(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】特定の抗酸化剤、特定の脂肪酸エステル、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物及び酵母エキスを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20240524BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20240524BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q5/00
A61Q19/00
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/99
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578121
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022070672
(87)【国際公開番号】W WO2023006619
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロランス・リシェ
(72)【発明者】
【氏名】マリー-セシル・ドゥグル
(72)【発明者】
【氏名】エディーヌ・アビチ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリク・ジャケ
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・フェリポー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC542
4C083AD092
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB51
4C083BB53
4C083CC03
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE21
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、抗酸化剤、特定の脂肪酸エステル、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種溶解物及び酵母エキスの組み合わせを含む組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を使用した、ケラチン物質、特に頭皮及び/又は毛髪などのヒトケラチン物質の美容的処置のための方法に関する。本発明はまた、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、さらには回復させるための、前記組成物の非治療的な美容的使用に関する。本発明はさらに、本発明による組成物を含む1つ以上の容器を含む装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1種以上の抗酸化剤、
(ii)脂肪酸とソルビタンの1種以上のオキシアルキレン化エステル、
(iii)ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の1種以上の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1種又はそれらの混合物であって、前記微生物は溶解物の形態である、1種以上の微生物、及び
(iv)サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の1種以上のエキス
を含む組成物。
【請求項2】
前記抗酸化剤(i)は、アスコルビルグルコシドであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗酸化剤(i)の総含有量は、前記組成物の総質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは0.7質量%~5質量%、より優先的には0.8質量%~3質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝鎖状のC
8~C
30脂肪酸とソルビタンのエステル(1~20個のオキシエチレン単位を含む)、及びそれらの混合物から、好ましくはC
8~C
18脂肪酸とソルビタンのエステル(4~20個のオキシエチレン単位を含む)、及びそれらの混合物から、より優先的には、好ましくは直鎖状で飽和のC
10-C
14脂肪酸とソルビタンのエステル(4~10個のオキシエチレン単位を含む)から、さらにより優先的には、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエートから、さらに良好には、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、及びそれらの混合物から選択され;より一層良好には、前記脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレートであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)の総含有量は、該組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より優先的には0.2質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)は、以下の種:ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・シュードバクテリウム(Bifidobacterium pseudobacterium)及びこれらの混合物から選択され;好ましくは、前記微生物(iii)は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)種であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記微生物(iii)の溶解物の、乾燥エキスとして表される、総含有量は、該組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、さらに良好には0.1質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母(iv)は、以下の種:サッカロミセス・バイリー(Saccharomyces bailii)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・デルブルエッキイー(Saccharomyces delbrueckii)、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)、サッカロミセス・ファーメンタティ(Saccharomyces fermentati)、サッカロミセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)、サッカロミセス・フラギリス(Saccharomyces fragilis)サッカロミセス・フラクツーム(Saccharomyces fructuum)、サッカロミセス・ヘテロジニカス(Saccharomyces heterogenicus)、サッカロミセス・オレアギノーサス(Saccharomyces oleaginosus)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、サッカロミセス・ステイネリ(Saccharomyces steineri)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロミセス・ケフィア(Saccharomyces kefir)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、及びこれらの混合物から選択され;好ましくは前記サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の酵母であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母(iv)の前記エキスの総含有量(乾燥物質又は活性物質として)は、該組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、より優先的には0.02質量%~0.5質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
好ましくは、マンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、それらのL又はD立体配置の光学異性体、それらの溶媒和物、及びそれらの混合物から、より優先的にはマンノース、並びにそのα又はβアノマー、そのL又はD立体配置の光学異性体、その溶媒和物、及びそれらの混合物から選択される1種以上の単糖をさらに含み;さらに良好には、前記単糖は、D-マンノースであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記単糖の総含有量は、該組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択され、好ましくはイヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来のオリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、及びこれらの混合物から選択される、前記単糖とは異なる、1種以上の追加の糖をまた含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記追加の糖は、少なくとも1種のフルクトオリゴ糖及び少なくとも1種のグルコオリゴ糖を含む混合物に対応することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記追加の糖の総含有量は、該組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~10質量%、さらに良好には0.05質量%~5質量%、より一層良好には0.1質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
好ましくは乳酸菌及びそれらの混合物の群から、より優先的にはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・クルバツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブリッキィ亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp.Lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス GG(Lactobacillus GG))、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillusbulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)、及びこれらの混合物から選択される、前記ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物とは異なる1種以上のプロバイオティック微生物を1種以上のプロバイオティック微生物をさらに含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物とは異なる前記プロバイオティック微生物の総含有量は、該組成物の総質量に対して、0.0001質量%~20質量%、好ましくは0.0001質量%~10質量%、より優先的には0.001%~5質量%、さらに良好には0.001質量%~1質量%の範囲であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状のオキシアルキレン化又はグリセロール化された、優先的にはオキシエチレン化されたC
