(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電池極板用塗布材料除去装置及び電池極板用塗布材料除去方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B08B3/02 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577886
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2022100196
(87)【国際公開番号】W WO2023273964
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110744365.5
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】魏昊
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼志科
(72)【発明者】
【氏名】▲鍾▼北▲軍▼
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB42
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB62
3B201BB72
3B201BB75
3B201BB78
3B201BB95
3B201CC11
(57)【要約】
電池極板の所定の領域の塗布材料を除去する電池極板用塗布材料除去装置及び電池極板用塗布材料除去方法を開示し、電池極板は、集電体と、集電体の表面に付着された塗布材料とを含む。該電池極板用塗布材料除去装置は、位置決め部材と、噴霧口と、吸引口とを含み、該位置決め部材は、中空空間を取り囲んで形成し、集電体に接触して所定の領域の塗布材料を中空空間内に隔離する側板を含み、該噴霧口は、該中空空間内に位置し、液体源と連通して所定の領域の塗布材料に液体を噴霧し、該吸引口は、中空空間内に位置し、真空発生装置と連通して該所定の領域の塗布材料を集電体から吸引する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池極板用塗布材料除去装置(100)であって、電池極板(1)は、集電体(11)と、前記集電体の表面に付着された塗布材料(12)とを含み、
前記電池極板用塗布材料除去装置(100)は、電池極板(1)の所定の領域(14)の塗布材料(12)を除去し、
前記電池極板用塗布材料除去装置(100)は、位置決め部材(2)と、噴霧口(3)と、吸引口(4)とを含み、
前記位置決め部材(2)は、側板(21)を含み、中空空間(22)が前記側板(21)によって取り囲まれ、前記側板(21)は、前記集電体(11)に接触して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)を、前記中空空間(22)内に隔離し、
前記噴霧口(3)は、前記中空空間(22)内に位置し、液体源と連通して前記所定の領域(14)の塗布材料(12)へ液体を噴霧して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)の流動性を前記液体によって増大させ、
前記吸引口(4)は、前記中空空間(22)内に位置し、真空発生装置と連通して前記所定の領域(14)の塗布材料(12)を前記集電体から吸引する、ことを特徴とする電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項2】
前記位置決め部材(2)は、頂板(23)を更に含み、前記側板(21)は、前記頂板(23)の周縁に設置され、前記集電体(11)に接触して前記中空空間(22)を封止する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項3】
前記吸引口(4)は、前記中空空間(22)と連通する通路(41)を取り囲む吸引口表面(42)を有し、前記吸引口表面(42)の少なくとも一部は、前記中空空間(22)に向かって開口するラッパ形状である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項4】
前記側板(21)は、内側板(211)及び外側板(212)を含み、前記内側板(211)と前記外側板(212)とは、離間して配置されて吸引管路(5)を形成し、前記吸引管路(5)は、前記吸引口(4)と連通し、前記外側板(212)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記集電体(11)に接触する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項5】
前記側板(21)は、内側板(211)及び外側板(212)を含み、前記頂板(23)は、内頂板(231)及び外頂板(232)を含み、前記内側板(211)と前記内頂板(231)とは、接続されて吸引管路(5)の内壁を形成し、前記外側板(212)と前記外頂板(232)とは、接続されて吸引管路(5)の外壁を形成し、前記吸引管路(5)の内壁と前記吸引管路(5)の外壁とは、吸引管路(5)を形成し、前記吸引管路(5)は、前記吸引口(4)と連通し、前記外側板(212)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記集電体(11)に接触して前記中空空間(22)を封止する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項6】
前記吸引管路(5)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記吸引口(4)を形成する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項7】
前記内側板(211)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)に接触し、かつ前記集電体(11)と間隔を有し、前記吸引口(4)を形成する、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項8】
前記吸引口(4)の前記内側板(211)から離れた部分と、前記集電体(11)との間の距離は、前記吸引口(4)の前記内側板(211)に近接する部分と、前記集電体(11)との間の距離より大きい、ことを特徴とする請求項7に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項9】
前記内側板(211)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)の前記集電体(11)から離れた表面に接触する、ことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項10】
