のアルコールR’’OHに交換し、その際、MOR’を、反応塔でR’’OHと反応させてMOR’’を生成し、その際、本方法において、本発明による混合物Gの後処理方法で生じた特定の蒸気流のエネルギーを運転に利用する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によらない方法の一実施形態を示す図である。
図2】本発明によらない方法の一実施形態を示す図である。
図3】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図4】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図5】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図6】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図7】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図8】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図9】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図10】本発明による例3による方法におけるエネルギー節約を示す図である。
【0015】
3.図面
3.1 図1
図1は、蒸留によるメタノール-水混合物の分離が先行技術(国際公開第2010/097318号、図1)と同様に実施される、本発明によらないアルカリ金属メトキシドの製造方法の実施形態を示す。
【0016】
ここで、NaOH水溶液SAE2<102>が反応塔RR<100>でメタノールSAE1<103>と反応して、対応するナトリウムアルコキシドが生成される。反応塔RR<100>の頂部には、反応物流SAE2<102>としてNaOH水溶液が添加される。また、NaOHのメタノール溶液を反応物流SAE2<102>として添加することもできる。対応するカリウムメトキシドを製造するために、反応物流SAE2<102>としてKOH水溶液またはKOHメタノール溶液が添加される。反応塔RR<100>の底部の上方で、メタノールが反応物流SAE1<103>として蒸気状で添加される。
【0017】
反応塔RR<100>の底部では、メタノール中の対応するメトキシドの混合物SAP*<104>が取り出される。ナトリウムメトキシド溶液SAP*<104>の濃度は、塔RR<100>の底部の底部蒸発器VSA<105>および任意の蒸発器VSA’<106>により所望の値に調整される。
【0018】
反応塔RR<100>の頂部で、蒸気流SAB<107>が取り出される。冷却器KRRA<108>で、蒸気流SAB<107>の一部が凝縮され、液状で還流として反応塔RR<100>の頂部に供給される。ただし、冷却器KRRA<108>および還流の設定は任意である。
【0019】
得られた蒸気SAB<107>は、そのすべてまたは一部が混合物Gとして精留塔、水/メタノール塔RD<300>に供給される。精留塔RD<300>は、内部構造物<310>を含む。この塔で混合物Gは蒸留により分離され、この塔の頂部でメタノールが蒸留により蒸気SOA<302>として回収される。
【0020】
精留塔RD<300>で還流を設定することもできる。この場合、蒸気SOA<302>の一部が冷却器KRD<407>で凝縮され、次いで再び精留塔RD<300>に返送される。SOA<302>の残りの部分、または還流が設定されていない実施形態ではすべての蒸気流SOA<302>が、圧縮装置VDAB2<303>で予備圧縮される。この予備圧縮蒸気の一部は、反応塔RR<100>に再循環され、そこで反応物流SAE1<103>として使用される。SOA<302>の残りの部分は圧縮装置VD<401>に供給され、そこでさらに圧縮されて蒸気流SOA1<403>となり、そこから任意の中間冷却装置WT<402>でエネルギーを取り出すことができる。
【0021】
蒸気流SOA1<403>は、再び圧縮装置VD<405>により圧縮され、次に得られた蒸気SOA2<404>は、加熱のため、精留塔RD<300>の底部の蒸発器VSRD<406>に供給され、その後、必要に応じて新鮮なメタノール<408>がこれに添加され、還流として再び精留塔RD<300>に供給される。精留塔RD<300>で還流が設定されている場合、流れSOA2<404>をRD<300>に返送する前に、流れSOA2<404>を還流、すなわちKRD<407>で生じた凝縮液と混合し、これと一緒にRD<300>に供給することができる。精留塔RD<300>の底部では、水流SUA<304>が得られ、これを少なくとも部分的に(流れSUA1<320>)再び精留塔RD<300>に返送することができ、その際、これを蒸発器VSRD<406>および/またはVSRD’<410>に通すことができる。
【0022】
3.2 図2
図2は、本発明によらない方法のさらなる実施形態を示し、これは国際公開第2010/097318号の図2に示される実施形態に対応するものである。
【0023】
本実施形態は、図1に記載された実施形態に、以下の追加的または異なる特徴を加えたものである:底部の蒸発器VSRD’<406>およびVSRD’<410>に加えて、精留塔RD<300>は、中間蒸発器VZRD<409>を有する。側流SZA<305>は、精留塔RD<300>から取り出され、VZRD<409>に通され、その後、再び精留塔RD<300>に供給される。蒸気流SOA<302>の一部は圧縮装置VDAB2<303>で予備圧縮され、その一部が反応塔RR<100>に分岐された後、圧縮装置VD<401>で圧縮されて蒸気流SOA1<403>となり、この蒸気流SOA1<403>が加熱のために中間蒸発器VZRD<409>に供給される。SOA1<403>による蒸発器VSRD<406>または蒸発器VSRD’<410>での加熱は行われない。VZRD<409>の加熱に利用された蒸気流SOA<302>は、その後、KRD<407>で生じた凝縮液および新鮮なメタノール<408>と混合され、還流として精留塔RD<300>に返送される。SOA<302>の還流を精留塔RD<300>に別途返送することも、同様に可能である。
【0024】
3.3 図3
図3は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図1および図2に示された実施形態に対応する。精留塔RD<300>は、中間蒸発器VZRD<409>と、底部蒸発器VSRD<406>と、任意に底部蒸発器VSRD’<410>とを有する。
【0025】
本発明による実施形態は、上述の実施形態に対して以下の相違点を有する:
1.圧縮装置VD<401>における蒸気流SOA<302>の一部の圧縮後、蒸気流SOA1<403>が、2つの部分SOA11<4031>とSOA12<4032>とに分割される。
【0026】
2.SOA11<4031>が、流れSZA<305>の加熱のために中間蒸発器VZRD<409>に供給される。
【0027】
3.SOA12<4032>が、圧縮装置VD<405>でさらに圧縮されて流れSOA2<404>となり、SOA2<404>が、流れSUA1<320>の加熱のために底部蒸発器VSRD<406>に供給される。
【0028】
4.SOA11<4031>およびSOA2<404>が各蒸発器VZRD<409>またはVSRD<406>を出た後、これらが合一され、合一された流れが還流(すなわちKRD<407>で生じた凝縮液)および新鮮なメタノール<408>と混合され、精留塔RD<300>に返送される。これらの流れを別々に精留塔RD<300>に返送することも可能である。
【0029】
これらの相違点により、蒸気SOA1<403>のエネルギーを、図1および図2による実施形態と比較して、精留塔RD<300>の加熱に、より効率的に利用することができる。
【0030】
3.4 図4
図4は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図3に示された実施形態に対応するが、ただし、第2の反応塔RR<200>で、KOH水溶液SBE2<202>が、RR<100>での反応にも使用されるメタノールSBE1<203>と反応して、対応するカリウムメトキシドが生成される点が異なる。
【0031】
反応塔RR<200>の頂部には、反応物流SBE2<202>としてKOH水溶液が添加される。また、KOHのメタノール溶液を反応物流SBE2<202>として添加することもできる。反応塔RR<200>の底部の上方で、メタノールが反応物流SBE1<203>として蒸気状で添加される。
【0032】
反応塔RR<200>の底部では、メタノール中の対応するメトキシドの混合物SBP*<204>が取り出される。カリウムメトキシド溶液SBP*<204>の濃度は、塔RR<200>の底部の底部蒸発器VSB<205>および任意の蒸発器VSB’<206>により所望の値に調整される。反応塔RR<200>の頂部で、蒸気流SBB<207>が取り出される。冷却器KRRB<208>で、蒸気流SBB<207>の一部が凝縮され、液状で還流として反応塔RR<200>の頂部に供給される。ただし、冷却器KRRB<208>および還流の設定は任意である。
【0033】
得られた蒸気SBB<207>は、冷却器KRRA<108>で凝縮されなかった蒸気SAB<107>の一部と混合され、精留塔RD<300>に供給される。
【0034】
図3による実施形態とのもう1つの相違点は、蒸気SOA<302>の予備凝縮された部分が部分的に反応塔RR<100>およびRR<200>に再循環され、そこで反応物流SAE1<103>またはSBE1<203>として使用されることである。
【0035】
3.5 図5
図5は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図4に示された実施形態に対応するが、ただし、SOA2<404>の一部が、塔RR<100>の底部の蒸発器VSA’<106>および塔RR<200>の底部の蒸発器VSB’<206>の加熱にも利用される点が異なる。
【0036】
3.6 図6
図6は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図5に示された実施形態に対応するが、ただし、反応塔RR<100>およびRR<200>がそれぞれ中間蒸発器VZA<110>またはVZB<210>を有する点が異なる。側流SZAA<111>は、反応塔RR<100>から取り出され、VZA<110>に通され、その後、再び反応塔RR<100>に供給される。側流SZBA<211>は、反応塔RR<200>から取り出され、VZB<210>に通され、その後、再び反応塔RR<200>に供給される。図5とは異なり、SOA2<404>の一部は、塔RR<100>の底部の蒸発器VSA’<106>を加熱するためにのみ使用される。対照的に、SOA11<4031>の一部は、蒸発器VZB<210>を加熱するために使用される。
【0037】
3.7 図7
図7は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図5に示された実施形態に対応するが、ただし、反応塔RR<100>が中間蒸発器VZA<110>を有する点が異なる。側流SZAA<111>は、反応塔RR<100>から取り出され、VZA<110>に通され、その後、再び反応塔RR<100>に供給される。図5とは異なり、SOA2<404>の一部は、塔RR<200>の底部の蒸発器VSB’<206>を加熱するためにのみ使用される。中間蒸発器VZA<110>は、ポンプ<501>で輸送される伝熱媒体W<502>、特に水により加熱され、この伝熱媒体W<502>、特に水は、中間冷却装置WT<402>でSOA12<4032>から熱を吸収し、中間蒸発器VZA<110>で熱を放出する。
【0038】
3.8 図8
図8は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図5に示された実施形態に対応するが、ただし、反応塔RR<100>およびRR<200>が、それぞれ中間蒸発器VZA<110>またはVZB<210>を有する点が異なる。側流SZAA<111>は、反応塔RR<100>から取り出され、VZA<110>に通され、その後、再び反応塔RR<100>に供給される。側流SZBA<211>は、反応塔RR<200>から取り出され、VZB<210>に通され、その後、再び反応塔RR<200>に供給される。
【0039】
さらに、図8は、本発明による方法のさらなる好ましい実施形態を示す。これは、ナトリウムメトキシドからナトリウムエトキシドへのアルコール交換のための反応精留塔RR<600>を示し、この反応精留塔RR<600>は、少なくとも部分的に、流れSOA12<4032>からのエネルギーで運転される。塔RR<600>は、底部蒸発器VSC<605>およびVSC’<606>を有する。
【0040】
ここで、ナトリウムメトキシド溶液SCE1<602>を反応塔RR<600>でエタノールSCE2<603>と向流で反応させてナトリウムエトキシドを生成し、これはエタノール溶液として取り出される。
【0041】
反応塔RR<600>の底部では、ナトリウムエトキシドを含む底部生成物流SCP<604>が取り出される。反応塔RR<600>の頂部では、蒸気流SCB<607>が取り出される。ここで、冷却器KRRC<608>で、蒸気流SCB<607>の少なくとも一部が凝縮され、その少なくとも一部が液状で還流として反応塔RR<600>の頂部に供給される。ここで、蒸気流SCB<607>は、ガス状で冷却器KRRC<608>の上流で抜き出され(破線で示す)、かつ/または流れ<609>として液状で冷却器KRRC<608>の下流で抜き出される。側流SZC<610>は、好ましくは反応塔RR<600>から取り出され、その際、中間蒸発器VZC<611>によりこれにエネルギーが移動し、その後、SZC<610>をRR<600>に返送することができる。