8~C
40アルコール、1~100モル、好ましくは2~50モルのエチレンオキシドを含む飽和又は不飽和のオキシエチレン化植物油、及びこれらの混合物から選択される、前記C
8~C
30酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる1種以上の非イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ケラチン物質、特に頭皮及び/又は毛髪などのヒトケラチン物質の美容的処置のための方法であって、請求項1~17のいずれか一項に定義された組成物の前記ケラチン物質への適用を含む方法。
【請求項19】
皮膚及び頭皮の微生物叢を維持し、さらには回復させるための、請求項1~17のいずれか一項に定義された組成物の非治療的な美容的使用。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に定義された組成物を含む1つ以上の容器を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の抗酸化剤、特定の脂肪酸エステル、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種溶解物及び酵母エキスの組み合わせを含む組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、前記組成物を使用した、ケラチン物質、特に頭皮及び/又は毛髪などのヒトケラチン物質の美容的処置のための方法に関する。
【0003】
本発明はまた、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、さらには回復させるための、前記組成物の非治療的な美容的使用に関する。
【0004】
本発明はさらに、本発明による組成物を含む1つ以上の容器を含む装置に関する。
【背景技術】
【0005】
ヒトの皮膚、特に頭皮は、2つの区画、すなわち深部区画の真皮及び表面区画の表皮から構成される。
【0006】
皮膚は、外部からの攻撃、例えば環境からの攻撃、気候的な悪影響(熱、寒さ、UV、タバコなど)、汚染、アレルゲン、病原性細菌、機械的攻撃(脱毛、シェービング、研磨洗浄)及び化学的攻撃(洗剤)からの保護において主要な役割を有する。バリア機能として知られるこの特性は、主に表皮の最も外部の層、すなわち、角質層として知られる角化層によって実行される。
【0007】
皮膚は、細菌及び真菌などの数種類の微生物が増殖する複雑な生態系も表す。これらの微生物は、皮膚の微生物叢としても知られる皮膚微生物叢を構成する。この生態系内では、様々な微生物種の間にバランスが存在する。
【0008】
現在までに、500種を超える細菌種が、200万超の遺伝子と共に健康な皮膚で検出されている。皮膚には1cm2当たり、約106個の細菌が存在する。
【0009】
特に以下が識別される:
- 従来、皮膚から栄養素を連続して吸収しながら、健康な皮膚上で増殖し、皮膚に既知の利益をもたらす微生物からなる片利共生的な常在微生物叢;
- 例えば、汚染要素との接触により、異常状態下の皮膚上に存在し、増殖すると病原性になり得る一過性の微生物叢。
【0010】
例えば外部攻撃の後に、バリアが悪影響を受けた場合、又は片利共生者と病原体との間のバランスが崩された場合、皮膚及び/又は皮膚障害の質の有害な変化、例えばヒリヒリ感、圧迫感、痒みなどが生じ得る。
【0011】
さらに、皮膚バリアの質が、刺激物(界面活性剤、酸、塩基、酸化剤、還元剤、濃縮溶媒)、機械的応力(ラビング、シェービング)又は熱若しくは気候的不均衡(寒さ、乾燥)からの外部攻撃のため、日々影響を受けることは明らかである。
【0012】
したがって、皮膚の片利共生的微生物叢の有益な微生物による皮膚の(再)コロニー形成は、特に、微生物、特に病原性微生物の接着を制限する機能、特に上記のような外部攻撃後のバリア機能を修復/回復する作用のために、皮膚の生理機能と免疫力の基礎であるようである。
【0013】
皮膚及び/又は粘膜微生物叢のバランスを維持及び/又は保持するために、プロバイオティクスを含有する組成物の使用又はプルラン若しくはその誘導体の1つ若しくは多糖とのその組み合わせの使用など、皮膚微生物叢に作用するための化粧用溶液はすでに知られている。
【0014】
しかしながら、これらの溶液は、特に以下に述べる理由により、頭皮への使用に転用することは困難である。
【0015】
これらの理由の1つは、頭皮の微生物叢が顔又は身体の皮膚の微生物叢とは異なるという事実にあり、皮膚の共生微生物叢(顔又は身体の皮膚)は、主に5種の細菌(キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)/コリネバクテリウム属(Corynebacterium)/スタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)/ストレプトコッカス属(Streptococcus)/ナイセリア属(Neisseria))から構成される。一方頭皮の場合、存在する微生物は、主に次の3種の微生物に代表される:マラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)、スタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)及びキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)としても知られる)(これらは、頭皮の微生物集団の大部分を表す)。
【0016】
さらに、2つの細菌(スタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)及びキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)は、頭皮及び皮膚の微生物叢に共通であるが、これらの相対的な割合は頭皮及び皮膚で異なり、これらの2つの細菌は、頭皮の微生物叢の細菌の99%を占めるが、顔の皮膚では微生物叢の細菌の75%を占めるに過ぎない。
【0017】
したがって、頭皮の微生物叢は、顔の皮膚の微生物叢よりもはるかに低い多様性を示す。
【0018】
さらに、頭皮上にあるケラチン繊維(毛髪)が、顔又は身体(頭以外の毛髪)の皮膚上のものよりも高い密度及び/又は長い長さであることは、さらなる制約を誘発する。これは、使用される美容的処置が毛髪の外観及び/又は感触に悪影響を及ぼしてはならないからであり、特に、それらは毛髪若しくは毛根に脂っぽさをもたらしてはならず、且つ/又は毛髪の不快な感触及び/若しくは望ましくない外観をもたらしてはならない。
【0019】
別の点は、頭皮用組成物に期待される特性が皮膚用の組成物によって提供される特性とは異なり得るという事実にあり、頭皮は、例えばふけが過度に存在し、そのためにヒリヒリ感や熱感などの不快感が生じ得る。これは異常な量のマラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)が存在する結果であり、この微生物は健康な頭皮に自然に存在するが、その過剰な増殖は不快感を引き起こし得る。
【0020】
したがって、頭皮の極めて特定の共生微生物叢のバランスを維持又は回復することを可能にする一方、頭皮のヒリヒリ感、痒み及び/又は熱感などの不快感の望ましくない影響を低減し、さらには排除することを可能にし、また、このタイプの製品に関して消費者の期待に合致する、清潔で脂っぽくなく且つ非粘着性の感触を毛髪及び毛根に保持する毛髪用組成物を利用可能にする真のニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
アスコルビン酸及びその誘導体から選択される少なくとも1種の抗酸化剤、少なくとも1種の特定の脂肪酸エステル、少なくとも1つのビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物、及び少なくとも1つの酵母エキスの組み合わせを含む組成物が、上記の目的を達成することを可能にし、特に、頭皮に鎮静作用を提供し、且つ皮脂の酸化を制限しながら、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、さらには回復させることができる組成物を提供することを可能にすることが判明した。
【0022】
したがって、本発明の主題は、
(i)アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1種以上の抗酸化剤、
(ii)脂肪酸とソルビタンの1種以上のオキシアルキレン化エステル、
(iii)ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の1種以上の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1種又はそれらの混合物であって、微生物は溶解物の形態である、1種以上の微生物、及び
(iv)サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の1種以上のエキス
を含む組成物である。
【0023】
本発明による組成物は特に、皮脂の酸化に関連する刺激及び痒みを低減することができる抗酸化作用を提供しながら、頭皮の共生微生物叢のバランスを維持し、さらには回復することを可能にする。
【0024】
本発明による組成物は、頭皮に対して鎮静作用及び抗酸化作用を示す。それはまた、頭皮及び/又は毛髪の汚染から生じる粒子の付着を抑制する。
【0025】
組成物中に存在する特定の非イオン性界面活性剤の選択により、特に経時的に安定であり、且つ長期間にわたってその特性を保持する組成物を得ることが可能である。さらに、脂肪酸とソルビタンのこれらのオキシアルキレン化エステルが含まれることにより、本発明による組成物に、頭皮に対する増強された鎮静作用を付与する。
【0026】
皮膚、特に頭皮のマイクロバイオームは、したがって、本発明の組成物の適用後に、強化され、さらにはリバランスされ、外部攻撃に対してそれ自体をより良好に保護し、不快感に対抗することができる。
【0027】
本発明による組成物はさらに、美しい頭髪を得ることを可能にし、毛髪は脂っぽくも乾燥もしていない外観を示し、清潔で自然な感触を有する。
【0028】
本発明による組成物はまた、特に毛髪のボリュームの改善に関し、毛髪にコンディショニング特性を付与することを可能にする。加えて、毛髪は、自然で清潔な感触及び外観を有する。
【0029】
本発明による組成物は、有利には、清澄で、さらには透明であり、ユーザに特に魅力的な美的外観を与える。
【0030】
さらに、それはゲルテクスチャー又は美容液タイプのテクスチャーを備えることができ、これは頭皮へのその適用を容易にする(流れず、集まり得る製品)。
【0031】
本発明はさらに、ケラチン物質、頭皮及び毛髪などのヒトケラチン物質の美容的処置のための方法であって、上で定義した組成物の前記ケラチン物質への適用を含む方法に関する。
【0032】
特に、本発明による美容的治療方法は、頭皮の微生物叢のバランスを維持し且つ/又は回復させることを可能にする。
【0033】
本発明はまた、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、さらには回復させるための、上で定義した組成物の非治療的な美容的使用に関する。