前記頂板(23)の内部に噴霧主管路(6)が配置され、前記噴霧主管路(6)の、前記頂板(23)の前記電池極板(1)に近接する側に、噴霧口(3)が形成され、前記噴霧口(3)は、前記噴霧主管路(6)を介して液体源と連通して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)に液体を噴霧する、ことを特徴とする請求項2~9のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項11】
噴霧板(7)を更に含み、前記噴霧板(7)は、前記中空空間(22)内に配置され、前記噴霧板(7)の内部に前記噴霧主管路(6)と連通する複数の噴霧管路(8)が配置され、前記噴霧口(3)は、複数の前記噴霧管路(8)の前記噴霧主管路(6)から離れた側に形成される、ことを特徴とする請求項10に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置を用いて電池極板の所定の領域の塗布材料を除去する電池極板用塗布材料除去方法であって、
前記位置決め部材を前記電池極板上に配置することにより、側板を集電体に接触させ、前記所定の領域の塗布材料を前記中空空間内に隔離するステップと、
中空空間内の噴霧口から液体を噴出して前記所定の領域の塗布材料を浸潤させるステップと、
前記所定の領域の浸潤した塗布材料を、前記吸引口を通って前記集電体から吸引するステップとを含む、ことを特徴とする電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項13】
浸潤された前記所定の領域の塗布材料を、前記吸引口を通って前記集電体から吸引した後に、
塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を前記集電体から吸引するステップを更に含む、ことを特徴とする請求項12に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項14】
塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を前記集電体から吸引した後に、
前記電池極板に対して乾燥処理を行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項13に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項15】
液体を噴霧する標準は、所定の領域に1平方センチメートル面積あたり1~3gの液体を噴霧することである、ことを特徴とする請求項11~14のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項16】
前記吸引口(4)に真空発生装置が接続され、前記真空発生装置の真空度は、50~300kPaである、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月1日に中国国家知識産権局に提出された、名称が「電池極板用塗布材料除去装置及び電池極板用塗布材料除去方法」である中国特許出願第202110744365.5号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池極板の製造に関し、特に、電池極板用塗布材料除去装置及び電池極板用塗布材料除去方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池の幅広い応用に伴い、リチウムイオン電池の性能の最適化に関する研究も注目されており、リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上は、ずっと人々が注目している焦点であり、リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上させるために、電池の材料自体の固有の性質から着手することができるだけでなく、リチウムイオン電池の構造の角度からも着手することができる。リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上させ、電池の構造による電池の内部インピーダンスを低下させるために、リチウムイオン電池における電池極板でのタブの位置は、早期の極板の端部での設置位置から、極板の中央部位置、即ち電池極板の塗布材料領域へ変換し始め、タブの位置の変化は、電池極板の製造方式の変化を意味する。タブは、電池極板の塗布材料領域に位置し、電極コーティング層が存在する場合、タブを電極集電体と溶接することができないため、まず塗布材料領域のタブに対応する塗布材料を除去する必要がある。現在、一般的に使用されている塗布材料を除去する方法は、機械的掻き取り洗浄法、化学的洗浄法及びレーザー洗浄法を含むが、機械的掻き取り洗浄法に関しては、金属スクレーパを集電体の表面に直接的に接触させるため、一定の生産リスクが存在するだけでなく、スクレーパと電池極板との間の隙間が大きすぎると、塗布材料が残留し、完全に洗浄できないという問題が発生し、スクレーパと電池極板との間の隙間が小さすぎると、電池の集電体を傷付けしたり、切断したりすることがあり、そして掻き取り中に発生した粉体の電池極板への付着も、電池極板の製造の不良率を増加させ、化学的洗浄法に関しては、環境に一定の汚染をもたらし、作業環境が悪く、生産効率が低いという問題が存在し、レーザー洗浄法に関しては、レーザーエネルギー分布が不均一であるため、電池極板を損傷しやすく、かつ極板の表面を酸化しやすく、強度が低下する。したがって、より好ましい方法で電池極板の特定領域の塗布材料を除去する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における電池極板の塗布材料の除去方法に様々な欠点が存在するという技術的問題を解決するために、本願は、電池極板用塗布材料除去装置及び電池極板用塗布材料除去方法を提供し、該電池極板用塗布材料除去装置を用いて材料を除去することにより、電池極板における、タブを溶接する必要がある位置での塗布材料を効率的かつ効果的に除去することができ、材料を除去した後の集電体の損傷程度及び集電体での塗布材料の残留を大幅に低減する。
【0005】
上記目的を達成するために、第1の態様によれば、本願に係る電池極板用塗布材料除去装置において、電池極板は、集電体と、該集電体の表面に付着された塗布材料とを含み、該電池極板用塗布材料除去装置は、電池極板の所定の領域の塗布材料を除去し、位置決め部材と、噴霧口と、吸引口とを含み、
該位置決め部材は、中空空間を取り囲んで形成し、該集電体に接触して該所定の領域の塗布材料を該中空空間内に隔離する側板を含み、
該噴霧口は、該中空空間内に位置し、液体源と連通して該所定の領域の塗布材料に、該所定の領域の塗布材料の流動性を増大させる液体を噴霧し、
該吸引口は、該中空空間内に位置し、真空発生装置と連通して該所定の領域の塗布材料を集電体から吸引する。
【0006】
本願の一実施例では、該位置決め部材は、頂板を更に含み、該側板は、該頂板の周縁に設置され、該集電体に接触して該中空空間を封止する。
【0007】