【0042】
好ましくは、反応塔RR<100>およびRR<200>で得られた底部流SAP*<104>またはSBP*<204>の少なくとも一部は、ナトリウムメトキシド溶液SCE1<602>として利用される。底部蒸発器VSC’<606>は、ポンプ<501>で輸送される伝熱媒体W<502>、特に水により加熱され、この伝熱媒体W<502>、特に水は、中間冷却装置WT<402>でSOA12<4032>から熱を吸収し、底部蒸発器VSC’<606>で熱を放出する。また同様に、SOA2<404>、SOA11<4031>、SOA11とSOA12とに分離する前のSOA1<403>から選択される別の流れから、底部蒸発器VSC’<606>または他の底部蒸発器VSC<605>へとエネルギーを移動させることもできる。同様に、流れSOA1<403>、SOA11<4031>、SOA12<4032>、SOA2<404>の少なくとも1つから、エタノール流SCE1<603>、ナトリウムメトキシド溶液SCE1<602>または側流SZC<610>へとエネルギーを移動させることもできる。
【0043】
3.9 図9
図9は、本発明による方法の一実施形態を示す。これは、図8に示された実施形態に対応するが、ただし、底部蒸発器VSC’<606>がSOA2<404>の一部で直接加熱される点が異なる。
【0044】
3.10 図10
図10は、本発明によらない例1および例2による方法と比較した、本発明による例3による方法におけるエネルギー節約を示す。x軸は、各例を示し、y軸は、施与される電力(加熱蒸気および圧縮装置の電力)をkW単位で示す。棒グラフの斜線部分は、低圧蒸気による必要加熱電力を示し、棒グラフの白抜き部分は、圧縮装置の電力の合計を示す。
【0045】
4.発明の詳細な説明
本発明は、式MOR[式中、Rは、メチルであり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属であり、好ましくはナトリウムである]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法に関する。
【0046】
本発明による方法は、ステップ(a)~(f)を有し、水とアルコールROH[式中、Rは、メチルである]とを含む混合物Gの後処理方法を含む。したがって、ROHは、メタノールである。
【0047】
4.1 混合物Gの後処理方法
本発明による混合物Gの後処理方法は、本発明による式MORの少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法のステップ(a)~(f)を含む。混合物Gは、特にガス状であり、この場合「蒸気」とも呼ばれる。混合物Gは、アルコールROHをアルカリ金属水酸化物NaOHまたはKOHと反応させて対応するアルカリ金属アルコキシドNaORまたはKORを生成する反応塔の頂部流である。
【0048】
本発明によれば、ステップ(a)で使用される混合物Gとして、蒸気流SABの少なくとも一部が使用され、ステップ(α2)が実施される場合には蒸気流SBBの少なくとも一部が使用される。
【0049】
蒸気流SABは、ステップ(α1)で得られる(第4.2.1節に記載)。
【0050】
任意のステップ(α2)が実施される場合、このステップで蒸気流SBBが得られる(第4.2.2節に記載)。
【0051】
蒸気流SBBは、任意のステップ(α2)が実施される場合にのみ得られる。任意のステップ(α2)が実施されてSBBが得られ、SBBの少なくとも一部が混合物Gとして使用される場合、SBBの少なくとも一部が、SABと混合された状態で、またはSABとは別に、混合物Gとして使用される。
【0052】
本方法のステップ(β)では、蒸気流SABの少なくとも一部が、そしてステップ(α2)が実施される場合にはSBBの少なくとも一部が、SABと混合された状態で、またはSABとは別に、水とアルコールROHとを含む混合物Gの後処理方法のステップ(a)で混合物Gとして使用される。
【0053】
水とアルコールROHとを含む混合物Gは、本発明によれば、混合物Gの後処理方法により後処理される。
【0054】
4.1.1 本発明による方法のステップ(a)
本発明による方法のステップ(a)で、混合物Gは精留塔RDに送られ、RDにおいて、RDの上端で取り出される、ROHを含む少なくとも1つの蒸気流SOAと、RDの下端で取り出される、水を含む少なくとも1つの流れSUAとに分離される。
【0055】
「RDの上端で取り出される、ROHを含む少なくとも1つの蒸気流SOA」とは、RDの上端で得られる蒸気を、そこで1つ以上の蒸気流として取り出せることを意味する。そこで複数の蒸気流として取り出される場合、m個の蒸気流は、「蒸気流SOAI」、「蒸気流SOAII」、[...]、「蒸気流SOAm」と表され、ここで、「m」は、RDの上端で取り出される蒸気流の数を(ローマ数字で)示す。
【0056】
「RDの下端で取り出される、水を含む少なくとも1つの流れSUA」とは、RDの下端で得られる蒸気を、そこで1つ以上の流れとして取り出せることを意味する。そこで複数の流れとして取り出される場合、n個の流れは、「流れSUAI」、「流れSUAII」、[...]、「流れSUAn」と表され、ここで、「n」は、RDの下端で取り出される流れの数を(ローマ数字で)示す。
【0057】
ここで、混合物Gを、1つ以上の供給箇所を通じて精留塔RDに送ることができる。例えば、本発明の好ましい態様による方法においてステップ(α2)が実施され、ステップ(β)において蒸気流SBBの少なくとも一部が、SABとは別に、方法のステップ(a)で混合物Gとして使用される実施形態では、混合物Gは複数の供給箇所を通じて送られる。したがって、本実施形態では、混合物Gは、互いに別個の2つの流れとして精留塔RDに送られる。
【0058】
混合物Gが互いに別個の2つ以上の流れとして精留塔RDに送られる本発明の実施形態では、個々の流れの供給箇所が精留塔RDにおいて実質的に同じ高さであると有利である。
【0059】
本発明による方法のステップ(a)の好ましい一実施形態では、混合物Gは、精留塔RDにおいて、RDの上端で取り出される、ROHを含む1つの蒸気流SOAと、RDの下端で取り出される、水を含む1つの流れSUAとに分離される。
【0060】
精留塔の「上端」の別の用語は、「頂部」である。精留塔の「下端」の別の用語は、「底部」または「足部」である。
【0061】
少なくとも1つの蒸気流SOAが有する圧力は、「pOA」で表され、その温度は、「TOA」で表される。これは特に、少なくとも1つの蒸気流SOAがステップ(a)で精留塔RDから取り出されるときの圧力および温度を指す。
【0062】
圧力pOAは、特に、0.5bar abs.~8bar abs.の範囲であり、より好ましくは0.6bar abs.~7bar abs.の範囲であり、より好ましくは0.7bar abs.~6bar abs.の範囲であり、さらにより好ましくは1bar abs.~5bar abs.の範囲であり、最も好ましくは1bar abs.~4bar abs.である。
【0063】
温度TOAは、特に、45℃~150℃の範囲であり、より好ましくは48℃~140℃の範囲であり、より好ましくは50℃~130℃の範囲であり、さらにより好ましくは60℃~120℃の範囲であり、最も好ましくは60℃~110℃の範囲である。
【0064】
本方法のステップ(a)における精留塔RDとして、当業者に知られている任意のあらゆる精留塔を使用することができる。好ましくは、精留塔RDは、内部構造物を含む。適切な内部構造物は、例えば、トレイ、不規則充填物または規則充填物である。トレイとして、通常はバブルキャップトレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイまたはスリットトレイが使用される。不規則充填物は、一般にランダム充填物である。ランダム充填物として、通常はラシヒリング、ポールリング、バールサドル、またはIntalox(登録商標)サドルが使用される。規則充填物は、例えばSulzer社よりMellapack(登録商標)なる商品名で販売されている。挙げられた内部構造物に加えて、他の適切な内部構造物も当業者に知られており、同様に使用することができる。
【0065】
好ましい内部構造物は、1理論分離段あたりの比圧力損失が小さい。例えば、規則充填物およびランダム充填物は、1理論分離段あたりの圧力損失がトレイよりも大幅に小さい。これには、精留塔RDの圧力損失が可能な限り低く抑えられ、圧縮装置の機械的性能や蒸発させるアルコール/水混合物の温度が低く抑えられるという利点がある。
【0066】
精留塔RDに規則充填物または不規則充填物が含まれている場合、これらは分割されてもよいし、1つの連続した充填物であってもよい。しかし通常は、少なくとも2つの充填物が提供され、混合物Gの供給箇所の上方に1つの充填物、混合物Gの供給箇所の下方に1つの充填物が提供される。混合物Gの供給箇所の上方に1つの充填物を提供し、混合物Gの供給箇所の下方に複数のトレイを提供することもできる。不規則充填物、例えばランダム充填物が使用される場合、ランダム充填物は通常は、適切な支持グリッド(例えば、シーブトレイまたはメッシュトレイ)に載置されている。
【0067】
本発明による方法のステップ(a)で、ROHを含む少なくとも1つの蒸気流SOAは、次いで精留塔RDの上端で取り出される。この蒸気流SOA中のROHの好ましい重量分率は、≧99重量%、より好ましくは≧99.6重量%、さらにより好ましくは≧99.9重量%であり、残りは、特に水である。
【0068】
RDの下端では、水を含む少なくとも1つの流れSUAが取り出され、これは、好ましくは<1重量%、より好ましくは≦5000重量ppm、さらにより好ましくは≦2000重量ppmのアルコールを含み得る。
【0069】
本発明の範囲において、精留塔RDの頂部でROHを含む少なくとも1つの蒸気流SOAを取り出すとは、特に、少なくとも1つの蒸気流SOAが、精留塔RDにおいて、頂部流として、または内部構造物の上方で側方抜出流として取り出されることを意味する。
【0070】
本発明の範囲において、精留塔RDの底部で水を含む少なくとも1つの流れSUAを取り出すとは、特に、少なくとも1つの流れSUAが、底部流として、または精留塔RDの下方底部で取り出されることを意味する。
【0071】
精留塔RDは、還流を伴うかまたは伴わずに、好ましくは還流を伴って運転される。
【0072】
「還流を伴う」とは、精留塔RDの上端で取り出される蒸気流SOAが完全に排出されるのではなく、部分的に凝縮されて再び各精留塔RDに供給されることを意味する。このような還流を設定する場合、還流比は、好ましくは0.0001~1、より好ましくは0.0005~0.9、さらにより好ましくは0.001~0.8である。
【0073】
還流は、精留塔RDの頂部に冷却器KRDを設置することにより設定することができる。冷却器KRDで、各蒸気流SOAが部分的に凝縮され、再び精留塔RDに供給される。本発明において、還流比とは、一般に、また本発明の趣意において、塔から取り出される質量流量(kg/h)のうち、液状(還流)で各塔に返送される質量流量(kg/h)の割合と、各塔から液状またはガス状で排出される質量流量(kg/h)の割合との比であると理解される。
【0074】
4.1.2 本発明による方法のステップ(b)
本発明による方法のステップ(b)では、少なくとも1つの側流SZAがRDから取り出され、再びRDに返送される。
【0075】
本発明による方法のステップ(b)の好ましい一実施形態では、1つの側流SZAがRDから取り出され、再びRDに返送される。
【0076】
「RDからの側流SZA」とは、本発明によれば、この流れが、RDの頂部の下方でかつ底部の上方に位置する取出箇所EZAで取り出され、特に、RDの頂部の下方でかつ底部の上方に位置する供給箇所ZZA(これは、各側流SZAが精留塔RDに返送される箇所である)で再びRDに追加的に返送されることを意味する。
【0077】
このことは特に、精留塔RDにおける各側流SZAの取出箇所EZAが、そして好ましくは供給箇所ZZAも、RDから取り出されるすべての蒸気流SOAの取出箇所EOAの下方に位置し、好ましくは、RDから取り出される蒸気流SOAであって、その取出箇所EOAが精留塔RDの最も下方に位置するものの取出箇所EOAより少なくとも1理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも5理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも10理論段数分だけ下方に位置することを意味する。
【0078】
さらに、このことは特に、精留塔RDにおける各側流SZAの取出箇所EZAが、そして好ましくは供給箇所ZZAも、RDから取り出されるすべての流れSUAの取出箇所EUAの上方に位置し、好ましくは、流れSUAであって、その取出箇所EUAが精留塔RDの最も上方に位置するものの取出箇所EUAより少なくとも1理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも2理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも4理論段数分だけ上方に位置することを意味する。
【0079】