【0034】
本発明はさらに、本発明による組成物を含む1つ以上の容器を含む装置に関する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の他の主題、特性、態様及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、より一層明確になるであろう。
【0036】
以下の点において、また別段の指示がない限り、特に「~の間の」及び「~から~までの範囲の」という表現において、値の範囲の端点はこの範囲内に含まれる。
【0037】
さらに、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ以上」という表現と均等である。
【0038】
さらに、「XOEから構成される」という用語は、本発明の意味の範囲で、1分子当たりX個のオキシエチレン単位を含むオキシエチレン化化合物を意味すると理解される。
【0039】
(i)アスコルビン酸及びその誘導体から選択される抗酸化剤
本発明による組成物は、アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1種以上の抗酸化剤を含む。
【0040】
用語「抗酸化剤」は、本発明の意味の範囲で、他の化学物質と接触すると、その酸化を遅延させるか又は防止する薬剤を意味すると理解される。
【0041】
抗酸化剤は、アスコルビン酸及びその誘導体、特にそのエステル、特にパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム及びアスコルビルグルコシド、並びにそれらの混合物から選択される。
【0042】
好ましくは、抗酸化剤はアスコルビルグルコシドである。
【0043】
本発明の組成物中に存在する抗酸化剤(i)の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、さらに良好には0.5質量%~10質量%、より一層良好には0.7質量%~5質量%、さらには0.8質量%~3質量%の範囲である。
【0044】
本発明の好ましい代替の形態では、抗酸化剤(i)はアスコルビルグルコシドであり、組成物中に存在するアスコルビルグルコシドの総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、さらに良好には0.5質量%~10質量%、より一層良好には0.7質量%~5質量%、さらには0.8質量%~3質量%の範囲である。
【0045】
(ii)脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル
本発明による組成物は、脂肪酸とソルビタンの1種以上のオキシアルキレン化エステルをさらに含む。
【0046】
脂肪酸とソルビタンのエステル(ii)のオキシアルキレン単位は、より特にはオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組み合わせである。好ましくは、本発明において使用される脂肪酸とソルビタンのエステル(ii)は、オキシエチレン化されている。
【0047】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのモル数は、有利には1~250、好ましくは1~100、より優先的には1~50、さらに良好には1~20の範囲である。
【0048】
好ましくは、脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、優先的には、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝鎖状のC8~C30脂肪酸とソルビタンのエステル(1~20個のオキシエチレン単位を含む)、及びそれらの混合物から、より優先的には、好ましくは直鎖状で飽和のC8~C18脂肪酸とソルビタンのエステル(4~20個のオキシエチレン単位を含む)、及びそれらの混合物から、さらに良好には、好ましくは直鎖状で飽和のC10~C14脂肪酸とソルビタンのエステル(4~10個のオキシエチレン単位を含む)から選択される。
【0049】
このような化合物は、特にポリソルベートの名称で知られている。それらは、とりわけ、UniqemaによりTweenの名称で販売されている。例えば、Tween21の名称で販売されているポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート21)、Tween20の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、Tween40の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、Tween60の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、Tween61の名称で販売されているポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート61)、Tween65の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)、Tween80の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、Tween81の名称で販売されているポリオキシエチレン(5OE)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート81)、及びTween85の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)を挙げることができる。
【0050】
好ましくは、脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステルの脂肪酸は、飽和脂肪酸である。
【0051】
脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、好ましくは、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5OE)ソルビタンモノオレエート及びポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリオレエートから選択され、優先的には、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート、及びこれらの混合物から選択される。より優先的には、脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレートである。
【0052】
本発明による組成物中に存在する、脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%、さらに良好には0.2質量%~2質量%の範囲である。
【0053】
本発明の好ましい代替の形態では、脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)は、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレートであり、組成物中に存在するポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレートの総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%、さらに良好には0.2質量%~2質量%の範囲である。
【0054】
(iii)ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物
本発明による組成物はさらに、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の1種以上の微生物(iii)、その画分の1つ、その代謝産物の1種又はそれらの混合物を含み、微生物は溶解物の形態である。
【0055】
「代謝産物」という用語は、本発明の意味の範囲では、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)の代謝から生じ、また酸化ストレスから頭皮を保護する効果を有する任意の物質を意味すると理解される。
【0056】
「画分」という用語は、本発明の意味の範囲では、微生物(iii)全体から類推して、酸化ストレスから頭皮を保護する効果を有する微生物(iii)の断片を意味すると理解される。
【0057】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)は、溶解物の形態で本発明の組成物中に存在する。
【0058】
溶解物は一般に、細胞溶解と称される現象による微生物(iii)の生体細胞の破壊又は溶解(これにより前記微生物(iii)の細胞に天然に含まれる細胞内生物学的成分の放出が引き起こされる)の後に得られる物質を意味する。
【0059】
本発明に関連して、「溶解物」という用語は、微生物(iii)の溶解によって得られる溶解物全体、又はその溶解物の画分のみを示すために、優先度なしで使用される。したがって、使用される溶解物は、細胞内生物学的成分並びに壁及び細胞膜の成分で全体が又は部分的に形成される。
【0060】
より具体的には、溶解物は、乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスファターゼ、ホスホケトラーゼ又はトランスアルドラーゼ及び代謝産物などの酵素を含む細胞の細胞質画分を含む。例として、細胞壁の成分は、特にペプチドグリカン、ムレイン又はムコペプチド及びテイコ酸であり、細胞膜の成分は、グリセロリン脂質から構成される。
【0061】
この細胞の溶解は、例えば、浸透圧ショック、熱ショック、超音波などの様々な技術によって、又は遠心分離などの機械的応力下で行われ得る。より詳細には、この微生物(iii)の溶解物は、米国特許第4464362号明細書に記載の技術に従って、特に以下のプロトコルに従って得ることができる。
【0062】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)は、好ましくは、例えば、米国特許第4464362号明細書及び欧州特許第0043128号明細書に記載されている条件に従って、適切な培養培地中、嫌気性条件下で培養される。増殖の静止期に達したなら、培養培地を、例えば60~65℃の範囲の温度で30分間、低温殺菌によって不活性化し得る。このようにして形成された微生物を、その後、膜濾過又は遠心分離などの従来の分離技術によって収集し、次いで、NaClの滅菌生理溶液に再懸濁する。
【0063】
その後、上記で得られた溶液を、細胞質画分、細胞壁断片、及び代謝により得られた産物が放出されるように、超音波破壊することによって、これらの微生物の溶解物を得ることができる。続いて、それらの天然分布中の全ての成分を、弱酸性水溶液中で安定化させる。このプロセスによって得られる溶解物中に存在する活性物質の総含有量は、溶解物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~50質量%、より優先的には1質量%~20質量%の範囲であり、さらに良好にはこの含有量は5質量%である。
【0064】
溶解物は、様々な形態で、特に溶液の形態又は粉末形態で使用することができる。
【0065】
好ましくは、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)は、以下の種:ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・シュードバクテリウム(Bifidobacterium pseudobacterium)及びこれらの混合物から選択される。