本願の一実施例では、該吸引口は、該中空空間と連通する通路を取り囲む吸引口表面を有し、該吸引口表面の少なくとも一部は、該中空空間に向かって開口するラッパ状である。
【0008】
本願の一実施例では、該側板は、内側板及び外側板を含み、該内側板と該外側板とは、離間して設置されて吸引管路を形成し、該吸引管路は、該吸引口と連通し、該外側板の該電池極板に近接する一端は、該集電体に接触する。
【0009】
本願の一実施例では、該側板は、内側板及び外側板を含み、該頂板は、内頂板及び外頂板を含み、該内側板と該内頂板とは、接続されて吸引管路の内壁を形成し、該外側板と該外頂板とは、接続されて吸引管路の外壁を形成し、該吸引管路は、該吸引口と連通し、該外側板の該電池極板に近接する一端は、該集電体に接触して該中空空間を封止する。
【0010】
本願の一実施例では、該吸引管路の該電池極板に近接する一端に該吸引口を形成する。
【0011】
本願の一実施例では、該内側板の該電池極板に近接する一端は、該集電体の表面から離れた、該所定の領域の塗布材料の表面に接触する。
【0012】
本願の一実施例では、該頂板の内部に噴霧主管路が設置され、該噴霧主管路は、該頂板の該電池極板に近接する側に該噴霧口を形成し、該噴霧口は、該噴霧主管路を介して液体源と連通して該所定の領域の塗布材料に液体を噴霧する。
【0013】
本願の一実施例では、該電池極板用塗布材料除去装置は、噴霧板を更に含み、該噴霧板は、該中空空間内に設置され、内部に該噴霧主管路と連通する複数の噴霧管路が設置され、該噴霧口は、複数の該噴霧管路の噴霧主管路から離れた側に形成される。
【0014】
上記技術手段によれば、本願の電池極板用塗布材料除去装置は、電池極板における、タブを溶接するための所定の領域の塗布材料を正確に除去することができ、この装置に含まれる位置決め部材は、塗布材料を除去する必要がある所定の領域をロックすることができ、位置決め部材における側板が集電体に接触することにより、塗布材料を除去する必要がある所定の領域と塗布材料を除去する必要がない非所定の領域とを分離することができることにより、所定の領域に対して塗布材料を除去する際に非所定の領域の塗布材料に波及することがなく、塗布材料除去の精度を向上させ、また、該電池極板用塗布材料除去装置は、噴霧口を更に含み、該噴霧口は、液体源と連通し、位置決め部材によって隔離された所定の領域に液体を噴霧して、所定の領域の塗布材料の粘度を低下させ、この領域の塗布材料への吸い取りに有利であり、さらに、該電池極板用塗布材料除去装置は、吸引口を更に含み、吸引口は、粘度の低い所定の領域の塗布材料を集電体から吸引することができ、塗布材料を吸い取る方法を用いるため、従来技術における機械的掻き取り洗浄法、化学的洗浄法及びレーザー洗浄法に比べて、吸い取るという方法は、電池極板に対する損傷を大幅に低減し、集電体の塗布材料の残留を低減し、さらにタブを集電体に溶接する歩留まりを向上させる。それだけでなく、本願に係る電池極板用塗布材料除去装置は、位置決め及び隔離の機能を有する位置決め部材と、液体を噴霧する機能を有する噴霧口と、塗布材料を吸い取る機能を有する吸引口とを一体に集積することにより、電池極板の所定の領域の塗布材料を便利、迅速かつ効率的に除去することができ、電池極板の生産効率を向上させる。
【0015】
第2の態様によれば、本願に係る電池極板用塗布材料除去方法は、上記電池極板用塗布材料除去装置を用いて電池極板の所定の領域の塗布材料を除去し、
側板を集電体に接触させるように該位置決め部材を該電池極板に配置することにより該所定の領域の塗布材料を該中空空間内に隔離するステップと、
中空空間内の噴霧口から液体を噴出して該所定の領域の塗布材料を浸潤するステップと、
浸潤された該所定の領域の塗布材料を、該吸引口を通って該集電体から吸引するステップとを含む。
【0016】
本願の一実施例では、浸潤された該所定の領域の塗布材料を、該吸引口を通って該集電体から吸引した後に、該方法は、塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を該集電体から吸引するステップを更に含む。
【0017】
本願の一実施例では、塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を前記集電体から吸引した後に、該方法は、該電池極板に対して乾燥処理を行うステップを更に含む。
【0018】
本願の一実施例では、液体を噴霧する標準は、1平方センチメートル面積あたりの所定の領域に1~3gの液体を噴霧することである。
【0019】
本願の一実施例では、該吸引口に真空発生装置が接続され、該真空発生装置の真空度は、50~300kPaである。
【0020】
上記電池極板用塗布材料除去方法により、タブを設置する必要がある位置の塗布材料を便利かつ効果的に除去することができ、集電体でタブの溶接に有利であり、タブの溶接の歩留まりを向上させる。
【0021】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1-1】タブが端部に位置する場合の電池極板の概略図である。
【
図1-2】タブが塗布材料層に位置する場合の電池極板の概略図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池極板用塗布材料除去装置の概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池極板用塗布材料除去装置の概略図である。
【
図4】本願の別の実施例に係る電池極板用塗布材料除去装置の概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池極板用塗布材料除去方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願が解決しようとする技術的課題、技術手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願を更に詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0024】
リチウムイオン電池は、電池極板を含み、電池極板1は、集電体11と、集電体11の表面に付着された塗布材料12と、集電体11に溶接されたタブ13とを含む。通常、
図1-1に示すように、集電体11の端部は、タブ13の溶接に用いられるブランク集電体であり、他の部分が塗布材料12の塗布に用いられる。リチウムイオン電池が放電するとき、負極板を例として、電子が集電体11及び電極タブ13を介して外部回路に伝送されるが、タブ13から離れた一端の塗布材料に対して電子が外部回路に伝送される経路が長いため、電子の伝送過程において一部の熱が発生し、電池容量の損失を引き起こし、電池のエネルギー密度の向上に不利である。したがって、この問題を解決するために、電池極板1でのタブ13の位置を変更することができ、