さらに、少なくとも1つの蒸気流SOAが少なくとも部分的に精留塔RDに返送される場合(これは例えば、還流が精留塔RDに設定される場合に該当する)には、特に、少なくとも1つの蒸気流SOAの供給箇所ZOA(すなわち、少なくとも1つの蒸気流SOAが少なくとも部分的に精留塔RDに返送される箇所)は、RDから取り出されるすべての側流SZAの取出箇所EZAの上方、特にまた供給箇所ZZAの上方に位置し、好ましくは、RDから取り出されるすべての側流SZAのすべての取出箇所および供給箇所のうち最も高い箇所より少なくとも1理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも5理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも10理論段数分だけ上方に位置する。
【0080】
さらに、少なくとも1つの流れSUAが少なくとも部分的に再び精留塔RDに返送される場合、特に、少なくとも1つの流れSUAの供給箇所ZUA(すなわち、少なくとも1つの流れSUAが少なくとも部分的に再び精留塔RDに返送される箇所)は、RDから取り出されるすべての側流SZAの取出箇所EZAの下方、特にまた供給箇所ZZAの下方に位置し、好ましくは、RDから取り出されるすべての側流SZAのすべての取出箇所および供給箇所のうち最も低い箇所より少なくとも1理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも2理論段数分だけ、さらにより好ましくは少なくとも4理論段数分だけ下方に位置する。
【0081】
精留塔RDにおける側流SZAの取出箇所EZAおよび側流SZAの供給箇所ZZAは、RDの同じトレイの間に配置することができる。しかし、それらが異なる高さに位置することも可能である。
【0082】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、精留塔RDにおける少なくとも1つの側流SZAの取出箇所EZAは、そして好ましくは供給箇所ZZAも、混合物Gが精留塔RDに送られる供給箇所Zの下方でかつRDの底部の上方に位置する。さらにより好ましくは、精留塔RDにおける少なくとも1つの側流SZAの取出箇所EZAは、そして好ましくは供給箇所ZZAも、RDの濃縮装置部の下方にも位置する。
【0083】
本発明による方法の特に好ましい一実施形態では、精留塔RDにおける少なくとも1つの側流SZAの取出箇所EZAは、そしてより好ましくは供給箇所ZZAも、混合物Gが精留塔RDに送られる供給箇所Zの下方に位置し、かつRDから取り出されるすべての流れSUAのすべての取出箇所および供給箇所のうち最も高い箇所の上方に位置する精留塔RDの範囲の上方4/5、好ましくは上方3/4、好ましくは上方7/10、より好ましくは上方2/3、より好ましくは上方1/2に位置する。さらにより好ましくは、精留塔RDにおける少なくとも1つの側流SZAの取出箇所EZAは、そして好ましくは供給箇所ZZAも、RDの濃縮装置部の下方にも位置する。
【0084】
本発明による方法のさらに特に好ましい一実施形態では、精留塔RDは、濃縮装置部を含み、精留塔RDにおける少なくとも1つの側流SZAの取出箇所EZAは、そしてより好ましくは供給箇所ZZAも、濃縮装置部の下方に位置し、かつRDから取り出されるすべての流れSUAのすべての取出箇所および供給箇所のうち最も高い箇所の上方に位置する精留塔RDの範囲の上方4/5、好ましくは上方3/4、好ましくは上方7/10、より好ましくは上方2/3、より好ましくは上方1/2に位置する。
【0085】
4.1.3 本発明による方法のステップ(c)
本発明による方法のステップ(c)では、少なくとも1つの蒸気流SOAの少なくとも一部(「少なくとも1つの蒸気流SOAの少なくとも一部」=「SOAの少なくとも一部」)が圧縮される。その結果、SOAと比較して圧縮された蒸気流SOA1が得られる。
【0086】
蒸気流SOA1が有する圧力は、「pOA1」で表され、その温度は、「TOA1」で表される。
【0087】
圧力pOA1は、pOAより高い。pOA1の正確な値は、pOA1>pOAという条件が満たされる限り、ステップ(d)の要件に応じて当業者が設定することができる。pOA1/pOA(各圧力の単位はbar abs.)の比は、好ましくは1.1~10、より好ましくは1.2~8、より好ましくは1.25~7、最も好ましくは1.3~6の範囲である。
【0088】
温度TOA1は、特に温度TOAより高く、TOA1/TOA(各温度の単位は℃)の比は、好ましくは1.03~10、より好ましくは1.04~9、より好ましくは1.05~8、より好ましくは1.06~7、より好ましくは1.07~6、最も好ましくは1.08~5の範囲である。
【0089】
OA1およびTOA1の好ましい値は、好ましくはSOA11およびSOA12にも適用される。
【0090】
ステップ(c)における蒸気流SOAの少なくとも一部の圧縮は、当業者に知られている任意のあらゆる様式で実施することができる。したがって、圧縮は、例えば機械的に、単段または多段で、好ましくは多段で実施することができる。多段圧縮の場合、同じ設計の圧縮装置を複数使用することも、異なる設計の圧縮装置を使用することもできる。多段圧縮は、1つ以上の圧縮機を用いて実施することができる。単段圧縮または多段圧縮の使用は、圧縮比に依存し、したがって蒸気SOAが圧縮される圧力に依存する。
【0091】
本発明による方法における圧縮装置として、特に蒸気流SOAをSOA1に、またはSOA12をSOA2に圧縮するための圧縮装置としては、当業者に知られている、ガス流の圧縮が可能な任意のあらゆる圧縮装置、好ましくは機械式圧縮装置が適している。好適な圧縮装置は、例えば、単段または多段式タービン、ピストン式圧縮装置、スクリュ式圧縮装置、遠心式圧縮装置、または軸流式圧縮装置である。
【0092】
多段圧縮の場合、克服すべき各圧力段に適した圧縮装置が使用される。
【0093】
4.1.4 本発明による方法のステップ(d)
本発明による方法のステップ(d)では、SZAをRDに返送する前に、圧縮蒸気流SOA1の第1の部分SOA11からSZAへとエネルギーを移動させる。
【0094】
特に、SOA1は、ステップ(d)においてまず、少なくとも2つの部分SOA11とSOA12とに分割される。SOA11の質量流量(kg/h)とSOA12の質量流量(kg/h)との比は、好ましくは1:99~99:1の範囲、より好ましくは1:50~50:1の範囲、さらにより好ましくは1:20~30:1の範囲、さらにより好ましくは5:20~15:1の範囲である。
【0095】
本発明による方法のステップ(d)では、エネルギーが第1の部分SOA11からSZAへ移動される。ステップ(d)の結果、SOA11のエネルギーは減少するため、特に流れSOA11は、少なくとも部分的に凝縮する。
【0096】
「エネルギーの移動」とは、本発明によれば特に「加熱」、すなわち熱の形態でのエネルギーの移動を意味する。
【0097】
「圧縮蒸気流SOA1の第1の部分SOA11からSZAへのエネルギーの移動」には、SOA11の一部が分離され、この部分のみからSZAへエネルギーが移動される場合も含まれる。これは、例えば、エネルギーがSOA11から粗製物RPへと、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RP(第4.2節に記載)へと、追加的に移動される本発明の実施形態の場合である。
【0098】
OA11からSZAへのエネルギーの移動、好ましくはSOA11によるSZAの加熱は、好ましくは直接的または間接的に行われる。
【0099】
「直接的に」とは、SOA11とSZAとが、これら2つの流れが混ざりあうことなく接触し、エネルギー、特に熱がSOA11からSZAへ移動することを意味する。
【0100】
これは、SOA11およびSZAを精留塔RDの中間蒸発器VZRDに通し、SOA11がSZAを加熱することによって行うことができる。
【0101】
伝熱装置(「伝熱装置」の他の用語=「熱交換器」)、特に後述の伝熱装置WT、WT、WTとして、当業者に周知の伝熱装置、特に蒸発器を使用することができる。本発明による方法のステップ(d)において、特に、SOA11からSZAへのエネルギー、より好ましくは熱の移動は、中間蒸発器VZRDで行われる。
【0102】
「間接的に」とは、特に、SOA11が、好ましくは少なくとも1つの伝熱装置WTを通じて伝熱媒体Wと接触することを意味し、ここで、伝熱媒体はSZAではなく、すなわち、Wは、SZAとは異なるものであり、これにより、エネルギー、好ましくは熱が、SOA11からWへと、これらの2つの流れが混ざりあうことなく移動し、次いで、熱がWからSZAへ移動し、その際、WとSZAとが接触し、その際、SZAとWとは、混ざりあうかまたは混ざりあわないが、好ましくは混ざりあわない。ここで、WとSZAとが混ざりあわない場合、エネルギー、好ましくは熱の移動は、特にさらなる伝熱装置WTで行われる。
【0103】
本発明による方法のさらなる一実施形態では、SOA11からSZAへと間接的にエネルギーが移動し、特にSOA11によりSZAが加熱される場合、まず、エネルギー、好ましくは熱を、SOA11からWへ、好ましくは少なくとも1つの熱交換器WTを通じた接触によって移動させ、次いでWからSZAとは異なるさらなる伝熱媒体Wへ、好ましくは少なくとも1つの熱交換器WTを通じた接触によって移動させることもできる。次いで、最後のステップで、WからSZAへの熱の移動が行われ、その際、SZAとWとは、混ざりあうかまたは混ざりあわないが、好ましくは混ざりあわない。ここで、WとSZAとが混ざりあわない場合、エネルギー、好ましくは熱の移動は、特にさらなる伝熱装置WTで行われる。
【0104】
当然のことながら、本発明のさらなる実施形態では、相応してさらなる伝熱媒体W、W、Wなどを用いることができる。
【0105】
伝熱媒体W、またはそれに加えてさらに用いられる伝熱媒体W、W、W、Wとして、当業者に知られている任意の伝熱媒体を用いることができ、これは好ましくは、水;アルコール水溶液;塩水溶液、これには、イオン液体、例えばLiBr溶液、ジアルキルイミダゾリウム塩、例えば特にジアルキルイミダゾリウムジアルキルホスフェートが含まれる;鉱油、例えば軽油;熱油、例えばシリコーン油;生体油、例えばリモネン;芳香族炭化水素、例えばジベンジルトルエンからなる群から選択される。伝熱媒体Wとして最も好ましいのは、水である。
【0106】
また、使用可能な塩水溶液については、例えば、独国特許出願公開第102005028451号明細書および国際公開第2006/134015号にも記載されている。
【0107】
ステップ(d)に続いて、SOA11を、次いで、任意に新鮮なアルコールとともに、および/または精留塔RDの還流とともに、再び精留塔RDに供給することができる。好ましい一実施形態では、SOA11から、特にエネルギーがSZAへ移動した後に、さらにエネルギーが移動される。本発明による方法の好ましい一実施形態では、ステップ(d)によりSOA11からSZAへとエネルギーが移動された後に、エネルギー、好ましくは熱がSOA11からSOAへ移動され、特に、圧縮、好ましくはSOAの予備圧縮またはSOAからSOA1への圧縮であり得るステップ(c)の圧縮に供給されるSOAの部分へ移動される。好ましくは、これは、流れSOAが塔RDを出た後に受ける最初の圧縮である。これにより、SOA11によってまだ貯蔵されていた残留エネルギーまたは残留熱の一部を、プロセスで使用し、この場合には、圧縮されるSOAの加熱に利用することが可能となる。これにより、SOA中に場合によっては存在する液滴が蒸発し、圧縮装置への液滴の侵入が防止される。
【0108】
OA11におけるエネルギー、好ましくは熱に関する他の好ましい追加的な低下については、後述する(第4.3節参照)。
【0109】
本発明による方法のステップ(d)は、本発明の予期せぬ効果の一態様を反映している。ここで、蒸気流SOAから圧縮蒸気流SOA1への圧縮時に得られる余剰エネルギーは、未使用のまま散逸するのではなく、精留に使用される。これは、まずSOAからSOA1への圧縮を行い、それにより、SOA11からSZAへのエネルギー移動に最適な値への調整が可能となり、次いでSOA11とは異なる部分SOA12をSOA2へさらに圧縮することができる、というように行われる。SOA12からさらにSOA2へのさらなる圧縮の際に得られる凝縮熱は、塔の底部蒸発器に供給される。追加的に必要な圧縮装置の電力は、結果として節約される加熱蒸気の電力よりも少ない。本発明による方法が必要とするエネルギーは、例1および例2に示すような先行技術の方法よりも少ない。SOA2への圧縮を行うことで、SOA2からSUA1またはSUAへの最適なエネルギー移動を行えるようにSOA2の圧力および温度を調整することができる。
【0110】
4.1.5 本発明による方法のステップ(e)
本発明の方法のステップ(e)では、SOA11とは異なる圧縮蒸気流SOA1の部分SOA12がさらに圧縮され、その結果、SOA11と比較して圧縮された蒸気流SOA2が得られる。
【0111】
当然のことながら、SOA2は、ステップ(e)の実施後に、SOA12およびSOA1と比較しても圧縮された状態にある。
【0112】
蒸気流SOA2が有する圧力は、「pOA2」で表され、その温度は、「TOA2」で表される。
【0113】
圧力pOA2は、pOA1より高く、pOA2/pOA1(各圧力の単位はbar abs.)の比は、好ましくは1.1~10、より好ましくは1.2~8、より好ましくは1.25~7、最も好ましくは1.3~6の範囲である。温度TOA2は、特に温度TOA1より高く、TOA2/TOA1(各温度の単位は℃)の比は、好ましくは1.03~10、より好ましくは1.04~9、より好ましくは1.05~8、より好ましくは1.06~7、より好ましくは1.07~6、最も好ましくは1.08~5の範囲である。