【0066】
より優先的には、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)種である。
【0067】
特に、本発明の意味の範囲で使用することができる溶解物として、次のINCI名を有する成分を挙げることができる:ビフィズス菌培養溶解質。
【0068】
特に、例として、K.Richter GmbHからRepair Complex CLR(登録商標)の名称で販売されている製品を挙げることができ、これはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)種の不活化溶解物から形成されている。
【0069】
本発明の組成物中に存在するビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)の溶解物の、乾燥エキスとして表される、総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~20質量%、より優先的には0.01質量%~10質量%、さらに良好には0.05質量%~5質量%、より一層良好には0.1質量%~2質量%の範囲である。
【0070】
(iv)サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母のエキス
本発明による組成物は、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母(iv)の1種以上のエキスをさらに含む。
【0071】
酵母は、従来の酵母培養用培地(例えば、10g/lの酵母エキス、ペプシンによって消化された7g/lのペプトン、20g/lのグルコース、及び1リットルに達するのに十分な量の水)中で培養することによって調製することができる。
【0072】
優先的には、水性酵母エキス、すなわち、良好な製造慣行に従う不可避の損失を受ける酵母エキスは、酵母の溶解及び膜細片の濾過による除去後に、酵母の全ての水溶性成分を含有するものが選択される。この水性酵母エキスは、優先的には、再溶解される。
【0073】
好ましくは、本発明によるサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の水性エキスは、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母全体を水(好ましくは蒸留水)に溶解することによって調製される。このようにして得られた懸濁液は、その後、タンパク質の加水分解に供される。次いで、この加水分解後に得られた溶液の可溶性相及び非可溶性相を分離し、可溶性相を回収する。この可溶性相を、その後、滅菌に供する。
【0074】
本発明の優先的な実施形態では、このようにして得られた水性酵母エキスは、その後、任意選択により乾燥させ、粉末形態で使用され得る。好ましくは粉末形態のエキスはまた、溶液、特に水/アルコール溶液、好ましくは水/アルコール溶液、より優先的には水-グリコール溶液(例えば、水とペンチレングリコールの混合物から構成される溶液)に入れることもできる(この場合、溶液中の酵母エキスという用語が使用される)。この溶液中に存在する水性酵母エキスの含有量は、前記溶液の総質量に対して。好ましくは0.5質量%~8質量%、より優先的には2質量%~7質量%、さらに良好には3質量%~5質量%の範囲である。
【0075】
本発明において使用される酵母エキスは、好ましくは水を含み、その含有量は、前記エキスの総質量に対して、有利には50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より優先的には70質量%以上、さらに良好には80質量%以上である。
【0076】
有利には、本発明に従って使用することができる溶液中の酵母エキスは、以下の特性に該当する:
- 5~8、好ましくは6~7のpH、及び/又は
- 溶液1リットル当たり20~60g(g/l)、好ましくは20~50g/l、より優先的には25~35g/lの糖、及び/又は
- 10~60g/l、好ましくは20~50g/l、より優先的には37~47g/lの固形分(若しくは乾燥物質)濃度。
【0077】
この水性酵母エキスを調製するために使用される酵母全体の集団、すなわち加水分解及び/又は滅菌の前の集団は、優先的には、水性酵母溶液1ミリリットル当たり105~1010コロニー形成単位(すなわちcfu/ml)である。
【0078】
本発明の組成物に使用することができる水性酵母エキスは、好ましくは以下の特性を示す:
- 酵母エキスの総質量に対して、5質量%~15質量%、好ましくは6質量%~12質量%、より優先的には7質量%~10質量%の範囲の総窒素含有量(ケルダール法による)、及び/又は
- 酵母エキスの総質量に対して、2質量%~10質量%、好ましくは3質量%~7質量%、より優先的には4質量%~6質量%の範囲の総遊離アミノ酸含有量(ソレンゼン法による)。
- 0.4~0.7、好ましくは0.4~0.6、より優先的には0.5~0.6の範囲の、前記エキス中に存在する同化可能なアミノ窒素の総含有量と総窒素含有量との質量比。
【0079】
タンパク質の加水分解は、優先的には、化学的若しくは酸加水分解によって、又は天然酵母酵素の使用によって実施される。この加水分解は、好ましくは、酵母の溶解後に酵母溶液中に存在する全てのタンパク質の少なくとも60%、より優先的には少なくとも80%、さらに良好には少なくとも90%について実施される。
【0080】
タンパク質の加水分解後に得られる可溶性相及び不溶性相の分離は、所望のエキスの性質に応じて当業者に知られた任意の手段によって実施することができる。この相分離は、例えば、濾過、デカンテーション又は遠心分離によって実施することができ、濾過が優先的な手段である。この可溶性相及び不溶性相の分離に続いて、可溶性相が回収される。
【0081】
滅菌は、当業者に知られた任意の手段によって、特に滅菌濾過によって実施することができる。後者は好ましくは膜フィルターの使用によって実施され、その孔のサイズは、除去することが望まれる膜要素のサイズに応じて選択され、この技術は当業者にはよく知られている。
【0082】
この滅菌段階に続いて、得られた水性酵母エキスは、粉末形態で提供するために乾燥することができる。この乾燥はまた、当業者に知られた任意の手段、例えば、蒸発、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって実施することができる。
【0083】
本発明において使用されるサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母は、好ましくは以下の種から選択される:サッカロミセス・バイリー(Saccharomyces bailii)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・デルブルエッキイー(Saccharomyces delbrueckii)、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)、サッカロミセス・ファーメンタティ(Saccharomyces fermentati)、サッカロミセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)、サッカロミセス・フラギリス(Saccharomyces fragilis)サッカロミセス・フラクツーム(Saccharomyces fructuum)、サッカロミセス・ヘテロジニカス(Saccharomyces heterogenicus)、サッカロミセス・オレアギノーサス(Saccharomyces oleaginosus)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、サッカロミセス・ステイネリ(Saccharomyces steineri)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロミセス・ケフィア(Saccharomyces kefir)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、及びこれらの混合物。
【0084】
より優先的には、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の酵母である。
【0085】
このような化合物は、特に、INCI名:酵母エキスで知られている。
【0086】
有利には、本発明の組成物中に存在するサッカロミセス属の酵母のエキスが生酵母を含まない。
【0087】
本発明に従って使用することができるサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母のエキスの例は、Firmalift(登録商標)GRVの名称でSilabによって販売されている。このエキスのCAS番号は8013-01-2であり、そのEINECS/ELINCS番号は232-387-9である。このエキスは、水/ペンチレングリコール混合物中の溶液の形態で提供される。
【0088】
本発明による組成物中に存在する場合、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母(iv)のエキスの総含有量(乾燥物質又は活性物質として)は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、より優先的には0.01質量%~1質量%、さらに良好には0.02質量%~0.5質量%の範囲である。
【0089】
単糖
本発明による組成物は、任意選択により、1種以上の単糖をさらに含んでもよい。
【0090】
「単糖」という用語は、本特許出願の意味の範囲内では、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個の炭素原子を含み、式Cx(H2O)x(ここで、xは3以上、好ましくは5以上の整数であり、優先的にはxは6以上であり、特にxは5~7(両端を含む)であり、好ましくはx=6である)で表される単糖類の糖を意味すると理解され、それらは、D又はL立体配置であり、α又はβアノマーであり、且つまたそれらの塩及び溶媒和物、例えば水和物であってもよい。
【0091】
好ましくは、単糖は、マンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、それらのL又はD立体配置の光学異性体、それらの溶媒和物(例えば水和物)、及びそれらの混合物から選択される。
【0092】
より優先的には、単糖は、マンノース、ラムノース及びそれらの混合物、さらに良好にはマンノースから選択される。
【0093】
マンノースは、6個の炭素原子からなる単糖(単純な非加水分解性糖)であり、それは、ヘキソースである。その経験式は、グルコースと同じC
6H
12O
6であり、C2エピマーである(すなわち、グルコースと比較して逆である2位の炭素上の置換基を除いて、その空間配置がグルコースと厳密に同一である)。マンノースは、以下の式(I)に対応し、それはまたそのエナンチオマーも包含する。
【化1】
【0094】
マンノースはまた、溶媒和形態(水和物を含む)、及びDL-マンノースと呼ばれるD及びL立体異性体の混合物の形態で提供することができる。
【0095】
好ましくは、単糖は、以下の式(II)のD-マンノースである。
【化2】
【0096】
D-マンノースは、植物、特にクランベリーを含む特定の果物、又はブナノキ及びカバノキなどの硬材中に天然に存在する。
【0097】
本発明に適したD-マンノースの例として、特に、Danisco Sweeteners(登録商標)又はSymrise(登録商標)により販売されているD-マンノースを挙げることができる。
【0098】