図1-2に示すように、タブ13の位置を集電体11の端部から集電体11の中央部又は集電体11の中央部に近接する位置に移動させることにより、電池極板1と外部回路との間で電子を伝送する経路を短縮し、電子の伝送による電池エネルギー密度の損失を低減し、電池エネルギー密度の向上に有利である。タブ13を塗布材料12と直接的に溶接することができないため、タブの溶接位置での塗布材料12を除去する必要があり、このように集電体11を露出させることにより集電体11とタブ13とを溶接することができる。
【0025】
これに基づいて、
図2、
図3及び
図4に示すように、本願に係る電池極板用塗布材料除去装置100は、電池極板の所定の領域14の塗布材料12を除去するために用いることができ、所定の領域14は、タブ13を溶接するための領域である。電池極板用塗布材料除去装置100は、位置決め部材2、噴霧口3及び吸引口4を含み、位置決め部材2は、側板21を含み、該側板21が取り囲んで形成する空間は、中空空間22と定義され、該電池極板用塗布材料除去装置が電池極板の所定の領域14の塗布材料を除去するために用いられる場合、位置決め部材2を電池極板1に接触させる必要があり、側板21は、集電体11に接触して所定の領域14の塗布材料を中空空間22内に隔離し、側板21が集電体11に接触することは、側板21が塗布材料12を貫通して集電体11に接触することであり、噴霧口3は、中空空間22内に設置され、液体源と連通して所定の領域14の塗布材料に、所定の領域14の塗布材料の流動性を増大させる液体を噴霧し、吸引口4は、中空空間22内に設置され、真空発生装置と連通して所定の領域14の塗布材料を集電体11から吸引する。
【0026】
これから分かるように、電池極板用塗布材料除去装置は、位置決め部材2を含み、側板21が集電体11に接触することにより、除去する必要のある塗布材料と除去する必要のない塗布材料とを分離することができ、これに基づいて、液体源と連通する噴霧口は、除去する必要のある塗布材料に液体を噴霧することができ、塗布材料が液体に浸潤された後、粘度を低下させ、流動性を向上させ、吸引に有利であり、噴霧口3が中空空間22内に設置され、かつ側板21が除去する必要のある塗布材料と除去する必要のない塗布材料とを隔離するため、噴霧された液体が塗布材料を除去する必要のない領域に接触することがなく、即ち、除去する必要のない塗布材料が液体による影響を受けることがなく、このように、所定の領域14の塗布材料に対して正確に除去処理を行うことができ、除去する必要のない塗布材料に影響を与えることもないため、塗布材料除去の精度を向上させる。また、中空空間22内に設置された吸引口4は、中空空間22内に隔離された所定の領域14の塗布材料のみを集電体11から吸引し、中空空間22外の除去する必要のない塗布材料に影響を与えないため、電池極板1の後続の使用効果に影響を与えない。
【0027】
一実施例では、
図3及び
図4に示すように、側板21の内部に吸引管路5が設置され、側板21は、中空空間22に近接する内側板211と、中空空間22から離れた外側板212とを含み、上記吸引口4は、上記中空空間22と連通する通路41を取り囲む吸引口表面42を有し、上記吸引口表面42の少なくとも一部は、上記中空空間22に向かって開口するラッパ状である。
【0028】
本願の一実施例では、吸引口4は、塗布材料12内に位置し、かつ吸引口4の側板21から離れた部分から集電体11までの距離は、吸引口4の側板21に近接する部分から集電体11までの距離より大きい。
【0029】
つまり、吸引口4の供給箇所の所在する平面は、集電体11と平行ではなく、一定の角度をなし、吸引口の供給箇所が集電体11と平行であることに比べて、このような設置は、供給箇所の供給量を増加させることができ、即ち、塗布材料を吸引口に入れることに対してより有利である。
【0030】
図3及び
図4に示すように、本願の一実施例では、位置決め部材2は、頂板23を更に含み、側板21は、頂板23の周縁に設置されて中空空間22を形成し、集電体11に接触して中空空間22を封止する。
【0031】
つまり、頂板23と側板21とは、一端が開口した中空空間22を取り囲んで形成し、側板21が集電体11に接触するとき、集電体11は、この開口を封止することができ、所定の領域14の塗布材料12もこの開口に隔離される。
【0032】
本願の一実施例では、側板21の内部に吸引管路5が設置され、吸引管路5は、側板21の電池極板1に近接する側に第1の吐出口を形成し、側板の電池極板1から離れた側に第2の吐出口を形成し、第1の吐出口は、吸引口4と連通し、第2の吐出口は、真空発生装置と連通し、真空発生装置の作用により、所定の領域14の塗布材料は、吸引口4及び吸引管路5を通って集電体11から吸引される。
【0033】
図4に示すように、本願の一実施例では、側板21の内部に吸引管路5が設置され、側板21は、中空空間22に近接する内側板211と、中空空間22から離れた外側板212とを含み、内側板211と外側板212とは、離間して設置されて吸引管路5を形成し、つまり、内側板211と外側板212とは、一定の距離を隔てて設置され、外側板212は、中空空間22を取り囲んで形成し、内側板211は、外側板212を取り囲むように中空空間22内に設置され、内側板211及び外側板212の電池極板1から離れた一端には、ビーム213が設置され、ビーム213は、内側板211と外側板212とを接続し、内側板211、外側板212及びビーム213の三者によって取り囲まれた、両端が開口した空間は、吸引管路5である。図中の吸引管路5における矢印は、塗布材料が吸引される方向を示している。
【0034】
更に、吸引管路5は、ビーム213に真空発生装置と連通する第2の吐出口を形成し、吸引管路5の上記電池極板1に近接する一端、即ち、内側板211の塗布材料12に接触可能な位置に第1の吐出口を形成し、第1の吐出口は吸引口4である。
【0035】
更に、内側板211の電池極板1に近接する一端と外側板212の電池極板1に近接する一端は、共に吸引口4を形成し、内側板211、外側板212及びビーム213の三者によって取り囲まれた吸引管路5の開口は、第2の吸引口となり、外側板212の電池極板1に近接する一端は、集電体11に接触して所定の領域14の塗布材料を中空空間22内に隔離し、内側板211の電池極板1に近接する一端は、所定の領域14の塗布材料12の集電体から離れた表面に接触する。
【0036】
つまり、側板21の電池極板1に近接する一端では、外側板212と内側板211とは面一ではなく、外側板212が内側板211よりも突出し、位置決め部材2を用いて所定の領域14の塗布材料を位置決めする場合、外側板212が集電体11に接触して位置決めを行い、内側板211が短いため、集電体11に接触できないが、塗布材料12に接触でき、塗布材料層の集電体11から離れた表面に接触できるだけでなく、塗布材料層に挿入されて塗布材料に接触でき、集電体11に接触しなければよく、好ましくは、内側板211が塗布材料層の表面に接触する。
【0037】
