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特表2024-521513筋萎縮性側索硬化症の線維芽細胞に基づく治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】筋萎縮性側索硬化症の線維芽細胞に基づく治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/33 20150101AFI20240524BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20240524BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20240524BHJP
   C07K 14/55 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
A61K35/33
A61P21/00
A61K38/20
A61K31/436
A61K31/197
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K45/00
A61K31/428
C12N5/071
C07K14/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577925
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022034062
(87)【国際公開番号】W WO2022266485
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,989
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508238060
【氏名又は名称】スパイナルサイト, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084DA14
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC84
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA94
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA94
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA59
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA94
4C206ZC75
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA04
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、個体において筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療するか、または予防するか、または有するリスクを低下させる方法および組成物に関する。特定の実施形態において、治療有効量の線維芽細胞、線維芽細胞エキソソーム、IL-2、またはそれらの組み合わせの集団を個体に投与することに関連する方法および組成物が存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療するか、または予防するか、または有するリスクを低下させる方法であって、治療有効量の線維芽細胞、線維芽細胞エキソソーム、改変線維芽細胞、IL-2、またはそれらの組み合わせの集団を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項2】
有効量のラパマイシン、N-アセチルシステイン、抗CD3抗体、またはそれらの組み合わせを前記個体に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線維芽細胞が前記個体に対して同種異系である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記線維芽細胞が前記個体に対して自己または異種である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞が、治療を必要とするレシピエントへの投与前に有糸分裂活性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記線維芽細胞が、a)皮膚;b)骨髄;c)血液;d)動員末梢血;e)歯肉;f)扁桃腺;g)胎盤;h)ホウォートンゼリー;i)毛包;j)卵管;k)肝臓;l)乳歯;m)輸精管;n)子宮内膜;o)経血;p)網;およびq)それらの組み合わせからなる群から選択される組織から単離される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記個体における前記ALSが、年齢が一致する健康な対照と比較して、炎症性サイトカインの上昇を伴う、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記炎症性サイトカインが、IL-1、IL-2、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-33、HMGB-1、TNF-α、TNF-β、IFN-α、IFN-βおよび/またはIFN-γである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記線維芽細胞が、CD73、CD70、CD105、CD16、CD55、CD37、インターロイキン-10受容体および/またはインターフェロンガンマ受容体の発現に関して選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記線維芽細胞をCD73の発現に関して選択し、続いてインターフェロンガンマで処理し、投与前に少なくとも1回の細胞分裂のために増殖させることができる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記線維芽細胞および/または改変線維芽細胞が、制御性T細胞の生成を刺激することができる様式で投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御性T細胞がFoxP3を発現する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御性T細胞が膜結合型TGF-βを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御性T細胞が、マイトジェンに応答して増殖するT細胞の能力を抑制する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記制御性T細胞が、未成熟樹状細胞が分化樹状細胞に成熟する能力を抑制する、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記樹状細胞の成熟が、a)HLA-II;b)CD40;c)CD80;d)CD86;およびe)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のマーカーの発現の上方制御に関連する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記樹状細胞の成熟が、同種異系T細胞の増殖を活性化する能力の増強に関連する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記樹状細胞の成熟が、同種異系T細胞からのインターフェロンγの生成を誘導する能力の増強に関連する、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記制御性T細胞が、CD3およびCD28への曝露によって活性化される、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記制御性T細胞が、インターロイキン10への曝露によって活性化される、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記制御性T細胞が、未成熟樹状細胞の投与によって活性化される、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記未成熟樹状細胞がPD-1Lを発現する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記未成熟樹状細胞が、低用量GM-CSF中での培養によって未成熟状態に維持される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記未成熟樹状細胞が、ヒト絨毛性ゴナドトロピン中での培養によって未成熟状態に維持される、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記未成熟樹状細胞が、低酸素下での培養によって未成熟状態に維持される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記未成熟樹状細胞が、NF-κb活性の阻害によって未成熟状態に維持される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
NF-κB活性の前記阻害が、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするアンチセンス分子の投与によって達成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
NF-κB活性の前記阻害が、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするRNA干渉を誘発することができる分子の投与によって達成される、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
NF-κB活性の前記阻害が、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とする遺伝子編集手段によって達成される、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
NF-κB活性の前記阻害が、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を遮断することができるデコイオリゴヌクレオチドの投与によって達成される、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
NF-κB活性の前記阻害が、NF-κB活性の小分子遮断薬の投与によって達成される、請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
NF-κB活性の前記小分子遮断薬が、カラグアリン(シダ誘導体)、コノフィリン(エルバタミア・ミクロフィラ(Ervatamia microphylla))、エボジアミン(エボディア・フラクトス(Evodiae fructus)成分)、ゲルダナマイシン、ペリリルアルコール、担子菌由来のタンパク質結合多糖類、ロカグラミド(モラン属(Aglaia)誘導体)、15-デオキシ-プロスタグランジンJ(2)、鉛、アナンダミド、アルテミシア・ベスチタ(Artemisia vestita)、コブロトキシン、デヒドロアスコルビン酸(ビタミンC)、ハービマイシンA、イソラポンチゲニン(Isorhapontigenin)、マヌマイシンA、ポメグラネート果実抽出物、テトランドリン(植物アルカロイド)、チエノピリジン、アセチル-ボスウェリア酸、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ラングアス・ガランガ(Languas galanga))、アピゲニン(植物フラボノイド)、カルダモミン、ジオスゲニン、フロナフトキノン、ググルステロン、ファルカリンドール(Falcarindol)、ホノキオール、ヒペストキシド、ガルシノンB、カーウェオール、カバ(パイパー・メチスチカム(Piper methysticum))誘導体、マンゴスチン(ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia mangostana)由来)、N-アセチルシステイン、ニトロシルコバラミン(Nitrosylcobalamin)(ビタミンB12類似体)、ピセタノール、プランバギン(5-ヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン)、ケルセチン、ロスマリン酸、セメカルプス・アナカルジウ(Semecarpus anacardiu)抽出物、スタウロスポリン、スルホラファンおよびフェニルイソチオシアネート、テアフラビン(紅茶成分)、チリアニン、トコトリエノール、ウェデロラクトン、ウィタノリド、ゼルンボン、シリビニン、ベツリン酸、ウルソール酸、モノクロラミンおよびグリシンクロラミン(NH2Cl)、アネトール、バオガニング、ブラックラズベリー抽出物(シアニジン3-O-グルコシド、シアニジン3-O-(2(G)-キシロシルルチノシド)、シアニジン3-O-ルチノシド)、ブッドレアサポニンIV、カコスポンジオノリドB、カラグアリン、一酸化炭素、カルダモニン、シクロエポキシドン;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-3-ペント-1-エニルベンゼン、デクルシン、デキサナビノール、ジギトキシン、ジテルペン、ドコサヘキサエン酸、広範囲に酸化された低密度リポタンパク質(ox-LDL)、4-ヒドロキシノネナール(HNE)、フラボピリドール、[6]-ギンゲロール;カスパロール、グロスギン・テヌイフォリア(Glossogyne tenuifolia)、フィチン酸(イノシトールヘキサキスリン酸)、ザクロ果実抽出物、プロスタグランジンA1、20(S)-プロトパナキサトリオール(ジンセノサイド代謝産物)、レンギオロン、ロットレリン(Rottlerin)、サイコサポニン-d、生理食塩水(低Na+等張)からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