【0114】
ステップ(e)におけるSOA12の圧縮は、当業者に知られている方法により実施することができる。したがって、圧縮は、例えば機械的に、単段または多段で、好ましくは多段で実施することができる。多段圧縮の場合、同じ設計の圧縮装置を複数使用することも、異なる設計の圧縮装置を使用することもできる。単段圧縮または多段圧縮の使用は、蒸気SOA12が圧縮される圧力に依存する。ステップ(c)に関連してSOAについて説明された予備圧縮を、SOA12からSOA2への圧縮にも実施することもできるが、特にステップ(e)では、単段圧縮、すなわち圧縮装置VDを使用した圧縮で十分である。
【0115】
4.1.6 本発明による方法のステップ(f)
本発明による方法のステップ(f)では、SUA1がRDに返送される前に、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へとエネルギーが移動される。
【0116】
好ましくは、本方法のステップ(f)では、SUA1がRDに返送される前に、エネルギーがSOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの一部SUA1へ移動される。
【0117】
ステップ(f)によりSOA2のエネルギーが減少するため、特に流れSOA2が少なくとも部分的に凝縮する。
【0118】
本発明による方法のステップ(f)は、以下の好ましい一実施形態(f1)、(f2)、(f3)を含む:
(f1)エネルギーが、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの一部SUA1へ移動され、次いで、SUA1はRDに返送される;
(f2)エネルギーが、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの一部SUA1*へ移動され、次いで、SUA1*から、一部SUA1がRDに返送される;
(f3)エネルギーが、SOA2の少なくとも一部から流れSUA全体へ移動され、次いで、流れSUA全体または流れSUAの一部SUA1のみ、好ましくは流れSUAの一部SUA1のみがRDに返送される。
【0119】
OA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へのエネルギーの移動、好ましくはSOA2の少なくとも一部による少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1の加熱は、好ましくは直接的または間接的に行われる。
【0120】
「直接的に」とは、SOA2の少なくとも一部と少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1とが、これら2つの流れが混ざりあうことなく接触し、エネルギー、特に熱が、少なくとも一部SOA2から少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へ移動することを意味する。
【0121】
これは、SOA2の少なくとも一部および少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1を精留塔RDの底部蒸発器VSRDに通し、SOA11が少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1を加熱することによって行うことができる。
【0122】
伝熱装置として、特に後述の伝熱装置WT、WT、WTとして、当業者に周知の熱交換器、特に蒸発器を使用することができる。本発明による方法のステップ(f)において、特に、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へのエネルギー、より好ましくは熱の移動は、底部蒸発器VSRDで行われる。
【0123】
「間接的に」とは、特に、SOA2の少なくとも一部が、好ましくは少なくとも1つの熱交換器WTを通じて少なくとも1つの伝熱媒体Wと接触することを意味し、ここで、伝熱媒体は、少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1ではなく、すなわち、Wはそれとは異なるものであり、これにより、エネルギー、好ましくは熱が、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの伝熱媒体Wへと、これらの2つの流れが混ざりあうことなく移動し、次いで、熱がWから少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へ移動し、その際、Wと当該成分とが接触し、その際、少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1とWとは、混ざりあうかまたは混ざりあわないが、好ましくは混ざりあわない。
【0124】
本発明による方法のさらなる一実施形態では、SOA2の少なくとも一部から少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1へと間接的にエネルギーが移動し、特にSOA2の少なくとも一部により少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1が加熱される場合、まず、エネルギー、好ましくは熱を、SOA2からWへ、好ましくは少なくとも1つの熱交換器WTを通じた接触によって移動させ、次いでWから少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1とは異なるさらなる伝熱媒体Wへ、好ましくは少なくとも1つの熱交換器WTを通じた接触によって移動させることもできる。次いで、最後のステップで、Wから少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1への熱の移動が行われ、その際、少なくとも1つの流れSUAの少なくとも一部SUA1とWとは、混ざりあうかまたは混ざりあわないが、好ましくは混ざりあわない。当然のことながら、本発明のさらなる実施形態では、相応してさらなる伝熱媒体W、W、Wなどを用いることができる。
【0125】
伝熱媒体W、またはそれに加えてさらに用いられる伝熱媒体W、W、W、Wとして、当業者に知られている任意の伝熱媒体を用いることができ、これは好ましくは、水;アルコール水溶液;塩水溶液、これには、イオン液体、例えばLiBr溶液、ジアルキルイミダゾリウム塩、例えば特にジアルキルイミダゾリウムジアルキルホスフェートが含まれる;鉱油、例えば軽油;熱油、例えばシリコーン油;生体油、例えばリモネン;芳香族炭化水素、例えばジベンジルトルエンからなる群から選択される。伝熱媒体Wとして最も好ましいのは、水である。
【0126】
また、使用可能な塩水溶液については、例えば、独国特許出願公開第102005028451号明細書および国際公開第2006/134015号にも記載されている。
【0127】
ステップ(f)に続いて、SOA2の少なくとも一部を、次いで、任意に新鮮なアルコールとともに、および/または精留塔RDの還流とともに、および/またはステップ(d)の実施後に得られた流れSOA11とともに、再び精留塔RDに供給することができる。好ましい一実施形態では、SOA2の少なくとも一部から、特にエネルギーがSUAの少なくとも一部SUA1へ移動した後に、さらにエネルギーが移動される。本発明による方法の好ましい一実施形態では、ステップ(f)によりSOA2の少なくとも一部からSUAの少なくとも一部SUA1へとエネルギーが移動された後に、エネルギー、好ましくは熱がSOA2の少なくとも一部からSOAへ移動され、特に、圧縮、好ましくはSOAの予備圧縮またはSOAからSOA1への圧縮であり得るステップ(c)の圧縮に供給されるSOAの部分へ移動される。好ましくは、これは、流れSOAが塔RDを出た後に受ける最初の圧縮である。これにより、少なくとも一部SOA2によってまだ貯蔵されていた残留エネルギーまたは残留熱の一部を、プロセスで使用し、この場合には、圧縮されるSOAの加熱に利用することが可能となる。
【0128】
OA2の少なくとも一部におけるエネルギー、好ましくは熱に関する他の好ましい追加的な低下については、後述する(第4.3節参照)。
【0129】
4.2 少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法
本発明による混合物Gの後処理方法で使用される混合物Gは、アルカリ金属アルコキシド製造用の反応塔から取り出された水/メタノール混合物である。
【0130】
したがって、本発明は、式MOR[式中、Rは、メチルであり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属であり、好ましくはナトリウムである]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドの製造方法に関する。
【0131】
したがって、ROHは、メタノールである。
【0132】
4.2.1 ステップ(α1)
本発明による方法のステップ(α1)において、反応精留塔RRで、ROHを含む反応物流SAE1を、MOHを含む反応物流SAE2と向流で反応させて、MORと水とROHとMOHとを含む粗製物RPを生成する。
【0133】
本発明によれば、「反応精留塔」とは、少なくとも幾つかの部分で本発明による方法のステップ(α1)またはステップ(α2)による反応が進行する精留塔と定義される。これは、「反応塔」と略されることもある。
【0134】
ステップ(α1)において、RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPを取り出す。RRの上端で、水とROHとを含む蒸気流SABを取り出す。
【0135】
は、ナトリウム、カリウムから選択され、好ましくはナトリウムである。
【0136】
反応物流SAE1は、ROHを含む。好ましい一実施形態では、SAE1中のROHの重量分率は、≧95重量%、さらにより好ましくは≧99重量%であり、SAE1は、それ以外に特に水を含む。
【0137】
ステップ(α1)において反応物流SAE1として使用されるアルコールROHは、アルコールの重量分率が99.8重量%超であり水の重量分率が最大0.2重量%である市販のアルコールであってもよい。
【0138】
反応物流SAE1は、好ましくは蒸気状で添加される。
【0139】
反応物流SAE2は、MOHを含む。好ましい一実施形態では、SAE2は、MOHに加えて、水、ROHから選択される少なくとも1つのさらなる化合物を含む。さらにより好ましくは、SAE2は、MOHに加えて水を含み、この場合、SAE2は、MOHの水溶液である。
【0140】
反応物流SAE2がMOHおよび水を含む場合、SAE2を形成する水溶液の全重量に対するMOHの重量分率は、特に10~75重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲である。
【0141】
反応物流SAE2がMOHおよびROHを含む場合、SAE2を形成する溶液の全重量に対するROH中のMOHの重量分率は、特に10~75重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲である。
【0142】
反応物流SAE2がMOHに加えて水とROHの双方を含む特定の場合、SAE2を形成する溶液の全重量に対する、ROHおよび水におけるMOHの重量分率が、特に10~575重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0143】
ステップ(α1)は、反応精留塔(または「反応塔」)RRで実施される。
【0144】
後述するステップ(α2)は、反応精留塔(または「反応塔」)RRで実施される。
【0145】
好ましくは、反応塔RRまたはRRは、内部構造物を含む。適切な内部構造物は、例えば、トレイ、規則充填物または不規則充填物である。反応塔RRまたはRRがトレイを含む場合、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイ、トルマントレイ、クロススリットバブルキャップトレイまたはシーブトレイが適切である。反応塔RRまたはRRがトレイを含む場合、好ましくは、それらのトレイは、液体の最大5重量%、好ましくは1重量%未満が各トレイに滴下するように選択される。液体の滴下を最小限に抑えるために必要な設計上の対策は、当業者にはよく知られている。バルブトレイの場合には、例えば特に密閉性の高いバルブ設計が選択される。バルブの数を減らすことで、さらに、トレイ開口部の蒸気速度を通常設定される値の2倍にまで高めることができる。シーブトレイを使用する場合には、トレイ開口部の直径を小さくし、開口部の数を維持またはさらには増加させることが特に有利である。
【0146】
規則充填物または不規則充填物を使用する場合、液体の均一な分配の観点から規則充填物が好ましい。
【0147】
不規則充填物を備えた塔、特にランダム充填物を備えた塔、および規則充填物を備えた塔において、液体分配の所望の特性は、塔全断面の約2~5%に相当する、塔ジャケットに隣接する塔断面の縁領域における液体トリクル密度を、他の断面領域と比べて最大100%、好ましくは5~15%低減することによって達成することが可能である。これは、例えば、液体分配器の滴下箇所やその孔を狙い通りに分配することで容易に実現できる。
【0148】
本発明による方法は、連続的または非連続的に実施することができる。好ましくは、本発明による方法は、連続的に実施される。
【0149】