側板21の電池極板1に近接する一端では、内側板211と外側板212に一定の高度差を持たせて吸引口4を形成させることにより、中空空間22に吸引口4を単独で設置することを回避し、構成部材を減少させ、装置の構造を簡略化することができる。また、内側板211は、集電体11に接触せず、塗布材料12のみに接触し、このように、塗布材料を集電体の表面から効果的に吸引することができ、内側板211は、塗布材料12の表面に接触することにより、吸引口4の面積を十分に大きくし、塗布材料12を効率的かつ迅速に吸引することができる。また、内側板211の電池極板1に近接する端面は、電池極板1と平行ではなく、即ち、内側板211の電池極板1に近接する端面の外側板212に近接する一端は、外側板212から離れた一端よりも電池極板1に近く、供給量を増加させることができ、即ち、塗布材料を吸引口に入れることに対してより有利である。
【0038】
図3に示すように、本願の一実施例では、頂板23及び側板21内にいずれも吸引管路5が設置され、吸引管路5は、内壁及び外壁で構成され、側板21は、中空空間22に近接する内側板211と、中空空間22から離れた外側板212とを含み、頂板23は、中空空間22に近接する内頂板231と、中空空間22から離れた外頂板232とを含み、内側板211と内頂板231とが接続されて吸引管路5の内壁を形成し、外側板212と外頂板232とが接続されて吸引管路5の外壁を形成し、吸引管路5と吸引口4とが吸引管路5を介して真空発生装置と連通して所定の領域14の塗布材料12を集電体11から吸引する。
【0039】
図3に示すように、本願の一実施例では、上記頂板の内部に噴霧主管路6が設置され、電池極板用塗布材料除去装置は、噴霧板7を更に含み、噴霧板7は、中空空間22内に設置され、内部に噴霧主管路6と連通する複数の噴霧管路8が設置され、複数の上記噴霧管路8の噴霧主管路6から離れた側に噴霧口3が形成され、噴霧口3は、噴霧主管路6及び複数の噴霧管路8を介して液体源と連通して所定の領域14の塗布材料に液体を噴霧する。
【0040】
更に、噴霧板7は、電池極板1に対向し、噴霧口3は、噴霧板7の電池極板1に近接する面に位置する。
【0041】
更に、噴霧板7に複数の噴霧口3が設置される。
【0042】
つまり、この実施例では、噴霧板7は、生活中のシャワーヘッドに類似し、複数の噴霧口3を有することにより、噴霧効率を向上させることができ、また、噴霧板7は、最も好ましくは、電池極板1と平行に設置されることにより、噴霧板7から噴出された液体を所定の領域14の塗布材料に直接的に噴霧して、所定の領域14の塗布材料12をいずれも噴霧された液体に迅速に接触させることができ、所定の領域14の塗布材料の浸潤効率を向上させる。
【0043】
図4に示すように、本願の一実施例では、頂板23の内部に噴霧主管路6が設置され、噴霧主管路6は、頂板23の電池極板1に近接する側に噴霧口3を形成し、噴霧口3は、噴霧主管路6を介して液体源と連通して所定の領域14の塗布材料に液体を噴霧する。
【0044】
本願において、側板21は、電池極板の集電体11に接触し、該側板21が電池極板1に取り囲まれて形成された領域の形状及び寸法は、予め設計された、電池極板の塗布材料を除去する必要がある領域の形状及び寸法に基づいて決定される。従来技術において、集電体11に溶接されるタブ13は、タブ本体及びタブフィルムからなり、タブ本体は、一部が集電体11に溶接され、他の一部が集電体11から突出し、集電体11に溶接された部分のタブ本体が通常矩形であるため、側板21が電池極板1に取り囲まれて形成される領域の形状は、矩形であり、取り囲まれて形成された領域の面積は、集電体に溶接された部分のタブ本体の面積より大きい。
【0045】
別の態様では、
図5に示すように、本願に係る電池極板用塗布材料除去方法は、上記電池極板用塗布材料除去装置を用いて電池極板の所定の領域の塗布材料を除去する。該方法は、以下のステップ(1)~(4)を含む。
【0046】
ステップ(1)では、塗布材料除去領域を位置決めし、
図5の(a)に示すように、位置決め部材2を電池極板1の所定の領域14、即ち、塗布材料を除去する必要のある領域に配置し、側板21を、塗布材料12を貫通させて集電体11に接触させることにより、所定の領域14の塗布材料を中空空間22内に隔離することができ、即ち、側板21が所定の領域14の塗布材料を中空空間22内に取り囲む。
【0047】
側板21の設置により所定の領域14を単独に隔離することができるため、除去する必要のある塗布材料と除去する必要のない塗布材料とを隔離することができ、除去する必要のある塗布材料を除去する際に、除去する必要のない塗布材料に波及して、除去する必要のない塗布材料をも除去し、極板の製造に失敗することを回避する。したがって、側板21の巧みな設計と応用により、電池極板の所定の領域の塗布材料の除去精度を向上させ、電池極板の製造の歩留まりを向上させる。
【0048】
ステップ(2)では、液体を噴霧し、
図5の(b)に示すように、所定の領域14の塗布材料を位置決めし、隔離した後、噴霧プロセスを開始する必要があり、中空空間22内に位置する噴霧口3が液体源と連通し、液体を噴霧口3から中空空間22に噴出し、更に所定の領域14の塗布材料に十分に接触することができ、図中の矢印は、液体の噴出方向を示す。
【0049】
ステップ(1)で側板21が所定の領域14の塗布材料を隔離したため、噴霧口3から噴霧された液体が所定の領域以外の塗布材料に接触することがなく、所定の領域14の塗布材料のみが液体に接触することができ、液体が所定の領域14の塗布材料を浸潤し、塗布材料の粘度を低下させ、所定の領域14の塗布材料の流動性を増大させ、吸い取って除去しやすい。
【0050】
ステップ(3)では、塗布材料を吸引して除去し、
図5の(c)に示すように、ステップ(2)で噴霧された液体が所定の領域14の塗布材料を浸潤した後、吸引除去プロセスを開始することができ、中空空間22内に位置する吸引口4に真空発生装置が接続され、負圧下で所定の領域14の塗布材料を吸引口4から吸引することができ、図中の矢印は、塗布材料の吸引方向を示す。
【0051】
側板21の存在、及び所定の領域14の塗布材料のみが液体に浸潤され、流動性が向上するため、吸引口4が材料を吸引するとき、所定の領域14の塗布材料のみを吸引し、所定の領域以外の塗布材料が影響を受けない。
【0052】
所定の領域の塗布材料がきれいに除去されることを確保するために、更に、
図5の(d)に示すように、ステップ(3)で所定の領域の塗布材料を除去した後、更にステップ(4)を行い、該所定の領域14を洗浄してもよく、即ち、ステップ(3)を完了した後、噴霧プロセスを再度開始し、噴霧口3から噴出された液体を所定の領域14の集電体に分布させると共に、吸引プロセスを開始し、所定の領域14の集電体11上の液体を吸い取り、所定の領域14の洗浄を実現し、矢印は、液体の噴出方向と液体の吸引方向を示す。
【0053】
ステップ(4)で洗浄した後、所定の領域14の塗布材料をきれいに除去することを確保できることにより、所定の領域の集電体の表面を十分にきれいにして、タブを溶接しやすい。
【0054】
更に、ステップ(2)では、液体を噴霧する標準は、1平方センチメートル面積あたりの所定の領域に1~3gの液体を噴霧することである。
【0055】
更に、ステップ(3)では、真空発生装置の真空度は、50~300kPaである。
【0056】