制御性T細胞が、間葉系幹細胞エキソソームとのインキュベーションによって活性化される、請求項11から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記制御性T細胞が、インターロイキン-2受容体の活性化因子へのT細胞の曝露によってin vivoで生成され、CD4 CD25 T細胞の増殖および/または活性化を誘導することができる、請求項11から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記インターロイキン-2受容体が、IL-2の投与によって活性化される、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記IL-2が、体表面積1平方メートル当たり0.3×10~3.0×10IUのIL-2の濃度で、1~16週間、毎日投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の免疫調節化合物を投与することをさらに含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が、オキシトシン、プロラクチン、IL-10、IL-35、CD3阻害剤、またはそれらの組み合わせである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記CD3阻害剤が抗CD3抗体である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抗CD3抗体がテプリズマブである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記個体が家族性のALSを有する、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記個体が特発性のALSを有する、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記個体がC9ORF72遺伝子に1つ以上の突然変異を有する、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
リルゾールを前記個体に投与することをさらに含む、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願第63/211,989号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、生理学、および医学の分野を包含する。
【背景技術】
【0003】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋萎縮症を引き起こし、発症後3~5年以内に死亡する進行性の神経変性状態である[1]。患者の大部分(90%)において、ALSの原因は特発性である;しかしながら、患者の約10%において、この疾患の家族性が提示される[2]。特定の筋変性は運動ニューロンに排他的であり、局所的に始まり、広がり、四肢、呼吸筋、および延髄の筋力低下をもたらす。死亡直前には、四肢および呼吸機能のほぼ完全な喪失、ならびに咀嚼、嚥下、および発声の能力の喪失が存在する。
【0004】
米国では、ALSは「希少疾病(orphan disease)」として定義されており、毎年およそ10万人あたり2例の新規症例および毎年合計約10万人あたり5例の有病率である[3]。米国[4]および欧州[5]では、成人死亡者500人に1人から約1,000人に1人がALSと診断され、米国では50万人が生涯にこの疾患を発症することを意味する。ALS症例の約10%が、通常は優性形質として遺伝する[6]。家族性ALS(fALS)および孤発性ALS(sALS)の両方が、前頭側頭葉認知症(FTLD)と同時に発症し得る。基本的な所見が記憶喪失であるアルツハイマー病(AD)の認知症とは対照的に、FTLDは行動変化および進行性失語症を特徴とし、時として運動障害を伴う。ADは海馬において顕著な病態を伴うが、FTLDにおける基本的な所見は、その名称が示唆するように、前頭葉および側頭葉の早期萎縮である。多様な遺伝的原因を有するsALS、fALSまたはALS-FTLDを有する剖検症例の病理学的分析から、4つの繰り返し現れるテーマが浮上した。第1に、運動ニューロン死は、通常、多くの場合ユビキチン化された主に細胞質内の凝集したタンパク質の沈着を伴う。第2に、ALSでは、RNAおよびRNA結合タンパク質のレベルおよび機能が異常である。タンパク質およびRNAの凝集体は、運動ニューロンおよび非ニューロン細胞、例えば星状膠細胞およびミクログリアの両方において検出される。第3に、ほとんどの場合、神経細胞骨格構築および機能のいくらかの妨害を伴う。さらに、ほとんどすべての場合において、運動ニューロン死は、乏突起膠細胞および神経炎症に関与する細胞(例えば、アストログリアおよびミクログリア)を含む非ニューロン細胞によって影響される。
【0005】
ALSに最も一般的に関連する遺伝子は、非コードGGGGCCヘキサヌクレオチドリピートのリピート伸長を有するC9ORF72遺伝子であり[7]、これは、家族性ALSの症例の約40%に影響を及ぼし[8]、場合によっては、前頭側頭型認知症に関連する[9]。C9ORF72遺伝子における異常なリピートは、疾患進行の生物学に機構的に寄与する。興味深い研究は、洗練されたin vitroモデルを使用して、いくつかの重要な可能な機構を実証した。具体的には、C9ORF72 ALS患者由来の人口多能性幹細胞(iPSC)分化ニューロンにより、疾患特異的なa)核内GGGGCCexp RNA foci、(b)調節不全の遺伝子発現、(c)GGGGCCexp RNA結合タンパク質ADARB2の隔離、および(d)興奮毒性に対する感受性が明らかにされた。これらの病理学的特徴および病原性特徴がALS患者の脳において確認され、リピート関連非ATG翻訳(RAN)産物の存在にもかかわらず、C9ORF72転写産物またはリピート伸長のアンチセンスオリゴヌクレオチド媒介抑制によって消失した。著者らによれば、それらのデータは、C9ORF72 ALSの原因としての毒性RNA機能獲得機構を示し、療法のためのアンチセンス治療薬候補およびヒト薬力学マーカー候補を提供する[10]。神経変性におけるC9ORF72リピートの重要性は、これらのリピートがALS患者だけでなく、アルツハイマー病[11、12]、パーキンソン病[13]および他の認知症[14]の患者にも見られることを実証する研究によって裏付けられる。Cu/Zn-スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)もまた、ALSの病因と重要な遺伝的関連がある。ALSに関連するさらなるあまり一般的でない遺伝子としては、下記のものが挙げられる:肉腫に融合(FUS)されたTAR DNA結合タンパク質43(TARDBP)および他のあまり頻繁でない変異。
【0006】
ALS病態の知識における著しい進歩にもかかわらず、現在利用可能な唯一の治療はリルゾールであり、これは生存期間を3ヶ月だけ延長し、生活の質の改善はない。したがって、ALSを治療するための新しい代替物を探すことが不可欠であり、本開示はそのような解決策を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、哺乳動物における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の1つ以上の症状を軽減および/または改善させることを目的とするシステム、方法および組成物に関する。一実施形態において、線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームの投与が、例えば、ALSに伴う運動ニューロン変性の減速および/または改善をもたらす免疫学的変化および/または再生変化を誘導するために行わる。一実施形態において、線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームを利用して、神経炎症を阻害し、再生過程の刺激を可能にする免疫調節細胞を生成する。いくつかの実施形態において、線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームが治療アジュバントとして利用される。
【0008】
特定の実施形態において、個体において筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療するか、または予防するか、または有するリスクを低下させる方法であって、治療有効量の線維芽細胞、線維芽細胞エキソソーム、改変線維芽細胞、IL-2、またはそれらの組み合わせの集団を個体に投与することを含む、方法が存在する。いくつかの実施形態において、本方法は、有効量のラパマイシン、N-アセチルシステイン、抗CD3抗体、またはそれらの組み合わせを個体に投与することをさらに含む。線維芽細胞は、個体に対して同種異系であっても、または個体に対して自己もしくは異種であってもよい。ある場合には、線維芽細胞は、治療を必要とするレシピエントへの投与前に有糸分裂活性である。
【0009】
線維芽細胞は、任意の供給源に由来してよく、a)皮膚;b)骨髄;c)血液;d)動員末梢血;e)歯肉;f)扁桃腺;g)胎盤;h)ホウォートンゼリー;i)毛包;j)卵管;k)肝臓;l)乳歯;m)輸精管;n)子宮内膜;o)経血;p)網;およびq)それらの組み合わせからなる群から選択される組織から単離され得る。
【0010】
具体的な事例において、個体におけるALSは、年齢が一致する健康な対照と比較した炎症性サイトカインの上昇に関連しており、この炎症性サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-33、HMGB-1、TNF-α、TNF-β、IFN-α、IFN-β、IFN-γであり得る。ある実施形態において、線維芽細胞は、CD73、CD70、CD105、CD16、CD55、CD37、インターロイキン-10受容体および/またはインターフェロンガンマ受容体の発現に関して選択される。
【0011】
線維芽細胞をCD73の発現に関して選択し、続いてインターフェロンガンマで処理し、投与前に少なくとも1回の細胞分裂のために増殖させることができる。線維芽細胞および/または改変線維芽細胞は、制御性T細胞の生成を刺激することができる方法で投与され得る。制御性T細胞は、FoxP3を発現し得るか、膜結合型TGF-βを含み得るか、マイトジェンに応答して増殖するT細胞の能力を抑制し得るか、および/または未成熟樹状細胞が分化樹状細胞に成熟する能力を抑制し得る。具体的な事例において、樹状細胞の成熟は、a)HLA-II;b)CD40;c)CD80;d)CD86;およびe)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のマーカーの発現の上方制御に関連する。樹状細胞の成熟は、同種異系T細胞の増殖を活性化する能力の増強に関連し得る。樹状細胞の成熟は、同種異系T細胞からのインターフェロンγの生成を誘導する能力の増強に関連し得る。特定の実施形態において、制御性T細胞は、CD3、CD28、インターロイキン-10への曝露によって、および/またはPD-1Lを発現し得る未成熟樹状細胞の投与によって活性化される。未成熟樹状細胞は、低用量GM-CSF、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、低酸素、および/またはNF-κb活性の阻害下での培養によって未成熟状態に維持することができる。NF-κB活性の阻害は、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするアンチセンス分子の投与、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするRNA干渉を誘発することができる分子の投与、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とする遺伝子編集手段、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を遮断することができるデコイオリゴヌクレオチドの投与、および/またはNF-κB活性の小分子遮断薬の投与によって達成され得る。NF-κB活性の小分子遮断薬は、カラグアリン(シダ誘導体)、コノフィリン(エルバタミア・ミクロフィラ(Ervatamia microphylla))、エボジアミン(エボディア・フラクトス(Evodiae fructus)成分)、ゲルダナマイシン、ペリリルアルコール、担子菌由来のタンパク質結合多糖類、ロカグラミド(モラン属(Aglaia)誘導体)、15-デオキシ-プロスタグランジンJ(2)、鉛、アナンダミド、アルテミシア・ベスチタ(Artemisia vestita)、コブロトキシン、デヒドロアスコルビン酸(ビタミンC)、ハービマイシンA、イソラポンチゲニン(Isorhapontigenin)、マヌマイシンA、ポメグラネート果実抽出物、テトランドリン(植物アルカロイド)、チエノピリジン、アセチル-ボスウェリア酸、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ラングアス・ガランガ(Languas galanga))、アピゲニン(植物フラボノイド)、カルダモミン、ジオスゲニン、フロナフトキノン、ググルステロン、ファルカリンドール(Falcarindol)、ホノキオール、ヒペストキシド、ガルシノンB、カーウェオール、カバ(パイパー・メチスチカム(Piper methysticum))誘導体、マンゴスチン(ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia mangostana)由来)、N-アセチルシステイン、ニトロシルコバラミン(Nitrosylcobalamin)(ビタミンB12類似体)、ピセタノール、プランバギン(5-ヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン)、ケルセチン、ロスマリン酸、セメカルプス・アナカルジウ(Semecarpus anacardiu)抽出物、スタウロスポリン、スルホラファンおよびフェニルイソチオシアネート、テアフラビン(紅茶成分)、チリアニン、トコトリエノール、ウェデロラクトン、ウィタノリド、ゼルンボン、シリビニン、ベツリン酸、ウルソール酸、モノクロラミンおよびグリシンクロラミン(NH2Cl)、アネトール、バオガニング、ブラックラズベリー抽出物(シアニジン3-O-グルコシド、シアニジン3-O-(2(G)-キシロシルルチノシド)、シアニジン3-O-ルチノシド)、ブッドレアサポニンIV、カコスポンジオノリドB、カラグアリン、一酸化炭素、カルダモニン、シクロエポキシドン;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-3-ペント-1-エニルベンゼン、デクルシン、デキサナビノール、ジギトキシン、ジテルペン、ドコサヘキサエン酸、広範囲に酸化された低密度リポタンパク質(ox-LDL)、4-ヒドロキシノネナール(HNE)、フラボピリドール、[6]-ギンゲロール;カスパロール、グロスギン・テヌイフォリア(Glossogyne tenuifolia)、フィチン酸(イノシトールヘキサキスリン酸)、ザクロ果実抽出物、プロスタグランジンA1、20(S)-プロトパナキサトリオール(ジンセノサイド代謝産物)、レンギオロン、ロットレリン(Rottlerin)、サイコサポニン-dおよび/または生理食塩水(低Na+等張)からなる群から選択することができる。ある実施形態において、制御性T細胞は、間葉系幹細胞エキソソームとのインキュベーションによって活性化され、インターロイキン-2受容体の活性化因子へのT細胞の曝露によってin vivoで生成され得、CD4 CD25 T細胞の増殖および/または活性化を誘導することができる。