ラムノース(又は6デオキシマンノース)は、C6でのマンノースの脱酸素生成物を形式的に構成する。ラムノースは、天然ではL型で存在する。L-ラムノース製品は、例えば、Danisco Sweeteners(登録商標)により、またSymriseにより販売されている。
【0099】
好ましくは、単糖は、マンノース、またそのα又はβアノマー、そのL又はD立体配置の光学異性体、その溶媒和物及びそれらの混合物から選択される。より優先的には、単糖はD-マンノースである。
【0100】
単糖が本発明の組成物中に存在する場合、その総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~10質量%、さらに良好には0.1質量%~5質量%の範囲である。
【0101】
好ましくは、本発明による組成物が、好ましくはマンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、それらのL又はD立体配置の光学異性体、それらの溶媒和物、例えば水和物、及びそれらの混合物から選択される1種以上の単糖を含む場合、本発明の組成物中に存在する単糖の総含有量に対する抗酸化剤(i)の総含有量の質量比は、1以上であり、より優先的には1~5の範囲である。
【0102】
さらに良好には、組成物がアスコルビルグルコシド及びマンノースを含む場合、本発明の組成物中に存在するアスコルビルグルコシドの総含有量のマンノースの総含有量に対する質量比は、好ましくは1以上であり、より優先的には1~5の範囲である。
【0103】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、好ましくはマンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、それらのL又はD立体配置の光学異性体、それらの溶媒和物、例えば水和物、及びそれらの混合物から、さらに良好にはマンノース、並びにそのα又はβアノマー、そのL又はD立体配置の光学異性体、その溶媒和物、例えば水和物、及びそれらの混合物から選択される1種以上の単糖を含む。
【0104】
追加の糖
本発明による組成物はまた、任意選択により、オリゴ糖、多糖及びそれらの混合物から選択される、上記で定義された単糖とは異なる追加の糖を1種以上含むことができる。
【0105】
「多糖」という用語は、本発明の意味の範囲では、複合糖質を意味すると理解され、それは糖結合によって連結された、上で定義されたような単糖のいくつかの単位nから構成されるポリマーであり、数nは11以上、好ましくは11~200、より優先的には11~100、さらに良好には20~80である。多糖の例としては、特に、イヌリンを挙げることができる。
【0106】
用語「オリゴ糖」は、本発明の意味の範囲では、1つ以上のα又はβグリコシド結合を介して、上で定義されたような単糖のいくつかの単位nから構成されるオリゴマーを意味すると理解され、数nは2~10、好ましくは2~6である。オリゴ糖の例としては、特に、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来のオリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びトランスガラクトオリゴ糖を挙げることができる。
【0107】
好ましくは、追加の糖は、イヌリン、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来のオリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、及びこれらの混合物から選択される。
【0108】
本発明により使用することができるオリゴ糖及び多糖は、糖質である。
【0109】
使用可能なオリゴ糖及び多糖は、特に、グルコース、ガラクトース、キシロース、マルトース、サッカロース、ラクトース、デンプン、キシラン、ヘミセルロース、イヌリン、ガム、特にアカシアガム、又はこれらの混合物から製造することができる。
【0110】
例として、以下のオリゴ糖及び/又は多糖が挙げられる。
【0111】
- イヌリン
イヌリンは、植物、特にキクイモ(Jerusalem artichoke)及びチコリの根茎で特に豊富であり、それらから工業的に抽出される。それは、ダリアオニオン(dahlia onion)及びゴボウなどのキク科(Asteraceae)に属する他の植物にも含まれる。それは、可溶性食物繊維と考えられる。
【0112】
イヌリンは一般式(III)(以下にも示す):GFn(式中、Gはグルコース単位であり、Fはフルクトース単位であり、nは2~60の範囲で変動し、さらには60を超える場合もある)で表される多分散系線状ポリマーであり、フルクトース単位は、β(2→1)結合によって結合している。したがって、イヌリンは、グルコース単位を末端とするフルクトース単位の鎖に対応する。
【化3】
【0113】
使用可能であり、且つ商業的に入手可能であるイヌリンの中でも、特に、OraftiからのInutec H25P(n=2~7)及びInutec N25(平均n=25)を挙げることができる。
【0114】
- フルクトオリゴ糖
オリゴフルクトース又はオリゴフルクタンとも呼ばれるフルクトオリゴ糖(又はFOS)は、β-1,2結合によって結合したフルクトースの短鎖である。フルクトオリゴ糖(又はFOS)は一般式:G(F)n(式中、Gは、グルコース単位であり、Fはフルクトース単位であり、nは、1~10の範囲で変動する)に対応する。
【0115】
フルクトオリゴ糖(FOS)は、
- イヌリン(例えば、Orafti-BelgiqueからのRaftilose(登録商標))の部分的な酵素加水分解によって、
- サッカロース(例えば、Beghin Meiiji industries-FranceからのActilight(登録商標))から出発する酵素による合成によって、又は
- ヤーコン若しくはヒカマ(ポリムニア・ソンチホリア(Polymnia sonchifolia)、同義語:スマランチス・ソンチホリア(Smallanthus sonchifolia))からの抽出(抽出は、特に溶媒の不在下でヤーコンの塊茎の常温圧縮によって行われる。
【0116】
本発明に用いることができるフルクトオリゴ糖(FOS)は、好ましくはFOS混合物である。特に、Quantum hi-TechからのQuantom FOS95又はBeghin Meiiji industries-FranceからのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4混合物を挙げることができ、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0117】
- グルコオリゴ糖
グルコオリゴ糖(GOS)又はオリゴグルカンは、α-1,2、α-1,3又はα-1,4結合を含有することもできるα-1,6-結合グルコース単位のシークエンスから構成されるオリゴ糖である。それらは、グルカンスクラーゼ系統群の酵素によって触媒される糖転移反応によって合成される。
【0118】
好ましくは、グルコオリゴ糖は、α-1,6-及びα-1,2-結合グルコース単位のシークエンスから構成されるオリゴ糖である。
【0119】
有利には、グルコース単位の数は、2~10、好ましくは4~6であり、より優先的には、グルコース単位の数は、4である。
【0120】
さらに、グルコオリゴ糖は、リゥコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)の細菌株から抽出し精製された糖転移酵素型の特定の酵素によって触媒される反応であるグルコース分子の重合によって合成することができる。この反応は、受容体:マルトース(グルコース-グルコース)の使用と、グルコース供与体:サッカロース(グルコース-フルクトース)の使用とを必要とする。
【0121】
好ましい実施形態では、グルコオリゴ糖(GOS)は以下の式(V)を有する。
【化4】
【0122】
使用可能であり、且つ商業的に入手可能であるGOSの中で、Solabiaの製品のBioecolia(登録商標)を挙げることができる。
【0123】
- 大豆由来のオリゴ糖
これらのオリゴ糖は、大豆から直接抽出され、酵素による処理を全く必要としない。それらは、天然にラフィノース及びスタキオースを含有し、その式は以下の通りである:
[α-D-Gal-(1→6)-]m-α-D-Glu-(1→2)-β-D-Fru(ラフィノースはm=1、スタキオースはm=2)。
【0124】
使用可能なオリゴ糖の中で、特にCalpis Food Ind.(日本)のSoya-oligoを挙げることができる。
【0125】
- ピロデキストリン
ピロデキストリンは、デンプンの加水分解から生じるオリゴ糖の混合物である。
【0126】
- イソマルトオリゴ糖
イソマルトオリゴ糖は、デンプンから製造される。これらは、2~5の重合度を有するα-(1,6)-結合グルコースオリゴマーである。例えば、Showa SangoのIsomalto900Pを使用することができる。
【0127】
- キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖は、β-(1,4)結合によって連結されたキシロース単位から構成されるオリゴ糖である。例えば、Suntory LimitedのXylo 95Pを使用することができる。
【0128】
- トランスガラクトオリゴ糖
トランスガラクトオリゴ糖(又はTOS)は、ラクトースの発酵によって得られる化学構造α-D-グルコース-(1→4)-[β-D-ガラクトース-(1→6)]n(n=2~5)のガラクトースの線状オリゴマーである。
【0129】
例えば、株式会社ヤクルト本社(日本)のTOS 100を使用することができる。
【0130】
オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される、単糖とは異なる追加の糖が本発明の組成物中に存在する場合、その総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~20質量%、さらに良好には0.05質量%~10質量%、さらにより優先的には0.05質量%~5質量%、さらには0.1質量%~2質量%の範囲である。
【0131】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される、単糖とは異なる追加の糖を1種以上含む。
【0132】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のオリゴ糖及び/又は少なくとも1種の多糖の混合物を含む。言い換えれば、組成物は、少なくとも2種のオリゴ糖の混合物、少なくとも2種の多糖の混合物、又は少なくとも1種のオリゴ糖と少なくとも1種の多糖との混合物を含むことができる。
【0133】
この実施形態の第1の代替の形態によれば、組成物は、少なくとも2種の同じ種類のオリゴ糖の混合物を含む。例えば、上述したように、FOSの混合物、特にQuantum hi-TechのQuantom FOS95又はBeghin Meiiji industries-FranceのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4の混合物を使用することができ、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0134】
この実施形態の第2の代替の形態によれば、組成物は、異なる種類のオリゴ糖及び/又は多糖の混合物を含む。本発明は、特に、イヌリンと、GOS、FOS、大豆由来のオリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及び/又はトランスガラクトオリゴ糖との混合物の使用に関する。好ましくは、Gova IngredientsのBiolineなどの、イヌリンとGOSとの混合物が使用される。組成物はまた、GOSとFOSとの混合物を含むことができる。