更に、ステップ(4)では、液体を噴霧する標準は、1平方センチメートル面積あたりの所定の領域に1~3gの液体を噴霧することであり、真空発生装置の真空度は、50~300kPaである。
【0057】
更に、ステップ(1)では、電池極板1は、表面の塗布材料が乾燥していない電池極板である。乾燥していない塗布材料は、噴霧口から噴出された液体に浸潤されやすく、吸い取られやすい。
【0058】
更に、上記操作の後、電池極板に対して乾燥処理を行ってもよい。
【0059】
更に、液体は、有機溶媒であり、該有機溶媒は、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒から選択された少なくとも1種であり、該エステル系溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸プロピル及びブチロラクトンから選択された少なくとも1種であり、該エーテル系溶媒は、エーテル、テトラヒドロフラン及びフランから選択された少なくとも1種である。
【実施例1】
【0060】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての実施例であり、本実施例では、集電体は、アルミニウム箔であり、塗布材料は、正極活性ペーストであった。
【0061】
正極活性ペーストの調製について、コバルト酸リチウム、導電性炭素及びPVDFを質量比97:1.5:1.5でNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に加えて混合し、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された正極活性ペーストの粘度は5000cpであり、固形分は80%であった。
【0062】
正極板の製造について、上記正極活性ペーストをアルミニウム箔に塗布し、得られた面密度が14mg/cm2であった。
【0063】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記正極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に1.5gのNMPを噴霧し、1s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を90kPaに設定し、3s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1.5gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0064】
上記製造した正極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
【実施例2】
【0065】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての別の実施例であり、本実施例では、集電体は、アルミニウム箔であり、塗布材料は、正極活性ペーストであった。
【0066】
正極活性ペーストの調製について、コバルト酸リチウム、導電性炭素及びPVDFを質量比90:5:5でNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に加えて混合し、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された正極活性ペーストの粘度は3000cpであり、固形分は60%であった。
【0067】
正極板の製造について、上記正極活性ペーストをアルミニウム箔に塗布し、得られた面密度が11mg/cm2であった。
【0068】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記正極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に1gのNMPを噴霧し、0.5s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を200kPaに設定し、0.5s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1.5gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0069】
上記製造した正極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
【実施例3】
【0070】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての別の実施例であり、本実施例では、集電体は、アルミニウム箔であり、塗布材料は、正極活性ペーストであった。
【0071】
正極活性ペーストの調製について、コバルト酸リチウム、導電性炭素及びPVDFを質量比99:0.5:0.5でNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に加えて混合し、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された正極活性ペーストの粘度は7000cpであり、固形分は85%であった。
【0072】
正極板の製造について、上記正極活性ペーストをアルミニウム箔に塗布し、得られた面密度が17mg/cm2であった。
【0073】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記正極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に3gのNMPを噴霧し、3s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を90kPaに設定し、3s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1.5gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0074】
上記製造した正極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
【実施例4】
【0075】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての別の実施例であり、本実施例では、集電体は、銅箔であり、塗布材料は、負極活性ペーストであった。
【0076】
負極活性ペーストの調製について、黒鉛、導電性炭素、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを質量比96:1.5:1.5:1.0で脱イオン水に加え、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された負極活性ペーストの粘度は3500cpであり、固形分は80%であった。
【0077】
負極板の製造について、上記正極活性ペーストを銅箔に塗布し、得られた面密度が8mg/cm2であった。