【0012】
本方法のいくつかの実施形態において、インターロイキン-2受容体は、IL-2の投与によって活性化される。IL-2は、体表面積1平方メートル当たり0.3×10~3.0×10IUのIL-2の濃度で、場合によっては1~16週間、毎日投与してもよい。
【0013】
特定の実施形態において、任意の方法は、オキシトシン、プロラクチン、IL-10、IL-35、CD3阻害剤、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の免疫調節化合物を投与することをさらに含み得る。CD3阻害剤は、テプリズマブなどの抗CD3抗体であり得る。特定の実施形態において、個体は、家族性のALSを有するか、または特発性のALSを有する。個体は、C9ORF72遺伝子に1つ以上の突然変異を有し得る。任意の方法において、リルゾールを個体に投与することをさらに含み得る。
【0014】
上記は、以下の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本開示の特徴および技術的利点をかなり広く概説したものである。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴および利点を以下に説明する。開示された概念および特定の実施形態は、本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者によって理解されるべきである。また、当業者であれば、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載された精神および範囲から逸脱しないことを理解されたい。さらなる目的および利点と共に、構成および操作方法の両方に関して本明細書に開示された設計の特徴であると考えられる新規な特徴は、添付の図面と結びつけて検討される場合、以下の説明からよりよく理解されると思われる。しかしながら、各図面は例示および説明のみを目的として提供されており、本開示の限界の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。
【0015】
(発明の詳細な説明)
長期にわたる特許法条約に沿って、「a」および「an」という単語は、特許請求の範囲を含む本明細書において「含む」という単語と併せて使用される場合、「1つ以上」を示す。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つ以上の要素、方法工程、および/または方法からなり得るか、または本質的になり得る。本明細書に記載の任意の方法または組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に関して実装することができ、異なる実施形態を組み合わせ得ることが企図される。
【0016】
本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」という語は、述べられた工程もしくは要素または工程もしくは要素の群を含むが、他の工程もしくは要素または工程もしくは要素の群を除外しないことを暗示すると理解されたい。「からなる(consisting of)」とは、「からなる(consisting of)」という語句に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、この語句の後に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素について本開示で指定された活性または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は任意選択ではなく、列挙された要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。
【0017】
本明細書を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある実施形態」、「追加の実施形態」、もしくは「さらなる実施形態」、またはそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせることができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「または」および「および/または」という用語は、互いに組み合わせてまたは排他的に複数の構成要素を説明するために利用される。例えば、「x、y、および/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y、およびz、」「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」または「xまたはyまたはz」を指すことができる。x、y、またはzは、実施形態から具体的に除外されることもあり得ることが特に企図される。
【0019】
本出願を通して、「約」という用語は細胞および分子生物学の分野におけるその明白で通常の意味に従って使用され、値がその値を決定するために使用されている装置または方法の誤差の標準偏差を含むことを示す。
【0020】
本明細書で使用される「単離」という用語は、他の材料を実質的に含まない分子または生物学的もしくは細胞的な材料を指す。一態様において、「単離」という用語は、例えば天然源に存在する他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞の細胞小器官、または組織もしくは器官からそれぞれ分離された核酸、例えばDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞の細胞小器官、または組織もしくは器官を指す。「単離」という用語はまた、細胞材料、ウイルス材料または組換えDNA技術によって産生される場合培地、または化学合成される場合、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドを指す。さらに、「単離された核酸」とは、断片として天然に存在せず、天然の状態では見られない核酸断片を含むことを意味する。「単離」という用語はまた、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すために本明細書で使用され、精製ポリペプチドと組換えポリペプチドの両方を包含することを意味する。「単離」という用語はまた、他の細胞または組織から単離された細胞または組織を指すために本明細書で使用され、培養された、または操作された細胞または組織の両方を包含することを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「予防する」および「予防された」、「予防すること」などの類似語は、疾患または状態、例えばALSの発生または再発の可能性を予防、阻害または低減するためのアプローチを示す。またそれは、疾患もしくは状態の発症もしくは再発を遅延させること、または疾患もしくは状態の症状の発生もしくは再発を遅延させることを指す。本明細書で使用される場合、「予防」および類似語はまた、疾患または状態の発症または再発の前に疾患または状態の強度、効果、症状および/または負荷を軽減することを含む。
【0022】
用語「対象」は、本明細書中で使用される場合、ALSを有する個体、または、一般集団にわたってALSを有することが疑われる個体、またはALSを有するリスクがある個体を全般に示す。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、およびニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコおよびげっ歯類)、ウマ、およびトランスジェニック非ヒト動物を含む、方法または材料の客体である任意の生物または動物対象であり得る。対象は、患者であり得、例えば、ALSを有するか、ALSを有することが疑われるか、またはALSを有することが知られている患者であり得る。対象は、治療を受けているか、または治療を受けたことがある。対象は無症候性であり得る。対象は、健康な個体であり得るが、ALSの予防を望む個体である。「個体」という用語は、少なくともいくつかの場合、互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」は、医療施設に収容されていてもいなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されてもよい。個体は、インターネットを介して1つ以上の医薬組成物を受けていてもよい。個体は、ヒトまたは非ヒト動物の任意の年齢を含むことができ、したがって、成体および若年者の両方を含む。この用語が医学的処置の必要性を暗示することは意図されておらず、したがって、個体は、臨床であろうと、基礎科学研究の支援であろうと、自発的または非自発的に実験の一部であり得る。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「治療」または「治療すること」は、疾患または病態の症状または病理に対する任意の有益な効果または望ましい効果を含み、治療されている疾患または状態(例えば、ALS)の1つ以上の測定可能なマーカーにおける最小限の低下もまた含み得る。治療は、任意選択的に、疾患もしくは状態の症状の軽減もしくは改善、または疾患もしくは状態の進行の遅延のいずれかを含み得る。「治療」は、必ずしも疾患もしくは状態、またはその関連症状の完全な根絶もしくは治癒を示すものではない。
【0024】
本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載がない限り、または明確に別段の示唆がない限り、「治療有効用量」、「治療有効量」、「有効量」などの用語は、ヒトまたは他の動物の健康および幸福に正味のプラスの効果を有する化合物の部を指す。治療効果とは、寿命、生活の質の改善、1つ以上の症状の数および/または重症度の低減などが含まれ得る。これらの効果はまた、疾患の発症または健康もしくは幸福の悪化に対する感受性の低下を含み得る。効果は、単回用量および/または治療の後すぐに実現されてもよく、または一連の用量および/または治療の後に累積的に実現されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載がない限り、または明確に別段の示唆がない限り、「約」という用語は、プラスまたはマイナス10%の範囲の値を指し、例えば、約1.0は、0.9~1.1の値を包含する。
【0026】
本開示の実施形態は、線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームおよび/またはIL-2の投与によってALSを治療するかまたは予防するか、またはALSを有するリスクを低減させる手段を提供する。特定の実施形態において、本開示は、神経炎症を軽減し、再生プロセスの発生を可能にする制御性T細胞(Treg)を誘導するための線維芽細胞および/または改変線維芽細胞の利用を包含する。
【0027】
ある実施形態において、本開示は、ALSを予防する、阻害する、その発症を遅延させる、進行を減速させる、または、改善するための線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームおよび/またはIL-2の使用を提供する。本開示のいくつかの実施形態において、in vivoでの線維芽細胞による制御性T細胞の刺激は、ALS患者における炎症を軽減し、再生を刺激するために達成される。いくつかの実施形態において、方法は、英国における転移性腎細胞癌腫の治療のために認可された市販のIL-2であるアルデスロイキン(Proleukin、Novartis)の投与を含む。これは、遺伝子操作された改変ヒトIL-2遺伝子を含有する大腸菌(Escherichia coli)株を使用した組換えDNA技術によって産生され、制御性T細胞を選択的に増殖させることができる用量で静脈内または皮下(SC)のいずれかで投与される。これは、線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームを用いておよび/または用いずに実施され得る。
【0028】
任意の形態のIL-2は、任意の適切な用量で、任意の適切な投与によって投与され得る。IL-2は、体表面積1平方メートル当たり0.3×106~3.0×106IUのIL-2の濃度で、およびその中から導き出せる任意の範囲の濃度で、少なくともいくつかの事例では1~16週間、毎日投与することができる。特定の事例では、短時間の静脈内注入後、その薬物動態プロファイルは、高い血漿濃度、血管外空間への急速な分布、および急速な腎クリアランスを典型的に表す。持続注入および皮下注射の推奨用量は、それぞれ24時間当たり18×106IU/m2の反復サイクルを5日間および18×106IUの反復用量であり得る。IL-2(アルデスロイキンを含む)のバイオアベイラビリティは31%~47%の範囲であり、SC投与後2~6時間でピーク血漿レベルに達する。皮下IL-2(アルデスロイキンを含む)の吸収および排出の過程は、1-コンパートメントモデルによって記載されており、45分の吸収半減期および3~5時間の排出半減期である[15]。天然IL-2は、1976年にTリンパ球の成長因子として最初に同定された。それは、ヒトクラスター分類(CD)4+T細胞およびいくつかのCD8+T細胞によって産生され、主に活性化T細胞、特にCD4+ヘルパーT細胞によって合成される。それは、T細胞の増殖および分化を刺激し、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の生成ならびに末梢血リンパ球の細胞傷害性細胞およびリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞への分化を誘導し、T細胞によるサイトカインおよび細胞溶解性分子の発現を促進し、B細胞の増殖および分化ならびにB細胞による免疫グロブリンの合成を促進し、ナチュラルキラー(NK)細胞の生成、増殖および活性化を刺激する。IL-2は、免疫応答の生成において中心的な役割を果たすことが知られている。がんの臨床試験において、高用量組換えIL-2(例えば、8時間ごとの60万国際単位(IU)/kgのIVボーラス用量、最大14用量)は、転移性腎細胞癌腫(RCC)および転移性メラノーマにおいて抗腫瘍活性を実証した。したがって、このような高用量IL-2は、1989年に欧州で、1992年に米国で転移性RCCの治療に承認された。1998年に、転移性メラノーマを有する患者を治療するための承認が得られた。組換えヒトIL-2(アルデスロイキン)(Proleukin(登録商標)-Novartis Inc.およびPrometheus Labs Inc.)は、現在、米国食品医薬品局(US FDA)によって承認されている。しかしながら、IL-2は、エフェクター細胞の増殖および活性を媒介するだけでなく、末梢免疫寛容の維持にも極めて重要に関与するという点で、免疫応答において二重の機能を有する。末梢自己寛容の根底にある主要な機構は、T細胞におけるIL-2誘導活性化誘導細胞死(AICD)である。AICDは、完全に活性化されたT細胞が、CD95(Fasとしても知られる)またはTNF受容体などの細胞表面発現細胞死受容体の関与を介してプログラム細胞死を起こす過程である。増殖中に高親和性IL-2受容体を発現する抗原活性化T細胞(IL-2への以前の曝露後)をT細胞受容体(TCR)/CD3複合体を介して抗原で再刺激すると、Fasリガンド(FasL)および/または腫瘍壊死因子(TNF)の発現が誘導され、細胞がFas媒介性アポトーシスの影響を受けやすくなる。このプロセスはIL-2依存性であり、STAT5を介して媒介される。Tリンパ球におけるAICDの過程によって、自己抗原に対する寛容だけでなく、腫瘍抗原などの宿主の構成の一部ではないことが明らかな持続性抗原に対する寛容も確立することができる。