【0135】
好ましくは、この実施形態の第2の代替形態によれば、本発明による組成物は、
- 少なくとも1種のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
- 少なくとも1種のフルクトオリゴ糖(FOS)
を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、さらに良好には0.1質量%~1質量%、さらにより優先的には0.2%~0.8質量%の範囲であり、
フルクトオリゴ糖(FOS)の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~0.02質量%、より優先的には0.01質量%~1質量%、さらに良好には0.01質量%~0.5質量%、さらにより優先的には0.05%~0.3質量%の範囲である。
【0136】
有利には、この本発明の特定の実施形態の第2の代替形態では、本発明による組成物は、
- 少なくとも1種のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
- 少なくとも1種のフルクトオリゴ糖(FOS)
を含むオリゴ糖の混合物を含み、
フルクトオリゴ糖の総含有量に対するグルコオリゴ糖の総含有量の質量比([GOS/FOS]比)は2以上である。好ましくは、質量比は、2~4の範囲、より優先的には3~4の範囲である。
【0137】
特に、プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されているプロバイオティック微生物との混合物を特に使用することができる。前記混合物は、特に、
- 混合物の総質量に対して60質量%~80質量%の少なくとも1種のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
- 混合物の総質量に対して10質量%~25質量%の少なくとも1種のフルクトオリゴ糖(FOS)
を含む。
【0138】
特に、前記混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%の(ポリムニア・ソンチホリア(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、及び10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0139】
プロバイオティック微生物
本発明による組成物は、任意選択により、上記で定義されたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の微生物(iii)とは異なる1種以上のプロバイオティック微生物を追加的に含むことができる。
【0140】
本発明の意味の範囲では、「プロバイオティック微生物」という用語は、好適な量で消費される場合、そのホストの健康に対してプラスの効果を有し(Joint FAO/WHO Expert Consultation on Evaluation of Health and Nutritional Properties of Probiotic in Food Including Powder Milk with Live Lactic Acid Bacteria、6 October 2001)、且つ特に腸内微生物バランスを改善し得る、生きている微生物を意味すると理解される。
【0141】
ケラチン物質、特に皮膚又は頭皮などのヒトケラチン物質の場合、前記プロバイオティック微生物は、好適な量でケチン物質に適用されると、前記ケラチン物質の美的な資質にプラスの効果を有するプロバイオティック微生物である。
【0142】
好ましくは、本発明に従って使用することができるプロバイオティック微生物は、乳酸菌、例えば特にラクトバチルス属(Lactobacillus)種、及びそれらの混合物の群からのプロバイオティック微生物から選択される。これらの乳酸菌の例として、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0143】
有利には、プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・クルバツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブリッキィ亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp.Lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス GG(Lactobacillus GG))、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacilluslactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillusbulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0144】
プロバイオティック微生物は、生存形態、半活性形態又は不活化(死滅)形態で、本発明による組成物に含まれ得る。それらはまた、細胞成分の画分の形態又は代謝産物の形態で含まれ得る。プロバイオティック微生物又は代謝産物又は画分はまた、凍結乾燥粉末の形態、培養上清の形態及び/又は適切な場合には濃縮した形態でも導入され得る。
【0145】
本発明の好ましい一実施形態によれば、これらの微生物は不活化形態である。
【0146】
「不活化形態」、「再生不可能な形態型」及び「死滅形態」という用語は、本明細書においては同義である。「半活性形態」の細菌は、それらの病原性を部分的に又は完全に失った細菌である。
【0147】
微生物(iii)とは異なるプロバイオティック微生物が本発明による組成物中に存在する場合、その総含有量は、組成物の総質量に対して、有利には0.0001質量%~20質量%、好ましくは0.0001質量%~10質量%、より優先的には0.001%~5質量%、さらに良好には0.001質量%~1質量%の範囲である。
【0148】
この又はこれらの微生物は、本発明による組成物中に、生存形態、半活性形態又は不活化(死滅)形態で、好ましくは、例えば熱又は高圧による不活化形態で含まれ得る。
【0149】
微生物が生存形態で組成物中に配合される場合、生きている微生物の量は、好ましくは103~1015cfu/g、より優先的には105~1015cfu/g、さらに良好には107~1012cfu/gの組成物1グラム当たりの微生物の範囲であり得る。
【0150】
特に好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、
- 1種以上のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
- 1種以上のフルクトオリゴ糖(FOS)
を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、さらに良好には0.1質量%~1質量%、さらにより優先的には0.2%~0.8質量%の範囲であり、
フルクトオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~0.01質量%、より優先的には0.01質量%~1質量%、さらに良好には0.01質量%~0.5質量%、さらにより優先的には0.05%~0.3質量%の範囲である。
【0151】
本実施形態によれば、組成物の発明は、好ましくは、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の細菌、より優先的にはラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、及びこれらの混合物から選択される1種以上のプロバイオティック微生物をさらに含み、プロバイオティック微生物の総含有量は、組成物の総質量に対して、有利には0.0001質量%~10質量%、好ましくは0.001質量%~5質量%、より優先的には0.001質量%~1質量%の範囲である。
【0152】
有利には、本発明による組成物は、
- 1種以上のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
- 1種以上のフルクトオリゴ糖(FOS)
を含むオリゴ糖の混合物を含み、
フルクトオリゴ糖の総含有量に対するグルコオリゴ糖の総含有量の質量比([GOS/FOS]比)は2以上である。好ましくは、質量比は、2~4の範囲、より優先的には3~4の範囲である。
【0153】
例として、プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されているプロバイオティック微生物との混合物を特に使用することができる。前記混合物は、特に、
- 混合物の総質量に対して60質量%~80質量%の少なくとも1種のグルコオリゴ糖(GOS)、
- 混合物の総質量に対して10質量%~25質量%の少なくとも1種のフルクトオリゴ糖(FOS)、及び
- 混合物の総質量に対して0.001質量%~15質量%の、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のプロバイオティック微生物
を含む。
【0154】
特に、前記混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%の(ポリムニア・ソンチホリア(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、及び10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0155】
非イオン性界面活性剤
本発明による組成物はまた、任意選択により、上記で定義された脂肪酸とソルビタンのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤を1種以上含むことができる。
【0156】
これらの界面活性剤は、特に、組成物の清澄性又は透明性の保持に寄与することができる。
【0157】
本発明の組成物に使用することができる非イオン性界面活性剤の例は、例えば、Blackie & Son(Glasgow及びLondon)により刊行されたM.R.Porter,Handbook of Surfactants,1991,116-178に記載されている。それらは、特に、アルコール、α-ジオール、(C1~C20)アルキルフェノール、又は脂肪性の酸から選択され、これらの化合物は、ポリエトキシ化、ポリプロポキシ化、又はポリグリセロール化されており、例えば、8~18個の炭素原子を含む少なくとも1個の脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数を特に1~100の範囲とすることが可能であり、グリセロール基の数を特に1~30の範囲とすることが可能である。
【0158】
本発明により使用することができる脂肪酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤として、以下の非イオン性界面活性剤を挙げることができる:
- オキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール;
- 飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐鎖状、オキシアルキレン化C8~C40アルコール;
- 飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状のオキシアルキレン化C8~C30脂肪酸アミド;
- 飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝鎖状のC8~C30酸とポリオール又はポリエチレングリコールとのエステル;