【0078】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記負極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に1gのNMPを噴霧し、3s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を100kPaに設定し、1s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0079】
上記製造した負極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
【実施例5】
【0080】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての別の実施例であり、本実施例では、集電体は、銅箔であり、塗布材料は、負極活性ペーストであった。
【0081】
負極活性ペーストの調製について、黒鉛、導電性炭素、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを質量比90:3.5:3.5:3.0で脱イオン水に加え、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された負極活性ペーストの粘度は2000cpであり、固形分は60%であった。
【0082】
負極板の製造について、上記正極活性ペーストを銅箔に塗布し、得られた面密度が6mg/cm2であった。
【0083】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記負極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に0.2gのNMPを噴霧し、0.2s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を300kPaに設定し、0.3s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0084】
上記製造した負極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
【実施例6】
【0085】
本実施例は、リチウムイオン電池の組み立ての別の実施例であり、本実施例では、集電体は、銅箔であり、塗布材料は、負極活性ペーストであった。
【0086】
負極活性ペーストの調製について、黒鉛、導電性炭素、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを質量比98:0.7:0.7:0.6で脱イオン水に加え、機械的に均一に撹拌してペーストを製造し、製造された負極活性ペーストの粘度は6000cpであり、固形分は80%であった。
【0087】
負極板の製造について、上記正極活性ペーストを銅箔に塗布し、得られた面密度が10mg/cm2であった。
【0088】
所定の領域の塗布材料の除去について、本願の電池極板用塗布材料除去装置を用いて上記負極板の所定の領域の塗布材料を除去した。位置決め部材を動かせ、側板を、塗布材料層を貫通させて集電体に接触させ、噴霧プロセスを開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域の塗布材料に2gのNMPを噴霧し、3s待った後、真空発生装置を起動し、真空度を100kPaに設定し、1s保圧して所定の領域の塗布材料を吸引し除去し、噴霧プロセスを再度開始し、1平方センチメートル当たりの所定の領域に1gのNMPを噴霧するとともに、真空発生装置を起動し、1s保圧し、所定の領域の集電体の洗浄を完了した。
【0089】
上記製造した負極板の所定の領域内にタブを溶接し、リチウムイオン電池を組み立てた。
(比較例1)
【0090】
実施例3で製造された正極板に対して、レーザー洗浄装置を用いて所定の領域の塗布材料を除去し、他のステップを変更しなかった。
(比較例2)
【0091】
実施例6で製造された負極板に対して、レーザー洗浄装置を用いて所定の領域の塗布材料を除去し、他のステップを変更しなかった。
【0092】
実験的測定
(1)電池極板の所定の領域の塗布材料の残留測定及び所定の領域の集電体の表面損傷測定
実施例1~6及び比較例1~2で製造された正極板及び負極板について、30倍拡大鏡で所定の領域の塗布材料の残留状況及び所定の領域の集電体の損傷状況を観察し、測定結果を表1に示す。
【0093】
(2)リチウムイオン電池の容量測定
実施例1~6及び比較例1~2で製造されたリチウムイオン電池に対して電池容量測定を行った。まず、リチウムイオン電池を3min静置し、次に0.5Cの充電電流で4.3Vまで定電流充電し、そして0.05Cまで定電圧充電し、初回充電容量AGC0を得て、3min静置し、更に0.5Cの放電電流で3.0Vまで定電流放電し、初回放電容量D0を得て、3min静置し、リチウムイオン電池容量の測定を完了し、測定結果を表1に示す。
【表1】
【0094】
表1の測定結果から分かるように、従来の電池極板の塗布材料除去方法に比べて、本願に係る電池極板用塗布材料除去装置を用いた電池極板用塗布材料除去方法により正極板及び負極板に対して材料除去を行う場合、所定の領域の集電体の表面の塗布材料の残留が少なく、かつ塗布材料除去後の集電体への損傷も小さいため、この電池極板を電池の組み立てに用いる場合、電池性能がより優れる。
【0095】
以上は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、本願の精神及び原則内に行われるいかなる修正、同等置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0096】
1 電池極板
11 集電体
12 塗布材料
13 タブ
14 所定の領域
100 電池極板用塗布材料除去装置
2 位置決め部材
21 側板
211 内側板
212 外側板
22 中空空間
23 頂板
231 内頂板
232 外頂板
3 噴霧口
4 吸引口
5 吸引管路
6 噴霧主管路
7 噴霧板
8 噴霧管路
41 吸引口が取り込んで中空空間と連通する通路
42 吸引口表面
213 ビーム
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池極板用塗布材料除去装置(100)であって、電池極板(1)は、集電体(11)と、前記集電体の表面に付着された塗布材料(12)とを含み、
前記電池極板用塗布材料除去装置(100)は、電池極板(1)の所定の領域(14)の塗布材料(12)を除去し、
前記電池極板用塗布材料除去装置(100)は、位置決め部材(2)と、噴霧口(3)と、吸引口(4)とを含み、
前記位置決め部材(2)は、側板(21)を含み、中空空間(22)が前記側板(21)によって取り囲まれ、前記側板(21)は、前記集電体(11)に接触して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)を、前記中空空間(22)内に隔離し、