【0029】
線維芽細胞の投与のために、様々なプロトコルおよび手順が利用され得る。ALSにおける細胞療法の投与のための指針が、この状態のための様々な間葉系幹細胞(MSC)アプローチを使用する研究から導かれる場合がある。例えば、間葉系幹細胞をALSにおいて使用する最初の臨床的介入のうちの1つが、骨髄のex vivo増殖MSCによりALS患者を治療したMazzini他[16]による報告であった。具体的には、後腸骨稜からの吸引によって標準的な手順に従って骨髄採取を行った。間葉系幹細胞のex vivo増殖をPittengerのプロトコル[17]に従って誘導した。細胞を2mlの自己脳脊髄液に懸濁し、マイクロメトリックポンプインジェクタによって脊髄に移植した。呼吸不全または死亡などの大きな有害事象を示した患者はいなかった。軽微な有害事象は、術後平均期間3日後の可逆的な肋間痛放散(4名の患者)および術後平均期間6週間後の可逆的な脚感覚異常(5名の患者)であった。脊髄容積の変化または異常な細胞増殖の他の徴候は観察されなかった。著者らは、自己間葉系幹細胞のex vivo増殖およびヒトの脊髄への移植の手順が安全であり、ALS患者によって十分に忍容されるように思われると述べることによって結論付けた。同じグループが、治療された最初の患者の3年間の追跡調査を報告した。確実なALSに冒された7名の患者がこの研究に登録され、2名の患者が、人道的使用として治療された。呼吸不全または死亡などの大きな有害事象を示した患者はいなかった。軽微な有害事象は、肋間痛放散および脚感覚異常であり、両方とも平均6週間後に可逆的であった。脊髄容積の変化または異常な細胞増殖の他の徴候は観察されなかった。努力肺活量の線形低下の有意な減速が、MSC移植の36ヶ月後に4名の患者において明らかであった[18]。追加の2つの研究が、10名および19名の患者に対して同じ群によって実施された。治療された患者の最長観察が治療9年後に実施された。長期有害作用は検出されず、限界治療効果が見られた[19、20]。別の例では、独立したグループによる研究により、ALS患者における自己骨髄(BM)由来間葉系間質細胞(MSC)の2回の反復髄腔内注射の安全性が評価された。確実なまたは可能性大のALSを有する8名の患者が登録された。3ヶ月の導入期間の後、自己MSCを26日間の間隔でBMから2回単離し、次いで、in vitroで28日間増殖させ、自己脳脊髄液に懸濁した。8名の患者のうち、7名は26日間空けて、2回の自己MSC(1×10(6)細胞/kg)の髄腔内注射を受けた。最初のMSC注射の12ヶ月後の安全性を評価するために、臨床的または実験的測定値を記録した。ALS機能評価尺度改訂版(ALSFRS-R)、Appel ALSスコアおよび努力肺活量を使用して、患者の疾患状態を評価した。1名の患者が治療前に死亡し、研究から離脱した。死亡は研究に関連しておらず、疾患の自然な進行に起因していた。その患者を除いて、12ヶ月の追跡調査期間中に重篤な有害事象は観察されなかった。大部分の有害事象は、4日以内の支持療法後に自己限定的であったか、または鎮静した。ALSFRS-Rスコアの低下は、6ヶ月の追跡調査期間中に加速されなかった。自己MSCの2回の反復髄腔内注射は安全であり、12ヶ月の追跡調査期間の間を通して実行可能であった[21]。Belarusのその後の研究では、静脈内注射された自己間葉系幹細胞(インタクトな細胞)または腰椎穿刺を介して注射された自己間葉系幹細胞(神経分化に関与する細胞)が利用された。12ヶ月の追跡調査後の細胞Tの結果の評価は、ALSFRS-Rスコアによって評価される疾患進行の減速が、細胞で治療された10名の患者において観察されたことを明らかにした。これと比較して、年齢および疾患状態について一致させた対照群では、進行の減速は観察されなかった。対照群は15名の患者で構成されていた。この研究により、間葉系幹細胞の静脈内または髄腔内投与に関連する有害作用は報告されなかった[22]。
【0030】
投与のための他の注射手段、例えば脳室内注射が可能である。Baekら[23]による研究は、Ommayaリザーバを使用して細胞を投与することによって、脳室内注射を脳内に直接利用する能力を評価した。Ommayaリザーバは、脳室に直接薬物を送達するために典型的に使用されるカテーテルシステムである。それは、頭皮の下に埋め込まれたリザーバに取り付けられた1つの側脳室内のカテーテルからなる。それは、典型的には、脳腫瘍、白血病/リンパ腫または軟膜疾患を治療するために、ならびにモルヒネの脳室内(ICV)注射のために使用される[24]。他の研究者は、以前に細胞療法を脳に送達するためにOmmayaリザーバを使用していた。このアプローチの相対的な安全性を示すために、神経膠腫患者における1つの研究では、ex vivoで増殖させた自己腫瘍浸潤リンパ球をOmmayaリザーバの使用によって6名の患者に投与した。1名の患者は完全奏効を示し、2名は部分奏効を示し、3名は疾患に屈した。最も興味深いことに、典型的には炎症に非常に感受性が高いと分類される領域である脳に活性化リンパ球が直接注射されたという事実にもかかわらず、重篤な有害作用は認められなかった[25]。この合理的な研究とともに、他の研究が、脳へ細胞を首尾よく投与しており[26~28]、また、間葉系幹細胞が一般には抗炎症性であると考えられることから、Baekらは、ALS患者における使用のためにこの手順を採用しようと試みた。骨髄間葉系幹細胞を、Ommayaリザーバの挿入を受けた、ALSを有する男性患者の骨髄から単離した。増殖MSC(hBM-MSC:1×106細胞/kgの用量)を自己CSFに懸濁し、Ommayaリザーバを介してALS患者の側脳室に直接移植した。患者の臨床的、検査室的および放射線学的評価により、幹細胞療法に関連する重篤な有害作用がないことが明らかにされた。著者らは、最適化された数の細胞の脳室内注射が安全であり、ALS患者における幹細胞療法のための潜在的な経路であると結論づけた。Ommayaリザーバを介した脳室内注射は、はるかに進行したALS患者においてさえ幹細胞の反復注射を容易かつ確実にする。残念ながら、この刊行物では、疾患進行への影響に関する考察は示されなかった。
【0031】
ALSにおける間葉系幹細胞の治療効力を増大させるための別の試みにおいて、研究者らは、培養条件の操作によって神経栄養因子産生を増大させるin vitro手段を探求しており、これらの方法が本明細書中ではどのような種類の線維芽細胞にも適用される可能性がある。イスラエルのエルサレムにあるハダサ・メディカル・センターで行われた一連の研究では、より多量の神経栄養因子を産生することが検証されているin vitroで操作されたMSCによってALSを治療しようと試みた。この研究では、全ての患者を移植前3ヶ月間および移植後6ヶ月間追跡調査した。試験の第1/2相では、初期段階のALS患者6名に筋肉内(IM)注射を行い、疾患がより進行した患者6名に髄腔内(IT)移植を行った。第2段階、第2a相、用量漸増研究では、初期段階のALS患者14名が、自己MSC-NTF細胞のIM移植とIT移植との併用を受けた。20歳および75歳の、第1/2相試験の12名の患者および第2a相試験の14名の患者の間では、間葉系幹細胞の投与が研究追跡調査期間にわたって安全であり、十分に忍容されることが分かったことが報告された。有害作用のほとんどは軽度および一過性であり、治療関連の重篤な有害事象は含まれなかった。IT(またはIT+IM)治療患者における努力肺活量およびALSFRS-Rスコアの進行速度が、MSC-NTF細胞移植後の6ヶ月間では治療前期間に対して低下した(-5.1%から-1.2%/月のパーセンテージ予測努力肺活量、P<.04および-1.2から0.6ALSFRS-Rポイント/月、P=.052)。これらの患者のうち、13名(87%)がALSFRS-Rまたは努力肺活量のいずれかに対する応答者として定義され、進行の勾配において処置後6ヶ月で少なくとも25%の改善を有する。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態において、内因性神経幹細胞活性を増強する承認薬の周知の例としては、リチウム[29、30]、バルプロ酸[31]およびヒト絨毛性ゴナドトロピン[32]が挙げられ、これらは、ALSを阻害および/または治療するために線維芽細胞と共に利用される。興味深いことに、リチウムとバルプロ酸との幹細胞修飾因子の組み合わせは、いくらかの有効性の可能性を示唆する小規模な試験で既にそれ自体評価されていた。この試験では、この組合せで治療された18名の患者を募集し、これらを、リチウムおよび/またはバルプロエートによる治療を受けたことがない、年齢、性別、疾患の発生率および時間によって慎重にペアにした31人の対照と比較した。ALSFRS-Rによる疾患の評価は、治療前(ベースライン)、治療1ヶ月後、および転帰(死亡または有害事象)まで4ヶ月ごとに実施した。研究者らは、リチウムとバルプロエートとの同時治療が生存を有意に増大させ、この治療はまた、治療されたALS患者においてすべての生化学的マーカーが正常なレベルに達したため、患者における神経保護を発揮したことを報告した。生化学的マーカーは、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ活性、ならびに還元型グルタチオンであった[33]。
【0033】
本開示の一実施形態において、ALSに罹患しているか、またはALSに対するリスクがある患者に、体重1キログラムあたり100億~4兆個の線維芽細胞を投与した後、毎日、0.3×106IUのIL-2(例えば、アルデスロイキン)を投与する。IL-2(アルデスロイキンを含む)の臨床使用のための濃度は、心不全[15]、ウィスコット-アルドリッチ症候群[34]、移植片対宿主病[35、36]、狼瘡[37]、1型糖尿病[38~40]を含めて他の適応症について記載された文献から使用することができ、これらは参照によって組み込まれる。本開示のいくつかの実施形態においては、アルデスロイキンの形態などの低用量のIL-2を、体表面積1平方メートル当たり0.3×106~3.0×106IUのIL-2の濃度で8週間にわたって毎日、または他の実施形態においては、1.0×106~3.0×106IUのIL-2の5日間の反復投与。様々なタイプのIL-2を利用することができる。IL-2変異体、組換えIL-2、IL-2産生の方法、IL-2精製の方法、製剤化の方法などの例は、当技術分野で周知であり、例えば、少なくとも、米国特許第4,530,787号、第4,569,790号、第4,572,798号、第4,604,377号、第4,748,234号、第4,853,332号、第4,959,314号、第5,464,939号、第5,229,109号、第7,514,073号および第7,569,215号に見出すことができ、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、低用量インターロイキン-2は、他の様態でチェックポイントとして知られる、共阻害分子の1つ以上の活性化剤と共に提供される。そのような共阻害分子としては、CTLA-4、PD-1、VISTA、B7-H2、B7-H3、PD-L1、B7-H4、B7-H6、ICOS、HVEM、PD-L2、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、GITR、4-IBB、OX-40、BTLA、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、HHLA2、ブチロフィリン、A2aRおよびそれらの組み合わせが挙げられる。本開示のいくつかの実施形態において、間葉系幹細胞が同時投与される。MSCを使用するためのプロトコルは以前に公開されており、参照により組み込まれる[41、42]。例えば、脂肪由来の間葉系幹細胞[43~46]、骨髄由来の間葉系幹細胞[47~66]、胎盤由来の間葉系幹細胞[67]、羊膜由来の間葉系幹細胞[68、69]、臍帯由来の間葉系幹細胞[70~76]、経血由来の間葉系幹細胞[77]および肺由来の間葉系幹細胞[78、79]、ならびに馴化培地由来の間葉系幹細胞[80~87]。さらに、間葉系幹細胞によるTregの生成も当技術分野で記載されており、本発明者らは、本発明の実施を支援するために以下の参考文献を提供している[88~116]。
【0034】