- 脂肪酸とサッカロースとのエステル;
- (C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシド、(C8~C30)アルケニル(ポリ)グルコシド(これらは、任意選択的にオキシアルキレン化(0個~10個のオキシアルキレン単位)され、1個~15個のグルコース単位を含む)、(C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシドエステル;
- 飽和又は不飽和オキシエチレン化植物油;
- エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物;
- N-(C8~C30)アルキルグルカミン及びN-(C8~C30)アシルメチルグルカミン誘導体;
- アルドビオンアミド(aldobionamide);
- アミンオキシド;
- オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化シリコーン;
- 並びにこれらの混合物。
【0159】
オキシアルキレン単位は、より詳細には、オキシエチレン又はオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせ、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0160】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのモル数は、好ましくは1~250、より詳細には2~100、さらに良好には2~50の範囲であり、グリセロールのモル数は、特に1~50、さらに良好には1~10の範囲である。
【0161】
有利には、本発明による脂肪酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を含まない。
【0162】
グリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、好ましくは、1~50モルのグリセロール、好ましくは1~10モルのグリセロールを含むモノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールを使用することができる。
【0163】
グリセロール化アルコールのうち、1モルのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが、特により好ましい。
【0164】
本発明による組成物において使用することができる、脂肪酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤は、優先的には、以下から選択される:
- 1~100モルのエチレンオキシド、好ましくは2~50モル、より詳細には2~40モルのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化C8~C40アルコール;
- 1~100モル、好ましくは2~50モルのエチレンオキシドを含む飽和又は不飽和のオキシエチレン化植物油;
- 任意選択的にオキシアルキレン化(0~10EO)され、1~15のグルコース単位を含む(C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシド;
- 1~50モルのグリセロール、好ましくは1~10モルのグリセロールを含む、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコール;
- 飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状のオキシアルキレン化C8~C30脂肪酸アミド;
- 飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状のC8~C30酸とポリオール又はポリエチレングリコールとのエステル;
- 並びにこれらの混合物。
【0165】
好ましくは、脂肪酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤は、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状のオキシアルキレン化又はグリセロール化された、優先的にはオキシエチレン化されたC8~C40アルコール、1~100モル、好ましくは2~50モルのエチレンオキシドを含む飽和又は不飽和のオキシエチレン化植物油、及びこれらの混合物から選択される。
【0166】
脂肪酸とソルビトールのオキシアルキレン化エステル(ii)とは異なる非イオン性界面活性剤の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%、さらに良好には0.2質量%~3質量%、より一層良好には0.3質量%~2質量%の範囲である。
【0167】
本発明による組成物は、好ましくは、水を含む。有利には、水の総含有量は、組成物の総質量に対して、50質量%~98質量%、好ましくは60質量%~95質量%、優先的には70質量%~90質量%の範囲である。
【0168】
本発明による組成物は、有利には、1~6個の炭素原子、より優先的には1~4個の炭素原子を有する、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びそれらの混合物、さらに良好にはエタノールから選択される、1種以上の直鎖状又は分枝鎖状のモノアルコールをさらに含むことができる。
【0169】
本発明により使用することができるモノアルコールは、直鎖状又は分枝鎖状であり、したがって、環状でも芳香族でもない。
【0170】
前記モノアルコールは、組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%、好ましくは10質量%~35質量%、より優先的には12質量%~30質量%、さらに良好には15質量%~25質量%の範囲の総含有量で組成物中に存在し得る。
【0171】
本発明による組成物は、任意選択により、上記のモノアルコールとは異なる1種以上の有機溶媒を含むことができ、それらは、ポリオール、ポリエチレングリコール、芳香族アルコール及びそれらの混合物から選択することができる。
【0172】
本発明により使用することができる上記のモノアルコールとは異なる有機溶媒の例としては、特に、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0173】
上記のモノアルコールとは異なる有機溶媒が本発明の組成物中に存在する場合、その総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~20質量%、より優先的には0.5質量%~10質量%、さらに良好には1質量%~5質量%の範囲である。
【0174】
本発明による組成物が、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のモノアルコールから選択される1種以上の有機溶媒を含む場合、組成物は水性/アルコール性組成物である。
【0175】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、1~6個の炭素原子を有する1種以上の直鎖状又は分枝鎖状のモノアルコールを含む。
【0176】
本発明による組成物はまた、任意選択により、好ましくはカチオン性、アニオン性、及び両性界面活性剤、カチオン性、アニオン性、非イオン性及び両性ポリマー、増粘剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、緩衝剤、分散剤、膜形成剤、セラミド、防腐剤、乳白剤、潤滑剤(又は固化防止剤)及びそれらの混合物から選択される、上記で定義された化合物とは異なる1種以上の追加の化合物を含むことができる。
【0177】
好ましくは、上記の追加の化合物が本発明による組成物中に存在する場合、その追加の化合物は、一般に、それらのそれぞれについて、組成物の質量に対し、0.01質量%~20質量%の含有量で存在する。
【0178】
有利な実施形態では、本発明による組成物は、1種以上のフケ防止剤及び/又は脱毛を防ぐための1種以上の薬剤を含むことができる。
【0179】
当然ながら、当業者は、本発明組成物に本質的に備わる有利な特性が、予想される追加によって悪影響を受けることがない、又は実質的に受けることがないように、この又はこれらの任意選択による追加の化合物を注意して選択するであろう。
【0180】
任意選択の増粘剤は、無機又は有機の増粘剤から選択することができる。増粘剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性であり得る。
【0181】
本発明により使用することができる増粘剤としては、特に、架橋アクリル酸ポリマー及び/又は架橋メタクリル酸ポリマーなどのカルボキシビニルポリマー、特に、架橋アクリル酸ホモポリマー(カルボマー)、例えば、GoodrichからCarbopolの名称で販売されているもの、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えば、GuardianからLubrajel若しくはNorgelの名称で販売されている製品、又はHispano ChimicaからHispagelの名称で販売されている製品;ポリアクリルアミド、例えば、SEPPICからSepigel 305の名称で販売されている製品;アルギネート、セルロース及びその誘導体などの多糖類、特に、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び微結晶セルロース;天然ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン;或いはクレー、例えば、モンモリロナイト及び誘導体、ベントン及び誘導体、又はマグネシウムアルミニウムシリケート及び誘導体(Veegum)を挙げることができる。
【0182】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、架橋アクリル酸ポリマー及び/又は架橋メタクリル酸ポリマーから選択される少なくとも1種の増粘剤を含む。
【0183】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、架橋アクリル酸ポリマーから選択される少なくとも1種の増粘剤を含む。
【0184】
増粘剤が本発明の組成物中に存在する場合、その総含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは0.05質量%~5質量%、より優先的には0.1質量%~3質量%の範囲である。
【0185】
本発明による組成物のpHは、組成物が水性の場合、有利には5~9、好ましくは6~8、より優先的には6.5~7.5で変動し得る。
【0186】
組成物のpHは、通常使用される塩基性化剤又は酸性化剤により、所望の値に調整することができる。塩基性化剤の中では、例として、アンモニア水、アルカノールアミン、又は無機若しくは有機水酸化物を挙げることができる。酸性化剤の中では、例として、無機若しくは有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸若しくは乳酸、又はスルホン酸を挙げることができる。
【0187】
本発明による組成物は、好ましくは局所的に、特に頭皮及び/又は毛髪に適用される。
【0188】
外部局所経路による投与が意図される組成物は、ローション若しくは美容液タイプの溶液若しくは分散液、クリームタイプの溶液若しくは分散液、又は水性ゲルであり得る。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0189】