前記噴霧口(3)は、前記中空空間(22)内に位置し、液体源と連通して前記所定の領域(14)の塗布材料(12)へ液体を噴霧して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)の流動性を前記液体によって増大させ、
前記吸引口(4)は、前記中空空間(22)内に位置し、真空発生装置と連通して前記所定の領域(14)の塗布材料(12)を前記集電体から吸引する、ことを特徴とする電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項2】
前記位置決め部材(2)は、頂板(23)を更に含み、前記側板(21)は、前記頂板(23)の周縁に設置され、前記集電体(11)に接触して前記中空空間(22)を封止する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項3】
前記吸引口(4)は、前記中空空間(22)と連通する通路(41)を取り囲む吸引口表面(42)を有し、前記吸引口表面(42)の少なくとも一部は、前記中空空間(22)に向かって開口するラッパ形状である、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項4】
前記側板(21)は、内側板(211)及び外側板(212)を含み、前記内側板(211)と前記外側板(212)とは、離間して配置されて吸引管路(5)を形成し、前記吸引管路(5)は、前記吸引口(4)と連通し、前記外側板(212)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記集電体(11)に接触する、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項5】
前記側板(21)は、内側板(211)及び外側板(212)を含み、前記頂板(23)は、内頂板(231)及び外頂板(232)を含み、前記内側板(211)と前記内頂板(231)とは、接続されて吸引管路(5)の内壁を形成し、前記外側板(212)と前記外頂板(232)とは、接続されて吸引管路(5)の外壁を形成し、前記吸引管路(5)の内壁と前記吸引管路(5)の外壁とは、吸引管路(5)を形成し、前記吸引管路(5)は、前記吸引口(4)と連通し、前記外側板(212)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記集電体(11)に接触して前記中空空間(22)を封止する、ことを特徴とする請求項
2に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項6】
前記吸引管路(5)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記吸引口(4)を形成する、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項7】
前記内側板(211)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)に接触し、かつ前記集電体(11)と間隔を有し、前記吸引口(4)を形成する、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項8】
前記吸引口(4)の前記内側板(211)から離れた部分と、前記集電体(11)との間の距離は、前記吸引口(4)の前記内側板(211)に近接する部分と、前記集電体(11)との間の距離より大きい、ことを特徴とする請求項7に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項9】
前記内側板(211)の前記電池極板(1)に近接する一端は、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)の前記集電体(11)から離れた表面に接触する、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項10】
前記頂板(23)の内部に噴霧主管路(6)が配置され、前記噴霧主管路(6)の、前記頂板(23)の前記電池極板(1)に近接する側に、噴霧口(3)が形成され、前記噴霧口(3)は、前記噴霧主管路(6)を介して液体源と連通して、前記所定の領域(14)の塗布材料(12)に液体を噴霧する、ことを特徴とする請求項
2に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項11】
噴霧板(7)を更に含み、前記噴霧板(7)は、前記中空空間(22)内に配置され、前記噴霧板(7)の内部に前記噴霧主管路(6)と連通する複数の噴霧管路(8)が配置され、前記噴霧口(3)は、複数の前記噴霧管路(8)の前記噴霧主管路(6)から離れた側に形成される、ことを特徴とする請求項10に記載の電池極板用塗布材料除去装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池極板用塗布材料除去装置を用いて電池極板の所定の領域の塗布材料を除去する電池極板用塗布材料除去方法であって、
前記位置決め部材を前記電池極板上に配置することにより、側板を集電体に接触させ、前記所定の領域の塗布材料を前記中空空間内に隔離するステップと、
中空空間内の噴霧口から液体を噴出して前記所定の領域の塗布材料を浸潤させるステップと、
前記所定の領域の浸潤した塗布材料を、前記吸引口を通って前記集電体から吸引するステップとを含む、ことを特徴とする電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項13】
浸潤された前記所定の領域の塗布材料を、前記吸引口を通って前記集電体から吸引した後に、
塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を前記集電体から吸引するステップを更に含む、ことを特徴とする請求項12に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項14】
塗布材料が吸引された集電体に液体を噴霧するとともに、吸引口を通って液体を前記集電体から吸引した後に、
前記電池極板に対して乾燥処理を行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項13に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項15】
液体を噴霧する標準は、所定の領域に1平方センチメートル面積あたり1~3gの液体を噴霧することである、ことを特徴とする請求項
12に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【請求項16】
前記吸引口(4)に真空発生装置が接続され、前記真空発生装置の真空度は、50~300kPaである、ことを特徴とする請求項
12に記載の電池極板用塗布材料除去方法。
【国際調査報告】