ある実施形態において、ALS患者には、制御性T(Treg)細胞を優先的に刺激するヒトIL-2ムテインが投与される。本明細書で使用される場合、「制御性T細胞を優先的に刺激する」は、ムテインがCD3+FoxP3-T細胞よりもCD3+FoxP3+T細胞の増殖、生存、活性化および/または機能を促進することを意味する。Tregを優先的に刺激する能力を測定する方法は、末梢血白血球のフローサイトメトリーによって測定することができ、総CD4+T細胞の中のFOXP3+CD4+T細胞の割合の増加、総CD8+T細胞の中のFOXP3+CD8+T細胞の割合の増加、NK細胞と比較したFOXP3+T細胞の割合の増加、および/または他のT細胞上のCD25発現の増加と比較したFOXP3+T細胞の表面上のCD25の発現レベルのより大きな増加が観察される。Treg細胞の優先的成長もまた、亜硫酸水素塩処理ゲノムDNAからのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物の配列決定によって検出されるように、全血から抽出されたDNA中の脱メチル化CD3遺伝子に対する、脱メチル化FOXP3プロモーターDNA(すなわちTreg特異的脱メチル化領域、またはTSDR)の提示の増加として検出することができる。Treg細胞を優先的に刺激するIL-2ムテインは、対象または末梢血試料中のCD3+FoxP3+T細胞のCD3+FoxP3-T細胞に対する比を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%増加させる。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態において、ALSに罹患している患者には、同種異系宿主において投与される間葉系幹細胞の刺激によって制御性T細胞を増強することができる特性を有する薬剤が投与される。タンパク質、例えば、抗体、融合タンパク質および可溶性リガンドは、そのいずれもが野生型タンパク質と同一であるかまたは突然変異(すなわち、1つ以上のアミノ酸残基の欠失、付加または置換)を含有してもよく、それらをコードする核酸分子(または、それらに対して「アンチセンス」である;例えば、標的ポリペプチドをコードする核酸に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチド、またはそれらの受容体の成分(例えば、サブユニット))はすべて「薬剤」である。本発明の薬剤は、全身的に、局所的に投与することができ、または細胞ベースの治療を用いて投与することができる(すなわち、本発明の薬剤は、その薬剤を発現する細胞を患者に投与することによって患者に投与することができる)。寛容回復剤は、α1-プロテイナーゼ阻害剤とも呼ばれるα1-アンチトリプシン(AAT;A1ATと略されることもある)であり得る。AATは、好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ3、トロンビン、トリプシンおよびキモトリプシンを含む多数のセリンプロテアーゼの酵素活性を阻害する主要な血清セリンプロテアーゼ阻害剤である。例えば、AATポリペプチド(例えば、ヒトAATなどの精製または組換えAAT)またはそのホモログ、生物学的に活性な断片、または他の活性なその変異体を投与することができる。α1プロテイナーゼ阻害剤は、AAT欠損症の治療のために市販されており、ARALAST(商標)、PROLASTIN(商標)およびZEMAIRA(商標)が挙げられる。AATポリペプチドまたはその生物学的に活性な断片もしくは変異体は、ヒト起源のものであり得、ヒト組織または血漿から精製され得る。あるいは、それは組換え的に生成され得る。読みやすくするために、AATへの各参照の後に「またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体」という句を繰り返さない。完全長の天然に存在するAATを使用することができるときはいつでも、その生物学的に活性な断片または他の生物学的に活性な変異体(例えば、1つ以上のアミノ酸残基が置換された変異体)も使用することができることを理解されたい。同様に、本発明者らは、天然に存在するポリペプチド(例えば、AAT)が天然源から精製され得ること、または組換え的に生成され得ることを毎回繰り返さない。両方の形態が有用であり得ることを理解されたい。同様に、本発明者らは、ポリペプチドがヒト起源または非ヒト起源であり得ることを繰り返し特定していない。ヒトタンパク質の投与には利点があり得るが、本発明はそのように限定されない。
【0036】
本開示の方法(例えば、複数可変用量のIL-2単独または1つ以上の他の抗免疫障害療法との併用)は、所望の対象に投与することができ、または対象がそのような療法に対する応答者であると示されたら投与することができる。別の実施形態において、対象がこの療法に対する応答者ではないことが示された場合、ならびに標的化および/または非標的化抗免疫療法などの代替治療レジメンを投与することができる場合、本発明の治療方法を回避することができる。
【0037】
一実施形態において、ALSに罹患している対象を治療する複数可変IL-2用量方法であって、a)対象の血漿IL-2レベルを増加させ、免疫抑制性T細胞の従来のTリンパ球(Tcons)に対する対象の比を増加させる用量でインターロイキン-2(IL-2)を対象に連続的に投与することを含む導入レジメンを対象に投与すること、ならびにb)続いて、導入レジメン用量よりも高く、i)対象の血漿IL-2レベルをさらに増加させ、ii)免疫抑制性T細胞のTconsに対する比をさらに増加させてそれによって対象を治療するIL-2維持用量を対象に連続的に投与することを含む少なくとも1つの維持レジメンを対象に投与すること、を含む療法が提供される。一実施形態において、導入レジメンによりもたらされる血漿IL-2のレベルは、導入レジメン前の以前のピーク血漿IL-2レベルより低いレベルに枯渇する。IL-2維持レジメンは、ある実施形態において、対象の血漿IL-2レベルを、導入レジメンによって誘導されたピーク血漿IL-2レベルを超えて増加させることができる。「複数可変IL-2用量方法」という用語は、2回以上のIL-2投与を含む治療的介入を指し、2回以上のIL-2投与は2つ以上のIL-2用量を使用する。そのような方法は、一定量のIL-2をスケジュールされた様式で、例えば毎日投与する「固定」投与方法とは対照的である。「導入レジメン」という用語は、対象の血漿IL-2レベルを増加させ、対象の免疫抑制性T細胞:Tcons比を増加させる用量でのIL-2の連続投与を指す。いくつかの実施形態において、レジメンは、血漿IL-2のピークレベルが達成されるまで行われる。対象の血漿IL-2レベルおよび/または免疫抑制性T細胞:Tcons比は、療法開始前のベースライン比と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれ以上増加させることができる。
【0038】
低用量IL-2を利用してもよく、「低用量IL-2」という用語は、免疫抑制性T細胞がTconsと比較して優先的に増強される投与量範囲を指す。一実施形態において、低用量IL-2は、抗がん免疫療法に使用される「高用量IL-2」用量の50%以下のIL-2用量(例えば、1800万IU/m2/日~2000万IU/m2/日またはそれ以上)を指す。「低用量IL-2」の上限は、発熱、悪寒、無力症、および疲労などの治療有害事象によってさらに制限され得る。IL-2は、一般に、所与の時間単位当たりの体表面積(BSA)と比較して投与される、国際単位(IU)で測定された量に従って投与される。BSAは、直接測定によって、または実施例に記載されているような任意の数の周知の方法(例えば、Dubois&Duboisの式)によって計算することができる。一般に、IL-2は、1日当たりのBSAの1m2当たりのIUに関して投与される。本発明の方法による例示的な低用量IL-2用量は、106IU/m2/日に関して、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9および3.0×106IU/m2/日のいずれか1つを含み、その間の任意の値および/または間の範囲を含む。例えば、導入レジメン用量は、0.3×106IU/m2/日~3.0×106IU/m2/日の間の範囲、およびその間の任意の値または範囲であり得る。
【0039】
連続投与を利用してもよく、「連続投与」という用語は、間にいかなる断続的な中断もない規則的な間隔でのIL-2の投与を指す。したがって、IL-2の中断は起こらない。例えば、導入用量は、少なくとも1~14連続日またはその間の任意の範囲(例えば、連続する少なくとも4~7日間)の間、毎日(例えば、1日1回以上)投与することができる。本明細書中に記載されるように、より長時間作用性のIL-2剤および/または皮下投与以外の経路によって投与されるIL-2剤が企図される。当技術分野で記載されているIL-2の断続的な静脈内投与は、血漿IL-2レベルの増加および本発明による免疫抑制性T細胞:Tcons比の増加と相容れない短いIL-2半減期をもたらす。しかし、持続的な定常状態IL-2レベルを達成するために、1日1回の皮下IL-2投与、連続IV注入、長時間作用性皮下IL-2製剤などが企図される。
【0040】
上記のように、IL-2は、薬学的に許容される製剤で、および任意の適切な投与経路、例えば皮下、静脈内、腹腔内、経口、経鼻、経皮、または筋肉内投与によって投与することができる。一実施形態において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と共に製剤化された、治療有効量でIL-2を構成する薬学的に許容される組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、以下に適合されたものを含む、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得る:(1)経口投与、例えば、飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、ペースト剤;(2)例えば滅菌溶液または懸濁液としての、例えば皮下、筋肉内または静脈内注射による非経口投与;(3)局所適用、例えば皮膚に適用されるクリーム、軟膏またはスプレーとして;(4)膣内または直腸内、例えばペッサリー、クリームまたはフォームとして;または(5)例えば、水性エアロゾル、リポソーム調製物または化合物を含有する固体粒子としてのエアロゾル。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態において、CD3分子に対するモノクローナル抗体(mAb)が、例えば、IL-2とともに、またはIL-2を伴わずに、および/または線維芽細胞とともにALS患者の免疫調節のために利用される。このアプローチは、1型糖尿病のマウスモデルにおいて自己免疫に対する寛容を誘導するために以前に使用されている。抗CD3 mAbによる処置は、NODマウスにおける糖尿病を改善させ、移植された同系膵島に対する再発性免疫応答を防止した。これは、連続的な免疫抑制を必要とせずに達成され、T細胞数が枯渇せず、定量的に正常であった時点で持続した。別のアプローチは、自己抗原を投与することによって特異的な免疫学的不応答性を誘導することである。
【0042】
異なるCD3標的化抗体がどのように異なる効果を誘発し得るかの例は、二次抗体の非存在下で細胞表面から急速に調節されるという点で他の抗CD3 mAbとは異なる、38.1と呼ばれるIgMモノクローナル抗体を調べたDavisらの別の研究に見られる。38.1は、高度に精製されたT細胞によって細胞内遊離カルシウム[Ca2+]iの即時増加を誘導したが、アクセサリー細胞(AC)またはプロテインキナーゼC活性化ホルボールエステルの非存在下では細胞周期への細胞の進入を誘導しなかった。処理されたT細胞は、T細胞刺激マイトジェンであるフィトヘマグルタニンに応答する能力が著しく阻害された。応答性の阻害は、細胞を補充の抗原提示細胞またはサイトカインIL-2と共に培養することによって克服することができた。これらの研究は、共刺激シグナルの非存在下でCD3を抗CD3 mAbで調節することによってT細胞不応答性の状態を誘導できることを実証している。内部カルシウム貯蔵の動員に起因する[Ca2+]iの短時間の増加は、T細胞不応答性のこの状態を誘導するのに十分であると思われる[117]。
【0043】
いくつかの状況において、抗CD3抗体は、T細胞を抗原特異的寛容に向けてプログラムすることが示されている。これは、抗CD3抗体の存在下で3~8日間PBMCをアロ抗原に曝露したAnasettiらの研究の一例に示されている。それらは、元のドナー由来の細胞による再刺激後に応答を示さなかったが、PBMCは依然として第三者ドナーに応答することができた。抗原特異的不応答性は、非分裂促進性および分裂促進性抗CD3抗体の両方によって誘導されたが、CD2、CD4、CD5、CD8、CD18またはCD28に対する抗体によっては誘導されなかった。これは、抗原特異的であるT細胞におけるプログラムを調節するこのタンパク質の独特の能力を示唆した。混合白血球培養において抗CD3抗体によって誘導された不応答性は、培養の開始から少なくとも34日間および抗体の除去後26日間持続した。抗CD3抗体はまた、細胞傷害性T細胞生成アッセイにおいて抗原特異的不応答性を誘導した。抗CD3抗体は、以前にプライミングされた細胞において不応答性を誘導しなかった[118]。
【0044】
本開示の実施形態の実施のための抗CD3抗体の使用は、抗体がT細胞増殖および炎症性サイトカイン分泌の活性化をもたらさないだけでなく、このT細胞が実際に炎症を阻害し、再生を促進することも包含する。
【0045】
本開示の一実施形態において、抗CD3抗体は、間葉系幹細胞の投与の14日前に与えられる。特定の一実施形態において、抗CD3モノクローナル抗体の前記14日間のコースは、静脈内投与される抗体hOKT3γ1(Ala-Ala)を利用する(1日目に体重1キログラム当たり1.42μg;2日目に5.67μg/キログラム;3日目に11.3μg/キログラム;4日目に22.6μg/キログラム;および5~14日目に45.4μg/キログラム)。これらの用量は、移植拒絶の処置のために以前に使用された用量に基づくものであり[119]、これは参照により組み込まれる。他のタイプの抗CD3分子および投薬レジメンがALS治療の状況において使用される場合があり、前記用量は、下記の論文に記載され、参照によって組み込まれる文献からの抗CD3の有用性の例から選択され得る:腎臓[120~128]、肝臓[129~131]、膵臓[132~134]、肺[135]および心臓[136~140]の移植拒絶の防止;移植片対宿主病[141]、多発性硬化症[142]、1型糖尿病[143]の予防、
【0046】
本発明の実施のためのモノクローナル抗体の使用は、場合によっては、サイトカインストームが抗体投与によって開始され得るという警告によって考慮されなければならない[144、145]。場合によっては、これは濃度依存性である[146]。このための処置は、ステロイド投与または抗IL6抗体によって達成され得る[147~151]。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態において、参照により組み込まれるこの論文[152]に記載されるように、PGE1および/または様々な天然抗炎症化合物の投与を提供して、抗CD3投与の結果としてTNF-α産生を減少させる。本発明のさらなる実施形態において、抗CD3の投与は、CD3調節剤に関連する凝固を減少させるために内皮保護剤および/または抗凝血剤と共に実施され得る[153]。いくつかの実施形態において、抗CD3抗体は、血管新生支持T細胞の数を増強するために、インターロイキン-10などの免疫寛容原性サイトカインと組み合わせて使用され得る。抗CD3およびIL-10投与の安全性は、臨床試験で以前に実証されている[154]。
【0048】
「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した薬剤、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書で使用される。「薬学的に許容され得る担体」という語句は、本明細書中で使用される場合、主題の化学物質を1つの器官または身体の一部から別の器官または身体の一部に運搬または輸送することに関与する薬学的に許容され得る材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、対象に有害ではないという意味で「許容」でなければならない。薬学的に許容され得る担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる。:(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)トウモロコシデンプン、バレイショデンプンなどのデンプン類;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン(7)タルク;(8)カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸ブチル溶液;ならびに(21)医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質。本発明の方法において有用な製剤には、経口、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、膣、エアロゾルおよび/または非経口投与に適したものが含まれる。製剤は、単位剤形で好都合に提供され得、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与方法に応じて変動する。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100%のうち、この量は、約1%~約99%、好ましくは約5%~約70%、最も好ましくは約10%~約30%の活性成分の範囲である。