「ROHを含む反応物流SAE1を、MOHを含む反応物流SAE2と向流で反応させる」とは、本発明によれば特に、反応塔RRでのステップ(α1)におけるROHを含む反応物流SAE1の少なくとも一部の供給箇所が、MOHを含む反応物流SAE2の供給箇所の下方に位置することによって保証される。
【0150】
反応塔RRは、好ましくは、反応物流SAE1の供給箇所と反応物流SAE2の供給箇所との間に、少なくとも2、特に15~40の理論段を含む。
【0151】
反応塔RRは、純粋なストリッピング塔として運転することができる。その場合、ROHを含む反応物流SAE1は、反応塔RRの下方領域において蒸気状で供給される。
【0152】
ステップ(α1)は、ROHを含む反応物流SAE1の一部が、アルカリ液MOHを含む反応物流SAE2の供給箇所の下方であるが、反応塔RRの上端または上端の領域にて蒸気状で添加される場合をも含む。これにより、反応塔RRの下方領域の寸法を小さくすることができる。ROH、特にメタノールを含む反応物流SAE1の一部が、反応塔RRの上端または上端の領域で、特に蒸気状で添加される場合、(それぞれステップ(α1)で使用されるアルコールROHの全量に対して)10~70重量%、好ましくは30~50重量%の部分量のみが、反応塔RRの下端で投入され、残りの部分量は、単一の流れで、または複数の部分流に分けて、好ましくは1~10の理論段、特に好ましくは1~3の理論段で、MOHを含む反応物流SAE2の供給箇所の下方にて蒸気状で添加される。
【0153】
次に、反応塔RRにおいて、ROHを含む反応物流SAE1とMOHを含む反応物流SAE2とを前記反応<1>にしたがって反応させて、MORおよびHOが生成され、これは平衡反応であるため、これらの生成物は、反応物ROHおよびMOHと混在する。したがって、ステップ(α1)では、反応塔RRにおいて、生成物MORおよび水に加えてさらにROHおよびMOHをも含む粗製物RPが得られる。
【0154】
RRの下端では、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPが得られ、これが取り出される。
【0155】
RRの上端、好ましくはRRの塔頂部で、上記で「水とROHとを含む蒸気流SAB」と表された、なおも水を含むアルコール流が取り出される。
【0156】
この水とROHとを含む蒸気流SABは、ステップ(β)で、少なくとも部分的に混合物Gとして本発明による方法のステップ(a)で使用される。流れSOAにおけるステップ(a)の蒸留で得られたアルコールの一部を、反応塔RRに反応物流SAE1として供給することができる。
【0157】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、SOAの一部は、ステップ(α1)で反応物流SAE1として使用され、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的にステップ(α2)で反応物流SBE1として使用される。
【0158】
本発明による方法のより好ましい一実施形態では、蒸気流SOAの5~95重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、さらにより好ましくは30~70重量%が、反応物流SAE1として使用され、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的にステップ(α2)で反応物流SBE1として使用される。
【0159】
好ましい本実施形態では、反応物流SAE1または反応物流SBE1として使用される流れSOAの部分を圧縮することが有利である。
【0160】
好ましくは、反応物流SAE1に含まれるアルコールROHの量は、それが同時に底部生成物流SAPで得られるアルカリアルコキシドMORの溶媒としても作用するように選択される。好ましくは、反応物流SAE1中のアルコールROHの量は、所望の濃度のアルカリアルコキシド溶液が反応塔の底部に存在し、これがROHとMORとを含む底部生成物流SAPとして取り出されるように選択される。
【0161】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、特に、SAE2がMOHに加えて水をも含む場合、ステップ(α1)において反応物流SAE1として使用されるアルコールROHの全重量(重量;単位:kg)と、ステップ(α1)において反応物流SAE2として使用されるMOHの全重量(重量;単位:kg)との比は、4:1~50:1、より好ましくは8:1~48:1、さらにより好ましくは10:1~45:1、なおもさらにより好ましくは20:1~40:1である。
【0162】
反応塔RRは、還流を伴うかまたは伴わずに、好ましくは還流を伴って運転される。
【0163】
「還流を伴う」とは、ステップ(α1)では反応塔RR、ステップ(α2)では反応塔RRの各塔の上端で取り出された水とROHとを含む蒸気流SABまたはSBBが、完全には排出されないことを意味する。したがって、その場合、ステップ(β)において、当該蒸気流SABまたはSBBは、すべてが混合物Gとして使用されるわけではなく、少なくとも一部、好ましくは一部が、ステップ(α1)では反応塔RR、ステップ(α2)では反応塔RRの各塔に還流として返送される。このような還流を設定する場合、還流比は、好ましくは0.01~1、より好ましくは0.02~0.9、さらにより好ましくは0.03~0.34、特に好ましくは0.04~0.27、非常に特に好ましくは0.05~0.24である。
【0164】
還流は、各塔の頂部に冷却器を設置することにより、設定することができる。ステップ(α1)では、そのために特に反応塔RRに冷却器KRRAが設置される。ステップ(α2)では、そのために特に反応塔RRに冷却器KRRBが設置される。各冷却器において、各蒸気流SABまたはSBBが少なくとも部分的に凝縮され、ステップ(α1)では反応塔RRまたはRRの各塔に返送される。
【0165】
反応塔RRにおいて還流が設定される実施形態では、ステップ(α1)において反応物流SAE2として使用されるMOHを、少なくとも部分的に還流の流れと混合し、得られた混合物をステップ(α1)に供給してもよい。
【0166】
ステップ(α1)は、特に、45℃~150℃、好ましくは47℃~120℃、より好ましくは60℃~110℃の範囲の温度で、0.5bar abs.~40bar abs.、好ましくは0.7bar abs.~5bar abs.の範囲、より好ましくは0.8bar abs.~4bar abs.の範囲、より好ましくは0.9bar abs.~3.5bar abs.の範囲、さらにより好ましくは1.0bar abs.~3bar abs.の圧力で実施される。
【0167】
好ましい一実施形態では、反応塔RRは、特に中間蒸発器VZAおよび底部蒸発器VSAから選択される少なくとも1つの蒸発器を含む。反応塔RRは、特に好ましくは、少なくとも1つの底部蒸発器VSAを含む。
【0168】
本発明によれば、「中間蒸発器」Vとは、各塔の底部の上方、特に反応塔RRまたはRRの底部の上方に存在する(その場合、「VZA」または「VZB」と表される)、または精留塔RDの底部の上方に存在する(その場合、「VZRD」と表される)蒸発器を意味する。RRまたはRRの場合、その中で、特に塔から側流SZAAまたはSZBAとして取り出される粗製物RPまたはRPを蒸発させる。
【0169】
「底部蒸発器」Vとは、本発明によれば、各塔の底部、特に、反応塔RRもしくはRRまたは好ましい実施形態で使用され、以下により詳細に説明されるRRの底部を加熱する(その場合、「VSA」または「VSA’」または「VSB」または「VSB’」または「VSC」または「VSC’」と表される)または精留塔RDの底部を加熱する(その場合、「VSRD」または「VSRD’」と表される)蒸発器を指す。RRまたはRRの場合、その中で、特に底部生成物流SAPまたはSBPの少なくとも一部を蒸発させる。RRの場合、その中で、特に底部生成物流SCPを蒸発させる。RDの場合、その中で、特に底部生成物流SUA、またはSUAの一部であるSUA1を蒸発させる。
【0170】
蒸発器は、通常、各反応塔または精留塔の外側に配置されている。蒸発器では、エネルギー、特に熱が、ある1つの流れから別の流れへと移動されるため、蒸発器は伝熱装置WTである。蒸発させる混合物は、抜出部を通じて塔から抜き出され、少なくとも1つの蒸発器に供給される。反応塔RRまたはRRの場合、これは、粗製物RPまたはRPの中間蒸発の際に抜き出されて少なくとも1つの中間蒸発器VZAまたはVZBに供給される。
【0171】
精留塔RDの場合、中間蒸発の際に少なくとも1つの側流SZAがRDから取り出され(「抜き出され」)、少なくとも1つの中間蒸発器VZRDに供給される。
【0172】
精留塔RDの場合、底部蒸発の際に少なくとも1つの流れSUAがRDから取り出され(「抜き出され」)、少なくとも一部、好ましくは一部が少なくとも1つの底部蒸発器VSRDに供給される。
【0173】
蒸発した混合物は、場合により液体が残った状態で、少なくとも1つの供給部を通じて各塔に返送される。蒸発器が中間蒸発器、すなわち特に中間蒸発器VZAまたはVZBまたはVZRDである場合には、各混合物が抜き出されて蒸発器に供給される抜出部は、側方抜出部であり、蒸発した混合物が各塔に再び供給される供給部は、側方供給部である。蒸発器が底部蒸発器である場合、すなわち塔底部を加熱する場合、つまり特に底部蒸発器VSAまたはVSBまたはVSRDである場合、底部抜出流の少なくとも一部、特にSAPまたはSBPは底部蒸発器に供給されて蒸発し、底部領域で再び各塔に返送される。しかし代替的に、例えば、中間蒸発器の使用時に適切なトレイ上に、または各塔の底部に管を形成して、この中に伝熱媒体、例えば各圧縮蒸気流SOA11またはSOA2(VまたはVが精留塔RDに存在する場合)または伝熱媒体Wを流すことも可能である。この場合、蒸発は塔のトレイ上または塔底部で行われる。ただし、蒸発器は各塔の外側に配置することが好ましい。
【0174】
中間蒸発器および底部蒸発器として使用できる適切な蒸発器は、例えば、自然循環式蒸発器、強制循環式蒸発器、膨張部を備えた強制循環式蒸発器、ケトル型リボイラー、薄膜落下式蒸発器または薄膜式蒸発器である。自然循環式蒸発器や強制循環式蒸発器では、蒸発器の伝熱装置として通常はチューブバンドルやプレート式装置が使用される。チューブバンドル式伝熱装置を用いる場合、伝熱媒体、例えば精留塔RDのVSRDもしくはVZRDにおける圧縮蒸気流SOA11もしくはSOA2、または伝熱媒体Wが管の中を流れ、蒸発させる混合物が管の周囲を流れてもよいし、伝熱媒体、例えば精留塔RDのVSRDもしくはVZRDにおける圧縮蒸気流SOA11もしくはSOA2、または伝熱媒体Wが管の周囲を流れ、蒸発させる混合物が管の中を流れてもよい。薄膜落下式蒸発器の場合には、通常、蒸発させる混合物を管の内側に薄膜として加え、管を外側から加熱する。薄膜式蒸発器では、薄膜落下式蒸発器とは異なり、さらにワイパー付きロータが設けられており、これにより、蒸発させる液体を管の内壁に分散させて薄膜を形成する。
【0175】
しかし、上記のものに加えて、精留塔での使用に適した当業者に知られている他の任意のタイプの蒸発器も使用することができる。
【0176】
例えば圧縮蒸気流SOA11または伝熱媒体Wを加熱蒸気として用いて運転される蒸発器が中間蒸発器である場合、中間蒸発器は、精留塔RDのストリッピング部において、混合物Gの供給箇所と塔底部の上方との間、または反応塔RRまたはRRの場合には反応物流SAE2またはSBE2の供給箇所の下方の領域に配置されていると好ましい。このため、加熱エネルギーの大部分を中間蒸発器により導入することができる。例えば、エネルギーの80%超を中間蒸発器により導入することができる。本発明によれば、中間蒸発器は、蒸留に必要な全エネルギーの10%超、特に20%超がこれにより導入されるように配置および/または設計されることが好ましい。
【0177】
中間蒸発器を使用する場合、各精留塔または反応塔が、中間蒸発器の下方に1~50の理論段を有し、中間蒸発器の上方に1~200の理論段を有するように中間蒸発器を配置すると特に有利である。特に、精留塔または反応塔が、中間蒸発器の下方に2~10の理論段を有し、中間蒸発器の上方に20~80の理論段を有すると好ましい。
【0178】
混合物が精留塔または反応塔から中間蒸発器Vに供給される側方抜出流と、蒸発した混合物が中間蒸発器Vから各精留塔または反応塔に再び供給される側方供給部とは、塔の同じトレイの間に配置することが可能である。ただし、側方抜出部と側方供給部とが異なる高さに位置することも可能である。
【0179】
このような中間蒸発器VZAでは、反応塔RRに存在するMORと水とROHとMOHとを含む液状粗製物RPをガス状に変換することができるため、本発明による方法のステップ(α1)による反応の効率が向上する。
【0180】
このような中間蒸発器VZBでは、反応塔RRに存在するMORと水とROHとMOHとを含む液状粗製物RPをガス状に変換することができるため、本発明による方法のステップ(α2)による反応の効率が向上する。
【0181】
反応塔RRの上方領域に1つ以上の中間蒸発器VZAまたはVZBを配置することで、反応塔RRの下方領域の寸法を小さくすることができる。少なくとも1つ、好ましくは複数の中間蒸発器VZAまたはVZBを有する実施形態では、ROHの部分流を液状で反応塔RRの上方領域に供給することも可能である。
【0182】
さらなる好ましい一実施形態では、エネルギー、好ましくは熱が、SOA1、SOA2から選択される、特にSOA11、SOA12、SOA2から選択される、好ましくはSOA11、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへ、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへ移動される。