好ましくは、本発明による局所経路用組成物は、有利には、ヘアケア及び/又は頭皮ケアに好適な任意の提示形態で、特に、ヘアローション、シャンプー(特にふけ防止シャンプー)、コンディショナー、解きほぐし剤(disentangler)、ヘアクリーム若しくはゲル、トリートメントローション、脱毛防止用のローション若しくはゲル、抗寄生虫シャンプー、トリートメントシャンプー(特に抗脂漏性シャンプー)、又は頭皮ケア(特に抗刺激性製品、再構築製品)の形態で製剤化することができる。
【0190】
本発明による組成物は、有利には増粘された、実際にはゲル化された形態で、特に増粘された、実際にはゲル化されたローションの形態で、又は増粘された、実際にはゲル化された血清の形態で提供される。
【0191】
本発明による組成物は、有利には、清澄~透明な液体、好ましくは透明な液体の形態で提供される。
【0192】
本発明による組成物の透明度は、比濁法(NTU単位)による組成物の濁度の測定によって特徴づけることができる。本発明に関連して、濁度測定は、Agilentから販売されているUV-Vis Cary100モデルUV分光光度計を用いて行った。組成物の濁度は、Hanna Instruments製のHI 88713-ISOモデルなどの濁度計を使用して測定することも可能である。
【0193】
有利には、周囲温度(25℃)及び大気圧で測定される本発明による組成物の濁度は、250NTU単位以下、好ましくは200NTU単位以下、より優先的には100NTU単位以下、さらに良好には50NTU単位以下、さらにより優先的には20NTU単位以下、さらには10NTU単位以下である。
【0194】
好ましくは、本発明による組成物は、
- 脂肪酸とソルビタンの1種以上のオキシアルキレン化エステル、
- アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1種以上の抗酸化剤、
- ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の1種以上の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1種又はそれらの混合物(微生物は溶解物の形態である)、
- サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の1種以上のエキス、
- 1種以上の単糖、
- 任意選択による、オリゴ糖、多糖及びこれらの混合物から選択される1種以上の追加の糖、
- 水、及び
- 任意選択による、1~6個の炭素原子を有する1種以上の直鎖状又は分枝鎖状のモノアルコール
を含む。
【0195】
さらに良好には、本発明による組成物は、
- 1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝鎖状のC8~C30脂肪酸とソルビタンの1種以上のエステル、及びそれらの混合物、
- アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの混合物から選択される1種以上の抗酸化剤(より優先的には、抗酸化剤はアスコルビルグルコシドである)、
- ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種の1種以上の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1種又はそれらの混合物(微生物は溶解物の形態である)、
- サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の1種以上のエキス、
- マンノース、またそのα又はβアノマー、そのL又はD立体配置の光学異性体、その溶媒和物及びそれらの混合物から選択される1種以上の単糖、
- オリゴ糖、多糖及びこれらの混合物から選択される1種以上の追加の糖、
- 水、及び
- 1~6個の炭素原子を有する1種以上の直鎖状又は分枝鎖状のモノアルコール
を含む。
【0196】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、特に頭皮及び/又は毛髪などのヒトケラチン物質の美容的処置のための方法であって、前記ケラチン物質への上で定義した組成物の適用を含む方法である。
【0197】
任意選択で、組成物の適用後、任意選択の放置時間の後に、すすぎ操作が行われても行われなくてもよい。
【0198】
好ましくは、本発明による組成物の適用に続いて、すすぎ操作が行われない。
【0199】
好ましくは、美容的処置方法は、ヘアケア方法である。
【0200】
本発明はさらに、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、さらには回復させるための、上で定義した組成物の非治療的な美容的使用に関する。
【0201】
本発明はさらに、上で定義した本発明による組成物を含む1つ以上の容器を含む装置に関する。
【0202】
装置は、組成物の分配を可能にする少なくとも1つの分配部材をさらに含むことができ、それは、例えば、分配オリフィス又はアプリケータであり得る。
【0203】
分配器官は、前記容器に隣接させることができ(この場合、装置は単品のみから構成される)、装置はまた、いくつかの部品、例えば、一方では容器、他方では分配器官から作製することができる。
【0204】
したがって、装置は、組成物の分配を可能にする少なくとも1つの分配オリフィスを含むことができる。分配オリフィスは、閉鎖部材によって閉鎖することができる。
【0205】
したがって、装置は、組成物の適用を容易にするためのアプリケータを含むことができる。アプリケータは、例えば、櫛、細かいブラシ又は粗いブラシ、さらにはピペット、フェルト、又はスポイトであり得る。
【0206】
有利には、組成物は、任意選択によりアプリケータを含む分配オリフィスを介して、装置を使用して直接適用される。言い換えれば、組成物は装置に取り込まれない。したがって、本発明の装置は組成物の適用を容易にし、前記組成物の復元速度を向上させることを可能にする。
【0207】
有利には、組成物の適用及び分配に、ポンプ又は噴射剤を必要としない。組成物は、分配オリフィスを介して重力によって流れる。必要に応じて、容器に圧力を加えて、すぐに使用できる組成物の流れ及び分注を容易にすることができる。
【0208】
装置は、有利には、ボトル、ポンプ作用スプレー、ボトル、ピペット、例えば、単回用量ピペットなどと任意選択的に組み合わされたスポイトであり得る。
【0209】
以下の実施例は本発明を説明するものであって、限定するものではない。
【実施例】
【0210】
1.実施例1:
本発明による組成物A及びBを、以下の成分から調製し、その含有量を(別段の指示がない限り、活性物質の質量%として)下表に示す。
【0211】
【0212】
得られた組成物は清澄であり、頭皮及び毛髪に適用し、次いで適用後にすすぎ段階を行わずに外気中で乾燥させることができる。組成物は、約7のpHを有する。
【0213】
これらの組成物を毎日21日間使用した後、頭皮の不快感(ヒリヒリ感、熱感)及び引っ掻く頻度の有意な減少が観察された。
【0214】
組成物により毛髪及び/又は毛根が脂っぽくならず、逆に、毛同士がくっつくこともなく、毛髪は清潔である。
【0215】
41人のボランティアに、T0(適用直後)及びT21で毛髪及び頭皮に対する本製品の有効性を自己評価するように依頼した。
【0216】
次の結果が得られる:
・適用直後:
- 製品は頭皮にさわやかな感触を与え、
- 頭皮は潤いがあり、
- 熱感、痒み及び/又はヒリヒリ感が弱まり:
・21日間の適用後:
- 製品は頭皮にさわやかな感触を与え、
- 頭皮は快適で、潤いがあり、刺激の影響を受けにくく、且つ鎮静され、
- 熱感、痒み及び/又はヒリヒリ感が弱まり:
製品は幸福感を与え、その質感は心地よい。
【0217】
2.実施例2:
感受性の強い頭皮を有する18~60歳の男性及び女性からなる42人のボランティアについて試験を行った。
【0218】
ボランティアは、以下のプロトコルに従って、通常の使用条件下で、21日間(D1~D21)、毎日、自宅で、頭皮全体に実施例1の組成物Aを4.5ml、乾燥毛髪に塗布した:
- 額から首筋まで次の3本の線を定義する:右側に1本、中央に1本、左側に1本、
- 美容液4.5mlを塗布し、製品をこれらの3本の線にできるだけ均一に触れ滴下して置く、
- 指の腹で円を描くように動かして、製品を頭皮全体に広げる。
【0219】
D0(塗布開始前)及びD21(塗布の21日後)において、以下の測定を行った。
【0220】
(a)頭皮の区切られた領域に対するスクラビング(LC/MS分析による量[SQOOH])の除去方法による生化学的マーカーに対する効果の評価:
刺激物質であることが知られているスクアレンの酸化の評価は、D0とD21との間で測定する。
【0221】
以下の結果が得られる(SQOOHの量(ng/mgタンパク質))。
【0222】
【0223】
スクアレンの酸化の評価において有意な減少が観察される。
【0224】
(b)皮膚バリアに対する組成物の効果の評価:
頭皮の皮膚のTEWL(経表皮水分喪失)のレベルの機器測定に基づくこの評価は、感知できないほどの水分損失を維持しながら、Vapometer(登録商標)を用いて、2.25cm2の小さな表面積、すなわち一辺の長さが1.5cmの正方形で実施された(1実験時間当たり最大6回の正確な測定):
【0225】
以下の結果が得られる(TEWLの測定、g.m-2.h-1で表す)。
【0226】
【0227】
D0とD21との間の頭皮のバリア機能の有意差は観察されない:バリア機能は、本発明による組成物の使用によって保持される(有害な影響を受けない)。
【0228】
(c)頭皮の不快感(痒み、ヒリヒリ感、熱感)の低減に対する組成物の効果の評価:
不快感の各因子を、D0(適用前)、D0 imm(即時:製品の1回目の適用直後)及びD21に42人のボランティアによって0~9のスケールで評価した。
【0229】
グレード9は高レベルの不快感に対応し、グレード0は、評価された因子に関して、ゼロレベルの不快感に対応する。
【0230】
次の結果が得られる。
【0231】
【0232】
頭皮の不快感の有意な減少は最初の適用から観察され、実質的な減少は3週間の適用後に観察される。
【0233】
3.実施例3:
組成物C(本発明による)及び組成物C’(比較)を、以下の成分から調製し、その含有量を(別段の指示がない限り、活性物質(AM)の質量%として)下表に示す。
【0234】
【0235】
本発明による組成物Cは視覚的に清澄であるが、比較組成物C’は不透明である。
【0236】
さらに、組成物Cは組成物C’よりも流動性が高く、したがって、組成物Cは組成物C’よりも毛髪及び頭皮上に分配されやすい。
【0237】
毛髪のナチュラルロック(5.4g)を、毛髪1g当たりシャンプー0.4gの割合でDOPカモミールシャンプーで予め洗浄し、続いてすすぎを行った。
【0238】
組成物E及びE’の各々をナチュラルヘアの濡れたロックに毛髪1g当たり組成物0.15gの割合で塗布した。次いで、ロックを(すすぐことなく)ヘアドライヤーで乾燥させた。
【0239】
次いで、6人の専門家が、毛髪に付与されたボリュームを、0(ボリュームなし、毛髪は密に詰められ、ロックは空間内でわずかなボリュームを占める)から5(大量のボリュームを占め、毛髪は互いにゆるく、ロックは空間内で大量のボリュームを占める)までの範囲のスケールで、視覚的に且つ相対的に評価した。
【0240】
次に示す結果を得た。
【0241】
【0242】
本発明による組成物Cは、比較組成物C’と比較して、毛髪に対して有意により多くのボリュームを与えた。
【0243】
全ての専門家によれば、本発明による組成物Cで処理されたロックは、比較組成物C’で処理されたロックよりも、より自然な感触及びより清潔な外観を有する。
【国際調査報告】