【0049】
一実施形態において、Treg細胞表面タンパク質は、CD25、GITR、TIGIT、CTLA-4、ニューロピリン、OX40、LAG3、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記Tregは、前記表面タンパク質を有する組織源から単離され、任意選択的にALSに罹患している患者への投与前にex vivoで増殖される。
【0050】
本開示の一実施形態において、体外操作の利用を使用して、外因性供給源からの投与後の制御性Tの生存に適した環境を生成するか、または内因性制御性T細胞の生存を増強する。William Kolff[155]による1940年後半の腎透析の開発以来、様々な生理学的または病理学的薬剤の体外除去は医療行為の一部となってきた。様々な物質の体外除去の先進的な手段は、免疫複合体除去[156~159]、抗体[160~165]、ウイルス[166~168]、可溶性受容体[169]、さらには細胞[170、171]の場合に実証されている。これらの方法論は、本発明の有効性を最適化して、とりわけTNF-α、インターフェロンγ、またはインターロイキン-33などの制御性T細胞阻害性化合物を除去するために使用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、HGFの刺激因子は、制御性T細胞の増殖を増強するために添加される[172~175]。
【0052】
一実施形態において、本開示は、治療的使用の前の線維芽細胞の活性化の使用、および/または前記線維芽細胞の「再生アジュバント」として作用する薬剤の投与を教示する。製剤中の細胞は、培養単層で増殖する場合、典型的な線維芽細胞形態を示す。具体的には、細胞は、細長い伸長部を有する伸びた紡錘形またはスピンドルの外観を呈し得るか、または細胞は、細胞質の前縁を有し得るより大きく平らな星状細胞として現れ得る。これらの形態の混合物も観察され得る。細胞は、線維芽細胞特異的マーカーであるCD90(Thy-1)、35kDaの細胞表面糖タンパク質、および細胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンを含む正常な線維芽細胞に特徴的なタンパク質を発現する。線維芽細胞投与製剤は、標準的な組織培養手順を使用して各個体自身の皮膚の生検から増殖させた自己線維芽細胞の懸濁液から構成される自己細胞療法製品である。一実施形態において、本発明の線維芽細胞を使用して、組織修復または再生のための他の細胞型を作製することもできる。
【0053】
本開示において利用される線維芽細胞は、一実施形態において、レシピエント自身の皮膚(自己調製物の場合)または健常ドナーの皮膚(同種異系調製物の場合)の生検からの外殖によって作製される。いくつかの実施形態において、若齢ドナー由来の線維芽細胞が使用される。別の実施形態において、線維芽細胞に、成長の増強およびHayflick限界の克服を可能にする遺伝子がトランスフェクトされる。標準的な細胞培養技術を用いた培養における細胞増殖の誘導に続いて。皮膚組織(真皮および表皮層)は、対象の耳介後部領域から生検され得る。一実施形態において、出発材料は、標準的な無菌作業を使用して収集された3つの3mMのパンチ皮膚生検から構成される。生検は、治験担当医によって収集され、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むバイアルに入れられる。生検は、2~8℃の冷蔵輸送体において製造施設に戻される。一実施形態において、製造施設に到着した後、生検が検査され、受け入れられると、製造領域に直接移送される。プロセスの開始時に、生検組織は酵素消化の前に洗浄される。洗浄後、細かく刻まずにリベラーゼ消化酵素溶液を添加し、生検組織を37.0±2℃で1時間インキュベートする。生検組織消化の時間は、培養中の細胞の生存率および成長速度に影響を及ぼし得る重要なプロセスパラメータである。リベラーゼは、Lonza Walkersville,Inc.(Walkersville、Md.)から配合されて、およびRoche Diagnostics Corp.(Indianapolis、Ind.)から非配合で得られるコラゲナーゼ/中性プロテアーゼ酵素カクテルである。あるいは、Serva Collagenase NB6(Helidelburg、Germany)などの他の市販のコラゲナーゼを使用してもよい。消化後、初期成長培地(Initiation Growth Media)(IMDM、GA、10%ウシ胎児血清(FBS))を添加して酵素を中和し、細胞を遠心分離によってペレット化し、5.0mlの初期成長培地に再懸濁する。あるいは、遠心分離は行わず、初期成長培地のみの添加によって酵素の完全な不活性化が起こる。細胞成長および増殖の開始のために、T-175細胞培養フラスコに細胞懸濁液を播種する前に、初期成長培地を添加する。T-75、T-150、T-185またはT-225フラスコをT-75フラスコの代わりに使用することができる。細胞を37±2.0℃、5.0±1.0% CO2でインキュベートし、3~5日ごとに新鮮な完全成長培地を供給する。このプロセスにおけるすべての供給は、完全成長培地の半分を除去し、同じ体積を新鮮な培地と交換することによって行われる。あるいは、完全供給を実行することができる。細胞は、継代前30日間を超えてT-175フラスコに残ってはならない。コンフルエンスは、培養分裂中に適切な播種密度を確保するために、プロセス全体を通して監視される。T-175フラスコ内で細胞コンフルエンスが40%以上である場合、それらは、使用済み培地を除去し、細胞を洗浄し、トリプシン-EDTAで処理して、フラスコ内の接着性細胞を溶液中に放出することによって継代される。次いで、細胞をトリプシン処理し、継続的な細胞増殖のためにT-500フラスコに播種する。あるいは、T-500フラスコの代わりに、1つまたは2つのT-300フラスコ、単層細胞スタック(One Layer Cell Stack)(1 CS)、単層細胞ファクトリー(One Layer Cell Factory)(1 CF)または二層細胞スタック(Two Layer Cell Stack)(2 CS)を使用することができる。各継代および回収前に形態を評価して、プロセス全体の培養純度全体にわたって培養純度を監視する。形態は、観察された試料を、細胞培養物の形態学的検査のための目視基準と比較することによって評価される。細胞は、培養単層で成長する場合、典型的な線維芽細胞形態を示す。細胞は、細長い伸長部を有する伸びた紡錘形またはスピンドルのいずれかの外観を呈し得るか、または細胞質の前縁を有し得るより大きく平らな星状細胞として現れ得る。これらの形態の混合物も観察され得る。あまりコンフルエントでない領域における線維芽細胞は、同様の形状であり得るが、ランダムに配向され得る。細胞培養物中のケラチノサイトの存在も評価される。ケラチノサイトは丸く不規則な形状に見え、より高いコンフルエンスでは、それらは敷石状に組織化されて見える。より低いコンフルエンスでは、ケラチノサイトが小さなコロニーで観察可能である。細胞を37±2.0℃、5.0±1.0% CO2でインキュベートし、3~5日ごとにT-500フラスコ内で、および5~7日ごとに10層細胞スタック(10CS)内で継代する。細胞は、継代前10日間を超えてT-500フラスコに残ってはならない。原薬(Bulk Drug Substance)の安全性のための品質管理(QC)放出試験には、無菌性試験およびエンドトキシン試験が含まれる。T-500フラスコ内の細胞コンフルエンスが95%以上である場合、細胞を10CS培養容器に継代する。あるいは、10CSの代わりに2つの5層細胞スタック(5CS)または10層細胞ファクトリー(10CF)を使用することができる。10CS。10CSへの継代は、使用済み培地を除去し、細胞を洗浄し、トリプシン-EDTAで処理して、フラスコ内の接着性細胞を溶液中に放出することによって実施される。次いで、細胞を10CSに移す。さらなる完全成長培地を加えてトリプシンを中和し、T-500フラスコからの細胞を、新鮮な完全成長培地を含む2Lボトルにピペットで入れる。2Lボトルの内容物を10CSに移し、すべての層にわたって播種する。次いで、細胞を37±2.0℃、5.0±1.0% CO2でインキュベートし、5~7日ごとに新鮮な完全成長培地を供給する。細胞は、継代前20日間を超えて10CSに残ってはならない。一実施形態において、継代された皮膚線維芽細胞は、増殖した線維芽細胞を無タンパク質培地中で一定期間インキュベートすることによって、培地中に存在する免疫原性タンパク質を実質的に含まないようにし、最初の回収は、10CS中の細胞コンフルエンス95%以上である場合、細胞を回収する。回収は、使用済み培地を除去し、細胞を洗浄し、トリプシン-EDTAで処理して接着性細胞を溶液中に放出し、さらなる完全成長培地を添加してトリプシンを中和することによって実施される。細胞は、遠心分離によって収集され、再懸濁、および総生細胞数および細胞生存率を決定するために工程内QC試験が実施される。
【0054】
本明細書で提供される療法は、治療剤(例えば、線維芽細胞、線維芽細胞由来エキソソームなど)を単独でまたは組み合わせて投与することを含み得る。治療剤は、当技術分野で公知の任意の適切な方法で投与され得る。例えば、第1および第2の治療は、連続的に(異なる時間に)または同時に(同じ時間に)投与され得る。いくつかの実施形態において、第1および第2の治療は、別個の組成物で投与される。いくつかの実施形態において、第1および第2の治療は、同じ組成物で投与される。本開示の実施形態は、治療用組成物を含む組成物および方法に関する。異なる療法は、1つの組成物で、または複数の組成物、例えば2つの組成物、3つの組成物、または4つの組成物で投与され得る。薬剤の様々な組み合わせを使用することができる。本開示の治療剤(例えば、線維芽細胞)は、同じ投与経路または異なる投与経路によって投与され得る。いくつかの実施形態において、治療剤は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、心室内、または鼻腔内投与される。いくつかの実施形態において、抗生物質が、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、心室内、または鼻腔内投与される。適切な投与量は、治療される疾患の種類、疾患の重症度および経過、個体の臨床状態、個体の病歴および治療に対する応答、ならびに主治医の裁量に基づいて決定することができる。
【0055】
治療は、様々な「単位用量」を含み得る。単位用量は、所定量の治療用組成物を含むと定義される。投与される量、ならびに特定の経路および製剤は、臨床分野の当業者の決定技能の範囲内である。単位用量は、単回注射として投与される必要はないが、設定期間にわたる連続注入を含み得る。いくつかの実施形態において、単位用量は、単回投与可能な用量を含む。
【0056】
投与される量は、治療回数および単位用量の両方に応じて、所望の治療効果に依存する。有効用量は、特定の効果を達成するのに必要な量を指すと理解される。実際には、ある実施形態において、10mg/kg~200mg/kgの範囲の用量がこれらの薬剤の防御能力に影響を及ぼし得ることが企図される。したがって、用量は、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、および200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日、もしくはmg/日、またはその中から導き出せる任意の範囲の用量を含むと企図される。さらに、そのような用量は、1日、および/または複数日、数週、もしくは数ヶ月の間に複数回投与することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、100kgあたり約105個~約1013個の間の細胞が、注入ごとにヒトに投与される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1.5×106個~約1.5×1012個の間の細胞が注入される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1×109個~約5×1011個の間の細胞が注入される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約4×109個~約2×1011個の間の細胞が注入される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約5×108個~約1×1012個の間の細胞が注入される。いくつかの実施形態において、細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、複数回投与が提供される。いくつかの実施形態において、3~7の連続日にわたって複数回投与が提供される。いくつかの実施形態において、3~7の連続日にわたって3~7回の投与が提供される。いくつかの実施形態において、5連続日にわたって5回の投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約105個~約1013個の間の細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1.5×108個~約1.5×1012個の間の細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1×109個~約5×1011個の間の細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約5×1010個の細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり1×1010個の細胞の単回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約105個~約1013個の間の細胞の複数回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1.5x108個~約1.5×1012個の間の細胞の複数回投与が提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約1×109個~約5×1011個の間の細胞の複数回投与が3~7の連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約4×109個の細胞の複数回投与が3~7の連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、100kgあたり約2×1011個の細胞の複数回投与が3~7の連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、約3.5×109個の細胞の5回投与が5連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、約4×109個の細胞の5回投与が5連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、約1.3×1011個の細胞の5回投与が5連続日にわたって提供される。いくつかの実施形態において、約2×1011個の細胞の5回投与が5連続日にわたって提供される。