【0183】
「SOA1の少なくとも一部から粗製物RPへの、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへのエネルギー、好ましくは熱の移動」には、SOA11、SOA12から選択される少なくとも1つの流れから、またはSOA11、SOA12に分離される前の流れSOA1から粗製物RPへの、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへのエネルギー、好ましくは熱の移動も含まれる。また、SOA11、SOA12の一部から粗製物RPへの、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへのエネルギーの移動も含まれる。
【0184】
これに関連して、特に、SOA1、SOA2から選択される当該流れの一部、またはSOA1、SOA2から選択される当該流れからエネルギーが以前に移動された伝熱媒体Wは、少なくとも部分的に中間蒸発器VZAまたはVZBに通され、エネルギーが、SOA1、SOA2から選択される当該流れまたはWから、RRまたはRRの側方抜出部で抜き出された粗製物流に移動され、特に、SOA1、SOA2から選択される当該流れまたはWが、蒸発器VZAまたはVZBの加熱に利用される。
【0185】
本発明によれば、底部蒸発器は、各精留塔RDまたは反応塔RRもしくはRRもしくはRRの底部に配置され、その場合、「VSRD」または「VSRD’」または「VSA」または「VSA’」または「VSB」または「VSB’」または「VSC」または「VSC’」と表される。このような底部蒸発器において、各塔(特に反応塔RRまたはRR)中に存在する底部生成物流(特にSAPまたはSBP)を通し、例えばROHを少なくとも部分的にそこから除去することができる。SAPまたはSBPの場合、それにより、SAPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SAP*、またはSBPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SBP*を得ることができる。
【0186】
本発明による方法のステップ(α1)において、反応塔RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPが取り出される。
【0187】
反応塔RRが少なくとも1つの底部蒸発器VSAを含み、それに底部生成物流SAPが部分的に通され、ROHが底部生成物流SAPから部分的に除去されることが好ましく、それにより、SAPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SAP*が得られる。
【0188】
したがって、別の好ましい実施形態では、SOA1、SOA2から選択される、特にSOA11、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへ、ステップ(α2)が実施される場合には、代替的または追加的に粗製物RPへエネルギー、好ましくは熱を移動させるために、以下のことが行われる:
特に、SOA1、SOA2から選択される当該流れの一部、またはSOA1、SOA2から選択される当該流れからエネルギーが以前に移動された伝熱媒体Wは、次いで、少なくとも部分的に底部蒸発器VSAまたはVSBに通され、エネルギーが、SOA1、SOA2から選択される当該流れまたはWから底部生成物流SAPまたはSBPに移動され、特に、SOA1、SOA2から選択される当該流れまたはWが、蒸発器VSAまたはVSBの加熱に利用される。
【0189】
ここで、底部生成物流SAP*のMORの重量分率は、特に底部生成物流SAPのMORの重量分率と比較して、少なくとも0.5%、好ましくは≧1%、より好ましくは≧2%、さらにより好ましくは≧5%増加している。
【0190】
好ましくは、SAPは、または少なくとも1つの底部蒸発器VSAが使用され、これに底部生成物流SAPが少なくとも部分的に通され、そこからROHが少なくとも部分的に除去される場合にはSAP*は、SAPの全重量に対してそれぞれ1~50重量%、好ましくは5~35重量%、より好ましくは15~35重量%、最も好ましくは20~35重量%の範囲の、ROH中のMORの重量分率を有する。
【0191】
ここで、SAPまたはSAP*中の残留水の重量分率は好ましくは、SAPの全重量に対して、<1重量%、好ましくは<0.8重量%、より好ましくは<0.5重量%である。
【0192】
ここで、SAPまたはSAP*中の反応物MOHの重量分率は好ましくは、SAPの全重量に対して、<1重量%、好ましくは<0.8重量%、より好ましくは<0.5重量%である。
【0193】
4.2.2 ステップ(α2)(任意)
ステップ(α2)は、本発明による方法の任意の実施形態である。これは、本発明による方法の好ましい実施形態の範囲において、ステップ(α2)が実施されるかまたは実施されないことを意味する。任意のステップ(α2)では、ステップ(α1)と同時にかつ空間的に離れた状態で、反応精留塔RRで、ROHを含む反応物流SBE1を、MOHを含む反応物流SBE2と向流で反応させて、MORと水とROHとMOHとを含む粗製物RPを生成する。
【0194】
本発明による方法のステップ(α2)において、RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPが取り出される。RRの上端で、水とROHとを含む蒸気流SBBが取り出される。
【0195】
は、ナトリウム、カリウムから選択され、好ましくはカリウムである。
【0196】
反応物流SBE1は、ROHを含む。好ましい一実施形態では、SBE1中のROHの重量分率は、≧95重量%、さらにより好ましくは≧99重量%であり、SBE1は、それ以外に特に水を含む。
【0197】
本発明による方法のステップ(α2)において反応物流SBE1として使用されるアルコールROHは、アルコールの重量分率が99.8重量%超であり水の重量分率が最大0.2重量%である市販のアルコールであってもよい。
【0198】
反応物流SBE1は、好ましくは蒸気状で添加される。
【0199】
反応物流SBE2は、MOHを含む。好ましい一実施形態では、SBE2は、MOHに加えて、水、ROHから選択される少なくとも1つのさらなる化合物を含む。さらにより好ましくは、SBE2は、MOHに加えて水を含み、この場合、SBE2は、MOHの水溶液である。
【0200】
反応物流SBE2がMOHおよび水を含む場合、SBE2を形成する水溶液の全重量に対するMOHの重量分率は、特に10~75重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲である。
【0201】
反応物流SBE2がMOHおよびROHを含む場合、SBE2を形成する溶液の全重量に対するROH中のMOHの重量分率は、特に10~75重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲である。
【0202】
反応物流SBE2がMOHに加えて水とROHの双方を含む特定の場合、SBE2を形成する溶液の全重量に対する、ROHおよび水におけるMOHの重量分率が、特に10~75重量%、好ましくは15~54重量%、より好ましくは30~53重量%、特に好ましくは40~52重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0203】
本発明による方法のステップ(α2)は、反応精留塔(または「反応塔」)RRで実施される。反応塔RRの好ましい一実施形態は、第4.2.1節に記載されている。
【0204】
「ROHを含む反応物流SBE1を、MOHを含む反応物流SBE2と向流で反応させる」とは、本発明によれば特に、反応塔RRでのステップ(α2)におけるROHを含む反応物流SBE1の少なくとも一部の供給箇所が、MOHを含む反応物流SBE2の供給箇所の下方に位置することによって保証される。
【0205】
反応塔RRは、好ましくは、反応物流SBE1の供給箇所と反応物流SBE2の供給箇所との間に少なくとも2、特に15~40の理論段を含む。
【0206】
反応塔RRは、純粋なストリッピング塔として運転することができる。その場合、ROHを含む反応物流SBE1は、反応塔RRの下方領域において蒸気状で供給される。本発明による方法のステップ(α2)は、ROHを含む反応物流SBE1の一部が、アルカリMOHを含む反応物流SBE2の供給箇所の下方であるが、反応塔RRの上端または上端の領域にて蒸気状で添加される場合をも含む。これにより、反応塔RRの下方領域の寸法を小さくすることができる。ROH、特にメタノールを含む反応物流SBE1の一部が、反応塔RRの上端または上端の領域で、特に蒸気状で添加される場合、(それぞれステップ(α2)で使用されるアルコールROHの全量に対して)10~70重量%、好ましくは30~50重量%の部分量のみが、反応塔RRの下端で投入され、残りの部分量は、単一の流れで、または複数の部分流に分けて、好ましくは1~10の理論段、特に好ましくは1~3の理論段で、MOHを含む反応物流SBE2の供給箇所の下方にて蒸気状で添加される。
【0207】
次に、反応塔RRにおいて、ROHを含む反応物流SBE1とMOHを含む反応物流SBE2とを前記反応<1>にしたがって反応させて、MORおよびHOが生成され、これは平衡反応であるため、これらの生成物は、反応物ROHおよびMOHと混在する。したがって、本発明による方法のステップ(α2)では、反応塔RRにおいて、生成物MORおよび水に加えてさらにROHおよびMOHをも含む粗製物RPが得られる。
【0208】
RRの下端では、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPが得られ、これが取り出される。
【0209】
RRの上端、好ましくはRRの塔頂部で、上記で「水とROHとを含む蒸気流SBB」と表された、なおも水を含むアルコール流が取り出される。
【0210】
本発明による方法のステップ(β)では、この水とROHとを含む蒸気流SBBの少なくとも一部が、特に混合物Gとして本発明による方法のステップ(a)で使用される。ここで、この蒸気流SBBの少なくとも一部は、SABと混合された状態で、またはSABと混合されていない状態で、つまりSABとは別に、混合物Gとして精留塔RDに供給される。好ましくは、蒸気流SBBとSABとが混合され、次いでこの混合物が混合物Gとして本発明による方法のステップ(a)で使用される。
【0211】
好ましくは、反応物流SBE1に含まれるアルコールROHの量は、それが同時に底部生成物流SBPで得られるアルカリアルコキシドMORの溶媒としても作用するように選択される。好ましくは、反応物流SBE1中のアルコールROHの量は、所望の濃度のアルカリアルコキシド溶液が反応塔の底部に存在し、これがROHとMORとを含む底部生成物流SBPとして取り出されるように選択される。
【0212】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、特に、SBE2がMOHに加えて水をも含む場合、ステップ(α2)において反応物流SBE1として使用されるアルコールROHの全重量(重量;単位:kg)と、ステップ(α2)において反応物流SBE2として使用されるMOHの全重量(重量;単位:kg)との比は、4:1~50:1、より好ましくは8:1~48:1、さらにより好ましくは10:1~45:1、なおもさらにより好ましくは20:1~40:1である。
【0213】
反応塔RRは、還流を伴うかまたは伴わずに、好ましくは還流を伴って運転される。
【0214】
「還流を伴う」とは、各塔の、ステップ(α2)では反応塔RRの上端で取り出された水とROHとを含む蒸気流SBBが完全に排出されるのではなく、すなわち、本発明による方法のステップ(β)で完全にステップ(a)で混合物Gとして使用され、すなわち精留塔RDに供給されるのではなく、少なくとも一部、好ましくは一部が、各塔に、ステップ(α2)では反応塔RRに、還流として再び供給されることを意味する。このような還流を設定する場合、還流比は、好ましくは0.01~0.99、より好ましくは0.02~0.9、さらにより好ましくは0.03~0.34、特に好ましくは0.04~0.27、非常に特に好ましくは0.05~0.24である。
【0215】
反応塔RRにおいて還流が設定される実施形態では、ステップ(α2)において反応物流SBE2として使用されるMOHを、少なくとも部分的に還流の流れと混合し、得られた混合物をステップ(α2)に供給してもよい。
【0216】
任意のステップ(α2)は、特に、45℃~150℃、好ましくは47℃~120℃、より好ましくは60℃~110℃の範囲の温度で、0.5bar abs.~40bar abs.、好ましくは0.7bar abs.~5bar abs.の範囲、より好ましくは0.8bar abs.~4bar abs.の範囲、より好ましくは0.9bar abs.~3.5bar abs.の範囲、さらにより好ましくは1.0bar abs.~3bar abs.の圧力で実施される。
【0217】
好ましい一実施形態では、反応塔RRは、特に中間蒸発器VZBおよび底部蒸発器VSBから選択される少なくとも1つの蒸発器を含む。反応塔RRは、特に好ましくは、少なくとも1つの底部蒸発器VSBを含む。
【0218】
このような中間蒸発器VZBでは、反応塔RRに存在するMORと水とROHとMOHとを含む液状粗製物RPをガス状に変換することができるため、本発明による方法のステップ(α2)による反応の効率が向上する。