【0058】
一実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞の生存性および増殖能を保存するための当該分野で公知の手段を使用して培養される。本発明は、実験的または生物学的使用のために、個別化された自己エキソソーム調製物および確立された細胞株から得られたエキソソーム調製物の両方に適用され得る。一実施形態において、本発明は、より具体的には、膜小胞を調製するための、特に膜小胞を潜在的な生物学的汚染物質から分離するためのクロマトグラフィー分離方法の使用に基づき、前記微小胞はエキソソームであり、前記エキソソームを生成するために利用される細胞は線維芽細胞である。
【0059】
実際、本出願人は、膜小胞、特にエキソソームを精製することができ、疼痛を抑制する能力を有することを今回実証した。一実施形態において、強いまたは弱い、好ましくは強い陰イオン交換が行われ得る。さらに、特定の実施形態において、クロマトグラフィーは加圧下で行われる。したがって、より具体的には、それは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)からなり得る。陰イオン交換クロマトグラフィーを行うために、異なる種類の支持体を使用してもよい。より好ましくは、これらは、セルロース、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)、アガロース、デキストラン、アクリルアミド、シリカ、エチレングリコール-メタクリレートコポリマー、またはそれらの混合物、例えばアガロース-デキストラン混合物を含み得る。これを例示するために、上記の支持体、特に以下のゲルで構成される異なるクロマトグラフィー装置を挙げることができる:例えば、POROS(登録商標)、SEPHAROSE(登録商標)、SEPHADEX(登録商標)、TRISACRYL(登録商標)、TSK-GEL SW OR PW(登録商標)、SUPERDEX(登録商標)およびSEPHACRYL(登録商標)、これらは本発明の適用に適している。したがって、特定の実施形態において、本開示は、生体試料、例えば線維芽細胞を含有する組織培養物から膜小胞、特にエキソソームを調製する方法であって、生体試料が、セルロース、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)、シリカ、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、エチレングリコール-メタクリレートコポリマーから選択される支持体単独でまたは混合物で、任意選択的に官能化された陰イオン交換クロマトグラフィーによって処理される少なくとも1つの工程を含む、方法に関する。
【0060】
さらに、クロマトグラフィー分解能を改善するために、本発明の範囲内で、ビーズ形態の支持体を使用することが好ましい。理想的には、これらのビーズは、クロマトグラフィー下で物体の浸透を可能にするのに十分に高い多孔性を有する均質で較正された直径を有する(すなわち、エキソソーム)。このようにして、エキソソームの直径(一般に50nm~100nm)を考慮すると、本発明を適用するために、特に10nm~5μm、より好ましくは約20nm~約2μm、さらにより好ましくは約100nm~約1μmの高多孔性ゲルを使用することが好ましい。陰イオン交換クロマトグラフィーの場合、使用される支持体は、陰イオン性分子と相互作用することができる基を使用して官能化されなければならない。一般に、この基は、それぞれ弱いまたは強い陰イオン交換体を規定する第3級または第4級であり得るアミンから構成される。本発明の範囲内で、強陰イオン交換体を使用することが特に有利である。このようにして、本発明によれば、第4級アミンで官能化された上記のクロマトグラフィー支持体が使用される。したがって、本発明のより具体的な実施形態によれば、陰イオン交換クロマトグラフィーは、第4級アミンで官能化された支持体で行われる。さらにより好ましくは、この支持体は、単独または混合物で、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)、アクリルアミド、アガロース、デキストランおよびシリカから選択され、第4級アミンで官能化されるべきである。第4級アミンで官能化された担体の例としては、以下が挙げられる、ゲルSOURCEQ、MONO Q、Q SEPHAROSE(登録商標)、POROS(登録商標)HQおよびPOROS(登録商標)QE、FRACTOGEL(登録商標)TMAEタイプゲルおよびTOYOPEARL SUPER(登録商標)Qゲル。
【0061】
陰イオン交換クロマトグラフィーを実施するための1つの支持体には、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)が含まれる。本発明の範囲内で使用され得るこのタイプのゲルの例は、SOURCE Qゲル、特にSOURCE 15 Q(Pharmacia)である。この支持体は、内部細孔が非常に大きいという利点を提供し、したがって、ゲルを通る液体の循環に対する低い抵抗性を提供しながら、官能基へのエキソソームの迅速な拡散を可能にし、これは、そのサイズを考慮すると、エキソソームにとって特に重要なパラメータである。カラムに保持された生体化合物は、様々な方法で、特に、漸増濃度の勾配、例えば0~2Mの生理食塩水の通過を使用して溶出させることができる。塩化ナトリウム溶液を、例えば0~2Mの濃度で変動させて特に使用することができる。このようにして精製された異なる画分は、カラム出口において連続分光光度読み取りを使用してそれらの光学密度(OD)を測定することによって検出される。目安として、実施例で使用した条件下で、膜小胞を含む画分を、小胞の種類に応じて、約350~700mMの間に含まれるイオン強度で溶出した。
【0062】
このクロマトグラフィー工程を実施するために、要件および処理される体積に従って、異なる種類のカラムを使用することができる。例えば、調製物に応じて、約100μl~10ml以上までのカラムを使用することが可能である。このようにして、利用可能な支持体は、例えば1mlあたり25mgのタンパク質に達し得る能力を有する。この理由のために、100μlのカラムは、約2.5mgのタンパク質の能力を有し、当該試料を考慮すると、約2l(これは、例えば、10~20倍に濃縮後、調製物あたり100~200mlの体積を表す)の培養上清の処理を可能にする。例えば、カラムの容積を増加させることによって、より大きな体積も処理できることが理解されよう。さらに、本発明を実施するために、陰イオン交換クロマトグラフィー工程をゲル浸透クロマトグラフィー工程と組み合わせることも可能である。このようにして、本発明の特定の実施形態によれば、ゲル浸透クロマトグラフィー工程が、陰イオン交換クロマトグラフィー工程の前または後のいずれかで陰イオン交換工程に加えられる。好ましくは、この実施形態において、浸透クロマトグラフィー工程は、陰イオン交換工程の後に行われる。さらに、特定の変形例では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程がゲル浸透クロマトグラフィー工程に置き換えられる。本出願は、ゲル浸透液体クロマトグラフィーを使用して、以下に詳細に記載されるように、特にこの工程が陰イオン交換クロマトグラフィーまたは生体試料の他の処理工程と組み合わされる場合、膜小胞を精製できることも実証する。
【0063】
ゲル浸透クロマトグラフィー工程を実施するために、シリカ、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、エチレングリコール-メタクリレートコポリマーまたはそれらの混合物、例えばアガロース-デキストラン混合物から選択される支持体が好ましく使用される。例示として、ゲル浸透クロマトグラフィーには、SUPERDEX(登録商標)200HR(Pharmacia)、TSK G6000(TosoHaas)、SEPHACRYL(登録商標)S(Pharmacia)などの支持体が好ましく使用される。本発明による方法は、異なる生体試料に適用することができる。特に、これらは、対象由来の生体体液(骨髄、末梢血など)、培養上清、細胞溶解物、予備精製溶液または膜小胞を含む任意の他の組成物からなり得る。
【0064】
これに関して、本発明の特定の実施形態において、生体試料は膜小胞産生線維芽細胞の培養上清である。
【0065】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、生体試料は、クロマトグラフィー工程の前に、膜小胞が濃縮されるように処理される(濃縮段階)。このようにして、特定の実施形態において、本発明は、生体試料から膜小胞を調製する方法であって、b)膜小胞が濃縮された試料を調製するための濃縮工程、およびc)試料が陰イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはゲル浸透クロマトグラフィーによって処理される工程、を少なくとも含むことを特徴とする方法に関する。
【0066】
一実施形態において、生体試料は、膜小胞が濃縮されるように処理された培養上清である。特に、生体試料は、膜小胞産生細胞の集団の培養上清から、または生体体液から、遠心分離、清澄化、限外濾過、ナノ濾過および/またはアフィニティークロマトグラフィー、特に清澄化および/または限外濾過および/またはアフィニティークロマトグラフィーなどの処理によって得られる予備精製溶液から構成され得る。したがって、本発明による膜小胞を調製する好ましい方法は、より詳細には以下の工程を含む:a)小胞の放出を可能にする条件下で膜小胞(例えば、エキソソーム)産生細胞の集団を培養する工程、b)試料を膜小胞に濃縮する工程、ならびにc)試料の陰イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはゲル浸透クロマトグラフィー処理。
【0067】
上記のように、試料(例えば、上清)濃縮工程は、上清に対する1つ以上の遠心分離、清澄化、限外濾過、ナノ濾過および/またはアフィニティークロマトグラフィー工程を含み得る。第1の特定の実施形態において、濃縮工程は、(i)細胞および/または細胞破片の除去(清澄化)、場合によりその後に(ii)濃縮および/またはアフィニティークロマトグラフィー工程を含む。別の特定の実施形態において、濃縮工程はアフィニティークロマトグラフィー工程を含み、任意選択的に細胞および/または細胞破片の除去(清澄化)工程がその前に行われる。この発明による好ましい濃縮工程は、(i)細胞および/または細胞破片の除去(清澄化)、(ii)濃縮および(iii)アフィニティークロマトグラフィーを含む。細胞および/または細胞破片は、例えば、低速、好ましくは1000g未満、例えば100~700gの間での試料の遠心分離によって除去され得る。この工程中の好ましい遠心分離条件は、例えば、1~15分の期間にわたって約300gまたは600gである。
【0068】
細胞および/または細胞破片はまた、場合により上記の遠心分離と組み合わせて、試料の濾過によっても除去され得る。濾過は、特に、多孔度が低下したフィルタを使用する連続濾過により実施することができる。この目的のために、0.2mMを超える、例えば0.2~10mMの間の多孔度を有するフィルタが優先的に使用される。10mM、1mM、0.5mM、続いて0.22mMの多孔度を有する一連のフィルタを使用することが特に可能である。
【0069】
クロマトグラフィー段階中に処理される試料の体積を減少させるために、濃縮工程も実行され得る。このようにして、濃縮は、膜小胞の沈降を引き起こすために、試料を高速、例えば10,000~100,000gの間で遠心分離することによって得ることができる。これは一連の分画遠心分離からなり得、最後の遠心分離は約70,000gで実施される。得られたペレット中の膜小胞は、本方法のその後の工程のために、より小さい体積で、適切な緩衝液中に取り込まれ得る。濃縮工程は、限外濾過によって実施することもできる。実際、この限外濾過により、上清の濃縮、および小胞の初期精製の両方を行うことができる。好ましい実施形態によれば、生体試料(例えば、上清)は、限外濾過、好ましくは接線限外濾過に供される。接線限外濾過は、決定されたカットオフ閾値の膜によって分離された2つの区画の間の溶液(濾液および保持液)を濃縮および分画することからなる。分離は、保持液コンパートメント内の流れおよびこのコンパートメントと濾液コンパートメントとの間の膜貫通圧を加えることによって行われる。スパイラル膜(Millipore、Amicon)、平膜または中空糸(Amicon、Millipore、Sartorius、Pall、GF、Sepracor)などの異なる系を使用して限外濾過を行うことができる。本発明の範囲内で、1000kDa未満、好ましくは300kDa~1000kDaの間、またはさらにより好ましくは300kDa~500kDaの間のカットオフ閾値での膜の使用が有利である。
【0070】
アフィニティークロマトグラフィー工程は、異なるクロマトグラフィー支持体および材料を使用して、様々な方法で実施することができる。それは、有利には、溶液内に存在する特定の汚染物質を保持(すなわち、結合)し、目的の物体(すなわち、エキソソーム)を保持しないことを目的とする非特異的アフィニティークロマトグラフィーである。したがって、これはネガティブセレクションである。好ましくは、タンパク質および酵素、例えばアルブミン、キナーゼ、脱水素酵素、凝固因子、インターフェロン、リポタンパク質、または補因子などの汚染物質の除去(すなわち、保持)を可能にする色素アフィニティークロマトグラフィーが使用される。より好ましくは、このクロマトグラフィー工程に使用される支持体は、色素で官能化された、イオン交換クロマトグラフィーに使用されるような支持体である。具体的な例として、色素は、Blue SEPHAROSE(登録商標)(Pharmacia)、YELLOW 86、GREEN 5およびBROWN 10(Sigma)から選択され得る。支持体は、より好ましくはアガロースである。処理された生体試料からの汚染物質の保持(結合)を可能にする任意の他の支持体および/または色素または反応性基を本開示で使用することができることを理解されたい。
【0071】
一実施形態において、本開示の範囲内の膜小胞調製方法は、以下の工程を含む:a)小胞の放出を可能にする条件下での膜小胞(例えば、エキソソーム)産生細胞の集団の培養、b)膜小胞(例えば、エキソソーム)が濃縮された生体試料を産生するための、少なくとも1つの限外濾過またはアフィニティークロマトグラフィー工程による培養上清の処理、およびc)前記生体試料の陰イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはゲル浸透クロマトグラフィー処理。好ましい実施形態において、上記の工程b)は、培養上清の濾過、続く限外濾過、好ましくは接線濾過を含む。別の好ましい実施形態において、上記の工程b)は、培養上清の清澄化、続く色素アフィニティークロマトグラフィー、好ましくはBlue SEPHAROSE(登録商標)によるものを含む。
【0072】
さらに、工程c)の後、回収された材料は、適用可能であれば、特に滅菌目的のために、1つ以上の追加の処理および/または濾過段階d)に供され得る。この濾過処理段階では、0.3μm以下の直径を有するフィルタが優先的に使用され、またはさらにより優先的には、0.25μm以下の直径を有するフィルタが使用される。そのようなフィルタは、例えば0.22μmの直径を有する。工程d)の後、得られた材料は、例えば、ボトル、チューブ、バッグ、シリンジなどの適切なデバイス内の適切な貯蔵媒体中に分配される。このようにして得られた精製小胞は、冷蔵、凍結または即時使用され得る。したがって、本発明の範囲内の特定の調製方法は、少なくとも以下の工程を含む:c)生体試料の陰イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはゲル浸透クロマトグラフィー処理、ならびにd)段階c)の後に回収された材料の濾過工程、特に滅菌濾過。第1の変形例では、本発明による方法は、c)生体試料の陰イオン交換クロマトグラフィー処理、およびd)工程c)の後に回収された材料に対する濾過工程、特に滅菌濾過を含む。
【0073】
別の実施形態では、本発明による方法は、c)生体試料のゲル浸透クロマトグラフィー処理、およびd)工程c)の後に回収された材料に対する濾過工程、特に滅菌濾過を含む。第3の変形例によれば、本発明による方法は、c)生体試料の陰イオン交換クロマトグラフィー処理、それに続く、またはそれに先行するゲル浸透クロマトグラフィー、およびd)工程c)の後に回収された材料に対する濾過工程、特に滅菌濾過を含む。
【0074】
本開示の実施形態は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を阻害および/または治療する方法であって、ALSに罹患している患者において再生効果および/または免疫調節効果を誘導することができる線維芽細胞の集団を投与することを含む、方法を含む。いくつかの実施形態において、線維芽細胞はレシピエントに対して同種異系であり、いくつかの実施形態において、線維芽細胞はレシピエントに対して自己または異種のいずれかである。ある場合には、線維芽細胞は、治療を必要とするレシピエントへの投与前に有糸分裂活性である。線維芽細胞は、a)皮膚;b)骨髄;c)血液;d)動員末梢血;e)歯肉;f)扁桃腺;g)胎盤;h)ホウォートンゼリー;i)毛包;j)卵管;k)肝臓;l)乳歯;m)輸精管;n)子宮内膜;o)経血;およびp)網からなる群から選択される組織から単離され得る。ALSは、年齢が一致する健康な対照と比較した1つ以上の炎症性サイトカインの上昇、例えば、IL-1、IL-2、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-33、HMGB-1、TNF-α、TNF-β、IFN-α、IFN-β、IFN-γの上昇に関連している。線維芽細胞は、制御性T細胞の活性および/または数を選択的に上方制御するのに十分な濃度のインターロイキン-2と共に投与され得る。インターロイキン-2は、線維芽細胞の非存在下で投与され得る。インターロイキン-2を含む任意の投与には、ラパマイシン、N-アセチルシステイン、および/または制御性T細胞の増殖および/または活性を増強することができるものを含む、CD3に対する抗体も含まれ得る。
【0075】
本明細書において使用される任意の線維芽細胞は、CD73、CD70、CD105、CD16、CD55、CD37、インターロイキン-10受容体および/またはインターフェロンガンマ受容体の発現を含み得る。線維芽細胞は、CD73の発現を含むことができ、続いてインターフェロンガンマで処理され、少なくとも1回の細胞分裂のために増殖させることができ、その後投与される。任意の線維芽細胞および/または改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームは、制御性T細胞の生成を刺激することができる様式で投与され得る。制御性T細胞は、FoxP3を発現するか、膜結合型TGF-βを含み得るか、マイトジェンに応答して増殖するT細胞の能力を抑制し得るか、および/または未成熟樹状細胞が分化樹状細胞に成熟する能力を抑制し得る。樹状細胞の成熟は、a)HLA-II;b)CD40;c)CD80;および/またはd)CD86からなる群から選択されるマーカーの発現の上方制御に関連し得る。樹状細胞の成熟は、同種異系T細胞の増殖を活性化する能力の増強および/または同種異系T細胞からのインターフェロンガンマの産生を誘導する能力の増強に関連し得る。制御性T細胞は、CD3および/もしくはCD28および/もしくはIL-10への曝露によって活性化することができ、ならびに/または制御性T細胞は、未成熟樹状細胞の投与によって活性化することができる。未成熟樹状細胞は、PD-1Lを発現し得るか、低用量GM-CSF中での培養によって未成熟状態に維持され得るか、ヒト絨毛性ゴナドトロピン中での培養によって未成熟状態に維持され得るか、低酸素下での培養によって未成熟状態に維持され得るか、および/またはNF-κb活性の阻害によって未成熟状態に維持され得る。NF-κB活性の阻害は、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするアンチセンス分子の投与、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とするRNA干渉を誘発することができる分子の投与、NF-κBまたはNF-κB経路内の分子を標的とする遺伝子編集手段、および/またはNF-κBまたはNF-κB経路内の分子を遮断することができるデコイオリゴヌクレオチドの投与によって達成され得る。NF-κB活性の小分子遮断薬は、カラグアリン(シダ誘導体)、コノフィリン(エルバタミア・ミクロフィラ(Ervatamia microphylla))、エボジアミン(エボディア・フラクトス(Evodiae fructus)成分)、ゲルダナマイシン、ペリリルアルコール、担子菌由来のタンパク質結合多糖類、ロカグラミド(モラン属(Aglaia)誘導体)、15-デオキシ-プロスタグランジンJ(2)、鉛、アナンダミド、アルテミシア・ベスチタ(Artemisia vestita)、コブロトキシン、デヒドロアスコルビン酸(ビタミンC)、ハービマイシンA、イソラポンチゲニン(Isorhapontigenin)、マヌマイシンA、ポメグラネート果実抽出物、テトランドリン(植物アルカロイド)、チエノピリジン、アセチル-ボスウェリア酸、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ラングアス・ガランガ(Languas galanga))、アピゲニン(植物フラボノイド)、カルダモミン、ジオスゲニン、フロナフトキノン、ググルステロン、ファルカリンドール(Falcarindol)、ホノキオール、ヒペストキシド、ガルシノンB、カーウェオール、カバ(パイパー・メチスチカム(Piper methysticum))誘導体、マンゴスチン(ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia mangostana)由来)、N-アセチルシステイン、ニトロシルコバラミン(Nitrosylcobalamin)(ビタミンB12類似体)、ピセタノール、プランバギン(5-ヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン)、ケルセチン、ロスマリン酸、セメカルプス・アナカルジウ(Semecarpus anacardiu)抽出物、スタウロスポリン、スルホラファンおよびフェニルイソチオシアネート、テアフラビン(紅茶成分)、チリアニン、トコトリエノール、ウェデロラクトン、ウィタノリド、ゼルンボン、シリビニン、ベツリン酸、ウルソール酸、モノクロラミンおよびグリシンクロラミン(NH2Cl)、アネトール、バオガニング、ブラックラズベリー抽出物(シアニジン3-O-グルコシド、シアニジン3-O-(2(G)-キシロシルルチノシド)、シアニジン3-O-ルチノシド)、ブッドレアサポニンIV、カコスポンジオノリドB、カラグアリン、一酸化炭素、カルダモニン、シクロエポキシドン;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-3-ペント-1-エニルベンゼン、デクルシン、デキサナビノール、ジギトキシン、ジテルペン、ドコサヘキサエン酸、広範囲に酸化された低密度リポタンパク質(ox-LDL)、4-ヒドロキシノネナール(HNE)、フラボピリドール、[6]-ギンゲロール;カスパロール、グロスギン・テヌイフォリア(Glosogyne tenuifolia)、フィチン酸(イノシトールヘキサキスリン酸)、ザクロ果実抽出物、プロスタグランジンA1、20(S)-プロトパナキサトリオール(ジンセノサイド代謝産物)、レンギオロン、ロットレリン(Rottlerin)、サイコサポニン-d、生理食塩水(低Na+等張)からなる群から選択することができる
【0076】
制御性T細胞は、間葉系幹細胞エキソソームとのインキュベーションによって活性化され得る。制御性T細胞は、インターロイキン-2受容体の活性化因子へのT細胞の曝露によってin vivoで生成され得、CD4 CD25 T細胞の増殖および/または活性化を誘導することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、インターロイキン-2受容体は、アルデスロイキンを含むIL-2の投与によって活性化される。特定の実施形態において、アルデスロイキンを含むIL-2は、体表面積1平方メートル当たり 0.3×106~3.0×106IUのIL-2の濃度で、1~16週間、毎日投与される。
【0078】
ある実施形態において、オキシトシン、プロラクチン、IL-10および/またはIL-35などの1つ以上の免疫調節化合物が、in vivoで制御性T細胞の生成を増強するために、同時投与される。
【実施例
【0079】
以下の実施例は、本開示のある非限定的な態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、開示された主題の実施において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を表すことが当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、なおかつ開示された主題の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
実施例1
【0080】
集団における平均的な人よりも大きいようなALSを有するリスクがある個体、またはALSを有する個体は、本開示の方法および組成物に供することができる。個体は、ALSに対する遺伝的素因を有していても有していなくてもよい。個体は、ALSを有する、またはALSを有していた血縁者を有している場合もある。個体は、遺伝子検査および/または他の分析によることを含めて、ALSを有すること、または、ALSを有するリスクがあることを決定するために1つ以上の検査に供される場合がある。
【0081】
個体には、治療有効量の線維芽細胞、改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームが投与され得、特定の実施形態において、治療有効量のIL-2も投与される。IL-2の量は、個体において制御性T細胞の刺激をもたらすのに十分である。線維芽細胞、改変線維芽細胞および/または線維芽細胞エキソソームは、IL-2投与と同時に、IL-2投与の前および/または後に投与することができる。個体への1回または複数回の投与は、定義された期間にわたって行われてもよく、または個体への1回または複数回の投与は、一度開始されたら個体の寿命を通して行われてもよい。
【0082】
特定の実施形態において、療法の投与後、個体中の制御性T細胞は刺激され、FoxP3を発現し、および/または膜結合型TGF-βを含み得る。制御性T細胞は、マイトジェンに応答して増殖するT細胞の能力を抑制し得る。制御性T細胞は、未成熟樹状細胞が分化樹状細胞に成熟する能力を抑制することができ、前記樹状細胞の成熟は、a)HLA-II;b)CD40;c)CD80;d)CD86;およびe)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のマーカーの発現の上方制御に関連し得る。
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【0083】
本開示およびその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および改変を行うことができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載の方法(process)、機械(machine)、製品(manufacture)、組成物(composition of matter)、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者であれば本開示から容易に理解するように、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、または実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、または今後開発される方法(process)、機械(machine)、製品(manufacture)、組成物(compositions of matter)、手段、方法、または工程が、本開示に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような方法(process)、機械(machine)、製品(manufacture)、組成物(compositions of matter)、手段、方法、または工程をその範囲内に含むことを意図している。
【国際調査報告】