【0219】
反応塔RRの上方領域に1つ以上の中間蒸発器VZBを配置することで、反応塔RRの下方領域の寸法を小さくすることができる。少なくとも1つ、好ましくは複数の中間蒸発器VZBを有する実施形態では、ROHの部分流を液状で反応塔RRの上方領域に供給することも可能である。
【0220】
本発明による方法のステップ(α2)において、反応塔RRの下端で、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPが取り出される。
【0221】
反応塔RRが少なくとも1つの底部蒸発器VSBを含み、それに底部生成物流SBPが少なくとも部分的に通され、ROHが底部生成物流SBPから少なくとも部分的に除去されることが好ましく、それにより、SBPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SBP*が得られる。
【0222】
ここで、底部生成物流SBP*のMORの重量分率は、特に底部生成物流SBPのMORの重量分率と比較して、少なくとも0.5%、好ましくは≧1%、より好ましくは≧2%、さらにより好ましくは≧5%増加している。
【0223】
好ましくは、SBPは、または少なくとも1つの底部蒸発器VSBが使用され、これに底部生成物流SBPが少なくとも部分的に通され、そこからROHが少なくとも部分的に除去される場合にはSBP*は、SBPの全重量に対してそれぞれ1~50重量%、好ましくは5~35重量%、より好ましくは15~35重量%、最も好ましくは20~35重量%の範囲の、ROH中のMORの重量分率を有する。
【0224】
ここで、SBPまたはSBP*中の残留水の重量分率は好ましくは、SBPの全重量に対して、<1重量%、好ましくは<0.8重量%、より好ましくは<0.5重量%である。
【0225】
ここで、SBPまたはSBP*中の反応物MOHの重量分率は好ましくは、SBPの全重量に対して、<1重量%、好ましくは<0.8重量%、より好ましくは<0.5重量%である。
【0226】
ステップ(α2)も実施される本方法の実施形態では、好ましくは、底部生成物流SAPが少なくとも部分的に底部蒸発器VSAに通され、ROHがSAPから少なくとも部分的に除去され、それにより、SAPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SAP*が得られ、かつ/または、好ましくはかつ、底部生成物流SBPが少なくとも部分的に底部蒸発器VSBに通され、ROHがSBPから少なくとも部分的に除去され、それにより、SBPに対してMORの重量分率が増加した底部生成物流SBP*が得られる。
【0227】
本発明による方法のステップ(α2)が実施される本発明の実施形態では、ステップ(a2)は、ステップ(α1)と同時にかつ空間的に離れた状態で実施される。2つの反応塔RRおよびRRでステップ(α1)および(α2)を行うことにより、空間的な分離が確保される。
【0228】
本発明の有利な一構成では、反応塔RRおよびRRは、塔ジャケットに収容されており、その際、塔は、少なくとも1つの隔壁によって少なくとも部分的に区切られている。このような少なくとも1つの隔壁を有する塔は、「TRD」と表される。このような隔壁塔は当業者に知られており、例えば、米国特許第2,295,256号明細書、欧州特許出願公開第0122367号明細書、欧州特許出願公開第0126288号明細書、国際公開第2010/097318号、および
【化2】
に記載されている。中国特許出願公開第105218315号明細書にも同様に、メタノールの精留時に使用される隔壁塔が記載されている。
【0229】
本発明による方法について考慮される隔壁塔において、隔壁は、好ましくは底部まで通され、特に好ましくは塔の長手方向に少なくとも1/4、より好ましくは少なくとも1/3、さらにより好ましくは少なくとも半分、さらにより好ましくは少なくとも2/3、なおもさらにより好ましくは少なくとも3/4に延びている。隔壁は、塔を少なくとも2つの反応空間に区切っており、これらの反応空間において、空間的に分離した反応を行うことができる。少なくとも1つの隔壁によって作られる反応空間は、同じ大きさであっても、異なる大きさであってもよい。
【0230】
隔壁によって分離された各領域において、本実施形態では、底部生成物流SAPおよびSBPを別々に取り出すことができ、好ましくは、少なくとも1つの反応壁によって形成された各反応空間に設置された底部蒸発器VSAまたはVSBに通し、そこでSAPまたはSBPからROHを少なくとも部分的に除去して、SAP*またはSBP*を得ることができる。
【0231】
したがって、本発明による方法の好ましい一実施形態では、精留塔RD、反応塔RR、そしてステップ(α2)が実施される場合には反応塔RRから選択される塔のうちの少なくとも2つ、さらにより好ましくは正確に2つが塔ジャケットに収容されており、その際、各塔は、少なくとも部分的に、塔底部まで通された隔壁によって互いに分離されている。
【0232】
本発明による方法における反応塔RR(またはステップ(α2)が実施される実施形態では、反応塔RRおよび反応塔RR)と精留塔RDとの組み合わせにおいて、精留塔RDは、塔間での圧力低下がわずかとなるように選択された圧力で運転されることが好ましい。
【0233】
本発明による方法では、アルコールROHは消費され、したがって、特に連続方法運転の場合には、新鮮なアルコールROHを補う必要がある。
【0234】
その際、新鮮なアルコールROHが、特に、ROHを含む反応物流SAE1として、反応塔RRに、またはステップ(α2)が実施される実施形態では反応塔RRおよびRRに直接供給される。
【0235】
本発明による方法において、ROHを含む蒸気流SOAを、部分的に、ステップ(α1)において反応物流SAE1として使用し、任意にステップ(α2)において反応物流SBE1として使用することがさらに好ましい。代替的または追加的に、圧縮蒸気流SOA1を、部分的に、ステップ(α1)において反応物流SAE1として使用し、任意にステップ(α2)において反応物流SBE1として使用することができる。この好ましい一実施形態では、精留塔RDに新鮮なアルコールROHが添加されることがさらにより好ましい。
【0236】
精留塔RDに新鮮なアルコールROHが添加される場合、精留塔RDの濃縮部に供給するか、または精留塔RDの頂部に直接供給することが好ましい。最適な供給箇所は、使用される新鮮なアルコールの水含有量と、他方では蒸気流SOA中の所望の残留水含有量とに依存する。使用されるアルコールの水含有量が多く、また蒸気流SOAの純度要求が高いほど、精留塔RDの頂部から若干の理論段数分だけ下方での注入が有利になる。精留塔RDの頂部より最大で20理論段数分だけ下方であることが好ましく、特に1~5理論段数分だけ下方であることが好ましい。
【0237】
精留塔RDに新鮮なアルコールROHが添加される場合、精留塔RDの頂部で沸点までの温度で、好ましくは室温で添加される。この場合、新鮮なアルコールについては別途注入することが予定されていてよいが、精留塔RDの頂部で取り出されたアルコールの一部が凝縮後に返送される場合には、これと混合して精留塔RDに一緒に供給することも可能である。この場合、蒸気流SOAから凝縮されたアルコールが収集される凝縮液容器に新鮮なアルコールを添加すると特に好ましい。
【0238】
上述のとおり、本発明の有利な一構成では、精留塔RD、反応塔RR、そしてステップ(α2)が実施される場合には反応塔RRから選択される塔のうちの少なくとも2つが塔ジャケットに収容されており、その際、各塔は、少なくとも部分的に、それぞれ塔底部まで通された隔壁によって互いに分離されている。したがって、ステップ(α2)が実施される前述の好ましい実施形態では、これらは2つの隔壁によって互いに分離されており、その際、2つの隔壁が塔底部まで通されている。
【0239】
好ましい本実施形態では、特に、ステップ(α1)による粗製物RPへの、またはステップ(α1)および(α2)による粗製物RPおよびRPへの反応はTRDの一部で行われ、その際、反応物流SAE2および任意に反応物流SBE2は、隔壁の上端の下方だがほぼ同じレベルで加えられ、反応物流SAE1および任意に反応物流SBE1は、下端にて蒸気状で加えられる。反応物流の供給箇所の上方で生じるアルコール/水混合物は、精留塔RDの濃縮部として機能する塔領域の全体にわたって隔壁の上方で分配される。塔の、隔壁で仕切られた第2または第3の下部は、精留塔RDのストリッピング部である。蒸留に必要なエネルギーは、塔の、隔壁で仕切られた第2の部分の下端の蒸発器を通じて供給され、その際、この蒸発器は、従来通り加熱することも、圧縮蒸気流SOA2の一部で加熱することも可能である。蒸発器が従来通り加熱される場合、圧縮蒸気流SOA11の一部で加熱される中間蒸発器を追加で設けてもよい。
【0240】
OAの一部が反応物流SAE1および/または反応物流SBE1として使用される実施形態では、SOAは特に、第1の圧縮装置VDAB2で圧縮(「予備圧縮」)され、これにより、RD内の圧力に対する反応塔RRおよびRR内の圧力の差を考慮することができる。
【0241】
代替的または追加的に、好ましい本実施形態では、精留塔RDの下流に接続され、SOAの予備圧縮を行う圧縮装置VDAB2の代わりに、精留塔RDの上流に接続された圧縮装置VDAB1を使用することもでき、混合物Gは、この圧縮装置VDAB1に送られた後にRDに送られる。
【0242】
少なくとも1つの蒸気流SOAの残りの部分、すなわち特に反応物流SAE1および/または反応物流SBE1として使用されない部分は、還流としてRDに返送されない限り、好ましい本実施形態では、さらに圧縮されてSOA1となる。本発明によれば、SOAは、圧縮装置段階で初めてSOA1となり、その後、SOA1は、SOA11とSOA12とに分割され、これらは本発明によるステップ(d)で使用される。SOAをSOA1に圧縮するこの圧縮は、図面および実施例では、圧縮装置VD(図では<401>と表示)で実施される。
【0243】
4.2.3 ステップ(β)
本発明による方法のステップ(β)では、蒸気流SABの少なくとも一部が、そしてステップ(α2)が実施される場合には蒸気流SBBの少なくとも一部が、SABと混合された状態で、またはSABとは別に、本発明による方法のステップ(a)で混合物Gとして使用される。ステップ(α2)が実施される場合、蒸気流SABの少なくとも一部と蒸気流SBBの少なくとも一部とが混合され、次いで本発明による方法のステップ(a)で混合物Gとして使用されることが好ましい。
【0244】
「本発明による方法のステップ(a)で混合物Gとして使用される」とは、特に、2つの流れSABおよびSBBが、好ましくは予め混合された状態で精留塔RDに送られることを意味する。
【0245】
しかしまた、これらを2つの異なる供給箇所で精留塔RDに送ることもできる。
【0246】
4.3 好ましい態様:アルカリ金属アルコキシドのアルコール交換方法
本発明の有利な実施形態では、流れSOA1、SOA2、SOA11、SOA12のうちの少なくとも1つに含まれるエネルギーは、他の工業プロセスの運転に利用される。これは、加熱用の熱の需要が常にある、統合的生産拠点(ケミカルパーク、テクノロジーパーク)において特に有利である。このエネルギーを、特に複数のアルカリ金属アルコキシド製造プラントを用いる統合的生産において有利に利用することができる。このような統合的生産には通常、独国特許出願公開第2726491号明細書に記載されているようなアルコール交換方法も含まれる。米国特許第3,418,383号明細書には、メトキシドからプロポキシドへのアルコール交換方法が記載されている。
【0247】
本発明の好ましい一態様では、本発明による方法において、MOR’と任意にR’OHとを含む反応物流SCE1を、反応精留塔RRで、R’’OHを含む反応物流SCE2と向流で反応させて、MOR’’とR’OHとを含む粗製物RPを生成し、
RRの下端で、MOR’’を含む底部生成物流SCPが取り出され、RRの上端で、R’OHを含む蒸気流SCBが取り出され、
R’およびR’’は、互いに異なる2つのC~C炭化水素基であり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される金属であり、好ましくはナトリウムであり、
エネルギーが、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPに移動される。
【0248】
本発明の好ましい態様による本発明による方法は、例えば独国特許出願公開第2726491号明細書に記載されているような、所与のアルカリ金属アルコキシドMOR’を別のアルカリ金属アルコキシドMOR’’にアルコール交換するためのものである。
【0249】
R’およびR’’は、互いに異なる2つのC~C炭化水素基、好ましくは互いに異なる2つのC~C炭化水素基である。さらにより好ましくは、R’は、メチルであり、R’’は、C~C炭化水素基であり、さらにより好ましくは、R’=メチルであり、R’’=エチルである。
【0250】
本発明の好ましい態様による方法(以下、「アルコール交換」ともいう)は、反応精留塔RRで実施される。反応精留塔として、第4.2.1節でステップ(α1)に関連してRRについて説明されているような塔が適している。
【0251】
反応塔RRは、還流を伴うかまたは伴わずに、好ましくは還流を伴って運転される。還流が設定される場合、特に蒸気SCBは、部分的にまたは完全に冷却器KRRCに送られ、凝縮された蒸気を、次いで反応塔RRに供給することも、反応物流SAE1またはSBE1として使用することもできる。また、凝縮された蒸気を、RDで新鮮なアルコール流として使用することもできる。
【0252】
アルコール交換時に、RRの下端で、MOR’’を含む底部生成物流SCPが取り出される。RRの上端で、R’OHを含む蒸気流SCBが取り出される。
【0253】
OR’と任意にR’OHとを含む反応物流SCE1として、好ましくは、本発明によるアルカリ金属アルコキシドの製造方法も実施されるアルコール交換の実施形態では、好ましくはSAPの少なくとも一部が使用され、特に、R=メチルであるため、その場合、R’もメチルである。その場合、R’’=エチルが特に好ましい。したがって、アルカリ金属メトキシドから対応するアルカリ金属エトキシドへのアルコール交換が行われる。
【0254】
OR’と任意にR’OHとを含む反応物流SCE1として、本発明によるステップ(α2)を含むアルカリ金属アルコキシドの製造方法も実施されるアルコール交換の実施形態の好ましい代替形態では、好ましくはSBPの少なくとも一部が使用され、特に、R=メチルであるため、その場合、R’もメチルである。その場合、R’’=エチルが特に好ましい。したがって、アルカリ金属メトキシドから対応するアルカリ金属エトキシドへのアルコール交換が行われる。
【0255】
BPおよびSAPが同じアルカリ金属アルコキシドおよび同じアルコールROHを含む場合、これら2つの流れを、別々にまたは混合した状態でSCE1として使用することができ、すなわち、特に最初に混合してから1つの反応物流SCE1として塔RRに供給することも、2つの反応物流SCE1として別々に塔RRに供給することもできる。
【0256】
反応物流SCE2は、R’’OHを含む。好ましい一実施形態では、SCE2中のR’’OHの重量分率は、≧85重量%、さらにより好ましくは≧90重量%であり、その際、SCE2は、それ以外に特にMOR’’または別の変性剤を含む。反応物流SCE2として使用されるアルコールR’’OHは、アルコールの重量分率が99.8重量%超であり水の重量分率が最大0.2重量%である市販のアルコールであってもよい。
【0257】
「MOR’と任意にR’OHとを含む反応物流SCE1と、R’’OHを含む反応物流SCE2との向流での反応」とは、特に本発明によれば、反応塔RRにおけるMOR’を含む反応物流SCE1の少なくとも一部の供給箇所が、R’’OHを含む反応物流SCE2の供給箇所の上方に位置することによって保証される。
【0258】
反応塔RRは、還流を伴うかまたは伴わずに、好ましくは還流を伴って運転される。
【0259】
好ましい一実施形態では、反応塔RRは、特に中間蒸発器VZCおよび底部蒸発器VSCから選択される少なくとも1つの蒸発器を含む。反応塔RRは、特に好ましくは少なくとも1つの底部蒸発器VSCを含む。
【0260】
反応塔RRの場合、中間蒸発の際に少なくとも1つの側流SZCがRRから取り出され(「抜き出され」)、少なくとも1つの中間蒸発器VZCに供給される。
【0261】
反応塔RRの場合、底部蒸発の際に少なくとも1つの流れ、例えばSCPがRRから取り出され(「抜き出され」)、少なくとも一部、SCPの場合には好ましくは一部が少なくとも1つの底部蒸発器VSCに供給される。
【0262】
中間蒸発器および底部蒸発器として使用できる適切な蒸発器は、第4.2.1節に記載されている。
【0263】
アルコール交換時に、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへエネルギー、好ましくは熱が移動される。これは好ましくは、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から、SCE1またはSCE2がRRに送られる前に、SCE1またはSCE2にエネルギーを移動させ、次いでSCE1またはSCE2から、それらが混じる、RR内に存在する粗製物RPにエネルギーを移動させることによって行われる。
【0264】
したがって、エネルギー、好ましくは熱は、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から、特にSOA11、SOA12、SOA2から選択される少なくとも1つの流れから、好ましくはSOA11、SOA2の一部から選択される少なくとも1つの流れから、粗製物RPへ移動される。
【0265】
「SOA1の少なくとも一部から粗製物RPへのエネルギー、好ましくは熱の移動」には、SOA11、SOA12、SOA11とSOA12とに分離する前の流れSOA1から選択される少なくとも1つの流れから粗製物RPへのエネルギー、好ましくは熱の移動も含まれる。
【0266】
さらに、粗製物RPを、中間蒸発器VZCまたは底部蒸発器VSCに送り、VZCまたはVSCで、エネルギー、好ましくは熱を、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から粗製物RPへ移動させることもできる。
【0267】
さらに、底部生成物流SCPを部分的に底部蒸発器VSCに送り、次いで部分的に再びRRに返送することもでき、その際、VSCで、エネルギー、好ましくは熱が、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部からSCPの返送された部分へ移動され、次いで塔RRで、SCPから塔内に存在する粗製物RPへ移動される。
【0268】
ここで、SOA1、SOA2から選択される流れの少なくとも一部から前述の流れへのエネルギーの移動は、第4.1.4節に記載されているのと同様に、直接的または間接的に、すなわち、伝熱媒体Wを用いずにまたは伝熱媒体Wを用いて行われる。
【0269】
本発明による方法の好ましい実施形態により、SOA1、SOA2、特にSOA2、SOA11、SOA12からのエネルギーを効率的に利用することが可能となる。これにより、必要な総エネルギーが低減される。
【0270】
5. 実施例
5.1 例1(本発明によらない)、図1に対応:
100kg/hのNaOH水溶液流(50重量%)SAE2<102>を、反応塔RR<100>の頂部に30℃で供給する。向流で、1034.9kg/hの蒸気状メタノール流SAE1<103>を反応塔RR<100>の底部に供給する。反応塔RR<100>を、2.15bar abs.の頂部圧で運転する。塔RR<100>の底部で、219.7kg/hのほぼ水不含の生成物流SAP*<104>(メタノール中30重量%のナトリウムメトキシド)を取り出す。反応塔RR<100>の蒸発器VSA<105>で、低圧蒸気を用いて約24kWの加熱電力を供給する。蒸気状メタノール-水の流れSAB<107>を反応塔RR<100>の頂部で取り出し、そのうちの80kg/hを冷却器KRRA<108>で凝縮させ、還流として反応塔RR<100>に返送し、残りの915.2kg/hの流れを精留塔RD<300>に供給する。精留塔RD<300>を、2.0bar abs.の頂部圧で運転する。精留塔RD<300>の底部で、72.2kg/hの液体水流SUA<304>を排出させる(500重量ppmのメタノール)。精留塔RD<300>の頂部で、1903.6kg/hの蒸気状メタノール流SOA<302>(2bar、83℃、200重量ppmの水)を取り出し、そのうちの63.9kg/hを冷却器KRD<407>で凝縮させ、残りの流れを第1の圧縮装置VDAB2<303>に供給し、そこで2.6bar abs.まで圧縮する。その後、この流れを分割し、1034.9kg/hの流れを反応塔RR<100>に返送する。残りの804.8kg/hを、中間冷却部を備えた多段圧縮に供給する。圧縮装置VD<401>で、流れをpOA1=4.8bar abs.およびTOA1=156℃に圧縮し、流れ<403>を得る。続く中間冷却装置WT<402>での中間冷却では、流れを145℃まで冷却し、その際、約4.4kWの熱が冷却水を通じて放散される。圧縮装置VD<405>で、流れを最終的に9.0bar、200℃までさらに圧縮し、流れ<404>を得る。精留塔RD<300>の底部蒸発器VSRD<406>でもある下流の冷却器では、精留塔RD<300>向けの約238kWの加熱電力が提供される。この際に凝縮するメタノール流<404>を、191.9kg/hの新鮮なメタノール(1000重量ppmの水)<408>および63.9kg/hの以前に凝縮させた蒸気と混合し、精留塔RD<300>の頂部に返送する。
【0271】
圧縮装置の電力は、合計で約55kWである。
【0272】
加熱蒸気向けの24kWと合わせると、圧縮装置および加熱蒸気に必要な電力は、約79kWとなる。
【0273】
5.2 例2(本発明によらない)、図2に対応:
本発明によらない例2の構成は、以下の相違点を除いて例1による構成と同様である:
精留塔RD<300>は、中間蒸発器VZRD<409>を有する。ここで、精留塔RD<300>で、液体流SZA<305>を94℃で取り出し、それに中間蒸発器VZRD<409>で約230kWの熱を移動させ、その際、この流れを部分的に蒸発させ、次いで再び精留塔RD<300>に供給する。精留塔RD<300>の頂部で、1887.1kg/hの蒸気状メタノール流SOA<302>(200重量ppmの水)を取り出し、そのうちの89.4kg/hを冷却器KRD<407>で凝縮させる。残りの流れを、例1と同様に、第1の圧縮装置VDAB2<303>で2.6bar abs.まで圧縮する。次いで、1034.9kg/hの部分流を反応塔RR<100>に返送する。残りの762.8kg/hを5.6bar abs.および168℃に圧縮し、流れ<403>を得る。精留塔RD<300>の中間蒸発器VZRD<409>でもある下流の冷却器では、精留塔RD<300>向けの約230kWの加熱電力が提供される。この際に凝縮するメタノール流<403>を、191.9kg/hの新鮮なメタノール<408>および89.4kg/hの以前に凝縮させた蒸気と混合し、精留塔RD<300>の頂部に返送する。精留塔RD<300>の底部蒸発器VSRD<406>で、低圧蒸気を用いて約20kWの加熱電力を供給する。例1とは異なり、中間蒸発器VZRD<409>の沸騰温度は底部蒸発器VSRD<406>の沸騰温度よりも低いため、蒸発器VZRD<409>の加熱を可能にするために蒸気流を9bar abs.まで圧縮する必要はなく、5.6bar abs.まで圧縮すればよい。したがって、圧縮装置の電力は、合計で(55kWではなく)わずか約38kWで済むが、底部蒸発器VSRD<406>では20kWの加熱電力が必要であり、これは低圧を用いた熱で導入されるため、加熱蒸気の必要量は例1に比べて約44kWに増加する。したがって、圧縮装置および加熱蒸気に必要な電力は、合計で約82kWとなる。
【0274】
5.3 例3(本発明による)、図3に対応:
本発明による例3の構成は、以下の相違点を除いて例1および例2による構成と同様である:
精留塔RD<300>の頂部で、1898.9kg/hの蒸気状メタノール流SOA<302>(200重量ppmの水)を取り出し、そのうちの33.9kg/hを冷却器KRD<407>で凝縮させる。残りの流れを、例2と同様に、第1の圧縮装置VDAB2<303>で2.6bar abs.まで圧縮し、次いで、1034.9kg/hの部分流を反応塔RR<100>に返送する。残りの830.1kg/hを、まず5.6bar abs.および169℃に圧縮し、それによって流れSOA1<403>を得る。この流れのうちの一部SOA11<4031>(761.7kg/h)を、精留塔RD<300>の中間蒸発器VZRD<409>でもある下流の冷却器に送り、この冷却器により、精留塔RD<300>向けの約230kWの加熱電力が提供される。もう一方の部分SOA12<4032>(68.4kg/h)を、続く中間冷却装置WT<402>での中間冷却で約154℃まで冷却し、その際、約0.5kWの熱が冷却水を通じて放散される。次いで、流れSOA12<4032>をさらなる圧縮装置VD<405>で圧縮して、pOA2=9.0bar、TOA2=196℃の流れSOA2<404>が得られる。精留塔RD<300>の底部蒸発器VSRD<406>でもある下流の冷却器では、精留塔RD<300>向けの約20kWの加熱電力が提供される。中間蒸発器VZRD<409>および底部蒸発器VSRD<406>で凝縮させたメタノール流SOA11<4031>およびSOA2<404>を、191.9kg/hの新鮮なメタノール<408>および33.9kg/hの以前に凝縮させた蒸気と混合し、精留塔RD<300>の頂部に返送する。
【0275】
圧縮装置の電力は、合計で約42kWである(これに対して、例1では55kW)。底部蒸発器VSRD<406>には低圧蒸気が必要ないため、例1と同様に加熱蒸気によって供給する必要があるのは、約24kWだけである。したがって、圧縮装置および加熱蒸気に必要な電力は、合計で約66kWに削減される。
【0276】
例1とは対照的に、よりわずかな蒸気流だけを9bar abs.まで圧縮し、蒸気流の大部分を例2のように5.6bar abs.まで圧縮するだけでよいため、圧縮装置の総電力は減少する。しかし、例2とは対照的に、定常運転では底部蒸発器VSRD<406>での低圧蒸気が不要であるため、加熱蒸気の必要量は例2よりも少なくなる。
【0277】
必要な総エネルギーは、例3による方法によって最小限に抑えられる。
【0278】
低圧蒸気および圧縮装置の電力によりそれぞれ必要な加熱電力の割合を、図10に示す。
【0279】
結果:蒸気流を段階的に圧縮し、その結果、異なる圧縮蒸気で中間蒸発器および底部蒸発器を運転する本発明による方法は、驚くほどエネルギーを節約することができる。
図1
図2
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図4
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図9
図10
【国際調査報告】